中央環境審議会 水環境部会(第47回)議事録

中央環境審議会 水環境部会(第47回)

議事次第

1.開会 

2.議題

  (1)カドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しについて

  (2)第五次環境基本計画の点検について(ヒアリング)

  (3)報告事項

  (4)その他

3.閉会

配布資料

資料1   カドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しについて(報告)

資料2   第五次環境基本計画の水環境部会での進捗点検について

資料3   ヒアリング資料(水環境課)

資料4   ヒアリング資料(海洋環境室)

資料5   ヒアリング資料(閉鎖性海域対策室)

資料6   ヒアリング資料(内閣官房水循環政策本部事務局)

資料7   ヒアリング資料(一般社団法人JEAN)

資料8   「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(諮問)」について

参考資料1 「カドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直し案」に対する意見の募集(パブリック

      コメント)の実施結果について

参考資料2 中央環境審議会による第五次環境基本計画の点検の進め方について

参考資料3 第五次環境基本計画(水環境部会分抜粋)

参考資料4 第五次環境基本計画の概要

議事録

午後3時00分 開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第47回水環境部会を開会いたします。

 まず、本日の委員のご出席状況でございますが、所属委員26名のうち、17名の委員のご出席をいただいており、過半数の定足数を満たしておりますので、本部会は成立しておりますことをご報告いたします。また、ただいま西垣委員が多少遅れるという連絡が入ってございます。

 また、本日の会議は中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただきます。

 次に、新たに水環境部会にご所属いただいた委員の方々をご紹介いたします。

 全国漁業協同組合連合会常務理事の三浦委員でございます。

【三浦臨時委員】 三浦でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 また、本日は欠席でございますが、一般社団法人日本化学工業協会環境安全委員会委員長の末次委員にも新たに本部会に所属いただいておるところでございます。

 それでは、水・大気環境局長の小野よりご挨拶を申し上げます。

【小野水・大気環境局長】 水・大気環境局長の小野でございます。去る7月9日付で水・大気環境局長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

 ご案内のとおり、政府も変わりましたので、小泉大臣を先頭に新しい体制で心機一転、引き続き頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日はご多忙の中、多くの委員の先生方にご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 前回、5月に開催させていただきましたが、そのときには、ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排出基準の見直しについて、ご審議をいただき、その結果をもとに、6月20日付で省令改正を行い、7月1日から施行されているところでございます。ご報告をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 本日の部会でございますけれども、まず一つ目といたしまして、カドミウム及びその化合物に係る暫定排出基準の見直しについて、ご議論を賜りたいと考えております。

 本件につきましては、7月17日に排水規制等専門委員会が開催されておりまして、その検討結果をご報告いただき、ご審議いただきたいと考えております。

 2点目といたしまして、環境基本計画でございますけれども、この7月に開催された総合政策部会において、その点検の方針が定められたところでございます。水環境部会が所掌する範囲の施策については、本年度に点検を行うということと決定されておりますので、今回、それから、もう一回、次回の2回にわたりまして、ヒアリングあるいは報告書案の取りまとめ等を行う予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 そのほか、瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について、審議状況のご報告もさせていただく予定でございます。

 委員の皆様方におかれましては、ぜひ活発なご議論を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

【事務局】 ありがとうございました。

 次に、事務局に人事異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。

 ただいまご挨拶申し上げました、水・大気環境局長の小野でございます。

【小野水・大気環境局長】 よろしくお願いいたします。

【事務局】 大臣官房審議官水・大気環境局担当の正林でございます。

【正林大臣官房審議官】 よろしくお願いします。

【事務局】 同じく、水・大気環境局総務課長、関谷でございます。

【関谷総務課長】 よろしくお願いいたします。

【事務局】水環境課長の筒井でございます。

【筒井水環境課長】筒井でございます。よろしくお願いします。

【事務局】 地下水・地盤環境室長の堀上でございます。

【堀上地下水・地盤環境室長】よろしくお願いいたします。

【事務局】 また、本日は議題2の第五次環境基本計画の点検において、ヒアリングを実施するためにご意見を聴取する機関としまして、一般社団法人JEANから小島理事、内閣官房水循環政策本部事務局から光橋企画官にご参画いただいておりますので、初めにご紹介させていただきます。

 次に、資料の確認をさせていただきます。資料につきましては、環境負荷削減の観点からペーパーレス化の取組を推進しております。お手元のタブレット端末に本日の資料が一式格納されておりますので、ご確認ください。資料は、資料1から資料8、参考資料は1から4となっております。

 各資料をご覧になりたいときは、その資料が表示されている部分を1回タップしてください。見終わりましたら、もう一回、画面をタップしていただくと左上に矢印が出てまいりますので、それを押していただくと前の画面に戻ります。

 資料の不足やタブレット端末の不具合等がありましたら、事務局にお申しつけください。議事中でも同様でございます。

 また、環境省では、プラスチック使用削減の取組も推進しております。このため、当部会におきましても、個別のドリンク配付は行っておりません。マイボトルの持参を呼びかけておりますので、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。

 また、本日は、紙パック入りのコーヒーとミルクを窓際のテーブルにご用意しておりますので、ご自由にお使いください。

 それでは、報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮影、ここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移ります。

 ここからの議事進行につきましては、細見部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【細見部会長】 かしこまりました。

 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。

 本日の議題は、議事次第にありますように、議事案件が2件、それと報告事項が1件でございます。

 まず議題の1、カドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しについてでありますが、この議題につきましては、排水規制等専門委員会で審議された内容でございます。委員長を承っております、私のほうから簡単にまず説明をさせていただき、その後、事務局のほうで補足説明をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、資料1を見ていただけますでしょうか。そこの1ページにカドミウムに係る暫定排水基準の対象業種の変遷という表1というのがございます。これまで、溶融めっき業、非鉄金属第一次製錬・精製業、それから非鉄金属第二次製錬・精製業に関しましては、1年前に一般排水基準に移行するということで、残りの金属鉱業、これが今年度の1130日で暫定排水基準の適用期限を迎えます。それに向けて、今回の見直しとなったわけでございます。

 その暫定排水基準について、一般排水基準に移行することを目標として、暫定排水基準を決めてまいりましたけれども、排水規制等専門委員会におきましては、金属鉱業の状況、排水実態、それから処理技術等をヒアリングしてまいりました。

 そのポイントはお手元の資料の4ページの下のほうを見ていただきますと、これまでの取組状況でございます。ポイントは、この金属鉱業の排水におきましては、電気がないということで、手動で排水処理をやっておられましたので、台風とか、あるいは春先の融雪時には大量の水が出て、なかなか手動で行うというのは、非常に困難でございました。その後、電力会社といろいろ協議をされまして、電気を通していただけるような設備が動くだろうということで、結果的には予定でございますけれども、次の5ページでございます。

 水処理設備の検討をずっと進めてこられて、来年度令和2年度中に排水処理の設備の建設あるいは試運転、立ち上げといったことを行われる予定でございます。そういうこともあって、今回の結論としては、その表にございますように、令和3年1130日までは、これまでの暫定排水基準を適用することとして、その後は、一般排水基準に移行するという、そういう見通しで5ページの表のような形にまとめるというのが、排水規制等専門委員会での議論でございました。

 ちょっともめたというか、議論になりましたのは、5ページの2)の暫定排水基準の見直し(案)のところで、いつも暫定排水基準を議論する場合には、排水の実態を評価するわけですが、その際、前回の見直し時からこれまでの間、最大でも0.046mg/Lでしたので、今の暫定排水基準値が0.08mg/Lですので、この点について、少し議論がございました。

 しかし、先ほど申しましたように、手動でかつ台風時とか、そういう時期ではコントロール、制御不可能だろうということで、これまでどおりの暫定排水基準値の0.08mg/Lを維持しようということが適当であろうというふうに考えられました。この経緯については、水環境課長の筒井さんのほうから、もう少し補足説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。すみません。座って説明をさせていただきます。

 今、細見部会長からかなりのところ、説明をしていただいたところでございますけれども、この金属鉱業、1事業所が残っているという状況でございます。山奥で電気がなくてということで、手動での処理ということでございますので、この最大0.046mg/Lという値が、4ページの表の3のところで、過去の実態としてあるわけでございますけれども、引き続き0.08mg/Lを維持させていただく形でのご提案になっております。

 一方で、ここに4ページの下のところに書いてありますけども、現在事業者のほうで、中和沈殿処理の水処理設備、これを建設できるように検討を進めていると。さらに並行して、大きな電力を使わなくてもできるような処理の仕方などについても、今検討しているという状況でございます。

 そういうふうな状況でございまして、この前の平成28年の時点での暫定排水基準の延長につきましては、平成28年から31年、令和元年までの3年間ということになっておりましたけれども、今回の見直し(案)につきましては、先生方にご検討をいただいた結果、2年間の暫定基準の延長、その間に水処理等について、整理をしていただいて、できるだけ一般排水基準0.03 mg/Lを満たすような形に対処をしていただくということが適切であるということで、このような形でまとめさせていただいているところでございます。

 さらに、7月17日に排水規制等専門委員会で、この案を取りまとめいただいたところでございますけれども、その後、7月末から1カ月間、7月30日から830日までパブリックコメントに付させていただいたところでございます。

 その中で、参考資料の1に関連を書かせていただいておりますけれども、意見の提出等につきましては、1件だけということでございまして、この寄せられたご意見は、3のところに書いてありますけど、本件の案に関するご意見というのは0件と。(2)のところにありますけれども、1件いただいた内容につきましては、教育内容の改正など、本件のカドミウムの暫定排水基準以外のところの政策提案におけるご意見であったということをご報告させていただきたいと思います。

 私からの補足の説明は以上でございます。

【細見部会長】 ただいまの説明につきまして、ご質問とか、あるいはご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 発言のある方は、また立て札をお願いいたします。

 大久保委員。

【大久保委員】 ご説明ありがとうございました。

 確認ですけれども、4ページの下から5ページ目にかけましては、処理設備の建設運用とともに、パッシブなものについても導入検討するということが書かれていますが、設備を導入後は、そのパッシブトリートメントとの組み合わせはどのようなものになるのかということが、第一点。それから、もう一つは、令和2年度中にその設備の建設から立ち上げまで行うということですが、そこから11月の末まで、令和3年11月末まで暫定基準を延長するという意味は、安定運転に半年はかかると、それ以上短くすると、やはり安定運転まではこぎつけない可能性があるという理解で正しいでしょうか。

 以上、2点お願いいたします。

【筒井水環境課長】 私のほうからご説明させていただきます。

 このパッシブトリートメントについては、まだ、どういう技術にするかというのは、最終的に事業者からは確定させたという話ではないというふうに理解させていただいています。現在、少し技術的になりますけれども、普通に行われております、カドミウムを水酸化ナトリウムで中和させるかたちで沈殿させて除去する方法、それにプラス、パッシブトリートメントという、今まだ少し安定性等について、検証しなければいけないような、これは技術的には硫化物というかたちで、硫化カドミウムのかたちで落とす処理というふうに伺っておりますけれども、この辺の技術について、並行して検討していただいているという状況だというふうに理解しております。

 さらに、令和3年11月末まで、安定の運転に必要な期間なのかということですけれども、こちらにつきまして、基本的に今から電気の入ってくるスケジュール、それから技術の検討スケジュールを踏まえまして、2年あれば処理対応が可能になるのではないかということで、一方で、あまり長くそこを余裕な期間を持たせるということは、水質保全行政上もあまり適切でないだろうということから、令和3年11月末までということになっております。

