中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会(第5回)議事録
日時
平成16年8月27日開催
場所
環境省環境管理局水環境部企画課
議事次第
- 開会
- 議事
(1) 前回の議事録(案)について (2) 水生生物保全小委員会報告(案)について (3) その他 - 閉会
配付資料
資料1 | 中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会委員名簿 |
資料2 | 中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会(第4回)議事録(案) |
資料3 | 水生生物と亜鉛濃度等の関係(試行的解析) |
資料4 | 水生生物の保全に係る環境基準に関する施策の重要事項について |
(水生生物保全小委員会報告(案)) | |
参考資料1 | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(答申)(委員限り) |
参考資料2 | 水生生物保全小委員会(第1回)資料5 |
「環境基準類型指定及び環境管理施策の現行制度について」 | |
参考資料3 | 水生生物保全小委員会(第3回)資料7 |
「現行の環境基準の適用の考え方について」 |
議事録
午後1時30分開会
○谷企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第5回中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会」を開会いたします。本日は、委員総数15名中13名の御出席が予定されており、ただいまのところ11名の御出席をいただいておりますので、既に小委員会開催の定足数8名を満たしております。
それでは早速でございますが、お手元の配付資料につきまして御確認をいただきたいと思います。議事次第にございます配付資料及び参考資料をお配りしております。読み上げいたしませんが、不足などございましたら随時事務局までお申しつけくださいますようにお願いいたします。
それでは、これ以降、会議の進行は議事運営規則に従いまして村岡委員長にお願いいたします。
○村岡委員長 本日はお忙しい中、委員の先生方には御参集いただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速議事に入りたいと思いますが、議題1、前回議事録(案)についてでございます。資料2に前回議事録(案)が準備されておりますが、本資料は委員の先生方に御確認いただいた後、事務局で修正し、再度委員の先生方に送付されている資料でございますので、この場で前回議事録としたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○村岡委員長 ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては公開の手続をおとりいただくようお願いいたします。
議題2でございます。これは水生生物保全小委員会報告についてでございます。
まず、資料3の水生生物と亜鉛濃度等の関係でございますが、これは前回の委員会で宿題になっていた事項でございまして、これにつきまして、まず事務局の方から御説明いただきたいと思います。
○松田補佐 資料3でございますが、今回の小委員会報告の御議論の前に宿題というような格好でございましたので、参考に御紹介させていただければと思います。
答申にもありますとおり、実環境のデータというのは条件が非常に多様であり、入手データも限られるということで、明確な関係を判断するということは困難だろうということであったかと思いますが、そういった中で、今回試行的に解析してみたという資料でございます。
それでは、資料3の1ページ目からでございます。
調査目的にございますが、全亜鉛と水生生物の関係を把握するという目的で、特に高い濃度の水域を中心に調査したというものでございます。
調査項目は、全亜鉛とpH、それから溶存酸素量と、それ以外に関連の重金属類とか要監視項目になっているもの、LASとかノニルフェノール、そういったものもあわせて調査しているということです。
生物につきましては、動植物プランクトン、付着藻類、底生生物、魚類ということです。
調査河川につきましては、2の(3)にございますが、表1にございます15河川で行っておりまして、地点数としては53地点でございます。
2ページに移っていただきますと、調査結果とございますが、まず、解析に当たって注意した点ということですけれども、これまでにも指摘されているところですけれども、亜鉛の水生生物に対する毒性というのは、硬度等の水質によって異なる場合が考えられるということでございますので、その解析に当たっては考慮が必要だろうということ。
