総量規制基準専門委員会(第3回) 議事録

議事録

午前10時01分 開会

【山田係長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会第3回総量規制基準専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中ご出席いただきまして誠にありがとうございます。

 それでは、議事に先立ちまして、大臣官房審議官の早水よりご挨拶を申し上げます。

【早水大臣官房審議官】 おはようございます。審議官の早水でございます。局長が国会対応のため、私から代わりにご挨拶をさせていただきます。

 本日は第3回の総量規制基準専門委員会にお集まりいただきまして、ありがとうございます。また、平素から水環境行政の推進にご理解とご協力を賜っておりますこと、この場をおかりして厚くお礼を申し上げます。

 さて、この専門委員会でございますが、「第8次水質総量削減の在り方について」の答申を受けまして、総量規制基準の設定方法について、今年の2月から専門的なご審議をいただいてきたところでございます。今日はこれまでのご議論を踏まえまして、総量規制基準の設定方法についての専門委員会報告案を事務局のほうで用意をしております。報告案の作成に当たりましては、前回の委員会でのご指摘を踏まえまして、各事業場における水質データを精査いたしました。また、関係省庁あるいは関係自治体などの意見も聴きながら、見直し案の妥当性について検討してきたところでございます。本日、この報告案をお認めいただけましたら、年度内にもパブリックコメント手続に入りたいと考えております。

 委員の皆様方におかれましては、限られた時間でございますけれども、活発なご議論をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

【山田係長】 本日の出席状況でございますが、委員11名中、10名ご出席いただいております。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもってご紹介に代えさせていただきます。

 本日、木幡委員からご欠席とのご連絡をいただいております。

 続きまして、資料の確認をいたします。

 議事次第、配席図の次、資料1が名簿、資料2が第2回委員会における指摘と対応、資料3がC値の設定方法についての専門委員会報告(案)となっており、別紙として1から3をつけております。また、参考資料といたしまして、見直し作成手順の概要をつけております。

 不足がございましたら事務局にお申しつけください。

よろしいでしょうか。

 本日の会議は、「中央環境審議会の運営方針」に基づきまして公開とさせていただいております。

 プレスの皆様は、これ以降の写真撮影等はお控えいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、この後の議事進行につきましては委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 かしこまりました。

 おはようございます。委員の皆様、年度末で大変ご多用の折ご出席いただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 最初の議題は、総量規制基準の設定方法の案についてでございます。事務局より資料2についてご説明をお願いいたします。

【石川室長補佐】 それでは、資料2についてご説明をいたします。

 お手元の両面の1枚紙のものでございます。報告案に入る前に、前回の専門委員会でご指摘がございまして、それに対する対応の案ということでまとめたものでございます。ご指摘については、全部で5つピックアップをさせていただいております。

 まず、1番目といたしまして、長田委員からご指摘がございました。総量規制基準が適用される事業場というのはそれほど多くはないので、見直し案の設定については、各事業場のデータをもう少し丁寧に見たほうがよいのではないかというようなご指摘でございました。

 これにつきましては、右のほうに対応案を整理してございますけれども、ご指摘を踏まえまして、前回お示しした見直しの素案というものについて、自治体等との意見を聴きつつ、その妥当性を検討するとともに、必要に応じて、業種等の区分における排出水に係るデータの経年変化を確認いたしました。ご指摘では、平成26年度のデータだけを見ていては少し支障が出るんじゃないかというようなご趣旨でしたので、これについては過年度分のデータも含めて確認をしまして、今回お示しをした見直し案を作成しております。

 それから、2番といたしまして、こちらは平沢委員からご指摘がございました。産業排水については、原料の変化や処理方法等によって負荷変動が生じるため、それぞれの業種の状況を踏まえて、見直し案の設定についてご検討いただきたいというようなご意見でございました。また、2点目といたしましては、国がC値の範囲を定めた後に自治体がさらに厳しい規制基準を設定すると、支障が生じる事業場も増えてしまうのではないか。そういったことを踏まえて、在り方答申の思想を踏まえた上で自治体への指導についてお願いしたい、そういったご意見でございました。

