第6回中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会議事録

日時

平成24年8月10日 


議事録

午後4時00分 開会

○北村課長 それでは、皆様おそろいになりましたので、第6回中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会を開会いたします。
 委員の皆様にはご多忙中にもかかわらずご参集賜り、誠にありがとうございます。
 本日は委員総数11名中10名のご出席が予定されており、ただいま10名のご出席をいただいておりますので、専門委員会開催の定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
 それでは、議事に先立ちまして、環境省の奥主水環境担当審議官よりご挨拶申し上げます。

○奥主水環境担当審議官 ただいまご紹介にあずかりました水環境担当審議官の奥主でございます。水生生物保全環境基準専門委員会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 まず、本日は委員の皆様方にはご多忙中にもかかわらずご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 水生生物保全に係る環境基準につきましては、昨年度、ノニルフェノールについてご審議いただきまして、環境基準に追加するとの報告を取りまとめていただきました。それを踏まえまして、3月7日の中央環境審議会水質環境部会での審議を経て第1次答申をいただいたところでございます。現在、環境省におきましては、亜鉛に続く2つ目の水生生物保全に係る環境基準といたしまして、告示の準備を進めているというところでございます。
 引き続きまして、本年度でございますけれども、界面活性剤でありますLASなどにつきまして、毒性情報が整理できましたので、それらの物質について環境基準項目等への追加につきましてご審議をいただきたいと考えているところでございます。
 委員の皆様方につきましては、お忙しいところではございますけれども、専門的な見地から幅広いご意見をいただき、よろしくご審議いただきますようお願いいたします。
 簡単ではございますが、私からのご挨拶とさせていただきます。

○北村課長 本日は、カメラ撮りにつきましては1社が写真を撮るということで予定しております。
 それでは、前回から環境省側のメンバーがかわっておりますので、改めてご紹介させていただきます。
 ただいまご挨拶申し上げました奥主水環境担当審議官でございます。

○奥主水環境担当審議官 よろしくお願いいたします。本日は、所用がありまして中途で退出させていただきますけれども、よろしくお願いいたします。

○北村課長 それから、私は水環境課長の北村でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の配付資料について確認させていただきます。議事次第にございます資料及び参考資料をお配りしております。参考資料3、4につきましては委員限りの資料で、資料番号はつけておりませんが、平成15年答申と平成24年答申でございまして、冊子でつけております。本冊子は部数に限りがあり、使い回しをさせていただいておりますので、お帰りの際には机上に置いて帰っていただきますようお願いいたします。
 また、机上資料として、こちらも委員限りでございますが、第5回専門委員会議事要旨を配らせていただいております。
 その他、資料で不足等ございましたら、随時事務局までお申しつけください。
 それでは、これ以降の進行を須藤委員長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○須藤委員長 かしこまりました。それでは、議事進行に入る前に一言だけご挨拶を申し上げて、続いて議事進行に移りたいと思います。
 本日は、ちょっと委員会としては遅目の時間で、先生方にお繰り合わせご出席いただきましたことをまずはお礼申し上げたいと思います。
 また、本日も大勢の皆さんから傍聴にいらっしゃっていただいたことにお礼を申し上げておきたいと思います。
 それでは、先ほど奥主審議官からお話がございましたように、ノニルフェノールが前回までで大体所定の手続の中に入っておりまして、当専門委員会としては、続いてやる新たな項目について審議するということになっておりますので、それについて中心に今日は議論をいただきたいと思います。
 それでは、議事に入ります前に、資料に第5回専門委員会の議事要旨が準備されております。この資料について、事務局からご説明を願います。それでは、どうぞ。

○山本課長補佐 机上資料といたしまして、この冊子の上に1枚紙で、第5回の議事要旨(案)をつけさせていただいております。昨年度、専門委員会でご検討いただいた専門委員会の報告案のパブリックコメントの実施結果とそれを踏まえた報告案につきまして、2月にメール等により持ち回り開催をさせていただいたところでございます。開催日として2月27日という日付が入ってございますが、これは委員の皆様から了承の旨のご連絡をいただいた最終日ということで、この日付を入れております。この議事要旨につきましてご了承いただきましたら、議事録と同じように、ホームページに掲載したいと考えてございます。
 簡単ではございますが、以上でございます。

○須藤委員長 どうもご説明、ありがとうございました。
 それでは、議事要旨について、何かご意見はございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
 それでは、委員の先生方のご了承をいただいたので、ホームページにて公開をしていただきたいと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
 それでは、続いて議題の1に早速入ります。今日は、項目別にいきますと、4つほどの化学物質についてご審議いただくわけでございますが、本日の議題の1、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)について、事務局よりご説明をお願いいたします。事務局、どうぞ。

