中央環境審議会水環境部会 水生生物保全環境基準類型指定専門委員会(第10回) 議事録

日時

平成19年11月26日開催

場所

環境省 水・大気環境局 水環境課

議事

午後15時00分 開会

○辻原課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会水環境部会の第10回水生生物保全環境基準類型指定専門委員会を開催いたします。
 本日は委員9名中6名のご出席が予定されております。ただいまのところ5名の出席をいただいております。谷田先生につきましては、15分ほどおくれて出席をされるというふうにご連絡をいただいております。
 議事に先立ちまして前回から本日までの間に事務局に異動がございましたので、まずご報告をさせていただきます。水環境課長は前任の望月から河崎にかわりました。
 それでは、最初に水環境課長からごあいさつをいたしたいと思います。

○河崎課長 ただいまご紹介いただきました河碕でございます。先月の16日付で水環境課にまいりました。ひとつよろしくお願い申し上げます。
 先生方におかれましては、大変お忙しい中お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。また平素より水環境行政の推進につきまして、一方ならぬご支援、ご尽力を賜っておりまして、本席をおかりし、厚く御礼を申し上げたいと存じます。
 さて、水生生物保全環境規準を現場において適用していく取り組みであります環境基準の水域類型の指定につきましては、これまで本水生生物保全環境基準類型指定専門委員会におきまして、北上川等4河川の指定に引き続きまして利根川水系、荒川水系、東京湾についてご検討いただいております。これまで9回のご審議を賜っているところでございまして、本日で第10回目ということになってございます。前回までの審議におきましては河川の類型指定のご検討いただいているところですが、本日は、前回までのご検討の中でいただいたご意見を踏まえた河川における特別域設定の考え方、及び海域での類型指定の考え方について、事務局の方で資料を準備してございますので、今後の検討方針も含め、忌憚のない意見交換を行っていただきたいと考えております。
 それでは、本日はよろしくお願い申し上げます。

○奥田係長 それでは、最初にお手元の配付資料についてご確認をいただきたいと思います。お手元の方に、議事次第にございますように配付資料として本日資料1から資料10、及び参考資料1と2ということでお配りしております。A4サイズのもにつきまして、資料1から資料10、ただし資料2につきましては、委員限りという資料にさせていただいてございます。さらにA3の資料としましては、資料5の別紙及び資料8の別紙ということで、2つづり、A3サイズの資料がございますので、ご確認の方をお願いします。もし、資料に不足等ございましたら随時事務局までお申しつけください。
 それでは、これ以後の進行につきましては、須藤委員長にお願いいたします。

○須藤委員長 かしこまりました。それでは、進行役を務めさせていただきます。
 本日はご多様の中をお繰り合わせご出席いただきましてまことにどうもありがとうございます。先ほど課長からお話がありましたように、本委員会も10回目ということでございますが、利根川、荒川系の類型については、できれば本日、大体の目安をつけていきたいと考えているところでございますので、よろしくご協力のほどお願いいたします。
 それでは、早速議事に入りますが、その前に資料2に前回議事録案が準備されております。本資料は委員の先生方にご確認いただいた後、事務局で修正し、再度各委員の先生方に送付されている資料でございますので、ここで前回議事録としたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。先生方、特によろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございます。異議がございませんので、本議事録を前回議事録としますので、事務局において公開の手続をとってください。お願いをいたします。
 それでは、本論に入りまして、議題1、河川、湖沼における類型指定についてでございますが、本件は先ほど申し上げましたように、10回ではございますが、荒川水系、利根川水系は4回目の会合ということになるわけでございまして、前回のご指摘がありました特別域の指定について事務局の方で資料を準備していただいております。説明を受けたいと思います。まず資料の内容について事務局から説明をお願いいたします。

