中央環境審議会水環境部会(第21回)議事録
開会
議題
- (1)
- 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第2次報告)
- (2)
- 排水規制等専門委員会の設置について
- (3)
- その他報告事項
閉会
配付資料
資料1 | 中央環境審議会水環境部会委員名簿 |
資料2 | 中央環境審議会水環境部会(第20回)議事録(委員限り) |
資料3 | 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて(第2次報告) |
資料4 | 排水規制等専門委員会の設置について |
資料5 | 中央環境審議会大気環境・水環境合同部会公害防止取組促進方策小委員会の設置について |
資料6 | 今後の水環境保全に関する検討会の開催について |
参考資料1 | 中央環境審議会関係法令等 |
参考資料2 | 水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて (平成14年8月15日諮問・付議) |
議事
午後 1時30分 開会
【今井課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第21回水・環境部会を開催いたします。
これよりの進行につきましては、座ったまま失礼をさせていただきます。
会議に先立ちまして、本日の出席委員のご報告をいたします。所属委員34名のうち過半数を満たす21名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき、定足数を満たしており本本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
なお、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただきます。
次に、前回、7月21日、部会が開催されましたが、その後、7月31日付けで新たに委員の交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
全国市長会廃棄物処理対策特別委員会委員長の交代により、倉田薫委員が退任され、代わって、7月31日付けで宮下裕委員が任命されました。ご紹介いたします。
以上でございます。
次に、本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきまして、資料一覧のとおりとなっております。資料1から資料6まで、参考資料1、2。
なお、委員の皆様には、資料2につきましては、前回7月21日に行われました部会の会議録をお配りしております。この会議録につきましては、既に当部会出席委員との調製をさせていただいたものとなります。
資料につきまして、配布漏れ等ございましたら事務局までお申しつけください。
これよりの議事進行につきましては松尾部会長にお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
【松尾部会長】 皆さん、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。それでは、ただいまから中央環境審議会の第21回の水環境部会を開催させていただきたいと思います。
本日は、その他を入れて3つの議題が予定されていますので、よろしくお願いいたします。
議事に入る前に、今、事務局からもお話がありましたが、議事録についてであります。資料2ですけれども、これにつきましては、出席された委員に関しては、既に確認させていただいていると思いますが、今後、速やかに公開させていただきたいということであります。よろしくお願いしたいと思います。もしも今お目通しいただいて修正があれば、会議の終りまでにお申し出でいただければありがたいと思います。
それでは、議事録に関してはそのような扱いをさせていただきたいと思います。
それでは、議事に入らせていただきます。
最初の議題についてであります。「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて」であります。これは、平成14年8月15日付けで環境大臣より諮問され、同日付けで当部会に付議されたものであります。これを環境基準健康項目専門委員会において検討していただいてきたものであります。本日はこの第2次答申案についてご審議いただきたいと思います。それをご審議いただいた後、部会からの答申案として取りまとめさせていただきたいと思います。
それでは、環境基準健康項目専門委員会の委員長をお願いしております須藤先生から、最初に全般的なご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【須藤委員】 かしこまりました。専門委員会の委員長をお預かりしています須藤から説明をさせていただきます。どうぞ資料3をご覧ください。
ただいまお話がございましたように、専門委員会では、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しについて、平成14年8月にいただいた諮問に関しまして、平成16年2月に第1次答申を取りまとめた後、平成20年9月より委員会を再開させていただき、これまでパブリックコメントを挟み5回にわたる検討を行いました。そして、9月4日の第12回委員会におきまして、第2次専門委員会報告として取りまとめたのが資料3でございます。その概要について報告をさせていただきます。
今回の報告は、人の健康の保護に関する環境基準の追加について、公共用水域について1項目、地下水について3項目を追加するとした案件でございます。どうぞ1ページをご覧ください。環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準は、公共用水域について維持することが望ましい基準として定められております行政上の目標でございまして、現在、人の健康の保護に関する環境基準については、公共用水域、地下水ともに26項目が定められております。
次に2ページに移らせていただきます。今般、前回、平成16年の第1次報告において課題として残されておりました6項目、すなわち塩化ビニルモノマー、エピクロロヒドリン、1,4-ジオキサン、全マンガン、ウラン、アンチモンについて整理いたしました。
また、その後のWHOにおける飲料水の水質ガイドラインの改定及び平成20年の水道水質基準の改定を踏まえまして、基準値また指針値の見直しを行っております。
検討の基本的な考え方につきましては、平成16年の第1次答申に示された考え方を基本として整理をいたしました。
また、基本的な考え方といたしまして、水質環境基準健康項目については、「水環境の汚染を通じ人の健康に影響を及ぼすおそれがあり、水質汚濁に関する施策を総合的にかつ有効適切に講ずる必要があると認められた物質」を選定すること。
要監視項目については、「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」として、モニタリング等の対象とすべき物質として選定するとしております。
