中央環境審議会土壌農薬部会(第19回)議事録

1.日時

平成17年 6月24日(金)10:00~12:00

2.場所

三田共用会議所

3.出席委員

部会長 松本 聰 臨時委員 黒澤 正敬
佐藤 泉
佐藤 福男
嶌田 道夫
白石 寛明
鈴木 英夫
中杉 修身
中野 璋代
細見 正明
眞柄 泰基
森田 昌敏
委員 大塚 直
櫻井 治彦
高橋 滋
藤井 絢子
和気 洋子
臨時委員 今井 秀夫
上路 雅子
岡田 齊夫
岸井 隆幸
黒川 雄二

(欠席は、須藤委員、桝井委員、浅野臨時委員、稲垣臨時委員、亀若臨時委員、河内臨時委員、  五箇臨時委員、関沢臨時委員、若林臨時委員、渡部臨時委員)

4.委員以外の出席者

環境省
甲村水環境部長、鏑木土壌環境課長、早川農薬環境管理室長、志々目地下水・地盤環境室長 東條土壌環境課課長補佐、辻原土壌環境課課長補佐、中山土壌環境課課長補佐

5.議題

(1)
今後の土壌環境モニタリングについて
(2)
土壌汚染技術基準等専門委員会の検討事項について
(3)
その他

6.配布資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 中央環境審議会土壌農薬部会(第18回)議事要旨(案)
資料3 中央環境審議会土壌農薬部会(第18回)議事録(案)
資料4 土壌環境モニタリングプラン(案)
資料5 農用地の土壌の汚染防止等に関する法律における法定受託事務の処理基準につ いて 新旧対照表
資料6 ダイオキシン類対策特別措置法における土壌の常時監視に係る法定受託事務の処理基準について 新旧対照表
資料7 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討して頂きたい事項等
資料8 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会委員名簿
資料9 中央環境審議会議事運営規則
参考資料1 環境基本法、土壌汚染対策法、地方自治法、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律及びダイオキシン類対策特別措置法関連条文
参考資料2 日本の地球化学図
参考資料3 地方自治体の市街地土壌汚染対策関連予算について
参考資料4 地方自治体の農用地土壌汚染対策関連予算について
参考資料5 地方自治体のダイオキシン類汚染土壌対策関連予算について
参考資料6 土壌汚染対策法附帯決議
参考資料7 「平成17年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査及びダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の募集について
参考資料8 土壌残留及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改定について

7.議事

(鏑木土壌環境課長)
 定刻でございますので、ただいまから第19回中央環境審議会土壌農薬部会を開催させていただきます。
 本日は、委員総数32名中23名の方々の御出席が予定されております。ただいまのところ18名の先生の御出席をいただいておりますので、既に部会開催の要件、つまり定足数17名を満たしておりますことを、まず御報告させていただきます。
 議事に先立ちまして、甲村水環境部長より御挨拶を申し上げます。

(甲村水環境部長)
 おはようございます。水環境部長の甲村でございます。
 第19回の中央環境審議会土壌農薬部会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
 本日は委員の皆様方、お暑い中、御多用中にもかかわらずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、最近の水環境行政を巡る大きな課題、動きといたしまして、水質関係でございますけれども、先日14日に湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律が成立しております。これは約20年前に制定された法律でございますけれども、従来の対策に加えて、農地・市街地等から流出する汚濁負荷の削減対策、いわゆる面源からの汚濁負荷の削減対策と、それから湖沼の水質の改善に資する葦などの植生を保護するための制度、それから、この計画を個々の湖沼でつくるわけですが、その計画をつくる際に地域の住民の意見を反映させる制度などを設けたところでございます。施行は1年以内ということになってございますので、今後政令並びに規則等の制定を急ぎますとともに、実際現実の場所で湖沼の水質がさらに良くなるように努めてまいりたいというふうに思います。
 また、今日はお暑い中、皆様お集まりいただきまして、ありがとうございます。私ども環境省の人間を見ていただいてわかりますように、いわゆるノーネクタイということで、政府全体として夏の軽装、いわゆるクール・ビズというのを推進しております。多分この部屋の冷房も28度、ちょっともう少し下がっているような気はしますけれども、28度として、いわゆる温暖化ガスを減らしていこうということで。また、国民ひとりひとりの自主的取り組みといたしまして、チーム・マイナス6%というような、任意に加入できるクラブみたいなものをつくっておりまして、それは環境省のホームページなり首相官邸のホームページからアクセスできるわけでございますけれども、誰でも入れます。そして、入っていただいた方には定期的にいろいろな情報を含んだメールが送られてくるということでございまして、そういうようなことで、一丸となって地球温暖化防止ということで努めているところでございます。
 さて、今回の土壌農薬部会でございますけれども、御審議いただく大きな点につきまして、まず1つは、御存知のとおり、いわゆる昨年からの三位一体の改革に関係いたしまして、環境監視にかかわる補助金が地方自治体に税源移譲されました。これに伴って土壌環境モニタリングにかかわる補助金も廃止されることとなりましたので、このような事情を背景として、改めて土壌環境モニタリングにかかわる国と地方の役割分担について、本日御議論をいただくことをお願いしたいと考えております。
 また、前回の部会からこれまでの間、土壌及び農薬行政につきまして、幾つかの動きがございましたので、報告事項として御報告させていただきたいと思います。
 以上、簡単でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料について、御確認をいただきたいと思います。

(東條土壌環境課課長補佐)
 まず、資料1といたしまして、中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿。資料2といたしまして、中央環境審議会土壌農薬部会第18回議事要旨(案)。資料3といたしまして、中央環境審議会土壌農薬部会第18回議事録(案)。資料4といたしまして、土壌環境モニタリングプラン(案)。資料5といたしまして、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律における法定受託事務の処理基準について、新旧対照表。資料6といたしまして、ダイオキシン類対策特別措置法における土壌の常時監視に係る法定受託事務の処理基準について、新旧対照表。資料7といたしまして、中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討して頂きたい事項等。資料8といたしまして、土壌汚染技術基準等専門委員会委員名簿。資料9といたしまして、中央環境審議会議事運営規則。
 参考資料1といたしまして、環境基本法の条文で始まります、関連条文の資料。参考資料2といたしまして、日本の地球化学図。これは冊子になっております。参考資料3といたしまして、地方自治体の市街地土壌汚染対策関連予算について。参考資料4といたしまして、地方自治体の農用地土壌汚染対策関連予算について。参考資料5といたしまして、地方自治体のダイオキシン類汚染土壌対策関連予算について。参考資料6といたしまして、土壌汚染対策法案に対する附帯決議。参考資料7といたしまして、「平成17年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査及びダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の募集について。
 参考資料8といたしまして、土壌残留及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準改定の検討状況でございます。

(鏑木土壌環境課長)
 もし足りないものがございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。

(なし)

(鏑木土壌環境課長)
 特にないようでございましたら、議事に入らせていただきたいと思います。
 このマイクの使い方をまず御説明させていただきますが、このマイクのパネルのところに一番大きなスイッチがございます。これを1回押していただきますと、赤いランプがつきまして、これでマイクが入ります。もう一遍押していただきますと、これが消えるようになっております。よろしくお願いいたします。
 それでは、松本部会長、議事進行をお願いいたします。

(松本部会長)
 本日は、委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところを御参集いただきまして、まことにありがとうございました。
 まず、議事に先立ちまして、資料2の第18回土壌農薬部会議事録要旨と、資料3の議事録(案)の確認でございます。
 議事要旨は、本部会の運営方針に基づきまして公開の手続をとることになりますので、この場で御確認をお願いしたいと思います。
 それでは、まず議事要旨についてはいかがでしょうか。

(異議なし)

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。
 特段御意見がございませんので、それでは、議事要旨につきましては、お認めいただいたということにさせていただきます。
 次に、議事録でございます。
 議事録につきましては、事前に事務局から配付をいただきまして、御確認をいただいている、そういうふうに思っております。そこで、お認めいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

(異議なし)

(松本部会長)
 よろしいですか。
 それでは、議事録についても、特に御指摘がございませんので、お認めいただいたことにさせていただきます。
 では、議事次第に従いまして、早速「議題(1)」の「今後の土壌環境モニタリングについて」から入りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 本日は、資料4として、「土壌環境モニタリングプラン(案)」というものを御用意させていただいております。先生方、既に御承知のように、政府は三位一体改革を推進しているところでございますが、土壌環境のモニタリングにつきましても、昨年までありました国庫補助金を廃止いたしまして、それを税源移譲することとしているところでございます。
 それでは、この先、国として、いかようにその土壌環境のモニタリングをしていくかということで、その考え方を整理してみたものが、この「土壌環境モニタリングプラン(案)」でございます。本日はこの資料をもとにこのプランの御説明をさせていただきました後、先生方の御議論を賜りまして、それを受けて本部会で御議論をいただいた「土壌環境モニタリングプラン」、「(案)」を取りまして、成果物として、今後の予算要求あるいは実際のモニタリングの実施などの施策に生かさせていただきたいということでございます。
 事前の御説明が長くなりましたが、本件は私どもの今後の政策展開の実務面で非常に重要なことでございますので、よろしく御審議をお願いいたします。
 それでは、資料の御説明をさせていただきます。