 以上でございます。

【細見部会長】 よろしゅうございますでしょうか。

 ちなみに、パッシブトリートメントというのは、恐らく湿地というか、ウエットランドを使って、排水処理をしようという、動力を使わずにですが、しかし規模も小さく、実験を今されている段階だというふうに伺っています。

 あと、ほかにございますでしょうか。

 白石委員、どうぞ。

【白石委員】 ちょっと直接関係ないんですけども、排水規制ですから環境基準との関わりでやっていると思うんですけども、カドミウムの環境基準の達成割合みたいなことですね、この排水の規制の関係みたいなものが、わかれば教えてください。

【筒井水環境課長】 すみません。この下流のところでの達成状況というのは、確認した上でご返答させていただきたいと思います。基本的には、カドミウムと重金属のところは、達成されている状況にあるというふうに考えております。また、改めて確認した上で返答させていただきます。

【細見部会長】 よろしいですかね。

 ほかにございますでしょうか。

 西川委員、どうぞ。

【西川臨時委員】 説明にはなかったのですが、1ページの一番下のほう、参考というところに、カドミウムの主な影響という記載があって、人体に対して、長時間の暴露により腎臓、肺に障害を生じるということですが、肺の障害は吸入暴露に限定したものです。肺がんが出るということになっていますが、その結果自体もまだあまり明確なものではなく、特にここは排水基準のところですから、肺についてはあまり記載する必要はないという気がしました。

 もう一つは、その下に骨への影響が記載されていますが、これは直接的な影響ではなくて、腎機能の障害に伴う二次的な影響であるという考えが現在の大勢を占めておりますので、この辺りは少し記載を改めたほうがいいと思います。これは前回の記載をそのままコピー・ペーストしたものなんでしょうか。

【細見部会長】 これはどうでしたっけ。環境基準のときに議論したと思いますが。

【筒井水環境課長】 これは環境基準などの議論のときのものをそのまま入れているかたちであるというふうに聞いております。

【細見部会長】 西川先生、これは修正したほうが望ましいというご意見でございますでしょうか。

【西川臨時委員】 この環境基準そのものも食品安全委員会の評価を受けてのことですので、そこでの影響評価に関する記載を忠実に反映させるとしたら、少し変えたほうがいいと思います。

【細見部会長】 事務局としては、どうでしょうか。

【筒井水環境課長】 ご指摘を踏まえて留意させていただければと思いますけど、今まで我々としては食品安全委員会等々で書かれているようなことをそのままというかたちで書かせていただきましたが、今後については精査をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

【細見部会長】 ほかにいかがでしょうか。

 特段のご意見とかございますでしょうか。なければ、カドミウム及びその化合物に係る暫定排水基準の見直しにつきましては、先ほどの1ページの参考の記述の仕方ですけれども、これについては、もう一度、食品安全委員会からのレポートを精査して、修正すべきというふうにすれば、ここは修文させていただきたいと思いますけれども、その判断につきましては、部会長に一任させていただいてよろしゅうございますでしょうか。

 そういう前提で、この部会の決定というふうにさせていただきたいと思います。

 次には、この審議結果を踏まえた、今後の予定について、事務局からご説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 今日の部会で、ご了承いただいたというかたちかと思っておりますので、この暫定基準、今の暫定基準が1130日に切れるということになりますので、この暫定排水基準の見直しについては、期限の1130日までに省令を改正して2年間の延長という形とさせていただきたいと思います。

 以上です。

【細見部会長】 それでは、続いて議題の2番でございます。

 第五次環境基本計画の点検について(ヒアリング)でございます。これについては、事務局からまず説明をお願いして、その後、ご質問、ご意見を受け付けたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

【谷貝政策企画官】 水・大気環境局政策企画官を務めております谷貝と申します。着座で説明させていただければと思います。

 お手元のタブレットの資料の2を開いていただけますでしょうか。こちらをベースにご説明をさせていただければと思います。

 まず、そもそも論といたしまして、環境省のあるいは日本の環境政策の骨格をつくっております環境基本計画がございますが、こちらが昨年4月に改定をされてございます、第五次の環境基本計画でございます。

 こちらは、その中でフォローアップPDCAサイクルというのが位置づけられてございまして、こちらが他の計画ですと、例えば毎年点検であったりとか、あるいは5年に1回見直しといったような形になっているのですが、環境基本計画については、実は、二つのフェーズに分かれてございまして、まず今年と来年で、第一フェーズで点検を行って、その後、20222023で第二フェーズの点検を行うということで、基本計画全体を点検するとなると、かなり膨大な点検量となってございますので、ざっくりいうと、半々ずつ分けて点検を行うというふうな形になってございます。

 この点検につきましては、これも、過去の基本計画も一緒だったのですが、実は、各部会でそれぞれ担当を決めて点検を行うと。各部会長が環境基本計画を所掌している総合政策部会に報告を行って、そこで各部会の報告を統合して、省全体あるいは政府全体の報告点検とするというふうな形となってございまして、そのやり方というのが、今回も踏襲されているというふうな形でございます。

 お手元の資料2をちょっとご覧いただきまして、今回の計画の特色としては、テーマとして「環境・経済・社会の統合的向上の具体化」といったものと「地域循環共生圏」の創造というものを挙げてございます。さらに、それを具体化するために、六つの「重点戦略」というのをつくってございまして、経済、国土、地域、暮らし、技術、国際という、ある意味、今まで環境とは一見関係のないようなものの切り方で横断的に、今までが水・大気・土壌あるいは廃棄物・COといったようなメディア別に縦割りというか、縦に点検をしていたものを、今回は横串を切って計画をつくったというふうな形になってございます。

 ただ、どうしても六つの横串で落ちてくるもの、例えば環境リスクの管理といったものについては、「重点戦略を支える環境政策」ということで、別途計画のほうには盛り込んでいるというふうな形になってございます。

 ちょっとイメージが湧きにくいと思いますので、すみません、参考資料3をご覧いただければと思いますが、こちらは実際の環境基本計画の中で、特に水環境部会のほうの所掌となる部分の抜粋をしたものでございます。

 1ページのほう、第2部ということが、環境戦略の具体的な展開ということで、重点戦略というのが定められてございますが、そのほかに、まず2番の国土のストックとしての価値の向上という部分で、例えば()として、自然との共生を軸とした国土の多様性の維持という中で、海洋の話が入ってございますし、また、その次のパラグラフで、健全な水循環の維持又は回復といったようなものが盛り込まれてございます。

 また、その下の4番の健康で心豊かな暮らしの実現というところで、()安全・安心な暮らしの基盤となる良好な生活環境の保全ということで、健全で豊かな水環境の維持・回復でございますとか、マイクロプラスチックを含む海洋ごみ対策の推進といったものが盛り込まれてございます。

 次ページにございますが、今度は第3章で、先ほど申し上げた六つの重点戦略に落ちないもの、重点戦略を支える環境政策の展開ということで、4ポツ.環境リスクの管理ということで、ここは、いわゆる水・大気局が行っているものについて、ある程度、網羅的に書かれてございます。水、大気、土壌の環境汚染ということで、水、水質汚濁防止、水質汚濁対策等推進でございますとか、あるいは地下水汚染対策と持続可能な地下水利用といったものが盛り込まれているということになってございます。

 すみません。たびたび恐縮でございますが、また資料2に戻っていただきまして、こういった計画の点検について、今年度、今回の部会から始まっていくということでございます。点検については、今回は横串の計画になっているので、今までの点検とはやり方を変えていこうとなってございます。

 具体的に言うと、特に六つの重点戦略については、もともと横串での計画となってございますので、環境という切り口だけではなくて、例えば経済、社会的課題からの効果、同時解決といった観点でございますとか、あるいはイノベーションという切り口で点検を行うということで、今回、総合政策部会で決定されたところでございます。また、それに加えまして、先ほど申し上げました分野別の重点戦略を支える環境政策についても、政策の進捗を点検するというふうになったところでございます。

 その次のパラグラフ、“その上で、”というところが、先ほど申し上げた各部会で、それぞれ担当分野が決まっており、各部会で点検を行って報告をまとめるというふうになったということでございます。

 その次のパラグラフ、“さらに、”というところがございますが、今回、第1回点検というのを2019から2020年度に行って、その中で水環境部会は、点検を行っていただきたいということで、総合政策部会で決定されたということでございます。

 次のページ、進んでいただきまして、そういった背景を踏まえまして、では当部会におきまして、どのように点検を進めていくかというのをまとめたペーパーでございます。

 まず()点検の観点でございます。これは多少繰り返しになりますけれども、今回、総合政策部会のほうから横の観点、今までの分野別ということではなくて、横串という観点で点検をしてほしいというふうな話がございましたので、②のところに書いてございますけれども、重点戦略を俯瞰した環境・経済・社会面への多面的効果及びイノベーションといったもの、そういった観点、切り口から点検を行うというふうになっているところでございます。

 今回、特に水環境部会にあっては、大きく二つの分野がございまして、「健全で豊かな水環境・水循環」と「海洋環境の保全」という二つの大きな切り口から環境、経済、社会へのマルチベネフィットあるいはイノベーションという切り口で点検をいただければというふうに思ってございます。

 言うまでもなく、①で書いてございますが、その際には、定性的な話だけではなくて、可能な限り定量化を図っていくということも行っていくと。ただ、なかなか正直申し上げると、経済・社会面の効果というのは、定量化が難しい部分もございますので、そこは可能な範囲で、対応させていただければと思っているところでございます。

 ()が点検の進め方でございまして、まず今回、第1回ということでございまして、関係者ヒアリングということでございまして、特に「重点戦略」につきまして、水循環・水環境、あるいは海洋環境の保全という観点から、当省あるいは他省庁、あるいは民間の方からのヒアリング等を実施させていただければと思ってございます。

 また、日程は未定でございますが、次回の部会におきましては、そういったヒアリング結果を踏まえまして、施策シートといったものを作成させていただきまして、さらに、それを踏まえて、報告書の原案といったものを事務局で案を示させていただきまして、それについて、ご審議をいただければと思っているところでございます。

 それを踏まえまして、時期は未定でございますが、恐らく来年度の夏ごろになるかと思いますけれども、総合政策部会におきまして、部会長のほうから水環境部会からの報告ということをしていただくということでございます。

 次のページ以下、3ページ以下、施策シートといったものをつけさせていただいてございます。中身については、次回ご説明させていただきますけれども、例えば最初の4枚については、重点戦略ということでございますので、先ほど申し上げたとおり、環境分野だけではなくて、経済・社会面での効果であったりとか、あるいはイノベーションの可能性といったものについても記載をする予定でございます。

 また、最後の2ページが、重点戦略を支える環境政策ということで、こちらについては、主に環境分野からの点検となってございますので、施策の進捗状況を中心に報告させていただくことを予定しているところでございます。

 取り急ぎでございますが、今回の基本計画の点検の進め方について説明させていただきました。以上でございます。

【細見部会長】 ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等がございましたらよろしくお願いいたします。

 今回から点検の方法に横串という表現がございましたけれども、重点戦略の観点から、例えば水の分野でどのように進めているのかという、ちょっと新しい点検となります。何かご質問とか、ご意見ございますでしょうか。

