陸域環境基準専門委員会(第16回) 議事録

日時:平成29年12月22日(金) 10:00~12:05

場所:環境省 第2・3会議室

議事次第

1.開会

2.議事

 (1)前回指摘事項等と対応について

 (2)渡良瀬貯水池(谷中湖)及び荒川貯水池(彩湖)における概況と将来予測水質について

 (3)水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しに係る報告案について

 (4)その他

3.閉会

議事録

午前10時00分 開会

○林課長補佐 定刻となりましたので、第16回中央環境審議会水環境部会陸域環境基準専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様には年末のお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、委員総数11名中8名の委員の御出席が予定されており、ただいまのところ7名の委員に御出席をいただいております。長岡委員からは所用により遅れて到着される旨、事前に御連絡をいただいております。

 また、9月に開催されました前回の専門委員会におきまして新任の委員を御紹介いたしましたけれども、そのときは御欠席で本日初めて御出席いただいている委員がいらっしゃいますので、御紹介いたします。

 国立環境研究所地域環境研究センター湖沼・河川環境研究室室長の高津文人専門委員でございます。よろしくお願いいたします。

○高津委員 よろしくお願いします。

○林課長補佐 続きまして、お手元の配付資料について確認をさせていただきます。

 議事次第の下に資料1、委員名簿がございます。それから、資料2、前回指摘事項等と対応について、それから、資料2の別紙1-1という束が1冊ございます。それから、その下に資料3、渡良瀬貯水池の水質予測結果について、それから、資料4、荒川貯水池の水質予測結果について、それから、資料5、報告案がございます。それから、資料6、家畜系の発生負荷量算定の考え方について(案)、それから、その下が資料7、暫定目標設定の考え方について(変更案)、それから、その下にA3を折ったものとして資料7の別紙というのが1枚ございます。あと、参考資料が4点ついておりまして、参考資料1から参考資料4までということでございます。

 不足等ございましたら、随時事務局までお申しつけいただければと思います。

 なお、報道関係の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行は古米委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○古米委員長 それでは、前回9月に議論しました渡良瀬貯水池と荒川貯水池の件で、早速ですけれども、議事に入りたいと思います。

 まず、前回指摘事項等がございましたので、その対応についてということと、先ほど申し上げた荒川貯水池の現況と将来予測についてということをあわせて議論させていただきたいと思います。

 それでは、渡良瀬貯水池について事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

○中島専門官 それでは、前回指摘事項等と対応についてということで、資料2、それから、資料2の別紙1-1から別紙8まで綴じたものがその下にございますが、こちらをご覧いただきながら、まずは渡良瀬貯水池について御説明させていただきます。

 資料2の左側に前回頂戴した指摘や意見、右側に今回の報告案の作成に向けた対応が記載してございます。

 まず、1番の指摘でございます。畜産系における豚の畜産頭数と点源の排水における生活系の説明、こちらに前回資料にはトレンドから算出したという記載があったのですが、具体的な算出方法を記載してはどうかという御指摘、それから、利用できるデータを最大限集めて、その限られたデータから、どのようなルールでトレンドを読み取ったのか記載すること、という御指摘を頂戴しておりまして、対応としましては、資料2の別紙1-1、それから、めくっていただきまして、3ページ目に別紙1-2がございますが、こちらに算出方法等について記載してございます。資料2の別紙1-1、前回資料からの修正箇所を赤文字で示しておりますが、ページの中ほどに豚の頭数の説明があるのですけれども、平成17年度、18年度、22年度、それから、27年度のデータを元に直線回帰式により将来の豚の飼養頭数の値を推計した、と具体的な算出方法について記載してございます。

 資料2の別紙1-1の2ページ。こちらに実際に算出に使用した直線回帰のグラフを掲載してございます。

 それから、3ページの別紙1-2に記載がありますように、点源排水についても同様に、中ほどの生活系の説明にありますように直線回帰式により推計した、と記載してございます。

 資料2に戻っていただきまして、今回利用できるデータを最大限集めるということでしたので、畜産系につきましては、最新の世界農林業センサスのデータが公表されていたという情報を得ましたので、2015年のデータを追加して飼養頭数の見直しを行っております。それから、点源負荷量につきましても、水質汚濁物質排出負荷量総合調査の平成23年度分のデータを追加して、将来水質予測等を行っております。

 続いて、2点目の指摘です。先ほどご覧いただいた別紙1-1と、それから、1-2に掲載しているグラフですが、前回の資料ではこの棒グラフの上の先端同士を線で結んでおりましたが、横軸の間隔が等間隔ではないため、そのような傾斜は実際の傾斜ではないということで、削除してはどうかという御指摘でした。ご覧のとおり、今回はご指摘を踏まえて、棒グラフの先端同士を結ぶ線を削除してございます。

 続いて、3番、それから、4番の指摘でございます。こちらも別紙1-1に記載の表と図に関するご指摘でございますが、前回の資料では下の表には流域内の飼養頭数の数が載っておったんですが、図の数は流域に含まれる市町村の飼養頭数を全部を足し上げた頭数になっておりまして、分かりにくいということでした。そこで、4番の指摘を踏まえて、流域の市町村の畜産頭数の合計ではなくて、表に合わせて農地面積の比率で按分して求めた流域内の頭数にグラフの数を全て変えて整理してございます。

 続いて、指摘の5番目です。前回の資料2の表が平成22年度と平成34年度の発生汚濁負荷量を比較した表となっていたところ、平成34年度の値は平成22年度だけではなく、平成13年度から平成22年度までの10年間の平均値を用いて算出しているということで、その下の記載にありますように、平成22年度と平成34年を並べると発生負荷量は増えているが、将来水質の濃度が低下することが伝わりにくいという御指摘を頂戴しておりました。

 これにつきましては、資料3をご覧いただきながら説明をさせていただければと思います。資料3、渡良瀬貯水池の水質予測結果の1-32ページをお開きください。

 今回の資料では、この1-32ページにありますように、表1-24と表1-25の2つの表を載せてございますが、前回は上の表1-24に相当する表しかございませんでした。また、その表の内容も、現況の平成22年度と、将来の平成34年度の値を単純に並べたものでした。このため、実際に渡良瀬貯水池の将来水質の算定に当たっては、平成22年度の発生負荷量だけではなく、平成22年度を含む過去の発生汚濁負荷量の平均値を現況平均として用いているのですが、平成22年度の値のみと比較していたことから伝わりにくいとの御指摘につながっていました。

 このため、今回は表1-24にございますように、平成22年度の値ではなく、将来水質の算定に用いる現況平均の値、これと比較する表としまして、さらに、下に表1-25として各年度の発生汚濁負荷量の推移を示した表を追加しております。

 なお、5年前に渡良瀬貯水池を河川類型から湖沼類型に見直した時に、発生汚濁負荷量の原単位が見直されていることから、今回、将来水質の算定に用いる現況平均流入負荷量等については見直し後の原単位に基づく平成18年度以降の値の5カ年平均値を用いることとしてございます。

 具体的には資料が飛んで恐縮ですけれども、資料2の別紙2をご覧ください。5ページ以降になりますが、7ページをお開きいただけますでしょうか。

 具体的に原単位がどのように変わったのかということで、前回の見直し時に対象としていた、平成13年度から17年度における発生汚濁負荷量につきましては、7ページの上の表、表5に示した平成20年度の「流域別下水道整備総合計画調査 指針と解説」の原単位を使用しておりましたが、今回の見直しに当たっては、その下の表6にございます、平成27年度の「流域別下水道整備総合計画調査 指針と解説」の最新の原単位を使用してございます。

 表6の注釈にありますように、どの部分の原単位が変わったのかということで、前回の流域総合計画、流総指針と呼びますが、前回の流総指針で見直されている原単位は黄色いハッチの部分です。家畜系の除去率などが上がったりですとか、この黄色の部分の数字が変わっていたということです。それから、水色のハッチは、前回の見直し時には考慮していなかったけれども、この後説明に出てきますが、今回、鶏についても考慮したということで併せてこちらに載せてございます。

 その結果、8ページ以降に渡良瀬貯水池、それから、10ページ、11ページに荒川貯水池についてそれぞれ表と図で示しておりますとおり、平成13年度から平成22年度の発生汚濁負荷量の経年変化を見ますと、原単位が見直されたということで、平成17年度以前と平成18年度以降で大きな差異が見られます。このため、将来水質の算定に用いる現況平均流入負荷量等につきましては、前回の資料では10年間の平均値を用いておりましたが、見直し後の原単位に基づきます平成18年度以降の値、5カ年の平均値を今回用いることとしております。

 なお、この現況平均値の対象期間の変更につきましては、ご覧のとおり渡良瀬貯水池だけでなく、荒川貯水池についてもあわせて行っております。

 資料2に戻っていただきまして、2ページの6番目の指摘、表1-29にCODの75%値の算出方法を明記すること、ということで、資料2の別紙3、12ページにございますが、こちらの赤文字の部分を追記させていただきました。年平均値は年平均値そのものの標準偏差から求めていますが、75%値につきましても、75%値そのものの標準偏差を求めて、その値をもとに変動範囲を算出しておりますので、そのように追記させていただいております。

