中央環境審議会水環境部会(第18回)議事録

開会

議題

(1)
水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について
(2
)水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて
(3)
中央環境審議会水環境部会専門委員会の廃止について
(4)
その他

閉会

配付資料

資料1中央環境審議会水環境部会委員名簿
資料2第2次報告案概要 水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について
資料3水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて(報告案)
資料4水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定に係る今後の予定について
資料5水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しに係る今後の予定について
資料6中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会等の廃止について(案)
資料7環境基準健康項目専門委員会の検討事項等
資料8「平成の名水百選」の発表及び認定書交付式の開催について
資料9湖沼水質保全特別措置法に基づく八郎湖の指定湖沼及び指定地域の指定について
資料10釜房ダム貯水池、八郎湖及び諏訪湖に係る湖沼水質保全計画の概要
資料11環境基準に係る測定方法及び排水基準に係る検定方法の改正について
資料12ほう素・ふっ素・硝酸性窒素等の暫定排水基準見直しに係る今後の予定について
資料13水質環境基準(生活環境項目)に係る見直し検討について
資料14閉鎖性海域中長期ビジョンの策定について
資料15湧水の保全について
資料16世界の水環境問題解決に向けた環境省の取組について
参考配付資料1瀬戸内海環境保全基本計画のフォローアップ
参考配付資料2平成20年度新規事業:里海創生支援事業について
参考配付資料3効果的な公害防止取組促進方策検討会報告のとりまとめについて

議事

午後13時00分 開会

【今井課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第18回水環境部会を開催いたします。
 なお、池田委員には、ご出席という予定をいただいておりますが、まだお見えになっておりませんが、始めさせていただきたいと思います。失礼ですが、これよりは着席して進めさせていただきます。
 開催に先立ちまして、本日の出席委員のご報告をいたします。所属委員33名のうち、過半数の19名の委員にご出席いただいておりますので、中央環境審議会令第7条第3項により準用する同条第1項の規定に基づき、定足数を満たしており、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。
 なお、本日は鈴木中央環境審議会会長にもご出席いただいております。
 また、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただきます。
 続きまして、事務局側にも昨年4月18日に開催されました第17回の部会以降、異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 水環境担当審議官の白石でございます。
 水環境課長の河崎でございます。
 閉鎖性海域対策室長の山本でございます。
 ここで、議事に入らせていただく前に、鈴木中央環境審議会会長に一言ご挨拶いただきたいと思います。

【鈴木会長】 中環審の会長を仰せつかっております鈴木でございます。
 皆様もうご承知のとおり、G8を迎え、環境大臣会合も先日神戸で開かれたこともございますが、温暖化の問題等々が環境関連では、現在ある意味では話題の中心となって動いております。G8サミットを意識してということもありましたと思いますが、昨年、ちょうど1年前ぐらいに「21世紀環境立国戦略」というものを我が国で閣議決定されましたが、そこでは持続可能な社会に向けて、低炭素社会、循環型社会、そして自然共生社会の3つの側面が強調されました。それぞれのところに水の問題がかかわってくるということもございますし、水は水でまた独自に私たちの生活の問題、自然環境の問題として非常に重要な問題であり、それをこの水部会でご検討いただいているわけであります。
 これまでは、どちらかというといろいろな問題が先にあって、その問題解決をするという、いわば問題解決型というのが一つの環境を考えていく上でのパラダイムであったかと思いますし、それは今後も続いていくことが必要であると思います。そういう流れの中でこれまでは環境基準というようなものをどういうふうに設定して、行政目標としてそれをどう達成するか。こういう考え方で進んできた訳です。これからはこれに加えて少し将来的な、長期的なビジョン、水環境はどうあるべきか。そういう議論をぜひ、水の場でも進めていただければと私自身は念じております。ディマンドプルというのでしょうか、問題を解決するというところから、将来ビジョンを設定して、そこに向かってどう進んでいくか。これはなかなか簡単ではないと思いますが、そういうことでぜひこの水環境部会、ご活躍をお願いしたいと祈っております。
 国際協力の問題等々、今日もご紹介があるようでありますし、活躍の場が広がっていく一方、環境省の担当者の数は相変わらず非常に限られた少人数で頑張っているというのが、ほかの省庁に比べて圧倒的につらいところでもありますが、その辺もぜひこの部会でも応援をしていただいて、適確に進めていくことができれば、そんなふうに祈っておりますので、松尾部会長以下ぜひよろしくお願い申し上げます。

【今井課長補佐】 ありがとうございました。引き続きまして、水環境担当審議官の白石よりご挨拶を申し上げます。

【白石審議官】 ご紹介いただきました、水環境担当審議官の白石でございます。本日はご多忙の折、多くの委員の皆様方のご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 昨年4月の開催から1年2カ月ぶりということでございまして、本日は2つほどご議論いただきたい答申案がございます。一つは水生生物の保全に関する水質環境基準の類型指定、それから水質汚濁に係ります生活環境の保全に関する環境基準の水質類型の指定の見直しでございます。専門委員会でご議論いただいた答申の案につきまして、この部会でご議論いただくこととしております。
 また、事務的になりますが、現在この部会の下に7つの専門委員会が設置されておりますが、一定の期間、開催実績のないものなどにつきましては、一旦、整理させていただくということで、廃止させていただくことをお諮りさせていただくものがあります。そのほか、ちょっと盛りだくさんになって恐縮でございますが、1年2カ月ぶりということで、この間の水環境行政に関するいろいろなトピック等について、ご報告をさせていただくということを考えております。
 只今、鈴木会長からお話がありましたように、特に本年は先月来、G8環境大臣会合、あるいはTICADIV―アフリカ開発会議、それから国連の水と衛生に関する諮問委員会等々、矢継ぎ早に水に関するいろいろな会議が開かれまして、また来月早々には洞爺湖G8サミットが行われる等々、国際会議が目白押しでございます。
 その中で水環境問題が大変重要な課題ということで取り上げられておりますので、国内対策をしっかり推進していくということはもちろんのこと、いろいろな話題になった中で、必ず温暖化といっても、影響が一番バルネラブルで出てくるのが水の関係であるということ。特にそれが途上国の水環境問題にあらわれていること等々ございまして、来年度のことをもう既に省内では議論をしておりますけれども、平成21年度の政策の重点事項の検討の中でも、安心して暮らせる良好な水環境の確保ということで、国内にとどまらず、アジアを初めとする世界の水環境問題ということも視野に入れなければならないということで、まさに将来を見据えた方向へ、問題解決型の環境行政からの転換というものを具体的に進めなければならないこと。只今の、会長よりの、ご指摘のとおりでございます。おっしゃられますように、確かに1,000人ほどの所帯でございまして、2,000億円台の予算ということで、体は小さいわけでございますけれども、担っている課題は大変大きゅうございますので、委員の先生方のご指導、ご協力をいただきながら、各種施策に取り組んでまいりたいと思います。
 簡単ではございますが、以上でご挨拶にかえさせていただきます。何とぞご審議、よろしくお願いいたします。

【今井課長補佐】 それでは、次に本日の審議のためにお手元にお配りしている資料につきましてですが、一番上にあります資料一覧のとおりとなっております。資料1から16まで、参考配付資料として、1から3までございます。もし配付漏れ等がございましたら事務局までお申しつけください。なお、本日の議題とは関係ございませんが、参考配付資料として3種類配付させていただいておりますが、お持ち帰りいただき、後ほどご覧をいただければと思います。
 それでは、早速、議事に移りたいと思います。これよりの議事進行につきましては、松尾部会長にお願いしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。

【松尾部会長】 皆さん、どうもお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、会長の鈴木先生にもおいでいただいて、いかにこの水環境部会が重要な部会であるかということを、改めて先生方も皆様方もご認識いただければありがたいと考えております。次へ議事を進めさせていただきたいと思います。1時から3時までということになっていまして、次のご予定もいろいろある方がおられると思いますので、コンパクトに、しかし議論はしっかりということで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、最初の議題ですが、水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定についてということであります。これは平成16年8月27日付で環境大臣より諮問がなされて、翌日付で当部会に付議されたものを、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会において検討してきていただいたものであります。本日は、この案について専門委員会で取りまとめが進んだということで、ご報告をいただきたいというふうに考えています。その方向に基づいて、部会の先生方から改めてご意見をいただいて、最終的なものにしたいという趣旨であります。
 それでは、まず、水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の委員長を務めていただいた須藤先生から、最初にご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【須藤委員】 かしこまりました。水生生物保全環境基準類型指定専門委員会の委員長を仰せつかっております、須藤でございます。
 少々、時間を要しますが、現在までの審議経過と得られている結論について、専門委員会の報告案としてここに提案をさせていただきます。専門委員会では、水域の類型指定について、平成19年1月に委員会を開催して以来、パブリックコメントを間に挟み、6回にわたって検討を行いました。そして、本年4月17日の委員会におきまして、専門委員会の第2次報告として取りまとめたので、ここに報告をさせていただきます。
 どうぞ、資料2をご覧になってください。
 この資料2でございますが、この報告案は、国が指定すべき47の河川・湖沼・海域があるわけでございますが、そのうちの利根川、荒川水系の12河川と湖沼及び東京湾の類型指定案について検討を行いました。生物A及びB類型の指定の検討に際しましては、前回答申時と同様に、水域の水温特性及び魚介類の生息状況に関する情報の基本を整理いたしまして、これに水域構造等の情報をあわせて考えまして、検討を行うことといたしました。その際、できるだけ過去からの水域、水質の変遷、生物の生息状況の変化、有識者からの意見等の情報の収集など、個々の水域の特性を把握することに努めました。
 また、今回の特別域の指定の具体化を図るために整理を行いまして、その整理は資料2の28ページと29ページをご覧になってください。ここは比較的重要なところかと思います。そして、河川・湖沼については水産資源保護法に基づき、指定される保護水面、関係者より保護水面と同等に保護される水域、さらに水深、河床の状況、河岸の植生などから、魚類の産卵場等について重要な水域を、海域については水産資源保護法に基づき指定される保護水面、関係者により保護水面と同等に保護される水域、さらに地形、水質、干潟、藻場などの分布状況から魚類の産卵場等として重要な水域を検討の対象とし、産卵等の実態を踏まえて指定を行うことといたしました。
 その結果、利根川については、資料2の4ページ、6ページに記載されております。上流から下流に至るいずれかの地点で冷水域から温水域に移行すると考えられました。その区分点としては、水温分布や水生生物の生息状況、さらにBODの類型指定の区分等を踏まえ、坂東大橋から上流側を河川の生物A、下流側を生物Bとの結論を得ました。また、矢木沢ダム貯水池、奈良俣ダム貯水池及び藤原ダム貯水池については、湖沼の生物Aとの結論を得ました。
 同様に検討を進め、鬼怒川につきましては、これは7ページ、9ページに記載されております。田川合流点を区分点に、上流側を河川の生物A、下流側を生物B、川治ダム貯水池及び川俣ダム貯水池を湖沼の生物Aとの結論を得ました。
 江戸川及び旧江戸川につきましては、これは10ページでございますが、全水域を温水域とし、生物B、それから同じく中川、これは資料2の11ページでございますが、綾瀬川は12ページ、これについても同様に全水域を温水域として生物のBといたしました。
 渡良瀬川につきましては、これは13ページ、15ページですが、袋川合流点を区分点といたしまして、上流側を河川の生物A、下流側を生物B、草木ダム貯水池を湖沼の生物Aとの結論を得ました。
 神流川、これは16ページ、17ページですが、これにつきましては、全域を低温水域といたしまして、河川の生物A、それから下久保ダム貯水池を湖沼の生物Aという結論を得ました。
 荒川につきましては、ページで言うと18ページ、19ページですが、玉淀ダムを区分点に上流側を河川の生物A、玉淀ダムから正喜橋までを河川の生物特B、それから正喜橋から下流側を生物Bとの結論を得ました。
 霞ヶ浦、北浦、常陸利根川につきましては、ページで言うと20から22ページですが、全域を温水域として湖沼の生物Bとの結論を得ました。
 それから、東京湾につきましては、23ページ、25ページですが、生物特Aに指定される水域を除く全域を海域の生物A、三番瀬の干潟部及びその周辺にあるおおむね水深5メートル以浅の水域、アマモ場を含む盤洲干潟及びその周辺にあるおおむね水深5メートル以浅の水域、アマモ場を含む富津干潟及びその周辺にあるおおむね水深10メートル以浅の水域、三浦半島のうち三浦市猿島周辺海域から三浦市剣崎の間の岩礁性藻場及びその周辺の浅場、富津岬周辺から富津市の鋸南町の境界周辺の間の内湾沿岸の浅場について、海域の生物特Aとの結論を得ました。
 また、どの水域においても、環境基準項目に指定されている全亜鉛の水質濃度については基準値レベルを継続的に超過する状況になかったため、達成期間は直ちに達成するといたしました。しかし、綾瀬川及び渡良瀬川では、一時的に基準値を超過している地点もありましたので、今後とも当該水域の水質状況に十分留意して、水質の監視を行っていく必要があると考えます。
 次が、最後に残されている課題等でございますが、25ページ、26ページに今後の課題が記載されておりますが、アユ、ワカサギの生息する水域の整理、地球温暖化による産卵等への影響に関する知見の収集、整理を行う必要がございます。また、特別域の検討に当たっては、水域の情報が不足していることから、産卵場の実態調査を実施していく必要がございます。今回初めて産卵場の指定も行いましたので、そこについても、どうぞご議論いただきたいと思います。
 また、これまで4河川、湖沼を類型しており、今回報告しましたように、13河川の湖沼、海域を含めまして、前回4河川をやっていますので、17河川の類型指定が行われたことになりますから、30水域まだ残っているということになります。今後、本報告を踏まえ、国はもとより、都道府県においても、全国の水域について鋭意作業を進める必要があります。また、今回の検討に際しまして、先ほど申し上げたとおり、整理すべき新たな検討課題も抽出されてきております。これらの検討課題について情報を収集し、調査を行い、その結果を踏まえて水生生物保全環境基準の体系のさらなる充実に努めていく所存でございますので、どうぞよろしくご指導いただきたいと思います。
 以上をもって、私の概要といたしますが、事務局からあと補足をお願いいたします。

