中央環境審議会水環境部会(第7回)議事録

平成15年2月28日開催
環境省環境管理局水環境部企画課

日時

平成15年2月28日(金)13:00~15:10

場所

中央合同庁舎第5号館22階 環境省第一会議室

議題

 (1) 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて
(2) 瀬戸内海の一部の全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標の見直しについて
(3) 水生生物の保全等に係る水質環境基準の設定について(検討状況の報告)
(4) 報告事項
平成13年度ダイオキシン類に係る環境調査結果等について
平成13年度公共用水域の水質測定結果について
平成13年度地下水質測定結果について
平成13年度全国の地盤沈下地域の概況
釜房ダム貯水池及び諏訪湖に係る湖沼水質保全計画の策定について
第3回世界水フォーラムについて
改正農薬取締法の施行に向けた検討状況について
(5) その他

配付資料

 資料1   中央環境審議会水環境部会委員名簿(平成15年2月28日現在)
 資料2 中央環境審議会水環境部会(第6回)議事要旨
 資料3 中央環境審議会水環境部会(第6回)会議録(案)
 資料4 水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて
 資料5   瀬戸内海の一部の全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標の見直しについて
 資料6   水生生物保全環境基準専門委員会の検討状況について
 資料7   平成13年度ダイオキシン類に係る環境調査結果等について
 資料8   平成13年度公共用水域の水質測定結果について
 資料9   平成13年度地下水質測定結果について
 資料10   平成13年度全国の地盤沈下地域の概況
 資料11   釜房ダム貯水池及び諏訪湖に係る湖沼水質保全計画の策定について
 資料12 第3回世界水フォーラムについて
 資料13   改正農薬取締法の施行に向けた検討状況等について
 資料14   中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置について(案)
 
 参考資料 1   中央環境審議会議事運営規則
 参考資料 2 中央環境審議会の運営方針について
 参考資料 3 中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針について
 参考資料 4   瀬戸内海の一部の全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標の見直しにあたっての参考資料
 参考資料 5   瀬戸内海における窒素・燐の水質予測
 参考資料 6   検討対象水域の概況と将来水質について
 

議事録

午後 1時01分開会

【盛山課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回中央環境審議会水環境部会を開催いたします。
 まず、委員の異動について御報告させていただきます。
 2月25日付で、恩田委員にかわりまして、佐藤健委員が、会長により水環境部会の臨時委員の指名を受けております。
 本日は、委員総数36名中、30名の委員の方の御出席が予定されておりまして、ただいまのところ29名の方の御出席をいただいておりますので、既に部会開催の定足数を満たしております。
 それから、いつものことでございますが、本日の会議は、「中央環境審議会の運営方針について」に基づきまして、公開としておりますことを御報告いたします。
 それでは、まず、議事に先立ちまして水環境部長の吉田の方から御挨拶を申し上げます。

【吉田水環境部長】 1月10日付で水環境部長に就任いたしました吉田でございます。前任の石原部長同様に、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 さて、先生方には、年度末も近づいてまいりまして、非常にお忙しい中、当部会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、かねてからの懸案でございました、国が行うべき陸域の環境基準の類型あてはめと見直し、それから、瀬戸内海の燐・窒素に関する環境基準の暫定目標の見直しについて、御審議をたまわる予定にいたしておりまして、この2件の案件につきましては、部会での御了承が得られましたならば、本日中に部会長から中央環境審議会の会長に報告をされ、委員会の答申にさせていただきたいと、かように予定をいたしております。
 また、本日、もう1つの議題として用意しておりますのが、先般、第6回の水環境部会におきまして設置が認められました水生生物の環境基準の設定に関する専門委員会の活動、これが、昨年来もう既に3回の議事を経て、議論が進んでまいっております。その審議の途中経過を御報告を申し上げたいというふうに考えております。
 それから、もう間もなく、先生方は先刻御承知でございますけれども、第3回の世界水フォーラムが、関西3府県で開催をされるところでございます。先生方、それぞれのお立場で関わりも深かろうかと思いますが、私ども環境省としても、ほかの省庁ともども、今この世界水フォーラムに向けての最終準備を進めておる最中でございます。この水フォーラムをきっかけにいたしまして、世界から集まってくるさまざまな情報、あるいはものの考え方というものを整理して、今後の私ども、水環境行政の新たな展開の糧にしていきたいと、かように考えておりますが、先生方におかれましても、今後の水行政の新たな展開に関しまして、何かと御指導御鞭撻をたまわりますようお願いを申し上げます。
 以上、簡単でございますが、冒頭の御挨拶にさせていただきます。

【盛山課長】 それでは、議事に入ります前に、議事次第の裏方に、配付資料一覧とございます。資料1から14までと、参考資料1から6まで、書いてあるかと思います。ちょっと分厚い資料で恐縮でございます。一応チェックはしておるつもりでございますが、資料の不足等ございましたら、我々事務方の方までお申し出いただきたいと思います。
 それでは、これから会議の進行を村岡部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。

【村岡部会長】 それでは、ただいまから議事に入ります。
 まず、第6回水環境部会、前回でございますが、その議事録の確認から行いたいと思います。議事録につきましては、お手元に資料3として準備していただいております。この資料は、委員の先生方に御確認いただいた後、事務局で修正を行いまして、再度、各委員に送付されている資料でございます。
 したがいまして、中央環境審議会水環境部会及び専門委員会の運営方針について、2-1に基づきまして、御了承いただいたものとして扱わせていただきたいと思います。
 つきましては、この場で、この前回議事録を改めてお認めいただけるかどうかお諮りしますが、よろしいでしょうか。

              (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 それでは、事務局におかれましては、この議事録を公開の手続を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 議題の1でございますが、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しについて、でございます。
 これは、平成13年9月25日付で、環境大臣から諮問がございまして、これまで、陸域環境基準専門委員会において検討をお願いしてまいりました。
 本日は、その専門委員会の報告を用意していただきましたので、これにつきまして審議いたしたいと思いますが、審議の結果、当部会として答申案を取りまとめていただきたいというふうに思っております。
 これまでの審議経過及び報告の概要につきまして、専門委員会の松尾委員長より、まず御報告いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【松尾委員】 松尾でございます。では簡単に御報告させていただきます。
 まず、私から概要を御報告して、その後、事務局から少し丁寧に各湖沼や河川についての状況をお話しいただきたいと思います。
 陸域環境基準の専門委員会でありますが、我々のテーマは何だったかといいますと、河川については既に基準値が決まっているわけですが、それを、現在の状況を見てグレードアップをすべきかどうかと。そのグレードアップの基準をどこへ設定すべきかということが1つございます。
 もう1つは、湖沼につきましては、 1,000万立米以上の貯水量を持っている、特にダム貯水池なのですが、湖沼の水質の環境基準を適用すべきか、ということ。従来は、ダムができていても、河川としての水質基準が適用されていたと。それに対して、湖沼の水質基準、環境基準を適用すべきではないかということで、要するに 1,000万立米以上は湖沼と定義されているもののうち、どれが適切なのか。あるいは、その環境基準をどう設定するのがいいかということが、我々の仕事でありました。
 それで、結論は、資料4になりますが、河川については、4水系・4水域について検討をすることにしました。
 それから、湖沼の方は、また詳細は後から御説明いただきますが、国が指定しなければいけないダム貯水池で 1,000万立米以上のものが40あったと思うのですが、そのうちのどの部分までを湖沼として認定すべきかとの基準づくりの問題であります。
 それで、最初に河川の方を申し上げますと、資料4の1ページ目でありますが、ここに、表のように枠組みになっているところに4つの水域についてありまして、最初は綾瀬川下流、それから神流川、信濃川下流、淀川下流でございますが、このうちで、利根川、神流川、信濃川、淀川の流域につきましては、現在、既に、ここ数年にわたって1つ上の類型の環境基準を満足している実績がある。また、周辺もいろいろ流域対策等が確実に担保されているということで、そういうことから言って、既に達成されているものについては、それを追認という格好になりますが、具体的に言いますと、神流川についてはBをAに上げる。それから、信濃川下流の現在BをAに上げる。淀川下流については、DをCに上げるということで、これらはそういう意味では、ここ数年の水質の実態の動きとして、ここへ上げても、当然今後もそれが守られていくであろうということで、直ちに達成ということで、決めることにさせていただきました。
 ちょっと問題が残るとすれば、1番目の綾瀬川の下流というケースがあります。そこに少し説明がありますが、現在は河川のEの類型は達成しているのですが、Cまではまだいっていないという、そういう意味では、従来のこの類型の見直しのときは、過去何年間かに既にそのレベルに達しているので、それを追認するという格好でしたのですが、今回この綾瀬川については必ずしも現在はまだ少し無理なところがあるのだけれども、かなり非常に改善の速度が速い。
 あるいは、国土交通省の事務所が中心になって、埼玉県、東京都の関係者が集まって、「綾瀬川清流ルネッサンスIIa」を進めて、従来、平成3年にはBODが33mg/Lあったものが、現在では7mg/L近くまで改善されていると。地元が非常に、そういう意味では、ワースト1だったのに対して何とかしなくてはいけないということで、今その動きが急激に進んでいるということがあります。
 それから、この2月24日には、かなり進めようという計画が確定してきているということで、こちらの予想としては平成22年頃には確実にC類型に達しているだろうというような、そういうような予想があって、それはBODで5mg/L以下でありますが、であるならば、今の時点でこのEの類型をCの類型に上げることを決めてしまってはどうかと。
 しかし、その達成期間というものは、少し時間を与えて、この5年を超える期間というのが、22年ですから 今から7年後ぐらいが想定されるわけですが、それに向かってC類型の環境基準に指定しようと、そこに向かって流域のいろいろな活動が実現していく方向に進むのであれば、それを今この段階で決めてもいいのではないかと。
 逆に言うと、地元が一生懸命にやっているのに、Eのままで据え置くと、やっている努力をエンカレッジできなくなるのではないかという、そういう判断も含めて、これだけ今取組みが進む姿を見るならば、環境基準の方があらかじめ高くといいますか、高いランクの方に変えておいて、そこにはいろいろな意味での行政的な対応を進めてもらうということがいいのではないかということで、これは今日の1つの議論の論点になるかもしれませんが、環境基準の類型の見直しのときの1つの新たな判断基準といいましょうか、まだ達成されていないけれども目標値としての環境基準を徹底していくという、そういう1つの考え方の転換といいますか、一歩を踏み出したというか、そういう状況だろうと私は個人的には非常に評価している。
 事務局が、随分いろいろな面で調整してくれて、こういう結論に達したことを高く評価しているものでありますが、関係の皆様方、それぞれまたお考えがありましょうから、委員会でその辺の御議論をいただければありがたいと思います。ある意味では、環境基準というのはどういうものであるべきかという、そういうことにもつながる議論かもしれません。
 それから、湖沼につきましては、1,000万立米という容量だけで、湖沼か河川かを判定していいかというのが最大の問題であります。
 それで、実は、大きな湖沼ではあるのだけれども、非常に水の流れが、回転数が速くて、滞留時間が非常に短い湖沼がある。そうすると、事実上、川のような状況ではないかということであります。それから、成層の状態とか、中に生息するプランクトンの特徴とか、いろいろなことを考えてみても、この湖沼というものは川として残しておいた方がいいのではないかというか、そういう判断にも達する部分であります。
 その辺の線引きを、ではどこでするかというのは、これも非常にクリティカルな、科学的にこれは、サイエンスの意味でのクリティカルな部分があったのでありますけれども、専門委員会の方に入っていただいている湖沼の専門家とか、いろいろ御判断をいただいて、事務局も非常に緻密な解析をして、流速の問題とか、成層の問題とか、プランクトンの問題とか、そういうことを総合的に判断した結果として、4日という滞留の期間をですね、4日以上のものは湖沼としての特徴を備え始めるというようなことから、一応ここでは滞留期間が4日以上のものを湖沼として認めようということにいたしました。
 そうすると、幾つかの湖沼は、1,000万立米以上でありますけれども河川ということで、従来どおり河川の環境基準が残されることになる部分ができたということになりました。
 その4日以上の滞留時間を持つ 1,000万立米以上のダム貯水池を湖沼と扱うことになりますが、それについては環境基準の類型のあてはめというのが次の課題になります。
 環境基準のあてはめにおいては、今現在その水域がどういう用途に使われているかということが大きなポイントになりますが、そのことを踏まえながら、現在の水質は悪くならないということを前提にしながら、多少の留保を幾つか残したのもありますが、多くのものを直ちに達成ということで、現状の用途、あるいはその周辺の状況から見て、これ以上悪くしないという、そういうところの判断から、そのランクを決めてみました。
 その際に、湖沼の利用というときに、実は下流で水道水を取水しているということが少し議論になりまして、湖沼から直接水源としては取っていないけれども、下流で取っている場合に、ダムの、湖沼の利用は、下流の水源の問題まで含められるのかどうかということが少し議論になりました。
 これは、最終的にはそれを含めるということになるのですが、どこまで含めるかというのは、何キロメートル下がったらいいとか、なかなか基準が明示できないのでありますが、一応下流側の要素も含めて、直近の影響の強いところについては、それを湖沼側の責任ということで、湖沼側の方で環境を担保するというそういう考え方から、幾らか下流の用途まで考えて、それをあてはめると。そういう意味では、直接湖沼の上だけの問題ではなくて、下流側への影響も加味した上で、このランクを決めるという、そういう操作といいましょうか、考え方を持ち込んだということになります。
 具体的な説明については後でお願いしますが、例えばどういうところにそれをしているかというと、松原ダム、資料4の5ページになるのですが、例えば松原ダムということで見ていただきますと、そこで、ダム放流水の影響があると考えられる下流水域において、湖沼A類型相当の上水道の利用があり、この下流水域において上水の利用があるのでということで、それも考えた上で湖沼の類型を考えたということであります。
 では、この下流はどこまでかというのは、先ほど申し上げたようになかなか整理しにくいのですが、ある種の全体的な、流域の面積の比率とか、それらのことを考えながら、あるいは下流での実際の取水の、浄水場での処理方法のレベルとか、そういうことを当然考えながら、ダムの方の湖沼の類型を決めたというふうになってきておりまして、そういう意味では、少し拡大解釈をしながら、水質類型を決めてきたということになると思います。
 あと、細かいところでは、もう少し説明しなければいけないところがあるかもしれませんが、ポイントとして、私が一番重要だと思ったところをとりあえず御説明をいたしました。
 各湖沼について、あるいは各河川についての状況は、事務局から御説明をいただきたいと思います。
 それから、部分的というかまだ幾つかの湖沼で、今回あてはめができなかったのが幾つか残っています。それは、資料4の5ページの真ん中の「2.」というところですが、人工湖で、今後見直しを検討する必要があるというところに残っております。
 これは、いろいろ流域の対策がもう一息確定してこないとか、いろいろ状況がありまして、今回は見送りという形になりましたが、今後とも周辺の予測とか、あるいは対策の具体化ということの中で、ある程度の情報が上がってきたら、次の事項は見直しを、なるべく早い時期にお願いできれば幸いと思いますが、そういうことが必要だろうということがあって、提言とさせていただきたいと思っております。
 以上、ちょっと長くなって、話も十分に説明しきれないかもしれませんが、補足は事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【村岡部会長】 それでは、補足の方、よろしくお願いします。

