中央環境審議会水環境部会陸域環境基準専門委員会(第2回)議事録

1.日時

平成13年12月3日(月)15:00~17:17

2.場所

環境省第1会議室

3.議題

(1)対象水域の水質の将来予測結果について
(2)検討対象水域における環境基準類型の見直し案について
(3)その他
 
 

4.配布資料

資料1 第1回陸域環境基準専門委員会議事録
資料2 対象水域の水質予測結果
資料3 対象水域における環境基準類型の見直し案
 
参考資料1 水質汚濁に係る環境基準(生活環境項目)
参考資料2 検討対象水域の概要
参考資料3 水質予測に関する基礎資料(委員限り)
参考資料4 各水域における水環境保全の取組み等
 
 

5.議事

【事務局】
◎ 開会
◎ 定足数報告
◎ 資料確認

【松尾委員長】 どうも皆さん、きょうはお忙しいところありがとうございます。
 それでは、早速ですが、委員会を始めさせていただきたいと思います。
 資料1が前回の議事録でありますが、そこの出席者のリスト、名簿でもって見ていただくと、きょうは沖野先生と京才さんが初めてのご出席ということで、簡単に自己紹介していただきたいと思います。

【京才専門委員】 リバーフロント整備センターの京才でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【沖野専門委員】 信州大学の沖野です。よろしくお願いします。

【松尾委員長】 よろしくお願いします。それで最初に、議事録ですが資料1の委員限りということになりますが、前回から少し部会とこの専門委員会の運営方法も変わってきて、すべて議事録を公開するということになっておりまして、しかし、その前に一応皆さん方のコメントをしていただくということで進めております。既に多分送られてきて、目は通していただいていると思いますが、何か事務局から若干ご説明をいただく必要ありますか。

【事務局】 特にご説明することは何もございませんけれども、ご出席の委員には送付させていただきまして、ご指摘のあった点につきましては修正をしたものをお配りしております。特に問題がないようでしたら、本日の委員会終了後、公開という扱いにさせていだきます。

【松尾委員長】 もし、お気づきになるところがあれば、ちょっと見ておいていただければありがたいと思います。
 それでは、また最後まで時間がありますので、もし何かあれば、言っていただきたと思います。ではそういうことで、よろしいでしょうか。
 それでは、きょうの本題の方に入りますが、前回の委員会では、水域類型の指定の見直しの経緯及び今後の見直しの方針及び検討対象水系の概要について説明をしていただいて、それに関連してかなり本質的なというか、環境基準が決まった当時の状況にまで戻って、ある意味での議論がなされまして、それは議事録に残っているということであります。
 きょうは、余り前回は第1回目ということで、少しもとに戻る議論もいたしましたけれども、今後は作業を進めるという方向で、具体的な見直しの作業に入るということで議論を詰めさせていただきたいと思いますけれども、ときにはまた戻ること等はやむを得ないし、確認する意味でも少し議論も必要かとは思っておりますが、方向としては、なるべく作業が進む方向へご協力いただけたら、ありがたいと思います。
 それでは、きょうの議題の第1番目ですが、検討対象水域の水質予測結果についてということで事務局からのご説明をいただきたいと思います。

【事務局】 資料2「対象水域の水質予測結果」について説明

【松尾委員長】 ありがとうございました。それでは、今のご説明について、ご質問があればどうぞお願いします。
 少し復習的な意味で、きょうはこの資料の趣旨はグレードアップするというか、少しずつランクアップしようというところでの現状の負荷量等とか、それから、将来の負荷量に対する予測値が出てくると。それに伴って水質がどの辺まで安定して、今後ともよくなることを期待できるかということをこの資料は見ている、示しているのだと、こう考えていいわけですね。
 ですから、そういう意味では、予測の部分なども若干将来にかかわるところですので、方法の確認ということも場合によっては必要な作業かと思いますし、その辺の考え方みたいなものもあわせてご議論いただけるといいんだと思います。
 このとおり、すっすっといってしまうと、議論がなくなるわけですが、ちょっともったいない気もしますから、予測の方法、あるいは特に私が質問をしたいのは、流量の予測の方ですね。その辺がさっき変動の範囲だということだったのですが、ちょっとそんなこともありますけれども、予測手法の問題、あるいは絶対的な数値の問題、その他、これがベースになって、多分次の議論が進むと思いますので、ちょっと時間をとって、ご検討いただければありがたいと思います。

【宮崎専門委員】 ちょっと教えていただきたいのですが、私は畜産系のことは全然詳しくないのですけれども、この参考資料3の3ページ、発生負荷量原単位というところがありますが、BODの乳用牛、肉用牛、豚ですね。それで原単位があって、最後は除去率とありますが、これが90%ぐらい排水から除去できるだろうという意味だと思うのですが、もちろんかなり大きい農場といいますか、そういうところではかなり大規模な水処理をやっているのでしょうけれども、90%というのはかなりいい数値かなとちょっと思いました。私はよくわかりませんけれども。
 例えば、その上の生活系の合併処理の浄化槽とか、あと単独処理浄化槽ですと80%程度となっておりますけれども、この90%というのは、いつも大体こういうことでシミュレートされるものなのかどうかですね、畜産系については。そういうことであれば、それで結構かと思うのですが。そのことをちょっと教えていただきたいと思います。
 もう一つは、今の同じ資料の49ページなんですが、先ほどの伊勢大橋の負荷量、あるいは長良川の下流の水質予測結果の方でございましたけれども、資料2の5ページですね。それは予測結果ですが。負荷量をこちらの参考資料の方で見ると、伊勢大橋の負荷量と水量というグラフがありまして、先ほどちょっと私は聞き漏らしましたが、長良川の河口堰が平成7年とおっしゃいましたか。
 そうすると、もしそうだとすると、7年以前と8年以降では、負荷量で見ればいいのか、水量で見ればいいのか。この棒グラフはBODは負荷量ですよね。負荷量がふえていると思うのですね。8年以降は、やはりみんな4,000kg/日以上になっているわけで、7年以前は4,000よりも下であると。11年は負荷量はここのグラフでは最高の値になっているわけですけれども、何を申し上げたいかというと、このいわゆる長良川の河口堰の影響というのが、ここにあるものなのかどうか。これは環境基準のこととは直接には関係ないかもしれませんけれども、もしそれが河口堰があることによって、このBODの水質が高くなっているんだとすると、それをちゃんと配慮したシミュレーションもやらなければいけないだろうと思いますので、そのことをちょっと教えていただきたい。その2点を教えていただきたいと思います。

【松尾委員長】 いかがでしょうか。まず、最初に除去率ですね、畜産系の。

【事務局】 畜産系の発生原単位につきましては、従来からこういう値を使わせていただいておりまして、それでこの出典以外にもいろいろと同じような値があるのですけれども、それは見比べまして、バックデータが豊富であるとか、それから、安全側であるとか、そういったことから設定いたしました。他と比べまして、逆に低いということはないと思います。

【松尾委員長】 いや、高過ぎるのではないか。そういうご指摘だと思うのだけれどね。90%の除去ということが。

【事務局】 そうですね。私が申し上げたのは、原単位として低いということで、除却率として高過ぎはしないとは思っておりません。具体的なバック資料がございますので、次回に提出しご説明させていただきます。
 それから、伊勢大橋の件ですけれども、この図で書かせていただいております負荷量といいますのは、発生負荷量ではなく、いわゆる水質かける水量で求めた流入負荷量というか、実際にそこの断面を通過している負荷量といいますか、そういう意味合いのものでございます。
 それで先生がおっしゃいましたことというのは、確かにそのとおりだと思っておりまして、今回、非常に単純に予測させてもらっておりまして、それに一定の幅を与えておるのですけれども、これは少なくとも平成2年から以降の間において、大体河川の基本的な状況と言いますか、そういったものが変わっていなくて、今後とも変わらないという前提のもとに、こういったことが成り立つのではないかという考えから使わせていただいております。そういう面で堰の影響で悪くなったか、よくなったかというのはなかなか難しいと思うのですけれども、そういった効果が見込まれていない手法であると考えております。
 ですから、結果的に目標値としてどういうふうな値を設定するかというところで、非常にシビアな議論になってくる場合には、そういったものが考慮できるような、何らかの予測方法を使うとか、あるいはしばらく値を見てみるとか、何らかの手立ても必要になってくると考えております。