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは事務局からの補足をよろしくお願いします。

【河崎課長】 では、水環境課長でございますが、説明をさせていただきたいと思います。
 専門委員会で審議を行いました類型の指定につきましては、ただいま須藤委員長から説明のありましたとおり、水温の分布状況、水生生物の生息状況等を踏まえ、これまで行ってまいりました類型指定の考え方に従い、A類型、B類型の類型指定を行ったところでございます。なお、海域における類型指定及び河川、海域での特別域の指定については、今回初めて行うものであり、特別域の指定等について補足説明をさせていただきます。
 資料2の28、29ページ、別紙1と書いてございますが、それを見ていただきながらお話を聞いていただきたいと存じます。
 特別域の指定の考え方及び類型指定の状況でございますが、水生生物の産卵場または幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域については、特別域として指定することとなってございます。先ほど須藤委員長から説明がありましたが、今回この別紙1のとおり、特別域の検討に当たっての考え方を整理したところでございます。
 具体的な水域としては河川、湖沼では[1]から[3]までの部分でございます。これらのうち、実際に産卵等が確認されている水域を特別域として指定することにいたしました。上記の考え方に基づく検討の結果、今回検討対象とした河川等のうち、[1]の水産資源保護法に基づき、保護水面に指定されている水域に該当するものとしまして、荒川の玉淀ダムから正喜橋の区間でウグイの産卵等が見られることから、特別域として指定することが適当といたしました。[2]、[3]の部分につきましては、卵や仔魚等の実態を調査した十分なデータがなく、結果として指定することが適当と判断できる水域はございませんでした。
 海域につきましては、29ページでございますけれども、同じく[1]から[3]までの条件のところでございまして、河川と同様に実際に産卵等が確認されている水域を特別域として指定をするということにしてございます。
 このような考え方に基づく検討の結果、今回検討対象とした東京湾では、[1]、[2]、保護水面に指定されている水域であるとか、保護水面に設定されていない水域でも、漁業関係者等によって保護が図られている水域ということでございますが、これに該当する水域はございませんでした。[3]の地形、水質、底質及び藻などの沿岸の植生などが当該魚類の産卵場等として適した条件にあり、今後ともその条件が保たれる水域ということでございまして、これについては、東京湾において主要な漁獲対象となるスズキ、イシガレイ、マコガレイ、ヒラメ、マダイ、メバル、アサリ、バカガイの産卵場及び幼稚仔の生育場として重要な水域として、浅場、干潟、藻場を抽出し、これらの水域のうちの貧酸素水塊の影響の見られない水域について、魚介類の卵や仔魚等の実態データ、魚場の形成状況などを参考に検討したところでございます。
 検討いたしました結果、三番瀬、盤洲干潟、富津干潟、それから三浦半島の岩礁性藻場及び周辺の浅場、それから内房沿岸の浅場を特別域として指定することが適当というふうに判断したところでございます。
 それから、最後に今後の課題でございますけれども、25ページ以降、3節ということで取りまとめてございます。3点ございまして、まず1点が、アユ、ワカサギの生育する水域の整備ということでして、アユ等の全国的な生息状況を整備し、毒性情報の収集を行い、これらの魚種の見られる水域での類型指定のあり方等についての知見の整理を行う必要があるということでございます。
 2点目としましては、温暖化の産卵等への影響についてでございまして、地球温暖化の影響による湖沼における魚類生態等の変化について、知見の収集、整理を行うというものでございます。
 それから、3点目は類型指定の見直しについてでございまして、今後、今回整理を行いました特別域の検討のための今後の調査方針に従いまして、産卵等の実態調査を実施し、産卵等の確証の得られた水域については特別域としての指定のための検討を行う必要があるというものでございます。
 また、湾奥の浅場については、本来であれば、産卵場等としての重要な水域であると考えられますが、夏期に貧酸素水塊の影響を受け、産卵場等としての機能を十分に果たさないため、今回の東京湾における特別域の指定の検討に当たっては、当該水域を特別域とすべき状況にないと判断したところでございます。しかしながら、当該水域については、将来的に当該水域の底層での溶存酸素量等の側面から水質の改善状況を見つつ、適当な時期に見直しを行う必要があるというものでございます。また、地球温暖化の影響によりまして、河川、湖沼及び海域における水温等が中長期的な将来において変動し、藻場等の状況が変化することが考えられることから、特別域、生物A域、生物B域それぞれの当てはめについて、このような観点からの適切な時期に点検、見直しを行う必要があるというものでございます。
 以上、簡単でございますが、補足の説明とさせていただきます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 今、専門委員会の委員長と、それから事務局のほうからご説明がありましたが、何かご質問等ございましょうか。
 私から一言コメントすれば、後ろのほうに基準の一覧表、資料2の参考2というのがありまして、そこに今回かかわる水生生物保全に係る水質環境基準の類型というのでしょうか、生物Aとか、生物特Aとか、生物B、生物特B、河川、湖沼についての表がある。それから、海域については生物Aと生物特Aがあるということであります。そういう意味でこれを、先ほど説明があったとおり、河川域の坂東大橋から上と下でこういう適用をしようというのが、今回の専門委員会からの報告というふうに理解しておりますが、それでよろしいですね。
 そういうことで、ちょっと中身をご覧いただいて、A、Bと言われてもちょっと理解ができないのではないかと思いまして、ちょっと私から補足を申し上げました。
 どうぞ、宮原さん、よろしくお願いします。

【宮原委員】 26ページの[3]の類型指定の見直しのところでございますけれども、海のことについて大変このような書きぶりをしていただいたのはまことにありがたい、感謝申し上げる次第でございます。
 そこで、将来的に当該水域というのは、貧酸素水塊の発生している東京湾の件ですが、将来的に溶存酸素量の改善状況を見据えて、適当な時期に見直しを行うと書いてございますが、この適当な時期というのは大体などんなものかというのを教えていただきたい。

【河崎課長】 まさに適当な時期でございまして、海域の状況とか、一番大きいファクターは貧酸素水塊の状況によるのですけれども、その辺、モニタリングの状況も見ながら、判断させていただくということになろうかと思います。

【宮原委員】 モニタリングは常時……。

【河崎課長】 やっております。

【須藤委員】 さらによろしいですか。

【松尾部会長】 はい。どうぞ。

【須藤委員】 まだ残った水域30ありまして、まだ海もございますので、同じような状況が多分起こるかなという気がしておりますので、それと地方自治体で国がやらないところをやっていますので、同じような状況が出てくると思いますので、そういうデータが集まってきて、どういうふうに今後、具体的に判断していったらいいかということは、委員会の中でも議論していきたいと思います。

【松尾部会長】 どうぞ、池田委員。

【池田委員】 先ほど、須藤先生のほうから綾瀬川と渡良瀬が水質基準を、時々か何かわかりませんが、オーバーすると。これは亜鉛というふうに考えてよろしいですか。

【須藤委員】 そうです。

【池田委員】 それで、そのときに、何か超過率の数値等は、75%値とかそういう観点で判断をされて、直ちに達成というふうにされているのか、あるいはそういう数値の基準は特には設けていないのか、そのあたりはいかがでしょうか。

【須藤委員】 測定値がオーバーしているということについては、基準値を常時ではありませんが時にそれがオーバーしていて、75%値じゃないですよね。具体的な数字が手元にないので、説明してください。

【辻原課長補佐】 すみません。ちょっと補足をさせていただきますけれども、基本的には平均値評価ということでやっております。ということで、今回平均値で評価してみて、環境基準点ではございませんけれども、補助地点というのがございまして、幾つかの地点で超過が見られた時期があったわけでございますけれども、常時超えているということではない、また環境基準点ではないということで、今後経過を見ていこうというふうなことを書かせていただいております。
 おそらく原因については、渡良瀬川につきましては、自然由来とかそういったものが大きいのではないかというふうに考えておりますけれども、綾瀬川につきましては、都市部でございますので、面源負荷であるとか、場合によっては工場等もあるかもしれませんけれども、その辺については今後詳細に解析する必要があるかというふうに思っております。
 以上でございます。