 浅見委員、どうぞ。

【浅見臨時委員】 ありがとうございます。

 ちょっと、まだ点検の手順というのがよくわからないので、教えていただきたいんですけれども、今後点検をしていくときに、項目を決めて継続的に見ていくとすると、今まで行っていた項目と新しい項目とを比較しながら継続して行うべきものは継続し、新規に入れるものは新規に、廃止するものは廃止してというような手順になるのかなと思うんですけれども、その辺の見通しを教えていただければといいますのと、例えば他省庁とまたがりますような越流水対策ですとか、海洋投棄の問題ですとか、放射能関係の問題ですとか、そういったものについては、どのような形で取り上げていかれるご予定なのかというのを教えていただければと思います。

 といいますのも、継続的に環境基準のモニタリングとかも行われていて、毎度似たような推移はたどっていくんですけれども、継続的に測っているものというのが、いつも平常時のものを大体測られていることが多いので、なかなか豪雨が増えてきた現状ですとか、越流水が多いような状況のときというのは把握できないのではないか。実際使っていらっしゃる方ですとか、使用する側からいきますと、そういう越流で来てしまうような水質汚染というのが、非常にマスコミ的にも問題になったりとか、臭いがしたりとかというようなご指摘があったりということとか、なかなか改善されていかないなというところもありますので、その辺のちょっと見通しを教えていただければと思いました。

【細見部会長】 それでは、谷貝さん、お願いします。

【谷貝政策企画官】 ご指摘ありがとうございます。

 本来おっしゃるとおり、過去からの点検の結果との突合というか、整合性でございますとか、あるいは何らかの定量的な目標があって、それに対して進捗状況はどうかというのが、これまでの点検の本流というか、あり方だったと思うんですけれども、今回、実は、これも総合政策部会というか、計画をつくった部局からの指示というか、指導がございましたけれども、率直に申し上げますと、そういった何かずっと中長期的にモニタリングをしていくということを点検の目的とするのではなくて、むしろ環境、経済、社会の統合をいかに進めていくかといった気づきの機会、あるいは、新しい観点を踏まえた新しいアイデアといったのを生み出す場として、点検をしてほしいというふうな指示をいただいてございます。

 したがいまして、委員のご指摘のとおり、そういった施策についての過去からの継続性についても重要だと思ってございますが、今回、点検については、そういったものを必ずしも行うというよりは、先ほどご説明した点検に書かれている六つの重点戦略に記載されているような国土、あるいは暮らしといった観点から、水環境政策といったものがどういった貢献ができるかと、どういった貢献ができているかといったことを進めさせていただくとご認識いただければと。お答えになっているかわかりませんが、今回の点検としては、そういった性格のものであるというふうにご理解をいただければ幸いでございます。

【細見部会長】 よろしゅうございますか。

 それでは、西垣委員どうぞ。

【西垣臨時委員】 私は、浅見さんの意見に賛成で、これ、異常気象の中で、水がコントロールできない状況で環境の問題というのは、なかなか議論できないという項目がもう少し入れていただけないかなというふうに思います。ここにある物を置いておいても、それがどんどん越流したり、堤防が決壊したり、いろんなことで汚染したものが、ぐるりと全体に広まっていってしまうようなことが、これから幾らでも起きてくる現状に今なっているんだということを環境省のほうにも理解していただいて、今までの平然な状態じゃないということを少し項目の中に折り込んでいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

【細見部会長】 多くの委員の方は、多分、今の浅見委員、西垣委員のご指摘にうなずいておられると、私は思いますので、この部会としても、どこまで取り組めるかは別にしても、一つ課題として挙げられるようにちょっと議論をしていきたいと思います。

 今日は、各重点戦略とか重点戦略を支える環境政策について、主に担当されている課室の人、それから、今日は2名の外部の有識者の皆様に来ていただいておりますので、今までの施策の概要と進捗状況をお伺いした上で、先ほどのような非常時、非常に強い雨天時だとか災害時だとか、そういったときの対応についてのことも、これはちょっと宿題にさせていただいて、現在の施策の概要と進捗状況についてご説明いただきますので、その後、まとめてご質問とご意見を受け付けたいというふうに思います。

 今からいくと、資料3から7まででしょうかね。水環境課から、大体10分程度でご説明をお願いいたします。

【筒井水環境課長】 水環境課長の筒井でございます。座って説明をさせていただきたいと思います。

 資料3に基づきまして、簡単に説明をさせていただきたいと思います。

 環境基本計画ができて、1年5カ月ぐらいということでございまして、まだまだ、ちょっと対策も始まったばっかりということでございますけれども、説明をさせていただきたいと思います。

 1枚めくっていただきまして、スライド1ページのところ、水環境保全対策スキーム、皆さん、もう部会の先生方にご説明するまでの話でもございませんけれども、環境基準を目標として規制的手法、水質汚濁防止法などによる対策をして、国における一律基準、それから、その排水基準、さらに生活排水対策(下水道・浄化槽等の整備)、それから閉鎖性海域などには総量規制といったようなものもやっていきながら対策を打ってきているわけでございます。

 今の環境基本計画第五次の計画においても規制的手法というのは政策の基盤としてあるというふうに考えているところでございます。

 そのような中でも、今まで、我々としても個別の水域、特に環境基準の達成がこういう左側のスキームでできないようなところというものについては、特定の水域ごとの対策というようなものを行ってきているわけでございます。

 そういう中で、湖沼法に基づく対策、それから、瀬戸内海環境保全特別措置法、有明海・八代海の特別措置法、さらに琵琶湖保全再生法、また閉鎖性海域のところは、後ほど担当の室長からご説明をさせていただく形になりますけれども、さらに、我々としては、やはり水環境保全というものが国民一人一人、環境施策全体そうですけれども、意識があってこそのものであるということで、水循環、水循環のお話はまた内閣官房の水循環政策本部の光橋企画官のほうから話があるというふうに思いますけれども、そういうものを一省庁として、しっかりやっていくようなことも、もちろんでございますけれども、水に親しむ、それから、水について、いろんな連携をする教育のようなものの推進も進めてきているところでございます。さらに、今、国際的にも国際協力、バイ・マルチでの協力を進めてきているというところでございます。

 めくっていただきまして2ページ目でございます。これも皆様、ご承知のとおりでございます。代表的なところで環境基準の達成状況、公共用水域と地下水の達成の状況、特に有機汚濁の項目をもとに公共用水域、それから、地下水ですので、有害物質の状況なんかを書かさせていただいているところでございます。ご承知のとおりでございまして、河川については下水道を初めとして浄化槽、それから生活排水整備によって達成率は非常に上がってきているということでございます。

 一方で、湖沼、海域のところが伸び悩んでいる、伸びているところは伸びているところがあるんですけど、やはり海域みたいなところは少し全体を見て横ばいというような状況でございます。

 そういうような中で、次のページでございますけれども、3枚目のスライドでございます。いろいろな指標で多面的に水環境をより見ていく必要があるだろうというようなことがございまして、近年、我々として底層溶存酸素量、底層DOについて、環境基準項目という形で追加をさせていただきました。一番左上に書いていますけれども、水質環境基準項目CODというのは、非常にわかりにくい、化学的には有機汚濁の指標という形で、一定の当然ながら歴史的にも有用な指標という形になっているわけでございますけれども、なかなか国民の皆さんからはわかりづらい指標でもあるというようなところ、その工程をもって、単純に生物の生息環境の良好性を判断することは難しいというようなこともありまして、底層溶存酸素量を新たに指標として取り込んでいくというようなことをやっているところでございます。

 平成28年3月に底層DOを環境基準項目として設定して、類型指定について、今、まさに、一部の先生には本当にお世話になりながら、今回、出席していただいた先生の中でも、これに関わっていただいている先生、多うございますけれども、検討を進めているところでございます。

 さらに、右のほうは、少し毛色が変わりますけれども、今の環境基準では大腸菌群数になっているところについて、測定技術の向上ということで、よりふん便性の汚染を正確に把握できる大腸菌という形での指標を採用する方向で、今、これも議論をさせていただいているということでございます。より水質というものを細かくきちっと見ていこうというような形の動きというふうに理解していただければというところでございます。

 次に、個別の対策ということで、湖沼の関係を少しご説明させていただきたいと思います。湖沼法は、昭和59年にできた法律でございまして、法律に基づく指定湖沼として、5湖沼から始まって、現在、11湖沼が指定されているところでございます。今年度においては、中海、宍道湖、野尻湖、八郎湖について、湖沼計画の改定を考えているところでございます。

 そのような中で、我々としても、より湖沼の水質というもの、湖沼の水質保全の多面的な施策をやっていくということで、一部事業を紹介させていただきたいと思います。

 4ページの下のところにありますけれども、環境省における実証事業ということで、宍道湖においては、水草の除去による効果、それによる湖沼の水質、生態系への影響というようなところについての検討を行っているところでございます。

 一方で、八郎湖におきましては、貧酸素水塊の発生等によるアオコの発生ということがございますので、そのような貧酸素水塊のところに酸素供給を促してやる事業についても試験的に取り組みながら、湖沼対策を進めていくということを取り組んでいるところでございます。

 次に、琵琶湖につきましては、「琵琶湖の保全及び再生に関する法律」が平成27年9月16日にできました。もともと、琵琶総と呼ばれております琵琶湖総合開発特別措置法で、治水、利水のために琵琶湖の施策は進められたわけでございますけれども、外来動植物の増加など、そういう状況の変化に対応するために、琵琶湖を総合的に保全再生していくということで、この法律ができているという状況でございます。

 環境省は、主務大臣の一つということで、メーンの大臣の一つということでございまして、真ん中の一番下のところで二重囲いのところにありますとおり、国及び関係地方公共団体が講ずるべき施策ということで、各省連携しながら進めている施策でございます。

 水質の汚濁の防止のための措置というのは、湖岸の自然環境の保全再生、その流域における環境に配慮した農業の普及、景観の整備や保全、さらに、外来性の動植物対策、流域の森林保全対策もこの法律の中に取り込みながら、毎年度点検しつつ取り組んでいるところでございます。この法律は、平成27年9月に施行され、平成32年、つまり令和2年でございますけれども、9月に法施行後5年ということで、法律の5年後見直し規定ということがございます。先週の9月9日に、フォローアップを実施するということで、関係機関での会議で合意しまして、これから1年かけてフォローアップ等を進めていくことになります。

 次のページでございますけど、水循環基本法に基づく取組ということで、全体の取組は、後ほど、内閣官房水循環政策本部のほうからお話があるかと思いますけれども、環境省としての取組については、一番右下のところに書いてありますけれども、ここは簡単にさせていただきたいと思います。

 水環境課からのご説明は以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。それでは、次に、海洋環境室のほうからお願いいたします。

【中里海洋環境室長】 海洋環境室の中里と申します。座って説明をさせていただきます。

 資料4に基づきまして、説明させていただきます。前回の水環境部会以降に発生した事象等について、ご説明いたします。

 まず最初、1ページ目でございますけれども、今年はG20が日本で開催されました。日本が議長国でございます。6月28日、29日と両日でG20大阪サミットが開催されたわけでございますけれども、その中で、まず大阪ブルー・オーシャン・ビジョンというものが各国の共通のビジョンとして共有されたわけでございます。