 これについては、右のほうに、1つ目のポツは先ほど申し上げたとおりでございまして、2つ目のポツに、都道府県に対しては、在り方答申の趣旨や今回の見直しの観点について伝えていきたいというふうに考えております。これについては前回の専門委員会で回答させていただきました。後ほどご説明する資料3、報告案には、都府県がC値を設定するときの考慮すべき事項として整理しておりますので、そちらについては改めてご説明をしたいと思います。

 3番目につきましては、長﨑委員からございました。第2回のときは個票を出しておりましたけれども、その個票を見ると、水質最大値がとても大きくて、95%値は最大値の0.065%程度になっている業種もあります。そういった分布をしている業種についてどう考えますかというようなことでありまして、これは前回の専門委員会のときにも少し回答させていただいておりましたけれども、前回お示ししたデータというのは暫定版でありましたので、ご指摘のあった業種も含めてデータの精査を行いまして、今回お示しした見直し案は、精査後の確定値に基づいて設定してございます。さらに、今回の見直しというのは、最大値に対する95%値という考え方ではなくて、業種内で排水水質の小さいほうからn×0.95番目の値とするという趣旨で見直し案を作成しましたということで、こちらについても前回の専門委員会で回答をさせていただいております。

 4番目につきましては、河村委員からご指摘がございました。資料2の表9─C値の範囲の幅などを表記している表でございますけれども─はいつ作られたか、また、可能であればその根拠を説明いただきたい。この表の取り決めにより見直せないものがあるのであれば、今後、この表を見直していくことも必要ではないかというようなご意見でございました。

 こちらについては、第1次から第4次までは、実態として表9の内容に沿ったC値となってございました。この表9というのは少しわかりにくいので、資料3の7ページの一番上に、今度は表3として載せておりますけれども、これが第2回のときにご指摘のあった表9でございまして、この内容に沿った形で第1次から第4次まではなってございました。第5次において、それまでの実態を踏まえてこの旨が明示されまして、それ以降は基本的にこの表9の内容に従い、見直しを実施してきているということを確認いたしました。

 それから、裏面にまいりまして、鈴木委員からご指摘がございました。専門的なご助言ということで、りんの除去に関するご指摘でございまして、通常は、排水濃度はかなり低くなっている、ただ、気象条件などによってはたまに高くなることがあります。そのような全体的には総量は低く抑えられているというような実態を踏まえて、見直し案についてはよく検討していただきたいというようなご指摘でございまして、こちらについても、ご指摘があった業種について、自治体などの意見を聴きつつ妥当性を検討するとともに、個別の排出水に係るデータの経年変化を確認いたしました。確認した中では、やはり年度による変動なども確認できましたので、そのあたりも考慮して見直し案について作成をしたということでございます。

 以上が資料2のご説明であります。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 前回、非常に重要なご指摘いただきまして、その対応案が出ておりますが、何か現時点でご意見、ご質問等ございますでしょうか。後の資料で出てくる部分はそのとき、ご確認いただければよろしいかと思いますが、今の時点でよろしいですか。特にご発言の先生方。

 じゃあ、後ほどもう一度、具体的な資料でご確認をいただければというふうに思います。

 それでは、続いて資料3について事務局からご説明をお願いいたします。

【石川室長補佐】 続きまして、資料3のご説明をいたします。水質に係る化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量の総量規制基準の設定方法について(総量規制基準専門委員会報告案)ということで、資料3をまとめてございます。

 1枚おめくりいただきますと、目次がございます。大きな項目については、この6項目から成っておりまして、項目の名称などについては、第7次の報告と同じでございます。ただ、細かいところで第7次と違うところが2点ほどございまして、それがⅣ番目の総量規制基準の設定方法の検討の3番、水域区分というところとⅤ番目の総量規制基準の設定方法の2番の大阪湾、これらが第7次と異なるという部分でございます。これは前回もご説明さしあげましたが、在り方答申の中で、大阪湾については東京湾、伊勢湾とは異なる方針が位置づけられたということを踏まえて、このような形になっているということでございます。そして、別表がCOD、窒素、りん、それぞれに1、2、3ということでついているというような構成になります。