【森田補佐】 委員長の方から丁寧に御説明いただきましたので、あまり説明はしませんけれども、ただいまございました個別の水域の資料につきましては、参考資料6という少し分厚い片綴じの資料があります。それが、前半が河川、後半が湖沼ということになっておりまして、それぞれにつきまして、若干詳しいデータを載せておりますので、それを説明させていただきたいと思います。
 簡単に御紹介させていただきますと、今お話のございました綾瀬川の下流につきましては、32ページから載っておりまして、6の資料の内容でございますけれども、河川の概況そのほかがありまして、最終的に37ページを御覧いただきたいと思うのですけれども、37ページのところに、綾瀬川下流の水質の数値ということで書いております。37ページの一番下の方の「4.6.3」の将来水質のことでございますけれども、ここでは、先ほどございました「ルネッサンス計画」の背景といいましょうか、これが先日、合意に達したというようなことでございますけれども、ここで掲げられております対策のうち、特に効果が高いであろうというところの下水道の普及、そういったものを取り入れまして、将来、平成22年のBODを予測したものでございます。
 これでいきますと、表の右側の一番下でございますけれども、予測数値として4.38ということになりました。予測値は月別に出しておりますが、75%値はちょうど4月の月平均値に相当いたしまして、概ね5程度ということで、楽々とはいきませんけれども、新水準までいけるのではないかということでございます。
 それから、もう1点、次のページ38ページでございますけれども、こちらでは荒川導水という計画が進んでおりまして、今年度の8月から本格的に導水が始まるということで、いろいろな環境浄化のための導水でございます。
 その荒川導水につきましては、荒川の方から綾瀬川本流に1.7トンぐらいの水量で送られてくるということでございまして、表4.6の上の方に、真ん中の段でございますけれども、導水負荷量というのが書いてありますが、そこのところの量と、それから導水量を示しています。各月にかけてある網かけの部分、そこでどういう計算をしたかと申し上げますと、荒川の方から入ってきます水質が、綾瀬川の水質よりも良好な場合、そういった月について導水を行っていくというモデルケースで計算をいたしました。したがいまして、上の表に荒川のBOD濃度、3年分を載せておりますけれども、これと綾瀬川の流水の水質の測定の結果を比べまして、荒川の水質の方が良好な場合について導水を行うという計算をいたしまして、その結果、導水いたしますと、一番右下の下から2つ目の欄3.82というのが年平均値となっています。その場合、相当します75%値というのが4.52ということになります。
 この導水の運用につきましては、今後、これは国土交通省で、できるだけその効果があるように検討し、やっていくということでございますので、具体的にどこまでかは分かりませんが、これは想定ですけれども、少なくともこのあたりまではいけるのではないだろうかということもございまして、先ほど委員長から御報告がありましたような結論に達しました。
 それから、湖沼につきましては、その後ろの次のページからでございますけれども、これも大変数が多うございますので、1ページの表形式でまとめさせていただいております。湖沼の概要がございまして、利水の状況、それから、現状の水質、それから、汚濁負荷の将来推移、そのあたりを考えまして、5にございますように、まず、利水からはどういった水域類型が該当してくるかということ。それから、現在の水質の状況、それから、ここでは(3)でりんの適用除外のことも出ておりますけれども、この場合につきましては、利水という点では環境保全のみが該当しますけれども、ここの場合、湖沼C類型、湖沼Vの類型とういうことでございますが、現状の水質がそれをはるかに上回っているということで、現状の水質を下げないようにということで、現状水質相当の類型としたとのことでございます。
 他のページも同様の構成で書いております。
 以上です。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいま資料4と参考資料6を用いて、類型の指定の見直しにつきまして、専門委員会の御発言をいただきました。何か説明に対しまして、御質問等ございましたら。須藤委員、どうぞ。

【須藤委員】 結果としては、このとおりで多分よろしいのかと思いますが、1つ質問させていただきます。
 湖沼でございますが、ほとんどの湖沼を、川から湖に移すのは、そこはよろしいのですけれども、湖沼の窒素と燐の環境基準をあてはめるときに、IIIであれIVであれ、全窒素を除くと、こうなっているんですよね。
 例えば、参考資料の、今見せていただいた中の一番高いものですと、ページの48に佐久間ダム貯水池というのがあるのですが、全燐の年平均が 0.037で、全窒素が年平均で0.90ですよね。NP比が24.3で、環境省の省令の中で20以上は窒素はあてはめなくてもいいような表現ぶりがあって、従来からこうなっていて、こういうことが続いてきているんですね。
 前にも私はこの問題を指摘しているんですが、NP比が高くなるということは、Nがどんどん増加していけばしていくほど、窒素の基準はあてはめなくてもいいという、そういう矛盾になるんです。これは、前から直してくださいというふうにお願いしているんですが、私も幾つかの県の環境審議会にかかわっていて、窒素対策をやるようにといいますと、環境省の指示で、窒素の基準は設けなくてもよろしいと、環境基準は設けなくてもよろしいということで、国のせいにされてしまっておりまして、また同じことのくり返しになるので、どうしてここの部分を、全窒素を除くというふうにしたのか、特に湖沼のIとかIIぐらいはまあいいかなと私も思うのだけれども、IIIとかIVについても、全窒素を、要するに理想的な環境基準である目標値を除いているというのは、なかなか納得しかねる問題があって、恐らくこの会議でも二、三回私、同じことを申し上げているのですが、これがくり返されているので、どういうふうに今後対応されるのか、この問題はここまで来ていますのでよろしいのですが、もうこれでしょうがないとおっしゃられるのなら、それはそれなりの御説明をいただきたいと思います。

【村岡部会長】 それでは、事務局の方で回答をしていただきたいと思いますけれども。

【森田補佐】 前回、同じようなことを申し上げたと思いますが、御指摘は十分承知しておりまして、今回の一連の見直しは、従来の考え方でやらせていただいたのですけれども、ここで見直しの一区切りと考えておりますので、そのほかにも関連性の高い事項についても御指摘いただいておりますので、あわせて検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【村岡部会長】 確かに前回も、須藤委員から同じようなことを聞いておりますし、このまま続けるということになりますと、ゆくゆくは難しい問題が起こってくる。これを、今後どこでどういうふうに扱うかということの見通しぐらいは立てておかないといけないと思うのですが、そういった点で、事務局の方、あるいは専門委員会でどういう対応をするという、何か御意見がございましたらお願いしたいと思いますが。

【松尾委員】 私は、実はそこは今回は聞きたいところであって、環境基準の決め方そのものみたいなところですよね。我々の陸域の委員会でのランクで見直しのときに、ここまで検討するのが適切なことかということもありました。そこも考えていただいて、もし考えが得られるのであれば、次の段階ではぜひ伺いたいというふうに思います。

