中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第3回)議事録

日時

平成13年11月29日(木)10:00~12:00

場所

環境省第1会議室(22階)

出席委員

委員長  村岡 浩爾 臨時委員  中野 璋代
 福島 徹二
 中杉 修身
 岸井 隆幸
委員  桝井 成夫
 小早川光郎
臨時委員  藤井 絢子
 大塚 直
 河内 哲
 櫻井 治彦
 嶌田 道夫
 鈴木 英夫
専門委員  細見 正明
 柴田 健吉
 大山 智
 菅野 利徳

欠席委員

委員  浅野 直人
臨時委員  高橋 滋

委員以外の出席者

環境省 環境管理局長、水環境部長、水環境部企画課長、土壌環境課長、農薬環境管理室長、地下水・地盤環境室長、事務局
オブザーバー 国土交通省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省、総務省、その他、
その他 一般傍聴者

議題

(1) 今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の方向について
(2) その他

配布資料

資料3-1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
資料3-2 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第1回)議事要旨
資料3-3 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第2回)議事要旨
資料3-4 今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の方向(案)

議事

【事務局】 ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会の第3回を開催する。
 本日は、浅野委員と高橋委員から御欠席との連絡をいただいている。委員総数19名中17名の御出席で定足数を満たしている。
 (配布資料の確認がなされた)
 それでは、小委員長に議事進行の方をお願いする。

【小委員長】 それでは、議事次第に従い、議事を進める。
 本日は、今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の方向についてを議題とする。資料はお手元に配られていると思うが、前回の委員会で各委員からいろいろ御意見をいただいた。それを踏まえて、この考え方の方向という形で事務局の方でまとめていただいているものである。
 それでは、事務局に資料の御説明をお願いする。

【事務局】 (資料3-4に基づいて説明)

【柴田専門委員】 今日で会議は3回目となるが、2回の議論の中でまだ私としては基本的なところがクリアされていないのではないかと思っている。それで、私どもが将来に向けて、土壌の汚染を防ぐためにできるだけのことは頑張ってやっていきたいと考えているが、それを前提として次のことを少しお話したい。将来に向けての土地の問題、それから過去の処理という問題がまだ具体的に議論されていないのではないか。これは別の問題であると私どもは考えているので、この辺のことを議論していただきたい。特に人にいろいろな義務を負わせたりするわけであるから、大方の人が納得できるような内容でなければならないと思う。
 また、この委員会自体は、土地について新しい社会的ルールを作ろうということで開かれているので、この辺のところを十分に整理をしてから入っていただきたい。今までの2回の会議では手続き的な話が多くて、その基本的なところをまだ一度も議論されていないのではないかと思う。そこを整理して、新しいルールを作るというのであれば、社会的に良いが、それを抜きにしてこのまま進めていくということになれば、社会全体としては受け入れにくいだろうし、定着していくことがなかなかできないのではないかと思う。まず、このことを先に検討してから、その後具体的な内容に入っていただければ幸いである。

【小委員長】 基本的な問題等については、第1回以降ある程度の論議を尽くしていると思う。
 それから、今、御発言のあった内容についても、後で先程事務局が御説明された内容に関連して、御意見の内容も述べていただく機会があるかと思うので、とりあえずこれまでの経緯を踏まえた会議の流れがあるので、今言われたことについては、また後ほど各項目の関連するところで述べていただくことにしたい。

【菅野専門委員】 少し関連で付け加えさせていただきたい。前回示されたたたき台を関係する業種別の組織に照会したところ、基準などがまだ抽象的にしか書かれていないところが多く、関係者としてもどう対応しうるのかということについて、何も返事ができるような内容になっていないとの反応であった。
 今の柴田委員の発言に関連して、例えば、メッキ業をとってみると、現在事業を行っている事業者の数が約2,100だが、昭和50年頃には約3,500であった。現在の2,100の事業者のほとんどが中小企業であるが、その大体20%が戦前、昭和20年以前から事業をやっている。残りの約70%が昭和20年から50年頃の間に創業している。それで残り約9%が50年以降の創業で、平成元年以降の創業は僅か2%ぐらいである。水質汚濁防止法に基づき地下浸透についてのルールが禁止という方向できっちりされるようになったのは、平成元年だと承っているが、それ以前から創業している事業者が圧倒的に多く、しかも昭和50年頃と比べると、事業者数は、3,500から2,100に減っている状況で、この間に廃業した事業者の数もかなり多い。そういう実態のところに、過去規制がなく推奨すらされていたという地下浸透の結果としての汚染対策のコスト負担をどこまで既に廃業した者にまで遡及して適用するのかということについては、過去は行政を含め科学的知見が無く黙認していたこと、及び現実的には、廃業してしまった人は資力に乏しい場合が多いことからフィージビリティー、つまり、制度を作っても実際ワークするのかということについての認識を十分踏まえて議論していただきたい。

【小委員長】 御意見はお伺いすることにする。ただ大方の委員が前回までの討議を踏まえて、今日用意された方向でもう1回考え方の方向について議論するということなので、それに従っていただきたい。
 それでは、議論に入るが、その前に第1回、第2回の御欠席の委員からそれぞれ全体的な御意見をいただきたいと思う。

【桝井委員】 この問題は、非常にいろいろな問題を含んでいる。公の問題を含んで非常に難しいが、方向性として今日御説明いただいたが、大体こういう形で良いのではないかと思う。ただ、今も御指摘があったが、これを具体化する場合において、難しい問題は、現実の問題としてかなりあるわけで、特に最後にどう汚染が存在して、それを除去していく、あるいはそれに対処するというところについて、もう少し詳しく決めていく必要がある。非常に難しい部分もまだ残っていると感じる。
 特に、今も御指摘があったが、過去の汚染で、継続している汚染は、汚染原因者というのはここで言うほど簡単にわからない。その場合にお金も非常にかかるがどうするのか。主な方向は良いがその辺りを詳しく詰めていくべきだと考えている。

【藤井委員】 今月、琵琶湖で世界湖沼会議が開かれた。琵琶湖では1984年に富栄養化の問題を大きなテーマとして第1回目が開かれ、その間世界各国をわたり、第9回にいわば里帰り会議で、この17年間で琵琶湖がよくなったのかというテーマが上がってきた。84年のときは富栄養化がテーマであった。今回さまざまなテーマの中で、琵琶湖の底泥に私どもが恐れていた農薬の主要部分である有機塩素化合物、副生成物としてダイオキシンが出る農薬による汚染が出てきていたり、それから水系として湖で非常に具合の悪いチオプローカーなどが出てきていて、17年間の努力がプラスの方には動いていないという話が出た。
 今回の制度は、対策法になるようなお話であるが、琵琶湖でも対策はしてきているはずで、今回の17年目の湖沼会議を見ると、これは防止法にしないとだめなのではないかという思いがある。ただ、今日、事務局に伺ったところ、50年代、60年代の化審法や水濁法、それに大気汚染防止法でフローの部分はこれ以上負荷が増えないということである。だから、ストックのところのこの20世紀の負の遺産をどう浄化するかというのがテーマだと伺っているが、本当にそうなのか、その辺のところが非常に私の中ですっきりしない。
 それともう一つ、この情報をどこまで公開するかということがある。これは情報公開法とも関係するが、基本的には由らしめるべし知らむべからずではなくて、知る権利というのをできるだけこの分野でも出していきたいとその二つのことを思う。

