中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会(第4回)議事録
日時
平成15年4月10日開催
場所
環境省環境管理局水環境部企画課
議事次第
- 開会
- 議事
(1) 前回議事録(案)について (2) 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案)) (3) その他 - 閉会
配布資料
資料1 | 中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会名簿 | |
資料2 | 中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会 (第3回)議事録(案) |
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資料3 | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案)) | |
別紙1 各物質の目標値設定根拠 別紙2 各物質の測定方法 参考資料 |
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資料4 | 測定方法選定に当たっての原則 |
議事録
午後 2時00分開会
○瀬川補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第4回の水生生物保全環境基準専門委員会を開催させていただきます。
本日は、委員11名の皆様方の中から8名の委員の方々に出席をいただいております。
議事に先立ちまして、吉田水環境部長から御挨拶申し上げます。
○吉田水環境部長 先生方にはまたお忙しいところ御参集いただきましてありがとうございました。本日は第4回の水生生物の保全に係る環境基準専門委員会でございます。
これまでの3回の議論を通じまして、環境基準の設定の考え方でありますとか、あるいは類型あてはめの考え方、あるいはまた、評価やモニタリングのあり方などについて御検討をいただいてまいりました。
本日はこれまでの3回の議論を踏まえまして、専門委員会としての報告書の(案)はかようなものではという、事務局が用意をさせていただきました第一次(案)を示させていただいております。これまでの議論を踏まえまして、より具体的に文章に書きつづったつもりでございますので、御審議のほどをお願いをいたしたく存じております。よろしくお願いいたします。
○瀬川補佐 次に、議事に入ります前に本日お配りいたしました資料について確認させていただきたいと思います。
本日、資料としては、資料1から資料4まで用意しております。
資料1が専門委員会の名簿、資料2が前回の議事録(案)、資料3が第一次報告(案)となっておりまして、別刷りで、別紙1、各物質の目標値設定根拠、別紙2、各物質の測定法、それから参考資料となっております。資料4に測定法選定に当たっての原則となっております。
また、宮崎先生、本日御欠席でございますけれども、御意見ということでちょうだいしておりますので、これは資料番号をつけておりませんが最後におつけしております。
それぞれ議事の進行に伴いまして不足等ございましたら、その時点でお手を挙げていただければ、事務局の方からお配りさせていただきます。
それでは、議事に入らせていただきます。
議事運営規則に従い、本専門委員会の委員長でいらっしゃいます須藤先生に議事進行をお願いいたします。
○須藤委員長 かしこまりました。それでは議事進行をさせていただきます。
本日は大変御多忙の、また年度当初の中をお集まりをいただきましてありがとうございます。委員の先生方、もちろんまた事務局の方々も御出席いただいたことを厚くお礼申し上げます。
また、傍聴者の皆さんも本日は多数おいでいただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、議事次第にございますとおり、本日は水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案))が主要な議題となっております。
委員の先生方には、4時ということではございますが、よろしく御審議をいただくようお願いを申し上げます。
早速議事に入りますが、議題1でありますが、前回議事録(案)について、でございますが、資料2に前回議事録(案)が準備されております。どうぞ御覧になってください。本資料は、委員の先生方に御確認をいただいた後、事務局で修正し、再度、各委員の先生方に送付されている資料でございますので、この場で前回議事録としたいと思いますがよろしゅうございましょうか。
特に御異議がございませんでしたら、これをもって議事録といたします。
事務局におきましては、どうぞ公開の手続を進めてください。お願いをいたします。
それでは、次の議題2でございますが、先ほど部長からお話がございましたように、水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について、第一次報告(案)でございます。
資料3に、水生生物の保全に係る水質環境基準の設定について(第一次報告(案))及び資料4、測定法設定に当たっての原則についてでありますが、これらの資料を使いまして、事務局から一括して順次、瀬川補佐、田熊補佐から御説明を願います。
それでは、瀬川補佐の方からお願いいたします。
○瀬川補佐 それでは、資料3に基づきまして、本専門委員会の第一次報告(案)を説明させていただきます。
第一次報告としておりますのは、優先的に取り組むべき対象物質について、すべて今回終わったわけではございませんので、まず、第一弾ということで御説明させていただきたいと思います。
1ページめくっていただきまして目次から説明させていただきます。
全体の構成でございますけれども、まず、はじめにということで、環境基準の諮問の背景、それからこれまでの対応ということで、必要性に関する指摘、特に環境基本計画における記述、それから環境省におけるこれまでの検討内容をまとめております。
3番が、化学物質による水生生物への影響ということで、評価の現状、あるいは知見の蓄積、フィールド調査の結果などについて解析しております。
4番が、水生生物の保全に係る水質目標ということで、環境基準だけではございません。水質目標の設定に当たっての基本的な考え方と導出方法を述べております。
5番は、環境基準の設定ということで、環境基準を設定する判断、あるいは、その場合の監視、評価及び類型あてはめについてまとめております。
6番が、検討対象物質、検討物質ごとの検討結果とございますが、目標値と環境基準項目の検討をのせております。
7番に、今後の課題として、科学的知見の追加に伴う見直しなど、今後必要になることをお載せてしております。
8番が、おわりに、です。
次のページにまいりまして、別紙1、別紙2でございますが、各物質の目標値の設定根拠を掲載しております。また、各物質の測定法についても別紙にしています。
また、別刷りにしておりますけれども、参考資料としましては、これまで専門委員会にお諮りしました資料の中で必要と思われるものをピックアップして載せております。
それでは、本文に入りまして、次のページに入ります。
はじめにでございますが、21世紀は環境の世紀であり、また水の世紀でもあると言われているということ。しかしながら、我が国における水環境の保全に関する施策は、これまで人の健康の保護、それから生活環境の保全という2つの観点で進められてきており、新しい環境基本計画においては、環境の世紀の道しるべということで、化学物質による生態系に対する影響の適切な評価、管理を視野に入れた化学物質対策の推進を課題としており、また、水生生物への影響にも留意した環境基準の検討が基本的な対策の一つとされております。
2ページ目に入りまして、では、これまでどういった対応をしてきたのか、というのをもう少し詳しく説明しております。
水生生物の保全の観点から、環境基準等の水質目標の設定につきましては、平成5年に中央環境審議会答申、健康の保護に関する環境基準についての答申に、健康項目とは別途検討されるべきものとして、水環境の汚染への対応として生態系、水生生物への影響についての考慮も重要だということが示されております。また、環境基本法に基づく環境基本計画によっても水環境の保全などにおいても記述がございます。
さらに、平成14年1月にはOECDから環境保全成果ワーキングパーティーにおける我が国の環境政策の取組状況の審査において、生態系保全に係る水質目標や法規制の必要性が勧告されています。
3ページ目になりまして、環境基本計画における記述について、少し細かく書いております。この計画においては、21世紀初頭における環境政策の展開の方向ということで、各種政策の具体的な展開が記述されております。特に3パラ目でございますけれども、持続可能な社会の構築に向けた環境基本計画の基本的な考え方、そのうちの1つとして生態系の価値を踏まえた環境管理について、これが重要とされているところでございます。
下から2段目になりますけれども、新環境基本計画の中では、戦略的プログラムというものが定められております。水循環確保に向けた取り組み、その中に、水生生物への影響にも留意した環境基準の検討の必要性というものがあるということを記述しております。
また、最後のパラグラフになりますけれども、水生生物への影響にも留意した環境基準の調査検討、あるいは水環境への負荷を低減するという見地から、生産工程や使用方法の改善などによる水環境への排出を極力削減することということも挙げられております。
4ページ目になりまして、それではこういった指摘あるいは記述に対して、環境省における検討はどうかということでございます。先般の水生生物専門委員会におきましても御紹介いたしましたが、水生生物保全に係る水質目標につきましては、平成11年度、平成12年度から予備的な検討を調査事業として実施をしております。その結果を中間報告としてまとめまして、平成12年12月に既に公表をしております。
また、この検討結果を受けて、環境省水環境部に置かれた水生生物保全水質検討会においては、基本的考え方や水質目標値の導出手順などを整理し、平成14年8月に報告書を公表しておるところでございます。
また、水生生物の保全に関連いたしまして、化学物質の審査・規制、あるいは農薬に関しましても、さまざまな検討を進めてきております。化学物質の審査、規制に関しましては、化学物質の動植物への影響に着目した審査・規制制度の導入を含む化審法改正が国会に提出されているところです。また、農薬に関しましても、農取法に基づく水産動植物に係る登録保留基準について、本年3月に、従来の一律基準から公共用水域中の農薬成分の濃度を予測し、その結果を、農薬成分ごとに求められる魚類、甲殻類、藻類への影響を考慮した基準に適合しない場合に、その場合には登録を保留するという仕組みに改正をしております。
こうした動きの中、環境基準の設定について諮問がなされました。
4ページ目の3でございますけれども、化学物質による水生生物への影響、をつけています。
化学物質の中には、人の健康への影響のみならず、環境中の生物への影響を示すものがございます。その程度は不明ではありますけれども、この化学物質が水生生物に何らかの影響を及ぼす可能性も否定できません。