 以上で渡良瀬貯水池に関する指摘事項等と対応の説明を終わります。

 なお、指摘後の対応の部分で御説明したとおり、今回現況年度を10年間から5年間に見直したことによりまして、報告案の新たな暫定目標が変更となっておりますが、これにつきましては、前回多くの御指摘を頂戴しました暫定目標の考え方とも関連がございますので、後ほど荒川貯水池の説明にあわせてまとめて説明させていただきます。

 以上です。

○古米委員長 御説明ありがとうございました。

 大きく変わった点というのは、10年平均ではなくて原単位が見直された後の5年間で将来予測のための基本的な現況を把握したということで、非常に特性の異なる統計データ群を一緒に平均するのではなく同じグループでやったということです。

 何か今の御説明に関しまして、御質問あるいは御意見があればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。

 私1点だけ。資料2の別紙のほうがいいのかもわかりませんけれども、発生負荷量の値ですかね。ごめんなさい、資料3のほうがいいのかな。資料3の1-32のところで御説明があったように、表1-24で現況平均値を平成18年度から平成22年度の平均ということで書いていただいて、中身は下に詳しく書いてあるということだと思います。せっかくこういった平均を出していますので、これでも十分わかるとは思いますけれども、できれば表1-25の下のほうの推移の一番右端に、この5年間を平均すると出てきた値、表1-24の一番下に書いてある例えばCODであれば48,581という数値が見えたほうが非常にわかりやすいのではないかなと思います。

○中島専門官 御指摘ありがとうございます。それでは、表1-25の推移の一番右側に18年度から22年度の平均値について追記させていただくこととします。

○古米委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 特に御意見、御質問ございませんので、続きまして荒川貯水池についての御説明をいただきたいと思います。

○中島専門官 それでは、続きまして、資料2、資料2別紙、それから、資料4を適宜ご覧いただきながら説明をさせていただきます。

 荒川貯水池について、まず7番目の指摘です。こちらは資料4をお開きいただいたほうがよろしいかと思います。2-5ページになります。

 2-5ページに荒川貯水池の流域類型指定状況として概況図を掲載してございます。中ほどに荒川貯水池が荒川にくっついて表示されており、黒い矢印が上と左側にあるのですけれども、前回の資料にはこの矢印が掲載されておりませんでした。このため、御指摘にありますように、黄色く塗られております貯水池の北側を流れる鴨川の水が直接荒川貯水池に入っているように見えるということで、この図と実際の荒川貯水池の水のやりとりの説明が異なるという御指摘でした。

 今回はご覧のように矢印を付けまして、流入経路と、その説明を四角のボックスの中に加えてございます。秋ヶ瀬取水堰の文字にかかっている矢印の説明として、平常時の運転について、貯水機場により荒川の秋ヶ瀬取水堰上流から取水を行っていること。ただし、水道用水が不足する場合は、貯水池から荒川の秋ヶ瀬取水堰上流に放流をしていること。それから、その下側にあります荒川に直接つながっている部分の矢印の説明として、平常時には調整池排水門から荒川に排水を行っていること。ただし、荒川の水位が高い場合は調整池排水門からの排水はできないということ、以上、前回説明させていただいた内容をそれぞれ記載させていただいております。

 続いて、8番の御指摘です。今回荒川貯水池につきましては、馬の発生負荷量を見込んでいるのですが、発生汚濁負荷量原単位の表に原単位や除去率が掲載されていないということで、こちらにつきましては、資料4を引き続きご覧いただきますと、2-30ページに発生汚濁負荷量の原単位等を載せてございますが、この表の一番下のところに馬、それから、この次の指摘で出てきます鶏、これらの原単位と除去率について今回追加をしてございます。

 続いて、9番の御指摘です。荒川貯水池については馬の負荷量を考慮していたのですが、鶏については考慮しなくていいのかということで、流域における鶏に係る発生負荷量が馬と同等程度であれば考慮すべきではないかという御指摘を頂戴しておりました。

 これにつきましては、流域における鶏に係る発生汚濁負荷量を調べたところ、荒川貯水池については馬以上の負荷量がありましたので、鶏に係る発生負荷量を追加して将来水質を予測してございます。こちらは資料2の別紙の……

○古米委員長 鶏の発生。

○中島専門官 すみません、別紙6にございます。15ページ以降になりますが、渡良瀬貯水池についても同様に整理をしております。まず渡良瀬貯水池ですが、現況の畜産フレームということで飼養羽数を見ました。そうしますと、表12にありますとおり、飼養羽数は牛や豚より多いと。また、将来においても、下のグラフにございますように平成17年度から平成27年度にかけて増加傾向が見られるということから、将来の鶏の羽数を推計してございます。将来の育養頭数、育養羽数が表13、家畜系フレームの推移が表14ということで、こちらは本体の資料のほうにも掲載してございますが、先ほど説明のとおり平成18年度から平成22年度の5年間を記載してございます。

 17ページ、鶏の発生負荷量の算定方法になりますが、先ほどご覧いただきました原単位等を用いまして、フレームに原単位を掛けて、牛や豚、馬と同じ方法で算出しています。

 17ページの下、発生汚濁負荷量はどのぐらいかということで、渡良瀬貯水池について見ますと、牛や豚ほど多くはないのですが、無視できないほどの発生汚濁負荷量があるということで、今回の将来水質予測に組み込ませていただいております。

 続いて、18ページからが荒川貯水池になります。畜産フレームについては、埼玉県の流域内市町村と東京都の青梅市が流域に入っておりますので、その合計を見てございます。

 19ページの下の表18にありますように、飼育羽数については牛や馬と比較してかなり多いということでございます。

 続いて、20ページですが、埼玉県については、渡良瀬貯水池と同様に17年度から27年度にかけて増加傾向が見られたことから直線回帰式により将来の羽数を推計してございます。一方、東京都青梅市については、17年度18年度、27年度の飼養羽数の情報が公開されていませんので、傾向が把握できなかったことから、世界農林センサスにある平成22年度の実績と同じ値を将来の羽数としております。

 21ページの下の表20になりますが、荒川貯水池についてはご覧のようにフレームの値が推移をしているということで、渡良瀬貯水池と同様の計算を行いまして、22ページの下の表22にございますとおり発生汚濁負荷量としましては、前回資料で追加をしておりました馬に比べて非常に発生汚濁負荷量は高く、CODや全窒素につきましては、牛や豚とほぼ同程度の負荷量が見込まれているということで、荒川貯水池についても負荷量の算定に鶏を加えております。

 続いて、資料6、1枚紙でございます。畜産系の発生負荷量算定の考え方について(案)ということで、これまで畜産系の発生汚濁負荷量の算定につきましては、牛と豚を対象としておりましたが、今回、荒川貯水池の流域にあります埼玉県の畜産データに馬の飼養頭数が含まれていたこと。それから、井上委員の指摘を受けて鶏についても発生汚濁負荷量を調べたところ、相当程度の負荷があったということで馬や鶏についても汚濁負荷量の算定に含めました。このようなことから、今後の考え方について作成した案でございます。

 まず、1番として対象とする家畜の種類についてですが、牛、豚、馬、鶏など、流域に含まれる自治体の畜産に係る将来計画に記載のある家畜は、当該自治体において主要な種であると考えられることから、原則としてその家畜について汚濁負荷量の算定を行うこととする。また、計画等に記載のない種であっても、流域に含まれる自治体の統計情報等から一定の汚濁負荷量が想定される場合は、その種についても算定を行うことを検討する。ただし、記載があるものの飼養頭数や原単位について知見のない種については、現段階では汚濁負荷量の算定には用いないこととするという案となってございます。

 2番としまして、将来の飼養頭数についてですが、流域に含まれる自治体の統計情報等を踏まえて飼養頭数を算定するとともに、畜産に係る将来計画が策定されている場合は、原則としてその値を用いて将来の飼養頭数を推定する。ただし、将来計画における将来の飼養頭数目標が現況の飼養頭数よりも減少する場合は保守的に見積もることとし、現況と同じ飼養頭数とする。畜産に係る将来計画が策定されていない場合につきましては、統計情報等の実績を踏まえて将来の頭数を推定をする等といったこととさせていただいております。

 3番目の算定に用いる原単位についてですが、流域における原単位の知見、実際にその流域で行われた調査結果等がある場合は原則としてその値を用いる。ただし、そのような値がない場合は文献等に記載の原単位、例えば今回の推定で用いた「流域別下水道整備総合計画調査 指針と解説」に載っている値を用いる。その際は、いずれも最新のデータを用いることとするといったこと等を考え方として整理させていただいております。これを今後の畜産系の発生汚濁負荷量算定の考え方の共通ルールとしてはどうかということでございます。

 なお、指摘の8と9につきましては、ご覧いただいた資料6の考え方の案も含めまして御指摘を頂戴した井上委員に事前説明を行い、その対応について御了承いただいておりますので、報告させていただきます。

 それから、資料2に戻っていただきまして10番目の指摘、こちらは前回資料の荒川貯水池の流入率ですが、0.001または0.002と表記されているが、実際には有効数字2桁で計算しているので、そのことがわかるような表記とすべきではないかという御指摘でございました。

 これにつきましては、資料2の別紙7、23ページになります。前回資料からの修正部分が赤文字となっておりますが、流入率について有効数字2桁で掲載させていただいております。それから、発生負荷量、流入負荷量について小数点以下四捨五入していること等を注釈に追記してございます。

