中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第15回) 議事録

日時

平成21年4月21日(火)14:00~16:03

場所

三田共用会議所 第二特別会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
委員
佐藤  洋
臨時委員
井上  達 上路 雅子
五箇 公一 白石 寛明
染  英昭 中杉 修身
細見 正明 眞柄 泰基
渡部 徳子
専門委員
井上 隆信 中村 幸二
花井 正博 吉田  緑

(欠席は、中野臨時委員、花里臨時委員、山本臨時委員、安藤専門委員、根岸専門委員)

委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、農薬環境管理室室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室企画・調査係長

議題

(1)
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(2)
その他

配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第14回)議事録(案)
資料3 諮問書(写)及び付議書(写)
資料4 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料
参考資料1 中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第14回)議事要旨

議事

【農薬環境管理室長】 定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会農薬小委員会第15回を開催させていただきます。委員の出欠確認の前に、新たに農薬小委員会に御所属いただくことになりました委員の先生を御紹介いたします。御紹介の後、一言ごあいさつをお願いしたいと思います。
 臨時委員となった井上達先生の御後任として、新たに農薬小委員会に御所属いただくことになりました吉田緑専門委員です。なお、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会にも御参加いただいております。

【吉田専門委員】 初めまして。国立医薬品食品衛生研究所病理部の吉田緑でございます。専門は毒性学でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【農薬環境管理室長】 それでははじめに、委員の出欠確認をお願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 本日の委員の出欠でございますが、中野臨時委員、花里臨時委員、山本臨時委員、安藤専門委員、根岸専門委員より御欠席するとの連絡をいただいております。したがいまして、本日は15名の委員に御出席いただく予定となっております。委員、臨時委員総数14名のうち、11名の御出席をいただいており、小委員会開催の要件、定足数8名でございますけれども、満たしておりますことを御報告いたします。

【農薬環境管理室長】 続きまして、本日の配付資料について、御確認いただきたいと思います。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 議事次第の配付資料一覧に従いまして、資料の確認をお願いいたします。
 まず、資料1としまして、農薬小委員会の委員名簿。資料2として前回の農薬小委員会(第14回)の議事録(案)。資料3が諮問書の写し及び付議書の写しでございます。資料4が水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料、こちらは(案)でございます。続いて参考資料として、前回の第14回農薬小委員会の議事要旨がございます。
 資料は以上でございまして、そのほかに委員のお手元に審議会や検討会での報告を取りまとめましたピンクか黄色の紙のファイルがございます。こちらは次回以降も使用いたしますので、会議終了後も置いていっていただければと思います。
 以上でございます。

【農薬環境管理室長】もし足りないものがございましたら、事務局までお申し出ください。よろしいでしょうか。
 特にないようでしたら、議事に入らせていただきます。森田委員長に議事進行をお願いいたします。よろしくお願いします。

【森田委員長】 本日は皆さん御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございます。本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準に関する審議が予定されております。慎重かつ活発な御審議をお願いいたします。
 まず、本日の審議の公開についてお諮りしたいと思います。土壌農薬部会の運営方針では審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づき非公開とするとされております。今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないということから、非公開の理由には当たらないため、今回の農薬小委員会においては公開とさせていただきます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、これから議事に入りたいのですが、その前に、前回2月3日に開催いたしました第14回小委員会の議事要旨の確認であります。事務局から御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については委員長に了解をいただければ公開できることとなっております。本日の参考資料1の内容で既に環境省のホームページで公開しておりますので、御報告いたします。
以上です。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 続きまして、前回の議事録についてであります。こちらにつきましては既に各委員の先生方、確認済みということで、資料2の状態で配付をしております。御意見はございますか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 なお、これらにつきましては土壌農薬部会の運営方針に基づき、公開するということにしておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事にこれから入りたいと思いますが、初めに、農薬小委員会の決議の取り扱いについてのご説明をさせていただきます。
中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についての土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることとなっております。したがって、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集をせず、土壌農薬部会の松本部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。
それでは、議事次第に従ってこれから議事を進めたいと思います。
まず、諮問書の紹介であります。農薬取締法第3条第2項の規定に基づいて、環境大臣が定める基準の設定についての件については、4月13日付で環境大臣からの諮問があり、土壌農薬部会に付議されております。事務局の方から諮問書についての御紹介をお願いいたします。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは、資料3をごらんください。平成21年4月13日付で諮問第257号により、環境大臣より中央環境審議会長に対して以下のとおり諮問がされております。
農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について(諮問)。標記について、環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、次のとおり諮問する。
「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件」に基づき、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
1ページめくっていただきますと、こちらが別紙でございまして、今回審議いただく水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の農薬でございます。次のページが付議書でございます。同日付の中環審第499号で、中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会長に対して、ただいま御説明した諮問事項につきまして付議がなされております。
以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、今御紹介いただきましたが、議題の1番に入りたいと思います。水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議であります。
この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表されている文献情報の精査を行うとともに、これらのデータに適応する不確実性係数などについて設定をいたしまして、基準値案を策定していただいています。それでは事務局から御説明をいただきたいと思います。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは資料4にそって、説明させていただきます。資料4が水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料です。2枚おめくりいただきまして、1ページ目のイプロベンホスから御説明いたします。
まず1の評価対象農薬の概要でございますけれども、物質概要につきましては、資料に記載のとおりです。開発の経緯等につきましては、イプロベンホスは有機リン系の殺菌剤でございます。こちらは殺虫剤としての適用はございません。前回までは何々系という形で作用機作ではなく、グループだけ記載していたのですが、今回から作用機作とその系統を両方記載することにいたしました。この剤につきましては、有機リン系というのは中枢神経系でアセチルコリンエステラーゼ阻害ということで、殺虫作用を有するのですけれども、今回の剤は殺菌剤ということで、そのような作用については記載をしておりません。本邦の初回登録は1967年でございます。本剤は粉剤及び粒剤の登録がございまして、適用作物は稲でございます。
続きまして各種物性につきましては、資料に記載のとおりでございます。こちらにつきましては生物濃縮性の項目を追加させていただきました。こちらは基準設定に関しては使用しない値ではあるのですが、参考情報として項目に追加しております。
続きまして、2ページの水産動植物への毒性について御説明します。まず魚類の急性毒性試験です。申請者から提出された試験成績と環境省が文献等から収集した毒性データがございます。まず、1番目のコイを用いた魚類の急性毒性試験の結果は、LC50の値が1万7,700μg/Lという結果でございました。下にまいりまして、(2)の環境省が文献等から収集した毒性データということで、環境庁のときに委託試験を実施しているものです。こちらはメダカを用いていまして、3ページが結果になるのですけれども、LC50が3,180μg/Lという結果でございました。
続きまして甲殻類の試験成績です。こちらにつきましても、申請者から提出された試験成績と、環境省が収集した毒性データがございます。まず初めに(1)のミジンコ類を用いた急性遊泳阻害試験の結果ですけれども、こちらは申請者から提出されておりまして、EC50の結果が815μg/L、続いて(2)として環境省が収集したデータとして、オオミジンコで環境省の委託試験として実施したものですけれども、EC50の結果が813μg/Lという結果でございました。
続いて申請者から提出された試験として、ミナミヌマエビを用いた急性毒性試験が実施されておりまして、こちらについてはLC50が1万900μg/L、続いてヨコエビを用いた試験も実施しておりまして、こちらについてはLC50が1万2,200μg/Lという結果でございました。1ページめくっていただきますと、こちらが甲殻類の最後の試験になりますけれども、セスジユスリカを用いた急性毒性試験が実施されておりまして、こちらの結果についてはLC50が1,450μg/Lという結果でございました。続いて藻類の生長阻害試験の結果でございます。こちらは申請者が実施した試験でして、EC50が1万4,800μg/Lという結果でございました。
続いて6ページが環境中予測濃度でございます。この製剤としては粒剤及び粉剤がございます。水稲に適用がございますので、水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出いたしました。環境中予測濃度が最も高くなる以下の使用の場合につきまして、表9のパラメータを用いて算出した結果、水田PECTier1による算出結果は130μg/Lという結果でございました。
1ページめくっていただきますと、IVの総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50の結果は以下のとおりでございました。これらの結果からまず魚類については10の不確実係数で、急性影響濃度を出しますけれども、甲殻類については4種の生物種のデータが存在することから、不確実係数については10ではなくて、3という数字を採用しておりまして、急性影響濃度を算出しております。これらの急性影響濃度から最小となる甲殻類の急性影響濃度より登録保留基準値案が270μg/Lとなります。続いてリスク評価です。環境中予測濃度は水田PECTier1の130μg/Lでございましたので、登録保留基準値案270μg/Lを下回っているという結果になっております。8ページについては検討経緯や申請者から出された製剤の試験成績となっておりまして、参考資料でございます。
以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。今日、御審議いただく剤は、全部で7剤でございます。一つずつの御審議をお願いしたいと思います。
 まず、ただいまのイプロベンホスにつきまして、御質問あるいは基準値案などについて御意見はございませんでしょうか。

【農薬環境管理室長補佐】 委員長、よろしいでしょうか。資料の修正でちょっと申し上げたいことがございます。3ページの2の甲殻類と書いているところでございますけれども、ここでの検討は甲殻類の他、甲殻類ではないセスジユスリカも含めていろいろ試験をして、不確実係数を3と決めたということになっておりますので、「甲殻類」というタイトルでなく、「甲殻類等」ということで資料を修正させていただけたらと思います。よろしくお願いしたいと思います。

