中央環境審議会土壌農薬部会(第38回) 議事録

1.日 時

令和2年6月15日(月)13:32~15:17

2.場 所

WEB会議システムにより開催

3.出席委員

部会長   細見 正明    臨時委員  河口真理子

委  員  大塚  直          川崎  晃

      白石 寛明          川本 俊弘

      松永 和紀          小泉 弘子

臨時委員  赤松 美紀          五箇 公一

      浅野  哲          後藤 千枝

      浅野 直人          寺浦 康子

      浅見 真理          根岸 寛光

      天野 昭子          平田 健正

      大河内 巌          矢内 純太

(欠席は、岡田委員、佐藤委員、末次委員、谷口委員、築地委員)

4.委員以外の出席者

環境省

小野水・大気環境局長、関谷総務課長、谷貝総務課課長補佐、堀上土壌環境課長、伊藤土壌環境課課長補佐、白土土壌環境課係長、浜谷農薬環境管理室長 、上迫農薬環境管理室室長補佐

5.議 題

(1)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申案)

(2)第五次環境基本計画の点検について

(3)その他

6.配付資料

資料1   中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿

資料2   生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)

資料3   第五次環境基本計画(土壌農薬部会担当分野)の点検結果について(案)

参考資料1 生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)に対する意見募集の実施結果について

参考資料2 第五次環境基本計画(土壌農薬部会担当分野)の点検関係資料(関係者ヒアリング資料)

参考資料3 第五次環境基本計画(土壌農薬部会担当分野)の点検関係資料(白書・政策評価)

7.議 事

(浜谷農薬環境管理室長)

 委員の先生方、大変お待たせしました。定刻を過ぎてしまい、申し訳ございません。ただいまから第38回土壌農薬部会を開催させていただきます。

 先生方には、お忙しいところ、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、WEB会議での開催となりまして、ご不便をおかけいたしますが、何とぞご容赦いただければと思います。何かご不明な点がございましたら、事務局まで右下のチャット欄か、お電話にてお知らせください。

 本日は、委員総数25名中20名のご出席をいただいておりますので、ご報告いたします。欠席は、岡田委員、佐藤委員、末次委員、谷口委員、築地委員の5名の方でいらっしゃいます。

 次に、新たに土壌農薬部会にご所属いただいた委員の方々をご紹介いたします。まず、日本鉄鋼連盟環境・エネルギー政策委員会、副委員長の大河内巌委員でございます。そして、もうお一方、今日はご欠席なんですが、日本経済団体連合会環境安全委員会環境リスク対策部会長の、そして、日本化学工業協会環境安全委員会、委員長の末次稔委員です。前任の福島委員と三浦委員におかれましては、本部会を退任なさっています。

 では、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の小野からご挨拶申し上げます。

(小野水・大気環境局長)

 水・大気環境局長の小野でございます。

 第38回の土壌農薬部会の開会に当たり、ご挨拶を申し上げます。

 本日は、ご多忙の中、本部会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本部会もウェブでの開催ということでございますが、実は、私も今日はテレワーク中で自宅から参加をさせていただいております。どうぞ、いろいろと議事進行上、不都合な点もあるかもしれませんが、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

 さて、1月に開催されました前回の部会でございますけれども、土壌の汚染に係る環境基準についての第四次答申について、ご審議をいただきました。頂いた答申を踏まえまして、カドミウム及びその化合物、それからトリクロロエチレンに係る環境基準等を4月に改正し、現在、来年4月1日の施行に向けた準備を進めているところでございます。改めて御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

 本日の部会でございますけれども、まず、一つ目は生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定についての第二次答申(案)、それから二つ目といたしまして、前回、ヒアリングを行いました第五次環境基本計画の点検について、議題とさせていただいております。

 農薬取締法の改正に伴いまして、農薬の動植物に対するリスク評価の対象が、従来の水産動植物から陸域を含む生活環境動植物に拡大されたところでございます。昨年2月に答申を頂きました第一次答申におきましては、新たに水草、それから鳥類を評価対象とすることに加えまして、野生のハチ類のリスク評価の方法についても検討を進め、必要に応じ評価対象動植物に加えることとされたところであります。これを踏まえまして、この野生のハチ類のリスク評価の方法について農薬小委員会においてご審議をいただき、さらにパブリックコメントを経まして、今般、第二次答申(案)として取りまとめたところでございます。本日の部会でご審議をいただき、できましたらお取りまとめをいただければと考えております。

 そして、第五次環境基本計画の点検でございますけれども、これは前回、関係団体からヒアリングを行わせていただきまして、それを踏まえて事務局で報告書の案を取りまとめております。ご審議をいただきたいと考えております。

 以上2点でございます。委員の先生方におかれましては、これらの議題について忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

(浜谷農薬環境管理室長)

 ありがとうございました。

 次に、資料の確認をさせていただきます。本日、お配りした資料につきましては、本体資料につきましては1から3まで、参考資料も1から3までとなっております。また、公開の取扱いについてなんですけれども、本日の部会は2月27日に決定された「中央環境審議会における新型コロナウイルス感染症対策について」を受けてウェブ上での開催となっておりますので、傍聴についてはお断りをさせていただき、資料及び議事録についてホームページで公開することとさせていただきます。

 それでは、議事に移ります。ここからの進行につきましては、細見部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

(細見部会長)

 細見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですが議事に入りたいと思います。まず、議題の1番目の「生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申(案)」でございます。

 まず、事務局からご説明をお願いいたします。

(上迫農薬環境管理室室長補佐)

 環境省の上迫でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、資料2及び参考資料2に基づきまして、説明をさせていただきたいと思います。画面の共有をさせていただきますけれども、もし手元にお持ちの先生方は、資料2及び参考資料2をご覧いただければと思います。

 先ほど、局長の小野からも説明がありましたけれども、改めて、今回の第一次答申(案)及び第二次答申(案)に至った経緯を説明させていただきます。

 こちらは、参考資料2、53ページ目でございます。これは前回のヒアリング資料でございますけれども、こちらの参考資料を使って簡単にご説明をさせていただきたいと思います。「農薬の生体影響評価の改善へ向けたこれまでの取組」と題したものでございます。

 まず、農薬の安全確保に向けた枠組みですけれども、農薬取締法に基づき、病害虫に対して効果があり、人の健康や環境に対して安全と認められたものだけを農林水産大臣が登録する仕組みとなっております。登録された農薬のみ、製造、販売、使用が可能となっております。この中で製造に係る農薬の登録に際して、環境省は人の健康や環境への安全性等を審査しております。

 続きまして、これが従来の環境への安全性等の審査の枠組みでございます。水産動植物の被害防止に係る登録基準設定をしてきております。すなわち、水産動植物への影響の観点から毒性値、これを登録基準値(案)といたしまして、農薬の使用方法に起因する公共用水域の予測濃度(PEC)と比較をします。PECが毒性値を下回る場合、環境への被害のおそれが大きくはないと判断しまして、当該毒性値を農薬取締法に基づく登録基準として決定します。

 一方で、水産動植物の被害防止に係る登録基準の中では、魚類やミジンコ、ユスリカ幼虫は比較的最近追加されましたけれども、あと藻類、こういったものを対象としておりまして、この枠組み自体は、今から15年前の平成17年から、このような評価体系となっておりました。この従来の農薬登録制度に係る課題ですけれども、先ほど申しましたとおり、影響評価の対象となる動植物が水産動植物に限定されておりました。

 一方で、次のスライドにもありますとおり、欧米諸国では、既に水産動植物以外の生物を含む生体影響評価を実施してきております。それに加えまして、後ほどご説明いたしますが、陸域の生物に対する影響についても懸念の声があるといったことを踏まえまして、水産動植物以外の生物についても科学的知見の集積を図りつつリスク評価の実施に向けた検討が必要であると考えられておりました。そこで、一昨年、ちょうど2年前になります、平成30年6月15日、農薬取締法が改正され、評価対象が陸域に生息するものも含む生活環境動植物に拡大されました。この規定は、本年4月1日から適用されております。

 続きまして、これを踏まえての動きです。土壌農薬部会のほうでも、昨年1月にご審議をいただきましたけれども、生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について、昨年2月7日に第一次答申が出されたところでございます。この第一次答申では、先ほど小野からもご紹介さしあげましたとおり、水草及び、陸域の生物として鳥類を新規に評価対象動植物に加えることとされました。このほか、野生のハチ類についても、植物の受粉に重要な役割を果たすことなどから、これも評価対象動植物として検討すべきであるとされたところでございます。

 以上を踏まえまして、引き続き農薬小委員会のほうでご議論をいただきまして、この度、第二次答申(案)ということで、この土壌農薬部会の場でご議論いただきたいというものでございます。

 それでは、資料2に移りたいと思います。第二次答申(案)の中身について、ご説明をさしあげたいと思います。「第1 経緯」は、先ほどご説明をさしあげたとおりでございますので、割愛をさせていただきます。

