中央環境審議会水環境部会総量削減専門委員会(第7回) 議事録

議事録

午後1時29分 開会

【山田係長】 定刻より少し早いですけれども、ただいまから中央環境審議会水環境部会第7回総量削減専門委員会を開会いたします。委員の皆様におかれましてはお忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。

 本日の出席状況でございますが、委員16名中、現在のところ、13名のご出席をいただいております。委員の皆様につきましては、お手元にお配りしております名簿をもってご紹介にかえさせていただきます。本日は、古米委員、長﨑委員から欠席とのご連絡をいただいておりまして、また、阿部委員からは遅れてこられるというご連絡をいただいております。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第、配席図の次に資料1から資料6までとなっております。資料3につきましては資料編及び別冊もご用意しております。その後に参考資料として1から3までをつけております。不足がございましたら事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づきまして公開とさせていただいております。プレスの皆様は、これ以降の写真撮影等はお控えいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、この後の議事進行につきましては岡田委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 かしこまりました。

 委員の皆様におかれましては大変ご多用の折、ご出席いただきましてまことにありがとうございます。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の最初の議題は、指定水域における水環境改善の必要性、対策の在り方等についてです。では、事務局からご説明をお願いいたします。

【石川室長補佐】 それでは、資料2についてご説明を差し上げます。

 資料2については前回の専門委員会でご提示した際に、少しご質問やご指摘をいただきましたので、それを踏まえて更新した内容となっております。資料2では、干潟・藻場の機能、特に水質浄化機能に着目をしまして、その浄化能というものを試算してみようというところで、この資料を用意しています。前回からの変更点について簡単にご説明をいたします。

 資料4ページをごらんください。水質浄化能の試算ということで、既往の文献などから浄化能が出されているものをピックアップして、それを基に浄化能を算出したというところでありますけれども、(1)番、干潟というところで表4のDIN、PON、脱窒など、いろいろ書いてありますが、そのあたりをどういうふうに定義をして水質浄化能をだされたのかというようなご質問がありましたので、そのあたりを少し説明を追加しております。

  第2パラグラフの「なお」以下が追加したところであります。これらの値は、干潟の有する水質浄化能を「干潟の底泥が富栄養化の原因物質である窒素・りんを海水(直上水)から除去する作用」というふうにした上で①から③番、①番については底泥と直上水間でのDIN、DIPの交換、それから、②番としましては底泥と直上水間でのPON、POPの交換、それから、③番としては脱窒のプロセスを考慮して算出されている、という文章を追加しています。基本的には、窒素・りんを海水から除去するという作用をもとに算出された数値ということになっております。

 それから、5ページ目の2-2の干潟・浅場、藻場面積というところであります。こちらについては干潟域として浅場を含めて面積を算出していたんですけれども、その考え方について少し説明を追加していただきたいというご指摘がありましたので追加をいたしました。浅場というものが干潟の前面に広がっていまして、生態系の構造なども連続性を有していて、そのために干潟と同様の高い水質浄化能が期待されるということで、実際に三河湾ですとか東京湾において浅場が干潟と同様に高い浄化能を有しているというような報告がございます。

 その報告については6ページ目に例として三河湾の報告の事例を載せております。これは三河湾で6月、8月に現地調査をした結果ですけれども、いわゆる浅海域、浅場でも高いPONの除去量を有していたというような報告があります。こういった報告がありますことから、今回の試算ではこのような知見を踏まえて、浅場においても干潟と同程度の水質浄化能が期待できるということを、あくまでも仮定として置きまして、干潟・浅場の面積を算出することとしています。

 その際、干潟・浅場の範囲については、アサリの適性生息水深というものに関する既存の報告がございまして、7ページ目に情報を追加しておりますけれども、7ページ目の情報というのは東京湾の三番瀬の干潟を含む浅場域で調査した結果として、アサリの適性水深というものが示されているような報告になります。この報告をもとに水深3m以浅というところまでの海域を浅場として、今回は干潟・浅場の面積ということで算出したということであります。

 その結果として8ページ目、水質浄化能の試算結果ということで整理をしております。この表8、表9のそれぞれの値は前回報告した値と変わるものではございません。それぞれ、窒素、りんについて各海域でこの程度の浄化能の試算の結果が今回は得られたと。また、必ずしも全ての干潟で同じような浄化能が期待できるわけではないというようなご指摘もございましたので、そのような指摘も踏まえて、「なお」以下の文章を追加したということであります。水質浄化能の程度については干潟・浅場及び藻場の状態や規模、生物の残存量、水質汚濁の程度等によって異なるものであることに留意が必要である、その一文を追加いたしました。その結果として、表8、9があり、そして、9ページ目の盤洲干潟の試算も載せているということであります。

 非常に簡単ですけれども、前回からの特に変更点ということで説明を終わりたいと思います。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。どうぞ。

【平沢委員】 今のりんの収支の話ですけれども、溶出する分というのは考慮されているんでしょうか。あるいは溶出しないものと考えてよろしいのか、その辺りについてはいかがでしょうか。

【石川室長補佐】 例えば①番と③番のプロセスは、実際のサンプルを現場から持ってきて、そこで濃度の差を見ているので、その部分については溶出も含めた交換は考慮されているということになります。ただ、②番については今回の論文では、二枚貝による吸収のみが評価されていますので、そういう意味では、ご質問の溶出というか、堆積というのか……。

【平沢委員】 例えば季節的にイオンが下がって、増える分というのはあると思うんです。それは考えない。

【石川室長補佐】 そういったものは考えていないということであります。

【平沢委員】 わかりました。ありがとうございます。

【岡田委員長】 ありがとうございました。よろしいですね。

 ほかにございますか。どうぞ。

【長田委員】 すみません、私が余りこういうのに知識がないせいかもしれませんけれども、9ページの図3の周辺海域への流出のところのりんの値がマイナスになっているんですが、これは恐らく干潟による浄化を差し引きしてしまうと、計算上は数字がこうなるということだけだと思うんです。マイナスというのはおかしいのかなというような感じがいたしますが、いかがでしょうか。

【石川室長補佐】 ご指摘をありがとうございます。おっしゃるとおり、今回はあくまで試算の中で単純に計算をしたら、盤洲干潟の背後にある小櫃川から1日でこれだけの負荷量が入ってきて、その分は干潟でほぼ浄化できるという試算のみを言っています。この図の書き方というのは確かにおっしゃるとおり、工夫が必要かなという部分がありますので、ご指摘を踏まえて少し検討したいと思います。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますか。よろしければ、今のご指摘を踏まえて取りまとめをお願いします。

 では、次の資料3について引き続き事務局からご説明をお願いいたします。

【石川室長補佐】 それでは、資料3についてご説明をいたします。

 こちらの資料3につきましても、水質将来予測ということで前回の専門委員会で提示をしたものであります。ただ、前回は瀬戸内海の水質将来予測の計算がまだ中間報告のレベルであり、特に窒素T-Nの部分で精度の向上が必要だということでご報告を差し上げていました。その後、窒素T-Nの部分の精度向上を図ったモデルとして再現性が確認できましたので、今回、資料としてご用意をさせていただきました。資料でいいますと34ページ、瀬戸内海の再現性の部分からご説明を差し上げたいと思います。それ以前の東京湾、伊勢湾については、前回、お示しした内容と同じ結果となっております。

 まず、瀬戸内海、34ページは水温から始まりまして、塩分、COD、窒素、りん、DOとあります。水温と塩分については前回、お示ししたものでも再現性はよくとれていました。前回は、特にT-Nの部分について、計算値が高かったと、ページ数でいうと40ページであります。T-Nというふうに書いてありますところを見ていただきますと、このグラフの見方としては上のほうの赤い丸があるグラフを見ていただきたいんですけれども、黒い丸が観測値、実測値で、赤い丸が計算値なんですけれども、前回、お示しした資料では赤い丸がかなり実測値(観測値)よりも上のほうに散らばっていたというような状況になっていました。今回、T-Nの再現性をよくするために特に境界条件、瀬戸内海では三つ、紀伊水道、豊後水道、響灘を境界条件として設定しているんですけれども、そこの部分で広域総合水質調査の結果の側点が幾つかありまして、そこの部分を見直して幾つかトライアルする中で向上したものを、今回は採用してお示ししているということであります。

 これを見ますと、大体赤い丸と黒い丸が同程度の結果となっていまして、下のグラフは計算値と観測値の比で、1に近いほうが再現性が高いということになります。1以上となる地点も見られるんですけれども、全体的な再現性は、ほかの海域と比べても問題はない程度かなというふうに考えております。