○山本課長補佐 それでは、資料2をご用意いただければと思います。
 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩ということで、LASと通常呼んでございますが、ベンゼン環に直鎖のアルキル基が結合した直鎖アルキルベンゼンにスルホ基が結合したものでございます。アルキル基の炭素数については10~14ということで幅がございまして、アルキル基のベンゼン環への結合位置は定まっておりません。
 LASにつきましては、平成20年に環境省が公表した「化学物質の環境リスク評価」において「詳細な評価を行う候補」とされております。
 LASは野外環境中で検出される濃度と水生生物への毒性を勘案すると、水生生物への影響が懸念されることから、水質目標値の検討が必要と考えられたということでございます。
 2ページ目の一番下の段落に、主な用途ということで、約8割が家庭の洗濯用洗剤、2割弱がクリーニング、厨房や車両の洗浄などに使用される業務用洗浄剤ということでございます。
 3ページに水環境中での挙動ということで、好気的な条件下でLASのアルキル基末端のメチル基が酸化されてカルボキシル基を生じ、スルホフェニルカルボン酸となります。図2で言いますと、左上の図がLASで、アルキル基の一番右の端がCOOHのカルボキシル基にかわりますと、スルホフェニルカルボン酸になります。LASとして測定されるものは、この右側のカルボキシル基がつかないものの測定値ということになります。末端がカルボキシル基に変化した後、アルキル基の酸化短縮が生じて、だんだんアルキル基が短くなっていくといった分解過程を生じるものでございます。
 4ページ目に国内外における有害性評価関連情報ということで表をつけてございますが、諸外国でLASについて水質目標値等は設定されていない状況にございます。
 また、5ページ目に国内外における有害性評価等に関する情報ということで、表4に、化学物質と環境リスク評価、また化学物質の初期リスク評価書でのリスク評価に用いている値を掲載しております。化学物質と環境リスク評価では、LC50、370μg/Lというクルマエビの毒性値、それから化学物質の初期リスク評価書では、60日間のNOEC、110μg/Lというファットヘッドミノーの毒性値でリスク評価を行っているところでございます。
 また、HERAということで、欧州のほうで評価されている評価書では、15種類の単一生物を用いた慢性毒性試験の結果から統計的に導出した値、それからさまざまなメゾコズム試験の結果から導出された値といったものから、270μg/Lという値でリスク評価を行っています。
 6ページ目でございますが、4の水生生物に対する生態毒性ということで、LASについて水質目標値を導出する際の取扱いについて整理しております。商品として流通しているLASにつきましては、アルキル基の炭素数が10から14の同族体が主体となっています。我が国の水域から検出されるLASは、アルキル基部分の炭素数の異なるLASの混合物という状況で検出されており、炭素数ごとの濃度比が商用LASの成分比と大きくは異ならないという状況にございます。
 参考資料1、参考資料2について、簡単にご説明させていただきますと、参考資料1のほうは、我が国の公共用水域から検出されるアルキル基の炭素数の異なるLASの濃度比でございます。アルキル基が10のものが19%、11のものが36%、12のものが29%、13のものが7%ということで、商用LASのアルキル基の鎖長分布と比較すると、概ね同様な傾向で検出されております。
 また、公共用水域でのアルキル基の平均鎖長については、平成19年度から21年度に実施された要調査項目で検出された75データについて整理すると地点数としては、11.6の地点が最も多く、平均鎖長の50パーセンタイル値は11.3でした。
 参考資料2については、枠囲みのところにLASの同族体、スルホフェニル異性体の毒性について簡単に整理しております。アルキル基の炭素数の大きい同族体ほど水生生物に対する毒性は高いということで、C10に比べてC14のほうが毒性が強くなっております。したがいまして、分解していくと、毒性が下がっていくということになります。下のほうに表が載っておりますが、C14のほうが毒性値としては小さい数字になっています。
 また、LASにはスルホフェニル基の結合位置の違いによって異性体が存在しますが、スルホフェニル異性体間の毒性の相違は、同族体間による毒性の相違に比べて小さいという状況にございます。
 参考資料2の3ページにスルホフェニル異性体の毒性について図がございますが、右側がC12のLASについて、フェニル異性体の結合している位置が1の場合、3の場合、5の場合ということで、結合する位置によって毒性が異なっているということでございます。ただ、左側の図にございますように、アルキル基の長さが10、12、14と異なることによる差の方が、スルホフェニル異性体間の毒性の差よりも大きいという状況になっております。
 なお、5ページに商用LASに使用されているLASの同族体と異性体の割合について整理しておりますが、スルホフェニル異性体が2の位置についているもののモル比率はいずれも10%以下となっており、毒性が相対的に強いものは、量としては異性体の中で占める割合が相対的に小さいという状況になっております。
 4ページ目のスルホフェニルカルボン酸の毒性につきましては、別表1にございますように、C12のLASとC12のスルホフェニルカルボン酸を比べますと、毒性としては1けた以上弱くなっているという状況でございます。
 資料2にお戻りいただければと思いますが、6ページに参考資料1、参考資料2で今ご説明させていただいたことを書かせていただいております。
 これらを踏まえまして、水質目標値の導出に用いる毒性値は、リスク評価書等で扱われている商品として流通しているLASであって、下記の要件に合致するものを被験物質とした情報を収集して、水質目標値を導出しています。
 要件としては、市販されているLASの炭素数分布の範囲内であると考えられるものということで、披験物質の組成の具体的な数字が2行目に書いてある範囲のものであって、濃度分布が測定により確認されている毒性試験について、収集を行っています。
 7ページの表6に、水質目標値の導出に利用可能な毒性値を取りまとめております。淡水域、海域それぞれ魚介類、餌生物について、毒性試験を整理しているところでございます。
 それぞれの毒性試験の概要については、8ページ目と9ページ目に整理しております。細かいご説明は省略させていただきますが、短期毒性試験については半数致死濃度、胚から稚魚期のニジマスを用いた試験につきましては、成長と生残に対する無影響濃度といったものをエンドポイントとして評価が行われております。
 これらの毒性値から水質目標値の導出につきましては、昨年度ノニルフェノールでご検討いただいた方法と同じように行っております。
 まず、慢性毒性を評価する標準的な試験方法以外の試験方法については、短期毒性試験結果から慢性影響を生じない無影響濃度を算出するということで、推定係数10で除しまして無影響濃度を算出しております。
 それから、それぞれの毒性試験の無影響濃度について、ニジマスについては生物A、メダカについては生物Bという形で、それぞれ割り振っております。その際、魚介類については、ニジマス、メダカといった毒性試験に用いた動物とそれ以外の動物の差異を考慮するということで、種比を10ということで考慮して、魚介類の無影響濃度を算出しております。
 それから、12ページ目で、類型別の無影響導出値について、例えば生物Aでございますと、魚介類のニジマスの無影響導出値31μg/L、餌生物のミジンコ属の無影響導出値3,400μg/Lという値が導き出されますので、生物Aの類型の無影響導出値としては、低いほうの30μg/Lという値をとるということで整理しています。
 なお、水質目標値については、有効数字1けたということで、四捨五入をして丸めた形で導出しています。表10はそれぞれの類型ごとの水質目標値という形で整理したものです。
 参考資料として、16ページ目からは、今回収集したデータの一覧を載せており、採用しなかった理由等を一番右側の欄に整理しています。
 37ページ目から製造輸入量等のデータをつけています。37ページは製造輸入量、37ページの下のほうから環境中への排出量ということで、PRTRのデータをつけております。
 PRTRデータの具体的な数字は38ページ目にございますが、冒頭ご説明いたしましたように、LASについては、洗濯・住宅用の洗浄剤ということで家庭で主に多く使われており、届出外の排出量は家庭からの排出量が大宗を占めているという状況になっています。届出外の対象業種の欄はほとんどが下水道からの排出量となっています。そのほか、裾きり以下の工業用洗浄剤等についても、72トンほどこの届出外の対象業種の中に含まれています。
 簡単ではございますが、LASの水質目標値の導出について、以上でご説明を終わらせていただきます。

○須藤委員長 どうも、山本補佐、簡潔に要領よくご説明いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、LASについての物質の特性やら分解過程やら、それから水質目標値の算定に使った毒性値等、ご説明いただきました。委員の先生方、どうぞご質問があれば、あるいはご意見があればおっしゃってください。いかがでございましょうか。
 特にお気づきの点はございませんか。それでは、鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 下水道への排出量が多いということで、コメントとお聞きしたいことがあります。下水処理場では最近はこういうLASについてはあまり調査等をやっていないのですが、昔の調査を見ると、アルキル基の鎖長が長いほうが分解されて短いほうに移っているといった結果が得られています。ここでの環境中での濃度の比を見せていただきますと、元の商用LASの比率に比べてC10の短いほうが少し割合が増えていますが、これは検出されたすべての水域での統計結果だと思うんですが、基準値を超えるような濃度の高いところではどのような分布になるのでしょうか。というのは、どういったところが汚染源になっているのかということに興味がございます。

○須藤委員長 では、山本補佐、どうぞ。

○山本課長補佐 今回測定を行っているのは都道府県や国ですけれども、基本的に環境基準点や環境基準の補助点といったところではかっているところでございます。そういった中でLASが高い濃度で検出するというのは、下水道等がまだ整備されていなくて、洗濯なり生活排水として使われたものがそのまま中小河川に流れ出ていたものを測定したときが高いと考えられます。下水道で処理されるなど生物処理されれば、分解され、特に問題はない状況になるのですが、まだまだ日本全国の中では生物処理を経ないまま河川に生活排水として排出される場合があり、そういった場合、LASが高いといった状況にございます。ではこの高い地点で鎖長分布がどうなっているのかという資料は今ちょっと手元に持ち合わせてございませんので、次回、資料として整理させていただければと考えてございます。

○須藤委員長 よろしいでしょうか。これは、生活雑排水が未処理で放流されている場所が前からよく指摘されていたところなので、そういうところが多分高いんだろうと。その結果としては、そういう場所で環境基準点で分けてはかっているわけではありませんから、もしもわかれば、多少そういうところを整理しておいていただくのもいいかもしれませんね。それでよろしいですか。
 ほかの委員の先生方、どうでしょうか。では、大塚先生、どうでしょうか。

○大塚委員 4ページで、先ほど欧米では今のところ設定されていないという話なんですけれども、一応、水生生物の基準に関しては欧米のほうが先行していると思いますが、設定されていない理由は何なのかとか、我が国がもちろん違う状況にあれば全然構わないと思いますし、我が国が率先してやるのも構わないと思いますけれども、その辺の状況について教えていただければありがたいと思います。

○須藤委員長 ではどうぞ。

○山本課長補佐 LASにつきましては、粉末洗剤として家庭用の洗剤で広く使われてございまして、5ページ目にございますように、ヨーロッパではHERAなどがメゾコズムの試験や慢性毒性試験などを踏まえ、評価を行い、今のリスク評価を踏まえると、水質目標値を定める必要はないだろうと当局がご判断されているといったことかと思います。環境中で検出されている濃度が概ね数十μg/Lという濃度レベルにございますので、HERAで評価されている270μg/Lという値と比べると、環境中で特に問題はないといった評価をヨーロッパ等ではされていると認識しているところでございます。

