中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会(第1回)議事録

日時

平成15年12月25日開催

場所

環境省環境管理局水環境部企画課

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 水生生物保全に関する重要事項について
    (2) その他
  3. 閉会

配布資料

資料1  中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会名簿
資料2  中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会運営方針
資料3  平成15年9月中央環境審議会答申「水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について」(委員限り)
資料4  水生生物の保全に係る水質環境基準を巡る主な論点等(第9回中央環境審議会水環境部会・資料4)
   (別紙)
   「水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について」(中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会報告案)に対する意見募集結果について(第8回中央環境審議会水環境部会・資料5)
資料5  環境基準類型指定及び環境管理施策の現行制度について

参考資料1  中央環境審議会議事運営規則他
参考資料2  平成15年11月環境省告示「水質汚濁に係る環境基準の一部を改正する件」
   

議事録

午前10時00分開会

○柏木企画課長 まだお見えでない委員もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、只今から第1回中央環境審議会水環境部会水生生物保全小委員会を開会いたします。
 本日は委員総数15名中13名の御出席が予定されており、只今のところ12名の御出席をいただいておりますので、既に小委員会開催の定足数を満たしております。
 それでは、議事に先立ちまして、吉田水環境部長より御挨拶を申し上げます。

○吉田水環境部長 おはようございます。吉田でございます。本日は、年の瀬も押し迫ったこの何かと気ぜわしい中、皆様方には御参集いただきまして誠にありがとうございました。
 既に御案内のとおり、水生生物保全の環境基準につきましては、去る9月の水環境部会におきます御審議をいただきました結果、幾つかの重要事項については引き続き審議をすることとして御報告をおとりまとめいただき、9月12日に答申をいただいたところでございます。
 本小委員会、すなわち水生生物保全小委員会につきましては、その際村岡部会長の御提案によりまして、水生生物保全に係る重要事項に係る審議の場として、前回の水環境部会にて設置が決定されたものでございまして、本日はその第1回目の会合になるわけでございます。
 本日は、答申をいただきました9月の第9回の水環境部会からやや時間が経過しておることもございますので、まずはこれまでの経過をもう一度たどりながら、新たに設定をいたしました水生生物保全に係る環境基準の運用や、あるいは環境管理の施策等の重要な事項等につきまして、率直に御審議を賜ればというふうに考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○柏木企画課長 それでは、続きまして、お手元の配布資料について御確認をいただきたいと思います。議事次第に配布資料とございますように、これらについてお配りをしております。不足等ございましたら、随時事務局までお申しつけください。
 これ以降、会議の進行は村岡委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村岡委員長 皆さん、おはようございます。水環境部会長の村岡でございます。
 この小委員会の設置の趣旨等につきましては、御承知かと思いますけれども、水生生物の保全に係る水質環境基準の設定という、我が国初めての水生生物の保全という新しい観点に立った環境基準の設定ということで、様々な議論をいただきました末、9月の第9回水環境部会に
おきまして結論がとりまとめられたところであります。
 その際、環境基準の設定を受けて行われます施策についても種々御議論があったところでございますけれども、私から環境基準の運用とか環境管理施策等の重要事項につきましては、部会に小委員会を設け、その部会に何人かの委員に入っていただきまして、これらの重要事項等につきまして集中して議論をしていくという方法をとってはいかがかと提案させていただきました。
 このことは、答申案にも部会の結論として盛り込まれ、小委員会の設置となったわけでございますけれども、このような経緯や審議の内容を踏まえまして、部会長である私が小委員長を務めさせていただき、さらに、部会委員の中から特段の知見あるいは御意見をお持ちの方々14名を委員に指名させていただいた次第でございます。委員の先生方には、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず事務局から委員の御紹介をお願いしたいと思います。

○柏木企画課長 それでは、恐縮ですが、こちら側から順次お名前を御紹介させていただきたいと思います。
 池田委員でございます。
 次に、大塚委員でございます。
 次に、清水委員でございます。
 次に、鈴木委員でございます。
 次に、須藤委員でございます。
 次に、土屋委員でございます。
 次に、村岡委員長でございます。
 次に、平瀬委員でございます。
 次に、福井委員でございます。
 次に、藤井委員でございます。
 次に、眞柄委員でございます。
 次に、松尾委員でございます。
 本日まだお見えになっておりませんが、満岡委員でございます。
 以上でございます。

○村岡委員長 どうもありがとうございました。
 まず、本小委員会の運営方針についてでございますが、中央環境審議会の運営方針等によりまして、部会長が決定するということになっておりますことから、私の方から定めさせていただきましたものを資料2として配布していただいておりますので、御覧ください。
 この内容を簡単に御説明いたしますと、まず、1といたしまして、会議の公開及び出席者について定めております。小委員会は原則として公開とすること。代理出席は認めないということなどを定めたものでございます。
 2といたしまして、会議録等について定めております。小委員会では、精確な会議録を作成しまして、委員に配布すること。公開した会議の会議録は公開すること等を定めております。
 3といたしまして、その他必要な事項は、私、小委員長が定めることができるといったような内容でございます。
 今後、このような運営方針によりまして、この小委員会の審議を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の1に入ります。「水生生物保全に関する重要事項について」でございます。
 まずは、ここまでの水環境部会における議論、それから本小委員会の設置の経緯と期待されている審議内容につきまして、確認することから始めたいと思います。
 資料3でございますか、これは水生生物の保全に係る水質環境基準の設定についての答申でございます。その中に本小委員会の設置・審議について記述されております。環境基準の運用、環境管理等水生生物の保全に係る施策の重要事項について審議することとされております。
 前回の水環境部会から3か月余りがたっておりますし、御都合によりまして水環境部会に御出席いただけなかった委員もおられると思いますので、事務局よりこれまでの水環境部会での議論を整理して御紹介いただけたらと思います。資料3、4がその関連資料かと思いますが、よろしく御説明のほどお願いいたします。

