中央環境審議会土壌農薬部会(第6回)議事録

日時

平成13年12月26日(水)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館共用第7会議室

出席委員

部会長
部会長代理
委  員
 
臨時委員
松本 聰
須藤 隆一
小早川光郎
村岡 浩爾 
岡田 齊夫
亀若 誠
嶌田 道夫
臨時委員 鈴木 英夫
谷山 重孝
福島 徹二
中野 璋代
西尾 道徳
山口梅太郎
渡部 徳子

委員以外の出席者

環境省: 環境管理局長、水環境部長、水環境部企画課長、土壌環境課長、農薬環境管理室長、地下水・地盤環境室長、事務局
オブザーバー:国土交通省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省、総務省、一般傍聴者、その他

議題

(1)今後の土壌環境保全対策の在り方に関する審議状況について
(2)その他

配布資料

資料1中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿(平成13年12月26日現在)
資料2中央環境審議会土壌農薬部会(第5回)議事要旨(案)
資料3-1今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案
資料3-2今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案に係る説明資料
資料3-3中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会「今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案」等に関する国民の皆様からの意見の募集について(お知らせ)
参考資料1平成12年度地下水質測定結果について
参考資料2平成12年度ダイオキシン類類に係る環境調査結果について

議事

(土壌環境課長)
 ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会の第6回を開催する。
本日は委員総数27名中、14名の出席で定足数を満たしている。

(事務局)
 まず、配布資料の確認をさせていただく。

(配布資料の確認)
 それでは、部会長に議事進行をお願いする。

(松本部会長)
 それでは、議事次第に従い議事を進める。
 本日の議題は、今後の土壌環境保全対策の在り方に関する審議状況、その他についてである。
 まず、今後の土壌環境保全の在り方に関する審議に状況についてであるが、これは10月18日付で諮問され、本部会に付議されたものであり、10月23日に開催した第4回の本部会において設置した土壌制度小委員会で審議をお願いしていたものであるが、その審議の状況について報告をしていただきたい。
 それでは村岡委員、お願いする。

