中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会第16回議事録

日時

平成16年4月6日(火) 14:00~16:47

場所

環境省第1会議室

議題

(1) POPs条約等を踏まえた農薬登録保留基準に改定について
(2) 水質汚濁に係る農薬登録保留基準の運用の見直しについて
(3) その他

配布資料

資料1中央環境審議会 土壌農薬部会 農薬専門委員会委員名簿
資料2第15回農薬専門委員会議事要旨(案)
資料3 第15回農薬専門委員会議事録(案)
資料4 POPs条約等を踏まえた農薬登録保留基準の改定について(案)
   
参考資料1 ストックホルム条約(POPs条約)の概要
参考資料2 農薬の登録申請に係る試験成績について
参考資料3 新規化学物質等に係る試験の方法について
参考資料4 農薬の土壌中における半減期の例
参考資料5 POPs‐残留性有機汚染物質‐(環境省パンフレット)
資料5 有機リン農薬の水質汚濁登録保留基準設定におけるオキソン体の取り扱いについて(案) 

議事

(早川農薬環境管理室長)
 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会第16回の農薬専門委員会を開催させていただきます。
 委員の先生におかれましてはお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。
 本日の委員の出欠でございますけれども、伊東委員と米谷委員からご欠席とのご連絡をいただいております。
 続きまして、本日の審議に入る前に吉田水環境部長からごあいさつを申し上げます。

(吉田水環境部長)
 どうも先生方、年度が改まりましてお忙しい中、ご参集をいただきましてまことにありがとうございます。本日は通算いたしまして第16回目の農薬専門委員会でございます。本日ご審議を賜りたい事項は二つございます。一つは先刻ご承知のとおりPOPs条約、これが平成13年5月に採択をされたものでございますけれども、今年の5月の17日に国際的に発効する予定になっております。このPOPs条約は残留性の有機汚染物質から人の健康を保護し、環境を守ろうという趣旨でつくられたものでございますが、農薬の世界におきましてもPOPs条約のものの考え方、予防的な観点に立って化学物質の難分解性、蓄積性というものを考慮して安全を確保していくというか、そういった考え方が必要ではないか。こういう趣旨に立ちまして、ひとつ農薬の登録保留基準のあり方について、POPs条約の考え方に照らしたものの考え方についてご審議を賜りたいというふうに考えております。これが1点でございます。
 それから2点目は、前回の農薬専門委員会で提起されました課題に対する対処方針のご検討をいただくことでございますけれども、具体的には有機リン農薬の水質汚濁に係る登録保留基準の対象として分解生成物でございますオキソン体をどのように取り扱うべきかということにつきまして、事務局の考え方をまとめておりますので、これについてご審議を賜りたいと思っております。
 いつもながら非常に専門・特化した難しい議題で恐縮でございます。本日はやや時間も多めに取ってございます。3時間という長丁場でまことに恐縮でございますけれども、何とぞ事柄の重要性にかんがみてご熱心なご討議をお願いできればと、かように考えております。どうかよろしくお願いいたします。

(早川室長)
 それでは具体的な審議に入ります前に、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。

(更田補佐)
 本日の配付資料でございますけれども、まず議事次第が一番上にございまして、その下が本日の座席表です。それから資料1としまして農薬専門委員会の名簿、資料2といたしまして前回2月16日の農薬専門委員会の議事要旨(案)、資料3が議事録の(案)でございます。それから資料4としまして、本日の議題の資料でございます「POPs条約等を踏まえ農薬登録保留基準の改定について(案)」でございます。これには参考資料がその後ろに添付しておりまして、参考資料1が「POPs条約の概要」という1枚紙、参考資料2としまして農林水産省農産園芸局長通知の「農薬の登録申請時に提出される試験成績の作成に係る指針」の抜粋でございまして、実際つけていますのは作物残留性試験と、後作物試験と土壌残留性試験のガイドラインでございます。それから参考資料3が、「新規化学物質等に係る試験の方法について」の抜粋ということでございまして、化審法におきます魚介類の濃縮試験のガイドラインをつけております。それから参考資料4といたしまして、「農薬の土壌中における半減期の例」ということでございまして、委員でいらっしゃいます山本廣基先生と鍬塚先生の著書から、その一部をコピーしたものと、参考資料5としてPOPsのパンフレットをて配らせていただいております。それから資料5が2番目の議題の資料でございます「有機リン農薬の水質汚濁登録保留基準設定におけるオキソン体の取り扱いについて(案)」というものでございます。それからもう一つオキソン体の議論の参考として眞柄委員から資料をお出しいただいておりますものをまとめてつけさせていただいております。何か一部未発表のデータがあるということなので、一応委員限りということにさせていただいております。
 配付資料は以上でございます。

(早川室長)
 不足している資料が特にないようであれば、議事に入っていただければと思います。
 それでは須藤専門委員長、議事進行よろしくお願いいたします。

(須藤委員長)
 かしこまりました。本日は大変ご多用の中、しかも新年度早々というときにお集まりをいただきまして大変ありがとうございます。今、内容につきましては吉田部長の方からお話がございましたように、一つ目はPOPs条約等を踏まえた農薬登録保留基準の改定についてでありまして、本委員会でもたびたび指摘されております、農薬の生物濃縮性についてどのように対応するのかといった点も含まれているとのことでございます。二つ目は前回の農薬専門委員会で検討事項とされました有機リン農薬のオキソン体の取り扱いについてご審議をいただくことになっております。眞柄委員にはこの参考になる資料を多数お集め、ご提供いただきましたことを最初にお礼を申し上げておきます。
 まず議事に先立ちまして、資料2をごらんになってください。資料3もごらんになってください。資料2には第15回農薬専門委員会の議事要旨(案)と、それから資料3には議事録(案)がございます。ご確認をいただきたいと思います。
 議事要旨(案)の方につきましては、先生方のご了解をいただければ、本部会の運営方針に基づき公開の手続を取ることになっておりますので、この場でご確認いただければ大変よろしいかと思いますが、いかがでございましょうか。議事要旨について何かご意見なりございますでしょうか。
 よろしいですか。

(な  し)

(須藤委員長)
 特にございませんでしたら議事要旨についてはご指摘がございませんので、お認めをいただいたということにさせていただきます。
 次に議事録でございますが、議事録につきましては事前にこれも事務局から配付をいただいて、既に先生方にはご確認をいただいていることでありますので、お認めをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。何か改めてコメントございますでしょうか。

(な  し)