○辻原課長補佐 それでは、資料3と4、5、6及び参考資料1、2ということで説明を進めていきたいと思います。
 まず初めに、川の方の特別域の考え方について、ということで、前回のご指摘を踏まえて修正等いたしたものについてご説明をしたいと思います。初めに資料3をごらんいただきたいと思います。前回、ご提出しました資料を一部修正をしております。そこの部分でございますけれども、[3]というところがございまして、水深、流速、河床材料、川岸の植生などが当該魚類の産卵場等として適した条件にあり、今後ともその条件は保たれ得る水域、こういった類型についても、川の特別域の1つにつなげていこうということで整理をしております。この辺につきましては、前回、[1]と[2]、保護水面と、それから保護水面ではないけれども漁業関係者等によって同等以上に保護されているようなところ、こういった類型をお示ししていたところでございますけれども、[3]のようなところ、人の手が加わっていないところでも、自然に産卵場となっているところがある。こういったところを入れないのはおかしいのではないかというふうなご意見がございましたので、[3]について、1つの類型ということで加えさせていただいております。まず前提としましてそういう整理でございますけれども、この[3]を具体的にどうするかということにつきましては、後ほどご説明いたしたいと思います。
 その前に、[1]につきまして宿題をいただいておりまして、それにつきまして、まずご説明の方をいたしたいと思います。[1]の関連でございますけれども、保護水面に指定されているものをどうするかということでございます。その説明が2.の(1)保護水面の設定状況というところにございます。前回は鬼怒川、荒川、霞ケ浦・北浦、それぞれ保護水面がありますということでございまして、そのうち荒川の寄居場あたりにあるウグイを対象とした保護水面について、特別域ということで指定をしていきたいというご説明をしていたところでございますが、鬼怒川、霞ケ浦・北浦、これはワカサギを対象として保護水面ということになっているわけでございますけれども、この扱いについてどうするのかといったご質問等をいただいております。
 今回の整理でございますけれども、資料の4をごらんいただきたいというふうに思います。資料4につきまして、これは、一部前回ご提出している資料と同一なものでございます。それぞれの保護水面での保護対象となる魚類の産卵状況の資料をつけてございます。
 まず鬼怒川についてでございますけれども、3ページをごらんいただきたいと思います。鬼怒川の保護水面でございますけれども、アユを対象としているわけでございます。この保護水面において都道府県の方、群馬県の方で産卵状況の調査というものを行っております。それが産卵場調査結果という上の表ですが、平成6年度、平成7年度と卵がございまして、それぞれ卵が見つかっているということです。平成17年度以降につきましては、アユ卵は確認ができていないというふうなことでございます。これは、県の方に聞いたところでは、河床の状況が徐々に変わってきているということで、アユの産卵に適さなくなっているという状況でございます。
 ということでございますので、資料3に戻っていただきまして整理をしておりますけれども、2ページのところで、毎年継続的に実施をしているんだけれども、平成17年度以降の調査では卵が見つかっていないということでございますので、これにつきまして、初めの1.の考え方に従いますと、保護水面であって実際に産卵が確認されているところを特別域にしていこうということでございますので、[1]の鬼怒川の保護水面につきましては、今回のところは特別域には該当しないということになるかと思います。
 次の荒川につきましては、前回の整理のとおりでございます。
 [3]に移りまして霞ケ浦・北浦でございます。こちらの方の産卵の状況でございますけれども、資料4をごらんいただきたいと思います。4ページ以降に霞ケ浦・北浦における保護水面の調査状況というものがございます。こちらの5ページの下の表をごらんいただきたいと思います。こちらの方は、茨城県さんの方で調査をされている産卵の状況ということでございます。この表の見方ですけれども、上から保護水面、禁止区域、その他と出ておりまして、今回検討の対象となる保護水面でございますが、出島地区、美浦地区というものがございます。6ページの方には北浦についての同様の表がございまして、こちらの方に保護水面として麻生地区、大野地区というものがございまして、それぞれ産卵の状況というのが書かれているわけでございます。調査の特徴といたしましては、同じ箇所で継続的に毎年調査をするということではなくて、これは予算の都合等もあるかと思われるのですが、毎年、違う地点を調査をされているという状況でございます。場合によっては同じ地点ということもございますけれども、変わっている場合もあるということでございます。
 これを見ていただきますと、おわかりになるとおり、年によっては卵がゼロであったりというようなこともございますし、同じ地点であっても、ゼロになったり卵が出てきたり、というふうな状況が見られるというふうなことでございまして、こういった結果を総合して考えますと、年度により卵が見つからない年もある、当該水域で継続的に産卵が行われているとは言いがたいのではないかというふうに思ほけます。
 ということで、結果でございますけれども、資料3の2ページに書いてございますけれども、年によって卵が見つからない、当該水域で継続的に産卵が行われているとは言いがたいということでございますので、1.の考えに従いますと、保護水面ということでは、特別域の指定という条件には合致しないのかなと考えております。
 ただ、これは今後の検討課題と言うことでございますけれども、霞ケ浦全体ということで見た場合には、どこかでは毎年卵が見られるということでございます。特に保護水面以外のところをごらんいただくと、資料4の5ページの表であるとか、6ページの表の下の方でございます、その他と書いてある欄でございますけれども、特に5ページの下の表のその他の中の恋瀬川下流域とか河口域、こういったところの数字を見ますと、卵の数が626であるとか、36~375と、かなり数が見つかっているというふうな状況でございます。
 これは実は霞ケ浦の水面ではなくて、恋瀬川というところで産卵をしているということということでございますので、霞ケ浦につきましては、こういった産卵の結果がどういうふうに実際の霞ケ浦のワカサギの再生産につながっているのか、そのあたりをもう少し検討して、全体でどういうふうに扱っていくのかといったことが必要ではないのかなと、現在、事務局の方では考えております。
 以上が1.の[1]の前回ご指摘をいただいた点についての回答ということになります。
 続きまして、1.の[3]につきまして、これは今回新たにご提示しているものでございますけれども、この考え方をどうしていくのかといったところのご説明をしていきたいと思います。資料3でいいますと、2ページの(3)に概略の考え方を示してございます。河床材料であるとか、水温、水深、流速等から産卵場等の可能性があると考えられる水域や専門家等の指摘などて産卵場等として考えられる水域もあるが、ということで、資料5と書いてございます資料5をごらんいただきたいと思います。
 資料5でございますけれども、[3]の指定に当たってどういうふうな作業手順で指定をしていくのかといったところを、一応今回、案ということでご提示をしております。1ページのところにおおまかな流れをつけてございます。まず、河川環境状況の整理ということで、河床材料、水温、流速、水深など、こういった基礎的な情報を整理いたします。それから、一方で検討対象種の選定ということで、当該河川における主要な魚介類、産卵範囲が限定魚介類、こういったものを選定いたしまして、その魚種の産卵に適した状況、水温であるとか河床材料、こういったものを整理いたします。1.と3.の情報を重ね合わせまして、想定される産卵場等の範囲をある程度限定していこうというふうな作業をしております。あわせてヒアリング情報、これは、水産試験場であるとか漁業関係者ということになりますけれども、こういった情報を加味いたしまして、産卵等に適した水域というものを抽出していこうというふうな作業をしております。もちろん、この後に、実際に産卵等の状況が確認されているというふうなことが確認されれば、特別域になっていくという流れになるかと思います。
 少し具体的にご説明をしていきたいと思います。2ページをごらんいただきたいと思います。2ページ、3ページのところでございますけれども、2ページにつきましては全体の考え方ということでございまして、1ページのフロー図を言葉で書いているというふうなことでございます。3ページ以降、今回利根川につきまして具体的にどういう作業ができるのかといったものをお示ししているものでございます。まず、代表魚種の選定というふうな作業をやるということでございまして、3ページには利根川における淡水性の在来魚介類にはどういうものがあるのかといった整理をしております。利根川全体で88種の魚介類が確認されておりますけれども、このうち、本来利根川に生息しない外来種あるいは汽水、海水性の魚介類、こういったものをまず外すという作業をしております。結果が表2.1でございますけれども、一番右の欄でございますけれども、利根川を主な生息場とする種ということで、●のついた種が利根川における、まず一段階目の絞り込みということになります。
 その次に4ページに移りまして、この中でさらに代表的な魚種はどういったものがあるのかといった絞り込みを行っております。これにつきましては、漁業対象魚種というものを基本としまして選定をしていくということで、漁業権等を設定されているような対象魚種を、まず選び出す。その上でさらにヒアリング等によりまして、限定、漁協等によって実際に漁獲があるとか、あるいは確認をされている、そういったものの魚種について整理をいたしました。その結果が5ページの表2.2でございますけれども、基本的には漁業対象種と変わらないわけですけれども、ヒアリングの結果、一部、現在見られていないというふうなものもございまして、最終的には11種、ウナギ、コイ、ギンブナ、オイカワ、ウグイ、ナマズ、ワカサギ、アユ、サケ、ヤマメ、ニッコウイワナ、こういったものが代表的な魚種になると考えられます。
 6ページにいきまして、こういった業種が代表業種というふうに考えられるわけでございますけれども、特別域ということで設定すべき業種という考え方の中で、どういうふうに考えていくのかといったことを6ページに書いてございます。考え方といたしましては、その場がなければ再生産に大きな影響を受ける可能性のある種を選定する。産卵場に適した範囲がある程度想定できる種を選定するということでございまして、その結果が表2.3ということでございます。その結果につきましては、ウグイ、ワカサギ、アユ、ヤマメというものが選定されるわけでございますけれども、判断根拠といったところをごらんいただきますと、その理由が書いてあるわけでございますけれども、例えばウグイであれば、産卵区域は河川の決まった場所、河床材料の条件で特に重要であるということから河川の特定の範囲が設定できるであろうといったことで設定をしております。それぞれウグイ、ワカサギ、アユ、ヤマメにつきましてどういったところが産卵場として適するのかいったことを7ページに整理をしております。ウグイであれば、砂礫のようなところ、特に浮き石状態のところ、そういったところが河床の材料として好適である。そのほかの産卵条件としましては、流速であればこれこれ、水深であればこれこれというふうなことを整理をいたしております。
 8ページに参りまして、実際、利根川の状況がどういうふうなことになっているのかというふうなことを整理をいたしております。まず、河床材料の整理でございますけれども、2.2.2のところに書いてございますけれども、既存の調査結果、これは河川調査報告書、河川水辺の国勢調査あるいは漁協等へのヒアリング、現地踏査、こういった情報から河床材料の分布状況を整理をしております。
 例えば利根川における主な河床材料でございますけれども、大正橋から上流は石が主体、大正橋から利根大堰までが礫が主体、利根大堰から下流は砂や泥が主体となっているということでございます。
 それから、産卵の水温ということでございますけれども、2.2.3でございますが、公共用水域水質測定結果等により利根川の環境基準点における過去3カ年分の月別水温データを収集いたしました。検討対象種の産卵の水温の縦断的な分布と、産卵に適した水温条件を照合するということで、産卵に適した水温の縦断的な範囲を設定するということでございまして、具体的には9ページのグラフをごらんいただきたいと思いますけれども、それぞれウグイ、ワカサギ、アユ、ヤマメ。上の赤い点線が適水温の上限、青い点線が適水温の下限ということでございます、ちょっと緑がかっておりますけれども。ということでございまして、それぞれ産卵時期であろうと思われる月の水温の分布というものを縦断的に入れ込んでおります。例えばウグイであれば、この結果、大体、佐原とか布川あたりからずうってと行きまして、月夜野橋あたりまて、そういったところまでで名にとか5月か6月の間に産卵に適した水温になるのではないか、こういった整理をいたしております。
