中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会(第2回)議事録

日時

平成16年3月30日開催

場所

環境省環境管理局水環境部企画課

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 前回の議事録(案)について
    (2) 水生生物保全に関する重要事項について
    その他
  3. 閉会

配布資料

資料1  中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会名簿
資料2  中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会(第1回)議事録(案)
資料3  第1回水生生物保全小委員会での主な論点とそれに関する発言要旨
資料4  水生生物と亜鉛濃度の関係
資料5  環境水中の亜鉛濃度等について
資料6  諸外国の亜鉛に係る排水規制の概要について
参考資料1  中央環境審議会水環境部会(第9回)議事録
参考資料2  環境基準類型指定及び環境管理施策の現行制度について
   (第1回水生生物保全小委員会 資料5)
参考資料3  水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(答申)
   (委員限り)
   

議事録

午前10時00分開会

○柏木企画課長 おはようございます。まだ2名の委員の方が見えておられませんけれども、委員総数15名で、定足数の8名に現在のところ達しておりますので、定刻ということで、ただいまから「第2回中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会」を開会いたします。
 次にお手元の配付資料について御確認いただきたいと思います。議事次第にございますように、資料1から資料6、それから参考資料として、1から3まで掲げてございます。不足等ございましたら、随時、事務局までお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、これ以降、会議の進行を議事運営規則に従いまして、村岡委員長にお願いをいたします。

○村岡委員長 皆さん、おはようございます。
 委員の先生方にはお忙しい中御出席いただきまして、本当にありがとうございます。議事次第にございますように、本日は「水生生物保全に関する重要事項について」が主な議題でございます。委員の皆様方にはまた御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは早速議事に入りますが、議題1は前回議事録の(案)でございますが、資料2に前回の議事録(案)が準備されております。この資料は委員の先生方に御確認いただいた後、事務局で修正いたしまして、再度各委員の先生方に送付されている資料でございますので、この場で前回の議事録としたいと思いますが、御異議ございますか。
(「異議なし」の声あり)

○村岡委員長 それでは、この議事録を前回の議事録といたしますので、事務局におかれましては公開の手続をお進めくださるよう、お願いいたします。
 それでは議題の2でございますが、水生生物保全に関する重要事項についてでございます。本日は前回と同様に、自由に御議論いただくということにさせていただきます。そのため、前回における議事の論点や平瀬委員から御要望のありました水生生物保全の観点から、亜鉛について行われている各国の取り組み状況、それから池田委員から御示唆がありました河川管理者で集めておられるデータなど、事務局で幾つかの資料を準備していただいております。まずそれを御説明いただきまして、その後に議論に移りたいと思います。
 前回の各委員の発言要旨は資料3にまとめていただいておりますから、まずその資料の説明からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○熊谷補佐  資料3に、前回、第1回小委員会における各委員からの御発言をなるべく文意が変わらないようにまとめております。
 表側にフィールド調査関係、それから裏面に水生生物保全の住民連携または従来の生活環境項目との整合性、排水規制、主に4点ぐらいの議論をいただいたかと思っております。
 順次、簡単に御説明させていただきますが、フィールド調査関係は、今の状態がどういう状況なのか、またある程度イメージできるデータに基づいて議論すべきだというような御発言、また亜鉛の濃度だけで生物が制限されていることを特定することは困難で、実験室データから算定した30μg/l以下というのが環境基準で、これが保全の目標ということで議論が始まっているのではないかというような御発言、環境基準があくまで望ましいものということでつくられているもので、当面目指す水生生物の実態がどういう状況にあるかということがないと、なかなか議論がしにくいのではないか。また小委員会の目的が達成できないのではないかというような御発言。
 ほかのファクターが入り、亜鉛の影響を見るのに正確ではないということもあるものの、既存の実態のデータがあれば、お示しいただきたいというような御発言。
 また今後の類型当てはめなり、環境管理手法の議論をこれからしていく中で、やはりある程度フィールド調査というのが必要ではないかと。国民のコンセンサスを得るために重要と。また、フィールドサーベイができないと、政策効果の判断もできないというフィードバックのお話をいただいております。
 また具体的な被害が明らかにならないと、対策ができないということであれば、その考え方は疑問ではないかと。環境基準が既に決まっており、専門委員会の結論が出ていることから、具体的にどうしていくのか、御意見が出るような努力をすべきであるという御発言もいただいております。
 また環境基準が決められたこと、これが目標であるということは否定できない。長期間にわたって達成する目標であるということを踏まえて、暫定排水基準等の対応があり得るのではないかと。排水基準については全国的に対応するということが我が国が経てきた輝かしい歴史であり、一部分だけに適用するということは逆行する面があるというような御発言をいただいております。
 また対策をとるということは、何らかの形で国民の負担を生じることになり、関係者で納得した上で行っていくことが重要である。またフィールドサーベイで補足すべきであるという御発言をいただいております。
 また、フィールド調査を行うことによって、新たな知見が出てくれば、随時環境基準を見直すという展開が図られるべき。また必ずしも国がデータをとる必要もないし、また民間がやってはいけないというものではなく、そういうことが機動的に行われるような制度も考えてみてはどうかという御提言もいただいております。
 次に水生生物保全の住民連携に関してですが、地域住民が徹底的に参加しないと、水生生物保全ということはできない。NGOのフィールドの活動とどう連携を図るのかという出口論が欲しいという御発言をいただいております。
 また従来の生活環境項目との整合性ということで、河川のBOD等の類型において、生物の生息が困難な類型もあり、こういうものとどういう整理を行っていくのかということを考えるべきだという御発言をいただいております。
 また排水規制のあり方で御発言をいただいておりまして、下水道の処理で新たな処理をしなければならない場合、処理費用は当然、使用料にはね返り、使用料は条例で決めるので、住民の説得は当然要ると。決め方については十分検討いただきたいというような御発言をいただいております。
 以上です。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 前回の発言要旨でございますけれども、何か補足していただくような点はございますか。
 なければ、それ以外の資料につきまして、また引き続き事務局のほうから御説明いただきたいと思います。

○熊谷補佐  今回、新たに資料4、5、6を準備させていただいておりますので、この内容を簡単に御説明したいと思います。
 また前回、平瀬委員から、部会の議事録が議論のベースになるべきだというお話をいただいておりますので、参考資料の1としまして、中央環境審議会水環境部会第9回の議事録をあわせておつけをしております。
 また参考資料の2としまして、前回提示しました環境基準の類型指定や、環境管理施策の現行制度についての同じ資料、前回の資料5になりますけれども、参考資料の2でお配りしております。
 資料4、「水生生物と亜鉛濃度の関係」ということで、前回御議論いただきましたフィールド調査関係について、今御提示できる内容を簡単に御説明したいと思います。池田先生からも御意見をいただきまして、1枚目、資料の表になりますけれども、国土交通省の河川局のほうで取りまとめていただいていますものを御紹介いたします。
 縦軸、EPT種数、横軸、亜鉛の濃度で、上側のグラフがその河川の最高値、下側が亜鉛の平均値ということで、国が直接管理をしております1級河川の中の国の直轄管理区間、51水系163地点につきまして、特に上下流の区別なく、亜鉛とそこにいますカゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目、これらの生物の種類、実際の生息数ではなくて、生息しているこれらの種類がどのくらいいるか。ある意味生物多様性という言い方もあるのかもしれませんけれども、そういった数を縦軸にとりまして、調査いただいたものを御提供いただいております。
 EPTについての解説、これは河川局さんの方でとられているものですけれども、簡単に読み上げさせていただきます。
 「E、カゲロウ目、P、カワゲラ目、T、トビケラ目の頭文字をとった略称、ここではカゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目に属する生物種の合計数を「EPT」としている。カゲロウ目、カワゲラ目、トビケラ目は清浄な水系に生息する底生生物であり、水質のきれいな水域では、これらの種数が多い。逆に水質の悪化により、種数が少なくなりやすいため、水質汚染の指標として使われることが多い。ただし、定質に礫が少ない場合には水質的に清浄であっても、種類数が極端に少なくなる場合もあり、指標として評価する場合には、場の環境に留意する必要がある」という注意書きを含めて、整理をしていただいています。
 また、これは単純に亜鉛の濃度だけですので、それ以外のいろいろな環境要因があろうかと思いますけれども、その中から亜鉛とEPTの種数だけをピックアップしまして、グラフ化したものでございます。
 また2ページ目、3ページ目に関しましては、私どもで実際の河川に入りまして、亜鉛の濃度と各種の生物との関係を調査した結果を簡単にまとめております。これに関しては、15水系50地点ほどのものを同じ濃度レンジのものを平均化しまして、プロットしたものであります。付着藻類、底生生物、植物プランクトン、動物プランクトン、これらの平均の種類数を縦軸に、横軸に亜鉛の濃度レンジ、これは対数軸になっていますので、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、その濃度レンジに対して、どのくらいの種類数があるかというものをプロットしたものでございます。
 また3ページ目に関しましては、亜鉛濃度とミジンコの死亡率の関係、河川水をとりまして、実験室で育てましたミジンコをその河川水の中に入れたときに、48時間でどの程度の死亡率になるかというような、よく言います、バイオアッセイ、生物反応を見るというような結果でございます。横軸に亜鉛濃度を、縦軸に48時間後のミジンコの死亡率をとったものになっております。既に委員の皆様からもいただいていますように、亜鉛だけの影響をなかなかピックアップするということは難しいかもしれませんけれども、ある程度のデータ数の中で、亜鉛と生物種の関係が見てとれるのではないかと考えております。
 資料4につきましては、以上です。