【森田委員長】 いかがでしょうか。

【井上(隆)専門委員】 1点本当に形式的なことなのですけれども、今の3ページのところで甲殻類等の下に、(1)で申請者から提出された試験成績があって、(2)が環境省が文献等から収集した毒性データで、その次の(3)がヌマエビ・ヌカエビ急性毒性試験というふうになって、この並びが少しおかしいのかなと。(1)がミジンコ類急性毒性試験で、その下に申請者から提出された成績と、環境省の文献からデータが入っていた方が見た目という意味でいいのではないかと思いました。

【農薬環境管理室長補佐】 御指摘のとおり修正したいと思います。

【森田委員長】 ほかに御意見はございませんでしょうか。イプロベンホス自身はかなり急速に生産量が減ってきているのですが、何か理由があるのでしょうか。

【農薬環境管理室】 理由については、特に把握しておりません。

【森田委員長】 五箇委員がおっしゃるには、大分抵抗性ができて効かなくなっているせいではないか、ということですが。

【眞柄臨時委員】 水道原水で大分検出されて、環境中にあるというレポートが出回ったため、業界内の実施事例も含めて、ほかの剤に転換をしているというのも一つの理由かと思います。

【森田委員長】 切りかわってきたのですね。どうしても生産量の多いのは水道にも出やすいから、頭打ちをするということが起こるのでしょうね。
それじゃあいかがでしょうか、基準値を含めましてこういう数字でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段御異議はないようでございますので、承認をいただいたことにしたいと思います。
では引き続きまして、トリフルミゾールの御説明をお願いします。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 9ページでございます。トリフルミゾールについて御説明いたします。
 まず1の評価対象の農薬の概要ですけれども、物質概要については資料に記載のとおりでして、トリフルミゾールは細胞膜のエルゴステロール生合成を阻害することにより殺菌活性を有する殺菌剤でございまして、本邦での初回登録は1986年でございます。製剤としては水和剤、乳剤、くん煙剤等がございまして、適用作物は稲、麦、雑穀、果樹、野菜、イモ等の幅広い適用がございます。各種物性については、資料に記載のとおりですけれども、水溶解度だけ申し上げますと、若干溶けにくい剤ではございます。
 続いて10ページの水産動植物への毒性について、御説明します。まず初めに魚類の急性毒性試験ですけれども、コイを用いて試験を実施しておりまして、LC50の結果が869μg/Lという結果でございました。続きましてオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果ですけれども、EC50の結果が1,710μg/Lという結果がございました。1ページめくっていただきまして、三つ目の藻類の生長阻害試験でございます。こちらにつきましては72時間のEC50が1,910μg/Lという結果でございました。
 続きまして12ページの環境中予測濃度でございます。本農薬の製剤としましては、水和剤等がございます。果樹に適用がございますので、非水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出いたしました。なお、稲に適用があるのですが、種子等に粉衣または浸漬して使用する使用方法ということで、水系に流出する恐れのない使用方法として、水田PECについては算出しておりません。2番目の非水田使用時の予測濃度の結果でございます。PECが最も高くなる以下の使用方法につきまして、表4のパラメータを用いて算出いたしました。算出結果が最も高くなったのが河川ドリフトによる算出結果でして、非水田のPECTier1による結果が0.033μg/Lという結果でございます。
 次のページが総合評価でございます。魚類、甲殻類、藻類それぞれの生物種のLC50、EC50の結果は以下のとおりです。これらから急性影響濃度をそれぞれ算出いたしまして、最も小さい魚類の急性影響濃度、86μg/Lが登録保留基準値案として提案しております。(2)のリスク評価ですけれども、環境中予測濃度は非水田のPECTier10.033μg/Lでございましたので、登録保留基準値案86μg/Lを下回っているという結果でございます。14ページは参考資料でございます。
 以上です。

【森田委員長】 御説明、ありがとうございました。それではこの剤につきまして、委員の先生方から御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。特にありませんか。
上路先生は特に御意見ございませんか。じゃあ特段委員の先生から意見が出てまいりませんので、一応この基準値でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは引き続きましてフルフェノクスロン、御説明お願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 15ページでございます。フルフェノクスロンについて説明させていただきます。物質の概要でございますけども、そこの表に書いているような構造を持った物質でございます。開発の経緯等でありますけれども、フルフェノクスロンはキチン合成阻害の昆虫生育阻害剤(IGR)であり、本邦での初回登録は1993年ということでございます。製剤では乳剤が、適用作物は果樹、野菜、豆、花卉などがございます。原体の輸入量は、平成17年、年18、19年のぞれぞれで、9.6トン、8.4トン、9.0トンといったようなデータがございます。各種物性等でございます。その一覧表にまとめているところでございますが、オクタノール/水分配係数に関しましては4.01以上でございます。水溶解度につきましては25℃の値で4.3μg/Lというような物性を持った物質でございます。
続きまして16ページ、水産動植物への毒性でございます。1の魚類といたしまして、コイを用いました魚類急性毒性試験が実施され、表1にまとめております実験条件で、96時間のLC50が5,560μg/L超という結果を得ております。
続きまして2といたしまして、ここも甲殻類以外にも試験を実施していることから甲殻類等と見出しを修正していただけたらと思います。甲殻類等につきましては、まず1といたしまして、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験を行っておりまして、表2にある条件で実施いたしましたところ、48時間後のEC50が0.0509μg/Lという結果を得ております。続きまして17ページでございます。こちらにつきましては成体を用いましたミジンコ類の急性遊泳阻害試験を実施しており、48時間後のEC50が8.8μg/L超という値を得ているところでございます。
続きまして3として魚類急性毒性・ミジンコ類急性遊泳阻害共存有機物質影響試験を行っております。オオミジンコを用いて実施しておりまして、毒性緩和係数を求める試験でございますけども、表4の実験条件で行ったところ、表4の中程にEC50という欄がありますが、フミン酸濃度2.5mg/Lを除く全ての条件においてEC50が試験上限濃度以上となったため、回帰分析ができず、毒性緩和係数を算出できていない結果となっています。
続きまして18ページの4としてヌマエビ・ヌカエビ急性毒性試験をやっております。こちらにつきましては96時間後のLC50が7.3μg/L超という結果を得ております。
次に5としてヨコエビ急性毒性試験も行われております。こちらにつきましても96時間後のLC50が7.8μg/L超ということでございます。
6としてセスジユスリカを用いたユスリカ幼虫急性毒性試験も実施しておりまして、こちらにつきましても48時間後のLC50が8.6μg/L超という結果を得ております。
続きまして19ページでございます。藻類。藻類につきましても生長阻害試験を実施しておりまして、こちらにつきましては72時間後のErC50が8万400μg/L超ということになっております。
20ページでございます。環境中予測濃度の計算でございます。本剤につきましては、製剤として乳剤10%がございまして、果樹に適用があるということですので、非水田使用農薬として環境中予測濃度を算出いたしました。算出につきましては2で行っておりまして、表9のパラメータを用いまして算出した非水田PECTier1が0.011μg/Lということになっております。
続きまして21ページ、総合評価でございます。登録保留基準値案ですけども、各生物種のLC50、EC50をまとめますと、以下のそこに書いてあるような値となっております。魚類急性影響濃度AECfに関しましては魚類のLC50を10で割りまして、556μg/Lという値を出しております。オオミジンコの急性遊泳阻害試験は、異なる生長段階のデータが存在するということですので、これら両者の幾何平均をとりまして0.669μg/Lという値を出しております。さらに甲殻類につきましては4種類のデータが存在しておりますので、これらのうちで最小のオミジンコの急性遊泳阻害試験のデータについて、不確実係数を10ではなく3として除し、まして0.223μg/Lということで算出しております。
藻類につきましては、EC50が8万400μg/L超ということでございまして、これらのうちで最小の急性影響濃度の値を用いまして、甲殻類の0.22μg/Lを登録保留基準値案として設定いたしました。続きましてリスク評価でございます。先ほど計算いたしました環境中予測濃度、非水田PECTier1が0.011μg/Lでございますので、登録保留基準値0.22μg/Lを下回っているという結果でございます。
22ページにつきましては検討経緯及び申請者から提出されたその他の試験成績ということで、参考資料ということでございます。
以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、このフルフェノクスロンにつきまして、御意見をいただきたいと思います。中杉委員どうぞ。

【中杉臨時委員】 オオミジンコの幼体と成体の試験の結果の、幾何平均という考え方ですけども、この登録保留基準で0.22μg/Lという数字であると、幼体は半数以上が死んでしまうわけですよね。幼体のEC50が0.05μg/Lですから。こういうふうに生長段階で追っていくものに、こういう考え方をとるのがどうなのか。要するに、幼体のところで死んでしまえば、成体にならないので、こういう考え方で計算すること自体が、少しおかしな考え方ではないだろうかというふうに思うのですけども。

