農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会及び 中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会第3回合同会合議事録

日時

平成15年5月21日(水) 13:30~ 16:27

場所

環境省第1会議室

議題

  1. (1) 特定農薬に関して情報提供があったもののさらなる整理について
  2. (2) 特定防除資材(特定農薬)指定のための評価に関する指針(案)について
  3. (3) その他

配布資料

資料1 農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会合同会合委員名簿
資料2配置図
資料3 第2回合同会合議事概要
資料4 農薬でないとされるもの(修正案)
資料5 情報提供のあった資材のうち農薬として使用すべきでないもの(案)
資料6 特定防除資材(特定農薬)指定のための評価に関する指針(案)
資料7 特定防除資材(特定農薬)の整理フロー(案)
資料8 特定防除資材(特定農薬)として指定された資材に関連する情報について(修正案)
参考資料1 特定防除資材(特定農薬)検討に当たっての論点メモ(第2回合同会合配付資料9)
参考資料2 農薬取締法に基づき農薬登録申請者が提出を義務づけられている毒性及び残留性に関する試験成績(第2回合同会合配付資料11)
 …農薬の登録制度、試験成績一覧、試験成績の作成に係る指針(抜粋版)
参考資料3 特定農薬の調査結果の概要及び特定農薬の指定に関する検討結果
 (第6回農薬分科会配付資料8、資料9)
参考資料4 特定防除資材(特定農薬)に関する新聞報道等(掲載は省略)
参考資料5 第2回合同会合議事録(案)(委員限り)
参考資料6 特定防除資材(特定農薬)検討に当たっての論点メモ等に対する委員意見(委員限り)

議事

【事務局】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会第3回合同会合を開催させていただきます。
 本日は、委員の皆様方、ご多忙の中ご出席を賜り、ありがとうございます。
 私は、事務局を務めます農林水産省農薬対策室長の澤田でございます。よろしくお願いいたします。座らせていただきます。
 では、最初に委員の皆様のご出欠の状況を報告させていただきます。お手元の資料、1枚めくっていただきますと資料1ということで委員名簿がございます。これで見ていただきますが、ご欠席だということで承っている委員をご紹介いたします。上から3人目ですが、伊東委員、それと、国見委員、櫻井委員、それから下の方で廣瀬委員、米谷委員、眞柄委員、それから山本委員でございます。それで、あと、上の方ですけれども、井上委員は3時半からご出席可能ということで聞いています。それから、上路委員は16時からということで承っております。という状況でございます。
 それでは、最初に農林水産省の坂野審議官からごあいさつを申し上げます。

【事務局】 農林水産省審議官の坂野でございます。委員の方々におきましては、もう今年何回目ですか、かなりの回数ですけれども、またお忙しい中、ご出席いただきまして御礼申し上げたいと思います。
 この機会でございます。少し最近の情勢を申し上げたいと思っております。
 まず、農薬取締法でございます。昨年末に改正しまして、3月10日に施行ということでございます。この施行に至るまでに、大変審議会の委員の先生方の熱心、また、きちっとした議論をいただいたおかげで、何とか施行にいけたということであります。現在はその内容を現場に趣旨徹底ということで、まずその内容を皆さんにきちっと知っていただくということに全力を挙げているところでございます。
 また、昨年の第1弾に加えて第2弾ということで、今年、現国会に食品の安全性確保のための農林省の関連法律の整備ということで、今法案を5本ぐらい出している。その中で農薬取締法も再度改正をお願いしております。内容は大きく2つございます。一つは、無登録農薬とか販売禁止農薬が販売されたときには、回収の命令をかけるという命令措置ということを言っております。強制的な命令措置を入れるというのが1点であります。それから、もう一つは、農薬の登録と食品衛生法上の残留農薬基準の設定を同時にするということで、要は、食用に使う作物については、今後すべて農薬登録で販売されるものは、みな残留基準が設定されるというような仕組みに移行するための措置をやっているところであります。先週、衆議院での審議が終わりまして、今週から参議院という段階であります。
 これまでの法案審査、特に農薬取締法について、その中でも今回の議論であります特定農薬、これについて幾つか国会等で質問が出ていますので、ご紹介をさせていただきます。二、三ありますけれども、まず、指定の作業を今後どういうふうに進めるかというようなのがかなり出ております。それから、もう一つ、天然由来で安全なものは、そもそも農薬の規制対象外にしてほしいと、すべきといいますか、したらどうかと、そういうような議論が出ております。後ほどこれらについては担当の方から説明をさせたいと思っております。
 それから、もう一つ、農林省関係ということではなくて、政府全体の食品安全の取り組みということで、食品安全基本法という法案も現在国会で審議をされているところでありまして、一つだけ申し上げますと、第8条に、農家を含めまして、食品関連事業者は、その事業活動を行うに当たっては、みずからが食品の安全確保についての第一義的な責任をとるということ。それから、そのために食品のきちんとしたものの供給の責務を果たすというような規定がありまして、当然ながら生産資材についても、それぞれの自己の判断と責任ということがさらに重要になると。言わずもがな、当然国としてもきちっとした責任というのは当然ですが、そういうふうな生産者といいますか、食品に関連する方の責任というのをしっかり規定されたところであります。そういった意味でも、資材の安全性確認というのは当然ながら重要なことであるということであります。
 今回の議論は、前回の4月16日に議論をいただきました論点なりを、皆さんの意見を踏まえて、さらに指針案ということでつくりました。これは、今後特定農薬のいろいろな作業をする上での基本原則というもの。いきなりこれが個別に入りますと、いろいろと議論が出ます。まず基本原則、どういうものから、科学的に当然ながらどういうようなデータを少なくともとるかとか、チェックするかというような基本原則であります。本日、この議論をいたしますので、よろしくご議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【事務局】 それでは、次に事務局側を紹介させていただきます。
 まず、農林水産省側から紹介させていただきます。
 私の左側、皆さんからごらんになって右側ですけれども、竹原生産資材課長でございます。 それと、皆さんから見て私の左側ですが、田雑課長補佐でございます。
 それから、その隣が安藤課長補佐でございます。2人とも農薬対策室でございます。
 それから、次が独立行政法人農薬検査所、渡辺部長が来ております。
 それと、あと、審議官の向こう側、皆さんからごらんになって左側ですけれども、環境省の早川農薬環境管理室長でございます。
 その右側が更田室長補佐でございます。
 よろしくお願いします。
 議事を始めます前に、本日の配付資料の確認を簡単にさせていただきます。
 クリップどめでとじてある1つ目が今回のメインの資料でございまして、外していただきますとわかりますが、資料が1から8までございます。1枚目に全部書いてありますので、ご確認いただければと思います。全部通しページを振っておりますので、ページで呼ぶ場合もあると思いますけれども、よろしくお願いします。
 資料の1が名簿で、先ほど見ていただきました。資料2が配置図で、きょうの座席表でございます。それから、資料の3、後で確認させていただきますが、第2回目の合同会合の議事概要がございます。それから、資料の4、これは先般ご審議いただきました、農薬ではないとされるものということで、一部指摘がございましたので、修正案ということでつけております。それから、資料の5、これが情報提供のあった資材のうち農薬として使用すべきでないもの、使用する際には農薬登録が必要だというようなリストでございます。それから、資料の6、これが本日ご議論いただくメーンでございますが、特定防除資材指定のための評価に関する指針(案)でございます。この間の議論を踏まえて、論点を整理して指針にいたしております。それから、資料7、これもあわせて見ていただきたいんですが、整理フロー図でございます。指針案と一緒に見ていただければと思っています。それから、資料8が特定防除資材を指定するときにあわせて提供するということを想定している情報でございます。今回指定したものは入ってございません。
 あとは参考資料ということで、また別のクリップでとめてありますので、それもごらんいただきたいんですが、これは先般の論点メモが1つ目で、参考資料でございます。それから、参考資料2というのが、これも前回配ったものと同じですので、また見ていただきたいと思います。これは登録農薬のときに必要となる試験項目でございます。それから、資料の3が、これは前に農薬分科会で配った資料ですけれども、特定農薬の概要ということで、めくっていただきますと、資材の特定農薬として寄せられた情報のリストがここに入ってございますので、また役に立つと思いますので、今回も配付させていただきました。あと、参考資料の4というのが、最近報道されている特定農薬関係の新聞報道です。最近のもの、前回の会議以降のものをピックアップしてみました。
 以上でございます。
 確認していただいて、不備な点があれば事務局にお申し出いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それで、次ですけれども、進め方でございますけれども、実は、ご存じのように本合同会合というのは、環境省と農林水産省の持ち回りで事務局を務めさせていただきまして、今回は農林水産省が担当ということでやらせていただきます。ということで、座長を前々回お願いした本山委員に今回お願いしたいと思いますが、よろしいでございましょうか。
 それでは、本山先生にこれからの進行をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

【本山座長】 それでは、これより私が議事進行を行いますので、よろしくお願いします。
 本日も、前回に引き続き公開とさせていただいていることをお断りします。
 さて、議事に先立ち、前回の合同会合の議事概要について確認したいと思います。事務局に読んでいただいて、この場で確認をいただきたいと思います。

【事務局】 それでは、読ませていただきます。資料3をごらんください。
 前回の第2回合同会合の議事概要でございます。開催日時及び開催場所、それから出席者については、ここに書いてあるとおりでございます。
 会議の概要から読ませていただきます。
  (1)特定農薬の指定に関する意見募集の結果等について。事務局から、特定農薬の指定に関する告示、特定農薬の指定に係る意見募集の結果、特定農薬に関連した有機JAS制度及び特別栽培農産物表示制度の動きについて説明があった。
  (2)特定農薬として情報提供があったもののさらなる整理について。事務局から、特定防除資材の検討に当たり、情報として寄せられた資材の扱いを明らかにするため、「農薬でないとされるもの」と「農薬として使用すべきでないもの」の整理について説明があり、おおむね妥当とされた。
  (3)特定防除資材(特定農薬)の指定について。事務局から、特定防除資材として指定する際の薬効や安全性評価のガイドラインを検討するに当たっての論点メモについて説明があった。
 検討の結果、

  1.  [1]論点の項目としてはおおむね妥当ではないか。
  2.  [2]評価項目が多く、また費用もかかることから、データの作成が現実的には困難となり、特定防除資材の指定は余り進まないのではないか。
  3.  [3]農薬メーカーが農薬登録に当たり多大な労力と費用をかけて試験を実施していることとの公平性の確保が必要ではないか。
  4.  [4]散布者のみならず、周辺への影響等の評価が十分か疑問が残る。
  5.  [5]試験方法について、簡易的なものを開発することが必要ではないか。
  6.  [6]論点メモに記載された試験項目では安全性評価は不十分ではないか。
  7.  [7]天然物については成分の変動が大きく、また、加工による成分変化もあることから、慎重な検討が必要。
  8.  [8]天然物、化学合成物質のいかんにかかわらず、同一の毒性評価が必要。食品だからといってデータを省略すべきでない。
  9.  [9]特定防除資材は商品ではなく物質として指定するので、特定防除資材の混合物の安全性についても慎重な検討が必要。
  10.  [10]食品添加物として使われている物質とされても、食品衛生法に基づき定められた規格と同一のものかどうか不明であり、食品添加物と同一の物質であることをもって安全とはならない。
  11.  [11]指定に当たってのデータは、国も作成する必要があるのではないか。
  12.  [12]天敵微生物は特定防除資材の検討対象とはしないとあるが、弱毒ウイルスは検討対象としてもよいのではないか。
  13.  [13]特定防除資材の定義から見て、使用方法・量の規定のないことから、暴露評価ができないのではないか。ハザード評価のみで指定するということになると、登録農薬よりも厳しい評価が必要。

 などの意見が出された。
 これらを踏まえて、事務局において特定防除資材の指定に当たっての評価ガイドラインを検討し、次回の合同会合でさらに検討することとなった。
 また、本合同会合において、個々の資材について評価をしていただくことになることについて了承された。
 以上です。

【本山座長】 ありがとうございます。
 修正意見があればお願いします。よろしいですか。
 それでは、修正意見がありませんので、このまま認めていただきます。
 それでは、議事に入りますが、冒頭、事務局から最近の情勢報告があるということなので、簡単にお願いします。

【事務局】 前回、4月の会議で、そのときも情勢報告ということでパブリックコメントを、結構ボリュームがあったんですけれども、紹介させていただきました。それ以降、またいろいろ問い合わせがございまして、若干ご紹介させていただきますが、冒頭、審議官の方からあいさつの中で述べたように、主に2点ございます。一つは、特定農薬の指定作業はどうなるのかというような話でございまして、一つは国会でも質問がございましたし、あと、参考資料ということで、さっき見ていただきましたけれども、新聞関係、参考資料4というところでございますけれども、ここでも1枚目に、これは業者からの話ですけれども、どうするんだということで出ております。業者関係では、非常に期待を持たれているということで前にちょっとご紹介しましたけれども、そういうような話でございます。私どもとしては、きちんとルールを決めて評価していくという作業にかかりたいと思っていまして、きょうの審議はそういうことでお願いしたいと思っています。
 それから、2点目ですが、有機農業で使用するような天然由来の安全な防除資材については、そもそも農薬の定義から外してはどうかと。要するに、農薬取締法の規制から除外すべきだというような意見もございます。これにつきましては、安全性という点では、登録というところまでいかないということで、登録からは外すんですけれども、特定農薬として販売を行う場合が当然想定されるわけでして、そういう場合に届け出義務、それから、虚偽宣伝の禁止というようなことを法律上、その辺の規制はかけているということでございます。これは特定農薬と称して、異なる薬剤とか不良品を販売しないようにするためです。成分や効果の虚偽宣伝をして、ごまかしがないようにというような意味でございまして、必要最小限の規制はやはりかけるべきだということでご説明をしているという状況でございます。
 これは新聞報道の2枚目、60ページにも簡単に、これは余りにも簡単過ぎてわからないんですけれども、こういう「天敵生物外して」というタイトルで載っていますが、こういう話として出ております。
 ご紹介いたしました。

【本山座長】 ただいまの説明にご質問、ご意見はありますか。よろしいですか。
 それでは、議題の1番目に入ります。
 特定農薬に関して情報提供があったものの整理について、前回の議論を踏まえて再度事務局から説明があるようですので、お願いします。