(須藤委員長)
 では特にお申し出もございませんので、お認めをいただいたということにさせていただきます。
 それでは先ほど冒頭に申し上げましたように、大きく二つの議題がございます。それでは最初の議題「POPs条約等を踏まえた登録保留基準の改定について」ということでございますが、あらかじめ事務局で資料を用意していただいておりますので、その資料についてご説明ください。
(更田補佐)
 それでは資料4と、適宜参考資料を交えて説明させていただきます。
 まず、POPs条約等を踏まえた登録保留基準設定ということでございまして、1の背景でございますが、平成13年5月にPOPs条約というものが採択されております。この条約の概要につきましては参考資料1で簡単に説明させていただきたいと思います。
 この条約は毒性、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性を有する化学物質につきましては、1国だけの取り組みではその汚染の拡大を防止するのは困難であり、地球規模で国際的に取り組まないとその汚染防止策が有効に働かないということで条約として採択されたものでございます。
 条約の目的としましては、予防的アプローチというものに留意しまして、残留性有機汚染物質から人の健康の保護及び環境保全を図るということでありまして、各国が講ずる対策としましては、[1]としてアルドリン、クロルデン等の物質につきましては製造使用は原則禁止、それからDDTについては原則制限することとされています。それから[2]としてダイオキシン等の非意図的生成物質の排出の削減を図ること。[3]としてPOPsを含む在庫・廃棄物を適正に処理すること。それから[4]としてこういった取り組みをするための国内実施計画の策定すること。[5]のその他の措置としまして、まず新規のPOPsの製造・使用を防止する措置を講じること。それからモニタリングや情報を提供すること。それから途上国に対する技術援助というものその内容となっております。
 この条約につきましては本年の2月17日に50カ国が締結いたしまして、5月17日に発効することになっております。
 資料4に戻っていただきまして、このPOPs条約は新規の化学物質を規制する制度を有する国では、条約附属書Dの基準を考慮して新規の化学物質の製造・使用防止措置を取ることとされています。具体的には11ページの別添1にそのPOPs条約の規定を抜粋で載せておりまして、「新規の駆除剤を規制し評価する制度を有する締約国は、附属書D1の基準を考慮して、残留性有機汚染物質の特性を示す新規の駆除剤の製造・使用を防止することを目的とした規制のための措置を取る」ということが締約国に義務づけられているということでございます。
 農薬取締法も新規の化学物質を規制する制度でございますから、このPOPs条約の目的とか、この附属書D基準を考慮してどのような取り組みが必要かということを今回検討しようということでございます。
 次に2の「現行のリスク管理措置と附属書D基準の関係」に移りまして、まず登録段階のリスク管理措置でございます。農薬は農取法に基づきまして農林水産大臣の登録を受けなければ製造使用、販売ができないこととなっています。その登録の可否を判断する際の項目は10項目あります。具体的には13ページの別添2で紹介しておりますが、農取法の第3条に第1号から第10号とありまして、そのうちの4号から7号が環境大臣が定める基準(農薬登録保留基準)でございます。その4号から7号につきましては、法律の規定を忠実に書き移させていただいております。4号につきましては申請書の記載に従い当該農薬を使用する場合に農薬が有する農作物等についての残留性の程度からみて、その使用に係る農作物等の汚染が生じ、その汚染に係る農作物の利用が原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあるときとなっております。第5号は申請書の記載に従って当該農薬を使用する場合に、当該農薬が有する土壌についての残留性の程度から見て、農薬が使用された土壌の汚染が生じ、その汚染により汚染される農作物の利用が原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあるとき。第6号が水産動植物被害ということでございますが、申請書の記載に従い一般的に農薬を使った場合に、水産動植物に対する毒性の強さと持続性からみて、水産動植物に被害が発生し、その被害が著しいものになるときです。第7号が水質汚濁の登録保留基準でございますが、申請書に従って使用した場合に公共用水域の水質の汚濁が生じ、かつその汚濁に係る水、それからこの括弧の中が重要なのですが、その汚濁により汚染される水産動植物を含む。水だけではなくて、魚介類も対象になっているということでござまして、汚染された水と魚介類の利用が原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあるときには登録を保留するという規定になっております。この基準を環境大臣が定めることになっております。14ページに移っていただきますと、この登録保留基準の具体的な中身が書かれておりまして、作物残留につきましては、食品衛生法の食品規格に適合しない場合、この規格がない場合は環境大臣が別途定める基準に適合しない場合に登録を保留することになっています。なお、この基準の運用につきましては、何度も申し上げておりますが、農薬の登録と同時に食品規格が設定されるという運用が開始されておりますので、別途環境大臣が個別農薬毎に基準値を定める必要が生じなくなっているということでございます。
 2番目が土壌残留ですけれども、一応土壌中半減期がほ場試験及び容器内試験で1年以上の場合などは登録が保留されることとなっております。
 3番目の水産動植物の被害防止に係る登録保留基準につきましてはコイに対する毒性値で判断されています。ただ、これにつきましては平成15年に告示改正いたしまして、魚類、甲殻類、藻類に対する毒性値と、それから環境中予測濃度を比較してリスクを評価する手法に見直されたところです。
 それから4番目の水質汚濁に係る登録保留基準ですが、[1]として、水田水中での農薬の150日間の平均濃度が環境基準の10倍を超える場合とされています。[2]がこの環境基準(健康項目)が定められていない場合に別途環境大臣が定める基準を超える場合ということで135農薬について基準値が設定されているということでございます。以上が農薬取締法と告示の現状でございます。
 それで1ページに戻っていただきまして、(2)の附属書D基準の内容でございます。POPs条約の規制対象に新たな物質の追加提案を行う締結国は付属書D基準の情報を提供することとされております。POPs条約ではPOPsについて明確に定義はされてないのですけれども、一応この附属書D基準というものを満たすものがPOPsに該当するだろうと解釈されています。附属書D基準では名称・構造に加えまして四つの観点から規定があるということでございます。1枚めくっていただきまして2ページでございますが、まず残留性ということでございまして、化学物質の半減期が水中で2カ月、土の中で6カ月を超える証拠を示す必要があるとされています。[2]が生物蓄積性でございまして、生物濃縮係数が5,000を超えること。この資料がない場合はオクタノール/水分配係数が5を超えるということです。それから長距離移動性につきましては、これは定性的なものですが、長距離にわたって自然の作用により異動した可能性を示すような資料が必要とされています。4番目の悪影響については、人の健康又は環境に悪影響を示す証拠を示す必要があるということでございます。今のPOPs条約では参考資料の1にありますように12物質が規制対象になっていますが、12物質と同様に地球規模で国際的に協調して環境汚染を防止するため、ある物質を条約の規制対象に追加しようと提案する国はこういったデータを整理して提出し、締約国で議論して合意されれば追加されるというような仕組みになっているわけです。
 次に(3)の附属書D基準に照らした現行の登録保留基準の法制的な検証ということでございます。まず法律の規定についてでございますけれども、[1]の残留性でございますが、まず残留性につきましては土壌残留の登録保留基準がございます。一応ここで考慮するという仕組みができているということでございます。水中残留性につきましてはそのもの直接基準になっていませんが、水産動植物のPECを出す際に考慮するというようなことにしています。
 2番目が生物蓄積性でございますが、これにつきましては水質汚濁に係る登録基準において農薬により汚濁が生じた水により汚染される水産動植物の利用により人畜への悪影響を考慮するということが法律で規定されておりまして、ここで蓄積性を考慮できることとなっております。
 それから長距離移動性というのは直接は考慮していませんが、D基準でも定性的な規定となっています。
 それから[4]の悪影響ですが、農薬取締法ではADIをもとに作物残留や水質汚濁に係る登録保留基準を設定しまして、作物経由、水経由、両方から摂取する農薬の量がADIを超えないようにというようなリスク管理を行っていまして、悪影響が生じないように考慮するという仕組みができているということでございます。
 以上のようにD基準については農取法の第3条の規定で担保されると考えられます。実は条約を批准するときに条約を担保するため、国内法制に不備があればその改正をしなければならないとなっています。農薬取締法は改正不要と法制的に整理されていますので、条約を担保しているという整理ができているということになっています。なお、登録保留基準は4号、5号、6号、7号、いずれかに該当した場合は登録が保留されるという仕組みになっていますが、POPs条約では四つの観点をすべて満たしてPOPsということになっているということに留意する必要があると思います。
 続きまして4ページ目でございますが、(4)附属書D基準に照らした現行の登録保留基準の運用についての検証でございまして、まず作物残留に係る登録保留基準でございますけれども、これは農作物に残留した農薬がその農作物を生涯にわたって摂取しても人健康に被害が生じないよう、当該農薬の摂取量がADIの範囲内に収まるように基準値を設定しています。また、農作物を直接摂取する場合だけでなく、家畜経由も考慮することとなっておりまして、家畜の体内に蓄積する性質の農薬が飼料作物に残留する場合は登録を保留することとなっていまして、一応附属書D基準に照らしまして人健康に悪影響が生じないように運用されているというふうに考えられます。
 続きまして土壌残留に係る登録保留基準ですが、現行の土壌残留登録保留基準では半減期1年を一つのクライテリアにしておりまして、この1年以上の場合は原則として登録を保留することとされています。1年未満の農薬であっても半減期100日を超えるような場合は後作物試験を課しまして、土の中に残留した農薬が作物に吸収されて、その結果作物が食品規格に適合しない場合は登録を保留する仕組みになっていまして、一応悪影響を生じないように運用されています。ただし附属書D基準では、土壌中半減期6カ月を超えると残留性があると判断されることとなっておりまして、我が国では土壌中半減期6カ月を超える農薬もあることから、POPsと判断される可能性のあるものが農薬登録される可能性がないわけではないといった懸念があるということでございます。
 続きまして[3]の水産動植物の被害防止に係る登録保留基準でございますけれども、これにつきましては平成15年3月に魚類、甲殻類、藻類に対する毒性値と公共用水域の予測濃度と比較して評価する手法に改めて来年の4月から施行するという基準改正が既に行われておりまして、生態系保全というものを視野に入れた取り組みが強化されているところでございます。したがいまして、環境への悪影響を生じないように取り組まれていると整理してございます。
 続きまして5ページ目でございます。水質汚濁に係る登録保留基準でございますけれども、これは現行では飲料水経由の曝露を考慮して基準値を設定していますが、農取法で規定されております農薬により汚染された水によりさらに汚染された水産動植物の利用により人畜に被害が生ずるおそれといったところは考慮していません。したがいまして、濃縮性のある農薬の魚介類を経由した曝露といったところの対応が取られてないので、附属書D基準に示されている生物蓄積性の観点には対応できないのではないかと整理しています。
 続きまして環境中の検出状況でございますが、15ページからの別添3にまとめてございます。この表を説明する上で20ページをお開きください。ここに表の脚注が出ているのですが、まず網掛けされた農薬は水質なり魚介類から農薬が検出されたものでございます。まず農薬名がありまして、次に水田使用と非水田使用とあります。これは私どもの方で農薬ハンドブック等の既存の文献を調べまして、水田に栽培される作物に適用がある農薬については水田使用に○印を付けています。水田以外の畑地作物で栽培される農作物等に適用のあるの農薬は非水田使用の欄に○印を付けています。両方とも○印になる場合もございます。公共用水域における基準等というところでございます。これは単位がμg/Lで数値が載せてあります。この欄に(環)や(登)などと数値がありますが、(環)は環境基準の健康項目、(登)は登録保留基準で、数値はその基準値1/10の値でございます。登録保留基準は水田水中の濃度ということで基準値を設定しておりますので、公共用水域は10倍希釈されるということから基準値の10分の1の数値を掲載しています。それから(監)は要監視項目の指針値、(評)は公共用水域における農薬の水質評価針値というものの基準値を掲載しております。データの出典でございますけれども、まず黒四角が塗ってありますのが、環境ホルモン戦略SPEED'98関連の農薬の環境残留実態調査の結果です。これは平成10年と平成12年の2回やっており、それぞれのデータを載せてあります。それ以外につきましては、化学物質環境調査、いわゆる「黒本」というものから抜粋したものでございます。
 標記調査のうち農薬については、検出されたもの、されてないものも両方を網羅的にまとめてております。例えばこの中で15ページから見ていただきますと、IBPという農薬がございます。これは水田で使用される殺菌剤なのですけれども、これは魚介類から検出され、かつ沿岸の海からも出ている事例です。
 それから16ページですが、イソプロチオラン、これも水田使用殺菌剤ですけれども、同じように水や魚介類から検出されています。それから18ページに、ケルセンという農薬があります。これは畑地使用の農薬でして、水田で使用されないものですが、水や魚介類から検出されているということでございます。それから19ページのトリフルラリンという除草剤やベノミルという殺菌剤ですが、これらも非水田使用農薬なのですけれども、魚から出ているという例があります。検出されているところだけつまみ出してご紹介していますが、一応そういったデータがあるということでございます。続きまして、21ページの別添4で諸外国における規制の状況について説明します。まず土壌残留性でございます。EUですが対象となるリスクについては、後作物を通じた人への健康リスクですとか、農作物の薬害というものを評価するということでございまして、試験としましては、室内半減期と室内90%消失期間を求めるための試験がまず課されます。ほ場試験でございますが、室内試験での半減期が60日を超える場合などは野外の半減期及び90%消失期間を求めるための試験が課されます。それから[2]の土壌残留試験ですが、室内半減期が農薬散布から収穫までの期間の3分の1より長い場合などは野外条件下で収穫時又は後作物の播種時もしくは植えつけ時の土壌残留量を算定するための試験というものが課されます。それから[3]の土壌蓄積性試験でございますけれども、ほ場での90%消失期間が1年を超え、かつ、農薬の連用が想定される場合につきましては、継続して使った場合の有効成分等の残留蓄積性の可能性などを評価する試験が課されているということでございます。次のページ、22ページに登録保留基準というものがございまして、有効成分等が、野外試験における90%消失期間が1年以上、かつ半減期が3カ月を超える場合ですとか、室内試験によって100日後の初期農薬量の70%を超える量の非抽出性の残留物が形成され、100日間での無機化率が5%未満である場合といった場合は登録が保留されるということになっています。ただし、後作物に許容できない残留物が生じるとか、薬害が出るとか、環境に影響が残るというような濃度で蓄積しないというようなことが科学的に実証される場合は除かれる場合もあるという規定がありまして、まだ登録される道は残されているということでございますが、一応この法律上は先ほど説明した基準が登録保留基準ということになっています。これがEUの評価スキームでして、ドイツ、英国、スウェーデンも同じであります。
 23ページにいきますとオランダがありますが、これも基本的にEUと同じなのですけれども、室内試験が例えばこれは好気的条件で四つ、嫌気的条件で一つの半減期と90%消失期間を求める試験が課されていまして、同様に土壌消失期間ですとか、必要に応じて土壌残留試験、土壌蓄積性試験が求められます。登録保留基準は次のページ24ページにございますけれども、室内やほ場での半減期が90日以上の場合ですとか、室内試験において100日後に初期農薬量の70%以上の土壌結合残さが形成され、100日間の無機化率が5%未満である場合に登録が保留されるということになっています。ただし、例えばほ場試験の土壌半減期の場合ですと、その分解生成物や有効成分が許容できないような蓄積を引き起こすことがなく、それから非標的生物の多様性なり、肥沃性に影響を与えない場合ですとか、かつ有効成分及び分解生成物の合計濃度が施用2年後で土壌20センチの土壌においての土壌生物なり土壌生物に依存する生物の最大許容濃度を超えない場合などは登録される道も残っているということでございます。
 カナダにつきましては、どのような試験が求められているのかはわからなかったのですけれども、登録保留基準としまして、これ土壌だけで決めるものではないのですが、土壌における半減期が182日以上というような場合はこれは一応残留性があるということになっております。ほかの蓄積性なり毒性なりの観点から評価しまして、全部該当する場合はTrack1物質として使用が許可されないというような仕組みになっています。
 それから25ページからは生物濃縮性についてです。EUですけれども、対象となるリスクにつきましては水生生物の影響を評価するということにしています。要求される試験は生物濃縮係数とそれから生物の吸収速度定数及び排出速度定数を算定するための試験ということになっています。意見が要求されるのはlogPowが3以上の農薬となっています。登録保留基準は一応生物易分解性の有効成分についてはBCFが1000以上の場合と。易分解性でない場合は100以上の場合に登録を保留することとされています。ただし、生物濃縮性につきましても同じようにさらにリスクアセスメントにより環境等に悪影響が生じないことが実証される場合は登録される道が残っているということでございます。ドイツ、英国、スウェーデン、それからオランダはいずれもこのEUの仕組みと同じでございまして、カナダにつきましては先ほどの土壌残留と同じように濃縮性のクライテリアとして5000以上といった場合に濃縮性がありとなりまして、先ほども申し上げましたような土壌の残留性等と総合的に評価して登録の可否されるという仕組みになっております。
 一応これが諸外国における登録段階の規制の状況ということでございます。
 本文に戻っていただきまして、他法令における取り組みというのがございます。POPs条約第3条の3における規制し評価する主な制度として化審法がございます。化審法は従来から難分解性ですとか、高蓄積性、それから次のページにいっていただきまして6ページでございますけれども、長期毒性といった性状を有する化学物質による環境汚染を防止するため、事前に審査し、必要に応じ製造・使用等の規制を行う制度がございまして、化学物質の使用により環境や人に被害が生ずるおそれのないように取り組んでおります。その中でも難分解性、高蓄積性、長期毒性のすべてを有するものは第1種特定化学物質に政令で指定されまして、事実上使用が禁止されているということでございます。その審査に当たりまして、難分解性といいますものは、活性汚泥を用いた分解度試験において生物化学的酸素要求量により求められる分解度を考慮して判断することとされています。それから蓄積性につきましては魚介類を用いた濃縮度試験により求められた生物濃縮係数を考慮して判断しています。人への長期毒性は慢性毒性試験等の結果を考慮するということになっておりまして、この具体的な内容は27ページに別添5としておつけしております。
 これは平成15年4月18日に公表されたものですけれども、一応試験方法としましては、先ほど申し上げましたように化学物質の分解度試験などを行うこととされております。判定基準ですが次のページ28ページを見ていただきまして、分解度試験ですが、3つの試験容器のうち2つ以上でBODによる分解度が60%以上であり、かつ三つの平均が60%以上といった場合に良分解性に判断されます。難分解性は良分解性でない場合とされています。濃縮度試験につきましては、濃縮倍率が5000以上であれば高濃縮と判断されます。高濃縮性でないというのは1000倍未満、それからlogPowが3未満ということでございます。1000から5000の間はといいますと、別途排泄性試験を行いまして、高濃縮性かどうか個別に判断されるということでございます。毒性の方は省略しますが、以上でそういったことで判断されるということでございます。化審法の判断基準もPOPs条約を踏まえてこのような仕組みになっているということでございます。
 本文6ページの6の登録保留基準改定の必要性及びその方向ということでございますが、以上のようなPOPs条約のD基準ですとか、諸外国における登録保留基準の状況、それから化審法における取り組みとかというようなものを勘案し、また、POPs条約の目的、すなわち予防的な取り組み方法に留意して残留性影響汚染物により環境や人の健康を保護をするという条約の理念も踏まえまして、ではどうしていこうかということなのですが、以下の方向で検討する必要があるのではないかと。
 まず土壌残留の観点なのですけれども、やはり国際的な基準とあわせまして、現行1年というものを6カ月に合わせるという方向で検討することとしてはどうかと考えております。(2)の生物濃縮性の観点なのですけれども、これにつきましては魚介類を利用する場合の曝露というものを考慮することにしてはどうかということでございまして、具体的には魚介類の体内の農薬の含有量を基準値と同一の水中濃度に生物濃縮係数を乗じた値として求めまして、従来の飲料水と作物由来の摂取とあわせて曝露量を評価してADIの範囲内におさまるように基準を定めたらどうかということであります。規制対象農薬としましては、従来は水田使用農薬のみでありましたけれども、残留性なり蓄積性の高い農薬の悪影響を防止する観点から不十分ですので、非水田農薬も対象としたらどうかと考えております。曝露評価に用いる農薬の濃度としましては、現行の水田水中における150日間の平均濃度を当該農薬を使用することにより予測される環境中予測濃度に変更することとしてはどうかと考えております。
 それから具体的な評価スキームをつくっていくかということで、事務局でもいろいろ検討しまして、最初から評価スキーム案としてお示しするよりも、まず論点ということで先生方にご議論いただきまして、そのご議論を踏まえてまた事務局でどういった方向で評価していくかというスキームを考えていきたいと思っておりまして、きょうはその論点を紹介するということでさせていただきたいと思っております。
 まず土壌残留の観点なのですが、[1]としまして土壌残留に係る登録保留基準におけるリスク評価をどう行うべきかということでございます。31ページに現行の土壌残留の登録保留基準の規定がそのまま抜粋して載せております。まずイが1年を超える場合なのですけれども、当該農薬の成分物質等が土壌中において2分の1に減少する期間がほ場試験及び容器内試験において1年未満である農薬以外の農薬。ですからほ場試験か容器内試験、どちらかでも1年を超えたらイに該当するわけでございますが、その農薬について申請書の記載に従って使用した場合にその使用に係る農地において通常栽培される農作物が当該農地の土壌の当該農地の使用に係る汚染により汚染されることとなるものというふうな規定になっています。この一応1年を超えても、通常栽培される農作物に汚染が生じないかどうかというのを見て登録を保留することになっていますが、現行では1年を超えるような農薬というものは登録申請されてこないということでありまして、この評価方法がまだ確立してないということでございまして、この試験方法をどうしていくかというのが一つ目の論点でございます。例えば後作物試験をしまして、そこから検出された場合は汚染があったと判断するというようなことにしてはどうかということでございます。
 それから7ページの[2]のほ場試験及び容器内試験の取り扱いについてということでございまして、現行の登録保留基準では土壌中半減期がほ場試験及び容器内試験、いずれかの試験で1年を超えれば今のイに該当するということになっているわけです。実は以前はこれは容器内試験がなくて、通常栽培される条件下でということで、ほ場試験のみだったのですが、これが二つの試験方法を併用するように見直されています。それが昭和51年ですが、そのときの審議会の資料が33ページからつけさせていただいております。まず別添7でございます。これは昭和51年12月に開催された農業資材審議会農薬部会小委員会の資料の抜粋でして、実際は手書きの資料ですが、ワープロで打ち直してきれいにしたものです。3ポツに土壌残留試験としてほ場試験及び容器内試験を併用することについてとあります。「先般の部会で説明したようにそれぞれの試験方法で長短がある」とされています。その長短をというものが34ページでございます。これは12月の会議に先立って11月の部会での資料の抜粋なのですが、同試験を併用する理由が整理されております。ほ場試験の特徴ですが、ほ場試験は農薬が実際に使用する場面での試験であるから、実際のほ場において当該農薬に著しい残留性があるかどうかを判断する試験としては欠かせない試験である。しかしながらほ場への散布むら等によるサンプリング誤差が大きいとか、それから天候によって流亡等による消失むらとか、それから栽培作物の生育状態や種類等によって土壌へ農薬が落下する量や場所に偏りができるということで、農薬の残留基準について適切な解析が困難な場合が多いとデメリットが整理されています。一方容器内試験の特徴ですが、容器内試験につきましては、残留農薬の消失に関与する要因が単純化され、試験方法の規格化が容易なので、きれいなデータが得られ解析しやすい。しかし容器内試験では光分解、蒸発、流亡などの要因が排除されて、土壌微生物や土壌の化学成分による分解しか測定していないので、完全な残留性の判断ができないとのデメリットがあります。このような一長一短があるので、両方式を併用したらどうかということで整理されておりまして、33ページに戻っていただきまして、4ポツのところなのですが、どちらかの試験において2分の1に減少する期間が1年以上であればイに該当させることについて、まず「ほ場試験と容器内試験を実施した場合に、容器内試験の方が一般的に減少期間が長くなるが、仮にほ場試験は1年未満で容器内試験を1年以上となった場合では、当該農薬の農薬減少の重要な要因と考える土壌微生物及び化学的な分解によって2分の1以上に減少するのに1年以上を要する性質が有することが証明されたわけで、光分解とか流亡等が除かれているとはいえ、実際の場面で1年以上残留する可能性を示したこととなる。故に規制基準としては安全性を確保する見地からイの項に該当させることが妥当と考えられる。なお逆にほ場試験の結果のみが1年をオーバーする場合は実際の使用場面で1年以上残留することが証明されたことから当然イに該当するものと理解される。」一応このような整理が行われたということでございます。
 本体資料の7ページbに戻っていただきまして、今、別添7をご紹介いたしましたが、その次ですが、なお、ほ場試験は実環境に近い条件で行われているが、試験結果がばらつく傾向がある。これは後ほど参考資料で山本先生の本の抜粋のデータをおつけしていますので、議論の際に活用していただければと思いますが、ばらつく傾向があります。一方で容器内試験は密閉した容器で恒温で暗所で試験を行ってしているのですけれども、ほ場試験より半減期が長い傾向にあります。これは容器内試験では土壌中の微生物活性が衰えるためと考えられまして、ですから半減期が長くなると微生物の活性が弱まり、半減期がますます長くなってしまうということがあるんだということです。やはり実環境というものをいろいろ考慮する必要があると考えられますので、論点ですが、容器内試験で6カ月、180日を超える結果がでたとしても、ほ場試験で6月未満であれば告示のイではなくて、ロに該当することとしてはどうかという点であります。ロといいますものは後作物試験をしまして、後作物から農薬が検出されても食品規格に適合すれば登録され、適合しない場合は登録を保留するという仕組みです。次は逆の論点ですが、ほ場試験で6カ月を超え、容器内試験で6カ月未満の場合は従前どおりイに該当することについてどうかという点です。次のページでございますが、先ほどのような過去の整理もありますので、容器内試験の方がほ場試験より長くなる傾向があるといっても逆転する場合があるのでやはりこの同等の重みをつけてする運用にすべきかどうかということです。これは表裏一体の論点なのですが、ご検討をお願いします。
 続きまして生物濃縮性の観点でございますけれども、まず基準値の算出方法ですが、魚類における生物濃縮係数というものを考慮した上で基準値を算出してはどうかということで、式をお示ししています。まず、上の式ですが左側の基準値×国民1人当たりの飲水量と、これは今まで水質汚染の登録保留基準を出すときの式そのものでございます。それに右側に基準値×BCF×魚介類の利用量ということ算出してはどうかということで、基準値Xの算出方法はその下になります。こういった算式で求めることについてはどうだろうかということが一つ目の論点になります。
 二つ目はこのでは式にどういった数字を当てはめていくかということでございますが、まず一つ目としまして、飲水量と平均体重は現行の基準値算出で既に2リットルと平均体重が53.3キログラムでやっていますので、これをあてはめることにしてはどうかということです。配分係数ですが、農薬につきましては農作物の病害虫防除のため、農作物に散布されるものです。農作物経由の曝露が太宗だろうということで、従来よりADIの80%が作物経由として配分されまして、残りの20%の半分が水の方で配分するという経緯があります。ですからこの経緯を踏まえますとやはり作物の80%というのはそのまま維持するべきではないか。ADIに乗ずる係数は10%が基本ということにしたら、どうだろうかというところが論点でございます。
 魚介類の利用量ですが、これにつきましては35ページの別添8に1人当たりの魚介類摂取量のデータの資料をつけています。表を見ていただきますと利用量は大体95グラム、95.7が平均でして、92から98ぐらいの範囲内で利用されているということでございます。この94グラムというのが一つの数字の取り方なのですが、その次のページ、漁業・養殖業の部門生産量の割合というのがございます。この94グラムにつきましても全部が全部近海のものではなくて、遠洋でとれているものもあるということでございまして、これをどう考慮していくかということです。例えば内水面だけですと2%ぐらいですし、沿岸部まで見ますと海面養殖業、沿岸漁業というのを加えますと、平成13年で47.6%となっています。こういったものをどう考慮していくか。なおこの平成3年に比べまして平成13年ですと、沿岸、海面養殖、内水面というもののシェアが、平成3年ですと33.7%であったものが、平成13年には47.6ということで、近海の方の割合が高くなっているという状況でございます。それからその後ろ39ページに、これはPCBの規制でございますけれども、これも記の暫定規制値のところにありますように、沖合い、遠洋沖合い魚介類と内海内湾で分けて水準を設定しているということでございます。
 また本文に戻っていただきまして、9ページでございますけれども、このような状況を考慮しまして魚介類の摂取量はどの程度を見込むことが適当だろうかということをご議論いただければと思っています。
 それから生物濃縮性を考慮する対象農薬ということでございますが、現行の農水省の試験ガイドラインでは、logPowの数値は提出を義務づけていますが、濃縮性に係る試験の成績は義務づけられておりません。諸外国においてもlogPowの3以上の場合に生物濃縮性の試験を求めることとしていますので、logPow3以上の場合について生物濃縮性試験を実施していただくということにしたらどうだろうかというのが論点でございます。それから先ほどの基準値算出式を適合して濃縮性を考慮していく対象農薬は、POPs条約とか化審法の濃縮性の判断が5000でございますので、そういったところから5000以上を超えるものとしたらどうだろうかということについて御議論をお願いします。
 それから濃縮性試験を課すに当たっての配慮事項ということでございまして、農薬は特定時期に使用が集中し、年間を通じて恒常的に排出される工場排水とは性質が異なるというようなことがございます。従って、環境水中に一定濃度でずっと存在するのではなく、あるときに濃度が上がり、またそれが減衰していくという性格があります。ですのでその清水に戻った場合にいったんから魚体内に取り込まれた農薬が排出されるのではないかと考えられます。従って排泄性をどう考慮していくかということが論点でございます。なお化審法では先ほど参考資料でもご紹介しましたように、濃縮性5000以上の場合は高濃縮性と判断しまして、1000から5000の間のときに排泄性を考慮して5000未満であっても高濃縮性判断べきかどうかといった観点から排泄性を見て運用をしています。
 以上で資料4の説明を終わらせていただきます。

