中央環境審議会土壌農薬部会(第34回)議事録

1.日時

平成29年12月12日(火)13:00~14:49

2.場所

海運クラブ 303-4号室

3.出席委員

部会長   岡田 光正    臨時委員  佐藤  洋

委員    大塚  直          谷口 靖彦

      松永 和紀          田村 洋子

臨時委員  赤松 美紀          築地 邦晃

      浅野 直人          寺浦 康子

      浅見 真理          根岸 寛光

      天野 昭子          細見 正明

      太田 信介          三浦 啓一

      川崎  晃          山本 廣基

      川本 俊弘          和気 洋子

      五箇 公一

 (欠席は、白石委員、平田臨時委員、矢内臨時委員、渡辺臨時委員)

4.委員以外の出席者

環境省

早水水・大気環境局長、江口大臣官房審議官、廣木総務課長、名倉土壌環境課長、中村土壌環境課課長補佐、山本土壌環境課課長補佐、土居土壌環境課課長補佐、小笠原農薬環境管理室長、羽子田農薬環境管理室室長補佐、岡野農薬環境管理室室長補佐、山田環境計画課計画官

5.議題

 (1)報告事項

   ①最近の土壌環境行政について

   ②最近の農薬環境行政について

   ③農薬登録制度における生態影響評価の見直しについて

 (2)その他

6.配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 最近の土壌環境行政について
資料3 最近の農薬環境行政について
資料4 農薬登録制度における生態影響評価の見直しについて
参考資料1-1 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針について(案)
参考資料1-2 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針について 新旧対照表
参考資料2 中央環境審議会関係法令等
参考資料3 土壌汚染対策法の概要
参考資料4 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)
参考資料5 土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)
参考資料6 土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)
参考資料7 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)
参考資料8 平成27年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果
参考資料9 我が国における農薬がトンボ類及び野生ハナバチ類に与える影響について
参考資料10-1 第五次環境基本計画の方向性について(案)
参考資料10-2 第五次環境基本計画の構成について(事務局素案)

7.議事

(中村土壌環境課課長補佐)

 定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会第34回を開催させていただきます。委員の皆様には、ご多忙中にもかかわらず、ご参集を賜り誠にありがとうございます。

 本日は、委員総数25名中21名のご出席が予定されており、ただいま18名のご出席をいただいておりますのでご報告いたします。3名の委員の方々におかれましては遅れるというふうなご連絡をいただいているところでございます。

 本日の部会は、本年2月に行われた中央環境審議会の委員の改選後初めての部会となります。部会長につきましては、中央環境審議会令第6条第3項に基づきまして、会長より岡田委員が引き続き部会長に指名されておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、新たに土壌農薬部会にご所属いただいた委員の方々をご紹介いたします。

 まず、科学ジャーナリストの松永和紀委員です。

 京都大学大学院農学研究科准教授の赤松美紀委員です。

 エンデバー法律事務所弁護士の寺浦康子委員です。

 遅れていらっしゃいます、産業医科大学医学部長の川本俊弘委員と、あと、本日はご欠席でございますが、京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授、矢内委員にも新たに本部会にご所属いただいております。

 なお、相澤好治委員、藤井絢子委員、岡崎正規委員、染英昭委員におかれましては、本部会を退任されています。

 最後に、事務局でございますが、本年1月に開催した前回の部会以降の異動がございましたので紹介させていただきます。

 水・大気環境局長の早水でございます。

 大臣官房審議官の江口でございます。

 総務課長の廣木でございます。

 土壌環境課長の名倉でございます。

 土壌環境課課長補佐の山本でございます。

 同じく、土壌環境課課長補佐の中村でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 では、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の早水から挨拶申し上げます。

(早水水・大気環境局長)

 本年7月に水・大気環境局長を拝命しました早水でございます。よろしくお願いいたします。

 その前まで担当の審議官ということで参画させていただいておりましたけれども、引き続きよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方におかれましては、年末の大変お忙しい中お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。

 この部会につきましては、本年2月の委員改選後、今回が初めての開催となりますけれども、委員の皆様方には、土壌農薬に関します環境行政の推進につきまして、忌憚のないご意見をいただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 さて、土壌汚染対策に関しましてですけれども、お陰様で審議会の答申をいただいて、それを踏まえて立案いたしました土壌汚染対策法の改正案がさきの通常国会で成立をいたしまして、本年5月に公布をされております。施行につきましては、第一段階が来年の4月1日、それから、第二段階は公布の日から2年以内で政令で定める日に施行されるという予定でございます。現在、土壌制度小委員会におきまして、改正法の施行に向けた政省令の整備等のためのご審議をいただいておりますので、本日はその状況等につきましてご報告をさせていただきます。

 また、農薬に関しましてですけれども、この11月までに農薬小委員会が6回開催されまして、白石委員長の取りまとめのもと、農薬登録保留基準等についてご審議をいただいております。

 加えまして、ネオニコチノイド系農薬等の我が国のトンボ類や野生ハナバチ類への影響につきまして、環境省などにおけます調査研究の結果などをもとに、学識経験者によります検討会で報告書が取りまとめられましたので、本日はこれら農薬環境行政の最近の動きにつきましてもご報告をさせていただきたいと思います。

 さらに、本年5月に成立して、8月に施行されました農業競争力強化支援法というものがございますが、この中で、国はより安全な農薬の安定供給あるいは農薬登録制度の国際調和などを図るために、農薬登録に関する規制の見直しを行うとされているところでございます。現在、農林水産省におきまして、そのための検討が進められておりますけれども、環境省におきましても、その中で農薬登録制度における生態影響評価の対象を、現在、水産動植物となっておりますものに限定されているものから拡大をしたいということで検討しておりますので、その辺りの状況につきましても本日ご報告をさせていただきたいと思っております。

 本日はよろしくお願いいたします。

(中村土壌環境課課長補佐)

 それでは、議事に入ります前に本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。

 お配りしている資料は、お手元に議事次第がありまして、その裏面に配付資料一覧がございます。続きまして、資料1は名簿ということで1枚紙、資料2、資料3、資料4がホチキスどめの厚い資料が三つ続いております。その後、参考資料1-1と1-2が1枚ビラでございまして、参考資料2から9につきまして、お手元にあると思いますけれども、こちらにつきましては委員のみの配付とさせていただいているところでございます。最後に、参考資料の10-1、10-2がございます。もし足りないものがございましたら事務局までお申し出ください。

 また、委員の皆様方のお手元には黄色のファイルにとじた資料を置いております。こちらにつきましては、土壌汚染対策法の概要や法の条文等をまとめたものでございます。会議の中で必要に応じ、ご参考にしていただきたいと考えております。なお、こちらの資料につきましては、今後も継続して使用しますので、会議が終わりましたら机の上に残していただければと考えております。

 本日でございますけれども、土壌農薬部会運営規則に基づき、本会議及び資料は公開といたします。

 カメラ撮りはここまでとさせていただきまして、これより議事に移りたいと思います。

 それでは、岡田部会長に議事進行をお願いいたします。

(岡田部会長)

 はい、かしこまりました。引き続き部会長に指名されました放送大学の岡田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日、先ほど、早水局長のご挨拶にもございましたように、土壌並びに農薬に関する重要な審議というか報告ではございますが、重要な課題でございますので、ぜひ忌憚のないご意見等をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、中央環境審議会令の第6条第5項により準用する第4条第3項に基づきまして、部会長に事故があるときは部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理するということになっております。私のほうからあらかじめ部会長代理を指名させていただきたいと思います。

 私といたしましては、白石委員に部会長代理をお願いしたいと思います。白石先生、本日欠席でございますが、欠席裁判ということではございませんで、きちんと事前に先生からご了承をいただいておりますのでよろしくお願いいたします。

 それから、次に、お手元の資料の参考資料1-1、1-2をご覧ください。部会長決定により、土壌農薬部会の運営方針を定めているところでございます。これについて、事務局ともご相談させていただきまして、技術的な内容ではございますが、一部改正したいというふうに思います。改正点としては、中央環境審議会議事運営規則等の略称を定めている箇所の書きぶりを、同じく水・大気環境局が事務局となっております大気騒音振動部会、それから水環境部会のものとそろえるというものでございます。参考資料をご覧になったとおりにさせていただきたいと、部会長決定というふうにしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございます。では、案のとおり部会長決定とさせていただきます。

 それでは早速、本日の議事に入りたいと思います。

 本日の議題、報告事項が3件でございます。まず、議題の1、報告事項の①最近の土壌環境行政について、事務局からご説明をお願いいたします。

(名倉土壌環境課長)

 では、資料2に基づきましてご説明させていただきます。最近の土壌環境行政についてということでございまして、めくっていただいた2ページ目のところに目次を載せております。

 まず、3ページ目のところから、改正土壌汚染対策法等についてということでございます。

 めくっていただきまして、4ページのところでございますけれども、4ページのところが改正前の土壌汚染対策法の概要となっております。一番上に目的がございまして、その下が制度となっております。大ざっぱに申し上げますと、ある一定の、まず土壌汚染があるかもしれないというときに調査を行うということになりますけれども、土対法の場合は、この調査に幾つかの契機、機会がございまして、そこにポツで書いておりますような機会、例えば特定施設が廃止されたときとか、一定規模3,000平米以上の土地の形質の変更の際、届け出て必要があると、土壌汚染のおそれがあるといったときには調査を行うといったような仕組みでございます。仮にこういう調査を行いまして、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない場合、端的に言いますと、土が汚れている場合には、区域の指定が行われると。区域の指定には2種類ございまして、要措置区域というのと形質変更時要届出区域というのがございまして、要措置区域については、汚染の摂取経路があって、健康被害が生ずるおそれがある場合にこの区域指定がなされると。そうではない場合、右側でございますけれども、汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じるおそれがないといった場合には形質変更時要届出区域ということで、今すぐに何かしなくてもいいけれども、次に形質変更する場合には届け出ないといけないというような区域指定がなされるということでございます。