 「第2 野生ハナバチ類の影響評価に係るこれまでの取組」でございます。背景といたしましては、欧米ではミツバチの大量失踪、いわゆる蜂群崩壊症候群、CCDが一部の国において問題となり、その原因がネオニコチノイド系農薬等の浸透移行性の殺虫剤である可能性が指摘され、一部の農薬の使用や新たな登録が制限されているところでございます。

 日本国内では、CCDの発生は認められておりませんが、ミツバチの減少事案の中には、その原因として、水稲のカメムシ防除に使用される殺虫剤等、農薬が疑われるものも存在することから、農林水産省のほうで被害軽減対策の推進に加えて、ミツバチに対する農薬のリスクの一層の軽減を図るため、ミツバチの評価方法の改善を行いまして、今年度から農薬の登録審査において導入しているところでございます。

 「2 野生ハナバチ類に係る取組」は、割愛させていただきます。

 「第3 野生ハナバチ類に係る農薬登録基準の設定方法」について、ご説明をいたします。

まず、基本的な考え方ですけれども、野生ハナバチ類については、第一次答申で示したとおり、植物の受粉に重要な役割を果たす花粉媒介昆虫であることに加え、欧米において農薬による被害のおそれがある対象としてリスク評価、規制が行われていること、また、我が国でも農林水産省が養蜂用ミツバチに対するリスク評価を導入していること等を勘案すれば、評価対象動植物に加えることが適当であるとさせていただいております。

 また、その一方で、改正法に係る参議院農林水産委員会の附帯決議において、リスク評価手法の早急な確立と農薬メーカーの負担への配慮が指摘されていることにも十分に考慮する必要があることから、野生ハナバチ類については、試験方法が公的なテストガイドラインとして確立されており、なおかつ摂餌量等のデータが充実しているセイヨウミツバチを供試生物とした試験成績に基づきリスク評価を行うことを提案したいと思います。

 「2 農薬登録基準の設定方法」ですけれども、概要については、再び参考資料2をご覧いただければと思います。後ろから3枚目になります。これは、白石先生が1月にご使用されたスライドになりますけれども、これが基本的な枠組みとなっております。

 先ほど申しましたとおり、養蜂用ミツバチ、すなわちセイヨウミツバチの評価方法に準拠しておりまして、また、基本となるデータも過去の蓄積が豊富なセイヨウミツバチのものを使用することとしております。すなわち、水産動植物のところでもばく露量と毒性値を比較するという説明をさしあげましたけれども、基本的には同様でございます。①野生ハナバチ類の予測ばく露量、②野生ハナバチ類の基準値、基準値というのが毒性試験の結果ということになりますけれども、両者を比較しまして、①が②を超えないことを確認した上で基準値として設定をするといった段取りになります。ただし、野生ハナバチ類のばく露量及び野生ハナバチ類の基準値を定めるに当たっては、先ほど申しましたとおり、セイヨウミツバチの試験データを用いてこれらの計算を行うこととしております。

 なお、これが、①と②の比較というのが第1段階評価になります。すなわち蜂個体を用いた評価となっておりますけれども、①が②を超える場合、第2段階評価といたしまして、蜂群単位での試験による影響評価ということも、この評価の一部となっております。

 それでは、第二次答申(案)の第3の「2 農薬登録基準の設定方法」について、枠組みとしましては、先ほどご説明したとおりですけれども、具体的に説明したいと思います。

 第一次答申において示したとおり、陸域の生活環境動植物は、その種類によって環境中での農薬のばく露経路が異なることを踏まえ、鳥類とは別に農薬登録基準を設定することといたします。水域の生活環境動植物の場合は、魚類も甲殻類も藻類も、全部一緒に評価をして、単一の基準値を作るということになりますけれども、ここは陸域と水域では異なっています。陸域は、動植物ごとに農薬登録基準を設定することとなります。

 具体的には、第二次答申(案)の別紙「生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定における野生ハナバチ類の取扱いについて」を踏まえることといたしますが、ポイントといたしましては次のページの①から⑨に示されております。ちょっと長くなりますが、少し説明をさせていただきます。

 ①野生ハナバチ類の個体群の維持を保護目標とするが、個体群動態の評価方法については科学的知見の集積が必要とされるため、当面の評価対象は、社会性を有する在来の野生ハナバチ類とし、蜂群が維持されれば個体群が維持されるものとして段階的な評価方法を採用することといたします。すなわち、第1段階評価、第2段階評価というものです。

 ②第1段階評価では、先ほど申しましたセイヨウミツバチを供試生物とした毒性評価、ばく露量の予測によりリスク評価を行うことといたします。

 ③です。成虫の単回接触毒性試験を必須として要求するほか、成虫または幼虫について、農薬が残留した花粉・花蜜の摂餌に伴う経口ばく露が想定される場合、それぞれ単回経口毒性試験を要求することといたします。

 ④ですが、要求された毒性試験ごとにセイヨウミツバチの毒性試験、LD50、つまり半数致死量を、種間差による不確実係数10で除して、野生ハナバチ類の毒性値といたします。自然死亡率10%を蜂群に影響があるとみなさない水準として、LD10、つまり10%が死に至る致死量を計算するのに0.4という係数を乗じることで、これを野生ハナバチ類の基準値といたします。

 ⑤です。セイヨウミツバチの接触ばく露量は、1頭当たりの農薬付着量に有効成分濃度を乗じることにより推計いたします。セイヨウミツバチの経口ばく露量は、摂餌量、すなわち成虫と幼虫で、それぞれ150mg、124mgになります、これに花粉・花蜜の農薬残留量を乗じることにより推計いたします。

 ⑥さらに、⑤で得られるセイヨウミツバチの予測ばく露量にばく露確率を乗じて、野生ハナバチ類の予測ばく露量を算定いたします。

 ⑦そして、毒性値とばく露量を比較しまして、ばく露量が超過する場合は、使用方法の見直し等、リスク管理措置の検討を行うことにより予測ばく露量の軽減を図ることといたします。なお、経口ばく露量の場合は、実測値を用いることにより予測ばく露量を精緻化することも可能です。

 また、④において、成虫の経口ばく露に係る野生ハナバチ基準値が算出されている場合、当該基準値を10で除して成虫の経口ばく露量(反復)に係るLDD10推定値とする。つまり、これは、1回、餌をあげただけでは異常は認められない、死には至らなかったけれども、繰り返し餌を与えることで影響が出る可能性もあるということで、これは反復試験を課すということについてでございます。⑥で得られる成虫・経口ばく露量が当該推定値を超過する場合は、蜂群への反復影響が懸念されるものとして、さらに成虫の反復経口毒性試験を要求し、また、④基準値の設定及び⑦ばく露量の比較との比較、精緻等を行うことといたします。

 ⑧ですけれども、⑦によっても、なお予測ばく露量が野生ハナバチ類基準値を超過する場合には、第2段階評価として、使用実態を模した蜂群単位での試験を実施し、ばく露量の推定及び蜂群の状態の観察を行うことといたします。なお、当面は、セイヨウミツバチにおける半野外試験、または野外試験による蜂群への影響評価結果を勘案しつつ、総合的に判断することといたします。

 ⑨で、②から⑧に掲げたリスク評価の結果、リスクが許容できないと判断される場合には、野生ハナバチ類への著しい被害のおそれがある、すなわち、これは登録拒否となります。  「3 適用開始」の時期についてですけれども、既に養蜂用ミツバチについてはデータが出始めております。基本的には、野生ハナバチ類の農薬登録基準の設定に当たっては、セイヨウミツバチの試験成績を用いるということを踏まえまして、可能な限り早い時期に野生ハナバチ類に係るリスク評価を導入することが適当であるとされております。

 第4につきましては、割愛をさせていただきます。

 最後に、今後の課題としまして、短いですが、若干説明をさせていただきます。野生ハナバチ類のリスク評価については、引き続き、科学的な知見を集積し、将来に向けて見直していくということが必要であるとしております。特に、野生ハナバチ類に関する蜂群を対象とした試験のガイドライン、先ほど申しました第2段階評価に係る部分ですけれども、まだ確立しておりませんので、ばく露量の推定方法及び蜂群の状態の観察方法について検討する必要があるとしております。

 また、他のリスク評価もそうですが、不確実性を含むものであることを踏まえ、本リスク評価を受けて登録された農薬が実際にハナバチ類の個体群維持に著しい被害を及ぼしていないことを確認する必要があると思われます。そこで、自然界における個体数の増減の要因は様々であり、特定が容易でないことも考慮しつつ、モニタリング等の有効なリスク管理手法を検討する必要があるとしております。

 このほか、平成30年4月に閣議決定された第五次基本計画、これは、後ほどの議題とも関連いたしますが、これを踏まえて、第一次答申において示した「長期ばく露による影響評価の導入」や「その他の評価対象動植物の選定」についても、引き続き検討を進める必要があるとしております。

 長くなりましたが、資料2の説明については以上です。よろしくお願いいたします。

(細見部会長)

 ありがとうございました。

 本件につきましては、これまで農薬小委員会において審議が進められて、取りまとめをいただきました。ただいまの事務局からの説明につきまして、農薬小委員会委員長の白石委員から補足的な説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(白石委員)

