中央環境審議会水環境部会水生生物保全排水規制等専門委員会(第4回) 議事録

日時

平成18年2月14日開催

場所

環境省水・大気環境局水環境課


議事録

午後1時30分 開会

○村山水環境管理課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第4回水生生物保全排水規制等専門委員会を開催いたします。
 本日は、委員11名のうち、現在のところ9名の方がご出席いただいております。既に専門委員会開催の定足数を満たしております。
 なお、今回は委員11名全員が出席の予定をなっておりまして、大塚先生につきましては、都合により少し遅れてこちらの方に来るという情報が入っております。
 それでは、議事に入ります前に、本日お配りいたしました資料の確認をお願いします。
 本日の配付資料は、資料1から資料5ほかとなっておりまして、資料4につきましては4-1から4-3となっております。あと、今回参考資料がたくさんついておりまして、参考資料の1から17となっております。
 若干、資料の数が多いですけれども、不足等ございましたらお願いいたします。
 それではないようでございましたら、早速、議事に入らせていただきます。
 なお、本日の審議につきましては、委員長を初め、関係者のスケジュールの関係から、当初16時までを予定していましたが、15時40分には終了させていただきたいと思いますので、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事運営規則に従いまして、本専門委員会の委員長でいらっしゃいます松尾先生に今後の議事進行をお願いいたします。

○松尾委員長 どうも皆さん、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。
 第4回ということになりましたが、ひとつよろしくご審議の方お願いしたいと思います。
 それでは、きょう3時40分までということで、非常に限られた時間でありますけれども、きょうの機会を有効に使わせていただきたいと思います。
 まず、議題に従って進めていきたいと思いますが、最初が前回議事録の案についてということであります。資料2になっております。前回議事録(案)が準備されています。本資料は委員の先生方にはあらかじめご確認をいただいた後に、事務局で修正して、再度また確認していただきたい資料でございますので、ここでご了解をいただくということで進めたいと思いますが、ご異議ありませんでしょうか。一度見ていただいて、それを直して、それも確認していただいているという趣旨であります。また、再度お気になるところあるかもしれませんが、一応この線で進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 もし、特に何かありましたら、終わるまでにご提示いただければ、若干の修正は可能だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。これを前回議事録といたしますので、公開の手順を事務局で進めていただきたいと思います。
 それでは、本日はこの水生生物保全の排水規制にかかわる議論の中で、その排水を出す方といいましょうか、あるいはそれを処理して出さなければいけないそういう立場に立たれる方々の、いろいろな意味での技術的な問題とか、現状の課題とか、そういうことも直接お話を伺って、我々の考える参考にさせていただこうという趣旨で、関係の方々においでいただいているわけであります。
 最初に、産業界の皆様ということでありますけれども、経済産業省の方から亜鉛の排出の実態について、我が国の鉱害、鉱山の鉱ですね、鉱害防止政策についてということで、経済産業省の方からご説明をいただきたいと思います。
 それで、時間ですが、おおよそ10分ということでよろしいでしょうか。非常に限られた時間になりますが、ぜひその範囲でおまとめいただきたいと思います。よろしくお願いします。卒論発表のようにベルなどは鳴らしませんけれども、10分でぜひよろしくお願いしたいと思います。

○経済産業省鉱山保安課 経済産業省鉱山保安課の折田でございます。よろしくお願いします。
 本日は休廃止鉱山に対する鉱害防止対策ということで、ご説明したいと思います。本日、時間が限られておりますので、目次のところでございますけれども、5つの項目に焦点を絞った形でご説明したいと考えております。
 まず初めにごく簡単に、我が国の鉱山の現状として、鉱山数などの基礎的なデータを紹介いたしまして、その次に実際実施しております鉱害防止対策はどういうものであるか、それから国の鉱害防止施策、具体的にはその法律上の規制、それから財政的な支援策を行っておりますので、補助金制度についてご紹介したいと思います。
 最後に改正鉱山保安法の概要でございますけれども、一昨年、40年ぶりに鉱山保安法を改正しておりまして、この改正鉱山保安法では鉱害防止施策に関する事項については、変更点はございません。ただ、それでは40年ぶりの改正されたものがどういうものであるかというような興味を持たれる方がいらっしゃるかも知れないということで、ご参考までに資料を用意しております。ですので、時間的な余裕があれば5.の改正法のところまで説明したいと思います。
 次のページを開いていただきたいと思います。我が国の鉱山の現状ということで、この絵、奈良の大仏でございますけれども、この絵を紹介しているのは、日本の鉱山の歴史が非常に古いものであるというのをご理解していただきたいということで添付しております。奈良時代と申しますと、西暦700年代でございますので、1,300年以上前から金、銅とか水銀などを採掘して製錬して大仏像を製造したということになります。一説には、日本には休廃止鉱山を含めた鉱山数は6,000から7,000鉱山あったと言われております。現在、どの程度の鉱山を監督しているかというのが、下の方の鉱山数のところにあります。稼行中というのが操業中の鉱山数でございまして、それが635、それから監督部が定期的に休廃止鉱山をウォッチしなければいけないという鉱山が同じ数ぐらいの625あります。
 中身を見ていただければおわかりかと思いますけれども、稼行鉱山の約半分が石灰石鉱山です。一方、休廃止鉱山につきましては、半分がメタルの鉱山という状況になっております。
 次の3ページのところは、経済産業省ではどういうセクションが監督しているかということを示すもので、経済産業省は内局、外局、それから地方局、3つに分かれておりまして、外局の中に資源エネルギー庁というところがありまして、その特別機関ということで私がおります原子力安全・保安院というのがございます。生産部門を担当しているのが資源エネルギー庁の資源・燃料部のところでございまして、保安関係のところが原子力安全・保安院のところで担当しております。このところで特徴的なものは、鉱山保安監督は一般産業の保安監督と大きく違う点がございまして、1番大きな点は、実際の鉱山の監督というのは、全国に産業保安監督部というところで監督しておるんですけれども、そこでは鉱務監督官という者が実際に監督を行っています。鉱務監督官というのは、特別司法警察職員でございまして、一般的には法律違反がある場合には県警に告発というスタイルを執りますけれども、いわゆる鉱山保安法違反に限ったことではありますけれども、違反事項があれば鉱務監督官が検察官への送致ができるというような権限を持っております。
 下の方の2.の鉱害防止対策の概要でございますが、どういうような鉱害防止対策をやっているかということで、大きく3つの対策を講じております。発生源対策、それから坑廃水処理対策、それから農用地土壌汚染対策でございます。
 鉱山というのは、一般産業とは異なっておりまして、生産活動を止めた後でも鉱害が発生するというような特殊性があります。いわゆる一般産業ですと生産をストップするとその鉱害の発生源がなくなりますけれども、鉱山というものは悪い水が出てくるということで、悪い水の対策を講じなければいけないということがあります。その悪い水が出てくる可能性のあるものが2つございまして、坑道からと堆積場からでございます。1つ目の発生源対策というのは、その坑道なり堆積場に対して、悪い水が出ないような鉱害防止工事を行うことであります。坑道の閉そく工事とか、堆積場の覆土、植栽を行っても、なお悪い水が出てくる場合にはその次のステップであります坑廃水処理事業をやらなければいけないというふうになっております。
 最後に土壌汚染対策でございますけれども、これはいわゆる坑廃水を未処理のまま排出すると、坑廃水の中にはカドミウムとかそれから砒素とか、そういうような重金属が含まれておりますので、水田等のところに蓄積して農作物に悪さをするということになります。農用地の方は、別途、法律がございまして、農用地土壌汚染防止法というのがございまして、そちらの方で対策を講じられております。鉱山保安法では2つの発生源対策、それから水処理対策を講じているところであります。
 続きまして4ページ目の法律上どういうものをやっているかということについてご説明したいと思います。
 金属鉱業等鉱害対策特別措置法、ちょっと長ったらしい名称でございますので、特措法という形で省略をした形でご紹介したいと思います。鉱山保安課は2本法律を持っておりまして、鉱山保安法とそれから特措法でございまして、鉱山保安法と特措法の違いを簡単に紹介いたしますと、いわゆる鉱山保安法というのは、操業中の鉱山に重点を置いた規制法でございまして、それでは処理できない課題が、具体的には休廃止鉱山にある蓄積鉱害をいかに解消していくべきかというような課題が、昭和40年代ころ顕在化されまして、これら蓄積した鉱害を計画的に確実に処理するために、鉱山保安法の特別法ということで昭和48年に制定しております。
 内容的には黒丸で4点ほど掲げておりますけれども、昭和48年制定時に基本方針、それから積立金制度を行いまして、平成4年改正のときに基金制度とそれから指定機関が導入されております。この4つのキーワードをご理解いただければ、特措法の全体像を理解していただけると思います。

○松尾委員長 すみません。時間が9分ぐらいもうたっていますんで。要点だけにしてください。

○経済産業省鉱山保安課 すみません。では、特措法のところは省略しまして、7ページ目のところに休廃止補助金制度がございますので、そちらの方を説明したいと思います。
 鉱害防止工事は、PPPの原則によりまして汚染原因者が鉱害防止を行うことになっていますが、いわゆる休廃止鉱山に対しては汚染原因者がいなくなった場合には、国が財政的な支援を行っています。これには2つのスキームがございまして、鉱害防止の義務者がいる場合といない場合の2つのパターンがございます。義務者がいない場合は、地方公共団体が実施主体となって行うものでありまして、それに対して国が4分の3の補助を行っています。義務者がいる場合には、いわゆる自己汚染以外の他者汚染、自然汚染部分に対して国と県が補助を行っているという状況でございます。
 8ページ目のところが最近の予算額の推移を示していますが、最近の厳しい財政事情のもとで減少している状況になっております。5.の改正鉱山保安法については、冒頭申し上げましたとおり、鉱害防止施策には変更はございませんので割愛させていただきたいと思います。
 時間をオーバーいたしまして、申し訳ありませんでした。

○松尾委員長 いや、結構です。それでは、委員の方々の今のご説明に対してご質問ございますか。

○平沢委員 どうもありがとうございました。本当はもっと聞きたいところがあったんですけれども、初めの方の話が長くてポイントはわからなかったんですけれども、結局この委員会では亜鉛の問題があって、ここに関連するということでやっていただくんだと思うんですけれども、亜鉛の排出の実態とかそういうのは十分に把握されているのかというのと、具体的に先ほど排出処理対策をされると言いましたけれども、どういう規制に基づいてどういう対策をされている、その実態を教えていただければと思うんですけれども。

○経済産業省鉱山保安課 まず亜鉛の実態につきましては、この後、産業界の方から、日本鉱業協会の方から具体的な数値を上げた形でのご紹介があるということですので、私のところではあえて省かせていただいております。亜鉛に限らず、重金属に関しましてはいわゆる鉱山保安法に基づいて水質汚濁防止法と同等の規制がなされておりまして、それをクリアしなければなりません。当然、基準をオーバーしたら鉱山保安法違反という形でチェックしていくことになります。廃止鉱山の場合には鉱山保安法がかかりませんけれども、先ほど申し上げました休廃止補助金において、その交付要件として水濁法の排水基準をクリアできることを交付の条件に挙げておりますので、廃止鉱山に対しても排水規制と同等の規制を行っています。実態上は規制を行っているということになるかと思います。

