中央環境審議会水環境部会(第33回)議事録

開会

議題

環境基本計画の点検について

(水環境保全に関する取組)

閉会

配布資料

資料1 中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成25年7月30日現在)
資料2 重点点検分野に係る関係府省の自主点検結末(調査票)等
「水環境保全に関する取組」
資料3 「水環境保全に関する取組」に係る報告書構成案
参考資料1 第四次環境基本計画の点検の進め方について
参考資料2 平成24年度水環境における放射性物質モニタリング結果について

午後3時00分 開会

【司会】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第33回水環境部会を開会いたします。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員数のご報告をいたします。現在19名の委員にご出席いただいております。所属委員25名のうち過半数の19名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
 また、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいております。
 それでは、議事に入ります前に水・大気環境局長の小林よりご挨拶を申し上げます。
 局長、よろしくお願いいたします。

【小林局長】 環境省水・大気環境局長の小林でございます。本日は、お忙しい委員の先生方にお集まりいただきまして、また、大変蒸し暑い中、ご参加賜りまして、誠にありがとうございます。日ごろから大変幅広い水環境行政の分野にわたりましてご指導いただいております。また、様々なご助力をいただいて行政を進めているところでございます。この場を借りまして厚く御礼を申し上げます。
 本日、第33回の水環境部会ということでございまして、前回に引き続きまして、環境基本計画の点検についてご審議を賜るところでございます。前回、重点検討項目をご審議いただき、お決めいただきました。これを受けて、省内、また関係省庁ともいろいろご相談をいたしまして、資料を用意させていただいたところでございます。大変幅広く多岐にわたる課題がございますが、今日は様々な観点からご審議を賜りまして、点検の推進に我々もしっかり向き合っていきたいと考えているところでございますので、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
 私、この後、国会用務がございまして、中座させていただくことをおわび申し上げながら、本日はよろしくお願い申し上げます。

【司会】 局長、ありがとうございました。
 次に、本日の審議のためにお配りしている資料につきましては、資料一覧のとおりとなっております。配布漏れ等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 また、本日は説明事項が大変多くなっておりますので、円滑な議事進行にご協力をお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては、岡田部会長にお願いいたします。
 部会長、よろしくお願いいたします。

【岡田部会長】 かしこまりました。
 それでは、早速、第33回水環境部会の議事に入らせていただきます。本日の議題は、審議事項として環境基本計画の点検について、すなわち水環境に関する取組ということになっております。
 では、「重点検討項目[1] 健全な水循環構築のための取組」について、それぞれの取組状況について各省からご説明いただき、その後質疑ということにしたいと思います。
 最初に、環境省からご説明をお願いいたします。

【宮崎課長】 環境省水環境課長、宮崎でございます。よろしくお願いします。資料2と、クリップ止めになっているグラフをご用意させていただいておりますので、横目で眺めていただきながら、ご説明したいと思います。
 今回の各省の「重点検討項目[1] 健全な水循環構築のための取組」でございます。前回の部会で申し上げましたように、流域とか森林、様々な分野で取組を行っておりますので、各省の取組について点検結果をお願いしたところ多数の個票が出てまいりました。それを今日、各省からご説明させていただきたいと思います。
 まず、環境省でございますけれども、流域における取組の1つ目、新規環境基準項目の追加であります。ページをめくっていただきまして5ページでございます。それから、公共用水域の環境基準の達成率[1]、[2]、[3]のグラフをご用意しております。代表的な水質指標であるBOD、CODの環境基準の達成率ですけれども、最新のデータ、平成23年度におきましては88.2%となっております。水域別では、河川が93%、湖沼が53.7%、海域で78.4%ということでございまして、河川においては環境基準の達成率は高く、また年々上昇傾向にありますけれども、海域では横ばい、湖沼としては依然として低いという状況になっております。
 環境基準をいろいろ増やしてまいりましたけれども、国民のニーズが多様化していることから、いろいろなものをつくるという作業をしてきております。ごく最近では水生生物の環境基準で、24年8月にノニルフェノール、25年3月に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を環境基準項目に追加してきておりますけれども、これに加えて現在、海域及び湖沼におきまして、「下層DO」と呼んでおります下層溶存酸素と透明度について環境基準化に向けた検討を現在行っているところであります。また、大腸菌群につきましても、大腸菌に着目した指標の導入ができないかということを検討しているところであります。これらにつきましては、いずれこの審議会に諮問させていただきまして、個別にご審議をいただこうと考えているところであります。
 1枚めくっていただきまして、気候変動による水質等への影響解明、水循環への影響評価・適応策の検討ということであります。これは、全省的に気候変動に対応して適応策の検討もこれからなされていくわけですけれども、水環境課では平成21年度から24年度まで気候変動による水質等への影響解明調査を実施してきておりまして、今年の3月にその結果を報告させていただいております。
 全般的に水温が上昇しているとか、特に湖で影響が出ているのではないかということが指摘されておりまして、モデル湖沼として選定した琵琶湖では、過去、気温上昇と水温上昇の間には相関があるということと、冬季の気温の上昇が全循環の開始時期の遅れに影響を及ぼしている。全循環と申しますのは、琵琶湖の水全体が混ざり合って、下の方にも酸素が届くということが遅れる。あるいは、将来予測をやりますと、そういう循環が生じにくくなってくるのではないかという予測も出ているということでございますので、25年度においては湖沼の適応策の検討を重点的に行っていきたいと考えているところでございます。
 次が生物多様性国家戦略の改定及び推進ということであります。ご承知のように、愛知県で生物多様性の国際会議がございまして、愛知目標というものが定められたわけですけれども、その達成のためのロードマップを提示されておりますので、それを達成するためにみんなで努力していこうということになっております。
 生物多様性の国家戦略なるものが閣議決定されておりまして、「森・里・川のつながりを確保する」ことが基本戦略の一つであります。保有すべき自然環境や優れた自然状況を有している地域が有機的につながった生態系ネットワークの形成を進めることが重要といった指摘がされておりまして、各省連携してこの取組を進めているということでございます。これは24年度に改訂を終えたばかりですので、引き続き進めていくこととさせていただいております。
 次が浄化槽整備の推進であります。環境省は、分散型の処理システムということで、浄化槽の推進を行っているわけですけれども、都市とか郊外、農村・漁村といった地域の特性を踏まえた下水道、農業集落排水との役割分担の下で、浄化槽の整備を推進していくということにさせていただいております。都道府県構想の見直しを国交省、農水省と連携して進めているところでありますが、特に最近は地震に強い浄化槽の整備も必要であるということで推進をしているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、この2つは啓発的な事業の取組であります。こどもホタレンジャー事業は、水辺の水環境問題とか自然保護など、環境保全に関する子どもの活動ですね。子どもが水生生物に注目した水環境保全活動を行っている。その象徴としてホタルを取り上げまして、表彰を行っているということでございます。平成24年度も32団体からの応募があり、環境大臣賞等の表彰を行っておりますが、こういう活動は続けていきたいと考えているところでございます。
 それから、全国水生生物調査は、国交省と共同で水生生物を指標として河川の水質を総合的に評価するという取組を行っておりまして、川の生き物調査を行って水質の判定を行っております。昨年度24年度も6万2,000人もの参加を得て進めておりますので、これも引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。

【木村室長】 続きまして、地下水・地盤環境室から、整理番号7から10番までをご説明させていただきます。
 地下浸透の防止による地下水汚染対策推進費につきましては、水濁法の一部改正によりまして、工場・事業場からの有害物質による地下水汚染の未然防止を図ることとしたところでございます。改正によりまして、有害物質を貯蔵・使用する施設の設置者に対しまして、構造基準の遵守義務や定期点検の義務が課されることとなったため、今後とも法改正の趣旨を踏まえ、自治体や事業者による地下水汚染対策の推進を図ってまいることとしております。特に、既存の施設に対する構造基準の猶予期間が27年5月末まででありますので、引き続き確実な対応を促す必要があると考えております。
 次に流域視点からの硝酸性窒素対策推進費についてでございます。平成23年度の地下水環境基準超過率は、対前年度比で1.0ポイント減少しています。結果的に5.9%の超過ということでございます。後ろの表に地下水の環境基準超過率[1]と同[2]でお示ししておりますので、ご参考までに見ていただければと思います。[2]の硝酸性窒素の超過率が引き続き最も高く、前年度からやや減少しているものの、3.6%を占めているところでございます。
 硝酸性窒素等による地下水汚染は広域に及び、原因も施肥や家畜排せつ物、生活排水など多様であるため、規制的な手法をとるのではなくて、地域が一体となって重点的な対策を図るなど、包括的な制度の構築を進めることが効果的と考えております。今後は包括的な制度化に向けて、地域に応じた手法の検討や、モデル地域を選定しまして、制度導入による効果等を検証しつつ、適切な制度構築を図っていきたいと考えております。
 めくっていただきまして、次に地盤沈下等水管理推進費についてでございます。地下水・地盤環境の保全を図るための調査としまして、毎年、全国の自治体を通じて地下水質の測定結果及び地盤沈下測定結果を取りまとめの上、環境省ホームページ等で公表を行っているところでございます。地下水質の調査結果につきましては、先ほど述べたとおりでありますが、地盤沈下測量結果におきましては、地盤沈下面積が平成22年度までの近年については軽微に推移していたところでありますが、平成23年度は過去最大の水準で増加しております。ただ、これは東日本大震災の影響と考えているところでございます。
 さらに、地下水の保全と利用を見据えた地下水管理方策について検討を行っておりまして、来年度に「地下水の保全と利用のガイドライン」を策定する計画としております。また、地下水保全の観点から、全国の湧水の件数について調査を行っており、平成24年度は1万5,016か所ございましたが、今回調査では89か所減少しているということでありまして、今後の推移を注視していくこととしております。
 最後でございますが、先進的地中熱利用ヒートポンプシステム導入促進事業についてでございます。地中熱を利用することにより、CO2削減やヒートアイランド現象の緩和効果が期待されておりますことから、地盤環境に配慮しつつ普及を図るため、本年度より地盤環境のモニタリング機器を備えた地中熱利用ヒートポンプを導入する際に補助金を交付する制度を創設いたしました。また、地盤環境に配慮した地中熱利用の普及の検討を引き続き行い、地中熱利用に当たってのガイドラインを改訂することも予定しているところでございます。

