中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第71回) 議事録

日時   

令和元年9月18日(水)13:30~15:30

場所   

環境省 第1会議室

出席委員   

委員長  白石 寛明

臨時委員 赤松 美紀

     浅野  哲

     浅見 真理

     天野 昭子

     小泉 弘子

     後藤 千枝

     築地 邦晃

専門委員 稲生 圭哉

     内田 又左衞門

     川嶋 貴治

     山本 裕史

     (敬称略、五十音順)

     (欠席は、細見委員、五箇臨時委員、佐藤臨時委員、根岸臨時委員)

委員以外の出席者

 環境省

  浜谷室長、髙松室長補佐、上迫室長補佐、秋山係長、野口係員

 オブザーバー

  農林水産省

  独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)

  環境省環境保健部

  国立研究開発法人国立環境研究所

議題

 (1)水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

 (2)水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定について

 (3)その他

配付資料

  資料1   中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿

  資料2   諮問書(写)及び付議書(写)

  資料3   水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料
        (案)

  資料4   水産基準値案と水産PECの関係及び基準値設定後の対応について

  資料5   水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)

  資料6   「水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

  資料7   「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」に対する意見募集の結果について

  参考資料1 農薬評価書 オキスポコナゾールフマル酸塩(食品安全委員会資料)

  参考資料2 農薬評価書 ジクロベンチアゾクス(食品安全委員会資料)

  参考資料3 農薬評価書 プロチオホス(食品安全委員会資料)

  参考資料4 農薬評価書 フロルピラウキシフェンベンジル(食品安全委員会資料)

  参考資料5 農薬評価書 メチルテトラプロール(食品安全委員会資料)

議事

【浜谷室長】 細見先生、まだいらしていないのですが、定刻となりましたので、ただいまから第71回土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の委員のご出席の状況をお知らせいたします。本日は五箇委員、佐藤委員、根岸委員がご欠席とのご連絡をいただいていますが、本委員会の開催の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
 また、8月1日付で室長補佐の服部が異動になりまして、後任に上迫が着任しております。
 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。

【野口係員】 それでは、資料のご確認をお願いいたします。
 まず、机上に配付した紙の資料になりますが、4枚ありまして、議事次第と配付資料一覧が記載された一枚紙の資料、それから資料1と題しまして、委員名簿と裏面に座席表の印刷された資料、その後委員限りとしまして、机上配付資料1、本日の審議対象剤が記載された資料、こちら両面で水産と水濁、それぞれ記載されております。
 また、「委員限り」としまして、机上配付資料2、水産基準の審議で使用する資料となりますが、束のものが1冊ご用意しております。ここまで、よろしいでしょうか。
 続きましてタブレットですが、本日の資料もタブレットでご用意させていただいております。資料が左側に「資料⑦」、「参考資料⑤」とありまして、それぞれタップしていただくと、7種類の資料と5種類の参考資料が表示されるかと思います。
 そのほか、委員の皆様方のお手元には紙の資料としてすみれ色のファイルが置いてあります。こちらは農薬小委員会における過去の審議で整理した考え方等をまとめたものです。適宜ご参照いただきたいと考えております。なお、こちらは今後も随時差しかえいたしますので、会議が終わりましたら机の上に残しておいていただきますよう、お願いいたします。また、本日タブレットでの審議となりますが、筆記用具ご用意しておりますので、必要な方は事務局までお申しつけください。
 説明は、以上となります。

【浜谷室長】 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日も、議事の進行は白石委員長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【白石委員長】 では、進行を務めさせていただきます。
 まず初めに本日の会議と資料の公開の扱いについて、説明します。
 本日の農薬小委員会は、土壌農薬部会の運営方針の非公開とする理由には当たらないことから、公開とさせていただきます。
 また、資料につきましても公開とさせていただきます。
 次に、農薬小委員会の決議の取り扱いについてご説明させていただきます。
 小委員会の設置についての土壌農薬部会決定では、農薬小委員会の決議は、今おられませんが細見部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることになっています。
 したがいまして、この農薬小委員会で決定いただきましたら、土壌農薬部会の細見部会長の同意をいただいた上で、部会としての決定としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 事務局から諮問書を紹介してください。

【野口係長】 それでは、お手元タブレットの資料の2番、第71回諮問書・付議書をお開きください。
 1ページ目からご説明させていただきます。こちらが平成29年1月4日に環境大臣から中央環境審議会会長宛に諮問された諮問書でございます。
 1枚おめくりいただいて、下から二つ目が今回の水産動植物の基準に関する対象の剤であるフルミオキサジンです。
 続きまして4ページ目ですが、こちら同じく本件に関する付議書となっております。
 続きまして5ページ目ですが、平成29年5月9日付の諮問書となっており、6ページ目の一番上に、今回水産動植物の基準に関する対象の剤である2,4-Dエチルが記載されております。
 7ページ目がそれに対応する付議書となっております。
 続いて8ページ目が令和元年9月12日付の諮問書となっており、9ページ目の別紙1に水産動植物の基準に関する今回の審議剤の残り4剤が記載されております。
 続いて10ページ目の別紙2に今回の水質汚濁の基準に関する審議剤である5剤が記載されております。
 最後のページがその付議書になります。
 説明は、以上となります。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。
 それでは、議事の1番目、水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水産動植物登録基準設定検討会において、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献情報について精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値(案)を策定していただいております。
 事務局から資料の説明をお願いします。

【秋山係長】 それでは資料3をご覧ください。
 水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)に関する資料でございます。本資料は水産動植物登録基準設定検討会においてご審議いただいておりますので、検討会でどのようなご指摘、審議が行われたかについても簡単にご紹介させていただきます。
 それではイプフルフェノキンの説明に移ります。
 1ページをご覧ください。イプフルフェノキンについての物質概要は、こちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 作用機構等について、イプフルフェノキンは新規骨格の殺菌剤であり、その作用機構は明らかになってはいません。
 本邦では未登録であり、適用農作物等が稲、果樹、野菜、豆、芝等の水和剤として登録申請されております。
 各種物性については、こちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 続いて水産動植物による毒性についてです。まず魚類については計4種類の試験が提出されております。まずコイの試験ですが、試験期間を通じて最高濃度区で1尾しか死亡が確認されておらず、LC50は6,020μg/L超となっております。
 続いてブルーギルです。こちらの試験についても最高濃度区のみで使用が確認されており、LC50は5,600μg/Lとなっております。
 続いてニジマスの試験です。こちらの試験については、LC50は4,400μg/Lとなっております。
 続いてファットヘッドミノーについてです。こちらの試験については最高濃度区で半数以下の死亡数が確認されておりまして、毒性値については5,800μg/L超となっております。
 続いて甲殻類です。オオミジンコで試験が実施されており、48hEC50は2,500μg/Lになっております。
 続いて藻類では、ムレミカヅキモを用いた試験が実施されております。72hEC50は3,600μg/L超という値になっております。
 続いて水産PECです。イプフルフェノキンにつきましては水田適用の製剤と非水田適用の製剤がそれぞれ登録申請されておりますので、それぞれの適用に基づいて水田、非水田の両方でPECを算出しております。まず水田使用の第1段階のPECについては、稲の適用を考慮しまして、0.45μg/Lという値になっております。
 続いて7ページに移りまして、非水田ですが、こちら果樹への適用を考慮しまして、第1段階で0.011μg/Lという値になっております。
 以上により、最も値の大きい水田使用時のPECの算出結果から、水産PECは0.45μg/Lとなります。
 続いて総合評価です。魚類では3種以上の生物種の試験が行われた場合に該当することから、不確実係数は10ではなく4を適用し、ニジマス試験から得られた毒性値の4,400μg/Lを不確実係数4で除した1,100μg/Lが最小値となっております。甲殻類では不確実係数10で除した値が250μg/Lとなりまして、各試験により算出された毒性値の中で最小値となっておりますので、登録基準値(案)とさせていただきます。
 リスク評価についてですが、水産PECは0.45μg/Lでありまして、登録基準値(案)の250μg/Lを超えていないことを確認しております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 では、審議は1剤ずつお願いしたいと思います。
 まず、ただいまのイプフルフェノキンにつきまして、ご質問、基準値(案)についてのご意見、お願いいたします。いかがでしょうか。