(東條土壌環境課課長補佐)
 それでは、資料4の説明をさせていただきます。
 まず1の「はじめに」のところについては、このモニタリングプラン検討の契機、経緯について、少し書いております。「環境の状況のモニタリングは、環境の変化及び環境の変化による影響を予測し、環境の現状や予測される将来に応じた環境施策を講じる上で欠くことのできない基礎的な施策である」と、まず、そのモニタリングの重要性について書いております。
 これまでそのモニタリングについては、土壌汚染対策関連の法律が3つございまして、農用地土壌汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、土壌汚染対策法のそれぞれの法体系におきまして、都道府県及び政令で定める市に対して、国庫補助制度を設けて実施を担保、奨励をしてきたところでございます。
 これらの法律のうち、農用地土壌汚染防止法とダイオキシン類対策特別措置法につきましては、都道府県に常時監視義務というのが法定受託事務として定められておりまして、環境省がその事務の処理基準を定めて、必要な環境監視の実施を確保するというようなことをしてきております。
 一方、土壌汚染対策法については、そういう常時監視の義務はございませんけれども、国庫補助の要綱などによって奨励したい環境監視の内容を示して、環境監視を促進してきたという経緯がございます。
 ところが、これらの補助金につきましては、この度の三位一体の改革によって税源移譲の対象として廃止されることになりました。このことが環境監視データの整備に与える影響というのは、先ほど申し上げました農用地土壌汚染防止法とダイオキシン類対策特別措置法と、土壌汚染対策法を比べますと、土壌汚染対策法に関するものが大きいと。すなわち常時監視義務がある法律と、補助金によって奨励してきたものの差というのが出てまいります。常時監視義務がある法律につきましては、補助金がなくなりましても、処理基準というものを示すことによりまして、その質と量を担保することができます。ところが、土壌汚染対策法についてはそういう常時監視の義務がありませんので、これまで国庫補助の要綱で国と都道府県で共同の作業として行ってきた土壌状況の把握というのが、今後は環境基本法に定める国と地方公共団体の役割分担に立ち返って、それぞれの立場で必要とする環境情報を収集するために行われるというようなことになるのではないかというふうに考えております。
 そのため、今般、農用地以外の土地に係るダイオキシン類以外の土壌汚染の状況、つまり土壌汚染対策法が対象としております土壌汚染の状況の監視について、環境基本法に照らして国として行うべきである事務の内容をレビューして再整理し、今後の環境政策の展開に活用すべく、土壌環境モニタリングプランとしてとりまとめることとしたという経緯を簡単に書いております。
 この土壌環境モニタリングプランについては、主に土壌汚染対策法、市街地のモニタリングについて書いておりますけれども、後ほど御説明いたしますとおり、処理基準を示すとはいえ、処理基準を示して質量を管理してきたとはいえ、補助金がなくなることによって、若干補助金要領に書いてあったもので処理基準を直さなくてはいけないというものもあるのではないかと考えておりまして、農用地土壌汚染防止法とダイオキシン類対策特別措置法の処理基準についても後ほど御説明させていただいて御議論をいただければと。改正案について御議論をいただければと思っております。
 そういった契機にかんがみて、国の役割というものを改めて考えてみたというのが、2番のところでございます。
 環境基本法におきましては、「国は環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する」とされております。この責務を果たすために、具体的に環境基準の策定や環境保全のためのさまざまな施策の立案のために行う環境の状況の把握、環境の変化の予測、または環境の変化による影響の予測に関する調査、その他の環境を保全するための施策の策定に必要な調査等の施策を講じているところでございます。
 具体的には、これまでは人の健康保護のために飲料水経由の曝露を考慮した土壌環境基準というものをつくったり、あと農用地の土壌環境基準というものを設定しているところでございます。
 一方、地下水の飲用以外の曝露経路による健康影響を防止するための基準や、海面埋立地、住宅、工場等の市街地や農用地、山林等といった土地の利用目的に応じた生活環境保全上の望ましい基準というものの設定や、それらの基準を維持達成するための施策の検討及び実施が課題となっているところでございます。
 この課題に対応するためには、土壌の汚染状況を正しく把握した上で、人の健康に与えるリスクはどの程度であるかとか、原因とか、生活環境保全上生ずるリスクはあるかなどの検討を、土地の利用目的を踏まえつつ行うということが必要になってくるというふうに考えております。
 先ほど申し上げたような課題について、具体的にどういうことをやっていかなくてはいけないかということを考えてみますと、土壌汚染が人の健康に与える影響につきましては、これまでは地下水経由の曝露ということで基準がつくられているだけですので、今後は大気経由(土壌からの揮発)とか、汚染物質が蓄積した食物の摂取、表土流出による汚染物質が蓄積した水産物の摂取など、さまざまなほかの曝露の経路を考慮するということとか、生活環境保全の観点からは植物生育阻害、水産物の生育阻害、水道の取水障害、土壌中生物や自然生態系全体への影響などを考慮するということが必要になってくるのではないかというふうに考えております。
 以上のように考えまして、国として汚染状況を把握し、監視するに当たっては、課題に対応したその後の施策の企画・立案に係る検討を円滑に行えるようにする必要があると思っておりまして、具体的には、[1]ですけれども、人や動植物への曝露経路と、それぞれの程度を推定できるようになっていること。施策をするためには、だれが原因かというのも探らなくてはいけないということになりますので、[2]として、人為的な汚染と自然的要因による有害物質の存在との区別を可能とする。[3]、ほかの環境媒体を経由した周辺からの土壌汚染と、その土地の所有者により生じた土壌汚染との区別を可能とするということも大事になってくるのではないかと考えております。[4]、それらのことを踏まえたデータを収集するときには、土地の利用状況と相関させたデータ解析を可能とするというのも重要になってくるのではないかというふうに考えております。
 これらの国の役割について考えた上で、では、これまでどういうふうに土壌環境を把握してきたのか、また、今後の展開について考えてみたのが、3番になります。ややここは1番の契機のところに書いてあったことを改めて書いておるところになりますけれども、環境省はこれまで都道府県等に対して補助金を交付することにより市街地のモニタリングを奨励してまいりました。ところが、補助金は三位一体改革に伴って税源移譲することとして廃止されました。今後は環境省と都道府県がそれぞれの役割分担に応じて必要なモニタリングを行うということになります。環境省は、2で先ほど御説明したように、環境基準の設定、策定をするとともに、それを維持・達成するための施策を検討し、実施しなければならないと。そのためにはモニタリングが必要不可欠になります。
 そういうことについて、これまで何をしてきたかと申しますと、環境基準に定めてある項目についての環境監視データを補助金でモニタリングをして、情報を集めてまいりました。環境基準の項目の充実とか、曝露経路の見直しのための情報整備などは、そういうモニタリング経費とは違って、調査費というもので、これまで情報収集は行ってきたと。また、こうした調査結果をもとにして、人為的な土壌汚染と自然的要因による有害物質の存在とを区別するための目安を数値により示していると、このようなことをしてまいっております。
 今後につきましては、税源移譲に伴って、環境基準の達成状況の把握とか、実態把握については国本来の事務として、国が行うということが明確になりましたので、このことによって、国が行う環境監視の内容を、国として新たな政策展開のための調査検討とあらかじめ関連づけて行うということが容易になったのではないかと考えております。
 しかし、すぐにできることとできないことというのがございまして、例えば飲料水以外の曝露経路の検討や生活環境保全のための基準の設定などの政策展開につきましては、まだ経常的機械的にデータを集めればいいという段階ではなくて、まだ基礎的な調査の段階です。こういう分野につきましては、調査検討に必要な情報については、引き続きモニタリングとは区別して、必要があれば実験を行うことも含めて、情報を収集するということにすればどうかと考えております。
 一方、現行の環境基準の達成状況を把握すると、そのデータ整理を行うということによりまして、自然汚濁レベルの整理とか解析、先ほどの前のページでいいますと[2]に当たるような整理とか、さまざまな人間活動と土壌汚染の程度との相関の解析、これは先ほど前のページの[3]に当たるような解析、環境基準の達成状況が土地利用の内容にどのような影響を及ぼすかに関する解析、これは前ページでいいますと[4]に当たるような部分の解析に活用し得ると考えております。
 そのような情報の活用方法を念頭に置いて、どのようにモニタリングを行っていくか、地点の選び方や地点数の頻度については、工夫することが必要になってくると考えております。そのような施策の展開を念頭に置いて、必要な量と質を確保して経常的に行っていくということについて整理したものを土壌環境モニタリングプランとしてとりまとめるということにしたものでございます。
 新しい曝露のところについては、もう少し時間がかかると思いますので、自然汚濁と他の環境媒体から来る部分と、あとは土地利用の解析ということについて、そういうことをこれから行っていくという際に基本的な考え方というのが以下で書いております。
 [1]としまして、土壌汚染対策法が適用されるか否かの判断のメルクマールでありながら、必ずしも十分なデータによって設定されたとはいえない「自然汚濁」について、整理解析が可能となる環境監視データの取得を第一優先とする。これは後ほど詳しく御説明いたしますけれども、今土壌汚染対策法に基づいて、通知で、10都市の193のデータで全国一律に自然汚濁のレベルというのを目安を示しているのですけれども、それが必ずしも十分なデータではないのではないかというふうに考えるようなことになってまいりまして、それをもっと充実するようなデータの取得を第一優先とすればどうかと考えております。
 [2]として、土壌汚染がある土地について、他の環境媒体を通じて生じた汚染の程度、いわゆる「もらい汚染」というものの程度を調べるデータの取得というものを第二優先とすればどうかと。
 [3]としまして、それらのデータを得る際には、土地の利用内容にどのような影響を及ぼすかに関する環境基準達成状況が土地の利用の内容にどのような影響を及ぼすかに関する解析における基礎的な資料として活用するように、土地の利用の種類に変化を持たせるということも必要ではないかと考えております。
 [4]として、その土地の利用の種類に変化を持たせるに対しては、水面埋立地とか造成地とか、造成地には土壌環境基準が存在していなかった土地についても行っていけばどうかと思っております。
 [5]といたしまして、[1]について、自然汚濁レベルの整理解析に必要なモニタリングを当初3年間で行って、次に[2]、もらい汚染についての環境監視を3年間行うと。それらの結果が得られた時点で、中間的な政策評価を行い、それまでこれらの環境監視と並行して行われることになる新たな曝露経路などの基礎的な調査・検討の成果とあわせて、プランの見直しを行っていけばどうかというふうに考えております。
 4番が具体的な土壌環境モニタリングプランの内容になります。
 (1)対象といたしまして、農用地以外の土地に係るダイオキシン類以外の土壌汚染状況の監視と。
 (2)年次計画といたしまして、第一期、平成17年度から19年度を考えておりますけれども、まず第一優先とする自然汚濁レベルについて、データを取得すると。これについては、平成20年度にデータを整理・解析して、自然汚濁レベルをとりまとめると。
 第二期については、20年度から22年度を考えておりまして、「もらい汚染」による土壌汚染レベルと、汚染土壌による周辺環境への影響についてのデータを取得すると。これについては平成22年度に整理・解析をして、汚染土壌と他の環境媒体との間の移動の評価手法をとりまとめると。
 それらをあわせまして、中間的な政策評価を平成23年度に行うということを考えております。
 その下の【注】につきましては、この第二期調査については、まだ具体的にどのようにやっていいかというのが明らかではないところでございますので、第一期期間中に第二期の調査方法について検討をしていくということを書いております。
 (3)が第一期で行います自然汚濁レベルのモニタリングについての事業内容について、詳しく書いたものでございます。まずどういうところを調査するかというのを考えたときに、ある土地の土壌が含んでいる重金属類には、その土地で行われた事業活動に伴って排出されたもののみならず、その土地固有の地質に含まれていたものとか、河川の上流から流出してきた土砂等に含まれていたもの、降下した火山灰に含まれていたもの、海進・海退により底質が陸化した土壌に含まれていたもの、土壌造成の際にほかのところから搬入された土等に含まれていたもの、いろいろなものがあると思います。余り全国あちこち全部でモニタリングするというのは難しいので、この調査では全国的な河川堆積物データを解析してとりまとめた「日本の地球化学図」により得られる知見を踏まえて行っていこうというふうに思っております。
 「日本の地球化学図」といいますのは、参考資料2につけております。この1ページ目をごらんいただきますと、表1に、世界各国の地球化学図という資料がございまして、この一番下の端の日本全国というのが、この「日本の地球化学図」の説明になっております。試料数は、真ん中あたりにあります、試料数は河川堆積物3,000の試料をとっていまして、120平方キロメートルに1点という割合で採取したものです。
 3ページをごらんいただきまして、図1に試料採取位置の一例という図がございます。その点のついてあるところで試料採取をしたということでございますけれども、川の合流地点とか、そういうところでモニタリングをしていまして、上流から流れてくる堆積物の影響をとらえて、自然汚濁レベルを調査するというような調査を行っているものでございます。
 一度また資料4に戻ります。こういったものを活用してやっていきたいと思っております。現在、先ほども少し申し上げましたけれども、土壌汚染対策法の施行実務においては、我が国全体の自然汚濁レベルの上限値の目安を一律に定めて、法の適用の要否を判断するために用いております。ちなみに、今のその目安については、土壌の含有量基準を目安として示して使っております。ということもありまして、今回の土壌モニタリングプランの自然汚濁レベルの調査につきましても、含有量の調査を行うというものを基本的に考えております。
 一方、地球化学図の作成によって、土壌汚染対策法の基準というのは目安を一律に定めているのですけれども、もう一度参考資料2に戻りまして、40ページあたりをごらんいただきますと、カドミウムの基準がございまして、赤いところが濃度が高いところなのですけれども、全国一律ではなくて、赤いところがあったり黄色いところがあったりと一律ではないというのが、このような地球化学図から明らかになってきたということがありまして、こういったことを踏まえてモニタリングをしていかなくてはいけないと。
 地形ということで考えますと、すみません、また資料に戻りまして、河川上流から運ばれてきた土砂で形成されていることから、おおむね同程度に上流からの自然汚濁の影響を受けていると見られる平野や盆地、またはそれらのうち、同一水系にある部分というのを単位として、まずその土壌汚染対策上の目安となる自然汚濁レベルを示すことを目的とした土壌環境モニタリングというのを1つやればどうかというふうに思っております。
 もう1つは、そういう川の上流から運ばれてきた土砂で形成された地質というのではない地質もあるだろうということで、また以下ですけれども、やや盆地の中には上流から運ばれた土砂により影響を受けたとは考えにくく、その土地固有の地質に由来する性状を持つと考えられる台地等の土地や、新たに造成されて一定の広がりを持つ地質が新規に形成されたと見ることができる埋立地等の土地もありますと。こういうものについては別途モニタリングをするということを考えております。
 このようなモニタリングについては、土壌汚染対策法は基本的に市街地を対象にしておりますので、市街地を中心に国土の5%弱を占める市街地を中心としてモニタリングするということになりますけれども、特に人為的な汚染、自然汚濁をなぜ調べるかというと、人為的な汚染と区別するためということでありますので、市街地といっても全部ではなくて、ある程度の人口や産業が存在する場所を優先して行うということを考えております。このようなモニタリングを行う場合は、サンプリングを行う場所についてのみならず、その河川の上流も含めた地質や鉱床等についての既存のデータや知見をもとに、サンプリング対象とする場所の妥当性を検討しながら行う必要があると考えております。
 また、選定場所を選定する際には、公共用水域のモニタリング結果において、自然由来により比較的高い濃度が検出されている地点というのが分かっていれば、その情報も検討に入れれば参考になると考えております。
 また、きちんと自然汚濁の物質が測られているというのを確認する上では、モニタリング対象の重金属類のほかに、例えばその土壌では鉛が含まれている土壌が多いとか、そういう特徴が分かっている場合は、モニタリング対象の重金属類とは別に、その土地の土壌の特性を示す成分というのを分析しておくと、本当にそれが自然汚濁としてとられたのかというのが分かるのではないかというので、そういうものも注意しておこうということで書いております。
 具体的なモニタリングの考え方と方法としまして、次のページですけれども、まずは上流地質による影響に係る自然汚濁レベルのモニタリングについての考え方を書いております。
 [1]としまして、河川から運ばれてきた土砂によって形成された平野とか盆地を基礎としてモニタリングします。
 [2]としまして、モニタリングに当たっては、地球化学図とか地質図の情報とあわせて解析ができるようにサンプリング位置の経度・緯度を明確にしておくことが必要と考えております。
 モニタリングによって得られるデータと地球化学図に作成されたデータと解析ができるように、地球化学図に用いられている分析方法というのは、全含有量で測ったものなのですけれども、土壌汚染対策法は1規定塩酸で抽出した含有量ということになってございますので、その両方で分析をすれば比較ができるのではないかというふうに考えております。
 [4]ですけれども、地球化学図によって上流地質による影響の程度が概略的に分かる物質については、地球化学図ではその地理的な影響範囲の広がりが極めて広いとみなされているために、土壌汚染対策法の施行に用いることが特に難しい場合、調査密度を高めるためのモニタリングを行うと。
 これはどういうことを申しているかと申しますと、先ほどの参考資料2の日本の地球化学図の40ページのところですけれども、例えばカドミウムについては秋田県のあたりが特に赤くなっているのですけれども、本当にその鉱床のあるところは、恐らく秋田県でも山の方だと思うのですけれども、下流まで赤くなっていると。こういうものは恐らく下流の方については本当に自然汚濁だけではなくて、上流の流れてきた影響が非常に広く出過ぎているのではないかというふうに考えておりまして、こういうようなところについてはもう少し調査密度を高めた方がいいのではないかと考えております。
 資料をもとに戻りまして、[5]ですけれども、地球化学図や地質図をもとにした考察では自然由来による高濃度の存在が説明できない物質、例えば関東では水銀や鉛について、上流域の工場廃水の影響が下流域に広域的に及んでいるか否か。及んでいるとすればどの程度かをモニタリングすると。これにつきましては、行ったり来たりして申しわけないのですけれども、また資料「地球化学図」に戻りまして、139ページに関東地方の水銀のデータがございます。これは関東地方の東京湾のあたりがすごく真っ赤になっているのですけれども、上流にそういうところはありませんで、これは川から流れてきたというよりも、工場が原因、工場・事業所の人為的な活動が原因になっているのではないかというふうなことが推測されます。こういうところについても、もう少しモニタリングをすればいいのではないかと考えております。
 また資料に戻りまして、[6]、地球化学図では調査対象となっていないセレン、ほう素、ふっ素についてもモニタリングを行いますと書いております。
 [7]、なお書きで書いてございますのは、先ほど申し上げました[4]について、上流の影響の広がりということについては、この地球化学図をつくった方々がもう少し詳しい精査をするということを聞いておりますので、その結果が得られたときには、この土壌モニタリングプランの参考にもなるだろうということを書いております。
 このような考え方に基づきまして、具体的なサンプリング手法につきましては、[1]としまして、平野等を基礎的な単位として、大まかな重金属等の存在状況が把握できる程度の地点数を確保して土壌サンプルを採取します。
 [2]としまして、具体的なサンプル数は、平野等の規模に応じて、また土地利用の状況に応じて決定すると。
 具体的なサンプリング場所は、事業活動が及んでいることが明確であるところを避けて、深度についても表層は避けて、地表から5センチから50センチ程度をモニタリングするということを考えております。造成地については、上の方に盛り土を5センチから50センチ以上している場合もあるかもしれませんので、そういうところは避けて、下の地層を対象とするということを考えております。
 続きまして、川から流れてきたものではなくて、当該地の地質等に由来する自然汚濁レベルのモニタリングの考え方とサンプリング手法について書いております。
 考え方の[1]といたしましては、平野や盆地に存在する台地とか丘陵地、河川の影響でないところについて、モニタリングを行います。
 [2]、そのときのモニタリングの対象物質については、地質図などによって推定される、地層の地質固有の重金属等といたします。セレン、ほう素、ふっ素についてもモニタリングをいたします。
 [3]といたしまして、ある程度まとまった地域を構成する程度に広域的な造成が行われた埋立地についても、新しい地質が形成されたととらえて、重金属等の存在状況のモニタリングを行います。
 [4]といたしまして、その造成された土地のモニタリングについては、海を浚渫してつくられたということになりますので、海水由来の砒素、ふっ素、ほう素、それとそれ以外で、その地域によっては特異的に多い物質というものがあれば、その物質についてもモニタリングの対象として自然汚濁レベルとしてとらえていこうというふうに考えております。
 具体的なサンプリングの手法につきましては、[1]といたしまして、1)先ほどの河川の方のサンプリングをするときに、平野等の基礎的な単位としてとりまとめるということをしますので、そのときにあわせて台地等についての重金属の存在状況が確認できるような地点数を確保してサンプリングをすると。
 サンプル数は、台地や埋立地等の規模に応じて決定する。
 サンプリング場所については、事業活動が及んでいるところを避ける、深さについても表層を避ける、造成地については盛り土の下をとるというのは、先ほどの川の影響の部分で御説明したとおりでございます。
 このような考え方で、国としてはモニタリングプランということで事業を実施していきたいというふうに考えております。ここまでが国の役割として行うモニタリングということになります。
 一方、地方自治体についても、若干記述をしております。5番の「自治体が行う環境監視」のところですけれども、地方公共団体については、これも環境基本法で、最初に申し上げましたように環境基本法に照らして役割分担を考えていくということでかんがみますと、環境基本法の第7条に地方公共団体は環境の保全に関し、国の施策に準じた施策を行う、及びその他、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有するということになっております。この責務を果たすため、地方公共団体は環境の保全上の支障を防止するための規則とか調査の実施といった国の施策に準じるようなことをしているというような状況がございます。
 また、環境基本法だけではなくて、地方自治法においても、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的・総合的に実施する役割を広く担うものとするというふうにされております。
 ということで、地方自治体についても、何か役割、モニタリングについて役割というものがあるのではないかというふうに考えております。
 どういったものが自治体の役割になるかというときに、では今、自治体はどのような調査をしているのかというのをまず調べまして、それを踏まえて以下を考えております。
 参考資料3をごらんいただきたいと思いますけれども、「地方自治体の市街地土壌汚染対策関連予算について」という資料になります。一番上のページは、ちょっとこれは予算とは違いますけれども、今の平成14年度における調査事例と超過、基準を超えた事例をブロック別に落としたものです。関東地方の数が圧倒的に多いというようなことになっております。
 最近どういうことで調査する事例が増えてきているのかというのが3ページにございまして、3ページの上の図1の「汚染判明の経緯」でございますけれども、左の端の条例要綱に基づく土壌調査とか、右の方にあります土地所有者による調査というものの数が圧倒的に多くなっていっています。
 次の4ページ目にいきますと、最近の増加数をグラフにしておりまして、これによると、条例要綱に基づく土壌調査というものの伸びが大きいというのがわかります。
 これに対応する予算が次の5ページ目以降にありまして、全国の特徴をまず示したのが5ページになります。平成14年度から平成17年度まで書いております。平成14年度は土壌汚染対策法ができる前のものでして、15年度以降が土壌汚染対策法ができた後なのですけれども、特徴的なことといたしましては、まず地歴情報の収集というのがありますけれども、これは円グラフの左側の真ん中あたりにありまして、平成14年度は18%で、平成15年度は25%と、少し増えているのですけれども、16年度、17年度と、15、10と少しずつ減ってきている様子があります。
 これと対照的になっているのが、土壌環境に関する事件・苦情等に対応した調査ということで、円グラフでいいますと右下のところの割合になりますけれども、平成14年度21%で、15年度19%と、少しやや減ったのですけれども、16年度、17年度と増加する傾向にあります。
 もう1つ特徴的なのが7ページの関東ブロックの予算ですけれども、平成14年度は予算化していないというのは24%だったんですが、法律ができ、条例もできたのに予算化していない県の割合が多くなってきているというのが分かります。その法律とか条例が整備されて、自分で調べるというよりも、何か事件が起こったときに対応するというような予算の配分になってきているのではないかというのが、これから分かるということになってございます。また、予算化していないといっても、何の予算もないかというとそうでもなくて、12ページをごらんいただきますと、予算化していない理由というのが書いてございまして、ほかの環境関連予算と一緒に予算をとっていて、何かあったら使えるということになっていますというような答えが多くなっています。
 個別に問題が起こったときのいろいろな判断を求められているのであろうと、そういうふうに想像いたしまして、そういうことを踏まえて地方の役割というのを、またもとに戻りますけれども、土壌環境モニタリングプランに記述をさせていただいております。個別の判断というのを行うというのは、まず国の立場でいいますと、土壌汚染対策法の運用をしっかりやってもらうということになりまして、土壌環境行政においては都道府県・政令市は土壌汚染対策法第4条に基づく調査命令を発出して、この結果をもとにして指定区域の指定をする、指定区域について措置命令を発出するという権限があるということになっております。その法の適用の判断について、自然由来かどうかというのを判断すると。自然由来のみであれば、法律が適用されないということになりますので、まずその判断と。ページ8ページに移っております。8ページの上の段落でございますけれども、人為的な汚染であるかの判断をしないと、その権原が行使できないということになりますので、[1]で線を引いておりますけれども、近隣の土壌中の自然由来物質の存在状況を把握するというのが必要になってくるのではないかと考えております。
 次の段落の「また」のところですけれども、土壌汚染対策法を適切に施行するためには、過去の土地利用履歴をもとに汚染が懸念される地域の汚染状況の把握、地下水等の環境基準を超える地域あるいは土壌汚染が見つかった土地の周辺地域での汚染土壌濃度の把握というようなことを日ごろから備えておけば、適切に、円滑にその法律の施行もできるのではないかと考えています。それ以外にも条例をつくるためのモニタリングというのもあるのかもしれませんが、これについては各々の自治体でやっていただくということを考えております。
 以上の考え方により、地方公共団体が行うモニタリングについて、技術的な提言ということを行って、地方公共団体の参考に供すればどうかというふうに考えております。
 (1)といたしまして、管轄内の土壌の環境基準の適合状況の把握や、地域における重金属類のバックグラウンドレベルの把握。これは先ほどの[1]に当たる調査で、バックグラウンドレベルを把握して、法律の4条の命令などの必要性の判断をしてもらうと。そういうことを目的といたしまして、実施方法といたしましては、管轄内での市街地にある公園等の公有地において調査を実施して、当該地域での土壌環境の現況を把握すると。
 (2)といたしまして、過去の土地利用履歴等により、汚染が懸念される地域の汚染状況の把握。これは先ほどの[2]の調査になりますけれども、法律の施行に活用すると。実施方法といたしましては、土地利用履歴を勘案して、必要と認められる事業場内外の調査を実施。
 次のページにまいりまして、(3)といたしまして、公共用水域及び地下水モニタリングで現に地下水環境基準値を超える地域あるいは汚染土壌が見つかった土壌周辺での土壌調査。これは先ほどの[3]の調査に当たりますけれども、土壌汚染対策法第4条調査命令の発動に活用するという目的で、地下水のモニタリング等の結果、飲用井戸等の情報をもとに優先順位をつけて順次調査を実施すればどうかというふうに考えております。
 以上、ちょっと長くなりましたけれども、土壌環境モニタリングプラン(案)の説明でございました。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明がありました土壌環境モニタリングプラン(案)のことにつきまして、質疑応答の時間に入りたいと思います。どうぞ御意見のある方はお願いいたします。
 いかがでしょうか。
 はい、大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 非常に一般的なことから申し上げますが、こういうものをつくることは大変結構なことだと思っております。どうしても自治体の中にはモニタリングを必ずしも十分にしないことが今後出てくる可能性がございますので、こういうものをつくるのは非常に結構なことだと思います。
 恐らく2つのポイントがあって、1つはまだ基準ができていないうちに今回の三位一体改革が起きてしまって補助金がつかなくなったので、今まで阿吽の呼吸でやっていたものが、やれなくなったということですので、それに対応した形でこういうことをやっていくのは意義があると思っています。
 ただ、将来的には、もし基準が決まると、その後は恐らく常時監視義務のようなことを土壌汚染対策法の方でも法律に入れていくというようなことを考える必要が出てくるのかなというふうに思っておりまして、その点も少し指摘させていただきたいと思います。
 以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほか。
 はい、今井委員、どうぞ。