【厚生労働省・宇仁菅課長】 厚生労働省の健康局水道課長の宇仁菅でございます。資料2の11ページをご覧ください。私どもの取組としましては、保全された水環境を有効に活用する立場からの取組になるかと考えます。
 施策の実施状況・効果の欄をご覧いただきたいと思います。主に水道法に基づく認可、あるいは、国庫補助を実施することなどによりまして、全国どこでも安全で快適な水道水の供給が確保・維持されるように、技術的・財政的な支援を行っているところでございます。
 今後の課題・方向性としまして、施設の老朽化が急速に進んでいることへの対策が必要ではないかということと、重要なライフラインであることから、一層の耐震化を推進しなければならないことが課題であり、今後の方向性ではないかと考えているところでございます。
 以上、簡単ですが、説明を終わります。

【農林水産省・木内課長】 続きまして、農林水産省環境政策課長の木内でございます。よろしくお願いいたします。
 資料の12ページをご覧ください。まず、流域に共通する施策の取組ということで、12ページと13ページの上ですけれども、家畜排せつ物、農業集落排水事業についてご説明いたします。家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律、これは、一定規模以上の畜産業を営む方に家畜排せつ物の管理を遵守させる法律ですけれども、平成23年12月時点の施行状況調査では、管理基準対象農家5万3,000戸のうち約99%、ほとんどが管理基準に適合していることがわかっております。
 続きまして、13ページの農業集落排水事業でございます。これは農業集落におけるし尿や生活雑排水を処理する施設の整備を行うものです。全国の汚水処理人口普及率は、下水道や浄化槽を合わせますと全体で88%、このうち農業集落排水施設は3%ということでございます。都市部と農村部で見ますと、都市部は100%近いのに対して農村部では70%程度の普及率という状況です。農村部の方が農村集落排水事業に頼る部分が大きくなっており、まだまだ都市部と農村部との差はあるということで、流域の取組としてしっかりやっていかないといけないと考えております。
 それから、流域に共通する取組と、川の流れの保全・回復や、面源からの負荷の削減を目的とする農村部、都市郊外部の取組を挙げております。最初は、13ページの下の「環境保全農業直接支援」ですけれども、これは化学肥料や化学合成農薬を5割程度低減する取組とセットで、温暖化防止や生物多様性保全の取組をするということで、平成23年から取り組んでおります。平成24年度は4万ha強となっており、23年度の1万7,000haと比べますと、およそ2.5倍の増加となりました。
 また、次の14ページ、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づいて、土づくりや化学肥料、化学合成農薬の使用低減に取り組むエコファーマーというものを認定しておりますが、平成24年度末現在ではエコファーマーの数が約20万件強となっております。
 続きまして、14ページの下の農業環境規範の普及・定着ですが、これは土づくりの励行とか、適切で効果的な施肥、それから、農業者が基本的な農業生産活動への取組をきちんとやることをまとめたもので、農林水産省が実施するいろいろな補助事業があるのですけれども、この要件に位置づけております。24年度は38の補助事業の要件としてこの「農業環境規範」を関連づけて取り組んでおります。
 それから、15ページでございますが、有機農業の推進、有機JASなど格付け数量は国内生産全体の0.2%程なのですけれども、農水省では農薬とか化学肥料に頼らない有機農業を推進する取組を進めております。
 続きまして、15ページの下の方のb)でございますが、森林の水源かん養、生物多様性を目的とする山間部での取組の状況についてのシートでございます。一番最初は多様な主体による森林づくり活動ということで、森林の保全や整備が、森林所有者だけでなくて、NPOあるいは企業など多様な主体の参加が重要であるということから進めておりますが、24年度はNPO等の7団体へ支援を実施してまいりました。
 続きまして、16ページでございます。森林整備事業でございます。間伐などの森林の整備、それから、間伐をするため路網を整備しなければいけないのですけれども、こういうものを進めております。23年度では全国で55万ha余りの間伐を実施して、育成途中にある水土保全林、要は切るのを少し遅くしたり、間引いて切ったりして、水を保全する貯水機能が良好に保たれている森林ということですけれども、これが良い状態に保たれている森林が23年度では74%程度を占めております。
 続きまして、その下にございます治山事業でございます。治山事業については、平成24年度、全国で2,097か所で治山事業を実施しており、周辺の森林の山地災害防止機能が確保される集落数は、23年度で5万3,569か所となっております。
 最後に、17ページ、指標としてはc)の川の流れの保全・回復や貯留・浸透、かん養能力の保全・向上、面源からの負荷の軽減を目的とする、農村部及び都市郊外部での取組でございます。耕作放棄地対策でございますが、水源のかん養などの農業の多面的機能の発揮の観点から、中山間地域では条件不利のところで農業を続けてもらうように直接支払という取組、あるいは、農地・水保全管理支払など、いろいろな施策を講じて耕作放棄地の発生防止に努めてまいりました。中山間地域直接支払は平成24年度は68万ha、全市町村の約6割が対象になるというような状況になっております。
 今度は指標のグラフをご覧いただきたいと思います。別刷の8ページの上の方に水量に関する補助指標である森林面積が書いてございます。およそ2,500万haが日本の森林面積ですけれども、そのうち育成単層林、育成複層林、それから、天然生林と書いてありますが、育成単層林というのは、簡単に言いますと、例えば、一帯のスギを同時に切って出荷して、また一斉に植えるというような取組をする山でございます。
 育成複層林というのは、少しずつ切って、そこが一気に裸地に、何もなくならないようにちょっとずつ分けて切る、あるいは、針葉樹と広葉樹を混ぜて植えてやっていく、複層にしていくというような取組をしていまして、徐々にではありますが、育成複層林の茶色の部分が少しずつ増えております。天然生林からも移転する時には育成複層林に誘導するような形で取り組んでおります。それから、保安林面積でございますが、最近5年間では年平均およそ4万haの増加となっております。
 9ページをご覧ください。9ページの上に「田園自然環境の創造に着手した地域数」と書いてございますが、水生生物や水辺に関する補助的指標ということで、農村整備事業の中で、例えば、頭首工といって川から水を引く時に、水だけを引くのではなくて、魚が遡上できるような魚道を同時に配置したりとか、そういうことに配慮した整備を行った地域数がこういうふうに増えてきているということです。
 それから、9ページの下も同じ水生生物とか水辺の補助指標ですけれども、農地・水保全管理支払という形で、地域が共同して水路の整備とか管理をやるというような取組でして、146万ha程度となっております。
 以上でございます。

【経済産業省・實國室長】 続きまして、経済産業省環境指導室長の實國からご説明をさせていただきます。資料2の18ページをご覧ください。
 経済産業省の取組として3点ご紹介させていただきます。いずれもa) の流域に共通する施策の取組に該当するものです。まず、1点目、18ページの上段の技術開発でございます。環境調和型水循環技術開発でございます。この事業は従来よりもエネルギー消費量を大幅に抑えた工場排水の再利用システム及び汚泥処理システムの開発を目指すものです。
 この事業の中には4つの要素技術が入っております。1点目は、膜浸透エネルギーを減少させるような分子構造を持つ分離膜の開発。2点目は、膜分離活性汚泥法において消費エネルギーの大きいばっ気や攪拌工程を高効率化する技術の開発。3つ目は、汚泥中からニッケル、亜鉛などの有用金属の回収、また、ホウ素やフッ素などの除去を行い、汚泥発生量を削減する技術。4点目は、1,4-ジオキサンなどの自然界で分解しにくい化学物質を、工場の排水処理施設中でオゾン等を使って分解処理する技術でございます。21年度から実施しておりまして、今年度が最終年度になっております。現在、目標達成に向けて取り組んでいる最中でございます。
 2点目は金融的支援でございます。18ページ下段をご覧ください。こちらについては、中小企業が汚泥処理装置、ろ過装置など水質汚濁防止関連設備を導入する場合、設備投資資金を日本政策金融公庫が低利で融資する制度でございます。水質汚濁防止関連設備では、過去5年累計で137件、約61億円の融資の実績がございました。
 19ページをご覧ください。3点目は税制の特例でございます。こちらについては、事業者が汚泥処理装置、ろ過装置など汚水・廃液処理施設を導入する場合に、固定資産税の課税標準の特例を認めるものでございます。23年度、24年度の実績を載せておりますが、汚水又は廃液施設の取得件数は5,000件から8,000件となっております。
 以上申し上げたような取組を通じて、事業者による環境負荷低減の取組を進めているところでございます。