○平沢委員 別に超過事例とかそういうのはないという。

○経済産業省鉱山保安課 pHとかそういうのはありますけれども、亜鉛でオーバーしたというのは聞いてはおりません。

○平沢委員 どうもありがとうございました。

○松尾委員長 ほかには、あと一つぐらいはいいと思いますが。

○宮委員 最初に鉱山の歴史が非常に古く、今、課で把握している以上に6,000から7,000くらいあったと言われているというお話でしたが、そういう古い鉱山からの汚染というのは、実際にあるのかどうかということと、先ほど、義務者存在分のところで、自然汚染というような言葉が使われておりましたけれども、そういう分類に入れられているのかどうか、お聞きしたい。

○経済産業省鉱山保安課 2ページ目のところに鉱種別の鉱山数があり、休廃止鉱山数を上げています。注意書きのところで休廃止鉱山数について書いてございますけれども、要するに、地方の監督部が定期的に検査等をしなければいけないというような要チェックの鉱山数がそれほどあるということで、昔は6,000、7,000の休廃止鉱山を含めた鉱山があったと言われておりますけれども、それをすべてやらなくても、現在のところはメタル鉱山ですと三百強の鉱山を定期的に検査すればいいという状況になっています。
 それから、自然汚染については、まさに休止状態になったときに、当然ながら自己汚染分の場合は、その汚染者負担の原則に則って、その鉱業権者が負担するんですけれども、他の者が掘ったものとか、それから自然に由来する汚染については、国が財政的な支援を行わなければいけないということで、その部分に対して補助を行っているということですので、その自然汚染分がその鉱山数とは一致していないことになります。

○松尾委員長 ありがとうございました。今の関連で1つだけ、7ページの補助金のスキームがございますね。そうするとこの義務者不在分のときは、地方公共団体が処理をするんですか。処理の責任主体になるわけですか。

○経済産業省鉱山保安課 そうです。ですから、事業主体が地方公共団体になりますので、もし規制が強化されて、明らかに基準をオーバーして、水処理をしても基準をオーバーするというような事案に対しては、国としては補助金は交付できないということになるかと思います。

○松尾委員長 補助金は交付できない。

○経済産業省鉱山保安課 あくまでも補助金の交付というのは、鉱害の防止を目的にしていますので、明らかに交付申請する前の段階から水処理が規制値をオーバーするような事案に対しては、そもそも交付の目的に合致いたしませんので、そういうような事案に対しては補助金の交付は行わないことになります。また横道にそれてしまいましたが、最初の質問ですが、廃止鉱山については県の方が責任を持って処理を行うということになります。

○松尾委員長 わかりました。よろしいでしょうか。
 どうぞ。簡単に言ってください。

○酒井委員 今の補助金のスキームで、これは設置工事の方でオペレーション、運転の方に対しては補助とか交付金だとかという財政措置はあるんでしょうか。

○経済産業省鉱山保安課 休廃止補助金の中には、坑口の閉そく工事とか、堆積場の覆土・植栽とか、それから水処理事業がありますが、水処理事業の中にはそのランニングコストも含まれております。

○松尾委員長 ありがとうございました。もう少しいろいろ伺わなければいけないかもしれませんが、また別の形で事務局等からご説明いただくことになるかもしれません。よろしくお願いします。

○経済産業省鉱山保安課 どうもありがとうございました。

○松尾委員長 それでは今のような、非常に時間が短い中ですので、ひとつよろしくご協力いただきたいと思いますが、資料4-1、4-2、4-3まででしょうか、3つになりますかね。最初が溶融亜鉛めっきの排水処理、それから電気めっき事業所の亜鉛排水の状況、それから日本鉄鋼連盟の資料というのがございますが、それぞれ10分ずつご説明いただいた後で、まとめて質問の時間をとりたいと思います。これからの資料4については、それぞれ10分の範囲でご説明いただきたいと思います。その後、関連の質問を皆さんにしていただけたらいいと思いますので、そういうことで進めたいと思います。
 それでは最初に、溶融亜鉛めっきの排水処理についてということで、日本溶融亜鉛鍍金協会の方から、ご説明いただきます。よろしくお願いします。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 日本溶融亜鉛鍍金協会でございます。私、説明させていただきます遠田と申します。どうぞよろしくお願いします。
 日本溶融亜鉛鍍金協会でございますけれども、全国の会員数が現在86社でございます。ほとんどが中小企業でございまして、非常に小規模な業界でございますけれども、こういうプレゼンの機会を、本日与えていただくことに非常に感謝いたします。
 時間制限がありますから、早速説明に入りたいと思います。資料は4-1でお手元に配付されていると思いますが、本日はこちらのプロジェクターを使って、資料にない写真とか、グラフも一応入れていますので、これを使ってご説明させていただきたいと思っております。それでは、始めさせていただきます。
 本日ご説明する内容でございますけれども、溶融亜鉛めっきの排水処理についてという題で、最初に溶融亜鉛めっきというのはどういうものかという概要を簡単に説明させてもらいたいと思っています。それから加工プロセスを説明させていただいて、それからどういう製品にめっきが使われているかという製品の紹介を簡単にさせていただいて、本題にあります排水中の亜鉛の濃度、この辺の資料とそれから分布についてはお手元の配付資料の中にも入っております。それと排水処理の設備の実態でございます。それから、実態のまとめをして、最後に排水規制値に対する意見ということで述べさせていただきたいと思っております。
 概要でございます。溶融亜鉛めっきは目的としまして、いわゆる鉄の防錆でございます。非常に有効で経済的に優れた鉄の防錆処理であるということ。したがいまして、鋼構造物に質的向上をもたらし、社会資本の充実と省資源化への寄与が非常に大きいというものでございます。
 生産量と亜鉛の消費量でございます。生産量が我々の業界の集計をしますと、年々減っておりまして、平成16年度で147万トンでございます。亜鉛の消費につきましては、めっきとして付着して消費される亜鉛、これは大体生産量の5パーセント程度でございます。したがいまして、16年度で見ますと7万4,000トンぐらいの亜鉛を消費しているという実態でございます。
 加工プロセスでございますけれども、右上から入荷がありまして、それから脱脂、水洗、酸洗、そして水洗、フラックス、めっき、冷却というプロセスでございます。ここで亜鉛を含む排水が発生するのが、脱脂の水洗工程、酸洗の水洗工程、そしてめっき後の冷却工程で、主にこの3工程から排水が出てまいります。
 製品の用途を簡単に説明いたします。建築関係でございますけれども、屋内プールの鉄骨関係、それから立体駐車場でございます。スキージャンプのジャンプ台、こういう鉄骨にもめっきが採用されております。それから昆虫館、あるいは植物館や温室でも使われております。
 電力・通信関係ですと、ご存じのように送電鉄塔関係は100パーセント溶融亜鉛めっきでございます。それから最近ではメディアタワー、これは横浜メディアタワーですけれども、いわゆる携帯電話とかそういう通信関係でも採用されております。
 道路・鉄道関係で、これは鉄道架線金物ですね。鉄道架線金物は100パーセント溶融亜鉛めっきでございまして、最近では駅舎の鉄骨関係もめっきされているのもあります。
 それから道路関係ですと、防音壁、それから標識柱、ガードレール等はほとんど溶融亜鉛めっきでございます。
 本題であります排水中の亜鉛濃度でございます。我々、会員からアンケートをとりまして、主な5つの事業所に絞りまして紹介させていただきたいと思います。亜鉛の濃度につきましては、この表はお手元の資料にも載せてございますけれども、全く同じものでございます。a事業所、b事業所、c事業所、d事業所、e事業所と5つの事業所がございまして、a、bにつきましては比較的亜鉛の濃度が、最大値で1.2、0.73と低く、特にb事業所は非常に小さい値になっております。ここはちょっと排水処理の方法が違いまして、特殊な処理をしているという関係で、非常に低い値になっています。これについては後ほどご説明いたします。c、d、e事業所につきましては、亜鉛の最大値がcは2.2、dは4.9、e事業所が4.1と比較的高い数値になっております。なお、a事業所は一応上乗せ規制がかかっていると聞いております。また会員の中には下水道放流の事業所が多く、下水道放流の場合はやはり多少亜鉛の濃度が高い事業所が多い傾向にございます。これらのデータをグラフであらわすとこのようになります。
 事業所ごとの亜鉛濃度の推移、変化をグラフ化したものでございます。a事業所は比較的に低く安定しており、b事業所につきましては、特殊な高度処理をしていますので、非常に低い値になっています。高度処理については後で説明します。c事業所につきましては、時々2前後の値が出ています。d事業所につきましては、3mg/l以上の最大値がかなりありますし、時には4を超え、5に近いようなデータもございます。e事業所も大体、2を超えているデータが多く、時々3や4を超える値が出ています。時々こういう高い値が出る理由としましては前処理工程で例えばろ過機を使っていまして、それの逆洗した水とか、冷却水を更新するときに大量の亜鉛を含んだ水が排水処理場へ流れ込んでくるとか、そういうときにピークを迎えるというような現状でございます。
 排水処理設備につきましては、一般的な中和凝集沈殿処理をほとんどの会員が採用しております。原水があって、中和、凝集、pH調整して放流するという、一般的な処理でございます。先ほどb事業所でご説明しました高度化処理ですが、亜鉛をさらに落とすための高度な処理で、中和して二次酸化を設け、さらに最終pH調整の後にろ過をして、キレートを通すというイオン交換をして放流する設備をつければ、更に亜鉛を落とすことができるというものございます。
 排水処理の実態のまとめとしまして、我々の業界の中では1日50m3以上の事業所が大体55パーセントを占めており、下水道放流が約半分であります。そして、排水中の亜鉛の濃度でございますけれども、多くが最大値は3から5になっています。大体排水処理設備そのものが3から5を目標にして設計した設備になっておりますので、どうしてもこういう数字が出てまいります。高度化処理をするには、先ほど言いましたようにキレート等を増設すれば可能でございますけれども、実際のところ我々中小企業にとってはその設備投資はままならない、非常に厳しい現実があるということになります。
 処理コストとしましては、1例でございますけれども、大体時間12m3ぐらいの処理で増設コストが初期費用として2,200万ぐらいかかるという概算でございます。この辺の詳細につきましては資料の中にも載せてございます。
 最後に、排水処理規制値に対する意見ということで3点ほど述べさせていただきます。先ほどから繰り返しますけれども、中小・零細企業の多い我々業界としましては、高額な設備投資というものはもう死活問題であるということをご理解いただきたいと思います。それから排水中の亜鉛の許容濃度としましては、排水処理設備の多くが3から5の設計で設備されていますので、やはり5、許容限度は5を希望したいというのが本音でございます。
 そして、従来から平均値の規制というお話も出ておりましたけれども、平均値になりますと、非常に測定頻度がふえるということになります。そうなると、また経済的な負担、人的な負担も大きくなりますので、これは避けて、最大値での規制をお願いしたいということでございます。
 以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