【増島専門委員】 畜産の原単位の件ですけれども、私が答えるのもちょっと変なんですけれども、これは乳用牛、肉用牛、豚、それぞれ原単位が出ておりますけれども、例えば乳用牛の640グラムというのは、この640グラムが全部90立米の排水量に負荷されるものではないと。ふんと尿と別々に出てきますので、ふんで出てきたもの、あるいは尿で敷きわらにしみ込んだものは、これは堆肥化して、後に還元されると。そのトータルの除去率が90%だという、そういう意味だろうと思います。

【宮崎専門委員】 わかりました。

【沖野専門委員】 伊勢大橋の件ですが、この水質予測のフローからいくと、きっとこういう予測値になると思うのですね。これは外から入ってくるBODが水量で割られているわけで、伊勢大橋の場合には、中で生産されるBODと言ったらいいのかわかりませんが、酸素分が加わって、実測値に入っていったわけですね。ですから、もし、できることならば、そういう堰がある場合とない場合で、この予測の仕方を少し変更しておく必要があると思うのですね。今、たしか伊勢大橋の上流部は500メートルというぐらいだと、たしかクロロフィル濃度が数十μg/l、普通の川の水に比べれば100倍近い値があるわけですよね。それは当然、プランクトンだから、酸素を消費もしますので、その辺のところが加わって、実測値は上がってしまっているということなので、これはうまくデータが出ていますから、その予測値と実測値の差から何%ぐらい、少し上積みをするというふうに将来予測をするということも必要かなと思うのですが、まだ、そういう解析をしていないからよくわからない。せっかくデータがありますので、その辺の解析をして見たらどうかという気がしますけれど。

【松尾委員長】 それは非常に重要なご指摘だと思いますが、さっきのダムのところも同じような状況が起きそうですよね。ですから、もしできれば、内部生産を分離できると確かにいいけれども、内部生産を考えたときに、水質をBODで見ると、多分非常に高くなる、悪くなる可能性があって、難しいところですよね。

【沖野専門委員】 バクテリアの呼吸量の10倍ぐらい、プランクトンの呼吸量が、単位時間当たりあるわけですから。

【松尾委員長】 ですから、BODの負荷量というか、現存量というのか。その辺の評価の仕方は難しいところですよね。

【藤原専門委員】 3ページ、4ページ、5ページ、8ページまでのこの表をずっと見ていると、実測値と予測したのと、まあ大体よく合っているのではないのという感じのもありますし。それから、余り合っていないなというのもあるのですね。大体実測値は変動があるのは当然なので、上がったり下がったりしている。それがおおむね合っている方が多分多いのかなと思うのですけれど、先ほどから議論になっている長良川下流のは、これはどう見ても合っているように見えないし。
 それから、えいやと真っすぐ引いているけれども、普通に素直に見ると、一遍上がって下がっているというような感じでというのが普通ではないか。
 例えば、これは4ページの3の木曽川下流なんていうのは、これは6年までずっと上がってて、それからずっと下がっているという感じだし。この6ページの5の揖斐川の、これもずっと上がっていって、下がって。その下も……。この負荷量だけでなかなか説明できない部分かなと思うのですね。流量が多い年と少ない年、その変動があるとか。
 先ほどから出ているダムみたいなところだと、プランクトンが発生したりするので、日射量とか、そういうものも影響するかもしれない。さりとて、そういうのまで入れて予測というのは、本当にできるのかなというのはよくわかりませんけれどね。

【松尾委員長】 現実には、そこにある水質をはかって、基準を超えたか超えないか、こういう議論になって、AAだとかBだとかとやるわけだから、なかなか内部生産の問題を引いた値というのも、ちょっとこれは不自然といえば不自然なのですよね。ですから、その辺はちょっと議論がまだ残るというか、最終的には詰めないといけないかもしれませんね。
 特に川で流れているときはいいけれども、堰みたいな、堰の影響も出ているというところが嫌なわけですよね。

【沖野専門委員】 このフローのところに、そういう特殊な例について、別個に何か加えるなり、将来負荷量掛ける平均流入量割る平均水量で今出しているから、それでいいと思うのですけれども、これに当てはまらないというか、ちょっと特殊な場合。何か障害が、堰みたいなものがある場合には、もう一つ何か入れると。

【松尾委員長】 だから干潮域だと今度は逆に、海の水で薄まっているときとか、いろいろなことが起こり得るわけですよね。だからこれは堰で海の影響をなくしてしまったという、非常に特殊な状況でもあるのですよね。ですから、いろいろな比べ方のケースとして、そういう潮流の影響の出ているものというのを、どう最初に資料の1ページ目に要素を入れるかどうかですね。
 利根川の堰の上流と、あの辺の一般的な環境基準の設定する場所というのはどうなっている
のですか。そういう影響のあるところというのは、結構あるのですかね。

【事務局】 現に設定されている環境基準ではそういったことがあります。ですから、例えば河川指定されているダム湖で、河川としてのBODを測っている定点というのは多少ございます。

【松尾委員長】 ダムなんかね。それはそうですね。

【沖野専門委員】 この資料2のフローに、せっかく真ん中にBOD・(COD・T-N・T-P)とまで入っているので、これは後ろの方にいくと、将来予測にこのT-N・T-Pは関与してきてないわけですよね。

【松尾委員長】 ダムというか、湖的なところのやつは一応数値として入っている。

【沖野専門委員】 数値としては入っている。そこをうまく使うというフローに。

【京才専門委員】 今、沖野先生がご指摘されたところは、非常に大事なポイントだと思うのですが、ちょっと確認させていただきたいのですけれども、沖野先生のご発言の中で、私はちょっと混乱したのですが、クロロフィルA自体が、バクテリアに対して10倍ぐらいの酸素消費量だとおっしゃいましたよね。ですから、酸素消費のものとしてクロロフィルをカウントするのか。それともBODの発生源としてカウントされているのか。それはどちらなのでしょうか。要するにCODでは効くので、BODも本当に効くのか。あるいは酸素消費……。

【松尾委員長】 今の測定方法でやれば、それは当然効くのですね。BODは高く出るんです。

【京才専門委員】 要するにBOD源として、クロロフィルAも分解されるのですか。

【沖野専門委員】 分解と言えば分解、生物分解ですから。要するに自分の呼吸量をはかってしまっているので、プランクトンの。今の測定法でいくと、入ってしまう。

【京才専門委員】 ですから、ダムにカウントされているというの、二つあるのですね。発生汚濁源としてのクロロフィルAと、酸素消費体としてのクロロフィルAと、そういうことですね。

【牧専門委員】 本来の水質の動きはその通りですが、現在はBODという値だけで判断せざるを得ないわけです。CODのデータがあれば参考になりますが、やむ得ないと思わざるを得ないわけです。

【松尾委員長】 しかし、これは従来からBODでずっとやってきたという経緯があるから、なかなか難しい、また戻るのですけどね。

【沖野専門委員】 現場の測定値には、当然、BODとしてはかられてしまう。

【松尾委員長】 よくあるのは、またNBODを除くとか、何とかという、そういう議論もまた一方でBODだけの問題が出てきてしまって、難しい。

【京才専門委員】 測定法の問題もあるということですね。

【沖野専門委員】 そういうこと。

【松尾委員長】 だから、現場の水を取ってきて、BODをはかると、大体暗いところでやるから、プランクトンは大体消費する場合というのはこういうことですよね。
 だけど日が当たっているときは酸素をつくり出しているから、そういう意味では酸素を出す方へいくはずなのだけれども、はかり方の問題とか、そういうことがある。
 それはもうちょっと議論しますが、いまは少し置いておきましょうか。では、先へ進めましょう。

