中央環境審議会 水環境部会 総量削減専門委員会(9次)(第4回) 議事録

議事次第

1.開会

2.議題

(1)汚濁負荷削減対策等の実施状況について

(2)指定水域の水質汚濁メカニズムについて

(3)水質将来予測について

(4)その他

3.閉会

配付資料

  • 資料1 総量削減専門委員会委員名簿
  • 資料2 汚濁負荷削減対策等の実施状況
  • 資料3 指定水域の水質汚濁メカニズムについて
  • 資料4 水質将来予測について
  • 資料5 委員会における指摘事項等への対応
  • 参考資料 総量削減専門委員会(第1回~第3回)における主な指摘事項等について

議事録

午後3時01分 開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第4回総量削減専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき誠にありがとうございます。

 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、WEB会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけしますが、会議中、音声が聞き取りにくい等、不具合がございましたら、事務局までお電話、またはWEB会議のチャット機能にてお知らせください。

 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。

 議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。

 なお、御発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言の意志はこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、御協力よろしくお願いいたします。

 去る9月19日に、本専門委員会の委員長をお務めいただいておりました細見正明先生が御逝去されました。謹んで御冥福をお祈り申し上げるとともに、御報告させていただきます。

 細見委員長の後任としまして、中央環境審議会運営規則に基づき、水環境部会の白石部会長代理より委員長の指名を受け、岡田光正委員に本専門委員会の委員長を務めていただくことになりました。岡田委員長におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします

 本日の出席状況でございますが、委員16名中、14名の御出席をいただいております。

 なお、小川委員、平沢委員からは御欠席との御連絡を頂いております。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前に御案内のとおり、議事次第のほか、資料1が委員名簿、資料2が汚濁負荷削減対策等の実施状況、資料3が指定水域の水質汚濁メカニズム、資料4が水質将来予測、資料5が委員会における指摘事項等への対応、参考資料としまして、総量削減専門委員会(第1~3回)における主な指摘事項等についてとなっております。以上が本日の資料でございます。

 なお、資料につきましては、WEB会議システムの資料共有機能により、事務局より画面に掲載いたします。事前にお送りしております資料は、必要に応じお手元で御参照願います。

 それでは、この後の議事の進行につきましては、岡田委員長にお願いしたいと思います。岡田委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 了解いたしました。

 委員の皆様方におかれましては、大変御多用の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 今までは細見先生にお願いしていたわけですが、急逝ということで、再び私が出ることになりました。よろしくお願いいたします。

 本日は17時30分の終了を目途に議事を進めさせていただきます。御協力のほどをよろしくお願いいたします。

 早速ですが、議事に入りたいと思います。

 最初の議題は汚濁負荷削減対策等の実施状況についてとなっております。第2回、第3回において関係者からヒアリングした、水質総量削減制度に係る取組の実施状況についてまとめたものでございます。事務局から、資料2により御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省閉鎖性海域対策室の浜名と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ではございますけれども、資料2について御説明させていただきます。

 平成27年12月の第8次水質総量削減の在り方の答申においてですが、第1部から第4部の構成になっております。第1部としまして水質総量削減の実施状況、第2部で指定水域における水環境の状況、第3部で指定水域における水環境に係る分析、第4部で第8次水質総量削減の在り方についてというように構成されてございます。

 今回お示ししている資料2ですが、汚濁負荷削減対策等の実施状況ということで、こちらは第8次答申の際の答申第1部に制度の概要、それから負荷量の状況、その次に掲載されるという構成で使用してございます。第9次の答申におきましても、この構成は基本的に維持しようと考えておりますので、専門委員会の第1回でお示ししております制度の概要、負荷量の状況と合わせまして、本日のこの資料も答申のベースになる資料ということでイメージしてございます。

 この汚濁負荷削減対策等の実施状況についてですが、負荷削減その他の指定水域の水質改善等のために、あるいはこれに資するものとして実施されている取組をファクトベースで記載するという性質のものでございます。1.で汚濁負荷削減対策の実施状況として、(1)で生活系、(2)で産業系、(3)でその他系の取組を、2.で汚濁負荷削減対策以外の対策の実施状況としまして、(1)で干潟・藻場等の対策、(2)で底質の対策、(3)で水質管理の取組、(4)でその他の取組といったもの、また、3.で第8次の水質総量削減の進捗状況を記載しようと考えてございます。

 では、まず資料2の1ページ目、「1.汚濁負荷削減対策の実施状況」についてでございます。これは第8次の答申をベースに数値の更新をしつつ、見た目や表現ぶりを変えようとしている部分を中心に御説明したいと思っております。

 まず、1ページ目に、昨年浄化槽法が改正されましたので、そのエッセンスを記述しようとしております。下から5行目、「また、令和元年度に」というところの2行が該当してございます。

 続いて、2ページ目に、指定地域の概況。

 それから3ページ目に、高度処理人口と実施率の表となってございます。

 4ページ目は産業界についてですが、ここは特段記述の変更等は不要と考えてございます。

 5~8ページ目で、ヒアリングの際に関係団体から示された資料を掲載してございます。

 9ページ目、(3)のその他系でございます。ここも数値のリバイス以外、特段の記述の変更は不要かと考えてございます。

 10~12ページ目は、ヒアリングの際に農林水産省からお示しいただいた資料でございます。

 13ページ目からは、「2.汚濁負荷削減以外の対策の実施状況」でございます。水産多面的機能発揮対策という取組が引き続き行われておりまして、その概況が14ページでございます。

 15ページは、ヒアリングで示された府県の取組事例でございます。

 16ページは底質改善の取組でございます。深堀り跡の埋め戻しを継続実施しているというものでございます。また、瀬戸内海水域での海砂利の採取は引き続き原則禁止となっているところでございます。

 17ページは、ヒアリングの際に大阪府からお示しいただいた資料でございます。

 18ページは、海砂利の規制状況、内容は第8次と同様でございます。

 19ページ、水質管理に向けた取組です。下水処理施設の季節別管理運転の記述を時点修正しております。また、ヒアリングの際に兵庫県から説明がございました、条例改正の取組についても紹介してございます。

 20ページは、その兵庫県の取組でございます。

 21ページは、その他の水環境の改善等に資する活動でございます。ヒアリングの説明から作成してございます。

 22~24ページ、こちらは第8次の答申にはなかった内容ではございますが、第1回の専門委員会におきまして、最新の数値を用いてほしいと御要望がございました。事務局としましては、令和元年度の実績値が整えば、仮に速報値のレベルであってもお示ししたいと思っていたところではございますが、一部の自治体におきまして整理が遅れているという状況もございましたので、令和元年度の数値をお示しするというのは諦めまして、平成30年度の実績値というものが整いましたので、そちらをお示しさせていただきました。

 なお、23、24ページの見方に関わる部分ですが、実績/目標というように表記してございますので、100%以下になっているものは目標を達成しているという意味でございます。したがいまして、第8次の部分、平成30年度末時点で、既に令和元年度までの目標を達成しているものは100%以下の表記に、100%を超えている表記のものは、目標までまだあと少しといった状況であると読んでいただければと思います。

 資料2の説明については、以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。風間委員、お願いいたします。

【風間委員】 風間です。4点ばかり、よろしいでしょうか。

 1点目、13ページ、干潟・藻場の保全・再生・創出でございます。干潟のところです。ここにつきましては、干潟・藻場というのは陸と海の物質循環の結節点であり、地球温暖化への数少ない緩和策であるブルーカーボンの機能を持つというように、第3回に海辺つくり研究会の古川先生がおっしゃっています。横浜では市民が再生会議や企業などとアマモ場の再生活動をしている事例が紹介されております。地球温暖化なども視野に入れる意味からも、ブルーカーボンのことを明記すべきではないかと思います。実施状況ということで、国がやっている仕事がここに多く記載されてはいますけども、研究・試算ンの状況としても、このブルーカーボンのことをここで少し示したほうがよいのではないかと思いました。

 それから2点目、16ページです、底質環境の改善です。こちらにつきましては、冒頭に述べられておりますように、底質は生物影響の視点と溶出の視点が重要だと思います。東京湾におきまして、9都県市の底質調査結果に浚渫の実績が経年データで掲載されております。それとともに湾代表地点における環境保全度の推移及び底質のCOD、りん、全硫化物の推移が示されております。これほど経年的に浚渫を行ってきても、環境保全度の回復は難しく、底質の改善も進まない事例として取り上げてはいかがなものでしょう。

 3点目、21ページ、その他の水環境の改善等に資する活動という点でございます。こちらは第3回に海辺つくり、古川先生の7ページにあったような市民の動きが記載されておりません。記載されているのは民間企業の話のみでございます。けれども、せっかくヒアリングでやっていただいた、市民の動きを記載していただきたいと思います。特に多様な主体の連携について記載が求められます。遊漁船や釣り人の連携による水産資源保全活動、市民らによるアマモ場の再生活動、夢ワークショップ、地域開発の連携などということで、市民の動きを記載してほしいと思います。

 同じページの下方に、海洋プラについても記載されているんですが、事業者によるペレットの回収ということよりも、御存じ7月1日からレジ袋廃止ということで、陸域の多くの市民が努力していることのほうが重要ではないかと思います。

 続きまして、22ページでございます。第8次の水質総量削減の削減目標量の進捗状況のところですが、この後に示されております雨天時の負荷について後半に示されていて、発生負荷量に比べて、雨天時の負荷がCODで1割程度というように記載はされていますが、その反映がこちらの項目の中には記載がありません。数字でなくても文字か何かで、せっかく今回初めて雨天時負荷のことを明確にしていただきましたので、何か反映をしてほしいなと。