【五箇臨時委員】 よろしいでしょうか。この薬に関しては、ベンゾイルウレアという昆虫の脱皮のときに作用する薬で、成体には作用しません。したがってそれは同じ甲殻類、あるいは節足動物においても生長段階のみ作用しますので、今の御指摘のとおりこの薬の本当の作用というのを見ようと思った場合には、生長段階での本当はLC50あるいはEC50を見なくてはならない。
この件に関しては、実際検討会の方でもいろいろ議論しまして、残念ながらというか、これ要は再計算していただいたのでしたか、ここの幾何平均とるということです。本来はこれ幾何平均をとるべきものではなく、この生長段階というところでの影響を本来は重視すべきですが、不幸にしてそのときに私欠席していまして、それで結局再計算という形で再提出をしていただいてしまったものですから、今ここにこれが載っているという状況です。
 そう考えますと、例えばオオミジンコの成体遊泳阻害をやっても、それは効かないですし、同時にヌカエビ・ヨコエビについても、これがもし成体もしくは非常に高いステージの、供試生物そのものが非常に生長段階でないものであれば、影響は出にくくなります。セスジユスリカについても48時間で段階がみれないのであれば影響も出ないということになりますので、こういったものを加算して、こういった現状の4種の生物種のデータがあるという条件で計算してしまうと、本来のこの薬の成体影響というものが完全にマスクされてしまうことになるという、今回はこの薬に関しては、特にその作用点が特殊ゆえに、こういった矛盾が出てしまっているということを一応、指摘事項として挙げておきます。

【森田委員長】 ありがとうございました。これにつきましてほかの、この作業に御参加いただいた先生方、何か御意見ございませんでしょうか。

【白石臨時委員】 全く同じ話がされておりました。要は脱皮をするときに作用するので、幼体では効くであろうということでありました。今のところ成体と幼体をやった場合には幾何平均をするというルールに従って、こういうことを出しました。
ただ、この剤で幼体の結果だけとってみても、多分0.017μg/Lになるので、このリスク評価ではPECの方が下回っているということになるであろうということでは確認はとっております。ただこの登録保留基準値を0.22μg/Lにするか、あるいはここの幼体をとるかということに関しては、今までどおりのルールでやってみましたということです。ただ検討課題であろうというふうには思います。

【森田委員長】 ほかに先生方から御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

【中杉臨時委員】 最初に申し上げたように、登録保留基準までという、これはそこまでは許容されるよという考え方なので、それをもし仮にこの予測ではこういうふうな数字になっているけれども、行ってしまうようなことになれば、この場合に半分が死んでしまう、幼体で。かなり大きな影響を受けるだろうということであれば、これは私もこれで3で割って計算すると、白石委員が言われているとおり、予測濃度はかろうじて上回らない程度になるんですけれども、このままの0.22という数字を使うことはいかがなものかなというふうに思います。

【森田委員長】 ありがとうございます。ほかに御意見ございませんでしょうか。
もしそうだとすると、とりあえずもう一回この専門委員会に持ち帰っていただきましょうか。どうでしょうか。ここではそれが多分一番いいんじゃないでしょうか。どうかちょっと。

【五箇臨時委員】 座長は白石先生になりますので。

【白石臨時委員】 ただ専門委員会では決められなくて、この場で決めていただくのが一番よろしいかと私は思います。

【森田委員長】 今だからこの場で、それは適当ではないという意見が出ていると。

【白石臨時委員】 という全員がそういう意見なら、そう決めていただければ。

【森田委員長】 専門委員会でもう一回考え直してもらうということかなという気もするんですけど。

【白石臨時委員】 幾つか課題は残っておりまして、藻類に効かない除草剤とか、ミジンコに効かない殺虫剤とか、いろいろな問題があって、それは検討課題なのですけれども、検討はさせてはいただいているんですが、最終的にはこちら上げることになると思いますけども、方向性とかそういったものを見直しとか、そういったことに関して御意見をこの場でいただければ、少しは考える力がわくかなという気がしましたけど。

【五箇臨時委員】 白石先生の御指摘どおり、現実今のルールにのっとるのならば、どうしようもないということになります。特に除草剤なんかですと、全くその作用点がかかってしまいます。今選択性の除草剤が多いので、藻類で評価していたのに全くスルーしてしまうのがたくさんあるんですよね。このケースでこれも持ち帰り、さらに厳しい試験を例えば要求するなり、ほかの計算の仕方を充てるとなると、これまでのケースもじゃあどうなるかというふうな蒸し返しも出たり、だから現状のルールにのっとればこうなりますが、専門家としてはこれはこういうところに盲点がありますという意見を書き記しておくしかないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

【白石臨時委員】 これはメカニズムがはっきりしているので考えやすいんですけど、ほかのものがたくさんあって、幼体と成体で少しずつ違いますよといったときに、一律にできるかどうかと、あるいは試験法上の問題で幾何平均をとった方がいいのではないかとかということもあり得ると思うんですね。だからメカニズムが分からないものが存在する以上、そうしゃくし定規に決めることはできないんじゃないかなと私思います。

【中杉臨時委員】 要するに非常に単純に素人的に見たときに、EC50を登録保留基準が超えるということ自体にどういう説明ができるかなんですよ。これ自体多分、私が最初に抱いた疑問と同じで、これだと50%以上死んでしまいます。それを認めるのですかという形になるので、少しこれはルール自体を考え直していただく必要があるんだろうと私は思います。あるいは、それでも構わないんだという論理的な説明ができれば、それはそれで構わないと思いますが。

【森田委員長】 どうぞほかの先生方、御発言をいただければと思うでのすが。
今までの議論を少し復習いたしますと、サブコミッティの方である種のルールに従って計算するとこのようにはなるというのが一つ。しかしながら、サブコミッティのメンバーの一人である五箇委員からは、その作用点のことを考えると、要するに脱皮のときに効いていると、生長期に効いているようなそういう剤について、それ以外のところで評価しても評価がちゃんとされていない結果が起こってくるのではないかという意見が出てきています。
それから、それとあわせて中杉委員の方からは、半数致死濃度よりも高いところに登録保留基準値みたいなものを設定するということ自体、死んでもいいよと言っているように近いではないか。要するに起こっていることの一つは、この作用点にかかわる生長時期の毒性試験がすべてにそろっていないということがあるのだろうと思います。それを含めてしかしこの場で決めるのか、それとももう少し検討委員会でこういう場合を、もう作用メカニズムはある程度わかっている、そういうときにどうするかというのも、もう一度きちんと考えていただくか、どちらかになりますが、なんか御意見ございませんか。

【井上(達)臨時委員】 どちらかと言われれば、もう後者をとらざるを得ないですね。私どもこの委員会の委員としては。ただ、差し戻された検討会でお困りになるという、五箇委員のご意見は分からないではないですけれども。
ただ、これは、もともとこのスキーム上の問題ですから、スキーム上の問題としてきちっと取り上げて、対応を考えるしかないのではないかと思うのです。分からない場合もあるのだからということでは、恐らく論理としては無理だと思います。

【染臨時委員】 すみません、質問。この後ろの参考資料の方には、採択されないデータ群がついているわけですよね。ということは、このいろんなデータある中で、どのデータとどのデータを採用するかという判断は、どこでだれがやっているんですか。それによって、この甲殻類の2種類のこの試験データがあるのですが、この採用を決めるかどうかという問題もかかわるんじゃないかと思ってお伺いするのですけれども。

【森田委員長】 じゃあそれは白石先生。

【白石臨時委員】 ちょっと私分からなかったです。参考データ。

【染臨時委員】 いや、参考データもたくさんあるわけですよね。これは理由としては相対的に弱い毒性を示すデータなので、採用しなかったと書いてあるわけですよ。そういう意味で極端に言うのならば、成体の急性阻害試験というのは、極めて弱い毒性になるわけです。ならば、それと同様に採用しなくていいじゃないかという気がするのです。そうじゃなくてあえてこのオオミジンコについては、その生長中の結果と成体の結果となぜ両方採用したのかという意味です。

【中杉臨時委員】 これは追加で試験の中に申請が出され、原体のGLP試験でオオミジンコの試験の結果があるんですね。その試験の結果が送っていただいた資料の中で0.09μg/Lと0.04μg/Lと2回データが出ていて、業者の方は0.09μg/Lの方がいいと言っておられるのですけど、その理由は全く分からなかった。今回は0.04μg/Lだけにして1本で出ている。これは議論があってそうなったんだろうと思いますけども。
これを0.04μg/Lとしたときに、さっきは0.09μg/Lですね。なぜどこがどう違うんだろうかというのはよく分からない。これは事業者から0.09μg/Lを出されてきて、あと0.04μg/Lと0.09μg/Lの二つの結果については、添付してきている。それがどういうふうに判断をされるのかというのは、全くよく分からないです。
前に同じような質問されたときにそれは製剤だから、製剤結果は採用できないよという議論、それは納得できたんですが、今回は原体にGLPつきでやっている。その試験の結果があって0.04という結果も出ていると。これは業者の方は試験がうまく行っていないから使わないよと言っているが、これは設定濃度なんですね。この設定濃度で30%ぐらい場合によっては下がっているんですね。そのときに設定濃度でつくった数字は0.04μg/L。そうなると、これいろいろ疑問点が出るんです。

【森田委員長】 上路先生、どうでしょうか。

【上路臨時委員】 私も検討会の方に入っているので、きちんとした答えができないで申しわけないんですけども、甲殻類の方の0.04μg/Lという参考に出ている試験成績ですけども、これについてはやはり、なぜこれを採用しなかったのか、もう一度検討し直さなくちゃいけないんじゃないかと思います。
それともう一つ、生長段階が異なる場合のデータがそろったときにはどうするかというのは、一つのルールとしてここまで来たもので確かに五箇さんがおっしゃるような作用機構のメカニズムから考えておかしいよという言い方もあるかもしれませんけども、やはりこれは一つのシステムとして尊重せざるを得ないなというふうに思います。
ただし、今、中杉先生が指摘されたような、あるいは染先生が指摘されたような問題点がありますので、この剤自体について環境省の事務局の方が何か記憶にあって、こういうデータだったよというのがあればいいんですけど、そうでない場合には、やはりここで決定するよりも、もう一遍検討し直した方がいいんじゃないでしょうか、座長さん。

