中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第75回)議事録

日時

令和2年5月18日(月)13:30~15:20

場所

WEB会議システムにより開催

出席委員

委員長   白石 寛明

委員    細見 正明

臨時委員  赤松 美紀

      浅野  哲

      浅見 真理

      天野 昭子

      小泉 弘子

      五箇 公一

      後藤 千枝

      佐藤  洋

      築地 邦晃

      根岸 寛光

専門委員  稲生 圭哉

      内田又左衞門

      川嶋 貴治

      山本 裕史

      (敬称略、五十音順)

委員以外の出席者

環境省

 浜谷室長、髙松室長補佐、上迫室長補佐、秋山係長、野口主査

オブザーバー

 農林水産省

 独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

 国立研究開発法人国立環境研究所

議題

(1)生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第2次答申案)

(2)水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設について

(3)水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

(4)その他

配付資料

 

 資料1   中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿

 資料2-1   生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)

 資料2-2  生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)に対する意見募集の
       実施結果について(案)

 資料3   諮問書(写)及び付議書(写)

 資料4   水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関す
       る資料(案)

 資料5   水産基準値案と水域PECの関係及び基準値設定後の対応について

 資料6   水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

 資料7   水濁基準値案と水濁PECの関係及び基準値設定後の対応について

 資料8   農薬登録基準の設定を不要とする農薬について(案)

 資料9   「生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 資料10   「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

 参考資料1 農薬評価書 オキサゾスルフィル(食品安全委員会資料)

 参考資料2 農薬評価書 カルバリル(NAC)(食品安全委員会資料)

議事

【浜谷室長】 定刻を過ぎてしまい申し訳ございませんが、ただいまから第75回土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきます。
 今年度、第1回目の農薬小委員会になります。このような情勢の中ですけれども、委員の皆様には、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、全ての委員の方にご出席をいただいています。
 ウェブ会議の開催となり、委員の皆様にはご不便をおかけすることがあろうかと思いますが、何とぞご容赦いただければと思います。何かご不明な点があれば、事務局まで、右下のチャット欄かお電話にてお知らせいただければと思います。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。

【野口主査】 それでは、資料のご確認をお願いいたします。
 画面上に配付資料一覧を表示しております。本日の配付資料一覧はこちらでございまして、資料1~10までと、参考資料1、2がございます。事前に紙でお送りした資料には、資料8と3が入っておりませんでしたが、8については先日メールでお送りさせていただきました。いずれも本日、画面に表示して説明させていただきますので、できれば、紙のものをお手元にご用意いただければと思います。また、事前にお送りした紙の資料から、2-1と資料8、9、10にそれぞれ修正が入っておりまして、そのほかにも軽微な体裁等の修正が入っておりますが、その都度、ご説明させていただきます。
 また、参考資料として、水濁基準の審議剤に関する食品安全委員会の評価書を事前送付資料のCDとしてお送りしております。
 資料については、以上となります。
 ご不明点等ございましたら、いつでもお知らせください。

【浜谷室長】 それでは、議事に入らせていただきます。
 議事中、委員長及び発言者以外は、基本的にマイクをミュートに設定させていただきます。ご発言のある先生は、ご自分でミュートを解除いただくか、挙手ボタンもしくはチャット欄でお知らせください。不具合がありましたら、電話、メールでのご連絡でも結構です。
 なお、先ほど事務局からお願いしたとおり、弊省の回線に負荷がかかる可能性があることから、映像についてはオフにしていただけると幸いです。
 それでは、議事の進行については、今年度も白石委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、議事を進めさせていただきます。
 本年度最初ということで、全員参加ということで大変ありがとうございます。
 初めに、本日の会議と資料の公開の扱いについてご説明します。
 本日の農薬小委員会は、2月27日に決定されました「中央環境審議会における新型コロナウイルス感染症対策について」を受けまして、ウェブ上での開催となっていることから、傍聴を取りやめて開催いたします。資料及び議事録については、ホームページにて公開させていただきます。よろしくお願いします。
 次に、農薬小委員会の決議の取扱いについてご説明させていただきます。
 小委員会の設置についての土壌農薬部会決定では、農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができることになっております。したがいまして、この農薬小委員会で決定いただきましたら、土壌農薬部会の細見部会長の同意を頂いた上で、部会としての決定としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 議事の(1)、生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定についての審議に入ります。
 いろいろご審議いただいた野生ハナバチ類の取扱いに係る第二次答申(案)についてです。事務局から説明をお願いいたします。