 というのは、各年次のCOD負荷の削減割合が1割程度ということに比べまして、雨天時の負荷も年平均で1割、実際には夏場に多いわけですから、そうすると2割ということで、結構寄与の程度が大きいと思っておりますので、何らかの形で、雨天時負荷のことをこちらに記載していただきたいという、以上4点でございます。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 では事務局、今の点よろしいですか。どうぞ。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 風間先生、ありがとうございます。4点頂きまして、順番に現時点でお答えできることを回答させていただければと思います。

 まず1点目、13ページに関わるところですけど、ブルーカーボンについてでございます。御指摘の点、承知いたしました。底質に関する議論と少しかけ離れる部分もあるのかというのがありますので、書きぶりや、取扱いについて、内部で引き続き検討をさせていただければと思っておりますが、御指摘の点は非常に重要な視点だと認識してございます。

 続きまして、16ページでございますが、生物影響の視点ということと、それから溶出の視点ということでございました。御指摘の点は、この16ページの最初の2行にも端的に記載されているところですが、御説明ございました、これだけやっているのに関わらず、底質の改善が進まない事例として取り上げるかというところですが、頑張っているところ、取り組まれているところを、こんな取組をされていますということで事実関係を記載しています。進まない事例として取り上げるというよりは、これまでも継続してやっている取組なので、どちらかというと、良い取組として捉えたいと思っているところなので、書きぶりなど検討したいと思っております。ありがとうございます。

 続きまして、21ページでございます。市民の取組というのをきちんと記載いただきたいということで、重要な視点だと思っております。抜けておりましたことを申し訳なく思いますし、プレゼンいただいた古川先生の資料を再度確認いたしまして、書きぶりなどは検討させていただきたいと思っております。

 レジ袋の部分は、水質と少し遠い部分があろうかとは思いますが、市民の取組、それからプラスチックごみの発生抑制というのは非常に重要な観点なので、どのような記述ができるか、少し検討してみたいと思います。

 22ページの雨天時の負荷量のことですが、こちらも後ほど御説明させていただく資料5のところでもお話ししたいとは思っております。既往の文献を分析いたしまして、このようなことが書かれているといったことを資料5で整理させていただいているのですが、CSOの問題というのは、いろんな調査というのはありますが、なかなか実態がつかみづらいという現状がございまして、なかなか今資料に掲載されているものが、それをもって何か取組を進めていくべき根拠資料となるかというと、まだ何とも言いづらい部分はあろうかと思っております。重要な視点ではありますが、どのように取り上げられるかというのは、引き続き検討したいと思っております。

 ありがとうございました。

【岡田委員長】 風間委員、よろしいですか。

【風間委員】 大体はよろしいんですけども、4番目の、確かにCSOは数字として書くのは難しいですが、せめて雨天時についての状況について、少し取り組んでいることが分かるような書きぶりというか、その辺のところを御検討をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 事務局、よろしいですね。ありがとうございました。

 それでは、古米先生どうぞ。

【古米委員】 古米です。

 私からは、二つございます。まず最初は、1~3ページの生活系汚濁負荷の削減対策のところです。指定地域における生活系の汚濁負荷ということで、東京湾、伊勢湾、大阪湾、さらに大阪湾を除く瀬戸内海と記載されています。大阪湾を瀬戸内海から切り分けて二つに区分して整理しておりますが、高度処理の部分に関しては、瀬戸内海関係府県ということで全体で取りまとめております。大阪湾を特出しをして検討をするという方向性が出ていますので、ページ3のところにおいても、京都府と大阪府に加えて兵庫県と奈良県について、大阪湾に関わる部分を区別できるのであれば、それを入れた形で高度処理率を入れることが、より正確な知見となるのではないかというのが1点目です。

 2点目はコメントです。22ページ以降に第8次の水質総量削減の削減目標量の進捗状況の説明があり、令和元年度のデータを出したかったが、自治体によってはまだ整理ができていないということで、平成30年度の発生負荷量等が記載されていました。今回は致し方ないのかなと思います。次回このようなデータ整理の機会があったときには、どうして最新の令和元年度のデータが整理できてないかを、できていない自治体に関しては、コロナの影響だったのかも分かりませんが、迅速に対応できるような検討をしていただくようにお伝えすることが、重要ではないかと思います。最新の情報で専門的な議論をするためには必要だと思います。次回はそのような対応を取っていただきたいというのがコメントです。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。では、事務局。特に最初の。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 大阪湾の部分を分けていただけないかといった最初の御指摘ですけれども、資料を提供いただいた下水道の取組ですので、国土交通省さんにそういったデータがつくれるかどうか少し確認してみたいと思っております。可能なものについては、対応したいと思っております。

 もう1点、令和元年度のものがないということですが、コロナの影響でももちろんありますが、この調査は、実は例年取りまとめの速報版が出るのが大体12月というようなスケジュール感なので、特に今年さらに急がせるという状況はなかなか難しいと思いますし、なかなかスピードを上げられるかどうかというのは、やり方も含めて検討になりますので、現時点で次回はできますと言いづらいところがございます。御理解いただければ幸いでございます。

【古米委員】 政府でデジタル化の推進等も検討されていますので、従来どおりのシステムであるとか、データ収集というものを5年後には改善いただけるものかなと期待しております。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 では、田中先生、どうぞ。

【田中委員】 どうもありがとうございます。田中です。

 私、1点だけです。今日の資料5で、肥料の使用実態の話をつけていただいているので、それに絡めたデータ、せっかく初めてまとめていただいたデータなので、9ページ目のその他汚濁負荷の削減対策で書かれている情報の横に、このデータをできれば入れていただけると非常に分かりやすいのかなと思いました。

 というのは、ここに書かれている、以前にお願いしたときも、化学肥料の削減部分と、それから畜産系からの有機肥料化、それによるたい肥化でいろいろ努力されていて、全体像としてどう比率が変わってきているのか、特に有機肥料化することによって出てくる、化学肥料に比べて出方がかなり抑制されるという効果も期待されるところもあるので、全体像としてどう変わっているのかが極めてよくまとまった絵なので、これは非常に貴重な絵ですので、この絵をできれば入れていただけると有り難いと思いました。これはお願いです。

 以上です。

【岡田委員長】 どうぞ、事務局。

【浜名室長補佐】 田中先生、ありがとうございます。浜名でございます。

 実は、この資料5で75ページで肥料の使用実態ということで、追加資料は我々の手元に届いたのが、まさに昨日でございまして、資料2の9ページに本来反映すべき部分があろうかと思ったんですが、そこまで手が回らなかったということをお詫びさせていただければと思います。次回、またさらに更新の骨子案のようなものを作成できればと考えておりますが、そこに向けて善処いたします。申し訳ございませんでした。

【田中委員】 よろしくお願いします。

【岡田委員長】 どうも、御指摘ありがとうございました。似たようなところがほかに出てくるかもしれませんので、それはまとめてするということで御了解いただければと思います。

 ほかに手は挙がってないようですが、よろしければ、この議事、汚濁負荷削減等の実施状況については、今まで頂いたような御意見等を踏まえて、まとめていくということでよろしいでしょうか。

 よろしいですね。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、二つ目の議題、指定水域の水質汚濁メカニズムについてということで、事務局から資料3で御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 続きまして、資料3を用いまして、指定水域の水質汚濁メカニズムについての資料を御説明させていただきたいと思います。

 第8次の答申におきましては、第3部、指定水域における水環境に係る分析という項目があり、今回についても、この答申の当該部分には、この資料のエッセンスを盛り込もうということを示してございます。

 まず、1点目でございますけれども、閉鎖性海域における水質汚濁に影響を与える要因について記載しております。また、向こう5年ということでは大きな変化はないかもしれませんが、長期的には無視できない存在として気候変動というものがございます。図1の右上のところに、小さいですが気候変動というのがございまして、長期的には無視できない存在だと考えておりまして、非常に重要だと思っております。

 2点目でございます、負荷削減と水質改善の関係ということでございまして、水域面積当たりのCOD負荷量とCOD濃度の関係を見ますと、水域面積当たりのCOD負荷量があって、多い海域ほどCOD濃度が高くなっているという状況がございます。

 また、東京湾におきましては、COD負荷量が多かった昭和54~58年というところから平成元~5年というところにかけまして、また大阪湾においては、COD負荷量が多かったのは、最初の頃、昭和54~58年というところから平成6~10年といったところにかけて特に顕著なんですが、COD濃度の低下が見られまして、全般的に水質が改善しているといった状況が見てとれます。

 しかし、近年の濃度が低い状況におきましては、COD負荷量が減少しているにもかかわらず濃度は減少せず、横ばい、あるいは増加するといった場合があるなど、異なる傾向が見られています。水域面積当たりの窒素負荷量と窒素濃度の関係を見ますと、水域面積当たりの窒素負荷量が多い海域ほど、窒素濃度も高くなっています。また、窒素負荷量の削減に伴い、窒素濃度の低下も見られます。単位水域当たりのりん負荷量とりん濃度の関係で見ますと、水域面積当たりのりん負荷量が多い海域ほどりん濃度も高くなっています。

 また、りんの負荷量の削減に伴いまして、りん濃度の低下傾向も見られます。

 5ページでございます。内部生産の状況というものでございまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾、それから大阪湾を除く瀬戸内海について、昭和56~平成30年(1981~2018年)の広域総合水質調査の結果を用いまして内部生産の変化を算定しました。