それから、もう一つございますのは、やはり水生生物の群集というのは有機汚濁や富栄養化によっても影響を受けることが考えられるということで、これも考慮する必要があるということでございました。
それで、解析対象でございますが、今回の全地点に加えて、その調査対象の河川から我が国の平均的な硬度で有機汚濁が少ないというような水質の地点であります。こういった地点が水質面で類似性があるということで、18地点ということで比較的多くの地点で抽出されたということで、この地点についてもあわせて検討したというものでございます。
特に対象としたのは、長期間にわたって水質の影響を受ける「付着藻類」や「底生生物」、そういったものを中心に解析をしております。
水質の特徴等については表にもまとめてございます。
4ページからはその具体的な結果でございますが、付着藻類につきましては全地点で見たものが図1にございます。これは前回もお出ししているものでございますが、試みに、例えば環境基準の値のところで線を引いて、その未満と以上で差があり得るか、そんな検討をしたのが右側のボックスプロットの図でございまして、結果としましては、その下の説明にありますけれども、図を見ますと何となく減少傾向はあるのかなというところはあるかと思いますが、そういう比較を、30μg/lで比較をしても有意な差はなかったという結果でございます。
5ページが先ほどの18地点の抽出データの亜鉛の濃度と種類数の比較のグラフとなっておりまして、やはり減少の傾向が見られるのではないかということでありまして、先ほどと同じように30μg/lで区切って比較すると、今度は有意水準5%で有意な差がみられたという結果が得られたということであります。
続いて、底生生物が5ページの下から説明がありますけれども、グラフとしては6ページにございまして、まずすべての地点のデータとしては、図3の上の図がすべての底生生物、下のグラフがカゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類の種類数でEPT種類数と呼んでいるものでございます。これは、以前国土交通省のデータを御紹介したときに使われた資料と同じでございます。
結果としましては減少傾向というところがあるのではないかということと、それから、30μg/lの前後では有意な差が見られたという統計解析の結果となっております。
それと、7ページは、先ほどのように18地点を抽出した部分の結果ということで、図としましては8ページにございます。上は全底生生物、下がEPT種類数でありまして、傾向としてはやはり高い濃度では少なくなるという傾向があるのではないかというものですが、先ほどと多少違うのは、全生物で見ると有意な差は見られなかったということと、EPTの種類数でいくと有意な差は見られたというような結果になっております。
1つここで考察されておりますが、この地点4というところですね、多少亜鉛濃度が高いところでも種類数が多くいるというところがありまして、その点は原因は不明でありますが、そういった地点もあったということであります。
9ページにまいりますと、魚類と付着藻類等では生物の種類とかそういったところまで見ております。魚類はこういう調査を行った結果が得られたという状況で、解析まではなかなか至らないというところであります。
付着藻類でございますが、表7(a)と表7(b)では、例えば30μg/lで区切ると生物の様相が異なっているということは見てとれたということでございます。
同様に、底生生物につきましては11ページに表8(a)と表8(b)があります。やはり低いところでのみ観察された種類と、高いところでのみ観察された種類というのが、当然共通する種類もあるということであります。
資料3につきましては以上でございます。
○村岡委員長 どうもありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明で何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
この試行的解析というのは、環境省でおやりになっている調査の中での位置づけというのは、どういう位置づけになっていますか。
○松田補佐 先ほども少し申し上げましたが、実環境のデータということで、解析を現段階でできる範囲でやってみたというものでありますが、当然、これまでもいろいろ議論が出ておりましたが、さらなる調査研究が必要であるというようなことでありますので、さらに調査研究を進めていくというようなことを考えております。
○村岡委員長 そうですか。亜鉛が環境基準になりましたけれども、亜鉛以外も当然おやりになっていて、今回は亜鉛についてのみまとめたところを御説明いただいたと、こういうことですか。