 次に移りまして10ページでございますけれども、ここにつきましてはヒアリング情報の整理をいたしております。赤字につきましては、ヒアリング情報を前回もお示しをしているわけでございますけれども、もう一度、再度関連の漁協機関等にヒアリングをいたしまして、再度確認した結果が赤字ということでございます。ヒアリングの結果につきましては、先走って結論で出てしまうようですけれども、もう一度ヒアリングをした結果でも、産卵の実態といいますか、具体的なこういった場所で、これくらい生んでいるというふうな確定的な情報はなかったということでございます。
 11ページに行きまして、最終的なまとめということでございます。これまで整理をしてきた情報、生息範囲であるとか、産卵に適した河床材料の範囲、プラスヒアリング情報、こういったものを重ね合わせて、実際に産卵等に敵した水域の絞り込みをやっていくということになります。
 その結果につきまして表にまとめたものが横長の表になりますけれども、織り込んでございますA3の表でございます。一番最後の14ページをごらんいただきたいと思います。それぞれウグイ、ワカサギ、アユ、ヤマメといったものがございまして、それぞれ重ね合わせた結果が産卵場想定範囲ということで、ちょっと見にくいんですけれども、グレーの矢印で示されている範囲、こういったところが産卵場として想定される範囲ではないかというふうに結果が出ております。例えばウグイであれば、利根大堰から大正橋までの範囲が産卵場として想定されるということでございます。ヒアリング情報によりますと、利根漁協へのヒアリングの結果、上流域での産卵情報が得られたということでございますが、結果といたしましては、先ほどご説明しましたとおり、実際に具体的にどこでどのくらい卵を生んでいるのか、そういった情報につきましては、まだ具体的なものがないということでございますので、今後ヒアリング情報を踏まえつつ、これらの水域に留意して産卵場等の調査を行っていく必要があるというふうな結論になるかと思います。
 最終的には産卵情報がないということでございますので、今後この絞り込んだ範囲を中心に環境省あるいは関係機関が協力しながら、この辺の実際の産卵の実態を調査していく必要があるのかなという結論になるかと思います。
 また資料3にお戻りいただきまして、3の今回の特別域の指定の結論でございます。上記2(1)に示す鬼怒川、荒川及び霞ケ浦・北浦の保護水面のうち、行政等の実施した調査結果から、荒川の保護水面において保護対象となるウグイの産卵が確認されており、産卵場として重要な水域であると考えられる。今回特別域に指定する水域としては荒川――玉淀ダムから正喜橋の間でございますけれども――におけるウグイを保護対象として保護水面が考えられる。ただし、霞ケ浦・北浦及び鬼怒川の保護水面については、今後ともこれらの水域に留意していく必要がある。この辺、ちょっと先走って書いておりますけれども、一応今回の整理としてはこういう書き方をしております。
 なお、アユ、ワカサギにつきまして、前回、第1次答申において水温の適用範囲が広いこと、水域の分類に当たっての活用が難しいと考えられ、今後の検討課題となっている、前回こういった理由で特別域にするには時期尚早かというふうにご説明をしておったところでございますけれども、こういったことにつきまして、このためアユ、ワカサギの全国的な生息状況を整理した上で、これらの魚種に見られる水域での類型指定のあり方についての調査検討、加えてアユ、ワカサギに関する毒性情報の収集を行っていくことが必要であると整理をいたしております。最終的には答申文の中にも、こういったことでアユ、ワカサギの整理をしていきたいと考えております。
 この辺の若干、補足資料といたしまして、参考資料1というものを、資料として提出しております。これはアユ、ワカサギに関する生態について、ということでございまして、主にどういう生活史なのか、どういったところで生活をしているのかといったものを資料としてまとめております。初めのところは、1ページ目は、これまでの経緯ということでございまして、2ページ以降をごらんいただきたいと思います。
 まずアユでございますけれども、それぞれ図1.1というところでアユの生活史、それから図1.2ということでアユの生息域の水温条件というものをおつけしております。
 1.1をごらんいただきますと、アユというのは、まず中流域でふ化をして仔魚になる。仔魚になった段階で海域の方に下っていく。主に河口域ということだと思いますけれども、河口あるいは汽水域、そういったところに下っていく。そして仔魚から稚魚まで成長した後、この海域から遡上を始めて、稚魚から成魚になっていく。この段階が上理由から中流にかけて生活をしている、稚魚から成魚の期間は上流から中流にいるということでございます。また最終的に産卵期になると、川を下りまして、中流域で産卵をしていくということになります。
 図1.2をごらんいただきますと、適水温というものがございまして、産卵期につきましては、点線で書かれていた温度帯のところで産卵がされるのだろうということでございます。これを見ますと比較的暖かいところで産卵をしているという状況でございます。稚魚になりまして、海に下っていくということで、温度分布につきましてはかなり幅が出てくる。それから最終的に成魚になるわけでございますけれども、これも主に春先から夏場にかけてということでございますので、上流、中流であっても、15度よりは上の方の温度分布体にいることが多いという状況でございます。
 ということで、成魚と仔魚でかなり生活している場所等が異なってくるという状況でございますので、告示等では川魚は冷水を好む、温水を好む、というわけでAとBというふうに分かれるわけでございますけれども、今のところのアユがAとしてもBとしても例示が上がっていないという理由というのは、こういうところにあるのだろうということがわかります。
 4ページにつきましては、これは温度によってかなり産卵が左右されるということで、場所場所によっては温度時期が変わった月で生むということで、必ずしも川の平均水温と産卵等のあるなしというものが相関があるというものではなくて、それぞれその川のちょうどよい水温になる時期に産卵をしているというふうな資料をおつけしております。
 それから、資料5につきましてはどういったところで産卵をしていくのかといったところで河床材料に左右されるということは、実際こういったところで産卵をしていますといったものを資料としておつけしております。
 6ページに移りまして、ワカサギの生態でございます。こちらもます6ページの図2.1の方にワカサギの生活史というものをつけております。それから、7ページ、図2.2のところ、こちらの方に産卵期、ふ化期、成魚期、それぞれどういう水温のところにいるのかといったものをつけております。こちらの方の温度を見ていただきますと、アユと少し違いますのは、産卵期は冬になるわけですけれども、寒いところで産卵をする。ふ化をして成魚になっていくというふうになりますと、だんだんと適応水温範囲が広がってきますので、Aに分類されるところでも、Bに分類されるところでも、成魚であれば生活し得るというふうなことになっております。卵のときには比較的寒いところ、成魚になれば暖かいところということでございまして、こういったことから、今のところAでもない、Bでもないという整理になっているかということでございます。
 こういった条件もございまして、先ほどの下線を引いている文章になるわけでございますけれども、今後アユ、ワカサギにつきましては、全国的な分布状況、どういったところで実際に成魚がいるのか、産卵をしているのか、そういった整理をいたしまして、さらにこれをどういうふうに整理をしていくのかということがあるわすけれども、どうも今の単純にA、Bという類型ではなかなか整理ができそうにないということでございますので。この辺になると、もう一度類型自体を場合によっては見直さなくてはいけないというふうなことも考えられる。その際には、毒性というのはどういうふうな感受性なのかといったこともございますので、Aに近いのか、Bに近いのか、そういったことも整理をしつつ、最終的にどういう整理にしていくのかといった作業が必要なのではないかといった趣旨で、こういった文章を書かせていただいております。
 ちょっと説明が長くなりましたけれども、保護水面管理につきましては以上でございます。
 まとめてございますけれども、資料3の3ページをごらんいただきまして、保護水面でないけれども保護されているところということでございまして、そこにつきましては、今回は特に人工産卵床等あるということで、前回も資料をお示ししておりますけれども、これらにつきまして、前回の資料のとおり、産卵の実態データがないということで、今回は特別域とはしないということにしております。
 最後に[3]関連、上記2.(3)に示す水域については、括弧書にしておりますけれども、今回利根川しかお示しをしておりませんので、一応案ということで括弧書きにしておりますが、特別域として当てはめを行うに足りる情報は、今のところないということで、また次回、利根川以外の河川について整理をしていきたいというふうに思っておりますけれども、実際に産卵情報がないということであれば、こういうことになるかと思います。産卵場である可能性のある水域を中心に専門家や漁業関係者のヒアリング結果等から、産卵等がなされている可能性のある水域にも、今後留意をしていく必要があるということになるかと思います。
 最後になりますけれども、参考資料2でございます。こちらにつきましては、前回お示しをいたしました荒川の保護水面の産卵実態と、実際こういうふうに産卵がされていますというものが確認されているというものでございます。
 その次に人工産卵床の設置状況。これも前回お示しした資料のとおりでございまして、産卵床があるんですけれども、場所が移動したり、あるいは実際にどのくらい卵が生まれているのかといった具体的な情報がないというふうな状況であるということをお示ししております。
 それから、その次にヒアリング情報につきまして、先ほども少しご説明をいたしましたが、もう一度ヒアリングを先回の審議会以降、整理をいたしました。同じところにもう一度確認いたしました結果が、この表でございまして、赤字で書いておるところが新しく得られた情報でございます。ただ、この情報につきましても、実際に卵の調査をしていると明らかにここで生んでいるというのを毎年確認しているというふうな情報までに至っていない。あるいは場所についても、この橋からこの橋までとか、大体の範囲が特定できるような情報が今のところないということでございますので、この情報だけでは、今回のところ特に指定するというふうなところまでには至らないという今回のことでございます。
 最後になりますけれども、資料6をごらんいただきたいと思います。こちらが以上の検討を踏まえまして最終的に答申にした場合、どういった書き振りになるのかといったものをお示ししたものでございます。これは前回の特別域の指定を除いたものをお示しをしているところでございますけれども、それに特別域関連のものをつけ加え、さらに前回ご指摘のあったところを一部修正して、今回提出をしております。
 ざっとその変更点だけご説明していきたいと思います。まず、1ページでございますけれども、利根川でございます。下線の引いてあるところがございます。比較的下の方になりますけれども、水温状況や生息状況に係るというふうに書いてございまして、前回お示しした資料ではここが2段階に記述しておりまして、まずどこそこから、どこそこまで、この範囲でAとBの境目が来るだろう。そこをもう少し詳しく見てみれば、坂東大橋を1つの区分点として、というというふうに書いておりまして、ここは少し言い回しがくどいということもございまして、はっきりと水温状況や生息状況にかかる以下の情報を踏まえれば、坂東大橋を1つの区分点と考えるということで整理をいたしております。
 その次、3ページに行きまして、特別域でございます。これは先ほどの利根川につきましての整理でございますけれども、それを文章にした場合、こういったことになるということで書いてございますけれども、[5]のところ、下線部を読みますけれども、「ただし、河床材料及び水温等から見て、ウグイ、アユについては利根大堰から大正橋まで、ヤマメについては坂東大橋から広瀬橋までの範囲で産卵場である可能性があると考えられる。」ということでございます。
 また漁業協同組合等に対するヒアリング調査――これは環境省実施でございますけれども――によると、上流域でのウグイの人工産卵床の設置に関する情報がある。また専門家及び県の水産試験所に対するヒアリングにおいて、上武大橋から福島橋間でのアユの産卵等の情報がある。今後、これらの水域に留意をしていく引き続いてがある。こういう整理になるかと思われます。
 それから、[6]の関連でございます。類型の指定ということで、最後のところで達成期間をどうするのかといったことを書くところがございます。前回お示しした中では、ここは過去2年であるとか、過去3年であるとか、ちょっとあいまいな記述がございましたので、まず、何年間データあるのかといったことの整理をいたしまして、さらに前回の資料でございますと、増加の傾向がないとか、あるとか、そういったことを書いておったわけでございますけれども、2年、3年ではそういったことはわからないだろうということでございますので、そういった記述を削除して整理をいたしております。
 以上でございまして、ちょっと時間が長くなってしまいますので、以下のものにつきましては、基本的にこのような考え方でほかの河川も整理をしております。ということで、後ほど、またご確認をいただきたいと思います。以上で、河川関係の説明をおわります。