(村岡委員)
 それでは、土壌制度小委員会における審議状況について御報告申し上げる。
土壌制度小委員会は10月23日に行われた第4回の土壌農薬部会において設置が了承された。それを受けて、第1回を11月16日に行い、以降第2回、第3回、第4回、そして現在のところ、第5回まで進んだが、これが12月20日に行われた。この間、わずか1カ月ぐらいだが、大体1週間に1回ぐらいのペースで、非常に精力的に委員の方々から御意見をいただいて審議を進めてきた。
 この小委員会の前段として、検討会が昨年の12月から今年の9月までの間に9回開かれた。その中間取りまとめが本小委員会の踏み台になっているわけであるが、同時に、この中間取りまとめは、9月末から約1カ月間、パブリックコメントに付して、国民からいただいた意見を第1回の席上で討議するとともに、この中間報告をもとにして、これからどう検討するかについて広く議論をしていただいた。それ以降、第2回、第3回、第4回については、その中のいろいろな問題について集中的に議論をしたが、その主な論点について紹介しておきたい。
 まず第一に、どういう土壌汚染を対象にするかについて、これは汚染物質をどう規定するか、汚染された土壌からの健康リスクをどう管理するか、あるいはリスク経路についてどう規定するかについて議論いただいた。
 その後、土壌汚染がどういう状態かということを把握しなければならないので、どのような調査を行うか、その調査は、どういう契機に行うか、誰が行うかということについて議論をいただいた。そのように汚染された土壌について、一応リスク管理地というふうに位置付けをして、登録してそれを管理することについても、いろいろ問題があり、議論いただいている。
 このように汚染の把握ができると、今度は健康影響を回避するためのリスク低減措置をやらなければならない。リスク低減措置というのは、平たく言うと、対策であり、あるいは対策にかかわるモニタリング等であるが、そのリスク低減措置の実施主体は、誰なのか。これは先の調査の実施主体と合わせて、誰が行うのか。この場合、制度的には土地所有者ということになるが、現実に汚染原因者がいるわけで、土地所有者と汚染原因者との関連がきちんと整理されていなければいけないという論議がされている。
また、過去の汚染行為に対してどういう取り扱いをするか、この辺も整理しておかないといけないという論議があった。
 このように、リスク低減措置を取る場合に費用が伴う。この費用の負担については、制度的には土地所有者という考え方になっているが、現実には中小企業等に多い資金力が弱いケースもあるわけで、そういったことに対する配慮をどうするかについても論議した。また、この支援措置を取る場合に最も重要なものが基金で、その基金はどれぐらいで、どういうふうにしてそれを確立するかも問題である。
 他にもいろいろあるが、こういう論議をして、第5回では、それまでの論議をもとにして、今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ案ということで、この小委員会の取りまとめを審議した。この取りまとめ案は、1月中旬までパブリックコメントに付して、いろいろ国民の意見をいただくことにしている。
 この取りまとめ案の具体的な内容については、後ほど事務局から説明していただく。
 また、この小委員会において、可能な限り委員の方々から提示された疑問点について答えるような議論を尽くすよう心がけているが、まだ幾つかの点について詰めるべき課題が残されていると認識している。もともとこの制度は、土壌汚染にかかわる健康リスク低減措置、健康を守るということからなされる法的な方法としての制度を考えるわけだが、そういう意味で、その点についての基本的な考え方で、この制度を早く確実なものとしてスタートさせることについては、委員のすべての方々の理解と賛同を得ている、そもそも、水や大気の場合は公共財だが、土壌は個人が所有する財産でもあるわけである。そういう意味で、例えば、その土地を利用して生活しているとか、活動しているとか、あるいは土地の売買がある場合に、この汚染に対していろいろな対策を講ずる段階でどうしても私権にかかわる問題が付随してくる。そこで、この制度を法的に考える場合、そういった私権との問題の在り方をよく整理しないといけないという意見があり、その意味で、今日、説明いただく取りまとめ案の中にも、特に取りまとめ案としては、委員の方々すべてに了解を得ているが、部分部分において、こういう考え方もあるのではないかという点があるので、そういった点については、取りまとめ案の中に付言として、3カ所つけさせていただいて、それをパブリックコメントに付すというスタイルをとっている。
 なお、この取りまとめ案、そのまま読むと、わかりにくい面もあり、そのため、検討会からいろいろ説明や検討の材料にされてきた説明資料というものがある。この説明資料もいろいろ議論する中で、先程言ったような課題について、もっと整理すべきだという意見もあったので、その都度事務局で整理し直していただいて、今日、御覧いただくような説明文書が付されている。これも合わせてパブリックコメントに出すことになっている。
 そういうことで、そういう経過をお含みいただいて、議論していただきたい。
なお、今後の進め方だが、このパブリックコメントの応募結果がまとめられるのが1月中旬なので、その中下旬あたりに第6回を開催して、報告案について議論していただく。そういうことで、この小委員会の報告が取りまとめられれば、また、その時点でその内容について本部会で報告させていただくので、よろしくお願いしたい。

(松本部会長)
 それでは、資料に基づいて事務局から説明をお願いする。

(事務局)
 (資料3-1、3-2、3-3に基づいて説明)

(松本部会長)
 ただいま説明された今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方の取りまとめ等について審議をお願いしたい。