 汚染の除去が行われた場合には、指定が解除されるということになっておりまして、その他、汚染土壌の搬出等に係る規制というのがされておりまして、また、一番下のその他というところでは、調査を行う機関であります指定調査機関等々のことについて定めているというものでございます。

 こういう土壌汚染の仕組みにつきまして、5ページ目でございますけれども、先般、中央環境審議会のほうから昨年の12月12日に、今後の土壌汚染対策の在り方についてということで第一次答申というのをいただいたところでございます。

 それにつきましては、その下のほうに具体的には書いておりますけれども、これを踏まえまして、一部は法律の改正を行って、また、それに基づいたり、また、基づかないものについても政省令の改正を行っていこうというのが今の動きでございます。

 法律の改正につきましては、その次のページ、6ページ目でございますけれども、この左側に背景というのがございまして、右側に法律の概要というのがございます。背景のほうの右側、ちょうど真ん中辺りのところに参考ということで土壌汚染調査・対策の流れというのがございまして、調査があって、区域指定があって、搬出の規制等があるという法律の流れがございまして、そのそれぞれにつきまして課題があるということで、左の方に課題1、2、3というふうに書いております。

 そのそれぞれに対しまして法律の改正で対応しようということで、右のほうの法律の概要でございますけれども、1番、2番、3番、4番というのがございます。1、2、3につきましては、これからその次のページ以降でご説明させていただきますけれども、4番につきましては、その他ということで、例えば形質変更の届出・調査手続の迅速化とか、施設設置者の土壌汚染状況調査への協力に係る規定というのが整備されたところでございます。

 これにつきまして、その下のところに施行期日というのがございますけれども、1から3につきましては公布の日から2年以内で政令で定める日、4につきましては、後でご説明させていただきますけれども、既に政令を制定しておりまして、来年、平成30年4月に施行するということになっております。

 1から3につきましては、もう少し詳しくしたものが次のページ以降でございまして、7ページでございますけれども、3-1ということで、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大というのがございます。これはちょうど真ん中辺りに課題というのがございますけれども、調査が猶予されている土地というのがございまして、右の上のほうに緑色で「(参考)調査の猶予の要件」というふうにありますけれども、例えば工場が操業を続けているといったようなので、一般の人が敷地に立ち入ることができないというような場合には調査が猶予されているという状況がございまして、真ん中辺りに戻っていただきまして、そういうときは土地の形質の変更は届出対象となっていないという状況でございますけれども、ただ、その下の丸にありますように、汚染土壌の飛散流出ですとか、地下水汚染の発生、拡散が生じるおそれがあるということで改正をしたということでございまして、改正内容がその下にございますけれども、利用の方法の変更だけでなく、土地の形質変更時にも届け出をするということにしまして、ただ、米印で書いておりますけれども、軽易な行為その他の行為については届出対象外にして、また、事業者等の事務の負担が過大なものとならないように留意しながら検討を進めるということで、具体的には省令で定めるということになっております。

 めくっていただきまして、3-2で汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設等でございますけれども、これも真ん中辺りに課題というのを書いておりまして、土地所有者等が土壌汚染に対応するような措置を行うときに都道府県知事が事前に確認・指導する仕組みがなかったということで、不十分な措置の実施とか、誤った施行方法による汚染の拡散のおそれが指摘をされていたところでございまして、それに対しまして下の改正内容というところで、要措置区域の土地所有者等に対して、都道府県知事等に計画とか報告書の提出を義務づけたというものでございます。

 その次のページ、9ページ目でリスクに応じた規制の合理化というのがございますけれども、背景の一つ目の丸のところですけれども、例えば臨海部の工業専用地域などでは、一般の居住者による地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性がないということで、健康リスクは低いというふうに考えております。ただ、その次の丸の真ん中辺りですけれども、そういうところでも工事ごとに事前届出が求められるということでございましたので、その下の改正内容のところですけれども、下記の条件を満たす形質変更であってということで、下記の条件というのが①②で書いておりますけれども、例えば専ら自然由来の汚染ですとか、土地の造成時の水面埋立てに用いられた土砂に由来する土地の形質の変更であって、②で、人の健康に係る被害が生じるようなおそれがない場合については、あらかじめ都道府県知事の確認を受けた土地の形質変更の施行及び管理の方針に基づく行為について、工事ごとの事前届出ではなくて、年1回程度の事後届出でいいのではないかという改正をしたところでございます。

 次のページで、リスクに応じた規制の合理化のもう一つでございますけれども、一番上の背景のところで、自然由来等の汚染によるものというのは、同一地層に広く分布しているということでございますけれども、こういうものを搬出する場合には、汚染土壌処理施設で処理する必要があるというふうにされていたところですけれども、改正内容のところで、汚染の拡散がないことの確認を受けた上で、同一の地層の自然由来による区域への移動を可能としたというものでございます。こういう法改正を、先ほど局長の挨拶で申し上げましたように5月に成立をいたしまして、現在、この政省令での対応というのを進めておるところでございます。

 その次のページ、11ページ目のところで、このうち、先ほど申し上げた4ポツにありましたような第一段階で施行するものにつきましては、今年の10月25日に公布をしまして、4月1日に施行する、政令につきましては予定としておりますけれども、1ポツがその政令でございますけれども、まず1ポツの(1)が施行期日を定める政令ということで、第一段階の施行期日を平成30年4月1日にしたというものでございます。

 (2)でございますけれども、施行令の一部を改正する政令ということで、汚染土壌処理業の許可の欠格要件の対象となる使用人につきまして、ここにありますような①または②に掲げるものの代表者であるものという政令を定めたところでございます。

 また、2ポツのところにつきましては、今年中に公布して、来年の4月に施行する省令でございますけれども、(1)としまして、土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令ということで、土地の所有者等の同意の方法ですとか、指定が解除された要措置区域台帳というのをつくることになったんですけれども、それの調製・保管の方法ですとか、また、(2)は処理業に関しての省令の一部を改正する省令ということで、申請する事項ですとか添付書類等の追加等々について定めるというものでございます。また、(3)につきましては、指定調査機関には技術管理者を置くことになっておりますけれども、その交付期間の延長をする省令改正、また、(4)では、帳簿につきまして、電子での保存を可能とする省令改正というのを行おうとしているところでございます。

 めくっていただきまして、次は第二段階に必要な政省令事項というのが、今まさに土壌制度小委員会のほうでご審議いただいているところでございまして、この12ページにあります内容について今ご審議いただいているところでございます。赤字で書いておりますのが第10回の小委員会、これ9月29日に開催されましたけれども、で、青字で書いているのが第11回、11月17日に開催されたときの審議事項でございます。明朝体の黒字部分につきましては、次回の第12回、2月7日に予定しておりますけれども、そこで審議いただく予定の内容でございます。それぞれ第10回、第11回でご審議いただいた内容につきまして、そのページ以降で記載をさせていただいております。

 13ページでございますけれども、一時免除中や施設操業中の事業場における土地の形質の変更や搬出の規制ということでございますけれども、こういう事業場につきまして、今、一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合には届出調査を行うこととしておりまして、検討事項としては、まず一番上の行にありますように、法第3条第1項ただし書、その猶予について定めたものですけれども、そのただし書の確認を受ける土地の範囲を明示するための図面を添付するといったようなことをご検討いただいているところでございます。

 また、その次の行ですけれども、使用が廃止された有害物質使用特定施設での土地の形質の変更につきまして、届出をしていただくことになっているんですけれども、二つ目の丸で、次に掲げる行為についてはこの限りではないということで、軽易な行為その他の行為、例えば900平方メートル未満の土地の形質の変更等々については、この限りではないというふうにしております。また、第2号にありますように、非常災害のために必要な応急措置としての行為については、この限りではないというふうにしておるところでございます。

 また、同様に一番下の行でございますけれども、法律の第4条でも、施設操業中の工場等につきましてですけれども、これも右のほうの二つ目の丸でございますけれども、環境省令で定める規模というのは、これまで3,000平米としていたところでございますけれども、有害物質使用特定施設の存在する工場または事業場については900平方メートルとするというような方向で考えておるところでございます。また、ただ、軽易な行為ですとか非常災害のための応急措置については除こうというふうに考えておるところでございます。

 めくっていただきまして、14ページ、地下浸透防止措置が行われている施設廃止後の調査でございますけれども、平成24年の水濁法の改正で地下浸透防止措置というのが義務づけられましたけれども、こういう措置が施された範囲については汚染のおそれがない土地として区分をするということを検討いただいているところです。

 次のページ、15ページですけれども、臨海部の工業専用地域等についてのリスクに応じた規制としまして、あらかじめ施行及び管理に関する方針について確認を受けた上で、その方針に基づいて行う土地の形質の変更については事後届出を認めるということでございまして、その検討状況のところで、例えば土地の要件ですとか、施行とか管理の方針の要件ですとか、申請の方法等々について検討を進めておるところでございます。

 めくっていただきまして、5-4でございますけれども、埋立地の特例区域の指定の要件ということで、廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令というのがございまして、その施行日というのが昭和52年3月15日ということになりますけれども、それより前に埋め立てられた土地については、従来、埋立地特例区域として扱ってこなかったということでございますけれども、一定の条件を満たすことで埋立地特例区域として指定をするということを認めるということを検討いただいているところでございます。一定の要件というのが、その真ん中辺りの①から⑤と書いているようなことで考えておるところでございます。あわせて、その特例調査の調査方法等についても検討いただいているところです。

 それから、17ページでございますけれども、汚染除去等計画についてでございますけれども、これも先ほど措置をとるときに計画を出していただくという改正をしたと申し上げましたけれども、その計画の提出についての手続関係、また、変更の際の手続等々をご検討いただいているという状況でございます。

 また、めくっていただきまして、その計画につきまして、知事が変更を命ずる判断のための技術的基準ですとか、報告内容等々についてもご検討いただいているところでございます。

 次のページ、19ページでございますけれども、要措置区域等における土地の形質の変更の施行方法ですけれども、これもこれまで遮水壁を設置する方法というのを基準としてきたところでございますけれども、地下水の監視を行いつつ、地下水を管理する施行方法というのを認めるということを検討いただいているところでございまして、必要な要件等々を検討いただいているところです。

