中央環境審議会水環境部会生活環境項目環境基準専門委員会(第6回) 議事録

平成27年7月7日(火)

午後4時00分 開会

○三宅係長 それでは、定刻となりましたので、第6回中央環境審議会水環境部会生活環境項目環境基準専門委員会を開催いたします。

 委員の皆様には、ご多忙のところをご参集賜りまして、誠にありがとうございます。

 本日は委員総数11名中9名のご出席が予定されておりまして、ただいまのところ9名のご出席をいただいておりますので、ご報告いたします。

 それでは、議事に先立ちまして、環境省の三好局長からご挨拶申し上げます。

○三好局長 水・大気環境局長の三好でございます。

 ご多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日ごろから水環境行政の推進につきまして格別のご指導をいただいておりますことに対しまして、改めて御礼申し上げます。

 この専門委員会につきましては、これまで5回にわたりまして水環境の状態を表わす新しい指標でございます底層溶存酸素量、それから沿岸透明度の目標設定につきましてご議論をいただいてきております。前回、いただいたご意見も踏まえまして事務局のほうでも検討いたしまして、また、全体の構成についても整理を行いまして、本日は、報告案という形でまとめさせていただいたところでございます。先生方には、専門的見地から幅広いご意見をいただきますようにお願い申し上げまして、簡単でございますけれどもご挨拶といたします。よろしくお願いをいたします。

○三宅係長 続きまして、お手元の配付資料について、ご確認いただきたいと思います。

 資料は、議事次第にございます資料1~資料3までをお配りしております。資料の1は委員名簿、資料の2が第5回専門委員会の指摘に対する対応について、3-1は水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについてということで、こちらが報告案となっております。資料3-2が、報告案の参考資料という形でつけております。不足等ございましたら、随時、事務局までお申しつけください。

 なお、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 それでは、以下の進行は岡田委員長にお願いしたいと思います。

○岡田委員長 かしこまりました。

 お忙しいところ、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 議事の底層溶存酸素量及び沿岸透明度の環境基準の検討についてということになっていますが、まずは資料2、前回の第5回専門委員会の指摘に対する対応について、事務局からご説明いただいた後、質疑・応答というふうにしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○柳田課長補佐 それでは、資料2について説明をさせていただきます。

 前回のご指摘を踏まえた資料の修正につきましては、後ほど、報告案の説明の際にあわせて説明をさせていただきたいと思いますので、それ以外のところについて説明をさせていただきたいと思います。

 指摘事項の2でございますけれども、前回、その類型指定の対象外のところで、その自然的要因によるものについては、必ずしも類型指定を行う必要はないということで書いてあったんですけれども、人為的考慮などといったその人為的要因によるものについての扱いについてということのご質問でございます。これに対する考え方といたしましては、底層溶存酸素量の改善にあたりましては、水質の改善を目指す水域のみならず周辺水域への影響というものを考慮する必要があることを踏まえると、その一部分のみを類型指定外とすることは適当ではないというふうに考えます。このため、基本的には水域全体を類型指定の対象とすることが適当と考えますが、その測定地点の設定の際には、水生生物の保全・再生を図る範囲を適切に評価できる地点を設定する必要があると考えます。

 特に、ここで自然的要因と書いておりますのは、その自然的要因が明らかにその底層の貧酸素化の原因となる場合もあるため、その場合には十分留意することが必要と考えております。

 あとは6番目ですが、これも目標値の例として、前回その沿岸透明度についてですけれども、目標値の例として、具体的な数値が記載されているのは誘導的ではないかということで、といったところの誤解のないように書きぶりを丁寧にということでございますけれども、これにつきましては、ほかのところで、こういったものからこういった結果が得られたといったところで、数字が記載されておりますので、こういった値が望ましいといったことが書いてあった表については、削除させていただくということにいたしました。

 それと、7番目ですけれども、沿岸透明度の目標に関しまして、その水生植物の保全の観点と親水利用の保全の観点ということで、それぞれのベースが違うということがわかるように記載すべきということで、これにつきましては後ほど説明させていただきますが、その違いについて明確になるよう、項目立てを分けて記載することといたしました。

 あとは最後の8番目ですが、親水利用の保全の観点の目標値を、小数点第1位までとするのかということでございますけれども、これにつきましては、必ずしも小数点第1位まで設定するというわけではございませんので、小数点第1位まで設定するといった記載は削除させていただいたところでございます。

 詳細については、また後ほど、資料3の説明の際に、またご説明させていただきたいと思います。

 簡単ですが、以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 今までのところ、前回の指摘の対応、いかがでしょうか。何かご意見があれば。今のところ、よろしいですか。じゃあ、後で実際にというか、資料が出てきたときに、またお気づきの点をご指摘いただければというふうに思います。

 それでは、続きまして、事務局に、これまでの議論を踏まえた本専門委員会の報告案を資料3-1として用意していただいております。これについて、事務局からご説明いただいた後、議論をしたいというふうに思います。

 報告案の構成、それから1の「初めに」、それから2の「生活環境項目としての環境基準の設定の検討について」というところまで、じゃあ、まずご説明をお願いいたします。

○柳田課長補佐 それでは、資料3-1について説明をさせていただきます。

 各委員には事前に送付させていただいたところでございますけれども、その後、若干、修正を行っているところでございます。これまで、底層溶存酸素量、沿岸透明度、それぞれについて議論していただいたところでございますけれども、今回、その構成の組みかえを行いまして、目標設定に当たっての背景や考え方、、そういったようなものを整理したものを報告案として資料3-1にまとめたところでございます。残りの、例えば、その考え方の根拠となるようなデータ等につきましては、参考資料という位置づけで3-2という形で整理したところでございます。この資料3-1の報告案につきましては、今後、パブリックコメントにかける原案という形で作成したものでございまして、本日のご審議を踏まえて、まとまるようであれば、報告案という形でパブリックコメントにかけまして、その結果も踏まえて、もう一度ご審議いただきたいというふうに考えているところでございます。

 それでは、資料3-1について説明をさせていただきますが、適宜、資料3-2を用いながら説明させていただきます。

 まず、1枚めくっていただきますと、表紙の裏に目次が、載っております。まず、1に「はじめに」、2に「生活環境項目としての環境基準の設定の検討について」ということを記載しております。で、3に「底層溶存酸素量の目標設定の検討について」、4に「沿岸透明度の目標設定の検討について」、最後、5に「おわりに」といった構成としております。

 まず、「はじめに」でございます。

 1ページ目になりますが、ここでは、これまでの資料の3の背景等についてのところを「はじめに」という形で記載しているところでございます。生活環境の保全に関する環境基準について、現在、12項目が定められていること、健全な水循環系の確保を含め、より望ましい形で、水環境の改善を進めていくことが求められていくということ、それぞれの地域特性に応じた目標についても検討を進める必要があること、内湾や湖沼等の閉鎖水域での水質改善が未だ十分ではない状況にあることといったようなこと、こうした状況を踏まえて、新たな望ましい水環境の状態を表す指標として底層溶存酸素量及び透明度に着目し、良好な水環境の実現に向けた施策を効果的に実施するため、水質環境基準生活環境項目の見直しについて検討したということを記載しております。

 2番目の「生活環境項目としての環境基準の設定の検討について」ということでございます。

 これまでの経緯ということで、これまでも資料として出してきたところでございますが、さまざまなところで指摘等がなされていることに関して、過去の答申や取りまとめについて記載しているところでございます。そういった指摘もございまして、最後のところ、3ページ目の真ん中ぐらいになりますけれども、これまでの指摘等を踏まえ、平成25年8月に環境大臣から中央環境審議会会長に対し、「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて」諮問がなされたということでございます。

 その次の(2)の、今回の検討事項でございますけれども、まず、1)で水質環境基準生活環境項目における課題ということで、これにつきましては、まず、2段落目の途中から、全国の、まず公共用水域におけるCOD、全窒素、全燐の環境基準達成率が年々上昇傾向にあり、COD、全窒素、及び全燐の環境基準は水質改善のために大きな役割を果たしてきたところであるということで、これに関連する資料が、資料3-2のほうの1ページ目が、CODの環境基準の達成状況についてグラフが載っております。2ページ目と3ページ目につきましては、全窒素及び全燐の環境基準の達成状況というものが載っております。

 また戻っていただきますと、その一方で、貧酸素水塊の発生や藻場・干潟等の減少、水辺地の親水機能の低下等の課題が残されているといったことを課題として挙げております。

 そのような課題を踏まえて、次の4ページ目になりますけれども、基本的な考え方といたしまして、そういった1)の課題を踏まえて、①にあるように、魚介類等の水生生物の生息や海藻草類等の水生植物の生育に対して直接的な影響を判断できる指標、②にあるように、国民が直感的に理解しやすい指標ということで、そういったことを検討するということで、その3番目の検討対象項目ということで、望ましい水環境の状態を表す指標として、底層溶存酸素量及び透明度に着目し、目標値の導出の検討を行ったということでございます。

 次の5ページ目の、まず①の底層溶存酸素量でございますけれども、2段落目に、全国の海域の底層溶存酸素量の状況についてはということの記載がございます。これにつきましては、資料3-2の4ページ目からが該当する部分になります。4ページ目のところで、全国の現在の状況ということで、全国の海域をご覧になっていただきますと、閉鎖性海域以外の水域では、4mg/L未満となる地点はほとんどみられないが、その閉鎖性海域では、4mg/L未満となる地点が3~4割程度みられるという状況になっているところでございます。