【国土交通省・山本課長】 国交省の環境政策課長の山本でございます。国交省は別綴じになっておりますので、そちらでご説明申し上げたいと思います。
 まず資料の1ページ、清流ルネッサンスIIの事業でございまして、内容は、特に水環境の悪化が著しい河川・湖沼で水質改善、水量確保の観点から、関係者が一体となって行動計画を策定して、総合的な対策に取り組むことにございます。平成13年度から開始しておりまして、全国32か所で、地域協議会が設置され、目標を設定して取り組んできました。綾瀬川における事例もこちらにお付けしております。平成13年度以降、全国の1級河川に比べまして、環境基準を満足している地点の割合も、全国の1級河川では8%増加した一方、清流ルネッサンス対象河川では22%増加したところでございますけれども、引き続き改善に取り組んで参ります。
 次は、雨水貯留と雨水利用でございます。集中豪雨時の都市水害、地下水かん養又はせせらぎ用水供給という観点でやっておりますけれども、校庭や学校で貯留する事例がある一方、大規模なものとしましては、例えば広島のマツダスタジアムに地下貯留池を設けまして、雨水をせせらぎ用水、トイレ用水として利用しているという事例もございます。平成23年度末で約800万㎥の雨水が利用されてございますけれども、交付金、税制等で促進に努めていきたいと思っております。
 次のページは下水処理水の再利用でございます。再生水を修景・河川維持用水等として供給しておりまして、平成22年度は年間約1.92億m3供給しております。また、ユニークな事例でございますけれども、名古屋のささしまライブ24地区の事例といたしまして、都市再生緊急整備地域ということで、まちづくり部局と下水道部局と民間事業者が連携して、再生水を運河の水質改善用水と修景用水、その途中の大学に地域冷暖房利用というパッケージで事業計画を組んでおります。今後、処理場の改築機会も増えてまいりますので、都市開発とマッチングした、こういった好事例も増やしていきたいと思っております。
 次に、環境用水の導入でございます。平成18年3月に取扱通知を出しまして、地域合意の下、環境用水の水利使用を認め、生活環境、自然環境の改善を図っているところでございます。
 3ページ、ダムの弾力的管理による流況改善でございます。ダムの洪水調節容量の一部に、洪水に支障を及ぼさない範囲で流水をためまして、これをフラッシュ放流等により淀み水の流掃等を実施しております。平成24年度は全国の18ダムで実施しております。
 続きまして、効率的な汚水処理施設の整備等でございます。先ほど環境省からもご説明がありましたけれども、人口減少を踏まえた都道府県構想の見直しに取り組んでいるところでございます。また、実施する場合であっても、広域プロジェクトによる低コストな手法の導入も実施しております。さらに、補助制度の拡充を行いまして、現在、下水道管渠の総点検等を推進しているところでございます。
 一番下にございますけれども、都道府県構想の適宜見直しとともに、現在は特にスクリーニング調査を核とした管理運営技術のモデル実証をしておりまして、そういった実証の結果の知見のガイドライン化等によりまして低コスト化をさらに図っていきたいと思っております。
 次のページは多自然川づくりの推進でございます。すべての川づくりのプロセスに、自然の営みを視野に入れまして、生物の生息・生育・多様な河川環境の保全に取り組んでおります。円山川のコウノトリの復帰事例は全国的にも有名になっているものと考えておりますけれども、引き続き多自然川づくり基本方針を踏まえて推進して参りたいと思っております。
 その下が総合的な土砂管理の取組の推進でございます。河床低下、海岸侵食等といった土砂移動の変化に起因する問題に対応するため、砂防・ダム・河川・海岸事業を所管する関係機関が連携しまして、山地から海岸までの土砂の流れの改善について一貫した取組を推進するという趣旨でございます。実際に問題が起きている流砂系において関係機関との事業連携の方針を策定して、移動のメカニズムの把握に取り組んでおりまして、平成23年度末に7水系、平成24年度に新たに2水系にて策定しております。さらに、平成25年度、安倍川において主要地点における数値目標を明記した管理計画を策定しておりまして、できる限り自然状態に近い土砂動態によって形成される流砂系を目指しております。引き続きこういった計画のモニタリングに努めてまいりたいと思っております。
 最後、5ページの2つはヒートアイランド関係でございまして、都市公園の整備等と下水熱利用の促進でございます。都市公園整備等につきましては、交付金等により支援を行っておりまして、公的空間確保量もこのような形で数字は上がっております。
 また、下にございますけれども、新しい目標値を社会資本重点整備計画で13.5㎡/人と設定しております。今後は、都市公園の整備・緑地保全に加えまして、市民緑地等民有地の緑地保全にも取り組んでまいりたいと思っております。
 最後に下水熱利用の推進でございます。下水熱の温度差エネルギーポテンシャルの発揮に取り組んでおりまして、現在、全国10か所で導入されており、これらの事例を拡大する観点から、平成23年度及び平成24年度の2年間にわたり、民間事業者の下水管からの下水熱利用の規制緩和を法律でやっております。また、平成24年度から下水管路内に熱交換器を設置した技術開発を実施し、官民連携の推進母体の下水熱利用推進協議会も設置しております。今後はこういったツールを活用しまして、低コスト技術に磨きをかけるということと、ポテンシャルマップの開発、また財政支援、投資インセンティブの充実化等により、今後増えます管路更新機会を有効活用した下水熱利用、また、先ほどの再生水利用と下水熱利用とのパッケージ化、こういったもので裾野の拡大に取り組んで参る所存でございます。
 以上でございます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいま、重点検討項目の[1]にございます健全な水循環構築に関する関係省庁連絡会議のための取組について、関係各省からご説明をいただきました。ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。
 では、浅野先生の方からお願いします。

【浅野委員】 初めて水環境部会で環境基本計画の点検をすることになりましたが、この分野についての各省のご報告は大変丁寧な報告でありがとうございました。健全な水循環構築のための取組という課題はもともと1995年に環境庁から出された「水環境ビジョン」のうちに含まれていた発想から始まって、随分長い時間の検討・実践の積み重ねがあって今日に至っているわけでが、当初は水循環について政府内の連絡会議のようなものがあって、それがかなりうまく機能していたと私は認識していまして、その成果が今日のこういう状態になったと思うのです。
 今日のお話は、こちらの聞き方が悪かったのかもしれませんけれども、各省にそれぞれ断片的に何をやったということを述べていただくという形になってしまっているものですから、全体としての調整の機能というのがどこでどのように果たされているのか。これはどこに聞けばいいのでしょうか、質問相手がはっきりわからないということがそもそも問題だということもあるわけですけれども、水循環について政府内で各府省がどういうかたちで連絡調整をしておられるかということをぜひお聞かせいただきたいと思います。
 例えば、先ほど治山の話がありまして、農水省はかなり熱心に治山事業をやっておられることは存じておりますけれども、砂防事業のようなものを、実際に現地に行って見ますと、ここは農水省がやっています、ここは国土交通省がやっています、ここは何々県がやっていますと、同じ山でも場所によって違う。ばらしてしまうと、農水省が一番お金があるらしくて、すごく立派な施設ですが、国交省は金がないのでこの程度ですというようなお話しを聞いてしまうのですが。それはしようがないとしても、全体としての調整がどうなっているのかという点が、環境基本計画では重要な関心事ですので、この辺りはどうなっているのか、今後どのように連絡調整をしながら施策をダブらないように進めていくのか、その辺りをお答えください。

【宮崎課長】 浅野先生のご質問で、関係省庁と全体的な取りまとめがどうなっているかというご質問ですけれども、現在2つございます。1つは、浅野先生もおっしゃった健全な水循環系構築のための関係省庁会議というものがございます。これは、水を直接的に扱っている役所で構成されておりまして、事務局は国土交通省と環境省が共同で実施しております。そこに厚生労働省さんとか農水省さんとか関係の深い役所が集まってやっております。
 もう一つは、新しい動きですけれども、水循環を中心に考えることが必要であるということが、政府部内あるいは議員の先生方の間でもだんだん盛り上がってまいりまして、水問題に関係する関係省庁会議というのがもう一つつくられております。こちらには外務省とか普段はあまり水とは直接的には関係ないのかなというイメージもあるような役所の人にも入っていただいていたり、確か防衛省の方にも入っていただいていたかと思います。そういう幅広い立場の人に入っていただいて、政府全体としての取組を進めていこうではないかというものも動いております。
 これは内閣官房が中心となって動かしている取組と、国土交通省の水資源部が中心となって動かしている取組、その2つの取組がございます。後者につきましては、前回も申し上げましたように、国会で水循環基本法なるものの審議が大分進みまして、衆議院は通過したようですけれども、国会会期末で時間がなくて、前回の通常国会では通らなかったということになっておりますが、そういう動きにつながっているということでございます。
 以上です。

【岡田部会長】 ありがとうございました。よろしいですね。
 では、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 もう大分答えていただいてしまったのですけれども、今の健全な水循環に関する連絡会議は、一時、開店休業のようなこともあったかと思うので、今また動いていらっしゃるかということですね。そこを確認させていただきたかったということが一つございます。
 もう一点は、10ページの地盤沈下等水管理推進費というところが特に関係すると思うのですけれども、今、まさにお答えいただいた水循環基本法案との関係で、また国会に出てくると思いますので。それが通ると、私の理解しているところでは地下水は公水に近づいていくようなことに多分なると思うんですが、そうなると管理をどうするかというのが法的にも重要な問題になってくると思います。地下水の保全と利用のガイドラインを策定することは結構だと思うのですけれども、この辺にどういうふうに関連して新しい問題が発生するかというところをお伺いしておきたいと思います。
 地下水に関しては、私よりよっぽど詳しい先生がたくさんいらっしゃいますけれども、多分東京都が一番よく調査もしているのではないかと思いますが、全国でも地下水の状況がどうなっているかに関してのマップのようなものもちゃんとはできていないような状況かと思いますので、そういうこともぜひ検討していく必要があると思います。
 地盤沈下との関係でどこまで利用できるかというのは結構大問題で、幾ら調査をしてもここまでは水を汲んでもいいということは、水位で見ようと思ってもなかなか出てこないというお話を伺っておりますが、その辺の話も、ガイドラインとか、今後の管理をしていく上では、重要な問題になると思いますので、その辺に関して教えていただければありがたいと思います。

【宮崎課長】 大塚先生の1点目のご質問ですけれども、確かに健全な水循環系の会議も、もう一段落したのでマニュアルのようなものをつくって安心してしまっていたというのがございまして、しばらく開催されておりませんでしたが、最近、先ほど申しましたように水循環系の話題がまた出てまいっておりますので、先日、補佐クラスの会議ではございますけれども、関係省庁が集まって情報交換などをやっておりますので、いずれまたそういうのが表に出てくるかと思っております。

