中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会 (第6回)議事録

1.日時

平成19年9月25日(火)13:30~16:45

2.場所

環境省第1会議室

3.出席委員

委員長:
森田 昌敏
臨時委員:
上路 雅子、亀若  誠、白石 寛明、中杉 修身
細見 正明、眞柄 泰基、山本 廣基
専門委員:
安藤 正典、井上  達、中村 幸二
根岸 寛光、花井 正博

(欠席は、佐藤委員、五箇臨時委員、若林臨時委員、中野臨時委員、渡部臨時委員、井上隆信専門委員)

4.委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、農薬環境管理室長、農薬環境管理室長補佐、農薬環境管理室長補佐、 農薬環境管理室農薬企画・調査係

5.議題

(1)
食品衛生法に基づく魚介類への残留基準の設定に対応した水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について
(2)
水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針について
(3)
水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(4)
その他

6.配付資料

資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第5回)議事要旨(案)
資料3 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第5回)議事録(案)
資料4 水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について 報告 (案)
資料5-1 水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(案)
資料5-2 亜急性経口投与毒性試験等におけるNOAELとADIとの比較
資料6 諮問書(写)及び付議書(写)
資料7 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する 資料
資料8 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する 資料(分析法案)
資料9 農薬登録失効に伴う登録保留基準の削除について
参考資料1 農薬環境管理室関連の平成20年度概算要求重点事項
参考資料2 リーフレット「農薬飛散による被害の発生を防ぐために」
参考資料3 「埋設農薬調査・掘削等マニュアル」御意見の募集について
参考資料4 農薬評価書イミダクロプリド(食品安全委員会資料)
参考資料5 農薬評価書メタアルデヒド(食品安全委員会資料)
参考資料6 農薬評価書ピラクロニル(食品安全委員会資料)
参考資料7 農薬評価書ペノキススラム(食品安全委員会資料)
参考資料8 ピラクロニル(案) 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会資料)
参考資料9 ペノキススラム(案) 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医
薬品部会資料)
参考資料10 第10回農業資材審議会資料「土壌残留及び水質汚濁に係る農薬登録保留基
準の改定について」

7.議事

【農薬環境管理室室長補佐】 定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会農薬小委員会第6回を開催させていただきます。
 初めに、当省の白石水環境担当審議官より、ご挨拶申し上げます。

【水環境担当審議官】 水環境担当審議官の白石でございます。去る8月24日付で、前任の寺田の後ということで、拝命しております。よろしくお願いいたします。
 本日の農薬小委員会では、後ほどご説明させていただきますように、三つほど大きな議題がございます。食品衛生法に基づく魚介類への残留基準の設定に対応した水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について。それから、二つ目が水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針について。三つ目が水質汚濁に係る農薬登録保留基準としての環境大臣の定める基準の設定についてということでございます。
 委員には、釈迦に説法でございますけれども、水環境行政、公共用水域の汚濁防止ということが大きな目標となっておりまして、水質汚濁に係る農薬登録保留基準は、この目標実現のための重要な施策ということでございますが、去る昨年の8月に改正基準が施行された後に、シジミから一律基準を超える農薬が検出されたということで、厚生労働省の方で魚介類に対する残留基準の作成が開始され、より適格なリスク管理が必要という状況になってきておりますので、その考え方につきまして、ご審議をいただくというのが一番目のことでございまして、その結果をもとにいたしまして、告示の改正等々の所要の手続を行ってまいるということを考えております。
 二番目、現在の水質汚濁に係る農薬登録保留基準でございますけれども、これは人が飲料水から摂取する農薬がADIの10%以内ということにしておりますけれども、非食用の作物のみに適用になります農薬については、ADIが設定されていないというものもございますので、それに代わる数値の設定はどうしたらいいかということについてご審議をいただければということでございます。
 それから、三番目は個別農薬の水質汚濁の農薬登録保留基準として、環境大臣が定める基準の設定に関する議題でございますが、本日は新たに四つの農薬の基準値についてご審議いただければというように考えております。極めて専門技術的なことではございますけれども、いずれも環境あるいは人の健康ということにも重要な問題でございます。農薬を巡る行政課題、ご案内のようにいろいろございますけれども、こういった今日の議題に関することも始めといたしまして、今後とも先生方のご指導をいただきながら頑張ってまいりたいと考えております。
 挨拶に代えまして、ちょっとご説明をさせていただきました。本日はどうもありがとうございます。

【農薬環境管理室室長補佐】 
 それでは、本日の委員の出席確認をさせていただきます。
 本日の委員の出席でございますが、佐藤委員、井上隆信委員、五箇委員、中野委員、若林委員、渡部委員よりご欠席との連絡をいただいております。従いまして、本日は委員、臨時委員総数13名のうち、8名のご出席をいただいており、本小委員会の開催の要件、定足数7名でございますが、これを満たしておりますことをご報告させていただきます。
 以上です

【農薬環境管理室長】 続きまして、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 それでは、配付資料一覧に従いまして、確認をさせていただきます。資料右肩に四角で資料番号を打っておりますので。
 まず、資料1として、農薬小委員会の委員名簿でございます。
 資料2として、農薬小委員会第5回の議事要旨(案)が一枚紙でございます。
 それから、資料3として、農薬小委員会第5回の議事録でございます。
 それから、資料4として、食品衛生法に基づく魚介類への残留基準の設定に対応した水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について 報告(案)でございます。
 資料5-1としまして、水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(案)でございます。この資料5-1の一番最後のページのところに、A3の用紙が折りたたんで綴じておりますが、これが資料5-2となります。
 続きまして、資料6が、環境大臣から中央環境審議会に対する諮問書及び1枚めくっていただいて、付議書でございます。
 それから、資料7として、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料。
 それから、資料8として、同じく水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料。こちらは分析法案となっております。
 それから、資料9として、農薬登録失効に伴う登録保留基準の削除について。
 それから、参考資料1としまして、こちらは農薬環境管理室の平成20年度予算の概算要求の資料でございます。
 それから、参考資料2として、カラーで印刷しておりますけれども、A3のものを折りたたんだ形になっておりまして、「農薬飛散による被害の発生を防ぐために」という形のリーフレットになっております。
 参考資料3としまして、「埋設農薬調査・掘削等マニュアル」御意見の募集について(お知らせ)。
 参考資料4として、農薬評価書イミダクロプリド。なお、こちらは食品安全委員会の作成した資料となります。
 参考資料5として、同じく農薬評価書メタアルデヒド。
 参考資料6として、農薬評価書ピラクロニル。
 参考資料7として、農薬評価書ペノキススラム。
 参考資料8としまして、表題はピラクロニル(案)となっておりますが、こちらは厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会で用いられた資料でございます。
 それから、参考資料9としてペノキススラム(案)。
 それから、最後、参考資料10としまして、土壌残留及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定についてでございます。
 以上でございます。

【農薬環境管理室長】 もし足りないものがございましたら、事務局までお申し出ください。
 ありますでしょうか。

(なし)