【村岡部会長】 陸域の専門委員会は、一応その見直しとかいうことを対象にした、それを議題にしたようなあれですので、必ずしもこの問題をそこで引き続き御議論いただくことにはならないかも分かりません。
 そういったことも含めて、私も事務局側の方針といいますか、それを聞いておく必要があると思っています。どうぞ、盛山課長。

【盛山課長】 須藤先生からまた怒られそうで、はっきりしない答弁で恐縮なのですが、全体の富栄養化問題、どういうふうに取り組んでいくのかという、我々に与えられた懸案でありまして、環境基準をどうしていくのか、この部会の場でやっていくのかも含めまして、ちょっと我々の方でまたお時間をちょうだいして検討させていただきたいと思います。
 まことに申しわけないのですが、今この場で、いつまでにどういう形で結論させていただきますというところまで、残念ながらまだ申し上げられないでいますので。

【浅野委員】 今の企画課長の御説明のとおりちゃんと将来やっていただければいいのだろうと思うのですが、窒素・燐比が20を超えている場合は、植物性プランクトンの増殖を抑え、燐の制限をしてあるから、窒素は基準を特に超えなくてもよろしいということが、科学的な知見として存在し、これは、この限りにおいてはそれが正しいとしても、では、窒素そのものは、もう植物性プランクトンの増殖という観点からだけ問題にしておけばいいのかどうかは、しかるべき検討会でも開くなり、あるいは環境基準のあり方そのものとして考えておく必要があるのだろうと思います。
 別のところで、硝酸性窒素が問題にされていて、日本全体の物質循環の中の窒素の分量がたまっているという問題は、あちらこちらで議論になっているわけですから、そのことは、水域でも、水質の環境というところで現れてくる現象としての窒素をとらえなければいけないことになるのではないか。
 従来の、この植物性プランクトンの増殖を防止するという考え方だけでこの問題を考えるのか、もっと別の観点も含めて考えるのかということは、恐らく当委員会で答えを出せと言われても出せないことは、松尾先生がおっしゃるのはそのとおりだろうと。もっと大きな政策判断の問題だと思いますが、それはやはりきちっとどこかで議論をする場所をつくらなければいけない。それをつくるというおつもりがあるという御発言を聞きましたので、大いに期待を寄せたいと思います。

【村岡部会長】 部長から一言。

【吉田水環境部長】 ありがとうございました。確かに、今、浅野先生におっしゃっていただいたとおりに、我が国の食料の輸入と伴って、窒素もまた大量に導入されているのではないかと、そのとおりです。それが、山間部の水質汚染にも影響があるではないか、そのとおりです。しかも、国内でも、農業生産に伴う窒素の問題もしかりです。
 それで、今実は私が一番責任が重いわけでございまして、2年ちょっと前に水質規制課長をしておりましたときも須藤先生から同じ御指摘をいただきましたにもかかわらす、別の部局に移ってしまったものですから、その御苦労も知らないで、本当に申しわけございませんで、いずれにしても、今御指摘いただいたとおりでございまして、富栄養化対策、そして、富栄養化対策を外して、それを上回る全体展望の中で窒素問題をどうするか、窒素・燐問題をどうするか。
 まして、今、有明の再生の業務も私どもに降ってきておりますから、そういう一面的な考えに、大気の汚染、流水の汚染の問題をトータルに見直す機会の中で、あわせて検討をしたい。そのために、いきなり審議会になるかどうかは、むしろプリミティブなところから検討しなければいけない。積年のあかみたいなものもついておりますので、その辺、器は私どもの方で検討させていただきますけれども、いずれにしても、御指摘は十分慎重に受けとめまして、その他の機能、検討の場をつくって、鋭意検討を進めていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

【村岡部会長】 どうも。この問題は、このまま捨ておくわけにはいかないですので、受けとめておきたいと思います。それをどういうふうに扱うかは、今、事務局の方で早い段階にそういう御識見をいただきますようにお願いしておきます。

【須藤委員】 すみません、ちょっともう1つだけつけ加えさえてください。
そのとおりやってくださるという部長のお約束ですから、私、大変頼もしくうれしく思います。3年か4年がかりでしたので、そう思いますが、それまでの期間、地方公共団体の方から、Nがどんどん上がるのだけれども、目標値ぐらい設けていいですか、それとも、何か対応と言いますと、水質汚濁防止法の省令に基づき20以上はかけられないのだからというようなことで、法文上での御指導をされていて、もう少し、実際に窒素汚染がどんどん広がっているという事例、実際に今起こっているところが幾つかあるわけですね。そういうところは、行政指導というか、ここになくても、窒素対策を進めてよろしいとか、何かもう少しやっていただいた方がよろしいのではないかなと思いますので、もう少し相談に乗っていただきたいと。地方の部局からの相談に対してですね。
 もっと例を挙げると、例えば茨城県牛久沼というのが茨城県にあるのですが、今、実はそれが頭にあるのですけれども、牛久沼というのは、周囲が窒素汚染がどんどん進んでいまして、窒素の規制がかかっていないんですよ。窒素汚染対策をやらなくてはいけないというのを県は知っているんですよね。だけれども、環境省は、やってはいかんとは言っていないようなのだけれども、とにかく法令上での解釈をあくまでも説明してくださっているので、やはりもうちょっと御親切な対応があってしかるべきかなと思いますので、ぜひよろしく御指導をいただきたい。それまでの間、ぜひお願いしたいと思います。

【村岡部会長】 御意見どうもありがとうございました。
 それでは、それ以外に、この見直しにつきまして御意見がありましたら伺いたいと思いますが。田中委員、どうぞ。

【田中委員】 湖沼関係ですけれども、人工湖の湖沼類型を進めるというときに、貯水量だけでなくて、滞留時間を考えて、湖沼にするか河川にするか。私は非常に良い基準だと思うのですけれども、この滞留時間が4日というように決めた根拠ですね、これがちょっと何かはっきりしないような感じがあるのですが、それをちょっと説明していただきたいということと、それから、資料4の5ページの下から5行目のところに、「水の滞留時間(年間流入量/有効貯水量)」というように書いてあるのですが、これは逆ではないでしょうか、定義からいきますと。
 これは多分、水の入れ替え時間のことですから、有効貯水量を年間流入量で割ったものを水の滞留時間というように、普通は定義していますので、これは修正していただければと思います。

【松尾委員】 そのとおりです。大変失礼しました。

【村岡部会長】 では、松尾委員長。

【松尾委員】 前半の部分なのですが、実はちょっとここに資料は用意されていないのですが、この前の専門委員会のときに配られたものをつけておいた方がよかったかもしれないのですが、流速のことと、それから成層をするかしないか。それから、プランクトンの種類とか、3.8幾つとかにちょうどいいのが実はあるのですが、一応4で切ると、安全側であると。
 どちらかというと、本当は10日というのがもう1つあったのですが、それだと、少し湖沼的な要素が加わっているにもかかわらず、河川としての水質で見るようになるのではないかと。どちらかというと、河川と見るよりは湖沼で見る方が、適当な、安全側を見ていようかという意味で出したということなのですが、資料は、ぜひお配りになったらいいのではないかと思うのですが、かなりいろいろなところから見た総合判断として4日という数字を出しているのです。
 それから、この滞留時間とかの決め方は、既に決まっている部分があって、その方法に従って計算するということもあわせて決めてありますので、余り問題はないのではないかと思っています。ちょっと不十分ですけれども。

【村岡部会長】 それでは、盛山課長、どうぞ。

【盛山課長】 今、松尾先生から御指摘の資料につきましては、この会議の終了までに用意をしてお配りをさせていただきたいと思います。

【村岡部会長】 資料を見たら、またどういうことになるか分かりませんけれども…。

【松尾委員】 まあまあ、大丈夫だと思います。

【村岡部会長】 福井委員、どうぞ。

【福井委員】 河川の方なのですけれども、綾瀬川の下流で、環境基準を最初に決めたときに、河川のEですね、これが水の利用目的が大きな理由になると思うのですが、あるいはまた、現状、達成していないからEで決まったが、このどちらかかと思うのですが、ここに、水の利用目的として、水産3級に設定されている、これはもともとあったのかどうか、その辺がまず1点。それからもう1点は、淀川について、既に河川Cは達成している、達成しているから、Cにしました、とこういうことなのですが、これも綾瀬川と同じような議論があったのかどうか。あるいは、もう1ランク上にはとてもできそうもないから、Cでよかろうと、こういうふうになったのか、その辺、ちょっとお尋ねしたいと思います。

【森田補佐】 まず、綾瀬川につきましては、漁業権自体は当初から設定されておりました。それで、環境基準の類型の判断では、そのころでもBODは 10以上というような状況でございまして、C類型というのは達成不可能な基準ということで、とりあえず達成を目指していくような意味合いでE類型になっております。
 ただ、漁業権といいますのは、埼玉県の方では、県下を幾つかに区切りまして、面的に漁業権を与えておりまして、その中に綾瀬川も入っておりますが、余り積極的な水産の実態はないように聞いております。
 それから、淀川につきましては、ここは利水の方はそういった状況にはございません。上水に利用するとか、そういったことはございません。
 今回上げましたのは、水質が改善されているからということで、現状の水質を守っていこうという意味で上げたというわけでございます。

【村岡部会長】 ほかにまだありますか。
 ないようでございますので、特に報告の中身があると、今後もこれでよろしいというふうに受けとめさせていただいます。
 つきましては、この報告をもって……。訂正がございますので、その訂正をした上で、この報告を本水環境部会の答申とさせていただきたいと思います。あとは、事務的にそのように相談させていただきます。ありがとうございました。

【松尾委員】 それで、ちょっと一言だけ。お認めいただいてありがたいと思います。ありがとうございます。
 それで、ある程度基本的な議論の中で、せっかくこうやってランクアップをしていて、結構実績が出てきているにもかかわらず、これでは余り、公というか、外に対してうまく伝わっていないのではないかという議論もありまして、ぜひ、関係各所等では、どういうふうに書くのかよく分からないのですが、過去にこれだけ、そういう意味では確保されてきたと。達成率だけは出るのですけれども、結果としてこれだけ進んできたというのがもうちょっと目に見えるような発表の方法も考えていただいたらどうですかと。今までのいろいろな努力の結果がことごとくつながっているわけですから、そういうのもちょっと参考意見というか、それから、この部会で御紹介するということを申し上げまして、ちょっと別の機会に発表いたしたいと思います。

【村岡部会長】 ごもっともな意見だと思いますので、今後そういうふうなことも含めて、公表の方法も考えていただきたいと思います。
 それでは、次に議題の2に入ります。これは、「瀬戸内海の一部の全窒素及び全燐に係る環境基準の暫定目標の見直しについて」でございます。これは、平成13年9月20日付で、環境大臣より諮問がございまして、これまで、海域環境基準専門委員会において検討をお願いしてまいりました。
 本日は、その専門委員会の報告を用意していただいております。これを審議しまして、当部会の答申案として取りまとめたいと思っております。
 これまでの審議経過並びに報告の概要につきまして、この専門委員会の委員長をお務めいただきました須藤委員長より、まず御報告いただいたいと思います。