(須藤委員長)
 どうも大変ありがとうございました。ただいまは1の議題の「POPs条約等を踏まえた農薬登録保留基準の改定」ということで、現行の農薬登録保留基準の現制度と、それから問題点と、それから外国の例等もひいて、それからこういう論点で議論をしてはどうかというようなことをまとめていただきました。
 本日はここで最終決定をするということではなくてもよろしいように受け取っております。そういうことなので、先生方のご意見を広く承りたいと思いますが、一つ一つの個別の問題については、例えば濃縮残留試験とか、残留試験とか、そういうことについては一個一個やらせていただきますので、今のご説明の範囲内で何かまず御質問いただきましょうか。これ全体を通して。一つ一つの先生方のご意見は、後ほど一つ一つお伺いいたします。いかがでございましょうか。亀若委員、どうぞ。

(亀若臨時委員)
 まさに入り口議論のところと出口議論のところでちょっとご質問したいのですけれども、一つは今ご説明いただいた資料の3ページの一番下のところにかかることなのですが、このPOPs条約の附属書D基準というのは、この四つの項目をすべて満たす。つまりアンドの関係になって初めてそれが配慮されるというものの規定になっていますよね。普通こういう人によくないとか、環境によくないというのは農薬登録保留基準のように、むしろどれか一つが云々といったときにそれが排除されるというのがよくわかるのですけれども、四つがアンドでつながって初めて排除されるというのは、これちょっとよくわからないのだけれども、その辺がこのPOPs条約を締結していくに当たっての精神、あるいは経緯、そういうものが何かあったのかどうか。それがある程度わかりますと、農薬の場合についていずれか該当する場合には登録を保留されるとか、そういうことが割と明確になるのだろうと思うのですけれども、それが1点。
 それからもう1点は今度はこの考え方、まだ基本的な議論、論点でありますんで、少し時間がかかるなと思うのですが、今後のスケジュール、大体どの程度のことを考えておられるのか。これはそれぞれの個別の項目の決め方いかんによってはかなり問題もあるかと思いますが。それともう一つ最初に申し上げておきたいのは、さっき新規云々とおっしゃられたんですけれども、農薬の場合の再登録のときでも結局この基準で物事を考えていくときにはそれは適用されてくることになるのかどうか。そういうその具体的にこれを施行するのにどのぐらいのタイムスパンを考えておられるのか。その大きくは二つです。

(須藤委員長)
 それではこれは三つありますよ。

(更田補佐)
 まずこのPOPs条約は四つを満たしてという点ですけれども、この条約は環境保健部が取りまとめ部署になっていまして、伺いましたところ、生物蓄積性とか、残留性があるものは例えば1国だけでその使用を廃絶したとしてもよその国に使われていればその汚染というのはいずれ自分の国に及ぶ場合があるということですので、四つ満たすようなものにつきましては、国際的に協調してその使用を廃絶していかなければ効果が上がらないということで、その四つのすべてを満たす場合になったようでございます。ただ亀若委員のご指摘のように、毒性があるとか、そういった個々の観点で規制していくことについては、別に否定しているものではなくて、各国が自国で主体的に判断してやっていくべきものであろうということで、一応国際的に協調して廃絶するものは四つを満たすものになったと聞いております。したがいまして、POPs条約の他にもPIC条約という条約があるのですが、それは前回の農薬専門委員会でもご説明しましたように、この四つを満たさないがある国で最終規制措置を講じたというようなことがあれば、その情報がそのPIC条約の締約国に行きまして、それをどうするかというのは、またそれぞれの国で検討し、四つの条件を満たすものではないが使用はやめておきましょうということに取り組めるような情報を共有する仕組みを別途設けまして、総合的に化学物質による環境汚染の防止ということに取り組んでいるというようになっていますので、四つを満たさないから規制してはいけないというようなことではないと聞いております。
 それから改正の試験スケジュール実はこの登録保留基準の見直しは、条約の担保措置であればもう既にやってないといけないのですが、長距離移動性のように、定性的な規定もあるものですから、それぞれの制度で自主的に検討しましょうということになっていまして、いつまでというおしりは切られていません。しかし、もう条約も発効しますし、化審法も濃縮性の判断基準を5000にして運用しているという状況があれば、農薬取締法としても可及的速やかにやっていく必要があると考えています。見直し後は、濃縮性試験を農薬メーカーの方にしていただく経過期間も設けないといけませんので、枠組みだけはなるだけ早くやっていきたいというふうに考えています。それから再登録の件ですが、それはもう新規に限らず再登録も新しい枠組みで評価していくようにしなければいけないと考えております。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございました。確認として、スケジュールについてはもう既に実行しなければいけないのだけれども、いろいろな準備期間があるから、なるべく枠組みとしては可及的速やかにと、こういう理解でよろしいですね。わかりました。ではほかにございますでしょうか。石井委員どうぞ。

(石井専門委員)
 単純な話なのです。参考資料の1でいただいて締約国の一覧が載っておるのですけれども、最大の化学物質使用国のアメリカが入ってないのはなぜでしょうか。それともう一つは現状の運用としまして今半減期1年で運用しているわけですが、1年ということは1年を超えるようなものがあると、それは保留するという形で運用しておられるというふうに説明を聞いておるのですが、それでよろしいでしょうか。

(須藤委員長)
 それでは、アメリカが入ってない理由から。

(更田補佐)
 条約に署名はしているということなので、加入する意思はあるのではないかというふうに聞いていますけれども、現時点で締結していない理由はわかりません。

(須藤委員長)
 それはよく聞いていけばわかるのですよね。あるいは国際化ですか、通して、やはりアメリカが一番使っていてほかのCO2もそうなのだけれども、そういうことが非常に多いのはよろしくないので、なぜかというか、どういう理解をしているか、環境省がどういう理解をされているかということをまずはお調べになっておいてください。
 どうぞ、それで2番目の。

