陸域環境基準専門委員会(第18回)議事録

日時等
  令和5年2月6日(月)16:15~ (Web会議)
議題
  (1)水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しに係る報告案について
  (2)暫定目標の見直し期間について
  (3)その他

議事録

午後4時15分 開会
【百瀬課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、第18回中央環境審議会水環境・土壌農薬部会陸域環境基準専門委員会を開会いたします。
 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらず、ご出席いただき、大変ありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議での開催となります。会議中、音声が聞き取りにくいなど不具合がございましたら、事務局までWeb会議のチャット機能やお電話にてお知らせいただければと思います。
 なお、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づきまして公開とさせていただいておりますので、環境省水環境課の公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。
 Web会議の開催に当たりまして、全面Web会議としておりまして、音声のみの配信といたしますので、あらかじめご了承ください。通信環境の負荷低減の観点から、カメラ機能は通常はオフにしていただきますようお願いいたします。また、マイク機能は、委員長及び発言者以外はミュートに設定していただきますようお願いいたします。
 なお、ご発言の際は、お名前横にある挙手アイコンをクリックしてください。ご発言の意思は、このマークで確認をさせていただきます。委員長からのご指名後、マイクのミュートを解除していただき、ご発言いただきますようお願いいたします。ご発言後は再び挙手アイコンをクリックし、挙手をオフに操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフを操作できないため、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。また、やり方が分からない場合には、適宜、意見のある旨をおっしゃっていただければと思います。
 本委員会の委員の先生方につきましては、お手元の名簿のとおりでございますが、改めまして本日ご出席の先生方をご紹介いたします。Web会議のため、差し支えなければ、お名前を呼ばれましたら、そのときだけカメラ機能を一旦オンにしていただきたく、お願い申し上げます。
 それでは、初めに、委員長であります風間委員長でございます。
【風間委員長】 よろしくお願いします。
【百瀬課長補佐】 続きまして、本日ご出席の委員の先生方を名簿順でご紹介させていただきます。古米委員でございます。
【古米委員】 古米です。よろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 井上委員でございます。
【井上委員】 井上です。よろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 尾﨑委員でございます。
【尾﨑委員】 尾﨑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 高津委員でございます。
【高津委員】 高津です。よろしくお願いします。
【百瀬課長補佐】 木幡委員でございます。
【木幡委員】 木幡と申します。よろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 田尾委員でございます。
【田尾委員】 田尾と申します。よろしくお願いします。
【百瀬課長補佐】 長岡委員でございます。
【長岡委員】 長岡です。よろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 南山委員でございます。
【南山委員】 南山です。よろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 和田委員でございます。
【和田委員】 和田です。どうぞよろしくお願いいたします。
【百瀬課長補佐】 ありがとうございます。
 本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員11名のうち10名にご出席をいただいております。
 次に、事務局からの出席者をご紹介します。事務局につきましては、名前の読み上げのみとさせていただきます。
 まず、環境省水・大気環境局、水環境課の大井課長でございます。
【大井課長】 よろしくお願いします。
【百瀬課長補佐】 また、菊地富栄養化対策専門官。
【菊地専門官】 よろしくお願いします。
【百瀬課長補佐】 最後に私、課長補佐の百瀬でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局水環境課長の大井より、ご挨拶申し上げます。
【大井課長】 委員の皆様におかれましては、ご多用なところ、ご出席をいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃から水環境行政の推進につきまして、ご助言、ご指導、様々いただいておりますことを改めて御礼申し上げたいと思います。
 本専門委員会でございますけれども、平成13年9月の諮問以降、8回にわたりまして、生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定、あるいは見直しなどにつきまして、専門委員会の報告を取りまとめていただき、また、いただいた方針に基づきまして環境省において河川・湖沼に関する環境基準の水域類型の指定、あるいは暫定目標の見直し、こういったことを進めてきているところでございます。
 前回、令和2年に、当時、新たに建設されました大滝ダム貯水池などの河川類型から湖沼類型の見直し、それから相模ダム貯水池等の暫定目標の見直しについて検討を行っていただいたところです。本日は、そのとき以来の開催となりますけれども、暫定目標の期限を迎えようとしております渡良瀬貯水池及び荒川貯水池、この二つの貯水池の暫定目標見直しについて、ご審議をいただきたいと思っております。専門委員会としての報告案をおまとめいただければと思ってございます。また、暫定目標の見直しに係る期間、この考え方につきましても、ご意見を賜れればと思っているところでございます。
 以上、本日はどうぞよろしくお願いをいたします。
【百瀬課長補佐】 ありがとうございます。
 それでは、カメラ映像はここまでとし、これ以降は音声と資料映像のみとさせていただきます。
