中央環境審議会水環境部会総量規制専門委員会(第1回)議事録

日時

平成16年4月21日開催

場所

環境省水環境部

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 第6次水質総量規制の在り方に関する諮問について(平成16年2月26日付け諮問第113号)
    (2) 水質総量規制の実施状況等について

    (3)

    その他
  3. 閉会

配付資料

1. 総量規制調査専門委員会委員名簿
2. 第6次水質総量規制の在り方について(諮問・付議)
3. 中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について
4-1. 中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針について
4-2. 中央環境審議会議事運営規則
4-3. 中央環境審議会の運営方針について
5-1. 水質総量規制の実施状況等について(本遍)
5-2. 水質総量規制の実施状況等について(資料遍)
6-1. 第5次水質総量規制の在り方について(答申)(平成12年2月8日)(抄)
6-2. 指定水域の水質汚濁メカニズムについて
  (中央環境審議会水質部会総量規制専門委員会(第2回)(平成11年7月1日)資料より抜粋)
7. 総量規制専門委員会における今後の検討の進め方について(案)

(参考資料)
 1.水質総量規制制度の概要



   

総量規制専門委員会委員名簿

委員長  岡田 光正  広島大学大学院工学研究科長・工学部長
専門委員  河村 清史  埼玉県環境科学国際センター研究所長
   木幡 邦男  (独)国立環境研究所流域圏環境管理研究プロジェクト
     海域環境管理研究チーム総合研究官
   齋藤 雅典   (独)農業環境技術研究所化学環境部長
   高橋 正宏  国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長
   中村 由行  (独)港湾空港技術研究所海洋・水工部沿岸生態研究室長
   平沢  泉  早稲田大学理工学部応用化学科教授
   細見 正明  東京農工大学工学部化学システム工学科教授
   松田  治  広島大学名誉教授
   宮崎  章  (独)産業技術総合研究所つくば西事業所管理監
     産学官連携コーディネータ

議事録

午後1時30分開会

○坂川閉鎖性海域対策室長 本日はお忙しい中ご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。
 定刻となりましたので、ただいまから第1回総量規制専門委員会を開会いたします。
 まず最初に、環境省水環境部長の吉田からごあいさつをさせていただきます。

○吉田水環境部長 水環境部長をしております吉田でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様方には、このたびこの総量規制専門委員にご就任を賜り、まことにありがとうございます。また、本日はご多用のところご出席を賜り、ありがとうございます。
 先刻ご承知のことかと思いますけれども、水質汚濁防止法に基づきます水質の総量規制制度につきましては、昭和54年から動かしてまいりました。もう既に5年掛ける5期、25年を経過いたしたわけでございます。その総量規制の対象となっております地域は、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のキャッチメントエリアでございますので、国土の面積的には20%弱のものでございますけれども、そこにお住まいになっておられる国民の数は、我が国全体の国民の半分を超しておりますし、そういう地域における製造業の出荷額は全国の半分を超している。つまり、人口においても、あるいは産業の集積度においても我が国の過半数のウエートを占める地域が総量規制の対象であるということでございまして、逆に申し上げますと、そういう地域からの汚濁負荷が多いからこそ、閉鎖性の強い東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の汚濁が深刻になったということであります。
 昭和53年から法律を改正して制度をつくったわけでございますけれども、これまで、先ほど申しましたように、5期にわたる総量規制の運用によりまして、COD、これは汚濁の目標としてとらえておりますが、CODの汚濁負荷量から申し上げますと、かなりの削減を見たわけでございます。その間、産業界を初め、国としてもインフラストラクチャーの整備、下水道の整備等努めてきたわけでございまして、その成果とも言えるわけでございますけれども、ただ、依然として問題が残されております。
 と申しますのは、指定水域における水質の濃度が十分に改善を見ておりません。環境基準の達成率はおおむね横ばいで推移をしておりますし、また、海域の富栄養化現象の象徴でございます赤潮や貧酸素水塊の発生もまだ見られるわけでございまして、このような中で、これまでの経験を踏まえ、水質汚濁のメカニズムをより明確に解明をする作業も必要でございますし、そして、今後の水質保全対策にどのような措置が必要なのか、何が効果的なのか、そういうことをできるだけ明確にしながら今後の施策の打ち方を明らかにしていきたい。そのためのご検討をいただく場が、この専門委員会でございます。
 こんな雑駁な申し上げようでまことに申しわけございませんが、詳細には資料に基づきまして、これまで歩んできた道筋などをご紹介申し上げ、ご理解を深めていただいた上で、先生方には、第5次の総量規制は今年が目標でございますので、今後の第6次の総量規制のあり方について、ご専門の立場からご議論を進めていただきたいと思っております。
 それからもう一つ、私どもの心づもりとしてのお願いを込めたスケジューリングでございますけれども、年内には、この専門委員会からの最終的なご報告を賜りたいと考えております。また、規制的な措置に関してでございますので、パブリックコメントの手続も必要とされております。そのパブリックコメントの日程も含めて、できれば年内に一つのご報告をお取りまとめいただければと、かように考えています。
 お忙しい先生方におかれましては、まことに恐縮でございますが、何とぞご協力をいただきたくお願いを申し上げる次第でございます。
 簡単ですが、ごあいさつといたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 本日は第1回目の委員会でございますので、委員の皆様をご紹介させていただきたいと思います。
 本日の資料の中に、資料1として総量規制専門委員会の委員名簿がございますので、この順にご紹介をさせていただきたいと思います。
 広島大学大学院工学研究科長・工学部長、岡田委員です。
 埼玉県環境科学国際センター研究所長、河村委員です。
 独立行政法人国立環境研究所流域圏環境管理研究プロジェクト海域環境管理研究チーム総合研究官、木幡委員です。
 独立行政法人農業環境技術研究所化学研究部長、齋藤委員です。
 国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長、高橋委員は、本日ご欠席でございます。
 独立行政法人港湾空港技術研究所海洋・水工部沿岸生態研究室長、中村委員です。
 早稲田大学理工学部応用化学科教授、平沢委員です。
 東京農工大学工学部化学システム工学科教授、細見委員でございますが、先ほど少し遅れるというご連絡がございましたので、もうじきご出席になられると思います。
 広島大学名誉教授、松田委員です。
 独立行政法人産業技術総合研究所つくば西事業所管理監、産学官連携コーディネーター、宮崎委員は、本日ご欠席でございます。
 以上が委員の皆様方でございます。
 それから、本日の事務局からの出席者に関しましては、お手元の配席図を参照していただきたいと思います。
 なお、企画課長の柏木につきましては、所用のため少し遅れて参る予定になっております。よろしくお願いいたします。
 それから、この専門委員会の委員長に関しましては、中央環境審議会運営規則第9条に基づきまして、中央環境審議会水環境部会長が指名をすることになっております。村岡水環境部会長のご指名によりまして、広島大学の岡田先生に委員長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、岡田委員長に今後の議事進行をお願いいたします。

○岡田委員長 広島大学の岡田でございます。ご指名によりまして、当専門委員会の委員長を務めさせていただきます。
 私自身は総量規制に関しましては、たしか第4次からさまざまな形でお手伝いをさせていただいております。4次、5次という10年間、審議は決して10年間ではございませんが、2回前の須藤委員長のもとで丁稚奉公というか、訓練を積ませていただきました。
 総量規制もこれで第5次、要するに25年たっております。第6次に当たりまして今までとは少し違う形で、新しいアイデアを入れろというご下命もございまして、私がお引き受けさせていただきました。メンバーの先生方も、私と、たしか宮崎先生を除けば全員新しい先生方ということで、今までにはない、違う発想もあってもいいのではないかと思っております。ぜひ忌憚のない、新しい考え方で、皆様方にご納得いただける総量規制の制度をご検討いただければ大変ありがたいと思います。
 今までの総量規制も、4次、5次と進むに連れてだんだん情報公開、パブリックコメントとまではいきませんでしたけれども、情報公開がだんだん進んできております。先ほど部長もおっしゃいましたように、パブコメをする、すなわち情報公開し、かつ説明責任を果たさなければいけないということになりますので、今までより、ある意味でもっと難しい判断が必要かと思っています。と申しますのは、今までは何となく専門の先生方がここで合意すればよかった──と言うとちょっと言い過ぎですが、若干そういう面がございましたが、これからは、多分それだけではなかなか皆様方のご了解を得られないだろう。そういう意味で、できる限り科学的根拠に基づいて、説明責任のある話にまとめさせていただければ大変ありがたいと思います。
 よろしくご協力のほどお願いしたいと思います。
 それでは、資料の確認から始めたいと思います。お願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 本日の資料でございますが、まず、1枚紙で議事次第がございます。この議事次第の下半分に配付資料の一覧が書いてありますけれども、まず、資料1は、総量規制専門委員会の委員名簿でございます。資料2は、環境大臣から中央環境審議会会長に対する諮問文でございます。資料3は、専門委員会の設置に関するものでございます。また、資料4-1は「中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針について」、資料4-2は「中央環境審議会議事運営規則」、資料4-3は「中央環境審議会の運営方針について」、資料5-1が「水質総量規制の実施状況等について」、資料5-2が「水質総量規制の実施状況等について(資料編)」、資料6-1は「第5次水質総量規制の在り方について(答申)」これは前回、第5次のときの答申を抜粋したものでございます。それから、資料6-2が「指定水域の水質汚濁メカニズムについて」これは第5次の際の総量規制専門委員会の資料の抜粋でございます。また、資料7は「総量規制専門委員会における検討事項について(案)」また、参考資料1といたしまして「水質総量規制制度の概要」という資料がございます。それから、資料番号は振っておりませんが、委員の先生方にはご参考といたしまして「第5次水質総量規制の在り方について」という前回の答申の写しと、「瀬戸内海の環境保全資料集」という冊子がお手元にあろうかと思います。
 以上が本日の資料でございますので、ご確認いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○岡田委員長 よろしいですね。
 東京農工大学教授の細見先生がいらっしゃいましたので、ご紹介いたします。