【内田専門委員】 非常に細かいことですが、魚類のコイですけど、実測濃度が6,070μg/Lで、実測濃度に基づくLC50は6,020μg/L以上と書いてあります。どっちかが間違いですか。6,070か6,020か。

【白石委員長】 多分、読み間違えだと思うのですけど。

【秋山係長】 実測濃度は6,070μg/Lとなっておりますが、原体の有効成分濃度に換算しますと6,020μg/Lとなります。

【白石委員長】 有効成分換算した結果が6,020μg/Lということ。よろしいですね。

【秋山係長】 はい。そのような理解で間違いありません。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。ちょっと、いつも分かりにくいのですが、原体の濃度と有効成分の濃度。かなり純度が高いもので試験しているということです。

【内田専門委員】 そうですね。わかりました。

【白石委員長】 よろしいですか。

【山本専門委員】 恐らく多分それ純度換算ということで問題ないと思いますが、1点だけ少し気になったのですが、ムレミカヅキモのところで実測濃度が3,580μg/L、ErC50が3,600μg/Lになっていますけど、これは四捨五入したのですか。どういう換算をしてこうなったのでしょうか。3桁というわけではないのかな。さっき6,020μg/Lと書いておられたので、ちょっとご確認いただいてもよろしいですか。

【白石委員長】 なるほど。全部2桁にそろえていったわけではないですね。

【山本専門委員】 そういうわけでもないかな、ここはどうなの。すみません、ご確認いただいている間にもう1点だけ気になったのですけど、これも細かい話で申し訳ないですが、ファットヘッドミノーのところで助剤の濃度が0.10mL/Lになっている。農薬抄録を見ると、0.1(mL/L)となっているので、これ何でここだけ0.10になっているのか。ほかにあわせていただいたほうがいいのではないかと思いました。

【秋山係長】 助剤の濃度については0.1mL/Lということで訂正させていただきます。失礼しました。
 ムレミカヅキモの試験成績を確認したところ、表に記載されている3,580μg/Lが正しい値ということになりますので、毒性値のErC50についても3,580μg/L超に訂正させていただきます。失礼いたしました。

【白石委員長】 それは有効成分に換算すると、また少し変わるということですか。

【秋山係長】 こちらについても先ほどと同様に有効成分濃度に換算した値ということです。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。細かい数値の間違えが少しありましたが、基本的には毒性の試験結果は特に問題ないということでよろしいですか。

【山本専門委員】 基本的には水産検討会でもいろいろ議論になりましたが、1点だけ、魚には設定濃度の最高濃度を溶解度に近い7,000μg/Lまで振っているのですが、ミジンコと藻類には5,000μg/Lまでしかやっていない。それはいかがなものかという話はありましたが、基本的に試験は適切に実施されていて、問題ないと思います。
 以上です。

【白石委員長】 試験の上限が、水溶解度に至っていないところになっているということは、そこは問題かもしれないのですけど、結局やったとしても、基準値(案)には影響しないということですね。どうぞ。

【浅見臨時委員】 3ページの下の段の表3のLC50のところの表現で、LC504,400μg/L、95%信頼限界が4,400-4,400となっているのですが、これはどちらかというか両方が違う値ではないかと思うのですけれども、ご確認いただけますか。

【秋山係長】 一応こちらも提出されている試験成績を確認したのですが、信頼限界は4,400-4,400ということで記載されておりまして、数値自体は試験成績に記載してある通りで、間違いはないかなと考えています。

【浅見臨時委員】 あり得ないと思うのですけど。ここの数値は。

【秋山係長】 こちらの数値の妥当性について、一度メーカーに確認させていただきます。

【白石委員長】 よろしくお願いします。
 かなりシャープに上がっているので、狭いとは思いますけど、あり得ないということですので。ではそれは、メーカーに確認して、あるいはどうですか。

【山本専門委員】 恐らくご指摘のとおりだと思います。これ実測濃度6,400μg/Lで20尾死亡になっていますけど、もしかしたら、20尾が死亡したのは6,400μg/Lの手前かもしれませんから、信頼区間にはある程度の幅があるはず。モデルや計算の仕方にもよると思うのですが、再計算していただいて、信頼限界についてはもう一度ご確認いただいたほうがいいとい思います。ありがとうございます。

【白石委員長】 ほか、よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 それでは今、3ページ目のところの再計算をお願いするということ、4ページ目のDMF濃度の表記を0.1に変えるということ、さらに5ページ目の毒性値ErC50が少し変わるということですが、試験結果そのものについてはよろしいということで、事務局案をお認めいただいたとさせていただきます。
 PECのほうはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に問題ないというご意見でございます。

(異議なし)

【白石委員長】 それでは総合評価でご確認いただきます。ここも若干数値が変わるところがございますが、オオミジンコの急性遊泳阻害試験の2,500、これは変わらないですので、これをもとに登録基準値(案)を250μg/Lとするということ。水産PECは0.45であり、基準値(案)を超えていないということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では若干の資料の修正、数字の修正の上、事務局案どおり認めるということにさせていただきます。
 では次、お願いします。

【上迫室長補佐】 続きまして、9ページ目にございます、オキサゾスルフィルのご説明に移ります。
 作用機構等でございますが、こちらオキサゾスルフィルは殺虫剤でございます。その作用機構については明らかとなっていないが、フィプロニル剤、一部のネオニコチノイド系薬剤に対して感受性が低下したウンカ類にも効果を示すとされています。本邦では未登録ですが、適用農作物等が稲の粒剤として登録申請をされております。
 各種物性についてはご覧のとおりでございます。
 次のページ、10ページ目の水産動植物への毒性についてご説明をさせていただきます。まず魚類急性毒性試験でございます。こちらコイを用いた急性毒性試験が実施をされておりまして、96hLC50が7,900μg/L超でございました。なおこちら、3濃度区のみで実施をされてございますけれども、最高濃度区が8,000となっております。申請者提出の試験成績には予備試験がございまして、予備試験の結果8mg、すなわち8,000μg/Lにおいて中毒症状を認められたが、累積死亡率が0%であり、LC50が8,000μg/L以上になることが予想されたため、3濃度区で実施したというふうに記載がございますので、ご紹介をさせていただきます。
 続きまして11ページ、甲殻類でございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されております。48hEC50が8,000μg/L超でありました。また、殺虫剤でございますので、ユスリカの幼虫を用いた急性遊泳阻害試験もあわせて実施をされております。48hEC50が36μg/Lでした。
 最後に次のページのムレミカヅキモ、藻類の試験結果をご紹介させていただきます。藻類成長阻害試験の結果は72hErC50、こちらが2,200μg/Lでございました。
 続いて次のページ、13ページ目の水産PECでございます。先ほど申しましたとおり、適用農作物、稲として登録申請されておりますので、水田使用時のPECを算出しております。表5のとおり使用方法及びパラメータを設定してございます。この結果、水田PECの算出結果0.90μg/Lとなっております。
 最後のページ、14ページ目ですけども、総合評価でございます。魚類急性影響濃度については1種類でございますので、不確実係数10で除した790μg/L超。甲殻類については同じく不確実係数10で除した3.6μg/L。藻類については、こちらそのままで2,200μg/Lとなっております。これらのうち最小のものというのがこちらの甲殻類の急性影響濃度となりまして、3.6μg/L、こちらが登録基準値の(案)となります。
 最後に、リスク評価ですけれども、水産PECが0.90となっておりますので、登録基準値(案)の3.6μg/Lを超えていないということを確認いたしました。
 説明は、以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、ただいまのオキサゾスルフィルにつきまして、ご質問、基準値(案)についてのご意見をお願いします。いかがでしょう。