【上迫室長補佐】 改めまして、よろしくお願いいたします。
 それでは、生活環境動植物に係る農薬登録基準の設定について(第二次答申)(案)につきまして、ご説明をさせていただきます。
 事前にお送りいたしました資料2-1及び2-2をご覧いただければと思います。
 この第二次答申につきましては、昨年11月より何度かご審議をいただいたところでございます。この度、前回の農薬小委員会のご審議を踏まえまして、3月19日から4月17日までパブリックコメントを実施させていただきました。今回、パブリックコメントの結果及び回答(案)、そして、それを踏まえた第二次答申(案)の修正についてご説明をさせていただきます。
 なお、意見提出者数は、電子メールによるものが6通、意見の延べ総数は14件でした。なお、提出されたご意見のうち2通は、本意見募集とは関係のないご意見であったことをお伝えいたします。
 それでは、提出されたご意見の概要と、ご意見に対する考え方でございます。
 まず、全般的なご意見です。
 新規の登録時だけでなく、登録済みの農薬についても改めて登録可否及び基準値の再設定をすべきではないでしょうか。少なくとも欧米でCCDの原因として疑われているネオニコチネイド系の農薬については早急に実施すべき、といったご意見でございます。
 ご意見に対する考え方ですが、農薬取締法の改正により、全ての農薬について定期的に、最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う制度が導入されています。なお、我が国で多く使われている既登録のネオニコチノイド系農薬については、令和3年度に再評価を開始することとしています、という回答案でございます。
 回答案について、一通り説明をさせていただきまして、その後で、ご質問、ご意見などを頂ければと思います。
 続いての意見は長いものでございますけれども、ポイントといたしましては、前回も第一次とりまとめ(案)についてもパブコメ意見を述べたところで、この中では、登録申請しようとする農薬が、自然界でどのような影響を与えるかを判断できるフィールドでの生物調査データを提出させるべきであると。あるいは、期限を設けて、自然環境やフィールドでの農薬環境汚染調査を義務づけるべきであるといった意見を出しているという今回のご意見です。また、今回の意見としては、以下のような試験や調査をしてランク付けをすべきであるといったように、主に農薬のばく露状況に関するご意見と、その調査のご意見でございます。また、上記を踏まえ、まず、野生ハナバチへの評価の基礎データとなる、現在登録されている農薬成分の養蜂ミツバチに対する毒性試験結果の一覧を示されたいという意見です。
 これにつきましては、答申15ページ目に記載のとおり、野生ハナバチ類の生息領域における農薬のばく露の可能性等について、引き続き科学的知見の集積に努めてまいりますとしております。また、毒性試験結果の一覧を示されたいとのご意見については、近年に登録された農薬の審査報告書において、ミツバチへの急性毒性試験の結果が記載されておりますとの回答案を作成しております。
 続きまして、3番目のご意見でございます。ミツバチを初め花粉媒介昆虫は、農作物の生産に大きな影響を与えるにもかかわらず、その個体数減少を防止するための法令はない。そして、養蜂振興法で農薬使用を規制できるようにすべきであるといったご意見です。
 このご意見に対する考え方ですが、養蜂振興法に対するご意見は、今回の意見募集の対象ではありませんので、農水省に参考としてお伝えしますというものでございます。なお、答申1ページ目に記載のとおり、農薬取締法においても、ミツバチへの被害を防止するため、農薬のミツバチに対する影響評価を充実することとしていますというのが、最初の「防止するための法令はない」に対する答えとしております。
 また、ご意見としましては、製剤も披験対象物質に入れていただきたいというものもございます。理由が詳細に書かれておりますけれども、また、新規登録においても、生活環境動植物に対する影響の試験成績に製剤試験の成績も求めるべきと考えますといったご意見です。
 これに対する考え方ですけれども、農薬の毒性は主に有効成分によるものが大きいと考えられることから、環境大臣が定める農薬登録基準は、農薬原体を用いた試験成績を基に定めていますと。これは第一次答申の際の回答と同様でございます。なお、セイヨウミツバチへの影響試験のうち、「蜂群への影響」「花粉・花蜜残留」については製剤で実施した試験成績を提出することとしているほか、予測ばく露量の算定に当たっては、剤型、作物、使用方法ごとに推計を行うこととしていますと。製剤についても全く考えていないわけではないということを付記しております。
 続きまして、答申(本編)に対するご意見でございます。
 1ページ目の32行、<原因として『農薬が』疑われるものも存在することから>に、「斑点米カメムシ防除に散布される農薬などが」とするというようなご意見でございます。この理由としましては、当該農薬が原因の一つであることを農水省が認めているというものでございます。
 これは事実関係を確認いたしまして、答申案の修正を考えております。
 具体的には、もともと「日本国内ではCCDの発生が認められていないものの、ミツバチの減少事案の中には、原因として農薬が疑われるものも存在することから」としておりましたけれども、先ほどの意見を踏まえまして、「その原因として、水稲のカメムシ防除に使用される殺虫剤等、農薬が疑われるものも存在することから」と修正したいと考えております。なお、この回答案を踏まえて第二次答申(案)を修正するのは、いまのところ、この1カ所のみでございます。
 それでは、資料2-2に戻りたいと思います。
 3ページ目の6行目から16行目にある<セイヨウミツバチを供試生物とした毒性評価結果>について、現在登録されており、LD50が判明している農薬の一覧とその数値を示すとともに、ミツバチの種間差による不確実係数を10とした詳細な理由を示されたいというご意見です。
 まず、前段のLC50の一覧とその数値ですが、先ほどと同様、近年に登録された農薬の審査報告書において、ミツバチへの急性毒性試験の結果が記載されております、としております。また、不確実係数については、答申10ページ目に記載のとおり、EUにおいて、ハナバチ19種における毒性の種間差に関する試験データを解析して導出した、95パーセンタイルである10を不確実係数として採用していることを踏まえたものです。詳細については、10ページ目に記載されている引用文献をご確認くださいとしております。
 また、3番目といたしまして、3ページ目の26行目にある<花粉・花蜜の農薬残留試験による実測値>、これは予測ばく露量の第一段階評価の精緻化に使われる実測値のデータということですけれども、これに「水、溢液」を追加してくださいというご意見です。
 これについては、7ページ目に記載のとおり、「田面水や植物体表面の水等の飲水の経路については、農薬の残留実態等リスク評価に必要な科学的な知見が十分でないことから評価が困難であると判断し、現時点では評価の対象外とする」としておりますので、現時点では「花粉・花蜜」のみからのばく露を想定しているといった趣旨の回答としております。
 そして、残りが別紙に対するご意見でございます。
 まず、1番目ですが、野生ハナバチとして、単独性の種を除外し、社会性を有する野生ハナバチ(ニホンミツバチ、マルハナ等)の保護に限定された評価方法が提示されているが、これは遅きに失するというご意見でございます。
 7ページ目に記載のとおり、単独性ハナバチの個体群の保全については、今後、科学的知見の集積状況を勘案しつつ、評価方法の検討を行うこととしているという回答案でございます。
 2番目でございます。9ページ目の5行目にある<行動異常>については、その内容を具体的に記述するというご意見です。
 この行動異常についてですけれども、反復経口毒性試験に係るOECD試験ガイドラインNo.245においては、「瀕死」「影響あり」「けいれん」「無反応」及び「おう吐」に分類して記録することとされており、これに該当しない行動異常も明記することとされているといった回答でございます。
 また、3番目に、「試験要求に関する考慮事項」において、農水のガイダンスと異なり毒性試験についてGLPを要求していないのは何らかの意図があってのことか。また、海外で実施された試験成績についても、内容を精査した上で利用を可とするとのことですが、国内で実施された試験よりも利用基準を厳しくする理由はあるのでしょうかといったご意見です。
 若干、これには誤解がございまして、9ページ目に記載のとおり、今後、新たに実施される試験については、農薬のGLP、すなわち優良試験所基準制度に基づく試験の実施を求めることとしております。また、国内・海外のいずれで実施された試験成績であっても、試験設計、試験の実施手順、解析方法等の科学的な妥当性を確認した上で評価の根拠とすることに変わりはないといった回答としております。
 4番目です。14ページ目の20行目にある、<ばく露が想定されないことが合理的な理由において明らかであることからリスク評価から除外する農薬>とは何か、具体的な説明を求めるというものです。
 これは一言で言うとケース・バイ・ケースということになりますけれども、現時点で具体的に想定している農薬はありませんが、今後、個別の農薬の審査において、科学的知見を踏まえて判断されるものと考えているといった回答案です。
 これが最後の意見になります。14ページ目の<今後の課題>に以下を追加すると。具体的には、茎葉散布や土壌処理、種子消毒のほかに、樹幹注入によるフィールドでの摂取の評価、水場の水分や植物の溢液からの接触や経口ばく露の評価、複数の農薬が散布される場合のハナバチへの複合的な影響等々といった課題でございます。
 これについては、今後、野生ハナバチ類の評価方法を見直していく上での参考とさせていただきますといった回答にさせていただいております。
 今回のパブコメで頂いたご意見及びそれに対する考え方について、ご説明は以上となります。
 なお、この第二次答申(案)につきましては、本日、ご了承をいただきましたら、来月開催を予定しております土壌農薬部会においてご審議をいただいた上で、報告・答申といった手順を踏ませていただきたいと考えております。
 事務局からの説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 では、ただいまの説明について、ご質問、ご意見など、お願いします。発言されたい方は、挙手ボタンを押していただくか、お声がけください。
 よろしいでしょうか。パブコメを受けた修正点は1点ということですけれども、よろしいでしょうか。事実関係を正確にしたということですね。

【上迫室長補佐】 はい、そうです。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。特段、ご意見ないでしょうか。

【内田専門委員】 最初の質問、2ページ目ですけど、これの回答の「我が国で多く使われている既登録のネオニコチノイド系農薬については、令和3年度に再評価を開始する」と書いていますけど、昨年の9月9日付公表の最初の再評価予定14剤の中には、全てのネオニコチノイド系農薬が入っていないですよね。

【上迫室長補佐】 おっしゃるとおりです。

【内田専門委員】 「3年度以降、順次、再評価を開始する」というふうにしたほうがいいと思いますけれども。

【上迫室長補佐】 分かりました。ありがとうございます。

【内田専門委員】 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。
 この回答案ですね。これを「令和3年度以降、順次、再評価を開始する」と修正するようお願いします。ほか、いかがでしょうか。

【上迫室長補佐】 分かりました。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。
 顔が見えないので分からないのですが。そこの全体を映していただいたほうがいいかもしれません。マイクが入っていませんから、チャットで書いていただきましょうか。