 それから、次のページのT-PとDOについても今回の計算結果を載せております。T-Pについてはさほど前回と変わりはありません。DOについても少し向上を図っているということであります。その結果として、では、将来予測がどうなっているかというところをお示ししておりますのが69ページからであります。CODについては前回、お示ししたものとさほど変わっておりません。図としては70ページに瀬戸内海全体の図を載せております。上の図が平成21年度における計算値、そして、真ん中の図が平成31年度における将来予測の分布状況ということで、一番下のグラフに平成31年から21年までの変化を図であらわしています。

 次の71ページには、代表的な湾・灘ごとの状況を整理しています。瀬戸内海全般的に言えることなんですけれども、特に大阪湾で改善が見られるというような傾向が見てとれます。例えば71ページの下の差値を見ていただくと、特に湾奥部においてCODが改善するという傾向が見られるということになっております。72ページ以降は各海域の状況を載せておりますけれども、さほど全体的な変化は見られないという形になっています。

 同じくT-Nについても76ページから図を載せておりますけれども、これもCODと同じような状況でして、例えば77ページに大阪湾を載せておりますけれども、特に比較的濃度の高い湾奥部を中心として、改善の傾向が見られるというような結果になっております。その傾向がT-P、83ページに大阪湾の例を載せておりますけれども、T-Pについても同じような傾向が得られていると。そのほかの海域については特に変化は見られないというような状況になっております。

 また、前回は底層DOの将来予測の結果は作業が間に合っておらず、提示することができていなかったんですけれども、今回は87ページから新しい再現を図った計算結果として掲載しています。こちらも差の部分を見ていただくと、例えば89ページ、大阪湾においては湾奥部で底層DO濃度の改善、これは値が上がっているということですけれども、酸素の量がふえているということで、改善が見られるというような結果になっております。

 以上が水質将来予測に関する部分でありますけれども、続きまして資料3の別冊のほうに前回の専門委員会でご指摘をいただいたところをまとめて整理してございます。資料3(別冊)の1ページから順にご説明をしたいと思います。

 まず、1番として負荷量の算定方法についてご質問がございました。こちらは第1回の専門委員会で提示した資料でありますけれども、今回、将来予測などを行う基本的なデータとして、環境省が毎年、調査をしております発生負荷量調査というものの結果を用いております。負荷量の算定方法は、詳しくはこちらに示したとおりですけれども、それぞれ、生活系、産業系、その他系の負荷量について実測の水質がわかっているものについては、実測の水質を与えて排水量を掛けて算出していると。ただ、実測の水質がない部分については原単位というものを設定しておりまして、それを用いて掛け合わせて算出しているという方法をとっているということであります。

 それから、2番目といたしまして3ページ目をごらんいただきたいと思います。シミュレーションモデルの鉛直の分割、そういったものはどういう考え方で設定されているのかというご質問がございましたので整理をいたしました。東京湾、伊勢湾については今回は多層レベルモデルというものを使用しておりまして、鉛直層分割の状況もそれぞれ表2-1と表2-2で示したとおりであります。東京湾については14層として設定しまして、伊勢湾については13層をこのような分割で設定したということであります。

 それから、5ページ目には瀬戸内海の説明をしております。瀬戸内海といいますのは特に水位の変化が激しい海域であると、それから、地形の状況がほかの海域に比べて複雑だということもありますので、今回はσ座標モデルというものを使っております。その座標の分割については15層に分割して、ただ、海面から6層、いわゆる表層ですけれども、その部分については東京湾、伊勢湾と同じような等間隔で分割をすることによって、成層を表現するというような形で計算をしております。そういったところで瀬戸内海の層の分割の方法などを6ページ、7ページあたりで図に示しております。

 それから、8ページにまいりまして、3番で大気からの負荷の算定についてというのがございます。こちらは実際に大気からの負荷量というものをモデルの中の負荷量として組み込んでいるんですけれども、それがどの程度を占めるのかというご質問がございました。そういったものの状況を整理したものでして、表3-2をごらんいただくと、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海それぞれで大気からのDINの負荷量というものを、こういうふうに今回は実測値などを用いてインプットしていますという整理をしています。それが負荷量全体に占める割合は、それぞれ東京湾で1.3%、伊勢湾で3.6%、瀬戸内海で8.2%という状況になっていますということで整理したものでございます。

 それから、9ページにまいりまして、モデルの再現性に係る検討というタイトルであります。こちらは、先ほどはモデルの再現性に関する説明を差し上げましたけれども、その再現性についてできれば定量的な評価をしていただけないかというようなご指摘もございましたので、今回、相関分析というもので評価をしてみたところであります。10ページ目に相関のグラフをそれぞれ東京湾、伊勢湾、瀬戸内海でCOD、T-N、T-P、DOで示しています。CODは年75%値、DOは年最低値として8月の平均値を用いております。

 これを見ますと、東京湾の相関係数は0.56から0.98の間、伊勢湾については0.48から0.91の間、瀬戸内海については0.59から0.86の間で算出されているというような状況になっています。ただ、相関係数がどの程度以上あれば、再現できていると言えるのかというような判断基準が今現在はない状況ですので、何とも言えないんですけれども、相関分析を行うと、このような結果になりますというのをお示ししております。

 それから、11ページにまいりまして、東京湾における平成元年度の再現計算についてという部分であります。こちらは近年の例えば平成21年度の現況再現は良好に得られているということなんですけれども、過去、例えば第2次とか第3次の総量削減のときの状況に照らして、このモデルは再現できているのかというご指摘をいただきました。そのご指摘を踏まえまして、第2次、第3次のちょうど中間に値する平成元年度のデータを用いて再現計算を試みたということであります。

 表5-1については平成元年度と平成21年度のそれぞれの負荷量と水質のデータを入れております。この表を見ますと、平成元年度から負荷量というものはかなり減ってきております。それに伴いまして水質というのも少し低下している、いわゆる改善しているという傾向が見られているというのがまず基本の条件としてあります。そういった条件の中で例えば負荷量の流入量ですとか気象条件、そういったものを平成元年度のものを使いまして今回のモデルで計算を行いました。その再現計算を行った結果としては12ページ目以降に、本編の資料でつけた評価の方法と、それから、先ほどご説明した相関分析というものも15ページにお示ししております。

 12ページから15ページまでの結果を見ますと、平成21年度と比べて同等程度の結果が得られているということで、平成元年度についても再現性は確保されているのではないかというような結果になっております。例えば15ページを見ていただきますと、相関分析の中で平成元年度の相関の結果と平成21年度の相関の結果を載せておりますけれども、それぞれほぼ同等程度の再現性が得られているのではないかというふうに考えております。

 指摘事項の最後といたしまして16ページ、6番、環境基準の達成状況に係る検討についてという資料であります。こちらについては将来予測で先ほど差値などを示しておりますけれども、それぞれの環境基準がどういうふうな状況になるのかということも検討していただきたいというご意見がございましたので、そのご意見を踏まえまして計算したものであります。

 具体的には、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海それぞれで示しているんですけれども、例えば東京湾については17ページをごらんいただきたいと思います。上の表がCODで下の表が窒素・りんになります。この表の見方としては、色を見ていただきますと、それぞれ基準点での計算値を評価した中で、平成21年度の判定が×だったものが○になった部分を黄色で着色をしております。なので、CODについては×が○になるほどの改善は、計算の中では見られなかったんですけれども、窒素・りんについては×が○になる部分も見られるというような状況になっています。この結果については、あくまでも広域総合水質調査の各調査地点での結果ということで認識いただければと思います。

 それから、伊勢湾については19ページ、20ページに示しています。伊勢湾は例えばCODについては2地点で×が○になるところがあると、それから、窒素・りんについては幾つかの点で×が○になるというような傾向が見られています。

 それから、21ページ以降は大阪湾であります。CODについては特に×が○になるというような変化は見られませんけれども、変化率というものを見ていただきますと1を下回っていますので、濃度的には改善はしているという状況になっています。窒素とりんについては×が○になるところが見られるという状況になっています。

 それから、大阪湾を除く瀬戸内海は24ページ以降に表をつけておりますけれども、こちらも二つの地点で×が○になるというような傾向が見られるという結果であります。これらの結果については、今回、データとして使用している広域総合水質調査の地点で、どういうふうな変化が環境基準に当てはめたときにあるのかというところで整理をした表ということで、ご認識いただければと思います。

 以上で資料3に関する説明を終わります。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

【平沢委員】 莫大な資料なのですぐ理解ができなくて申し訳ありません。説明を非常にうまくされたので、すごくうまくいっているように聞こえたんですが、相関係数について、私は0.9とか0.95くらいないと、本当に合っているとは言えないんじゃないかと。0.8とか0.7とか、0.5とか0.6というのは相関がないに等しいような気がしていますというのが僕の感触です。意見です。

