中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第6回)議事録

日時

平成14年1月24日(木)13:00~15:00

場所

全共連ビル中会議室

出席委員

委員長
委員
 
 
臨時委員
 村岡 浩爾
 桝井 成夫
 浅野 直人
 小早川光郎
 大塚 直
 河内 哲
 嶌田 道夫
臨時委員
 
 
 
専門委員
 鈴木 英夫
 高橋 滋
 福島 徹二
 中杉 修身
 細見 正明
 柴田 健吉
 菅野 利徳

欠席委員

委員
臨時委員
 藤井 絢子
 櫻井 治彦
 中野 璋代
臨時委員
専門委員
 岸井 隆幸
 大山 智

委員以外の出席者

環境省 環境管理局長、水環境部長、水環境部企画課長、土壌環境課長、農薬環境管理室長、地下水・地盤環境室長、事務局
オブザーバー 国土交通省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省、総務省、その他
その他 一般傍聴者

議題

(1) 「今後の土壌環境保全対策の在り方について(報告案)」について
(2) 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会「今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案」等に関する国民の皆様からの意見募集結果について(案)
(3) その他

配布資料

資料6-1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
資料6-2 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第5回)議事要旨
資料6-3 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会「今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案」等に関する国民の皆様からの意見募集結果について(案)
資料6-4 今後の土壌環境保全対策の在り方について(報告案)

議事

【事務局】 ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会の第6回を開催する。
 本日は、藤井委員、櫻井委員、中野委員、岸井委員及び大山委員から、欠席の御連絡をいただいており、委員総数19名中14名の出席を予定しているが、既に定足数を満たしている。
 まず、配布資料の確認をさせていただく。
 (配布資料の確認がなされた)
 それでは、小委員長に議事進行の方をお願いする。

【小委員長】 それでは、議事次第に従い議事を進める。
 (1)「今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案」等に関する国民の皆様からの意見募集結果について(案)、(2)今後の土壌環境保全対策の在り方について(報告案)、について審議する。
 それでは、事務局から資料に沿って説明をお願いする。

【事務局】 (資料6-3,6-4に基づいて説明)

【小委員長】 ただいま御説明があったように、パブリックコメントの結果については、今の御説明のように報告案に反映させていただいていると考えて、これから、この報告案について皆様方から御意見をいただきたい。

【菅野専門委員】 前回の案と対比してかなりの点でクリアになっている部分、あるいは改善されている部分があると思う。その点は評価したいが、まだ幾つか不十分な点が残っているので、その点を是非考慮していただきたい。それは、この制度の遡及に関連しての問題である。健康被害のために必要な措置ということなので、考え方に書いてあるように、遡及も当然視野に入れて制度設計をすることは重要なポイントであると思う。一方では遡及の次元がずっと遠い過去の事業活動によるものまで遡る仕組みになっているので、事業者によっては、場合によると一世代ではなくて二世代以前にも遡るケースもないとは言えないわけである。そういう面から言うと、遡及の例として参考資料で水質汚濁防止法の12条の3の規定、あるいはダイオキシン対策、農地土壌汚染法などのところが引き合いに出されているが、例えば水質汚濁防止法のケースで言うと、平成8年以前のものについては附則第3条でその当時から事業継続している場合ということで歯止めがかかっているわけで、過去に、一定の行政措置がとられている、とられていないというところはもう一つの区切りになる重要な視点ではないかと思う。そういう意味で、科学的知見がはっきりしていないため行政的対応が何らとられなかった時期の汚染については、ある場合には健康の被害を防止するという見地から対策を必要とするのは当然であるとしても、支援措置のところで濃淡をつけて施策として構築をする必要があるのではないか。そういう意味では、遡及という考え方と、この報告書の中に盛り込まれている支援措置とをバランスをとって整理をする必要がある。遡及については、6ページの上の方にあるが、支援措置については、今回の案文でも融資と基金という仕組みが具体的に記載されているが、基金については参考資料の表の17ページのところ、それに一番最後の27ページのところに記載がある。今、考えておられるのは汚染原因者が存在しない場合、あるいは汚染原因者が不明な場合等であって、しかも土地所有者にも資力がない場合を前提に極めて限定的に書いてある。具体的に参考資料の17ページの表で言うと、備考の欄の表現自体が若干表現の整合性がとれていないところがある。「汚染原因者が存在する場合」の欄の備考では、「資力によっては実施が困難」又は「資力によっては求償が困難」となっているのに対し、「汚染原因者が存在しない場合」又は「汚染原因者が不明な場合」についてのみ、「土地所有者等に資力がない場合には基金により支援」と書いてあるわけであるが、例えば土地所有者と汚染原因者が同一の場合でも、資力に乏しいとか、資力がないことはあり得るわけで、その場合に、ではどうするのかという仕組みが何ら整理されないまま基金が使えるのはここだけですよと、一番最後の二つの欄のところだけに限定しており、それ以外の穴の部分をどう埋めるのか、溝が空いたままになっている。したがって、この表の表現は資力が乏しい場合などの形で統一した方が良いのではないか。本文の表現では7ページに「費用負担能力の低い土地所有者等に対し財政的な支援・・・」と書いてあるので、これに合わせて備考欄を修正すれば良いのではないか。そこのところをもう少し考えていただきたい。