【農薬環境管理室長】 それでは、議事に入らせていただきます。森田委員長に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【森田委員長】 本日は皆様、ご多用中のところご出席いただきまして、ありがとうございました。本日の農薬委員会は、議事次第にございますように、先ほどご紹介されましたけれども、主に三つの議題について審議が予定されております。慎重かつご活発なご審議をお願いいたします。
 それでは、最初に本日の審議の公開の扱いについてでございます。今回の農薬小委員会では、農薬の毒性試験データなど、企業秘密にかかわる資料を使用しないということになっておりますので、非公開の理由に当たらないため、今回の農薬小委員会につきましては公開とさせていただきたいと思います。
 それでは、議事に先立ちまして、前回6月26日に開催いたしました第5回小委員会の議事要旨の確認であります。議事要旨につきましては、お手元の資料2でありますが、事務局の案が作成されております。この場でご確認をいただけたらとお願いいたします。
 事前にある程度、見ていただいていると思いますが、念のため若干のご確認をお願いします。
 では、資料2の方に議事要旨がついております。資料2の議事要旨でおおむねよろしいということでございましたら、細部の議事録については、また参考配付となっておりますけれども、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づき公開することとなっております。
 よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 では、特段のご指摘がございませんので、お認めいただいたことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、これから議事に入りたいと思います。
 初めに、農薬小委員会の決議の取り扱いについてのご説明をさせていただきます。中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についての土壌農薬部会決定により、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができるということとなっております。
 本日の議題、3番目になりますが、個別農薬の水質汚濁に係る農薬登録保留基準の審議を行いますけれども、これにつきましては、本農薬小委員会後に農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の松本部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。よろしいでしょうか。
 それでは、早速、議事次第に沿って、議事を進めたいと思います。
 まず、議題の1番目です。食品衛生法に基づく魚介類への残留基準の設定に対応した水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定についての審議に入りたいと思います。
 それでは、事務局よりご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料4をごらんください。食品衛生法に基づく魚介類への残留基準の設定に対応した水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について報告(案)でございます。
 まずは、1枚めくっていただきまして、背景から説明させていただきます。
 まず、食品衛生法においては、食品としての水産動植物について、その摂食による人への健康被害を防止するため種々の規制措置が講じられております。平成15年5月に、この食品衛生法の抜本的な改正が行われました。その結果、農薬、飼料添加物及び動物用医薬品の規制について、いわゆるポジティブリスト制度を、施行後3年を超えない範囲で導入することとされ、ポジティブリスト制度は、平成18年5月29日から施行されることとなりました。これについては、別添1、ページ8ですけれども、これに書いてございますので、後で御覧ください。
 さて、農薬は通常、農作物において病害虫の防除等のため使用されるものということでございます。したがいまして、直接農薬が使用されることのない魚介類に対しては、そのほとんどについて食品衛生法第11条第1項に基づく、個別の残留基準は設定されておりません。したがいまして、同条第3項に基づく、人の健康を損なうおそれがない量として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて定める量、これは長いので、以下一律基準と言いますけれども、これが適用されております。そして、この値を超える農薬が検出された場合は、そのものは食品としての流通が禁止されるなど、そういった措置が講じられることとなっております。
 続きまして、水産動植物から農薬の検出ということで、実際に農薬が検出された事例がございますので、その説明をさせていただきます。
 この事例としまして、昨年、滋賀県、島根県、それから鳥取県が行った県産シジミの残留農薬検査において、一律基準を超えて農薬が検出されました。その具体的な公表資料などは、別添2ということでつけております。この原因ですけれども、残念ながら、まだ明確にされておりません。ただ、水田等に使用した農薬が、何らかの理由で河川等に流出し、河口、湖沼に生息するシジミ等に残留したものということが可能性として考えられております。
 このような魚介類への残留農薬対策ですけれども、一義的には、農家等の農薬の使用現場、ここにおいて適切な管理が行われることが重要でございます。しかしながら、止水管理等、これを適切な管理を行いましても、例えばドリフト、例えば降雨、例えば畦畔浸透、こういったものにより、一定程度の農薬等が水系へ流出することがあるということでございますので、このような環境由来で、非意図的に農薬が魚介類に残留する可能性、これは否定できないと考えております。
 さて、続きまして、農薬取締法における対応の必要性でございますが、現在のところ農薬取締法第3条第1項第7号、これによりまして、農薬使用により公共用水域に水質汚濁が生じ、その汚濁水、または汚濁水により汚染される水産動植物、このいずれか、もしくは両方が原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあるときは、登録を保留することとされています。これは別添3としてつけております。
 そして、この具体的な基準でございますが、これは環境大臣が告示で定めております。これは別添4としてつけておりますが、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件というものがございまして、第4号ということで記載しております。
 さて、現在の水質汚濁に係る農薬登録保留基準でございますが、ここでは、申請書の記載に従い、農薬が一般的に使用されるとした場合、こういう場合の環境中予測濃度というのがございますが、これと当該農薬の許容一日摂取量ADI、これから算出される公共用水域における基準値、この二つを比較するということで、登録保留に該当するかどうかを判断するというふうになっております。
 そして、この基準値の設定でございますが、生物濃縮係数が5,000を超える農薬、これについては高濃縮性ということで、魚介類経由の摂取も考慮して安全なレベルに基準値を設定しております。しかしながら、シジミへの残留農薬問題、これを契機といたしまして、以下に述べるとおり食品衛生法における魚介類残留基準が設定されることとなりました。したがいまして、汚濁水により汚染される水産動植物について、食品衛生法の残留基準に適合するように、水質汚濁に係る農薬登録保留基準を改正する必要があると、このように考えております。
 さて、続きまして、食品衛生法における残留基準の考え方でございます。
 厚生労働省では、各農薬について作物残留試験の結果、国民の食品摂取量から食品を介した農薬の摂取量がADIの80%を超えないように食品中の残留基準値、これを定めております。そして、非意図的に魚介類に残留する農薬につきましては、厚生労働科学研究費補助金 食の安心・安全確保推進研究事業、ここの研究班におきまして報告されました、以下の太字に書いておりますこの式、これを適用して魚介類への推定残留量を算出し、これをもとに残留基準値を設定するということにしております。この研究班の報告書でございますが、別添4ということで後ろの方につけております。
 さて、この研究班で検討されました推定残留量の式でございますが、太字にありますとおり水産PECの値×生物濃縮係数の5倍を推定とすることにしております。ここで水産PECでございますが、これにつきましては、実は農薬取締法第3条第1項第6号に、水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準というのがございます。この中で環境中予測濃度を出すための式をつくっておりまして、その算出方法につきましては別添6にありますとおり水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の改定についてというところで触れております。ここでは、日本を標準的なシナリオに落としまして、どの程度農薬が環境中に出てくるかということを示したモデルとしてつくっております。その中では、段階制を採用することといたしまして、単純な計算式からなる低次の段階と、それからだんだん実測データを基にした高次の段階という段階制を踏んでPECを算出するということにしております。そして、水田使用農薬については3段階、非水田使用農薬については2段階ということで算出法を定めております。
 この厚生労働省の研究班では、魚介類への推定残留量を算出する水産PECといたしまして、水田使用農薬については第2段階、非水田使用農薬については第1段階を採用するとしております。また、両方に用いる農薬、つまり水田にも非水田にも用いる農薬につきましては、水田用、非水田用、両方のうち大きい方を採用するということとされました。
 続きまして、BCFですけれども、原則はこの研究班の報告では実測値とするというふうになっております。しかしながら、実測値がない場合は、Isnardらによる関係式、これによって推定することも可能というふうにしております。
 さて、続きまして曝露評価ですけれども、原則として魚介類経由の農薬摂取量を農産物経由の農薬摂取量に加えて、食品経由の農薬摂取量をADIの80%以内に管理というふうになっております。従いまして、次に説明しますが、高濃縮性の農薬について、従来の水経由の10%に魚介類の分を追加して評価するという考え方から、変更になることになります。
 さて、ページをめくっていただきまして、3、水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改正の考え方でございます。
 まず、現行の考え方でございますが、まず水質汚濁、公共用水域の水中における濃度ですが、これが環境大臣が定める基準値に適応しない場合、登録を保留するとなっています。具体的には、公共用水域の水中における濃度は、水質汚濁に係る環境中予測濃度をこれによって算出しております。そして環境大臣が定める基準値といいますのは、人が1日飲料水を2リットル摂取すると仮定しまして、飲料水経由の農薬摂取量がADIの10%以下となるように定めた値となります。ただ、先ほど申しましたとおりBCFが5,000を超えるような高濃縮性の農薬の場合につきましては、飲料水経由の農薬摂取量に魚介類経由の農薬摂取量、これを両方合わせてADIの15%以下になるように定めた値というふうにしております。
 したがいまして、現行の告示でございますが、別添7にありますとおり、申請書記載に従いまして当該農薬を使用した場合に、当該農薬が公共用水域に流出、又は飛散した場合の水質汚濁の観点から予測される当該公共用水域の水中における当該種類の農薬の成分濃度、これを水質汚濁予測濃度といいます、これと、その下、当該種類の農薬の毒性及び残留性に関する試験成績に基づき環境大臣が定める基準値の二つを比較しまして、適合しない場合は登録保留基準に該当するということにしております。
 これをどのように改正したいかというのは、その次になります。
 まず、使用した農薬の流出により汚濁した水により汚染された水産動植物、こういった水産動植物に関し、食品衛生法の残留基準に適合することを確保するための改正を行うと、そういうふうに考えております。このため、従来の飲料水経由の農薬摂取に係る規定、これを「イ」としまして、水産動植物経由の農薬の摂取に係る規定、これを「ロ」と「ハ」の二つに分けてつくっていきたいと考えております。
 まず、「イ」の部分、飲料水の部分ですけれども、これは現在の水質汚濁に係る農薬登録保留基準の規定を基本的にそのまま定めるとしたいと考えております。ただ、水産動植物経由の部分、これについては、「ロ」と「ハ」の方でカバーするとしておりますので、現在のBCF5,000を超えるものについては、魚介類への残留を考慮した基準としておりますけれども、そこの部分を削除して、飲料水経由の摂取のみということで単純化していきたいと考えております。
 また、この飲料水経由の農薬を摂取した基準に対する曝露評価ですけれども、現基準では慢性影響を評価するという観点から年平均濃度に相当する水質汚濁予測濃度、これは以下水濁PECといいますけれども、これで評価することとしておりまして、新基準においても基準値とこの水濁PECを比較するという方式をそのまま踏襲してリスク評価を行うこととしたいと考えております。
 さて、先ほど「イ」のところから分離しました水産動植物経由の部分ですけれども、これについては「ロ」と「ハ」の二つに分けます。なぜ二つに分けたかということは、ちょっと後で説明をしたいと思います。
 まず、「ロ」ですけれども、これは環境中で予測される濃度の農薬を含む水により汚染された水産動植物が食品衛生法第11条第1項に基づく食品添加物等の規格基準、第1食品A食品一般の成分規格6(1)の基準。これは非常に長いので本基準と以下省略して説明させていただきますけれども、この本基準に適合しなければ登録保留ということを「ロ」において記載したいと考えております。
 そして、「ハ」ですけれども、同じく水産動植物が基準に適合しなければ登録保留ですけれども、その基準というのを先ほどの本基準ではなくて、暫定基準、もしくは一律基準と、これらに適合しない場合、登録保留としたいと考えております。
 今ここで、なぜ、同じ食品衛生法上の基準、特に本基準と暫定基準につきましては、食品衛生法第11条第1項という同じ項というにもかかわらず分けたかということをちょっと説明させていただきたいと思います。
 ページの10、11の厚生労働省のポジティブリストのQ&Aの部分を御覧ください。9ページから厚生労働省のホームページから抜粋しましたポジティブリスト制度に関するQ&Aの参考資料ということでつけております。頁左側の番号は、全部印刷しますと非常に数が多いものですから、関係のありそうなものを抜粋したということで番号が飛んでおります。
 さて、まず暫定基準の部分ですけれども、10ページの40番をまず御覧ください。ポイントは、今回新たに設定した基準、この質問の部分で今回新たに基準を設定した農薬等についてと書いてありますけれども、この新たな基準というものが、今まで私が申しておりました暫定基準に当たります。ポイントとしましては、その回答のところにある下線部の部分、特に一番下の下線ですけれども、読み上げますが、"残留基準等告示についても、新たに規格を設けた部分については食品健康影響評価を受けていないことから、本制度の施行後、計画的に内閣府食品安全委員会に評価依頼を行うということとしております。"ポジティブリスト制度の施行前から存在しました本基準につきましては、安全性評価は既に済んでおります。それに対しまして、まずこの暫定基準については、ここに書いてありますとおり食品健康影響評価を受けていないということです。それから、一律基準については次のページの11ページですけれども、この部分の65番、真ん中ですけれども、この下線部、下の部分ですが、ここにもやはり今回設定した一律基準は、内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価を受けていなことから、本制度施行後、食品安全基本法第24条第2項に基づき、同評価を受けるということで、後で食品健康影響評価を受け直すということになっております。
 すみません。またちょっともとに戻っていただきまして、このように本基準、それから暫定基準と一律基準、それは正規の食品健康影響評価を受けているか、いないかということで分けておりまして、我々もこの後の扱いを変えるべきではないかというのがございまして、同じ水産動植物経由の農薬摂取に係る規定でございますが、「ロ」と「ハ」ということで、二つに分けて記載をしてございます。
 さて、次のページの一番上に行きますけれども、この「ロ」と「ハ」、これらの適合性につきましては、厚生労働省研究班報告書に従って算出された魚介類への推定残留量が、残留基準、暫定基準または一律基準、これらを超えないことを登録段階で確認することとします。そして、魚介類中の農薬残留量のモニタリング結果等から事後的な評価も行うということを考えております。
 そして、これらをもとにした告示案を記載しています。これは今後法令担当者と協議をする中で、文言の修正等を行っていくものでございますが、基本的な考え方をここで示させていただいたものでございます。
 さて、この告示案でございますが、まず水質汚濁に関連しては、イ、ロ、ハのいずれかに該当する場合は、その登録保留基準に該当するということをまず書きまして、イとしまして、まず水の部分、法第2条第2項第3号の事項についての申請書の記載に従い、当該農薬を使用した場合に当該農薬が公共用水域に流出し、または飛散した場合に水質汚濁の観点から予測される当該公共用水域の水中における当該種類の農薬の成分濃度、これが当該種類の農薬の毒性及び残留性に関する試験成績に基づいて、環境大臣が定める基準に適合しないものとします。非常に長いですけれども、先ほどの水濁PECと、それから水2リットルを摂取すると仮定した場合のADI10%から計算した濃度、この二つを比較しまして、水濁PECの値がADIから計算した濃度を超える場合は登録保留基準に該当するとしています。
 そして、ロとハとしまして、これは水産動植物の方でございますが、まずロとしまして、イと同じように申請書の記載に従い、当該農薬を使用した場合に、当該農薬が流出し、または飛散することにより公共用水域の水質の汚濁が生じ、かつ、ここからがポイントですが、その汚濁に係る水により汚染された水産動植物またはその加工品の飲食用品が食品衛生法第11条第1項の規定に基づく食品、添加物等の規格基準に適合しないものであることとしています。ここは本基準ですから、このようになります。
 そして、ハにつきましては、書いてある内容は基本的に同じですけれども、対象が本基準のかわりに暫定基準、そして一律基準となりますので、少し食品衛生法の引用の部分、この書きぶりが変わっております。
 さて、4番に行きまして、告示の施行に係る留意事項でございます。
 昨年、滋賀県、島根県、鳥取県で行なわれましたシジミの農薬検査で、一律基準を超える農薬が検出されたということを受けて、厚生労働省では農林水産省からの申請に基づきまして、残留基準の設定について検討を行っております。しかしながら、食品衛生法に基づく残留基準設定のためには、食品安全基本法に基づく内閣府食品安全委員会での調査・審議、こういったものに一定の期間・時間が必要だということがございます。このため、今、我々が考えておりますのは、本告示は即日施行するとします。しかしながら、残留基準の設定の途上にあるものについてまで、暫定基準、それから一律基準、こういったものにも機械的に告示の内容を即日で適用するというのは不合理ではないかと考えました。このため、(1)と(2)、二つの措置を講じることとしたいと考えております。
 まず、(1)でございますが、農林水産省からの要請に基づき、厚生労働省が食品安全委員会に諮問するために要する準備期間、これは試験データを集めたりというものでございますが、これを勘案しまして、食品衛生法第11条第1項の暫定基準、または同条第3項の一律基準、これを登録保留基準として適用する規定については、施行を一定期間おくらせることとしたいと思っております。
 そして、(2)ですけれども、この(1)の施行日まで、その期間に食品安全委員会に魚介類残留基準の設定の諮問がなされた農薬につきましては、残留基準が施行されるまでの間は暫定基準または一律基準を登録保留基準として適用しないとしています。つまり、本基準ができるまで、しばらくの間待つべきだろうと考えております。
 説明は以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご質問あるいはご意見ございますでしょうか。
 一番最後の5ページの下から5行目、「施行を一定期間遅らせることとする」の一定期間というのは、どの程度のことを想定されていますでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 実は、この具体的な長さにつきましては、まだ調整中でございまして、残念ながらまだご説明できなかったものですから、今、一定期間ということで書かせていただいております。

【森田委員長】 とりあえず一定期間ということで。

【農薬環境管理室長】 農薬自体が約500成分ぐらいありまして、それらのすべての農薬についてのlogPowとか、生物濃縮係数がどれぐらいになるのか、それから水中予測濃度がどれぐらいになるのかと、すべてを今計算してオーバーしそうなのか、しそうじゃないのかというのを農水省が中心となってやっていただいておりまして、その状況を見極めた上で、どれぐらいのスケジュールでやっていけるのかということを検討した上で決めたいと思っています。こういう食の安全に係る事項でございますので、大幅に延ばすようなことがあっては、なかなか国民からの信頼も得られないと思っていますので、できるだけ早くやれるようなスケジュールを考えていきたいと思っております。

【中杉委員】 事務局案で結構だと思いますけれども、前の現行の方式ですと5,000以下のものについて対応していないということで、以前に試算をしたときに5,000以下でも若干心配な部分があるなという話があって、その部分も今回解消できるようになったので、よろしいのではないかというふうに思います。

【亀若委員】 今回こういう事態があって、そしてこれに適合するような形で、随分検討された結果だろうと思いまして、ずっと見せていただきまして、お話を伺って、論理的にもこういうことかなという感じがいたします。そういう面では、この基本的な骨格、こういうことで、今後も進めていただければなというふうに思います。
 ただ、先ほどの委員長からのお話もありましたけれども、施行の期間の問題、これは確かに膨大な数の農薬について、これに適合するような形で多分それぞれのところが作業をやっておるだろうと思うのですが、農薬は生産資材として非常に重要な要素なものですから、前からもだんだん基準が厳しくなるごとに、資材としての数、選択が狭まってきていますので、そういう面で、ある程度の猶予期間といいますか、そういうものがどうしても生産の面から見ると必要かなという気がいたしますので、これは関係省庁とよく相談をして、余り無理のない、かつ消費者からも余り信頼を損ねることのないようにと、難しいことになるのかもしれませんけれども、そこはひとつお願いをしておきたいなと思います。
 以上です。

【森田委員長】 ほかに先生方、ご意見ございませんでしょうか。

【白石委員】 テクニカルなことなんですけれども、水産PECの求め方は、内容は、もちろん魚とか、ここでしたようなものですけれども、今回のシジミですね、魚とは随分系統が違うと思うんですけれども、シジミに対して、そのシナリオが大丈夫かどうかと。別添の方には書いてあるんですけれども、これを使うBCFは魚のBCFを使いますとなっていて、資料の方には魚ではなくて、シジミは全然わからないと。試験法もないので、当面、魚を使いましょうということなんですけれども、ここに初めに書いてある部分からは、そこがちょっと読み取れないような部分で、水産PECがあって、生物濃縮係数が、これはもう魚の試験結果を使うみたいな形になるんですね。ほかの生物みたいに、何も見えていないという部分がありますので、少しそこは工夫するなり、注意しておいた方がいいだろうというふうに思っています。
 2点目として、濃縮係数と水産PECから掛け算して出していますけれども、それぞれシナリオとしては大体…。このシナリオで、シジミの生息地というか、シジミを漁獲しているところを代表できるかということなんです。

【農薬環境管理室長】 厚生労働省の方の研究班の報告書、今すぐ出てこなかったんですけれども、基本はシジミで問題が起きましたと。しかし、シジミに関するBCFについての基礎的なデータはございませんと。それについては、残留基準を直ちにつくっていかないと違反事例が出て、シジミの出荷が滞るという現状に鑑みれば、魚とシジミ、分けてBCFをとるということも考えられるけれども、現状では無理なので、魚でまずはやってみましょうという報告だったと思います。それに基づいて今のところやっておりますけれども、農水省などが、今シジミでの農薬濃縮性について調査をしたりしておりまして、今後、新たな知見がいろいろと出てくるようであれば、また考え方の見直しもあり得るというような報告であったと思います。
 それから、PECのシナリオは大丈夫かということでしょうか。なにせPECにつきましてもまだ動き出して時間が経っていないというか、それほど経験があるわけではなくて、若干不安なところもあるんですけれども、そうはいいましても、一応、この研究班の報告書の中では、PECの関係ではございませんけれども、安全係数ということで、5を掛けておりますので、基本的には、この式に従っていけば、残留の問題は起きないだろうというふうに我々は考えております。

【白石委員】 PECのシナリオは安全側にたっているといったようなキーワード、答えを期待したんですけれども。あと、安全係数、5を掛けているというふうに言ったんですけれども、たぶん魚とシジミの種間差みたいな、ここでおさまるんじゃないかとは思っているんですけれども、そういったものの何か一つでもデータはございましたでしょうか。

