中央環境審議会 水環境部会 総量削減専門委員会(9次)(第6回) 議事録

議事次第

1.開会

2.議題

(1)第9次水質総量削減の在り方について

(2)その他

3.閉会

配付資料

  • 資料1 総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2 第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)本文
  • 資料3 配布資料の訂正について
  • 参考資料 第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)図表

議事録

午後4時00分 開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第6回総量削減専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくいなど、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意思はこのマークで確認します。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 本日の出席状況でございますが、委員16名中、14名の御出席をいただいております。

 なお、長田委員、平沢委員からは、御欠席との御連絡を頂いております。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもって、御紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前に御案内のとおり、議事次第のほか、資料1が委員名簿、資料2が第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)本文、資料3が配布資料の訂正について、となっております。

 また、参考資料として、第9次水質総量削減の在り方について(総量削減専門委員会報告案)図表となっております。

 以上が本日の資料でございます。

 なお、資料につきましては、WEB会議システムの資料共有機能により、事務局より画面に掲載いたします。事前にお送りしております資料は、必要に応じお手元で御参照願います。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、岡田委員長にお願いしたいと思います。岡田委員長、よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 かしこまりました。

 委員の皆様方におかれましては、大変御多用の折、また、御不便な中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 本日は18時頃の終了を目途に議事を進めさせていただきますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います

 最初の議題は、第9次水質総量削減の在り方についてとなっております。事務局より、資料2により御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省閉鎖性海域対策室、浜名でございます。

 早速、資料2を用いまして、第9次水質総量削減の在り方に係る専門委員会報告の事務局案について御説明いたします。

 ページをおめくりいただきまして、まずは目次でございます。

 前回、第5回において、資料3といたしまして構成案を御説明いたしました。これに即したものとなっております。

 第1章、水質総量削減の実施状況については、水質総量削減制度の概要、汚濁負荷量の状況、汚濁負荷削減対策の実施状況、汚濁負荷削減以外の対策の実施状況としております。

 内容につきましては、昨年6月の第1回、8月の第2回、9月の第3回において、事務局からの説明並びにヒアリングに御協力いただきました関係省庁、都府県、関係団体の皆様からの御説明、また、御審議いただいた委員の皆様からの御指摘、御意見を踏まえまして、11月の第4回において、事務局より資料2により説明をいたしました汚濁負荷削減対策等の実施状況の資料がベースになってございます。

 第2章でございます。指定水域における水環境の状況については、環境基準の達成状況、水質濃度の状況、障害の状況、水産資源の状況、藻場・干潟の状況、底質・底生生物の状況としております。こちらは第1回の資料4-2、水環境の現状において御説明した現状に係る調査データに加えまして、第2回及び第3回のヒアリングや、その後の専門委員会での御審議において抽出されました内容をベースに作成しております。

 第3章、指定水域における水環境に係る分析については、水質汚濁に影響を与える要因、藻場・干潟の機能、水質将来予測としております。こちらは11月の第4回における資料3、指定水域の水質メカニズムについて、それから12月の第5回における資料2、水質将来予測や、その後の専門委員会での御審議において抽出された内容をベースに作成しております。

 第4章、第9次水質総量削減の在り方についてですが、こちらは第5回において資料4、骨子案としてお示ししたものを、御意見、御指摘を踏まえまして文章化したものでございます。

 全体非常に長くなっておりますので、まずはこのうちの第1章から第3章までを御説明いたします。概ね既出の内容ではございますけれども、この際、振り返りも兼ねて御説明いたします。

 また、参考資料に関連図表を整理しておりますので、適宜、御参照ください。

 それでは、1ページ目でございます。

 第1章です。まず、1-1、制度の概要等です。

 まず、制度の仕組みですけれども、この制度は人口、産業の集中等により汚濁が著しい広域的な閉鎖性海域の水質汚濁を防止するための制度で、昭和53年の水質汚濁防止法及び瀬戸内海環境保全特別措置法の改正により導入されました。本制度の対象は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海で、また、その指定項目はCOD、窒素、りんとなっています。目標年度、削減目標量、削減に関する基本的な事項を定める総量削減基本方針を環境大臣が策定し、その基本方針に基づき関係都府県知事が各都府県に係る総量削減計画を策定します。

 指定地域の概況です。先ほど申し上げました3海域について、陸域も含めた対象を地図に示すということになっており、計20の都府県が関係都府県となっております。

 制度の沿革です。第1次から第4次までは指定項目はCODのみでございましたが、指定水域におけるCODに係る汚濁負荷量は着実に削減されたものの、指定水域に流入する栄養塩類の増加に伴い植物プランクトンが増加し、水質が悪化するといういわゆる富栄養化に対応するべく、第5次以降から窒素及びりんも指定項目に加わっています。また、瀬戸内海については、環境基準の達成状況等から、第6次以降、大阪湾と瀬戸内海(大阪湾を除く)の二つに分けまして、瀬戸内海(大阪湾を除く)につきましては、各次の水質総量削減開始時点の水質が悪化しないように対策を講じていくこととされております。

 削減目標量の達成状況についてです。第8次については、目標年度の令和元年度の結果がまだまとまっていないので、最新である平成30年度実績を踏まえた記述としています。第8次におきましては、令和元年度の削減目標量と平成30年度の発生負荷量の実績を比較したところ、目標に向かって着実に取組が実施されており、東京湾及び伊勢湾のりんを除いては、平成30年度時点で目標を達成している状況としております。

 平成27年の第8次水質総量削減の在り方についての答申においての課題です。調査研究、普及啓発の推進等として、必要な観点、方向性について様々御指摘をいただいているところです。これらの課題に対して環境省や関係都府県等でこの5年間で実施してきた調査やこれを踏まえた検討、普及啓発の状況などを記載しています。

 続きまして、(6)最近の動きについてです。平成27年の瀬戸内海環境保全特別措置法改正、また、これを踏まえた調査研究、中央環境審議会水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会での審議内容等が記載されています。なお、同小委員会の御審議を経て、本年1月、中央環境審議会の意見具申「瀬戸内海における特定の海域の環境保全に係る制度の見直しの方向性」が取りまとめられたところです。

 次に、4ページ半ばからが、1-2、汚濁負荷量の状況です。4ページ、5ページでCOD、窒素、りんの負荷量の推移について、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海における状況を記載しています。6ページ目からは、これらに係る発生源別の内訳について指定水域ごとに概略を記載しております。10ページ目半ば~11ページが、指定地域内事業場におけるCOD発生負荷量等の推移です。

 12ページからですが、1-3、汚濁負荷削減対策の実施状況です。(1)生活系汚濁負荷の削減対策については、指定地域における下水道、下水処理施設の高度処理の進展、また、令和元年の浄化槽法改正も踏まえた単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換の強化といったことを記載しています。

 (2)産業系汚濁負荷の削減対策、(3)その他系汚濁負荷の削減対策については、従前の取組の継続、強化について記載しています。

 13ページの下からですが、1-4、汚濁負荷削減以外の対策の実施状況についてです。

 (1)といたしまして、藻場・干潟の保全・再生・創出については、昭和54年から平成30年度末までに全国の港湾において累計80か所で干潟・藻場の造成が行われていること、また、環境配慮型構造物の整備が進められていること、水産の分野においても、水産業・漁村の多面的機能発揮対策として、各地で藻場・干潟の保全活動等が進められていることなどを記載しております。

 (2)底質環境の改善については、高度経済成長期の埋立用材等の採取による海底の大規模な深掘り跡の埋戻しに係る現状を記載しています。

 (3)は大阪湾を除く瀬戸内海において、湾・灘ごとなどの地域の実情や季節性を踏まえて一部で行われている栄養塩類を供給する形での水質管理に係る動きを記載しております。併せて、このような取組を進める際、順応的管理の考え方に基づきモニタリングを行い、科学的に進めていくことの重要性について記載しています。

 (4)は15ページですが、その他の水環境の改善等に資する活動としまして、CSR活動も含めた民間企業における取組や、官民連携やワークショップなど市民が参画する形の取組事例について記載しています。

 16ページからが第2章でございます。指定水域における水環境の状況です。

 2-1、環境基準達成状況についてですが、窒素、りんについては、令和元年度では東京湾で100%、伊勢湾で85.7%、大阪湾で100%、大阪湾を除く瀬戸内海で96.5%と高い水準となっています。一方で、CODについては、A類型を中心に達成率が低く、近年、横ばいの傾向で推移しています。

 2-2.水質濃度の状況については、(1)のCODですが、総量削減開始された当時と近年の水平分布図を比較しますと、東京湾及び大阪湾においては、湾奥部で汚濁域の縮小が見られ、湾央部から湾口部にかけて全体的にCOD濃度が低下しており、一方で、伊勢湾ではCOD濃度が上昇するといった場所もある状況でございます。