選定のポイントといたしましては、毒性情報等の知見に基づき得られる人の健康の保護の観点から基準値及び指針値を勘案すること。我が国における水環境中での検出状況、生産・使用等の実態を踏まえるということで、各項目の取扱いを判断することにしております。特に、検出状況につきましては、物質特性、自然的要因等の要因についても考慮するといたしております。
次に3ページに移らせていただきます。基準値及び指針値の選定の考え方ですが、基準値及び指針値は、我が国やWHO等の国際機関において検討された科学的知見、あるいは、関連する水道などの各種基準の設定状況を基に設定しております。また、生涯にわたる連続的な摂取をしても健康に影響が生じない水準や、魚介類への濃縮性に関する知見を考慮して決めております。
環境基準の適用に当たっての基本的な考え方といたしましては、広く有害物質の環境汚染の防止に関することを念頭に置くことが望ましいと考えられることや、地下水と公共用水域は一つの水循環系を構成していることから、すべての水域について同じ基準を適用することを基本としております。しかし、嫌気的な条件における地下において、例えばトリクロロエチレンは地下水中において分解し、別の物質が生成し得るというような状況がございます。このような物質については、地下水についてのみ検出等が見られる場合においては、地下水のみの環境基準を検討し、適用するということを今回新たに付け加えております。
自然的要因における水質汚濁の取扱い、基準の適用については、自然的原因であっても適用することが適当であるとしておりますが、明らかに自然的原因により基準値を超えて検出されたと判断される場合には、測定結果の評価及び対策の検討に当たって、自然的原因であることを十分考慮する必要があるとしております。
4ページに移らせていただきます。具体的な検討結果でございますが、公共用水域については、新たに人の健康の保護に関する環境基準として、1,4-ジオキサンを追加し、基準値は0.05mg/l以下としております。地下水の環境基準については、現行のシス-1,2-ジクロロエチレンに代わり、シス体とトランス体を合わせた1,2-ジクロロエチレンを追加し、さらに塩化ビニルモノマー、1,4-ジオキサンについても追加をしております。
なお、基準値については、1,2-ジクロロエチレンは0.04mg/l以下、塩化ビニルモノマーについては0.002mg/l以下、1,4-ジオキサンは公共用水域と同様に0.05mg/l以下としております。
また、1,1-ジクロロエチレンにつきましては、現行の0.02mg/l以下を、0.1mg/lといたしました。
以上が審議内容でございますが、今後はまだ課題として残っております農薬について鋭意検討するとともに、引き続き、より適切な水質環境基準健康項目の設定に向けた検討を行うということでございます。
先ほどの繰り返しになりますが、今回初めて地下水のみの環境基準ができたということが、今までにない新たな基準ということでご理解をいただければと思います。
以上をもって報告の概要にさせていただきます。どうもありがとうございました。
【松尾部会長】 ありがとうございました。
それでは、事務局から若干の補足、少し細かいご説明があれば続けてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【森北課長】 水環境課長の森北でございます。ただいま須藤委員長よりご報告をいただきましたけれども、追加または見直しを行いました個々の項目につきまして、私のほうから補足説明をさせていただきます。
資料3の4ページの下でございます。まず、公共用水域、そして、地下水で環境基準として追加をいたしました1,4-ジオキサンについてでございます。
5ページの上のほうから書いてございますが、この1,4-ジオキサンにつきましては、公共用水域及び地下水におきまして、現行の基準値、指針値を超えるところが見受けられております。そして、6行目のところに書いておりますけれども、これまで現行の指針値を超える汚染によりまして、水道の取水が停止されたと、そういった事例も複数ございます。
また、PRTRデータより公共用水域への排出量が多いということが判明いたしております。この物質の特性といたしまして、水に混合しやすい、そして大気への揮発性も低い、また水環境中での分解性も低い、こういった特性がございます。このようなことから、一度排出された場合には、大気への揮発、そして、水環境中での分解による濃度の低減というのは生じにくい、そういった物質であるということから、この物質につきましては、健康保護に係る水質環境基準項目及び地下水環境基準項目とすべきであると。
そして、基準値といたしましては、0.05mg/lとすることが適当としております。
続きまして、4ページに戻っていただきまして、塩化ビニルモノマーについてでございます。これにつきましては、上から7行目ぐらいに書いておりますが、公共用水域におきまして、現行の指針値を超過したもの、これは平成16年度、17年度、18年度にそれぞれ1箇所ございます。しかしながら、これらはすべて同じ地点での事例ということでございます。これは地下におきましてトリクロロエチレン等が、先ほど須藤委員長からもありましたが、嫌気性条件下で長期間かけて分解したものが漏洩したものでございます。現地では漏洩防止策を講じておりまして、現在では指針値の超過はみられなくなっているというものでございます。また、平成19年度にも指針値を超える検出が1箇所ございます。しかしながら、これも同箇所での継続的な超過はみられておりません。
一方、地下水についてでございます。これは、ちょうど真ん中ぐらいでございますが、指針値を超過する事例、毎年数十箇所ございます。括弧書きで17から58箇所と書いておりますけれども、毎年数十箇所あると。これらのほとんどが、先ほど申し上げましたが、嫌気性条件下でのトリクロロエチレン等の分解により生成したものと考えられますが、このトリクロロエチレン等の汚染の事例からしますと、同様の原因によります塩化ビニルモノマーによる地下水汚染がさらにあるのではないかといった懸念がされます。
このようなことから、この塩化ビニルモノマーにつきましては、公共用水域に関しましては引き続き要監視項目として検出状況の把握に努める必要があるというふうに考えております。また、地下水に関しましては、先ほど述べましたような状況から、新たに地下水の環境基準項目というふうにすべきであるということで、その基準値につきましては、現行の要監視項目の指針値であります0.002mg/lとすることが適当としております。
その次でございますが、ちょっと飛びますが8ページをお開きいただきたいと思います。8ページの[3](シス、トランス)-1,2-ジクロロエチレンについてでございます。これにつきまして、公共用水域におけますシス及びトランスの両異性体につきましては、環境基準値を超えるものはございません。また、シス体が検出された箇所でトランス体の測定を同時に行っている箇所は数カ所しかございませんけれども、それらの箇所で2つの異性体の和がそれぞれの指針値0.04mg/lを超えるものはございません。