 また、その湖沼につきましては、3-2の10ページ目になりますけれども、現在の状況ということで調べたところ、平成23年度~25年度の全国の状況でございますけれども、4mg/L未満の測定地点が3~6割程度ありまして、その2mg/L未満の測定地点も2割から4割の地点でみられるという状況になっているというところでございます。

 それで、また3-1に戻っていただきますと、海域、湖沼それぞれでございますけれども、底層溶存酸素量が一定レベル以下まで低下いたしますと、それ自体が水生生物の生息に困難にさせるということや、あとはその底層の貧酸素水塊が表層へ上昇していくということで、青潮と呼ばれている現象が起こって、アサリなどの干潟生物の大量斃も起きているというようなことも起きております。こういったようなことから、水生生物の生息の場の保全・再生、ひいては健全な水環境保全の観点から、魚介類等の水生生物の生息に対する直接的な影響を判断できる指標として、海域及び湖沼を対象に底層溶存酸素量の水質目標設定の検討を行うということとしております。

 ②の透明度でございますけれども、3の、透明度に関する状況につきましては、資料3-2の12ページをまずご覧になっていただければと思います。12ページが、海域における透明度の状況でございます。各年度とも、7割以上が透明度が3m以上でありますし、ほとんどの地点で2m以上となっております。一方、湖沼のほうをご覧になっていただきますと、3-2の15ページになります。状況を見ますと、各年度とも、全測定地点の約6割が3mを下回っておりまして、その1m未満の地点も約2割から、2割弱ぐらいあるということで、そういった地点も少なくないといったような状況になっているところでございます。

 また3-1に戻っていただきますと、6ページ目の上から7行目でございます。透明度が低下し、光合成が妨げられれば、水生植物の群落の劣化につながる他、水質浄化機能の働きを損なうおそれがあるということ、また、親水利用の観点からも、透明度が低下することにより、それらの利用に影響を与える場合もあるということになります。

 以上を踏まえまして、海藻草類及び沈水植物等の水生植物の生育の場の保全・再生、ひいては健全な水環境の保全の観点から、また、良好な親水利用空間を確保・保全する観点から、藻場等の水生植物の成育に対して直接的な影響を判断できる指標及び国民が直感的に理解しやすい指標として、海域及び湖沼を対象に透明度の水質目標設定の検討を行うとしております。ただし、各水域に応じて生物生産性や生物多様性が確保された豊かな水域を目指すことが重要であり、そのためには、その水域に応じた適切な透明度を確保することが肝要であるとしているところでございます。

 1、2につきましては、以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、今までのところでご質問・ご意見がございましたらお願いいたします。

○鈴村委員 4ページがメインになりますけれども、①と②で、それぞれ最後に「適切に表す目標」、あるいは「直感的に理解しやすい目標」という言葉で出てきますが、それまでの文章では、基準、指標、目標となっています。この①、②のタイトルも最初は「指標」となっているのが、最後で「目標」に変わっています。ではこの「目標」というのは、誰が誰のために目的としたものか、受け取り方によっては従来の「規制」、「基準」という取り方もできるわけですから、この「目標」というのは、そもそもどういった位置づけで、ということが前文に示してないと、受け取る側によって意味合いが大きく変わってしまうのではないかという危惧を覚えます。

○柳田課長補佐 ありがとうございます。

 まず、「目標」ということでございますけれども、まず今回、その底層溶存酸素量と沿岸透明度について検討してきたところでございますが、この後で説明いたしますが、まず、保全などの観点から望ましい値というのが幾つかというのを検討いたしまして、それに対する位置づけをどうするかということを、その後に記載しているところでございます。だから、まずは、この時点では、基準にするのかとか、それ以外の基準にしないのかというところについては、明記しておらずに、その後、後からの検討でこういうふうにするのが適当ではないかということで検討しております。この時点で具体的に、どういう位置づけかというところはまだ決まっていないで、まず検討する指標を定めて、こういう観点から検討していくのがよいのではないかというような形で整理しているところでございます。

○鈴村委員 では、また後で確認をということで。

○岡田委員長 確認ですが、これは「指標」ではなくて「目標」なんですね、ここの文章は。

○早水審議官 正確な定義はないですが、「指標」といった場合は、例えばDOとか透明度というのは「指標」になります。それで、書いているほうとしては、値まで含めたものを、それぞれ項目と値を「目標」と一応称しています。その中で環境基準としてきちっとした基準値とするものと、それから、そうでないものもあるかもしれないということで、一応、最初は広い目に「目標」という言葉を使っているということです。その辺り、明確にはここに書いてないので、場合によっては何か整理をする必要があろうかと思います。いずれにしても、議論しているものは環境側での国のさまざまな施策の目標になる環境基準、または、それに類する一般環境での値であるということは間違いないところでございます。

○岡田委員長 いや、私は鈴村委員のご意見を伺って、この基本的考え方というのはともかく、新たな指標の検討を行うという文章から始まっているので、最後のところはそのあくまでも適切に表す指標を検討するという流れかなというふうに思ったので、鈴村先生は、多分そういう感想ですよね。

○鈴村委員 目標としてしまうと、本当に人によって捉え方が大きく変わるのではないかと。

○岡田委員長 うん、そうそう。ということではないかなというふうに、ご意見を伺ってそう理解したんですが。

 特段、意味があるんだったら残しておいていただいて、別に。鈴村先生はそういう意味ですよね。でなきゃ、もう少しわかりやすくしたほうがいいということだと思うんですが。

○早水審議官 そうですね、論理的にはそうです。「指標」で記述を始めているので、最後は「指標」とするとすべきです。ただ、私がさっき申し上げたように「指標」だけだと項目だけになってしまうのですが、以下、検討は、その値についてとなっているので、少し、何か問いに対して答えが広い目になっていますので、ちょっと整理をしたほうがいいと思います。

○岡田委員長 そうですね、じゃあ、これは文章の問題ですから、整理をしてください。

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。特段よろしければ、じゃあ、もう少し具体的な中身をご紹介いただいてから、再度議論させていただければと思います。

 それでは、今度は次になりますが、3の底層溶存酸素量の目標設定の検討について、ここは目標設定なんですね。では、ご説明をお願いします。どうぞ。

○柳田課長補佐 それでは3-1の7ページ、3の底層溶存酸素量の目標設定の検討について、説明させていただきます。

 まず、(1)の底層溶存酸素量の目標設定の基本的考え方でございますけれども、水域の底層を生息域とする魚介類等の水生生物や、その餌生物が生存できること、また、それらの再生産が適切に行われることにより、底層を利用する魚介類等の水生生物の個体群が維持できる場を保全・再生することを目的に、目標設定を検討いたしました。また、極端に貧酸素化する場所では、いわゆる無生物域となることもありますので、このような場を解消するための観点も考慮したということでございます。

 (2)の底層溶存酸素量の目標値の導出方法でございますけれども、活用する知見につきましては、24時間の曝露時間における95%の個体が生存可能な溶存酸素量、これを貧酸素耐性評価値、という形で整理したところでございます。これの算出に当たりましては、その貧酸素耐性評価値が求められている場合には、その値をそのまま使いまして、例えば、そのほか24時間の曝露時間における50%が致死する溶存酸素量、1時間の曝露時間における50%が致死する溶存酸素量の知見が得られた場合には、これらの間に一定の関係が認められることから、換算式を用いて貧酸素耐性評価値を算出いたしました。また、現場観測の知見につきましては、その貧酸素耐性評価値と必ずしも一致するわけではないが、実環境における水生生物の生息状況等の知見は重要であることから、これらの知見も収集したということでございます。

 具体の資料、関連する資料につきましては、3-2の17ページ目から19ページ目、知見の収集の方法や換算の方法などを載せております。知見の一覧につきましては、3-2の20ページになります。あと、その現場観測の知見等につきましては、21ページから22ページに載せているところでございます。

 3-1に戻っていただきますと、2)の発育段階別の分類でございますけれども、魚貝類の個体群が維持されるためには、生息域が確保されるのみならず、再生産も適切に行われる必要があると、魚貝類は、稚魚、未成魚及び成魚の段階、「生息段階」といますけれども、それと比べて浮遊生活をする仔魚や幼生等、あるいは底生生活をはじめたばかりの発育段階の初期は、環境の変化に対して受動的にならざるを得ない段階、「再生産段階」になりますけれども、その場合は、貧酸素に対して影響を受けやすいことに留意するということでございまして、下にあるとおり、①、②ということで、生息段階、再生産段階と二つに分けて整理したということでございます。

 3)の再生産段階の貧酸素耐性評価値の推定でございますけれども、甲殻類につきましては、貧酸素耐性評価値が得られているものもありますので、これを実験等で得られたものを再生産段階の貧酸素耐性評価値として扱うということにします。魚介類については、貧酸素耐性試験や現場観測から、その評価値が得られていないということもありまして、再生産段階の貧酸素耐性評価値は、生息段階の貧酸素耐性評価値に1mg/Lを加えた値として推定したということでございます。

 で、「なお」以下は、前回ご指摘をいただいたところでございますけれども、前回、「再生産段階の貧酸素耐性評価値が得られる場合には、その値を用いることが望ましい。」としていたんですけれども、「望ましい」から表現を修正いたしまして、「甲殻類と同様に基本的にその値を用いることが適当である。」という形で修正しております。