【須藤委員】 かしこまりました。それでは、海域環境基準専門委員会の委員長を仰せつかっております私、須藤から説明をさせていただきます。
 海域環境基準におきましての審議経過、報告の基本的な部分について、まず、触れさせていただきます。どうぞ、資料5と、資料5の参考というのを御覧になってください。資料5の参考は一覧表になっておりますので、これが一覧としては見やすいかと思います。
 それでは、説明を続けます。瀬戸内海の全窒素及び全燐に係る暫定目標につきましては、東京湾、伊勢湾、及び大阪湾に引き続きまして、私ども環境基準専門委員会におきまして、計2回、これは回で言うと、第4回と第5回にわたって審議を重ね、ここに結論を得ましたので、報告をさせていただきます。
 審議経過でございますが、第4回の、瀬戸内海の部分については最初でございますが、その専門委員会においては、窒素・燐の発生負荷量、瀬戸内海のシミュレーションの現況再現等について検討し、第5回、これは瀬戸内海の分については第2回でございますが、それについて、瀬戸内海の水質予測結果に基づく暫定目標を検討いたしまして、ここに暫定目標の案を取りまとめたものでございます。どうぞそれを御覧になってください。
 報告の概要でございますが、環境基準の達成期間及び暫定目標について説明をいたしますが、第5次総量規制におきまして、全窒素及び全燐についても取り組むこととしておりますが、これに基づき、現段階では、平成16年度までに各自治体で、これらに対応するために予定されている最大限の対策を見込んで、水質を予測計算いたしました。
 また、あわせて、平成13年度の常時監視結果を集計し、全窒素及び全燐に係る水質のトレンドについても検討をいたしました。
 この結果、専門委員会といたしましては、瀬戸内海については全域で、暫定目標を撤廃、達成期間を直ちに達成といたしております。それを一覧で御覧に入れているのが、資料5の参考ということでございます。
 以上、審議の経過、それから報告の要旨につきまして触れさせていただきました。部会の先生方、どうぞよろしく御審議をお願いを申し上げます。もし不足がございましたら、事務局の方でお願いをいたします。どうぞよろしくお願いたします。

【村岡部会長】 事務局の方で補足がありますか。ありませんか。
 それでは、ただいまの須藤委員長からの報告に基づきまして、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。ございませんか。

【浅野委員】 質問していいですか。極めて初歩的な質問で恐縮でございますけれども、流入負荷も予測をされるのでしょうけども、それはどういう、例えば社会経済的な条件みたいなものはどんな形で入れて、予測をされるのでしょうか。

【須藤委員】 先ほど申し上げましたように、平成16年度のトレンドを、各都道府県のをお聞きいたしまして、それを集計しているということでございますので、事務局から、人口はどうだったでしょうか。施策は、16年度、各府県のを積み上げていますよね。お願いします。

【瀬川補佐】 人口につきましても、須藤先生の御指摘通り、積み上げをしております。都道府県の方からいただいた報告に基づきまして、例えば下水処理場に、何人分の汚濁負荷が流れているのか。あるいは、合併処理浄化槽でどの程度の人数分を処理するのかといった、そういった条件の下に計算をしております。

【村岡部会長】 ほかにございますか。
 それでは、御意見もないようですので、先ほど御説明いただきました専門委員会報告、資料5ですが、これを、水環境部会の答申案とさせていただき、後の手続に入りたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次の議題3でございます。これは、水生生物保全環境基準専門委員会の検討状況についてでございますが、資料につきまして、専門委員会の検討の状況を、専門委員会の委員長をお務めいただきました須藤委員長より、御説明いただきたいと思います。

【須藤委員】 それでは、水生生物保全環境基準専門委員会の報告をさせていただきます。これは、現在の検討状況でございまして、まだ結論を得たわけではございませんが、さらにこの部会の先生方の御意見を伺った上で、最終に向けて努力をさせていただきたいと思います。
 これまでの検討内容でございますが、平成14年11月だったと思いますが、ここの場で具体的に検討するようにということで、水生生物の保全の環境基準委員会が設置されたわけでございまして、今までに3回にわたって審議を重ねてまいりました。  この場でも、たくさんの御意見をいただきました。それから、その前に、1年ぐらい前だったでしょうか、検討会の時分がありまして、水生生物保全検討会というところでの報告書を御覧に入れたときにも、やはりたくさんの御意見をいただきました。両方の御意見を合わせまして、できるだけ先生方の御意見を反映させるように努力をさせていただいて、審議をさせていただいたつもりでございます。
 先ほど申し上げましたように、最終的な報告案には至ってはおりませんが、これまでの検討状況を御覧いただきまして、さらに検討を進めたいとこう考えているわけでございます。
 資料6を御覧になってください。資料6を御覧になっていただきますと、まず、趣旨はここの最初のページに書いてございます。それから、次のページに、専門委員会における検討状況を3回分にわたって書いてございます。それから、これにつきましては、当然報告書を作成するつもりでございます。その報告書についての案が別紙2でございます。特に私からは、検討状況ということでございますので、最初の別紙1について、中心に報告をさせていただきます。
 第1回の専門委員会では、検討の背景、これまでの審議会での御指摘や調査の状況などを、また基本的な考え方につきまして論議をいたしました。
 また、第2回目につきましては、類型あてはめの考え方、評価、モニタリング等について、それぞれ検討いたしました。
 それから、第3回では、検討対象物質の基準値(案)、検出状況及び測定方法について検討するとともに、報告案に盛り込むべき事項について議論いたしました。今の報告案に盛り込むべき検討事項というのが、この別紙2でございまして、これにつきましては、事務局の方から報告をいただきますが、専門委員会の議論といたしましては、まだすべてが終わったわけではございませんで、この報告案に盛るべき検討事項についても、まだいろいろ変更が起こり得る部分も多分あろうかと思いますが、内容的には、ここに書いてあるようなものを示すつもりでございます。
 最終案に至るまでには、まだ2ページの最後に書いておきましたように、4月にもう1回専門委員会をいたします。それから、それで、ここでお認めをいただければ、中間報告等をお認めいただければパブリックコメントにかけるとか、さらにもう1回委員会を開いて、最終の、私どもからの報告というのは6月ぐらいになるのかなという方向でございます。
 それから、あとは事務局から報告すると思いますが、7月に告示をして、最終的にはこれが施行されると、こういう順番でございまして、やっと水生生物の保全を目標にした環境基準が日の目を見るということになるのではないかと、こういうふうに考えております。
 それでは、詳細、先ほど言いました報告案に盛るべき検討事項については、事務局の方に報告をお願いいたします。