9ページに移っていただきまして、地下水についてでございます。9ページの上から6行目以降が地下水について記述いたしておりますが、地下水につきましては、シス体は過去5年間毎年超過がみられております。トランス体につきましても、平成16年及び17年、それぞれ1箇所の超過がみられているという状況でございます。また、地下水におけます1,2-ジクロロエチレン、これはシス体及びトランス体ということでございますが、トリクロロエチレン等が嫌気性条件下にある地下水中で分解して生成された可能性があるということでございます。そして、その下のほうに書いておりますけれども、異性体個別では基準値及び指針値を超えない、そういうものの両異性体の和が0.04mg/lを超える箇所が過去5年間で3箇所ありました。
以上のことから、公共用水域につきましては、今後ともシス-1,2-ジクロロエチレンについては、環境基準といたしまして、トランス-1,2-ジクロロエチレンについては要監視項目とする必要があると。一方で、地下水につきましては、現行のシス-1,2-ジクロロエチレンに代わりまして、シス体及びトランス体の和としての-1,2-ジクロロエチレンを地下水環境基準とすべきであるということでございます。これに伴いまして、トランス-1,2-ジクロロエチレンにつきましては、地下水に関する要監視項目から削除すべきということでございます。
基準値につきましては、その次に書いておりますが、引き続き0.04mg/lとすることが適当ということでございます。
その次、1,1-ジクロロエチレンでございますが、これも少し戻っていただきまして、7ページでございます。7ページの下のほうに[2]がございますが、この1,1-ジクロロエチレンにつきましては、WHOの飲料水水質ガイドライン、また、平成20年の水道水質基準の改定といったものを踏まえまして、健康保護に係る水質環境基準及び地下水環境基準における基準値は、現行が0.02mg/lでございますが、0.1mg/lとすることが適当であるとしております。
その他の項目につきましては、平成16年の1次答申において課題として残された項目、さらには、今申し上げましたWHOの飲料水水質ガイドライン、水道水質基準の改定等を踏まえて検討を行った項目のうち、今回追加、見直しを行いました項目以外につきましては、検討の結果、引き続き現状と同じ扱いとしております。
以上、補足の説明とさせていただきます。
【松尾部会長】 ありがとうございました。
いろいろわかりにくいところもあるかもしれませんが、最終的に私の理解するところは、10ページ、11ページの表にまとめられているわけでありますが、基準値と基準の設定の仕方がここにまとまっているというふうに理解できると思います。
表1が新たに健康保護に係る水質環境基準として追加する基準項目、これは公共用水域も地下水にも両方に対して適用されると。それから、表2というのが、新たに地下水環境基準として追加する基準項目、これは地下水に対する環境基準であると。しかし、公共用水域に関しては要監視項目として残ると。それから、表3というのが、これは両方ですね、公共用水域と両方ですね。地下水と両方の環境基準ということですね。
【須藤委員】 はい、そういうことでございます。
【松尾部会長】 現行の基準値を新たな基準値のほうに少し厳しくしようと、こういうことを最終的な数値と、項目と、物質の名前にすると。以下、対象とする場所を地下水と公共用水域に分けてみると、そういうことになるという趣旨であります。
そういうことでよろしいですね。
【森北課長】 最後の1,1-ジクロロエチレンにつきましては、現行が0.02に対して0.1ということで若干緩和をするということでございます。
【松尾部会長】 厳しくなるのではなくて緩和されると。わかりました。
【須藤委員】 毒性評価を十分にやって、こちらのほうが適当であるということで、これで見ると強化ではなくて水質は緩くなったと、こういう理解で、強化したわけではございません。
【松尾部会長】 わかりました。私は0.02と0.1を、0.01と思っておりましたが、0.1ですので、5倍ぐらい、それでは緩くなるというか、それでも安全性においては問題ないと、こういう判断であったということですね。というようなことでありますが、この考え方とか、それから、なぜそうなるかという意味でご質問があれば、専門委員長のほうから、あるいは、事務局のほうからお答えしていただきたいと思います。
それでは、どうぞ、宮原さん。
【宮原委員】 3点ほど教えていただきたい、素人でございますので、教えていただきたいのですが。まず3ページの2)の一番最後の行で、「現時点で得られる魚介類への濃縮性に関する知見を考慮して設定する。」という書きぶりは、魚毒性については問題がなかったというふうに理解してよろしいのか、その辺を教えていただきたい。
それから、2つ目でございますが、7ページのウランのところでございます。「測定箇所が海域に近い場所であるため、海水の影響と考えられる。現状では人為的な汚染は見られない」ということで安心をしているのですが、この測定海域の中に原子力発電所のような立地があったのかどうか。2点目の質問でございます。
それから、3点目、一番最後の12ページの「おわりに」のところでございますけども、「残る農薬」というふうに表現があるのですが、どの程度の品目があるのか、その辺おわかりになれば教えていただきたい。
以上でございます。
【須藤委員】 それでは、具体的なところは事務局の担当のほうからお答えしていただいたほうがよろしいと思いますが、1番目の魚介類の影響の問題については、現状の私どもが集積しているデータの中ではそれが認められなかったということ。それから、ウランの問題は、ステーションがどこであるかは事務局で答えてもらいます。
それから、3番目の問題は、農薬はもう既に環境基準項目が4つあるのですが、当然挙げていけば100なり200なりということが挙げられるわけでございますが、農薬の取扱いについては、現在、曝露されている量を環境省のほうで丹念に毎年毎年データを集積しておりますので、どういうふうに環境、特に農薬というのはほかの物質と違いまして意図的に散布する物質でございますので、例えばサンプリングする時期とか、あるいは、場所、そういうことによっても全く違いますので、どういう取扱いをするかということについて、今までの項目を審議するのとは別な観点でやらなければいけなかろうというところで、検討が始まっている、あるいは、データを集積していると、こういう段階でございます。
あとは事務局のほうに答えてもらいます。
【富坂課長補佐】 水環境課、富坂でございます。
まず、ウランの測定地点ということでございますけれども、資料3の別紙1、本体の資料の次の部分に検討対象項目の検出状況という資料をまとめてございます。こちらをめくっていただきまして、1ページ目に新規項目の検出状況、公共用水域と、次のページに地下水がございますけれども、ウランにつきましては、上のほうの6番目の項目でございますが、測定地点数ということで、上のほうから16年度から19年度までの測定地点数ということで、年間大体400から700地点ほど測定されていると。その中で、検出ということで、検出下限値より上回っているという意味で超えているということで120から270程度、評価値を超過しているということで47から93地点程度見られているという状況でございます。
測定地点につきましては、特に原発とかそういったものをねらったわけではなくて、通常の環境基準点あるいはそれに準ずる地点において測定している結果でございまして、私どもとしてそういった地域的な偏りといったものは特段見られていないのではないかという、現時点の評価でございます。