○松田補佐 そうですね。ほかの水質項目も測っている調査地点がございますので、別の観点の解析というのはあり得ると思います。
○村岡委員長 何かほかに関連するような御意見はございますか。
どうぞ、須藤委員。
○須藤委員 この試行的解析はこれで結構だと私も思いますが、こういう実環境の水生生物と今後もいろいろな化学物質あるいは元素との関係というのは必要になってくると思いますが、調査の場合に、水質の調査というのは結構なされていますが、水環境の中の水生生物のデータというのは義務づけはほとんどされていません。例えば県の測定計画の中でも水質はきちっと位置づけられているけれども、余り水生生物の調査はされていませんので、今後やはり環境省の方の水生生物の立場からすれば、できるだけ測定計画に、法律的には入れられないのは承知していますが、何らかの形で指導というか、助言というか、していただいて、地方自治体の水質測定計画の中であわせて水生生物の調査ができるようにしていただくと、もう少し実環境のデータが集まりやすいのではないかと思いますので、その辺をよろしく御配慮いただきたいと思います。
○村岡委員長 ありがとうございました。
ほかに何か。
○鈴木委員 1つ確認をさせていただきます。これを拝見しますと、全地域に比べて18地点の方がより有意な差が見られるような感じになっております。これを逆にいうと、仮に亜鉛があっても有機物の存在が、生物の生存を助けているというところが多いということにもなるような気がしますけれども、その辺についてはどう考えておられますか。
○松田補佐 これ以上の点でどういうふうになるかというのはなかなか多分わからない点でして、今回はこの2つの水質の項目で大体同じような類似性があるということで統計解析し得るレベルで抽出してみたということで、それ以外ですとなかなかいろいろなばらつきがあるというところで何とも評価できないものだなというところが現状かと思います。
○村岡委員長 ほかにございますか。
それでは、ないようでございますので、この水生生物と亜鉛濃度との関係ということで、現段階での環境省の調査結果・解析について御理解いただけたものと思います。
なお、先ほど須藤委員からも意見がございましたけれども、水生生物の調査を何らかの形で制度化していくということについては、御努力いただきたいと思います。
それでは、次に、資料4でございますが、水生生物保全小委員会報告についてでございます。これが本日の主要な議題かと思いますが、前回の小委員会で報告書に盛り込むべき内容について御議論いただきました。そこで、報告書文案の作成につきましては委員長であります私にお任せいただきましたので、これまでに御審議いただきました内容を踏まえまして、資料4として当小委員会の報告(案)を準備していただいております。
それでは、事務局から報告(案)を御紹介願いたいと思います。
○松田補佐 それでは、資料4について説明させていただきます。
前回の資料3の骨子案を踏まえた形になっているということですが、「はじめに」というところで経緯を簡単に述べさせていただいているところであります。
もう一回改めて確認いたしますと、答申につきましては昨年9月に出まして、告示が11月ということであります。答申の中で括弧内にありますとおり、「水生生物の保全に係る水質環境基準の設定が我が国では初めてであることに鑑み、環境基準の設定に伴い今後推進されるべき施策を効果的なものにするため、引き続き同部会に小委員会を設け、環境基準の運用、環境管理等水生生物の保全に係る施策の重要事項について審議すること」とされており、これを受けてこの小委員会が設置されたというものであるという記載をしております。
この小委員会では、答申の趣旨、諸外国の動向、従来の施策、実フィールドの状況等を踏まえ、昨年12月以降これまで、今回も含めまして5回という書き方をしておりますが、調査審議を行って、部会に報告するということであります。
2番目は、「報告の取りまとめに当たって」ということで、検討の基本的な認識等を記載しております。1つありますのは、1段落目に「任務」と書いてありますが、先ほどの重要事項についての審議をする。とりわけ水域類型のあてはめ、環境管理施策の基本的方向や留意事項等をとりまとめ、今後の具体的な検討作業に引き継ぐ任務だということで書いてございます。
本小委員会でいろいろ審議したときの基本的な認識というところを改めて記載しております。1つは、この環境基準は、環境基本法上の環境基準として設定されたものであり、この環境基準を水生生物保全の目標として、その維持達成に努めるべきものであるという基本的な部分。それから、基準値というのは水質による水生生物への影響を未然に防止する観点から維持することが望ましい水準として設定されたものだということで、基準値を超える水域であっても、直ちに水生生物にある程度以上の影響を及ぼすといった性格を持つものではないというものであります。これは既に答申で書かれていたものを引用してございます。