(今井臨時委員)
 ナチュラル・アバンダンスという考え方に少し疑問があります。例えばカドミの例で秋田県全体が真っ赤に塗りつぶされている図がありました。あれはもともと鉱山由来の汚染水が流れて、流下する過程で土壌に吸着され、川底に堆積しているわけです。台風や大雨で増水した際に、河川が氾濫し汚染された底泥がパーと広がり、氾濫原に汚染が拡散する結果になったのです。秋田の佐藤さんが来られているので聞かれると良く分るのですが、一級河川の雄物川でもまだ底泥には2ppmぐらいのカドミあると言われています。秋田県としては、これ以上汚染の拡散を防ぐために,浚渫工事等で底泥を取り除きたいのですが、捨て場所により、かえって汚染を拡散することになるため出来ないでいるのです。現在では、河川水質を調べましても、特に鉱山の沢水を調べましても、汚染は全く検出されません。ところが氾濫原跡には、至る所汚染土壌が堆積されています。これを調べてこれより上流域は同程度の汚染域が広がっており、これがナチュラル・アバンダンスであると考えて、マップ化することは正しいのかという疑問がでてきます。ナチュラル・アバンダンスというのは、本来ホールアウトとか雨滴などとともに負荷されるものではないか。また、水とともに負荷されるものについても、もともと人工的な汚染源があってそれが水を通して汚染を負荷してきた過去がある。しかし、現在は対策がなされて水由来の汚染が検出されないが、その底泥は汚染されており汚染が拡散される可能性が十分残されている。このように明らかに人為的な汚染源、しかも過去の汚染源をナチュラル・アバンダンスとして扱うかどうか明確にする必要がある。本プロジェクトでは、母材や地質的な解析により推定する手法をとるという事になりますと、人為的な汚染源は除く必要がある。我々農業サイドとしては、水経由の汚染が非常に大きな問題になっています。特に、カドミ汚染は水田が主たる対象なので水が大きな問題になるのです。調査は終わったけれど、ほとんど役に立たない結論しか得られなかったという事にならないように、ナチュラル・アバンダンスの考え方をきちんとしてから始めないと、無駄な調査をする危惧がある。