それから、農薬につきましてですが、須藤委員長のほうからお話がありましたとおり、環境基準項目として4項目ございます。またご存じのとおり、要監視項目という形で既に十数項目、項目としては入っておりまして、これについてのモニタリングというのは行っております。それ以外にも、農薬取締法に基づいて登録保留基準が決まっているような農薬、そういったものが数多くございまして、農薬につきまして、そもそも数が多いということと、季節的あるいは地域的に使われ方が異なっているといったようなところがございまして、今までの基準項目と大分考え方から整理しなければならないだろうということで、特に数としては限定しておりませんけれども、今後の検討対象ということで整理させていただいたというところでございます。
【松尾部会長】 今の一番最初の質問に絡んでもう一遍確かめますと、魚介類に濃縮したら、人体に影響はないかもしれないが、魚介類自身がという、そこはもうオーケーということなのですか。ご質問の趣旨はそういうことだったのではないかなと。魚介類自体に対する影響がね。
【須藤委員】 こういう物質は重金属とか先ほどの有機塩素化合物と違いますから、生物濃縮して、それが人体に移ってくる可能性というのは非常に薄いし、そういう組織の中に農薬が入って、分析してもそれは出てくるという可能性は当然ないわけですが、魚介類の斃死に農薬が影響したかどうかを判断するには不十分で、もしかしたら魚介類の斃死に農薬が関係しているというような状況証拠というか、間接的なそういう事件というのは農薬ではなかろうかという疑いは常にある問題でございますので、私は農薬が魚介類に影響するということは当然あり得るだろうと思います。その生存とか、特に稚子魚についてはあると思いますが、その辺の系統的などの農薬がどう影響しているかという研究は不十分でございます。
ただ、人間に戻ってくるかどうかと聞かれたら、それは多分そういうことはないでしょうと。これは人の健康項目なので、それがないということが一応前提でございます。
【松尾部会長】 よろしいですか。一応、生物濃縮しても大丈夫だというレベルで決めると。
【須藤委員】 ええ、こういう物質ですから、重金属ではないので、ほとんど影響しないと。
【松尾部会長】 しない。はい、わかりました。
ほかには。はい、どうぞ。
【藤井委員】 3ページの2)の幼少期の部分です。ここについては触れられなかったように思いますが、ここの3行、特に「幼少期において特定の化学物質に対するリスクが大きいと判断できる場合には、幼児の飲料水消費量に基づいて基準値及び指針値を設定する。」とありますが、「特定の化学物質に対するリスクが大きいと判断できる場合」ということについて、どのような議論がなされたのか。それから、「幼児の飲料水消費量に基づいて」のところについても、もう少しここの議論の中身が見えたらありがたいなと思います。
【松尾部会長】 いかがでしょうか。
【須藤委員】 今の環境基準の設定の中で、幼少期について、特別に毒性評価が幼少期のほうが非常に厳しいというような議論はいたしておりません。ただ、これはご承知のとおり環境保健部会で特に幼少期の環境汚染物質の問題は今取り上げている最中でございますので、今後、環境基準の設定の中にも幼少期のどういうふうにそれを考慮したらいいかということがあると思いますけど、現状の環境基準の中は幼少期を考慮しないで決めているわけでございますので、今回のものも幼少期と比較して大人がこうであるというような議論はいたしておりません。
【松尾部会長】 よろしいですか。
しかし、この書き方は少し誤解を招きそうな印象ですが。
【眞柄委員】 眞柄です。少し説明しますと、例えば鉛ですとか硝酸のように、特に子どもに影響がある、エンドポインターがあるものについては幼少期を前提にして基準値等を決めております。したがって、すべての項目について幼少期を考慮していないということではございません。
【松尾部会長】 それはそれでいいのですけど、今回はそこはなかったということでいいでしょうか。
【眞柄委員】 今回はそういうエンドポイント、幼少期にありませんので、考慮していません。
【須藤委員】 今回はなかったということを今申し上げたわけです。
【松尾部会長】 はい、わかりました。そうすると、ここに書いてあることは、一般論として指針を考えるときはこういうことも考えながらやりますよと。しかし、今回は……。
【須藤委員】 非常に大事なことだということだけは認識しております。
【松尾部会長】 わかりました。そういうことのようですから、よろしいでしょうか。
ほかには。はい、どうぞ。
【太田委員】 中身の議論につきましては専門委員会のほうで大分ご議論いただいているようですので、私はちょっと別の立場から提案をしたいと思います。
4ページに、きょうのご説明をお聞きして、検討結果とありまして、最初のパラグラフの一番最後に「現行指針値の10%を超えるものが毎年ある(1から10箇所)」といきなり出てくるので。何を申し上げたいかというと、後でずっとご説明を聞いたら随分大変な調査をされて、何千のうちの幾つかとかいうようなこと。それから、何々から何々というのは、恐らく年度がそれぞれ違うので、その幅を示されているのだと思うのですけど、要はこういう資料が今時点から一種の広報媒体というか、国民の理解を広めるという意味であれば、一番頭でもどこでもいいのですけれど、こういう調査をやった結果、今こういう現状なんだと、そこでこのデータを今見直す、新たに定める必要があるのだという、その必要性のところを少し補完するようなことをいただければ。今の段階なのか、これのさらに上げた段階かわかりませんけども、そういうことを、これからはよりこういうことを行政のほうでもやっていただく必要があるかなという意味で提案です。
【松尾部会長】 それはちょっとまた表現方法として考えていただく必要があるかもしれませんね。いかがですか。
【森北課長】 ご指摘の点については、今後の資料のつくり方といった面について検討させていただくというふうにしたいと思います。
【松尾部会長】 はい、わかりました。
よろしいでしょうかね。
田中先生、いかがですか。
【田中委員】 筑波大学の田中です。質問ではなくて、基本的な考え方に関するサポート的な意見を述べさせていただきたいと思います。ここに書いてございます「地下水と公共用水域は一体として一つの水循環系を構成している」ということ。ですから、両者を分けないという、この考え方は自然界における水循環の実態をよく踏まえた考え方だと思います。水循環の基本的な単位は流域という単位になってくるわけですけども、そうしますと、空間3次元を考えなければいけないということですから、まさしくそれがここの考え方に入っている。
それから、もう1つは地下水は時間がたつと変質していくということ。ですから、これは別個に考えていくのだと。これは水循環における時間スケールというものを踏まえている考え方だということで、空間3次元、時間軸1次元、合わせて4次元の考え方がまさしくここに出ている。水質の環境基準を設定するに当たってこういう考え方を全面的に出されたというのは、私は非常に重要なことだと思います。今後もぜひこれを踏襲してやっていっていただきたいというふうに思います。