 また、二つ目のG20海洋プラスチックごみ対策実施枠組ですね。これは、今回共有されたビジョンでございますけども、その実現のために、各国が取り組む内容を定期的に共有して、各国が今後、自分たちで何をしなければいけないかということを意識していただいて、そういった取組を継続して行っていくということが決められました。

 最後の資源効率性対話というのは、この実施枠組を行う場としまして、2017年に設置されまして、そこで話し合っていこうということになってございます。

 次のスライドをご覧ください。これがG20大阪首脳宣言ということですね。サミットの中で採択されたものでございます。その海洋プラスチックごみがここでございまして、39という番号が振られてございます。最初のパラグラフで「海洋ごみ、特に海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処する措置は」となってございますけれども、全ての国によって取り組む必要があるということが確認されてございます。

 その下でございますけども、略の後に「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有したとなってございます。その内容としましては、その下のほうの赤字で示してございますけども、「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減する」というものでございます。こうしたものを、このブルー・オーシャン・ビジョン、これは国際社会の他のメンバーにも共有するということを呼びかけようと書いてございます。また、これを行っていくに当たって、プラスチックが社会にとって、非常に重要な役割を果たしているということも認識すると。改善された廃棄物管理及び革新的な解決策でございますが、まだ廃棄物管理が不十分というところは、世界的には多くございます。そうしたこととイノベーション、こういったものを通じて、これを解決していこうというものでございます。そうやって、まず、「管理を誤った」とございますが、管理が不十分なプラスチックごみ、この海洋へのごみの流出を一層減らしていこうと、あと、包括的なライフサイクルアプローチということで、プラスチックの生産から廃棄まで全てにわたって、全ての過程において、いろんな取組を進めていこうというものでございます。

 次のスライドをご覧いただければと思います。G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組の概要でございますけれども、G20海洋ごみ行動計画というのがございます。これは2年前にできたものでございまして、これは決定したんですけれども、その内容について、各国がどのように取り組んでいるかというのは、まだチェックがされていなかったということがございます。これをきちっと回していこうというものでございます。これに基づく取組について、各国が何をやったのかということを発表していただいて、共有しようと。その中で足りない部分なり、参考になる部分は、また各国に持ち帰っていただいて実施していただくというものでございます。これを継続的にやっていこうというものでございます。

 二つ目の2でございますけれども、これはG20の外ですね。先ほどもございましたが、他の国にも、こういったビジョンを共有して取組を進めていただこうというものでございます。

 次のスライドでございますけれども、実際の枠組でございますけども、今年から動き出すということでございます。本年10月上旬に東京でG20資源効率性対話を実施する予定になってございます。この中で、先ほどの海洋プラスチックごみ実施枠組、これについてもフォローアップを行っていくということになります。

 参加していただくのは、G20の国とアウトリーチ国、あと、国際機関にも参加いただく予定でございます。こちらは、東京の国連大学で開催する予定としてございます。

 次のスライドをご覧ください。それでは、日本は、このビジョンを達成するために何をするのかといったところです。左上のほうにブルー・オーシャン・ビジョンの話がございますが、その右側のほうに三つございます。プラスチック資源循環戦略、海洋プラスチックごみアクションプラン、海岸漂着物処理推進法に基づく対策基本方針という三つでございますけれども、この三つ、ちょっと性格は違うんですけれども、全て5月31日に決定してございます。

 これらに書かれている内容としましては、大きくはこの四つがございます。一つは、リデュース、代替素材への転換というところでございます。これについては、今のプラスチックから別のものにかえられないかというところで、例えば紙でございますとかセルロース、あと、仮に燃やしたとしても、その後、発生したCOをさらに生産に回せるというバイオプラですね。こういったものへの転換はできないかといった部分がございます。

 あと、それ以外にグリーン購入でございまして、政府等もこういう環境に優しいものを積極的に購入していこうというもの。あと、右側のリデュースでございますけれども、産業界でももう既に取り組んでいただいてございますが、例えばプラ製のストローの廃止でございますとか、コンビニでのレジ袋の廃止の動き、こういったものがございます。

 その下が、リサイクル資源循環でございまして、まず左側が国内資源循環体制の構築でございます。皆様ご承知のとおり、中国を初め、東南アジアのほうで廃プラスチックの輸入を規制するような動きがございます。そうした中で、国内のリサイクル体制を強化していかないといけないということで、今年度も国費を充当、この体制の強化を進めているところでございます。

 その右側でございますけれども、国際資源循環というところに、バーゼル条約改正というのがございます。バーゼル条約は、廃棄物の取引を規制する条約でございますけども、そこで、日本とノルウェーが共同で、リサイクルに向かないような非常に汚れたプラスチックについては、取引を禁止すべきじゃないかということを提案しまして、これが採択されました。2021年から、これを施行する予定でございます。

 その下でございますけれども、海洋プラ対策でございます。一つには、現在も進めてございますけども、残念ながら海に流出してしまったごみの回収処理でございまして、海岸を中心に回収処理を進めさせていただいてございます。今年は補正予算と、あと、当初予算あわせて、大体35億円を活用して、この取組を進めているところでございます。

 その下に漁具・漂着ごみ等対策というのがございます。海に流れてしまったごみというのは、なかなか回収が難しゅうございます。そのために、実は水産庁と連携しまして、漁業者の方々にご協力いただきたいと考えてございます。これも今年度からさらに推進していきたいと考えてございます。

 その右側が、マイクロプラスチック対策と青字で書いてございますけれども、今後、スクラブ製品へのマイクロビーズを使用しないということは、業界のほうで自主的に取り組んでいただいているところでございますけども、そこも含めて、きちんと国としても、その状況を把握していきたいと考えてございます。それから、あと、マイクロプラスチックにつきましても、さまざまな影響が指摘されているわけでございますけれども、まだまだわからないところが多いです。その調査研究も進めていきたいと考えてございます。

 その右側が国際協力でございまして、プラスチックごみ、世界的に見ると途上国からの排出が非常に多いという状況でございます。ですから、途上国での廃棄物管理を徹底していく、強化していくということが重要でございまして、その点で日本は非常にソフト・ハードで、すぐれたインフラを持っていますので、そういったものを途上国にも展開していくというものでございます。

 最後に、国民運動・普及啓発ということです。今、「プラスチック・スマートキャンペーン」等をやらせていただいてございますけれども、やはり、特に日本の場合には国民の方々が、ごみをきちんと処理するといったことを徹底していただくことが非常に重要かなと考えてございまして、こういった国民運動を、さらに展開していきたいと考えてございます。

 続きまして、次のスライドでございますけれども、プラスチック資源循環戦略でございます。左側に重点戦略というのが書いてございまして、黄色で基本原則というのがございます。まず一つは3Rですね。リデュース・リユース・リサイクル、あとリニューアブルというのがございます。このリニューアブルというのは、再生使用可能な素材に変えていこうということでございまして、先ほど出てきたバイオプラなどがそういったものに該当いたします。こういったものを進めていこうということが、まず一つの柱でございまして、その右側にマイルストーンというのがございますけれども、一つの目安を示させていただきまして、これらに向けて、各関係者が取り組んでいただくというものでございます。

 一つには、リデュースで2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制とか、あと、④でございますけども、2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により有効利用するというもの。あと、⑥でございますけれども、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入しようと、こういった目安をマイルストーンとして打ち立ててございます。

 続きまして、海洋プラスチックごみ対策アクションプランでございますけれども、これは、各省庁の対策を列挙させていただいてございます。

 一番上の①の部分が、先ほど申し上げました国外のリサイクル体制の強化ということでございますけれども、②では、清涼飲料団体による専用リサイクルボックスの設置でございますとか、漁具の流出防止のための漁業者による適正管理といったものがございます。③は、海ごみゼロウィークということで、本年から、これは日本財団と協力して進めてございますけれども、そういったごみ拾いの強化をしていくという部分。

 あと、④は、先ほどのごみの回収の部分でございますが、⑤はイノベーションの中では、ロードマップに基づく海洋生分解性プラスチックの開発、代替素材の生産設備整備・技術実証の支援でございます。ロードマップに基づく技術開発というのは、経産省が主になってございます。あと、⑥ではASEANにおけるナレッジセンター設立など途上国における廃棄物管理を強化していこうということで国際協力が書いてございます。

 続きまして、次のスライドでございますけれども、平成21年に海岸漂着物処理推進法というものを議員立法で制定していただきました。これは昨年改正いただきまして、その内容が下の箱に書いてございます。一つには、漂流ごみ等の円滑な処理推進ということで、もともとは、海岸漂着物だけだったのが、漂流ごみ、海底ごみ、こういったものも法律の対象になりました。二つ目は3Rの推進ということで、やはり海洋のごみといっても陸域で発生したものが海洋に流れるというものが多うございます。そのため、陸域での対策を強化しようというものでございます。あと三つ目は、マイクロプラスチック対策ということで通常使っていてもその中に含まれるプラスチックが海に流れてしまうようなものについては、極力、そういうものにプラスチックは使わないようにということが書かれてございます。あと、民間団体等の表彰でございますとか、国際連携が書かれてございます。

 それを踏まえまして、次のスライドでございますけれども、基本方針を5月に改正したわけでございます。その中では、一番上のほうに流域圏という言葉が書かれてございまして、内陸から沿岸まで、内陸も含めて体制をさらに強化していこうという部分、あと漂流ごみ、海底ごみにつきましては、先ほど申し上げましたように、漁業者の協力を得て、回収処理を進めていこうというものでございます。あと、3Rの推進でございますとか、マイクロプラスチックの話が書いてございます。

 次のスライドでございますけども、これは、来年度、令和2年度における海洋プラスチックごみの主な予算要求の内容でございまして、トータルで188億円、あと、組織要求もしております。

 この中で、中ほどの上辺りですけど、①に実態把握というのがございまして、海洋プラスチック、実はどの程度陸域から出ているのかというのは、正確な数字が残念ながら、今のところはございません。これをもう少しきちんと把握していこうということで、イベントリ等をきちんと見ていくというための予算でございます。

 あと、左側は国際関係でございまして、国際枠組の関係ですね。先ほどのG20の海洋プラスチックごみ対策実施枠組、このフォローアップのための予算でございますとか、あと、日本としての今後の海洋プラスチックごみの国際的な議論をよりしていくための検討予算でございます。あと、途上国支援、人材育成等の予算を計上してございます。

 右側が国内対策でございまして、3Rでございますとか、代替素材、バイオマスの関係でございます。あと、リサイクルの設備、海ごみの回収と。その一番下に書いてございますけれども、海洋プラスチック汚染対策室というものを新たに要求しているところでございます。

 次のスライドが海洋プラスチックごみ総合対策費ということで一つまとめて要求してございます。中ほどの①が海洋プラスチックごみ国際対策事業費ということで、先ほどご紹介いたしました実施枠組のフォローアップ等の予算でございまして、②がインベントリ等の実態把握のための予算でございます。

 続きまして、次のスライドでございますけれども、海岸漂着物等の回収処理の予算でございます。こちらのほうは、引き続き対策を十分講じられるよう予算要求をしているところでございます。

 私からは以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございます。次に、閉鎖性海域対策室、中野室長から。