○細見委員 遅れて参りまして、申しわけございません。東京農工大学の細見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岡田委員長 それでは、早速議題1に参りたいと思います。
 第6次水質総量規制の在り方に関する諮問についてということで、事務局よりご説明をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 それでは、まず資料2でございますが、今年2月に環境大臣が審議会の会長に当てて、第6次水質総量規制のあり方について諮問したことを受けまして、水環境部会において、この水質総量規制のあり方を審議するに当たって専門委員会を設置することを決定されましたので、そういうことについて、まずご説明させていただきます。
 まず、資料2でありますが、これが環境大臣から審議会会長への諮問文でございますので、本文を読ませていただきます。
 環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、第6次水質総量規制の在り方について、貴審議会の意見を求める。
 諮問理由。
 東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海においては、水質汚濁を防止し、当該海域の水質環境基準を確保するため、水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき、平成16年度を目標年度として、第5次水質総量規制を実施し、COD、窒素及びりんに係る汚濁負荷の削減に取り組んでいるところである。
 しかしながら、これら海域におけるCOD、窒素及びりんの環境基準の達成率は十分な状況になく、赤潮、貧酸素水塊といった富栄養化に伴う問題が依然として発生している。
 このような状況に鑑み、これら海域における総合的な水質改善対策を一層推進するため、第6次水質総量規制の在り方について、貴審議会の意見を求めるものである。
 これが諮問文でございまして、その裏のページにありますのは中央環境審議会会長から水環境部会の部会長に宛てた文書でございますけれども、この諮問に関しましては水環境部会に付議するということで、水環境部会で取り扱うことになったわけでございます。
 そこで、水環境部会が今年2月26日に開催されて、この諮問についてご説明したところでございますが、その結果といたしまして、資料3でございますけれども、この水環境部会に総量規制専門委員会を設置をすることが決定されたわけでございます。
 右側に「平成16年2月26日改正」となっておりますが、この2月26日に改正されたところは、1.に(3)の総量規制専門委員会を追加すること、それから4.を追加しております。4.総量規制専門委員会においては、水質総量規制に関する専門的事項を調査する、このようになったわけでございまして、これにより、この専門委員会が設置されることになったわけでございます。
 続きまして、資料4-1をご説明させていただきます。この専門委員会の運営方針に関するものでございます。
 水環境部会と、水環境部会に所属いたします専門委員会の運営方針は、資料4-1にありますように、水環境部会長決定として既に決定されているところでございます。本日、第1回目でございますので、これについてもご説明させていただきます。
 まず、一番下に「II.専門委員会の運営方針について」とありまして、「専門委員会の運営方針は、中央環境審議会議事運営規則によるほか、総会決定1及び2並びに上記の部会の運営方針に準ずるものとする」となっております。
 そこで、あちこちのものを引いておりますので、それについても簡単にご説明をさせていただきます。
 まず、中央環境審議会議事運営規則でございますが、これが資料4-2でございます。重要なところのみご説明をさせていただきますけれども、資料4-2の2ページ、第9条に専門委員会に関する規定がございます。「部会は、必要に応じ、その定めるところにより、専門の事項を調査するため、専門委員会を置くことができる。」2として「専門委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定める。」
 そして、第10条でございますが、「総会、部会、小委員会及び専門委員会の議事については、会議の概要を記載した会議録を調製しなければならない。」こういう規定がございます。
 それから、総会決定1と2といいますのは資料4-3でございまして、資料4-3は、中央環境審議会の運営方針に関する総会の決定でございます。ここの1と2についても、これは専門委員会の運営方針が準ずることになっておりますので、1と2の部分をご説明いたします。
 まず1番が、会議の公開及び出席者についてであります。
 (1)として、会議の公開についてでありますが、[1]総会は、公開とする。部会については原則として公開するものとし、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれがある場合又は特定の野生動植物の保護に著しい支障を及ぼすおそれのある場合には、部会長は、部会を非公開とすることができる。
 [2]会長又は部会長は、会議の公開に当たり、会議の円滑かつ静穏な進行を確保する観点から、入室人数の制限その他必要な制限を課することができる。
 (2)代理出席について。代理出席は認めない。欠席した委員、臨時委員及び専門委員については、事務局からの資料送付等により、会議の状況を伝えるものとする。
 そして、次のページに参りまして、2が会議録、いわゆる議事録でございますが、会議録等についてでございます。
 (1)の会議録の内容についてでありますけれども、[1]会議録は、発言内容を精確に記載するものとする。
 [2]会議録の調製に当たっては、当該会議出席委員の了承を得るものとする。
 (2)会議録の配布について。会議録は、当該会議に属する委員等に配布するものとする。
 (3)会議録及び議事要旨の公開について。
 [1]公開した会議の会議録は、公開するものとする。また、非公開とした会議の会議録であっても、部会が認めたときは、公開するものとする。
 [2]総会及び全ての部会の会議について、議事要旨を公開するものとする。
 [3]公開した会議の会議録及び議事要旨の公開は、環境省ホームページへの掲載及び環境省閲覧窓口への備えつけにより行うものとする。
 この部分は、専門委員会についても準ずることとされております。
 また資料4-1に戻りますけれども、資料4-1のI.部会の運営方針についての1番、会議の公開に関することでありますが、会議を非公開とするときは、部会長はその理由を明らかにする。
 それから会議録につきましては、会議録の調製に当たっては、当該会議に出席した委員、臨時委員、専門委員から明示の了承を得ることとし、その後、原則として、次回の会議において公開するものとする。ただし、長期にわたり次回の会議が開催されないことが予想される場合には、次回の会議の開催を待たず、明示の了承を得た後に公開するものとする。
 (2)として、会議録を公開する場合には、発言者の名前を記載する。
 (3)でありますが、公開した会議録以外の会議録は、審議会の委員等以外の者は閲覧できないものとする。
 (4)として、議事要旨は事務局において作成し、部会長の了承を得て公開をする。
 また3番、資料の公開でありますけれども、審議中の答申又は意見具申の案文、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料、関係者と調整中の資料その他の公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす資料又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがある資料については、部会長は、「委員限り」である旨明記した上で、非公開とすることができる。それ以外の配布資料は部会終了後公開とする。
 これらについて、この専門委員会でも準ずることになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 説明は以上でございます。

