中央環境審議会 水環境部会(第48回)議事録

中央環境審議会 水環境部会(第48回)

議事次第

1.開会 

2.議題

(1)住宅宿泊事業に関する水質汚濁防止法施行令(特定施設)の見直しの検討について
(2)総量削減専門委員会の設置等について
(3)第五次環境基本計画の点検について(一般社団法人日本経済団体連合会からのヒアリング)
(4)報告事項
   瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について
(5)その他

3.閉会

配布資料

資料1    住宅宿泊事業に関する水質汚濁防止法施行令(特定施設)の見直しの検討について
資料2    第9次水質総量削減の在り方について(諮問・付議)
資料3    総量削減専門委員会の設置について(案)
資料4    ヒアリング資料(一般社団法人日本経済団体連合会)
資料5-1  「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について」に係る検討の進め方
資料5-2  「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申案)」に対する意見の募集    (パブリックコメント)について
参考資料1  中央環境審議会による第五次環境基本計画の点検の進め方について
参考資料2  第五次環境基本計画(水環境部会分抜粋)
参考資料3  第五次環境基本計画の水環境部会での進捗点検について

議事録

午前10時00分開会

【事務局】 皆様、それでは定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第48回水環境部会を開催いたします。

 まず、本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員26名のうち、17名の委員のご出席をいただいており、過半の定足数を満たしておりますので、本部会は成立していることをご報告いたします。なお、大塚先生おかれましては、30分ほど遅れるというご連絡が届いております。

 それでは、初めに、水・大気環境局長、小野よりご挨拶がございます。

【小野水・大気環境局長】 おはようございます。水・大気環境局長の小野でございます。

 本日はご多用の中、多くの先生方にご参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 なお、ご承知のとおり、新型コロナの対策ということで、マスクをぜひ、つけていただけると。あるいは、せきエチケットとか、さまざまな対応をぜひ、よろしくお願いいたします。この会議中もそうでございますが、会議以外の場所でも、ぜひ、コロナの対策にご配慮いただければと考えております。

 まず、最初にご報告でございますが、昨年の9月に開催されました前回の部会で、カドミウム及びその化合物に係る暫定排出基準の見直しについてご審議いただきまして、その結果をもとに、昨年の11月18日に、改正の省令を公布し、12月1日から施行されたというところでございまして、ご報告をさせていただきます。

 本日の部会でございますけれども、3点ございまして、まず1点目は、昨年6月の規制改革実施計画の策定を受けまして、住宅宿泊事業に関する水質汚濁防止法施行令の見直しの検討、いわゆる民泊関係でございますが、これが1点。

 2点目は、第9次の水質総量削減の在り方の検討のための総量削減専門委員会の設置が、これが2点目。

 それから、前回に引き続きでございますが、第五次環境基本計画の点検について、ご審議賜りたいと考えております。

 この第五次環境基本計画の点検につきましては、本日、日本経済団体連合会の池田環境エネルギー本部長にお越しいただいておりまして、ヒアリングをさせていただきまして、さらに議論を深めていければと考えております。また、最後に、報告事項といたしまして、環境大臣から中央環境審議会に諮問し、本部会のもとの瀬戸内海環境保全小委員会において審議をいただいておりました、瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について、来月にも答申を取りまとめていただけるという予定ですので、その検討状況についてご報告をさせていただければと思っております。

 以上になりますけれども、どうぞ、よろしくご審議のほど、お願いいたします。

【事務局】 それでは、本日は、議題3の第五次環境基本計画の点検において、ご意見を聴取するために、一般社団法人日本経済団体連合会から、環境エネルギー本部長であります池田様にご参画いただいておりますので、初めにご紹介いたします。

 次に、資料の確認をさせていただきます。資料につきましては、環境負荷削減の観点から、ペーパーレス化の取組を推進しております。お手元のタブレット端末に本日の資料一式が格納してございますので、ご確認ください。なお、資料は1から5と、参考資料は1から3となってございます。

 各資料をご覧になりたいときは、その資料が表示されているところを1回タップしてください。見終わりましたら、もう一回、画面をタップしていただくと、上のほうに矢印が出てきますので、それを押していただくと前の画面に戻ります。

 なお、タブレットの不足とか不具合がありましたら、議事中でもお申し出ください。交換いたします。また、環境省では、プラスチック使用削減の取組も推進しております。当部会におきましても、個別のドリンク配付はしてございませんが、マイボトル等の持参を呼びかけさせていただきました。ご理解いただければと思います。

 飲み物につきましては、紙パック入りのコーヒーとミルクを窓際のテーブルにご用意しておりますので、ご自由にご利用いただければと思います。また、繰り返しになりますが、先ほどのコロナ対策でございますが、メールに書いたとおり、マスク使用の議事進行も、もちろんオーケーでございます。また、途中で、発熱等具合の悪い方がいましたら、遠慮なくお申し出ください。

 それでは、報道関係者の皆様におかれましては、ここでカメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移ります。

 議事進行におかれましては、細見部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 おはようございます。

 マスクをした状態で、これからしばらくの間、こういう会合が続くかと思いますが、聞き取りづらいところがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、議事に入ります。

 本日の議題は、先ほど小野局長からありましたように、審議事項が3件ございます。そして、報告事項が1件でございます。

 まず議題の1番目、住宅宿泊事業に関する水質汚濁防止法施行令、これは特定施設の関係の見直しについての検討でございます。

 お手元の資料1に基づいて、事務局のほうから、ご説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。

 コロナ対策ということで、マスクをして説明させていただきたいと思います。座って説明させていただきます。

 資料1でございます。1ポツのところで、経緯というふうに書いておりますけれども、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊法ですね、これが平成29年6月に公布、それで平成30年6月15日から施行されております。

 これに伴いまして、従来から存在している旅館業法に基づいた営業許可を受けた者のみならず、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業、民泊事業者の施設についても、旅館業法に規定する旅館業の対象に含まれることとなりました。

 このようなことから、環境省では水濁法の特定施設、これには旅館業の施設がかかっているわけでございますけれども、これに新たに該当する施設が生じるというように考えられる旨、平成30年1月に自治体宛てに通知をしたところでございます。

 その後、一方で、平成30年7月に規制改革推進会議から、民泊サービスの手続が煩雑になっている問題点などを指摘されているところでございます。その関連する手続の一つとして、水質汚濁防止法などに基づく特定施設の設置届が例示され、その後も、その規制改革推進会議で議論をされてきたところでございます。

 このような議論を踏まえまして、令和元年、昨年の6月の規制改革実施計画において、水質汚濁防止法に基づく特定施設の届出等について、一定の規模、対応のサービスについては、届出等を要しない方向で検討するべしということが盛り込まれたところでございます。

 そういうような状況で、我々として、そのようなことを受けまして、2ポツのところ、民泊事業のところで、それでは、どういう排水実態なのかということを把握させていただいたところでございます。これが2ページ以降、図で幾つか書かせていただいております。まず、住宅事業法に基づく届出、民泊法に基づく届出というのが令和元年5月時点におきまして、1万6,500件あまりでございますけれども、そのうち水濁法に基づく届出というものが951件ということでございます。そのうち、その住宅の建て方については、91%が戸建ての住宅であるという状況であったということでございます。これ、2ページの図の1の円グラフで、その内訳を明示させていただいています。

 さらに、その住宅の規模でございますけれども、宿泊室の合計面積は、最大が141㎡で、平均が約30㎡という状況でございます。宿泊室以外で、除いて宿泊者の使用に供するようなところ、いわゆるトイレとか、お風呂とか、そういうところは共通に使うというところでございます。そういうものの合計面積、最大は約314㎡、平均約66㎡と。これらを足した、合計した住宅の合計面積としては、最大388㎡、約96㎡という状況でございます。

これらについては、その規模感というところは、2ページの下の表の1のところに、宿泊室の合計面積の分布というところで、ほとんどが100㎡以下、50㎡以下のものが96.1%という状況でございます。表の2のところで、宿泊室を除く宿泊者の使用に供するところの合計面積についても、記述しているところでございます。これも100㎡以下が8割5分、85%というところで、200㎡以下が99.6%というような実態になっておるということです。

 4ページにも、そこのところを少し、グラフにしてわかりやすくしたようなところが、今の説明のところをわかりやすくしたようなものが、グラフで表示させていただいております。度数分布と累積分布で示させていただいております。

 5ページになりますけれども、次に、これらの事業場、民泊の施設というか事業場の排水量について、確認をいたしました。排水量を見ますと、最大で289㎥/日というのがありましたけれども、平均としては、約1.4㎥/日という状況でございます。累積・度数分布、極めて特殊な事例が最大のところで出ておりますけれども、ほとんどのところは、5㎥/日いかないという状況でございます。95%程度が、そういう状況でございます。