 6ページ目でございます。6ページ目が東京湾で、内部生産及びその寄与率というのは、A、B、C、いずれの類型でも1980年代は減少傾向、1990年代は増加傾向を示し、その後は類型、年度により異なる傾向を示しているという状況になっております。

 7ページは伊勢湾、内部生産及びその寄与率というのは、いずれの類型でも1980年代は減少傾向、それ以外は概ね増加傾向を示しております。

 8ページは大阪湾で、大阪湾の内部生産及びその寄与率については、いずれの類型でも、またいずれの年代でも減少傾向を示してございます。

 9ページは大阪湾を除く瀬戸内海でございます。特にB類型、C類型では、1980~1990年代は減少傾向、2000年代は類型により傾向が異なり、2010年代は増加傾向となってございます。A類型では、いずれの年代でも増減の傾向は小さかった、となってございます。

 10ページからは、夏季におけるクロロフィルaの濃度の推移でございます。東京湾、伊勢湾、大阪湾を除く瀬戸内海は横ばい傾向ですが、大阪湾については減少傾向を示してございます。

 11、12ページは、それらについて類型ごとに整理したものでございます。

 13ページからは外海水の状況についてでございます。黒潮の流路に近接する太平洋沿岸の環境基準点のうち、閉鎖性海域、それから港湾、漁港等の陸域の影響を受けやすいと考えられる場所を除外いたしまして、そうしまして図示されました19の地点、こちらの外海水の水質の長期的な変化というものを整理いたしました。グラフは14ページになります。

 CODにつきましては、昭和56~平成8年度までは、1mg/L前後で推移しております。平成11年度以降は、1.2mg/L前後で推移しております。同じ地点の全窒素、全りんにつきましては、いずれも横ばい、あるいは減少傾向を示してございます。

 15、16ページは、外海水との海水交換について、少し古いデータというのもあるんですけども、既往文献の整理を行ったものでございます。閉鎖性海域は、河川を通じた陸域からの負荷だけではなく、下層から湾内に侵入してくる外海水による影響というものも受けているという実態がございます。埋立が進んだ湾奥部などの停滞水域というのは、この限りではないと考えておりますが、指定水域ごとに要する時間が異なるわけですが、一定の期間をもって外海水との海水交換がなされているということでございます。

 17ページからは、底泥からの溶出についてでございます。測定事例に係る既往文献を整理したものでございます。測定方法や、条件、時期といったものが異なるので、一概に比較できるわけではありませんが、窒素、りんとも、総じて東京湾では溶出速度が大きく、伊勢湾、瀬戸内海では小さい傾向にございました。

 23ページは、気候変動による水質影響ということで、昨今の状況に鑑みまして、今後の検討に当たって、気候変動による影響も視野に入れた検討が必要と考えてございます。

 既往研究により河川、湖沼、海域への影響として、図14のような事象が想定されまして、表4(1)、(2)といったような水質、生物への影響が整理されてございます。こちらも御覧のとおり、日本全国について書いているものですので、例えば今回の東京湾、伊勢湾、瀬戸内海には関係がないような、サンゴ礁の白化・死滅いったようなことも掲載されてはいますが、既往文献の整理ということで御理解いただければと思います。

 資料3につきましては、以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。それでは、御質問、御意見を承りたいと思います。

 吉住委員、どうぞ。

【吉住委員】 ありがとうございます。経団連の吉住でございます。産業界という観点から、少し意見なり、質問をさせていただきたいと思います。

 資料2と資料3を合わせた意見になりますが、資料2では実際の負荷削減に関し、22ページに書いてあるとおり、第8次の削減目標量と平成30年度の発生量負荷の実績値の比較で、目標に向けて着実に取組が実施されている、平成30年度は現時点で目標を達成している、という記載になっています。産業界からも以前御説明しましたとおり、多くの企業が設備投資等を行いまして、陸からの負荷量を様々な対策で下げてきております。一方、資料3の2ページ目に書いてあるとおり、COD負荷量は減少しているものの、場所によっては少し異なるのでしょうが、COD濃度は減少していない、あるいは逆に上がっている。結果的に、1ページ目に書いてあるとおり、閉鎖性海域で赤潮や貧酸素水塊といった問題がまだ起こっている、という総合的な記載になっています。やはり我々産業界としては、このように様々な対策を取って負荷量を下げてきたにも関わらず、結果として、水質の改善に必ずしもつながっていないことに関して、これをどう理解していいのか、あるいはどう理解すべきなのかということについての表現がもう少し必要と思います。もしそれができないのであれば、やはりもう少し分析を深めるとか、あるいは、今後もっとこのような調査をしていけば、この部分の理解が深まる、という点の提示をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

【岡田委員長】 ありがとうございます。事務局、いかがですか。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室長の行木です。

 御指摘ありがとうございました。御指摘のとおり、様々な方々の努力のもとで、COD負荷量が下がってきている一方で、CODの濃度に関しましては、必ずしも改善につながっていないような水域もあるというところが現状だと思っております。

 CODの濃度というところにつきまして、様々な要因が関わってきておりまして、陸域からの負荷はもちろんでございますけれども、そのほか、ここまで本日の資料の中でも御説明してまいりましたが、内部生産であったり、バックグラウンドと申しますが、外海水の影響であったり、底泥からの溶出といった様々な要素が関わってくるところだと思います。

 私どももここまでの中で、こういう要因が関わってきているということの記載には努めたつもりでありますが、御指摘も踏まえて、もう少しどのように理解すればいいのかということや、何が足りないのか、何をもう少し明らかにしなければいけないのかという辺りにつきましても、今後答申をまとめていくに向けて整理をして、検討をしていきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

 以上です。

【吉住委員】 ありがとうございます。今後の総量規制の在り方という方向性を決めるに当たって、やはりそのようなデータがないと、仮に総量規制がより厳しい方向になった場合に、なかなか産業界からの理解が得にくいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 どうも御指摘ありがとうございます。

 それでは、次に、岡本委員どうぞ。

【岡本委員】 ありがとうございます。今の吉住委員の意見にも大分重複しますが、同じくこの2ページ目になります。やはりCOD負荷について、図2などを見ますと、瀬戸内海などは、むしろ完全に逆相関になっているような感じもいたします。こういった面積当たりの負荷量が小さいところの傾向と東京湾のような現象とは大分違うようにも見えますので、少し水域ごとに丁寧に見ていく必要があるのではないかと感じました。

 同じく、そういう目で見ますと、図3、図4の瀬戸内海など、少しグラフのレンジが小さくて傾向が読み取れません。この辺も少し考察いただければと思いました。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。では、事務局どうぞ。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 御指摘ありがとうございます。この図2~4にかけて、特にこの緑色の瀬戸内海(大阪湾を除く)というところが、ほかに比べて傾向が異なっていると見えるのは、おっしゃるとおりと思っております。この部分、瀬戸内海、ほかの東京湾、伊勢湾、それから大阪湾に比べると大分面積も大きいということ、それから黒潮の影響を一番大きい分だけ受けやすいのではないかといったこともあるのですが、その辺りについてはもう少し丁寧に見ていく必要があるというのは、まさにおっしゃるとおりかと思います。

【岡田委員長】 それでは、もう少し詳細な検討をお願いするということで、岡本委員、よろしいでしょうか。

【岡本委員】 ありがとうございました。

【岡田委員長】 どうも御指摘ありがとうございました。

 それでは、風間委員どうぞ。

【風間委員】 風間です。2点ほど。一つ目は、今ほどのお話と重複するのですが、3ページ目の図2を見ますと、東京湾が、ほかの窒素やりんは割と本当に上から下まで一体になっているんですが、CODという項目で見たときに、近年、横軸的には下がってきていて、もう水質が少しもよくならないということがあります。これは先ほど来、言っている雨天時のことも関係あるかもしれませんし、先ほど少し御案内あったように、各水域の特徴といいますか、なぜ東京湾が負荷量的に下がってきてもCODがきちんと落ちないかというようなことを、もう少し御検討いただければと思っております、それが1点目。

 2点目は、24ページ、気候変動のところでございます。気候変動の表4のように、先ほど御説明あったように、気候変動はもう閉鎖性海域に限ったわけでなく、広く捉えているからということもあるかもしれませんが、水温上昇に伴う植物プランクトン群集の変化という、既に生じている影響につきましては、閉鎖性水域ではあちこちでプランクトンを調べております。東京都におきましても、赤潮調査ということでいろいろ調査をして、どのようになっているかということをやっておりますので、ここのところを取り上げるならば、プランクトンの話をもう少し資料を集めて、補強していただければと思いました。

 以上、2点です。

【岡田委員長】 では、1点目は同じことの繰り返しですからもうよろしいですね。2点目は、風間先生に資料を提供していただくのがいいかと思いますが、事務局いかがですか。

【浜名室長補佐】 風間先生、ありがとうございます。実は、事務局宛てにということだと思いますが、事前に少し情報として資料を頂いている部分はございます。もちろんプランクトンの関係、調べていく必要というのはありますが、一方で、分からないこともたくさんあるので、今回の答申を取りまとめるという中で、どのぐらい反映できるかというのは少し難しいところもあるかもしれませんが、次で御説明しようと思っております水質のシミュレーション、その中でもう少し触れたいと思っていました。プランクトンにもいろいろ種類がありまして、例えば水温にどう反応するかですとか、あるいは珪藻と渦鞭毛藻でどう違うかとか、そういった違いがあるものですから、プランクトンの部分は第8次で使いましたシミュレーションモデルより少し細かく分析できるようなモデルを検討しているところでございます。後ほど、資料4のところで御説明できればと考えておりました。

