生活環境項目環境基準専門委員会(第10回) 議事録

日時等

令和3年2月4日(木) 10:00~11:13

Web会議システムにより開催

議題 

(1)水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しに係る第2次報告案について

(2)その他

議事録

午前10時00分 開会

〇小林係長  それでは定刻となりましたので、第10回中央環境審議会水環境部会生活環境項目環境基準専門委員会を開会いたします。

 委員の皆様には御多用中にもかかわらず御参集賜り、誠にありがとうございます。

本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からウェブ会議での開催とさせていただいております。委員の皆様には御不便をおかけいたしますが、会議中、音声が聞き取りにくい等不具合がございましたら、事務局までお電話またはウェブ会議のチャット機能にてお知らせください。

 また、中央環境審議会の運営方針に基づき公開とさせていただいており、環境省水環境課公式動画チャンネルでライブ配信を行っております。御承知おきください。

それでは、議事に先立ちまして、環境省水・大気環境局長の山本より御挨拶申し上げます。

〇山本局長  おはようございます。水・大気環境局長の山本でございます。

委員の皆様方には、本日、専門委員会に御多用のところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃から水環境行政の推進につきまして格別の御指導をいただいておりますことに改めて御礼申し上げます。

 さて、本日の専門委員会でございますが、長きにわたって審議を続けていただいておりまして、平成25年8月に「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて」の諮問を受けて、これまで9回にわたる審議を行っていただいております。その中で、前回、第9回におきましては、環境基準における衛生微生物指標であります大腸菌群数を大腸菌数へ見直すということについて御審議を行っていただきました。本日は、前回の専門委員会での御意見を踏まえまして、専門委員会報告案を事務局にて準備いたしましたので、こちらについて御審議をいただき、可能であればパブリックコメント手続きにかける専門委員会報告案をおまとめいただければと考えております。

 委員の皆様方には専門的見地から幅広い御意見を賜りたいと存じますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

〇小林係長  ありがとうございます。

 本日は委員総数10名中9名の委員に御出席いただいております。なお、古米委員からは遅れて御出席との御連絡をいただいております。

 委員につきましては、お手元にお配りしております委員名簿をもって御紹介に代えさせていただきます。

 続きまして、事務局を紹介いたします。

水・大気環境局長の山本でございます。

水・大気環境局担当審議官の森光でございます。

水・大気環境局水環境課長の筒井でございます。

課長補佐の鈴木でございます。

課長補佐の斎藤でございます。

環境専門員の能登でございます。

  私は本日司会進行を務めます小林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、議事中、マイク機能は委員長及び発言者以外はミュートに設定させていただきます。御発言の際は、お名前の横にある挙手アイコンをクリックしてください。青色に変わりますと挙手した状態になりますので、御発言についてはこのマークで確認いたします。委員長からの御指名後、マイクのミュートを解除していただき、御発言いただきますようお願いいたします。御発言後は挙手アイコンを忘れずにクリックし、黒になるよう操作願います。挙手アイコンは事務局でオン・オフの操作ができないため、御協力をよろしくお願いいたします。

 続きまして、資料の確認に移ります。資料は、議事次第に記載のとおり、議事次第、委員名簿の資料1と資料2、参考資料1と参考資料2を事前にメールにてお送りしております。もし、不足等がございましたら改めてお送りいたしますので、お申し出ください。

よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行は岡田委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

〇岡田委員長  かしこまりました。

 委員の皆様方、いろいろな御不便の中で御出席いただきまして、ありがとうございます。

それでは、早速議事に入りたいと思います。

 まず、議題(1)、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しに係る第2次報告案について、事務局から資料の御説明をお願いいたします。

〇小林係長  それでは資料2、水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しに係る第2次報告案について、事務局より御説明させていただきます。

 資料の1ページ目を御覧ください。

 まず初めに、本日の専門委員会では、参考資料1の平成25年8月の諮問を受けて、大腸菌群数について、大腸菌数へ見直すことについて御審議いただくことを予定しております。

 2ページ目です。2ページ目の2の(1)には、大腸菌群数が採用された経緯として、上から2行目、水域にふん便汚染がある場合には、赤痢菌、コレラ菌、チフス菌等の病原菌が存在する可能性があるため、そのふん便汚染の指標として採用されたこと、また、下線部にあります、環境基準設定当時の培養技術では、大腸菌のみを簡便に検出する技術はなかったことから、大腸菌群数が採用されたことを記載しております。

 この大腸菌群数については「(2)今回の検討事項」に記載のとおり、大腸菌群数がふん便汚染を的確に捉えていない状況が見られています。こちらは参考資料の3ページ目の下段、図3に環境省による調査結果を整理しております。この図3では、横軸が大腸菌群数で縦軸が大腸菌数となっており、横軸の下の部分、大腸菌群数が検出されていた場合においても、大腸菌数が相当低い場合や全く検出されていない場合が相当数あることが分かるかと思います。

 このような状況を踏まえて、より的確にふん便汚染を捉えることができる指標へ見直すことが考えられますが、その指標としては、2ページ目「2)基本的考え方」に記載のとおり、既に水道水質基準においては簡便な大腸菌の培養技術の確立により、大腸菌群に代わり大腸菌を新たにふん便汚染の指標として採用しております。