 (2)窒素ですが、昭和58年頃と近年の水平分布図を比較いたしますと、東京湾及び大阪湾は湾奥部で汚濁域の縮小が見られ、湾央部から湾口部にかけて全体的に窒素濃度が低下しており、伊勢湾では湾奥部の一部を除き、全体的に窒素濃度の低下が見られる、といった状況です。

 (3)のりんにつきましては、窒素と同じ傾向となっております。

 (4)、18ページです。底層溶存酸素量、底層DOについてですが、昭和53年度から平成30年度までの水域全体の水質濃度の推移を見ますと、いずれの水域もほぼ横ばいで推移しています。また、昭和58年頃と近年の夏の水平分布図の比較では、東京湾においては、湾奥部の一部で濃度が上昇した水域が見られ、伊勢湾においては、湾内北西部から湾央にかけて濃度の低下が見られます。瀬戸内海については、大阪湾を含め全体としては大きな変化は見られない、となっております。

 (5)透明度についてですが、昭和53年度から平成30年度までの水域全体の推移を見ますと、いずれの水域もほぼ横ばいで推移してございます。

 (6)クロロフィルaについてですが、東京湾においては年による増減は大きいものの、上層、下層ともほぼ横ばいで推移しております。伊勢湾においては、上層でやや低下傾向、下層でほぼ横ばい、大阪湾においては、上層、下層とも低下傾向、大阪湾を除く瀬戸内海においては、上層でやや低下傾向、下層でほぼ横ばい、となっております。

 19ページ、(7)水温でございます。東京湾、伊勢湾及び大阪湾では、上層、下層とも上昇傾向です。大阪湾を除く瀬戸内海は上層で上昇傾向、下層は微妙なところではあるんですが、ここではほぼ横ばい、としております。

 続きまして、2-3、障害の状況についてです。

 (1)赤潮です。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海とも長期的には減少傾向です。とはいえ、瀬戸内海においては赤潮に伴う養殖魚類のへい死、ノリの色落ちといった漁業被害が今も概ね年に10件程度発生している状況です。

 また、植物プランクトンの種組成に変化が生じているとの報告もあり、赤潮の発生に影響を与える要因や発生状況の変化にも注視する必要がある、としております。

 貧酸素水塊については、東京湾、伊勢湾、大阪湾においては、夏季の底層を中心に広範囲で長期にわたり貧酸素水塊の存在が確認されています。また、伊勢湾においては、貧酸素水塊の面積が増加傾向を示しています。大阪湾においては、底層DO濃度3.0mg/L以下の海域が1980年代から90年代にかけて一旦は縮小したものの、2000年代以降には再び拡大いたしまして、2010年代も継続しているとの報告があります。

 青潮につきましては、東京湾、伊勢湾とも減少傾向となっています。

 続きまして、2-4、20ページの下のほうですが、水産資源の状況についてです。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の状況を記載しております。詳細は参考資料にグラフを載せるという形にしております。

 2-5、藻場・干潟の状況ですが、東京湾、伊勢湾は再生行動計画に記載されている造成面積について記載しております。また、瀬戸内海については、平成27年度から3か年で調査いたしました藻場・干潟分布域調査の結果を記載しております。なお、今年度の調査で東京湾と伊勢湾の調査も行っているところです。

 2-6、底質・底生生物の状況についてです。

 広域総合水質調査において、東京湾で9地点、伊勢湾で6地点、瀬戸内海は瀬戸内海環境情報基本調査により約400地点での調査結果から記載しております。

 (1)底質、(2)底生生物とも、大阪湾を含む瀬戸内海は底質中のTOCの低下や底生生物の種類数や個体数の増加から一定の改善傾向が見られる、といった状況です。

 25ページからが第3章、指定水域における水環境に係る分析でございます。

 3-1、水質汚濁に影響を与える要因としまして、(1)では、そもそもの閉鎖性海域の特徴というものを記載いたしまして、(2)では、負荷削減と水質改善の関係としまして、CODと、それから窒素及びりんについての特徴を記載しております。

 (3)では、各指定水域におけるCODの内部生産をΔCOD法により算出した結果を記載しております。また、近年は窒素及びりんの濃度が低下してきており、内部生産寄与率も総量削減開始当初より低いレベルにあるものの、CODの水質濃度が十分低下していない水域が多いことから、内部生産以外の要因と併せて検討必要がある、としております。

 26ページの(4)ですが、外海水の状況については、黒潮の流路に近接する太平洋沿岸の環境基準点のうち、閉鎖性海域や港湾といった陸域の影響を受けやすい場所を外した19地点でCODの濃度変化を見たところ、やや上昇傾向を示していました、といったことが記載されています。外海水の指定水域への侵入は内部の水質への一定の寄与があると考えられますが、これについては統一的な見解は得られていないことから、引き続き、知見の収集が必要、としております。

 (5)底泥からの溶出についてですが、既往研究の測定事例はあるものの、測定方法や条件、時期等が異なるデータも含まれておりまして、その評価には注意が必要な状況です。いずれにしても、底泥からの栄養塩類の溶出は水質濃度に一定の影響を及ぼしていることから、底泥への対策は重要、としております。

 (6)気候変動による水質影響については、水質・水生生態系への影響が既に生じている、あるいは将来生じると予測されている、という状況です。昨年12月の気候変動影響評価報告書では、水環境・水資源分野では、降水量・降水パターンの変化から短時間で集中豪雨が起きるなど、極端な気象現象の発生頻度が増加することや、土砂流出の増加や、これに伴う濁度上昇といった水質悪化が起こること等が記載されています。不明な点も多いですが、今後の水環境保全を考える上では、気候変動による影響も視野に入れた検討を行う必要がある、としております。

 3-2、藻場・干潟の機能としましては、(1)において、水質浄化や生物多様性の維持といった従前から指摘されている機能に加え、近年注目されている、いわゆるブルーカーボン、炭素貯留の機能についても触れています。

 (2)はこのうち水質浄化について既往文献の整理を行っています。なお、この機能については、藻場・干潟等の状況や規模、生物の生息状況によっても変動が大きいことを併せて記載しています。

 3-3、将来予測についてです。第4回及び第5回において、今回用いたシミュレーションモデルについて御説明いたしました。

 (1)はその内容について記載したものです。

 (2)は水質将来予測の結果です。予測を実施したケースでは、①全ての指定項目、COD、窒素、りんの生活系・産業系で負荷削減を進めたケース、②CODのみ生活系・産業系で負荷削減を進め、窒素及びりんは現状と変化なしとしたケース、③CODは現況と変化なしとし、窒素及びりんのみ生活系・産業系で負荷削減を進めたケース、④全ての指定項目で生活系のみ負荷削減を進めたケース、としております。窒素及びりんのみ負荷削減を進めたケース③におきましては、内部生産の低下によるCODの水質改善の効果は一定程度現れたものの、このケースは一部の水域において指摘されている栄養塩類の不足が更に進む可能性が示唆されました。発生源ごとの負荷削減による水質改善効果を検証したところ、産業系と比較しまして生活系による効果がやや大きく、生活系における対策を進めることがより有効であることが示唆されたところです。

 第3章までの説明は以上となります。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

 風間委員、どうぞ。

【風間委員】 ありがとうございます。風間です。

 1章のところについて、4点ほど意見がございます。

 一つは2ページ目、ここにりんの話がちょっと書いてありますが、東京湾、伊勢湾のりんが未達成の理由は何なのかと。まだ分からないというのかもしれませんが、7次のときはりんが未達成だったので、人口増加の影響と書かれています。8次のも同じなのか、その辺がもし分かるようでしたら記載してほしいと思いました。

 2点目、3ページのNGOに関することです。(5)の課題の項の最後の部分に、環境省及び関係都道府県の関係機関について述べられておりますが、NGOというか、地域住民の動きが記載されておりません。本資料全体に言えることですが、この地域住民の動きが見えてこないので、最後の課題にも、「地域住民を含めた関係者がそれぞれの立場で実施可能な取組を進めることが重要であり」と書かれておりますが、それですので、ここでは地域住民においても、例えば「アマモ場の再生など、連携したいろいろな取組がなされている」というようなことを追記してほしいと思います。詳しくは海辺つくり研究会のヒアリング資料を参考いただければいいんですが。そして同時に、図表の部分に活動の図柄、絵柄を掲載してほしいなと思います。一応環境省さんにはアマモ場再生活動の絵柄をお送りしてあるのですが、そのことはここの場所がいいのか、14ページの(1)の終わりのところ、それから15ページの(4)それぞれの活動のところに入れるか分かりませんが、ともかく地域住民の動きについてぜひコメントが欲しいというのが2点目です。