 めくっていただきまして、一つの事業場の土地などで飛び地になって区域指定されているような区域間の土地の移動というのはこれまで認められていなかったんですけれども、同一契機で行われた対象地内であれば、飛び地間移動というのが法改正で可能になったということで、具体的な手続の方法の詳細について検討をいただいているというところでございます。

 次のページで、5-8でございますけれども、認定調査の合理化でございますけれども、この認定調査というのは規制の受けている区域内ですけれども、この認定調査を受けたもので、いわゆる白判定がなされたものについては規制を受けずに搬出、運搬することができるという調査でございますけれども、この調査につきまして、これまで全ての特定有害物質について試料採取・測定を求めてきたというものでございますけれども、費用負担が大きいといったような課題がありましたので、一定程度限定するというような見直しを検討しておるところでございまして、具体的には、例えば地歴調査等々を活用して限定をさせていこうというものでございます。

 めくっていただきまして、22ページでございますけれども、自然由来の特例区域ですとか、埋立地の特例区域の土壌についても、一定の要件を満たして一定の手続をとれば区域間の移動等が可能となるように検討をいただいているというものでございまして、その検討状況については、ここに書いているところでございますけれども、ちょっと長くなるので割愛させていただきます。

 また、次のページ、23ページでございますけれども、指定調査機関の技術的能力の向上・強化のために、指定調査機関が定める業務規程に、技術管理者による他の者の監督に関する事項を追加するといったようなことを検討していただいているところでございます。

 こういったことにつきまして、その次のページ、24ページでございますけれども、今後のスケジュールを書いておりますけれども、第10回、第11回の土壌制度小委でご議論いただきまして、来年2月の第12回の土壌制度小委で引き続きご審議をいただきまして、その審議状況を踏まえつつ、第二次答申というのを取りまとめていただこうというふうに考えているところでございます。この答申につきましては、小委員会の決議は部会長の同意を得て、部会の決議にすることができるということになっておりますので、この小委において検討を進めていただくということを予定しております。

 それを踏まえまして、右のほうになりますけれども、その真ん中から下辺りでございますけれども、第二段階施行分の政省令案というのを定めまして、それにパブリックコメントを実施すると。政省令というのを公布していこうということで考えておるところでございます。

 続きまして、25ページ、二つ目の話題ですけれども、土壌の汚染に係る環境基準、それから、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等についてということですけれども、次のページ、26ページ、ご覧いただきますと、表の部分をご覧いただきますと、これまで上の三つ、1,1-ジクロロエチレン、1,4-ジオキサン、クロロエチレンにつきましては、水道水質基準とか水環境基準、地下水環境基準の変更等を受けて見直しを行ってきておりまして、今年の4月1日に土壌関係の基準も施行されたところでございます。

 その下の部分、1,2-ジクロロエチレン、カドミウム及びその化合物、トリクロロエチレンについては、引き続き検討を進めるということをしておるところでございます。

 それから、次のページ、27ページ以降がⅢ番として、土対法の施行状況等々の調査結果を載せておりますけれども、28ページ、ご覧いただきますと、土対法に基づく土壌汚染の調査の状況が記載をされております。その下のほうの左のほうがグラフ、右のほうが表で書いておりますけれども、法の何条に基づくものなのかどうかということで分けて記載をしておるところでございます。

 また、その次のページ、29ページ目が要措置区域等の指定・解除の推移ということで、右上のほうのグラフを見ていただきますと、折れ線グラフが指定の件数で、棒グラフが解除の件数というのを記載しておるところでございます。

 めくっていただきまして、30ページ目が区域指定に係る特定有害物質・区域における対策ということで、特に赤字で書いておりますけれども、土壌汚染の除去、掘削除去というものについて、平成18年では87.6%あったものが、平成22年から平成27年の累計では77.1%ということで少し掘削除去というものの割合が減ってきたというものでございます。

 31ページには、搬出時の土壌汚染の処理ということで、処理施設の状況等について記載をしておりまして、32ページ、最後のページでございますけれども、指定調査機関ですとか技術管理者の推移について情報を記載しているところでございます。

 資料2について以上でございます。

(岡田部会長)

 どうもありがとうございました。ただいま事務局からご報告いただきました土壌汚染対策法の改正に伴う関連政省令につきましては、今ご紹介がございましたように土壌制度小委員会で検討を行っております。土壌制度小委員会の委員長としてご尽力いただいております浅野委員がいらしていますので、もし浅野先生、何か補足がございましたらお願いいたします。

(浅野臨時委員)

 今、事務局からご説明申し上げたとおりです。大体おわかりだろうと思いますけども、ちょっと書き方がわかりにくいかもしれないと思うので1点だけ補足をさせていただきますと、13ページに箱が三つありまして、3条関係と4条関係というのがあるんですが、これはどういうことかといいますと、現にまだ工場として使っている場所であれば4条なのですが、3条のほうは、本当に使用を廃止されてしまっているという場所なのです。ただし、中小企業に対する配慮がありまして、その経営者などの方が引き続きその事業場と住宅を兼ねた建物に住んでおられるような場合には土地の汚染の調査をするということは大変なことなので、それは猶予をしましょうというのが3条です。ですから、この場合にそこの目的を変える、つまりもう住宅を取り壊してしまって、何か別の施設にしましょうというような場合には調査をしなくてはいけませんが、引き続き住宅として住んでおられる場合には調査をしなくても済むということになるというのが3条です。これについても、そのまま何もしなくてもいいというと、相当広い敷地の場合で、どこかいじくり回すというようなことがあった場合にはちょっと問題がありそうなので、これはやっぱり調べていただかなきゃいけないということになりますので、4条の場合と同じ面積を裾切りの基準として、やっぱり調査をしていただこうということにしているわけです。小委員会では、中小企業対策という観点で、この3条に関する面積が少々狭過ぎると、もっと広くせよという声がありましたけども、最終的には、もともとこの3条の猶予そのものが結構問題を含んでいる制度だという認識を我々は持っておりますので、これをさらにまた広げてしまうということは不適当だということで、一応ご了解をいただいたと思っておりますが、なお、またパブリックコメントなどをやったときにはご議論が出てくる可能性があると思います。ですから、3条と4条というのはちょっと性格が違うのですけれども、扱いとしては特に差を設けないというのが今のところの小委員会での判断でございます。

 それ以外のことにつきましては大体ご覧いただいたらわかると思いますが、もう一つちょっとわかりにくいかなと思いましたのは、22ページの部分です。これは何を意味するかといいますと、自然の原因で汚染されているような土地とか、あるいは海面埋立てをやった場合の埋立て材に使われた土そのものが汚れていたので、結果的にその土壌が汚れてしまっているというような場所については、当然、土対法上の制限がかかるのですが、この土地を全部浄化しなければ使えないというのはあまり合理的ではないだろうというので、しっかり管理されるということが担保できると思われる公共事業用地、例えば高速道路の盛土のようなところに使っていただいて、しっかり封じ込めてもらえば特段の問題はないので、そういうことについてはあまりうるさく言わないでやってもらいましょう。ただし、その盛土の部分が汚染された土地で盛土になっていることは間違いないわけですから、そこは引き続き、次にまた何かの用途変更でもやろうというときには調べてもらわなきゃいけないのは当然ですから、それができるようにしましょうというのが22ページの話です。ですから、ちょっとこれは性格が違うものですけども、できるだけ無駄な汚染土壌の対策をしなくて済むように、かつまた、公共事業を円滑に進めることができるようにということでこういうようなことが入っておりまして、これが22ページのお話でございます。

 あとは事務局のお話で大体おわかりいただけたと思いますが、もしご質問があるようでしたら、お答えいたします。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

(三浦臨時委員)

 経団連の三浦です。ただいまのご説明のとおり、小委員会でいろいろご議論していると思います。その中でも産業界としては、有害物質使用特定施設における土壌汚染状況調査に最も関心があります。第11回の小委員会で、環境省は調査を行う土地の形質変更の規模要件を、900平米以上と提示しました。この規模要件は、人への環境被害の防止と同時に、事業者や都道府県等の負担にも十分に配慮した結果、選定された規模であると理解しています。

 また、第一次答申に書いてある一時的免除中や操業中の事業場の敷地の明確化など、今回の政省令等で見直された事項について、円滑な事業運営に支障を来すことがないよう、都道府県等の関係者に対して十分な周知を行っていただくようお願いします。

 以上です。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。今の件はコメントだと思いますので、そのとおりよろしくご留意いただければと思います。ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 はい、どうぞ、大塚委員。

(大塚委員)

 事務局からご説明いただいたように、一時免除中とか操業中の工場、事業場に関しまして調査の手続が入ったということと、もう一つは、7条のほうの汚染除去等に関して計画をつくっていただくということになった、その二つが特に大きい改正ですけれども、それに基づく政省令の策定が着々と進んでいるということで大変結構なことだと思います。

 1点だけちょっと申し上げておきたいんですけれども、後のほうの資料でございますが、30ページ辺りにございますけども、2009年改正のときにも問題になったわけですが、掘削状況は相変わらず、その汚染の除去に関して多いことは多いので、少し減ってきているかもしれませんが、多いものですから、これは今回の改正で台帳のところの改正をちょっとしましたので少し変化があるかもしれませんが、引き続きこれが問題だということはちょっと申し上げておきたいと思います。

 あと、ちょっと細かいことですみませんが、今ちょっと調べようと思ってできなかったんですけど、28ページのところで、3条、4条、5条、14条、この調査の表は今までずっとあったんですけど、この処理業省令13条というのをここに、表に加えてらっしゃるご趣旨は、ちょっと細かいことで恐縮ですが、ご教示いただけたらちょっとありがたいと思います。

 以上です。

(岡田部会長)

 じゃあ、今の点は事務局から。

(大塚委員)

 表の下のほうです。

(名倉土壌環境課長)

 処理業を廃止したときには区域指定をして終わるということになりますので、今回その処理業を廃止した例というのを載せておるものでございます。

(大塚委員)