【池田委員】 平均値としてはクリアしているということでしょうかね。

【須藤委員】 今の基準点ではですね。それで、補佐が言われたように、幾つか補助点では……。

【池田委員】 ああ、そういうことですか。わかりました。

【須藤委員】 全体として、これは基準点の評価でありますので、ですから、どこかにほかに超えているところがあれば、超える可能性もあるので、モニタリングをきちんとやって、発生源対策なんかもこの辺のところは具体的にお願いをしなければいけないかなという、そういうことを含んでいると思います。

【池田委員】 そういう意味ですか。わかりました。

【松尾部会長】 でも、結果として、その環境基準の観測点について言えば、ただちに達成ということで、それで特別にそこに問題があるということではないという扱いにはなっているということですね。

【須藤委員】 そうです。

【松尾部会長】 状況はちょっと気をつけていかなければいけないだろうということですね。
 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。特にご発言がなければ、この答申のとおり部会も承認したということで手続を進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは、この第1の議案につきましては、承認ということで進めたいと思います。
 引き続きまして、専門委員会報告案です。
 次は、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについてということであります。これは平成13年9月25日付で環境大臣より諮問されて、翌日付で当部会に付議されたものを、陸域環境基準専門委員会において検討してきたものであります。
 それでは、13年からちょっと時間がかかって、改めて見てみると時間がかかっておりますが、そこでの結論が得られたということでありますので、本専門委員会の委員長である岡田委員から、最初のご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【岡田委員】 陸域環境基準専門委員会の委員長を仰せつかっております岡田でございます。
 この専門委員会におきましては、水域の類型指定の見直しに関しまして、平成19年9月に委員会を開催して以来、パブリックコメントを間に挟み、全体で4回の検討を行わせていただきました。本年6月3日に委員会を開き、専門委員会報告として取りまとめましたので、ここにご報告をさせていただきます。今回の報告は、国が類型指定を行いました一部の水域の類型の見直し案についてです。前回の部会の際に検討対象としたもののうち半分程度になりますが、今回報告させていただきます。
 類型の見直し案につきましては、水質の改善に伴う河川類型の見直し水域というものに江戸川下流(2)等の4水域、それから河川類型であったものを湖沼類型に見直すという水域に須田貝ダム等の4ダムを対象として検討を行いました。検討に際しましては、対象水域の水質の経年的な推移、それから利水状況や将来水質予測に関する情報を基本的に整理いたしました。また、できるだけ利水状況等の現在の実態を有識者等から意見を集めるということをいたしまして、個々の水域の特性を把握するように努めました。
 その結果が資料3のお手元にまとめられております。1ページが河川水域でございます。ここ5年以上環境基準の上位類型の水質を満足している、そういう水域として江戸川下流(2)というのが表にも、それからその説明にも書かれていると思いますが、河川CだったものをBにする。それから、荒川中域を河川Bから河川A、それぞれ類型のレベルを上げることにいたしました。お手元の資料3の別添のほうには、それぞれの河川ごとに、後からご報告いたします湖沼ごとにまとめられておりますので、詳細はごらんいただければというふうに思います。
 また、この10年以上、環境基準の上位類型の水質を満足している水域として、天竜川の(5)というのがあります。これは河川のAから河川AAにする。それから、猪名川上流でございますが、同様に上位類型の環境基準を満たし、A類型に相当する利水状況にあるということから、河川B類型から河川A類型、それぞれ類型のレベルを上げるということにいたしました。検討対象水域の全水域について、既に該当する類型を満たしており、将来にわたって現状の水質を維持するという予測も行いまして、その予測結果から達成期間は直ちに達成ということの結論を得ました。
 次に、資料3の今後は裏のほう、1枚めくって2ページになります。これまで河川の類型指定が行われておりましたダム、貯水池について、湖沼類型の見直しを行いました。その結果、一番上にあります須田貝ダム、これにつきましては、利水状況、それから水質の現状から、湖沼のA類型並びに湖沼II類型という結論を得ました。達成期間については、CODについては既にA類型相当の水質を満たしていること、それから将来にわたって現状の水質を維持することができるという予測結果から、直ちに達成ということにしました。それから全窒素及び全燐については、現在見込み得る対策を行ったとしても、残念ながら5年後において達成が困難だろうということで、段階的に暫定目標を達成しつつ、環境基準の可及的速やかな達成に努めるということで、平成25年までの暫定目標を設けるということをいたしました。
 それから、味噌川ダム、それから長沢ダム、大橋ダム、さらに3つのダムがございますが、いずれも現在の水質の現状から窒素は適用除外ということにしました。それからCOD及び全燐の水質を維持するため、湖沼のA類型、それから湖沼のII類型というふうにいたしました。それから、この3ダムともに将来にわたって現状の水質を維持するという予測結果を得ておりますので、達成期間は直ちに達成という結論を得ております。
 報告書の概要については以上でございますが、あと事務局のほうからも補足をお願いいたします。

【河崎課長】 それでは、補足説明をさせていただきます。
 まず、生活環境に関する環境基準でございますが、資料3の参考2というのにつけてございます。表側が河川、それから裏面が湖沼ということになってございます。河川の見直しの方針でございますけれども、資料3の参考1を見ていただきたいんですけれども、それの2ページ目でございます。
 今回の水域の類型指定の見直し方針(案)と書いてございますけれども、従来、上位類型の基準を既に満足している水域の見直しの方針としまして、5年間以上安定して、上位類型の基準を満足しているB類型以下の水域、また原則として10年間以上安定してAA類型を満足しているA類型の水域について現状の水質を維持するため、水域類型の当てはめを見直すこととしてございます。今回も前回見直したときの方針を踏襲しまして、長期的かつ継続的に上位類型を満たしている水域については、同様に類型の見直しを検討したところでございます。
 白パンで、資料3の別添というのがございますけれども、ここにそれぞれの河川ごとのデータをつけてございます。江戸川下流(2)というのは、この白パンで、河川の1-6、1-7に浦安橋地点の水質の状況を掲げてございますけれども、平成11年度以降、8年間連続してB類型相当の水質を満足してございます。
 それから、荒川中流でございますが、河の2-4から2-9にかけまして、久下橋、開平橋、治水橋という3カ所のデータを掲げてございます。これにつきましても平成9年度以降、10年間連続してA類型相当の水質を満足しているということでございます。
 それから、天竜川の(5)でございます。河の3-4、3-5に掛塚橋地点の数字を出してございます。平成6年度以降、13年間連続してAA類型相当の水質を満足ということでございます。
 それから、猪名川上流でございますが、河の4-4から4-7にかけまして、銀橋、軍行橋という2つの箇所のデータを掲げてございます。平成9年度以降、10年連続してA類型相当の水質を満足しているということでございます。
 それから次に、湖沼でございますけれども、資料3参考1の1ページ目の真ん中あたりに湖沼の定義をつけてございます。天然湖沼及び貯水量が1,000万立方メートル以上であり、かつ、水の滞留時間が4日以上である人工湖を言うということで定義をしてございます。湖沼の全窒素及び全燐に係る環境基準の類型につきましては、植物プランクトンの著しい増殖を生ずるおそれのある湖沼について行うということになってございます。
 全窒素の項目基準値につきましては、全窒素が湖沼植物プランクトンの増殖の原因となる湖沼に適用するということになっております。その適用の判断基準でございますけれども、1ページ目の一番下の箱書きの中に入れてございますけれども、適用の判断基準は、水質汚濁防止法施行規則第1条によりまして、全窒素全燐比が20以下であり、かつ全燐濃度が0.02mg/l以上である湖沼を対象とするということになってございます。今回のこの基準に基づく検討対象水域は須田貝ダム貯水池ということでございまして、須田貝ダムについては全窒素、全燐を適用したと。それから、その他のダムにつきましては、全燐のみを適用とさせていただいたということです。
 それから、3番目に、暫定目標に対する考え方でございますけれども、湖沼につきましては、水質汚濁に係る環境基準についての告示に基づきまして、環境基準の達成期間の分類により難い場合には、達成期間を、段階的に暫定目標を達成しつつ、環境基準の可及的速やかに達成に努めるとすることができるということになってございます。この部分につきましては、同じく2ページ目の上段の箱書きの中に書かせていただいてございます。
 こういうことに基づきまして暫定基準をつけるということになっているわけでございます。暫定目標はおおむね5年ごとに必要な見直しをするということにされてございます。今回の検討対象水域の中で、該当事例は須田貝ダム貯水池でございまして、これにつきましては全窒素が平成25年度までの暫定目標0.29mg/l、それから全燐が平成25年度までの暫定目標0.018mg/lということでございまして、いずれも現状維持レベルでございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 皆様いかがでしょうか。ご質問があれば。
 どうぞ、須藤先生。

【須藤委員】 今の課長のご説明の須田貝ダムのところの湖沼の環境基準で、窒素0.2と0.01にしないといけないんですね。これは本来の基準ですよね。
 それで、これを0.29と、それから0.01で5年間で、やり方としてはこれでよろしいのですが、0.29というのは、あるいは0.018というのは、現状の水質の維持がこの程度ということなのか、それよりもう少し本来は高いのでしょうか。
 それと、それによって、今度5年間でずっと同じことをやるというのは余りよろしくないですよね。なので、その辺の目標を、湖沼はすごく難しいものですから、5年ごとの考え方と現状の水質との隔たり、乖離ということについてちょっとお伺いします。岡田先生にお答えいただいてもよろしいのだけど。

【河崎課長】 まず、この数値でございますけれども、過去10年間の平均値ということで設定してございますので、年によっては高いところもあったし、低いところもあったということでございます。
 須田貝ダムの状況でございますけれども、利根川のかなり奥の最上流レベルに近いダムでございまして、周りはすべて森林ということでして、開発もほとんど考えられない。ですから、5年後も多分、負荷量は変わらないだろうというふうに思うわけでございます。そういった中で5年後の暫定目標を定めているわけです。5年後どうなるかということでございますけれども、一般的には状況は変わりませんので、同じような状況になるのではなかろうかなというふうには思います。今のところ、こういった湖沼で暫定目標を立てる場合には、そういうことで過去立てさせてきていただいているという状況にあるということでございます。

【須藤委員】 わかりました。

【松尾部会長】 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

【池田委員】 今回がどうこうという話ではないんですが、私はこの類型の見直しについては後追い型になっていて、実現したら変えるというパターンが結構多くて、本来は、これはある目標を定めて、それをクリアさせる努力をするというのが本筋だと思うのですが、過去10年間クリアしたから今度は見直すというのは、ちょっと何かしっくりこないという気がします。
 それから、今課長がおっしゃったように、自然由来のものについて目標を設けても、なかなかこれはクリアできないわけで、特に湖沼についてはそういう傾向が非常に強いのではないかという印象があるのですが、そういう面で何か少し、全体としてのシステムがもう少し改善の余地があるんじゃないかという気がするのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