【松尾部会長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだろうと思います。
特にコメントはよろしいですね。
【須藤委員】 ありがとうございます。
【松尾部会長】 はい、わかりました。
ほかには。大塚さん。
【大塚委員】 10ページの要監視項目のあり方のところについてあまり詳しくお話にならなかったのではないかと思いますが、これは非常に重要なので、ぜひご検討いただきたいと思いますので、一言だけ申し上げますが、ご案内のように、三位一体改革以降、各自治体におけるいろんな項目についての調査が徐々に減ってきているというようなことがございますけども、特に要監視項目については法律上の根拠がないものですから、自治体においてやってくださいということを環境省からお願いをしても、自治体によっては必ずしも協力的にはやっていただけないということがありますので、ぜひこの位置づけについて検討を進めていただきたいと思います。ここに書いていただいたのは大変結構なことだと思いますけども、ぜひ進めていただければと思います。
【松尾部会長】 位置づけについて検討すべきであるというのが答申だから、今後は検討すべきであると、こういうことでしょうか。
事務局はどんな見解というか、今後どうなりますか。
【須藤委員】 よろしいですか。この議論はこの場でも専門委員会の場でも出ている問題でございまして、要監視項目を、法的には無理なのはわかるのですが、地方自治体が環境基準等に準じてある程度は測れるとか、例えば、環境基準の2分の1なり3分の1の地点ぐらいは測れるとかね。全くやらないところはないのですけれども、毎年測定地点が少なくなってきているのです。
だから、要監視じゃなくて、それよりもっと弱い立場に現状なっておりますので、これは大塚先生からも時々ご指摘をいただいているのですが、これは地方自治体の予算がないということが大きな理由なのです。人手がないのもあるのですが、予算がないのが大きな理由なので、そこを強化していただければ、この要監視項目としてのモニタリングはかなり広範囲に続けられると思いますし、そのデータが環境基準を設定していく大きな根拠になりますので、それはぜひやっていかないと中途半端で終ってしまうということになろうかと思います。
【松尾部会長】 そういうことだと思いますが、よろしく。
【森北課長】 私どもとしても問題認識として十分持っておりまして、こういった点について今後検討をしていきたいということを考えております。後でまたご説明いたしますが、検討会というのを設置しておりまして、この点についても一つの課題というふうにも思っておりますので、今後そういった中でもご議論いただきたいと思っております。
【松尾部会長】 必要監視項目とか何か一語入れると印象が変わって、皆さんやってくれるのではないかなと思いますけど。
【須藤委員】 必須モニタリング項目とするのですか。
【松尾部会長】 眞柄先生。
【眞柄委員】 今のことに関連してでありますが、1,4-ジオキサンにつきましては、我が国の都道府県の環境関係の研究所の方が世界に先駆けて1,4-ジオキサンの実態を報告され、それを踏まえて毒性評価も行われて、国際的にリスク管理の対象になった物質であります。そういう意味で、今お話がありましたように、地方自治体の環境関係の研究費または経費がだんだん減っているということは、今申し上げたようにこの項目は日本で明らかになったものですが、そういう国際的な貢献もだんだん薄れていくということでございますので、そういう意味で監視項目について多くの方々のご協力を今後も期待しなければいけないと思いますので、ぜひ環境省のほうでもその辺はご尽力いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【松尾部会長】 後で局長のほうから最後のごあいさつの時にコメントしていただくことにしたいと思います。
今のこの第1の議題でありますが、いかがでございましょうか。まとめとしては、先ほど少し申し上げましたが、10ページ、11ページのような表にまとまるものを提示したいと、こういうことになります。地下水というのをある種の水域と言いますか、環境として少し重視して、そこに対する環境基準を定めると。これも非常に新しい概念と言いますか、取組みだと思いますけども、いかがでございましょうか。
【池田委員】 こういう環境基準が決まりますと、国民はこういう物質が出てくると敏感になると思うのですね。自身の経験でも、ほんの少しでも超過したらこれは大変なことだというような意識を持つ方が多いのですが、こういう環境基準を設定する一つの基準と言いますか、そういうのは客観的には大体決まっているのでしょうか。そのあたりはいかがなのでしょうか。
【須藤委員】 健康項目については、大雑把に申し上げれば影響の最低濃度の100分の1にしてありますから、安全係数を100と見ておりますので、環境基準の何倍という値で存在量を示される場合が多いのですけど、余分なことを言ってはいけませんけど、100倍まで安全ですよということを申し上げるわけではなくて、環境基準の項目が検出されたということは、環境基準というのは理想的な環境条件を一応言っておりますので、その存在が少し超えたからといって直ぐに人間の命にかかわるような問題ではないので。環境基準の濃度というものがどういう濃度であるかというのは、環境省は国民に対してもう少し徹底しておかないと、検出されたからすなわち命にかかわるというような問題ではないということだけは理解しなくてはいけないと思うのです。ただ、何十倍、何百倍になったら、当然健康影響は起こり得るという問題だと思います。
【池田委員】 その点はそれでよろしいかと思うのですが、環境基準として採用するかどうかということの客観的な基準みたいなものはあるかどうかというのが私の質問です。
【須藤委員】 それは先ほど森北課長も言われたのですけれども、まず存在量というのがモニタリングでわかりますね。その前に指針値というのを設けてございます。先ほどの1,4-ジオキサンは指針値がもともと0.05だったので、これを超える地点がぼちぼち出るとか、この10分の1の濃度がどのぐらい出てくるとか。私どもが評価する時には、その濃度を超えた地点が現れたら環境基準の設定が必要と考えます。10分の1の濃度に達して、それ以上になったら要注意ということで、検討を十分しなくちゃいけないなという、そういうところで議論しているわけで。
それから、先ほど眞柄先生がおっしゃっていただいたように、1,4-ジオキサンのように特にある地域の水道の汚染で発見されたというような場合ももちろんあるわけですが、全国的に見れば、指針値の10分の1濃度を超えてきたら、そろそろ環境基準としての検討に入ったほうがいいかなという判断をいたしております。
【松尾部会長】 よろしいでしょうかね。
そういうことでありますが、結論的には答申、第2次報告、資料3として出されておりますが、これにつきましてこのとおりで、委員会からの答申として受けて、これを部会としての答申として確認したいと思いますけども、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
【須藤委員】 どうもありがとうございました。
【松尾部会長】 それでは、このものをこのままで部会からの答申とさせていただきたいと思います。