【小委員長】 ただいまの菅野委員の意見の中の遡及について整理してみたいと思う。先程事務局から御説明いただいた中で、今回、案として整理された中でどうそれを反映しているか。その辺を重複するかもしれないが、御説明いただきたい。

【事務局】 先程、報告書の説明をさせていただいた中で、資料としては、例えば参考資料の14ページの過去の汚染行為の取り扱い、ここで、過去の汚染行為についてどういう考え方で整理をし、どうして求められるのかというところで説明させていただいた。今回の制度が、現にその土地が人の健康に対して危険な状態を生じさせており、その危険性を将来に向けて防止するためにリスク低減措置を求めるものであること、汚染行為の時点において行為が違法か否かによって制度の適用が左右されるものではないと整理している。またこの際の、いわゆるリスク低減措置そのものと、その結果として公益とのバランスが重要であることは、先程も御説明したように、今回は必要な限度で必ずしも過重な負担を伴わないような措置を求めることで、また、本体にも入っているように、いろいろな選択肢を設けていること、それから先程費用負担の範囲でもあったように、必ずしも浄化を求めているものではないと、ここで整理をしている。2の最後にあるように、かかる低減措置を土地所有者あるいは汚染原因者に対して求めたとしても、この公益と義務との間のバランス、いわゆる比例原則に照らしても十分妥当なものであると前回整理いただいている。さらに、中小企業者に対する配慮の中にも同じような文言を本文にも入れさせていただいていて、7ページの最後の2行ぐらいで、調査、措置の実施に当たっては国民の健康の保護という公益の実現を図る上で必要な限度で過重な負担とならないようにすることが必要であると、先程の説明資料の部分を簡潔にここで整理をさせていただいている。

【小委員長】 今の御説明で、菅野委員の意見に対する反映された文章としてこの報告書に載っているように思うが、この点について何か。

【鈴木臨時委員】 一つは、説明資料の位置づけがあると思うが、私ども小委員会として説明資料のすべてを認めたことになるのかどうか。つまり、説明資料はある程度、将来の検討の方向を示すガイドラインであって、まだ詰めるべきことはたくさんあると思う。過去の知見がなかった時代、法律がなかった時代の汚染問題をどうするかについても、今の事務局の御説明の過去だからといって放っておいてはいけないのではないかということまではわかる。それからある程度、土地所有者に費用の負担を求めることもやむを得ないと思う。しかし、それに対して支援をするのかどうかはまた別の問題としてあるような気がする。それから、例の最後の基金の表についても、今、菅野委員も言われたが、下の二つだけ基金により支援と書いてあって、これをもし認めると、これ以外は支援はしないとも読み取れる。それから、例えば汚染原因者の資力によっては実施が困難な場合がある、あるいは求償が困難な場合があると上の二つは書いてある。それではそういう場合にどうするのかは書かれていない。つまり、これから制度の細部についていろいろ検討していくべき問題があるのではないか。今申し上げたようなこと、あるいは菅野委員が言われたようなことも含めて、十分検討していただきたい。したがって、説明資料に書いてある範囲だけでこの小委員会を終わるのは、いささか問題があるのではないか。

【小委員長】 報告書の本体と今言われた説明資料は先程事務局からも説明があったように、一体的に考えていただくことについては間違いないと思う。ただ、鈴木委員が今言われたように、説明資料の中に書いてあることがすべてだということではないわけで、その点をこれからどう扱うかについて、本体の文面で幾つか反映されているところがある。例えば、8ページの7番の今後の課題で、(3)の[2]に制度の円滑な運用を図るためには、今後支援措置についてより充実する方向で検討すべきであると、こういうふうに今後やらなければいけない課題があるということを、この時点でのまとめとして明記されているのではないかと思うが、いかがか。