○岡田委員長 ただいまのご説明に対しまして、ご質問、ご意見ございますでしょうか。
 よろしいですね。それでは、次に参りたいと思います。
 議題2、水質総量規制の実施状況について、事務局からお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 それでは、資料5-1、5-2と、必要に応じまして参考資料1、この3つの資料を使ってご説明いたします。
 まず、資料5-1をご覧いただきたいと思います。
 最初に、水質総量規制の実施状況の中で、この制度の仕組みについて簡単にご説明させていただきます。
 この水質総量規制制度は、人口、産業が集中をして汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域について、水質環境基準を確保することを目的として汚濁負荷量を削減しようとする制度でございまして、昭和53年にできたものでございます。これによりまして、現在、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、この3つの海域が総量規制の対象になっております。これらの海域を指定水域と呼んでいるところでございます。
 また、この指定水域に関係する地域を指定地域と呼んでおりまして、現在のところ、この指定水域に関係する20都府県の集水域が指定地域として指定をされているところでございます。
 また、汚濁負荷の削減を図る項目が指定項目と呼ばれているわけでございますけれども、この指定項目につきましては、当初CODが指定項目となっておりまして、その削減を図ってきたわけでございますけれども、現在の第5次総量規制からは、窒素とりんも指定項目として追加されている状況にございます。
 また、総量規制制度におきましては、環境大臣が総量削減基本方針というものを定めます。ここには発生源別、都道府県別の削減目標量、削減に関する基本的な事項を定めることになっております。そして、この総量削減基本方針に基づいて関係都府県が総量削減計画を定める、こういう仕組みになっているわけでございます。
 その削減目標量を達成するための方途、つまり対策としてどういうものがあるのかということでございますけれども、大きく分けて3つございます。まず最初が、下水道の整備などの生活排水対策を進めること、それから、一定規模以上の工場、事業場からの排水に対して総量規制基準を適用するというもの、それから3つ目として、小規模事業場、畜産、農業に対する削減指導、これらの対策を総合的に進めながら汚濁負荷を削減していこう、こういう制度でございます。
 ただ、なお書きのところにございますが、削減目標量の定め方といたしましては、人口、産業の動向、排水処理技術の水準、下水道の整備の見通し等を勘案し、実施可能な限度において定める、このようになっておりまして、すなわち目標としては環境基準の達成にあるわけでございますけれども、一気に環境基準を達成しようといたしますと、かなりの削減が必要なわけでありまして、それを5年なら5年の中で削減するのは事実上なかなか難しいということから、実施可能性というものに配慮いたしまして、実施可能な限度において削減を図っていくということでございます。
 そのようなことで第1次から第5次まで来ているということでございまして、さらに第6次についての検討が必要になっているということでございます。
 1ページの下の方から、第5次総量規制実施までの経緯でございます。若干繰り返しになる部分もありますが、ご説明いたします。
 まず、第1次から第4次につきましては、それぞれ昭和59年度、平成元年度、平成6年度、平成11年度を目標年度として実施されてきておりまして、CODの発生負荷量を削減してきたわけでございます。負荷量の削減状況については、また後ほどご説明いたします。
 また、一方で、これらの閉鎖性の海域におきましては、いわゆる富栄養化現象が従来から問題視されていたわけでございまして、その原因物質であります窒素とりんに関しましては、それぞれの海域で関係都府県によります削減指導が行われてきた経緯がございます。
 そして、平成5年に水質汚濁に係る環境基準が改正されまして、窒素、りんに関する環境基準が設定されております。その後に、それぞれの海域で類型の当てはめ作業が行われてまいりました。
 また、この環境基準と並行いたしまして、平成5年10月1日から水質汚濁防止法に基づきまして、窒素とりんの排水の濃度規制が実施されております。この濃度規制は3つの海域、指定水域だけではございませんで、全国の88の閉鎖性の海域を対象としております。
 こういったことをずっとやってきた結果といたしまして、CODの濃度を見てみますと、海域によっては改善傾向が見られるところもありますけれども、しかし、全体として横ばいのところが多い。また、環境基準の達成率の向上には、なかなか結びつかない、こういう状況であったわけでございます。
 そこで、現在の第5次の水質総量規制からは、CODの負荷の削減だけではなくて、窒素、りんについても総量規制の対象にする、いわゆる指定項目にすることが決められまして、現在、第5次の水質総量規制については、CODに加えて窒素、りんについても削減を図っている、こういう状況にあるわけでございます。
 現在の第5次から窒素、りんが加えられたときにも、前回の専門委員会のときにいろいろな議論があり、検討がなされてきたわけでありますが、そのあたりにつきましては、また後ほど資料6-1、6-2によりご説明させていただきたいと思います。
 続きまして、(3)第5次総量規制の概要でございますが、これに関しましては、資料5-2をご覧いただきたいと思います。
 まず、削減目標量でありますが、資料5-2の2ページの図が発生負荷量の推移、それから平成16年度については第5次の目標量でございまして、昭和54年度から平成11年度までは実績値でございます。それらにつきまして、COD、窒素、りんの別、また東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の別にグラフで表したものでございます。
 また、下に凡例がありますが、生活系、産業系、その他系に分けて負荷量の推移を表したものでございます。
 ご覧いただきますように、それぞれかなり削減が図られてきていると言えると思います。
 また、資料5-1の2ページの一番下でありますが、第5次水質総量規制におきましても、総量規制基準を設定いたしたわけでございますが、新増設の指定地域内事業場については平成14年10月1日から適用されております。また、既設の指定地域内事業場については、平成16年4月1日から第5次の新しい総量規制基準が適用されております。
 続きまして、3ページの発生負荷量の推移につきましては先ほどご説明いたしましたので、指定水域の水質等の状況についてご説明いたします。
 まず最初に、使っているデータについてご説明いたしますが、指定水域における水質モニタリングの実施体制は、大きく分けて2つございます。3ページの中ほどにありますが、まず最初に、公共用水域の水質測定。常時監視と言われているのと同じものでございますけれども、水質汚濁防止法に基づきまして、各都道府県知事が全国の公共水域の水質の汚濁状況を常時監視するための測定計画を策定することになっておりまして、この計画に基づいて関係機関がモニタリングしております。そして、このモニタリングの結果を元に環境基準の達成状況を把握しているというものでございます。
 この公共用水域水質測定は、指定水域だけではなくて全国の公共用水域を対象にしておりますが、指定水域の環境基準の達成率に関しましても、この公共用水域水質測定の結果をもとに評価をしているわけでございます。また、この水質測定に関しましては、海の場合、比較的陸域に近い沿岸域を中心に測定点が配置されているという特徴がございます。
 これに対しまして、広域総合水質調査でありますが、これは総量規制の対象となっている3つの指定水域についてのみ行われているものでございまして、環境省が水質総量規制の効果を把握するために行っているものでございます。測定点は、調査対象海域の沿岸域から沖合にかけて一様に配置するよう配慮しております。
 この2つを比較したものが、4ページの上の表でございます。
 これからの説明に関しましては、この2つのモニタリングの結果をもとに、資料5-2によってご説明させていただきます。
 それでは、資料5-2の3ページをお願いいたします。
 念のため環境基準の表をつけておりますが、CODについては、上のアのように、A類型、B類型、C類型と3つの類型に分かれております。下の表は全窒素、全りんの環境基準でございます。こちらは平成5年にできたものでございまして、類型はIからIVまで4つに分かれております。それぞれの水域の利用目的に応じて類型を指定しているところでございます。
 4ページは、平成14年度の環境基準の達成状況を表にしたものでございまして、上がCODについてでございます。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、それから、今回この資料の中では、瀬戸内海の中でも大阪湾を取り出して見ております。ですから東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海全体となっておりますが、この「瀬戸内海全体」の中には大阪湾も含まれているとご理解いただきたいと思います。ですから、海域の数としては3つですが、この資料の中では4つの数値をあらわしております。
 それぞれA類型、B類型、C類型の別に類型指定の水域の数、また、その中で環境基準を達成している水質の数、そして割算をした達成率という数字をこの表にあらわしているわけでございますが、ご覧いただきますように、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海全体、それぞれ合計の欄の達成率を見ますと、すべての海域で70%を下回っている状況であります。しかし、一方でABCの類型別に見てみますと、C類型はどこの海域も100%になっております。しかし、それに対してA類型、B類型の達成率はまだ低い状況にあります。
 どのあたりの水域が達成していないのかという点については、後ほど地図でご説明いたします。
 4ページの下の図は、同じようなことを窒素とりんについて示したものでございまして、合計のところをご覧いただきますと、東京湾、伊勢湾、大阪湾は達成率が余り高くありませんが、瀬戸内海全体で見ると91.7%ということで、比較的高くなっております。
 5ページ以降は、それぞれの海域でどこの場所が達成していて、どこの場所が達成されていないのかあらわした図でございます。