中央環境審議会審議会の議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、会長の同意を得て審議会の決議としていただき、大臣への答申の手続をとらせていただきたいと思います。
では、そういうことで進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
それでは、次の議題となりますが、「排水規制等専門委員会の設置について」でございます。事務局より説明をお願いします。
【森北課長】 それでは、資料4でございます。「排水規制等専門委員会の設置について」ということでございますが、資料4の裏面をお開けいただきたいと思います。
中環審の議事運営規則で、中環審の各部会は必要に応じて専門委員会を置くことができるというふうにされております。この水環境部会につきましても、議題に応じまして、これまで専門委員会が設置され、そこで調査審議をいただいているところでございまして、具体的には資料の1番のところに(1)から(4)まででございますけれども、環境基準健康項目、水生生物保全環境基準類型指定、陸域環境基準、そして、総量規制、この4つの専門委員会が設置されております。
今日、審議をいただきましたが、水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の見直しにつきまして、今後、答申の手続が行われることになるわけでございますが、その答申を受けまして設定される先ほどの環境基準、それを達成するために排水規制等のあり方について諮問されることとなります。排水基準の設定、その他排水規制や地下浸透規制に関する専門的な事項を調査していただくため、新たに排水規制等専門委員会を設置していただきたいというふうに考えております。
1.の5番目に排水規制等専門委員会というのを追加いたしまして、その調査審議の内容は6.に書いてございます。そして、この専門委員会の委員につきましては、7.でございますが、後日、部会長より指名をしていただくというふうな予定でございます。
こういった内容の排水規制等専門委員会を設置したいということについての審議をお願いしたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
【松尾部会長】 ありがとうございます。
資料4の裏に書いてあるような形で、排水規制等専門委員会の設置を認めていただきたいと、こういうことであります。前もこういうのがあったのですが、一度、全部この専門委員会をなくして、必要な時に設置をするという趣旨に改定されておりまして、そういう意味では、排水規制等専門委員会をこの部会として改めて設置すると、こういう決め方になるわけであります。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、この専門委員会の設置をお認めいただいたということで進めさせていただきたいと思います。
なお、専門委員につきましては、ここにもありますように、中央環境審議会の議事運営規則第9条第2項に基づいて、委員会に所属すべき委員、臨時委員及び専門委員につきましては、「中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について」の7に基づいて、それぞれの部会長が指名するということになっておりますので、後ほど私のほうから指名させていただきたいと思います。この委員の中からもご参加いただくことになる方がおられると思いますが、どうぞよろしくご協力いただきたいと思います。
ありがとうございました。
それでは、この議事はこういうことで終わらせていただきます。
その次が、その他の議題で、「その他の報告事項」ということになりますが、事務局からよろしくお願いいたします。
【木村課長】 それでは資料5を説明させていただきます。総務課長の木村でございます。よろしくお願いいたします。
資料5は、中環審の大気環境・水環境の合同部会の下に公害防止取組促進方策小委員会を設置するというものでございます。
1ページ目の「趣旨」のところに書かせていただいておりますが、近年、環境問題がいろいろ多様化し、地球温暖化問題とか廃棄物リサイクル問題とかさまざまな問題に拡大しているということ。そういうようなことも背景としましても、公害防止対策を取り巻く状況が構造的に変化をしてきていると認識しております。こうした中で、昨今、基準の遵守の確認など公害防止対策の的確な実施の必要性が高まっております。
環境省におきましては、効果的な公害防止取組促進方策検討会というものを開催いたしまして、昨年の4月に報告書を取りまとめております。その報告書というのが裏のページに、概要でございますけども、まとめてございます。
この検討会で検討を始めるに当たっての検討の背景でございますが、一部の大企業における排出基準超過やデータ改ざんなどの不適正な事案が発生したということ。それから、先ほども申しましたように、環境問題が多様化し、それから公害防止のエキスパート、団塊の世代と言われる人たちが多いわけですが、そういう人たちが企業、自治体において退職するなどといったようなことを背景といたしまして、事業者及び地方自治体において公害防止管理業務が構造的に変化してきているということが検討の背景として述べられております。
この報告書の「報告の概要」のところに書いておりますが、公害防止の取組強化に向けた基本的な考え方としては、1つには法令から運用レベルまでさまざまな方策を組み合わせた総合的な対応が必要であるということ。それから、2番目に事業者及び地方自治体における自主的な取組の促進が必要だということ。それから、3番目にありますように、事業者、自治体による管理から、社会的な情報共有によるオープンな管理へということがうたわれております。
実際の具体的な方向と方策については、3つの分野でまとめられています。1つは事業者における取組の促進ということで、公害防止管理体制整備の促進であるとか、排出測定データの未記録・改ざんに対する罰則の創設の検討等々、そこに書かれているようなことが提案されていると。
それから、地方自治体における取組の促進につきましては、立入検査等の効果的な実施促進等々が提言されているということでございます。
それから、横断的な方策として、排出基準、測定方法、運用等の明確化と浸透促進等、幾つかの項目が提案されているということでございます。
1ページにお戻りいただきまして、このような報告書が取りまとめられ、特に運用改善で対応できるようなところに関しては、その後、行政のほうで取組を進めてきておりますけども、制度的な対応の必要性も含めて、大気環境分野と水環境分野を通じた横断的な検討をさらに深める必要があるということで、ことしの8月19日付けで環境大臣から中央環境審議会会長に対して、今後の効果的な公害防止の取組促進方策のあり方について諮問が行われたところでございます。
この諮問ですが、大気環境部会と水環境部会、両部会の所掌に係るものであるということで、大気環境・水環境合同部会を設置しまして、その部会長には水環境部会長の松尾先生にお願いしているところなのですが、ここに諮問事項が付議され、さらに調査審議を専門的かつ集中的に進めていただくということで、この合同部会の下に公害防止取組促進方策小委員会を設置するということで、小委員会長には大気部会長の坂本先生にお願いをしております。