【上路委員】 ここにも山本先生等、実際にこの研究班にいた者がおりますので、答えられるところからお答えしたいと思います。
 実際、一番初めに検討したときに、確かにシジミとお魚では、当然、農薬の濃縮が違うんじゃなかろうかというのはありました。毎日の食事の量ですか、魚介、魚と貝とで分けることができると。両者で90何グラムあるんだけれども、それは貝と魚を分けることができるので、もし分けられるんだったら分けたらいいんじゃないかという検討をいたしました。しかし、魚と貝の中での生物濃縮性がある程度、パラレルとか、いろんなことが想定されるならばよかったのですが。コイや魚類での濃縮試験がたくさんありますので、そのデータからシジミの方、貝の方に何らかの形で、それを見ながら検討できるんじゃなかろうかということも考えたんですけれども、実はシジミの方にはほとんどデータがないというのが実態でした。それと、魚のデータを見ても、魚での農薬の濃縮性も非常にばらつきがあるということもありました。貝の方はほとんどデータがないということで、もうやむを得ず魚介類一本として計算するのがよかろうということで、研究班の資料30ページの数式、BCFの算出方法という、こういうものを利用してやったらいいんじゃなかろうかということになりました。
 その次に、私は食品安全委員会の方に出ていて、魚介類への生物濃縮性というのを実際に幾つか検討し始めました。実際の生物濃縮性を見るときに予測するというよりも、むしろコイのデータを使って、すなわち実験値を使って計算するというのが、今主流というんですか、それの方が多くなっています。その濃縮程度を見ますと、このlog10BCFは、0.80×log10Powというよりも、非常に低くなっていて、数字はむしろすごい安全側に立った数字だなというのが、幾つかの剤を見ていていての実感です。そういうことで、もしも全く魚、シジミ等に関するデータがなくて、この数字を使った場合にも、かなり安全側に立ったデータではなかろうかというふうに思っています。ということで、この何カ月間か検討してきたことをご紹介しました。
 山本先生何か、ご説明いただければと。

【山本委員】 1点だけ、BCFに5を掛けているのは、貝と魚の種間差とかということではなくて、このIsnardという人の式の95%の信頼限界の一番上のところですね。これlog10Pow、30ページの下の方に書いてございますが、log10Powが5のときで、4.8倍だったという、それからlog10Powが3.5のときは3.7倍、4のときが4.1倍、この信頼限界の高い方のところがこのぐらいだから、5を掛けておけばまず大丈夫だろうというようなことで、この推定値を出そうと、こういうことですね。
 シジミのデータは、今、恐らく幾つかの剤についてとっておられると思うんですけれども、そういった数字が出てきた段階で、先ほど室長からお話がありましたように、著しく違うというようなことがあれば、また恐らく見直しということもあり得るのかなというふうに考えております。そういった議論をやったところです。

【眞柄委員】 いろいろとご説明をいただいて、その科学的なエビデンスが十分でないということでありますので、そうなのかなという気がしますが、将来の課題として、例えばえら濃縮なのか、あるいは消化器官を通した濃縮なのか、貝類でいえば単位重量当たりの通水量というのは、魚類に比べてはるかに多いわけですので、そういうそれぞれの生物種が持っている濃縮のメカニズムを今後考慮して、濃縮係数を適正に判断できるような努力を国として、私はするべきじゃないだろうかなという認識を持っています。それが1点です。
 それから、登録保留基準の改正の理由の中で、これは言葉の問題かもしれませんが、農薬が環境由来で非意図的に魚介類にと、「非意図的に」というのは当たり前のことであって、あえてここで非意図的にというのをダブルでかけて、何となくだれも責任がないようなというエクスキューズするのは、私はいかがかなという感じがしまして、これ非意図的にというか、環境由来で魚介類に云々で、という方が、私は国民に対して正直な表現ではないだろうかなというふうに感じました。変えてくれとは言いませんが、感想はそういうことです。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 濃縮係数の問題は、どういうふうに考えておきましょうか。また今後の問題として残しておくのか。残しておくにしても、どういうふうにこれから考えるかですね。シナリオだけでも少し。

【眞柄委員】 だから、これはこれで僕はいいと思うんですよ。だから将来の課題として、その濃縮のメカニズムなり何なり、その種差によるとか、その辺のところを今後とも科学的に明らかにする必要があるとか、書くだけは書いておいた方が安心できるんじゃないかと思いますよ。

【中杉委員】 濃縮性の部分については、食品安全委員会の方のまた話だろうと、私は考えていますので。

【眞柄委員】 食安かな。

【中杉委員】 いや、ここでは食品安全委員会の方で見ておられるから、こちらの農薬としてはという整理の仕方だというふうに私は考えて、本基準の分についてはね。

【眞柄委員】 濃縮の係数を評価するのは、食品安全委員会のTORには、私は入っていないと思います。食品安全委員会の役割は、あくまでもADIなり、TDIなりを決定することであって、この魚に何倍濃縮係数があるかというのは、その食品なり、あるいは今の場合には魚介類ですが、魚介類にどう濃縮するかどうかというのは、私は食品安全委員会の仕事から外れているという認識を持っていますので、いやそうでなく、そこも食品安全委員会だというんだったら、僕はそれで納得しますが。

【中杉委員】 そこら辺のところ、はっきりしておく必要があると。いや、ここで食品安全委員会の安全を評価しているときには、BCFを当然考えて入れているわけですね。

【上路委員】 食品安全委員会は、このBCFとPECの式から、こういう数字で計算しますということで、それをもとにして計算するだけです。求めた魚介類での最大残留推定値と当該農薬を使用する全ての農産物での残留量を推定し、最終的な推定摂取量を算定しています。

【中杉委員】 でも、それはやられているわけですよね。

【上路委員】 それだけです、食品安全委員会。だから、農作物プラス魚介類を加えて問題がないということを確認するだけです。

【中杉委員】 問題ないということを確認された。それは確認しておられるから、こちらとしては、あとの飲料水も加えてという話で整理をしているわけですね。いや、だからそこのBCFの話は、そこは考えて当然入っているんだろうというふうに。それを採用されているということ。

【上路委員】 やっていない。そこまではあくまでも、厚生省側の委員会ではないですかと思います。

【農薬環境管理室長】 このBCFの考え方を示したのは、厚労省の研究班です。今、眞柄先生おっしゃったように、そのメカニズムというんですか、えら呼吸なのか、消化器系統から入っているのかというのは、これはまだ全くの多分将来の課題だと思います。というのは、シジミへの濃縮について、どうなっているのか自体まだ実態がわかっていないというのが現状で、今、農水省の方で幾つかの試験をして、実際にシジミにどれぐらい濃縮するのかという、そこを今やっているというのが実態です。そのメカニズムはどうなっているのかは、多分どこの省がやるかというかはちょっと別として、これからまだまだ将来やっていくところだと思っています。
 それから、食品安全委員会と厚労省の仕分けですけれども、基本的に食品安全委員会はADIの決定というのが審議事項になっていまして、ADIを決定した後に厚労省にその数値を送る。厚労省は、それぞれ農薬を適用する作物の残留基準を割り振って、80%以内におさめる。その中に魚介類は今まで入っていなかったのを、魚介類も入れ込むというふうにして割り振りをした後、薬事審にかけ、食安委に報告をする。食安委はその報告を見て了承するというようなシステムで今やっていますので、食安委の方が、その作用メカニズム云々という話は多分ないだろうとは思います。

【中杉委員】 ちょっと私が誤解していたのかもしれませんけれども、ここの委員会で、そこの議論をするのかどうかという話が一つの問題だと思うんですね。ここの報告書に載せるかどうかと。そういう意味で、ちょっとこの委員会の報告書としての生物濃縮係数の話が、ここの登録の改定について報告の中に書き込むかどうかというところがポイントだろうと。しかし、私が食品安全委員会云々を言ったら、ちょっと誤解があったと思いますけれども。そこは、はっきりしておかないと、いわゆる環境省の方で、それをやるということが、オブリゲーションとして入ってくるのかどうか、そういう話になってくるんだろうと思います。

【農薬環境管理室長】 今すぐ我が省が、そのBCFの研究をしますとはなかなか言えないと思うんですが、ただ食べ物という観点でいけば、農林水産省、厚生労働省関係あるんですけれども、食べ物以外のBCFというのは、やはりこれはうちの省しかやるところはなかなかないんだろうと思うんですよね。農薬の例えば昔騒ぎになった野鳥に濃縮しているなんて話もありましたけれども、そういう観点からいけば、我が省も関係しないわけではないので、将来的課題ということに関しては、我々としても検討の方はさせていただきたいと思っております。そうは言っても我が省だけでやるのか、ちゃんと食品を所管している省がやるのか、そこは今後詰めていかなくてはいけない事項だとは思います。
 それと非意図的はけしからんのじゃないかというところですが、実はこの表現は、研究班の報告書の27ページの下からパラ三つ目の一番最後のラインに書いています非意図的に食品に残留する場合は適応できない。これ結構、研究班に私も出席しましたけれども、上路先生とか、その他先生も、この言い方は非常にいろんな議論になりましたが、やはりこういう言い方しかないだろうということで、実はいろいろな表現を厚労省はたぶん検討していたと思うんですが、意図的というのは野菜とか果物にかけて残留する、しない。非意図的というのは、かけてもいないものに残留するという意味で使っているというふうに考えていまして、意図的に残留するという、そういう言葉遣いとは、また別だと思っていますので、ご了解いただきたいと思います。

【細見委員】 PECの件ですけれども、白石委員がおっしゃったように、PECを算定する式を検討させていただいたときには、我々対象とする流域を想定して、それは主に流水というか、ランニングウォーターを基準として考えて、要は河川ですね。河川にどれだけ入ってくるのか。その代表的な流域とか、そういうのを設定して決めたわけです。しかし今回シジミで問題となりました神西湖だとか、琵琶湖だとか、あるいは東郷池というのは、どちらかというと止水域で、停滞している水については、リテンションタイムというか、滞留時間とかという問題を本当は考慮して、水質の予測値を求めないといけないんです。そうした計算手法は僕はまだ課題だと思います。河川における水質環境基準点の濃度予測については、いろんな典型的な流域を想定して十分検討させていただき、この今行われているPECで十分できているんじゃないかと思いますけれども、止水域に関しては、少し私はまだ課題が残っていると思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。

【中杉委員】 細見先生に確認をしなければいけませんが、この水産PECの場合は急性毒性を見るためにということで、水産PECを出していますよね。そういう意味でいくと、極端に最高濃度を出しているわけで、1年間の平均濃度ということになると、この水産PECよりはるかに低い値である。そういう意味では、かなりの安全率がそこで見られているというふうに解釈してよろしいですね。

【細見委員】 河川においては大丈夫です。止水域は、本当にどんなシナリオを想定するかによって異なってくるかもしれません。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 とりあえずいろんな意見が出ましたけれど、中杉先生からの最初のご発言で、つまり仕事の分担というか、役所の分担のことについては、一応確認をさせていただきたいんですが、まず食品安全委員会で、ADIを決めると。そこで決めたADIに対して、これを食品行政に反映するのは厚労省である。あるいは水道水につきましても、同じような意味で厚労省に反映されると。それから、環境の数値基準の決定について、そこにはBCFだとか、いろんなコンセプトがありますが、そこに反映される部分については、環境省の役割であるだろうと。そういう認識でよろしいでしょうか。全体的には。

