中央環境審議会土壌農薬部会(第17回)議事録

日時

平成16年11月29日(月)15:00~16:28

場所

経済産業省別館825号会議室

出席委員

部会長
部会長代理
委員
臨時委員
 松本 聰
 須藤 隆一
 桝井 成夫
 岡田 齊夫
 亀若 誠
 黒川 雄二
 嶌田 道夫
 鈴木 英夫
 高橋 滋
臨時委員







専門委員
 谷山 重孝
 中杉 修身
 西尾 道徳
 福島 徹二
 細見 正明
 森田 昌敏
 関沢 秀哲
 若林 明子
 井上 達

(欠席は、浅野委員、村岡委員、藤井委員、大塚臨時委員、河内臨時委員、岸井臨時委員、櫻井臨時委員、眞柄臨時委員、渡部臨時委員、中野臨時委員、北原専門委員、米谷専門委員)

委員以外の出席者

環境省: 甲村水環境部長、鏑木土壌環境課長、早川農薬環境管理室長、志々目地下水・地盤環境室長、徳永環境管理技術室長、更田農薬環境管理室長補佐、神谷農薬環境管理室長補佐、野坂農薬環境管理室係員

議題

(1)水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(2)その他

配布資料

資料1中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2中央環境審議会土壌農薬部会(第16回)議事要旨(案)
資料3中央環境審議会土壌農薬部会(第16回)議事録(案)
資料4 諮問書及び付議書(写)
資料5 水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について(農薬専門委員会報告)
資料6 農薬専門委員会(第19回)の審議概要
資料7 水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料
資料8 水質汚濁に係る農薬の登録保留基準の分析法(案)
   
参考資料1 中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会名簿
参考資料2 「水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について(中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会報告)」への意見の募集について
参考資料3 農薬登録失効に伴う登録保留基準の削除について
参考資料4 食品中に残留する農薬等の暫定基準(第2次案)について(厚生労働省公表資料)
参考資料5 ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る平成15年度水質調査結果について
参考資料6 「平成16年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査」対象技術の採択について
参考資料7 「平成16年度ダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の採択について
参考資料8 土壌汚染対策セミナー「土壌汚染とリスクコミュニケーション」の開催結果について
参考資料9 中央環境審議会水環境・土壌農薬合同部会バイオレメディエーション小委員会「微生物によるバイオレメディエーションの利用指針について(報告案)」の概要

議事

(鏑木土壌環境課長)
 定刻でございますので、ただいまから第17回の土壌農薬部会を開催させていただきます。
 まず、本日の出欠の状況について御報告をさせていただきます。浅野委員、村岡委員、藤井委員、大塚臨時委員、河内臨時委員、岸井臨時委員、櫻井臨時委員、眞柄臨時委員、渡部臨時委員、中野臨時委員、北原専門委員、米谷専門委員より御欠席という連絡をいただいております。
 したがいまして、本日は委員と臨時委員の総数27名中17人の先生方の御出席が予定されておりまして、ただいまのところ15でございますが、既に部会の要件、定足数14名を満足しておりますことを御報告をさせていただきます。
 まず、議事に先立ちまして、甲村水環境部長より御挨拶をさせていただきたいと思います。

(甲村水環境部長)
 水環境部長の甲村でございます。第17回の中央環境審議会、土壌農薬部会の開催に当たりまして、御挨拶を申し上げたいと思います。
 本日は、委員の皆様方におかれましては、御多用中にもかかわりませずお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、日ごろから環境行政の推進に当たりまして御指導・御鞭撻を賜っておりまして、改めて御礼を申し上げます。
 本日の土壌農薬部会では、水質汚濁にかかわる農薬の登録保留基準値の設定につきまして、御審議をいただきたいと思っております。農薬専門委員会で検討されたエチプロールという農薬1つでございますけれども、それの審査をお願いしたいというふうに思っております。
 また、その他といたしまして、前回の部会からこれまでの間、土壌及び農薬行政につきまして幾つかの動きがありましたので、御報告したいと思います。
 また、来年4月からは水産動植物への毒性にかかわる改正登録保留基準が施行されるなど、土壌農薬をめぐる行政課題、多々ございます。環境省といたしましても、今後とも委員の方々の御指導をいただきながら積極的に課題へ取り組んでまいりたいと考えておりますので、何卒よろしくお願いいたします。
 本日は、よろしくお願いいたします。

(鏑木土壌環境課長)
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料について御確認をさせていただきたいと思います。
(野坂係員)
 それでは、配付資料について確認させていただきます。
 資料1、中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿。資料2、中央環境審議会土壌農薬部会(第16回)議事要旨(案)。資料3、中央環境審議会土壌農薬部会(第16回)議事録(案)。諮問書及び付議書(写)。資料5、水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について(農薬専門委員会報告)。資料6、農薬専門委員会(第19回)の審議概要。資料7、水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料。資料8、水質汚濁に係る農薬の登録保留基準の分析法(案)。
 次に、報告事項といたしまして、参考資料1、中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会名簿。参考資料2、「水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について(中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会報告)」への意見募集について。参考資料3といたしまして、農薬登録失効に伴う登録保留基準の削除について。参考資料4、食品中に残留する農薬等の暫定基準(第2次案)について(厚生労働省公表資料)。参考資料5、ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る平成15年度水質調査結果について。参考資料6、「平成16年度低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査」対象技術の採択について。参考資料7、「平成16年度ダイオキシン類汚染土壌浄化技術等確立調査」対象技術の採択について。参考資料8、土壌汚染対策セミナー「土壌汚染とリスクコミュニケーション」の開催結果について。参考資料9、中央環境審議会水環境・土壌農薬合同部会バイオレメディエーション小委員会「微生物によるバイオレメディエーションの利用指針について(報告案)」の概要となっております。

(鏑木土壌環境課長)
 もし足りないものがございましたら、事務局までお申しつけくださいますようお願いします。特にございませんでしたら議事に入っていただきたいと思います。
 それでは、松本部会長に議事進行をお願いをいたします。

(松本部会長)
 本日は、皆様方におかれましては大変お忙しい中を御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の部会でございますが、議事次第にございますように農薬関係の案件となっております。また、その他において、農薬関連事項並びに土壌関係の報告もあるということでございます。どうぞよろしく御審議のほど、お願いをいたします。
 では、まず本日の審議の公開に関して、その扱いでございます。昨年7月に食品安全委員会が発足しまして、同委員会が食品健康影響評価を行い農薬のADIの設定も行うことになりましたので、この土壌農薬部会では食品安全委員会で設定されるADIに基づいて基準設定について検討することとなります。従いまして、今回の部会においては農薬の毒性試験データなど企業秘密に係る資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、今回の土壌農薬部会については公開とさせていただきます。
 それでは、早速、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 さて、議事に先立ちまして資料2の第16回土壌農薬部会の議事要旨(案)と資料3の議事録(案)の確認でございます。議事要旨(案)、議事録(案)ともに、委員の先生方の御了解が得られれば、本部会の運営方針に基づきまして公開の手続ということになりますので、この場で御確認をお願いをしたいと思います。
 まず、議事要旨についてはいかがでしょうか。