 続きまして、資料の確認に移ります。事前にメールでご案内のとおり、議事次第のほか資料1の委員名簿、資料2、資料3、資料4、資料5、参考資料が1から7となっております。もし、不足等がございましたら、改めてメールまたはチャット機能などでお送りいたしますので、お申出ください。よろしいでしょうか。
 それでは、以降の進行につきましては、本専門委員会の委員長でございます風間委員長にお願いをいたします。それでは、風間委員長、よろしくお願いいたします。
【風間委員長】 風間です。
 それでは、早々、議事に入りたいと思います。
 まず、議題1の水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の水域類型の指定の見直しに係る報告案について事務局から説明、お願いいたします。
【菊地専門官】 環境省の菊地です。よろしくお願いいたします。
 議題1の説明に入る前に、議題1と議題2についてですが、議題1は類型指定の見直しを行うもので、参考資料5に基づく中央環境審議会への諮問の案件でございまして、報告書を作成したうえで、水環境・土壌農薬部会から中央環境審議会へ報告して答申をいただく審議案件となります。
 一方、議題2は、暫定目標の期間の見直しを検討することについて、この会議の機会に委員の方々からコメント御意見賜りたい旨の議事であり、答申いただく案件ではないこと、始めに申し上げます。
それでは議題1に係る資料の説明をさせていただきます。
まず資料2の説明となります。これまでの河川・湖沼に係る類型指定の見直しの経緯及び今回の検討事項についてです。
 1.検討の概況です。環境基本法第16条第2項に基づく環境基準の水域類型の指定について、政府が類型指定を行うとされている水域は、政令に基づき、47水域となっており、うち陸域は37水域で、参考資料1のとおりとなります。
 そして水域類型の指定については、「水質汚濁に係る環境基準について」の告示に基づき、水域の様態の変化等事情の変更に伴い適宜改定することとされていまして、また、環境基準の達成期間内における達成が困難と考えられる水域については、暫定目標を設定し、段階的に水質改善を図ることとされていて、詳細は参考資料2のとおりです。
 現在、参考資料5の、環境大臣から中央環境審議会会長への諮問により、河川・湖沼におけるBOD又はCOD、全窒素・全燐等の類型指定の見直しの検討を随時行っており、これまで、こちらに書かれているような案件に関する答申がなされ、類型指定の見直し等が行われています。
 2頁目の2の項目ですが、今回は、これまで既に類型指定されている水域のうち、暫定目標の期限が到来していて、見直しが必要な渡良瀬貯水地、荒川貯水池について検討を行うこととしております。
 それでは具体的にこの2つの貯水池の暫定目標見直し案について説明します。資料3が報告書の本体になる部分ですが、結論部分となり、資料4がその検討経緯となりますので、まずは資料4から順をおって説明いたします。資料4は目次のとおり、検討経緯の説明部分と巻末資料で構成されています。
 1頁目です。(1)からの説明になります。2つの貯水池では、平成25年に河川類型から湖沼類型への見直し、類型としてはAⅢ類型で指定していますが、暫定目標を設定しています。渡良瀬はCODが7.4、全窒素が1.3、全リンが0.078mg/L、荒川はCODが3.7mg/Lで設定しました。なお、荒川について全窒素は基準から除外しており、また、全リンについて暫定目標は設定しておりません。
 そして(2)です。概ね5年後の平成30年に1回目の暫定目標の見直しを行い、渡良瀬はCODが5.5、全窒素が1.0、全リンが0.078としており、荒川はCODが3.7と、つまり渡良瀬のCODと全窒素の値を見直しております。
 この平成30年度の見直しにあたっての議論の中で、専門委員会から次回見直し時の課題として、次の検討課題が提起されました。そのまま読み上げます。
 なお、これらの貯水池は一般的なダム湖と運転管理の方法が異なるため、水質汚濁のメカニズムも異なると推測されることから、今後は、貯水池の運転管理状況や水質保全対策の効果などを注視しつつ、流入率をはじめとする関連の情報を整理し、貯水池の特性を考慮した水質予測手法について検討していく必要がある。
 このことを踏まえまして、令和2年度から4年度の検討会において、これらの2貯水池に適用する水質予測手法について検討を行ってきました。検討会委員は、栃木県、埼玉県、群馬県の自治体職員の方々、有識者の方4名で構成していました。
 2頁目がその検討会での検討経緯のまとめとなりますので、3頁目から順をおって説明します。
 3頁目です。(1)1)からです。まず、この2つの貯水池における水運用について整理しまして、詳細は渡良瀬については巻末資料の1-1頁から1-4頁、荒川については巻末資料の2-1頁から2-4頁に記載があります。貯水池への流入が人為的にコントロールされており、一般的なダム貯水池のように上流から流入水が全て貯水池に流入してくるわけではなく、特殊な運用になっていまして、他の類型指定されている人工湖沼では他に例はありません。
 次に2)です。これに起因して、「水域への流入負荷量÷流域の発生負荷量」で算出される流入率を、他の人工湖沼と比べますと、4頁目の図2のとおり、突出して小さいものとなっています。
 次に(2)です。この貯水池の特性を考慮した水質予測手法を検討会で検討しました。水質特性を分析したところ、2つの貯水池ともクロロフィルaとCODに相関が見られ、内部生産の影響によるものとうかがえました。他にも湖内水質が流入水質や流入負荷量と相関が見られたりしましたが、次に(3)です。これらに統計的に優位な関係は得られたものの、検討会での検討・議論の結果、目標値設定のベースとなる年統計値を基本とした検討には限界がある等、新たな予測手法として採用するには科学的説明が不充分であり、現段階で新たな予測手法を設定することは難しいとの結論が得られ、予測式による暫定目標の設定を断念しました。
 次に4頁目には対象水域の流入率を国類型指定の人工湖沼と比較した図です。
 5頁目は参考までに対象水域の流域面積、貯水容量、滞留日数を国類型指定の人工湖沼と比較した図が記載されています。
 6頁目に移ります。【予測手法の考え方】①から③の説明になります。①負荷量算定からの従来の水質予測手法の適用が不適と専門委員会で、②新たな予測手法も困難であると検討会で結論されましたが、③現況分析や将来予測の基礎データとして用いている現況水質(実測値)は、内部生産の影響や湖内水質保全対策の効果を含んでいるデータであるとの意見があったことを踏まえ、直近の実測値をベースに将来の水質目標値つまりは暫定目標を設定するものとしました。
 なお、これら2つの貯水池は特殊な運用を行っており、ここで設定する水質予測手法は、これら2貯水池に限定して検討を行ったものです。今後、別の水域において同様の水質予測手法等についての課題が生じた際には、必要に応じ、個別に対応しますこと、ご承知おきいただければと思います。参考として従来の人工湖沼の類型指定の検討で用いられている水質予測手法を掲載しています。
