中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第1回) 議事録
日時
平成28年3月28日(月)
13:30~15:30
場所
環境省第1会議室
議事次第
1 開会
2 議事
(1)小委員会における検討の進め方について
(2) 土壌汚染対策の現状と主な課題及び
海外の土壌汚染対策制度に関する調査結果について
(3)その他
3 閉会
配付資料一覧
- 資料1
- 中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿
- 資料2
- 今後の土壌汚染対策の在り方について(諮問書及び付議書(写))
- 資料3
- 中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について
- 資料4
- 中央環境審議会土壌農薬部会並びに小委員会及び専門委員会の運営方針について
- 資料5
- 今後の検討スケジュールについて(案)
- 資料6
- 土壌汚染対策の現状と主な課題
- 資料7
- 諸外国における土壌汚染対策制度の比較調査結果
- 参考資料1
- 土壌汚染対策法の概要
- 参考資料2
- 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)
- 参考資料3
- 土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)
- 参考資料4
- 土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)
- 参考資料5
- 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)
- 参考資料6
- 平成25年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果
※参考資料については、委員のみ配布。
議事
(是澤土壌環境課長)
それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会を開催させていただきます。
委員の皆様には、ご多忙中にもかかわらず、ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、委員総数17名のうち15名がご出席予定でございます。谷口委員、杉澤委員がご欠席でございます。
なお、細見委員と丹野委員は、若干遅れて来られる予定でございます。 現時点で小委員会開催の定足数を満たしております。
それでは、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の高橋からご挨拶を申し上げます。
(水・大気環境局長)
皆様こんにちは。本日は、本当に年度末、押し迫りまして大変お忙しい中、第1回の土壌制度小委員会にご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
昨年7月から水・大気局長を務めております高橋と申します。一言ご挨拶を申し上げます。
この小委員会でございますけども、昨年12月に環境大臣から「今後の土壌汚染対策のあり方について」という諮問がされましたことを受けまして、土壌農薬部会に新たに設置いただいたものでございます。
この小委員会でご審議をいただきます土壌汚染対策法につきましては、皆様もご案内のとおり、平成14年に制定をされまして、前回、平成21年の1度目の改正におきまして、調査契機や区域制度の拡充、あるいは汚染土壌の搬出規制などの措置が追加されてございます。
現在、この改正法の施行から5年が経過をいたしまして、法に定められました見直しの時期を迎えております。この施行状況をめぐりましては、さまざまな課題のご指摘やご意見が各方面からなされているというふうに承知しております。また、昨年6月に閣議決定をされました規制改革実施計画及び日本再興戦略におきましても、この土壌汚染対策法の規制のあり方について検討するということが明記をされております。
このような背景も踏まえまして、十分な検討を行えるように、ここにお集まりの皆様方それぞれのご専門の見地、あるいは日ごろのお仕事の立場から、忌憚のないご意見、ご指導を賜ればと思っております。どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
(是澤土壌環境課長)
続きまして、議事に入ります前に、本日の配付資料をご確認いただきたいと思います。
議事次第の裏面に配付資料のリストがございます。
資料1から資料6までがクリップ止めをしておりまして、資料1、2、3、4、5はそれぞれ1枚紙の資料でございます。資料6は、横長の若干分厚目のホチキス止めをしておるものでございます。それから、資料7は、A3の横長2枚紙の資料でございます。もし不足しているものがございましたら、事務局までお知らせください。
また、参考資料につきましては、お手元の黄色いファイルの中にとじてございます。
こちらは、土壌汚染対策法の概要でありますとか、法律の条文、施行状況に関するデータ等を取りまとめたものでございます。
必要に応じてご参照いただきたいと考えておりますが、今後も継続して使用する予定にしておりますので、会議の終了時には机の上に残してご退室をいただきますよう、お願いいたします。
なお、これらの資料及び本小委員会は、運営規則に基づきまして公開とさせていただきます。
続きまして、今回は第1回の会合ですので、ここで小委員会の委員の構成についてご紹介させていただきます。お手元の資料1をご覧いただければと思います。委員名簿を載せております。
順にご紹介させていただきます。
まず、浅野直人委員長です。
岡田光正委員です。
浅見真理委員です。
大塚直委員です。
続きまして、平田健正委員です。
細見委員は遅れております。
勝見武委員です。
駒井武委員です。
阪本廣行委員です。
佐々木裕子委員です。
杉澤元達委員は、本日はご欠席です。
鈴木康史委員です。
高澤彰裕委員です。
高橋晴樹委員です。
丹野紀子委員です。
寺浦康子委員です。
それから、遅れていらっしゃいました細見正明委員です。
それでは、これより議事に移りたいと思います。
浅野委員長に議事進行をお願いいたします。
(浅野委員長)
では、座ったままで失礼いたしますが、これから議事を進めさせていただきます。
ここでよろしければ一言ご挨拶をせよ、と書いてありますので、一言ご挨拶を申し上げます。
先ほど高橋局長のお話がありましたように、2002年にこの法律ができまして、実はそのとき以来この法律とつき合っております。たとえば、海防法で許容されている土砂で海面の埋め立てをして造成された土地が、土対法には抵触するといったことがあとでわかったりして、法制定の当初には、気が付かなかったことがあったりいたしまして、困ったことも経験しました。
その後、2010年にこの法律の改正を行いましたが、今回また必要な場合には改正も視野に入れながら議論しなくてはいけないと思います。そういうことで法律がだんだんよくなってくることはいいことだと思いますから、ぜひご協力をお願いしたいと思います。
まず、この委員会の委員長代理を指名しておく必要があります。
岡田委員に代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
議題1は、この小委員会の運営の仕方についてということでございまして、まず、その点に関して、事務局から説明いただきます。
資料は、2から5まで、これらを続けてご説明いただけるようでございます。よろしくお願いいたします。
(是澤土壌環境課長)
それでは、まず資料2でございますけれども、こちらは昨年12月3日付けで、環境大臣から中央環境審議会会長に対しまして、今後の土壌汚染対策の在り方について諮問がなされた文書の写しでございます。
その裏面でございますけども、本諮問事項につきまして、同日付で中央環境審議会会長から土壌農薬部会長に付議されたことを示すものでございます。
これを受けまして、資料3をご覧いただければと思いますけども、昨年12月11日の土壌農薬部会で本小委員会の設置が決定されました。
4番目のところに「土壌制度小委員会は」とございまして、土壌汚染対策法に関する今後の土壌汚染対策の在り方について調査・審議すると書かれております。
資料4につきましては、本小委員会の運営方針に関する資料であります。会議や資料の公開などに関する方針が書かれております。一般的なものでございますので説明は省略させていただきます。
資料5でございますけれども、本小委員会の今後の大まかなスケジュールについての資料であります。
今回、第1回目は、土壌汚染対策の現状と主な課題についてご審議いただき、あわせて、海外の制度についての調査結果をご報告させていただくこととしております。
第2回目と第3回におきましては、自治体や産業界その他関係者の皆様からヒアリングを実施してはどうかと考えております。
4回目以降につきましては、委員各位のご都合もお聞きしながら、おおよそ月1回程度のペースで開催することを基本としておりまして、複数回に分けてさまざまな論点についてご議論いただけたらと考えております。
実際の回数につきましては、審議の進行状況を見ながら、委員長ともご相談させていただき、決定したいと思いますが、一応、取りまとめをいただいた後、1カ月程度のパブリックコメントの手続を経て、年内にも取りまとめを行いたいと考えております。
説明は以上でございます。
(浅野委員長)
それでは、ただいまこの小委員会の設置根拠、経過、それから今後の検討のスケジュールについてご説明をいただきました。
もし、仮に法律改正が必要ということになりますと、そのための準備に結構時間がかかりますので、ここで言われたように、年内には答申の取りまとめということにしておきませんと、先の作業は進まないということもございます。
できるだけうまく運営をしながら、しかし、必要な議論はちゃんと尽くしていきたいと考えております。
何かご質問、ご意見がございますでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
(発言なし)
(浅野委員長)
それでは、ここまでについてはご了承いただいたということにさせていただきます。
それでは、次に現在までの法律がどうなっているのかということ。あるいは、どういう点が問題になっているのかといったような点について事前に調査をしていただいておりますので、それについて、