 白石です。ただいまの事務局の説明に補足いたします。

 去年の2月になりますけども、第一次答申において、野生のハチ類のリスク評価方法について検討を進め、必要に応じ評価対象動植物に加えることとされておりますが、農薬小委員会では、野生のハチ類に係る農薬登録基準の設定につきまして、去年の11月より4回にわたって審議を行ってまいりました。これまでの経緯を簡単にご紹介いたします。

 第一次答申後、環境省におきまして、農薬の野生ハナバチ類に対する影響の評価方法についての評価の検討の結果等を検討いたしまして、評価方法の案を取りまとめました。その取りまとめを受けまして、去年の11月に開催された第72回農薬小委員会において、まず評価方法等について審議をいたしました。まず、この場では、我が国では野生ハナバチ類の実態について、あまりよく分かっていないんではないかというご意見もございましたが、農林水産省がミツバチの評価方法の改善を行い、その当時ですから、令和2年度から導入を計画していることや、国際的にも花粉媒介、生物の保全の重要性が指摘されており、リスク評価に基づく農薬の管理を求める、管理が実際に行われているということも踏まえまして、野生ハナバチ類を評価対象として含めるということについて、まず合意を頂きました。

 また、評価方法につきましては、野生ハナバチ類独自のデータの収集に、収集はしておったんですけれども、まだ時間を要するということから、早急な評価方法の導入に向けて、まずはデータが充実している養蜂用のミツバチのデータを活用しましょうと、これを野生ハナバチ類に置き換えて影響を評価するということにいたしました。

 その後、今年の1月、第73回農薬小委員会、3月の第74回農薬小委員会において、評価方法は前回、ほぼ合意いただいていたんですけれども、主に答申の本文について議論いたしました。特に、第3の野生ハナバチ類に係る農薬登録基準の設定方法が分かりづらいということもありまして、評価の中で分かりやすく間違いがないようにということで修正を重ねてきたものであります。

 答申案の作成後、3月から1か月間、パブリックコメントの募集を行いました。10件以上の意見が寄せられました。評価方法のさらなる改善を求める声が多く見受けられたのですけども、野生ハナバチ類を評価対象とすること自体について、反対する意見はございませんでした。これらのご意見を踏まえ、5月、第75回農薬小委員会において再度審議を行いまして、第二次答申(案)としてまとめたものです。

 なお、第5の今後の課題でも示したとおり、農薬小委員会としては、引き続き、農薬登録制度における生体影響評価の改善を図るべく、今後も検討を進めていきたいと考えております。

 私からは、補足説明は以上でございます。

(細見部会長)

 ありがとうございました。

 それでは、第二次答申(案)につきまして、ご質問、ご意見がございましたら、お願いいたします。

 これ、発言は、各委員の皆さんはミュートを解除して発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(大塚委員)

 大塚ですけど、質問させていただいてよろしいでしょうか。

(細見部会長)

 大塚先生、どうぞ。

(大塚委員)

 一般的な質問で大変恐縮ですが、3ページのところに④で、先ほど、環境省の方にご説明いただいた自然死亡率10%にという、この10%と、それからLD10に変換する係数0.4という、この数字は、どういう経緯で出てきた数字かを教えていただけますでしょうか。

(細見部会長)

 事務局、どうぞ。

(上迫農薬環境管理室室長補佐)

 ありがとうございます。

 この自然死亡率というのが、読んで字のごとくですけれども、何もしなくても10%ずつ、1日に死んでしまうということがありまして、この程度であれば農薬の影響が大きいとはみなせないだろうということで、LD10、つまり10%が死亡する農薬の量というものを一つ、目標として基準値の設定に使おうといったものと承知をしております。

 すみません、五箇先生、もし補足などありましたら、よろしくお願いいたします。

(五箇臨時委員)

 国立環境研究所の五箇です。

 今、説明がありましたように、10%というのは、普通に室内で飼育していても、試験していても、コントロール群においては、大体10匹が死んでしまうというのが平均値として得られるということで、自然に死んでしまう率としては10%ぐらいあるということで、自然死亡よりも高くなければ問題なしとしようという意味では、普通の農薬の水生生物に対する基準よりはかなり厳しい目線で影響を見るということにはなっています。

 一方、0.4という数字は、これまでのデータ、アメリカなどで収集されたデータに基づき、要は、50%死亡率×0.4ぐらいで大体、10%死亡率が出てくるといったことが、これまでのデータの平均値から得られているということで、この0.4自体、アメリカのEPAにおいても基準の値として採用されているということで、我が国においても、これを採用するというふうに、今回、入れさせていただいているということです。

(細見部会長)

 大塚先生、よろしいでしょうか。

(大塚委員)

 はい。どうも、大変よく分かりました。ありがとうございました。

(細見部会長)

 その他、ほかにご質問とかございますでしょうか。

(浅野(直)臨時委員)

 部会長、浅野ですがよろしいでしょうか。

(細見部会長)

 浅野先生、どうぞ、よろしく。

(浅野(直)臨時委員)

 専門の方々が時間をかけて、ご検討になった結論であり、今日の説明を聞きましても、大体よく分かりました。私は、この案を承認してよろしいのではないかと思っておりますが、当面、野生のハナバチのデータが十分入手できないので、とにかく生産動物について得られたデータを使おうということもやむを得ないと思うんですね。

 ただ、今後、野生ハナバチのデータがしっかり入手できたときには、これが、もっと厳しい基準にしたほうがいいということになる可能性があるということを、少なくとも農薬の製造業者の方々に十分理解をしていただいておかないと、次に基準を厳しくするというときには、なかなか抵抗があって、うまくいかないということが起こらないように、この辺は留保つきであるということを明確にして、今日の決定をされることが必要ではないかと思いましたので、発言いたしました。

(細見部会長)

 ありがとうございます。今の浅野先生のコメントというのは、どこかに。議事録には、もう当然、記載されるわけですが。

(浅野(直)臨時委員)

 取りあえず、議事録記載でいいと思います。

(細見部会長)

 よろしいでしょうか。

(浅野(直)臨時委員)

 一応、事務方のほうで十分、その辺は分かるようにしておいていただくということです。のちに既得権的なことを言われると、困るということです。

(上迫農薬環境管理室室長補佐)

 分かりました。説明の際に、今後、そういったこともあり得るということはお知らせをしたいと思います。ありがとうございます。

(五箇臨時委員)

 国立環境研究所の五箇です。

 ただいま頂いたご意見に対して、一応、我々のほうも、こういった受託を受けて、専門として今、ハナバチに対する影響評価をしておりますので、それに対するコメントとして。

 一応、今回の説明の中でも、ハナバチの減少、あるいはミツバチも減少といったような表記がされていますけど、実際問題、本当に減っているかどうかというテータというのはないわけですね。ただ、現象として、事故が起こったり、目の前で養蜂している蜂が全滅するといった現象が起きているということを鑑みて、農薬の影響といったものが今、議論されているところですが、IPBESと言われる生物多様性の評価の国際会議において、2014年度から15年度にかけて、全世界調査を行った結果、全世界における養蜂数、ミツバチ自体の個体数は減ってはいないんです。世界的には増えている傾向にあり、同じく日本国内においても養蜂数自体は減っているというデータはなく、むしろ増加傾向にあるといったことが農水省のデータからも本来は出ているわけですね。ただ、部分的には、やはり地域的には、そういった農薬による影響、事故といったものはやっぱり起きているということから、今後のリスクといったものも鑑みて、そういった。あと、世界的な動向ですね。やはりハナバチというものに対する影響評価というのが非常に厳しくなってきているということを受けて、行っているということです。

 一方で、科学としては、本当にハナバチというもの、あるいは、そういった世界全体においてハチ類といったものの集団、あるいは群集といったものが、どういう形で、今、動態しているかといった科学データは、これからも生物学的には取っていく必要があると。そういった中で、本当に農薬の影響というのがどれぐらいあるかというのは、科学的にリサーチした上で規制というものはかけていく必要があると。今の現状ですと、残念ながら、生物学者の立場からすれば、農薬が一つの影響ありきといった前提で行われているんですが、それだけ規制したところでハナバチが守れるわけではないということは十分考えておかなくてはならない。これは環境省全体で考えることだと思いますけれども、将来的には、そういった形で、生物多様性の保全という観点から、こういった問題についても取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上です。

(浅野(直)臨時委員)

 了解しました。

(細見部会長)

 どうもありがとうございました。

 そのほかに、ご意見等ございますでしょうか。

(大塚委員)

 すみません。大塚ですけれども、多少、別の話になってしまうかもしれませんが、今のお話との関係で、五箇先生のお話との関係で。ヨーロッパは特殊なところがあったというご認識でいらっしゃるんでしょうか。データをちゃんと蓄積しないと分からないことかもしれませんが、もし、その辺に関して何か感触がおありでしたら、教えていただけませんでしょうか。

(五箇臨時委員)