(更田補佐)
 2番目は基本的には、そのような運用をしているので申請がないというように認識しております。

(須藤委員長)
 ほかいかがでしょうか。全体枠の、あとは順番に個別にまいりますが、いいでしょうか。要するに今のご説明の中でご質問という意味ではよろしいですか。あとはこれからは先ほど論点と言われたので、一つ一つの論点についてご議論をいただいていこうかなと、こう思っております。
 それで最初にも申し上げましたように、これはきょうどちらかにするというようなことではなくて、再度先生方のご意見を伺って、それでもう1回論点の整理をし直すと、そういうことをしていただきますので、きょうはフリートーキングといいましょうか、先生方相反するご意見も当然あろうかと思いますので、どうぞ活発に順番にお願いをしていきたい。相互に一緒にまとめてやるとちょっと論点の内容が違うので、一つずつ取り上げていきたいと思います。どうぞご協力をお願いいたします。
 それでは論点の1ですが、土壌残留に係る登録保留基準におけるリスク評価について。これはご意見だけで結構でございます。どうぞおっしゃってください。先ほどのご説明はこうであるということをされましたのですが、どうぞご意見がなければその次にいきますけれども、まずこの辺は日ごろからご関心が大分あったようにも見受けておりますので、ほ場試験、容器内試験、それぞれ取り上げられていますよね。どうぞおっしゃってください。
 行本先生どうぞ。

(行本専門委員)
 土壌残留の試験でほ場試験と容器内試験いう話ですが、それでこれからどういうふうにするかという環境省の案を見ますと、ほ場試験と容器内試験を両方とも課すということで、登録保留の基準に半減期6カ月ということを考えておられるようなのですけれども、ここにも書いてありますけれども、一般的に容器内試験の方が半減期は長くなるということですが、実際に土壌への残留ということを考えますとほ場試験のほうが重要だと思うのです。ほ場試験の土壌は容器内試験の土壌と同じなのですけれども、気象条件なんかで非常に結果が左右される。それから試験する場所による問題とかいろいろあります。容器内試験をやると均一なデータが得られるということは確かなのですけれども、実際にはほ場試験の方が重みとしてはあるというふうに考えますので、どういう条件で試験をやるかということを考えることが必要だと思います。容器内試験をほ場試験と同等の重みというふうに考えるよりは、私はほ場試験の方を重視する方がいいのではないかなというふうに考えるのですけれども。

(須藤委員長)
 今の先生がおっしゃったのは、ほ場試験の条件をもっと明確にするということですね。わかりました。
 ほかにいかがでございましょうか。ですから重みはほ場試験の方ですよというのが行本先生のご意見ですね。どうぞ石井先生どうぞお願いします。

(石井専門委員)
 ほ場試験のやり方というのは、容器内試験は条件が整えやすいのです。ほ場試験のやり方とか、その辺が今のガイドラインは極めてあいまいなのですよね。ばらつきが大きい。当然規模にもよると思うのですけれども、そういうガイドラインはやっぱりもしほ場試験を、例えばほ場試験を重視が通常そういうのがよろしいと思うのですけれども、ただやはり試験する方法とか何かを少し見直す必要があるのかなという気はしております。

(須藤委員長)
 ありがとうございます。非常に条件をつけるのは難しいという今のご意見ですね。ガイドラインでは、なかなか読み切れない部分があるのです。
 どうぞほかにいいですか。ほ場試験のことについて。ほ場試験というか、土壌残留試験についてご意見ほかにあれば。若干そのほ場試験に重みがあるということは重要だというのは両者共通をされていると思いますね。ほかになければ続いていって、またもとに戻るということがあってもよろしいので、きょうは結構議題が多いので、少し順番に進めていきたいと思いますが、今お二人の先生からご意見いただきましたので、それはどうぞほ場試験に重みがあるというようなことであるわけですが、それから続いて、どうぞ山本先生。

(早川室長)
 [1]のリスク評価についてはいかがでしょうか。今議論が[2]のほ場試験と容器内試験の方にとんでしまったので。

(須藤委員長)
 リスク評価の方ね、私はそう言ったつもりだったのですが、圃場試験等の方についてのご意見が出てしまったもので。リスク評価の方についてはいかがですか。

(須藤委員長)
 では石井先生リスク評価のところ。

(石井専門委員)
 実は確かに先ほど亀若委員からおっしゃったように、四つの要件がそろって初めてPOPsに該当するというかなり厳しい問題のものを規制しようという案に対して、それにつられて6カ月というところで、やはり一番世間で気にするのは、多分1年を6カ月にするというふうに単純に解釈されて、後ろにちゃんと後作物でと書いてあるのですけれども、そこらあたりの誤解がないように、一つは確かに6カ月というところで線を引かれておりますので、それはこういう土壌残留性を考える一つのふるいとしては6カ月は結構かと思うのですけれども、あとはそこらあたりとPOPsと余りそこを絡めてしまうと、ぽこんと非常に問題のあるものを規制するためにつくった基準ですので、だからそういうものを基準にしたからそれに合わせようとする必要もないような気もするのですけれども、ただ後作物というのは問題はこれから厚生省がポジティブリスト制を踏まえた基準をつくろうとしているのです。後作物というのは登録基準があればいいのですけれども、ないようなやつはどうなるのかよくわからないところもあるのですよね。そういうことがあるから、後作物の判断基準が一体どういうふうになるのかなと。適用のある作物であるならば多分基準が決まってくるのですけれども、ないやつはかなりきつい基準になってしまうのです。そこらあたりの問題も少しあるので、もちろんそれを超えて残るようであれば困るのだと思うのですけれども、そこらあたりはどういうふうになるのでしょうか。

(須藤委員長)
 一個一個今の時点で事務局がどう考えますかというもので、先生がそういう懸念を持たれているという、後作物の基準がないような場合がどうしたらいいかというようなことの一つの疑問を投げかけてくださっているのです。ここで皆さんどうですかとは伺わない方がいいので、今先生がそういう懸念を示されたということで順番にいった方がよろしいね。今の点について山本先生続いてどうぞ。

(山本専門委員)
 二つあって二つとも今の石井先生の話とよく似ているのですけれども、一番下の方に食品規格に適合しなくなる場合のみ登録保留するという後作物試験ですね、今のその規格がないものについてはポジティブリストで、0.01ppmとか0.02ppmとかいう数字でなかなかこれ運用しにくいなというところが出てきますね。それと6カ月というのは附属書Dと非常に一致していて、わかりやすい話ではあると思うのですけれども、農薬の場合に一般化学物質と同じようにという考え方でいいのかどうかというところはどこかで一遍議論する必要があるのかなと思うのです。というのはもともと今の1年以上という登録保留基準というのは恐らく土壌中でまいていくと、1年に1作1回まくということでやって半減期が1年以内であれば、ずっと何十年まき続けても1回の散布量の2倍を超えないというようなところが根拠になっているのだと思うのです。どんどんふえていかないというところが1年だというような話から1年になってきたのではないかと。そういうことで考えますと、常時出てくる、あるいは非常に不規則に出てくるような一般化学物質の場合と、限定的に使うという農薬の場合を同じ6カ月ということでいいかどうかということはどこかで議論があってもいいかなというふうに思います。わかりやすい話ではあるとは思うのです、6カ月にして。6カ月超えるのはどのぐらいあるかということと、例えば今の行本先生、石井先生言われたようなほ場試験で6カ月を超える農薬がどのぐらいあるかということと、それがどのぐらいの信憑性、たまっていくような形での6カ月を超えているのかということをちょっとチェックする必要があるかなというふうに思います。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。それはもしわかれば試験データが残っていればそういうチェックをしていただいてもいいかなと思いますが。順番にもうきょうは論点ですので、先生方のご意見をご披露していただいた方がいいと思います。リスク評価はほかによろしいですか。では中杉先生どうぞ。

(中杉臨時委員)
 土壌残留のお話で、これも作物残留、土壌残留から作物残留という観点でここで議論をされておられるのだと思うのですけれども、実はあとの方の今度は水田で使わない農薬も一応水の方へのということを考え始めると、いわゆる土壌残留というのがそちらの方で関連してくる可能性があると思うのです。POPs条約はまさに作物残留ではなくて、環境上の残留で汚染がどう広がっていくかという観点で議論していますので、その意味ではそういう観点も少し頭の中に入れて整理をする必要があるのだろうと。ですから、あとの議論と少し絡んでくるのかなというふうに思います。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございます。もう少し広い視点でということであります。どうぞいかがですか。いいですか、リスク評価。亀若先生どうぞ。

(亀若臨時委員)
 リスク評価ということではないのですが、その前で先ほどのPOPsが四つの基準云々というところと、これから土壌残留性との関連なりを検討する際に、4ページのこの[2]土壌残留性に係る登録保留基準ということで書いておられるところがありますね。つまりここが一つのリスク評価なり何なりの規定になってくるのだと思うのですが、そこでここの「一方」以下の考え方は、ここで残留性があるもの、いわゆる6カ月を超える場合POPsになる可能性があるとされるというふうに書いていますよね。さらにそのあと「したがって」と言ってまたPOPs条約でPOPsと断定される可能性がある物質が農薬登録されるという懸念があるというふうになっているのですが、これ[1]でもってこれはむしろD基準に照らして人の健康への悪影響がないように運用していますと言っているので、POPsになるというのは言い過ぎでしょうね。むしろここが今のように土壌半減期6カ月を超えるという残留性があるというふうになっているので、その期間のクライテリアが、これが整合しないことになるというふうに書くのが正しいのでしょうね。というのは、これはこういう資料というのは多分きょうも公開だろうと思うのですが、一般に流れていっていくのですけれども、農薬がPOPsになるという可能性があるとは書いていますけれども、先ほどの話からいくと[1]によってPOPsに該当しないというような話になってくるものですから、ここはちょっと言い過ぎではないかと。むしろここははっきりとそのものの本質は期間のクライテリアが整合しないというふうに書くべきではないかなという気がしましたので、ちょっと本旨からは外れるのですが。

(須藤委員長)
 ここは事務局でつくっている大事な資料なんで、ここだけはちょっとお答えを今いただいた方がいいかなと思いますので、いかがでしょうか。

(更田補佐)
 制度上の話ということで整理を行っておりまして、一応POPs条約では6カ月以上というのは残留性ありと判断されるわけです。一つの条件には該当しているわけでして、その他の条件に該当するかは不明ですが、毒性については農薬の場合しっかり使用が規制され管理されているので悪影響を生じないようになっているわけですが、物性的で見ればそれは殺虫等の効果のある生理活性物質であり、それは使い方によっては悪影響有りと判断される可能性あるとおもいます。従って、資料では制度上POPsになる可能性が否定できないものですということで書いたものです。ただし、先生おっしゃるように確かに実態論から見ればそういうことはないのだろうとは思います。

(須藤委員長)
 だからPOPsの一つの条件になるわけだね。そういうことでしょう。ですからそこが、今先生がおっしゃったところですね。そういう意味ですね。

(亀若臨時委員)
 そこは特にあとの「農薬登録されるといった懸念がある。」というところで、POPsというものの概念と農薬登録の概念というのは違うのを今それぞれのクライテリアごとに合わせようとしているわけでしょう。だからそこのところにかなり思い込みがあるのではないかと。私の方から見ると文章から見えるのですよ。だからここは素直な形で今の基準の面で書かれては。

(須藤委員長)
 表現をした方がいいですね。

(亀若臨時委員)
 書かないというか、外れるというふうに書いた方があとの議論も非常にすっきりするのではないかなと思うのですけれども。トータルとして見るのではなくて。

(早川室長)
 ご指摘は踏まえまして、修正させていただきます。

(須藤委員長)
 これはここをどうするああすると最後結論をつけるのではなくて、先生のご意見をそうであると。多分そう読み取れる部分もあるのでと。それでそれはぴったり一致しているものではないですから。そこをわかるようにしてくださいというのが亀若先生の意見です。ほかに、リスク評価はいいですか。では森田先生。森田先生、山本先生いきます。

(森田臨時委員)
 今回POPsと少し絡んだ形で改定という議論が出ているということで、少し混乱する要素も出るかもしれませんが。しかしながらPOPsの12物質のうちの九つはかつて農薬だったのです。同じことがないだろうかというのは極めて自然な発想であるというのはきちんと留意しておく必要があるなと。そういう意味では、今回も可能性というだけであれば確かにそのとおりあると。その文章としては間違っていない。ただし農薬をおつくりになっている、あるいは使うサイドからいって、嫌な文章が残っているということはあるので、それは少し修文の余地があるのかもしれませんが、しかし現実にPOPsはそうだったということはやはりちゃんと考える必要があるのです。

(山本専門委員)
 余り長くなってもいけませんので、先ほど中杉先生のお話なのですが、ただきょうの議論は現在の農取法の中のその水産動植物を食べたときにどうかと。あるいは残った作物から被害が出てはいけないという、この農取法の中で議論しようという話ですよね。したがって中杉先生のおっしゃる視点は別の意味で僕は大変重要だと思うし、環境の問題で。だけどもこの農取法の中でやろうということですから、そこのところが一緒になってくると大変議論が混乱してこないかなという感じがちょっとしたものですから。

(須藤委員長)
 ありがとうございます。中杉先生どうぞ。

(中杉臨時委員)
 多分従前の水田使用農薬だけの生物濃縮という話で考えるのであれば、余り問題はないのかと思いますけれども、畑地等も含めてそういう農薬がやはり水に入るということまで議論をし始めると、やはり先ほど言いました季節変動はどうだ。または時期がいつだという話も含めて考えると、そういう観点から土壌残留性という議論が一つあるだろうということを申し上げたので、多分POPs条約の方の観点は作物残留という観点は入ってないのです。だから今私が申し上げたような観点から6カ月という数字が多分出てきているのだろうと。もう少しスケールとしては地球規模のレベルだから、四つの条件がついているということがありますけれども、そういう意味で少し後ろの議論をするときに、次の題の議論をするときに頭の中に入れる必要があるかもしれないと思います。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。櫻井先生どうぞ。