○熊谷補佐 着座で失礼いたします。今、委員長から御紹介いただいたように、資料3としまして、水生生物の保全に係る水質環境基準の設置について、答申及びその関係資料を冊子でまとめたものをお配りしております。また、資料4になりますけれども、この答申に際しまして、第9回の中央環境審議会水環境部会に提出しました主な論点をまとめたものがありますので、経緯を含めてこれを御説明させていただきたいと思います。
 また、資料4の別紙としまして、答申に至る技術的な検討ということで、水生生物保全環境基準専門委員会の中で行いましたパブリックコメントに対する専門委員会としての見解をまとめたもの、これも第8回の水環境部会に資料5として御提示したものです。
 以上をもちまして、これまでの経緯を御説明させていただければと思います。
 お配りしています冊子の2ページ目になりますが、村岡部会長から中央環境審議会の会長に提出しました報告の文面を見ていただければと思います。
 3段落目になりますけれども、「今般の水生生物保全に係る水質環境基準の設定が我が国では初めてであることに鑑み、環境基準の設定に伴い今後推進されるべき施策を効果的なものとするため、引き続き当部会に小委員会を設け、環境基準の運用、環境管理等水生生物の保全に係る施策の重要事項について審議する必要があると判断する」と、既に村岡委員長の方から御紹介いただいておりますけれども、この部会としての決定、認識に立ちまして、今回の小委員会、お集まりいただいたものと考えております。
 この冊子の後半の部分は具体的な結論としまして、環境基準として亜鉛を設定するものであるとか、要監視項目として3項目を設定するといったような結論の部分になっておりますので、御参照いただければと思います。
 過去の経緯ということで、資料4に移りたいと思います。先程申しましたとおり、第9回の水環境部会で全体の論点整理をして、今後の方向性というものを整理して、部会としてお認めいただいたものと認識しております。
 これに基づきまして答申、またその後の小委員会の設置というような議論の流れであったかと思います。
 主な論点として挙げていただきましたもの、大きな見出しとしまして、二つに分けました。一つは、水生生物の保全に係る水質環境基準の位置付け等についてという部分と、2ページ目の真ん中あたりから後半になりますけれども、水生生物の保全に係る水質環境基準値案の導出方法等についてでございます。
 この2番目の導出方法につきましては、3つの小分類として、環境基準値案の導出方法について、根拠データの信頼性等について、そして、亜鉛に係る水生生物環境基準の設定というふうに3つの中項目を挙げまして、あと細目の論点を挙げております。全部で論点1から8つの論点ということで御整理していただいております。
 内容の方を簡単に御説明させていただければと思います。まず、1ページ目に戻りまして、水質環境基準の位置付け等ということで、主に論点1としまして、4つ御意見いただいておりました。
 「水生生物の保全に係る水質環境基準とは何か、既存の環境基準との違い等その位置付け、全体スキームを明確にし、合意形成を図るべきではないか。」
 「亜鉛の特性に鑑み、亜鉛の環境基準のあり方、その達成方策及び達成可能性についてセットで検討すべきではないか。」
 「環境基準設定後、亜鉛の環境基準をどのように運用するか、水域類型の当てはめ、環境管理方策について部会で議論してはどうか。」
 「亜鉛については、我が国では自然由来や旧鉱山由来により環境基準値案を超過している地点が多数存在することについて配慮すべきではないか。亜鉛濃度規制の検討に際しては、その人為的排出の75%は下水道であるという点についても考慮する必要があるのではないか。」
 というような論点をいただいていたかと思います。
 この論点につきまして、まず、環境基準の定義等ということで、現行の環境基本法の法律の解釈、水生生物の保全を今の環境基本法でいう「生活環境の保全」ということで位置付けて考えたいという話だとか、環境基準が「環境上の条件について維持されることが望ましい基準」というふうに法律上定義されている部分を記述した部分でございます。
 専門委員会の見解として、この部会に対して専門委員会での検討の過程でどう考えたかという部分が次の段にありまして。生活環境の定義から、環境基準の定義等のところにございますけれども、生活環境は人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物を含むということで定義されております。この定義から、水生生物の保全のための環境基準を「人の生活に密接な関係のある有用な水生生物及びその餌生物並びにそれらの生育環境の保護を対象とする」というふうに解釈をしまして、これを具体化する検討を専門委員会の方でしていただいた経緯がございます。
 2ページ目の上段になりますけれども、以上のような論点に対しまして、法律上の解釈、専門委員会の見解を含めまして、部会としてどういうような整理で今後進めるかということで御結論いただきました。「専門委員会での議論というのは環境基本法の解釈と諮問内容からみて妥当と判断する。水生生物の保全に係る水質環境基準の設定は、今回が初めてであること等を踏まえ、亜鉛に係る環境基準に関する水域類型の当てはめ及び環境管理のあり方についての基本的な考え方と環境基準の運用や環境管理方策に係る重要な事項について、今後更に部会で議論を行うことが必要と考える。」
 この認識に基づきまして、先程御紹介しました審議会長への御報告の内容の記述しておりますし、今回の小委員会の設置ということになった経緯があります。
 2番目、水生生物の保全に係る水質環境基準値案の導出方法等についてということで、まず一つ目、環境基準値案の導出方法ということで、3点論点をいただいておりました。一つ目、論点2-1-1になりますが、「最終的に導出された亜鉛の環境基準値案は、淡水域ではイワナ・サケマスの餌生物であるヒラタカゲロウという種で導出された値を全国一律の環境基準に設定しようとしている。多様な生態系に即した基準値案作成の議論が必要ではないか。」
これに関しまして、専門委員会の見解としまして、「水質目標値の導出に当たっては、複数の種についてデータを用いており、ヒラタカゲロウのデータのみを根拠としたものではない。」、「水質目標値の導出に当たっては、公表されている各種文献に示された毒性値との比較を行い、妥当な水準であるかどうかの総合的な検証を行ったものである。」このような専門委員会の見解を踏まえまして、部会としまして、「専門委員会の議論にもあるとおり、複数の種のデータを用い、総合的な検証も経た結論であることから、現在の科学的知見の範囲を考えれば、妥当な結論と考える。今回、専門委員会報告において要監視項目として設定すべきとされた項目については、亜鉛と同様に総合的な検証を行うべきと考える。」というような整理をいただいております。
 論点2-1-2としまして、「室内実験データだけはなく、現実に化学物質による影響がどのように現れているか実フィールドで検証する必要があるのではないか」というような論点もいただいております。 専門委員会の見解としまして、一般的に人間活動による生物への影響としてフィールドで観察されるものは、開発行為による生息場の消失等の多様な要因が同時に関与するため、一つの物質による生態系への影響の程度を定量的に分離・特定することは困難であると考え、目標値の導出に当たってはそのフィールドデータは採用しないというような考え方で整理しております。これを踏まえまして、部会としての整理としまして、3ページ目の上段になりますけれども、専門委員会の議論にもあるように、「基準値導出においてフィールドでの検証を必須とすることはその定量可能性から見ても現実的とは考えられない。ただし、より広範な科学的知見の集積の観点から、水質のみならず水生生物の状況も含めた水環境の状況把握等は重要である。」という整理をいただいております。
 論点2-1-3としまして、「イワナ・サケマス域、コイ・フナ域ともに餌生物として全く同じものが挙げられていること、河川の中流域の代表魚種であるアユ・ウグイ域が設定されていないこと等、生態系保護の観点から問題ではないか」というような論点をいただいておりました。専門委員会の見解といたしましては、「現在の科学的知見の範囲において、施策目標として用いられるという性格も勘案した上で、淡水域を冷水域であるイワナ・サケマス域、温水域であるコイ・フナ域、この2区分とした。」というような結論に。これに対して部会としては、「現在の科学的知見の範囲ということで、専門委員会の結論は妥当と考える。ただし、水域特性と水生生物の生息状況の関係について更なる知見の収集に努めることが重要である。」ということで、今後の課題でいただいております。
 2-2、環境基準値案の根拠データの信頼性等ということで、「亜鉛の環境基準値案の設定根拠とされている文献がEUでは信頼性が否定されている等、原文献を精査し科学的にその信頼性が判定されているのかどうか」ということについて論点をいただいております。専門委員会の見解としまして、「亜鉛の環境基準値案の導出に採用されたヒラタカゲロウの毒性試験は、試験方法や結果に問題がなく、目標値の設定根拠として用いることが適当であるというふうに判断した。なお、EUのリスクアセスメントにおいては、英文で発表された論文のみを評価した結果、不採択となったものと考えられるが、専門委員会として関連の邦文論文も併せて検討した結果、信頼に足る内容と判断したものである。」という、専門委員会としての見解をいただいております。4ページ目の上段になりますけれども、部会での整理ということで、「専門委員会での判断を尊重すべきと考える。当然のことながら、環境基準については常に科学的知見の収集に努め、その結果を踏まえ適切に見直されるべきである。」という整理をいただいております。
 2-2-2、環境基準の根拠データ関係の二つ目としまして、「慢性毒性データが非常に少なく、基準値案の信頼性をより高めるために慢性毒性データの集積を図るべきではないか。」これに対する専門委員会の見解としまして、「報告の今後の課題にもあるように、慢性毒性データを含め、今後とも科学的知見の集積に努めるべきと認識している。」という見解をいただきました。部会としましては、「慢性毒性データの集積について今後の課題としている専門委員会の判断は妥当と考える。環境省においては、専門委員会の指摘も踏まえ、他の行政機関、民間事業者を含め広く関係者の協力を得つつ、科学的知見の集積に努力すべきである。」というような整理をいただいています。
 2-3、亜鉛に係る水生生物環境基準として、亜鉛に特化した論点としまして、2点いただいておりまして。一つ目、「亜鉛の化学形態の差、全亜鉛と亜鉛イオン、共存物質、特に硬度による毒性差を考慮すべきではないか。」これに対する専門委員会の見解としまして、「亜鉛の化学形態や他物質の共存状況による毒性の違いについては指摘のあるところである。しかしながら、現時点の知見で定量的に評価することは非常に困難である。特に亜鉛は環境中において形態変化の速度が速く、このような物質の形態や共存物質との関係など全体像を理解することは不可能といってよい。全亜鉛として、かつ、共存物質の影響も考慮しない形での基準の設定が妥当と考える。」というような専門委員会としての見解をいただきました。部会としましては、「健康項目も含め環境基準の設定においては、環境中の挙動等に関する十分な科学的知見がある場合を除き、安全側の基準値設定との観点も含めて、形態の差や共存物質の影響については特に考慮してきていない。そのような現状を踏まえて、現段階の科学的知見の範囲において妥当なものと考えるが、このような分野も含め科学的知見の集積に努めることが必要である。」というような整理をいただいております。
 最後になりますけれども、論点2-3-2になります。「亜鉛は生体にとって必須元素であることを考慮し、環境基準を設定すべきではないか。」これに対する専門委員会の見解としまして、「亜鉛は生体の必須元素であるが、専門委員会報告にある環境基準値案は、藻類に関して亜鉛の欠乏症が生じる水質濃度レベルに比べて大幅に高く、また魚類に関しても欠乏症が懸念されるようなレベルではない。」というような見解から、今回の環境基準を設定しております。部会としまして、「専門委員会での判断を尊重すべき。」ということで整理をいただいております。
 以上、長くなりましたけれども、環境基準設定時、答申に際しまして、部会の中で御議論いただいた内容、主なものが以上かと思います。
 別紙の方、ごく簡単に御説明差し上げますけれども。専門委員会としまして、パブリックコメントにかけ、いただいた意見に対しまして専門委員会として見解をして公表したものでございます。意見の提出件数が500件強ということでいただきまして、それをここにありますように、1ページ目から最後の14ページ目まで、24項目にいただいた509の意見を類似の内容を整理しまして、それについておのおの見解を示しております。
 今、御説明しました資料4の本文側、論点の基本となった、特に専門委員会の見解のところ、基本となったもの等を考えていただければと思います。
 以上でございます。
 併せまして、皆さまにお配りしています資料5になりますが、環境基準の類型指定及び環境管理施策の現行制度ということで、今後の議論の御参考になろうかと思いまして、今、現行の類型指定、環境基準の、例えば常時監視との関係とか環境基準の達成方策の考え方を簡単にまとめておりますので、併せて御紹介させていただきます。
 現行の制度ということで、今の環境基準であるとか、環境管理施策の状況なり法律根拠なりを簡単に御説明させていただければと思います。
 大きく二つ、環境基準に係る類型当てはめの制度等ということと、後半、3ページ目の中段以降になりますけれども、水環境管理のための制度ということで、大きく二つに分けて資料をお示ししております。
 まず一つ目、環境基準に係る類型当てはめの制度等ということで、環境基準と類型当てはめがどのような状況になっているかということをここで示させていただければと思います。環境基準ですけれども、環境基本法第16条に基づいて、環境庁告示として「水質汚濁に係る環境基準」というものが設定されているのは皆さん御承知いただいていると思います。
 併せて、環境基準の場合は、類型を定めるもの、定めないもの、水質の場合ですと類型を定めない健康項目、類型を定めている生活環境項目と二つあります。環境基本法第16条第2項に、環境基準において二つ以上の類型を設け、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域というような書き方になっております。指定すべきものとして定められる場合には、環境基準の構成としまして、ある類型を決めて、地域を限定して環境基準を適用するようなそういった環境基準を作った場合については、二つ以上の都道府県区域にわたる水域、地域であって、政令で定めるものについては政府が行い、それ以外については都道府県が行うということで、その類型当てはめの当てはめ権限者を書き分けております。県際水域と言われるようなものとか、複数の県にまたがって流れているような河川であるとか、そういった部分、重要水域につきましては、政府、環境省において、また、一つの都道府県内で完結するような水域につきましては、都道府県が類型当てはめをしているというような状況にあります。
 1ページ目の後半のところに、その根拠となるような環境基本法の関係条項を参考までにお示ししております。
 今、御紹介しましたのは後段のところですけれども、第十六条の2項です。「前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する事務は、二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるものにあっては政府が、それ以外の地域又は水域にあってはその地域又は水域が属する都道府県の知事がそれぞれ行うものとする」というところが環境基本法の根拠になっております。
 具体的にどのような水の環境基準に関しまして、どのような区分になっているかということをお示ししたのが2ページ目の前段からになります。先程御紹介しましたとおり、政令で指定された場合についてのみ国が行うということで、国の類型指定が、いわゆるポジティブリスト、明記した形で政令で示されております。
 水域としまして大きく二つ、河川と海域。この河川の中には、一部湖沼が入った、ある意味淡水域というふうに理解していただいても間違いないかと思いますけれども、河川と海域にまたがりまして。河川については、北上川水系の北上川から、最後福岡県、大分県、熊本県に関係します筑後川水系の筑後川や、宝満川、これは福岡県になりますけれども、そういった水域、これが国が類型指定をすべき河川ということになってます。
 これの中で、あと湖沼関係ですと、2段目の真ん中あたりにありますけれども、常陸利根川、北浦、霞ヶ浦といったものが湖沼になりますし、下から3行目、一番右側になりますけれども、淀川水系の琵琶湖、これも国が類型指定を行うべき水域ということになってます。
 また、海域につきましても国が行うべき海域が書かれておりまして、東京湾、それから三河湾を除く伊勢湾。また、播磨灘以降、これに関してましては瀬戸内海の各県の県際水域部分を限定しまして、国の類型当てはめの対象ということにしております。ですから、大きく区分しますと、東京湾、伊勢湾、大阪湾、大阪湾を除く瀬戸内海の県際水域、さらには有明海と、以上5海域が政府の類型指定の対象ということになっております。
 このように、法律で政府が行うべき事務が規定されておりますけれども、実態上の類型当てはめの運用がどういうふうに行われてきたかというのを簡単に御説明させていただければと思います。
 水質環境基準につきましては、今、御紹介したとおり、健康項目は基本的に全国一律の適用ということで、生活環境項目にのみ水域類型が設定されて、類型当てはめが実施されてきております。
 生活環境項目につきましては、従来のものにつきましては、河川、湖沼、海域の水域ごとに項目が定められておりまして、今回の亜鉛の環境基準につきましても、この区分に従い、おのおの亜鉛の基準を書き込むというような作業で告示を行っております。
 各水域の全域を対象にする項目、例えばBOD/CODというようなものに関しましては、河川、湖沼、海域、類型指定されたものすべて要件にしておりますけれども、例えば窒素、燐の環境基準のようなものにつきましては、閉鎖性の水域であって富栄養化が懸念されるような水域である湖沼とか海域に限定して、環境基準を適用するというような規定がなされておりまして、具体の類型の当てはめがなされた水域において、項目の適用除外、または暫定目標の設定なども生活環境項目については行われてきております。
 類型当てはめにつきましては、その水域の特性や利水の状況、また人為活動の有無等により、必要な水域を明示して類型が当てはめられてきております。ですから、類型当てはめが実際上に行われていない水域、公共用水域と言われているようなものの中にはそういうものもあります。具体的には、例えば小河川であるとか、水路であるとか、また河川の最上流部分について、特に人為活動が全くないということで環境基準を適用することに行政的な意味がないというような部分については、類型が当てはめられていないというような状況も場所によってはございます。
 全国に対して実績としてどのような類型当てはめの現状になっていますかといいますと、河川につきましては、全国で2,550の水域に区分しまして類型の当てはめが行われております。湖沼につきましては、COD等につきまして150水域、先程限定的に基準適用するという御説明をさせていただきました、例えば窒素や燐に関しましては81水域の類型当てはめがなされております。海域につきましては、COD等の基本的に全海域適用になるような項目につきましては597水域。窒素、燐のように富栄養化が懸念されるような水域に限定して行うような項目につきましては、152の水域に類型当てはめがなされております。
 このような類型当てはめを行った水域につきまして、その水域を中心としまして、水質汚濁防止法の第15条に、都道府県知事は常時監視を行うという規定がありまして、測定計画を策定して、これは第16条になりますけれども、測定計画を策定し、水質汚濁の状況を常時監視しなさいというような規定がございます。基本的に原則月1回、また水域の特性によってその回数を省く、また重点的に監視するということが行われておりますが、そのような常時監視が行われております。
 3ページ目の上段にいきまして、平成14年度の常時監視の実績ということで簡単に御説明させていただきます。健康項目、全水域に基本的に適用するというものにつきまして、項目ごとにその測定実績は若干異なりますが、一番少ないものでほう素で2,732地点。一番測定地点数が多い鉛に関しましては、5,000地点弱、4,716地点、これが実際上の常時監視として実施されております。
 生活環境項目につきましては、先程の類型当てはめを行った水域について常時監視が行われておりまして、数字の方は先程御紹介しましたので省かせていただきますが、以上のような常時監視の体制がとられています。
 最後、参考としまして、環境基準と類型当てはめに係る事務が過去どのように行われてきたのかということを簡単に御説明させていただきます。
 昭和45年4月に一番最初の環境基準が閣議決定の形で作られておりますけれども、その後、昭和45年9月にスタートしまして、48年3月までの間に先程御紹介しました河川の関係について、国の類型当てはめが行われております。また、同じく45年9月から49年5月までにかけまして海域のCOD、また湖沼のCOD等につきましては昭和46年からスタートして類型の当てはめが行われております。
 その後、新たに加えられました環境基準としましては、昭和57年12月に加えられました湖沼の窒素、燐の環境基準の告示がございますが、これを受けまして、昭和60年から湖沼の窒素、燐の国の類型当てはめの実施がされております。
 最も新しいものになりまして、平成5年に海域の窒素、燐の環境基準の告示を行っておりますけれども、平成7年2月からスタートしまして、平成12年3月までに、先程御紹介しました国の類型当てはめの対象海域については告示が終了しております。都道府県においても同様の作業を行うことになりますけれども、平成7年2月に最初の国の類型当てはめを行っておりますけれども、それを追いまして、平成7年4月以降に都道府県の海域の窒素、燐の類型当てはめという事務がスタートしているというこれまでの経緯がございます。
 環境基準関係につきましては、以上です。