【農薬環境管理室室長補佐】 はい。全体として、そのような形になります。

【森田委員長】 それから、白石先生、細見先生から出ました議論では、PECの計算のところで、PEC自体が、ある水域を想定しないと本当は計算できないという要素もあり、河川をモデルとして、ある程度の提案というのができ上がってきて、それに従ってやるのはいいけれども、特に閉鎖性水域のようなところについては、もうちょっと違う高い濃度というのが出現する可能性もあるということについては留意しておく必要があるというご意見だったと思います。
 それから、もう一つ、眞柄先生からいただいた、やはり濃縮係数の考え方のところにおきまして、今回シジミが問題になっていますけれども、シジミとか、ある種の貝というのは、体重当たりの通水量というか、水を飲み込んでろ過している量というのは非常に大きいということに配慮すると、魚のデータだけで本当に大丈夫かどうかということについては、まだ答えが十分用意されていないと。そういう意味では、何らかの形で実証的なデータの積み重ねが必要だろうというご意見がありまして、それはまた次の機会に反映をさせたいということでよろしいでしょうか。
 あと、言葉の若干の表現の問題がありまして、非意図的の話がありましたが、これはよろしいですか、とりあえず。ただ、これはあくまで厚労省の研究班の報告書であって、厚労省がこの立場であるとはおっしゃっていないので、そういう点で、どういうふうに扱うかというのはちょっと残ってはいるんですが。もし、特段のご異議がなければ、告示案という形で今後出ていくと思いますが、こういう形で出ていくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題に進みたいと思います。
 議題の2番目、水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針についての審議に入りたいと思います。
 まずは、事務局の方からご説明お願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料5-1を御覧いただければと思います。水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(案)としております。
 まず、背景についてご説明させていただきますけれども、先ほどの議題の中でも、少し話には出ておりましたけれども、水質汚濁に係る農薬登録保留基準につきましては、平成17年8月3日に改正いたしまして、平成18年8月3日より施行されているところでございます。これは、今の基準についてのことでございますが、(2)にありますように、これによりまして施行日以降に登録申請された農薬については改正後の基準が適用されることとなっております。主な改正内容といたしましては、水田使用農薬のみならず、非水田使用農薬も対象になっているということ。それから、BCF5,000を超える農薬については、魚介類の摂取による曝露を考慮して基準値を設定するということにしているということ。それから、曝露評価の指標といたしまして、従来の水田水中における150日間の平均濃度にかえまして、公共用水域の水中における予測濃度、水濁PECと呼ばせていただいておりますけれども、これを用いるということとしておりまして、水濁PECの値が基準値を超えないことということにしております。
 この水濁基準を適切に施行していくために、まず水濁PECの算定方法というものにつきまして、平成17年度に検討調査事業というのを実施しまして、算定方法を取りまとめております。一方で、基準値の設定の方につきましては、幾つか課題が残っておりまして、その中でも許容一日摂取量(ADI)が設定されていない非食用農作物のみに使用される農薬の安全性評価をどうするかというところが一番大きいところでございます。これらにつきまして、今回、方針案ということでお示しさせていただこうとしているところでございます。
 それでは、2ページ目をごらんいただければと思います。
 基準値設定の基本的考え方につきましては、公共用水域の水質汚濁による農薬の曝露が、これは人の飲料水経由の曝露ということを想定しているわけですけれども、ADIの10%を超えないこととなるようということでございます。つまり、そのADIを基礎として設定しているということで、このADIをどうするかというのが一番の課題となっております。
 まず、3.のところに書かせていただきましたけれども、現在、新規登録申請があった農薬、それから食品衛生法に基づくポジティブリスト制度により暫定基準が設定された農薬等につきましては、食品安全委員会において安全性評価、食品健康影響評価とも呼んでいますが、これが行われております。こういった農薬の水濁基準値設定に当たっては、食品安全委員会により設定されたADIを基本的には優先して用いることとしたいと考えております。しかしながら、食品安全委員会によるADIの審議というのも、なかなかたくさんの農薬がありますので、まだ終わっていないものもたくさんございますということで、これまでにも厚生労働省、あるいは環境省で設置した審議会等において、ADIを設定してきたということがありますので、そういったものにつきましては、こういった厚労省、環境省での審議会で設定したADIを用いて基準値を設定できることとしたいと考えております。もちろん、その基準値設定後に食品安全委員会によって、新たに食品健康影響評価が実施された場合については、必要に応じて基準値を見直すということにしたいと考えております。
 続きまして、4のところでございますけれども、食品安全委員会において安全性評価が行われない農薬に係る基準値設定でございます。
 (1)のところに書きましたけれども、花卉であるとか、樹木、芝等の非食用農作物のみに使用される農薬というものがございます。ここでは、非食用農作物専用農薬と呼ばせていただきますが、こういった農薬は食品安全委員会において、実は安全性評価が行われないということになるわけですけれども、こういった農薬についても、その水質汚濁の登録保留基準を設定しなければいけないものですから、環境省において、こういった農薬については、新たに安全性評価を実施し、暫定的なADIを設定するということとしたいと考えております。
 具体的なやり方といたしましては、環境省水・大気環境局長が設置する検討会を組織いたしまして、この場で各種の専門家にご議論いただきまして、暫定ADIの設定の議論をしていただくということを考えております。
 それから、(3)のところに書きましたけれども、非食用農作物専用農薬については、食品からの農薬曝露が基本的にはないということになります。通常は、その食品からの農薬曝露を80%以下におさめるようにということで、これは厚生労働省の方で残留農薬基準を設定しているわけですけれども、非食用農作物専用の農薬については、基本的にその部分がないということで、そうなりますと飲料水経由の農薬摂取の部分を通常ADIの10%にしているわけですけれども、もっと高くしてもいいのではないかという議論があり得ますが、しかしながら我々としては、こう考えておりまして、非食用農作物専用の農薬として登録申請があっても、実は後から食用農作物への適用拡大申請が行われているというケースも結構ございます。でございますので、やはりこういった非食用の農作物専用の農薬についても、食用農作物に用いられる農薬と同様に扱うということにしたいと思っておりまして、飲料水からの農薬曝露が暫定ADIの10%を超えないように基準値を設定してまいりたいと考えております。
 続きまして、その暫定ADIの設定の手続についてでございます。これが5番目のところに書いておりますけれども、非食用農作物専用農薬というものにつきましては、農薬の登録申請時に提出が要求される試験成績のうち、長期の試験、例えば慢性経口投与毒性試験であるとか、発がん性試験、それから繁殖毒性試験、こういったものの提出が現在求められておりません。ですので、こういうデータがないということがあり得ますので、そういった場合にどう暫定ADIを設定するかということをここにまとめております。
 まず初めに(1)のところに書きましたけれども、厚労省または環境省が設置した審議会等、それからFAO/WHOの合同残留農薬専門家会議、JMPRと呼ばれるものですけれども、これらの国際機関、それから外国政府、アメリカのEPA、あるいはヨーロッパの欧州委員会等でつくった評価文書等ございますので、こういったものの中から慢性経口投与毒性試験等に係る知見を収集しまして、これらが基準設定根拠として利用可能と判断される場合には、これに適切な安全係数を用いて、暫定ADIを設定することとしたいと考えております。
 (2)のところに書きましたけれども、こういった慢性毒性データがいろいろ知見を収集しても得られない場合につきましては、その場合は、その登録申請者等から提出された亜急性経口投与毒性試験等の利用可能な試験における無毒性量のうち、最小のものに対しまして、原則として安全係数1,000を用いることとする。フルセットでデータがあった場合は、通常種差の10と個体差10で100の安全係数で割るということでADIを設定しているわけですけれども、これに毒性試験の一部が不足していることに対する係数10というものを掛け算いたしまして、この安全係数1,000を用いることによって暫定ADIを設定することとしたいと考えております。この1,000という値を定めるにあたりまして、資料5-2のように、これまでに食品安全委員会で評価がなされた農薬の亜急性経口投与毒性試験等におけるNOAELの値とADIとの比較をしてみました。
 全部で資料5-2にありますとおり、35剤について既に食品安全委員会でADIの設定が行われておりますけれども、このADIの値と、それから非食用農作物専用の農薬ですと、ここの真ん中より少し右のあたりの①から④までの慢毒、発がん、併合試験、それから繁殖試験、こういったデータがないということになります。その右側に亜急性経口毒性の試験データと、それから亜急性経口以外にも亜急性の神経毒性とか、発生毒性試験とか、そういったものでのNOAELの方が亜急性経口より低いようなものにつきましては、そこの⑥のところに、そういった最小のNOAELというものを持ってきております。今、非食用農作物専用農薬につきましては、この⑥を基礎として安全係数を使って、その暫定ADIというのを設定したいというのが我々の案でございますけれども、この⑥と、それからADIの値との比をとってみたのが、一番右から二つ目のカラムのところでございますけれども、⑥との比というのがありますが、こうして見ますと最大でも606というのが、下から四つ目のところにありますけれども、このぐらいになっているということでございますので、やはり100では足りないと思うんですが、安全係数として1,000をとっておけば、まずまずこのデータからは安全サイドで暫定ADIが設定できるのではないかというふうに、事務局としては考えております。
 それでは、戻っていただきまして、今申し上げたとおりで(2)のところで亜急性経口投与毒性試験等のNOAEL最小のものに対して、安全係数1,000を用いるということで、暫定ADIを設定するということを提案させていただいております。
 それから(3)のところに書きましたけれども、ただし、登録申請者等がみずから慢性経口投与毒性試験等を持っている場合もあると思いますので、そういった試験成績が任意に提出された場合には、これがその農水省が定めるテストガイドラインに準拠しているか、これに準ずる信頼性があると判断される場合につきましては、(2)の規定にかかわらず、当該試験成績に適切な安全係数を用いて暫定ADIを設定できることとしたいと考えております。
 それから、6.のところに書きましたが、先ほど議題の一つ目のところで、魚介類への残留基準設定に対応した水濁基準の改正について提案しておりますけれども、この魚介類への残留基準設定に対応した水濁基準の改正後につきましては、その基準値の設定方法は変更になりますけれども、今の暫定ADIの設定等につきましては、ここで説明したところと、特に変えるという事情もございませんので、この方針に準じて実施してまいりたいというふうに考えております。
 事務局からは以上でございます。

【森田委員長】 ご説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問あるいはご意見ございませんでしょうか。

【花井委員】 確認ですが、暫定ADIを進める検討委員会とかが、例えばこの農薬小委員会の下に属するとか、そういう位置関係というのがどうなるのかというのが1点と、それから5番目の暫定ADIを決める手順ですけれども、これだとまず1番をやってみて、それから2番に進むと読めるのですが、そういうことではなくて、全部並列だよというふうに理解してよろしいんでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 まず、検討会の位置づけということになりますけれども、これは水・大気環境局長が委嘱する検討会という形になると思いますので、それは形式的には、この審議会の下に位置づけられるものではございませんが、個別の基準値をこの農薬小委員会で審議する前に、安全性評価、暫定ADIの設定に関する検討をそちらの検討会で行っていただいて、その結果をこの農薬小委員会に上げるということになろうかと思います。今、水産動植物の登録保留基準も検討会で一度検討した後に、この委員会に来ておりますけれども、それと同じような関係になるかと思います。
 それから、もう一つの方は、資料5-1の5のところに書いた(1)から(3)のところ、順番ではないですねという確認ですが、特に順番というふうなものではありませんので、申請があった時点で、ひょっとしたら、もう(3)のデータを最初からメーカーさんが出されるかもしれませんし、そういった状況を総合的に考えながら、我々やるということで、別に順番がついているというものではありません。

【森田委員長】 ありがとうございました。

【上路委員】 不勉強で申しわけないんですけれども、この非食用農作物専用農薬というのは、実際に日本で登録とれているのは何剤ぐらいあるんですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 農水省の方で1年ぐらい前に調べられたのをちょっと私も拝見したんですが、大体40から50剤ぐらいあったと記憶しています。

【農薬環境管理室長】 ちょっと補足ですけれども、先ほどの花井委員からのご指摘のあった、5の1、2、3は同列かという意味は、例えば1をパスして3だけでやっていいかと、そういうご質問ですか。

【花井委員】 順番どおりまず海外のデータを収集し、そういうのがないときには、初めて申請者のデータにいくのかということです。

【農薬環境管理室長】 そうです。基本はやはり1が優先です。1がだめであれば、2または3という形で、まず1が優先ということで考えております。

【花井委員】 そうすると、1で決められれば、メーカーには用はない、ちょっと言い方悪いんですけれども、特にメーカーに連絡はなくて、1を提案されるということでしょうか。

【農薬環境管理室長】 やり方次第は、まだこれからの検討事項だと思うんですけれども、基本はメーカーさんが申請してくるときに、こういうやり方でやりますよと言って、ちょっと楽をしたら悪いんですけれども、仮にメーカーさんが各国で申請したデータがあるのなら出してくださいと。それを見てやりますからという形になりますので、メーカーさんに対して何も言わないで、突然決めるということはないと思います。

【中杉委員】 6のところの安全性評価のこの方針に準じて実施するというのは、結構だと思うんですけれども、基準値の設定方法が変更されるというのは、このページの一番上にかかわってくるところだろうと思うんですが、具体的にどういうふうにされるのか。

【農薬環境管理室室長補佐】 それは、まさに先ほどの議題の1の中でご説明したような形に変えていくということになりますので、5,000を超える場合とか、そういう前提を外したという。

【中杉委員】 外したということですけれども、そのときに魚の基準がありますよね、それは。それと飲料水からの曝露がありますよね。これは両方計算すれば出てくるわけですね。飲料水の基準をつくったら、飲料水の曝露。それを合わせてどのくらいにするんですか。前の作物残留は合わせて全部で超えませんねという形でやっているんですけれども、ここのところは、それを合わせて10%の中におさめようとするのか、15%にしようとするのか、そこら辺が紛らわしくて、悩ましいところかなというふうに思うんですけれども。そこは、まだこれから検討ということですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 先ほどの議題の水濁の登録保留基準、これが改正する前の現状の水質汚濁の登録保留基準での話になりますと、高濃縮性じゃない農薬については、飲料水にADIの10%だけを配分しましょうという話になりますし、高濃縮性のものについては、その魚介類含めてADIの15%を配分しますよという話になります。
 それで、非食用専用剤でございますので、これが先ほどの議題の新しい水質汚濁の登録保留基準が施行された後については、水だけで10%以内という制限にかかることになります。

【中杉委員】 その水だけで10%といったときに、魚に入ってきたのは、どっちに入るんだろうと。極端な話、作物残留が未来永劫ないとすれば、水と魚でADIのフルでもいいわけですよね。ところが、先ほどお話があったように、食物用に転換する可能性があるとすると、そこら辺をどう扱うかというのは、結構ルールを決めておかなきゃいけない話になるのかなと思ったんで、ちょっと疑問を感じたものですからお尋ねしたような次第です。

【農薬環境管理室室長補佐】 今の話について言いますと、あくまでも飲料水経由はADIの10%以下に抑えたいということでございまして、それから今の非食用専用剤みたいなものでも、ひょっとすると魚介類への残留はあるかもしれないということはあると思います。その場合は、これは厚生労働省側のお話になると思いますけれども、やはりそれは彼らのルールに従えば、魚介類からの残留を考慮して、それが食品経由の80%以内におさまるような形で決めていくということになろうかと思います。

【中杉委員】 ちょっと細かいところで、そこの基準値設定の方法が変更されるがというのは、そのページの一番上の方でいったときに、(BCF云々15%)の部分がなくなるというふうな意味合いですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 そうです。15%というのはなくなる。

【亀若委員】 今の話と少し関連するんですが、この4の(3)のなお書きが、非常にわかりづらいんですけど、「後日食用農産物への適用拡大が行われる可能性も否定できない」とある。先ほどのご説明だと、結構あるというお話があった。要は、適用拡大のときに当然のことながら、それは適用拡大として審査をすればいいじゃないかという物の考え方があるんですよね。ところが、ここは今のお話も含めて考えると、あらかじめADIの10%を適用するんだということが何らかの形で言いたいんですね。その根拠はなかなか難しい。確かに今のお話からも、それこそ非意図的に散布したものが、魚介類を通じる場合もあり得る。そういうこともみんなひっくるめて、やはり食用としての適用と同じように10%で見たいというのが、どうも結論なんですけど、私の目で見ると、食用と非食用というのは、さっき40剤あるというお話がありましたけど、やはり違う。今までの検討の中でも種類が違えば、当然そこで新たな形で申請をしているわけですね。そういう面で見ると、こういう適用拡大が行われる可能性も否定できないから、それは食用として見るという理屈の問題なんですけどね。ここは論理的に考えたときに、そうじゃないんじゃないのという、ここの手前のところで引っかかってしまうんですよ。だから、そこのところの10%を適用するんだという理屈を、もうちょっと別の言い方ができないのかなという気がするんですが。

【農薬環境管理室長】 今のお話につきましては、確かに合理的に考えれば、ADIという枠の中で飲料水10%じゃなくてもいいじゃないかということになると思うんですけれども、先ほど申したとおり、一旦は非食用に申請しておきながら、後で食用を拡大するというものは、その時やり直せばいいじゃないかという議論もあるんですけれども、もう一つあるのは、例えば稲専用の農薬なんかは、実際そのADIの1%にも満たないものしか食ってないんだけど、飲料水では10%に現実にしていると。そういう話で、例えば非食用は10%じゃなくてもいいんだという話になると、じゃあ稲専用剤なんかは食用であっても、ほとんど占めていないんだから水はもっと大きくしてもいいじゃないかというような議論も実はありまして、何らかの線を引かないと収集がつかないというところは実はあります。
 ですから、我々としては、今までやってきた飲料水10%というところで、今後も非食用もやっていきたいというふうに考えていますけれども、先生おっしゃるような議論も確かにございまして、今後運用していく中で、これは10%じゃなくてもいいんじゃないのというような、何らかの農薬が出てきたりしたら、そのときに考えるべき事項かなと。とりあえず線は、ここで10というふうに引いてやっていきたいというのが我々の考えです。