【浅野委員】 私も鈴木委員の御発言に賛成である。つまり、一体をなしているという解釈も問題だが、あくまでも審議会の答申や小委員会の報告は、報告の本体で勝負をするもので、付属資料としてついているものはあくまでも本体についての理解を助けるためのものである。もしそれが全部拘束力のあるものだというのであれば、本来文章にしなければいけないことになる。付属資料の18ページは、現在、検討されているものの説明であるが、これは政府が財政的などの観点から現段階ではこういうことを検討しているということを報告いただくのは一向に構わないわけで、将来もこれ以上やるかやらないかは、政策の問題である。我々がお願いしているのは、あくまでも本文に今後、支援措置についてはより充実と書いてあるわけだから、現在検討されていることは大いに結構である。しかし、できるならより充実する方向で考えていただきたいという思いを込めて述べているから、菅野委員がこの席で発言されたことを我々も了承して、それがこのよりという言葉に現わされているという理解をすることは、小委員会としても問題はないのではないか。
 それから、8ページの表がたびたび問題になっているが、これもあくまでも頭の整理のために、こういう表を作っていた方がわかりやすいから整理をしたという性格のものだと思う。備考欄に何も書いていない部分には、何も問題がないわけではなくて、備考欄に書いていない場合でも将来制度を運用していったときにはまた問題が起こるかもしれないから、考えなければいけないことが起こればそのときに当然考えなければいけない。所有者等が自ら原因者である場合についてこういう整理をしておいて、さらに他に原因者がある場合の整理の表を作っているわけで、その限りにおいてはこの表に表現されたものしかないわけである。どういう政策の場合であろうとも誰かに責任があることを決めたが、現実には責任を負わされる者が全く無資力で、何も動かない場合にどうなるかという問題は、必ず起こる。問題が出てくればそのときにまたその対応を考えなければいけないことはあり得る。ここでは、考え方として所有者がまず調査する義務を負うものとしている点が、これまでの在来型の環境政策での考え方を一歩変えている部分だ。地下水汚染の場合はあくまでも原因者が浄化することにこだわっていたわけであるが、今回は事の性質上、土地には明らかに所有者がいて、占有者がいる。その土地が現に危険なものであるならば、危険なものについてはやはり危険なものを管理している者、所有している者が応分の責任を負わなければいけないという考え方を示したものである。そういう分野にそういう新しいスキームが出てきたことがまずは大事で、その大事な点をはっきり押さえて、こういうところにも目をつけて新たな政策に一歩踏み出してみることには意義があろう。
 さらに、その場合に、極めて重要な点と考えている点は、弾力的な対応をと言った点である。この点が理解されることがまずは大事なことであり、あまりその先のことまで深読みをして、完璧な制度を作っていこうとすればするほど、完璧な対応をという、一方で必ず出てくるであろう要求に応えなければいけなくなってくる。そこは社会、経済のある種のバランスの中で、さらに環境リスク管理ということの性質上、ゼロリスクが望ましいが、そうはならない現実の問題との調和点をどこで見出すかという長い間の課題があったのだが、これについて今やっと環境政策の中で一歩制度的に踏み出したといえる。そこのところを誤解のないようにしっかり関係者の方々、特に一般の住民の方々に御理解いただくようにしていくことが先決問題である。封じ込めで当面、何とかしのげる場合には、そこで止めておくこともあるかもしれない。それができなくなるようなスキームを作ってしまうことは、せっかくこういう制度を作って弾力的にやろうとしていることをひっくり返してしまう危険性もある。やってみてどうにもならない事態が起こったら、そのときにまたこの支援措置の「より」という部分がもう一回クローズアップされるという時期が来ると思うが、当面はこの形でスタートしていくことが大事である。
 したがって、とりまとめ報告案の本体の6ページのリスクコミュニケーションに努める必要があるという、この表現が非常に重要な表現だと思う。ここのところはパブリックコメントで出されている意見に対する答えにもなっているわけだが、決してここにいうリスクコミュニケーションを単なる啓発・普及という捉え方をしないようにしていかないといけない。皆さんが、この状況でこの程度のリスクならば、これは当面、こういうやり方をして、しっかりリスク管理地として管理をしていけば、とりあえず我慢できますという合意をしていただく方向にもっていく、これがここで言うリスクコミュニケーションの本体、ここはぜひとも強調しておきたい。狭い場所だから、この程度で良いが、広い場所の方はこれだけだというような議論ではない。狭くても本当に汚染の程度が危ない場合は徹底的にやらなければいけない。その場合、そういうことを頭の中で考えてみて、本当に必要なことがあるならば、そこは場合によってはとりあえず公的セクターが立替をしてでも解決をしておかなければ重大な将来の危険が予測されるという場合であれば、そこは例外的に浄化しなければいけないし、そうでもないものについてまで、やたらとお金を突っ込むようなことは何とか回避する第一歩を踏み出していきたいということなのだ。我々がずっと議論してきたのは、鈴木委員が一番最初に言われたことであり、私も言ったが、その点だと思う。ここはひとつその点を強調する方向で今後の施策を展開していただきたい。重ねて言うが、このリスクコミュニケーションという言葉は、単なる啓発とか情報を流すことだけではないのだと、そこまで考えて事務局がこの言葉を入れられたと思うが、そうであるならば、大変これは結構な修正が加えられたと思う。

【小早川委員】 先程来、参考資料の中の記述が問題になっていて、これは従来から議論を積み重ねてきたものがいろいろある。報告書本体と切り離せない、ここを見なければ報告書本体も十分理解できないというところもあれば、報告書本体は良いが、参考資料の書き方がこれではいかがなものかということで議論になっているところもある。例えば、8ページの考え方の表の備考欄について意見を申し上げたこともある。いろいろなものが入っているが、そこで質問であるが、先程鈴木委員が言われたことで、形式的に非常に重要な点だと思うが、先程の事務局の説明では、参考資料というのは報告の一部であると私は伺ったが、そうであれば、実質的にはいろいろな内容が入っているので、とにかくその内容に応じてきちんと位置づけしましょうということになるかと思うが、そういう理解で良いのか。それともこの参考資料は小委員会の議論の参考資料にとどまり、このホチキスは本来外すべきものだということなのか、そこを確認したい。
 ホチキスだけではなく、もし一体ということであれば報告書の目次のところにもこの参考資料の存在が明記をされてしかるべきではないか。