 それからちょっと気になる点として、もともと、それぞれの地点での水質の変化がそう大きく見られないので、相関係数が一見、よく見えるのかなと。感触でございます。

 それからもう1点、表5-1なんですけれども、負荷がかなり下がっております。発生負荷量のCODにしても窒素にしてもりんにしても、普通、流入が下がれば、入ってくるものと出ていくものと考えれば水質濃度は下がるはずなんですけれども、それが下がらないというのが今までの委員会でいつも問題になっているところです。この計算上、そんなには下がっていないように見えるのは、基本的には内部負荷要因が高いからというふうに考えてよろしいでしょうか。

【岡田委員長】 どうぞ。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 一番最後にご質問のありました資料3(別冊)の11ページの表5-1ですけれども、こちらについてはおっしゃるとおり、負荷量はかなり減っていると。負荷量の削減率に対してどの程度、水質が減少するかというところについては、なかなか一概には言えないと思うんですけれども、前回もお示しした資料の中で、おっしゃったように最近、COD濃度がなかなか負荷削減に比べて下がってこないということがあります。その要因は何なのかというところを、次にご説明する資料4で整理をしまして、その中ではCODについて、湾ごとに状況は違うんですけれども、内部生産の割合が大きいという傾向が出てきています。また、以前の状態はどうだったのかというようなご指摘を前回の専門委員会でもいただきましたので、そのあたりも資料4のほうには整理をしております。

 おっしゃるとおり、内部生産にかかわる条件といたしましては、負荷量があったり、気象条件があったり、水温があったりと、そういった状況が複合的に関わっているようなことなので、その部分については少し資料4の部分でご説明を差し上げたいのと、今後調査研究が必要な部分なのかなというふうに考えております。

【平沢委員】 どうもありがとうございました。

【岡田委員長】 よろしいですか。では、また後で出てきますので、基本的には平沢先生の推察のとおりと、こういうことですね。ありがとうございました。

 ほかにございますか。

【細見委員】 前回、平沢委員もおっしゃったように、このモデルが20年前の計算結果をしてみてどうだというのを今回、出していただいたわけです。例えば13ページ、資料3(別冊)、1989年の平成21年から比べて20年前のシミュレーションの結果ですけれども、例えば窒素を見てみるとおおむね相関係数は非常にいいので、恐らく傾向は非常によく合っていると。問題は絶対値で本当に合っているのかというところなんですが、それはどうしてかというと、負荷量が前の表5-1のところで186t/日というのと、20年前は319トンですので1.5倍ぐらい多いですよね。

 傾向としてはよくモデルは反映しているけれども、絶対値、すなわち13ページでいいますと観測値と計算値との比、これが1でずっときているのであれば負荷量が多かった時代もちゃんと反映できているということが言えると思うんですが、少し上層部は1を超えていて、逆に下層部は1より下回っているんです。足したらちょうど全体としては、おおむね収支はとれているのかなというふうに思うんですけれども、具体的になぜ上層部はちょっと高目に出て、下層部は低目に出たのかというようなことなど、まだ、検討すべき余地はあるのかなと思います。

 これはなぜか、よくわかりません。でも、全体としてはおおむね合っていそうな気がします。傾向として上層では1を超えていて、下層部では逆に1より下回っていることについて、なぜこういうふうになるのかというのがもしもう少しわかれば、よりこのモデルを使って将来予測だとかする場合に、信頼性が高まるのではないかと思います。

 以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 半分はコメントだと思いますが、どうぞ、事務局から。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、どういう状況になって今回の結果になっているのかということと、あと、どういうふうに評価すればいいのかという話については、まだまだ、水質将来予測については課題が多い部分なのかなというふうに考えております。現在、環境省のほうでも研究費などを用いてモデルの評価なども検討しているようなところでありますので、今回のご指摘なども踏まえまして、そういった部分でモデルに関する再現性の向上などは図っていきたいと考えております。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますか。どうぞ。

【長田委員】 細見先生が言われたのを僕も同じように感じまして、実は10ページとそれから15ページのほうは東京湾について、観測値と計測値の相関が載っているんですけれども、言われましたようにT-Nの部分だけオーバーエスティメートになっております。東京湾では1mg前後の濃度のところが少し高目の計算値がたくさん出ていて、観測値についてはその辺りが低くなっているので、このような形のグラフができるのかなということを感じました。すみません、これも感想程度で申しわけありませんが。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますか。

 よろしければ、次の資料に進ませていただきます。資料4について事務局からご説明をお願いいたします。

【石川室長補佐】 それでは、資料4についてご説明をいたします。

 資料4も前回の専門委員会でご提示した資料であります。その際にご指摘いただいたところを追加してます。2ページ、3ページ目をごらんください。こちらは前回もご説明を差し上げましたが、それぞれ、COD、窒素、りんについて横軸で水域面積当たりの負荷量、それから、縦軸で実際の水質の濃度というものを示しています。各海域については色別で示しております。例えば窒素、3ページ目の上のグラフを見ていただきますと、過去からの変遷として右上から左下のほうに矢印が伸びている。これは負荷を下げてきたことに伴って水質も改善してきているということを示しています。その下のT-P、りんのグラフについても、おおむねそのような形になっています。

 戻って2ページ目のCODのグラフを見ますと、特に東京湾ではかつての負荷量の削減幅が大きいときは水質の改善というのも見られていたんですけれども、近年は負荷量の削減に伴って、なかなか水質の改善が見られないというような状況があるということで整理をしたのがこの資料の趣旨であります。

 4ページ目、5ページ目では前回もお示ししましたとおり、シミュレーションモデルでCODの寄与率はどういう状況なのかというものを計算しまして、例えば4ページ目の表2-1で東京湾の上層のCODの寄与率を示しておりますけれども、陸域負荷が25%、そして内部生産が5割を超えていて、バックグラウンド、ここでは外海の濃度のことをバックグラウンドというふうに言っておりますけれども、それも2割ぐらいというふうな結果が出ています。

 そして、6ページ目以降でΔCOD法という従来から用いられている手法で検証したデータを載せていました。この部分について、前回は表2-4のうち平成22~24年度の状況のみをお示ししていたんですけれども、これを昔の状況についても算出していただきたいというご指摘がありまして算出したものです。データは、環境省が保有している一番古いデータを用いて計算をしてみたということであります。

 この表の数値を図化したものを7ページ目に整理しています。各海域の変遷を見ますと、一概に言えることは陸域負荷というものが排水規制や総量削減などをしてきたということに伴って、それぞれ割合が減少してきていると。例えば東京湾では緑の部分ですけれども、当初は37%あったものが最近では27%になっていると。その分、例えば内部生産ですとか、外海(バックグラウンド)が相対的に高くなってきているというような傾向が見てとれるということが改めて整理ができました。そのようなことを踏まえ、全体的なCODをめぐる状況としましては、7ページ目の一番下のほうに文章で書いておりますけれども、近年のCOD寄与率をめぐる傾向としましては、内部生産ですとかバックグラウンドの割合が比較的大きい。一方で、陸域負荷の割合も例えば2割ぐらい、25%ぐらい、一定程度を占めているという傾向が見てとれるというような状況になっております。

 それから、二つ目のご指摘としまして8ページ目に整理をしております窒素・りんが内部生産に及ぼす影響ということで、こちらについては内部生産が比較的大きいということを踏まえ、内部生産に何が影響を及ぼしているのかというところのご意見をいただきましたので、そこに関する検討をしてみたということであります。既にCODのほうで行ったシミュレーションモデルでの感度解析という手法を用いて、CODと同じような方法で計算をしてみたということであります。説明をしますと、まず、内部生産にかかわる要因として、陸域からの流入負荷量、それから、外海の濃度、そして、底泥からの溶出、そういった三つの項目に着目をしまして、それぞれの量をゼロにした場合で感度解析をモデルを使って行ったというものであります。

 その結果を示したものが図2-8のグラフであります。一番左の現況と書いてありますのが東京湾の現在の内部生産の量ということであります。これを見ますと年間でこれぐらいあると。その右側にそれぞれ陸域負荷、バックグラウンド、底泥からの溶出というカテゴリーがありまして、それぞれ、窒素ゼロ、りんゼロというグラフがあります。この見方としては例えば陸域負荷の窒素ゼロというものを見ていただきますと、陸からの負荷量をゼロにした場合に、内部で生産がグラフで350という数値に現況はありますけれども、それが150ぐらいになるということです。一方で、バックグラウンド、外海の境界条件の濃度をゼロにした場合には、現況が350ぐらいのものに対して、それほど変化はないということで、この計算結果から一つ考えられることといたしましては、特に東京湾の場合、陸域負荷が内部生産に大きな影響を及ぼしているのではないかということが考えられるということが、前回のご指摘を踏まえて整理をした内容になっております。