○安藤水環境管理課長 それでは続きまして、水環境管理課長の安藤でございますが、実際の水域におきます亜鉛の存在状況等について説明をさせていただきます。資料5を御覧ください。資料5におきまして、幾つかデータを有しております。まず資料5-1の関係では、環境水中における亜鉛濃度の実態をお示ししております。資料5-2は環境水中の亜鉛濃度と排出源の事例でございます。それから資料5-4から5-8までは排出源に関するデータでございます。
 まず1ページを御覧ください。陸域の環境水中における亜鉛の濃度ということで、1991年から10年間のデータを整理したものでございます。なお、一番下に注がございますように、亜鉛濃度の平均値につきましては、定量限界値未満のものは除いております。それから0.3mg/l超過が2点以上確認された地点を対象としておりまして、たまたま1回だけ超過したといった事例は除いております。ということで、データを整理してお示ししたのが、このマップでございます。
 御覧いただくとわかりますように、東京、大阪、名古屋といった大都市圏において、超過事例が見られます。それからそれ以外の地域でも散在的に超過事例が見られるといったことがおわかりいただけるかと思います。
 それから2ページの方に参りますと、今度は同じく海域の環境水中の亜鉛濃度について、同様に整理したものでございまして、やはり陸域と同様に3大都市圏を中心に超過が見られるといった傾向にございます。
 それから3ページの方でございますが、先ほど1ページでお示ししましたデータを都道府県別に実際の地点数で見たものでございます。例えば真ん中当たり、富山県とか福井県、下の香川県当たりは、複数地点を調査しておりますけれども、超過地点数ゼロといったものもございますし、やや黒い部分が多いところは超過地点数が一定の割合で存在しているといった傾向が出ております。
 それから4ページの方に参りますと、これは1つの事例の紹介ということでございますが、大阪におきます環境水中の亜鉛濃度、それから5ページの方には下水処理場、それから工場、事業場の分布図ということでお示ししておりまして、これは4ページ、5ページを重ね合わせて見ると、傾向が比較的わかりやすいかと思います。4ページの方ですけれども、図の中央付近の河川では、下水処理場の影響も示唆されるのではないかというふうに思います。一方、地図の東側の方、右側の方に恩智川というのがございますけれども、こちらの場合ですと、工場、事業場が影響しているというふうなことではないかと、こういった地点が存在しているという状況にございます。
 それから資料を一通り説明させていただきますが、6ページの方に参りますと、資料5-4で、今度はPRTRデータに基づく水溶性亜鉛ですけれども、公共用水域の排出状況といったことで整理したものでございます。上の方は産業中分類別の総排出量ということでございます。排出量で見ますと、下水道業が相当高い割合を占めております。一方、下の方のグラフを見ますと、これにつきましては、1事業所当たりの排出量という形で見ております。そういたしますと、下水道業につきましては、1事業所当たりの排出量としては、左から8番目ということになっておりまして、1事業所で見ますと、繊維工業、石油製品、石炭製品、製造業といった順番になっております。
 それから7ページでございますが、下水道からの亜鉛の排出についてということで、2つデータがございます。上の方は排出量総合調査ということで、私どもでやっております排出量に関するアンケート調査の結果をまとめたものでございます。下水道終末処理施設につきましては、左の方にほとんど集中しております。右上に平均値を書いておりますけれども、下水道からの排出水の亜鉛の濃度は、平均的に0.06mg/lといったことになっております。下の方のグラフは、自治体に対するアンケート調査ということで、平成14年度に自治体が採水分析した結果に基づくデータでございますが、これも同じく上の方に平均値を示しておりますが、0.07mg/lということで、ほぼ同じような値ということが言えるかと思います。
 それから8ページから11ページまでは非常に細かいデータでございますが、これは先ほど申し上げました排出量総合調査というものに基づきます特定施設別ないしは産業中分類別の個別のデータでございます。それぞれの説明は省略させていただきます。
 それから駆け足で恐縮ですが、12ページの方に参りますと、これも平成14年度の自治体アンケート調査ということで、その調査結果に基づきます亜鉛の排出実態を整理したものでございます。左のほうから参りますと、棒グラフの黒いのが事業所数ということで、丸印が亜鉛の平均濃度ということでございます。
 例えば一番左の方、金属製品製造業につきましては、事業所数としては881、平均的な亜鉛の濃度につきましては、2.6mg/lあたりでしょうか。そんな値になっております。といった形で、それぞれの事業所別に事業所数と亜鉛の濃度をお示ししたものでございます。かなり業種によって、ばらつきもあるというふうになっているかと思います。
 それから一番最後の13ページでございますが、生活排水におきます亜鉛の濃度ということで、このデータにつきましては、中規模の浄化槽から排出される生活排水の亜鉛の濃度について、昨年9月に調べたものでございます。調査結果につきましては、2のとおりですが、右側の方にBOD、亜鉛で流入水質と書いておりますけれども、これがいわば浄化槽に入る前の未処理の生活排水というふうに御理解いただければと思います。
 結果ですけれども、流入水質の亜鉛の濃度につきましては平均値としましては、mg/lでいきますと、0.11mg/l程度ということでございます。これも一定程度ばらつきがございまして、最大値では0.7mg/l、それから低い方では0.46mg/l程度ということでございます。ちなみに右側に水道水がどの程度かということで見ますと、どのデータも0.03mg/l以下という値になっております。以上が、環境水中の亜鉛濃度ということでございます。
 引き続きまして、前回、平瀬委員から諸外国において、亜鉛について水生生物保全の観点からどのような取り組みが行われているかについての御質問がございました。事務局で調査をいたしましたので、説明をさせていただきます。
 資料6を御覧ください。諸外国の取り組み状況ということで、ここではドイツ、イギリス、フランス、アメリカの4カ国について取りまとめたものでございます。まず1ページはドイツの状況でございますが、1の水質規制に関する法体系ということで、ドイツでは水管理法に基づいた規制等の措置が行われております。
 1の3つ目のポツでございますが、水管理法第7a条に基づきまして、排水令というものを定めるということで、排水令におきまして、亜鉛に係る排出規制、排出基準を定めるということになっております。具体的な水管理の方法、実施細則については、各州が州法化し、定めていくという仕組みになっております。
 2の方に具体的な排水基準値の設定について紹介しております。先ほど申し上げましたように、国が定める排水基準と申しますのは、排水令に基づいて規定されていると。それから排水令では、53の排出源について、個別の排出基準が定められております。亜鉛に関しましては、このうち19の排出源について基準値が設定されております。3つ目のポツですが、これらの基準値は州が許可発給を行う際に設定できる排水濃度の最大値という位置づけになっております。19の業種は下に示しているとおりでございます。
 2ページ目の方に参りまして、排水令の基準値については、どうやって設定しているかということでございますが、基本的には凝集沈殿処理、場合によってはろ過処理というものがされますけれども、それをベースに設定された値でございます。
 それから若干繰り返しになりますが、州が実際に排出基準値というものを設定する場合には、排出先の水域の環境、それから技術的に可能かどうかといったことが考慮されまして、排水令と同等な値もしくは厳しい値が設定されるということになっております。
 さらには排水基準の遵守の判定方法を示しておりますが、省略させていただきます。
 3ページから5ページに具体的な業種別の亜鉛の濃度基準が示されております。御覧いただきますとわかりますように、右側に亜鉛の濃度基準ということで、おおむね1mg/lないし4mg/lといった値が示されているという状況でございます。
 それから次に、6ページのイギリスの状況について説明させていただきます。まず1の水質規制に関する法体系でございますが、イギリスでは水資源法と汚染防止管理法という2つの法律がございます。
 2の排水基準の設定でございますが、水資源法に基づく排出同意というものが一つございます。これにつきましては、すべての工場が対象ということで、その排出基準値の決め方につきましては、排出する水域に適用される環境基準値をもとに算出した排出基準値。それからもう一つが、現状の排出濃度より悪化させないといった方針に基づいた濃度。それらを比較しまして、厳しい値を採用するというレベルということになっております。
 それからもう一つ、汚染防止管理法に基づく許可というものがございまして、これは特定工程を有する工場に関しては、さらにそこの3つ目にございますが、BATに基づく排出指針値、テクニカルガイダンスノーツに記載とありますが、これも加えた比較を行って、最も厳しい値を排出基準値とするというふうになっております。
 7ページの方に汚染防止管理法に基づく許可ということで、特定工程につきまして、大きく5つの分類が示されております。エネルギー産業等、そういったものが特定工程ということで指定されておりまして、真ん中の方ですが、特定物質としまして、金属とその化合物の中に亜鉛が含まれております。
 現在、テクノニカルガイダンスノーツというもので、具体的に数値が設定されておりますのは、非鉄金属分野で、指針値0.5mg/l――これは亜鉛及び亜鉛化合物ですけれども――が示されております。その下に小さな字で書いておりますけれども、汚染防止管理法に基づく管理スキームに基づきまして、テクニカルガイダンスノーツは今後、他のセクターに関しても発効されていく予定だと聞いております。イギリスについては、今のような状況でございます。
 それから8ページの方が、フランスの状況でございます。フランスにおきましては、1、水質規制に関する法体系ということで、環境法がございます。環境法に基づきまして、環境保護指定施設というものが政令で指定をされているということでございまして、3つ目のポツにございますように、規模等によりまして、クラスAとクラスDという2つのクラスに分類されておりまして、クラスAにつきましては、県の許可を取得しなければならないとされておりまして、クラスDに指定された活動を行う工場は届出のみということで、規模等によって、差が設けられております。表1にその環境保護指定施設と分類の具体例を幾つかお示ししております。
 9ページの方を御覧いただきたいんですけれども、2の「排出基準値の設定」ということで、先ほど申し上げましたように、排出基準につきましては、クラスAに分類される工場に対して設定をされております。その業種はそこにお示ししているとおりでございまして、真ん中の方に亜鉛の排出基準値が示されております。1日当たりの亜鉛の最大排出量が20グラムを超える場合という要件に該当するものにつきまして、排出基準2mg/lということで、いわばこれは環境法に基づく国の一律排出基準というふうに言えるかと思います。
 具体的には亜鉛の排出水の濃度が、例えば1mg/lとしますと、排水量としては、1日当たり20トン以上というものが規制対象になってくると考えられます。
 それから下の方ですけれども、3の1つ上のポツですけれども、県が許可を発給する際、水域の汚染状況やその時々の技術水準BAT等に基づいて、排水基準が個別具体的に決められるということでございまして、国では2mg/lという実質排水基準を示しておりますが、県が許可を発給する場合は、さらに同等ないし、それより厳しい基準が設定されるということになってまいります。
 それから次に、アメリカの状況でございます。アメリカにつきましては、1の水質規制に関する法体系として、水質清浄法がございます。排出基準でございますが、具体的には、NPDESというのがございます。それから州法に基づく許可の中で、事業所ごとに個別に排水基準を設定するということと、排出ガイドラインを参考にして、排出基準を設定するということで、排出ガイドラインにつきましては、細かなデータでありますが、12ページから30ページまで、全体をお示ししております。参考にしていただけると思います。
 10ページに戻りまして、具体的に排出基準をどうやって決めていくかということで、下の方の四角の枠で説明した方がわかりやすいかと思いますので、この四角の枠を御覧ください。まず大きく環境基準が設定されている水域かどうかということで、分類がなされております。それから11ページからですけれども、左の方に排出ガイドラインが設定されているか設定されていないかといった部分がなされております。そういったことで4つの分類が用意されております。
 例えば環境基準が設定されて、水域に排出する場合で、排出ガイドラインがある場合は具体的にどのようになるかということを申し上げますと、排出ガイドラインをもとに設定した数値というのが1つ出てまいります。それから放流先の河川なりの環境の状況、環境基準の設定値をもとに、工場からの排水の排出濃度を設定する。そういった数値が出てまいります。その2つの数字を比較しまして、厳しい方が採用されるという仕組みになっております。
 それから右側の環境基準が設定されていない水域につきましては、排出ガイドラインはこのベースに設定をされるということでございます。それから左の下、排出ガイドラインがない場合は、環境基準をベースにした排水基準値が設定されるということになります。それから環境基準も設定されていない、排出ガイドラインもないといった場合は、BPJということで下の米印でございますが、Best Professional Judgmentといった最善の専門的判断に基づいて、排水基準を設定されるという仕組みになっております。
 以上、4カ国の紹介でございますが、4カ国を要約いたしますと、4カ国ともそれぞれ法律に基づきました亜鉛に関する排水規制が実施されております。またドイツ、フランス、アメリカにおきましては、州または県が水生生物を含めた水環境の状況を踏まえ、具体的な規制基準を決めていくという仕組みになっております。イギリスの場合は、水生生物も含めた環境の状況も考慮しつつということでありますが、イギリス環境庁が直接それぞれの工場に対して、許可等を行うという仕組みになっております。
 以上が、諸外国の状況ということで説明をさせていただきました。