【小委員長】 事務局、お願いする。

【事務局】 今、小早川委員から言われたものは前者であり、本文を理解する上で必要なものという位置づけなので、目次に参考資料を入れる形で、そこは修正をさせていただきたい。

【柴田専門委員】 我々の業界の中で話が出ていたのは、汚染原因者のことと、それから「過去の云々」という話で、汚染原因者の中には直接汚した人もいるが、従来からお話しているように、私どもの業界についていうならば、溶剤を売った人も同じ話ではないか、また行政も使って良いと言った。それらは民法上の問題になるのか。その中に責任の範囲が含まれるのか。求償の問題が出てくると思うので、その辺の定義みたいなものをどう考えているのかということが一点。
 この間からお話しているが、個人の場合の相続の問題をこの中で全然議論しないままにしてしまうと、後からその問題についてどうなるかということになるのでその辺のことをこの中に入れていただきたい。

【小委員長】 それについても、汚染原因者に対する説明資料の中で関連する文章はあったように思うが、それで読み取れないか。14ページの7番の過去の汚染行為の取り扱いのところ。この記述だけでは、今、柴田委員が言われたことは抜けているか。先程来、言っているように、これは説明資料だと、今、定義がされたように思うが、小委員会のまとめとしては本体があって、説明資料というのはそれをまさしく説明する資料であるということで、両方を合わせて考える。

【中杉臨時委員】 私は法律の専門家でないので、今の柴田委員の御意見に対して的確に答えるだけの能力を持たないが、個人的な感じをお話ししたい。確かに私も柴田委員が言われるとおり、クリーニング屋さんや中小事業のメッキ屋さんなど、これは危ないものだと、こう扱いなさいといって売られたわけではないことは十分承知していて、それを売った人がどうなんだというのは前から気になっていたところである。ただ、今、地下水汚染の浄化措置命令をかけられる人ということ等考えていった場合に、一般には売った人までは汚染原因者の中には入っていないのではないかと私は解釈しているが、法律の先生方、どう考えられるか。多分、それは関連者として基金を出す云々の話のときには、まず出していただかなければならない主体の一つではないかと認識しているが、これは法律の先生の方がもっと正確にお答えいただけるのかもしれない。

【浅野委員】 この報告書に関する限りでは、今、中杉委員が直感的に言われたが、別のところで言われているものとの整合性がある。もう一つは、土地所有者の申し出によって原因者が判明する場合には、原因者にリスク低減措置を実施させるとか、それから原因者が誰であるかについて、公的な部門が介入するようなことを含めた議論をしている限りにおいては、これは事実行為者としての原因行為者を意味していることは報告書の文面上、明らかだろうと思う。
 今、言われる場合について、少し法的な議論を詰めていくと、かなり難しい問題が出てくるだろうと思う。例えば食品製造業者に対する副資材の販売者がどこまで責任を負うのかという問題は、最高裁では和解になってしまって結論が出なかったが、まさに民事の判例そのものの問題になるわけで、これもその状況による。つまり、そこで生じて本当に健康被害が生じている、誰か病気になったという事態がある汚染土地で起こっていた場合には、それはそれとしても考えざるを得ないことだと思うが、一般的な環境政策の中での取り扱いになると、そこはどちらかというと法的責任論というよりも、政治的責任や行政的責任という世界に入り込んでくるから、それはまさに今ここで検討されている基金というところに落ちつくのではないだろうか。しかし、国が1.25億円、随分少ないと思うが、それでもこれだけのお金をもらうのは大変だという話も聞く。いろいろ御議論があるわけだが、関係者からの寄付も募ってと書いてあるところは、ひょっとしたらそういうことを意識して募ることはあるのかもしれない。これはあくまでも法的な義務づけという形で議論できるかどうかは別として、やはりそのような性格もあるのだから、全くゼロ回答をしないで少し協力してくださいと、お願いの材料に柴田委員がこういう発言をされたことは行政側は楽になるのではないかと思う。

【柴田専門委員】 過去に遡ったときに汚染責任の問題が出てきて、実際には汚染原因者が実施の主体としてやらなければならないし、調査もするという話になったときに、全体的には、使っていることが汚染原因になるのかもしれないが、法律が施行されてから使っていることにではなくて、その前のところまで遡るのであれば、そのときに「悪いなら悪い」とも言ってくれず、行政も「そうしたらいい」と言ったのだから、何故この人たちも汚染原因者としての範囲の定義の中に含められないかという話が出てきている。今からスタートするものについては、みんな認識しているから良いが、従来の過去の汚染に時効がないというならば、たまたま過去に汚染があったことを知らなくて事業を継続しているものまで、汚染原因者の一つに含められてしまうという話が出てきた。