【山本専門委員】 水産検討会での議論について少し補足をさせていただきます。
 魚類については、先ほど事務局のほうからご説明あったとおり、本来5濃度区でやらないといけないところですが、予備試験等の結果から影響が出ていないため3濃度区で実施されて、最高濃度区でも影響が出てこなかった。ただ重篤な症状が出ているので、OECDテストガイドライン203が変わって、そういう診断症状みたいなものが出てくると当然変わってきますが、現時点ではこれで問題ないのではないかというような話でした。
 あと、ミジンコとユスリカについては、ドーズレスポンスが取れていないところについて、少し水産検討会では議論になりましたが、この剤については作用機構が明らかになっていないということですが、フィプロニル剤やネオニコチノイド殺虫剤に代替として利用されるということもあって、こういった剤については、こういったことがあり得るのではないかということで、特にセスジユスリカに対して強い毒性を示すということで、こういったことはあり得るということで、そこら辺りについては、この試験結果も問題ないだろうという話になりました。藻類は通常の試験が実施されているということです。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
 ご質問、ご意見はございましょうか。特にユスリカ幼虫に強い毒性を示したということで、そういった作用機作があるのかということが類推されるというところで。ミジンコの試験もドーズレスポンスが取れていないところがあるけれども、そういったことではなかろうかということで、よろしいでしょうか。これも水溶解度未満で、以上となっているところもありますが、それも特に今のこれで。

【山本専門委員】 そうですね。そこも少し議論されましたから、最終的な結果には影響がないだろうということで、水溶解度近くというのは測定法によってもなかなかありますし、その半分程度の濃度までは実施されているということで、恐らく基準値(案)に影響はないということで、そこについては問題ないだろうという話になりました。

【白石委員長】 ほか、ご質問、ご意見はございましょうか。では、水産動植物の毒性の試験につきましては、このままお認めいただくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 水産PECについてはいかがでしょうか。

【稲生専門委員】 PECの値自体は問題ないと思うのですが、先ほど説明がなかったと思うのですけれども、基準値(案)が3.6μg/LでTier 1 PECが0.9μg/Lということなので、一応近接しているということで、資料4を見ると、Tier 2をちゃんと計算していて、0.22μg/Lということなので、モニタリングの必要がないという結論に水産検討会ではなっていたと思うので、それで事務局のほうもよろしいですか、そういう結論で。
 それと、あと私の記憶では、このTier 2 PECが0.21μg/Lとなっていたのが0.22μg/Lになっている。結論に変わりはないのですけど、Tier 2 PECが変わっている理由を、もし分かれば、お聞きしたいのですけど。

【秋山係長】 すみません、失礼しました。
 水産検討会にお出しした資料ですと、土壌吸着係数が583.4ということで計算をしていたのですが、正しい土壌吸着係数は521.7でした。そのため、正しい土壌吸着係数を用いて再計算した結果、水産PECの値に変更が生じたということになります。失礼いたしました。

【白石委員長】 資料4には0.22μg/Lと書いてある。0.22μg/Lが正しいということですね。

【上迫室長補佐】 はい。

【白石委員長】 Tier 1もTier 2もあまり変わらないというのは、この剤の性質ですかね。0.90μg/Lが0.22μg/LにしかTier 2で下がってこないというのも何か理由があるのですか。

【稲生専門委員】 これは箱処理剤なので、Tier 1でも農薬流出係数の0.2が乗されて、低くなっている。Tier 2になると、実際に試験で箱処理の形で土に埋め込んだので、さらに田面水中濃度が下がったという。その結果によって、ということなので、Tier 1での評価を湛水でやると、かなり差が出てくるのです。けれども、箱の場合は最初に0.2が乗されているので、その0.2が掛けられているということの実証というのですか。ここで違いが大き過ぎると、逆に農薬流出係数は0.2で本当にいいのか、というような議論にもなります。けれども、Tier1だと極端なワーストケースになるということなので、このTier 1の使用方法による農薬流出係数を0.2と設定するのは妥当ではないかという、逆の意味で近くなっているところは妥当ではないかと考えております。

【白石委員長】 わかりました。箱処理剤でこの13ページの使用方法による農薬流出係数0.2のところで、もう既に見込んであると。さらに土壌吸着を考えたというところであまり変わっていなかったということだと。
 よくわかりました。ほかご質問ございましょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、今モニタリングは必要ない、対象とはしないということですが、それもよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、本剤近接していますが、Tier 2まで事務局で計算したところ、1/10未満になるということで、モニタリングの対象とはしない、とさせていただきます。
 総合評価でご確認ください。14ページになりますが、甲殻類、ユスリカ急性遊泳阻害試験の48hEC50の36μg/Lをもとに、登録基準値(案)を3.6μg/Lとするということ。水産PECは0.9μg/Lであり、登録基準値(案)を超えていないということで、Tier 2を計算すると1/10になるということで、モニタリングの対象とはしない、とさせていただきます。これは修正点なしでよろしいですね。事務局案どおりとさせていただきます。
 では次、お願いします。

【秋山係長】 15ページをご覧ください。クロルタールジメチルになります。
 物質概要については、こちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 作用機構等について、クロルタールジメチルは、有機塩素系の植物成長調整剤であり、その作用機構は、たばこわき芽の幼芽細胞に直接浸透、微小管を構成する球状タンパク質チューブリンに作用し、細胞の有糸分裂を阻害することで、わき芽の伸長を抑制しているとのことです。
 ここで1点訂正がございます。事前にお送りした資料ですと、クロルタールジメチルについては1961年に登録され、2007年に失効と記載しておりましたが、正しくは1971年に登録され、2005年に登録失効となります。失礼いたしました。現在、製剤は乳剤が、適用農作物等はたばことして登録申請されております。
 各種物性については、こちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 続いて水産動植物への毒性についてです。まず水産動植物への毒性について、全ての試験について、最高濃度が400μg/Lの1濃度区で実施されております。申請者からの試験報告書によりますと、予備試験の結果、被験物質の水溶解度上限の400μg/L区で影響が認められなかったため、全て1濃度区で試験を実施したとのことです。
 続いて各試験の説明に移ります。まず魚類ではコイの試験が提出されておりまして、試験区は400μg/Lの1濃度区しか設定されておりませんが、試験を通じて影響は確認されておりませんので、LC50は実測濃度を考慮して350μg/L超となっております。
 続いて甲殻類です。甲殻類についてはオオミジンコ急性遊泳阻害試験が提出されておりますが、先ほどの魚類と同じように最高濃度区の400μg/L区で影響は認められておりませんので、EC50は360μg/L超となっております。
 続いて藻類です。藻類ではムレミカヅキモによる試験が提出されております。若干最高濃度区で影響は出ておりますが、72hのEC50は270μg/L超と算出されております。
 続いて水産PECです。本剤は適用農作物をたばことして登録申請されておりますので、非水田PECとしてPECを算出しております。算出結果は0.00012μg/Lとなります。
 続いて総合評価です。登録基準値(案)は魚類の毒性値から持ってきまして、35μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価ですが、水産PECは0.00012μg/Lでありましたので、登録基準値(案)である35μg/Lを超えていないことを確認しております。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 では、クロルタールジメチルにつきまして、基準値(案)についてのご意見、ご質問がありましたらお願いします。影響が見られないということで。

【山本専門委員】 補足させていただきますと、水溶解度が399μg/Lということで、それに相応する溶解度限度まで限度試験を実施したということですが、コイとミジンコについては問題なく、影響が出ていないということで、限度試験が成立しています。一方、藻類については先ほど事務局から説明がありましたように、設定濃度400μg/L、実測濃度270μg/Lで、実は助剤対照区と有意差が出ていますが、試験自体は農薬の登録基準にはErC50が求められればよいということなので、少し議論はありましたけれども、この値を使ってErC50が270μg/L超ということは少なくとも言えるのではないかという話になりました。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。どうぞ。

【浅見臨時委員】 この剤は、一度登録失効していて、今回は適用作物をたばことする製剤として登録申請ということですが、その辺の経緯や、環境中でわりと安定そうな構造をしているように思いますが、今まで特に問題はなかったのかどうか、併せて教えていただけたらと思います。