 さらに6ページ以降は、その住宅の規模と排水量の分布というものをプロットしたものでございます。住宅の規模、6ページの上のほうが宿泊室の合計面積との関係、6ページの下は、宿泊者の使用に要する部分の合計面積、7ページの図8は、住宅の合計面積との関係ということでございます。これらを見ますと、排水量とこの民泊に使用される住宅の規模の関係では、相関関係というのが見られなかったという状況で、何らかの規模でこの排水量との関係を推察するというか関係性を見出すというのは、非常に難しいという状況でございました。

 そういうような状況を踏まえまして、水質汚濁防止法施行令特定施設の見直しの方針案というのを我々環境省が事務局として用意させていただいたものが、7ページの下の3ポツのところでございます。今、説明しましたとおり、現状、住宅宿泊事業、民泊事業における排水量は、約1.4㎥/日平均ということで、比較的少量であるということでございます。排水量と住宅の規模の間に相関関係が見られなかったこと、さらに、その住宅宿泊事業、民泊事業には、営業日数に制限がかけられているところでございます。そういうようなことから、また、民泊事業というのは、人の居住の用に供されていると認められる家屋に限定されるということも、制限として加わっているところでございます。そういうようなことから、その事業活動、民泊事業に伴う水質汚濁負荷というものは、限定的であろうというふうに考えられるところでございます。

 このようなことから、旅館業のうち住宅宿泊事業、民泊事業につきましては、下宿営業と同様、特定施設から除外する方針でいかがかということで、除外することとするという提案をさせていただいているところございます。

 ただ、今後、住宅宿泊事業、民泊事業につきましては、今後、事業場の増加等も見込まれるということでございますので、適宜排水実態の把握などを行って、必要に応じて、再度、排水の規制の必要について検討するというのが、適切ではないかというふうに考えておりまして、本日、ご提案をさせていただきたいというところでございます。

 私からの説明は、以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまご説明いたしまして、ご質問とかございましたら、手前のネームカードを立てていただければと思います。

 じゃあ、まず、大久保委員からお願いします。

【大久保委員】 すみません。5ページを見ますと、事業場の排水量で、例外的に最大約289㎥というものがあるようですが、これは一体どういう形態のものかをご説明いただければと思います。

【筒井水環境課長】 これですけれども、実は温泉が何かかけ流しでかかっているようなところだというふうに聞いております。風呂の源泉かけ流しのようなお宅ということで、風呂水が非常に多いという状況、170㎡ぐらいがかけ流しの水になっているという状況でございます。

 今後、地元の県などとの話で、かけ流しの運用はしないということにする予定であるというふうに聞いておりまして、今後、風呂水は30㎡以下の排水量に変更するという方向であるということは、地元の自治体というか、県から話を聞いています。

 以上でございます。

【細見部会長】 30㎥/日ですね。平米と混同している。

【筒井水環境課長】 すみません。30㎥/日でございます。申し訳ございません。訂正させていただきます。

【細見部会長】 ですので、この温泉は、今は、かけ流しで申請されているけれども、実際には、恐らく、もっと規模は少なくなるだろうと思います。担当の自治体の方も調べていくということです。

 ほかにございますでしょうか。

 白石委員、どうぞ。

【白石委員】 同じページで質問ですけども、排水量が0というところが352ほどあるんですけども、0という意味合いはどういうことになるのでしょうか。

【筒井水環境課長】 これは、公共用水域に出るものとしては、雨水だけという事業場というふうに聞いております。雨水だけということなので、一応、排水量としては0という整理とさせていただいているということでございます。

【白石委員】 下水道に接続しているということですか。

【筒井水環境課長】 基本的に下水道に接続しているというふうに理解しております。

【細見部会長】 よろしいでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。

 じゃあ、東海委員、どうぞ。

【東海臨時委員】 質問というより、お願いになります。今のデータの部分に関して、6ページと7ページに相関のグラフが書かれています。この1点の特異な点があるために、下の方にある関係があまり見えなくなっているので、できればこの1点を除いた図と並べて、二つの図を置いていただいたほうが見やすくなると思います。そのあたりの改善についてご検討いただきたいです。

 以上です。

【細見部会長】 これは、どうでしょうか。

【筒井水環境課長】 すみません。非常に申し訳ございません。確かに、そのような点があるかと思いますので、今後、改めて検討するような機会がある場合には、そこら辺のところをきちんと留意をしていきたいと思います。ありがとうございます。

【細見部会長】 相関関係は、この1点を除くと、見られるような図になりますかね。ならないですね、恐らく。

 ですので、基本的には図を少し修正はしていただきますが、相関はないという。

【筒井水環境課長】 1点を除いた整理も、すみません、ここで、表として出していませんけども、我々として致しましたけれども、やはり相関は見られないという状況でございます。

【細見部会長】 ないということですかね。

【東海臨時委員】 相関関係は見られないということを統計的に処理されるのであれば、相関係数を図につけておいていただければ、とび離れた1点を除いたものと除いていないもので、作成していただければ良いと思います。おそらくは、相関関係はないという帰無仮説での統計処理は可能だと思いますので。

【細見部会長】 ここは、今、ご指摘いただいた点については、修正したいと思いますが、基本的な、結論としては変わらないと思います。

 ほか。じゃあ、古米委員、どうぞ。

【古米臨時委員】 今の議論で、排水量が0というのは、下水道に接続しているということですよね。ということは、0以外のものは、公共用水域に出ているということなので、全部のデータを入れてしまうと評価ができないので、データの処理としては、まず、下水道に接続しているものを除いた形か、別のプロットにされて議論しないと、面積に対するというのは、なかなか出ないと思います。また、今回の自治体を通じて事業所からの排水実態を調べたというのは、水道使用料として評価されているのか。実際上、事業所としてどれだけ排水を出しているのかというデータを有しており、それを入手されたのかというのも明確にされたほうが、非常にいいかなと。

 お客さんがいないから結果的に使われていないだけで、面積はあるけども排水量は少ないみたいな話と、今後、実際にお客さんがその民泊として出てきたときにどうなるのかという話は、別問題だと思います。どこまで調べるかは別として、少なくとも、下水道に接続されているかどうかというところは区別したほうがいいのと、どういったデータで、この排水量を出しているのかも明記いただくといいかなと思います。

【細見部会長】 この図を見ると、0のところがずっと横に並んでいるというのは、多分、下水道と接続しているデータを含んでいるからですかね。

【筒井水環境課長】 ここでの整理は、排水量は基本的には、水濁法での届出排水量での分布で整理をさせていただいております。先生がおっしゃったようなところ、確かにごもっともなところもございますので、その点もきちんと整理をさせていただきたいと思います。

【細見部会長】 よろしいですね。

 ほかにございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

【大久保委員】 すみません。今のことと関連して、今後、事業場数の増加が見込まれる場合に、適宜、排水実態等の把握を行うということになっているのですが、今、どういうふうに把握しているのかということとあわせて、今後、どのような形で把握をきちんとするのかという見通しについて、ご説明いただけますか。

【筒井水環境課長】 基本的には、この民泊の事業場のデータというものの関係当局から、省庁からいただきながら、今、把握をしているところでございますけれども、今後、定期的にそういうものの提供をいただきながら特に、排水量の大きいものとかについて確認をすることによりまして、今後、定期的に確認、チェックをしてまいりたいというふうに考えております。

【細見部会長】 聞き漏らしたかもしれませんが、自治体ですよね。

【筒井水環境課長】 すみません。省庁と申しましたが、自治体のほうからもいただきながらということでございます。

【細見部会長】 よろしいでしょうか。

 ほかにございますでしょうか。

 なければ、若干、この排水量のそのデータの図の表示の仕方等は、今後、修正があるかもしれませんけれども、大事な点は、この3ポツのところで見直し方針と書いてある案について、この案の、この文章のところは、ご了承いただけますでしょうか。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

(了承)

【細見部会長】 はい。ありがとうございます。したがいまして、今、ご審議いただきました議題につきましては、基本的にはご了承いただいたということで、これを部会の決定としたいと思います。

 ただ、図の表示の仕方等については、若干、修正があるということで、ご了承をお願いしたいと思います。

 次に、この審議事項の審議結果を踏まえて、今後の予定について事務局からご説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 今後の予定について、ご説明させていただきたいと思います。