(松本部会長)
 いかがでしょうか。御指摘があったナチュラル・アバンダンスに。委員の方から、あるいは。
 はい、では森田委員、どうぞ。

(森田臨時委員)
 今の議論、とても大事だと思うのですが、1つは人為的な汚染であるか、それとも昔からの、何十万年も昔の汚染が残って、自然起源としてあるのかという議論を、ある程度分析の技術によって、そこのところが判断できるかどうかが1つのポイントかなという感じがします。そういう意味で、この地球化学図で地調の方がおやりになった、とにかく酸で溶かして全部分析すると、そしてその全部の含有量を測れるんですが、しかし、それだけでは情熱が多分足りなくて、例えば土壌の中の粒子のサイズによって金属の分布がどう違うかとか、もうちょっときめ細かい情報をとることによって、ある程度そこの部分がクリアになる可能性があると。そのプログラムをモニタリングプランの中に少し考慮してくださるとありがたいかなという感じがします。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 これは予算がどのぐらいかかるか、1年でどのぐらい調べられるかという話で、全体のところが決まって、どこまで深くやるか、広く全般的に見てくるかという話になると思うんですね。多分1つあれなのは、地調、地調と言ってはいけないんですね、今は地質調査総合センターですか、そこでやられた結果というのは、全含有量分析法という方法でやっていて、土壌汚染対策法でやっているのは、1規定塩酸の抽出法なので、そこに乖離があるわけですね。そういう意味では、私自身はそれが全国的にどんな状況にあるかということを把握するということは、1つ重要な話だろうと。これは法律的な意味ですね。
 それで先ほど今井委員が言われたような話は、当然自然由来として考えるべきだろうと。これはこの中にも書いてありますように、海の泥を持ち上げて造成した、それも一応自然由来という認識の中で考えていこうという考え方ですから、当然そういうふうに川で流れていく、それはもともとそこのあれにないということで、当然考えていくんだと。これは地質調査総合センターの調査自体が、川の流れてきている砂といいますか、それをとっておられるので、基本的にはそういう考え方で見ておられます。だからそういう考え方で当然自然由来というようなことで考えていくんだろうと私は解釈をしています。
 それから、もう1つ、細かいところなのですけれども、人為由来を当然外していかなくてはいけない、そういう意味でそういうポイントを外していきましょうということなのですが、それを考えるときに、7ページのところで事業活動というふうに書いてあります。事業活動というと、ちょっと範囲が狭いのかなと思います。今は大分なくなってきましたけれども、道路沿道は当然自動車排ガスの影響がまだ残っているところも物によってはあると。そういう意味では、そういうものも含めた形で、これは外していく必要があるだろうと。
 それから、もう1つ、こういうところを見るときにPRTRの結果というのは、今の状況ですので、どれだけ反映しているか分かりませんが、そういうものを活用しながら、考えていく必要があるだろうと思います。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 そのほか。
 はい、佐藤委員、どうぞ。