 まず5ページは、東京湾のCODの環境基準について見たものであります。右下に凡例がございますように、類型ごとに色を分けています。青がA類型、緑はB類型、赤がC類型でございまして、それぞれ達成しているところはベタ塗り、達成していないところは斜線であったり格子状になっております。
 これをご覧いただきますと、C類型といいますのは、もともと水産なども行われていない、また水浴場としての利用も余り考えていないようなところでございまして、かなり湾の奥のところであります。一方で、環境基準値自体はかなり高い、つまり緩い環境基準が設定されている。そういうこともございまして、C類型については達成されてございます。しかし、湾の中央部あたりのB類型は、余り達成されていない。また、A類型については2つ水域がございまして、真ん中のところは達成されていませんが、湾の出口のところは達成されている、こういう状況でございます。
 6ページは、東京湾の窒素とりんについて見たものでございます。黄色の部分がIV類型で、水域4つのうち3つは達成しておりますが、それ以外の部分については達成されておりません。
 7ページは、伊勢湾のCODについてでございます。東京湾と似ているところがございまして、湾の奥の方、赤い部分のC類型については達成されておりますが、それ以外の部分については達成されていない水域が多くなっております。
 8ページは伊勢湾の窒素、りんについてでございますが、これにつきましても、湾の奥の方のIV類型については達成されている。また、III類型については三河湾の方、この図でいきますと右側の三河湾の奥の方は達成されていませんが、愛知県と三重県の県境に近い伊勢湾の奥部については達成されております。また、緑色のII類型については達成されていない状況であります。
 9ページは、大阪湾のCODについてでございます。こちらにつきましても、赤のC類型については達成されていますが、BやAについては達成されていないところが多いことがおわかりいただけるかと思います。
 10ページは大阪湾の窒素、りんでありますが、IV類型、III類型の部分は達成されております。しかし、II類型の部分は達成されておりません。
 また、11ページは瀬戸内海のCODでございます。瀬戸内海は非常に青い部分が多いことが見た感じでおわかりいただけるかと思います。つまり、A類型の部分がかなり多い。B類型も数としては多いんですが、面積としては小さ目になっております。このA類型、B類型について、達成しているところ、達成していないところ、それぞれ入り組んでいる状況にあります。
 12ページは、瀬戸内海の窒素、りんについてでございますが、こちらは比較的色が塗られている、つまり環境基準が達成されている海域が多くなっております。達成されていない主なところは大阪湾の一部と岡山県の地先の一部、それから広島湾の山口県側の一部でございまして、比較的達成されている水域が多くなっております。
 これが平成14年度の環境基準の達成状況でございます。
 それでは、経年変化はどうなのかを見たものが13ページからになります。
 まず、13ページの上の図は、CODの達成率の推移をあらわしたものでございます。△のラインが瀬戸内海でありますが、従来から瀬戸内海が一番上、つまり達成率が高い状況でありまして、東京湾と大阪湾については余り変動がない。また、伊勢湾については変動がかなり激しい状況であります。また、ちょっと気になりますのは、瀬戸内海につきまして、最近ちょっと達成率が下がっている傾向も見られるということでございます。
 それに対しまして、窒素、りんは下のグラフでございます。こちらも瀬戸内海が若干高目になっておりますが、こちらは環境基準の設定自体が少し遅かったこともあり、この変動を示すことのできる期間が短くなっております。
 14ページは、この達成率をABCの類型別に見てみたらどうだろうということでございます。
 先ほど平成14年度のところで、C類型は達成していると申し上げたわけでございますが、実は、これは平成14年度だけのことではありませんで、ずっと前からそういう状況が続いておりました。一方、東京湾、伊勢湾、大阪湾でA類型をほとんど達成していないという状況も、ずっと続いてきたことであります。ただ、東京湾に関しましては、平成14年度に、2つあるA類型の水域のうち1つが達成したというのが、それまでと違っているところかと思います。
 瀬戸内海に関しましては、A類型もかなり達成しているところがあるわけでございますが、ただ、残念ながらこれも余り向上しているわけではなくて、平成14年度はちょっとまだ下がっている状況でございます。
 15ページは、窒素、りんについて同じようなことをやってみたわけでありますが、こちらはまだ期間が短いこともありまして、傾向を見つけ出すのはなかなか難しいかと思っております。
 続きまして、16ページからは、環境基準の達成率ではなくて、水質濃度のレベルがどうなっているのか経年変化を見てみたものでございます。
 公共用水域の水質の測定と、それから広域総合水質調査の測定と、両方のデータを分けて示しておりますが、まず最初に、公共用水域水質測定に関するものであります。
 16ページに測定点を示しておりまして、●はCODを測定している環境基準点、○は窒素、りんを測定している環境基準点、また、○の中に●があるのは両方を測っている点でございまして、これらの水質測定点のデータをもとに作成いたしましたのが17ページの図であります。
 17ページ、一番上に「COD 75%値」とございますが、これは75%値をもとにCODが環境基準を達成しているか、していないか評価しておりますので、そういう意味で、75%値の経年変化を見ているものでございます。
 また、上層と底層2カ所で測っている場合にはその平均値を使っておりますので、そういう意味で(全層)と書いてあります。
 2段目のCODの年平均値は、参考としてお示ししております。
 また、窒素とりんに関しましては環境基準の評価を年間の平均値で行うことになっておりますので、窒素とりんについては平均値のみ。また、環境基準は上層の平均値で評価することになっておりますので、上層について図を作っているものでございます。
 ここも類型別に平均を出しておりまして、すべての類型を平均したものが全体、●でございます。
 これをご覧いただきますと、CODについては、これはなかなか難しいところなんですが、75%値を見ますと、昭和50年代と比較をいたしますと、最近は、わずかながらではありますが数字が低いのではないかと思います。かなり変動もありまして、平成4年あたりに一度低くなっておりますが、残念ながら、その後また少し高くなっている、こういう状況にございます。
 次は、広域総合水質調査に関するものでございまして、18ページには広域総合水質調査の即定点の配置図をお示ししております。こちらは、なるべく湾の中が均一になるように配置しております。
 この広域総合水質調査によりますところの水質濃度の経年変化を見たものが、19ページの図でございまして、上層と下層、それから上下層の平均をお示ししているものでございます。
 これに関しましても、公共用水域の水質測定結果と傾向としてはよく似ているのではないかと考えております。
 20ページは、伊勢湾についての公共用水域水質測定点、また、その結果をもとに経年変化をあらわしたものが21ページでございまして、21ページの図を見ますと、CODについてもなかなか改善しているとは言えない、ほぼ横ばい状態だと受けとめております。
 22ページは、伊勢湾に関する広域総合水質調査の測定点でございまして、23ページがその経年変化を示したものでございます。伊勢湾の場合も水質がかなり変動しておりますが、総じて見た場合、ほぼ横ばいではないかと考えているところでございます。
 次に、24ページは瀬戸内海についての公共用水域水質測定点でございます。この図を見ておわかりのように、瀬戸内海の場合、かなり沿岸に近いところ、陸に近い海に測定点が配置されている傾向にございます。
 このデータをもとに、25ページで大阪湾、26ページで瀬戸内海全体の経年変化を見てございまして、大阪湾にしても瀬戸内海全体にしても、こちらも大体横ばい傾向にあるのではないかと考えております。
 ただ、瀬戸内海の場合には、同じ横ばいでも濃度レベルが他の海域より低くなっていることが違う点ではないかと思っております。
 27ページは、広域総合水質調査による瀬戸内海の水質測定点でございます。公共用水域の測定点とは違いまして、沿岸部に集中させず、できるだけ均一に配置しております。
 これによりますところの経年変化を見てみますと、28ページが大阪湾でございますが、一番下のT-P──りんについて見ますと、年間平均値は、昭和50年代に比べますと下がってきているように見ております。ただ、瀬戸内海全体となりますと、29ページでございますが、こちらもCOD、窒素については大体横ばいになっているのかなと。りんについては平成14年度に少し下がっている、こういう傾向にございます。
 以上が指定水域の水質の状況を、いわばマクロに見た場合でございまして、水系全体の平均的なものを表していると考えております。ただ、例えば瀬戸内海の場合、西から東までかなり長いわけでありますから、その中をもう少し細かく区切って評価していくことが必要ではないかと考えておりまして、そういった作業を今、事務局で行っておりますので、次回以降、そのあたりについてもご説明したいと思っております。
 また、瀬戸内海だけではなく東京湾、伊勢湾についても、湾の奥の方と出口、入り口とでは状況が違っている可能性がありますので、その辺の解析をさらに進めまして、改めてご説明させていただきたいと考えております。
 それから、30ページに赤潮と青潮の発生件数のグラフを載せております。赤潮に関しましては、特に瀬戸内海について古い時期からのデータがございましたので、これを見てみますと、昭和50年前後は年間200件から300件ぐらいありましたけれども、最近は100件前後ということでありますので、一時に比べますと、かなり減ってきております。
 また、伊勢湾についても赤潮の発生件数は減ってきている。東京湾については、余り変わらないかなということであります。
 下のグラフは、東京湾では青潮、また三河湾では苦潮と呼ばれている、貧酸素水塊が沸き上がってくる現象について、その発生件数の経年変化でございますが、東京湾、三河湾とも、昭和50年代に比べると最近は少し少ない状況にあるのではないかと考えております。
 以上が指定水域の水質の状況、それから負荷量の削減状況などについてのご説明でございますが、特に水質の部分については、これからもう少し細かな解析をやらせていただきたいと思っております。