審議に当たっては、環境基準の運用ということ、それから環境管理ということについて明らかにしていこうということと、それから、フィールド調査研究のデータをどう取り扱うべきか。これまでの審議を鑑みますと、その3点で議論を行ってきたということかと思われますので、その議論を踏まえ、重要事項としては、この一番最後に3つポツがありますが、類型あてはめの基本的考え方及び留意事項、水生生物保全のための環境管理施策の在り方、環境基準に関連する継続的な調査研究の推進というこの3点を見解として取りまとめたということになっております。
具体的には3以降でございます。「類型あてはめの基本的考え方及び留意事項」ということで、前回の論点でいきますと、2つ目に出てきたものですが、整理しております。
1段落目は、前半部分は基本的には答申の内容をここで改めて記載しております。前回、御意見があった部分につきまして、下から4行目の「なお」以降につけ加えております。
「なお、こういった水域においては、水域の関係者により、実現可能性を踏まえつつ、流量や水深等の基礎的な生息環境の確保の努力が積極的になされるべきである。」と、こういったより積極的に水環境を保全していこうという、そういう姿勢を示すというようなことでここに加えております。
具体的には3ページから、(1)と(2)で、1つ目は、「既存の生活環境項目との関係について」でございます。これについてはほとんど前回の骨子の内容でございまして、1つ追加させていただいたのは、2段落目の2行目、「溶存酸素濃度が常に低いレベルで推移するなど」といった部分を、具体的なイメージとして何か入れられないかと御意見がありましたので、追加してございます。
(2)につきましては、「自然的原因の取扱いについて」ということであります。これも前回の骨子案とほぼ同様のものを文章化したということになっているかと思います。
自然的原因とはどういうものかということで御議論もあったところでありますので、1行目に括弧で「(鉱床地帯における岩石等からの溶出、海水の混入等)」という部分を追加してございます。
ちなみに、前回2段落目で自然的原因が環境基準超過の原因とされる場合に、適用を除外する方法の例として北上川の例を挙げさせていただきましたが、完全にこの部分の例というと語弊があるということで、自然的原因といいますか、北上川の場合ですとやはり排水の影響があるというものですので、直接の例にはならないかなということでございます。
4ページ目は、「水生生物保全のための環境管理施策の在り方」についてでございます。
○熊谷補佐 前回の骨子を文章化した整理とさせていただいているつもりです。一部、前回の小委員会の中でも御意見をいただきました具体的な規制の考え方の中で、主に現在最大濃度で規制する項目が大部分でございますけれども、生活環境項目、BODやCOD等で実績がある平均値規制のようなものを排出の実態等に合わせて検討の範囲に入れていただきたいというような御意見がありましたので、そこの部分を下から2つ目の段落のところに記述を加えております。
主なる内容は前回の骨子とほぼ同様かと思っております。
○松田補佐 続きまして、5ページ目の「環境基準に関連する継続的な調査研究の推進」でございます。これは前回の論点1にございましたが、先ほど御紹介させていただいたものもございますけれども、フィールド調査研究のさらなる充実というのが重要であると、そういった点が前回骨子でありましたので、これについても大体その旨で同様な記載をしてございます。
1つ付け加えた点としましては、2段落目の一番最後のところに、「その結果を速やかに公開していく必要がある」ということで、これについても調査研究データを公開して見直していくという点の御意見がありましたので、入れさせていただいております。
「おわりに」ということで、次のステップに進むという結びにしてございます。
以上です。
○村岡委員長 どうもありがとうございました。
前回、この報告書に盛り込むべき事項ということで、それをまとめて骨子案ということで御議論いただきまして、この報告書もその骨子の中身をほぼ踏襲しておるということでございますが、特に前回御指摘のあった重要事項につきましてはそれを織り込んだ形でこの文章の中に入っておると、そういうふうな御説明でございました。
ということで、最終的にはこのような報告書をまとめたわけですけれども、いかがでしょうか。全体を通しまして、あるいは個々にまた御意見をいただくこともあるかと思いますけれども、何か御意見等ございましたらお願いしたいと思います。
どうぞ、福井委員。