○村岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、これからまたいろいろな点で御議論いただきたいと思いますけれども、とりあえず、今御説明いただきましたように、前回、池田委員並びに平瀬委員からの御要望に応じた資料の内容でございますが、このあたりから何かお気づきの点がありましたら、御議論いただけたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○清水委員 コメントというよりも質問ですけれども、資料4でいろいろなデータをお示しいただいて、大変ありがたいんですけれども、これはどういうふうにしてつくられたのかということをもう少し詳細に書いていただけるとありがたいと思うんです。
 例えば、最初の河川局のであれば、何年にどういう調査をやったとか、それから次の水環境部がつくったものであれば、陸水海域も書いていないんですけれども、どういう調査をやったのかとか、その辺を教えていただくと大変参考になると思うんですけれども。

○熊谷補佐 資料4の関係ですが、国土交通省の河川局で行っています河川水辺の国勢調査なる、いろいろな生物に限らず河川状況の調査がございます。それの中で幾つか、毎年テーマを決めてやられているものがありまして、昨年度はたまたまその幾つかの水質と生物を見るという関係の項目の中に亜鉛と生物というものがあったと伺っております。
 それで、昨年度に関しましては、河川管理者が実際の自分の管理している河川に入りまして、生物種を見る、またその水質を同時に測る。水質に関しては必ずしも同時期ではないようですけれども、それに近い時期にとりました水質のデータとあわせて、単純に縦軸、EPTの種類数、横軸、亜鉛の濃度ということで整理をされたと聞いております。
 2枚目、3枚目につきましては、すべて河川を対象に15水系で、1水系に対して複数の地点をとりまして、53地点をとったもので、それですと非常にばらつきがありますので、横軸の亜鉛の濃度レンジ、例えば10μg/lに関しては、亜鉛の濃度が10から20μg/lの地点の種類数を平均して1つをプロットするというようなことで、53地点あるものを生物平均種類数を単純平均しまして、1つのプロット点にして、傾向を見ようということでつくったグラフでございます。
 具体の河川について、今回御紹介しませんでしたけれども、水環境部会の方で御議論いただきました宮城県の調査をその後も各種の水系で、同様の調査をしまして、今の時点であるデータをすべて取りまとめというような性格のものでございます。
 15水系ばかりですので、ここで読み上げることが適当かどうかわかりませんけれども、もちろん宮城県の鉛川関係も入っていますし、一番南側ですと、大分県とか、県別でいきますと、宮城県、山形県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、岐阜県、愛知県、福岡県、熊本県、大分県と、これらの亜鉛濃度とか、有害物質の同じ水系で比較的高いところと低いところとを同時調査しまして、プロットしたというものでございます。もし詳細が必要でしたら、御報告したいと思います。