 以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、古米委員どうぞ。

【古米委員】 どうもありがとうございます。資料3全体について、コメントです。資料3の1ページの項目1に、閉鎖性海域における水質汚濁に影響を与える要因ということで図1の全体像が示されています。そのあとに、項目ごとに汚濁現象がどうなっているかを説明するものとして資料3を位置づけると、汚濁メカニズムの全体像である図1の上側にある有機物の流入であるとか、窒素、りんの流入、さらにはその濃度が増大しているかどうかといった図中の該当部分を説明したり、状況を把握するためまとめた結果が項目2以降に出ています。項目3はクロロフィルで、内部生産の藻類の大量繁殖というところについても、一応データが出てきております。そういう意味においては、項目4で図の一番上に外海というものを扱わなくてはいけないということで用語が追加されております。項目6では気候変動のことに関する記述がある。そのように、項目2以降の説明を、図1と対応して見ていると、図に四角枠で記載されている、藻場・干潟の消失であるとか、あるいは内部生産の下にある赤潮の発生等であるとか、あるいは右側にあるDOの低下と貧酸素水塊や青潮の発生であるとか、さらには透明度の低下というように、この水質汚濁に与える要因全体像の中で重要だと思われているものが図の中に示してありながら、後ろでは十分に言及されていないものがあります。全体像を整理している資料としてはもったいないと思います。今後可能な範囲内で、そういった情報も示しながら、指定水域の水質メカニズム、あるいは汚濁メカニズムを考える上での情報提供を考えるということは、今後重要ではないかと思います。あくまでもコメントでございます。

【岡田委員長】 ありがとうございます。これは御指摘に従って、事務局で再検討してください。ありがとうございました。

 中村由行先生、どうぞ。

【中村委員】 中村です。

 資料全体としてコメントです。窒素、りんの負荷量、それからCODの負荷量、それに対応した水質の応答が整理をされていますが、資料を拝見する限りでは、この両者が関連づけられていないというところが少し問題かなと思います。第5次総量削減から、さらに内部生産の寄与を下げ、CODを下げるという目的で、窒素、りんの負荷削減というのが加わったと。その以降、特にこの資料では、内部生産の寄与率、ΔCOD法を使って、かなり細かい図面が出ているんですけれども。

 例えば、第5次以降、この内部生産の寄与率の記述と、それから窒素、りんの負荷削減の関連性がどうだったかという比較、これが今後、総量削減をどう続けるかというところに対して非常に重要な情報をもたらしてくれると思っておりますので、ぜひ関連づけるような整理の検討をしていただきたいと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、このグラフには明確に出てないので、これは事務局で再度データを整理していただくということで、次回、中村先生にも見ていただくということにしたいと思います。ありがとうございました。

 田中先生、どうぞ。

【田中委員】 田中です、どうもありがとうございます。

 17~22ページ辺りの底質からの溶出の話なんですが、4番までのところでは、東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内で大阪湾以外と大阪湾という切り方になっている記述になっていて、ここは瀬戸内全体の話にまずなってしまっています。恐らく、大阪湾のデータは入っているけれども、大阪湾についての記述が全くなくて、そこがどう位置づけに見えているのかという記述が、やはりバランス上は必要かなというのが1点です。

 それから、2点目は、底質のデータを基に、特に瀬戸内での栄養塩の変化がある程度文献を基に書かれてはいますが、もともとの引用されているこのデータを見ると、結構新しいといっても2008年とか、10年ぐらいのところだろうという感じです。そうすると、今の総量規制での今回、あるいはその前の期辺りの変化の状況を、この情報だけから説明するのは少し難しいのではないか。したがって書きぶりは、これ以上データがないのであれば仕方がないと思いますが、この書いている時点での、得られている時点での話と、それから現在のところは、やはりまだこのデータよりも新しいデータがもしあるのであれば、それを使ってもらえば議論はできると思うんですけど、今議論している、直近5年とか10年ぐらいの周りとのギャップがあって、ここだけ少しずれがあるような気がするので、書きぶりを少しここは調整してもらう必要があるのではないかと思いました。

【岡田委員長】 事務局、いかがでしょうか。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名です。

 田中先生、ありがとうございます。おっしゃるとおり、なかなかデータがないという状況の中での文献整理となっておりまして、なかなか満足に御議論いただけないことを申し訳なく思ってございます。

 集めたデータについても、底質からの溶出速度が書いてありまして、それも測定方法ですとか、条件とかいうことで大きく異なってくるだろうということは予測できることでございますので、何とも言えない情報しか集まっていないわけですけれども、底泥からの溶出が水質に一定程度の影響を与えるだろうということは示唆される内容になっているのではないかと思っております。この底泥からの溶出の対策ということで言いますと、陸域からの負荷削減というだけではなくて、底質の改善ですとか、環境配慮型構造物とか、藻場・干潟とか、そういった、いわゆる負荷削減以外の対策というのも講じていくことが重要だという認識ではおります。これはなかなか科学的な議論に足りるような、満たせるような資料が集められなかったことは、申し訳ないと思ってございます。

 以上です。

【田中委員】 ありがとうございます。それは理解した上で、部分的に非常に詳しく書いてあるところがあって、そこだけ現在も何か続いているようなニュアンスに読み取れるようなところもあるので、分かっている範囲と分かってない範囲を少し区別する必要があるのではないかということ。それから先ほど言ったように、今までのここのセクションまでは、大阪湾だけ、また別に扱っているので、そこについては何かコメントしておく必要があるんじゃないかという、書きぶりの問題です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。御指摘のとおり、これは事務局で工夫してもらうことが必要かと思います。データがないのは仕方がありませんが。

 ほかによろしいですか。

 それでは、議事(2)指定水域の水質汚濁メカニズムについては、本日頂いた御意見を基に、もう一度整理していくということにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

 それでは、三つ目の議題「水質将来予測について」、事務局から、今度は資料4で御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省、浜名でございます。

 資料4「水質将来予測について」でございます。シミュレーションについての話でございます。指定水域の全流域から海域へ流れる流入水というのと、それから、汚濁負荷量について、別途、環境省の請負業務にて、国立環境研究所が作成しているモデルというのがございまして、今回はそれを基に算出してみたいと思っております。

 また、算定結果というものを流入負荷量条件というようにいたしまして、その陸域からの流入負荷が海域でどのように流動、それから水質とか底質の濃度に関わっているかといったものを算定しようと考えております。

 まず、1ページ目の1.1です。陸域からの流出に係るモデルですが、このモデルは、降雨について表面流出、それから中間流出、地下浸透といった河川に到達するまでの時間を考慮しまして、流域からの淡水流入量を算定しております。各計算格子から河川に到達する点で解析対象のCOD、全窒素、全りん、それから浮遊物質SSの流出量や濃度を土地利用に応じて設定することで、各格子から発生する面源の汚濁負荷量を算定します。

 2ページ目でございますけれども、1.2海域でのモデルでございます。

 水量、それから流速、水温、塩分、密度・圧力というのを予測変数としまして、深さ方向に層分割を行う流動モデルとなってございます。その上で、水質-底質モデルは、図のような因果関係で炭素、それから窒素、りん、酸素の化学循環を解析してまいります。

 3ページ目でございますが、将来予測条件の設定ということで、まずこういったシミュレーションモデルによる予測を行う上で、信頼性の鍵を握る現況再現ということでございます。2.1に現況再現というところがございますが、この年次については、第8次水質総量削減の基準年である平成26年度ということにいたしまして、さらに複数年での変動を確認するため、平成21~26年度までの6か年ということを対象にしたいと考えております。

 再現計算の条件は、気象、流量、負荷量、それから境界条件を設定いたしまして、広域総合水質調査の結果と比較いたしまして、再現性の確認を行いたいと考えております。

 2.2の将来予測の部分でございますが、将来予測年次には、第8次水質総量削減の目標年度である令和元年度の5年後、令和6年度といたします。条件設定について、表の下の米印のところですが、2ケースで予測してみようと考えております。

 一つ目が、COD、窒素、りんの平成16~26年度の10年間の負荷量データから、線形トレンドで推移させた場合の令和6年度の推計値とした場合というケース。

 二つ目については、CODは一つ目と同様としつつ、窒素とりんの負荷量は平成26年度のまま特に下げないというようにした場合ということを考えております。

 これは、窒素、りんについては、環境基準の達成度が高くなっているという現状を踏まえまして、これまでどおりの負荷削減を実施した場合というのと、項目によってはこれ以上、負荷削減を行わない場合の予測を行い、どの程度、水質の状況に違いが生じるかといったものを検討しようというものでございます。

 また、このほかに、比較対象としまして、COD、窒素、りんの点源からの負荷量をゼロとした場合の計算などを行いまして、当該モデルの感度を確認したいと考えてございます。

 最後に、4ページ目でございますけれども、今回用いますモデルと第8次総量削減の検討に際して用いたモデルの概要でございます。少し細かい資料になってございますけれども、できるだけ簡単に御説明したいと思っております。

 今回は、スーパーコンピューターを使用できますので、計算量も大幅に増加もすることが可能になりました。この計算量を大幅に増加させるということで、計算期間の長期化や、計算領域の拡大といったことが可能になりまして、陸域からの負荷の流出査定について、より詳細に計算できる国立環境研究所の、先ほど御紹介いたしました陸域汚濁負荷流出モデルを採用しようと考えております。