 この設定方法について7頁目です。直近の実測値をベースに将来の水質目標値を設定する方法として、直近の5年間のうち最小の水質値を基本的に改善目標値とする方法を考えました。
 1)①の説明になります。直近5年間のうち最小の水質値とは、CODであれば直近5年間のうち年間75%値の最小値に相当する水質値、全窒素全リンであれば直近5年間のうち年間平均値の最小値に相当する水質値となります。これらを基本的に改善目標値に設定しますが、ただし、その値が何らかの影響により特異値であったとき、水域が通常の状態ではないときの水質を目標とする懸念が考えられます。
 そこで水質の経年変化等を勘案し、直近5年間のうち最小の水質値を改善目標値に設定することが適切ではないと判断した場合、当該最小値に相当する値として、ここでは「1/5相当水質」と呼ぶようにしますが、直近10年間のうち2番目に小さい水質値を改善目標値に設定します。
 ②の説明に移ります。その1/5相当水質設定の具体的な検討の視点ですが、まず1点目として1/5相当水質の設定を行う対象期間の設定、1/5か2/10かの設定根拠を検討します。水質経年変化から、長期的な変化から見て直近5年の水質変化が特異的である場合に、直近10年でみていくといった、妥当な期間を抽出します。
 次に2点目として、1/5相当水質設定期間での特異値の有無等を、その期間内での水運用や気象の状況から確認をすることで、その1/5相当水質が特異値ではないことの妥当性の確認をします。
 そして3点目として、その1/5相当水質は今後も実現可能な値なのか、汚濁負荷の将来見込みや水質保全対策の実施状況を勘案し、将来的に現状の水質レベルが維持もしくは改善されることが見込まれるかどうかを確認します。
 次に2)の説明です。以上に基づき、直近の実測値から改善目標値を設定しますが、現行の暫定目標と比較し、「実現可能と考えられる最も低い値」を暫定目標に設定します。これは参考資料3における現行ルールでの、現行の暫定目標と改善目標値を比較する決め方を踏襲します。
 次に、具体的に各貯水池で暫定目標の設定方法について見ていきます。8,9頁目は結論になりますので、10頁目から説明します。
 10頁目です。まずは渡良瀬貯水池についてです。1/5相当水質を、直近5年の最小値とするか、直近10年の下から2番目を選ぶかについて、水質経年変化を見ていきます。
 長期的に見ると、COD、T-Nについては、過去は少しずつ減っていく傾向でしたが、直近10年程度、ここでは平成23年度から令和2年度まで横ばい~微増傾向となっています。T-Pについては、横ばい傾向です。
 直近5年、ここでは平成28年度から令和2年度まででは、COD、T-N、T-Pのいずれの水質項目についても、平成30年度、令和元年度等に高い濃度の年が見られます。COD75%値については、直近10年の最大値から3番目まで、7.5,7.2,6.5mg/Lが直近5年に含まれています。T-N年平均値については直近10年の最大値から2番目まで、値としては1.5と1.3mg/Lです。T-P年平均値については直近10年の最大値から3番目までが、値としては0.12,0.11,0.097mg/Lが直近5年に含まれています。さらに、T-P年平均値については、直近10年の最小値、0.059mg/Lも直近5年に含まれており、変動も大きくなっています。また、直近5年の平均値と直近10年の平均値を比較すると、例えばCOD75%値であれば、前者が6.7、後者が6.2であり、前者の直近5年の方が高い濃度となっています。
 このように、渡良瀬貯水池の直近5年の水質は、経年的に見て高い傾向にあるとともに、変動も大きく、1/5相当水質を設定する期間として、直近5年を用いることは適切ではないと判断されます。
 口頭での補足です。渡良瀬貯水池では、長期的な水質変化傾向は漸減もしくは横ばい傾向にあるわけですが、この直近5年の濃度が高くなっているという傾向が今後も続くのか、一時的なものなのかは現時点では判断がつきません。
 一方、この直近5年から改善目標値を選ぶと現行の暫定目標の5.5mg/Lより目標が緩くなりますが、今後も直近5年のような傾向が続くのかどうかが現段階では判断できない状況であるため、今回は直近10年を対象として1/5相当水質を設定することとし、次回の5年後に改めて検証することとしました。
 以上を踏まえ、渡良瀬貯水池の1/5相当水質としては、直近10年第2位(2/10)の水質を設定し、値としては、10頁目下の表の黄色ハッチングになりますが、CODについて平成26年度の5.2mg/L、T-Nについて平成25年度の0.93mg/L、T-Pについて平成26年度の0.065mg/Lを改善目標値に採用しますが、次の5年後の見直しの際にこの妥当性について、今後の水質変動を踏まえて検証する必要があります。課題設定については後で説明します。
 次に11頁です。直近10年の水質より1/5相当水質を設定することを踏まえ、直近10年の水質値に特異値等が無いかを確認します。直近10年の貯水池の水運用、気象状況と水質を比較し、図2.4に示します。洪水調節の有無や流入・放流量等、水運用に起因すると思われる特異的な水質を呈する年、また、気温や降水量等、気象要因によると思われる特異的な水質を呈する年はいずれも見られません。
 次に12頁です。図2.5に現況及び将来の汚濁負荷量の変化を示します。COD、T-N、T-Pのいずれについても、流域からの汚濁負荷は将来減少する見込みとなっています。また表2.2に示すとおり、干し上げやヨシ原浄化施設による植物プランクトンの削減を促進する等、水域管理者による水質保全対策が継続的に実施されています。以上を踏まえると、渡良瀬貯水池において、将来的に現状の水質レベルは維持もしくは改善されることが見込まれます。以上の気象等の影響による特異値がないことと今後の負荷量見込み等の観点では、先ほど設定した改善目標値は合理的であると判断しました。
 次に13頁です。同じように荒川貯水池についても1/5相当水質を設定していきます。
 長期的に見ると、荒川貯水池のCODは、直近10年程度の期間は、それ以前の期間と比較して全体的に水質の濃度レベルが上がっています。
 直近5年の水質、COD75%値は、平成28年度が6.1,平成29年度が6.5,令和2年度が6.8と高い濃度の年が見られる一方で、平成30年度,令和元年度は4.5と比較的濃度が低くなっています。直近10年の最大値から3番目までの高い水質値6.8,6.5,6.1と、直近10年の最小値と2番目に低い水質値、これら同じ値で4.5ですが、これらが直近5年に含まれており、変動の大きな5年間となっています。また、直近5年平均値が5.7、と直近10年平均値が5.5なので比較すると、直近5年の方が高い濃度となっています。
 暫定目標設定項目ではありませんが、T-N、T-Pの水質傾向を見ると、直近5年は明瞭に高い傾向にあり、いずれも直近10年の最大値から5番目までが全て直近5年に含まれています。