 以上が荒川貯水池についての対応になります。

 続いて、渡良瀬貯水池と共通の指摘、意見として整理させていただいた2つの指摘、意見についてもあわせて説明させていただきます。資料2の3ページ目でございます。

 11番の指摘ということで、まず風間委員から荒川貯水池については将来水質の変動範囲の上限を大きく上回る実測値しかないことを理由に現行の暫定目標値を据え置く案となっているが、渡良瀬貯水池の全燐も変動範囲の上限を超える値があるので、考え方の整理が必要ではないかという御指摘を頂戴しておりました。その下にありますように、多くの委員の皆様から渡良瀬貯水池、それから、荒川貯水池について同じ考え方を用いて判断すべきではないかという御意見を頂戴しております。

 その下の田尾委員の御指摘。こちらは、考え方どおりに、渡良瀬貯水池の全燐を0.071としてはどうかというご意見。次の尾崎委員は、荒川貯水池のCODのように全ての実測値ではないものの、変動範囲の上限を上回る実測値が渡良瀬貯水池の全燐にもありましたので、上回る実測値があるということを理由にともに据え置くというような御提案。

 それから、その下の井上委員は、そもそも特別ルールを作らずに考え方を厳格にあてはめて、荒川貯水池のCODの暫定目標を3.5mg/Lとするという方法もあるだろうと、暫定目標設定の考え方どおり判断してはどうかという御提案、以上、様々な御意見が出たのですが、その下のご指摘にもありますように、現行の暫定目標の設定の考え方を変えずにきちっとその考え方に揃えるのか、それとも近年の水質が乖離している場合の考え方を盛り込んで考え方そのものを修正するか、そのいずれかの判断が必要という御意見を頂戴しておりました。

 これにつきましては、対応の欄にございますように、これまでは想定していなかったケースですが、実際に荒川の貯水池のCODのように、近年の水質の実測値が水質予測結果を大きく上回って推移しているケースもあることを考慮しまして、暫定目標設定の考え方に修正を加えることを考えております。資料7、それから、資料7の別紙というA3のイメージ図がございますので、そちらをもとに御説明させていただきます。

 まず、資料7ですが、右上の資料番号の下に記載のとおり、今回の変更において追加された部分を網かけにしております。まず最初の文章の下の「さらに」からの段落ですが、こちらは、今回の変更案が専門委員会で御承認いただいたという前提で書かせていただいておりますが、「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて」これが今回の報告案ですが、この取りまとめの際に、近年の水質の実測値が水質予測結果を大きく上回って推移しているケースがあることを踏まえ、設定方法について見直しを行ったと記載してございます。

 その下の枠の中、基本的な考え方については変更はなく、その下の設定方法の1番について変更を行う案となっております。裏面をご覧ください。

 これまでの設定方法では、将来水質の予測結果、それから、予測に反映されていない直近の実測値、今回は平成22年度までを将来水質予測に用いていますので、平成23年度以降の調査結果がそれに当たります。それから、現行の暫定目標。この3つの関係から新しい暫定目標を設定することとしております。文字だけでは非常にわかりにくい部分もあると思いますので、資料7の別紙をご覧いただきながら説明をさせていただければと思います。

 まず、設定方法1の(1)、それから、(2)ですが、将来水質予測結果の値よりも良好な直近の実測値があるかないかということでまず大きく分けてございます。(1)が良好な値がある場合で、資料7の別紙のイメージ図をご覧ください。

 上のステップ1において、まず改善目標値を考えます。将来水質予測結果が黒いひし形。この値に対して変動範囲の上限値、それから、変動範囲の下限値がそれぞれバー、縦棒で表示してございます。平成23年度以降の直近の実測値、今回は5つの実測値ありますが、そのうち最も低い値を青い丸印で示してございます。資料7の(1)、将来水質予測結果の値よりも良好な直近の実測値が1つ以上ある場合、これはイメージ図のパターン1またはパターン2に該当し、改善目標値という赤紫の指差しマークがありますが、将来水質予測結果の変動範囲の下限値、これを将来における改善目標値としてはどうかということで、こちらは従来の考え方と変わっておりません。

 次に、資料7の(2)です。では、将来水質予測結果の値よりも良好な直近の実測値がない場合はどうなのかということで、これまでは別紙のイメージ図にありますようにパターン3しか考えておりませんでした。すなわち、将来水質予測結果よりも低い実測値がない場合は、その将来水質予測結果、黒いひし形の値を改善目標とし、その値を目指すという考え方だけだったのですが、今回追加するパターンと赤字で書いてありますが、従来のパターン3を2つに分けるような考え方の変更を行っています。

 資料7の裏面の(2)の網かけの部分がその変更の部分です。まず最初の段落ですが、下線部分にありますように、(2)の場合、これまでは将来水質予測結果を将来における改善目標値とするとなっていたのですが、今回網掛けの部分が加わりまして、そのような場合は、将来水質予測結果の変動範囲の水質のうち実現が見込まれる値を将来における改善目標値としてはどうかということでございます。これをその下の段落で、「すなわち」、「一方」として書き分けまして、「すなわち」以降、こちらが従来どおりのパターン3になるのですが、将来水質予測結果の変動範囲内に直近の実測値が1つ以上ある場合、つまり縦棒の中に青丸が入っている場合ですが、この場合は将来水質予測結果の値を将来における改善目標値とすると。「一方」以降、これが今回追加したパターンですが、直近の実測値が全て将来水質予測範囲の変動範囲の上限値を超える場合、つまり直近の実測値のうち最も低い青丸であっても変動範囲の縦棒の範囲に入ってこない場合については、将来水質予測結果の変動範囲の上限値を将来における改善目標値としてはどうかという変更案となっています。

 以上ように求めた改善目標値、これを実際にどのように暫定目標につなげていくのかということですが、資料7に記載のとおり、この改善目標値は将来において実現可能と考えられる範囲で最も良好な値ということですが、この値をそのまま暫定目標に置く場合もあるのですけれども、資料の裏面の、2暫定目標の設定等の(1)から(3)、こちらについては従来の考え方から変更はないんですけれども、この(1)から(3)に基づいて暫定目標を設定します。資料7別紙ですと、ステップ2の手順で暫定目標を設定する、もしくはしないという判断をしていくことになります。

 資料7の2の(1)ですと、1で求めた将来における改善目標値、資料7別紙ですと指差しマークの値です。この値が環境基準を満たす場合は、当然環境基準の達成が見込まれますので、暫定目標を設定しない、資料7別紙のパターンAということで、緑色の四角が環境基準値ですが、この四角よりも改善目標値が低い場合は、暫定目標は設定せずに環境基準の達成を目指すべきということです。

 次の(2)です。改善目標値が環境基準を満たさず、かつ従前の暫定目標以下である場合は、その改善目標値を暫定目標値にするということでございます。

 それから、資料7の(3)、これは別紙のイメージ図ですとパターンCということになりますが、ステップ1で求めました改善目標値が従前の暫定目標よりも高いという場合がございます。今回もこのパターンがありますが、その場合は改善目標値を上限、それから、従前の暫定目標を下限とした範囲内で、実測値の推移等も考慮して、実現可能と考えられる最も低い値を暫定目標に設定するとしています。イメージ図ですと、オレンジ色が新しい暫定目標になるのですけれども、パターンCには幅がありまして、この間で実現可能と考えられる最も低い値を暫定目標に設定するということになっています。

 実際にこの変更後の考え方を当てはめたときにどのようになるのかをご覧いただこうと思いまして、資料2の別紙の最後の部分ですが、別紙8として、24ページ、25ページに今回の将来水質予測の結果を記載してございます。

 24ページが渡良瀬貯水池、25ページが荒川貯水池となります。この別紙8と、それから、先ほどの資料7、資料7の別紙、イメージ図をご覧いただきながら変更後の考え方ですと、最終的な暫定目標値がどのように決まっていくのかを御説明させていただきたいと思います。

 まず、渡良瀬貯水池でございます。10年間の値を予測に用いた場合と5年間の値を用いた場合で、変わってきている部分を赤文字で示してございます。基準値、それから、平成29年度までの暫定目標は変わらないのですが、平成13年からの10カ年平均に比べて平成18年からの5カ年平均で見た場合、ご覧のとおり平均値が変わっています。5カ年の平均で見ると、CODと全窒素については少し下がっております。逆に燐についてはかなり上がっているというような結果になります。

 それから、この22年度までの水質の値は将来水質の予測に反映されているのですが、平成23年度以降の値は今回の将来水質の予測の算定式には反映されておりません。いわゆる直近の実測値ということになります。こちらについては記載のとおり変わってはおりません。平成34年の水質予測結果がどうなるかといいますと、まずCODにつきましては、若干下がってきています。全窒素につきましては、ご覧のとおり値は変わらないのですけれども、下限値のほうが少し上がってきています。それから、全燐につきましては、水質予測結果そのもの、それから、上限と下限、いわゆる変動範囲自体もかなり上がってきているというような結果になっています。