【木村室長】 お尋ねの地下水の利用という観点につきましては、先生のおっしゃられるとおり、なかなか結論の出ないのが明らかでありますが、それでも環境省としましては、いろいろな地区について情報、データを収集した上で、どこまで利用できるかについて、今年度も請負調査ということで来週ぐらいに入札を予定しておりますが、そういう中である程度の目安を出せればと考えております。
 特に、東京都の地下水位の上昇が新聞にも取り沙汰されたところでありまして、こういうことでいろいろな方からご質問等もいただいているところ、さらにおっしゃられるとおり東京都はかなりそういう調査をしていまして、まだ汲み上げには時期尚早だという結論もいただいておりますので、自治体のそういう意見も採り入れて、今後またさらに検討させていただければと考えているところでございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 では、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 何点かご質問と、少し先走るかもしれませんが、取りまとめ方についてのお願いをしておきたいと思います。
 今、大塚委員からご質問があった水循環については、私も、数年前に国交省の地下水利用の在り方に関する検討会で議論をさせていただいた経緯があるのですが、国交省でその後それをどういうふうにされているのかというのが、残念ながらここに入ってきていないので、もしあればお答えいただければと思います。それが第1点です。
 それから、もう一つも国交省なのですけれども、25番のところで「清流ルネッサンスII」というのがありますが、この計画が他の計画と重なっているものはないのか。例えば、汚染が著しい地域ということでいくと、湖沼が入っていると湖沼水質保全計画みたいな計画が別にあって、それとの整合性はどうとっているのかなと。全く別のところであればそれぞれ個別にあっても問題はないのだろうと思うのですけれども、そういうものとどういうふうに合わせて考えておられるのかというのが2番目でございます。
 あとはまとめ方の話ですが、先ほどお二人の先生からご意見があったように、幾つかのところが重なる部分があります。一番典型的なところは、4番の環境省が扱っている浄化槽と、13番の農業集落排水事業、30番の下水道、この3つはお互いに引用しているように、全体で家庭排水と言いますか、排水の管理をしているわけですね。それをまとめるときに、評価をしていく時には個別の事業はどうだこうだという議論をしていてもしようがないので、これら3つを合わせて全体としてどういうふうにやっていくのか。
 これで100%補うのは無理だろうと思うので、どこら辺が目標になって、それぞれの目標はあると思うのですが、全体として日本の排出源の何割ぐらいを押さえていて、それぞれがその中でどういう分担をしてやっているかということで書きぶりをまとめていただくと、それがどうだこうだという評価ができるのかなと思いますので、そういうふうなことでお願いできればと思っています。
 それに関連した形でちょっと別な観点ですけれども、8番の硝酸性窒素の地下水汚染の話です。ご存じのように硝酸性窒素は地下水汚染だけの話で議論をしているととんでもないことが起こりかねない。湖の富栄養化の話もありますし、そういう問題も合わせて考えなければいけない。これはどこがやるというのは難しいのですが、水系の窒素の循環みたいな形でどこかで検討していただく必要があるのではないだろうか。地下水の水質環境基準の10ppmをどんどん霞ヶ浦に流し込んだら、とんでもないことになるという話ですので、そういう視点で少しまたがった形の検討が必要になるだろうということを、ここの中では書けないかもしれませんが、お願いしておきたいと思います。
 もう一つは、全般に該当するところがたくさんあるのですけれども、例を挙げて申し訳ないのですが、14番と15番の農水省の関連です。例えば、エコファーマーの数がこのぐらいで、これだけ増えてきたよという話がありました。その前に、実施面積がこのぐらいに増えましたよと。確かに量は増えていっているんだけれども、限界は当然あるんですね。モデル事業はいろいろなところでやっているものは、モデル事業が全部をやるわけにいかないということなんですが、全体の中のどのぐらいを占めているのだろうかという視点でご説明をいただくとよろしいのかなと。必ずしも100%この中でやりなさいという話でもないと思うのですけれども、全体の中の何割、あるいは、何パーセントぐらいがこういうことで対応できているのか。100%を目指すのは適切かどうかということはありますけれども、そこら辺の視点で考えていかないと、徐々に増えているからいいねという話になってしまうような感じがいたします。
 何点かお願いも含めて。

【岡田部会長】 では、最初の2件は国交省の山本課長からお願いいたします。

【国土交通省・山本課長】 地下水のところでございますけれども、先ほどから水循環基本法のお話がございましたけれども、今後、水資源保全のツールとしてどういったことができるかという点で、国交省としても役割は認識しておりますけれども、ご指摘の点につきましては、今日、担当が来ておりませんので、事務局を通じましてご回答申し上げる形でご容赦いただければと思っております。
 それから、清流ルネッサンスについては水管理・国土保全局の担当者から回答いたしますので、よろしくお願い申し上げます。

【国土交通省(事務局)】 水管理・国土保全局の事務方です。
 ご指摘いただきましたのは、「清ルネII」で今取り組んでいる内容と、例えば指定湖沼等で水質保全計画に基づいてやっている事業の重複と、それにどう整合をとっているのかというお話かと思います。大変申し訳ないのですが、詳細のところまではこの場でお答えができないと思っております。ただ、重複してくる事業、例えば下水道事業とかそれぞれに位置づいているものはございます。あと、川ですので、流入先に湖沼があったりというところもございますので、その辺、詳細は確認させていただきまして、改めてご報告をさせていただきたいと考えております。
 以上です。

【岡田部会長】 では、次回にまとめてご報告いただければと思います。
 次の生活排水の話は3省ですが、宮崎課長からいいですかね。

【中杉委員】 これはまとめ方のお願いなので、今後まとめる時にそのような形でまとめていただければいいです。

【岡田部会長】 いいですか。では、ご意見ということで。
 次に、地下水汚染の話は、木村室長からどうぞ。

【木村室長】 硝酸性窒素対策、8番のところでございますが、今、私どもでエネルギー特会の関係を含めて家畜からの糞尿によるバイオガスの補助制度を持ち出しておりまして。これは農水省が今年度から始めている部分もありますが、環境省としても汚染地域で何とかしなければいけないということで、今、中杉先生から霞ヶ浦のお話が出ましたが、まさしく茨城県と先般まで調整しておりました。ただ、茨城県も、バイオガスで発生した消化液について、結果的に撒くことになると問題があるということでなかなか話が進んでいないところはございます。
 また、特に汚染が懸念される地域、もしくは、水道水源として地下水を使っていて汚染されては困るような地域、例えば熊本市にも話を持ちかけて、現状がどうなっているか、さらに言えば今後、国の施策と地元の方向性をうまくアレンジして、うまい方向に持っていければということを事務的に、今の段階では考えているところでございますが。そういうようなところでうまく運べれば、今後同じような形でそういう問題のある地域について検討していければと思っております。
 併せていうと、農水省の化学肥料・化学合成農薬の5割カットというお話も出ましたが、場合によっては農水省と連携しながら、汚染対策について意見を出して、今後、検討していければということで、今年度から自治体を巻き込んだ形でお話をしているところでございますので、今しばらくお時間をいただければと思っております。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 最後のエコファーマーの件は、今お答えになりますか。もしあれば簡潔にお願いいたします。

【農林水産省・木内課長】 1つは、目標とか実態、どれぐらいなのかということですけれども、環境保全型農業で言いますと、今4万haぐらいですと申し上げましたけれども、農地面積が四百数十万ヘクタールということを考えますと、確かに1%ぐらいしかないという実態にございます。どこまで引き上げていくのかというのは、食糧生産量も確保しなければいけないということもありますので、そこと相まってやっていかなければいけないということで、できるところは広げたいというところはありますけれども、そういう制約もございます。
 エコファーマーについても、今はちょっと頭打ちになっています。これも、モデル事業ではなくて、手を挙げて取り組んでいただくという形になっておりますので、まだ足りないところはあるかと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 すみません、遅くなりまして、藤井委員、どうぞ。

【藤井委員】 先般の国会で廃案になってとても残念だったのが、今、度々、話題に出ております水循環基本法と雨水利用に関する法案でした。この2本は何とか上がってほしいと思っているのですが、水循環基本法の方は、私その世話人をやりながら3年間ぐらい関わってきています。その中で調整会議を越して、あの法案の中には水循環庁をつくれというところまで踏み込んで書いてあるのですが、そのような形までいかないと水循環に関わるところは統合的に見えていかないのではないかなと今日も感じているところです。
 それから、雨水のところでちょっと伺いたいと思います。国交省の1ページの雨水利用の促進のところです。雨水利用の促進に関わる法案が通るともっとぐんと進んだのだろうなと思いながらなのですが。分野は違いますが、かつて環境省で生活排水対策で市町村重点地域を決めて、そこに対してはバックアップしながら生活排水対策のいろいろな取組、例えば、廃食油を使った石けんプラントを設置していく、廃食油からバイオディーゼルをつくるという、廃食油を水に流さないということに対する対策をやっていたのですが、それと同じように雨水は、ここであるような小さな施設だけではなくて、徹底的に市町村全体で各分野で取り組んでいくということで、利用するということが前提になるような社会になっていくといいなと思いますので、ここをさらに進めるためにそれぞれの省で頑張っていただきたいなと思っています。
 以上です。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 これについてはよろしいですね、特段。特にあればどうぞ。国交省の山本課長、いいですか。

【国土交通省・山本課長】 ご指摘の雨水利用でございますけれども、まさしく国交省は非常に重要な役割を担っているものと考えておりますし、特に水管理、治水事業、下水道事業も所管しているほか、官庁営繕も所管しておりますので、今後は各部局とも連携していきたいと思っておりますし、どう雨水利用の裾野の拡大をしていくかというところは、しっかりと検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 では、鷲谷委員、どうぞ。