 このように、荒川貯水池の直近5年の水質は、経年的に見て高い傾向にあるとともに、変動も大きく、1/5相当水質を設定する期間として、直近5年を用いることは適切ではないと判断されます。
 こちらも口頭補足します。荒川貯水池では、植物プランクトンによる内部生産の影響なのか、長期的に見て、CODは10年ほど前からやや濃度レベルが上がっている傾向があり、さらに、この直近5年の濃度が高く変動も大きい傾向となっていますが、この傾向が今後も続くのかどうか、また以前の水準に戻るのか、現段階では判断がつかない状況であるため、今回は直近10年を対象として1/5相当水質を設定することとし、次回の5年後に改めて検証することとしました。
 以上を踏まえ、荒川貯水池の1/5相当水質としては、直近10年第2位(2/10)の水質を設定することとしましたが、結果としては直近5年以内に入っている平成30年度又は令和元年度の4.5という値を改善目標値として設定することになります。
 こちらについても渡良瀬貯水池同様、次の5年後の見直しの際にこの妥当性について、今後の水質変動を踏まえて検証する必要があり、課題設定については後程説明します。
 そして、14,15頁ですが、渡良瀬のときと同様に、特異値の確認、将来の負荷削減見込みを14,15頁で確認すると、詳細は割愛しますが、渡良瀬同様問題ないと判断できますので、この設定した改善目標値はそういう観点で見ると合理的であると判断します。なお、15頁の表2.3のとおり、荒川貯水池では曝気循環対策や噴水対策等を施しています。
 8頁に戻ります。以上設定した改善目標値を現行の暫定目標と比較します。渡良瀬については、下の表のとおり、現行目標より設定した改善目標値が下回っているので、COD 5.2,T-N 0.93, T-P 0.065を新たな暫定目標とします。一方荒川については、CODについて、設定した改善目標値4.5mg/Lと現行の暫定目標値3.7mg/Lを比較し、「実現可能と考えられる最も低い値」として、現行の暫定目標値を踏襲することにします。なお、過去の水質値、COD75%値を見ると、平成20年度が3.1mg/L、平成14年度が3.6mg/L、平成13年度が3.6mg/L等があり、3.7mg/Lは実現可能な値と考えられるとしています。以上の暫定目標を令和9年度までの目標に設定します。
 なお、この8頁の表に、この2つの貯水池には適用困難という結論ですが、従来水質予測手法による改善目標値を参考として載せています。
 9頁に移ります。次回見直し時における課題として挙げておくべき事項を書いています。
 1点目は、今回暫定目標を実測値に基づいて設定したわけですが、今後5年間の水質の推移等を踏まえ、設定方法の妥当性について検証する必要があります。
 2点目は、今回、荒川貯水池に設定した令和9年度までのCOD暫定目標値3.7mg/Lは、平成25年に河川類型から湖沼類型に見直された際に設定した暫定目標値を2度にわたって踏襲しているものですが、その要因は経年的に荒川貯水池のCOD濃度が上昇傾向にあることにあります。
 今後も、COD濃度が上昇傾向を続けた場合、暫定目標値が実現可能な水質ではなくなってしまう懸念があると同時に、流域からの負荷が年々減少しているにもかかわらず水質が悪化していることとなります。
 その場合、これらの要因について明確にした上で、適切な目標設定についての検討が必要となりますことが課題として挙げられます。
 以上の検討経緯や結論及び課題をまとめたのが資料3となり、報告書の本体となる資料となります。
 繰り返しになるので詳細の説明は省略しますが、2頁目ですが、「1 検討の概況」で渡良瀬貯水池と荒川貯水池の緒言と、この2つの貯水池について検討を行いますという旨を記載しております。
 2頁目後半、「2 検討の結果」において、(1)では環境基準の水域類型の指定を2つの貯水池に利用目的の適合性から湖沼AⅢ類型に当たることを記載しています。
 3頁目、(2)環境基準の達成期間では、水質濃度のトレンドがA類型及びⅢ類型の環境基準を上回っていることから、引き続き渡良瀬のCOD、全窒素・全燐、荒川のCODに暫定目標を設定する旨を記載しています。
 ここで荒川のリンについてですが、近年の水質の実測値が上昇傾向にあり、環境基準値を上回る年もあるものの、平成27年度までの値が湖沼Ⅲ類型の基準値0.03mg/Lを継続的に下回っていたことから、達成期間は、引き続き【イ 直ちに達成する。】とします。しかし、今後もこの上昇傾向が続くのであれば、次の見直し時に暫定目標の設定を検討することも検討します。
 3頁の下の方、(3)では先ほど説明しました新たな暫定目標の設定経緯とその結果、目標年限は令和9年度とする旨を記載しています。
 最後の5頁目にまとめの表を掲載し、今後の課題を記載している構成としております。今後の課題は重要な部分ですので、一言一句読み上げますと、
 なお、これらの貯水池は一般的なダム湖と運転管理の方法が異なるため、貯水池の特性を考慮して、今回、直近の実測値からの設定により、暫定目標の設定を行ったが、今後5年間の水質の推移等を踏まえ、設定方法の妥当性について検証する必要がある。
 また、荒川貯水池においては、CODが近年上昇傾向にあるものの、過去に現行の暫定目標を満たす年があったことから、現行の暫定目標を据え置いたが、今後5年間の水質の推移等を踏まえ、その取扱い、つまり暫定目標を3.7mg/Lのまま据え置くことの是非について、検証する必要がある、といった課題になります。
 この課題に関して本日御欠席の萱場委員から、5年後目標値を再検討、濃度上昇の原因究明をするにあたっては、検討材料、つまり資料・データが不足し、原因究明にいたらないといったことは避ける必要があるため、検討のための材料集めが必要だと思いますと御意見コメントいただいておりまして、水域管理者等からのヒアリング等により情報収集を行いつつ、検証していくことが今後考えられると思います。
 最後資料3に資料4の目次をつけているのですが、これは以上の結論に至るまでの検討経緯が資料4にあり、資料4も報告書の本体となる資料であることを明示させていただいたこと、御承知おきください。
 最後に、参考資料6をご覧ください。先ほど説明しました、専門委員会から次回見直し時の課題に対する対応としてまとめた資料です。①貯水池の運転管理状況や水質保全対策の効果などを注視②流入率をはじめとする関連の情報を整理③貯水池の特性を考慮した水質予測手法について検討といった大きく3つに分けた課題について、検討会で検討してきた経緯と対応、先ほど説明しました内容を示していますのが、表のとおりとなります。
 以上、長くなりましたが説明を終わります。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明のありました資料2、資料3及び資料4につきまして、ご質問、ご意見がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ、木幡委員ですか。
【木幡委員】 木幡です。よろしいでしょうか。