 それでは、報告案ということですので、第1回、第2回と重複する部分もありますけれども、ご説明を差し上げたいと思います。

 1ページ目、Ⅰ番、総量規制基準の位置付けについてということでありまして、総量規制基準、それから総量削減制度、そういったものについて解説しております。このところで、これまでの委員会でお示ししたような図、概要図が11ページと12ページ、それから13ページ、総量規制基準が適用される汚濁負荷の分類、13ページの図3の※のところが総量規制基準が適用される部分ですということで、こちらについては第1回のときにも先生からご指摘をいただきましたので、そういったものを踏まえた形でこの図を整理しております。

 また1ページに戻っていただきまして、制度の概要の後に、中ほどから中央環境審議会答申「第8次水質総量削減の在り方について」ということで、少し在り方の内容をおさらいするような書きぶりをしております。東京湾、伊勢湾については、今後も水環境改善を進める必要がある。大阪湾については、窒素、りんの環境基準の達成状況を勘案しつつ、特に有機汚濁解消の観点から水環境改善を進める必要がある。大阪湾を除く瀬戸内海においては、現在の水質が悪化しないように、必要な対策を講じることが妥当である、というふうにされました。そういった方向性がある中で、きれいで豊かな海の観点から総合的な水環境改善対策を進めていくことが必要ですというふうに整理をされておりまして、特に汚濁負荷削減対策については、これは抜粋ですけれども、この下から四角で囲ってあるように、在り方答申の中で整理をされているということでございます。

 総合的な水環境改善対策ということですので、例えば東京湾、伊勢湾、大阪湾については、2ページ目をご覧いただきますと、黒いポツが5つほど位置づけられておりますけれども、これをもって総合的な取組を汚濁負荷削減対策として取り組んでいくと。一番上は、生活系の生活排水に関する取組、それから、2番目が今まさにご議論いただいております指定地域内事業場に関する汚濁負荷削減対策ということであります。この部分については、これまでもご説明してきておりますけれども、事業場に係る汚濁負荷量というものは、7次にわたる水質総量規制基準によりかなりの削減が図られてきました。こうした実績を踏まえて、最新の処理技術動向も考慮しつつ、これまでの取組が継続されていく必要があるというふうに整理をされておりまして、この答申の中身に沿って、今回、規制基準の見直しを進めてきていただいているということでございます。そのほかにも面源系や小規模な未規制事業場、そういったことについていろいろ取り組んでいき、総合的な対策として進めていこうという趣旨が在り方答申でございます。

 それから、大阪湾を除く瀬戸内海につきましては、従来からの各種施策を継続して実施していくということと、地域における海域利用の実情を踏まえて、湾・灘ごと、季節ごとの状況に応じたきめ細やかな水質管理について順応的な取組を推進していきましょうというふうなことが整理されております。

 2ページの下のほうに、「また」以降、特に汚濁負荷削減対策とセットで、干潟・藻場の保全・再生、底質環境の改善等についても、水質浄化、それから生物多様性・生物生産性の確保などの重要性に鑑みて、総合的な取組を推進していくということで、こちらについても幾つかの施策が必要な対策として掲げられているというようなことでございます。

 このように水質総量削減制度というものは、汚濁負荷量を総合的に削減することで全体の水質の改善を図るというものでございまして、その中でも総量規制基準というものの規制は重要な役割を果たしておりますというふうにまとめております。

 それから、3ページ目にまいりまして、大きなⅡ番、総量規制基準の適用ということでございます。

 こちらについて、まず1番といたしましては、指定地域内事業場に対する法の適用ということで、第1回の専門委員会でご説明をさせていただきましたが、総量規制基準遵守のために、法において以下のような規定が設けられているということで、幾つかピックアップをさせていただきまして、図としては、14ページに総量規制基準に係る水質汚濁防止法の適用関係ということで整理をさせていただいておりまして、都府県及び法に基づく政令市において、指定地域内事業場が総量規制基準を遵守しているかどうかは、立入検査などで把握をしまして、適切な対応を的確に行うことが重要でありますと。それから、特に瀬戸内海においては、特定施設の設置などに関して、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく許可などが適用されていますというような説明も添えさせていただいております。

 それから、2番目にいきまして、総量規制基準値の算式方法ということでありまして、こちらについてはCOD、窒素、りん、それぞれL値というもの─総量規制基準でございますけれども─をこのQとC、水量と濃度を掛け合わせて、それぞれの総量規制基準値を算出しますというふうに整理しております。