【亀若委員】 私が言っているのは、その10%しかしようがないだろうという、そこまでは認めているんですよ。要は理屈の問題なんです。理屈の立て方として、こういうことが論理的には通りにくいんです。ということを申し上げているんで。

【眞柄委員】 食品安全委員会がADIで決められるのは、何も食品衛生法の関連だけじゃなくて、すべて口から入るもののADIは食品安全委員会がおやりになるという認識に立てば、最初の議題の食品衛生法に基づく魚介類の残留基準じゃなくて、水質汚濁に係る農薬登録保留基準の場合に関していえば、環境省から食品安全委員会に、非食用で公共用水域に流出する専用農薬があって、それが口を通じて人に曝露する可能性があるから、食品安全委員会でそういう農薬についても評価してくれというふうに、私は言えるんだろうと思います。言えるんだろうと思いますけれども、実際に食品安全委員会が、今お持ちになっていらっしゃるお仕事は大変な量でありまして、いつまで待っていても出てこないと。そういう意味で、暫定ADIをこの委員会で決めて、国民に対してある種のリスク管理に対する情報を提供するということは、私はその行政的に許されることだし、行政的にやる方がベターだと思います。ですから、そういう意味で、今事務局からご提案になった方法でされていることに、私は賛成をします。
 ただ、事務局にも以前ちょっとお話ししたんですが、従来の環境基準の健康影響にかかわるものの基準値等を決定するときに、不確定係数、いわゆる安全係数が3(?)桁を超えるものについては、暫定にしてきたんですね。今、たまたまこれは暫定という言葉になっていますから暫定でいいんですけれども、この暫定の登録保留基準値は実際には後からいろいろな審議が出てきますが、基準値という形になっている。これを行政的にどう運用されるのかというところは、その環境省の方で、いわゆる環境基準の健康項目の暫定という言葉と、こっちの方の暫定という言葉を地方自治体の方々が混乱しないように、整理だけはしておいていただきたいということです。

【森田委員長】 ありがとうございます。
 それでは、そろそろ議論のまとめに行きたいんですが、まず一つは、このような非食用農作物の専用農薬について、ここでは暫定ADIという言葉が少し課題があるかもしれないというご指摘が若干ありましたけれども、それは運用上の問題で解決しそうだということで、暫定ADIを設定するということが一つ。
 そして、そこの設定の仕方については、5の(1)(2)(3)に書かれている、このルールに沿ってやりましょうということ。
 それから、3番目にちょっと亀若委員の方からご指摘になった前ページの最後の流れのところで、10%割り当てるということについては、基本的にそれしか多分ないだろうということで、亀若委員も賛成はされている。ただし表現がこれでよいかどうかというご質問が来ているということで、着地点は同じなんですが、それは若干修正するかどうかというのはちょっと残ったというのが現状だろうと思うんですが、全体の流れはこういう方向でよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 では、最後の先ほど言った表現の仕方ですね。後日食用農作物への適用拡大を行われる可能性を示唆して10%というのはいかにもおかしいというような先生も。何も書かないで10%…。

【亀若委員】 そうなんです。むしろそれの方がよろしいという感じがするんですよ。

【森田委員長】 それでよろしいですか。

【亀若委員】 なお、非食用農作物専用農薬についても食用作物に用いられているのと同じようにすると。

【森田委員長】 では、「後日・・・・考慮し」という、この一行を除いても差し支えはないでしょうか。これちょっと事務局の方のご感想をいただく…。

【眞柄委員】 これを抜くと食安の仕事を毎年やっているんじゃないかと言われる可能性が。私の認識はそっちなんですが。

【森田委員長】 ちょっとこれは、最後の部分ですね。ご議論をいただきたいのですが。

【亀若委員】 そういう懸念ですか。10%を採るという理屈で…。

【眞柄委員】 いや、10%というのは、飲料水から入っているんだったら、食安でやる仕事じゃないのということなんですよ。だから、後日そういうこともあるからというふうにエクスキューズをしておけば、環境はおれたちの仕事を手助けしてくれているんだなぐらいで、済むんじゃないかと。それは変な役所の名残かもしれませんけれども。

【亀若委員】 ところが、今までの登録保留基準なり何なりの全体の流れから見ると、この理屈というのは何なのと。今まで、そういうことで適用拡大があったときには、ちゃんと真摯に検討してきたじゃないですか。ここで、そういう推定のもとに、こうやりますというのは、今までの路線から、暴走とは言いませんけど、相当出ちゃっている気がするんですね。だから理屈が、うまくこれにつながるものがあればいいです。

【眞柄委員】 今まで農水と厚労と環境で農薬に関して登録保留基準を横並びでやってきたわけですね。それと離れて食品安全委員会が、それぞれから独立したものとして機能を持ってしまった。食品安全委員会は口から入る農薬を含めて、化学物質に関しては自分たちでADIを決めるんだと。そこから後は自分たちでやりなさいよというのが、今の制度になってしまったわけです。ところが、その制度になってしまったんだけれども、とにかく諮問されている、あるいは諮問しようとしているものも、そんなにできないからという大変な極限状態に、食品安全委員会のお仕事をされていらっしゃる方がなっているというのが実態。
 今の非食用農作物の専用農薬について明らかに環境に出てきているものもあるし、それでそれが飲み水という形で口に入る可能性も、これも否定できない。とすると食安ですよというと、じゃあいつになったら出てくるかもわからない。とすれば、今、従来その水質汚濁に係る農薬登録保留基準ということで、実績を持ってきた環境省がとりあえず、要するにADIの値を決めましょうと。それが暫定ADIだと。それも従来のやり方でいえば10%でしたということで、こういうふうに書くのはいいだろうということで、ただし食安が後日決める可能性はあるんで、だからそれはやはり書いておいた方がいいんじゃないのかなというのが、私の認識だったんです。

【上路委員】 私も眞柄先生のお話、そのとおりだと思うんですけれども、食安の方は適用拡大という形で、どんどん農薬の適用拡大ということをやれば、それを加えた形でもう一遍審議し直すことをやっているんですね。そうすると、このところで、もし非食用の作物が出てきた場合に、ここにある暫定のADIと食安のADIの評価の仕方が変わることがあるかもしれない。そこのところが一つ、やはり何となくこれでいいのかという感じがしますね。

【眞柄委員】 そのときは、食安の決定に従わなきゃならない。そういうことだから、その適用の可能性も否定できないことを考慮しということで、とりあえずこういう内容に設定することとするというのが私の理解なんです。

【上路委員】 わかりました。そうすると、やはりここがあった方がいいということに。

【森田委員長】 一番最後の行は、こと等と、わざわざ「等」を入れてあるのが、なぞのような等なんですけれども、これも入っているということも含めてですね。

【亀若委員】 それと、これが先ほどの説明で否定できないという、たまにはあるという表現の文章と、結構あるという説明の違いにかかってくるんですが、今その登録する立場から見たときに、暫定的にというか、少し様子を見るために非食用でやって、そしてかなりこれは効果もあるというところから食用へと。もっとマーケティングを広げるという、そういうビヘイビアというのが結構あるんだということのようですが。それを私は理屈の世界で言っているんで、実態の世界は多分そういうことがあるんだろうと思うんですけどね。そのときに、また二度手間になるような表現でいかれると、農薬登録する立場からしても煩雑であるというような実態があるわけですから、余りこだわりはしませんけれど、ただ理屈の世界で申し上げれば、これを素直に読んだときに、非常に奇異に感じたということを申し上げたい。結論はもうそれは10%しかないんだから、それはしようがないだろうねと。だから、私は決してADIについてどうのこうのと言っているんじゃなくて、10%という採り方の理屈をこういう形で持つということ自体に、非常に奇異を感じたということを申し上げたいということです。だから、そこはくんでいただきたいと思うんですけどね。

【井上(達)委員】 別の問題ですけれども、この暫定という表現について眞柄委員もご指摘になりましたけれど、ここで大きな問題かどうかは、実際にやってみないとわからないんですけれども、暫定という言葉は早急にとれるような措置を講じるんだということを前提にお考えいただくことが必要なんじゃないかと思います。それは、毒性学的に申しますと、資料5-2をお作りいただいたわけではあるんですけど、この5.の(2)等でもって指摘されている手続ですね。この亜急性経口投与毒性試験等の利用可能な試験を使って進めていくというわけなんですけれど、もともとこれには無理があるのですね。その亜急性経口投与毒性試験から慢性投与の毒性をきちっと推定することがもともとできないから、慢性投与の試験があるわけで、だから早晩どこかでもって2年間の慢性投与であるとか、そういったもの、農薬の登録にはものすごく大変な労力がもともとかかっているわけで、そこをどこかのところで埋め合わせるからこそ、安全性が担保されるわけですから、その安全係数というと体裁はいいですけれど、これは別名不確実係数ですから、その不確実な係数をどんどん係数を重ねていって、1,000を超えちゃったら何のための係数なのか分からないわけですね。だから不確実そのものになっちゃうわけです。
 したがって、その暫定的にこういうことを行政的に進めるということに対して、どなたも文句はないし、私もよくわかるんですけれど、早晩にどこかで、こういう試験がないことによって解決するという、その暫定的に解決するということは、何らかの形で解消するための措置を講じることを決めておく必要があるんだというふうに、これは原理的な立場からですけれども、申し上げておきたいと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 何かございますか。今のに関しまして。

【農薬環境管理室長】 今のご意見、確かにおっしゃるとおりだと思います。先ほど亀若委員おっしゃったように、最初に非食用でやっておいて、後から食用にするようなビヘイビアというのがあって、その場合は当然食用に拡大するためには、幾つかの試験をつぎ足して食安委にかけてADIを決める。そこで暫定が自動的に落ちるというふうになるんですけれども、どうしてもちょっとできないのが、芝専用剤とか、花専用剤とかの農薬については、もう最初から食用に使うつもりがないと、世界的に見ても、そういうような農薬については、慢性毒性とかを要求していないという実態があって、それについてはどうしても、5の(2)でつくった暫定の数値の暫定がなかなかとれないという現実は、実態があるということを説明させていただきたいと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今日は先生方からいろんなご意見をいただきました。いろんな先生方の意見は議事録に載せていただくということで、とりあえず一旦原案のまま整理しておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、議題2はこれで終わりにいたしまして、5分ほど休憩をとりたいと思います。3時20分から再開したいと思います。よろしくお願いします。
(15:15 休憩)
(15:27 再開)