【中野閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室の中野と申します。

 私のほうから資料5について、ご説明をさせていただきます。座ってご説明いたします。

 資料5、閉鎖性海域における環境保全の取組でございますが、この資料を用いまして、私から閉鎖性海域におきます取組状況を大きく四つの項目に分けて、ご説明させていただくのと、さらに、参考として、この環境基本計画に位置づけられております数値指標の一部の状況をご紹介させていただきたいと思います。

 1枚めくっていただきたいと思います。まず、瀬戸内海における環境保全についてでございます。こちらにつきましては、後ほど、別の議題で状況を細かくご説明申し上げますが、現在、瀬戸内海につきましては、平成27年に瀬戸内海環境保全特別措置法が改正されておりまして、その附則の条項の中で、いろいろ瀬戸内海の「きれいで豊かな瀬戸内海の確保」に向けて、各種調査ですとか研究の取組を進めておったところでございますが、法施行後5年後を目途として見直しを行っていくようなこととなっております。

 これらを踏まえまして、今年の6月に中央環境審議会のほうに環境大臣から「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方」について諮問をさせていただきまして、現在、この水部会の瀬戸内海小委員会のほうでご審議をいただいている状況でございます。この一番下にスケジュールがございますが、今年度末にこの「方策の在り方」に関する取りまとめを得るべく、ご審議をいただいているところでございます。

 続きまして、2ページ目、次のページでございますが、水質総量削減制度についてでございます。水質総量削減につきましては、水環境の中でもいわゆる濃度規制、排水基準だけで環境基準を達成することが難しい閉鎖性海域におきまして、ご案内のとおり、排水基準に加えて水質総量の削減の規制というものもあるところでございます。こちらの対象となっておりますのが、このスライドの左側にありますが、四つの海域でございます。東京湾、それから伊勢湾、それから大阪湾、それから大阪湾を除く瀬戸内海につきまして、化学的酸素要求量でありますCOD、それから窒素、りんに関する水質総量削減を進めているところでございます。概ね5年で国の総量削減基本方針を見直しながら、各関係自治体とともに流域の水質総量削減、負荷量の削減をしているところでございまして、現在のフェーズでは、右側の総量削減基本方針、平成28年に策定されてございますが、こちらが動いておりまして、(2)目標年度とありますが、令和元年度を目標に現在の水質総量削減が進められているところでございます。

 下に平成30年度の取組とありますが、現在の水質総量削減の取組を推進して、指定水域に流入する令和元年度、この目標年度のCODですとか窒素、りんの汚濁負荷量の算定を行うべく必要な調査を行っているところでございまして、今後の取組といたしましては、この目標年度、今年度の水域の状況を踏まえまして、次の今後の水質総量削減制度のあり方・方向性を検討させていただきたいと考えているところでございます。

 次のページをご覧ください。こちらは、有明海及び八代海等における再生に向けた取組ということでございまして、こちらは、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律という特別措置法がございまして、この法律に基づきまして、環境省には有明海・八代海等総合調査評価委員会という有識者によりまして構成される委員会を設置しているところでございますが、こちらでは、直近、平成29年3月に有明海・八代海等の再生の状況について、それまでの状況を踏まえた整理を報告いただいたところでございます。その大きな概要が、この真ん中辺の箱になっております「委員会報告(平成29年3月)の概要」となっておりますが、基本的に、この特別措置法では、基本的に水産資源の再生といったところを主眼に置きながら、そちらが生息する環境というものを再生する観点で再生方策を検討いただいたりしているところでございます。平成29年3月の報告の最後には、次の当面の取組は10年後を目標として、取組をするということとなってございまして、一番下の平成30年度の取組でございますが、この平成29年3月の報告を踏まえた新しい作業方針を決定して、現在、それに向けた調査検討を進めているところでございます。この10年後の報告というのは次期委員会、具体的には令和8年度が目途になっているところでございまして、今後の取組といたしましては、この8年度を待たずに最初の5年であります中間年度の令和3年度を目途に中間的な報告を行うべく、調査検討を進めるという状況となってございます。

 それから、4項目目、最後でございます。次のページでございますが、沿岸域の水環境の保全・再生の取組でございます。基本計画では、重点、それから重点を支える分野のほかに、第四部として、環境保全施策の体系といったところもコンテンツとしてあるんですが、そこでの閉鎖性海域対策のキーワードとして「里海づくり」といったキーワードが位置づけられているところでございまして、これに関する取組を若干ご紹介させていただいておりますが、実は、この里海づくりについては、里海というワード、概念が誕生してから昨年ちょうど生誕20周年と言われているところでございまして、関係のNPOとともに、平成30年度、岡山県備前市日生のところで「里海」生誕20周年記念シンポジウムというものを開催させていただきました。また、昨年度は都道府県や市町村、NPO法人等を対象に、里海づくりの取組がどのようなテーマで、どの程度継続して行われているのかですとか、現状、現場でどんな課題があるのかといったものをアンケート調査、これは4年ぶりに昨年行わせていただきまして、その結果を今年度、実は既に報道発表させていただいたというところでございまして、今後も環境省のウエブサイトの上では里海ネットという専用サイトを設けさせていただいているところでございまして、そこを活用しつつ、里海づくりの活動をさらに普及啓発をしてまいりたいというところでございます。

 このほか、最後もう1ページ、ご覧いただきたいのですが、基本計画の中では、重点戦略を支える環境政策の展開というところで、水環境保全に関する指標とか、補助的な指標というものを全部で16項目位置づけられているところでございますが、そのうち、私どもで、直近でわかるデータだけをこちらのページでは掲載しております。汚濁負荷量の削減につきましては、COD、それから窒素、りんにつきまして、過去3回分の汚濁負荷量の変遷を記載しております。先ほど、ご紹介いたしましたとおり、令和元年度が今の目標年度ですから、そのデータを今後アップデートする予定となっております。

 また左下には、藻場、干潟といったものの面積でございます。こちら、実は遡ること、ここから、約25年前までに遡らないと国内の海での藻場、干潟の調査というものは行っていない状況であります。その際は、関係する水産業者ですとかにヒアリングをする形で藻場、干潟の面積というものを時期的に追ってきたんですが、今般、瀬戸内海、それから有明海北部で衛星画像を用いて、若干、物差しを客観的にするようなやり方で調査をさせていただいて藻場、干潟の面積を計算させていただきました。今年度、実は有明海南部の調査をしているところでございまして、そのデータもいずれアップデートするところとなっております。

 それから一番右下ですが、先ほど、ご紹介させていただきました里海づくりの取組状況、いろいろアンケートをしたうちの活動事例がどれぐらいあるかというものを、これ、4年ごとに3回ほど、過去調査をしておりました、そのトレンドを掲載させていただきました。

 以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございます。それでは、次に、内閣官房水循環政策本部事務局からご説明をお願いいたします。

【光橋内閣官房水循環政策事務局企画官】 内閣官房水循環政策本部事務局の光橋と申します。よろしくお願いします。座ってご説明いたします。

 資料6でご説明をさせていただきます。この水循環の施策については、平成26年4月に公布され、同年7月に施行されました議員立法によってできました水循環基本法に基づいて進めております。

 ポイントは、そこに書いてありますように、水循環政策本部というものを設置しまして、関係省庁全て連携して進めていくということでございます。そして、水循環施策の実施に当たり、基本理念を明確化して、国だけではなくて、地方公共団体、事業者、国民といった水循環のあらゆる関係者の責務を明確化しております。また、この法律に基づいて水循環基本計画というものをつくりまして、それに基づいて進めていくということ。また、施策を推進するための基本的施策を明確化するというポイントがございます。これによって健全な水循環の維持または回復を行って、ひいては経済社会の健全な発展と国民生活の安定向上を目指すというものでございます。

 この施策を進めるために、今申し上げました水循環政策本部というものを平成26年7月につくってございます。これは、施策を横串に集中的かつ総合的に進めていくために設置しておりまして、内閣総理大臣をトップに全ての国務大臣に本部員になっていただいて進めております。

 次のページをご覧ください。これに基づいて水循環基本計画が平成27年7月に閣議決定をしております。大きく三つに分かれておりまして、第1部と第2部、これが基本的な方針と各関係機関が講ずべき施策が書いてございます。そして、第3部が、これを総合的かつ計画的に推進していくための必要な事項でございます。

 この第2部は、これも法律に基づいて九つ項目立てしております。一つ目の項目が流域連携の推進でございます。これは主に流域の中にございます地方自治体が主体となって関係機関と連携して進めていく流域水循環計画というものをつくっていただいて、それを進めていくということが書かれてございます。

 そして、一つ飛んで3番目、水の適切かつ有効な利用の促進、これについては非常に幅が広いんですけれども、先ほど話題になりました水環境、水質に関しては(5)の水環境に書かれてございます。また(6)水循環と生態系については、多自然川づくりですとか、生態系の保全が書かれてございます。

 そして、先ほど話題になりましたウォータープロジェクトについては大きな5番の民間団体等の自発的な活動を促進するための措置に位置づけられてございます。

 1枚めくっていただきまして、この水循環基本計画は、概ね5年ごとに見直しを行って、必要な変更を加えるものとされております。令和2年に、この次期基本計画を策定する予定で、その準備を今進めているところでございます。

 中ほどからフローチャートがございますけれども、水循環政策本部幹事会、これは局長級の関係省庁の会議でございますけれども、この場で見直しに関する作業の了承をいただいておりまして、第3回の今年7月に行いました幹事会におきまして、レビューを行っております。後ほどご紹介をいたします。また、次期基本計画において、重点的に取り組む主な内容をご了承いただいているところでございます。現在、この幹事会の結果に基づきまして、次期基本計画の骨子と本文を検討しているところでございます。

 次に、4ページに参ります。この基本計画の見直しに向けまして、有識者の方々にお集まりいただきまして、これまでのレビューと、そして今後の施策のあり方について、ご議論をいただいているところでございます。

 続きまして5ページに参ります。こちらが幹事会で議論いたしました施策のレビューでございます。少し字が小さいので拡大してご覧いただければと思います。1番から9番までございまして、先ほどの基本計画の章立てに沿ってございます。

 まず1番ですけれども、かいつまんでご説明させていただきます。1番のところで、流域連携の推進等というものがございます。地方公共団体が中心となって策定されております水循環に関する計画、この内容を確認いたしまして、流域水循環計画として、35計画をこれまでに公表させていただいております。また、各流域で計画を策定したり、取組を推進していただくために、これまでに「流域マネジメントの手引き」や「事例集」を作成、公表し、全ての都道府県・市町村に配布をさせていただいております。

 その右下に、今後に向けた課題というものを書かせていただいております。流域マネジメントに関する取組をさらに全国的に展開していく必要があると認識しており、そのためには健全な水循環に関する評価指標の明確化をする必要があると考えております。これは、各流域で、水質なり地下水なり、それぞれ地域の実情に応じて、いろいろ取り組んでいただいておりますけれども、非常に長い取組が必要でございまして、住民の方々、関係機関の方々にその意義を理解していただくために、今の健全な水循環の具合はどれぐらいか、また、5年後、10年後にこの流域水循環計画に基づいて施策を進めていったら、その指標はどれぐらいよくなるのか、そういったものをつくっていく必要があるというふうに考えております。

 そういった評価指標をつくることにより、施策がどの程度寄与しているかということを見える化する必要があると考えております。また、これから裾野を広げるに当たり、流域マネジメントに取り組む地方公共団体などのノウハウや知見の不足への対応が必要と考えております。このようなことをレビューで行っております。