【事務局】 ちょっと私、今になって気がついて申しわけございません。配付資料の確認のところで、一番最後に委員の皆様だけに委員限りということで、参考資料の5と参考資料の6というのを配付させていただいています。
 参考資料の5というのは、これは前回の4月16日のときの議事録でございまして、内容的に確認いただいて、後でまた申し上げますけれども、修正があればお知らせいただきたいということと、本日の会議で参考になる点があれば、これを引用していただければという意味で配っております。
 それから、参考資料の6は、これは前回、4月16日の合同会合の後に、ファクスなどで各委員から意見をいただいておりますので、私ども、これを参考に今回の指針案を作成させていただいているわけですけれども、そのいただいているそのものの資料を、手書きのものもありますけれども、皆さんの参考になるようにということで配付させていただいております。これをもとに後でまたご発言いただければと思います。すみません。
 それでは、今、座長の方からありましたことにつきまして、まず、特定農薬に関して情報提供のあったものの整理ということでございます。これは前回見ていただいた資料でございますが、そのときにご指摘いただいた点の修正をいたしましたので、ちょっとご紹介させていただきます。
 一つは、7ページの肥料の関係でございました。下に(注1)というのがございまして、前回、ここで農薬的な使用について云々ということで書いてあったんですけれども、これは余り農薬的にどうのこうのというよりも、これは肥料が用途外に使用されているという事例があったということなので、これは肥料なのでこの表には掲げなかったという、簡単な注でよろしいというご指摘がありまして、そのようにさせていただいております。というのが1点でございます。
 それと、その次の8ページでございますが、先般、牧野委員の方から酸化チタンについて、有害性についての話があれば教えてほしいという、その場でお答えできなかったものですから、簡単にご紹介いたします。酸化チタンというのは、一般の用途としては白い色の塗料とか、印刷インキとか、化粧品とか、あと食品添加物でホワイトチョコレートの色づけにも使っているようでございます。それで、今回の農業としての使用例というので見ましたら、まだ実用化段階ではないようですが、試験段階でやっているようですけれども、養液栽培で、酸化チタンを付着させた装置に養液を通すというような技法です。他の試験例、研究例を見ても、ガラス容器とかポリエステルのフイルムに酸化チタンを塗布するというような形でやっているようです。原理的には、紫外線を当てると光励起して、活性酸素を出して抗菌作用が生じるというようなことです。こういった使用方法なので、作物に吸収ということはまずないだろうと。それから、毒性に関しては、これも報告、レポートがあったんですけれども、動物、人では有意な吸収とかがないということで、毒性の観察もないというような話でございました。食品添加物としても使用されているんですけれども、そういう有意な吸収とかがなくてADIは設定されていないというようなことも書いてありました。ちなみに急性毒性は、LD50が1万 2,000mg/kgと非常に高いというか、安全であるという、そういうものでございまして、ここに入れておいて問題ないのではないかというふうに私どもは思っております。そういうようなことでございます。
 それと、9ページでございますけれども、これは情報提供のあった資材のうち、農薬として使用すべきではないものということでリストアップしています。これは特段修正を加えておりません。これらについては、農業資材審議会、実は6月に予定をしておりますが、農業資材審議会の意見を聞いて、今後、情報提供によって周知をしていこうと。それで、農薬として使用しないようにということで、指導・取り締まりを行っていきたいというようなことでございます。ここの資料5の9ページ、10ページ、非常に重要な話だと思っております。
 先ほど見ていただきました参考資料4というところで、新聞記事がございましたけれども、61ページ、木材防腐剤クレオソート油というのが、これは国土交通省の関係でしょうか、使用禁止というような話で報道されていますけれども、こういうものを9ページの下から二段目ですか、クレオソート油というのも出ておりまして、こういうものは農業使用ということでは、農薬的に使うということでは非常に好ましくない、やめてもらおうというような趣旨で情報を周知して、指導・取り締まりをやっていこうというふうに考えております。
 という状況でございます。

【本山座長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの事務局からの説明について、一応前回議論をしたことですが、何かお気づきの点があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
 前回からちょっと時間がたっていますので、もう一回、表にずっと目を通していただければと思いますけれども、問題があるかどうか。

【森田委員】 全体としてはこれで多分いいと思います。一つだけ説明がありまして少し気になったのは、酸化チタンの話がありましたけれども、酸化チタンというのは2種類の酸化チタンがありまして、結晶構造が違っていて、光触媒に使う酸化チタンとお化粧品に使う酸化チタンは違うものだということがちょっとあります。全体の判断としてはこれで多分いいと思いますけれども。

【本山座長】 それは結晶構造が違うだけで、毒性的には余り変わらないということですか。

【森田委員】 よくわかりませんが、光触媒用に使っているやつについては、そういう意味で調べられてはいないのかなという感じですね。ただ、大きな違いがあるような感じはしないんですけれども、ご存じのように、光触媒というのはある種の半導体で、ラティスにちょっと穴があって、光を吸収するようなことが少しあるんですね。そういうことがちょっとありますけれども、全体としては大きく間違っていないかなという感じがします。

【本山座長】 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 特に9ページから後の農薬として使用すべきでないものというのが非常に重要ではないかと思うんですけれども。今までこういうものを農業者が農薬以外のものとして使っていたということが非常に問題であって、いかに生産者に情報が伝わっていなかったかということだと思います。これからこれは非常に周知徹底していくべきことではないかという気がしています。
 それでは、ご意見がないようですので、次に進ませていただきます。
 議題2に移りますけれども、これが本日の議論の中心になるものです。前回、検討に当たっての論点メモが事務局から示されて、各委員から出された意見を事務局は集約して、今回、資料6の特定防除資材指定のための評価に関する指針(案)としてまとめていますので、本日はこれをもとに検討したいと思います。事務局から説明をお願いします。

【事務局】  それでは、説明いたします。
 それと、ちょっと今、座長からも報告がありましたけれども、さっきの9ページ、10ページの話なんですけれども、これは必ずしも農家の人が現在使っているかというと、こういうものが使えるという情報はありましたが、実際使っているかどうかの確認は、実のところ私どもはしておりません。
 それでは、資料の6でございます。前回、論点メモということでお出ししていたものをもとにご議論いただいて、意見をいただいたものをまとめております。この資料の6と次の資料の7というのに図がございまして、この2つをごらんいただきながら、後でまた資料7はそれ用にご説明いたしますけれども、というところでご説明を始めさせていただきます。
 要するに、12ページからでございます。まず、目的でございますけれども、本指針は、農薬取締法第2条、これは正確に言うと第2条第1項でございます。第2条第1項により、特定防除資材を指定するに当たって必要な薬効及び安全性に関する評価の考え方を示すものであるというところでございます。
 それから、IIですけれども、特定防除資材指定のための評価に関する基本的考え方ということで、特定防除資材は、薬効のあるものの中から、原材料に照らし──ここが重要だと思っていますが、原材料に照らし、農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかであると確認されたものが指定されなければならない。したがって、特定防除資材の指定に当たっては、次の点が科学的に評価されることが必要である。
 1点目が薬効でございます。特定防除資材の病害虫や雑草に対する防除効果、もしくは、農作物等の生理機能の増進または抑制に対する効果が確認されること。
 2点目が安全性でございます。特定防除資材の農作物等、人畜及び水産動植物への安全性が確認されることというような点でございます。今回いただいている意見、前回の議論の中でも、特定防除資材だけが普通の登録農薬に比べて評価が甘いということであってはいけないというご議論が随分出ておりますが、ここのポイントは、さっき言いましたように原材料に照らしているところで、一つ、スクリーニングがかかっていて、こういったものであればというのがかかっているというのが法律上の趣旨でございます。
 IIIでございますが、指定に係る手続でございます。特定防除資材の検討対象とする資材の範囲ということでございます。検討対象とする資材の範囲は、農薬取締法第1条の2第1項及び第2項の規定に基づく「農薬」の定義に該当するものであって、以下のものは除くと。農薬の定義というのは、先般、資料がありましたけれども、要は農作物等の病害虫の防除に用いる薬剤、それと天敵、それともう一つは、生理機能の増進または抑制という、成長調整的な薬剤ということで、3種類ございますが、そういった定義に該当するものであって、以下のものは除くということで、これは先般と大体同じでございますが、化学合成物質、これは除こうと。特定農薬の候補としては除こうと。ただ、食品はこの限りではないとしようと。2点目は抗生物質。それから、3点目が天敵微生物なんですが、先般、弱毒ウイルスの話でご議論がございまして、ファクスでいただいた資料にも、弱毒ウイルスは、安全性は問題ないのではないかということで、数人の委員の方から意見が出ております。なかなか難しいテーマだなと思いまして、とりあえずここでは結論を保留する形で表記させていただいていますが、場合によっては弱毒ウイルスというのは特定防除資材に入れてもいいのではないかというような意見があるということでございます。4点目ですが、有効成分以外の成分として、化学合成された界面活性剤などの補助成分が入っているもの、これも除こうというようなことでございます。
 2点目ですけれども、検討対象資材の評価優先度。優先して評価する検討対象資材は、主に以下の点を踏まえて農林水産省及び環境省が協議の上決めるということで、1点目は、安全性に懸念があるとの情報があるもの。2点目は、現に当該資材の使用がかなり普及しているもの。3点目は、評価できる資料が整っているものということでございまして、これも各委員の皆様のご意見が大体こういうところで集約できるのではないかということで考えております。
 それと、指定作業でございますが、特定防除資材の指定のために、農林水産省及び環境省において検討対象資材について調査・作成・収集した資料を整理し、検討対象資材の評価優先度を考慮しつつ、評価準備の整ったものから農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会と中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会、要するにこの合同会合でございますけれども、ここで評価を実施すると。これは先般お願いした点でございます。当該評価結果を踏まえて、農林水産大臣及び環境大臣は農業資材審議会へ諮問し、農業資材審議会は審査終了後、農林水産大臣及び環境大臣に答申を行う。農林水産省及び環境は、この答申を踏まえ、特定農薬の指定に関する告示の改正等、必要な事務手続を行うという段取りで行うことを考えております。
 それから、IVですけれども、特定防除資材の評価に必要な資料ということでございます。資料の範囲ですが、特定防除資材の評価は、原則として、下の表がありますけれども、その資料の範囲内で行うことと。原則としてということでございますけれども、大体このぐらいそろっていればよいのではないかということで、「ただし」とあります。広く食用に供されるものそのものにあっては、表中の4の (2)の[2]及び[3]、毒性の部分でございますけれども、[2]、[3]。それから、広く食用に供されるものの抽出物によっては、同[3]を省略することができるものとするというようなことで、ふだん食べているのであれば、このぐらいはいいのではないかというような視点です。これらは緩めるような案でございますが、「また」ということで書いてございますけれども、農業資材審議会では、この合同会合または農業資材審議会において、有害性の懸念が指摘された場合は、必要な試験項目について追加して調査を行うものとするということで、これは厳しくする話なんですけれども、ご指摘があればもう少し調べることも行わなければいけないだろうというような点でございます。
 ということで、表を見ていただきますけれども、資料の概要、それから物化性及び成分規格に関する資料ということで、名称、原材料──原材料は、これは使っている原材料をすべて記入してもらおうということです。それから、あと、製造方法というのがありますので、ここもやはり必要な、これもご指摘があった点ですので、必要な情報は入れようと思っています。それから、安全性の関係があります。 (2)の[4]、ここは暴露の話でございますので、これもやはりどの程度の暴露かということで、作業者の関係と作物残留とやはり両方情報は入手しようというふうに思っております。それと、使用方法に関する資料ということで、やはりどういう使用を想定するのかということでありまして、通常の使用方法ということですけれども、どういう方法をするのかと。必要な情報も指定したときに提供しようと考えているわけです。
 次のページでございますが、14ページでございます。薬効に関する資料及び評価の目安。今の表の中の3でございますが、評価に必要な資料ということで、まず、薬効がどうかということですが、公的試験研究機関において実施された試験成績を2例以上必要とし、資材の種類により、以下の要件を必要とするということで考えています。[1]が、病害虫の防除、除草に使用する場合ということで、同一の病害虫または雑草に対する野外での防除効果試験成績(種子消毒の場合は野外での試験成績でなくてもよい)であって、試験成績の結果として防除価を算出したものということで、防除価という考えを出してございます。客観的に数字であらわそうということです。[2]が、農作物の生理機能の増進または抑制に使用する場合ということで、同一の農作物に対する野外での生理機能の増進または抑制効果の試験成績。これも2例以上ということで考えております。ちょっと書き忘れでございます。それから、供試農作物等の名称、評価対象資材使用時期の生育ステージ、対象病害虫・雑草名、それから、当該防除資材の使用方法、これは使用時期とか回数とか、こういうものですが──など、登録農薬の薬効に関する登録検査時に必要な検査項目とおおむね同様の項目ということで、一応必要な情報は集めようというふうに考えています。
 それから、 (2)ですが、検討対象資材の薬効が確認される目安ということなんですけれども、ここも多分いろいろご議論があると思います。とりあえず書いてございます。病害虫の防除、除草に使用する場合ということですが、防除価がいずれの試験においても50以上というふうに一応考えました。この根拠ですけれども、登録農薬では、登録農薬でもやはり防除価という考えを持っていまして、殺虫剤、殺菌剤は防除価が平均50以上ということでやってございますので、これと同じで考えたらどうかと。ただ、除草剤はもう少し高い値を設定しているんですが、50ということでどうだろうかと思っています。それから[2]ですが、農作物の生理機能の増進または抑制に使用する場合。これは個別に専門家の意見も踏まえて確認せざるを得ないなということでございますので、特に数字は用意してございません。
 それから、3点目ですが、安全性に関する資料及び評価の目安ということで、表中の4に該当するところですが、まず、薬害でございます。評価に必要な資料としては、薬害に関する論文等の調査結果ということです。2点目ですが、検討対象資材の薬害がないことが確認される目安ということなんですけれども、指定の際に薬害の発生に関する情報を集めまして、これがないということであれば、当該特定防除資材について薬害がないということが確認されたものとすると。なお、想定される範囲を大幅に超えて使用した場合に、何か影響が出るというような可能性があれば、こういうことを考慮しなければならない場合は、その旨の情報も集めようということでございます。
 それから、人畜に対する安全性でございますが、評価に必要な資料として、[1]ですけれども、原則としてGLP試験研究機関において実施された以下の文献等、学術論文等として発表されたものでなくても可ということで、多少広めに集められるようにしてはどうかと思っています。これは、この前ご紹介したように、急性毒性、それから、変異原性試験、Ames試験です。それから、90日間の反復経口毒性試験というようなことで、あと、暴露評価と。有害性の報告がある場合は、暴露評価もやろうということです。それと、[2]として、既存の文献情報及び評価対象資材の構造活性に関する資料も集めてみようというふうに思っております。
 それで、2番目に検討対象資材の人畜に対する安全性が確認される目安でございますが、上の試験成績により安全性が確認されたものは、人畜に対する安全性が確認されたものとすると。評価の際には、当該検討対象資材の腐敗とかカビ、これも数名の委員からご指摘が従来からございまして、こういうものの発生など、2次的な悪影響の部分についても確認するということをしてはどうかと思っております。
 それから、3-3ですけれども、水産動植物に対する安全性ということで、まず、評価に必要な資料ということで、魚毒性の関係の文献です。 (2)として、検討対象資材の水産動植物に対する安全性が確認される目安でございますけれども、これは、先般ご説明しましたように、魚毒性Aというところで見てはどうかと。これは括弧内にありますけれども、コイで48時間で10ppm、半数致死量でございますが、これは登録農薬の 100倍の安全性ということで先般説明させていただいています。こういうことで安全性を確認するということでよろしいのではないかということです。
 それから、4点目ですが、使用方法に関する資料でございます。薬効があって安全性に問題がないという通常の使用方法でございます。通常使われているもの、こういったものとか、使用上の注意があれば集めてみようということで、これもさっきいいましたように、情報提供するようなことを考えていこうというふうなことでございます。
 以上でございます。
 それで、ついでに資料7も簡単に見ていただこうと思います。
 今ご説明したことが、さっきの資料5ですか、農薬として使用すべきではないといったものも含めて、一つの図にしております。まず、判断の上からいきますけれども、農作物の病害虫防除資材という資材があったとして、これをどうするかということなんですが、まず、薬剤か天敵かということで、要するに農薬であるかどうかということで判断をすると。農薬ではないということであれば、それは右の方へ行ってしまうわけですが、農薬に該当する、定義に該当するということであると、次に、登録がある、または過去にあったもので、登録しなければ農薬として使用すべきではないものということで、さっき横表で見ていただいたものですが、たばこの抽出液とかがここのところに出てきていますけれども、こういうものについては通常では使用できない。使用するのであれば、ちゃんと登録をとるというような手続ということになるんですが、そういう安全性に問題があるというものです。
 次が、今回の特定農薬として該当する──原材料から見てというところでのふるいなんですけれども、化学合成物質(食品は除く)、抗生物質、天敵という、これはちょっと弱毒のことはスペースがなくて書いてございませんが、こういうものに該当するものは、YESであれば登録してもらうと。登録の申請をしてもらおうと。あと、界面活性剤というのが入っています。
 こういうものでないということであれば、初めて特定防除資材指定の検討の方に入ってくるということでございます。そういうことでやってみてはと。特定防除資材の検討の途中で安全性のところで安全性が明らかではない、もっとちゃんと評価すべきというところになってきますと、NOということで右に行きまして、やはりこれは農薬登録にすべき資材であるという判断も出てくるわけです。こういうことでやっていったらどうかという図でございます。
 簡単ですが、以上でございます。