主な検討事項としては、これは例示でございますが、事業者における公害防止管理体制整備の促進策とか、排出測定データの未記録・改ざんへの対応、それから、事業者の自主的な取組の促進策、それから、緊急時の対応策等々でございます。
スケジュールでございますけども、今月末、9月29日に第1回目を開催させていただきまして、年内をめどに答申を取りまとめていただければということで、おおむね月1回程度、関係者からのヒアリングも含めて開催していただくということでございます。
最後に小委員会の構成ですが、小委員会はこの水環境部会と大気環境部会の関連の委員の方々に若干の有識者の方を追加しまして、3ページにありますような構成でこの委員会を開催させていただくということで、合同部会の部会長の松尾部会長からこれらの委員の指名をいただいております。
あと、後ろに関係の資料をつけております。
私のほうからは以上でございます。
【松尾部会長】 ありがとうございます。
続けて、もう1つの報告がございますので、資料6に関してお願いしたいと思います。
【森北課長】 では、お手元の資料6でございます。「今後の水環境保全に関する検討会の開催について」ということでご説明をさせていただきます。
この検討の趣旨、背景については、1番の目的のところに書いてございますが、旧水質二法が施行されまして半世紀が過ぎ、かつての激甚な水質汚濁というのは改善されてきているわけでございますが、閉鎖性水域においては必ずしも水質の改善が十分ではない、また、有害物質による土壌とか地下水への汚染、環境保全上の目標とかリスク管理のあり方といったものを含めまして、新たな施策の展開といったものが求められている状況にございます。
一方で、地球温暖化に伴う気候変動が水環境に及ぼす影響も懸念されているというふうな背景を踏まえまして、地域の汚染問題から地球的規模の問題に至るまで幅広い観点から検討していく必要があるというふうな認識の下、今後の水環境保全のあり方について、広範な検討をしていただくためにこの検討会を設置いたします。
この検討会の構成でございますが、その裏面のところに委員名簿をつけさせていただいております。学識経験者、事業者、そして、地方公共団体等の皆樣、合計で19名の委員で構成されております。
1ページに戻っていただきますが、第1回の会合を先般9月4日に開催させていただきました。第1回の会合では、水環境保全の現状と課題、そして、今後の水環境のあり方という点に関して、事務局のほうから課題の例を提示させていただきました。[1]から[11]というものでございます。こういった課題の例を基にいろいろディスカッションをしていただいたということでございます。
先ほど要監視項目の位置づけの話もございましたが、こういった中でも課題として出てくるのではないかと思っております。また、[7]とか[8]、事故への対応とか、事業者の不適正事案への対応、これにつきましては、ただいま総務課長のほうから説明いたしました小委員会の中での議論、そういったものになるわけでございまして、水だけではなく大気と共通するテーマでもございますので、これにつきましては小委員会のほうで議論をしていただき、この検討会とも情報共有しながら進めていきたいと考えているところでございます。
検討のスケジュール、別紙2、次のところでございますが、9月4日に第1回を開催いたしまして、月1回程度開催いたしまして、12月には中間的な取りまとめをさせていただくという予定でございます。その後も議論を行いまして、最終的には1年後、来年秋の取りまとめを行うべく検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
以上、報告をさせていただきます。
【松尾部会長】 ありがとうございました。
それでは、今、2つのご報告をいただきましたが、最初のほうのご報告は水環境部会にもかかわる小委員会の設置ということでありますので、皆様方のかかわっているものであります。大気環境部会と水環境部会の合同の部会をつくるというのが1つでありまして、その中にこの小委員会を設置して考えていこうということであります。これは皆様方にはもう既に文書等で確認いただいていることであるということでよろしいですね。
そういうことでありますが、何かご質問ございましょうか。
では、これも小委員会のほうで結論と言いますか、答申が出てきた段階では当然に合同部会にかかるということになりますので、また皆様方のご意見をいただいてまとめていくということになると思います。
もう1つのほうが、これは部会にかかわるというよりは環境省の中につくられる検討会ということでありますから、恐らくこのテーマに関しては、いろんな検討事項については、部会の先生方もかなり個人的にもいろいろお考えがあろうかとは思いますので、ある段階では、中間まとめが出てきた段階ぐらいでは一度部会でもご紹介いただいて、部会の皆さんの意見も反映させていただけるといいのではないかと思います。
ご意見、ご質問あればどうぞお願いします。
【宮原委員】 宮原でございます。資料6で検討項目いろいろございまして、特に水環境における生態系とか生物多様性の保全、我々にとっては大変ありがたい検討をしていただけると思っております。申し上げたいのは次の委員名簿でございますけども、我々からみますと、水産生物の専門の研究家がいないということでございますので、やはりこういう研究をしていただくには水産をわかった人が入っているというのは、我々にとっては非常なる安心感を与えるわけでございますので、ぜひとも水産の生物の研究者を入れていただきたい、このようにお願い申し上げます。
【松尾部会長】 それはどうでしょうか。
【森北課長】 検討会はこのメンバーでもう9月4日にスタートしておりますので、水産関係のご意見を聞くというのは、別途、やり方とかは検討させていただいて、対応できる部分を対応していきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。
【松尾部会長】 委員を追加することは難しいのですか。
【須藤委員】 よろしいですか。私、座長をお預かりしているので、今の水産のほうのご意見ということを承ったので。まだ次の2回から4回のことについてどういうふうにやるかは事務局と十分相談しておりませんが、水産生物の保全のような問題が必要になった場合には、ヒアリングをしていただくとか、あるいは、わずかな時間でもいらしていただいてお話していただくとか、何か方法は考えさせていただきたいと。まだ、事務局と相談しておりませんが、そういう方向でやっていきたいと思います。
それと、全然別なのですけども、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の中では水産の先生もおられて、かなり水産のほうの立場のご意見を伺っておりますので、それを反映させるとか、そんなことも考えておりますので。決して水産抜きの水環境保全というようなことではございませんので、水産の視点を十分反映させていただきたいと思います。
【松尾部会長】 では、事実上そういう格好で反映できるようにしていただくということでよろしいですかね。わかりました。
ほかには。はい、どうぞ。