【鷲谷委員】 環境保全型農業の支援とエコファーマーに関してですけれども、化学肥料、農薬5割減というものが環境保全という言葉にどのぐらいふさわしいかということも検討が必要なのではないかという印象を持っております。それは、国際的な視野で検討しなければならないことなのではないかと思いますが、例えばOECDのデータで、農地面積当たりの農薬投入量、日本は一、二を争うトップレベルで、アメリカ合衆国の15倍ぐらい農薬を使っているのだろうと思います。平均ですから、個別の値は様々だと思いますけれども、半減したとしてもアメリカ合衆国の平均7倍以上という使用量になります。今、主流となっているネオニコチノイド系の農薬に関しては、生物多様性、ヒトの健康も含めて、欧米ではいろいろなデータに基づく議論が盛んになって、ヨーロッパでは暫定的に使用を規制するという動きもあるように思うのですが、農薬を減らす、化学肥料を減らすという時に、科学的にこの水準であればこういう効果が期待できるのでというような説明が必要なのではないかと思います。

【岡田部会長】 これは農水省……。

【鷲谷委員】 もし説明ができるのであれば伺いたいと思いますが。

【岡田部会長】 時間があまりないので、次回までに準備していただけますか。
 長屋委員、どうぞ。

【長屋委員】 環境省に一点だけご質問申し上げます。項目の1番目、新規環境基準項目の検討の中で、透明度について環境基準に含めていくということについて、漁業界からこれについては心配の声が上がっております。ここは単純に透明度が上がっていけば環境がよくなった、透明度が下がれば悪化したということだけで判断されるのかどうか。
 例えば、藻場で春にプランクトンが発生する、これが魚等の幼生の育成に非常に効果があるのですが、そういうふうなものを単に透明度が下がったということで、環境が悪化したということでこれが基準化されていくことについては、生物生産なりに影響があるのではないという心配をしております。どういう考え方で透明度についての基準化を考えていかれるのか、お考えがあれば伺いたいと思います。

【岡田部会長】 では、どうぞ。

【宮崎課長】 先ほど申しましたように、これは中央環境審議会に諮問させていただきたいと思っておりますので、その考え方を含めてどのような透明度が望ましいかという議論をぜひしていただければと思っております。とりあえず考えておりますのは、藻場、干潟におきます透明度についてまとめられないかなと事務方としては思っておりますけれども、それは議論を重ねてと考えております。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 まだあるかもしれませんが、次の議題がございますので、とりあえず先に進めさせていただきます。
 次に、「重点検討項目[2] 水環境改善のための取組」について。これも同じように各省からご説明をお願いいたします。
 では、環境省からお願いいたします。

【宮崎課長】 それでは、環境省の方からご説明させていただきます。資料の20ページ、湖沼水質汚濁メカニズムの解明というテーマでございます。それから、別刷で用意しておりますグラフの4ページに「湖沼における汚濁負荷量の推移」というグラフがございますので、それも併せて見ていただければと思います。
 湖沼の水質保全につきましては、先ほども申しましたように、環境基準の達成率はなかなかはかばかしくないということが続いております。しかしながら、汚濁の負荷量で見ますと、このグラフは霞ヶ浦と琵琶湖のCOD、トータル窒素、トータルリンの負荷量を示したグラフでして、負荷量としては種々の対策の効果が発揮されて下がってきているというのはいずれの湖沼でも見えるのですけれども、環境中の濃度で評価いたしますと、特にCODについて改善がはかばかしくないと。同時に、県によってはBODも湖沼で測っている場合がございまして、BODで見ると改善が見られている湖沼もございます。
 そういったことから、最近話題になっておりますのは、難分解性の有機物が内部生産等によってもたらされて、これが影響をしているのではないかという議論が進んでいるようでございます。そこで、環境省といたしましても、全国の湖沼について調査をしてきておりますけれども、なかなか汚濁メカニズムの解明には至っておりませんでして、引き続きその調査を進め改善の施策につなげていきたいと考えているところでございます。
 次に、裏のページでございますけれども、自然浄化機能を活用した水質保全対策の推進ということで、各湖沼におきまして、自然の機能、例えばヨシとか、藻場の藻とか海藻、そういったものを刈り取ったり、場合によっては堆肥化によって化学肥料の低減、あるいは、負荷の低減につなげるようなモデル事業をやってきております。これらの成果を基に今年度、「湖沼自然浄化活用の手引き」のまとめを予定しておりまして、それを全国に活用していただく様、推進していきたいと考えているところでございます。
 次の22ページが環境技術の実証事業ということでございます。既に適用可能な段階にありながら、その普及がなかなか進んでいないという先進的な技術について、第三者が客観的に評価することによりまして、普及を促していきたいということでございます。有機性の排水処理技術とか、湖沼等水質浄化技術、閉鎖性の海域における技術開発を、平成15年あるいは平成17年からと違いますけれども、そういった時期から実証事業を行ってきております。既に、そういった評価を行った技術については、技術カタログというものを作成しまして、地方公共団体とか漁業協同組合等に配布して有用な技術の普及を図っていくということを進めております。

【名倉室長】 続きまして、23ページ、閉鎖性海域関係の取組でございます。23ページ上の方の整理番号38番につきましては、総量削減状況等モニタリングでございまして、総量削減をしている海域、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海について発生負荷量、流入負荷量の状況の把握、それから、そういった海域での水質等について調査を行っています。負荷量の状況につきましては、後でご紹介いたします。
 その下、39番、今後の総量削減制度の在り方の検討に向けた総合調査でございますが、一つ前のモニタリング等で得られたデータ、過去に様々な予測手法等の開発をしてきておりますので、そういったものを通じて現在の水質総量削減、平成26年度を目標としております第七次が動いておりますけれども、その次にくるものについて検討を進めていこうとしているものでございます。昨今、湾・灘ごとに特性を把握しないといけないのではないかとか、季節性も含めたきめ細やかな水質管理方策が必要ではないかと言われていることも含めて、調査を行っていきたいと考えております。
 めくっていただきまして、24ページの上、整理番号40、窒素、リンの排水規制を全国88の閉鎖性海域で行っております。その88の海域での実態の把握、それから、一部、業種によっては暫定排水基準が設けられておりますけれども、そういった暫定排水基準の撤廃等を含めた見直しについての検討をしているところでございます。
 24ページの下の瀬戸内海でございます。瀬戸内海につきましては、特別の法律がございまして、その中で基本計画を策定しておりますけれども、その見直しの作業を今後行っていくということで、小委員会をこの部会の下に設置していただきまして、明日、第1回目の小委員会を開催したいと考えております。
 次の25ページの上の有明海、八代海でございますけれども、有明海、八代海についても特別の法律が設置されておりまして、その改善とか保全・再生について評価委員会で検討していただいているところでございますので、引き続き総合的な評価を行っていきたいと考えております。
 それから、25ページの下の里海の創生でございます。人の手で管理がなされることによって生産性が高く、豊かな生態系を持つ海を「里海」と定義しておりまして、こうした里海の取組を進めていこうとしているものでございます。昨年度は特に東日本大震災で大きな影響を受けた地域について復興の取組を検討しているところでございますので、本年度もこうした取組を進めて、こうした地域で里海の復興プランを策定するための手引き等をつくっていきたいと考えております。
 次に26ページでございます。海域の物質循環健全化計画、「ヘルシープラン」と呼んでおりますけれども、物質循環を円滑にして、生態系の低次から高次への流れを円滑にしていく必要があるのではないかということで、モデル地域においてそれぞれの問題点、対策についてのプランを立てているところでございます。既に済んだところとしましては、播磨灘北東部地域、三河湾でそれぞれの地域のプランを策定しております。現在、本年度までの予定で広島県の三津湾においてプランをつくっているところでございます。横断的にこうした海域のヘルシープラン策定の手引きもつくりまして、問題点のあるところで活用していただくように、もう既に配布しておりますけれども、本年度の三津湾の動きも含めて改訂をして、改めて配布をしていきたいと考えております。
 それから、先ほど汚濁負荷量の推移を調査していると申し上げましたけれども、色刷りのグラフの5ページに、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海におきまして、それぞれの年でどれぐらい負荷量が推移してきているのかというものを載せております。この中で一番右側の平成26年につきましては目標で、それ以外のところは実績値でございまして、実績については順次下がってきているという状況でございます。
 それから、グラフの6ページは、閉鎖性海域に関する干潟・藻場の面積を各県別に表したものでございます。注釈がたくさんございまして、89年、96年、2007年につきましては、右下にありますように、環境庁なり環境省の方で横断的に調査をしております。それ以外のところは、右の方に「出典等」と書いておりますけれども、各県で独自に調べているものでございます。ちょっと消えているところがあるのですけれども、徳島県の藻場面積が、上の段、下の段で分かれておりますけれども、上の段は播磨灘に面したところで、下の段は紀伊水道に面したところという分け方をしております。
 注意が必要なのは、それぞれ測定の方法等が違っておりますので、数字を見ていくと「あれっ」と思うところがかなりたくさんございます。したがいまして、今後に向けまして統一的な手法で推移が見ていけるような形にするために、どういうふうにすればいいのかというのは検討していきたいと考えております。