一方、環境中の生物や生態系の本質的な多様性に起因して、保全すべき対象となる生物の範囲、必要となる保護の制度についてはさまざまな議論があると承知をしております。化学物質による生態系全体への影響そのものを評価するような手法というものが確立していない中で、現状では個別の試験生物への毒性の評価を活用して生態系への影響の可能性をできる限り考慮する、としておるところでございます。
(2)ですが、化学物質による生態影響に関する知見の蓄積でございます。
これまで、実験室レベルでの毒性試験結果により、既に低濃度でも急性毒性などによる個体数の減少や、生育阻害をもたらすものがあることがよく知られているところでございます。化学物質の魚類に対する毒性の発現は、死亡などのほかにも麻酔作用、呼吸不全作用などといったものが指摘されております。
また、化学物質の水生生物への影響に関する試験は、国内外で広く行われておりますけれども、EPAのデータベース「Aquire」では、水生生物を用いた毒性試験結果の論文が収集されており、このデータベースでは、濃度レベルの情報の入手が可能となっております。集録データ数が、18万件を超えており、その中で我が国の水域での最大値が急性影響の半数致死濃度を超えて検出されている化学物質があることも明らかになってきております。今般についても、優先的に26の物質を検討しているところでございます。
また、フィールドにおける水生生物への影響に関しましても、1つの化学物質による影響のみを分離して評価することは困難でございますけれども、フィールドでの調査結果あるいは環境水を用いた室内実験結果におきましても、水生生物に化学物質濃度が高い場合には影響が現れていることを明示しているものが見られます。
6ページに入りまして、水質目標を設定するに当たっての基本的な考え方をまず示した上で、目標値の導出についての詳細を述べております。
水質目標の設定に当たっての基本的考え方ですが、目指すべき保全の水準でございますけれども、公共用水域における水生生物の生息の確保という観点から、世代交代が適切に行われるよう、水生生物の個体群レベルでの存続への影響を防止するという観点であり、生物の個体の保護までは考慮せず、集団の維持を可能とするレベルで設定しております。
また、目標値に関しましては、水生生物への影響を未然に防止するという観点から、維持することが望ましい水準として設定することが適当であるとしております。
[1]の一番下にありますけれども、このため、この数値を超える水域であっても、直ちに水生生物にある程度以上の影響を及ぼすといった性格をもつものではございません。
[2]で目標値の導出ですが、水生生物の生息は、開発行為による生息場の消失等の多様な要因によって影響を受けます。したがって、目標値を導出するためには、個別物質ごとに代表的な生物種について再現性のある方法によって得られた試験生物への毒性発現が生じないレベルを確認し、その結果に、種差等に関する科学的根拠を加味して演繹的に求めることが適当であるとしております。
化学物質については、毒性の程度はもとより、数、環境への排出の形態、環境中の挙動、影響に至るメカニズムなど、発現する影響の内容が物質ごとに大きく異なりますので、物質ごとに目標を検討することが必要だと思われます。
評価対象としての生態影響でございますが、魚介類及び餌生物生息に直接関係いたします死亡、成長・生長、行動、それから幼稚仔に関係がありますけれども忌避、繁殖、増殖等の影響内容に関するものとしています。また、公共用水域における通常維持されるべき水質の水準を検討するものでございますので、基本的に慢性影響の観点から目標値を導出するということが妥当と考えております。同一区分内の生物種による感受性の相違などを考慮することにより、同一区分内で最も感受性が高い生物種に影響を及ぼさない程度の濃度を目標値として導出することとしております。
対象とする試験生物及び水域区分でございますが、文献検索の対象といたしました試験生物は、我が国に生息する魚介類及びその餌生物などに係る化学物質の用量反応関係に対する既存試験結果の中から、科学的に信頼性がおけるということを専門家の方々に判断していただき、それをもって利用しております。
水生生物に関しましては、また水域の関係ですけれども、淡水域及び海域でそれぞれ生息する種も異なり、化学物質の毒性発現についても異なることから、まず大きく淡水域と海域に区分しております。
淡水域に関しましては、河川と湖沼では、生息種を明確に区分するということは困難でありますので、河川と湖沼と区別せず、淡水域として一括しております。
他方、淡水域に生息する魚介類は冷水域と温水域では生息域が異なるので、淡水域の生息域は水温を因子として2つに区分をいたします。ただし、通し回遊魚に関しましては、主たる生息域で区分をしております。
一覧表を8ページの方につけておりますので、それに関して説明をさせていただきます。
結果でございますが、淡水域を4つに分けます。イワナ・サケマス域、コイ・フナ域という冷水域と温水域の2つ、それに対して特別域ということで、産卵や幼稚仔の生育場として特に保全が必要な区域を分けております。そのため、内容的には4つの区分になります。海域に関しましては、一般海域と特別域、この2つに分けております。
目標値の導出方法ですが、水質目標の優先検討対象物質については、水生生物の生息や生育に支障を及ぼすおそれがある物質、すなわち水生生物に有害な物質であって、かつ我が国の公共用水域に存在し、継続して暴露する、そういったおそれのある物質というものを挙げております。
文献収集の範囲でございますけれども、毒性評価文献は、我が国に生息する有用動植物及びその餌生物に加え、我が国に生息する我が国固有の水生生物で、かつ通常の実験などに供される水生生物種を対象としたものを収集範囲としています。
評価の考え方でございますが、1ページめくっていただきまして、先ほども申し上げましたけれども、信頼性があると判断されるもののみ挙げております。信頼性があると判断されるもののみを目標値として用い、信頼できる慢性毒性値が得られない場合には、信頼できる急性毒性試験結果に物質ごとに求められる急性慢性毒性比を用いて慢性毒性値を求めております。
目標値導出の手順でございますが、水域区分ごとの魚介類等、餌生物に分類し、魚介類に慢性影響を生じないレベルとして算出されます最終慢性毒性値と、餌生物が保全される最終慢性毒性値(餌生物)の小さい方の数値を採用し、目標値としております。
魚介類の最終慢性毒性値に関しましては、慢性毒性値の中の最小値を用い、餌生物に関しましては種ごとの幾何平均をとり、その中の一番小さい値というものを最終慢性毒性値にしております。
今は、最終慢性毒性値を設定するに当たり、4つの考え方を9ページのところに載せております。
淡水域に関しましては、ニジマスやコイのような代表種、とりわけOECDの推奨種であり、かつダントツに試験結果が多い種であるそれぞれを、この水域区分の検討の中の代表種という形で載せております。この代表種を境にし、それぞれの生物の感受性は10倍から10分の1倍までの範囲にだいたい入るということが解析によって明らかになっており、この考えに従って種比の考え方を決めております。
10ページにまいりますが、環境基準の設定でございます。
水生生物の保全の観点からの環境基準等の位置づけでございますけれども、環境基準については、環境基本法第16条第1項において、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準、すなわち環境基準を定めることとされております。この中で、生活環境には、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むとされています。
水生生物の保全の観点から決定される環境基準というのは環境基本法上の環境基準のいわゆる生活環境項目として位置づけるものでございます。
ここで環境基準というと、人の健康の環境基準が別途ございますので、それとの関係を述べておきますが、水生生物への蓄積を通じ、人の健康に与える影響がある場合、そういった懸念がある場合、健康項目として設定をすることになります。この場合は、別途、健康項目としての基準の設定の要否を検討すべきというふうに考えております。
11ページにまいりまして、環境基準の設定の判断でございます。
環境基準項目にするのか、あるいは要監視項目にするのかでございますが、環境基準項目では、水環境の汚染を通じて、人の健康や生活環境に影響を及ぼす可能性があり、水質汚濁に関する施策等を総合的にかつ有効適切に講ずる必要があるというものでございます。要監視項目は監視対象として選定するものでありますので、目標値に近くなる可能性が乏しいものを除き、幅広く選定するものでございます。
そのメルクマールでございますが、公共用水域における検出状況でこれを区分しております。目標値の超過やあるいは目標値等の10%値の超過をメルクマールとし、環境管理が必要だと思われるようなものの環境基準でございますけれども、要監視項目は、現時点では直ちに環境基準項目とはせず、引き続き検出状況に関する知見の集積に努めるものであり、具体的には公共用水域中での濃度の把握を続けていくというものとしております。
(3)の監視及び評価でございますけれども、環境基準、あるいは要監視項目について書いておりますが、監視に関しましては、水域内の既存環境基準点・補助点の活用が、他項目との比較でよろしいかと思います。あとは、原則として月1日以上採水分析。
調査時期や頻度に関しましては、魚が相手でございますので、凍結など水域の状況が調査に不適当な場合などは、少し弾力的に運用していただくようになっております。
それから、評価でございますが、目標値の導出に当たって慢性影響に着目しておりますので、評価は年平均値で行うとしております。
類型あてはめの考え方でございますが、類型あてはめは、環境基準の設定後、個別水域について、個々に検討されるべきものでございますが、類型あてはめに当たっての基本的な考え方やあるいは収集すべき情報について提示をしております。
あてはめが必要な水域に関しましては、当該化学物質による水質汚濁が著しく進行しているか、または進行するおそれがある水域を優先的にするというようなこと。あるいは、全く水生生物が生息していないというような状況においては、あてはめをしないということもあり得ることでしょう。また、あてはめを行う水域区分が汽水域の場合について、前回も質問がございましたけれども、汽水域に関しましては、河川に区分されることになります。汽水域を定義する塩分濃度等が明確に規定されておりませんので、正確に汽水域を特定するのが困難でございますので、従来の取扱いに従うという扱いにしております。
13ページにまいりまして、達成期間でございますけれども、当該水域における水質の現状などを勘案し、環境基準の達成期間を設定する必要があります。具体的には、類型あてはめのところになりますけれども、ある期間内に達成が困難であれば、当該期間内での努力目標、暫定目標という形をとらざるを得ないケースがあるかと思います。
類型あてはめに当たって把握すべき情報としては、少し細かいことを列挙しております。
優先検討物質対象ごとの検討結果については、14ページになります。
15ページの表1に対しましては、水質目標値が導出可能であった、科学的根拠がしっかりしていて、その値を導出するのに適切である物質として8項目導出しておりますので、8項目のみここに記載しております。
16ページに行きまして、それでは、個別の項目ごとの検討でございますが、前回第3回の専門委員会で少し御議論いただきましたけれども、公共用水域の常時監視結果などの調査結果を用いて判断しています。