(西尾臨時委員)
 基本的な考え方の問題だが、制度の具体的な中身に入る前の問題として、取りまとめ案は健康影響の問題と環境影響の問題の二つを掲げて健康影響に限定している。制度の目的としては、それで良いと思うが、環境の問題として健康上の環境と生活環境とを文章の中で、機械的に分け過ぎているのではないか。例えば、汚染土壌から汚染物質が地下水に流れ込んで、その地下水が飲用水に利用されているなら問題だが、飲用水として利用されていないなら、あえて対象にしないような書き方がある。例えば、硝酸性窒素等の地下水等における健康上の環境基準は10ppmとなっているが、それが100ppm、200ppmであったとしても、飲まないなら健康上問題ない。しかし、その地下水が河川や湖沼に流入して、そちらの方に混入していった場合には、湖沼であればトータルで1ppm、だから健康ということにあまりにも制度上限定し過ぎているのではないか。環境という問題は、環境省の考え方では、健康と同時に生活環境の問題の両方を視野に入れて考えるべきではないかというのが1点。
 それから、何のためにこういうことをやるのかというときに、現に起きてしまったことに対する緊急措置の対策がすぐに必要だということはよくわかるが、予防の考え方が希薄ではないか。というのは、例えば、資料3-2の5ページで、土壌の方に汚染物質が存在して、それが土壌に吸着されていて、すぐには地下水までは流れ込まない、地下水の汚染が生じた後に必要な対策を講じるという書き方、汚染が生じたときには、実は対策は講じられていない。地下水に至る前に上の方でそれが除去されるなり、完全に下に流下しないような対策が講じられなければいけないはずなのに、予防の考えが非常に薄いのではないか。
 私は、基本的な考えのところで、その2点。それから、これを制度として考えるときには、過去に汚染した人が別途いるのであれば、その人とのかかわりをもっと明らかにすることが強調されるべきではないか。

(松本部会長)
 ただいま西尾委員から二つの大きな問題点が指摘されたわけだが、それについて事務局。

(土壌環境課長)
 西尾委員の御指摘の点についてお答えする。まず、全体の基本的な考え方で、健康影響の面、それから生活環境の面ということであるが、私どもは、昨年からの検討会、あるいはそれと並行して、リスクの評価検討会でもそのあたりを徹底的に議論させていただいた。その結果、全体の目指すところは人の健康影響、あわせて生活環境も含めたトータルの環境を当然目指すべきであるが、汚染実態として十分把握されているかどうかをトータルにやらさせていただいた。その結果、そういったところを含めてそろってくるのは、最終的には、今日、説明した直接摂取と地下水への溶出の2つで、油による土壌汚染等の生活環境については、現在のところ、知見はまだ十分でなく、引き続き調査研究を進めるべきであるとされた。
 なお、引き続き調査研究することとした件については、14年度から進めていきたいと考えている。さらに、ヨーロッパの方では土壌の多機能性という考え方があり、今回は健康影響だが、その辺は引き続き調査研究などで考えていきたい。
 それから、予防的な考えが希薄ではないかという御指摘であるが、今回の制度の中で対象にしたのは、過去における事業活動などに伴う汚染をどうするかということである。ただし、予防的なところも私ども検証しており、このあたりは既存の環境関係でいろいろな制度があり、化学物質の管理の制度もある。それによりいろいろな物質を野外に放出したり、あるいは土壌に浸透させることを水質汚濁防止法、化審法、最近のPRTRも含めて、制度がかなり充実してきていて、そこで十分に担保されているのではないかと考えてこの制度を整理した。
 それから地下水については、まさにここで私ども目指しているのは、地下水の汚染に至る前のところで、止めていくことも含めて土壌汚染を位置付けていて、このあたりはモニタリングを、仮に汚染が拡大して地下水の方に行くということであれば、モニタリングの中で今後どうなっていくかを見ながら、そしてそれが広がれば、そこで浄化等も含めて対策を取る、地下水に関しては予防的なところを土壌汚染の側から詰めていく考え方を持っている、そういうところで御理解いただきたい。