○須藤委員長 今、山本補佐がおっしゃったように、私も二十数年前、岡田先生などとともに水環境学会でこのLASのリスク評価について勉強も一緒にしたわけですが、なぜ、特に先進諸外国がしなかったかというと、やはり水処理というか、下水処理がかなり普及していて、それが未処理で放流されるというのは、それも身近なところで未処理で放流されるというのは、恐らくその当時我が国の特有な現象で、それがまだ残っているということでこういうことで、その昔というか、そのころは大きな問題がなくて、それから洗剤の基本的な構造、例えばLASについてもリニアではなくて、昔はABSと呼んだ、要するに直鎖ではなくて側鎖のものがあって、それをいち早く外国のほうが先にソフト化といってLASに変えてしまった。こういうことがあるので、急いでリスク評価をやって基準をつくるということはなくて、今に至っていると。ただ、極めて強い関心を持っていることだけは、いろいろな研究の成果もそうですし、問い合わせもそうですし、結構それはあったのではないかと思います。
 ほかの委員の先生、いかがでしょうか。田尾委員、どうぞ。

○田尾委員 確認ですけれども、6ページのところで、今回の毒性値は市販品と同じ組成のものということで求められているということですけれども、表5のところでは、採用されていないものを見ると、デシルベンゼンとか、ドデシルベンゼンとか、単品の値もあると思うんですけれども、それをどのようにこの組成に合わせて計算されているのかをちょっと教えていただきたいんですけれども、単純に割合でやっただけなのか。

○山本課長補佐 今回、毒性評価の作業を進める中で、単品のものもあるだろうということで、平均鎖長が11~12程度のもの、今コメントがございましたドデシルベンゼンスルホン酸といったものを使ったものも、収集対象の物質としては入れてございます。

○田尾委員 例えば29ページの173番という番号ですけれども、これはドデシルベンゼンスルホン酸単品で

○ということで、採用されていると思うんですけれども。

○須藤委員長 それは採用したのではないのか。どうぞ。

○山本課長補佐 選定するときに、組成がはっきりわかっているものと、それから平均鎖長が11~12程度のものということで、単品のものは、特に中の組成を推定してとか、そのようなことでは行ってございません。

○田尾委員 計算ですけれども、単品、その場合は100%ですけれども、商品としては10%とかになりますね。その場合は、ただ割合を計算するというだけなんですか。要するに、商品というのは、ある混合物の割合ですけれども、この表6の値はどうやって求めたのかということなんですけれども。

○須藤委員長 ではどうぞ、白石先生から。

○白石委員 173番は単品ではなくて混合物です。10から13までの混合物で、それのピーク面積から鎖長を出しております。

○田尾委員 その組成は、大体市販のものとほぼ同じということですか。

○白石委員 そうです。市販のものと同じというか、試薬なんですが、JISの衣料用の標準品を使っています。

○田尾委員 では、単品から毒性を求めて、それを市販の商品の割合で計算したということはこの中にはないということですね。

○白石委員 そうではなくて、混合物でやっています。

○田尾委員 わかりました。

○須藤委員長 よろしいですか。
 ほかの委員の先生はよろしいでしょうか。
 それでは、とりあえず、これは幾つかの段階でご検討済みでございまして、今日は専門委員会としてご紹介をして、今幾つかご質問をいただきましたが、次の段階に移っていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 それでは続いて、今日はたくさんありますので、少し急がせていただきます。次は、4-t-オクチルフェノールについてご説明を願います。

○山本課長補佐 それでは、資料3でございます。
 4-t-オクチルフェノールの水生生物保全に関する水質目標値でございますが、オクチルフェノールは、オクチル基がフェノール環に結合した環式有機化合物でございます。このオクチルフェノールの中で、オクチル基の構造の違いから複数の異性体がございますが、今回検討対象の物質といたします4-t-オクチルフェノールについては、4-オクチルフェノールの中でも、我が国の淡水域の水質中や底質中で多く検出されているという物質でございます。平成15年に環境省が公表した化学物質の環境リスク評価においては、詳細な評価を行う候補となっております。
 2ページ目の下段に主な用途ということで、界面活性剤として用いられるオクチルフェノールエトキシレートの原料として使われているものでございます。
 3ページ目の水環境中での挙動でございますが、環境中で検出される4-t-オクチルフェノールは、4-t-オクチルフェノールエトキシレートとして排出されたものが分解過程を経て副生成したものが多いと推定されています。
 国内外における目標値の設定状況につきましては、4ページ目に表を載せております。英国では、淡水で0.1μg/L、それ以外の水域、例えば海水等で0.01μg/Lといった値が設定されています。
 5ページ目の表4にリスク評価書での予測無影響濃度等ということで、毒性値、それからリスク評価に用いている値を整理しています。
 6ページ目でございますが、水生生物に関する生態毒性につきまして、4-t-オクチルフェノールについて毒性情報の収集を行い、表5に淡水域・海域の魚介類・餌生物の毒性値を整理しております。それぞれの試験の概要については、基本的に先ほどのLASと同じように、それぞれ魚介類・餌生物について、短期毒性試験や慢性毒性試験を行っています。
 8ページ目に、それぞれの毒性値を踏まえ、短期毒性試験については推定係数の10で除して、慢性影響を生じない無影響濃度を導出いたしまして、9ページ目の表7におきまして、魚介類については種比の10を考慮して、魚介類、餌生物それぞれの無影響導出値を算出しております。
 10ページ目は類型別の無影響導出値ということで、類型ごとの魚介類・餌生物の無影響導出値を整理し、魚介類と餌生物を比較して低いほうの値を類型ごとの無影響導出値として整理しています。
 表9には、水質目標値の導出に使いました毒性試験の概要、それから目標値を整理しております。
 13ページ・14ページ目につきましては、今回、収集したデータの一覧をつけております。
 17ページ目からはその他の情報ということで、製造輸入量と、それから18ページ目に環境中への排出量ということで、p-オクチルフェノールとオクチルフェノールエトキシレートの値について整理しております。
 冒頭ご説明したように、このエトキシレートを製造するための原料としてオクチルフェノールが使われているということで、環境中への排出量としては、エトキシレートが多く排出されております。
 簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

○須藤委員長 どうもご説明、ありがとうございました。
 ただいまの資料5で、4-t-オクチルフェノールの物質特性や分解特性、それから最終的には毒性評価をやられて整理していただいたのがページ10ということになるわけでございまして、何か委員の先生方、ご質問なりご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、どうぞ田尾委員。

○田尾委員 例えば6ページの表5の毒性値の値ですけれども、データとしてはいわゆる1個しか出ていないというか、この環境省の出典があるだけで、ほかの同じような試験で、例えば海外でやられたものが同じような値になっているかどうかとか、そういうことは見ることはできないのでしょうか。

○須藤委員長 どうぞ。

○山本課長補佐 ほかのリスク評価書での値ということで、5ページの表4に書いてございますが、例えば、表4の魚類で60日間のNOECとして毒性値6μg/Lという値が出ているところでございます。それから6ページの表5でございますが、ニジマスのNOECとして7μg/Lということで、基本的にオーダーとしては同じようなレベルになるのではないかということで考えております。
 それから、表4の甲殻類で、LC50として47.9μg/Lということで載せてございますが、表5のほうで餌生物などについて、数百μg/Lというオーダーでございますので、今回の値が何か特別小さい値をベースに定めるといったものではないと考えてございます。英国等での淡水の水質目標値も0.1μg/Lという値でございますので、今回の目標値と比べたときに特別大きい、小さいというわけではなくて、近いオーダーのものと考えられるのではないかと考えてございます。

○須藤委員長 白石先生、特に何か今のご追加、今のご説明でよろしいですか。いいですか。先生、よろしいですか。
 ほかの先生はいかがでしょうか。
 水質目標値、では特になければ、まだ2つほど残っていますので、最後にまとめて、もしこういうご議論があれば、それでいただきますが、4-t-オクチルフェノールの水質目標値というものはこの原案どおりということで、次の段階に進めさせていただきたいと思います。
 それでは、次が資料4のアニリンと2,4-ジクロロフェノールについて、2つございますので、それぞれ合わせてご説明ください。