(異議なし)

(松本部会長)
 それでは、議事要旨については特に御指摘がございませんので、お認めいただきたく存じます。
 次に議事録でございますが、議事録につきましては事前に事務局の方から先生方に配付いただき、御確認をいただいていると思いますので、これでお認めいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

(松本部会長)
 それでは、特に御指摘がございませんので、お認めいただいたこととさせていただきます。
 それでは、早速でございますが、議題の1の水質汚濁に係る農薬の登録保留基準につきまして、環境大臣の定める基準の設定についての審議をお願いしたいと思います。
 水質汚濁に係る農薬の登録保留基準の設定の件については、9月30日付で環境大臣から諮問がございまして、当部会に付議されております。
 事務局から諮問書を紹介してください。

(野坂係員)
 それでは、資料4を御覧ください。
 本資料は諮問書の写しでございまして、農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定についての諮問でございます。9月30日付で環境大臣より中央環境審議会に諮問されました。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目が諮問された具体的な農薬名についてでございますが、エチプロールという農薬の基準について諮問がされることになりました。
 この基準の設定の諮問につきまして、3ページ目にございますように、同日付で中央環境審議会会長から土壌農薬部会会長に付議がなされております。この諮問と付議によりまして、この場で御検討いただくという次第でございます。
 資料4については以上でございます。

(松本部会長)
 この件につきましては、内容が極めて専門的なものでありますので、諮問・付議を受けた後、本部会の開催に先立ち、まず農薬専門委員会を開催して御審議いただき、その結果を資料5に報告書として取りまとめていただいております。
 農薬専門委員会の委員長である須藤臨時委員に、10月14日に開催されました農薬専門委員会の報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(須藤部会長代理)
 かしこまりました。それでは、農薬専門委員会の委員長を仰せつかっております私の方から、10月14日に開催されました農薬専門委員会の検討結果を報告させていただきます。
 ただいま部会長からお話がございましたように、資料5に報告書が取りまとめてございます。
 なお、いろいろ審議した結果については資料6にまとめてございますので、あわせて御覧になっていただきたいと思います。
 本日、農薬の登録保留基準の設定について検討結果を報告いたしますものは、水質汚濁に係る登録保留基準値を新規に設定するエチプロール剤というものの一つでございます。エチプロールにつきましては、食品安全委員会においてADIが新規に設定されましたので、ADIの10%を従来から配分するというルールになっておりますので、この10%を配分いたしまして基準値案を設定をいたしました。150日間の平均水田・水中農薬濃度の予測値や農薬理論最大摂取量から見て、この基準値案で問題はないとの結論に達し、10月14日に開催いたしました農薬専門委員会において資料5のとおり報告(案)をまとめさせていただきました。よろしく御審議のほど、お願いいたします。詳しくは、また事務局から報告をいただけると思います。
 以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、水質汚濁に係る基準の審議をただいまから行いたいと思います。
 それでは、事務局から、まず説明してください。

(野坂係員)
 お手元の資料6及び資料7を御覧ください。農薬専門委員会での審議概要を資料6に、農薬の詳細を資料7にまとめております。また、資料8は、農薬専門委員会における議論を踏まえ事務局で検討させていただきました登録保留基準の告示分析法でございます。あわせて御覧ください。
 それでは、御審議いただくエチプロールについて、資料6、7に基づいて御説明いたします。
 まずは、エチプロールの概要から説明したいと思います。資料7、エチプロールの水質汚濁に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料を御用意願います。よろしいでしょうか。
 まず、1の概要についてでございますが、エチプロールにつきましては2003年度にバイエルクロップサイエンス社より新規に登録申請がございました。用途は資料に示すように殺虫剤でございまして、構造式は以下のようになっております。この構造の類似構造をもつ農薬としてローヌプーランアグロ社のフィプロニルという農薬がございます。具体的にはピラゾール環の4位の置換基が異なるのみで、他は同じ構造となっております。
 各種物性等について説明したいと思います。まず、分子式でございますがC13H9Cl2F2N4OS、分子量は397.2、オクタノール/水分配係数はlogPow=2.9となっておりまして、3.5を下回っておりますので生物濃縮性については特段問題ないと言うことができます。また、融点につきましては164.5度で熱分解するために測定不能でございます。水溶解度は9.2mg/L、20℃においての測定値でございますが、このようになっております。比重は1.54、また蒸気圧は9.1×10-8Pa、これは25℃での値となっております。外観としましては白色結晶性粉末となっております。
 次に、土壌残留性について説明いたしますと、土壌残留性は極めて低く、土壌においての推定半減期は1カ月以内となっております。
 下の段の土壌吸着性の方でございますが、KFOC=53.9~158ということに、土壌によって変わるのですが、このような値になっております。
 また、水産動植物に係る毒性は極めて低く、コイの半数致死濃度につきまして、96時間処理した場合でも、資料に記載されるようにLC50は14.2ppmを上回ります。
 申請製剤としましては、エチプロール10%水和剤、エチプロール0.5%粉剤が申請されております。
 適用作物としましては、稲、リンゴ、茶がありますが、基準設定に係る稲についての使用方法のみを資料には記載させていただきました。
 次のページを御覧ください。
 安全性評価についてでございます。ADIにつきましては食品安全委員会においてADI0.005mg/kg/日という評価が下されております。その下にADIの設定根拠について記載されております。簡単に説明いたしますと、食品安全委員会は平成16年7月22日付、府食第771号をもってエチプロールのADIを0.005mg/kg/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知した。なお、この値はウサギを用いた発生毒性試験においての無毒性量である0.5mg/kg/日を不確実係数100で除して設定されたものとなっております。
 このADI0.005mg/kg/日という値に平成10年度から平成12年度の国民栄養調査の結果から得られた日本人の平均体重53.3kgを掛けますと、矢印の向こうにございますように0.2665mg/人/日という値が求まります。この人1日当たりの0.2665という値を用いまして基準値を算出したいと思います。
 3の(2)基準値案というところを御覧ください。まず、0.2665に10%配分ということで0.1を掛け、1日の水の摂取量である2Lで除します。さらに、水田から河川に流出する際の希釈倍率である10で割りますと0.1333mg/Lという水1L当たりの値が求まります。これより、上の欄にございますように0.1mg/Lという基準値案を提案させていただいております。
 なお、規制対象物質はエチプロール本体といたしました。
 次に、下の欄を御覧ください。
 3の(3)は試験水田における消長試験結果でございます。150日の平均濃度の最大値は、平成14年度に行われた試験でございますが、一番下の段の多湿黒ボク土の欄にございます0.00922mg/Lという値となっておりまして、先ほど提案させていただいた0.1mg/Lという値を下回っております。ということで、消長試験については全く問題がないということが言えます。
 また、次のページを御覧ください。
 4の理論最大摂取量と対ADIという部分を見ていただきたいのですが、水質経由の最大摂取量は資料に記載されるように0.02mgとなり対ADI比は7.5%となっております、作物経由の分も含めた農薬の理論最大摂取量は0.10467mgとなりまして、農薬理論最大摂取量の対ADI比は39.3%となります。
 作物経由について簡単に説明します。作物経由の欄を見ていただきたいのですが、厚生労働省が出している基準値案ということで、米に0.2ppm、リンゴに0.5ppm、お茶に10ppmという値が出ております。この基準値案に1日の食品摂取量である185.1、35.3g、3.0gを掛けまして、左の欄の米からの農薬理論最大摂取量0.03702mg、リンゴからの農薬理論最大摂取量の0.01765mg、お茶からの農薬理論最大摂取量の0.03mgが求まりまして、作物経由の農薬理論最大摂取量は0.08467mgということになります。この値と先ほど申しました0.02というものを足しますと0.10467となりまして、繰り返しになって申しわけないのですが、人1日当たりのADIである0.2665でこの0.10467を割りますと、対ADI比は31.8%ということになります。
 なお、こちらの作物経由の食品企画が基準値案となっておりますのは、ただいま厚生労働省の方で答申は得た段階でございますが、まだ告示が出ていないということで案ということにさせていただきました。告示は12月中旬に出るものと伺っております。
 エチプロールの概要については、以上でございます。
 次に、資料6を御用意願います。よろしいでしょうか。
 専門委員会において、右の欄を見ていただきたいのですが、まず一つ目の質問として安藤委員より、発生毒性のような短期の毒性試験の無毒性量からADIを設定する際は、不確実係数は1,000とすることも考えられるのではないかとの御指摘がございました。この御指摘に対しまして廣瀬委員より、この農薬については、たまたま発生毒性試験のような短期の試験から最小の無毒性量が得られたが、長期の毒性試験も行われており、そこにおいて問題はなかったので、食品安全委員会の審議においては安全係数を100にすることに異論はなかったとの回答がございました。
 また、二つ目の質問として行本委員より、規制対象物質は本体のみとしているが、規制対象成分を決定する上でどのような考察をしたのかとの御質問がございました。この点に関しまして事務局より、水中光分解試験において10%以上生成する代謝物が2種類あるが、これらについては、毒性試験結果より問題となる毒性が認められなかったこと、及び水田消長試験において本体に比して当該代謝物が非常に微量しか検出されなかったことから規制対象とはしなかったことを説明させていただきました。
 以上でございます。