【上迫室長補佐】 資料を1回閉じます。

【白石委員長】 はい、資料を閉じてください。全員を映してください。分からないのかな。

【野口主査】 画面の右上に表示画面を切り替えるところがあります。白石先生、回線にあまり負荷をかけないようにするため、いま映像をオフにしていただいています。

【白石委員長】 そうですね。はい。
 それでは、ご意見のある方は、チャットで名前を書いていただきたいと思います。
 しばらく待ってご意見がないようでしたら、案を認めていただいた、ということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 事務局で1回確認していただいて、ないようでしたら閉じようと思いますが。

【上迫室長補佐】 挙手をされている方はいらっしゃらないようです。

【白石委員長】 いま何か音声が入ったのですけども、根岸先生ですか。大丈夫ですか。

【根岸臨時委員】 大丈夫です。

【白石委員長】 はい、分かりました。
 では、ほかにご意見がないようですので、6月15日の月曜日に開催される土壌農薬部会において、本答申(案)を報告したいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、事務局案のとおり、ご承認いただいたとさせていただきます。

【上迫室長補佐】 ありがとうございました。

【白石委員長】 では、議事の(2)に移ります。水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準。

【根岸臨時委員】 ちょっと待ってください。内田さんから、また、意見があります。

【白石委員長】 はい、分かりました。

【内田専門委員】 すみません。私の端末ではマイクが入らないので、根岸先生の端末のマイクを借りています。
 本編ですけど、1点気になるのが、3ページの17行目です。

【上迫室長補佐】 3ページの17行目ですね。少々お待ちください。

【内田専門委員】 ここに「農薬付着量」とありますけど、これは「薬液の付着量」のほうがいいと思います。

【白石委員長】 事務局、いかがですか。薬液のほうが、確かに、より正確なような気がしますが。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。
 これは前回か前々回に、議論させていただいたのですけれども、いまの農水省が出しているミツバチのテストガイドラインで、この「農薬付着量」という用語を使っておりますので、ご指摘の点、もっともかとは思いますけれども、そのまま「農薬付着量」という言葉を使用させていただいているというものでございます。

【内田専門委員】 はい。
 もう一点は、同じページの24行目ですけど、前回の議論でも、「いずれかのばく露経路において」というのは削除する方向で議事録にも書かれていたのですけども、これは削除したほうが分かりやすいと思います。

【上迫室長補佐】 そうですね。この一つ上の(成虫・接触ばく露量、成虫・経口ばく露量、幼虫・経口ばく露量)、この三つが出てくるわけですけれども、この中で、いずれか超過する場合は、という意味で書いておりますけれども、確かにここは先生ともご議論させていただいたかと思います。事務局としては残しておいてもよいかなとは思っておりますけれども、いかがでしょうか。

【内田専門委員】 いや、要らないと思うのですよ。これだったら、全てを比較して、いずれかで超過する、というふうに読めてしまうのですよね。

【白石委員長】 なるほど。一つでもアウトなら、アウトですということですね。

【上迫室長補佐】 分かりました。では、この「いずれかのばく露経路において」を削除いたします。

【内田専門委員】 はい。続けて、もう一点は、最初のページですけど、1ページの9行目ですけど、「令和2年4月1日に施行される予定となっている」という表現は、いまの5月の時点では少し違和感がありますよね。

【上迫室長補佐】 これはご指摘のとおりです。修正いたします。

【内田専門委員】 そこを変えていただくとよろしいかと思います。

【上迫室長補佐】 分かりました。ありがとうございます。

【内田専門委員】 あと二つありますが、よろしいですか。

【上迫室長補佐】 はい。

【内田専門委員】 たしかミツバチは、このシナリオで見る限り、作物のみを対象としているように思いますが、野生ハナバチの場合にも、例えば11ページの3、4行目。

【上迫室長補佐】 11ページ。

【内田専門委員】 3、4行目を見ると、「農薬が使用されたエリア」と書いていますよね。

【上迫室長補佐】 はい。

【内田専門委員】 ですから、これはin the fieldなので、作物だけかなという気もするのです。ミツバチと同じように作物と明記する必要があるという気がします。そうしないと、あくまでミツバチのデータを使って野生ハナバチを評価するのですけど、そのときに追加データが必要になりませんか。

【上迫室長補佐】 いまのご指摘の趣旨としては、農薬がエリアではなくて、あくまで対象とするのは作物であるということでしょうか。

【内田専門委員】 だから、ミツバチと同じような表現にしたほうがよいと思いますが、いかがでしょう。

【上迫室長補佐】 分かりました。ちょっとここは確認させてください。ご指摘の点、ありがとうございます。

【内田専門委員】 もう一点ですが、下の図1を見る限り、「野生ハナバチ類が生息活動する開放系の領域」とありますよね。その中に人の生活環境があって、その中に農薬使用エリアがあって、さらにその中に、実際に農薬を使用する使用率のエリアが分かれていると思います。こういうシナリオですよね。

【上迫室長補佐】 はい。

【内田専門委員】 そうなってきますと、12ページの3行目ですけれども、「現時点ではデータが十分ではないことから、保守的に100%とし、評価対象となる全ての野生ハナバチ類」と、これは、いまはデータがないから保守的に100%というのはやむを得ないと思いますが、今後の検討課題のように記述する必要があると思います。後ろに注記を入れたり、あるいは今後検討する課題の中にそれを表記したりする必要があると思いました。

【上迫室長補佐】 そうですね。いま表示されております今後の課題の(3)のところが、いまのご指摘の箇所になります。精緻化を図っていく必要があるということです。

【内田専門委員】 広い範囲に読み取られる可能性があると思うのですけども、そこが少し気になりました。ここはデータがないから、やむを得ずこうしている。だから、データが出たときには、こういうことを見直す、という形ですよね。

【上迫室長補佐】 そうです。

【内田専門委員】 分かりました。そういう確認だけです。

【上迫室長補佐】 分かりました。

【白石委員長】 ここの部分は(3)番に入ってくるものだと私も思っていましたけども、そこは、そういう認識でよいということですね。

【上迫室長補佐】 はい。ありがとうございます。

【白石委員長】 11ページ目の農薬使用エリアのところを直すのは、少し慎重に検討する必要がありそうですが、作物と関わるところは、どこが関わるのですか。ばく露評価のところですか。

【上迫室長補佐】 すみません。いますぐには回答が見当たらないので、少し考えさせていただければと思います。

【浜谷室長】 委員長、浜谷ですけれども、発言してもよろしいですか。

【白石委員長】 はい。

【浜谷室長】 ここについては、「農薬の予測ばく露量算定に用いる環境モデル」という表題で書いてございます。そういうモデルを考えたときに、空間としては、農薬が使用されたエリアを対象とするという記述をしているものであって、その環境モデルで、ばく露量を考えるときに、野生ハナバチ類については、ミツバチで用いた花粉・花蜜内の農薬残留量等について用いるということですので、この記述については、このまま現行のとおりとさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【白石委員長】 私もそういう印象でしたが、例えば、畦畔等よりも作物のほうが、濃度が高いですよね、明らかに。

【浜谷室長】 ですので、そこで作物中の残留濃度を使うことによって、結果として畦畔等に生える草花からの農薬ばく露も織り込むことができると考えています。

【白石委員長】 それでよろしいかと思いますが、内田委員、いかがですか。ほかの委員の方も、いかがでしょうか。ここの11ページ目の環境モデルについては、このままということでよろしいですか。
 ほかにご意見がないようでしたら、ここの部分は、このままの記述にさせていただくということで、了承とさせていただきたいと思います。
 では、議論も尽きているようなので、事務局で、修正箇所を確認いただけますか。1ページ目のところと、3ページ目の幾つか。

【上迫室長補佐】 はい、分かりました。ありがとうございます。

【白石委員長】 では、その修正をした上で、ご承認いただいたものとさせていただきます。
 それでは、議事の(2)番目に移ります。水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議を行います。
 事務局から、諮問書を紹介してください。