亜鉛に関しましては、公共用水域の常時監視結果などの調査結果が既にございます。
目標値と公共用水域との検出状況を比較いたしますと、全国的な調査でございます常時監視結果において、目標値を超過するのは 2,334地点ございます。
全国的な環境管理施策を講じて、公共用水域における濃度の低減を図ることが必要ということで、環境基準項目として設定することとします。
アニリンですが、公共用水域におけるアニリンの検出は、要調査項目の存在状況調査など、複数ございます。他方、淡水域におきましては、目標値及び目標値の10%値の超過は見られませんでした。
このため、現時点で、全国的な環境管理施策の実施という必要性には乏しいのではないかということで、全国的な位置づけは各種調査において検出された場合に、状況判断する際には、クライテリアの1つとして、利用していただくということで、公表しようと思っております。
アニリンにつきましては、海域での目標値を導出しておりませんので、海生生物に用いた毒性試験を実施中でございます。
カドミウムでございますが、既存測定法においては目標値の10分の1程度まで測定するということは現時点では困難ということで、測定法についての検証を行っております。このため、測定法が確立した後、全国的な濃度レベルを把握するということも必要であろうと思っております。
クロロホルムの検出値ですけれども、一般水域の目標値よりは低いレベルで検出されておりますけれども、イワナ・サケマス特別区域の目標値については超過する地点もございます。既に、人の健康への観点から設定された要監視項目に位置づけられている物質でございます。当然、要監視項目とさせていただきたいと思います。
2,4-ジクロロフェノール及びナフタレンにつきましては、先ほども説明いたしましたアニリンと同様、目標値及び目標値の10%値の超過が見られず、公共用水域の1つのクライテリアとして公表しようと思っております。
フェノールでございますけれども、フェノールの検出につきましては、公共用水域常時監視結果等、多くの調査結果がございますけれども、フェノール類について測定をしており、フェノール単体を対象として測定した目標値との比較を行うことが困難であると思います。このため、要監視項目として設定しようというものでございます。
ホルムアルデヒドにつきましては、海域において目標値の10%値の超過が見られますので、要監視項目として設定するということでございます。
19ページに全体を整理してございます。環境基準項目及び要監視項目ということで表をつくっておりまして、環境基準項目は全亜鉛、要監視項目はクロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒド、この3つを載せてございます。
20ページにその測定法についてまとめております。測定法については、この後別紙2でも説明させていたただきますので簡単に触れておきます。
全亜鉛につきましては、フレーム原子吸光法、電気加熱原子的吸光法、ICP発光分光分析法及びICP質量分析法があります。
クロロホルムにつきましては、ガスクロマトグラフ質量分析法。フェノール、ホルムアルデヒドについても同様でございます。
21ページにまいりまして、今後の対応でございますけれども、科学的知見の追加に伴う見直しをまず第一に挙げております。魚介類等を用いた毒性試験の実施でございますけれども、知見の不足により目標値が設定できていない物質等必要な場合には毒性試験を追加的に実施することも考えております。また、海域のテストガイドラインを整備することも必要だと思っております。
環境中濃度の調査の実施、測定法の開発目標等も必要でしょうし、また、今後の検査での円滑な類型あてはめのための情報収集についても、私どもの方でも、調査等を適切に実施するということが必要となっております。
5番でございますが、適切な環境管理施策の検討でございます。環境基準の設定の結果、現況の公共用水域において維持・達成を図るための措置が必要な場合には、水質汚濁防止法に基づく排水基準の設定等、対象項目の特性に応じたさまざまな環境基準の維持・達成に必要な環境管理施策を検討していくことが必要だと述べてございます。
おわりにでございますが、これまで水質に関して環境基準という観点で御議論を進めてまいりましたが、それだけではなく、幅広く生態系、水生生物の保全というものに着目した保全策について、別途広く検討を進めていくということも必要だと思います。
資料3については以上でございまして、別紙1について簡単に説明させていただきます。
別紙1につきましては、今回、目標値の導出に用いた毒性試験等の情報を公表することとしておりますが、簡単に亜鉛だけ説明をさせていただきます。亜鉛でございますけれども、我が国に生息する魚及びその他生物での試験というのは、暴露期間なども適合しているのかどうか、そういった観点で信頼性などを判断しております。かなり数多くございますので、個々について説明することはいたしませんが、1ページ目が淡水域のデータ、2ページ目が海域のデータになります。
急性慢性毒性比でございますけれども、USEPAでは、慢性毒性の中に若干暴露期間が短い亜慢性の試験を入れており、その区分が本検討とは異なっておりますので、単純に比較はできないというふうに考えられますけれども、
2.2という数値がございます。他方、田端では、ACR100という形になっており、ここでは専門家による検討による検討の上、 ACR10を用いることとしております。
目標値案の導出でございますが、まずイワナ・サケマス域の水質区分Aのみで基準を載せていただいています。最終慢性毒性値がどれぐらいか、ですけれども、魚介類の場合は、イワナ類で得られている慢性毒性値である、それに種比「10」を用いて算出した数値、31。約30μg/Lですが、これが魚介類の最終慢性毒性値になります。
餌生物の場合は、ヒラタカゲロウの慢性毒性値が30μg/Lであります。慢性毒性値がある場合、急性毒性値は用いないということにしております。
3ページ目の1番上の表を見ていただきますと、餌生物のところ、ヒラタカゲロウのところに慢性毒性値ということで30がございます。急性毒性で見ていきますと、緑藻類が15というふうになりまして、この15に急性慢性毒性比をかければ1という数字が出ますけれども、私どもとしては慢性毒性の観点からの検討ということで、慢性毒性試験の結果を優先的に取り扱うこととし、30という数値になってございます。
4ページにまいりまして、コイ・フナ域のBのところですが、コイ・フナ域におきましては、ウナギ類、コイのデータが得られていますが、供試生物の成長段階が不明のため、最終慢性毒性値の算出には使用しておりません。コイ・フナ域における魚介類の信頼できる毒性値は得られていないということで、これについては、その他整理をして検討しております。
簡単ですけれども、別紙1については以上でございます。
○須藤委員長 続いて、田熊補佐、お願いいたします。
○田熊補佐 測定法を担当しております企画課の田熊と申します。
資料としましては、別紙2、各物質の測定法というものと、それから、一枚紙になりますけれども、資料4ということで、裏表の一枚紙ですけれども、測定法選定に当たっての原則という2つの資料でございます。これを使いまして御説明させていただきたいと思います。
まず、資料の順番と異なりますが資料の4の方から御説明をさせていただきます。
測定法の選定に当たっての原則ということで大々的に書いておりますが、今回検討するに当たって、水質分析法の公定法の検討会を設けております。これは裏の方になりますけれども、別途中央環境審議会の環境基準健康項目専門委員会の方でも新規項目の設定が検討されておりますので、この項目と併せまして水質の公定法の方を検討しております。
この委員会ですけれども、本日御出席の本専門委員会の委員でもいらっしゃいます森田先生を座長にお願いしまして、各分析法の御専門の方々、資料の先生方を委員にお願いして検討をしております。
表に戻っていただきまして、この検討会で定めた原則といいますか、方向に基づきまして今回の測定法の案を選んでいくという趣旨で書いております。
1番目ですけれども、測定法の選択は、[1]としまして、測定の定量下限、それぞれ選んでいく測定法につきましては、基準値案ですとか、あるいは指針値案の10分の1、この程度を満たすということをまず1つの要件とすること。それから、[2]、[3]につきましては、水質の常時監視を、例えば、自治体などで行っていただく場合に、測定が容易かどうかといった観点で、まず1つは操作が容易であること。それから、2つ目としましては、その測定機関が通常所持している機器で分析が可能ということで、この3つのものを満たしているものを測定法として選択していくこと。
複数分析方法がある場合につきましては、[1]から[3]を満たすものをまず選んでいって、選んだ測定法について検証して、その方法がよければ公定法の案にしていくということでございました。
それぞれの測定方法につきましての検証方法を2番にしております。
まず、(1)ですけれども、室間精度、これは分析機関数と測定値の機関間のばらつきということでありますけれども、分析機関としては6機関以上ということ。
それから、(2)としましては、繰返し分析精度ということで、分析回数は6回でいくということ。
それぞれそういった基準につきまして、まず室間精度というのは少しわかりにくい言葉でして、精度管理で使う用語ですから、ここでは分析法の検証ですので、わかりやすい言葉で申しますと試験室間、あるいは実験室間の誤差を見たというようなことで御理解いただければといいかと思います。金属類については10%以下。それから、有機化合物については20%という一応の基準を設けています。
それから、繰返し分析精度につきましては、各分析機関の機関の中での測定値のばらつきというのを10%以下ということで、一応クライテリアを設けたということでございます。
それから、添加回収率試験についても、これらの[1]、[2]というように回収率についてもみているということであります。
ここで、(1)で場合により何%以下、それから(3)でも数字を斜体字にしておりますけれども、今回の水生生物の項目につきましては、従来の測定方法の定量下限に比べましてかなり低濃度までおりていることもありまして、物質によって難しいものもあるかもしれないということでこのようにしております。
(4)ですけれども、それぞれの項目について測定方法、既に公定法となっているもの、それから、なっていないものがありますので、検証方法のやり方を検討したものでございます。
[1]につきましては、既に環境基準、それから、排水基準等の公定法となっている測定法、これについては、それまで公定法として使われておりまして問題のないものですので、検証不要で公定法として使えることとしました。具体的には、先ほどの4物質の中では、クロロホルムが該当します。
それから、[2]につきましては、既に測定方法があり、精度に関し既存のデータを活用できる場合には検証方法の簡略化を検討ということですが、この水生生物においては、この項目を採用したものはありません。
[3]につきましては、新規に開発する測定方法。これにつきましては、2の(1)から(3)に基づいて検証を行ったということで、クロロホルム以外の3物質については、この[3]によったということです。以上のような、原則をもとに公定法案を出させていただいているところでございます。