【岡田委員】 いや、おっしゃるところはそうなのです。前からその辺は議論になっていて、会長から何か提案があったら。

【鈴木会長】 今、池田委員がおっしゃったことに関連するのですが、やはり今、環境行政において、例えば水域の環境に関する改善状況を判断するのに、例えば環境基準の達成率として年次的な変化をグラフに示していますが、今のように10年達成できたものは類型を変更するということですと、分母が変わっていくような面があり、あの環境基準達成率というのはどういう意味があるのかというあたりを、いろいろな面から考えていただく、その辺が多分、岡田委員会の重要なところなのではないかというような気もいたします。ぜひその辺をご検討ください。
 つまり、水域の現在の利用目的とか、将来の利用目的とか、どういうふうにそこへ組み込むのか。そして一体、達成目標であるとすれば、行政的にそれに対してどういう手が打てるのか。例えば水濁法の排水基準というのは、それの一つの方向であったと思いますが、湖沼やダム湖なんかでは大変だと思うのです。一体その辺をどういうふうに考えて水質管理の全体像をデザインされるのかというあたりが、多分、今後の課題ではないかという気がして伺っていました。

【松尾部会長】 どなたにお答えいただくのがいいかわからないけど、事務局、何かちょっとコメントありますか。

【河崎課長】 まず、環境基準でございますけれども、今、会長からお話がございましたように、各水域ごとの利水の状況を見て環境基準というのが設定されているわけです。AAであるとか、Aであるとか、Bとか、それで設定されている。ですから、それについては行政として担保しなければいけないということで、水濁法により排水規制がかかっているということになってございます。
 今回、見直ししているのは、そこで求められているAなりBなり、そういったものより、実際の水質の状況がよくなっていると、1ランクアップしていると。それを非悪化の原則で、現状をそれ以上にしていただこうということで格上げをしているということでございまして、考え方としてはそういうふうに考えているということでございます。
 しかしながら、今ご指摘のような点もございますので、そこは私ども今後の検討課題として、委員長にご指導いただきながら、勉強してまいりたいというふうに思います。

【松尾部会長】 ありがとうございます。ほかにはご発言ございましょうか。
 私も今の、前に実はこのような議論に参加させていただいたときがあって、ある河川流域ですと、工場が一つ閉鎖されたと。そうすると、急に基準がよくなってしまうんです。だけど、もしかしてまたそこへ戻ってくるのではないかとか、操業をもう一遍再開したらどうなるのかというか、やはりよくなった理由が、必ずしもきちんとコントロールされたからよくなったのではなくて、たまたま工場が生産を落としたからとか、そういうような理由も実は改善している中身にあるんです。
 ですから、その辺はやっぱり、多分一番自治体の方は現場を見ておられていて、それで大丈夫だろうということでこういう基準のグレードアップをするという状況になっていると思うので、やっぱりケース・バイ・ケースで地域の状況をよくよく見ながら、その判定をしながら、長期的に見ればよくなったなという、川がきれいになったねということになっているのだろうというふうには思うのです。
 だから、そういう意味では、努力がなかったわけじゃなくて、努力が継続していた結果としてそういうふうになったというふうに考えるほうがいいのではないかと私は思っているところであります。今のは感想だけですけども。
 それともう一つ、会長の言われたところで、達成率みたいなのが常に100%になるのではないかという、これもまたちょっと違うんですかね。その辺はどういう説明を事務局はされますか。

【河崎課長】 先ほど申し上げましたように、環境基準そのものは、現状を見て決めているところもあるかもしれませんけれども、基本的にはそこの水域でどういう利用形態になっていて、その利用形態を達成するための水質はどうなのかということで設定してございます。現況から見ましても、生活環境項目でいいますと達成率は8割弱ぐらいの段階でございまして、健康項目はほぼ100%に近い状況でございますけれども、そういう100%という状況にはなっておりません。なおかつ、閉鎖性の代表的な湖沼についていいますと、5割をちょっと超えたような状況しか達成しておらないということでございますので、100%に向けて努力をしている状況にあるというところだろうと思います。

【松尾部会長】 わかりました。そうですね。これは、グレードアップしちゃうと、今後は基準がレベルアップされるわけだから、そこを守らなくちゃいけないということになると、やっぱり努力はもっと今までよりも続けないといけないという形にはなっている。
 だけれども、逆に言うと、ずっと歴史的に見たときに、グレードアップされたのが何件あったかとか、それからCからAになることはないのでしょうけれども、日本全体の水域の中で幾つぐらいがグレードアップしたのかという、それも非常に重要な、実は努力の成果なんだと思うんです。ですから、現在守られているかどうかということと同時に、過去からの歴史の中で、どの地点がどういうふうにグレードアップされてきたかというのも、私はぜひデータとして記録されて、わかるようにしていただくのがいいというふうに思いますけれども。

【河崎課長】 生活環境項目でいいますと、こういう経年グラフが出るようになってきてから30年近くたっていることになるのですけれども、5割ぐらいの達成率から8割ぐらいまで上がっているということで、30%は上がったと。ただ、その中で、格上げしてやってきているものもございますので、そこについては今日は整理してございませんので、次回までに整理できれば整理させていただいて、ご報告をさせていただきたいと思います。

【須藤委員】 すみません、ちょっともう一つ、今のことで質問させてください。
 湖沼の達成率はたしか52.5でしたか、ことしね。それで、こういうふうに湖沼がふえてくると、湖沼は危ないですよね。またさっきのように、暫定が達成したときには達成したとしていいのかどうかということと、それからどんどん湖沼に移ってくると、湖沼がだめだめと言われているのに、ますますだめになる可能性もあるのですが、その辺は大丈夫でしょうかということをちょっとお伺いしておきたいと思います。
 地方なんかでよく、ダムが1個ふえたために環境基準ががたっと落ちるんですよね。そういうこともあるので、ちょっと湖沼の扱いのところを、質問は今の暫定基準を達成したらよろしいのかどうかということです。達成したでよろしいのですね。

【河崎課長】 暫定基準が達成すればそれでよしと。ただ、暫定基準から次の暫定基準になるのか、また本則の基準になるのかというのは、その状況によって違います。

【須藤委員】 だから今のやつは、洞元湖は今のでいいのだよ。これにさっき書いてあったやつでいいのですね、0.29と0.18ですか、これを達成すれば達成したでいいのですね。

【河崎課長】 先ほど言いましたように、平均値で達成していますから。

【須藤委員】 それはいいのですね。

【河崎課長】 はい。

【須藤委員】 わかりました。

【松尾部会長】 よろしいでしょうか。
 それでは、今回の陸域環境基準専門委員会からのご報告をこの部会としても了解するということで進めたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
〔「異議なし」の声あり〕

【松尾部会長】 ありがとうございます。
 それでは、今回の答申案を部会の決議として、中央環境審議会議事運営規則第6条第1項の規定に基づいて、会長の同意を得て審議会の決議をしていただき、大臣への答申の手続を進めていただきたいと思います。
 これは、先ほどの件もあわせてこういう手続をとらせていただきたいと思います。会長がここにおられるので、もう既に同意は出ているというふうなことだと思いますが、ひとつよろしく、後の手続を事務局にお願いしたいと思います。
 それでは、2つの専門委員会からのご報告を受けましたが、次の議題に入りたいと思います。それは、中央環境審議会の水環境部会の専門委員会の廃止についてに関する事項であります。事務局より状況についてご説明いただきたいと思います。

【河崎課長】 それでは、資料6を見ていただきたいと思います。
 タイトルに、中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準専門委員会等の廃止について(案)というものでございます。
 中央環境審議会の議事運営規則第9条に基づきまして、中央環境審議会の各部会は必要に応じ、その定めるところにより専門委員会を置くことができるということとされております。この水環境部会におきましても、議題に応じて専門委員会の場で先生方に調査、ご審議いただき、ご高見を賜っているところでございます。前回のこの部会の開催以降、昨年8月に私どもの官房及び専門の事項に関する調査、審議を、もう既にひとたび終了しているもの、それから当面の間、その調査事項に関する審議が見込まれていないものについては、形式的に存続させることよりは、むしろきちんと手続をとり、一たん廃止をするという方針が示されてございます。
 これに沿いまして、事務局といたしましては、現在この水環境部会には専門委員会が7つありますが、このうち水生生物保全環境基準、総量規制、水生生物保全排水規制等、それから湖沼環境保全の4つの専門委員会を廃止させていただくことにつきまして、この場でお諮りをいたしたいというふうに考えてございます。
 お手元の資料をおめくりいただきますと、この専門委員会の設置につきましての新旧対照表もございますが、残りの環境基準検討項目、水生生物保全環境基準類型指定、それから陸域環境基準の3つの専門委員会につきましては、引き続き設置を続けるという形でお願いしたいと思っております。
 ご説明は以上でございます。

【松尾部会長】 ちょっと私、議題の順番をずらしてしまってご迷惑かけていますが、先に今の議案の3について審議いただきたいと思いますが、今のご説明につきましてご質問等ございましょうか。
 それでは、ほぼご理解をいただいていると思いますが、新旧対象表が今の資料の3ページ目についていまして、1の7つの専門委員会が現行でありますが、改正案のほうではこのうちの、現行で言うと(1)と(4)と(7)でしょうか。これを残して後は削除という、こういう措置をとらせていただきたいというものであります。
 よろしければ、こういうことで部会としての決定をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、ちょっともとへ戻りますが、先ほど2つの専門委員会からのご報告をいただきましたが、それに関連して、事務局から資料4、5についてご説明をするのを、私、先ほどスキップしました。戻らせていただいて、それについて事務局からご説明いただきたいと思います。今後の扱いについてですね。よろしくお願いします。

【辻原課長補佐】 それでは、資料4と5をご覧いただきたいと思います。
 今後の予定でございますけれども、まず資料の4でございますけれども、水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定に係る予定でございます。こちらでございますけれども、平成18年4月に北上川等4水域について、1次答申をいただいたところでございます。今回、利根川、荒川水系及び東京湾の水系に係るご検討をいただいたところでございまして、今後は引き続き、以下の事項について検討を進めていきたいと考えております。
 対象になる水域でございますけれども、残り21水域と、それから海域9水域がございますけれども、これらの水域について、必要な資料がそろった水域から順次検討をしていきたいというふうに思っております。当面でございますけれども、下にございます10河川程度、相模川、富士川、天竜川、木曽川、揖斐川、長良川、淀川、神崎川、猪名川、木津川、これに加えまして、それぞれの河川に関係をする自然湖及び人工湖を検討していきたいというふうに思っております。
 次に移りまして、資料の5でございます。こちらのほうは水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しに係る今後の予定でございます。こちらでございますけれども、今般、猪名川等4水域及び須田貝ダム貯水池等4水域に係る検討をいただきました。今後は、前回の部会で今後の検討課題ということでご報告をしていたもののうち、これらの水域を除いたものの、半分程度でございますけれども、検討を行っていきたいというふうに思っております。
 具体的には下の1.に書いてございますとおりでございます。河川類型の見直しとして、渡良瀬川(2)、それから相模川下流、筑後川(3)でございます。それから、暫定目標の見直し水域でございますが、深山ダム貯水池、川治ダム貯水池、土師ダム貯水池、弥栄ダム貯水池、この4つを考えております。それから、河川類型から湖沼類型への見直しの水域でございますけれども、相模ダム貯水池、城山ダム貯水池、渡良瀬遊水地、荒川貯水池、以上4つを予定しております。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。何かご質問ございましょうか。
 それでは、今後の2つの専門委員会の予定についてのご説明ということで、こういう方向で進めていただければありがたいというふうに考えるものであります。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、これで一応予定された議題は終わりましたが、その他に移りたいと思います。まず最初に、環境基準の健康項目専門委員会における検討事項について、事務局よりご説明をいただきたいと思います。