【瀬川補佐】 では、事務局の方から簡単に、現時点での検討状況について、報告案に盛り込むべき事項として、先生方に御議論いただいた内容について、御紹介させていただきたいと思います。
 現時点では骨子的なものになっておりまして、あまりグラマーなものではないので、部会の先生方から、建設的な御意見をいただいて、ぜひ良いものにしていきたいと思っております。
 1つだけ、すみません、ミスプリントがございまして、別紙1でございます。7月、告示というふうになっておりますけれども、6月、水環境部会で御答申いただければ、既に告示作業に入りますので、6月というふうに直していただければと思います。
 それでは、別紙2に基づきまして、報告案に盛り込むべき事項について説明させていただきます。
 別紙2でございますけれども、2つのパートに分かれております。報告案骨子と、それから参考資料でございます。11ページまでが、報告案骨子、それからあとが、参考の1番、2番というふうに続いております。
 1に戻っていただきまして、ここには目次を示しております。全体の構成をまず説明させていただきたいと思います。
 報告案に盛り込むべき事項として、6項に分かれております。まず、第1点は、これまでの我が国における水生生物の保全に係る調査検討の状況ということで、さまざま御指摘いただいているということ、あるいは検討を進めてきたということ、あるいは化学物質の水生生物への影響が見られるという点、こういったものを概説してまいりたいと思っております。
 2番は、第1回、第2回の専門委員会で御議論いただきました、水生生物の保全に係る環境基準の基本的な考え方でございます。水生生物保全の環境基準が、現在の保全体系の中でも可能であるというようなこと。集団として水生生物の保全ができていることと、対象物質のスクリーニング、基準値の設定の考え方及び類型あてはめの考え方などについて、非常にここでは簡単なようでございますけれども、載せております。
 3番、4番につきましては、須藤先生が先ほどおっしゃったように、まだ専門委員会の最終的な決定が得られておりませんので、別紙で補足させていただいております。
 5番目が基準項目、それから、要監視項目のモニタリングということで、評価とモニタリングのあり方を書いております。
 最後は、今後の課題でございます。
 参考資料に関しましても、これまで専門委員会の資料で公表いたしましたものの中から、幾つか抜粋という形でつけさせていただいております。必要であれば、さまざまな資料を出させていただきたいと思います。
 それでは、中身に入らせていただきます。
 まず、4ページでございますが、我が国における水生生物の保全に係る評価検討の状況ということで、簡単に下線部の部分について説明をさせていただきます。
 我が国においては、これまで化学物質に関し、環境基準など、水質目標というのは、水生生物の保全の観点からは設定されてきておりませんが、他方、環境基本計画等におきましては、さまざまな御指摘があり、またOECDからは、平成14年1月に、水生生物保全の観点からの水質目標の導入及び法規制の必要性が勧告されています。
 これまでの検討状況でございますが、本部会でも8月に御報告させていただきましたとおり、現在、専門委員会の委員長を務めていただいております須藤先生に座長をしていただいた検討会において、基本的な考え方についてまとめていただき、また、その時点で、水生生物保全のための水質目標値ということで案をつくっていただいております。
 また、化学物質の審査・規制や農薬の規制についても、水生生物を含む動植物への有害性に着目した取組みについて検討が進められてきておりまして、本日、資料の一番下に参考資料の番号はつけませんでしたが、化審法の答申についてお知らせ資料を配付させていただいていますが、こういった法律における生態系保全の取組につきましても、動きがあるところであり、本部会の先生方におかれましても、検討に御参画いただいているところでございます。
 化学物質の水生生物への影響でございますが、ここでは別紙に挙げております。
 1点は、我が国の河川水や湖沼水そのものを用いたような生態毒性試験の結果というもので、ポジティブな影響があるということ。
 水産庁さんの、少なくとも工場排水の影響というものだけを限って言っても、93年から2000年までの間に74件あったということ。
 また、私ども環境省が宮城県に委託して実施した結果ですと、高濃度の亜鉛及びカドミウムが検出される地点において、近傍のほぼ、自然状況が同様と考えられる地点と比べて、生物層等が薄いというようなことでございます。
 5ページにまいりまして、水生生物の保全に係る環境基準の考え方でございます。水生生物の基準は、水生生物の蓄積を通じた人の健康に与える影響を考慮して設定するものではない。こうした観点であれば、人の健康影響に係る環境基準をつくっていくことになります。
 また、集団の維持を可能とするレベルで設定すべきであり、特に感受性が高い生物個体の保護までは考慮しないとしております。
 対象物質でございますけれども、スクリーニングとしては、水生生物に影響を及ぼす恐れがあり、かつ、その化学物質が環境中で一定程度の濃度以上で存在するものとしております。具体的には、関係法令等により規制が行われている物質、製造、生産、使用及び輸入量の多い物質、PRTRパイロット調査結果、また、我が国の公共用水域の存在状況調査などから水環境中での検出状況を調べて、スクリーニングをかけております。
 次が基準値の設定についての考え方でございます。基本的事項ですが、水生生物の幾つかの成長段階を考慮した毒性データに基づいて、当該毒性試験法及びエンドポイントの信頼性などを考慮すること、また、原則として慢性影響の観点から検討するということでございます。
 ただし、基準値は維持することが望ましいというものでございますので、最大許容濃度や受認限度ではございません。ときどき、こういった基準値を超える水域に生息する魚は、何か悪いもの、腐っているですとか、そういったものではないかという御質問をいただいているのですけれども、そういったものではございません。そういうことも、きちっと説明することが必要かと思っております。
 基準値測定にあたっての文献収集範囲でございますが、「生活環境」に該当するものであって、その概念の中心にあります有用な動植物と餌生物による毒性評価文献、そして、生活環境の範囲でございますので、我が国に生息する生物で、通常の実験等に供されるようなもの、メダカなどは文献の収集範囲としてあります。
 基準値導出の手順でございますけれども、これに関しても参考資料の方につけておりますが、簡単に申し上げれば、お魚への影響については、信頼できるデータのうち、慢性影響での最小値を採る。それから、餌生物の場合ですが、一般的に魚介類が単一の生物のみを餌生物としているとは考えがたいことから、同じ属の生物を毒性値の幾何平均値を用い、その最小値を採ります。魚の影響から算出した目標値と、餌生物への影響から算出した目標値のうち、小さい方の数値を基準値として設定しております。
 7ページにまいりますが、基準値設定の類型区分でございます。
 まず、大きく淡水域と海域とに分けております。淡水域は、河川と湖沼は分けませんでしたのは、河川及び湖沼ですから、生物生息としては変わらないというふうに地元の方々からお聞きしております。このため、大きく淡水域と海域の2つに分けております。
 そして、さらに、淡水域に関しましては、その水温を因子として2つに区分することが可能でした。海域については、当面、一律の区分としております。
 ただし、その淡水域、海域、両方に共通いたしますけれども、産卵場及び幼稚仔の生息の場に関しては、特に感受性の高い時期に利用することを勘案し、海域及び淡水域2区分のそれぞれについて、特別域として別途区分し、より厳しい基準をあてはめることがあり得る、としております。
 ですので、合計といたしまして、淡水域で概念的に4水域、海域に関しては概念的に2水域がございます。
 8ページにまいりまして、類型あてはめの考え方でございますが、類型あてはめそのものは、国及び地方公共団体がこれを行うことになっております。類型あてはめは環境基準が告示されました後に、その指定を行うものですが、ここではそれにあたっての考え方をしてきております。
 ここの部分ですけれども、専門委員会でも、考え方のビジョンと申しましょうか、それについて記述するということでございますけれども、それについてはまだ、ここの中には入れておりません。最終的な報告案の中に、具体的に盛り込む予定としております。
 例えば淡水域でございますけれども、淡水域情報として幾つか挙げております。魚介類の生息状況、採取、目視などによる調査結果、既存の調査結果、それから、地元漁協さんに対するヒアリングなども考えられます。
 また、漁業権の設定状況でございますが、淡水域では、漁獲対象の魚介類を規定しているようなものがございますので、その設定状況、水産資源保護法など、各種法令の水域の設定状況、河床構造などを挙げてございます。
 海域についても同様でございますが、これについては、あてはめを行う際に、生活環境の項目同様、内湾及び沿岸地先海域などの範囲であろうと思っております。
 最後に、類型あてはめを要しない水域。水深等が確保されない水域など、一義的に水質目標を設定する必要がない水域もあろうということを感じております。
 9ページ目でございますが、ここは白紙になっております。個別項目及び基準項目が決まりました後、基準項目及び要監視項目の測定方法につきましては、現在、専門委員会で検討中でございます。
 10ページ目にまいりまして、基準項目、要監視項目のモニタリングでございますが、評価は基本的に年平均値、モニタリングは既存の環境基準点・補助点を活用しつつ、適切な地点を選定し、年間を通じて、月1日以上、測定した場合で考えておりますが、他方、例えば特定の時期などに着目するような必要性や、あるいは凍結等、調査に不適切な時期の有無などが、調査時期、頻度を変更するということもあり得るということでございます。
 11ページは今後の課題でございますが、(1)として情報の公表を挙げております。環境基準設定の根拠、審議過程等について、積極的に公表し、一般の理解促進を図ることが必要ということで、専門委員会においても公開で行っているところでございます。
 それから、毒性試験の実施でございますが、どうしても文献だけでは知見が不足するようなものもございますので、そういったものについては毒性試験を適宜実施するということでございます。
 そして、海生生物については、特にテストガイドラインの整備も必要と載せさせていただいております。
 (3)の環境中濃度調査の実施及び測定法の開発ですが、PRTRのデータ等を活用しながら、環境中濃度レベルの把握に努めることが必要だと考えております。
 また、4番でございますが、先ほどの類型あてはめの際に、いろいろな情報収集が必要というふうに書いてございますけれども、こういった情報を収集するための調査も必要であろうと。
 最後の(5)でございますが、適切な環境管理施策の検討でございます。
 環境基準の設定の結果、現況の公共用水域において環境基準の維持・達成を図るための措置が必要な場合には、水質汚濁防止法に基づく排水基準の設定等、対象項目の特性に応じた様々な水生生物の保全に関する環境管理施策を適切に講じていくことが必要、としております。
 以上でございます。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの一連の御説明に関連して、何か御質問とか御意見がございましたら、よろしくお願いします。池田委員、どうぞ。

【池田(駿)委員】 1つ質問をさせていただきたいのですが、7ページの類型区分で、淡水域と、それから海域の2分類で行うということですが、汽水域の取り扱いをどのように議論されたか、もしございましたらお伺いしたいと思います。
 といいますのは、汽水域は、流域から出ていく物質が比較的堆積をしやすい場所だと思われます。何らかの議論がやはり必要ではないかと。

【須藤委員】 どうも貴重な御意見をありがとうございました。
 専門委員会の中でも、そういう議論は当然ございましたし、汽水域を特別に分けた方がよろしいというようなこともありましたけれども、今のところは、汽水域、下流でございますので、河川の下流として、とりあえずは取り扱っていこうと、こういう判断をしているわけでございますが、先生がおっしゃるとおり、特殊な環境の場でございますので、ゆくゆくは汽水域、感潮河川ですね、この部分は分けなくてはいけないし、あるいは湖沼にしても、感潮域の湖沼もありますので、これは淡水、海水と単純に割り切れるものではないことは十分承知しております。
 議論はありましたけれども、今すぐにそこをどう取り上げていくかというのは次の課題にさせていただきたいと思います。

【池田(駿)委員】 そうですか。分かりました。

【須藤委員】 事務局、それでよろしいですか。

【村岡部会長】 満岡委員、何かございますか。

【満岡委員】 私ども、この水生生物の保全に係る水質基準は非常に重要だと思っておりますし、水質環境に関しましては、産業界としてはいろいろ努力してきたところでございますので、今回水生生物に焦点を当てた環境基準、これは非常に重要と思っております。
 そういう意味では、専門委員会ができまして、3回にわたっていろいろ専門的な検討をしていただいて枠組みについていろいろお話があったわけでございますけれども、私どもといたしまして、ちょっとお願いといいましょうか、この枠組みそのものというよりは、最後はやはりこの基準値をどういうふうにするかというところが、非常に重要だと考えます。
 環境基準でありますから、それを守るために、私どもはやはりその管理をどうしていくのか、施策をどうしていくのか、そういうところに結びついてまいりますので、この環境基準を決めるときには、ぜひ科学的な根拠をベースに、できる限りその点で御努力をいただきたいなと、こういうふうに思っております。
 きょう、わざわざ発言させていただきましたのは、ややちょっと先走っているかもしれませんけれども、今まで3回も専門委員会で検討いただき、なおかつ水質目標というのが出ておりますけれども、この水質目標がある程度ベースになって、基準値というものが考えられていく。あるいは、新たにいろいろな情報が加味されて基準化されていくのだろうと思うのですが、水質目標の段階ではいいのかなとは思っているのですが、そこから基準化するときに、今までの水質目標のデータでは、随分いろいろと足りないのではないのかなという心配をしております。
 例えば急性毒性、慢性毒性値というのは非常に少ないのではないのかと。そういうことで基準化されていきますと、人健康ではやはり、随分と慢性毒性値をとりながら環境基準というものを決めていると思うのですが、水生生物の保全に関しましても、やはりいったん基準化されて、それが排水基準だとか何かに結びついていったときには、人健康だろうが水生生物だろうが、やはり基準値となりました暁においては、私どもの行動プログラムは一緒でございますので、ぜひ科学的な根拠に基づいて、この水生生物の保全に係る基準化をしていただきたいなと、このように思います。
 ついては、6月に、この水環境部会で答申にしていただくことになりますので、そこで具体的にはいろいろな論議ができる場があるというふうに考えてよろしいのでしょうか。いろいろな今までのデータを、大変精力的に整理していただいた第3回の専門委員会のデータ等を見せていただいているのですが、やはり何かその行間を補足するとか、足りない部分は追加した試験を実施していくということが、どうしても必要なのではないかと、こんなふうに思っているものですから、そうします、本当にこの6月という答申が、どこまで科学的根拠に基づいたデータになっていくのかという点で、ちょっと心配もしているものですから、あえて意見として言わせていただきました。

【須藤委員】 不足している部分は、では、事務局からお願いをいたしますが、ただいまの満岡委員の御発言の部分につきまして、まず、科学的根拠でございますが、当然、科学的根拠は十分にあるものについて、目標値なり基準値なりというのを算定をいたしております。
 それから、不十分な場合には、例えば見送っているとか、これからデータをとりましょうとかというようなことをやっておりますので、水質目標値で挙げたものすべてを環境基準にするというような拙速なことは考えておりません。
 不十分な場合は、当然これからも調査もいたしますし、それから、検出状況を見ながら、検出がほとんどないのに基準を設けるとか、そんなこともしませんし、それから、人の健康と何が違うかといったら、最も違うのは、類型あてはめをしますので、要するに水生生物が生息あるいは産卵、そういう重要な場にいたしますから、全国一律にかけるというようなものではございません。
 ですから、1つ1つについて、ある類型をあてはめをするときには、その河川なら河川、湖沼なら湖沼、あるいは海について、その状況等、生息している生物の状況を見ながら、先ほどお示しした、これでよろしいとおっしゃれば、その6つの基準をかけていくと、こういうことになるわけでございます。
 ですから、人の健康と全く同じやり方をやっているわけではないということと、それから、科学的根拠は十分に満たすまで、目標値、あるいは基準値というものは、特に環境基準というものにはしないと。
 それから、場合によってはもう少し監視をした方がいい、調査をした方がいいというような場合には、要監視項目というのが、人の健康にもございますので、それはそういう形で設定をしていこうと、こういうことでございますので、前にお示ししたものすべてを基準値だと、こういうふうに思われないでいただきたいと思います。