それぞれの分析方法について、膨大な資料になりますので、詳しくは御説明いたしませんけれども、それぞれの項目についてかいつまんで説明させていただきますと、別紙2の方にお移りいただきまして、まず1ページ目からが亜鉛の分析方法の案であります。これは前回、この水生生物専門委員会の中で、亜鉛につきましては海水の基準値(案)というのがかなり低いということもありまして、海水などの妨害物質の多い試料につきまして、適切な前処理がないかどうかということで検討するとことにしておりましたけれども、その方法として、冒頭2行目ですけれども、キレート樹脂イオン交換法というものを用いるということで検討した次第であります。
この1ページの53というのは、日本工業規格の工場排水試験方法の亜鉛ですけれども、この中でフレーム原子吸光法、以下ICP質量分析法まで、4つの分析方法を適用することによりまして分析をするということになっております。その中で1ページの真ん中あたりにc)とありまして、準備操作というのがございます。準備操作のところでは、試料を5.5によって処理するとありまして、さらに備考1というふうにあります。備考1では52の備考4、又は5といういうふうにありまして、JISの場合はこうやって孫引きになっているのでわかりにくいのですが、前処理の5.5というのは、この資料の5ページから6ページまでに書いております、酸処理であります。
それから、備考の1は、7ページの方に52の備考4又は5というふうに挙がっているものでして、詳しくは説明いたしませんけれども、従来からそういった前処理方法が亜鉛の排出基準の公定法として採用していたという次第であります。
今回加えましたのが8ページにあります、キレート樹脂イオン交換法という前処理法で、前処理方法部分だけここに取り出しているものです。固相抽出でありますが、真ん中あたりにありますように、イミノ二酢酸キレート樹脂というものを充填しましたディスクまたはミニカラムで抽出していくということで、これはその方法はpHによって異なるイオン選択性があるということで、ここではpHが
5.6ということですけれども、こういった方法により前処理をして、海水では塩による妨害がありますので、そういったものを除去するという次第であります。
それから、次のクロロホルムですけれども、これについては、従来から人の健康項目の要監視項目の公定法として使われておりまして、あえて説明いたしません。同様ということであります。
それから、次のフェノールですけれども、これは28ページでございます。
水生生物の項目の中ではナフタレンというのも入っておりまして、これもあわせて同時分析法を検討したわけですけれども、今回、フェノールを要監視項目ということで案を出させていただいております関係上、フェノールだけ抜き出して分析方法案ということで出させていただいているという次第でございまして、ガスクロマトグラフ質量分析法によるということであります。
それから、ホルムアルデヒドですれども、これが37ページになっております。ホルムアルデヒドにつきましては、これもかなり低濃度のところを測るということで、方法自体はここに書いてありますとおり、ペンタフルオロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩で誘導体化いたしまして、ガスクロマトグラフ質量分析を行うということですけれども、むしろ、ブランク水として使う水ですとか、あと試薬に含まれてしまうホルムアルデヒド、それから分析室内もホルムアルデヒドで汚染されている場合もありますので、そのあたりにむしろ留意したような注意書きなども入れておりますけれども、そういったことでホルムアルデヒドの分析法案を出させていただいているということでございます。
簡単でございますけれども分析方法につきまして御説明いたしました。
○須藤委員長 どうもありがとうございました。
それでは、瀬川さん、続いて宮崎先生のコメントを続いて紹介していただいた後、先生方からお願いしたいと思います。
○瀬川補佐 宮崎先生は本日御欠席ということで、紙面によるコメントをいただいております。コメントとして配らせていただきまして、配付に関しましてもよろしいということでしたので配付をさせていただきました。
先生からも誤解があるのであれば正しておいてくださいねということもございましたので、意見は意見として承るものですけれども、その中で、事実関係が少し違っているところについてだけ、私どもも調べておりますので確認をさせていただきたいと思います。
まず、前文で、金属に関する生態毒性に関する環境基準設定については海外でもいまだ評価が進行中というふうにありますが、諸外国においても、既に70年代に環境基準策定をやっております。他方、新たな知見があれば、私どももそうですけれども、検討の中に入れていく。これは諸外国共通かと思いますので、そういうことかなと思っております。
それから、1番でEUと米国及びOECDにおけるリスクアセスメントということございますが、EUがリスクアセスメントを実施しているということは、これは事実でございます。リード国はオランダです。ただし、現状進めているというだけでございまして、オーソライズをされたものではございません。
また、OECDにおいては、リスクアセスメント、ハザードアセスメント、エクスポージャーアセスメント、既存化学品の点検、これらの担当者には全員お話をお伺いいたしましたけれども、OECDにおいて2004年にリスクアセスメントを開始するということは、現時点では予定にない。近未来にも予定がないということでございましたので、それについてはちょっと訂正をした方がいいかなという感じがいたします。
アメリカに関しましては、金属類に関しBiotic Ligand Model に基づき、Water Quality
Criteriaを見直すといった提言をなされております。Water Quality
Criteriaに関しましては、改定の予定のある物質についてはホームページ上で提示されます。亜鉛に関しましては対象項目のうちに入っておりませんので御報告いたします。
それから、暴露期間の要件を満たすものが少ないということだったんですが、暴露期間など、必要要件を満たさないものに関しましては、目標値の導出には用いておりません。
それから、EUのリスクアセスメントについては、公表されてはおりませんが、進捗状況について問い合わせをしておりますが、現時点ではドラフト段階なので、個別の文献の採択の有無については答えられない、ということでした。
自然的な要因で超過がある場合。汚染が自然起因か人為起因かということでございますけれども、従来から金属類などは人為的な原因ではなくて、自然的な原因によって公共用水域で検出される可能性、これはございます。ただ、その場合、これらの項目に関しましても、自然的原因の場合と人為的原因の場合で影響の程度が変わるものではありませんので、環境基準としての数値自体は異なる性格のものではございません。このため、環境基準値ということでは、先ほどの指摘も少し当たらないのではないかとも思います。ただし、環境基準の場合、適合の評価に当たりまして、自然的原因で超過した場合には自然的原因でございましたということを測定結果の公表において合わせて公表するということでございます。
○須藤委員長 瀬川補佐、それから田熊補佐、どうも御説明ありがとうございました。
それでは、あと大体1時間ぐらいございますので、最初に順次御質問なり、御意見なりをいただきたいと思います。
この問題については、十分審議した部分と、それほど審議が不十分だった部分もあるかと思いますが、一応流れに沿って一次報告(案)というのを事務局で作成をしていただいたということでございます。全体を通して御議論するのはこれが専門委員会で最初であろうと思いますが、小山先生の方から順次全体的でも結構でございますし、個別のところでも結構でございますので、御意見があればお伺いしたいと思います。どうぞ。
○小山委員 2つほどあります。
まず第1は、人の健康にかかわるところではなくて、ここで定める基準というのは生活環境項目ということですが、前からもこれは申し上げているんですけれども、この環境基準をオーバーしたからと言って、すぐにそこで漁獲されるような水産生物、これが何らかの人健康に影響を及ぼすものではないということはまず確認しておきたいということです。
それから、亜鉛について、これはきょう多分かなり議論があるだろうと思うんですけれども、1つ、設定値が設定された実験というのは、溶存態の亜鉛。亜鉛がどれぐらい有機物とくっつくのかはわかりませんけれども、あるいは測定法を見るとこれはトータル亜鉛であって、溶存態と懸濁態が分かれていない。これはちょっと考える必要があるんじゃないかという、この2つの意見です。
○須藤委員長 ありがとうございました。
一通り御意見を伺ってからの方がいいですね。一つ一つやるとまた議論が交錯するといけませんので、今の2点ですね。よろしいかと思いますので、それでは総合的に、後で事務局、あるいは相互の意見の中でこれも吸収していただきたいと思います。
それでは、篠原先生どうぞ。
○篠原委員 この(案)が最初出されたときにはあまり違和感を感じなかったんですが、10ページの目標値の算出というところ、あるいは、ⅱ)とⅲ)のところですね。
今回、亜鉛の問題でかなりシビアな数字がでたということは間違いないと思いますが、目標値の算出で、最終慢性毒性値と餌生物の最終慢性毒性値、魚類の慢性毒性値と餌生物の最終慢性毒性値の比較した場合、小さい部分を採用するということが、ここでスパッと決められていて、なるほどそれでいいかなと思ったんです。当然魚介類は単一のものを食べていませんので、こういった差が出てきた場合、果たしてこれが本当にいいかどうか。
6.5をそのまま採用していいのかどうかというのが少し、後戻りする話になってしまいますが、感じました。
ここのところを少し皆さんもう一度議論するべきじゃないかと思います。
○須藤委員長 では清水先生お願いします。
○清水委員 私は特段の意見はございません。
もしも見通しがついていればということでカドミウムの分析法はどのくらいしたら確立をするものだろうかということ、わかれば教えてください。
○須藤委員長 はいわかりました。
それでは、高橋先生どうぞ。
○高橋委員 私も前からちょっと篠原先生のお話のように、餌生物についての扱いがちょっと疑問に思っていたということは追加させていただきたいと思います。
それから、この報告書の中で、21ページ、最後の今後の課題というところでございますけれども、適切な環境管理施策の検討というのが(5)にございます。
今回は、亜鉛につきまして低濃度の目標値が設定されているということで、従来のように排水基準の設定というのが、果たして本当に一番効果的な手法なのかというのはちょっと疑問に思っています。ですから、例えば、ここで、環境基準の維持・達成を図るための環境管理施策が必要な場合には、例えば、主な原因を特定してから、それで排水基準が有効な場合には当然設定ということになるでしょうし、それ以外の方法もあり得るんではないかと思いますので、原因の特定ということを少し強調されたらいかがかと思います。
○須藤委員長 ありがとうございました。
その前の1番目の御質問というのは、一番小さな値をとるというところの、その取り方が問題という。
○高橋委員 はい。
○須藤委員長 そうするとやっぱりさっきの亜鉛の量というような例でいいですか。篠原先生がおっしゃっているのと共通している御質問ですね。
○高橋委員 はい。
○須藤委員長 ありがとうございました。
中舘先生どうぞ。
