中央環境審議会土壌農薬部会(第33回)議事録

1.日時

平成29年1月12日(木)10:00~11:30

2.場所

経済産業省別館312会議室

3.出席委員

部会長   岡田 光正    臨時委員  谷口 靖彦

委員    浅野 直人          築地 邦晃

      白石 寛明          根岸 寛光

臨時委員  浅見 真理          平田 健正

      天野 昭子          細見 正明

      太田 信介          三浦 啓一

      大塚  直          山本 廣基

      岡崎 正規          和気 洋子

      川崎  晃          渡辺  敦

      染  英昭

 (欠席は、相澤委員、藤井委員、五箇委員、佐藤委員、田村委員)

4.委員以外の出席者

環境省

高橋水・大気環境局長、早水大臣官房審議官、江口総務課長、眼目総務課課長補佐、是澤土壌環境課長、青竹土壌環境課課長補佐、清水土壌環境課課長補佐、小笠原農薬環境管理室長、羽子田農薬環境管理室室長補佐、岡野農薬環境管理室室長補佐

5.議題

 (1)報告事項

   ①最近の土壌環境行政について

   ②「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」について

   ③最近の農薬環境行政について

 (2)その他

6.配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 最近の土壌環境行政について
資料3 「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」
資料4 最近の農薬環境行政について
参考資料1 今後の土壌汚染対策の在り方について(諮問書及び付議書)(写)
参考資料2 中央環境審議会関係法令等
参考資料3 土壌汚染対策法の概要
参考資料4 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)
参考資料5 土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)
参考資料6 土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号)
参考資料7 土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号)
参考資料8 平成26年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果

7.議事

(是澤土壌環境課長)

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第33回中央環境審議会土壌農薬部会を開催させていただきます。委員の皆様には、ご多忙中ご参集をいただき誠にありがとうございます。

 本日は、現時点で、委員総数24名中19名がご出席でございまして、部会開催の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。なお、欠席は、相澤委員、藤井委員、五箇委員、佐藤委員、田村委員でございます。

 次に、前回の部会開催後に委員の交代がございましたので、新たに就任いただきました委員の皆様をご紹介させていただきます。

 まず、日本経済団体連合会の三浦委員でございます。

(三浦臨時委員)

 三浦でございます。よろしくお願いいたします。

(是澤土壌環境課長)

 続きまして、日本鉄鋼連盟の渡辺委員でございます。

(渡辺臨時委員)

 渡辺でございます。よろしくお願いいたします。

(是澤土壌環境課長)

 また、本日はご欠席でございますが、国立環境研究所の五箇委員に新たにご就任をいただいております。

 なお、交代に伴いまして、小川委員、小倉委員、林委員がご退任されております。

 続いて、事務局でございますが、一昨年12月の部会の開催以降、異動がございましたので、紹介をさせていただきます。

 総務課課長補佐の眼目でございます。

(眼目総務課課長補佐)

 眼目でございます。よろしくお願いいたします。

(是澤土壌環境課長)

 農薬環境管理室室長補佐の羽子田でございます。

(羽子田農薬環境管理室室長補佐)

 羽子田でございます。よろしくお願いいたします。

(是澤土壌環境課長)

 それでは、議事に先立ちまして、水・大気環境局長の高橋より、一言ご挨拶申し上げます。

(高橋水・大気環境局長)

 水・大気環境局長の高橋でございます。まずは、新年明けましておめでとうございます。本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

 委員の皆様におかれましては、年明けの何かと慌ただしい中でございますけども、お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。

 本日の部会は、一昨年12月以来ほぼ1年たってございます。これまでの土壌農薬関係の主な動きにつきまして、いろいろと報告をさせていただければと思います。

 まず、土壌関係でございますけども、昨年、土壌制度小委員会を設置させていただきまして、ご審議をいただきまして、今後の土壌汚染対策の在り方に関する第一次答申を取りまとめていただきましたので、それをご報告させていただきたいと思います。浅野委員長を初め、関係の先生方には大変精力的な議論をいただきまして、お世話になりました。この場を借りまして、厚く御礼を申し上げます。現在、このいただきました第一次答申に沿いまして、今月下旬から始まる予定の国会に提出すべく、土壌汚染対策法の改正法案の作成作業を鋭意進めているところでございます。

 それから、農薬関係でございますけども、昨年12月までに農薬小委員会を6回開催させていただきまして、白石委員長の取りまとめのもと、農薬登録保留基準等についてご審議をいただいたところでございます。本日は、農薬環境行政の最近の動きにつきましてもご報告をさせていただきたいと思います。

 委員の皆様におかれましては、今後の土壌農薬環境行政の推進につきまして、幅広い見地から忌憚のないご意見を賜りたいと思っております。

 なお、私、少し所用がございまして、この後、中途退席させていただきますことをお許しいただきたいと思います。

 本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(是澤土壌環境課長)

 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元の議事次第の裏面に配付資料の一覧がございます。クリップを外していただきますと、資料1として、土壌農薬部会の委員名簿の1枚紙。資料2として、最近の土壌環境行政について。資料3、冊子になっておりますが、「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」。資料4が、最近の農薬環境行政についての資料でございます。

 それから、参考資料1としまして、今後の土壌汚染対策の在り方についての諮問文書。それから、参考資料2としまして、中央環境審議会の関係法令等をまとめたものをご用意しております。また、参考資料3から8までにつきましては、委員のみの配付でございまして、お手元の黄色いファイルの中に関係法令等をとじてございます。

 もし不足しているもの等ございましたら、事務局までお知らせくださるようお願い申し上げます。

 なお、本会議及び資料につきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づき、公開とさせていただきます。

 それでは、これより議事に移りたいと思います。

 岡田部会長に議事進行をお願いいたします。

(岡田部会長)

 はい、かしこまりました。

 本日は、皆様、大変ご多用のところ、また、寒い中お集まりいただきましてありがとうございます。

 本日の部会でございますが、お手元の議事次第にございますように、今後の土壌汚染対策の在り方について等の報告事項が主な議題となっております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速議事に入ります。

 まず、報告事項の①最近の土壌環境行政について。事務局からご説明をお願いいたします。

(青竹土壌環境課課長補佐)

 それでは、資料2のほうをご覧いただければと思います。最近の土壌環境行政につきまして、水・大気環境局土壌環境課、青竹よりご説明いたします。

 こちらの資料では、主な土壌汚染対策法の施行状況をまとめてございまして、次の議題にもなっております、今後の土壌汚染対策の在り方について、第一次答申の前提となりますような現状を示させていただいたものということでございます。

 おめくりいただきまして、2ページ目に、土壌汚染対策法の概要を示してございます。こちらが、平成22年から施行されている現行の土壌汚染対策法の概要ということでございます。

 まず、調査でございますけれども、土壌汚染の調査をするきっかけが、現行の法律では四つございまして、有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき。それから、3,000m2以上の土地の形質の変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき。また、土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるときと。それから自主調査ということになってございます。

 これらの調査の結果、土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合に区域指定が行われるということになってございまして、土壌汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域については要措置区域として、それから、土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じるおそれがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域につきましては、形質変更時要届出区域として指定されるということでございます。

 汚染の除去が行われた場合には、指定が解除されるということになりますが、区域指定されたところから汚染土壌を搬出する場合につきましては、搬出の規制がかかるというようなことで、搬出先についても、処理するところは処理業の許可制度を持っているというようなことになっているということでございます。

 おめくりいただきまして、3ページ目でございます。

 今、申し上げた土壌汚染状況調査を実施した場合の、その状況でございますけれども、左側の下に、調査契機ごとの件数の推移のグラフを示してございます。平成21年の法改正以降、一定規模以上の土地の形質変更の際の土壌汚染状況調査ですとか自主調査、こういったものが加わってございまして、こういったことに伴って、法に基づく年間の調査の結果報告件数が2倍以上に増加したというようなことでございまして、平成26年度には826件、平成15年の法施行以降、累計で4,894件となっているところでございます。