 はい、わかりました。どうもすみません。

(岡田部会長)

 はい。じゃあ、よろしいですね。

 ほかにございますでしょうか。はい。

 よろしければ、引き続き、まだ残っておりますので、土壌制度小委員会においてご検討をお進めいただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、次に、議題1の報告事項②最近の農薬環境行政についてに移らせていただきます。

 事務局から資料のご説明をお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 それでは、資料3の最近の農薬環境行政についてご説明をいたしますので資料をご覧ください。前回の土壌農薬部会以降の主な取組状況になります。

 初めに、1ポツの農薬登録保留基準についてでございますが、(1)水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定状況であります。農薬は、農薬取締法によりまして各種規制が行われており、農林水産大臣による登録を受けなければ、製造・輸入ができないわけでありますが、登録のための審査に必要な基準については、環境大臣が定めております。現在の基準値設定は、水産動植物に関する水産基準値が平成17年、水質汚濁に関する水濁基準値が平成18年、それぞれ現在の評価方法が導入され、新たに登録申請がされた農薬を優先にしつつ、既に登録された農薬につきましても、順次、基準値の設定を進めているところでございます。

 これら基準値の設定の進捗状況ですが、前回の土壌農薬部会以降のおよそ1年の間に農薬小委員会を6回、また、それに先立ちまして、専門家による水産基準値案を策定するための検討会を6回、芝や樹木等の非食用の農作物専用農薬につきまして、ADI、一日摂取許容量、これは生涯にわたり毎日摂取を続けても影響がないと考えられる一日当たりの量でございますが、そちらを設定するための非食用の検討会を1回、それぞれ開催いたしまして、個別の農薬ごとに基準値の検討を行ってまいりました。

 水産基準値の設定数ですが、現在、我が国では約580種類の農薬検体がありますが、平成32年までに全ての農薬について水産基準値を設定することを目標としております。前回の土壌農薬部会以降は、新たに35農薬で水産基準値を設定し、6農薬で基準値が改正され、また、2農薬につきましては、暴露のおそれが極めて少ない等の理由によりまして、基準値の設定は不要とされました。合わせて累計で497の農薬で水産基準に係る評価を行いまして、およそ86%が終了したところでございます。

 一方、水質汚濁に係る設定につきましては、新たに29農薬で水濁基準値を設定し、うち2農薬は食品安全委員会でADIが設定されていない芝等の非食用農作物専用の農薬であるため、非食用の検討会で設定しました非食用農作物専用のADIを用いて基準値を設定いたしました。このほか1農薬では、暴露のおそれが極めて少ない等の理由で基準値の設定は不要と判断され、合わせて累計で391の農薬で水濁基準の設定を行っていただきました。

 続きまして、(2)の水産基準の設定における種の感受性差への対応状況でございます。水産基準の設定につきましては、魚類、甲殻類、藻類の3種を必須の試験生物種としてそれぞれの急性影響濃度を求め、感受性の種間差を考慮するため不確実係数を用いて、その結果、最も低い生物の値を水産基準値としております。

 しかしながら、農薬の作用機構によりましては、現在のオオミジンコ等の3種の生物にはほとんど感受性が示されませんが、試験方法が確立されている昆虫類のユスリカ幼虫に対しまして高い感受性を示すことが判明したことから、新規登録を受けようとする全ての殺虫剤を来年度から、また、既に登録されている農薬でありましても、その作用機構からニコチン性アセチルコリン受容体またはGABA受容体に作用する農薬、いわゆるネオニコチノイド系農薬とその類似のものにつきましては、ユスリカ幼虫を用いた試験を昨年度から求めることとしました。

 登録済みの農薬では12剤が対象とされていますが、現在、一部に評価中のものもありますが、8剤につきましては新たに基準値を設定いたしました。新たな基準値につきましては、後ほど別添資料4のほうでご報告をさせていただきます。

 続きまして、(3)飼料作物残留に係る農薬登録保留基準等の見直しについてです。こちらにつきましては、農薬の作物残留に係る基準と土壌残留に係る基準に関する告示の改正についてであります。改正の内容につきましては、前回の部会でご説明をさせていただきましたが、牧草等の飼料用農作物に使用する農薬につきまして、農林水産省のほうで試験方法が、それまでは乳汁への農薬の移行試験でありましたが、これを新たに家畜代謝試験と、それから家畜残留試験を導入いたしまして、当該試験成績によりまして、乳や肉、卵等の畜産物の残留農薬濃度、これを推定することができるということで、新たに食品衛生法に基づく畜産物の残留農薬基準の設定が可能となることから、飼料作物残留に係る農薬登録保留基準におきましても、食品衛生法を引用した規定に改正をし、判断基準をより明確なものとするものでございます。本件につきましては、前回の部会の後に農林水産省の農業資材審議会に対しましてご意見を伺うなど全ての手続を終えまして、本年4月13日に告示の改正を行いましたのでご報告をさせていただきます。

 続きまして、2の平成28年度河川中農薬モニタリング調査結果についてであります。モニタリング調査につきましては、農薬小委員会におきまして、農薬登録保留基準値設定の審議の際に、環境中予測濃度が基準値を上回っていないか確認をしておりますが、その際に、その値が近接しており、また、既存の水質調査データでは十分でない場合にはモニタリング調査の実施が求められています。

 平成28年度は農薬の出荷量や近接の程度等を勘案いたしまして、全国6道府県で11農薬を対象にモニタリング調査を実施いたしました。調査の結果につきましては、環境省のホームページに詳細なデータを公表しておりますが、水産基準値及び水濁基準値ともに超過は見られませんでした。

 5ページの別添資料1で少し説明をさせていただきたいと思います。5ページをお開きください。こちら、28年度では下の表1のとおり、殺虫剤4剤、それから殺菌剤1剤、除草剤6剤の計11剤につきまして、次のページ、6ページの都道府県の協力のもとで調査を行いました。

 調査結果につきましては7ページの表3-1、こちらで水産基準値と近接をしているケース、8ページ、次のページですが、表の3-2で水濁基準値との近接に関する農薬について整理をしております。ご覧のとおり、いずれも超過事例は見られておりません。

 さらに、8ページの真ん中の表の4でありますが、27年度の調査におきまして、水産基準値の超過が見られたものがございます。茨城県の水田除草剤プレチラクロールでありますが、こちらにつきまして、28年度も同じ場所で調査を実施しましたが、今回、超過は見られませんでした。

 下の表の5ですが、こちらは29年度の調査計画です。茨城県のプレチラクロールを再度また含めまして、調査については計画どおり進んでおります。調査結果は、現在、事業の請負先で取りまとめ中でございますが、いずれの地点でも基準値の超過はなかったというふうに聞いております。

 それでは、2ページに再度お戻りください。3といたしまして、ゴルフ場使用農薬に係る指導指針の改正及び28年度水質調査結果についてでございます。本件につきましては、前回の部会におきまして検討状況をご報告させていただきましたが、ゴルフ場で使用される農薬につきましては、平成2年に水質汚濁の防止に係る暫定指導指針というものを定めております。農薬によっては人畜への被害のおそれがない場合でも水産動植物に被害が発生するおそれがあることから、新たに水産指針値を設定し、また、都道府県に対しまして、ゴルフ場関係者や市町村が行う水質調査結果についても把握をし、環境省に提供していただくよう求めた新たな指導指針を策定いたしまして、本年3月に都道府県知事宛てに発出をしております。

 平成28年度の水質調査結果につきましては、別添資料の2でご説明をさせていただきますので9ページをご覧ください。9ページ、別添資料2でありますが、こちらの平成28年度の水質調査、改正前の旧指導指針に基づいて行われたものでございます。結果につきましては、11ページをめくっていただきまして、11ページの別表1の都道府県別の結果をご覧ください。一番下、下段に全国計を見ていただきますと、全部で1,038カ所のゴルフ場を対象といたしまして、延べ2万7,000余り検体で調査が実施されました。そのうちゴルフ場の排水口での調査は6,604検体で行われましたが、その結果、水濁指針値を超える事例はありませんでした。

 他方、一番右の欄で参考といたしまして、こちらは昨年度、旧指導指針に基づく調査でありますが、今年新たに設定されました水産指針値と比べた場合、6検体におきましては水産指針値を超える事例が見られました。

 具体的には、おめくりいただいて13ページ、12、13と続いておりますけれども、13ページに農薬別の結果を見ていただきますと、左側に番号があります、58番の有機リン系の殺虫剤のダイアジノン、87番の除草剤のピロキサスルホン、それから、109番のピレスロイド系の殺虫剤のペルメトリンでございますが、超過の事例が見られました。

 環境省では、この調査結果を受けまして、都道府県に対して改めてゴルフ場関係者への新指導指針の周知と、農薬使用の一層の注意を促すように求めたところでございます。

 すみません、3ページに再度お戻りください。4番目、農薬の適正使用の指導についてでございます。農薬の使用に伴う事故・被害を防止するため、農薬の安全かつ適正な使用や保管管理、環境への影響に配慮した農薬の使用等を推進する「農薬危害防止運動」、こちらは関係省庁、都道府県との共催によりまして、毎年6月から8月にかけて実施をしております。運動期間中は、住宅地周辺や学校、公園等で農薬を使用するときには、住民、子ども等の健康被害が生じないよう農薬の使用者が遵守すべき事項を定めました「住宅地等における農薬使用について」という農水省との連名通知、いわゆる「住宅地通知」と呼んでおりますが、こちらの周知を行っております。

 また、年間を通じまして、都道府県や関係団体が主催する農薬に関する研修会におきまして、農薬を使用する者が遵守すべき事項の周知を行うなど、農薬の適正使用の推進に取り組んでおります。本年3月には、公園や街路樹の病害虫管理における優良な取組事例を取りまとめた優良事例集のVol.2というものを作成いたしまして都道府県に配付をし、各種研修指導に活用してもらっております。