【中野臨時委員】 土壌汚染は目に見えないということで、本当に恐ろしい。そしてそれがすぐ結果に出ないということが私たちの健康の影響に大きく作用するのではないかと思う。そうしたことで、私たち国民がいろいろな場面で、これはどうしたら良いのかと思っているときに、都道府県がいろいろ調査などをしてくれる、国民にとって身近な存在であっていただきたい。
 例えば、大きな山合いに住宅を建てる場合、土を堀り、そこへ新しい土を入れ、その土の上にまた次の土がかぶさって、その結果が何年もしないと出てこないというのが現状である。そういう点、国民がこの土は少し色もおかしいし、どこから来ているのか。そしてまた、それはどのようなものを含んでいるのかを身近に調べる、そういうときに都道府県に行き、すぐにその都道府県がそれに対処していただけるように、そういう身近な存在であってほしい。

【岸井臨時委員】 前回1枚のメモを提出したが、今回の資料を拝見して、二つ意見を申し上げたい。1点目は、リスク低減措置のところで、表現としては汚染原因者が判明する場合には、汚染原因者とするということで書かれているので、私が前回出したものについては多少反映されているように思うが、あってはいけないことであるが、仮にどこかで被害が出たときに、誰が責任を負うのかという問題に関して、基本的に環境問題についてはPPPであるということをこれを変えるのかどうか。変えないのなら、それははっきり書いた方がまず原則として良いのではないか。ただ、実態の実現可能性として、土地所有者が実際に権利を持っているため、その方が合意しなければ、事が動かないのも事実である。その上で現実的にどう対応するのかということについては、当然、実現可能性を考えた措置が必要であることは当然であるが、原則論のところの大きな一歩を踏み出すのかどうかというのは大変気になるところである。
 それから2点目は、リスク低減措置の実効性の問題で、中小企業者への特別な配慮というのがあるが、例えば、既に従来汚染があったかどうかを判明しないまま土地取引が行われて住宅が建っている、マンションが建っているというケースは大いにあり得るわけで、土地の履歴を調べていくと実は工場の跡地だったということも当然考えられるわけである。ただし、その工場が既に倒産していることも十分に考えられる。そういう場合に誰がお金を出すのか。ではマンションの住民が出せるのかということになってくると、中小企業者だけではなくて、違う意味の特別の配慮というものがあってしかるべきではないか。つまり、あまり中小企業者へのという特別な限定をかけることについてはいかがかなというのが1点である。同時にそうはいっても、仮に発見ができたとしても、過去の他の国の例から言えば何兆円というお金がかかる。これを実際に誰が本当にやれるのかということになったときに、支援措置としては財政的な基金等についても検討することが適当であるとか、その他税制上の措置についても検討を進めることが適当であるという表現であるが、これではやや緩いのではないか。はっきりともう少しこういうことをやらなければ実現できないと言わないと、絵に描いた餅で一向に解決されないし、恐らくそうした結果として放置される。誰も手をつけないまま放棄されるということが一番懸念されるわけで、その場合に、ではどうするのか、そうならないようにするにはどうしたら良いのか、それを誰が一体責任を持つのかというところについて、また、どうしても判別できなかった場合はみんなでやるしかないのではないかと思うが、その仕かけを積極的にやろうというふうに謳うべきではないか。

【細見臨時委員】 この土壌・地下水汚染については、既に十数年来いろいろな海外の事例だとか、日本においても、いろいろ汚染事例がわかってきている。それから、地下浸透の防止だとかいろいろな措置が講じられてきているので、かなり土壌地下水汚染についてはもう皆さんは御存知だと思う。それに対してどう取り組むべきかに関してはかなり議論されてきていると思う。特に地方自治体などでは、条例や要綱、既にそういう規則が決められて、運営されているところもある。国の方が立ち遅れてきたということを認識すべきではないかと思う。
 それから、このダイオキシン類特別措置法において、直接摂取という形で土壌環境基準が決められたわけであるが、この考え方は今までの土壌汚染に対する一つの新しい転機だと思う。これに対して、今回要措置レベルだとかいろいろな考え方が出ていると思うが、これはダイオキシン類特別措置法の考え方に沿ったものであり、この考え方を通していくべきではないかと思う。
 また、今まで土壌環境保全対策の制度の在り方ということで、いろいろ検討してきた。ここではリスク管理地というのが一つの新しい画期的な制度ではないかと思う。それは今まで考慮をほとんどしてこなかった土壌の搬出だとか、従来じわじわと広がる汚染に対しては我々注意をしてきたわけであるが、実際には我々がわからないところで汚染物質が急速に広範囲で移動していっているという実態があると思う。これに対して、何らかのリスクの管理をしていくべきではないかと思う。
 それから、リスクに応じた対策を今回講じていくということは非常にリーズナブルだと思っているし、逆にそれが努力として報われるような形で公表されていくべきではないかと思う。
 それから、最後に、支援措置あるいは費用負担という現実性の問題であるが、先程岸井委員が言われたとおりで、私自身も過去の汚染に対しては少し、従来確かに事業者負担だとか、PPPだとかいろいろあるが、認識という点においては、現時点と少なくとも10年ぐらい、この土壌汚染が明らかになった時点以降と、20年、30年前の認識というのは異なるのではないかと思うので、そこは配慮していただいて、例えば一種の公共事業として、ものを作るというわけではなくて、次世代に対して、その責任をとるということで、公共事業的な考え方で対処していくことも考えらえるのではないかと思う。

【小委員長】 ただいまいただいた5名の委員の御意見の中にはこれまでの小委員会で発言のあったものに関連したものもあったので、後の議論でまた別個討議するので、そこでまた御議論いただきたい。
 また、先程柴田委員並びに菅野委員の過去の汚染をどう処理するか、これが今度の将来の汚染防止とどう絡むかということについても、あとの議論の中で取り上げることが可能である。また、柴田委員、菅野委員が懸念されている討議の時間が少なくてなかなか論議を尽くせていないのではないかという点については、これは2回目の終わりのときに言ったが、この時期に急いでやるということは大変ではあるが、これまで10年前からこういった問題に関する討議がなされ、かつ特にこの1年については検討会における中間とりまとめや、あるいはリスク検討会等も精力的にやられてきて、その資料等についても公開されており、この問題について、国民が国の討議としてどういうふうに進んでいるかということを知り得る機会もあったということ、並びに特にこの2,3年報道関係の中にもいろいろこの問題が大きく取り上げられ、何とかしないといけない問題として国民のレベルでも認識が深まっているというふうに思う。
 ただ、そうはいっても、これから短期間でこれを論議するということについては、こういう状況を踏まえて各委員には特にこの時期に大変であるが、それぞれの御専門、あるいは各界の立場でもって、短期間であるが十分な議論をここで尽くしていただきたい。それによって話が収拾がつかなれば、そのときにこの委員会としての判断をすべきではないかと思う。これからの討議については、予定どおり、先程事務局の御説明があった資料3-4について、改めて皆さん方の御意見をいただきたい。
 1番の背景から7の今後の課題ということでまとめていただいているので、まず1番の背景について。これはよいか。
 それでは、2、3ページ目の対象とする土壌汚染について、御議論いただきたい。