 次のページの真ん中辺りに5番というものがございます。民間団体等の自発的な活動を促進するための措置がございます。この中で、四つほど挙げておりますけれども、4番目に水に関する官民連携の場を提供「ウォータープロジェクト」の取組を挙げさせていただいております。

 今後に向けた課題といたしましては、地域コミュニティ等の水循環に関する活動の維持・拡大、また、ウォータープロジェクトのような民間団体等の参加への動機づけが必要かというふうに考えております。

 次のページをご覧ください。このようなレビューを踏まえまして、次期基本計画におきまして重点的に取り組む主な内容というものをつくってございます。三つの柱がございます。一つ目が、流域マネジメントによる水循環イノベーションでございます。これは流域水循環の計画を日本全国に広めるためにさらなる裾野の展開と質の向上、これについて、取り組んでいくということでございます。

 そして、二つ目が健全な水循環への取組を通じた安全・安心な社会の実現でございます。これは、気候変動ですとか、大規模自然災害などのリスクへの対応ということで、大規模な浸水、土砂災害、地震・津波への対応、また、危機的な渇水への対応、そして、水インフラの戦略的な維持管理・更新と耐震化、貯留・涵養機能の維持向上などを挙げております。

 最後、三つ目が次世代への健全な水循環による豊かな社会の継承です。これは、普及啓発、広報、教育と国際貢献、これに引き続いて、力を入れて取り組んでいきたいということで考えております。

 水循環に関する取組は以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。それでは、最後に一般社団法人JEANの小島理事からお願いします。

【小島一般社団法人JEAN理事】 初めまして、今日はお招きいただいて、ありがとうございます。着座にて失礼します。

 スライドの枚数が多いので、ちょっと急いでいきます。いつもこういう場で最初に申し上げるんですが、私が所属しておりますJEANは、海ごみ一筋30年という、ちょっと変わった団体です。

 2ページ目をご覧ください。ここにJEANは海洋ごみ問題の解決のために活動していると書いてございます。一番上に日本での国際海岸クリーンアップ(ICC)の企画運営とありますが、これはアメリカで1986年に始まりました市民活動でInternational Coastal Cleanupの略でございます。これは清掃をするだけではなく、集めたごみを共通の手法で同じ項目を世界中で市民が調べる、その結果を共有して、ごみをもとから絶つための資料をつくっていこうという活動で、私たちは、これを1990年に日本で初めてボランティアとして行ったことをきっかけに活動を開始した団体です。

 このほかにさまざまなことを今まで30年間取り組んでまいりまして、特に力を入れてきているのが普及啓発活動です。このページの一番最後、政策提言とございますけれども、議員立法で制定されました海岸漂着物処理推進法は、私どもが中心になってロビー活動をした結果できた法律でございます。

 次のページをご覧ください。普及啓発に取り組んでいるということを申し上げたんですけれども、私たちが活動を始めた当初のころは、海のごみ問題は、拾えば何とかなる、お気楽ねと言われました。これは市民運動仲間からもこのように言われてきたことです。実情が全然理解されておりませんでしたので、例えば海洋動物への被害を表した写真のパネルですとか、左側の写真にトランクを私が説明しているところが写っておりますが、これはオリジナルの貸し出し用の展示資料でございまして、旅行用の大型スーツケースを企業からご提供いただいて、そこに、実際に海岸で採取してきた漂着物、漂着ごみに説明をつけて宅配で全国の希望するところにお貸し出しをしているという資料、右側は、こちらは西表島で行ったものですけれども、全国各地で普及啓発のためのワークショップを開催しております。

 次のページをご覧ください。先ほど簡単に触れましたInternational Coastal Cleanupについてです。この背景には、海のごみの質と量が大きく変化してきたことがございます。昔のように、天然の材料のごみをちょっとしか出さないときは、美化問題で済んでいました。それがあまりにも便利なプラスチックが大量にシングルユースされて、結果として、ごみになってしまう、そして、分解しないごみが非常に増えてしまった。時たまの清掃だけでは追いつかないし、景観以外の問題、例えば生き物への被害とか、生態系全体への被害が懸念されるということで、アメリカのNGOの発案で、この活動が始まったものです。

 市民調査でございますので、研究者の方がなさるような精度の高さはございませんけれども、何といっても世界中で約80万人が参加をする活動です。参加した一人一人が自分で数え、細かく分け、データシートに記入をしていくという過程を通じて、なぜこんなものが海にあるのかとか、まとめていくときに拾い切れないプラスチックの破片が増えているような実感があるとか、いろいろなことに気がつくことができる、この普及啓発効果がICCの最もいいところだと私自身も思っております。1990年から2017年に日本でこの活動に参加した累計は、40万人に迫る数になっております。

 次のページをご覧ください。ここでは改めてなんですけれども、一体、ごみがどこから来るのかということなんですが、上の半分は海岸とか海での活動、お仕事などに関係があるところから発生するものでございます。私自身、この活動を始めたときは、一番多いのは、レジャーのごみ、それと漁業や釣りのごみではないか、このように思っておりました。しかし、実際にICC、それからそれ以外の研究者の方が行った調査結果など、複数の結果から、実は陸域で使用されている生活日用品がなぜか海まで来ている、これは非常に多い。場所によっては、7割から8割が陸域由来だということがわかっています。そして、こういった話を皆さんにしますと、ポイ捨てがいけないんだよねと言われます。もちろん、ポイ捨てもたくさん原因になっているんですけれども、実は管理が不十分なことに起因すると思われる散乱、それから一番下の行にございます意図しない散乱、この二つがまだまだ実態、実情がわかっていない、でも実感としては、かなりあるのではないかと思っております。

 次のページをご覧ください。これ、陸域とはちょっと話が違うんですけれども、例えばコンテナの落下とか、船の安全を確保するために、海が荒れたとき積荷を海に投棄してしまう、こういったことがあるそうですけれども、そういったところからと思われる積荷の漂着散乱というのは、実はものすごくたくさんあります。この二つの写真は、いずれも私が沖縄の八重山地方で、ことなる海岸で見つけたものでして、コンテナ1個分散らかるだけで大変な量になるわけですね。こういったことについて、実情がどこまで把握されているのか、正確なデータがちょっと持ちませんけれども、こういったことも、ぜひ国として把握をしていただきたいと思っています。

 次のページをご覧ください。意図しない散乱と申しますか、関係業界が相当努力をなさっていても、どうしても散乱してしまう。空き容器回収箱、これをごみ箱と誤認している方が非常に多くて、ごみ箱のようなつもりで、家庭のごみまで持ち込まれているというようなことがあるそうです。それから、ここに本当は入れてはいけないもの、いっぱいであっても置いていく、こういったところから散乱してしまうごみが相当量ございます。

 次をご覧ください。これ、先日の15号台風の翌日の私の住まいの近くの道路沿いです。道路沿い脇にずっとこのような状態で、台風で吹き飛んだ落ち葉と、どこから散らかったごみがこのようにずっと散乱をしていました。日本全体、関東だけでもどれぐらいになるのかと、ちょっとそら恐ろしくなりました。

 次をお願いします。これは、九州のある1級河川の河口の様子です。言うまでもなく、日本は非常に雨が多い国です。それから地形も急峻ですし、何といっても、こういった便利なものがたくさん使われている、そして、最近の災害の大規模化とか頻発などを思いますと、まとまった量の雨が降ると、このように増水して河川に引っかっていたり、土留めに浮いているようなものは全て河口へ、そして海へと流れていきます。路上に散乱するごみが川に入るのは、恐らくごく一部、さらに海まで来るのは、そのうちのごくごく一部だと思いますけれども、海には繰り返し漂着するということで、非常に惨たんたる状況でございます。

 次、お願いします。それと、屋外で使うものは劣化しやすい、プラスチック製品なんですけれども、ここにお見せしている標識コーンは、実はうちの近所の病院の駐車場で使用中なんですね、こんなぼろぼろなのに。漁業のものは海で使っているので漂流ごみになりやすいということはわかりやすいんですけれども、それ以外にも農業とか土木建築とか、屋外で作業する産業では、どうしても水に強くて軽くて扱いやすいプラスチック製品を非常にたくさん使っていらっしゃいます。そして、残念ながら使用後、管理されているとは言いかねるような現場を散見いたしますので、こういうところに、どのように排出抑制を呼びかけていくかというのが、非常に重要だと考えています。

 次、お願いします。そして、一般の我々にも関係があるものなんですが、これは恥ずかしながら、私どもの事務所のベランダに大家さんが10年以上前に敷いてあった人工芝のマットなんですね。洗濯をしない、住まいではないので、普段、ベランダにあまり出ることがございません。2年ほど前にふっと気がついてめくってみたら、このような状態でした。人工芝は、当然、グラウンドのものも含めて、外に敷きっ放し、上に人が乗ります。運動場のものとこのように生活の周りで使うものとプラスチックの製品が少し違うそうですけれども、いずれにしても、用途としては同じです。

 次のページをご覧ください。この人工芝まじりのプラスチックの微細片は、ある横浜の海岸でとってきたものです。ふるいを使って選択的に集めたわけではなくて、砂の上にぽつぽつと小さなプラスチック片が散見されるところを、砂をすくって、水で砂を落として、すくい取ったものです。自然の木片ももちろんございますけれども、ほとんどがプラスチックの破片、ここまでの破片になってしまいますと、もとの製品が何だったかの特定は非常に難しいです。でも、破片が何となく増えているようだという実感を持って、22年前に一度クリーンアップをして、大きなごみを拾った後に、自分たちでふるいを使って調べてみたことがありました。その当時も、緑色のカールした破片が非常に目立ちまして、人工芝かもしれないと見当をつけて、プラスチック工業連盟を通じてメーカーの方に見ていただきました。検査していただいて、間違いないということを言われまして、これだけは破片になっても、もとのものがわかっています。多くの方、身の回りで人工芝があると思うんですね。でも、まさか自分が乗ったかもしれないものが古くなって環境中に出て、川や海まで行っているということはほとんど意識していないと思います。

 次、お願いします。こちらは、美しいビーチで有名なハワイですけれども、日本の各地の海岸と同じように海流とか風とか上流域の人口、ごみの出やすさなどなどの条件が重なってしまいますと、繰り返しごみが来るところがございます。ここは、アクセスが悪く、年に2度ぐらいしか清掃ができない場所でございまして、強い日差しに1年中さらされて、私、ここに2度清掃に行っているんですけれども、もとの形が残っているものはほとんどないんですね。よく見てみますと、東アジアのもの、日本のものが散見されます。

 次、お願いします。大きなものは、年に2度といってもボランティアが清掃いたしますけれども、このレベルのいわゆるマイクロプラという大きさになったものは、なかなか回収というのは困難です。ここの清掃では、時間に限りはございますけれども、砂ごとスコップでとって、水に浮かべてネットでとるということをしておりますけれど、私もその作業を1時間やりました。でも回収できたのはわずか2メートル四方ぐらいという状況です。