 具体的な話を少しいたしますと、第8次では、月に1回の河川から流入する実測データというものを用いて検討したわけですが、今回は日別の気候データに対応した形で、負荷対策のパターンを細かく設定いたしまして、きめ細かく陸域負荷を考慮できるようにしてございます。

 また、計算期間の長期化という点では、第8次の際は、現況再現は1年分しかできていなかったわけですが、今回は平成21~26年度という6年分について確認できるので、一般論ではございますが、様々な条件下での水質の再現性といったものを確認できまして、モデルの信頼性を高めるということは期待できると考えています。

 また、計算領域の拡大というお話でございますが、モデルの計算結果から、境界条件の影響をできるだけ除去するということを目的としておりまして、各水域とも強弱に違いはありますが、外海からの影響というのを少なからず受けておりまして、計算領域を拡大して沖合までを広く考慮するということで、より実態に近いものがシミュレーションで結果として出てくることが期待されます。

 それから、先ほど1の説明の際に風間委員から、プランクトンのことで言及がございましたので、少し触れたいと思います。この表2の左の列の生態系モデルというのが一番下にありますが、生態系モデルの枠内のモデル構造の中の浮遊系の生物構成ということで、第8次のモデルでは、植物プランクトン1種類、それから動物プランクトン1種類ということで、いわゆる植物プランクトンについては、珪藻ということで、一つ扱っていたわけですが、先ほど資料3で少し触れましたが、珪藻にもいろいろ種類がございますし、珪藻と渦鞭毛藻では、また大分温度や光の弱さ、そういったものに対して感度が変わってくるということがあるので、珪藻を2種類、それから渦鞭毛藻を1種類の、植物プランクトン3種で分析をしてみたいと思ってございます。

 説明は以上でございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に関する御意見、あるいは御質問等がありましたら、お願いいたします。

 岡本先生、どうぞ。

【岡本委員】 ありがとうございます。1点は質問で、1点はコメントです。

 まず、1ページ目の陸域の流出モデルのところで、面源の汚濁負荷の算定について御説明いただきましたが、具体的にどういう算定になるのか分からなかったので質問したいと思います。説明では、降雨によって流出してくるものを算定するとありまして、この一番下の行では、パラメータは既存研究の値に設定されているということですが、このパラメータというのが、何か原単位的なものを与えているのか、どういった形で算定しているのかというのがよく分かりませんでした。

 面源の負荷に関しては、1回目の委員会でも議論がありまして、総量削減で大分以前から使用されているようですけど、そういったものと、このモデルとの関係がよく分からなかったので、御質問しました。

 それから、2点目なんですけれども、3ページ目の表1の下に、負荷量の設定のケースの説明がありまして、この②のように、CODはトレンドを用いて、窒素・りんは負荷量そのままということで、考え方は理解しましたが、例えば対策として考えていくときに、CODを削減させていきながら、窒素、りんだけは抑えていくというのは、例えば、下水処理などでいきますと、高度処理をやめるとか、そういったことは考えられますが、それも限界があると思いますので、仮定とそれで出てきた結果の解釈は、実際の対策なども考えながら十分に、慎重に考察いただければと思いました。これはコメントです。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 では、2点目のCODのトレンドの話、おっしゃる趣旨は理解できますので、これを事務局として、再度御検討ください。

 最初のパラメータの設定の話は、東先生お願いできますか。

【東委員】 国立環境研究所の東です。 資料1ページ目の図になると思いますが、このモデルにつきましては、概ね1キロメッシュ格子で構成されており、その中で複数の土地利用が混在しているものとなっております。点源の負荷に関しましては、2014年度、つまり第8次の発生負荷量調査時点での実績値を与えておりますが、面源に関しましては、土地利用ごとに流出が降雨に依存する式、例えば、雨の流出量に比例する、あるいは二乗に比例する、懸濁粒子の流出が指数関数的に増えるといったパラメータを土地利用ごとに設定して、負荷量を求める形になっております。概ね、トータルの土地利用ごとの流出量が大体原単位に合わせるような形にしてあります。

 以上でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 岡本先生、よろしいですか。

【岡本委員】 そうしますと、面源負荷の考え方というのは、8次の総量削減のモデルとは少し変わってきているということで理解してよろしいんでしょうか。

【東委員】 8次の場合は、降雨に依存しない形で毎時、同じ値でずっと垂れ流すという状態でしたが、今回は、それをきちんと降雨があったときに流出するということを考慮しております。

【岡本委員】 分かりました。ありがとうございます。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。これは結果を見て、また御議論いただければと思います。

 西嶋先生、どうぞ。

【西嶋委員】 西嶋です。

 2点質問があります。

 4ページでモデルの概要説明を細かくしていただいたので、気がついたところですが、浮遊系の生物構成で、前回は動物プランクトンが入っていて、今回は入っていないということになっています。通常、恐らく、植物プランクトン、これが内部生産に関係するのですが、その動態の場合は、もう一つ上の生物まで入れるのが普通かなと思って、なぜ動物プランクトンを外されているのかということが一つ目の質問です。

 もう一つが、その下に底生生物系ということで、藻場・干潟ということが書かれていて、もちろん閉鎖性水域なので、アマモ場というのが焦点になっているのか、そう書かれているんだと思うのですが、いわゆる海草ではない海藻のほう、瀬戸内海でも半分以上の藻場は海草ではなくて、藻のほうの海藻になっているんですが、ここは等と書いてあるので、もしかして入っているのかもしれませんが、入っているのかどうかについて質問させてください。

【岡田委員長】 では、こちらも東委員お願いいたします。

【東委員】 まず、動物プランクトンの件ですが、こちらはいろいろ選択があろうかと思います。1種のみ入れるというのもありますし、例えば3種考えた場合は、3種入れるのか、2種入れるのかなど、いろいろ選択肢はあるかと思います。

 こちらで検討した結果になりますが、動物プランクトンを入れると、動物プランクトンのパラメータだけでなく、その初期値にも結果が大きく左右されるという問題がありますので、ここでは一応、植物プランクトンの死亡率を動物プランクトンの捕食を加味して、少し高い値を与えることで対応してございます。

 二つ目は、今のところ、第8次とほぼ同じような形、すなわち海草・海藻や、干潟の成長・衰退というものを考慮せずに、これらの定常状態を仮定して、8次のときの物質の浄化能、あるいは物質の変換、形態変化を加味して、年間を通じてそれらの効果を一定に与えるという、非常に簡単なものとなってございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。西嶋先生、よろしいですね。

【西嶋委員】 分かりました。

【岡田委員長】 では、古米先生どうぞ。

【古米委員】 古米です。どうもありがとうございます。

 今回、3ページ目のところで、将来予測ということで、ケースが二つ設定されていて、平成16~26年度の線形トレンドで考えた負荷量と、N、Pはそのままということで考えておられます。最終的にN、Pをそのままにするのか、さらに減らしていくかということに対して、COD他の水質項目がどう影響を受けるのかを見るのに、非常に分かりやすい結果が出てくるのかなと思いました。

 スーパーコンピューターでの計算なので、いろいろやっていただきたいとも思いましたが、この①と②の結果が出た段階で、先ほどの資料3にあった、横軸に水域面積当たりの負荷量、縦軸にCOD、窒素、りん濃度の図を描いていただくと良いかと思いました。その際には、点源から入った量、面源から入った量、底質から溶出してきた量、あるいは大気から入ってきた量も入るのかも分かりませんが、できるだけモデルで組み込んでいる水域へ入ってくるCOD、トータル窒素、トータルりんの全体の負荷量を横軸に取っっていただきたいと思います。何年間の負荷削減で各水質はどう変わってくるのかという、資料3にあった図が、このモデル計算上ではどうなっているのかをぜひ見たいと思います。計算したものをどう図化していくのかというところは、過去のデータ整理の議論との対応を取っていただくといいと思いました。

 2点目は、さらに欲張りですが、モデル計算の魅力は、実測ではわからないCODの内訳を知ることができます。流入するCOD量だけでなく、N、Pの影響を受けた内部生産由来のCOD量も分かりますので、NとPとCODの関係として、物質収支的にどうなっているのかという概念図を代表的な年度に対して、見させていただくと非常に良いと思います。例えば、初年度と、最終年度で物質フローがどうなっているのか比較できる図をこの計算結果から描いていただくと非常に解釈がしやすくなるのではないかと思います。これはお願いです。

【岡田委員長】 今、先生がおっしゃった2点とも、モデルをせっかくつくるということで、極めて重要なことで、恐らく、東先生も重々御承知だと思いますので、今御指摘いただいたようなこと、または、さらに加えて、様々な出力を出していただくということで作業を進めるということで、よろしいかと思います。

 そういうことでよろしいですね、古米先生。

【古米委員】 はい、結構です。ありがとうございます。

【岡田委員長】 御指摘ありがとうございます。

 江口先生、どうぞ。

【江口委員】 ありがとうございます。農研機構の江口です。

 図1の陸域汚濁負荷流出モデルについて、質問させていただきます。

 農地のところで、どういった扱いをされているかというところを少し質問したいのですが、肥料に関する資料5のデータにもありますように、これまでに化学肥料の量が年々減ってきたり、あるいは、代わりに有機質肥料が増えたり、たい肥の量が変わったりとか、同じ土地利用であっても、入ってくる窒素やりんの量が年々変わってきているという現実があります。そういったところは、こういったモデルの中で、かなり精緻なモデルだと思いますので、それぞれのモデルの中で、それぞれの土地利用の肥料の取扱いというのは、どのようになっているのかというのをお聞きしたいというのが一つ。