【鈴木臨時委員】 一つは全体のシステムの問題であるので、この文が良いのか悪いのかという話と別に、仕上がりの姿がどうなのかということによって全体を判断するということもあり得る。それを前提として、一つはこれは前々から申し上げているが、環境基準の設定の仕方の問題は、もう少し議論をする必要があるのではないか。環境基準と措置基準というか、その辺をどう考えるかという問題だと思うが、もちろん人の健康に害があってはいけないが、環境基準そのものがいろいろな要素を掛け合わせ、足し合わせてでき上がっているものであり、その要素別の数字をどこにとるかということによって、結果が随分違ってきてしまう。つまり、例えば、特に含有量基準についてであるが、口からとる場合に、口からとる量もいろいろなデータがある。70年間同じところに住むという前提になっている。この場合、自然界に存在しない物質については、30年汚染の上に住んで40年は汚染不存在が前提になっている。ところが、重金属については、その40年のところがバックグラウンドではなくて、汚染土壌と同じ場所に住むということが前提になっている。それからもう一つは、この間も申し上げた吸収の問題についても、確かにこれは水道基準等と同じということがあるが、含有量の場合には、要するに溶出の仕方が随分違って、そこにものがあるというだけでそれが直ちに水に溶け出すかどうかというのは同じ金属でも酸化物、塩化物、イオンとでは全然違うわけである。したがって、含有量だけで直ちにそれを飲んだら胃の中で溶けて害を与えるというようなことになるのかどうかなど幾つか疑問があり、この辺についてはもう一度、本格的な議論が必要ではないかという気がしている。
 なお、詳しくは本日資料を提出して、例えば考え方によってどのぐらい数字が変わり得るものかということも示しているので、是非一度御検討をいただきたい。

【小委員長】 何か関連した御意見はないか。

【中杉臨時委員】 要措置レベルという名前が少し一人歩きしているところがあり、具体的には要措置レベルというのは従来の排水規制や排ガス規制と一体ものでは必ずしもない。ここで言っているのは、要措置レベルを超えたらリスク管理地として登録をしましょうという話であるので、そのレベルを決めているのが要措置レベルである。そういう意味では、ここは環境で望ましい状態とは違う場所だということを判定しましょうというのが今言っている要措置レベルである。実際にはそれで何か対策をやるというのは措置になるわけであるが、措置の中身も従来の排ガス規制や排水規制とは、少し異なっていて、幾つかの選択肢の中から選ぶ形になっているわけである。こうしなさいよと決めているわけではない。そういう意味でいうと、従来の排ガスや排水の規制と同じレベルとは考えていただかない方が良いのだろうと思う。
 これはもう一つは、先程から議論の中にあるように、土壌の汚染というのは遡及するかどうかという話もあるが、土壌の汚染というのは確かに口に直接入れるというのは水の環境基準だとか何かと同じ基準であるが、考え方によっては溶出というのは汚染源としての基準である。地下水を汚染するため、それを防ぐための基準である。それでいくと、排出とか、排ガスの基準に相当するようなところがある。
 それともう一つは、排ガスや排水だと1回出してしまえば、後出すのをやめればきれいになるというようなところがあるが、土壌の場合にはそうではないというところがあって、長期的に残留するので、そこの特性を考えなればいけない。つまり、今までの大気汚染、水質汚濁、排水規制、排ガス規制という一連の流れと同様のものだという議論は当たらないと私は思っている。それとは別の形で議論をしていかなければいけないので、そのための制度を今作っている。

【鈴木臨時委員】 あまり議論をするつもりはないが、おっしゃることはよくわかる。しかも、評価委員会で大変精密に検討していただいたことについては感謝申し上げたいが、ただ、この問題はやはり土地という権利にかかわっている問題であり、対策で手当てすれば良いのではないかという御意見ももちろんあると思うが、それは社会的、経済的に影響が非常に大きいということも一方で考えなければいけない。環境基準は土地の売買、さらに、風評被害、そういうことにも非常に影響する数字であり、対策でカバーするから良いという単純な問題ではないのではないか。

【菅野専門委員】 中小企業者の立場からということではないが、今回の制度の目的が健康に係るリスクの軽減という観点で取り上げることについては良いのではないかと思うが、そうすると、自然由来の土壌汚染については今回対象外という扱いになっているが、なぜ健康への被害の防止という目的で整理するなら経済活動の結果としてもたらされる公害だけを対象にして整理をしてしまうのか。国民の健康上の安全を確保するための制度を作るのであれば、自然由来であろうが、産業活動由来であろうが、リスクあるところはそのリスクをいかに低減させるかということで捉えて、当然自然由来の場合は誰も原因者がいないわけで、公的負担で処理することになるが、その枠組みも並行して考えないと、何となくバランスがおかしいのではないか。公的な負担になるところは少し置いてという感じに事業者の立場から見るとそうとられるような気もする。そこをどう整理されているのか。

【中杉臨時委員】 私も自然由来の土壌汚染という言葉が悪く、自然由来であれば汚染と言えないのではないかと思う。実際問題としては、これはこの制度の中で担保するのかどうかはともかくとして、この土地は自然のままの状態で人の健康に影響があるという場合もあるので、当然のことながら、鉱山のところへ行けば、重金属等の鉱物は濃度、含有量が高くなるから、そのものについては何か別途の形で把握して、考慮していくということが必要である。それはこの制度の中で一律にやるのは非常に難しい話で、実質的にその浄化というのはかなり難しい話なので、それは受け入れざるを得ない。場合によっては、被覆するというような話があるのかもしれないが、それは別途の形で担保していく必要があるのではないかと思う。住民の健康を守るというのは国や都道府県といった行政の責務だと思う。ここの中でそれを一緒にするとまた議論が混乱してしまう可能性があるとので、別な形かと思うが、それはどうしても欠かせないことではないかと思う。

【柴田専門委員】 汚染土壌から地下水の溶出に係るリスク低減措置について飲用水に使わない場合という話があるが、調査についてもリンクする話ではないのか。もともと使わないことが明らかなものまで調査する必要があるのかどうかという話が当然出てくる。もともと自分たちで汚してるという意識もなく、全部そういう形で提供を受けてそれを使用している。それについては行政も化学物質を売っているところには調査義務を課さないで、新しく規制ができたときには全部きちんと守っているのに、テトラクロロエチレンを使ったというだけで我々の土地は特定事業場になって、何で自分たちで白であることを実証する義務があるのかということが理解できない。何年か昔のものは国がやるとか、そういう話であればわかるが、ここで先程鈴木委員が言われたように、この土地は黒で売るにも何にも全部だめだとそういう話を前提として作っているので、そういうことであるならばそれは行政でやれば良いことだし、水の汚染のことも全部それに対応しているので、テトラクロロエチレンを使ったことがあるとか、そういうことだけで自分がそれを全部白だという証明する義務が発生するとか、もしくは飲用水などに使っていないことがわかっているにもかかわらず、調べなけばならないという考え方が、我々は理解できない。そこが先程過去のものをどうするかという話のことで、ここで議論していただけると思うが、それがない限り、我々が守るとか言ってみても、では一体誰が悪いのかという話になったら何にも悪いと思っていないし、誰も悪いと思っていなくて、そのまま指導を受けて先程菅野委員が言われていたが、そういうことをやってきて、今度はおまえのところはそれを使ったから悪いのだと。お前が白というのを実証しない限り、だめだという話はどう考えても理解できない。その辺のところをひとつ議論していただきたい。