 最後のスライドです。今まで30年間ずっと現場で各地に参りまして、地域の方々と一緒に、この問題に向き合ってきました。昨今、この海のプラごみがまるでブームのようになって、国内外で企業の方も含めて、いろいろな対策が進んでいるということは、非常に喜ばしいことだと思っております。でも、こうしてお話ししている間も既に出ちゃっているプラというのは、破片化は進んでいくわけです。新たなものを出さない対策はできるかもしれませんけれども、既に出てしまったものを全部回収するというのが本当にできるのか、なおかつ、海のごみは、非常に質が悪いです。海水で濡れている、漂流中に汚れている、いろいろな種類のものがぐちゃぐちゃにまざって漂着するということで、現場では、ほとんどの場合、燃やすか埋める、この二つしかないというのが日本での現状の処理です。

 その一方で、現場で向き合っている地域住民の方とか、我々のような市民団体、そして回収処理に当たってくださっている市町村、いつまで拾い続けたら終わるんだと、どこまでやったら明かりが見えるということで徒労感に覆い尽くされている状況です。お陰様で、環境省等からの補助金によりまして、回収活動は大分進みました。そして、地域に根差した活動をしている地域の団体には、そういった公的な支援も普及開発活動等々で回ってきていますけれども、例えば、私どものような全国規模の団体には公的支援はゼロでございます。

 それと、先ほども申し上げましたように、意図しない散乱の実態把握はできていないように思います。海辺、川、そして市街地等々、それぞれの地域で実態等も含めて、さまざまな管理、対策というのがとられていると思いますけれども、その連携というのが、まだ足りていないように感じます。海で調べていると川から来る、じゃあ川だと。川で調べていると町から来る、じゃあ町だ。全部ばらばらなんですね。これを一体的にしないと、きちんとした対策にはつながらないと思います。

 それと、ごみを捨てるというのは、人の行為が介在しているから、普及啓発などによって人々のごみ捨てにつながるようなモラルやマナーを向上させましょうということがよく言われます。これ、でも何十年もやってきているわけですよね。個人のモラルやマナーアップに期待するだけでは、残念ながら効果は薄いと思っています。シングルユースのプラスチック製品の使用量、そしてもっと言えば生産量の削減といった大ナタを振るうようなことがない限り、環境中に出るプラスチックごみが減るということは、そうそうないのではないと思っています。

 これで私の発表を終わります。ありがとうございました。

【細見部会長】 どうもありがとうございます。それぞれ担当の課、あるいは関連する団体からご報告を受けましたけれども、この内容は、次回、各部局というか課とか室がまとめます政策シートに反映したいと思います。

 これから、皆様にご質問とかご意見をいただきながら参考にさせていただきたいと思いますので、ぜひ質問あるいは要望という形で、できるだけちょっと手短に各委員の皆様からいただければありがたいと思います。発言のある委員の方、ちょっと立てていただけますでしょうか。

 順番に大久保委員のほうからずっと回したいと思います。

【大久保委員】 ありがとうございました。最後のJEANのご報告は、大変明確でわかりやすく、いろいろご質問したいことはあるんですけれども、全体的な意見に関わることについて申し上げます。

 今のJEANの最後の課題にもありましたように、統合的な取組というのは、大変重要だと思います。その意味で、今回の環境基本計画の点検が横軸でとってあるのはいいと思うんですけれども、この実効性や点検を図る上では、何を軸にして図るのかという部分が極めて弱い。それは、総合部会でやっていただくことかもしれませんけれども、水部会として、挙げるべきことは挙げていったほうがいいというふうに思います。

 基本的には、今回、進捗管理に関しては指標と補助指標が基本計画には挙げられていて、これにつきましては、数値が入っていないものが非常に多いので、水に関するものに関して言いますと、指標のほうは環境基準の達成率ですけど、これは数値になります。もう一つは、流域水循環計画の作成数なんですけれども、こちらは、先ほど水循環基本計画のほうでも指標の明確化ということが課題として出されましたけれども、これ、35計画あるということですけれども、これが一体いつまでに何計画つくるのが目標で、全体として全部つくったら幾つぐらいになるのかというのがわからないと、やはり進捗管理にはつながらないのではないかということ。それから、補助指標は、ほとんどが数値になっていない。先ほど、それで今日のお話の中でも補助指標で触れられていたのは閉鎖性のほうで藻場面積なんですね。藻場や干潟面積の話があって、これは過去データがないという話があって、現在、全体でとってみましたということですが、これも今後、どの程度のものが必要なのかということの数値がないということで、やはり数値化を入れていくということが必要ではないか、数値化できるものは数値目標をつくるべき、指標をつくるべきと考えます。

 それから二つ目は、他省庁の連携ということで、これは先ほど浅見委員のご発言にもありましたけれども、災害時ということになりますと、他省庁、他計画との連携ということが重要になってまいりまして、大腸菌で言いますと、オリンピックに向けてトライアスロンの国際競技ができなかったということが耳に新しいところでございますけれども、それで言いますと、国交省の下水道等との連携がないと、これはできないと。これは総合的な取組、統合的な取組としてやっていくのであれば、こういう部分の実効性を確保していくことが重要なので、これは水循環基本計画、それから強靭化計画とも関わるところでございますけれども、特に強靭化計画では、オリンピックのことがわざわざ書いてあって、そして、その中で自然災害にも強靭なということが書いてありますが、その中には、当然、大腸菌等も含めた自然の部分も入ってくるものであると考えますので、そういうところを関連する他計画にも反映できるものがあれば、水部会からも積極的に具体的なコメントを出していかなければいけないのではないかと。

 そのこととの関連で言いますと、最後ですけれども、農業あるいは生物多様性との関係では、諸外国は、ドイツも含めまして、例えば昆虫に関して、かなり大々的な新しいプロジェクトを始めていますけれども、それで言いますと、トンボでありますとか、水と関わりのあるものもすごくあって、そういう意味では、補助指標の中に自然田園何とかというのが書いてあるんですけれども、それは基本計画の中に一言出てくるだけで、それが何であるのか、何を意味するのか、そして、それに関する具体的な数値がないどころか、その意味自体も、ちょっとそれ以上の説明がないということになっておりますので、そういう水、生物多様性と関連のある部分につきましても具体的な指標になりそうなものが出されば出していくということが求められているのではないかと思います。

 すみません、結局、長くなりましたが、以上でございます。

【細見部会長】 続いて、西嶋委員。

【西嶋臨時委員】 今、他省庁との横串という話がもともと評価の中でもあったんですが、私のほうで意見を言いたいのは、環境省なり、ほかの省庁が施策をつくって、それを法制化するなりして、大きな方向性を出して検討していくと、実際、それを具体化していくためには、やはり地方公共団体だとか、関連する団体、市民等々が連携していくことになると思うんですね。

 ただ、今日のお話を聞くと、あまりそういう自治体とかの連携というか、どう前向きにこういうものを進めていっているのかというようなことがちょっと見えていない。私のところの瀬戸内海の小委員会のほうでも議論があるんですが、瀬戸内海特別措置法の改正で、湾灘管理というのが打ち出されて、湾灘協議会をつくっていくというようなことが方針にも書かれているんですが、実際にそういうのはつくられていなかったり、そこの活動が非常に弱い。自治体も連携はできていないというようなことがちょっと見えてきているということもあって、やはり、こういう大きな施策を出し、法律をつくっていって、それを実施していくところが、今どうなのかということについても、少しきちんと評価をしていただきたいと思います。

【細見部会長】 続いて、福島委員、どうぞ。

【福島(武)臨時委員】 どうもありがとうございます。2点ございます。1点は、閉鎖性水域の水質汚濁とか、地下水の硝酸性窒素汚染等は農業者の皆様との協力によって、負荷を下げていかないといけないのではないかと思っております。

 そういう意味で、そういうことが言われて長いのですが、この中期計画期間において、どのようなことを協議して、実際に進められたのかとか、うまくいった例、あるいはアイデアがあれば、そういうものを含めて積極的に外に出してもらいたいと考えています。それは水循環基本計画、あるいは流域水循環計画にぜひいい例としてまとめていただきたいということです。

 もう一つ、大きな話として、健全で豊かな海をつくりましょうというのが、一つの大きな目標になって、非常によいことかなと思うのですが、その豊かさということは、そこに住んでおられる、いろんな事業者それぞれ、あるいは場所によっても随分と違うものであるのではないかなと思います。ということで、恵み、あるいは生態系サービスと言われるものをどのように衡平に分配していくのか、あるいは、それの最大化をどうやって行っていくのかという議論をしていかないといけないかなと思います。それに際して、やはり保全、あるいはいろんな対策に関して、お金がかかるので、そういうサービスに対して支払ってくれるような、何かそういう方策も考えていかないと、実際には良い方向に進んでいかないのかなと思いますので、ご検討をいただきたいと思います。

【細見部会長】 藤江委員、どうぞ。

【藤江臨時委員】 ありがとうございました。まずは多くの問題点、あるいは政策、対策等々のお話を聞かせていただきましたけれども、このような対策、施策、これらのプルーフ・オブ・コンセプト、つまり、こういったものをどのように検証していくのかということに関して、当然、予測等々、予見等々も含めることになるかと思いますけれども、それをどのように位置づけて、どのように考えていくのかというところが明確になるといいのではないかと思いました。これは感想です。

 2番目が、海洋プラスチックのアクションプランについてのお話がございました。これについては、目標とか数値を設定するということは、当然必要かと思いますけれども、それだけではなくて、どういう戦略でいったら、どういう試算になり、どんな効果があるのかということも考えながら、その目標、あるいは数値的なものですね。こういったものの設定が必要なのかなと思いました。

 同様に、プラスチックのリサイクルに関しても、単にリサイクル率を上げればいいというものではないと思います。例えば、総合的なCO排出にどういう効果があるのか、そういったさまざまな波及的効果、あるいは、これはネガティブ・ポジティブ両方あると思いますけれども、そういったものをどういうふうに検証していくかということもあわせて必要ではないかと思いました。

 そして3番目、次、4番目ですね、すみません。やはりエンド・オブ・パイプというのは限度がある、限界があると思います。そういう点では、いかに上流に遡れるかということが重要かと思います。さっきプラスチックのお話がありましたけれども、例えばユースポイントで、ストックとかフローがどうなっているか、あるいは、ユースポイントに供給するルートがどうか、あるいはストックがどうかというようなサプライチェーンまで含めた検討が、当然、必要になるだろうと思います。

 例えば、先ほど災害時の越流とか流出という問題がありましたけれども、例えば有害化学物質がどこにどれだけストックされているか、どういうふうに使われているか、どういうフローを経てで、サプライされているかを把握することによって、事前にかなり予測が可能になると思います。そういった上流側も含めたエンド・オブ・パイプだけに頼らない対応が当然必要になると思いながら、聞かせていただきました。

 以上です。

【細見部会長】 古米委員、どうぞ。

【古米臨時委員】 ありがとうございます。私からは2点です。

 1点目は、重点戦略政策シートの「健康で心豊かな暮らしの実現」というところに、生物の生息あるいは生育環境の評価・維持があります。一般的に生物の生息あるいは生育環境とした捉え方がありますけれども、現在、国際的には、薬剤耐性の問題が取り上げられており、厚生労働省ではワンヘルスというプログラムで動いておられると思います。きっとこの計画を立案するときには、表立って薬剤耐性の議論はされておりませんでしたけれども、国際的なレベルで議論になっているものを、日本であまり積極的に動いていないように見えるのは望ましくないと思います。現状では、厚生労働省が中心的に当面は動いておりますけれども、環境省側にも積極的に取り組んでいただきたいなと思います。