 もう一つは、図1は、河川から出ていくところが恐らく、主要なアウトプットになると思います。河川では、例えば、一級河川のモニタリングデータなどはかなり豊富にそろっていると思いますが、河川の濃度とこのモデルで計算された濃度が、例えば窒素について、りんについて、どのぐらい合うのかというのをまず検証された上で、それぞれの海域のモデルと結合させていくのかどうかという点です。

 その2点についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 御指摘ありがとうございます。

 こちらは、東先生からお答えください。

【東委員】 まず、1点目の御質問にありました農地の件ですが、こちらに関しては、私ども瀬戸内海、東京湾、伊勢湾、全てに関していろいろつぶさに調べてデータを与えるということは、現実的に不可能でございます。

 このモデルは、土地利用の内部での窒素やりんなどの形態変化や循環を一切取り扱っておらず、雨が降って斜面からどれだけ出てくるか、河道に流入するところで流出のパラメータを置く形になっております。

 ですので、農地に関しても肥料を直接与えて、どのような過程を経てどの程度流出するという議論はできないものとなります。もし、それを考えるとすれば、出口のパラメータ、肥料がこれだけ減ったから、パラメータもこれだけ減らそうというような議論をすることになるのかと思っております。

 二つ目の御質問に関しましては、瀬戸内海など、業務を進めていく上で、きちんと国交省のデータ等と比較した上で、検討を進めております。恐らくこちらは、次回の専門委員会で提出されるものと思っております。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございます。限界はあるかと思いますが、江口先生、よろしいですね。

【江口委員】 ありがとうございました。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 ほかには、なさそうですが、今たくさん御意見を頂きました。いずれもモデルの計算した後の結果をどのように出して、例えば、先ほど古米先生がおっしゃったように、資料3との整合性も含めて議論する基本的な情報になるかと思いますので、まず一応、今頂いたようなことも含めて、作業をさせていただくと。東先生には、大変かもしれませんが、今頂いたことは重々御承知だと思いますので、それに従って、データの整理をお願いしたいと思います。

 重要なことは、やはり次の委員会で、結果を見せていただいて、また委員の先生方と御議論いただいて、良いものにしていくということが必要だと思います。

 ぜひ委員の皆様方には、御協力をよろしくお願いしたいと同時に、全部できるというと、これは東先生に大変申し訳なくなりますが、やはりせっかくモデルをつくるわけですから、こういう計算をしてほしい、例えば、先ほど吉住委員がおっしゃった、産業界が負荷を減らした場合、どうなるかとかというような御疑問もあるかと思いますので、モデルをどのように扱ってほしいかという御要望は、ぜひ事務局にお寄せいただければと思います。全部できると言うのは、とても事務局、東先生に失礼なことになりますし、それは不可能ですが、可能な限り、そういう情報を入れて、基本的に皆さんが納得できる出力、それから成果にしたいと思いますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。

 特に後で気がついたことは、ぜひ事務局にお寄せいただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、続きまして、四つ目の議題「その他」でございますが、前回までの委員会における指摘事項への対応について、事務局より資料5、たくさんございますが、こちらは簡潔に御説明をお願いいたします。

【浜名室長補佐】 環境省の浜名でございます。

 資料5は、84ページまでございますので、できるだけ簡潔にと思っておりますが、長丁場になりますので、その点御了承いただければと思います。大体40分ぐらい、私から説明させていただこうかというつもりでおります。よろしくお願いいたします。

 資料5でございます。まず、今、岡田委員長からお話のあったとおりですが、こちら第1~3回の専門委員会で委員から御質問、御要望があった内容につきまして、環境省ですとか、ヒアリングに参加いただいた団体の方々へ整理いたしました回答、あるいは追加の資料といったものをまとめたものでございます。

 なお、第1~3回の主な指摘事項といったものにつきましては、参考資料にまとめてございますので、必要に応じて御参照いただければと思っております。

 それでは、まず、資料5の1ページ、目次の次のページからですが、第1回における指摘事項等への対応についてのところから御説明したいと思っています。

 水域ごとの負荷量の推移の表を御説明したところです。昭和54~平成11年の窒素とりんについても、各県で整理したデータがあるはずなので掲載できないのかという御指摘がございました。細かい内訳までというのは追えなかったわけですが、関係都府県が出している推計値から、2~6ページのとおり、昭和54~平成11年については記載させていただきました。

 ただ、平成16年以降の発生負荷量調査のものとは単純比較できないものですから、括弧書きという対応で、分けた取扱いとさせていただいているところでございます。

 次に、7ページでございます。7~11ページですが、こちらは指定地域内事業場ごとに発生負荷量と平均水質の推移につきまして、第1回の場でCODのみお示ししたわけですが、その際、窒素とりんも、という御要望を頂きましたので、新たに作成したものでございます。

 次に12~16ページ、こちらは、難分解性CODが多くなっているのではないかといった御指摘がございまして、既往文献から知見の整理を行ったものでございます。

 海域や時期、それから由来によって、様々に異なる傾向が示されているところですが、参考文献は16ページのとおりですが、12ページの最後に記載していますが、閉鎖性海域を中心とした難分解性有機物の知見といった点では、難分解性有機物の有機物全体に占める割合は増加傾向ということと、その由来や季節、調査地点で異なる傾向が見られるものの、おおむね有機物量の半分以上を占めているといったことが読み取れるということで、まとめさせていただきました。

 続きまして、17ページでございます。

 単独処理浄化槽におけるCODの平均水質です。こちらについては、第1回の場面で、ほとんどの業種ではCODの濃度が低下しているけれども、単独処理浄化槽はなぜ上昇しているのかといった御指摘があり、原因について考察したところでございます。

 単独処理浄化槽については、御承知のとおりですが、合併処理浄化槽への転換といったものが進められているわけですが、残っている施設の老朽化による処理能力の低下といったもの、それから、日平均排水量50立方メートル未満のものというのは、負荷量、排水量を実測した数値ではなくて、実は面源としてカウントされていますが、事業場数の減少によりまして、この排水濃度が高く設定されてしまっている面源カウントの事業場の占める割合というのが増加しているということになりまして、こちらに引っ張られる形で平均水質の値が上昇しているのではないかといったことが考えられるということでございます。

 続きまして、19ページでございます。

 発生負荷量調査で用いている原単位を示していただきたいといった御指摘がございましたので、用いている最新のものとして表を掲載してございます。

 続きまして、20~24ページが東京湾の水環境の現状の関連でございます。

 まず、20ページでございます。東京湾の底層DOについて2mg/L以下のところは減っている部分がきちんとあるので、その点、もう少し丁寧に評価してほしいといった御意見を頂きました。ここは、答申にも入ってこようという内容の部分でございますので、御指摘を踏まえて、書きぶりを修正させていただこうというものでございます。

 それで、21、22ページ、こちらは貧酸素水塊の状況でございます。こちらも近年は少し状況が良くなっており、年最大規模については、縮小傾向にあるということで、出典資料において評価されているんだという御指摘を頂きました。これを踏まえまして、書きぶりを追加させていただくのと併せて、根拠となるグラフについても追加をしようと考えてございます。

 23、24ページでございます。クロロフィルaの推移についても、突出している最大値の部分は低下してきているのではないかという御指摘がありまして、調べてみたのですが、こちらについては、実は残念ながら、東京湾と伊勢湾はそうとも言いづらいということになっておりましたので、今回併せて御報告させていただきます。

 続いて、25ページで、漁獲量についてです。実は第1回だけではなくて、第2回においても、掲載してほしいという御指摘がございまして、また、第3回では、それぞれの水域ごとに増えた魚種、減った魚種というのがあるはずなので、追加情報をいただけないかということで、ヒアリング参加の各府県様に情報照会があったところでございまして、頂いた情報を整理しております。

 漁獲量というのは、資源量とは必ずしも同義ではないので、取扱いというのは難しいわけですが、都道府県別の漁獲量から、外海性の魚種を除くとか、対象海域の漁獲の意味に近づけたものを整理しております。

 26ページには、そういった処理をしたものを東京湾の事例として載せております。

 また、27ページ、こちらも東京湾の事例ですが、生息層別、あるいは食性型別、つまり浮き魚なのか、それとも底にいるものなのか、それとも、底生生物なのかとか、そういった食性別というのは、プランクトン食なのか、ベントス食なのかとか、そういったもので整理して処理したものというように整理しております。その整理は、東京湾だけでなく、伊勢湾や瀬戸内海でも同様のものにしてございます。

 また、28、29ページの表というのは、東京湾の主要漁業対象の資源、それから生産の状況ということで、深刻度という欄でABCの3ランクに分かれている情報を提供いただきました。

 Aは、資源状態ですとか、生活史破壊の程度が深刻であるといったことを説明してございます。

 29~30ページは、増えた魚種、減った魚種ということで、東京湾については、アナゴ、カレイが減り、スズキとタチウオが増えているといった資料を頂いております。

 伊勢湾については、31ページからでございます。統計データから資料作成をしたのが32、33ページ。それから、実は31ページの文章の一番最後にも掲載しているんですけれども、イワシ類の増減というのが、32、33ページのグラフにも大きく寄与しているという状況になっています。例えば32ページのグラフでいうと、水色の一番下のところ、この辺が増えているか、大きくこのグラフに影響を与えているということでございます。