○山本課長補佐 資料4のアニリン、資料5の2,4-ジクロロフェノールでございますが、いずれの物質も、平成15年の「水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について」という答申において検討対象の物質となっていたものでございます。その際には、両物質とも、淡水の水質目標値は算出されていたところでございますが、海域の生物の毒性試験が十分なかったということから、アニリンについて、2段落目の下から3行目にございますように、海域での目標値が導出されていないことから、海生生物を用いた毒性試験を早急に実施し、毒性評価を行う必要性があると整理されております。
 3ページ目の下のほうに、水生生物保全に係る水質目標値ということで、淡水について設定されている目標値を記載しています。このような形で、海域については設定されずに淡水域だけ設定されたというものでございます。
 4ページ目に、アニリンに関しての国内外での水質目標値の設定状況を書かせていただいております。カナダでは淡水で2.2μg/L、ドイツでは淡水で0.8μg/Lという値が設定されています。
 なお、表3の下の注釈の*4でございますが、オオミジンコを用いた繁殖に対する14日間LOEC21.8μg/Lに安全係数0.1を考慮して算出ということで、ミジンコのLOEC自体は21.8ということで、我が国では20μg/Lという値をミジンコ類に関する毒性値17μg/Lから導出しており、カナダの2.2μg/Lという値と我が国の20μg/Lという値は、もとにしている毒性値としては概ね同じレベルのものを用いて評価を行っているというものでございます。
 5ページの表5に、リスク評価書での予測無影響濃度について整理しております。オオミジンコに関してNOEC4μg/Lという値がリスク評価書では用いられております。
 6ページ目でございますが、アニリンにつきましては、15年答申で海域の生物を実施しとされており、環境省では海産魚類のマダイの試験方法を開発し、その上で毒性試験を行っているところでございます。表6にそれぞれ試験を行った結果を整理しています。表6に淡水域としてオオミジンコのNOEC24.6μg/Lといったデータが新たに毒性情報として使えるものとして収集されたところでございますが、現行の水質目標値20μg/Lよりも毒性値が高いということから、このページ以降につきましては、特にそれについての記載は省略させていただいてございます。
 7ページ目は、試験の概要を整理しております。
 8ページ目は水質目標値の導出ということで、先ほど来ご説明させていただいてございますように、マダイ、シオダマリミジンコについては、短期毒性試験ということでございますので、推定係数10で除して、慢性影響を生じない無影響濃度を算出いたしまして、それから9ページ目で、魚介類については種比10を考慮するということで、魚介類と餌生物それぞれの無影響導出値を算出しています。
 それを踏まえまして、10ページ目に海域の無影響導出値ということで、生物Aについてはマダイの稚魚を用いた試験から導出した無影響導出値、生物特Aについてはマダイの仔魚を用いた毒性値から、類型ごとの無影響導出値を表9に整理しております。
 なお、通常、生物特Aに位置づけている仔魚等については、稚魚よりも毒性値が低いだろうということで、こういった特別域を設けて値を設定しているところでございますが、表9にございますように、今回の試験結果では、マダイの稚魚を用いた試験のほうが仔魚のものよりも無影響導出値が小さく算出されるといったことから、表10に、海域の生物Aについてはそのままの値で、生物特Aについては、海域の生物Aの無影響導出値を生物特Aの水質目標値として採用するということで整理をしております。
 それから、13ページ目からはその他の情報ということで、製造輸入量や環境中への排出量を整理しています。
 続きまして、資料5で2,4-ジクロロフェノールについてご説明いたします。
 2,4-ジクロロフェノールにつきましても、平成15年の答申の際、検討がなされ、目標値、それから10%値の超過が見られなかったということから、各種調査において検出された場合に環境の状況を判断する際のクライテリアといったことで整理がされたところでございます。2,4-ジクロロフェノールにつきましても、海生生物に関する毒性がその当時なかったということから、アニリン同様、毒性試験等を実施して、今般データがそろったということで専門委員会に諮るものでございます。
 ページをめくっていただきまして、3ページ目の上段の表2に、平成15年当時の淡水の目標値等を整理しています。
 なお、表2の類型のBということで、上から2つ目に目標値800μg/Lという値が設定されていますが、この一般域の目標値については、ミジンコ類の毒性試験をベースに毒性の評価が行われたものでございます。今回の毒性情報の収集に当たっては、類型Bに当たる毒性試験も含めて、知見の収集を行っているところでございます。
 3ページ目の下段につきましては、2,4-ジクロロフェノールに関して諸外国での水質目標値の設定状況を記載しており、英国、ドイツ、オランダ等で目標値が設定されております。
 5ページ目に、水生生物に対する生態毒性ということで、海域での水質目標値が策定されていなかったということから、表6にございますように、海域の水生生物での毒性試験を行って、整理しています。また、淡水域につきまして、生物Bについて信頼できる魚介類のデータが得られず、餌生物であるオオミジンコの慢性影響に対する毒性値から水質目標値が設定されているということから、表6にございますように、メダカについて環境省において毒性試験を実施して、淡水域の生物Bの水質目標値の導出に用いているところでございます。
 6ページ目にはそれぞれの試験の概要を整理しています。
 7ページ目には水質目標値ということで、今回のいずれの試験につきましても、短期毒性試験のデータでございますので、推定係数の10で除して慢性影響を生じない無影響濃度を求めて、8ページ目に魚介類、餌生物ごとの無影響導出値ということで、魚介類については種比を10考慮するということで、10で除しているところでございます。
 9ページ目に水質目標値の導出ということで、今回、淡水域につきましては、メダカの毒性試験から無影響導出値として30という値、海域については、生物Aについて20、それから生物特Aについて10という値が導出されているところでございます。表10には、それぞれの類型ごとの水質目標値を整理しています。なお、生物A、生物特A、生物特Bについては、新たに水質目標値の見直しを行うことが可能な毒性試験というものはなかったということで、平成15年の答申での水質目標値を整理させていただいているところでございます。
 12ページ目にはその他の情報ということで載せてございますが、この物質についてはPRTR法の第一種指定化学物質ではないということで、環境中への排出量、それから移動量等については、データとして得られていないという状況でございます。
 アニリンと2,4-ジクロロフェノールについて、簡単ではございますが、以上でご説明を終わらせていただきます。

○須藤委員長 どうも山本補佐、ご説明をありがとうございました。
 ただいま、アニリンの水質目標値、それから2,4-ジクロロフェノールの同じく水質目標値のご紹介をいただきました。
 特にアニリンは、当初にこれを始めたときの平成15年に、海域のデータを十分得られないということで、淡水のほうだけ決めてございまして、今回その海水のデータで補ったということ。それから、資料5のジクロロフェノールについては、同じく海もありましたが、淡水のBについて、データが、そのときに目標値を決めていなかったので、今回決めて、両方ともこれで一応形はすべて埋まったということで、新たなデータとして変更すべき点はないということのようでございますので、何かこの2つについて、どこからでも結構でございますので、ご質問なりご意見を承ります。
 先生方、いかがでございましょうか。小山先生、これはいいですか。それでは、福代先生、いいですか。
 それでは、特にほかの先生になければ、これは以前にも議論しましたし、それから先生方によっては毒性評価から検討会やらで同じ資料について議論していただいているので、もうあまり質問がないのかもしれませんし、先ほどあった部分もあるのですが、ほとんどないということで、一応これについても、それでは今回の水質目標値としてはこういうことで、次の段階に進めさせていただくということにさせていただきたいと思います。これで4つの化学物質について、今日はご議論をいただきました。
  それでは、次に各検討項目の検出状況について説明をお願いします。 