【森田委員長】 それでは、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての議題に入りたいと思います。この件につきましては、9月13日付で環境大臣から中央環境審議会に諮問がありまして、土壌農薬部会に付議されております。
 事務局の方から諮問書についてのご紹介をお願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 資料6を御覧ください。平成19年9月13日付の諮問第227号で、環境大臣から中央環境審議会会長に対して以下の諮問がなされております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について(諮問)
 標記について、環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、次のとおり諮問する。
 「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件」(以下「告示」という。)に基づき、別紙の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
 これの考え方、細かくて恐縮なんですけれども、この「告示第4号の環境大臣が定める基準」というのが、すなわち水質汚濁にかかる登録保留基準ということでございます。
 別紙につきましては、その裏を御覧ください。
 四つの農薬につきまして、本日審議をお願いするものでございます。
イミダクロプリド、メタアルデヒド、ピラクロニル、ペノキススラムの4剤でございます。
それから、次のページにいっていただきますと、こちらは付議書になります。同じく平成19年9月13日付で、中央環境審議会土壌農薬部会部会長に対して、先ほどの諮問事項の付議がされております。
こちらに関しては以上になります。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。それではこれを踏まえまして、審議を開始したいと思います。
 それでは資料の説明をお願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 それでは資料7を御覧ください。
 水質汚濁にかかる農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料ということで、先ほど申し上げました四つの農薬について、基準値の変更または新規の設定をお願いするものです。
 本日ちょっと水質汚濁の基準の改正のお話が続いておりますので、若干ややこしくなっておりますけれども、現行の水質汚濁の基準というのは平成18年8月3日に施行されまして、もう既に適用されているんですが、その平成18年8月3日より前に登録の申請がなされたものに関しては、それよりも以前の古い基準が引き続き適用されるという形になっております。既に施行から1年近くは経っているんですが、古い基準が適用されるものというのはまだ幾つか残っておりまして、本日ご審議いただく4剤につきましても、この古い基準が適用されます。すなわち公共用水域の予測濃度ではなくて、試験水田における150日間の平均濃度に対して基準値を設定するものとなっておりますので、ご了承ください。
 4剤ございますので、1剤ずつ区切って順番に説明をさせていただきます。
 まず1ページを御覧ください。
 イミダクロプリドでございますが、こちらに関しては既に水質汚濁の基準は設定されておりますが、今回、変更を提案するものです。
 変更する経緯につきまして、ちょっとどこにも明示的に記していなくて恐縮なんですが、要はこちらに関しては食品衛生法に基づいてポジティブリスト制度が導入されたことに伴いまして、暫定基準が設定されました。今回、その事後的な評価ということで食品安全委員会において評価がなされてADIが決定したんですが、従来、水質汚濁の基準の根拠として用いていたADIよりも小さくなりまして、現行の基準のままではADIの10%を超えてしまうという事情がございます。したがって、下方修正する必要が生じたというのが経緯でございます。
用途は殺虫剤でございまして、化学式、構造式は1ページにお示ししたとおりです。その下、各種物性等、データを示しておりますけれども、ちょっと時間がないので細かい説明は省かせていただきたいんですが、1剤目ですので、少しだけ説明をしたいと思います。各種物性に関してはそちらにお示ししたとおりです。それから土壌残留性として推定半減期を示しております。こちら、容器内と圃場試験につきまして、それぞれ水田、畑地での推定半減期を示しております。その下、土壌吸着性に関しては、土壌吸着係数を示しておりますが、これはFreundlichの吸着等温式から求めた吸着係数を有機炭素含有率で補正した値を示しております。それから水産動植物に対する毒性の値ということで、1ページから2ページに書いてありますが、魚類への急性毒性、甲殻類への急性遊泳阻害、それから藻類の生長阻害ということで、それぞれ原体、製剤につきまして、LC50またはEC50の値を示しております。若干補足ですが、この製剤のところに示しているLC50の値、EC50の値なんですが、これは有効成分ではなくて、製剤ベースでの濃度がここには示されております。ちょっと補足を書いていなかったので、分かりにくくて恐縮ですが、ここは製剤ベースでの濃度を書いております。
それから2ページにいっていただきまして、真ん中に登録製剤というのがございます。①から⑦まで、複数の製剤が登録されておりますが、ここにお示ししましたのはすべてではなくて、基準値の設定に関係のあるもの、すなわち水田で使用されるもののみを抜粋してお示ししております。その下、適用病害虫の範囲及び使用方法につきまして、それぞれ示しております。詳細については割愛させていただきます。それから3ページに行っていただきまして、2番の安全性評価のところですけれども、こちらが食品安全委員会で評価されたADIを示したものです。ADIが今回0.057mg/kg体重/日というふうに評価されております。この値はラットを用いました2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量5.7mg/kg体重/日を不確実係数100で除して設定されたものでございます。なお、参考までに申し上げますと、これまでの基準の根拠としていたADIが0.084ですので、幾分小さくなっているということでございます。それから3番、水質汚濁に係る登録保留基準値の設定ということで、まず(1)水質に関する基準等ということで、これ参考的な位置づけで示しているものですが、国内外のさまざまな水質に関する基準値もしくは指針値等を示しております。一番上の水質要監視項目といいますのは、これは要は環境基準には設定はされていませんが、引き続き知見を蓄積することが必要として設定されたものでございます。その下水質管理目標設定項目というものは、こちらは水道法に基づきまして、水道の水質基準ではないんですが、この環境基本法の要監視項目と似たような位置づけで設定されています。その下のゴルフ場暫定指導指針というのは、これは法的な基準ではなくて通知で示しているものですが、ゴルフ場からの排水中の農薬の濃度について指針値を定めたものです。その下の水質評価指針と申しますのは、これも指針値ですので強制力というのはないんですが、公共用水域中の農薬の濃度の水質基準値を定めたものでございます。こちらに関しては、0.2mg/Lというのが、これまで定められております。それから一番下のWHOのガイドラインですけれども、こちらも参考までに示しております。
それから、4ページにいっていただきまして、(2)基準値案。これが諮問事項になっているわけですけれども、水質汚濁に係る基準値案として、水田水中の150日間平均濃度として、1mg/Lを提案させていただいております。なお、現行の基準値は括弧で示しておりますが、2mg/Lでございます。この基準値の考え方ですけれども、その下のところに若干計算式を示しておりますが、先ほどの食品安全委員会が定めたADIに、日本人の平均体重53.3kgをかけたものが3.0381mgとなっているものでございます。このADIのうち10%以下となるように水質経由の方へ配分するということで0.1をかけまして、さらに国民平均当たり1日2L水を摂取するという仮定を置きまして、2で割っております。さらに希釈倍率10をかけておりますのは、要は水田水中の農薬が排水されて公共用水域へ流れていくときに、10倍に希釈されるだろうという仮定の上で、かける10を設定しております。そのように計算しますと、1.5191mg/Lとなるのですが、これを10%を超えないようにするためには、切り捨てを行うという形にして、1mg/Lとしております。なお、右側に規制対象成分としてイミダクロプリド本体というふうに書いております。これはすなわち親化合物は当然規制対象に含めるとして、代謝物または分解物を入れるかどうかということを検討した上で、今回は親化合物のみという形にさせていただいておりますが、基本的な考え方を申し上げますと、農薬の登録申請をするときに水中での運命試験、それから土壌中での運命試験というものが義務づけられておりまして、そこで10%以上生じた代謝物または分解物に関しては、これは水質汚濁性試験を実施するということになっております。実際このイミダクロプリドに関しては、親化合物のほかに二つの代謝物または分解物について測定をしたんですが、ほとんどどちらも検出限界以下であったということで、規制対象成分に含む必要はないだろうという判断をしております。それから、(3)試験水田における消長試験結果ということで、要は基準値に対応する水田中の濃度が幾らであるかというものをお示ししたものでございます。①水質汚濁性試験成績としてお示ししておりますが、まず剤型に関しては、1.0%粒剤を用いております。これは複数の製剤がある場合にはもっとも水田中の濃度が高くなると予測されるものを原則的に用いるということになっております。それから試験条件は土壌分類土性に関しては2種類の土壌を用いてやっております。これもテストガイドラインで最低2種類以上を用いることとされております。使用量は10a当たり3kgで使用回数は1回で行って、右側に試験結果として0日から7日目までのイミダクロプリドの測定値を示しております。その下の②水田水中150日間平均濃度の試算というところですが、これは①の試験結果に基づきまして、150日間の平均濃度を計算によって求めるということでございます。剤型と試験条件は先ほどと同じなんですが、算定条件として、使用回数と止水期間というものがございます。これは、まず使用回数なんですが、先ほどの2ページの下半分のところ、適用病害虫の範囲及び使用方法というところで、登録を受けている使用方法を記載しているんですが、右から二つ目のところに使用回数というものがございます。これはイミダクロプリドを含む農薬の総使用回数について制限をかけているもので、3回以内となっておりますので、最大で3回ということで、先ほどの4ページへ戻っていただきますと、使用回数として3回を設定しております。それから止水期間に関しては、これは止水期間を設けない使用方法でございますので、0日として計算をしております。そのように計算しますと、試験期間平均濃度としてそれぞれの土壌での値が0.0662と0.0782となっております。これを150日間の平均値となるように計算をしますと、0.0106と0.0125となっておりまして、先ほどの基準値案1mg/Lと比較していただくと、およそ100分の1程度になっているので特段問題ないという感じでございます。
それから5ページにいっていただきまして、4番、理論最大摂取量と対ADI比というところで、要は基準値を先ほどのように決めた場合にADIの範囲内に収まっているかという確認までに示しているものですが、上の方の食品経由というところが空欄になっております。こちらに関しては、本日時点でまだ厚生労働省の方が基準値案というものを示しておりませんので、空欄になっております。その下の水質経由に関しては、先ほどの基準値に基づきまして、1日2L摂取するという仮定で計算すると、0.2mg摂取するということになっておりますので、一番下のところに対ADI、うち水質経由として6.5%という形で10%以内に収まるという形になっております。
資料7に関しては以上なんですが、もう一つ資料8を御覧いただきたいと思います。こちらは分析法案ということでお示ししているんですが、この水質汚濁の登録保留基準を告示するときには、あわせて水田中での分析方法も示すという形になっておりまして、こちらに関しては本日の委員会の前に別途検討会を開催しておりまして、本委員会からも安藤先生と上路先生にもご参画いただいているんですが、既に分析法案についてはご検討いただいております。ですので、今回は個別の中身については省略させていただきますので、参考までのご報告という形でご理解いただければと思っております。イミダクロプリドに関しては、説明は以上になります。

【森田委員長】 それでは、全体説明していただくより、1剤1剤落ち着いてやっていかなきゃいけないので、とりあえずそのイミダクロプリドからスタートしたいと思います。
 今のご説明に対しまして、ご質問、ご意見ございますでしょうか。

【根岸委員】 よろしいですか。土壌残留性のところで、圃場試験と容器内試験の値がものすごく違っているところがあるんですが、これは普通こんなことがあるものなんでしょうか。水田の沖積、埴壌土というところで、どうやら、ここだけ一日という非常に少ない数字、非常に分解しているということなんでしょうけれども。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 ばらつきが大きい理由というのはちょっと分からないですけれども、事実関係としては、推定半減期がかなりばらつくというのは、実際申請されたデータを見ておりますと、それは事実としてございます。

【根岸委員】 試験回数が1回だけとかそういうことではなく、何回かやった中でこういう数字が出ているということなんでしょうか。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 ちょっと試験回数に関しては、テストガイドライン上で何回以上というのは今すぐ確認はできないんですが・・。
 すみません、それぞれの土壌におきまして1回、試験を行っているということでございます。

【森田委員長】 ほかにご質問、ご意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、根岸先生からのご質問に関して、多分データは十分に答えておりませんけれども、一応その基準値案等につきましては、原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。
 それでは、早速ですが、その次に入ります。メタアルデヒドですね。ご説明お願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 資料7の6ページをごらんください。メタアルデヒドでございます。こちらに関しては、今回、水質汚濁の基準を新規に設定いただくものでございます。こちらのメタアルデヒドに関しましては、既に非食用農作物に対しては国内で登録がございますが、今回、稲に対して適用拡大の申請が出されておりまして、それに伴いまして、水質汚濁の基準値を新たに設定するものでございます。用途は殺虫剤でございまして、化学名、構造式はお示したとおりです。構造式は、特徴的な構造式ですけれども、アセトアルデヒドが四つ環状に集合したような形になっております。
 各種物性に関しては、お示ししたとおりです。土壌残留性につきましても、お示ししたとおりですので、ご確認いただければと思います。
 土壌吸着性のところが、Koc=31.2となっておりまして、補足をちょっと書かせていただいておりますけれども、こちらの土壌吸着性試験におきまして、テストガイドラインどおりですと、これはOECDのガイドラインに準じているんですが、通常、土壌相と水相との比をまず1対5で開始するんですが、その1対5でやったときに、ほとんど土壌の方へ移行しなかったと。水相におけるメタアルデヒド残存率が90%以上となってしまって、非常に土壌吸着性が弱かったということで、それ以上、土壌吸着係数を算出する試験を実施できなかったということで、追加試験として土壌相と水相の比を2対3に変更したものを実施し、その値をここにお示ししております。
 それから、水産動植物に対する毒性を示したとおりですが、その製剤のところのLC50またはEC50の値なんですが、ちょっと資料が統一されていなくて恐縮なんですが、この値は製剤ベースではなくて有効成分ベースになっております。ちょっと注釈を個別につけていなかったので恐縮なんですが、後で注釈をつけたいと思っております。
 それから、申請製剤に関しては、7ページでございますけれども、申請製剤は2種類、10%の粒剤と5%の粒剤でございます。
 適用病害虫の範囲及び使用方法は、お示ししたとおりで、使用回数は2回以内となっております。
 それから、2番目、安全性評価ですけれども、食品安全委員会における評価が行われまして、ADIは0.022mg/kg体重/日と評価されております。なお、この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2.2mg/kg体重/日を不確実係数100で除して設定されたものでございます。
 3番、水質汚濁に係る登録保留基準値の設定の(1)水質に関する基準等に関しては、いずれも設定されておりません。
 8ページに行っていただきまして、基準値案でございますが、基準値案として0.5mg/L、計算式に関しては、先ほどのイミダクロプリドのところでご説明したのと同じ原理でございます。規制対象成分として、メタアルデヒド本体のみをお示ししております。この規制対象に関して、若干補足させていただきたいんですが、実は加水分解試験の中で、アセトアルデヒドに分解しているというデータがございます。
 これに関しては、参考資料5を御覧いただきたいのですが、参考資料5、食品安全委員会の評価書というものがありますが、こちらの12ページを御覧ください。12ページの真ん中から下のところに、4番、水中運命試験とございまして、(1)加水分解試験①というのがございます。ここに記載されておりますように、メタアルデヒドをpH4、pH7、pH9の3種類の緩衝液で、それぞれ25℃及び40℃で加水分解試験を行った結果、pH7とpH9では、ほとんど分解は見られなかったのですが、pH4の25℃及び40℃で分解が認められ、半減期はそれぞれ15日及び37時間というデータが出ております。なお、その分解してできたものの同定試験もされておりますが、ほぼ全量がアセトアルデヒドとして検出されております。
 それから(2)加水分解試験②ということで、これは追加的な試験なんですが、先ほどpH4、7、9の3種類でやっていたんですが、テストガイドライン上はこの3段階で結構なんですが、追加試験としてpH5を用いた試験が②として実施されております。こちらの試験結果を見ていただくと、pH5、pH7、pH9の各緩衝液中、いずれにおいてもメタアルデヒドは安定であり、30日間の試験期間中に顕著な分解は認められなかったということで、pH4では分解が見られても、pH5では分解しないという結果が出ております。
 ここで、先ほどイミダクロプリドのところでご説明申し上げましたように、加水分解試験等の水中運命試験で10%を超えたものは、原則、水質汚濁性試験を実施するということなんですが、このアセトアルデヒドに関しましては、ご承知のように自然界にも天然に存在しておりまして、果実とか野菜などの食品にも普通に含まれている。大体それらの天然由来の摂取量と比較しても、今回の水質汚濁性試験の結果から、pH4のときのような分解が生じるという仮定である程度大ざっぱな計算をしましても、その天然由来の量よりも十分低くて、安全性上は特に問題ないということで、規制対象には含めておりません。
 それから(3)番、試験水田における消長試験結果ですけれども、こちらは10%粒剤を用いまして、2種類の土壌で実施をしております。
 その下、②が水田水中150日間平均濃度を試算したものでございます。算定条件のところを御覧いただくと、使用回数は先ほど申し上げた最大2回、止水期間なんですが、こちらに関しては散布後5日間は排水を行わない、すなわち止水をしなさいということになっておりますので、止水期間は5日間として計算をしております。 その結果、一番右の150日間平均値が0.0308と0.0198となっておりまして、先ほどの基準値0.5と比較しても10分の1以下で特に問題もないというふうに考えております。
1点注釈がついております。有効成分量のところなんですが、アスタリスクで注釈をつけておりまして、本剤の最大使用量は4kg/10a、有効成分量に換算すると400g/10aなんですが、この水質汚濁性試験の結果を御覧いただけば分かりますように、使用量は6kg、有効成分換算量では600gというふうになっておりまして、登録の申請されている使用方法と異なっているという形になっております。こういう実際に申請された内容と試験の内容が異なっていることが時々あるんですが、今回に関しましては、登録申請されたものが400gで、試験を行っているのが600gということで、過大に見積っているということが予想されますので、安全性上の観点からは問題ないと。少なくとも基準値案を下回っていることは確認できますので、そのままの値を示しております。
 それから、9ページに行っていただきまして、4番、理論最大摂取量と対ADI比でございますが、食品の方の基準値に関しては、現時点でまだ基準値案が示されておりません。水質経由に関しましては、先ほどの0.5という基準値案を用いますと、飲料水経由で0.1mg。対ADI比では、水質経由が8.5%となっております。分析法に関しましては、先ほどと同じく資料8の方に示しておりますが、説明は省略させていただきます。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今ご説明いただきましたメタアルデヒドにつきまして、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。