○福井委員 これはおおむね前回の文章どおりですが、よく読んでみますと、この2ページの下の方の、「なお」以下は4行が付け加わったというのはわかりますが、その2行前に、「一義的にあてはめを検討する必要はないが、その要因の解決等により生息が可能になった場合にはあてはめを行うことが必要である。」。この「一義的に」というのはわかりにくいのですが、この意味を確認しておきたいと思います。
それから、3ページの下から2行目に、「自然的原因が含まれることを配慮する方法等により個々の水域毎の事情に応じて運用することが適当である。」とあります。これは、監視の強化をいっているのかどうか確認をしたいと思います。
それから、もう1点ですが、4ページの真ん中あたりに、「全公共用水域・全特定事業場を対象とする一律排水基準として設定することが適当である。」とあります。これは検討項目についての考え方ですが、そのすぐ後に「生活環境項目として」と書いてありますが、これやはり全部の公共用水域と全特定事業場を一応対象とするということですが、足切りとかそういうことはないのかどうか。これは、また別途専門委員会等が設置されてそこで検討されるかどうか、その辺も確認をしておきたい。
それから、もう一つ最後に、この後専門委員会等でいろいろ御議論されるというふうにお聞きしておりましたが、ぜひともそういったときに詳細にまたよく御議論をされることをお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
○村岡委員長 はい、わかりました。
4点ばかり確認をしたいというふうなことでございますけれども、まず、最初の1点は、「一義的に」というのがちょっとわかりにくいなということ。これはほかの委員の先生方、いかがでしょうか。
○須藤委員 これはアプリオリにという意味でしょう、一義的にというのは。
○福井委員 わかりにくいので確認だけです。
○松田補佐 この表現は、前回の答申の文章でこういう表現がありましたので、今回あえてそこは特に触っていないということでございます。
○村岡委員長 一義的というのは本来どういう意味かということがあるでしょうね。
○福井委員 わかりました。
それからあと、次の3ページの下から2行目の。
○松田補佐 3ページの(2)の、強化といいますか、監視を引き続き行うこともあるし、当然強化する場合もあるかもしれませんし、これまでの扱いを見ていますと、引き続き監視していきましょうというものがあります。
○村岡委員長 これは小委員会報告としては一応こういうふうなことで、具体的にこれがどういう形で配慮するかという方法はやはり、専門委員会レベルで検討されることと思いますけれども、そういう認識でよろしゅうございますか。
○福井委員 それと、全公共用水域と全特定事業場を全部対象にするというのは。
○村岡委員長 重要な考え方として、全公共用水域・全特定事業場を対象とする、一律排出基準として設定すべきというふうに書いておりますので、このことについての御異議はないわけですね。
○福井委員 ここにあえて「全」というふうに書いて、次には生活環境項目と書いてあるので、確認です。全公共用水域で、全特定事業場ということですが、普通なら足切りがあってもいいのではないかなという気がしますが、そういうのは無いということですか。
○熊谷補佐 前者の全公共用水はまさに今までの排水規制、健康項目、生活環境保護に関わらず行ってきたことです。特別に環境の特性として限定をしている例、富栄養化のための原因物質である窒素、りんについてその富栄養化現象が起こるような水域に限定するとか、そういった特殊なものはありますけれども、全公共用水域に適用してきたので、そこのところはこれまでの御議論かと思います。
今、お話しの全特定事業場の方は、おっしゃられるとおり、ここで文章を単純化するためで注釈抜きで書いてしまいましたけれども、業種ごとに適用したりしなかったりということでは無いという意味で記述したつもりでございます。今、言われた規模要件のような話は別途あろうかと思いますので、そこについては後段の今までの生活環境項目の適用の仕方をここについても取り入れるということで、足切りをここの部分でなくしていこうという意図で書いたものではございませんが、表現的に誤解を生む可能性があるということであれば、今まで全公共用水域の前に「原則」とかそういった文言を加えることで御理解いただければ、そのような修正もあろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○福井委員 いや、修正までどうこうとは言いません。
○村岡委員長 要するに、後の考え方、検討によりましては全の一部は抜けるかもわからないということで、ここでは「全」と書いているということで、そういう解釈でどうでしょうか。
○福井委員 はい。
○村岡委員長 修正まではよろしいですか。
○福井委員 はい。