○山本課長補佐 それでは、資料6に、今回の4つの物質について、検討項目の検出状況について整理させていただいてございます。
 今回の4つの物質のうち、LASと4-t-オクチルフェノールについては、それなりに調査結果がそろっているということから、近年5カ年の平成19年度から平成23年度のデータについて整理しています。また、平成15年度の答申で検討されましたアニリンと2,4-ジクロロフェノールにつきましては、平成15年の答申の際、平成13年度までの値が整理され、その検出状況を踏まえて取扱いが整理されているので、今回はその答申以降のデータということで、答申に載っていない平成14年度以降の検出状況、それから水質目標値(案)の10%値の超過の状況について整理しています。
 なお、類型指定がされていない水域もあるということで、検出状況については、それぞれの検出地点を各類型に割り振るというのではなく、淡水域、海域ということで大きく2つに分けまして、それぞれの測定地点に対する割合として整理しているところでございます。
 それぞれの項目について、4ページ目から個別の物質を整理していますので、そちらの表のほうでご説明をさせていただきます。
 4ページ目にLASの淡水域での検出状況を整理しております。表の中で左側から、測定地点数に対する検出地点の数、検出範囲の最小値、最大値、検出下限値を整理しております。なお、環境基準にするか、要監視項目にするかということにつきましては、ページの右側部分の目標値の超過状況、10%値の超過状況ということで判断いたしますので、検出割合については参考までという数字と認識いただければと考えております。
 それぞれの目標値と書かれた後の括弧書きの中に、生物Aでございますと、「目標値(30)超過」と書いてございますが、目標値案の30μg/Lという値を超えるものが地点数として幾つあるのかということで、それぞれの類型ごとの目標値に対する超過状況を整理しています。
 LASにつきましては、一般域の生物Aと生物Bを比べますと、生物Bのほうが目標値としては高く、50μg/Lといった値になっております。その値に対して超過の地点数ということでございますが、生物Bの目標値超過地点数としては、5年間で32地点数となっています。なお、複数年にわたって同一地点で測定が行われている地点もございますので、この32の超過データにつきましては、測定地点数としては21地点となっております。延べで32地点ということでございます。
 検出地点数を生物Bについて見ますと、10、8、5、7、2ということで、低くなっているように一見見受けられますが、測定地点数自体、ご覧いただきますと、2007年、2008年、2009年につきましては、二百数十地点で測定が行われている一方、2010年、2011年につきましては、2010年が117地点、2011年が85地点ということで、測定地点自体が少なくなっております。超過地点数自体については見た目減ってございますが、超過の割合といたしましては2%から6%といった状況になっているところでございます。
 なお、この超過地点数の地点でございますが、8県で超過する地点数があったといった状況になっています。
 続きまして、4-t-オクチルフェノールの検出状況につきまして、6ページをご覧ください。4-t-オクチルフェノールにつきましては、毎年度300地点から500地点ほどの測定が行われております。昨年度ご審議いただいたノニルフェノールと4-t-オクチルフェノールについては、以前、環境ホルモンの物質に該当するのではないかということが懸念されたということから、地方自治体で測定が数多く行われております。
 この物質につきましては、生物A、生物Bといういわゆる一般域につきまして目標値を超過する地点はございませんでした。生物特Aの値に相当する目標値0.7μg/Lという値に対して、その値を超える地点が5年間で1地点あるという状況になってございます。
 続きまして、アニリンにつきまして、8ページに検出状況を整理してございます。アニリンにつきましては、生物Aから生物特Bまで、この4つとも同じ水質目標値ということで、平成15年の答申の際には、目標値を超過する地点、10%値を超過する地点、いずれもなかったということで、現在、要監視項目にも設定されておりません。
 このアニリンにつきましては、2005年度に目標値を超過する地点が1地点、それから10%値を超過する地点が2007年度1地点という形で表の上では整理されてございます。この超過した地点と10%値を超過した地点は、いずれも同じ地点でございます。
 2005年度には目標値を超過してございますが、この超過した地点につきましては、2005年、2006年、2007年、2008年、いずれも毎年度測定が行われ、2005年は目標値を超過してございますが、2006年度は10%値も下回る、2007年度は10%値を超過した、2008年度は10%値も超過していないということで、複数の地点で超えているということではなくて、同じ地点で測定が行われて、2005年度は目標値を超過したが、それ以外の3年間については、目標値を超過していないという状況にあるところでございます。
 それから、9ページ目に2,4-ジクロロフェノールの検出状況を整理してございます。こちらの物質も、平成15年の答申の際には、目標値、10%値の超過がいずれも見られなかったということで、要監視項目には設定されておりません。2,4-ジクロロフェノールにつきましては、2002年度以降のデータを整理してございますが、生物特Aの10%値の超過ということで、2002年度に1地点、それから2005年度に1地点あったという状況でございます。この2カ所については、いずれも違う地点ということで、10%値の超過が見られたということでございます。
 なお、最近は、2010年度、2011年度につきましては、測定地点数が39、それから42地点ということで、その前までに比べて測定数としては少ない状況にあるといった状況でございます。
 それぞれ4項目につきましての検出状況については以上でございます。

○須藤委員長 どうもご説明、ありがとうございました。資料6については、今ご説明いただきましたように、先ほどの水質目標値を算定した4項目についての公共用水域の検出状況についてご説明をいただきました。
 ご質問、ご意見があれば、どうぞお願いいたします。では、どうぞ田尾先生。

○田尾委員 測定点が年代においてかなり急激に減少しているようなんですけれども、この減少しているのは、ランダムに減っているのか。それとも、大体減らすというのは、濃度が出ないと、その点は測定しなくなっているんですけれども、その辺はどうなんですか。要するに、割合はあまり変わっていないんだけれども、実際の全体の環境状況としてはかなりよくなっているのかなという気もするんですけれども。

○須藤委員長 どうぞ。ただいまのご質問は、4物質ともですね。

○田尾委員 特にLASと、逆に今度は、ジクロロはこれだけ減らしたことによって、取り残している、測定できていないところがあるのではないかという気もしないでもないんですけれども。

○須藤委員長 では、山本課長補佐、どうぞ。

○山本課長補佐 国と都道府県のデータを合算しているところでございますが、国のほうで毎年度、例えばLASについては50地点ほどで測定をし、それ以外の測定地点が都道府県ということで測定しているところです。この2年間ほどちょっと測定地点数が落ちているということで、今日時点では、どういった都道府県がやめたのかといったところまではちょっと細かいデータがないものですから、県ごとで継続的にやられているところもございますが、一部の都道府県においては測定をやめられてといったところもございまして、地点として集計上少なくなってきているような状況になってきてございます。

○須藤委員長 この測定は、強制的に何県は幾つやりなさいとか、そういうのは言っていないんですね。任意ですね。

○山本課長補佐 はい。要監視項目にいたしますと、一応都道府県でモニタリングをしてくださいということで、国のほうからお願いして、毎年度国のほうで集計を行うものでございますので、それなりのデータ数はそろってくるのですが、そういったものに位置づけられないと、都道府県の独自調査結果ということで出典を書いてございますが、それぞれの県において必要だろうといったご判断をされたところで測定が行われているといった状況で、今ご指摘のあったように、それぞれの県のご事情等によって、継続的な測定を続けることがなかなか難しいというところも出てきているというのが正直なところでございます。

○田尾委員 測定をやめたところのデータの平均みたいなものを出していただくと、比べることができると思うんです。比較するというか、どういうものが測定をやめているのか、ランダムにやめているのか、それとも測定濃度が低くなったからやめているのか、そういう傾向がわかると思うんですが。

○山本課長補佐 ちょっとまたデータを十分見まして、どういった形で整理できるのか、検討したいと考えております。

○須藤委員長 大塚委員、どうぞ。いいですか、今の測定。

○大塚委員 今の点は、背景事情もちゃんと説明されたほうがいいのではないですか、どうして減っているかというのを。

○須藤委員長 お金がないからやめているんですよね。

○田尾委員 議論としては、要するに検出割合で議論するときに、分母がどういう割合で変わっているかどうかということがわからない状態で議論してもあまり意味がないかなということだけなんです。

○須藤委員長 では、谷田先生、どうぞ。

○谷田委員 幾つかあるんですけれども、一つは、LASの検出下限がすごく大きいですね。100μg/Lとか20とか、要するに目標値が30に対して最大値が大きい。ということは、このデータの中に、例えば検出下限が100とか、かなり高いものはこういう解析をするときには外してしまったほうがいいデータと考えたほうがいいのではないですか。検出下限を書いてありますね。