(櫻井臨時委員)
 この土壌中半減期は6カ月ということなのですけれども、年に1回農薬を使ったとして、6カ月で半分、1年で4分の1にしかならないわけです。また使うわけですから、当然ある程度蓄積するわけです。ですから全然蓄積しないようにしようと思えば半減期が2カ月ぐらいなら大丈夫ですね。だけどそこまでは求めない。現実には本当に半減期6カ月を超えた農薬というのはそうはないだろうと思うのですけれども、もしあったとすれば当然ある程度は蓄積して、数年後にそれなりに平衡に達することになります。そういうふうに存続しているものについての次の問題は生物濃縮があるかどうかということです。両方合わさって初めて問題になるので、両方一緒にはなってない場合も多いだろうと考えます。だから6カ月でもいいのではないかというふうに思います。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。それではまだこのリスク評価の部分はおありかもしれませんが、一つ一つ分けていくとかなりの項目になりますので、先ほどもほ場試験の方を先に私が伺ってしまったので失礼いたしましたが、行本先生とそれから石井先生からそれぞれご意見をいただきましたが、そのほかにほ場試験、あるいは容器内試験でご意見ございますでしょうか。先ほどは2点ご意見。ほ場試験に重点を置くべきではなかろうかという一般論は確かにおっしゃっていただいた。非常に難しいだろう。状況はそういうのは難しいだろうというのがご意見でありました。
 それではあとですべて整理しますが、ほかはとりあえずたくさん今リスク評価でいただきましたので、次は生物濃縮性の観点の議論に進んでよろしいですね。生物濃縮性の観点で議論をお願いをいたしますが、特に基準値の算出方法というところに絞りましょうか。基準値の算出方法というのはまとめているのが8ページにあるのでしょうか。ここのところですよね。基準値の算出方法、特にこれについてはご意見はいかがでございましょうか。基準値の算出方法、それに必要なのが1日当たりの飲水量、平均体重、それから3番目の配分係数、このぐらいまで一体でいかがでございましょうか、そうしたら。配分係数までの[1]、[2]、[3]というところですね。これは従来からこの辺はずっと使ってきたところですよね。8ページの[1]、[2]、[3]ぐらいのところを特にご議論願います。では中杉先生どうぞ。

(中杉臨時委員)
 配分係数ですけれども、事務局の資料では食品が80%、その中に魚が入っていてという、それを10%の中に押し込んでしまうという考え方で、これは仕方がないのかなと思いますけれども、後ろの方の例えば濃縮性でBCFが幾つ以上と、5000以上を超えるものについてはやりましょうということが十分それで担保できるのかというのは若干心配になる。ここで10%に抑えてしまっているので、実際にそれより低いものでも超えてしまう可能性があるのではないか。これは実際あるのではないかという頭の計算だけをしていますので、実際にはここの部分は今までのデータがいろいろあるので、それでシミュレーションしていただく必要があると思うのです。先ほど測定データを見せていただいて、ここである考え方は大体係数は同じぐらいのほぼ変わらないような考え方でやりますと、ペルメトリンなんかはADIが2000の中の魚の一番高い濃度を取ると2000の中の900というような数字になってしまいます。それが実際その900になるのはどこでとれた魚だとか、どういうあれだという議論は当然出てこなければいけないだろうと思うので、そういうこともあれなのですが、実際にここで考えられたものを実際に今の現状で得られるデータからどういう結果になるのかというのを少しシミュレーションをしていただく必要があるのかなと。あくまでも机上の計算だけですと過大に見積もったり、あるいは過大過ぎるからといって今度過少に見積もり過ぎたりということが起こると思いますので、それだけお願いをしたいと思います。

(須藤委員長)
 わかりました。それはそちらでもしも幾つかのデータで手に入るものがあればこれですと今の中杉先生がおっしゃったようなことが、十分満足できるのかどうかということがシミュレーションというか、計算でもやっていただけると、実際のデータを踏まえて計算でもやっていただければよろしいかと思います。
 ほかいかがでしょうか。配分係数。眞柄先生、その次に石井先生にまいります。

(眞柄臨時委員)
 POPsの観点から言うと、[1]から[4]までは関係ない。[5]だけだと思うのです。[1]から[4]のものはいわゆる登録保留の段階で魚介類経由を入れようということであって、ですから先ほどの議論と関係するのですが、POPsの枠組みの中で化学物質としての農薬をどう審査するかという話と、それからいわゆる農取法の登録のときの農薬をどう見るかというのと、やっぱりこれ見ると混ざっているのです。だからやはりこの専門委員会で二つの仕事を別々にやってもいいのですけれども、POPsの枠組みの中で農薬をチェックしようと。同じ農取法の観点から、ではこれは登録保留基準であれにどうするかしようかというので、やはり分けて議論しないとおかしくなるのではないかと思うのです。先ほどの議論も同じことですし、私の意見はそうです。
 それから登録保留基準の関係で配分係数の話をこういうふうに出されて今後そうするとしたら、現在食品で90%以上になっている農薬がたくさんあるはずです、幾つか。それが再登録のときにそれはチェックをするのかどうなのかというのはかなりの問題になると思いますので、それだけ気になったことをお話しします。

(須藤委員長)
 眞柄先生、分けて議論するというのは、それは当然考えとしては分けてやる必要があるのだけれども、この際POPsを考える上で、当然見直さなければいけない部分を登録保留基準等の中で一緒にやろうとしているからそういう見かけ上はこう見えるんだけれども、それやること自身は先生よろしいのね。

(眞柄臨時委員)
 僕は分けてやった方がいいと思います。

(須藤委員長)
 分けてやった方がいい。これは最低限というかPOPs条約の部分だけまずはやってくださいという意見ですね。

(眞柄臨時委員)
 そう。POPsの附属文書Dに合うように農薬は化学物質の一つであるというふうに考えて、この農薬はPOPsに該当するかしないかというのをチェックすればいい。それとは別に登録保留は農取法の枠組みの中で審査をすればいいというのが私の考えです。そんな別に大変な作業ではないと思うので、それはさっきの6カ月だ1年だというのは農取法の1年のままでいいではないか。POPsの方だけ6カ月で試験でやって申請してくればいいではないかという考え方もあるだろうということです、それが1番です。この生物濃縮性の魚介類経由を足して80%農作物で残り20%が水と食品、魚ですね。というルールを決めたら再登録の中の中にもうこれで言ったらもう当てはまらない、もう登録できないやつが出てくるのが幾つかあるのですが、大丈夫ですかということを、これは余分なおせっかいかもしれませんけれども、申しわけないですね。

(須藤委員長)
 そういう制度ができればそうなりますよね。それは今ここで結論出す問題ではないけれども、再登録のときには同じ基準でやるわけですから、もうそれは機械的にいったらその基準ができていれば当然そうなるのだろうと思います。何か今の点で、では室長どうぞ。

(早川室長)
 ご指摘の点について資料の整理が悪くてPOPsの話と農取法の登録保留基準の話が若干オーバーラップしているようで、混乱させてしまって申しわけないと思っております。この資料における事務局の考え方としては、POPs条約の基準と農取法の基準を整合させるということを直接的に言っているのではなくて、POPs条約の精神、例えば今までそのような考え方はなかったのですけれども、毒性だけではなくて残留性とか、蓄積性のあるものはできるだけ世の中に出さない、あるいは出したものについはできるだけ処分していくという考え方がだんだんそういういろいろな知見を踏まえて一般的になってきたためPOPs条約ができました。そういう趣旨を踏まえて、我が国の農薬の登録制度を振り返ってみてどうかといったときに、その厳密に言うとさきほどの亀若委員のお話のように今の農取法でもPOPsになるようなものが農取法で登録にならないのかもしれませんけれども、ただそのピンポイントだけで見るのではなくて、例えば残留性の高いものはできるだけなくしていこう、あるいは濃縮性の高いものはできるだけなくしていこうという精神を踏まえて農取法を振り返ってみたときに土壌残留の基準である半減期がが現在1年であるけれど、これはPOPs条約を踏まえてできるだけ6カ月ということでやっていった方がより適切なのではないかと考えたためです。濃縮性につきましても同様に今まで考慮してこなかった部分ですがこれを今後は考慮していくということでございます。そういった観点から、さきほどのリスク評価のところでの議論もありましたけれども、単純に物性だけで規制するのではなくて、必ずリスクを評価すると。作物の残留も考慮するということでリスクを評価していくということをきちんとした上でできるだけ残留性の高い農薬を排除していこうという考え方でいくべきと思っております。また、中杉先生のお話の作物経由だけしか見ていないというのは確かにそのとおりで、実は例えば土壌に残留してで地下水を汚染することを想定した規制措置は、確かに農取法はないわけです。多分中杉先生のおっしゃっことはそういうことだと思いますが、それはまたもう少しの先の課題として考えていかなければならないと思いますけれども、それはまたステップ・バイ・ステップでやっていきたいと思っております。
 それともう一つ、魚が食品かどうかという議論についてもちょっと混乱しているようですが、例えば食品たる魚の残留基準をつくればいいのではないかというそういう議論もあるかもしれません。ADIの8割は農作物経由で人に摂取されることを想定し、魚経由の摂取をそれ以外の部分に配分するということになりますと、先ほどの環境中の残留調査をごらんになってもわかるように、あれはたまたま農地にまいた農薬が水に出ていって魚を汚染したということであり、こういうふうにまいたら魚にこういうふうに残るという、例えば作物残留性試験のような形でとらえられないわけです。例えば農薬と同一の化学物質で動物用医薬品として使用するものについては、生けすで飼っている魚にその医薬品をこういうふうにまくとこれだけ蓄積する、だから魚の体内中におけるその医薬品の濃度について基準をつくり使用規制をするということができるわけです。それに対して農地にまいた結果としてたまたま農薬が魚を汚染してしまう場合については、魚における農薬の残留基準をつくろうとした場合には、これを実際にまいて、川の中の魚にどのぐらい残るかという、そういうシミュレーションなりをきちっとして、そして魚にこれぐらい残るから農地においてはこれ以下の散布量にすべきだというふうにしないといけないのですけれど、そこまではとてもではないけど今の段階ではできません。そうであれば、水中濃度に濃縮係数を掛けて、それで一応魚にこれぐらい残留するであろうと仮定しつつ水の濃度基準による規制をしていくことが現実的であると考えております。また現在の水質汚濁に係る登録保留要件に係る農取法の考え方の中に幸いなことにそういう規定が入っていますので、こういったものを導入することによってより水質汚濁の登録保留基準を厳しく運用することによってそういうような濃縮性の高い農薬を事実上水系に出ないような、水の基準が厳しくなれば水に出ないような使い方をせざるを得ないわけですから、そういった形で規制していければ適正なのではないかということで非常に複雑な経緯とエッセンスを一つの登録保留基準というところでご議論していただきたいと思います。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。今とりあえずは考え方として事務局の考え方を伺ったわけですが、石井先生先ほど手をお挙げになったですよね。どうぞ。

(石井専門委員)
 今、室長の答えを聞いてある程度わかったのですが、一つは私の印象としまして、作物残留なんかと違ってやはり室内実験とあと想定計算だけで規制をしようとしていると。だから実態をどこまで踏まえられるのかという問題、そこをどう解決するか。今、室長は確かに大体のお答えをされたのでお答えは必要としませんけれども、そこが一ついわゆる実態とのギャップがどの程度見込めるか。あるいはもしかして過剰規制になるおそれがある。あるいは緩くなるおそれがあると。農薬取締法では一応その利用の原因となって人畜に被害を生ずるおそれ、おそれを想定計算だけでいいのかというそこらあたりがちょっと気になるのです。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございました。中杉先生、亀若先生で。今の配分係数のところまででよろしいですね、内容は。

(中杉臨時委員)
 ちょっと先ほどの早川室長の方から私が申し上げたことを少し十分理解していただいてないようなので、地下水の話は農薬の場合はほとんど余り問題にならないと私は認識しています。そういう意味ではやはり土壌が粒子が流れ込んでと、流亡して水質が汚染して、これは水の中に濃縮性の高いやつは水の濃度がなくても、水の濃度がなくてもというのは言い方が悪いのですけれども、検出されなくても生物の中では高濃度になる場合がある。これはここにわかっているので上げていただいたので、農薬の登録がなくなりましたからもう問題ないのですけれども、ケルセンが一番いい例だと思うのですね。あれは非水田農薬として使われて、多分水を測っても余り出てこなくて、ところが魚になっているとかなり高濃度に出てくると。これは恐らく水の中に入るというのは流亡して、そのとき流亡するときに土壌中ですぐなくなればそれは全く問題ないわけですけれども、長くあるとそれが供給されるということで、そういう観点が少し必要になってくるかなということで申し上げたつもりでございます。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございました。それではお伺いしたいと思います。

(亀若臨時委員)
 先ほどの眞柄委員の意見は私の感じと全く同じなのですよ、実は。POPsの基準というのとそれからそれを今度は使っての農取法での考え方というのが非常にごちゃごちゃになっているから非常にややこしいのですけれども、それでここの生物濃縮のところについても何でこんなに無理をしてADIの方に結びつけなければいかんのかなという感じを非常に強く持っているのです。というのは、POPsとの関連で農取の方の一つの基準というものをこれから新たに考えていくとすれば、ここは素直にむしろ生物濃縮性と排出性という二つのファクターに注目をして、それがPOPsの基準から見てどうなのだと。そういう形でのリスク評価をやっていく。その結果として今度は農取法の場合には曝露される期間が極めて短いとか、いろいろなファクターが入ってきますよね。それをではどうするのかというふうに考えていくといいので、それが10%の水の中をさらに取り分けてやっていくという話になってくると、あとの統計表も出てましたけど、一体どの段階の魚までこれの対象にしていくのかとか、あるいはADIもたしか0.01以下のものも結構あると思うのですけれども、そういう面での検出限界の話も出てきますし、いろんな複雑な話がずっと入ってくるので、だからまずやっぱり我が国としてPOPs条約というものを化学物質の一つである農薬のところにどう考えていくのかという基準で整理をしてやっていくと。それで私は農薬の場合はorの関係になっていますから、そこが非常に大きな違いがあると思うのですよ。トータルとして全部食べるものの中に入れる必要ないのですよね。だからそこら辺がorの関係のむしろいいところでもあるかもしれないという気がしています。