【浅野委員】 法的責任論の前提には事実的因果関係が必要である。後で、大塚委員が言われるかもしれないが、ここで言っているのは、どちらかというと事実的因果関係の世界を問題にしていて、それに法的な責任がかぶるかどうかは、もう一つ別の法的評価が働く。私はそこで法的評価ということを言い始めるとケース・バイ・ケースで考えるべきという要素が出てくるから、どちらかというと行政責任であるとか、もう少し道義的責任であるとか、社会的責任であるとかという言葉で責任の部分をもう一つ語るという以外には説明のしようがないのではないと思って申し上げた。しかし、言われるような趣旨のことは、当然あり得ると思う。今、拡大生産者責任ということを言っている時代だから、事実的因果関係だけのところで話が終わるとは思わないし、政策決定のときにはそこを十分意識しながら考えることは十分必要なことだと思う。ただ、繰り返しになるが、ここでは既に十分に委員御理解のとおり、現在の土地所有者が現在の危険状態の管理責任を負うというところから一応話をスタートさせていて、あとはある意味では求償関係の付け回し、あるいは実質費用のある種の応分の負担を誰に、どう課すかという議論だと思う。そこはやはりその議論の世界で整理をしておいた方が混乱がないと思う。

【大塚臨時委員】 浅野委員が言われたとおり、これは土壌の汚染に対する原因者ということであるが、土壌に対して排出した人が原因者で、もとの溶剤などを作った人は途中で因果関係が切れていると法的には一応評価されてしまう。つまり、溶剤を買ってもそこに捨てない人ももちろんいる、溶剤を作ったことが直接その土壌汚染を結果として発生するということにはならないから、ここでの原因者には入らない。ただ、先程から基金の話が出ているように、これもまたあまり厳しいことを言うつもりはないが、例えばアメリカのスーパーファンド基金は化学品などを作っている人からも徴収することになっていたりして、基金ということであればそういう方に払っていただく考え方はあるが、原因者には入らないということになると思う。

【河内臨時委員】 もう一度確認したいが、この参考資料は本文の目次に参考資料ということで入って、あくまでも本文を説明、理解するための参考だという位置付けで考えていいのか。

【小委員長】 はい。

【河内臨時委員】 そうすると、例えば支援措置で7ページの上から5行目の、経過的には住宅地等の所有者が措置の実施主体となることもあり得る云々で、費用負担能力の低い人に基金等で支援するという考え方があって、参考資料として一番最後の18ページに、今、検討中のこういう基金の考え方があると。基金の考え方の目的は、まず住宅、マンション等の敷地で汚染が発見された、そういうことを対象に負担能力が低い人に対してどうするのかということが一つの基金の形としてまず決まる。ということは、こういうことは一つの例であって、それ以外にもいろいろな形のものが考えられるという解釈で良いのか。

【浅野委員】 より充実させるために、ということである。

【河内臨時委員】 そういうことで良いか。

【小委員長】 説明資料の中に書かれている今のような御指摘で、ここまでを今後扱うということではないと思う。実施するまでにある一定の準備期間がある。そういったところで説明資料に挙げているようなものを考えながら、さらにその周辺の問題も当然検討されていくべき問題だとお考えいただいて良いのではないか。

【河内臨時委員】 18ページの産業界というのは先程もパブリックコメントにあったように、関係者ということで答えられているし、本文もそうだから、これは直す必要があるのではないか。

【小委員長】 これは前の資料では産業界だけであって、産業界等と書かれているようであるが、それでいかがか。

【河内臨時委員】 幅広くパブリックコメントを回答されて。

【小委員長】 その辺を捉えて事務局どうお考えか。

【土壌環境課長】 ここでの考え方の、前回から新たに、「等」を入れさせていただいたのは、関係者といっても産業界もその中の一つの大きなセクターであろうということである。その際にその産業界というのは、決して汚染の原因者であるという意味ではないので、幅広くいろいろなところの方々も入っている意味での関係者も含めてということである。さらに先程の基金の関係者というのは、ここの図から申し上げると、国、都道府県、地方自治体という全部含めてが関係者ということである。基金の造成の方はあくまでもそういう意味で、国と産業界などということである。

【菅野専門委員】 今の基金の支援策や冒頭の話とも関連することだが、修文がどこまで可能かという問題があるので、あえて表現はこだわらないが、一応確認したい。遡及に関しては、まだ科学的知見が明らかでなくて、行政的な措置が取られなかった場合や土地所有者あるいは過去の事業者も含めた関係者が資力がない場合等の支援策については、報告書の8ページの「今後、支援措置についてより充実する方向で検討すべきである」ということの中に合意されていることを、是非この小委員会の総意ということで、こういう文言が入っているとさせていただければと思う。
 基金の話であるが、参考資料の27ページの内容は、これはあくまでも現在行政で検討していただいている中身であり、いわば参考資料の中の参考資料であって、今の基金構想をとりあえず関係者が知るという意味で記載されているものと理解をさせていただいて良いか。

【小委員長】 その点に関する菅野委員の御意見について、しっかりと受けとめておく。関連して何かあるか。

【鈴木臨時委員】 この参考資料が限定的なものだと一体化して、全く報告書で小委員会の意見そのものですよと言われてしまうと削除してくださいと言わざるを得なくなるので、先程の浅野委員、小委員長がまとめたようなことで良いのかどうかだけ確認をさせていただきたい。