○清水委員 ちょっと別のことでよろしいでしょうか。
○村岡委員長 どうぞ。
○清水委員 3ページの(2)、自然的原因に関して具体的に書いたということで、海水の混入が入っていますが、海水中の亜鉛の濃度というのは30μg/lを超えますか。たしか海域の方がこの基準値も低いはずですし、亜鉛の濃度はそんなに高くないと思いますけれども。
○松田補佐 まず1つは、亜鉛に限らず全体的な方針を書いている点があるためという御理解をいただければと思います。
○清水委員 そうですか。
○松田補佐 それと、海は低目の値となっていますが、必ずしも基準が20μg/lであればすべてが20μg/l以下になるということでも無いようなデータも出ていると。ただ、高濃度というのは考えにくいかもしれません。
○鈴木委員 要するにここは例示でしょう。厳密に言い出せば温泉はどうだとかいうことになるので、一般的な例示ということで解釈すれば良いと思います。
○村岡委員長 はい、ここで書いているのはそういうことですね。自然的原因というのは一体どんなものだろうということで、ここでは2つ挙げて、「混入等」とありますからまだほかにもあるかもわからないという含みを置いて、海水の場合だとふっ素、ほう素などでそんな例が見られるというようなことで、一般的な表現というふうに解釈していけば。
それから、福井委員、4つ目は何かございましたね。
○福井委員 いや、これは希望。よろしくお願いいたします。
○村岡委員長 ほかに何か御議論いただくことございますか。大塚委員、どうぞ。
○大塚委員 表現の問題で、恐らくよく考えて書かれているだろうと思いますから、ちょっと御説明をいただきたいのですが、4ページの下から9行目のところで「最大濃度値の規制基準」という言葉が使ってあって、それまでは「排水基準」という言葉が使ってありますが、その次、「平均値規制」という言葉があるからこれは対応しているのだと思いますけれども、ここは排水基準という言葉を使わない方がいいという御趣旨ですか。ちょっと御説明いただければと思います。
○熊谷補佐 決まっているものが排水基準ということなので、その排水基準の構成の中に、その最大濃度でやっているような規制の形態があったり、例えば今でありますと1日平均というような形がありますので、そこを言葉で書き分けたつもりではありますけれども。
○大塚委員 特に問題がなければ、当然ということであれば結構だと思います。
○村岡委員長 よろしゅうございますか。
ほかにございますか。
ないようでございますが、それでは、いろいろ御確認いただいた御意見も、御確認のためにいただいた意見もございましたけれども、一応報告といたしましては、この今の案でございますけれども、これを後ほど部会に上げる当小委員会の結論として私から報告させていただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○村岡委員長 どうもありがとうございます。
議題といたしましては「その他」がございますけれども、事務局の方で何かございますか。
○松田補佐 この後、15時からは水環境部会の開催予定でございます。今、小委員長におっしゃっていただきましたが、報告をいただくという予定になってございます。その後、それを踏まえ、趣旨説明と具体的施策を進めるという段階になろうかと思います。
それと、当小委員会の運営方針で、議事録は作成、公表ということになっておりますので、今回の議事録案については後日各先生方にお送りしまして、御発言なりを御確認いただければと思いますので、お願いいたします。
○村岡委員長 どうもありがとうございました。
それでは、一応議事が終わりましたので、これまで本当に長い間、5回にわたって激論を交わしていただきまして、おかげさまで先ほどの報告書(案)これを結論としてお認めいただくことができまして、本当にありがとうございました。
それでは、最後に事務局から御挨拶いただきたいと思います。
○甲村水環境部長 水環境部長の甲村でございます。委員長から今お話がありましたように、昨年12月から5回にわたりまして非常に熱心な御審議を賜りまして、大変ありがとうございます。また、その間たくさんの貴重な御意見をいただきまして、本日ここに報告をまとめていただきましたことに改めて御礼申し上げます。
この後、水環境部会に報告をいたしまして、その後、環境省といたしましてこの報告の内容を踏まえまして、環境基準の運用や環境管理施策の具体化に向けて検討を進めますとともに、今回の報告にもございますように、フィールド調査を初めとして環境基準に関する継続的な調査研究の推進に努めてまいりたいと思います。
委員の皆様方には引き続きよろしく御指導いただきますようお願いいたします。
ありがとうございました。
○村岡委員長 どうもありがとうございました。
これで閉じさせていただきます。
午後 2時12分 閉会