(佐藤福男臨時委員)
 秋田県の方を例にとっていただいて、どうもありがとうございました。初めに。
 私は秋田県の立場という形で一言、こうしていただきたいなと思います。今、地球化学図を私は初めて見させていただいたんですけれども、非常によくこれだけのものをやっていただいて、すごいなと思いながら見ていて、一番関心を持ったのは秋田県のカドミウムの、トータルのカドミウムというのは0.1規定の中で見ますけれど、非常に米代川流域をほとんどもう凌駕するぐらいにべったり赤くなっていると。ここには当然ながら人口の密集地帯もありますし、今現在高速道路も建設中であります。ですから、今回は農用地ではないということなんですけれど、恐らく市街地であろうが丘陵地であろうが、ある意味ではここは非常に高いレベルのカドミがあるだろうと考えているんですけれど、そうした場合、先ほどのお話の中でさらに細かい調査が必要だということなんでしょうけれど、そのときどなたがどのようにしてやっていくのか、その出口はどういうふうにするつもりなのか、これはここに10万人ぐらいの人が実際に住んでいて、日常的な活動をしているわけですけれど、この秋田県だけではなくて、ほかの地域にもそういうところがあると思いますので、そういうときの危機管理とか、それから情報管理のあたりをどのようにお考えなのかなということをちょっとお聞きしたいなと思います。

(松本部会長)
 さらに精査をする、精査を要求された場合に、だれがどのように行うかという、こういう点はいかがでしょうか。
 では、事務局の方、どうぞ。

(鏑木土壌環境課長)
 今の点でございますけれども、今回は市街地ということで、御心配の向きは、多分農用地の、農業の皆さんに、何というか、風評被害が及ぶとか、そういうことを非常に気にしていらっしゃる面があろうかと思うのですけれども、このカドミウムの、地球化学図の111ページにもう少し細かいといいますか、東北地方だけを拡大した図がございます。この中に、上流から来たものがたまっている河川の合流点でとった堆積物でその評価をしていますから、その合流点より上の地質は皆こうであろうといいますか、そのぐらいのレベルであろうというので、上が真っ赤になっているということになります。むしろその下流の方の町のあるところで土壌汚染、これは市街地の土地の改変、工場がありましたその土地について調査をしたときに、それが本当にその工場によって汚染をされたものなのか、それとももともとその土地が高いレベルのカドミウムを含んでいたものなのかということの判断に使いましょうというようなものでございますので、そういった目で見たときに、河川で上から流れてきたものというのがその土地に広範囲にどのぐらい影響が及んでいるかという目で見る必要があります。
 そのためにこのモニタリングプランでは、1個1個の平野とか盆地とかについて、その中でもある程度人口とか産業の集積しているところについて、そこの自然汚濁レベルを見るときには地質の知識のある方とか、鉱脈の知識のある方とか、そういう方に入っていただいて、その平野あるいは盆地のモニタリングの計画を立てながら進めていくということにしたらどうかと考えています。

(松本部会長)
 そういうことでよろしいですか。
 それでは、佐藤委員、どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 自治体が行う調査と、事業者が自主的に行った調査を任意的に提出した場合に、それをどう取り扱うかということがちょっと疑問なのですけれども、いただいた資料の中でも、過去の汚染の判明の中では「所有者による調査」ということで、恐らく要綱にも法律にも基づかない自主的調査の結果があると思うんですね。操業中のものですとか、工場として売却するとか、工場の使用状態のまま売却するとか、そういう場合に自主的調査がかなり行われていますので、その調査結果をどの程度吸収して、それをある意味でバックグラウンドとして見るのか、あるいは工場由来として見るのか、そういう整理がありますと、恐らく事業者の方もこういうモニタリングに対する参考資料として自主的に提出するという、そういうルールが事業者の中で出ますと、予算的にも非常に楽ですし、また、データも集まりやすいということで、ぜひ自主的調査を取り込むと。その前提として、自主的調査を余り厳しく、工場として利用し続けるにもかかわらず、非常に厳しい調査とか浄化を求めるというような行政指導が、逆に働くような行政指導がないという前提で、それを大いに活用されたらいいのではないかと思います。
 それから、もう1つ、調査の契機として比較的公共工事が非常に行われる地域では、そういう際に発注者あるいは事業主体がこういうことを自主的に行うということを優先してもらって、それによって試料を採取するというのも非常に有効ではないかと思います。
 それから、そういう試料によって得た情報をどういうふうに利用するかということなんですけれども、土壌汚染対策法は所有者と汚染原因者を中心とした法律ですので、自然由来についてはなかなか対策にしにくいわけですけれども、開発行為とか、それから建築基準とか、あるいは建築確認の申請とか、そういう届出あるいは開発の許可に関して、こういう情報を使って汚染が拡散しないように、たとえ自然由来であっても汚染が拡散しないようにというような横断的な対応が市町村でとれるように工夫していただきたいと思います。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 櫻井委員、どうぞ。

(櫻井委員)
 その汚染源を評価するのに、元素の種類の構成比が多分役立つだろうと思うんですけれども。どれぐらいの種類の元素を測定するつもりなのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

(松本部会長)
 それでは、分かっておりましたら、どうぞ。

(鏑木土壌環境課長)
 詳しくは、先ほど申しましたように、それぞれの平野・盆地でどういうふうにするかというのは、それぞれ1個1個について考えなければいけないだろうなと思っていまして、したがいまして実行に当たっては地質が分かる方とかにお入りいただいてやっていくことになると思います。
 その際、できるだけ効率的に予算を使うという観点から、この「日本の地球化学図」で見た場合に気をつけなければいけない元素はこういうものだろうと、日本の平均的な姿から見ると、ここが突出して違っているのではないかというものをまずピックアップして、それについて上流の鉱脈にどんなものがありそうかという情報とあわせて、これは地質図の方になると思いますけれども、それとあわせて考えて、その岩であれば、その石であれば、このような元素があるはずであるということのアドバイスをいただいて、それを加えていくという格好で。お金も限られているので、できるだけ効率的に選んでいくような工夫を1個1個の平野・盆地についてやりながら進めていったらどうかと思っています。

(松本部会長)
 それでよろしゅうございますか。

(櫻井委員)
 はい。

(松本部会長)
 そのほか、どうぞ。
 はい、高橋委員、どうぞ。

(高橋委員)
 三位一体改革の関係で、こういう形で国の役割と地方の役割を明確にして、国の役割については予算措置の客観的な科学的な根拠を出すということと、地方に対して技術的な助言という形でこういう基準を示されると、非常に重要なことで、これ自体、ぜひ進めていただきたいということで、内容については全く賛成でございます。
 その上で3つぐらいお聞きしたいことがありまして、1つは、こういうことでもともと補助金により得ようとしたデータの中に国が自らとるべきものが入っていたと。それで今度は国の役割を明らかにして、予算をとってやりたいということになりますと、環境監視補助金を廃止して行う税源移譲の額の算定の際に、本来入れるべきでない額を算定してしまっている可能性があるのではないのかなということを、まずお聞きしたいと思います。
 それから、第2点目ですが、農用地とダイオキシンについては、法定受託事務で処理基準を示せばということで、実効性が図られるだろうというお話をいただきましたが、私は地方自治法でも法定受託事務については国の関与についていろいろと、是正の指示であるとか、いろいろな形で関与があるから、十分全国的な統一的な運用が図れるという説明をしているんですが、ただ、法律家というのは、多少、制度はそうなんだけれど、実態はどうなんだということで、実際に法定受託事務という形で全国的な統一的な事務執行が図れるのかどうかというところの瀬踏みを、ぜひ事務局にお聞きしたいということが第2点でございます。
 それから、第3点は、こういう形で市街地について国の役割があって、国がこういう形で調査すべきであると、こういうふうな話になりますと、逆に農用地とかダイオキシンについても、今常時監視をやらせている中に、国が本来自分でやるべきものがあるのではないかと、こういう話になっていかないかなというところでちょっと不安になっておりまして、その辺、外部から質問が来たらどういうふうにお答えになるのかなということをちょっとお聞かせいただきたいと。
 以上、3点でございます。

(松本部会長)
 それでは、ただいまの3点について、事務局側のお考えを。

(鏑木土壌環境課長)
 まず第1点の関係でございますが、先ほどごらんいただきました参考資料3の5ページにございます、全国の自治体の予算措置の状況のグラフであります。これの中に土壌環境基準適合状況調査というのがございます。これが一般的な環境監視について使っている予算のある自治体の割合でございます。それが全体の、平成14年度ですと28%、これが大体30%ぐらいのレベルで毎年度推移しておりますが、それ以外に何をやっておられるかというと、土壌環境に関する事件・苦情等に対応した調査とか、土壌汚染対策後の監視・調査とか、地歴情報の収集・整理とか、この法律施行のために必要となってくる事務とか調査とか、それから条例施行のために必要となってくる調査とか、こちらの方がやはり自治体の予算配分では多いような状況になっています。
 これから考えてみますと、私どもの補助金は余り利用していただけた件数が多くなかったことになります。
 これはやはり自治体もそれぞれ事件があったり、事例が発見されたら、それにまず対応するということで、それがたまたまなければ、年度の終わりに、一般的な土壌環境を調べるとか、そういうふうにやっていらっしゃったのかもしれないなと、想像いたします。
 