○清水委員 ありがとうございます。

○村岡委員長 ほかにございますか。池田委員、どうぞ。

○池田委員 1つ質問があるのですが、資料の5の方なのですけれども、資料5-4の下の図では、これは1事業所当たりの排出量でしょうか。そうすると、繊維工業というのは、すごく多くて、7,000kg/年ということになっているわけですが、一方では、同じ資料の12ページを見ますと、繊維工業というのは左から十何番目ぐらいだと思いますが、事業所数あるいは亜鉛濃度とも、ほかに比べて特に高いということはないのですが、このデータの整合性というのはどういうふうに考えればよろしいのでしょうか。繊維工業というのは、1事業所当たりの排出量が多いということは規模が大きいということを指しているのでしょうか。その辺、ちょっとわからないので、お教えいただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○安藤水環境管理課長 6ページの方のデータにつきましては、PRTRデータに基づくということで、一定規模以上の事業場が対象になっているかと思います。12ページの方は自治体における調査ということで、規模に関係なく調査をやっております。ということで、12ページの方につきましては、いわば中小の事業場も含めたデータということで、差が出ているのではないかと考えられます。

○池田委員 やはり規模に関係していると。

○安藤水環境管理課長 規模が一番影響しているかと思います。

○村岡委員長 池田委員、よろしいでしょうか。それでは、ほかに。どうぞ。

○福井委員 資料5の4ページ、5ページの図ですけれども、この大阪の周辺は下水道処理場が幾つかありまして、そこからそれぞれの川に放流されているのですが、ここは本来の川の水が少なくて、放流水の水質がそのまま川の水質になっているような場所がかなり多いところです。ということは、河川の自流が非常に少なく本来の川と言いがたい場所です。こういう場所で、いろいろデータが出ているのですが、これは1つの事例としてはこうかもしれませんが、こういう事例は必ずしも適当かどうか、ちょっと疑問があるのですが、できれば、もっとほかの事例も考えていただければと思います。
 それから、後ろの13ページに福岡県で1カ所だけ699という亜鉛の流入の数値があるんですが、これは1けた違うということはよっぽど何かそれなりの原因があるんじゃないかなと思いますので、そういうときには、お調べいただいて、これが何故こうなったのかとか、これが最高値ですというのは何か不思議な感じがするものですから、その辺について、いかがでしょう。

○安藤水環境管理課長 まず1点目の事例として、大阪だけじゃなくということでございます。またほかのデータでもこういう形で整理できるところがあれば、考えてみたいと思います。
 それから13ページの生活排水の亜鉛濃度につきましては、確かに1つの地点だけ非常に高いといいますか、ほかの値に比べれば高いということで、できるだけ原因を究明してみようということで、当たったんですけれども、具体的に何が原因かというところまではわかりませんでした。念のためにもう一回、追跡調査もやったんですけれども、そのときにはかなり濃度レベルが下がっておりました。今、13ページに示している浄化槽と同等程度のレベルでございました。
 ですから、何らかの原因で、濃い亜鉛が排水中に含まれたのではないかと。データ自体につきましては、きちんと信頼できる分析機関で分析したものでございますので、データの誤り、分析の誤りということはございません。ということで、これはこういうデータの実態もあるということで、御理解いただければと思います。

○村岡委員長 ほかにございますか。
 私も福井委員と同じことを考えておりまして、この大阪の寝屋川流域の値はいわゆる都市河川ということで、自流も少ないし、汚いし、BODのE類型が満足できるかできないか、それを今現在、それに準じてということを言っているわけですけれども、こういったところで我々の目的は水生生物に関する基準を検討するということですから、今後の検討になると思うんですけれども、対象とすべき水域において、どういう生物を考えるかということで、前の部会のレベルの話でしたら、例えば冷水域の魚とかいう仕分けがちょっと考えられたわけです。そうしますと、こういった事例を単に紹介していただくというより、対象とする予想される水生生物が生息する水域での事例として、こういう事例があるんだという整理がもしあれば、していただくのが適切かと思うんです。
 それで、そういった事例はありますかどうかということをちょっとお聞きしておきたいと思います。

○安藤水環境管理課長 個別事例につきましては、事業場が特定されないような形でお示ししないといけませんし、そういったことも考慮しながら、どこまでどういう形でお出しできるか、検討させていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

○吉田水環境部長 ちょっとつけ加えさせていただきますが、実はこの水域というのは、亜鉛だけに限りません。昔からダイオキシンが高くて、常々問題になっていた水系です。福井先生がおっしゃるように、確かに要するに生排水が出ているということ。果ては近くにある道頓堀だって同じことでございます。
 だけども、実はそこに立って、対策が今、施されつつあります。ポンプアップをして水門操作をして、できるだけ上流のきれいな水を流そうとしている。合流式の排水を越流させないように努力もしているわけです。問題は恐らくここで御議論いただく成り行きとして、水生生物の保全というのをどこまで適用していくのかという、一つのマージング領域になってくるんじゃないかなと。そういう意味において御注目をいただきたいと思います。
 果たして、ここの水域は水生生物を保護しなくていいと言い切れるのかというところについて、ここは小委員会の場でございますから、そこまで個別具体的な話はいずれ専門委員会ということになると思いますけれども、一つのマージング領域として御了解いただきたい。
 もちろん、他のサンプルもまた見繕いまして、できるだけ早く確保してお届けできればしたいと思っております。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 ほかに関連する意見とか、別の点で。松尾委員、どうぞ。

○松尾委員 質問ですけれども、この資料5-1の1ページのところのこの全国の分布図がありますね。これで、0.10mg/lを超えているという赤丸がついているところですが、これは何か専門家が見ると、ここは亜鉛が高そうだという、推定できるところなんですか。それとも意外に高いのが分布してきたというふうに思われているのか、その辺、何か余り言い出すと、特定のものにつながってもいけないかもしれませんけれども、感覚的に、これはある排出実態等を反映しているものなのかどうかというようなことが感じられるのかどうか、感想でいいです。
 もう一つは資料4の1ページの国交省の方のデータですけれども、これは亜鉛とこのEPTをとるからこうなんだけれども、EPTを説明する要素として、もっとほかにいろいろな指標をとっておられるんじゃないかと思うんですけれども、そのほかの指標とでこのEPTを最も相関が高そうなものがあるのかどうかとか、それはどんなふうでしょうか。2つですけれども。

○安藤水環境管理課長 それではまず大体ですけれども、資料5-1[1]の全国的な分布についての原因につきまして、それで先ほどの大阪の事例ということでお示ししたんですけれども、特に大部分の都市圏につきましては、工場、事業場が主な原因ではないかと考えられるケース。それから工場、事業場、それから下水道からの影響も含まれるケースとか、下水道が影響の大きなものについているのではないかと、そんなようなことで、いずれにしても、そういった人為的な排出源が影響して、一定程度の濃度を示していると考えております。

○松尾委員 資料4の方は。

○熊谷補佐 昨年度の調査でいただいているもので、他の項目でやられていましたのは、BOD、DO、SS、アンモニアぐらいの項目であったかと思います。これらの中で、私が見た印象ですけれども、比較的亜鉛というのが特に低濃度域で、種類数が増えるという傾向は見てとれるような気がしました。これ以外に水質項目との関係ではっきり見られるのは、やはりDOでして、溶存酸素濃度が下がっていくと、はっきり生物種が減っていく。ある意味当たり前のことです。それ以外に関しては、比較的これほどの傾向が見られるという条件になかったように思います。また、関係の資料は国土交通省とも御相談して、参考にまた御提出することを考えたいと思います。