○岡田委員長 ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見をいただければと思います。
 最初のうちは初歩的な質問でも結構でございますので、どうぞご自由に。

○平沢委員 早稲田の平沢でございます。
 大変細かく水域を分けて資料を出していただいたので、以前、見せていただいた資料より分かりやすかったような気がします。
 ただ、先ほどお話しされましたように、CODの負荷が削減されているのにCODの濃度が下がらないというのは、やはり変だなと。付随しまして、赤潮とか青潮の件数も余り変わらない状況で推移している。これは一体何だろうか。要するに、負荷が下がれば水域の濃度は──どのくらいの年数で変化するのかはわかりませんけれども、必ず下がってくるはずなのに、下がらないというのは、この削減負荷の推移以外の要因があるのではないか。
 後で多分、二次生産ですか、そういう話も出てくるかもしれませんが、それ以外にノンポイントの部分ですとか、それから底泥ですね、これも何か資料があったような気がするんですけれども、その辺の負荷が本当に少ないのかどうか。下がってもその分だけ出てくれば、当然変わらないでしょうから、その辺がもう少し、負荷を下げたのになぜCODが下がらないのかという原因を明確にした方がいいのではないかというのが1つ。
 それから、CODで評価される──もちろん、環境基準がCODですからCODなんですけれども、昔のCODは割と易分解性の有機物が多かったような気がするんですね。それで総量規制の初期には割とCODが下がって効果が出たと思うんですけれども、それから先というのは、CODの中でも分解しにくいようなものが増えていて、CODの質が結構変わっているのではないか。要するに、昔と今と同じでいいかどうかというところが気になります。

○坂川閉鎖性海域対策室長 後ほどご紹介しようと思ったんですが、2月26日の水環境部会でも、今の平沢委員と同じような意見がございました。汚濁負荷がかなり減ってきているのになかなかCOD濃度が改善しないのはなぜなのか、メカニズムをしっかり解明することが大事ではないかというご意見がございました。
 そういう意味で、この専門委員会での検討事項の大変重要なものとして、水質汚濁のメカニズムの解明ということあるのではないかと考えております。そのようなことで、次回以降もいろいろご議論いただきたいと思っております。
 また、5年前にもそれに類した議論は当然あったわけでございまして、当時どのような議論が行われたのかということも大変参考になると思いますので、後ほど資料6-1と6-2でご紹介させていただきたいと思います。

○河村委員 埼玉の河村です。
 これまでに5回の規制をされてきたということで、その都度いろいろな手段をとられてきたと思うんですけれども、今、ご説明がありましたデータを見ますと、最初は少し落ちたけれども、その後それほど大きく変化していないということは、規制の施策とうまくリンクしなかったと見てもいいのかなと。つまり、1次、2次でやられた施策に対して4次、5次でやられた施策が大きくジャンプしたわけではない気がするんですね。
 そうしますと、今度、6次の規制でどういう手段をとるかというときに、先ほど委員長のごあいさつにもありましたけれども、従前のトレンドではちょっと難しいかなということが、過去25年間の結果で見てとれるのではないかと理解させていただきました。
 そういうことで、後で資料6の説明があるかと思いますが、過去5回やられた中でのそれぞれの規制の目玉といいますか、ポイントといいますか、その辺のところを見ながら何か独自の手段が浮かび上がってくるのではないかと感じました。

○松田委員 私、瀬戸内海の方に関わっているんですけれども、いわゆる陸からの流入負荷以外の原因としては、1つは、外洋からの栄養塩の流入負荷といいますか、瀬戸内海で大きいのは豊後水道、紀伊水道の外海からの負荷ですけれども、外洋の、表層栄養塩は非常に少ないわけですけれども、深いところには無機態のりん、窒素等もありますので、それが何らかの理由で、例えば沿岸湧昇ですとか、あるいは底層水が引き込まれるとか、あるいは冬季の循環期には外の方の栄養が比較的上下均一の濃度になりますので、そういったものの影響がかなりあるというのが研究の中から出てきております。
 先ほど平沢委員からございました底泥からの負荷のポイントソースのほかに、外洋の影響というのも、ある程度、定量的に評価する必要があるのではないかと思っています。

○岡田委員長 これは、後で調べるということでよろしいですね。
 ほかにございませんでしょうか。
 今の時点で特段なければ、次のメカニズムを含めてご報告を受けた後、両方一緒にご質問、ご意見をいただいた方がよろしいかと思いますので、とりあえず次の議題に進めさせていただきたいと思います。
 議題の(2)水質総量規制の実施状況等について。
 5年前、第5次水質総量規制を検討した際に、窒素及びりんを検討項目として追加しました。そのときにどのような検討がなされたか、まずおさらいしておく必要があると思います。そういう意味で、事務局の方から資料6の説明をお願いしたいと思います。