【小委員長】 今の意見についてはこの前から議論もあり、それに対して今回、考え方の方向ではどういうふうにまとめているかという説明もあったように思うが、せっかくの御発言なので何かこれに関して意見をいただくことにする。

【中杉臨時委員】 柴田委員が主張されているところはそのとおりだと思う。私もただ住民というか、一般の人、例えばクリーニング屋さんの後を買った家に住んでいる人という立場から見ると、そこがどうなっているかということは把握しておかなければならない。全般のスキームとして、形としてはこういう制度を作っておくことで、リスク管理地いという汚染があるということを知ることによって、逆に言うと、過剰なコストをかけるのを防ぐという意味合いが非常に大きいと思う。
 もう一つは、今これだけ汚染が起こってしまって、地下水も汚染して、それに対する浄化にすごくお金がかかっているのは、こういう土壌の面から対応していかなかったからである。だから、余計なお金がかかって、当然汚染が広がれば広がるほど薄くなって対策もしにくくなるし、対策する範囲も広くなる。そういう観点があるので、スキームとしてはこういうものを作った方が良いだろうと思う。私も柴田委員が言われるように、前回も申し上げたが、基金のところあたりで、例えばその化学物質、テトラクロロエチレンを売った人の責任はどうなるのか、あるいはもう一つ遡ると、それの使用許可をしていたのは国であって、その責任はどうなるのか、その辺のところは、十分議論しなればいけないと思うが、ある部分がそうだからといって全部を壊してしまうと、そもそも国民に対して、健康を守ることができないだろう。だから、実際、いろいろ地下水汚染事例で浄化の事例のお手伝いをしているが、実態的には非常に難しいことをよく認識している。そこについてはどういうふうに支援措置をするか、私は問題としてはそちらの問題ではないかと考えている。

【柴田専門委員】 やみくもに悪いところも全部どうにかしてくれという話ではなくて、外部に影響があるところについてはやることが当然だと思うが、今何もないところでただ物質を使ったということだけで、グレーだとかいう認識をして全部レッテルを張られることについては、土地の流用についても基本的に問題が出てくるだろうし、また大きい工場であれば、工場をすぐつぶして次のことをやることはなかなかないかもしれないが、小さいなクリーニング屋さんなどは、すぐに影響を受けるので、その辺のところはきちんと考えていただきたい。小さいから面倒を見てやるというのではなくて、やはりそこは悪いものがあるならばそれは仕方がないが、すべて悪いという前提でやられることは業界としてはなかなか理解できない。

【菅野専門委員】 今、中杉委員が言われた将来に向かって前向きな取り組みをしなければいけないというのは中小企業者もわかっているところだと思う。ただ問題は、その費用負担が事業者、とりわけ既に事業者をやめている人にまで重くのしかかってくるかもしれないという点に関し、どこまで自力で対策をとっていけるのかということを考えると、示されたスキームでは対応できる保証がないというのが現状なのではないかと思う。つまり、柴田委員が言われたように、過去地下浸透は規制もされていなかったばかりか、逆に推奨されていたわけで、そのような時代にまで遡及して汚染原因者に行政の支援もなしに対策の義務づけを本当にやるのかやらないのか。平成元年以降に地下浸透の規制が行われて以降の事業に起因する汚染については、事業者に費用負担を求めることの妥当性はあっても、それ以前のものについては支援のスキームを真剣に考えないと、将来に向けた前向きの対応を事業者にも理解を求めていくことがしにくいのではないかと思う。だから、この当該部分の表現は、後程の支援施策のところの表現と裏腹で、議論しないといけない。法律を作っても施行する上での費用負担、支援の仕組みというがうまくできていないといないと、宙ぶらりんになってしまうのではないかと思う。そこを是非一体的に議論していただきたい。

【小委員長】 土壌汚染の把握であるが、[1]調査の契機、[2]調査の実施主体、[3]調査の方法、[4]調査結果の信頼性の確保、これらについて意見を伺いたい。

【菅野専門委員】 [1]調査の契機について、例えば有害物質を取り扱ったことのある工場ということで、水質汚濁防止法のいわゆる有害物質使用特定事業場が念頭にあるようだが、当該事業場とは、具体的にどのぐらいの数あるのか、教えていただきたい。ちなみに電気メッキ業者は先程申したように2,100、素形材産業では約2万4,000、クリーニング業でも5万ぐらいの中小企業者がいる。染色業でも約4,000、かばん、履き物製造業でも約8,000と数多くの事業者がいて、しかもこれから物づくりに係る事業の基盤がどんどん弱まっている時期であるから、10年、15年前と比べると事業者数は5割、6割減っている業界が多い。過去にまで遡って規制を行うということになると、現在の事業所数の5割増し、7割増といった事業所数になると思う。したがって、既に廃業しているところも含めて、調査が義務づけられることになると、メッキ業では、対策費用も含めると、年間の売上高の数倍の費用がかかるというような試算もあるようである。そういった数字も踏まえてどこまで対象にして、どういうスケジュールでやっていくのかということが示されないと、事業者としてもどう取り組んでいけばよいのかについて、絵が描けないままになっているのではないかという気がするので、その辺の数字を御紹介いただければありがたい。

【事務局】 まず検討会のところでの少なくとも数としてどのくらいかという議論であるが、どういうものを対象とするのかというところまでは至っていない。ただ、ここで例えば水質汚濁防止法、有害物質使用特定事業場みたいなものを一つ想定してみてはどうかという例え書きを書いている状況で、それ自体は現在把握しているところでは例えば2万前後とかという数ではあるが、では過去どのぐらい取り扱っているかというのは正確な数字は手元にないが、オーダーとしてはそういう数になる。水濁法自体有害物質を使用していないものまで含めれば二十何万という数字があるが、これは有害物質ということであればそのうちの一部というようなところである。またここは特にこれだけに絞るとか、これでなればならないということは多分今後の議論だろうと思っているが、一つのイメージとして、こういうものを提示をさせていただいていると御理解いただきたい。オーダー的には申し上げたように、2万前後ぐらいの数字が現に把握されていて、あとそれに過去取り扱ったことのあるというところでどのぐらい数が増えるかというところだろうと思う。

【細見専門委員】 先程のこの議論であるが、例えば、東京都の環境確保条例やいろいろな地方自治体の要綱など、既にこういう形で多くの場合、多少、不備はあると思うが、実施されているということなので、そこの関連など柴田委員は御存じだろうと思うので、それも踏まえて国として本当に遅れてきたいう認識も一方で持っていただきたいと思う。