【白石臨時委員】 そうすると、ここのGLP試験は0.04μg/Lになるような形ともう一回。

【上路臨時委員】 そうなんです。

【白石臨時委員】 議論を。

【五箇臨時委員】 この0.04μg/Lですよね。そのときに出ていた。

【白石臨時委員】 その後で出てきたのですか。

【五箇臨時委員】 その後で出てきた。

【中杉臨時委員】 いや、これは送っていただいた小冊子を見ると0.04μg/Lが1回目で、0.09μg/Lが2回目とあるんですね。業者が作成した小冊子の資料を見ると、それは縮尺版ですからもっと細かいことが本体にあるのかもしれませんけど、0.04μg/Lよりも0.09μg/Lの方が正しいというんですね。その理由がよく私はその記述だけでは分からなかった。それで両方ともこれも設定濃度でやっていて、実測濃度で大体70%から大きいときは90%で、30%も下がるんですね。その下がり方の違いなのかなと思ったけど、両方とも同じなんですよ。30%も違うのに設定濃度で計算した値はこうだよと言われていると、実測濃度だったらもっと当然低くなるだろうと。だから0.04μg/Lというのはもっと低くなってもおかしくはないだろうということになると、先ほどの議論になって、それでそのまま3分の1にすると、ちょうど環境中の予測濃度PECとほぼ似たようなところへ来てしまうということも少し気になったんですけど。

【森田委員長】 ほかに御意見どうでしょうか。
ちょっとここで取り扱いを一応ここの段階で決めさせていただきたいと思うんですが、一つ染委員の方からは、どのデータを採用してどのデータを採用しないかというのが、もう少しクリアに説明されるべきだろうという、そういう御意見もありました。それから、それを含めてきょうのこの会議の中でちょっとまだ全部出し切れないような状況に多分なっているんだろうと思いますので、何というか少し象徴的になっていますけれども、中杉先生の御指摘のように、EC50よりも高いところに基準値が設定されるという、あらわに見えるようなものについては、相当きちんとした説明ができるようにしておかなきゃいけないだろうという、そういう御意見でございましたので、いかがでしょうか、とりあえず検討会でもう少し詰めていただくというか。

【農薬環境管理室室長補佐】 簡単に御説明させていただいてよろしいでしょうか。

【森田委員長】 お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 今御議論いただいているのは、二つ問題があると思います。基本的なルールの問題と、この剤についてデータの採用に疑義があるところを御説明できないという問題が、二つあると思います。この剤についてのデータの採用については今、御質問に正確に答えられないところがございますので、検討会のメンバーには申しわけないんですが、一度引き取らせていただきたいと思います。
 もう1点、ミジンコの生長段階の違うデータをどう取り扱うかということですが、多くのメンバーは残っていらっしゃいますが、何人かおかわりになったと思いますので、この水産動植物のこのルールを立ち上げたときのことを簡単におさらいさせていただきたいと思います。すみません、傍聴者の方にはないんですが、過去のホームページを見ていただくとございます。
真ん中終わりの方に平成16年水産動植物登録保留基準設定検討会報告というのが入っていますでしょうか、17年5月のものでございます。ありましたでしょうか。この以前は簡単に魚毒性AだとかBだとか言っていた時代から、魚類とミジンコなどと藻というルールになったときの、当時この小委員会から命を受けてといいますか、ための検討したチームの報告であります。もちろん、小委員会にも御報告されております。最後にメンバーリストもついてございます。
 大まかにいいますと、その3種類でやりましょうというのが議論の流れですねということ、第1ページの2ぐらいのところに大体の流れが書いてあるのですが、その三つであるのみならず、昨今の国際情勢はさらに現実に近い試験系でやるという動きであるということで、追加試験種をする、もしくは異なる生長段階の試験をする、もしくは水中の緩和効果を見るような試験をすると、この三つの方法がありますねということを、もうこの時点で検討会は指摘しております。
この以降にその計算式が書いてあるんですが、先生方の御指摘のとおり、生長段階の違う2種については幾何平均がいいだろうと。追加試験種については幾つかを超えた場合にはUFを幾つに下げるというふうなルールというか考え方を、この時点でまとめております。もちろんこれは原則でございますので、この検討会で個別に議論されて判断いただくということになると思いますが、もし根本的なその生長段階の考え方、恐らくこの種類の動物で、いわゆるマウスの慢性毒性のような試験は相当難しいでしょうから、幾つかの生長段階で試験をして、それをどういうふうに計算をするかというのは、当時のメンバーが考えられて、こういう方法がよろしいだろうというふうな指摘をされたんではないかなというふうに想定しています。
 よって、今回御指摘の点は非常に重要な点でございますが、持ち帰った場合にもベースはここに一たん戻って、もし変えるところがあれば変えなければいけませんが、ベースはここにありますよということを、新しい委員もいらっしゃいますので、ちょっと蛇足になりましたが、御説明させていただきました。

【森田委員長】 ありがとうございました。中杉先生、よろしいでしょうか。

【中杉臨時委員】 ルールはルールでいいんですけども、こうゆう理由だからこれで大丈夫なんだということを言わないと、やはり数字だけぽっと出てきたときに、一般の人からはそれで大丈夫なのかという話になるので、このような数値で大丈夫なんだという説明をしないと、単純に比較してみれば、先ほどから私が申し上げたような話になってしまうので。このルールの良い、悪いを言っているわけじゃなくて、そういうふうになるようになった。
多分、今まではこういうふうな状況に遭遇したことないと思うんですよ。そこはこんな話になってしまうんで、ちょっとそこのところでルールはルールとしてこれは結構なんですけれども、じゃあどうしてなんだということを説明する必要があるだろう。

【森田委員長】 ありがとうございました。眞柄先生。

【眞柄臨時委員】 生長段階が違うところで試験をした結果を評価するのに、今説明があったようなことは当然されていいわけですが、それはその幼生のときも成体のときも同じ作用機序がある場合に適用する話であって、幼生のときと成体のときの作用機序が全く違うんであれば、それを一つの式で幾何平均をとるということ自体が間違っている。
だから、基本的にはやっぱりその剤の作用機序がどこにあるかということを確認した上で、どのようなデータを扱うかという考え方に、それは戻るべきだろうと思います、私は。

【森田委員長】 ありがとうございます。ほかに先生方御意見ございませんでしょうか。佐藤先生。

【佐藤委員】 一般論に近いと思うんですけれども、こういうリスク評価をするときに、この場ではかなりたくさんの物質をやるんで、いろんなルールに準拠してやるというのは、私はいたし方ないことだと思うし、それからそれを営々と築いてきた、検討されてきた先生方の御努力を認めたいと思うんですけれども、やはり知見が重なってきたり科学が進歩したりしてきてわかってきたことがあれば、それはどんどん取り入れていく必要があると思いますし、今回の場合にはそのメカニズムの問題であるとすれば、従来のルールに必ずしもとらわれる必要はない。それは従来のルールを否定するわけではなくて、こういう知見があるからこうなるんだという、そういう説明をきちっとできる話だろうというふうに私、伺いました。

【森田委員長】 よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。細見先生。

【細見臨時委員】 私も佐藤委員の意見に賛成です。それとこういう剤が中杉さん、記憶にないとおっしゃるんですけど、本当に今まで全くなかったのかどうかというのも少し、ちょっとやっぱりもしも見直すという段階では、考慮しておかないといけないのではないかと思います。

【五箇臨時委員】 実際IGR剤で殺虫剤なんかであれば、IGR剤というのは骨格を見れば分かりますし、使用法等でも大体分かることなのですが、この生長段階の異なるテストをするかしないかというのは、結局メーカーサイドが決めるわけですよね。そうすると、試験をしなければ成体のデータしか出てこなくなって、評価ができなくなるわけです。だからこれまでもIGR剤は山のように出ているわけですが、それらがすべてきちんと幼生、幼体で評価されているかというと、されないできた。されていますか。

【白石臨時委員】 幼体が標準です。

【五箇臨時委員】 ああ幼体が標準になるわけですか。

【白石臨時委員】 緩和試験なんですよ。

【五箇臨時委員】 ああそうか。成体の方で緩和しようということなんですね。

【白石臨時委員】 そうです。生長する時点で緩和試験が認めているので、このシステムで、それでフミン酸をやったり成体をやったりしているんです。

【五箇臨時委員】 ああそうか。それはどうも失礼しました。

【白石臨時委員】 だから、それを幼生でやっている。だから当然生長の時期に影響がある剤があれば、それで影響が出てくるわけですから。

【五箇臨時委員】 ひっかかるわけですね。そうですね。

【眞柄臨時委員】 それを緩和するのに、その成体使って見ようというわけだから。

【白石臨時委員】 だからフミン酸を使えば、これは遊泳試験していますけれども、これはだから使わない、うまくやればそれで緩和がされて、幼体のLC50よりももっとずっと高い値の基準が設定できるという仕組みになっていく。必要が生じてくる、そういうことなんです。