【増島専門委員】 大川ダムで平成19年、24年で、特にT-Pが上がっているのですけれども、これは何が効いているのでしょうか。

【事務局】 こういうふうなやり方をしておりますので、基本的に若干負荷量が上がることが原因です。。
 参考資料3の方ですけれども、そこの27ページからN、Pそれぞれ負荷量を書いてあります。薄い資料の2ページ目のところに、大川ダム貯水池というところで、NとPの発生負荷量を書いておりますが、それぞれ微妙に上がっております。これがどういう過程でこういうことになったかということですけれども、このダムの取水域に余り人口はございませんけれども、二つほど町がございまして、そこの町でごく最近に下水道が供用されて、平成11年度、まだ処理人口が200人弱ということになっておりまして、残りの大半が、し尿処理施設の方に行っております。
 それで予測の方法としまして、将来については、そのし尿処理人口が下水道の計画人口になるまでシフトしていくという形で移り変わっていくように設定しておりますが、現況を出すときに、そのし尿処理施設については具体の数値がわかっておりますので、その数値を使っております。特に窒素は当然非常に良好な値になっております。
 一方、大半が下水の方にシフトしていくんですけれども、そうなりますと、濃度的には同じような濃度で排出されるのですが、例えば、20mg/lぐらいの濃度で出るわけなんですけれども、処理水量的には、し尿処理施設ですと、1人頭1日10リットルとか、そういったオーダーなんですが、それがトータルの排水ということになりますので、先ほどご説明した原単位では、380という1日当たりの量になっていると思いますけれども、ばんとはね上がるということがございまして、結果的に、生活系の占める割合は非常に小さいというものの、その伸びが発生負荷量の伸びに効いてきて、結果としてこういうふうな値になっているということでございます。

【松尾委員長】 それはよくあるのですね。下水道にすると、かえってN、Pが出てきてしまうのですね。流達率が100%でというか、全部で出て、処理場でN、Pをとっていないということになってね。BODは減るけれども、N、Pはふえるような、そういう格好になって、ちょっとその辺が、まだ。今の現況の下水道システムの問題でもあるのですけれどね。それは、どうしてもそうなってしまう。ですから、そういう意味では、どうしたらいいかという、し尿処理場でいいかという言い方もありますが、利便性の問題もあるから。
 私は合併浄化槽との差は、本来は合併浄化槽はどちらかというと、すぐ身近なところで出てしまって、流達率は小さめになるから、河川に対する影響は、下水よりも小さくなるのだけれどもね。本当は何年かたつと、同じようにして出てくるはずだと思うから、その辺は下水になった分だけが、N、Pが高くなるというのは、ちょっとおかしいように思うのですけれどね。これはなかなか問題が残るところですね。推定方法においても問題が残る。

【牧専門委員】 確認したいのですが、くみ取りし尿はダムより下流にあったのでしょうか。

【事務局】 処理施設はダムの取水域に放流しております。念のために、実測値がございましたので、それを取り寄せて確認したところ、先ほど申し上げたように、ほとんどとれております。
 ですから、下水処理場の場合でしたら、幾ら頑張ってもある程度限界がございますので、それが今、松尾先生がおっしゃったように、差として出てきているということです。

【松尾委員長】 そういう上流だったら、排水量が380まであるのかどうか。もうちょっと小さいのではないですか、実際は、そうでもないですか。

【事務局】 それはちょっとわからないです。計算上は380でやっておりますけれども。

【松尾委員長】 そういうところでは基本的に大き過ぎる数字ではないかと思いますけれどね。一々それを言い出すと、地域によって、流量を変えなければえらく大変になるから、この線で原単位的にはいいのだろうと思いますけれども、何か起きている、いろいろな評価の事項を持ち込まないとなかなか、ここだけで比べるというのは、ひょっとすると問題である可能性がある。
 それから、流量の方の予測というのは、これは変動の幅でもって見るということになっているのですが、これはどういうことなのですかね。さっきの注1だか、2だかというのでありましたね。

【事務局】 非常に簡便なやり方ですが、まず、水量が降水量によりまして随分変動しまして、それとある程度水質との関係が出てくるわけですけれども、ただ、そればっかりとは言い切れないような年もございます。先ほどご説明したように、我々は年間トータルの水量で今のところ見ておりますので、そのばらつきであるとか、いろいろな面で最終的なBODの平均値なり、75%値に効いてくるということがございます。
 そういうこともありますので、ここで将来については、水量なり、あるいは流入率の平均値をとって、標準年という形で示しておるのですけれども、そのばらつきを求める際には、いわゆる水量、濃度といいますのが、単純に考えますと、いわゆる流入負荷量割る水量ということでございまして、その流入負荷量と言いますのは、基本的に発生負荷量×流達率ということになりますので、具体的な数字としたら、流達率を流量で割ったもの、これは平成2年から11年まで10個データがあるわけなんですが、その値の平均値、あるいはシグマをとって、これだけの幅を出したということです。
 ですから、極端に申し上げますと、発生負荷量そのものと水質の関係、その比のプラスマイナス2シグマと考えていただいたら、全く同じ意味になります。

【松尾委員長】 水質に一遍直してみる式はないということですか。
 この75%値と言いますよね。これはいつも問題だと思って、一見いいんだけれど、これは年間流量の75%値ですよね、低水量ということから。それから、湖などの場合、特に低水位のときの水質ということになるから、さっきのダム貯水池みたいなところで、結構水位が年間で、要するに利水の時期にぐっと減って、あとまたずっとふえてくるというか、川の流量の低水位のころと、多分のダムの水位の75%値というか、低水位の時期というのは大分ずれていたりとか、結構いわゆる定義どおりの環境基準というのと、データを1年間とった後の75%値というのは、ちょっと違う感じが私はいつもしていて、何か嫌なのだけれども、その辺はどうですか。どうですかと言っても、どうやって75%値を求めているのか、それをちょっと教えていただきたい。

【事務局】 ここで求めております75%値と言いますのは、先ほど申し上げたような形で求めました年平均値を過去の75%値と年平均値の関係で単純に転換しているだけです。

【松尾委員長】 なるほど。そうすると、毎年違うのでしょう、年比率が場合によっては。大体一定しているものですか。

【事務局】 そんなにばらつきはないと思います。平均値と75%値の間は。

【松尾委員長】 そうですか。そういうのを最初の前提条件みたいなところとして示しておくといいかもしれませんね。そうすると、恐らくこれからのいろいろなこういう計算をやるときの一つの参考にはなるのですよね。そうか。そうすると、負荷量はかなり正しいと想定して、それで水質の間での平均をとって、またある年、あるときというか、平均と75%値の間の比をとって、それで換算していると、こういうことですかね。
 そうすると、だんだん、例えば阿武隈川の中流などで、丸い実測値がだんだん右側に下がってくるというのは、負荷量が減ってきているということを反映していると、こういうことですか。

【事務局】 そうなります。これは両方とも下水道の普及のおくれている地域で、最近、それがようやく急速に伸びつつあるところもありまして、計算上の負荷量が減りつつあるようなところということです。