 おめくりいただきまして、4ページ目でございます。

 調査の結果、法に基づく区域の指定されたところの数の推移でございますけれども、こちらも左の下のグラフにございますように、結果の報告件数の増加に伴いまして、調査の結果、汚染が見つかって、区域指定される年間の件数につきましても、5倍以上に大幅に増加しているということでございます。区域の指定につきましては、汚染土壌の摂取経路があり、除去等の措置が必要になる要措置区域と、そうではない形質変更時要届出区域に分けて指定されるようになってございますので、リスクに応じた管理が進んできているということでございます。

 件数としましては、要措置区域のほうは171件で約2割、形質変更時要届出区域が1,630件で、約8割というのが現状の区域の指定の数というところでございます。

 次に5ページ目でございまして、具体的に、どういった特定有害物質で汚染があったかということでございますけれども、第二種特定有害物質(重金属等)による汚染が最も多く約8割、それから、第一種特定有害物質である揮発性有機化合物による汚染が約1割というようなところでございます。

 めくっていただきまして、6ページ目でございます。

 調査の契機のうちの一つであります、有害物質使用特定施設を廃止したときの調査が実施されたところの土地では、約5割で汚染が見つかっているというところでございまして、そのうち約9割につきましては、使用等していた物質と、その汚染物質が一致しているということでございます。

 自治体の条例によりますと、一時的免除中ですとか操業中の事業場の規制がございます。これは、法律では、現状は定められていないわけですけれども、こういった自治体の調査に基づきますと、搬出された汚染土壌が約9万5千トンということでございます。

 それから、めくっていただきまして、7ページ目でございます。

 一方で、有害物質使用特定施設の設置に関係する制度としまして、水質汚濁防止法のほうで、地下浸透防止措置のほうの強化が平成24年にされてございます。こういった強化された後に新設された施設を廃止した場合の調査ですけれども、こちらでは、現状、土壌汚染が確認された事例がないということがわかってございます。

 めくっていただきまして、8ページ目でございます。

 埋立地に存在する工業専用地域での土壌汚染の状況でございますけれども、年間、約50件程度、大きな形質変更があるということで届出がございまして、そのうち、土壌汚染状況調査を経て区域指定される土地というのが5割程度存在しているということがわかってございます。

 めくっていただきまして、9ページ目でございます。

 実際の対策として行われる汚染の除去等の措置、こちらの実施状況についてでございますけれども、要措置区域につきましては、特定有害物質の種類や汚染の程度等に応じて、実施すべき措置を明らかにした上で、都道府県が措置を指示しているというようなことでございますけれども、指示措置のほか、これと同等以上の措置の実施についても認められているというような状況でございます。

 こういった汚染の除去等の措置が行われることによりまして、要措置区域としての指定が解除されるということになりますが、こちらは、下の表にもございますけれども、この割合が約5割程度ということで、こちらについては、法改正以前とほぼ同じ割合というふうになっているところでございます。

 一方で、形質変更時要届出区域につきまして、こちらは汚染の除去等の措置が必要のない区域ということになりますけれども、措置が行われた結果、解除された区域が約3割ということで、法改正以前に比べて減少してございまして、除去等の措置を行わずに利用している土地の割合が増加しているということが見てとれるかというふうに思ってございます。

 10ページ目でございますけれども、区域に指定されたところで、対策が実際に行われる場合に、どういった対策が行われるのかということでございますけれども、こちらについては、地下水の水質測定や原位置封じ込め等に比べて、依然、掘削除去が行われる割合が多いということで、約8割程度というふうになってございます。

 めくっていただきまして、11ページ目でございます。

 このように、自治体・都道府県から措置が指示された場合には、さまざまな対策がとられているわけですけれども、その際に、土地所有者が実施する措置については、実際の措置内容の都道府県等による確認が法令上定められてございませんので、要措置区域で指示措置等を行う場合に、計画段階や措置完了時に具体的な実施内容の確認が行われていないケースが存在するということが、自治体のアンケートからわかっているというところでございます。

 12ページ目でございまして、区域指定された土地に存在する、今度は汚染土壌の処理ということでございます。

 平成26年度には、約160万トンの汚染土壌が要措置区域等から搬出されて、処理施設で処理されているというところでございまして、許可されている処理施設は、現状、約107事業所というところでございます。

 こういった処理施設、処理業者からの都道府県に対する処理状況の報告については、現状、ガイドラインにおいて促してはいるものの、約半数の処理業者から報告が行われておらず、処理状況の確認がとれていないものが存在しているというようなことでございます。

 また、こういった搬出規制の例外として土壌を取り扱うために設けられております認定調査については、18件行われて、認定土壌量は約6万トンであったというような状況でございます。

 13ページ目に、認定調査に関して、こちらの調査の中では、原則、全ての特定有害物質の調査を行うことということにされているわけですけれども、このうち、国家戦略特区においては特例措置を設けるということになってございます。具体的には、こういった国家戦略特区においては、土壌の汚染状態が専ら自然に由来すると認められた土地である自然由来特例区域については、認定調査の調査項目を、その区域指定対象物質に限定するという特例を設けるということでございまして、こちらは、前回の土壌農薬部会で案についてご説明をしておりまして、その後、制度として定められたものになってございます。

 その後、平成28年4月からになるんですけれども、東京都全域と大阪府全域については、この特例措置が適用されるということになりまして、この当該の特例を活用しました事例が、大阪でございますけれども、2事例出ているというようなところでございます。いずれもスムーズに手続が行われたということをご報告させていただければと思います。

 最後に、14ページ目でございますけれども、指定調査機関及び技術管理者に係る現状ということで、指定調査機関につきましては、環境大臣等が約700の機関を指定してございます。前回の法改正で、環境大臣が実施する試験に合格した技術管理者の設置が義務付けられているということになってございまして、現在2,300名余りが技術管理者証の交付を受けているというような状態でございます。こちら、示しておりますように、試験について毎年行っているというようなことでございますけれども、これに加えまして、5年ごとに技術管理者証を更新するというような制度も導入されておりますので、昨年より講習を実施しまして、講習を受けていただいた方に更新をしていただいているというような状況になってございます。

 簡単ですけれども、最近の土壌環境行政について、現状と、課題も少し含めまして、ご報告をさせていただきました。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。

 どなたかございませんか。はい、どうぞ。

(大塚臨時委員)

 すみません、確認だけで恐れ入りますが、6ページの右のほうの一時的免除中及び施設操業中の事業場における土壌の搬出の量ですが、これは24自治体、101件は、どういうふうに選ばれたんでしたか。これは全国的なものではないと考えてよろしいんですよね。ちょっと確認だけで、恐れ入ります。

(青竹土壌環境課課長補佐)

 6ページ目の、その一時的免除中及び施設操業中の事業場における土壌の搬出量ということで、実際に、アンケート自体は全国の自治体にさせていただきまして、そういう事例があるということでご回答いただいたところが24自治体ということでございます。

(大塚臨時委員)

 ありがとうございました。

(岡田部会長)

 よろしいですか。

 ほかにございますでしょうか。

 はい、どうぞ。細見委員。

(細見臨時委員)

 同じく6ページに、廃止時に土壌汚染状況調査が実施されたうちで、5割が見つかったわけですが、そういう意味で、調査というのは非常に重要だと思いますが、そのうち9割が使用等をしていた物質と一致しているということで、1割がそうではなかったということになりますが、この1割はどうやってわかったのかというと、これは、状況調査以外の項目の何かをやったわけですかね。

(青竹土壌環境課課長補佐)

 こちらの6ページ目の廃止時の調査で土壌汚染が見つかった場合に、どういった物質と、汚染が見つかった物質が一致していたかということなんですけれども、調査自体は、有害物質使用特定施設で使用していた物質のほか、地歴調査で判明しました、例えば貯蔵していた物質等、もしくは、何らか過去に調査の結果があって汚染を示すデータがあった場合とか、そういった物質も対象にいたしますので、そういったものが1割のほうに含まれているものというふうに理解をしております。

(細見臨時委員)

 わかりました。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 それでは、次の議題とも関係すると思いますので、またお気づきの点がございましたら、再度ご質問をいただければと思います。

 それでは、次の報告事項、「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」に移らせていただきます。

 一昨年の12月に、環境大臣から中央審議会会長に対して諮問がありました。今後の土壌汚染対策の在り方、これにつきましては、先ほど高橋局長からのご挨拶にございましたように、土壌制度小委員会において審議の上、第一次答申案を取りまとめ、昨年12月12日に、環境大臣に対して第一次答申を行いました。