【野口主査】 事務局でございます。画面に資料3の諮問書を表示しております。
 こちらは本日付で発行された諮問書となっておりまして、2ページ目の一番上(別紙1)、こちらが本日水産基準の設定についてご審議をいただくチエンカルバゾンメチルに関する諮問文となっております。
 また、最後のページ、3ページ目ですが、こちらは本日水濁基準の設定についてご審議をいただく2剤についての諮問文となっております。
 また、同じく本日付で、中央環境審議会会長から土壌農薬部会会長(細見先生)に宛てた付議書となっておりまして、以上の内容についてご審議をいただきたいと思います。
 諮問書についてのご説明は以上となります。

【白石委員長】 それでは、審議に入ります。
 本件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水域の生活環境動植物登録基準設定検討会において、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果あるいは公表文献について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値案を策定していただいております。
 事務局から、資料の説明をお願いします。

【秋山係長】 それでは、資料4をご覧ください。水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準値案に関する資料でございます。
 本資料は、水域の生活環境動植物登録基準設定検討会においてご審議いただいておりますので、検討会でどのような審議が行われ、また、ご指摘があったかについても、簡単に説明させていただきます。
 今回ご審議いただくのは、チエンカルバゾンメチル1剤となっております。
 物質概要について、化学名、分子式、構造式等は、1ページ目の表に記載してあるとおりとなっております。
 作用機構について、チエンカルバゾンメチルは、トリアゾリノン(トリアゾロン)系の除草剤であり、その作用機構は、植物のアセト乳酸合成酵素を強く阻害することで、雑草の生育停止、黄化、枯死を引き起こすものです。本邦では未登録であります。製剤は水和剤が、適用農作物等は「てんさい」として登録申請されております。
 各種物性については、2ページ目の表に記載してあるとおりとなっております。
 なお、水産検討会で審議した際に、水溶解度について、試験条件のpHが高くなるにつれて、水溶解度も大きくなる傾向にあるが、pH9の試験条件における結果がpH7の試験条件における結果よりも小さな値となっており、このデータは正しいのか、ということで質問を受けております。
 こちらについて、申請者に確認しましたところ、チエンカルバゾンメチルはpKaが3となっているため、pH7、pH9では、ほぼイオン化している状態と考えられ、このため、水溶解度に大きな差は生じないのではないかということで、考察が提出されております。
 続きまして、水域の生活環境動植物への毒性についてです。
 魚類では、コイ、ブルーギル、ニジマスで試験が実施されております。
 まず、コイについてですが、1濃度区のみで試験が実施されておりまして、影響は見られませんでしたので、毒性値は設定濃度から97,800μg/L超となっております。
 続いて、ブルーギルですが、こちらも先ほどのコイの試験と同じように、1濃度区のみで試験が実施されておりまして、死亡個体は確認されませんでしたので、毒性値は設定濃度から100,000μg/L超となっております。
 続いて、ニジマスの試験です。こちらも先ほどのコイ、ブルーギルと同じように、1濃度区のみで試験が実施されており、死亡個体は確認されませんでしたので、設定濃度から毒性値を算出しまして、100,000μg/L超となっております。
 続きまして、甲殻類です。
 甲殻類では、オオミジンコを用いた試験が実施されております。こちらの試験についても、先ほどの魚類と同じように、1濃度区で試験が実施されておりまして、死亡個体は確認されませんでした。
 なお、こちらの試験については、設定濃度よりも低い値となっている実測濃度から毒性値を算出しまして、98,600μg/L超となっております。
 続きまして、藻類です。
 藻類では、ムレミカヅキモによる試験が実施されております。
 なお、実測濃度が最高濃度区で1,024μg/Lのところ、毒性値が1,040μg/Lとなっておりますので、毒性値の算出方法について、赤松委員より事前にご質問を頂いております。
 まず、いま画面上にお示しした資料が、申請者から提出されている毒性値の算出方法について示したものです。こちらの資料に記載してありますとおり、毒性値については、ロジット法により算出されております。こちらの方法については、OECDTGで指定されている計算方法となっておりますので、特に問題はございません。
 こちらが用量反応曲線です。各濃度区における実測濃度をプロットした結果、実際の生長阻害率は50%を示す毒性値は、最高濃度区よりも高い値ということになっております。
 なお、本試験についてですが、このように設定濃度に比べて実測濃度のほうが高い結果となっておりますので、より安全側の評価となるように、こちらの設定濃度を用いて、事務局で毒性値を再計算しております。
 その結果になりますが、申請者が提出しているやり方と同じように、ロジット法を用いまして毒性値を再計算しております。
 結果は、こちらにマーカーで印をつけてあるとおりとなっておりまして、有効数字3桁で切り捨てて、毒性値は1,040μg/Lとなっております。
 続きまして、水域環境中予測濃度になります。
 チエンカルバゾンメチルについては、適用農作物、てんさいとして登録申請が来ておりますので、非水田第1段階でPECを算出しております。結果については、第1段階で0.00011μg/Lとなっております。
 続きまして、総合評価です。
 得られた試験成績の中から、最小の値でありました藻類から毒性値を持ってきまして、登録基準値案は1,040μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価ですが、水域PECは0.00011μg/Lでありますので、登録基準値案を超えていないことを確認しております。
 続いて、資料5ですが、このように基準値案とPECについては大きく離れておりますので、チエンカルバゾンメチルについては、モニタリングの対象外ということで整理したいと考えております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 では、ただいまのチエンカルバゾンメチルにつきまして、ご質問、基準値案について、ご意見などございますか。

【山本専門委員】 すみません、水産検討会の座長をしています山本裕史です。私から、少し補足させていただきます。
 事務局からも既にご説明いただきましたけども、水溶解度について、pHが上がる傾向にあるというのは確かですけども、pHが7と9の差がそんなにないということに関しては、先ほどの事務局の説明、あるいは事業者からの回答で問題ないと思いました。
 魚3種とミジンコについては、これも事務局から説明がありましたけれども、限度試験が成立しておりまして、特に大きな問題はないと思います。一部、設定値と実測値、実測値のほうが高くなっているものについては、設定値のほうが低いので、そちらを利用しているということがあると思います。
 あと、藻類について、通常の試験が実施されていて、先ほど赤松委員から少しご指摘があったということですが、統計解析手法については特に問題ないと思います。これも先ほど事務局から説明がありましたけども、設定濃度よりも実測濃度のほうが高くなっているということもあって、実測濃度で再計算をしているということです。これは、試験自体はばく露時間が96時間で、72時間の値をとって再計算がされているということで、特に問題はないと思いました。
 以上です。

【内田専門委員】 よろしいですか、内田ですけど。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【内田専門委員】 いまの藻類の生長阻害試験ですけど、実測濃度のほうが高い場合は、実測濃度が安全側とは言えないので、低い設定値のほうが安全だと捉えることでしょうか。

【山本専門委員】 内田委員のご説明のとおりで、今回は設定濃度のほうが低いのですね。実測濃度のほうが高いので、低い設定濃度のほうを使っている。値として、低いほうを使っているということです。

【内田専門委員】 そうですね。分かりました。
 もう一点ですが、蒸気圧、これが10-14とか10-13とか、これは実測値で間違いないですか。こういう低い値は見たことないのですが。

【秋山係長】 こちらについては、抄録からそのまま転記したものです。評価書に記載してある内容について、正確か否かというご質問かと思いますが、確認して、またお答えいたします。