○山本課長補佐 表4、表5で一つの物質について表をつくったので、注が4ページのほうに入ってございませんでしたが、5ページ目の注にございますように、検出下限値未満のデータにつきましては、今回、不検出ということでデータとしては整理させていただいているところでございます。

○谷田委員 だから、それを不検出として扱ってしまうと、母数が……。外すのが正解ではないかな。不検出として扱ってしまうとまずいのではないですか。だから、検出下限値が、例えば10%値を使うのだったら、それを超えた検出下限値のものは、例えばもうデータとして扱わないとしないと、ちょっと統計的な処理としてはまずいような気がするんですが、どうでしょうか。
 もう一つ、これは非常に細かい話なんですが、「目標値(30)超過」、これは非常にわかりやすいんですが、「10%値超過(3)」は、「10%値(3)超過」にしたほうがわかりやすいと思うんですが、ほかも全部そうですね。細かいことで、すみません。

○山本課長補佐 次回整理をするときに修正させていただければと思います。

○谷田委員 もう一つ、ごめんなさい、ついでに、LASの目標値超過が、パーセントがかなり高く出ていますので、亜鉛とか過去の事例でどうでしたか。割と高いから、社会的な……。

○山本課長補佐 亜鉛につきましては、答申で整理をするときに、目標値の超過が約10%ぐらい、10%値の超過が50%ぐらいといったオーダーでございましたので、亜鉛はLAS以上に検出状況としては高い状況にあったといった状況でございます。

○須藤委員長 先生、今の質問の関連でいいんですが、前のものは、亜鉛はそうであって、LASはもうちょっと低いということですね。

○谷田委員 亜鉛と比べてどの程度か。亜鉛に近い検出状態という言い方もできるし。

○須藤委員長 そうですね。そういうこと。

○谷田委員 ただし、先ほど申し上げたように、検出下限値の大きなデータをどう入れるかでまた値は変わってきますし、ちょっと再検討は必要なのかもしれません。

○須藤委員長 これは森田先生にちょっと解説をいただきましょうか。

○森田委員 すごく頭が痛いところがあるんです、実は。LASのほうなんです。それで、毒性をウオッチしている観察からしますと、例えば亜鉛が30で、LASが30だと、多分亜鉛のほうが毒性は強いのに、LASはそれほど毒性は強くない印象があるんです。これは何というか、ちょっとつぶやきだと思ってほしいんですけれども、要するに感じとしては、毒性の感じからすると、そんな感じなんです。しかし、そのデータの取扱いは、通常のルーティーンに従って計算していくと、そのようになっている。そのことをどう考えるかというのはちょっと残ったんです。そのことは、ここに上げる委員会などの話も聞かせていただきながらずっと考えて続けてはいたのですが、今は、最後、ここの数値をある程度ベースにしながらエディトリアルにこれから進もうという段階に来ていますので、そういう意味では、この後、例えば水の環境部会でご議論いただくような、そこに上がっていく手前の一種の最後の機会なのかもしれない。ひょっとするとそうかもしれないので、そこのところは相当自信を持ってやっていきたいなというところがあるんですが。
 ほかのリストは大体こんなものでいいんだろうと思うんですが、LASだけは少し心配をしているという点があります。それを含めて、これからのエディトリアルの作業の中に少し組み込んでいただいて、そのあたりも少し考えていただくとありがたいと。
 具体的に、ちょっと簡単な一つの例を申し上げます。例えば、資料2に戻っていただきますと、資料2に水質目標値導出に利用可能な毒性値というのがあります。それで、ここには一つの数表があるのですが、その中で、ここにエンドポイントと書いてありまして、エンドポイントのあるものは、LC50、つまり半数の魚が死ぬ濃度というのが記載されていて、それから、違う項目があります。NOECという、これは影響しない濃度ということで、実はここのあたりの数字を同じように扱ってしまっているのではないかという心配をしています。つまり、通常NOECと呼ばれるものは、LC50の10分の1とか、あるいは数十分の1なんです。したがって、ここの数字を次に取り扱うときに、セーフティーファクトかどうかというときには、その違いを明確に入れなければいけないんです。そこのところが何か混線しているのではないかという心配を少ししています。
 例えば、ニジマスの150ppbという数字は、これはNOECです。それに対して、11ページにいきますと、ニジマスの150を10分の1の種比で割って無影響導出値として計算しているのですが、これでよかったのかどうか、ちょっと不安になっている。150ということ自体が、実は無影響導出値として、少なくとも論文を書いた人はそう思っている。そこをさらに10分の1にしているのですが、大丈夫ですかというところで、ここのロジックがあるのですが、ちょっと過剰に入ってしまった可能性が少しあるんです。そうしますと、これは……。

○須藤委員長 それは大丈夫。白石先生、それは考慮してやっていますよね。私はそのように理解しているんですけれども。

○白石委員 NOECとLC50は混乱していないとは思います。

○須藤委員長 混乱していないように聞いていたと思いますので、それは大丈夫でしょう。もし疑問があれば、もう一回チェックをお願いします。

○森田委員 そうですね。つまり、エディトリアルにチェックしていただきたいという意味です。それからもう一つ、大塚先生のおっしゃった最初の不安を実は私も持っているんです。それはいろいろな意味があるんですが、一つは、こういったドメスティックに使うような汎用品みたいなものは、どのように扱ったらいいかというところが依然として難しい。それでいて生態系に影響がありそうだと。そのときにどうしても、ひょっとしたらフロントランナーになるかもしれないんだけれども、フロントランナーとしてロジックがきちんとしているかというところを問われたときに、守りも相当ちゃんとやっておかなければいけないという意味です。それは一つは、世界で初めてのレギュレーションになるかもしれないということが第一です。それから第二は、数値上の問題なんです。今、30ppbを軸にして、30でいいのかな、30ぐらいを構成しているんです。それに対して、例えばヨーロッパのグループは270だと言っている。10倍違うんです。それから、日本の環境省のリスク評価書の簡易リスクのところには11などというのが書いてあり、それから経済産業省のグループのやられてきたのはもっと緩い数字になって、この辺が実は少しけたの違うぐらいのあたりにそういった数値目標が設定されているというところで、これが大体20とか30の間の違いならともかく、一けた違っているということについても、なぜこの数字でなければいけないかということのロジックは相当しておかないといけない。この2つの意味で、もう一回環境省のほうで見ていただいて、それで確認していただきたいんです。何か、これは球を環境省にもう一回投げ返してしまっていいのかどうか、わかりませんが。

○須藤委員長 それは、先生にももう一回見ていただかなくてはいけないところだと思います。特に、一番その辺に気がつくのは先生だと思いますので、ぜひ私からもお願いしたいと思います。
 それから、白石先生にはもう一回その辺、先ほどの混線はないと私も思ってはいるのですが、エンドポイントとのあれで見て、そこはまさか幾ら何でもそうはしないと私は思うので……。

○白石委員 エディトリアルのは間違いございません。考え方の整理が必要な部分はあるかもしれないですが。

○森田委員 もちろん一言で言えば、そういう考え方というか、あるいは計算の仕方のルールの状態の問題ではあるんです。ただ、ルールもそんなに完全なものではないから、そのあたりを含めて、判断しなければいけない要素は若干あるかもしれませんね。