○須藤委員長 どうも簡潔にご説明いただきましてありがとうございました。特に特別域の設定について前回から持ち越しになっていまして、それ以外の部分のことについては、大ざっぱに言えば委員の先生方の合意を得られているものと思っておりましたので、これからの議論は主として特別域は今のような判断でよろしいかどうかということをご確認いただいて、ご議論いただきたいと思います。ご質問を含めて、どうぞお願いいたします。――どうぞ。

○土屋委員 聞き落としましたが、資料3の[1]、[2]、[3]が入りますね。[1]では水産動物が産卵し、稚魚が生育する等と書いてあります。[2]が産卵場または幼稚仔の生育場としての保護と、[3]は当該魚類の産卵場等として書いてあります。表現が微妙に違っていて、[3]の産卵場等の「等」には何が入っているんでしょうか、ちょっとわからなかったのでお聞きします。

○辻原課長補佐 すみません、ちょっとわかりにくい記述になってしまいましたけれども、等につきましては、生育場が入るかと思います。

○須藤委員長 産卵場と生育場というような意味ですね。そういうことですね。

○土屋委員 つまり[1]、[2]と同じ趣旨をちょっと省略したということですね。

○須藤委員長 ほかによろしいですか。

○谷田委員 おくれて来ましてすみません。今のお話で、私、はっと気がついて確認しておいた方がいいなと、この前から思っていたんですけれども、今回、水産資源保護法、要するに水産生物としての保護水域の問題ですよね。私、第3項があってそれでいいと思うんですけれども、第3項というのは実は水産動物に限らないんですね、将来的に言えば。水生動物一般まで広げられる可能性がありますね。そうすると、生息場でとらえるか、まさにこの表現は非常にいいと思うんです。それだけ確認というか、どうもありがとうございます。

○須藤委員長 先生、特に前々から暗にそのことを含めましょうという意見があって、要するに環境基本法に基づくので、余りそこまで強く言えないというので、そんな理解でよろしいんじゃないでしょうか。

○谷田委員 はい。

○須藤委員長 それから、辻原さん、さっき伺っていて、AでもないBでもない、両方に入るみたいな話になっているよね。例えばワカサギなんかもそうでしょうけれども、そういう幅の扱いというのは、それでもカバーしなくちゃいけないよね、両方に入っても。そういう場合の扱いというのを、何か考えなとまずいですよね。AでもないBでもないけれども、産卵が両方にあるというのだとすると、何か考えないといけなくないですか。先ほど、これから別途考えましょうというようなことをおっしゃっていただいたんだけれども、あのときは両方にそれぞれあるといったんだけれども、今伺ってみると、両方にかかっているということがあり得ますね。ということでしょう。――どうぞ。

○辻原課長補佐 考え方でございますけれども、あくまで私個人の考えといたしましては、やり方としては何通りかあると思うんですけれども、例えばワカサギであれば卵とか子供についてはAにするとか、大人についてはBにするとか、大人と子供で分けて考えるという考え方もあるかもしれませんし、あるいはワカサギ、アユ自体を別個のものとして別流域をつくるとか、そういうものもあるかもしれない。その辺の整理については、まだちょっとこういうふうにした方がいいという確証が得られるだけの知見がないということでございますので、今後整理をしていかなければいけないなと。やはりあわせて考えていかなくてはいけないのは、毒性に対する感受性もどういうことなのかというのを考えていかなくてはいけないと。この辺は今後、亜鉛以降の基準の検討にも関連してくるところで、最終的にどういうふうなデータを集めるべきなのか、その中にアユとかワカサギの毒性データが必ず入ってくるのかと、そういった話にも絡んできますので、全体の中での位置づけというのを考えていかないと、後で違っていたから変えますというのもなかなか厳しいので、そういった整理が必要かなといったことかと思います。