【坂本室長】 続いて、海洋環境室の坂本でございます。私の方からは、海洋環境における取組を3件、そして、海洋環境及び国際協力・連携における取組を1件、計4件をご報告いたします。資料2の27ページをご覧くださいませ。
 まず、上段にロンドン議定書国内対応とございます。本政策の目的は2つございまして、1つは、条約等の規定に基づいて我が国の国内制度を整備し、船舶からの廃棄物の海洋投入処分に係る規制を適切に運用することでございます。2つ目は、二酸化炭素の海底地層への貯留につきまして、海防法に基づいて最新の知見を踏まえて海洋環境への影響の有無等について適切に審査を実施することでございます。
 海洋投棄に係る規制につきましては、平成19年度より実施しておりますが、陸上から発生した廃棄物の海洋投入処分量の削減については着実に進展してきております。具体的には、平成20年に270万トンであったものが、平成24年には173万トンまで減少しております。なお、海底下CCS、二酸化炭素の海底下地層貯留については現在まで実施されておりませんが、予定といたしましては、北海道の苫小牧沖におきまして、平成28年度より経産省が主体となって貯留が開始されることとなっております。
 27ページ下段をご覧くださいませ。海洋環境モニタリングでございます。廃棄物の海洋投入処分に係る規制の適切な実施、並びに我が国周辺海域における海洋環境保全対策を効果的に実施するために、我が国周辺海域における陸上・海上起因の汚染物質の影響の経年的変化を把握してきております。このモニタリングにつきましては、平成10年より実施しておりまして、現在、日本周辺海域に設定した測線で3巡目の調査を行っているところでございます。平成25年におきましては、沖縄近海の7測点において海水、堆積物等の調査を行う予定といたしております。
 今後の課題・方向性でございますが、陸上起因の汚染を把握するモニタリング結果からは、継続的に監視が必要な海域等について一定の知見が得られてきております。一方、海洋投入処分を実施した海域の調査で高濃度の……。申し訳ございません、PCBは誤記でございますので、削除してください。高濃度の有機スズ化合物が検出された観測点もございまして、引き続きモニタリングを続けていきたいと考えております。
 続いて、28ページ上段をご覧くださいませ。漂流・漂着・海底ごみに係る削減方策総合検討事業でございます。我が国における海岸漂着物の現存量を把握し、また、発生源対策の事例等を収集することで、効果的な海ごみ施策の検討に資するということになっております。この事業は平成19年度より実施しておりまして、海岸清掃事業マニュアルや、海岸漂着物のガイドラインの策定等の取組を着実に実施してきております。平成25年度におきましては、平成24年度同様、全国16か所において実態把握のための現地調査を実施することといたしております。
 今後の課題・方向性でございますが、漂流・漂着・海底ごみの状況把握につきましては、引き続き経年的なモニタリングが必要と各方面から指摘されていることもございまして、私どもとしては引き続き状況把握に努めてまいりたいと考えております。
 最後に28ページの下段、北西太平洋地域海行動計画推進事業でございます。この事業は、中国、韓国、ロシアと我が国の4か国による、海洋環境保全の枠組みである北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を支援するものでございます。
 本事業におきましては、人工衛星からデータを受信し、解析し、データベース化することによりまして、海洋環境保全に関する基礎的なデータを収集し、活用することを目的とした「環日本海環境ウオッチシステム」を平成14年度より運用いたしております。現在、ユーザーも着実に増加しておりまして、2012年度実績では月に1万5,000件余り利用されております。
 今後は、ユーザビリティの観点から、データの提供方法等についてより一層の改善に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございます。

【宮崎課長】 続きまして、国際的な取組についてまとめてご紹介させていただきたいと思います。
 まず、アジア水環境パートナーシップ、通称「WEPA」と呼んでおりますけれども、2003年の世界水フォーラムで合意しましてアジアの13か国のパートナー国におけるネットワークづくりを進めてきておりまして、これまで2期10年にわたって取り組んでおります。主には法的枠組みとか、エンメトリー情報の把握といったことのデータベースづくり、それを本にしたり、国際ワークショップを開催したり、各国のガバナンス向上に向けた努力を重ねてきているということでございます。
 特に、各国の事情がかなり違っておりますので、それぞれが取り組むべき課題を自ら設定し、それに基づいて具体的な協力を行っていくということを今後は考えていきたいと思っているところでございます。最近では、この活動の成果の一つといたしまして、アジア太平洋水サミットにおきまして、チェンマイでワークショップを開催ということを行ってきております。
 次が、中国農村地域におけるアンモニア性窒素の総量削減協力事業ということでございます。中国においてアンモニア性窒素が問題となっておりまして、そのための技術といたしまして、日本が得意な分散型排水処理システムの導入及び中国国内での普及ということで、水環境改善を図るとともに、我が国の企業のビジネス展開の支援にもつながってほしいというような活動をしてきているところでございます。
 めくっていただきまして、アジア水環境改善モデル事業でございます。これも日本のビジネス展開の支援にもなるわけですけれども、インドネシアとかマレーシア、ベトナム、中国などで企業のフィージビリティスタディ、実施可能性調査を支援する、あるいは、現地の試験を支援する取組を続けてきております。
 今年度におきましても、インドネシアの浄化槽とか、ベトナムの有機性産業排水処理とか、中国における面源汚染浄化といったことを引き続き行っていこうと思っております。昨年も実施しましたけれども、我が国の水ビジネスの関連企業を集めましてセミナーを開催しております。今年も実施しようとしておりますけれども、これは大変反響が大きいと言いますか、関心が高い事業であると考えております。ですので、こういう取組を通じまして、我が国の技術、あるいは、ビジネスの強み、弱み等を分析いたしまして、国別にどういった体制でいくのがいいのかといったことも含めて検討してまいりたいと考えているところであります。
 次が、し尿処理システムの国際普及の推進ということでして、我が国の浄化槽とかし尿処理
技術の国際普及を図りたいということです。もともと世界の目標といたしましては、2015年までに各国の衛生施設へのアクセスができていない人の割合を半減するという国連ミレニアム開発目標がございましたので、それにも資するということで、中国とかベトナムへの協力を進めてきているところでございます。これも先ほど来申しておりますように、日本のビジネスチャンスを拡大すること目的としている事業でもございます。
 次が、日本モデル環境対策技術等の国際展開ということでして、これも内容としては似通った内容になっておりますけれども、中国、ベトナム、インドネシア等へ、我が国の対策技術をパッケージとして進めていくことをねらいとしておりまして、例えば、インドネシアとの間では産業排水対策分野における協力ということで、パーム油工場の排水管理をモデルとした協力事業を実施しておりますし、セミナーを開催したりして日本の技術の展開を図るということを行っているところでございます。
 最後に、途上国におけるコベネフィット効果検証・実証事業を行っております。これは温室効果ガスの削減効果が見込まれるような技術で、汚濁負荷と温室効果ガスの排出量の減少という両方をねらってやっているものでして、具体的にはインドネシアで水産加工場における排水処理対策技術の実証調査といったことに着手しておりまして、引き続きインドネシア政府と連携しながらやっていきたいと考えているところでございます。
 以上です。

【外務省・杉中課長】 引き続き、外務省地球環境課でございます。外務省からは3点、海洋汚染対策と国際協力の関係で報告をさせていただきます。
 既に環境省の方からも内容の紹介がございましたけれども、国連環境計画(UNEP)が主導している地域海計画の一つで北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)がございます。これは日本、中国、韓国、ロシアがメンバーとなっている取組でございますけれども、NOWPAPの海域における海洋環境の調査、データベースの構築、緊急時の行動計画の策定、漂流・漂着ごみ対策等の取組を行っております。
 今年度につきましては、日本が議長国となって第18回の政府間会合を行う予定でございまして、本年12月に富山で会合を行うことになっております。また、NOWPAPの下で海洋ごみに関する清掃キャンペーンを持ち回りで行っておりまして、今年は10月に沖縄で実施する予定でございます。
 次に、これも先ほど紹介がございましたけれども、船舶等に積み込んだ廃棄物を海洋から投棄することを規制するためのロンドン条約、ロンドン議定書の関係でございますが、それについても引き続き政府として積極的に参加してまいりたいと。これも今年10月に締約国会議が行われる予定でございます。
 3点目は、ODAを通じた国際的な水環境保全への対応でございまして、途上国のニーズにできるだけ応えていく形で、我が国の水環境保全に関する技術・経験を海外に提供して、海外の水環境問題の解決を図ることに協力してまいりたいと思います。
 JICAを通じた水環境保全問題としては、水質汚染対策に関しては技術協力とか専門家派遣のプロジェクト、それから、上下水道分野に関する支援としては技術協力、専門家派遣のほか、有償・無償資金協力等を行っております。引き続き、我が国の水環境保全に関する技術・経験を生かして海外の水環境問題の解決に協力してまいりたいと思います。
 以上です。

【農林水産省・木内課長】 農林水産省です。
 34ページでございますが、湖沼における水質改善や水生生物などの保全、環境の保全に向けた取組ということで、一番最初に健全な内水面生態系復元等推進事業をやっております。これは、カワウとか外来魚による被害の増加によって淡水魚が減ってきていると。例えばカワウですと、釣り竿の先に風船をつけて、その中にドライアイスを入れて、高いカワウの巣まで持っていって、ドライアイスをバサッと落とすと卵がかえらなくなるのだけれども、そのまま抱き続けるので、カワウの数がだんだん減っていくという話。それから、外来魚でいうと、船に電気ショッカーをつけて湖沼を回って、ビリビリッとやってひっくり返って出てくるのをすくい上げるとか。ちょっと地味なのですけれども、こういうような技術的な取組を促進しております。全国を6ブロックに分けていろいろと取組をしております。それから、ウナギも減っておりますので、ウナギの稚魚の放流とか、生息環境の整備に向けた取組もこの中でやっております。
 それから、34ページの下の方の水質保全対策事業でございます。これは、農地などから閉鎖性水域に汚濁物質が排出されるのを減らすために、水路に浄化水路、つまり水路の中に石とか礫とか木炭、アシ、ヨシというものを設置することによって、浄化施設を整備してきれいな水を流すというような取組をしており、全国37地区のうち15地区は閉鎖性水域に関係する事業となっております。
 次の35ページの上の環境保全型農業、それから、下のエコファーマーのことは、先ほどご説明いたしましたので、省かせていただきます。
 それから、次の36ページの上の方は農業環境規範、下のほうは有機農業で、36ページも先ほどご説明いたしましたので、省かせていただきます。
 それから、37ページは、閉鎖性海域における水質改善、干潟とか藻場の保全・再生、底質環境の改善ということですけれども、水産環境整備事業をやっております。藻場とか干潟が減少しておりますし、赤潮の発生とか、漁場環境が悪化しておりますので、これに対して、ヘドロなどの堆積物を除去したり浚渫をしたり、覆砂をしたり、藻場を造成したりとか、こういうような工事をして、漁場環境の整備と水域の環境保全を、有明海や伊勢湾など全国14地区で実施をしております。
 37ページの最後でございますけれども、国際協力・連携の関係では、アジアモンスーン地域連携水田水環境評価検討事業で、アジアを中心にしてミャンマーとかフィリピンなど17か国からなる国際水田水環境ネットワーク(INWPF)で、水田の水質浄化、あるいは、地下水かん養などの多面的機能の貨幣価値評価とかその結果の国際社会への発信等の活動の支援に取り組んでおります。
 以上でございます。

