中央環境審議会 水環境部会(第46回)議事録

中央環境審議会 水環境部会(第46回)

議事次第

1.開会 

2.議題

(1)ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについて

(2)報告事項

     ①平成29年度公共用水域水質測定結果について

     ②平成29年度地下水質測定結果について

     ③平成29年度水環境における放射性物質のモニタリング結果について

     ④国際的な水環境改善に関する取組について

     ⑤第17回世界湖沼会議(いばらき霞ヶ浦2018)について 

     ⑥海洋プラスチックごみ問題の動向及び対策について

(3)その他

3.閉会

配布資料

資料1   ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準について

資料2   平成29年度公共用水域水質測定結果について

資料3   平成29年度地下水質測定結果について

資料4   平成29年度水環境における放射性物質のモニタリング結果について

資料5   国際的な水環境改善に関する取組について

資料6   第17回世界湖沼会議(いばらき霞ヶ浦2018)について

資料7   海洋プラスチックごみ問題の動向及び対策について

参考資料1 「ほう素及びその化合物、ふっ素及びその化合物並びにアンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸

      化合物及び硝酸化合物に係る暫定排水基準の見直し案について」に対する意見の募集(パブリック

      コメント)の実施結果について

議事録

午前10時00分開会

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会第46回水環境部会を開会いたします。

 まず、本日の委員の御出席状況でございますけれども、所属委員26名のうち20名の委員に御出席いただいております。過半数の定足数を満たしておりますので、本部会は成立しておりますことを御報告いたします。

 また、本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただきます。

 本日の部会は、本年2月に行われました中央環境審議会の委員の改選後、初めての部会となります。部会長につきましては、中央環境審議会令第6条第3項に基づきまして会長より細見委員が新たに部会長に指名されておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、新たに水環境部会に御所属いただいた委員の方々を御紹介いたします。

 公益社団法人日本下水道協会理事長、岡久宏史委員です。

【岡久臨時委員】 岡久でございます。どうぞよろしくお願いします。

【事務局】 全国地域婦人団体連絡協議会富山県婦人会理事、小泉弘子委員です。

【小泉臨時委員】 小泉です。よろしくお願いいたします。

【事務局】 東京海洋大学理事・副学長・教授、東海正委員です。

【東海臨時委員】 東海です。よろしくお願いいたします。

【事務局】 広島大学環境安全センター長・教授、西嶋渉委員ですが、本日は御欠席との御連絡をいただいております。

 全国農村振興技術連盟委員長、林田直樹委員です。

【林田臨時委員】 林田です。よろしくお願いします。

【事務局】 また、本日は御欠席ですが、先ほど御紹介いたしました西嶋委員に加えまして国立研究開発法人海洋研究開発機構特任参事、白山義久委員にも新たに本部会に御所属いただいております。

 なお、太田信介委員、兼廣春之委員、曽小川久貴委員、田村洋子委員、中田英昭委員におかれましては本部会を退任されておりますので、御報告いたします。

 それでは、水・大気環境局長の田中より御挨拶申し上げます。

【田中水・大気環境局長】 皆様、おはようございます。

 ただいま御紹介をいただきました水・大気環境局長の田中でございます。

 元号が変わりまして、令和として初めてとなる第46回水環境部会の開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。

 本日は御多忙の中、多くの委員の皆様に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

 先ほど御紹介がありましたけれども、本年2月の中央環境審議会の委員の改選に伴いまして、新たに細見委員に水環境部会長に御就任いただきました。また、新たに6名の委員に御参画いただくことになりました。改めて厚く御礼を申し上げます。

 また、長くお世話になりました岡田先生にもまた参加していただいておりますし、御留任いただいた委員の皆様ともども、今後、環境行政の推進につきまして御指導、御鞭撻を賜りますように、まずもってよろしくお願い申し上げます。

 昨年8月に開催されました前回の部会ですけれども、海域における窒素、燐に係る暫定排水基準について御審議いただきました。その結果をもとに省令改正を行ったところでございます。改めて感謝を申し上げます。

 本日ですけれども、ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しにつきまして御議論を賜りたいと考えております。

 このほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等につきましては、人の健康の保護の観点から平成11年に設定した環境基準の維持・達成を図るために、平成13年に水質汚濁防止法による一般排水基準が新たに設定されました。この際、直ちに一般排水基準を達成することが困難であると認められる40業種について、3年間の期限で暫定排水基準が設定されました。その後、3年ごとに各業種における取組の状況、排出実態等をもとに暫定排水基準の見直しを実施してきたところでございます。現時点で12業種について、本年6月末を適用期限として暫定排水基準が設定されている状況でございます。

 本日は、これらの業種に係る暫定排水基準の見直し案について、これまで排水規制等専門委員会において精力的に御検討いただきましたので、その検討の結果を御報告し、御審議いただきたいと考えております。

 本日の部会では、この点に加えまして6件の報告事項について御説明させていただく予定でおります。委員の皆様におかれましては、それぞれの専門的なお立場から忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

【事務局】 続きまして、事務局に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。

 水・大気環境局総務課長の庄子でございます。

【庄子総務課長】 庄子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 閉鎖性海域対策室長の中野でございます。

【中野閉鎖性海域対策室長】 中野でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】 次に、配布資料の確認をさせていただきます。

 資料につきましては環境負荷削減の観点から、審議会等のペーパーレス化の取組を推進するため、委員のお手元にございますタブレット端末の中に入っております。タブレット端末の画面に本日の資料が一式格納されていることを御確認ください。

 タブレットには、本日の議事次第、委員名簿、資料1から7まで、それに加えまして参考資料1が格納されております。

 この資料の見方ですけれども、資料をご覧になりたいときには、その資料が表示されている部分を1回タップしていただければと思います。また、それを見終わりましたら、もう一回画面をタップしていただきますと左上に「戻る」と書きました矢印が出てきます。この矢印を押していただきますと元の画面に戻るというふうになっております。

 詳細な使い方につきましてはお手元に簡単な説明資料をマニュアルとして置いてありますので、そちらをご覧ください。

 このマニュアルにつきましては、会議終了後、回収とさせていただきます。

 資料の不足、タブレット端末の不具合がある方がおられましたら、事務局にお申しつけください。

 また、資料が足りない場合ですとかトラブルなどがございましたら、途中でもおっしゃっていただければと思います。

 なお、環境省では使い捨てプラスチックの使用削減のため、審議会等において原則マイボトル等の持参を呼びかけることとなりましたので、委員の皆様におかれましても御理解のほどよろしくお願いいたします。

 また、報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。

 ここからの議事進行につきましては細見部会長にお願いいたします。

 よろしくお願いします。

【細見部会長】 新たに部会長に指名されました細見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 水環境部会は、この名簿にございますように実に多くの方々、専門家の方々、セクター、いろいろな方々から成り立っている部会でございます。水環境はそれだけいろいろな分野の方々の御協力を得ながら、今まで50年以上にわたる水環境行政が行われて参りました。今後とも、令和になっても平成時代の課題はまだ残されているかと思います。引き続き御議論をよろしくお願いしたいと思います。

 さらに、前会長の岡田先生にも引き続き臨時委員をお願いしておりますので、何か問題がありましたら岡田先生にも責任をとっていただきたいと思いますし、新たに令和としての課題も出てくるかと思います。どうぞ皆様よろしく御議論等お願いしたいと思っております。

 それでは、議事に入ります前に、中央環境審議会令第6条第5項により準用する第4条第3項に基づきまして、部会長に事故がありますときには部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理することとなっております。私としては、引き続き白石委員に部会長代理をお願いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは早速、議事に入ります。

 本日の議題は、審議事項が1件、報告事項が6件ございます。

 まず議題(1)ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについてであります。

 本議題は、先ほど田中局長からありましたように、排水規制等専門委員会で審議されてきました内容ですので、委員長を承っております私から説明いたします。後ほど事務局から詳細に説明をお願いしたいと思います。