○平山補佐 水環境管理課の平山でございます。引き続き、水環境管理のための制度について御説明申し上げます。座ったままで失礼いたします。
 そこにございますように水環境管理のための制度でございますけれども、まずこれまでの主な経緯について御説明いたします。
 水環境保全施策、これはこれまで環境基本法または水質汚濁防止法などに基づいて、主に二つ、国民の健康の保護と、あとそれから生活環境の保全ということを目的として各種の施策を実施してきたところでございます。
 主な経緯でございますけれども、まず(1)、いわゆる水質2法、これは昭和33年の法律でございますけれども、そこまでの状況ということでございます。水質汚濁の原因でございますけれども、明治以前、昔からいろいろその原因というのはあったかと思いますが、それが表面化した、問題になったというのは、御存知のことかと思いますが、明治初期の足尾銅山の鉱毒事件でございます。それから、その後産業の近代化というものに伴って、各地でいろいろな問題が生じるようになった。さらに、その戦後でございますけれども、戦後の産業復興期、これはさらに大都市などを中心にさらに問題が拡大しておりまして、昭和30年代からいわゆる水俣病などの事件などが顕在化したということでございます。
 このような背景を踏まえて、地方公共団体、ここでは条例を制定していろいろな対策を講じられたということでございます。
 次のページにまいりまして、国の方でも、先程ちょっと触れました昭和33年でございますけれども、「公共用水域の水質の保全に関する法律」、それと「工場排水等の規制に関する法律」、いわゆるこれが水質2法でございますけれども、これを制定いたしまして法的な規制を始めたということでございます。
 しかしながら、その水質2法でございますけれども、対象地域とか対象事業場を限定して規制したらという考えでございますので、その規制のあり方には若干この徹底を欠いていたのではないかということで、その時代の流れによる環境保全の要請に追いついていけないというような状況が生じたわけでございます。
 それで、(2)でございますけれども、いわゆる現行の水質汚濁防止法の制定とその意義ということでございます。それで、さらに昭和30年代、それから40年代にかけて、日本の経済の高度成長に伴いまして、その公害問題で一層広域化、さらに深刻化したということでございます。これも御案内のことでございますけれども、いわゆる第2水俣病と申します阿賀野川での水銀汚染、さらにはイタイイタイ病などの問題が相次いで発生したということでございます。
 それを踏まえて、昭和42年でございますけれども、公害対策基本法、これは環境基本法の前身でございますけれども、が制定されて、公害対策を総合的に推進するということが打ち出されました。さらに、昭和45年でございますけれども、いわゆる「公害国会」において、各種の公害対策に関する法制度が抜本的に整備強化された。特に水質関係でございますけれども、先程の水質2法に代わりまして、現行の水質汚濁防止法が制定されたということでございます。水質2法は、いわゆる後追い行政であったということ、これを反省いたしまして、水質汚濁防止法では全公共用水域において、国が定めた一律の排水基準を適用するということにしたわけでございます。
 それは基本的なことでございますけれども、さらにいわゆる閉鎖性の水域、湖沼なり海域でございますけれども、そこの水質改善のための制度というもの、これも別途用意いたしました。まず、一番問題になったのは瀬戸内海でございますけれども、水質汚濁の進行、さらには赤潮の多発等非常に環境が悪化したということでございましたので、まず昭和48年に瀬戸内海環境保全臨時措置法というものが作られました。さらに、52年にはいわゆる恒久法化、先程臨時措置法がある程度の一定期間のものだったんでございますけれども、それを恒久法化し、現行の瀬戸内海環境保全特別措置法というものに衣替えして、さらに特別に制度を作ったわけでございます。
 それから、その後、依然として問題が多いという有機汚濁、これに対処するということが必要でございましたので、従来の制度というのはいわゆる濃度の規制でございましたけれども、53年には総量の規制というものを作りまして、瀬戸内海を初めといたしまして東京湾、伊勢湾で実施しているところでございます。さらに湖沼、これはなかなか水質の改善が進まないわけでございますけれども、その水質汚濁に対応するために昭和59年に湖沼水質保全特別措置法を制定したわけでございます。
 若干その各制度について御説明申し上げますと、まず、[1]でございますが、総量規制制度における管理施策ということでございます。やはり閉鎖性の海域の水質改善、これを万全のものとするためには、流れ込む汚濁負荷量の総量を効果的に削るということが肝要でございます。総量規制制度は、いわゆる通常の一律排水基準、さらにはその上乗せの排水出基準、こういったものではなかなかその環境基準を達成できないという、対策の困難な水域、これを指定水域として定めまして、さらにその指定水域ごとに関係する地域、これを指定地域として定めて規制をするということでございます。
 現在、平成16年度を目標年度とする第5次の水質総量規制、これが動いてございますけれども、いわゆるCODだけではなくて、いわゆる全窒素、全燐を対象に加えて総合的な汚濁負荷削減対策を推進するということでございます。
 具体的には、そこのⅰ)からⅲ)にございますように、ⅰ)は基本的な総量の規制、それからⅱ)はそれに伴う汚濁負荷量削減の指導。さらには、水質保全に資する事業の実施と、こういったものを総合的に実施して水質汚濁の対策をしているということでございます。
 続きまして、5ページでございますが、[2]といたしまして、湖沼の関係について御説明いたします。湖沼についても、要は汚濁物質が蓄積しやすいということがございますので、環境基準の達成状況が、川や海に比べて悪いという状況でございます。さらには、富栄養化ということがございまして、各種の利水障害が生じていると。こういった要因というものは、湖沼のいわゆる上流域ですね、集水域と申しますけれども、そこで営まれるいろいろな活動が原因になっているということでございまして、湖沼の水質保全のためにはそういったもの、いわゆる従来の水質汚濁防止法の規制だけではなくて、そういった特殊な事情といったものを踏まえた各種管理施策の必要性があるということでいろいろな施策が講じられているということでございます。
 具体的には下のローマ数字のⅰ)からⅲ)でございますけれども、汚濁負荷削減のための規制。これは、湖沼について非常に特別の規制でございますけれども、そこに3つほどございまして、いわゆる新増設の工場等に対する規制。それから、指定地域特定施設というのがあり、これは若干水質汚濁防止法より規制の枠を広げまして、小規模の施設を対象に入れる。さらには、指定施設、準用指定施設というもの、これもさらに水質汚濁防止法では対象になってないようなものについても加えて、その湖沼の水質の保全のために万全を期すということでございます。
 それで、ⅱ)、ⅲ)は先程と同じようにいろいろな指導、さらには水質保全のための事業の実施ということも進めてございます。
 これが大まかな経緯でございまして、5ページの中ほど、2.でございますけれども、先程から御紹介いただきました水質汚濁防止法の排水基準の設定というものについてまた詳細に御説明いたしたいと思います。
 環境基準の維持・達成ということでございますけれども、そのために今までいわゆる排水規制、さらに生活排水対策、あとは非特定汚染源対策と、いろいろな対策を講じてきているわけでございます。その中で、水質汚濁防止法に基づく規制でございますけれども、これもいわゆる健康項目と、さらには生活環境項目、この二つの基準を設定してございます。今般設定されました亜鉛の関係でございますけれども、これは生活環境項目ということで位置付けられるということになります。
 さらに、その排水基準でございますけれども、基本的には一律排水基準ということでございますけれども、場合によっては暫定の排水基準が設定される場合もございます。暫定排水基準でございますけれども、これはいわゆる事業規模とか、あとはそれぞれの段階での処理技術といったものから判断して、基準の遵守が困難である場合、これは期限を限定して適用するというものでございます。暫定排水基準というのは、全公共用水域について一律ではございますけれども、業種によって異なるというような状況でございます。
 (1)、これは健康項目でございますけれども、環境基準の健康項目、これに連動するわけでございますが、これまで水質汚濁防止法上では有害物質ということで排水基準を設定してございます。この基準値のレベルでございますけれども、いわゆる環境基準の原則として10倍ということで考えてございます。
 そこで、理由でございますけれども、「これは」以下でございますが、いわゆる公共用水域にいったん排水が出されますと、河川水等によって一定の距離を経た水域においては通常少なくとも約10倍程度には希釈されるだろうということを想定して定めたものでございます。この繰り返しでございますけれども、有害物質に係る排水基準はすべての公共用水域について一律ということでございます。
 続いて、6ページでございますけれども、今度は生活環境項目でございますけれども、全特定事業につき一律ということでございまして、趣旨といたしましては、そこの2行目にございますように、排出水の汚染状態の最低限の基準を設定するということでございます。その水質の基準でございますけれども、いわゆるBODなどの一般的な水質、この指標については、一般的な家庭の汚水の水質と同程度の水質を確保するという見地から定めてございます。
 亜鉛についてでございますけれども、現在、5mg/Lという基準が設定されているわけでございます。これは、水質汚濁防止法ができた当時から設定されてございまして、その基準値は当時の考え方によると、いわゆる水道への影響、さらには漁業とか農作物被害の防止についての見地から、当時の知見に基づいて設定されているということでございます。
 (3)、これは都道府県の条例、いわゆる上乗せでございます。一律排水基準、これは全国一律でございますけれども、さらに地域によっては不十分であるという水域もあるわけでございますので、そこにおいては条例で一律排水基準に替えて適用すべきより厳しい排水基準を定めることができることとされてございます。
 7ページ目でございますけれども、今まで御紹介いたしました水質汚濁に関する環境基準、環境管理施策のイメージというものを概略、フローチャートという形に示してございますので、この点については質疑において御参照いただければと思います。
 簡単でございますが、以上でございます。