【国土交通省・山本課長】 国交省でございます。先ほどの資料の6ページからご説明申し上げたいと思います。
 まず、6ページの海の再生等閉鎖性水域における総合的な取組の推進でございます。この取組につきましては、関係省庁、自治体、また、国交省の中でも、陸域負荷対策、河川負荷対策、モニタリング、普及啓発、海域ごみ回収等といったいろいろな対策を結集する調整がございます。そういった中で、平成13年に都市再生プロジェクト決定がございまして、東京湾等の閉鎖性海域の水質改善に向けまして、連携して行動計画を策定して推進するということになっております。
 東京湾は平成15年に東京湾再生のための行動計画の第1期計画が策定されて10年経過しております。特に溶存酸素量につきましては、明らかな改善傾向は認められないものの、COD、窒素、リンについては着実に減少しており、一定の成果は認められたところでございます。これを受けまして、本年5月に第2期計画を策定しておりまして、特に「江戸前」をはじめ多くの生物の生息する環境を共有するといった目標を設定しているところでございます。
 今後の進め方でございますけれども、東京湾におきましては、平成25年度内に官民連携フォーラムを設置しまして、新たに民間主体の取組に関する指標の検討と、「江戸前」という目標が共有されるように取り組んでいきたいと思っております。
 続きまして、下水の高度処理関係でございます。これまでは処理場の改築機会を活用して高度処理をやっていたのですけれども、ライフサイクルコストの削減や、処理場の長寿命化で改築機会がない場合もございます。この場合は既存施設で、例えば擬似嫌気槽を設置して、運転管理のノウハウで対策をしていく方法がございます。今、埼玉県で実証実験をしており、技術知見を高めることで、新しいツールとして普及展開していきたいと思っております。
 7ページのところは、いずれも先ほど申し上げた下水の高度処理でございまして、内容は一緒でございますので、割愛します。
 8ページの上の清流ルネッサンスIIも再掲でございますので、割愛させていただきます。
 その下の干潟の再生でございますが、浚渫土砂を有効活用して行っており、取組実績は、下に記載している数字の通りとなっております。今後の取組でございますけれども、東京湾の場合、先ほど申し上げました官民連携フォーラムの設置によりまして、流域企業とかNPO等の民間団体と連携し、先ほどの民間主体の取組に関する指標の検討と併せまして、どういったことができるかということを検討していきたいと考えております。
 次のページの上が底質環境の改善でございます。こちらも浚渫土砂を有効活用して取り組んでおります。今後の課題につきましても、官民連携フォーラムの検討対象と思っておりますし、水質・底質・生物生息のモニタリング結果を踏まえた効率的な手法の検討も検討課題としてとらえまして、どういった対応ができるかということも今後の課題として対応していきたいと思っております。
 また、海岸漂着物につきましては、洪水、台風等により漂着した流木などについて、海岸管理者が緊急的に処理を実施するものでございまして、平成24年度は8県において実施しております。
 次のページが閉鎖性水域のモニタリングでございます。特に海上保安庁で千葉灯標のモニタリングポストや、観測衛星のデータで水質や赤潮等の挙動について調査をしております。その結果についてはインターネットで情報提供しているところでございます。
 その下の海洋汚染調査でございますけれども、外洋に面した12の内湾域から外洋域にかけて、油分、PCB等について調査しておりまして、こちらも結果についてインターネットで公開しております。
 次のページでございます。こちちは啓発・普及でございますけれども、海事・漁業関係者の講習会、指導の他に若年齢層の教室も実施しております。記載しております数字の通りの実績となっております。引き続きボランティアや自治体とも連携して、精力的に取り組んでいきたいと思っております。
 その下がマルポール条約関係でございます。特に平成24年度は、船舶の通常運航中に生じた廃棄物の海洋排出を、今回、条約で原則禁止にしておりますので、これに対応するため国内の法令改正を行っております。
 次のページ、バラスト水の関係でございます。バラスト水は、船舶が空っぽの時に船舶を安定させるためのおもしとして積載される海水でございます。このバラスト水による生態系破壊リスク等を防止するために、排出基準が定められた管理条約が採択されておりまして、これを将来我が国が批准して発効した場合には、我が国の船舶はその基準をクリアする必要が出てまいります。これを受けまして、この排出基準をクリアすることができる日本国籍船舶用の処理装置の承認を進めておりまして、平成24年度で8機種に承認を与えております。
 最後が下水道分野の水ビジネス国際展開の関係でございます。大きく分けて個別の国のプロジェクト形成と国際標準化推進という2つの枠で考えておりまして、例えば個別の国でございますと、東南アジアをメインに現在、セミナーや研修等を行っております。その結果、下に記載しておりますように、ベトナムにおいては推進工法という技術の規格策定支援を行うという形で話を進めております。
 また、国際標準化につきましては、神戸でISOのワークショップがありまして、そこで水の再利用について今後、専門委員会を設置することが決まり、日本が幹事国を獲得しておりますので、こういったツールを活用して標準化に取り組んでいく方針でございます。
 以上でございます。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しましてご質問、ご意見がございましたら、お願いいたします。時間の関係もございますので、ぜひ簡潔にご質問、ご意見をいただければありがたいと思います。
 それでは、今度は長屋委員の方からどうぞ。

【長屋委員】 要望でございます。環境省におかれましては、39番にございます総量削減制度の在り方の検討に向けた総合調査の中でも、特に私どもがお願いしてまいりました瀬戸内海におけるいろいろな対応については、相当検討いただきまして、明日からの小委員会での議論に非常に期待しているところでございます。ここでも、瀬戸内海において湾・灘であるとか、海域ごと、または季節性を含めたきめ細かな推進管理方策に係る検討を実施していただけるということでございます。ですから、言葉としては「水質総量削減の制度」とあるのですが、私どもとしては、水質総量の適正化についてぜひ考え方を持ってやっていただきたい。
 こういう中で、環境省が打ち出していただいて、きめ細かな検討または対応を、例えば、国交省の69番の下水の高度処理等というところにおきましても、「汚濁の負荷量を削減する」という言葉になっているのですが、環境省における新たなきめ細かな管理方策、ぜひこの辺の考え方を入れた対応をお願いしたい。要望でございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 今の件はよろしいですね。では、大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 簡単に3点だけ申し上げたいと思います。
 1つは水環境改善で、特に閉鎖性水域の改善について、土地利用の観点は大事だと思うのですが、どこにも出てこなかったので、環境省なのか、国交省さんも関係するのかもしれませんが、どこかでその検討はしていただけるとありがたいと思いますので、お願いをしておきたいと思います。
 2つ目は、農林水産省さんですが、先ほどの健全な水循環の方に出てきましたけれども、家畜の糞尿との関係で、クリプトスポリジウムですか、名前をちょっと忘れたのですが、微生物による汚染は若干問題があると思うんですけれども、今回全く出てきていないので、これは検討した方がいいかどうかもよくわかりませんので、教えていただければと思います。
 第3点は、例えばロンドン条約議定書のように、外務省と環境省とそれぞれやっていて、外務省は国際条約の会議での検討で、環境省は国内の検討というふうに、それぞれ合理的に分かれているところがある。もちろん連携されるところはあるのですけれども、国交省さんと環境省さんで海洋関係のモニタリングがかなり重なっているとか、漂着ごみについても重なっているとか、幾つかご説明いただいた方がいいかなというものもあるので。連携してやっていただければいいと思うのですけれども、ちょっとご説明いただけるとありがたいということです。
 以上です。