○須藤委員長 ではどうぞ、山本補佐。

○山本課長補佐 今、森田先生のほうから、ヨーロッパのHERAでの値とワンオーダーぐらい違うのではないかということでコメントがございましたので、資料2の5ページのHERAの数字について、若干補足させていただきます。こちらの、まず「種々の単一生物を用いた慢性毒性試験」というものは、今回私どもがやっているようなニジマスといった生物、それぞれの種について毒性試験を行ったNOECのデータにつきまして15種類ということで、ニジマスとかティラピアとか、そういったデータを収集してきて、例えばニジマスでございますと、NOECのデータとして7種類の試験結果として、230μg/Lから890μg/Lという7種類の試験がHERAのほうで集められてございます。その単純平均として、ニジマスについては340μg/Lということで、ニジマスの一種の平均の毒性値を出してございます。参考までに、環境省でやったニジマスのデータにつきましては、150μg/Lが毒性値と出ていて、概ね同じような値ということでございます。この15種類の中でデータを整理して、一番低い種でございますと、ティラピアの試験1種類について、250μg/Lといった値、それから高目の値がございますが、5パーセンタイル値などをとると、概ね270μg/L近くの値になるといった結果が整理されてございます。
 一方、メゾコズム試験というのは、実環境を模して試験を行うことで、底生の無脊椎動物や、それから藻類等の状況について、その生息密度等の試験を行うことで試験が行われているものでございます。こちらのほうについては、実環境値を模しているといったことで、安全係数等を特に掛けずに270μg/Lと導き出しているということでございます。
 そういう中で、先ほどの5パーセンタイル値でございますが、例えばニジマスでございますと、HERAのほうでも平均的には340μg/L、我が国でも150μg/Lという数字が出ているところでございますが、我が国では、そういった毒性試験の動物種というのは、たまたま試験がやりやすいといったことで用いられており、魚の中で特に弱い魚を採用して試験を行っているものではございません。したがいまして、平成15年の答申のときにも、ニジマスとほかの魚の毒性の試験結果、例えば同じ物質について、ニジマスの毒性値とほかの種の毒性値というものを比較したときに、概ね種比として10程度をとれば、全体の魚の中の9割程度がカバーできるだろうということで、種比として今回も10という値を使って、試験動物とそれ以外の魚も含めて保全できるように、無影響導出値を算出しているところでございます。
 なお、このLASについて十分なデータが今手元にあるわけではございませんが、先ほど須藤先生からも、日本水環境学会で整理されたと、そういった成果を踏まえて、水環境と洗剤といった書籍が出てございます。この中で、例えばニジマスの96時間のLC50という急性毒性試験を行ったところ、ニジマスについて4.7mg/Lという数字がございますが、アユについては0.45から0.8mg/Lということで、ニジマスと例えばアユの96時間LC50を比較すると5倍から10倍程度の種比があるということでございます。そのニジマスの毒性値について、HERAでは340μg/Lということで算出されてございますが、そういった何百μg/Lという毒性値から設定したリスク評価値では、その他の魚について必ずしもすべて保全できるということではないといったことから、日本では種比を10考慮して設定するという考えで、水質目標値を導出させていただいているといった状況になるかと考えてございます。

○須藤委員長 よろしいでしょうか。先ほど山本補佐からもお話がありましたが、EUあたりでメゾコズムでこの問題についてリスク評価をやっている現場に私が連れていかれて見せていただいたわけですが、そのときの印象では、決して安全係数なり何なりということではなくて、そこで影響があった濃度をそのまま使っているということだったように思います。
 それでは、ほかの先生で何か。どうぞ、小山先生。

○小山委員 これは先ほどの話になるのかもしれませんけれども、資料6で、LASの検出状況ですけれども、このデータは多分メチレンブルー活性物質のデータなんですよね。それとも、LASの測定値なんですか。

○須藤委員長 LASです。

○小山委員 そんなにあるんですか。わかりました。私の勘違いでした。

○須藤委員長 LASで、その当時というか、以前は恐らく洗剤のうちの半分以上は多分、有効成分でいうとLASだったと思いますので、あと残りがAS、高級アルコール系、そういうのを集めてメチレンブルー活性になりますので、多分その何分の1か、半分ぐらいまではLASだったと思うんです。
 はい、どうぞ。

○谷田委員 だから、LC50の短期ばく露で10倍やって、種比で10倍やってというのが、ぱっと普通の人に説明が、今の山本さんの説明は非常にいい説明だと思うのですけれども、そういう説明がうまく伝わるかどうかがポイントだと思うんです。LASという非常にその影響の大きいものを扱うのは。そこはぜひ、私は、規制というか、目標値の設定自体はそんなに間違っていないと思うんですけれども、一般の方にわかるような丁寧な説明をぜひぜひしていただきたい。10倍やって、10倍やったというぶっかけをやっているのではないんですよということをちゃんと説明していただくことは大事かなと個人的には思っております。

○須藤委員長 大塚先生が先ほど言われた、日常的に使うような物質のことに十分気をつけなさいというのは、そういうことでいいんですか。そうではないんですか。

○大塚委員 関連もあって、ちょっと確認させていただきたいんですけれども、これは、水質目標値を、例えばLASについて決めて、環境基準にする可能性が高いんですよね。

○須藤委員長 多分、今ここで論議はできないんですけれども、報告書をつくる段階では、先ほどのパーセントも高いですから、そうなりましょうと。

○大塚委員 それで、その後、排水基準が出てくるかと思うんですが。

○須藤委員長 それは今度また別の話ですね。

○大塚委員 そこについてはどうお考えになっているかという……。

○須藤委員長 そこまでまた論議はしていないと思いますけれども……。

○大塚委員 それは先に考えるということですか。

○須藤委員長 この間の亜鉛のときもそれで非常に問題になって紛糾した部分があるのだけれども、排水規制の問題はちょっと別に環境基準の問題とは、特にこの物質については分けて、私は排水基準の専門委員長ではないんですけれども、それはやらないといけないなと思っています。

○大塚委員 わかりました。

○須藤委員長 ただ、環境基準をつくりましたから、ではどうやってコントロールするのですかということになったときには、ある程度のそういう目安なり排水基準のようなものは多分必要なんだろうとは思いますけれども、今そこを一緒に議論してしまうと、亜鉛のときも同じですが、少し早まり過ぎるのではないかという気がいたします。

○大塚委員 確認ですけれども、今回、水質目標を考えるときに、第1次答申の参考4とか5というのを結構参照して、割とすんなりと議論されているんですけれども、排水基準にするかどうかというときのルールは今のところないと考えていいんですよね。環境基準にしてから、排水基準をこの水生生物の保全に関して考えるときについては、まだそういうルールは全く決まっていないと思ってよろしいですか。

○山本課長補佐 水生生物については、亜鉛についてだけ今排水基準という形で設定されており、亜鉛ということで、その当時議論されましたが、昨年度環境基準になりましたノニルフェノール、それからこのLASについては、いずれも界面活性剤といったもので、特にLASについては、家庭用の洗剤で使われており、どういう形でその削減を図っていくことが適当なのかというのは、またその議論の場のときに十分いろいろな観点からご検討されるものではないかと考えてございます。

○須藤委員長 先生がおっしゃっているように、人間の環境影響だったら、常識的に環境基準の10倍が一つの排水基準の目安ですというのがずっと来ていまして、1-4ジオキサンもそうなりましたよね。ですから、今までの物質はずっとそうなんですけれども、亜鉛のときにも一番問題になったのは、環境基準値の0.03mg/Lから排水基準を0.3 mg/Lにするのではないかと恐れられたわけです。しかし、それは全然対象が違うことなので、それはそれなりのときの排水の状況、あるいは処理のレベルとか、いろいろなことを考慮して、それで随分論議があったように思いますけれども、今は0.03 mg/Lが2mg/Lという排水基準になっているわけです。その2mg/Lというのも少し高いかなと、私個人はそういう印象は持っていますけれども、それはそれとして皆さんで決めたことですから、それで合意を得たということだろうと思います。

○大塚委員 理念的に言うと、水生生物の保全も生活環境保全の中に含まれており、環境基本法との関係ではそういう議論が一応ベースになっているので、生活環境の保全は、公害対策基本法の時代に経済調和条項は削除しているので、理念的にはなかなか難しい問題も全くないわけではないんですけれども、経済調和条項ではないけれども、いろいろなことは多分考慮しないといけないと思いますので、須藤先生がおっしゃったように、排水基準を考えるときにはちょっといろいろなことを考慮せざるを得ないかなと思います。