【柴田専門委員】 先程の話になるが、ある時期から使用したものは水の管理も全部しているという話もあるでしょう、危険度が実際にありそうなところは当然全部やらなければという話はわかるが、ただ1回でも使用しているところは全部をネットにかけて調べるという話は、どの程度のものをという具体的なものがなくて、全部調べなければならないということについてはやはり納得できない。どのぐらいの汚れがある場合は調べろというものも何もなくて、丸々ネットがかかるというこの調査の考え方については、なかなか業界でも納得できないことだろうし、どこにも被害がないところにまでそういうことをしないといけないという話について、どこでそういう義務が出てくるのかよくわからない。その辺のところは具体的にこのぐらいの汚れがあるとか何とかというスキームがあって、それに該当したのだから調べるというのはわかるが、何もなくて調べるということについては、うちのようなクリーニングの場合についてはそういう大きな企業ではないので、そういうところは前に話していたように、テトラを扱って石油に変わったとかというところも全部同じように全部調べなければならないという話になるし、使用している量にも当然影響があるわけだから、その全部やらなければならないということについては、普通のクリーニング屋さんに説明してもなかなか納得し得ないと思っている。

【中杉臨時委員】 何かを漏らして地下水汚染か土壌汚染が起こるということが一つのケースであるが、もう一つは何かの事故みたいな、たまたま倒してしまったとかそういうことも結構多い。そうすると、必ずしも量で切れるような話ではないと思う。
 それからもう一つは、実際問題としては、水質汚濁防止法では、地下水汚染をしている場合、飲むとそれで対応をしなければいけない。これは飲んでいて、そこの地下水が汚染していればということであるが。

【柴田専門委員】 それはわかっている。

【中杉臨時委員】 逆に言うと、そういうふうなことで誰かが井戸を掘って汚染を見つけてからという問題が起こってしまうとそのままになってしまうわけである。これはあらかじめそういうものをきちんと押さえておいて、例えば、この地区は汚染がある。この地区の地下水は飲まない方が良いというような整理も場合によってはできるわけである。
 それともう一つは、今のところは例えば工場を作っているのを壊してやりなさいということを言っているわけではない。

【柴田専門委員】 そうである。

【中杉臨時委員】 実際に土地を売るときは今は当たり前のように、土地取引のときはこういう調査をしなればならなくなる。だから、実際問題としてどこがおかしいと言われているのかよくわからない。実態的に浄化、対策をするときにすごくお金がかかることは十分わかっているし、そこのところはやはりそれに対する支援というのをどうするか、公共事業でやれというお話もあったが、そういうことも必要かもしれない。それは十分承知はしている。

【柴田専門委員】 要するに実際に地下汚染するという形で法律も我々も重視してやっているが、そういう状況になるということであれば当然措置命令も出るし、先程言ったようにそれについては対応するわけである。それから、実際そこで使っていたということで調べるのであれば行政が調べれば良いことで、何故使った人たちが今まで何もなかったことについて、そこまで責任を負わなければならないのか理解を得ないということである。何故自分で白を証明する必要があるのか。

【藤井委員】 そもそもこの制度を作るのは次世代への責任を含めて国民の健康への影響をどういうふうに保障するかということだと思う。今の柴田委員のお話と中杉委員のお話を伺っていると、特に柴田委員の場合は自己責任で全部これはきれいにしなければいけないという、それは仕組みと費用の問題だと思うが、そこをどういうふうに費用負担を含めて支援をしていくかということを置けば、置けばというのはそこの議論は後の議論になると思うが、ベースは次世代への責任を含めてそこをどうここで保障するかということがないと、何のために制度を作るか見えなくなるのではないか。

【柴田専門委員】 先程言ったように、過去のものはどういうふうに扱うのか、これからのものと区別して議論してほしい。

【大塚臨時委員】 調査の必要性について、まず申し上げておきたいが、汚染がわかったから調査をするというのではなくて、汚れているかどうかわからないからまず調査をするわけである。この制度は、リスク低減措置をとることがそれなりに大事なことにはなっているが、調査のところがしっかりしていないとその先は何も進まない。そこが一番大事なところなので、そこを一定の限度に限って調査するとかということにしたら、この制度を作る意味が全然なくなるので、調査をまずしっかりやっていただきたい。
 それから、誰が調査するかということであるが、基本的にこの制度の考え方というのは、土地所有者が調査をするという形になっていて、そういう有害物質の使用特定事業場については、その土地所有者であるということも含めて、調査をしていただきたいということだと思う。かつて排出や、土壌の汚染をしたかどうかということは全然わからないのにどうして調査しなくてはいけないのかという問題はあるかもしれないが、従来そういう事業場を営んで来られた人は、ある程度有害物質が、土壌汚染が出ているという可能性を認識することができるので、そこで調査の義務が発生するということは出てこざるを得ないのではないかというのが法的な考え方だろうと思う。それでもお金が足りなくて困るということであれば、それは具体的には支援ということをもっと綿密に考えていかなければいけないと思う。ここで調査費用がかかるから困るということで、調査のところを一定限度に限るというとかにすると、結局、今、目が見えないような状態でいるときに、どういう状況にあるのかということを調べるのがこの制度の根幹なので、これがいいかげんになるとその先は非常に不公平な制度になるわけである。汚染されているところが実は調査されなくて、汚染されているレベルが低くても、ある程度のところに達していれば、リスク低減措置を取らなければいけないというようなことになる可能性があり、非常に不公平な制度になるので、調査のところは一番大事なところだということを特に申し上げておきたい。

【岸井臨時委員】 今度の対策をどうするかということに関して、実態が余りわかっていないので、お聞かせいただければと思うが、先程、この有害物質を取り扱った可能性がある水質汚濁防止法によるというのは、大体2万件ぐらいだと言われたのか。その他、これからこれまでの履歴の土地をやるわけであるが、調査自体は例えばどのぐらいの期間がどれぐらいできるものなのか。つまり、まず、全体を把握する調査をやるのにどのぐらい期間がかかるのか。

【事務局】 一つ今の話でまず大前提となるのは、この調査の契機のときに、例えば2万件であれ、20万件であれ、一時期に一遍にやるということを考えているわけではないので、とにかくそこにあるように、一定の機会を捉えてやっていく。つまり、事業活動を続けている間は、そこでは調査になる契機にはなっていないので、そういう意味では一時期に一遍に調査されるということはあまり想定していない。したがって、これからどのぐらいの時期で事業が転換されていくのかによるので、仮に2万であっても例えば40年ぐらいで終わってしまえば、数としてはそんなに大きな数が1年に動くわけではないし、また跡地もそもそもそのベースになっているのが過去10倍あるとかそんなものではないので、そういう意味では一時期に大量に発生するというイメージで捉えていただく必要はないと思う。

【岸井臨時委員】 40年で500ということか。

【事務局】 都道府県で平均してしまえば、そんなに大きな数が1自治体で動くような形で捉えていただく必要はないと思っている。

【岸井臨時委員】 もし土地所有者が例えばこのときにやらなったときはどうなってしまうのか。強制的に都道府県の試験所が入ってくるのか。

【事務局】 調査の契機のところがどのような形で法的に担保するのかというのはこれからの議論だと思っているが、少なくともある決め事として、該当する部分が決まれば、そこは当然やっていかなければ次の措置が動くので、例えば都道府県から指導なり何かがあって、最終的に必要ならばそういうこともあるかもしれないので、そこはある決まったところについてはそういうものが動き得る。

【岸井臨時委員】 そういうものを背景にしてこれをやろうということか。

【事務局】 もちろんその後ろに控えているいろいろなものは、スキームとは別に自主的にやられることは別に入っているわけではないので。

【岸井臨時委員】 実効性を上げるためにはそういうのを書いておかないといけないと思う。

【事務局】 ここは逆に言うと、特定されるという前提で有害物質を取り扱ったことのある工場、事業場のある枠としてあって、そこの部分についてはしていただこうというふうになる。