 これを先ほど御説明しました資料7、暫定目標設定の考え方の変更案に基づいて、イメージ図による説明のほうがわかりやすいかと思いますので、別紙のイメージ図のステップ1とステップ2のパターンを使って説明をさせていただきますと、まず、渡良瀬貯水池のCODですが、こちらは将来水質予測結果が6.1と出ています。6.1mg/Lに対して直近の実測値に5.9、5.7、6.0といった良好な値がございますので、CODについては変動範囲の下限値、すなわち5.5を改善目標値とします。この改善目標値がステップ2に移りまして、左側に掲載されております従前の暫定目標値、これが7.4ですので、これまでの暫定目標より強化する値ということで、パターンBを採用しまして5.5mg/Lが暫定目標値となります。この値は、前回の専門委員会の暫定目標案と変わってはおりません。

 続いて、全窒素になります。全窒素につきましては、将来水質予測結果は1.1mg/Lで変わりません。これに対して、0.9、0.7と平成23年度以降により良好な値がありますので、さらなる水質改善が期待できるということで、変動範囲の下限値、1.0が改善目標値ということになります。前回は0.93だったのですが、変動範囲が変更していますので、1.0が改善目標値ということになります。この改善目標値は、基準値は達成しないのですけれど、これまでの暫定目標値、1.3に比べて低いので、暫定目標の強化が可能ということで、この1.0を採用します。別紙のパターンですと、パターン1とパターンBということでございます。前回とパターンは変わらないのですが、暫定目標案としては変動範囲が上がったことによって少し上がっているということでございます。

 続いて、渡良瀬貯水池の全燐です。こちらは前回に比べて将来水質予測が0.086とかなり上がっております。平成26年が0.079ということで水質予測結果よりも低い直近の値がございますので、こちらは下限値を改善目標値とするということで、0.084が改善目標値になるのですけれども、こちらはステップ2のパターンCに該当しておりまして、0.078という現在の暫定目標に対して、改善目標値が0.084ということで、改善目標値をそのまま暫定目標とすると、値が上がってしまうということでございます。ですので、パターンCに記載のように改善目標値と、従前の暫定目標の間で実現可能と考えられる最も低い値を当てはめるということで、渡良瀬貯水池につきましては、今回の将来水質予測に用いた平成18年度以降ではないのですが、以前0.078を下回る水質を何年か計測している年がありましたので、過去の実測値の推移等も考慮しまして0.078という暫定目標、これを据え置くという形で、0.078mg/Lを新たな暫定目標としてはどうかということで考えてございます。

 次に、荒川貯水池でございます。

 こちらも10年間を用いた予測結果から値が少し変わってございます。CODにつきましては、10カ年平均よりも5カ年平均のほうが現況の水質が悪化しているということも反映しまして、平均値が4.2と少し上がっています。その結果、平成34年度の水質予測としましては、将来水質予測結果が4.1mg/L、変動範囲も3.5から4.6ということで、かなり上がっています。これを暫定目標設定の考え方に当てはめていきますと、まず4.1を上回る値ですが、直近の、平成23年から26年までの値が全て4.1を上回っているということで、こちらは新しく今回追加するパターン4が当てはまるということで、改善目標値は変動範囲の上限値ですので、4.6mg/L、これが将来において実現が見込まれる値だろうということで、変動を加味した下限値である4.6mg/Lを改善目標値とします。

 ただ、4.6mg/Lというのは従前の改善目標値3.7に比べて非常に高い値ということになりますので、暫定目標をどのように設定するのかということでいいますと、ステップ2のパターンC、先ほどの渡良瀬貯水池の燐と同様にパターンCに該当し、また、こちらについても過去に3.7mg/Lの水質を満たした年もあるということで、現行の暫定目標、これを据え置いて3.7mg/Lとしてはどうかという案となってございます。

 以上で11番の指摘についての対応、暫定目標設定の考え方の変更案、それから、考え方を変更した場合新たな暫定目標がどのようなパターンに基づいて設定されているのかという説明を終わらせていただきます。

○古米委員長 ここで一旦切ったほうがよいかと思います。12番はまた別の、資料5に関わりますので、5年間平均で考えるという考え方に基づくと、要は振れ幅も変わってきて、従前の設定手順のところで新たにパターンを加えなくちゃいけないという議論が出ます。一旦ここで切って、まず資料について御質問をいただくのと、今御説明いただいた新しい設定手順については2つに分けて質問、意見の時間を設けたいと思います。

 それでは、今申し上げたように渡良瀬とも関わりますけれども、荒川貯水池の7、8、9、10に関する前回の指摘事項、意見に対して対応いただいた部分についてまず御質問、御意見をいただきたいと思います。

 はい。

○木幡委員 質問をさせていただきます。今回の説明で特に資料7の別紙が非常によくつくられていて、わかりやすくなったと思います。非常に感心したというか、こんなわかりやすい資料があるんだなと思ったんですが、ここで変動幅というのが出てきますよね。この資料のほうを読ませていただくと1シグマだというわけなんだけれども、その平均あるいは標準偏差をとって統計的にやること自体はちょっと乱暴かなとは思うんですけれどもね。本当にこれが例えばガウス分布するかどうか怪しいし、どうかというのはあるんだけれども、後々変動幅というのはすごく重要な意味を持ってくるとすると、そこの部分の説明ですよね。

 例えば1シグマをプラス・マイナスとってもたかだか60数%がそこに入る確率があるよということだけですよね。そこのロジックだけちょっと何か工夫されたほうがいいかなという気がしたのですけれども、それについてはいかがでしょうか。

○中島専門官 まず、暫定目標の考え方ですが、御承知のとおり、これまでは将来水質予測の結果そのもの、イメージ図ですと、この予測結果の黒いひし形ですね。この値を新しい暫定目標に単純に当てはめてきていたのですが、直近の水質には改善傾向なども反映されているだろうということで、最近良好な値があれば予測結果の真ん中ではなくて、より良好な値を狙って新しい暫定目標に設定してはどうかというのがまず背景にあって、現行の考え方について御審議いただいてきたという経過がございます。

 その中で、当初は、実際にそういう良好な実測値があれば、それを目指すべきではないかといった議論もあったのですが、実測値というのは、天候等の影響ですとか渇水のあった年ですとか、そういった影響により変動する偶然性の高い値だということで、そのような値を目標にするよりは、そのような変動を考慮して求めた変動範囲の下限を目標とすべきだろうということでございました。

 では、その変動範囲をどのように設定するのかですが、今御指摘があったように、当時も、統計学的に厳密に決められた値かどうかというような御指摘も頂戴はしていたのですけれども、次の12番の御指摘にもリンクするのですけれども、現在の算定方法を踏まえて、あまり複雑な計算をせずに説明しやすい値ということで、シグマ、標準偏差ということにしてはどうかということで当時合意をいただいていたという経過がございます。すみません、ちょっと説明が……。

○古米委員長 ちょっと確認ですけれども、従来は10年間のデータではなくて直近5年のデータで同じようにシグマを求めていた。

○中島専門官 前回は過去10年分の値をもとにシグマで変動範囲を出しておりました。ですので、今回10年間から5年間に見直したことによって、5年間のシグマを変動範囲に持ってきたということになります。

○古米委員長 そうですよね。木幡委員からの御指摘というのは、その変動範囲の幅というのが最終的に暫定目標の設定などのときに、その範囲内で設定するという考え方が改めて明確にされたので、今説明されたように直近10年ではなくて5年という形で整理をしたときのばらつきの範囲内みたいなものがその変動範囲として正しいのかどうか、考え方としてどうなのかということに改めてここでどういう立場をとっているのかを明確にしておくことがよいのではとの意見だと思います。それをベースに決めていくのでということですので。

 なので、要は利用できるデータの範囲内で、今回の場合は10年をとるよりは5年間のデータがいいというのは、原単位のほうの話でしたよね。一方で変動幅のほうは、かつては10年間でとっていたと。水質自体は、10年間の変動幅は別に原単位関係なく現象としてあるわけですよね。そのときに私の疑問としては、5年間の直近データがどれぐらいの変動幅を持っているのか、nイコール5という形で標準偏差を求めていくという考え方と、10年分とってもいいという考え方もあり得ますよね。このことは原単位と非常に深く関わりますけれども、5年間が直近データなのだから、直近の間の中で重要な評価をする。5年間の中の標準偏差で評価するのが私はある意味、意味を持つのかなと思いますが、ほかの方々はどう思われるか不明ですので、ちょっと議論が混乱しないようにするためにも確認しましょう。まず木幡委員の御指摘は、変動幅をどのように設定すべきなのかを明確にしておいたほうがいいということだと。

○木幡委員 もうちょっと1シグマを使った根拠みたいな、ほかに考え方は一杯あるわけですよね。例えば検定で言うならば有意差5%にするんだったらどのくらいにするとか、その場合はシグマの1.9倍ぐらいするのかな。何かいろんな考え方があると思うんですけれども、その辺の整理だけしていて、何か言われたときにこうなっていますと明らかにしないと、今、委員長がおっしゃられたように、これをベースにして積んでしまって後で何か言われたら困るかなと。考え方としては非常におもしろいと思うんですけれども、そこだけちょっと質問させていただきます。