【風間委員長】 どうぞ。
【木幡委員】 丁寧に説明されたので、大体理解はしたつもりです。それで、また流れとしても問題ないと思うのですが、1点だけ気になるのは、説明されてはいると思うのですが、例えば資料4の13ページ、最近荒川貯水池の水質濃度が急に高くなっているのですが、これについて、原因がよく分からないということだったのですよね。
 それで、いろいろお話も出てきて、疑問に思うのは、管理者へのヒアリングとか聞き取り、それで原因を考察するとか、あるいはアオコ対策だという説明が、確かあったと思うのですが、対策、原因調査、予測みたいなものは進んでいるのでしょうか。それが1点目です。
 それから、もう1点は、これがアオコだとすると、利用者あるいは住民からの苦情みたいなものは上がっているのでしょうか。
 それで、ちょっと不思議だったのは、前回のときの問題点として、その辺は上がっているわけですよね。管理者の管理状況をきちんと精査しろということがあるのに、それがどういうふうになったのか、それから、これから先の5年後に、それをもう一回、検証するというのだけど、具体的に何をどういうふうに検証するか、もう少し何かないでしょうか。
 例えば、同じ資料4の9ページ、次回見直し時に向けての課題として、アのところで最後で「設定方法の妥当性について検証する必要がある」、こう書いてあるのは、これはもっともだし、その次のところのイの一番最後の「要因について明確にした上で」検討すると。これもごもっともなんだけど、具体的にどんな方針になるのでしょうか。その辺も、もし具体的な案があれば、教えていただきたいと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局のほう、今のご質問に対して、いかがでございましょうか。
【菊地専門官】 ありがとうございます。
 まず、湖内の対策につきましては、従来から湖内の水質保全対策というのは継続実施されておりまして、そのことは水域管理者より提供を受けました資料、ダムなど管理フォローアップ年次報告書とか、あと定期報告書というところから確認をしていて承知しているところであります。
 ただ、今後、そういった資料に記載した以外の新たな対策を講じたというところは聞き及んでいないのですが、今後、水域管理者などと情報を交換しつつ、そういった対策の状況というのを注視していきたいと思っております。
 続きまして、住民の方の苦情があるのかというところですが、住民の苦情はないと聞いておりまして、こちらはヒアリング結果等で承知しているところであります。
 続きまして、5年後、どうすればいいのかというところになりますが、これは2つの貯水池に対しまして湖沼類型に指定してから10年以上たちまして、モニタリングデータが蓄積された上で検討を行った結果、内部生産の影響によって貯水池のCODなどの濃度が上昇していると考察したのですけれども、繰り返しの説明になりますが、明確に原因究明というのには至っていないので、今後、水質が改善するのか、悪化するのか、現時点では判断がつかない状況です。
 というところなのですが、今後もモニタリング結果とか水域管理対策の状況というのも見ていきながら、水域管理者などと水質の状況や対策などに関する意見交換を行いながら、場合によっては、中々基準達成するのが難しいというところが生じれば、今の基準の緩和も含めた検討というのが必要なのかなとは考えております。以上となります。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 ご質問いただいた委員のほうは、この答えでよろしいですか。
【木幡委員】 どうもありがとうございます。よろしくお願いします。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 次にほかにどなたか。先ほど手を挙げられていた方がおられたような気がいたしますが、いかがでございますか。よろしいですか。
 尾﨑委員、手を挙げていただきました。どうぞ、お願いいたします。
【尾﨑委員】 資料4の12ページのほうなんですけれども、荒川貯水池では負荷量の6割前後が土地系からの発生量になっていますが、それが現況も将来もあまり変わっていないように見えるのですけれども、土地利用の実態調査等は最近はやっていらっしゃるのでしょうか。
【風間委員長】 ありがとうございます。事務局のほう、いかがでございますか。
【菊地専門官】 土地利用のデータは収集、把握はしております。
【風間委員長】 これは、ご質問のように、大きく変わっていないということを確認しているということですよね。
【尾﨑委員】 山林等は、近年管理が悪くなり、発生負荷量が増えているところもありますので、もう一度、やっぱり発生負荷を再調査するとか、そういうことをやっていただければと思っています。以上です。
【風間委員長】 ご意見としていただきます。ありがとうございます。
 今のご意見に対して、環境省のほう、どうですか。
【菊地専門官】 ご意見を賜りまして、今後の検証の参考とさせていただければと思います。ありがとうございます。
【風間委員長】 ありがとうございました。
【尾﨑委員】 どうもありがとうございます。
【風間委員長】 ほか、いかがでございましょうか。
 もう一度、今、お手を挙げていらっしゃる木幡委員、どうぞ。
【木幡委員】 すみません。もう一回で、申し訳ないのですが、資料3の3ページ目の(2)の全リンについてですけど、前は環境基準を満足していたのだけれども、最近満足していない。今の段階では達成期間が【直ちに達成する】ですが、口頭でご説明のときに、これから先では、場合によっては暫定目標の設定も考えられるというお話をされたのだけれども、そういった決め方の例はあるのですか。要するに、今までは環境基準をしっかり達成できていたのが、基準を達成できなくなったから暫定にするということは、今まで例があったんですか。教えていただけますか。
【風間委員長】 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
【菊地専門官】 お答えいたします。今まで、そういった達成できなかったから暫定目標を設定するといった例はございません。以上です。
【風間委員長】 ありがとうございます。
【木幡委員】 ありがとうございます。
【風間委員長】 よろしいですか。
 この水域が少し難しいことを示している例と思っております。
 ほか、いかがでございましょうか。特に、これ以上のご意見がないというようであれば、議題1については、まとめさせていただきたいと思いますけれども、よろしいですか。
 いろいろとご質問もいただきましたし、ご提案もいただきましたが、議題1につきましては、最終的には私にご一任いただきたいと思います。資料3の内容を本委員会の報告案の本文として、また資料4の内容を報告案の参考資料として取りまとめたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
(異議なし)