【満岡委員】 その辺は、私も基本的には理解しているつもりなのですが、それにしましても、これは環境基準ではなくて数値目標のときなのですけれども、それが大分使われるとの前提に立って考えますと、やはり慢性毒性値が非常に少ない。
 例えば、今9物質でいろいろ御検討いただいて、それが8物質になるというふうに聞いておりますが、そこからまた、環境基準化される物質については数が減るのかもしれませんけれども、それにしましても、目標値導出のための利用できるデータがかなり少ないのではないのかなという危惧を持っています。
 それから、例えば一般海域、A、Bでもそうだったかもしれませんが、稚魚の生育のデータの方が基準値が高いものがある。基準値といいましたか、目標値がですね。あるいは毒性値が高いものが部分的にもあったり、そういうところをどういうふうに考えていくのかなと。もっとデータの収集や、あるいは実験が必要ではないのかというふうに感じているものですから、十分な科学的根拠に基づいてやっていただければと思います。

【須藤委員】 はい、かしこまりました。

【村岡部会長】 では、浅野委員、どうぞ。

【浅野委員】 須藤委員長の御説明でよく理解できたので、もうこれ以上の質問は必要ないのかもしれないのですが、生活環境項目として位置づけるというこの部分は極めて重要だと考えます。
 一体この水生生物の保全に係る環境基準というのは、何が最終の、一番の目的なのかということをはっきりさせておく必要があると思います。つまり、化学物質管理法ではないわけだし、それから、水道水の安全基準を念頭に置いて環境基準を考えるというのとは違うわけです。もともとこの議論が出てきたのは、人の健康だけを考え、あるいは水の産業的な要素だけを考えて水質を考えるのはおかしいのではないかというところから始まっているわけですから、ある意味では、出てくる基準値というのは、指標的な意味のものになるのかな、というのが私の理解です。
 つまり、この物質は危ないからたたかなければいけないというような観点から物質が選ばれるのではなくて、やはりある種の環境が汚染されていて、それから、水生生物に影響を及ぼすものであると。1つの指標のようなものだというとらえ方になっているのではないか。
 だから、ちょっとその目で見ると気になりますのは、現在検討されている物質の全てについて、直ちに水濁法による排水基準の設定によってこれを実現するとかというような話になるのかどうか。もちろん多くはそうならなければいけないのだろうけれども、物質によっては、排水基準と無理やり結びつけるという考え方に、ひょっとしたらならないかもしれない。
 というのは、面的な負荷というのが結構あって、それが大きく効いているという場合に、水濁法の排水口のところだけで規制をかけたって、面的負荷は下がらないということがあるかもしれない。どうしても、排水口で引っかけられるものだけを探すということになると、発想が逆転するんですね。
 それから、もう1つ気になりますのは、突発的漁業被害発生報告書の中身は存じ上げませんので、間違った理解をしているのかもしれませんが、どうも従来の我々の感覚で言うと、こういうのは事故型公害と言っていて、継続的な操業に伴って、継続的な人間活動に伴って生ずる汚染負荷の結果というものではなくて、突発的なものですから、こういうものを取り上げてああだこうだという議論をやっていくと、ますます何か規制法的な色彩が表に出てしまうのです。
 もともと意図したところはそことは違うわけですから、だから、できるだけ代表性がありそうな、自治体で地域指定をしようと思う場合でも余り困らないような、それから、測定を一月に1回やれというわけですから、めちゃくちゃに分析にお金がかかるようなものがいっぱい並んでいて、あれも危ない、これも危ないと、次から次へと項目が増えていくというようなことにならないような環境基準でないと、生活環境項目として位置づけるということとははずれてくるような気がします。
 このあたりを十分にお考えの上で、専門委員会の議論が進んでいるというように、ただ今の須藤委員長のお話をお聞きし理解いたしましたので、大いに安心をいたしましたが、以後もよろしくお願いいたします。

【村岡部会長】 ほかにございますか。中西委員、どうぞ。

【中西委員】 来週、水環境学会があるのですけれども、そこで私どもの方で、河川中カドミウムの生態リスク評価というのを発表するのですが、実は、今あるデータを一生懸命、2年間ぐらいにわたって解析をしてきているのですが、今あるデータを、従来のダイオキシンだとかフェノールだとか、そういうようなものと比べて考えると、河川中のカドミウムの濃度というのはべらぼうに低くなければいけないという感じになってくるんですね。
 これは、米国でも 0.1マイクロですね。 0.1マイクロですから、0.0001ミリグラムというような環境基準を設定したり、カナダに至っては、 0.017とか何とかというような環境基準を設定したりしているわけです。
 それで、私どももそれを、今までの従来の考え方で、満岡委員がデータがないと言いましたが、データはかなりの量、サケ、マスについては3世代のデータまでありまして、そういうものを使いますと、確かに今までの考え方を適用するとそういう環境基準値を設定しなければいけないような水域が出てくる。
 これは、こういう状態ですよというのが今回の水環境学会なのですが、ではどうするかというところで非常に私たち悩んでおりまして、これを環境基準値にすべきなのかという。そうすると、亜鉛とかカドミという金属と、やはりフェノールとかホルムアルデヒドというようなああいう有機合成化学物質とは違うのではないかなと。要するに、マネジメントの仕方が違うのではないか、あるいは環境基準のあり方が違うべきではないのかというふうに考えてしまうのです。
 それで、例えばここに4ページか何かに例がありました宮城県の迫川という、カドミウムの濃度が14マイクロとか15マイクロとか、そういうようなところが測定されている、報告されている10か所ぐらいのところを見に行ってもらったんですね、うちの研究室で。そういうところで見まして、魚はやはり結構いっぱいいるわけですね。
 それで、確かに底生生物などはやや低いかなというデータもありますが、あと、これが標準に選ばれているところ自体が1マイクロなんですね。この、今の話の。1マイクロとか10ぐらいと。と、アメリカなんかのをいくと、もう1マイクロ以下でなければいけないという形になっていまして、そうすると、本当にこういうような、マネジメントの目標である環境基準値を、こういう今までの議論、今まで化学合成物質について私たちが考えてきたものを、金属という元素、それから、土からもいろいろなところからも出てくる、そういうものであてはめてしまっていいのかということを、非常に私たちも疑問に思っていて、どうすべきかということをもう、議論に議論を重ねているところなのです。
 ぜひ、環境基準値の設定のときには、金属と有機合成化学物質について、マネジメントに若干の違いを持って考えていただけないものかというふうに考えているところです。

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 鈴木委員、どうぞ。

【鈴木(英)委員】 前の土壌の委員会のときにも申し上げたのですけれども、この種の話というのは、やはり環境保全、あるいは環境改善というのが基本的な大目標になるべきということを前提としつつ、あと2つぐらい、原則があるのではないかと思うのです。
 第一は、もし基準を決めるのであれば、それは、先ほどもお話がありましたように、合理的なものであって、説得的なものであるということが非常に大事だということで、やはり科学的に相当、基準値に対する説明というのが必要であります。ぜひ合理的、説得的なものにしていただきたい。
 第二は、やはりそれを改善していくためにどうすればいいかという戦略が必要でしょう。効率的で、実効性が上がる改善方法というのに則ってないと、絵に描いた餅になってしまい結局効果があがらなかったということになりかねません。したがって、やはりある程度先まで見越したシナリオが必要なのではないかと思います。先に環境基準を決めて、それから後でその施策を考えましょうということではなくて、一気通貫で、全体の総合評価をしていただきたいということでありまして、そういう先の環境管理施策も含めて、トータルとしてどういう判断をすべきかということを、ぜひお考えいただきたいというふうに思っております。
 これは、専門委員の方々が検討しておられるので、私のような素人から申し上げるべきことでもないかもしれませんが、場合によって、もし私どもが希望しましたら、どういう手順でこの基準が決まるのかとか、その辺も含めて御説明いただける機会を与えていただければというふうに思っております。よろしくお願いします。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 では、大西委員と森田委員ということで、あとまた報告事項もありますので、そのお二人でということで。

【大西委員】 若干ですが、業界から出ているので、ちょっと追加で私もやりますけど。
非金属系の産業界を代表しているわけではないのですが、今問題になっています亜鉛ですが、何て言いますか、この環境基準評価の対象の中で、やはり先ほどおっしゃった金属系の中の亜鉛についてなのですけれども、亜鉛は60万トン前後が日本では使用されている。そのうちの60%強が、いわゆる耐食性、腐食防食剤とかと列挙されて使われております。
 それが自動車用やなんか、あるいは家庭用電化製品等、非常に広く使われております。そういう腐食を防ぐための金属として幅広く使われているわけで、いわゆる、先ほどおっしゃったように水生生物の保全のための環境基準を設定する上では、業界のではあるのですけれども、設定に当たっては、もともと、御承知のとおり亜鉛というのは必要な金属の一種であるというのも非常に重宝されますし、先ほどからも出ておりますが、基準設定がまずありきではなくて、もし担うとすれば、どのぐらいの数値以下を目指してやるべきであるとか、そういう観点から先にスタートするのも1つの方法ではないかなと。
 ちょっと見れば、ダイオキシンも毒の扱いになってくるのですが、あるいはPRTR等の設定にあたって、産業界は間違いなく自主的に目標値を拾って、その達成に向かってやっておりますし、現実に増えてきておるということなので、特に亜鉛という物質につきましては、先を見渡すような努力、それもあるということを踏まえて、慎重な議論をしていただきたいなというお願いでございます。

【村岡部会長】 では、森田委員、どうぞ。

【森田委員】 先ほどちょっと議論の中で、浅野先生がおっしゃった、こういったものは指標的なものではないかという、ちょっと御発言があったような気がするのですが、指標ではなくて、多分個別の生態に明確に危険性を及ぼしているものに対して、そして、それが十分な証拠のあるものに対してつくろうとしている、そういう基準値だというふうにそれを、そして、指標といいますと、例えばCODとかああいう包括的な指標では決してなくて、個別の数字だというのをちょっと確認をしておきたかったのが1つです。
 それから、もう1つ、今まで随分といろいろな議論が出ておりまして、多分基準をつくるに当たっては、十分な根拠が必要であろうかという御趣旨だと思うのです。そこは非常にもっともなところでありますので、それについては専門委員会での相当きちんとした議論内容を記載する必要があるかなと、そういう感じがいたしました。
 例えば4ページに書かれています化学物質の生態、水生生物への影響という(3)のところなんかが、少しバランスが悪いような、見た感じもちょっとありますし、もう少しここは丁寧に書いて、なぜそのような生態影響があるのでやらなければいけないかということを、肉づけをもう少しやっていただくことが必要かなという気がします。

【村岡部会長】 浅野委員、特別に。

【浅野委員】 先程、指標的と言ったのは、まさに「的」のところに意味があったわけで、下手をしますと環境基準というのは、ほかの場合にもあるのですけれども、それをつくると、それだけ対策をすれば、もうそれで環境が良くなったという誤解を招いてしまう恐れがある。
 しかし、こういう水生生物保全ということを考えるときに、そういう発想にならないことが必要だということを申し上げたかったのです。