(高橋委員)
 今度三位一体で切りかえるときに税源移譲の額として算定するわけですよね。その算定の話をちょっとお聞きしたいのですが。

(鏑木土壌環境課長)
 なるほど。すみません、ちょっと的外れなことを言ってしまったのかも知れません。税源移譲をするときに、この部分の税源が一体幾らの額として流れていくかという、それは実は詳細は分かっておりません。
 それから、2つ目の農用地ダイオキシンの方の話でございますけれども、これはまた後ほど資料も用意しておりますので、そちらで御説明をさせていただこうかなと思っております。法定受託事務として処理基準を決めておりますこと、それによって、今までどういうような実態があり、また、これからどういうふうに、改善を必要とするかどうかというようなことで資料を用意してございますので、後ほどまた御説明をさせていただきたいと思います。
 それから、3つ目のお話でございますけれども、常時監視以外に今回の土壌環境モニタリングプランのようなことを農用地とかダイオキシンについても必要とするかどうかということでありますが、農用地につきましては将来的には、近い将来かもしれませんのですけれども、米の基準が改定されるかもしれないという話がございまして、そういった場合にどのように対応するかというのは、また別に検討を進めています。それから、ダイオキシンについては、これもまた後ほど御説明する中で出てまいりますけれども、非常に積極的に今まで自治体も対応してくださっていたというような状況でございまして、とりあえずそれでいいのかなと思っています。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。

(高橋委員)
 では、追加でお願いですが、要するに税源移譲について、算定根拠がまだ余り明らかでないという話があったと思いますが、そこは多分、今後予算措置をするときにもある種一つの財務との交渉の話になるのかなと思いますので、その辺、ちょっと意識して御交渉いただければと思います。
 以上でございます。

(松本部会長)
 そのほか、いかがでしょうか。
 はい。今井委員、どうぞ。

(今井臨時委員)
 お話を聞いている間にだんだん心配になってきたのですけども、この2ページの国の役割のところのパラグラフの3番目および4番目に、このモニタリングの意図するところ、アウトプットとしてここまでいくという事が書かれています。ところが、実際に実施する事業内容を見ますと、参考資料にありますようにナチュラル・アバンダンスに対する地図を書こうとすることが目的と思われます。この事は、左藤委員が非常に危惧されているように,東北地方を対象にこのような地図が書かれると、その地図上では市街地も農用地も区別が付きません。あたかも、県全体が汚染しているように受け取られかねない。地図上では秋田県など県全体が真っ赤で、1ppmとか2ppmという高いレベルの汚染が県全体に広がっている印象を受けます。これが、農地を除いて、市街地を中心にポツンポツンと点で示されるような状態でプロティングされているのなら、適切な注釈をつければ誤解も防げるでしょうが、全体をべた塗りにするようなマップはいくら注釈をつけても誤解を生みます。一方、本プロジェクトは経口摂取の危険性や人体影響などいろいろ謳っています。この結果を将来、対策につなげていくといいながら、実際にはこのようなラフな地図を書いていこうとしている。先程、事務局からご説明がありましたように、河川の分岐点でサンプリングをして、その値に基づいてその上流部は全て同じ色に塗るという事を聞きますと、この地図が一人歩きした場合の怖さを感じます。これが飲料水などでしたら環境基準がきちんとしていて、これ以上の濃度の場合は飲用禁止と明快に行くのですけど、土壌の場合は汚染が直ちに摂取というわけでもなく、森田委員が言われたように全カドミウム量というのは決して人間が全部摂取するものではないわけですね。このようなことをいろいろ考慮しますと、果たしてこの環境モニタリングの調査結果をどういう形で最終的に使おうとしているのか明確ではありません。我々はコーデックス絡みで農地を対象にアベイラブルなカドミウム摂取量の研究を推進しているものですから非常に気になるところです。そのあたり、いかがお考えでしょうか。

(松本部会長)
 今の今井委員の御意見に対して、事務局。
 はい、どうぞ。

(鏑木土壌環境課長)
 私どもがつくろうとしているのは、既に市販されております「日本の地球化学図」のような、農用地も山林も全部ひっくるめた日本に色塗りをするというようなものをつくろうとしているわけではありませんで、資料4番の2ページに書かれてありますこととの関連で申しますと、まだ、何といいますか、このモニタリングで得られる成果というのは、まだこの2ページの4段落目にあるようなことをすべてカバーできるものを今回やろうというようなものとは言えない、それとは直接リンクしていないようなものになるかなと思います。
 曝露の経路をもう一遍考え直しましょうみたいなことは、土壌汚染対策法の附帯決議でもいろいろ科学的な知見を集積するようにと言われていたようなことがあるのでございますけれども、それはそれで調査とか研究とか基礎的な情報を集めるようなことをしていかなければいけない、そういう段階にあるのではないかと思っているんです。今回この第一期ということでやろうとしておりますのは、土壌汚染対策法を実際に適用する事例になるのかどうかということを判断するときに、これは自然汚濁で生じている濃度レベルなのか、それともその工場、事業場の有害物質使用特定施設の関連で出てきた汚染レベルなのかということの判断をして、土壌汚染対策法を適用するかどうか考えるということになっているのですが、その判断の基準、目安を少し精緻にしていく必要があるということです。この地球化学図をここに出しておりますのは、全国的にこんなにいろいろ差があるよという中で、全国一律、10都市193個のデータで全国同じ数字で自然汚濁レベルというのを今まで決めているのですけれども、そこを少し精緻にしていく必要があるのではないかという考え方であるということの御説明も含めて、これを出しているだけでございます。このようにしようというわけではありません。

(今井臨時委員)
 よく分っているのです。よく分っているから非常に心配なのです。書かれているように、人に対する影響といったところまで最終的に行こうとしているように読めるという事です。もちろん、今回のプロジェクトの実施部分をよく読んでみるとそこまでは絶対にいけるはずはないことは断言できます。そうだとすると、今回はとに角、将来に備えて勉強しておこう、とかサーベイしておこうという事なのか。ナチュラル・アバンダンスだとこのような図が描ける、人工的汚染を入れるとこうなるといった程度の図を書くという事なのか。一方では、折角、これだけのお金を使ってこのような調査をしたのだから、しかも継続監視をしているのだから、実際に目的に書かれているような国の役割につなげて行こうとする思想や手法が全体として見られない。そうしますと、サーベイが終わりました。モニタリングが終わりました。これが最終的なマップです。これは市街地が対象です。これで終わりですで済むかどうか疑問です。国は何のためにこの調査を行ったのですかという質問に対して、序文に書かれているように、将来これこれに結びつけるためにやったと答えるが、具体的なフォローアップもないまま、地図だけが一人歩きしていくことを、私は危惧しているのです。

(松本部会長)
 今の点、どうでしょうか。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 この調査は、土壌を直接口に入れたときにどういう影響があるかということの測り方です。それは今井先生も十分御存知だろうと思います。そういう意味では、そういうレベルで汚染があるかどうかということなんですけれども、私は今までの事例で、市街地土壌汚染で、そういう形で基準を超えているというのは、ほとんどないです。ただ、もう少し下を調べると、溶出量基準の形で見ると、自然由来で超える場合があります。そういう意味で見ると、溶出量基準で超えている、それが自然由来なのかどうかというのは、では含有量の方で見てやろうと。含有量は大体このぐらい、自然由来ではやはりこのぐらいというような話で整理ができるのではないか、そういう意味での使い方をするんだろうと私は解釈しています。ですから、もちろん全部これで真っ赤に書けるほど土壌の濃度なんていうのは、ちょっと1メートル横をはかれば違ってくるのは当たり前ですから、そういう意味ではそうですけれども、自然由来であると考えられれば、ある程度幅の中で入ってくる、そういうものをおさえていく、それもいわゆる土壌の全含有量でない。これは先ほど190幾つというふうに鏑木課長が言われたけれども、あの測定法というのは、全含有量です。それでその土壌の、今、土壌汚染対策法の調査法・分析法で全国の土壌を調べたという例はないんです。そういう意味での自然由来と、自然起源と考えられるものを把握しておくということは、非常に重要だろうというふうに私は解釈しています。

(松本部会長)
 はい、森田委員、どうぞ。

(森田臨時委員)
 先ほど化学形態とか、どういう形で含まれているかというのが、人為起源をはかる上で必要だということを申し上げましたが、もう1つ、この種の議論で、この地調のやった地球化学図がすごく大きなインパクトで受けとめられているんですが、実はこの地調のやられた仕事というのは、河川の底泥の分析なんですね。したがって、河道域ぐらい情報でしかなくて、全体を反映していない。それを表現としては、あたかも陸上まで全部こうなっているかのように表現されてしまうので、何というか、その地域全体が汚染されているとか、そういうイメージでとらえられる。だから多分この表現の問題が1つあると。
 それから、もう1回翻って考えますと、それでは陸地はどうやって調べられているかというと、それがシステマティックに情報はないんですね。したがって、今回の土壌環境課が提案されているようなこの種の情報というのを、日本のどこかが本当はきちんと求めておかなければいけないと。そういう意味で重要かなという認識ではあります。
 ただ、先ほどからの議論にありますように、しかし、一方で、環境省はどちらかというと自然起源ではなくて、人為的な起源によって汚染されている、それによって例えばヒューマンヘルスとか、あるいは野生生物への影響が出るかとか、あるいは植生への影響が出るとか、そういう観点の議論のところにやや偏りがちというと変ですが、どうしてもそういうところに重心がありますので、したがって、例えばバイオアベラビリティとか、違ったコンセプトのものも実は必要になってくると。それを、しかし、非常に短期間に、かつ限られた予算の中でどこまでやれるかはよくわからないんだけれど、それを含めて情報をとるということが長期的には必要かなと、そんな感じがします。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 では、まだ審議していただかないといけない課題もありますが、もう一、二点だけ。
 はい、どうぞ。

(佐藤泉臨時委員)
 やはりこのモニタリングに関しては、そのモニタリングの結果をどういうふうに使う予定があるかという行動計画を明らかにしていただいた方がいいと思います。モニタリングの目的や活用方法とをある程度はっきりしないと、ひとり歩きするというのですか、極端に言えば、自然由来でこんなに汚れているところがあるから、対策はなくてもいいじゃないかみたいな、そういう議論も出始める可能性もありますので、そういう意味では抽象的であっても、行動計画みたいなものをつくっていただきたいと思います。
 それから、私の希望としては、土壌汚染対策法は対策法であって、汚染の拡散防止とか汚染土壌の管理とか、そういう予防的な側面が非常にないんですね。ですから、10年後には見直すということになっておりますので、その見直しの際に土壌汚染法のどこが改正が必要かということのデータにも使用できるような、長期的な視野でやっていただきたいと思います。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 まだ恐らく御意見があろうと思いますけれども、余り長く時間をこの問題に割くわけにはいきませんので、ここら辺でただいま諸先生からいただきました御意見を踏まえて、修正すべきところは修正し、また、強く御指摘いただいた点も十分配慮して、もう一度事務局でこれを検討し、さらに部会長である私がそれを確認した上で、当部会として説明を了解していきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