 Qというのは、次のページの表1にある時期区分というものがございまして、CODについては3段階、窒素とりんについては2段階で分けておりまして、これごとの水量とがあります。さらに時期区分ごとに環境大臣が定める区分ごとのC値の範囲というものがありまして、その範囲の中で都府県知事がC値を定めていくと。そしてQとCを掛け合わせて、その時期区分を反映した形で総量規制基準が定められているというご説明であります。

 それから、4ページ目のⅢ番でございまして、総量規制基準の設定方法を定めるに当たって考慮すべき事項ということで、こちらについては、先ほどご説明さしあげました在り方答申の中身を少し整理したものでございまして、東京湾、伊勢湾及び大阪湾については、今後も水環境改善を進めることとか、そういったことを整理させていただきまして、総量規制基準の設定方法を定めるに当たっては、以上の事項、つまり在り方答申で整理された内容を考慮することが適当であるというふうに整理をさせていただいております。

 5ページ目にまいりまして、総量規制基準の設定方法の検討ということで、こちらについても第1回、第2回でご議論していただいたものを文章としてまとめたという内容になっております。

 まず、時期区分、先ほどご覧いただいた表1にあります時期区分ですけれども、時期区分を分けている趣旨というのは、制度開始時において既に存在していた施設における対応の困難性を考慮しまして、新しく設置された施設などに適用するC値と既存の施設に適用するC値とを分けることを目的としておりますということで、第8次においても、第7次における時期区分を継続することとした、としております。

 それから、2番といたしまして、業種等の区分でございますけれども、第7次のときに大きく分けて215の区分がございまして、それぞれこの項目別にさらに細分化されております。この業種等の区分については、これまで日本標準産業分類の区分を参考に見直しが行われてきておりましたけれども、その分類というのが平成25年10月に改定がされたんですけれども、総量規制基準に係る業種等の区分の変更はありませんでしたので、これも第8次については、第7次における業種等の区分を継続することとした、としております。

 それから、3番、水域区分でありますけれども、第7次における水域区分というのは、東京湾、伊勢湾及び大阪湾と、大阪湾を除く瀬戸内海の2区分でございました。これについて第8次においては、東京湾及び伊勢湾、大阪湾、それから大阪湾を除く瀬戸内海の3区分とすることとした、としております。

 4番、C値の範囲ということでありまして、在り方答申を踏まえまして、第8次の総量削減においては、東京湾、伊勢湾及び大阪湾におけるCOD、そして、東京湾及び伊勢湾における窒素及びりんについて、C値の範囲を検討することとし、検討の際には、見直し検討を行う業種区分等を抽出しまして、それぞれの排水実態などを踏まえて、見直しの妥当性を検討しております。

 まず最初に、見直し検討を行う業種の区分の抽出ということでありまして、どういう業種等を見直しの検討対象とするかということで、ページをおめくりいただきまして、表2に見直し検討を行う業種等の区分の抽出ということで、大きく2つの抽出の観点というものを掲げております。現状よりも悪化させないという観点と、これまでのC値の範囲の設定を踏まえた観点ということで、次のところに①から③までの具体的な条件を掲げております。

 まず①番、現状より悪化させないという観点に対応するものとしましては、C値の範囲の上限値が、都府県が定めたC値の最大値より大きい業種等の区分ということで整理をしております。それから、これまでのC値の範囲の設定を踏まえた観点ということでは、2つ抽出条件を定めておりまして、②番としましては、C値の範囲が強化されていない業種等の区分ということで、CODについては第1次から第7次まで、それから窒素、りんについては第5次から第7次まで、Cの範囲が全て同一の業種等の区分を見直しの対象としたということと、③番につきましては、既存施設と新増設施設に係るC値の範囲の設定の差が大きな業種等の区分ということで、CODについては、CとCjの上限値同士の比率が大きいものとして、具体的には比率が2を超えるもの、それから、窒素及びりんについても、CとCiの上限値同士の比率が2を超えるもの、それぞれ検討対象としたということを整理しております。