○古米委員長 どうですか。

 要は過去の議論の中では、そういった標準偏差プラス・マイナス1の範囲を想定しておけば十分であり、それが実際上、水質改善の実現可能性を想定して暫定目標の設定を最終的に議論されてきていた。設定すべき暫定目標は、その範囲内に入っているだろうという議論がかつての専門委員会でなされていたというのが先ほどの説明ですよね。

○中島専門官 はい、そうです。

○古米委員長 それをもう少し明確に改めて整理をしておく必要はないのかという御指摘かと思います。

○中島専門官 当時、この考え方を設定したときに、一つは、あまり複雑な計算をせずにわかりやすいものがいいだろうということもありましたし、概ねこのぐらいの値であれば妥当ではないかというような御指摘を頂戴していましたので、もう一度当時の検討状況を調べて、今後この報告案がパブコメ等に供された時に、そのような御指摘に対してきちんと御回答できるように、御相談させていただきながら回答していきたいと思います。

 それから、変動範囲の元となる「期間」を10年から5年に変更したことにつきましては、水質の動き、変動から変動範囲を見ているのですけれども、やはり水質と汚濁負荷量は今回の算定の中でも連動して考えていますので、汚濁負荷量を5年間で見ておいて、変動だけを10年間にしておくよりは、将来の水質予測という意味では期間を合わせたほうがいいだろうということから、5年間の値から変動範囲を求めています。

○古米委員長 ということで、一応事務局のほうの判断、考え方について御説明いただきましたが、これに関連してほかの委員の方々、何か御意見あるいは感想に近くてもいいと思いますし。

 どうぞ。

○尾﨑委員 今の考え方は非常にわかりやすくて、時間をかけていただいていると思うんですけれども、例えば別紙2の一番最後の25ページのところですね。荒川貯水池の例えばCODを見ますと、平成18年から22年の水質の平均値が4.2mg/Lですよね。それで、34年の予測水質が4.1mg/L、平成23年から26年の実測値が5mg/L台になっています。それで、平成29年までの暫定目標等を考慮して、平成34年までの暫定目標を3.7mg/Lにするというのは何となく数字的に、前回よりも上げないという努力目標かもしれないんですけれども、私は4.1mg/Lのほうがいいのかなというふうに思います。平成34年までの暫定目標を3.7mg/Lとする理由を分かり易く説明下さい。

○中島専門官 荒川のCODということで、前回もこの値が議論の焦点になったのですけれども、資料7の暫定目標設定の考え方の1ページに基本的な考え方がございまして、先ほど御紹介したことと一緒なのですけれど、基本的な考え方の1番にありますように、暫定目標の検討に当たりましては、最近の水質改善対策の効果ですとか発生負荷量の変動を反映している直近の実測値を勘案しているのですけれども、この後に記載のとおり、将来において実現可能と考えられる範囲のうち最も良好な値、これを目指そうということを基本としております。

 ただ、なかなか改善しない場合が3番なのですけれど、従前の暫定目標に比べて水質の悪化が見込まれる場合、まさに今回のケースなのですけれども、これにつきましても、基本的な考え方としては実測値の推移等も考慮して、可能な限り水質悪化の防止が図られるような暫定目標を設定するということです。そもそも貯水池ごとの水域の利用の様態に合わせて類型が定められて、基準値が決まっておりますので、環境基本法に基づく環境基準としては、当然それを行政上の目標として水質保全対策を進めていかなければいけないということが基本でございます。

 とはいえ、現況の水質ですとか、今回の貯水池のように運転管理上の操作等に制約がある中で達成が難しい水域については、なかなか予測の結果としていい数字が出てこないということは確かにあるのですけれど、暫定目標自体がそもそも環境基準を達成できない水域において、その基準を達成するために暫定的に設定する改善目標だという、どちらかといいますと、統計学的にどうかというよりは環境行政上の姿勢という観点から、やはり現状非悪化といいますか、現行の暫定目標、これを緩めるというのはいかがなものかという部分も加味しまして、パターンCですと、その範囲の中に従前の暫定目標がありますので、過去の推移も勘案して、できるだけ環境基準達成に向けての暫定目標だということから低い値を目指そうと、そのような背景があるということでございます。

○古米委員長 尾﨑委員の言われているのは、ここで新しく考えた変更案を見たときに、この5年間の予測結果を見ると、可能性としてはパターンCになったので、従前の目標は3.7、もう一つの上の値としては4.6なのかな。その間で考えましょうということですよね。改善目標値は4.6と決まったわけだから。そのときにあくまでも資料7の定義には、その幅の中で一番低いものを選びなさいとは書いていなくて、その範囲内の中で実現可能と考えられる最も低い値を暫定目標に設定すると書いているので、そういったときに従前の値が3.7であるというものが実現可能なものなのかと考えたときにそうでもなくて、もう少し実現可能なものとしては別のものを選ぶ考え方もあるのではないかということを御指摘されているように私は理解しておりますが、よろしいですか。

○尾﨑委員 特にCODの場合は内部生産もありますよね。流入負荷だけでなくて内部負荷もありますから、なかなか単純にはいかないような気がします。

○古米委員長 ということなので、ちょっと具体的な話になる前に私も進行が下手でしたけれども、改めて資料7の変更案の考え方と、それを示した別紙ですかね、その中身についてこの考え方でこの専門委員会として進むのか進まないのかということをまず確認したいと思います。これでいきましょうということになったときに、先ほど私が申し上げたように、では実現可能と考えられる最も低い値はどう設定するのかというように2段階で議論したほうがいいかなと今思います。よろしいですか。

 では、まず資料7の変更案です。網かけの部分は、今回改めて非常に人工的な管理をしている湖に関してこういう議論をしたときに、別紙にあるようなパターン4が出てきたと。要は、かなり現実に高いCODなりの値が出てきたときにどう対応すればいいかという新しい設定手順を考えなければいけないということなので、この変更を加えるということです。

 したがって、裏側の2番目にあるように、最も直近の実測値との関係でより詳しく2つに分けて、その範囲内にあるのかどうかということと、あとは、それよりも高い場合には上限値を改善目標値にするという変更を加えるということですけれども、いかがでしょうか。

 特にこの考え方自身はよろしいですか。

 はい。

○田尾委員 考え方自体はこれでよろしいと思うんですけれども、ちょっとよくわからなかったのは、そもそもパターン4が出てくるという原因なんですけれども、将来予測がうまく現況を反映していないという理由というのが、何が悪くてこういうずれたモデルが出てくるのかいまいちわかっていなくて、最近5年間の値を使っていないことが原因なのか、それとも何かどこかの負荷量を見逃していて、それが入っていないためにこういうことが起こり得るのか。この推論自体の外れた、外れということはその原因がちゃんとはっきりわかっていないと、この推論自体がおかしいという話になると思うんですけれども、その辺はどういうふうに考えたらいいのかちょっとよくわからなくなってきたんですけれども。

○古米委員長 これは前回の委員会でも議論したように、負荷量だけで議論できるのは、川の上流部にダムをつくっている場合には流入負荷量が重要ですけれども、この荒川貯水池のように、非常に長期間滞留しているといったような特殊な人工的管理をされており、一過式に流れる貯水池ではないというところで、今までの考え方の汚濁負荷量ベースで予測するというところに限界があるということで、前回も最終的な提言のところで、今の段階で考えられる妥当なものを選ぶけれども、しっかりとした予測モデルというものを考えなくちゃいけないというのを今回の専門委員会の報告書の中に組み込むということです。きっと皆さん認識の中では、従来のモデルでの予測には限界があると。ただ、そういうモデルのときに実測値と比べると、パターン4というようなケースがあったので、それに対してどう改善目標値を設定した上で暫定目標を考えるかということが出てきます。

 要は将来的にいいモデル予測ができるようになれば、言いかえると、こういったパターン4のように逸脱するような実測値が出ないようなモデルができることが望ましいわけですけれども、現段階で今できるのはこの範囲だろうというのが事務局の考え方だと私は理解しています。

○田尾委員 大体わかったんですけれども。

○渡邊課長 一旦補足させていただきますと、委員長御指摘のモデルの問題も必須の課題ではありますが、もう一つ、何故、資料7別紙のような扱いにしているのか。モデルの問題のほかに、もともと水質予測値を計算するために使うデータ、水質はそのほか、負荷量、その他いろんなデータを集めるときの制約の問題があって、例えば、資料2の25ページの表を見ていただくと、10カ年平均と5カ年平均、これが平成13年ないしは18年度から22年度までになっています。直近のデータは、データセットの関連で使えなくて、平成22年までの数値を使って予測しています。

 ただ、その後の数年間で、これはモデルの問題のほかにいろんな事情があって、22年までの数字とまた違う挙動を示す場合もあるのですが、計算には組み込んでいないんだけれども、最近の数字を見たときに計算に使ったデータとまた違うデータが出てきている、そこをどう考慮しようかというのがこの青丸の部分なので、これはモデルの問題のほかにデータはどこを使ったのかと。それから、その後起きていることをどう取り込むのかということで、こういった図になっているという点も御理解いただければと思います。

○田尾委員 わかりました。2つ原因があるということで、モデルとデータセットの問題ということで、モデルの問題だけであれば、このパターン4の考え方というのを現在のモデルが使えないところにのみ適用するということかと思ったんですけれども、データセットの問題もあれば、両方の問題があるということで、例えばここのモデルが非常に難しいというだけではなくて、この考え方というのはほかの湖沼・河川にも適用する、全般に適用するということでよろしいということですね、そういう意味で。