 まず、お手元の資料1をご覧いただけますでしょうか。

 排水規制等専門委員会では、排水基準の設定、その他の排水規制及び地下浸透規制等に関する専門的事項を調査することとなっております。

 ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る一般排水基準は平成13年7月に設定しましたけれども、その際に、直ちに一般排水基準を達成することが困難と認められる40の業種について、3年間の期限で暫定排水基準を設定してまいりました。その後、1ページの表1にありますように3年ごとに見直しを行い、現在は、この6月末を期限として12業種にこれらの暫定排水基準が適用されております。

 今回期限を迎えますこれらの項目に係る暫定排水基準の見直しにつきましては、本年2月の第28回排水規制等専門委員会において議論し、今般、専門委員会報告として本資料をまとめております。

 暫定排水基準の見直しに当たりましては、各事業場における排水の排出実態、排水処理技術の開発動向等を把握しつつ検証しています。基準値案は8ページの別表のとおりとしています。具体的にはそれぞれ、矢印がございますけれども、例えば、うわ薬製造業ですと「140 → 一般」とありますように、うわ薬製造業のほう素、ふっ素、それから貴金属製造・再生業のほう素につきましては一般排水基準へ移行する。それから、薄い網かけのところでございます。畜産農業及び工業分野4業種の硝酸性窒素等につきましては、暫定排水基準を改定して3年間延長する。さらに濃い網かけの部分ですけれども、旅館業及び工業分野の5業種につきましては、暫定排水基準を変更せずに3年間延長することとしております。

 この結果、暫定排水基準の対象は12業種から11業種となります。

 概要についての報告は以上でございます。

 詳細につきましては事務局から御説明をお願いします。

【熊谷水環境課長】 水環境課長の熊谷と申します。

 部会長から資料1に基づきまして概要を御説明いただきましたので、私からは、各業種ごとの検討の状況に関して若干詳しい説明をさせていただきます。

 資料1の後段、今、8ページの別表を見ていただいていると思いますが、その次のページ、別添として「各分野の検討結果」という資料がございます。

 1枚おめくりいただきまして、別添1を見ていただけますでしょうか。

 温泉分野の暫定排水基準の見直しに係る検討結果です。

 全体につきましては、既に部会長からお話しいただいたとおり、3回の専門委員会を実施しまして専門委員会としての結論をいただいております。

 温泉に関しては、現状維持ということで専門委員会の結論としておりますけれども、別-3ページの3.を見ていただけますでしょうか。

 まず1つ目、排水濃度の実態把握ということで、特にほう素、ふっ素の排水濃度が高い施設につきまして、現地に行きまして把握した状況でございます。

 最もほう素の濃度の高い施設をA旅館として、概要をお示ししておりますし、別-4ページの2)ではB旅館(ふっ素)ということで状況を説明させていただいております。

 いずれにおきましても源泉の状況、それから、後段で御説明させていただきますけれども、現場に適用できるような技術なりコスト面も含めて、なかなか対応が難しいという状況を踏まえまして、現在の暫定基準値を維持することで専門委員会から原案をいただいております。

 別-5ページ、温泉排水処理技術開発普及等に向けた取組状況ということで、実証試験を実施しまして各種の方策を検討してまいりました。その結果をこちらにまとめております。

 主に吸着処理もしくは凝集沈殿処理といったもので検討してまいりましたけれども、なかなか現場の、物理的な配置の問題であるとかコスト面というところでなかなか合うものが出てこないのが現状になっております。

 別-5ページ、別-6ページがほう素の処理に関して、別-7、別-8ページはふっ素関係、こちらも吸着とか凝集沈殿処理の状況をまとめております。

 結論の関係が別-9、別-10ページになります。

 暫定排水基準の見直し(案)ということで、御説明させていただいたとおり、ほう素、ふっ素とも引き続き各施設における排水実態の把握に努め、濃度低減方策の導入可能性や新たな技術開発の状況を考慮しつつ、今後、暫定排水基準を検討していくこととしたいと思っておりますけれども、ほう素、ふっ素に関しても、(1)の最下段になりますが、現状を維持することが適当という結論をいただいております。

 状況を見ますと、前段で整理しています最も高いA旅館に関しても、検査結果を見ますと87から500mg/Lという状況で、なかなか低減方策が見出せない。また、ふっ素に関しましても平均で32、最大38mg/Lということで、源泉のふっ素濃度が概ね50~100mg/Lという状況を踏まえますと、現状の暫定排水基準で今後も対応していくのが妥当といただいております。

 別-10ページになりますけれども、今般の全体の議論の中で、今後の中長期的な考え方について専門委員会で整理していただいております。

 3点ございまして、濃度低減手法、処理技術も含めて、今後の状況をきちんと検討していくというのが1点。温泉を利用する旅館業に関するほう素、ふっ素の排水実態について、もう少し詳細な調査を行った上で今後の対応を考えていきたいというのが2点目となります。3番目は、特に特徴的な事業者へのヒアリング等を、関係業界団体や都道府県などの関係者とも御協力させていただきながら考えていきたいと思います。

 これらの旅館の状況を見ますと、3年置きの見直しということで、最終的な終着点が見えにくいというお話をいただいております。具体的な施設整備等を考えたときに、3年間の暫定排水基準のときに求められるものと、そこで対応した後の次の対応をどのように考えるのかといったことも問題提起していただいておりまして、今後につきましては、今まで定例的にやってきました3年ごとの見直しというのもありますけれども、それ自体もどういうふうに考えるのか、今後、検討していくべきではないかといった御指摘を専門委員会の中でいただいているところでございます。

 これが温泉関係の暫定排水基準の検討結果になります。

 次に別添2、別-11ページになります。畜産分野の暫定排水基準の見直しに係る検討結果に進ませていただきます。

 畜産農業に係る暫定排水基準の変遷ということで、表1にまとめさせていただいております。当初1,500mg/Lというところから、現在600mg/Lというところまで来ておりまして、今回、別-12ページになりますが、排水濃度の実態把握ということで724の養豚事業場に関して排水データを収集しまして、今回の検討を進めております。

 一般排水基準の100mg/Lを達成している事業場の割合も、全体の分布を見ますと徐々に増加している状況で、高濃度の排水を排出しています畜産事業場にどのように対応していくかを検討しなければならないことが、はっきりとしたデータとして出てきているところです。

 別-13ページ、別-14ページを見ていただきますと、事業場に関しての累積度数分布図なども今回作成しまして、専門委員会の中で御議論いただいているところです。

 また、別-15ページになりますけれども、月別・季節別、特に生物処理を主体としたようなもので冬季、温度が下がる時期の状況などもきちんと見るべきだというような御指摘もいただいて、検討を進めてまいっております。

 暫定排水基準値(案)ということで、別-18ページに進ませていただきます。

 高濃度で硝酸性窒素等を排出する畜産事業場は非常に限られてきている状況で、それらの事業場について、季節変動や飼育頭数の状況、また、それに関連するような排水濃度の変動等をきちんと見ていくことが今後、必要かと思います。

 高濃度の事業場数は減少しており、排出の実態を見ますと、過去に高濃度の排出実態があった事業場でも排水処理施設の増設、また更新、適切な運転管理、運用などを進めることによって500mg/Lを下回ることができる状況と判断しておりまして、今回、従来の暫定排水基準値600mg/Lを500mg/Lに引き下げることが適当という専門委員会としての結論をいただいております。

 今後の排出濃度低減に向けた取組ということで、季節的なデータをきちんととること、また業界団体や他省庁、都道府県等とも協力しながらきちんとデータを把握した上で、今後の議論を進めるべきといった御指摘をいただいております。

 次に、別-20ページに進みまして、工業分野に関する暫定排水基準の見直しに係る検討結果になります。

 工業分野に関しましては、うわ薬製造業、ほうろう鉄器製造業、金属鉱業、電気めっき業、貴金属製造・再生業といったものが暫定排水基準の対象業種となっております。

 検討の中で使いました各業種のピーク濃度等の実績値につきましては、別-21ページ、別-22ページに掲載させていただいております。

 別-25ページを見ていただけますでしょうか。

 各業種における取組状況及び暫定排水基準値(案)に進ませていただきます。

 うわ薬製造業関係のほう素の取組状況になります。

 一般排水基準を達成していないのは1事業場ということで、このうわ薬の製造工程でほう素が発生する状況です。平準化であるとか再利用などの取組を進めていただいておりまして、これに関しては一般排水基準に移行することが可能と判断しております。