(松本部会長)
 ただいまの事務局からの回答でいかがか、西尾委員。

(西尾臨時委員)
 1番目の健康影響と生活環境影響の問題であるが、今の言い方だと、例えば、農地が肥料や家畜の排出物をたくさん入れて、硝酸性窒素汚染をしても、ここの地下水は飲用として利用していないから、構わないことになるのではないか。
 2番目の問題の趣旨はわかったが、例えば、資料3-1の5ページの一番上で、必要が生じた場合という書き方が非常に誤解を招くと思う。地下水汚染が生じる前にと書いていただきたい。先程の説明では、地下水汚染が起きてからと説明された。

(農薬環境管理室長)
 まず最初の生活環境の面に対して説明する。例えば、資料3-1の2ページ、地下水等の摂取によるリスクというところに、地下水等と書いてある。この「等」の意味は何かというと、委員御指摘のように、地下水経由で公共用水域に行く場合も含めて一応視野に入れているということである。いわゆる生活環境項目を私どもが頭の中で整理するときは、例えば、作物への影響があるかないかとか、人の摂取ではなくて、経済活動自体の断面で捉えて何らかの影響があることを普通は生活環境項目と言っている。最終的に人の口に入って健康に障害が出るかどうかというのはすべて健康項目で整理している。そういう意味では、一応、視野に入っていると理解いただいた方がいいと思う。

(事務局)
 二つ目の御質問であるが、これは資料3-2の3ページの汚染土壌から地下水等への溶出に係る基準の考え方という表の真ん中ほどの[4]として、地下水モニタリングを実施というところのその下に、地下水モニタリングの結果、土壌中の有害物質が地下水を汚染する状態に達する場合、これは達したということではなくて、あくまでも達するとき、理想的にはその瞬間を捉えるように努力すべきであると考えている。決して後ではなく、理想的にはそういう場面を捉えるように努力して、その瞬間にはやるという趣旨だと理解していただきたい。

(松本部会長)
 西尾委員、とりあえずは、よろしいか。

(西尾臨時委員)
 とりあえずは。

(嶌田臨時委員)
 小委員会での経緯からいうと、この制度は、汚染土壌を全てきれいに浄化をすれば良いのだろうが、当然費用も膨大にかかる。先程説明があったように、私権との関係もあり、このスキーム自体は、操業中の工場などは周辺の地下水汚染が発見された場合などを除いては対象外になるというように必要最小限で健康影響が防止されるよう制度が仕組まれている。その辺は実効性がないと、せっかく制度を作っても機能しないことになる。

(須藤部会長代理)
 私は全体として大変よく整理されていて良いと思うが、質問というか、確認したい。まず、土壌汚染の可能性を判断するのは、誰がどのような手続でやるのかというのが1点目。
それから2点目は、直接リスクのときは、当然溶出試験ではなくて、例えば含有量試験か何か別の基準を設けるのかということ。
 それから3点目は、西尾委員との質問と関連するが、確かに生活環境項目と健康項目をきちんと分けておくのは大切だが、せめて油汚染だけはこちらに入れた方が良いのではないかということ。
それから4点目は、この制度を見ると、都道府県の関与がかなり増えるような感じがするが、都道府県が今のような状況で、これだけの仕事がさらに加算される、要綱などを作っているところも多いので、そんなに増えないかという気もするが、その辺の見通しはいかがか。
 この4点について伺う。

(松本部会長)
 それでは、ただいまの4点について事務局から回答をお願いする。

(事務局)
 まず、一つ目の土壌の可能性であるが、これは資料3-1の3ページの土壌の調査の契機のところにも書いている。これについては、まず、一つ目の調査の契機で、工場の廃止、あるいは用途の変更については、例えば、土壌汚染の可能性の高いと思われる有害物質を使用している特定事業場を制度の中で特定して、工場・事業場を廃止するとか、用途を変更するような機会を捉えて調査を行うようなことを考えている。