○須藤委員長 申し送り事項というか、環境基準の議論をした中でこういう議論があったということは、当然議事録にも、あるいは事務局も同じだし、岡田先生は水環境部会長ですから、今度は排水基準のほうも取り扱ってくれるわけですので、その辺を考慮して指導してもらったほうがいいかなと私は思います。
 はい、どうぞ。

○谷田委員 排水基準の話が出たので、そこで気になることがもう一つあって、亜鉛の場合は割と排出元が点源に近い格好で出るケースが多いですね。それに比べてLASというのは非常に面源に近い格好で出てくるんです。そうするとますます、例えば0.03 mg/Lが2mg/Lになったのと、そこの係数の関係がLASの場合はどうしたらいいかというのはかなり難しい議論をしなければいけないのではないかと素人ながら思うんですが。

○須藤委員長 LASが面源かどうかというのはちょっと……。

○谷田委員 面源というのは言い過ぎでしょうが、非常に大きな面があるということで。

○須藤委員長 洗剤ですから、ソースが、普通は生活排水の中の、特に洗濯機や台所から出てくる部分が多いですね。そうかといって、外で洗ったりなどしたものは、そのまま面源みたいなものになりますね。でも、一応点源で、窒素やリンのようなものとはまたちょっと違うだろうと思います。
 亜鉛も、実は亜鉛メッキとか、いろいろ外にある樋とか、上の屋根とか、ああいうところから結構あって、面的な発生源もかなりあるというご指摘もいただいているので、亜鉛とLASがどのぐらい、そういうものの割合が処理を経ないで出てくるものが多いかどうかというのは、ちょっとデータとして不十分だと思います。それは、もしかしたらどこかで調べておいたほうがいいのかもしれません。面源ですね。わかりました。
 それではほかの……。では、どうぞ鈴木先生。

○鈴木委員 先ほど私からの質問に対して、大体未処理の排水が原因ではないかという回答をいただきましたが、資料6の4ページを見ていますと、生物特Aとか、多分これは水域ごとに分かれるようなイメージだと思うのですが、それぞれで超過が出ているということからすると、やはり未処理排水だけではなくて、いろいろな原因もあるような感じが私はいたします。それで、私どもは対策側にいるものですから、いかに未処理下水を少なくするのか、あるいは処理のアップグレードが必要になるかということの見当をつけるため、大体どういったところが超過しているかというのを教えていただければありがたい。今でなくて結構なんですけれども。

○山本課長補佐 十分ご説明が丁寧にできなかったのかもしれませんが、この集計に当たっては、測定地点をそれぞれの類型ごとに割り振ったものではありませんで、すべて合計の906地点について、それぞれの水質目標値と比べるとどういう超過数になるかということを整理したものでございます。したがいまして、先ほども水質目標値が一番高い地点数についてのみご説明を申し上げしたが、生物特Aの地域で記載されている地点数を超えたというわけではなくて、生物特Aの目標値と比べると、すべての地点の中で幾つの地点が超えているかという数字になってございます。したがいまして、最低、一番高い生物Bの水質目標値50μg/Lを超えるところはというところの数字を見ていただければよろしいかと思います。
 なお、参考までに、この生物Bの超過しているような地点は、淀川とか利根川とか、そういう本流のところの測定地点というよりは、どちらかというと中小河川のところで測定されている点が多いと考えてございます。
 なお、21地点のうち12地点が水質環境基準に適合するかどうかということで判断する環境基準点、それからそれ以外の5地点が環境基準点を補足する補足調査点、それから4地点がその県で独自にそのときにはかられた地点ということになってございます。したがいまして、環境基準というものを判断するような地点で一応はかられてございますので、中小河川といっても、そう特別なところではかられているものではないと認識しているところでございます

○須藤委員長 先生はご存じのとおり、まだ亜鉛の類型指定の部分についても、全国全部済んでいないんです。全部で何割ぐらい。5割超えたぐらい、7割ぐらいですか?

○西村係長 6、7割です。

○須藤委員長 7割ぐらいですね。そんなものなので、生物Aのところの点だから何%超えているとか、そのような統計ではなくて、先ほども言ったように、もしこの値であるならば何%超えているというので、全部入れていないんです。ですから、それについてはまだあと2年ぐらいかかるんです、全部やるには。そのぐらいゆっくりではないんだけれども、かかっているので、ちょっと類型ごとのパーセントはまだ出せないと思うので、一番緩い数字あるいはきつい数字であれば何%超えているかということを今出していただいているんだと思います。
 ということでよろしゅうございましょうか。では先生方、よろしいですか。幾つか、特に超えている部分のところの内容もちょっとお知りになりたいという委員の方が多いので、今の超過している地点の部分については、もう少しわかるのであれば、次回までに、報告書の段階になるのかもしれないけれども、そのときに明らかにしていただきたいと思います。
 福代先生、どうぞ。

○福代委員 どうもすみません。私は内容的な部分は非常に疎いもので、ちょっと全く違うことをお話ししたいんですが。

○須藤委員長 はい、どうぞ。

○福代委員 実は今朝バンコクから帰ってきまして、来月、UNEPとユネスコが共同でアセスメント・オブ・アセスメントという、南シナ海と台湾の海洋環境アセスメントに関してのプロジェクトで、海洋研究者を100名ほど集めて、どのぐらいのアセスメントができているのかといったことを含めて会議を行うんですが、その事務的な準備に行っていて、今日その会議に出て、先ほど森田先生が、日本がフロントランナーであるとおっしゃられた、あるいは大塚先生が最初に、諸外国でもほとんど設定されていないようなもので、この諸外国のところが米国・英国等となって、アジアはどうなのかなと思いながら、それともう一つは、実はアセスメント・オブ・アセスメントの来月行われる会議は、オーストラリアの会社が中心になって、こういう環境評価をオーストラリアはしているけれども、それをアジアに当てはめたらどうだろうかという形の会議なんです。オーストラリアとアジアというのは大分違うもので、そういう意味で、日本はここで行われているような評価をより、例えば重金属の排出の多い東南アジアとか、今日お話の洗剤等も非常に多いので、こういうものの基準をどのような形でどういう考え方で定めていくのか、どういう形で継続的にモニターしていくのかといったことが、この議論でもし見えるような報告書ができると大変ありがたいなという、非常に変な感想で誠に申し訳ないんですが、そういうことを強く感じていたもので、一つのタイプになるのではないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

○須藤委員長 ありがとうございます。この後ちょっとこれからの進め方、報告書の問題についてもお話しいただくと思いますので、先生のお仕事に直接それをお使いになれるかどうかはともかくとして、ここで議論したプロセスはそのとおりに述べていきたいと思っております。
 それでは、次の委員会について、山本補佐のほうからどうぞ。

○山本課長補佐 次回でございますが、既に委員の皆様方のご予定をお伺いさせていただきまして、10月5日に予定しております。今日ご指摘いただいたり、ご質問いただきました事項につきましては、また資料を整理してお出しさせていただくとともに、次回につきましては、この水質環境基準の項目追加等について第二次報告案ということで、それぞれの項目について、環境基準、また要監視項目それぞれの位置づけについて整理した形で報告書案をお示ししたいと考えてございます。

○須藤委員長 先生方、10月5日、再確認をどうぞお願いいたします。
 ということで、今日の議論を踏まえて、報告書案あるいは超過している水域の特性なり問題点なりをもう一度整理していただくということにさせていただきたいと思います。
 さらに、最終的には何を水質環境基準としての項目にするのか、あるいは要監視項目にするのかといった議論も、その中でやっていきたいと思います。
 先生方、それで全体としてよろしいでしょうか。
 それでは、大変ご熱心なご討論をいただきまして、どうもありがとうございました。それでは、私の役割はこの程度にしていただきますが、あと、司会のほうは事務局にお返しいたします。水環境課長、お願いいたします。

○山本課長補佐 事務局のほうからは特に追加でご説明事項はございませんので、本日は長い時間ご熱心な討議をいただきまして、大変ありがとうございました。

○須藤委員長 先生方、どうも少し遅目の時間で大変申し訳ございませんでした。
 これをもって終了させていただきます。お疲れさまでございました。


午後5時47分 閉会