【河崎課長】 それでは資料7を配付してございますので、それを見ていただきながら、ご説明をしたいと思います。
 この専門委員会でございますが、平成14年8月15日に環境大臣から諮問のございました「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の見直しについて(諮問)」の検討を行い、平成16年2月に水環境部会への報告を行っております。この中で、塩化ビニルモノマー、エピクロロヒドリン、1,4-ジオキサン、全マンガン、ウランを要監視項目として新規に追加し、さらにp-ジクロロベンゼン、アンチモンについて指針値の改定または設定を行うことが適当とされたところでございます。
 また、この中でアンチモン、1,4-ジオキサン等6項目については課題が整理されております。例えばアンチモンでございますけれども、資料の13ページの下のところでございます。13ページからノンブルが2つ打ってございますが、下のほうの大きいノンブルを見ていただきたいと思います。アンチモンでございますけれども、指針値超過が見られるものの、非常に限定的な水域において検出されていることなどから、当面要監視項目として設定し、公共用水域等における検出状況等の把握に努め、3年をめどに環境基準項目に追加するか否かについて、再度検討を行う必要があるとされてございます。
 また、1,4-ジオキサンでございますが、これは11ページに記載してございますが、公共用水域等において指針値の超過が見られるものの限定的な検出状況であること、またその中には汚染原因が不明なものも含まれていることから、現時点では要監視項目として設定し、公共用水域での監視状況、取り扱い状況、環境への排出状況等の知見収集に努めるとされております。この1,4-ジオキサンにつきましては、ことし3月に渡良瀬川で流出事故がございまして、利根川荒川水系水道事業者連絡協議会より、環境基準化の要請もございました。
 さらに農薬でございますけれども、農薬につきましては、今後鋭意検討を進めるとともに、引き続き適切な環境基準、健康項目の設定に向けた検討を行うものとするとされてございます。
 これらの課題を受けまして、まずアンチモン、1,4-ジオキサン等の6項目の要監視項目の課題の整理、それから、これに関連して、環境基準項目及び要監視項目の見直し、そして農薬の取り扱い等に係る検討等をご審議いただきたいというふうに考えてございます。
 それから、(4)のその他でございますけれども、これにつきましては現在、食品安全委員会で審議されている清涼飲料水及び水道水での化学物質の毒性の評価を踏まえた環境基準値等の精査などをご審議いただきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 何かご質問ございましょうか。
 スケジュールをちょっとご説明いただけますか。

【河崎課長】 スケジュールは資料7の1ページ目の中段に書いてございますけれども、今年の夏から秋をめどに第1回を開催させていただきたいと思っております。その後、四、五回程度の審議を予定してございまして、取りまとめをお願いしたいというふうに考えているところです。
 以上でございます。

【松尾部会長】 いかがでしょうか。こういう検討が進むということでありますので、皆さんからご関心を持っていただいて、もし情報等がどこかで得られたらば、またご報告いただけたらなと、こちらへお知らせいただければありがたいと思います。
 それではよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次の資料の説明に移りたいと思います。次は資料8から16になりますが、事務局から順次ご報告をいただいて、その後で一括して質疑にお答えしたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは事務局から順次ご説明ください。

【戸川課長補佐】 水環境課の戸川と申します。資料8につきましてご説明させていただきます。
 既にもうご存じかと思いますけれども、「平成の名水百選」についてです。本年7月に、環境問題が主要議題の一つとして行われます北海道洞爺湖サミットにちなみまして、水環境保全の一層の推進を図ることを目的にいたしまして、昭和60年に選定いたしました「名水百選」に加えまして、新たな名水として、「平成の名水百選」を選定いたしました。選定に当たりましては、岡田先生を委員長とする検討委員会を設けまして、特に地域住民による保全活動に重点を置いて選定を行っております。結果につきましては、後ろに一覧表としてつけておりますので、あわせてご覧ください。
 都道府県から最大4カ所、合計で162カ所の推薦をいただきまして、そこから百選を選定いたしました。この中で1カ所も選ばれなかった都道府県は、宮城県、栃木県、大阪府、佐賀県、長崎県の5府県あります。このうち、長崎県からは応募がなかったものです。逆に最大の、4カ所選ばれた都道府県というのは中部地方を中心に11県ありまして、このうち富山県と熊本県は昭和の名水百選でも4カ所選ばれておりまして、合計8カ所の名水があるということになります。
 また、来週25日に、江東区にあります清澄庭園大正記念館におきまして、この「平成の名水百選」の認定書の交付式として、当該市町村に対して鴨下環境大臣から認定書の交付を行うこととしております。
 「平成の名水百選」についての説明は以上です。

【渡辺課長補佐】 水環境課の渡辺と申します。私からは資料9と10につきまして、一括、ご説明申し上げたいと思います。
 初めに資料9の湖沼水質保全特別措置法に基づく八郎湖の指定湖沼及び指定地域の指定についてでございますが、これはいわゆる湖沼法に基づきまして、昨年12月に秋田県の八郎湖を11番目の指定湖沼ということで指定をしたということでございます。この湖沼法におきましては、環境大臣が都道府県知事の申し出に基づきまして、閣議決定を経て、水質環境基準の確保の緊要な湖沼を指定湖沼ということで指定をすること。それに合わせまして、指定湖沼の水質汚濁に関係がある地域、いわゆる集水域といいますか、そういった地域を指定地域ということで指定をするという仕組みになってございます。これまで琵琶湖ですとか、霞ヶ浦など10の湖沼が指定されてございました。
 今般、八郎湖におきましては夏場にアオコの発生が生じまして、水道の利水障害が生ずると、そういった年があるというようなこと。そのように今、非常に富栄養化をしているというようなこともございまして、昨年9月に秋田県知事から指定の申し出がありまして、12月の閣議決定を経て、指定湖沼として指定をしたということでございます。
 地図を見ていただきたいと思いますが、いわゆる八郎潟が干拓されまして、大潟村というところができておりますが、今回八郎湖としては、そのときに残った八郎潟調整池と、大潟村を取り囲むように東部承水路と西部承水路というのがございますが、この3つを合わせて八郎湖として指定をしてございます。
 それから、指定地域につきましては、地図の赤い線で囲ったエリア内を指定地域ということで指定をしてございます。全部で9つの市町村が関係する地域ということになってございます。
 続きまして、資料10の釜房ダム貯水池、八郎湖及び諏訪湖に係る湖沼水質保全計画の概要についてでございます。大変恐縮ですが、一番最後の8ページを先にご覧いただきたいと思います。
 今現在、11の指定湖沼の位置図とあわせまして、各指定湖沼ごとに湖沼水質保全計画というものを策定することになってございますが、今現在の策定状況を一覧表にしたものでございます。平成19年度につきましては、先ほどの八郎湖が第1期目の計画ということで策定をしてございます。それと併せまして、中ほどの釜房ダム貯水池と諏訪湖が第4期に続くものということで、第5期の計画ということで、昨年度は3つの湖沼につきまして湖沼水質保全計画が策定されたということでございます。
 お戻りいただきまして、この3つの湖沼につきまして、計画の概要ということでございますが、それぞれの湖沼におきまして、将来像を明らかにした長期ビジョン、あるいは水質の目標値、そういったものを掲げまして、具体の施策を盛り込んでおります。記載項目につきましては、1ページ、2ページに掲げているとおりでございます。3ページ以降にその主な内容が記載されてございますが、詳細につきましては説明を省略させていただきますが、各湖沼ごとの特徴だけご紹介させていただきたいと思います。
 4ページ以降になりますが、ちょっと順が逆になるかもしれませんが、まず八郎湖につきましては、計画期間を平成24年度までということで、この特徴としましては、農地からの、いわゆる面源負荷対策、それに重点を置いておりまして、特に八郎潟干拓で造成されました大潟村を流出水対策地区というものに指定しまして、いわゆる環境保全型の農業の推進あるいは自然浄化施設の整備、そういったことによって面源負荷を効果的に低減しようという内容になってございます。
 続きまして、釜房ダム貯水池につきましては、これまでの第4期までの計画に基づきまして、流域から入ってくる排出負荷量というものは確実に減少しております。しかし、貯水池の水質については数値的にはなかなか改善が見られないということから、引き続き第5期の計画を策定したということでございます。
 また、諏訪湖につきましては、18年度の結果におきまして、全窒素につきましては水質目標値が達成されております。それから全燐については水質目標値、それから環境基準が達成されるというようなことで着実に水質は改善されてきておりますけれども、CODなどにつきましてはまだまだ達成されていないというようなことで、ここについても第5期の計画を策定をしたと。釜房ダムと諏訪湖につきましても、いずれも平成23年度までの計画期間としまして、それぞれ流出水対策地区を指定するといったことを行いまして、農地あるいは市街地からの面源負荷対策、あるいは森林等の自然地域からの汚濁負荷対策、そういったものを重点的に実施しようという内容になってございます。
 私からは以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて、11でしょうか。よろしくお願いします。

【戸川課長補佐】 引き続きまして、資料11「環境基準に係る測定方法及び排水基準に係る検定方法の改定」につきまして説明させていただきます。
 改正は環境基準と排水基準の公定分析法に引用している日本工業規格、JISのK0102が3月20日付で改正されたことを受けたものでして、環境省告示は4月1日付で行っております。JISの改正といいますのが、国際規格でありますISOとの整合性を図るために改正されたもので、幾つか新しい分析法が導入されております。
 これに対して環境省では、森田先生を座長といたします検討会を設置いたしまして、この改正JISの内容のうち、公定分析法への導入が適当であるかどうかについて検討いたしました。検討の結果、以下の4物質、ひ素、セレン、ほう素、ふっ素について改正を行っております。
 まず、改正のポイントの1点目ですけれども、改正JISの方法をそのまま引用するものといたしまして、ひ素、セレンに対して、ICP質量分析法を導入しております。
 2点目ですが、ほう素の分析法といたしまして、改正JISに新たにICP質量分析法が採用されたのですが、この分析法はもともと公定分析法にも採用されておりましたので、告示上はJISを引用することといたしまして、告示分の修正のみを行いました。ということで、実質的な変更はありません。
 3点目ですけれども、ふっ素の分析法といたしまして、改正JISに新たにイオンクロマトグラフ法が採用されました。これにつきましても、もともと公定分析法にも採用されていたものですけれども、JISに採用された方法というのが公定分析法に適さないということで、引き続き告示に記載されてある方法を用いることといたしました。改正は、JISの引用の仕方について、告示文の表現の適正化を行ったものです。
 資料11につきましては以上です。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 資料12について、お願いします。