 2)は、ほうろう鉄器製造業、ほうろううわ薬製造業で、対象物質はほう素、ふっ素となります。

 一般排水基準を達成していない事業場は3事業場ございまして、いずれについても製造工程でほう素、ふっ素の排水が発生している業態となります。これらに関しましては使用原料の見直しであるとか製造工程の見直しということで濃度低減に御努力いただきまして、一般排水基準への移行が可能と判断していただいているところです。

 3)は金属鉱業になります。

 対象物質はほう素ですけれども、金属鉱業において一般排水基準を達成していないところは1事業場になります。現在は、設定当初の120mg/Lから現在100mg/Lまで下げている状況ですけれども、開発エリアを見ますと、湧出する地下水の状況が89~107mg/Lということで、変動が見られる状況、それから今後の変動に対するリスクをあわせて考えまして、現行の暫定排水基準100mg/Lを維持するものの、今後の暫定基準値につきましては、今後の開発情報、地下水の変動状況などを細かく情報提供いただきまして、それを踏まえて検討してまいりたいというような結論をいただいております。

 別-26ページの最下段から別-27ページ、4)電気めっき業に進ませていただきます。

 対象物質は、ほう素、ふっ素になります。

 電気めっき業において一般排水基準を達成していない事業場は、ほう素に関しては34事業場、ふっ素が43事業場となります。いずれにおきましてもめっき加工や洗浄工程においてほう素、ふっ素の排水が発生する状況となっております。設定当初の70mg/Lから現在の30mg/Lまでほう素に関しては低減しておりますけれども、直近1年間でほう素濃度が20~30mg/Lという状況になっていることを考慮しまして、この業種に関しましては現在の暫定排水基準値を維持することが適当という結論をいただいております。

 ふっ素に関しましても直近1年のデータ、8~15mg/Lという事業場が14事業場あることを踏まえまして、これも現状を維持するということで原案をいただいております。

 5)貴金属製造・再生業です。

 この対象事業場は、1事業場となりますけれども、各種対応いただいておりまして、一般排水基準に移行できる状況と判断させていただいております。

 また、同じ貴金属関係の硝酸性窒素等ですけれども、一般排水基準を達成していない事業場が7事業場となっております。これに関して、各種の処理で低減を行って設定当初8,700mg/L、現在で2,900mg/Lというところですけれども、最近3年間のピーク濃度を見ますと2,500mg/Lということで、変動状況も踏まえて、現在の暫定排水基準2,900を2,800mg/Lまで引き下げて今後の対応を求めるということでいただいております。

 6)酸化コバルト製造業になります。

 酸化コバルト製造業で一般排水基準を達成していない事業場は2事業場ということで、これに関しても各種の施設の対応や状況の改善などを行っていただいておりまして、別-29ページになりますけれども、最近3年間のピーク濃度が105mg/Lという実績になっております。これを踏まえまして、現行の暫定排水基準値160mg/Lから120mg/Lに引き下げることが適当と考えられるという結論をいただいております。

 7)ジルコニウム化合物製造業になります。

 これに関しても一般排水基準を達成していない事業場が2事業場ということで、この業態に関しましては設定当初の2,600mg/Lから現行700mg/Lまで暫定排水基準地を引き下げている状況になります。直近3年間のピーク濃度としては390mg/Lであることを踏まえて、現行の暫定排水基準値700mg/Lを600mg/Lに引き下げることが適当といただいております。

 8)モリブデン化合物製造業になります。

 硝酸性窒素等が対象物質ですけれども、3事業場が一般排水基準を達成していない状況になります。最近3年間のピーク濃度が1,303mg/Lという状況を踏まえまして、現行の1,500mg/Lから1,400mg/Lに引き下げることが適当といただいております。

 工業分野の最後になります。

 9)バナジウム化合物製造業に関しましても一般排水基準を達成していない事業場は3事業場となりまして、別-31ページになりますが、暫定排水基準値(案)ということで、直近3年間のピーク濃度が1,643mg/Lという状況を踏まえまして、暫定排水基準は現行の1,650mg/Lを維持することが適当といただいております。

 次に進みまして、別-62ページ、下水道分野に関してです。別添4、かなり後ろになりますけれども。

 3.排水把握、取組状況及び暫定排水基準の見直し(案)について御説明させていただきます。

 対象物質、ほう素に関して、1事業場の対応となっております。ここに関しましては周辺の旅館業から温泉排水を受け入れて処理している状況でして、今後の温泉流入の割合等、予測が難しい状況を踏まえまして、別-63ページになりますけれども、暫定排水基準値を維持するということで結論をいただいております。

 しかしながら、温泉原水のほう素濃度の変動について十分なデータがない関係もございますので、今回、暫定排水基準の維持を行った場合、その先につきまして、現地の状況をきちんと踏まえて温泉原水、温泉排水の水質変動、濃度低減に向けた取組などを踏まえまして、見直しの検討をさらに進めていきたいと考えております。

 硝酸性窒素、亜硝酸性窒素に関する暫定排水基準対応の下水道業も、1事業場となっております。約80社の事業所の排水を受け入れている下水処理場ですけれども、そのうち3社が高濃度の硝酸性窒素、亜硝酸性窒素を排出する状況で、その企業の中で今後の操業状態、生産状況を踏まえて、製造側での施設整備の対応、また下水道側の受け入れの対応を行うということで、施設整備の増強の計画を持っていらっしゃるんですけれども、直ちに対応は難しいということで、今回に関しましては暫定排水基準を維持し、今後の状況を踏まえてさらに暫定排水基準の見直しができないか検討することが適当という結論をいただいております。

 以上、駆け足になりましたけれども、各業種ごとの暫定排水基準の検討状況について御説明させていただきました。この説明で足りないところがございましたら、細見部会長に補足をしていただければと思います。

【細見部会長】 排水規制等専門委員会でさまざまな観点から議論させていただきました。

 結果的には、今、熊谷課長からありましたように暫定排水基準の数値を提案させていただいております。1つは、排水の実態把握をさらに詳細に検討しなければいけない温泉分野だとか、あるいは畜産も含めてですけれども、そういう議論もございましたし、技術的に非常に難しいという議論もございました。そういう中で、一般排水基準への移行を目指して今回、暫定排水基準案をさせていただきました。

 これまでの説明につきまして、皆様から御質問、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

 名札を縦にしていただければ順次、私のほうから指名させていただきます。

【西垣臨時委員】 ふっ素、ほう素に関しまして、今、コストが高いからということで我々はどうしても飲み込まなければならない現状ですけれども、国として、もっと安価に安全化する方法の研究は、まだどんどん続けられているんでしょうか。その辺を聞かせていただければと思います。

【熊谷水環境課長】 先ほど資料で触れさせていただきましたけれども、これまで実証実験を繰り返しておりました。処理技術的には吸着処理もしくは凝集沈殿みたいな処理が有望なものであろうということでした。企業を含めて御相談させていただいておりますが、今、出てきたものが当面、対応としては限界という状況と考えております。

 今後とも、なるべく安価なものを求めるものですが、現状を見ますと、提案のあった単位プロセスの組み合わせを考えるぐらいしか当面は出てこないのではないかと考えております。それらの組み合わせの中でできるものに対応するということと、技術的にもともと難しい物質群ですので、それを踏まえてこの暫定排水基準自体をどのように考えるか、今後また御議論いただければと思っております。

【大久保委員】 御説明ありがとうございます。

 今の御説明で、各業種それぞれいろいろな努力をしていただいているというお話を伺いましたが、2つに分けて考える必要があると思っておりまして、一方では温泉のように、自然に由来するものであって、業界全体というよりも特定の土地に由来する問題が大きい場合には、先ほど暫定基準の見直し期間を見直すことについて言及がありましたけれども、それだけではなくて、特定の場所の施設について、一般環境への影響あるいはBATをきちんと適用しているのか等々総合的な考慮により、特別例外許可のようなものを設ける、そのかわり、どのような形でそれを低減していく見込みがあるのかという付款をつける、あるいは情報をきちんと公表するということをしていただき、もしそのような努力がなされない場合にはその許可を取り消すことも含めて、当該業界に一律に暫定基準を適用するのではない方法も今後、一つの方法として考えていってもいいのではないかと考えます。