 それでは、第一次答申につきまして、土壌制度小委員会の小委員長をお務めになりました浅野委員から、ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(浅野委員)

 それでは、説明を申し上げます。資料3をご覧いただきたいと思います。

 今、部会長からお話がありましたように、一昨年の12月に、当部会に土壌制度小委員会が設置されました。委員の名簿は、資料3の、何ページ目でしょうか、ページ番号を打っていないと思いますが、めくっていただきますと委員名簿が載っておりますので、小委員会委員名簿という、下に記載されている方々が小委員会の委員でございます。

 昨年の3月から12月まで、自治体や、あるいは土壌汚染対策法の関係者、産業界等からのヒアリングを含めて、8回にわたって論点の審議を行いました。さらに、パブリックコメントの手続も済ませました。

 その結果を踏まえまして、今後の土壌汚染対策の在り方について、法律の改正を含む方向を示す必要があるという結論に達しまして、第一次答申案を取りまとめ、これに基づいて、先ほど部会長からお話になりましたように、12月12日に環境大臣に第一次の答申をいたしました。

 今回の答申では、法律改正を必要とするということでございますので、この法律改正は、先ほど高橋局長からのお話にもありましたように、現在、法案の準備中でございますが、これがもし国会で通過いたしますと、さらに詳細を検討する必要がございますので、詳細については、第二次の答申で、再度また答申を出していくということになるものと思われますから、今回は、あえてこれを第一次答申ということにさせていただいた次第でございます。

 資料3の次のページをご覧いただきますと、目次がございます。ここをご覧いただきのですが、小委員会では、平成21年の土対法改正以降の状況の確認をいたしまして、先ほど事務局からのお話がありましたように、汚染状況調査の結果の報告数が増加している。さらに、法に基づく調査の拡大については、一定の成果が見られる一方で、一時的免除中や操業中の施設での土地の形質の変更や土壌の搬出には規制がないために、汚染の拡散が懸念されるということがわかりました。

 こういったような点の問題点については、この目次の第1の3という、この項目のところに記しておりますので、詳細は後ほど事務局から説明を申し上げます。

 さらにまた、工業専用地域の土地の形質変更については、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とするという観点から、特例を設けるべきではないかというご意見もございました。また、要措置区域での計画段階や措置時に、都道府県による確認が行われていない場合があるということがわかりましたし、また、自然由来で基準に適合しない土壌について、全て汚染土壌処理施設で処理をしないで、現場での管理や資源としての活用をもっと進めてはどうかというご意見もございました。

 こういったようなことを踏まえまして、第一次答申をまとめたわけでございますが、第2の1の(1)というところでは、一時免除中や操業中の事業場では汚染土壌が存在する可能性が高いのですけども、現状では3,000m2を超えない限りは、一切何も届出の必要はないということでございますけども、これによりますと、汚染がある場所や深さなどが不明な状態で土地の形質の変更や土壌の搬出が行われるおそれがございまして、もしそういうことが行われてしまいますと、地下水汚染を引き起こすとか、あるいは、汚染土壌の拡散の懸念があるということがございますので、3,000m2未満であっても、一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合には、やはりあらかじめ届けていただいて、汚染の状況調査を行うべきであろうということになりました。

 どの程度の規模のところからこの届出をお願いするかということは、まだこれから議論をしなきゃいけないということでございまして、先ほど申しましたように、今後の検討を経て第二次答申以降でこれについては詳しくご提案させていただくことになっております。

 それから、1の(4)でございますが、ここに記しておりますのは臨海部の工業専用地域についてでございまして、こういうところは、人への有害物質の摂取経路がないような場合がある。あるいは、もともと埋立材そのものが汚れていたので土壌汚染が起こっているとか、あるいは、自然由来によって汚染が起こっているというような、そういう場合が結構あるわけでございますが、このような特定物質による人為由来の汚染のおそれが少ない、あるいは、おそれがないような土地についても、全く同じように扱うことは合理的ではないのではないかということで、特例を設けるということを提案しております。これは、土地所有者から申請をいただきましたら、新たな区域への指定を可能にするということにいたしまして、この新たな区域では、形質変更については記録をとにかくしておいていただきまして、一定期間ごとに、記録についてまとめて報告をいただければよろしいのではないか。ただし、どういうふうな管理をするのかということについては、あらかじめ都道府県とちゃんと協議をして、合意をしていただくということにしまして、それに沿ってきちっとやっていただくなら事前の届出は要らないというようなことにしたい、こういう提案をしております。

 それから、第2の2の(1)でございますけども、要措置区域については、都道府県等による措置内容の確認を行うということが必要だろうということでありますので、措置実施計画を提出していただいたり、措置が終わりましたという報告の義務をつける、義務づけをするというようなことについての手続を設ける必要があろうということを提案しております。

 また、2の(3)の部分でございますけども、自然由来や埋立材由来の不適合土壌について、一律に全部これを処理施設で処理せよというのは合理的ではありませんので、固有のものについては、もし特定有害物質の濃度が低くて、特定の地層、同一港湾に分布しているということが考えられるのであるならば、これは、人の健康への影響が生じない、その範囲内で、都道府県が事前に確認をしたということがあれば、適正な管理のもとでの資源利用ということができるようにしましょう、こういうようなことを提案しております。

 このほか、土壌汚染の状況調査や区域指定や要措置区域における対策の各段階での必要な見直しを行いまして、土壌汚染に関するリスク管理を一層推進しようと。もともとこの法律は、リスク管理の法律ということでございますから、リスクを防ぐということが目的であって、何が何でも徹底的に浄化をしてくれということを言っているわけではないわけなのですが、まだまだその辺りの理解が十分でないので、今後、この法律の本来の趣旨をさらに徹底していく必要があるだろうということを取りまとめたわけでございます。

 これが、今回の第一次答申でございますが、詳細については事務局からご説明を申し上げます。

(青竹土壌環境課課長補佐)

 そうしましたら、続きまして事務局からご説明をさせていただきます。

 主要な論点の中心に、今後の在り方のほうを整理していただいたものを説明させていただければというふうに考えてございます。

 具体的には、今、目次をご覧いただいていたかと思うんですけれども、その後に、ページ、そこから振っておりまして恐縮でございますが、1ページ目ということになっておりまして、資料でいうと5枚目の紙になるんですけれども、1ページ目、第1の背景のところからご説明をさせていただきます。

 まず最初に、改めて土壌汚染対策法の意義を整理させていただきました。制定経緯を含めて、こちらでご説明しているということでございます。

 2段落目にございますけれども、土壌汚染は、放置すれば人の健康に影響が及ぶことが懸念されることから、国民の安全と安心を確保するため、その環境リスクを適切に管理し、土壌汚染による人の健康への影響を防止する必要があるということでございまして、このため、リスクを管理の対象とした上で、土壌汚染の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施することを内容として平成14年に制定された、ということでございます。

 この1ページ目の中段のところにございますけれども、法制定以前の汚染行為に起因する土壌汚染でありましても、現に土壌汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあることを踏まえて、当該土地の所有者等に当該汚染土壌についてのリスク低減措置を求めるというところでございます。

 一方で、リスク管理が必要とされる土地を的確に把握し、国民負担の軽減に資するために、調査の対象となる区画及び物質については限定するということ、対策についても、人の健康影響を防止するための一般に必要かつ合理的なリスク低減措置の実施を求めるなど、効果的な運用に配慮するものということに、当初より考えられているものでございます。

 2ページ目になりますけれども、平成21年の土壌汚染対策法の改正の背景と概要でございますけれども、こちら、当時の課題を踏まえまして、土壌汚染の状況の把握のための制度の拡充ですとか、要措置区域、形質変更時要届出区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化、それから、土壌の搬出の規制、汚染土壌処理施設に関する許可制度の新設など、搬出土壌の適正処理の確保等の改正が行われて、施行されたというところでございます。