 ヨーロッパについては、イギリスやドイツでは確かに養蜂数が減るという傾向があり、一方でスペインとかイタリアに関しては増えているという傾向があるというふうに、国ごとに、やはり、少なくとも養蜂自体の動態には差があるということで。バックグラウンド自体、やはり農薬の使用量もあるかもしれないし、同時に、いわゆる花資源、農業エリアの面積であったりとか、あるいは養蜂業そのものの基盤であったりといった社会的構造の違いといったものも反映されるだろうということで、実際のところ、ミツバチの動態そのものには地域差や国の差というものもありますし、そういったデータというのは、まだ十分整備されていないところですが。

 現状、ヨーロッパでは、非常にネオニコチノイド農薬に対する規制というのは、先行的に厳しくやっていて、言ってみればリスクの予防原則に基づいて規制という形で、現状、様々なネオニコチノイド農薬が使用禁止状態になっています。ただ、問題なのは、使用規制になった後の事後評価ですね。それを使用規制にしたことによって、どれぐらい生物多様性やハナバチといったものが回復しているかといったデータは、まだ、科学的には一切上がってきておりませんので、今後の評価、ヨーロッパにおける評価というのは、我々としても待ちたいというところです。

(大塚委員)

 どうもありがとうございました。

(細見部会長)

 ヨーロッパも含めて、周辺情報を五箇先生からご紹介いただきまして、どうもありがとうございました。

 そのほかに、ご質問とかございますでしょうか。

(なし)

(細見部会長)

 そのほかに、ご意見などありませんでしょうか。もし、なければ、特にご意見がなければ、本日、ご紹介いただきました第二次答申(案)のとおり、土壌農薬部会として了承し、中央環境審議会会長へ報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(はい)

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 それでは、この第二次答申(案)のとおり、土壌農薬部会として了承し、中央環境審議会会長へ報告したいと思います。ありがとうございました。

 それでは、本日の2番目の議題ですが、「第五次環境基本計画の点検について」でございます。

 事務局から、まず、ご説明をお願いいたします。よろしいでしょうか。

 お手元の資料3に基づいて、環境省、事務局の伊藤さん、大丈夫でしょうか。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 すみません。お待たせしました。土壌環境課の伊藤でございます。

 それでは、資料3の第五次環境基本計画(土壌農薬部会担当分野)の点検結果について、ご説明させていただきます。

 資料の目次でございますけれども、第1章の「はじめに」から始まりまして第4章の「おわりに」まで、四つの章で構成しております。第2章が第五次環境基本計画(土壌農薬部会担当分野)の点検の進め方についてとしております。第3章が重点戦略を支える環境政策ということで、ここで点検の結果や全体の評価、今後の取組方針について整理をしております。

 ページをおめくりいただきまして、「はじめに」でございますけれども、昨年の7月に開催された総合政策部会において第五次環境基本計画の点検の進め方について審議されました。環境基本計画に位置づけられた施策の進捗を確認するため、中央環境審議会のそれぞれの部会が対象とする範囲の施策について点検を行い、その結果を総合政策部会に報告することとされております。土壌農薬部会におきましては以下の範囲の施策に係る点検を行うこととしておりまして、環境基本計画の第2部第3章、「重点戦略を支える環境政策」について、点検を行うこととしているところであります。

 具体的には、前回の土壌農薬部会で審議を行いまして、その際には行政、産業界、有識者からのヒアリングを実施させていただきました。その上で環境白書、あるいは政策評価書等も活用して、この報告書(案)を取りまとめているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、第2章でございますけれども、1ポツの土壌農薬部会における進捗点検方針でございます。総合政策部会において示された点検に係る全体の方針に基づいて、土壌農薬部会において以下のとおり進捗点検をすることとしております。前回の部会でご確認いただいた事項でございますけれども、点検の範囲・観点としましては、土壌農薬部会にあっては、「重点戦略を支える環境政策」に位置づけられている「土壌汚染対策による環境リスクの適切な管理」、「農薬の生態影響評価の改善」の二つの分野について、可能な限り定量評価も交えて点検を実施することとしております。

 それから、点検の進め方でありますけれども、関係者のヒアリングということで、これは前回、ヒアリングを実施させていただきまして、局内の担当課・室に加え、有識者、自治体、業界団体等からのヒアリングを実施させていただきました。②の施策シートでございますけれども、こちらは「重点戦略を支える環境政策」のそれぞれについて、本日、施策シートを作成しておりますので、後ほどご説明をいたします。ヒアリングの結果と施策シートを踏まえて土壌農薬部会の報告書を取りまとめることとしておりまして、今年の夏頃に開催が予定されております総合政策部会に報告することとしております。

 2ポツの各ステークホルダーからのヒアリングの実施でございますが、これは、前回の部会において、ヒアリングを実施した局内の担当課・室や関係者の皆様の所属、説明資料等の名称を記載しておりますので、説明は割愛させていただきます。

 それから、3ポツの施策シートの作成・審議でありますが、これは前回、施策シートの様式のみお示ししましたけれども、本日、土壌汚染対策、農薬、それぞれについて、このシートを作成しております。次のページ以降でご説明をいたします。

 また、点検に当たっては、4ポツのとおり、環境白書や政策評価書を適宜活用してございます。

 4ページ以降に、それぞれの分野の施策シートを作成しております。2ポツの点検項目とありますけれども、土壌汚染対策につきましては、環境基本計画の「重点戦略を支える環境政策」のうちの「4.環境リスクの管理」の「(1)水・大気・土壌の環境保全」という体系項目になっておりまして、以下のとおり、環境基本計画の中で記載されております。

 読み上げますが、⑤土壌汚染に係る適切なリスク管理を推進するため、土壌汚染対策法の改正法の施行のため政省令の整備等を進めるとともに、引き続き調査や措置の適切な実施により土壌汚染に係る安全を確保する。その上で適切な情報開示、周知活動により安心感の向上や土地取引の円滑につなげると記載がされておりまして、以降、取組の進捗状況について、それぞれの項目についての記載をしております。

 まず、政省令の整備等でございますけれども、改正法の全面施行に向け、政省令、告示の改正・新規制定を行うとともに、施行通知やガイドラインについても全面的な見直しを行ったとしております。

 調査・措置の適切な実施による安全の確保につきましては、改正法や改正を踏まえたガイドラインについて、都道府県等を対象に説明会や研修を実施するなど、丁寧な周知を行ったこと、それから指定調査機関及び技術管理者に対しては、技能の向上のための定期的な講習会を行ったこと等を記載しております。

 それから、1,2-ジクロロエチレン等の6物質を対象にして土壌環境基準及び土対法に基づく特定有害物質の見直しについて順次検討を進めてまいりまして、その見直しが完了したこと、また、環境負荷や社会的・経済的側面が十分に評価、考慮されずに、人の健康リスクの観点からは掘削除去等の必要以上の措置が実施されている例が、なお多いことを記載しております。

 次のページに参りまして、適切な情報開示の項目ですけれども、土壌汚染の状況について、適切な情報開示を図るため、改正法において台帳制度の充実が図られたところであります。具体的には、都道府県が要措置区域等の解除台帳を調製・保管しなければならないこととされております。都道府県知事は、台帳の閲覧を求められたときは正当な理由がなければ拒めないこととされておりますけれども、要措置区域等がある都道府県の大半でインターネット上に台帳を公表することが行われていますが、まだ、インターネット上に公開していない都道府県が一部に見られていること、汚染された土壌の処理の透明性の確保の観点から、施行通知において、汚染土壌処理施設の処理実績等に係る情報公開の促進を掲げておりまして、処理施設においてインターネット上に情報を公開している事例が出てきておりますけれども、処理施設に対して情報公開の実施について指導を行っている都道府県等は一部にとどまっていること等を記載しております。

 最後、周知活動につきましては、土壌汚染対策法の制度、考え方等を広く国民に理解していただくため、指定支援法人の日本環境協会と連携して一般向けのセミナーの開催やパンフレット等の資料の作成・配布を行っていることを記載しております。

 続きまして、次の項目でありますが、施策の評価指標は土対法6条に規定する要措置区域における指示措置の実施率としておりまして、平成30年度末現在での実施率は約86%となっております。他施策との連携状況でございますが、土壌の汚染に係る環境基準の見直し等、水環境の保全施策と連携して推進をしております。

 以上の取組の進捗状況を基に、課題及び今後の取組方針について、次のとおり整理をしております。まず、政省令の整備等でございますが、改正法の円滑な施行のため、特に改正法により新設された制度を中心に都道府県等による運用状況を把握するとともに、対応事例の他の都道府県への横展開を図っていくことが重要であること、また、引き続きガイドライン等の充実を図るとともに研修等を通じた改正法の周知が必要であること、改正法の施行状況を適切に把握するため、施行状況調査の着実・効率的な実施が必要であること、併せて、さらなる調査の実施方法の効率化を検討し、調査結果の取りまとめの早期化を図ることを記載しております。