【豊住課長補佐】 水環境課の豊住と申します。座って説明させていただきます。
 資料12といたしまして、「ほう素・ふっ素・硝酸性窒素等の暫定排水基準見直しに係る今後の予定について」をご覧ください。
 ご案内のとおり、ほう素・ふっ素・硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については、人体への健康被害を防ぐことを目的として、平成11年に水質に係る環境基準が設定されました。これを受けまして、平成13年に、ほう素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、アンモニア・アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物の排出基準が設定されました。その際、40の業種につきましては、ただちにこれに対応することが困難であるとして暫定基準が適用されました。その後2回の延長を経て、現在21の業種で依然として暫定基準が適用されております。
 このようなことから、環境省では、次の見直しである平成22年までに、暫定基準が適用されているこれらの業種について、これまで以上の改善を図るため、業界ごとに実行可能な計画の作成、専門家による技術的助言の実施等、産官学一体となったフォローアップに努めることといたしました。
 そこで今年度は、藤田正憲先生を座長とする有識者からなる検討会を設置し、排水処理によって発生する生成物の有効利用の促進を念頭に置きつつ、業界ごとに技術的検討を行う予定としております。検討会では、資料12の中ほどにございます絵のとおり、全体検討会のほか、工業、畜産、温泉と3つの分野について検討会をそれぞれ設置し、状況に応じた検討を進めることとしております。
 裏にございますスケジュールをご覧ください。工業系の業種につきましては、経済産業省と連携して進めてまいります。昨年度それぞれの業界でまとめていただいた今後の取り組みがございますので、それにつきましてフォローアップを行います。
 畜産につきましては、農林水産省が今年度、排水実態の把握や既存の水浄化施設の機能向上、管理技術改善等の調査研究を行いますので、その結果等を踏まえて計画を策定し、フォローアップを行ってまいります。また、排水処理によって発生する生成物の有効利用については中長期的な視点での技術開発の方向性について検討を行います。
 温泉につきましては、平成18年度までに既存技術の適用について検討したところですが、新たな技術開発の必要性が認められております。また、排水実態等の知見が不十分であることから、平成19年度から引き続き実態把握に努めるとともに、温泉排水の処理技術について、コストや温泉特有の技術的課題の解決に向けて、関係者による技術開発を促進していきます。以上により、平成22年7月の見直しに向け、着実に前進できるよう検討を進めてまいります。
 以上、資料12の説明とさせていただきます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、次に資料13をお願いします。

【辻原課長補佐】 それでは、資料の13をご覧いただきたいと思います。
 水質環境基準(生活環境項目)に係る見直し検討についてというものでございます。先ほど来、この生活環境項目につきましてはいろいろな課題があるというふうにご指摘をいただいているところでございますけれども、事務局でも平成18年からこういった課題を踏まえまして、見直しの検討ということを行ってきております。
 どういった課題かといいますと、まず閉鎖性水域、湖沼、内湾等でございますけれども、水質改善の停滞が見られると。それから、国民の水利用の多様化、レジャー利用等、そういったものも最近は広まってきているというふうなことがございます。
 一方で、この環境基準でございますけれども、生活環境項目の設定から既に35年がたっておりまして、基本的な構図はこの35年間、変更はございません。こういったことで、だんだんと時代の要請に合わなくなってきているのではないかというふうに感じているところでございます。こういったことから、湖沼法の改正であるとか、第6次の総量規制の検討の際にも、水環境の目標のあり方というものを見直すべきではないのかというふうなことが言われております。こういったことから、先ほど申し上げましたとおり、18年度より鋭意検討を進めてきております。
 これまでの検討状況でございますけれども、18年、19年度、2カ年かけまして、アンケート調査を都道府県等に行いまして、現状は利水障害といったものについてどういうふうに考えているのかと、実際に利水障害があるということに行政担当者が感じている水域においての実際の環境基準の評価がどういったことになっているのかと、そういった乖離がないのかといったことを検証いたしました。また、代表的な水域での課題整理というものもあわせて行っております。
 それから、海域での検討でございますけれども、下層のDO、透明度、こちらのほうはまた後ほどご説明がございますけれども、海域において今後の新しい指標としての候補として挙げられているものでございますけれども、こういった下層のDOや透明度と、既存の水質指標でありますCODとの関係性の整理、評価というものを行っております。同様に、陸域につきましては、COD、BOD、こちらの有機汚濁指標でございますけれども、これらの指標と透明度DO、クロロフィルa、こういった新しい候補と考えられるものとの関係性の評価というものを行っております。
 20年度の検討でございますけれども、これまでの検討を踏まえまして、まず海域では、透明度、下層DO、これらの指標が、いわゆるその水域の状態をあらわす指標として適切なのかどうなのか、指標として活用した場合にはどういうふうに活用できるのかといったことを検討してまいりたいというふうに思っております。
 あわせて有機物の把握の目的。これは海域の場合、CODになるわけでございますけれども、こういったものの目的、指標性の問題について、もう一度、利水用途がそもそもどういったその水質状態を要求しているのかといったことから整理をし直して検討していきたいというふうに考えております。それから、陸域につきましても同様に、透明度、大腸菌、新しい指標として考えられる項目でございますけれども、こういった指標の検討であるとか、それから有機物の把握の目的、指標の問題、同様に整理をしていきたいというふうに考えております。
 それから、湖沼につきましては、低層のDOであるとか、難分解性有機物、こういったものを湖沼においてどういうふうに把握すべきなのかといったこともあわせて検討を行っていきたいというふうに考えております。
 資料13につきましては、以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 続きまして、資料14をお願いいたします。

【山本室長】 それでは、資料14につきましてご説明いたします。
 閉鎖性海域中長期ビジョンの策定についてということで、これは昨年、前回の当部会におきまして、今後こういう取り組みをしていきますということでご紹介をさせていただきました内容ですが、現在どのような取り組み状況になっているかというのをご報告したいと思います。
 最初の概要のところに書いてありますのは、今、水環境課から資料13でご説明があったところの海域の部分でありますが、特に課題のところの真ん中の欄に、6次の総量規制をこちらの専門委員会でご審議いただいたときに、特に目標とすべき水質としては生物生息環境とリンクした目標ということが言われておりますし、対策については総量規制を対象としている事業場だけではなくて、いろいろな面源の負荷でありますとか、下水道の越流、あるいはその下に書いてあるようなさまざまな干潟とか水辺地などの場の保全といったようなことも大きなものですので、そういったものを費用効果も考えてしっかりとやっていくべきというご指摘を受けまして、これを海域において中長期的にどんな海域を目指していくのかという、しっかりしたビジョンをつくるということを昨年度から取り組んでおるところでございます。
 その中で、真ん中の箱にありますように、大きくは水環境の目標設定という検討の部分と、それから具体的にどんな対策を組み合わせるかというシナリオを実際にシミュレーションをかけて、目標が達成できるかどうかというところを見ながらやっていくと、大きく分けてその2つの塊で、ワーキングにおいて具体的な検討を進めております。全体は岡田先生に座長を務めていただいておりまして、懇談会を設置して、昨年度から鋭意検討を進めてございます。
 19年度に行いました主な内容でございますが、2.のところ、まず目標設定のワーキングですが、まず状態指標、先ほどもありましたが、DOそのものを見ていくということで、特に底に近い部分のDO、それから藻場にとっては光が重要ですから、それを確保するという意味で透明度を見ていくということで、状態指標でこの2つをまず最初の候補といたしまして、これにつきまして関連の知見、特にアメリカのチェサピークの基準といったようなものもしっかり勉強しながら検討を進めております。
 それで、昨年度は、具体的に東京湾で実際に、目標設定に取りかかろうということでやっておりまして、ケーススタディーとしまして[3]に書いてありますような内容をやっております。一つは、東京湾はご案内のとおり、夏場は広大な貧酸素・無酸素の領域ができて、底生生物がほとんど死滅してしまうというエリアができますので、そういった無生物のところをまず解消するというのが、中長期の目的というよりは、当面目指すべき目標としてあるだろうということで、その場合の底層DOの目標をどう考えるかということと、それから将来的、中長期の目標としていろいろな生物が、多様な生物が生息する環境を確保する必要があるわけですが、まずその一環として、マコガレイを対象としまして、どういう底層DOが必要か、あるいは透明度に関しまして、アマモ場を確保するためにどういう透明度が必要かといったようなことで、試行と書いてありますけれども、まずは検討に着手したというようなところでございます。
 その次のページ、2ページ目でございますが、底層のDO目標設定の検討フローということで、少し具体的なイメージを書いております。ここで実際に、例えば東京湾ですとどんな代表種を考えるかという、その代表種を考えまして、その代表種についてどういったところで生息しているか、あるいは産卵、生育といった場を考える。それから、それに対してDOがどういう影響があるのかというのを、魚介そのものだけじゃなくて、その餌生物についても見ていくと。それでもって、その魚介についての必要な底層DOというのを見ていきますが、それを代表種として幾つかの魚介を選んでいくわけですので、そういったものを重ね合わせて最終的に、じゃ東京湾にとってどういった条件があれば生物にとって必要なDO条件が確保されるかと、そういったようなことを作業としてやっておりまして、まだ昨年度着手したばかりですが、本年度、大体こういった内容について事務局としての案を整理して、先生方に議論をしていただこうということで進めております。
 それから、次の3ページでございます。今回、その目標設定ですが、実際に目標設定をすれば、その中長期の目標として、それを達成していく道筋を具体的に描いていかなければいけないということで、この右肩に書いてありますような点源の負荷対策だけでなくて、さまざまな対策メニューを考えて、実際にその各種施策を講じたときに実際の海域の環境がどうなるだろうかと。先ほどの底層DOであれば、こういった負荷削減あるいは場の再生をしたときに、底層DOがどうなるかというのをシミュレーションできちんと再現をしまして、見ていくと。特に施策の感度解析、施策によって、ある施策を講じたときにどれだけそれが実際の海域環境に影響があるかというのも感度解析をしまして、先ほど申し上げたように、どの施策がよりこの場の改善には有効かといったようなことも見ながら、ここで書いてありますようなシナリオを具体的につくっていくと。
 それから、過去の汚濁負荷削減施策の評価とありますが、ここまで特に事業系の負荷については、6次にわたる総量で相当削減をしてきていただいておりますので、そういったものもきちんと、どれだけ環境に対して正のインパクトがあったかというのも評価しながらやっていきまして、最後、中長期シミュレーションの実施とありますが、将来、20年とか30年先をにらんで、これらの施策を効率的に組み合わせていった場合に、目標達成に向けてどんなふうに改善がしていけるかというのをシミュレーションで確認すると。当然、このシミュレーションの結果に基づきまして、目標設定がより現実的な形になるようにというようなフィードバックもかけながらやっていくということを、21年度を目標に作業を進めております。
 21年度目標と申し上げましたが、21年度はもう現行総量規制の最終年度に当たるということで、本年度中に方向性が出せるようにということで、今鋭意作業を進めているところでございます。
 あと、参考配付資料の1と2といたしましてお配りしているものの中身ではないんですが、ご紹介だけさせていただきます。
 参考配付資料の1ですが、これは瀬戸内海部会におきまして、基本計画のフォローアップということでありまして、瀬戸内海の特措法に基づきまして基本計画を国がつくっておりまして、その目標に照らして、現行のさまざまな国の施策、府県の施策をやられておりますのをフォローアップをいたしまして、今後どういった方向でやっていくべきかというのを部会のほうで4回にわたりましてご審議いただいた結果を取りまとめたものでございますので、参考にごらんいただければと思います。
 それから、参考配付資料の2でございますが、里海創生支援事業ということで、こちらは今年度から環境省の重点施策にも挙げられましたが、21世紀環境立国戦略にも位置づけられまして、政府としてしっかり豊かな海を創生していこうという取り組みをするということで、当省といたしましても2,500万円の新しい予算をいただきましたので、これを使ってしっかりと取り組んでいこうということでございます。これもご紹介でございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 15ですか、湧水の保全・復活についてであります。よろしくお願いします。