さらに、規制改革の動きの中で海外の様子もよく見て、我が国が過剰な規制をしているなら何とかしろと指摘されておりますので、海外の制度がどうなっているかということについて、事務局からご説明をいただいて、意見交換をさせていただきます。
資料6と7について、事務局からまとめて説明をいただきます。
(青竹土壌環境課課長補佐)
そうしましたら、土壌環境課、青竹より資料6を用いまして、土壌汚染対策の現状と主な課題についてご説明いたします。
おめくりいただきまして、資料の2ページ目でございます。
土壌汚染対策法の目的及び規制方法でございますけれども、まず、土壌汚染の特定有害物質による汚染の状況の把握を行いますけれども、土壌汚染による健康被害を防止するためには、その前提として土壌汚染の状況を的確に把握することが必要であるということでございます。
このために、土壌汚染の可能性の高い土地について調査を行う必要性の大きい一定の契機を捉えて、土壌汚染の調査を実施しているというところでございます。
さらに、その汚染による人の健康被害の防止措置が定められておりまして、汚染が把握された区域及びその周辺につきましては、汚染の程度や健康被害のおそれの有無に応じて、合理的で適切な対策が実施されるよう、環境リスクに応じて区域を分類しております。そして、要措置区域については指示措置を行うということでございまして、形質変更を行う場合には、環境リスクに応じた施行方法により実施されているところでございます。
搬出先における防止の措置につきましても、汚染の拡散が起こらないように、汚染土壌の搬出を規制しているというところでございます。
それから、下段に少し小さな字で書いておるのですけれども、自然由来の基準不適合の土壌につきましては、汚染が把握された区域等における健康被害の防止措置は不要でございますが、搬出先における健康被害の防止措置は必要ということでございます。
自然由来の基準不適合の土壌に対しまして事業活動等で人の活動を加えることにより生ずる環境の保全上の支障は、環境基本法の公害に当たるというふうに考えられます。そして、その未然防止として行う搬出先における健康被害の防止措置につきましても、土壌の汚染に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めることにより行う、公害を防止するための必要な規制の措置に当たるというふうに考えられるところでございます。
続きまして、3ページ目でございます。
当初、平成15年に施行されたものが平成22年に改正をされているところでございますけれども、主に改正のポイントについてこの資料を用いてご説明をいたします。
まず、調査のきっかけですけれども、当初は有害物質使用特定施設の使用の廃止時のみを概ね調査の契機としておったんですけれども、その後の改正により、一定規模以上の土地の形質の変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると認められるときや、自主調査というものが調査のきっかけに加わっているというところでございます。
調査の結果として土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合につきましては、健康被害が生ずるおそれがあるときには、要措置区域として指定されまして、汚染の除去等の措置が必要ということになっております。
一方で、土壌汚染の摂取経路がないという場合については、形質変更時要届出区域に指定されているというところでございます。両区域とも、一番下のところでございますが、汚染土壌の搬出に関しては、土壌の搬出の規制があるというようなところでございます。
おめくりいただきまして、4ページでございます。
個別に施行状況を見ていきたいと思います。
まず、調査及び区域指定についてでございますけれども、平成22年の法改正以降、一定規模以上の土地の形質の変更の際の調査ですとか、自主調査、先ほどご説明しましたとおり、追加で行われるようになったということがございまして、その結果として、報告される調査結果の報告の数が2倍以上に増加しているというところで、平成26年度には800件近くというふうになったところでございます。
5ページでございますけれども、このように調査の結果の報告数が増加しておりまして、土壌汚染に関する調査に占める法律に基づくものの割合についても、平成19年度には2%だったものが、平成25年度には12%に増加しているというところでございまして、前回の改正のときの課題でございました法律に基づく調査の拡大につきましては、一定の成果が見られるというところでございます。
めくっていただきまして、6ページ目につきましては要措置区域等の指定に関する制度の仕組み、先ほどご説明させていただきましたので、少し飛ばさせていただきまして7ページ目でございます。
法律に基づく指定区域ですけれども、調査の結果の報告件数が増加しておりますので、これに伴いまして汚染が見つかって区域指定される年間の件数につきましても、5倍以上ということで大幅に増加しておりまして、平成26年度は539件となっているというところでございます。区域指定につきましては、汚染土壌の摂取経路の有無により指定されるわけでございまして、その結果として、リスクに応じた管理が進んできているところでございます。
法律に基づき指定された区域の類型のうち、約2割が要措置区域、約8割が形質変更時要届出区域となってございます。
めくっていただきまして、8ページ目でございます。
どういった物質で汚染が見つかっているのかというところでございますけれども、特定有害物質別に見ますと、第二種特定有害物質の重金属等による汚染が最も多いというところでございまして、第一種特定有害物質の揮発性有機化合物によるものが約1割というふうになっているところでございます。
9ページ目でございますけれども、こういった調査・区域指定のまとめというところでございますが、現在の調査件数の推移や区域指定の件数を踏まえますと、法改正において一定規模以上の土地の形質の変更という契機を追加したということが、汚染の状況の把握のために一定程度機能しているというところでございます。
そのうち、土壌汚染の可能性が高いと認める場合には、調査が行われることにより、その後のリスクに応じた管理が行われるようになってきていると考えられます。
また、法改正以前は、法律に基づかずに土地所有者がそれぞれ行っていた自主調査や、その対策につきましても、法律に基づく一定のルールに基づいて実施されるようになってきておりますので、自主調査の取組は有効に活用されていると考えられます。
めくっていただきまして、10ページでございます。
次に、調査及び区域指定に関する施行状況を踏まえての現状と課題というところでございます。
法律では、有害物質使用特定施設の廃止時に土壌汚染状況調査が義務づけられておりますけれども、操業中の施設の敷地における土地の形質の変更や土壌の搬出には規制がないというところでございます。
また、廃止した場合でありましても、継続的に工場として使用し続ける場合などにつきましては、調査が一時的に免除されているというようなところでございまして、こういった施設が約8割ございます。
11ページ目でございますけれども、一方で、これらの土地につきましては、約3~5割の割合で土壌汚染が確認されることがある場所でございまして、自治体へのアンケートの結果でございますけれども、そういったところから搬出された汚染の土壌の量が、約9万5,000トンというようなことでございました。
このことを踏まえますと、有害物質使用特定施設の操業中や調査の義務が一時的免除中になっている土地でございましても、同様の割合で基準不適合土壌が存在して、操業中や一時的免除中に当該土地の形質の変更や土壌搬出が行われる場合には、汚染の拡散が懸念されるところでございます。
こういったことを踏まえまして、一番下になりますけれども、施設の操業中や一時的免除中の事業場であっても、形質変更や搬出の規制をすべきではないかという点について、論点として挙げさせていただいてございます。
めくっていただきまして、12ページ目でございます。
平成24年に水質汚濁防止法が改正されておりまして、この後に設置されました有害物質使用特定施設につきましては、地下浸透防止措置が強化されておりますので、一律の土壌汚染状況調査を実施するのは過剰である可能性がございます。このことから、論点としまして地下浸透防止措置が実施されていれば調査を免除、または軽減してもよいのではないかということを挙げさせていただきました。
それから、二つ目でございますけれども、有害物質使用特定施設における調査につきましては、土地所有者に義務が課されておりますけれども、施設設置者と土地所有者が異なるケースが約3割存在しておりまして、設置者の協力が得られない場合は、使用等をされていた物質や位置の特定に支障を生じているところでございます。
こういったことを踏まえまして、設置者と土地所有者が異なる場合につきまして、有害物質使用特定施設設置者の協力を求めるべきではないかということについても、論点として挙げさせていただいているところございます。
次に、13ページ目、一定規模以上の土地の形質の変更を実施する場合ですけれども、この場合は、その形質の変更の内容を届け出て、その届出をもとに都道府県知事が公的届出資料等の行政側が保有している情報をもとに、汚染のおそれがあるかどうかを判断して、汚染のおそれがあるという場合には、調査の命令が行われるということになっておりますけれども、都道府県によっては、より正確に汚染のおそれを判断するために、土地所有者等が把握している資料等についても、事前の提出を求めているところでございます。
また、届出が行われた上で都道府県による判断がされて、その後、調査が行われる仕組みでございますので、手続に時間を要しているというところでございます。
これを踏まえまして、論点としまして、届出時の提出資料の在り方や、届出・命令・調査実施というプロセスを見直して、調査・手続をより迅速にできないかということについて、論点とさせていただきました。
それから、14ページでございます。
一定規模以上の土地の形質の変更が行われるときについては、全ての土地が現状は対象になっておりまして、そういった施設が設置されるような開発が行われていない土地についても、対象となっているというところでございます。こういったことの結果、全国で年間約1万件の届出が行われているのに対して、調査・命令を行われるのが数%というところでございます。
こういったことを踏まえまして、論点として、一定規模以上の土地の形質の変更の届出の対象となる土地の範囲につきましては、利用用途等を踏まえて適正化すべきではないかという点を挙げてございます。