【田中委員】 平成7年か8年だったと思いますが、これと似た検討会ないし懇談会が環境庁の時代に設置されております。松尾部会長が多分その委員の一人だったと思いますが。それの報告書が出ております。その報告書を踏まえて平成9年に「健全な水循環の確保に関する懇談会」が設けられました。私、その委員の一人だったのですが、これも平成10年に報告書が出ております。
ですから、今後この検討会で種々検討されるときに、今から十数年前に出された報告書がどういう施策に結びついたのかとか、どこが足りなかったのかとか、そういう過去の実績を踏まえた上で検討会を進めていただきたいと思います。ただ一からスタートするのではなくて、過去に環境庁の時代に同じようなことをしているわけですから、それを踏まえた上で、さらにより前進するような検討をしていただきたいという要望でございます。
【松尾部会長】 はい、わかりました。水ビジョンとかいうのがあったのですよね。
【森北課長】 平成7年に水環境ビジョン懇談会というのを設置しておりまして、そこで報告書をいただいております。そこから十数年たっておりますが、その報告の内容も踏まえて、その後の社会情勢なりが変化しておりますので、そういったものを考えた上での今後の水環境保全のあり方についてご検討いただくというふうにしたいと思っております。
【松尾部会長】 よろしいでしょうか。
はい、どうぞ。
【薗田委員】 クレアンの薗田です。主な検討事項の3番目に水環境における生態系・生物多様性の保全というのも入っているのですけれども、このあたりは来年のCOP10あたりで、今度は逆に世界的に、一方ではすごく水環境について、あるいは、生態系についてのグローバルな視点での取組というのが求められてくると思いますし、私どもも企業のCSRを進めているんですが、昨年ぐらいからようやく企業のCSRの一つの取組としてこういう、生物多様性あるいは生態系というと必ず水の問題というのはどの企業も関係しますので、非常に高まりを見せているというところもありますので、今後、企業も巻き込んでいく、あるいは、働きかけをしていくためには、そういったことも視野に入れられたほうがいいと思うのですが、その辺はお考えになっていらっしゃるところでしょうか。
【松尾部会長】 いかがですか。どなたがいいかな、須藤先生か事務局か、事務局のほうで。
【森北課長】 非常にこのテーマそのものも幅広いと言いますか、難しいテーマでありますけれども、どういうふうにこういったものに対応していくかというも含めて、問題意識としては私ども持っておりまして、今後、先生方の意見もいただきながら、その方向性といったものについて考えていきたいというふうに思っております。
【松尾部会長】 ほかにはどうでしょうか。はい、どうぞ。
【田中委員】 今の生物多様性の保全関係に関しましては、中央環境審議会の自然環境部会で検討されておりまして、「生物多様性の保全に関する国家戦略」というものが既に印刷されております。ですから、その辺とも十分協議されて検討していただければよろしいのではないかというふうに思います。
【松尾部会長】 ほかには。よろしいでしょうか。
水の問題というのは、21世紀は水の世紀だとか、水は大事だとか、水環境は非常に大事だと言われながら、もうあとひとつパンチがきかないというか、マンネリ化している部分もあるのだと思うのです。水環境部会がもう少し頑張らなければいけない部分があるように私は思っておりますが、そういう意味ではこういう検討会の改めての審議で話題を整理していただけると非常にありがたいかなと、部会長としては思っております。そういう意味では、メンバーの方も随分おられますが、ぜひ今後の明るい水環境問題のきっかけをつくっていただければありがたいと思うところであります。
よろしいでしょうか。ありがとうございました。
一応予定していた議題はこれで終りますが、最後に局長からご挨拶をいただきたいと思います。
【鷺坂局長】 水・大気環境局長の鷺坂でございます。閉会に当たりまして一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
本日は大変多忙の中多くの委員の皆様ご出席いただき、また、活発なご論議いただきましたこと、ありがとうございます。お礼を申し上げたいと思います。
先ほどご了承いただきました「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の見直しについて」でございますけれども、今後、部会長より会長あてに報告され、大臣あての答申がなされることとなると思います。答申後でございますけれども、環境省といたしましては、できるだけ早く環境基準ということで設定をしていきたいと考えておりますが、そのときにも、今日ご意見いただきました環境基準の説明とか、そういったことにも留意しながらやっていきたいと思います。
さらに、この環境基準の達成ということになりますと、排出規制のあり方も含めまして、所要の施策を推進していく必要があると考えておりまして、そういったことを進めるに当たりまして、また、先生の皆様方におかれましても、引き続きご指導、あるいは、いろんな場でのご意見等を賜りますよう、よろしくお願いしたいと思います。
それから、大塚先生のご意見がございましたけれども、要監視項目の測定ということにつきましても、今、三位一体改革で補助金がなくなった中でいろんな状況が生じておりますが、環境省といたしましても、十分この状況を留意しながら、ガイドラインをさらに何か強めるとか、あるいは、先ほど少しお話が出ましたけれども、今後の水環境保全に関する検討会の中でのリスク管理のあり方、こういったことも含めてご検討いただくということで、何か枠組み的なものができないかどうかとか、そういったことも含めて検討できればというふうに考えておりますし、例えばこういった環境モニタリングということになりますと、やはり地域の住民の方々の協力と言いますか、そういった関心を持っていただく、こういったことが非常に重要ではないかというふうに考えておりますので、そういったことも踏まえた検討ができればというふうに考えているところでございます。
いずれにいたしましても、今日最後に報告させていただきました今後の公害防止の取組促進方針のあり方とか、あるいは、水環境保全に関する検討会、こういったことも含めまして、今後ともさまざまな場でご意見あるいはご指導をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
以上、お願いばかりで恐縮でございますけれども、私からの挨拶に代えさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
【松尾部会長】 ありがとうございました。それでは、事務連絡があると思います。よろしくお願いします。
【今井課長補佐】 それでは1点だけ。委員の皆様にはお忙しい中いつもお願いで恐縮ですけれども、本日の会議録につきましてですが、速記がまとまり次第、委員の皆様にお送りさせていただきますので、ご確認いただきますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【松尾部会長】 それでは、これをもちまして中央環境審議会第21回の水環境部会を閉会させていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
午後 2時47分 閉会