【藤塚室長】 資料15に基づきまして、簡単にご説明申し上げます。地下水・地盤環境室、藤塚でございます。
 湧水につきましては、第三次環境基本計画におきまして、湧水の把握件数が水循環の指標として掲げられてございまして、その検討を19年度以降してございます。現在は湧水の件数の把握、あるいはそのモデル地域での調査。モデル地域は昨年度は福島県喜多方市、埼玉県入間市、山梨県北杜市、鹿児島県志布志市の4カ所で行いまして、今年度も3カ所程度でモデル地域を選定して、実施する予定でございます。
 また、今後の取り組みでございますが、全国あるいは地域的な湧水の把握件数をもとに、水循環の使用としての湧水の把握件数を検討していきたいとふうに考えてございます。また、全国的に湧水が地下水あるいは水循環ののぞき窓となっているということから、湧水保全・復活ガイドラインを策定して、全国の湧水保全・復活の活動の支援をしていきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 では、資料の16をお願いします。

【岩﨑課長補佐】 水環境課で課長補佐をしております岩崎と申します。資料16、国際的な取り組みについてご報告させていただきたいと思います。
 まず、環境省の取り組みの(1)アジア水環境パートナーシップですけれども、これは水環境の情報基盤整備と人材育成を一体的に行うことを通じて、水環境ガバナンスを向上させるといったものです。昨年12月には、別府で開催された第1回アジア・太平洋水サミットに合わせて、第2回WEPA国際フォーラムを開催したところです。今年度も引き続き10月ごろ、マレーシアにおいて第3回国際フォーラムを開催し、水環境問題解決に向けた取り組みを推進していきたいというふうに考えております。WEPAの概要につきましては、資料16-1につけておりますので、後でご覧いただきたいと思います。
 (2)ですけれども、中国との間の水環境協力についてです。中国におきましては、水質汚濁問題が顕在化してきておりますけれども、昨年4月に日中環境協力の共同声明ということでその第1項目に水質汚濁防止について協力を実施するといったことがうたわれております。それを具体化させるために、先月5月6日ですけれども、鴨下環境大臣と周生賢環境保護部長との間で、「農村地域等における分散型生活排水処理モデル事業協力実施に関する覚書」に署名をしたところです。
 めくっていただきまして、本覚書に基づきまして、排水処理施設の建設や評価分析、管理指針の検討などを行うとともに、日中水環境フォーラムということで広く中国内に知らしめるためのフォーラムを開催する予定にしております。またこのモデル事業の実施都市につきましては、重慶市と江蘇省というこの2カ所で選定をしております。

【藤塚室長】 続きまして、(3)コベネフィット・アプローチ等の水環境等の国際協力でございます。
 途上国では温暖化というよりも公害問題が非常に大きいということで、ローカルなニーズの公害問題とグローバルな問題の温暖化対策を同時に解決したいというふうに考えてございます。具体的には2国間、中国とインドネシアにおいて、それぞれ環境大臣同士でコベネフィットモデル協力に関する調印を行い、それに基づいて2008年、中国では1都市、インドネシアでは2都市において具体的に今調査を実施中で、2009年以降、具体的なプロジェクトを発掘して、そのプロジェクトを実施し、ポスト京都議定書以降をにらみながら、排出権の獲得を目指して、かつその地域の公害対策にも資するような事業を行っていきたいと考えてございます。
 3ページでございますが、[2]コベネフィットCDMモデル事業。この2国間の協力と並行しまして、水・大気環境局ではコベネフィット、公害対策にも資するコベネフィットCDM事業について、今年度から3億円の補助金を認めていただき、これに基づいて、日本企業が海外でコベネフィットCDMモデル事業を行うに当たって半分補助をして、その結果生ずる排出権CERにつきましては、半分以上日本政府に無償で移転していただくという事業でございます。
 (4)は、国境なき環境・調査協力団というものを今年度設立して、来年度以降、深刻な公害問題、あるいはいろいろな災害が起こったときの緊急対応として国境なき環境・調査協力団を結成しまして、機動的に各国に派遣して、環境問題を解決していこうというふうに考えてございます。

【岩崎課長補佐】 続きまして、(5)ですけれども、閉鎖性水域の対策として、水質総量規制制度導入の支援を行っております。中国を初めとする東アジア諸国では、特に渤海湾などにおいて、富栄養化が深刻化しておりまして、我が国の海域環境への影響も懸念されております。その対策として、我が国において一定の成果を上げてきた水質総量規制制度の導入に向けた調査、取り組みを昨年度より開始しております。引き続き今年度も実施する予定にしております。資料の16-4に詳細につきましてつけてございます。
 続きまして、2.関係機関との連携の(1)世界水フォーラムですけれども、このフォーラムは世界水会議が主催し、3年に1回開催される国際会議でございます。次回の第5回世界水フォーラムは、来年3月にトルコ、イスタンブールで開催予定となっております。環境省もこのフォーラムに参加し、アジア水環境パートナーシップの成果や水環境問題に関する日本の取り組みについて情報発信していきたいと考えております。
 次に、(2)のサラゴサ国際博覧会ですけれども、これは3年前に開催された愛知万博に続く万国博覧会でございます。「水と持続可能な発展」をテーマとして、平成20年6月14日から9月14日に開催されるものです。ちなみにサラゴサとはスペイン第5の都市となっております。環境省は、日本館の2階多目的ホールにおきまして、今度の日曜日からですけれども、6月22日から7月13日の間、世界水環境問題と膜技術を中心とした水環境保全の取り組みについて、映像放映、パネル展示等を行う予定としております。
 次に、(3)国連「水と衛生に関する諮問委員会」でございますが、この会議は平成16年にアナン前国連事務総長が設置を発表したものでございまして、初代議長には橋本元総理がご就任されております。現在はオランダ国の皇太子オレンジ公が議長に就任されております。また、昨年11月には我が国の皇太子殿下が名誉総裁にご就任されております。先月5月26日から28日に、東京において環境省、国土交通省、外務省による運営支援のもと、第10回会合が開催されております。「日本との対話」において、浄化槽等の我が国の衛生管理システムについて紹介し、技術協力によるアプローチを示すなどをしております。
 次に、(4)統合的湖沼流域管理、ILBMについてでございますが、これは国際湖沼環境委員会(ILEC)が中心となって、今後の世界の湖沼のよりよい管理の実現のために取りまとめた考え方です。来年11月に中国、武漢で予定されている世界湖沼会議までを当面の目途に、ILBM活用のためのガイドライン開発、湖沼の環境問題を抱える途上国政府等への普及啓発活動等を進めることとしております。
 次に、3.その他国際会議での水に関する議論でございますが、まず1番目として環境大臣会合等についてです。6月24日から26日、神戸で開催されております。テーマは、気候変動、3R、生物多様性ということで、水の問題については気候変動の中で議論されております。ここに議長総括の抜粋をつけておりますが、コベネフィットにつきましては有効な手段となり得ると指摘されているほか、水の問題につきましては、次の適応のところで、早急な対応が必要であることが認められたといったことになっております。
 最後に、(2)TICADIV、アフリカ開発会議についてでございますが、これは5月28日から30日に横浜で開催されております。アフリカ開発の方向性について、政治的な意思を示す「横浜宣言」などが発出されております。
 すみません。先ほどの環境大臣会合につきましても6月とありましたが、これは5月の間違いでございます。申しわけございません。
 横浜宣言にまた戻りますけれども、水及び衛生へのアクセスの確保ということで、水の重要性を確認されたほか、水資源の持続可能な利用を促進することが不可欠であるということが確認されております。また、来月の7、8、9と、G8洞爺湖サミットが開催されますけれども、そこにおきましても水と衛生の問題について議論されることになっております。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。資料8から16までいろいろご説明いただきましたが、時間も迫っておりますので、一応資料8、9と確認しますので、もし何かご質問があれば、その段階でお手を挙げていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
 資料8が平成の名水百選でありましたが、何かご発言ございますでしょうか。
 ちょっとこれ、昭和と平成で足すと200ぐらいになるのですが、それがダブってカウントされていることはないですか。

【白石審議官】 ダブっておりませんので、合計200でございます。

【松尾部会長】 わかりました。
 次が資料9、湖沼崎水質保全特別措置法に基づく八郎湖の指定湖沼及び指定地域の指定についてですが、これは何かご質問ございましょうか。どうぞ。

【藤井委員】 指定湖沼になってよかったなと思いますのは、何年か前から環八郎湖という住民グループと地域振興局の動きがあったのですが、大潟村の側は周辺地域が悪いと言うし、周辺地域は大潟村に問題があるというふうなことで、なかなか歩み寄れていなかったのですが、平成38年度をめどに多くの住民・事業者と長期ビジョンについて共有を図るとありますので、ぜひこういう視点をということが一つと、それから下水道とか、それから浄化施設の整備というようなハードなものというよりも、むしろここは住民が随分参加しながら、どういうふうにしていこうかということは、子供たちの環境学習を含めて随分やっていますので、そういうソフトの部分。それから生態系の生物、生き物などの視点を入れながらというところをぜひ、そのメニューを入れていただきたいなというふうに思います。
 以上です。

【松尾部会長】 いかがでしょうか。そういうご意見があったということでよろしいですか。

【渡辺課長補佐】 ありがとうございました。ご指摘の点につきましては、今日の資料の中には詳細を盛り込んでございませんが、個別の八郎湖の計画の中にそういう環境教育ですとか、そういったものも一応入ってございますので、環境省としましても計画の推進のために支援してまいりたいというふうに考えております。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

【松尾部会長】 よろしいでしょうか。ほかにはご発言ございましょうか。
 次は、資料10でありますが、釜房ダム貯水池、八郎湖、諏訪湖に係る湖沼水質保全計画の概要であります。特にご発言はございませんか。ありがとうございました。
 それでは、資料11に行きますが、11は環境基準の測定方法の改正ということでありますが、これはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 資料12が、ほう素・ふっ素・硝酸性窒素の暫定排水基準見直しに係る今後の予定についてであります。いかがでしょうか。

【須藤委員】 簡潔にお願いをします。畜産の硝酸性窒素なのですが、排水基準が100なのに対して、1,500、900、900と確か3回やって、非常に高濃度のままで、確かにやりにくいのはわかっているのですが、公平の原則、あるいは先ほどの湖沼計画なんかがまた出るときに一番困ってしまうのは、この畜産の非常な濃度の高さがあるので、これは健康項目とは違うんだけれども、健康項目でしっかりやっておけばその問題もなくなるので、900のままでずっと来ているわけですので、3回もやっているので、次回は100に一度というのは無理なのかもしれませんけれども、低減化をぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