次に、15ページ目でございますが、こういった土地の形質の変更の際、調査の対象の範囲でございますけれども、現状は深さ10メートルまでというふうになってございます。
このために、土地の形質の変更による汚染の拡散がない深度方向についても、その掘削の範囲外まで、場合によっては調査の対象となるということがございますので、論点としまして、土地の形質の変更により汚染の拡散をもたらすおそれがない部分につきましては、調査対象外としてもよいのではないかということを挙げてございます。
16ページ目でございます。
土壌汚染が確認された後の区域指定に係る基準についてでございますが、地下水経由の健康被害のおそれの有無につきましては、特定有害物質を含む地下水が到達し得る範囲を特定して、その範囲内に飲用井戸等が存在するか否かによって判断することになってございます。こちらについて個々の事例ごとに地下水の流向等々を踏まえて設定されることが望ましいとされておりますが、実際には、参考として示されております一定の距離の目安が用いられているというようなところでございます。
こういった状況から、論点としまして、地下水が到達し得る範囲については、個々の事例ごとに設定されるよう促すべきではないかということを挙げてございます。
その次が17ページでございますけれども、その地下水が到達し得る範囲に存在する飲用井戸の把握の状況ですけれども、自治体が地域の実情に応じて飲用井戸台帳の整備等、それぞれの方法で実施しているというところでございますが、一方で、飲用井戸の把握が困難であるというふうにおっしゃっている自治体もございます。このために論点としまして、飲用井戸について、より効果的・効率的に把握するにはどうしたらよいのかということを挙げてございます。
18ページ目でございます。
次から2番目としまして、区域指定が行われたところでの対策に関してでございます。調査の結果、基準不適合となりました土地については、人の健康被害が生じるおそれがあるものは要措置区域ということで、講ずべき措置の内容が明確化されて、自治体から土地所有者宛てに指示が行われます。一方で、基準不適合となった土地のうち、人の健康被害を生じるおそれがないところについては、汚染の除去等の措置は求められないというようなところでございます。
これを踏まえた状況が19ページにございますけれども、要措置区域につきましては、汚染の除去等の措置が必要でございますので、こういったことが行われて区域の指定が解除されているということでございまして、この割合が約5割というところで法改正以前とほぼ同じということでございます。
一方で、汚染の除去等が必要のない形質変更時要届出区域につきましては、措置が行われた結果、解除された区域が約3割ということで、法改正以前よりは減少して、除去等の措置は行わずに利用している土地の割合が増加してございます。
次に、20ページ目でございますけれども、指定された区域において対策が行われる場合ですけれども、現状では掘削除去が行われる割合が高くて、両区域とも約8割程度ということになっているところでございます。
次に、21ページ、汚染土壌の搬出に関する規制でございますけれども、区域指定されたところから搬出される土壌は、原則として処理施設に搬出しなければならないというところでございますが、認定調査を行いまして、全ての特定有害物質について基準適合を確認できれば健全土壌として取り扱うことができるという仕組みになってございます。
22ページ目でございます。
この状況を受けた汚染土壌の処理状況でございますが、平成26年度には約160万トンの汚染土壌が処理施設で処理されておりまして、処理施設としては、現在許可施設は98事業所となってございます。認定調査のほうにつきまして、認定調査が行われて基準適合土壌となったものが、約40万トンということでございました。
23ページ目以降が、現状と課題になってきますけれども、要措置区域で行う指示措置等の確認の状況でございますけれども、現状、要措置区域に指定されている195件のうち、措置が未実施であるというところは、11件のみというふうになっているところでございます。
めくっていただきまして24ページでございます。
一方で、要措置区域において土地所有者の方が実施する措置につきましては、指示措置のほかに、これと同等の措置の実施についても認められてございますけれども、都道府県による確認が法令上は定められておりませんので、計画段階や措置の完了時に具体的な実施内容の確認が行われていないケースがあるということがわかってございます。
また、25ページのほうでございますけれども、実際の指示措置を行う中には、分解生成物が生ずるような措置の場合もございますけれども、現状では措置完了時の地下水のモニタリングについては、分解生成物については必要がなくて、そういう意味で分解生成物による汚染について考慮されていない部分がございます。
また、その措置の中には、約3割ほど、現に地下水汚染が生じていないために、地下水のモニタリングが実施されているということがございますけれども、こちらについては期限が定められておりませんので、土地所有者の負担になっているというようなところがございます。
それから、要措置区域等における措置の完了時に、台帳から記録を消除するということでございますけれども、こちらについては、措置を行う側にはインセンティブになるという一方で、消除されることによって、過去の汚染状況や講じた措置を把握することが困難になるというような指摘がございます。
こういったことを踏まえまして、論点としまして要措置区域に関して、より詳細な手続を設け、措置実施計画や完了報告の自治体への届出や、自治体による確認が行われるようにすべきではないか。分解生成物への対応や地下水の測定の実施期間につきましても、この措置実施計画の中で明らかにすべきではないか。また、要措置区域等における措置の完了時に、台帳に記載されている区域指定等の情報はどのように取り扱うかということを論点として挙げてございます。
26ページ目でございますけれども、要措置区域等における施行の方法でございます。
要措置区域における措置については、飛散流出防止のみが定められている一方で、形質変更時要届出区域については、準不透水層まで鋼矢板を設置する必要があるなど、結果的にコストの増大、開発計画の中止を招いている可能性もございます。
こういったことを踏まえまして、論点としまして健康被害のおそれのある要措置区域及び健康被害のおそれがない形質変更時要届出区域において、それぞれどのような施行方法が適切かということを論点として挙げてございます。
27ページでございますけれども、土壌汚染状況調査の結果、一つの事業場の土地は一連の開発行為が行われる土地でございましても、汚染のある区画が連続しない形で指定されるというところがございます。この場合、現場で汚染の除去等の措置を行おうとしましても、連続しない区域間での土壌を移動することができないので支障を生じているというところがございます。このため、論点としまして、こういった場合に単位区画間の土壌の移動を認めるべきかということを挙げてございます。
次に、28ページでございます。
搬出時の認定調査等ということでございますが、認定調査につきましては、区域指定の対象の物質だけでなく、原則として全ての物質が対象となっているために、調査の負担が多く、その結果として汚染がないものまで施設に搬出されているという事例がございますので、論点として認定調査を合理的に実施するには、どのような仕組みとすべきかということを挙げてございます。
次に、29ページ、臨海部の工業専用地域の取扱いでございます。
埋立地に立地する工業専用地域については、調査の結果、区域指定されるところ、汚染があるところについては、約5割程度存在するものの、一般の居住者による地下水の飲用及び土壌の直接摂取による健康リスクが低いと考えられるため、工業専用地域の土地の形質の変更については、その健康へのリスクに応じた規制とすべきであるとのご指摘がございますので、論点としまして、「臨海部の工業専用地域において、特例措置を設けるべきか」ということを挙げてございます。
次に、30ページでございますが、自然由来・埋立材由来基準不適合土壌の取扱いでございますが、こういったものにつきましては濃度が比較的低く、かつ地質的に同様な状態で広がっているということ、また、土地所有者が、汚染原因者でないにもかからず搬出する場合には、従来と同様に処理施設での処理が義務づけられているために、人の健康リスクに応じた必要最小限の規制とすべきというご指摘がございます。こういったものにつきましては、現場での管理や活用を推進することにより、土壌を運搬する際等に発生する環境負荷の低減を図ることができるのではないかというようなご意見がございます。
一方で、自然由来でありましても、溶出量基準不適合の場合、たとえば砒素や、ふっ素などで約2割の地点で地下水の環境基準不適合となっていることについては、留意が必要であるというところでございます。
こういった状況を踏まえまして、論点として自然由来及び埋立材由来による基準不適合土壌につきまして、有効活用等ができるような仕組みを設けるべきではないかということを挙げてございます。
次に、汚染土壌処理施設における処理でございますけれども、搬出する場合については処理施設への処理が義務づけられているというようなところでございますが、処理業者から都道府県知事に対する処理状況の報告につきましては、ガイドラインで促してはいるものの、約半数の処理業者から報告が行われていないというようなことで、都道府県による確認がとれていないものが存在してございます。このことを受けまして、論点として汚染土壌の適正処理を確認するため、処理施設からの報告を徹底する必要があるのではないかという点を挙げてございます。
32ページ以降、その他ということでございますけれども、まず、指定調査機関でございます。土壌汚染状況調査につきましては、試料の採取地点の選定、採取方法などにより結果が大きく左右されますので、経理的基礎及び技術的能力を有している者を指定して、調査を実施しているという仕組みでございますが、現状の調査の中では、技術管理者が適切に調査を指揮・監督できていないと思われる事例などがございます。
そのために、論点としまして、指定調査機関の技術的能力の向上のためにはどのような対応が必要か、技術管理者の十分な育成ができているかなどを挙げているところでございます。
33ページ目、基金でございます。