○中舘委員 やはり亜鉛の問題なんですが、私は、生態学の専門ではないものですからあれなんですが、人の健康影響を考える場合には金属というものは非常に主流でございまして、要するに化学形態によって吸収率は違うは、いろいろなファクターを考えざるを得ないわけです。そこでどうするかというのは非常に難しいことで、現時点で本当の意味の健康評価については、ちゃんとできるかどうかさえもちょっとわからない部分があります。ですから、あくまでも不溶性の濃度とか、金属そのものとか、それから可溶性のものとか、不溶性といっても金属そのものと錯体みたいなものとか、そういうふうにいろいろな形態がある。それによっても毒性はえらく違ってきているという部分がありますので、その辺をどういうふうに考えていくか。それぞれについて試験データが豊富にあればいいんですが、それが果たしてどういうふうに区分してリスクを考えていくかということになりますと、結構大変なものでございます。ですからその辺の扱いは、水生生物の場合には水に溶けている部分として考えるのでしょうけれども、その辺の扱いが非常に難しいなと思います。そういう考えを持っています。
○須藤委員長 金属の存在形態と水生生物の影響と、そのかかわりをどう考えればよろしいかというのが御意見ですね。
○中舘委員 宮崎先生のコメントにも書いてあるようなんですけれども。
それから、もう一つ、フェノールですが、これデータそのものはフェノールそのものの段階で調べておるんですが、実際には水質汚濁等のあれで、フェノール全体として測定されている。その中身が私はよくわからないんですが、総量としてのデータはあるんでしょうけれども、実際にどんなフェノールが混じっているのかというような数量とか、それは何でかと言ったら、フェノールでも、例えば、ニトロフェノールとか、クロロフェノールとかいろいろなものがあるんですけれども、そういうものによって全部毒性は違いますけれども、じゃあ本当にこれから先こういう水生生物を守っていく上で本当に一つ一つ全部やっていかないとできないのか、あるいはある程度データとして考えることができるのかと言われたら、私もちょっとわからないんですが、実際には、人健康影響でも一つずつについてやっているんですけれども。その辺が水生生物の場合には作業として、実際にどれぐらいのフェノールが検出されているかが個々にわかりませんけれども、そういうことも少し先々は考えた方がいいのかなと思っております。
○須藤委員長 個々のフェノールですね。
○中舘委員 普通はそうやってやるんですが、もうちょっと固めてできないものなのかが。
○須藤委員長 幾つかにですか。
○中舘委員 水生生物の場合ですね。健康影響の場合にはちょっと違ったシチュエーションかもしれないんですが。
水生生物として考えるときには、そういう物質群に限って考えていくものではないか、そういう手法は先々考えられないのものかなと。
○須藤委員長 後で、またその辺は専門家の先生もおいでになっておりますので。
○中舘委員 実際に水生生物の毒性データは私知らないものですから。
○須藤委員長 そうですね。後でまた若林先生の順番でちょっとその御意見を伺います。
ありがとうございました。その2点ですね。わかりました。存在形態とフェノール類の手法、フェノールの構造のことですね。わかりました。
それでは、森田先生、先生の分野の御質問も先ほどもいただいているわけで、あわせてカドミウムのことについては多分事務局でお答えになるよりも先生にお答えいただいた方がいいのかなという気もしますので、先生のまず御意見と、それから、清水先生の御質問で差し支えない範囲でお教えいただければと思います。お願いします。
○森田委員 清水先生の御質問があったカドミウムのことですが、全般的に申し上げまして、分析法の方は全く問題はありません。基本的に問題はない。カドミウムについては非常に低いところに数値を設定して、そんなに低いところが測れるのかという議論もちょっとあったんですが、一応今、分析機関にいろいろ参加してもらった感じではやっぱりそうだというふうには思います。ただし、例えば極端に低いと、国内のどの分析機関でもできるか言われると、ちょっとクエスチョンですが、少なくとも共同分析に参加していただいた分析機関を見る限り問題はなさそうです。
○須藤委員長 例えば、幾つかの地方自治体のということでよろしいでしょうか。
○森田委員 それはコマーシャルベースの方が……
○須藤委員長 コマーシャルベースというとどういう機関が含まれているんですか。
○森田委員 非常にたくさん分析されているような、大手の分析機関。
○須藤委員長 大手の分析機関ですね。
○森田委員 はい。できそうだということで。
○須藤委員長 わかりました。
○森田委員 それでは、私の方からもお伺いします。
全体のトーンとか、そこの部分の流れそのものはおおむねいいかなという感じで、それで大体いいと思いますが、瀬川さんがまとめられた全体の中では、弱いのは基準にかかわってくる専門家のまとめていったレビューのところが弱くて、そしてこのルールで大丈夫かという議論がどうしても出てしまうというのがちょっとあります。
これは今まで随分長いこと議論してきたので、その議論をどうするかというのはちょっとあるんですが、少し気になることを申し上げますと、まず、6ページに目標値の導出、このあたり、結局目標値を導出するということの具体なところに入った瞬間から、そこの部分に本当に正しい科学的な根拠が完全にディフェンスできるような形であるのかどうかのところの課題が少し残ってしまっていると思います。
これは、例えば亜鉛が典型的です。前回の議事録を読ませていただいたんですけれども大丈夫かという意見があったんです。しかし、これは科学的な根拠に基づいているというような少しすれ違いの議論が頭になっているような感じがして、それはちょっと進めなくてはいけないですが、多分亜鉛というものを持ってきて、そしてしかも、産業的に重要そうなものをとった瞬間から何が起こってくるかというと、マージンがなくなっているんです。つまり、そこまできついことをやってしまうと現実動かないよと。だから現実と合って適用できるような範囲内のセーフティのところで考えなくてはいけないのではないかという議論が出てくるというのが、多分起こっている現象だと思います。
それで、まず6ページには、下から8行目ぐらいに、再現性のある方法によって得られた半数致死濃度等の試験生物への毒性発現が生じないレベルを確認して、それから演繹的に求めるのが適当であるという、ここのところはそんなに反対は多分ないと思うんですが、半数致死濃度等と書いてある、等のところをどう考えるかというのが残っています。これはあとの設定根拠の中に出てくるんですが、エンドポイントとしてある場合には死亡、LC50のデータ、そういうパラメータを使いますけれども、あるところでは、増殖速度の維持とか、そういう2つのパラメータを使っているんですが、この2つのパラメータの間には決定的な差があります。つまり増殖の速度は少し遅くなるけれども、しかし藻類は死んでしまわない。もし同じように比べるとすると、藻類の死亡濃度とか、そういうものを比べないとだめです。その2つが混乱してしまっているために複雑になっています。そこにおけるファクターはその数倍とか、10倍ぐらいそこに含まれていますので、死亡以外のものを入れ込んだ瞬間から厳しい基準が設定されてしまうのですが、それは同じロジックに乗っていないんじゃないかという考えがちょっとあるんです。文章そのものはこれで多分いいと思うんですが、そこのところの急性毒性とは何かということをきちんと明記しておく必要があろうかと思います。
それから、その次、8ページに行きまして、下から5行目ぐらいなんですが、通常の実験に供される水生生物を、例えばメダカ、こういうのを対象としたものを規制する範囲とするのは妥当であるということが書いてありまして、これをこの範囲内だけに文献収集の範囲を限ってしまうのがよいかどうかというのがちょっと引っかかりました。収集する文献というのは、とにかく可能な限り集めて全体の像を描くようにした方がいいだろうという、そういう考えです。もちろん、キーになる数値を決定するものとしては、そういうものを主に使うということになっているかと思うんです。それだけに限らない方がいいだろう、最後に出てきた目標値の検証という観点で必要というふうに思います。
それから、8ページの一番最後のところ、ここは1つの議論に残ってくるんですが、収集された毒性試験結果は、専門家による信頼性の評価を経て、信頼性が判断されたもののみ導出に用いるものとする。
これは基本的に多分この考え方でいいんですが、専門家というのはどういう人なんでしょうかという疑問がちょっと残ります。今回、この専門家というのは、ここにいる中環審の専門委員会のメンバーのことなんでしょうか。それとも若林先生がある程度メーンでおられたそのコミッティーのことなんでしょうかというのはちょっと疑問で、それはちょっと責任の問題もありますので明確にしておいてほしいと思います。
それから、ずっと関係してくるものですから、9ページに行きまして、最終慢性毒性値の算出というところがあります。ここにはステートメントとしては、同一水域区分内の魚介類に関しては、科学的に推定可能な範囲で最も感受性の高い種の慢性毒性値を用いるものとするというのが書いてありまして、これは非常に強い表現なんですが、まず科学的に推定可能な範囲というものはどういう範囲なのかちょっとわからないところがあるんですが、しかし、その中で最も感受性の高い種の慢性毒性値を用いるということで、極めて断定的なんですが、ここの部分は何かもう少し緩みのある表現の方がいいかなという感じはします。
それから、その次に、淡水域の[1]に入りまして、他の生物との感受性の相違として定数「10」を用いるということがあります。これは、果たして10に固定するのが正しいかどうかという疑問が依然としてずっと残ると思います。この「10」になった根拠というのは必ずしも明示されていないんですが、ここは、科学的にこの「10」が正しいんだということを説明できる材料は少なくとも入れてもらいたいと思います。それがもしないんだとすると、もう少し緩めて、例えば原則とか、何か言っておく必要があると思います。
それから、最後の行の海域については、現時点では既往の知見が少なく、代表種による検討を行うことができないことから、信頼できる毒性値が1種類のみの場合には係数「10」を、複数値の毒性値がある場合には係数「1」を用いるということなんですが、これも実はかなり安全サイドに振ってあるかどうかなんですが、ここのところは多分議論が残るのは、どういう部分があるかというと、基本の知見が少なくて、代表種による検討ができないものに対して本当に基準をつくるんですかというふうなことの問いかけがある。ここは、安全な基準をつくってしまいますので、ややよりすぐる現実がちょっとあるんですが、そのあたりを補強するようなロジックがちょっと。
それから、先ほど篠原さんがおっしゃった、目標値の導出のところです。
餌生物の最終慢性毒性値の小さい方を採用するという、ことも先ほどと同じようにセーフティ側にある程度持っていて、そこはいいんですが、もうちょっとオーバービューというか、全体で程度を見ながらということが多分必要で、それについては、先ほど亜鉛のところで例えば、緑藻類の
15ppbという数字をそのまま採用しないロジックというのは多分この文章の中にも埋め込んでおく必要があるかなという感じはします。
以上が、全体の流れとしての関係で、亜鉛の問題というのは、多分各論を解くときに、一つの非常にいい例題かなという感じがします。
それから、あわせて、別紙1の亜鉛のところの一枚紙で眺めておりますと、信頼性のところに、
○×が当然ついているんですが、