(須藤委員長)
 ありがとうございます。では早川室長どうぞ。

(早川室長)
 亀若委員のご質問に対するお答えなのですけれども、無理にADIに結びつけているという印象があるということなのですけれども、結局リスクというのは人でも生態でもいいのですけれども、何らかの危害を及ぼすおそれがあるということなのです。ですから例えば濃縮性のあるだけで、例えば濃縮性が5000以上あるだけでこれを人にあるいは生態に、被害が生ずるおそれがあるかというと、これだけをもっておそれがあるとは言えないのです。ですから我々も実は物性だけで規制ができるかいろいろと検討したんですけれども、やはり物性はポテンシャルであって最終的にはリスクに結びつかなければ規制するのは適切でない、したがって人健康だったら最終的にそれを何らかの経路でで農薬を摂取してその量がADIというメルクマールと比べてどうかというリスク評価が必要と思います。濃縮性の話も、農薬だけではなくて、例えば化審法でも濃縮性を審査していますが、分解性と毒性も審査しており、最終的にはそれによって人への健康に影響が生ずるおそれがあるかどうかというリスクで見ているわけです。若干よその国と違うのは、よその国は濃縮性を人の健康というよりも生態リスクで見ている。例えば日本で言うと水産動植物の被害という観点で濃縮性を入れています。その観点からも検討したのですけれども、濃縮性によって水産動植物に被害を生ずるというところのリスクをどういうふうにやって今の農取法の規定というか、基準の中で表現したらいいかというのは非常に難しい。そういった観点で改めて農取法をよく読んでみますと、人健康の水質汚濁の登録保留基準の中に汚染された水を経由して魚を、魚とは書いてないのですけれども、水産動植物を利用した場合も含むとあります。この精神は多分昭和46年に農取法を改正したときに当時の水銀なり、あるいはPCBの問題があったかどうかちょっとわかりませんけれども、そういった汚染を防止するためのエッセンスをこの中に当時の立法者が盛り込んでおいたわけで、たまたまその規定をその後の運用の中で用いてこなかったということです。この規定を用いると濃縮性も踏まえてそれを最終的にリスク、ADIと比較するという意味のリスクというところに結びつけることができるということできちっと被害を生ずるおそれを判断できることになるという整理をしました。そうでないと濃縮性だけで、あるいは残留性だけで被害を生ずるおそれがあるということで、登録保留することはできないし、土壌残留もよく読んでいただければさっきのリスクではないのですけれども、土壌残留がたった1年を超えただけで登録保留ではなくて、それによって最終的に人のリスクに問題なければいいという規定になっております。そこのところが苦労したところなのですがご理解いただければと思います。

(須藤委員長)
 ありがとうございます。では若林先生、ではこの問題について一応若林先生だけでとどめて、若林先生を最後にして次にいかないと時間がなくなってしまうから一通りやらせてください。では若林先生どうぞ。

(若林臨時委員)
 [3]までということではなくて、どうしても全体についての意見になると思うのですけれども、生物濃縮されやすい農薬について水の基準の中で考慮するというのは、農薬を食べ物として入れないという枠組みで非常にメリットがある部分もあるとは思うのです。ただADIに入れ込んでそれで最終的に5000というPOPs条約の基準と連動させるところがやっぱりかなり問題があります。今日結論は出さないということで問題提起させていただきますけれども、例えば濃縮係数が1000だとしますと。水2リットル飲むのに相当する魚の量って2グラムなのですか。すると、5000以上だけをカットするということにはならなくなると思うのです、理屈上。魚の量というか、どの水域で食べた魚を対象とするかを考慮する余地はあると思うのですけれども、ADIの10%に入れ込むとなるとかなりきついなというのが今の感想です。今後、いろいろ議論していく中で、いい枠組みというのをつくれないことはないだろうとは思いますけれども、現段階ではそういう感じです。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございました。
 それでは先ほど申し上げましたようにきょうたくさんありますので、一通りやらせてください。それで次が魚介類の摂取量、それから生物濃縮性、それから濃縮性試験、残りの三つですか、これをあわせてどうぞご議論していただきたいと思います。先ほどから魚の摂取量なんかが出ているわけですが、魚というか魚介類の摂取量が出ているわけですが、いかがでございましょうか。では、中杉先生。

(中杉臨時委員)
 魚の摂取量のところ何段階かに分けるというのは一つの考え方だと思うのですけれども、実際には先ほど言いました環境のどこの魚でどのぐらい出ているかという情報が必要だろうと思うのと、余りそこを細かく分けて何か基準をつくろうというようなことを考えると、結構難しくなるのかなというふうに思います。モデルで計算して、どこの水域ではどのぐらいの濃度になってという話になるので、余り細かく分け過ぎると大変かなというふうに思います。それともう一つあるのは、基本的には内水面の魚が一番汚れて、次が内湾が汚れて、海外から入ってくるのが沖合いとかそういうものはかなりきれいだろうというふうなことを想定してやっていますけれども、残念ながらこのごろは必ずしもそうも言えなくなってきているのではないか。これはダイオキシンとちょっと性質が違うよと言えるかもしれませんけれども、ダイオキシンなんかを考えたら入ってくるものの方がむしろ国内でとれているものより高い場合がままある。そこら辺をどう考えるかというのがこれは割り切りの世界だと思うのですけれども、一つ頭に入れておく必要があるのだろうかと。従来はこういう考え方をしたりしてから従来の考え方にのっとるというふうな、それなりに一つの考え方だったとは思いますけれども、ちょっとそういうこともあるということだけ頭に入れておいていただければと思います。

(須藤委員長)
 沿岸域とか養殖が必ずしも大きいわけでもないということですよね。わかりました。どうぞほかに。では山本先生。あとの残りのところ全部一緒にやってください。4、5、6のところをどうぞ。

(山本専門委員)
 今の摂取量の話ですけれども、どこまで摂るかと。沿岸、内面という、これがどこまで摂るるかということと、それからもう一つは濃縮性試験をするときの濃度、いわゆるPECと言ってしまった方がいいかもしれません。それとの関係があると思うのです。この間の水産動植物の影響のときには、主要河川の環境基準点のようなとこら辺を一応PECの対象地点にしようということで計算していますけれども、そういう数字を使うのであれば内水面というようなことを考えないといけないし、沿岸まで入れるのであれば沿岸域のPECみたいなことを考慮する必要があるというようなことが一つあろうかと思います。とりあえず……。

(須藤委員長)
 そのぐらいを分けておいた方がいいということですね。ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。今の残りのすべてご発言ください。摂取量、それから濃縮性、それから濃縮性試験ですよね。この部分で何かここに事務局の論点を整理してございますので、それでありましたら。では順番にいきましょう。櫻井先生、眞柄先生、それから森田先生、石井先生、順番にいきましょう。お願いします。

(櫻井臨時委員)
 濃縮試験をやることには賛成です。当然そういう方向に行くべきだとは思うのです。logPow3以上というのはいい線ではないかと思います。そのあとただし、魚類を使う濃縮性試験というのは何週間でしたか。余り長くないのですよね。

(更田補佐)
 28日間です。

(櫻井臨時委員)
 28日間ですね。その間に大体平衡に達するものの数値を使っていますよね。平衡に達してないとしたら少し延長するけれども、どっちにしてもそう長いものではない。そうすると排泄もそれぐらいの期間で大体排泄してしまうということになります。

(更田補佐事務局)
 一応参考資料3の14ページにこの排泄期間の長さを予測方法が掲載されています。

(櫻井臨時委員)
 通常論理的には大体平衡濃度に達するのと同じ期間で大体全部出てしまううものです。もちろん生物のことですから、少しは違っても、おおよそそういうことなのです。ですから農薬を1年に1回ある時期に使うとしたら、そのときに魚類の濃度が上がったとしても、そのあと魚類そのものの濃度は比較的早く減衰するので、平均値をとるというようなことをすると比較的低い数値にはなるのではないかとは思います。要するに排泄を考慮するというのは当然必要だということです。

(須藤委員長)
 よろしいですね。続いて眞柄先生。

(眞柄臨時委員)
 今の櫻井先生のおっしゃったことと関係するのですが、水田農薬のときに150日間平均でやっていますよね。先ほど山本先生もおっしゃったのですが、しかし水環境に流出しやすい農薬は親水性の農薬で、しかもごくまいてから10日ぐらいのところでピークが出て30%ぐらい流出するのです、普通の水田ですと。そうするとそのときにかかるような試験をするのか。そしてそのときに引っかかったときに試験をして、それが排出を経てまた正常に戻るかどうかというところまでしないと私はフェアではないと思うのです。高いところだけ引っかけて、また高い条件で試験をして、濃縮があるよというのは僕はやはり何ていうか、やはりその影響が不可逆的であるものに対しては厳しくしないといけないのだけれども、可逆的なものに関して言えば、急性毒はもちろんまれですけれども、いわゆる慢毒に近いやつは可逆的であれば僕はそんなに深刻に考える必要はないのではないかというのが私の認識なのです、特に農薬に関して言えば。ですからこの試験方法の化審法の試験の方法が、農薬でそのまま使っていいのかなというのはもう少し検討する必要があるかなというのが私の認識というか、感想です。

(須藤委員長)
 一番高いときにやった結果で、その数値を出すのはフェアではないと。では森田先生どうぞ。

(森田臨時委員)
 もちろん[3]、[4]、[5]、[6]にかかわってはいるのですが、その手前からいきますと、もともとこの議論は中杉先生がおっしゃった水の基準を決めたり、あるいは作物残留を決めているときに、これで魚にたまっていくのはどうするのだという、そういう議論から出てきたのです。そこの部分を手当てしようとしているという認識で、それをPOPsと少しくっつけて議論しているというところが今のところ起こっている現象だろうと思うのです。しかしもう少しさらにそれをエクステンドしますと、POPsを始めとする中で、かつてPCBはそういう意味では水系の汚染だったのですが、POPsのほかの物質は実は畜産系の汚染が問題だったのです。それは牧草が汚染されて、それを食べる牛が汚染されて、それを食べる人が汚染されるという、つまり、魚だけでよいのかというのが実は根本に残っているのです。残っているのですが、ただ全部は展開できないので、さしあたり事務局の方が用意されたのは、そういうことは全部あるとしても、魚の中で前回、頭を持ち上げている部分をちょっとたたいておこうというのが今のところの作戦のように私は見えて、それはそれで実効性は多分高いだろう。そういう意味で[4]、[5]、[6]に書かれているものというのは本当にちょっとやや突出しているような部分を少しならして、それによってリスクをある程度小さくしようという、そういうアプローチに見えますので、それなりにこういう選択は現実的かなという感じがいたします。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。それでは石井先生、それからその後では若林先生、そういう順番でいきます。若林先生からどうぞ。

(若林臨時委員)
 あとから手を挙げてすみません。
 濃縮係数ですけれども、濃縮係数というのは水の濃度に対する魚の体内の濃度ということで、基本的には水の濃度に依存しないということが多いというふうに言われてはいます。ただし濃度が低い方が濃縮係数が高くなったり、また濃度が高い方がなったりとか、そういうのは私自身が実験で証明していますけれども、多くのものは曝露濃度に依存しない係数です。実験室で求めた濃縮係数から逆算して環境濃度を決めるのは、最悪ケースを想定していると思っていいただいていいと思う。私自身防汚剤の評価にちょっと携わっているのですけれども、それは化審法で求められる濃縮係数と同時に、実際の現場での濃縮を見る試験結果を併記して出してもらっているのです。どのうな試験かというと、防汚剤で染めた網を使って、例えば1カ月とか2カ月とか魚を飼って、そこの魚にどのぐらい蓄積するかということを見る試験を一緒にやってもらうと。ただ農薬の場合どうやるのかなというのはすぐにはちょっと現場に近いモデルというのを思いつかないですけれども、ただ実験室で求めた結果で最終的な判断はしていないです。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございました。では石井先生どうぞ。

(石井専門委員)
 櫻井先生の話で皆さんおっしゃったようなことになってしまうのですけれども、やはり排泄性というのはそれはどうしても必要だと思います。28日間の試験は一応ガイドラインはそうなっているからそれは横並びで世界共通のということでいけばそれでそれでよろしいかと思うのですけれども、実際に28日も濃度が維持されることはまずあり得ませんけれども、そういう意味ではどういうふうにカイドラインをつくるのかということがちょっと難しいかな。それから内水面とか、それから沿岸の話はやっぱりケース・バイ・ケースでやっぱり少し考えないと、一律にやってしまうとやはり問題かなという思います。それから先ほど森田先生がおっしゃったその動物の蓄積の話は、私は門前の小僧式に毒性の先生方がやっておられる話は余り横で聞いている立場なのですけれども、動物では逆に言うと代謝とかの試験をやっておられますので、それはある程度今の農薬なら大体わかるのではないかなと思うのですけれども、その辺はちょっと専門ではないのでよくわかりません。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。では更田さんどうぞ。

(更田補佐)
 今の家畜体内への農薬濃縮のことなのですけれども、一応現行登録保留基準で作物と土壌の両方なのですが、家畜経由というのを考慮することとされています。例えば作物残留ですと、当該農薬成分である物質が家畜の体内に蓄積されるという性質を有し、かつ定められた使用方法、申請書の記載に従い家畜の飼料作物に農薬を使用し、飼料作物に汚染が生じまして農薬成分等が残留するというような場合は登録保留ということとなっています。家畜体内に蓄積されるかどうかは、乳汁移行試験を行って判断しています。例えば農薬が残留しているえさを食べさせて乳汁から農薬が検出されると蓄積性があるだろうと判断することとしておりまして家畜経由は考慮する仕組みになっているということです。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。それでは櫻井先生、どうぞお願いします。