 それ以降は外海のCODが少し高まってきておりますとか、あとは10ページ目以降で赤潮ですとか、貧酸素水塊の内容を整理しておりますけれども、このあたりについては変更点はございません。

 簡単ですが、資料4の説明を終わります。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見等がございましたらお願いいたします。

【平沢委員】 COD寄与率も表2-4というのはなかなかいいデータだなと思うんですけれども、昭和56年から58年のころと第7次のあたりですか、上下でやっておりますけれども、これの注目すべきところは第1次と第7次で内部生産がそんなに変わっていないなということです。先ほどの窒素・りんをゼロと仮定して算出していましたけれども、窒素・りんを削減しているのに余り変わっていないなというのはどういうふうに理解すればよろしいんでしょうか。窒素・りんの規制が始まって、それなりに低下していると思うんですけれども、そんなに内部生産が減ったりなんかしていないというか、陸域の負荷の影響を私は余り受けないんじゃないかと実は思っているんですが。

【石川室長補佐】 表2-4では、あくまでも寄与率という相対的な割合のみを示しておりまして、実際の内部生産の量、値についても見る必要はあるかなと思います。4ページ、5ページで行ったような感度解析では、過去の状況を表現するというのはなかなか難しい部分があり、ΔCOD法では寄与率というものを昔の調査結果があれば推定することができるということなので、今回はその結果を載せています。

 実際のCODの濃度については第1次のときと比べて、東京湾でも例えば2ページのグラフを見ていただきますと、一番右の赤い点が大体4.5mg/Lあったところが近年では3.5まで減少しておりますので、濃度的には改善はしていると。ただ、濃度を支配する要因としての寄与率として内部生産の割合が高まっているということが今回は6ページ目で示したということであります。ご指摘の内部生産量は、現在の内部生産量はこのモデルなどで示すことはできるんですけれども、なかなか、過去の部分は難しいというところではあるんですが、全体として濃度が減っているということを踏まえると、内部生産の量というのも減っているということが考えられるかなというふうに考えております。

【平沢委員】 ありがとうございます。

 もう1点、表2-5の計算なんですけれども、これはシミュレーションの計算ということでよろしいでしょうか。

【石川室長補佐】 表2-5はシミュレーションの計算結果であります。

【平沢委員】 わかりました。

 すみません、もう1点だけよろしいですか。ある本を読んでこういったものに載せたほうがいいなと思ったんですけれども、いわゆる豊かな水というキーワードが最近出てきています。水面積当たりのT-N、T-Pと表面積当たりの漁獲量について、あるデータで見てすごくよい相関になっていて、余りT-N、T-Pを下げると魚がとれないというような、瀬戸内での情報だったと思いますけれども。そういうものも今後、好ましい水環境を考える上で大事かなと思うので、それもここに載せるかどうかわかりませんけれども、検討対象にしていただければいいなと思っておりました。

【岡田委員長】 どうぞ。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 漁獲量については今回の検討の中でも、情報を整理してきているところがあるんですけれども、まず、大前提として漁獲量というのが生物の多様性などを定量的に示している値なのかというところで一つ大きな問題があるかなと考えております。例えば漁獲量については人が獲るなりわいのものでありますので、人の影響というのもありますし、また、沿岸域の開発の影響も多分に受けていると。

【平沢委員】 そういうのは重々わかっているんですけれども、そうは言いながら、実際に相関をとるとすごくいい相関をしているので、いろんな要素がありつつも全体的にそういった傾向はあるんじゃないかと私は思っていまして、そういうのも配慮してくださいという。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。相関がいいというのもいつの時代からとるかというのもありまして、例えば瀬戸内海でもいろいろなデータがあります。そのあたりはまさに今、瀬戸内海環境保全基本計画というのが閣議決定をされまして、それに基づいて関係の調査を進めているところです。その中で、環境省が取得している調査のデータですとか、水産庁で取得しているデータ、そのあたりを総合的に並べて、どういうことが科学的に言えるのかという検討を進めていますので、そのあたりでそちらのご指摘については対応していきたいと思っています。

【平沢委員】 ありがとうございました。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

【細見委員】 1点だけ確認ですけれども、シミュレーションモデルは今まで資料3で使われたモデルですよね。これを使って例えば平成何年のデータかわかりませんが、陸域からの負荷を全部ゼロにしてヨーイドンで計算し始めますね。これは1年の平均値ですかね。1年間、ランさせたときの、要は平成21年なら平成21年1月1日から陸域からの負荷量をゼロにしますと、ヨーイドンで計算していって12月31日まで計算して、内部生産量が15万トンになると。そういう理解でいいでしょうか。

 例えばバックグラウンドだと東京湾の全部の平均値ですよね。恐らく、影響を受けるのはひょっとしたら出口というか、開口部のほうが大きくてて、1年目は多分、そうだと思われます。これが2年目、3年目になっていくとどうなるんだろうと。要は1年目だとバックグラウンドがゼロになったということで、影響を受ける範囲が何となく開口部のあたりに限られていて、湾奥に関しては多分、余り影響が及んでいないのではないか。でも、ずっとそういう状態が長く続いたといったときには、モデルの考え方にもよると思うんですけれども。

【岡田委員長】 モデルでどういう計算をしたかというのを。

【根木閉鎖性海域対策室長】 2年間、計算していておおむね収束しているということではあります。

【細見委員】 わかりました。ありがとうございます。

【岡田委員長】 完全に収束するまでは計算していないということですね。要するに計算を続ければ、例えば150が149とか148くらいになるかもしれないけれども、150くらいになったところでストップしたと、こういうことですね。

【根木閉鎖性海域対策室長】 ほぼ収束というところでストップしたということになります。

【岡田委員長】 ありがとうございました。では、そういう意味でよろしいですね。

 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、続きまして資料5になります。改善の必要性及び対策の在り方のところのご説明を事務局からお願いいたします。

【石川室長補佐】 それでは、資料5についてご説明をいたします。

 これは前回までには出していない資料で、今回、新しい資料ということになります。資料5で整理しておりますのは、指定水域における水環境改善の必要性及び対策の在り方について(案)ということであります。大きく二つの項目として、1番目が指定水域における水環境改善の必要性、2番目が対策の在り方というものを整理しております。これはこれまでの議論でお示ししたようなデータをもとに評価をしたという位置づけで作成しております。

 まず、1番目、指定水域における水環境改善の必要性であります。指定水域における水環境改善の必要性を検討するに当たって、水環境の目標である環境基準(COD、窒素及びりん)の達成状況が重要な指標となります。ただ、それだけではなくて、前回までの専門委員会の中でお示ししておりますように、貧酸素水塊の発生によって生物が生息しにくい環境になっているというような問題も確認されております。そういったものを踏まえて、各海域での水環境改善の必要性について整理したものが1番というふうになります。

 大きく三つのグループに分けております。一つ目、(1)番といたしましては、東京湾及び伊勢湾においては環境基準の達成率が低く、大規模な貧酸素水塊も発生しているため、今後も水環境改善を進める必要があると考えられるというふうに整理をしております。

 2番目といたしましては、大阪湾においてはこれまで環境基準の状況などもご説明してきておりますけれども、窒素とりんについて平成22年度から環境基準の達成がされていると、そういった状況が続いているという状況にあります。一方で、CODの環境基準の達成率というものは変化がなく、また、大規模な貧酸素水塊も発生しているという状況になります。このような状況を踏まえると、窒素・りんの環境基準の達成状況を勘案しつつ、特に有機汚濁解消の観点から水環境改善を進める必要があると考えられるというふうに整理をしています。

 (3)番については大阪湾を除く瀬戸内海でありますけれども、こちらについては窒素及びりんの環境基準達成率は98.2%、ほぼ達成していると。それから、CODの環境基準の達成率というものは、A類型ではまだ改善の余地はあるということですが、B類型、C類型でそれぞれほぼ達成しているということを踏まえて、大阪湾を除く瀬戸内海の水質というものは他の指定水域に比較しても良好な状況にあると、現在の水質が悪化しないように必要な対策を講じることが妥当と考えられるというふうに整理をしております。

 ここで、現在第7次、約5年前に整理をしていただいたときとの変更点については(2)番について、最近の大阪湾の水質の状況を踏まえて、大阪湾を区別したというところが大きな変更点になります。(1)番の東京湾及び伊勢湾のところに大阪湾も同じ内容で入っていたんですけれども、今回、(2)番として大阪湾を新しく位置づけたというようなことになります。