【内田専門委員】 多分、実測値ではなくて、外挿値だと思います。外挿値であれば外挿値と書いておかないと、精度が違うと思います。

【秋山係長】 分かりました。では確認の上、修正したいと思います。

【白石委員長】 では、確認をお願いします。
 ほか、いかがですか。
 藻類試験も、一応、外挿値ですよね。

【山本専門委員】 若干、外挿していますが、はい、そうです。

【白石委員長】 これは、もう近似値だからいいということですか。

【山本専門委員】 近似値なので、ほぼ推定できているという話で、そういった議論に水産検討会でなりましたけども、このレベルであれば問題ないだろうという話になったと思います。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 ばく露のほうはいかがですか。水産PECは問題ないですか。よろしいですか。

【稲生専門委員】 稲生です。
 私自身は、PECは問題ないと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。
 ほか、ご意見、ご質問、よろしいでしょうか。

【浅見臨時委員】 浅見です。7ページの藻類生長阻害試験について少しお伺いしたいのですけれども。

【白石委員長】 お願いします。

【浅見臨時委員】 この72時間後の生物量が設定濃度ゼロのとき、すなわちコントロールのとき148×104cells/mLになっていて、阻害率というのは、これを基に計算されるのでしょうか。それとも数値から見ると、100か何かを基に計算されるのか、その辺を教えていただければと思います。

【山本専門委員】 よろしいですか。山本です。
 いまの生物量というのが、これは72時間後の生物量で、実際は24時間ごとに生物量を測定します。初期濃度が大体、通常は5,000 cells/mLで始まるのですけども、あるいは10,000 cells/mLで始まることもあります。これは初期濃度が10,000 cells/mLですが、そのゼロ時間つまり最初の開始時と24時間、48時間、72時間と測定して、その上昇速度を求めます。その速度がどれだけ減少したかを見て、それぞれの阻害率が測定されます。以前は「バイオマス」や「イールド」と言われ、生物量の減少の程度で生長阻害率を測定していましたが、現在はその上昇速度の減少で見ているので、生物量はかなり下がっていますが、速度としてはそこまで下がっていないと考えている、ということです。
 以上です。

【浅見臨時委員】 ありがとうございました。

【白石委員長】 ありがとうございます。
 ほか、ご質問。ないようでしたら、総合評価をご確認ください。そこにまとめてあるとおりで、登録基準値案を1,040μg/Lとするということで、水域PECはこれを超えていないということでございます。よろしいでしょうか。ここは特に修正はないようですので、事務局案どおりとしたいと思います。
 以上で、水域の生活環境動植物の被害防止に係る農薬登録基準の設定についての審議を終了したいと思います。
 次に、議事の(3)番目、水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。
 事務局から資料の説明をお願いします。

【野口主査】 それでは、資料6、水質汚濁に係る農薬登録基準に関してご説明いたします。
 本日は、こちらの2剤についてご審議をいただきます。1剤目はオキサゾスルフィル、新規剤となっており、2剤目、カルバリルが既登録となっております。
 まず、1剤目、オキサゾスルフィルでございます。こちらの物質概要につきましては、こちらの表に記載のとおりとなっております。
 作用機構等としまして、オキサゾスルフィルは、新規骨格を有する殺虫剤で、その作用機構については明らかとなっていないが、フィプロニルや一部のネオニコチノイド系農薬に対して感受性が低下したウンカ類にも効果を示すものとされております。
 本邦では未登録、新規剤となっておりますが、適用農作物等を稲とする粒剤として登録申請されております。
 各種物性等はこちらの表に記載のとおりとなっております。
 続いて、安全性評価ですが、食品安全委員会は、令和2年3月10日付で、オキサゾスルフィルのADIを0.05 mg/kg体重/日と設定する旨を厚生労働省に通知しております。
 なお、この値は、各試験で得られた無毒性量の最小値 5mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続いて、水濁PECの算出ですが、本農薬は、粒剤が適用農作物を稲として登録申請されております。今回は水田使用時のPEC(第1段階)について計算を行いました。
 計算を行ったパラメータはこちらの表に記載のとおりとなっておりますが、今回、育苗箱への使用となっておりまして、3%粒剤を1箱当たり50g、10a当たり20箱使用という条件で、使用方法、こちらの3種類のいずれかとなっております。総使用回数1回となっておりまして、こちらのパラメータで計算を行いました。
 水濁PECの算出結果は、0.0040 mg/Lとなっております。
 続いて、登録基準値の案でございますが、先ほどお示ししたADI、0.05にこれらの係数を掛けて、登録基準値の案として0.1 mg/Lをお示ししております。登録基準値案0.1 mg/Lですが、水濁PECよりも大きい値であることを確認しております。
 なお、水質に関する基準値等は設定されておりません。
 オキサゾスルフィルについては以上となります。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ただいまのオキサゾスルフィルにつきまして、ご質問、基準値案についてご意見を伺いたいと思いますが、まず、毒性等の面からコメントがありましたらお願いします。

【佐藤臨時委員】 岩手大学の佐藤です。
 毒性面からご説明いたします。急性毒性ですけれども、LD50が300~2,000 mg/kgということで、それほど強くない物質になります。
 毒性プロファイルですけれども、肝臓の肝細胞肥大、それから、甲状腺の濾胞上皮の肥大及び振戦などが認められています。しかし、発がん性、生殖能に対する影響、催奇形性、遺伝毒性は認められておりません。肝臓と甲状腺の濾胞上皮細胞の肥大ですけれども、肝臓は薬物代謝酵素の誘導が認められており、甲状腺は甲状腺ホルモン代謝が薬物代謝酵素誘導に伴って亢進してしまう、フィードバックによる機構であることが考えられています。各種試験で得られた無毒性量は事務局のご説明どおり、イヌを用いた1年間の慢性毒性試験で5 mg/kg体重/日であったことから、安全係数100で除して、0.05mg/kg体重/日のADIが設定されています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 では、ご質問、ご意見、お願いします。
 水濁PECのほうはいかがですか。

【稲生専門委員】 稲生です。
 特に問題ないと思われます。

【白石委員長】 ありがとうございます。
 水濁PECは0.0040 mg/Lとなります。
 ほかにご質問、ご意見、ないようでしたら、食品安全委員会から提示されたADIを基に登録基準値案を0.1 mg/Lとするということでよろしいでしょうか。水濁PECは超えていないということでございます。大丈夫でしょうか。特に、ご意見はないと見てよろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 よいようでしたら、本剤、事務局案どおりとさせていただきます。ありがとうございました。
 では、次お願いします。

【野口主査】 ありがとうございます。それでは、2剤目、カルバリルの説明に移らせていただきます。
 カルバリル(NAC)としまして、物質概要はこちらの表にお示しのとおり、カーバメート系の殺虫剤となっております。
 作用機構等ですが、神経系のアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害することで殺虫効果を示すものとしまして、また、追加で植物成長調整作用を有することから、リンゴ等の摘果剤としても利用がされております。摘果剤としての作用機構ですが、こちら厚生労働省薬事・食品衛生審議会の分科会の報告資料に、維管束の中にたまって栄養分の移動を妨げるものによるという摘果剤としての作用機構が記載されておりまして、現在、そちらの記載を転記させていただいている形となっております。この内容につきまして、現在、事務局としましても確認を行っておりまして、何がたまって、どのように摘果に至るのかといった作用機構について確認をしております。詳細が分かり次第、評価書を修正した案をご確認いただきたいと思っております。もし、委員の皆様の中で、この摘果剤としての作用機構についてご知見がおありでしたらご教示いただければと思うのですが、摘果剤としての作用機構についてご存じの先生はいらっしゃいますでしょうか。

【白石委員長】 どなたか、いかがでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 では、ないようですので、一度調べていただいて、あるいはご知見、入手できましたらお知らせいただくということでよろしいですか。