【藤原専門委員】 この作業の目的は環境基準、いわゆる目標値を定めて、目標値が将来達成できるかどうか、その負荷量を下げていくことによって、達成できるかどうかという見込みを立てるためにやるわけだから、これでいいのだろうと私は思うのですけれどね。これ以外に方法はないかなと思うのですが。この阿武隈のような感じで出てくれば、大体これでまあまあいいのではないかと、この作業はですね。
 この負荷量を下げていったら全然よくならないというケースに、あっていないというのが多分そういうことかなと思うのだけれど、そういう場合はどうするかということですよね。目標値を定めて、それで何年後かは負荷量がいろいろな努力をして、このくらいになりますと、その目標値が達成できないということになると、どういうふうにするかとか、だから、それは多分停滞水とか、ダムみたいなところで起こっているのかなと思うのですけれど、一般的な、流れ去るような川の場合は、非常に大ざっぱな推測の方法だけれど、行政的な観点からすれば、こういうやり方以外に方法はないかなとは思うのですけれどね。学問的にシミュレーションを精緻にやるとなると、これはいろいろなパラメーター、もっともっと入れないと満足できないということに多分なると思うのですね。

【松尾委員長】 それはそのとおりだと思います。ですから、大体こういう方向だとは思うのですけれどね。
 藤原さんが今言われた部分も非常に大事だと思うのは、ある目標をつくると、そこへ近づけていくんだと、こういうことなんでしょうが、そのときに、例の環境基準達成率を指標として使う可能性があります。そうすると、逆に達成率が上がらないときに、環境省が何をするのかという辺の、今のところ打つ手がないというのか、積極的に対策を環境省側が提案しないというのかが問題です。お金もつけてやるから、その達成率を上げましょう、というふうな方向にいくのかというと、どうもそうではないという辺が、一番私は前回もそういう議論を少ししたんだけれども問題だと思います。結局、後追い的に今後水質はよくなるだろうし、今でも既によくなっているから、そこは1ランク上げましょうと。こういうような議論で終始しているところが、せっかくこれだけ計算をやって予測しながら、積極的に使われていかないという部分が、ちょっともったいないような感じがしますよね。
 ですけれども、今の作業としては、こういう予測結果に基づいて将来おおよそ保障されて、ますます下水道とか何かが行けばいい方向へ行きそうだから、まあ大丈夫でしょうと、こういうことを我々が確認するという、こういうことになっていくわけですけれどね。
 そういう意味では予測の方法として、さっきちょっと停滞する部分というのが、ダムで堰分けられる部分が少し残っていますが、とりあえず資料2の1ページの方法でやられたり、それから、平均と75%値というものとの考え方の予測の立て方というのですかね。それについて非常に欠陥がありそうかどうかという、もう少し考えたらどうかという辺が検討事項ですが、その辺はどうでしょうか。

【藤原専門委員】 これは私個人の考え方ですけれども、平均値でやろうが、75%値でやろうが、余り私はどうでも、どうでもいいと言ったら語弊がありますけれど、余りいいのではないかなと思うのですね。
 それよりももっと極端論は最大値、いついかなるときでも環境基準を達成しなければいけないという発想に立てば、最大値で見て、環境基準を見ていかないといけないと思うのですね。それの対極は平均値で合致すればいいんだという。ある意味では、75%は足して2で割ったような中間的なものですが、従来から環境省は、これはえいやと75%が出てきたのではないのだと。低水量、低水位、それとリンクしているのだと、こういう説明をしているのですが、その発想のできた一番最初、要するに最大値ではちょっと無理だよと。平均値的に言うと、ちょっとそれはおこがましいなという感じで、一番当初は。75という統計値であれば、かなりなだらかになる。最大値ならぴゅっと飛んで出るのが出てきますから。ということだろうと思うのですよね。
 そういうことでずっと長くきていますから、75%値で環境基準が達成できるということで、そういう目標でいくということを余り私は抵抗はないんですけれどね。
 それで先生がおっしゃったように、本当に低水流量の生じたときと、BODをはかって、75%値の測定値が出たときが一致するかというと、それは全然無関係だと思うのですよ。

【松尾委員長】 いや、だから私は規定を変えろと言っているんですよ、実を言うと。環境基準の定め方を変えたらいいと。75%でいくなら75%だって書いたらいいというのが、私もこの間、水質部会でも何度も言っているのだけれども、どうもそこはなかなか変わらないんだよね。年間何回かはかって、75%を環境基準と定めると言えばいいのに、今は、低水流量のときの値をもって、環境基準が合格するかどうかを決める建前になっています。その値で水質の環境基準を決めると。湖についても、低水位のときの水質だってここに書いてあるからね。私はおかしいのではないかと言っているわけです。

【藤原専門委員】 一致しませんね、それはね。

【松尾委員長】 だからそれだったら、低水量は75%というのといつの間にか混同しているのだけれども、正確に言えば、あれは75%値で基準を比べるのは、あれは間違いですよ、文言から言えば。
 ですから、そういう意味で私は早くあれは変えないとおかしいと思うんです。どうも私はあれは統計をほとんど知らない人たちが議論して、勝手に75%だと言っているのが最大の問題だと思っているのです。慣例的にもう長年やられてきているし、それは大体それなりの意味は藤原さんも今言われたようなことだと思うから、私はそれ自体は問題ではないけれど、だったらば、文言を変えるべきだというのが、この間、いろいろなところで言っていることなのですが、なかなかそういうふうになってくれないところはあります。
 さてと、そうすると方法論の問題をちょっと確認する意味で、この資料2の1のページで、唯一ちょっと残っているのが、ダムアップされているところの、いわゆる内部生産のものをどう、現存の負荷量というふうにして考えるかというところですよね。それの補正の方法があるかということで、補正してみても、また意味がないといえば意味がないんだよね。はかると、そこではBODははかれてしまうからね。
 ですからどう考えるべきですかね。沖野先生のようにプランクトンをはかって、プランクトンで補正してやった値を環境基準とすると、環境基準はまた考え方自体が随分変わってきますよね。

【沖野専門委員】 逆に基準値を上げなくてはいけない。

【松尾委員長】 基準値を上げなくてはいけない。そうすると、恐らくN-BODだ何だと、BODの問題が出てきてしまって、今はとにかく環境基準の方はN-BODも含めた測定方法ではかれるBODをはかっているというわけですからね。プランクトンがいても、それは暗いところで消費酸素をすれば、それは酸素消費側の数値として出さざるを得ないわけですよね。
 だけども、外から入ってくる負荷量計算にはそれが入らないというのが、この推定値よりも実測値が大き目に出る原因といえば、最大の原因はそこにあるかもしれませんね。

【沖野専門委員】 違ってくるところは明らかに、状況がみんな一致しているところではあるわけですよね、きっと。河口部あたりのところ。

【松尾委員長】 だから例えばこの資料2の5ページの長良川下流水質予測結果で、丸はどんどん上がる方向にいっていると。しかし、予測値は19年、24年で下がってくる。ここが多分非常に説明しにくくなる最大の、この中では問題ですよね。
 なぜ上がっていくかというと、恐らく内部生産の問題があるんだろうというのが、沖野先生の指摘で。予測の方は当然負荷量が減っていく方向だから、水量が変わらないとしても水質は減っていくと。きれいになっていくはずだと。ところが実測値はどんどん上がっていくと。まさにここが今の象徴的にあらわれているところなのではないでしょうかね。
 そして、これは結果的にどうするのですか。見直しの段階では、その次の1ステップ先の話を想定すると。

【事務局】 というか、それは次の議題になると思います。

【松尾委員長】 では次の議題にあわせて議論してしまっていいですか。今までところどうでしょう、何か。

【京才専門委員】 人口予測なんですが、先ほどのご説明ですと、それぞれの計画の積み上げということなんですが、平成24年度がどうだったかわからないですけれど、人口は減る方向ですよね、全体から見ると。それとの乖離というのはないのでしょうか。ということで、各計画の積み上げだけでいいのか。