【中杉委員】 今回のこれは、水質汚濁の取り組みの観点からすると全く問題ないだろうと思いますけれども、提示されている生態毒性試験の結果を見ると、かなりEC50、藻類の生長阻害のEC50が低い値なので、それに安全係数をかけて、急性、慢性、どっちがいいのか分かりませんけれども、例えば急性として、種間の安全係数を10倍と見て、0.2ぐらいですね。150日平均の水質濃度が0.5という話になると、ちょっとそれを超えてしまって、なぜかなと。これは、今回はそれを評価する目的ではないわけですけれども、少しそういう意味では生態毒性の観点で、新しい方法でやったらどうなのかなと、ちょっと懸念が。それから、150日間というのはかなり慢性的な影響というふうに見ようとすると、もう10倍入れるということで、実測の水田濃度、先ほどの600というのは、400に割っても0.02ぐらい、ちょうど同じぐらい。同じになってもちょっと気になるだろうという、そういう意味では生態毒性の面で、実質的にはどうなるか知りませんけれども、ちょっと若干気になるなということだけ申し上げておきます。

【森田委員長】 何か事務局からございますか。

【農薬環境管理室室長補佐】 生態影響の方につきましては、ご承知のとおり水産動植物の登録保留基準というのを設定することになっておりますので、これは恐らくかなり古い申請なので、今の水産動植物の基準を直ちにつくるということにはなっていないんですが、将来的には未登録のものも含めて全部、水産動植物の基準をつくるということにしておりますので、そのうちこれも検討対象にはなるというふうに思います。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、どうでしょうか、先生方。こういう基準案でよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ほかの先生もないようでございますので、これもこれでよしとしておきます。
 引き続きまして、ピラクロニルです。ご説明お願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 資料7の10ページを御覧ください。ピラクロニルでございます。こちらに関しては、水質汚濁の基準を今般新規に設定いただくものでございます。こちらに関しては、現在、国内では登録されておりませんが、新たな申請がなされております。移植水稲に対しての申請でございます。
 用途は除草剤でございまして、化学名、構造式は、お示ししたとおりでございます。
 各種物性、土壌残留性、土壌吸着性に関しても口頭での説明を省略させていただきます。
 水産動植物に対する毒性のところで、その製剤の方のLC50またはEC50の値なんですが、こちら製剤ベースの値となっております。口頭での確認になって大変申し訳ございませんが、製剤ベースでございます。
 それから、11ページに行っていただきまして、申請製剤として3種類の申請がなされております。
 適用病害虫の範囲及び使用方法に関しては、お示ししたとおりで、移植水稲に対して適用が申請されております。また使用回数は最大2回までになっております。
 それから、2番、安全性評価でございますが、食品安全委員会の評価結果では、ADIが0.0044mg/kg体重/日となっております。こちらに関しては、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量、0.44mg/kg体重/日を不確実係数100で除して設定されております。
 12ページへ行っていただきまして、3番、水質汚濁に係る登録保留基準値の設定、(1)水質に関する基準等に関しては、いずれも設定されておりません。
 (2)番、基準値案でございますが、0.1mg/Lを、先ほどのADIに基づき設定させていただきました。規制対象成分ですけれども、本剤につきましては、ピラクロニル本体に加えまして、代謝分解物の一つである脱メチルアセチレン体を規制対象として加えさせていただきました。構造に関しましては、その下のところに構造式及び化学名をお示ししております。
 こちらの脱メチルアセチレン体を規制対象とする理由なんですけれども、水質汚濁性試験で脱メチルアセチレン体も含め、全部で4種類の代謝分解物に関して測定がなされております。ただ、4種類の代謝分解物のうち残りの三つに関しては、いずれも検出限界以下ばかりであったということで、実質的に規制対象成分に加える必要はないだろうということで、脱メチルアセチレン体一つのみを規制対象としております。
 (3)番、試験水田における消長試験結果、①水質汚濁性試験成績とございますが、こちら2.0%粒剤を用いまして実施されております。試験結果のところに、今回は代謝分解物も規制対象にするということで、ピラクロニルと脱メチルアセチレン体のそれぞれの測定結果をお示ししております。なお、脱メチルアセチレン体のこの測定濃度の値なんですが、こちらに関しては分子量の比1.14を使いまして、ピラクロニルに換算した値をここにお示ししております。
 13ページに移っていただきまして、②水田水中150日間平均濃度でございますが、算定条件としては、使用回数は2回、止水期間、こちらに関しては3日間が設定されております。この条件で計算をしますと、試験期間平均濃度、150日間平均値は、それぞれ記載したとおりになっているんですが、それぞれ三つの値が示されております。一番上のアスタリスクが一つのものがピラクロニル本体の値になります。その下のアスタリスク二つついているのが、これが脱メチルアセチレン体の値ですが、こちらに関してもピラクロニルに換算した値を示しております。3番目のアスタリスクが三つついたものが、これが上記の二つを足した、合計した値を示しております。ですので、基準値と比較するものは、この3番目の二つを足した値と比較をしていただければ結構ですが、先ほどの基準値0.1と比較しましても2桁ほど小さくなっておりまして、特に問題はないかと考えております。
 それから、4番、理論最大摂取量と対ADI比でございますが、まず食品経由の値ですが、こちらに関しては、本年7月18日に薬事・食品衛生審議会の農薬・動物用医薬品部会が開催されまして、そこで基準値の案が示され、部会では了承されております。ただ、まだ告示にまでは至っておりませんので、ここでは案としてお示ししております。
 こちらの食品の基準値に関しては、参考資料8を御覧ください。参考資料8として、薬事・食品衛生審議会における資料をお示ししておりますが、ピラクロニル(案)として、こちらの資料、ページ番号がついていなくて恐縮なんですが、3枚目の裏側を御覧いただければと思います。3枚目の裏側のところに、10番、基準値案というのがあるかと思います。ここで、食品の方の基準値案として、まず、(1)残留の規制対象としてピラクロニル、すなわち親化合物のみを規制対象としているということで、代謝分解物は含まれておりません。その理由に関しては、その下のところに書かれておりますが、「作物残留試験において、ピラクロニルの代謝物であるM-1及びPM-5について分析が行われているが、いずれの作物残留試験においても検出限界未満であることから、規制対象として含めないこととした。」。ここでM-1と書かれているのが、先ほど水質汚濁の方で申し上げた脱メチルアセチレン体のことでございます。要するに、水質汚濁の試験の方では、このM-1は一定量検出されているけれども、作物残留の方では検出限界以下であると。ですので、食品の方の基準というのは作物経由でございますので、検出されなかった代謝物に関しては規制対象には含めないというふうに整理されております。
 その下、(2)番、基準値案が別紙2のとおりとなっておりますが、別紙2は後ろから2枚目の表側になります。後ろから2枚目の表側に別紙2として示されておりまして、こちらに関しては、水稲のみにしか適用が申請されておりませんので、米の基準値しかございませんが、基準値案が0.05ppmとなっております。
 また、資料7の13ページの方に戻っていただきまして、13ページの方を御覧いただきますと、食品の方の基準値案が先ほどの0.05ppmでございまして、これに対して国民の平均的な摂取量、米の摂取量185.1g/日を掛けると、その左側、0.0093mgというのが出てきます。その下の水質経由のものが、先ほどの基準値に従いますと、0.02mgということで、両方を合計しますと、対ADIで12.5%、うち水質経由に限りますと8.5%となっております。こちらに関しても分析法については省略いたしますので、説明は以上になります。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今ご説明いたしましたピラクロニルにつきまして、ご質問、ご意見ございますでしょうか。

【眞柄委員】 食品の規格案が0.05と大変低いんですが、これはどういう理由で、このような低い値にされたんでしょうか。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 食品の方の基準に関しては、厚生労働省の方の審議会で決めていただいたものですので、ちょっとこのピラクロニル個別のものに関しては、どういう決め方をしたかというのは、この公表された資料に載っているもの以上に関してはちょっとご説明はできないですが、一般論としましては、作物残留試験を2回行いまして、その残留量が上回らないような値を、一定の幅をとって基準値を決める。もしくは、例えばCODEXなどの国際基準が定められている場合は、そちらが優先的に適用されるという場合もあるようでございます。

【眞柄委員】 分かりました。

【中杉委員】 先ほどのメタアルデヒドについて一言言ったものですから、これも言わなきゃいけない。同じように、この物質も、その次の資材も、生態影響を評価するという観点でちょっと気になることがあります。そういう意味では、これは今は対象ではないので、環境省が、このあたり見直した方法があるので、それで仮に計算をしてみるというようなことをやってみてはどうでしょうか。どうもこの数字を見て大丈夫なのかどうかということを確認しておく、今これでどうするこうするという、それでそれからどうするこうするという話ではないですが。

【農薬環境管理室室長補佐】 やろうと思えばできないことはないのかとは思いますが、この審議会での正式な審議事項というわけにはいかないと思いますし。

【中杉委員】 ここでご報告いただくという話ではなくて、下手するとほとんどの農薬でバタバタと、そういうようなことが起こらないのかという、逆に心配をしているものですから。
 正式に始めたときに、非常に私がさっき計算したのは、これでぱっぱっと見たもので、非常に粗いやり方ですから、それが杞憂に終わるのかどうかということを一回確認をしておいた方がよろしいのかなという意味で。

【農薬環境管理室室長補佐】 後から引っかかる可能性もあるのでということですね。
 ここで、今、毒性のデータも書いておりますけれども、これも本当は検討会できっちり、今、水産基準値検討会でもやっていただいているので、そういう意味で、そこまでやるのかとなると、またちょっとそういうわけにもいかないと思います。簡単にどうなのかということは、もちろんできないことはないとは思いますが、あとはどこまで、この段階でやるのか。気になるというご指摘は検討させていただきますけれども、どういうふうにやるかということはちょっとまた考えたいと思います。

【森田委員長】 ほか、いかかでしょうか。
 全体としてはあれですが、多分、眞柄先生のご指摘の、食品より大きな基準値案の数値なんだけど、本当に大丈夫でしょうねということが、多分、直感的にあったんだと思うんですが、事務局でこの作業をやられまして、こんなもんかなということでよろしいんでしょうか。確認ですけれども。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 この水質汚濁の基準に関しては、あくまでもADIの10%を超えないという基本的な考え方に基づいて設定しておりますので、そこが担保されている限りは、食品との整合性というのは、特に事務局としては気にして設定しているわけではないので。それは事務局としては、特に問題はないと考えております。

【森田委員長】 そうですか。気になっているのは、多分、食品のADIに対する割合がこんなに低くなっていて、何か意味があるんじゃないかという、そういうご質問でもあったような気がするんですよね。だから、そこのところはいいですかね。

【山本委員】 ADIに対する割合は、作物残留がほとんどないので、そこのところが上限になっているから、非常に低い値になっている。

【森田委員長】 残留がないから低い値に。

【山本委員】 おそらく作残試験でですね。そういうことじゃないでしょうか。

【森田委員長】 そういうことになっていると。

【亀若委員】 吸収されて玄米の段階では特に残留はないために、こうなっちゃっているんですかね。

【森田委員長】 それはそういう決め方でしょう。

【山本委員】 そうですね。作残試験のデータも参考に、それを超えないようにというような形の決め方だから。参考資料8の3枚目ぐらいに残留データが載っていますけど。

【森田委員長】 それは、確認されれば問題ないだろうと思います。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 ADIに関しましては、作物の方も基本的に同じADIを基にしておりまして、それがその作物の方で何か安全性に問題あるとか、そういうことでは全くないと。

【森田委員長】 作物側に安全性が問題になるということはない。よろしいでしょうか。
 それでは、原案どおりの基準値でよろしいでしょうか。
(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。
 それでは、次の剤にいきたいと思います。ペノキススラム。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 最後、ペノキススラムでございます。資料7の14ページを御覧ください。こちらに関しても、今回新たに水質汚濁基準値を設定いただくものでございます。こちらに関しては、現在国内での登録はなく、今回、水稲に対して新たに新規の申請が出されております。用途は除草剤でございまして、化学名、構造式はお示ししたとおりでございます。
 各種物性、土壌残留性、土壌吸着性に関しては、説明を省略させていただきます。
 水産動植物に対する毒性のところの製剤の値でございますが、こちらは有効成分ベースでございますので、よろしくお願いいたします。
 申請製剤に関しては3.6%フロアブルとなっております。
 15ページに行っていただきまして、適用病害虫の範囲及び使用方法でございますが、移植水稲に対して用いられておりまして、使用回数は最大2回となっております。
 2番の安全性評価でございますが、食品安全委員会の評価結果では、0.05mg/kg体重/日とADIが設定されております。こちらの値は、ラットを用いた1年間慢性神経毒性試験における無毒性量5.0mg/kg体重/日及び2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量5.1mg/kg体重/日を不確実係数100で除して設定されております。
 3番、水質汚濁に係る登録保留基準値の設定、(1)水質に関する基準等に関しては、いずれも設定されておりません。
 (2)の基準値案でございますが、ADIに基づきまして、1mg/Lを提案させていただいております。規制対象成分としては、ペノキススラム本体のみでございます。こちらに関しましても、水質汚濁性試験の中で、代謝分解物として全部で6種類測定されておりますが、いずれも検出限界以下でしたので、規制対象としてはおりません。
 16ページに行っていただきまして、(3)番、試験水田における消長試験結果、①水質汚濁性試験成績ということで、0.35%の粒剤というのを用いて実施されております。お気付きかと思いますけれども、先ほど14ページのところでご説明した申請製剤は3.6%フロアブルで、今回、水質汚濁性試験を実施しているのが0.35%の粒剤ということで、剤型とあと有効成分量でも異なるものとなっております。
 これに関して、②のところで水田水中150日間平均濃度を計算しておりますが、こちらのアスタリスクで注釈をつけさせていただきました。水質汚濁性試験では、有効成分量が10a当たり4.2gとして試験が実施されておりますが、登録が申請されている使用方法においては、有効成分では3.6gでございます。こちらも登録が申請されている内容を上回っておりまして、その分、過大に見積っていると考えられますが、安全性上問題ないということで、このままの値を用いております。
 なお、算定条件として使用回数は2回、止水期間は2日間が設定されておりますので、その条件で計算をしております。150日間平均値として0.00120mg/Lと0.00126mg/Lという値が出ておりまして、先ほどの基準値、1mg/Lと比較しても十分小さいということで、問題ないと。
 17ページに行っていただきまして、4番ですけれども、まず食品経由の方の摂取量ですが、こちらに関しても米の基準値が示されております。こちらに関しては、参考資料9を御覧ください。参考資料9、こちらもページ番号がついていなくて恐縮ですが、2枚目の裏側をごらんください。2枚目の裏側のところに、9番、基準値案というのがございます。(1)残留の規制対象として、ペノキススラム本体のみとなっております。
 (2)の基準値案として別紙2となっておりますが、別紙2は4枚目の裏側になります。4枚目の裏側のところに別紙2というのがございまして、こちらも申請対象が稲、水稲のみですので、米の基準値案0.05ppmとして設定されております。
 先ほどの資料7の17ページに戻っていただきまして、この食品規格0.05ppmに国民平均の米の摂取量185.1g/日を掛けますと0.0093mgとなります。水質経由の方は、先ほどの基準値に従いますと0.2mgですので、両方合計しますと、対ADIとして7.9%、うち水質経由に関しましては7.5%となっております。
 以上になります。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今のご説明に対しまして、ご質問いかがでしょうか。