 それから、続きまして3点目は高度処理に関することです。12ページを御覧ください。

 12ページのところに段階的高度処理という記載がございます。ですけど、ここのままでしたら、段階的高度処理というのは何か一般には分かりづらいと思うので、説明が必要ではないかと思います。ヒアリングの国土交通省下水道部のヒアリングの資料7ページの左側のほうに囲み記事があったのですが、段階的高度処理の絵柄ですが、そういった絵柄を追記すると分かりやすいのではないかと思います。

 それから、「さらに」のところが前回のと同じ記載になっているのですが、例えば確実に進めていくため、雨水吐の構造基準や雨天時の放流水質基準を設定し、平成35年度までに実施することを義務づけしたというようなことを書きまして、ここの図表は参考図表の32ページに平成22年度の古い図14があるんですけども、今回のヒアリングで国交省さんの出してきた10ページの図、改善対策のメニューというのがございました。そういったものに差し替えてもらったほうがいいのではないかなと思います。

 この内容につきましては、13ページの(3)その他系の汚濁負荷の削減対策のところに記載されていますが、ここにあるところ、それを物語る資料が必要ではないかと思いますので、今のところにそのような形で記載していただければと思いました。

 それから最後、4番目、14ページ、底質環境の改善のところです。

 この底質環境といいますと、貧酸素水塊との影響、関わる重要なことだと思いますが、そのことが記載されておりません。二つ目のフレーズの真ん中のところに、何々が確認されており、という部分ですが、「確認されており、貧酸素化、青潮発生の原因の一つになっている」というように、国交省さんの海洋・環境課の資料の4ページ目にこのように記載されておりますので、そこまで書いていただければと思います。

 ちなみに、最後の4章の1番目に対策の在り方というのの34ページの中の部分では、「大規模な窪地は貧酸素水塊が発生する原因の一つとなっている」と、明らかにそのように書かれておりますので、その基となるところにそれが書かれていないというのはおかしいと思います。

 この関係図表、これの参考図の35ページのところに、九都県市の浚渫土の話が書かれていますが、そこの浚渫土の活用の出典を見ますと、埋戻し用材が811と多くて、次いで埋立用材、それから覆砂が59という順番になっています。すなわち埋戻し用材の記載が抜けているので、そのことを記載してほしいと思います。これは東京湾の話ではあるんですけども、ここでは真ん中に書かれています深掘り後の埋戻しの話が先に記載するといいのではないかと思いました。

 1章についてはこれだけです。ありがとうございます。

【岡田委員長】 御指摘どうもありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室です。御指摘ありがとうございます。頂いた御指摘を踏まえて検討してまいります。

 まず、一つ目のりんの未達成の部分のところでございますが、8次の目標年次である令和元年度の負荷量実績は調査中であるということもありまして、8次の目標の達成状況については現時点では評価できません。

 一方で、平成30年度の実績値が目標に達していない理由については、まだ明確な解析はできておりません。人口増加の影響などもありますし、大雨等による降雨の増加とか、様々な理由がある可能性があると思いますが、現状としましては、明確な解析はできていないというところを御理解いただければと思います。

 それから、2点目、NGO、市民団体の動きに関しまして、御指摘のとおり記載を検討させていただきたいと思っております。

 それから、3点目の段階的高度処理の語の説明なり注釈なりをつけるといったこと、それからヒアリング内容を踏まえました表現に改めていくべきという御指摘については、ヒアリングで情報を出されました国土交通省の担当部局さんとも御相談しながら、御指摘を踏まえて書きぶりを検討したいと思います。

 それから、1-4、汚濁負荷削減、底質環境の改善のところでございます。今、御指摘いただいたとおり、確かに貧酸素化に深く関与するということと私どもも認識しております。1-4は対策の実施状況を整理しているところですが、2章のところとか、ほか汚濁につながる要因を整理しているようなところなどで御指摘の点を盛り込んでいくように記載を修正したいと思います。関連いたしまして浚渫土など、埋立用材などの記載の点を確認いたしまして、記載を修正させていただきたいと思います。

 以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 風間委員、そういうことでよろしいでしょうか。

【風間委員】 はい。了解いたしました。ありがとうございました。

【岡田委員長】 どうもありがとうございます。後ほど、その修正部分をまた御確認いただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、次に田中先生、お手が挙がっているようですが。

【田中委員】 どうもありがとうございます。

 総量規制なので、当然、CODと窒素、りんを中心とした書きぶりで結構だと思いますが、今回、新しく環境基準で定められた底層DOの話をきちんと書いていただいているので、非常にそれは評価したいと思います。その上で、そこの部分についての書きぶりをもう少し強化してもらったほうがいいかなという点が2点。それからもう1点、質問です。

 まず1点目は、18ページの(4)の底層DOの話が書かれていますが、東京湾と伊勢湾と大阪湾、それから大阪湾を除く瀬戸内ですよね。これについての記述が書いてあって、それで東京湾についてはかなり詳しく2mg/L以下の水域の話とか、あるいは4mg/L以下の水域の話がきちんと書いてあるのですが、伊勢湾と瀬戸内については傾向だけが書いてあって、環境基準は2~4mg/Lの中のどれか選ぶ形になると思うのですが、それらの具体的な傾向がここについて書いていないので、それをきちんと書いていただきたいという点です。

 それからもう1点は、26ページ目、(5)の底質の寄与の話が書かれていますが、(5)の底泥からの溶出という事例として書かれているのですが、底層DOの議論をする場合には、底質と水の層とのやり取りの話をどこかできちんと書いてほしいなと。栄養塩が出るだけではなくて、底質付近、底層付近で酸素をかなり当然吸収するので、そういう役割をしているということをどこかできちんと書いてほしいなと思います。

 それから最後は、これは質問です。28~29ページ目、参考資料の中にも確かにシミュレーションでいろいろされていて、CODと窒素、りんの計算されていると。それ以外に、先ほどから議論に今回新たに上がってきている底層DOがこれらの施策をシミュレートしたときにどうなっているんだろうという計算はされているのか、されていないのか。もしされているとしたら、それを記述することはできないか。最後は質問です。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 では、事務局、お願いいたします。

【行木室長】 ありがとうございました。

 まず、一つ目のところです。18ページの底層DOの量のところですが、ここにつきまして、東京湾については詳細の傾向が分かる文献がございまして、このように記載できております。御指摘を踏まえまして、ほかの水域でも同じように書けるかどうかまず確認をさせていただきます。できるだけ記載する方向で検討させていただきます。

 それから、次が26ページの点です。26ページ、底泥からの溶出のところ、確かに今のところ溶出しか書いてございませんので、恐らくここのところで、ここの記載を工夫いたしまして、底質と水質のやり取り、関わりについて触れるのがよろしいかなと思います。御指摘を踏まえて検討させていただきます。

 それから、最後のシミュレーションに関する記載のところでございます。28~29ページのところです。今回、御指摘のありました底層DOにつきましても、シミュレーションの中では計算は行っております。ただ、各ケースとの関係ということで精査には詳細を確認をするということは事務局の中で今しておりませんでしたので、計算はしておりますが、その御指摘を踏まえてここに記載するかどうか、計算の結果ですとか、各ケースにおいての分析が可能なのかどうかということも含めて確認をさせていただきたいと思います。

 事務局からは以上です。

【田中委員】 よろしくお願いします。

【岡田委員長】 よろしいですね、田中先生。

【田中委員】 はい、結構です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 あと、次に小川委員、お手が挙がってますが。

【小川委員】 小川です。お願いします。

 2点ほどあります。まず資料の14ページ、水質管理に向けた取組の中で、下水処理施設の終末処理場について、いわゆる季別運転をしている事例があるということまでは書かれていますが、これを今後進めていくのかどうか、つまり妥当性があるのかどうかということまで、難しいのかもしれませんが、触れる必要があるのか、ないのか、これは質問でございます。よく地元へ行くと、そういう質問を私自身がされることがありますので、非常に難しいとは思いますが、その点を御検討いただきたいと思います。

 それからあと最後の29ページのところで、最終的なまとめとして生活系における対策を進めることが有効であるということで、下水処理場であれば下水道への接続、それから浄化槽関連でいけば、合併処理浄化槽に転換していくということが非常に重要なのですが、今まであまり議論の対象となってこなかった小規模の未規制事業場排水の扱いが全く触れてないです。それで参考資料を見ると、エリアによってはこの負荷量がかなり高いところがあるので、こういったところを、生活排水だけはかなり強硬な対策を取られているのに、未規制の部分をこのままでいいのか。もちろん条例で対象の排水量を50トンから10トンまで下げてるというところはもちろんあるのですが、その点についてはいかがなのでしょうか。

 以上でございます。

【行木室長】 環境省閉鎖性海域対策室です。御指摘ありがとうございました。

 まず、1点目の季別運転のところでございます。御指摘いただいた2点、どちらも4章のところに関わりがあり、その部分で議論があるかなと思っているところでございます。まず季別運転について、書くとすると4章なのかなと考えておりますが、水域の状況によって、季節によって栄養塩の必要性の状況が違っておりますので、その運転によってその課題が解決できるのであれば、また、ほかの問題が生じないのであれば、お進めいただいていいことではないかなと考えております。