【小委員長】 私は小委員長として、そのように受けとめているが、事務局も問題ないということで良いか。

【事務局】 良い。
 では、そのように受けとめていただきたい。

【中杉臨時委員】 今議論になっているところとは別の視点で一つだけ意見を申し上げる。ここに直接関連するかどうかわからないが、調査の契機については土地改変時にするのは過度な負担になるから、それはやめましょうと、これは仕方がないということで、小委員会としては合意した。最初の議論として、前回も少し申し上げたが、こういうことをしたことによってこの土壌汚染の制度全体の中で、管理できない部分がどうしても残ってきてしまっている。というのは、参考資料の土壌関連対策全体のイメージの中で、リスク管理地の中にリスクの低減とあって、その横に新たな環境リスクの発生の防止という面がある。ここについては確かに用途変更、土地利用変更等のときに新たなリスクが発生するのを防止できるとあるが、実際には、操業中にもそういう事態が起こり得る。これはパブリックコメントにもある。それについてどうするかという話が一つ問題になる。この制度の中でそれをやるのが適当なのかどうかは、私も必ずしも一概にそうは考えない。他の例えば廃棄物処理で残土みたいなものの扱いもあるし、そちらとの絡みもある。またこの制度の中でそれを位置付けることによって、そういうリスクが万全に守られるかどうかもまだ十分議論できていない。この制度の中に盛り込むべきだと主張はしないが、そこの点についてはそういうものが残っているので、きちんとそれについては手当てをする必要があるということだけ議事録に残す意味で認識しておいていただきたい。

【小委員長】 了解した。それでは議事録にそういうことをとどめたい。

【小早川委員】 自治体との関係について一言申し上げたいが、今日の案で何カ所か国が基準を定め、あるいは国の作成した指針を参考にしてというようなところがつけ加わって、それをどう考えるか。今回提案する制度自体は、土地の取引ということの前提条件を大きく動かすことでもあるので、その意味では財産権についての新たな制度的な国の介入ということにもなる。そういう意味で根幹的な部分について地方自治体ごとに大きく変わることは全国的な取引の観点からも好ましくないので、従来の公害規制、環境保全施策と比べてやや特殊性がある。国の基準がそれだけ重きをなさざるを得ないというのは、理解できるし、それでよいと思う。この制度の運用において自治体ごとの工夫はあり得ると思う。国がある程度基準を示す方が良いというのはそれとして、そのことと、各地域ごとの特質に応じて、この制度とは別に汚染土壌、汚染に関する各自治体の自主的な施策が考えられていくことは、やや程度の差を設けて考えた方が良いので、この報告自体が後の方の自治体の自主施策についてもこの際遠慮してほしいという積極的なメッセージまでは持っていない。そこはこれが新しい法律ができるとすれば、その新しい法律の規定と自治体施策との間の整合性の問題、従来から一般にある法律と条例の関係というような枠組みで処理をしていくべきもので、その点についてはこの報告書や答申が特別に自治体の施策に制約をかけるという趣旨ではないと理解しているが、それでよろしいか。

【水環境部長】 このことによって特別、懸念されていることをするというようなことはない。地方自治は地方自治としてということであろうと思う。

【鈴木臨時委員】 今は、地方分権の時代だから、私は自治体の実施は尊重されるべきだと思う。ただ、実際に当事者になってみると、自治体によって差があったり、いわゆる上乗せというか、そういう制度にでこぼこが生じると非常に混乱してやりにくくなる。したがって、この報告書には私は国と地方自治体が密接な連携のもとに本制度の円滑な実施に努める必要があると書かれているのは、そういうことも配慮してと考えている。是非よろしくお願いしたい。

【小委員長】 了解した。今の問題に関連して何かあるか。

【河内臨時委員】 全く同意見で、このパブリックコメントの28ページの一番上に、まさにそのことが、地方自治体が独自の対策をとることができるようにすべきであり、規制についても上乗せ、横出しができるようにすべきであるということに対する回答がある。地方自治の原則に対する回答はまさにこのとおりだと思うが、ただ、この法律の趣旨をもう少し、酌むべきだと私は思う。

【小委員長】 それは必要なことだと思う。

【浅野委員】 先程リスクコミュニケーションのところで、下手をすると科学的な知見を超えてゼロリスクみたいな話になってしまうと制度そのものの本来目指す方向が狂ってくるということを強く申し上げた。これはとりわけ、地方自治体の関係者の方々によく御理解いただいて運用面でしっかりやっていただかなければいけないという思いを込めて述べたつもりである。鈴木委員の御指摘のとおり、密接な連携を取りながらというのも、やはり土地という地域に密着した問題であるし、それはまさにその地域住民の健康を守るということがあるわけだから、それは決して外すわけにいかない。しかし、小早川委員が前半で言われたように、これはある意味では私有財産に対するある種の法的な規制という側面を持っている。そうなるとこれは本来その面から言えば法律の規制がまず優先するということがあるわけで、その辺のバランスを崩さないようにということを言われたまでのことだから、大体この小委員会の中の意見が一致しているものと私は理解している。