【五箇臨時委員】 でも実際に緩和するために成体やったとなると、生態学的には幼体というか、卵とか幼生時期に影響を受ける方が個体群生長にも一番大きなダメージ出るわけで、本来的には、そこで緩和させちゃうと、本質的な生物保全というところの目的には結びつかない理論になりますよね。だから、ルールができるプロセスでそういうことが検討されていなかったのが一番の問題なのかもしれないですけど、本質的には個体群生態学な観点に立てば、個体の生長段階というのが一番大きなダメージを与えるわけですから、そこで成体は大丈夫というけれども、その成体に至るまでのところでダメージを受けてしまっているんだと、全然個体数はふえられないし、個体群そのものが生長できないということになりますよね。その緩和のさせ方はやっぱり生態学的にはちょっとつじつまが合わないんじゃないかなと思いますね。

【白石臨時委員】 もともとこれはUFが10しかないんですよ。それでこれも100倍違うんですね。だから当然そういうことが起こり得る可能性がある。藻類は1しかない。

【五箇臨時委員】 そうですね。

【白石臨時委員】 もともとそれがスタート時点なので、それが合意された時点でこの不確実係数を割り振っているという形です。当然無理は生じるわけです。

【森田委員長】 多分いろんな議論が出たと思うんですが、これを機会に少し考え方の整理も作業部会で少しやっていただくことにして、ちょっと残念ですけども、この剤は1度次回に持ち越しということにするのがいいかなと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。それじゃあちょっと押してきましたので、次に行きます。ベンスルフロンメチル、お願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 ベンスルフロンメチルでございます。23ページから記載させていただいております。物質の概要につきましては、表にあるような構造式を持った物質でございます。開発の経緯等でございます。ベンスルフロンメチルはスルホニルウレア系の除草剤であり、アセトラクテート生合成阻害による雑草の細胞分裂阻害により除草活性を有するというものでありまして、本邦での初回登録は1987年ということであります。製剤につきましては粒剤、水和剤が、適用作物は水稲ということでございます。原体の輸入量ですけども、平成17年度は100トン、18年度は104トン、平成19年度は117トン、ということであります。各種物性でございます。こちらにつきましてもオクタノール/水分配係数はpHによっていろいろ変わりますけれども、pHが5で2.18、pHが9で-0.991ということでございます。水溶解度につきましてもpHによって変わり、pHが5で6.65×103、pHが9で3.1×106ということでございます。
 続きまして24ページでございます。水産動植物の毒性につきまして、まず魚類のデータでございます。コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96時間後のLC50は9万5,900μg/L超ということであります。
魚類の2といたしまして、ブルーギルを用いました魚類急性毒性試験も行っておりまして、こちらにつきましては96時間後のLC50が12万μg/L超という結果が出ております。
 25ページでございます。2として甲殻類、ミジンコを用いました急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、こちらにつきましては48時間後のEC50が13万μg/L超というデータが出ております。
3として藻類でございます。藻類につきましても72時間後のErC50が56.6μg/Lという結果が出ております。
続きまして26ページ、環境中予測濃度でございます。製剤の種類に関しましては、粒剤4.3%がございます。水稲に適用がありますので、水田使用農薬として環境中予測濃度を算出いたしました。2のPECの算出というところで求めておりますが、表5のパラメータを用いまして求めた環境中予測濃度の水田PECTier1による算出結果が1.1μg/Lということでございます。
 27ページにまいりまして、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載しているとおりでございまして、魚類の急性影響濃度につきましてはコイの急性毒性データを10で除しまして9,590μg/L、甲殻類につきましてもオオミジンコの急性遊泳阻害データを10で除しまして1万3,000μg/Lとなり、藻類の急性影響濃度につきましては56.6μg/Lということでございます。これらのうち最小の急性影響濃度から登録保留基準値案を56μg/Lということで提案しております。
2のリスク評価でございます。先ほど求めました水田PECtier1は1.1μg/Lということでございますので、登録保留基準値56μg/Lを下回っているという結果でございます。
28ページにつきましては、検討経緯と申請者から提出されたその他の試験成績ということで参考資料でございます。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは今の御説明に対しまして御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがですか、よろしいでしょうか。ではこの登録保留基準値、その他のリスク評価を含めましてお認めいただけますでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、引き続きましてペンディメタリン、お願いいたします。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 資料の29ページでございます。評価対象農薬の概要でございますが、物質概要については資料に記載のとおりです。ペンディメタリンにつきましては、ジニトロアニリン系の除草剤でございまして、雑草の生長点の細胞分裂・細胞伸張を阻害することによって除草活性を有しております。本剤の初回登録は1981年でございます。製剤は粒剤、粉粒剤、水和剤等ございまして、適用作物は陸稲、麦、果樹、野菜、イモ等適用がございます。原体の国内生産量については記載のとおりです。ペンディメタリンにつきましては、二つの会社が原体を製造しておりますので、各種物性につきましても、水産動植物への毒性の試験成績についても、それぞれの会社から出されております。各種物性については、それぞれ出されたデータについて項目ごとに2段に並べて記載しております。
 30ページへ移りまして、水産動植物への毒性でございます。2社からそれぞれ魚類の急性毒性試験が実施されておりますので、まず(1)の魚類の急性毒性試験の結果ですけれども、LC50が250μg/L、(2)のこちらもコイを用いて実施しておりまして、LC50が713μg/Lという結果でございました。1ページめくっていただきますと、甲殻類の試験成績になります。こちらもそれぞれ出されておりまして、まず(1)のオオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果はEC50が390μg/L、(2)についてはこちらも同様に実施しておりますけれども、EC50が4,140μg/Lという結果でございます。
続きまして32ページの藻類の生長阻害試験の結果でございます。まず(1)の藻類の結果ですが、EC50が14.6μg/L、(2)では30.8μg/Lという結果になりました。
1ページめくっていただきまして、3番目の環境中予測濃度でございます。本農薬の製剤としては、最も環境中予測濃度が高くなるのが複合肥料でしたので、複合肥料の使用方法に従いまして環境中予測濃度を算出いたしました。表7のパラメータを用いまして、非水田の使用の環境中予測濃度について算出した結果、こちらは粒状の複合肥料ということで、河川ドリフトによる予測濃度は算出しておらず、地表流出による結果のみが算出されております。0.017μg/Lという結果が非水田PECtier1による算出結果となりました。
34ページが総合評価でございます。各生物種それぞれ2種類ずつやっておりますので、LC50、EC50の結果から、それぞれ急性影響濃度を算出いたしまして、最も小さいのが藻類でした。藻類の急性影響濃度でしたので、14μg/Lと保留基準値案を提案しております。
(2)のリスク評価です。環境中予測濃度は非水田PECTier10.017μg/Lということでしたので、登録保留基準値案14μg/Lを下回っているという結果になっております。次のページは参考資料でございます。
以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それじゃあこのペンディメタリンにつきまして御意見、御質問ございませんでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは登録保留基準値14μg/Lで、リスク評価はそれを十分下回っているという評価でございますが、お認めいただきますでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは引き続きましてミルベメクチン、お願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 ミルベメクチンでございます。37ページからごらんいただきますでしょうか。評価対象農薬の概要でございます。物質概要として二つの構造式が載っておりますが、38ページの開発の経緯等にも書いてあるとおり、ミルベメクチンはミルベマイシンA3及びミルベマイシンA4の混合物である殺ダニ剤であり、神経-筋接合部位の塩素イオンチャンネルに作用することにより殺虫活性を有するということでございます。本邦での初回登録は1990年ということでございまして、製剤としては水和剤、乳剤、エアゾル剤があります。適用作物としては果樹、野菜、イモ、豆、花卉、樹木等として登録申請されております。原体の国内生産量は平成17年度が4.4トン、18年度が4.7トン、19年度が4.4トンということでございます。
 各種物性でございますけれども、オクタノール水分配係数に関しましては、ミルベマイシンA3がlogPow4.94超、ミルベマイシンA4はlogPow5.60超というデータが出ています。水溶解度につきましてもミルベマイシンA3が8.8×102μg/L、A4が7.2×103μg/Lというデータが出ています。
 39ページ水産動植物の毒性でございます。1の魚類について、コイを用いた魚類急性毒性試験が実施され、表1のような実験条件で96時間後のLC50は35μg/Lという結果が出ております。
続きまして2の甲殻類について、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験実施されまして、表2のような条件で48時間後のEC50が10μg/Lという結果が出ております。3番として藻類についても生長阻害試験が実施されまして、40ページの表3の条件で実験をした結果、72時間後のErC50が2,010μg/L超という結果が出ております。
 次に41ページの環境中予測濃度でございます。本農薬の製剤としては乳剤1%があるということで、果樹に適用があるので非水田使用農薬として環境中予測濃度を算出いたしました。
2といたしまして表4に掲げるパラメータを用いまして算出いたしました非水田PECTier1が、0.0011μg/Lということでございます。
42ページの総合評価でございます。こちらにつきましては各生物のLC50、EC50は以下のとおりということでございまして、こちらのデータから魚類の急性影響濃度、こちらにつきましてはコイの急性毒性データを10で除しまして3.5μg/L、甲殻類につきましても同じくオオミジンコの急性遊泳阻害データを10で除しまして1.0μg/L、また、藻類の急性影響濃度に関しましては2,010μg/Lということでございます。これらのうち最小の急性影響濃度よりミルベメクチンとして登録保留基準値1.0μg/Lということで提案いたしております。
続きましてリスク評価でございます。先ほど求めました環境中予測濃度、非水田PECtier1が0.0011μg/Lでございますので、登録保留基準値1.0μg/Lを下回っているという結果でございます。
43ページにつきましては検討経緯、申請者から出されたその他の試験成績ということで参考資料でございます。
以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、このミルベメクチンにつきまして、御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。特段の御意見がないようでございますので、登録保留基準値としては1.0μg/L、それからリスク評価としてはそれを十分に下回っているという評価になっておりますが、こういうことでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは続きましてMCPP、MCPPの幾つかの塩類であります。御説明お願いします。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 資料は44ページからになります。メコプロップカリウム塩、メコプロップジメチルアミン塩、メコプロップPイソプロピルアミン塩及びメコプロップPカリウム塩、4種類の農薬についてメコプロップとして基準値案を提案しておりますので、一つの評価書としてまとめて作成しております。
物質概要は資料のページがまたがってしまうのですが、メコプロップでそれぞれ2種類の塩、メコプロップPでそれぞれ2種類の塩がございます。メコプロップが光学異性体を有していまして、その活性本体であるR体を単離したものがメコプロップPでございます。また45ページに注として記載しているのですが、本評価書におきますメコプロップの光学異性体の名称と構造式は、下表に記載したとおり塩ではないプロピオン酸体と塩との区別を明確にするために、メコプロップの後ろに[酸]と括弧書きでメコプロップPにつきましても括弧書きで[酸]と表記することとしております。また原体の表記につきましても、メコプロップ原体[酸]という、メコプロップP原体[酸]という形で表記しております。こちらについては各種物性につきますと水産動植物への毒性についてはプロピオン酸という酸体での実施のものですから、塩の試験であるか酸の試験であるか区別できる形に表記を分けております。
 45ページの開発の経緯ですけれども、メコプロップはオーキシン型の植物ホルモン作用を有しておりまして、植物ホルモン作用を攪乱することによって細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系の除草剤でございます。原体の国内生産量につきましては、メコプロップ全体としての生産量及び輸入量となっております。それぞれにつきましてはメコプロップカリウム塩については既に登録がありまして、樹木、芝等に適用があります。メコプロップジメチルアミンについても、既に登録がございまして、芝に適用がございます。3番目のメコプロップPイソプロピルアミン塩が新規の化合物として現在登録申請されている農薬でございます。4番目のメコプロップPカリウム塩については、既に登録がありまして、樹木、芝等に適用がございます。各種物性については、46ページにメコプロップの酸としての物性と47ページにメコプロップPとしての各種物性をそれぞれ記載しております。
 続きまして48ページの水産動植物への毒性についてです。生物種ごとにメコプロップとメコプロップPという順で試験成績を記載しております。まず魚類を用いたメコプロップの原体についての試験成績の結果です。コイを用いて実施しておりまして、LC50が9万6,200μg/L超という結果でございました。続きましてメコプロップPの原体の試験成績ですが、こちらのLC50の結果が9万5,200μg/L超という結果でございます。
 続きまして48から49ページにかけて甲殻類の試験成績が記載してございます。まず1番目のメコプロップの原体の試験成績の結果ですけれども、EC50が9万6,200μg/L超という結果、メコプロップP原体の試験成績の結果が8万1,600超という結果でございます。
続いて49、50ページが藻類の生長阻害試験の結果です。1番目のメコプロップの原体の試験成績が、EC50の結果が4万1,400μg/L、メコプロップPの方が67万2,000μg/L超という結果でございます。
続きまして51ページの環境中予測濃度でございます。4種類の農薬がございますので、それぞれ算出をしております。申しおくれましたが、こちら4剤については、すべて非水田の使用農薬として環境中予測濃度を算出しております。まずメコプロップカリウム塩の結果ですけれども、表7のパラメータを用いて算出しております。粒剤での算出結果ですので、地表流出のみの結果を算出しております。申しわけありませんが、資料の訂正をお願いします。水田PECtier1による結果とございますが、非水田でございますので、非水田による結果と修正し、0.047μg/Lという結果でございます。
 続きましてメコプロップジメチルアミン塩ですけれども、表8のパラメータを用いて算出しておりまして、その結果が地表流出による結果が最も高かったので、0.0038μg/Lという結果でございました。
3番目にメコプロップPイソプロピルアミン塩の算出結果ですけれども、表9のパラメータを用いて算出した結果、算出結果が最も高かった地表流出による結果、0.0059μg/Lという結果が算出結果となりました。
続いて4番目のメコプロップPカリウム塩ですけれども、こちらも表10のパラメータに従いまして算出し、こちらも地表流出による算出結果をもって、0.014μg/Lという結果が算出結果でございました。
 1ページめくっていただきまして、55ページが総合評価でございます。まず(1)の登録保留基準値案ですけれども、メコプロップ及びメコプロップP[酸]について、各生物種のLC50、EC50は以下のとおりでございます。魚類、甲殻類では10万μg/Lの設定濃度でもLC50、EC50が求められておらず、毒性が低いと考えられます。藻類のEC50値については6.7から15.6倍は違うのですけれども、毒性は低く基準設定根拠とはなっておりません。このためメコプロップカリウム塩、メコプロップジメチルアミン塩、メコプロップPイソプロピルアミン及びメコプロップPカリウム塩につきましては、メコプロップ[酸]として、こちらはメコプロップPもP[酸]も含みますとして基準値を設定して、これらの塩のメコプロップ[酸]に換算した環境中予測濃度と比較することにより、リスク評価を行うことが適当である。これらから魚類から藻類までの急性影響濃度をまず算出しまして、最も低い甲殻類の急性影響濃度からメコプロップ[酸](メコプロップP[酸]を含む)として8,100μg/Lを基準値案として提案しております。
 続いてリスク評価ですけれども、先ほど環境中予測濃度を算出しましたけれども、こちら塩としての算出値ですので、酸としても括弧内に記載しておりますけれども、メコプロップ[酸]としての換算値が以下のとおりでございます。環境中予測濃度のメコプロップ[酸]としての換算値についても、いずれの登録保留基準値を下回っているという結果になっております。
 以上でご説明を終わります。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは今の御説明に対しまして御質問、あるいは御意見ございませんでしょうか。