○松尾委員長 ありがとうございました。ご質問ございましょうか。

○土屋委員 資料4-1の2ページなんですけれども、亜鉛めっき加工のフローシートの中で、冷却のところですね、この冷却というのはどういうことをやるんでしょうか。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 溶融亜鉛めっきの場合は、大体450℃前後の溶融した亜鉛の中へ製品を入れますので、それを冷却するために大体40~50℃のお湯の中へ浸漬します。したがいまして、高温になるため冷却水中への亜鉛の溶出量が多いということでございます。

○松尾委員長 ほかにはどうでしょうか。

○平沢委員 キレートなんですけれども、ここで高度化処理で2段キレートを使っているんですけれども、これは何か意味があるんですか。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 キレートはキレート樹脂そのものを更新とかする場合、やはり2段でないと完全にとめるようになりますので、1段で流しながらバイパスでもう1段の樹脂を交換するとかですね。

○平沢委員 では吸着みたいにメリーゴーラウンドみたいなイメージなんですね。要するに取りかえるというか。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 そうです。

○平沢委員 それで実際に、これはどこかで一部の業者で実施はしているんですか。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 ええ。実は我々業界の中でも事情がございまして、1社そういう設備をつけているところがございます。そのデータが先ほどのb事業所のデータでございまして。

○平沢委員 それはただ上乗せかなんかかかっているから、いいわけですね。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 実は、その地域性がございまして、排水が河川には行くんですけれども、農業用水路を通って河川に流れるという特異性がございまして、やはり非常に亜鉛とかそういう重金属を落とさなければいけないという事情がありまして、あえてそういう設備をつけているということであります。

○平沢委員 ありがとうございました。

○酒井委員 一番最後に平均値と最大値のお話されたんですけれども、今は大体どのぐらい、年間でも月間でもそうなんですけれども、測定されているんでしょうか。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 測定値の数でございますか。

○酒井委員 測定頻度。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 各自治体の条例とか協定で、例えば月に1回とか月に3回とか、いろいろな頻度がございまして、実際に今回のデータも数年間のデータを載せていますけれども、それでもやっぱり少ないところで30前後のデータしかないとか、多いところで百幾つとか、その程度のデータでございます。

○中島委員 アンモニアフラックスつけてそれからめっきと冷却する際に、非常に飛まつがたくさん飛ぶことが多いかと思いますけれども、工場によってその処理が随分きちんとやっているところと、余りやらないところとあって、前、私、窒素を随分やったんですけれども、その排出量がやはり工場の処理、そういったプロセスにより随分違うんですけれども、亜鉛の場合もそういったことは記録されていらっしゃるんでしょうか。

○日本溶融亜鉛鍍金協会 溶融亜鉛めっきの場合は、工場によっては確かに、作業そのものは同じですけれども、やはり今おっしゃられたように飛散する亜鉛とかが冷却槽の中へ入り冷却水に溶出してきますので、事業所によってはその更新頻度を早めて、そういう余分な溶出を防ぐために回収するとか、そういうふうなことをしているところもありますし、そうでない事業所では亜鉛の溶出も大きくなるというように、事業所間の差は確かにあると思います。

○松尾委員長 ちょっと、質問は後でまとめてやろうと思っていたのだけれども、うっかりして質問を入れてしまいました。時間もあるので、まずご発表をいただいて、それからまとめて質問させていただきたいと思いますので、発表の時間の方を優先してとりたいと思います。よろしくご協力ください。
 それでは続きまして、4-2になりますが全国鍍金工業組合連合会の方からご発表いただきます。

○全国鍍金工業組合連合会 初めに発表時間なんですが、経団連さんの方から少しずつ削っていただいて、15分いただいておりますので、よろしくお願いします。
 全国鍍金工業組合連合会で、今度電気めっき業における亜鉛の排水実態について説明いたします。電気めっき業の概要をまず始めます。去年の4月現在で組合員数が1,878社でございます。従業員数、ちょうど3万人ぐらいです。このうち、亜鉛を排出している事業者が約1,000社ございます。
 亜鉛の排出源ですが、亜鉛めっき、それから亜鉛合金めっき、それから亜鉛めっきをやっていないほかのめっきをやっているところでも、素材に亜鉛ダイカスト素材、それから亜鉛の合金であるしんちゅう素材などを扱っているところから亜鉛が排出されます。代表的な亜鉛のめっきの工程なんですが、脱脂して酸処理して亜鉛めっき、あるいは亜鉛合金めっきをやって、酸処理、クロム化成処理というのをやります。ここで亜鉛めっきをやった後の酸処理で、亜鉛めっき被膜を溶かして、表面調整するという工程、それからクロムの化成処理という工程で亜鉛が溶け出します。これらの間の水洗水、それからこれらの処理液を定期的に更新しなければならないということで、これらの濃厚液が排出されます。
 処理の対象成分としては、亜鉛ほか種々の金属、それからいろいろなキレート剤成分もありますので、こういったCOD成分が対象となります。亜鉛めっき工場を初め、めっき工場の排水処理はほとんどもう99パーセント、この凝集沈殿処理でございます。亜鉛めっきの場合には先ほどありましたようにクロムの系統がありますし、シアンの系統、それから酸・アルカリ等、それぞれ処理した後にここで一括して凝集沈殿をやるということと、電気めっき業の排水処理では凝集沈殿するpH値が亜鉛以外の重金属類も勘案して設定されるというところが違います。
 過去2年間にわたりまして、全組合員を対象に年2回亜鉛濃度を測定してもらった結果を集計しております。去年の秋、春、その前の年の秋、全国で約、先ほど申し上げましたように1,000社ございますが、測定事業所数としては700社、あるいは800社程度が回答を寄せております。その結果がこのグラフでございます。このぐらいの回答のうちの6割が1ppm以下、4割が1ppm以上でございます。1,000社の4割とすると、この数字は全国の換算数でございます。1ppmを超えている事業者のうち、排水規制にかかっております50トン以上が3割、それから50トン以下が7割で、400社のうちの3割、120社が50トン以上で1ppmを超えているということになります。これら事業所の濃度の分布としては、約55パーセントが2ppmを超えております。それから31パーセントが3ppmを超えております。19パーセントは4ppmというものを超えております。
 ということで、さらにこれらの1を超えていて、50トン以上のところについて、詳細な調査を行っております。これは、50トン以上の排水量で1ppmを超えていた約90社に対して、過去2年間の全部の濃度測定データを出してくださいということで、集めた集計結果です。データ総数が2,495集まっております。これを回答のあった70で割りますと、1事業所、大体データ数として36データでございます。その事業所ごとの最大濃度が4を超えているところが約50パーセントございます。3を超えているところが61パーセント、2を超えているところが83パーセントございます。右側の表の数字は、これを50トン以上で1を超えているところは全国で120社あるだろうということで換算した数字でございます。それからいろいろなアンケートをしておりますが、規制値、今5ppmですが、それが3になったときに対応できますか、1になったら対応できますかというような聞き方をしておりまして、例えば3になった場合には約3割が対応できませんという回答になっております。それから1になると、もうほとんど90パーセントのところは対応できないというような回答になっております。
 これはそれぞれの事業所の最大濃度と事業の従業員数で規模を見たグラフでございます。最大濃度を見てみますと、3を超えているところがもう6割が30人以下ということです。それから8割が50人以下ということです。それから平均濃度を見ますと2ppmのところで8割が30人以下で、50人以下が100パーセントを占めているということでございます。
 このグラフは同じく1事業所ごとの平均濃度と最大濃度をプロットしたものです。これは何を言いたいかといいますと、例えば5ppmを守るためには、平均的に2.5ppm以下で管理しないと5をオーバーすることがあるということで、一般的にめっき事業所の排水としては、規制値の半分以下を目標に管理しないとオーバーすると言われているのとよく一致しているかなと思います。ですから、例えば規制値が4になれば、2を目標にしなければいけないと。2ppmを超えているところが40社ございます。例えば1ppmを守るためには90社がオーバーしているというようなデータでございます。今までの説明は、国の一律基準で50トン以上について説明いたしましたが、東京都や大阪府等の都市部の下水道地区では、上乗せ基準がありまして、東京都の場合は50トンという適用はございませんで、何トンでも5ppmという下水道の基準がございます。
 それから大阪府も下水道も含めてですが、30トン以上というすそ下げがございます。これも5ppmです。そのほか、静岡県がやはり50トン以下も全部5ppmが適用されるという地域がございます。これらについて調べてみたところ、東京都内で下水道放流で50トン以下で1ppm以上のところ、それから大阪府内で30トンから50トンの範囲で1ppmを超えているところの事業者数が東京都内で66社、府内で40社ございます。静岡県で約10社ございます。それらの濃度分布がこういった分布でございます。都内と大阪府内の事業規模を見ますと、この66社や40社のうち、10名以下というところで7割を占めてしまいます。それから20名以下で9割を占め、非常に都市部の狭歪なところでやっているところ、こういったところが例えば国の基準値が下がりますと、連動して今までの条例ではそれに連動しますので、これらのところがさらに対応を迫られるということになります。ヨーロッパあたりでは、電気めっき業は2ppmというのが規制値がございますが、ヨーロッパと違って日本のこういった零細なめっき業の立地条件が非常に違っておりまして、非常に手狭なところでやっているという実態がございます。
 最後に排水濃度の低減対策でございますが、これまで私ども公害対策に真摯に取り組んできておりまして、いろいろなことを取り組んでおります。例えば工程内の対策として、めっき液のくみ出し量の低減とか、工程内で回収できるものは回収する。それから多段向流水洗といって、後の水洗水を前の方の水洗水に回して節水をして、効率を上げるというようなこと。それから排水設備の対策としては、砂ろ過、今まで説明しました濃度の高かったところの約5割が砂ろ過設備をつけております。それから硫化物処理をやっているところが2割ほどございます。
 それから濃度の変動する要因の1つですが、最初に申し上げました工程内から濃厚液が定期的に排出される。これらの濃厚液を少しずつ排水に流して処理するというようなそういったきめの細かい管理をやるということが必要です。
 これらの対策をやったにもかかわらず、先ほど申し上げましたような濃度の高いところがあるということで、一等最初説明しましたように、約6割が1ppm以下でございます。1,000社あるうちの6割が1ppm以下でございます。そことの違いは何だろうということで、アンケート等でも回答をもらっているんですが、1つには亜鉛だけにターゲットを絞って、最適のpHに、凝集沈殿のpHに設定できないというその事業所特有のほかの金属の規制値等を勘案して決めておりますので、そういった事情がございます。それからキレート成分をかなり使っております。高かったところの約6割がキレート材が原因だというような回答をしております。ちなみに凝集沈殿の過去の文献を見ますと、これはビーカー試験でやったデータなんですが、いずれも100ppmのものをある最適のpH液でやっても、これはろ過も何にもしていない、上澄み液の濃度なんですが、過去の文献ですと、めっきの浴によっても違いますし、こういった値が残るというようなことで、亜鉛の両性金属ということと、コロイドは非常に細かいということで、こういったことになろうかと思います。
 それからもう一つは、排水全体に占める亜鉛の負荷が非常に高いという、高いところはみんな排水に亜鉛が約6割ぐらいを占めるというようなところが多いようです。
 それからもう一つは、先ほど言いました濃厚液を少しずつ処理すればいいんですが、クッション槽の能力がなくて、それができなくてとんと上がるというような、そういう事例が見られます。
 私ども、今後どういった対策を考えているかといいますと、1つには、私どもいろいろなめっきの薬品とか、資材の供給業者の機材工業会というのがございます。それから学会等の3者で日本表面処理団体協議会というものをつくっておりまして、そこでこういった環境問題について定期的な会合を開いて、議論をしております。そういったところと協力しながら、あるいは以前ですと、公設試なんかにめっきの排水の専門家の方がいらして、巡回指導などなされておりましたけれども、そういったことを復活していただけないのかなというようなことを要望したいと思います。
 以上でございます。