○秋山閉鎖性海域対策室室長補佐 閉鎖性水域対策室の秋山といいます。よろしくお願いします。
 私の方から、資料6-1と6-2についてご説明させていただきたいと思います。
 昭和54年にCODについて水質総量規制がスタートしまして、現行の第5次水質総量規制からは窒素、りんも指定項目となっております。前回、平成12年12月の中央環境審議会の水質部会答申と総量規制専門委員会での報告、そのときに窒素、りんを追加した理由が整理されておりますので、ここで紹介させていただきたいと思います。
 資料6-1と6-2は、そのときの答申と専門委員会の報告を抜粋したものでございます。
 それでは、資料6-1をご覧いただきたいと思います。
 4.の(1)指定水域の水質に影響を与える要因ですが、指定水域の水質汚濁の状況としまして、有機汚濁の指標であるCODの環境基準の達成状況が十分な状況にない。また、赤潮、貧酸素水塊といった富栄養化に伴う環境保全上の問題が多く発生しております。
 指定水域の有機汚濁が、海域に流入する陸域の有機汚濁と、内部生産に由来する有機汚濁の双方によって形成されているということは、従来から指摘されております。この富栄養化の主要な要因として、窒素及びりんが指摘されています。
 ここからは、資料6-1に沿って、資料6-2について説明させていただきたいと思います。
 資料6-2の1ページは、富栄養化の要因となる窒素、りんと水質汚濁の指標間の関係を示したものです。[1]は窒素・りん濃度と藻類、プランクトンと、その指標としてのクロロフィル-aとの関係、[2]は窒素・りん濃度とCODとの関係、[3]は窒素・りん濃度と透明度の低下との関係、[4]は窒素・りん濃度と底層の溶存酸素の低下との関係を、直線回帰と両対数の回帰で示したものです。
 これですと非常にわかりづらいので、2ページをご覧いただきたいと思います。
 このデータの出典ですが、2ページの一番下にありますように、従来から実施している広域総合水質調査の1981年から1996年の16年間のデータをまとめたものです。
 2ページの左上、[1]は、上のグラフが藻類、その指標としてのクロロフィル-aと窒素との関係を示したものです。下は、りんとクロロフィル-aとの関係を示したものです。
 [2]、[3]、[4]、いずれも上が窒素、下がりんと、それぞれの指標との関係を示しております。いずれも直線で回帰したものです。
 3ページは、同じく窒素、りんと各指標との両対数による回帰をした結果です。
 このように、窒素、りんと水質汚濁の指標との間にはある一定の相関があることが、過去のデータの解析から示されております。
 ちょっと飛びまして、6ページをご覧いただきたいと思います。
 これは平成6年度から平成8年度の公共水域の水質調査結果、いわゆる常時監視の測定結果をまとめ、それを毎月のデータとして整理したものです。一番上が東京湾、真ん中が伊勢湾、一番下が瀬戸内海となっております。いずれも夏季に濃度が上がり、冬季になると濃度が下がっていく、大体そういう傾向を示しております。
 この濃度変化の一番大きい原因として、内部生産によるものと考えられております。
 その内部生産の割合ですが、7ページをご覧いただきたいと思います。
 内部生産の割合の推計は、2つの方法で行っております。一番下にございますが、左側がΔCOD法、これは年間のCODの変動の最小値より大きいものを内部生産によると仮定して算出したものです。右側のクロロフィル-a法は、クロロフィル-aとCODとの関係を出しまして、Y軸切片よりCODの濃度が高いものを内部生産によるものと仮定したものです。
 それによって算出した結果が上の表、(1)がΔCOD法によるもの、(2)はクロロフィル-a法によるものです。いずれの結果をもちましても、年平均で大体3割から4割のCODが内部生産によるものであるという結果になっております。そして、当然のことながら夏季にその割合が上がる、そういう結果が得られました。
 プランクトンの増殖の要因として、窒素とりんと、どちらが優位に当たるかという問題ですが、4ページをご覧いただきたいと思います。
 これは平成6年度から平成9年度の3水域の公共用水域水質調査結果、常時監視の結果を毎月にまとめたものですが、窒素とりんの比率、りん分の窒素の比率を表したものです。東京湾を見てみますと、大体1月、2月はN/P比が高くなって、夏ごろに低くなるという傾向を示しております。伊勢湾、瀬戸内海については、それほど明確な傾向は見られませんが、これもかなり大きくN/P比が変動しております。
 続いて、5ページをご覧いただきたいと思います。
 これはプランクトンの細胞中の窒素とりんの含有率の比率を示したものです。プランクトンの種であるとか培養状態によって、かなり窒素とりんの比率に差があるという結果が得られております。ですから窒素とりん、どちらか一方がプランクトンの増殖に影響するという結論は見出せなかったということでございます。
 次に、8ページをご覧いただきたいと思います。
 これは底泥からの溶出量です。[1]から[7]まで掲げた参考文献をまとめたものですが、東京湾、伊勢湾では、CODについて、溶出量が、陸域負荷、全体の負荷に占める割合といいますのは、大体1割程度です。窒素については3水域とも1割程度、りんについては、いずれも2割程度が全体の負荷における溶出量の割合という結果が得られております。
 続きまして、9ページをご覧いただきたいと思います。
 これは東京湾の昭和35年からのCODと無機態窒素、りん酸態りんの年度平均値の推移をあらわしたものです。
 これを見ますと、CODにつきましては、昭和40年代前半までは低い濃度で推移しておりましたが、昭和40年代後半から急激に悪化しております。無機態窒素、りん酸態りんについては、昭和30年代前半までは低い濃度で推移しておりましたが、昭和40年前後から急激に水質が悪化している、そういう結果が得られております。
 続きまして、10ページをご覧いただきたいと思います。
 これは東京湾における赤潮の発生状況です。昭和54年から58年は2種類のデータが混在しております。
 これを見ていきますと、昭和30年代前半までは、ほぼ年間10件程度で推移しておりましたが、昭和30年代後半から徐々に、50年代に入りましてからは急激に、赤潮の発生件数が増大しております。
 この9ページと10ページの結果から、第5次水質総量規制の答申の際には、外洋からの海水の流入は水質汚濁の主要な要因ではないだろう、そういう結論を出しております。
 続きまして、11ページをご覧いただきたいと思います。
 これは、今まで説明しました各発生源の割合、内部生産によるもの、陸域からのCODで溶出しているもの、それらの割合を求めたものです。
 この試算条件については12ページから14ページに示しておりますが、一番左、バックグラウンドとしては、12ページの1)にありますように、湾外のCODとして0.83mg/Lを採用しております。これは昭和61年から平成2年に行った日本近海海洋汚染実態調査で得られた太平洋表層水の平均CODの値でございます。
 11ページに戻りまして、この結果ですが、東京湾の場合、バックグラウンドが約27%、内部生産によるものが約42%、底泥からの溶出によるものが約3%、陸域のCOD負荷が約28%という結果になっております。内部生産に寄与する窒素とりんですが、窒素については陸域の負荷が約9割、底泥からの溶出によるものが約1割。りんについては、陸域の負荷によるものが約8割で、底泥からの溶出によるものが約2割という結果が得られています。
 伊勢湾、瀬戸内海についても、おおむね似たような結果が得られたという結論に、当時、達しております。
 以上、資料6-2をご説明しましたが、このまとめとしまして、指定水域におけるCODの改善を図るために、陸域から流入するCODの削減とともに、窒素、りんにより内部生産されるCODの低減を図る必要がある。そのため陸域から流入するCODに加えて、窒素、りんの汚濁負荷の削減が必要である。当時、そういう結論で報告書及び答申がされております。

○岡田委員長 それでは、今のメカニズムの部分も含めまして、ご質問、ご意見をいただければと思います。
 恐れ入りますが、中村委員の方から順次お願いいたします。

○中村委員 港湾空港技術研究所の中村と申します。
 私は、たまたま湖沼の水質に関する総合レビュー調査、やはり同じような問題意識に基づいて、CODの負荷削減に努力しているのに実態として効果が上がっていないように見える、その原因は何かという検討委員会に入らせていただいております。そこでも同じような議論をしておりまして、先ほど平沢委員からもありましたように、CODの中身が昔と今とでは違ってきているのではないかという意見があったり、CODの指標性として、本当に適切なのかどうかという意見があったり、それから、底泥の寄与が非常に重要なのではないかという意見がございます。
 底泥からの内部負荷を正確に見積もるのは非常に難しい面がありまして、先ほど資料6-2で内部負荷量、溶出量として1割とか2割という推定をされておりますが、私の直感では、余り明確な根拠はないんですが、もっともっと大きいのではないかと思っておりまして、いわば過去の汚染の履歴を底泥がたくさん蓄えているものですから、このバッファ効果は無視できないだろうと感じています。
 あわせて、湖沼との関連で申し上げたいのは、いろいろな湖沼で同じような問題があるんですが、1つだけ、例外的に水質が極端になっている湖沼として諏訪湖があります。これは1970年代後半だったかと思いますが、流域下水道を整備して、下水道の放流口も、湖に返らないように湖の出口に近いところに設置して、かなり負荷を削減する努力をされたんですが、ここ5年ぐらい、ですから、そういう施策があってから20年たってようやく水質がかなり変わって、生態系もがらっと遷移しているという状況がありますので、全体として、効果が出るにはものすごく時間がかかりそうだということであります。
 専門家として、では何年待てばいいのかという数字まで出せればいいんでしょうが、なかなかそれは、現在の知識では難しい。しかし、すごく時間がかかるものだという認識は必要だろうと考えております。

○岡田委員長 そうすると、底泥の負荷量などは再検討するなりが必要だろうということと、効果を待つのは、予測するのはなかなか難しいですね。何かの方法があるかどうか、今後の検討をする上で──全部そのまま事務局の宿題にしても、すぐできるものと、なかなかできないものがありますが、一応検討の項目として考慮に入れておいていただけませんでしょうか。今後の検討に何が必要かというご意見については、ぜひメモをとっておいていただければと思います。

○齋藤委員 農業環境技術研究所の齋藤でございます。
 私ども、農業が水質に及ぼす影響について、いろいろな観点から研究を進めておりますが、私どもが河川をいろいろ調べてみると、今回対象にしている流域ではないんですが、珪酸濃度がかなり変わってきて、それによってどうも藻類の質が変わってくる。そういうデータもいろいろ発表されているようですし、恐らくそういったことがCODの二次生産とか、質的な変化にも関係しているのかなという印象を持ちました。
 それから、中村委員の意見ともオーバーラップするんですけれども、私ども、農業が水系にどんな負荷を及ぼすか、いろいろ試算をしていますけれども、負荷が水系に出てくるのにかなり時間がかかります。地形だとか土地利用の条件によってかなり違ってくることもわかりましたけれども、生活系の排水に比べますと、農業系の負荷の場合かなり時間がかかるということで、実際に負荷が削減されて水質にどういう影響を及ぼすかというところをどういうふうに考えていくか、これは皆さんと一緒に勉強しなくてはいけないと思いますが、難しいけれども、重要な問題だと思います。

○岡田委員長 中村委員も齋藤委員もご指摘になったCODの質的変化、なかなか難しい問題だとは思いますが、可能ならば資料を揃えて、検討項目に入れておいていただければと思います。