 調査・措置の適切な実施による安全の確保でございますが、こちらも指定調査機関及び技術管理者の能力向上のため、引き続き講習会や技術管理者試験を着実に実施すること、それから技術開発・研究について、中長期的な視点で取組を進める必要があること、それからカドミウム及びトリクロロエチレンの環境基準等の見直しを受け、調査や措置の適切な実施が図られるように適切な周知を進めていく必要があること。また、併せて土壌汚染対策法に基づく特定有害物質に追加されていない1,4-ジオキサンについて、調査方法の確立に向けた技術的な検討を進める必要があること。事業者等にとって利便性の高い支援制度の検討を実施する必要があることとして、整理をしてございます。

 適切な情報開示でございますけれども、都道府県に対し、台帳情報のインターネット上でのさらなる公開を促していくことが重要であること。ただし、前回の部会でもご指摘いただきましたように、個人情報保護の観点も踏まえて、各都道府県の事情に応じた対応が必要であることに留意が必要であるということについて記載をしております。

 それから、都道府県に対して、汚染土壌処理業者に対する汚染土壌処理施設に係るさらなる情報公開の指導実施を促していく必要があるということでございます。

 周知活動につきましては、一般向けの広報について、安心感の向上や土地取引の円滑化に資するよう、関係省庁とも連携をしながらさらなる充実化の検討が必要であるとしております。

 土壌汚染対策の施策シートは以上でございまして、続きまして、農薬の施策シートのご説明をいたします。

 農薬対策につきましては、環境基本計画の重点戦略を支える環境政策の4ポツの環境リスクの管理、(2)の化学物質管理について、次のとおり記載をされております。

 ⑤農薬については、国民の生活環境の保全に寄与する観点から、従来の水産動植物への急性影響に関するリスク評価に加え、新たに長期ばく露による影響や水産動植物以外の生物を対象としたリスク評価手法を確立し、農薬登録制度における生体影響評価の改善を図るとされております。

 取組の進捗状況につきましては、令和元年度は25農薬に対して、農薬登録基準を設定しました。

 また、農薬取締法の改正に伴い、令和2年4月より農薬の生体影響評価の対象が水産動植物から陸域を含む生活環境動植物に拡大されることとなったことから、中央環境審議会の第一次答申を踏まえ、以下のとおり対応しているところです。

 ①として、平成31年4月に告示の改正を行いまして、陸域の生活環境動植物の被害防止に係る規定を新設したこと。②として、令和元年6月に農林水産省において通知を改正し、水草及び鳥類を農薬登録時の評価対象に追加したこと。③として、令和元年11月に「鳥類の被害防止に係る農薬の影響評価ガイダンス」を制定したことを記載しております。

 野生ハナバチ類に係る評価手法についても、本日の部会で第二次答申(案)として審議いただきましたけれども、答申後、年内を目処に評価対象として追加する予定でございます。

 また、水域の長期ばく露による影響評価を農薬登録制度における生体影響評価に追加すべく、技術的な検討を進めているところであり、さらに、鳥類の長期ばく露による影響評価について追加する必要性を含め検討を進めているところとしております。

 続いて、施策の評価手法でありますが、鳥類及び野生ハナバチ類に係る評価を実施し、登録基準値を設定した(又は設定不要とした)農薬数としております。

 他施策との連携状況につきましては、試験法についての情報交換等、化学物質管理に係る他施策と連携して推進しております。

 課題及び今後の取組方針については、取組の進捗状況を基に、次のとおり整理をしておりまして、令和2年度以降、鳥類及び野生ハナバチ類に係る評価を実施するとともに、引き続き評価手法の改善を図る。併せて、これらの生物への農薬のばく露量を確認するためのモニタリング方法を確立すること。それから、水域の長期ばく露による影響については、技術的事項を早期に取りまとめた上で、審議会において、ご審議いただくこととしております。

 以上を基に、3.全体評価として、次のとおり、取りまとめております。

 取組の評価については、各シート中の「取組の進捗状況」のとおりでありますけれども、全体の評価につきましては、次のとおりとしておりまして、定量的な評価が困難な項目もございますが、土壌関係、農薬関係ともに環境基本計画に記載された取組について、それぞれ着実に進捗していると評価できるが、ただし、その多くは引き続き継続的な取組が求められる状況であるとしております。

 それから、部会での個別意見として、前回の部会で頂いたご指摘についても、次のとおり、まとめてございます。

 1点目が環境負荷や社会・経済的観点から、過剰な対策を防止し、健康リスクを踏まえた合理的な対応を推進していくべきこと。それから、中小事業者が活用しやすいよう、土壌汚染対策基金による助成制度の改善や、環境配慮型融資等とも連携して制度づくりの検討を進めるべきこと。それから、台帳情報のインターネット上での公開を推進すべきこと。ただし、個人情報保護への配慮が必要な点に留意することとしております。

 農薬関係につきましては、ネオニコチノイド系農薬について、EUではミツバチへの影響を踏まえて一部禁止していることから、我が国としても、予防原則の観点から、スピード感をもって対応すべきとしております。

 最後の4ポツの今後の取組方針につきましては、個別の取組の今後の取組方針は、各シートの中で整理しておりましたけれども、上述の評価も踏まえて、今後、次のような取組が必要であるとして、(1)から(3)まで記載をしております。

 (1)として、先回り型の環境マネジメントの推進としております。まだ、被害や影響が十分に顕在化していないリスクについても、科学的知見の収集を進め、環境基準の見直しなど、先回り型の環境マネジメントを進めるなどの取組を進めること。

 (2)として、ステークホルダーとの連携強化によるデータに基づく効率的な政策の推進ということでありまして、汚染土壌に係る情報の官民での情報の共有や対外発信、土壌汚染対策法の施行状況の効率的な把握、農薬登録制度における事業者側からの効率的な情報提供など、政策を効果的に進めるため、ステークホルダー間でのデータの合理的な収集及び共有化を推進していくこと。これらのデータの集積と活用を図ることにより、エビデンスに基づき、より実効的な政策を進めることとしております。

 (3)の統合的な取組の推進につきましては、土壌汚染対策や農薬対策については、環境基本計画における六つの重点戦略の中で明確に位置づけられていないわけでありますけれども、例えば、②の国土のストックとしての価値の向上や、④の健康で心豊かな暮らしの実現などにおいて、土壌環境の保全や農薬対策が不可欠なものでありますことと、土壌汚染リスクの適切な管理が土地利用を促すことや、農薬の適正な使用が食料の安定供給において不可欠であることに鑑みまして、環境・経済・社会の統合的構造にも貢献していくとしております。

 また、土壌汚染対策や農薬対策は、水環境の保全や化学物質管理、生物多様性の保全とも密接に関わっておりますので、これらの政策分野と一緒に連携を図っていくこととしております。

 そして、最後のページで「おわりに」としておりますけれども、今回の環境基本計画の点検結果を踏まえて、環境基本計画のメインメッセージである「環境・経済・社会の統合的向上の具体化」等をより一層進めるため、引き続き、環境基本計画に位置づけられた施策を進めていくとともに、今回の点検を通して明らかになった諸課題について検討を行い、各主体とのより一層協力を推進し、環境基本計画における他の重点戦略・重点戦略を支える施策との密接な連携を図っていくこととして、まとめてございます。

 資料の3の説明につきましては以上でございます。よろしくお願いします。

(細見部会長)

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたら、お願いいたします。

(浅野(直)臨時委員)

 部会長、浅野です。よろしいでしょうか。

(細見部会長)

 浅野先生、どうぞ。

(浅野(直)臨時委員)

 前回の本部会には、私、欠席いたしまして、大変申し訳ありませんでした。健康を害しておりました。前回のヒアリングやその他の資料にもとづいてまとめていただいた内容については、大変よくまとまっていると思いました。特に今後の取組方針の3のところで、4の3ですが、統合的な取組を推進するというところが丁寧に記載されております。今回の第五次環境基本計画は、今までのような縦割りを避けて、できるだけ横のつながりを重要視しようという考え方でできておりますので、その精神から見ても、ここでのこのような記載があるということは、大変優れた点検報告であるという評価をすることはできるのではないかと思っています。

 その上で、三つぐらいコメント、ご指摘をしたいことがあるわけですが、まず、土対法ついて申し上げます。

 土壌汚染対策法の趣旨をしっかり国民に知っていただくという必要がある、これは前回の部会での意見の中にもあったと思うのですが、セミナーをやるぐらいの、やや消極的な周知ではなくて、徹底的な周知をしなきゃいけないだろうと思うのです。すなわち、この土対法を作ったときは、地価がどうなるかということは考えません。専ら国民の健康リスクを守るということを第一義に考えて、この制度を作るんだということを言っているわけです。

 ですから、もしある土壌が汚染されたとしてもそれを完全にきれいにするということを狙っているわけではなくて、健康リスクがきちっと遮断されれば、それでいいんだということが法の趣旨であるということは、度々言ってきているんですが、なかなか徹底していない。今回の点検報告の中でも、大分よくはなったけれども、完全にきれいにしなければならないという雰囲気は、なお残っているということが記されておりますが、この点は、なお問題があるなというふうに思っているわけで、立法の趣旨をもっと広く国民の皆様にご理解していただく必要がなおあるだろうと思います。