(松本部会長)
 資料8はよろしいですか。

(野坂係員)
 資料8に関しては、これは、簡単に説明させていただきますと、農薬専門委員会の後に分析法検討会というものを開催しまして、農薬の分析に詳しい先生方に分析法を検討していただいたものでございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのエチプロール及び、まずその安全性評価について、ただいまから質疑・応答の時間に入りたいと思います。御意見、御質問のある方、どうぞ。

(細見臨時委員)
 資料の6でございますが、19回の審議概要の中で廣瀬委員の方から、長期の毒性試験も行われており、そこにおいて問題はなかったのでという表現があるのですが、具体的な値とか、問題がなかったという具体的な意味というか、どういうことで問題がなかったというのがちょっとわかりにくいので、お教え願いたいと思います。

(松本部会長)
 では、事務局から、どうぞ。

(野坂係員)
 この点について回答させていただきますと、今回ちょっと用意しなかったのですが、食品安全委員会において公表しております農薬評価書というものがございます。その評価書内におきましてはADIを求める際の毒性試験を短期の試験から長期の試験まで行っておりまして、たまたま、この中の発生毒性試験という短期間の試験から無毒性量が得られたのですが、この値に安全係数100を掛けることに問題がなかったという意味でございます。
 もう少し説明いたしますと、安全係数を100ではなく1,000や10,000を掛ける場合というのは、例えば短期の試験しか行っておらず、そこから無毒性量を求めた場合と伺っておりますが、今回の農薬に関しては一応長期の試験もすべて行ったということで、100を掛けることに問題がないということでございます。

(松本部会長)
 それでいかがですか。

(細見臨時委員)
 長期の毒性試験でも無毒性量が0.5mg/kg以下だったのでしょうか。それとも、それより高い……。

(野坂係員)
 それより高い値となっております。

(細見臨時委員)
 一応は高いのですね。ですから、1,000倍するのと、その値が十分対応できるということですね。

(野坂係員)
 はい。

(細見臨時委員)
 わかりました。

(松本部会長)
 よろしいですか。
 そのほか、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 今回の審議に直にかかわらないかと思うのですけど、ちょっと資料7で教えていただければと思うのですが、水産動植物に関する毒性のところでミジンコの48時間のEC50が原体に比べて製剤の方で低いように思うのですが、これはなぜなのか。製剤の中の、仮に微量成分が加わっていて、それによるということになると、その微量成分がかなり毒性が高いものであるかなという感じがするのですが。アミンですから甲殻類にかなり効いてもおかしくはないなと思うのですが、ここのところの何か理由、説明があるのでしょうか。

(松本部会長)
 それでは、事務局、よろしいですか。

(神谷農薬環境管理室長補佐)
 具体的にどういった添加成分の影響でというところは詳しく考察されておりませんが、一つは絶対値としまして、この3.47のものも含めて、非常に大きいというほどのものではないという、そういう認識はございます。何らかの有効成分以外のものの影響というのがあるとは思われますけれども、特にこの値のレベル自体はそんなに問題になるような大きさの数字ではないということで、詳しい検討はしておりません。

(中杉臨時委員)
 常に、農薬の世界と化審法の世界というのは差が出てくるのですけど、化審法の世界でいくと10を切れば監視化学物質にするということになるので、一応懸念をする物質であるというふうな判断をしますので、そういう意味でちょっと気になったのです。10を切っているところでという少し差が出るので。何か添加剤みたいな成分、これ自体が問題ということではなくて、むしろ添加剤みたいなものが問題になるとすると、かなりそれが毒性が高い可能性があるのではないかと。量が少なくて、これだけ下げているというのは、むしろそちらの方が少し気になるなという意味で。これ自体がどうのこうのということを申し上げているわけではないのです。