○古米委員長 確かに直近というところのデータは、予測のほうに入っていないというところにずれが生じ得るということですね。

○渡邊課長 これは悪化だけでなくて直近よくなっている場合に、では悪いほうの予測値のままでいくのかというのがこれまで考慮していたパターン1。従前からをデータセットや予測に使った期間との関係で、直近のほうでまた状況が変わっていれば、その状況に応じて予測だけにとらわれずに見ようというので、パターン1から3までやってきたので、今回、パターン1の逆の悪いほうもつくったものがパターン4ということになります。

○古米委員長 ということでよろしいですか。

 ほかに資料7別紙の観点で何かこの考え方で進めていくかどうかということですが、風間委員は何か、もう10分ぐらいで退室かと思うので、もしご意見があればお願いします。

○風間委員 私、大変わかりやすい説明をいただいてよかったと思いますし、おっしゃっていることは全くそのとおりだと思います。

 先ほどから出ている意見は、この後の12のところとも関わるということですよね。ですから、今後どう考えていくかということが次の話につながるというふうに思っております。

○古米委員長 それでは、特に御意見がないということですので、資料7というのをこの専門委員会での考え方ということと、資料7別紙に示しているような4つのパターンで考えていくということになります。

 それでは、その方針の中で先ほど御説明いただいた別紙8ですか、資料の復習をしたいと思いますけれども、渡良瀬貯水池の10年間の値を用いた予測結果が前回でしたと。今回は5年間のデータ、すなわち原単位が見直されたので、それに該当するデータを基礎にしながら同じような方向で整理をしたものが下になっているということですよね。そうすると、渡良瀬の場合には、CODはパターン1で決定するということになりますよね。それでいいですか。

○中島専門官 パターン2です。

○古米委員長 パターン2でしたか。ごめんなさい、パターン2で。

○中島専門官 はい。

○古米委員長 幅の中の……

○中島専門官 下限値が5.5で、それより低い値はありませんので。

○古米委員長 すみません、パターン2で直近の値がその範囲内に入っているので、一番下の5.5という値が選ばれるということですね。T-Nも同じようにその範囲内に入っているものが、これは1.2が入っているからというのでよろしいんですかね、T-Nは。

○中島専門官 窒素は将来水質予測の1.1と比較をして、1.1よりも低い値があります。ですので、パターン1かパターン2のどちらかです。1.0が下限値、縦棒の下ですが、それよりも低い値が平成25年、平成26年とございますので、パターン1になります。

○古米委員長 1ですね。1.0になっていると。

 その次は予測値が0.086で、この関係で言うとパターン4になっているということですよね。平成23年から平成26、そのような見方でいいんですか。これも違うの。

○中島専門官 これは0.086が将来水質予測で、その値に比べて平成26年に0.079……

○古米委員長 0.079がありますよね。

○中島専門官 はい。ですので、1になります。

○古米委員長 ということは、このときには。

○中島専門官 改善目標値としては下限の。

○古米委員長 0.084になりますね、改善目標値は。改善目標値は0.084だけれども、暫定目標を設定するステップ2にいくと。

○中島専門官 ステップ2ですと、先ほど御指摘いただいたように、現行の暫定目標が0.078ですので、パターンCになりまして、0.078と0.084の中で最も実現可能な低い値と。

○古米委員長 ということは、パターンCになりますよね。

○中島専門官 はい、Cになります。

○古米委員長 そのときに一番下が前回の暫定目標値で、もう一つは0.084という幅があって、その中で先ほど決めました資料7の一番下に実測値の推移等も考慮して実現可能と考えられる最も低い値を暫定目標に設定すると書いてあり、前回の暫定目標をするとは書いていないので、この範囲内で決めるということが今確認されたと。

 そのときに、要は実現可能と考えられる最も低い値というものをどう考えるかというところに来ようかと思います。そのときに事務局としては、前回設定している暫定目標というものを今回、上のほうに変えるというのは、汚濁負荷を削減するというような環境行政的な方針からするとマイナスの面も考えられると、可能な範囲内として0.078を設定することが望ましいのではないかというお考えでこの表がつくられているということですが。

○中島専門官 補足をしますと、環境行政的な考え方は当然背景にあるのですが、では本当に実現可能なのかということも一つのキーになってきますので、今回は反映される過去の水質が5年間に狭められましたので、お手元の資料のほうには載っていないのですけれども、前回の資料、10年間の過去の75%値を見ると、0.078mg/L以下の値が実際に……

○古米委員長 パターンCなので、平成26年度に0.079があるので限りなく0.078に近いから選びましたというような説明が十分私はあると思うんですけれども、考え方としてどういう理由で0.078から0.084の間の中でどう決めたかを明確にしておかないと、どうしてそうなったんですかという議論になるので。

○中島専門官 ここにつきましては、過去の水質の推移も考慮してというふうに資料7にありますように、実際にその水域の水質がどうであったのかを考慮してまいります。資料3の1-8ページをご覧いただきますと、かなり古くはなるのですけれども、右下に全燐の表、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、こちらを見ますと、近いところから平成14年の0.078、それから、平成13年に0.075、それから、平成10年に0.067、表の一番上、かなり昔になるのですが、平成5年に0.058ということで、過去には達成している年度もあるということから、そうであれば、まずはその値を目指すべきだろうと。資料は3です。資料3の1-8ページです。

○古米委員長 一番下にCODとT-NとT-Pがありますよね。その一番右のT-Pを見ればいいの。

○中島専門官 はい。右端の年平均値でございます。それを見ますと……

○古米委員長 そうすると、平成26年は0.095ね。

○中島専門官 はい、そうです。

○古米委員長 高い数ですよね。

○中島専門官 過去の水質の推移を見ていきますと、平成14年度に0.078、それから、平成13年度に0.075、平成10年度に0.067、それから、一番上の平成5年に0.058と。

○古米委員長 というように0.078よりも低い値があるのでということですか。

○中島専門官 はい、そうですね。それを根拠に0.078。

○古米委員長 では、古いデータなので、10年以上前のデータを根拠に0.078にするよりは、この平成26年の0.079、1-8ページの26年の平均値は0.095だけれども、違うのかな。ちょっと表の値をどう見ればよくわからなくなっているんですけれども。

○中島専門官 すみません。別紙8のほうは異常値として前回説明したように干し上げのデータを除いておりますので、水質予測に用いる値は少し低い値が出ております。

○古米委員長 いや、私が聞いているのは、平成26年度の平均値は、トータルリンは0.095ですけれども、別紙8にある24ページの平成26年のT-Pの値は0.079という値が2つ出てきますけれども、それでいいの。

○中島専門官 申し訳ありません。干し上げ期のデータを除いた平均値が0.079で、先ほど見ていただいた1-8ページの0.095は単純に12カ月分の平均を出しているということです。

○古米委員長 ということは、この0.079という値は、資料3のどこに出ているの。0.079というものを使いながら最終的に0.078を判断するのであれば、0.079という数値が資料の中に出ていないと判断できないので、0.079という数値はどこに出ているんですか。

○中島専門官 資料3ですと、将来水質予測の41ページに出ております。

○古米委員長 干し上げ期間のデータを除外した値がここに書いてあるということですね。

○中島専門官 はい。

○古米委員長 そこにしかないと。

○中島専門官 実際に将来水質予測に用いている値ですので……。

○渡邊課長 古米先生、多分おっしゃった干し上げ期のデータを除いている話は、1-51ページのこれグラフなんですけれども、このデータは除いていますよというのはグラフで。

○古米委員長 どこですか。

○渡邊課長 資料3の1-51ページ、これはグラフですけれども、この異常値除外をしていますという除いたデータは、これは除いていますというのが例えば平成26年度の異常値は除きましたというのは、ここに図としてはありますと。例えば26年度ですね。それから、25年度はその前ですけれども。

○古米委員長 T-Pの値があるので。

○渡邊課長 0.27とか0.21ですね。

○古米委員長 これは両方とも丸がつけばいいの。0.21は生きるの。干し上げに関係なく0.21……

○中島専門官 0.27のみが落ちます。一番上に水位等のグラフがありまして、その右側、平成26年3月の辺りに干し上げ実施という期間がありまして、ピンク色に塗られております。この間に測定されたデータを全て異常値として除いています。

○古米委員長 2月は干し上げ期も入っているけれども、そのときのデータではないということね。除かないということは。0.21は干し上げ期より前だったと。

○中島専門官 はい、そうですね。

○古米委員長 図を見ると、干し上げ期は2月にも入っているので。

○中島専門官 そうですね。0.21の測定結果が出たときは干し上げを実施している期間ではないので、除外されるのは3月の0.27の値のみということになります。

○古米委員長 それを除いて平均をしたのが0.079であるというのが、1-41に書いてあるということですね。

○中島専門官 はい。

○古米委員長 これは、異常値除外というのは、この後ろのページはどこで引用されているんですか。

○中島専門官 異常値除外の値を除いたということは、1-41ページの表のところに注釈として記載させていただいております。

○古米委員長 異常値除外という言葉は1-41のどこに書いてあるんですか。

○中島専門官 1-41の表の下に注釈がございまして、干し上げ期間という表記ですね。

○古米委員長 干し上げ期間ですよね。だから、異常値として何とかで、そこについては後ろの異常値除外のところを参照とか入れておけば、この0.079が一番最初に出てくる0.095とは違うんだという確認ができて、その0.079があるということを踏まえながら0.078というのを専門委員会として実現可能なものと判断するかどうかということになろうかと思います。どうも確認、ありがとうございます。