○×をつけた根拠といったものもきちんと示される必要があると考えます。どこかの段階で。あるところは、つまり専門家の診断がある種判断していくんですが、それがしいてないところを示すような意味で、なぜそれはできないのか、なぜ曲げたりというのが、多分要るだろうと思います。それをきちんとやる必要がある。私の意見では、ここから増殖速度とか、あるいは成長低下とか、こういうのは急性毒性としてのあらわれる一つの表現形態であるけれども、死亡と同一のものは論じられないような非常に軽いパラメータであって、それは妥協してしまった方がいいかもしれないなという感じがしております。
以上です。
○須藤委員長 どうもありがとうございました。
各所で、毒性値から評価基準を出していくところのプロセスについて、さまざまな御意見をいただきましたが、後でまた事務局等からお考え方ももう1回伺うことにしますが、若林先生、先生の御意見ももちろんおっしゃっていただいて、特に今の部分のようなところで、先生からお答えいただくというわけではないんだけれども、先生がお仕事をしていただいたときの考え方等もあわせて御説明いただけると幸いです。
お願いいたします。
○若林委員 まず全体の話としまして、最初の委員会が始まったのが5年ぐらい前ですか、そのときに生態保全ということで委員会が始まっています。その中で、生態系を守るというための目標値が必要であるという議論の中で、現行法の改正を前提にしてやるのではなく、まず現行法の中にある基準、生活環境項目の生活環境を守るという中でいかにして生態系を守っていくのかというようなことで、この仕組みを検討し始めたというふうに記憶しています。
それでも、魚類だけではなく、餌生物を入れて、なるたけ広い水生生物を守るという仕組みをつくったと。そういう工夫によって私は、諸外国では既に水生生物というか、生態系を守るような基準ができている中、日本が遅れてこういう基準をつくるにしては、ある程度諸外国と比べて遜色のないような仕組みができたなというふうに私自身は感じています。
安全側、安全側という議論が非常にされていましたけれども、これは慢性影響で目標値をつくるということで、通常はOECDなどでリスク評価するときにはさらにこれに安全係数10を掛けるとか、そういうことをやっていますけれども、そういうことは一切しないでやっているということで、余り不確定な要素を入れていないというふうに理解しております。
先ほどのエンドポイントなんですけれども、エンドポイントについては急性のときは死亡とか、例えば甲殻類では遊泳阻害とか、それから増殖阻害になっていますけれども、慢性影響の方は、エンドポイントは成長とか、それから繁殖とか、そういうことになって、この辺の急性影響、あるいは慢性影響のエンドポイントと、それから、どういうような試験を用いるかとか、そういうことについては、実際はペーパーが全部できていまして、それを報告書の中に添付されますでしょうかね。そのあたりがないと理解しにくいのかなと。
それから、もう一つ、信頼性評価のときの基準というのは、かなり長時間かけて作業部会で検討をして、それで上の検討会に上げて、それでオーソライズされたものを用いておりまして、当初、基本的にはA、B、Cの3つの大きな信頼性の分類にしていまして、Aにつきましては、OECDのガイドライン等、ガイドラインに沿ってやっており、また、GLPの準拠してやっていると。Bについては、それに必ずしもきちんとは沿っていない試験法ですけれども、ほぼそれに近いというようなことで、そこについては特に専門家の中で議論をして、信頼性があると判断したものです。
その目標値導出の専門委員会というのは、私が座長をやっていまして、魚類の専門家、甲殻類の専門家、藻類の専門家というものが入って、キーになるものについては、基本的には議論をしてやっています。
あとは、私としては、亜鉛について、確かに存在形態によって非常に毒性が違うというのは事実でしょうし、ただ、これは分析法との絡みにもあるんですけれども、溶存態が毒性があるとして、溶存態だけをはかる分析法で評価をするのかというときに、例えば、環境中で溶存態でないものが、また次の瞬間に溶存態になるとか、そういう懸念はないんでしょうかということをちょっと考えました。
ただし、多分これから分析法も進んでいきますでしょうし、それから毒性のデータというのも、特に環境基準ということになると、産業界も含めていろいろ出されてくると思うので、補佐の方からも第一番目におっしゃっていますけれども、見直しというのを今までの環境基準というのは、つくると有機りんなんていうのが、典型なんですけれども、使われていないものまでもずっとそれを引きずるということがあったので心配されている部分があると思うのですが、環境基準から削除した事例が過去にもあり、ぜひ見直しをきちんとやってほしいと。今度は水道の方の基準が改定されて、水道の方にもきちんとそれは書き込まれています。常設委員会等を置いて、形態については常に見直すと。そういうことがないと産業界の方は特に厳しい基準ができたら心配されるのではないかなというふうに思っています。
具体的な信頼性の話がまた出れば、そのときにまたお答えしようと思うんですけれども、どういう基準でやったかとか、それからprocedureなんかは、全部かなり細かいものができておりますので、場合によっては、次回にそれを出してもらって、御説明した方がいいのかなという気もいたします。
○須藤委員長 特別に信頼性がないというような御発言ではないんですよ。そういう意味じゃなかったと私は思いますので、そのプロセスも。
例えば、EC50とLC50を同列として評価でよろしいかとか、そういうようなお話だったと思うので、このデータが信頼性があるとかないとかという御発言は多分なかったと思いますので、それでは事務局の方から、私が答えるわけにいきませんから、幾つか多分言っていただいた方がよろしいと思いますのでお願いします。
順番で結構です。できれば御発言順にというのも、だれとだれの発言でこうだったということで、ちょっとお答えくださいませんか。
○瀬川補佐 それでは、少しまとめまして。
○須藤委員長 ええまとめてください。
○瀬川補佐 先ほどエンドポイントの御質問がございました。参考資料になりますけれども、11ページにエンドポイントと影響内容ということで一覧をつけております。その中に、急性影響、慢性影響はこういったものという整理をつけております。参考資料の11ページに参考7というのがございます。そちらの11ページにエンドポイントの一覧ということでまとめております。
それから、種比の10という数字ですが、根拠を12ページの参考8に載せております。感受性の比に関する検討でございます。グラフで見ていただいた方がわかりやすいと思いますので、16ページをお開きいただくとありがたいんですけれども。
ここでは毒性値をOECD推奨種それぞれについて、データも多いこともありまして、これを軸にするとどれぐらいの範囲に入っているのかということをまとめております。
16ページにございますのが、イワナ・サケマス域の生態のAの水質区分に入るものでございますが、上のグラフ、付図1aとしておりますけれども、魚介類の毒性値とニジマスの毒性値との比較でございますけれども、真ん中の線がニジマスの毒性値でございまして、それに比較してほかの魚はどこの辺に入っているのだろうということでございます。大体、ニジマスの10倍、あるいは10分の1というところにほとんどが入っているので、これをもって、基本的に種比を「10」としてはどうか、とされたところです。
それぞれの水域区分ごとに同様の検討を行い、17ページ、イワナ・サケマス特別域だけで区分したものがございます。これも真ん中を基準にいたしまして、イワナ・サケマス域に入る魚がどんな毒性になっているかと言いますと、大体、10倍から
0.1倍の間に入るかなという感じでございます。
続きまして、18ページ、コイ・フナ域についても同様にやっているわけですけれども、コイ・フナ域は、コイはOECDの推奨種でございますので、この場合代表種という言い方をしておりますけれども、それと比較いたしまして、10倍から
0.1倍となっております。
ここは先ほど御指摘がございましたけれども、海域でございます。海域は20ページ、21ページでございますけれども、EC50もLC50も、各種試験結果ともそんなに多うございませんでした。OECDテストガイドラインが定められておりませんので、推奨種はありませんが、データの中ではクルマエビが一番多うございましたので、それをキーにして検討したわけでございますが、数値的な観測値が
0.1倍から10倍に入るだろうというような、観測上の状況データそのものが入りませんでした。
毒性試験結果の評価の際のメルクマールですが、毒性データの評価に当たって、こういった点に留意すべき、との内容をまとめたものがございます。それも過去の専門委員会に参考資料として出させていただいたものなんですが、今回の参考につけておりませんので、それについては添付させていただきたいと思います。
簡単に紹介差し上げれば、試験手法の選定に当たって、供試生物、試験濃度、試験条件、あるいは試験結果についてそれぞれ留意点を記載しております。例えば、供試生物について、年齢、体長、体重、状態、試験前の馴致、入手、経歴、その他試験開始後に極端な体重変化がないことなどなど、こういった方法をチェックしておりますので、それは参考資料として添付させていただきたいと思います。
○須藤委員長 いいですか。まだありますね。小山先生の、それがあったから水産生物へ影響して人間の毒性にならないということは一応前提ですかというところがありますね。
○瀬川補佐 前提でございます。今回、水生生物の保全ということで、環境基準を決定、水質目標も検討しているのですが、人健康を含まないという観点は明確だと思っております。環境基準には人健康の観点から定められる環境基準もございます。本検討はそう行った観点は含まない、ということを報告の10ページ目の一番下のパラグラフに書いております。つまり、健康影響の懸念があるのであれば、それは別途健康項目としての基準の設定の要否を検討すべきということであります。
○須藤委員長 それから、今の御説明でもあったと思いますけれども、特に亜鉛が非常に、きつめだということで御議論もあるわけですが。それは、要するに、本来、最小値を目標値として設定する、というところ、以前も先生から同じようにそこはもう一度確認をしたいというふうなことになっております。
それについても同じことであれば、特にいいんですけれども。確か、篠原先生もおっしゃったね。そういう意味ですね。
○篠原委員 そうです。
○瀬川補佐 餌生物の観点から設定した最終慢性毒性値と魚類の最終慢性毒性値を比較して小さいほうを採るという点は変わりません。
先生御指摘のように、魚というのは単一の餌を食べるものではないものですから、餌生物の毒性値は同属の幾何平均値をとっております。つまり餌生物については、単純に一番小さい値というものではありません。
○須藤委員長 ちょっと誤解があるようだからもう1回そこのところを篠原先生に。
○篠原委員 これは珪藻類じゃなかったんですか。珪藻類の65を使ったんじゃなかったんじゃなかったですか。
○瀬川補佐 珪藻類に関しましては別紙1の2ページでございます。餌生物でございますけれども……。
○若林委員 属の段階での置き方です。
○瀬川補佐 珪藻類の中で、属の幾何平均値を求めてその最小値という考え方です。珪藻類ということで表の中にまとめておりますけれども、属で整理しております。
○須藤委員長 ここは一応平均された値なんだね。幾何平均された値なんですね。