 それから、大きな2番目、対策の在り方でございます。藻場・干潟ですとか底質改善、そういったものの重要性、生物多様性・生物生産性の確保といったところが重要だというところで諮問させていただいておりますので、そのようなことを前段で書いておりまして、(1)番の指定水域における水環境改善の必要性で整理された内容に基づいて、きれいで豊かな海の観点から総合的な水環境改善を進めていく必要があるというふうに整理をしています。また、今回、参考資料3として資料を提示しておりますけれども、ことし2月に瀬戸内海環境保全基本計画の変更が閣議決定されており、この計画の中には、環境保全というものを湾・灘ごとや季節ごとの課題に対応する必要があるといったことが大きな方針として示されておりますので、そういったところも踏まえつつ、対策の在り方というものを示していくべきではないかというところで加えております。

 ページをめくっていただきまして対策の在り方の部分です。大きな柱としては(1)番、次のページの(2)番で区分しています。(1)番については汚濁負荷削減対策ということであります。汚濁負荷削減対策の中身も1)と2)で分けております。

 1)については特に東京湾、伊勢湾及び大阪湾においてはということで、第8次水質総量削減の目標量の設定に当たって、このような各発生源にかかる対策を検討すべきであるというような整理にしていまして、具体的にはというところでア)からオ)までの対策を生活系、産業系、その他系と言われるような面源対策、そういった部分の取り組みを列記しています。「なお」というところで、大阪湾の記述を加えておりますけれども、先ほどの(1)番の整理に基づいて、大阪湾については窒素・りんの環境基準の達成状況を勘案しつつ、特に有機汚濁解消の観点から必要な対策を推進することが必要であるというような文章も盛り込んでおります。

 ア)についてはいわゆる生活系の対策といたしまして、こちらは専門委員会の中でも各省庁さんですとか、各都府県さんのほうからヒアリングでご発表いただきましたけれども、下水道の対策や浄化槽、そういったものの対策を推進していくべきであるということ。

 それから、イ)についてはいわゆる工場・事業場、産業系と呼んでいるものですけれども、そういったところで第7次までの実績を踏まえて最新の技術の動向も考慮しつつ、取り組みが維持されていく必要があるというような形で整理をしています。

 ウ)についてはいわゆる小規模事業場、未規制事業場の部分でありますけれども、こちらについては各都府県さんの条例の中で上乗せ基準であったり、そういった細やかな対策が進められておりますので、そういった部分について引き続き進めていく必要があるというような整理をしています。

 それから、エ)については農業の部分、それから、畜産の部分でありますけれども、こちらも主に農水省さんのほうからヒアリングで発表いただいておりますけれども、農業環境規範の普及、環境に負荷の少ない農業を推進しましょうという部分でありますとか、畜産農業においても家畜の排泄物の適正な処理などを通じて、面源からの発生を抑制していきましょうというような対策を位置づけております。

 オ)については養殖業であります。こちらも水産庁さんのほうからご説明をいただきましたけれども、漁場の改善計画を推進することによって特に魚類養殖の環境負荷を低減するような取り組みを進めますということで整理をしています。

 それが1)であります。

 2)は大阪湾を除く瀬戸内海に関する内容を書いております。前段には生活排水対策、それから、工場・事業場の排水対策の推進をしていくということと、それから、3ページ目の一番上のところで「また」以降で新しい記述を加えておりますけれども、生物多様性・生産性の確保の重要性にかんがみ、地域における海域利用の事情を踏まえて、例えば栄養塩類に着目した下水処理場における季節別管理運転など、湾・灘ごと、季節ごとの状況に応じたきめ細やかな水質管理について、その影響や実行可能性を十分検討しつつ、順応的な取り組みを推進していく必要があるというふうに記載しております。

 これは特に国交省下水道部局さんですとか、瀬戸内海関係の府県さんのヒアリングの中でも幾つかご発表いただいておりました。ノリの養殖によい効果が出るように、冬場に少し下水処理場から窒素を多く排出するような取り組みを今、試行的に進めていると。ただ、ヒアリングの中でも何人の先生方からもご質問いただきましたけれども、なかなか、その効果というものが現在は評価できていない、また、環境への影響というものも評価できていない、なので、今後、そういった試行的な取り組みを進めて科学的な知見をまずは蓄積していくことが重要であるというような話がありましたので、そういったところも踏まえて、今回、汚濁負荷削減対策の中に現在、瀬戸内海のほうで取り組まれているような取り組みを位置づけて、さらにそういった取り組みを推進しつつ、科学的な知見を集めていくということが重要であるというような内容を新たに盛り込んでおります。

 それから、(2)番につきましては、干潟・藻場の保全・再生、底質環境の改善等ということであります。前段に、先ほど申し上げたような形で干潟・藻場の保全・再生を通じて水質浄化はそうですけれども、生物多様性・生産性の確保が重要である、そういったところを踏まえて、さらに地域の実情に応じた取り組みを推進していくことが必要であると。この(2)番については特に海域を分けて考えるということはしておりませんで、全ての指定水域に共通の事項としてア)からキ)までを整理しております。

 まず、ア)については、干潟・藻場が失われてきているというような状況をこれまでの専門委員会でも整理をしてご説明してきておりますけれども、そういったことを踏まえて今後は特に干潟・藻場の分布状況の把握ですとか、そういったものの基礎情報の整備を進めつつ、残された干潟・藻場を保全する、失われた干潟・藻場の再生を推進する必要があるというふうに整理をしております。

 イ)については、水質改善に資する取り組みとして水産業に着目した記述をしております。藻類養殖や貝類の養殖、そういったものについて適正な養殖が行われることによって水質浄化にも資するというようなことがありますので、そういった漁業についてしっかりと資源管理計画に基づいた管理をすることで安定的な漁獲を一層推進する、そのようなことを通じて各指定水域での水質にも一定の改善が期待できるのではないかというようなことも踏まえて、そのような漁業の安定的な取り組みというものを位置づけております。

 ウ)については、いわゆる底質改善という部分でありますけれども、窒素及びりんの溶出というものを底質から抑制するために浚渫や覆砂、そういったものの対策を推進すると、それから、エ)についても同じような部類だと思うんですけれども、特に港湾局さんのほうからヒアリングで発表がありましたけれども、貧酸素水塊の発生する大きな原因となっているくぼ地、深掘り跡の埋め戻しというものが水環境を考える上で重要であるというようなところがありますので、そういったところについては今後も引き続き実施をしていくということを書いております。

 オ)については、いわゆる環境配慮型構造物という部分でありますけれども、水質浄化や生物の生息・生育空間の観点から、例えば新たな護岸を整備するとき、それから、既存の護岸を補修するときに生物共生型護岸などの採用に努めていただく、そういったことで指定水域での水質浄化や生物多様性が確保されるというようなことで、オ)は新たに加えております。

 カ)については、こちらも各都府県さんのほうから取り組みの事例の発表の中でありました。現在、東京湾でも再生プロジェクトというものが動いておりましたり、三河湾のほうでも愛知県さんが主導して計画をつくって、それぞれ多様な主体が連携をして取り組みが進められているというような状況をご発表いただきました。そういったことも踏まえまして、今後、地域の実情に応じていろんな地域の多様な主体が有機的に連携していけるような仕組みづくり、そういったものが重要ではないかということで新たにカ)について追加しています。

 キ)については、カ)に関わる部分でもあるんですけれども、このような対策を実施する者、特にNPOや漁業者、企業など、そういったところに対する促進のための必要な支援が重要ではないかということで、新たにキ)のほうを追加しています。

 5年前に取りまとめていただいた答申から変わった部分としては、ア)で基礎的な情報の整備を進めつつというのを入れたという部分と、それから、オ)とカ)とキ)、後半の三つの部分を新たに追加したというところが新しい部分になります。

 最後ですけれども、(3)番の目標年度についてはこれまで5年ごとに目標年度を設定して、その状況を踏まえて見直しをしてきたところでありまして、第8次総量削減においても第7次の目標年度が平成26年度でありましたので、平成31年度を次の目標年度とすることが適当であるというような整理としております。