 他方、人工的な製造過程で出てくるものにつきましても各業界の努力により減っている部分もあるわけですけれども、硝酸性窒素の貴金属製造・再生業につきましては、余りにも一般基準との差が大きいと言わざるを得ないのではないかと思います。

 そこで、各業界の今後の取組について見ると希釈とそれ以外の方法を挙げている事業者さんがいらっしゃるわけですけれども、希釈以外の方法でどの程度、今回は2,800mg/Lですけれども、今後の取組の中で次回までにもっと大幅に下げられる見込みがあるのかどうかお伺いしたいと思います。

 それによりまして、希釈をどのように考えるのかということを考えていく時期かなとも思っております。

 3点目は公共下水道で、1カ所は温泉に関わるということがあったと思いますけれども、公共下水道でなかなか一般基準に移行できないというのは問題が深刻だと思っておりますので、公共下水道のようにそもそもいろいろなものを受け入れて処理するためにつくられている施設については、とりわけ今後の御尽力を期待したいと思います。

【熊谷水環境課長】 ありがとうございます。

 お話しいただいたとおり、温泉だとか畜産関係につきましては、その場所、場所の状況、それから排出先の環境状況など、これまでの検討の中ではどちらかというと排水濃度に主眼を置いて議論してきましたけれども、そもそも経緯的にどういう状況の場所としてそういうことが起こっているかということも踏まえまして、おっしゃるような内容も含めて、暫定排水基準の今までの検討の仕方自体をもう一度考え直すことも含めて、今後、議論を進めていきたいと思っております。

 金属関係に関しましては、幾つかのところで一般排水基準に移行できた状況もあります。処理だけの問題ではなく使用の状況であるとか工程管理であるとか、幾つか低減化に向けた要素はあるものと考えております。関係省庁や都道府県とも協力しながら、これらが一般排水基準からかなり遠い暫定基準になっているのは御指摘のとおりだと思いますけれども、そこを埋めるような方策がないか検討させていただきたいと思います。

 3点目、下水道に関しましては、公共事業として実施する対応をもう御準備されている状況ですけれども、その施設整備と今回、タイミングがうまく合わずに暫定排水基準の維持となってしまいましたけれども、今後、施設整備の状況を関係省庁と進捗管理しながら、なるべく一般排水基準に移行するように対応していきたいということで、これに関しては御協力いただける旨、いただいておりますので、そのような状況をきちんと進めていきたいと思っております。

【西川臨時委員】 今回、暫定基準を見直すということについては、排水中への排出実態に即してやられておりますので、これは全く問題ないと思います。

 1つ申し上げたいのは、この排水基準は環境基準に基づいて設定されていると思いますけれども、その根拠が資料1の1ページの下のほうに書いてあります。多分、この部会で申し上げることではないかもしれませんけれども、あえて申し上げますと、例えばほう素ですと、これは1990年代のラットの試験、ふっ素および硝酸性窒素ですと1950年代初頭の疫学研究であります。こういうある意味、古いデータに基づいた基準でありますので、新たなデータ等が出てくれば基準値が上がったり下がったりする可能性はあると思いますので、その辺りをどのような方針で考えられているのかお伺いしたいのですけれども。

【熊谷水環境課長】 健康影響関係、安全性評価に関しましては、それだけの専門機関もございますし、WHO等で全体のデータの整理等もされていると承知しております。最新のデータをうまく取り込んだ形で、環境基準の見直しを適宜進めていきたいと思いますし、それに対応した排水基準なり暫定基準の議論を進めていくということで基本的に考えたいと思います。

【西川臨時委員】 見直す必要がない可能性ももちろんあるわけですけれども、それを検討していくことが大事かと思います。

【熊谷水環境課長】 全て安全性評価を環境省の中で支えるというのはかなり難しい話なので、世界で出てくるそういう情報をきちんと適切に把握して対応するということで、直接的な時間的なものはなかなかお答えしにくいものだと思います。

【西川臨時委員】 最後に、例えばIARCにおいて、硝酸性窒素および亜硝酸性窒素はグループ2Aなのです。すなわち、恐らく人に発がん性があるとなっていて、これは環境基準が設定された後からの評価です。だからそういう新たな情報を本来はやはり取り入れて、見直す必要がないのであればないという判断のもとに進めていっていただければと思います。

【熊谷水環境課長】 亜硝酸性窒素については、新たな安全性評価の知見が出てきていることは情報としていただいていますので、これに関しては、全体のその関係の安全基準の検討状況を踏まえて、私どものほうでも検討を、今年度の中でももうそろそろ議論を始めたいと考えております。

【細見部会長】 環境基準は科学的なエビデンスに基づいて適切に対応していくということですので、この部会の下にも基準の委員会がございますので、そこで検討されていくものだと思います。

 これはちょっと水道とも関係するので、浅見委員から何かコメント等ありますでしょうか。

【浅見臨時委員】 御指摘ありがとうございます。

 ほう素、ふっ素等につきましては、もともとの実験自体は古いものも考慮されているんですけれども、評価は新しい視点でも評価されているものでございまして、ちょうどこちらの値については整合している……、少なくとも水道に関しては、新しい評価方法とあわせても整合していると理解しております。

 もしそこで新しい知見が出てきたり新しい評価方法が出てきて、もっと厳しいものが必要となれば、水道のほうの見直しもありますし、それとほぼ同時期に環境のほうでも見直す必要が出てくるのかなと思っております。

 硝酸につきましては、かなり昔からいろいろ課題がございまして、現在は急性毒性をもとにというのが水道でも評価になっておりますし、ほかの分野でもそのようなものをもとに評価されていると理解しておりますけれども、今後、いろいろな知見を踏まえて見直しをしていく必要もあるかもしれないと思います。

 ただ、窒素自体ももう世の中にたくさんあるといいますか、いろいろな経路で摂取するものなので、この排水基準だけをすごく厳しくしたからといってばく露上の問題が解決するわけでもないということもございまして、全体を見て費用対効果の高い方策をとっていく必要があるのかなと思っております。

 コメント、非常にありがとうございます。

【細見部会長】 ありがとうございました。

 西川委員、よろしゅうございますでしょうか。

【西川臨時委員】 ご説明ありがとうございます。

【細見部会長】 他にございますでしょうか。

 よろしければ、ほう素、ふっ素及び硝酸性窒素等に係る暫定排水基準の見直しについては、事務局から説明がありました原案のとおりということで進めることでよろしゅうございますでしょうか。

(異議なし)

【細見部会長】 どうもありがとうございます。

 それでは、本日御審議いただいた報告につきましては御了承いただきましたので、これを部会の決定としたいと思います。

 次に、本日の審議事項の審議結果を踏まえた今後の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。

【熊谷水環境課長】 現在の暫定排水基準の期限が6月30日までとなっておりますので、今回いただいた暫定排水基準値案をもとにしまして、この期日までに所定の処理、省令の改正に進めていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

【細見部会長】 それでは、次の議題に移りたいと思います。

 議題(2)は報告事項でございます。幾つか資料が準備されておりますけれども、今回は一通り全部説明をいただいた上で、その後、まとめて御質問、御意見をお受けしたいと思います。

 それでは、①平成29年度公共用水域水質測定結果についてから順次、事務局から説明をお願いいたします。

【熊谷水環境課長】 資料2「平成29年度公共用水域水質測定結果について」です。いわゆる公共用水域につきましての環境基準の常時監視の結果となっております。

 健康項目に関しましては、測定地点5,384、生活環境項目につきましては3,341水域で7,000余地点の結果を取りまとめております。

 健康項目に関しては、27項目合わせまして環境基準の達成率が99.2%と、前年と大体同じ状況になります。

 生活環境項目につきましては、河川のBODにつきましては94%、湖沼のCODで53.2%、次のページに行きまして全窒素、全燐で47.9%、また、海域につきましてCODで78.6%、全窒素、全燐につきまして90.7%という状況で、その下には環境基準達成率、BODとCODの各水域ごとと全体とをあわせました昭和49年からの推移のグラフをお示しさせていただいております。