 すみませんが、15ページをおめくりください。15ページ、16ページとありますが、こちらは別添資料3になりますが、こちらは参考までに優良事例集の表紙と目次を載せております。16ページの目次を見ていただきますと、内容といたしましては、農薬ばかりに頼らない総合的な病害虫防除の取組の事例でありますとか、別途、公園や街路樹等の病害虫、雑草の管理に関するマニュアルというものも作成しておりますが、そのマニュアルの活用事例、また、適切な防除の実践事例を整理した内容となっておりまして、ホームページにも掲載をし、活用してもらうようにしております。

 そして、3ページに再度お戻りいただきまして、3ページ、4ポツの真ん中辺りの最後の段落になりますが、こうした取組がありますが、残念ながら、本年の9月に小学校の授業中に農薬散布を行ったため、児童6人が病院に搬送される事案というものが発生をしております。事故の原因は、そもそも授業中に農薬散布を行ったこと、教育委員会、学校、防虫業者いずれも「住宅地通知」の内容を十分理解していなかったこと、当日、作業スケジュールや安全確保対策等の情報を関係者が十分共有していなかったことなどによるものでございまして、本件の発生を受けまして、農水省と連携をし、文部科学省、それから都道府県の関係部局に対しまして、関係者への「住宅地通知」の再周知、そして指導の徹底を求めております。

 続きまして、5ポツ、ネオニコチノイド系農薬等がトンボ類及び野生ハナバチ類に与える影響についてでございます。欧米では、ミツバチの大量失踪が問題となりまして、ネオニコチノイド系農薬に疑いがあるとして、暫定的に一部の農薬を規制し、ハチ類の再評価を実施しているところでございます。

 我が国におきましては、ミツバチの大量失踪は確認されておりませんが、トンボ類や野生ハナバチ類に与える影響につきまして調査研究を進めてまいりました。トンボにつきましては平成25年度から27年度の環境研究総合推進費、そちらと26年度から28年度には農薬の環境影響調査費、また、野生ハナバチ類につきましては26年度から28年度の環境研究総合推進費によりまして、それぞれ行ってきました。これらの調査研究の結果とともに、国内外の文献等の科学的知見をもとに総合評価を行うため、学識経験者や研究者から成ります「農薬の昆虫類への影響に関する検討会」を昨年11月に設置をし、検討を進めまして、本年11月に報告書が取りまとめられました。

 本日、傍聴に来られている方には既にお知らせしておりますが、報告書につきましては、既に環境省のホームページのほうに掲載しております。また、委員の皆様のお席に黄色のファイルがございますが、紹介させていただきました参考資料として、こちらに、一番最後の方ですが、とじられております。

 こちらの報告書の概要につきましてご説明をさせていただきますので、資料3の、こちらの資料の17ページをご覧ください。本体資料の17ページになります。別添資料4となっております。まず、1の背景・経緯でございますが、今回の評価の対象といたしました調査研究はご覧のとおりでございます。これらの結果とともに、国内外の文献等の科学的知見をもとに総合評価を行っております。

 全体の構成は、2の(1)から(3)のとおりで、初めに海外における規制の状況やハチに対するリスク評価の状況を整理いたしまして、環境省による調査研究結果の評価をしております。

 次に、現時点での我が国におけるトンボ、そして野生ハチに対する総合評価を行っておりまして、その結果、農薬がトンボや野生ハナバチに影響を与えることを示唆する知見は得られたものの、我が国の環境中でのトンボや野生ハナバチの生息に影響を及ぼしているかについては、総合的に見ると、これまでの科学的知見からは明らかではないとしております。

 さらに、(3)にありますとおり、総合評価の結果を踏まえまして、今後必要と考えられる施策について検討会による提言がなされております。その提言がこちらの、主なものはこの4点になります。さらに知見の集積、それから、トンボ幼虫により感受性の高いユスリカ幼虫による基準値の設定、野生ハチのリスク評価手法の検討、生物多様性保全に関する施策に取り組む必要があるとされております。

 18ページの3といたしまして、環境省の対応といたしましては、検討会でのご提言を尊重し、施策に取り組んでまいりたいと考えております。

参考といたしまして、ユスリカ幼虫を用いた農薬登録基準値の見直し状況をご説明させていただきたいと思います。

 下に表がございます。こちらで、これまで12農薬のうち8農薬で新たな基準値が設定され、1農薬は、現在、パブリックコメント等の手続を進めているもので括弧書きとなっております。一番右側が新基準値であります。それから、残り3農薬は評価中のものでございます。ほとんどの値を見ていただきますと、農薬の旧基準値、こちらのほとんどがオオミジンコの感受性によって設定されたものでありますが、新基準値、こちらはいずれもユスリカ幼虫の感受性によって設定、見直されたものでございます。ネオニコチノイド系のアセタミプリドのところで旧基準値5.7と比較的小さな値でありますが、こちらの剤につきましては、これはミジンコによるものではありませんで、ヌカエビの試験データを用いまして設定されたもので、もしミジンコだけで設定したとすれば、ずっと大きな値となっておりました。

 続きまして19ページです。こちらの19、20ページが概要の詳細でございますので、補足させていただきます。

 一番目が、海外におけるネオニコチノイド系農薬等に関する規制、リスク評価の状況ということで、一つ目の丸がEU、米国、カナダ、オーストラリア、韓国、こちらの状況を整理しております。

 二つ目の丸で、EUでは、平成25年12月から一部暫定的に規制を行い、米国では27年4月から一部ネオニコチノイド系農薬につきまして、これまで使用されているものについては引き続き、その使用を認めるものの、新たな使用方法等の承認は停止しているという状況です。

 また、IPBES、こちらの国際機関におきましては、2016年2月の総会におきまして、ネオニコチノイド系殺虫剤が花粉媒介者に影響を及ぼすことを最新の証拠で示す一方で、相反する証拠があるとして、依然として解明しなければならない重大な科学的不確実性が存在しているとして取りまとめられております。

 2ポツ目といたしまして、我が国におけるネオニコチノイド系農薬等のトンボ類及び野生ハナバチ類に対する影響ということで、一つ目の丸で環境省の調査研究、こちらの結果について評価が行われております。二つ目の丸にありますが、これ以外の文献情報等についても整理をしております。

 参考といたしまして、農水省におきまして、2013から2015年に養蜂用のミツバチの全国被害事例調査を実施しておりまして、その結果を掲載しております。それによりますと、全国の巣箱数、大体41ないし42万箱中のうち被害が確認されたものは50ないし79件であったということで、1%未満との報告がされております。

 3番目といたしまして、我が国におけるネオニコチノイド系農薬等のトンボ類及び野生ハナバチ類に対する影響の総合評価でございます。

 1におきまして、トンボそれから野生ハナバチについて総合的な評価がこちらで行われております。トンボにつきまして、幾つかございますが、四つ目のポツにありますが、底質での生息が長いトンボの幼虫の影響を見るには、慢性的な長期暴露による影響評価の検討が必要との評価もされております。

 次の20ページを見ていただきますと、野生ハナバチ類でございますが、こちらにつきまして、四つ目のポツのところで、コロニーレベルでの繁殖への影響に関する試験につきまして、クロマルハナバチのコロニー内構造に変化が見られたということで、個体への影響のほか、コロニーへの影響調査も重要ということも総合評価の中で指摘されております。

 それから、4ポツのところでは、我が国において今後必要と考えられる施策ということで、こちらの検討会のほうで提言されたものでございまして、トンボ類、それから野生ハナバチ類、それから、その他生物多様性保全についても提言がなされております。

 最後になります。資料の4ページに戻ってください。最後にある6番目といたしまして、農薬の新たなリスク評価手法の検討に関する取組についてでございます。

 第四次環境基本計画におきましては、農薬については水産動植物以外の生物等を対象とした新たなリスク評価が可能となるよう、科学的知見の集積、検討を進めるとされておりまして、評価手法の検討を進めてきております。

 今年度からは、農薬の野生ハナバチ類と水草に対するリスク評価手法の確立を図るための調査研究に取り組みまして、30年度からは新たに鳥類に対するリスク評価手法を確立するための調査研究予算を要求しているところでございます。

 さらに、水産動植物に対する急性影響のみの評価ではなくて、農薬による長期影響や底質から受ける水産動植物への影響を防止するためのリスク評価手法の検討、こちらも進めるというところでございます。

 他方、農薬取締法に基づきます生態影響に係る評価対象を、水産動植物から拡大することを検討しておりまして、その方針につきましては、次の議題の中でご説明をさせていただきます。

 このほか、地域における水田での生物多様性に配慮した農薬や、その使用方法を選択する取組を支援するため、模擬生態系であるメソコズムを用いた試験方法と試験結果の解析方法をマニュアル化し、環境省のホームページに掲載をいたしました。

 参考資料の21ページをご覧ください。こちらは、予算の関係でございます。30年度の予算要求中のものでございますが、農薬影響対策費ということで、右側のイラストを見ていただきますと、上のほうから野生ハチと、それから水生植物に対する農薬のリスク評価、それから管理手法の確立について、現在、取り組んでいるところでございます。30年度からは、鳥類についても取組を考えたいとしております。

 次のページ、22ページ、別添資料6でございますが、水産動植物の慢性毒性試験の検討を行っておりまして、こちらは、来年度も継続して取り組みたいと考えております。

 最後でございますが、別添資料7、23ページですが、目次までを載せております。メソコズムといいますのは、こちらの写真にあるようなものでして、タンクは直径1メートルぐらいありますが、その中に土と水を入れて野外に設置しておくということで、そこに候補となる農薬を導入いたしまして、生物相等の調査を行うものです。県の試験場等で活用してもらうことを想定しているものでございます。

 以上、最近の農薬環境行政に関する説明でございます。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ただいまのご報告に関連いたしまして、昆虫等の検討の委員長をされております五箇先生がいらしていますので、もし、五箇先生、何か補足はございますでしょうか。

(五箇臨時委員)