【白石委員長】 それでは、事務局からお願いします。

【秋山係長】 過去に登録され一度失効になっている理由については、即答できませんので、一度確認をして、お答えさせていただきます。

【白石委員長】 それでよろしいですか。何かほかにご知見がある先生方がおられたら。

【内田専門委員】 芝用の除草剤だったと思います。たぶん市場の原理というか、需要の少ない芝用だったので、それで失効になったような気がするのですけど。

【白石委員長】 過去の登録内容は分かりますか。適用作物について。今回はたばこへの登録申請ということですけど、過去の登録においても、たばこもあったのですか。たばこのほかに、芝というお話もございますが。

【浜谷室長】 いろいろ下調べが不十分で大変申し訳ございません。前回の登録の経緯、登録失効の経緯、前回登録時の適用作物については、改めて整理して共有させていただきます。

【白石委員長】 ほか、ご質問はございますか。では改めて。どうぞ。

【天野臨時委員】 参考までに教えていただきたいのですが、18ページのPECの計算ですけれども、たばこの栽植密度、22,000株/haとあります。これは何を参考にされたのか教えてください。

【白石委員長】 すみません。18ページのどこですか。聞き取れなかったので。

【天野臨時委員】 18ページのPECの計算をしている表の下に、※として、1株当たり0.667mLとある根拠が、22,000株/haとなっています。これの出典なり、栽培の標準的な指針なりがあったのでしょうか。

【FAMIC】 根拠資料を今すぐには出せませんが、農水省と環境省とFAMICで調べまして、一般的に22,000株/haであるということで、数年前に合意している値です。事務局に資料が残っていると思いますので、事務局から後日ご連絡があるかと思います。

【浜谷室長】 その点につきましては、検討会でも同じような質問が出され、こちらでも当時合意した根拠資料については確認していますので、改めてお送りします。

【白石委員長】 いいですか。それでは根拠資料は、後ほどですか、今出てきますか。まだですか。どうぞ、稲生委員。

【稲生専門委員】 その点については、私にコメントさせていただきたい。適用作物がたばこなので、仕立て方や栽培方法はそれほどないから、標準的な栽植密度だと思います。しかし、根拠を示す必要はあります。例えば、稲の箱施用で、10a当たり20箱と決まっていますが、最近は密苗疎植みたいなところもあります。要は栽培方法によって栽植密度は変わるものなので、ha当たりの量がだんだん減る場合はいいのでしょうけども、逆に増える栽培方法であれば、ちゃんと栽植密度をその都度確認しないといけない。だから、その根拠を示してくださいとお願いをしていたのですけど、明確な回答が今日得られなかったので、私もそこはしっかりとお願いしたい。たばこのわき芽処理に使うのであれば、22,000株/haが本当にいいのかというのは、やはりそれぞれの剤によって、使い方によって、変わってくると思います。恐らくFAMICさんのところで登録審査するときに、その辺は確認されると思うが、根拠はしっかり示していただきたい。この数字は何だろう、となると困るので、よろしくお願いします。

【白石委員長】 では、後ほど根拠を示していただくということで。ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい。

【浅見臨時委員】 こちらは剤としてたばこ用ですと、水濁の評価はしないことになるのかもしれないのですけれども、検索で見つけた食品安全委員会のレポートによると、これは2009年に発がん性の恐れがあるというので、この農薬の使用による環境中の地下水汚染をECが懸念したというようなことで、結果的にはそんなに大きな発がん性のリスクにはなっていないのだけれども、というような記載がありました。このように環境中で使われて地下水に入って汚染するかもしれないという指摘が以前にあって、それでひょっとしたら登録失効しているのかもしれないというような感じもしますので、その辺の経緯を調べていただいて、もし何か別の方法でも支障があるかもしれないという評価があれば、参考にご紹介をいただければと思います。

【白石委員長】 ご指摘ありがとうございます。
 では、経緯について調べていただくということでよろしいでしょうか。地下水にはなかなか行きそうもないような物性をしているような感じがしますけど、これが加水分解したものまでいくのですかね。ちょっと分かりませんけど、その辺の食安委の報告書も見ていただいて、よろしくお願いいたします。
 ほか、いかがでしょうか。22,000株/haが少し変わっても、PECはあまり変わらないですかね。倍、半分という具合にはならないので、水産PECTier1はこの値でよろしいでしょうか。では、水産PECにつきましては、22,000株の根拠だけ提示いただくということで、これを認めるということにさせていただきたいと思います。
 それでは総合評価でご確認いただきたいと思いますが、3種の試験で全て限度試験が成立、でよろしいですか。「成立」でよろしいですかね。藻類が今ちょっと違う。

【山本専門委員】 藻類は限度試験ではないですけども、ErC50の超値については問題ないだろうということです。

【白石委員長】 ErC50につきましてはOKということで、この値を採用するということです。これらのうち、最小値のコイをもって登録基準値(案)は35μg/Lとすると。水産PECはここに書いてある数値のとおりで、登録基準値(案)を超えていないことを確認したということで。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、2、3の不足というか、資料を提示していただくということで、その他の点につきましては、これは事務局案どおりということでよろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、資料を追加していただいて、これは事務局案どおり認めるということにさせていただきたいと思います。
 では続きまして次のフルミオキサジンですか、お願いいたします。

【上迫室長補佐】 それでは20ページ目、フルミオキサジンをご覧ください。
 まず、作用機構等でございます。フルミオキサジンはフェニルフタルイミド系の除草剤でございます。主として植物の茎葉部または幼芽部から吸収をされます。その作用機構は、クロロフィル生合成経路を触媒するプロトポルフィリノーゲン酸化酵素の活性阻害であり、その結果、基質のプロトポルフィリノーゲンⅨが異常蓄積することによって生じた活性酸素が生体膜を過酸化することにより枯死させるものでございます。
 本邦の初回登録は2000年でございます。製剤は粉粒剤及び水和剤が、適用農作物等は果樹、野菜、豆、樹木、芝等がございます。
 原体の国内生産量は平成27年度で1,431.9t、28年度で1,449.9t、29年度で1,745.3tでございます。
 各種物性についてはご覧のとおりでございます。
 続きまして21ページ目、毒性評価でございます。まず魚類です。コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されております。96hLC50が1,300μg/L超でございます。
 続きまして甲殻類等でございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されております。48hEC50が1,100μg/L超です。
 続いて藻類です。ムレミカヅキモを用いた藻類成長阻害試験が実施されております。72h ErC50が0.55μg/Lとなっております。
 水産PECに移ります。23ページ目です。こちら農薬登録情報提供システムによれば、本農薬は製剤として粉粒剤及び水和剤が、適用農作物等は果樹、野菜、豆、樹木、芝等があります。したがいまして非水田使用時のPECを計算いたします。最も高くなる使用方法として、適用農作物等は芝でございます。ご覧のとおりの使用方法及びパラメータで非水田PECTier1における算出結果、0.0024μg/Lとなります。
 総合評価に移ります。24ページ目です。各生物種のLC50、EC50は先ほどご紹介させていただいたとおりです。魚類の急性影響濃度については魚類の結果、これを採用しまして10で除した130μg/L超としております。甲殻類については同じく不確実係数10で除した110μg/L超としております。藻類につきましては先ほどの結果、0.55をそのまま採用し、0.55μg/Lとしております。これらのうち最小のもの、藻類の急性影響濃度を用いまして、登録基準値(案)0.55μg/Lとしたいと思います。
 リスク評価です。水産PECは0.0024μg/Lでございまして、登録基準値(案)の0.55μg/Lを超えていないことを確認いたしました。
 以上でございます。

【白石委員長】 ありがとうございました。ではフルミオキサジンにつきまして基準値(案)にご質問、あるいはご意見、お願いいたします。どうぞ。

【赤松臨時委員】 構造式ですけれども、この三重結合のところは真っすぐになりますので、曲がらないので、ちょっと変更をお願いしたいと思うのですが。

【白石委員長】 ソフトでこうなってしまうのですか。場合によっては難しいかもしれませんが。ほかいかがでしょうか。私からついでに細かい点ですが、融点があまりにも細か過ぎるので、こう書いてあるのかもしれませんが、さすがにこの辺は1/100℃までは測っていないと思います。融点です。「.83」というのが二つ並んでいますけど、何かの間違いではないのでしょうか。ちょっと確かめていただくと、いいと思います。
 では毒性の観点、いかがですか。よろしいですか。