【菅野専門委員】 2万なのかどのぐらいの事業所が対象になるのかということはこういう議論をする際にはしっかり認識して、桁があまり違わない共通のイメージをもって議論していただくべきだと思う。岸井委員からあった話で、多分事業者は今までこういう過失があって汚染をしたということではなくて、何も規制がなくて、むしろ推奨されてやってきた時代のものを今規制強化されて、それをやらないと罰則だとこういうことになってしまう。しかる対策をやろうと思ってもやれない。資力がないという場合に、刑罰を受けることになるのかとの不安がすごくあるような印象を受ける。そういうところはきっちりどういう仕組みにするのが妥当かを考えていただかないといけないと思う。逆にいうと、汚染原因者やその相続人等、事業者、あるいは土地所有者が資力が乏しく対応できない場合には、行政代執行で対応するなど、公的な事業としてカバーする仕組みを含めどう考えるのかをしっかり議論し、整理すべきと思う。事業者や土地所有者がある程度やらなければいけないと思っていても、今言ったような仕組みがきっちり担保されていないことに起因して不安が払拭されない原因があるのではないか。是非そこのところを具体的に議論すべきだと思う。

【小委員長】 ただいまの意見については、この委員会が土壌制度について、どう考えていくかという考え方の基本的なところに確かに絞られているように思われる。したがって、始めに鈴木委員が言われたように、尾ひれがなかなかついてこないと全容がわからないということもある。しかし、まずその基本的な考え方から、それに基づいてその法的な措置をどうするかということは、順序を追って今後の課題というふうにしてしまうわけではないが、手順としてそういう状況になる面もある。ただ委員が言われたように、ここでの議論で具体的な数字が欲しいとかということを調べる必要がある。これは聞くことができると思う。

【福島臨時委員】 過去の法的に合法かとか、そういう話はもちろんそのとおりであるが、実態を考えてみると、例えば工場主が汚染の可能性がある土地を持っているとして、これをやめて売ろうとする。そうすると、今この法律があろうとなかろうと買う側はここは汚染されている可能性があるのではないかという疑いを持つから、それが白であるという証明をきっと要求するのではないか。例えば、きれいな土地が1億円だったとする。そうすると1億円でそのまま次の人が買うだろうか。つまり、ここはきれいだから全然瑕疵がない土地ですよということを売る側の工場の方が現在は証明せざるを得なくなっているのではないかと思う。

【柴田専門委員】 それについては当事者間でやれば良いことで、別に法律で作ることも何もなくて、言われるように、聞かれればやることは当事者間の判定で、とりあえず影響のないものについてまで調査する必要はないだろうということである。

【福島臨時委員】 結局、法律があってもなくても、工場の方はそういうような負担をせざるを得ないのではないか。調査した結果、汚れがあればその土地の価格はぐんと落ちるわけである。自分の財産が減ってしまうわけだから、そうすると減らしたくない方は自分でその浄化をして、きれいな土地1億円ですという形で売ることになるのではないか。
 それともう一つは、国が代執行などやることを考えてみると、税金を使ってある個人の財産を回復してあげるわけである。そうすると、土地を持っている人は本当であれば、汚れたままであれば1,000万円でしか売れないのが、税金できれいにしてあげて1億円になった。これがどうも納得がいかないところになる。

【小早川委員】 私が発言しようとしていたことと、福島委員が言われたことは大体同じである。つまり、取引絡みのケースで考えると、恐らくこういう制度があろうがなかろうが多くの場合にはかなりの程度の調査が必要になるのではないか。それをどこまでどういう場合に調査をするか、どこまでのどれだけの深い調査をするかということについてのルールを作っておくということは、ある意味では不動産取引の円滑化ということにも役立つし、その当事者にとって偶然的なリスク、うまいことやればすり抜けられる、下手するとひどい目に遭うというその偶然の危険を避けるということにもなって、取引のルールづくりの一つではないかという感じがする。それは、どういう調査をするべきかということと、その調査の結果をどういうふうに公示すべきかということである。公示システムを作るということは、要するに不動産登記簿のシステムみたいなもので、必要なデータをきちんと公示をした上で、不動産の取引をするというそういう話であると思う。このページを拝見していると、従来よりもやや調査の範囲、契機が絞られているような感じがあって、これはこれでだんだん議論が煮詰まってきたのかなという感じはしているが、それにしても取引が当面問題にならないケースであっても、調査義務がかかるというケースも想定されているわけである。その辺については、その土地の利用状況なり、汚染があり得ることの恐れの程度なり、それはケース・バイ・ケースで違うわけだから、余り一律の基準でもって広く調査義務を課するということは非常に摩擦も大きいだろうし、コストが大きい。その辺はむしろ行政手続的な話になるが、ケースごとにいかに適正に、その調査をすべきかすべきではないか、どういうことをやるかということの判定を、適正にかつ当事者間の合意を調達しながらやっていくかという、そのシステムづくりは非常に大事だと思う。そうすることでもって、このシステムの公正な運用が可能になるし、納得や協力も得られるようになるのではないかと思う。

【小委員長】 それでは、他の議論もあると思うがあとは、関連したところで言っていただきたい。
 土壌汚染による環境リスクの管理について議論したい。

【菅野専門委員】 先程行政代執行云々というようなことを申し上げたが、すべてについてそういうことをやれと言っている訳ではない。資力に乏しい場合の他、ある土地で事業を行っていた複数の事業者があって誰が主たる原因者かわからないというような場合に、まず対策を行政代執行で行い原因者がわかったところで費用負担を事後的にどう処理をするかというような仕組みも考えるなど、一律に事業者や土地所有者責任でやれということだけでは円滑な対応が図れないいろいろなケースがある。助成を充実させることで対応できる場合もいろいろなケースがあると思うが、費用負担の仕組みについてもう少し詰めて議論する必要があるのではないかということで申し上げたつもりである。
 もう一つ、コメントしたい。これは前回も申し上げたが、今ある汚染をどう処理するかということだけが議論されているような気がするが、現実のいわゆる経済活動に伴う公害の防止策としては、当然中小企業の分野においても、住工混在地域の事業所をなるべく郊外の工業団地の方に移転をして、そこで共同で公害対策をするというような政策的な推奨、支援もされているわけである。それが将来的に汚染に伴う健康被害を防ぐ上では望ましい姿だと思うが、土壌汚染対策としてこういう仕組みができると、現在の事業所から動けないということになってしまう。動くと調査やリスク軽減対策でとても重い荷物を背負わされることになるので動くに動けなくなってしまう。本当は工業団地へ移って将来へ向けて、前向きの取り組みをしてほしいのだが、ここに示されたようなスキームの土壌汚染対策が作られると住工混在の解消のための工場移転といった動態的な取り組みに歯どめをかけてしまうのではないかという懸念もあるので、そういうところを一体的に考えて、このような場合の調査費用、あるいは浄化などの対策の費用負担について真剣に考える必要があるのではないかと思っている。