 ですから、周知の必要性ということについては、今のようなことを十分に考えた施策が、なお必要だろうと思います。

 なお、今回の第五次基本計画を作るときに、ちょっと表現の仕方を間違ったなと思ってしまったんですが、「土地取引の円滑化を図る」というくだりが入ってしまっているんですけども、これは決して値段の問題を言っているんじゃなくて、ここはこのような汚染があって、このようなリスクがあるが、このような形でそれをこのように封じ込めているんだから問題がないというようなことを、より明確にする。そのことが円滑な取引につながるという趣旨で書いています。とにかく、あまり値段が高くなってしまって、大変で取引が止まってしまうということを配慮してというようなことでは全くありませんので、誤解がないようにする必要があるだろうと思います。

 それから、今回の法改正で、かつて汚染されていたけれども、浄化されたので、もう指定地域から外れましたというところについての情報も開示するということになったわけですが、これは、もともと最初に法律を作ったときから入れたかったんですけども、せっかくお金をかけてきれいにしたのに、もともと汚れていた土地であるということを宣伝するのは甚だつらいので、もうそれは勘弁してくれと言われて、きれいさっぱり台帳から消してしまうということでスタートせざるを得なかったんですけれども、かえって、それが取引上の問題を起こしたりしているということで、今回、解除をされたところは解除された土地であることが分かるようにしようということにしたわけです。これなどはやっぱり世の中の認識の変化を物語るものではないかというふうに思ったりしています。

 次は、4ページです。ちょっと長くなってすみません。4ページの下から7行目のところ、1,4-ジオキサンについて、特定有害物質に加えられていない、これは、理由は後のほうまで読んでいきますと、適切な測定方法が見当たらないから、しようがないなといって、取りあえず外してしまっていることがわかるのですけれども、後までずっと読んでいかないとわかりませんので、ここにできれば、簡単でいいですから理由を少し入れておいていただいたほうがいいような気がしますので、事務局でご検討いただければと思います。

 最後に、もう1点ですが、前回、東京都のヒアリングの中で問題があるんじゃないかという指摘が1点だけございました。この点については、土壌汚染というものは地表に近い上から大体汚れていくものだというふうに想定して、全体の制度を設計しているんですけれども、下のほうが汚れていて、上がきれいであるような場合に、上をちょっとだけいじくり回すようなときにも、全部浄化をしなきゃいけなくなるようなあり方に問題があるというようなご指摘だったと思います。

 そういう場合はめったにないと思いますが、あるとすれば、確かに、何か考えなきゃいけないかと思うんです。現在、汚れている場所は汚染物質がどっちの方向に、どの程度動いていくのかということがはっきりしていて、上のほうにも上がることはおよそあり得ないというような場合には、ある種の「区分地上権」類似の考え方で、部分的な地域指定という方法もないわけではないだろうと思ったりしますけれども、しかし、なかなか現実にきちっとそれを運用していくのは難しいので、東京都からのご指摘はあるんですが、そこは、やはり、しようがないのかなという気がいたしました。

 以上です。

(細見部会長)

 どうもありがとうございました。

 幾つかご指摘いただきましたので、まず、事務局のほうから答えられる点をお願いします。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 ご指摘ありがとうございました。

 制度の周知に関しましては、法改正を受けまして、自治体や技術者の皆さんに制度の周知は行っておりますけれども、引き続き、継続することにしておりますので、ご指摘の点を踏まえて、周知をしっかり今後も継続していきたいと思っております。

 2点目の土地取引のところでご指摘いただいた点については、事務局としても誤解がないよう認識を持ちたいと思っております。

 それから、1,4-ジオキサンの点につきましては、これは資料を少し修正させていただいて、調査が難しいということは追記させていく形で修正をさせていただければと思っております。

 ありがとうございました。

(細見部会長)

 浅野先生から最初の周知の必要性に関しては、どちらかというと、今やっているセミナーとかのレベルではなくて、もう少しやれという、そういう趣旨だったと思うので。

(浅野(直)臨時委員)

 広く一般国民にという、その辺りは、まだまだ弱いということです。

(細見部会長)

 広く。まだ弱いということですね。ちょっと、事務局としても、もう少し周知を拡大していくという、そういうのが分かるような表現というか、努力をしていただきたいなと思います。

(堀上土壌環境課長)

 土壌環境課長の堀上です。

 今のご指摘を踏まえて、内容について整理をさせていただきたいと思います。

 浅野委員におかれましては、これまでの経緯を踏まえて、いろいろご指摘をいただきまして、大変ありがとうございました。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 浅野先生、それでよろしいでしょうか。

(浅野(直)臨時委員)

 結構です。
 どうも長々たくさんしゃべって申し訳ありませんでした。

(細見部会長)

 ありがとうございました。

 それでは、ほかにご意見とかはございますでしょうか。

(大塚委員)

 大塚ですけど、よろしいでしょうか。すみません。

(細見部会長)

 大塚先生、どうぞ。

(大塚委員)

 浅野先生によくご指摘いただいて、特に統合的な対応というところは、第五次環境基本計画では重視していますので、今回、いいまとめ方をしていただいたと思っています。

 それで、2点ほどあるんですけれども、一つは5ページのところの、これはもう少し詳しく書いていただいたほうがいいかなというだけのことですが、5ページの最後の課題及び今後の取引方法の政省令の整備等のところで、横展開の話が出てきているんですけれども、ここで「特に改正法による新設された制度を中心に」というのは、具体的には、何のことを特にお考えなのか、ちょっとよく分からないので、教えてください。私としては具体的に書いていただいたほうがいいと思います。

 それから、もう一つは、5ページの上四つ目のポツだったり、あと、6ページのほうにも出ていますけども、処理業者さんに関して情報公開の促進という観点が出ていて、理由としては、汚染された土壌環境の処理の透明性確保の観点ということで、理由はそういうふうに書いてあるんですけども、これの必要性が非常に高いのかどうかという辺りが、あまり伝わってこないような気がします。例えば、処理の悪かった事例とかというのはあるでしょうかこの辺が少し国民にあまり伝わらない書き方になっているんじゃないかという気がしますので、以上2点、教えていただければと思います。

(細見部会長)

 それでは、事務局のほうからお願いします。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 1点目について、ご指摘いただいた点でありますけれども、これは、改正法のうちの特に臨海部の特例、それから自然由来の土壌利用施設の追加の件を念頭に置いておりまして、自治体等でこれから実例が出てきたときに、その情報を周知して、他の都道府県に展開していくということを想定しておりました。

 それから、2点目の汚染土壌施設の件ですが、これは具体的によくない処理がされたという事例を承知をしているわけではなかったのですが、記載については検討させていただきまして、より適切な書き方になるような修正を考えさせていただければと思っております。

(大塚委員)

 ありがとうございます。

 2点目に関しては、これが悪いということを言っているつもりではないので、特に汚染土壌の場合は不適正処理がされてしまったりすると、廃棄物以上に分からなくなってしまうので、私も重要なことだとは思っていますので、理由をもう少し書いていただくとありがたいということを申し上げているだけでございます。ありがとうございます。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 承知しました。ありがとうございました。

(細見部会長)

 透明性の確保の観点ということについても、もう少し情報を精査して、大塚委員の趣旨に合うように、そこは修正を、加筆をさせていただければと思いますが、堀上課長、それでよろしいでしょうか。

(堀上土壌環境課長)

 はい、分かりました。こちらで再整理をして、また、部会長と相談させていただければと思います。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

(大塚委員)

 どうもありがとうございました。

(細見部会長)

 それでは、ほかにご意見、ご質問はございますでしょうか。

(河口臨時委員)

 よろしいですか。

(細見部会長)

 はい、どうぞ。

(河口臨時委員)

 河口ですけれども、よろしいでしょうか。

(細見部会長)

 河口委員、どうぞ。

(河口臨時委員)

 今回の内容に直接ということではないのですが、これは点検という正確上、これから、何をするということをリストアップして検討しているというように理解したんですけれども、そうすると、土壌等農薬に関して、コロナの影響というのはあるのか、ないのか、これについて議論するのか、しないのか、多分、この検討の範囲の中の時間のタイムフレームでは、これ、コロナ前だということとは思うんですけれども、今後のところというところを書く欄がありますので、そこで、コロナの影響について検討するのか、しないのか。あまりコロナは関係ないような気もするのですが、それについての部会としての方向性とか、方針は何か一言入っていたほうがいいように思うんですけれども、いかがでしょうか。

(細見部会長)

 コロナの問題については、部会でも議論はまだ全くしていませんが、ほかの部会ではどうでしょうか。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 土壌農薬部会の中でコロナ対策についてということは、今のところ、その必要性は感じておりませんで、他の部会においても、今、この点検を行っている部会でそのような議論があるということは伺っておりませんけれども、報告書を取りまとめて総合政策部会へ報告した段階ですとか、まだ全体の分野の半分の点検を行っているところで、残り半分の点検も、また来年度以降行われてきますので、その中で、また全体を見ながら、必要性については検討していきたいと考えております。