【風間委員長】 ありがとうございます。
 それでは、議題1につきましては、そのようにまとめさせていただきます。ありがとうございました。
 では、次に、議題2に移りたいと思います。こちらのほうは、暫定基準の見直し期間についてということでございます。
 当初、最初に説明がありましたように、これは審議案件ではないということですけれども、ここで皆さん方のご意見を伺いたいということでございます。
 それでは、事務局のほう、説明をお願いいたします。
【菊地専門官】 承知いたしました。
 それでは、資料5の説明をさせていただきます。繰り返しになりますが、この議題に関しましては先ほどの議題とは独立しておりまして、諮問対象ではないというところで、先ほどの専門委員会の報告案というところには盛り込まず、ご審議いただくというよりは、この機会にご意見やコメントをいただければという案件でございます。
 まずは1頁目、検討内容から申し上げると、これまでは、5年後を暫定目標の目標年次と定め、概ね5年毎に暫定目標の見直しを行ってきましたが、今後は、目標年次は定めず「当面の間(かん)」とすることも選択できるように変更したいと検討しております。
 (1)の説明です。背景としては、汚濁負荷削減対策が一定程度以上に進んだ流域では、5年程度の期間では汚濁負荷の減少の程度が僅かであり、明瞭な水質改善効果が発現していない場合も考えられます。令和3年度に行った関係自治体ヒアリングにおいても、頻繁な見直しでは効果が出る前に目標が見直されてしまうため、運用しにくいといった意見が出されております。
 このような背景を踏まえ、現在見込み得る施策による水質の改善見通し等を勘案し、実現可能な範囲で、年限を定めない当面の目標水準とする水質を暫定目標として定めることとしてはどうかという考え方です。
 【参考】として、国が類型指定している人工湖沼の中で暫定目標を設定している5つの水域を示しております。
 表の下の説明をします。この表のとおり、国指定の暫定目標を設定している湖沼だけでも、目標の見直し幅が小さく、従来の暫定目標を踏襲することが比較的多くなっています。また、設定されている暫定目標の多くは、環境基準を大きく上回る水準となっており、つまり現況水質も環境基準を大きく上回っています。この状況下で、現行のルールでは、先ほど申し上げたとおり、もう少し長いスパンで暫定目標の見直しを検討していった方が良いと判断されるような水域においても、今後も5年毎に機械的に暫定目標を更新し続けていくこととなるため、効率的・効果的なルール運用の視点からは、課題があります。
 なお、口頭補足ですが、従来の目的である「段階的に暫定目標を達成しつつ、環境基準の可及的速やかな達成に努める。」にそぐわない水域や、機械的に従来の方法を踏襲することが効率的・効果的な運用とならない水域において「当面の間の暫定目標」を選択できるようにすることを意図しております。一方、今までどおり5年毎の更新が効果的と判断すれば、そちらを選択することもできるように検討していることを申し添えます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
 2頁目です。四角の中が、現行の暫定目標見直しのルールが記載された通知となります。一部読み上げますと、「暫定目標については、現在見込み得る施策による水質汚濁の改善見通し等を十分勘案して定めるものとし、おおむね5年ごとに必要な見直しを行うものとする。」としております。この部分、「必要に応じて暫定目標の値の見直しを行う」と解釈することで、現行のこの通知のままでも、先ほど申し上げた取扱いである、『「暫定目標の達成期間を当面の間とする」を選択し得ること』を読み込ませることを考えておりますが、もちろんこの解釈について補足する通知を出したり、通知を一新することも検討します。
 ただし、「当面の間」を適用する場合には、全く何も水質状況をチェックしなくなるのが危惧されることなので、対象水域の水質管理・監視が適切に行われるよう、「おおむね5年ごとに必要な見直し」の内容について、明確にしておく必要があると思っております。4頁で詳しく述べます。
 なお、議題1における渡良瀬・荒川貯水池の暫定目標においては、目標年次は従来同様に概ね5年後の令和9年度とすることとしています。これらの2水域への「当面の間」の考え方の適用については、次回見直し時に検討したいと考えています。
 3頁目に移ります。「当面の間」という用語の行政上の取扱いについては、下記参考例①から③に示すような状況でありまして、説明は省略しますが、基本的には、「その規定等が改正または廃止されるまでの間」として扱われています。したがって、今回の暫定目標の取扱いに「当面の間」を当てはめた場合には、定めた暫定目標が見直されるか、もしくは、環境基準の達成により廃止されるまでの間、その暫定目標は有効ということになります。
 4頁目に移ります。先ほど申し上げたとおり、暫定目標の目標年次について、従来からの概ね5年毎の暫定目標の見直しに代えて、「当面の間」を選択した場合においても、対象水域の水質管理・監視が適切に行われるようにしておく必要があると考えます。
 そこで、「当面の間」を選択した場合においても、従来同様に対象水域の水質の現状や流域の負荷の状況、水質保全対策の実施状況などの整理・検証を行うとともに、検証結果を踏まえ、暫定目標の見直しも含めて必要な措置をとるものとするようにします。
 まず、暫定目標の見直しに際して従来どおり整理してきた項目に準じ、対象水域の水質の現状や将来見通しを検証するにあたって必要となる情報について整理・検証します。
 具体的には、貯水池・水域等の概要、水質の状況、水利用、貯水池運用の状況、流域及び水域における水質保全対策の実施状況、現況及び将来における水質汚濁負荷量、その他必要な項目を整理します。
 検証にあたっての留意点としては、流域の人口変化、土地利用の変化、事業所の立地、気象・水文等の大きな変化が生じている場合は、水質変化等を注視します。
 流域の状況等に生じている変化と水域の水質状況が対応していない場合、例えば、算定した汚濁負荷量が減少しているにもかかわらず水質が改善していない場合などにおいては、丁寧にその要因を分析・検証するとともに、必要な措置について検討する等が挙げられます。
 次に、以上の整理・検証結果に基づいて、対象水域の水質の現状、水質形成機構、将来見通しの検証を行い、暫定目標の見直しも含めて、以下の必要な措置をとります。
 まず暫定目標を廃止するケースですが、現況水質が環境基準を安定的に達成し、かつ、将来の流域の負荷量の見込み等より判断して今後も達成が見込める場合、暫定目標を廃して通常の告示に基づく環境基準値に戻します。
 第2のケースとして、現況水質が設定している暫定目標を達成し、かつ、今後も達成が見込める場合、より厳しい暫定目標への見直すケースがあります。