【本山座長】 それでは、皆様からのご意見、ご質問をお願いいたします。

【森田委員】 化学合成という言葉が結構出てくるんですけれども、この化学合成というのはどうやって定義されるものでしょうか。ちょっと例示的に言いますと、例えば化学合成された界面活性剤というのが出てきますが、石けんのようなものは、あれは化学合成された界面活性剤と考えるかどうか。天然型の、脂肪を加水分解してつくったようなものは、化学合成された界面活性剤に入るのかどうかとか。それから、バイオリアクターみたいなもので合成されたものというのは、すべて化学合成というふうに考えるかどうか。化学合成の定義を少しお聞きしたいと思います。

【事務局】  一応農林省の方で特別栽培農作物に係る表示ガイドラインというのがありまして、この中に化学合成農薬というのがございます。ここで使っている言葉遣いを一応想定しているんですが、今のご質問には直接、完璧に答えられないんですが、「農薬のうち、化学合成されたものを言う」というふうになっているだけなんですけれども。一般に自然物そのものではなくて、いろいろな成分を化学合成しているというようなことでございます。

【森田委員】 そうだとは思うんですが、そこのところは、要するに化学合成とは何かということを相当きちんと詰めておかないといけないのではないかという、そういう質問ですけれども。

【事務局】 先般も北原委員の方から木酢を例にとって、あれは蒸留したりいろいろやったりしている過程で、天然物ではないのではないかというご指摘があったんですけれども。

【森田委員】 石けんはどう見るかなんですが、石けんは。石けんは脂肪酸のエステルですけれども、加水分解しただけですから。それはどっちにするかというのは、化学合成……どう判断すればいいんですか。本当はそれまで化学合成というとちょっとあれなんですが。エステルの加水分解なんかのは化学反応で……

【若林委員】 前回出席していないのでわからないんですけれども、今の関連で、今お酢というのが出ていますね。これは発酵してつくるものと合成してつくるものがございまして、それで、やはり化学合成物質だと言えば、化学屋から言えばそうなります。石けんなんかも、当然私なんかの感覚では化学物質というか化学合成品であるということになりまして、例えば石けんに非常に近い合成の界面活性剤というのもたくさんあるんです、脂肪酸系で。だから、この言葉ってすごく難しいなということで、私も森田委員と同じように、余り安易に使うと大変だなという。どうしたらという対案はございませんけれども。
 それと、評価のときに、例えば水生生物に対する毒性とかに関連するんですけれども、どういう状態で評価されるんでしょうか。例えば酢酸ですと、酢酸そのもので評価しますと、魚毒性なんかは非常に強くなる可能性があります。だけれども、使う状態で評価するとすると、かなり薄くなりまして、それは農薬そのものの評価とも絡んでくると思うんですけれども、原体でするかどうかと。原体でしますとかなりひっかかってくるものがあるのではないかなと。例えば、先ほどの10ppmというのを見させていただいて考えました。

【本山座長】 ありがとうございました。
 いかがでしょう。

【事務局】 化学合成物については、もう少しご意見というか、教えていただけるという気がします。
 それで、今の酢酸の話なんですけれども、お酢の話なんですけれども、食酢そのものは数%が酢酸なんですね。それ自体は、要するに原体ということではなくて、要するに食酢ということで指定したということでございまして、酢酸ということで指定したわけではないです。これを通常使うようなことの想定で安全性を見たということでございます。

【本山座長】 化学合成物質の定義について、どなたか委員の方からご意見ありませんか。
 従来は、農薬検査所が農薬登録申請があったときには、例えばアミノ酸のようなものであっても、その抽出とか精製の過程で加熱していたときには天然物ではないと。これは手が加わったということで、毒性にしてもフルコースの要求をしてきたという経緯があるのではないかという気がするんですけれども。

【事務局】 農薬登録の場合には、まず申請という行為で、その原材料というところでは、まず原体でデータを要求しますし、製剤でデータを要求しますということで、どれも原材料で区別はしていないんですね。それで、どれかの項目が安全性について別の要件で理由が説明できますかという形で除外されることがあるということで、そういう物として最初から区別するということはないです。

【本山座長】 わかりました。
 どなたかご意見ありますか、化学合成物質はこう定義すべきだという。

【森田委員】 多分、非常に境界線上のものはまだまだ出てくるような感じがするんですね。境界線上の中で、食品を排除をするということだけを一たんここでつくられているんですが、食品だけでないような場面もちょっと出るかもしれませんので、むしろ化学合成物質としてスキームの、フローの中でYES&NOのところで入ってくるんですが、そこのところに、例えば専門委員会みたいなもので判断するような項目を少し残しておいた方がいいかもしれないですね。それによって少し弾力的に運用できるかもしれないと、そんな感じがします。

【本山座長】 よろしいでしょうか。

【事務局】 ありがとうございます。
 そういうことも必要であろうと思います。これは一応イメージ的なもので、基本的な指針ということで考えております。
 それと、化学合成という言葉で、先ほど、私、特別栽培農作物ガイドラインを非常に簡単に言ってしまったんですけれども、もう少し詳しく書いたものがございましたので紹介します。化学合成とは、化学的手段(生活現象に関連して起こる発酵、熟成等の化学変化を含まない)によって、化合物及び元素を構造の新たな物質に変化させることをいうと。一応そう書いてあるわけでございますが。

【本山座長】 この間、北原委員が指摘された例えば木酢液なんかは、木の成分そのものではなくて、相当炭をつくるのに加熱するというプロセスが入るので、これは天然物ではないという解釈をされたわけですけれども、これはどうなりますでしょうかね。

【事務局】 一応農水省の中での運用としては、木酢液も天然物的な、化学合成物質でないという扱いをしているようです。多分、運用的な話になると思うんですけれども。

【北原委員】 この資料の中に除虫菊を栽培して抽出するとありますね。これみたいにはっきり殺虫成分だとわかっていて、この場合はこの表の中のどこに入るんですが。この文章を見ると──2枚の資料がございますね、一番最後、「『特定農薬』進まぬ指定 農家も業者も『困った』」と書いてある。これなんかもう 100年ぐらい研究されて、ピレスロイドだってはっきりわかっているんですね。大体一定の成分でとれている。抽出すればとれるのはわかっている。こういうのは今後どういうところに、どうやって指定されるんですか。それとも自由に使っていいのか、それともどうなのか。その辺がちょっとわからないので。

【事務局】 実態は、抽出するのと粉末のまま使うのというのがあるらしいんですね。それで、これは記事にも書いてあるんでけれども、このまま販売しようというふうに考えていたという話なので、私どもはこれは農薬としての使用だろうということで、販売する際には登録をとってやってくれというふうな形になるわけです。

【北原委員】 登録するのはいいですけれども、これは古典的に粉末でも昔はノミ取り粉で使われていたんですよね、実際に。抽出する方法も今は決まっていて、いろいろないいというのがわかって一定きれいにとれるようになっています。そういう場合に、登録するのはいいんですけれども、どういう過程を経て登録をされるんですか、この表の場合。

【事務局】 これは、最初のところで図がございましたが、資料7ですね。ここの2番目のひし形のところで、右の方に行って下の方に落ちていくというようなことではないかと思うんですけれども。

【北原委員】 自動的に登録されるんですか。何かいろいろ検査をやはりしなければいけないのか。

【事務局】 登録する際には検査をして登録ということになるんですが。ただ、皆様の方でこれは特定防除資材として見る要素があるのではないかというご指摘があれば、そういうところも出てくるかもしれないです。私どもは登録すべきものだというふうに……。

【北原委員】 私はちょっと正確には知りませんからあれですけれども、ピレスロイドの歴史っていうのは 100年ぐらいありますから、その中できちんと天然農薬として使われてきたわけですよね。それと同じような手法でやった場合に、やはりまた同じ農薬の登録のように全部やるのかどうか、その辺ちょっと私ははっきりわからないものですから、どうなんでしょう。

【事務局】 これは、通常の登録ということに入ってくれば、フルデータという話になってきます。 また何かご意見があれば後で……。

【本山座長】 先ほど若林委員の方からご提案といいますか、指摘がありましたように、例えば魚毒性のところで、A類相当を対象にするということですけれども、そのA類というのは、有効成分で試験してA類なのか、製剤といいますか、商品そのもので試験してA類なのかということが非常に大きな分かれ目になると思いますね。それから、今の除虫菊の粉末にしましても、有効成分そのものは恐らく非常に魚毒性が高いのではないかと思うんですけれども、粉末状態で試験すればどれぐらいになるかということですね。この辺はどう考えたらよろしいでしょう。

【事務局】 これは、原材料そのものに照らしてというところがございまして、これは原材料を実際にどういうものを使うかと。要するに、流通形態そのものなんですけれども。言葉によって特定できる流通形態のものが、例えば、抽出物というふうに書けば抽出物になるんですけれども、そのものであればそのものということになるわけです。そのものをわざわざ抽出物に直して検査するのではなくて、材料そのもので見ていくというふうなことで。

【本山座長】 今の事務方のご説明、皆さんよろしいですか。
 そうすると、ppmの計算は、その中のテリトリーについてではなくて、粉末の重さで計算をするということですね。
 環境省側の委員の方はいかがでしょう。いいですか。

【中杉委員】 実際は、この中で暴露のところがどうなるかということですね、実際に使ったときに。フライドカンは今、余り議論していないですね。複数で使ったり薄めて使うときに、それが実際の環境に出てきたときにどういう状態になるかということの情報は多分必要なんだろうと思うんですね。
 この暴露のところで、表に入ってるのは、これは一応試験のことが入っていますけれども、試験ではなくていろいろ入れなければいけないと思うんですが。暴露についてのところが、例えば作業者の暴露と作物残留ということだけで済んでしまっているんですけれども、実際には環境中での残留とか、生物への濃縮というようなこと、これは試験を必ずしもやれということを申し上げているわけではないんですが、そういう情報を集めておかないといけないのではないかと。これは生物だけではなくて、人の健康という意味からも、そこら辺の評価はどうしても必要なのではないかなというふうに思います。この暴露に関する試験と書いてありますが、試験と書いてあると試験をやって、試験をやった結果が情報ということなんでしょうけれども、ちょっと供されている構造活性的な資料の中にあったかと思いますけれども、それらを含めて、それに関する情報を集めなければいけないということははっきり出しておいていただいた方がいいかと。
 必ず試験をやりなさいというともっと大変になりますので、やがてはそういうことも必要になるかもしれませんけれども、最初からそれを義務づけるというのではないですが、そういうことに関しての情報も集めると。そういう中で、先ほどから議論になっている点もどうなんだというのは少し考えていけるのではないだろうかなというふうに思います。

【本山座長】 ほかにいかがでしょうか。

【若林委員】 先ほどの化学合成物質にまた戻ってしまうんですけれども、例えば、先ほどのお酢で、化学合成物質というふうに言いますと、要するに、合成したお酢は使ってはいけない、発酵したお酢はいいというような感じに受けとられませんでしょうか。それで、私が思ったのは、例えば化学合成物質でこの委員会で認めたものとか、それから、例えば登録農薬と同等の毒性を持っているものとか、ほかの言い方をしないとやはり混乱を来すのではないかと。例示でお示ししていただければ、もうちょっと抽象的な言い方で、もしこの言葉を使いたければ使われた方がいいなという気はいたしますけれども、化学合成物質という言葉ですね。

【事務局】 一応今の食酢の話は、食品ということで一応除いたということなので、登録の方に行かずに特定農薬の方になれると。要するに、法律の趣旨でも原材料に照らしているところがありまして、食品というカテゴリーに入っているお酢ということで。

【若林委員】 そうすると、石けんはどうなりますか。界面活性剤の議論のときに、昔よくありました議論が、天然物からつくったものはいいよと。合成物質からでは、石油からはまずいと。そのときに、昔、ソビエトで石油から石けんをつくった時代もあるんですね、天然油がないときに。だから、ちょっとほかの例で出てくると困るなという意味で申し上げているんですけれども。要するに、成分そのもので議論すべきものであって、合成するというか、その経路で余り、先ほどのピレスロイドにもかかわりますけれども、要するに、合成ということに余りこだわられると、混乱を後でするのではないかなということをちょっと懸念いたします。