 それと同じように荒川貯水池についてもCODとT-Pがあって、パターン4で同じように4.6から3.7の範囲内で決めてよくて、この場合にはCODの値は5.1から5.4の間なので、今の0.079と0.078の関係に比べると、最近の値は非常に高いと。それにもかかわらず前回の暫定目標の値の3.7にするかどうかというのは、考え方として3.7から4.6の範囲内で、パターンCで決めるということなので、これは議論が出てこようかなということでよろしいですか。

 荒川貯水池のT-Pに関しては、これは値自身が達成できているのかな。これはパターンAになっていて設定しないということですね。

○中島専門官 はい。荒川の全燐はそうです。基準値の0.03以下ですので、引き続き暫定目標は設定せずに環境基準の達成を目指すと。

○古米委員長 ということですね。私自身の議論のポイントは、パターンCの場合は最近の値が非常に高くて、予測が出て幅を持ったときに暫定目標の値、さらには水質の改善目標値の範囲内で決めましょうということに対して、どの値を実現可能と考えられる最も低い値と考えるかということです。私自身は前者の渡良瀬のほうは平成26年に0.079というものもありますので、それに近い値である0.078というのは目標として掲げるという点から判断して、ある程度受け入れられるものかと思いますけれども、もう片方の荒川のCODのほうの4.6と3.7の間の値として、先ほど尾﨑委員の発言がありましたけれども、実現可能な範囲というのは予測された4.1ぐらいというのもあり得るんじゃないかという御示唆だと思います。

 ほかの委員、これに関連して何か御意見あればいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 お願いします。

○中島専門官 少し補足をしますと、資料4の2-7ページ、こちらに荒川貯水池の水質の経年変化が載ってございます。CODにつきましては、一番下の左側の図になりますが、平成20年に75%値で3.1mg/Lという値があります。それから、以降は少し古くなってしまうのですが、平成14年から12年に3.6、平成10年、平成9年に現行の暫定目標と同じ3.7mg/Lという値がありますので、これをもって現行の暫定目標を3.7と据え置くこととしたいというふうに報告案では考えております。

○古米委員長 追加の御説明をいただいて、3.7から4.6という範囲の中で、過去のデータを見ながら3.7というのが実現可能な範囲内であるだろうという御説明ですが、委員の方々、何か。

 尾﨑委員、いかがでしょうか。

○尾﨑委員 資料2の25ページの表だけで3.7mg/Lにするのは、説明不足かと思いますので、今の資料4の2-7ページの表をもとに、3.7mg/Lにしたことがわかるような資料をこの下に付け、説明をしていただければと思います。

○中島専門官 今御指摘いただきました過去の水質の経年変化ですけれども、資料2の別紙は、今回の検討委員会用に前回いただいた意見に対する対応をまとめた資料ですので、この後説明します資料5が報告書の本体になりますが、その報告案には載りません。報告案には資料3と資料4が参考資料として付きますので、データそのものは載せることができます。

 一つの方法としては、例えば荒川貯水池の資料4ですね。報告書の後ろにこれが付くのですが、同じ表が資料4にございまして、2-39ページに暫定目標の設定に関連する値があります。このときに今回の荒川貯水池のCODのように、パターンCにおいて、その幅の中で何ゆえ一番下の値、つまり従前の暫定目標を採用したのかということがわかるように、表の下に、もう一度過去の水質の推移を載せるというようなことでしたら御提案に近い形で修正できるかと思いますが、よろしいでしょうか。

○古米委員長 ほかの委員、いかがでしょうか。一応資料7で書いてある文章を再度確認すると、従前の暫定目標より高い場合は、その改善目標値を上限、従前の暫定目標を下限とした範囲内で、実測値の推移等も考慮して、今、実測値を考慮する部分の御説明がありましたけれども、実現可能と考えられる最も低い値を暫定目標に設定するという資料7に書いてあるものに沿って、最終的な表ができています。その資料7に書いてあることが最終的に3.7であるとか、先ほどの0.078となる説明ができていたほうが資料としては十分だろうと。

 尾﨑委員から言われたように、過去の水質のデータがあって、昔だけれども、その目標値よりも低い値があるので、それをもって3.7にしたとか0.078にするなり、あるいは0.079が近くにあるので、実現可能なものであるというような判断をした基準みたいなものを示した上で、最終的な資料5にある報告にしたほうがいいのではなかろうかということだと思いますが、ほかの委員の方、どうでしょうか。

 もちろんちょっと古過ぎて、それを考慮すること自体がどうかという御意見も十分可能性はあるかと思いますけれども。

 どうぞ。

○田尾委員 基本的には現状非悪化ということが重要だと思いますので、直近5年間のデータで高い値が出たとしても、それは据え置いたほうが私はいいと思っています。少なくとも一回は据え置いて、それで次回の見直しのときにもどうしてもやっぱり達成できないということであれば、そのときにやはり見直せばいいと思いますけれども、そういう意味では、少し様子を見るという意味でも暫定目標というのは現状非悪化ということを原則にするほうがいいんじゃないかと思います。

○古米委員長 現状非悪化というより暫定目標を悪化させる方向にしないという意味での非悪化ですよね。私は今回これでまとめてもよいのですけれども、いずれ荒川貯水池のような湖を対象に内部生産を考慮したようなモデルができると、必然的に3.幾つではなくて5.幾つという値が出てくる可能性もあります。同じような非悪化の議論があったときに、では前回の目標値はこうでしたよねと。では、それは非悪化なのでそういう値にするんですかという議論が必ず起きえます。そのことを想定したときにここでどれだけ議論して最終的に判断したのかというのは、値は変わらないかもわからないとしても、議事録にしっかり残したいと思います。同時に最終的な報告ですかね、専門委員会でどれだけ科学的な知見を集約して決めていったのかというのは残したいと思っておりますので、私自身は将来の議論を想定すると、単純な非悪化みたいなルールよりはもう少し踏み込んだ形での議論をすべきかなと思いますが。

○田尾委員 私もルールにすべきではないと思っていまして、今モデルがあまり確立していない状況で、そういう意味では判断するのが難しいこともあって、そういう意味では、今回はこのままでいいんじゃないかという趣旨です。だから、これをルールにするとかそういうことではないと思っています。

○古米委員長 ということですが、ほかの委員の方々、数値の議論と今言ったような最終的に幅を持ったときにどう決めていくのかという説明としては実績値を見るということと、ここには「等」と書いてありますけれども、現状非悪化という考え方にのっとった形で暫定目標値を決定することが望ましいということであろうかなと思いますが、それでよろしいようであれば、資料5のほうで御説明をいただきたいと思います。これは指摘事項12に対応する内容なので、そちらの説明をお願いします。

○中島専門官 それでは、残っておりました資料2の12番の指摘の説明、それから、資料5の報告案について説明をさせていただきます。

 資料2の12番にありますように、長岡委員からは渡良瀬貯水池や荒川貯水池のように、通常のダム湖とは異なる水運用をしている貯水池に対して、現行の予測手法を適用することが妥当なのかという御指摘を頂戴しておりました。それから、風間委員からは今後、将来水質の予測精度を上げる努力は必要であろうという御指摘を頂戴しておりました。

 これにつきましては、資料5をご覧ください。こちらはこれまで説明させていただいた暫定目標設定の考え方の変更案、それから、畜産系の発生負荷量算定の考え方等を踏まえまして、資料3、資料4に整理した予測結果をもとに報告案としてまとめたものでございます。

 資料番号の下にございますように、前回の報告案、資料4からの変更箇所を赤く見え消しで表示させていただいております。前回、中身については一度御説明し御審議いただいておりましたので、変更部分以外については簡単に説明させていただきます。

 まず、検討の概況ということで検討の経過、それから、現在の基準値、暫定目標等を載せてございます。

 2番の検討の結果につきましては、まず、暫定目標の設定に当たっては、以下の考え方を基本としたということでア、イ、ウとございますように、こちらは資料7の基本的な考え方の部分を掲載してございます。

 3ページが渡良瀬貯水池でございまして、赤く記載の部分が予測結果の変動等に伴いまして値が少し変わってございます。それから下、かなり赤くなっておりますが、全燐につきましては、今回パターンが変わりましたので、書きぶりを変えてございます。結果として暫定目標を据え置くという形になりましたので、最後に「今後、経過を見守りつつ、引き続き、段階的な水質改善を図ることとする」というふうに記載してございます。

 3ページの下の(2)が荒川貯水池でございます。

 めくっていただきまして、こちらは4ページの上に修正箇所があります。1行目からですけれども、「水質予測結果を大きく上回って推移しており、乖離がみられるものの、実測値の推移等も考慮し、過去に従前の暫定目標を満たす年があったことから」と、このように先ほどの御指摘の部分について文章に入れてございます。過去に従前の暫定目標を満たす年があったことから「実現可能と考えられる最も低い値として現行の暫定目標を据え置き、3.7mg/Lと設定し、今後、経過を見守りつつ、引き続き、段階的な水質改善を図ることとする」となっております。