○木幡委員 国立環境研究所の木幡と申します。
 今、CODの質的変化という話が続きましたけれども、私も1つやはり気になっていて、1つには、有機汚濁の指標としてCODがどれだけいいかという問題もあるかもしれませんが、それはちょっと置いておいて、私が気になったのは、この資料の12ページにあるバックグラウンドです。
 これは、ここではずっと同じ値を使っているけれども、果たして本当にいいんだろうか。日本の内湾だけではない、内湾は、結局外洋で希釈されて、ある基準に達するという考え方なんでしょうけれども、この希釈され、きれいだとされている外洋の水が一体どうなっているか、もし資料があるようでしたらちょっと調べていただくと、変遷みたいなものが、もしかしたら何かわかるのかなという気がします。
 メカニズムについては、先ほど中村委員からも、もう少し精査しろという話がありましたけれども、今後、やはりまだまだ検討する課題は多いかなと思いますので、私も一緒に勉強させていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

○河村委員 ちょっと素人的で申しわけないんですが、先ほどと同じ12ページの図で、沈殿降下、沈降する部分はどこかでカウントされているんですか。溶出は沈降部分を差し引いたものですか。

○岡田委員長 多分そうだと思うんですが。

○河村委員 もし過去の資料でわかれば、それを確認していただきたいと思います。
 それと、今のご発言のように、データそのものの見直しは要るかもしれませんけれども、このような図に、これまでの削減効果、資料5-2の2ページに削減効果を書いていただいていますけれども、これを加味した図を作っていただけたらと思います。全体のバランスで見たときに陸域の負荷の影響が下がっていて、だから結果として、全体のバランスとしてどうなっていくかみたいなことが分かるように各年次のものを作っていただければ、COD全体の中での陸域の影響、それから内部生産云々というのが少し見やすくなってくると思います。今のところ陸域だけで議論している部分もなきにしもあらずなので、全体がわかるような形の絵を作っていただければ、もう少し明確になるのではないかと思います。
 そういうところで、先ほどの溶出とか、あるいはバックグラウンドとか、そういうデータの精度が少し上がればいいと思います。恐らく陸域のCODの精度が一番いいと思うんですけれども、精度のバランスがとれていない可能性もあるかなという気がします。

○岡田委員長 事務局から何かご指摘がありましたら、どうぞ。

○坂川閉鎖性海域対策室長 沈降している部分をここでどう見ているかというのは、もう少し調べさせていただきまして、次回その結果をご説明したいと思います。
 また、何人かの先生方からメカニズムにつきまして、いろいろ宿題も出されました。今日、資料6-2をご説明しましたのは、5年前はこうだったということでありまして、私どもも、これはまた見直さなければいけないと思っております。データをなるべく新しいものに更新することは当然必要ですが、それ以外に当時の議論で抜けていた部分とか、さらに検討すべき事項などありましたら、またご指摘いただければと思います。

○松田委員 資料6-2の11ページから後の図は、上のカラムがCODになっていて、その下に窒素、りんの内訳という図になっていまして、どうも内部生産が何によっているかという観点から窒素やりんが取り上げられているようですね。それから、下の方にあるのは主にCODについての説明で、例えば、CODのバックグラウンドというのは、仮に内部生産や陸からの流入がなくてもバックグラウンドとしてこういうCODがありますよという値ですよね。そうすると、同じような考え方が窒素やりんについても成り立つので、窒素やりんについてもバックグラウンドがどうなるか考えなければいけない。実際には、外洋の方のデータが余り多くないとか、季節によって変わるとかで、それをどうとらえるかとは結構難しいと思うんですが、やはり窒素とりんのバックグラウンドについても整理が必要ではないかと思います。
 それから、初めに委員長からお話がありましたように、これまでの総量規制と少し考え方を変えるというか、精度を上げるということで言いますと、すべての海域というわけではありませんけれども、例えば水産業の活発なところ、漁獲が多いところですね。それから、カキの養殖による水揚げですとか、ノリの養殖が多いようなところでは、1回入ったりんや窒素がまた回収されるという部分がございますよね。ですから、流入負荷と同時に再回収あたりの一種の定量的評価といいますか、それは海域によって随分違うと思いますが、場合によっては必ずしも少なくないというデータもありますので、その辺も必要かなと思います。

○細見委員 各委員から、陸域のCOD負荷はかなり確かそうだという問題だと思うんですが、実際にこれを評価する際に、発生負荷量というか、原単位で計算していくわけですが、個別の水域とか海域に限って言うと、どこかで少し原単位法的なものが、本当に実際の水域なり海域なりに入っているのか、あるいはどのぐらいの差があるのかというのは、ノンポイントソースを含めて議論する際に、これから非常に重要になってくるのではないかと思います。
 実際にその対策を考えたときに、ただ単に、比較的取り組みやすいと思われる下水道の整備だとか、わかりやすいところに比較的多くの資本が投資されているわけで、もちろん必要なことは必要なんですが、ひょっとすると、ノンポイント的なソースのところに負荷が多い場合には、そちらの方に向けていくような仕組みも考えていかないといけないのではないか。要するに、資本を投資すべき、費用対効果も考えたことを考えるためには、もうちょっとCODの負荷の中身が、原単位だけではなくて実測ベースというか、実態をかなり考慮していくべきではないかと思っています。特に雨天時を含めてですね。その辺が少し、今までどれだけ十分議論されたのか、私もよく勉強していませんけれども、これから必要になってくるのではないかと思います。

○岡田委員長 雨が降っているときと降っていないときの負荷、例えば雨が多い年と少ない年で当然ノンポイント、違いますから、その辺も含めてのご指摘だと思います。そういうことでよろしいですね。
 難しい話ですから、完璧にというと永遠に何も動きませんから、できる範囲でということでよろしいですね。事務局、お願いいたします。

○平沢委員 細見委員と全く同じ意見が1つでございます。
 もう一つは、資料6-2なんですが、私も素人なので、こういうことを言っていいかわかりませんが、水質指標間の相関性というのが書かれていまして、水域によらず窒素とクロロフィル-aとか相関しているんですけれども、これを直線で引くのはどうなのかなと思っています。
 例えば、水域ごとのところを、同じプロットのところを丸してみると、実は余り相関性のないところとか、あるところとか、やはり水域によって藻類の質だとか、CODや二次生産に寄与する分とかいろいろ違うので、これを一緒に線に乗せて、だからNをとれとかいうのは、それはもう水域ごとに全部違うのではないかなと。しかも、水域も広いから、水域のナントカ灘とか、そういうものによってもまた違うかもしれない。この辺はやっかいな問題ですけれども、こういう直線的なやり方で安易に基準を決めるのはいかがかなと思いました。
 それから資料6-2、4ページのN/P比の変動なんですけれども、これは大体夏場にN/P比が下がっているということで、これはPが増えていると考えてもいいわけですよね、ある意味。要するに、夏場はいわゆる赤潮とか、ひょっとすると底泥からりんが溶出してきて、りんの濃度を高めているとか。特に産業から夏場にPがいっぱい出ているとは思えないので、このN/P比の変動を見ると、いわゆる底泥からのりんの吐き出しとかいうことが読み取れるのではないかなと、フと思いました。
 それから、最後の底泥からの溶出ですが、これはどうやって試験したのかよくわかりませんが、この総量規制の究極の目標というのは、やはり赤潮とか青潮というところだと思うんですね。それは割と地域性があるもので、例えば漁業被害というのがあるところで、その地域での問題だと思われるわけです。そうしますと、そこでの底泥からの溶出というのは実は意外に大きいのではないかなと。
 赤潮とか青潮が起こっている箇所での問題ですね。全体で平均して議論するのではなくて、その地域で議論すると、実はその部分の底泥からの溶出だとか、漁業における餌の施肥だとか、そういうものが実は効いているのではないか。もし究極の目標が赤潮、青潮であるならば、そういうことも調べた方がいいのではないかなと思いました。

○岡田委員長 事務局から、お答えできる範囲でお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 確かに直線回帰のところは、当時の結論として、COD、いろいろな水質指標間に相関がありますよということだったんだと思いますが、確かに海域ごとにやってみる方が、より適切であると思います。ただ、恐らく、水域を限定してしまうと濃度がある1カ所に固まってしまう、そういう問題もあったのではないかと思います。
 ですから、そういう意味で、便宜的なものであると同時に、当然ながら、相関があるということは理論的に言える部分もかなりあると思いますので、そういうことと組み合わせながら、当時としては議論したのではないかと思っております。
 それから、N/P比が夏場に大分低くなっているということで、確かに、りんが夏に溶出しやすくなるという傾向もありますので、そういった影響もあるのではないかと思っております。
 また、養殖の負荷というお話もありましたけれども、窒素、りんの総量規制をするようになってから、養殖による窒素、りんの負荷がどの程度あるのかという数字も把握しておりまして、負荷量の中に入れ込んでおります。ですから、少なくとも県単位で、どこの県の地先ではどのぐらい窒素、りんの負荷があるというところまではわかりますので、そういったデータも必要に応じて使いながら考えていきたいと思っております。