【村岡部会長】 では、簡単にひとつ。

【高橋委員】 すみません、時間のないところを。今のことにちょっと関連してですけれども、6ページの[1]のところの下に、「なお」として書いてある部分ですが、これは否定文になっているのですけれども、これでは言わんとするところがよく私には分からないので、これを肯定文に直せばどうなるのでしょうか。一般の人がこれを読んだら、ますますよく分からないと思います。
 これを見て、意見を述べられる方の立場からしますと、もう1つ言いますと、今後の課題のところ、この辺は重要だと思うのですが、とりあえずこういうように決めるということは分かるけれども、どういう問題が今後に残されて、今環境省はどういうふうに取り組もうとしていて、どういう見通しであるのかということを、もっと詳しく書いていただきたい。先ほどから出たような意見についても、ここにさらに書き加えるということはできないのでしょうか。
 それから、すみません、長くなって。私としては、私なんかの立場からすると、この環境基準が、その考え方ですね、例えば生物多様性保全という立場とはどういう関連があるのかとか、それから、ここには書いてない、これまでの経過、81項目が挙げられて、その中から9項目なり8項目ないしが今、基準値を決めるその経緯ですね。なぜそんなようなものが後回しになっているのか、それをどう取り組んでいくのかということは書かれるべきだと思います。
 そうでないと、大変な勘違いが生ずると思うのです。勘違いにも2通りがあって、1つは、環境省はなまけているというふうな勘違いがあると思うんですね。もう1つは、ほかのものについては安全なのだという勘違いがあると思うのです。
 ですから、その辺の、今の流れも含めて、今後の方向というのをもう少し詳しく書いていただいた方が分かりやすいと思います。

【村岡部会長】 ありがとうございます。
 幾つかおっしゃったわけですが、それも含めまして、専門委員会で十分検討していただきたい。

【須藤委員】 1つは、本来ですとお答えしなくてはいけない部分がありますが、繰り返しになります部分がありますので、よく承りましたので、さらに検討させていただきます。

【村岡部会長】 時間がございませんので、ほかにも御意見があろうかと思いますけれども、今回は中間報告に対する御意見ということでございますので、非常にたくさんの貴重な御意見をいただいたと思います。
 特に6月の部会答申ということですので、そのときにも議論できないわけではありませんけれども、それまで、今日いただきました細かい点もたくさんありましたので、それも記録にとどめていただいて、専門委員会の方で、須藤先生には非常に御苦労をかけますが、それも含めて、きょうの御議論の内容も踏まえた御討議をいただくことをお願いしたいと思います。

【須藤委員】 はい、かしこまりました。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、次の4の議題になります。これは報告事項でございまして、議事次第にございますように幾つかございます。そんなに時間がありませんので、恐縮ですが、それぞれ事務局から御説明していただきます。全部まとめてした上で、また最後に御質問をいただいてと。順次よろしくお願いします。

【田熊補佐】 企画課の田熊でございます。
 資料の7番でございますが、1番目の報告でございますが、昨年の2月に報告をさせていただきました、平成13年度ダイオキシン類の調査結果等ということでございます。
 ここでは、水質についての概要ということで抜き出して書いておりますけれども、主要な点を申し上げますと、公共用水域水質につきましては、全国 2,213地点ありますが、環境基準超過地点としては47地点の 2.1%ということで、昨年度に比べ減少ということでございます。
 ダイオキシン類の濃度の平均値について言いましても、昨年度からは減少しているということでございます。
 それから、公共用水域の底質でございますが、これにつきまして、濃度の平均値としましては 8.5ということで、100pg-TEQ/gですが、前年度より若干低くなっているという状況でございます。
 それから、地下水質につきましてですが、環境基準につきましては全地点で達成ということでございます。濃度については、同程度ということになっております。
 これは、若干改善という程度ということで、こういうふうになっているわけですが、ダイオキシン類の排出総量というのも計算しておりまして、ダイオキシン法に基づきます排出規制によりまして、平成9年で比較しました排出量としては77%ということで、確実に削減を図ってきておりまして、これは水質の改善傾向というのも、そのあたりにつながっているのかなということで推測しております。
 資料8番でございます。2つ目は、公共用水域の水質測定結果ということで、これも昨年末公表させていただいたものでございます。
 検討項目につきましては、全国的にほぼ環境基準を達成ということでございますが、生活環境項目につきましては、環境基準の達成率は8割に迫るということで、横ばいながらも高い数字であったということでございます。
 それから、引き続きですけれども、湖沼の達成率は45.8%ということで、低いということで、なお改善努力が必要ということでございます。
 それから、窒素、燐につきましてですけれども、海域につきましては、近年70%を超える達成率で推移と。
 それから、湖沼については、依然これも40%前後というふうに低いということで、これも改善する必要があるということでの、全国的な傾向でございます。
 資料の方では、後で詳しく御覧いただければと思いますが、3ページだけまず御覧いただきますと、ここでBODとCODの濃度の推移について書いております。これも、河川なんかは特に顕著ですけれども、達成率がちょっとよく分かりにくいところがございますが、見ていきますと、減少傾向にあるということが言えます。
 湖沼については、平成2年度から10年度まで少し高い値で推移していますが、ここ3年間は若干濃度が低くなってきているということが御覧いただけるかと思います。
 それから、9ページ、10ページは、公表のときの新聞記事を御紹介させていただいております。今年は、タマちゃん効果もありまして、例年より記事として取り上げられたということが言えるかと思いますが、もう1つのトピックとしましては、毎年、河川と湖沼でベスト、ワーストということでランキングを出しておりますけれども、手賀沼川の27年連続ワースト1というのが、導水事業等の各般の対策によりましてワースト1を脱したということがニュースとしてはあります。
 以上、簡単でございますけれども、御紹介させていただきました。

【望月室長】 続きまして、13年度地下水質測定結果の御報告をいたします。
 最初の7行にその概要が書いてあります。全国で 4,722本の井戸の調査をしたのですが、そのうちの 7.2%に当たる 341本の井戸においていずれかの環境基準項目が超過したということです。
 ちなみに、平成12年度の超過率は 8.1%でした。なお、この概況調査というのは、どちらかというと新しい汚染を発見するような調査ですので、12年度の井戸と13年度の井戸が必ずしも一致してはおりませんけれども、こういった結果が出ております。
 項目的に見ると、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の超過率が最も高くて 5.8%、次に砒素 1.3%、ふっ素 0.7%となりました。
 次のページに全体の概要が書いてあります。
 水質測定結果については、以上でございます。
 次に、資料10に従いまして、平成13年度の全国の地盤沈下地域の概況について、御報告したいと思います。最初の4行に主要な内容が書いてあります。
 13年度の結果でございますが、年間2cm以上沈下した地域というのは9地域、これは12年度の7地域に対して、やや増えています。
 沈下した面積が、これは1つのエリアで1km2以上の地域の面積の合計ということでございますが、28km2。ちなみに、12年度は6km2でございました。
 次のページの最初のところに、沈下した面積が2cm以上の地域の具体的な地域名が書いてあります。表-2、先ほどの2cm以上沈下した地域の面積の大きなところを具体的に示しておりまして、千葉県の九十九里平野の27km2が最高ということです。
 過去の経緯は3ページ目に書いてございます。平成6年は大渇水が起こったのですが、渇水時には沈下がかなり進行するということが分かっております。それ以降は、地下水採取規制等の効果もあって、やや沈静化しているということ、概略はそういう状況にあると思います。
 以上でございます。

【仁井課長】 引き続きまして、資料11、12に基づきまして、2点ほど報告いたします。
 資料11は、釜房ダム貯水池と諏訪湖に係る湖沼水質保全計画の策定ということでございますが、これは、湖沼法に基づきまして、5年に一度、計画の改定をしているものでございます。いずれのダムも、今回が4期の計画になります。
 釜房ダム、諏訪湖の水質現況は、下の表のとおりでございますが、5年ごとの平均水質みたいなレベルで見ますと、わずかずつではありますが、2つの湖沼とも着実に下がってはきております。
 いずれの湖沼におきましても、生活排水対策等、低減の対策はかなり進んでおります。釜房ダム流域においては、下水の普及率で7割程度行っていると思いますし、諏訪湖では9割を超えているかと思います。
 釜房ダム貯水池に係る計画では、畜産系に係る対策に重点を置き、あるいは諏訪湖についての計画では、ノンポイント対策に重点を置くといったような計画になっております。
 2月24日に、環境大臣の同意のもとで正式に決定というものでございます。
 それから、資料12でございますが、前回も御紹介させていただきましたが、期日も近づきましたし、第3回世界水フォーラムについて御案内申し上げます。
 来月の16日、日曜日から、翌日曜日、23日までの1週間プラス1日、京都、滋賀、大阪で、第3回世界水フォーラムが開催されます。先生方も、積極的に御参画いただければ幸いでございます。
 私どもは、おめくりいただきまして3ページの中ほどからございますが、フォーラムの部分で、水環境部主体になりまして、水環境学会、国連大学、IGESとジョイントしながら、モニタリングについてのセッションを主催いたします。これが、金曜日、3月21日の午後でございます。
 それから、4ページでございますが、廃棄物・リサイクル対策部におきまして、フォーラムのオープニングの日、3月16日、日曜日、これも京都の宝ヶ池プリンスホテルでございますが、我が国独自の技術でございます合併処理浄化槽、これについての情報発信を目指すセッションを主催いたします。
 あと、水フォーラムのパンフレットも配らさせていただいておりますので、ぜひ見ていただければと思います。
 以上です。