 なお、①から③に該当する業種等の区分であっても、下の3つのいずれかに該当する場合は見直しの検討対象から除くこととしております。1つ目が、平成26年度の実績において、特定施設の設置等の届出がない業種等の区分、それから、整理番号232の業種等の区分、これはいわゆるその他の業種というふうに整理しているものであります。それから、3番目は、CとCi、Cjの上限値が各項目で設定可能な下限値の最低値にC値の範囲の幅を加えた値に既に設定されている業種等の区分ということで、こちらについては、1ページおめくりいただきますと、表3が7ページの上に出てきまして、先ほど資料2のところでご説明したC値の範囲の幅等の設定がございます。これらのものに該当する場合は、見直しの対象外としたということでございます。

 それから、7ページ目のイ、C値の範囲の見直し方法の設定ということで、まず、抽出した業種等の区分について、以下の手順でC値の範囲の見直し案を検討したということでございます。

 まず、抽出条件1に該当する業種等の区分については、特定排出水の水質を現状よりも悪化させないという観点から、C、Ci、Cjの上限値をそれぞれ都府県が定めたC、Ci、Cjのうちの最大値まで引き下げるということでございます。その上で、抽出条件の②と③に該当する業種等の区分については、特定排出水の濃度が特に高い指定地域内事業場の水質改善を進めるという観点から、平成26年度における特定排出水の業種等の区分別濃度の負荷量最大日濃度の95%値までCの上限値を引き下げるということでございます。

 7ページの下のほう、注2のほうに、95%値とはということで、先ほど資料2で少しご説明したような、サンプル数がn個の場合には、小さいほうからn×0.95番目とするというようなことで定義をしております。それから、注2の一番最後のポツでございますけれども、特定排出水の数が20未満だった場合には、この95%値ではなくて、負荷量最大日濃度の最大値を適用しますと解説を加えております。

 8ページ目にまいりまして、調整事項ということで、こちらについても少し資料2のところで表3を用いてご説明しましたけれども、このC値の範囲の幅ですとかCとCiの間の上下関係、そういったものが表3を満たしていない場合は、範囲の幅の場合であれば、下限値を下げずに、適切な幅を保てるように上限値を定めるということですとか、大小関係が崩れてしまう場合には、Cが例えばCi、Cjよりも小さくなってしまうような場合は、Ci、CjをそのCに合わせるというようなことを整理しております。

 それから、エとしまして、水質実態の勘案ということで、こちらについても、先ほど資料2のところで実態を踏まえてというようなご指摘もありましたので、業種等の区分における使用原材料、処理工程、排出処理方式、負荷量の実績、水質の実態などを勘案するということで、必要に応じて見直し案の修正を行ったということでありますとか、あとは、総量規制基準というものは濃度ではなくて排出負荷量で規定されるものですから、この排出負荷量としても遵守可能かどうかというような観点からも、必要に応じて検討を行ったということでございます。

 8ページ目の中ほど、大きなⅤ番としまして、総量規制基準の設定方法でございます。

 大きく、1、2、3とありますけれども、まず1として、東京湾及び伊勢湾でございます。(1)、(2)はそれぞれ時期区分、業種等の区分は変更しないということ、それから、(3)番については、CODについては別表1、窒素については別表2、りんについては別表3のとおりとするということであります。別表のご説明は後ほどさせていただきます。

 大阪湾については、(1)、(2)は同じでございまして、(3)については、CODについては別表1のとおり、窒素及びりんについては、在り方答申を踏まえてC値の範囲は変更しないとしております。

 大きな3番、大阪湾を除く瀬戸内海でございますけれども、(1)、(2)は変更しないということで同じで、(3)番についても在り方答申を踏まえてC値の範囲は変更しないとしております。

 Ⅵ番、最後でございますけれども、都府県が総量規制基準を定める際の留意事項といたしまして、大きく水域ごとに2つ柱を立てておりまして、まず、東京湾、伊勢湾、大阪湾については、設定の趣旨をしっかりと伝えることが重要であるというようなご指摘もいただきましたので、今回、見直しを行う観点というものを箇条書きで整理しております。9ページ目の下のほうに、水質を現状よりも悪化させないという観点ということとか、あとは、C値の範囲が強化されていない業種などについては、特定排出水の濃度が特に高い指定地域内事業場の水質改善を進める観点から行ったというふうに整理をしております。それから、大阪湾については、窒素及びりんのC値の範囲は変更しないこととしたと、そういったこともあわせて伝えるべき項目としております。