 公共用水域の水質測定結果については以上になります。

 次に、資料3「平成29年度地下水質測点結果について」です。

【神谷地下水・地盤環境室長】 地下水・地盤環境室長でございます。

 平成29年度の地下水質の測定結果でございますが、水濁法に基づく監視の平成29年度の結果を取りまとめたものでございます。

 全体の傾向としましては、何らかの項目で環境基準の超過が観測された井戸が全体の5.5%でございます。測定した項目は、28項目でございます。地下水の水質は3種類の測定を行っておりまして、全体の概況を調べる概況調査、それから汚染が見つかった井戸の周辺で集中的に調べる汚染井戸周辺地区調査、それから、これも汚染が見つかった場所において継続的に調べます継続監視調査の3区分でございまして、全体で8,327本の井戸を調べております。

 概況調査で言いますと、全体の超過率は5.5%でございますが、一番超過率が高い項目が硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素でございまして、2.8%の井戸で超過がございました。

 継続監視調査の結果で見ますと、環境基準の超過の井戸が多いのは硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、次いで砒素、テトラクロロエチレンという状況でございました。

 それから全国的な地下水の状況ということで、市区町村ベースで、環境基準が過去5年間で1回でも超えたことがある場所という集計をしてみますと、揮発性有機化合物については、超過が見られたところが全体の20%、重金属等では24%、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素では27%という結果でございます。

 次のページを見ていただきますと、概況調査における経年変化を示しております。

 一番高い硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素でございますが、平成11年度以降、少しずつですが、基準超過率が下がってきております。これはマニュアルの整備等も行っておりますけれども、地域単位での協議会等を通じた地道な取組が少しずつ効果を上げているのではないかと考えておるところでございます。

【細見部会長】 次は、③平成29年度水環境における放射性物質のモニタリング結果についてお願いいたします。

【熊谷水環境課長】 資料4「平成29年度水環境における放射性物質のモニタリング結果について」です。

 平成29年度に限らずですけれども、全国の放射性物質モニタリングと福島県及びその周辺の放射性物質のモニタリング結果、また原子力規制委員会が実施した放射性物質のモニタリング結果、これらをまとめたものとして全体を取りまとめております。

 概要に進みます。

 全国で実施する放射性物質のモニタリングということで、全国47都道府県110地点のモニタリングをやっておりまして、水質で概ね0.1Bq/L以下、底質でも1~100Bq/kg程度という状況になります。

 2ページ、3ページに進んでいただきたいと思います。

 こちらは福島県及び周辺県での放射性物質モニタリングということで、水質に関しましては1Bq/Lを検出下限値としている関係で、全て不検出となっております。

 底質に関して若干の検出が見られますけれども、2ページに河川の底質、湖沼の底質、3ページにいきまして沿岸域の底質ということで平均値の経年変化を見ていただきますと、全体のレベルとしては着実に下がってきている状況が明らかになっています。

 また、地下水に関しても全地点が不検出という状況になっております。

 4ページ、5ページに、どのような地点で測定しているかというモニタリングの地図を参考におつけしております。

 次に、資料5「国際的な水環境改善に関する取組について」ということで、水環境関係の国際協力の状況をまとめましたので、御紹介させていただきます。

 環境省におきましては、1つは制度面の改善、各国の基盤を支援していくという意味でアジア・水環境パートナーシップという取組、また、具体の水環境改善を進めていくということで、モデル事業という形で具体的なエンジニアリングであるとか対応といったものを持ち込む、この両輪で全体の動きをしております。

 2.のアジア水環境パートナーシップに関しましては、第3回世界水フォーラムを契機に東アジア地域13カ国でスタートしておりまして、制度面の改善だとか排水管理の強化、また水環境の行政体制の強化といったことを、これまで進めてきております。特にここ数年は、各国の要請に基づいて水環境改善プログラム、アクションプログラムと呼んでおりますけれども、これらの支援も実施してきております。ベトナムでの養豚場における廃棄物と排水の管理であるとか、スリランカにおける産業廃棄物と排水の一体管理、また、インドネシアにつきましてはチタルム川というところ、ごみの不法投棄等も非常に多い川ですけれども、これの汚染負荷の管理について実施しております。また、カンボジアから湖沼水質を中心としたモニタリングのアクションプログラムの提案がございまして、今後、これらについての対応を進めていきたいと思っております。

 裏面になります。

 3.アジア水環境改善モデル事業ということで、現在実証中のモデル事業の一覧をお示ししております。

 ベトナムにおいて、高濃度廃液の減量とか浄化に関する水環境改善事業、インドネシアにおいて浄化槽セプティックタンクの生活排水処理の高度化事業、またインドネシアのチタルム川、線維工場が非常に多い水域とお聞きしていますが、ここの排水処理の技術であるとか、そういったものを進めているところでございます。

 最後、4.第4回アジア・太平洋水サミットが来年度、3回ぶりに日本に戻ってまいりまして、熊本市で開催されることになっております。来年10月19日・20日の2日間になります。アジア・太平洋水フォーラム、日本水フォーラム会長の森元首相がやられているフォーラムですけれども、これと熊本市が主催になりますけれども、関係省庁もこのサミットに関して必要な協力を行っていくこととしておりますので、ぜひとも御注目いただければと思います。

 資料6に進ませていただきます。

 第17回世界湖沼会議ということで、御報告になります。

 いばらき霞ヶ浦2018ということで、昨年10月15日から19日、つくばの国際会議場で霞ヶ浦を中心にして第17回世界湖沼会議が開催されております。この中で「地球温暖化、気候変動による湖沼の変化や生態系への影響」ということで基調講演をいただき、政策フォーラム、また湖沼セッション・霞ヶ浦セッション、分科会を実施しまして、延べ5,500人の参加をいただいたところでございます。

 開催の結果として、生態系サービスを衡平に享受すること、生態系サービスを次世代に引き継ぐことを内容とした「いばらき霞ヶ浦2018」を採択しております。

 また、湖沼水環境保全に関する自治体連携設立宣言ということで、5県の知事クラスの方で合意に至って、今後の取組をしていくというお話がありました。

 次回につきましては、2020年度にメキシコのグアナファトというところで開催されることが決まりまして、第17回世界湖沼会議を終了しております。

 以上になります。

【細見部会長】 次に、⑥海洋プラスチックごみ問題の動向及び対策について。

【中里海洋環境室長】 私、海洋環境室長の中里と申します。

 私から、資料7について御説明させていただきたいと思います。

 1ページのスライドでございます。

 海洋ごみ問題の現状となっていますが、左上は海岸での漂着ごみの事例、これは山形県酒田市の飛島と長崎県の対馬市ですが、ともに日本海側にございまして、冬場を中心にこのように非常に多くのごみが海岸に漂着いたします。

 右側でございますけれども、こういった漂着物の中には、ここには詳細に書いてございませんけれども、外国語表記のものがございます。漁具の浮きでございますとかポリタンク、あと洗剤容器、こういったものには外国から流れてくるものもかなりあるだろうと考えてございます。

 こうしたごみによる被害でございますが、下の写真を見ていただければと思います。

 まず1つは、海洋生物への影響がございます。ウミガメなどはクラゲを餌にしてございますけれども、レジ袋などをクラゲと間違えて食べてしまう。その右側でございますが、これは昨年夏にタイのほうで死んだ小型のクジラの胃の中から出てきたビニール袋でございまして、大体80枚入っていたというものでございます。

 こういった生態系への影響なり、また船舶航行への影響、また観光なり漁業への影響、また、当然住環境への影響がございます。

 その下でございますけれども、最近特に注目を浴びているのがマイクロプラスチックという5ミリ以下のプラスチックでございますけれども、こういったものも生態系に影響を及ぼすのではないかと懸念されているところでございます。

 次のスライドでございます。

 「海洋プラスチック問題の現状(世界の分布)」と書いてございますが、これは先ほど御紹介いたしました5ミリ以下のマイクロプラスチックが世界にどのように分布しているかを推測したものでございます。

 これを見ていただくとわかりますが、赤いところが濃いところでございまして、全世界的にマイクロプラスチックが分布している。ここにはないんですけれども、実は南極でも見つかっていますし、北極でも見つかってございます。