 第3のケースとして、流域・水域の状況や利用状況の変化、新たな科学的知見等により、暫定目標の見直しが必要と判断される場合があり、具体的には、自然発生由来の水質悪化や、従来の水質予測手法やシミュレーションが通用しないような不可逆的な水質悪化等により、現行の暫定目標の達成が困難となっている水域の目標値見直し、目標緩和も含めた検討等も含みます。
 以上のケースに当てはまらない場合は、原則として暫定目標の見直しは行いませんが、検証結果を踏まえ、必要に応じて次回検証に向けた課題設定等を行います。
 以上、暫定目標を設定している全国の湖沼について、暫定目標を5年の目標年限に拘らず柔軟に検討できるように、しかし少なくとも概ね5年を目途に対象水域の状況の整理を行うことを推奨するようにしたく、以上のルールを整備し、通知等で都道府県にお知らせすることを検討しています。
 この資料5につきまして、御欠席の萱場委員から、今後は、気候変動等の影響等も踏まえて、暫定目標ないしは環境基準のあり方を検討していく必要があると御意見コメントいただいておりまして、大きな議論へ繋がる御意見としてお受け止めいたしました。
 説明は以上となります。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 ご説明いただいたように、これから「当面の間(あいだ)」という考え方を入れていきながら、ただし、そこで何もしないということではなくて、しっかり継続調査はしていただきながら、最後に、ここの4ページ目にありますように対策、それも考えていただきたいということのようでございます。こちらの説明につきまして、ご意見等、あれば、いただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 和田委員。
【和田委員】 今の新たな考え方の取扱案について、意見を申し上げたいと思います。
 現行ルールは、先ほど環境省のほうからご説明のあったように、いわゆる水質の対策を行っても直ちに環境というのは効果が見えにくいことから、効率的・効果的な運用ができないのは十分理解できます。
 ですが、5年ごとでなくなると、例えば、行政とか自治体では人が替わりますし、それから担当する部局さえも変わることもあろうかと思います。これまでも水域における経緯や一連の施策などを十分に理解、把握されていないことが多々ありましたので、したがって、「当面の間」の選択をされても、4ページの取扱いに書かれてある水域の水質管理・監視、そしてまた整理や検証がしっかり適切に行われることが担保されて、そして、それらの周知徹底を図っていただきたいと強く思います。以上です。
【風間委員長】 ありがとうございます。事務局のほう、いかがでございますか。
【菊地専門官】 ご意見、ありがとうございます。和田先生のおっしゃることは、そのとおりだと思っておりまして、技術継承という観点からも、今後年々と担当者が替わっても、水質管理について徹底していただけるよう、こちらとしても周知の仕方を考えていきます。以上です。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 高津委員から手が挙がっていると思いますが。
【高津委員】 軽微な話なんですが、先ほどからちょっと気になっているのが、「当面のあいだ」と風間委員長がおっしゃるのに対して、菊地さんは「当面のかん」と言っていたり、音読みと訓読みの違いで、一般的には「当面のあいだ」、訓読みのほうが一般的と思うのですが、これについて統一しておいたほうがよろしいかと。行政文書としては、別に振り仮名がつくわけじゃないからいいと思うのですが、少し気になったもので確認のためです。以上です。
【風間委員長】 ありがとうございます。
 事務局、いかがでございましょう。
【菊地専門官】 一応、行政的な言い方として、「当面のかん」と認識しておりそのような読み方で説明しましたが、正確な言い方は確認させていただければと思います。
【風間委員長】 ありがとうございます。
 手を挙げていただきました、木幡委員、お願いいたします。
【木幡委員】 全体としては、もう効率的に運用するというので問題ないと思うのですけれども、そもそもこれを考えた経緯として、暫定目標を見直すときに、すごく負担があるということが背景にあるはずですよね。
 だから、公共水域の水質測定、あるいは、それなりの管理は常日頃しっかりやっているのだけれども、見直そうと思ったら負荷量の変化とか、あるいは予測をしないといけない。そういったことが多分負担になると思うのですが、そういったことが背景にあると理解してよろしいでしょうか。
【風間委員長】 ありがとうございます。事務局、いかがですか。
【菊地専門官】 おっしゃるとおりなのですが、「当面の間」とさせていただくことによって、そういった検討をもう少し長期的に、水域ごとに柔軟に行えるようなところとさせていただきたいと思っております。例えば、5年というきっちりとした、正確には概ね5年なのですが、そういった年限に縛りをかけて、諸々の検討をする暇がないとか、検討してみてやはりまた暫定目標が変わらなかったとか、そういったところもありますので、年限を延ばすことで検討の期間を、各自治体で考えられるようにできればと思っております。
【木幡委員】 分かりました。そうすると、資料5の4ページ目の(2)のところの説明ですよね。要するに、大きな変更がない場合というのですか、水域とか、あるいは負荷量の変動が大きくない場合、要するに、ずっと水質はモニタリングしているわけですから、それを見て判断できると、そういうことでよろしいのでしょうか。
 だから、目標を見直すケースでも、どんどん良くなっているとか、あるいは何か大きなイベントがあって負荷量が変わるとか、そういうことがあれば見直すのだと。そういうことが全くない場合については、水質の変動を見て、必ずしも5年で見直す必要はないと、そういう理解でよろしいでしょうか。
【風間委員長】 そうですね。事務局のほう、いかがですか。
【菊地専門官】 おっしゃるとおりで、基本的には、大きなインパクト等があれば見直す必要があるというところはありますが、特に何もないところに関しましては見直さないという、大まかに言えば、そういった感じでございます。以上です。
【木幡委員】 ありがとうございます。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 ほか、ご意見はいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
 木幡委員、どうぞ。
【木幡委員】 すみません。何か、時間をたくさん使ってしまって。
【風間委員長】 いえ、大丈夫です。
【木幡委員】 資料5の内容はこれでいいと思うんですけれども、これとは少し離れますけれども、見直す、見直すというのが出てきますが、環境基準の考え方とか在り方とか、こういったものについて見直しの検討が何年か前から始まっていたと思うのです。あるいは類型指定の当てはめについても、見直すという、「見直し」という言葉がずっと使われていると思うのですが、それの検討状況とか今後の見通しみたいなもの、もし分かれば簡単に教えていただけますか。