【事務局】 環境省ですが、化学物質については、農水省の方で有機農産物のガイドラインにおいてもそのような言葉が使われているようですが、環境省としても、化学合成物質をここで最初から対象としていないのはなぜかといいますと、化学物質の審査及び規制法、通称、化審法という法律があって、化学物質については用途を限らず蓄積性と分解性を審査して問題なければ製造等について承認するという制度なんですが、その中の除外規定で、農薬取締法に規定する農薬というのは、化学物質審査規制法の対象からそもそも除かれるているわけなんですね。すなわち、いろいろな用途がある化学物質で、農薬としての用途もその一つであるという場合にはもちろん化審法の適用を受けますけれども、農薬だけに使われる物質は化審法の対象からそもそも除かれております。
 その除かれている理由は、農薬は、農薬取締法に基づいて化審法と同等又はそれ以上の安全性等の検査がされているためということです。今度は新しく特定農薬という制度ができて、安全性上問題のない農薬は登録検査が不要になるということになります。こういったところにもし化学物質が入るのであれば、化審法から見ても、そもそも農取法に規定する農薬は化審法の対象から除かれていて、その農取法の中でさらに特定農薬として安全性の検査が除かれてしまうと、そこにもし特定農薬だけに使われる化学物質があるとすれば、その化学物質はそもそも何の審査もなく世の中で使用されてしまうということになります。この件については環境省の中でも議論しまして、化学物質については、特定農薬の対象にはせずに、登録検査を受けて登録すべきものとすべきではないかとなりました。なお、化審法の中でも食品衛生法に基づく食品というものは、やはり規制対象から外れていますので、例えば今の食酢なんかもそもそも外れるということになります。
 また、中杉先生のご議論にありましたけれども、濃縮性についても、やはりそれは天然にない、本当に化学的に合成されたものであれば、確かに濃縮性というものをみなければいけないんですけれども、ここでイメージしているのは、世の中に今までなくて、人間がつくったものというのではなくて、天然物由来のもの、ですから、仮にそれが結果として合成してつくったものとしても、そこら辺は天然物と同等のものであれば、濃縮性というのはそもそも問題ないのではないのかなと考えられるということです。

【中杉委員】 天然物であるからいいという話ではなくて、天然物は本来普通にある状態と農薬で使われる状態というのは状態が違うわけですね。常に一般に天然にある状態とは違う状態ですから。当然そういう場合は問題があるわけですね。例えば、天然物は幾らでもありますけれども、そんなものを抽出して持ってきて犯罪に使うようなこともありますね。だから安全だというわけではないので、やはりそういう意味では別な形で使うという、天然物を使うという行為があるということはやはり考えていかなければいけない。そういう意味で、そこで必ず試験をしなさいということではなくて、どういう性質のものかという情報を得て、そこら辺の安全は確認していく必要があるだろうということで申し上げたんです。

【北原委員】 先ほどの若林委員のお話に関係するんですけれども、食酢というのは発酵してつくったものが使われている。合成品は、酢酸はまずいわけです。だけれども、どっちがピュアかといったら、実は合成品の方が 100%ピュアなんです。完全に、99.9%──スリーナイン以上にきれいだと。食酢の方にはうまみとかいろいろなのが入って、だから逆に食べるのにはいいんですけれども。いろいろなものが入っているわけです、発酵でつくっていますから。完全にピュアではありません。だから、もしかしたら食酢と同じような濃度、二、三%ですか、合成の酢を薄めれば当然それは使ってもいいはずですよね。だから一緒にしているというのはそれでいいと思うんです。
 逆に言えば、これはピレスロイドの場合には、除虫菊には6種類のものが入っていますけれども、いろいろな割合で。どのぐらい入っているか、濃度は少しずつは違いますけれども、生産地によっては。だけれども、これはずっと使われてきて、しかも今度は逆に合成品の純粋なものがいろいろな試験を全部受けて許可されているんです。こういうものをどういうふうに取り扱うかというのは非常に難しいと思うので、これはまたもう一回、全部やり直すなんていうのは、これはこれでつくっている方は大変だろうなと思うんですけれども、その辺についてどういうふうにお考えなのかという点についてちょっとお聞きしたいんですけれども。逆に天然物の方は改めて──天然物に由来して新しいものができて、それに関連した天然物と同じものもピュアなものができて、実際にたしか登録されて使われていると思いましたけれども。そういう場合にはこういうものの評価はどうなるんですか。

【事務局】 従来の農薬取締法というのは、特定農薬とかない時代のものというのは、まさに農薬として販売するのであれば、すべて登録を受けなければならないという制度でございました。今回、特定農薬というのができたので、これは評価の結果いかんなんですけれども、要は通常の登録ではない方法で流通する可能性が出てきたということなんです。だから、従来のやり方を、私がさっき言いましたけれども、今回はどうなるかというところは、まさに必要な資料を私どもで集めて、皆様に見ていただくという形になると思うんです。従来の登録の農薬の中に、もちろん天然のものから抽出して登録してあったものがあったわけですので、そういう形でそれをやったと。今回はそれを制度として……。

【北原委員】 だけれども、農薬として既に登録されている純粋な成分がありますよね、純粋の。ピレスロイドなんかいっぱいいろいろあるわけですけれども。もっと形が変化したものもあります。だけれども、もともとはと言えば、天然のものをとって構造を調べてそこから発生してきたわけですよね。翻って、もとに戻って、同じものが実際に登録されているわけだけれども、そのものを抽出したら、天然からとってみたら同じものがあった。そうしたらそれを使い方で規制ができるのではないかなと、例えばそういう気もするわけです。

【事務局】 従来の登録があったものがあったとしても、全く天然のものとは違うんですね。それは製剤化しているわけでして、いろいろな補助成分とかが入っていて、これはちょっと同一ではないので、やはりそれは同一とは扱えないということなんです。だから、改めて天然物で出てきた場合にどうするかというのはあると思います。

【須藤委員】 先ほどの農薬環境管理室長のご説明で、登録農薬は化審法の守備範囲だと、これは十分承知をしているんですが、仮にこの特定農薬というものが、ここで決まったようなものも、もしも新たな資材であるならば、化審法の守備範囲からは農薬取締法の範囲ということで消えるんですね。要するに、どこも審査しなくなってしまうかなという心配を私もするものですから、そういうことでよろしいのかということがまず質問と、それから、意見としては、先ほど若林先生もおっしゃっていられたんだけれども、私も特に石けんの問題というのは、これは別に農薬とは関係なくて、今、ずっとこの環境問題の中で、世間では石けんを使えば安全だと。要するに、ほかの合成の界面活性剤を使うと環境に悪いというような考え方というのがあって、例えばこの新聞記事なんかの中にもそういうような思想というのがあるような気もするんだけれども。決して天然のものが安心で──また天然のものだって、例えば界面活性剤、高級アルコール系なんかそういうものをつくるわけですから、それは当然そういうことで、原材料が何であったかというよりも、最後のプロダクトでここで商品になるものが何であるかということで評価をした方が、それは安全性評価とか暴露評価とかをしていく方が本当はよろしいのではないかなと、こういうふうに思いましたので。
 一つは質問で、一つは、最後は意見でございます。

【事務局】 今のご質問ですけれども、化審法上、登録農薬が適用から除かれているというのではなくて、正確に言うと農薬取締法第1条の2第1項に規定する農薬ということで、農薬取締法の定義により先ほどの病害虫等を防除する薬剤、これそのものが化審法から外れているわけです。

【須藤委員】 これも全部ね。

【事務局】 全部入ります。登録の有無に拘わらずそもそも農薬というものは化審法の適用対象から外れています。したがって、それを製造等しようとすれば登録をとらなければいけないということになり、当然登録申請し所要のデータを付して、検査をして安全性が確認されたら登録になると。そのプロセスで安全性等が確認されていくので、化審法で規制すると二重規制になるということで化審法の対象から外れているということです。

【須藤委員】 わかりました。

【本山座長】 議論が少し飛ぶんですけれども、まずはこの指定に係る手続の1の検討対象とする資材の範囲についてちょっと焦点を絞りたいと思います。一番最初に議論になりました化学合成物質は、自動的に対象からは外すということはいかがですか。ただし、食品になっているものはこの限りではないということですね、対象の範囲に入らないと。

【若林委員】 化学操作を加えたものはすべて外すということになりますと、厳し過ぎるかもしれないですけれども、私は賛成します。今、農薬環境管理室室長のおっしゃったような抜けが出るのを恐れるという意味からは、それですと抽出操作とか、そういう化学操作が入ったものは全部今までのルートの評価をいただくと。ただ、化学操作を一切加えていないものについてはよろしいということでしたら、この文言どおりで結構です。

【本山座長】 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょう。

【森田委員】 まだ依然として化学操作とは何かというディフィニションがはっきりしない。例えば、抽出というのは厳密な意味では化学操作では多分ない。したがって、抽出は化学操作ではないというふうに考える。

【若林委員】 それはそうですけれども、いわゆる……

【森田委員】 それはおかしいと思うな。もしそこに入れてしまうと、例えば油を搾油しただけで、そこから出てきたやつは物理的な操作が入っているから、それを化学操作というふうに読むんですかと言われると、多分混乱してくる。したがって、ここのもともとのイメージは、化学工場などで合成化学反応をプラントでつくっているようなものは一応外した方がいいのではないかという思想だったと思うんですが、それ以上に広げるのはよくないという感じがします。これが第1です。
 それから、第2は、食品は除くというだけではなくて、もうちょっと総合的な判断をしないと、要するに、ただ厳しいだけにぎりぎりしていくと、世の中多分動かなくなるという感じもしますので、食品など合理的な理由があるものはそこから外すというぐらいにしておいた方がいいだろうということが2点目です。
 それから、ちょっと少し飛んでしまいますが、先ほどの生態系への影響という中の議論にちょっとありましたけれども、議論で一つ抜け落ちているのは何かというと、実は生産量なんですね。例えば、天然物型に移って、特定農薬にどんどん移っていって、しかし、それがどんどん量が増えてくると、多分環境インパクトはすごく大きくなってくるわけですね。しかし、このフローの中には、使われる量の概念が全然入っていないものですから、そこはどこかにひょっとしたら入れた方がいいかもしれないというのが、これが3番目です。
 それから、ついでにもう一つ申し上げますと、先ほど化審法との議論が少しありましたけれども、化審法にも既存化学物質という部分がありまして、昔から使われていた部分については、特段の判断をしないで使ってよろしいという形で運用されている部分が大きいんですね。それで、多分農薬の方にも、先ほど北原先生がおっしゃったのは 100年前から使っているという、そんなので、つまり、昔から経験的にある程度使っているものについて、そうぎりぎり言わない方がいいのではないかという判断もちょっとある。そこの部分をどこかで折り込んでおかないといけないかなという感じがします。

【本山座長】 ありがとうございました。

【行本委員】 今、1の資材の範囲ということで、私はちょっと化学合成物質の定義をどうするかというのはわからないんですが、先ほど農薬対策室長、それから農薬環境管理室長が言われたような化審法の定義とか、それから、農薬対策室長が言われた特別栽培農作物ガイドラインにある化学合成の定義とか、その辺でやったらいいのではないかとは思うんですが。ここで、まず特定農薬の検討対象とする資材の範囲に入れておいても、そこで検討の結果、問題のあるものはやはり登録すべきだというようなところへ分かれていくわけですね。したがって、特定農薬になるかもしれないようなものは、この中の定義で含ませておいた方が──除外されてしまいますと、初めから登録するということになり、特定農薬に入るかもしれないというのが入らなくなるわけですから、多少広げておいてもいいのではないかという気がします。同じような理由で天敵微生物も、弱毒ウイルスは私も入れてもいいと思います。例えば弱毒ウイルスが出てきてた時、検討結果これはやはり登録すべきだというふうになるのであれば、ここに入れておいても困ることはないのではないかと思います。
 以上です。

【中杉委員】 私自身は、どんな定義をしても必ずあいまいさが残るので、実際には出てきたものはどうやるかという判断をすることになると思うんですね。ここで判断して、それが適当かどうかと。こちらは特定農薬に入れていいかとかということなので、余り細かくぎりぎり議論しない方がいいし、あるいは、逆に「など」というような言葉は入れない方がいいだろうと私は思います。むしろヒンの定義は何なんだとまたこういう議論になりますので、文化的に本当に食品と添加物をどう考えるかという話、食料という話で。
 もう一つ、森田委員が言われたことを少し誤解を得ないように申し上げておきますけれども、既存化学物質というのは昔から使っているから安全──経験として使っていいよということを言っているわけではなくて、あれは試験がなかなかやれないから、実際的には使いましょうということで、いつもですとあれは後で全部チェックをしているわけですね。ですから、そういう意味では、ここで昔から使っているからいいよというのは、これはチェックが済んでいるからいいよという話ですので、別のものではないので、もしそういう話でしたら、そういうところから引いてくるというと誤解を招くことになるというふうに思います。

【若林委員】 例えば、石けんというのは化学反応するから化学物質という理解でよろしいんですね。

【森田委員】 それは余り賛成しないですね、個人的には。

【北原委員】 化学反応ですよ、加水分解ですから。

【若林委員】 それで、例えば天然物でもいろいろ毒性が高いものがあって、抽出操作というのは化学反応ではないという、物理反応だということで、それは合意をした場合に、有害なものはこの評価の中でチェックできるという理解でよろしいですか。天然だから必ず安全ではないと。だけれども、この評価体系の中で、抽出物でかなり濃くなったものでも評価できるという理解ということでよろしいでしょうか。

【森田委員】 ひょっとしたら私の理解が間違っているとよくないんですが、ポイントは、要するに、殺虫的な効果があるとか、ある種の効果があるものがあり、それは農薬取締法の登録農薬として売られているものが一つあると。しかしながら、それよりは効果が低いかもしれないけれども、環境に優しい、あるいは体に優しいかもしれないと思っているいろいろな材料が別個存在をして、それは2つに行くしか道はなくなっている。登録農薬になるか特定防除資材になるか、どちらかになる。特定防除資材にならなかった場合は、登録農薬にならなければいけないので、そこには極めて厳格な毒性試験が要求される。しかしながら、先ほど化審法の議論をちょっとしたんですが、昔から使っているものについて、必ずしもそういう厳格なやつをやらないで、経験的に使い続けることを認めているようなものが化審法の世界には少しあると。それは安全だとは言っていないですよ。だけれども、そういう世界が一方であるんだけれども、農薬も、そういう材料についても、そういう世界が本当になくて大丈夫なんでしょうかというのがまず背景にあって、それで、例えば先ほど北原先生のおっしゃった除虫菊から抽出している粉末みたいなものは、登録農薬になるだけの試験にかけるお金を供給できないようなときに、それは消えてしまうことに多分なると思いますが、そういうシナリオが果たしていい結論に結びついているんでしょうかというのが少し気にはなるので、ここのところ、余りぎりぎりと厳格にし過ぎると動かしにくくなるかなという、それがポイントなんです。そのときに、しかし、では除虫菊の抽出したやつをみんなが物すごく使い始めると、またちょっとひどいことが起こる。したがって、それは量の問題ですよねというのをちょっと先ほど申し上げたわけです。