(異議なし)

(松本部会長)
 ありがとうございます。
 それでは、今後の土壌環境モニタリングプランの取り扱いは、どうなっておりましょうか。

(鏑木土壌環境課長)
 ありがとうございます。
 環境監視の事務に関しましては、大気とか水とか地下水とかもございます。土壌もございます。それぞれの分野がそれぞれの検討結果をとりまとめまして、一体的、総合的な取組方針として公表するということになってございます。
 そこで、この後御説明をする農用地とかダイオキシン類の関係の対応ともあわせまして、この土壌環境モニタリングプラン、今、部会長から御指摘いただきましたように、もう一遍部会長と最終的に御相談した上でございますが、土壌環境モニタリングプランをこの部会に御説明をし御了解いただいたものとして、今後の取組方針として取り扱わせていただきたいと思っております。つまり、今後の政策展開とか予算要求などに活用させていただきたいというふうに考えております。

(松本部会長)
 わかりました。
 それでは、引き続きまして、資料5及び6について、事務局から御説明をお願いします。

(中山土壌環境課課長補佐)
 それでは、まず農用地につきまして、参考資料4と、それから資料5でもって御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、参考資料4をごらんいただきたいと思います。「地方自治体の農用地土壌汚染対策関連予算について」とタイトルがございますが、農用地の土壌監視について、どのように行われてきたか、今後の課題等、各都道府県にアンケートを行った結果の集計でございます。
 農用地の土壌常時監視につきましては、細密調査と対策地域調査と解除地域調査と、予算上それから要領上3種類ございまして、このうち対策地域調査といいますのは、農用地土壌汚染対策地域に指定された地域内での調査ということ、それから解除地域調査といいますのは、その対策地域が解除された後のそこの地域において行う調査ということで、この2つにつきましては、専ら対策地域指定が行われたことのある県のみで行われております。細密調査といっておりますのが、いわゆるモニタリングといわれるものではないかということでございますが、実際にどれだけやられているかという1番の表を見ますと、17年度1件、16年度も1件、15年度も2件というような状況でやられております。
 地域指定が今までに行われたことのある県が47都道府県中26県、行われたことのない県21県ございますが、行われたことのない県では細密調査はなされていないと、こういった実態がございます。
 2番の方にいきまして、今年度細密調査を行わないと回答した都道府県、秋田県以外のすべてになります、について、なぜ行わないのかという理由を複数回答で聞いた結果でございます。一番多かったのが、農林水産部局が行っている米の品質検査の結果を見て、必要性が生じたときに調査をするという方針で行っているので、必要がなかったので行わなかったというところが26県ございます。
 それから、その次にありましたのが、過去に行った細密調査と今までの結果から汚染がないことがわかっていて、かつ上流に新たな汚染源もないことから、調査を行う必要はないと判断したという県が、回答が18ございました。
 それから、細密調査の実施方法が適用しにくい現場しかないためという選択肢を設けまして、ここで今の処理基準に何か適用しにくい不都合があってできないところがあれば見直す必要があるかなと思って調査をしましたが、こういう回答をした都道府県はございませんでした。
 それから、[4]その他12県となっておりまして、後ろの方にA3で細かい個表がついていて、理由が書いてございますが、中身を見てみますと、[1]は農林水産部局が行っている米の品質検査、それ以外に県で独自の検査を行っているとか、それから細密調査ではないんだけれども、今までに調査をして、特に汚染がないと、必要がないと判断したということで、[1]番[2]番いずれかに準じたものになるというふうに考えております。
 それから、(2)番で、今後細密調査を実施する予定があるかないかということを聞きましたところ、46県中41都道府県が現時点では予定していませんという回答でした。
 [3][ ]ということになれば実施する予定という回答が4県ございましたが、必要性があればとか、農用地の基準が改正されればというような回答でございました。
 それから、[4]番に[ ]という問題が解決すれば実施する予定ということで、ここで現行の処理基準の問題点があって、それが改正されれば実施したいという意向があるかというのを聞きましたが、ここに回答した県はございませんでした。
 それから、その他というのもありますが、中身はほかで調査をしているので考えていないというような結果でございました。
 この結果を見まして、おおむね現行の従来のモニタリングの考え方どおりに都道府県が法定受託事務としてやっていただければよいのではないかというふうに考えております。
 資料5の方に移りますが、先ほどの説明にもありましたが、今まで補助金を交付しておりましたので、その実施要領にあったもので、処理基準になくてそちらに反映すべきもの、という観点で改正案ということで新旧対照の形でつくっております。細かいのがいろいろあるんですけれど、環境庁が環境省になったときに、名前を変更していなかったというようなところも含めてなんですが、特に変えているのは5ページ目の測定方法のところで、これまでは特定有害物質、カドミウム、銅、砒素の3物質のみに測定方法を明記しておりましたが、それ以外のものにも事業の実施要領の方では分析方法を指定しておりましたので、それをこちらに書かせていただいたということでございます。
 それから、後ろの方、7ページ目からずっと様式が続いてございますが、報告様式の中に国庫補助金の有無について書く欄がございましたので、補助金の廃止ということで、これをすべて削除ということで変更させていただきたいと考えております。
 それから、続きまして、参考資料5それから資料6に従いまして、ダイオキシンの結果ですが、まず参考資料5でいきますが、ダイオキシンにつきましても各都道府県それから政令市にアンケートを行いました。その結果でございますが、都道府県・政令市で、年次計画をつくって調査をするということになっていましたので、全市町村を一回りするようにということで、全市町村はこれまでに一回りし終わったところ、ちょうど一回りが終わったところ、それから8割以上の市町村をカバーしたところ、それから5割以上8割未満のところ、5割未満のところというふうに、これまでの進展ぐあいがありますが、特に全市町村を一回りしたところでは、17年度に調査を中止しますというところが11県ございました。それから、その下の発生源周辺状況把握調査でございますが、これにつきましても主要発生源を一回り調査し終わった自治体では、17年度調査を中止するというところがございまして、私どもとしましては、一回りしたのでこれでよしというわけではなくて、引き続きやっていただきたいというような考えを持っております。
 したがいまして、資料6、すみません、飛び飛びでございますが。これ以外のところはおおむねきちんと計画をつくってやっていただいているので問題ないと思いますが、ここのところで今後もきちっとモニタリングをしていただきたいという観点から、資料6の3ページ、一般環境把握調査のところでございますが、「なお、上記の年次計画において定めた調査が終了した場合には、新たに上記と同様の年次計画を立て、調査地点を選定するものとする」ということで、今後も引き続き計画をつくって、計画に従ってやっていただきたいということを書き加えることにしたいと思います。
 それから、その次の4ページでございますが、イの発生源周辺状況把握調査の方でも同様に、「なお、上記の年次計画において定めた調査が終了した場合には、新たに上記と同様の年次計画を立て、調査地点を選定するものとする」ということを書き加えたいと思います。
 それから、最後の6ページ目でございますが、これまでは緊急の問題が発生した場合には速やかに報告するとのみ書かれていたのですが、具体的に報告する内容を書いてございます。
 こういった方向で処理基準の変更をしたいと考えております。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づく常時監視の処理基準、それからダイオキシン類対策特別措置法に基づく常時監視の処理基準につきまして、これから皆様方の御意見をちょうだいしたいと思います。どうぞお願いいたします。
 いかがでしょうか。ございませんか。
 はい、どうぞ。

(高橋委員)
 先ほどちょっとお聞きしたものとして、評価を教えていただきたいのですが、要するに農用地については基本的に米を見れば常時監視ということで十分であると、こういう評価でいらっしゃるのかどうか、そこら辺、ちょっとお聞きしたいのですが。

(松本部会長)
 その点、どうぞ。事務局でのお考え。

(鏑木土壌環境課長)
 農用地につきましては、現在のところ、これまでの農用地土壌汚染防止法の対策地域の指定要件に照らして考えれば、十分行われているのかなというふうに思っています。今後基準が見直される、米などの食品の基準が見直されるということになりましたならば、それに合わせてもう一度見直しをかける必要はあると思っております。

(松本部会長)
 それでよろしゅうございますか。

(高橋委員)
 はい。

(松本部会長)
 そのほか、どうぞ。
 ございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 それでは、ただいま事務局から御説明がありました、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づく常時監視の処理基準、それと、ダイオキシン類の対策特別措置法に基づく常時監視の処理基準につきましては、このような内容で進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 続きまして、議題2に入ります。議題2は、中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討していただきたい事項等に入りますが、事務局からこれについて御説明をお願いいたします。

(辻原土壌環境課課長補佐)
 それでは、説明させていただきます。
 資料7と参考資料6をごらんください。まず資料7の中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討していただきたい事項等について、御説明いたします。
 2つ書いておりますけれども、まず1つ目でございますが、油による土壌汚染の対策についてというものがございます。土壌が油によって汚染され、油臭や油膜といった生活環境保全上の支障が生じているときに、その土地の利用者・使用者、調査・対策事業の実施者、周辺の土地の所有者などの関係者の間で、調査・対策の考え方や対策目標についての考え方が異なり、円滑に調査や対策が進まないという場合にはどうすればよいか、つまり何をどの程度調査し、どのような対策をどの程度行えばよいか、そして対策の結果、どのような状態にすればよいかというようなさまざまな点に関して、ガイドライン化すべき内容を検討して報告書にまとめていただきたいということでございます。
 2つ目でございますが、その他というところでございます。土壌汚染対策法の制定時にとりまとめていただいた基準等の運用状況などについて報告させていただきたいというふうに考えております。
 背景について御説明いたしたいと思いますけれども、参考資料6をごらんいただきたいと思います。こちらにつきましては土壌汚染対策法案に対する附帯決議というものでございます。平成14年4月5月に衆参両院で土壌汚染対策法案可決していただいておりますけれども、その際に両院から附帯決議というものをいただいております。そのコピーをつけておりますけれども、まず1ページ、2ページ目が衆議院環境委員会の方からいただいた附帯決議でございます。その13番目になります、2ページ目になりますけれども、13番目を見ていただきますと、「土壌汚染による生活環境や生態系への影響、油類等の汚染実態の把握などについて早急に科学的知見の集積に努めること」と書かれております。
 また、参院の方でございますけれども、こちら3ページ1つ目になります。「土壌汚染による生活環境や生態系への影響、油類等の特定有害物質以外の他の物質による土壌汚染の実態把握などについて早急な科学的知見の集積に努めるとともに、土壌汚染の未然防止措置について早急に検討を進めること」と。
 こういったことで、油類等につきまして、今後知見の集積あるいは対策等について検討を進めていくようにというふうな宿題をいただいております。こういった背景をもとに、今般油類等による土壌汚染の対策について、あるいはその他の事項について、御審議をお願いしたいということになっております。