 次のスライドでございます。

 「世界の海洋プラスチックごみ流出の実態」でございますが、これはジャンベックという方が推計したものでございます。大体年間500万トンから1,300万トンぐらいのプラスチックが海に流出しているのではないかと言われてございます。

 これを見ますと、国別に書いてございますけれども、中国、インドネシア、フィリピン、ベトナムといった東南アジア、東アジアの国から多く流出しているのではないかという推計でございます。ちなみに日本は30位でございまして、2~6万トンというプラスチックが流出しているのではないか。あくまでも計算でございますけれども、こういった結果が出されてございます。

 次のスライドでございます。

 こうした海洋プラスチック問題に関する国際的な動向でございますが、左上、持続可能な開発目標(SDGs)の14が海洋でございまして、その最初に、2025年までに海洋ごみを含む陸域からのあらゆる汚染について大幅に削減するといった趣旨のことが書かれてございます。

 また、その下でございますが、G7。2015年のエルマウ・サミットから連続的に取り上げられてございます。

 また、その下でございますが、日中韓三カ国環境大臣会合。これは3カ国間で毎年開催されているものでございますけれども、海洋ごみについてはその度に議題になっているところでございます。

 右側でございますが、国連環境総会(UNEA 4)が今年3月にも開かれました。その中でも、さらに科学的な基盤の強化でございますとか多様な関係者が集まったプラットフォームをつくるべきではないかとか、そういった議論がなされてございます。

 また、UNEA 3が一昨年ございましたけれども、そこから今後どういった対策のオプションがあるのか専門家によって議論されてきましたけれども、議論のステージを引き上げUNEA 5まで議論をしていくことになってございます。

 次に、G20でございます。

 今年は我が国が議長国でございますけれども、一昨年のハンブルク・サミットにおきまして海洋ごみに対するG20行動計画が立ち上げられてございます。四角で囲まれた中には今年1月に世界経済フォーラム、通称ダボス会議での総理大臣の発言を書かせていただいてございます。「大阪で、海に流れ込むプラスチックを増やしてはいけない、減らすんだというその決意において、世界中挙げての努力が必要であるという点に共通の認識をつくりたい」という発言がございました。

 次のスライドでございますけれども、こういった海洋ごみにつきまして、環境省でも調査をしてございます。

 まず左側でございますが、これは人工物、漁具、自然物に分けたものでございます。それぞれ割合が書いてございまして、自然物が多いところ、人工物が多いところございます。ちょっとこれ字が小さくて恐縮ですけれども、場所によってかなり量が違います。これは体積で表してございますけれども、根室は大体419リットル。これは50メートル当たりでございます。多いところは6,164ということで、これは山形県の遊佐でございますけれども、地域によってかなり差がある。

 また、年によってもかなり差が出てきます。このときにはこういう状況だったと理解していただければと思います。

 右側に、人工物の構成比をかかせていただいてございます。

 見づらくて恐縮ですけれども、鮮やかなブルーが漁具でございまして、クリーム色が発泡スチロールでございます。時計回りに鮮やかなブルーからクリーム色まで見ていただくと、これがプラスチック類になります。ですから、多くの地域でプラスチック類が大層を占めていることがおわかりになろうかと思います。

 次のスライドでございますけれども、こういったごみはどこから来たか。先ほど外国語表記のものも来ていると申し上げましたが、ペットボトルをもとにある程度推測したものでございます。

 オレンジ色が、中国でつくられたもの、黄緑色が韓国でございます。そして、見ていただきますと西日本、対馬から五島、奄美、種子島、串本、この辺りは中国なり韓国からのものがかなり多い。逆に東日本、瀬戸内海、こちらはブルーの部分、これは日本でございまして、日本のものが多い状況になってございます。

 次のスライドでございますけれども、これは荒川の河口の状況でございます。

 荒川の河口、東京湾の奥でございますので、基本的にはほとんど日本のものだろうと思われます。こういう状況になってございまして、大雨などで水位が上がりますと消波ブロックを超えまして全て海に流れていくんですけれども、その後2~3カ月で大体このような状況になると言われてございます。

 次のスライドでございます。

 先ほどちょっと御紹介いたしましたけれども、マイクロプラスチックでございます。5ミリ以下の小さいプラスチックですけれども、上と下と2つに分かれてございます。上でございますが、一次的マイクロプラスチックと称してございます。これは最初につくられた時点で5ミリ以下の小さいプラスチックでございます。写真にございますけれども、スクラブ入りの洗顔料、こういったところに「ポリエチレン」と書いてございますけれども、使われている小さなプラスチックをマイクロビーズと称しておりますけれども、こういったものを規制する動きが世界にございまして、日本でも化粧品工業会さんのほうで自主規制しています。当方で2年前に流通しているもので調べた結果、150品中こういったものが含まれているのは2品目ということでございまして、大手ではもうほとんど切り換わっているところでございます。

 その下でございますけれども、二次的マイクロプラスチックということで、もともと大きかったプラスチックが砕けて漂流するというようなものでございます。

 次のスライドでございます。

 このマイクロプラスチックにつきましては、環境省で大学の練習船等に御協力いただきまして調べさせていただいてございます。これを見ていただきますと、これは3年間の計測結果をあわせて記したものでございますけれども、日本の至るところでマイクロプラスチックが浮遊している状況でございます。

 次のスライドでございますけれども、こういった海洋プラスチック問題に関する国内動向と取組でございます。

 一番上でございますけれども、海岸漂着物処理推進法改正でございます。これを通称海ごみ法と呼んでいますけれども、平成21年に議員立法により制定されたものでございます。昨年改正いただきまして、その中では、例えば2つ目の「・」にございますけれども、「漂流ごみ等」の追加がございます。もともとは漂着したごみを対象にしていたんですけれども、昨今漂流しているごみ、海底のごみ、こういったものも問題であろうということで、この法律のごみの対象が拡大されました。

 次の「・」でございますけれども、3Rの推進とございます。海洋にあるごみでございますけれども、実はもとをたどれば陸から発生したものが多いということで、陸でのごみの発生を抑制することが重要だろうということで、3Rの推進というのがございます。

 4つ目の「・」がマイクロプラスチック対策でございます。これにつきましても昨今注目を浴びている問題でございまして、これについても法律の中で触れる形になってございます。

 あと、国際連携というのがございます。もともと近隣諸国、韓国、中国を念頭に置いて国際協力がこの中にあったんですけれども、マイクロプラスチック等につきましては、やはりもっと広く国際協力を進める必要があるということで、新たに国際協力の枠組みが広がる形になってございます。

 次に、第4次循環型社会形成推進基本計画でございます。

 昨年度、閣議決定されましたけれども、この中にプラスチック資源循環戦略ということで、プラスチックの資源循環を総合的、効率的に進めていくための戦略を策定することとしてございまして、現在、検討中でございます。

 一番下でございますけれども、海岸漂着物等地域対策推進事業でございます。

 これは一番上の海岸漂着物処理推進法、いわゆる海ごみ法に基づいて実施している補助事業でございます。都道府県に対して補助をするわけでございますが、海岸に来たごみは必ずしもそこで出たごみではないということもございまして、補助率につきましては10分の7から10分の9ということで、通常のものよりもかなり高い補助率を適用して、現在、取り組んでいただいてございます。

 次のスライドでございます。

 先ほど御紹介いたしました海ごみ法の改正を受けまして、これに基づきます基本方針の改定を、今、してございます。

 一番上は先ほどの改正の内容でございますけれども、左のほう、海岸漂着物等の円滑な処理とございます。その2つ目に「地域住民の生活や……」とございますが、先ほどの漂流ごみ、海底ごみも法律の対象になったということで、漁業者等の協力を得ながらこういったものの処理を推進しようということが書いてございます。

 その右側でございますけれども、海岸漂着物等の効果的な発生抑制の中には先ほどの3Rというのがございまして、その下に、マイクロプラスチックの海域への排出の抑制とございます。ここでは、事業者は洗い流しスクラブ製品に含まれるマイクロビーズの削減徹底など、マイクロプラスチックが海洋に流出しないよう、その使用抑制に努力すると書いてございます。先ほども御紹介いたしました洗顔剤に含まれているプラスチックでございますけれども、こういったものは通常使っていてもそのまま下水道を通じて海洋に出てしまう。こういったものについてはプラスチックを使用しないようにといった努力義務でございますけれども、こういったことが書かれてございます。