○松尾委員長 ありがとうございました。
 それでは続きまして、鉄鋼連盟の方からご説明いただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○日本経済団体連合会 経団連としてやはり3つの業界に出てきていただきましたので、時間、ご協力いたしますけれども、最初に一言だけ要望を述べさせていただいてよろしいでしょうか。
 経団連の環境管理ワーキンググループの座長をしております奥村と申します。右におりますのは鉄鋼連盟の正保です。それから日本化学工業協会の石崎でございます。それから鉱業協会の中山です。
 まず最初に、ちょっと要望を述べさせていただきたいんですが、先ほどから話に出ていますように、既に排水基準というのは5ppmで決まっておると。さらに地方自治体によっていろいろ上乗せの基準が設定されておると。こういった中で、我々も努力してきたわけなんですが、今回の排水規制の検討に当たりまして、お願いで手短に言います。
 まず1つは願望なんですが、亜鉛の排出源というのは多岐にわたっています。したがいまして、その排出源の実態をよく正確に把握していただいて、経済的、合理的な基準を検討いただきたいという願望です。それから2番目、これは小委員会報告にもありますけれども、最低限の許容濃度といいますか、シビルミニマムとこういった手法でいくべきではないか。それから3つ目、先ほどのご説明にもありましたが、鉱山の休廃止鉱山、これは対策が計画的に実施されておるということで、できれば現状維持をお願いしたいなと。それから4つ目、これはそれ相当の技術が必要かと思いますので、ぜひとも国の積極的な支援をいただきたいなと。
 以上でございます。

○松尾委員長 ありがとうございます。

○日本鉄鋼連盟 それでは引き続きまして、鉄鋼連盟の資料、ご説明をしたいと思います。
 A4の横になっておりますけれども、2つグラフございますが、これは亜鉛の使用工程を持ちます排水の分析結果ということで、いずれも海域への排水となってございます。上段のデータは月に2回の測定結果、下は月に1回の測定結果、いずれも行政報告のトレンドでございます。ランダムな採水の結果でありますので、これがマックスであるかミニマムであるかというのは、これからはわかりません。
 Aの工場の方を見ていただきますと、ばらつきを見ていくと、マックスは2.7弱、ミニマムで0.5弱ということで、大体平均値が1.5ぐらいになってございます。下のB工場の方はばらつきの方を見ますと、ミニマムは約0.5、マックスは約2.9ということで、平均は1.7から1.8ということでございます。
 私どもの業界で亜鉛の使用工程を持つ事業所のうち、先ほどありました3というレベル、オーバーをすることがあったものは約1割ぐらい、2をオーバーするという線で切りますと約2割ぐらいの事業所、1をオーバーすることがあったというものを見ると、やはり7割ぐらいの事業所がそういう実測値を持っているということでございます。ここにはデータはございませんが。
 裏のページにまいりまして、今のB工場の方の排水状況でございますけれども、こちらの工場は表面処理鋼板をつくってございます。専業の事業所でございまして、[2]にございますような生産量を製造してございます。プロセスのフローを下に[3]にございますけれども、物の流れが、材料の受け入れから乾燥の方まで、左から右に流れてまいります。材料を受け入れまして、脱脂して、洗ってやって、化成処理、ここはエッチングをしまして、亜鉛のめっきされたものをここで表面を溶かし出してやります。それを水洗して、湯洗して表面処理、次の表面処理に持っていくということで、強制的に亜鉛を溶かし出しますんで、そこの後の水洗、湯洗のところで亜鉛が流れ出してくるということになります。水の処理は縦に流れておりまして、廃水ピットが第1中和、第2中和、強制沈殿ということで処理をしてまいりまして、最終の排水口ではここでは約1日に300トンの排水を出しております。
 ということで、先ほど申しました繰り返しになりますけれども、この工場は化成処理で表面の亜鉛を溶出させて、粗さを加工した上で表面処理を行うということで、亜鉛が溶け出てしまうというプロセスになっておりまして、結果的には平均値で1.7から1.8程度の排水濃度になっております。ちなみに行政による上乗せ規定はここでは3ミリを受けているということでございます。
 今後の対策なんですけれども、まず考えられるのは薬剤の変更により対応の可能性を探るということでございますけれども、ちなみに検討していただいたんですけれども、薬剤の変更では対応ができないということが判明してございまして、この2つ目のぽつにございますように、もう1段の排水処理設備の増設、あるいはプロセスの変更が必要になってくるということを聞いてございます。
 以上でございます。

○松尾委員長 ありがとうございます。

○日本化学工業協会 次に化学工業協会のご説明をいたします。今回、ご提示いたしますのは、化学工業の中でも無機薬品協会、基本的に無機顔料を中心にする業界でございまして、ここの中に製品別需要、酸化亜鉛、ジンククロメート、塩化亜鉛、ステアリン酸亜鉛と、こういうものを各々生産量、及び用途についてここの1ページに書いてございます。このいわゆる業界自身が、量としてはかなりの量と用途を持っているんですが、会社数がそう多くはございません。ただし、各々の会社で一品だけをつくっているわけではない、亜鉛の製品だけをつくっているわけではないということがございまして、これで先ほどの溶融亜鉛と同じように、ほかの金属も入っているという工程が現実には起こっております。
 今回、亜鉛の問題で、2年にわたっていろいろな議論ございまして、各工場、代表的な工場を3つほど次のページに具体的なものを4、5、6という形でご説明をいたします。4ページ目の方は、1)ほぼ毎日実測させられている事業所です。既にこの事業所は、右下にありますように出てきた製品を洗う。底のところが沈殿層という格好でありますが、そこの沈殿層から出てくるものをくみ上げて、真ん中にある処理槽へ持っていくと。この槽で1回当たり処理するのが25立米、いわゆる25の水を何らかのpHの調整をして、ろ過をしてケーキを落としていくと。こういう工程を繰り返しているわけです。この工場は届出の排水量、右上にございますように、80とございまして、大体この工程を3回ぐらい繰り返すということでありますが、この工場の部分、実際にこの工場は既に環境省の方からご提示がありました先月……このページではないですけれども、基本的にはこの工場では銘柄がしょっちゅう変わるんですね。毎日毎日変わります。そのために、平均的なこれずっと見ていただくと、大体1.5ぐらいかもしれないんですが、低いときは0.3、0.4、高いときは3近辺をうろつくという格好で、結局pHがほかの銘柄との絡みで必ずしも亜鉛だけのために調整できないという問題を抱えているために、なかなか一定しない。それも銘柄自身も注文生産である。オーダーがかかったらすぐに生産してということが、この2ページ目のところです。
 次のページ、3ページ目、この工場は毎週測定している工場の実例です。[1]は大体1日当たりの濃度変動という形で、調査日2005年10月時点では環境省様の方の立ち入りがございまして、1日当たりの変動の実績をとられている工場です。これ見ていただきますと、朝から夕方まで、余りこの日は変わっていない。しかし、下の[2]の方を見ていただきますと、1年間の変動を毎週見てみると、でこぼこしている。結局ここも、ユーザー要求によって銘柄が変わるといろいろな排水濃度が変わってしまう。なおかつ、先ほど言いましたように、10月の時点は割に低いところのデータをとらえていると。大体2以下でございましたから、実際はこれ見ると、2以下というところもあるんだけれども、高いときはやっぱり2以上のところも結構あって、必ずしも安定できるかというと、非常に難しい部分が現在も残っていると。
 最後の4ページです。4ページは同じ問題を今までは月1回でやってきたんですけれども、これも1カ月ぶっ続けでやってみようという格好でとったグラフです。これはたまたまこれ2004年か2005年かな。10月に1カ月間やったデータです。[1]は2002年から2004年のトレンドです。ここを見ていただくと、平均的にはみんな低いんだけれども、確かに月1回ぼこぼこっと上がるときがあって、これもなかなか決められない。ただし、このぼこっと上がるのは、このときはたまたま月1回だったんで、本当に1カ月間集中的にやったらどうかというのが[2]の方ですね。2005年2月から4月に短期的にとってみた。そうするとこれも1)にあるように、必ずしも一定ではないと。この工程は右の下にありますように中和槽というpH調節槽を2段で構えている槽です。2段で構えていて、何らかのpHをコントロールしながらやっている、そういう工場なのに、なかなかやっぱりきれいに一定にはならない。ましてや今度最大時をどうしようかという形になりますから、例えば3を最大値とすると、先ほどあるように平均的には1.5ぐらいにしなくてはいけないのかもしれない。そうしないと、最大の管理というのはもう設備設計に物すごく影響を及ぼしますので、今のところどうしたらいいのか。皆さんお困りになっているのは、全体的な中和槽の組み立て方あるいはこれの設備をもう1段増強するか、何か抜本的に考え直さないと今のままでは対応不可能ということです。

○松尾委員長 すみません。ちょっとまとめていただけますか。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 もうあと一つ、日本鉱業協会でありますが、よろしくお願いします。