 これが、これまでの法改正の状況でございますが、3ページ目から、平成21年の法改正以降の状況と主な課題ということで整理をしてございます。

 法改正以降の状況につきましては、先ほどの土壌環境行政の中でご説明をさせていただきましたので、割愛をさせていただきます。

 課題につきましては、こちらでも記載をしているんですけれども、次の章で少し詳しめに書いてございますので、あわせてご説明を申し上げたいというふうに考えます。

 5ページ目から第2ということで、今後の土壌汚染対策の在り方について、まとめさせていただいてございます。

 1番の土壌汚染状況調査及び区域指定、(1)有害物質使用特定施設における土壌汚染状況調査の①番の一時的免除中や施設操業中の事業場における土地の形質や搬出の規制ということでございます。

 こちらの2段落目をご覧いただければと思いますけれども、廃止時の土壌汚染状況調査において、約5割の土地で土壌汚染が見つかっているということです。先ほどもご説明をさせていただきましたけれども、条例等による一時的免除中や操業中の規制に関する調査結果では、3割から5割で土壌汚染が確認されておりまして、搬出された汚染土壌が9万5千トンになっているというようなことでございまして、5ページ目の最後の段落になりますけれども、一時的免除中及び操業中の事業場につきましては汚染土壌が存在する可能性が高く、汚染のある場所や深さ、帯水層の位置が不明な状態で土地の形質の変更や土壌の搬出などが行われた場合、地下水汚染の発生や汚染土壌の拡散の懸念がございます。このため、3,000m2未満の土地の形質の変更の場合であっても、一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合には、法第4条のようにあらかじめ都道府県等に届出を行いまして、当該形質変更を行う範囲及び掘削深度内の汚染のおそれがある位置におきまして試料採取を行うなど土壌汚染状況調査を行うべきということでございます。

 あわせまして、調査の対象となる一時的免除中や施設操業中の事業場の敷地の明確化をすべきであるということでございます。

 また、規模要件につきましては、一時的免除中や操業中の事業場の敷地のうち、通常の管理行為等を除き、一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合は届出対象とするということでございます。こちらの具体的な規模要件につきましては、事業者や都道府県等の意見を十分に踏まえ、事務の負担が過大とならないよう留意しながら、形質変更時要届出区域における届出対象ですとか条例等で規制対象とされている面積を考慮しつつ更に検討すべきである、ということでございます。

 このほか、報告様式の提示もすべきということでございます。

 ②番の地下浸透防止措置が行われている施設廃止後の調査と施設設置者の調査への協力でございますけれども、7ページ目のほうに示させていただいてございますが、平成24年の改正水濁法に対応した地下浸透防止措置が講じられた場合でありましても引き続き調査の対象とは、一旦、いたしますけれども、地下浸透防止措置が確実に講じられているということが地歴調査により確認された土地につきましては、その地下浸透防止措置が講じた後に限って当該施設で使用されていた物質については、土壌汚染のおそれが認められないものとして扱うということでございます。

 それから、施設設置者の調査への協力でございますが、有害物質使用特定施設の使用廃止時等の調査が適切に行われなるように、設置者に対して地歴調査ですとか、試料採取等の調査への協力を義務付けるなど役割の強化を行うべきということでございます。

 次に、(2)の一定規模以上の土地の形質の変更の際の土壌汚染状況調査でございますが、①番の法第4条の届出及び調査に関する手続の迅速化ということで、この4条の手続において汚染のおそれを的確に捉えて、迅速に行政判断を行うためには、これまでの届出をして調査命令を受けてから調査に着手するという手続の他に、前もって調査を行い、その結果を届出時に報告する方法も選択できるようにすべきということでございます。

 次に、めくっていただきまして、8ページ目でございまして、②番で、法第4条の届出対象と調査対象とする深度の適正化ということでございますけれども、調査をより効率的に行っていくために、このように届出対象範囲ですとか、調査対象とする深度を適正化すべきというようなことを記載させていただいておりまして、検討していくべきということでございます。

 9ページ目でございます。(3)番の健康被害が生ずるおそれに関する基準ということで、要措置区域の指定に係る基準のうち、地下水経由の健康被害のおそれの有無につきましては、特定有害物質を含む地下水が到達し得る範囲を特定して、その範囲に飲用井戸等が存在するか否かによって都道府県等が判断するということになってございますけれども、この範囲につきましては、都道府県等により個別の事案ごとに適切に設定されるよう促していくということが必要であるということでございまして、個別の土地ごとの地下水の流向・流速、地下水質の測定結果、地質等に関するデータを用い、客観的かつ合理的に汚染の到達範囲の設定を行うための方法について技術的検討を実施すべきであるということでございます。

 飲用井戸の把握につきましては、都道府県等が情報を把握しやすくするように、人の健康被害の防止に関する情報収集を促す規定等を設けるということ、それから、都道府県等において、市町村と連携した飲用井戸等の合理的な把握方法を明確化するように促すべきということでございます。

 次に、大気中へ揮散した特定有害物質の摂取リスクにつきましては、10ページ目のほうに記載をしておりますけれども、法制定当時の検討により、暴露経路としては考慮しないということとされてございます。一方で、土地の形質の変更の際には揮散による大気汚染のおそれがございますので、施行方法に関する基準として揮散防止措置が定められているということでございます。

 引き続き、揮散防止措置を求めていく必要がございますが、さらには科学的知見を集積していくことも重要であるということでございます。

 (4)番の臨海部の工業専用地域の特例でございますが、工場専用地域につきましては、工場が立地していることから土壌汚染の可能性はあるものの、臨海部にあっては一般の居住者による地下水の飲用及び土壌の直接摂取による健康リスクが低いと考えられ、産業活性化及び土地の有効活用のためにも、臨海部の工業専用地域における土地の形質の変更について、人の健康へのリスクに応じた規制とする観点から特例措置を設けるべきというような指摘がございました。

 こちらについて、どのような特例にすべきかということが、10ページ目の下のほうから記載がございます。特例区域の指定の要件でございますが、臨海部の工業専用地域にあって、人への特定有害物質の摂取経路がない土地であり、専ら埋立材由来又は自然由来による所与の基準不適合土壌が広がっており、かつ、特定有害物質による人為由来の汚染のおそれが少ない又はおそれがない土地について、特例を設けるということでございまして、土地所有者等の申請により新たな区域への指定を可能とすべきということでございます。

 こちらについては、自主管理をやっていただくということでございまして、ウのところに、その自主管理のイメージを記載してございます。

 土地の形質の変更及び土壌の移動に関する記録ですとか、新区域内の土地に応じた土地の形質の変更の施行方法の適用の考え方などの自主管理の方法をあらかじめ定めていただきまして、都道府県等と合意して実施すると。こういったことをやる代わりに、都度の事前届出を不要として、土壌汚染の状況を適切に管理する上で最低限必要な情報を年1回程度の頻度でまとめて事後的に届出を行うということでございます。一方で、汚染土壌の区域外への搬出の規制ですとか、土地の形質の変更の施行方法の基準の遵守を求めていくということでございます。

 続きまして、12ページ目でございますが、(5)番の昭和52年3月15日以前に埋め立てられた埋立地の取扱いということでございます。

 現状の埋立地特例区域に指定されるための要件としては、この昭和52年3月15日以降に公有水面埋立法により埋め立てられた埋立地であるということが入ってございますけれども、一方で、これ以前の埋立地であっても、専ら埋立材由来であるという土地が存在しているという指摘もございますので、一定の要件を満たす場合には、埋立地特例区域に指定できるようにすべきであるということでございます。

 それから、13ページでございまして、2番の要措置区域等における対策及び汚染土壌処理施設における処理ということでございます。

 (1)が要措置区域における指示措置等の実施枠組みの①番の措置実施計画及び完了報告の届出並びに都道府県等による確認でございます。

 要措置区域につきましては、都道府県等により指示されますけれども、実際の措置内容の都道府県等による確認が法令上定められていないというようなことでございまして、覆土の厚さ不足、観測井の位置誤りなどの誤った施行方法により、汚染が拡散したり、措置完了に必要な書類が不十分で措置内容が確認できず解除できなかったりといったことがないように、都道府県等による措置内容の確認を確実に行うために、措置実施計画の提出や、措置完了報告の義務等について、統一的な手続を設けるべきということでございまして、詳細についてはこちらに記載をさせていただいているとおりでございます。