法制定以降、基金による助成金の交付事業の実績は2件ということでございます。現状の調査では、助成金の交付対象になる案件はございませんでしたが、基金制度の継続の必要性、今後のあり方が課題となってございますので、論点として基金の利用を促すにはどのような対応が必要かということを挙げてございます。
34ページ目でございます。
土壌溶出量試験につきましては、アメリカやドイツで地下水への汚染の拡散を管理・評価する際に取り入れられているほか、ISOにおいても検討が進められておりまして、このような状況を踏まえた日本の測定方法のあり方についても検討が必要となってございますので、論点として諸外国の分析方法を踏まえ、土壌の汚染状態をより適切に分析できるような方法とすべきではないかということを挙げてございます。
最後に、35ページ目、参考でございますけれども、これまでの規制改革等でのご指摘があった事項について挙げてございます。
まず、規制改革実施計画につきましては、平成27年6月30日に閣議決定されてございまして、国際制度比較調査の実施、形質変更時の届出要件の見直し、自然由来物質に係る規制の見直し等、指摘があって検討し、結論を得るということになってございます。
それから、2番目の「日本再興戦略」。これも昨年6月の閣議決定でございますけれども、自然由来の汚染土壌の規制の在り方について、事業者等の意見を踏まえつつ、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、早期に短期間で可能なものについては、国家戦略特区において試行的に開始するというふうにされているところでございまして、これを受けまして、対応状況のところに書いてございますけれども、認定調査の調査対象物質を区域指定対象物質等に限定するというようなものを、この国家戦略特区内で行うというところについて、公布、施行しておりまして、東京圏及び関西圏については特例措置として認定申請することが決まっているというような状況でございます。
長くなりましたけれども、私のほうからの資料6の説明を終わります。
(清水土壌環境課課長補佐)
続きまして、海外の土壌汚染対策制度に関する調査結果、資料7番、A3横長のものでございます。
こちらにつきまして、私、土壌環境課、清水より説明させていただきます。
これは、規制改革会議から国際的な制度比較を実施することなどを要請されていたことを踏まえまして、実際に現地調査、各国行政機関から聴取するなどしまして調べた内容を、この表の形に整理させていただいたものでございます。横軸に各国の国名と、縦軸に比較項目を記載した表となってございます。
順に1ページ目より説明させていただきます。
まず、1番目、法律の名称でございます。各国ともそれぞれ法律がございますけれども、イギリスは特に土壌に特化した法律ということにはなってございません。アメリカにつきましても、スーパーファンド法というのがよく知られてございますけれども、これも広く環境汚染についての補償や責任のあり方というのを決めたものという立てつけになってございます。
2番目、規制目的でございます。国によっては、日本で言うところの法目的という規定がないような場合もありますので、規定を概観した場合に、考慮されているであろう要点を整理する形でつくってみました。人の健康の保護というものは、概ね各国共通でございまして、国によっては、それに加えまして生態系なども考慮している例もございます。
続きまして、3番目、規制対象物質でございます。こちらも国によってまちまちでございますけれども、日本と同程度の数を規制している国から、上は、アメリカの800程度というところまでばらつきがございます。これは、化合物を1物質と数えるかどうかなども影響していると見られます。
4番目、調査の契機と調査実施者でございますけれども、こちらは、オランダやイギリスなどは工場を新設する場合などの一定の開発行為を契機とするという点では、日本に比較的似ていると思われます。ほかの国は、行政が初期の調査を実施して、必要があれば、さらなる詳細な調査を汚染原因者などが行うという仕組みになってございます。
続きまして、2ページ目、裏面をご覧ください。
5番目の対策が必要かどうか、あるいは、浄化の目標の決め方でございますけども、国ごとにリスク評価の仕組みがそれぞれ備わってございまして、概ね各国ケース・バイ・ケースで浄化目標を決めるという仕組みになってございます。破線部の下でございますけれども、対策判断に用いる指標の考え方をこちらに整理してございます。各国さまざま、いろんな値をつくってございますけれども、指標自体は、いろいろな制度にそれぞれひもづいていて、同列に比較することは困難である一方で、発がん性リスクなどの根本的なリスクのコントロールの仕方で見る場合、概ね健康被害のリスクが10万分の1となるような値で規制しているということが読み取れます。
続きまして、6番目の対策の実施者などでございます。費用負担の問題なども絡みますので、こちらに基金の有無などの情報もあわせて触れてございます。対策の実施者は、汚染原因者や土地の所有者が実施するということが基本になってございます。国によっては古い汚染、歴史的な汚染につきましては、国が費用負担をするなど、一定の条件下で国による費用負担の制度を設けている例もございます。
対策の内容につきましては、日本では必要な最低限の措置を指示措置として行う仕組みになってございますけども、海外の場合は、概ね専門家や関係者を交えて、ケースごとに対策を決定していくという仕組みになってございます。アメリカの場合は、それに加えまして対策終了後も5年ごとにレビューを行って、レビュー結果によりましては、調査や対策を再度行うという仕組みが法律の規定上設けられてございます。
続きまして、3ページ目、7番をご覧ください。こちらの7番は、搬出の際の規制を整理してございます。
日本では、指定区域内の土壌の搬出を規制するという形になってございますけれども、海外は、汚染土壌を廃棄物扱いするということにしておりまして、廃棄物関係の法令で規制されることになってございます。ドイツやオランダの場合は、それに加えて再利用が比較的進んでおります。
あわせて、この項目において、いわゆる溶出量試験の扱いについてもこちらに記載させておりまして、主に搬出や再利用の際に溶出量試験を扱う例が多いということで、ここに触れてございます。
続きまして、8番でございます。自然由来の取り扱いでございますが、いわゆる自然由来の物質で汚染された土壌につきましては、殊更浄化対策を求めないという点では、各国とも一致してございます。
他方で、イギリスやアメリカの場合は、汚染の度合いが高い場合には、法に基づかなくても、事実上の対策を求めているという例もございます。
続きまして、9番、自然由来で汚染された土壌の搬出の際の取扱いでございます。こちらは、さきに触れましたように、日本では区域指定されれば搬出規制がかかるということでございますけども、海外では、自然由来かどうかというものに関係なく、廃棄物の関係法令でありますとか再利用のルールに基づいて、個別判断されて必要な規制がされるということになってございます。
最後に10番、土壌汚染の情報の取扱いでございます。日本では、土地台帳というものが法定されてございまして、そこに必要な情報が記載されていまして、区域解除されれば、その情報は削除、消除されるという仕組みになってございますが、海外の場合では、日本よりも公開の度合いが進んでいると見えまして、ただ、その公開の程度は各国ともばらばらでございます。一番進んでいるのはアメリカでございまして、行政情報を全て公開するという法律がそもそもありまして、それに基づきまして対策が終了した土地についても、なお情報は公開されるという、非常に情報公開が進んだ仕組みになってございます。
簡単ではございますが、こちらの資料7番につきましての説明は以上でございます。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
それでは、ただいままでのところでご説明をいただきました。これについて、皆様方からご質問なり、ご意見なり、コメントなりをいただきたいと思います。
大塚委員どうぞ。
(大塚臨時委員)
今、非常に丁寧にご説明いただいて現状がよくわかってきているところでございますけども、私自身が特に気にしなくてはいけないと思っているところを2、3点申し上げますと、一つは、24ページのところでして、計画段階とか措置の完了時に、具体的に実施内容の確認が行われていない。あるいは、指示措置についてどういうふうに計画的に指示に沿ってやっていただくかに関して、行政のほうが全くタッチできていないという問題がございます。
これは、2009年改正の前の、答申のその前の検討会では少なくとも打ち出されていたところですが、なぜかその後消えてしまっているところでもございますし、先ほどの海外のご説明の中でも、こういうところに関しては、かなり諸外国ではやっているということでございますので、ぜひこれは今回の検討では充実させていただきたいというふうに考えているところでございます。
あと、幾つか論点になり得るところとして気になっているのは、11ページのところでございますけども、調査義務の一時免除中の土地とか、あるいは操業中の土地に関して、先ほどご説明ございましたように、3割から5割について土壌汚染が確認されているということでございますが、これは、場合によっては正直者が馬鹿を見るということにもなりますので、操業中に搬出してしまえば規制を逃れることができるということも全く考えられないわけではないので、そういうことも検討しながら、ぜひ検討進めていくべきではないかというふうに考えているところでございます。
あと二つだけ申し上げます。
気になっているのは31ページのところで、これも土壌汚染の場合は、廃棄物と違っていて、汚染土壌の処理業者さんの許可が100件しかないということですので、ここにかなり実際の重要な役割をというか、責任をお願いしているようなところがあると思いますけども、そちらのほうからぜひ処理状況の報告をしていただきたいということがございまして、ガイドラインはあるわけですけどもあまり実際にはなされていないものも多いということでございまして、この点も何らの徹底をしていく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