○日本鉱業協会 それでは、日本鉱業協会の方から、非鉄金属鉱業の排水中亜鉛の状況ということで説明いたします。
 まず、非鉄金属に関する排水といたしましては、以下のように分類されています。まず1つは製錬所から排出される排水があります。ただし、製錬所につきましては、かつて鉱山をやっておりまして、その鉱山から来る水、排水、それをあわせて処理するというのでございます。私どもではこれを合併処理というふうな言い方で呼んでおります。もう一つは、鉱山並びに休廃止鉱山から来る排水というのがあります。これは先ほど鉱山保安課の方からもご説明ありましたように、鉱山から、坑内とかそういったところの水が来るわけですけれども、採掘終了後も引き続き坑内、堆積場とかなんかから重金属を含んだ水が出てくるということで、これは鉱害防止のために処理をしなければならないというふうな場合もございます。この点が鉱業と他の産業の大きく違うというところになります。
 次に排水の実態について説明いたします。まず、製錬所の方でございますけれども、排出源としましては、製錬所の工程水ですとか、場内水、一部鉱山からの排水も処理することもあるというふうになります。排水の実態といたしまして、表の1に製錬所、銅、鉛、亜鉛とかそういうものを製錬所、国内19ほどでございますけれども、その中から6例ほど示しております。上の3つは普通の、普通のといいますか、鉱山からの水のない普通の製錬所でございます。下の3カ所については鉱山からの水も来る製錬所というふうになっております。
 ここにそれぞれの16年度の測定した場合の最小、最大、それの単純平均値を示しております。最大値でございますけれども、最大値が1以下というところが大体60パーセント弱、それから1から2ないし3の最大値を示すところは30パーセントぐらい。残り10パーセントぐらいが3をちょっと超えるというふうな値を示しております。
 次に図の1の方にはその中から3カ所でございますけれども、排水中の亜鉛の濃度の分布、それぞれ1以下、1から2、それから2から3、3を超えるものということでどれぐらいの頻度で出てくるかというのを示しております。これを見ていただきますと、Bの製錬所の場合には最大値では1.8となっておりますけれども、大半は1以下になっておるというふうなことを示しております。
 次に、製錬所の排水についてちょっと文章で簡単にまとめておりますけれども、製錬所の排水につきましては、亜鉛濃度は製錬所によって分布がいろいろ異なっているんですけれども、おおむね低めのところではいっておるというふうになります。あと、一般の製錬所、合併処理を行わないところですけれども、これは3ppmを超える頻度は少ないですけれども、合併処理の場合にはちょっとその辺の頻度が上がるところが見えるというふうになっております。あと、排水処理設備につきましては、現行の規制値で設計されておりますので、さらに厳しい規制等につきましては、設備の増強とかランニング費用のアップと、こういったものになってくると。こういった状況から、現状の環境負荷実態等を考慮しました対応をできればお願いしたいと。
 あと、合併処理を行う製錬所につきましては、鉱山ですとか、そういった周辺からの影響も大きく受けますので、その点も考慮した規制というのを考えていただければと思います。
 次に、鉱山及び休廃止鉱山について申し上げます。排出源としましては、かつて掘っておりました坑内から来る水、それから堆積場からの浸透水ですとか、周辺の表層から集まってくる水というものがございます。排水の実態につきましては、休廃止鉱山について下の表の2で例を幾つか示しております。この中には、かつて鉱山を行いました事業者によって管理されている場合と、それから指定機関、先ほども保安課の方からご説明ありましたんですけれども、指定機関の資源環境センターというところございますけれども、そこの両者で管理しておる鉱山の例を示しております。これをちょっと見ていただきますと、鉱山によりまして濃度とかいろいろ変わっておるというのはこの数字から読めるかと思います。次のページには、その前の表の1の中から3例ほど鉱山の排水というのを亜鉛の濃度分布というものを示しておりまして、鉱山によって若干濃度の分布というのも違ってきておるというのを示しております。
 ちょっとそれをまとめましたのが3-3に書いてございますけれども、排水中の亜鉛につきましては、表の2並びに図2に示しますように、濃度とか分布が鉱山によって大きく違ったものになってきておる。鉱山周辺というのは、鉱床地帯とかになっておりますので、表2のところで周辺河川ということでちょっと幾つかデータを示しておりますけれども、ここを見ますと、これは鉱山の排出口の上流部の箇所から採水したものでございますけれども、ここでも結構環境基準とかを超えるような濃度を示すものも出ておるというのを示しております。これは周辺河川の実態とか、そういった自然の汚染というふうな寄与も大きくて、降水等のいろいろな自然現象の影響も受けるということがあります。
 あと、先ほど補助金というお話ございましたけれども、これは資源環境センターというところのデータでございますと、自然汚染並びに他者汚染というのを合わせますと、大体7割ぐらいが事業者の責任によらないところというふうになっております。あと、休廃止鉱山と一般に鉱山というのは山奥にありますので、山間へき地の割と狭い場所にありますので、道路とか電力、インフラがちょっと不便なところが結構あると。それから国立公園の中にあるものもありますし、史跡に指定されているような場合もあって、設備の増設にはいろいろな制約があるというのが休廃止鉱山の実態となっております。
 あと、休廃止鉱山、現在は経済活動は行っておりませんですけれども、その排水については鉱害防止対策を行っておりますので、できますれば現行規制の適用というのを継続願えればと思います。
 以上でございます。

○松尾委員長 ありがとうございました。
 どうも皆さん、非常に短時間に、無理を言いまして申しわけありませんでした。
 それでは、10分か15分、あの時計で55分ぐらいまでと思いますが、ちょっと効率よくご質問いただけたらありがたいと思います。いかがでしょうか。森田先生、簡潔にお願いします。

○森田委員 どなたにということではなく、どなたか答えてくださる方がいればいいんですが、2つほど質問があるんです。1つは、亜鉛の値段、国際的にもどんどん上がってきて、こういったものを排水から亜鉛をとるというのが、ある種経営的になり得るような状況というは、存在するかどうかということ、これが質問の1つです。
 それから2番目は、全国の鍍金工業連合会の方もちょっとちらっとおっしゃっていたんですが、硫化物を使った沈殿するような形の処理も少し2割ぐらいあるというふうにご説明されたと思うんですが、そういったやり方は、例えば今の技術処理の多くが凝集沈殿なんですが、凝集沈殿系に組み込んで、比較的現在のシステムをいじらないで安くする、水処理をやれる可能性があるかどうかについて、ちょっとご説明願います。

○松尾委員長 最初の質問は亜鉛が高くなってきていて、そういう排水中の亜鉛を回収してもう一遍できないかとか、そういう処理ですね。

○森田委員 多分、今の水処理系はみんなでたらめに落としていますので、亜鉛だけをとっていませんので、それだとその後の処理ですごくコストがかかるんですが、亜鉛をうまく取り出すことができれば、何かいいことがあるかどうかという。

○全国鍍金工業組合連合会 それでは2つご質問出てまいりましたんで、1番目のご質問なんですが、現在、亜鉛に特定してのリサイクル再生化というのは、お金の関係、経済性の点からまだやっておりません。これが実態です。現在やっていますのは、金、銀、一部で銅、それからクロム、このあたりはイオン交換樹脂を用いましてリサイクルしております。また、硫化物処理については、銅の硫化物はご存じのとおり、pHが非常に2から3ぐらいでうまく銅だけ分別回収できます。そんなことで、銅の回収を目指している処理業者もおります。
 ただ、亜鉛については残念ながら経済性の点、それと、硫化物の必要性のpHが大体6から7ぐらいでしょうか。そこにいろいろな金属が集中的に集まってまいりますんで、亜鉛だけを今特定してやるというのは難しいかなということですね。
 硫化物処理をやると、ご存じのとおり金属水酸化物と違って、非常に小さな、いわゆるコロイド状でしょうか、実際に現場へ行ってみますと、全く沈まないで浮いているようなものがございます。そうしますと、当然、大きければ大きいほど沈殿スピードが早いもんですから、今度は小さいものになると大きな沈殿槽ですね、この水面積が必要になります。先ほど言いましたように、めっき専業者さんの沈殿分離槽、これは非常に狭いものです。一生懸命、皆さん改良されて、傾斜板を入れたり、有効な沈殿方法をとられているんですが、それがなかなか難しいということです。
 あともう一つ、その後私の経験なんですが、硫酸アルミニウムを加えると、さらに沈殿効果が促進されます。そんな工夫をしているんですが、なかなか難しいというのが実情でございます。
 以上です。

○松尾委員長 ありがとうございました。

○眞柄委員 鉱山保安課の方にお伺いしたいんですが、昭和48年に法律が制定されたわけですが、48年以前に権利者がもういなくなっているそういう休廃止鉱山、全国にあると思うんですが、そこから出てきているこんな排水などについては、先ほどの法律の対象になっているんでしょうか。

○経済産業省鉱山保安課 特措法は48年に制定されたんですけれども、その48年制定以前の休廃止鉱山に対しても、鉱害防止工事をやらなければいけないものについては、鉱害防止事業計画を立てて、それに基づいてやっていくことになっていますので、まるっきりその時点、48年以前のものに対して何も行っていないというわけではございません。

○松尾委員長 いいですか。
 私から質問したいと思います。このめっき、資料4-2のところで、2ページのところに左の図があって、全国で約1,000ぐらいの事業所があって、そのうち60パーセントは1mg/l未満である。40パーセントは1ミリを超えるんだとこういうご指摘ですね。そうすると、何か非常に素朴には60パーセントのところはやっているのではないかと。あとの40パーセントは何でできないのですかと、こういう素朴な疑問が出てくるのですが、その辺は何か非常に特殊な状況はあるのでしょうか。

○全国鍍金工業組合連合会 先ほどのパワーポイントで600社の1以下のところがあるのに、高いところが400社もある。その理由として、何点か挙げましたけれども、1つには亜鉛にターゲットを絞ったpH設定ができないというような。ほかの金属も亜鉛めっきだけやっているところもあれば、亜鉛めっき以外もやっているところはたくさんございますので。

○松尾委員長 そうすると、亜鉛の廃液だけを別に集めて何かこうやるというか、混ぜてしまうからやりにくくなるという、その辺のこのあとの600の方はある意味で工夫があってできている。あとの400は、混ぜてしまってから難しくしてからやっているからできない、そういうようなことはありませんか。

○全国鍍金工業組合連合会 理論的に言えばそうなんですが、水濁法が昭和46年にできたころからめっき業というのは盛んに排水処理設備を強化しておりまして、その当時の指導というのは、重金属をとるということで、もう総合排水として凝集沈殿をやるということはもう当たり前のように、そういう設備をされておりまして、もう少し価値のある金めっきとかやっていられるところは分別してやっているんですけれども、もちろん亜鉛だけ分別してやれば、あるいはニッケルならニッケルだけとか、それが理想なんですが、実態はそういうふうになっていないというところでございます。

○平沢委員 やっぱり電気めっきさんのところでお聞きしたいんですが、平均値と最大値のお話をされていて、私も昔、会社にいたんでよくわかるんですけれども、大体平均の倍ぐらいの最大が出るということで、だから最大値規制というのは結構大変だなと思ったんですけれども、このデータで普通はばらつきでみんな5できれいに切れちゃっているんですね、これ数値が。それは規制があるから5なんでしょう。実際は、もちろん出せないんでしょうけれども、本当はばらついていて右上がりになっているんではないかなと私は思うんです。何かきれいに切れて、多分規制値が5だから5だと出しているんではないかと。

○全国鍍金工業組合連合会 この辺は何とも申し上げられないです。

○平沢委員 それは答えられないと思いますけれども……

○全国鍍金工業組合連合会 ご想像にお任せします。

○平沢委員 それと、もう一つ、例えばこれからどういう規制になるかわからないんですけれども、そういうのをやったときに、厳しい規制でお金をもしかけられたとして、とったとしても、私気になるのは、結局泥になってしまうので、その出てきた泥どうするんだという、その泥がまたもとに戻ったらどうしようもないだろうという気がするんです。その辺のことは先々のことでお考えになられているんでしょうか。汚泥の。汚泥処理費は上がりますんで。

○全国鍍金工業組合連合会 その対策もちょっと苦慮しているんですが、2年前にスラッチの問題を集中的に調査して、報告書も出しているんですが、やはりほとんど混合で占めております。先ほど申しましたように、金とか銀とかは分別でやっていますけれども、ちょっと今記憶にないんですが、ほとんど、ちょっとそれ見ればわかるんですが……一番いいのは、製錬所に持っていって資源として使ってもらうというのが一番いいんですけれども、なかなか製錬所の方は製錬所の方で受け入れの品質基準がございまして、むしろ混合して不純物だということで受け入れてもらえないということで、そのほか……

○全国鍍金工業組合連合会 今、一生懸命頑張って回収しているのは、ご存じの金、銀、それから先ほど言いましたように、クロムですね。それとようやく一部始まったかなというのが、銅。亜鉛は、先ほども申しましたように値段が安いもんですから、どうしても邪魔者扱いされまして、そのまま始末しているというのが実情でございます。