 この部分につきまして、その貧酸素耐性評価値の一覧が資料3-2の23ページに載っております。で、魚類の再生産段階の貧酸素耐性評価値の推定につきましては、24ページに載せているところでございます。

 (3)の底層溶存酸素量の目標値の検討でございますけれども、得られた貧酸素耐性評価値等を踏まえて、三つの観点、水生生物の再生産の場を確保する観点、水生生物の生息の場を確保する観点、無生物域を解消する観点の三つの観点から目標値を設定することが適当であるとしております。

 まず1番目といたしまして、目標値、4.0mg/L以上ということで、これは「・生息段階において貧酸素耐性の低い水生生物が生息できる場を保全・再生する水域」、また、「・再生産段階において貧酸素耐性の低い水生生物が再生産できる場を保全・再生する水域」でございます。この目標値を設定する範囲は、生息段階、又はその再生産段階において貧酸素耐性が低い水生生物が生息できる場を保全・再生する範囲とすると。得られた貧酸素耐性評価値等を踏まえると、底層溶存酸素量が4.0mg/L以上あれば、ほとんどの水生生物種について、生息はもとより再生産ができる場を保全・再生することができるものと考えられます。

 2)といたしまして、目標値を3.0mg/L以上ということで、これについては、「・生息段階において貧酸素耐性の低い水生生物を除き、水生生物が生息できる場を保全・再生する水域」、また、「・再生産段階において貧酸素耐性の低い水生生物を除き、水生生物が再生産できる場を保全・再生する水域」でございます。この目標値を設定する範囲は、生息段階、又はその再生産段階において貧酸素耐性が低い水生生物を除いて、水生生物が生息や再生産できる場を保全・再生する範囲とするということでございます。この得られた貧酸素耐性評価値等を踏まえると、底層溶存酸素量が4.0mg/L以上必要な水生生物を除き、水生生物が生息及び再生産できる場を保全・再生することができると考えられます。

 3)といたしまして、目標値2.0mg/L以上でございます。これは、「・生息段階において貧酸素耐性の高い水生生物が、生息できる場を保全・再生する水域」、「・再生産段階において貧酸素耐性の高い水生生物が、再生産できる場を保全・再生する水域」、また、「・無生物域を解消する水域」でございます。この目標値を設定する範囲は、生息段階、又は再生産段階において貧酸素耐性が高い水生生物が生息及び再生産できる場を保全・再生する範囲、または、小型多毛類等も生息できない無生物域を解消するため、最低限の底層溶存酸素量を確保する範囲とするということで、得られた貧酸素耐性評価値等を踏まえると、貧酸素耐性が高い水生生物が生息できる環境であり、また、小型多毛類等が生息でき、無生物域が解消される水域として、底層溶存酸素量2.0mg/L以上を最低限度とすることが考えられるということになります。

 で、(4)の底層溶存酸素量の目標の設定でございますけれども、底層溶存酸素量の低下は、水生生物の生息そのものに影響するとともに、水環境の汚染を通じ生活環境の保全に影響を及ぼすおそれがある。このため、水生生物の保全等の観点から水質汚濁の改善に関する施策を総合的にかつ有効適切に講ずる必要があると認められることから、海域及び湖沼を対象として、底層溶存酸素量を環境基準として以下のとおり設定することが適当であるということとしております。

 目標値と類型あてはめの目的と基準値については、先ほど説明したとおりでございます。

 なお書きでございますが、底層溶存酸素量は既存の環境基準項目であるCOD、全窒素、全燐と一定の関連性が見られるものの、目標設定の目的や設定方法が異なることから、既存の環境基準の類型指定を参考にしつつも、基本的にはこれらとは別に類型指定を検討することが適当と考えられるとしております。

 (5)底層溶存酸素量の目標値の類型指定の方向性でございますけれども、類型指定については、「現に底層の貧酸素化が著しく進行しているか、進行するおそれがある閉鎖性海域及び湖沼を優先すべきである。」としております。以下に留意事項について記載しております。

 まず、類型指定における範囲の設定については、水域の底層溶存酸素量の状況や、現状及び必要に応じて過去も含めた水生生物の生息状況等を踏まえたうえで、保全・再生すべき水生生物対象種、「保全対象種」といいますが、その選定を行い、その保全対象種の生息の場を保全・再生する水域の範囲を設定することを基本といたします。また、②番目といたしまして、必ずしも類型指定を行う必要はないということで、この辺り、前回のご指摘を踏まえて若干、②とその下の2)というところをちょっと整理させていただいたところでございますけれども、②のところが、まず類型指定を行う必要はないというところで、その水深の深い範囲や底質の環境が水生生物の生息に適さない範囲(自然的要因によるもの)等、設定する保全対象種が生息・再生産の場として底層を利用しない範囲、ダムの死水域に代表されるような、構造物等により底層が構造上貧酸素化しやすくなっている範囲であって、その利水等の目的で、水生生物が生息できる場の保全・再生を図る必要がないと判断される範囲でございます。

 また、類型指定における目標値の設定について、その考慮すべき点として以下の点を挙げております。新たに保全対象種とすべき種が確認された際には、今回示した貧酸素耐性評価値の導出方法も参考とすること、局地的に深い窪地や成層等の自然的要因が明らかに底層の貧酸素かの原因となる場合があることとしております。

 手順につきましては、次のページの流れを想定しているところでございます。また、具体的な類型指定のイメージを、資料3-2の25ページ及び26ページに載せているところでございます。

 また、13ページの(6)番、底層溶存酸素量の監視及び評価方法につきましては、以下の点を基本とするということとしております。

 測定地点でございますけれども、保全対象種の生息、底層溶存酸素量等の水域の状況等を勘案して、水生生物の保全・再生を図る範囲を適切に評価できる地点を設定する。測定水深については、海底又は湖底から1m以内の底層とする、また、可能な限り海底及び湖底直上で測定することが望ましいとしております。

 測定頻度ですが、これについては前回ご指摘がございましたので、それを踏まえて修正しております。まず、年間を通じ、原則として月1回以上測定することとし、底層溶存酸素量が低下する時期には測定回数を増やすことを考慮する。また、底層溶存酸素量の適切な日間平均値を把握するため、可能であれば、複数回の測定や、水生生物の生息の場を保全・再生するうえで重要な地点においては連続測定を行うことが望ましいとしております。

 評価方法につきましては、日間平均値が底層溶存酸素量の目標値に適合していることをもって評価するということでございます。その水域全体の評価方法については、前回ご意見いただいたところでございますので、ここでは保全対象種の利用水域は面的な広がりを有すること、底層溶存酸素量は季節的な変化が大きいことなどを踏まえ、時間的、空間的な観点からの評価方法を国において今後検討する必要があるということで、今後の課題という形で整理しているところでございます。

 最後、(7)番の対策の方向性でございますけれども、底層溶存酸素量の改善に関し、対策が必要と判断される水域については、関係者が連携し、藻場・干潟の造成、環境配慮型港湾構造物の整備、深掘り跡の埋め戻し等の対策をはじめ様々な対策を組み合わせていくことが重要である。良好な水環境を確保するためには、将来のあるべき姿を見据えつつ、従来の水質汚濁防止対策だけでなく中長期的な対策も視野に入れた総合的な水環境保全施策を進めていくことが必要であるとしております。

 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、ご質問・ご意見等がございましたらお願いいたします。どうぞ。

○福島委員 11ページのところです。前回、幾つか指摘をしていただいて、いろいろとご検討いただいて、どうもありがとうございました。このように直していただいたのですが、若干わかりにくいところがあるかなということで質問させていただきます。

 2)のところで類型指定における目標値の設定についてということで、各水域の特徴に応じて目標値を設定するところです。1個目のマルのほうはいいかなと思うのですが、2個目のマルがここに書かれていまして、このことをどう読むかといいますと、目標値の設定を、こういう条件によって変えることがあると、例えば、4.0mg/L以上に設定すべきだけども、実際には自然に悪くなっているところがあるので2mg/Lにしたほうがいいとか、そういう意味で、このここに入れられたのかというのが1点目です。

 それと、ここにある自然的要因という言葉が、上から6~7行目、②のところ、以下の範囲は必ずしも類型指定を行う必要はないというところにあります。1個目のマルの括弧の中に自然的要因によるものというのがございますが、これと同じ意味なのかどうか。要するに、底質等が自然的な要因で悪くて、そういうところは類型指定を行う必要がないというのは、この部分に書いてあるので、目標値が変わる可能性があることから、あえて2)の2個目のマルを入れたのかどうかという、ことです。それから、自然的要因というのは、今言った意味で、局地的に深い窪地や成層等の自然的要因という部分なのかどうか、まずそれを教えていただけますか。

○柳田課長補佐 ありがとうございます。

 まず1個目、すみません、11ページの②の一つ目のマルでございますけれども、これ、自然的要因によって、例えば、以前の議論の中で、汽水湖みたいなところを例に挙げられておりまして、そういったようなところで、保全対象種をどうするかということで、そういったようなところ、生物がその生息とか再生産の場として底層を利用しないようなところまで指定するという必要はないのではないかというふうに考えまして、このように記載しているわけでございます。