○須藤委員長 そうですね。ですから、今のは、ここでどっちにしましょうと決めるのは時期尚早とは思いますけれども、そういう問題は非常に重要な問題だという認識のもとに対応を考えないといけませんよね。以前基準をつくっているときは、それぞれの生物はそんなに離れていなくて、Aに特別やるでしょう、Bにあるでしょう、でもAとBに生息するもので、両方にありますよというようなことになったら、それをどうするかというのは、では両方に入っているからやめましょうというのも、もともとは水生生物を保護しようというか、それが目的なので、そのことを考慮しないということはちょっと具合が悪いというような印象だと思います。
 それなので、今、あなたがおっしゃったようなことになるならば、ワカサギでいうと低水温の方で産卵があったりということになると、そうすると、そこだとBでSにしたっていいわけでしょう。

○辻原課長補佐 考え方としてはあるかもしれないですね。

○須藤委員長 何かそれが大事だかは特別にするんですね。そうなると、それを保護するためには低水温であったとしても、それはBにしておいてSにしてもいいわけですよね。何か考えた方がよくないですかね。それはこれから検討するんですから、また新たに見直してやっていくというのでもいいんですけれども、何となくそういう問題を残しているということを、今日は結論を出す必要はないんだけれども、最終的にはその辺のところを整理しておいた方が良いのではないか。それは新たなものを検討するとして、別の専門委員会に付託するとか何かしておいてくださればいいと思います。
 どうぞ、花里先生、何かありますか。

○花里委員 特にこの場合アユとかワカサギの問題でして、これらは人工的に受精させたりとかしていますから、そういう点では卵はとれるし稚魚もとれるので、ところが結構毒性情報はないんですよね。扱いにくいというところがあると思うんですけれども、でも、それだけ実験の材料は簡単にとれるので、データをまずとる努力をするということが必要かなと思います。

○須藤委員長 卵とか幼稚仔魚についてね。

○花里委員 そうですね。ほかの魚と比較をしてみてということです。

○須藤委員長 鋭敏かどうかを。

○花里委員 はい。それをやってみる必要があるんじゃないかというふうに感じています。

○須藤委員長 というご意見もございます。どうぞ。

○田中委員 特別域の考え方としても、多分こういう考え方になってくるんだろうけれども、現在のところはわからないので、とりあえず定める必要があるのではないか。ただし実際にはいつごろを大体の目安として考えられているのかというのが1点です。それが質問です。
 それから、もう一点は、先ほど、鬼怒川での産卵場の調査の中でアユの卵が確認できなかった1つの理由として、過去は見られたんだけれども、最近見られない1つの理由として河床材料の変化の話をされたんですが、その話をもし持ち出すとすると、河床そのものの変化が至るところで起こっていて、材料の変動というのは長期的に見ると、至るところで起こる可能性があるんです。そうすると、例えば今後指定していくときの定期的な見直し、ここはもともとこういう河床材料だったんだけれども、最近こう変わってきたとか、その辺の部分についてどう考えられるのか、その2点を教えてください。

○須藤委員長 では、わかる範囲でお願いします。もちろん辻原補佐の個人的な考えでもいいですよね。そこまでまだ議論していないでしょうから、お願いします。

○辻原課長補佐 あくまで私個人の考えということでお話しさせていただきますと、何年くらいで見直すのかということでございますけれども、何年というのは、今約束できない状況ではないんですけれども、基本的には、今一連の類型指定をしているところでございますので、ずっといきまして、有明海周辺まで行くわけですけれども、その類型指定を終わるまでには何とか整理をしていきたいというふうには思っております。ですから、あと2年か3年ということであるかとは思いますけれども、それくらいの時間は必要かなというふうに思っております。
 それから、河床材料の変化に伴って見直しをしていくのかということでございますけれども、ご指摘のとおり相手が生物ということでございますので、この辺は多少変動があるというのは致し方がないところですので、定期的に、この辺はメンテナンスを行っていかなくてはいけないかなと。陸域のBODとかCODの類型指定につきましても、今メンテナンスを定期的にやっておりますけれども、水生生物につきましても、特に温度状況の、今温暖化というお話もございますので、場合によっては変わっていくこともあるかもしれないということで、その辺は適宜やっていくのかなというふうに思っております。

○須藤委員長 田中先生、今、地方公共団体でやっているところまで含めて35くらいやっていると、同じような矛盾なり、同じような考えで、Sにしていいの、しなくてもいいのというのが出てきているんです。1個1個聞かれたら、多分補佐の方も困るだろうと思うんだけれども、そういうのが上がってくると、ちょっと見直してSの考え方をもう少し具体的に示さないといけないのかなと、こんな感じを、私も幾つかの県を手伝って思っています。だから、年数が何年かはともかくとして、割と早目にこれはできるんじゃないかなという気がします。よろしいでしょうか。
 そうすると、類型指定の先程の河川湖沼の方はとりあえず、今日は東京湾も残っておりますので、一通りやらせていただきたいと思いますが、一応これはご了解いただいたということで、今のは基本方針ですから、文章まで全部ということではございませんので、基本的な考え方としてはこうであるということでご了解いただいたとして、議題2、海域における類型指定についてということで説明を受けたいと思います。会議についても類型が一般域と特別域の2つがございまして、特別域の指定がポイントになりますので、これを中心に同じように検討を進めていきたいと思います。
 事務局からご説明お願いします。辻原補佐、お願いします。

○辻原課長補佐 それでは、海の方でございますけれども、資料7、8、9をもとにご説明をいたしたいと思います。
 まず、資料7をごらんいただきたいと思います。こちらは全体の考え方のまとめでございます。基本的な考え方の構図でございますけれども、河川の場合と同様にしております。それが1.のところでございますけれども、特別域の基本的な考え方ということで、3種類あるということで、まず保護水面に指定されているところで、実際に産卵がされているようなところ。それから、[2]ということで、保護水面に設定されていない水域でも漁業関係者等によって、これと同等以上に保護が図られている水域、[3]としまして、地形、水質、底質及び藻などの沿岸の植生などが当該魚類の産卵場等として適した条件にあり、今後ともその条件が保たれ得る水域ということで、[3]につきましては海に即して、若干書き方が変わっておりますけれども、基本的な考え方は河川と同様ということでございます。
 最初に少し簡単に結果等についてご説明をしておきますと、2.のところになるわけでございますけれども、特別域の指定を検討する水域ということで、(1)保護水面の設定でございます。東京湾につきましては、実は保護水面が現在ございません。これは後ほど、瀬戸内等に検討が移っていきますと、そういったところでは保護水面があるわけでございますけれども、東京湾には現在ないということで、この[1]の関連では、指定はないということになります。
 (2)になりまして、関係者に特に保護されている水域の状況ということでございます。これにつきまして、具体的には魚礁をつくったり、あるいは藻場をつくったり、そういったこともあるかと思いますけれども、現在東京湾では幾つかところに藻場の造成とか、NPO団体等やられているところもございますけれども、実際にその魚類の産卵等まで確認をしていくとか、そういったところに適した場にしていくといったところまでは至っていない、というところでございますので、[2]に関連しても現在の段階では指定をするような水域はないということでございます。
 今回、一番重要になりますのが、(3)その他産卵場等に適した水域の状況ということでございまして、こちらも今回基本的な考え方の道筋と、それから結果についてお示しをしてご意見、ご議論いただきたいところでございます。
 まずざっと概略だけご説明いたします。まず保護水面に至る特別域として指定すべき水面の特定の道筋でございますけれども、海域につきましては、日本近海に生息する内湾性の魚介類がどういったところに生息、あるいは産卵をしていくのだろうかと、そういった整理を、まずいたしております。
 結果から言いますと、干潟、藻場、浅場、サンゴ礁、こういったものを利用する魚介類が圧倒的に多いということでございます。東京湾についてどういった場所がこういったものに該当するのかといったことで、一定の面積を有するものという条件をつけますと、三番瀬、盤洲干潟、富津干潟、東京湾奥部の浅場、これはおおむね30m以浅というふうに定義をしておりますけれども、あるいは三浦半島東沿岸、こういったところの浅場、内房沿岸部の浅場、それから三浦半島東沿岸部の藻場、こういったところがあるというふうに考えられます。
 さらに地形的にはこういった場所が、位置的には産卵場等として適するということでありますけれども、東京湾の場合には水質もよく検討していかなくてはいけないといったことが次に書いてございまして、それにつきまして、貧酸素水塊の発生というものがございます。この貧酸素水塊ですけれども、おおむね春から秋ということで、2005年では4月から11月に発生している。この貧酸素水塊の発生する水域というのは月によって変化するわけでございますけれども、おおむねアクアライン周辺から北部の湾奥部、これは干潟など本当にごく浅い一部の水域を除きまして全域に、この貧酸素水塊の影響がわたるということでございます。
 ということで、実際の産卵場等あるいは生育場としては適さないような条件になってきているということがわかります。こういったことを踏まえまして、最終的にどういったところが産卵場等として適していくのかといったことを整理をいたします。
 その次に東京湾における主要魚種の産卵等の状況について検討していく。ここは実際に産卵等の情報があるのか、確認されているのかといったことの整理になるわけでございますけれども、まず漁獲量を見まして、漁獲量が多いところというのは、親漁が集まってくるわけでございますけれども、そういった親が大量に集まってくるというのは往々にして産卵場等ということでございますので、漁獲高が高いところを産卵場等とみなすというふうな作業をいたしまして、1つの選定をいたします。
 あわせて環境省で調査をいたしました卵、稚仔魚の調査、こういったものを踏まえまして、ある程度の目安をつけていく。あわせて国総研で実施をされております卵であるとか、幼稚仔の実態調査、どういったところで見つかっているのかと。これはどちらかといいますと、内湾の方が中心になるわけでございますけれども、こういったデータを加味いたしまして、先ほどの地形的、水質的条件とあわせて特別域として指定をすべき水域を指定していくといういふうな作業をやっております。
 こういった手順でやっていくわけでございまして、具体的な作業内容につきましては、資料8を中心にご説明していきたいと思います。