○平沢委員 どうもありがとうございました。

○松尾委員長 皆さん、全体に通してなんですが、こういう変動するんだと、こういうご説明だったと思うんですが、高くなる理由というのが私ちょっと気になるところで、何か非常に濃厚ややつがぽっと入ってしまうとか、もうちょっとその管理をきちっとすれば、あるいはその処理の過程をきちっとコントロールすればそういうことは起きないで済むんではないかと。要するにばらつくからできないんだというんではなくて、そのばらつく要因はそんなに幾つもなくて、ちょっと不注意だったとか、何かまとめてやっちゃったとか、何かそういうような避けられない原因ではないのではないかと、ちょっと想像するところがあるのですが、その辺は業界というかそのプロセスによって違うんでしょうが、この辺はどんなものでしょうか。
 ばらつく主要な原因ですね。

○全国鍍金工業組合連合会 私も先ほど説明しましたんですが、電気めっきでのばらつきの要因は、濃厚液、それをダンピングしたとき、それをもちろんその受け貯槽があって、それを少しずつ総合排水に流して処理をするんですが、それが容量が小さくて大きくできないというのがスペース上の問題で。本当に今先生がおっしゃったように、それをうまく管理するしかちょっともう手はないんじゃないのというふうに感じております。

○松尾委員長 何か、非常にプロセス上どうしてもばらつくものだというようなの、何かありましたらちょっと。

○日本経済団体連合会 基本的にはユーザーの要求で銘柄が決まってくるし、それから量が決まってきます。したがって、先ほどお話がありましたように、あるときに槽を洗って急にふえる。ある1日の中で量もさばかなければいけないときに、入り口の水量が一定のままで濃度がふえるというのが毎日の単位の中で起こってまいりますんで、では濃度は受けた方が悪いのかという問題になってしまいまして、それは経済原則からなかなかそうはいかない。何日に何トン入れろという格好の部分の注文生産が多いもんですから、こういう業界は結局そういう部分のしわ寄せを受けているとお考えいただきたいと思います。

○松尾委員長 どうしてもバッチ的にやらざるを得ないということですね。

○土屋委員 さっきの電気めっきのところで、パワーポイントで説明していた中で、いろいろな方法でもって、対策をやっていますというようにおっしゃっていましたですね。例えば水洗のところで、水洗槽の多段向流洗浄をやっているとか、そういうふうなお話ししていたんですよね。何かそういうもので、業界としてこうやったらばよくなるというような何かマニュアルみたいなのはできているんでしょうか。

○全国鍍金工業組合連合会 過去に、そういうマニュアルをもう本当に数え切れないぐらい作成して周知徹底しております。その結果でもやっぱりこういう高い値だということをちょっとご理解いただければと思います。

○松尾委員長 亜鉛がそういう対象の物質になっていなかったから、そういう意味ではそのプロセスの中に入っていなかったんで、今度亜鉛が対象の物質になれば、亜鉛も入れたある種のそういうマニュアルがつくっていただけるといいではないかなというふうにも思えますね。

○全国鍍金工業組合連合会 ですから、先ほど、表面処理団体協議会という産学含めたそういう協議会つくって、そういったことも検討しなければいけないなと思っております。

○中島委員 やはりめっきについて2点あるんですが、1つは今の関連ですけれども、先ほど公設試験機関の巡回の復活のようなことを言われましたけれども、非常におもしろいやり方だと。例えば、2007年問題でシニアな技術士や研究者がかなりリタイアされますけれども、そういった人材をうまく使ってやるような方法もあるかと思います。
 それが1点で、2点目、めっき全体で統計をとらえているので、かなり濃度が低いところと高いところと出ていますけれども、例えば1ページ目の参考の亜鉛めっき浴で使用するキレート成分ということで、3つ挙げておりますけれども、最近やはりシェアが減って、酸性の塩化浴と呼んでいるんですかね。こういったところがふえていて、こういったところでやっぱり一番キレートが凝集沈殿が難しいようなところだと思いますので、そういう少しプロセスごとに分けますと、かなりクリアにどこが高い、どこが低いとかよく見えてくると思うんですけれどもいかがでしょうか。

○全国鍍金工業組合連合会 だんだん、真ん中に書いてあるジンケート浴に少しずつシフトしてきます。ただ、いまだにシアンが半分ぐらい、それからジンケートが3割ぐらいでしょうか。それから15パーセントから20パーセントが塩化浴というのが。だんだん、やはり薬液の変更ということでも、そういったキレートを使わないものに少しずつですがシフトしてきておりますが、いかんせん、やっぱりキレートというのは非常に排水には難しいんですが、使う側にとっては非常に有用なものということで、徐々に徐々にですが、シフトはしております。
 それでよろしいでしょうか。