【野口主査】 はい。確認し次第、ご連絡いたします。

【白石委員長】 はい。では、次お願いします。

【野口主査】 続けさせていただきます。
 初回登録は1960年となっております。
 粒剤及び水和剤が、適用農作物等を雑穀、果樹、野菜、いも等として登録されております。
 輸入量は記載のとおりです。
 各種物性等もこちらの表に記載のとおりとなっております。
 続きまして、安全性評価ですが、ADIが0.0073 mg/kg体重/日と設定されております。こちらの値ですが、平成30年9月4日付で設定されたものでして、各試験のうち無毒性量の設定ができなかった試験における最小毒性量14.7 mg/kg体重/日を安全係数2,000、種差10、個体差10、最小毒性量に基づくことによる追加係数2、また、最小毒性量で腫瘍性病変が認められたことによる追加係数10の乗算値2,000で除して設定されたものとなっております。
 続きまして、水濁PECですが、FAMICによる登録申請情報によりますと、粒剤、水和剤があり、雑穀、果樹、野菜、いも等への適用を有しております。
 水田への適用がありませんので、今回、非水田使用時の水濁PEC(第1段階)について計算を行いました。算出の条件はこちらのとおり、果樹へ85%水和剤を4回使用する際が最大の使用量となっております。パラメータはこちらの値で計算を行いまして、水濁PEC算出結果ですが、お示しのとおり、0.00037 mg/Lが水濁PECとなっております。
 続きまして、登録基準値の案ですが、先ほどお示ししたADI、0.0073 mg/kg体重/日に係数を掛けまして、0.019 mg/Lを登録基準値の案としてお示ししております。こちらの登録基準値の案ですが、水濁PECの値よりも十分大きい値であることを確認しております。
 また、ほかの基準値としましては、水質管理目標設定項目が設定されております。こちら、今回の水濁基準値と全く同じADIを基に、多少係数が違うもので設定されておりますが、ほぼ同じ値となっております。
 ご説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、カルバリル(NAC)につきまして、毒性の面からコメントをいただけますでしょうか。

【佐藤臨時委員】 佐藤です。
 毒性のほうからコメントいたします。急性毒性ですけれども、LD50はばらつきがありますが、マウスが、175 mg/kgということですから比較的強い毒物相当に当たります。各種毒性試験から得られている毒性プロファイルですけれども、カーバメート剤ですので、コリンエステラーゼの活性を阻害する作用が出ています。また、肝臓では小葉中心性の肝細胞肥大、腎臓の腎盂および膀胱の移行上皮の過形成が起こってきております。甲状腺では濾胞細胞の肥大がラットで認められており、マウスでは貧血も認められています。一方、繁殖能に対する影響や催奇形性や問題となる遺伝毒性は認められていません。事務局の説明にもありましたように、発がん性試験で低用量の濃度から発がん反応がみられているのですけれども、遺伝毒性がないことから閾値を設定することが可能です。実は、無毒性量の最小値はラットを用いた90日の亜急性神経毒性で認められているのですが、これが1.0 mg/kg体重/日でした。一方、マウスを用いた発がん性試験において、最低用量の雄で、血管腫が認められています。無毒性量が設定できなかったのですが、この結果を重視して、事務局の説明どおり、最小毒性量を根拠に安全係数2,000、つまり種差が10、個体差が10、最小毒性用量に基づくことによる追加係数が2、それから最小毒性用量で腫瘍性変化が認められたことによる追加係数が10で、ADIは0.0073 mg/kg体重/日と設定されています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 それでは、基準値案について、ご意見をお願いします。よろしいでしょうか。
 水濁PECもよろしいでしょうか。

【稲生専門委員】 稲生です。問題ないと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。

【浅見臨時委員】 浅見ですけれども。

【白石委員長】 はい、お願いします。

【浅見臨時委員】 事務局から前に聞かれまして、お答えしたのですが、このカルバリルは水質管理目標設定項目にも入っているのですけれども、果実に使われるということで、あまり水系にというのはちょっと記憶にないのですけれども、水中分解性が高いということで、光分解でかなり速度が速いということで、分解物を評価書で調べたところ、主な分解物は、10%以上のものが1-ナフトールというナフトールの部分が骨格になっているもので、恐らくですけれども、カーバメートとしてのアセチルコリンエステラーゼの活性阻害を起こすのではない部分が残るのではないかということで評価書を拝見いたしました。本当に毒性を持ったものが分解物として残るのであれば、それも一緒に測定して足し合わせるというようなことを水稲では行うのですが、いまのところ、そのような対応はしておらず、恐らく分解物については、それほど毒性は高くないのではないかということで、本体だけを見ているという状況です。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。これは物性のところを見ていただくと分かりますけど、加水分解性は中性付近では遅いかと思ったのですけど、水中光分解性は速いということですね。分解物は、ナフトールになるということでございます。毒性はそれほど高くないということで、分解だけ見ればよろしいと思います。
 ほか、コメント、質問、ございますか。よろしいでしょうか。
 よろしいようでしたら、登録基準値案として0.019 mg/Lとするということ、水濁PECはこれを超えていないということでお認めいただいたとさせていただきます。ありがとうございました。

【浅見臨時委員】 白石先生、挙手されています、というチャットが入っていますが。

【白石委員長】 どこですか、はい。なかなか見つけられなくて、すみません。

【野口主査】 赤松先生の挙手、会議の最初からついておりましたのと、佐藤先生は。

【佐藤臨時委員】 私の分は発言するときに挙手しました。すみません。

【野口主査】 ありがとうございます。

【白石委員長】 消し忘れですか。はい。画面が小さいため、挙手を全部見渡せなくて、すみません。ほかの先生はよろしいでしょうか。
 特に、発言を希望される方はおられないようですので、これも事務局案どおりとさせていただきます。
 以上で、水質汚濁に係る農薬登録基準の設定についての審議を終了します。
 事務局より、本件に関する今後の予定について説明をお願いします。

【野口主査】 本日ご了解いただきました農薬の登録基準につきましては、行政手続法の規定に基づき、今後パブリックコメントを1か月実施いたします。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談をして、ご判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て、中央環境審議会長に部会決定として報告を行い、さらに会長の同意を得られれば中央環境審議会決定として環境大臣に答申いただくことになります。そして答申後、基準値を告示させていただきます。
 ご説明は以上です。

【白石委員長】 今後の予定につきまして、何かご質問はございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、次に、議事(3)「その他」に移ります。
 案件は2件です。事務局より説明をお願いします。