(松本部会長)
 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明がありました、中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会で検討していただきたい事項等につきまして、何か御質問はございませんでしょうか。
 ございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 特段御意見がないようでございますので、それでは、土壌汚染技術基準等専門委員会に所属されている委員の方々には大変御苦労さまでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、土壌汚染対策法に関する基準等をとりまとめていただいた際の村岡委員長が、中央環境審議会の委員を御退任されましたので、新しい委員長を決めなければなりません。中央環境審議会議事運営規則第9条第2項では専門委員会に委員長を置き、部会長が土壌汚染技術基準等専門委員会の委員長を指名させていただくこととされています。
 私としましては、皆様から特段に御意見がございませんならば、御異存がなければ、森田昌敏先生を御指名させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

(松本部会長)
 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、森田先生、よろしくお願いいたします。
 森田先生、御挨拶をお願いいたします。

(森田委員)
 挨拶といっても大変ですが、専門委員の先生方、非常に何というか御経験のある先生方ばかりでございますので、先生方の御意見をいただいてとりまとめを一生懸命やらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、議題3、その他に移らせていただきます。
 幾つかあると聞いておりますが、事務局から説明をお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 報告事項が本日複数ございまして、参考資料7と8が報告事項でございます。

(辻原土壌環境課課長補佐)
 それでは、参考資料7について御説明させていただきます。「平成17年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査及びダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の募集についてというものでございます。
 5月9日に記者発表ということでこの資料を公表しております。まず概略でございます。環境省では例年行っている標記調査の対象技術として、本年度はPCB汚染土壌調査・対策技術を取り上げることにいたしました。調査応募要件に適合するとして応募された技術について、実証調査が実施可能であること、実用段階にあることなど、応募要件及び実証調査採用基準への適合性を審査した上で実証調査を行っていただくと。その結果を総合的に評価して、評価結果を公表するものということになっております。
 目的でございますけれど、簡単に御説明いたしますが、土壌汚染対策法が施行されまして、法に基づいて対策・調査等を進めていく必要があるわけですけれども、こういった調査とか対策に当たりましては多くの費用がかかるということでございます。対策・調査を推進していくためには無理なく速やかに行っていく必要があるということでございますし、周辺住民にとって安全・安心な環境を確保するためには、安全性とか確実性ということも必要であると。また、低コストであるとか低負荷型、そういったことが重要であるということになっております。そういったことで、これまで低コスト・低負荷型の調査を行ってきております。
 また、ダイオキシン類汚染土壌の方でございますけれども、こちらの対策を円滑に実施していくためにも、処理の効果、処理に伴う周辺環境への影響の有無、こういったものについて、客観的かつ詳細に技術評価がなされた技術を用いることが不可欠ということでございます。
 このようなことから、環境省ではこれまで毎年テーマを決めて標記2つの調査を行ってきております。今年度につきましては、両調査の対象技術としてPCB汚染土壌の調査技術及び対策技術を取り上げるということにいたしました。低コスト・低負荷型の調査技術、安全確実であり、よりコストが安い対策技術を公募し、評価し、評価結果を公表するということにしております。
 次に2ページを簡単に御説明しておきます。
 応募要件でございますけれども、対象物質としてはPCB汚染土壌を対象といたします。
 対策技術につきましては、PCBによって汚染された土壌を安全・確実に処理することができ、かつ類似または同種の技術と比較して低コストである対策技術と、PCB汚染土壌の調査に係る簡易・迅速な技術といたします。対象の技術としては、浄化技術と封じ込め技術ということになります。
 また、実証場所につきましては、実汚染サイトでの浄化を行うものと、あるいは汚染土壌を施設に持ち込んで浄化を行うもの、このいずれも対象とするということにしております。ただし、調査技術につきましては、実証場所は実汚染サイトであるということが必要ということになっております。
 少し飛びまして4ページになりますけれども、実証調査の方法でございますけれども、実施方法でございますが、実証調査の対象技術として選定されたときには、PCBに係る土壌環境基準を超過している土壌、数トン程度以上を浄化する調査を実施いたしまして、応募者みずから浄化技術等に係る評価をしていただきます。
 実証調査の実施に係る詳細については、環境省の指示に従って行っていただくということになっております。
 今後のスケジュールでございますけれども、5番目のところに記載しておりますけれども、6月24日、本日になりますけれども、応募の締め切りということになっております。
 7月下旬までに検討会において検討を行いまして、実証調査対策技術を選定するということになっております。平成17年10月に実証調査を開始いたしまして、平成18年2月には実証調査を終了すると。この結果を踏まえまして、検討会において評価をいただいて、その結果を公表するということになっております。
 7ページに検討委員の名簿を添付しております。
 簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対して、質問を受けたいと思います。どうぞ御意見はございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 ございませんでしたら、引き続きまして、参考資料8について、事務局から説明をお願いします。

(早川農薬環境管理室長)
 農薬環境管理室の早川でございます。
 参考資料8でございまして、土壌残留及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準改定の検討状況ということでございます。
 前回の3月31日の土壌農薬部会で報告させていただきましたが、3月31日までの時点では平成17年1月12日及び3月16日に2回ほど食品安全委員会の農薬専門調査会で議論していただき、評価書案の審議をし、パブリックコメントを1カ月ほどやるというところまで御説明させていただきました。その後、パブリックコメントを食品安全委員会の方で募集しまして、意見はなかったということで、平成17年5月6日食品安全委員会第93回会合でその農薬評価書を審議し、土壌残留に係る基準についての意見聴取においておおむね問題ない、適当であるというふうなものをいただきました。
 若干後で御説明しますけれども、附帯意見がついております。それを踏まえまして、一部それを反映させた形で、平成17年6月8日に農業資材審議会農薬分科会に諮問しまして、一昨日であります6月22日に第10回農業資材審議会農薬分科会において、その土壌残留と水質汚濁に係る登録保留基準の変更についての諮問については、諮問の内容のとおりで適当であるという旨の御答申をいただいております。
 1枚めくっていただきますと、参考1として、食品安全委員会に対して意見を求めた意見聴取の文章でございまして、これが昨年の12月8日付でございます。土壌残留に係る基準のみが法律に基づき意見を聞くことになっておりますので、具体的に言いますと1番でございます、半減期のクライテリアを「1年」から「180日」に改めることとか、2番の土壌中の半減期を算出するための試験方法を、「ほ場試験及び容器内試験」から「ほ場試験」のみに改めることということを意見を求めました。ページめくっていただきますと、それに対する通知ということで、記のところでございますけれども、その土壌中半減期の基準を適用するかの場合分け尺度についての変更を、「1年」から「180日」に変更すること及び「ほ場試験及び容器内試験」を「ほ場試験」のみへと変更することにより、食品健康影響リスクを増大させるおそれはないと考えられると。ただし、以下の点に配慮が必要であるということで、1.後作物残留試験の集積に努めること。2.残留試験成績の不偏性の向上のための方策を検討する。不偏性の向上というのは、試験結果のばらつきをできるだけ少なくしなさいということでございます。3.としまして、他法令による規制との齟齬が生じないように実施すること。この他法令による規制との齟齬が生じないというのは、具体的に言いますと、食品衛生法のことでございまして、食品衛生法が来年の5月からポジティブリスト制を導入するということで現在検討されております。具体的に言いますと、今までは食品規格が定まったものは規制されますけれど、定まっていないものは規制されなかったと。今後は食品規格が定まったものはその規格で規制されますけれど、定まっていないものは厚生労働大臣が定める人の健康を損なうおそれがない量を超えて残ってはいけないというふうに規制されます。ただし、別途厚生労働大臣が定める人の健康を損なうおそれのないことが明らかである物質は、その基準設定の対象外になるというようなことでございまして、こういったものに対しての齟齬が生じないようにするという意見をいただいておりまして、それを踏まえまして、昨年10月に土壌農薬部会に報告させていただいた資料につきまして、一部そういう意見を反映させまして、農業資材審議会に諮問したわけでございます。
 農業資材審議会に諮問したものは、参考2でございます。参考2は諮問書でございまして、1番は土壌残留の登録保留基準の変更、2番は水質汚濁の登録保留基準の変更ということで、次のページには諮問理由ということで書いてございまして、一昨日の6月22日にこの諮問の内容にあったことについては諮問のとおりの内容で改正するのが適当であるということで答申をいただいております。後ろの方には「改定について」ということで、その内容についての資料で提出させていただいて御審議いただいております。
 今後はさらに農薬取締法に基づきまして、この結果について土壌残留の登録保留基準の部分ですけれど、その改正について、公衆衛生の観点から厚生労働大臣の意見を聴くということになっております。現在その手続をしておりまして、それを踏まえて、晴れて告示改正になるということでございます。ですから、おおむね実質的な審議は一昨日の農業資材審議会農薬分科会をもって終了したというふうに理解しております。
 いろいろと土壌農薬部会にも御審議いただいてありがとうございました。
 以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に対しまして、御質問、御意見をちょうだいしたいと思います。どうぞ。
 ございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 それでは、御意見がないようでございますので、事務局からそのほか、何か御報告はありませんか。

(なし)

(松本部会長)
 事務局からほかに報告事項がないということでございますので、最後に私の方から本日の資料の取り扱いについて、御説明をさせていただきます。
 土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申または意見具申の案文、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれのある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれのある資料などは、部会長は非公開とすることとされております。本日配付した資料は、いずれもこれに該当しないことから、公開といたします。
 また、今回の議事録につきましては、事務局で調製いたしました後に、出席委員の明示の了承を得て、公開にかかる部分は発言者の意見・発言者の氏名をあわせて公開となります。事務局案ができましたら、その点御確認をよろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、その他、本日の審議全体にわたりまして、何か御意見、御質問がありましたら、承りたいと思います。どうぞ。

(なし)

(松本部会長)
 特にないようでございますので、それでは進行を事務局にお返ししたいと思います。

(鏑木土壌環境課長)
 本日は円滑な議事進行をいただきましてありがとうございました。
 以上をもちまして、本日の部会を閉会させていただきます。ありがとうございました。