○村岡委員長 森田委員、どうぞ。

○森田委員 資料5と関係しておりますが、亜鉛の分析というのは存外難しくて、そして少し異常値が混入するという機会がわりあい多い。なぜかといいますと、例えば非常にどこにもありまして、天井からホコリが落ちますと、その中に含まれている亜鉛が分析値をゆがめるということが結構起こる。また、最初に福井先生の方から御指摘のありました13ページの福岡県の699.6mg/lというのは、恐らく異常値と思われます。それは後から分析機関がやった分析をトレースしても、実際よくわからない。正常に行われているように見えるんだけれども、しかし本当に正しいかどうかというのは、検証しようがないことがあります。この部分の表は699.6mg/lという数字が出たことは間違いないし、それを追跡しても、間違いがあったようには見えないということではありますが、引き続き調査されているのであれば、それとあわせて記載をしておくということで、その数字だけを最高値として記録に載せてしまうには、ちょっと危険かなという感じがします。
 それから、今、松尾先生から御指摘になりました日本中のマップをかくとこんなふうに見えると。これは正しいんですが、しかし一方で、実は環境省は自前の環境測定の管理システムを正確にはきちんと持っていない状況にありまして、分析法が実に乏しいです。それから分析の精度管理は環境計量法に依存していて、中核となるべきは地方自治体の環境研究所なんですが、そこが徐々に弱体化してきておりまして、分析の精度管理のシステムが今、少し弱くなってきているということも若干あります。それで、亜鉛というのは非常に正確に測るのは、案外難しいということを含めて、この表も見ておく必要があるかなという感じがします。

○村岡委員長 ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 2点ございます。今まで主張したことを繰り返す必要はありませんので、申し上げませんけれども、例えば資料4のグラフなんですが、これを水域別とか、水の硬度別とか、温度別とか、底質の状況別とか分けて相関させるとどうなるのか。それから、例えばこの亜鉛濃度が高いところのサンプル数が非常に少ないので、こういう形になっているのかもしれないというようなこともありまして、その辺、バックデータがあったら、ぜひ教えていただきたいと思います。
 逆に言うと、それらを少し緻密にやると、フィールドサーベイは可能であるといいますか、ある程度傾向値が出てくる可能性もあるということをこのデータは物語っているんじゃないか。そんな感じがいたします。
 環境省さんがおやりになった15水系のデータについても、今申し上げたような意味でのバックがもしおわかりになったら、あるいは報告書みたいなのが既にできているようでしたら、ぜひ見せていただきたいということであります。それが第1点であります。
 それから第2点は、先ほどの海外の事例でありますけれども、結論的にどういう水質規制がなされているかというのはよく了解いたしました。ただ、その規制値を決めるプロセスが各国どういうことをなさっているのかということについて、もしおわかりになったら、これもぜひ教えていただきたいと思います。以上、2点であります。

○熊谷補佐 資料4に関しましては、いただいたお話になるべくこたえられるように、国土交通省さんと相談の上、可能な限り内容を詳しくわかるように考えたいと思います。また環境省側にはまさに私どもの事前のデータがあります。ただ、亜鉛のデータとりまとめの作業を先に急がせた関係もありますので、時間がどのくらいかかるか、また持ち帰って相談させていただければと思います。

○安藤水環境管理課長 それから諸外国の亜鉛の関係でありますけれども、各国とも、先ほど説明しましたように、基準値、規制値の決め方につきましては、いわゆるBAT(Best Available Technology)をもとに設定しているということでございまして、それは例えばドイツの場合は具体的に凝集沈殿とか、そういったものを念頭に置いているといった考え方に基づいて設定されているというふうにしています。

○村岡委員長 よろしゅうございますか。池田委員、どうぞ。

○池田委員 もう一点質問がありますが、資料の5-1の1ページなんですけれども、この分布をじっと見ていますと、1つは先ほどから議論になっています大阪とか、名古屋、東京というような大都市圏が関係していると思われますが、一方では群馬県とか山形県とか秋田県の北部のようなところに比較的高濃度の亜鉛が見られるということで、これの原因はやはり鉱山とか、それから精錬とか、そういうものと関係しているというふうに考えればよろしいのでしょうか。過去に蓄積したものでこういうものが出ているのかどうか、そのあたり、もしおわかりになれば教えていただきたいのですけれども、どうでしょうか。

○安藤水環境管理課長 ただいまの御質問でございますけれども、断定的なことは申し上げられませんけれども、やはり鉱山関係とか、そういったものが影響している可能性というのがあるかと思います。ただ、過去の蓄積とかいったあたりまで、ちょっと私の今の段階では知見を有しておりませんので、その辺、御了解いただきたいと思います。

○池田委員 ありがとうございます。

○村岡委員長 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 ちょっとささやかな知識で余計なことを申し上げますけれども、確かにこの2点とも、鉱山地帯というよりは鉱床地帯にかなり重なっているなという感じがします。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 ほかに御意見がございますか。外国の事例などにつきましても意見がございましたら、お伺いしたいと思いますが。どうぞ。

○松尾委員 その外国の事例で、亜鉛が指標に取り上げられた理由みたいなものは、やはり生態系保全という観点からの指標ですか。それとももっと別の種類の、日本で言えば人間の健康にかかわるような指標としてつくられているのか、それはどういう位置づけでこの亜鉛がとられているのかわかりますか。

○安藤水環境管理課長 欧米各国とも、幾つかの観点といいますか、例えば飲料水を通じた人の健康の保護という観点、それから水生生物の保全といった生態系の保全、それから魚介類の保護といった幾つかの目標に応じた環境基準なりが設定されているということであると思っております。

○村岡委員長 その定義につきましては、そもそもこの水生生物に対する環境基準を討議する段階で、1つはOECDからの勧告みたいなものがあったということですね。あれは少なくとも水生生物等に対する生物保全のための基準については、日本は設定がおくれているんじゃないかという話からスタートしたように思うので、私自身はこの指標は関連するかわかりませんが、主として生物を対象にした諸外国の考え方だと聞いていたんですけれども、その点について、もう少し正確にお答えいただきたいと思います。
 また、生物に対する環境基準ということで、今、我々は一応亜鉛を項目にとっておりますけれども、諸外国では亜鉛以外にどのような考え方、どのような物質がその対象になり得るか検討されたかどうか、そのあたりもちょっと知りたいと思いますが、いかがでしょうか。

○熊谷補佐 正確かどうかわかりませんけれども、水道水質基準で決められているような各国の基準と環境基準を比べますと、前回のときの参考資料の中に入れておりますけれども、濃度基準としてはやはり環境基準の方が濃度として低い、厳しい値になっているものが一般的のように見ております。
 日本のように、はっきりとこの目的のためにこういう環境基準というような体系になっていませんので、今、こちらで御説明したとおり、幾つかの目的で結果として、環境の基準だから1つの表の中にこういう濃度レベルだということなので、詳細に本当に水生生物だけで決まったかどうかと、ここに関しては明らかではありませんけれども、そういう水道水質基準みたいなものと比較して考えると、多くのものが水生生物保全なり、広義の生活環境みたいなものから数値が決まっていると理解しても間違いではないのではないかなと考えております。

○村岡委員長 何か関連した御意見はございますか。どうもありがとうございました。何か森田委員ありますか。

○森田委員 ちょっとこれは質問なんですが、御存知のように亜鉛というのは、健康項目ではなくて、排水基準だけが以前、生活環境項目として設定されてきた経緯があるんですが、そのときの生活環境項目に亜鉛を入れたロジックというのを、御説明をついでにしておいていただけますか。

○安藤水環境管理課長 昭和46年ごろにさかのぼったと思いますけれども、その当時、生活環境項目の中で亜鉛について5mg/l以下という値が決められておりますけれども、その前提となるといいますか、根拠につきましては、水稲の被害の防止等の観点から決められたと聞いております。それ以上の詳しい根拠というのは、今手元に持ってきていないので、その点は説明できませんが、考え方としてはそういうことだと承知しております。