○村岡委員長 どうもありがとうございました。
 これまでの部会の議論の整理ということでは、資料4に沿って御説明いただきました。なお、この資料4は部会で使用したものであり、部会で認めていただいた資料でございます。それから、パブリックコメントの話がちょっとありまして、あと、環境基準の類型指定とか、管理施策に関する現行の制度について詳しく御説明いただきました。

○平瀬委員 すみません、委員長。ちょっと提案といいますか、前回の水環境部会のレビューをしていただいたんですけれども、我々も水生生物の保全とはということを悩みながら部会でこれの議論をしたわけで、この小委員会の添付資料としては部会の議事録をここにやはり入れておくべきではないかと思います。要するに、その部会の時に、これをベースにいろいろ委員が、「委員長、こういう解釈ですね」といって確認したのが議事録の中に盛り込まれているというのがベースになって、この小委員会がスタートすべきだと思います。その議事録がここにあってしかるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○村岡委員長 議事録を、既に公開されておりまして。多分、委員の先生方もそれはみんな御承知のはずでして、今、すぐにその議事録をここでということはできませんから、次回に引き続き議論されるようなことがありましたら、それは準備いたしますが。今日のところは、そういったその議事録に関わるところは各委員の御意見の中でお示し、あるいは説明していただいて御意見をいただきたいと思います。
 それでよろしいですか。

○平瀬委員 はい、了解しました。

○村岡委員長 とりあえず、水域の類型当てはめ等の環境基準の運用とか、排水基準の環境管理施策に関する議論、こういった事がこれからいただく議論の中心になるかと思います。
 そのほかに、先程資料5で説明がありましたような環境基準の設定を受けて、今後推進されるべき施策、それの効率的なもの、あるいは効果的なもの、そういったものの提案がありましたら述べていただいて、ぜひ議論をしたいと思っております。
 また、前回の部会におきましても、亜鉛につきましていろいろな議論をいただきました。それで、そのほかに水生生物保全の一般的なものか、亜鉛で議論すべきか、という質問もいただいた記憶がありますけれども、現状の環境基準といたしましては、設定されているものが亜鉛でございますから、この亜鉛を念頭において議論していただくということにならざるを得ません。とりあえず亜鉛を念頭に、水生生物に関わる一般的な事項について御議論いただきたいと思います。
 それで、本日は第1回ということもありまして、御出席の委員から自由な意見をお願いして、共通認識をここで積み上げていきたいと思います。したがって、今日の議論ですべてがまとまるというものでもございませんし、内心、次の委員会に向けて何を議論すべきかという、その辺がまとまっていけばいいというふうに思っておりますが、その点も踏まえましてひとつ御議論いただきたいと思います。
 それでは、どなたからでも結構でございますので、御発言がありましたらよろしくお願いいたします。

○福井委員 よろしいでしょうか。

○村岡委員長 はい、福井委員、どうぞ。

○福井委員 今、環境基準の仕組み、類型指定とか環境管理施策の現行の制度について詳しく説明されましたが、当然これを説明されたということはこの亜鉛についてもこの類型指定もやっていこうと。あるいはまた、環境管理施策、どんな施策を講じるかと、こういうこともやっていこうと、当然そういうことから説明されたと思いますが、まず、そこはいかがですか。

○柏木企画課長 おっしゃるとおりでございます。中環審の答申で、この小委員会設置ということについて部会で御判断いただいているわけですけれども、これにつきましても、環境基準の設定に伴い今後推進するべき施策を効果的なものとするためということで、環境基準の運用とか環境管理施策などの重要事項について引き続き審議をしていこうという御趣旨であります。委員長のお話にもありましたように、まずは亜鉛について環境基準が設定されたということでありますので、亜鉛を念頭に置きながらこれの運用なり、具体的な管理施策について御検討をいただくという趣旨で先程来の資料を御用意させていただいたということでございます。

○福井委員 当然類型指定も行うと、全国大体の水域においてほぼ、全部かどうかわかりませんが。

○柏木企画課長 その点につきましては、この小委員会でどこまで細かく掘り下げて議論いただくかというのは、正直言いまして、これから議論いただいた中でその辺が見えてくるのかなというふうに思っております。

○村岡委員長 私からちょっとお答えしますと。従来、確かに類型指定とか排水基準というものは設定してきましたけれども、今回、水生生物の保全という新たな政策目標がありますので、それを必ずやるということではなくて、それに代わるような何らかの制度があれば、提案していただくような制度があれば、それについてもここで十分議論したいというふうに考えております。