 国立環境研究所の五箇です。

 この度の環境省のほうにおきます農薬のリスク評価の高度化といいますか、特に、最近話題になっておりますネオニコチノイド系農薬によるミツバチやトンボ類等、昆虫類に対する影響というものが非常に昨今話題に、関心事になっているということもありまして、非常にこれらの剤、新規な剤として非常に普及が進んだのはいいんですが、水産動植物登録保留基準で試験生物として扱っておりますオオミジンコに全く効かないということで、非常に水生生物に対して安全性の高い薬剤として広く使用された結果、実際は調べてみると非常に種によって感受性に非常に差が大きいということが後からわかってまいりまして、そういったことをどうカバーするかということで、我々としましては、トータルに生物相に影響を見るというシステムとして、最後に出てきましたメソコズム試験といった一つの模擬生態系をつくって、そこに入れることで群集自体がどう変わるかを見れば、まあ何らかの形でその中に感受性の高い種というものが含まれれば検出することができるだろうという手法をとると同時に、あとは、エンドポイントとして、トンボ類が非常に感受性が高い上に、このトンボというのはやっぱり生態系が健全でないと生きられないという昆虫であることから、これをメルクマールにすると非常にその影響が見やすいであろうということで、今、トンボをひとつ指標として調査を進めているということ。そして、もう一つ陸域としましては、一番の関心事であるミツバチ類ですね。こういったものに対する影響評価が、ほとんどこれまでされてこなかったことから、我々としては、エンドポイントとして、やっぱり社会性昆虫ということから、巣が継続できるか、できないかというところが非常に肝心になると。個体レベルでの毒性に加えて、そういった花粉や花蜜を介しての農薬影響として、巣そのものがどれだけ影響を受けるかといったこともエンドポイントとして、今、評価を進めているというところです。まだ現在進行中でして、EUやEPAですね。そういったところの試験法も含めて、今、諸外国におけるリスク評価法も整理した上で、我が国としてどのようなリスク評価法が適正であるかということを、今検討を進めているという段階になります。

 以上です。

(岡田部会長)

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しましてご質問、ご意見等がございましたらお願いします。

 では、浅野先生からどうぞ。

(浅野臨時委員)

 土壌農薬部会の直接的なテーマにはならないかもしれませんが、今のご説明の資料の20ページのところの今後必要と考えられる施策のところに、大変私どもとしては注目すべきことが書かれていると思いました。本体の報告書も拝見しましたが、よく整理をされたと思って敬意を表したいと思います。

 とりわけ、一番最後にあります、餌資源の確保のため、蜜源の創出の取組を進めるべきだと、これは本当にそうだなと思っているおります。市街地がどんどん開発されることによって、蜜源が市街地になってしまっているということは非常に深刻な問題だと思いますので、例えば大宰府のように梅を売りにしているようなまちなんかは、本当に、これ、ミツバチがちゃんと媒介してくれないとまともな受粉すらできないということが起こっていると思うんですが、その辺の認識が非常に甘いなと思いました。

 ですから、これは、当部会のテーマではないけれども、重要なテーマだと思いますので、後で山田計画官が話をされますが、こんなものこそ、環境基本計画の中にしっかり位置づけると。とりわけ、こういう施策は国がどうこうというものじゃなくて、やっぱり自治体が真剣に取り組まなきゃどうにもならない問題です。農水省にも働きかけると同時に、自治体がこういう問題にちゃんと関心を持って、市街地でもできることは幾らでもあるということを認識する必要があるので、これは、ぜひ、記憶にとどめておいてください。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかに、コメント等。はい、どうぞ、太田委員。

(太田臨時委員)

 2点お伺いしたいと思います。まず、11ページにゴルフ場の調査をやられているんですけれども、全国47県に対して44県のデータですので、三つの県がやられていないんですけれど、どうしてそういうことなのかというのを教えていただければと思います。

 それから、今のハナバチの関係で、3ページのほうに、EUでは登録を停止して再評価をやっているということですけど、結果が出る目途とか、現在の評価の進捗状況についてわかる点で結構ですけれども、お教えいただければと思います。

(岡田部会長)

 では、これは事務局からお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 資料の11ページにありますとおり、ゴルフ場の調査につきましては、残念ながら3県からは報告をいただいておりません。これにつきましては、従来から県のほうには報告をお願いしているところでありますが、一部の県からはいただけていないという状況でございます。

 その中の一つとして、農薬につきましては、農薬取締法で使用基準が定められているので、その表示、ラベルどおりに正しく使っておけば問題が起こらないので調査等は不要ではないかという意見の方がいらっしゃいました。実際のところ、このように調査をすることによって一部の農薬では指針を超過するという事例も出ております。また、これまで水濁につきましては、平成15年以降、1件も超過事例は出てこなかったということで、何度調査をやっても出てこないのだから必要ないと考えていたのかもしれません。

 いずれにしましても、今回、水産指針値というものを新たに設けましたので、再度、県のほうには協力していただくように呼びかけたいと思います。

 それから、もう一つの海外における再評価の状況でございますが、EUと米国、それぞれ今現在再評価を行っているところでございます。まず、EUですが、こちらは、従来から再評価については、もともとは今年のこの11月末には報告をするとされておりましたが、年明けの2月にそちらのほうを報告すると、少し延びているという状況です。

 それから、米国におきましての再評価につきましては、来年中に公表するということで出ており、こちらについてもはっきりするかどうかわかりませんが、現在、その予定になっているところです。

(岡田部会長)

 ありがとうございます。よろしいですか。

 ほかにございますでしょうか。

(なし)

(岡田部会長)

 特段ないようでしたら、引き続き関連する取組をお進めいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、報告事項3に移ります。農薬登録制度における生態影響評価の見直しについて、事務局よりご説明をお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 それでは、資料4をご覧ください。こちら、農薬登録制度における生態影響評価の見直しに関する方向性についてでございます。

 環境省といたしましては、農薬登録制度における生態影響につきまして、その評価、対象生物を現行の水産動植物から他の水生生物や陸生生物にも拡大するための検討を進めているところでございます。

 1.背景のところでございますが、現在、我が国の農薬登録制度における生態影響評価の対象、こちら、水産動植物に限定をしております。一方、平成24年に閣議決定をされました第四次環境基本計画におきましては、水産動植物以外の生物を対象とした新たなリスク評価が可能となるよう、科学的知見の集積を図りつつ、検討を進めるとされています。既に欧米等の諸外国では、水産動植物以外の生物も評価対象としているところでございます。

 また、本年、国会におきまして、農業者による農業の競争力の強化の取組を支援するための「農業競争力強化支援法」、こちらが5月に成立をし、国は、農薬登録に係る規制につきまして、安全性確保、国際標準との調和、最新の科学的知見により見直しを行うこととされました。

 こうした状況に鑑みまして、環境省としましては、国民の生活環境の保全に寄与する観点から、科学的知見を踏まえ、国際的な標準と調和をした農薬登録保留基準を定めた生態影響評価の見直しに取り組みたいと考えているところでございます。

 2.見直しの方向性です。農薬の生態影響評価を改善するため、評価対象を水産動植物から拡大し、農薬登録保留基準を設定したいと考えております。そのため、具体的には、一つ目に、科学的知見と国際的な標準との調和を踏まえ、試験生物を選定するとともに、毒性試験方法を策定するということ。二つ目に、暴露評価のため、農薬が環境中で試験生物に与える影響を調査・検討し、暴露量を算出するとともに、リスク評価手法を策定すること。三つ目に、評価結果から農薬の使用が生態に著しい影響を生じさせるおそれがある場合には、農薬の登録を保留するための基準値を設定することを検討しています。

 3.見直しの進め方といたしましては、一つ目に、これまでの科学的知見や欧米等での評価状況について整理をし、中央環境審議会土壌農薬部会、農薬小委員会に順次報告をさせていただくこと。二つ目に、評価対象を水産動植物以外に広げ、登録保留の措置を講じるためには、現行の農薬取締法の規定の一部を改正する必要があるため、関係省庁と協議を進めていくこと。三つ目に、具体的な対象生物の選定やリスク評価の方法等は専門家から成る検討会を設置し、そこで予備的な検討を行い、その後中央環境審議会の意見を伺った上で告示等の必要な改正を進めていくことといたしまして、関係省庁と連携、調整しつつ、検討を進めていきたいと考えております。

 続きまして、2ページ以降に参考資料をつけさせていただいておりますのでご覧ください。少し補足的に説明をさせていただきます。

 まず2ページ目の参考1でございますが、現行の農薬取締法のうち、目的、そして農薬登録保留基準に関する主な条文の抜粋になります。本法律は、昭和23年に制定されたものでございます。

 第一条の目的のところで、農薬につきましては、登録の制度を設け、国民の生活環境の保全に寄与するとございます。

 第二条のところで、農薬の登録についてです。農薬につきましては、農林水産大臣の登録を受けなければ製造、加工、輸入ができず、2項のところで、登録の申請に必要な書類として水産動植物に係る試験成績の提出が求められています。

 第三条のところで、記載事項の訂正または品質改良の指示とありますが、第1項で、農林水産大臣は1号から10号のいずれかに該当する場合は、農薬の登録を保留し、指示することができるとしておりまして、ここの第6号のところで水産動植物についての基準がございます。これを環境大臣が定めるとしておりますが、生態影響評価につきましては、現在、水産動植物に限定されているところでございます。

 次の3ページ目の参考2をご覧ください。こちらは、平成24年に閣議決定されました第四次環境基本計画の抜粋です。今後の環境政策の具体的な展開の(3)のところの重点的取組事項のところで、農薬については、水産動植物以外の生物等、新たなリスク評価が可能となるよう、科学的知見の集積を図りつつ、検討を進めるとされております。

 続きまして4ページ目の参考3でございます。こちらは、本年5月に成立いたしました「農薬競争力強化支援法」の抜粋になります。

 下のほうの第二章のところで、国が講ずべき施策として第八条、こちらで、国は、農薬の登録について安全性の確保、国際的な標準との調和、最新の科学的知見を踏まえ、見直しを行うこととされております。