【本山座長】 ありがとうございました。
 検討対象の資材のところで、まず1番目の化学合成物質かどうかというところについてはいろいろ議論が出ましたので、物によっては境界が非常に難しいというものもありますので、一応は化学合成物質は特定防除資材の検討対象以外だと、これは登録の方の審査を受けるべきだということにしておいて、ただし、そういうあいまいといいますか、境界のようなものについては、検討対象にしても自動的に特定農薬に指定されるわけではありませんので、その次のいろいろな審査の過程でだめになることもあるわけですので、そういうあいまいなところも一応認めるということでまとめてはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それから、2番目の抗生物質はいいと思いますけれども、先ほどの天敵微生物で、弱毒ウイルスはどう扱うかということについてもしご意見がありましたら……。

【岡田委員】 5月7日に農薬登録された弱毒ウイルスが一つありはしますけれども、また弱毒ウイルスは天敵微生物と本質的に変わるものではないと思っていますが、植物ウイルスというのは、ほかに防除のしようがないということ。少ない、あるいは、ないということ。特異性が非常に高いと。同一の植物ウイルスであっても、系統が違えば効果が出にくい、あるいは、ないというところがあります。それから、大量に生産するのは非常に容易なことではないというのもあります。通常の生産方法であれば、安全性と効果にそう問題が起こるものではないだろうということで、環境省の方から意見を求められた分についても、私は弱毒ウイルスは天敵微生物の中で例外として特定農薬の方に移してもいいのではないかとしました。登録をとりたい人があれば、また登録をとっていただいてもいいとは思いますが、これは例外として扱っていいのではないかという意見で申し上げました。

【本山座長】 ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょう。

【須藤委員】 今の岡田先生のおっしゃっていられること、十分理解しておりますし、私も弱毒ウイルスなるものの性状なり、特性なりは理解を一応はしているつもりでございますが。この問題、やはり一応念には念を入れるというか。それと、特にはこの弱毒ウイルスの理解というのが非常に不十分な部分もあるので、やはり登録をとりあえずはお願いしておいた方が一応よろしいのではないかなと、こういうふうに思っておりましたので。理論的根拠は十分あるわけではございませんが、宿主特異性とかそういうのがあるのは承知をしておりますけれども、登録の方に入れられた方がいいのではないかと、こう思いました。

【牧野委員】 特定防除資材の検討に当たっての論点メモに対する意見ということで、少し聞きましたので、その資料を 149ページ、 150ページに載せておきました。弱毒ウイルスというものの理解が少ないということですので、簡単に申し上げますと、自然界に無数に存在するわけですね。例えば、サツマイモでございますと非常にたくさんのウイルスがありまして、作物が維持されているのは、弱毒ウイルスがそこにたくさん存在するからだというふうに言われているぐらいなんですね。例えば、ウイルスフリーにしまして、それを無毒化する最近の技術でウイルスを簡単に除くことができます。しかし、一作つくりますと、強毒ウイルスに感染して次の年には栽培ができなくなってしまうようなことが実際に起こるわけであります。強毒に対して弱いウイルスというのは自然界にたくさん存在して、日常的に何千年も我々がそれを食べてきておるわけです。
 弱毒ウイルスのつくり方を簡単に申し上げますと、ウイルスに感染した植物を温室に置きまして、生育する限界点ぐらいの温度で処理をいたします。そこからとれてくるウイルスを一個一個分離をするわけです。その中で非常に弱く発病をするものを拾い上げるわけです。そして、それを増殖して、実際に有効かどうかを確認します。そういうことで、弱毒株をつくるわけです。それらは増殖をして、小さい規模ですけれども利用される。そういうのが現状でございます。ですから、我々は、ずっと昔から食べてきて、私自身もたくさん食べたわけですけれども、全く問題がないということであります。
 それから、もう一つ、 150ページですけれども、これはGLPの実験ではございませんけれども、一応研究者の皆さんがおやりになった実験を取りまとめてみていただきました。そうしてみますと、微生物のガイドラインの要求項目を、大部分満たしているのではないかなというふうにも思います。これは検査所の方に見ていただいて確認をしていただければいいと思うんですが。そんなことで、私は念には念を入れてもう既にガイドラインをクリアーしているということではないかなと思います。
 ただ、最初の時点で農薬の登録をとらなかったという部分があるわけですけれども、植物のウイルスという概念そのものが、例えば動物細胞には全く感染をできないものを分類学上植物のウイルスと位置づけているということでして、全く問題ないというふうに私は理解しているわけです。

【本山座長】 ありがとうございました。

【行本委員】 弱毒ウイルスに関して、現状を事務局側からお話しいただきたいと思うんですけれども。私がかなり前にどこかの県、高知県ではなかったかと思うんですけれども、話を伺ったことがあります。先ほど弱毒ウイルスのつくり方のお話がありましたけれども、一度弱毒ウイルスを例えば個々の農家が手に入れますと、それをもとにして増殖できるわけですね。それで、施設の中でそういう自分のところにある弱毒ウイルスに感染した植物を、例えば葉っぱをすりつぶしまして、農薬散布するみたいにまくんですけれども、そうすると強毒ウイルスにかからなくなるという、そういうふうなやり方だと思うんです。それで、随分昔に弱毒ウイルスというのが、最初そういうのが防除に利用できるというふうに考えられたときに、たしか農薬登録をとろうという話があったと思います。そのときにも農家が自分のうちでどんどんふやせるわけですから、まず販売という、そういう流通の経路には乗りにくいのではないかとか、そのほかいろいろな理由があって農薬登録はとらなかったという経緯があったと記憶しております。
 そういうようなこともあって、安全性についてもそれほど問題はないだろうということと、実際に今、普通のほ場で使われているかどうかというのはわからないんですけれども、施設で使われることが多いのではないかということ、それと、組換え体があるという話をちょっと伺ったことがあるんですが、その辺は、審査の段階で必要なものは登録、あるいはさらに安全性のデータを要求することができると思いますので、当面、この中に入れることについては問題はないと思います。
 以上です。

【本山座長】 ありがとうございました。
 弱毒ウイルスについては、昨年の12月の農業資材審議会の中の特定農薬検討委員会、6名の委員会で議論したときも、委員会の中でも意見が両方ありました。きょう、反対の意見を述べられた国見委員が欠席なんですけれども、国見委員の反対の根拠は、こういう微生物は、やはり突然変異とかそういう問題も考える必要があるのではないかと。それから、培養しているときにきちっと管理されない、特に農家なんかが勝手に培養したときに、いろいろなほかのものが混入してきて、有害微生物がそこに入ってくるというような可能性もあるではないかとか、いろいろな理由を述べたわけです。
 それで、今の行本委員のご発言もありましたので、検討対象に乗せるということは、即、特定農薬に指定されるということではありませんので、そこから先にまた詳しいいろいろな安全性、効力、その他に関する審査が入るわけですので、審査対象にするということはいかがでしょうか。
 ご異議がないようですので、一応弱毒ウイルスは対象に乗せるということでまとめたいと思います。
 それから、 (4)の有効成分以外の成分として化学合成された界面活性剤などの補助成分が入っているものは除くということですけれども、これについて何かご意見ございますか。
 界面活性剤などとなっていますけれども、例えば、ここに有機溶剤とか、あるいはアルコールであるとか、アルコールに何かを抽出して溶かしてあるという場合はどうなりますでしょうかね。
  (4)については、原案どおりでよろしいですか。
 それでは、ご意見がないようですので、このとおりということにしまして、それから、大きな2番の検討対象資材の評価優先度、これはいかがでしょう。ご意見ありますか。
 妥当な線ではないかと私も思うんですけれども、よろしいですね。
 では、ご意見がないようなので、これもこのままということで。
 次の13ページに行きまして、資料の範囲ですね。特定防除資材の評価に必要な資料で、その資料の範囲ということで表があります。これについて何かご意見のある方はお願いします。

【中杉委員】 先ほどもちょっと申し上げましたが、下の方のところで、暴露評価に係る──これ、全部試験になっているんですけれども、試験に関する資料ということですね。この表の中の読み方なんですけれども。上は安全性に関する資料で、その中のこういうものに関する資料というふうに解釈……

【事務局】 すみません、これ、試験と書いてありますけれども、それに関する情報ということで考えています。

【中杉委員】 情報ですね、そういうふうにしてくれた方が。必ずしも試験ではないと。そういう意味でいくと、作業者暴露、作物残留及び環境残留ということを加えておいていただいた方がよろしいのかなというふうに思います。

【本山座長】 今のは安全性に関する資料の、 (3)は水産動植物に対する安全性に関する資料がありますけれども、それではなくて……

【中杉委員】 [4]です。[4]のところです。

【本山座長】  (4)として……

【中杉委員】 「作業者暴露及び作物残留」というところに「環境残留」ということを……。

【本山座長】 [4]ですね。

【中杉委員】 ちょっとあいまいな言い方ですけれども、そのぐらいのあいまいなものでいいんだろうというふうに思っておりますから。

【本山座長】 ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょう。

【石井委員】 今の資料の範囲の中で、3行目のところですね、「広く食用に供されるものの抽出物にあっては同[3]を省略することができる」というふうになっているんですけれども、抽出するとはいかがでしょうね。もともと食用のものを防除の資材として使うこと自体は、そう問題はないと思うんですけれども。そんなにたくさんの試験は要らないと思うんですけれども。抽出物になるとちょっとそういうわけにもいかないのではないかなと思うんですよね。どういうふうに加工してしまうかによりますけれども。というように思うんですけれども。

【本山座長】 この点についていかがでしょう。
 確かに、例えばキャベツをとりましても、キャベツは食用作物ですけれども、キャベツそのものを使う分には毒性の問題はないかもしれませんけれども、そこから特定の成分を抽出しますと、高濃度な特定の成分が出てくると。当然その中には非常に毒性を示すようなものも入ってくるわけですね。そうすると、一概に食品の抽出物だからといって[3]を、90日間反復経口投与毒性試験を免除してもいいかというと、そこは心配だという今のご意見だと思うんですけれども。

【事務局】 事務局としては、要するに食品的なものであるような抽出物、つまり、抽出方法によるというふうに今思ったんですけれども、抽出方法によってはというふうに、例えば水で抽出するとか、例えば圧搾して抽出するとか、何か濃縮するとかというのとはまた違うと思うんですけれども。抽出方法によってはというふうにさせていただければと思うんですが。

【本山座長】 単一な成分を抽出して、高濃度に濃縮してということではなくて、役所の方の考え方は、植物をすりつぶして水で抽出したものを使うと。それを念頭に置いているわけですね。その場合はいかがでしょう。この[3]の90日間の反復投与を免除してもいいかということですけれども。

【石井委員】 単にすりつぶして、それをまくぐらいのもの、すりつぶしたものをまくぐらいの、そういうイメージであればそうでしょうね。

【本山座長】 ほかにご意見いかがでしょう。

【牧野委員】 聞き漏らしたかもしれないですが、原材料という視点をどこに置いて考えるかというのがあると思うんです。抽出した後のものを原材料と考えるのか、あるいは先ほど言われたような一番最初のものを原材料として考えるかということです。「その原材料に照らし」というところら辺が安全かどうかというので、それをそのまま抽出──濃度を高くして使うのでなければということだと思うんですけれども。その辺のところの解釈の問題が、原材料をどの時点で原材料とするのかというところで安全性の評価が違ってくるのではないかと思います。

【本山座長】 その辺はいかがでしょう。

【金森委員】 原案のままだとやはりちょっと誤認しやすいのではないか、多様な解釈による誤認を防ぐような表現にしておいた方がいいのではないかと思うんですが。

【事務局】 ケース・バイ・ケースということが出てくると思うので、これはいずれ個別にご審議いただくときに出てくる話なので、ここの表現としては「抽出方法によっては」ということでご了解いただければというふうに……。よろしくお願いします。

【本山座長】 それでよろしいでしょうか。
 そのほかに、このところでいかがでしょう。
 私、ちょっと気になったのは、原材料といいますか、まな板の上に乗っかる資材が、例えば薬用植物の抽出液といったときには、いろいろなものがたくさん含まれていますね。そのときに、提出する資料として、有効成分及びその他の含有成分をすべて出せということができるのだろうかということですね。それから、そういうものを今度暴露評価をするときに、作物残留の濃度というのは一体何について出すのだろうかというようなことが非常に難しいなという気がしたんですけれども。どなたかご意見ありますでしょうか。

【森田委員】 ここのところ、私も少し気にはなっていたんですが、有効成分というのはわかっておるんでしょうか。

【本山座長】 先ほどの除虫菊のように、わかっているものもあればわかっていないものもあるかもしれませんね。

【森田委員】 わかっていないんだとすると、含有量は規定できないですよね。あとの、先ほどの環境への毒性の、ミジンコは何ppmというやつも、わかっているのであれば有効成分で規定することが多分正しいと思うんですが、わかっていないものについては、規定しにくいなということもあって、そこのところでちょっと議論ができなかったんですが。このままいくと、有効成分がわかっているというものしか防除資材には該当しなくなるんですが。そうかどうかはわかりませんが、そんなふうに感じたんですけれども。それはどういうふうに扱ったらいいかですね。

【本山座長】 さあ、どうしましょう。ご意見ありませんか。

【行本委員】 これ、例えば薬用植物のようなものをつぶして抽出したものとか、あるいは、最初にいただいた資料、よく覚えていないんですけれども、つぶしただけとかいうのもあると思うんですよね。この場合、だから有効成分としますと、何となく防除に有効な成分というふうにとられますけれども、これ含まれているもの、例えばニームだったら、ニームの葉1に対して例えば水を10にしてつぶしたものとか、そういうような書き方で、中に何が入っているのかというのがわかるものであればいいのではないかと思うんですけれども。
  以上です。

【事務局】 それでは、わかる範囲で有効成分及びその他の含有成分という、そんなことでいかがでございましょうか。

【若林委員】 先ほど、私、お酢のときにこだわったのは、10ppmと、私の理解では、原体を1としたときにという理解でしました。だから、いわゆるバイオアッセイですよね。トータルのものとして評価をしたときにということで。だから、そういたしますと、この数値がわかっていれば、業者の方は場合によったら薄めて出すということになるのかなと思いながら伺っていましたので。これ、ppmという表現がいいのか、もうちょっと違う表現にしないと、15ページのところは誤解を招くかもしれませんね。成分がわかっていない限り、こういうことはできないわけで。

【金森委員】 質問ですけれども、以前の配布資料によると、アメリカの表示の場合、例えばヒマシ油の含有量を書くだけで、いわゆる有効成分とは別の扱いにしていますよね。それとこの原案の関連はどうなりますか、

【事務局】 右側のリスク決定のまさに原材料というのは材料そのものの名前だけでして、成分がどうなのかというのは一切ないんですよね。ただ、今回もそれでできればいいと思うんですが。したがって、私、さっきちょっと言いましたけれども、わかる範囲でと言ったんですけれども、その前の原材料のところで、そういうものであれば、我々はよくわかっているという物質であれば、そこで判断できるのではないかと思います。