最後の1点ですが、33ページの基金のところですけども、未実施11件については、こういう分類だというふうにご説明いただいていますけども、都道府県知事がその指示を出すときに、ある程度この人は本当に措置ができるかどうかを考えながら出している可能性は、私はなくはないと思っていまして、そういうことを考えながら基金というのは、ぜひ継続していく必要があるんじゃないか。さらに使いやすくしていただくとありがたいと思いますけども、また、融資とかに関しても汚染原因者を含めて融資とかは考えられると思いますけども、使いやすくというのは具体的には助成金の交付に関して現在、資本金3億円以上になっていますが、その辺を変えるとかいろんなことが考えられると思いますが、拡大が難しいとしても継続は少なくともしていただく必要があると考えています。
簡単ですが、すみません。
(浅野委員長)
ありがとうございました。では岡田委員どうぞ。
(岡田委員)
質問ですけれども、2点ありまして、最後のほうから。
35ページのところで、自然由来土壌の取り扱いについて、試行的に開始するというところまでいっているようですが、一方で別紙の資料7、諸外国の制度と比較したと。
その結果、日本の今、自然由来土壌に関する規制のやり方、その他は諸外国と比べてどのくらい厳しくなっているのか、何が違うのか。ぱっとこれ聞いた限りではよくわからないので、何が一番違うのかというのをご説明いただきたいと思うこと。
それから、あと一つは、これはもうちょっと単純な話ですが、28ページのところで、搬出時の認定調査等というのがずっとあって、一番上のパラグラフのぽちのところで、「結果として、汚染がないものまで汚染土壌処理施設に排出される事例が多い」というのは、これは具体的にどういうことが起きているのか、ご説明いただければと思います。
(浅野委員長)
それでは、まず諸外国との比較について、事務局からお答えください。
(清水土壌環境課課長補佐)
まず、諸外国における自然由来の汚染土壌の搬出規制を日本と比較した場合という件でございますが、そもそも日本の場合は区域指定を行って、区域指定されたところからの土壌の搬出を規制するという仕組みになってございまして、他方で各国は、外国の場合は、そもそも廃棄物として扱われるため、法制度上、区域指定というものが必要としない立てつけになってございます。
その意味では、大きく違う点としては、区域指定の有無ということになりますけれども、今申し上げたように、そもそもどういう形で汚染土壌を把握するのかという仕組み自体が違いますので、そこはやむを得ない点もあろうかと思ってございます。
また、海外の場合は今申し上げたように廃棄物として扱われるということになりますので、場合によっては、廃棄物に該当するという判断をされれば、むしろ海外のほうが厳しいと思われる例もあろうかとは思われます。
以上、簡単ではございます。
(浅野委員長)
要するに、構造が全く違うという説明ですね、つまり、廃棄物扱いであるということなので、廃棄物規制がかかる。
外国の場合に、廃棄物であるかどうかは、誰がどうやって決めるのかがわからない、ということもご質問に含まれているのかもしれません。
(岡田委員)
それからあと一つ、区域指定をすることによって、一見同じような自然由来の汚染土壌でも、日本のほうがたくさん持ち出す必要があるのか、外国のほうが少なくてすむのか。
要するに、立てつけの違いによって日本のほうがたくさん持ち出しているのか、少ないのか。
要は、わざわざ特区にせいと言うから、多分大き過ぎるんじゃないかなという仮説で聞いているんですけど、そういう具体的な違いを知りたかったんです。
(浅野委員長)
これは、残念ながらこの程度の調査では明らかにはできないと答える以外ないようですね。
(清水土壌環境課課長補佐)
そうですね、今回主に土壌の各国の法制度に着目して調査をしたということもあって、廃棄物法制まで含めて関係者から聴取するという時間的余裕まではありませんでしたので、そこまで施行状況とかも含めた詳細までは聞き取ることはできておりません。
(浅野委員長)
この点は引き続き、なお情報収集をされたらいいですね。
(是澤土壌環境課長)
ただいまご質問のありました、これは日本の場合ということになりますが、区域指定をしていることが搬出量の増大につながるかということについてだけ申し上げますと、この自然由来の特例区域のようなところについては、基本的には何もしなくていい、対策は講じなくてもいいというのが原則でありますので、制度の側から搬出を増大させるような方向に働いているというのは、ないんじゃなかろうかとは思っております。
詳しくは、繰り返しになりますが、海外の廃棄物汚染なども踏まえながら、もう少し深く検討してみたいと思います。
(浅野委員長)
もう一点の質問について、事務局からどうぞ。
(青竹土壌環境課課長補佐)
28ページのほうの2、搬出時の認定調査のときに、汚染がないものまで汚染土壌処理施設に搬出されている事例が多いというのはどういったことかというご質問だったかと思います。
土壌汚染対策法では、先ほどからお話がありますように、まず汚染があるところについては、深度方向に限らず少しでも汚染があれば、そこのところは基本的に区域が指定されるということになってございます。
そういったことから、深度方向に汚染がないかどうかというのをチェックするということで搬出時の認定調査というような仕組みがございまして、その結果として、その深度方向で、そのある一定のところは汚染がないということが確認されれば、普通の健全土として扱うことができるわけですけれども、この調査では25物質すべての調査を、各深度についてやらないとというふうなことになってございまして、この負担が大きいために、時間がない場合等は全て処理施設に持っていってしまっているというようなところでございます。
(浅野委員長)
よろしいですね。では、細見委員どうぞ。
(細見臨時委員)
先ほどの自然由来の件ですけれども、区域指定が一番、多分、諸外国とは違うと思うんですけれども、あとは、責任主体が土地所有者というふうになると、区域指定されることによって重みが、かなり、自然由来であっても土地の値段とか、そういうところに反映されてくると思いますので、どうしてもいろんな対策を講じるケースが増えてくるんではないかというふうに思います。
基準が厳しいどうかというよりは。
(浅野委員長)
今のお話はよく承っておきます。さらにまたどうするか考えなくてはいけませんね。
駒井委員、どうぞ。
(駒井専門委員)
自然由来の話です。
私は何回も申し上げていますが、イギリス、ドイツ、アメリカ等、これは何で規制外にしているかというと、規制の対象の方法が全く違うんです。諸外国はリスクベースです。日本の場合は基準ベースです。
ということは、リスク曝露があるかないかで判断されますので、現実でいうと、ほとんど適用されるケースはないと思います。
私は地質学者ですので、あえて言いますと、日本国内で自然由来の重金属に関しての曝露管理をすべきところほとんどないと思います。
これは、津波堆積物で私は調査しましたので明解になったんですが、500点を調査してリスク値が超過をしたのは、わずか2、3点です。ですから、ほとんどないというのが現状です。
ただし、その2、3点の中に注目すべきところはありました。ヒ素です。
ふっ素は自然の暴露が高いので、ほとんど問題になりません。問題が生ずるとすると、ヒ素です。ですから、そういう論点になります。
(浅野委員長)
実際に私の経験では、どっかから土を持ってきて造成した場所でヒ素が出てきたので、調べたら、その辺の土地は全部汚れていて、持ってきてみたら結構高濃度であったという事例に出会ったことがありました。だから、基準のつくり方も問題なのかもしれませんね。
(駒井専門委員)
そうですね。基準というよりは、多分リスクベースでいかれたほうがいいかなとは思います。
(浅野委員長)
ありがとうございました。平田委員、どうぞ。
(平田臨時委員)
最初に浅野先生が、一番最初に、日本の制度、対策が過度なものになっているのではないかという懸念があると。そういう意味で、資料7のところに、諸外国と日本の制度を比較しましょうと、そういうことになっていると思うんです。
もともと私の理解は、欧米、アメリカも、最初は環境基準値的なもので対策をしようとしたんですけれども、それでは立ち行かなくなって、特にブラウンフィールドの問題が起こって、リスクベースということになるんです。
多分、社会一般の方、特に民間企業の方は、リスクベースにすれば何か対策が緩くなるんではないかという淡い期待があるのかもしれないんですが、必ずしも、そういう場合だけではない。例えばヒ素はそうだし、浅野先生がおっしゃったように土を持ってきたとか持ってこないとかそういうような話もたくさんあるんです。そういう意味では、そういうことも考慮しながら考えていく。そういうところで、環境省は、今回は踏み込んでいるんです。例えば地下水の拡散のところがありましたね。
16ページで、汚染土壌があって、地下水があって拡散していくという、いわゆるリスクベースになるときに、ここは非常に大きな問題になるので、これはひとつ自治体のほうに、あるいは民間企業でもいいんですけれども、こういうことをやってみたらどうかと、そういう提案で、私は大賛成なんですが、そのときに注意しなきゃいけないのは、やりましたと、やったときに、いろんなモデルを使ってやった。拡散にしましても、流れにしましても、いろんなパターンがありますし、こういう場合にはこういうものを使うとか、あるいは物質に対しても吸着脱着等々の細かい話、パラメータのことがありますので、そういうところにはどうしても、自治体は多分関与できないと思いますので、国が直接関与していかざるを得ないのかなという感じがしてございますので、ぜひ、そのようなところは前向きにということと、もう一つ、とても厄介なことになってくる問題があります。
自然由来であろうと、あるいは人為的な汚染であろうと、簡単に動かしちゃいますと、その動かした土地そのものの由来を改めて調査しなきゃいけないということも出てまいりますので、その辺のところも十分注意されて、これから細かいところ検討していくと思うんですけど、リスクと絡めてそういったことも検討していただきたい。
最後のほうで、割と緩く動かしたらどうかという話があるんですけれども、それは土地の所有者にとってもマイナスになることも多いということだと思います。
そういうときにリスクを使うんであれば、使ってもいいかなという感じいたしますけれども、どう使うんだ、どういうモデルでどう計算するんだというようなことは、きちっと、これは国なり自治体なりが関与してやっていく必要があるかなというように思っています。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