 増えたもの、減ったものというものについては、34~36ページに記載してございます。瀬戸内海については、37ページからでございます。

 大阪湾における増えた魚種、減った魚種というのは、実は、兵庫県では大阪湾のみでの漁獲量のデータというのを取っていないということでしたので、39ページのとおり、瀬戸内海の答申といったものが今年の3月に出されたわけですけども、そちらで湾灘ごとに整理したものという資料がございましたので、これを代用するという形を取っております。

 また、第1回においては、気候変動による影響ということについても御指摘がございました。40ページからでございます。

 現在、中央環境審議会の地球環境部会気候変動影響評価等小委員会というところで、気候変動による影響を取りまとめた報告書を作成中ですが、現時点の報告書の中から、主に水質に係る気候変動の現状や影響について、抜粋したものが40~84ページにあります。大変長いものですので、ポイントと思うところをかいつまんで御説明させていただければと思います。

 まず、40ページの中頃ぐらいからあります降水量の関係ですが、観測結果としまして、日降水量100mm以上、それから200mm以上といった大雨の日というのが増加しているということ。それから、1時間当たり50mm以上ですとか、80mm以上といった短時間強雨の発生回数というものも増加しております。

 それから、年最大の日降水量の基準値との比の増加傾向というものがある。つまり単純に増えているだけでなく、大雨の年と発生の年の差が大きくなっているということですね。

 それから、1mm以上の降水が観測されている日というのが減少しているといったことが記載されています。要するは、雨が降る日は減っているんだけれども、降るときはドッと降ると、そういう傾向が見られるということでして、将来予測においても、この傾向が強まるという結果になってございます。

 一方で、このように極端になりますので、地域単位での予測というのは不確実性が大きくなる、となっています。

 54ページからでございます。沿岸域及び閉鎖性海沿岸域で将来予測される影響として、現在のように温室効果ガスを排出し続けた場合のシナリオというのをRCP8.5と呼んでいますが、これを前提にしてしまいますと、例えば瀬戸内海においては、夏は水温上昇によってプランクトンの活動が低下して、それに伴って、栄養塩類の消費が悪化する。つまり栄養塩類濃度が高くなる。逆に、冬とか、そういったほかの夏以外の時期については、プランクトンが増えて、栄養塩類濃度が下がるといったような結果が出ております。

 また、夏の植物プランクトンの活動低下に伴いまして、内部生産は減少する結果、大阪湾の底層DOは、増加傾向が見られるとか、夏から秋には、貧酸素化の傾向というのは弱まる傾向が見られる一方で、その他の時期については、貧酸素水塊の発生期間は長期化するといった可能性が結果として見えているということになっています。

 また、56ページの一番最後の行でございます。「国内の」から始まるところですけれども、同じくRCP8.5のシナリオにおいて、温帯域の海洋で、水温の上昇や植食性、いわゆる藻を食べるような魚種の北上に伴う藻場生態系の劣化ですとか、サンゴ礁生態系への移行というのがよく見られておりまして、58ページの一番最後のところでは、海水温の上昇によって、沿岸域に分布する塩性湿地が破壊されるおそれがあるといったことが記載されています。

 次にまいりたいと思います。

 61ページからが、第2回の委員会での御指摘関係でございます。

 合流式下水道の越流水関連で、COD、窒素、りんの負荷量について御質問がありましたけれども、国交省さんから、詳細を把握できていないと回答があったところです。既往文献により分かる範囲で資料を作成してございます。

 2-1-1の出水時負荷量の概況ということです。

 根拠資料として使っているものが2008年など、少し古いわけですが、東京湾における江戸川、荒川、多摩川、中川の平水時、それから出水時の負荷量に係る文献がございまして、ここでは、負荷量全体に対する出水時負荷の寄与率というのは、CODは36~60%、全窒素については25~44%、全りんは34~61%となってございます。

 また、高知県の四万十川の事例ということで、総雨量が700㎜を超えるような出水時の森林地帯からの流出特性というものがまとめられていますが、これによれば、大規模出水時の1回の出水ですと、1年分相当の全窒素が流出していて、その形態は懸濁態が圧倒的に多くなるといったことが示されています。

 64ページでございます。2-1-2、出水時のCSOの寄与ということですが、こちらも少し古いわけですが、東京湾流域総合計画策定時に見積もられました越流負荷量や、降雨実績等を用いて算出した単位降水量当たりの負荷量を掲載してございます。

 65ページでは、これを用いまして、平成26年度における東京湾のCSO負荷量を推計した結果と排出負荷量全体におけるCSOの割合をお示ししております。大阪湾につきましても、同様の推計を行った結果をお示ししております。

 また、このほかの大阪の寝屋川流域下水道での2011年11月19日のデータを基に、CSOの測定を行っている既往文献がございまして、この数値と当日の降水量から、単位降水量当たりの負荷量を算出したものが66ページの表32。これをもちまして、平成26年度の大阪湾におけるCSOの推計を行った結果を表33に掲載しております。発生負荷量に対する割合としては、3~11%程度と見積もれるという結果になってございます。

 69~71ページについてでございます。下水処理場の季節別管理運転の実施状況についての資料でございます。

 69ページにおきまして、実施している下水処理場のグラフ。

 それから、70、71ページに、運転方法の例としまして、処理フローの変更例を掲載してございます。国交省さんから提供いただいた資料になってございます。

 72、73ページは、第2回の審議会の場で、効果について教えてほしいという御指摘がございまして、その効果についての図ですが、兵庫県加古川市の加古川下流浄化センターと、それから兵庫県明石市の二見浄化センターの事例ということで、いずれも近隣のノリ養殖場への効果が示唆されるといった結果になってございます。

 74ページは、高度処理化による負荷量の削減効果の関連でございます。

 国土交通省さんからは、測定は処理場の吐口のところで行っているので、高度処理の系列のみでデータはないというお話や、さらに、処理場の流入水量とか、流入水質というのは変動があるので、排出負荷量を比較しても高度処理による削減効果というのは正確には反映できないという御説明をいただきましたが、変わり得るものとしまして、処理方法ごとの窒素、りんの除去率のデータを提供いただきました。

 75ページでございます。先ほど、田中先生等から御指摘があったわけですけれども、肥料削減効果に係る御質問がございまして、負荷量については農水省も、環境省も把握できていないわけですが、農水省さんからは、肥料の使用実態に関連する情報ということで、生産量と輸入量のデータ、それから化学肥料等の占める割合について情報を頂きました。

 76ページは、家畜排せつ物に係る負荷について、御質問があったわけですけれども、家畜排せつ物の利用状況に係るフローは、農林水産省さんから提供がございまして、約9割が堆肥化・エネルギー利用されているという御説明でございました。

 77ページでございます。ヒアリングに参加いただいた鉄鋼連盟さんに対しまして、湾灘レベルの投資額と負荷量の整理ができないかといった御要望がございました。投資額について湾灘ごとに分けるのは難しいということでございまして、また、負荷量については環境省のデータを用いて資料を作成したということでございましたので、環境省において、鉄鋼業の湾灘ごとの負荷量内訳に係る資料を作成しております。

 79ページでございます。ここからは第3回、前回でございます。

 ヒアリングに参加いただいた製紙連合さんに対しまして、排水中のSSの量や、水の回収率に係る御質問がございまして、SSについては、表のとおりとなっております。工程内で水はどの程度、回収・再利用されているかということについては情報がないということで、ここでは、取水量と排水量の数値を掲載するという対応にさせていただきました。

 80ページですが、水産資源と栄養塩類の関係に係る有識者の見解をという御要望がございました。水産資源と栄養塩類の関係につきましては、平成27年の瀬戸内海環境保全特別措置法の改正というものがあった際に、この関係を解明するようにということで、国会から政府に対しまして法律の附則という形で要請がございました。

 環境省では平成27年から3か年にわたり、文献調査等を行いまして、平成30年、それから令和元年は、中央環境審議会水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会の場で、関係者と有識者からヒアリングを行ってございます。

 これを踏まえまして、今年の3月に答申が取りまとめられておりまして、この部分については、現状瀬戸内海の答申の記載をもって、最新の知見というように取り扱いたいと考えてございます。

 80ページの後半、下半分は、答申からの抜粋になっておりますが、栄養塩類の管理等における生物の多様性及び生産性の確保についての課題ということで、掲載されてございます。

 81、82ページでございます。ヒアリングに参加いただいた東京都さんへの御質問の関連でございます。

 東京都が貯留施設を平成30年度までに120万立方メートル整備した旨、説明がありまして、これに対しまして、どの程度の負荷削減等の効果があったかという御質問がございました。

 後日、東京都さんから提供があった資料によりますと、81ページの図のとおり、東京湾関係都県全体で貯留施設の整備、それから、簡易処理高度化施設の整備といったものが行われておりまして、処理能力全体は向上していて、82ページのとおり、汚濁負荷量の削減実績も向上していることが示されております。

 グラフの見方ですが、平成29、30年度は、平成28年度に比べて、雨が少なかったということで、削減実績は低下しましたけれども、削減能力自体は下がっているということではなくて、整備が進んでいますので、平成28年の規模以上になっていると考えられる、とのことでございます。

 83ページでございます。兵庫県さんのプレゼンにございましたイカナゴの関係です。

 水温との関係で、観測値のデータとの比較、それから水温に関するシミュレーション結果について御要望がありました。後日、兵庫県さんから提供があった資料としては、次のとおりでございまして、このグラフの紫色が水温となってございます。