(松本部会長)
 では、先ほどのコメントでよろしいですか。
 事務局から、それに関して追加して何か。

(神谷農薬環境管理室長補佐)
 御指摘の点は、今回の審議の対象ではないというふうに思っておりますけれども、来年4月以降、水産動植物影響に関する基準値を作っていく際につきましては、こういった現象にも注目した審査をしていきたいというふうに思っております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。
 そのほか、どうぞ。

(井上専門委員)
 私は農薬専門委員なのでコメントをするのはおかしいのかもしれないのですけれど、先ほど出た御質問にちょっと私の立場から、(お答えする立場ではありませんので)コメントをいたしますが、御指摘のあった発生毒性が短期試験なのでという安藤委員の御質問に対する、発生毒性のような短期の毒性試験の無毒性量からADIを設定する際には云々ということと廣瀬委員の回答についてなのですけれど、発生毒性は短期の毒性試験として分類しておりません。これは特殊毒性でございまして、したがって長期の試験の方が、より安全性を見越すという位置づけにはなりません。しかも、むしろ発生毒性の方がはるかに鋭敏な試験だという考え方がありまして、これで十分と考えてよいと思います。長期の試験がやってあるから、これでいいのだということではございません。公表される文章になると思いますので、一応コメントしておきます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、そのほかの質問を受けます。どうぞ。

(若林臨時委員)
 質問ではないのですけれども、今日は時間の余裕があるということで、中杉先生のおっしゃったことに関連して、ちょっとよろしいですか。

(松本部会長)
 はい、どうぞ。

(若林臨時委員)
 これから水産動植物への影響という評価が始まるわけなのですけど、多分、この試験では原体では溶解しづらいので粉剤とか水和剤を使って試験をした結果が併記されていると思うのですけど、その際に、例えば粉剤ですと、どういうものが入っているかというような、界面活性剤を入れたりとか、いろいろあると思うのですけど、それからキャリアーで何か粉剤になるような鉱物を使うとか、そういうような情報というのは申請時にきちんと書いてもらっているのでしょうか。

(松本部会長)
 はい、では事務局の方から。

(神谷農薬環境管理室長補佐)
 水産動植物急性毒性に関する、いわゆる3点セットの試験については試験ガイドラインが決まっておりまして、それからGLPの手続も決められております。詳細については確認が必要ですが、御指摘のような試験条件は、すべて報告事項になっていると思います。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。

(若林臨時委員)
 はい。

(松本部会長)
 委員長の方から、何か。

(須藤部会長代理)
 申しわけございません。今の若林先生の御質問とか、それから中杉先生の御質問もそうなのですけど、今度、生態影響試験の中ではもう少しいろいろ審議ができると思いますので、今度は新たな項目を加えて、この水質汚濁性とは別に生態影響ということの観点を入れた基準値というのが審議されるだろうと思いますので、そのときにはもう少し分けて審議ができると思います。今のは水質汚濁性という立場だけの問題です。

(松本部会長)
 そのほか、ございませんか。
 エチプロールの基準値案について、いかがでしょうか。御意見はございませんか。

(な  し)

(松本部会長)
 それでは、特段の御意見もございませんので案のとおりといたします。
 以上で、水質汚濁に係る農薬の登録保留基準値の設定につきまして、農薬専門委員会より報告のなされた農薬について御審議いただきました。
 さて、中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会報告へのパブリックコメントの結果について、事務局から報告してください。

(野坂係員)
 それでは、説明したいと思います。
 パブリックコメントにつきましては、農薬専門委員会での報告を参考資料2の形で意見募集をしまして、10月19日から11月19日まで環境省のホームページに掲載させていただきました。約1カ月にわたりましてコメントを募集いたしましたが、この報告に係ります意見は提出されませんでした。
 パブリックコメント結果については、以上でございます。

(松本部会長)
 パブリックコメントの手続によって得られた結果によっても、本日の審議結果を変更する必要はないようでございます。したがいまして、部会の御了承をいただければ、農薬専門委員会から御報告いただいた資料5につきまして本部会の報告として森嶌会長あてに提出し、会長の同意を得て中央環境審議会の答申としたいと考えております。これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 なお、農薬専門委員会における真剣な審議の結果、本件についての審議が円滑に運営されましたことにつきまして、本日御出席の須藤委員長並びに委員の先生方各位に厚く御礼を申し上げたいと思います。それと同時に、今後も引き続き御協力のほど、お願いをしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、ただいまの登録保留基準の審議結果につきまして、今後の扱い方につきまして事務局から説明してください。

(早川農薬環境管理室長)
 本部会からの報告を受けまして、中央環境審議会会長から環境大臣に答申がいただけましたら、事務手続を進めまして環境大臣の定める告示を改正し、官報に掲載する予定としております。告示の時期は12月になるというふうに考えております。
 以上でございます。

(松本部会長)
 それでは、これで農薬の案件につきましては審議を終わりまして、次の議題に移ります。
 次の議題は、その他になります。幾つかあると聞いておりますが、事務局から説明をお願いします。