 左下でございますけれども、多様な主体の適切な役割分担と連携の確保ということで、行政、国民、民間団体、事業者等、多くの方々の連携が必要だといったことが書いてございまして、その右側には国際協力が書かれてございます。

 その横、その他の部分では、消費者教育ということも書いてございます。こういった海洋ごみの発生抑制のためには消費者にも協力していただく必要があるということで、消費者教育も追加してございます。

 次のスライドでございますけれども、プラスチック資源循環戦略でございます。

 これも今、検討中でございますけれども、プラスチックを徹底的に、効率的に使っていこうということでございます。

 右のほうにマイルストーンがございまして、こういったものを念頭に置きながら、それぞれプラスチックの使用削減、効率化に取り組んでいただくということでございます。

 一番上はリデュースでございまして、2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制するといったこと、あとリユース・リサイクルということで、2030年までには容器包装の6割をリユース、リサイクルする、2035年までには使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクルするということでございます。

 その下には再生利用・バイオマスプラスチックについて、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入しようといったことも書いてございます。

 こういったことを念頭に置きながら、プラスチックの有効活用を図っていこうというものでございます。

 次のスライドでございますけれども、先ほど御紹介させていただきました海ごみの補助金でございます。高い補助率で、一応年間30億円ぐらいの予算を投じて海ごみの回収をしてございます。大体年間3万トンのごみを回収してございます。

 次のスライドでございますけれども、海洋ごみの調査でございます。

 海洋ごみ、実はまだまだわからない部分が多うございまして、これについては引き続き調査をしているところでございます。漂着ごみ、漂流ごみ、海底ごみ、マイクロプラスチック、こういったものについての調査をしているところでございます。

 次のスライドでございますけれども、海洋ごみ削減のための複数自治体連携による発生抑制対策等モデル事業でございます。

 やはり海洋ごみを減らすためには陸域での取組が重要だということで、陸域と沿岸と連携して取り組んでいただこうということで、現在、三重、愛知、岐阜の3県での複数県での取組モデルと、あと岡山県でございますけれども、内陸と沿岸と一体となって取組モデルを現在、進めているところでございます。

 次のスライドでございますけれども、「プラスチック・スマート」キャンペーンでございます。

 やはり多くの方々に海ごみの削減に取り組んでいただく必要があるということで、その取組を促進するためのキャンペーンを環境省として実施してございます。これについては個人なり企業なり、「私はこういうことをしますよ」ということを登録していただくものでございます。

 次のスライドでございますけれども、「プラスチック・スマート」フォーラムでございます。

 こちらもプラスチックの削減等に取り組んでいただくんですけれども、こちらは団体等に入っていただきまして、それぞれの取組について横の連携をしていただきたいということで実施するものでございます。

 その中では、今後、大臣表彰の実施でございますとか国際シンポジウムの開催等もやっていく予定でございます。

 この「プラスチック・スマート」フォーラムにつきましては、4月26日段階で257団体に参加していただいてございまして、連休前に第1回目の意見交換会をしたんですけれども、そのときも、各団体から2名以内にしてくださいということで制限をかけないといけないほどたくさん来ていただきました。

 環境省としましては、こういった国民全般の運動を通じて海洋ごみの削減に取り組んでいきたいと考えてございます。

 以上でございます。

【細見部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、報告事項①から⑥につきまして御質問、御意見がある方は名札を立てていただいて、順次指名していきたいと思います。

【山室臨時委員】 2点ありまして、1点は、放射性セシウムが公共用水域の湖沼の水から出たという御報告があったと思うんですけれども、水は前年度まで、3.11勃発時はかなり出ていたと思うんですが、しばらくして出なくなった記憶があるんですが、ずっと出続けていたかどうか、ちょっと記憶にないので教えていただきたいのと、もしも今回、今まで出ていなかったのに新たに出たということであれば、その原因として何をお考えか教えてください。

 2点目は、最後の海洋プラスチックごみ問題なんですが、マイクロプラスチックは海以外の担当のところでも何らかの対策をされているかどうか教えてください。

 といいますのは、最近の欧米などの研究では水道水からも検出されているというお話ですとか、PM2.5に混じっているみたいな話もありますので、もしも日本が海洋だけに限定していると、マイクロプラスチックという問題の全体的な観点がちょっと損なわれるかもしれないなと思いましたので、他のところでも何らかの対策をしているのかについて教えてください。

【細見部会長】 これは個別にやりますか。それとも……。

 では、まとめて御質問とか御意見をお受けして、それぞれ対応の局でお答えしたいと思います。

【福島(武)臨時委員】 2つ質問がございます。

 資料2の公共用水域の水質測定結果で、生活環境項目の河川、湖沼、海域ですか、この2~3年、何か達成率が下がっているような傾向があって、これについてどのようにお考えなのかが1点です。

 それから、資料3の地下水に関して、大多数の項目は基準値オーバーが少なくなってきているんですが、砒素に関しては何か若干上がる傾向があるように思えたものですから、それについて検討されているのかどうか。

 もう一つだけ、お礼と申しますか、資料6、第7回世界湖沼会議で私、主催自治体の一員といたしまして、環境省には共催になっていただき、また、この部会のいろいろなメンバーの方に御協力、御支援いただきまして無事終了することができました。この場をおかりしてお礼申し上げたいと思います。

【浅見臨時委員】 先ほど福島先生からも御指摘があったんですけれども、資料3の地下水のデータについてが1点目です。

 1ページに、重金属で24%に超過が見られたとあるのと、先ほど御指摘があったように砒素が、いろいろ対策をしてくださっているにもかかわらず全体的には何となく上昇傾向にあるような気がいたしまして、これをもう少し推進していただけるようにいいますか、注意していただいたほうがいいのかなと思いました。

 恐らく井戸のモニタリングは前に出たところを重点的にされると思いますので、そういったバイアスもかかっているのかもしれませんけれども、硝酸のほうはちゃんと少し低減の傾向があるのに砒素は上がっているように思えたのと、あと1ページの、重金属等でこれほどあるというのはどの項目によるものなのかを教えていただければと思います。

 地下水に関しましては、飲用しているかどうかとは別に評価されていると思うんですけれども、飲用していらっしゃる場合には、特に砒素と硝酸に関しては超過しているようなところは要注意なのではないかと思っております。

 あと、先ほど山室先生から放射性物質の御質問であって、こちらではセシウムの水からというのがちょっとよくわからなかったんですけれども、文科省さんの調査で放射性ヨウ素について時々検出されることがありまして、非常に濃縮した状態で検出されることがあるんですけれども、時々こちらにもどうしてヨウ素が出るんでしょうかといった御質問をいただくことがあるんですけれども、計算いたしますと、恐らく医療用で使われたものが、上流で1人か2人か患者さんがいらっしゃるような場合でもそのくらいの数値になるような非常に微量のものが検出されることがありますので、今回のデータとは直接関係ないんですけれども、そのような御質問があった場合には、そういう可能性もあるのかなとこちらでは考えておりますので、情報的に補足させていただきました。

【大塚委員】 2点ございまして、1点は、先ほど御質問があった公共用水域に関しての生活環境項目が、ちょっと値が悪くなっているところの分析をどうされておられるかお伺いしたいということです。

 もう一つはプラスチックのほうですけれども、これは必ずしも海洋室だけの問題ではないと私は思っていますが、循環部会との役割の若干の分担─もちろん重複しても構わないと思うんですけれども─があると思ってはいますが、特に人工芝とかタイヤの磨耗物とかマイクロファイバーの問題は、廃棄物のほうでは多分扱えないので、例えば人工芝の流れてくるのを廃棄物のほうで扱うのはほとんど不可能に近いと思いますし、タイヤの磨耗物もちょっと無理だと思います。しかし、人工芝は結構たくさん出ているというのはマスコミの報道等でも大分前に出たところでございます。あと、マイクロファイバーですね。洗濯した後の水の中に繊維が入ってしまうと思うんですけれども、そういうものはこちらの水質汚濁のほうで対応するしかないので、ただ、対応するといってもどうやってやるかはいろいろ御検討いただく必要があると思うんですけれども、これはそれなりの問題ではあるので、結構対処が困難な問題ではありますけれども、どちらの部局の問題にするかわからないでそのままになってしまうのが一番問題かと思いますので、これは水質のほうで扱っていただくのが適当ではないかということを意見として申し上げておきたいと思います。