 今後、パブリックコメントに附させていただきたいと思います。ただいま、いただいたようなご指摘を踏まえながら、それがわかるような形にしっかりして、パブリックコメントをかける形でさせていただければと思っております。

 それの中で大きな異論がなければ、その後、本日いただいた方向性での政令改正をさせていただくということとさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、議題の2番目です。総量削減専門委員会の設置等についてです。

 これについて、資料の2、3に基づいて、事務局からご説明をお願いいたします。

【中野閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室長の中野と申します。私のほうから、資料2、資料3について、ご説明をさせていただきます。

 まず、資料2をご覧ください。資料2は、過日のお話でございますけども、令和2年2月21日付で、環境大臣の小泉のほうから、中央環境審議会、武内会長宛てに、第9次水質総量削減の在り方について諮問をさせていただいた文書をお配りしてございます。

 この第9次水質総量削減の在り方について(諮問)でございますが、諮問理由にございますとおり、現在、我が国におきましては、東京湾、伊勢湾、大阪湾、さらには大阪湾を除く瀬戸内海において、水質汚濁を防止し、海域の水質環境基準を確保するために、水質汚濁防止法と、それから瀬戸内海環境保全特別措置法の規定によりまして、環境大臣が策定した、現在、第8次の総量削減基本方針に基づきまして、この令和元年度を目標年度に、CODと窒素、りんに係る汚濁負荷の総量削減に取り組んでいるところでございます。

 この結果、陸域からの汚濁負荷等は、着実に減少しているところでございますが、COD、窒素、りん、それぞれの環境基準の達成状況は、海域ごとに異なっている状況でございます。また、いまだ赤潮ですとか、貧酸素水塊が発生するような富栄養化に係る問題があるということと、前回、この部会でも私のほうからご報告申し上げましたとおり、現在、瀬戸内海環境保全小委員会のほうでは、瀬戸内海に係る環境保全の在り方について、ご審議をいただいているところでございますが、その中では、栄養塩類の減少が原因とみられる生物の生産性の確保に係る課題も指摘されているような状況でございます。

 こうした状況を踏まえまして、令和元年が目標年度となっている第8次の次の総量削減について検討すべく、今回、諮問をさせていただいたわけでございますが、それに当たっては、今、若干重複になりますけども、現在、瀬戸内海環境保全小委員会のほうでも議論いただいて、3月に答申を取りまとめる予定となっておりますが、瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方、答申も踏まえながら、第9次の水質総量削減の在り方について、中央環境審議会からのご意見をいただきたいというような諮問をさせていただいたところでございます。

 また、中央環境審議会におきましては、次のページでございますけども、この小泉からの諮問を踏まえまして、2月25日付で、この諮問についての審議を、水環境部会に付議するといったことが決定されたところでございます。

 これが、まず、現在までの諮問に係る状況でございますが、続きまして、資料3をご覧ください。

 資料3でございますが、今申し上げました諮問を受けて、この水部会において、この総量削減の検討をしていくに当たっては、かなり専門的な検討が必要になるということもございまして、この度、ご相談申し上げたいのは、この調査を行うために、新たにこの水部会の下に総量削減専門委員会を設置させていただくのはいかがかということをご審議いただきたいということでございます。

 具体的には、次のページでございますけども、専門委員会の設置規定がございますが、設置規定の一部を改正させていただくのはいかがかということでございまして、2ページ目の、この設置要綱の1ポツにございますけども、(7)番目にありますとおり、新たに総量削減専門委員会を設置するということと、それから、3ページ、次のページでございますが、8番におきまして、この専門委員会では、水質総量削減に関する専門的事項を調査するという規定を、新たに置くのはいかがかという案をお示しさせていただいたところでございまして、こちらについて、ぜひご審議いただければと思います。

 以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、何かご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ただいま説明のございましたように、総量削減専門委員会の設置について、ご了承いただいたということでよろしゅうございますか。

(了承)

【細見部会長】 はい、ありがとうございます。これを部会の決定としたいと思います。

 次に、本日のこの審議結果を踏まえて、今後の予定について事務局からご説明をお願いいたします。

【中野閉鎖性海域対策室長】 ご審議ありがとうございました。こちらの専門委員会でございますが、後日、部会長から、専門委員会の委員長と委員について、ご指名をいただきまして、できますれば、この春から専門委員会における審議を開始させていただきたいというふうに考えております。

 さらには、できますれば、本年の12月を目処に、結論、取りまとめをしていただけるようなスケジュールで、今後、検討、審議を進めていただければというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、議題の3番目です。第五次環境基本計画の点検について(一般社団法人日本経済団体連合会からのヒアリング)でございます。これは、前回行いましたヒアリングの続きとなります。

 それでは、一般社団法人日本経済団体連合会環境エネルギー本部長の池田様から、資料をご説明いただきます。質疑は、その後まとめてお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【池田本部長】 ただいまご紹介いただきました、日本経済団体連合会環境エネルギー本部長を務めております池田と申します。

 本日は、環境基本計画の点検の一環としまして、経団連の海洋プラスチック問題に関する経団連の考え方・取組みについてご説明をする機会をいただきまして、ありがとうございます。誠に恐縮でございますが、マスク着用と着席でご説明をさせていただきます。

 それでは、資料第4の表紙をおめくりいただきまして、1ページ目をご覧ください。最初に、経団連の環境問題に関する基本的な考え方について、ご紹介させていただければと存じます。

 経団連では、環境と経済の両立を推進する観点から、1990年代以降、地球温暖化対策、循環型社会形成、自然保護、生物多様性保全の三つの分野を中心といたしまして、環境保全に向けた企業の自主的取組み、自主的活動を推進しています。

 温暖化、資源循環については自主行動計画を中心に、そして、生物多様性では、宣言を策定して、それを企業等に普及を図ることで、経済界の環境対策を推進しています。なお、生物多様性保全のところで、NPO支援とございます。これは、毎年度、法人や個人から寄附を募りまして、国内外のNGOが行う自然保護活動に資金支援を行っているものです。27年間の累計で、43億円程度に上っておりますが、今回、発表するに当たりまして、水関連のプロジェクト支援がどのぐらいあるのかというのを確認したところ、近年では、三、四割方、水に関連するプロジェクトに支援させていただいている状況です。

 また、資料の一番下の真ん中にありますように、一昨年度から、「環境統合型経営の推進」に経団連として取り組んでいます。これが意図するところは、温暖化、資源循環、生物多様性といった幅広い環境問題について、経営の重要課題に据えて取り組んでいくということであり、会員企業等に環境統合型経営の推進を働きかけています。

 もう1ページおめくりください。

 まず、海洋プラスチック問題に関する経団連の基本的な考え方について説明します。

 国内では、2018年6月のG7シャルル・ボワサミット以降、海洋プラスチック問題に対する関心が急速に高まってきたと認識しています。経団連では、いち早く2018年11月に経団連としての基本的な考え方を提言としてまとめるとともに、プラスチック関連事例集を公表しました。

 3ページ目をご覧ください。

 基本的な考え方としては、第1に、地球規模の海洋プラスチック問題とプラスチック資源循環の取組みは、SDGsの複数のゴールに貢献するものであり、経済界としても自主的に取り組むべきということを打ち出しています。とりわけ、海洋プラスチック問題の解決に向けて、全地球的に求められることは、廃プラスチックが海洋に流出しないということであると認識しています。また、その上で、極力、埋め立てられることなく、適正な処理と3Rが徹底されることが重要です。その観点から、熱・エネルギー回収も有用な選択として活用すべきと考えています。

 4ページ目をご覧ください。

 左下のグラフにあるように、日本では、熱・エネルギー回収を含めた廃プラスチックの有効利用率が着実に向上しています。また、右下の表にありますように、EUや、アメリカに比べて、日本は高い有効利用率を達成しています。なお、EUのデータは廃プラスチックの回収分に占める数字であり、日本のデータに比べて高めの数値となります。いずれにしても、日本の廃プラスチックの有効利用率は、高水準であると言えるかと思います。

 5ページ目をご覧ください。

 第2は、プラスチック製品を「つくる責任・つかう責任」というものを推進すべきであるということです。ご案内のとおり、プラスチック素材は、その特性、並びにその技術開発を通じて、食品ロスや、エネルギー問題、環境問題といった、さまざまな社会的な課題解決に貢献しているということを忘れてはならないと思います。そうしたことから、安易に脱プラといったことを唱えず、広く国民に対して、プラスチックに対する正しい理解を促進していくことが重要です。その上で、事業者も、消費者も、環境負荷の軽減と技術的可能性、経済性に配慮しながら、賢く、作り・使い・処理していくことが重要であると考えています。