○福井委員 わかりました。

○平瀬委員 委員長。

○村岡委員長 はい、どうぞ。

○平瀬委員 今みたいな話に当然我々も最終的にはもっていかないといけないとは思うんですけれども。やはり水生生物の保全については、僕らも先程御説明ありました、人間に対する健康とか従来の生活環境の話と違って、水生生物の保全ということを目的とする環境基準を設定したわけですから、どういう状態が水生生物が保全されている状態なのでしょうかということ、それがある程度イメージできないと、ちゃんとした議論ができないと思います。私は部会でいつも実態のデータ、検証できるデータ、フォローできるデータというものに基づいて議論すべきだと、それを常に主張してきた人間ですので、どういう状態にするのが保全なんでしょうかというところをある程度議論して、それでフォローできるデータを明らかにした上で、今の状態がどうなっているのかというのを踏まえて、今、福井委員がおっしゃった、あるいは企画課長がおっしゃったところにもっていくということが必要だと思います。その前提を先に議論すべきではないかというふうに私自身は考えております。

○村岡委員長 そうしますと、平瀬委員は、どういう状態が水生生物の保全の対象になるか、その点についての御見識はいかがでしょうか。

○平瀬委員 いや、それで、今の実態を見たときに、少なくとも河川、湖沼でいろいろこういうふうにお聞きしましたけれども、私自身は即答できる、今、答えを持っておりません。ですが、まず、水生生物としては、亜鉛の影響ということでは、亜鉛の毒性データの時にお示しになったヒラタカゲロウということでスタートされたわけですけれども、ではヒラタカゲロウの状態を、例えば何匹、どういう状態にすることが水生生物の保全ということになるのでしょうか。我々が示されたデータは、私、データが大好きですから、ヒラタカゲロウの生息への、亜鉛の影響についてということだったと思います。そうすると、そういう生物の生息状態をどういう状態にすればいいんですかということがやはり知りたいと思うんです。

○村岡委員長 一応それに関しましては、専門委員会のレベルで基本的な同意がなされているというふうに私は思っております。ただ、具体的に、今、私がどうのこうのとちょっとお答えできるような状態ではありませんので、そういった水生生物の保全の状態ですね、こういったものについて、まずは専門委員会の委員長であった須藤先生、あるいはほかの水生生物にお詳しい方からちょっとコメントいただければと思いますが。

○須藤委員 いろいろと御意見をいただいて、前の部会のときからも御意見をいただいているわけでございまして、実態のデータの濃度と、それから生物のヒラタカゲロウの現存量と合わせたデータで本来は議論すべきだと、こうおっしゃられている委員もいらっしゃって、その時もお答えしたと思いますが、自然界というのは、もちろん亜鉛だけではなくていろいろな化学物質がある、温度も違う、生息の場所も違う、さまざまな影響があって、亜鉛の濃度だけでこの生物が制限されているというようなことを特定することは、ほかの物質もそうですし、非常に実際には困難でございます。
 そういう意味で、実験室の毒性データから算定したのが30μg/lと、こういうことでございまして。先程の平瀬委員のお答えにするならば、保全すべき濃度は0.03mg/l以下であることを望ましいとするという意味が、この環境基準の意味だと私は理解しております。そうであれば、亜鉛の濃度によってヒラタカゲロウと、前に部会の議論ではヒラタカゲロウが余りにも表に出すぎたんですが他の4つ5つの生物で見ても、その濃度であるならば、亜鉛によって個体群がそれぞれの生物の個体群が制限されることはないだろう、こういう意味でございます。

○平瀬委員 ちょっと誤解があると思うんですけれども。それは、一応私も不承不承納得したつもりなんですが。いわゆるこれから施策の検討をやっていくときに、例えばどこかの川で水生生物をどういう状態にしたいんでしょうかということ、それがはっきりしないと我々は何やったらいいんですかということがきちんと議論できないと思います。どこの水域、例えば水生生物が全然いないところの水域まで、それをやるのか。そういう極端なあるべき姿じゃなくて、我々が当面目指す実態の水生生物の状態というのはどういう状態にすればいいんでしょうかということを、結論は今日じゃなくてもいいんですから、やはりそれを原点にしないと、次のステップとしての施策のあり方が議論できないんじゃないでしょうかと言いたいわけです。そうでないと、例えば単に河川の亜鉛濃度を30μg/lにすることがすべてだというような議論に我々が陥るのは、非常にリスキーだというふうに私自身は考えます。
 亜鉛の環境基準はあくまでもそういうことが望ましいですよねということで、我々は受け止めました。だけれども、水生生物の実態はどういう状態にすればいいんですというのを僕らは議論をしないと、この小委員会の目的は達成できないんじゃないかと危惧しています。

○土屋委員 関連して。

○村岡委員長 はい、それでは、土屋委員、どうぞ。

○土屋委員 今回、水生生物保全という新しい切り口なものですから、これは質問で疑問点なんですけれども。亜鉛に関して言うと、現在、一律排水基準として5mg/lというのがあるわけでして、これはすべての水域だろうと思うんですけれども。こういう水生生物の保全に係るものというと、やはりすべての水域に適用されるべきものなのか、あるいは6つの類型があったとしたら、そのどこに適用されるというふうに考えるのか。その辺がちょっと今まで御説明を聞いててわからなかった。例えば、E類型まで適用するのかとか、その辺のところが、新しいものだから、ちょっとわかりにくいということで、お考えがあったら教えていただきたいと思います。

○熊谷補佐 参考資料でお配りしています、参考資料2になりますけれども。官報のコピーをお配りしています。前回の部会の報告をもちまして答申とさせていただいた内容を実際の環境省の告示の形にしたものです。改正文ですので、ちょっとわかりにくい部分ありますけれども、2ページ目を見ていただけるといいと思います。
 別表2の1に加えるというので、イと書かれていますけれども、ここの表が従来の環境基準の生活環境項目の河川の部分に加えられた表ということになります。以下、次の、その左側にありますウの表は湖沼に関してですし、次ページのまたウというのがありますけれども、生物A、生物特Aと書いてあるような表、これが海域について新たに加えられた表ということになります。
 今まで生活環境項目に関しましては、河川の場合ですとBOD等5項目の表で、河川に関してはその一表だけ。また、湖沼と海域につきましてはCOD等の5項目に加えまして、窒素、燐の表が環境基準の表として、湖沼と海域につきましては表が二つありまして、これに今回亜鉛の表が加わった状況というのが、現行の環境基準ということになります。
 環境基準につきましては、御議論いただいたとおり、温水域、冷水域というものにつきまして、生物のA、生物のBという書き方をしていますし、おのおのにつきまして、特別域、産卵域であるとか幼少期の生息域につきまして特別の基準を設けるということ、何々特何々ということで、生物特Aとか生物特Bということで、おのおのの河川、湖沼、海域につきまして、A、Bと一般域、特別域で、計4類型を定めまして、環境基準が設定さております。
 これについて、環境基準の類型ということですので、各水域を限定しまして、具体的に、今までの例ですと、例えば河川であれば何々橋から何々橋の水域につきましては今まででいいますと、A、B、C、D類型とか、I、II、III類型、今回でいいますと生物Aとか生物Bというようなものを適用するというようなことに多分なろうかと思います。これは、環境基準としてそういう類型を定めるというものです。
 これからの御議論ということになると思いますけれども、先程これまでの現行制度を御説明させていただきましたが、排水規制に関しましては、類型を指定して何かをやるという形ではなくて、国としては一律の排水規制ということで、類型の有無に関わらず最低限の基準を国として基準を決めまして、工場・事業所に対して排水の規制をやっているということです。適用の関係は環境基準と排水規制の関係というような異なった状況になっております。
 以上、御説明しましたが、御不明な点、もし追加であれば御説明いたしたいと思います。

○村岡委員長 土屋委員、いかがでしょうか。

○土屋委員 ええ、それはわかっておったんですけれども。

○村岡委員長 では、何かほかに。

○土屋委員 河川ですと、BODとか5項目について6つの類型がありましたね。その中で、Eというのは余り生物が住みそうもない類型だったものですから、今回、こういう環境基準ですから、それをどこに当てはめるかというのはこれからの話といえばそういうことだろうと思うんですけれどもね。その辺をちょっと整理しておいた方がいいと思います。

○吉田水環境部長 彼の説明が詳細すぎていけません。資料3の19ページ、専門委員会報告の結論を御覧いただくと、4つなんですね、淡水域で4つなんですね。イワナ・サケマス域が通常の場合にはA、それからコイ・フナ域がBとする。ただし、スポーニングが行われる可能性があるセンシティブな水域については、イワナ・サケマス域についてはA-Sと。それから、コイ・フナ特別海域についてはB-Sという、いわばカテゴリーの数でいうと類型の数は4つ淡水域に設定することになります。海域については、一般海域と特別海域の二つに分けて指定する、類型当てはめするということになります。

○須藤委員 今と関連してよろしいですか。

○村岡委員長 はい、どうぞ。

○須藤委員 今、多分、土屋先生がおっしゃっているのは、DとかEという普通の生活環境項目は悪い方ですよね、BODが8と10だったですかね。そういうようなところにもこの水生生物のAとかBとかというのを類型指定するつもりなんですかということですよね。

○土屋委員 そうです、そうです。

○須藤委員 そういう意味なんです、土屋先生おっしゃっているのは。
 それで、私も先程の平瀬委員との御質問とも関係するんですが。現状、すごく汚れている生物もいないようなところに亜鉛の基準をかけるんですかという多分御質問だと思うんですよね。私は専門委員長の立場というのはまだあるのかどうかわかりませんが、まあ、生物がいないところにこの亜鉛の基準をかけるのは不適切だというふうには思っております。ただ、これから水が回復されて、あるいは自然が改変されてきて改善されてきたらその時点でかけるとか、いろいろやり方はあると思うんですが。多分、両先生のおっしゃっているのはそういう意味だと思うんですね。現状は悪いところにまでこの亜鉛の、今のいう生活環境項目で使う類型当てはめもするんですかと。私としては、今、生物がいないところにその基準をかけるというのは、やはり不適切で、自然が、要するに実態が改善されてきた上で亜鉛というのはその時にかける方がいいのかなとは思っております。
 これは、ただ、専門委員長という立場ではございません。

○吉田水環境部長 専門委員会報告の12ページに、(4)の類型当てはめという項がございまして、その後に類型当てはめに当たっての考え方。さらにその中に当てはめが必要な水域、当てはめを行う水域区分等が書いてございまして、そこに大体基本的な考え方としてはあると。ですから、それをさらに、もちろんこの小委員会での議論の一つの重要な課題は類型当てはめの考え方でございますので、それをさらにブレークダウンしていただいて成熟させていただければありがたいと思っております。