【小早川委員】 河内委員が最後に言われた点については、私はこの法律との関係でいかなる自治体施策、どこまで自主的施策が許容できるかは法律と自治体施策の一般論でもって処理すべきであろうと申し上げたので、この法律があるから絶対こうだという単純な話ではないと思う。

【柴田専門委員】 今の話の中でこの制度自体が都道府県が汚染の状況を確認して、いろいろなことをするようになっているので、小早川委員のお話もわかるが、それがいろいろな形で上乗せしてしまうと、実際に土地の所有権をいろいろなことで制限する形がバラバラになってくる。実際に何年かして、そういうことがでるかもしれないけど今の段階で、上乗せ基準をどんどん作られたら、実態としては対応が不可能になってくると思うので、その辺は是非配慮をお願いしたい。

【中杉臨時委員】 私もこの制度を作ったそもそもの目的というのが、土壌環境基準だけが一人歩きをしていて、それぞれ地方自治体は意図すべきものが全くないためにバラバラに対応がなされていた、そういう意味では非常にバランスが崩れたところに一つの尺度と基本的な考え方を示してきたということで、御懸念の部分を直すためにこの制度を作っているのだという認識は皆さん共通でお持ちだろうと思う。当然のことながら、この精神に外れない範囲で自由があるのはしかるべき話だろうと思う。

【菅野専門委員】 今の点はいろいろなところに国の定める基準に基づいてということを明記していただいているので、趣旨は御理解いただいているのではないかと思う。
 もう一点、お願いしておきたい。報告書の中には必ずしも明記されていないことだが、今後この報告書をどういうスケジュールで法律にし、それを施行していくのかということである。前に事務局にお伺いしたときには、この通常国会に法案を提出して3月末までに上げて、その後いろいろな政省令を10月ぐらいをめどに整備して、来年1月から施行するのだというような感じのお話をいただいた経緯がある、私はいろいろな技術基準を含め、今後検討すべき事項が随分あるので、それが果たして10月ぐらいまでにまとめられるのかどうか、仮にそれがまとまったとしても、それから政省令を出して周知する期間が3カ月ぐらいで、すぐ規制措置の発動ということで良いのかどうか、その周知期間の問題と、先程申し上げた支援措置が必ずしも十分ではないということで、基金等の構想がどういう形でまとまっていくのかということがもう一つある。来年度の予算は政府原案ができているので、行政的にすぐ拡充することはできないのもわかるが、平成15年度以降の予算措置ではいろいろ拡充を考えていただきたいと思う。また、そもそも政省令をまとめた段階でもう少し周知期間を設けていただきたい。通常、規制法だと半年とか1年ぐらいの周知期間を置くというのが一般的だと思う。例えば容器・包装リサイクル法とか家電リサイクル法でも規制措置の部分の周知期間はもっと長かったと思うので、そういう意味ではもう少し施行スケジュールについても弾力的に考えていただくべきだと思う。引き延ばせば引き延ばすほど良いというつもりで申し上げているわけではないが、できれば再来年度の予算措置等々でも支援策の充実に向けてできる限りご尽力をいただいて、そういう支援措置もバックアップした形での施行を是非視野に入れて検討いただきたい。

【小委員長】 いろいろ御意見いただいたが、全体としては今日のこの報告案、大筋で了解いただいていると思う。
 ただ、一点、先程菅野委員の意見にも絡むが、今後ある準備期間を置いていろいろと検討していかないといけない事項がたくさんあると思う。その中で、そういう企業に対して十分な説明も必要だろうし、どういう制度を具体的に考えるかについて、周知徹底するという意見の交換も必要だろうと思う。そのあたりについて、先程申し上げたように、8ページの今後の課題の(3)の[2]に、今後支援措置について、より充実する方向で検討すべきであると、より充実するというここに力点を置いてすべての人が理解していただければ良いが、もう少し具体的にこの部分である準備期間を置いて、この制度をいかに事業者等に説明して理解していただき、かつその上で支援の在り方をどうするかという文言を入れても良いかと思っている。その点でこのところに多少の修文を加えたら良いと私は思うが、よろしいか。また、その修文の趣旨は今私が言ったとおりだが、細かい文言については、できれば私小委員長に一任させていただいて、修文させていただきたいと思うが、よろしいか。

【浅野委員】 法律そのものを早く作って、こういう枠組みがあることを示すことも大事であるし、細かい具体的な基準の中で十分その科学的な合意も得られるようにしなければならない、ともかくそれは一切含めて今の小委員長の御発言があったと理解をしているが、そういう趣旨で良いか。

【小委員長】 そのように考えたい。

【中杉臨時委員】 いろいろ検討する事項もあるから、それを検討しない段階で動き出すことはできないと思う、ただ一方で、この制度を作った本来の趣旨があるし、それから今でも問題になっている汚染原因者、土地所有者が違うという状況がどんどん進行しているままになるわけで、検討ができないからといっても延ばすことはできるだけ避け、可能な限り早くやるべきであると認識しておくべきではないか。