【山本専門委員】 すみません、毒性のほうですが、これはコイについては最高濃度まで影響が出ていないということで、これも溶解度に近いところまでそれぞれ試験されていますが、除草剤ということで、藻類に対して一番強い影響が出ている。少し議論になったのがオオミジンコのところで、高濃度区側でやや逆転が起きていることですが、20%の遊泳阻害であることと、流水式の試験なので、やはりなかなか試験をやるのが難しいということで、こういったことがあるのではないかという話で、試験については問題ないという話になったと思います。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。特に問題ないと。

【山本専門委員】 藻類については恐らく最低濃度区です。ここでも6.1%の阻害が出ているので、たぶん影響濃度が正しく算出されていないと思いますが、この農薬登録基準についてはErC50を求めればいいということなので、この試験でも問題ないと思います。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。ほか、ご意見はありましょうか。
(発言なし)

【白石委員長】 よろしいでしょうか。では毒性試験結果はこれをお認めいただいたとさせていただきます。水産PECについてはいかがでしょうか。特に問題ない。そのほかご質問はございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいですか。では24ページ、総合評価でご確認いただきたいと思います。除草剤ということで、藻類急性影響濃度がキーとなりまして、登録基準値(案)を0.55μg/Lとするということ、水産PECはこれを超えていないということでございます。では少し表記のところで、できれば修正していただくということでお願いいたします。では次の剤に移りたいと思いますけど、よろしいでしょうか。
 では次、ベンズピリモキサンにつきまして、ご説明お願いします。

【秋山係長】 25ページをご覧ください。ベンズピリモキサンになります。こちらも新規の剤となっております。
 物質の概要についてはこちらの表に記載してあるとおりとなっております。
 ベンズピリモキサンは殺虫剤です。その作用機構は明らかとなってはいませんが、水稲のウンカ類幼虫・ツマグロヨコバイ幼虫に特異的に脱皮異常を引き起こし、幼虫の密度を低下させ、防除効果を示すものです。また、既登録の昆虫成長制御剤(IGR)であるブプロフェジンと異なり、脱皮ホルモン量にはほとんど影響を示さず、脱皮異常の発現時期も異なることです。
 本邦では未登録ですが、適用農作物等が稲の粉剤、水和剤として登録申請されております。
 各種物性については、こちらの表に記載のとおりとなっております。
 続いて水産動植物の毒性についてです。まず魚類ですが、コイによる試験が提出されておりまして、最高濃度区のみで死亡が確認されており、LC50は2,200μg/Lとなっております。
 続いて甲殻類です。オオミジンコによる試験が提出されておりまして、EC50は3,100μg/Lとなっております。オオミジンコの試験については設定濃度5,000μg/L区と10,000μg/L区で、遊水阻害数の用量反応関係がとれておりませんが、設定濃度5,000μg/L区と10,000μg/L区では、実測濃度についても逆転が生じております。
 以上については、その他に提出されている試験においても、高濃度区の被験物質の実測濃度が設定濃度に関わらず概ね3,000μg/Lぐらいとなっていることから、試験における被験物質の水溶解度で試験が実施されていると考えられます。予備試験溶液に溶解している被験物質の暴露濃度から毒性評価ができていると水産検討会で判断されたため、問題はないと考えております。
 甲殻類については、ユスリカによる試験も提出されております。こちらの試験では最高濃度区でも半数以上の遊泳阻害は確認されておらず、EC50は3,500μg/L超となっております。
 続いて藻類です。こちらの試験では、EC50は2,900μg/L超と算出されております。
 続いて水産PECです。ベンズピリモキサンは適用農作物等、稲として登録申請がされておりますので、水田使用第1段階ということで水産PECを算出しております。算出結果は1.5μg/Lとなっております。
 最後に総合評価です。登録基準値(案)は、魚類の毒性値を採用し、220μg/Lとさせていただきます。
 リスク評価ですが、水産PECは1.5μg/Lでありますので、登録基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 説明は、以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございました。ではベンズピリモキサンにつきましてご質問、基準値(案)についてのご意見、お願いいたします。よろしいでしょうか。検討会のほうはいかがですか。よろしいですか、特に。

【山本専門委員】 事務局でいま説明いただいたとおりなので、特に追加はありません。

【白石委員長】 はい。よろしいようですので、試験につきましてはこのまま事務局案どおり認めていただくとさせていただきます。
 水産PECについてご意見はございますか。特に問題ないというご意見です。ほかいかがでしょうか。よろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、水産PECにつきましては1.5μg/Lとするということ。
 では、総合評価でご確認ください。各種の試験の結果、登録基準値(案)を220μg/Lとするということでよろしいでしょうか。水産PECは1.5μg/Lであり、登録基準値(案)を超えていないということを確認したということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、本剤につきましては特に修正はございませんので、事務局案どおりとさせていただきます。
 では次に2,4-Dエチルについてお願いします。

【上迫室長補佐】 水産動植物の基準の最後の剤となります。2,4-Dエチルの説明に移らせていただきます。
 なお、2,4-Dでございますけれども、以前の農薬小委員会で、2,4-D塩についてご審議をいただいております。こちらの机上配付資料2を後ほど説明に使わせていただきますので、横に置いていただければと思います。
 では、この2,4-Dエチルについてご説明をさせていただきます。
 作用機構等でございますが、2,4-Dエチルは、オーキシン様作用を有するホルモン型の選択性除草剤でございます。その作用機構は、オーキシン様作用による植物分裂組織の異常活性化とそれに伴う奇形の発生、呼吸の異常促進等による生理機能の攪乱と考えられております。
 本邦での初回登録は1954年でございます。製剤は粒剤が、適用農作物等は稲がございます。
 平成28年度における原体の国内生産量は2.0tでございました。ただし、27年、29年度の原体の国内生産量は、申請者情報によると、ないということでございます。
 各種物性につきましては、ご覧のとおりでございます。
 毒性試験に移りたいと思います。まず魚類でございます。コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hのLC50、1,100μg/Lでございました。
 続きまして甲殻類等でございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されております。48hEC50が9,140μg/Lでございました。
 続きまして藻類です。ムレミカヅキモを用いた藻類成長阻害試験が実施されております。72hErC50が5,950μg/Lでございました。
 続いて水産PECでございます。こちら農薬登録情報提供システムによりますと、本農薬は製剤として粒剤があり、適用農作物等は稲でございます。したがいまして水田使用時のPECを算出しております。使用方法及びパラメータは表4のとおりです。これらのパラメータより水田使用時のPECは9.5μg/Lと算出をしております。
 総合評価です。ご覧のとおり、先ほどの毒性評価の結果でございますけれども、魚類については不確実係数10で除した110μg/L。甲殻類等につきましては同じく不確実係数10で除した914μg/L。そして藻類につきましては5,950μg/Lとなっております。これらのうち最小のもの、魚類でございますけれども、登録基準値(案)を110μg/Lとしております。水産PEC9.5μg/Lとなっておりますので、登録基準値(案)の110μg/Lを超えていないということを確認しております。
 続いて次のページに参考を1枚つけております。これは先ほどの机上配付資料に関連するところでございますけれども、説明をさせていただきます。2,4-D塩、こちらは平成30年11月に2,4-D酸体として基準値告示済みのものでございます。2,4-D塩及び今回の2,4-Dエチルは環境条件によっては2,4-D酸体に分解することが知られております。
 そこで、こちらの各塩とエチルについて適用を考慮しつつ、2,4-D酸体の水産PECの最大値を合算することにより、ワーストケースとしての2,4-D酸体の水産PECを算出いたしております。つまり、この2,4-Dエチルについても全て分解すると仮定しまして、その場合の2,4-D酸体のPECとその基準値を比較したということでございます。その結果、下記のとおり2,4-Dエチルと塩を全部合算したとしても、16μg/Lとなります。
 平成30年の農薬小委員会で了承された2,4-D酸体の登録保留基準値、現在での言い方ですと登録基準値ですが、9,800μg/Lとなっております。この9,800μg/Lを十分下回っていることを確認いたしましたので、2,4-D酸体としても問題なかろうと考えておりますので、水産検討会の議論を踏まえまして、こちらの参考をつけ足しております。
 説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、2,4-Dエチルにつきまして、ご質問、ご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。2,4-Dエチルとして単体で基準値(案)を策定するということで。どうぞ。