【松尾部会長】 よろしくお願いします。よろしいですか。どうもご苦労さまでございます。
 それでは、次は資料13でありますが、水環境基準(生活環境項目)に係る見直し検討についてであります。何かご発言ございましょうか。
 私、何度も申し上げた、CODをこの際、ぜひ見直していただきたい。特に日本の過マンガン酸のCODはなるべく、この項目をどうするかというのではなくて、環境基準の生活環境項目の測定法自体を考えるところまで踏み込んで検討していただきたいと思っておりますので、よろしくご理解いただきたいと思います。議論は避けたいと思いますが、そういうように思っています。環境立国のためにも必要だというのが私の持論であります。
 資料14でありますが、何かご発言ございますか。どうぞ。

【宮原委員】 要望させていただきます。中長期ビジョンが策定されている中で、特に東京湾が、羽田沖の新滑走路ですか、構築されるというようなことでございますので、海洋基本計画もできているわけで、海上構築物というのがさらにまた出てくるのではないかと思いますので、このビジョンの中の21年までの期間の中には、対象にはなっていないかもわかりませんが、新たな滑走路問題をちょっと追いかけていただきたいなと、このようにお願い申し上げます。

【松尾部会長】 ありがとうございます。では、こちらから行きます。薗田さん、よろしくお願いします。

【薗田委員】 すみません、先ほどほかの委員の方からも目標のことについて出たのですけれども、閉鎖性海域中長期ビジョンにつきまして、閉鎖性海域だけではなく、中長期を立てるのに、できれば今回洞爺湖サミットでも議論されます2050年の超長期というところもやはり視野に入れて、CO2のお話、あるいはGHGの話だけではなく、実際に2050年に生物多様性がどういう形で保たれるのかとか、あるいはその河川が本当に飲めるぐらい、非常に安全な水を保つためにはどうしたらいいのかという、そういうかなり高い目標に向かって、その中で例えば2030年までにこのレベル、2020年までにこのレベルということで、ほかのさまざまな、水質環境基準も含めて、さまざまなことについてどうあるべきなのかというところから議論を始めていかれたほうが、おそらく日本の本当に環境立国にふさわしいような目標ができるのではないかなというふうに思っています。
 実際に今、バックキャスティングというふうな言葉で言われているのですが、トレンドを追っかけて、今までのやり方でするのではなく、高いレベルの、本当に目標から今どうしていくのかという、そのギャップを埋めていくという、ぜひそういう発想に切りかえていただければと思います。

【松尾部会長】 ありがとうございます。あと二人伺った後で、これは多分、白石審議官からお答えいただけるのではないかと思うので、それでは、片山さんから。

【片山委員】 中長期ビジョンの策定の中で、どういう海の環境にしていくかということでのお願いなのですけれども、やはり海は豊かな海であってほしいと思っています。東京湾の場合、最近、これは間違っているかもしれません、正していただきたいと思いますけれども、シリカの流入といいますか、陸域からのシリカの流入が減ってきていると指摘されています。そのために東京湾のシリカの存在量が減少し、珪藻類、プランクトンの珪藻類が減ってきているのではないかと言われています。そのために、鞭毛藻類が増加しているというようなことを聞くのですが。
 シリカの減少の原因は、内陸域からの供給不足であると。その原因は何かということについては、なかなか未知のものがあるわけなのでございますが、やはりその辺の解明も、シリカの東京湾における存在量の推移、それからどのようなレベルが望ましいのか。これらの研究は各研究機関でもやられると思うのですけれども、どうかCODとか、あるいはDOとか、これは重要な指標ですが、生物指標、例えば、プランクトンについても着目していただきまして、解析を進めていただくと非常にありがたいと思います。

【鈴木委員】 ただいまのご発言にも非常に関係があることだと思いますが、シミュレーションモデルの構築というところで、生物に対する底質からの影響、流入水の影響、つまりそれぞれの寄与度を数値で出していただくことが非常に大事だという気がいたします。マイナスの面、プラスの面ももちろんあると思いますけれども、何がどれほど環境悪化に寄与しているのかというのがわかりますと、費用対効果の面でも非常に適切な対策ができるのではないかと考えられます。
 若干これは私の勘で申しわけないのですが、例えば、排水について見ると、すでに寄与度が他に比べて相当低くなっており、換言すれば費用対効果の面でも限界効用に達しつつあるのではないかとも考えられます。ぜひこの辺も定量的にご検討いただければと思います。
 以上です。

【松尾部会長】 何人かの方にお答えいただいて、とりあえず審議官から総括的にお願いします。

【白石審議官】 細かい話、また補足があればしていただこうと思っておりますけれども、時間の関係もありますので、私のほうから総括してお答えをさせていただこうと思っております。それぞれ委員の先生方、非常に問題の核心をつかれたご指摘をちょうだいしているかと思います。
 キーワードとしていろいろあるかと思いますけれども、やはり具体的な水質環境項目をどうするか、あるいは検査の方法をどうするか、あるいはモデルの構築をどうするかということはすべて、私が考えますに、今までの手法がそれなりの効果を上げてきているのだけれども、最後に鈴木委員がおっしゃられたように、果たしてこのまま同じだけの費用対効果で、従来の手法なり、検査方法なり、項目なりが、同じような効果を今後、2050年というご指摘もありましたけれども、そこに向かって発揮し続けるのかと言えば、それはやはりもうそうではないだろうということは、皆様のご指摘のとおりだと思っております。
 したがいまして、例えば今日ご報告いたしました生活環境項目の見直しの話であるとか、あるいは閉鎖性海域に特にそういった矛盾が集中的に出ているとするならば、そこをどういうふうに手法なり、項目なり、あるいはモデル設計なりを変えていくとより効果的な方法によって水環境の維持改善が進むのかということを、実はそれぞれの見直しをするとともに、こういう、今日、本当に1年2カ月ぶりということで、私どもの怠慢のせいもあったんですけれども、総合的に見直して考えるべきだということをご指摘いただきました。これをそれぞれの場に持ち帰りまして、きちんとした対応をしていかなければならないというふうに思います。
 また、そのことは、最後に時間がなくて、ご指摘ちょうだいできなかったかと思いますけれども、いろいろな世界の水環境とのかかわりの中でも出てくると思います。例えばCODの検査方法一つをとっても、日中でいろいろな議論をするときに、どうも何か違うと思うと検査方法がちょっと違うので、いろいろな認識が違ってくる。しかし、そういうテクニカルなところをはるかに超えたレベルで、お隣の国の汚濁が我が国の環境にも大きく結びついていく。ともかくすべてが有機的に結びついておりますので、個別のいろいろな検討をするときにも、必ず全体の構造を見てやっていかなければならないと思います。ちょっと漠然とした物言いで恐縮でございますけれども、いろいろシリカのことであっても、米がつくられなければ、やっぱりそれだけシリカが減ったりとか、いろいろなことがすぐには考えつくのでしょうけども、確かに公害に対する克服という観点でやってきたいろいろな手法なり、我々のテクニックが、そのままではこれから先50年うまくいかないということは十分承知した上で、これから行政をしていきたいと思いますので、引き続きいろいろなご指摘、ご助言をお願いしたいと思います。
 今日はありがとうございます。

【松尾部会長】 あと二つ実はあって、湧水の保全と資料16の世界水環境問題でありますが、これは何かありますか。どうぞ。

【元杉委員】 ここに日中水環境パートナーシップという話で、8ページのところに、分散型排水処理モデル事業を実施と書いてあるのですが、ここにいろいろな処理方法の例が書いてあります。これも日本で随分長い経験があって、非常に苦労したことなので、そういうことを中国の人に伝えてあげたらいいのではないかと思います。ここに書いてあることが本当にベストかどうかも含め、日本の経験を話したらいいと思います。それと、先ほど藤井委員から八郎湖の指定について住民参加や子供たちへの環境教育の話があったのですが、実は私は秋田県の八郎湖水質保全対策検討委員会の委員をやっていまして、その委員会で秋田県は真剣に議論をしていましたし、たくさんの資料ももらいました。つけ加えさせていただきます。

【藤井委員】 今の元杉委員と全く同じ日中の環境パートナーシップのところですが、大規模な下水道から、こういう分散型にしてよかったなと思うんですが、さらに進んで、水処理という排水処理の発想から、水の循環利用であったり、そういうほうに転換していくべきだと思います。今、雲南省のパウニャンにある小学校でバイオマストイレの建設をやっているのですが、できるだけエネルギーを使わず、しかも循環利用ができる、バイオマス利用ができるような、そこまでぜひ高めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【河崎課長】 では、今のご質問に対して、お答えをしたいと思います。
 日中水環境パートナーシップでねらっている対象というのは、どちらかといえば、今発展しているところではなくて、そこからとり残されている地域ということで、そういった地域は非常に原資が少ないわけです。ですから、イニシャルもランニングもなるべくローコストで、サスティナブルにできるようなものを考えていかなければいけないということで、当然、私どもの経験と、それから向こうの技術者もおられますので、相互に議論しながら、現地に適したものをやっていきたいというふうに思っています。
 それから、日本以上に、向こうは水資源が厳しゅうございまして、やはり排出してきれいになった水を使わなければいけないという認識に立っておられますので、そういう方向に行くのではなかろうかなと思っています。いずれにしましても、我々の考えることを一方的に押しつけるのではなくて、向こうともよく協議しながら、先ほど申し上げましたように、イニシャルもランニングもローコストでサスティナブルにできるような方式を目指していきたいというふうに考えてございます。

【松尾部会長】 ありがとうございます。ほかに、最後に一言という方おられましょうか。どうぞ。

【中野委員】 すみません。一昨日、滋賀県の米原市で環境フォーラムがございまして、私たち知ったのですけれども、そのときにこの平成の名水の「居醒の清水」が入ったということで、皆さん大変喜んでおられました。その中の広がりとして、米原市は天の川という伊吹山のすそで、ものすごく蛍が多いところなんです。それで、蛍の時期は各家、2時間は電気を消して、CO2を削減しようというような広まりもきております。そうしたことで、平成の名水百選の一つに選ばれたことによって、県民の環境を思う心が広まっていく。大変いいことだと思いますし、これからもいろいろな場面で県民に浸透するようにしていただきたいなと思います。
 ありがとうございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。非常に貴重なご意見をいろいろいただきました。少し時間が過ぎておりまして、また予定がおありになる方もおられると思いますので、ここで事務局から連絡をお願いしたいと思います。

【今井課長補佐】 それでは、2点だけ申し上げます。
 本日の資料ですが、大部となっておりますので、委員の皆様のお手元に、資料と一緒にお配りしている封筒に鉛筆でお名前と送付先、自宅でありますとか職場と書いていただきましたならば、事務局で郵送させていただきます。
 それから、本日の会議録につきまして、速記がまとまり次第、委員の皆様にお送りいたしますので、ご確認をお願いいたします。
 以上でございます。

【松尾部会長】 ありがとうございました。
 それでは、中央環境審議会の第18回の水環境部会を閉会させていただきます。
 今日はどうも皆さん、熱心なご議論ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

午後 3時12分 閉会