 それから、もう一つの点、29ページのところでございます。未規制のところ、確かに御指摘のとおり重要なところだと思います。4章のところで関連の記載がございます。現在の総量規制の対象といたしましては、まさに未規制になっているところでございまして、その部分にどうアプローチしていくのかというところは今後の課題として重要な視点と考えております。

 事務局からは以上です。

【小川委員】 はい、分かりました。では、小規模については4章のまとめの、どこに書くかは御検討いただくことにして、ぜひとも盛り込んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【岡田委員長】 今、4章の話も出てまいりましたので、今のところ御質問の手が挙がってないようですので、資料2の後半の御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 それでは、30ページからの第4章につきまして御説明いたします。

 第4章は第9次水質総量削減の在り方についてとしておりまして、まず、4-1、指定水域における水環境の現状と改善の必要性及び対策の在り方です。

 冒頭の柱書きでは、第1章から第3章で触れてまいりましたことを踏まえまして、現状認識といたしまして、指定水域ではこれまでの取組によりCODの水質の状況は一部の水域を除きまして規制導入時から改善しているといったこと、それから環境基準の達成率に十分成果が現れていない理由としまして、外海水の影響、難分解性CODの増加、豪雨時に流入する負荷等が上げられており、気候変動の影響も相まって、様々な要因が関わっていると考えられるということ、それから、これらについては定量的には明らかになっていないものの影響があると考えられている、といったこと、窒素及びりんについては、これまでの取組によりCOD濃度における内部生産の寄与率が下がっていること、それから、窒素及びりんの環境基準達成率は全ての指定水域において高い水準となっていること、また、近年、水域によっては窒素やりんの濃度が低いことによる生態系や水産資源への影響を懸念する声もあるといったことを記載してございます。

 こうした状況を踏まえまして、窒素及びりんについては現在の環境基準の高い達成率を維持するということで、現状の汚濁負荷の削減対策を継続する、といたしたいと考えております。

 水環境の改善を検討するに当たり、環境基準の達成状況は重要な指標ですが、それだけではなく、貧酸素水塊の発生等の障害の状況や底生生物の生息状況等、生物多様性、生産性の視点、さらに同じ湾や灘の中でも水域ごとに状況が異なるといったこと、そういったものも併せて考えていく必要があります。

 平成28年には生物の生息等に対する直接的な影響を判断できる指標として底層溶存酸素量を環境基準として定めたところであり、今後、類型指定を進めるとともに、さらに知見を充実させる必要がある、としております。

 このように、同一の湾・灘であっても、水域ごとに状況が異なるといった現状に鑑みまして、指定水域全体の水質を対象としている現行の汚濁負荷の総量の規制から、今後はよりきめ細やかな水域の状況に応じた水環境管理への移行が必要、としております。

 また、瀬戸内海についてですが、こちらは中央環境審議会水環境部会の瀬戸内海環境保全小委員会での御審議におきまして、湾・灘ごと、さらには湾・灘内の特定の水域ごとのきめ細やかな対応といたしまして、地域の合意による栄養塩類の管理の手続のルール化といったことが一つの方策としてお示しいただいております。こちらについては、つい先日、1月26日付でございますが、中央環境審議会からの意見具申としていただいておりまして、その中では、順応的管理プロセスによる栄養塩類の管理に係る制度の必要性といったことが示されてございます。

 次に31ページ、各指定水域に係る事項ということでございます。

 まず、(1)のア、東京湾についてです。これまで見てまいりました概要を端的にお伝えいたしますと、窒素及びりんの環境基準達成率の向上と。一方で、一部では栄養塩類の不足が指摘される水域も出てきている状況。また、CODの環境基準達成率は低く、COD、窒素、りんの水質濃度は指定水域中最も高い状況にあると。それから、広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が発生しており、底層環境は明確な改善傾向が見られないという状況、といったことが記載しておりまして、このためということで、引き続き、CODの汚濁負荷削減を進める。窒素及びりんは更なる負荷量削減のための規制強化は行わず、これまでの取組を維持する。CODの負荷削減に当たっては、特に生活排水対策に力点を置く、としております。

 イの伊勢湾についてです。窒素及びりんの環境基準達成率は向上。一方で、栄養塩類の不足が指摘される水域も出てきているという状況。CODの環境基準達成率は低く、広範囲で長期にわたる貧酸素水塊が発生しており、ここは伊勢湾独特ではありますが、経年的には規模が拡大傾向にあるといったこと。底層環境には明確な改善傾向が見られない状況といったことが記載されております。こちらについては、引き続き、CODの汚濁負荷削減を進める。窒素及びりんは更なる負荷削減のための規制強化は行わず、これまでの取組を維持する。CODの負荷削減に当たっては、生活排水対策に力点を置く、としております。

 続きまして、32ページ、ウが大阪湾でございます。窒素及びりんについては、平成22年から環境基準が達成された状態が続いている。また、一部では栄養塩類の不足が指摘される水域も出てきているという状況。湾奥では貧酸素水塊が発生しているものの、底質や底生生物の生息状況が改善するなど、底層環境に改善傾向が見られる状況、といったことが記載されておりまして、湾全体としては、現在の水質を維持するための取組を継続しつつ、湾奥部など問題が発生している特定の水域において局所ごとの課題に対応する必要がある、と認識しております。対応としましては、COD、窒素及びりんのいずれも更なる汚濁負荷削減のための規制強化は行わない。これまでの取組を維持することが妥当、としております。一方で、湾奥部のような問題を抱えている一部水域については、負荷削減によりその他の水域で指摘されているような栄養塩類の不足が更に進む懸念といったものもあることから、総量規制としての負荷削減ではなくて、栄養塩類の偏在の解消に向けた対策が必要、としております。なお、汚濁負荷削減が特定の水域における対策として最も有効で、かつ、現実的な手法となる場合もあるわけですので、局所対策としての負荷削減を否定されるものではない、と認識しておりまして、その点も記載しております。

 エ、大阪湾を除く瀬戸内海についてです。第6次の総量削減の頃より、いずれの指定項目とも更なる負荷削減を求めていないという状況ですが、窒素及びりんの環境基準の達成率は向上し、高い水準維持、CODについても、A類型で達成率が低いものの、これまでの水準を維持しているという状況です。また、一部で栄養塩類の不足が指摘されている水域も出ている状況、ということを記載しておりまして、これまで同様、現在の水質が悪化しないよう留意し、必要な対策を継続、としております。また、瀬戸内海に係る答申や意見具申を踏まえまして、必要に応じ、順応的かつ機動的な栄養塩類の管理等、特定の水域ごとのきめ細やかな管理を行うことが妥当、としております。

 次に、33ページです。今度は全ての水域に共通の事項ということで整理しております。

 まず、アですが、総量削減の取組の一環と位置づけられる対策でございます。各指定水域の状況に応じ、適切な対策を推進する必要があるわけですが、汚濁負荷量の内訳を見ますと、生活系の割合が高いことから、このような水域では生活系の対策が重要であり、また、湾奥部については、局所的に汚濁負荷対策を講じることも含めて検討することが妥当、としております。

 (ア)~(オ)の中で、特に(ア)のところについて少し触れておきたいと思いますが、生活系の対策としまして、下水道、浄化槽、農業集落排水施設といった従来の対策に加えまして、合流式下水道の越流水対策について特に記載しているところでございます。

 33ページの下のほうの括弧がついていないイでございますが、こちらは藻場・干潟の保全・再生等を通じた対策について記載しております。特に湾奥部のような栄養塩類の偏在の局所的な問題に対しては、地域ごとの特性も考慮した対策が有効としております。

 34ページの括弧つきの(ア)~(キ)で具体的なことが書いてございますが、場所ごとに取れる対策、取れない対策といったものもございますし、また、有効なもの、そうでもないものと、そういうのが場所ごとに異なるというように考えております。いずれにしても、ここに掲げる各種対策を水質の特性も踏まえて地域の関係者と連携して複層的に実施されるべき、と考えてございます。

 34ページの下のほう、(3)として目標年度についてです。これまでの5年ごとということに倣いまして、今回についても、令和6年度を目標年度としたいと考えております。

 続いて、35、36ページについてです。4-2、今後の課題でございます。

 (1)の総合的な水環境改善対策の検討といたしまして、指定水域内で場所によりまして状況が大きく異なるといったことに鑑みまして、今後はよりきめ細やかに水域の状況に応じた取組を可能とすべき、と考えます。そのため、将来的な指定水域や指定地域の見直しや水域全体の汚濁負荷量の削減による水環境改善を目標としている水質総量削減制度ですが、その枠組みの見直しというのも視野に入れて考え方の整理、検討といったことが必要、としております。