【細見臨時委員】 溶解度がすごく高くてよく溶ける。飽和溶解度に近いようなレベルで試験が行われているんですかね、これは。すごく異常に高い濃度でこんな試験ができるのかという、ほとんど原液そのままですね。これはもうこういう薬剤の性質だということですか。

【眞柄臨時委員】 分からないので教えてください。この剤はこの試験系でドーズレスポンスが出る剤なんですか。

【五箇臨時委員】 元々がオーキシン用植物ホルモンということで、まさにホルモンそのものの構造を持っていますので、その生理作用はひょっとすると高濃度になると作用を失ったり、低濃度でも作用がなくなったりといった山型の作用を示す可能性もあって、物によってはドーズレスポンスは出ないというケースもあるかと思います。
それから、構造式見ていただいて分かるように、本当に水溶性そのものは非常に高いものですので、溶ける範囲でやっても死なないというのがこのデータということになるのかと思います。だから、ちょっと生データを見てみないと分からないですけど、実際にその影響に少しでもクラインがあるのかどうかというのは、多分ないのではないかと思われます。

【染臨時委員】 単純な質問で恐縮ですけど、よろしいですか。この55ページの中段の藻類のEC50値が6.7~15.6倍違うかというのは、これ何に対して6.7とか15.6をおっしゃっているんですか。

【農薬環境管理室長補佐】 すみません、ちょっとここのところですけども、特にこういった何倍違うというのは手元の資料にも記述が見あたらないものですから、削除させていただけたらと思います。

【森田委員長】 どこからどこまで削除しますか。ここの全文、藻類のところを全文、削除するということでよろしいでしょうか。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 メコプロップとメコプロップPの差が16倍ほどなんですけれども、6.7から15.6ではないので、約16倍違うという形に修正してよろしいでしょうか。

【森田委員長】 今おっしゃっている意味は、藻類のメコプロップ[酸]の4万1,000とその下にある67万との間が16倍ぐらい違うという、そういう意味ですよね。

【農薬環境管理室】 はい、67万2,000との数字が16倍です。

【森田委員長】 それもなんか、何と何を入れてほしいということが、分かりにくいですよ。これ全部削除しちゃあまりよくないよね。

【農薬環境管理室長補佐】 藻類のところを削除すると。

【森田委員長】 ということで、どうか。わかりません、ちょっと先生方御意見をいただきたい。細見先生何か御意見ございますか。

【細見臨時委員】 いや、藻類から、またその後の毒性が低く基準設定根拠にはならないと、ここで決めちまっていいのかなという感じがするんですよ。これは全体から見て、こういう結論が出るのかなというふうに。

【森田委員長】 それはその下を見ても、下の全体を見たときにはそうなっているということなので、多分そちらに含まれているんだと思うんですよ、ここに書かれていることがね。

【細見臨時委員】いずれにしろ、設定関係のことはないで書いているところがありますので、出していただかないと。

【染臨時委員】 ここで結果として藻類を使っているのではなくて、甲殻類の急性影響濃度が保留基準値になっているわけですから、別にあえてこういう表現で言う必要性は何もないのではないかという感じがするんですけれどもね。

【森田委員長】 この文章がなくても、足りてはいるんですよね。

【細見臨時委員】 やっぱり削除された方がいいのではないかと。その段落の下から、「これらから」という結論で藻類には一応4万1,400というふうに出していますから。

【森田委員長】 もうこの6行か7行は全部消しちゃいますか。

【上路臨時委員】 上の3行、「このため」の前まで。
(細見委員臨時委員) 入れてしまうとまずいですね。

【上路臨時委員】 「このため」の、このところまでは要らないんです。

【森田委員長】 「このため」を消して、「メコプロップ」から始まって。

【上路臨時委員】 そうですね。

【森田委員長】 換算したもので。それでよろしいですか。

【上路臨時委員】 そうですね。そうでしょうね。

【森田委員長】 その方向でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【農薬環境管理室長補佐】 そうしましたら、最初の2行と3行目の「このため、」というところまで削除する形で修正したいと思います。ありがとうございました。