(鏑木土壌環境課長)
 参考資料の3から9まで用意させていただいておりまして、これら参考資料にありますのが報告事項でございます。

(松本部会長)
 それでは、まず参考資料の3から5について、事務局から説明をお願いいたします。

(野坂係員)
 それでは、参考資料3、農薬登録失効に伴う基準の削除についてご報告します。
 参考資料の3は、環境大臣が基準を定めた農薬のうち、平成16年4月から9月の間に登録失効したため告示を削除する必要が生じたものでございます。今回のエチプロールの告示とあわせて削除の手続を進めたいと思っております。
 内容を説明いたしますと、作物残留に係る登録保留基準の削除についてということでございまして、下記の3農薬について登録保留基準を削除することとしております。具体的には、ブタフェナシル、ジメピペレート、アザフェニジンという農薬についての作物残留基準の登録保留基準値を削除することとします。
 水質汚濁に係る登録保留基準の削除についてでございますが、こちらは上の方でも出てまいりましたがジメピペレートについて削除したいと思います。
 下の参考の欄を御覧ください。今回の農薬登録失効に伴う登録保留基準値の削除により、各登録保留基準の設定数は以下のようになります。作物残留に係る登録保留基準は212農薬、水質汚濁に係る登録保留基準は131農薬となります。この131という数字は、環境基準である1農薬の分を差し引いて、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号に掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件第4号の環境大臣の定める基準ということだけにしております。
 参考資料3に関しては、以上でございます。
 続きまして、参考資料4、食品中に残留する農薬等の暫定基準(第2次案)についてといたしまして、残留農薬基準のポジティブリスト化の進捗状況についてご報告します。
 参考資料4をご用意願います。本資料は、食品中に残留する農薬等の暫定基準ということで、食品衛生法に基づく食品残留農薬基準のポジティブリスト化についての第1次案について寄せられた意見や参考とした基準の変更等を踏まえて定めた第2次案でございます。
 なお、第1次案については、3月に開催されました第15回土壌農薬部会において報告させていただいております。第2次案については、厚生労働省におきまして8月20日から11月30日の予定で意見募集がなされております。
 ポジティブリスト制について、簡単に説明させていただきます。
 昨年、平成15年5月30日に食品衛生法が改正されまして、ポジティブリスト制という基準が設定されていない農薬等が一定量以上含まれている食品の流通を原則禁止するという制度というものが、法改正から3年以内、すなわち平成18年の5月までの間に施行されるということでポジティブリスト化が始まりました。要は、現在まではリストに載っている農薬以外に関しては特段規制がない状態だったのですが、今度は逆にリストに載っていないものに関して一定量以上残留するといけないということで、原則禁止に近いような形になりまして、リストに個別に残留基準値が記載された農薬だけ許されるという形になりました。
 現在、残留農薬基準は242農薬についてのみ設定されております。このままポジティブリスト制を導入した場合には、輸入作物に残留する農薬で国内で使用されないものが残留した場合、または隣接する畑作からの農薬の飛散により、ある作物に適用のない農薬が付着した場合等に不必要に食品の流通が妨げられるおそれがあります。ということで、農薬取締法の作物残留に係る登録保留基準や国際的な基準であるコーデックスの基準等を取り入れまして暫定的な基準値のリストを作るというものでございます。
 このリストの作り方について、簡単に説明させていただきます。
 参考資料4の6ページを御覧ください。このチャートを見ていただきますと、まずはコーデックスの基準があるかないかで原則分けていきます。コーデックスの基準があるものはコーデックスの基準を用いて、ない場合は次の選択肢として作物残留に係る登録保留基準値があるかないかということになります。もし、作物残留に係る登録保留基準値もない場合は、諸外国の、例えばアメリカ、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランド等の基準を参考にして基準値を作成するということにしております。
 最後のページに記載された例示を御覧ください。ダイアジノンについての残留基準値が記載されております。これは第15回土壌農薬部会でも例示として示させていただきましたが、第1次案と第2次案でどのような変更があったかについて簡単に説明させていただきます。
 少々わかりにくいとは思うのですが、まず一番左側に食品が記載されております。その隣に暫定基準値案が記載されておりまして、基準値案の隣に、いろいろな参考としたコーデックスや作物残留に係る登録保留基準の欄がございます。
 この表の中で、少々わかりにくいのですが、右側の表の方のマルメロとびわという欄を御覧ください。見つかりましたでしょうか。マルメロとびわの欄の基準値案が斜体となっております。なぜ斜体かと申しますと、第1次案と第2次案で変更になっているからでございます。変更理由といたしましては、コーデックスの基準の方がもともとの値から変わったからでございます。
 なお、本2次案は、意見募集の後、薬事食品衛生審議会、食品衛生分科会、農薬動物医薬品部会での審議を経て最終案となることとされております。
 本資料の詳細につきましては厚生労働省のホームページで御覧になることができます。
 以上でございます。

(更田農薬環境管理室長補佐)
 続きまして、参考資料5、ゴルフ場暫定指導指針対象農薬に係る平成15年度水質調査結果について、簡単にご説明させていただきます。
 環境省では、過去にゴルフ場で使用された農薬により水質汚濁が生じるといった事態が生じましたことを受けまして、平成2年5月にゴルフ場で使用される農薬に係る水質調査の方法や排出口での遵守すべき農薬濃度の目標値を定めました暫定指導指針というものを作りまして、都道府県に通知しております。各都道府県では、その指針に基づきまして水質調査をしていただいて、それを環境省にご報告いただき、それを環境省として取りまとめて公表しているということをずっとやってきております。
 平成15年度の結果につきましては、1,233カ所のゴルフ場を対象に約6万検体について水質調査を実施いたしました。その結果、一番下の欄にありますように指針値を超過した検体数はゼロだったということでございます。この調査結果につきましては、本年11月12日に環境省として公表させていただいているというところでございます。
 簡単ですが、以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの参考資料3から5について、質疑・応答に入ります。ご質問のある方、ご意見のある方、どうぞ。

(須藤部会長代理)
 参考資料3の失効農薬についてでございますが、農薬専門委員会で時々質問をいただくのですが、失効した理由を明らかにしておいてくださいというようなことがよく言われるので、これはそのようになっているのでしょうか、明らかになっているのでしょうかというのが質問です。
 それから、もう一つは、参考資料の5で、しばらく、たしか私の記憶ですと、ゴルフ場農薬というのはいつも基準値に対してゼロなのです、検出されるのが。こういうモニタリングは大切なのだけれども、こういうことが続いていても、これはずっと継続をする必要がやはりあるのでしょうか。この二つについて、質問いたします。

(松本部会長)
 それでは、2件について、どうぞ。
 まず、最初の失効農薬の理由。失効の理由ですね。

(野坂係員)
 まず、参考資料3の登録失効の理由について回答させていただきますと、今回記載させていただいた3農薬に関して理由は記載されておりませんでした。しかしながら、農薬失効の理由につきましては農薬検査所のホームページで一部の農薬に関しては御覧になることができます。

(松本部会長)
 それでは、2番目のご質問に対する回答をお願いします。

(更田農薬環境管理室長補佐)
 ゴルフ場の指導指針につきまして、検出が低いということは望ましいことだと思っておりまして、かつ、こういった調査を継続するということがゴルフ場での農薬使用の適正化に寄与する面もあろうかと思いまして、必要な範囲内で都道府県には調査をお願いし、引き続きやっていきたいというふうに考えております。

(松本部会長)
 継続していくということですね。
 そのほか、どうぞ。御質問はありませんか。どうぞ。

(黒川臨時委員)
 今の件ですけれども、この参考資料5を拝見しますと、11年度から1,800ぐらいが15年度だと1,200ぐらいに減っておりますですね。そういうふうに対象を減らしてくる判断基準という……。
 それから、これに従って、コストベネフィットではないのですけれども、予算的にどの程度、膨大なものだと思うのですけど、その数字は、ざっとどのぐらいかという。