 また、取組の検討に際しては、新たな環境基準である底層DOを含め、水質予測技術の向上を図り、また、面源由来の汚濁負荷量についてもより高い精度で把握し、予測精度を高めるといったことも必要、としております。

 底層DOについては、水生生物の生息への影響をより直接的に表すことができる指標でございますので、類型指定を速やかに行い、底層の環境改善を推進していくことが重要、としております。

 (2)としまして、調査・研究の推進等ということでございます。(1)の課題解決のため、更なる調査・研究の推進が必要ということでございますが、具体的には、通常時のみならず、大雨や洪水時を含む陸域からの汚濁負荷量やその面源汚濁負荷量の把握のための方法の検討、それから実態調査といったことがあります。

 また、水質の保全や生物多様性・生産性の確保といった複合的な観点から、科学的に裏づけられたデータの蓄積や分析を進めるといったことが不可欠ということでございまして、特に気候変動が様々な形で影響を及ぼすことが懸念されておりますので、更なる知見の集積が必要、としております。このため、水質の状況に加えまして、関係する様々な項目に着目したモニタリングや調査が必要、としております。

 併せまして、(3)としまして情報発信、それから普及・啓発の必要性についても言及しているところでございます。

 第4章の説明は以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関しまして御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

 小川先生、最初に手が挙がってますが。

【小川委員】 先ほどと重複する質問ですので、事務局と御回答いただいた件でお願いします。

【岡田委員長】 はい、分かりました。

 では、次に吉住委員、どうぞ。

【吉住委員】 経団連の吉住でございます。産業界を代表しまして、まずは取りまとめに対して感謝を申し上げたいと思います。

 水環境の現状の分析結果に対しまして、全般的にこれまでの議論が適切に反映された報告案だと考えておりますし、改善が必要な点と対策の在り方の理由についても、分かりやすく記載されていると思います。

 まず、産業系の負荷削減対策につきまして、31ページの「各指定水域に関する事項」におきまして、東京湾、伊勢湾につき、現状の各種施策の維持と、効率的に汚濁負荷量を削減することを明記してあり、その点について産業界も支持をしたいと思います。

 また、33ページの「全ての指定水域に関する事項」で、削減目標量の設定に当たりまして、各発生源対策として過去の対策内容と難易度、効率性、費用対効果を勘案するという点についても、適切に記載をしていただいていると考えております。

 これまでの専門委員会でも説明させていただきましたが、やはり産業界において更なる追加の削減対策には非常に多くのエネルギーを使うことに伴うCO2排出などの環境負荷も起こってしまいます。指定項目の濃度低減といった水質改善効果が限定的であり、かつ、栄養塩類不足の可能性も水質将来予測で示された中で、本来、目指すべき総合的な水環境の改善を効果的に進めることに注力することが妥当だと考えております。

 総量削減基本方針と関係都府県の目標設定におきましても、この観点を徹底することが必要であると、再度、述べさせていただきたいと思います。

 以下、確認を含めた質問を3点お願いしたいと思います。

 まず、33ページの「全ての指定水域に関する事項」で、湾奥などで問題が発生している一部の水域について、局所的な対策の検討が妥当という指摘をされています。31ページの「各指定水域に関する事項」の、大阪湾に関しては同様の記載がされています。一方で、東京湾、伊勢湾については、この局所的な対策という記載がされていないのですが、赤潮や貧酸素水塊などの障害が各水域において局所的に生じていることが各水域におけるCOD濃度の分布図や水質将来予測などには示されておりますので、この局所的対策の有効性につきましては、東京湾、伊勢湾に関しても当てはまると理解をしています。それでよいかという質問が一つでございます。

 二つ目です。第9次水質総量削減の実施に併せて取り組むべき課題について、35ページの「総合的な水環境改善対策の検討」で、よりきめ細かに水域の状況に応じた取組を可能とすべきこと、水域全体の汚濁負荷量の削減による水環境改善を目標とする総量削減制度の枠組みの見直しも視野に入れるという記述がされていますが、この表現の中に指定水域の縮小や、場合によっては解除、このような可能性を含めた制度自体の見直しも視野に入れた記述になっているのかどうかも確認をさせていただきたいと思います。

 また最後、3点目です。豊かな海の創生は待ったなしの課題と我々も認識をしております。効果的な制度の在り方について、まず早急に検討を進めるべきといった言葉も盛り込む必要があるのではないかと思います。さらに次の目標年度が示されておりますが、令和6年までに、この結果が出るように、見直しのスケジュールや会議体を明確にしておくことも有効であるかと考えております。

 さらに総合的の水環境の改善が実効あるものとなるように、今後は企業側も関係者と連携して技術的な貢献を行ってまいりたいと思っておりますが、ぜひ関係省庁が連携していただいて、政府としても積極的な取組が必要になるかと思います。具体的な事例としまして、港湾を含む公害防止対策事業の経費に対して、各都道府県に財政支援を行う公害財特法が本年度で失効予定になっておりますが、やはり関係都道府県に対しまして、財政の支援の拡充などもぜひ検討をお願いしたいと思っております。

 長くなりましたが、以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、最後は御依頼ということですが、その前の御質問について、事務局からお願いいたします。

 御質問というか、確認に近いかもしれませんが。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 いただきました御質問の中のまず1点目です。31ページからのところに、大阪湾について局所的な対策のことが書いてあるが、東京湾、伊勢湾に書いてないのは、というお話でした。東京湾、伊勢湾ももちろん局所的な課題というのがある場所があるということは、これまでの資料の中からも読み取れる内容でございますので、そこについても記載していく方向で書きぶりを考えたいと思っております。

 次に、もう1点頂いておりました御質問としまして、35ページの記述で、総量削減制度の枠組みの見直しも視野に入れてという部分、ここで将来的な指定水域の解除であるとか縮小といったことも入っているのかということでございますが、もちろんそれも視野に入っているんですが、そこの部分はこの記述の1行上の「将来的な指定水域及び指定地域の見直しや」といったところで、ここが区域の縮小とか一部解除とかそういったことを意識した記述となってございます。

 それからもう1点、豊かな海についての課題についても早急に進めるべきといったことは書けないかといった御指摘があったかと思います。総量削減の在り方というのを検討していく答申の中で、豊かな海のことまで書けるかというと、うまく書けるところがあるかどうかも含めて、一旦、見直してみようとは思いますが、感覚的なところで申し上げますと、全体の中ではなじむ場所が少ないような気もしているかな、というのが今の担当としての感触でございます。いずれにしても、中身をもう一度精査したいと思っております。

 以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 吉住委員、ということでよろしいでしょうか。

【吉住委員】 はい。豊かな海というところにはこだわりませんが、むしろ早急な検討を進めるとか、見直しのスケジュールとか、会議体とか、あるいは財政支援のところも少しお含みおきをお願いしたいと思います。

  以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 今の御指摘、書ける範囲でということにしないと、事務局、多分、きっと大変だと思いますので、御趣旨を踏まえて、可能な限り検討していただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、次に風間委員、どうぞ。

【風間委員】 風間です。ありがとうございました。

 今の4章もさることながら、先ほど1章しか質問言わなかったんですけど、2章、3章についてもあるんですけど、いかがいたしましょうか、委員長。

【岡田委員長】 まず、4章にしてください。

【風間委員】 はい、分かりました。

 では、4章につきまして、31ページ、ここのところ、東京湾の話ですが、本当に語調が弱くて、削減の必要性がちょっと伝わってこないような気がしました。例えばこの東京湾においての1行目、環境基準達成は向上しており云々とありますが、「向上しているが、こういった水域もある」というようにして、それから最も高くなんて書いてありますけども、東京湾は他の海域と比べて1.5倍から2倍と、やっと東京湾は大阪湾に追いついてきたのかなというくらい、飛びぬけて高いわけですので、ただ高くというのはちょっと弱いかなと思いました。

 それから6行目、「貧酸素水塊も発生しており」と書かれていますが、何かつけ足し的に聞こえてしまうので、「貧酸素水塊が依然として発生しており」ということで、18ページの上のほうに上昇した水域が見られるということから、「底層環境には明確な改善の傾向が見られない」というのを、「一部底層環境の改善が見られるものの」というような、何か非常に弱いところをもう少し強めに書いてほしい。

 それから、「規制の強化は行わず」と書いてありますが、ほかの水域はともかくとして、一般の産業系の事業場に関しては規制の強化は行わないものの、特に負荷の大きい下水処理場に関しては、今後、更なる削減が求められるというように、このままだと基準強化されなくて維持ということは、更なる削減が東京湾では求めていないように聞こえてしまうので、その辺を何とか強化といいますか、やってほしいなというのが一つです。