○奥田係長 資料8及び資料8の別紙というA3のものを適宜使いながら、私、奥田の方から説明させていきます。
 まず資料8のA4判の方をお願いします。1ページ目に目次としまして、資料8の章立て構成を示しております。ただいま辻原の方から説明がありましたように、今回、海の特別域、初めての検討ということになりますので、第1章目で海域における特別域の選定に当たる基本的な情報ということで、全般的な情報を整理してございます。そして、2章、3章、4章というところで東京湾での状況ということを整理して情報を記載してございます。この順に添いまして説明をさせていただきます。
 まずページをめくっていただきまして2ページ目ですけれども、特別域海域での検討に係る基本的な状況ということで、一番最初に日本の有用魚介類の繁殖の生態を整理しております。そして整理した情報を抽出しまして、1-2としまして産卵場・成育場として重要の場がどこであるかということも整理をしております。結論からいいますと、先ほど辻原の方から説明しましたように、干潟、藻場、浅場、サンゴ礁といったところが重要な地点になろうかと思います。そのことをデータで示しているのが、A3の別紙の1ページ目、図1をごらんください。この中で、特に中段で図1のCとしまして産卵場(内湾性種)ということで示してありますけれども内湾性の種に限って産卵場はどういったところを使用されているかということを円グラフで示したものになっております。砂浜性の藻場、岩礁性の藻場、岩礁域、干潟、サンゴ礁といったところで産卵の場を有している種としましては、6割から存在しております。
 同じように、右側Dとしまして成育場について整理してございます。これにつきましても、ただいま説明しましたような藻場なり岩礁域、干潟、サンゴ礁といったところを使っている種類が観測を得ております。
 そして、図1の下段目のEとFに水深ごとに、どの水深をそれぞれの魚種が産卵、もしくは成育場として使っているかということを示してございます。おおむね50m以浅につきましては、同じような使用状況になっておりますけれども、30m以浅で見ましても、この使用状況は過半数を超えているということで、こういったエリアが非常に産卵成育の場として重要な場であることがデータの方からも示されていると思っております。
 A4の資料の方に戻っていただきまして、2ページ目以降ですけれども、そういったデータに基づきまして干潟、藻場、浅場、サンゴ礁といったところが重要な場であろうということで、ここの1-2の(1)の干潟以降、これにつきましては、文献等で示されている、そういった場の魚介類にとっての利用価値ということの整理をしております。おおむね生産能力が高い場であるということだとか、あと、非常に場が安定しているということだとか、水質の浄化機能を有しているとか、そういった機能を有していることからもこういった場が重要であるということがご意見等によっても示されております。こういった情報の整理を4ページまでにかけてさせていただいております。
 続いて同じ資料の5ページ目、1-3で産卵場・成育場の形成に重要な環境条件として整理しています。先ほど重要な場として挙げた4つの場、それぞれに対してさらに別の要素からの制限要素がかかることがございます。そういったものについて1-3で挙げています。
 まず(1)としまして、地理条件ということで1)と2)を挙げております。地形的な条件で、魚介類によってその地形の形状によって使用する場を制限されているような魚種が存在しているだとか、あと底質によっては、種によっては使用が限定されるものがあるというようなことがあります。特に底質につきましては、泥になっている部分につきましては、一部の種を除いては生息しにくいというような情報もございます。
 そして(2)の水質条件としまして2つ、1つ目が1)でDOです。これにつきましては、閉鎖性の高い内湾で生じております夏季の貧酸素水塊が一番大きな制限要素になってこようかと思います。おおむねDOにつきましては、3mg/L以上であれば、魚介類は生息できるものと考えられておりますけれども、この濃度を境としまして、低濃度の域につきましては場として存在していても魚介類として使用しにくい、そういった条件が絡んでくることがございます。そして、2)の塩分としまして、これも種によって、その生息に好適な塩分が偏っているものがあるということで、これにつきましては、魚介類の検討の際に注意しなければならないこととしております。
 5ページまでを一般的な情報の整理としまして今回検討する東京湾における状況についてが6ページ以降で整理をしております。まず最初に2-1の東京湾の定義としまして、そのエリアですけれども、これにつきましては、国で類型を指定すると政令で定められているエリア、これに限るということで示してございます。
 続いて2-2としまして、東京湾における環境の状況です。まず(1)としまして、東京湾における先ほどから挙がっております干潟、藻場等の存在状況です。まず1)の干潟ですけれども、これにつきましては、後ほど9ページの表2-1にデータの方は掲載してございますけれども、規模の大きなものに着目しますと、東京湾におきましては盤洲干潟、富津干潟、谷津干潟及び三番瀬といったところが面積の多い干潟になってございます。それぞれの位置につきましては、1枚めくっていただきまして8ページの方の図2-1で、破線で囲っている形で掲載してございます。北の形から三番瀬、盤洲干潟、富津干潟がこういった場所に存在しております。
 6ページに戻っていただきまして、先ほど規模の大きなものということで紹介しました干潟のうち、谷津干潟ですけれども、これにつきましては、既存の水域類型におきましても海域ではなくて陸域のほうに位置しているということで整理されてございますので、今回の干潟の形の検討におきましても谷津干潟の方は陸域で東京湾からは外しておくという整理をさせていただきたいと思っております。
 続いて藻場ですけれども、藻場につきましてもその存在状況のデータにつきましては、このA4資料、後ほどの11ページの表は2-2に示してございますけれども、その中で規模の大きなものとしましては、盤洲干潟の中にありますアマモ場、及び富津干潟の中にあるアマモ場といったものが大きな藻場として存在してございます。また、ガラモ場等の岩礁性の藻場につきましては、これは富津岬よりも南の沿岸部に主に分布しておりまして、規模の大きなものとしましては、三浦半島の間口地先の藻場及び野比地先の藻場が大きなものとなっております。これらにつきましても、情報は先ほど見ていただきました8ページの図で示してございます。間口及び野比地先というのは点線では岩礁性藻場ということで囲っている緑で塗っている藻場の中に存在してございます。
 続いて浅場ですけれども、浅場につきましては、東京湾の中におきます水深によって把握が可能ですので、これにつきましては、11ページの図-2.2の方を一度ごらんいただきたいと思います。図2-2.2で東京湾における等深線が示されているわけですけれども、冒頭の整理の中で水深浅場としましては30m以浅でも過半数の魚介類が使用しているという状況から、東京湾における数字としましては30mよりも浅い部分について浅場として整理していきたいと考えております。そういった整理に基づきますと、湾奥部におきましては、ほぼ全域において浅場という扱いになろうかと思います。その他、富津岬の北西部にあります浅場と、あとさらに沖にあります中ノ瀬というところの浅場、また三浦半島沿岸部、内房の沿岸部、こういったところが浅場として存在してございます。
 最後に7ページ目、4)でサンゴ礁ということですけれども、東京湾におきましては、サンゴに関する情報としましては、千葉県館山市の沖ノ島に造礁サンゴが存在しているという情報はございましたけれども、規模的に非常に小さいものであったので、今回、特別域、特に保全水域という検討からは少し外して整理したいと思っております。
 以上のように東京湾では、比較的規模の大きい干潟、藻場として、先ほど指名させていただいた三番瀬、富津干潟、盤洲干潟、といった干潟、たま盤洲干潟、富津干潟に存在するアマモ場、岩礁性、三浦半島、内房の沿岸に存在しています岩礁性の藻場、こういった藻場と、あと浅場についてが特別域になり得る場所として存在の方が把握できております。
 そして、それぞれの場所につきまして、場所としての制約条件としまして、一般論での説明で加えましたように地理的な条件、水質条件で制限がかかっていないかどうかということにつきまして、12ページ以降で確認をしております。この中で特に注目していただきたいのが、地理条件の[2]の底質というところが、まず1つ目にあります。これにつきましては、A3の資料、別紙の8ページ目の右側の図-5をごらんください。図-5をごらんいただきましたら明らかなように、東京湾の湾奥部の沖の方、この辺一体が底質が泥状態になっているというのがわかります。こういったところで、まず地理的な制約を受ける魚介類が生じているのではないかというふうに考えられます。
 続いて水質面からの制限ですけれども、別紙の9ページ目をごらんください。別紙の9ページ目には東京湾における2005年の低層での溶存酸素の変化を示しております。若干それぞれの図につきまして表記している単位がml/Lということで、先ほど低酸素の線引きをしましたmg/Lの3という数字におおむね該当するのが、この単位ですと2ということですので、色表示でいうと青色に塗っているのがおおむね3ml/Lより低い濃度というふうに認識していただければよいかと思います。そして、その視点で見ていただきましたら一目でおわかりになりますように、東京湾の奥につきましては春から秋にかけて湾奥部を注進に、かなりのエリアが貧酸素状態になっていることがわかります。
 この中で特に8月の状況につきまして、地理的な状況をもう少し詳しく示した図が、めくっていただきまして10ページ目の図-7で示してございます。網かけをしているところが3mg/l以下の範囲でございますけれども、ごらんいただきましてわかりますように、湾奥部につきましては、ほぼ全面にわたって貧酸素状況にあるということがわかります。そのエリアは、ちょうど湾奥部の30m以浅の浅場としてとらえていたエリアと重なっている部分でございます。一方で最も北の方の端の三番瀬に当たる部分や、東側の盤洲干潟に当たるような部分、そういった水深3mよりも浅い干潟域にかけての部分につきましては、こういった状況の中でも貧酸素状況からは逃れているということがわかります。
 こういった制限条件も含めて加味しまして東京湾の地理的条件からいって、特別域になり得る部分を最終的に整理したものが、A4の資料に戻っていただきまして14ページの(3)のまとめということで記載している部分でございます。ここで記載している情報を、さらに図で示したものが、見開き反対側の15ページの図-2.3になっておりますけれども、最終的に東京湾における特別域の対象候補地としましては、ここで実線で囲まれている部分が選択されております。北から三番瀬、盤洲干潟、富津地先の浅場、中ノ瀬の浅場、それと野比、間口の岩礁性藻場と、それを含んだような形で三浦半島の沿岸部、さらに内房の沿岸部といったところが特別域になり得る可能性のある場として整理されました。
 そこで次の16ページ目以降、新しい章に移りまして、東京湾における魚類等の生息の実態としてはどのようになっている面からの整理を始めております。まず、表-3.1としまして、東京湾における主な漁獲対象種としまして魚類、貝類、イカ・タコ類、エビ・カニ類といったところ、どういった種がとれているかということを整理しております。これらにつきましては、漁獲高から整理した形で挙げております。
 これらの魚種の中で、さらに主要な魚介類というものを選定することにしております。それは視点としましては、その下に〇で書かせていただいております4つの視点を総合的に勘案して整理しております。1つは生活型として、東京湾で生活史を完結する種であるかどうかという点、2つ目には漁獲量の大小。3つ目には保護水面で特に保護されているかどうか。4つ目には特定の場に依存するかどうかというような視点で整理しております。
 これらの情報を一覧で掲載していますのが、17ページの表-3.2になってございます。それぞれ該当するところに丸印を付しておりますけれども、これらの4つの条件のそらいぐあい等から勘案して、特別域の選定に当たって検討する主要な魚介類としましては、この選定結果で〇を打ちました8つの魚介類、魚類ではスズキ、イシガレイ、マコガレイ、ヒラメ、マダイ、メバルといったもの、貝類ではアサリ及びバカガイ、これを東京湾における主要な魚介類として選定しました。以後の検討は、この8つの魚介類についてその場の使用状況を勘案して特別域の検討に進めていきたいと考えています。
 そして、それぞれの魚介類につきまして、その魚類の生態の特性から、どういった場所が使用されているかということを整理したのが、この19ページ目の表-3.3です。これにつきましては、表の形式で非常に見にくくなってございますので、別紙の方に図示して合わせて示してございます。それが15ページ目以降で図-9として示しています。ただいま説明しましたようにそれぞれの魚類、貝類の生態的な特性を中心として東京湾で実際どのあたりで生息し得るかということを示していますけれども、それぞれに左と右で図を2つ並べてございます。まず、この図の説明ですけれども、左手側の図につきましては、それぞれの魚種、貝類の生態特性から東京湾の地形を読み込んで、このあたりに生息し得るというところを落とし込んだものです。落とし込みとしましては反例に示していますように、産卵場、育成場という形で示しています。そして、それに対して右側ですけれども、これは東京湾で特に生じております貧酸素水塊の影響を加味して、実際、今の水質状況を勘案して、どのあたりでこういった主要な魚介類が存在し得るかということを絞り込んだものになっております。ですので、現在の東京湾の状況では、右側の図が、それぞれの魚介類の生残率可能な場所ということでとらえていただいたら結構かと思います。
 15ページ目から、スズキから始まっておりますけれども、スズキにつきましては、特に右と左で大きな変化の方があらわれておりませんけれども、めくっていただきまして、イシガレイにつきましては、湾奥部の10mより以浅の部分での成育上につきまして、貧酸素水塊の発生時期と重なっているということがありますので、右側と左側の図が異った形になってございます。同様にその他残り6魚介類につきましても同じように、図-9として示してございますので、確認いただければと思います。
 ご確認いただきましておわかりいただきますように、おおむね現在場として重要であろうとにらんでいる三番瀬なり、盤洲干潟、富津干潟、その沖の浅場、三浦半島の沿岸、内房の沿岸といったところがおおむね成育場ではなかろうかということで、生態的な面からいっても絞られてきます。
 こういった情報に、さらに実際に揺るぎないというようなところでの確認を試みた部分が、別紙でいきますと、24ページ目以降です。A4の方のテキストでの説明では20ページ以降ということになっております。
 まずこれはどのようなことを示しているかということですけれども、東京湾における漁場の分布で水揚げの多い少ないを濃淡で別紙の方の図は示してございます。主要な8魚介類につきまして、まず示しています。これは、それぞれの漁場として水揚げの多いところにつきましては、その魚介類の存在が非常に密になっているということで、そういったところでは産卵成育の場としても活用がなされているのではないかという概想のもとに、場としての使用状況を整理したものになっております。それぞれの魚種につきまして、少しずつ使用する場所は異なっておりますけれども、最終的に主要な魚介類、魚類6種、貝類2種につきまして、重ね合わせによってより多くの種類によって使用されているところはどこであるかということを、別紙の方の28ページに左右で示してございます。図-11の(9)の方で魚類6種の重ね合わせをした結果になっております。これにつきましては、三浦半島沿岸の浅場や内房の沿岸といったところが重ね合わせた色濃く残っております。また貝類2種につきましては、三番瀬、盤洲干潟、富津干潟といったところが主要な場として色塗りが残っております。
 そしてさらに水域での稚仔魚の生息状況について調査した結果が、A3の別紙の方の30ページ、31ページです。これは環境省において平成15年、16年度に実施した調査結果になっております。30ページの図-12につきましては、魚卵の出現状況、31ページの図-13につきましては、稚仔魚の出現状況を示してございます。それぞれ沿岸部における調査状況ですけれども、この結果からわかりますように、それぞれ三番瀬、盤洲干潟、富津干潟、三浦半島沿岸部、内房沿岸部といったところ、魚卵もしくは稚仔魚ということでの生息状況が確認されておりますので、それぞれの場も実際に使われているということが、これで確認しております。
 また、さらに参考の情報としまして、別紙の32ページ目以降で、国土技術政策総合研究所が実施しました魚卵もしくは稚仔魚の沖合における存在状況です。これらにつきましては、魚卵につきましては、浮游性の状態のときの調査になっておりますので、沖合での調査に限られておりますけれども、それぞれの今回主要な魚介類として考えている魚種につきまして、その産卵、幼稚仔の成育状況ということが、実際に行われていくことが、この情報によっても確認できます。
 こういった状況から、もう一度、A4の22ページの方に戻っていただきたいわけなんですけれども、地理的な条件とあと魚介類の利用条件、両方を勘案しまして、4番としまして東京湾における特別域の最終的な検討ということを、A4の資料、22ページに整理しております。それをさらに概略を整理したのが表-4.1になっています。ここに示しておりますように、魚介類による利用状況も含めて、干潟、藻場等で重要な場所として考えられるのは、この表の一番右なので、重要といっている部分ですけれども、三番瀬、盤洲干潟、富津干潟、あと三浦半島沿岸部の岩礁性藻場・浅場、内房沿岸部の浅場といったところが重要な水域であるというふうに整理できます。
 中ノ瀬と富津地先の浅場につきましては、主要な魚介類の漁場が存在しておりませんし、また魚卵、稚仔魚の調査の方での確認が、まだされていないので、今回は特別域には含めないということで整理したいと考えております。
 今の場所についての情報が、23ページ目で示している視点が、今回の特別域の案として最終的に選び抜かれた5つの水域になっております。それぞれにつきまして、24ページ目以降、最終の答申に向けまして、それぞれの水域、どの程度の範囲を特別域にするかという案を整理してございます。三番瀬につきましては、貧酸素水塊の影響が及ばない5m以浅のエリアを中心として整理しております。盤洲干潟、富津干潟につきましても同様の考えで5mよりも浅いところを中心にエリアの設定を案として整理してございます。
 27ページ目以降の三浦半島の岩礁性藻場・浅場につきましては、藻場についてかなり細切れに点在しておりますけれども近接していることもありますので、一連のエリアを1つの特別域のエリアとして案にしてございます。
 内房の沿岸部につきましても、富津から鋸南町までのエリアについては、情報の確認がされている部分については特別域の選定を行い、それより南部分につきましては、現在、魚類の利用状況が十分に明らかではないので、今後の調査を待って検討するということに整理しております。
 最後に29ページ目に特別域指定における留意点としまして整理しています。今回さまざまな制約条件で特別域を絞り込みを行っているわけですけれども、特に貧酸素水塊の発生状況、こういったものにつきましては、水質の今後の改善状況に応じて留意していくということが必要であるということに整理しております。また、内房の鋸南町より南の沿岸部、浅場といったようなところなどにつきましては、今後、これらの水域に留意した調査を実施することが必要であろうということで整理しています。
 資料8といたしまして、それぞれ個別の水域洗い出しの整理を、このような形でさせていただきました。
 資料9に移っていただきまして、今、少し長く時間をいただきまして説明をしました東京湾における検討をダイジェストで整理しまして東京湾の類型指定について骨子案ということで整理してございます。この内容につきましては、先ほど来説明させていただいているとおりでございます。東京湾につきましては河川と違いまして冷水域、温水域がないので、まず基本的に全体がA類型に当てはめということでありまして、その中で特別域をどこにするかという、そういう検討になってございます。それにつきましては、この中で2ページ目の[3]で水域類型の指定のところで最後にまとめて書いております。東京湾では全域(生物特Aに指定される水域を除く)を生物Aとすることが適当である。また三番瀬、盤洲干潟(アマモ場を含む)、富津干潟(アマモ場を含む)、三浦半島(三浦市猿島周辺海域から三浦市剣崎の間)の岩礁性藻場及びその周辺の浅場、内房沿岸部(富津岬周辺から富津市及び鋸南町の境界周辺の間)の浅場について生物特Aに指定することが適当である、としております。全亜鉛水質状況からは、これまで環境基準値以下でおおむね変動水域も推移していることから、達成期間は直ちに達成ということで最後をまとめてございます。
 3ページ目、「なお」以降につきましては、先ほど資料8で留意事項として特にコメントさせていただきましたことが、なお書き以降で記載しているという、そういう構成で骨子案の方をつくらせていただいております。
 ちょっと長く説明をさせていただきましたが、以上でございます。