○若林委員 1つしかなければ。
○瀬川補佐 3ページにありますものは、基本的に幾何平均した値ですが、データが1つしかなければそのままです。
○須藤委員長 そこは皆さん関心のあるところだから、その結果は1個なんですか。
○瀬川補佐 属に関しては1個しかございません。
○須藤委員長 Nitzschiaですね。計算もNitzschiaでいいんですか。
○瀬川補佐 それについては、1つしかございませんので、急性慢性毒性比を用いて 6.5、四捨五入で7という数字になっております。
○篠原委員 特別海域繁殖地域で、そういう餌生物を対応するというのは理解できるんですけれども、一般海域の方も7という値ですね。それはかなり広域に魚が動いていますので、そういうところまで同じ数字を、そちらを採用するというのはどうも納得できないといいますか。それが、こういうプロトコルをつくったから決めたんだという言い方は、少しちょっと厳しいんじゃないでしょうかね。やっぱりこういう具体的な数字が出てくると、もう一度そういうことを見直してもおかしくないんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○須藤委員長 まずは事務局から順番に行きましょう。
○瀬川補佐 お魚は海域では広域に動く、その点のことでございますけれども、食べる餌というのは、広範囲に動くのかどうかというのは余り関係はないと思います。目標値の設定において、餌生物は幼稚仔も成体も共通、先生おっしゃっておられるのは、どちらかというと環境基準の評価のことではないという感想を、私お聞きして感じておりますけれども。
○篠原委員 そういうことも含めて、また評価する場合もそうですけれども、魚自体に与える毒性を検討されるのが、その広域的と言った場合も、できるだけ餌というもので餌生物の毒性で基準をつくってもらうというのはどうかなという、それに皆さん矛盾を感じないのかなということです。
○須藤委員長 それでは、若林先生は、中心でお仕事をした部分なので、どうぞお願いします。
○若林委員 私がさせていただいた作業というのは、一応このprocedureに従って値を出すということでございまして、それに基づいて、それではそれを最終目標値、あるいは環境基準値にするかというのは、むしろこの委員会で議論をしていただいてよろしいとは思います。
ただ、最初に私が申し上げたように、この魚介類を守るという仕組みに関しては、かなり最初の方の委員会で生態学を専攻とされている先生方から御意見がございました。要するに生態系を守る基準が必要であると、それをなぜそういう魚介類をということで、それは法律との関係で、なるたけ早くこれを実現するためには仕方がないということでできた仕組みで、ただ、データをさらに積み上げて、それで餌生物で同じ珪藻でも、餌になるようなものでまだ強いものがたくさんあるというようなことがあれば、私の守備範囲で値を変わってくることになると思いますけれども、そこまでの作業の責任ということで一応答えさせてください。
それで、この後につきましても、私の個人の意見としては、やはりなるたけ多くの生物を守るような基準をつくっていきたいな、いってほしいなというふうに環境省さんには望んでおります。
○小山委員 篠原先生に対する答えになるかもしれませんけれども、今まで魚介類が泳ぎ回っているから餌生物で特別の区域の基準を決めてしまうのはおかしいんじゃないかということですけれども、特別区域というのは魚介類の仔稚魚ですね。仔稚魚に対する餌もここの中には餌生物として入っておるわけです。珪藻類なんかもそういう仔稚魚の餌になるわけですから、論理としてはおかしくないわけですね。餌から構成する海域の基準が決まってもおかしくない。
○篠原委員 そっちは言い方としては全くおかしくないと言っているんです。一般海域まで同じ値を使うのはおかしいじゃないですかと言っているんです。
○小山委員 ですからどっちも餌になるわけですね。
○須藤委員長 餌になる、そういう意味ですね。要するに個別に小さいものだけの餌ではないよと、そういうことだと思う。ですから、泳ぎ回るのも確かだし。
ただ泳ぎ回るときの、今度は多分皆さん混同されている部分は、毒性値というのは毒性実験から来ている値ですね。これは変えがたいですよね、要するに我々がもう1回実験やり直すかなんかしない限り変えられませんね。だけれども、ここで動き回るんだったら、動き回る範囲を測定点を幾つかあれば、それを例えば測定して平均値とるかとか、1点超えたらもうこれはだめよとか、そういうんじゃいけないと思うんです。ですから、そういう意味での評価の代表値の取り方と今の毒性値というのは、これはやっぱり新しい文献が出てこない限り、これは変えられない問題ですね、今の原則に立つならば。
それは、若林先生が御説明されているように、本来はどの生物も生きていてほしいという前提の始まりなんですよ、この仕事はね。だけれども、それではこういう基準値を提案することにつながらない、ただお勉強するだけだと。法的な枠組みにする際に、まずは現行法制度の中で基準化できる方策はないかと模索したら、これは生活環境基準として水産1種と2種があるから、そういうところに持ってこられれば、まあとりあえずは生態系を守るといっても、水産動植物を守るということに置きかえて、将来はもう少し広範囲に、例えば、全く餌生物にもなっていないものもあるかもしれないし、人間が利用していない水産動植物もあるかもしれない、そういうものも本来守るべきなんですね。だけれども便宜上、とりあえずできるところはそこからだよということで、当初の目標と、現在ここに出ている成果というのは若干ずれがあるんです。
○篠原委員 そうですね、本当に。
○須藤委員長 私はずっと座長をさせていただいていたわけだけれども、随分いじめられたわけです、そこは。本来環境保全を、環境の多様性を守るべき役所である環境省が何で水産動植物を守るのか、それだけでいいのかと言うんで大分議論はあったんだけれども、しかし、それを言っていたんではいつまでたってもその議論で堂々巡りになる。まずは水産動植物が守れれば、大方の代表的な生物は守れるんではなかろうか、こういうことで、だから「最小値」なんて出てくるわけです。そういう形でこの基準値は決まってきた。
こういういきさつがありますので、若干当初の思惑と、今の現状の成果というもののギャップはあることは事実でございます。その辺の御理解をいただいて、ですから、あれを変えるわけにはいかないですね、毒性値というのは文献から来ている成果ですから。
○篠原委員 いや、それは確かにそれに対する毒性値は、当然今7という値ですね。魚の幼稚仔の方ははっきり出ているんです、 9.7です。これも当然
9.7という値が出ていますので、これはもう当然採用すべき。ただ餌の方で絶対ばしっと切るのはどうかなということがあります。
9.7は当然です、それは繁殖海域であろうが、水産海域であろうが 9.7は出ておりますので、それは守るべきです。それはわかるんですけれども、それを魚が……。
○須藤委員長 魚と餌生物を同列に扱ったという理由は、先ほど申し上げましたように、例えば海域の生物の多様性を、要するに生態系を守るには人間が利用するお魚だけでという前提があったから、そういう意味では同列なんですよね、餌生物と。餌の方が下においているわけではない、そういう意味です。
よろしいですか、若林先生、今の私の説明でよかった、いいですか。
○若林委員 と思いますけれども。
○須藤委員長 よろしいですか。
では、森田先生どうぞ。
○森田委員 このあたり少しクリアにしておきたいんですが、先ほどちょっと申し上げましたところと関係するんですが、係数10を用いるというふうに固定してしまっていいかということなんですが、急性慢性毒性比については御返事なかったので1つ。
それからもう一つは、急性慢性毒性比を10としたんですが、それについては10とした理由というのは、いろいろな急性毒性比の報告例をプロットしてみると、10ぐらいになりそうである、したがって10を使うということなんですが、まず第一に慢性毒性というのはどういう期間でやったものを慢性毒性と定義しておるのか。
例えばサブアキュート、亜慢性というのをしばしばアメリカも使っているんですが、これは動物実験の方はある程度はっきりしていて、少なくとも慢性毒性というのが6か月以上で、サブアキュートというのは3か月ぐらいそこそこです。急性毒性というのは、例えば1週間ぐらいまでのところでやっているというのははっきりしているんですが、ここの慢性毒性というのはどういう定義されているかという点、ここは非常にフレキシブルになってしまっていて……。
○須藤委員長 10をとるためにね。その前の慢性試験をどういう期間と内容でやったかということですね。
○森田委員 非常に早い話が、藻類の96時間は何でやっているかという、そういう議論が当然あると思うんですね。それは、急性毒性でしょう。
○須藤委員長 藻類の96ですか。
○森田委員 例えば藻類でも、藻類なんていうやつは、例えば、長くてもしばしば2週間ぐらいの試験をやられているケースがあるんですが……。
○須藤委員長 増殖を見ているんでしょう、それは。
○森田委員 ええ、増殖ですね。
要するにそれは、藻類に対して慢性毒性というのはどういうふうに定義できるのかがよくわからないんです。それでそこのとこ、例えばアメリカの急性・慢性毒性期というのは、ある程度生物種を固定してやられているし、それから田端先生、多分小山先生はそれのsuccessorであるところもあると思うんですけれども、個別判定をして解決になったと思うんだけれども、それは魚の急性毒性、慢性毒性、それは何となくこの中で
100分の1ぐらいとっておけば安全側にラフに決められたような感じもするんですが、そこは必ずしも科学的な根拠がなくて、今はいろいろな生物における急性毒性と慢性毒性をプロットすると10ぐらいに線が引けるというぐらいの解析なのではないかと。
それはそれでいいんですが、それは個別の物証で違うかもしれないんですけれども、どうしても残ってしまいます。すべての物質に一律適用ということについては、ケース・バイ・ケースの部分が少し残るんですね。だから原則という言葉を入れておかない限り、性質的に難しいかなという感じがちょっとします。
○須藤委員長 はいわかりました。
森田先生、そこまででいいですか。
○森田委員 慢性の定義をしていただきたいと思います。
○須藤委員長 わかりました。
では、瀬川さんから。
○瀬川補佐 急性毒性及び慢性毒性の区分につきましては、今回参考資料の中に入れていないので、次回に添付させていただきます。
その区分に従い、急性でも慢性でもないようなものは含めておりません。森田先生からも御指摘ありましたように、アメリカEPAはサブアキュート、亜慢性毒性データを使ってACRをつくっているので、ACR自体がEPAでは全体的に小さいという結果になっています。
急性慢性毒性比についても、解析資料を参考資料として次回専門委員会に添付させていただきます。
○須藤委員長 では、若林先生。
○若林委員 急性、慢性の話です。
魚類、急性、慢性毒性両方のデータがあるものについては急性慢性毒性比を計算し、適用するということにして、ないものについては、最終的には「10」を使うことになるということが多いと思います。それで、根拠としてはデータ的にどのあたりが一番多いか、また、OECDでそれを使っているということです。