 めくっていただきまして、14ページ目の②番の台帳の記載事項の取扱いということでございますけれども、区域指定が解除されたときの取扱いについてまとめてございまして、解除台帳の調製等により、既存の要措置区域等の台帳とは別に残すことで、措置済みの土地であることを明らかにするとともに閲覧可能とし、土壌汚染状況の把握を行う際等に活用できるようにすべきでということでございます。

 それから、(2)番の要措置区域等における土地の形質の変更の施行方法及び搬出時の認定調査 等でございますけれども、①番の施行方法につきましては、15ページ目にわたって書いてございますけれども、地下水位を管理する方法で施工した場合、第二種、第三種の特定有害物質につきましては、汚染は確認しないということが確認されているということでございますので、要措置区域ですとか、形質変更時要届出区域の(一般管理区域)においては、地下水質の監視を行いつつ、地下水位を管理する施工方法を認めることとすべきということでございます。

 ②番の飛び地間の土壌の移動の取扱いにつきましては、一つの事業場の土地や一連の開発行為が行われる土地において、同一契機で行われた調査の対象地内であれば、飛び地になって区域指定された区画間の土壌の移動を可能とすべきということでございます。

 ③番の認定調査の合理化につきましては、先ほど特区法に基づく国家戦略特区の関係をご説明させていただいたところでございますけれども、16ページ目に記載をしてございますけれども、土壌汚染状況調査の地歴調査において、全ての特定有害物質について汚染のおそれの有無を確認して指定された区域に限り、認定調査を実施する際の試料採取等対象物質を、原則として区域指定に係る特定有害物質に限定すべきということでございます。国家戦略特区だけではなくて、全体的にというようなお話でございます。

 (3)番が、自然由来・埋立材由来基準不適合土壌の取扱いということでございますけれども、こちらにつきましては17ページ目の中段にございますが、自然由来特例区域及び埋立地特例区域から発生する基準不適合土壌は、特定有害物質の濃度が低く、特定の地層や同一港湾内に分布していると考えられることを踏まえ、適正な管理の下での資源の有効利用としての活用から、こちらに示しますような移動や活用を可能とすべきということでございます。

 活用を行うに当たっては、受入側土地所有者等が受け入れる土壌の汚染状況を確認するとともに、人の健康への影響が生じない活用方法及び管理方法を決めた上で、都道府県等が事前に確認して行うということでございますが、搬入や管理方法に問題があれば是正する仕組みとすべきということでございます。

 (4)番の汚染土壌処理施設等に対する監督強化、情報公開の推進でございますけれども、18ページ目にございますけれども、汚染土壌の処理状況を確実に把握できるよう、汚染土壌処理業者に報告を徹底させること、さらに、都道府県等による報告徴収・立入検査を強化することにより、適正処理をさらに推進すべきというところでございます。

 また、汚染土壌の処理の透明性確保のため、さらに情報公開についても進めるよう促すべきということでございます。

 次に、3番のその他でございます。

 (1)番の指定調査機関の技術的能力等につきましては、指定調査機関に対する行政機関による監督を適切に実施することに加え、技術管理者が地歴調査を含めた土壌汚染状況調査等の中核としての責任を果たすよう、業務規程にその役割を明確に盛り込むことの義務づけなどを通じて、体制の強化を図るべきということでございます。

 それから、(2)番の指定調査機関に係る手続でございますけれども、指定調査機関の届出事項の変更の手続については、変更後でなければ届出が困難である事項があることなどから、変更後に提出を求めるよう見直すべきということでございます。

 (3)番の基金その他の支援制度でございますけれども、これまでに基金から助成が行われたものは2件ございまして、対策が取られた結果、除去等の措置は完了してございます。

 指定支援法人では、今後、助成が必要となった場合には速やかな助成の実施が可能な体制となっているものの、現時点では、基金の助成対象となり得る案件はないというようなことでございます。

 ただ、将来、健康影響が生ずるおそれがあるために、都道府県等から指示された土壌汚染の除去等の措置を汚染原因者以外の者が行う必要が生じる場合に対応できるように、引き続き、基金を維持しておくべきということでございます。

 それから、(4)番の測定方法のところでは、溶出量試験方法についても、土壌の汚染状態をより適切に分析できるよう、手順の明確化を進めるべきということでございます。

 以上、長くなりましたけれども、第一次答申のご説明を終わります。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

(三浦臨時委員)

 経団連の三浦でございます。

 ただいまご説明のございました第一次答申に対しまして、1点だけ意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 デフレ脱却と日本経済の再生の観点から国内投資の促進が経済界に期待されている中、土壌規制は土地の利活用や国内投資促進に抑制的に働く側面があることから、経団連は土対法規制を緩和する方向で検討していただきますよう、規制改革会議などで要望してまいりました。

 今回、5ページ目にございます有害物質使用特定施設における土壌汚染状況調査におきまして、「調査を行うべき」との方向性が打ち出されております。しかしながら、操業中の事業所及び調査が一時的に免除されている土地で、形質変更時に調査が求められることになれば、調査結果が出るまでの数カ月間、工事ができず、操業に支障を来す懸念が生じます。

 加えまして、環境対策や安全対策などに必要な投資や競争力強化のための投資に多大な支障を来すおそれがございます。

 第一次答申では、事業所の負担が過大なものにならないという規模要件を設計することを求めております。今後、具体的な規模要件を設定する際には、土地の利活用や国内投資促進といった観点を十分に踏まえまして、「人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制」をしていただきますよう、また、設定した要件の根拠を明示していただきますようにお願いを申し上げます。

 以上でございます。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 今のはご要望ということで、事務局のほうはよろしいですね。ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 ああ、どうぞ。

(太田臨時委員)

 小委員会のほうで包括的なご検討をいただき、ありがとうございました。法的な側面と技術的な側面からご議論をいただいたかと思いますが、9ページ(3)の健康被害が生じるおそれに関する基準のところの事実関係の確認をさせていただきたいと思います。
最初の(特定有害物質を含む地下水が到達し得る範囲の設定)の最後のパラグラフで、都道府県等により個別の事案ごとに云々とあり、汚染の到達範囲の設定を行うための方法について技術的検討を実施すべきであるというところ。それから、(飲用井戸等の把握)のところの最後の2行に、都道府県において規定等を設け、また、合理的な把握方法を明確化するように促すべきであると、こうあるんですけれども、それぞれの主体は全部都道府県がやるという認識なのか、あるいは規定等は都道府県だけれども、その方法論、つまり技術的なことについては、また別途のところ、研究機関とか、そういうところでやるのかという辺りが、この中からは読み取れませんので、事実関係をご説明いただければなと思います。

(岡田部会長)

 じゃあ、これは事務局から、はい、どうぞ。

(青竹土壌環境課課長補佐)

 では、ご質問いただきました、まず、地下水が到達し得る範囲の設定の方法のほうにつきまして、個別の土地ごとに地下水の流向・流速等や地下水質の測定結果等のデータを用いて到達範囲を決定するための、こちらの方法について技術的検討を実施すべきというところでございます。

 こちらについて、実際に個別の到達範囲を設定するのは、都道府県等ということになってくるということでございますけれども、その方法論というようなところについては、国に対して技術的検討を実施すべきというふうに、そういう答申をいただいたというふうに理解をしているというところでございます。

 それから、飲用井戸等の把握のほうで、都道府県等において、市町村と連携した飲用井戸等の合理的な把握方法を明確化するよう促すべきというようなことでございますけれども、こちらもその飲用井戸等を具体的に把握できるのは、都道府県もしくは、さらに住民の方に近い市町村ということになってきますので、ただ一方で、個別自治体ごとにその地下水の利用状況等は異なってくるかと思います。こちらについては、その個別の自治体の都道府県等を主体に、合理的な方法を明確化していくということが必要かと。こちらとしては、国としては、そういったことをやるように促していくということが必要なのかというふうに理解をしてございます。

(太田臨時委員)

 はい。技術的手法や一般論と、それの適用という関係だと分かりましたので、うまく連携を図っていただければと思います。

(岡田部会長)

 じゃあ、浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)

 後半の点について、実は検討はいたしました。法的に何か手当ができないかなというようなことを考えたのですが、どうも、やっぱり飲用の井戸があるかないかの届出を、土対法に直結させてというようなことはなかなかできそうもない。