今の問題は、かなり悩ましい問題ですね。今のやり方は、土地の地図の上にしゅっと線を引っ張って、これで下の全部を押さえたことにしていますけど、実際には下で地下水が流れていれば地表の線引きとは関係なしに汚染物質が流れていくこともあるわけで、それを追いかけることはなかなか難しいことがありそうですね。
だから、この話は一体、土壌汚染なのか、地下水の話なのかという問題にもつながりそうです。
以前から、中杉前委員もこの点を随分指摘しておられて、制度的に考え直しというご意見を強くもっておられたということも思い出されます。多分、土壌農薬課は、地下水との関係についてもちゃんと考えておられると思うので、これからどうやって議論するか考えなくてはいけない問題です。
佐々木委員どうぞ。
(佐々木専門委員)
調査方法について、今回、各国の調査を資料7でお示しいただいたときに、よその国では、ケースによっていろいろと対応されているというようなご説明があったと思うのですけれども、法律をそう簡単に変えることは難しいかもしれませんけれども、例えば、環境省の3.11の後の津波の影響調査では、表層から5cmのみで調査を行っていたと思うのです。
特に第二種などの場合に、大気由来の金属による汚染を、何カ所か私自身も知っておりまして、そういった場合に、5cm、50cmというような調査を行うと実は汚染が見えなくなる。正しいリスクが把握できなくなるというようなことが一つ課題としてあると思います。
ケースによって地歴等を調べて、表層から浅い範囲を処理さえすれば少し広域になるかもしれませんが深いところの処理は要らないという場合もあるというふうに、思っています。
もう一点は、特に中小の方などの狭い敷地内で、10mメッシュで調べるというのは、調査費用の軽減化ということでの考えかもしれませんが、1点で汚染があると、その範囲は全て汚染土壌ということになってしまいます。
ただ、具体的に、私どもが何点か調べたときには、そこが全て汚染しているというわけではないところもございました。地歴等を考えて、調査主体の方がより詳細にメッシュで調査をして、ここだけが汚染地であるというふうに絞り込みも選択できるようにしますと、処理費用が非常に低コストになって処理対策が進むのではないかというふうに考えております。ご検討いただければと思います。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
では、浅見委員、どうぞ。
(浅見臨時委員)
ありがとうございます。今日、海外の状況もお話いただいて、半分質問なんですけれども、規制の目的のところで、日本は人の健康が主でほかの部分があまり書いていないんですけれども、ここでほかの物も入れるべきなのかどうかというところが、議論の一つかなと思っております。
また、人の健康の保護とありましても、地下水から下流の方が飲まれてという過程で計算する場合と、あと、例えば粉じんですとか、土壌で何かを栽培したものとかまで考えるのかどうかとか、それもほかの海外のところと比べないといけないのかなと、具体的にこの根拠を当たって、どこまで人の健康の保護を、どういう考え方で当たっているのかというところをもうちょっと教えていただけるとありがたいと思いました。
特に、原位置の処理みたいなのがここにどういう形で入っているのかがわからないんですけれども、動かしてしまうだけではなくて、その場で封じ込めをするとか、実際上、もうそれで動かなくなってしまえば、ほかのところに運ぶよりも制御が簡単だというような場合には、周辺の方も皆さん合意されて、ほかに影響がなければ、そういうことで済ませられる場合もあるかと思うんですけれども、そういうことがどの辺に入ってくるのかなというのを思っております。
先ほど、地下水のご指摘がありましたけれども、地下水の汚染が何mというのをガイドラインに従って単純に計算しても、場所によって事情が違うのと、下に何があるかというところも非常に異なると思いますので、そういうところを、ケース・バイ・ケースというのをどういうふうにやっていくのを念頭に置かれているのかというのが若干わからないんですけれども、費用がかかり過ぎるというのも問題だと思いますので、そういった対策がとられるといいなというふうに思っております。
以上です。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
事務局に今すぐ答えろと言っても多分困るでしょうから、考えておけと言われたということにしておいていただきたいと思います。
ただ、どうして人の健康の保護を法律の目的にしたかというと、最初の立法当時は、土壌汚染対策でこんな規制の法律をつくることについて、結構、抵抗がありました。
それで、特に地価などにも響いてくるおそれがあるのではないかということでの抵抗が強かったんです。
それで、人の健康の保護のために法律をつくるんだと言えば誰も正面切って反対はできないであろうから、というので、とりあえずはそうしたということでした。
恐らく、生態系保護とか、生物の保護というのは時代の流れで出てくるんでしょう。しかし、化学物質の扱いについても生態系保護を含めるのにはずいぶんの時間かかりましたから、土壌汚染で目的をそこまで広げるのには時間が必要なのかもしれません。おそらく地下水との関連を整えることが急がれるのではないかと思ってたりもいたしますが、先々は生物や生態系の保護を視野にいれるべきことになるんではないかなと思ったりしています。
その他のご質問については、次回以降に事務局からお答えをいただくことにさせてください。
それでは、丹野委員、どうぞ。
(丹野専門委員)
東京都の丹野でございます。
東京都は、もう皆様もご存じのとおり、現場としては恐らく、自治体の区割りでいきますと一番件数的に持っておりまして、指定件数、要措置や、形質変更時要届出区域の指定件数も圧倒的に多くを持っているということで、現場からの声を、ぜひ今回の法改正に生かしていただければということで、東京都として検討委員会というものを設置いたしまして、こちらにいらっしゃいます大塚先生、駒井先生、佐々木先生にも、その検討委員会のほうには参加していただきまして、1年間かけて国に対する意見ということで、取りまとめをさせていただきまして、つい先日なんですが、3月24日に環境省さんのほうに提出させていただきまして、同日、東京都のほうで、記者クラブのほうにプレス発表ということで投げ込ませていただきました。
今回お示しいただいた、この資料6の内容なんですけども、ほぼ私どもの現場の声も取り入れていただいたような論点というか、そういった視点の項目が入れていただけたということで、大変感謝というか、現場を持つ東京都としても、かなり有意義な内容であるというふうに感じているところですが、その中でも特に実現していただきたいなと思っているところが、先ほどから出ております認定調査の部分です。
これは、実際に基準適合土壌が汚染土壌処理施設に持ち込まれているという現状がございます。
汚染土壌処理施設のほうにつきましては、まだ認定というか、許可がおりている施設が数少ないということで、こちらのほうも、かなり逼迫しているという状況も聞いておりますので、しかも、都内におきましては今のところ1カ所しか許可が下りておりません。
ということで、ほぼ汚染土壌につきましては都外に搬出ということになっておりますので、そういったことも考えますと、認定調査につきましては、ぜひ調査の項目数を削減して、適正化していただければというふうに考えております。
あと、自然由来の汚染土壌ですとか、埋立土由来の汚染土壌につきましても、移動について、もう少し同じような汚染状態のものについては、相互に移動できるような仕組みなどをつくっていただければというふうに考えております。
先ほど、浅野委員長のほうからありましたとおり、海防法、海洋汚染防止法の基準で埋め立てられた埋立地が、即土壌汚染対策法上の汚染土壌になってしまうというケースがございまして、そういったことで、現場を見ていて問題になったようなケースもございますので、そういったことから、自然由来ですとか、埋立土由来の汚染土についての移動も、もうちょっと検討していただければということをお願いしたいと思います。
あと、特に先ほどから出ている飲用井戸の件なんですけれども、こちらは恐らく、どの自治体でも同じく、懸念というか、問題というふうに取り上げられていると思われます。
まず、飲用井戸の定義というのが細かいところまで明確になっていないというところと、飲用井戸は個人の所有財産なんですが、こちらの所在を把握する仕組みというのが、東京都におきましては確実に構築されておりませんので、ここが要措置区域になるか、形質変更時要届出区域になるかというところの肝になってまいりますので、この辺りをどうにか規定していただければというふうに考えております。
あと、こちらも先ほどから、ほかの先生方からもお話が出ていますが、調査から区域指定まではかなり細かく規定されているんですが、その後の実際の対策を行うに当たって、どういうふうにやるのか、計画段階での行政の関与ですとか、措置が完了した後の行政の関与というところがかなり薄いなと。最初の入り口の部分は濃いんですが、ただ、実際に重要なのは、対策をとって、その後、完了がどうなったかというところの確認なんですけども、そこについては、きっちり規定していただければというふうに考えております。
その他、いろいろと今回の意見につきましては、18項目にわたりまして東京都のほうからもさせていただいておりますので、おいおい先ほど自治体からのヒアリングの機会もあるというふうにスケジュール上で伺っておりますので、その際にでも現場の実情を踏まえた意見ということで発言させていただければと考えております。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
それでは、勝見委員、いかがでございましょう。
(勝見専門委員)
ありがとうございます。
冒頭、自然由来の基準不適合土壌のお話もございました。それから途中、委員長から人の健康の保護ということでお言葉もございました。
土壌の制度が人の健康の保護を目的としているということでございますけれども、目的の中には明示的には入り得ないものなのかもしれないのですけども、土を資源として見るということも私は大変重要だと思っています。
私自身は、土木学、地盤工学の専門で、建設工事、開発工事等で土が出てきて、あるいは土を必要としているという現場があって、うまく使ってやれば使えるのにという土が使われなくて、新しい土をどっかから持ってこないといけないということも、トータルで見ると、それは環境という点でも、それから経済的にもあまりよろしくないことでないかということを感じています。