(松本部会長)
 それでは、これはもう事務局にお尋ねした方がいいと思います。どうぞ。

(更田農薬環境管理室長補佐)
 この調査につきましては、指針を出しまして、平成14年度までは環境省で補助事業でやってきたのですけれども、予算が昨年で打ち切りになりまして、今はこれは都道府県に自主的にやっていただいております。その調査結果を提供いただいて環境省で取りまとめているところです。どういったゴルフ場を調査をやるかといいますと、例えば新規にゴルフ場が開設されたとか前回調査してからかなり時間がたっているからとか、そういったスクリーニングを都道府県の方でやっていただいて、結果としてこういった1,200件というふうな数字になっているということでございます。ですから、都道府県が自主的にやったものを出していただいて環境省で取りまとめているということでございます。
 ちなみに、環境省として予算があったころは補助金額で大体3,000万ぐらいだったと思います。ですから、事業ベースでいきますと3倍とかというぐらいのお金だったのではないかなと思っております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。
 そのほか、どうぞ。

(福島臨時委員)
 今のゴルフ場の件なのですけれども、水質汚濁についてのデータは出ているのですが、大気中ですね、ゴルフ場によっては町中にあって、すぐ境界の隣が住宅だというところもあるのですが、大気中についての地上散布についての影響についての何か、そういうデータといいますか、ほとんど問題ないのだとか、そういった形のものはあるのでしょうか。

(更田農薬環境管理室長補佐)
 大気を経由した農薬の飛散につきましては、例えば航空防除で農薬を空中散布する場合もあるものですから、そういった農薬の主要なもの10薬につきまして、地中濃度評価値というのを設定しまして、それを超えないようにということでお願いはしているところなのですが、このゴルフ場農薬ということでは特段そういったものは作っておりません。ただ、農薬の飛散による影響ということの懸念がかなり強く言われているという点もありますので、私どもとしまして来年度予算で農薬の飛散に対するリスク評価の手法を調査していきたいということに取り組んでいきたいというふうに考えております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。
 どうぞ、そのほか。

(な  し)

(松本部会長)
 ほかにございませんでしたら、次に参考資料6から8について、ご説明をお願いします。

(鏑木土壌環境課長)
 参考資料の6、7、8について、ご説明をさせていただきます。
 参考資料の6は、これは土壌汚染対策法の国会でのご審議のときに、低コストな土壌汚染対策の技術について、それを開発して普及することが非常に重要であるというご審議の内容がございまして、それを受けて低コスト・低負荷型の土壌汚染調査対策技術の検討を非常に重要なことだとして進めさせていただいているものでございます。これは毎年度やっているのでございますが、本年度の実証調査の対象といたしまして、応募技術が12件ございましたが、そのうちの5件を採択をいたしまして、現在、調査を進めているところということでございます。進めております対象の技術につきましては、参考資料6の裏ページでございますが、5技術ございます。調査と、それから対策と両方ございまして、これについての実証をやろうとしているところということでございます。これまた結果がまとまりましたら、また簡単に御報告をさせていただきたいと思っております。
 それから参考資料の7番でございますが、こちらはダイオキシン類対策特別措置法の関係で、ダイオキシン類によって汚染された土壌の対策を進める際に、これもまた実用レベルに達している浄化技術について、それを技術評価をして、よい技術、より安い技術、安全な技術につきましての普及・促進を図っていきたいということでやっているものでございます。これにつきましても、本年度24件応募がございまして、そのうちから6件を採択をいたしまして、これもまた実証を進めようとしているところでございます。
 どんなものをやっているかというのは3ページ目にございますのですけれども、この6件につきまして本年度やろうということで進めようとしている、こういうご報告でございます。これにつきましても、先ほどの参考資料の6と同じように、結果が取りまとまりましたらば、また簡単に御報告をさせていただきたいと思っております。
 それから参考資料の8でございますが、これは前回のこの部会で土壌汚染対策セミナー、リスクコミュニケーションが非常に重要であるということで、それに関するセミナーをやろうと考えていますというようなことをお話をさせていただいたかと思いますが、その開催の結果でございます。
 11月25日、木曜日、これは先週でございますが、環境省と、それから財団法人の日本環境協会、この共催で日本経団連と土壌環境センターから講演をいただきまして、経団連ホールで土壌汚染とリスクコミュニケーションに関するセミナーを開催いたしました。非常に参加希望が多うございまして、この3番のところで468人の方の参加をいただいたと書いてございますが、会場のキャパシティーが473なのでございますけれども、実際お申し込みをいただいたのは、これより200人ほど多い皆様から申し込みがございまして、申しわけないのですが、ということで、後から、申し込みが遅かった方々にちょっと御遠慮いただいたりなんかをいたしまして、また、このような土壌汚染対策を進める上でのリスクコミュニケーションの進め方、非常に関心が高うございますので、これからもやっていきたいと考えているところでございます。これの裏ページに、セミナーの様子ということで会場の様子を写真で簡単に御紹介させていただきました。
 以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、参考資料6から8について、質疑・応答の時間に入ります。どうぞ。質問、ございませんか。

(な  し)