 6ページ目をご覧ください。

 第3に、各国で国内のプラスチックごみを適正に管理・処理し、海洋流出を防止するということが大事であり、各国の事情に応じた対応が必要です。私は、自然保護の仕事の関係として、昨年はサモア島に行き、今年は、ガラパゴス諸島を訪問し、自然保護と併せて、プラスチック問題、ごみ処理問題についても意見交換をしてきました。後ほどの意見交換で時間がありましたら、その模様などをご紹介させていただきたいと思います。

 日本におきましては、1990年代以降、環境省が音頭を取り、不法投棄対策徹底してきており、不法投棄、不適正処理は、大幅に減少していると認識していますが、残念ながら国内においても、プラスチックごみが川や海にあることから、引き続き、ポイ捨て・不法投棄撲滅に向けた施策の強化ということが、極めて重要であると考えます。

 第4は、技術開発の重要性です。環境問題の解決には、イノベーションが極めて重要である認識しています。この問題におきましても、回収や再生が容易な製品設計や、再生材のコストダウンや品質向上等に取り組むことが必要です。また、生分解性プラスチック等の代替素材の開発・普及にあたっては、本来の機能を損なわず、経済合理性や技術的可能性が成り立つことが必要です。生分解性プラスチック等の代替素材に関する科学的知見の蓄積も、重要であると認識しています。

 第5は、日本の経験や技術・ノウハウを生かした国際協力の推進の重要性です。日本の収集システムや廃棄物処理・リサイクル技術は、世界に誇れるものであり、発展途上国等にシステムとして輸出・技術移転をして、ハード・ソフト面のサポートをしていくことが大事であると考えます。

 7ページ目をご覧ください。

 続きまして、海洋プラスチック問題に関する経団連の取組みについてご紹介させていただきます。

 8ページ目をご覧ください。

 2018年11月に、先ほどの経団連の提言と合わせまして、SDGsに資するプラスチック関連取組事例集を発表しました。中環審のプラスチック資源循環小委員会が立ち上がったのが、8月末でした。経団連では、9月から会員企業に緊急アンケートをとり、企業、団体におけるプラスチック関連に関する取組みを集め、公表しました。

 この狙いは、G7シャルル・ボワサミットにおいて、G7海洋プラスチック憲章を日本政府が承認をしなかった、見送ったということで、国外・国内で日本の取組みが遅れているのではないかという誤解が広まったように思いましたので、これまでの日本の取組みをしっかり理解をしていただくことを目的として、本事例集をとりまとめ、公表をしました。

 この取組事例集には、リデュース・リユース・リサイクルのほか、海外清掃活動や環境教育、プラスチック代替材の研究開発・普及など、非常に幅広い内容の取組事例が寄せられており、また、29業種の企業・団体といった幅広い業種が取組を展開していることが分かります。本事例集に関する募集期間の半年の間に、164事業者・団体から300件の取組事例が寄せられました。経団連は、これらの取組を国内外に広くアピールをしています。

 なお、本事例集は、政府の「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」にも位置づけてられております。

 9ページをご覧ください。

 経団連では、1997年から、自主行動計画を、温暖化対策と並んで、資源循環に関しても名前と内容を充実させながら取り組んでいます。これまでは、産業廃棄物の最終処分量の削減、および資源循環の質の向上を視野に入れた、個別業種ごとの目標という二本柱で取り組んできましたが、2019年度から「業種別プラスチック関連目標」の策定に関して関係業種の方々にお願いして、今、取り組み始めたところです。なお、本自主行動計画は、政府の「循環型社会形成推進基本計画」にも位置づけられています。

 10ページをご覧ください。

 「業種別プラスチック関連目標」については、まず、2019年4月に、20業種が43の目標を表明しています。本スライドの一番下に、「業種別プラスチック関連目標」の二つの例を示しています。例えば、清涼飲料業界においては、2030年までにペットボトルの100%有効利用を目指すといった目標を掲げて取り組んでいるところです。化学業界におかれては、マイクロプラスチックの生成機構の解明に取り組んでいます。2019年度も引き続き、関係業種の方々にこの目標に関する検討を深めていただき、目標の充実を目指しています。

 今日は間に合いませんでしたが、3月中旬に、この「業種別プラスチック関連目標」に関する最新の情報を公表する予定です。現時点では公表前ですが、本年度の「業種別プラスチック関連目標」は昨年度に比べて、倍増すると見込んでいます。

 11ページは、ご参考ということではありますが、経団連の提言を受けまして、3R推進団体連絡会が、容器包装3R推進のための自主行動計画を策定し、取り組んでいる結果の概要となります。PETボトル、プラスチック容器包装についても、リサイクル・リデュースともに、着実に成果が上がっていると考えています。ただ、これに満足せずに、引き続き取組みを強化していくことが大事であるに考えています。

 12ページでは、PETボトルとプラスチック容器包装の軽量化がどれくらい進んだのかを示すグラフの実績値を紹介しております。

 13ページをご覧ください。PETボトルは、昨今、とかく悪者扱いされていますが、一人当たりのPETボトルの使用量、PETボトルの回収率、リサイクル率とも、他国に比べると、日本はすぐれているのではないと思います。ただ、PETボトルにつきましても、先ほど飲料業界についての説明であったように、100%有効利用を目指すということで、さらなる取組の進化に努めています。

 最後に、14ページをご覧ください。

 繰り返しになりますが、海洋プラスチック問題は地球規模の課題であり、何よりもまず、廃プラスチックが海に流出しないようにする対策を講じることが重要です。そうした観点から、各国は、国内における廃棄物の適正処理体制を整備・徹底するとともに、3Rを推進するということが重要です。科学的な知見が蓄積されていない部分もあり、そこを深めていくということも重要です。

 また、日本政府のリーダーシップにより、2019年のG20で、先進国・途上国も含めた形で、新しい「実施枠組」や、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意できたということは、地球規模の課題解決に向けた大きな一歩であるということで、意義が大きいと、大変評価しています。

 中国等の廃プラスチック類輸入規制等を受けて、国内の廃プラスチック処理が逼迫しています。これまでは、廃プラスチックがリサイクルできたものも、昨今はリサイクルできず、最終処分量が増えがちであるといった声も寄せられております。国内のプラスチック資源循環体制の再構築が急務であると考えています。

 経団連としましては、引き続き「業種別プラスチック関連目標」を充実し、着実に取り組むということで、自主的な取組を推進します。

 また、経団連、今、Society5.0を通じたSDGsの達成を基本的な理念として、さまざま技術開発等に取り組むとともに、先ほどご紹介した「環境統合型経営」の推進として、幅広い環境問題を経営の中心に据えて、取り組んでいきたいと考えます。

 以上です。ご清聴ありがとうございました。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいま海洋プラスチック問題に対する経団連の考え方、取組を紹介していただきました。何かご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

 じゃあ、大久保委員から。

【大久保委員】 総括的に、各種のご説明をいただきまして、誠にありがとうございます。質問が2点ありまして、一つは、「業種別プラスチック関連目標」というものがつくられて、今年3月にもそれが、業種で言うと倍増する見込みというお話がありましたが、この「業種別プラスチック関連目標」というものは、各業界、業種がどのように定めていらっしゃるのか、そして、業種同士がその目標について、それぞれ調整されるということがあるのか、あるいは経団連から、全体としての調整をされることがあるのかということを、お伺いしたいと思います。

 それから、2点目が、シングルユースのプラスチックの一人当たり使用量が多いという指摘を日本は受けていると同時に、熱回収で処理している部分が大きいのではいないかということを言われています。これにつきましては、マテリアルリサイクルというのは、大変大きなビジネスチャンスにつながるところではないかと思っております。

 基本的な考え方では、日本の技術を、途上国等ということで「等」が入っていますが、むしろ先進国も含めて発信できるような取組を、マテリアルリサイクルの向上という観点で経団連としてどのようにされているか、考えているかということについてお伺いできればとい思います。

【池田本部長】 ご質問ありがとうございました。まず第1点目の「業種別プラスチック関連目標」について回答致します。これは「業種別プラスチック関連目標」に限らず、この自主行動計画のそれぞれの目標の策定にあたっては、、経団連として、参加業種の皆さんと意見交換をしながら方針を立て、その後、各業種において目標設定をしていただきます。目標設定をしていただいたものを、参加業種の皆さんに持ち寄っていただき、ピアレビューを通じて、他の業種の取組みの共有を図ることで、取組を進化させていると認識しています。