 例えば、そういう層はあったとしても、やっぱり全体として、水域全体として、ここは何らかの目標を立てたいという場合があると思うんですけれども、例えば、そういった目標値を設定する際に、ここはどうしても自然的な要因があって、その底層溶存酸素量が、本当は何か高いところまで持っていきたいんですけれども、どうしても上がらないということで、先ほど先生がおっしゃったように、4にしたいんだけれども、ここはそういう要因があるから2とか3とかにするということも考えられるということで、留意事項という形で記載しているところではございます。

 基本的には、その自然的要因というのは、この上のところの自然的要因というのと、この2)のところである自然的要因という、書きぶりは、若干違うように見えるかもしれませんけれども、基本的に意図するところは同様だというふうに整理したつもりではございます。

○福島委員 私の意見としては、1個目に出ているほうに、その具体的な例を含めてちゃんと書いたほうがわかりやすいかなと思うのですが、いかがでしょう。これが後で出てくるということは、何か違うことを、上で言ってる自然的要因と、下で言っている自然的要因が違うような受け取り方をされるおそれはないかというのが意見です。

 あと、今言われたような目標値を4mg/Lから2mg/Lにするとか、そういう部分まで書いてあったほうがいいかどうかというのはご議論いただければと思います。

 もう1点ですね、こちらの回答のほうに測定地点の設定のときに必要だという書き方がしてありまして、そういう意味を持つのかなという気もしたんですが、測定地点の話はその次の(6)のほうに書かれている部分なんですけども、それに関わることであれば、後ろのほうに持っていったほうがいいのかなと。ちょっと、ここがわかりにくい部分があると問題かなということで、もう一度お考えいただけないかと思います。

○柳田課長補佐 ありがとうございます。

 以前の専門委員会では、もともとは類型指定のところにこの2)の二つ目のマルの内容を書いていたんですけれども、これは目標値の設定の話であるということで移動したということなんですけれども、逆にわかりにくいということであれば、また、ちょっと書きぶりについては検討して整理したいと思います。

 その(6)のほうに持っていくかというのは、測定地点のあり方についてということだと思うんですけれども、ここにつきましては、先ほどの資料2でも回答させていただいたんですけれども、水生生物の保全・再生を図る範囲を適切に評価できる地点ということで記載しておりまして、明らかにそこでその水生生物の保全を期待しないようなところまで測定地点にする必要はないだろうということで書かせていただいたところではあります。

 いずれにしてもここの書きぶりについては、少し、事務局のほうで考えさせていただければとは思います。

○岡田委員長 いいですか。ただ、今の議論は、類型指定を行う必要はないという話と、自然的要因で溶存酸素が下がるところは少し違う類型指定というか、目標値をしなさいと、この二つを残すということですね。そういう議論は今まで、たしかあまりなかったはずだと記憶しているんですが。今までは、どちらかというと上のほうの議論で、自然的要因で酸素が下がるところは類型指定しないと、ただし、その酸素が下がっても、別の類型指定する可能性があるというのは新しいアイデアで、より精密だからいいかもしれませんが、混乱するかなという。

 どうぞ、福島先生。

○福島委員 印象としては、ほかの書き方ではそういう部分はないのに、あえてこれだけ、目標値の設定のところで、このことだけを特出して書く必要があることが気になりました。

○柳田課長補佐 そうですね、ちょっとここは、2)のこの下のところを、残すかどうかも含めて、一応、事務局としては、そういうこともあるかと思って記載したところではございますけれども。特段、かえって混乱を招くということであれば、どういうふうにするかはちょっと考えます。

○岡田委員長 じゃあ、ちょっと事務局も困るでしょうから、ほかの委員の……じゃあ先生、どうぞ。

○田中委員 多分、その下のほうのイメージはね、普段はかなり、生物はいろいろすんでいる底層があって、たまたま何かある自然的なイベント、何か外潮位が上がって、潮が汽水湖には普段は入らないんだけど、たまたま1年に1回位、ある限られた時期だけ入る。で、そのときに、その評価すべき溶存酸素濃度の値が理想的に、普段すんでいる生物がいるベースで考えたらかなり厳しい、すごい高いレベルが要るんだけれども、そういうときには、その潮が入ってきたときには、どこか、そのほかの周辺水域に生物が逃げていくと。それで、あえてその達成しないというようなイメージの判定をするという、年間としては少ないが常に自然現象でそういうことは起こってくるので、常に何かある程度の確率で基準値が不達成になるようなケースを場合によっては除外すると、こういうイメージの話なのかなと思ったんですけれども、そうでもないですか。以前にそういう何か議論がちょっと出たような気がするんですけど。で、上のほうは構造的にも、常にある程度、もうそこは対象外だと、生物があまりすむことを期待しないと、それを区別されているんじゃないですか。

○岡田委員長 ちょっと、じゃあこれに関連する、どうぞ、大久保先生。あと、鈴木先生も今までご発言されていますから、次にご意見いただいてから。どうぞ。

○大久保委員 今の議論ですと、その範囲の設定をどれだけ細やかにやるかという話は類型指定の際に、自然的要因のものについてはそれを考慮してやりなさいという話であり、下のほうの2)の目標値の設定については、時間的、空間的な観点で評価方法を検討するという、13ページのなお書きに吸収されるのではないかと思いますので、こちらの11ページの2)の2ポツは削除してもよろしいのではないかと思います。

○岡田委員長 だんだん議論が若干混乱してきましたけど、鈴木先生、もしご意見があれば。

○鈴木委員 原則的には、先ほど、質疑応答に対する対応で説明されたように、あまり除外規定というかな、ここは指定しなくていいですよというのはつくらないほうがいいと思うんですが。ただ、ここで留意すべきは、そもそも人為的影響ではなくて、自然的要因で、もうそこのDOが決まっている場合は、これは何とも対策もとりようがないから除外をしたほうがいいと、その例として、非常に水深が深いところだとか、もともと淡水が滞留しやすい地形で成層が常にきついような場所は、これは基準をつくっても、達成するのが難しいから、そこは類型指定については特につくらなきゃいけないということはないよという趣旨だと思うんですね。だから私は、要は、人為的につくった貧酸素水域は、これは例外なく、やはり基準の適用をすべきと、それが大原則であるということがわかる表現であれば私はいいと思うんですけれども。私は、この表現だと、やはり、読み方によっては、何でこんなふうに分けたのかなというふうに思うので、②以下の範囲は必ずしも類型指定を行う必要はないというところは1マルの自然的要因による水深の深い範囲や云々かんぬんのところだけで良いのでは、特に2マルは不要じゃないのかなというふうに、ちょっと今、私、先生方のご意見を聞いていて、そう思うんですけれども。

○鈴村委員 ちょっと整理したいと思うのですが、②の最初のマルのところは、設定する保全生物はいないという、設定する必要がないということですよね。ですから、この最初の水深の深い・・・・・・以降の文章、設定する保全対象種がいない範囲は、そもそも必要がない。その下は今度は条件、今、鈴木先生の言われたことが下に書いてあるんですけれども……。

○岡田委員長 ううん、違うな。

○鈴村委員 マルの1個目というのは、そもそも設定する必要がない場所を言いたいわけですよね。

○岡田委員長 そうですね。

○鈴村委員 ですから、この要因を書く必要はなくて、後半の「設定する対象生物が利用しない範囲と」いうのが一番大事であり、その場所は例えば水深の深いところですが、前半にこれが出てしまっているので、結果的に何をもってこれを設定しないのかということが伝わらないと思います。ですから、「等」の前は、基本的にはここの文章は要らないと思います。

○柳田課長補佐 ありがとうございます。

 確かに、その保全対象種がいないところは設定する必要はないと思うんですけれども、例えば、水深の悪化とか、人為的な形で、本来生物がいたところがいなくなってしまったようなところは、やはりそこは、何らかの対策をやって、貧酸素を戻してほしいというようなこともありますので、あえてこういう前提条件として、自然的要因という形では除外するという形で設定させていただいているところであります。

○岡田委員長 ほかの委員の先生方、ご意見があれば承っておきます。いいですか。

 そうすると、今、ここでいろんな意見が出て、必ずしもみんな同じ理解ができないというのは、これはパブコメとしても、より混乱すると思うので、今の意見を踏まえて、もう一度やはり事務局で整理していただいてから議論するというか、次に進んだほうがいいと思うんですが、どうぞ、審議官。

○早水審議官 もう一度よく考えますけれども、今、最後に鈴木先生がおっしゃったように、確かに、類似している内容であります。類型指定をしないでいいというところがあるということを言うのは私はいいと思いますので、鈴木先生のおっしゃったような、その下の説明を若干上に足すという形で、下は書かないという形がいいかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○大久保委員 それでよろしいと思いますけれども、確認ですが、先ほど鈴木先生がおっしゃったなかに、人為的に掘ったしたところのことも例示として挙がっていたので、それを入れるのか入れないのか決めたほうがよい。基本的には、本来、深掘り跡の埋め戻し等をしようという対策を考えるので、むしろそれは例に書かないほうがいいというふうに思います。

○岡田委員長 そうです、そうです。いや、それは多分、鈴木先生の言い間違いだと思います。ですよね。

○鈴木委員 ええ、わかりました。ちょっと私の言い方がまずかったかもしれませんが、人為的な要因によると思われる貧酸素化海域は例外なく類型指定すべきと言うのが私の意見です。