○満岡委員 資料5について質問させてください。資料5の1ページに全国分布がありまして、大阪地区が高濃度密集の一地区で、従ってその内容を例示的に解析したのがページ4,5であると理解したのですが、それで宜しいのでしょうか。
 4ページに亜鉛環境濃度、5ページに亜鉛を排出する茶色の3事業所、黄色の2事業所及び下水処理場の分布がありますが、排出濃度が高いところは環境濃度が高い(黄色、茶色のところは必ずしも明確ではありませんが)との理解で、今後このような分析を、例えば東京、名古屋地区についても展開して行くということでの、大阪地区の例示なのでしょうか。

○安藤水環境管理課長 まずデータにつきまして、1ページのデータと4ページ、5ページのデータというのは一連ものでございます。それから3ページの方に例えば大阪ですと、全部で153地点のデータがございまして、黒く塗ってあるのが0.1mg/lを超過したものということで、件数として6件か7件程度になるんでしょうか。そういった全体としての153地点中0.1mg/lを超えているのは、6件とか7件とかそのあたりということでございます。
 それから4ページ、5ページにお示ししたのは、排出源というのが多様であると。全体としてのPRTRで見ますと、下水道からの排出量というのは非常に大きいんですけれども、個別の地点といいますか、河川なりで見ていくと、その原因としては、先ほどの繰り返しになりますが、全体的に下水道の排出量が多いからといって、ほとんどは下水道が原因だということではないと。事業場がメーンと思われるケースもあるといったことで、たまたま大阪の例が比較的混在といいますか、しているので、わかりやすいんじゃないかという意味で、紹介したものでございます。

○満岡委員 ただこの例を見ますと、3事業所なり、2事業所の排出濃度が1mgを超えてかなり濃度が高いのですが、流域濃度はそれほど高くないと見てよいのですか。

○安藤水環境管理課長 5ページにお示ししたのは、丸で書いたところに3事業所1mg/l以上超過している事業所があるとか、そういったことでお出ししているんですけれども、排出源といいますか、事業所につきましては、この場所に別に限定されているわけじゃなくて、その上流にも濃度レベルとしては、1mg/l以下ではあるけれども、そういった事業所というのは普通存在していると考えておりますし、そういうことであると思っております。
 ですから、すみません、そこ3事業所、2事業所だけが排出源で、そこだけが影響しているということを申し上げているのではなくて、上流にも発生源といいますか、そういったものが存在しているということは十分考えられるということでございます。

○満岡委員 ですから、それはもちろんわかるんですけれども、そうすると、例えば恩智川とか寝屋川の部分であるとか、あるいは淀川の入口部分というのかどっちに流れているのか、淀川の方向に流れているんだと思うんですけれども、こういうところの濃度というのがいろいろなものが集積してくるわけですから、高くなってしかるべきなんだけれども、ちょっとこの例を引き出していただいている意味がよくわからないんです。

○安藤水環境管理課長 ここの4ページ、5ページでは個別の河川の濃度実態と、それから排出源の関係について、まだつぶさに分析をしたものではございません。一定の傾向を見ていただきたいということで用意をしたものでございますので、今、満岡委員が御指摘のようなところまで分析は今回行っておりませんが、その点御了承いただきたいと思います。

○村岡委員長 その点については、寝屋川流域に私のキャンパスがありますので、その汚なさ加減はよく存じておりますけれども、下流に行きますと、これは上流から淀川の水を導水しているんです。だから、一概には言えませんけれども、そういう自浄作用のない物質の濃度につきましては、希釈という効果があると思われます。また測定の時期によっても違うかもわかりません。
 いろいろと御議論いただきました。これまでは前回のお二人の委員からの御要望で、事務局で御準備いただきました資料についての御討議をお願いしたわけですが、これから後の時間はまた本論に戻って、いろいろと重要事項についてお伺いしたいと思います。もちろん、今、御討議いただきました内容につきましては、重要なことがいっぱいありましたが、こういった資料を提示していただきますと、それじゃ、この裏にあるこういった現象との関連はどうだ、相関はどうだ、こっちの方はどうだ、もっと詳しいデータが必要じゃないかと、だんだん深入りしていくような感じでございますけれども、それはそれでまた、必要があれば、資料の方は御準備いただきたいと思いますし、それから今後、専門委員会的なものが設置されるということになりますと、そういったところでもっと詳しく検討していただかなくてはならない事項であろうかと思います。
 いずれにしましても、ここらあたりでまた、前回の続きになるかもわかりませんが、幾つかの基本的なことについて御討議いただきたいと思います。基本的な討議というのは、この前も私も何度も言っておりますけれども、既にこの設定された環境基準というものにつきまして、今度は運用の面のあり方ということを御審議いただくということです。とりわけ、類型指定と環境管理方策に関する重要な事項と。重要な事項という言葉がよく使われるので、具体的にそれは何を意味するかというようなことも考えられますけれども、私の解するところ、行政あるいは専門委員会で具体的に作業していただくに当たっての橋渡しになるような基本的事項ということでございましょうし、また類型指定等の具体的な作業に行く場合に、従来の方法とこれまでの議論を踏まえて、従来の方法と違ったと言うと、ちょっと語弊がありますけれども、従来の方法をさらに改善するような類型指定の方法というものがあり得ないかどうか、そういったあたりの議論をしていただくというのがこの小委員会の本来の趣旨ではないかと思います。
 委員の先生方にはこの分野で専門的にも、あるいは業界各界の背景をもとにいろいろお考えの方もおられると思いますので、そういったあたりの御意見をいただければ幸いと思います。いかがでしょうか。

○松尾委員 日本の排水基準の決め方のときに、BATって、恐らくいろいろな意味で要素は含んでやってきていたんだと思いますけれども、欧米が非常にBATという、Best Available Technologyですか。それを全面に出しながら、現在の技術水準でどこまでできるかというのでやっていますね。日本だと、今の健康項目が特に主だったから、いや応なしに環境基準が決まると、排水基準が決まっちゃう。しかも類型指定なしに決まりますよね。その辺、何か今後の問題を考えるときに、BATみたいなものを各事業所ごとに設定できるのか、それから今度は健康項目じゃないから、恐らく類型指定というような言い方ができることになると思うんですけれども、そのときに、この類型のBATはどうなのかとか、上流の方の清浄であるべきところのBATはどうなるのかとか、BATといっても、何かいろいろなのがありそうに思えてくるんですが、その辺は特に欧米なんかでもBATの考え方みたいなのがどうなっているのかというのが、いわゆる一律で全部やっているんですか、どうなんですかね。その辺の情報はわかりますか。日本の場合のBATに対する考え方みたいなのはどういうふうに、従来やってきたのかというのはまとめられそうですか。

○鈴木委員 関連で。私もいろいろなレポートがあるので、読んでみるんですけれども、一番よくわからないのは、BAT以前にやっぱりある基礎数値があるわけです。それをどういうプロセスで、どういうふうにして決めているのか。それにBATでどういうパラメーターを考えて、BATだと称して、決めているのか。類型ごとというのは、例えばアメリカなんかだと、州がすごく権限を持っていますので、それぞれの川ごととかでも決めていると思うんですけれども、それが必ずしもいいかどうかというのはもちろんあると思いますが、どういう考え方で、どういうふうに決めているんだろうかということを知りたいと思います。具体的なプロセスを国毎に全部調べようとするととても大変ですから、ある国のあるイメージとか、1つのイメージでもいいんですが、そういうのがわかると非常にありがたいなという気がいたします。

○安藤水環境管理課長 BAT等の考え方ですけれども、資料6にアメリカのイメージを紹介をしておりますので、御覧いただけると思います。一番最後の30ページにアメリカの考え方を示しております。上の方にNSPS、BAT、PSNSとか、PSESといった形で4つの分類に分けて、それぞれ排出ガイドラインを設定しているという状況になっております。その中で、BATというのは直訳すれば、「利用可能な最善の規制技術」ということになるわけですけれども、若干、具体的には真ん中のBATの細かい説明といいますか、実施可能最大規模の汚染低減技術ということで、特定の産業が通常使用している技術を超え、他の産業で使用している技術を含むと。ただし、経済的に適用可能な技術といった形で設定をしているということであります。
 それから下のNSPS、新規に排出源を設置といった場合は、さらにその上のレベルといいますか、そういった考え方に基づいて設定をしているということで、私どもは具体的な1つの例としては、そういうアメリカの例を紹介できると思っております。
 それから日本の方の考え方ですけれども、健康項目それから生活環境項目もそうですけれども、いわば一律の排出基準を設定するというやり方ですけれども、一部暫定排水基準といった措置もとりながら対応するといったことでこれまではやってきているという状況でございます。