【花井専門委員】 参考のために教えていただきたいのですが、これは告示する場合はどういう文章になるのですか。結論についての内容はここで分かるのですけど、4種類の化合物について諮問だと化合物の名前が四つ書いてあるんですが、実際に告示される場合にはどのような表記になるのか、ちょっと教えていただきたいなと。

【農薬環境管理室室長補佐】 今までにもこういう例は多々ございました。○○及び××と書いて、数字のところに△△酸として●●μg/Lという風に一覧表の中に追加いたします。ご存じのとおり告示では表を足していくだけですから、そういうふうな表現になります。

【森田委員長】 分かりました。メコプロップとメコプロップPというのは、分子量が違うのですけれど、最後の数値はメコプロップ[酸]を換算したものになるんでしょうか。

【白石臨時委員】 酸として、文章同じ。

【上路臨時委員】 メコプロップPもメコプロップも同じなんですけれども。

【森田委員長】 メコプロップP[酸]として。

【上路臨時委員】 そうですね。

【森田委員長】 [酸]として数値を示す。

【五箇臨時委員】 その辺は分からないですけどね。

【上路臨時委員】 そうですね。[酸]として出すんですね。

【白石委員】 [酸]として出すんですよね。

【農薬環境管理室室長補佐】 それは法令上の問題なので、メコプロップ[酸]にするか、化学名を長々と書くことにするかは、ちょっと法令文書として考えさせてください。内容としてはメコプロップ[酸]として何μgになるということです。

【森田委員長】 花井委員、よろしいでしょうか。

【花井専門委員】 はい。

【森田委員長】 とりあえず、こういう結果でありますが、登録保留基準並びにリスク評価はこれでよろしいでしょうか。何か御意見ございませんか。こういう高等植物にしか効かないような除草剤を、こういう問題はあるものの、しかしこれを大量に使えばおそらく目的とする、目的というか保護したい植物自体がやられてしまうので、そういう使い方は多分ないだろうから、いわゆるこういう形になるという。
いずれにしましても、生態影響にある程度留意した環境基準というのは、実はかなり発想からいって相当難しいところがあって、だからある意味では我々はどういうやり方で妥協的な点を見つけるかということも、どうしても避けられないところがあると思うんですね。
それで、このメコプロップについてはこれで御了承ということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは7剤のうちの6剤は割合すっと行きました。1剤だけはちょっとディフェンスするにしてもロジックを再構築していただいて、それで次回以降にかけるということでよろしいでしょうか。それはなんか困る、環境省はそういうふうに分離されてしまうと。

【農薬環境管理室長補佐】 結構でございます。

【森田委員長】 いいですか。

【農薬環境管理室長補佐】 はい。

【森田委員長】 ちょっとなんか苦しそうな顔をしていらっしゃいましたけど。

【白石臨時委員】 もともとUFが10で泳いでいるところを、今100も超えているので、その辺はやっぱりちょっと違いますね。

【森田委員長】 それでは一つの剤だけちょっと残念な状態なんですが、でもせっかくですから、少しうまく説明ができるように、次回提案をしていただくということにしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それではきょうの議題は大体審議は終わりそうなんですが、事務局の方で御修正いただく点はいただいて、そして進めていただければと思います。
 それでは今後の予定などについて御説明いただけませんでしょうか。

【農薬環境管理室長補佐】 議題において御了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規定に基づき今後パブリックコメントを1カ月ほど実施したいと思います。その結果もし仮に何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうかを御相談して、御判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には部会長の同意を得、部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。そして答申後告示として基準値を公布させていただきます。こういった手続を考えております。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは本日の審議を一通り終了いたしましたが、本日の審議全体につきまして御意見、御質問ございませんでしょうか。

【細見臨時委員】 ちょっと1点だけ。先ほどの緩和措置というような言い方をされたんですけど、その発想が出てくるもともとの理由は一体何だったんでしょうか。もともとやっぱり幼体とかそういう若い時代の試験をやるのが、だれが考えても多分それの方が合理的かなと思うんですが、それを緩和するという、そういう意味がどこから出てくる。

【五箇臨時委員】 それちょっと言い過ぎかもしれません、私の方の。

【細見臨時委員】 そうですか。

【上路臨時委員】 私の記憶の中で、すべてじゃないかもしれませんけども、実験室の中でやる試験と、実際の環境中にあるものとでは違うだろうと。いわゆる実験室の中でやると非常にピュアな状態でやるんで、より現実に近いものでやるということも、試験として現実的じゃないかなというんで、緩和措置といったかどうか分かりませんけど、そんなことを。

【森田委員長】 緩和措置という言葉、使っているでしょう。

【上路臨時委員】 ええ、そういう状態だったと思いました。ほかにもあったかもしれませんが。

【細見臨時委員】 その際に、成体を使うというのがちょっとよく分からないんですね。今の現実の水に近いような状態であれば、確かにそれは一つあると思うんですけど。いきなり成体を使うというところが。

【白石臨時委員】 私の記憶だと、流れが二つあって、生物試験種をふやして、最低のところを見つけましょうという一つの流れと、あと緩和する、フミン酸みたいなもので、実態の自然界は違うでしょうと。バイオアベラビリティが違うので、フミン酸を入れて天然に近い形で評価した方がいいのでしょう、試験製、実験系とは違うと、二つの流れがあって、ただしその中でUFは藻類では1であり、甲殻類は10であると決められている。その中で今の問題が起こっているんだろうというふうに私は思います。いいですかね。

【五箇臨時委員】 あともう一つ、種類を増やしたら少しUFが小さくなるというのは、例えばメダカに特異的に効いて、ほかの魚だと実はそれほどでもないとすると、自然界全体に対するインパクトという、それこそ多様性の概念入れれば、もうちょっとやさしく見てもいいのではないか的な考え方まで、バリエーションがあれば、データにバリエーションがあるならばそのバリデートをとってUFは小さくしてもいいんではないかということで、4種やれば3というような、そういう計算を、あのときは吉岡先生の方に計算式つくっていただいて算出したんですけれども。
ただ、改めて今回、このフルフェノクスロンの議論として、本来ならば生長段階での感受性を見る意味というのは、成体で見ていたら見れないところを幼体で見る、あるいは幼体で見れないところを成体で見るという発想なら分かるんですけど、幼体にはばりばり効くけど成体は大丈夫だから、だからこの種には大丈夫的な、そういう計算の仕方はちょっと発想としては本当は生態学的な先ほどの種数をふやすのとはちょっと意味が違ってくるんだと思うんですね。
だから、それはやっぱりこの薬を通しての議論で、少なくとも確かに不明なものがたくさんある中で、ずっとこうやって審査する中で、あるいはそういった薬の作用点の研究が進む中で、もう構造である程度活性が分かるというものも出てきているのであれば、それはそれでそういった最低限のリスクというものを構造から読み取り、その部分について何か指摘するというような、本来はこれは成体に効かないはずだからやっぱり幼体でやれとか、これは恐らく藻類には効かないだろうからたとえ除草剤、藻類でLC50が高く出ていたとしても、やっぱりその部分は注意すべきではないかというような意見が出せるようなシステムというか、そういうことは研究者としては必要なんじゃないかなんていうふうには感じるんですけど。

【農薬環境管理室長】 当時の書類を見ますと、生物は生長段階において農薬に対する感受性が異なることがあり、一般的に成体の方が幼生よりも耐性が高い場合が多いと。ライフサイクルが短い生物は実環境において種々の成長段階の個体が存在するため、例えば幼生が影響を受ける濃度でも成体では影響を受けず、個体群としては大きな影響を受けないことも考えられると、そういうことに基づいて成体と幼体で試験ができるという論理だったようです。

【五箇臨時委員】 今さらですけれども、でもそれは個体の生態学的にはちょっと。特に生き物によってはフェノロジーがあったりしますし、入りまじった状態でいる生き物がむしろ珍しいですよね。ミジンコ一つとっても季節性はありますし、そう考えたときにまじっているということを前提にして、成体が生き残っていれば後は大丈夫という発想も本来は、自然界に照らし合わせればなおさらのこと、危険ではないかというふうに本当は考えなきゃいけない。まさにそれこそビーカーの中や水槽の中であればまじっているかもしれないですけど、実際の野外ではむしろ水温や季節性というものもあって、実際に多くのプランクトンでも発生する時期は決まっていて、ということは、やはりそれぞれに生長段階というのはある程度そろえながら、個体群というのは生長を繰り返しているわけですから、本来の自然界に照らし合わせるならば、今のロジックはむしろ矛盾を生じることになるではないかと思うんですけど。

【農薬環境管理室長】 これが我々としては基本原則というか、バイブルみたいにして扱っているわけで、それが間違いだということであれば、このバイブルの見直しからやらないと、IGR剤みたいなものについては、今後評価ができないという形になっていくんですよね。