○中島委員 それでは、対策もプロセスによってやはり違うと思いますので、そういったこともあるかなと。

○松尾委員長 わかりました。どうもありがとうございました。
 非常にきょうは限られた時間の中で、場合によってはまだ言い足りないということもあったかもしれませんが、ポイントのところは一応理解させていただけたというふうに思いますので、また必要がありましたらまた事務局等からご相談させていただくこともあるかもしれませんが、よろしくご協力いただきたいと思います。
 きょうはどうもありがとうございました。
 それでは、議題の4に移らせていただきたいと思います。資料の5になりますが、亜鉛に係る対策のあり方について(案)ということになっています。これの説明の中で、この参考資料、たくさんの参考資料ありますが、これを皆さん方の前にいろいろな疑問があったり、質問が出てきた委員からの質問に対する回答ということで、事務局の方で用意しているものでもありますけれども、きょう時間の関係もあって、まずそのあり方についてという話の中で触れていっていただきたいというふうに思います。
 それでは、ひとつよろしく。これはコンパクトにご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○村山水環境管理課長補佐 それでは、資料5についてご説明いたします。前半部分は前回専門委員会のときに記載していた内容がほとんどでございまして、後半部分が今回新しいところでございます。
 まず、1ページ目でございますけれども、ここでは亜鉛の特性について5点ほど触れています。1点目は排出源が多岐にわたっているということで、例えば食品、生活用品に含まれている亜鉛濃度ということで、参考資料の2になりますが、前回お示ししましたが、これはある特定のメーカーではかっているわけで、各品目を代表する濃度にはなっていない。これは注意書きに書いております。この中で特に特徴的だったのが、28番のこれはジンクピリチオン配合のシャンプーということでございまして、ただこれは原液の濃度でございますので、これはちょっと仮に1日というスパンで仮に例えば250リットル、1人1日当たり使ったとしまして、1人1日当たり6ミリリットルのシャンプーを仮に使ったといたしますと、大体、これで算出しますと、0.019ぐらいの濃度レベルになります。後ほど生活排水の処理前の濃度は0.08ぐらいということが出てきますので、確かにいろいろなところに含まれていますが、でもよくよく見ていきますと排水濃度に影響が出るのは限られてきますというようなことでございます。
 ここで、また資料5に戻りまして、生活系とかにいろいろ含まれているということでございます。ここであわせて参考資料の3でございますけれども、ここでは既にお示しした調査の結果でございますが、戸建て住宅と集合住宅ということで、戸建て住宅は7軒しかはかっておりませんが、3日間測定しております。ただ、戸建て住宅の場合は若干家族数が6人、7人と多い状態でございまして、1人1日当たりの水量も若干これ158リットルとちょっと一般的に考えるレベルよりは低くなっております。ただ、濃度を平均しますと、0.08ぐらいになっております。1人1日当たりの負荷量をちょっと仮に計算しましたら、11ミリグラム程度となっておりました。
 今回、下の方で集合住宅の場合は人数もかなり何百人、何千人となりまして、実際の使用人数と実際の流入汚水量がわかっているところをちょっとピックアップしまして計算してみたところ、濃度は先ほどと同じ0.08程度。あと1人当たりの負荷量は19ミリグラム、約20ミリグラム程度。1人1日当たりの水量はここでは250リットル程度となっておりました。ということで、濃度としては0.08近辺ではないかと思います。
 資料に戻りまして、あと事業系の発生源としては使用用途としましては、ほとんどが製品が大部分でございますけれども、亜鉛の水溶性化合物、これは例えばPRTRのファクトシートなどにも記載されておりますが、塩化亜鉛でいいますと先ほどめっき業の方のお話がありましたが、めっきの表面洗浄等に用いたり、あと、硫酸亜鉛とかですと、例えば化学でレーヨンを凝固させるための溶液などに使っております。
 これが(1)番で、次に(2)番、休廃止鉱山等の影響を受けている地域があること。これは今までお示ししましたが、そもそも亜鉛のバックグラウンド濃度は、高い傾向にあるところもありますし、場所によっては坑内水とかズリ・鉱滓、堆積場浸透水等の流出等の影響が見られるようなところもございますということです。
 次に、(3)番、排水濃度は低いが、業種全体の負荷量が多い事業場がありますということで、盛んに下水道の話が出ておりまして、これは業種全体としての負荷量は多いと。それで亜鉛の濃度レベルということに関しましては、今までの資料の中で処理水では0.06mg/l程度というふうなご説明をしました。
 先ほどちょっと説明し忘れましたが、参考資料の4をちょっと見ていただきますと、下水道の流入水について亜鉛の濃度が、これはホームページに載っていましたが、個々にいろいろ含まれているけれども、いろいろシャンプーでも何でもいろいろ人によって使い方も違うので、もっと広い視点から見た方がいいんではないかというような指摘を踏まえまして、下水道の流入水についても―これはちょっと名古屋市の例でございますが、これを見ると0.4を超えるもの、さらには0.08と低いものがあります。これは実際、立ち入りとかをやっている方々のちょっとお聞きしたところによりますと、0.08とかなり低いところは住宅地が多いところ、主に生活排水の割合が多いところとなっております。若干、0.4を超過するようなところは、傾向としてでありますが、工場が多いような傾向が若干聞きとれております。放流水については、例えば高いとしても処理した後はかなり低い濃度となっておりました。
 次に、参考資料の7の方に飛ばせていただきます。参考資料7では、もっと大きなマテリアルフロー的なものというお話もあったので、ちょっとこれ仮定が多いんですけれども、参考資料7の1ページ、これは総量規制の対象の都府県で、下水道、それ以外で生活系、産業系、それぞれの水量の値がわかっておりますので、要は真ん中でそういう比率がまず求められます。あと、全国の排水量をこれ下水道の処理水量を用いて、全国の排水量に仮に換算してみました。そういたしますと、次の裏側の2ページにいきまして、例えば下水処理場には生活排水も入るし、工場排水も入ります。それぞれ公共用水域に入るものもありますが、このような仮定をいろいろ置きながら計算していきますと、大体このような負荷量のイメージになります。ただ、これは仮定が多いのでちょっとこの下の注意書きにいろいろ仮定を書いておりますが、かなり仮定が多いです。
 こう見ますと、公共用水域に入る負荷量としましては、例えば工場が558トン、下水処理場が586トンぐらい。これはこの部分は排出量総合調査のデータを用いております。大体、下水処理場の負荷量というのは5割ぐらい。ただ、これ下水処理場と申しましても、これは業種全体ということでなっております。あとはこれはイメージとして上流には休廃止鉱山とかもあるでしょうし、後ほど説明します路面排水等の非特定汚濁源もあるでしょうというようなことでございます。
 続いての参考資料の8を続いて見ていただきますと、これは前にお示ししたPRTRで、PRTRの場合はこれ水道業が7割を超えるような負荷量になっております。となると、先ほどの排出量総合調査とどこが違うのでしょうかという話なんですが、PRTR初年度のころは、下水道はすべて網羅していたんですけれども、工場関係については最初は何トン以上ということで大分条件を絞っておりましたので、工場排水等の負荷量が対象の数年間は十分にはちょっと把握できていないような面もあったかと思います。
 下のグラフは例えば1事業所当たりの負荷量に直しますと、水道業というのは必ずしも突出しているわけではないというようなものでございます。ここで水道業の中に下水道は入っております。
 参考資料の説明はちょっとここまでにしまして、さらに資料5の2ページに行きますと、(4)番、これも前回出ましたので、簡単にご説明しますが、中小河川に排水が集中するときに環境基準を超過する傾向がございます。ということで文言等は小委員会のときの文言等がここに記載されていると思います。ちょっと参考資料が多くて申しわけないんですが、参考資料5、事業場排水の実態調査ということで、前回1日当たりの変動という面でお出ししたときに、若干質問等がありましたのでちょっと整理してみました。
 1点目は、排水処理の目的。当然これは亜鉛も除去するのは間違いないんですが、有害物質の除去に若干重点が置かれる場合もございました。これは自治体担当者からの聞き取りでございます。冷却水等の合流の影響。希釈があるのではないかという面に対しては、最終的には冷却水とか入って、濃度は下がるんですが、前回お示しした場合ですと、排水処理を通した後の値を見ますと、その段階で既に排水基準値をクリアしております。さらに、冷却水などの水が入って、さらに濃度が下がっているということでございます。
 あとは、温水ブローに関する例が1例だけ前回ありましたが、0.6ぐらいの値を持っていました。
 あと、鉱業の排水の特徴としましては、他の業種に比べてなぜ高いのでしょうかということに関しては、鉱山の浸出水とか堆積場からの浸透水等の濃度が高く、それらを処理しているからというふうなことでございます。
 次に、またいろいろ飛んで申しわけないんですが、資料5に戻りまして2ページ目の(5)番の非特定汚濁源の存在が認められるということで、ここで参考資料6の方に行きます。ここでは、下の方に道路の交通量がありますが、1万台以上を超えるような物すごく交通量が多いところから、何百台程度の道路を対象に亜鉛の濃度をはかってみました。路面排水の濃度でございます。上の方はこれは30分ぐらいで途切れていますが、一時的な雨ということで、右側が濃度になっていますが、降り始めの最初は0.7mg/lぐらい。それから一気に濃度が下がります。若干、ファーストフラッシュ的な傾向が見られまして、0.1とか0.3ぐらいにだんだん落ちてきます。下のグラフは、断続的な降雨を途中からとらえたものでございまして、右側の亜鉛濃度を見ると0.1から0.3ぐらいのところで、亜鉛濃度が推移しているのがわかると思います。
 これ路面排水の亜鉛については、いろいろ論文等もございまして、ちょっと今回お示ししていないんですけれども、よくちょっと言われていますのは、タイヤの加硫促進剤として酸化亜鉛が含まれておりまして、どうもこの路面排水の亜鉛濃度を上昇させるものとしてはタイヤの影響が大きいのではないかという論文が多くなっているようです。
 次、対策の基本的な考え方と行きまして、(1)番、点的な汚濁源への対策ということですが、前半部分は小委員会のときにまとめられたことが書いておりまして、3ページの上に行きますと、先ほど産業界の方からのお話がありましたとおり、シビルミニマムに基づくべきということでございます。あと、今回は後ほどお伝えしますが、こういうシビルミニマムに基づく規制に加えて、企業の自主的な取り組みなども重要視すべきではないかということも書いております。
 あとは、その「なお」以降の、地域によってはということは、地域の独特な特徴とかありますので、それに応じた対策を講ずるべきではないかということを触れています。
 (2)番、休廃止鉱山系の対策は、先ほど経産省の方からご説明があった法に基づく鉱害防止事業の推進。あと、ただ「また」以降に書いておりますが、これ小委員会の文言にも入っておりますとおり、水質汚濁の原因に自然的原因が含まれる場合には、個々の水域の事情を十分に考慮することが適当というような文言を入れております。
 (3)番、生活排水対策については、確かに濃度は低いという話は実態としてありましたが、引き続き下水道等の整備を推進するという話と、放流式下水道の場合は、未処理の排水がそのまま流れると思われますので、下水道事業の方でやっている合流改善なども、1つは未処理水に含まれている亜鉛の濃度を低減する面では有効ではないかという面でここに書いております。
 次に、非特定汚濁源対策については、路面排水に亜鉛が含まれているということであれば、いわゆる通常行っています道路維持事業の中で路面清掃とかやっておりますが、そういうのは引き続きやるべきではないかということを書いております。
 農薬については、前回も同じ文言でここに書いてありますけれども、基本的には農薬取締法の体系による対策が適当ではないかということをここに書いております。
 その他としまして、特に中小河川で超過が多いような傾向がありましたので、もしできる地域においては、流量の確保等に努める必要があるということで、(5)番に書いております。
 次に、4ページ目で排水基準の設定等についてということで、一律排水基準の設定の考え方ということで、基本的な考え方。以下に示す事項を総合的に勘案して設定するということで、1番目に亜鉛を含む排水に関する排水処理の技術水準、排水濃度の実態を踏まえまして、シビルミニマムという話もありますので、一般的に用いられている排水処理技術で、現実的に適用可能な濃度水準。[2]としまして、諸外国における排水規制の動向ですとか、各自治体における上乗せ排出基準の適用状況等を勘案して設定すべきではないかということで書いております。
 中身で一番目の排水処理の技術水準に関しては、先ほど産業界の方々からもキレート成分という話が出ましたが、錯体を形成するような物質等が入っている場合は、少なくとも1までの濃度を低減することが困難という状況があると思います。
 2番として、排水濃度の実態ということで、これまでの立入検査のデータをベースにお示ししたところでございますが、1mg/lを下回る事業場の割合、これは産業中分類レベルで見ておりますが、金属製品製造業で6割台、鉱業では7割台で、さらに中分類ではなく細分類レベルで見ますと、電気めっき業で5割台とかなり下がります。特に特定施設として見ますと、電気めっき施設ですとか酸またはアルカリによる表面処理施設等、特定施設として持っている場合は、排水濃度にばらつきが見られまして、排水処理の困難性が見受けられております。
 次に、2を下回る事業場の割合という面で見ますと、おおむね全国的にはその割合は大きな値となっておりまして、金属製品製造業で先ほどと同じように見ますと約8割、それ以外の業種では9割。さらにこれを細分類レベルで見ますと、電気めっき業で7割台となっております。
 次に、諸外国における排水規制の動向ですけれども、例えばフランスとかは日本と排水規制の体系が類似しておりますけれども、業種全体を対象に、ちょっと条件はつきますが2mg/lとなっております。ドイツの場合は、同じく2mg/lというのが多いわけですが、おおむね1から4の値となっております。電気めっきは2mg/lとなっております。
 次に上乗せ排水基準の適用状況ということで、ここでは、これも前にちょっと表としてお示ししたところでございます。今回は参考資料11に同じものをつけておりますが、業種の一部、あるいは全業種を対象に特定の水域あるいは全水域に1から2mg/lの上乗せ基準を設定し、実運用しているところもございます。
 ここで全水域、全業種を対象に1mg/l上乗せということで申しますと、本当に全部という意味では琵琶湖を有する滋賀県のみでございまして、特に水源地の水質を確保する等、自治体独自の特殊な事情を持っているところでございます。
 これは今までのご説明した資料の話をまとめたものでございまして、きょうの産業界の方々の意見とかを踏まえまして、最終的にはシビルミニマムとしての一律排水基準値を最大値幾らかとしてもオーケー、かなり限定的、例外的となると思うんですが、必要に応じて暫定基準を設けると。
 先ほどちょっと触れました企業の自主的な取り組みの重視ということで、ここでは何点か書いてありますが、1番目は環境管理体制をしっかりしましょうという話でして、2番は特に低濃度で現在、亜鉛を排出している事業場がありますので、そういうところについてはその維持に努めるべきではないかということです。
 3番目は、比較的高濃度で亜鉛を排出している特定事業場については、排水処理施設の維持管理の徹底に加えて、工程全体を考えた管理の徹底に努めるということが書いております。
 4番目に自主管理ということで、自主管理基準なども設けて行っております。そういうのも引き続き頑張っていただくということです。
 ここで、ちょっと今までいただいた宿題とかもちょっと絡むんですが、参考資料の15の方で、1点だけ排水基準の超過事例ということで、これはちょっとある県に聞き取った結果でございまして、この県では、1年間に百数十件亜鉛を測定しておりますが、年間に1例か2例ぐらい基準違反がございます。ここ数年の超過原因を調べたところが、この県の事例という限定の資料でございますけれども、ここに見てわかるとおり、維持管理の問題が結構基準値の超過原因として多いというか、この県から聞き取った原因はこれがすべてでございました。ということである程度、維持管理、特に排水処理施設の維持管理というのを徹底することでもあって、それで避けられない面もあるとは思いますが、いろいろ改善の工夫としては1つあるのではないかということでございます。
 あとは、ちょっともう時間がないので、これであれですが、参考資料の16、ちょっと見ていただきますと、16の下の方に自治体の立入検査の濃度のプロット図がございますが、特徴としましては、かなり低濃度で排出しているところがかなりの数ございます。そういう中で、1を超えたり2を超えたり3を超えたりするというところはまばらでございますが、このようにございまして、基本的には濃度規制でございますので、1を超過するとか2を超過するような事業場の濃度を、シビルミニマムに基づいて決められた排水基準値まで押し下げるというようなことで、排水規制を行っていくようなイメージをちょっと持っております。
 そうしますと、参考資料17で、ちょっと若干負荷量の低減ということがございますが、全体の負荷量が幾ら規制値によって減りますかというときに、例えば横軸の3でも2でも1でもいいんですが、負荷量の低減率としては1割程度というふうになっておりまして、この1割がかなり少ないと見るかもしれませんが、この参考資料、今見た参考資料16の濃度分布を見ていただければわかるとおり、低濃度にかなり集中しておりますので、本当に全体を対象とした負荷量の低減という面では、確かに割合は少なくなりますが、1を超えたり2を超えたりする比較的高濃度の排水を排出する事業場の負荷量を低減するという面では、必ずしも今言った1割とかそういう数字ではなくて、ほかにいろいろグラフなんかも載せておりますが、比較的高濃度の負荷量というのは効率よく低減できるというようなことをちょっと載せておりますので、ちょっと参考までにということで、説明は以上で終わります。