○須藤委員長 どうも要領よくご説明いただきましてありがとうございました。
 海の類型指定というのは、この水生生物の環境で初めてですよね。そうすると、まだ地方自治体でやっちゃったというところはないんですかね。済んじゃって報告が来たというのはないんですね。

○奥田係長 現在のところ、海での指定の報告はないです。

○須藤委員長 というのは、多分これ待ちなんですよね。そういう意味では、早目にこれを公開して自治体の方に差し上げないといけないのかなと、私は思ったんですが、恐らく、それ待ちではないかなという気がします。そういう意味でやっと海が入ってきたということです。――どうぞ。

○辻原課長補佐 すみません、ちょっと1点補足なんですけれども、横長の資料8の別紙の11ページをもう一度ごらんいただきたいんですけれども、先ほど、この資料は貧酸素水塊等の流れの中でごらんいただきたいものですけれども、若干説明を加えさせていただきますと、●が幾つか書いてありまして、これは下層のDOの年間平均値の最低値です。5年分くらいの最低値を入れているわけでございますけれども、一般的に環境基準を適合いかんにつきましては、上層で見ているわけですが、今回下層も含めてどういう状況なのかというのを、ここの資料におつけしております。赤丸が2.02mg/L以下の地点ということでございますので、いわゆる環境基準でいうと、これはC類型も満たさないというふうなところでございまして、オレンジのところが2.1から3.1ということでございます。Cはオーケーだけれども、Bまでは行かないというようなところです。中の白い赤丸が3.1から5.0ということでございまして、この辺がBまで行かない。3というのは、先ほどありました貧酸素水塊の定義ということでございます。
 こういった状況でございまして、ごらんいただくとわかるとおり、赤丸のところが2点ばかりございます。新砂二丁目東先と、新浜川橋北というところで、詳細を見ますと、どちらも運河の奥の奥というようなところでございまして、非常に閉鎖性の高いようなところでございます。ところいうことで、年によっては平均で見ると、2.0を下回るような状況にあるということでございますので、非常に貧酸素の状況が強いということで、Cなんだけれども、下層で見るとCまで至っていないということでございますので、低層を利用するような魚にとっては、生息の場所としては適さないというふうな場所でございます。
 この辺につきましては、一次答申の中でもちょっとその整理がございまして、きょう、青い本の中の初めの方に、一次答申のコピーをつけてございますけれども、1枚めくっていただきまして、3ページからコピーをつけておりますけれども、そこの[3]のところに書いてございますけれども、既存の水質環境基準、生活環境項目で水産利水目的としない類型が指定されている水域、これはC類型ということでございますので、先ほどの東京都の運河域はこのC類型になるわけでございますけれども、この水域については溶存酸素濃度が常に低いレベルで推移するなど、水生生物の生息の確保が難しい水質汚濁の状況になっている場合には水域類型の指定の優先度は一般に低くなるものと考えられると。ただ、水生生物の保全を図ることが重要であると判断される場合には指定をしてくださいというふうに整理が、一次報告の際にされております。この辺、ちょっと具体的にどういうことなのかというのは余り明確には議論がされていなかったような感触ではございますけれども、今回、こういった一応低層ではありますけれども、非常に貧酸素の状況が強いところがございます。場合によってはこういったところ、先ほどの条件に合致するのかもしれませんけれども、実際、東京湾全体をAにしていくというふううに考えたときに、ここは非常に、本当に限られた範囲ということでございますので、先ほどの説明にもあったとおり、事務局の案としては一義的にはここも含めてAにしていこうというふうなことで、今考えてございます。
 ちょっと補足ではございますけれども、説明させていただきました。

○須藤委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、委員の先生方、特に海域については有馬先生から事前にもいろいろご注意いただいているので、これでよろしゅうございましょうか。よろしくなければよろしくないとおっしゃっていただいて結構なんですが、ぜひどうぞお願いします。

○有馬委員 まず、16ページのところで、魚類の生息状況に関して生活型とか、漁獲量、保護水面、産卵場や成育場の形成に特定の場に依存しているもの、というふうになっているんですけれども、ここに書いてあることは、基本的には藻場とか干潟に関連した魚種だけをピックアップしていますよということですよね。

○須藤委員長 奥田さん、それでいいのね。

○奥田係長 今回、藻場、干潟等特定の場に依存するということで整理しています。特定の場ということでも主に藻場、干潟ということが多くなっておりますので、主にそういった魚種になろうかと思います。

○有馬委員 水産生物というか、漁獲対象生物としては必ずしもそういうところに産卵するタイプではない魚も当然いるわけで、それについては検討していないということに、これではなってしまうという気がします。
 それからもう一点、産卵場に関して、干潟を産卵場としては使っていないんだけれども、成育場として使っているというふうに、ここでは書いてありますが、正確にいうと干潟というのは魚類にとってはそんなにいい環境じゃないんです。干出してしまいますから。そこに自分が行く可能性があるということは非常にリスクがあるということで、むしろそれよりも深いのが普通であると思います。種類によっては確かに藻場に付着卵として生みつけるようなものもありますが、水産重要種としてはそんなにはないと思っております。ですから、余りにも藻場、干潟を前面に出し過ぎて、その中で評価すると若干問題が出てくるかなと。東京湾に関しては貧酸素が非常に重要な要因になっていますけれども、そうじゃない海域もいっぱいあるわけで、そういうところではむしろ干潟ではなくて、健全な浅場のところで産卵しているというのが実態だと思うのです。そういう場合には、藻場、干潟に依存しない浅場のところが産卵場ですと、範囲が当然広くなるかと思いますが、その辺の考え方はどういうふうに交通整理すればいいかということを考える必要があります。

○須藤委員長 浅場という言葉を強くだしておいた方がいいのかもしれないですね。

○有馬委員 私は藻場、干潟が産卵・成育場とするのは、ちょっと生態学的には偏った表現になってしまうと思います。

○須藤委員長 わかりました。
 今のご意見に対して、何かご意見……。

○辻原課長補佐 まず、干潟につきまして、まさにいわゆる干潟、潮が引いたときに表面に出ているようなところ、一般的にはそこを干潟というふうに言っているわけでございます。今回、干潟プラス周辺の水深5mくらいなところの浅場合も含めて考えるというふうなことで考えております。
 それから、藻場、干潟に余りにもというふうなご指摘でございますけれども、例えば藻場が非常に連続的に見られる三浦半島の東部につきましても、考え方としては藻場だけではなくて、その周辺の浅場も含めて連続的に指定をしていくというふうなことで考えておりますので、その辺は答申の中でも留意事項として少し書かせていただきたいなというふうには考えております。

○須藤委員長 例えば有名な、今はおさまっているけれども、三番瀬の問題なんかで三番瀬へ行ってみればわかるけれども、全部が干出するわけではなくて、手前だけがそうであって、あとずうっと浅場ですよね。ですから、今の表現の仕方だと、干潟と言ってしまうと、干出を繰り返すところをいうんじゃないですかということ、多分有馬先生のご注意はそういうところだと思いますので、それもあって、その前面なり周囲なりを含んだところが大切だという、そういうご理解ならよろしいんですね、有馬先生。

○有馬委員 そうですね。ただ、余りにも干潟に結びついた浅場だけを評価するという考え方はどうかというふうに思います。

○須藤委員長 どうぞ。

○谷田委員 私も有馬先生と同じような意見を持っています。ただ、ここでは魚以外の甲殻類とか貝類がございますね。その若いやつが生息して育っていく場所という仔稚魚の成育場として考えれば、干潟プロパーのところも、そのものも機能しているだろうと。書き方として、産卵場・成育場と書いてあるんですが、特別域の設定ですから、厳密にいうと仔稚魚の成育場ですね。

○辻原課長補佐 そうです。

○谷田委員 それが多分、筆走ってしまったのでしょうが、成育場になっているんです。今、有馬先生がおっしゃったのはまさにそのとおりで、例えば参考資料でいただいた資料8の1ページなんて、産卵場だけとってみれば干潟なんて1%以下しかないですね。仔稚魚の成育場にすると、少しふえてくるということなんでしょうね、きっと。その辺のことは1回目の指定だから、きっちり道筋をつけて、ほかのところで混乱しないようにしておかないといけないです。議事録の表現でもいいですけれども。

○須藤委員長 地方自治体もこの辺のところは困ると思います。それなので、干潟と藻場があったら、さあこれが特別域かと、こうなっちゃっても困るんですね。それはまずいので、そこだけは留意しましょうね。ひとつよく説明してやってください。今のようなご意見の部分ですね。どうぞ。

○田中委員 考え方として今説明されたことは何となく流れとしてわかるんですけれども、私が混乱しているのは、こちらのA3の方の資料の30ページから31ページのところで、確かに藻場とか干潟とか浅場の一部は、先ほど重要なところというのがデータとして卵とか、それから仔魚が出現しているという説明でわかるんですが、それ以外のところでかなり出ていますよね。これについての重要性というのはどう考えるのかというのが、よくわからなかったんですよ。これは多分、流れに乗ってこちらに来ているという説明だと思うんですが、では、そうだとすると、卵そのものはそこで育たない可能性があるのでだめになるだろうと。ところが仔稚魚についてもそう考えるのか、あるいはそういうチャンスがあるのであれば、かなりのエリアを逆に場所限定というよりは、ある程度そういう仔稚魚が育つ可能性があるところとしてとらえるべき考え方があるのか、あるいはここの対象になっているのが、たまたま今の議論されている種類以外のものが多くて、そういう結果がたまたま出ているのか、その辺がちょっとよくわからなかったので、その考え方を教えてほしいんですが。

○須藤委員長 それとあわせて大体類似の意見が、有馬先生の1番の疑問がありましたよね。干潟じゃないところにいるんだけれども、そういうのはどうですかというので、今と大体類似のご質問だと思うので、あわせてお答えください。

○辻原課長補佐 まず、全体の考えからいいますと、代表魚種を選ぶというものの中で、幼稚仔の産卵場あるいは成育場が特定の場所に限られるようなものをやりましょうというフィルターがかかっておりますので、そういう意味でいいのすと、イワシのように、そういう特定の場合に依存しなくて海でばらばら産んでいるような魚というのは、場合によってはこういう卵の調査では引っかかってくる。恐らく、羽田沖の干潟なんかはそういったものが吹き寄せられて、卵の数が非常にふえているような傾向があるのかと思います。
 ただ、こういった魚については、特定の場所に依存しないということですので、特に保全すべきという観点からいうと、ちょっと外れてくるのかなというふうなことで考えております。
 一方で、33ページを見ますと、イシガレイが地点3というところで結構見られるわけでございますけれども、恐らく、そこに着床する前の、まだ自分では動けないような小さな魚がこういったところを流れてきているというふうなことであろうかと思いますけれども、恐らくこういったところを浮遊しているものは最終的には底場の方に移動して大きくなっていくということでございますので、そういったことを考えたときに、貧酸素水塊の影響があるということで、産卵場と幼稚仔の成育をセットで考えた場合に、一応ここでは見られるんだけれども、最終的には貧酸素水塊の影響を受けるであろうということで、今回はこういったところが実際あるんだけれども、特別域としての指定というのは、今回は見送るべきなのかなというふうな整理をしています。
 ただ、そうは言っても、浅場というのは非常に重要な場でございますので、なお書きとしては、今後、東京湾の水質改善が進んでDO等の状況がよくなれば、もちろんこういったところも当然特別域として指定される可能性はあるんだというふうなことを注意書としては書いておきたいというふうに思っております。