○村岡委員長 はい、ありがとうございます。
 それでは、ほかの御意見も聞いてみたいと思いますが。それでは、池田委員。

○池田委員 先程から平瀬委員がおっしゃっているように、この基準値というのは亜鉛だけを取り出して実験室で決定した値だと思うんですね。それは非常にある面では科学的でありますし、基準値を決める上で妥当だと思うんです。しかし、実際の水域ってどうなっているかという実態のデータがあった方が今後の議論しやすいだろうと思うんですね。果たして0.03mg/lというのが妥当な値なのか。あるいは、かなりの部分これが守られているような値なのかということ、我々データが無いからわからないわけですね。そういうデータがあった方が類型当てはめとかそういうものにも役に立つんじゃないかと思うんですが。もしそういうのがございましたら、お願いしたいと思います。
 もちろん、それにほかのファクターが入って正確ではないということがあろうかと思いますが、やはり生態系というのは非常に複雑なシステムですし、実態がどうなっているかというのを知るのは重要なことだと私は認識しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○村岡委員長 はい。池田委員の御認識はそのとおりだと思いますけれども、それに関しましても十分専門委員会で議論されてきまして、その報告そのものが水環境部会で説明されております。それを納得したという形では皆さんもそれを御理解いただいているというふうに考えておりますけれども。
 おっしゃるように、そのデータが十分でないとか、知見が少ないというふうなこともちろんありますが、そういったことを含めて専門委員会の結論としてとりあえずはお受けとめいただけたらと思います。
 もちろん、これから新たな知見がありましたら、どんどん関連資料も準備していただくようにお願いするつもりでございます。
 それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 関連して申し上げたいと思います。今、委員長がおっしゃっいましたように、この部会での一応の結論は、基準値導出においてフィールドで検証を必須とすることは定量可能性から見て現実的とは考えられないというふうに書いてあるわけです。ちょっと言葉尻をとらえるようですが、検証必須とするという厳密な意味でこれを使うと、それはかなり難しいなと。自然界は複雑すぎてそんなことはできないと、こういうことになります。しかし、環境基準の目標値をもとに現実の規制なり類型当てはめなり、環境管理手法の議論をこれからしていく上で、やはりある程度のフィールド調査というのはどうしても必要じゃないかと。それがないと、第一に、人々の納得が得られないと。日本は公害を克服してきたときには、みんな四日市の問題でも水俣の問題でもそうですし、自動車の排ガスでもすべてそうだったんですが、危機感を持って、ある程度説得的なデータのもとでこの目標に向かって進まなければいけないなというのがコンセンサスとしてあって、その結果、世界に冠たる公害克服の実績を上げてきたと思うんですね。
 今回の場合は、ビーカーだけと言ったら大変失礼でありますが、ビーカーテストの結果でいろいろなものを判断していくというのは、ある意味では非常に危険であります。現に北海道では亜鉛の値が非常に高いのに魚がいっぱいいるところがあったり、それから東北の調査でも亜鉛の濃度と魚の生息数と必ずしも相関しないというような結論も出てるようなところもあるわけですから。勿論厳密な意味でのフィールドでの検証というと問題が起こるかもしれませんけれども、一体どういう、例えば今の排水基準の亜鉛を出している場所で魚が本当に死に絶えているという顕在的な事例があるのかどうなのか。あるいは、魚が増えているのか減っているのか、それが亜鉛とどういう関係にあるのか。あるいは水の硬度といったほかの要因が原因してそうなのかというようなサーベイは、私はやろうと思ったらできると思うんですね。これは、宮城県だって調査をされましたし、いろいろなところで調査をされている例もあるわけですから。それをただ現実的でないからもうやる必要はないというふうに考えちゃうことが、やはり非常に問題だという気がしています。
 我々産業界でもビーカーテストの結果でプラントをつくるなんていうことはあり得ないわけです。いろいろな実証プラントをつくり、パイロットプラントをつくり、データを集めて現実のものにしていくわけです。やはり国民のコンセンサス、あるいは対策を講じる人のコンセンサスを得るという意味で、ぜひこれはフィールドサーベイの可能性について、この場で御検討いただきたいと、これは強く御要望申し上げたいと思います。

○村岡委員長 わかりました。目標値としての環境基準は決まったけれども、それを当てはめるとか、あるいは規制する排水基準を決めるとかいうことに向かって、今の状態でよろしいかどうか、もう少し国民の納得いくようなデータがあってしかるべきじゃないか、そういう御意見で。これは一つの御意見だと思います。

○鈴木委員 ちょっと追加していいですか、一言だけ。
 もしフィールドサーベイができないと、政策効果の判断もできないということになりますから、これは自己矛盾に陥るのではないかと思います。ちょっと失礼な言い方ですけれども、そういうことも十分お考え合わせいただきたいと思います。

○村岡委員長 只今の御意見で何か関連する御意見ありますか。

○満岡委員 先程手を上げたのは、全く同じことを私も言おうと思ったからということだけであります。

○村岡委員長 そうですか。では、もうお聞きしないでよろしいですか。

○満岡委員 はい。同じ意見です。

○村岡委員長 では、松尾委員、どうぞ。

○福井委員 私、ちょっともう一回。

○村岡委員長 はい。

○福井委員 基準を決める段階にというお話がありましたが、私自身、前の部会でもちょっとお話ししましたが、ここで一番最初に自然界のものも相当ある。それから、人的排出の75%は下水道であると、こういってるわけですね。
 下水道の処理は、現行の処理ではこの亜鉛を、この基準の決め方によってもちろん違うんですが、今、5ppmという基準があるんですが、これは十分大丈夫なんです。ところが、環境基準から通常の10倍という過去の、その10倍が規制値ですと、今の下水の処理法じゃだめなんです。全部がだめとはいいません。だめな場所が相当ある。その場所は、もっと新たな別の処理をしなきゃいけない。そうしますと、別の処理にかかる費用というのがすごく膨大なものになりまして、当然使用料にはね返ってくる。使用料というのは条例で決めるわけですから、住民の説得は当然いるわけで、その辺の決め方について、どのように決めるかというのはこれからいろいろあるかと思います。例えば全部が一律じゃないかもしれないし、あるいは暫定的にできるまで待ちましょうとか、あるいはもっとしばらく緩くしましょう、いろいろあるかもしれませんが、その辺についても決める段階、これからの話かと思いますが、十分に御検討をよろしくお願いしたいと思います。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 松尾委員、何かございますか。

○松尾委員 私は余り部会の方には出る機会がなかったこともあって、ちょっとだぶる部分があるかもしれませんが。ある種哲学の問題を理解、共通に認識する必要もあるんじゃないかと思うんですね。今、鈴木委員の言われた部分もある意味で非常に重要なきっかけだと思うんですけれども。恐らく日本の公害対策の歴史の中で、企業等も協力されて、規制を決めるとそれを企業は一生懸命守ろうとしてきたということで、世界的に見てもこういう経験というのはなかなかうまくできてなかったと思うんですけれども、日本がある種の模範を示してやってきた。
 一定のレベルに達するという段階が来たときに、今、じゃあ、次の目標をどう我々が設定して、それに対して国もそうだし、地方もそうだし、企業の努力がどういうふうにあるべきかという、そういう問題なんだと思うんですね。
 それで一番引っかかっているのは、なぜ健康項目と生活環境項目、その二つしかないという、今の日本の環境基準の考え方に私一番疑問を持っているんです。しかし、それを現行でいけばその生活環境でやらざるを得ないということで生活環境でやる。でやるもんだから、人間にとって必要な魚が生息しているかいないかとか、非常に特定された形でしかこの問題を設定できないところに私は第一の不幸が実はあると思います。
 もう少し直接的に水生生物とか生態系とか、環境基本計画ではそういうことを謳ってるわけですよね。共生なんていってね、非常に重要なキーワードとして、環境との共生、自然との共生というのも謳いながら、しかし、いざ規制となったらば、あるいは基準を決めるんだったら人間生活と密接に関係してないとできないと、この構造自体、私は一番もう矛盾があると思ってますけれども。それはちょっとおきますけれども。
 そういう中で、じゃあ、今、この新しいレベルまできたときに、どういう種類の水質問題についての新しい展望を持つかというのが、今、問われていることであって。ちょっと言葉尻をとらえるようですけれども、何か被害が明らかになってきてからじゃないと企業側は、産業界は対策をとろうとしないのかというのが、私の基本的な疑問ですね。
 ですから、今までの世の中のあれからいえば、少し予防的にやろうじゃないかということに対して、なぜ、じゃあ、国民の理解が得られないのか、あるいは産業界の理解が得られないかというのが私の最も基本的な疑問、素朴な疑問でね。もう少し先見的に、ある種のもしも問題がありそうなのであるならば、それに対して当然国家的な事業として対応すべきだというふうに思うんですね。
 あるいは、それに対して社会的にどういうふうにバックアップするのか、産業界が困るのであればある種の技術的な開発とか、それを補助するような制度とか、そういうことをやってまででもやはりある種の自然環境を日本は守っていくんだという政策的な目標を提示して、それは世界中に対して日本は環境項目の中にそういうものを加えてやるんだ、そういうことをちゃんとアピールすることも私は非常に重要なテーマだと思うんですね。
 その辺の何か共通の認識がないと、何か自分たちだけ規制されるんじゃないかと、こういうことになるし、ただ厳しくすればいいじゃないかという、それもまたおかしいんですけれどもね。
 それで、実態を見ようと、確かにそうなんだけれども、今、もう三面張りになっちゃってるところに生物がいるかというと、これはいるんでしょうけれども、そこで生息されているとは思えませんよね。しかし、一方で三面張りは批判があって、あるいは国交省の方でもなるべく自然型にしようと、生物が住めるようにしようとしているわけですよね。そうすると、じゃあ、今は三面張りだから生物いないから適用しないというと、やはりそこでもし戻ってきてきれいにしたものに対して、じゃあ、どうするか。後追い的に規制すればいいのかというと、そうじゃないんだと思うんですよ。
 その辺の、ですから、今、私結論は言ってませんが、そういうレベルのある種のコンセンサスをどこかで得ていかないとこの問題はなかなか決着しないんじゃないか。
 それから、福井先生の言われた下水道の問題ですが、これは発生源対策で、主要な我々が日常的に出しているものが、もしもこの0.3mg/lを満足できないとしたら、合併浄化槽の問題から何から全部関わってくるんであって、その特定の下水道の問題じゃなくなるわけですね。そうなったときに、じゃあ、どこまでできるのか。我々毎日食べてるものの中から出てくるのは当然あると思うし、それは亜鉛ばかりではなくいろいろな物質がありうるわけですからね。もうそういう意味では基準を忘れた部分があるのかもしれない。そういう意味では、もっと日本全国的に精査すべきものが多いと思います。
 もしも下水道であれば、特定の発生源が亜鉛を排出するものであれば、そこで対策をとってもらえば、何も下水道側がやらなくてもいい。これは今の、いわゆる除害施設の考え方ですからね。ですから、そういうものでやっていけばいいんであって、そこにも補助するならしてやればいいんですけれども。
 何かある種の対立的な議論を私は何とか越えて、新しい水環境がここまでいろいろな意味でよくなってきて、それにもうあと一歩どうするのか。そのときの新しい項目として水生生物の保全の問題を考える。そのレベルは、じゃあ、どこがいいのか。一応基準は決まってるわけですからね。それはどんな実験だろうが何だろうが、とりあえずこれが適切だろうと専門委員会の結論が出ているんだから、じゃあ、それを具体的にどうやったらいいのか、それに対する補助の制度はどうしたらいいのか。
 何か私はそういう格好でもうちょっとある種の合意点を得る方向で行くべきで、もう一遍実態調査しろ、何とかしろと、これ戻ると、何かせっかくある種の新しいステップまで来ている日本の全体の水問題に対する今までの施策、あるいは産業界の努力自体が何かゼロに戻っちゃうような部分があるというふうに思いまして、ちょっと申し上げたいと思いました。