(松本部会長)
 ございませんでしたら、次に参考資料9をお願いいたします。

(徳永環境管理技術室長)
 すみません。それでは、参考資料9について御説明いたします。
 参考資料9につきましては、バイオレメディエーションということで、本年の3月23日に、この土壌農薬部会と、もう一つ、水環境部会、こちらの合同部会を立ち上げていただきまして、さらにその下にバイオレメディエーション小委員会というのを設置していただきまして審議してきたものでございます。
 資料としましては、説明用の紙が1枚目、裏表ついておりまして、2枚目に、この件につきましては現在パブコメ中でございますので、プレスの方へ渡してある資料そのものをおつけしております。プレスの方へ渡してある資料に概要が書いたものと、あと2枚目にご意見募集要項と書いた紙がございまして、その後ろに「微生物によるバイオレメディエーション利用指針について(報告)(案)」という形で報告書の案をつけております。今日は、1枚目につけております紙で概要を御説明したいと思います。
 まず、冒頭申しましたように3月23日に小委員会を設置していただきまして、審議を開始しております。
 なお、このバイオレメディエーションにつきましては環境省にも通達という形で指針が一つございましたが、あわせて経済産業省の方にも組換えDNA技術工業化指針の中で組換え以外の部分も準用するというような形で指針が一つございました。そういう経緯を踏まえまして、環境省の小委員会と、もう一つ、経済産業省の方の産業構造審議会化学・バイオ部会組換えDNA技術小委員会開放系利用技術指針作成ワーキンググループという、非常に長い名前でございますけれども、このワーキンググループで、二つの役所に別々の指針があるというのはいかがなものかということで、指針の一本化を図りましょうということで合同で審議を行ってまいりました。その審議の経緯が「審議の経緯」の2ポツのところに書いてございますように、第1回目を4月26日に開きまして計4回、4回目が10月7日に開いて、一応報告書の案という形で取りまとめていただいております。現在、パブリックコメントをまさに実施中のところでございます。
 では、報告書の案の具体的な内容につきまして、かいつまんで御説明いたしますと、まず対象とするバイオレメディエーション、バイオレメディエーションというのは大きくはバイオオーグメンテーションというものとバイオスティミレーションという二つに分かれますが、この中で、特にこの報告書としましてはバイオオーグメンテーションを対象に議論しております。
 なお、バイオスティミレーションにつきましては対象としないということでまとめておりますけれども、これは、添加する栄養物質とこれらの栄養物質等の供給停止に伴いまして微生物が減少し最初の状態に微生物相も戻っていくだろうという前提のもとに、対象から外していいだろうということで外しておるものでございます。
 2番目に「利用微生物」のところでございますけれども、ここが一番検討会でもめたといいますか、議論百出したところでございまして、第4回目の検討会では、もうほとんどここの議論を委員の皆様方にやっていただいたような形になっております。最終的に、国の方で安全評価を行うものとして、そこの[1]と[2]に書いてございますような形で取りまとめております。具体的には、[1]として分類・同定された単一微生物又はそれらを混合した微生物系、二つ目として、自然環境から採取された複合微生物系をもとにして特定の培養条件で集積培養された複合微生物系であって、高度に限定された微生物で構成され、その構成が継続的に安定していることが確認されたもの。この二つについては、そこに書いてございますように「指針で確認の対象とする」ということで整理しております。
 なお、何が一番議論になったかといいますと、活性汚泥とかコンポスト、これが現に使用されているものもあると。ただ、これを一体どうするのかというのが一番の議論になったと記憶しておりまして、これらについて、もう以前から使用実績が十分にあるものもあるので、わざわざ指針を作って縛っていく必要はないだろうという意見があった一方で、頭から活性汚泥やコンポストは安全であると指針の中で言い切ってしまって本当に大丈夫なのだろうかという、相反するといいますか、視点の異なる意見がいろいろ出されて議論になったところでございます。
 そこら辺を取りまとめまして、これ、報告書(案)の方の3ページのところをちょっと見ていただきたいのですけれども、「第3 指針の対象」の2番の「利用微生物」というところでございますが、ここに書いてございますように、「指針で確認の対象とする利用微生物は、微生物の種類ごとに生態系等への影響についての科学的知見に基づいた適切な安全性評価が可能なものとする」ということで、先ほどの[1]番と[2]番がございます。それに加えて、なお書きのところで一番ページの下のところでございますけれども、「自然環境から採取された複合微生物系をもとにして、培養された複合微生物系(前記[2]のものを除く。)は」ということで、活性汚泥とかコンポストはここの中に含まれてくるというふうに読み込めるものでございますけれども、ここにつきましては「事業者自らが適切な安全性の点検を行い、適切な安全管理のもとに実施されることが望ましい」ということで整理しております。
 なお、経済産業省と環境省で、この報告書をもとに、これからの作業としては指針をつくることになるかと思いますけれども、その指針の中で、検討会で議論された内容を、できるだけ、指針に附属する解説書をつくる中で、もう少しかみ砕いて、できる範囲で解説してくださいというような意見もいただいております。
 1枚目の紙に戻っていただきまして、(3)に浄化対象物質、浄化対象環境媒体ということで、対象物質としましては石油類のほか分解が遅い化学物質などを対象とすると。また、環境媒体としましては、開放系利用を前提に自然条件下の限定された区域の土壌及び地下水等ということで、実験室ということではなく開放系、いわゆる外で利用するというのを前提に議論しております。
 それと、裏のページでございますけれども、実施要領としましては、実際に事業をやられる方に、浄化事業計画を策定し、それにのっとって生態系などへの影響評価を行っていただくと。影響評価の結果を影響評価書としてまとめていただく。そして問題ないということであれば、浄化事業計画にのっとって浄化の作業を進めていただくという形になっております。
 また、どの時点で浄化事業を終了するか、ここも議論になった点でございまして、「指針に基づき浄化事業計画に定めた項目を確認してから終了する」というふうに書いてございますが、これもちょっと報告書の方を見ていただきたいのですけれども、10ページのところでございますが、10ページの一番下のところに「4.浄化事業の終了」ということで、「浄化事業計画に定めた浄化事業の終了方法とその手順に従って、浄化作業終了後」というふうに文章が入っておりまして、黒丸が五つ並んでおるかと思いますけれども、例えば浄化対象物質が浄化目標に達したとき、利用微生物が増殖または高濃度に残留しない、分解生成物が有意に残留しない、栄養物質などが有意に残留しないということで、一応どの時点で終了するかという一つの観点を示しております。
 また1枚目の紙に戻っていただきまして、それと「3.国による確認」ということで、事業者の方が希望される場合は国への確認を求めることができる制度を設けると。
 4番目として「浄化事業の実施に当たっての留意点」ということで、モニタリングの話、あと万一の場合の必要な措置を講じること、それと、最後でございますが、周辺住民などと十分なコミュニケーションをとってやってください、このようなことを記載しております。
 今後の予定でございますが、12月7日がパブコメの締め切りという形になっております。また、パブコメは環境省だけでなく経済産業省の方でも同じ内容について同じ期間、あわせて行っておりまして、7日以降、両方のコメントを両省合同で整理するという作業に進む予定にしております。
 私の方からの説明は以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、参考資料9につきまして。ご質問、ご意見のある方、ちょうだいしたいと思います。どうぞ。

(西尾臨時委員)
 結局、この組換え体微生物の野外利用については、どういうふうにしているのですか。よく読み取れないのですけれども。

(徳永環境管理技術室長)
 組換え体の方でございますか。

(松本部会長)
 そうです。

(徳永環境管理技術室長)
 組換え体の方は法律ができていますので、そちらの方で規制されるということで、法律の規制に入らない非組換え体を今回の検討の対象としております。したがいまして、組換え体はカルタヘナ法の枠組みの中で規制されていくという整理になっております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。
 どうぞ、そのほか。ございませんか。どうぞ。

(岡田臨時委員)
 1枚目の(2)の[2]のところの複合微生物というのは、[1]で言っている、それぞれの微生物が同定されているものなのですか、それとも同定されていないものの複合系なのですか。

(徳永環境管理技術室長)
 ここは、いろいろな議論があったところなのですけれども、同定されているものについては[1]のところで読むという形になっておりまして、[2]番は、自然環境から採取された複合微生物があって、これを何度か集積培養することによって微生物の構成が変化しないように、ここに「高度に限定された微生物で構成され、その構成が継続的に安定している」という表現があるのですけれども、そういう意味では、委員のおっしゃっている同定されたものだけをまぜたという趣旨では必ずしもございません。