(河口臨時委員)

 こういう場合、必要性がないから書いていないというのは、やっているほうとしてはそうだよねと思うんですけれども、読むほうからは分からないんです。必要性がないから書いていないのか、やっていないから書いていないのか分からないので、これに関しては、現在のところ、問題はないけれども、何月時点で次ので書くとかということが書いてあると、その後、行くのかというふうに分かるんですけれども、どういう立ち位置なのということを一言書いていただいたほうが、読むほうも安心するのではないかと思います。これは、全体に係る話なので、コロナの扱いというところで、多分、統一したようなものをつけられるのかもしれないんですけれども、そういうご配慮はされたほうがいいんじゃないかなと思いました。

(浅野(直)臨時委員)

 部会長、浅野ですが、よろしいですか。

(細見部会長)

 浅野先生、どうぞ。

(浅野(直)臨時委員)

 今の河口委員のご指摘ですけれども、ここでは、確かにタイトルが「環境リスクの管理」というところから始まるものですから、それじゃあということになるんですが、果たして、疫病のような問題を環境リスクの枠の中でどう取り扱うかということについては、また議論の余地があるかもしれません。

 しかし、いずれにせよ、経済が大きく変わってきている面もありますから、コロナの問題が環境政策にどう響くのかということは、総合政策部会で最終的に全体を取りまとめるときには、全く触れないわけにはいけないと思いますし、例えば、地球環境関連のことでいうと、既に分かっていることですけども、これで世界全体のCO2排出量が一時的にはかなり減ってしまう。しかし、その後の回復が大変危惧されるということは、既に欧州諸国でも言われているようなことがありますから、多分、総合政策部会で全体をまとめるときに、今の河口委員のご発言については留意するということになるんではないかと思います。ここでは、取り扱わないということを…。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 総合政策部会に報告する際には、本日の点検結果に基づいて説明するわけですが、別途、河口委員からのコロナの問題に対して、政策部会として、どうなのかということに関する提案というものはさせていただきたいというふうに思います。よろしいでしょうか。

(谷貝総務課課長補佐)

 事務局、すみません、水・大気局総務課政策企画官の谷貝でございますけれども、補足させていただきたいと思います。

 同時に行っております水環境部会の点検報告書におきましては、今後の取組方針の中で、柱書きの中で、今後、新型コロナウイルス対策を踏まえて対応する必要があるというふうなフレーズを入れさせていただいております。こちらのほうは、特に水環境については衛生環境、水質汚濁と病原菌が深い関係にあるといったこともありまして、ただ、具体的な課題を書くには、まだ機が熟していないということで、そういった一般論として書かせていただいてございます。

 土壌につきましても、近しいことがあるかと思いますので、そういった柱書きを追記する形で、問題意識をしっかりと書かせていただくということで対応させていただければと思います。

 以上でございます。

(細見部会長)

 河口委員、いかがでしょうか。

(河口臨時委員)

 ありがとうございます。

 何か問題があるので、ちゃんとアドレスして認識しているよということが分かるような書きぶりであれば、よろしいんではないかと思います。ありがとうございました。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 そのほかにございますでしょうか。

 松永委員、どうぞ。

(松永委員)

 松永です。発言いたします。

 8ページ目の部会での個別意見というところの農薬関係、ネオニコチノイド系農薬についてというところなんですけれども、ここの記述をもう少し丁寧にしていただければいいかなと思いまして発言いたします。

 ここで「我が国としても、予防原則の観点から」というふうに書いてあります。これは、多分、前回の土壌農薬部会でご発言があって、ここの記述が入ったというふうに思います。

 私、前回出席できず、申し訳ありません。前回申し上げられればよかったのですけれども、ちょっと欠席しましたので、今日、申し上げるわけですけれども、予防原則というのは、皆さん、ご承知のとおり、一般の市民の方には、非常に誤解を招いている言葉であろうというふうに思います。本来の予防原則という言葉の意味は、その時点でのリスクアセスメントを行うと。いろんなほかの社会的・経済的検討もして、なおかつ、因果関係が明確でなくても、でも取り組まなければいけない場合があるということで予防原則という言葉が使われているというふうに思うんですけれども、一般の市民の方は、どうしても危険だと言われたら即禁止みたいな、そういうイメージを予防原則に最初のほうで持ってしまっていて、どうしてもそういう理解をする方というのがいまだに多いような印象を持っています。

 今、環境白書とか、それから、環境基本計画でも、多分、予防原則という言葉は使っておられないですよね。予防的取組というような言葉を使っていますので、ここは予防原則という言葉は使わないほうが、一般市民の適切な理解に結びつけるという意味でよいのではないかなというふうに思っています。

 特に、ここを強調するのは、ネオニコに関しては、非常に今誤解が多くて、市民、それから農業者、皆さん、どう考えていいか分からなくなっているというような状況にあるように思うんです。なので、ここは、こういう内容を書くのであれば、もう少し詳しく内容を記述したほうがいいのではないかと思います。私が調べる限りだと、先ほど、五箇先生もちらっとおっしゃいましたけれども、EUは禁止措置を講じて、その後、どうなっているかというような評価ということが明らかになっていなくて、イギリスとかでは、むしろ使えなくなって、ナタネの生産等が非常に落ち込んでいるというような結果が出てきているということがあります。それを基にして、EUで禁止しているから日本がという議論になるかというと、当然、そうならないわけで、EUとはネオニコチノイド系農薬の使い方がかなり異なるということがあります。ですから、ばく露量とかがかなり異なってくるということがあります。

 それと、生産者の方は、今、非常に心配しておられるのは、EUのようなスピード感をもって、いろんな対処をされたときに、果たしてネオニコなしで、ほかの農薬も使わずに農業生産ができるのかというところ、非常に皆さん、心配しておられていまして、それだと生産できない、消費者の要求に応えられないということになると、前使っていた有機リン系農薬に戻る、それから、ほかの農薬を代替として使うということをせざるを得ないと。しかし、ほかの農薬でリスク評価が行われていて、ミツバチへの影響がないかというと、全然そんなことはなくて、リスク評価が行われていないという状況、行われていないわけではないですけれども、データがかなり足りないというような状況があっていますので、単純にEUが禁止しているからどうこうするというようなことが言えるような状態ではないんだというふうに、私は理解しているんです。

 先ほどからほかのところでも出てきましたけれども、統合的な取組の推進みたいな安定的な供給、生産の安定みたいなところも勘案した上で、リスク管理を進めていかないといけないものですので、そういうことも踏まえると、この書き方だと、誤解を招くおそれがあって怖い。もう少し丁寧に日本の状況も踏まえて記述した、本来の意味が伝わるように、もちろん急がなくちゃいけない、どんどんリスク評価を進めていかなくちゃいけないというのは、もう当然のことなんですけれども、本来の意味が伝わるように丁寧な記述にしたほうがいいのではないかなというふうに思いました。

 以上です。

(細見部会長)

 ありがとうございました。

 それに対していかがでしょうか。

(大塚委員)

 すみません。大塚ですけど、発言していいでしょうか。

 先生のおっしゃるとおりだと、私も思っておりますが、推進費のほうで、環境の基本原則でやらせていただいているので、予防原則のところも、そこに扱われていますが、先生がおっしゃるように、ちょっと誤解を招くときがあるので。先生がまさにおっしゃったように、リスク評価は基本的にするということとか、社会・経済との関係も見るというような話も大事な話なんで、そこまで、ここに書くのかどうかちょっと知りませんが、そういうものとして予防原則を、あるいは予防的アプローチを市民に受け取っていただくように、ちゃんと説明をしなくちゃいけないというのは、私もそのとおりだと思っています。だから、そういう観点が分かるような書き方にするということかもしれません。

 私は別に予防原則と予防的なアプローチは同じと思っていますけれども、そこは、いろんなご意見があるようなので、環境基本計画は予防的アプローチと言っているので、そこは予防アプローチにしてもいいのかなというふうには思っています。

 ですから、基本的に賛成なんですけども、ただ、そういう中でも科学的プロセスの中で、突発的に何か起きてきたりしているときに対応しなくちゃいけないということも可能性があることを予防原則は言っているので、それはそれで大事なものなので、全くそれをなしにしてしまう必要はないと思いますけれども、非常にいろんな考量が必要になってくるようなところがあるということは、先生のおっしゃるとおりだと思います。

 以上です。

(浅野(直)臨時委員)

 部会長、よろしいでしょうか。浅野ですが。

(細見部会長)

 浅野先生、どうぞ。

(浅野(直)臨時委員)

 実は、学問的には予防原則と言おうと予防的取組方策と言おうと、同じことだというのは、もう、ほぼ国際的にも確立しているんですけれども、日本では誤解を招かないように、つまり、予防原則についての正確な理解がないので、あえて基本計画の中では、そのような言葉を使わなかったというだけのことです。