冒頭にご議論がありました国際比較についても、オランダなんかは昔に聞いた話では、できるだけ土を無駄遣いしないんだということも聞いていますし、ドイツでは先ほどもちらっと話ありました低レベルの汚染土壌であれば一定の管理のもとで、あるいは一定の条件下で建設工事等に使っていくというようなこともございます。
一方で、30ページ、資料6を見ますと、基準不適合土壌については、基本的には土壌処理施設に持っていかないといけないということでございますけれども、これを何らかの形で、もちろん一定の管理をしている、あるいは、リスクはないというような条件のもとで使っていくという道筋も制度としてあって、もちろん制度があれば土の利用が進むかというと、必ずしもそうではない、それには技術的なものと制度的なものと、それから関係者、一般の方々を含めての理解が必要だと思いますけれども、そういう制度があるということも重要なのではないかなという具合に考えております。
以上です。
(浅野委員長)
どうもありがとうございました。
ただいままでの議論になかった視点も入れていただきまして、大変参考になりました。
寺浦委員、いかがでしょうか。
(寺浦専門委員)
寺浦でございます。
まず最初の、11ページのところの操業中や一時免除中の形質変更あるいは土壌搬出という場合について、まずここで論点になっていますけども、確かに汚染の拡散が懸念されるという、その懸念点というのは同じじゃないかというところは、ある程度、非常にあるんですが、他方で、非常にこれを規制する段階になってくると影響が非常に大きくなるのではないかということもありますので、実際に具体的な、どのような懸念があるのかという点を、今後のヒアリング等の中で精査していくことが重要かなというふうに思っております。
それから、一定規模以上の土地の形質変更の際の調査、14ページのところですけども、これについては、ここに記載があるとおり、範囲が限定できるのであれば、より迅速な土地活用が進むというふうにもなると思いますし、不必要なところは、必要ではないというのはそうかなと思いますので、利用用途等を踏まえて、全く不要ですねというようなものはあると思いますので、それは精査していくというのが、そういう方向がよろしいんじゃないかなというふうに思っております。
あと、27ページにあります飛び地で指定がある場合、こういったことも、実際の事業者の方が処理をする中では問題になっている点というふうに聞いております。
それから、自然由来の点に関しては、その日本で自然由来による土壌の不適合土壌というのはもともとあるというふうな環境の中で、しかし、それを今までも利用してきている経緯とそれから今後どういうふうに利用していくかというところのバランスをとっていくというのは、非常に重要かなと思いますけれども、広範囲に同じようなその自然由来の汚染があるという場面で、先ほどもお話があったとおり、多少の移動というものは、それは同じ範囲内だというふうに考えることも可能なんじゃないかというふうな議論も聞いています。
それから、先ほど丹野委員のほうからもありましたとおり、実際の報告です。
完了報告、措置の報告であるとか、あるいは土壌汚染の処理業者のほうでの最終報告というところの報告は、今のところガイドライン等によっているということですが、きちっとした業者さんというのは、きちっと報告を公表されているということはあると思いますけれども、そこは一律に、事業者に同レベルの報告、それから、それについて情報公開というものがされていくのが一般的に好ましいのではないかなというふうに思っておりますが、その辺も、今後のヒアリング等の中で、いろんなご意見を聞いていくとよろしいかなというふうに思っております。
以上です。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
それでは、阪本委員、鈴木委員、高澤委員、高橋委員、この順番で、ご発言をお願いいたします。
(阪本専門委員)
ありがとうございます。阪本でございます。
今回の議論の中で、例えば一定規模以上の形質変更のところで3,000m2というのがございますけども、もともとの利用形態を考えて、3,000m2でも、行為によってはその届けを軽減していいんじゃないかというご議論もございます。
その中で、軽微な変更、例えば3,000m2で、駐車場をつくるのに周りに柵をつくる。そのために50cm以上の穴を何個か掘る。それだけでも届けの対象になってしまうということで、そういったことであれば、軽微な変更で届けはなくてもいいのかなというふうに感じております。
それから先ほど勝見先生が言われました自然由来の汚染土の有効利用。そういったことも考えていかないと、土の処分場が幾らあっても足りないということになってしまいますし、リスクをきっちりと把握した上で、それを適正に管理して使っていくというのは大事なことかと思っております。
あと、これは建設業として、要措置区域等の中での建設工事ですけども、杭を打設するときに、汚染土壌が全部まじった形で、建設汚泥という形で出てきます。
現状は、ほとんどの自治体では廃棄物処理法の建設汚泥と、土壌汚染対策法の汚染土壌と両方の許可を持った業者に出しなさいと。両方の管理表とマニフェストをつけて出すわけですけども、実際的にいいますと、東京都さんがこの間出されたように、産業廃棄物の建設汚泥として考えられるんじゃないか。その建設汚泥として処理することによって、建設汚泥であっても13号法の試験で必ず有害物はチェックして有害物がある程度あればもう管理型処分場に入れなきゃいけない。そういうことが、法の中で何も書かれていない。
これはパブリックコメントの返答の中で、一体となって分離できないものは両方の法律によるというふうに書かれているだけなんです。
ここのところは、そういう二つの法律にかかるというのはおかしなことかなと、無駄が多いので、その辺は明確にしていただければいいのかなというふうに思います。
それと、あともう一点あるんですけども、沿岸部の埋め立て地です。特に海域ですと、海の水がふっ素、ほう素の基準値を超えてしまっています。そこの埋め立て地に正常な土を入れても、海面下に入れた物が基準超過になってしまう。
ですから、全部が基準超過になるわけじゃないですけども、かなりの確率でなってしまいます。その辺で、海域の埋め立て地等の規制の度合い。そこから外へ出して内陸に入れてしまうと、ふっ素の基準値超過土を出すということがありますけども、沿岸の埋め立て地の中で移動するというところは、ふっ素、ほう素であれば、かなり許せるんじゃないかなというふうに思いますので、その辺も検討いただければと思います。
以上でございます。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
鈴木委員、どうぞ。
(鈴木専門委員)
海外の対策制度との比較ということで資料7が提示されていますが、日本の土地自体を外国の企業がいろいろと検討したりするケースも考えられる中で、世界の基準と日本の基準がどういうふうな関係にあるのか、明確にしていただきたいと思います。かなり細かく調べていただいていると思いますが、例えば対象物質で、私も不勉強な部分もありますが、アメリカでは800物質が対象になっているとか、そういうところで、どのぐらいの、実際のレベル感として、どういう違いがあるのかというのが、もう少し明確になるとありがたいと思います。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
単純にいうと、アメリカは異性体も全部1物質として数えるというやり方をとっているのではないか。PRTRも同じですから、PRTRでもアメリカでは物すごく物質数が多いようです。日本はそういうやり方をとっていないのがまず一つ違うんでしょうね。
それから、アメリカは、さっきからお話があったように、スーパーファンド法ですから何も土壌汚染だけに限っていないので必然的に増えるということになるのだろうと思います。
今ご質問のあった点については事務局も少し資料整理をしておいてください。
高澤委員、どうぞ。
(高澤専門委員)
今回の小委員会ですが、そもそも土対法そのものが、産業界が汚染原因者だということから始まっていると思います。
事業活動、生産活動の過程で、土壌を汚染してしまっているという事実が、この法律をつくったそもそもだと思います。一方、産業界は、当然ですが、国内外で社会的、経済的貢献をきちっと果たしてきており、この土壌汚染の問題と産業の事業活動との折り合いをじっくりと考えていただきたいと思っております。
土壌汚染を起こしたがゆえに、痛くもなかった自然由来まで、おまえも悪だということで規制対象になっているのではないかとも、改めて考えてしまいました。
冒頭で高橋局長からもお話しがありましたが、昨年の規制改革実施計画では、その前段の内閣府投資促進等ワーキングで、産業界、また千葉県からも、要望を出させていただいています。工業専用地域の形質変更の規制のあり方とか、自然由来物質の規制のあり方について、事業者等の意見を踏まえつつ、人の健康リスクに応じた必要最小限の規制とするという観点から、昨年度から検討を始め、今年度に結論を得て措置を行うということで閣議決定されております。
本委員会では私ども事業者の意見を踏まえつつ、必要最小限な規制に見直されるよう検討をお願いしたいと思っております。
今回の論点でいきますと、規制緩和的な提案もございますが、11ページで、規制の強化にあたる提案もございます。有害物質使用特定施設における土壌汚染状況調査のあり方、これが手ぬるいのではないかと読めてしまいます。企業は、CO2の削減対策、排水対策、大気汚染対策等、いろんな環境への投資を行っております。そのような投資なども、規制が強化されますと、投資に二の足を踏んでしまうというようなことが、本来はあってはいけないのですが、人が考えてやることですので、そのような思いに至るということもございます。
そのようなところも踏まえまして、規制が強化に向かうところの論点につきましては、改めて検討をよろしくお願いしたいと思います。
これは質問ですが、8ページの特定有害物質のところの円グラフで、件数の8割強が、いわゆる第二種の重金属等です。当然、要措置の指示を受けたものと、恐らく形質変更時要届出区域として抽出されたものもあると思うのですが、この第二種というのは圧倒的に自然由来とリンクする物質でございます。この汚染原因は人的由来か、もともとは自然由来の汚染土壌かの区分はできているのでしょうか。
以上でございます。
(浅野委員長)
ありがとうございました。ご質問について事務局から答えをいただけますか。
(青竹土壌環境課課長補佐】