(須藤部会長代理)
 それ以外は、土壌汚染があったとしても対象外になるのか。

(事務局)
 なるべくその対象はきちんと拾う形で考えているが、もし最初の仕組みの中で、どうしても100%かどうかと言われると……。

(須藤部会長代理)
 100%ではなくてもかなり外れる可能性もあるわけか。

(事務局)
 ここではできるだけ可能性のあるところは拾いたいと思っている。
二つ目の可能性は、御指摘のように、例えば、今、申し上げた有害物質を取り扱っているような工場・事業場の跡地であることが明確になり、ある程度、可能性が高いことが判明した時点で調査に入っていただく。あるいは周辺で本当に直近の井戸で汚染が見つかった場合で汚染の可能性が高いところに対して調査命令をしていくことを考えている。一つ目は、こちらでできるだけこういう場合ということを明確にしながら内容を固めていきたい。
 二つ目の御指摘の含有量の方は、御指摘のとおり、別に基準を作り、別の分析法を考えているので、それは含有量ということで、全く溶出とは別に考えている。
 それから三つ目の油は、御指摘のように、まだ私どもとして実態がどうであって、何がどう人に対して影響があるのかが十分わかっていない。ただ一方で、重要な課題であるので、8ページの今後の調査検討を進めるべき課題として、もう少し集積することとさせていただきたい。
 自治体の関与であるが、最初に申し上げたように、私どもでできるだけ技術的基準など、いろいろ運用に際しての考え方が明確にわかる形で整理をしていきたい。

(事務局)
 一つだけ補足したい。最後の都道府県の対応について、一つは言われたように、大都市を中心として、既に条例制定、要綱など、相当整備されていて、こういった土壌汚染対策の事務を処理する体制もかなりしっかりと整ってきている。
 もう一つ、今回、この制度を検討するに当たって、都道府県にヒアリングなどをしているが、その中でこの制度を導入することによって、現在、都道府県において地下水のモニタリングを継続的に実施していただいているが、例えばこの制度に基づいてリスク管理の視点がなされれば、より一層モニタリングが効率的になるとか、あるいは調査命令を検討することによって、今まで自治体が実施していた調査が軽減される面もある、そういった面でリスク低減措置の命令というものも一部あるが、一方で調査などについては、特に軽減が図られるといったような内容になると思う。

(山口臨時委員)
 大変よくまとまっていると思うが、それと同時に、どういう結果になるかは、あまりよくわからない部分もある。法律というのは、それではいけないかもしれないが、やってみて、いろいろ問題が出てきたら、それに対応するというのができないものか。この制度については、もとになっているものの一つとしては、アメリカのスーパーファンド法などがあると思う、それから、所有者の権利などについては、鉱山保安法がある、鉱物資源は国のものだから、国がずっと権限を持って、その後始末についても国がやる。鉱山権利者が汚染をしているとすれば、そういう鉱山権利者がやるが、汚染原因者がいなくなったとか、非常に古くからやっているような鉱山で汚染原因者がわからないと、地方自治体が実施主体であるが国の補助金でやることになる、そういう古い制度もあるわけで、これも鉱山保安法で問題を見るようになってからでも、50年以上の歴史があり、かなり長い歴史を持ってやらないと、本当のものになっていかないような気がする。スーパーファンド法でもいろいろな混乱が起きている、そういうものもあるため、今ここで完成したものにするのではなくて、試してみていろいろな問題が出てくれば、それに対応するというようにできないかと思う。

(松本部会長)
 これについて事務局から何かコメントはあるか。
 他に御意見はないか。

(福島臨時委員)
 先程都道府県の負担がという意見があり、多少は増えると考えているが、横浜市では、多くのところで、今、要綱や条例でもやっているところがあるので、対応は可能かと思っている。先程事務局で、できるだけルーチン化とか、明確な判断基準を今後設定していくと言われた、その点、十分お願いしたい。小委員会でも再三、述べたが、一番行政の方として気になるのは、今、要綱や指針でやっている分には良いが、一応明確な判断基準を作ったとしても、大気や水のように十分に混ざっていないから、調査漏れがどうしてもあるだろう。そうすると、浄化したということで知事が台帳に載せるわけだが、それがきれいになったからということで抹消する、ところが後から掘削工事を始めたときに、何か出てきたとすると、知事が抹消したのは何だったのだということになる。しかも土地は財産なので、行政が訴えられることを一番心配しているが、この辺も、今後の方策の中できちんと技術的な基準などを作っていただきたい。