 PDCAサイクルを回しながらフォローアップ調査を充実させることで、さまざまな業種内の検討を活発化していると考えます。業種間における目標調整については、そのようなメカニズムを通じて、必要に応じて実施しているということかと思います。

 温暖化の分野では、ダブルカウントがあってはいけないことから、様々な調整をしていただいているかとは思います。しかし、「業種別プラスチック関連目標」に関しては、そのような調整する必要はないと思います。業種別プラスチック関連目標に関しては、業種によってプラスチックの関わり方がかなり異なります。例えば、金融業界等においては、専ら容器包装等のプラスチックを使うことが多いと思いますが、そのような業種においても、分別排出だけではなくて、清掃活動に一生懸命取り組むといった目標を立てています。このように各業種において、工夫をしていただき、何らかの目標を立てるよう、ご尽力いただいています。

 次に、マテリアルリサイクルに関するご質問について回答します。マテリアルリサイクルについても、ぜひ、さまざまな技術開発をして、なるべく幅広い用途に、かつ、コストを下げて、取り組んでいくことが大事であると経済界としても考えています。また、それを、途上国等に向けて発信をしていくことも重要です。

 先日、私はガラパゴスへ行ってまいりました。ガラパゴスは、島である故に、ごみの処理が大きな課題となっています。ガラパゴス市長と意見交換をする機会があり、お話を伺ったところ、廃棄物問題について大きな関心を持っているとのことでした。ガラパゴスでは、廃棄物の排出量をなるべく増やさないように、横ばいに抑えており、また、リサイクルは、順調に増えています。ただ、国立公園の中に最終処分場を設置しており、その様子を写真で見たところ、廃棄物が野積みされていました。ガラパゴスにおいては、廃棄物の焼却や熱回収を行っておらず、先方からは同じ島国として、日本の知見等をぜひ教えていただきたいという要望がありました。国によってそれぞれ事情が異なることから、国の実状に合ったリサイクルを推進していくことが大事ではないかと考えます。

 以上でございます。

【細見部会長】 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 大変、真剣に取り組んでいただいていることがわかりましたし、経営のほうに、このプラスチックの問題を反映させるように努力していらっしゃるということも敬服したいと思います。

 1点お伺いしておきたいのは、昨年、政府のほうで出しているプラスチック資源循環戦略の六つのマイルストーンというのがございますが、これも、実行可能性のことも考えて出していると思いますけれども、六つ全てお伺いしたいですけど、特に、ワンウエイプラスチックを2030年までに25%、排出抑制するということと、それから、さっきの中国が輸入をストップしていることとの関係で、再生利用を2030年まで倍増というのがございますが、この辺に関しては、達成の見込みとか、今おっしゃっていただいたこととの関係で、どういう見通しをお持ちかどうか、教えていただきたいんですけども。

【池田本部長】 プラスチック資源循環戦略のマイルストーンについて、ご質問をいただきました。。マイルストーンに関しては、環境省の考え方として、これは目指すべき方向性であると伺っています。経済界からすると、マイルストーン中には、達成が難しいと考えられる項目も含まれています。マイルストーンは目指すべき方向性であり、産業界だけでなく、政府、自治体、消費者ともに連携しながら取り組んでいくものであることから、実現可能性については言及しにくいものの、それに向かって、皆様とともに努力をしてまいりたいと考えています。

【大塚委員】 目標に関しては、マイルストーンに合ったような目標を立てていただくことはできないんですかね。

【池田本部長】 その通りです。経団連では、産業界全体の目標設定をしているわけではないため、各業種が最大限取り組めることを促していきたいと考えています。

【細見部会長】 ほかにございますでしょうか。

 白山委員、どうぞ。

【白山臨時委員】 ありがとうございます。非常に積極的な内容がたくさん含まれていて、すばらしいと思います。特に清涼飲料の業界が2030年までにPETボトル100%有効利用を目指すというふうに、非常に意欲的な目標を掲げていらっしゃってすばらしいと思うのですが、そこでご質問ですけれども、今、よく問題にされている海洋のプラスチックが大変だ大変だというのは、2050年に魚より多く海洋にプラスチックがありそうだという議論なわけですけれども、その算定の基準はおおよそ海洋に流れ出るプラスチックの量が生産される量の3%というのを基準にして推定しているわけですね。そういたしますと、100%達成すれば、確実にそういう大きな問題は発生しなくなるわけですけれども、わずか3%漏れただけで、非常に大きなことになってしまうということで、その次のページのPETボトルのリサイクル率は2020年で85%ですから、残りの15%、ここが非常に達成が難しいわけですけれども、それを10年でやらなきゃいけないということになるわけですよね。その高い目標を掲げられているからには、適切なマイルストーンで年次計画で10年間で達成というストラテジーをぜひ、お持ちいただきたいと思うので、今、どういうふうになっているのかご説明いただけると、とてもありがたいと思います。

 それから、もう一つは、海洋の問題で、先ほどのガラパゴスのお話にもありましたけど、日本がたとえ100%リサイクルしても、世界のプラスチックの生産量からいけば、ごく一部で、圧倒的にほかの国がたくさんつくっているわけですが、経団連として何かODAのような国際協力をして、グローバルなスケールで見たときに海洋に流れ出るプラスチックの量を減らすというような戦略をぜひ、お立ていただけると、むしろビジネスとしてうまくできるようなことがあるといいなというふうに思うのですが、その辺り、どうお考えか、教えてください。

【池田本部長】 ありがとうございます。

 「業種別プラスチック関連目標」については、関係業界が各自の取組を推進していくということとなります。経団連としては、そのような取組を推進する機運を醸成していく役割を担っていきたいと考えます。

 PETボトルにつきましては、全清飲が、2030年に100%有効利用という目標を掲げていますが、こその実現を目指して取組みを進めていくための議論を進めていると聞いています。詳しくは、全清飲に聞いていただければと思います。

 清涼飲料業界が悩んでいる点は、自社のPETボトルは回収することができるためリサイクルができる、一方で、自動販売機の脇の回収ボックスには、様々な会社のPETボトルが混在しており、規制等から効率的な回収・リサイクルができないという課題があると聞いています。有効利用率を100%に近付けるためには、他社のPETボトルも含めて回収・リサイクルする必要があるのではないかと認識をしいます。全清飲としては、現在、一生懸命知恵を絞っていると思います。

 世界への貢献については、経団連として直接的な取組みは行っていないものの、グローバル展開をされている経団連の会員企業の中には、海外で商品を売るといったときに、日本で展開している取組を現地でできないか、といった検討を行っていると聞きます。同時に、そのような展開を行うにあたっては、困難もあるとのお悩みを聞いております。

 よって、海外展開をするときの取組みの推進や、サプライチェーンも含めた取組みの推進が、今後の課題ではあると認識しています。。

【細見部会長】 では、西垣委員、どうぞ。

【西垣臨時委員】 この分野のことはあまり何も勉強していないんですけども、先ほどご説明がありました、先ほどもご質問がありました2030年までに有効利用をするという話で、大阪市は、もうPETボトルは使わないと、紙パックにしましょうと。会議でPETボトルを持っていたら怒られるんですよね。

 ですから、行政でそういうふうな形をとっていって、経団連がそれに対して、どういうふうに技術開発していくかという、PETボトルをリサイクルするだけじゃなしに、先ほどご説明がありました生分解性のプラスチックというのは、農業ではたくさん使っていますから、そういうPETボトルをつくっていってもいいのか、ごみのバックもそういうのにしていっていいのかというようなことの技術開発も随分必要だと思うので、ぜひ、その辺は、国にどんどん、こういうことをやりたいからと技術開発しない限り、いつまでもPETボトルは使い放しになっていくと思いますので。コストがどうなのかというのが一番経済面としては大切な話じゃないかなというふうに思います。

 最近、一番感激したのは、タイでコーヒーを入れてくれるのが全部、竹筒にコーヒーを入れてくれるところがあって、これはかしこいとか、日本の山は竹で竹で竹に覆われて、山が壊れそうになってしまっているんだけど、繁茂している竹を、どんどん利用するのも、一つおもしろいアイデアかもしれません。

【池田本部長】 ありがとうございます。

 代替製品を開発し、使用していくことについては、関係者それぞれが創意工夫をしながら推進する必要があると思います。ただ、脱PETボトルといった取組みが、本当にいいのかどうかということは、市場が決めることなのではないかと思います。

 ご意見にありました通り、コストは、非常に大きな問題です。プラスチックはその特性から、軽くて丈夫で、形状を変えやすくて、コストが何しろ安いということで、めがねのレンズから、様々な用途に使われています。昨今、政府はレジ袋の有料化に関する制度改正を行い、企業においてはレジ袋を生分解性のプラスチックや、紙に変えるといった取組をしていますが、コストをいかに下げるのかということは課題であると十分に認識しています。