 資料5の説明は以上です。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。では、どうぞ。

【木幡委員】 二つ、意見ですけれども、初めは(1)の2)大阪湾を除くというところの後段の部分、3ページ目の頭の部分ですけれども、これは大変新しい取り組みだというふうに感じたんです。要するに今まで環境基準とか、そういうものを評価するときは年で考えていたのを季節ごとに考えるというので、非常に評価できるところだと思うんですが、具体的にここに書いて、今後、どんなふうな検討を進めていくのか、基準を考えるのか、あるいは基準の評価方法の取り扱いでいくのか、その辺をもう少し詳しく説明いただけたらと思います。それから、(2)のア)の部分ですが、単純に文章の問題で、前段の水質浄化機能を有する多くの干潟が失われた、これはいいんですが、最後のところで失われた干潟・藻場の再生を推進するというと埋立地を壊すみたいな、そんな物騒なイメージになるので、ここはもしできるならば失われたのは機能であると、その機能の再生を目指すということで、失われた干潟・藻場の水質浄化機能の再生というような形にしたほうがいいような気がするんですが、そうすれば、例えば埋立地をつくっても、その脇に何かの形の機能修復のためのものを置けばいいですよね、考え方として。ミチゲーション的な考え方を取り入れるというふうに思うんですけれども、それはいかがですか。

【岡田委員長】 どうぞ。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 前段のご質問でありましたけれども、現在、兵庫県で、特に加古川の下流の処理場で行われている取り組みについてはデータの蓄積が進んでいるかなというふうに思っています。その中で水産庁であったり、兵庫県さんのほうで現在、処理場からの季節別管理運転の効果も含めて、モニタリングなどをしているという状況であります。

 その状況について専門委員会の中でもいろんなご意見をいただいたんですけれども、まずは科学的なデータが必要であると。その科学的なデータを踏まえて、今はおっしゃったような形で、年間で一律の基準で排水規制などを行っておりますけれども、季節ごと、地域ごとにどう考えるのかというのは、その次のステップなのかなというふうに考えております。まず、第8次のところでは新たにこういうような取り組み、既に地域で行われている取り組みを評価しつつ盛り込んで、ただ、盛り込むに当たって専門委員会の中でいろいろご意見が出たような形で、実際の環境への影響ですとか、実行の可能性、そういったものに関するデータを蓄積していただいて、その上で次のステップを考えていきましょうというような整理の中で、今、この文章になっているというのが一つ目のご質問への回答になります。

 それから、2番目の失われたというところの文言の部分については、ご指摘を踏まえて少し表現などを考えてみたいと思います。

【岡田委員長】 ありがとうございました。よろしいですか。

【河村委員】 関連してですけれども、しつこいかもしれませんけれども、そうした場合に季節別管理運転をやっている所に関連する地点の環境基準達成状況というのは、季節ごとに評価するようにするのか、それとは関係なしに従来どおりやっていくのかという点、今のご説明だと多分、試みだから余りそこまでは考えないというふうに解釈もできるんですけれども、いかがでしょうか。

【石川室長補佐】 環境基準というのは、いろんな考えの中で成り立っているものですので、環境基準というよりは、まずは現在の排水規制の範囲内での試行的な取り組みを進めていただいていて、科学的なデータを蓄積しつつどういう評価ができるかというのが重要かなと思っています。環境基準となりますとさらにまた次のステップかなというふうに現時点では考えております。

【河村委員】 わかりました。

【岡田委員長】 よろしいですか。

 では、どうぞ。

【松田委員】 関連の質問ですけれども、瀬戸内海の新しい基本計画の話が資料5の1ページ目の下の3行のところに書いてあります。この中で湾・灘ごとや季節ごとの課題に対応とありますが、瀬戸内海の話を全体の対策の在り方のところに書いてある趣旨は、先ほどのご説明では、これは瀬戸内海の話だけれども、新しい方向性として決まったので、できればこれを踏まえてといいますか、参考にしていろいろ検討していただきたい、大体、そういう趣旨だったと理解しました。ほぼ同じ内容のことが先ほど木幡委員からご指摘がありましたように、3ページ目の2)の部分に書いてありますが、湾・灘ごと、季節ごとの状況に応じたきめ細やかな水質管理について推進する必要があるという話は、この構成では大阪湾を除く瀬戸内海だけについて書いてあるわけですけれども、先ほどの全体の話にあるように、これは瀬戸内海全域に対して決まっているので、この書き方が大阪湾を除外しているようにとられないような、誤解されないような書き方を工夫していただいたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 (1)の2)番についてはあくまでも汚濁負荷削減対策の中での扱いということで、現在は、大阪湾以外の瀬戸内海で、例えば播磨灘などで順応的な取り組みとして行われています。ここに位置づけた考え方としましては、そういった取り組みが行われている大阪湾以外の瀬戸内海については、総量削減の観点で、第7次までで現状の状態を維持するというような評価がされているというところがあります。その上で、試行的な取り組みによって科学的な知見を集めて評価をしていくということが重要と考えています。

 また、おっしゃるとおり、前段で瀬戸計画の話を対策の在り方全般に係るように1ページ目に示していますので、それを受けて各海域、大阪湾を含めて東京湾、伊勢湾にもここは通じるところですけれども、(2)番の干潟・藻場の保全・再生の部分の前段に、新しく文章を追加しています。少し文章の表現が弱いかもしれませんけれども、地域の実情に応じた総合的な取り組みというものを推進していくことが必要であるというふうに書いておりまして、ここについては大阪湾はもちろんですけれども、各海域でヒアリングの中でもいろんな取り組みをしているということをご発表いただきましたので、そのあたりは(2)番で受けるというような整理にしております。ご指摘も踏まえて表現などもう少し工夫できるところがあれば工夫してみたいと思います。

【岡田委員長】 いいですか。

【松田委員】 ありがとうございました。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかに。どうぞ。

【高澤委員】 在り方の話とその前のいわゆる附帯のいろんなデータ、総量削減ということで、窒素、りん、CODに関するいろんなデータもとり、シミュレーションもやりということで非常にいっぱいあるんですけれども、在り方のところにくると急に生物の話が結構出てくると。もちろん、豊かな海の創生だとか、そういうことを目指して、こういう表現が出てきて違和感はないんですけれども、やっている話としては、先ほど平沢先生が例えば言ったCODが減ってきています、T-Nが減ってきていますと、そういうトレンドに対して漁獲量も変動していますよねという、そういうデータも現実にはとろうと思えばとれるわけでして、豊かな海を目指すという意味で、窒素、りん、CODという具体的な数字が減ったことが豊かな海じゃなくて、ここに書いています生物がどうあるべきなのかということを考えるのであれば、データとしてもそういうものが前にあるべきじゃないかなと。だから、藻場・干潟ももっとつくらないといけないよね。窒素、りん、COD、こういうところもきちっとやっていかないといけないよねという気がするんです。

 ずっと一貫して第7次のときも同じような表現なんですけれども、データとしてあるのは、窒素だ、りんだ、DOだということであって、生物の状況がどう動いているかというのは一切なくて、ただし、生物多様性だとか、生物の生産性の確保というところが重要だねというところが在り方にはぽんと出てくると。だけれども、データとその状況の関連性がいまいち見えないので、例えばそういうのはつけるべきじゃないかなということを在り方の資料を聞いて感じました。

 それから、干潟・藻場の保全・再生、底質環境の改善等、(2)の対策のところで質問なんですけれども、今回、新たに追加されたオ)とカ)とキ)、例えばカ)のこのような対策というような表現がございますけれども、これはア)イ)ウ)エ)オ)のどの位置を指しているのかなということと、いわゆるここら辺に関わるステークホルダー的な人が全て羅列されているんですけれども、本当にこういう人が全て対策に積極的に関与できるのかと。大なり、小なりは当然あるんでしょうけれども、例えばNPOの方はどういうようなことを期待しているだとか、企業とか地域の人たちはどういうことをこの対策に期待しているかというのがもしあればお話を伺いたいんですけれども。

【岡田委員長】 では、事務局、どうぞ。

【根木閉鎖性海域対策室長】 まず、データについては後ろのほうに少しつけておりますが、参考資料2というものをつけておりますけれども、例えばその中で瀬戸内海でいいますと、46ページ以降ぐらいでデータを色々つけさせていただいております。この中に栄養塩類濃度の推移も含まれており、クロロフィルaもつけさせていただいておるということであります。

 クロロフィルaが高すぎると赤潮の指標にもなりますが、基礎生産量としても代替的に用いられる指標だというふうに理解しています。物質循環のなかでは、栄養塩の直上が植物プランクトンでありますので、そのあたりが重要なのかなというふうに思っております。専門委員会の報告をまとめるに当たっては、参考資料2のデータなども適宜、活用してまとめていきたいと思っております。

 魚について以前の専門委員会で一度、ご紹介をさせていただいたことがありますが、魚は海の生態系の中で高次の生物になりますので、以前、ご紹介させていただいたものは少し魚が物によってふえたり、減ったりというようなところもありました。このため、まずはクロロフィルaというところは少し重要なポイントかなというふうに考えているところでございます。また、どんなデータを専門委員会報告についていくべきなのかというあたりは検討してみたいというふうに思います。