 しかし、自治体ではそれぞれ工夫をしておられて、他の法令によって情報を集めることができる場合にはそれを利用するというような、いろんなやり方がありますから、そういう点は少し国でも実態調査をして、適切な例があれば、そういうものはお示しすることによって、それぞれの自治体が自分のところの参考になるような紹介もできるだろうということになりました。これはなかなか悩ましい問題でございまして、すぱっとこう割り切ったりとかできないところでございます。

(太田臨時委員)

 よくわかりました。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。はい、どうぞ。

(平田臨時委員)

 今、技術的な内容についてということで、実はもう検討は始めてございますので。

 一番のベースはアメリカのレベッカになると思うんですね。レベッカがあって、それから、イギリスもクレア等々、アメリカなんかは30年ぐらいかかっているんですね、開発するのに。イギリスでも10年ぐらいかかっておりまして、日本は今やっと始めているというところで、これから、じゃあ来年度ぐらいにできるのかといいますと、できるところまではやらせていただく。いろんな場合分けがございますので、レベルに応じた対応策といいますか、計算手法を提示をすると。

 実際に設定するのは自治体ですので、彼らができるようなところにまでブレイクダウンをして、それなりの説明会まで全部環境省のほうでやるという、そういう形になろうとは思います。

 そういう意味では、本来、もともと他方では、それぞれの自治体で設定をすると、到達する範囲を設定するということになってございますので、それに大分近づくのかなということで、合理的な範囲ということですので、経済界から求められているような緩和の一つにもなるのかなという感じはしております。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。よろしいですね。

 はい、どうぞ。

(渡辺臨時委員)

 日本鉄鋼連盟の渡辺でございます。

 今回の答申につきまして2点、意見というか、お願いをいたしたいと思います。

 1点目は、先ほど三浦委員からもございました、5ページ目の有害物質使用特定施設における土壌汚染状況調査のところで、今回の調査対象の拡張につきましては、先ほど三浦さんからありましたが、人の健康へのリスクに応じた最低限の規制ということを考慮していただくということをしていただきながら、答申にもありますけれども、事業者の意見を本当に十分に踏まえてというところを、ぜひ、対象範囲の決定や規模要件の検討のときにお願いをしたいと思います。

 それから、鉄鋼連盟として、10ページ目の臨海部の工業専業地域の特例ということについてでございますけれども、この特例の対象になる範囲につきましては、臨海部の埋立地、かつ、工業専用地域という特別な地域についてということでございますので、もともと多くの土地が工場を立地させるために埋め立て及び造成をした土地という経緯とかですね、あと、一般の住民の方が定常的には生活する区域ではほとんどないということ、そういう観点も考慮して、こちらもくどいようですけれども、事業者の意見を十分踏まえた上で、臨海部の具体的に対象となる範囲を検討していただきたいというふうに、二つお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

(岡田部会長)

 はい、ありがとうございました。今の点もよろしいですね。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ。

(谷口臨時委員)

 この新しく法律が改正されて、実際に運用されるということになってまいりますと、まあ、土地所有者の方々に都道府県がいろいろと説明したり、理解を求めたり、また、指導をしたりということになってくると思うんです。

 そういったときに、いろんな取扱いが地域によって異なってくるというようなことは、極力避けないといけないというふうに思うわけでして、この新しくいろいろ導入されることについては、ぜひとも、いろんな全国の事例を各都道府県で共有できるような運用体制というのを、ひとつお願いしたいなというふうに思っています。

 それから、対策が済んだところの台帳の解除ですね、指定解除についての台帳を新たに設けるということですが、私の経験から、土地所有者が汚染地のすぐ近傍の方々に、大変、土壌汚染を引き起こしてすまないという思いで、かなりのお金をかけて対策をされたわけですけれども、そういった人にとってみれば、こういう過去の記録がいつまでも残るというのは、また、これはこれでせっかく対策したのに記録が残ったままということで、また、これちょっとテンションが下がるようなことではないかなと、こう思うわけです。

 ですので、これは小委員会でもちょっと議論がありましたけれども、この情報については、誰に閲覧することができるようにするのかというところは、ちょっと将来考えて、検討をお願いしたいなというふうに思うわけです。

 それから、もう1点は、現に都道府県で条例があって、今回、土対法が改正されると、その条例で規定されていることの一部を土対法がやっちゃうといった、取ってしまうということになっていくんだろうというふうに思うわけです。

 その際に、条例が法に違反しているということになると、条例を持っている都道府県にとっては困ったことになると思いますので、その条例との関係をいろいろと整理していただいて、条例に不都合が出てこないような格好で法律の改正をしていただければなというふうには思うわけです。

 以上、ほとんど要望ですけども、お願いしたいと思います。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。今のご意見に対してもよろしいですね、特段、今の時点では。

(是澤土壌環境課長)

 はい。ご意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 じゃあ、大塚委員、どうぞ。

(大塚臨時委員)

 今、谷口委員がおっしゃった、第1点のほうの14ページのほうの台帳の件は、審議会の議論したところで、今までは消去をしていたので、ちょっと対応を変えるということでございますが、この辺は事業者の方も承諾していただいた、委員の方には承諾していただいたようなところでございますので、これ、また閲覧をするときに何か限定するとかということにすると、ちょっと情報公開の観点からは難しいみたいになると思いますので、閲覧を限定するというのはちょっとやめたほうがいいかなという。

 今までの方法を変えないんだったら変えないという方法もあったんですけれども、これは協議会で議論した結果、変えるということになったので、谷口委員がおっしゃることもわからないではないんですけども、ここは閲覧可能としてしまうんだったら、もうやっぱり、ほかの場合と同じように扱わざるを得ないんじゃないかということを、ちょっと意見として申し上げておきます。恐れ入ります。

(岡田部会長)

 ありがとうございます。

 はい、どうぞ。

(浅野委員)

 さっきの谷口委員も言われた台帳についての最初にご発言になられた点は、法制定時に盛んにそういうことは言われて、私は最初から記録をちゃんと残すべきだと主張したんですけども。金をかけて対策を立てたのに、指定されたという記録がいつまでも台帳に残るのは嫌だという声が随分強くて、それで当初は全く消してしまうということになったのですが、そのことから出てくる矛盾というのは絶対起こるだろうと思っていました。案の定、起こっているわけですね。

 今回はそういう経験を踏まえて、産業界の方も含め、やはり同一の台帳に記載するかどうかは別であるが、と、これは大事な点なんですね。別置するということでもいいだろうというふうには考えているのですけども、全く記録を消してしまうというのは甚だ不合理であるという結論になったわけでした。当初から私はそうすべきだと思っていましたので、ようやくそれが実現できたというふうに思っています。

 ただ、開示については、確かに戸籍のようなセンシティブな情報については、ご存じのように個人情報保護の見地から、一般には閲覧させないということができるのですが、ちょっとこの土壌の汚染といった人の健康にも係る情報については、これの開示に制限を加えるといったそういう扱いができるかどうかは、なかなか難しいものがあると思いますし、少なくとも次の第二次答申の段階で、もし何か工夫ができるなら考えることはあるだろうと思いますけれども、一律に制限をかけるというのは、今、大塚委員がおっしゃるように、今の情報公開の制度のもとでの制限事由と比較した場合にもなかなか難しかろうと思います。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 はい、どうぞ、浅見委員。

(浅見臨時委員)

 申し訳ありません。要望ということで、産業界の方とかいろいろ行政の方とか、小委員会のときにもたくさんご発言をいただきまして、やはりちょっと一般的な観点からで恐縮なんですけれども、今の議論でも、透明性の確保というのは、やはり全体的に求められていることだと思いますので、ぜひ何らかの形で、何十年か後に調べたいということが生じてしまうかもしれないですし、産業界の方も、実はそこの土地をまた新たに買って始められる方もいらっしゃるかもしれないので、そういう意味でも、やはり記録は何らかの形で公開に、透明性を確保していただけるようにお願いしたいと思います。

 あとは、先ほど、調査に非常にお金がかかるし、時間もかかるしというのも小委員会で議論がございましたんですけれども、ちょっと非常に過剰に調べたときのことを念頭に置かれていたようなこともありまして、委員のほうも、測定はなるべく簡便に必要なところだけ素早く行って、結果を反映していくということも重要なのではないかというようなご意見もありましたので、そういったことが考慮されて、両方にとってよく、かつ住民の方にも安心していただけるような方策で具体案を練られていくということを期待しております。よろしくお願いいたします。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 本日は、最初の三浦委員から始まり、たくさんのご意見、ご注意をいただきまして、本当にありがとうございます。これを踏まえて今後の検討をお進めいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ということで、よろしいですね。