○吉田水環境部長 松尾先生の御質問にちょっとつけ加えさせていただきます。実は3年前にお世話になりまして、ホウ素、フッ素、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の排出規制を打ちました。あのときにも、直ちに達成が難しいという情勢が幾つかございまして、暫定排水基準を平成13年の7月から3年間打ってまいりました。ことしの6月で丸3年になりますので、今後の暫定排水基準をどうするかというところについて、今、パブリックコメントにかけております。
 私が見ている限りでは、当時もホウ素、フッ素というのは非常に難しかった。それは暫定排水基準はまさにBATの方式で、できる限り可能な限り、それから中小の事業所については、設置する処理施設の用地というものにだって不自由を来すでしょうということもいろいろ考え、ヒアリングをして総合判断をいたしました。
 しかし幸いなことに、今提案をしております暫定排水基準につきましては、また環境省のホームページを御覧いただけますけれども、3年間たって、幾つかの業種では改善が見られております。メッキ業界についても、今までの70から50まで下方修正をしております。そういうことで、規制というものの効果というものを私どもはある意味では感じとっております。ですから、技術の開発ということと、暫定排水基準の運用というものも1つの知恵として、今後も活用していくべきものだと思います。
 ただ、この水生生物に係る環境基準及びそれに関する管理方策というのは、また従来の人の健康保護に関するものとは一味違うという要素がありますので、それについて、まさにこの小委員会で御議論をいただくということでございます。
 ただ、先ほど先生から御質問のあった、我が国における過去の事例という形で申し上げればそういうふうなことで御紹介させていただきます。

○大塚委員 外国の事例との関係で、ちょっと申し上げておきたいことと、それから1つ質問しておきたいと思いますが、今、御説明があったように、BATについては、ヨーロッパもアメリカも採用していて、業種ごとに最善の技術を考えるということで、ヨーロッパの場合はBATというのは、EU全体で最も環境によいというか――いろいろな汚染物質との関係でですけれども――よい技術が採用されることを念頭に置いて基準をつくるということになっておりまして、BATの基準自体は別に固定しているものではなくて、技術が改善されるにつれて、より厳しくなっていくというものでございます。その数値とか、その算定法式については、亜鉛についてはどうかというのは私もよく知りませんが、すごく大部の文書ができていて、それも毎年のように変わっていくという性質のものでございます。
 1点、お伺いしておきたいのは、アメリカの場合はこれでいいんですけれども、ヨーロッパの場合は、IPPCという統合的汚染管理規制というのがヨーロッパ全体に適用されておりますので、これは例えばイギリスのところに出ている6ページの1の3つ目のバレットの汚染防止管理法というのは、まさにIPPCというEU全体の統合的な方策の1つとして採用されているわけですけれども、このIPPCの基本的な考え方というのは、環境基準と排水基準の関係というのは、やはり排水基準だけで全部決まるわけじゃなくて、排水基準を幾ら皆さんが対応されても、なお環境基準を超えてしまうという場合には環境基準の方を優先するという考え方がございますが、水生生物との関係でもその基本的な考え方は恐らく維持されているんだろうと思いますけれども、もし、今それについて御存知でしたら、教えていただきたいということがございます。
 ですから、BAT、BATと言っても、もちろんBATが大事なんですけれども、やはり環境基準との関係というのはヨーロッパにおいても問題になるはずですにで、我が国がやっているような環境基準から排水基準を出していくという基本的な方向というのは、私は間違ってはいないと思っていますのと同時に、前回もちょっと意見として申し上げさせていただきましたし、今もお話に出ていましたけれども、当面は暫定排水基準というのを考えていくというのが技術との関係で必要になってくるのではないかというふうに考えておりますので、その点もつけ加えておきたいと思います。

○安藤水環境管理課長 イギリスとの環境基準と排水基準の関係ですけれども、例えば水生生物に関する環境基準が設定されているといった場合には、それを生かすような排水基準と。もちろん、技術的な水準とかも考慮した上でということだと思いますけれども、そういった形で各国ともその考え方に基づいて、対応しているというふうに聞いております。

○村岡委員長 よろしいですか。それではほかに御意見。森田委員、どうぞ。

○森田委員 多分BATの議論は、BATの持っている目標というものが少し柔らかいというか、フレキシブルあるいは動きやすい性質を持っているために、例えば設計をしにくいとか、いろいろな観点が多分あって、それが幾つかの議論の1つのポイントになってくるんだと思います。
 BATというのはある種のコンセプトでありまして、したがって、必ずしも現実の社会と適応する場合もあれば、適応しない場合もある。それを適応させるために、しばしばBATの後ろにエコノミカル・アベイラブルというもう一つのコンセプトを抱き合わせながら、社会を動かしているというのが多分1つのコンセプトです。
 それからもう一つは、BATというのは両方に使われています。1つは、環境基準を初めとするある種の目標値があって、それに接近するためにBATという基準がある。つまり現実はなかなかそこへ行けないんだけれども、なるべくそこに近づけるためにBest Available Technologyを使いなさいというコンセプトが1つある。
 それからまた、ある場合には、少しオーバーシフトしまして、目標はもっと高いところにあると。したがって、それに環境の基準みたいなもの、そんなものはある種、暫定的につくられるものにすぎないから、もっと理想的なものを目指したBATが存在する。それが実際はしばしば両方重なっているところもありまして、そういう意味で、BATというのはややフレキシブルなコンセプトであり、しかも時間とともに変動するプロセスでありということがまず1つなんです。
 それでもなおかつ、我々の社会にとってこの種のコンセプトが必要だというもう一つの背景は、適切な環境のテクノロジー、環境の規制といったものが新しい産業を生み出し、そしてそれが社会をリードしていくというのが、ある種の実証的な意味で動き始めていて、そういう意味でヨーロッパの方がわりあい強くBATを動かし始めているし、アメリカなんかもBATのコンセプトである種の環境産業がどんどん成長しているというところがあります。
 そんな非常にダイナミックに動いているところを有効に活用しつつ、環境の政策を決定していくという状況には多分あると。必ずしもBATだからというのを固定的に考えないで、むしろ新しい社会をつくるのに有効な技術を発展させるような観点で、これはとらえておかなければいけないかなという感じをしております。

○村岡委員長 ありがとうございました。清水委員、どうぞ。

○清水委員 アメリカのところで、資料6の10ページですけれども、BPJという最善の専門的判断という話が出てきましたね。これをBATとの関係あるいはどういうふうに運用させているかという実態等、わかりましたら教えていただければ。

○安藤水環境管理課長 恐縮ですけれども、この「排出ガイドライン及び環境基準がない」というところの運用についてまでは調べ切れておりません。

○村岡委員長 ほかに何かございますか。

○松尾委員 これは委員長にちょっと伺いたいんですけれども、委員長、類型指定というのをちょっと言われましたね。それは今回のものには、類型指定みたいな排水基準を決めるときに、何か排出先で排水基準が変わるというような印象になりますか。あり得るかなと思いますけれども、海へ出すときと、陸に出すときとで違うというのを一遍つくりましたよね。ですから、それは環境基準がなかったりするからというのがあったと思うんですけれども、類型指定的なものと排水基準と結びつけると、非常に新しい考え方になるのか、その辺はどうなのかというのをちょっと。

○村岡委員長 この基準が生物保全のための基準ですから、まず保全すべき水域といいますか、そういったものを類型として設定しないといけないだろうと。その作業がまずあるということです。それに対しまして、その水域で守らなければいけない環境基準をどういう手段で守っていくかということについて、排水基準等を考えていく必要があるという手順じゃないかと思うんですけれども、事務局、それでよろしいですか。