【細見部会長】 古米委員、どうぞ。

【古米臨時委員】 積極的な取組をされていることは非常に理解できました。資料の中で、ページの4だとか、13ページのほうに、日本と欧州と米国という形で比較をされています。何となく、この数値を見ると日本は結構頑張っているように見えますが、まやかし的なところがあるようにも思います。EUというのは28カ国あって、いろんな国が入っています。日本は目指すべきところはEUのなかのトップリーダーのドイツであるとか、リサイクルが進んでいる国に対して、日本がどれぐらいの位置づけにあるのかといった情報を産業界としては示すべきで、EU全体に加えて、レベルの高い国に対して日本はどう取り組むのかという形でデータを示していただくことが方向性としてはいいのではないかなと感じます。いかがでしょうか。

【池田本部長】 廃プラスチックのリサイクルや有効利用について日本は遅れているというご指摘をいただくので、このようなデータで示しました。現状に満足しているわけではなく、引き続き取組を強化していきたいと考えています。

【細見部会長】 トップランナーを目指してやっていただきたいと思います。

 ほかにございますでしょうか。

 では、ご質問はこれ以上ないようですので、この議題の今後の予定をあわせまして、事務局からご説明をお願いいたします。

【谷貝政策企画官】 活発な質疑応答、どうもありがとうございます。

 ただいまの質疑の内容につきましては、取りまとめまして、この後の点検作業の報告書(案)にまとめさせていただければと考えてございます。また、あわせて今後の予定について簡単に説明いたします。参考資料3というところに、これは前回の部会で出させていただいた資料でございますが、進め方について整理をしたものでございます。2ページ目に、スケジュールというか内容を書かせていただいてございます。

 もともと2回で取りまとめというふうに想定しておったんですけれど、日程の都合上、もう一回かけて全3回で点検をさせていただこうと思ってございまして、次回の部会におきまして、これまでのヒアリング結果に加えまして、点検シートいったものを記入させていただいて、そういうものを踏まえて報告書(案)といったものをまとめさせていただければと考えてございます。

 そちらのほうを今年の夏に予定されております総合政策部会のほうに部会長からご報告をいただくというような形になってございますので、また、次回もご議論のほう、よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 どうもありがとうございます。

 それでは、次に、議題の4番、報告事項に参ります。本日、瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方についてというのが資料で用意していただいておりますので、それについて事務局のほうからご説明、お願いいたします。

【中野閉鎖性海域対策室長】 改めまして、閉鎖性海域対策室でございますが、私のほうから資料5-1、5-2についてご説明を申し上げます。

 前回9月のこの部会におきましても、経過をご報告申し上げましたが、現在、水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会におきましては、瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について検討が進められているところでございます。

 若干歴史をご紹介させていただきますと、中央環境審議会におきましては、水環境部会と瀬戸内海部会という部会がございまして、これが平成25年1月の部会の見直しによって、水部会の下に瀬戸内海環境保全小委員会が設置されてきて、特に瀬戸内海に関する環境に関するご審議をこれまでもいただいてきたところでございます。

 資料5-1をご覧ください。

 1枚物の紙でございますが、現在、瀬戸内海につきましては、平成元年6月に、前回ご報告申し上げましたとおり、環境大臣のほうから中央環境審議会のほうに諮問をさせていただきまして、そこからご審議をいただいているところでございます。

 これまで関係機関などからのヒアリングを行わせていただいたりいたしまして、今年の1月22日には、瀬戸内海小委員会において答申案が審議され、現在、2月7日から今週末でございますけども、にかけて答申案についてのパブリックコメントを実施しているところでございます。

 今日、この後、資料5-2において、現在、パブリックコメントを募集しております答申案について、若干、簡単にポイントをご説明させていただこうと思いますが、こちらについては国民のご意見、一般のご意見を頂戴した後、令和2年、今年の3月、来月の末までに中央環境審議会により答申という形で取りまとめていただきたいというふうにお願いをしているところでございまして、予定では3月25日に瀬戸内海小委員会を開催いたしまして、この答申の議論をいただこうという予定となっているところでございます。

 資料5-2をご覧ください。

 まず、4ページほど続きますのが、パブリックコメントの募集をさせていただいている報道発表の資料でございます。

 4枚ほどおめくりいただきますと、答申案がページ数が1ページと振られるページになろうかと思いますけれども、現在、パブリックコメントにかけております小委員会のほうで審議いただいている答申案を全文載せているところでございます。

 この答申案につきましては、大きく4章構成となってございまして、「はじめに」、第1章の背景・経緯と現状、第2章の各課題と今後の方策の在り方について、それから、「終わりに」という4項目、4章立ての答申案となってございます。

 「はじめに」と第1章の背景、経緯と現状につきましては、これまでの瀬戸内海をめぐる環境保全の施策の経緯ですとか、これまでの法律の施行状況ですとか、さまざまなファクトデータを整理させていただいて、そちらを掲載しているところでございます。

 そちらの詳細なご説明は割愛させていただきまして、資料8ページ目をお開きください。8ページ目、第2章、今後の瀬戸内海における環境保全の方策の在り方とありまして、こちらが答申案の中での特にコアの部分を示す環境保全の今後の方策の在り方について記述している部分でございますが、ポイントを簡単に申し上げますと、さらに1枚おめくりいただきまして、9ページでございますが、基本的な考え方として、このページの5行目からございますけども、今後の方策の在り方の全体的なコンセプトといたしましては、瀬戸内海が10を超える湾・灘で構成されている閉鎖性海域であって、この湾・灘ごとに水の環境の実情が異なっているという状況でありますことから、そうした方策は湾・灘ごと、あるいは、さらには湾・灘内の特定の水域の実情に応じた対策が必要であると。これはこれまで以上に地域が主体となって、あるべき地域の海の姿を具体的に描き、この実現に当たっては、地域のみならず、国を初めとするさまざまな主体が積極的に参画して、さらには世代間、地域間を越えて連携して実施されることが重要であるというような基本的な考え方が示されております。

 13行目からは、これにさらに最新の科学的知見や技術の開発の動向も加えた対策を行うことで、令和の時代の新しい里海づくりというものをしていくということがコンセプトとなって記載されているところでございます。

 このコンセプトに基づいて、同じページの19行目以下は、各課題の今後の方策の具体的な各論に入っていくわけでございますが、これまでの小委員会のご審議の結果、大きく(1)から(4)、四つの論点というか、課題の解決策を大項目でおまとめいただいている状況でございまして、(1)は、栄養塩類の管理等による生物の多様性及び生産性の確保ということでございます。こちらは、まず、どの項目も①の課題と、それから②の今後の方策の在り方と、二つの項目から成り立ってございまして、(1)、①の課題は、端的に申し上げますと、地域地域、特に湾・灘単位ですとか、それより狭い地域の単位では、いまだ、例えば、大阪湾ですとか、播磨灘ですとか、豊後水道などでは、赤潮の発生に伴ってさまざまな問題が生じているという課題があるところでございますし、29行目からでございますが、播磨灘などでは、逆に栄養塩類が冬場に低下というか、大型珪藻といろいろな生物が栄養塩類を取り合って、ノリの色落ちの被害などが発生しているといったような課題が整理されているところでございます。

 そうした、さまざまな地域地域の水質における課題というものがここでは述べられてございまして、10ページでございますけれども、②の今後の方策の在り方といたしましては、こうした栄養塩類の管理をしていくこと、さらには藻場、干潟などの保全・再生・創出、それから底質の改善、こうしたような取組を同時並行で実施していく必要があるということが②の10ページでいきますと、20行目から述べられております。

 特に栄養塩の管理といたしましては、10ページの24行目からしばらく書いてございますけども、栄養塩の管理というものを、これは5年前の審議の中でも順応的な管理プロセスと、10ページの下に※印で書いてございますけども、データの蓄積を並行しながら、人為的に管理し得る範囲で対策を実施しながらモニタリングによる検証をして、対策の変更を加えていくようなやり方で、海の環境を保全していくというような取組をしていくというプロセスなんですけども、これをより秩序立てて具体化するようなPDCAサイクルの手順を明らかにしていくべきといったことが述べられているところでございます。また、これに加えて、11ページには藻場、干潟の保全・再生・創出が水質、栄養塩管理と車の両輪になっているですとか、あるいは、環境保全対策として、環境配慮型の構造物の推進ですとか、こうしたことが記載されているところでございます。