 それから33ページの(イ)のところ、指定地域内事業場に係るということで、一般事業場はいいのですが、「かなりの削減が図られてきた」と。何でここで「かなりの」と書くのかなと。そして、「現行の処理水準を維持していくこと」が妥当であるということを書いてありますが、環境での必要性が認められる水域においては、更なる削減努力が求められるということで、このままでいくと、東京湾内の下水処理場は基準強化されないから、このままでいいよというので、更なる努力がされないように思われてしまうので、その辺のところの記載を考えてほしいというのがあります。

 それから、大事なのが35ページ目。今後の課題のところの調査・研究の推進というところに、雨天時負荷の内容がここになってしまったわけですが、第4回検討会の資料5の65ページに、東京湾におけるCSOの算定結果というのが環境省の調査結果で出ておりました。それをぜひ図表のほうに記載してほしいと思います。そして、文章的に「具体的には」という表現が書かれていますが、この前半部分、(1)のところには、そのところの雨天時対策に関する内容があまり書かれていないので、「さらに」というようにちょっと表現は変えるべきではないかというのが4章に対しての意見です。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 今の御指摘、語句、それからある種、強調するということの御要望でございますが、事務局、ほぼ風間先生のおっしゃるとおりでよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室、行木です。ありがとうございます。

 文章をより強調するとか、字句の修正につきまして、御指摘を踏まえて検討したいと思います。

 1点だけ、CSOのあたりの「具体的には」ではなくて、「さらに」とすべきではないかというご指摘ですが、御発言の趣旨は理解いたしました。一方で、私ども、その上に書いてあることをさらに一歩進めてより具体的に記述したのが、その後の部分というつもりで書いておりました。そのあたりはお任せいただいてと申しますか、風間委員の御発言の趣旨は理解いたしましたので、全般を見直す中で、御指摘を踏まえて検討してまいります。ただ、少し事務局の趣旨と先生お考えのところと違うところもありましたので、その点、一言だけ触れておきます。

 以上です。

【岡田委員長】 よろしいですね、風間先生。

【風間委員】 4章についてはそれで結構です。

【岡田委員長】 では、次に田中先生、どうぞ。

【田中委員】 どうもありがとうございます。

 第9次でかなり考え方が大幅に変わって、フレキシブルな考え方になってきたことは評価したいと思います。その上で、もう一段階フレキシブルなことも、ちょっと総量規制の現状の体系ではなかなか難しいんでしょうが、言葉の中ではそれを少し強調しておいていただきたいことがあります。

 30ページの中で、基本方針がここの中で書かれていますが、第3パラフレーズの中で、こうした状況を踏まえて云々ということが書いてあるのですが、この考え方の中で、これまでの議論で季節を考えた状況の対応をどう考えるかということがどうもあまり明確に示されてないような気がします。総量規制ではこれまでは当然年間を通じた負荷量の削減になるので、いつそれを削減するかということはあまり明確に議論されてこなかったのですが、これまでのヒアリング、あるいはこれまでの議論の中でかなりはっきり分かってきたことは、栄養が足らない季節と、それから溶存酸素が非常に問題になる季節とが違うと。その考え方が今すぐに決められないにしても、そういうより細かな水域でのハンドリングがどうも重要そうであることは何となく皆さん分かり始めてきたのかなと思うんです。その旨が、どうもその次ではかなり場所場所の湾裏とか、一空間的なものについてはかなりきめ細かな水質の話が次の次のパラフレーズぐらいには書かれているのですが、季節を考えた変化という対応というものが何か弱いような気がします、ここの中では。だからそこをまず最初に少し述べられないのかということです。

 二つ目は、31ページ目の各指定水域に対する事項のところです。どこの水域も当然、窒素、りんはある程度達成できて、CODが残ってるから、CODをやっぱりこれからターゲットにしていかないといけない。それは分かるのですが、例えばその中で、東京湾の中の書きぶりの中で、アの次の二つ目のパラフレーズで、このためのところで次の2行目のところが重要な言葉が書かれてるのですが、有機汚濁解消の観点、CODの今の問題というのは、いわゆる有機汚濁解消のためにやるのか、この辺が私は非常に疑問に思う。指標としては、有機汚濁のCODを示している部分はあると思いますが、有機汚濁の解消のためにCODはやるのか。何かこの書き方から言うと、ダイレクトに書かれてないですが、有機汚濁のイメージから言うと、溶存酸素を食うでしょうと。だからそれが底質の問題につながってるんじゃないですかという誤解を招く可能性があると思うんですが、ここの部分の書きぶりというのは、この書き方でいいのかどうかは私は非常に疑問に思います。

 それから、その次です。33ページ目あたりでアのところの(ア)、これから全指定水域に対する事項というところで、何を対象にしていくかというところで、当然生活系の汚濁負荷量はさらに下げる、これは先ほどの議論から言うとCODの議論だと思うんですが、そうであるとすると、先ほどの有機汚濁というイメージとちょっと合わないのですが、CODの原因になっているものは、生活系とか工業系以外に(エ)で書いてある農業系のような、いわゆるもっと土壌そのものもCODで引っかかってくるので、ノンポイントを含めた負荷量削減、こういうことについてのやはりコメントというのは何か要るんじゃないのかと。恐らく後ろのほうで、それは科学的な今後の調査の対象として当然あるのですが、いわゆる有機汚濁と言っているイメージがCODについては、多分、そのまま当てはまらない部分が多いので、そういう部分も含めた少し書きぶりを考慮する必要があるんじゃないかと思います。

 それから、最後は35ページ目の今後の課題のところです。これはちょっと確認の意味で聞きたいのですが、(1)の総合的な水環境改善対策の検討のところの5行目あたりから、水域全体の汚濁負荷量の削減と書かれていますが、この水域と言っているのは、流域まで含む水域という意味ですよね、という確認です。いわゆる水に入ったところだけのエリアではないですよねと。これはちょっと質問なので、これは答えてほしいということです。

 それから、二つ目のパラフレーズの中で、底層DOの話が予測技術の向上というのを書かれていますが、予測向上の前に、なぜ底層DOがまだ改善されていないのかという原因追及、これは栄養塩の削減を果たしてやらなくても本当に大丈夫かどうかという議論を今後きちんとやっていく必要があると思うので、ここの部分も含めた研究開発というのをしっかりやってほしいということです。そういうところです。

【岡田委員長】 今の5点、いいですか、先生。

【田中委員】 はい。

【岡田委員長】 また思いつかれたら、後でどうぞ御発言ください。

 では、事務局から。今、田中先生から五つ御質問ありましたが、可能な限りお願いいたします。どうぞ。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室の行木でございます。御指摘ありがとうございました。

 まず、1点目の季節の観点が抜けているということ、これは先ほどの小川委員からの御質問とも関わってくるところかと思います。確かに御指摘のとおり、今の4章のところで季節の違いを追記したいと思います。具体的に申しますと、貧酸素水塊などは夏の高温期が中心に当然起きてくるわけでございますが、一方で栄養塩の不足、例えば冬季のノリ養殖の色落ちといったことなども指摘されているということで、季節によって違いがあるということは、ここまでの議論の中でも明らかとなっておりますので、そのあたり盛り込むように検討したいと思います。

 それから、2点目のところです。このあたりは有機汚濁、底層DOを考える中で有機汚濁をどう捉えるのか。これはCODが何の由来、何によるCODなのか、どういうCODなのかというところと関わってくるという御指摘かなと思っております。ここの点につきましては、その後のほうの御指摘とも関わってくるとは思いますが、31ページとして表現をどうするのか、あるいは4章全体の中で、今後の課題ですとか、調査・研究の中も含めてどのように整理をするのかということ、検討させていただきたいと思います。

 それから、33ページのノンポイントを含めた負荷削減のあたりです。このあたり、今の総量削減というところで言いますと、規制の対象の範疇からは抜けてしまうわけですが、今後、考えていくべきところとしては、今、規制に入っていないところも含めて、現在の水域の状況を考えて検討していくべきと思っておりまして、そのあたりも御指摘も踏まえて、4章全体検討してみたいと思います。

 それから、35ページ、(1)の御質問、水域とあるのは流域も含めた視点なのかという点です。御指摘のとおりでございまして、総量削減制度を指定水域を定めておりますが、その水域に流入してくる地域も含めての話でございます。

 それから、最後の点です。予測技術向上などの前にCODの由来と申しますか、底層DOなどとも絡めまして、有機汚濁の観点から、もう少し原因をしっかり追求して、それを踏まえた対策に切り替えていくべく検討をすべし、ということと理解いたしました。その点、先ほどお答えした点とも併せまして、4章全体で検討させていただきたいと思います。

 御指摘ありがとうございました。以上です。

【田中委員】 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、中村委員、どうぞ。

【中村委員】 中村です。31ページと32ページの部分について御質問させてください。

 この部分で各指定水域に対して窒素、りん、CODを今後どうするのかという極めて重要なところが書いてあり、かつ、東京湾、伊勢湾については、窒素、りんは更なる負荷の削減のための規制強化は行わずというところが非常に大きな転換になっています。