○松尾委員長 ありがとうございました。時間が大体あと15分ぐらいと思いますが、皆さんから少しご意見をいただきたいと思います。どうぞ。

○平沢委員 意見というのは全体なんですか。質問なんでしょうか。

○松尾委員長 何でもいいですよ。

○平沢委員 まず、亜鉛のマテリアルフローというのはぜひやってくださいということで、非常に大ざっぱにというか、よく見える資料を出していただいて、大変だったんではないかと思うんで感謝いたします。
 これはさっきも言ったようにちょっとその数値がどのくらい信憑性があるかというお話もされておりましたけれども、やはり本当に排水規制をするときには、こういうデータをきちっととって、本当に、例えば工場排水を避けたらどのくらい負荷が下がるかとか、それから非常にそれ、水域の濃度が今実態として環境基準をどのくらい超えていて、それが今下がり気味かもしれないし、その辺のデータが全然なくて、いわゆるこう言ったら恐縮ですけれども、うかつに排水規制って決める状態ではないんではないのかなというのが、私のまず率直な感想は1つです。
 それからもう一つは、自治体の立入検査のデータなんですけれども、これはどのくらいの頻度でとったかわかりませんが、大体、年に1回ぽろっととるようなやつだと思うので、これも先ほどのいろいろな産業の方のデータありましたけれども、実態はそんな低くないんではないか。要するにスポットもありますし、ある1点をとっている、数点もとっても、その実態、常時していないんで、これも本来ならばきちっと調査をしてやらないと、例えば規制を決めてやったとしても実際水域のものを全然改善されないとか、今CFTの規制でそういうのが問題になっていますけれども、余りこの大変な時代ですので、うかつに水質を決めるべきではない。またしつこく言ってしまいましたけれども。あと水生生物という新しい規制対象の中で、もしこういう、変な決め方してしまうと、みんなそういうふうになってしまうので、やはりせっかく1番目の例ですので、その辺をきちっとやりながら調査をしながら、基準を決めるのがいいんではないかなと思います。
 それから海外のデータということで、確かにその辺の値というのも1つの基準になると思うんですけれども、やっぱり海外の状況と日本の状況は同じかどうかですね。要するに亜鉛の使用量だとか、具体的に日本の場合にいろいろな亜鉛の成分を輸入して、製品にしていますよね。それとフランスと同じに考えていいのかですね。水量とか。だから、その辺が何か海外がこれだからこれだというのもないかなとちょっと思いました。
 すみません、感想、意見述べました。

○松尾委員長 それは、最初の意見はもう既に審議会の方でも随分出てきた議論だと思うんですね。それをそういう状況は承知の上で、この委員会は基準を決めてくれと。さっきの最後に出てきた○mg/lを決めてほしいと、こういうご趣旨でこの委員会始まっていますので、そこへ戻ってもう一回全部調査しないと決まらないんではないかという議論は、避けたいと私は思いますけれども。

○平沢委員 それでその数値で言いますと、私は5ppmにするべきだと思うんです。

○松尾委員長 そうですか。その数値については、また改めて。きょうは余り具体的な数値については触れないで、全体の状況を少し詰めていった方がいいんではないかというふうに思っています。

○平沢委員 ありがとうございました。

○松尾委員長 すみません。それから2番目の方は、今の議論は何でしたっけ。

○平沢委員 いっぱい言って忘れてしまいました。
 だから数値の推移とかそういうのは余り考えるべき……もうそういうのがなくても決めるべきだという。

○松尾委員長 いや、数値の……私の今申し上げたのは、要するにもうその辺は大部分わかった上で、多少データ自体に不十分な点があったり、またまた戻っていくと、ではなぜ亜鉛なのかとか、亜鉛の対象になっている生物の種はどうなるかとかとそこへ戻ると、やはり環境基準を決めたときの議論に戻るので、やはりそれは私としてはこの小委員会のミッションではないというふうに思っているということは申し上げているので、何とか議論、きょう最後に出てきた考え方はどういうふうにつなげていって、丸ミリグラムというのにたどり着くかと。まず丸ミリグラムと決めたら、やっぱりその根拠はかなり社会的にきちっと我々の考え方を示して、だからこれなんだということを言わなければいけない。そういうことで、ある程度皆さん今までの質問に出てきたような事項についてのデータをきょうは提示しながら、考え方の枠組みをこういうふうに考えたらどうですかというのをご議論いただきたいという趣旨だというふうに私は思っていますので、その辺から、もっとそういう意味で新しいデータがあるはずだからとかね、もっとその状況が変わるはずだということがあれば、それを言っていただくのは構わないと思いますけれども。

○東海委員 2点ほどあります。1点目は考え方の整理という意味ですけれども、若干、平沢先生の意見とも重複するところがあります。亜鉛の排水基準は、初めての水生生物への影響をベースとして決めるという問題ですから、後々のモデルになるでしょう。そういう意味では非常にクリアな決め方をしたという説明が必要であるというふうに私は思っております。
 そのときに一つ参考資料の17のところで、もしもこのような排水規制をやったときに、どのような効果が期待されるだろうかということをあらかじめ明確にしました上で、ゆえにこの目標にしていくべきだと、その部分というのは非常にクリアにするべきだと思いますし、この参考資料の17を出すことによって、問題の1つは要するに30μg/lを超過する地点が幾ら減るか、あるいは、この規制を導入することによって、その値に対する(30μg/l)超過率がこれだけ下がると、そのエビデンスを出すということが一つ、非常に重要なことではないかと思っております。これが1点目です。
 2点目は、非常に細かいことで恐縮なんですけれども、一連のその資料13、14のあたりの読み方ですけれども、例えば参考資料の14であれば、これはたしか産総研の地質の分野の人がやっておられる、これは河川の堆積物中の測定値ですね。ですから恐らくその水生生物の暴露の話とはちょっと距離がある情報ではないかと。その辺の扱い方は少し注意されるべきだと思います。関連して、マテリアルフローを資料7で整理していただいたところ、確かにご説明にあったように研究レベルでもタイヤからの負荷が結構多いですよと、そういうデータも出ておるようですし、それらの測定エビデンスとを比較して、整合性のある調査データが得られているかどうかというところは非常に重要だと思います。やはり非特定汚染源負荷がどれぐらいであるかを見込むことが、人為的な発生源をどれぐらい押さえるかに随分影響するところですので、そこは慎重にデータを整理するべきだと思っております。
 以上です。

○松尾委員長 ありがとうございました。

○花木委員 本日も新しく出てきている点源の排水基準については、技術的にも厳しいところをこれからクリアしていくということを考えたものになっています。これに対して、非特定汚濁源の対策のあたりが余り積極的には書かれていないと思います。例えば路面清掃をすると書いてありますが、これはある意味では放っておいてもやることです。農薬の取り締まりも亜鉛の問題がなくても行う対策です。また、発生源から亜鉛を減らすというのはなかなか難しいという話は前にあったんですけれども、削減が難しいような種類の亜鉛の使い方と、そうではない部分もあると思います。亜鉛という新たな生物に対する物質に対する総合的な対策を、今回新たな考え方として打ち出すんであれば、発生源の削減や非点源対策も、当然、長期的には入るべきと思います。それに加えてこの点源の排水規制が、いわば直接的な手当てとして効果を持つものと思います。点源規制と非点源及び発生源対策の間のバランスが必要かと思います。
 以上でございます。

○大塚委員 幾つかございますけれども、先ほど東海委員がおっしゃったように、どのくらい減るかというところで今回ある程度きっちりしたことを決めておいた方がいいというのは私も賛成ですが、1つは、既に今までの答申とかにも出ているように、今回のその排水基準というのはシビルミニマムであって、そしてまた技術的な適用可能性を考慮するということなので、大事な一つの基準というのは、その4ページのIIの1の(1)のところの、最も一般的に用いられているものは何かとか、現実的にどのくらいのものが適用可能かというところが何か一つの大きな基準になっているということなんだろうと思います。
 これはこれで私は賛成して、支持しておきたいと思いますけれども、ただ、今一般的に用いられているのは何だということだけを書いていくと、では技術的な改善の可能性というのは余り検討されていないのかというふうに思われてしまう可能性もないわけではないので、ほかの方法もあるんだけれども、当面はちょっとすぐには移れないとか、その辺のことはちょっとでも書いていただけると、もう少し説得力が出てくるのかなという感じはいたします。
 それからもう一つ、やや細かい点で恐縮ですけれども、5ページの、3のところで自主的な取り組みのことが書いてあって、これも大変結構だと思いますが、基本的な考え方の[1]は、法令遵守するのは当たり前のことで、自主的取り組みでもないもんですから、これを書いておいていただくことは大事なことなので結構だと思うんですが、少なくとも番号の[1]は次の[2]のところからつけていただいた方が、誤解をされると困るところがないわけではないもんですから、非常に細かいところで恐縮ですが、一言申し上げます。
 以上です。

○眞柄委員 今の大塚先生のことと関連するんですが、先ほど説明がありましたように、参考の資料の11で濃度、それから排水量について上乗せをしている都道府県、20都道府県あるわけですね。現行の上乗せがかかっている一定施設を持っている事業所が、全体の事業所、例えば先ほどの電気めっきにしろ、溶融亜鉛にしろ、あるいは無機薬品工業会に参加しておられるところで、現実に上乗せの対象になっているのがどれくらいあるのか。そのところでどれぐらいの規制値に対して値が出ているかというのが出てくれば、必ずしも凝集沈殿ではなくて、かなりの業種はここまでいけるんではないか、ここまでいっているというのがわかってくるんではないかという気がしましたので、きょうすぐというわけではないんですが、その辺のところの情報も出していただけると少し努力をしていっていただければ、これくらいはいけそうだという、広範的に見て判断できる材料も出てくるような気もしますので、できれば事務局でちょっと検討していただきたい。

○松尾委員長 その点重要な資料かもしれませんね。国際競争力とかいろいろなこういう基準値のときに出てくるけれども、国際競争力といえばそれはフランスとか海外の基準値というのはそれなりに意味がある。さっき平沢先生の言われたのがそうだったと思うんですけれども、要するに、そのいわゆる環境関連の基準値にかかわる国際競争力というか、非関税障壁になってはいけないのではないかという話があると思うのです。排水基準が逆に言うと、では日本が甘くしていいかというと、そうもいかないかもしれない。その辺はだから当然、ある種の国際的な配慮というのは当然あってしかるべきだと私は思いますけれどもね。
 あと1人ぐらい何かありますか。次回委員会は28日に一応予定されていますが、私としてはもし許されるならば懇談会ということで、少し委員の先生方の意見をもう少し別の形で伺う状況もつくらせていただこうかなと思っています。事務局とよく相談して、委員会の透明性といいますか、公開性の問題はあるんですが、非常に具体的な数値が出てくる段階では、ちょっとその委員だけの懇談の場も持たせてもらうことの方が適切かなと私は思うところございまして、事務局と相談の上、そういう機会ももしかしたらつくらせていただくかもしれませんので、また改めて時間の調整等は、お願いするかもしれません。
 ということで、きょうはここまでということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 もし特にご発言あれば、お願いしたいと思いますが。
 それではちょっと事務局の方にあと、まとめてください。

○村山水環境管理課長補佐 ありがとうございました。次回、3月28日10時から場所、この場所で予定しております。ただ、今、松尾委員長からご提案ありました件については、また調整させていただきたいと思います。

○松尾委員長 可能ですね。制度的にそういうのをやってはいけないということはありませんか。
 それでは考えていただきたいと思います。
 それでは、どうもありがとうございました。きょう、ご発表いただいた方本当にありがとうございました。

午後3時45分 閉会