【本山座長】 それでは、今の成分表示の問題は、有効成分が特定されているものもあるでしょうし、特定されていないものもあるでしょうし、あるいは、そういうものの複数の成分による相乗効果というのもあるでしょうから、わかっているものは有効成分を特定していただいて、それ以外のものも、主要成分は成分構成を出してもらうということでよろしいですか。
 そのほかにいかがでしょう。
 それでは、また後で戻ってくることも可能ですので、次の14ページを開いていただいて、こういう試験のデータは、どういうところへ出さなければいけないかというところですけれども、薬効に関する資料の評価の目安というところで、公的試験研究機関において2例以上と。同じ作物、同じ対象病害虫、雑草に対して2例以上という、これについてはいかがでしょう。
 それから、防除価を50以上というのが条件になるということですけれども。

【亀若委員】 一つは、公的試験研究機関2例以上ということなんですが、公的研究機関がすべてでなくてもいいのではないかなという気がして、私の方で前に意見を出させていただいた際も、一つは公的機関で、あと1例はそうでない、つまり、必ずしも公的である必要はないのではないかという意見です。残留試験の場合も、たしかすべて公的ではなくてもよかったのではないかなという気がするんですが。私はこの薬効について、2つとも公的研究機関であるという必要性というのは薄いと思います。一つはあるべきだと思いますが。というのが一つの意見です。
 それから、2点目の防除価の話、これちょっと私、誤解をしている面がありまして、登録農薬を一応 100としてという、防除価を 100ではなくて、登録農薬を 100として、そしてここで特定防除資材として見る場合の薬効というものは、その登録農薬の6割ぐらいのものがあればいいのではないかなというふうに実は考えたんです。その理由は、安全性の方は資料に基づいてということになるのかもしれませんが、きちっとチェックはするんですが、効く、効かないの部分について、登録農薬と同じレベルのものでしか認めませんよというふうに考えてしまいますと、かなり効くのにもかかわらず、特定から外れているものがかなり多分出ると思うんです。
 そうすると、販売はしてはいけないのかもしれませんけれども、農家レベルでは、それは効くはずだということで、農薬的に使ってしまう。そうすると、今の取締法の概念からいきますと、それはやはり違反という概念に入りますよね。ところが、6割ぐらいのところでいいというふうに抑えますと、それよりも効かないような場合には、これはもう農家もあまり使うという気が起こらないのと、概念的には特定防除資材として農家が使える範囲が広くなるという意味で、犯罪に陥る部分が少なくなるのではないかなという気がしたわけです。
 ただ、論理的に考えれば、国がお墨つきを与えるものについて、農薬という概念からいって 100%であるべきだという、その気持ちはよくわかるんですけれども。そういう面では、この特定防除資材については、いろいろな問題があるにしても、一つの新しい概念として登録農薬の農薬としてのきき方よりも、落とした段階で考えておくというのがいいのではないかなと、そう思っている次第です。

【本山座長】 この点に関して、ほかの委員の先生方、いかがでしょう。

【牧野委員】 農産物を生産するということは経済的な行為ですね。ですから、散布することで有効だという判断が、それは効く、効かないということになるわけですね。ですから、例えば50でなければいけないとか、そういう具体的な数字ってなかなか出しにくいのではないかと思うんです。その場所と地域、作物、それから農家によってかなり違うのではないかなと。農家によって違うということは余りないかもしれませんが、経済行為でプラスになると判断されれば、それはかける意味が出てくるわけですよね。そこのところの判断をどうするのかというのが一つあると思うんですが、防除価何%というのはなかなか言えないのかなというふうに思います。

【森田委員】 この資料を提出するのは、こういった特定農薬を生産する生産者ですよね、当然。個別の会社が提出されるということで、一般的にどういうブレンドであってもというわけでは必ずしもないという認識でよろしいですか。つまり、何を言っているかというと、あるものが、例えば食酢というのはこの間認められましたけれども、その食酢は、それをつくっているメーカーはすべて、どういうメーカーであれ特定農薬としてそれを売ることができるというのが一つの構造として何かありそうな気もするんですが、そうではなくて、食酢の特定農薬を提出してきた個別の企業が、お酢の入った、それを農薬として認可してほしいというプロセスに入るのか。

【事務局】 この特定農薬というのは、普通の登録制度ではないんですね。基本的なスキームとしては、申請制度ではないんですね。国が調査して指定するというスキームの中でありまして、また、つくっている人も2タイプに分かれると思います。一つは、おっしゃるように業者の方、もう一つは、農家の方が自分でつくって、身近なもので自分でつくって使っているという。後者の場合は、まさに試験データをつくって提出するとかという能力はないわけでして、先ほどの優先検討資材というところで、優先的に見るというところがありましたけれども、要は、そういうものについては、広く使われているというものであれば、国の方で試験データをそろえて調査して、あるいは、必要であれば試験をやってというふうに考えていまして、そういう優先度をつけてやっていきたいと。特にやってほしいという企業があれば、まさに資料を提供してくるだろうし、私どももそういうものは受け付けて、参考にさせていただくということでございます。

【本山座長】 ほかにいかがでしょうか。

【岡田委員】 評価に必要な資料のところで、2例以上というのは、これはどちらであってもいいのではないかとは思います。公的試験研究機関が2つ出してもいいし、亀若委員が言われたように、一つは私的なところ、自分がやったのでもいいではないかと思います。2例とも自分がやったというのはちょっと受け入れにくいかもしれませんが、判断が難しいかもしれませんけれども、どちらかが公的であればそれでもいいのではないかと思います。先ほど亀若委員が言っておられた残留分析は、確かに公的機関が一つとその他の機関が一つと、2例のデータを持って残留分析の評価をしていますので、それと同じで、両方公的でなくてもいいのではないかと思います。
 それから、どの程度というのは、先ほどあったように、牧野委員が言われたように、評価は非常に難しい。作物によっても違うし、地域によっても違うし、時代によっても違うだろうと思います。だけども、やはり評価の基準というのはどこかに置かざるをえないだろうと思います。それからすれば、防除価50というのは、死亡率でいってみれば60ぐらいかと思います。農薬登録されている死亡率というのは、大体70以上。60でだめだと言うのではないですけれども、死亡率が70以上ぐらいになっているものについて農薬登録されている。だけども、実際には農家が病害虫を防除するときに、やはり防除率で80%ぐらいはほしいというところがあると思います。作物によってはもっと高いところを求めるでしょう。どこかに線を引くとすれば、登録農薬と同じと言われますけれども、これは若干低いのではないかと私は思っているんですが。このあたりの線でいいのではないかというふうに思っています。

【本山座長】 この点について、ほかにご意見ございますでしょうか。
 それでは、防除価については、この原案どおり大体50以上ということで、それから、試験成績2例以上というのは……ご意見ありましたか、どうも失礼しました。

【牧野委員】 例えば、食酢とか重曹ですね、この辺が50以上ありますかね。ちょっとデータはわかりませんけれども。実際問題として。

【事務局】 過去に登録された製剤としての酢酸を成分とする農薬、それから、重曹を成分とする農薬は、高い防除効果、50をはるかに超えた値だったと聞いております。

【本山座長】 それから、試験成績を2例以上必要とする。それを公的試験研究機関でということについてはいかがでしょう。登録農薬の場合は、2年間、6例以上、6カ所以上ということですね。それをここでは、特定防除資材の場合は非常に甘くして、2例以上ということにしているわけですけれども。そのうちの1例は、しかも自社といいますか、自分で出したデータでもいいということにしてしまってよろしいですか。

【石井委員】 いまどき公的なんていう言葉を余り使わん方がいいと思うんです。ただ問題は、データの中身です。中身と出された資料を判断できるかどうか。それから、そういう能力がある人が試験をやっているかどうかを判断すればいいので、余り公的とか私的だとかという、そういうのはいかがなものかと思うんですよね。ただ、公的と書いてあれば今までは安心だったから書いてきているんですけれども、結局は出されたデータの質の問題ですから。その辺は出された資料の判断の問題だろうと思うんですけれども。私も、だから余り公的にこだわる必要はないような気がするんだけれども。公的と書いた方が安心かもしれませんけれどもね。

【本山座長】 いかがでしょうか。

【行本委員】 この後、安全性の問題が出てきますけれども、効果の方は私もどこでやってもいいと思うんです。安全性の方はきちんと評価しないといけませんけれども、防除効果、それから、安全性の中でも薬害みたいなものは、要するに使う人の判断に委ねてもいいように思います。使用者に対する保護というのが多少あると思うんですけれども、一応、効果がなかったりということは何年かするとスクリーニングされていくような問題でありますよね、ある意味では。安全性はそうはいきませんが。そういうことで薬効に関する試験に関しては、公的にこだわらなくてもいいと思います。私は防除価ももっと低くてもいいと思ったぐらいで、いいものはその後売れていくでしょうしというように思います。
  以上です。

【本山座長】 いかがでしょうか。
 私は、個人的にはやはり公的機関というのを入れたい気がするんですけれども。それは、やはりなぜ今までの農薬登録で公的機関ということをしてきたかといいますと、やはりごまかす人がいたんだと思うんですね。アメリカのコントラクトなどが有名な話ですけれども。毒性試験を捏造したということが出てきましたので。それでGLP対応ということはあれから出てきたわけですし、やはりそういう意味では、これは大して経費のかかることでもありませんので、効力はきちっと、例えば日本植物防疫協会を通して信頼の置けるところで評価してもらうのがいいのではないかという気がするんですけれども。

【亀若委員】 いわゆる社団とか財団だとかいろいろなところは、普通私的として扱っているものですから、そういう意味では実は公的というのでは──いわゆる公立の研究機関というふうに私は頭に置いて考えていたので、今のようなお話で、防疫協会だとか、そういういわゆる公益法人のところの概念ということであれば、それは公的──先ほど石井委員がおっしゃられたように、公というのは何だろうという話もありますけれども、そこまで含めて考えておられるなら、別にそうこだわりません。
 それと、先ほどの防除価50なんですが、登録農薬並みという概念になりますけれども、それは本当にそれでいいのかという気がするんです。もう意見がなさそうなので50以上でいいですねということになってしまうと、登録農薬並みの薬効を特定農薬で求めるんだということになってしまうんですが。それはちょっと……

【岡田委員】 登録農薬はもうちょっと高い……

【亀若委員】 先ほど、私ちょっと聞き間違えたかもしれませんが、登録農薬は50以上でやっておられるとおっしゃられたので、それで私はそれよりも低く考えておくべきではないでしょうかということを申し上げているので。登録農薬がもっと高いところでやっているので、この特定防除資材を50ぐらいで考えるというなら、それはそれで賛成なんです。

【事務局】 先ほどご説明しましたけれども、一応登録農薬の場合は最低50でやっているんですね。実際のところはもっと高いと思うんです。要するに、登録のときに薬効が著しく劣るものというのは登録していないし、先発品と比べても、そういうものを出しても意味がないので、先発というか、同じ病気に対して効くものとして。実際にはもっと高いところでやっています。特に除草剤なんかの場合は90とか70とか80とか。最低でも70なんですけれども。ただ、殺虫剤、殺菌剤、一応何か書き物になったものを見ると、50って書いてあるんですね。そういうことを申し上げたんですけれども。
 あと、公的機関のお話をちょっとご説明します。

【事務局】 今の効果の話にもちょっと加えさせていただきますが、登録農薬の場合は原則2例から6例という数なんですが、総合的に使用方法とかがありまして、薬害も見て、使用方法をその中で決めていくというのがありますので、例えば低い例があったとしてもより適切な使用方法とか、効果がでる注意事項とか、そういうような使用の場面での対応が一つあるということは頭に入れていただきたいと思います。
 それから、薬効・薬害試験の公的試験施設ということについては、登録農薬について出しています。局長通知、課長通知の中で一応提起されていまして、国または都道府県の農業試験場、また国公立大学、地方公共団体が直接に運営管理する試験施設を言うと。ほ場については借り上げもありと。それから、さらに地域の普及センター等が行った場合であっても、試験施設等にそこが関与している場合というふうに定義しておりまして、日本植物防疫協会を通しての試験はまさにそこに当たるものであります。

【本山座長】 ほかにご意見ございますか。
 通常の登録農薬の審査は非常に厳しい、私も検討会に出たことがありますけれども、対無処理で何%だとか、あるいは、先発の薬に対してよりすぐれているかどうかとか、非常に厳しい審査をされますね。ですから、そういう意味からしますと、この50以上というのは最低のレベルではないかという気がしますけれども。
 それでは、これはそういうことでまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
 次の大きな3の安全性に関する資料及び評価の目安、ここが非常に重要ではないかと思いますけれども、表中の4参照で、薬害、人畜に対する安全性、水産動植物に対する安全性、ここについて何かご意見ございますでしょうか。

【石井委員】 先ほどの資料のところで、一部省略するというところがありましたけれども、食用のものについて。食用のものについては、もっと省略してもいいような気がするんですけれどもね、ちょっと議論がもとへ戻って申しわけないですけれども。[2]と[3]は出さなくてもいいというようなことが書いてありましたけれども、もともと食用に使うものを食用の形態で何かちょっと水で薄めて使うとかぐらいの話でしたら、何かもっと省略してもいいような気もするんですけれども。余りそこを縛り過ぎると、食用のものでこんな試験をやろうなんていう人はまずいないでしょうし──というような気がするんですけれども。特定農薬の種類を少しでもふやせられればと思えば、そういうところは外した方がいいような気がしますね。

【本山座長】 いかがでしょうか。

【須藤委員】 質問ですけれどもよろしいですか。先ほどの同じやつ、この辺の部分も各農家なんかが個人的に使うものがたくさんあった場合には、優先して、安全性評価も国がやってくださるということに──やってくださるというか、国がやると理解してよろしいんですよね。要するに、それぞれがやるのではなくて。そういう形でよろしいですね。

【事務局】 だれかやっていただける方がいるとか、既にデータがあるとかというのであればよろしいんですけれども、そういうのがなければ、これは国でやらざるを得ないなというふうに思っております。予算の範囲でという話が一つあるんですけれども。

【須藤委員】 でしたら余り抜かない方がいいのかもしれませんね。国がやってくださるのであれば、やはりちゃんとしておいた方がよろしいですよね。

【本山座長】 判断が迷うのは、特定防除資材に指定するのは、原材料、材料を指定するという形になりますね。そうではなくて、結局、これはメーカーにとっては一つの大きなビジネスチャンスなわけですから、非常に大きなビジネスチャンスになる。多くのメーカーが指定されたものについては参入してくると思うんですけれども、それぞれのメーカーがつくる特定の製剤というのか、商品について指定することになるんですか。それともそうではなくて、原材料そのものについて指定することになるのか。それによって判断が分かれてくると思うんですけれども。