【事務局】 結果的に福島の方は、縛りなしのトレンドでやっているんですけれども、ちょっとどちらがどちらか忘れてしまったのですが、一方は若干上がり、一方は若干減るということで、トータルで横ばいぐらい。
 実は、福島県では、県の一番上位の計画の中で将来人口を設定されておるのですが、そこでは自然体で推移すれば、現状よりも若干減っていくが、施策で頑張って、現状並みあるいはそれより少しぐらい上げていこうという目標の立て方になっております。それとバッティングしないかということでチェックしてもらったのですが、結果的に横ばいでいいのではないかということで、横ばいになっております。伊勢湾の方は若干フレームが大きくなっております。

【松尾委員長】 それは何となく全体の総トータル人口はみんな減ると思っているけれども、個別に見てみると、どちらかというとふえていって、総人口がふえる方向にいく。これはよくある計画だとは思うのですけれどね。
 それでは、ちょっと確認的なことですが、資料3の基礎資料ということでいろいろと原単位等が入ってきていますがその数値等について、特にこういう数値でいいのではないかというさっき問題になった畜産などについてそういうことですよね。それから、人口のフレームのついては、今のようなことである。
 それから、あと個別の水質のところへ落とす操作についても幾つか問題があるかもしれないけれど、やむを得なかろうと、こういうことであるということで、私はいろいろ申し上げたけれど、結局、この原案的な方法でよかろうと。唯一ダムアップのところだけ、ちょっとどう考えるか、次のどう設定していくかということに関連してくるので、先の議論を少し聞いた上で、もう一遍考え直す。そういうことでよろしいですか。いいですか。
 それでは、原則としては原案の考え方を踏襲しますが、次のどう設定するかということの問題については、次の資料の説明を聞いてから、あとで一遍考える。
 それでは、次のステップをお願いします。

【事務局】 資料3「対象水域における環境基準類型の見直し案」・参考資料4「各水域における水環境保全の取組み等」について説明

【松尾委員長】 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。

【牧専門委員】 今の説明を聞いておりまして、環境基準をレベルアップすることは非常にいいことと思います。
 ただし、資料2の4ページ、長良川の下流を見ますと、ただ、伊勢大橋のpHが8.8で、DOが12を示しています。また、7ページの横山ダムでは、pHが9でDOが11.8と非常に高い値を示しています。単に環境基準だけを問題にしますと非常に厳しいなという気がします。福島県も岐阜県もそれぞれの水質保全の関係が一生懸命に取り組んでおられるということで、あえてこういうものを設定することは非常にいいと思いますね。
 それから設定しますと、多分環境基準の達成率は悪くなるでしょう。しかし、それはそれとしまして、先ほど来述べていますが、環境省として、過去の環境基準レベルを本年度はこれだけ見直し、厳しくしましたということを、国民にはっきり広報した方が良いと思いますね。A類型をAA類型に、B類型をA類型に厳しくした。このようなことは、環境問題に対して相当にお金を使っていた姿が目に見えてきたことを強調してもいいのではないでしょうか。

【松尾委員長】 今のは非常に重要な点だと思うのですよね。それで私が今思ったのは、もう一つは、県ごとにAがAAになった、BがAになったとかね。各県がそれぞれに努力、今までにかつて、最初に設定されて以来、どれだけランクアップをした地点を持っているという県別の表をばーっと出すといい。そうすると、あ、私たちの県は全然相変わらずだと。あそこはよくやっていると、こういう話にもなるから、いわゆる環境基準の達成率と同時にランクアップした、2階級特進したのもあるかもしれないから、2階級上がったのは、例えば、BからAAになったのがあるのかもしれないけれども、なったのは幾つとか、BからAになったのは幾つとか。何かそういう星取り表をぜひ次の環境白書から、私は使われたらいいと思うんです。そうすると、せっかくこれだけ各自治体が一生懸命やろうとしているのをバックアップする形にもなるし。あそこではこういうことをやっていると。あそこでは成果が上がっているというのが、今、牧さんが言われたような意味で、ぜひうまく反映されると、達成率は上がらない上がらないというあの図だけでない何か情報を、あわせて提供されるといいと思いますけれどね。ぜひ本気でお考えいただくといいのではないかと思いますけれど。
 確かに長良川の下流というのは、さっきの議論でも非常に難しかろうという、予想値から言うとね。ですが、しかし、地元の意欲というか、目標値は非常に高く持ちたいという、その辺の兼ね合いをどう考えるかという辺が難しいところですね。ほかのところも含めて、この資料3の、おおよその方向と今の各県の取り組み、この熱意は非常によくわかったと思いますが、そういうことを反映したものとして、資料3のような見直し案の中身ですね。どう考えるべきか。それはどうでしょうか。
 それから、もう一つ前回議論になった中で、工場が休止していたからよくなっているのではないかと。将来、また工場が動き出したら、現状の水質がよくなってきているのを達成できないのではないかな、そういう将来計画みたいな話も若干あったと思うのですが、その辺はどんな考え方になりますかね。

【事務局】 その特定の工場の操業の停止ということなんですけれど、県にとってみたら、非常に懸案の工場が停止されたということなんです。確かに産業系の中に占めるウエートはそれなりにございますけれども、トータルの負荷でいきますと、それで濃度が決まってしまうというレベルではございません。
 ただ、いろいろな意味で、問題があったところが停止したことが背景にあって、では頑張っていこうかということになったのかもしれませんけれども、ウエート的にはそのぐらいのものです。

【松尾委員長】 そうすると唯一残ってくるのが、内部生産的なものによって、難しかろうと思われるような、この長良川下流ですか。これが一番図から見ると、非常に難しい傾向が出てきているということですけれどね。

【藤原専門委員】 ちょっととっぴなことを言うようで恐縮なのですが、第1回目のときに、委員長も言われたのですけれども、私も発言しましたですけれど、BOD、CODの指標そのものが本来100点満点の指標ではないと思うのですよね。これは環境基準をスタートしたときに、こういう指標しかないからということでスタートしているんだけれど、今、白紙で考えたら、BOD、CODに指標がつかないと思うのですよね。今、白紙だと。長い歴史があるから、これをチャラにしてしまうというのは難しいから使っているという感じだと思うのですが。
 それで今度見直して、新たにスタートするような場合には、いっそのこともう新しい、今、白紙で考えて、この指標の方がいいのではないかというのでスタートするというのはどんなものかなと思うのですけれども。
 特に内部生産の話だとか、特に川の場合はBODでも何とかいいのではないかなという気がするのですけれども、どうもダムのような場合にBODとか、CODでも、いま一つ100点満点の指標のように思えないのですけれどね。

【松尾委員長】 事務局、いかがですか。

【事務局】 松尾先生はいろいろなところで指標の問題をご指摘されていて、私どももちろん考えております。長い間、長所、短所というのがいろいろ言われておりますので、専門家に集まってもらって、そちらの方面の先生にもご意見を伺ったことがあるのですけれども、今時点でCOD、BODをやめて、別の指標にというところについては、どうもやはりまだ、私どもはそうすれば決定的によくなるというところが、完全に納得できていないというところがあります。従来言われているのは、これだけ随分長い間やってきたCODというのをやめてしまって、どういうふうに行政に影響が及ぶのかとか、あるいはどれだけの行政コストがかかっていくのかというところが強調されてきて、今まできているのだと思います。
 ただ、完全にそれに縛られてという発想でいるわけではないですけれども、もうちょっと議論して、本当にいい指標かつ行政的にも継続性がとれるようなものというのが模索できればいいのではないかというふうに思います。
 CODとDOCもの相関を、一番新しい豊富なデータでとってみると、結構相関が高くなっています。それから内部生産の話、先ほども堰の話も一部関係していると思いますけれども、そういったことを考えるときに、学問の世界で既に研究に従事されている方は数多くおられて、TOCを使いながら、内部生産のメカニズムを解明する努力というのはされていますので、もう少しそちらの専門家の方々の研究成果というのが、我々にも相当見えるようになる段階というのが来るという感じがしています。