【岡田部会長】 いいですか。では、どうぞ。

【浅野委員】 似たようなことをやっているように見えるのですが、よく見ると目的が違ったり場所が違うような感じがいたします。先ほど「あれっ」と思って聞いていたのは、農水省がやっている漁場の整備、そこでやっているのは覆砂とか、国交省がやっている底質改善と同じことをやっているわけです。最初は「何だ、また同じことをやっているじゃないか」と思ってお聞きしていたのですが、その後の説明をお聞きしていると、国交省のお話は東京湾の辺りらしい、場所も違うということがわかってくると、何となくなぞが解けるような気がしたわけです。
 それから、漂着ごみについても、環境省の話はどうやって漂着ごみ対策を立てるかという戦略づくりをやっていて、国交省の方は現実に災害、天災の後にどうするのだということを現場で仕事をやっておられる。そういう棲み分けがあるようですから、その辺の違いがはっきりわかるようにしておかないと、何か同じことをやっていると誤解を与えそうです。我々は事業仕分けをやる気は全くありませんので、良いことだったらどの役所がどこでやられても一向に構わないという立場をとりたいわけです。しかし、何となくタイトルだけを見ると一緒になって見えてしまうということがちょっと気になりました。
 環境省は今度は海底ごみについても書いてくださってありがとうございました。今朝気が付いたのですが、香川県では海底ごみについて県としての対策を立てておられるようです。この間、私、水環境部会で申し上げたのですけれども、漁船が引き揚げてきたものが産業廃棄物にされてしまうのでは大変困る。そこで、そうではなくて、持ってきてもらったらちゃんと処理をしましょうと、その費用負担については後で合理的に関係する自治体に振っていくという考え方です。今までのやり方だと流れ着いたところの自治体が費用負担しないといけないという不合理性があるわけですが、それを県全体で調整しようというプロジェクトを立てておられて、今度、全国知事会の優良政策コンテストに応募されていることに気がついきました。そういう具体的な取り組みも現に行われてきていますので、こういった自治体の取組も含めて国の今後の対策をもっと考えていかなければいけないのではないかと考えます。
 それから、最後のまとめ方について一言だけ申し上げておきたいのですけれども、今日出されたものは個票でありまして、丁寧にご説明いただいて、各府省でこんなことが行われているというのはわかるのですが、これが生の形で点検報告書に出てくると、施策の羅列に終わってしまうということになるわけです。ですから、各府省が熱心に個票を書いてくださったことに感謝するのですが、これを全部ずらっと並べるような報告書にはしてほしくないと思います。環境基本計画は基本的な方向性をはっきり示していて、地域特性を生かした取組、国際的な対応を考えなければいけない、生物多様性の保全と連携を考えよう、それから、様々な施策の連携を強化せよ、最後に大震災を踏まえた対応ということを、水環境部門の施策の方向性として挙げていますから、例えばこういう方向性に照らしてこんなことが行われている、ここはよく進んでいるがここはまだ足りないとか、ここの施策はこういうふうな関係があるのでどうだとかいうような形で整理していくことが望まれます。ただ施策の羅列では困ります。これは大気環境・騒音振動部会でも同じことを申し上げましたし、総合政策部会でも類似の議論が出ていまして、そういうような議論をしているところでございますので、ぜひ、事務局、次回に整理される時にはその点をご留意いただきたいと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 今、浅野先生ご指摘の重複しているかもしれない、一見見えるようなもの、それから、まとめ方の方針もまとめ方に関わることだと思いますので、これは次回。それから、次の議題にまとめ方についてのご報告があると思いますので、その時お気を付けいただければと思います。
 最初の大塚委員ご指摘の点はどちらですか。では、環境省から。

【名倉室長】 モニタリングについてお答えいたします。ほとんどの部分は浅野委員に言っていただきましたので、若干補足させていただきますと、モニタリングにつきましては、まず目的がございます。場所、水平方向、鉛直方向ございます。それから、過去からの経緯を見ていけるかどうか、それから、項目がございます。目的と絡みますけれども、どういう項目を見ているのかというのがございまして、その継続性等も含めてそれぞれの目的でモニタリングしておりますけれども、私どもが承知しておりますところでは、各省それぞれモニタリング結果については公表していると思いますので、ご利用いただく時にはそれぞれの目的に合った形でデータを使っていただけるのではないかと考えております。

【岡田部会長】 では、国交省のほうからもどうぞ。山本課長、お願いします。

【国土交通省・山本課長】 例えばモニタリング調査や浚渫の重複についてご指摘がありましたけれども、取りまとめるときに、協議会という推進母体があって一定の目標を共有するなど、有機的に連携することについてどう実効性を担保するかという視点が重要だと思っておりますので、まとめるときにまたご相談させていただいて、ご提示するという形だとは思っております。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 では、大塚委員の2点目のご指摘の家畜糞尿、クリプトスポリジウム、これは農水省がいいか、厚労省がいいか。農水省からお願いします。

【農林水産省・木内課長】 今の件は持ち帰って、どういう問題が発生しているのかを確認したいと思います。

【岡田部会長】 では、厚労省から。いいですか。では、これは持ち帰ってご検討いただくということにさせていただきます。次回よろしくお願いいたします。

【農林水産省・木内課長】 わかりました。
 あと、浅野先生の港の環境整備に係る国交省との区別の話ですけれども、農水省の場合、基本的には漁港、漁場という、魚を獲ったり育てたりというような分野を担当しているといった整理です。

【岡田部会長】 大塚委員、よろしいですか。

【大塚委員】 閉鎖性水域の周りの土地利用の問題はどこも扱っていらっしゃらないのですけれども、これはいかがでしょうか。

【岡田部会長】 流域の土地利用ですね。

【大塚委員】 はい。これは結構大問題だと思うので、検討しなくていいとは思えないのですけれども。

【岡田部会長】 では、山本課長からお願いします。

【国土交通省・山本課長】 うちの回答が全部的を射ているかというところはわかりませんが、例えば、今後の港湾事業で藻場や浅瀬や生物共生型の護岸をどうつくっていくかや、1番目の議題で申し上げました総合的な土砂管理でも、上流から下流までの一体となった土砂管理を関係者とどう連携していくかというようなところは、社会資本を整備する国交省としても重要と考えております。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 では、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 大塚先生のご指摘の部分は、私も霞ヶ浦の湖沼保全計画、富栄養化防止計画をずっとつくっていまして、基本的には土地利用の話に返ってくると思うのですが、今のところそこまで踏み込んでいないのですね。それは各省でやられている取組の中に入ってきていないので、後でご説明があるかもしれませんけれども、この部会としてそこが問題だという指摘をさせていただくというような対応ではないかなと思います。

【岡田部会長】 よろしいですか。環境省で特に何かあれば。では、これは各省庁を含めて……。はい、どうぞ。

【坂本室長】 一点だけ。浅野先生ご指摘の香川県の取組でございますが、私も非常にすばらしい取組だと思っております。あれは確か海のない市町村もお金を拠出して、香川県一体となって事業者が集めたごみを処理する費用に充てようということですが、私どもは今後どういう形で進展していくのか非常に注目しておりまして、それを勉強させていただきながら、国の施策にどう生かしていけるのか注視していきたいと思っております。
 ありがとうございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 では、先ほどの土地利用の件については、各関連省庁でご相談して、次の施策というか、次の計画に入れるかどうかご検討いただければと思います。
 他にございますか。はい、どうぞ。

【山室委員】 点検を行うということは、枠組み自身も現状でよいかも対象になると思いますが、今回いろいろ見せていただいた取組の枠組みの中で、例えばaは流域における取組で、次にcがあって、農村・都市郊外、都市部とあります。これらの枠組みを超えたところで水循環に関係している越境大気、大気からの負荷という観点が、現状では全く抜けているという気がいたしました。
 恐らく基本計画を初めにやった時には大気からの負荷という観点はなかったというか、そこまで深刻だとは思われていなかったのですけれども、最近PM2.5などで越境大気の影響が非常に大きいということが知られています。実は窒素酸化物は日本に来た時には硝酸になって雨として降ってくるので、日本海側では非常に大きな問題になりつつあります。また、国内の首都圏などの人口密集地からの越境大気が、硝酸になって降って渓流水の窒素が増えているなど、森林に影響を与えていることはかなり確からしいということがわかっております。流域という地域を超えた水循環を今後どう入れていくかというのは、どの段階で検討すればいいのかわからないですけれども、点検する時において次はそれをどうするかということも踏まえて対策を立てる必要があると思います。
 そのような観点が加わりますと、海外での水対策、例えば先ほどアンモニア対策が紹介されていましたけれども、アンモニア以外にも、中国で排出されている窒素酸化物のうち日本に来やすいものと来にくいものがあるということも踏まえると、中国国内での水循環の健全化に加えて日本に与える影響を少なくするための健全化という二本立てが必要になることもあろうかと思います。これについてもいずれかの段階で入れていただければと思います。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 では、今のご指摘の点は次の検討の時にお考えいただければと思います。
 最後に、どうぞ。

【浅野委員】 越境大気は大気のほうで扱いますから、今のご発言はその中に含めて書くように検討します。

【岡田部会長】 水のほうもいいですか。

【浅野委員】 それも入れればいいですよね。

【岡田部会長】 ということだそうですから。
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。次に、「第四次基本計画点検 重点分野報告書構成案」について、事務局よりご説明をお願いいたします。

【宮崎課長】 資料3としてお配りさせていただいております報告書の構成案でございます。
 個別の分野では今年度点検は大気の分野と水の分野がございまして、各分野共通なフォーマットということで考えております。具体的には重点検討項目、今日申しましたようなことを書いて、こういう調査を実施しまして、基本的方向は環境基本計画でこうありましたので、現状分析を、先ほどの指標も含めて記載しまして、取組状況をまとめようと。浅野先生ご指摘のように、個票をバラバラ並べるやり方ではなくて、総合的なことを考えなければいけないなと思った次第でございます。そして、今後の課題ということで、先ほど来委員の先生方から指摘されているようなことが課題だということも紹介するというようなまとめにさせていただければと考えているところでございます。

【岡田部会長】 ありがとうございました。
 よろしいですね。
 それでは、ただいま事務局からご説明がありましたとおり取りまとめて、次回の部会で、「第四次基本計画点検 重点分野 水環境保全に関する取組に係る報告書」を作成する予定でございます。
 それでは、以上をもちまして第33回水環境部会を終了させていただきます。事務局にお返しいたしますので、連絡事項等をお願いいたします。

【司会】 ありがとうございます。
 本日は、お忙しい中、長時間にわたるご審議をいただきありがとうございました。
 次回は9月5日、木曜日、10時から、場所は環境省第1会議室を予定しております。委員の皆様にはご多忙のところとは存じますが、ぜひともご出席を賜りますようお願い申し上げます。
 お手元の資料につきまして、郵送ご希望の場合は封筒にお名前をお書きいただければ、事務局より郵送させていただきます。
 これにて本日の部会を終了いたします。ありがとうございました。

【岡田部会長】 どうもありがとうございました。

午後4時56分 閉会