○岡田委員長 普段、先生のおっしゃっていることと違うはずですから、大久保先生のご指摘のとおりです。

 ほかによろしいですか。

○田中委員 ちょっとよろしいですか、次の件で。

○岡田委員長 ちょっと待ってください、この件を決着したいと思いますので。

 じゃあ、今いただいた意見で、まず、その上のほうは、これはいいですね。自然的要因のものはもちろん類型指定はしないと、いいんですが、下のほうのマルの中途半端なもの、これをどうするかという、これは新しいアイデアの、今までの議論に出てきてないんですが、これはどうしますか。

 どうぞ。

○田中委員 いや、これのイメージがね、常には起こらないんだけども、自然的要因で汽水湖に海水が高濃度で入ってくるケース。そして、ある確率で必ず、もう底層DOが守れないというケースがあると思うんですよ、汽水域の中に。それを考慮しているわけでもないですか。

○岡田委員長 いや、違うと思うな。

○田中委員 どういう、何をイメージして、これをちょっとつくられたか。要するに値を変えてもいいよという、こういうことですよね。普段は、本当は溶存濃度が高く、底に生物がいるんだけども、そこの設定値を入れると、場合によっては自然原因で、自然的な要素で汽水域の底層で塩水進入により成層化が起こると。ただ、じゃあ、それは底層生物にダメージがあるのかというと、必ずしもそうではないエリアがあって、それはしょっちゅうそういうことが起こっていれば別だけども、たまたまある季節だけちょっと高濃度の塩水が入ってくると。その時には底層では生物が逃げてしまうと。逃げて、ほとんど問題は起こってないと。そういうイメージのことをこれは想定されていたわけではないんですか

○柳田課長補佐 必ずしもそういうところはイメージしていたわけではないんですけれども、DOの値が下がってしまうので、目標値の設定に当たっては、少し考慮したほうがよいのではないかというような趣旨で、書かせていただいているところではあります。一時的に下がるというのは、その時期、また、どれぐらいにもよるとは思うんですけれども、そのようは場合は、例えば評価のところで、どういう形で評価をするのが適当かというところで、あわせて考えていきたいとは考えているところであります。

○岡田委員長 それでは、これは若干困ったんですが、上のほうは指定するかしないか、1-0の論理であって、下のほうは4のところを2にするとかって、そういう感じですよね、イメージとして。

○柳田課長補佐 少なくとも私はそういうイメージで設定しておりました。

○岡田委員長 それを入れるか入れないかというのは、今まであまり議論してこなかったんだけども、一応入れることが意味があるかどうかというのは、もう一度、じゃあ事務局で考えていただいて、今、田中先生のご指摘のような場合なのか、そうではないのか、もうちょっと具体的に考えていただいて、修文していただくと。で、ともかくこれからパブコメにかけることになりますよね。そのときに、ここでわからないんだったら、パブコメはもっと混乱して事務局も大変ですし、パブコメを出した方にも大変失礼になりますので、一旦整理していただいて、ここの意見、委員の先生方が多少反対があろうが、賛成があろうが、わかりやすい文章にして、その後、反対だったらパブコメで反対していただくと、それは半分冗談ですが、というぐらいのつもりで、パブコメに出す前に一旦、修文はメール等で回していただくということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 そこで、いただいた意見を、最終的にどういう形になるか、またご意見いただけますので、そこは申し訳ございません、座長に一任させていただいて、後で座長が袋だたきに遭うということがあってもいい覚悟で、じゃあ事務局も一緒に袋だたきに遭うことになっても仕方がないということで、今日の段階はよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。これはずっと議論になっている難しいところですので、今日のご意見を踏まえて、もう少し慎重に検討させていただきます。どうもありがとうございました。

 じゃあ、ほかの点で。どうぞ。

○鈴木委員 もう次は透明度の論議だということなんですか、まだ。

○岡田委員長 いやいや、次は透明度です。

○鈴木委員 そうですね。

○岡田委員長 DOは、今。

○鈴木委員 DOの部分で、説明資料のこれは何になるのかな。資料3-2ですね。

○岡田委員長 3-2の参考資料ですね。どうぞ。

○鈴木委員 3-2の20ページと、それから23ページで、20ページには、この表の中で、ヨシエビというのが淡水産甲殻類のエリアに入っているんですけれども、これは間違いだと思うんですよね。

○岡田委員長 本当だ。

○鈴木委員 この23ページのほうの表の9には、海域での再生産段階のデータとして入っているわけで、確かにヨシエビというのは汽水域、淡水のまざるところで産卵して、海に流れてくるという、少し生態的にも特徴的な種ですけども、これは海産甲殻類に入れるべきじゃないのかなと思いますけれども。

○岡田委員長 これは前は海産にたしか入っていたというふうに私も記憶していますが。

 じゃあ、これは確認してください。これは確認すれば済むことですので、ありがとうございます。パブコメ後も残る資料ですので、きちんとしておきたいと思います。

 どうぞ。

○鈴木委員 これも些細なことかもしれませんが、そろそろ最終修文ということなので、11ページの。

○岡田委員長 すみません、どこですか。

○鈴木委員 ごめんなさい、今の説明資料の11ページで、「以下の点を考慮して各水域の特徴に応じた目標値を設定する」の最初のマルで、新たな保全……。

○早水審議官 資料3-1のほうですね。

○鈴木委員 ああ、3-1のほう。ごめんなさい、3-1のほう、今、先ほどの。

 新たに保全対象種とすべき種が確認された際には、今回示した貧酸素耐性評価値の導出方法も、「も」となっていんですけれども、これは、導出方法というのを、この論理で一応つくってきているわけですから、新たな保全対象種が出ても同様な方法でやるべきで、「も」というのはどういう、何かほかに、その参考とする導出方法があるのかどうか、ちょっとそこはよく、よくよく読んでみると、やや曖昧だなと思ったんですけれども。

○岡田委員長 私も「を」ではないかと、そういうことですね、思いますが。こちらの誤解でなければ、どうぞ。

○柳田課長補佐 そのとおりというか、ほかに何かあるかなというふうに、ちょっと考えたものですので、ちょっと「も」というふうに書いたんですけれども、確かにこれは、参考とするということであれば、「を」というものが適当なのかと考えます。

○岡田委員長 じゃあ、これは「を」にしてください。

 ほかにございますか。どうぞ。

○大久保委員 今ちょっとお話ししていたのですが、そうだといたしますと、「を」だけではなくて、「参考」を「適用」とかにしなくていいのかということなんですが。

○岡田委員長 「を」を適用。これは事務局に一任しましょう、この手の文章はどういうふうに書くかというのがありますから。

 どうぞ。

○鈴木委員 例えばね、ちょっとごめんなさい、今、例えば内湾の典型種であるアサリについては、浮遊幼生では論文データがあるんですけれども、ただ、今回の環境基準値については、それは除外をされているわけですね。しかし、地域において保全対象種として、例えばアサリのような量的にも経済的にも重要な典型種については、やっぱり基準値云々といった場合もあると思われるのでは、今回のこの示した貧酸素耐性評価値の導出方法を参考にということに、そういう意味合いも含めて、ここはやや曖昧にされたんであれば、私はそれでよろしいと思うんです。新たに研究の進展で出てきた種、今検討されているけどもデータが少なくちょっと保留してあるような種について、排除されてしまう可能性がないように、そういうような意味で「導出方法を参考とする」でいいんじゃないのかなというふうに、ちょっと今、大久保先生のご意見と少しあれなんですけども、アサリがすごく気になっていて、これは全国の閉鎖性海域の中で水産的にも重要な典型種であることはもう間違いないわけで、ただ、その二枚貝というのは他の種類と違って成貝については非常に貧酸素耐性が強いが、浮遊幼生については、これは甲殻類と同じ位かなり高い値で、そこは重要だという論議になった場合には、やはりこういう項目も必要なのかなというふうに思うんですけれども。

○岡田委員長 今までの議論はそういうことにたしかなっていたと思いますので、多分、参考という曖昧な形のほうがいいかと思いますが、これももう一度事務局でご相談ください。

 鈴村先生、どうぞ。

○鈴村委員 10ページの表のすぐ上の文章、先ほどの目標のところと関連しますが、今までこの委員会に出ていたので、言わんとしているところはわかる気がしますが、パブコメ募集で初めてこれを読んだ方々が、「環境基準」と明記されていると、やはりこれは、環境省が音頭をとって規制として取り締まるものだというイメージを受けかねない。要は、先ほど質問しましたこの目標値について、そもそも何のためで、従来のものとどう違うかという点が、先ほどの回答では後で説明されているとのことでしたが、結局、どこにそれが入っているのかわからないまま来てしまいました。何のために設定するかという辺りがもう少し伝わるような書きぶりをどこかにきちっとしないといけないのではないかという点が一点です。もう一点は、最後の13ページの対策のところですけれども、関係者が連携しというところが、では誰が責任を持ってやるのかというところ、あるいは、実現可能性の提示がないまま、曖昧に藻場を造ったらなどと提案されている。実現への具体的なガイドラインがないまま、責任者も不在というところで進んでいくと、パブコメの回答者はいろいろ曖昧なまま回答しなければならないという危惧を覚えます。