 それから、(2)番といたしましては、規制する上で指定地域内事業場の実態の把握をしていくことが重要であるということで、これはこれまでの報告の中にも含まれていたものでありますけれども、指定地域内事業において行われた汚濁負荷削減対策の取組ですとか季節変動、そういったことに配慮をすることとか、あとは、水量の削減も重要であると、そういったことを整理をしております。

 それから、大きな2番といたしまして、大阪湾を除く瀬戸内海についても、在り方の答申を踏まえてC値の範囲は変更しないこととしたということと、あとは、生物多様性・生物生産性の確保の重要性に鑑みて、きめ細やかな水質管理を順応的に取り組んでいくというふうに整理をされておりますので、こういったことも十分留意する必要があるというふうに整理をしております。

 最後に別表をご説明したいと思います。

 まず、別表1のCODでございますけれども、タイトルの1つ下に※が書いておりますけれども、この網かけの部分が第8次で見直しのあった箇所、それから、「なお」ということで、大阪湾を除く瀬戸内海のC値は第7次から変更なしということで書いております。

 ページをおめくりいただいて、2ページ目に、例えば16番の野菜漬物製造業については、第8次におけるC値の幅ということで、Cの値が70というふうになっておりまして、こちらについては網かけがされておりますので、先ほどご説明したルールに基づいて抽出し、見直しがなされたということでございます。また、例えば7ページ見ていただきますと、89番については、C、Ci、Cjそれぞれに網かけがかかっておりまして、これについては、先ほどのルールに基づいて見直した場合に、C、Ci、Cj、それぞれ見直しがなされるということでございます。総合しますと、参考資料の一番下の二重の四角にそれぞれ見直し対象業種の区分数ということで整理をしておりまして、CODについては、Cが8、Ciが5、Cjが7となっております。この網かけの数がそれと同じになっているということであります。

 それから、別表2にいきまして、窒素についてですけれども、こちらについては、※がCODとは異なっております。網かけのところが見直しのあった箇所というのは同じですけれども、大阪湾と大阪湾を除く瀬戸内海のC値は第7次から変更なしということで、この「大阪湾について変更なし」というところがCODとは異なるということでございます。それぞれ網かけの見方はCODと同じでございまして、別表3のりんについても、※は窒素と同じでございます。集約しますと、参考資料の一番下の二重の四角の中にありますとおり、窒素についてはCが60、Ciが41、りんはCが55、Ciが36という業種について、この見直し案として整理をしたということであります。

 以上が資料3のご説明になります。

【早水大臣官房審議官】 すみません。1カ所だけ細かい点ですが、修正をさせてください。資料3の3ページ、2で総量規制基準値の「算式方法」となっていますが、これは正しくは「算出方法」ですね。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見がございましたら、承りたいと思います。よろしくお願いいたします。

【平沢委員】 大変丁寧にいろいろお考えになられて、決めていただいたような気がいたします。この前質問したように、自治体の上乗せというところは気になっていて、その文言を入れていただいたというのは大変よかったと思います。ただ、今回はこれでいいかなと思うんですが、基本的には、やっぱり実態上規制しているのは県のC値のほうなので、そのC値が守られていれば、現状非悪化というふうに思いますので、C値の範囲の上限値をいじる必要は本当はないんじゃないかなという意見でございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。今の点、いいですね。