 また、大阪湾については、CODも含めて削減の規制強化は行わずというところが記載をされていて、これがこれまでの第8次までの削減の在り方と転換した重要なポイントだというように思います。

 質問は、大阪湾だけがCOD、窒素、りん、三つとも更なる規制強化は行わずとなっております。東京湾、伊勢湾については、CODは引き続き削減をするんだという書きぶりになっていました。大阪湾だけがなぜCODはもういいのかというところの論理構成がよく分からない。資料を読むだけでは、この各湾の記述の中では、まず環境基準の達成状況が説明してあり、それから貧酸素水塊や底質環境の状況が示されています。ところが、大阪湾はこの環境基準の達成状況や貧酸素水塊の状況が他の東京湾と伊勢湾に比べてよいのかどうかという記述が、これまでの例えば18ページまでの2章、3章のところの記述でもあまりはっきり書かれていない。なぜ大阪湾だけがCODも含めてこれ以上の規制強化はしないということになっているのか、この論理をはっきりさせておかないといけないのではないかと思います。

 さらに言うと、貧酸素水塊の状況も絡めて、このCODの規制がされるかのような記述に思えるわけですが、CODは底層DO、貧酸素化と相関関係が悪いということで、底層DOの基準が決まった経緯がある。底層DO、貧酸素化の状況を踏まえて、CODの規制と関連づけるのは少し論理的に弱いのではないかと思います。

 さらには、例えば貧酸素水塊の状況については18ページに記載があるわけですが、18ページの大阪湾の記述は瀬戸内海とまとめて記述をされているだけで、大阪湾の状況については特段の詳しい説明はありませんので、さらに論理は弱くなっているというように思います。この文章を説得力のあるものに変えていかないと、なぜ大阪湾だけがCODを含めての規制強化をしないんですかという質問に答えられていないと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 御指摘ありがとうございます。

 それでは、事務局からお答えください。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室の行木です。御指摘ありがとうございました。

 まず、なぜ大阪湾だけはCODを更なる負荷削減はしないという結論になっていて、東京湾と伊勢湾と違うのかという点でございます。御指摘を踏まえて論理構成をよりはっきりさせるという観点で、もう少し記述を充実させまして、その点、なぜこのように考えているのかという点を明らかにしたいと思います。その上で、今、ここまででなぜそのような論理構成になったかという事務局の考えを共有させていただきますと、東京湾、伊勢湾につきましてはCODの環境基準が低くて、貧酸素水塊の問題も発生していることに加えて、底質や底生生物といった底層環境に明確な改善傾向が見られない状況にあります。一方で大阪湾では、明確な改善傾向が見られているというところが大きな違いと思っております。先生御指摘のとおり、今のところでは18ページに底層のあたりについて記述をしているのですが、大阪湾のところの説明がいま一つ明確ではないところがございましたので、そのあたりの記載も充実させまして、なぜこのような考えになったのかということがよりはっきりするように工夫をしたいと思います。御指摘ありがとうございました。

【岡田委員長】 というお答えですが、中村先生、よろしいでしょうか。

【中村委員】 方向性はいいと思いますが、環境基準の達成率だけを見ても、大阪湾と東京湾、伊勢湾というのは、最近はほとんど違いがありません。ですから、これを理由にするのは弱いと思います。これも含めて御検討ください。

【岡田委員長】 ありがとうございました。では、事務局、よろしくお願いいたします。

 次に、古米先生、どうぞ。

【古米委員】 古米です。私からは、30ページ以降の4-1に関して二つと、4-2に関して二つ、コメントというか意見を申し上げたいと思います。

 まず、4-1の30ページ目のちょうど中間あたりに、「こうした状況を踏まえ、陸域からの汚濁負荷量の更なる削減は必要最低限にとどめ」という言葉があって、その後に、窒素、りんの削減については今までどおりですよと書いてあります。後半を含めて全体を読むと、この陸域からの汚濁負荷の更なる削減というのは、主にCODを意識した形で書いておられます。文章として、汚濁負荷削減は最小限だが、りんと窒素の削減は現状維持ですよという文章のつながりが若干分かりにくいと思いますので、もう少しCODと窒素、りんを区別したような形の汚濁負荷の取扱いを考えていることを記述したほうがいいのではないかなというのがコメントです。1個目です。

 2番目は、33ページの全ての指定水域に関する事項というところのアの(ア)のところです。生活系汚濁負荷量の削減のために、十楽は下水道事業で窒素、りんを高度処理等で削減する議論がありましたが、今回は、N・Pについては更なる削減ではなく現状維持ということになったので、高度処理という言葉が消えているように私は理解しました。

 一方で、下水道関連ではCSO由来の汚濁負荷の記述はありますが、生活系の負荷のほとんどは下水道由来になっているにもかかわらず、特段の記述がありません。そこで、今までは記述されていませんが、再生水を利用することで、の負荷削減を記載してはと思います。処理水を排出しないで循環利用するということは受水域への負荷量が実質的に減ります。再生水の利用を推進するということによって、結果的に受水域への負荷を削減するということは、今回の提言の枠組みの中でも十分意味のあることだと思います。東京湾、伊勢湾、大阪湾には多くの大都市がございますので、再生水の利用を推進するという形での下水道分野による排出負荷量を削減するという記述を追加すると、新しい軸が生まれるのかなと思います。

 続いて、4-2の今後の課題のところについて二つです。今回の総合的な水環境改善対策だとか、調査・研究の推進のところで、面源由来の汚濁負荷量のことが丁寧に記載されています。いわゆる陸域由来の汚濁負荷の中でも、従来から、総量削減の中ではベースとして扱われたようなその他という面源負荷量にしっかりと目を向けなければいけない。逆に言うと、点源の汚濁負荷量を下げてきたので、面源負荷の影響が大きくなったので、それもしっかり見ないといけないということが記載されています。これは第8次総量削減のときにも議論させていただいたのですが、この全体の汚濁負荷量の内訳の評価において、その他は原単位法を使っています。しかし、昔ながらの原単位の値を使ったまま、今回も面源負荷が市街地、山林、水田、果樹園から出てきていると評価されています。前回は過去の汚濁負荷量の評価との継続性から原単位を変えて、その傾向を見るには急に原単位を変えることはできないということで、原単位を変更するということにはなりませんでした。しかし、面源負荷量をしっかりと議論するという記述が今回は出てきましたので、そういった意味においても、原単位という言葉をこの4-2の今後の課題の中に明記していただきたいと思います。特に今回は陸域の汚濁負荷流出モデルも組み込んだ形の水質予測をして、実際上、モデル上でもかなり面源負荷が出てきてそうだと。今回のモデルが正しいという意味で言ってるいるのではありませんが、従来の原単位というものとの整合性が取れているのかを検討すべきです。例えば、流域別下水道整備総合計画における原単位であるとか、同じ環境省が扱っている指定湖沼における面源の原単位みたいなものとの関連性も徐々に議論されてきてます。そのような検討に向けて、原単位に関して少し記述を入れていただきたいというのがこの4-2に関するものです。

 最後は、36ページの情報発信及び普及・啓発の充実というところです。

 最近、情報発信の重要性として、情報を共有して目標を持つという意味では非常に意味があります。しかし、情報公表して発信するだけでとどまっている傾向があります。そこで満足してはいけなくて、要は情報が確実に住民であるとか、あるいは利害関係者に周知されていると、理解していただいているということがより重要です。したがって、周知という言葉は入れたほうがいいかなと思います。情報発信に加えて周知という言葉を入れていただき、本当に皆さんが公表した情報を御理解いただけているのかということをPDCA等でチェックするということにつなげてもらいたいと思います。是非、追加いただければと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 今の御指摘、多分、最初はコメントですが、再生水の話、それから面源等の話、最後の情報発信、これ、いずれもよろしいですね、事務局。

【行木室長】 御指摘踏まえて、記載検討いたします。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 それでは、岡本先生、お手が挙がっているようですが、どうぞ。

【岡本委員】 ありがとうございます。

 既に幾つかほかの委員の先生から御指摘がありましたので、それ以外で2点ほどコメントさせていただきます。

 4-2の35ページの(1)の3パラグラフ目になります。ここで窒素、りんの環境基準達成率に比べ、CODの達成率が十分に向上してない、そこで終わって、その後、底層DO関連の話になります。先ほどの有機汚濁解消に関する御意見にも関係するのですが、まずここで、30ページの頭にもありますように、流入負荷が減っているにもかかわらずCODの水質が改善しない、環境基準の達成率も上がってこないという、この要因の検討を早急にしていくということを明確に、ここか、あるいは次の(2)に書いていただく必要があるのではないかと思います。