(櫻井臨時委員)
 ちょっと追加なのですが、小さな魚なんかは割合生物学的半減期が短いですよね。相当蓄積するにしても早く蓄積して早く出る。体重の大きな動物ほど長くなるわけです。ですから魚類でそもそも全体を推測するというのは無理があるのですけれども、少なくとも今の段階で魚類そのものを食べる人のリスクを考える場合には、私先ほど言ったように魚体の濃度は割合早く上がって早く出てしまうので、川に住んでいる小さい魚の場合は余り心配はないのではないかと考えています。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。それではいろいろ貴重なご意見、あるいは研究成果を踏まえたご意見もいただきまして、一通り論点の部分については整理というか、先生方のご意見を伺うことができたかと思います。それで一番問題は亀若先生、あるいは眞柄先生が言われているような、やはりちょっとPOPsでやらなくてはいけないことと、農薬取締法で整理しなければいけないことの混乱が若干あるのではなかろうかというご指摘に対して、先ほど早川室長から一応は農薬取締法の精神できちっとやっておけばPOPsにおいても対応できるようにしたという、こういうことだったと思うのですね。いいのですね、それでね。それでそういうことでよろしいかどうかはもう一度整理していただいて、いずれにしてもそう大きな違いは多分ないのだろうと私は思いますが、その辺の部分のご議論がここの場でどっちにするかというのは次回送りにさせていただきますが、とりあえずは農取法の精神をきちっとしておけばPOPsにも十分対応できるというようなことで進めていただいてよろしいのかと思いますが、しかし部分部分のところでどうしてこうしなければいけないのというのを整理がちょっと不十分な部分があって、先生方の混乱を招いたのかなという印象を実は持っております。その辺はクリアにしていただいて、それから論点のそんなに違ってなかったと私伺っていて思いますので、もう一度これは私はやっていただいた方がよろしいかと思いますので、事務局と十分に打ち合わせを私しなかったのだけれども、これはこの問題はもう一度この専門委員会でやらせていただいた方がよろしいかと実は思っております。
 ということで、まだもう一つ重要な議題があるのですが、大変きょうは白熱した議論でちょっと休んだ方がよろしいかなと思いますので、あの時計で10分間、8分過ぎですか、まで休憩を取らせていただきます。それではどうぞご休憩ください。
 きょうはやはりどうしても早くと思ったのですけれども、5時まではお願いをしたいと思います。
午後4時00分休憩
午後4時08分再開
(須藤委員長)
 それでは大変短時間の休憩で失礼をいたしました。
 続いて2番目の議題に入らせていただきます。水質汚濁に係る農薬登録保留基準の運用の見直しについてということでございます。事務局の方から資料のご説明をお願いいたします。事務局の方から資料をご説明いただいたあと、先ほど冒頭にお話がございました、眞柄先生から貴重な資料提供をしていただいておりますので、その説明については眞柄先生からお願いをしたいと思っております。
 ではどうぞお願いいたします。

(神谷補佐)
 資料の5に基づきましてご説明いたします。
 有機リン農薬の水質汚濁登録保留基準設定におけるオキソン体の取り扱いについて(案)でございます。
 前回の第15回中環審農薬専門委員会におきましてEPN、ピリダフェンチオン、ダイアジノン、この三つの有機リン農薬について水質汚濁登録保留基準の設定のご審議をいただきました。この中で3名の委員の先生方より水道水質基準との整合性を確保して、各農薬の本体と併せてオキソン体についても分析・評価の対象に加えるべきではないかと、こういうご指摘をいただいております。それでこれを受けて委員長より今後国が行うモニタリングにおいてこれらの農薬のオキソン体についても測定をすること、それから次の専門委員会で有機リン農薬オキソン体の扱いについて議論して今後の方向性を出すことといった条件つきで基準案を了承すると、こういう提案をいただきまして合意をいただいているところでございます。
 この経緯を踏まえまして、今回有機リン農薬オキソン体の扱いについて従来の経緯、それから現在のいろいろな取り組み、今後の方針等を検討したペーパーでございます。
 まず経緯でございますけれども、水質汚濁の登録保留基準、これは平成5年より基準の設定が開始されております。この中で環境中での分解生成物とか、水道における消毒処理生成物、これらを考慮した基準を策定すべきだという議論は当初よりございました。しかしながら水中分解試験におけるガイドラインが未整備であったこと等を理由に、従来具体的な検討がほとんど行われてまいりませんでした。例外といたしましては、平成13年に基準を策定いたしました有機リン農薬のアニロホスについて、オキソン体の生成に関して検討した例がございますが、これ以外の農薬についてこれを考慮した基準の設定が行われた例はございません。またオキソン体以外の分解生成物についてでございますが、環境中で急速にほかの薬効成分に変化して作用する農薬については代謝物の濃度と、それから代謝物と親化合物の合計濃度によって基準が定められているような事例がございまして、例としてカルボスルファンについては原体と代謝物カルボフランの合計濃度による評価が行われているというのがございますが、これは例外的なものでございまして、どういう場合こういった運用がされるかが現在必ずしも明確になっておりません。
 2番目に水道水質基準における取り組みでございますが、昨年5月水道水質基準が改定されました。農薬につきましては、個別の農薬に係る項目が基準から外される一方で、新たに水質管理目標の設定項目としまして、農薬類を一括した検出指標値で管理する総農薬方式というのが導入されました。その検討対象となる農薬としまして101農薬がリストアップされております。これらの農薬について原体の分析法が既に昨年10月公表されております。厚労省の水道課では現在このリストアップされた農薬を中心にその有機リン農薬のオキソン体のうち標準物質が入手可能なもの、6農薬ございますが、これについても分析法を検討中であると聞いております。これを早期に公表するとともに、オキソン体を加えた水質管理を行う方針であるということでございます。
 一方、水環境行政における取り組みでございますけれども、現在水質汚濁の環境基準に有機リン農薬は含まれておりませんが、要監視項目に6農薬が指定されております。これらはいずれもオキソン体の測定、評価は行っておりません。また土壌の汚染の環境基準、それから水濁法の排水基準では四つの有機リン農薬の基準が定められておりますけれども、ここでもオキソン体の測定・評価は行われておりません。
 ここで問題の整理をさせていただきますと、一般に有機リン化合物のオキソン体は毒性が高いことから、チオネートの構造、すなわちP=S二重結合を持つ構造への置換が行われて製品化されている例が多い。このために環境中や水道水中でオキソン体に転化するチオネート型の有機リン農薬については、原体のみを測定対象として規制を行うと有害性を過少評価するおそれがあるのではないかということで、オキソン体を含めたリスク評価について検討する必要があると考えられます。
 農薬の分野における取り組みを5番に、ご説明しております。農薬の環境水中での挙動につきましては、この基準の設定当初より試験水田中における消長試験というのを課しております。この中で農薬原体の濃度の経時変化が測定されておりまして、これに基づいて田面水中の150日間平均濃度を算出し、登録保留基準への適否が判定されてまいりました。この際、オキソン体等分解生成物の測定・評価は前に述べましたカルボフランの例などを除きまして原則としては行われてまいりませんでした。この水田消長試験における分解物の考慮につきましては、平成12年11月の農薬の試験ガイドラインの改定におきまして実は既に整理をされております。その内容でございますけれども、土壌中運命試験、それからこの段階から新たに導入しました水中運命試験というのがございます。これはいずれも室内の小規模な試験でございますが、ここで生成した代謝分解物等のうちから主要なもの、通常10%以上生成したものについては水田消長試験、水質汚濁性試験と言っておりますが、ここにおいて分析を要求する、また、水中運命試験としては加水分解運命試験、それから水中光分解運命試験の2種の試験を課すと、こういう整理を行いました。この新試験カイドラインに基づく試験成績を、原則として新規の農薬については平成13年2月以降、それから再登録の農薬については16年2月以降の申請時に提出するということとされております。
 この新ガイドラインを活用すれば、分解生成物の評価もできるのではないかということで対応案を6番に述べております。まず環境水への影響評価でございますけれども、試験ガイドラインの改定によりまして、登録申請時に田面水中で生成する主要な分解物の濃度が報告されることとなります。ここで田面水中においてオキソン体の生成が認められた場合には、環境中におけるオキソン体の存在を考慮した評価を行うことが適当であると考えられます。オキソン体の毒性についてここでまた別に試験評価をすることも考え得るわけですが、有機リンの農薬については通常代謝過程で生成するオキソン体が農薬の有効性とか毒性の発現に関与していると想定されますので、試験と審査の費用効果を考えた場合、このような毒性評価を別途実施する意義は低いと考えられます。したがいまして、原体の毒性評価の結果に基づいてオキソン体と原体の測定値の合計濃度により曝露評価を行い有害性を判定するのが合理的ではないかと考えられます。
 それから2番目に水道水への影響評価でございますが、浄水中では、塩素又はオゾン処理の結果、環境水と比較してオキソン体の存在比率が高まるということが想定されます。有機リンのオキソン体というのは専ら分解の第1段階で原体から直接生成すると考えられますので、浄水中における原体とオキソン体の存在割合というのが環境水中での存在割合と異なってたとえオキソン体の方がふえたとしても、浄水中でのこれらの合計量が環境水中での合計量を上回ることは考えにくいと整理できます。したがいまして、原体とオキソン体の毒性が等価であるという前提に立てば、(1)の環境水への影響評価をもって水道浄水への影響も考慮したものとみなせると考えております。
 少し具体的な例としまして、別添の3を23ページに付けております。これは前回ご審議いただきましたEPNの代謝分解経路の図でございます。真ん中の上の(A)の化合物がEPNの原体でございまして、そのすぐ下にオキソン体がございます。ここでA、P、S、Wというのがそれぞれ動物、植物、土壌、加水分解における分解の経路を示す記号でございます。
 今申し上げましたように、オキソン体は原体から分解の第1段階で直接生成をします。あとは経時的により小さい化合物へ分解をしていくというふうに考えられますので、水道水中の(A)と(B)の合計濃度は環境水中と比べて増えることはなかろうというのがこの説明でございます。
 戻っていただきまして、以上の考え方で分解生成物の評価、特にオキソン体の評価を考えたいと思っております。その対象とスケジュールでございますけれども、新規に申請される農薬については、必要に応じてオキソン体を含めた基準を策定することとしたいと思っております。それから現在水質汚濁の登録保留基準が定められている134の農薬がございますけれども、このうちオキソン体の生成が想定されるP=S二重結合の構造を持つ有機リン農薬は8農薬ございまして、さらに前回の専門委員会、それから先日の部会でお認めいただいた新たに基準を定めるピリダフェンチオンとダイアジノンを加えると計10種の農薬について基準の再検討が必要となってまいります。これらにつきましては今後3年以内の再登録時に逐次新しい試験ガイドラインに基づく分解物を含めた水質汚濁性試験の結果が提出されることになりますので、農水省とも連携しながらこの試験結果を点検して、必要に応じてオキソン体を含めた基準を策定してまいりたいと考えております。
 これらの農薬のオキソン体の環境水中での挙動をより精緻に解析するために、モニタリングデータの収集にも努めてまいりたいと思っております。それからEPNにつきましては、実はメーカーから新ガイドラインに基づく試験結果が一部提出されておりますので、これを今の考え方に当てはめたケーススタディーを後ろにつけております。別添の4をごらんいただければと思いますが、25ページでございます。ここに2種類の水中運命試験の結果を掲げております。一つは光分解の運命試験でございまして、EPNを放射性同位元素で標識しまして、光分解試験を実施しております。これのゼロから120時間後の生成物を確認した結果がこの1.の部分でございます。滅菌蒸留水とそれから滅菌河川水の結果を載せておりますけれども、いずれも半減期は1日程度と非常に短い期間で分解しております。それで分解物の生成割合をここに掲げておりますけれども、主たる分解物はEOA、ETA、PNPとございますが、これは前のページの代謝分解経路図を見ていただきますと、既にオキソン体よりも分解の進んだより小さい化合物になっているということが分かります。各試験でオキソン体の生成割合は最大2.3ないし3.5%ということが判明しております。それから25ページ2.でございますけれども、加水分解運命試験、これは暗所での加水分解試験を行った結果でございまして、処理後の30日後までの生成物を測定した結果でございます。結果はまずpH4の緩衝液中での分解でございますけれども、これは非常に分解が遅いということで、ほとんどが30日後もEPNのまま残ったという結果でございます。EPNのオキソン体は最大の生成が0.4%程度であったということでございます。それからpH7につきましては、DT50が約38.7日ということでございまして、主要な分解物としてはPNPとかETAといったものが出ており、オキソン体は最大0.2%でございました。それから次のページのpH9の場合では、半減期は3.6日ということで、主要分解生成物はPNP、ETA等で、その他の分解物としてオキソン体は最大1.5%生成したということでございました。
 この結果を先ほどの考え方に当てはめますと、3.のところでございますけれども、水質汚濁性試験においてはこの上の1.、2.の水中運命試験の結果に基づく主要分解生成物を測るということで、EOA、ETA、PNP等の濃度を測るということになっております。水中運命試験と土壌中の運命試験において、EPNオキソンはいずれも主要分解生成物とは認められませんでしたので、水質汚濁性試験における測定対象、それから基準における評価対象には、このEPNの場合EPNオキソンは含まないという整理になろうかと考えております。
 前に戻っていただきまして、最後4ページの今後の課題でございますけれども、今回オキソン体の扱いについてご提案をさせていただいておりますが、これ以外にも環境水あるいは水道浄水における農薬分解生成物の発生というのは当然想定されますので、これらの扱いも課題かと思っております。これは毒性評価のあり方についてどこまでどういった形で行うかという整理がまず大きな課題としてございますので、今後そのモニタリングデータを集めながら検討を進めてまいりたいと考えております。それから今回のこの取り組みを契機としまして、先ほど来、各委員からのご指摘もございますけれども、現在欧米で進められている古い農薬の最新の知見に基づく再評価という作業を関係機関と協力しながら始めていきたいと、このように考えております。
 以上でございます。