 また、84ページでございます。DIN濃度、溶存態の窒素の濃度ですが、こちらの年ごとの変動理由について御質問がございました。

 兵庫県さんの回答としましては、明確な分析はできていないとのことですが、近隣地域の降水量と同調している傾向があるといった御説明がございました。

 資料5の説明は以上でございます。長くなりまして大変申し訳ございませんでした。

【岡田委員長】 御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

 黒木委員、どうぞ。

【黒木委員】 水産研究機構、黒木です。

 まず、各指定水域における漁獲量についての膨大な資料、私も示していただきたいというようなお話を第1回にさせていただきましたけども、非常に詳細な資料をありがとうございました。

 個別に見ていくと大変なんですけども、押しなべて言えることとして、生活史を内湾に依存している、その依存度が高いものほど減少が著しいということ、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、どの海域でも減少が顕著であるということが全体として言えるということがよく分かりました。

 ですので、海域の豊かさというようなところを漁業生産という観点で見ますと、非常に悪い状態になっているということが明確に言えると思います。

 それと関連して、兵庫県さんから御提供いただいたイカナゴに関連する調査の資料でございますが、水温との関係につきまして、きちんとデータを示していただき、栄養塩の関係が非常に大きいんだということが、私質問させてもらいましたが、解消いたしました。ありがとうございました。

 今少しコメントのような感じですが、先ほど瀬戸内海環境保全小委員会での答申の資料も頂きまして、今後、栄養塩管理という方向も、このイカナゴの事例を考えますと、非常に大事になってくるという認識を今回示していただいた資料で認識したところです。

 その上で、管理をしていく上で、これは兵庫県さんの資料にも書いてあることですが、モニタリングを順応的な考え方でしっかり検証することが大事だということですので、その体制をきちんとつくるということを担保した上での栄養塩管理ということが、今後大事になってくるということ、漁獲量から栄養塩管理の資料を拝見して考えたというところです。

 コメントです。ありがとうございました。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。ではこちらは事務局で整理しておいてください。

 次に吉住委員、どうぞ。

【吉住委員】 ありがとうございます。今、黒木委員から話がありました80ページの部分について、私たちも同じように思います。80ページの栄養塩類の管理について、例えば、今回の総量規制委員会で、少し方向性など、議論をして、何らかの方向性を打ち出すということは可能なのでしょうか。

【岡田委員長】 では事務局、どうぞ。

【行木室長】 閉鎖性海域対策室の行木でございます。

 今御指摘のあった点でございますけれども、今後方向性につきましても、在り方の中で、この委員会での御議論を踏まえつつ私どもとしても検討していきたいと思っております。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 では、風間委員どうぞ。

【風間委員】 風間です。

 65ページ、CSOに関しまして、事務局でこのように資料をまとめていただき、ありがとうございました。

 これまでCSOに関する負荷に関しては、下水道部門から、あまりデータが頂けなかったので、これは非常に面白い結果だと思います。

 ですが、こちらの65、66ページの東京湾に見た場合、CODの発生負荷量に関する雨天時の負荷の割合が11%ということになっておりますが、雨の降り方を見た場合、平成30年度につきましては、東京において40㎜を越えて降った雨が4~9月まで、毎月1回ぐらいずつあって、あと後半がないということです。ということは、雨天時の負荷というのを12か月で割るというのではなくて、雨の降っている、半年にもってくると11%ではなくて、その倍ぐらいになってしまう。つまり雨天時の負荷が発生負荷量に対しての割合が結構高いということが言えると思います。

 冒頭にお話ししましたように、雨天時の負荷の資料を計算してみましたという、ここで2に対する答えとして挙げてくださったのは結構ですが、そちらをやはり本体の資料2のところや、そちらに何らかの形で寄与が大きいということが分かったわけですので、数字でなくても何らかの形で記載をするということをぜひ考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 ありがとうございました。事務局よろしいですか。では、事務局で御検討ください。

 次は、古米先生どうぞ。

【古米委員】 古米です。

 資料中1-7の気候変動による水質影響というところで、現在活動している気候変動影響評価等小委員会の資料を参照いただいているというのは非常によかったと思いました。自然生態系の概要に、51ページに図が出ているように、影響の概念図というのは非常に魅力的な図でして、今回の報告書の目玉の一つでもあります。

 したがって、自然生態系だけではなくて、その次に水環境、水資源も一つの分野ですので、そちらも同じような絵がございます。それを入れていただくと自然生態系での図と、水環境、水資源における図が両方出てくるほうが資料としては充実するのではないかと思いますので、追加をお願いしたいと思います。

【岡田委員長】 こちらは、事務局よろしくお願いします。御注意ありがとうございました。

 次に中村先生、どうぞ。

【中村委員】 底層DOに関する資料、21、22ページについてお願いをしたいところがあります。

 22ページを御覧いただきますとお分かりいただきますように、底層DOの濃度が非常に低い。例えば、2.0mg/L以下になるような領域は、気象によって非常に大きく変動いたします。それを念頭に考えますと、この前の21ページの比較図ですが、ここで平成28~30年度の平均と書いてはありますが、この平均というのがどのような平均操作をされたのかによって結果がかなり変わってしまうおそれがあると思っております。

 この二つの左右の図の比較から、水域の面積、大幅に減少したと書いてありますが、この平均化の取り方によっては、このような結果が得られないような結果が得られると私は思っております。この辺りのデータの扱い方、平均化の仕方、そこから何が読み取れるかということにつきましては、かなり慎重な判断が必要だと思いますので、よろしく御検討をお願いします。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 私の記憶では、今までこのようにやってきているので、もっと細かいデータがあるんでしょうか。ではこれは、事務局で、再度データを探し出して、中村先生がおっしゃるように整理することは重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あとは田中先生、どうぞ。

【田中委員】 どうもありがとうございます。

 先ほどの資料5の2-4と2-5の関係について、お聞きしたいのですが、2-4の差し替えになった肥料の実態調査は、もともと2-4で出ていたものの内訳が書かれていて、この中の有機質+特殊肥料というものの中と、それから、これもかなりのところが76ページの2-5の家畜排せつ物の利用状況で出てきている排せつ物由来のものの、ある程度のものがそっちに回っていると。

 オーダーが75ページの有機肥料を見ると、例えば、平成30年度は9,000×1,000ですので、900万トンぐらいです。それで、76ページの家畜排せつ物発生のこの情報によると、8,000万トン発生していて、その中のエネルギー利用も少しあるのかもしれないが、それよりは圧倒的に肥料化、たい肥化が多いと思いますが、約9割方そこに来ているはずだと。そうすると、オーダーが一桁変わるんですが、この差引きは家畜排せつ物の量り方が、例えば含水率がかなり高いところから量って、これだけの大きな数字になっていて、肥料化をすると当然水分量が減ったり、あるいは一部有機物等がなくなっているので、減っているという理解でいいかどうか。これ環境省に聞くというか、基をつくられた農林省に恐らくなると思うんですが。

 では、それがそういう理解でいいかということと、その差引きの水分量はどこに行っているかということになると、これはやはり、環境に直接出ているか、あるいは地下水のようなものに行っているか、あるいはひょっとすると液肥のようなもので農地に行っているのか。つまり栄養塩管理から見たら、上の肥料の関係とこの排せつ物の関係は、どうなっているかが、まだ私十分理解できないので、そこを可能であれば、農林省側から少し補足をいただければ有り難いと思いました。

 それから、2点目は、長期的な変化としての理解としては、農地の側で使っている肥料量はそう変わらないが、有機肥料系のものがだんだん増えてきていて、化学肥料で速効効果のあるものが減っているので、いきなり流域から、使った後すぐに出てくるというよりは、やや遅れて出てくるので、そこで抑制される効果と、それから、その元になっている家畜排せつ物が、前の状況がどういう形で出ているのか、まだ十分理解できていないのですが、そこから出てきているものが、以前はかなりあったものが減っているので、そのダブル効果で環境、つまり水環境側に流れてくる量が減っているという理解でいいのか。どのようにこれを環境省側は理解されているかの、意見が聞きたいのです。

 以上です。

【岡田委員長】 なかなか難しい御質問ですが、1点目は、こちらは農水省に聞かないと分からないですね。聞きながら簡単にでも、マスバランス等を考えていただくと。

 2点目も農水省に確認したほうがいいでしょうか。

 ということで田中先生、いいですよね。

【田中委員】 分かりました。

【岡田委員長】 こちら確認する必要があると思います。ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 もう今のところ、手が挙がっていないようですが、大量の資料ですので、後ほど御覧いただいて、気になることが恐らくあるかと思います。そちらにつきましては、ぜひ事務局に御意見等をお寄せいただいて、より正確な意味のある資料にしていただくことが、今後の委員会の進展に重要だと思いますので、御質問等も含めて、ぜひ御協力のほどをよろしくお願いいたします。

 本日の議題は以上でございます。全体を通じて、何か御質問、御意見で気がついたこと、忘れたことがございましたら、承りたいと思います。御自由に、どうぞ。

 それでは、特にないようでございますので、事務局からの連絡事項に移りたいと思います。

【事務局】 先ほど、委員長からお話のありました意見提出につきましては、1週間後の11月19日木曜日までを目途に、メールで事務局までお送りいただきますようお願いします。

 また、本日の議事録についてですが、速記がまとまり次第、皆様にお送りいたしますので、御確認をお願いします。全員の御確認を頂いたものを環境省ウェブサイトにて公開いたします。

 また、次回の日程は、別途調整の上、お知らせいたします。次回は、水質将来予測の結果及び答申の骨子案について御審議いただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 それでは、以上をもちまして第4回総量削減専門委員会を閉会させていただきます。

 本日は本当にどうもありがとうございました。

午後5時14分 閉会