 それから、12ページでございますが、(2)瀬戸内海全体の水環境評価・管理する制度的基盤という項目でございます。こちらが先ほどご審議いただきました、水質総量削減の関係とも非常にリンクしている部分でございまして、12ページの35行目からになりますが、今後の方策の在り方といたしまして、瀬戸内海を「きれいで豊かな海」にするためには、先ほど、私、(1)でご紹介いたしました、栄養塩類管理の地域ごとの管理の仕組みと、それから瀬戸内海全体の水質を管理する水質総量削減制度の調和、両立を検討する必要があるといったところが書かれております。また、あわせて13ページの1行目からでございますが、環境基準項目についての類型指定の状況ですとか、環境基準の達成状況をどう考慮していくのかといったところについて、例えば、複数の項目をあわせた水環境の総合的な評価の在り方について、引き続き検討することが必要といったところが記載されているところでございます。

 13ページ、(3)は、地域資源の保全・利活用に係る取組の推進ということで、どちらかというと、水質管理よりは、藻場、干潟といったようなところに注目して、さらには瀬戸内海のこれまでもってきている景観資源ですとか、瀬戸内海の中の地域資源をいかに活性化するかといった観点での方策の在り方が記載されているところでございます。

 例えば、藻場、干潟の保全策として、自然海浜保全地区といった制度の指定制度というものが瀬戸内海特別措置法にはございますが、そちらをもう少し活用するですとか、さらには地域のさまざまな資源というものをより高めて、これを発信していったり、これに携わる担い手を多様化していくような取組が必要ということが記載されているところでございます。

 それから、14ページでございますが、(4)漂流・漂着・海底ごみ、気候変動などの課題に対する基盤制度ということでございまして、こらは瀬戸内海に限らず、先ほどご議論ございましたが、全国、あるいは世界の海でも問題となっております漂着・漂着・海底ごみ、あるいは気候変動、こうしたところの課題にどう対応していくかですとか、あるいは、まだまだ明らかではない科学的な知見の不足に対して、それをどうしていくかというようなことが、今後の方策の在り方としてまとめられているところでございます。

 ポイントとして、特に漂着・漂着・海底ごみについては、瀬戸内海においては、国内のごみが海岸に漂着するごみの主流を占めるというような分析結果もこれまでございますので、海岸の自治体と内陸側の自治体がしっかり同じ目線で対策を考えていくべきではないかと、あるいは連携していくべきではないかといったようなことが記載されているところでございます。また、引き続き気候変動ですとか、あるいは栄養塩類とその生物との関係性のさらなる科学的知見の集積などが記載されているところでございます。

 すみません、駆け足になって恐縮でございますが、こうしたところをこれまで瀬戸内海小委員会のほうではご審議いただいておりまして、来月までにさらなる審議を進めていただき、答申を取りまとめていただきたいというようなところで現在、進んでおりますので、この場でご紹介させていただきました。

 説明は以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 来月に最終的取りまとめを小委員会でやっていただきますということで、何かご質問とかご意見がございましたら、お願いいたします。

 福島委員。

【福島臨時委員】 どうもありがとうございます。

 全体的な現状認識に関して非常によくまとまっているなという印象を持ちました。特に栄養の足りないところと足りて多過ぎるところがあるというような認識で、それを具体的にどうするのかということに関しては、あまり明確なあれは示されてないのかなという気もいたしたのですが、栄養が偏っているというようなことに関して、それを技術的に解決するような何かを検討されているのかというのが一つと、もう一つは現状、環境基準の当てはめがあって、それを満足するためにいろんな施策が打たれていると思うんですが、それがかえって偏在と齟齬を来しているようなことがあるとすれば、環境基準の見直し等も含めて、類型の当てはめとかということも検討されているのかどうか2点、質問をしたいと思います。

【中野閉鎖性海域対策室長】 ありがとうございます。

 今、福島委員がおっしゃったところは、瀬戸内海小委員会でもまさに重要な論点となってございまして、すみません、駆け足で説明を省略してしまったので、誠に申し訳ありませんが、まさに栄養塩類が多いところと少ないところというか、それぞれ地域によるニーズが異なっているわけでございますが、もともと瀬戸内海については栄養塩類が多くて、それを減らすという取組がこれまでなされてきた中、今現状がそうではない地域もあるということで、一つ、これは先ほど答申案の中の10ページから11ページにかけてご紹介させていただきましたけども、足りないところにおいては、それを補う方法として、現在、特に国土交通省さんのご努力で下水道終末処理施設を冬季に栄養塩を多少基準の中で高めながら、排水を出すような運転が行われているわけでございますが、こうした取組などを、今はトライアルでやっているところを、より具体的なやり方というものを示すべきではないかというのが、まさにこの答申案でも言われております。それが先ほどPDCAサイクルと申したところでございます。

 その具体的な留意事項というのは、答申案の11ページの3行目から10行目辺りに項目が出されておりますが、そうした取組、さらにはダムの放流ですとか、ため池のかいぼりといったような多様な取組もあるので、それをしっかり地域に応じた有効性というものを踏まえた検討も必要だというようなご提言がございます。

 さらには、減らすほうについても、同じく11ページの33行目からにございますけども、これまでの栄養塩類の削減の水質保全の対策に加えて、環境配慮型構造物を今後、導入する場合は、それをより積極的に、ちゃんと計画立てて推進していくべきではないかといったようなところが言われてございます。

 まさに、一部既に取り組んでいるところもありますが、今回の答申案の中のご提言を踏まえれば、今申し上げたところをさらに進めていくような取組がさらに必要だということでございます。

 それから、それを総合的に評価する水質の評価の部分については、同じく答申の12ページでございますけども、まさに、今、福島委員がおっしゃっていただいたとおり、一つは水質総量削減をどうしていくのか、それから、環境基準をもう少し総合的に評価するあり方について、これは、今、答えがすぐ出てくるものではないので、これを引き続き検討すると。そのうちの水質総量については今回、ご審議いただいた専門委員会を新たに設置してご審議いただくことになりますし、また、環境基準等の評価についても、「引き続き検討」とありますように、今後また検討が進んでいくというふうに我々は考えているところでございます。

 以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 ほかにご質問等ございましたら。

 西垣委員、どうぞ。

【西垣臨時委員】 また専門外でございましたけれども、もう既に環境省なりで瀬戸内海の三次元的なモデルというのは、もうでき上がっているのかどうかということです。過去にずっと瀬戸内海のことについて、ですから、外洋から海流が入って、また流れ出ていくような形で、どういうふうな水を持ってきているとか、そういうふうな三次元的なモデルが確立されているのかどうかということをお聞きしたいんです。

【中野閉鎖性海域対策室長】 ありがとうございます。

 今の観点、特に今の水環境管理を考えていく上で、今、シミュレーションによる計算というのは非常に大事な技術的要素となっておりまして、もちろん瀬戸内海でもそうしたところを導入しながら検討は進めております。

 今回の資料でいきますと、詳細まではご説明できませんが、答申案の16ページの次から別紙という形で、湾・灘ごとの水環境等の状況に係る整理という資料がございます。ここで瀬戸内海の12の湾・灘ごとにそれぞれ流況がどうなっているかですとか、底質がどう変わってきたかということはお示しさせていただいておりますし、そのほか、例えば、気候変動が今後進んでいく上で、どのように瀬戸内海は変わっていくのか、あるいは、それに応じた、いわゆる適応策をどうするのかということについては、これもシミュレーションモデルを構築しながら、これはまだすぐに結論が出る話ではないですが、私どものほうで、現在、調査・検討を行っているところでございます。

【西垣臨時委員】 国交省で、今、Construction Information Modelingで地表面の、ビルのInformation Modelingで、三次元的に日本中でやっと、今、やろうかという形でどんどん動いております。海洋でしたら、もっと下のほうも音波で、底泥がどうなっているとか、そういうふうな調査をずっとデータを積み上げていって、瀬戸内海がどんな状況になって、外洋から水が入ってきて、出ていって、どうしてそこで停滞水域が発生して、それに対してどういう対処をしていくかというのは、これは我々土木の水理学の問題で解決していくんですけど、どんな対策をしていけばいいかと。過去に港湾をつくるときには、結構、それは検討されているんですよね。ですから、その辺と、もう少し省庁間で突き合わせていただいて、三次元のモデルをきちんとして、その点に深さ方向の点において、どんな栄養塩が足らないかというようなことも検討していただければということが一つございます。