○岡田委員長 じゃあ、これは事務局からお答えください、

○早水審議官 環境基準のところは、そこの上の4行が環境基準というのを意識して書いているところでありますけれども、DOが下がると水生生物の生息そのものに影響する、さらに、水環境の汚染を通じ、生活環境の保全に影響を及ぼすおそれがあるということで、水生生物の保全等の観点から水質汚濁の改善に関する施策を総合的にかつ有効適切に講ずる必要があると、これは環境基本法の文言をたしか使っておりますので、もし必要があれば、ここに「環境基本法に基づく環境基準」という形で書くのかと思います。

 で、環境基準を設定するということは、さまざまな対策を講じるということでありますけれども、これまでも、その関連項目としてCODとか窒素、燐についてを指標として、必要な規制を行っておりますので、今回はあくまで環境基準として、今までのCODや窒素、燐を補完するといいますか、最初のほうに書いたような、より直接的に生物への影響を示す指標、あるいはわかりやすい指標ということで、新たにこのDOというのを環境基準として設定するということになります。これを設定したから、もうすぐ何か規制が厳しくなるとかそういうことではなくて、これはあくまで、必要に応じて、その地域によって、状況によって変わってまいりますので、規制をするかどうかというのは、またこれは別の話であって、あくまで補完的な環境基準を新たな視点で追加したいというのがこの記述の位置づけであります。

 それから、2点目は。

○岡田委員長 13ページの下の対策の方向性のところです。

○早水審議官 これは、施策を講ずるのは国であったり、地方公共団体であったりいたしますので、今ある法律なり事業なりによるところの施策を総合的にというか、進めていくということになろうと思います。音頭をとるのはどこかとあえて言われれば、環境省であったり、地方の環境部局であったりということだろうかと思いますが、その際に、いろんな規制だけではない手法もはいってくるということで、ほかの関係者も連携して、というイメージで、今回、特に書いたところでございます。

○岡田委員長 よろしいですか。

○鈴村委員 結局、初めて読んだ人に理解できるのかというところが、私は非常に気になります。委員として、あるいは、ずっと傍聴されている方ならともかく、今回の目標とはこういった位置づけですというところが、文章の最初の方にきちんと入ってないんじゃないかなと感じます。

○岡田委員長 じゃあ、その辺の説明は可能かどうか、少し検討してください。

○柳田課長補佐 そうですね、ここの(4)のところに。

○岡田委員長 突然出てくるから。

○柳田課長補佐 といったようなところを少し、説明するという形で対応させていただければと思います。書きぶりについては、少し事務局のほうで検討させていただきたいと思います。

○早水審議官 あと、必要に応じて、「はじめに」のところに、何か書き足すほうがいいかもしれません。これ、諮問を受けて、というイメージで書いていたので、諮問に当たる部分の背景説明が少し足りないかもしれませんので、その法律的枠組みについて、「はじめに」のところを少し補強するような形で。

○岡田委員長 じゃあそれは入れてください。

 大久保先生、あれば、どうぞ。

○大久保委員 その「はじめに」の書きぶりを変えるというのはよろしいと思いますけれども、ここのところは、環境基準というのは、まさに法律に基づくもので、政策目標として環境基準を設定するということには違いがないわけです。環境基準の中にいろんなものがあるというふうに書くのは、むしろ混乱するので、ここはこのままでよろしいかと思います。

○岡田委員長 じゃあ「はじめに」のほうで、おっしゃるように追加というか、加筆していただくことでやりたいと思います。

 少し時間が押していますので、とりあえず、次に進めさせていただきます。

 いいですか。どうしてもあれば、どうぞ。

○中村委員 13ページ、資料3-1の13ページの真ん中の辺りの評価方法、3)の評価方法のところなんですが、最初の段落の日間平均値の扱いの説明のところで、前回出ておりませんでしたので決着がついていたらちょっと申し訳ないんですが、この文章を読むと、何かこう一日の中の変動性を考慮した上で、その生物の生息を適切に表すような日間の代表値というのをきちんと評価してくださいというふうに読めるんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。いや、私の意見は、むしろ24時間曝露試験をした結果を使っているという評価方法に基づいて考えれば、一日の平均値をもって評価方法にするというような書き方をすればそれで十分ではないかなと思うんですけれども、ちょっと、その文言の意図されるところがよくわからないというのが質問なんですけれども。

○岡田委員長 ご指摘のような意図で書かれたんじゃないかと思うんですが。

○柳田課長補佐 上のところに、急性影響の視点、24時間の底溶存酸素耐性試験に基づいて、その95%の固体の生存が可能な溶存酸素量というその実験結果をもとにやっておるので、日平均値という形で評価するということでございます。

○中村委員 それでしたら、最初の文の途中、短期間でも底層溶存酸素量が下回るというのは全く不要ではないかと。

○岡田委員長 なるほど、わかった。

○中村委員 短期間というのがよくわからない。

○岡田委員長 よろしいですね。

○柳田課長補佐 わかりました。

○岡田委員長 中村先生のご指摘、ありがとうございました。じゃあ、これは修文してください。

 ありがとうございました。それではちょっと進ませていただきます。次の沿岸透明度のご説明をお願いいたします。

○柳田課長補佐 それでは、4番の沿岸透明度の目標設定の検討についてですけれども、14ページになります。

 まず、基本的考え方でございますけれども、水生植物の保全の観点につきましては、海藻草類及び沈水植物等の水生植物が、その生活史を通して、生長、生残して再生産が行われることにより、水生植物の生育が維持できる場を保全・再生することを目的に検討いたしました。親水利用の保全の観点につきましては、自然環境保全の親水利用、日常的親水の親水利用に分類して検討いたしました。

 導出方法につきましては、まず、水生植物の保全の観点でございますけれども、海域においては海藻草類を対象にいたしまして、湖沼においては沈水植物を対象に、それぞれの生育に必要な水中光量を確保できる条件について求めました。海のほうでの海藻草類につきましては、水生植物の種ごとの必要最低光量を活用いたしまして、水生植物の分布下限水深と必要な透明度の関係式を求めました。湖沼の沈水植物につきましては、沈水植物の分布下限水深に関する知見とその場の透明度のデータを活用して、水生植物の分布下限水深と必要な透明度の関係式を直接求めました。これに関連する資料は、3-2については27ページ目から33ページになります。

 親水利用の保全の観点でございますけれども、これについては、既存の環境基準の設定の検討資料のうち透明度をもとに基準値を設定した資料、親水利用に関連する既往の指標等、現状の透明度と親水利用との関係に係るデータを活用いたしました。

 15ページの沿岸透明度の目標値の検討でございますけれども、ある水深における水中光量を算定した式と、透明度と減衰係数の関係式から、透明度と水深の関係式を求めたところでございます。それに海藻草類の必要な光量をあてはめたものが、その下にある表になります。これについて、アマモについて、この関係式を実際の藻場で観測された分布下限水深と透明度の関係と比較したところ、概ね等しいということでございました。これに関連する資料が、3-2の33ページから35ページになります。アマモの実際の検証については36ページと37ページの上の図になります。

 次は、沈水植物に係る沿岸透明度の目標値でございますけれども、沈水植物として、まとめて生育に必要な透明度を導出したということで、下にある表の中の関係式のようになっております。この導出方法の関連資料が、37ページから39ページとなります。

 次は、親水利用の保全の観点からの得られた知見でございますけれども、自然環境保全につきましては、清澄な水質を確保すべき水域の透明度が、海域については概ね10m程度、湖沼については6~7m程度でございます。日常的親水でございますけれども、水浴については、水浴場の水質判定基準を踏まえると、水浴場開設前又は開設期間中における水浴場の望ましい透明度は「全透(または1m以上)」である。また、水浴場近傍海域の透明度は、平均的には6m程度、最低で2m程度であると考えられる。眺望については、東京湾の赤潮判定の目安や琵琶湖の淡水赤潮発生時の透明度のデータを勘案すると、少なくとも1.5m以上は必要であると考えられる。また、全国の公共用水域の透明度とその地点または近傍における親水利用の関係に係るデータによりますと、全体としては目立った傾向はなかったんですけれども、海域のダイビングや水中展望については、現在、他の親水利用行為より高い透明度の水域において利用が見られるということでございます。なお、このデータは、あくまでも各測定地点又は近傍における現在の透明度と親水利用の状況を整理したものであり、各親水利用行為における望まして透明度を整理したものでないことに留意が必要であるということでございます。

 沿岸透明度の目標の位置づけでございます。水生植物の保全の観点からの沿岸透明度については、一定の知見が得られたものの、目標値については、保全対象となる水生植物に対して、保全する範囲ごとに、地域の意見等を踏まえて目標分布下限水深を検討し、目標値となる透明度を計算式により導出することとなり、地域の実情に応じて相当幅広い範囲で目標値が設定されることが想定されることが想定される。この場合、従来の環境基準に設けられている「類型」の考え方とは違う考え方となる。また、親水利用の保全の観点については参考となる知見が得られたものの、同じ親水利用を行う場合であっても、求められる透明度が水域によって異なることが考えられるということで、このため、沿岸透明度については、水環境の実態を国民が直感的に理解しやすい指標であることを鑑み、指標として設定することは有効であると考えられるものの、その位置付けについては、上記を踏まえると、環境基準として位置づけるよりも、むしろ、地域の合意形成により、地域にとって望ましい目標値として設定することが適当であると考えられる。それぞれの地域において、藻場等の水生植物の保全・再生する地点や親水利用が行われる地点の水質の状態を把握しつつ地域住民が直感的に理解しやすい指標として地域の実情に応じた目標値を設定し、その維持、達成を目指して適切な対策が進められることが期待されるということでございます。