【築地臨時委員】 作用機構のところで、初回登録が1954年とあるのですけれども、農薬抄録を見ますと、塩のタイプやエチル、それぞれ登録の年度が違っていて、この「初回」という意味は、エチルに関しての記載では昭和33年になっています。その辺はどちらを取っているのでしょうか。塩ですと、昭和29年或いは30年になっています。

【上迫室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。そこは確認をして回答させていただきます。

【白石委員長】 これはエチルの初回登録を書くのがよろしいですね。初回登録はエチルのものを書くということで。

【上迫室長補佐】 はい。エチルのものを書かせていただきます。そこはご指摘いただきましたので、昭和33年ですから1958年になるかもしれません。ちょっとそこは確認させてください。

【白石委員長】 確認の上、修正するということで。ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。毒性に関してご質問、ご意見はありますか。

【山本専門委員】 試験については特に問題ないと思いますが、この物質、作用機構にも書かれていますが、オーキシン様の植物ホルモンなので、当然のことながら維管束植物に対して特異的に強い作用を示す可能性があるということですので、今後ウキクサの試験が入ってくると、当然評価値というのは大きく変わる可能性があるというようなことは、水産検討会でも少し指摘はありました。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。将来においては基準値が変わる可能性があるということでございますが、よろしいですか。PECのほうはいかがですか。よろしいですか。ほかご質問、ご意見はございますか。
 参考資料として、分解した場合のことについても述べられていますけど、これもこのままでよろしいですか。分解物として、問題ないだろうということでございます。
 では総合評価をご確認ください。登録基準値(案)を110μg/Lとするということでございます。コイの急性毒性試験から導き出された数字ということになります。水産PECは9.5μg/Lであり、登録基準値(案)を超えていないということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、登録年度のところだけ調べて修正が必要ならしていただくということで、ほかは事務局案どおりとさせていただきます。どうもありがとうございました。
 ここでよろしければ休憩を入れたいと思いますが、よろしいでしょうか。あの時計で50分開始ということでお願いします。
 では休憩に入ります。ありがとうございます。

(14時40分 休憩)

(14時50分 再開)

【白石委員長】 よろしいでしょうか。そろそろ時間が参りましたが、よろしいでしょうか。
 それでは再開いたします。議事1で回答が遅れたものがございますが、事務局から少し説明がございますので、よろしくお願いします。

【秋山係長】 先ほどクロルタールジメチルについて審議した際に、クロルタールジメチルの失効理由と過去の適用について質問をいただきました。
 クロルタールジメチルについては、過去に「ダクタール水和剤」という名称で登録されておりまして、販売量が少なく、今後も販売予定がないため失効したとのことです。販売量が少なくなった理由については、はっきりとしたことは分かりません。
 過去の適用については、内田委員のご指摘のとおり芝用の除草剤ということで登録があったとのことです。したがいまして、環境中における水産動植物への影響等によって、登録失効したというわけではございません。
 説明は以上になります。

【白石委員長】 ありがとうございました。それでは議事の2、水質汚濁に係る農薬登録基準として環境大臣が定める基準の設定についての審議に入ります。
 事務局から資料の説明をお願いします。

【野口係員】 それでは資料5をご覧ください。水質汚濁に係る農薬登録基準として、環境大臣の定める基準の設定に関する資料でございます。今回は1ページにお示しの5剤についてご審議をいただきます。このうち3剤が新規となっております。
 それでは2枚スライドをしていただいて、オキスポコナゾールフマル酸塩についてご説明いたします。
 まず、物質概要は1ページ目の表に記載させていただいたとおりとなっております。
 作用機序ですが、オキスポコナゾールフマル酸塩は、イミダゾール基を有する殺菌剤となっておりまして、菌類の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの合成を阻害することで殺菌効果を示すものとなっております。
 既登録となっておりまして、本邦での初回登録は2000年。製剤は水和剤が、適用農作物等は果樹及び芝がございます。
 原体の輸入量については記載のとおりとなっており、国内での生産量については、なしとの報告を受けております。
 続いて、次のページになりますが、各種物性等はこちらに記載のとおりとなっております。
 安全性評価ですが、一日摂取許容量(ADI)ですが、食品安全委員会が平成31年3月26日付でADIを0.03mg/㎏体重/日と設定する通知を厚生労働省に出しておりまして、この値は無毒性量のうち最小値3.0mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続きまして3ページ目に移りまして、水濁PECですが、製剤の種類及び適用農作物につきましては表に記載のものをもとに算出しまして、算出結果はページの一番下になりますが、非水田での第1段階で0.000071mg/Lとなっております。
 次のページに移りまして総合評価ですが、ADIの0.03mg/Lをもとに、こちらの算出式により算出した結果、0.079mg/Lを登録基準値(案)として提案させていただきます。
 リスク評価ですが、水濁PECの0.000071mg/Lに対し、登録基準値(案)が0.079mg/Lですので、基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 オキスポコナゾールフマル酸塩については、以上となります。

【白石委員長】 ありがとうございました。オキスポコナゾールフマル酸塩につきまして、毒性の面からご知見ありましたらお願いいたします。

【浅野臨時委員】 本剤は、本剤投与による影響が主に体重の増加抑制、これも高用量です。それから肝臓の重量増加、小葉中心性肝細胞肥大等がありますので、若干の酵素誘導が認められるものと思います。
 発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形成それから遺伝毒性は認められておりません。各種試験のうち、無毒性量の最小値というのが先ほどご説明ありましたように、体重増加抑制が認められなかった2年間慢性毒性試験の中での3mg/kg体重、これを根拠にして100で除した0.03mg/㎏体重/日がADIとなっています。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。ご質問、ご意見はございますか。ADIをもとに登録基準値(案)を決めますが、よろしいでしょうか。PECのほうは、いかがでしょうか。特に問題ない。

(異議なし)

【白石委員長】 ご意見がないようでしたら、4ページ目の総合評価でご確認いただきたいと思いますが、登録基準値(案)を0.079mg/Lとするということです。水濁PECは基準値(案)を超えていないということ。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、この剤につきましては、事務局案どおりとさせていただきます。
 では次のジクロベンチアゾクス、お願いします。

【上迫室長補佐】 引き続きまして5ページ目、ジクロベンチアゾクスの説明に入らせていただきます。
 作用機構等でございます。ジクロベンチアゾクスはイネいもち病を初め、白葉枯病、もみ枯細菌病、穂枯れに対して防除効果を持つ細菌剤であり、その作用機構は抵抗性誘導により、防除効果を発揮するものと考えられております。
 本邦では未登録であるが、適用農作物を稲とする粒剤として登録申請をされております。
 各種物性等につきましては、次のページ、6ページ目の上のとおりです。同ページ下の安全性評価についてご説明をさせていただきます。一日摂取許容量(ADI)は0.05mg/㎏体重/日となっております。その旨を食品安全委員会委員長から令和元年5月28日付で厚生労働大臣に通知されております。この値は各試験で得られた無毒性量の最小値5.03mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 続きまして7ページ目、水濁PECの計算でございます。申請者より提出された申請資料によりますと、先ほどのとおり製剤として粒剤が、適用農作物稲として登録申請されております。したがいまして、水濁PECにつきましてはその水田の使用時、第1段階のみ計算をしておりまして、合計値が0.0027mg/Lとなっております。
 総合評価でございます。ADIから導き出される登録基準値(案)が0.13mg/Lとなります。水濁PECは先ほどのとおり0.0027mg/Lでございますので、登録基準値(案)の0.13mg/Lを超えないということを確認しております。
 ジクロベンチアゾクスについては、以上でございます。