○村岡委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、関連して。はい。

○須藤委員 松尾先生の、特に有用な生物だけを守るかどうかというような御発言の部分ですね。これは、私、この仕事を最初からやらせていただいて、もう5年目に実はいろいろ検討会レベルでいうとなるんですが。当初から水産ではなくて、生態系とか生物とかそれを守るべきにはどう、生物多様性を保持するにはどうすべきかと、こういう議論で始まっております。
 しかしながら、現の法体系の中ではそれは不可能であるということで。どうしても環境基本法の第16条が引っかかってしまいまして、行政的に進まないんです。その中で、生活環境項目の水産という項目でいければ何とかいけるということで、姑息な手段といえば姑息な手段なんです。
 実はこれについても私は非常に悩んでまして、この間、環境基本問題検討会というところで大臣初め幹部のおられるところで、ぜひ環境、生態系を守る基準にしてくれということを申し上げまして、そのときには何となく納得をしていただいたようなことがありますので、それは上では多分幹部の方が、まあ、そろそろ生態系という視点に立ってこういうものを理解してくれるんだろうと、こう思ってます。
 そもそもはそういう意味で始めたものでございまして、哲学としては松尾先生と同じです。
 よろしくお願いします。

○村岡委員長 大塚委員、どうぞ。

○大塚委員 松尾委員の御意見に基本的に賛成なんですけれども。結局、この問題というのは、従来、日本は公害を克服してきたと言われていますけれども、生物とか生態系については欧米に比べて遅れているということがかねて言われていて、それについて第一歩を踏み出すというところの産みの苦しみみたいなものが恐らくあるんだろうと思います。
 環境基準については、今までの考え方があるので、ある程度それに拘束されるところがあると思うんですけれども。一応それで決まったということを前提にして考えた場合に、今、いろいろな委員の方々からお話があったようなどこまでやるかとか、あるいは必ずしも余り出ていませんけれども、実は背景にあると思われる、対策をとろうと思っても極めて困難だというような問題が恐らくあると思います。そういうことに関しては、この5ページに出ている、例えば暫定排水基準というのが一つの方法ではないかと感じています。
 どこまでを目標にするかというのは、それはもう環境基準で決めたことですので、それが目標であるということは否定できないと思います。ただ、それが今までのように5年後ということだというわけにも必ずしもいかないとすれば、暫定排水基準というのは必ずしも5年後ということにはしてませんので、かなり長期間たって達成する目標だというふうにお考えいただいた上で、例えば暫定排水基準を決めるということはあり得ると思います。
 もう一つは、先程から出ている排水基準を決めるにしても、生物が住んでいないところまで決めるのかという議論は大変難しい問題だと思いますが、私はもしそういうことであれば、むしろ環境基準の方でDとかEのところについては環境基準の値を下げるとか緩和するとかいう方法の方が、従来の仕組みとの関係ではむしろ良かったと思っています。
 つまり、先程も御説明が事務局の方からあったように、排水基準については全国的に対応するというのが従来の、これは公害対策のときですけれども、我が国の経てきた輝かしい歴史でございまして、これを一部だけに適用するということは歴史にやや逆行する面があると思っています。
 私としては、排水基準は一律の方が本来は望ましい。もしある部分について、これは生物が住んでいないのですぐに水生生物について排水基準を立てるのは適当ではないということでしたら、それはむしろ環境基準の方をそこについては緩めるということの方が全体の考え方としては適切ではないかと考えております。
 以上です。

○村岡委員長 はい、どうもありがとうございました。
 では、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 すみません。松尾先生から、「何か被害が明らかにならないと産業界は対策を取らないのではないか」との趣旨のご発言がありましたが、誤解をいただいたようなので、申し上げますが。
 一つは、産業界は環境に対して最近ものすごく熱心です。いろいろな寄附や貢献もしてますし、それから何も工場排出の汚染だけではなくて、国民一般の生活環境を守るというようなことについても非常に熱心です。過去においても、問題が起こったから対応したというもの以外に、例えばカセイソーダの水銀法の改善とか、事前に先手先手を打ってやってきたことがいっぱいあります。
 私が申し上げているのは、対策をとるのが嫌だと申し上げているわけではなくて、やはり関係者がこの目標なら納得してこれでいきましょうとコンセンサスを得ることが大事だということです。要するに対策をしなきゃいけませんが、対策をするということは何らかの形で国民の負担を生じるわけですから、過剰な対策というか、行き過ぎをする必要もないわけです。したがって、合理的な基準でみんなで力を合わせてやりましょうと、こういう土壌を醸成することが非常に大事ではないでしょうかと申し上げている訳です。
 そういう意味で、フィールドサーベイ、いまさらという御意見もあるかもしれませんが、ある程度そういうもので補足しないと、なかなか産業界の中でこの基準をそのままというものを説得させられないなという気がするものですから、あえてフィールドサーベイの話を申し上げたわけです。

○村岡委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 私も松尾先生は私の発言を若干誤解されていると思うんです。私は、これからフィールドサーベイを開始して、データをとって、それから議論しようということではなくて、既に河川かと水域を管理しているところではそういうデータを取ってると思うんですよね。そういうものがせっかくあるのだから、それをもし入手可能であれば集めて、そうすればもう少し議論が合理的にできるんではないかという意味です。そういう意味で申し上げました。

○松尾委員 私も調査が必要ないと言ってるわけじゃなくてね、ある種のポジションとしてどういう立場をとるかというところでね、多分議論はそんなに変わってないと私は思ってますけれども。一歩踏み出すつもりなるか、それとも何かそういうことに関してはもうちょっと待とうと思うのかという、その辺のところだけですけれどもね。もちろん、調査したらいいし、今まであるデータを大事にするというのは確かでね。これだけデータを持っている国というのはそうないわけですから、やはりそれを過去の、私はせっかくモニタリングやった成果が環境白書の中に1行、達成率は何%という、あれだけでもって評価されているのは非常にもったいないと思ってるんです。あれをもっとそういう意味で個別に当たってやられて、そこに生物がどういうのがいるのかという、そういう意味でもマップ一応つくってみたら、それは非常にいいと思いますね。そういうことをしないでいいと言ってることでは全くありません。

○村岡委員長 藤井委員、どうぞ。

○藤井委員 私のこの水生生物の保全に係るこの議論が始まったときに、いよいよ人間だけではなくて、水生生物にも目が向きはじめたということで、琵琶湖の問題を考える中で私たちがやってきたこととぜひ重なって欲しいと思っていました。
 というのは、私たちの琵琶湖をめぐる河川の状況を見ていく中で、先程来、平瀬委員からどんなイメージを持ってというお話なんかがありましたが、私たちはその琵琶湖をめぐる保全の中で、地域住民が徹底的に参加しないとこの保全というのはできないということで、各河川ごとに随分動いてきているつもりです。
 そのときに、水生生物でいえば何年来、昭和でいえば何年来の生物相がこの川の状況なのか。河川ごとに、例えば昭和30年ぐらいに置いてるわけですが、各地域に出向いてお年寄りに聞いたり両親に聞いたりいろいろしながら、この地域の河川の状況はどうだったか、どういう生物相だったかということを徹底的にヒアリングしているんですね。それからどういうふうに経てきて、今の生物相がどれだけ貧弱になっているか。
 じゃあ、戻すためにはどうするかというときに、例えばホタルでも、三面コンクリート張りの一面を外しただけで3年後ぐらいには随分出てくるということなど含めて、今ある状態のサーベイではなくて、どこの生物相に戻すということをこの議論の中でするのかという、そういうイメージもぜひ持った議論にしたいというふうに思います。
 そうでないと、せっかく人間だけではなくて、水生生物も対象になったよといいながら、地域で動いているさまざまなNGOの活動の中では大変難しい議論が国でなされているけれども、どうも私たちのフィールドの活動とは全く重ならないということになってしまってはいけないわけで。言ってみたら、市民が総動員してでも河川回復しなければいけないわけですから、そういうところにどう重ねるかという出口論も欲しいなと思いながら伺ってます。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 満岡委員、どうぞ。