急性と慢性取り扱いは非常に不明確だということに関しましては、魚類についてはOECDのアーリーステージという試験方法がありまして、それは大体そこの試験方法に準じて試験をすれば、1世代やったのと、ほとんど同じデータだよということが、もう既にアメリカ等々の多くの研究からわかっているものを用いていますし、それからあと甲殻類については繁殖、要するに世代交代まできちんと見た上でやっていく。藻類についても当然1世代が非常に短いということで、アキュートのときには、通常、LC50、EC50というのを使いますし、慢性のときには影響が出ないものと、NOECというものを使っております。
簡単に御説明するとそういうことですけれども、あと後ほど、もっと詳しい資料をつけてくださると思います。
○須藤委員長 慢性の考え方はどうですか。
今のところも一つお答えになってないから、そこも。慢性影響のお答えはいいですか。それは本に書いてあるというんならそれでよろしいんだけれども。
○瀬川補佐 もう一つ、急性慢性毒性比の「10」でよろしいかということですが、データをもとに急性・慢性毒性比が「10」でよろしかろうということです。化審法の議論のときにも同じデータを用いております。手元にペーパーとして用意していないのですが、化審法の議論の際に専門委員会等に提出された資料及びデータを本専門委員会の参考資料として御用意いたします。
○須藤委員長 ありがとうございました。
○森田委員 今のこと、ちょっと。
○須藤委員長 はい、どうぞ。
○森田委員 「10」が悪いと言っているわけでは決してなくて、実は蓄積性の高いものについては「100」でも「1,000」でもつけなきゃいけないところはあるんですね。それからあるいは「10」以下でもいいような、非常に早く消えてしまうものがありますね。したがって原則、定数を「10」ぐらいを使うというのはいいかもしれないんですが、相当きちんと考えなくちゃいけないよというのが1つですね。
○須藤委員長 きちんと「10」でなければいけないと、「10」しかないというような取り上げ方ではいけないと。そういう理解でよろしいですか。
○森田委員 「10」だけですと、推定も割合機械的に行っているんです。
○森田委員 それはそれでいいんですが、そこが十分に説明できるだけの根拠を持っていないと、環境基準というのはやっぱり相当影響が大きいだろうということについては。
○須藤委員長 将来にわたってね。
○森田委員 ええ、将来にわたって。
しかも、若林さんは要するに途中で改正すればいいだろうというふうにおっしゃるんだけれども、私の認識は、やはり環境基準というのはそれなりの重みがありますから、作ったやつを翌年に変えましたという話では、多分ないと思うんですね。そういう意味では、十分に考えてきて次のときに、今の時点で最も科学的に達するんだという、そこまでは詰めておく必要がある。
○須藤委員長 わかりました。
若干表現ぶりとか、原則としてとか、そういう部分はもしかしたら私も必要かなという気もいたしますので、事務局で御検討をいただけますか。
まださらにお答えになる部分はありますか。
○瀬川補佐 中舘先生からの御質問ですが、フェノール類というのは、確かに様々なものが入っております。現時点ではフェノールとしてしか測定データが十分ではありません。もし、フェノール以外のフェノール類についてなにか被害があるというところについては、第2弾、第3弾の検討対象物質として、検討を進めて行くことになると思います。
○瀬川補佐 また、高橋先生から、今後の課題のところで、主たる汚染原因を特定してからという御指摘をいただきましたので、これにつきましては、少し文言を考えさせていただきますけれども。
○須藤委員長 原因の特定という言葉がありましたね。
ということで、大体先生方の御質問に対しては、それぞれお答えはいただきましたが、まだ不十分な点もあろうかとは思います。しかしながら、さらに事務局の方で整理し、それから先ほど森田先生の御質問の中については、再度になるかもしれませんけれども資料をまた個別にお渡しいただいて、そこを見ていただくということも必要かというふうにも思います。
あと多分、まださらに先ほどの宮崎先生と同じように、御意見をくださる方もいらっしゃるかとは思います。どうぞ、遠慮なくその辺は数日の間にペーパーをいただくことはよろしかろうというふうに思っております。
ということで、まとめとしてはこのようになりますが、事務局、さらに何かありますか。
いいですか、それで。先生方の御意見あれば数日のうちにいただいたらいいんですか、今週と言ったら、今週でいただくということでよろしいですか。次の作業がありますけれども。
○瀬川補佐 いただいた御指摘なんだろうということと、それから事務局としての対応の方向性について確認させていただきたいと思います。
○須藤委員長 それでは、私はそれなりに覚えてはいるけれども、どうぞやってください。大体お答えになっているとは、私も思います。
○瀬川補佐 順になっていませんけれども、報告案本文の中で、修正のかかるところということで、説明をさせていただきます。
まず、21ページでございますけれども、文言についてはおまかせいただきたいと思いますが、21ページ(5)適切な環境管理施策の検討において、「汚染原因を特定し」という内容をどこかに入れていただきたいと思います。
それから、9ページでございますけれども、最終慢性毒性比の算出の話、「念のために」というところでございますが、科学的に推定される範囲で最も感受性の高いというところがちょっとあいまいだという御指摘がございましたので、文言を検討させていただきたいと思います。
それから、森田先生御指摘のように、急性慢性毒性比は必ずしも「10」ではなく、既存の研究成果を基に導出する場合があり、専門家の判断によりというところもございますので、専門家の判断によって「10」以外のケースもある、ということを入れさせていただきます。
あと参考資料になりますけれども、新しく添付させていただくものということで御紹介をしまして、急性影響、慢性影響についての判定方法、急性影響をこう見るが、慢性影響をどう見るというのは、一概にまとめたもの、それを添付させていただきたいと思っております。
それから、
○×の根拠、信頼性を判断された根拠でございますが、これも専門家の方たちがどういうふうにメルクマールで
○×をつけたかという点について、一覧表ではないのですけれども、書き下したものがございますので、それを参考資料につけさせていただきたいということであります。
また、本文10ページのところで、最終慢性毒性値の算出のところでございますけれども、急性影響と慢性影響をそれぞれの発生する状況を比べてみて、急性影響の数字を10分の1の数字にした方が、慢性影響の値よりも小さい厳しい場合においても、基本的には慢性影響の観点から数字を設定いたしますので、慢性影響の観点の水準をとるということ、これは記載させていただきたいと思います。10ページは以上でございます。
8ページ目のところでございますけれども、文献収集範囲ということでございます。文献収集の範囲は、我が国に生息する魚介類ということで集めさせていただきましたが、森田先生の御趣旨は恐らく、そのままのもの、カエルですとか、外国にそのまま生息しているお魚だとか、あるいはグッピーといったようにOECDガイドラインの推奨種にしているけれども、我が国においては生息している水生生物ではないというものも参考に見ておくべきということと思いますので、今回の数字を導出しました文献を含めました数値について、他の文献で更に小さい値の出ているものがないか、諸外国ではどうかということにつきましては、追加検索し、確認したいと思います。
○須藤委員長 どうもありがとうございました。大体お答えはいただいたように思いますので、もしも今、直したものは一応報告(案)ですので、先生方に、もちろん私が確認した上ですが、先生方に御覧に入れないといけないですよね。それをお願いをするということがまず大切だと思います。
今何か所か修正をするということに事務局にお願いしましたので、それ以外でどうしてもということがあればまたお伺いをいたしますが、とりあえずはそれを御覧になっていただいて、御意見があればまたお寄せいただくということにさせていただくということで、なるべく可及的速やかに今の部分、そんなに時間もかからないでしょうからお調べいただいて、後でいろいろ検討される分は後ほどで結構でございますので、一次報告(案)というのはまず一応形を整えておかないといけないと思いますから、いろいろ先生方の御意見をいただきましたので、それで修正をいただきたいというふうに思います。
では、修正はそういうことでお願いをいたしましたが、その他。ちょっとおくれちゃったんですが。その他、何かございますでしょうか。
申しわけございません。どうぞ。
○瀬川補佐 では、本日の御議論をもとに事務局の方で第二次案という形で作成していただきまして、先生方に御確認いただいた上でパブリックコメントをして、一般の皆様のコメントを伺おうと思っております。
御覧いただいた上で、もう一度先生方にお集まりいただきまして、御議論をいただきたいと思っております。日程的には多分5月の末ぐらいになるかと思いますけれども、5月末よりも後に開催するということで、別途調整させていただきたいと思います。
なお、当委員会運営方針で、議事録を作成し交付することとなっておりますので、後日事務局から議事録を作成し、各先生にお送りいたしますので、御発言内容について御確認いただきますようお願いいたします。
○須藤委員長 どうもありがとうございました。
一応5月下旬にもう一度これパブリックコメントを踏まえた上での議論をさせていただくということだけはお約束させていただいて、詳細な日程は再度、先生方と打ち合わせいただくということにさせていただきたいと思います。
ということで、大変今日は御熱心な御討論をいただきました。ありがとうございました。さらに、特に個別にいろいろ意見をいただいた先生には、事務局の方から御指示あるいは御指導をいただく機会があるかと思いますが、その節はどうぞよろしくお願いをいたします。
○森田委員 分析法のところで、亜鉛の分析の議論は飛んでしまったので申しわけありませんが、今の分析法の中で、特に海水中の亜鉛は塩化ナトリウムの影響で非常に難しいんですが、キレート抽出をして、抽出されてきたものを分析するようになります。これの持っている意味というのはちょっと複雑でありまして、全亜鉛の分析でもないというのがあるんです。細かい粒子についたものは素通りしてしまうので、なくなってしまう。
それから第2は、非常に強いキレーターにくっついているものは出てこない。そういうものを測っている。ただ、JIS法にのっていますので、それにある程度技術的にも確立していることもあります。それを軸に検討していくという状況になります。したがって、いろいろな議論で毒性の評価にされ
ていたようなフリーの亜鉛を測れとか、そういうふうになるとそれは相当難しいですから、そういうことがちょっとありますので、そのことを僕は少し触れておきたいなと。
今のところ、全量分析でもちょっとないと思います。全量分析をやるためには、全部酸分解いたしまして、そして、ほとんどすべての亜鉛を一たん可溶態に変えて、それから抽出なり、何か作業をしなければならない。今は比較的そのまま測れるような分析法でやってやります。
○須藤委員長 どうも亜鉛の分析法まで議論が及びませんでしたが、最後に、森田先生から解説をいただきましたので、これを十分、田熊さんの方で御利用いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では特にほかは追加よろしゅうございますね。
では、これをもって委員会を終了させていただきます。どうもお疲れさまでございました。
午後 4時07分閉会