【眞柄委員】 井上先生にお伺いしたいんですが、これの今のADIの根拠のところで、神経毒性が出ていますが、神経毒性に関しては、この参考資料7では評価されていらっしゃらないんですが、これぐらいのあれですと神経毒性は、もう評価の対象にしないというふうにして考えてよろしいでしょうか。

【井上(達)委員】 確か下限があったと思うんですけど、ちょっと後ほどお答えいたします。

【森田委員長】 他にいかがですか。

【井上(達)委員】 ご指摘のとおり、これは神経毒性が2,000mg/kgで認められておりまして、ラットの14日間の観察で認められているわけですけれども、その下の容量、1,000及び500もありませんので、神経毒性は下限濃度を十分注意して評価をする建前になっておりますけれども、この場合には大丈夫じゃないかと思います。ご指摘ありがとうございました。

【森田委員長】 ほかに先生方。特段、ご意見ございませんか。

(なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおり基準値で。
 ありがとうございました。それでは、この4件につきまして、原案どおりとお認めいただいたものといたします。
 さて、それでは、その次ですね。今後の予定につきまして、ご説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係】 その前に1点、資料9に関しまして、ちょっと説明をさせていただきます。
 資料9をご用意ください。資料9として「農薬登録失効に伴う登録保留基準の削除について」という資料をお示ししております。これは、水質汚濁に係る登録保留基準を新たに設定もしくは改正する場合に、その機会をとらえて、既に失効した農薬に関しては基準値を残しておいても意味がございませんものですから、削除するということを従来やってまいりました。前回、水質汚濁のご審議をいただきましたのが平成18年4月ごろだったと思いますが、それ以降、新たに失効したものが、そこに表としてお示ししている全部で10農薬になります。こちらに関しましては、既に失効しておりますので、水質汚濁に係る登録保留基準につきましても削除をさせていただきたいと思います。こちらに関しては報告事項でございます。
 参考として、その資料9の下半分に示しておりますが、農薬登録失効に伴う登録保留基準の削除を含めまして、今般の改正によりまして、水質汚濁の登録保留基準の設定数は以下のとおりとなります。
 まず、現行の基準が全部で133農薬でございます。なお、この133の中には、環境基本法に基づいて水質環境基準が設定されているチオベンカルブが1剤含まれておりまして、これも含めて133農薬となっております。今般、本日のご審議の結果を踏まえまして基準値を改定するのは1農薬でございます。それから、新規に設定するものが3農薬、削除するのが10農薬、以上を含めますと、改正後の水質汚濁登録保留基準の設定農薬は126となる予定でございます。
 こちらに関しては、報告まででございます。
 あと、それから今後の予定につきまして、ご説明をいたします。
 本日、ご審議をいただきまして、四つの農薬につきまして基準値案をご了承いただきました。こちらに関しましては、行政手続法の規定に基づきまして、パブリックコメントを1カ月程度実施いたします。その結果、もし何らかの意見が寄せられました場合には、委員長に再度、農薬小委員会で審議を行う必要があるかということをご相談させていただいた上で、ご判断をお願いしたいと思います。再審議の必要が特にないという場合には、土壌農薬部会、松本部会長の同意を得まして、部会報告という形で、中央環境審議会の方へ上げたいと思います。さらに、その中央環境審議会長の同意がいただければ、中央環境審議会から環境大臣に対して答申という手続をとらせていただきます。また、答申後、告示として基準値を公布する予定でございます。
 今後の予定は以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。

【眞柄委員】 お願いですが、登録保留基準の削除された農薬について、下の方の五つに関していえば、19年の農薬年度から使われなくなっているはずだと思うんですが、ところが登録保留基準は、今、今日の段階で削除されているので、地方自治体等では、この失効した農薬について環境測定しているだろうと思うんですね。ですので、要するに登録保留基準で実際に農薬が失効しているんだけど、環境サイドでは今年度では少なくとも測っているだろうということで、測っておられれば、その情報を次の機会にでも提供していただけると、我々はその登録失効したら、もう環境には出なくなっているということを確認したいので、そういう情報をできれば次の機会に提供していただきたいというのがお願いです。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 これは、環境省よろしいでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 必ずしも地方公共団体が、これを測っているかどうかというところがまずよく分からない。意外と実は農薬ってものすごくたくさんありますので、それほど何でもかんでも測っているというものではないということがありますので、そういうものが出てくるかどうか。環境省自らも予算を持っていてやっている調査もありますので、そういうものであれば報告はできるかもしれませんが、地方公共団体ということになりますと…。

【眞柄委員】 いや、どこでもいいですから。僕も全部測っているとは思わないんだけど、ピリダフェンチオンなんか、わりと頻繁に出ていたような印象を持っているので、例えばこの辺のところは、「もう今年からなくなっているよ」というふうな情報が出ると、制度はうまく動いているというので安心できますのでお願いします。

【森田委員長】 とりあえず手に入る資料があればということでよろしいでしょうか。
 それでは、引き続きまして、最後の議題の方に移りたいと思います。
 その他の議題です。事務局の方からご説明お願いします。

【農薬環境管理室長】 諮問事項ではございませんけれども、報告説明事項が幾つかございますので、これから説明させていただきます。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、報告説明事項ということで、まず参考資料1をごらんください。
 本年の当室関連の平成20年度概算要求重点事項ということで、二つ挙げております。まず1ページ目ですけれども、これは来年度、新規要求ということでございまして、農薬による陸域生態リスク評価手法確立調査というものを要求しております。内容でございますが、ちょっと裏を御覧ください。
 まず、背景・目的でございますが、21世紀環境立国戦略、これにおきまして、「農薬については、水域のみならず陸域の生態系へのリスク評価・管理も含めた対策を推進する」と記述しております。一方で、現在、農薬の生態系へのリスクにつきましては、水産動植物の登録保留基準により水域生態系への影響は評価していますが、しかしまだ今のところ陸域生態系へのリスク評価・管理というのは、まだ導入できておりません。そしてOECDにおいては、農薬リスク評価の国際共同実施という動きがございます。我が国としても、これには参画し、国際貢献を果たす必要がございますが、陸域生態系へのリスク評価については何も持っておりませんので、この部分について国際貢献ができないというのがございます。それから、四つ目ですけれども、農薬による陸域生態系へのリスクということで、実際に鳥類・ミツバチ等の死亡事例と、その中で農薬が原因として疑われるケースがあるということでございます。この四つの点から農薬の陸域生態系へのリスク評価・管理の導入が必要ではないかと考えてございます。
 そこで、調査内容でございますけれども、大きく分けて三つございます。
 まず、一つ目は毒性試験ガイドラインの作成と検証ということで、まず陸域生物の毒性試験ガイドライン、どのような陸域生物の毒性試験を調べるかということがございますが、これについてはガイドラインを作成、それから検証試験、これを行う必要があるだろうと考えています。最後は種差による感受性差の評価、この辺も検討されるということです。
 それから、二つ目としまして、詳細な曝露評価モデルの作成があります。これにつきましては、陸域生物の行動パターン、えさの種類等の調査、いろいろございますので、それからえさに含まれる農薬量、このあたりで曝露評価モデルの作成を考えております。
 それから、三つ目といたしまして、リスク評価・管理手法の検討ということでございまして、リスク評価基準のあり方の検討、それからリスクに応じた農薬の管理手法のあり方の検討など、この辺をまた新たに行っていくこととしています。
 これらを行った効果でございますが、農薬の陸域生態系へのリスク評価・管理の制度化ということに通じまして、まず、農薬の陸域生態系へのリスク低減による生物多様性の維持・保全ということがある。国際連携による農薬のリスク評価の効果的・効率的な実施というのも可能だろうというふうに考えております。これは一つ目の本年度の新規要求ということでございます。
 次のページの農薬飛散リスク評価手法等確立調査ということでございます。
 この事業でございますが、平成17年度から開始しておりまして、来年度4年目ということになります。21年度まで、合計5年間の事業でございます。平成17年度に地方自治体に対して農薬の使用について実態把握を行い、その結果を用いて、昨年度、公園等におけるモニタリングを実施いたしました。そうしましたところ、実は予想していたよりもはるかに様々なパラメータ、地形、例えば障害物、例えば植栽、その規模や配置、これらによってかなり農薬の飛散量、それから気中濃度、こういうものが影響されるということが示唆されました。これを把握する必要があるだろうということでございますが、現在の試験規模ではなかなか難しいということがあります。それから、米国での農薬リスクの管理ですけれども、ここでは食物経由の曝露に加えて、例えば家庭の芝生等からの曝露、こういうものも曝露評価の中で考慮するということでございます。そこにありますけれども、米国で、その評価に基づく既存剤の再評価を終えたということでございまして、従来の食品や飲料水経由の曝露以外の評価を積極的に取り入れているとあります。また、欧州についても、その農薬の再評価が進められておりまして、その中で食物経由以外、例えば作業者、第三者等への曝露評価も含まれております。こういう作業については、数年以内に終了する見込みということでございます。
 このようなことでございますので、総合的な曝露評価が国際的に導入されてきている状況にあると考えています。そして、それに基づくリスク管理措置が講じられつつあるということでございまして、我が国も従来の食品、それから飲料水経由の曝露評価手法に加えて、我が国の農薬使用状況における農薬の飛散リスクを評価・管理するための手法を確立する必要があるということで、モニタリング調査の拡充、それから要因別の影響調査等をベースとした基礎調査の実施を行うこととしています。
 それから、次のページの(3)ですけれども、それらの結果をもとにした公園等管理者向けマニュアルの作成ということを進めていきたいと思います。これらの拡充ということで、昨年、平成18年度の倍近い、3,500万円を要求させていただいております。
 大変ざっぱくですけれども、以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 今までのところで、何かご質問、ご意見ございますか。

【中杉委員】 陸域生物の話なんですけれども、これの曝露評価で、経口、えさを食べることによる毒性のほかに接触毒性がよく言われて、OECDのガイドラインでも接触毒性のガイドラインがあるもので、これでも非常に大変だと思うんですけれども、考慮された方がいいのかなというふうに思います。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。その後は。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、次の報告事項に移ってよろしいでしょうか。
 続きましては、参考資料2をごらんください。先ほど拡充の説明をいたしました、農薬飛散リスク評価手法等確立調査において、平成17年度に地方自治体における農薬使用の実態把握を行ったということを申し上げました。実はその結果、一部の自治体で必ずしも適切な農薬の使用をしていないという結果が出てまいりました。これをもとに、今年の1月31日付で、農林水産省と環境省の2省で、「住宅地等における農薬使用について」という通知を出したところでございます。しかしながら、通知を出しましてもなかなか一般の方には読みづらいということもございまして、この参考資料にありますとおり、このようにすぐわかるリーフレットを作成して、周知徹底を図ろうということで、リーフレットを作成いたしました。そこで、今回リーフレットを作成した旨ご報告ということでございます。
 内容につきましては、その住宅地等の通知を踏襲しておりまして、まず飛散による被害の発生を防ぐため、どういうところに注意していただいたらいいかという話。それからページをめくりまして、農薬使用の回数と量を減らそうということで、どういうことをすればよいか。それから農薬を使用する場合に守るべきこととして、どのようなことをやめて、どのような配慮をしよう、ラベル等をちゃんと見よう、事前の周知徹底を図ろうというふうに説明しております。
 そして最後のページに行きまして、散布区域には人が入らないよう対策を講じようとか、それから農薬の使用履歴ではこういうものを記録し保管しよう、そしてむやみな農薬の現地混用は行わないということ。そして最後は問い合わせ先ということで記述をしております。
 簡単ですけれども、以上です。

【森田委員長】 引き続きまして、埋設農薬調査の説明をお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、参考資料3をごらんください。
 埋設農薬の処理に関しましては、平成18年度まで事業をやっておりまして、どのように、いわゆるPOPsと言われる難分解性農薬、これをちゃんと分解できるかという検証を行っておりました。あわせて、どのように埋設農薬を掘削すれば、環境上飛散せずに、適切な処理ができるかということがございまして、マニュアル等を作ってまいりました。
実は、このマニュアルは、平成17年3月30日に、これの前のバージョンであります埋設農薬調査・掘削等暫定マニュアルというのを作っておりますが、これに新たな知見を加えまして、どのような場合、どのように処理をしたらいいかというようなことの練り直したもので、今回パブリックコメントを行い、広くコメントを求めようというものでございます。
 内容につきましては、次のページに目次がついておりますけれども、このように、まずどのように埋設農薬の確認調査をすればいいか。どのように決定し、範囲を確定したらいいか。それから、具体的には掘削作業の準備、行動、掘削に当たってどうする、それから周辺環境に対して影響がないように掘削した汚染土壌などの処理の考え方、それから掘削後に早期に処理しない場合どのようにすればいいのかという考え方などを、整理して記述をしております。
 一番最後のページになりますが、図・表もありまして、添付資料としまして、どのような農薬製剤にPOPsが入っていたのかとか、物性はどうだったとか。それから埋設地点の調査法、これは30年以上も経過しておりますので、具体的な場所を調査するための方法などですが、こういった参考になるような資料をつけております。
 最後になりますが、このマニュアル作成につきましては、中杉先生以下、検討委員会の委員の先生方にご協力をいただいておりますことを述べさせていただきます。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 今2件、農薬飛散リーフレットと、それから埋設農薬調査・掘削等マニュアルについてご説明いただきましたが、何か委員の先生方からご意見、ご質問ございますでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 では、どうもありがとうございました。本日の審議は一応、一通り終了いたしました。
 本日の資料の取り扱いについての説明を再確認も含めてしておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運用方針では、検討中の答申、非公開を前提に収集されたデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ慎重な審議に著しい支障を及ぼす恐れのある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすことになる場合などは、委員長の判断により非公開とするとされております。本日配付した資料は、いずれもこれに該当しないことから公開といたします。
 それでは、最後に本日の審議全体につきまして、何か特別なご意見ございませんでしょうか。

(なし)

【森田委員長】 特段ないようでしたら、これで終わりにしたいと思います。
 今度は室長の方にお渡しいたします。

【農薬環境管理室長】 以上をもちまして、土壌農薬部会農薬小委員会第6回を終了します。
 委員の皆様、長時間のご審議、大変ありがとうございました。