【松尾委員長】 私は前にも言っているのですけれども、要するに国内だけで考えるならば、それでいいですよ。行政のコストとか何か考えて、従来どおりやるというのは。
 だけど日本がつくった日本のデータが国際的に通用するデータになるかどうかということを考えた途端に、非常に日本の場合コストが高くなる。普通は行政で使わないようなCODクロームに変換するとか、TOCをはかるとか、二度手間が必要になる。日本式のCODでは、世界では通用しない。これはもっとすごい行政コストが、研究の面でもそうだし、すべての面でかかっていると思うのですよ。ですから、環境省の行政コストと、それから地方県の行政コストは確かに変えることによって高いかもしれまないけれども、国際競争力とか、国際的な場に日本の水関係のいろいろな技術をオープンにしていくためには絶対変えないと、もっともっと高いある種のコストを払わなくてはいけない。私はそれを何度も言っているのだけれども、いつも従来型の行政コストの中で、今変えるのはどうだという、あんまり変えても意味がないと、こういう話でどんどんおくれているんですよ。私もかなりこれは頭に来ているというか。これは要するにこれは国内行政だけの問題ではないということ。水処理業界の技術とか、そういうものの海外移転とか、すべての面で日本のデータが直接使えないことによる損害というのは物すごく大きい。環境省はもっと思い切ってやるべきだと思うんだけれど、きょうはその議論をする場所ではないから。

【牧専門委員】 今、委員長が述べました問題については私も同じとしか言えません。環境基準の中に大腸菌群数の項目が入っていますよね。今回も全然議論されませんが大腸菌群数の項目は人由来なのか、動物ふん便によるのか、病原性大腸菌を見ているのか目的がはっきりしていない。現状では無意味な検査をしているような気がしますね。いずれ検討項目の中に入れていただきたいと思います。

【松尾委員長】 それは事務局も実は内々で考えてくれているようなんですが、しかし、こういう見直しの議論には全然それが出てこない。
 それでまた一方では、雨が降ったときには大腸菌が結構出てきていますからね。そういう意味で、合流式の下水道の問題とか、それから、分流式だって、雨の初期雨水の問題とか、非常に幅広いのが、BODで見ていると余り見られないのですけれど、大腸菌で見た途端にものすごく明らかになってくると思うのですよ。
 ですから、先生の言われたのは非常に大事なところで、今後、環境基準BODだけではなくて、DOとSSと大腸菌とpHですか。何かありますよね。pHなどもしかすると、光合成が非常に大きいと、非常に高いpHが瞬間的に起きている可能性があるのですよね。そういう問題も今後どうするかというのは、ちょっといろいろな意味で見直す時期に来ているのではないかとは思いますけれどね。

【増島専門委員】 見直しということに関連しては、前回、私が地元の顔が見えないという発言をしまして、それに対しては非常に地元の顔のよく見える資料がきょう出されたわけですけれども。これを見ますと、やはり環境基準がつくられた1970年代と今と、地元の水環境に対するニーズが随分変わってきているなという感じがするわけですよね。
 例えば、福島でも水質保全目標と水辺環境目標ですか。それを別々のものとしてここに今出してきている。環境基準では水辺環境目標はカバーできないと考えているんですね、これね。
 だけども実際、現実には潤いですとか、多様性とか、そういう水質項目にはなかなか置きかえがたいような、そういう指標が求められているということもあるわけで、これは生活環境項目ですから、健康項目ではありませんから、そういう面も含めて、やはり環境基準の根本的な見直しというのは早くやった方がいいのではないかと、そういう気はいたしています。

【松尾委員長】 ちょっとその議論は置きまして、この結果で、資料2のデータの中で、やはり一番問題なのが、実測値がだんだん上がっていくのにもかかわらず、将来推計値がかなり下がっていくと。こういう長良川の下流の水質と、それからやはり最後の横山ダムの貯水池水質予測結果ですよね。これはいずれも○印は右上がりで、経年的にいくと。横山ダムは推計値がそれほど下がらないから、余り差はないと言えるかもしれないけれども、○印だけ見ると、どんどん何となく右上がりに上がりそうだと。特に長良川下流が既にそれがかなり顕著になってきている。
 そういうときに、河川から湖沼に変わるのだからいいだろうということでしょうが、その予測値の持つ意味というか、周りの市町村は努力したいと言っているから、いいんだと言えばいいんですが。
 この従来のはどうですかね、川のAAとかAから湖のAに変えたときの、何か経験的なそういうのはありませんかね。予測値は実測値は上がっているけれども、Aに変えて大丈夫だったというのか。川から湖に読み替えてBODからCODに変わることになる。その辺の予測の正当性というか。あるいは地元もやりたいと言っていて、できそうならばいいではないかと、これをグレードアップということになるのですかね。これは川から湖はグレードアップではないのですか。

【事務局】 グレードアップではないと思います。ですから、具体的に言いますと、大川ダムの場合は、現在河川Aということで、BODで2以下です。それでCODで3以下になると。横山ダムの場合は河川AAですから、BOD1以下がCODで3以下ということで、河川AAが湖沼AAということで必ずしもございませんで、例えばBOD1、COD1ですので、これからすると、どちらかというと、湖沼の方がきついというイメージがあるのですけれども、いわゆる性質が変わるという意味合いです。

【松尾委員長】 そうすると、この最後の大川ダムと横山ダムについては、現状であればいいという感じになるのですかね。川を湖沼のAAに変えても、それほど負担が大きくなるわけではないと。対策をとるという。

【増島専門委員】 その大川ダムの方なんですけれども、T-Pで19年までの暫定目標を0.013にするというところが、本当にこれは大丈夫かなという気がするのですよね。このトレンドでいくと、もしかすると平成19年になると、今度は24年の暫定目標をもっと上げなければならないという、そういう矛盾が生じてきてしまう。この辺は一体どう考えたらいいか。

【松尾委員長】 やはりこれは高度処理を入れてもらうしかないのですよね、下水道に、リンについて言えば。下水道がふえた分だけ、恐らくリンはたくさん出てくるから、リンの濃度は上がってしまう予測になってしまうんです。
 恐らく対策ということにこの際かかわらないで、数値だけを目標値を決めるだけになっているから、目標値にあわせるために、地元は高度処理を入れると、入れざるを得ないということになるでしょうし。
 それから、畜産系は肥料の方のNの規制ですか。硝酸、亜硝酸の規制でもって処理が進む方向へ行くのですよね、畜産に対しては。ですから、そういう意味では、畜産からの負荷量は予想よりももっと減る可能性がありますね、きっとね。
 ですから今のようなご指摘は、そうするとこれはどうなっていくんですか。例えば、19年までの暫定値はこれで0.012だけ、11だけども13でいこうと。いや、違う、標準的な……。

【事務局】 予測値でいきますと、実測と現状の予測と両方りますが、同じペースで予測しますと、現状では0.013ぐらいで推移しているんですけれども、それが将来、負荷が若干上がった影響で、19年では14、24年では15まであがるんだけれども、現状レベルではいかがかということです。

【松尾委員長】 目標値を置きましょうと、こういうことです。
 ですから、II類型というのは幾つなのですか。リンのII類型というのは0.01なんだけれども、暫定目標として0.013まで許しましょうと、こういう言い方になるわけですね。長良川の下流は……、川なんだ、そうか。だけどここは唯一実測値が上がっているのにもかかわらず、予測値がさっきから下がっているということで、ちょっと問題ではないかと、こういうことなんですね。
 さてと、だんだんいい時間になってきましたが、いかがでしょうか。今の増島先生のご指摘は。