 ほかにございますか。

 今、平沢先生のご発言にありましたように、前回のご指摘についてどうなっているかというのは、やはり各委員の先生、ご確認いただければと思います。

【松田委員】 水域区分の書き方の問題なんですけれども、5ページのところでありますように、第7次では東京湾、伊勢湾、大阪湾を1つくくりにして、それから大阪湾を除く瀬戸内海の2区分、今回は東京湾及び伊勢湾と大阪湾と大阪湾を除く瀬戸内海の3区分としたわけですよね。それで、8ページの中ほどからの基準の設定方法も、それに沿って、1が東京湾及び伊勢湾、2が大阪湾、3が大阪湾を除く瀬戸内海になっています。しかし、9ページの中ほどからの留意事項のところは、形の上ではもとに戻ってというか、東京湾、伊勢湾及び大阪湾をくくって、それと大阪湾を除く瀬戸内海にしてあります。大阪湾のことは10ページの上の段落の中になお書きで書いてあるんですけれども、こういうふうにした理由というか、多分、(2)の実態の把握のところは両方かかるのでちょっと文章が短くて済むとか、そういうことだと思いますが、そのような理解でしょうか。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 そのとおりでございまして、例えば9ページの東京湾、伊勢湾及び大阪湾のまず(1)の設定の趣旨については、観点を伝えていくことが重要であるということで、大阪湾についても窒素、りんの見直しはしないんですけれども、CODについて見直しを行っておりますので、その見直しの観点というものは、東京湾、伊勢湾と同じく、大きく2つの観点を掲げておりますので、そのあたりを含めて書いているということであります。それから、(2)番の指定地域内事業場の実態の把握についても、これはCOD、窒素、りん含めて重要なことだというふうに考えておりますので、おっしゃったとおり、分けても機械的には整理ができるんですけれども、分けたとしても書く内容がかなりの部分が重複してしまうため、少し工夫をしてみたということでありますが、もしご意見があればさらに工夫をしてみたいと思っております。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかに。はいどうぞ。

【長﨑委員】 非常に丁寧にご回答もいただいておりますし、もう最終の仕上げの段階に来ていて、非常に重要な書類ですので、ちょっと重箱の隅をつつくようなことも言わせていただきます。文章の中で、例えば6ページの2番とか3番とかそうなんですが、「○○については〇〇を、」、「○○については〇〇を」云々というふうな表現のときに、「それぞれ」という言葉がついている箇所とついていない箇所が結構散在しています。つけることによって意味がきちんと限定されると思いますので、もう1回チェックをお願いいたします。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。今のご指摘よろしいですね。おっしゃるように最終文章ですので、もう一度ご確認ください。ありがとうございました。

 ほかにございますか。はいどうぞ。

【長田委員】 すみません。同じようなことばかり言って申し訳ないんですけれども、第2回のときにご指摘させていただいた経年変化について、今回の資料の中で特に考慮した事項というのがあれば、教えてください。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 今回のC値の見直し案をお示しする過程の中で、資料2でご説明したとおり、まず自治体等に意見照会をかけまして、そこから、この見直し案では多少厳しい、もう少し経年変化などを見ていただきたいというようなご意見があった場合については、過去、具体的には平成24年度、25年度、26年度の3カ年分について、その業種等区分の水質の濃度ですとか、場合によっては負荷量の総量の部分について確認をしました。CODについてはそのようなご意見はありませんでした。窒素とりんについては、それぞれ窒素については5業種で、経年変化などを見て少し調整をしたということがありますのと、あと、りんについても4業種、そのような調整をしたというような状況です。

【岡田委員長】 よろしいですか。ありがとうございました。

 ほかにございませんでしょうか。はいどうぞ。

【河村委員】 最終報告書ということで、7ページの脚注のところのサンプル数というのと一番下の特定排出水数というのは、これは同じことですよね。統一されたほうがいいでしょう。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 これでパブリックコメントにかける報告案となります。今幾つかご意見いただいたんですが、万が一、後で気がつくことがありましたら事務局のほうにお寄せいただくということで、この件を本委員会においてはお認めいただいたということで報告案をパブリックコメントにかけると。ご意見に対する回答案につきましては、事務局で原案を作成するという手順で進めさせていただきたいと思います。

 パブリックコメントの結果、修正意見、それから技術的判断を要する意見などが出された場合、当然のことですが、再度、本専門委員会を開催してご意見への対応等について審議いただくというふうにさせていただきたいと思います。もし大きな意見等がない場合、その後の専門委員会は開催しないで、メール等でご意見への回答案をご確認いただいた上で、水環境部会には私のほうから専門委員会としての報告をしたいというふうに考えております。

 という手順で進めるということで、本日のこの資料3を中心とする案、お認めいただくということでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 それでは、今後の手続の詳細について事務局からご説明をお願い─はいどうぞ。

【細見委員】 もちろんこれで認めていただいたということで結構かと思いますが、1つ、これはできるかどうかということはあるのですが、仮に今回、こういう基準にしたときに、どのぐらい負荷量が減るものなのかと。エスティメーションというか、そういうのはできるものなのかちょっと。もしできれば、いろんな仮定が必要だと思いますけれども、従来、7次と比べて、8次にこれだけの効果があるのではないかというような。各業種それぞれ、もちろん大きさも負荷量もそれぞれ違ってくると思うので、総量規制といったときにどの辺をどういうふうにするかということもやっぱり考えないといけないのではないかというふうに思います。もしこれは可能であればという注文です。