【白石委員長】 ありがとうございました。では毒性の面からコメントをお願いいたします。

【浅野臨時委員】 本剤の急性毒性ですけれども、ラットで行われておりまして、2,000mm投与しても死亡例がないという急性毒性の低い剤となります。反復投与した場合に、主に体重増加抑制、それから犬で貧血、それから肝臓の胆管肥大、過形成が認められます。
 また、ラット、マウスでは十二指腸の絨毛上皮の肥大、過形成が認められておりますけれども、発がん性は認められておりません。さらに、繁殖能に対する影響、催奇形性、遺伝毒性は認められておりません。動物試験の中で無毒性量の最小値というのが、ラット2年間長期毒性試験の中で得られた5.03mg/㎏体重/日。これを根拠として安全係数100で除したものがADIとなっております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。本剤につきましてご質問、ご意見がございましたら、お願いします。どうぞ。

【浅野臨時委員】 5ページ目の作用機構等ですけども、食品安全委員会の健康評価書の中では、もうちょっと詳しく「植物のサルチル酸経路を活性化して、病害抵抗性を誘導することにより」というふうに記述されていますけれども、そこまで書いたほうがいいのかどうか、お尋ねしたい。

【白石委員長】 いかがしますか。もう少し細かく書いて、分かっているのなら書いてもいい内容。分かっているなら追加してよろしいのではないかと思いますけど。では、食品安全委員会の資料にあわせて記載を追加していただくと。お願い致します。ほか、いかがでしょうか。水濁PECはよろしいでしょうか。

【稲生専門委員】 PECの値自体は問題ないと思うのですが、7ページの左側のPEC算出に関する使用方法の中で、最大使用量のところで箱当たり50gと書いていて、10a当たり20箱使用と書いて、その下の「算出値」とは何ですか。

【白石委員長】 またコメ印ですね。先ほどのコメ印でも。

【野口係員】 失礼しました。こちらについてはこのような条件で計算したというもので、「算出値」という表現は適切ではないと思いますので、削除させていただきたいと思います。

【稲生専門委員】 書くとすれば、50g/箱で、10a当たり20箱なので、1kg/10aという、そういう書き方で、それは算出値であるということで正しいのですが、このままだったら、削除したほうが分かり易いと思いました。

【野口係員】 ありがとうございます。

【白石委員長】 書きぶりはこのままでよろしいですか。先ほども「1株当たり」というような書き方ですが。

【稲生専門委員】 過去の書き方とあわせていただければと思います。

【白石委員長】 はい。

【野口係員】 ご指摘ありがとうございます。修正させていただきます。

【白石委員長】 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 では総合評価をご確認いただきたいと思いますが、登録基準値(案)を0.13mg/Lとするということでございます。水濁PECは8ページの下に書いてあるとおりで、登録基準値(案)を超えていないということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、作用機序のところとPECの算出に関する使用方法のところ、少し修正していただくということで、事務局案の結論どおりとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 では次、プロチオホス、お願いします。

【野口係員】 続いてプロチオホスについてご説明いたします。9ページをご覧ください。
 物質概要はこちらの表にお示しのとおりとなっております。作用機序ですが、プロチオホスは、非対称構造の有機リン系殺虫剤で、中枢神経系のアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害するものです。
 本邦での初回登録は1975年。製剤には粉剤、粉粒剤、水和剤及び乳剤があり、適用農作物等には果樹、野菜、いも、豆、花き、樹木、芝等がございます。
 原体の輸入量は記載のとおりとなっており、国内生産量はなしと報告を受けております。
 次のページに移りまして、各種物性等はこちらに記載のとおりとなっております。
 安全性評価ですが、ADIは食品安全委員会が平成30年10月23日付でADIを0.0027mg/㎏体重/日と設定する通知を厚生労働省に発出しております。この値は、無毒性量の最小値0.27mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続いて次のページの11ページにある水濁PECの計算ですが、適用農作物等を芝として、45%乳剤を3回、粉粒剤を2回の計5回使用するケースが最大施用量となっており、その条件で算出しました。算出結果は次のページにあり、非水田の第1段階で0.00029mg/Lとなっております。
 次のページの総合評価ですが、ADIの0.0071(mg/㎏体重/日)をもとにこちらの算出式により算出したところ、0.0071mg/Lを登録基準値(案)として提案しております。
 リスク評価ですが、水濁PECの0.00029mg/Lに対し、登録基準値(案)が0.0071mg/Lですので、基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 また参考として中段に示しております水質に関する基準値等ですが、水質管理目標設定項目として0.004mg/Lが設定されております。こちらは厚生科学審議会生活環境水道部会で設定されたもので、考え方としては水濁基準と同様にADIの10%配分を2Lの飲料水から摂取するという考え方に基づいて設定されたものです。当時のADIとして0.0015mg/㎏体重/日という、今回新しく食安委が設定したものの半分程度の値が設定されておりまして、それに比例して半分程度の値が設定されているというものでございます。
 説明は以上となります。

【白石委員長】 ありがとうございました。では、プロチオホスにつきまして、毒性の面から検討をお願いいたします。

【浅野臨時委員】 本剤は有機リン系の化合物です。有機リン系及びカルバメート系のアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害するような農薬の場合には、後に症状が出ますけれども、症状が出る前の脳と赤血球のコリンエステラーゼ活性、これを20%抑制するというところで、毒性の判断としています。
 全ての試験を見てみますと、無毒性量の最小値はラットを用いた3世代繁殖毒性試験の成績ですけども、6か月間慢性毒性試験でも同じ用量です。雌雄で赤血球、コリンエステラーゼ活性阻害を認められなかった無毒性量の雄の値が0.027mg/kgでしたので、この最小値の無毒性量を根拠として、これを100で除したADIが0.0027mg/㎏体重/日となっております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございます。ほかにご質問、ご意見がございましたら、お願いします。どうぞ。

【浅見臨時委員】 こちらのプロチオホスは昔から使われている農薬ですけれども、水道のほうではオキソン体としての検出をチェックしている状況で、今回の評価値より水道の水質管理目標設定項目のほうが厳しいというのは、毒性のもととなるデータが違うところがあるとは思いますけれども、水質管理上はオキソン体として非常に注意すべき農薬かなと考えております。
 今回の評価では、オキソン体に関する評価や記述は全然ないですけれども、今後もやはりオキソン体を生じてしまうような農薬は、注意してその点も考慮していただけると思いまして、今回はPECが大分低いので大丈夫だとは思うのですけれども、今後とも是非よろしくお願いしたいと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。これはPECが大分低いので、特にオキソン体を考慮したモニタリングということは、とりあえず書かないでよろしいと思う、ということでよろしいですか。登録基準値(案)は原体が対象であり、オキソン体も考慮したわけではないですね。環境管理が必要な場合には、オキソン体も測るべきであるというご指摘だと思いますが。登録基準値(案)につきましては、新しいADIをもとに策定するということでよろしいでしょうか。ほか、ご質問、ご意見があったら、お願いします。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいですか。ないようでしたら、登録基準値(案)を0.0071mg/Lとします。水濁PECはこれを超えていないということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、これは事務局案どおりということで了承したとさせていただきます。
 では続きまして、次の剤、お願いします。

【上迫室長補佐】 では15ページ目、フロルピラウキシフェンベンジルの説明に入らせていただきます。
 こちらの剤は合成オーキシン系の除草剤(アリルピコリネート系)でございます。その作用機構はその植物ホルモンのオーキシン類似の作用により植物ホルモン作用を攪乱させ、生育を妨げることにより雑草を枯死させると考えられております。
 本邦では未登録ですが、適用農作物を稲とする水和剤として登録申請されております。
 各種物性等については、16ページ上段のとおりです。
 同じページの下のところ、安全性評価でございます。一日摂取許容量(ADI)は8mg/㎏体重/日となっております。これは令和元年6月4日付で食品安全委員会委員長から厚生労働大臣宛に通知されたものでございます。この値は、各試験で得られた無毒性量の最小値803mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 水濁PECの計算に移ります。先ほど申し上げましたとおり、粒剤そして適用農作物は稲として登録申請が出されております。したがいまして、水田使用時のPEC第1段階を計算しております。総使用回数は3回となっております。水濁PECの算出結果は下にございますとおり0.0060mg/Lとなっております。
 18ページ目、総合評価でございます。ADIから導き出される登録基準値(案)が21mg/Lでございます。水質に関する基準値等はございません。水濁PECは0.0060㎎/Lでございますので、登録基準値(案)の21mg/Lを超えないことを確認しております。
 こちらの剤については、以上でございます。