○満岡委員 今の藤井委員のお話にも関連するのですが。一番最初に平瀬委員が保全とはどういう状態を言うんだろうかと改めて問うた訳ですが、このイメージが私もまだ持ちきれてないんです。どういう状態にするのが保全なんだろうかと。
 そういう意味で部会の議論の時には実際のフィールドデータをちゃんと取って、それも考えに入れてゆくべきではないかという論議もあったわけですね。ただ確かにフィールドデータを取ったにしても色々なデータとなる問題もあるので、環境基準はやはり科学的な、要するに実験的レベルの毒性のデータで決めましょうと言う事で、政策目標として決まったわけですね。
 これからこの小委員会で論議して行くにあたりまして、環境基準を決めるためのフィールド調査ではなくて、これから政策運用して行く、施策を取って行くと言う為のフィールド調査は、藤井委員がおっしゃった意味でも、やはり必要なのではないかと強く思うんです。
 部会の報告の中にも、記としまして、下の方に、水生生物の生息状況を含むとありますので、これからは、いろいろな施策を実施する中の一つの手立てとして、実態がどうなっているのか把握し、かつ、それが広く、より深い科学的知識を得るための補強策にもなるものと考えます。また費用をかけて施策を実施していった際の、その効果がどうあったのかと言う事をきちんと検証して行くためにも、フィールド調査を続けることは必要であり、そこから保全とは何なんだろうかと言う答えも出てくるのではないかなと思ってます。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。眞柄委員、どうぞ。

○眞柄委員 いろいろ議論はあることは承知しています。水生生物の環境基準を決めるときに、いわゆる人の健康の基準を考えるときに、疫学のデータがないときには動物の実験データを使うというのが国際的なルールなわけですね。この水生生物のときも、その国際的なルールからいえば、疫学、つまりフィールドのデータがないときには動物実験のデータを使わざるを得ないというのが国際的なルールなわけですから。それはそういう意味ではその基準というのは妥当だろうとは思います。
 しかし、先程鈴木委員も平瀬委員もおっしゃっておられたように、疫学調査、つまりフィールド調査を行うことによって、新たな知見が出てきたときには環境基準を変えればいいんです。それが今まで余りされてこなかったのが私は問題あると思うんですね。
 ですから、新しい科学的な知見が出てきたら、それに応じて随時環境基準を見直すという、そういう展開が図られるようにならなきゃならないというふうに思ってます。
 現に、水道法の水質基準は、もう常時その基準値を検討するための組織をつくって、逐次改正方式と称しているんですが、そういうふうにまで踏み込んでます。ですから、環境基準も新たな動物実験のデータでもよし、あるいは疫学調査、あるいは今度規制がかかったとして30μg/lになったら良くなったという、いうならばフォローアップですよね。そのデータから見れば、じゃあ、30μg/lで妥当だ、50μg/lでも大丈夫だったというデータがあれば、50μg/lに変えればいいわけですよ。ですから、そのための努力を誰がするか。それは環境省がするのか、国がするのか、あるいは僕は産業界がされても結構だと思います。
 現に、WHOでほう素の基準を決めるときに、国際的な石鹸洗剤工業界がGLPでやってもらったデータを提出してほう素の基準を変えたことがあります。あるいは、銅については、国際的な銅の協会がGLPで銅の動物実験をしてもらって、そのレポートをもってクライテリアを変えてくださいというふうな行動もとっておられます。
 ですから、必ずしも国がデータをとる必要もないし、あるいは民間がやっちゃいけないということでもないと思うので、そういう場をこれからつくっていくということが環境基準をどうするかということにもなるし。あるいは、類型指定を当てはめても何年か後の結果を見て類型から外すというようなことをもっと機動的に行えるように少し制度を考えればいいんじゃないだろうかと。そういう意味でこの検討会があるんだろうというふうに私は理解しています。

○村岡委員長 ありがとうございます。
 いろいろと貴重な御意見をいただいておりますが、これで出尽くしたというふうには思っておりませんけれども、いかがでしょうか。
 今日は話が分散するかなと私自身は思っていたんですが、お聞きしていてそんなに皆さん各方向を向いてしゃべっておられるというわけではないというふうな認識に立つことができました。ただ、問題はいっぱいあるわけで。
 一つは、現行の制度である健康項目、それから生活項目、こういった二つの現行の制度にのっとってこの基準を一応とりあえず決めましたと。決める過程でも、先程来問題、御意見がありましたように、十分なデータがないけれども、一応それは科学的知見のもとで決められた新しいやり方であるということに基づいて一応決まった。そこまでの御認識は皆さんお持ちのようでございます。ただ、それをどういうふうに運用していくか、かつ排水基準等に反映するということになれば、それをどうするか。いやいや、そうじゃなくて、もう少しそこに持っていくまでに別の考え方をここで整理しておく必要があるんじゃないかということについてはいろいろ御意見出たと思います。
 すぐに決められなければ暫定基準という考え方もあるし、環境基準そのものを見直すというふうなこともあるというふうなお話だったし。それから、もう少し今回新たな施策目標である水生生物の保全ということに関わっては、やはりフィールドデータがもう少し住民に理解され、かつその地域の環境に即したデータであって、そこでの水生生物の保全あるいは生態系の保全というものがまとめられるような方向でデータの収集というものもあるべきだというふうなお話もありました。
 そういうことで、現行の制度に縛られておるということに関連しましては、ある面ではちょっと対立的な意見が出たようでございますけれども、もはやそういったいつまでも対立して、これでなきゃいかん、こっちでやるべきだということじゃなくて、それを乗り越えた新しい施策というものを練っていかないといけないというふうなことでは、総体的に御理解いただけたと思います。
 ただ、具体的にそれをどういうふうにもっていくかということにつきましては、多分今までの御意見のまとめだけではまだ議論し足りないような項目があるように感じます。
 つきましては、もうしばらく御意見いただきたいと思いますが、あるでしょうか。まだ時間が不思議にもあと10分残っておりまして。
 それでは、池田委員、どうぞ。

○池田委員 細かい話で恐縮なんですが。冷水域といいますか、低温域と、比較的高温域という分け方にしてるんですが、これは大体どれぐらいのところを目安に高温域とか低温域というのをお考えになったんでしょうか。大体どれぐらいの温度。

○須藤委員 15度。

○池田委員 15度ですか。

○須藤委員 はい。最高が、冷水域ですと15度。

○池田委員 それは年間の平均値。

○須藤委員 はい。そうですね。すみません、間違えるといけませんので、事務局に以前に多分その辺の資料をお渡ししていると思いますので。申しわけございません。

○池田委員 そうですか。わかりました。

○村岡委員長 別の御意見何かございますか。

○須藤委員 私は先程のお答えをしたつもりではなかったんですが、有用な生物を守るという意味でのこれはあくまでも基準だということで申し上げてきたわけですが。実態としては、この濃度であればほかのフェノールとかほかのホルムアルデヒドも含めて、一応ここで目標値を設けたものについては、いずれも、大ざっぱに言えば生態系というか、ほかに含む、ほかにいる人間で有用でないような生物にもまあまあこの濃度であれば適用できるかなと、こういうふうには思っております。その水産というだけに限らずですね、それはできると思っておりますが。ただ、全部調べておりませんので、一応今回はこういう、法的にはこうである、こういうことでございます。
 それから、2番目の実態調査の部分については、類型当てはめをする場合にはこれ当然地方自治体がこの水域をどうするかということを決めるわけですが、そのときには以前から取っているデータを見るなり、また不十分な場合は自分で調査をするなり、そういうことをやりますので、実態調査は類型当てはめのときに必ずなされると私は信じております。
 そういう意味では、先程からいろいろ実態調査の内容でここは何、ここは何というようなことを機械的にやるとは思えませんので、実態調査は必ず私はそれぞれの場で地方自治体でなされると、こういうふうに確信しております。

○村岡委員長 ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見ございますか。あるいは、今日一回で終わということにはなっておりませんので、次回こういった点について。一つは、今まで議論いただきましたものを事務局でちょっと整理していただきます。そして、今日の議論から論点を絞っていただいて、それを継続してまた次回に論議することになりますが。それに加えて、こういう問題を議論していただきたいというふうな御意見がありましたら、お伺いしたいと思いますが。
 はい、どうぞ。

○平瀬委員 すみません、次回のために。日本の中での、先程藤井委員がおっしゃった、僕はあるべき姿をどこにイメージするのかというためのデータが欲しいわけですけれども。海外もそれなりにいろいろな亜鉛の問題についておやりになっているんで、我々は独自でそれも調査を行って確認をしておるんですけれども、それは我々のデータですから不十分だろうと思います。そういう各国が水生生物に対する施策として、亜鉛というのを限定をしてどういうふうにやっているかというのも一つの参考データとして提出いただければと思います。
 そういう意味で、決して誤解なさらないようにお願いしたいのですが、産業界だけが何か、今、やり玉に上がっていますが、そうじゃないのです。例えばいろいろなことを考えると、我々、河川から工業用水を使わせていただいてるわけですが、既にそれがここでおっしゃっている基準を越えてることもあり得るわけですから、我々はそういう場合も含めてどうするべきなのかということをやはり真剣に心配をした上で、あるべき姿に向かってステップバイステップで進んでいけたら、そういうコンセンサスが得られるようなターゲットにこの小委員会での議論が向かえば、必ず前進できると思いますので、議論のベースとなる知見を広げるためにも、日本のデータだけじゃなくて、ほかの国のデータもいただければありがたいなと思います。

○村岡委員長 はい、お聞きしておきます。
 ほかに御議論がなければ、この議題はこれで終わりにしたいと思いますが。
 その他ということで、何か事務局、ございますでしょうか。

○熊谷補佐 特にはございませんけれども、今、幾つか論点いただきましたし、資料の要求もいただきましたので、村岡委員長から言っていただいたように、今日の議論、私どもで少し整理をさせていただいて資料準備をさせていただければと思います。
 資料の準備、論点整理等ございますので、その進捗状況を踏まえて、またスケジュールの御相談を各委員にお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○村岡委員長 それでは、次回の日程につきましては、今後調整していただくということでございますので、皆様よろしくお願いいたします。
 それでは、この辺で本日の議事を終了したいと思います。貴重な御意見たくさんいただきまして、どうもありがとうございました。

午前11時57分閉会