【細見部会長】 他によろしいでしょうか。

 それでは、まず、大きく放射性物質について御質問がございました。これについてお答えいただけますでしょうか。

【熊谷水環境課長】 放射性物質の湖沼の関係でいただいたものかと思います。

 水質で幾つか出た状況で、もう底質自体は着実に低減している状況で、サンプリングの関係で、濁質で取り込んだような突発的なものではないかというような見解を、この全体のモニタリング結果を取りまとめていただきました検討会の中ではそういう結論としております。今後も状況をきちんと見ながら解析を進めていきたいと思います。

 2点目、生活環境項目でいただいています。

 昭和49年から長い推移のものを見ていただいていますが、これらの変動の範囲内なのか、御指摘いただいたように多少下がり気味なのか、私どもも今、ちょっと関心を持って見ておりまして、きちんと解析したいと思っています。

 1つは、不超過になったような状況のところがどういう状況であるかとか、あとは降水量だとか全体の水量の問題、温度の問題等とあわせて、今、単にBOD、CODだけでない解析を考えているところです。すみませんがお時間いただいて、機会をみて御報告させていただきたいと思います。

【神谷地下水・地盤環境室長】 地下水の関係、福島先生と浅見先生から御指摘の件でございますけれども、まず、砒素が少し上昇傾向にあるのではないかという話でございます。

 砒素のデータは、資料3の参考1にありますように横ばいの傾向で、2%ぐらい超過率があるという状況が続いております。これは特定の汚染源があるかというところを別途聞いておりますところ、砒素等の超過があった地点については全体の84%─砒素に限らず重金属等全体なんですが─が自然的要因であるという自治体からの回答をいただいております。そういうこともございまして、特定の発生源対策を行えば何とかなるという状況ではないということで、自然由来のものが多いという特徴的な傾向があるのではないかと思っています。

 それから、砒素以外の重金属等がどうかという話ですが、平成29年度の概況調査のうち砒素で2.2%の超過がございましたが、それ以外は少ない状況でございます。鉛とかカドミウムが0.1%のレベルであるということでございますので、やはり砒素の自然由来のものが多い傾向がございます。

 あと飲用している場合の対策と、放射性ヨウ素の注意というところでございますけれども、これは今後、施策を行う上で十分留意してまいりたいと思います。実際に飲用井戸で出た場合は、飲用を停止するという運用を相当広く行っていると思っておりますが、注意して運用していきたいと思っております。

【上田大臣官房審議官】 マイクロプラスチックの件で大塚委員から御質問があったことについて、お答えします。

 複数の課室にまたがるので私からお答えさせていただきますが、資料でも15ページに1行だけちょろっと書いてあるんですけれども、一番上の四角の中で、河川のプラスチックの調査も昨年度から前倒しで、今年度予算を使ってやっております。その実態の中で、海洋と同じようにネットを使って河川の中のマイクロプラをはかるだけではなくて、河岸にどんなものが漂着しているかという実態もあわせて調査しようとしています。

 今、御指摘のあった人工芝であるとかタイヤの磨耗とかいろいろなもの、それもいろいろ言われているんですけれども、我々としてはまず実態がどうなっているのかをしっかり把握した上で、それを踏まえて、対策としては漏れがないように循環局と連携して、循環局が廃棄物のみを対象とするということであれば、それ以外は水質の保全という観点からどういうことができるのか、漏れがないような対策をやっていきたいと思っています。

 まずは今年度予算でやっております実態調査でしっかりと実態を踏まえて考えていきたい、そういうところでございます。

【細見部会長】 大体これで答えていただいたかと思いますが、質問された方でまだ足りないということがありましたら。

【山室臨時委員】 御教示ありがとうございました。

 湖沼の水から放射線が検出された件ですけれども、湖沼の公共用水域のモニタリングはそういう濁質の影響がないときに測ることになっておりまして、普通は晴天が何日か続き風波の影響がないときとなっておりますので、もし濁質の影響だったとしたら、そもそもモニタリングの方法が間違っているような気がいたしますので、その辺りはどう徹底されているのか再度教えていただけますか。

【熊谷水環境課長】 出た後にまた同じ状況でサンプリングを行ったり、追加的な調査を加えております。1回出たような状況が継続的に出ている状況がないということを含めて、先ほどお話ししたような、サンプリングのときの技術的な問題だったのではないかという判断ですけれども、出ているところは限定しておりますので、今後の推移をきちんと見ていきたいと思います。

【古米臨時委員】 どうもありがとうございます。

 資料4の放射性物質のモニタリングの結果を改めて見ると、最後の行に、取りまとめの詳細は環境省ホームページに掲載されているということです。日本で2011年に起きた内容が周知されていると理解しますが、このモニタリング自体は、特に福島に関しては、日本だけではなく国際的にも非常に関心事ですので、こういったモニタリング内容が英語の形でオープンになっているのかどうかお聞かせいただきたいと思います。

【熊谷水環境課長】 英訳のサイトもあわせて公表しているとのことです。

【細見部会長】 古米委員、よろしいでしょうか。

【古米臨時委員】 結構です。

【細見部会長】 ほかにございますでしょうか。

 他にないようでしたら、最後の議題に移りたいと思います。

 その他について、事務局から何かございますでしょうか。

【熊谷水環境課長】 特にございません。

【細見部会長】 それでは、全体を通して何か御意見等ありましたら、よろしくお願いします。

【浅見臨時委員】 先ほどちょっと言いそびれてしまったので排水基準の暫定のお話に立ち戻りすみません。実は排水基準の委員会のときにもちょっと申し上げたのですが、ばく露の状況といいますか、例えば水道の水源になっているかどうかといったところはまだ十分にこの暫定基準の見直し等には反映されていないという認識でおります。

 やはり水源になっているようなところですと、急いで対策をとっていただいたほうがいいところもあると思いますし、逆に海洋にそのまま直接出ているようなところであれば、またそのときの状況に合わせてというようなこともあるのかなと思うんですけれども、先ほど大久保先生からも、実態を踏まえて今後どうしていくのかを考えるときに、やはり優先度の高いものについては推進していただきたいですし、費用対効果もある程度考えながら方策を考えていただければと思いました。

【細見部会長】 特に温泉排水のところかと思いますが、自然由来かという議論も大久保先生からございました。それから、ある種、特殊なケース、今、浅見委員がおっしゃったように、周辺の水利用状況だとかそういうことも考慮して特例的な議論もしていいのではないか、そういう御趣旨だったかと思います。これについては排水規制等委員会のほうで引き続き検討させていただきたいと思います。

 他にございますでしょうか。

【高村委員】 プラスチックのリユース、リサイクルのマイルストーンを提示していただいているんですけれども、2025年までにリユース、リサイクル可能なデザインというのは、具体的にどのようなデザインにするのかといったお考えが決まっているようでしたら教えていただきたいんです。

 実は、プラスチックに紙が貼られていると家庭で非常にリサイクルしにくい現状があるのですけれども、ちょっとその辺、教えていただきたい。

【中里海洋環境室長】 とりあえず今回、マイルストーンを出させていただきましたけれども、これをどのように達成するかはこれからでございまして、これから具体的にどのように進めていくか議論させていただく形になると思います。

【細見部会長】 もしその際に御意見があったら、直接言っていただければ。

 他にございますでしょうか。

 ないようでしたら、以上をもちまして水環境部会を閉会したいと思います。

 事務局にお返ししますので、よろしくお願いします。

【事務局】 本日は活発な御審議をいただきまして、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成しまして委員の皆様に御確認いただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 これをもちまして本日の部会を終了いたします。

 どうもありがとうございました。

午前11時43分 閉会