○須藤委員長 田中先生、いいですか。ですから、見直しの段階でということですね。

○田中委員 そうですね。多分、そこで育っているのか、あるいはその場を通過するポイントとしてどう考えるのか、ちょうどサケの遡上の話と何か似たような考え方で、今、多分、きちっとは整理できないと思うんですが、その重要性というのがもう少し、今後さらに研究なりそういうものが進んだときに、場合によってはそういうポイントを通過しているんだけれども、その場がないと次のポイントに行けないというケースがあり得るかもしれないですよね。そういうことをも考えて、これはとりあえず割り切りとしてはこういう考え方も1つあると思うんですけれども、今後、その辺の知見をもう少しためていく必要があるのかなという気がしますね。

○須藤委員長 通過点であっても大切ですよね。
 どうぞ、土屋先生。

○土屋委員 同じような意見なんですけれども、稚仔魚というのは魚種を特定していないわけですね。そうすると、例えばアユのような回遊性のものの稚仔魚というのはこういうところにいるという可能性が多分にあるんじゃないかと思うんです。ですから、そういうのも少し情報としてはきちんとつかんでおいた方がいいのではないかと。

○須藤委員長 回遊魚ですね。

○土屋委員 多摩川のアユなんていうのは今、風物詩になっておりまして、非常に地域住民の関心が高いですから、多分、この辺のことの話というのは出てくるんじゃないかと思うんです。ですから、パブリックコメントなんか求めるときにはそういう話というのは十分考えて資料を整理しておいた方がいいんじゃないか。

○須藤委員長 なるほど、そうですね。それも抜けているかもしれませんね。ありがとうございます。

○花里委員 ちょっと気になるなというか、私は海のことは余り得意ではないんですけれども、例えば淡水のことを考えると、稚仔魚というのは結構捕食者、成魚がいるわけですね。いろいろなものに食べられますから、大体水草帯だとか、いろいろ隠れ場所にいることが多いんです。そういう点では、この結果として藻場のところが稚仔魚として重要だとなったのはリーズナブルだと、やはりそうだなというふうに思うんです。そこを今度は浅場ということでやってしまうと、例えばこの場合は貧酸素水塊ができているから、かなりの浅場は制限されちゃっているんですけれども、今後いろいろ例がふえたとき、湾が全体が浅くて貧酸素水塊ができていないようなところになると、浅場というくくりですると、ほぼ全部が特別域ということになることが起きるのかなと。
 それで、ちょっと有馬先生にお伺いしたいんですけれども、かなりそういう隠れ家でないようなところを利用する仔稚魚とかも多いんですか、海では。

○須藤委員長 どうぞ。

○有馬委員 例えばマダイの稚魚は、着底すると基本的には藻場にはほとんど分布せず、もうちょっと先の砂浜域のところで、ヨコエビやアミ類を主に摂取して成長するとされています。

○須藤委員長 底生魚については、そこにいるのが一種の隠れ場所なのかもしれないけれども、要するに、そういうものがなくてもそういう生息ができるという、そういう意味ですね。

○有馬委員 ええ。

○花里委員 そうですか。わかりました。そういう点ではよろしいんですけれども、今後そうすると、特別域がかなり広くなってしまうというような心配はあるから、そのときにはどうするかということは今後検討する必要がありますね。

○須藤委員長 それが、有馬先生が何回目かのときに、そんなこと言ったって無理じゃないか、全部が特別域になっちゃうじゃないと。それぞれによって、東京湾でいえば全部が特別域じゃないのと、たしか発言されたのが、私はそれがすごく印象が深かったので、どうやって限定していこうかなというのをお願いしてきたわけなんですが、全部特別域になってしまうのも、これも少しいかがなものかと思ったわけです。

○谷田委員 私も全く素人なんですが、イメージとして言うと、砂浜の浅場なんていうのはエビなんか稚仔魚の成育場になっていて、そうすると大阪なんかで水通しがよければ広くなりますね。それでも特別域にしてもらってもいいんですけれども、全域になってしまうとまずい。

○有馬委員 特別域というのは産卵・成育場を特別域とするのか、産卵・生息場の中のほんの一部のどこか特別重要なところだけを特別域にするのかという問題に、また戻ってきてしまうんですよね。もともとの答申のところで、私が感じたのは、基本的には生息域とそれ以外の産卵・成育場は特別域ですよ、というふうに理解していたので、そういう意味でいうと、海ではいろいろな魚種が産卵時期も変えながら、しかも一時期は藻場に産卵するのもいるかもしれないし、もうちょっと深いところに産卵するのもいる。それが移動しながら、東京湾は反時計回りの流れに乗っていろいろなところへ行く。
 例えば別紙の資料8の9ページの貧酸素のところでも、8月のところで見ると、三番瀬の方は確かに6とかいう高い値が出ているんですけれども、それよりももうちょっと西の方の隅田川だとか羽田沖のあたりのところも含めて、ある程度生息不可能ではない場所というのはあって、稚仔魚の分布なんか見ると、大体それにも合うように神奈川県側の方にも結構分布しているので、余り藻場、干潟と強烈にリンクさせて考えると、問題が出るんじゃないかという気はどうしてもしますね。

○須藤委員長 どうもありがとうございます。全部ではないんですよね。
 ほかに何かご意見ございますか。大ざっぱにいうと、大体予定した時間も近くなってきたんですが、とりあえずは、きょうの東京湾の原案は、貧酸素水塊もあってこの程度に限定されているわけですけれども、このくらいで大体そう問題はないと考えていいですか。今の原案が示されていますよね。最後の結論の部分ですよね。何もないというのも何なので。

○有馬委員 例えば特別域というのは干潟と干潟の前面のある程度範囲というものの観点からすると、これは資料8の26ページのところで、富津干潟のところは何か余り深いところまで入っていないような感じ。先ほど言われたみたいに5mくらいまでということであれば、もうちょっと、三浦半島の方は深いところまで入るのではと思います。

○須藤委員長 ここは5mですか。

○有馬委員 5mまで行ってないですよね。

○辻原課長補佐 この辺も精査したいと思います。恐らく、ちょっと引き間違いの部分もあると思います。すみません。

○須藤委員長 大体5mと、さっき言われていたよね。5mだったら妥当かなという気もしなくもない。

○辻原課長補佐 この水系の港湾といいますか人工構造物も隣接しているところもありますので、そういった関係でこんな引き方になっているのかもしれませんけれども、そういった非常に人工的なところはどこまでなのかというのを、少し確認いたしまして、原則5mということで線引きしたいと。

○須藤委員長 原則はね。
 どうぞ。

○谷田委員 須藤先生がおっしゃったのは非常に重要なポイントを押さえられていると思います。東京湾の場合は、結局貧酸素水塊の存在があるために、非常に限られた地域が特別に重要なホットスポットになっているわけですね。それがない場合でも、相対的なホットスポットは閉鎖性水域でもあるはずなんですね。そういうぐあいにとらえれば、相対的なもので、特別域と一般域と相対的なものだから、そういう理解でいけば、ほかのところでも特別域が設定可能ですよね。東京湾の場合は貧酸素水塊という外部制約があるために、割と自動的に機械的に決まってきた。ほかのところはもう少し難しいかもしれない。だけど、そういうことで一般域と特別域を区別するというのは1つのやり方のような気もしますね。

○須藤委員長 そうですね。やっぱり全部というのもだめだし、全然ないというのもよろしくないので、大事だったら限定をする必要があるよね。限定の仕方が余り根拠がない仕方はまずいというふうに思いますので、そこだけが大変重要だと思います。これからも多分大阪湾とか、有明海とか有明海もここでやるんだよね。そうなってくると、ある限定が、有明海なんかもすごくここといい勝負ですから、そうなると思いますよね。
 あとはよろしいですか。今のは大体まとめで、有馬先生から、そういう意味でそれぞれの水域でやるときには、それなりに限定はできるでしょうと、それをすべきであろうと、こういうことで全水域というわけにはいかないんですね。海は大変問題なのは前から申し上げているように水質の濃度が違うんですよね。一般域にするのか特別域にすると、0.02と0.01だったかですよね。それでも超えているのはないんだね。さっきのも大丈夫なんですね。

○辻原課長補佐 環境基準点という意味では超えているところはないんですけれども、補助点ということで言いますと、一般域では幾つかの点で超えているところはございます。先ほど言いましたが、東京湾の奥の方とか、当然水の入れかわりが悪いので、恐らく生活系であるとか路面排水の影響だと思いますけれども、高いところがございます。

○谷田委員 0.02ですね。

○辻原課長補佐 0.02ですね。

○須藤委員長 今度はそういうところの問題、別にそれが低いからやめましょうというわけにいかないから、それはなんですけれども、大事であればそのようにしなければいけないので。
 よろしいでしょうか。
 それでは、一応基本方針としては大体この方向でまとめていただくということにして、これからのスケジュールについて、その他の議題としてご説明ください。

○辻原課長補佐 資料10をごらんいただきたいと思います。今後のスケジュールということでございます。A4の1枚紙でございますけれども、当初、本日答申案まで行きたいということでございましたけれども、きょうは海域等の基本的な考え方ということでございまして、次回、利根川以外の河川の整理と、それから海域等も含めた答申案についてお示しをしていきたいと思います。
 また本日、3名ほど先生、お休みなさっている都合もございますので、一たんそういった先生のご意見もお伺いした上で、答申については案を作成していきたいと思っております。
 次回、この答申案についてご了承いただければ、1月中旬から2月中旬にかけましてパブリックコメントを実施していきたいというふうに思っております。この結果を踏まえまして、第12回ということで平成20年2月下旬を予定しておりますけれども、パブリックコメントの結果のご報告と、特に問題がなければ、答申案全体について二次報告ということでご了承いただけるようであれば、ご了承いただきたいというふうなスケジュールで考えております。

○須藤委員長 ありがとうございました。
 いかがでございましょう。これは年度内の仕事なので、あと2回で大体パブリックコメントまで含めて、こういうふうにやっていきたいということでございますので、よろしゅうございますね。
 それでは、欠席されている先生がいらっしゃるので、類型指定の答申案については、きょうのは大体基本方針ということで、これを踏まえて答申案として整理していただいて、ご審議を第11回でやらせていただく。パブリックコメントを経て、第12回で最終的な類型指定の第二次報告をつくるということにしていきたいと思います。どうぞよろしくご協力をお願いしたいと思います。
 大変長時間にわたりましてご熱心なご討議いただきましてありがとうございました。これをもって終了させていただきます。お疲れさまでございました。

午後16時58分 閉会