 すみません、ちょっと前置きが長くなりましたが、では、指摘の12番に対する部分はどこなのかということですが、前回はこの荒川貯水池のところに少し書いてあったのですけれども、その下、表の下になお書きということで、今後の課題として記載させていただいております。読み上げますと、「なお、これらの貯水池は一般的なダム湖と運転管理の方法が異なるため、水質汚濁のメカニズムも異なると推測されることから、今後は、貯水池の運転管理状況や水質保全対策の効果などを注視しつつ、関連の情報を整理し、貯水池の特性を考慮した水質予測手法について検討していく必要がある」ということで、専門委員会で頂戴した指摘等も踏まえまして、追記させていただいています。

 なお、5ページにありますように、先ほど説明しましたとおり、この報告案が認められた場合は、先ほど御指摘いただいた修正を加えた上で、それぞれ資料3と資料4が参考資料としてこの後に付いた形の専門委員会報告案となるということでございます。

○古米委員長 どうも御説明ありがとうございました。

 先ほどのところは、過去に従前の暫定目標を満たす年があったことからということを受けて、それぞれ0.078と3.7を設定しているという説明をつけると。資料3と資料4のところは、先ほど尾﨑委員の御指摘のように、過去にこういう数値があったというような説明があった上で、最終的な類型指定案の情報を追加しておくということとのセットになりますかね。過去のデータをどう見たのかというのがわかる形で示していくという御説明だと理解しましたが、何か御意見、なおかつ最後に今後の水質、特殊というか、人工的な管理をしている貯水池に対しては水質予測手法を検討していく必要があるんだという記載を追加いただいていると、別立てて書いていただいているということでございますが。

 はい。

○高津委員 その件に関して、一番最後のところに関してちょっと自分のお聞きしたいというかコメントなんですが、例えば流量の話とちょっと絡めたいんですけれども、資料3の1-35とか、資料4の2-35、この辺りをちょっと中心に見たいんですが、流量との関係をちょっと10年前から5年前のデータかと思うんですが、見ていくと、この流量が多い年ほど例えばCODの流入率が上がっている、T-Nも同じ、ちょっとT-Pは違うものがあったりするんですが、非常に流量、例えば渡良瀬だと資料3の1-35の上の表1-26、平成20年は特に流量が多い年があります。それから次、平成21年、次の年は非常に流量が少なかったというふうになっています。

 こういう劇的な流量の違いというのは、恐らく降水量の違いとかそういったものによるんだと思うんですが、こういうのは実は非常に流出に当然水の滞留時間が違ってくるので、大きく違ってくるだろうと。それがちゃんと表1-28とかに反映されていまして、平成20年には流入率がすごく高くなっていると、21年は非常に低いというような大きな年変動をもたらしている。先ほど田尾委員や古米委員長のおっしゃっていたこととも符合するかと思うんですが、そういうモデル化するときに負荷だけではなくて恐らく流入、要するに気象条件、その年が多かったか少なかったかというのは劇的に効いてくる。流入率が2倍になるということは、当然ほとんど負荷が年ごとに変わらないとすれば、量が2倍になっていると。

 ただ、もうちょっと難しい問題なのは、ではこの流入量というものとその一つ上、例えば表1-27、貯水池の水質年平均値が何か関係しているのかというのを見ていただけるとわかるんですが、平成20年と21年とかを比べると、ちょっと多少は違うんですが、流入負荷の違いほどは違わなかったり、もっと逆転しているものもあります。例えば資料4の2-35ページ、荒川貯水池のほうの例えばCODの例なんかを見ますと、平成20年は21年に比べると圧倒的に流入率も高いし、流入負荷量も2倍以上にもかかわらず貯水池の水質年平均値は減っていると、2.9と4.2のように。この辺の事実というのはもう少し重く受け止めたほうがよくて、おそらく家畜の頭数の云々もすごく大事だとは思うんですが、やはり田尾委員もおっしゃったように全くアンノウンで物すごく強い要因があると思ったほうが統計的な数字のばらつきは示している。

 では、わかっていないことに対してどう資料を整えて34年度を推理していくかというのは大変難しいことだとは思うんですが、そこのところがきっと負荷の発生からボトムアップ式にいっても、最後のところで大きくこけるというところがやっぱり見え隠れしている。燐の場合だったら、最後の干し上げの直前がちょっと高かったりしているかと思うんですが、何かこの大きく最後、水質に行くときに全然相関がなかったりするところについてやはり真剣に考えていくべきではないかというか、自分の課題でもあるんですが、そういう意味でコメントです。別に今からどうのこうのというわけではないんですが、自分もしっかりサポートできるデータを示していきたいなと思いました。

○古米委員長 今の御意見を踏まえると、資料5の4ページ目の下のところですけれども、「これらの貯水池は一般的なダム湖と運転管理の方法が異なる」というところの表現として例えば「流入率が非常に低い貯水池である」というような言葉を入れると、あるいは「今後は」というときに「流入率の低い貯水池の運転管理」だというような言葉で、どこが課題になりそうなのかという言葉を入れることがよいかと思います。高津委員がご指摘された、今後の方向性、検討すべき留意点、今までの予測の式というのは基本的に流入量が多いところであれば負荷量がそれに応じて変わりますけれども、このような滞留時間が長くなるような流入率が低い貯水池も、今までの従前の考え方で予測してきたところに課題が見つかったというのがこの報告書の中でわかるかなと私は思います。それは文章表現を工夫することによって可能かなと思いますが、高津委員、いかがでしょうか。

 ほかにお気づきの点。どうぞ。

○尾﨑委員 資料5のところですね。2ページ目の一番下のウについては、「従前の暫定目標に比べ水質の悪化が見込まれる場合は、実測値の推移等も考慮して」とありますが、その間に「水質改善対策の強化は図りつつ」とか、何か対策の強化を図るような言葉を入れたほうが文章的にはいいのかなという感じがします。

○古米委員長 事務局、いかがでしょうか。

○中島専門官 報告書のこの部分は、資料7の基本的な考え方を転記している部分になります。御承知のとおり水質改善対策にさらに取り組んでいくというのは非常に大事なんですが、元となる資料7の暫定目標設定の考え方というのは、そういった対策も見込んで将来水質予測をしているという前提になっておりまして、なおかつ、先ほどの御議論にもありましたように、今回ですと平成23年以降、水質保全対策が進んで水質が改善している場合も踏まえて、この考え方ができていますので、基本的な考え方のベースとして水質改善を進めるということは当然ながら入っているのかなという気もしまして、資料7だけを見ますと、ちょっとそこに入ってくるのは少し唐突な感も否めないのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○尾﨑委員 全体として当然入っているとは思うんですけれども、何かこの表現ではという感じがしましたので、御検討いただければと思います。

○中島専門官 はい、検討させていただきます。

○古米委員長 一応資料7にある基本的な考え方のところを写して書いてあるということです。そういった積極的な展開が必要だというようなことをもし別のところで組み込むことができればよいかと思います。ここのア、イ、ウの文章をいじってしまうと、資料7との整合がとれませんので、別のところでそういったニュアンスの出る表現が捉えるところ、入れられるところがあれば取り込むことができればと思います。

 ほかにいかがでしょうか。特にございませんでしょうか。

 それでは、いろいろと御意見が出ましたし、今回資料7で新たにパターン4ということで、パターン1の逆の場合も整理して、今回の専門委員会でまとまりましたので、今回の専門委員会で御指摘いただいた部分については修正を施すということにさせていただきたいと思います。一応その内容については私に御一任いただきまして、資料5の内容も今申し上げたように、流入率の低いところというようなことだとか、さらに対策を進めていくという表現を組み込めるところについては組み込ませていただいて、最終案としてまとめていきたいと思います。資料3と資料4については先ほどの御指摘のように、最終的な案に至る結果のところがよくわかるような形の資料に置きかえるということにさせていただきたいと思います。

 一応内容としては、重要な修正点があれば各委員の方々にお知らせをして、確認した上で最終案ということにさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。

 それでは、今後の進め方について、この報告案というか確認をいただいた報告案についてパブリックコメントをかけて、また回答案を事務局に提案いただくというようなことになろうかと思います。大きな修正を要するようなパブリックコメントがなければ、改めて専門委員会を開催せずにメールベースで回答案を皆さんに見ていただいて、そして、水環境部会のほうに最終案として私から報告したいと思っております。ということで、そのような手順で今後進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。

 それでは、議題4のその他ということで事務局からあればお願いいたします。

○林課長補佐 その他につきましては、特にございません。

○古米委員長 それでは、これをもちまして本日の議事は全て終了いたしました。

 それでは、事務局から連絡事項をお願いします。

○林課長補佐 本日の議事録につきましては、事務局のほうで案を作成しまして、また後日、委員の皆様に御確認いただいた後、公表したいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 あと、資料の郵送を希望される場合は、お手元に封筒があるかと思いますので、その上に資料を置いていただければ郵送させていただきたいと思います。

 以上をもちまして、終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。

午後0時05分 閉会