 今までの親水利用に関してのデータ整理が3-2の40ページ以降に載っているところでございます。

  (5)の沿岸透明度の目標値でございますけれども、それぞれ次のとおりとすることが適当であるということで、まず、水生植物の保全の観点からの沿岸透明度の目標値については、保全対象となる水生植物に対して、保全する範囲ごとに、地域の意見等を踏まえて目標分布下限水深を検討し、保全対象種の成育に必要な透明度を以下の計算式、下に透明度と分布下限水深の関係式を載せておりますけれども、これから導出することにより目標値を設定するということになります。

 親水利用の保全の観点からの沿岸透明度の目標値につきましては、親水利用行為の例やこれまでに得られた全国的な知見や、当該水域の過去及び現在の透明度等を参考にしつつ、水域の利水状況や特性、地域住民等のニーズ等に応じて目標値を設定するということにしております。

 18ページ目の(6)でございます。沿岸透明度の各水域における目標設定の方向性でございますけれども、留意点を述べております。

 1)として、まず現地調査等により、各水域の現状の透明度を把握するということで、過去からの場合にはその測定結果や、また水深を測定するとしております。2)が、水生植物の保全・再生からの透明度につきましては、保全対象種を設定して、その成育の場を保全・再生すべき範囲を設定するということで、その各地域の関係者の意見等を踏まえて、透明度の目標値を導出するということを基本とするとしております。3)親水利用の保全の観点からの透明度については、水域の利水状況、水深、水質などの特性、地域住民等のニーズ等に応じて目標値を設定するということで、関係者の意見等を踏まえて合意形成を図った上で、現状及び過去の当該水域の状況も考慮しつつ、目標とする透明度を設定するとしております。最後、4)で、両方が重なる範囲においては、原則として目標値の高いほうを当該範囲の目標値として設定するが、各地域の関係者の意見等を踏まえて適切な透明度を設定するとしております。

 すみません、20ページですが、(7)の沿岸透明度の監視及び評価でございます。測定地点は、水生植物の生育環境、透明度の状況、水深等を勘案して、適切に評価できる地点を設定する。測定頻度は、原則として月1回以上測定する。評価方法については、年平均値で評価するということでございます。

 対策の方向性につきましては、これも地域の関係者が連携し、地域毎の望ましい水環境像を検討して沿岸透明度の目標値を設定するとともに、目標値の達成に向けて、水生植物の保全状況や親水利用のニーズを踏まえてどのような水質保全対策等が効果的か等について議論して、総合的に対策を進めることが必要であるとしております。

 最後、5の「おわりに」でございますけれども、今回、新たに追加したところでございます。

 「本報告は、平成25年8月30日付けの環境大臣の諮問「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて」を受け、これまでの知見等をもとに底層溶存酸素量及び沿岸透明度の目標値について考え方を整理したものである。水生生物の生息への影響等を直接判断できる指標である底層溶存酸素量や、国民が直感的に理解しやすい指標である沿岸透明度といった、水環境の状態を表す新たな目標の設定により、国民の水環境に関する関心が高まるとともに、良好な水環境の実現に向け、地域における水環境保全施策が促進されることを期待したい。」でございます。

 以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。

 それでは、ご意見等をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○福島委員 前回も質問させていただいたのですが、今回、環境基準ではなくて、地域の合意形成によって、地域によって望ましい目標値として定めると、これは従来の環境省の水関係のものであれば、水生生物の保全における要監視項目のような、そういう位置づけを考えているという、そういうご返答をいただいたような記憶があるのですが。そういうことを受けて、環境省として、これをどういうふうに管理をされていくのか、地方のほうで目標を決めて、毎年はかって、その結果を報告してもらって、それに対して何かアクションをとるのかどうか。例えば、この19ページのところで、沿岸透明度の目標値当てはめの流れの一番下に達成期間の設定とかという部分がございまして、その要監視項目等では、こういうことの設定もできるのかどうか。要するに国として、これをこういう格好の目標値として位置づけした場合に、どの程度の関与をされるのかがちょっとわからなくて、その辺、もう少しわかりやすく書かなくていいのかどうかという質問です。

○岡田委員長 じゃあ、これは環境基準では少なくともないので、そもそもどういう名前に、名前があるかどうかわかりませんが、どうするかという重要なご質問ですので、事務局、どうぞ。

○柳田課長補佐 ありがとうございます。

 名称につきましては、これまで、基準にはならないものということで要監視項目というのを位置づけているところでございます。要監視項目というのは、例えば健康項目や水生生物保全の観点から有害性のある物質について、有害性はあるけれども、公共用水域で検出されていないので、今は基準にしないということで設定されております。基準にはならないという点においては同様ではありますけれども、名称や位置づけとしては、要監視項目とは若干違うものになりますので、名称については考えていきたいと考えております。

 それで、国がそれに対してどの程度関与するのかということでございます。確かに目標を設定して、あとは全部地域でよろしく、というのもどうかと考えておりますので、19ページの上のところに、手順については国として整理を行った上でということでございますけれども、それをどう国として把握していくとか管理していくかというところについても、ちょっと考えさせていただきたいと思いますが、やっぱり何らかの方法で、目標値を設定しているところの情報だとか、透明度のデータとかを把握していくことは、していくのかと考えているところではございます。

 あと、ちょっと下の、図2の下のところに達成期間の設定というのは、ちょっと、環境基準ではないので、これが適切かどうかというのは、改めて考えたいと思います。

○岡田委員長 局長、どうぞ。

○三好局長 ありがとうございます。

 これはもともと環境基準としての評価というところから議論をしていただいてきて、さまざまな議論を経て、こういう形にさせていただいたらどうかということになってきておりますので、地域に密着した形での、指標というのか、目標というのか、別途整理が必要ですが、そういうものとして管理をしていきたいと思っています。そういう意味で、法律に基づく環境基準ではない手法はほかにもさまざまあるんですけれども、これは、今回おまとめいただいた新しい取組ということですので、おまとめいただいた上では、実際には地方公共団体に、こちらの意図をご説明し、どういう対策がとれるかというような意見交換をしながら実質的には進めていくことになろうかというふうに思っております。

 そういう意味で、今回、このままの形でおまとめいただければ、ある程度、行政の施策として打ち出していきますが、どういう進捗状況になっているのかということにつきましても、定期的に部会なり、あるいは別途専門委員会があるようでしたら、そういう適切な場でご報告して、先生方のご意見をまたお聞きしていきたいと考えております。

○福島委員 地域にとって望ましい目標にするというのは私も賛成なのですが、両者が違うということをはっきりと示した方がよいと思います。で、図の1と図の2が、まるで同じように書かれているので、それでいいのかということです。この図の書き方を変えながら、やっぱり違う関与の仕方なのですよということを示さないでいいのかということです。

○岡田委員長 じゃあ事務局で再検討していただくということで、いいですね。

○柳田課長補佐 させていただきます。

○岡田委員長 ほかにございますか。どうぞ。

○田中委員 今の話と多分、基本的に一緒なんですけど、先ほど、鈴村先生が言われていた、その、これまでの考え方と変わった部分があるというのが、途中で文章を足し足しやっているので、まだ、多分統一されてないと思うんですが、例えば、その目標値という言葉が一緒なんですけど、タイトルとか、幾つかのところは、ところが途中で望ましい何とか何とかということが出てくるんですよ。例えば、もう今のキーワードの中で、この文章の中で、全体のトーンとしては「望ましい」という新しい言葉を使っているわけですよね。それで、もう一つ統一してしまったほうがわかりやすいんじゃないかと。望ましい透明度という言葉で置きかえているところもあったりね、透明度の望ましい目標値みたいなものでしょう、要するにそういう言葉は。ところどころ目標値だけが残ってきているとこがある。

 それから、例えば適切性とかね、文章の中でも適切だとかどうのこうのと書いてあるところがあるんですよ、多分18ページの一番下かな。一番下の4)の適切なと、これは科学的に適切だという意味ですよね。ところが、ここの途中の議論は変わっているんですよね。そういうところがごじゃごじゃ入っているんですよね。

 それから、あと、非常にこれ、進んだ考え方でいいんですけど、その18ページの3)のところで、この決め方、これ、決め方は多分、これが国がエイヤアで決められないんで、地域で決めていくんだけど、極めて、誰がどうやって決めていくのかがよくわからないことを書いていくのは、このために各地域の関係者と議論の場を設定して、関係者の意見等を踏まえて合意形成を図った上で、やっと設定するんですよ。このプロセスが、具体的にどうするんですかね、誰が一体やるんですかね。だから、もう少し何か優しい、まだトライアル的なところがあるので、もうちょっと何か柔らかい表現ができないのかなというちょっと気がしますね。

 ちょっと、だから全体的にその、ここだけのトーンがやっぱり違うので、それが誤解を受けないように、部分的に見たら理解できるところはあるんだけど、恐らく、さっと見たときに、これが従来の環境基準値と一緒のものであるという概念に、まず混乱しない。言葉からちょっと変えたほうがいいんじゃないかと、で、統一したほうがいいと。これ、まだ多分統一し切れてないと思うんです、幾つかの概念が、そういう気がちょっとします。