○熊谷補佐 参考資料の2の方に現行の制度を御紹介しています。もちろん、今までどういうことがなされていたかということで御説明したいと思います。環境基準の類型当てはめについては、よく言う生活環境項目について、類型を決めていまして、今回、既に亜鉛の環境基準の答申をいただき告示しておりますけれども、これについては、類型の設定がされております。ですので、具体の水域に対して、どの類型を当てはめるのかという作業が出てきます。
 これは最終的に複数の数値があるときに、どの水系で、どの数値をもって環境基準を達成したか、達成していないかという判定をこれを用いて行うという整理と言ってもいいのではないかと思います。
 これに対して、排水規制に対しましては、大塚委員からも前回もお話しいただいておりますけれども、全国一律に最低の基準を水質汚濁防止法で定める。ですから類型当てはめ云々にかかわらず、最低限の排水規制を行った上で、あとは環境基準の達成状況を見ながら、都道府県の上乗せ規制で、今度は各水域、またそこにあります排出状況を踏まえて、場合によっては厳しい規制を決めるような環境基準の達成を目指すというような基本的な構造になっています。それが現行の環境基準、また環境基準が設定されて、類型当てはめがされた場合、それと水質汚濁防止法の排水規制の関係ということになります。

○村岡委員長 現行のやり方というのはそういうことでございますね。
 それに関しまして、そのあたりのことで基本的な事項を我々のこの小委員会の中で考えることがあったら、討議していくということになります。
 ほかに何かございませんか。池田委員、どうぞ。

○池田委員 今、排水規制の議論がされていると思うんですが、一方では、先ほども少しお伺いしましたけれども、自然由来に近いものがあるのではないかと思います。そういう場所では、過去の蓄積がどうなっているのか、あるいはとめる手段がなかなか難しいような場合も恐らくあるのではないかと思われます。そういうものの基準の類型当てはめにある程度反映をされないといけないと思います。
 それからもう一つは、やはりこういう金属類というのは、自然浄化作用が余りないと思われますので、水域での動態がある程度わからないと、なかなか当てはめをしても、改善が難しいという場合があるんじゃないかと思うんですが、そのあたりを少し考えておいた方がよろしいのではないかと思います。

○村岡委員長 貴重な意見だと思います。何か事務局の方から答えになるようなことがありますか。

○熊谷補佐 また排出の実態とか、環境との関係は詳細の状況をお調べして、お示ししたいと思います。
 あとすみません、ちょっと中途になりましたけれども、今お配りしましたのは先ほどの資料4の補足でして、2ページ、3ページ目にお示ししました環境省側でやりました水域の調査の調査地点、河川名をお配りをいたしました。ここに挙げています15河川につきまして、複数地点をとった結果をまとめたものが今回のものでございます。調査地点だけになりますけれども、また詳細なことについては、次回以降でお示ししたいと思いますので、参考に見ていただければと思います。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 先ほどの池田委員の御意見等につきましては、後でまたまとめさせていただきますけれども、まさしく今後、論点を絞って、討議しないといけないようなことになろうかと思いますので、そういったところでまた反映させていただくということになろうかと思います。
 ほかに何か。大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 意見というより、質問のような形で申しわけありませんが、この問題に関して、類型指定をしていくことが、多分、今後問題になってくるんじゃないかと思いますけれども、お伺いしておきたいのは、1つの考え方としては、前回の資料3の発言要旨の裏の方の紙の下から2つ目のあたりにも出ていますけれども、確かに生物が既に生息困難な類型というのもあるわけですが、それはどういうふうに加えていくかというか、ピックアップしていくかという問題があると思うんですけれども、考え方としては、環境基準の方で類型指定をしておいた方がよかったという考え方も恐らくあるのかもしれないんですが、水生生物の問題の場合だけ、排水基準について類型を決めていくということが、今までの通常の健康とか生活環境の基準との関係で、もしやるとするとどういうふうに整理されるのかという問題が、多分出てくると思うんですけれども、この辺については例えばの話ですけれども、どう考えていったらよいとお考えでしょうか。私自身は暫定排水基準の方が座りがいいと思ってはいるんですけれども。

○熊谷補佐 環境基準の類型当てはめの設定自体は今までの従来の形ですと、排水規制とノンリンクの行政の手続になります。既に答申いただいている中に類型当てはめの基本的な考え方も実は御議論、結論をいただいている部分がございます。環境基準を設定した時点で類型を既に想定して、環境基準をつくっておりますので、例えば温水域はどこであるのか、冷水域はどこであるのか、海域、淡水域、もちろん区分しなければなりませんので、そういった類型当てはめというのは基本的に行っていくことになります。
 その上で、類型当てはめの優先順位であるとか、具体的にどう考えるか。前回いただいた御意見については、特に従来の生活環境項目についても類型が決められ、その類型の当てはめを実際にやっております。そのときに各類型の中で、既にBODとかCODといったような環境基準は間接的には、その水域の中の溶存酸素、酸素量をきちんと確保するための環境基準ということになりますけれども、この類型の考え方で水生生物が生息することを前提としていないような類型が、今まである生活環境項目の類型の中に既にあります。溶存酸素の問題だけでもなかなか水生生物は生息しにくいという類型がありまして、前回いただいた御意見というのは、それ以外の生活環境項目で水生生物の生息が前提とならないような類型についてまで、今回の亜鉛の環境基準の類型当てはめがなされるんでしょうか。そういうことについて、きちんと整理をして、議論すべきではないかというふうにいただいたつもりでおります。
 目標となる場所について、そういう水生生物が生息することをほかの要因で難しいという判断をしているのであれば、場合によっては亜鉛の類型当てはめというものの対象から外す、少なくとも優先順位が低いという判断は十分あろうかと考えております。
 ただし、その場所その場所の取り組みということになりますので、いろいろな判断があろうかと思いますけれども、そういった貧酸素の状況を解消するという施策を打ちつつ、現状ではBODの目標値が非常にレベルが低いところにあるとか、溶存酸素が実際上、少ないというところについても、あえてこういうものをつけて、同時並行的に環境改善をしていくんだという取り組みも、場合によってはあろうかと思います。そういうものを否定するというところまではなかなか言いにくいのではないかということを考えております。
 今申したとおり、既に生活環境項目、特にBOD、CODや窒素、リンのようにある程度水生生物を水産という言葉で利水の1つとして取り上げていますけれども、そういうものが想定されないところとの整合性は、まさに前回意見をいただいたとおり、整理をしていく課題の1つだと考えております。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 ほかに何か伺うような御意見がございますか。
 それでは、本日はほぼ、いろいろな貴重な御意見をたくさんいただきまして、一段落といったような感じかと思います。
 前回と今回は特にテーマを絞らずに自由に御議論いただいたというわけでございまして、その中で今日の意見でも大変貴重な意見をいただきましたので、どういうことを今後この小委員会で詰めていかなければならないかといった事項が浮き彫りになってきたのではないかと判断いたします。
 それで、今後のこの小委員会の議論の進め方でございますけれども、そのような御意見の中から浮き彫りになってきたような事項も含めまして、全体のこの意見の整理を事務局でしていただきたいと思います。それで整理をしていただきました論点につきまして、今度はそれぞれの論点事項につきまして、広く委員の先生方から意見をいただき、議論を深めていくという形にしたいと思います。いつまでも自由な意見をいただくというわけにはいきませんし、次回からそのように論点を整理して、それについて集中的に幅広く御意見をいただきたいというのが私の考えでございますが、そのように進めさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

○村岡委員長 どうもありがとうございます。もちろんそういった論点の中に、またいろいろ個別な意見が出てくる可能性もありますけれども、それはそれで、煮詰まるところまで議論をしていくという形で議論を進めていきたいと考えております。
 一応本日の主な議題はこれまででございますけれども、「その他」というのがございますけれども、何かございますか。

○熊谷補佐 次回の日程の方を近日中に皆様にお伺いして、できれば、4月下旬なり5月上旬なり、1カ月ぐらいの期間を置いて、準備をさせていただいて、調整をさせていただきたいと思います。またスケジュールをお伺いしますので、よろしくお願いいたします。

○村岡委員長 そういうことでございますので、また今後とも委員の先生方、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは以上をもちまして、本日の小委員会をこれで閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。

午前11時48分閉会