 2点目のご質問についてですけれども、カ)のところ、このようなというのは基本的に前半のア)からオ)まで、そのどれかに限定するのではなくて、それぞれにかけているというつもりでございます。NPOの方も例えば干潟の保全・再生、藻場の保全・再生に非常にご尽力をされていますし、漁業者の方も当然、そのようなことをやられていますし、企業の方も参画をして東京湾の再生などに取り組んでおられるというところはありますが、そのあたりをさらに発展、推進できないかなというような思いで、この表現を入れさせていただいたというところであります。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかに。どうぞ。

【西村委員】 3ページの(2)のイ)のところについて質問というか、コメントさせていただきます。水質改善に資する取り組みとして、海域中の自然にある栄養塩類のみを吸収させて生育させる藻類養殖というところは、藻類が増殖することで窒素・りんを吸収させると、水側から生物に移行するというふうに考えれば浄化なんですが、例えば藻類というのをノリというふうに考えたときには、乱暴な言い方になるかもしれませんが、ノリを養殖すればするほど水質改善に資するというようにもとれなくもない文章になっていると思います。そうしますと、先ほどから議論になっている下水処理場における季節別管理運転というような考え方と、若干、相反する論理性があるのかなというふうに思うので、検討が必要ではないかというふうに思います。

 それから、人為的には餌を与えずに自然にある懸濁物質やプランクトンを餌として生育させる貝類養殖等を推進するということも、水質改善に資する場合もあるのではないかと思うんですが、例えば貝類というのは具体的に二枚貝で(2)の根本的な干潟の保全・再生等々、それをすることで二枚貝類がたくさん生息できるというふうに考えれば、このとおりでもよいのかもしれませんが、例えばカキというふうに読みかえたときに、本当にそうなのかということについてはこれも検討や議論も必要かというふうに思うので、少し水産生物という部分で考えた場合、さまざまな生物種があるわけで、それをいろいろな角度で見ていただいて、本当に水質浄化というような観点のみで切り取っていいのかどうかということは、もう一度、議論なり、検討していただくなりが必要ではないかというふうに思います。

【石川室長補佐】 ご意見をありがとうございます。この中身については5年前の部分と変化していないんですけれども、今のご指摘を踏まえまして特に今回、ヒアリングの中でご発表いただいたのが水産庁からの発表でしたので、水産庁とも少し相談をしまして、今のご指摘を踏まえて表現などを少し工夫してみたいと思います。ありがとうございます。

【岡田委員長】 では、今の点はよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 ほかにございますか。どうぞ。

【足利委員】 2点ほどあるんですが、1点は(2)のウ)のところで、底質からの窒素及びりんの溶出を抑制するため、浚渫や覆砂等の底質改善対策を推進していく必要があるというところで、前から出ていることなんですが、結構、この言葉が独り歩きして、本当にこれって重要ですかというような浚渫とか覆砂が、実際に行われている事例も私の周りではあります。できればここにも例えばエ)にあるように、エ)のところには周辺海域の水環境の改善効果を把握・評価しつつとか書いてあるんですけれども、これを絶対に推進しましょうみたいな形ではなくて、少し周辺海域の情報をきちんと把握しながら、慎重に進めていくという書きぶりが要るのかなと思っています。

 それと、もう一つで、今、いろんなところに生物生産性と生物多様性というのが対で言葉が出てくるんですが、水産とか漁業での生物生産性の部分と生物多様性というのは、私はフィールドで保全活動していると必ずしもイコールではなくて、うまく言えないんですけれども、そこのすり合わせができていないと難しいのかなと。例えばアサリばかりがたくさんいる海域が豊かな海なんですかというと、アサリではない食べられない水産対象でない生き物もたくさんいてこそアサリがいて、豊かな生態系であり、生物多様性が成り立っていて、そういう場所だからこそ豊かな漁場なんですけれども、生物生産性と生物多様性というところがうまくすり合わされていないような感じが私はすごく感じるので、うまく伝わらなくて申し訳ないです。だから、そこがいろんな生き物がたくさんいる海であり、なおかつ、その上に成り立った豊かな漁場というものを目指しましょうというところをもうちょっとわかりやすく表現されているほうが、一般の人にはわかりやすいのかなというふうに思っています。

【石川室長補佐】 ありがとうございました。

 ウ)の部分についてはご指摘のとおりだと思いますので、少しエ)の表現なども踏まえて、ご指摘を踏まえて表現を工夫していきたいと思います。生物多様性と生物生産性もおっしゃったとおりでありまして、フィールドによっても違いますし、各海域での場の状況ですとか、社会的な背景によっても異なるものだと思いますので、そのあたりは特に今年2月に閣議決定された瀬戸計画の中でも生物多様性と、一方で、水産資源を持続的に確保するという生物生産性も重要な柱として位置づけて計画をまとめています。その中で、さらに3ページの上のほうに書いておりますけれども、地域の実情に応じた取り組みが重要であるというようなところで整理をしておりますので、そのあたりはどちらか一方が重要ということではなくて、地域地域で適正なバランスというのはあると思っています。

 アサリをとるためには干潟が適正に保全されていなければなりませんし、干潟にさらに底生生物、ベントスみたいなものもちゃんといなければいけないというところはおっしゃったとおりだと思いますので、そのあたりの部分については、大きく(2)番の部分の地域の実情に応じてというところで恐らく踏まえていく必要があると思いますので、こちらもご指摘を踏まえて、表現などを少し工夫してみたいと思います。ありがとうございます。

【岡田委員長】 よろしいですか。ありがとうございました。

【鈴木委員】 先ほどから話題になっている3ページの上のほうですけれども、基本的にはこういった表現で結構かと思うんですが、気になるのが生物多様性・生物生産性の確保ということです。歴史的に見れば、かなり高度経済成長から汚濁負荷が増えて、それが下水道整備で下がってきて、また、洗剤の無りん化とか、そのあたりもかなり影響しております。どのあたりのところが望ましかったとか、そのあたりついて何かイメージがありますでしょうか。今までのお答えを聞いていると、地域においてそれぞれ検討するということになると思いますけれども、少し時間軸の中でどういうようなイメージを持っておられるかというのをお聞かせ願えればと思います。

【石川室長補佐】 ありがとうございます。

 先生方のお話を聞いていますと、人それぞれでいろんな考え方をされていらっしゃいまして、例えば高度経済成長期以前の状態がいいですとか、あとはもう少し後のほう、90年代の海のがいいとおっしゃっているような先生方もいらっしゃいまして、そのあたりはなかなか、今、環境省のほうで望ましいイメージを持ち合わせている状況ではないんですけれども、先ほど平沢先生のほうからの指摘の中で回答させていただいたような形で、現在、瀬戸計画に基づいた事業としてまずは瀬戸内海を対象として各湾・灘ごとにいろんなデータを集めて、それを重ね合わせて各海域での適正な海域管理の方策というのはどういうものだろうかといった調査を進めています。そういった中で総合的なデータを集めていって、さらにいろんな専門家の先生方もその検討には入っていただいており、そういった専門的なお知恵を拝借しながらまとめていくという状況にあります。

【岡田委員長】 よろしいですか。ありがとうございました。

 では、どうぞ。

【長屋委員】 今回の取りまとめにおいて、私ども海を生産の場としております漁業者の意見をいろいろ聞き取りいただき反映いただいたことに大変感謝を申し上げたいと思います。私どもがその中で訴えてまいりましたのは、水質に関係しての指標を数値で示していくこと、それを管理していくこと、これが大事であるということを私どもは否定しているわけではありません。瀬戸内海で何が起きているかを問題提起をしながら、きれいでかつ豊かな海をどう実現していくかを訴えてきたものです。

 例えばノリの色落ちがこれまでなかったようなスピードで起こっている、またはどの影響かわかりませんけれども、プランクトンの組成自体が変わり大型の珪藻がふえて、動物プランクトンが利用できないようなものになって、それがまた、ノリと競合し、そっちのほうに栄養が全部いくというような、これが起こっているという事実をしっかりと捉えていただいて、数値による管理の大事さとあわせて、海の中で何が起こっているかということを踏まえていただいて、議論が進められてきたということについて感謝を申し上げたいと思います。

 そういう中で、さまざまな貝が持っている浄化の能力だとか、ノリというのは冬場にしか張り込まないわけですから、季節的な運転の管理をやる、または、養殖をしている灘であるとか湾に着目をし、データを積み上げていっていただいて、これをまた、管理に活かしてもらう。ぜひ、こういうものを環境省さんのほうで知見を積み上げていただいて、海で実際にいろいろ起こっていること自体を私どもはいろんな情報発信をまたさせていただきたいと思いますので、それとあわせて、今後の取り組みをお願いしたいと思います。