【岡田委員長】 今の時点で事務局。

【石川室長補佐】 ありがとうございました。

 今回のC値の範囲を見直して、じゃあ、各海域での汚濁負荷量がどうなるのかというところについては、今後の話としまして、水濁法において総量削減基本方針というものを環境大臣が定めるということになっております。それについては、平成31年度が第8次の目標年度でありますので、第8次の目標年度である平成31年度において、生活系、産業系、その他系で、それぞれどういう汚濁負荷量になるかというところを、まずそれぞれ都府県の実情、大きくは下水道の整備の話とかもありますし、高度処理の話もありますし、そういったものとか、今回のこのC値の見直しにおいてどのぐらい削減されるのかということも踏まえた上で、各都府県でこれぐらいになるというものを算出していただきまして、それを国のほうで少しまとめて集約して、整合をとって、最終的に第8次の総量削減基本方針の中で削減目標量という形にしていくということを考えております。ご指摘については、各都府県との調整の中で、そういったあたりも把握をしていきたいと考えており、次回の専門委員会では、まだ削減目標量の算出が間に合ってないだろうといった状況もありますが、そのような方法で目標量を定めていくということを考えております。

【岡田委員長】 よろしいですか。ありがとうございました。

 はいどうぞ。

【平沢委員】 もう何年も出させていただいているので、ちょっと思うこと、意見です、これは。今回のはこれで結構かと思うんですけれども。やはり環境基準の達成率というところは結構キーワードで来ていて、大阪湾を除く瀬戸内海に関しては見直さない。ほかのものは確かに達成率は悪いといえば悪いんですけれども、平成12年から見るとあまり大きく変わってないようなところがあります。そうすると、いわゆる事業場排水については、先ほど細見先生の話もあったので、負荷量の削減って非常に少ない。それでも効果はあるのかもしれませんけれども、それが本当に効果的かどうか、本当に水質改善に寄与するんだろうかと。もっと別のところを考えたほうがいいんじゃないのかというところを、また今回の委員会でも思いました。という意見でございます。

【岡田委員長】 事務局。はいどうぞ。

【根木室長】 そのあたりについて、まさに総量削減の在り方の中でもいろいろとご議論をいただいたと考えております。在り方において、水環境改善がさらに必要な水域において総合的な対策が必要という方針も打ち出していただきました。また、今回の総量規制基準の対象となるものが、産業系のものもありますが、生活系のものも対象になっていると。例えば東京湾では3分の2ぐらいの汚濁負荷量が規制基準の対象になっているというようなデータも、途中でお示しをさせていただきました。そういうことでありますので、今回の規制基準のこの報告書の方向性は、やはり水環境の改善を必要な水域で行うために必要なものであると環境省としては考えておりまして、その方向で今後、パブリックコメントも行っていければと考えております。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

 それでは、今後の事務手続について事務局からご説明をお願いいたします。

【根木室長】 本日はありがとうございました。今後、本日ご指摘いただいた部分について、必要な分を修正しまして、委員長にご確認いただくとともに、報告書(案)を取りまとめて、パブリックコメントをかけることといたします。パブリックコメント開始の際には委員の皆様にご連絡をいたします。

 なお、委員長からご発言ありましたとおり、再度、専門委員会を開催するかどうかにつきましては、パブリックコメントの結果を踏まえて、委員長にご判断いただきたいと考えております。その後に水環境部会において、パブリックコメント後の専門委員会報告について、委員長よりご報告いただくことを考えております。

 以上です。

【岡田委員長】 それでは、本専門委員会報告については、ただいまの説明のとおりに進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、そのように進めることといたします。

 その他事務局から何か連絡事項ございますでしょうか。

【山田係長】 本日の議事録につきましては、速記がまとまり次第、皆様にお送りいたしますので、ご確認のほどよろしくお願いいたします。全員にご確認いただいたものを環境省のウエブサイトにて公開いたします。

 以上です。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、第3回の総量規制基準専門委員会を閉会とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

午前10時54分 閉会