【五箇臨時委員】 実際にこれが殺虫剤として効果出しているのは、それこそ有象無象に成虫も幼虫もいる害虫群集にこれをかけたら害虫がいなくなるわけですよね。害虫を絶滅させているわけですよ。だから、今のロジックで成虫さえ生きていればその個体群が絶滅しないなら、この殺虫剤は最初から効かないわけですよね。やっぱり、それはもう既に薬効試験の段階で、害虫個体群を絶滅させているということ自体、もう実証しているわけですよね。幼生や卵を殺すということで害虫は絶滅させられるわけですから、それはミジンコにとっても同じことは言えるはずで。そこのところは、今のロジックだと、少なくとも個体群生態学的には説明がつかないと本当は思います。そのときに何で言われなかったのかと言われると僕もちょっとよく分かりません。そのときに僕がいたのかどうかもよく分かりません。

【森田委員長】 多分、この化学物質の成体影響というのは大きく分けて二つの流れが本当はあるんですね。一つは一般的な化学物質のエコロジカルな影響を最小限にするためにいろんなアプローチが問われて、OECDのテストガイドラインなんかができていて、それが一つの流れです。その流れと、それから農薬というものとが、実は同じ戦場で議論してはいけなかったのかもしれないですね。これは難しいですが。つまり、農薬というのはある種食糧生産のために、ある程度生態系に負荷をかけるということがもともと持った性質であると、そういうときにどう考えるかという。
それからもう一つは農薬のもう一つの特性が、一般的な工業化学品が比較的連続的に出るのに比べて、ある種、時期的な使い方が存在しているということを含めて、もう少し丁寧に本当は考えなきゃいけないという側面が一方であると。しかし、この種の生態影響を考えるというのは、もう何というか、余りにもパラメータが多過ぎて、ある種のテキストブックをつくって、今それに向かって作業をしているというので、そのテキストブック自体は改良すべき余地というのは、それなりに存在しているのだろうと思うのですが、現実の我々の社会とどういうふうにつなぎ合わせながらうまくつくるかというのは、まだこれからの課題でも、あるいはひょっとしたらあるのかもしれません。
 今日出てきた出来事というのは、ちょっと少し象徴的なのかもしれません。一方でちょっとこのすっと行かなかったんですが、とりあえず、こういうものについて本当にどう考えたらいいのかというのは、やっぱりそこの専門家集団でもう一度議論をしておいていただいた方がいいかなということが、今日の結論なんだろうと思うんですけども。いろんな形で行政的に淡々と進められていくところに若干石を投げ込んだところがあるかもしれません。

【眞柄臨時委員】 よろしいですか。一番象徴的なのは、マラリアコントロールが非常に重要な課題で、とにかくポップスの対象になっているような殺虫剤でWHOはマラリアコントロールのために必要だと。そういう殺虫剤に関して言うと、WHOはフーペスというわけです。WHOのペスティサイドですと。それはその殺虫剤として機能を果たすために、この程度は使わなきゃいけないという話になっていて、一方飲み水の方は、そんなこと言ったってかめの中にボウフラがいて、そんなもの入れられたら飲み水の方のリスク、どうしてくれるのというのを、WHOの中で議論しているぐらいなんですよね。
ですから、そういうことから言うと、例えばIPCSはこれまで除草剤見てこなかったわけです。それは除草剤は食品中に残留しないと。だから除草剤を見なくてもいいんだと言ってきたんですが、だんだんやっぱり国際的な流れで見るようになってきているということだとすると、委員長が言われたように、今後考えるとすれば、殺虫剤と除草剤と、それから例えば、そういう作用機序をグルーピングして、グルーピングされたこのカテゴリーについてはどういうテストガイドラインで評価をしようというところまでいかないと、なかなか納得できるようにはならないわけですよね。
だから、現在よりも精緻であろうとすると、やっぱり作用機序で農薬類をグルーピングして、それぞれのグループごとにどういう評価をしようかというプロトコルを決めていかなければ、大方が納得するようなものにはならないだろうと。でもそれをやろうとするとかなりヘビーなジョブになるわけですから、環境省がその辺のところをほかの象徴と連携をとってどういうふうに評価するかという方法を、国全体として議論しなきゃならない段階には来ているだろうと、私もそう思います。でも我々にやってくれといったってとてもじゃないできないんで、とにかくプロジェクトとしてやっぱりやっていかなきゃいけないだろうなと、私もそう思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。ちょっと時間が余っていますので、この種の議論は。
どうぞ。

【農薬環境管理室長】 今回の除草剤でも全然藻類効いていなくて、前から何度もこういう指摘を受けていて、実はここの中の数人の方にも入ってもらっているんですけども、この水産動植物の検討に関しての高度化を図ろうということで、実は眞柄先生おっしゃったようにグルーピングして、何か傾向があるかということを今いろいろ調査しています。殺虫剤につきましては、カバーメイトだとか有機リンだとかネオニコチノイド、結構、作用機作が単純に分かれて、傾向見られるというのがありますが、除草剤に関しては余りにも作用機作が複雑で、かつ多様にあって、同じイネ科でも効いたり効かなかったり、非常に作用機作のところが微妙な酵素とかに関係している上、これはなかなか除草剤については今どうしようかという、もうグルーピングさえできないではないかという、今まだちょっと中途段階ではあるんですけども、そういう状況にはなっております。ですから、ちょっと試しではやっていますが、なかなか結論が出るかどうかというのは難しいなとは思っています。

【森田委員長】 本日、フルフェノクスロンにつきまして、少しペンディングになってしまっているんですが、これを見ている限り、コイに対する急性毒性は極めて低い。したがって魚が浮くことはない。しかし甲殻類には非常に極端に効くという、こういうやつは多分非常に昔の農薬の水田農薬等を評価していた段階では、魚毒性を中心に見ていましたので、全く問題にする対象ではなかったのだろうと思っています。今回甲殻類が剤に非常に弱いために、ちょっとペンディングになっているというか、あるいはこれをどう考えるかということは、基本的に難しい課題ではあると思います。少々ミジンコ死んでもいいのではないのという、そういう議論もないわけじゃないかもしれないし、使う時期、ちょっとよく分かりませんが、卵はもうちょっと強くないかしら。卵で農薬が流れている間をしのいで、またもこもこ出てくる、結構。

【五箇臨時委員】 一般的に、だけどIGR剤は、少なくとも虫に関しては卵及び幼虫に効くんですね。つまり卵から出ること自体が脱皮の一つなので。

【森田委員長】 卵の中に入らないということになりますね。

【五箇臨時委員】 それは薬の特性によってはそういうことも期待できるかもしれませんけれども、要するにしのげばいいという、その時期さえ逃れれば何とかという。

【森田委員長】 ということが。

【五箇臨時委員】 そうなるとパラメータとして、例えば物理化学性状に加えて、例えば散布期間とかそれこそ残留期間とか、そういうこともカウントする。要するに運命動態ですよね。という、それは可能であるなら、それはむしろかえってもっとよりリアルな成体リスクに、例えば今ちらっと出たネオニコチノイドなんていうのは、もう普通にビーカー試験したらほとんど毒性がないんですけれど、浸透移行性殺虫剤ということで根から吸わせて、植物体に蓄積させるという作用でやりますから、自然界に対するインパクトは非常に大きいんですね。最近も話題になっているミツバチのCCDなんかもこれのせいじゃないかと言われるくらい問題視されていると。
つまり、環境中にどれだけ滞留して、それが環境中の生き物に影響するかというのは、やっぱり薬物の使用方法と運命動態によって随分作用されるのがあるので、それはそういう見方をするのであれば、いわゆるより本質的なリスクを見るという意味ではいいことだとは思うんですが、それはすごく難しいことになるのではないかと。さまざまなシミュレーションも必要になってくるでしょうし、いろんな試験もさらに、それこそメゾゴズムも含めてしなくてはならないというところに行ってしまうので。
先ほど、それは個体の生態学的にはおかしいと言ったのは、今の説明だと説明がつけられないということですね。だからこのルールに対してもう少し何とかまともなロジック、もう少し正当なロジックが立てられないかということを、考えるしかないのかなとは思うのです。ただ、このような数字が結果としてこれが出てしまうと、中杉先生が言い残されたように、幾ら何でもLC50とPECの間でこんな差があっても、その数値を基準値としてしまうというのは、環境保全という立場に立つ以上は何か言わざるを得ないというのが現状かなと思います。

【佐藤委員】 先ほどの委員長の多少ミジンコが死んでもしようがないのではないかな、というのは、私はいただけない意見だと思います。冗談でおっしゃったのだと思いますけれども。まずそのミジンコが、甲殻類の代表として試験対象物になっていれば、やっぱりそのデータはちゃんと見なきゃいけないだろうと思うのです。それが不適当であるというのだったら、それなりのちゃんとした理屈をつければいいのだろうと思います。
リスク評価、一般について言えば先ほどから五箇先生がおっしゃっているように、やっぱり一番脆弱なバルネラブルなサブポプュレーションをターゲットにしてやるというのは、人の世界でもそうですし、生態系はかなり複雑なので、大変難しいことだという理解はしますけれども、それでもやっぱりやっていく必要があるんだろうと思います。農薬が本来的になんか役に立つのだとすれば、毒性なり有害性なりとはまた別個の論理で、これはじゃあしようがないから使いましょうという、そういう話になるのではないかと思って、中杉先生がおっしゃっていたのは、多分そういう理屈をどうやってつけるのよという質問だったように私は思うんですけれども。

【森田委員長】 どうもありがとうございました。難しい問題をずっと我々は勉強し続けなきゃいけないということであると思うのですが。とりあえず本日の議題はこれでほぼ終了ですが、環境省の方、何かございますか。

【農薬環境管理室長】 特段ございません。

【森田委員長】 それでは本日これで終了したいと思います。長時間ありがとうございました。