(須藤委員長)
 どうもありがとうございました。それでは眞柄先生、ご提供いただきました資料について簡潔にご説明くださいませんでしょうか。

(眞柄臨時委員)
 資料を準備しましたが、急いでメールでお送りしたものですから、図表がないのでどうも申しわけありません。それから一番最後のところにあります資料9というのは、環境保全成果集で平成6年でちょっとバージョンが古いのですが、これについては環境省の出版物で公表されておりますので、例のオレンジ色の本ですが、あれがその前に4、5、6と3年やったものの取りまとめがここに入っておりますので、それをごらんいただければ図もきちっと入っておりますので、おおよそのことはおわかりをいただけるだろうと思っております。
 資料6からそのあとも同じようなことを1ページの表にありますように、厚生科学研究費を使ってその中で農薬のグループがございまして、安藤先生ともご一緒にずっと仕事をしてきております。平成6年当時に比べれば機器分析の水準が上がりましたので、データはかなりよくなっているし、種類も測れるようになっているかというふうに思います。
 まず9ページをごらんいただきますと、14年度の実態調査その他2というのがございますが、これの下の方に先ほど話題になりましたEPNのオキソンからMEP、それからイソキサチオン、ダイアジノン、その辺の下の方のオキソン体がありますが、環境水ではオキソン体の生成はどちらかといえば少ないというのは事実であります。しかしオキソン体が検出されることもありますので、環境水中でチオネート系の有機リン系の農薬がオキソン体になることはあり得るというふうに認識をしています。
 一方11ページの資料4にありますが、それの13ページですが、これは水道では塩素処理をしますと、あるいはオゾン処理をしますとチオネート系は全部オキソンに変わってしまいます。その変わったオキソンは13ページの上の方の活性炭の吸着等温線がここに出ているのですが、勾配がきついほど処理しやすい。平になるほど処理がしにくいということで、水道で塩素処理なりオゾン処理をしてオキソン体になってしまうと、水道では非常に処理しにくいものになるということです。そういうことで水道の水質基準では先ほどご紹介がありましたように、原体とオキソンと念のため両方はかって評価をしているということであります。
 その下にいろいろな農薬のKow、Powの値が出ていまして、先ほど議論になった3以上のものが結構あるのだというのがおわかりになるかと思います。
 それでそれからではしばらく飛ばさせていただきまして、試験法自体は安藤先生が中心になっていただいておりますので、ほぼオキソン体も水道では測定できるようになっております。 46ページを見ていただきますと、46ページの下の方の(4)農薬とその光分解生成物というので、例えばモリネートとヘキサメチレンイミンとか、チオベンカルブとクロロベンズアルデヒドとか、クロロベンジルアルコールとか、ブタクロールとジエチルアリニン、キシレン、エチルトルエン、トルエン、エチルベンゼン、MEPとメチルニトロフェノール、フェニトロチオンオキソン、ダイアジノンとダイアゾクソンというふうに環境中の光分解によりここに今例示してありますようにさまざまな分解性生成物が存在するということは確認が取られております。ただ濃度がどのぐらいかということになるとそれほど高くないものもあるし、高いものもあるということでございます。そんなようなことで、少しく図表がなくておわかりにくいかと思いますが、ぜひ環境保全成果集をごらんいただきたいと思います。
 なお59ページの上の方では、これはメダカを使って急性毒性を調べた実験ですが、4行目に毒性はクロロプロピレート、PCNB、ビンクロゾリンということで、濃縮係数はその順番だというようなこともKowに合っているというようなデータも出ております。
 そんなようなものだということで水道の分野では農薬原体だけではやはり評価が厳しい、難しいということでやはり酸化処理副生成物も同時に測定をして、水道水のリスク管理をしているということをご理解していただければと思います。

(須藤委員長)
 どうもご説明ありがとうございました。
 それでは眞柄先生の水道でのオキソン体の生成があるので、それについても含んで評価をしているといういろいろなデータを踏まえてご説明をいただきましたので、先ほどの神谷補佐の環境省としての、事務局としての考え方、お聞きしたことで言えばオキソン体を有機リン系についてはこれからは入れていきたいと、こういうことでございますので、どうぞ先生方から眞柄先生に対するご質問でも結構でございますので、お願いをいたします。ご意見でも結構でございます。どうぞ安藤先生。

(安藤専門委員)
 先ほど事務局が土壌分解性のお話をちょっとなされたかなと思うのですが、それはどこの図なのでしょうか。それともEPNのこの23ページの図で土壌分解性ありと、こういうふうに評価なされたのでしょうか。あるいは25ページの別添4というのが生物存在下の分解というのはどうだったのかなと。

(須藤委員長)
 どうぞ。

(神谷補佐)
 土壌中の分解運命試験も実は実施をしておりまして、直接関係性が低いので少し割愛させていただいておるのですけれども、生成物につきましては、ここにありますPNP等ということで、やはりオキソンが10%に満たなかったということは確認をされております。

(安藤専門委員)
 そのデータはもう取ってあるわけですね。

(神谷補佐)
 提出されておりますが、今回の分につきましては、割愛させていただいております。

(安藤専門委員)
 わかりました。

(須藤委員長)
 安藤先生それでよろしいですか。

(安藤専門委員)
 はい。

(須藤委員長)
 ほかにいかがでございますか。今度入れれば新たに先ほど示してある農薬についての再登録のときにはオキソン体を含めて評価をすると。もちろんデータを取っていただいた上で評価をすると、そういうことになるわけでございます。
 ということでよろしゅうございますか。この辺は私どもがずっと農薬の審査をしていく中で特に眞柄先生からのご指摘が何回かあって、私も一言で言えばいずれの機会にはやらなくてはいけない問題と思っていて、この間のところで議論をお願いしました。どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 須藤委員長から暖かいお言葉をいただきまして、ありがとうございました。環境省の方でもこのような形でまとめていただいて私はこれで十分だと思っております。EPNのときにもお話ししましたように、こういう図が今度から出てこなくなるのですか。これが出てくるのですか、今度。

(須藤委員長)
 代謝経路というか、分解経路ですね。

(神谷補佐)
 これは個別の農薬の基準を作成する際の配付資料にお付けしている農薬抄録の中に入っております。そこから抜粋させていただいたものです。

(眞柄臨時委員)
 抄録は我々見られなくなったのでしょう。

(神谷補佐)
 基準の審査の際には従来どおりお配りしております。

(須藤委員長)
 特に先生ご希望があれば。十分見ていただいてもよろしいのですが。

(眞柄臨時委員)
 昔のやつのときには入っていたんだけれども、今度からは生体内の代謝も全部わからないままこうですよと言われるようになったので、環境中の代謝経路については登録保留基準を検討する専門委員会に資料として出てくるのでしょうか、どうですかと、それをご質問したのです。

(神谷補佐)
 基準値を設定する際に、農薬抄録そのものは企業秘密に属するデータも入っておりますので、事前にお送りして各委員の先生方には見ていただいているという扱いにさせていただきます。それでこの場にお出しする資料の中で何を入れて、何を入れないかというのはもう少し個別に調整させていただいた上で整理させていただきたいのですけれども、いずれにしても委員の先生方には抄録を必ず見ていただけるような形で審議したいと思っております。

(眞柄臨時委員)
 ありがとうございます。ただ先ほどのケーススタディーでもそうですが、大変高度なテクニックと、それからこの成果というのは普通の研究室ではとても出せないような成果なのです。多分農薬をご存じの方でこの分解の速度か時間を見たら、これは何だというふうに思われる方も出てくるかもしれないので、これは私はもちろん専門委員会にある程度出していただいて結構なのですが、取り扱いには慎重にしていただかないと登録申請者が資料を出されなくなる可能性がありますので、そこだけ慎重にお願いしたいと。私たち環境のサイドの方にとっては非常に参考になるデータですが、公開することに関しては慎重にしていただきたいと、それだけでございます。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。どうぞ安藤先生。

(安藤専門委員)
 今、眞柄先生がおっしゃったフロー図というのは実は私にも非常に大事でして、あれを見て大体こうだな、ここは注意するなと、こういうふうな見方をしていたものですから、それは非常にありがたいなというふうに思うのですが、もう一つお伺いしたいことは、いわゆる内閣府の食品安全委員会のお話かなと思うのです。ここで農薬原体についてはそれはあちらでやるかもしれませんが、私は違う部会でそういうのに出ているのですが、いわゆるここでのシチュエーション、いろいろな問題というのはあそこでは全く討議しませんね。つまりあるものが来て、それについてADIがどうだ、そういう議論になる。そうするとここのいわゆる大事な議論が全く出てこない。そうするとここの今いったようなオキソン体だとか、あるいは10%を超えるか超えないかという、そういう問題についてはあそこでは全く議論していかない話になる。それはどうしたらいいのか、そこはどうお考えになっているか、そこをお伺いしたいと思います。

(須藤委員長)
 それは大変だね。この前も安藤先生そのことをご指摘になりましたよね。オキソン体の議論にときに。

(早川室長)
 もしよろしければ石井委員は食品安全委員会の農薬専門調査会の委員をお務めいただいているのでここでご披露できる範囲でその代謝物の取り扱いについてどのようなご議論をされているのですか。

(須藤委員長)
 石井先生いいですか、お差し支えない範囲で。今の代謝物について。

(石井専門委員)
 私座長でも何でもないもので、余り勝手なことは言えないのですけれども、担当している者としましては当然代謝物、環境中から作物の代謝物から全部見まして、ADIを決める委員会ですので、その代謝物をどこまで含ませなければいけないというようなことは多分言ってないと思うのです。ただ評価のときには、当然それを考慮に入れていると。これは私みたいに直接の行政内部局の人間でない者が、環境省、厚生労働省、農水省の縄張りの争いの中で管理か評価かという、そういうようなところに余り巻込まれたくないところですね、はっきり言って。それだけちょっと言わせていただきます。

(須藤委員長)
 ありがとうございます。余り無理なご発言をさせるのはよろしくないから、これはやはり行政としてどう考えるか。

(早川室長)
 代謝物については、先ほどのマップにおいて本体の例えば10%以上生成されたものの毒性評価をどうするかというようなお話については、動物中なりで生成するものは動物の毒性試験の中である程度評価できるとか、あるいは植物中で生成するものの場合は作物残留の基準において最終的に反映するのでそれも何らかの形で評価するということで、多分リスク評価について食品安全委員会で考慮されると思います。ただし、水についてはそこら辺を考慮するところまで多分いかないと思うので、食品安全委員会と事務的に連絡調整を密にして、農薬のリスク評価の際に水中で生成される代謝物まで併せて評価してもらえるようにするか、水質汚濁の登録保留基準を作成するに当たって環境省から食品安全委員会に対して代謝物のリスク評価をお願いするのか、あるいは別途環境省がそのようなリスク評価を行うのかといったことも含めて今後関係省庁間で詰めた上で対応を決め、この専門委員会に報告をしていきたいと思っております。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。ほかご意見ありますか。ただいまの問題のオキソン体は原案どおりこれは原体と同様の評価をするということの案ですが、これでよろしゅうございますか。
 特に強いご発言もなさそうでございますので、一応前々からも議論はされていた問題でもございますので、ちょうど時宜を得ていると思いますし、再登録のときにこの部分が入るので、再実験なり再評価なりをしなくてはいけないというものがありますが、こういう物質でございますので、それも当然かと思います。そういうことで農薬専門委員会としてこの原案どおりということでお認めいただいて、これを土壌農薬部会に報告したいと思いますが、よろしゅうございますか。

(異議なし)

(須藤委員長)
 ということで、どうもありがとうございました。眞柄先生から本当に何回も懸案の事項でおっしゃられていたのです。何年かがりになったかわかりませんが、とにかく先生方のご賛同を得られてこうなりましたことを大変うれしくというか、喜ばしいと思っております。
 それでは有機リンついては同様な処置を今後とも取っていきたい。こういうことになると思います。どうもご協力ありがとうございました。
 それでは今後の取り扱いについて事務局の方からご説明ください。

(早川室長)
 今回ご了承いただいた方針に基づいて進めて行きたいと思います。またこの方針については次回の土壌農薬部会で報告させていただきたいと思います。

(須藤委員長)
 では続いてありがとうございました。部会への報告は専門委員会の委員長である私が簡潔にさせていただきます。
 それでは議題(3)のその他でございますが何かございますか。

(更田補佐)
 最後にちょっと一言ご報告申し上げます。先ほど石井委員からPOPs条約にアメリカが加入していないのはなぜかとのご指摘があった点ですけれども、確認しました。アメリカは議会に批准の承認を求める提案をしているところだということでございます。

(須藤委員長)
 それでは大変ご熱心なご討論どうもありがとうございました。最後に本日の資料の取り扱いについてご説明いたします。土壌農薬部会の運営方針では、調査中の報告の案文、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料、関係者と調整中の資料、その他公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがある資料については委員長は委員限りである旨明記した上で非公開とすることができるとされております。本日配付した資料の扱いについて事務局よりご説明ください。

(更田補佐)
 本日の資料のうち委員限りの扱いとさせていただいております眞柄委員提出資料につきましては、事務局におきましてデータの出典等の確認とまた未公表のデータの部分等を整理させていただきまして、眞柄委員と調整させていただいた後に公開ということにさせていただきたいと思います。その他の資料につきましては、いずれも委員長からご説明いただいた非公開理由に該当しないことから公開とすることが適当であると考えております。

(須藤委員長)
 ありがとうございました。そうしますと、いずれかは眞柄先生の資料も公開されるわけですね。確認したあとと、そういう意味でよろしいですね。よろしいですね、先生は。

(眞柄臨時委員)
 私の資料はいいのですが、EPNの分解経路の資料は公開するのは問題ないのですか。

(神谷補佐)
 今回の資料については登録メーカーからご了解いただいて、公開扱いにさせていただいています。

(須藤委員長)
 ということで、いずれはすべて確認した後は公開とさせていただきます。今日の段階で非公開の資料についてもいずれは公開していただくということを確認をさせていただきました。
 以上をもちまして、本日の農薬専門委員会を閉会とさせていただきます。長時間にわたり、ご審議をいただきましたことをお礼申し上げます。どうもお疲れさまでございました。