(松本部会長)
 ただいまの福島委員の御意見について、何か事務局。

(土壌環境課長)
 技術的基準を私ども国できちんと作ってほしいという御指摘だと思うので、そのようにする。

(松本部会長)
 それでは、本日、いただいた非常に貴重な御意見を参考にしながら、引き続き小委員会で取りまとめをしていただきたい、村岡小委員長、よろしくお願いする。
次の議題は、その他ということであるが、事務局に資料に基づいて説明をお願いする。

(地下水・地盤環境室長)
 (参考資料1に基づいて説明)

(松本部会長)
 続いて参考資料2の平成12年度ダイオキシン類に係る環境調査結果について、御報告をお願いする。

(事務局)
 それでは平成12年度ダイオキシン類に係る環境調査結果について報告させていただく。
 既に新聞等で御承知のことだと思うが、環境省では、12月18日にダイオキシン類対策関係で三つの事項をまとめて公表している。一つがダイオキシン類対策特別措置法の施行状況で、法に基づく規制措置を受ける施設数や法に基づく立入検査数をまとめたものである。二つ目がダイオキシン類排出インベントリで、既に12年度廃棄物焼却施設等からのダイオキシン類の排出数値をまとめたものである。三つ目がダイオキシン類に係る環境調査結果ということで、本日、報告をさせていただくものである。
 それでは参考資料2に基づいて説明をさせていただく。
 
(参考資料2に基づいて説明)

(松本部会長)
 ただいま説明いただいた平成12年度地下水質測定結果について並びに平成12年度ダイオキシン類に係る環境調査結果について、何か質問はあるか。

(福島臨時委員)
 ダイオキシンの土壌の調査であるが、全国ではどんな場所の土を採っているのか。横浜の場合、1キロメッシュの調査をやっているが、マニュアルによってある程度空いている場所がないといけないから、公園と学校の校庭の土を採っている。畑などは、農薬の影響が出るため調査がやりずらい、道路はほとんど舗装されているので、メッシュの中でやっているが、他の自治体も同じかと思うが、もし、わかれば伺いたい。

(事務局)
 一般環境調査のやり方については、一応環境省から考え方を示させていただいている。先程のお話のように、一応区域をメッシュで切って、その中で代表的な地点を選ぶという感じにしている。ただ実際には、なかなか土壌が出ているというか、舗装などをされていない部分がない場合には、公共施設等の土壌を採取するのが実態的には多いと考えている。
 それから、農地については、前回の部会でも報告をさせていただいたが、農用地土壌と農作物実態調査を別途環境省で調査をしている。農薬の影響が高いという話があったが、前回の資料でも示したように、環境基準、環境指標を超えるのは、農用地ではまだ判明しておらず、農地においてダイオキシン類の汚染があるような状況は、これまでの調査では出ていない。