【事務局】 これまでご議論いただいて、こちらから説明していたのは、まさに原材料の話でございまして、商品化するときにどういうふうにするかは私どもはよくわからないんですけれども、何かと何かをまぜるとか、あるいは、何か補助材を入れるとか、それは想定していないんです。この材料だけを使う場合を想定しているということなんですね。混合の場合の話もまた一つ議論がございますので、そこをどうするかというのは、改めてちょっとまたご議論をいただきたいんですけれども。要は、この材料を使った場合ということなので、こちらの想定としては、まぜる場合もいいのではないかという想定なんです。

【本山座長】 という判断だそうです。いかがでしょうか。

【森田委員】 天然物を材料にしたときに、いつも問題になるのは、いわば薬効成分の含有量は非常にプロダクトによって変動すると。それに対してどういうふうに有効性を含めていろいろな担保がかけられるかというところが実はまだ解明というか、難しいんですね。それで、そのプロダクトに対して、製剤に対して評価をするのであれば、それはできるんですけれども、剤にしてやったときに、そこの部分がどういうふうに全体のクオリティーというか、品質を含めて管理するかという、その戦略が少し必要かもしれませんね。極端に言えば、漢方薬の薬効をどうやって定義するかというような、そんな作業に近いことを言っていますので。フォーミュレーションによって初めて効くとか、いろいろなことが多分これから起こってくるんだと思うんですが。そういう意味で、まずそれが一つ背景にあるということ。
 それから、有効成分が必ずしも定義できない場面がある。有効成分が定義できないということは、危険成分が定義できないということとも裏返しの関係にありますので、安全性の定義というのは非常に難しい。いろいろな試験データをよこしなさいとは言ってみたものの、有効成分が定義されて初めてこの一覧表が用意できるということに多分なってきますので、それでは有効成分の定義されていないものは、安全性に関する資料は提出できるのかできないのかということも若干残っているんですね。全体としては、相当難しいプロセスがありますが。石井先生のおっしゃったように、食品だったらある程度、毒性情報は要らないという割り切りは、答えの一つかなという感じはします。

【本山座長】 ほかにいかがでしょうか。

【石井委員】 今の件で、業者が商品として売る場合と、農家がたまたま自分がつくっていたものをちょっとすりつぶしてまこうという場合と、やはり分けて考える必要があると思うんですね。特に業者が売る場合は、森田先生がおっしゃったようなことを非常に心配しなければいけないんですけれども、農家が自己責任で、自分のつくっていたものがたまたま特定農薬として認められているからやってみようかというところの場合は、自己責任でやってもらうしかないというような感じがするんですけれども。

【本山座長】 特定防除資材は、私は検討委員会で検討したときに、そこが一番大きな問題だったわけです。つまり、流通・販売する資材と、農家が個人の責任で自分で製造して自分の畑で使うものと、区別できるのかということなんです。法律では区別できないということなんですね。そうすると、やはりビジネスチャンスで多くのメーカーが参入してくるということを考えますと、やはりある程度厳しく品質管理をしないと、安全性は担保できないのではないかと私たちは考えたわけです。

【石井委員】 それで、業者が売る場合を考えたんですけれども、これ、どういう表示をするんですか。特定農薬なんていう言葉を書くんですか。特定防除資材とか。これを売る形態を私は考えたときに、どうやって売るんだろうと思ったんです。特定農薬というのは、表示の義務もないし、帳簿はつけるのかとか、法律上いろいろ考えていたら、一体形態はどんな形で売られるんだろうなと。農家が勝手に、自分の畑にたまたま植えていたものを防除に使うなら、それはそれで自己責任でやってもらえばいいんですが、売るとなると、ちょっとその形態がよく見えないんですけれども。この辺はどうなんでしょうか。ちょっと直接これに関係ないんですけれども、そういう議論がちょっと思い当たるんですけれども。

【事務局】 まだないケースなので、こうなりますとはっきり言えないので、想定なんですけれども、もちろんお酢とか重曹そのものを売る場合には、全然表示なしでもちろん売っているわけですけれども、それを農薬として売るということになれば、何らかの表示がきっとなされるんだと思うんです。表示の義務は確かにございませんが、虚偽表示は禁止されます。したがって、誇大な、何でも効くというような表示もだめですし、きっと適正な、これはどうやって使えばどういうふうに効くんだというようなぐらいの表示がきっとなされなければいけないだろうと。ただ、表示の義務はないですので、私どもとしてはやはり指導の世界であって、禁止としては虚偽の宣伝が行われないようにというところで抑えていくという形になります。ということです。

【若林委員】 これも半分質問なんですけれども、例えば食べ物などは、多分人間に対しては安全だろうし、作物に対してもそれほど被害が出ないものであったとしても、例えば水域に対する汚染ということになるとどうなるんでしょうねというのが一つ疑問点です。今、家庭排水ですら合併浄化槽をつけましょうとかいう時代で、まくことによってかなり有機汚濁の原因になるとか、それから、あともう一つはここにもございますけれども、水生生物に対する毒性が非常に高いとか、そういうものに関して、特定農薬で許されているからという農家の判断で、ばんばん例えば田んぼにまくということで、量が減ってしまって魚が浮上するとか、それから、もちろんペーハーが変わってとか、そういうことは起こらないんでしょうか。その辺がちょっと疑問点で残ります。

【事務局】 そういう問題は当然ございますので、魚毒性とかをそこでチェックしていただいて、そういうものは使用方法を厳密にやるというのであれば、きちんと登録をして使用方法を守らせるという条件の登録農薬にするという……

【若林委員】 例えば、お酢がどの程度か全然わからないんですけれども、もちろんそれを特定農薬として購入してくればそうでしょうけれども、お酢の一升瓶を買ってきてとか、そういうことでやる場合には、どういうことになるんでしょうか。

【事務局】 確かに、お酢を川にどぼどぼ流してしまうとかという想定をされると確かに問題だと思うんですが、今回指定したものでは、通常そういうものは想定できないだろうということで一応やっていますけれども、特段必要なものについては、やはり使用方法に注意を情報として流していくということは考えなければいけないし、そういうことが想定されるものであれば、それは特定農薬になれないだろうというふうに思っております。

【本山座長】 表示を強制することはできないという先ほどのお話だったんですけれども、多分業者が参入して販売するときには、何らかのラベルを張ると思うんですけれども、それを指導という形で、強制ではなくて、ラベルに何をどこまで記載するかということが議論になると思います。資料8というのが配付されていると思うんですが、ここに重曹と食酢についての表示の例なのか何かわかりませんけれども、書いてありますね。品名と書類と薬効が認められる対象病害虫、これには対象作物と対象病害虫と。それから、参考となる使用方法というのが、登録の農薬ほどではないんですけれどもある程度記載されていますね。

【事務局】 17ページでございます。

【本山座長】 失礼しました、資料8、17ページでございますね。
 この程度のことは多分、業者が販売する場合は書かれるのではないかという気がしますけれども。多分、業者はそれに農林水産省特定防除資材指定済みとか何か宣伝を書くのではないかという気がしますけれども。
 何かご意見ございますか。

【行本委員】 今の表示の問題は、例えば化粧品にしても何かにしても、使用方法というのはついておりますので、その辺は入ってくると思うし、特定農薬だけを売る販売店は都道府県知事に届け出ないといけませんよね。その辺で指導はできるのではないかと思います。
 表示とは別に、先ほどからの続きで原材料ですけれども、例えば食品の場合、毒性の試験はもうちょっと緩くてもいいのではないかというようなお話もありましたし、あくまでその食品をどういうふうにいわゆる資材の形態にするかということになると思うんですが、例えば水で抽出したようなものだったら、毒性試験は本当になくてもいいのではないかというふうに思います。ただ、食品であってもアルコールで抽出するとか濃縮されるというようなことがあると、またそれは考えないといけないと思うんですけれども、これはやはり個々の場合にこのくらいのデータがいるというようなことを多少考えないといけないのではないかなという気もします。
 それから、あとは先ほど原材料で、例えばニンニクだとかというふうに、そういう指定になるわけですね、唐がらしだとか。その辺はどういう形にするかというのもある程度想定しておかないと、これは水で抽出するから問題ないというふうに決めた後で、例えばアルコールで抽出するというようなものが出てきた場合に、これはアルコールの場合は化学物質ということになるので、それは考慮しなくてもいいのかもしれないんですけれども、多少どういうふうな形にするのか、どういうような使い方をするのかというのを把握した上で指定することにはできないのでしょうか。ちょっとその辺は質問ですけれども。

【事務局】 一応、私どもがイメージしていますのは、食品添加物の表示の例があるんですけれども、何とかかんとかのエタノール抽出液とか水抽出液とか、そういう話になってくると思います。

【行本委員】 ある程度そういう形で指定するわけですね。わかりました。

【事務局】 そういう頭でおります。実際に具体的にどういうなるかという話は、法的な話があるので、そこはまた相談になりますけれども、そういうイメージでございます。

【本山座長】 食品といえども、口から食べる分には問題ないでしょうけれども、すりつぶして施設の中で散布するということになりますと、やはり目とか皮膚に対する刺激性とか、いろいろな問題が出てきますね。ですから、ただ単にニンニクだから、唐がらしだから、ワサビだから毒性試験を省略していいということにはならないのではないかという気がしますけれども。

【須藤委員】 今、委員長がおっしゃっている一つの最近問題になっている例は、農薬ではないんですが、農水省の皆さんはよくご存じかもしれませんが、ノリの不作があったんですが、そのノリというのは、最初はいろいろ珪藻だとかいろいろ雑菌がつくんですけれども、そのときにコーラをふりかけると効いたんですね。これはペーハーも下がるということですね。コーラの成分というのはクエン酸だそうですけれども。そういうことで、漁民がコーラをぱっとふりかけている分には、これは一種の農薬といえば農薬なんでしょう、薬剤なんでしょうけれども。そうなってくると、それがわかれば、今十数社あるんですけれども、そういうものを今度は酸処理剤としてどんどんつくってしまうわけですね。先ほど先生がおっしゃっていたようにビジネスチャンスなんですね。それがまた大変よく売れて、この五、六年で何千トンというウォーターを例えば有明海とか瀬戸内海とかにまいてしまうわけですね。それは非常に環境影響が大きいわけでありますので。
 当初の、農家が使っている段階は今のような問題でないんだけれども、多分お酢もそうでしょうし、ほかのものもそうでしょうし、結果として、ビジネスとしてそれをスタートしたときがあるので、ものが最初、これで特定防除剤ですか、決まってしまっていて、どんどんつくってどんどんやってもいいというようなことになると非常にまずいので、先ほどから中杉先生がおっしゃっているように量の問題のことがあるので、最初はそれでもいいんだけれども、どこかでそれに歯どめがかけられるようにしておかないと、コーラをふりまけている分には全然問題がないんだけれども──問題がなかったろうと思うんだけれども、それを薬剤として売るようになったら、同じ成分でも多分問題になるのではないかと、こういうふうに思います。

【本山座長】 ありがとうございました。

【中杉委員】 前回も少しコメントさせていただいたんですけれども、基本的には登録農薬と違って特定防除資材の場合には、使い方というものの管理、一応書かれるけれども、制限はなし、弱いですよね。どんな使われ方をされるかわからないという部分があるので、私が前回申し上げたのは、そういう意味では、今の登録農薬と同じレベルの安全性とか人に対する影響とか、同じレベルでやって大丈夫かという一つの面がありますねということを申し上げたんです。だからといってもう少し厳しくするというのもかなり難しいのかもしれません。
 先ほど森田委員も言われましたように、量が多かったらどうするんだという話なんですね、今、須藤先生が言われたように。そこら辺のところをどういうふうに担保していくかと、これは業者がやるのではなくて、行政の方で動向をどう把握するか、販売量みたいのを届けさせるようなことができるのかとか、あるいは、別途調査されるのかわかりませんけれども、そういうものを踏まえながら、行政の方としてリスク評価をして、必要とあれば見直しをしていくというようなことが必要なのではないでしょうか。そういう担保をしておかないと、これはかなり自由な、覚悟があればだから自由なつくり方をしている。私が前にも申し上げましたように、農薬というのは、ある管理の仕方をしているからかなりきわどいものを使っているという状況はありますので、そこら辺のところに十分指導もつくり込んでいただければというふうに思います。

【本山座長】 ありがとうございました。

【井上委員】 この特定防除資材の議論は、農薬の安全性を議論させていただいている立場からすると、当初からカルチャーショックがあるんですけれども。今の中杉先生のようなご意見は大変もっともだし、初めの時期は僕もそういう意見を随分言ったんですけれども。これはリスクアセスメントは事実上できないんですよね。それで、それをできるようにするべきだというふうに考えてみたことがあるんですけれども、それをやると相当安全性に関するきちっとしたデータがないとできなくなってしまう。その延長線上に先ほどの森田先生の発言が来るわけなんですけれども。それで、そこのところはなかなかもっともなんだけれども難しくて、やはりこのカルチャーショックはこのままにしておいて、性善説に従ってむちゃくちゃな使用は行われないであろうということを信じるしかないような、そういう立場でこれまで伺ってきたんですね。
 ただそうは言っても、(先ほどちょっと出た話に戻して申しわけないですけれども)主成分表示だけはやっていただきたいと思うんですね。本当は全成分表示をしていただきたいと思うけれども、それは恐らくできないという話に先ほど来の話の延長線上からなってしまうでしょうから、むしろ、本当は予想外な混入物の方がよっぽど問題かもしれないわけですけれども。それはきっとできないというような議論になるんでしょうから、少なくとも主成分表示だけは、それが行政指導という形でも何でもやっていただいて、それ以外のとんでもないものは入っているとは想定しないで使われて起こった事故だというスキームが後でとれるようにしておいていただかないと、恐らく責任をとる場所がなくなってしまうと思うんですね。一応今段階での感想はそういうところです。

【本山座長】 ありがとうございました。

【森田委員】 関連するんですが、結局ここの議論の一番難しいのは、一つは農家自身が自分たちでおつくりになって、そしてそのつくられた農家がつくったこと自体が犯罪にならないような、そういうスキームを一つつくろうとしている。それから、もう一方の側で、これをビジネスチャンスととらえて生産者が出てきて、それがマーケットに乗せ始めると。この2つのところで私たちはさっきから行ったり来たりしている部分が随分あるんですね。製造者が存在をして、そして製造者の責任をある程度明確にする意味でも、そこについては中身についての情報をきちんと届けさせてというシナリオはあるんだけれども、農家の側にはそれは全然不可能、基本的には不可能ですよね。だから、同じ土俵でやっているとどうしても難しいところが残ってしまうというのがありますけれども。
 それから、それはそれとして、先ほどのいろいろな議論の中で私が理解したのは、指定に際して判断をする材料はだれが集めてやるのかという話で、ここもさっきから少しまだ行ったり来たりしている要素があって、国が全部のデータを文献を含めて集めて、そして判断するというふうなニュアンスで受け入れておったんですが、それはそれでよろしいんでしょうか。