現状の、今の円グラフのところにつきましては、全て要措置区域と形質変更時要届出区域、その中の自然由来特例区域なども含めた結果のグラフでの表示になっております。
全体の量でいきますと、自然由来であるものというのがわかったものについては、自然由来特例区域というふうになっているんですけれども、割合としては、要措置区域と形質変更時要届出区域が全体で1,500とかぐらいあると思いますけど、その中の自然由来特例区域は2桁ぐらいですので、そういった割合だと思ってご確認いただければと思いますけれども、詳しいデータのほうは、また後ほどご報告させていただきたいと思います。
(浅野委員長)
自然由来特例区域になっているという限りにおいては把握できるということでございます。その数字はまた出していただけるということでございます。
では、高橋委員、どうぞ。
(高橋専門委員)
中小企業団体中央会の高橋でございます。
私どもは中小企業の業種別団体の連合体みたいなところでございますので、中小企業の業種、特にメッキ業、この第二種特定有害物質をよく見ますと、シアン化合物はメッキでは一番いい材料だったということで、何をやるのでもシアンを使うときれいにメッキが塗れるということで長い間使ってきたものでございます。
これを使っているということで、水質汚濁防止法ができたときには工業団地などに移ったり、いろいろとしていましたけれども、まだ移っていないところとか、そういうものは大都市でも点在をいたしております。
だんだん廃業が多くなってまいりましたので、廃業するときに、その土地の調査をしたらあった。廃業するわけですから、あまりお金がないのでどうしようかということがこれから起こるんじゃないかというものを心配しているところでございます。
次回以降で、業種別のヒアリングがあるやに聞いておりますので、その際には、メッキ業界の組合のほうからお話をいたしたいと思いますけれども、そういう面で考えますと、今日いただいた資料7のオランダ、アメリカでの過去の法施行をする前のものについて、特例みたいなものがある。もちろん、法制度の立て方が違いますから、日本の場合には汚染者負担の原則で、きっちりやっているので、それはだめだというようなことで、基金だとか何かの使い勝手が悪いというか、使えないというようなことがあって、多分、各県だとか市で融資制度を設けて、その融資制度を使って対応しているんじゃないかと思うんですけれども、諸外国で、どうしてこれが負担しなくてもいいよとか、国がやるよと、零細企業に限ってですけれども、その成り立ちといいますか、根拠というのをお示しいただければ、それと同様のことが日本でも零細な企業にとって使える制度になるかどうかということになるじゃないかというふうに思います。
それから、先ほど、佐々木先生委員からのお話で、メッシュで10mをやっていたけど、よく見てみたら、ある一定の1mところだけがなかったというようなときには、そういうとこだけやればいいとか、そういう撤退する人たちの負担の軽減と、これからばんばんもうかればいいんですけど、ご案内のようにメッキというのは自動車産業でもだんだんなくなってまいりますので、撤退をどうやってスムーズにさせるかということを我々も考えなきゃいけませんので、撤退をきれいにさせるいろんな手段が考えられないかということを、提案するといっても、図々しい提案しかできませんけれども、提案したり、またご示唆をいただければというふうに思っております。
以上でございます。
(浅野委員長)
どうもありがとうございました。全員にご発言いただきましたが、大塚委員、どうぞ。
(大塚臨時委員)
外国法の議論はぜひしていただいたほうがいいと一般的に私は思っているほうではありますが、諸外国それぞれ制度が、背景事情も含め違いますので、その全体像を本当に把握しないと比較はできないというところもございますので、実は簡単には比較できないところがありますので、その辺はぜひお気をつけいただいて議論していただく必要が、私自身も含めてですけど、あるかと思います。
さっき廃棄物の自然由来のところの話が出ていましたが、ドイツも、汚染土壌の搬出に関しては廃棄物扱いをしていて、産業廃棄物として扱われることになります。ドイツはそもそも調査のときに、この1ページの4のところに出ていますけれども、初期調査は自治体がしますので、そこでもう、どういう土地かということがわかってしまっていますので、その後、廃棄物として出すときにどういう形で出すかはそこで検討できるという体制になっていますので、こういう日本と違う事情があるということも検討対象に含めていただければと思います。
それから先ほどご議論がありましたけども、アメリカは、土壌汚染に対する対応は基本的には極めて厳しいといえます。リスクアセスメントも、もちろんしますけれども、特に厳しいのは、これは融資者まで含めてこの潜在的責任当事者というのに関係するあらゆる人を入れて責任を負わせている点です。他方で、責任当事者が不明あるいは無資力の場合にこの基金を使うということになっていて、だから不明あるいは無資力の場合に対処できるようにはなっているということでございまして、これは別に、最初から政府が何かするという話ではないのですけれども、責任者が不明とか無資力の場合はいかんともしがたいものですから基金を使うということになっていて、その基金は若干汚染者負担のことを考えながら、しかし一般の予算も使いながらやっております。このように各国で大分違いますので、その点を追加的に申し上げておきます。なお、日本は基本的にドイツの影響がかなり強いというふうに一応言っていいと思います。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
実は、大塚委員は、よくこの辺は研究しておられるテーマでありますので、また、わからないことがあったらお聞きしたいと思います。
予定された時間まだございますが、何かさらにご発言がございましょうか。
細見委員、どうぞ。
(細見臨時委員)
本日のこの主な課題ということでは、全くこのとおりで、私はこの制度の小委員会で議論されるべき事項だと思いますが、仮に今回できなくても、私としては、現在PCBの特措法に基づいてPCBの廃棄物等が処理が進められていますけれども、土壌汚染に関しては溶出量基準のみなので、本来PCBというのはダイオキシン類だというふうに考えると、ダイオキシン類については直接摂取等のリスクを考えて1,000pg-TEQ/gという数値もございます。ただ、PCBに関してはそれがなくて今後いろいろと処理されていく中で保管されていた場所等の扱いだとかというのはこれから議論されているのかもしれませんが、現在は、PCBに関する含有量の基準がないということは、ダイオキシン法と比べても少し総合的に考えると含まれるべきではないかというふうに私は思っています。それに関して今回の制度で全て議論できるかどうかわかりませんが、議事録には載せておいていただければというふうに思います。
(浅野委員長)
ありがとうございました。
根本的には水の問題と土の問題が、重なる部分と違う部分があるのに、割合無造作に水の基準ができるとすっと土壌の基準になる。水の基準は、WHOが水道の基準を厳しくすると全部もう自動的に連動で動くという、そういう日本の構造になってますよね。水のほうは限りなく分厚くなっていくわけです。そうすると、またすぐそれを土壌が引きずらなきゃいけなくなるから、いっぱい積み残しができるということになるんで、本当に地下水に深く関わりがあって水道水にも関係があるようなものと、そうじゃないものが全然識別されないままに、この国は一緒くたに扱われていますよね。そもそもの問題があるんじゃないかと思っている。環境基準のつくり方の問題があると前から言っているんだけど、誰もまともに取り上げて議論してくれていないんです。全ての水が全部水道のためにあると真柄先生がおっしゃいましたので、その真柄先生のドグマがいまだに生きているんですけども、でも、ちょっとなというような感じがしないでもない。その辺からもう一遍考えなきゃいけないというかなり大きな問題があるということを今細見先生はおっしゃったんです、逆の意味で。だから逆に言うと、水道のほうが何も言っていないものであっても、こっち側はこっち側の目で見たときにやらなきゃいけないものがあるかもしれないじゃないというご注意だと思いますが、今回の検討の中では、無理だろうとちゃんと優しく言っていただいていますので、だけど課題があることはおっしゃるとおりなんですけど、議事録に残すのみならず、ちゃんと研究しなきゃいけないと思います。
ほかにございませんか。どうぞ。
(佐々木専門委員)
論点の一つの、34ページの測定方法ですけれども、この中ほどのところに、もともとの土壌の溶出特性を変化させるべきでないことと書いてありまして、今、委員長のおっしゃったように地下水との関係もございますので、この辺が非常に重要だと思っております。本来、還元的な状態にある土壌を風乾させて、酸化的にさせていくと第二種など大分溶出量が変わってくるという問題点があります。ただ、固液比が変わってしまうために風乾せずに含水率で補正すればいいというふうにドラスティックな変更は難しいのかもしれませんが、できるだけ、もともとの土壌の溶出特性を反映し正しいリスクを捉えるという分析方法にしていくべきであろうと考えております。
(浅野委員長)
わかりました。かなり問題点がわかってきました。
ほかにございませんでしょうか。いかがでございますか。
(発言なし)
(浅野委員長)
それでは、ここまでの委員の皆さまのご発言について、事務局から何かありましたら、どうぞ。
(是澤土壌環境課長)
特段ございません。宿題をいただいた部分もございますので、次回以降、整理いたしまして回答させていただけたらと思っております。
(浅野委員長)
それでは、特にないということでございます。時間がまだ15分ほどございますが、今日はこの辺りで閉会とさせていただきます。
それでは、事務局からお願いいたします。
(土壌環境課長)
熱心なご審議をいただきましてありがとうございました。次回でございますけれども、最初の議題でもご説明させていただきましたとおり、関係者からのヒアリングを予定しております。事前に先生方のご都合をお伺いしたところ、5月10日火曜日に2回目を開催させていただきたいと考えておりますけれども、正式には開催通知をもってご連絡させていただきます。本日の議事録につきましては、事務局で調整いたしました後、委員の皆様のご確認を経て公開させていただきたいと思います。
それでは、以上をもちまして第1回土壌制度小委員会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。