(中野臨時委員)
 地下水について、11ページ、今までの3,000の中で2,078という超過井戸が出ているが、これをその後、どのように処理されるのか。

(松本部会長)
 それについて回答をお願いする。

(地下水・地盤環境室長)
 先程これまで2,078を超えていることを紹介した。これらも含めて汚染が判明したものに対して、まずどういう経緯で汚染が判明したかということから触れたいと思うが、概況調査等をやっていることを先程紹介した。この常時監視によって発見されたものが過半数を占め、この3,000のうちでは1,771が常時監視により発見されている、常時監視がそれなりの意味を持っていることがわかると思う。
 それで、まず、汚染が判明したものについては、それぞれの地域で汚染の原因の特定をやっている。どういうことが原因で汚染が起こったのか。ここの特定ができないと、適切な対策が講じられない。この汚染の原因の特定をやる。それから併せて、周辺住民の方々等に対して飲用していないかどうか、飲用している場合には飲用をやめるように言うと同時に、それに代わる飲用の手段等を各地域で指導をしている。
 今、ある二千幾つの事例についても、ほぼすべてのものについて、具体的には2,078件のうち2,029件について既に飲用指導が実施されている。残り50件ほど実施していない部分があるが、これはたまたま人が住んでいない地域の井戸であったり、周辺の住民がいないなどの理由があり、あるものについては飲用指導をしていない場合もある。それから原因がわかったものについては、原因の究明の調査等を実施したり、事業者を指導し、その対応をとっている場合もある。
 それから一部の地域については、上水道への切り替え等の指導等もしている。ケースによって対応が異なるが、基本的には、まず、健康、安全の確保から、その井戸、あるいは周辺のものについては調査し、そういった基準を超える井戸の水は口にしないようにということが基本的な対策としてとられている。

(松本部会長)
 ただいまの回答でよろしいか。
 他にないか。

(亀若臨時委員)
 細かい点で恐縮だが、ダイオキシンの関係で、今回の調査から見て土壌関係は、分布から見ても比較的良好な状態だという感じは受けた。8ページにある対策の関係であるが、これは事例も少ないと思うが、たしか環境庁の時代にも対策としての技術面でのアイデアを企業にも求めたりして幾つか出ていたと思うが、具体的に汚染土壌に対して技術的な対策を講じている事例があれば、その辺どんな対策を、今、やっておられるのか、紹介いただきたい。

(松本部会長)
 それでは回答をお願いする。

(事務局)
 ダイオキシンに汚染された土壌の対策であるが、対策の基本的な考えとしては、ダイオキシンの直接摂取による人の健康リスクを除くことが基本になる。具体的な対策の手法としては、一つは汚染された土壌を除去して、除去した土壌をダイオキシンの無害化を図っていくという方法、それからダイオキシンに汚染された土壌を除去して、それを隔離した状況に置くというこの大きな手法が現在、行われている手法である。
 具体的には、高知市にあったダイオキシン汚染土壌問題について、県において汚染土壌が除去されて、セメントの焼成施設、温度管理が十分できる焼成施設の中で汚染土壌の無害化が図られている。また、大阪の堺市では非常に汚染土壌量が少なかったということもあり、汚染土壌を除去した後、管理をするという手法で対策がとられている。また、他のところについても、現在、対策について検討が行われている。

(松本部会長)
 それでは、その他として何か議事はないか。

(土壌環境課長)
 特にない。

(松本部会長)
 それでは今後の日程について事務局から説明をお願いする。

(土壌環境課長)
 それでは今後の日程について説明させていただく。土壌農薬部会の次回の開催の予定については、冒頭に村岡小委員長からも紹介があったが、小委員会における報告を今後まとめていくことになる。それがまとめられた後に土壌農薬部会を開催させていただきたい。日程については、小委員会における審議状況も見ながら、後日改めて調整させていただきたい、各委員におかれては、御多忙中とは存ずるが、その調整について御協力をお願いしたい。

(松本部会長)
 本日の議題はこれで終了したいと思うが、事務局から他にないか。

(松本部会長)
 最後に本日の資料の取り扱いについて説明する。土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や公開することにより、特定の者に不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれのある資料などは、部会長の判断に基づいて非公開とすることとされている。本日、配布した資料は、いずれもこれに該当しないことから公開とする。また、今回の会議録については、事務局で調整後、出席委員の方々の明示の了承を得て公開となる。事務局案ができたら、確認等よろしくお願いする。
 これで本日の議事を終了させていただく。

(土壌環境課長)
 以上で本日の土壌農薬部会を終了させていただく。