【上迫室長補佐】 それでは、まず、水産基準値、水濁基準値の設定を不要とする農薬について、資料8をご説明させていただきます。少々お待ちください。
 資料8をご覧ください。農薬登録基準の設定を不要とする農薬の設定について、でございます。2剤ございまして、クマリン系とクロロファシノン、これはいずれも1月に方針についてご議論をいただきました殺そ剤でございます。先ほど申しましたとおり、水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る基準値設定を不要とすることで考えております。
 まず初めに、1月の第73回の農薬委員会においてご議論をいただき、ご了承いただきました殺そ剤に係る農薬登録基準の設定について、改めて簡単にご説明をさせていただきます。現行のテストガイドラインにおいては、この(1)から(6)に該当する場合に環境中予測濃度の算定に関する試験成績の提出を要しないものとされております。このうち、(2)の殺そ剤等を配置して使用される場合について、防水加工された小袋については、水系に流出するおそれはないが、防水加工されていない小袋、紙での包装及び包装が行われないものについては、雨水等により水系に流出する可能性がある。ただし、使用する場所が「そ穴」については、直接雨水等により水系に流出するおそれがないと考えられるものと整理されました。
 これを踏まえまして、使用方法が、そ穴等の閉鎖的な環境に配置される場合、または成分物質の水系への流出が想定されない容器または包装に封入された状態で使用される場合に限り、従来どおり「水系へのばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬」とみなし、それ以外のものについては水系への流出を考慮することとすると整理をさせていただきました。
 これを踏まえまして、クマリン系及びクロロファシノンについて、使用方法を、これらのいずれか、またはここにあります(4)倉庫内での使用に使用方法を限定した上で、これらについて基準値の設定を不要としてよいかどうかということを今回ご議論いただきたいと思います。
 具体的にご説明をさせていただきます。まず、クマリン系でございますが、これはワルファリンを成分とする殺そ剤でございます。
 製剤は粒剤、粉末及び水溶剤が、適用作物等は貯蔵穀物等及び野そが加害する農作物等として登録をされております。
 本剤は、先ほど申しましたとおり、倉庫内での使用、そ穴への配置使用または容器・包装に封入された状態での配置使用に限定されることから、当該農薬の成分物質等が河川等の水系に流出するおそれが極めて少ないものと考えております。
 このため、先にご説明をさせていただきました「殺そ剤に係る農薬登録基準の設定について」に基づき、「水系へのばく露のおそれが極めて少ないと認められる農薬」に該当するものとして、水域の生活環境動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録基準の設定を行う必要がない農薬として整理したいと考えております。
 クロロファシノンについても同様でございます。クロロファシノンはインダンジオン構造を有する殺そ剤であり、その作用機構はげっ歯類に経口摂取させた場合、血液中の凝血要素の量が減少することにより内出血が起こり、死に至るものとされております。
 製剤ですが、粒剤です。適用作物等は先ほどと同様、貯蔵穀物及び野そが加害する農作物等として登録をされております。
 本剤は、倉庫内での使用、またはそ穴への配置使用に限定される。ちなみに、こちらは包装して外にまくということではございません。それに限定されることから、当該農薬の成分物質等が河川等の水系に流出するおそれが極めて少ないと考えております。
 このため、先ほどと同様に、水産及び水濁に係る農薬登録基準の設定を行う必要がない農薬として整理したいと考えております。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、ただいまの説明について、ご質問、ご意見、お願いします。いかがでしょうか。使用方法が、これで大丈夫かということだと思います。どなたかご意見、ございますか。はい、よろしいですか。この使用方法であればよろしいということで。
 では、クマリン系の2剤につきまして、農薬登録基準の設定を不要とする農薬としたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、ご意見がないようでしたら、事務局案のとおりとさせていただきます。
 次の案件に移ります。事務局、説明をお願いします。

【野口主査】 それでは、資料9、10についてご説明いたします。事前にお送りした紙の資料には修正箇所がございますので、昨日メールでお送りしたものか画面の表示をご覧いただければと思います。こちら、3月4日の農薬小委でご審議いただいた水産基準、水濁基準に関して、パブコメの結果についての資料となっております。事前に紙で資料をお送りした以降に追加の意見提出がありましたので修正がされております。
 まず、資料9ですが、水産基準について、今回1件、ご意見がございました。2ページ目ですが、ご意見としましては、カルボスルファンの水産基準の設定に関しまして、提出された試験数と不確実係数の考え方に関するご意見となっております。
 回答としましては、提出された試験及び国内外の文献のうち、科学的な信頼性が確保された毒性試験結果については全て考慮している旨と、そのことに基づいて登録基準値を設定していることを回答しております。
 水産基準に関するご意見は、この1件となっておりますが、一度ここでご意見があれば伺ってもよろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい。では、ご意見をお願いします。ちょっと読んでください。全体が見えないから、画像をもう少し小さくしてください。何か恣意的にやっているのではないか、ということですかね。そういうことではありませんよ、ということが書いてある。

【野口主査】 はい。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。両方、厳しくなる場合も、緩くなる場合も、ありますので、この案のとおりで、いかがでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 特にご意見はないようですので、よろしいと思います。

【野口主査】 ありがとうございます。
 それでは、2件目の水濁基準に関して寄せられたご意見になっております。今回、クロルピクリンを含む、こちらの5剤についてご意見募集を行ったところ、合計9件のご意見が寄せられました。2ページ目以降になりますが、順番にご説明いたします。
 ちょっと文字が小さくなるのですが、まず1件目です。農薬の規制、基準を強化して、自然環境に与える影響が分からないものは使用を禁止するべき、農薬の使用を禁止するべきというご意見です。
 回答としましては、水濁基準が農薬の使用による公共用水域の水質の汚濁によって人畜に被害を生じるおそれがない濃度として設定されている旨と、その基準値を予測ばく露量が上回る場合には、農薬登録を拒否していることを回答しております。
 続いて、2件目に移らせていただきます。こちらクロルピクリンに関するご意見となっておりまして、毒ガスや劇物指定されているクロルピクリンの基準値をゼロ、つまり農薬の使用を認めるべきではないというご意見と、農薬の個別の基準ではなく、総量基準を設定してほしいというご意見になっております。
 回答としましては、農薬の登録に当たっては、人や環境等への影響について、最新の科学的知見に基づき評価を実施し、農薬の使用量や使用方法を考慮した上で問題ないことが確認された農薬のみ、農林水産大臣が登録を認めることとしている基本的な回答と、また、現時点では複数の農薬の使用による相互作用に関する知見が乏しいことから、個別農薬の試験成績に基づき基準を設定していることを回答しております。
 続いて、3件目に移らせていただきます。ページをまたいでいて長くなるのですが、水濁基準をADIの10%として設定することに対するご意見となっております。
 回答としましては、ADIに関する基礎的な説明としまして、ADIは、ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康に悪影響がないと考えられる1日当たりの物質の摂取量であるということを説明した上で、水質汚濁基準はそのADIの10%以下となるように設定されていること。また、食品側でも80%以下となるように厚生労働省によって管理されているということを説明しております。
 続いて、4件目です。ご意見としましては、PECの算出に関しまして、農薬用途以外の用途も考慮するべきであるというご意見と、水濁PECの値の妥当性について検証するべきであるというご意見となっております。
 回答としましては、水質汚濁に係る農薬登録基準は、農薬の使用に伴い、水質の汚濁が生じ、かつ、その汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生じるおそれがない濃度として設定されていること。また、環境中予測濃度が基準値の10分の1を超える場合にはモニタリングを実施し、指導の徹底等の対策を行っていることを回答しております。
 続いて、5件目です。こちら2件目のご意見、毒ガスなので禁止するべきといったようなご意見と同じ内容となっておりまして、クロルピクリンの登録を廃止するべきというご意見となっております。
 回答としましては、農薬登録基準について説明をした上で、クロルピクリンについては、不適切な使用による事故や被害を防止するための対策を講じていく旨を回答しております。
 続いて、ご意見の6件目から9件目は、内容としては同様のご意見となっておりますので、まとめてご紹介いたします。
 ご意見としましては、ジクワット、セトキシジム、ペルメトリン、ベンズピリモキサンのそれぞれの基準値に反対であるというご意見と、それぞれについてフィールド、環境中での汚染実態の調査を行い、基準を厳しくするべきであるというご意見になっております。
 回答は全て同じ内容で記載しておりますので、この一例のみご説明いたしますが、水濁基準の設定についての基本的な考え方と、モニタリングを実施し、対策についても必要に応じ検討していることについて回答しております。
 水濁基準について、寄せられたご意見、回答案については以上となります。ご意見のほど、よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、ご意見がありましたら、お願いします。

【野口主査】 こちら、5月15日にメールでお送りした資料となっております。
 天野先生から挙手があります。

【天野臨時委員】 よろしいでしょうか。

【白石委員長】 お願いします。

【天野臨時委員】 手元に紙ベースのものを出していないのですが、先ほどの水濁基準で飲み水から(の農薬有効成分の摂取率が)10%でよいのかという質問についてです。

【野口主査】 3件目のご意見ですね。

【天野臨時委員】 そうです。質問に対して、答えがADIの10%以下となるように設定し、食品由来が80%ですという現状を説明しているだけのように思います。(飲料水由来の農薬有効成分の摂取率を)ADIの10%とした根拠を示さなくてもよろしいのでしょうか。