 今回の対策については、特にCODは、生活系の汚濁について引き続き削減していくという方向性ですが、一方で、これも前のほうに書いてあるとおり、汚水の処理比率も90何%、あるいは瀬戸内、伊勢湾でも80%に達するということです。今後の水質にどういう要因が関わるのか、雨天時負荷なのか、外海からの負荷なのか何なのか、ここをやっぱり明確にしていくということが極めて重要だと思いますので、御検討いただきたいと思います。

 それから、その次のパラグラフで、4行目ぐらいになりますか。既存の環境基準に関する達成状況について、評価方法や既存の類型指定の状況について改めて検討していく、と書いていただいて、これは非常に重要であり評価したいと思います。この書いていただいた意味が、CODの有機汚濁の関係思ったのですが、一方で、先ほど中村先生からもCODと、底層DOの関連性というのは弱いんではないかという御指摘もございました。そうすると、CODの類型指定なり基準の在り方ということそのものについても、そろそろやっぱり議論していく必要があるのかなと思っているのですが、ここについて、どういった意図で記載されたのかお聞きしたいと思います。これは質問でもあり、コメントでもあるのですが、以上、2点よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 では、事務局からお願いいたします。

【行木室長】 ありがとうございます。

 まず、一つ目の点に関しましては、記載の場所に関しましては、(2)かなとも思いますが、御指摘のとおり、CODの流入負荷が下がってきているのに、CODの環境基準の達成率というところにはなかなか現れないあたりの要因分析ということも重要な課題と認識しておりまして、記載に関しては工夫をしてみたいと思います。

 それから、二つ目のところでございます。このあたりの記載に関しましては、今の水域は様々な状況がある中で、底層DOという環境基準が新たにできてきましたのが平成28年でございますが、現状ではまだ類型指定がされておられず、まさにこれから、ちょうど初めて類型指定をするところが間もなくでてくるというような段階でございます。この底層DOは生物の生息環境などに関する状況を直接的に評価できる指標ということで、これまでの指標にはなかった概念が入ってきます。そのあたりも踏まえまして、今、いろいろと変化のある水環境につきまして、よりどのように評価をしていくことが的確で効果的なのかといったことも底層DOの類型指定でいろいろと知見も深まってまいりますので、そのあたりも併せて検討を進めていきたいという気持ちも入っているところでございます。

 環境省水環境課からもし何か追加で補足があるのであれば、コメントを頂ければと思いますが、閉鎖性海域対策室からは以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。では、水課で手短にお願いします。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。

 今、岡本委員から御指摘あった話のところでございますが、ほとんど行木室長からお話したとおりでございます。そういう意味ですが、CODの達成率というところ、今は75%値で評価しているという中で、やはりいろんな要因、外部からの負荷、外海の影響、温度、それからCOD自体どういうCODなのかというところも含めて考えていかなくてはいけない。そういうところも含めて、今後、やっぱり検討していかなくてはいけない課題が多くあるということで、こういう記述をしているところでございます。

 以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 あと東委員がちょっと手が挙がってますが、簡潔にお願いいたします。

【東委員】 まず、東京湾、伊勢湾についてですが、貧酸素水塊に改善が見られない東京湾、伊勢湾において、窒素、りんを規制強化しないということは、もう削減は必要ではないという意味にも読み取れます。本当にそれでよいのかということが一つ。

 特に東京湾の貧酸素水塊の改善は長年の重要課題であったと思いますが、今後、その改善に向けて、窒素、りん削減以外にどのようにやっていくか考えがあるのでしたら、記述していただきたいと思います。

 あともう一つ、4-2の今後の課題ですが、気候変動だけでなくて、陸域の変化については、もう少しきちんと述べるべきではないかと思います。例えば人口や産業の変化、取水や排出などの人為操作の影響もかなり大きいと思います。特に貧酸素水塊の改善が見られない東京湾、伊勢湾では、その貧酸素水塊の発生の原因特定に向けた重要な検討になるのではないかと思いますので、ぜひ追記をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

【岡田委員長】 事務局、今の御指摘いかがでしょうか。

【行木室長】 ありがとうございます。まず、東委員の1点目でございますが、そのあたり、季節的な変動というあたりも今は抜けているところでございます。それから窒素、りんにつきましては、先ほどの事務局からの説明の中でも、局所的な問題の解決という点では当然排除しているわけではございません。それから、今、記載が十分ではございませんが、夏と冬の水質の状況ということにも鑑みて、トータルの負荷量のコントロールということと、また別に、その中でより水質の悪化が生じやすい、貧酸素水塊が発生しやすい夏をどうするのか、栄養塩が足りない冬をどうするのかという視点をしっかり書くというようなことをさせていただきたいと思います。

 2点目の陸域についての記載の充実、承知いたしました。検討いたします。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 風間委員、先ほどの残りの初めの1から3章で追加だと思いますが、どうぞ。

【風間委員】 2章のところです。19ページのところの水温の項目が非常にさらっと書かれていますが、前の第5回の参考資料の36ページに書かれたような水域別の全国の図、ああいうのを使って、もう少しコメントを、すごく水温大事なので入れてほしいということ。3章の(6)気候変動の水質影響(26ページ)においても、水温については、ほかからの話が主で書かれていますが、今回、明らかになった各水域の水温の話もちょっとあったらいいんじゃないかなというのが一つ。

 それから、障害の貧酸素水塊、20ページのところです。これは文面が、各々の調査目的がちょっと違うので、それも後で事務局に送りますので、御検討ください。

 同じ20ページの下のところ、水産資源の状況のところ、これは千葉漁協さんの栄養塩不足と漁期中を通しての高水温のためノリ養殖が不作となっているというその訴えといいますか、それが記載されておりませんので、できれば追加ください。

 それから、22ページ、底質・底生生物、これをシルト・粘土分の割合とか、硫化物とか、TOCとか、何を表すというのが一切書かれていませんので、図表も含めてもう少しコメントをつけてほしいと思います。特に硫化物については基準値を示しておりますが、それが有害であるということを少し資料のほうでつけてほしいということです。

 それから、3については、各溶出試験の実験のデータだけはありますが、溶出って一体どのくらいあるのというような全体の規模のイメージが全然湧かないんですね。それで東京都の実施した報告書、後ほど事務局に送っておきますので、何かそういうのも使ってもらえばなと思いました。

 それから、同じように藻場・干潟を、参考資料のほうの図84というのがありますが、何かそれも抽象的なので、今回、炭素貯留を加筆してくださったので、できれば湾岸自治体にあります各水域における形態別炭素貯留量というような図がありますので、それも入れることを御検討ください。

 以上です。お願いします。

【岡田委員長】 ありがとうございます。今の資料等は具体的に風間先生から事務局に御連絡というか、御指示いただけるということでいいですか。

【風間委員】 はい。

【岡田委員長】 助かります。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 事務局、そういうことでよろしいですね。

【行木室長】 はい、検討させていただきます。

【岡田委員長】 では、風間先生、よろしくお願いします。ありがとうございました。

 それでは、ちょっと時間が押してまして申し訳ございませんが、この資料2につきましては、本日たくさんの御意見を頂き、本当にありがとうございます。それを踏まえまして、事務局で修正した上で、今後のパブリックコメントということにしたいと思います。そうは言いましても、まだ、今日、時間が若干足りなくて、まだまだ御意見あるかと思います。追加で御意見、ぜひというのは言い過ぎかもしれませんが、1週間くらいを目途に事務局に御意見を、もしくは御質問でも結構ですが、お寄せいただければ大変有難いと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、その他の議題でございますが、事務局から簡単に御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省の浜名でございます。

 資料3についてでございます。実は、第4回と第5回で配布していました資料に誤りがございましたので、正誤表を整理いたしました。大変申し訳ございませんでした。お詫びいたします。また、この資料をもって訂正とさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。これはよろしいですね。決していいことではないんですが、時々あることですので、御了解いただければと思います。

 本日の議題は以上でございますが、今、どうしてもという御意見、御質問ありましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

 特段よろしいですか。

 先ほどもお願いしましたが、ぜひ追加での御意見等がございましたら、1週間ということで、事務局にお知らせいただければ大変有難いと思います。よろしく御協力ほどお願いいたします。

 それでは、事務局から何かほかに連絡事項ございますでしょうか。

【事務局】 本日の議事録についてですが、速記がまとまり次第、皆様にお送りいたしますので、御確認をお願いいたします。全員の御確認をいただいたものを、環境省ウェブサイトにて公開いたします。

 また、次回の日程は既に調整させていただきましたとおり、令和3年3月9日火曜日の10時からを予定しております。次回は、総量削減専門委員会報告案の取りまとめの御審議をいただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。くどいようですが、本日はたくさんの御意見を頂きまして深く感謝いたします。本当にありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして第6回総量削減専門委員会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

午後5時58分 閉会