【鈴木臨時委員】 結局、前の議論にも通じるが、このリスク管理はかなり丁寧に書いていただいて結構だと思うが、要するに基本的に調査にしても、リスク管理にしても、実施者が誰であるべきかという話と、負担をどうするべきかという話は別だと思う。それが一緒になっているから、今のような議論ではどうしてもこの疑問は払拭できない。土地所有者が自分の土地を管理すべきことは当然であり、大部分それは土地所有者が調査はすることになると思う。ただし、その土地所有者が極端なことを言うと、おじいさん、おばあさんで、その土地の賃借料だけで生活しておられるような方が誰かに土地を貸しているとする。借りている人が事業をやっているときにまで土地所有者がやるのかということになると、これも何か現実的ではない気がする。したがって、実施者と負担というのはやはり分けて、もう少し整理していただいた方が良いのではないかと思う。これは最後の支援措置のところにも行き着くが、この支援措置のところを読んでみると、事務局には大変恐縮な言い方であるが、融資や保証という範囲に止まっていて、国の資金的な支援のところが及び腰になっているのではないかという感じがどうしても出てきてしまう。確かに基金とは書いてあるが、これは民間も拠出すことを想定しておられるようで、これには反対である。自分の土地以外の他人の土地まで、関係がない企業が基金を拠出して面倒を見なければいけないということになってくると、一般的には受け入れられにくいのではないかという感じがするので、実施主体と負担のところはもう少し精緻に整理をしていただいた方が良いのではないか。

【桝井委員】 結局、どの議論も似たことになるが、今、鈴木委員が言われた負担と実施者ということの問題に加えて、このリスク管理については、いろいろな公的なものを使うことがあるにしても、やはり優先順位をつける必要がある。どれからやるんだということを考える必要があると思う。この土壌汚染でよくわからなくなるのは、こういうことである。中小企業の方から「実際これができた場合、明日から調査しなければならない。その費用を含めて、あるいは過去のものをどう考えたら良いのか」という議論が出て、非常に納得できるが、これを見ていると、本当は都市やいろいろな重要な土地における土地売買、土地取引について、そこの土地が汚染されていたら土地が動かないではないか。あるいは土地が塩漬けになっている。そういう中でこの土地取引というものをどうするのか。むしろこれは経済界の方から土壌の防止というのを早くやれと言っていて、今回の政府のいろいろな対応策の中に入ってきたという経緯があると思う。そういうものと、いわゆる全般的なこういう過去の負債というものを将来へ引き継げない。そこで何とかしておこうというふうないわゆる大義名分といろいろなものが入り交じっているのでわかりにくくなるという現象があると思う。つまり、すぐにやってもらいたいという話になるのは、大都市やいろいろなところにおける汚染問題というのを除去するのに、本来ならそこの人たちがやればいいものを、公的資金できれいにしてしまうということが現実問題になりかねないわけである。そうして見ると、公的な例えば国の支援にしても、基金にしてもいずれ必要になると思うが、その場合には一体どこを優先的に順位をつけてやるのか、個人のものを含めて全部できるわけないので。いろいろな観点から見て、優先的にこの汚染を除去しましょうというふうな形の発想も必要になるので、そこらを含めて考える必要があるのではないかと思う。

【菅野専門委員】 リスク管理のところに関連して、汚染原因者がわかっている場合に、そちらの方にリスク軽減対策を行う義務がかかる形になっているわけであるが、一般に事業者が事業をやめた場合は、株式会社や有限会社など、会社組織の事業者であれば、会社も倒産や精算などでなくなっているというケースが多いと思う。そうするとリスク軽減対策をとる義務もその時点で消えてしまう。しかし、中小企業に多い個人事業主の場合は本人が生存している限りはずっと続くし、死亡しても相続人まで義務がつきまとうわけである。会社組織は有限責任だから、会社が倒産すれば、なくなってしまってそこで汚染原因者の義務が切れてしまうことと対比すると、クリーニング業など中小企業に一般的な個人事業主の方にとって少し酷になるようなケースが多いと思う。このことは多分遡及をどこまでやるのかということにも大きく関連してくる話だと思うが、そういったところが何となくバランス論としてどうかなという問題がある。是非そういう点も視野に入れてお考えていただきたい。

【小委員長】 費用負担の仕組みに変わって、支援措置のあたりの話題もいただいているが。

【大山専門委員】 汚染に対する最終的な責任を誰に取らせるのかという議論、前回まで何回かさせていただいたと思う。岸井委員が冒頭言われたように、やはり汚染の原因、責任を第1に取るべきは汚染原因者だろうと私はいまだにそう思うが、ただ、今回のまとめでは汚染原因者の責任というものは、より明確になったという意味で評価しているわけである。一つ細かいことになるかもしれないが、その汚染原因者の判明のところで、汚染原因者の申し出により云々、それから特定に当たっては、都道府県で関与することが適当であるという記述があるが、汚染原因者の立証を誰がやるのかというところのルール、これはやはりきちんとしていただきたい。むしろ公が主体的関与するルール作りが必要ではないかと思う。

【大塚臨時委員】 その関連のところを少し申し上げておきたいが、土地所有者等の申し出により汚染原因者が判明する場合にはと書いてあるので、土地所有者が何か一生責任を負うような感じがするが、すぐ後に汚染原因者の特定に当たっては、都道府県が関与することが適当であると書いてあるので、関係がよくわからない。申し出によりというような、あるいは申し出に基づきとか表現を変えていただくと、後ろとの整合性がとれるかというふうに考えている。

【小早川委員】 今の御意見と重複するが、法律屋から見ると、今の問題のパラグラフは一体どういう制度設計なのかがよくわからない。恐らくこれは先程の話とつなげてみると、こういう措置を取らせるという仕組みがあろうがなかろうが、取引上必要があれば土地売買当事者はこういう措置をとらざるを得ないという状況はたくさんあると思う。それに任させておいてよい部分と、そうではなくて、やはり法のシステムとして、公的なシステムに任せなければいけないという部分があって、そこはこの発動基準の問題になると思うが、ある程度重大なものを基準設定して、それについては多分行政がおまえさんこれやれということになるのだろうと思う。その場合に先程鈴木委員が言われたように、おまえさんやれという部分と、それからおまえさんが負担しろ、負担は誰がしろという部分と、多分両方、行政がある程度の権限をもって割り込んで来る、何らかの決定をするということになるのではないか。そうすると、その決定のプロセスをいかに、公正で納得のいくものにしていくかという話が出てくるのではないか。これは非常にあいまいに書いてあるので、もう少しきっちり書いていただきたい。

【小委員長】 リスク管理地の台帳への登録及び公告。これに関しても御意見いただきたい。

【福島臨時委員】 一番最初のときにも話したが、この台帳は、役所で書いたり消したりするわけだが、この信憑性というか、結局あの土地はきれいだよ、全部対策がとれてきれいだよということを法律でそれを執行している、例えば県知事が証明したことになるのかという、その点が非常に不安なところで、つまり、国で技術基準を作ると言っているから、その技術基準に基づいた例えば土の採集の方法は、当然漏れが発生するはずである。広いところをある割り切りでとるわけだから、当然汚れは均一ではない。そうすると、一番最初のときにこれは汚染がないということも危ないが、その後も毎日職員が現地へ行って、汚染土を掘削したところをきちんときれいに工事をやって持っていっているのかどうか、浄化しているのかどうか、毎日見るわけにはいかないから、事業所から出された浄化報告書だとか、そういった工事中の写真か何かつけさせると思うが、その結果でもってきれいですということで、後から役所の台帳から消えたんだからこれは役所がきれいだということを証明してくれたということになり、後で買った人が何かの機会に調べてみたらまだ汚れていたというときに、知事が訴えられないかなという、その点が行政としては一番心配なところであるが、いかがか。