○岡田委員長 ほかに、ございますでしょうか。

○細見委員 これは過去のことなんですが、CODで規制していた当時、実際にはCODを削減しようとすると、同時に窒素、りんがかなり減る場合もあるのではないかと思うんですが、その当時どのぐらい、推計は非常に難しいかもしれませんが、今の窒素、りんの削減のレベルと、その当時の削減のレベルがどのぐらいの関係にあったんだろうかというのは、要は、内部負荷が基本的に、どちらかというと陸域からの負荷よりも大きいという前提で話をすると、窒素、りんの今までの削減というのは、これはデータがないかもしれませんが、CODをまずこれだけ減らしました、それから窒素、りんは平成6年からでしたっけ、それ以前にどれだけ減らしたかという見積もりみたいなものがどこかでできないか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 資料5-2の2ページに発生負荷量の推移の図がありまして、そこに窒素とりんも併せて載せております。
 先ほどご説明しましたように、窒素、りんの総量規制は第5次から始まったわけでありますが、それ以前も各都府県が削減指導ということでいろいろやってきておりますので、データはある程度ございます。ただ、今のような仕組みで発生負荷量を把握していたわけではありませんので、どこまで精度があるかというと、今よりは落ちると思いますけれども、概算としては把握しておりまして、その結果をこの2ページにあらわしております。
 これを見ますと、一般的な傾向として、窒素もりんも以前に比べると下がってきていることが読み取れるかと思います。

○木幡委員 今、見せていただいた2ページの図ですけれども、もう少し詳細な負荷インベントリーというか、中身が、いずれデータとして提示されるんでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 総量規制制度に基づいてやっております部分は、発生源別にかなり詳細なものをお出しできると思います。ただ、窒素、りんについて過去のものとなりますと、そこはかなり分類が粗くならざるを得ない部分があるかと思いますが、できるだけ議論の中で出していきたいと思っております。

○岡田委員長 ほかにご質問等ございますでしょうか。
 よろしければ、今のご質問等も踏まえて今後どういうふうに検討を進めていくかが重要になるかと思いますので、今後の検討事項について、事務局から資料7のご説明をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 資料7は、今後の総量規制専門委員会における検討事項を考えてみたものでございますが、まず裏面をご覧いただきたいと思います。
 参考として書いてございますが、2月26日に水環境部会にこの諮問についてご説明しましたところ、幾つかご意見がございました。その主なものをご紹介したいと思います。
 まず、第5次水質総量規制までの対策の効果について評価が必要ではないか。
 それから、環境基準の達成率が向上しない原因を明らかにするために、水質汚濁のメカニズムを検討することが必要である。
 また、対策面では、総合的な対策が必要である。その1つとして、総量規制基準の適用対象となっていない小規模な事業場であるとか、面源等の汚濁負荷削減対策。2つ目として、汚濁負荷削減対策以外の対策も考える必要があるのではないか。例えば自然浄化能力がどんどん劣ってきているので、そういうものを回復するということもあるのではないか。
 それから、水質総量規制の目標をしっかり検討した上で、その目標達成に向けての長期的な見通しを明らかにすることも必要ではないか。
 このようなご意見がございました。
 そこで、表面に戻っていただきまして、今後の検討事項でございますが、本日は第1回目でありますので、諮問についてのご説明と、今までの総量規制の実施状況についてご説明したわけでありますが、第2回目以降に考えられるものとして、まず、水質の推移については、もう少し詳しく見ていく必要があるだろう。それから、水質汚濁による障害とその変遷についても、もう少し昔のものまで辿ってみるとか、もう少し詳しく見ていく必要があるのではないか。
 また、そういったものを踏まえまして、指定水域における水質汚濁メカニズムについて、さらに解明を図っていく。本日もいろいろご意見をいただきましたので、そのようなことを踏まえまして、水質汚濁メカニズムの検討が必要であると考えております。
 また、3番目として、水質総量規制の目標と必要な水環境改善対策について。水質汚濁規制は環境基準の達成が目標でございますが、それだけではなくて、それ以外に何か加えるものはないかということもありますし、また、どういう海を目指していくべきかという議論もあるだろうと思っております。
 それから、今後の水環境改善対策のあり方について、どのような対策をどのように講じていくのかということも必要であると思っております。
 これら4つのことを全体的にまとめまして、総量規制専門委員会報告をおまとめいただきたいと考えております。
 また、下に※で書きましたが、汚濁負荷の削減対策でありますとか、それ以外のいろいろな改善対策に関しましては、それに関連する関係者からヒアリングを行うことも検討してはどうかと思っております。
 項目で書くとこのようなことになりますが、非常に難しい課題もいろいろありまして、事務局としても大変だなと思っているわけでありますが、先生方にもぜひこれからいろいろご検討いただきたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 最後のところで事務局の本音みたいな、大変さも出てまいりましたが、先生方から何かご質問、コメントございますでしょうか。
 先ほど幾つかコメントをいただいておりますが、追加で何かございましたらお願いいたします。
 では、私から。
 このメカニズムをあるレベルで──「完全に」と言うと永遠に何もできないことになりますので、そこそこに明らかにするなり、ある種のメカニズムに関する仮説を検証するために、今までやっていたシミュレーションみたいなものは予定の中に入っていますでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 ご説明を忘れましたが、前回、第5次の際に、どのぐらい汚濁負荷を削減すると将来どのぐらい水がきれいになるのかという水質汚濁のシミュレーションをしております。ですから、それも参考になると思いますが、今回、もう少し詳細にやってみようということで、事務局では今、準備を進めております。ただ、今すぐに結果をお出しするわけにはいきませんで、何カ月かかかるかと思いますけれども、少なくともこの専門委員会の議論に間に合うように、いずれかの時点でその結果についてご説明させていただきたいと思います。

○岡田委員長 シミュレーションは考えるための道具ですから、ぜひ先生方のご意見なり仮説を入れて計算するような作業を繰り返すことができるようにお願いします。決まったものを入れて「こうなりました」というだけですと説得力が乏しい場合もございますので、ぜひ、途中でもいいと思うんです。途中というか、何と申し上げたらいいか難しいところがありますが、シミュレーションのやり方について、できたらご意見をいただいた方がうまくいくと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

○河村委員 資料6-2の9ページに、ある非常に限られたところだと思いますが、かなり古くからのデータがございますよね。ほかの地域でもあるかどうかはわかりませんが、非常に単純に考えれば、昭和39年あたり以前は、今で言う環境基準のAとかIとか、ある程度達成していたと言えるわけですよね。先ほどのお話のように、いろいろな負荷を削減しても効果が出るには時間がかかるかもしれませんけれども、例えばこのぐらいの時期に実際にどのぐらい負荷があったかという試算をされたことはございますか。過去のいずれかの段階で。

○坂川閉鎖性海域対策室長 環境省としてやった記憶は私にはなくて、やっていないのではないかと思いますが、ただ、幾つかそういう報告を見たことはございます。

○河村委員 その辺のところがもしわかれば、非常に理想的なものに近い、負荷量だけから見た場合かもしれませんけれども、何か1つ考える土台になるような気がしますので。過去にはきれいだった時期があるわけですので、そのときはどうだったのか見てみたらいいのではないかと思います。

○岡田委員長 あるかないか、やってみないとわかりませんが、試みてください。
 ほかにございますでしょうか。
 よろしければ、予定の時間より大分早いですが、事務局から次回の日程等についてお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 次回でございますが、非常に検討項目も多いものですから、事務局としては、次回は6月ぐらいに開催させていただいて、その後、第3回目を8月ぐらいには開催しないとなかなか議論が進まないなと思っております。
 そこで、先生方のスケジュールを調整させていただきたいと思いますので、お手元に配付しましたスケジュール表のご都合の悪い日に×をつけていただいて、後ほどご提出いただきたいと思います。もし本日のご提出が難しい場合には、お帰りになってからFAXで事務局にお送りいただいても結構でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
 その中から、できるだけたくさんの先生方にご出席していただける日をセットさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○岡田委員長 そういうことで、よろしくお願いいたします。
 ほかにご意見等ございませんでしたら、以上をもちまして本日の委員会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。

午後3時22分閉会