(岡田臨時委員)
 それの、今度は人への安全性とか環境への影響という評価も、やはりどこかで行うことになるのですか。

(徳永環境管理技術室長)
 そういうことでございます。ただ、それにつきましては、微生物の構成が限定されて、かつ安定しておれば、影響を評価する手法はあるというふうに委員の方から色々と御意見をいただいておりますので、具体的にどうするかというのは、これから解説の中にある程度書き込まないといけないのかなとは思っておりますけれども、十分に評価できるという前提のもとに書いております。

(松本部会長)
 何か、御納得いかなければ、どうぞ。まだ、時間は十分ございますから。

(岡田臨時委員)
 いくとかいかないとかではなくて、そういう集合したものの評価が一括でできるのかなということが、ちょっと私は疑問に思いますね。
 例えば、これ、農薬として扱う場合に、2種類の微生物を入れた場合は、個々の微生物の安全性評価をして、そして2種類の微生物の混合物、今度は製剤の安全性をするというのが常識ではないかと思っていますので。だから、こういうふうに複合系となると、一括でできるのか、一つずつやって、また全部合わせたものをするのかということ、ちょっとどうなのかなと思う。私にも、よく分かりませんけれども。

(松本部会長)
 はい、西尾委員、どうぞ。

(西尾臨時委員)
 今の点ですが、生物農薬として使う場合には、はっきりと同定されたもので、しかも安全性がチェックされたものでなければ怖くてしようがないわけです.とくに対象が土壌の場合には、土壌中のバクテリアで同定されているのは、ほんの数%あるいはそれ以下というのが現実です。それで、同定できていないバクテリアの中に非常に難分解性物質の分解能力に高いものが結構ある。それを培養するには、一体何を食べているかわからないし培養できない。そういったケースのときに、菌を分離できないから、その菌を集積した土壌を何らかの形で、菌が死なないようにして接種源として利用するということがあり得るのだと思います。そのような場合を考慮して委員の人たちが苦労した文章が、これではないかなと思います。その安全性というのは、そういう性格からすれば、個々にということではなく、まとめて何らかの形でもってチェックすることが前提になるのだろうと思います。では、どういうふうにチェックするのですかというのが、難儀な問題でしょうけれども、そういうケースをある程度認めなくてはいけないと思います。
 むしろ、こういうような記載があるときに、はっきりと私が条件をつけてもらいたいのは、同定しないにもかかわらず、いいかげんに勝手に菌名をつけるなということです。市販の微生物資材には、自分で同定もしていないのに勝手に名前を書いて、あたかも同定したかのごとく売っているようなものもあると聞きます。そういうのが、サイエンスの知識を悪用して、非常に危ないわけです。だから、そういうものについては、同定されたものと未同定なものを区別し、こういうオリジンからの未同定菌だということをはっきり記載させることを行政的に指導していただきたいと思います。

(松本部会長)
 大変適切なコメントをありがとうございました。
 はい、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 私は、この技術は将来、非常に有望な技術の一つだと思っております。それだけに技術開発の推進が必要ですが、それを効率的に行うためのデータの蓄積とか、技術開発を加速するための支援について経済産業省あるいは環境省さんで、そういう技術の開発、データの蓄積について、何か新しい制度なり政策をお出しになる予定がおありになるかどうか、伺いたいと思います。

(鏑木土壌環境課長)
 これ、土壌汚染の関係の技術の情報とか、それから技術の開発につきましては、先ほど資料の6とか7とかでもご説明をさせていただきましたけれども、非常に重要なことであって、まだまだ開発途上といいますか、我々自身が取り組みの途上にあると思っています。一生懸命予算を使って技術評価をするのはいいのですけど、この成果が十分活用できていないという話になってしまうと何の意味もないことになってしまうので、その辺は私どもも非常に大きな課題としてというか、ちゃんとやらなければならないこととして思っています。
 先ほどの資料の中に低コスト・低負荷型、参考資料の6の裏面になりますが、短期原位置微生物活用化型のバイオレメディエーションの技術とかというのが、たまたま、これは16年度の技術評価の対象として上がっております。こういうようなことで、バイオレメディエーションにつきましても、ほかの物理的なとか化学的なとかという、そういう技術と同じように評価を進めていけるところについては進めていきたいというふうに思っています。
 それから、なお、バイオレメディエーションの指針の関係で申しますと、国による確認というのが参考資料の9の裏面の3番にございます。事業者がバイオオーグメンテーションを実施する際に、指針において国への確認を求めることができる制度を設けることが必要と。こういうこともございますので、浄化事業計画について、我々、今まで以上に情報が入ってくることになると。多くのものは企業秘密みたいなやつが絡んでくると思いますので、何でもかんでも、すべてオープンにしてしまうぞというわけにもいかないとは思いますけれども、こういうようなことも含めて、技術の集積と、それを活用できるようにするための体制の整備ということは課題として進めていきたいと思っています。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。
 そのほか、どうぞ。

(甲村水環境部長)
 すみません、別件でございますけれども、前回の土壌農薬部会で大塚委員、それから中杉委員からご質問あるいは御意見の形でございました、三位一体の改革に伴う環境監視に伴う補助金の関係でございます。新聞等でご存じのように、11月26日、先週の金曜日に政府与党で決定されまして、全体像といたしましては3兆円の財源移譲を行うということでございます。その中に、私どもの、あるいは大気も含めまして、大気、水質、土壌、ダイオキシン等の調査費、環境監視等補助金がございます。約26億円でございますけれども、これが地方公共団体への財源移譲の対象というふうに政府与党で決まりました。ただし、条件といたしまして、自治体に移譲される事業につきましては、地方自治体の裁量を生かしつつ確実に執行が担保される方法を検討するということとなっております。
 前回の部会でも、要は、補助金があるなしではなくて、その調査が確実になされて、それが当然公益にも当たりますし、あるいは環境規制にも関係してきて、そのデータのあるなしによって規制値もまた変わってくるというので、そういうのをしっかりやるようにというようなご意見もいただいておりまして、今後、先ほどの条件の確実に執行が担保される方法というのを早急に検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 そのほか、あるいは本日の会議全体を通じて、何か御質問あるいはコメントがございましたら、この際、お願いしたいと思います。どうぞ。ございませんか。

(な  し)

(松本部会長)
 ございませんようですので、最後に私の方から本日の資料の取り扱いについて説明しておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運営方針では、検討中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは部会長の判断に基づきまして非公開とすることになっております。
 本日配付しました資料は、いずれもこれに該当いたしませんので公開といたします。
 それでは、もう一度、何か全体を通じまして、御意見あるいは確認事項でも結構でございますが、ございましたらどうぞ。ありませんか。

(な  し)

(松本部会長)
 それでは、特にございませんので、終了時間より若干早目に本日の会議は終了いたしますが、以上をもちまして本日の土壌農薬部会を閉会といたします。
 御熱心な御審議をいただきまして、本当にありがとうございました。