 先ほどの干潟の再生の問題、今ある埋立地を壊して、そこをまた干潟に戻せということではなくて、例えば長良川の河口堰でも、河口堰をつくったことによって干潟が全部消えてしまったところを人工の干潟を設けて、何十年もかかって、その中で漁業者が地域の方々と一緒にハマグリを再生をする取組をやってきた。

 ただ、干潟があるだけではなくて、その中で、今、言われたような多様な生物がしっかりと生きていけるようなものを造っていくということは、ハードの面とソフトの面と両方が合わさってやっていかなければいけないということをご理解いただきながら、日本の豊かな沿岸の水域がきれいで豊かになることに向けて、今回、私どもとしては非常に一つの新しいしっかりとした考え方を打ち出していただいていると思いますので、今後もどうぞよろしくお願いしたいと思います。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

 それでは、今、幾つかご指摘いただいたことを踏まえまして、取りまとめに向けて進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 これまで本委員会でさまざまな議論を重ねていただきました。報告書の取りまとめに向けて、今回、事務局にて総量削減専門委員会報告の構成案というものを用意していただいております。では、事務局からそれにつきまして資料6のご説明をお願いいたします。

【石川室長補佐】 それでは、資料6のご説明をいたします。1枚紙の資料であります。

 岡田委員長からおっしゃっていただいたような形で、在り方の内容の構成案になっております。大きく1、2、3、4とありまして、まず、一つ目、1番ですけれども、水質総量削減の実施状況ということで、こちらは負荷削減の状況が今、どういうふうになっているのかという部分ですとか、ヒアリングの中で各省庁や関係府県さんからいろいろご発表いただきました対策の実施状況について、そういったヒアリングの内容も踏まえて、水質総量削減の現状について1のほうで整理をしていきたいと思います。このもととなる資料を現在、参考資料1というふうに設けておりますけれども、参考資料1はこれまで専門委員会で提示してきたようなものをまとめた資料ですけれども、参考資料1をもとに1番については作成を進めていきたいと思っています。

 2番については指定水域における水環境の状況ということで、水質の濃度がどういう状況なのか、それから、環境基準の達成状況はどういう状況なのか、赤潮ですとか貧酸素水塊の状況はどうか、干潟・藻場の状況はどうか、先ほど高澤委員からもありました栄養塩類などの状況はどうか、そういった部分を2番のほうで、いわゆる水環境の状況として整理をしたいと思っておりまして、こちらについては参考資料2をもとに取りまとめていきたいと考えております。

 3番目については指定水域における水環境に係る分析ということで、こちらは本日前半でご説明した資料をもとに作成していきたいと思います。3-1としては水質汚濁に影響を与える要因ということ、3-2としては干潟・藻場の機能、それから、3-3で水質将来予測、その部分を少し整理しまして取りまとめていきたいと思っています。

 大きな4番につきましては、第8次水質総量削減の在り方についてという資料でありまして、こちらは本日、ご議論いただいた資料5をもとに4-1と4-2については整理をしていきたいと思っております。その際には、本日いただいたご意見を踏まえて取りまとめていきたいと考えております。それから、4-3については、これまでの議論の中でいろんなご意見をいただきましたので、そのご意見も踏まえて今後の課題ということで整理をしていきたいと考えております。

 簡単ですが、資料6の説明を終わります。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 ご質問、ご意見がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

【中村委員】 構成案につきましては、基本的な材料は、きょう、ご説明いただいたものがベースになっているというふうに理解しました。そこで、4-3の今後の課題については今のご説明ですと、これまでのいろいろな委員の方々の発言に基づいて整理をしますということだったので、まだ、言っていなかったような気がいたしますので、一つ、つけ加えさせていただきます。技術的な問題以外に今後の課題の一つとして、国民の海への親しみというものをもっと促進するような、そういう対策、取り組みが必要ではないかなということを痛感しておりまして、現実に例えば東京湾については東京湾官民連携フォーラムというような仕組みをつくって、いろんな取り組みがされているようなところもありますので、そういう機運があるということも取り込みながら、人々の海への親しみを増すような努力というものを課題として挙げて、検討していただければなというふうに思います。よろしくお願いします。

【岡田委員長】 ありがとうございます。

 今の点はよろしいですね。

 ほかにございますか。よろしいですか。

 それでは、このような形で報告案の作成を進めていただければと思います。ありがとうございました。

 本日の用意した議題は以上でございますが、全体を通じて何かご質問、ご意見等がありましたらお願いいたします。どうぞ。

【細見委員】 今回、今後の在り方というか、対策の在り方で豊かな海というのは良好な水質の確保と、それから、生物生産性、生物多様性の確保というのがうたわれていると思うんですけれども、良好な水質に関しては今まで環境基準でいろいろ数値として出てきているので、今までの経緯をずっと調べられるわけですけれども、生物多様性だとか生物生産性のある種の指標というのは、一体、どう考えて、これから将来、第8次、第9次といくと思うんですけれども、このときに今回で全て決めるわけではもちろんないんですけれども、そういう議論は将来にわたってしておくべきかなと。もちろん、干潟・藻場というのは何らか生物多様性と生産性にすごく関わっているだろうと。もし、干潟・藻場をモニタリングしていって、総量規制の中でその機能がずっと生かされてくれば、それで生物多様性、生物生産性が確保できたというのか、そこはいつか議論をしておく場というか、どこかされるのか、僕はしてほしいなという希望であります。

 以上です。

【岡田委員長】 では、これは事務局からどうぞ。

【根木閉鎖性海域対策室長】 ご意見をありがとうございます。まずは生物多様性、生物生産性という考え方で取り組み得るかなと思っておりますのは、先ほど資料5の(2)のア)のところに入れさせていただきました、干潟・藻場の分布状況を把握するなど基礎情報の整備を進めるという、ここがまず第一歩かなというふうに思っております。

 この検討会でも藻場・干潟の状況などをこれまでお示しさせていただきましたが、最新のデータと言いながらかなり古かったりというところがあります。環境行政を定量的に実施するためには定量的なデータが必要というところで、まず、そこが第一歩なのかな、そこも言うはやすしでなかなか費用もかかりますし、というところはあるんですが、そういったところが重要かなというふうに思っております。さらにその先の話というところもあろうかと思いますが、今、この場でこうですということは申し上げられないんですけれども、ご意見を受けとめて、しっかりと検討、調査などを進めてまいりたいというふうに思います。

【岡田委員長】 どうぞ。

【早水大臣官房審議官】 今のご指摘は大変重要なご指摘だと思います。二つ考える必要がありまして、総量削減の中で「豊かな海」というのをどうしていくかということはもちろんありますし、もう少し幅広く水環境において今まで水質でやってきた部分について、もう少し生物的な指標は何とかならないかという考え方もあると思います。例えばですが、今、別の委員会で、底層DOとか沿岸透明度とかいう環境基準なり目標なりの検討をしておりますけれども、そちらも例えば底層DOというのは数字ではあるけれども、生物を守るための基準でありますし、沿岸透明度というのも片方で親水というのもありますが、もう一つは藻場をどこまで育てるかということのための指標でありますので、そういった意味で、水の指標についても生物的な指標とかなりくっついてきているというふうに感じております。

 我々の水質保全活動などでも、例えば「子どもホタレンジャー」というのをやっておりますけれども、ホタルがいるような水辺の実現とか、川のほうでもそういったことをいろいろやられております。そのあたりを総量削減の中でどういうふうに扱っていくかということと、それから、もう少し幅広く水環境を考えていく上で、生物指標をどうするかというのは、もう少し長期的に考えていったらどうかなと思っております。

【岡田委員長】 どうもありがとうございました。

 ほかによろしいですか。

 特になければ以上とさせていただきます。事務局から連絡事項等がございましたらお願いいたします。

【山田係長】 議事録につきましては速記がまとまり次第、皆様にお送りいたしますので、ご確認をお願いいたします。ご確認いただいたものを環境省のウエブサイトにて公表いたします。

 また、次回の日程につきましては既に調整させていただいておりますとおり、8月31日、月曜日の午前10時から環境省の第一会議室、こちらで予定しております。次回は第8次水質総量削減の在り方の報告案について審議を行っていただく予定です。よろしくお願いいたします。

【岡田委員長】 ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして第7回総量削減専門委員会を閉会とさせていただきます。

 本日はどうもありがとうございました。

午後3時24分 閉会