【増島専門委員】 19年まではいいんですよ。

【松尾委員長】 19年まではいいと。

【増島専門委員】 このままいってしまって、19年になって困らないかなということを、ちょっと今心配しているんですけれども。

【松尾委員長】 高度処理を懸命になって導入するという方法ですよね。そのお金はだれが出すかわからないというところが、いつも問題なんですけれどね。

【京才専門委員】 確かに大川ダムは、19年、24年と人口が減っているのにもかかわらずなんですよね。ですからやはり……。

【松尾委員長】 ですから、この計算方法が悪いと思う。

【京才専門委員】 それと下水道を入れたからふえるというなのは、確かにそうなところはあると思うんですけれどね。それは下水道を引いたら悪くなるということを認めるようではいけないので、それはやはりそういうふうに下水道の対応をとるという方向に持っていくべきだと思うのですよね。

【松尾委員長】 高度処理を入れるということを知らないのです。

【京才専門委員】 人口も減っているのにふえていくというのは、やりは納得できないのではないかなと。
 それから長良川の件なのですが、先ほどのクロロフィルAをどう評価するのかという問題があると思うのですね。根本的には。それから、そういうものを含めたBODというのは一体何だという議論が、先ほどのCODと同じような議論が、根本的にはあるのではないかということで、それでやはりそういう議論をなしにこのまま、やはり上へ向いているものを変えるというのは、そういう議論を抜きにいくというのは、少し不自然な気がしないでもないですよね。
 だから、もしあれだったら次回やるとか、早急にああだ、こうだと言いづらいなという感じがしますよね。

【松尾委員長】 そうすると、どういうデータがあれば、いいですか。

【京才専門委員】 一体BODは何だったということですよね。
 データとしては、クロロフィルAを、例えば遠心分離か何かでとるとか、浮上分離でとって、除いた水ではかるとか、ろ過したやつとか、ろ過しないやつとか、いろいろ組み合わせではかって……。非常に大変な作業になると思うのですけれどね。それから、明暗でやるとかね。

【沖野専門委員】 類型自体はいいわけですね。A類型範囲には入っているわけだから。

【京才専門委員】 トレンドでいきますよね。

【沖野専門委員】 そんなにこれ以上上がるということはないと思いますけれどね。

【京才専門委員】 さっきも1ぐらいの速報値があると。

【松尾委員長】 上がる恐れがないというのであれば、いいですね。その辺はどうなんですか。栄養源がふえる。

【沖野専門委員】 可能性はないということですよね、これ。余りこれから上がるというあれはないわけだから。

【松尾委員長】 そんなこともないんですよ。ここは川だから、栄養源を計算していないから。

【沖野専門委員】 ただ、いろいろと減る要因はあっても、ふえる要因は、それほど流域にはない。

【松尾委員長】 下水道がふえると……。その辺の原単位の選び方というか、やはり下水道は高度処理を前提とするというのにしたらどうですかね。そうすると、この参考資料の数値が変わってくるんだけれども。
 さてと、きょうの目標の議事の予定はあれですが、次回へどれぐらい持ち越してもいいのかというか、余り残したくないと思いながら今やっているんですが、事務局の方での、ちょっと考え方を教えてもらえますか。

【事務局】 スケジュール的には、今回案を出させていただきまして、いただいた意見を踏まえて再検討して、次回に当委員会の報告の案という形で、水環境部会の方に出します。まとめさせていただくというスケジュールなんですけれども、過去も事例がございますけれども、現時点でその判断しづらい、あるいはもっと調査が必要であるとか、そういったものがあれば、継続的に延ばしていくことも可能なんですけれども。ただ、延ばすことによって、解決できるかどうかという問題があると思います。

【松尾委員長】 いや、ですからね、今非常に象徴的に問題になっているのは、下水道の普及率をふやすとBODはよくなるんだけれども、Nは適用除外になっているから余り問題にしなくても、本当はNも問題なんだけれども。リンがふえてしまう格好になってしまう。これは今の水処理、活性汚泥処理を前提とする下水を考えるから、こういうことになったわけですよね。そこが今みんな問題を起こす方向へ出てきてしまっているから、そこで何%かは高度処理が普及するというか。全部の下水道を高度処理しなくてもいいかもしれないけれど、下水道の普及率に比べて何%ぐらいまでは高度処理が入ると。トータルリンの負荷量はやはり減るという施策を導入するということを前提として議論しないと、つじつまが合いにくくなってきてしまいますよね。ですから、全部の下水処理が高度処理ということはあり得ないと思うから、そのうち主要な部分は、今、普及してないところは、とりあえず普及させると。
 しかし、市街地の普及しているところは、高度処理を入れて、リンの負荷量も何分の1かにすると。それでトータルとしては余り変わらないと、これは本当に数字合わせみたいな要素になるかもしれないけれども、考え方の要素として、こういうものを持ち込んだ上で、この河川の将来を考えるという。そこは大分違うのではないかと思うんです。考え方としては。高度処理を前提とした水処理、流域管理のプロポーザルというか、それを環境省からも出すと。そうすると、市町村は下水処理の高度化というのも義務づけられた格好に、義務づけというのか、やらなくてはいけないということを改めて喚起されて、その人たちはそういう動きを始める。そういう連動が起きれば、私は非常にいいし。そうしないと、恐らくこの数字の予測値は余り意味がないことになりかねないし、逆に矛盾をはらむ、今の増島先生のおっしゃったことに象徴されるんだけれども。という感じがしますが、どうですか。

【事務局】 河川とそれから大川ダムの話があるわけなんですが、河川はとりわけ長良川の問題ですね。長良川の上流域の下水道の計画は、先ほどもご紹介したような形で延びていくという仮定をしておりますが、いわゆるN、Pの規制の強化であるとか、あるいは岐阜県自体も高度処理を入れていくという考えを既に持っておられますので、そういうものはフレーム的にこれは反映されておるわけです。
 それで長良川については、いわゆるこれはまさしく委員の先生方のご判断になるわけなんですけれども、こういうトレンドがありまして、ただ、平成12年度は先ほどちょっと申し上げましたけれども、速報値でBOD平均が1.4から1.0まで下がりました。75%値も1.7であったのが1.3まで下がっております。ということで、何もどんどん右肩上がりで上がるということはなくて、どこかで収斂してくるので、それはどのあたりかなということだと思うのですけれども、むしろ私どもとしては、長良川下流というのは、上側の長良大橋というのと、それから、下側と二つの環境基準点があるんですけれども、こういった全体の推計がございまして、とりわけ、下の方がこういう傾向にあればあるだけ、逆に基準値を2という形で設定する意味もあるのではないかなと。
 ダムや堰といったものも、内水面の水質のこともある程度考えたような方法というのもできないことはないわけですから、そういった意味でも期待はしてもいいのではないかなということで、長良川の方は余りこの数字は現実的な数字であると思います。
 一方、ダムの方なんですけれども、これはいろいろな要素がありまして、一つは負荷量計算の仕組み自体の問題もあります。将来の下水の負荷は非常に平均的な値を使いつつ、一方で現在のし尿処理場というのは具体の施設のデータを用いております。それがどこまで正しいかという問題もありますので、場合によったら、もう少しそのあたりを精査させていただいてもいいのではないかと思いますが。

【松尾委員長】 そうすると、少なくともリンについては多少減る可能性があるということですか、直接的に。恐らく高度処理というのはある程度導入するというのを促進するのも必要だと思うけれどもね。
 さてと、そういう感じですが、今の長良川の下流の問題は、目標値を設定することの政治的な意味というか、目標値を出すことによる効果ということも、バランス効果というか、それも期待できるのではないかということと。
 上がってはいるけれども、それは12年の速報値はもう少し下がっていると。だからこれはまた今度は下がる方向に行くのではないかと、こういう見通しもあるということですね。
 そうすると、最終的な案を出すときには、今言われた最新のデータが出せるのですか。下がったデータがあると、雰囲気として印象が随分変わってきていいけれども、上がり方が続けてこうなると、今のような直感的にちょっと大丈夫かという、そういうことにもなりますよね。
 いずれにしても、よくしようという方向であること自体は間違いないから、それに水をかけるつもりは全くないというところでありますけれども。どうでしょうか。