【小委員長】 それでは、本日のこの小委員会のまとめについて、今言った修文を加えて、明日、土壌農薬部会があるので、小委員長から報告をさせていただくことにしたい。
 これまで6回、いろいろ御意見をいただいて、大変感謝しているが、もう一点、今日の次の議題として、先程既に十分取りまとめ案で議論していただいたが、パブリックコメントの資料の6-3、これについて特段の御意見をまだいただいていない、これは反映させたということで、何か特別に意見あるか。

【中杉臨時委員】 読ませていただいたが、全体としては、御意見に対して一部答えがずれている部分がある。そこら辺をもう一度見直す必要がある。例えば、国や地方自治体がどうするのかということに関しては、なかなか答えにくいと思うが、その答えがない。それから地下水の汚染状況をどう判断するかに関しては、土壌の汚染で見るということで答えが出て、地下水の汚染をどう考えるかということに関しては何も答えていないという部分があるので、そこら辺を答えとしては不親切ではないかと思うので、パブリックコメントに対する答えとして検討をいただきたい。
 それから、答えとして不適切なのは、細かいところだが、幾つか指摘しておきたい。一つは自然由来の話で、これは対象とする土壌汚染のリスクと調査の実施主体の二つのところに出てくるが、自然由来の土壌汚染に関しては、これは情報がまだ整備されていない部分がある。調査の実施主体のところでは、回答として都道府県がある程度把握しているような書き方をされていて、都道府県ももちろん把握されている部分はあると思うが、まだ科学的に十分解明されてきていない部分がある。そこら辺はそのようにそれは都道府県だけではなくて、やはり国も含めて今後収集を進めていくことを答えるべきではないか。
 もう一つ、先程私が申し上げたことと非常に絡む話であるが、2ページの2のところで、自然起因なものは対象外である。これは確かにそのままである場合には対象外だが、その汚染土は自然起因であっても、他に持っていったことによって汚染を発生させる、他に汚染が動くということに関しては、これはいわゆる公害。これは水質汚濁防止法でも、私の認識が間違っていなければ旅館で排水の中にたしか砒素で排水基準が関わってくる、あれはもともとの水の中にくみ上げている温泉水の中に砒素が入っていても、それが排水となればそれには規制がかかるというのと同じようなことになるかと思う。これは自然由来のものについては別途検討するという指摘になっているので、その中で検討していくことになると思う、そういうことだけ指摘をしておきたい。
 もう一つは、調査の契機のところで、誤解しておられるのではないかと思うのが、資料6-3、パブリックコメントの8ページの15のところ、これはコメントとしては土壌汚染の可能性がある土地について権利移転を行おうということについて、調査をすべきであるということであるが、土壌汚染の可能性のない土地にまで調査を負わせるのは過重な負担になると回答しているのは、その意見に対して正面から答えていないようになる。その点について丁寧に読み直していただきたい。

【小委員長】 パブリックコメントについて事務局の答え方が不親切であるなど、幾つかの指摘があったが、これについては議事録に載せるとして、その点に絡んでの修文は事務局でしていただいて、別の機会にそれを我々に示していただくことにしたい。

【菅野専門委員】 中杉委員から自然的原因により汚染されている土壌の関連で、そこに人為的なものが加わった場合であるが、今回の整理では参考資料の11ページのところで、自然的原因では規制レベルまで濃度が高くないところに人為が加わって超えたという場合には、それをレベル以下まで下げると書いてあるので、そこはクリアだと思う。しかし、原案では、自然的原因による有害物質について何らかのリスク管理が必要だと考えられる濃度レベルを超えて存在する土地において、そもそも自然レベルが規制値以上となっているときにまた人為が加わってという場合も濃度を下げろというような感じの書き方になっていたので、それは人為の部分を取り除いても規制値を超えているところの根本的解決にならないし、自然的原因と人為による汚染の双方のリスク低減を事業者の負担でやれというのは過重ではないか、そこはもう少し整理をする必要があるのではないか、と申し上げて今回の修文になっているので、この点は、自然汚染による問題ということで今後の検討課題になっていると理解してよろしいのかどうか。

【事務局】 そう理解していただいて結構である。

【小委員長】 それでは、他にパブリックコメントに関する意見等ないか。
 なければ、これをもって本日の議論を終了させていただく。
 全体の期間が非常に短い中で、大変有益な御意見を活発にいただいた。期間が短かったといえばそれまでだが、短いなりにそれだけ集中していろいろ議論できたと思う。その点、委員長として感謝する。
 本日の資料については、委員限りのものを除いて公開にしたい。
 最後に、事務局から何かあればよろしくお願いする。

【水環境部長】 今後の土壌環境保全対策の在り方について、御審議いただき大変感謝申し上げる。御審議の過程で、いろいろな貴重な御意見もいただいた。この報告を踏まえて、是非土壌環境保全対策の万全を期す、また円滑な施行が図られるよう、法案の提出及び施行に向けて努力してまいりたい。今後とも御指導いただきたい。