 はい、ありがとうございました。

 それでは、ほかにないようでございましたら、事務局のほうは、この答申を踏まえた土壌汚染対策の在り方の見直しについて行っていくわけですが、今後のスケジュールの説明を簡単にお願いしたいと思います。

(是澤土壌環境課長)

 先ほどから既にお話が出ておりますけれども、現在、この第一次答申の内容を踏まえまして、土壌汚染対策法の改正法案の作成作業を進めているところでございます。

 今月に開催されます通常国会への提出を目指しておりまして、法案が成立した場合には、その後、速やかに必要な政省令等のより具体的な技術的事項の検討に移る予定です。そのようなスケジュールを念頭に準備を進めてまいりたいと思っております。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 それでは、次に報告事項の3、最近の農薬環境行政に移らせていただきます。

 事務局から資料のご説明をお願いいたします。

(小笠原農薬環境管理室長)

 それでは、ご説明させていただきます。資料の4をご覧ください。

 前回の土壌農薬部会以降の取組状況となります。

 初めに、1の農薬登録保留基準についてでございます。

 農薬は、農薬取締法によりまして農林水産大臣による登録を受けなければ製造、輸入ができず、登録のための審査に必要な基準については、環境大臣が定めております。

 (1)の水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る基準、こちらにつきましても環境大臣が定める基準でございまして、個別農薬ごとに基準値を設定しております。

 現在の基準値設定のための評価の仕組みにつきましては、水産動植物の基準値、これにつきましては平成17年、水質汚濁の基準値につきましては翌18年から、それぞれ新しい評価方法が導入され、その後、新規登録の申請がされた農薬とともに、それまでに登録された農薬も含めまして、新たな評価方法により基準値の設定を進めてきているところでございます。

 これら基準値の設定につきましての進捗状況でございますが、前回の土壌農薬部会以降のおよそ1年の間に、農薬小委員会を6回、また、それに先立ちまして、専門家によります水産基準値案を策定するための検討会を6回、また、芝や樹木等の非食用農作物専用農薬、こちらにつきましての水濁基準値を設定するための安全性評価、こちらの検討会を4回、それぞれ開催をしてきまして、個別農薬ごとにご審議をいただいております。

 こうした検討会での審議を経て決定されました基準値の数でございますが、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準につきましては、平成24年に閣議決定されました生物多様性国家戦略、こちらにおきまして、平成32年までに全ての農薬について水産基準値を策定することを目標とされております。

 前回の土壌農薬部会以降、水産基準につきましては、新たに47農薬、累計で342農薬で基準値を設定し、また、4農薬につきましては暴露のおそれが極めて少ない等の理由によりまして、基準値の設定は不要と判断をされ、累計では118が不要となっております。

 あわせまして、460の農薬で水産に係る評価をいただいているところでございます。

 現在、我が国には約580の農薬がございますので、およそ8割が終了したところでございます。

 また、水質汚濁に係る農薬登録保留基準につきましては、新たに18農薬、累計では241農薬で基準値を設定し、うち3農薬につきましては、非食用農作物専用農薬のための安全性評価の審議をいただきました。

 このほか、4農薬につきましては、暴露のおそれが極めて少ないとの理由によりまして、基準値の設定は不要と判断され、こちらも累計で120となり、あわせまして361の農薬で水濁に係る評価をいただいているところでございます。

 続きまして、(2)の飼料作物残留に係る農薬登録保留基準等の見直しについてでございます。

 こちらは農薬の作物残留に係る基準と、そして、土壌残留に係る基準に関するものでございますが、牧草等の飼料用農作物に使用する農薬につきまして、農林水産省におきまして、新たに家畜代謝試験と家畜残留試験を農薬取締法テストガイドラインに導入することとされたことによるものでございます。

 当該試験成績によりまして、畜産物の残留農薬濃度が推定されますので、食品衛生法に基づく畜産物の残留農薬基準の設定が可能となることから、農薬登録保留基準においても食品衛生法を引用した規定に改正をし、判断基準をより明確なものとするために見直しを行うものでございます。

 本件につきましては、平成27年12月1日付で環境大臣より中央環境審議会に諮問、土壌農薬部会に付議されたことから、前回の土壌農薬部会でご説明をさせていただいたところでございます。

 具体的な審議は農薬小委員会により行われまして、その後、平成28年7月21日付で、本件の見直しの内容は適当であるとの答申をいただいたところでございます。

 その後、厚生労働大臣、食品安全委員会に対するご意見を伺い、いずれも了承する旨の回答をいただいております。

 今後、農業資材審議会に対してご意見を伺いまして、最終的な改正の手続を進めることとしております。

 続きまして、2ページ目の(3)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定における種の感受性差への対応についてでございます。

 水産基準の設定に当たりましては、魚類のコイ、または、ヒメダカ、甲殻類のオオミジンコ、藻類のムレミカヅキモの3種を必須の試験生物種として、それぞれの急性影響濃度を求め、感受性差の種間差を考慮いたしまして、最も低い値を水産基準値としております。

 しかしながら、農薬の作用機構分類・系統ごとに感受性について調査したところ、幾つかの系統の農楽では、オオミジンコに比べ、昆虫類のユスリカ幼虫に対し高い感受性が示されたことか ら、平成28年3月の農薬小委員会でご審議をいただき、新規登録を受けようとする全ての殺虫剤及び、既に登録されている農薬であっても、その作用機構がニコチン性アセチルコリン受容体に作用する農薬、いわゆる、ネオニコチノイド系農薬と、その類似のもの、それから、GABA受容体に作用する農薬、こちらにつきましては、昆虫類でありますユスリカ幼虫を用いた試験成績の提出を求め審議することといたしました。

 これには、水産基準値が既に設定されております農薬も対象であり、それらの再審議も行うこととしております。

 種の感受性差につきましては、13ページのほうに別添資料2ということでつけておりまして、若干ちょっと補足をさせていただきます。こちら別添資料2の18ページをご覧ください。

 18ページが個別剤、農薬の系統ごとの感受性差、種間差の比較でございます。

 左側の数値は対数となっておりますが、幾つかの棒グラフがございます。

 一番下に黒く塗られているのがユスリカの幼虫でございます。ほかの白抜きがコガタシマトビケラ、ほかのヌマエビ・ヌカエビ、それから、ヨコエビといった甲殻類の種類がございます。

 現在では、オオミジンコの急性毒性値を用いているわけでございますが、ほかの生物種の急性影響濃度、こちらと比べた際に感受性差がどうかというものでございます。

 上のほうに出ておりますのは、オオミジンコに比べて感受性が弱い、下に出ているものは、オオミジンコに比べまして、より感受性が高いということになりますけれども、幾つかの剤におきまして、ネオニコチノイド系のところ、それから、フェニルピラゾール系などが、オオミジンコに比べまして他の生物のほうで高い感受性が認められております。

 19ページのほうをご覧いただきますと、こちら特に感受性に差が大きい、先ほど申し上げましたニコチン性アセチルコリン受容体、そして、GABA受容体に作用する農薬を並べておりますけれども、こちらについて、詳細にオオミジンコと他の生物種を比べたグラフ(1)のほうが、ユスリカ幼虫と比較しての他の生物種の感受性の図でございます。これをご覧いただきますと、ほとんどのものが下のほうに伸びていると。要は、オオミジンコに比べて他の生物種のほうが感受性が高い、また、(2)のほうを見ていただきますと、今回のユスリカの幼虫を試験対象種として提出を求めるというふうにしましたのは、こちらユスリカ幼虫に比べまして下のほうに来ているものもございますけれども、現在、感受性差を考慮するために不確実係数というもので10を用いているわけですが、概ねこの10の中に入ると。