【早川室長】 引き続きまして、最後でございますけれども、資料13の改正農薬取締法の施行に向けた検討状況でございます。前回の水環境部会で、ちょうど衆議院を通過した段階で、途中経過でございますけれども、報告させていただきましたが、無登録農薬の輸入・販売に端を発しまして、先の臨時国会で、無登録農薬の製造、輸入及び使用の禁止、特定農薬の指定、あるいは農薬使用者が遵守すべき基準の策定、罰則の強化、こういったものを主な内容とする農薬取締法の改正案が可決、成立しました。12月11日に公布されまして、平成15年3月10日に施行される予定となっております。
 このうち、特定農薬の指定と農薬使用者が遵守すべき基準の策定については、環境省と農林水産省が共同で行うことになっておりまして、平成14年12月10日の農業資材審議会に諮問され、その後、中央環境審議会農薬専門委員会と農業資材審議会の関係小委員会の合同会合での審議を経て、先月、1月30日に農業資材審議会から、以下を主な内容とする答申がございました。
 現在、施行に向けて、関係する告示・省令の制定作業を行っているところでございます。
 簡単に特定農薬と農薬使用者が遵守すべき基準について御説明いたしますと、特定農薬といいますのは、今回の改正により基本的に登録された農薬以外は使用禁止ということになりますと、農家が安全性上問題のないものまで規制するというのは、過剰になるのではないかということがございまして、ここに書いてございますけれども、原材料に照らし、人畜等に害を及ぼす恐れがないことが明らかな農薬であり、登録を受ける必要がないものというものが、今度新しく設けられたものでございます。
 これにつきましては、農林水産省の方で情報を収集しまして、インターネット、ファックス等で、延べ 2,900件ほど情報が集められた、そういったものを精査・整理したところ 740種類ぐらいの情報になりまして、さらに、明らかに農薬ではないものを除きまして、約 680種類ほどになりました。これを、農薬専門委員会と農業資材審議会の小委員会の合同委員会で精査したということでございます。
 そこで、最終的に、殺菌作用を持つ重曹、食酢、それと使用場所の周辺にもともといた天敵、これらが現段階では特定農薬に該当するのではないかというふうに答申をいただいたところでございます。
 その他、たくさんの資材につきましては、現時点で安全性とか効果に関する情報が不足しているため判断できないということで、農薬とすることを保留し、逐次そういう情報が集まった段階で検討していくというふうになったものでございます。
 ただし、なお書きに書いてございますけれども、この農薬とすることが保留されたものは、薬効すなわち農薬としての効果があることをうたって販売されるような場合には、これは従来と同じように取り締まりの対象としますけれども、使用者が農薬的に使えると信じて使う場合はこの限りではないとしました。農薬かどうか分からないものにつきましても、農薬効果をうたえば、それは農薬というふうに考えるということでございます。
 2番目でございますけれども、農薬使用者が遵守すべき基準ということで、これも新しく導入されたもので、今までは使用者罰則がかかっていなかったものに、使用者罰則をかけるということでございます。
 この基準につきましては、使用可能なすべての農薬について農薬使用者に遵守義務を課すこととしたということでございます。これについてはいろいろな審議の結果、具体的には、食用農作物等に農薬を使用する場合に農薬登録時に定められた作物、使用時期、使用総回数等について遵守しなければならないといったことを主な内容とする旨答申されました。これを踏まえて今、告示・省令等の制定をしているところでございます。
 以上でございます。

【村岡部会長】 どうもありがとうございました。
 以上、7つの報告をいただきました。あわせまして、皆様方から何か御質問、御意見等がございましたらお願いします。
 よろしいでしょうか。どうぞ、岸委員。

【岸委員】 資料10の地盤沈下の2ページ目に、2cm以上沈下した場所というのが出ていますけれども、これはどういう原因で地盤沈下しているんですか。

【望月室長】 それぞれの地域によって原因は異なるわけですけれども、まず、新潟県ですと、これは豪雪地帯ですので、冬に地下水を汲んで、その地下水で雪を溶かすという、消融雪のために地下水を採取しているわけです。その地下水を採取することによって地盤が沈下するということで、今、六日町等においては、条例等を制定して、地下水を汲み上げて消融雪はするのですけれども、きちんとした管理・対応をしているということです。
 熊本、それから神奈川の横浜、これは、建設工事に伴うものであります。
 次に、千葉の九十九里、これは天然ガスを含むかん水という地下水をくみ上げることによって沈下をしてます。越谷あたりは、一般的な地下水採取ということです。それから、茨城もそうですね。
 山形は、先ほど言った消融雪のための地下水採取ということです。
 それから、長野につきましても、これは軟弱地盤で、地下水採取等によると、こういうことだと思います。
 最後の千葉については、必ずしも定説となるような原因が分からないので、引き続き調査しております。
 こういうことでございます。

【岸委員】 ありがとうございます。なぜ気にしたかというと、今すごく温泉がふえていて、私の畑がある山梨県でも特別区域は別ですが、一般地域では既存温泉から300m以上距離があれば掘ってもいいという山梨県の温泉部会の審議方針があり、もう温泉だらけになってしまっている。これも地盤沈下の原因なのかなと思ってちょっと心配になりましたので伺いました。

【村岡部会長】 池田委員、どうぞ。

【池田(駿)委員】 ただいまの御説明の中で、熊本県の熊本平野に関して、建設工事に伴うということをおっしゃったのですが、私の理解では、やはり、熊本県は涵養量と、汲み上げの量がバランスしておりませんで、はっきりした数値は今覚えていませんが、涵養量が約1億tぐらい不足をしていて、そのために地盤沈下を起こしているというふうに私は理解しています。建設工事ということになりますと、建設工事が終われば地盤沈下は起こらないことになるのですが、私はもう少し恒常的な問題ではないかと思っておりますが、どうでしょうか。

【望月室長】 先生御指摘のように、熊本地域は非常に地下水に依存しておりまして、基本構造というのは先生のおっしゃったとおりなのですけれども、この具体的な場所の内容について申し上げたところです。ですから、おっしゃるようなことで、我々も理解したいと思います。

【村岡部会長】 ほかにございませんか。高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】 質問なんですけれども、農薬に関するところで、最近よく外来の生物が導入されているのですが、例えば花粉の媒介とかのためのもの、それから、アイガモ農法の中でも、何か水草を導入して使っているというのを記事で見たことがありますが、そういうものは農薬には入らないのでしょうか。ちょっとカテゴリーが違うかなと思うのですけれども。大変問題だなと思いながら見ていたものですから。

【早川室長】 農薬取締法では、天敵も農薬に該当するというふうに書かれています。すなわち、天敵も農薬になっていることでございまして、例えば天敵でも外来の、例えば、いろいろな寄生蜂とかでよその国から導入してきたものなどについて既に農薬として登録されているのがありますが、これはいろいろな観点から評価をしています。越冬するのではないかとか、飛んで行ってしまうのではないかとか、花粉への影響とかいうものを確認した上で登録していまして、今回の特定農薬というのは、そういうような恐れのない本当に、先ほども書いてありましたように、その地域の、そこにもともといたようなもの、こういったものを特定農薬として登録をしなくてもよいということにしたことと、もう1つは、今2点目でおっしゃいました、アイガモのように特異的に一定の病害虫や雑草を防除するというようなものではない、雑食性のものは天敵という範疇に入らないものであり、農薬というふうに考えていかなくてもいいだろうということで外れたわけでございます。
 もっと言いますと、そもそもそれはいわゆる天敵にも当たらないということで、農薬として考えなくてもいいだろうと。要するに、自由に扱っても構わないという、そういうことでございます。

【須藤委員】 今の高橋先生の御質問でございますが、私、農薬専門委員会の委員長を務めておりまして、この審議に実は加わった者でございます。
 それで、天敵、農薬ということについての定義は、先ほどの室長のおっしゃるとおりなのだけれども、先生の御質問は、それ以外の、花粉を媒介するやつとか、そのほか、水生植物を植えるとか、そういうようなことについてはどういう適用かということだったと思うので、それは、こういう農薬取締法の範疇ではないということで、一般的なそういう、例えば外来生物をどう防除していったらいいかとか、禁止したらいいかという議論であって、農薬の範疇の話ではないということでよろしかったですよね。ということなので、先生の御質問については、天敵の話ではないと。

【高橋委員】 カテゴリー外と。

【須藤委員】 はい、カテゴリー外と。ただ、アイガモのように、雑草を食べて歩くんですね。それは、新聞の記事にもなりましたように、アイガモは農薬かというようなタイトルがあったんですね。大変おもしろがってやったので、まじめに、何十人の先生方と一緒に議論したのは、何か奇異な感じはするのですけれども、要するに、それは特定のそういうものについて作用するということではないので、とりあえずは別のということで、もう少し効果をねらうというので、先ほどおっしゃったような幾つかしか、実際には決められなかった。
 ただ、天敵としては、一般的には農薬の範疇に入ると、こういうことでございます。

【村岡部会長】 では、谷山委員。

【谷山委員】 農薬についてですけれども、使用が禁止された農薬で、もう既に輸入されたものであって、その量は掌握されているのだろうと思うのですけれども、そういったものの取り扱いはどうなっているのでしょうか。

【早川室長】 今お話の使用が禁止された農薬については、例えば回収をどうするかということでございますけれども、それにつきましては、前回の臨時国会でもそういう議論がございまして、実は、今度の通常国会で、使用禁止となった農薬が販売された場合には回収を命ずることができるというような措置を盛り込んだ改正法案を今国会に提出しているところでございます。

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 ちょっと時間も過ぎておりますので、これぐらいにしたいと思います。
 最近の水に関係する環境の状況や、活動の状況を報告いただきました。ありがとうございました。
 それでは、最後のその他の議題に入ります。
 そこでちょっと、私の方から1つ、議事を起こさせていただきたいのですが、それは、中央環境審議会水環境部会の専門委員会の設置についての改正でございます。
 これは、海域環境基準専門委員会、それから陸域環境専門委員会、それからダイオキシン類環境基準専門委員会、この3つの専門委員会は、きょう2つ答申をいただきましたが、それぞれの専門の事項にかかわる調査が終了いたしましたので、それに対しまして、専門委員会をここで整理するというものでございます。
 その内容につきまして、事務局からちょっと御説明いただきたいと思いますが。

【盛山課長】 資料14でございます。今、部会長から御説明があったとおりでございます。議題1の類型の見直し、そして、議題2の暫定目標の見直し、これらにつきまして御答申をいただきまして、まことにありがとうございました。
 これをもちまして、陸域、海域の専門委員会、一応、いったん議論が終わったわけでございますので、閉じさせていただきたいと思っております。
 また、昨年答申をいただきましたダイオキシンについても同様でございますので、今回、あわせて整理をさせていただきたいと思っております。
 これら3つの専門委員会は、いずれもこの水環境部会になる前の、水質部会の当時に設置されたものでございます。陸域につきましては、平成9年以降、今回のものを含めて4本の答申を出していただきました。海域につきましては、平成6年の設置以降、6本、ダイオキシンにつきましては、平成11年の設置以降、2本と、こういうことでございますので、今回整理をさせていただきまして、資料14の(案)にございますように、残りますのが、環境基準の健康項目と、水生生物、この2つについてということにさせていただきたいと思います。
 もちろん、今日もいろいろ御議論が出ましたけれども、今後検討しなければならない検討事項等もございますので、また必要がありましたときには、弾力的にまたお諮りをいたしまして、新たな専門委員会の設置その他ということになろうかと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。

【村岡部会長】 ただいまの事務局の御説明のように、3つの専門委員会につきまして、用務が終わりましたので、ここでいったん廃止にするということでよろしゅうございますか。

              (「異議なし」と呼ぶ者あり)

【村岡部会長】 ありがとうございました。
 それでは、これからの組織につきましては、資料14に記載されているような方向で進めさせていただきます。
 なお、これまで専門委員会でいろいろ努力してこられた委員におかれましては、いろいろ御苦労があったことと思います。改めてお礼申し上げます。
 それでは、この辺で本日の議事を終わりにしたいと思いますが、その他のその他といいますか、今後の日程等について何か、事務局、ございますか。

【盛山課長】 長時間御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の水環境部会は、5月下旬から6月頃をめどといたしまして、第8回ということで開催させていただきたいと思っております。いずれ、それぞれ委員の先生方には御案内を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、どうもありがとうございました。

【村岡部会長】 それでは、少し時間が経ちましたけれども、いろいろ御活発な意見、ありがとうございました。これで部会を閉じさせていただきます。

午後 3時09分 閉会