 また、重点戦略を支える環境政策のほうの水質汚濁の関連で言うと、せっかく生物応答を使った生物影響というようなWET方式を具体化させながら、その後、目立った動きが見えにくい状態になっているのではと感じます。従来どおりの基準ではなくて、排水規制を含めて、新しい手法を今後どう取り組みながら、水質汚濁防止をしながら、同時に生態系影響を削減していくという観点で、進捗状況を評価いただくのがいいのかなと思います。これが1点目です。

 2点目は、重点戦略を支える環境政策の中の、環境リスクの管理というところです。水、大気、土壌、環境保全ということで、水質汚濁対策等の推進という項目が総合政策部会から示された担当だと思いますが、水資源と水環境の分野における気候変動に対する適応策が検討されていることから、環境政策のところに項目立てはされていないまでも、やはり水環境部会として、気候変動に対する適応策についてどういう対応をとっているのかという記述があったほうがいいのだろうと。言いかえると、事前に設定された政策シートに限らず、それ以外の項目としてその他シートみたいなものをつくって、総合政策部会へ水環境部会から提出するというのもあってもいいのかなと思っております。

 以上です。

【細見部会長】 鈴木委員、どうぞ。

【鈴木臨時委員】 最後のJEANですね、今、先生のプレゼン、非常に、ある意味、衝撃を受けたんですけど。私、製紙業界に属する者で、よくいろいろな産業界の会合でプラスチック、それから高分子材料を扱ってられる方々から、紙については追い風が吹いていますねというふうに言われるんですけれども、まあ最後、やはり先生が提言、課題として挙げられていた、やはり使い捨てプラスチック製品、生産も含めて考え直さなくちゃならないんじゃないかということを、これは産業界の中でもいろいろな議論が起きていますけれども、極めて重い課題だろうなと。我々、紙業界がそれでプラスになるかなというふうに思うだけで済むような課題ではないかもしれないと。

 一つ、先生の発表を伺っていて思いましたのは、意図せざる散乱のメカニズムというのが、まだわかっていないと、そういう部分がいっぱいあると。もちろん、わかっている部分もあるんでしょうけれども、それから、分解していってしまって、物理的に形状がわからなくなって、何から出てきているのかわからないと。それから、化学的に、じゃあ、それは、その一つ一つを分析していけばわかるんでしょうけれども、非常に大きなマスになっていて、わからないものが多いと、あるいは、どの程度の影響がいろいろ出るのかがわからないと。ここの領域というのは、非常にご指摘のとおり、重要なんじゃないのかなと。翻って、水環境部会が長い間取り組んでこられた、あらゆる面での水質の改善というのは、学会、研究者、これは大学や公的研究機関、企業全てを含めてですけれども、そういう人たちのたゆまぬ研究の努力というのが、やはり長い年月かかって貢献してきたと、政策の努力ももちろんですけれども、そういう面が大きいんじゃないかな。これだけ大きな海洋ごみの問題と、それから汚染の問題ということになった場合に、今やれることは、もちろん、ここで水・大気環境局、海洋環境室のほうで提言されている、いろいろな施策、これはこれで、意味が十分あると思うんですけれども、やはりメカニズムというものについて、もっとよく研究、それからシミュレーションを行っていかないと、なかなか食い止めるということが難しくなってしまうんじゃないかなというふうに感じまして、極めて無責任な言い方かもしれないんですけれども、研究者の方々に大きな期待をかけたいというのが、私の意見でございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。白石委員。

【白石委員】 ちょっと第五次環境基本計画で、一つの大きなコンセプトが、地域循環共生圏というのが、非常に大きなテーマになっていると思うんですけど、いただいた第五次環境基本計画の水環境部会(抜粋)については、その部分がごっそり抜けていて、わざと抜いたのかもしれないんですが、一つの大きな方向性だと思いますので、例えば里海のお話とか、あれは下水も関わるし、海洋ごみも関わるし、全て地域にも関わることなので、そういった観点も少し入れたらいかがでしょうかというようなことでございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。そのほかにございますでしょうか。

 東海委員、どうぞ。

【東海臨時委員】 東京海洋大学の東海です。

 今、鈴木委員のほうから研究者頑張れというお声をいただきましたが、私も大学のほうでは、海洋ごみですね、マイクロプラスチックを含めて調査研究を進めておりまして、皆さんとも、いつもいろいろ話をさせていただいているんですけども、日本の研究者も、まだまだ少ない中で、日本は、結構、この分野、海洋プラスチックに関して、マイクロプラスチックは、特にリードしてきたつもりです。

 ただ、やっぱりまだ日本の研究者は少なくて、もうちょっとたくさんの方々にさまざまな観点から入ってきていただかないと、この問題はとても闘えないというか、もうcombat Marine Litterというふうなことを環境省のほうが打ち出されて、闘っていますのでというようなところです。

 私どもの研究では、本当に、このマイクロプラスチック、南極海まで我々の調査では見つかっておりますし、深海にもあります。浮遊して空も飛んでいるという話まで出てきていますので、ちょっと我々だけでは本当にやり切れない。

 それから、実はネットでとっているんですけども、ネットですくい切れないものに関しても微量分析をしていくと、非常に小さな粒がいろんなところ、しかも表面だけではなくて、海中からも見つかってきています。これを追いかけるのは、とても大変なところで、我々の研究も取り組んでいるところで、今、実はアジアとかで、たくさんプラスチックが出ているという国々は、非常にトップダウンで物すごくこれについて、研究、取組をされてきていますので、日本が優位に立っていられるのもいつまでかというぐらいの勢いで、例えば中国なんかが研究を進めてきています。

 もちろん、研究で、我々、わかるだけではいけませんので、それを皆さん方に知っていただいた上で、自治体も含めて、NGOの方々も含めて、こういったものを減らしていくということに取り組んでいく必要があるだろうというふうに考えております。頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。

【細見部会長】 ありがとうございます。ちょっと、この部会の進め方を、ちょっと時間が17時までですが、この重点戦略とか、それを支える政策について、担当の方々、あるいは有識者の方々、非常に熱く語られて、ちょっと予定していた時間よりも長くなってしまいました。恐らく質問とか、さらには要望というのが、今いただいたご意見ほかにもあろうかと思います。これについては、次の政策シートのほうに反映をできればしたいと思いますので、1週間ぐらいの間に事務局のほうに、一応、質問でも、あるいは、こういう要望とかというのを本日ちょっと足りないと、言い足りない、主張足りないと、時間が限られていましたので、そういう状況の中で追加のご意見等があれば、事務局、水環境課のどこに行けばいいですかね。

【事務局】 水環境課、メールで、またご案内いたします。

【細見部会長】 メールで事務局のほうからご案内申し上げますので、ぜひ、今回初めての点検のスキームですので、トライ・エンド・エラーがあるかと思いますけれども、ぜひ多くの意見をいただいた上で、できるところから、今日熱いプレゼンをしていただきましたけれども、質問も兼ねて要望というのは、いろんな点で今の発表に対して、ちょっと足りない点もいろいろ指摘があったかと思います。質問はほとんどなかったと思いますので、どちらかというと、要望というか、今後まとめていく方向みたいな案を、アイデアをいただきましたので、今日いただいた案については、これを大きくまとめるのは谷貝さんのほうですかね、ちょっと今までのやつをちょっとまとめていただけますかね。あるいは、今後どうするのかと。

【谷貝政策企画官】 はい、すみません、ありがとうございます。こちらのタイムキーピングが不十分で大変失礼いたしました。

 今日いただいたご意見、多岐にわたりますので、この場で、ちょっと全てお答えするのは難しいかと思います。ただ、基本的には、要は他施策、適応といった政策であるとか、他省庁の計画とも、十分連携をして幅広くやれと。今回の計画の趣旨であろうというようなご指摘であると認識してございますので、十分に踏まえまして、次回の部会におきまして、政策シートでございますとか、報告書といったものをお示しできればと思ってございます。

 また、先ほど部会長からご示唆いただいたように、1週間程度でご意見をいただければ、そちらを踏まえて、また対応させていただければと思ってございます。

 本日は多様なご意見をいただきまして、誠にありがとうございました。

【細見部会長】 ありがとうございます。

 本日、もう一件だけ報告事項がございますので、もう5分か10分をお許し願いたいと思います。じゃあ手短によろしくお願いいたします。

【中野閉鎖性海域対策室長】 閉鎖性海域対策室から資料8-1、8-2、8-3とあります。ごく簡単に申し上げますと、先ほどもご紹介申し上げましたが、瀬戸内海特別措置法に関しては、現在、見直しの検討を進めております。資料8-1にありますとおり、今年の6月19日付で、環境大臣から中央環境審議会のほうに、その検討については、中央環境審議会に意見を求める形で諮問をさせていただいておりまして、同日付で水環境部会のほうに付議されております。

 4枚ほどめくっていただいて、資料8-4をご覧いただきたいんですが、資料8-4にありますとおり、現在、瀬戸内海環境保全小委員会、水部会の下に設置されております小委員会でございますが、こちらで、既に検討が始まっているところでございまして、現在、この8-4の真ん中辺にありますが、関係機関からヒアリングを実施しているところでございます。9月10日を皮切りに、来週、それから10月にも数回ヒアリングをさせていただき、今年度末までに答申をいただくべく、作業をするというスケジュール感となっております。

 一番最後のページになりますが、表1とありますとおり、このヒアリングにつきましては、多様な関係主体の皆様からヒアリングをさせていただきたいと思っておりまして、先ほど、西嶋先生ですとか、あるいは福島先生からもご指摘いただきましたけども、関係府県、あるいは関係省庁のほうから瀬戸内海の取組について、ヒアリングを行わせていただいて、瀬戸内海という場を横串に刺して、次の施策を考えていくような取組をさせていただきます。また逐次、こちらでも結果をご報告させていただきたいと思います。今、そのような状況にあることを簡単にご報告させていただきました。

 以上でございます。

【細見部会長】 ありがとうございます。ぜひ今の説明で、今質問がある方、いらっしゃいますでしょうか。ちょっと脅迫してしまったかもしれませんが、これについても、事務局のほうから、先ほどの重点戦略、あるいはそれを支える政策についてのご意見等と一緒に提出していただければありがたいかと思います。

 特に、次回は、今回いただいたご意見をもとに、今日も例えばプラスチックに関しては、海洋環境室でこういう取組があると、しかし、一方で、JEANのほうでは現場からの声というか、そういうものをいただきました。それを結びつけるような、もうちょっと努力が必要かなというふうに感じました。それには、いろんな指標化だとかも含めて検討をされるべきではないかと思います。

 本当に時間を超過しまして、申し訳ございませんが、その他は何かありますでしょうか。

【筒井水環境課長】 一点だけ、議題1のカドミウムのところで下流での環境基準の達成状況について、確認しますと私から申しましたけれども、確認しましたところ、事業場の下流の環境基準については環境基準を満足している状況にあるということを一点ご報告させていただきたいと思います。

 以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。それでは、事務局にお返ししますので、連絡事項等、よろしくお願いします。

【事務局】 本日は貴重なご意見、大変にありがとうございました。議事録につきましては、事務局で案を作成し、各委員の皆様に確認いただいた後、ホームページで公表する予定でございますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 それでは、本日はこれをもちまして、終了いたします。どうもありがとうございました。

午後5時7分 閉会