○柳田課長補佐 ありがとうございます。

 確かに先生のおっしゃるとおりで、もともと環境基準として検討していて、このような形になったということもあって、まだ、ちょっと表現ぶり等うまくまとめ切れていないところもあると思いますので、そこにつきましては、もう一度事務局でチェックをして、どのような表現にするかというのは考えていきたいとは思います。

○早水審議官 補足させていただきます。沿岸透明度については、環境基準とは違う形にしたいということで、あえて、割と詳しい目に説明を書き足そうとしたんですけれども、まだ不統一が、よく練れてないところがあるかもしれません。

 1点だけ、「望ましい」という言葉は、環境基準も望ましい基準ということになっていますので、「望ましい」という言葉で区別することはちょっと難しいことになります。

○田中委員 さっき言ったように望ましい目標値という単語はないんじゃないですかね。望ましい水環境何とか何とかの目標値というのはあって。その辺、またチェックいただいて。

○早水審議官 いずれにしても、その違いをある程度明確にしつつ、なるべく統一的に書けるようにしたいと思います。確かに、先生のおっしゃったように堅く書き過ぎているところがあるかもしれませんので、そこは少し柔軟性があるようには書きたいんですが、区別があることは明確にしなければいけませんので、ちょっとその辺り、さじかげんが難しいのですけれども、検討したいと思います。

○岡田委員長 じゃあ、よろしくお願いします。

 ほかにございますか。どうぞ。

○鈴村委員 16ページの一番下の3行目辺りです。全体的に非常に複雑な議論をまとめていただいている中で、盛んに「国民に直感的に理解しやすい」という言葉が繰り返し出てきます。その上の段落では「国民が直感的に理解しやすい」、こちらは「地域住民が直感的に理解しやすい」。少なくともこちらはなくてもよく、さらに全体的に「国民的に直感的に理解しやすい」という文言を少し減らす努力をされたほうが聞きやすいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございます。よろしいですね、そのとおりだと思います。

 ほかにございますか。というか、全体を通じて、どうぞ。

○西村委員 ちょっと小さなことなんですが、透明度の目標値を出すためには、この目標分布下限水深というものを地域の皆さんと一緒に、相談して検討しなくちゃいけないんですが、この目標分布下限水深という言葉が、何か、非常にわかりにくくないかなと、何か、せっかくわかりやすい指標で検討してきたんですが、分布下限水深というのは決められていて、それを使って目標の水深を考えるという意味では、こういうふうになるのかもしれませんが、もうちょっと何か、すっとわかるような言葉を考えていただいてもいいかなと思いました。

○岡田委員長 何かいいアイデアはないですか、西村先生。

○西村委員 いいアイデアですか。分布下限とか、ちょっと除いて、すごくいいような気がするんですがね。

○岡田委員長 ああ、そうか。言葉が多過ぎて、かえってわかりにくいということですか。

○西村委員 要は、どこまで、例えば海藻なら海藻を分布させたいかという目標ですよね。

○岡田委員長 じゃあ、趣旨は通じていると思いますので、もう少しご検討ください、今の言葉について。

 ほかにございますか。全体を通じて、ご意見を賜ればと思いますが。どうぞ。

○樽谷委員 沿岸透明度の対策の方向性のところで、20ページの一番終わりに、対策による効果等を踏まえ、状況に合わせて適切な目標値が設定されるよう、定期的な見直しを行うことが望ましいという文言がここに加えられています。一方で、底層DOのところでは、そういった文言はないので、あえてこの沿岸透明度のところにこういう文言を加えられた趣旨みたいなものがわかれば。

○柳田課長補佐 趣旨でございますけれども、環境基準というのは、環境基本法の中に、その基準については常に科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならないという条文がございますので、そこは常に見直していくということがあるんですけれども、沿岸透明度については、そのようなことがないので、あえて記載したということではありますが、そこまで必要があるかと言われると、そこは委員の先生方のご判断にもよるのかなというふうに考えているところでございます。

○田中委員 私は、それがあるから、これを評価しているんですけど。アクションプランですよね。ゴールに対して近づけていくということをやるために、こういう手法をとられたことを高く評価しているんですよ。環境基準も、本来はそうあるべきなのかもしれないんだけれども、それができないんですよね、あくまでアイデアルなゴールなので。だから、私は、これはしっかり残してほしいと思います。それが違いだと思います。

○岡田委員長 これは多分いろんなご意見があると思いますから、このままにしておきましょう。ほかからいろんな意見をいただいて、最後どうするか、まだ最終決定する、田中先生のご指摘は重要なことですが、ここで決めなくてもいいかもしれません。いいですね、そういうことで、残しておいて最終判断すると、今回ではないということで、じゃあ決着したいと思います。お願いいたします。

 ほかにございますか。どうぞ。

○鈴木委員 先ほど少し言ったことで、くどいと思われるかもしれませんけれども、3-1の11ページなんですけども、「新たな保全対象種とすべき種が確認された際」という表現に少しこだわりがあるんですね。

○岡田委員長 ああ、なるほどね。

○鈴木委員 これは、要は地域で、例えばどういう種を保全すべきかという論議がある場合に、当然その立場、立場で、この環境基準を設定した種以外のものを、先ほど、例えばアサリなんかの場合はどうなんですかという話をしたんですけれども、やはり地域で底層利用をする目的が、こういう種類がダメージを受けているから、これはやっぱり何とかしたいよねという目標を設定するわけなので、ここの表現は、「新たな保全対象種とすべき種が確認された」という表現ではちょっとないんじゃないかなと思うんです。ただ、どういう表現がいいのかということについて、あまり私はいいアイデアを持ち合わせていないんですけれども、少しそこも、先ほど言いませんでしたが、どういう目的のために、ここの以下の点を考慮してとこうなっているのかというところが、やはり先ほどから論議されているように少しにわかりにくいので、もう少し明瞭に、やっぱり表現したほうがいいと思うんです。

 さらに、先ほどもちょっと、私、矛盾したことを言ったかなと思ってよくよく考えてはいるんですけれども、要は、例えば窪地一つとってみても、もともと窪地だった場所と、人為的に窪地にした場所とは、これは違うわけで、私が申し上げているのは、除外してもいいよというのは、自然的要因でもともとそこが窪地だった場合は、これはもう環境基準の改善をするということはなかなか難しいと、こう申し上げているわけで、私が申し上げたいのは、その自然的要因とそうでない人為的要因というのを主軸に表現系を整理したほうがわかりやすいとこういうこと。

○岡田委員長 今の点はよろしいですね。わかりました、ありがとうございます。事務局は、ご理解いただいていると思いますので。

 ほかにございますか。よろしいですか。

 そういたしましたら、本日、今、鈴木委員がご指摘になった部分のところで、類型指定をどうするかということとか、それから環境基準、それから環境基準でないものについては、前書きでどうするか、少し記載する。それから図の1、2は同じようでわかりにくいから、少し変えてくれというようなご意見がございました。さはさりながら、全体としての流れについては大体ご了解いただいていると思いますので、今いただいたご意見を踏まえて、当然のことながら事務局で修文していただきたいと思います。で、その結果について、もう一度委員の先生方にメールで確認をするという作業をさせていただければと思います。それを踏まえた上で、本委員会の報告のまだ案です。完成では当然ございませんので、案として取りまとめるということをして、それから広いご意見を伺うというステップに進みたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。じゃあ、そういう形で進めさせていただきたいと思いますので、ぜひ、最後にお願いですが、委員の皆様方に、もう一度ご確認をいただくという作業をよろしくお願いいたしたいと思います。その結果の取りまとめは、申し訳ございませんが私のほうにご一任いただくということで、次のステップに進ませていただきたいということで、よろしくお願いいたします。

 ということで、よろしいですか。本日は大変活発なご意見をいただきまして、ありがとうございました。予定より20分も過ぎて大変申し訳ないんですが、いろんなご意見をいただいたことは深く感謝申し上げます。

 じゃあ、どうぞ。

○柳田課長補佐 本日はいろいろ貴重なご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。事務局の取りまとめ原案については、いろいろと申し訳ございませんでしたが、先ほど委員長からもございましたけれども、こちらのほうで修正を一回いたしまして、皆様にメールを送らせていただきますので、ご確認をいただければと思います。その後、委員長に確認いただいた後、同時に、形式的な部分も含めて、もう一度熟考いたしまして、報告案を取りまとめた上で、パブリックコメントの手続にかけることとさせていただきたいと思います。いただいたご意見への対応につきましては、改めて本専門委員会でご議論いただいた上で、委員会報告として取りまとめていただきたいと考えておりますので、また、引き続きよろしくお願いいたします。

 次回の日程につきましては、また後日、調整の上、決定させていただきます。また、議事録につきましては、事務局で案を作成いたしまして、後日、送付させていただきますので、ご発言の内容についてご確認いただいた後、公表していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○岡田委員長 よろしいでしょうか。若干、これからまだ作業が残った形で進ませていただくことは申し訳ないんですが、あまりぐずぐずやっていてもしようがない面もあるかと思いますので、こういう形で進めさせていただきたいと思います。

 それでは、以上をもちまして第6回の専門委員会を終了させていただきます。本当にご熱心にご討議いただき、どうもありがとうございました。

午後5時53分 閉会