【京才専門委員】 今の高度処理のことについて、総論としては確かに高度処理をどんどん進めていくことは、ある意味で大事かと思いますが、やはり目標値がないところで、一般論として高度処理を入れていくというところまではなかなか難しいのではないかと私は思うのですよ。
 長良川の場合も、この資料を見させていただきますと、あくまでも長良川の水質で高度処理をやるというのではなくて、伊勢湾のことで高度処理をやると言っているので、結果としてそれは長良川の方に効いてくるとは思うのですがね。
 だからやはり河川の環境基準がBODで決まって、N、Pでない以上、行政側のインセンティブとしてN、Pの高度処理をやるというのは、受益者負担金を取っていると同じですね。なかなか理想論だけではいかないのではないかと思うのですけれども。
 ですから、先ほどの大川ダムのようにN、Pが決まれば、それは施策としてやらざるを得ないと、やっていくということになりやすいと思うのですが。決してこの資料の12ページに書いてありますけれども、長良川の高度処理をやるというのも、長良川のためにやるわけでは、少なくとも建前は違うということだと思うのです。
 この参考資料4の12ページに書いてある。

【松尾委員長】 だから、やはりそうなってくると、環境基準の決め方が、また川はBODだけでいいという点が、やはりちょっと問題だという話に戻ることになりますね。

【京才専門委員】 利根川なんかもふえているのですね、窒素とか、リンとかですね。

【松尾委員長】 それは上流で下水が進むと、基本的にそうなんですよ、それは。

【京才専門委員】 費用負担にすぐつながりますので。

【松尾委員長】 そうすると、かけないということ。それを前提としたもので。

【京才専門委員】 要するに基準がないのに、高度処理を入れるんだというのは、単に政策目標になりづらいという面があると思う。委員長がおっしゃるお気持ちはわかります。私もそう思います。だけど、現実の問題としてですね。

【松尾委員長】 そうだね。それはそうなんでしょうが。
 しかし、だからこうやって負荷量計算をやるということの意味はどうなんですか。現実には長良川がこうやって、堰上げをしたということの影響なんだよね、恐らく。だから、いいということになってしまうとどうなるんだろう。

【京才専門委員】 例えば堰上げをしたから、ダムと見なすとかね。そんなことがあれば、それはできると思いますが、今のままだったら。

【松尾委員長】 長良川下流を貯水池に、湖沼にしてしまうと。

【京才専門委員】 現象から見れば、そういうことだとすればですね。だからちょっとよくわからない、それは。

【松尾委員長】 それは結構大事なの。

【京才専門委員】 根本的な話になって。

【松尾委員長】 さて、私がさっき高度処理を前提として、負荷量計算をし直したらどうかと言ったものだから、今のような話になっているんだけれども。

【京才専門委員】 この長良川の場合は、伊勢湾のためにやろうが、結局、上流で高度処理をやる、伊勢湾のためにやると言っておられるのだから、それで計算していいと思うのですよ。だけど、それは一般論ではないと。

【松尾委員長】 でも、一応それは入っているんです。だから現実的には今よりも減るのでしたっけ。長良川については計算がないんだね、Pについてはね。

【事務局】 そうです。ただ、それと海域の場合でしたらCODを持ってくるわけですけれども、今回はBODということですので、計算上、直接反映されていない。

【松尾委員長】 要するに問題は、さっきの1年たったデータをつけ加えると下がると言うのだけれど、この上がり気味だという原因がプランクトンだということから、プランクトンの理由を考え出すと、栄養塩まで考えなくてはいけなくなってということで、その議論に入っているわけですけれどね。だから、実態の水質が悪くなってきている状況の説明というのと計算をやっている部分とが少しずれているところに、私は一番問題があるようには思うのね。

【京才専門委員】 でもこれは長良川も、この後1.0というのが入れば、7年から見たときに、余り変わらないという見方も。

【松尾委員長】 だから一個入ることによって随分印象が違うということは、さっきから言っているわけですけど、だけど平成2年あたりから見ると、ずっと。

【京才専門委員】 でも、堰の影響ということは7年以降ですよね。前を消しておくと、本当に今議論しているようなクロロフィルの影響なのかというのは、このデータだけでは1個入るとですね。

【松尾委員長】 今までもだんだんふえてきているのではないのかね。
 そうすると、何となく事務局は安心して。

【事務局】 一応今回の一連の作業の中では、12年度データまでを入れたような形でつくらせていただきますけれども。

【松尾委員長】 ですからいろいろな意味で、そうか、ダムアップしたときの問題というのはやはりだんだんと出てきそうだということですね。

【宮崎専門委員】 今のとちょっと関連するところなんですけれど、長良川下流の伊勢大橋のところですね。そのあたりでリンとか窒素とかはかられたデータはあるのでしょうか。

【沖野専門委員】 あります。

【宮崎専門委員】 ああそうですか。どこかに出て。

【沖野専門委員】 余りあり過ぎて、一番研究されている水域だと思います。

【松尾委員長】 だけどそれを書く理由が。

【宮崎専門委員】 書く理由はもちろんないのですが、参考として。いや、別に報告の中に入れるとかいうわけではなくて。

【松尾委員長】 それこそ内部的な資料として、沖野先生のところで簡単に計算できないのですか。

【沖野専門委員】 余りデータがあり過ぎて。でもCODが入っているから、やる気になれば。ただ、出てきた結果が何を意味しているかがよくわからないと。

【松尾委員長】 わかりました。去年よくなっていて、何となく上がったやつが、少し下がった印象になると、随分これは感じが違うし、あれですけれどね。

【沖野専門委員】 環境基準で使っているデータのもとは、結局、頻度が決まっているわけですよね。そうすると、全然違う頻度でやっているわけだから、建設省のがそのまま使えるのかどうかという検討は必要ですよね。サンプル数がべらぼうに違いますから。

【松尾委員長】 それはでも使えなかったらおかしいのです。

【沖野専門委員】 だから母集団が全然違うものだから、比較がしにくい。ただ、トータルとしての窒素がどのくらいとか、リンがという判断には使える。

【松尾委員長】 はい、わかりました。どうも最後にちょっと時間をとってしまって失礼しました。
 それでは、一応この線でよさそうなことになりましたから、次回は報告書の案を取りまとめていただくと。
 しかし、その中で、ちょっとずつもしかして今の議論が反映できるようなところが、言葉の文言なんかにももしあれば、よりよくなると思うし、説明も多分しやすくなるでしょうから、ちょっと気をつけていただいて、特に原単位のところなどの考え方なども、ここは高度処理が入っているか入っていないかということ、もうちょっとメモしていただけるといいかもしれないと思います。
 それではよろしいでしょうか。ちょっと長くなりましたが、どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

【事務局】 次回の委員会ですけれども、できましたら、最終の告示というものを、できる部分については、年度末までに出したら来年度の測定計画に反映できるということがございまして、ということがございますので、2月の中下旬ぐらいまでに開催したいと思っております。非常に宿題は大きいのですけれども、それまでの間に何とかつくってお出ししたいと思います。
 それと次回は今回のこの報告の件だけではなくて、湖沼がまだ随分たくさん残っておりますので、データがそろいましたものから順次お出ししていきたいと考えておりまして、それで何とか来年度中には残っているものを、とりあえず検討の俎上に上げるということで考えておりますので、よろしくお願いいたします。

【松尾委員長】 大腸菌の話はどうなりますかね。来年、最後のこの報告の中に出てくる。それとも全然別になりますか。基準のレベルの問題。

【事務局】 すみません。環境基準係でございますけれども、大腸菌の件につきましては、別途委託先の検討会を持っておりますので、そちらでまずご検討いただきたいと思っております。

【松尾委員長】 それではそういうことでお願いします。どうもご苦労さまでした。