【中野臨時委員】 汚染をしたがそれがわからない場合。国民が一度それを調べてほしいというときに、その事業者が自分で申し出ない、検査されていなくても国民がおかしいというときに、例えば都道府県の知事などに申し出て、都道府県が委員会か何か設けて、そこで審査していくという、国民の立場から言える場面も作っていただきたい。

【中杉臨時委員】 福島委員の証明できるかという話であるが、私自身は白であると証明することは非常に難しいと思う。これは何においてもそうであるが、実際、証明をしようとすると膨大な調査やコストがかかる。ある程度の漏れ落丁はあるという前提で考えないといけないと思う。これは本当に白であることを証明をしようとすると膨大なお金がかかって、それこそ浄化するため全部土をとってみないと証明ができないという話になるので、結局、対策をやらなければいけない話になってしまう。そういう意味で例えば、地下水に流れるというのは地下水のところで口に入るから、そこを監視しておくということで、その漏れの部分は何とか抑える。それから、上の部分についてはそれを知っていることで、ある部分が汚れていても全体的に汚れていなければある確率でという話に多分なってくると思う。それで、これも1回調査してしまうと終わりかというと、必ずしもそうでもないのかもしれない。実際には今はそういうことはないので、その後の行為でどうなるかという話が当然ある。そこら辺をどう担保していくかという話が当然あると思うが、ある程度のまぎれというか、厳密に公平さを追求されると、こういう制度というのは成り立たなくなる。そうすると、非常に国民に対して、国民の健康を守れないという意味では、ある漏れ落丁が必ずあるということは承知の上で、前進していかなければいけないだろうと私は考えている。

【岸井臨時委員】 前回までの議論があったのかもしれないが、この台帳に記載されるのは調査の終わった土地か。調査が必要な土地は掲載されるわけではないのか。例えば、土地の履歴等から工場・事業場の跡地であると土壌汚染の可能性が高いことが判明した場合で土地所有者が調査をしない、自分でしたがらない。まだ、調査できていない場合には載っていないと思った方が良いのか。

【事務局】 ここはあくまでも調査をしたところである。

【小委員長】 各項目について、一通りの御意見はいただいたと思う。それで今後の課題ということであるが、これまで各論の中でもいろいろと御意見があったところで、それがまだ十分煮詰まっていない段階である。今後の課題とは何かというお叱りを受けるかもしれないが、それも踏まえて、全体的にこの取りまとめの方向のまとめ。これについて、総合的な御意見があれば、今後の課題も含めて伺いたいと思うが、いかがか。

【中杉臨時委員】 先程、藤井委員が底質の話をされたが、土壌と底質というのは何らかの関係を持っている。そこの部分については今回はまだ知見がそろっていないというので先送りしましょう、次の段階で考えましょうという話であるが、それが一つの重要なポイントだろうと思う。もしそうなるとすると、例えば今土地がどう利用されているかという話で、例えば工場として使っているところならいいよという話が、そこが裸地であれば雨が降れば流れていってしまうという話になるので、そういう問題になるが、この制度自体をまた別の形に考えなければいけない。そういう問題が一つ残っているので、本当にそれが必要かどうかという議論がもちろん別にあるし、今のところ底質もきちんと環境基準ができていないから、そちらができない段階で土壌の方から作るわけにはいかないが、そういう課題はあるということだけは一つ入れておいていただければと思う。

【大塚臨時委員】 先程中野委員からあったお話であるが、この制度の中に住民参加が全然入っていない。とりあえず今回は仕方がないと私も思っているが、今後の課題としては住民から、ここの土壌が汚染されているというふうな申し出とそれについて何らかの評価をするようなシステムというのは考えていくべきではないかと思う。スーパーファンド法には既にそういう制度が入っているので、そういうものを参考にしながらやっていただきたい。今後の課題だと思うが、考えていくべきである。

【鈴木臨時委員】 今日は時間がないので、余り申し上げなかったが、是非よろしくお取り計らいいただきたいと思うが、特にこの台帳の問題、その他も含めて手続的なことなど、事務局にお願いしている部分もかなりあるので、よろしくお願いしたい。

【菅野専門委員】 先程も少し議論になったが、汚染原因者の特定について、誰が費用負担して行うのが適当かということについて、行政が関与という書き方になっているが、関与という抽象的な言葉ではなくて、行政がその役割を果たすことが大事ということをもう少しはっきり書いていただきたい。それとの関係でリスク・コミュニケーション、すなわち、土地所有者や事業者に過剰な負担を負わせないという視点と住民の健康の保全という視点をうまくバランスをとって適正に判断することは、行政の非常に重要な役割だと思うので、このリスク・コミュニケーションを積極的にやることが行政の重要な役割ということを明記していただきたい。

【柴田専門委員】 この内容で基金を設けて云々という話があるが、どのぐらいの規模でいつまでそれを出す人たちが負担するかということはやはりこれから大きい話になってくると思う。具体的に今何百億とか、何千万とかという話が事務局で、それが具体的に対応できるような割り振りで絵があるならばいいが、それがなくてこういうものを作って今後どうするのかというときには、多いに出してくれという話だと少し我々は動きがとれなくなる。説明できないのでその辺をよろしくお願いしたい。

【櫻井臨時委員】 少し言葉にこだわっていて、大したことではないかもしれないが、地下水モニタリングを定期的に行うというのは現実的で良いと思う。これは曝露管理という言葉になっているが、それを含めて、リスク低減化ということになっている。要するに、管理をするときリスクを低減するということがはっきり書いてあるが、この場合にはリスクそのものは低減されているわけではなくて、モニタリングしているだけということになると思う。つまり、リスク低減ということではなくて、リスクを管理するということがすべて今やろうとしていることである。その中にはモニタリングも含むというふうにならざるを得ないと思う。

【小委員長】 限られた討議時間ですべてについて結論を出すところまでは至らないが、この考え方の方向についておおよそ基本的なポイントにかかわる御意見は一通り言っていただいたのではないかと思う。次回はいろいろいただいた意見の中に前回もそれに関する意見が出てきたり、重なる部分もあると思うが、そういったところを事務局で再整理していただいて、次回いきなりというのはどうかと思うが、できたら、この委員会としての報告案ぐらいの素案を、御議論いただけたらと考えている。よろしく御協力の程お願いしたい。
 その他、本検討会の今後の予定等について、事務局から説明していただく。

【土壌環境課長】 本日は貴重な御意見をいただき感謝申し上げる。今後の予定であるが、ただいま委員長からあった報告書の素案の取りまとめの状況も見ながら、委員長とも相談して、次回の日程について改めて連絡させていただきたい。

【小委員長】 最後に本日の資料の公開についてであるが、委員限りという資料があるが、これを除いて公開とすることにしたい。
それでは、これで第3回の土壌制度小委員会を終了させていただく。