【風間委員長】 ありがとうございます。事務局のほう、いかがでございましょう。
【菊地専門官】 おっしゃるとおり、そういった大きな課題に関しまして、様々な委員の先生からご意見をいただいているところでございます。今後、そういった環境基準の在り方とか、「水質汚濁に係る環境基準について」の告示を、今の時代に沿ったルールにできるのかどうかというのは、考える必要はあると思っております。以上です。
【木幡委員】 どうもありがとうございます。
【風間委員長】 今のお答えでよろしいですか。
【木幡委員】 はい。
【風間委員長】 ありがとうございます。
 ほか、どなたか、ご意見、ご質問等ございますか。
 田尾委員、お願いいたします。
【田尾委員】 少し厳しい言い方になるかもしれませんが、ある意味では、年限が決まっていると、それに対する努力があるわけです。「当面の間」ということになってしまって、期間がないことによって、環境を改善しようとする努力が少なくなるようなことがないようにしておかないといけないと思うのです。ある意味では、さきほど言ったように、期間があるからプレッシャーがかかって、それに対して努力するということがあると思いますので、その辺のことを、プレッシャーが少なくならないような何らかのことをやるべきだと思います。
 もう一つは、「当面の間」というのが、最長でも10年とか、何らかの期限というのも、ある程度必要なのではないでしょうか。以上です。
【風間委員長】 ありがとうございます。
 事務局のほう、何か今のご意見に対してございますか。
【菊地専門官】 まず、「当面の間」といいますのは、先ほども言いましたが、定めた暫定目標が見直されるか、もしくは環境基準の達成により廃止されるまで、暫定目標というのは有効というところになるのですが、今後、概ね5年ごとに水質等のチェックは行いますので、その際に見直しの判断というのが生じるところであります。また、水域類型の見直しをした自治体から、「類型を見直しました」という情報提供は積極的にいただいておりますので、「当面の間」と選択した自治体に関しましては、今後は概ね5年ごとの水質のチェック等をしていただければと、そういったことを情報提供時にお知らせするといった、そういった措置をすることも考えられます。以上です。
【風間委員長】 よろしいいでしょうか。田尾委員。
【田尾委員】 今ので結構だと思いますが、環境改善の努力が、皆さんの熱意が下がらないように、十分、環境省とか地方の自治体等で打合せをしながらやっていただければと思います。
【風間委員長】 そうですね。どうもありがとうございます。
 ほか、いかがでございましょうか。いかがですか。
 当初、お話がありましたように、ここは審議案件ではございませんので、皆さん方のご意見をいただきたいということで議題としております。特に、これ以上ないというところであれば、いただいたご意見を踏まえて今後の参考にしていただくということで、この議題2の審議を終了したいと思いますけれども、よろしいですか。
 ありがとうございます。特にご意見がないようですので、議題2につきましては、今、いただいたご意見等を環境省でもよくご検討いただいて、次につなげていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 皆さん、ご心配されていることは、やはり環境の計測であったりとか、対策であったりとか、そういったものが弱まらないかというところかと思いますので、その辺は皆さん方のご心配を酌んでいただいて事務局のほうでも対応をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次に、今後の進め方について、事務局からの説明をお願いいたします。
【菊地専門官】 ご審議、ご意見、ありがとうございました。
 議題1につきましては、今後、風間委員長にご確認いただいて、環境省においてもう一度チェックしまして、報告案を取りまとめてパブリックコメントの手続にかけることといたします。パブリックコメント期間終了後、事務局において、いただいたご意見に対する回答案を作成しますので、委員の皆様方にメールなどで確認させていただければと考えております。専門委員会報告がまとまりましたら、水環境・土壌農薬部会において風間委員長よりご報告いただきたいと考えております。
 議題2につきましては、今後の検討をする上での業務の参考にさせていただきます。
 以上です。
【風間委員長】 ありがとうございました。
 今、ご説明のように今後進めていくことにいたしますので、ご了解のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の議題3、その他についてですけれども、何かございませんでしょうか。
【菊地専門官】 事務局からは、特にありません。
【風間委員長】 ここにご参加の委員の方々から、何かございますか。
 古米委員。
【古米委員】 どうもありがとうございます。先ほど木幡委員からご指摘があったことにも関連するのですが、2つの貯水池については非常に人為的な管理が行われていることの説明がありました。従来、貯水池を河川から湖沼の類型に切り替えるというのは、上流から水が入っていて、ダムでせき止めることによって生まれる貯水池は、湖沼に準ずるという考え方で類型指定をしてきていると考えます。今回の2つの貯水池というのは、河川の水を一部、取り込んで貯水している。それが下流側の水源になっているということです。根本的に従来の河川から湖沼に移し替えた人工湖とは違い特殊であります。
 そういった場合に、本当に環境基準を設定するのか、あるいは同様の環境基準を適用するのかといったところも根本的に考え直さなくてはならない点がありますので、長い目で見て、特殊な貯水池についての取扱いというのを今後、環境省の中で議論する必要があるのかなというように私も考えております。以上です。
【風間委員長】 ありがとうございました。ご指摘のとおりだと思います。
 ほか、どなたか、その他になりますけれども、ご意見、ございますか。
 ほか、委員から特にご意見等がないようでしたら、本日は、これで議題が全て終了ということにさせていただきたいと思います。どうも、ご協力ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項があるようですので、お願いいたします。
【百瀬課長補佐】 ありがとうございます。
 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成いたしまして、後日、委員の皆様にお送りをさせていただきます。ご確認いただいた後、公表となりますので、ご承知おき、お願いいたします。
 それでは、以上をもちまして第18回陸域環境基準専門委員会を終了とさせていただきます。
 委員の皆様におかれましては、熱心にご討議いただきまして、また、ご協力いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
午後5時30分 閉会