 続きまして5ページ目の参考4でございます。こちらの表ですが、主要な国、地域の農薬登録制度における生態影響に係るリスク評価の実施状況を整理したものでございます。国や地域によって農薬が使用される環境、そして農薬の使用方法等が異なるということはございますが、国際標準との調和も考慮して海外での生態影響評価の取組状況や我が国における科学的知見の集積状況等を勘案いたしまして、今後、具体的な見直しの検討を進めていきたいと考えております。

 日本は一番右側にございますけれども、現在、リスク評価に取り組まれているのは、水域におけます無脊椎動物(甲殻類等)一部ユスリカ幼虫も含めています。それから藻類、魚類と、この3種類という状況でございます。

 続きまして6ページ目の参考5でございますが、こちら、6ページ、7ページと農林水産省におきまして、農業資材審議会農薬分科会で説明された今回の農薬取締行政の改革の方向性について示した資料でございます。こちらで改革の全体像が記載されておりますが、6ページ目の真ん中辺り、三つ目の段落ですが、農薬の登録制度についてでございます。効果が高く、安全な農薬の開発、供給を促進できるよう改善していくことが必要であるとしております。

 続きまして7ページ目の2のところで、改革のポイントをご覧ください。今回の農薬登録制度における生態影響評価の見直しにつきまして、農水省と連携をして進めているところでございますが、改革のポイントの(1)の②、登録審査に係る評価方法や登録基準の改善のところで、農薬が安全かどうか、リスクに基づいて評価し、安全が確認できないものは登録しないという考え方に基づきまして、評価方法及び登録基準を改善するとして、二つ目のポツにございますとおり、生態影響を評価する対象を、水産動植物から、より広い範囲の動植物に拡大とございます。

 また、(2)のところで登録後の科学の発展に対応するための再評価制度の導入とございますが、農薬の登録後におきましても、最新の科学に照らしまして有効成分ごとに安全性を定期的に再評価するといたしまして、平成33年度以降、順次、15年間隔で再評価を行うという考え方が示されております。

 以上、農薬登録制度における生態影響評価の見直しについての説明でございます。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

 いかがでしょうか。はい、どうぞ。

(松永委員)

 ジャーナリストの松永です。

 私、農薬のコミュニケーションに関わることが多いものですから、ちょっと今回の資料を拝見しまして、5ページ目の表とかがちょっとこれは誤解を招きやすいなと、表だけがひとり歩きしてしまうんじゃないのかなとちょっと心配になりました。

 これを見ると、EUとかは進んでいるのに、日本はなんと遅れていることかというふうに、そういう印象を受けてしまうわけです。確かに、生態影響評価は遅れているんだと思うんですが、注3に小さく書いてあるとおりで、有用生物として鳥類とかハチとか、その辺りは、生態影響評価と言えないレベルではありますけれども、基礎的な傾向をみる投与試験とかが行われているわけで、その辺りがもう少しわかりやすく説明されたほうがいいのではないかなというふうに思います。

 EUも例えばハチ類を評価しているということで、ネオニコが2013年、一部の使用法が禁止になりましたけれども、あれも2年で評価するといいながら、ずるずる延びて、先ほどご説明があったように、まだ評価は出ていないということがあります。五箇先生がリーダーをされた報告書を読みますと、やっぱりその後にイギリスでどうしようもなくなって、一部、ナタネの被害が大きくてネオニコを使用せざるを得ないというような状況があったりとか、それから、ネオニコを禁止したために、ほかの農薬の使用量が増えたというようなことも報告書には書いてあるわけですね。

 EUのあのときのネオニコの一部使用法の禁止というのは、私は個人的には物すごい見切り発車で、データが不十分な中でされたのかなというような印象を持っています。そういう意味でも、今回、五箇先生がまとめられた報告書というのは非常に緻密にきちっとファクトベースでこれから進めていくぞということがいろんなところから読み取れてすばらしい報告書だなと思いながら読みました。私個人の見方としては、ちょっとこの表はそこの実態にはそぐわない、もう少し詳しくご説明されたほうが、市民の誤解を招かない努力をもう少ししたほうがいいのではないかなというふうに思いました。

 以上です。

(岡田部会長)

 ありがとうございます。ただいまのご注意、事務局のほうで、もし場合によっては五箇先生、補足をお願いします。事務局から。

(小笠原農薬環境管理室長)

 こちら、資料の5ページ目の参考4でございますが、ご指摘のとおり、日本におきましては、この表はリスク評価の実施状況ということで、現在は魚類と無脊椎動物の一部、それから藻類しか丸がついておりません。

 注3として欄外のところには、鳥類とハチ類、その他節足動物では毒性評価を別途実施しているということでありますので、これについては、何らかの表記方法が考えられるかとは思います。我々としましても、特に日本はこんなに遅れているのだということを強調するがための表というよりも、リスク評価という面では、確かに日本ではこの三つしかやられていないので、もっとリスク評価もやっていかなきゃいけないということでつくった表でございます。、今後、この表を使う際には、もう少し工夫をしたいというふうに考えます。

(岡田部会長)

 ありがとうございます。五箇先生、何か追加はございますか。

(五箇臨時委員)

 特に、今、ご指摘があったEUでの使用規制に関しては、おっしゃるとおり、本当にどちらかというと世論に押された形で止めざるを得なかったという状況の中で、その後の影響評価についてもまだ、全然白黒はっきりしないという状況で、我々自身も今、国内で影響評価を進めていますが、結局やっぱり環境影響というのが、何も農薬に限ったことではなく、生息適地の減少であったりとか、さまざまな花蜜源、それこそ先ほどご指摘があったように、花の減少であったりといったようなことがいろいろ、複数の要因によって、昆虫の動態というものが影響されていることもあって、本当にその中から農薬の影響だけ抜き出すのはいかに難しいかということで、おっしゃるとおり、本当にきちんと科学的に追及しないと、やっぱりここは正しい農薬のリスク評価にならないだろうということは、EUをむしろ我々は反面教師にしながら進めていきたいというふうに考えていますが、やればやるほど、非常に環境の変化自体も激しいものですから、なかなか追いつかないところもあります。

 ただ、反面、そういった意味では、変に魔女狩りのような形で農薬を規制することはないようにはしていきたいとは我々自身も思っており、きちんと中立に科学的なデータをこれから蓄積していくことを目的としたいと思います。

 特に、実はIPBESと言われる、別途、生物多様性条約のほうでの国際的な生物多様性の影響評価ですね。その中に、実はハナバチ類への影響評価というものが特出しでされて、これは背景にはやっぱりネオニコの問題があったということで、特例としてハナバチという生き物だけで評価をするということが先行してやられたのが、その中でもやっぱりこれまでの知見を全部総合的に評価しても、ネオニコの影響というものを黒だと言い切ることはできなかったということもあって、そういった意味からも、まだまだ実はきちんとした知見が得られていないというのが実情だということは、我々もそこも含めて、今後の影響評価というものをどう進めていくかというのは、まだ検討しながらも、実証データですね。こういったものを積み重ねることを、これまでもこれからも進めていくということで、報告書につきましては、大変お褒めいただいて、我々としても少し胸をなでおろすとともに、そこでファクトベースでやるといったからには、やっぱりファクトデータをどうこれから積み重ねていくかというのは、環境省、環境研としましては大きなdutyとしてこれからもきちんとやっていきたいというふうに思っております。

 以上です。

(岡田部会長)

 どうもありがとうございました。よろしいですね。

 ほかにご質問、ご意見はございますでしょうか。よろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 それでは、ただいまのご意見にも留意して、引き続き検討をお進めいただくよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題のその他でございますが、先ほど浅野委員から少しお話がありました第五次環境基本計画に関するご説明がございます。では、これについては事務局、山田さんのほうからよろしくお願いします。

(山田環境計画課計画官)

 それでは、説明させていただきます。参考資料10-1と10-2をご覧いただければと思います。

 私、水・大気環境局ではなくて、大臣官房総合環境政策統括官グループ環境計画課に所属している者でございます。総合政策部会の事務局を担当しております。

 現在、総合政策部会では、第五次環境基本計画の策定作業を行っております。昨日も総合政策部会が開催され、先ほどの参考資料10-1、10-2につきましてご議論いただきました。本日は、その内容について簡単に説明させていただきたいと思います。

 なお、第五次環境基本計画は、来年春に取りまとめ、閣議決定することを目標としております。

 説明の前に、総合政策部会と各部会との関係について言及させていただきます。第四次環境基本計画では、重点分野として九つの分野が設定されておりまして、その各分野については、各部会において本文案を作成していただき、総合政策部会においてそれらを合体させるという方法をとっておりました。このような形で各部会が環境基本計画に関与していたということになります。

 第五次環境基本計画、今策定中のものでは、計画全体の一貫性を保つという観点も踏まえまして、各部会事務局から情報を得た上で、我々、総合政策部会事務局が環境基本計画の文案を作成しているところでございます。そういった観点から、今回、ご報告させていただいたということでございます。

 また、環境基本計画の点検についてですが、各部会でご担当の部分を点検していただき、それらを総合政策部会に報告していただいた上で、総合政策部会が全体の点検を行うという形式をとっております。第四次環境基本計画の点検の際は、土壌農薬部会は環境基本計画の点検を行っていなかったということを我々は確認しております。その理由は、ちょっと確認中でございますが、いずれにいたしましても、環境基本計画は環境の保全に関する総合的かつ長期的な計画でありますので、土壌農薬部会及び事務局ともよく連携してまいりたいというふうに考えております。

 それでは、参考資料10-1を説明させていただきます。1ページおめくりいただければと思います。

 我が国が抱える環境・経済・社会の課題ということですが、環境の課題というところに温室効果ガスの大幅排出削減、資源の有効利用、森林・里地里山の荒廃、野生鳥獣被害、生物多様性の保全などというふうにさまざまな課題を抱えているという状況でございます。

 それから、経済の課題といたしまして、地域経済の疲弊、新興国との国際競争、AI、IoT等の技術革新への対応などと、これもたくさん課題がございます。

 社会の課題も深刻でございます。少子高齢化・人口減少、働き方改革、巨大災害の備えなどとございますが、これら環境・経済・社会の課題は、相互に連関・複雑化をしているというふうに認識をしておりまして、環境・経済・社会の統合的な向上が求められるというふうに考えております。