 もう一つ、よろしいですかね。一昨年の、あの辺り全体のダムがどんどん水がためられてしまって、今、気象は物すごくデータがよくなっているのに、放流できないようなダムがたくさんあるんです。あれが今度底泥をどんどん出していくと、河川の中に底泥が入って、それが瀬戸内海に入っていくというふうな、国交省がどこまでダムの中に水を抜けるような装置をつけていくかということもありますので、できましたら、その辺で、ダムからたくさん底泥が出てきてくれると、ある地域では随分高い栄養塩が入ってくるんじゃないかなというふうに。

 だから、その辺の、また、これも省庁間の関係になりますけども、ぜひ、それを結んでいただければというふうに思います。

 今、私、瀬戸内海の際に住んでいるんですけども、アメリカで、世界で10のうちの一つの瀬戸内海はいいところだと、ヨーロッパでは世界でどこかへ行けたら、瀬戸内海が1位になっているというふうな状況ですので、ただ、それに甘んじるだけじゃなしに、もう少し真面目に我々は科学をもって。それを社会的なことももって、それに対応していっていただければというふうに、よろしくお願いします。

【細見部会長】 ぜひ、モデル等について関連省庁とも連絡を取り合って、よりよい流出モデルも含めた閉鎖性水域のモデルをつくっておられるということを伺っていますので、流域全体の管理を含めると、流出のところもちゃんとやらないといけないというふうに思います。また改めて、水理学的な分野も含めて議論をさせていただきたいと思います。

 古米委員。

【古米臨時委員】 今後の方針ということで明確に示されていると思います。全体的に感じるのは、環境省的にまとまっている。先ほども連携という言葉がありますけれども、やはり、生物の多様性及び生産性を確保したいとか、きれいだけではなくて、豊かな海にしたいんだと。そうしたときに栄養塩と漁獲量の関係などを明らかにしないといけないとか、水産資源にどう影響しているのかというようなことが重要だと思います。したがって、生物多様性及び生産性の確保のところであるとか、その次の水環境評価・管理する制度基盤というところに、水産資源がどうなっているのかとか、あるいは、それとの関係がどうなっているかを把握することに言及してはと思います。そのときに水産庁が持っているもの、あるいは港湾が持っている情報、そういったものを使いながら、環境省がイニシアチブをとって、豊かな海に向かっていくというメッセージがあるとよいかと感じます。最初の部分には、調査のこととか、現状のところには水産庁の情報がありますとかと書いてはあるんですけども、後半の方策の部分になると、比較的、環境省ができそうだなというところに、おさまるような書きぶりになっているようです。藻場、干潟という内容は出ていますけれども、もう少し水産資源、あるいは、そういった調査データを蓄積して、その関係を明らかにするという内容を、今後のあり方というメッセージに少し追加いただくと、いいのかなと感じました。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 パブリックコメントは今週まであるそうですので、ぜひ、コメントをいただければ、ありがたいかなと思います。瀬戸内の小委員会でそれに基づいて、多分、ご議論していただけるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 岡久委員、どうぞ。

【岡久臨時委員】 多分、今後、この答申を受けて具体的な政策をとることになると思うんですが、特に下水道関係で、今、確かに栄養塩を季節運転で補給してあげようということで実施はしているんですが、そもそも下水道事業の目的は、環境基準の達成のためにやっているわけですね。そういうことが目的でやっているので、変な言い方ですけど、ノリの養殖のためにやっているわけではないので、ノリの育ちが悪いのは下水道のせいで、今からちゃんと栄養塩を補給して、ちゃんとノリを育ててくださいみたいな話になると、これはもう事業の目的からかなり外れるので、少しそこら辺をあまり下水処理の目的と外れたような政策を打たせるときは、慎重にいろいろ検討していただきたいなと思います。ノリが色落ちして生産性が落ちたのは下水道のせいだということになると、これは少し観点が違うんじゃないかなと思っているので、そんなことも念頭に置いて、今後の具体的な政策を進めていただければと思います。

 下水道事業のほうで、特にそういうことで協力をしないという意味ではないんですけれども、そういう観点からもご検討をお願いできればということに思います。

 以上です。

【中野閉鎖性海域対策室長】 省庁的な取組でご説明をしてしまいましたが、今、いただいている趣旨は、当然、大前提として、我々も考えております。あるいは、今までの委員からいただいたとおり、瀬戸内海に限らずですが、海洋環境は省庁の中でも水産庁を含む農林水産省、それから国土交通省さんとも特に連携を密にして、これまでも進めてきておりますし、今後はよりそれを強化しながら進めていくのは、関係省庁、これはイメージ合わせもできてございますので、今のご指摘も踏まえて、しっかり措置を考えてまいりたいと思います。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 須野原委員、どうぞ。

【須野原臨時委員】 25ページのグラフで、備讃瀬戸のところで、イカナゴの減少が海砂採取による影響が指摘されると、いきなり結論が書いてあるんだけれども、グラフで見ると、特にそれはわからないし、余りにも唐突な感じがするんですけれども、原因と結果のところが何でこういう記述になっているんですか。

【中野閉鎖性海域対策室長】 すみません、これは概要版だけになっていて、これ自体をさらに構成する資料自体は、よりたくさんあるんですけど、すみません、そこからサマライズをした結果……。

【須野原臨時委員】 漁獲量の変化だけ書いてあって、原因が書かれているというのは、こういう出した方としては、事実関係はわからないけども、少なくとも、理由として⑤の表との関係で書かれているという書き方はちょっとおかしいんじゃないかなという気がします、たまたま見て。

 これだと、海砂の採取がどのぐらい経年的にどうあって、どうだとか、全部あって、多分書かれたんだと思うんですけども、ここに書かれているパブリックコメントに出されているのは、いきなり結論だけの表を見ると、少なくとも漁獲量だけしか書いていないし、そういう因果関係というのは書く以上は、かなりちゃんと書かないといけないと思いますけど。

【中野閉鎖性海域対策室長】 わかりました。ありがとうございます。

【細見部会長】 今のご意見に関しては、次回の委員会にもかけて課題というふうにさせていただきたいと思います。

 大久保委員、どうぞ。

【大久保委員】 総合的な対策を打ち出してあるというふうに感じています。特に瀬戸内海は湾・灘ごとの細かな管理が必要なことは疑いのない状況になっておりますので、兵庫県等が条例改正によってやろうとしている取組と、それから国全体の政策との調和を図る方向での位置づけになっているというところは評価したいと思います。

 下水道につきましては、基本的に下水道が原因で貧栄養になっているというよりも、むしろ、マイクロな調整をする上で、一番公共として協力していただきやすいところにご協力を、今、いただいているという状況かと思います。そうした瀬戸内海の固有の問題とともに、この瀬戸内海で得られた知見というものを、もう少し全体的な水政策に反映していくべき側面もあるかと思います。

 個別の湾・灘ごとの管理は自治体ベースでできますが、先ほどから強調されていますような気候変動の海水温の上昇のほうが水資源、あるいは生物多様性にとって大きな影響を与えているのではないかとか、あるいはレジリエンス対策との関係で各種の公共工事、あるいは人工構造物が与える影響というもののインパクトも少なからずあると言われております。その観点では、生態系インフラに関する文言、あるいはグリーンインフラという文言は入っておりませんが、そうしたことに関連した文言も少し入っております。なかなか一自治体では取り組めないような項目、海水温の上昇、あるいはインフラ整備のあり方といった観点につきましては、まさに国がイニシアチブをとって、省庁間調整も含めてやってくべき事柄だと思いますので、瀬戸内海で課題となっていることを、ぜひ、全体としての国の政策に反映できるような形で、今後、取り組んでいただければと思います。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 いろいろご要望が出ました。小委員会の決議がこの部会の決議ですね。ありがとうございます。

 時間がそろそろ参りましたけれども、瀬戸内海の関係でご質問はほかにございますでしょうか。

 なければ、全体を通して何かご意見とかはございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、最後の議題のその他ですが、事務局から何かございますか。

【事務局】 特にございません。

【細見部会長】 それでは、改めて全体を通して何かご意見、ご要望がございましたら。

 ないようでしたら、以上をもちまして、水環境部会を閉会いたします。

 事務局にお返ししますので、連絡事項等がございましたら、よろしくお願いいたします。

【事務局】 本日は活発なご審議をいただき、大変にありがとうございました。議事録につきましては、事務局で案を作成し、委員の皆様に確認いただいた後、ホームページで公表する予定でございます。また、次回の部会は、5月、6月で日程調整しておりますので、また決定しましたら、ご案内申し上げます。

 それでは、以上をもちまして、本日の部会は終了いたします。どうもありがとうございました。

午前11時46分閉会