【野口主査】 ありがとうございます。例えば、土壌農薬部会でも水濁基準はADIの10%とするような意思決定をされておりまして、そのようなものを書くということでよろしいでしょうか。

【天野臨時委員】 そうですね。私の確認不足というか不勉強ですが、10%にしているいきさつ等というのは、何か過去の検討で、明確にはなっていないのでしょうか。

【野口主査】 水濁基準に関しまして、土壌農薬部会まで了承いただいた、その10%以下となるように設定するという資料がございます。公開されているその資料を根拠として考えたというふうに修正させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【天野臨時委員】 そうですね。ご質問をされている方は、10%と80%というくだりのところは多分ご存じの上で納得できない、という意見かと思いますので、これまでに様々検討した結果、現状は10%を採用している、という回答のほうがよろしいかと私は思います。

【野口主査】 ありがとうございます。修正について検討した上で、もう一度ご確認いただきたいと思いますので、その際はよろしくお願いいたします。

【天野臨時委員】 はい。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ほか、いかがでしょうか。

【細見委員】 よろしいでしょうか。

【白石委員長】 はい、どうぞ。

【細見委員】 質問というか、資料10の別紙のナンバー4(4件目のご意見)のところですが、要は農薬の使い方は決まっているわけですが、農薬以外の用途については、確かに農薬の登録基準という観点からは外れているのですが、化学物質の管理という観点からすると、それなりに重要なご指摘であると私は思います。この部分については、確かに農薬室では担当しきれないかもしれませんけれども、環境保健部では化学物質の管理を担っています。単に農薬としてではなくて、農薬以外の用途という観点から問題になるものがあれば、環境保健部と協力してピックアップすべきではないかと思います。しかし、いまの回答では、この部分について何も触れていないので、その辺、農水省も関係があるかもしれませんが、少なくとも環境省内部で、化学物質の管理という観点から少し検討すべきことがあるのではないかと思います。いかがでしょうか。

【野口主査】 ありがとうございます。

【白石委員長】 他部局と連携しているのでしょうから、そのことについて少し書いたほうがよいと思います。化審法、化管法も関係していますかね。

【細見委員】 すみません、いまの白石先生のご意見、少しと聞き取りにくかったのですが。

【白石委員長】 化学物質審査規制法や化学物質把握管理促進法(PRTR法)などがありますので。

【細見委員】 そうそう、そういうことですね。

【白石委員長】 そういうことについて、少し記述したほうがよいと思います。

【細見委員】 ええ。4件目のご意見の人は、いろいろ広い意味で、様々なことを多分ご存じの方だと思います。回答する側は、どうも農薬についてしか答えていないので、どうもピントが合わない。そうすると、今回意見を寄せていただいた人に対して、回答が少しずれていると思ったので、いま白石委員長が言われたような観点から検討することを(回答の中で)示すべきではないかと思いました。

【白石委員長】 モニタリング等も情報交換しながら行っているはずですので、その辺も書いたらいかがですかね。

【上迫室長補佐】 ありがとうございます。まさに、そのモニタリングを我々は実施しておりますけれども、それでこういった物質が出てくるということになりましたら、こちらの環境保健部とも連携して対応するということになろうかと思いますので、そういったことを書かせていただきたいと思います。

【細見委員】 いや、いまの農薬室で行っている河川水域濃度モニタリングというのは多分、農地由来のところばかりですよね。しかし、恐らくこの件を述べられた方というのは、例えば環境保健部でやっているような黒本だとか、いろいろな化学物質に対するモニタリングや化学物質に関する調査をされていると思うので、その辺のこともやるべきではないかと思います。

【白石委員長】 4件目のご意見については少し視野を拡大して、農薬はここで見ていますけども、ほかの用途もあることを踏まえた回答にしていただくということでよろしいですね。

【上迫室長補佐】 分かりました。ありがとうございます。ほかの部署の取組になるものも踏まえて、ここは回答させていただくようにしたいと思います。

【白石委員長】 よろしくお願いします。
 ほか、いかがでしょうか。ほかに挙手はないですか。よろしいですか。この回答で小委員会として出すということになります。
 ほか、ご指摘、ご注意がなければ、いま委員から頂いたコメントを踏まえて少し修正した上で公開したいと思います。修正の文面も含めて、また見ていただくことになるかもしれません。それでよろしいですか、事務局。

【野口主査】 はい。修正したものでご確認いただきたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、よろしくお願いします。
 それでは、本日の審議は一通り終了になりますが、その他、本日の審議全体につきまして何かご意見、ご質問がありましたら、お願いします。
 ここに何か、ウェブ会議の運営方法についてどうですかという質問がありますが、しばらくはウェブ会議で開催することになるのですか。次回について、事務局はまだ分からないですか。

【浜谷室長】 浜谷ですけども、緊急事態宣言が今後どうなるかによると思いますが、新しい生活様式については、今後もしばらく求められることとなります。そのような状況を踏まえて判断をさせていただきますが、次回につきましてもウェブ会議になる可能性はあります、ということだけお含みおきいただければと思います。

【白石委員長】 分かりました。新しい会議形式が、何か広がっていきそうです。
 他に、特段ないですか。

【稲生専門委員】 稲生ですけれども、よろしいでしょうか。

【白石委員長】 どうぞ。

【稲生専門委員】いまの感染状況で、今後どうなるか分からないということですけれども、前回も今回もウェブ会議で農薬小委が行われるということで、傍聴者が参加しない非公開ということになりました。公開を前提に、要は隠れて審議しているわけではないということで、これまで傍聴者を入れていたわけですが、その辺、今後は会議について議事録でしか伝わらない。そのときの何か会議の雰囲気というものが伝わらないということになると、それは如何なものかと少し思っております。
 私自身は、こういうウェブ会議はあまり得意なほうではありません。皆さんと顔を合わせて、例えば、うなずいていたり、ちょっと頭をかしげたりするということに対して、ああ、そういう考えがあるのだなとか、そのようなボディーランゲージが見られるのは、よいことだと思います。今回は回線の都合で、皆さんのお姿が見られないということですけど、そういったことも踏まえると、新しい生活様式の必要性もありますが、このウェブ会議形式で固定というのもちょっと寂しいなと思いました。これは感想だけで、どうこうして欲しいということではありませんが、ウェブ会議に2回参加させていただいて、そう思いました。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。確かに会議の公開性については、何か工夫する必要があるのかもしれないですよね。画像も出てこないし。いまの感想も含めて、会議の運営の仕方については事務局で少し考えていただくということで、本日、これで一旦終了したいと思います。進行を事務局にお返しいたします。

【浜谷室長】 白石委員長、ありがとうございました。
 いまの稲生委員のご意見につきましては、省内でも会議の表の在り方について検討した経緯がございます。
 いろんな案が出たのですけれども、例えば、YouTubeで放映しながら進めるという案も検討した経緯があります。ただ、会議の円滑な進行等を考え、議事録の公開をもって公開の扱いにする、ということに現状ではなっています。YouTubeでの放映等については、今後行うことになるかもしれません。その際は、またご連絡をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 委員の皆様につきましては、今日はどうもありがとうございました。
 次回の農薬小委員会については、7月10日を予定しております。先ほど申しましたとおり、次回の会議の持ち方につきましては、まだここで申し上げることはできませんが、また近くになりましたらご案内を差し上げますので、どうぞご出席をお願いします。
 それでは、以上をもちまして、第75回土壌農薬部会農薬小委員会を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。