 2ページに移らせていただきます。持続可能な社会に向けた国際的な潮流ということですが、2015年は持続可能な開発のための2030アジェンダの中にSDGsが含まれますが、これが採択されたことと、あと、パリ協定も採択されたという年でございます。こういう二つ、世界的に大きな流れがありますけど、こういうものを達成していくためには、これらの対策の延長ではなく、環境・経済・社会をともに変えていき、持続可能な社会を目指すことが必要であるというふうに考えております。

 3ページに移ります。第五次環境基本計画の基本的方向性ということで、目指すべきものと取り組むべきことについて記載させていただきます。

 まず、目指すべきもの、三つありますが、まず一つは、「地域循環共生圏」の創造です。自立・分散型の社会、地域同士の支え合いということです。

 二つ目が「世界の範となる日本」の確立ということで、公害を克服した歴史、高い環境技術、「もったいない」などの循環の精神や自然と共生する伝統を有する我が国だからこそできることがあるというふうにさせていただいています。

 三つ目で、これらを通じた、真に持続可能な「循環共生型社会」いわば「環境・生命文明社会」の実現というふうにさせていただいています。

 地域循環共生圏につきましては、この3ページの右上に図示されておりますけれど、先ほど申し上げましたとおり、それぞれ農山漁村、都市で循環をさせて自立分散型の社会をつくりつつ、足りない部分は地域同士で支え合うという、都市、農山漁村間の矢印があるかと思いますけど、資金・人材や自然資源、生態系サービスをお互い流通し合って支え合うということの概念でございます。

 取り組むべきことといたしまして三つございます。一つ目は、SDGsの考え方を活用し、環境・経済・社会の統合的向上を具体化するということで、諸課題の同時解決を図り、分野横断的な六つの重点戦略を設定するということです。

 二つ目は、あらゆる関係者と連携ということで、環境関係者だけではなく、経済・社会の関係者ともパートナーシップを充実・強化させることが必要だと考えております。

 三つ目ですが、地方の地域資源を持続可能な形で最大限活用し、経済・社会活動を向上ということで、環境で地方を元気にということを考えております。

 4ページをご覧ください。第五次環境基本計画における施策の展開の方向性ということで、第五次環境基本計画では、先ほどの横断的な枠組みが必要ということを踏まえ、六つの重点戦略、これは全て横断的なものですが、を設定させていただきました。これらをパートナーシップのもと、統合的向上を具体化していくということでございます。

 六つの重点戦略は、経済、国土、地域、暮らし、技術、国際とございますが、特に土壌関係で申し上げますと、④の健康で心豊かな暮らしの実現の三つ目の丸です。安全・安心な暮らしの基盤となる水・大気など良好な環境の保全というところで、こちらに土壌も含まれるというふうに理解しております。

 また、次の5ページをご覧ください。重点戦略を支える環境政策ということで、環境政策の根幹となる環境保全の取組は、揺らぎなく着実に推進ということで、こちらは今までやっておりましたいわゆる縦分野に当たるものが書かれております。この四つ目のところに、環境リスクの管理等の基盤的な施策ということで水・大気・土壌の環境保全が書かれております。

 これらの計画の効果的実施ということで、先ほど申し上げました計画の点検ですとか、指標の活用ですとか、計画の見直しについて記載してございます。また、環境保全施策の体系というものも設定しようというふうに思っております。

 次に、参考資料10-2をご覧いただければと思います。こちらが、第五次環境基本計画の構成ということで、現在の事務局の素案でございます。先ほどご説明を差し上げた参考資料10-1とほぼ同じような形になっておりますけれど、土壌関係で申し上げますと、これの資料の4ページですね。4ページに先ほど申し上げました「健康で心豊かな暮らしの実現」という重点戦略の中の(3)安全・安心な暮らしの基盤となる良好な生活環境の保全ということで、健全で豊かな水環境の維持・回復、廃棄物の適正処理の推進、化学物質のライフサイクル全体での包括的管理、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策の推進、快適な感覚環境の創出、ヒートアイランド対策ということになっております。

 こちらに位置づけられる施策といたしましては、環境保全の観点のみならず、暮らしに役立つというようなマルチベネフィットといいますか、というような観点の施策を載せるというようなことで考えております。

 もう一つは5ページですが、真ん中辺り4ポツで環境リスクの管理等の基盤的な施策というところがございます。ここの(1)水・大気・土壌の環境保全ということで、①から⑥までありますが、そのうちの⑤が土壌汚染対策による環境リスクの適切な管理ということで考えております。

 このような形で環境基本計画の骨子を考えておりまして、現在、本文作成作業を進めているところでございます。

 以上、報告させていただきます。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。現在策定中ということで、第五次環境基本計画、本土壌農薬部会にも大きく関係いたしますのでご紹介いただきました。

 はい、どうぞ。

(早水水・大気環境局長)

 すみません、補足をさせていただきます。

 今、山田さんのほうから土壌のほうだけご説明があったと思いますが、農薬のほうのご説明がちょっとなかったので補足しますと、農薬につきましては、化学物質管理の中に入れておりますので、今の資料でいいますと5ページの(2)の化学物質管理の⑤が農薬の生態影響評価の改善となっております。そちらのほうで扱っているということでございます。

(山田環境計画課計画官)

 失礼いたしました。

(岡田部会長)

 それでは、ありがとうございました。

 では、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたします。

 では、浅野先生、どうぞ。

(浅野臨時委員)

 少し裏話をさせていただきたいと思います。第五次計画、これまで第四次まで計画を進めてきていますので、全く同じことの繰り返しというのはよくないだろう、少し視点を整理したほうがいいだろうということが考えられています。

 ですから、重点戦略というものを従来よりも強調しようということになっていて、縦割り型のいろいろな施策を縦割りで並べるということだけではなくて、重点戦略という形で書いているものの中に各施策がつながるということをしっかりわかるようにしていきたい。さっき、ミツバチの話をしたんですけれども、これはまさに典型的ですね。土壌農薬部会マターということだけでいうと、なかなか広がっていかないんだけど、やっぱりミツバチのためには花がなきゃだめよねみたいな話というのは、それは自然の話だとか、そんな議論ではもう環境政策は進まないわけですね。例えば、森・里・川・海みたいな話をするときだって、当然、関係してくるだろう。まちづくりも関係あるだろうと、いろんなことがつながってくるわけですから、大変きついけれども、それをしっかりわかるような形の計画にしたいというのが今回のお話です。

 ただ、そう言いながら、あまりそれを当初案では、それで全部もう片づけるかと言っていたら、大塚さんが猛烈に抵抗しまして、やっぱり個々の項目についてもわかるようにしなければ、計画にならんと怒られてしまったんです。実は、5ページをご覧いただくと、気候変動対策、循環型、生物多様性と書いてあるんですが、これおわかりだと思いますけれども、それぞれちゃんとした計画があるんですよね。ですから、そういうものがあるんだから、もうそれでいいじゃないかという話をしていたら、この土壌農薬だとか水だとか大気というのはないじゃないかという話で、それは確かにそうですね。それで、みんなこういう形で丸めちまうわけにいかんだろうということになったわけです。とりわけ、そうはいうものの、気候変動、循環、生物多様性というのはちゃんと別の計画があるものですから、気候変動については若干、その計画に問題がありますので、もっと書き込まなきゃいけないと思っていますけれども、循環、生物のほうは完全によくできていますからそれはいいんですが、水・大気・土壌と、この辺りのところはあまり基本計画的なものがほかにないということを考えて、第五次計画の中でもここはしっかり書き込まなきゃいけないということは共通認識になっています。

 それから、あと、地域循環共生圏という言葉についていろんな認識があるんですけれども、こういう流れだということをちょっと裏話として申し上げておきたい。

 まず、循環基本計画の中で地域循環圏という概念が随分前から出てきているんですね。これは、もう既に10年ぐらい言い続けてきたことで、循環というものを地域にきちっと落としていって、ものの種類によって回し方が違うということを意識しようということを言ってきたんですが、これを生物多様性の国家戦略をつくるときに、たまたまトップになった人が一緒だったものですから、循環のほうで考えたのを見事にパクりまして、生物共生圏というのが生物多様性の戦略の中に入り込んできたんですね。そこから発展して、それだったら二つくっつけるべきじゃないかという話が出てきたわけです。それが、今回、第五次計画で武内会長のもとで見事に結実しまして、地域循環共生圏という言葉が出てきている。これに大塚さんはさらに低炭素をつけろと言っていますけれども、要するに物事をやっぱり場を考えるという概念と、それからつないでいくということと、両方しっかり意識した理念のようなものが大事なんだろう。さらにそれを理念に止めないで、具体に地域で何かやるときの具体のプログラムにつながるようにしていく、これはだから抽象概念から具体概念につないでいくという両方をやりましょうという、随分ぜいたくな話をしているんですけれども、これをやりましょうというのが第五次計画の話です。

 昨日は、この3ページの図については随分、委員の中から文句が出まして、何で農村が上で都市が下だと、横じゃないかとあったんですけど、この絵をつくった人の心持ちでは川の上流と下流を考えているのでこういうことになったので、決して上下関係じゃないんですけれども、なぜか妙にそんな議論が昨日あって、いささか辟易しました。

 以上、裏話です。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。ということだそうでございますが、まだ検討中でございますので、ぜひご要望、ご意見をいただければありがたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 それでは、引き続き第五次環境基本計画の策定に向けた検討をお進めいただければというふうに思います。

 それでは、本日の審議全体、もしくは、本部会に対して全体に対して何かご意見、ご質問等はございませんでしょうか。よろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 特にないようでしたら、本日の議事については以上となります。

 進行を事務局にお返しいたします。

(中村土壌環境課課長補佐)

 皆様におかれましては、ご多忙の中、ご出席いただき、また、熱心にご審議を賜りましてありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し、後日お送りいたします。ご発言の内容についてご確認いただいた後、公表してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上をもちまして、本日の第34回土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(了)