【事務局】 一応、だれかが窓口にならなければいけないので、私ども環境省と農林省で協力して窓口になって集めようと。これは、お持ちの方とかいろいろなデータをご存じの方があればどんどんお寄せいただくという、ホームページもありますので、いろいろな手法でやっていきたい。あと、どうしようもないものについては、みずからつくっていくようなこともやっていこうということでございます。

【森田委員】 例えば、90日間の反復経口毒性試験というのも、国がやるというふうな理解でよろしいんですか。

【事務局】 要するに、予算の範囲でやるしかないかと。これ、結構金額的には、多ければ 2,000万円ぐらいいくかもしれないし、あと、サンプル1個で、1種類ではいくわけではなくのではないかという気もするし、さっき製剤といいますか、物質によって大分幅があるのではないかという話もありましたので、幾つか幅を見た見方もしないといけないと思うので、そうすると1個では済まないだろうと。やはり、予算の範囲でという中でやるしかないかと思っております。

【森田委員】 ちょっとその辺になってくると、もう少しプラクティカルな答えを用意しなければいけないんですが。申請する人がたくさんいて、いろいろな申請が出てくる。しかし、判断する材料がないからどんどんおくれてくるということも起こり得るという、そんなことになりますかね。

【事務局】 多分、今おっしゃっているのは業者の、ビジネスの話が多いんだと思うんですけれども、ここら辺はご協力いただくというか、そういう話になっていくと思います。

【森田委員】 業者さんが出す分には、業者さんがデータセットを持って来られるんでしょうけれども、農家の方はそのことに関して心配しなくていいんですかね、実際に使われる局面で。

【事務局】 そういう業者さんが出してくるまでの間ということですか。

【森田委員】 農家が自己的に何かやっていらっしゃると。

【事務局】 農家がですね。

【森田委員】 自分でやっている。やっているんだけれども……

【事務局】 それで、今回も幾つかリストを出していまして、これはやはり登録をとらないと勝手に農薬として使うのはやばいのではないかというのは、さっきのリストアップ、横表なんですけれども。ああいうことで、こちらとしてもやはり情報は出していくし、取り締まりとか指導をやっていくということなんですが、特段、これは危ないなというものがない限り、農家の、要するに、あと、何に使っているわからないという話もあるんですよね。私ども、情報の収集のしようがないというのがあって、そこら辺はやはり農家の自己の判断と責任でやっていただくしかないなと。食品安全基本法も、やはり責務ということで、安全性についてはつくる人の責務ということも出てきますし、すべて国がその安全性のすべてを保証するということでもないだろうなというふうに思っています。

【森田委員】 それから、もう一つなんですが、今、重曹と食酢については特定農薬に指定をしましたよね。そういうプロセスの中にありますよね。ここでは、例えば品名を見ていただきますと、重曹とか食酢と書いてありまして、炭酸水素ナトリウムとか酢酸とは書いていない。その違いは一体何だろうかということになるんですが、ここでイメージされているのは、重曹とか食酢というのが食品添加物規格のものというふうに考えているのか、それともそうでなくてもよろしいということになりますか。

【事務局】 これは、例えば食酢の例が一番わかりやすいと思うんですけれども、酢酸溶液ではなくて食酢なんですよね。一般に私ども身近に接している、流通しているものということで使っているということです。

【森田委員】 もちろんそうですが、特定農薬、食酢として流通できるような濃度に希釈された酢酸水溶液がマーケットに出たときには、それは許容されるということなんですか。

【事務局】 それではなくて、要するに、私どもがふだん飲んだり使ったりしている酢ということでございます。

【森田委員】 ということは、食品としての規格を満足していなければいけないと、そういうことになりますね。

【事務局】 はい、そういうことでございます。

【村田委員】 ずっとお話を伺っていたんですけれども、もともと農薬取締法が改正されて、過剰な規制で農家の自己責任をある程度緩和するというような形での特定防除資材だと思ったんですけれども、何かこれが本当に有機をまじめにやっている人たちにとって有効に働くのかなってすごい私は疑問が残るんですね。先ほどから言われている個人が使う分と販売者というところがすごくやはり大きな分かれ目で、もちろん農家の方が業者から売られて自分のところで抽出するものはどうするかとか、いろいろ問題はあると思うんですけれども、そこのところ、もう少し何か議論を詰めていかないと、農家の方の自己責任ですよというふうに何か今、投げられているような気がして、結局農家の方も薬効を信じて使う分には構わないと言われていながらも、やはり使えないでいる状況があるとすると、これが本当に最初に予定していた方向に行くのかなというのがすごく心配なんですね。もちろん安全性とか薬効については、どこかできちんと評価していただきたいという気持ちはすごく消費者としては強いんですけれども、それはやはり販売するところというのが、何かやはり販売者、マーケットチャンスというふうにねらっている人たちと、一般の性善説的なところで使っていらっしゃる農家とを何か線引きしてほしいなというのが私の感想なんですけれども。

【本山座長】 ありがとうございました。
 どなたかご意見ございますか。
 私もこれを検討していていつも感じていたんですけれども、特定防除資材に指定されますと、用法、容量が規制できないわけですよね。そうすると、消費者に対する安全性を本当に確保できるのだろうかと。農家が常識に従って使ってくれるという前提のもとで大丈夫だろうということでしょうし、環境に対しても常識的な使い方をしてくれるだろうということなんですけれども。ですから、その辺は指導という形でもって必ずむちゃくちゃな使い方はしないというような何か仕組みを考えないと、安全性の担保はできないなという気がするんですけれども。

【岡田委員】 話を伺っていて、どんなものができてくるのかよくわからないですけれども、すりつぶして水で薄めてとか、抽出してとか、つくったその場所で使うんだったら量が多くったっていいんでしょうけれども、販売する、輸送をするとなると、そんなものを輸送したり販売したり、難しいんだろうと。できるものによって安全性がどうなるかと考えると、ちょっと怖いような気がするんですよね。
 食品であっても、自然物って意外と毒物を含んでいるものが多いんですよね。私はそういうふうなの専門ではなくて、生物屋で虫の微生物をやってきた人間なので、物の安全性なんてそんなにわかるわけではないですけれども、目と耳との勉強だけなんですが。1990年ごろに、農薬の安全性とか自然物の安全性とかというふうなのが相当に議論されたことがあったんですよね。相当な印刷物となって出ているわけですが。意外と化合物というのは安全で、そのときに話をしたのが、ちょっと話が前後しますが、そのころに話題になった話というのが、東大医学部の教授をしていた黒木先生だとかカリフォルニア大学の教授をしていたエイムスさんという人たちの話とか、座談会には隣にいらっしゃる金森委員も出ておられましたけれども。エイムスさんなんていうのは、自然物というのは安全で、化合物というのは危険だと、以前はそう思っていたと。ところが、研究をしていったら、化合物というのは非常に安全で、特に農薬なんていうのはほとんどのものが疑う余地なく安全であると、人に対してですが。そして、自然物の中には、食品を含めて相当に危ないものが入っているというふうに、自分の以前の理論を撤回したようなことが論文に出ているんですね。
 食品にだって発がん性物質というのは相当に含まれているし、そういうものを普通にすりつぶして、水を含めて、水で溶いてまいている分には大したことはないでしょうけれども、これを濃縮して輸送する、販売するとなってくると、何か怖いような感じがするんですよね。そのころの座談会の記録だとかいろいろなのを私は持っていますから、必要があればお読みいただいて結構ですけれども。やはり、食品であっても、どう使うかというところで不安があって、安全性の評価というのはきちんとやっていただきたいなというふうに思っています。

【本山座長】 ありがとうございました。
  ほかにご意見ありますでしょうか。

【金森委員】 食品添加物は、先に、化学的に合成した添加物の方が安全チェックに基づいて認可される対象となり、いわゆる天然添加物の方が後に指定となりましたが、農薬も似たような流れであるように思います。当然のことですが、科学技術の発達にともない、新しい知見によって、より安全なチェックシステムを築くことは、人間の英知だと思いますから、先程から議論されているように、食品であっても使い方次第で安全とは限らないし、商品化される場合も考慮すれば、制度の欠陥による問題が発生しないよう慎重に議論し検討しておくことは重要であると思います。
 以上です。

【本山座長】 ありがとうございました。
 ほかにご意見ございますでしょうか。
 井上委員が一番ご専門の立場で、冷や冷やしているのではないかと思いますけれども。井上委員の出席している委員会でこういうことが決まったということになりますと、責任上、非常に冷や冷やしているのではないかと思いますけれども。
 よろしいですか。
 一番最後の15ページも含めまして、水産動植物に対する安全性は、先ほどの議論でよろしいですか。大体A類なるものが対象になると。それは、有効成分についてではなくて、実際に使われる形の製剤の形でのppmだということですね。
 それから、大きな4番の使用方法に関する資料と。これが非常に重要だと思うんですけれども、規制はできないんですけれども、やはりある一定の使用方法、使用量によって安全性が確保されるということでしょうから。これもこれでよろしいですか。
 それでは……

【金森委員】 使用上の注意は使用者のみならず、生産・販売者にとっても、それぞれ責任の問題と関わりが深いものであり、場合によってはデメリット情報の表示が重要です。例えば、適正な使い方をしないと、危害の発生等が予見される場合には、その旨を警告する等のデメリット表示も検討する余地があるように思います。

【森田委員】 ここの有効成分かどうかの議論がまだちょっと完全に詰まっていないんですが、この安全性に関する4番の項目で、人畜に対する安全性に関する資料というのは、これは有効成分に対してやるんでしたっけ。それとも剤についてやるんでしたっけ。それと並びで水産動植物も一緒に考えていただければと。

【本山座長】 これは、事務方の提案では、どういうことを念頭に置いていましたでしょうかね。

【事務局】 これは、製剤でやることを想定しております。

【本山座長】 それは整合性が出ますね。
 金森委員の提案のデメリット表示といいますか、その提案があったんですけれども、なかなか難しそうですね。

【事務局】 使用方法に関する資料を集められるだけ集めて、情報提供していくというところに皆さんのまたお知恵を借りながらやっていきたいと思います。どうしてもここは注意すべきだという点は、これは販売するときに指導するということもできますし、私ども、届け出をさせまして、それで指導するということになりますので、ここはチェックしていくと。それと、こういうもので指定したはずなのに変なものを入れているとか、違うものをつくっていたということがないように、そこは立入検査をするなり、そういう権限もございますし、できるということでございます。

【本山座長】 登録農薬の方は、改正農薬取締法で遵守しなければならない使用基準ができて、非常に厳しくこれから取り締まれるわけですけれども、こちらの方は非常にその点、強制力がないので不安もあるわけですけれども、今の室長のお話で重々チェックをしていくということですので、それに頼るしかないかなという気もします。

【村田委員】 表示に関して、やはりある程度のガイドライン的なものは設けられないんでしょうかね。例えば、業者さんが売る場合には、ある程度標準的な使い方とか、そういうのがガイドラインみたいな形でいいのであると、逆に使う側もそれにのっとった形で使えますし、消費者もその辺で判断できる部分があると思うので、できましたら表示に対して何も規制はないということでしたけれども、ガイドラインのようなものをつくっていただきたいなと思います。

【事務局】 おっしゃるとおりだと思いますので、そこはぜひ検討させていただきます。

【本山座長】 いかがでしょうか、あと5分ぐらい予定された時間がありますけれども。

【井上委員】 法制的にどの程度可能なのか存じませんけれども、座長も先ほどからおっしゃっていますように、この法制そのものが、私も申しましたけれども、性善説に立って農家が普通に使う、常識的な使い方というものを想定しているわけですので、現在予期していないような使われ方に対しては、それなりの行政指導が及ぶものであるということを何らかの形で、文章で盛り込めるのかどうか存じませんけれども。今、かなりの皆さんからその趣旨に近いようなご意見が出ていますし、私もそう思いますので、そういう現在の利用形態を、先ほど来出てきたコカコーラを何トンも海洋投棄するような、そういうようなことは想起していないという趣旨のことを何かあれして、そして絶えず行政がそれに対して適切な指導をするんだというような形をあれしていただけば、もともとこの特定農薬に関する行政指導というものは、皆さん信頼しておられるんでしょうから、そんなことを努力していただければどうかと思います。

【本山座長】 ありがとうございました。

【事務局】 わかりました。そういうことも検討させていただきたいと思います。
 それと、先ほど量の話がございました、やたらたくさんふえてしまって、それが1カ所で集中的に使われるというようなことで、環境にも害が出るとか、そういう場合があれば、それは指定を取り消すということもできるわけですので、そこはまた考えていきたいと思っています。

【本山座長】 ほかにご意見ある方いらっしゃいますでしょうか。
 それでは、意見も大分出て、ほぼまとまってきたようですけれども、よろしいでしょうか。 では、どうもありがとうございました。きょうの議論を踏まえて、また事務方の方でまとめていただきたいと思います。
 今後、この指針案について、どのようなスケジュールになっていますでしょうか。

【事務局】 6月に、今の予定では6月25日だったと思いますけれども、農業資材審議会を予定しておりまして、きょうご議論いただいた内容をもう一回精査して、皆さんにまたバックして、ご確認をさせていただいた上でそこに提出していただいて、ご了解を得れば今後そういう情報を集めるなり、資料を入れるなりということで進めていきたいというふうに思っております。

【本山座長】 どうもありがとうございました。
 それでは、これで用意された議事はすべて終了しましたけれども、本日の配付資料はすべて公開ということで、そういう扱いでよろしいでしょうか。

【事務局】 結構でございます。

【本山座長】 それでは、皆様から特段のご意見やご質問がなければ、進行を事務局にお返ししよう と思います。よろしいでしょうか。
 それでは、進行を事務局にお返しします。

【事務局】 それでは、委員の先生にお配りしてある前回の議事録でございますけれども、内容をご確認いただいて、速記者の方でつくったものでございますので、間違いがあると思いますので、ご確認いただいて、2週間以内に事務局の方に、うちの事務局でも結構でございますので、ご連絡いただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

【行本委員】 ちょっと質問なんですけれども、第1回の議事録をメールで送っていただいたんですが、あれも確認するんでしょうか。あれ、書き方ですけれども、こういうふうになっていると何ページのというふうになるんですけれども、あれ、メールの場合でも何ページでいいんですかね。何かだらだらだらっと来ているから、ちょっと非常に、それぞれの人のパソコンの表示によってページが変わってきたりしないですか。

【事務局】 該当部分だけを修正した形で送っていただければ、そういう部分で結構だと思います。

【行本委員】 わかりました。それは両方とも農水省さんの方ですか。

【事務局】 どちらでも出しやすい方で結構です。

【行本委員】 わかりました。ありがとうございました。

【事務局】 それと、そのほかに何かご質問なりお気づきの点があればちょうだいしますが。
 上路先生、何かありますか。

【上路委員】 後から来ましたので、私。よく読ませていただきます。

【事務局】 それでは、本日はどうもご熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。では、これで第3回目の合同会合を終了させていただきます。ありがとうございました。