 ただし、コガタシマトビケラというものがそれを超えているのですけども、コガタシマトビケラにつきましては、現在では農薬取締法によりますテストガイドライン、また、国際的に認められておりますテストガイドラインの対象種となっていないということで、直ちにこれを生物種として用いることはできませんので、それを除いたところでは、ユスリカ幼虫をこれらに作用する農薬について試験種として用いるのが適当というふうに判断をしたところでございます。

 また資料を戻っていただきまして、2ページのほうにお戻りください。

 続きまして、2番目の平成27年度河川中農薬モニタリング調査結果についてでございます。

 モニタリング調査につきましては、特に農薬登録保留基準値と環境中予測濃度、こちらが近接している場合に実施をしております。

 平成27年度につきましては、全国7道府県で延べ27農薬につきましてモニタリング調査を実施しました。そのうち環境基準点の3箇所におきまして、水産基準値の超過が見られました。超過があった件に対しましては、超過要因の解析と対策の実施を求めたところでございます。

 平成28年度のモニタリング調査につきましては、前年度に調査のあった地点も含めまして、全国で6道府県、延べ17農薬について実施をしております。

 調査結果につきましては、現在、請負業者におきまして取りまとめ中でございますが、いずれの地点でも基準値の超過は見られなかったと聞いております。

 続きまして、3のゴルフ場使用農薬に係る27年度水質調査結果及び指導指針の改正についてでございます。

 ゴルフ場で使用されます農薬による水質汚濁を未然に防止するため、平成2年にゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針を定めまして、都道府県がゴルフ場を指導するための水濁指針値を設定しているところでございます。

 本指針に基づきます平成27年度の水質調査では、515箇所のゴルフ場を対象に、延べ1万5,902検体で実施をし、その結果、ゴルフ場排水口においての指針値を超過する事例はございませんでした。

 また、現行の水濁指針値では人畜への被害のおそれがない排出水であっても、水産動植物に被害が発生するおそれがありますので、生態系保全の面からゴルフ場を指導するための水産動植物被害の防止に係る指針値を新たに導入することといたしました。このため、本指導指針の改正につきまして、昨年11月の農薬小委員会でご審議をいただき、現在、パブリックコメントの手続を経て、指導指針の改正の検討を進めているところでございます。

 こちらにつきましても、別添で32ページになりますが、別添資料4、ゴルフ場で使用される農薬による水産動植物被害の防止に係る指導指針について(案)ということで、こちらが農薬小委員会で了承されまして、パブリックコメントにおきましても添付をした資料となっております。

 こちらの中の33ページをご覧ください。こちらのほうに現状と課題、それから、その(1)の水濁基準値と水産基準値の比較について補足させていただきます。

 先ほど申し上げました水濁基準値といいますのは、(ADI)一日摂取許容量、こちらをもとに算出されまして、水産基準値は水産動植物の急性影響濃度、これをもとに算出されております。

 それぞれ基準値は農薬によって差が生じております。平成28年11月1日現在でございますが、水濁基準値のほうは236件設定されておりますけども、そのうち111件、47%ということですので、約半分につきましては、水濁基準値に比べまして、水産基準値のほうが値が小さい、ここでは水濁基準値のほうがより大きい値となっております。要は、約半分の値につきましては、水濁基準値を上回っていなくても、水産基準値のほうを上回っているという可能性がございます。このため、人畜に被害が生じるおそれがない排水であっても、水産動植物に被害が発生するおそれがあるため、今回の水産に対しての指針値というものを設けることとしたところでございます。

 次の34ページをご覧いただきますと、3として対応方針がございます。

 (1)といたしまして、こちらでゴルフ場で使用される農薬による水産動植物被害を未然に防止するため、地方公共団体が生態系保全の面からゴルフ場を指導する際の参考となる水産指針値を設定するとしております。

 (2)といたしまして、ゴルフ場の排水口からの排水の農薬濃度を対象とし、公共用水域での希釈を考慮して、水産基準値の10倍値、こちらを水産指針値とするということで、現在の水濁指針値につきましても、こちらの希釈を考慮いたしまして、水濁基準値の10倍値を設けておりますので、考え方は同じでございます。

 こうした新たな指導指針の中に、水産指針値というものを導入するということで、現在、検討をさらに進めているところでございまして、今年度中に必要な手続を終え、通知の改正を行いたいというふうに考えております。

 それでは、また3ページにお戻りください。

 3ページ、4番目、農薬危害防止運動等についてでございます。

 農薬の使用に伴う事故・被害を防止するため、農薬の安全かつ適正な使用や保管管理、環境への影響に配慮した農薬の使用等を推進するため、農薬危害防止運動というものを関係部署と連携をいたしまして、昨年6月から8月にかけて実施をしております。

 また、年間を通じまして、都道府県や関係団体が主催します農薬に関する研修会におきまして、住宅地周辺や公園等の公共用施設内で農薬を使用する者が遵守すべき事項の周知を行うなど、農薬の適正使用の推進に取り組んでいるところでございます。

 最後に、5の農薬の新たなリスク評価手法の検討に関する取組みについてでございます。

 第四次環境基本計画におきまして、「農薬については、水産動植物以外の生物や個体群、生態系全体を対象とした新たなリスク評価が可能となるよう、科学的知見の集積、検討を進める」とされております。

 こうした中、ネオニコチノイド系農薬、フェニルピラゾール系農薬等につきまして、トンボや ミツバチの生息等生態系への影響が懸念されていることから、環境省では平成26年から平成28年度の3カ年、水域生態系の重要な指標でありますトンボの調査を行っております。

 そして、平成29年度からは、花粉媒介昆虫であります野生ハチへの影響について調査研究を行うこととしております。

 また、同じく平成29年度からは、除草剤の影響を受けやすい水草等の水生植物について、農薬による影響や水産動植物との関係性を明らかにし、新たに、リスク評価手法の確立を図るための調査研究に取り組むこととしております。さらに、現行の水産基準の設定に係る評価手法、こちらは、河川等の水中に残留する農薬による水産動植物に対する急性影響のみを評価としておりますので、農薬による慢性影響や底質から受ける水産動植物への悪影響を防止する観点からは不十分でございます。このため、平成28年度から慢性影響評価試験について、魚類初期段階生活毒性試験、そして、オオミジンコ繁殖試験について検討を始めたところでございますが、平成29年度からは、本格的にユスリカ幼虫による底質毒性試験にも取り組むこととし、農薬の評価手法の高度化を一層進めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上、農薬環境行政についてのご説明でございます。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。

 じゃあ、どうぞ、大塚委員。

(大塚臨時委員)

 すみません。非常に単純な質問をして恐縮ですが、ネオニコチノイド系の農薬に関しては、外国ではミツバチとの関係で特に問題になっていたんですけれども、この平成26年度から調査を始められたときに、最初にトンボのほうからも始められているんですけど、野生ハチについては平成29年度からなさっていますが、こういうときには私はやっぱりハチから始めるべきじゃないかと思うんですけれども、どういう経緯でトンボから先に調査を始められたのか、ちょっと教えてください。すみません。つまらないことで申し訳ございません。

(岡田部会長)

 どうぞ。

(小笠原農薬環境管理室長)

 海外で問題になっておりましたミツバチにつきましては、一方で、農林水産省のほうで、前年の平成25年度から27年度にかけまして、ミツバチへの農薬への影響について実態調査というものを始めていたというところがございます。

 このため、環境省におきましては同じハチ類の調査ではなく、まずは水域生態系を見る上での重要な指標となりますトンボのほうを先にやったということでございます。

(岡田部会長)

 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

(なし)

(岡田部会長)

 特段ご意見がないようでしたら、本日の全体を通じて、何か追加のご意見、ご質問等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

(なし)

(岡田部会長)

 よろしければ、続いて、議題の2、その他でございますが、事務局から何かございますでしょうか。

(是澤土壌環境課長)

 特にございません。

(岡田部会長)

 はい、かしこまりました。それでは、特にないようでしたら、本日の議事については以上となります。ありがとうございました。

 それでは、進行を事務局にお返しいたします。

(是澤土壌環境課長)

 本日はご多忙の中ご出席、誠にありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、事務局で調整いたしました後、委員の皆様の確認を経て、公開させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 また、お手元の黄色いファイルにつきましては、今後も継続して使用してまいりますので、机の上に残してご退室いただきますよう、お願いをいたします。

 それでは、以上をもちまして、第33回土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

(了)