 今の松永さんの話は、ここで予防原則についての講釈を垂れろという意味ではないだろうと思いますので、それを言い始めると、もう本当に話があっち行きこっち行きになってしまうような気がします。ですから、要するに、ネオニコチノイドの取扱いについては、いろいろと慎重にやらなきゃいけないということがあるんだということが、多分、ご趣旨ですから、それが分かるような表現にして、予防原則の講釈をここで述べろということではないというふうに理解したほうがいいんじゃないかなと思いました。

(松永委員)

 松永です。

 そのとおりです。まさにきちっと理解していただくという意味で予防原則という言葉が誤解釈というのを非常に招いているので、という意味で言っただけですので、ここで、予防原則と予防的取組とか、予防的アプローチ云々ということを申し上げたい、それが主張ではありませんので、ご了解いただければというふうに思います。

(浜谷農薬環境管理室長)

 農薬環境管理室長の浜谷ですけれども、発言よろしいでしょうか。

 先生方、ご意見どうもありがとうございます。確かに、松永委員がご指摘のとおり、ここに書いてある記述については舌足らずというのはおっしゃるとおりです。ここに書いてございます農薬取締法に基づく農薬の使用規制に関しましては、農林水産大臣の権限でして、環境省は、あくまでも登録をするときに環境面に対して安全かどうかというところの基準を定めるという役割を担っています。そういう観点で、ネオニコチノイド系農薬をはじめとして、ほかの農薬もそうなんですけれども、もし、環境面に対して影響を与える可能性があるのであれば、そういったものについては、ちゃんと評価をしていくというようなことを申し上げたくて記述をしました。

 そういう面で申しますと、ちょっと舌足らずというのは、ご指摘のとおりですので、ここについては表現を修正して、また、部会長にご相談したいと思います。

(松永委員)

 ありがとうございます。

(後藤臨時委員)

 すみません。後藤です。よろしいでしょうか。

(細見部会長)

 これに関連してでしょうか。

(後藤臨時委員)

 はい。
 全体評価の部分に、部会での個別意見が書かれているというところが非常に強く出ているという印象を受けております。個別意見というものが全体評価の後ろについている。結局、評価の末尾についているということですね。それで、非常に強い印象で受け取られる可能性があると思います。

 部会での個別意見というものの位置づけをどういうふうにお考えになっているのか、事務局に聞きたいというところがりますし、この報告の中で、どの位置に収めるのが良いかというところについても、工夫をいただけるとよいのではないかと思います。

 以上です。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 事務局、伊藤さん、いかがでしょうか。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 すみません。お待たせしました。伊藤です。

 今、ご指摘の点ですが、まず施策シートとして事務局側が作ったものを整理して、その上での評価と、それから、前回の部会での意見としてという順番で整理しているので、このような順番になっていました。部会での個別意見、これはこれで意見として頂いた内容ですので、この資料としてはどこかに残しておきたいと思いますが、書く場所、全体評価の中で、場所を変えるような整理がいいのか、あるいはご意見も含めた施策シートの整理として書くのがいいのか、ちょっと、その辺りの整理は、また後ほど部会長ともご相談させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(浅野(直)臨時委員)

 それでよろしいんじゃないかと思いますけど、要するに、場所をどうするか、それから、記述の内容をどうするかということについては、これだけ特に、全体はこうですよと言ったんだけども、さらに、またこれは特筆すべきことであるという印象では困る面もあるかもしれません。ただ、私は土壌関係についての個別意見は一々賛成できるので、別に削ることはないだろうというふうに思っていますが。

(細見部会長)

 部会での個別意見そのものは記載すべきだと思いますけれども、どの位置に置くかということについては、全体の流れも含めて施策シートのほうに入れ込めるのかどうかも含めて、少し、ちょっと事務局と相談をさせていただければと思います。

 よろしいでしょうか。

(後藤臨時委員)

 ご検討、よろしくお願いします。

(細見部会長)

 そのほかにいかがでしょうか。

(浅見臨時委員)

 すみません。浅見ですけれども。

(細見部会長)

 浅見委員、どうぞ。

(浅見臨時委員)

 よろしいでしょうか。

 ちょうど、このタイミングでだからというのもありますが、農薬とか、あと、ほかの化学物質の中で、最近問題になっているものといたしましては、有機フッ素系の化合物に関しましても、土壌汚染、地下水汚染、それから環境での検出というところもございまして、どこかで今後の取組の中で、薄くは読めなくはないんですけれども、そういったものについても、新しいものについても検討が必要というようなところをどこかに入れていただければと思います。

(細見部会長)

 恐らく、8ページの今後の取組方針の先回りのところかなと思うんですけれども。

(浅見臨時委員)

 ちょっと先回りというには、もうかなり、もともと使われていて、広まっていたものというところはあるんですけれども、そういったものも含めて、環境マネジメントということであれば、そこでも触れていただけるとありがたいと思います。

(細見部会長)

 分かりました。

 事務局は何か。

(伊藤土壌環境課課長補佐)

 承知しました。PFOSの件は、今、まさにご指摘いただいたとおりの課題を認識して、今後の取組方針の(1)を整理したものでございますけれども、整理の仕方を若干修正させていただいて考えたいと思っております。ありがとうございました。

(浅見臨時委員)

 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

(細見部会長)

 関連してですけれども、PFOS、PFOAについては、水環境部会でも前回議論しましたので、そことも連携を取りながら、統合的というか、ほかの部署との関わり合いなどを含めて、その記述についてはさせていただければと思います。

 浅見委員、よろしいでしょうか。

(浅見臨時委員)

 ありがとうございます。

 まさに、いろんな媒体を通ってしまうという意味で、典型的な物質の一つだと思いますので、今回も、いろいろほかの部会ともまたがる部分について、よく連携していただいているなと思いますので、ぜひ、このような取組を続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 そのほかについていかがでしょうか。

 ご意見がなさそうですので、点検結果の案について、本日、様々な貴重なコメントを頂きました。少し加筆をすべきところが数か所にわたってあるかと思います。特に、最初にコロナの問題を全体としてどうするのかということもありますし、それから、土壌汚染対策法の絡みについては少し周知の徹底だとか、あるいは土地の取組の誤解のないような表現方法だとか、あるいは、ジオキサンに関する測定法の問題とか、さらには、新設された制度を中心にというところの内容を少し丁寧にすべきではないかと。それから、8ページのところでは、部会での個別意見という内容そのものについては取り上げるべきだと思いますが、どこに配置するのかということも含めて検討すること、農薬関係については少し丁寧な記述が、単に予防原則の観点からと一言で言ってしまうと誤解を招くのではないかというようなご意見を頂きました。それから、PFOS、PFOAのように、今まさに問題とされようとしているところの問題を取組方針の中で少し記述ができないのかという幾つかのご要望、貴重なコメントを頂きました。

 これは、文章の修正も必要かと思います。その修正の扱いにつきましては、頂いたご指摘を踏まえて、部会長に一任していただきたいなと思いますが、よろしいでしょうか。

(後藤臨時委員)

 すみません。一言、よろしいでしょうか。後藤です。

 全体評価の土壌関係、農薬関係というところの取りまとめの文章は2行ずつあるんですけれども、こちらをもう少し充実していただくということはできないでしょうか。この部分が内容的にはあまり具体的ではない文章が書いてあって、その後に個別意見で、具体的なものが記載されるというような構成になっているというところも、全体評価として形が整っていないという印象になるもう一つの要因かと思いますので、全体評価そのものの文章についても、もう少しご検討いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 少し、それぞれの内容については、シートのほうに記述してあるのを総合的に、全体的に評価をするというのが3ポツの役割ですが、そこについては、もう少し加筆をしたほうがいいのではないかということでございます。これも、修正、加筆をさせていただければと思います。

(浅野(直)臨時委員)

 気になっているのが、シートのほうで体言止めになっている部分とそうじゃない部分がごちゃごちゃになっている点です。意味があるのならいいんですけど、どうもあまり合理的に書き分けがしてあるとは思えませんので、その辺もご検討ください。

(細見部会長)

 分かりました。文章表現も含めて、もう一度、修正させていただければと思います。ありがとうございました。

 たくさんのご指摘をいただいて、よりよい点検結果に結びつけたいと思いますので、ただ、時間の関係もございますので、修正の扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、部会長に一任していただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

(細見部会長)

 ありがとうございます。

 異議がなかったということで、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、議題の3番「その他」ですが、事務局から何かありますでしょうか。

(上迫農薬環境管理室室長補佐)

 特にございません。

(細見部会長)

 それでは、本日の審議全体について何かご意見、あるいはご質問はありませんでしょうか。

(なし)

(細見部会長)

 よろしいでしょうか。特にないようでしたら、本日の議事については以上となります。

 進行を事務局のほうにお返しします。

(浜谷農薬環境管理室長)

 細見部会長、どうもありがとうございました。

 また、委員の皆様におかれましては、お忙しいところ、ご出席いただき、ご審議いただきありがとうございました。

 本日の議論にございましたとおり、修正案を事務局のほうで用意いたしまして、また、部会長にご相談をさせていただきます。その後、委員の皆様のご確認を経て、公開をさせていただきたいと思います。

 以上をもちまして、本日の第38回土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。
 ありがとうございました。

(了)