【白石委員長】 では、まず毒性の面からコメントをお願いします。

【浅野臨時委員】 本剤の投与により認められる主な影響は体重の軽度の増加抑制です。これはマウスで認められたもので、毒性はこれのみです。神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性、遺伝毒性及び免疫毒性も認められておりません。また、急性毒性も低く、非常に高い用量の5,000mg/㎏という投与限界ぐらいまで投与しても死亡例はなく、症状も認められないという剤です。
 反復投与毒性試験においても、イヌ、ラットの試験では最高用量まで毒性所見が全く認められておりません。唯一マウスで1,010mg/Lを投与した場合に体重増加抑制及び摂餌量減少が認められました。この所見が認められたマウスの発がん性試験における無毒性量の最小値が803mg/㎏体重/日で、これを100で除して、ADIとしては高い数字である8mg/㎏体重/日となっております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。ご意見、ご質問をお願いします。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 特にご意見はないようですので、18ページの総合評価をご確認ください。登録基準値(案)を21mg/Lとします。水濁PECは非常に小さい数字ですが、基準値(案)を超えていないことを確認したということでよろしいでしょうか。PECのほう、よろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 特に問題ないと。では、これは事務局案どおりとさせていただきます。ありがとうございました。
 では最後になりますが、メチルテトラプロールをお願いします。

【野口係員】 続いて19ページ、メチルテトラプロールについてご説明いたします。
 物質概要についてはこちらの表にお示しのとおりです。
 作用機序ですが、メチルテトラプロールは殺菌剤で、ミトコンドリア内膜電子伝達系の複合体ⅢのQ0サイトを阻害することによる呼吸阻害、つまりミトコンドリアによる主要なエネルギー生産の過程を阻害するものとなっております。
 こちらは新規剤で、果樹等を適用とする水和剤が登録申請されています。
 次のページに移りまして、各種物性等はこちらに記載のとおりとなっております。
 安全性評価ですが、食品安全委員会が今年の7月30日付で、ADIを2.5mg/㎏体重/日と設定する通知を厚生労働省に発出しておりまして、この値は無毒性量の最小値250mg/㎏体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続いて次のページ、21ページですが、水濁PECの算出ですが、適用農作物を果樹としまして、表に記載の条件で算出したところ、算出結果としては非水田の第1段階で0.000062mg/Lとなっております。
 最後のページ、総合評価ですが、ADIの2.5mg/㎏体重/日をもとに、こちらの算出式により算出した結果、6.6mg/Lを登録基準値(案)として提案させていただいております。
 リスク評価ですが、水濁PECの0.000062mg/Lに対し、登録基準値(案)が6.6mg/Lですので、基準値(案)を超えていないことを確認しております。
 ご説明は以上となります。

【白石委員長】 では毒性の面からコメントをお願いします。

【浅野臨時委員】 本剤も動物を用いた毒性試験では、毒性の非常に弱い剤となっています。急性毒性の2,000mg/㎏を超えても死亡例、症状はありません。また、ラット、マウス、イヌを用いた反復投与毒性試験では、最高用量まで毒性所見が認められておりません。唯一ウサギ発生毒性試験の中で摂餌量減少が認められましたけれども、そのときの無毒性量が250mg/㎏体重/日ですので、これを100で除した2.5mg/㎏体重/日がADIとなっております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。これも毒性が弱い剤ということですが、ご質問、ご意見をお願いします。よろしいでしょうか。新規の剤。水濁PECもよろしいですね。

(異議なし)

【白石委員長】 特にご質問、ご意見がないようでしたら、22ページの総合評価をご確認いただきたいと思います。登録基準値(案)を6.6mg/Lとすること。水濁PECは基準値(案)を超えていないということ。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、メチルテトラプロールにつきましても、事務局案どおりとさせていただきます。ありがとうございました。
 全体を通じて何かコメントはございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、以上で水質汚濁に係る農薬登録基準の設定についての審議を終了します。
 事務局より本件に関する今後の予定について説明をお願いします。

【野口係員】 本日ご了解いただきました農薬の登録基準(案)につきましては、行政手続法の規定に基づき、今後パブリックコメントを1か月ほど実施します。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合には、農薬小委員会で再度審議を行うかどうか委員長にご相談をして、ご判断いただくこととしたいと思います。
 再審議が必要ない場合には、土壌農薬部会長の同意をもって中央環境審議会長に土壌農薬部会決定として報告を行い、さらに中央環境審議会長の同意を得られれば、中央環境審議会決定として環境大臣に対して答申していただくこととなります。そして答申後、(環境大臣の決定を経て)基準値を告示させていただきます。
 以上となります。

【白石委員長】 今後の予定について、ご質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは次に議事の3、その他に移ります。案件は1件とのことです。事務局より説明をお願いします。

【野口係員】 それでは資料6と7についてご説明いたします。同じ内容となっておりますので、資料6をご覧ください。
 本件は6月17日、前回の小委員会で審議されました「水産動植物の被害防止に係る農薬登録基準値(案)」及び「水質汚濁に係る農薬登録基準値(案)」についてパブリックコメントを募集した結果の回答(案)となっております。資料6が水産、資料7が水濁、それぞれの内容となっております。
 それぞれについて1件、本件に関係のあるご意見が寄せられました。表現は多少違うのですが、両意見とも同様の内容となっておりますので、資料6に沿ってご説明させていただきます。
 2ページ目ですが、基準値の緩和には反対というご意見をいただいております。回答案としましては、記載のとおり、登録基準の設定に際する基本的な考え方と、今回提案した基準値(案)が基準値を見直すものではなく、新たに設定するものであり、緩和するものではないということを説明しております。
 資料7、水濁基準についても同様の回答となっておりますので、ご確認をお願いいたします。
 また、今後の流れについてですが、今後省内での手続をいたしまして、基準値を定める告示と今回ご確認いただいたパブリックコメントへの回答を同日付で公布、公開することとなっております。
 説明は以上でございます。

【白石委員長】 では、ただいまの説明に対してご意見、ご質問がありましたら、お願いします。よろしいでしょうか。寄せられたご意見に対する考え方として記されております。これでよろしいですか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようですので、パブリックコメントの結果につきましてはこれで公表するということにいたします。
 それでは本日の審議は一通り終了しましたので、その他本日の審議全体につきまして、何かご意見、ご質問がありましたら、お願いします。

【上迫室長補佐】 よろしいでしょうか。先ほどたばこのha当たりの株数についてご質問がございましたが、手元の資料でご説明をさせていただきますと、平成23年の府県別の耕作データがございまして、要は実績値でございます。この府県別データを加重平均いたしまして、10a当たりの株数2,200、すなわちha当たり22,000株と導き出しております。

【白石委員長】 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。今の回答でよろしいですか。ありがとうございます。ほかご質問、あるいはご意見、言い忘れたことがございましたらお願いします。
 特にご意見等がなければ、進行を事務局にお返しします。

【浜谷室長】 白石委員長、ありがとうございました。
 委員の皆様方には長時間のご審議ありがとうございました。まだまだ初歩的なチェック漏れ等ございまして、自戒しつつ、また明日から次回の小委に向けて準備をしたいと思います。
 次回の日程につきましては、11月12日火曜日の1時半から予定しております。近くになりましたら、またご案内を差し上げますので、ご出席をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、第71回土壌農薬部会農薬小委員会を終了させていただきます。今日はどうもありがとうございました。