 衛生微生物指標としては、より的確にふん便汚染を捉えることができる指標として、大腸菌数が一つの候補として考えられますが、そのほか候補になり得る指標として、現行の水浴場水質判定基準では、ふん便性大腸菌群数が使われており、諸外国では腸球菌を衛生微生物指標として採用している国もあります。

 しかしながら、このうちふん便性大腸菌群数は、大腸菌よりふん便汚染の指標性が低いことが指摘されており、また、腸球菌については、ふん便汚染の指標性が高いとされておりますが、参考資料4ページ目の表2を御覧いただければと思います。環境省が国内で実施した調査において、大腸菌が検出されている地点においても、腸球菌数は大腸菌数に比べて非常に小さく、このような状況から、衛生微生物指標として腸球菌数を採用することは難しいと考えました。

 以上より、生活環境項目環境基準の大腸菌群数については、大腸菌数へと見直すことが適当であると判断し、大腸菌数の環境基準値案について「3.大腸菌数の環境基準値設定の検討について」で整理しております。

 大腸菌数の環境基準値設定に当たっては、まず、(1)基本的考え方として、現行の環境基準の類型区分と、その利用目的の適応性の考え方に基づき基準値の検討を行いました。(2)にそれぞれの利用目的の適応性に応じた基準値の導出方法を記載しています。

 まずは、1)水道利用についてです。

 大腸菌群数の環境基準値設定時には、水道利用について各水道等級の浄水処理方法における水道原水の安全限界値から基準値が設定されていましたが、浄水場の現状を踏まえると、同様の考え方による基準値の設定は実態に即していません。そこで、今回の大腸菌数の環境基準値の設定に当たっては、各水道等級相当の浄水処理方式を導入している浄水場原水の大腸菌数の実態から基準値を導出しました。

 参考資料の7ページの図5を御覧ください。図5に水道等級ごとに、各浄水場原水における大腸菌数の検出状況を整理しました。水道1級が青、水道2級が赤、水道3級が緑となっており、そのときの年間90%値の最大値、この年間90%値については追って説明させていただきます。そのときの最大値が、水道1級が147CFU/100ml、水道2級が350 CFU/100ml、水道3級が1,500 CFU/100mlでしたので、より望ましい水質を目指すという観点から、上から2桁目以降は切り捨てて、水道1級は100CFU/100ml、水道2級は300CFU/100ml、水道3級は1,000CFU/100mlを基準値として導出しました。

 続いて「水浴」です。

 水浴については、参考資料8ページ目に記載している「表5 米国水浴水質基準」が水浴利用者の疫学調査に基づき大腸菌数の基準値を設定しておりますので、表の右下、統計的閾値90%値である320CFU/100mlという値を参考にして、先ほど同様に2桁目以降を切り捨てて、300CFU/100mlを基準値として導出しました。

 最後に「自然環境保全」です。

 現行の大腸菌群数の基準値設定時には、自然環境保全の利用目的は考慮されていませんでした。一方、BODの環境基準値の設定時には、ほとんど人為汚濁のない河川を想定して基準値の設定が行われています。今回、大腸菌数への見直しに当たっては、ほとんど人為汚濁のない清涼な水環境を目指す値を設定することには意義があると考えまして、BODの環境基準値設定の考え方を採用し、自然環境保全の観点から基準値を導出することにしました。

 具体的には、参考資料9ページ目に記載しております。河川・湖沼における基準値の導出に当たっては、人為的なふん便汚染が極めて少ない地点における大腸菌数の実測値の最大値から設定することとし、図8にその実測値の分布を整理しております。これらの実測値の最大値が23CFU/100mlであったため、先ほど同様に2桁目以降を切り捨てて、20CFU/100mlを基準値として導出しました。

 また、海域については、参考資料の10ページ目に記載しています。海域の場合には、河川や湖沼と同様に、人為的なふん便汚染の極めて少ない地点の実態から基準値を導出することは難しいと考えました。そこで、BODの環境基準値設定時には、ほとんど人為汚濁のない河川は自然公園等を想定していたことから、海域の基準値の導出に当たっては、自然公園に指定されている水域における実測値の最大値から導出しました。その結果は、図7のとおり、最大値が22CFU/100mlであったため、河川・湖沼同様、20CFU/100mlを基準値として導出しました。

 これらの考え方に基づき、各水域・各類型の環境基準値を表1から表3に整理しました。河川について、まず、AA類型においては、水道1級の100CFU/100mlと自然環境保全の20CFU/100mlの2つの値がありますが、環境基準の表の中には、これまで慣例的に1つの値を記載していることから、AA類型の主要な利用目的と想定される自然環境保全の環境基準値である20CFU/100mlを書き込み、水道1級の100CFU/100mlについては、表の下の備考欄に記載することとしています。

 A類型については、水道2級、水浴ともに導出された基準値が300CFU/100mlであるため300CFU/100mlを、B類型については、水道3級の観点から導出された1,000CFU/100mlを表内に記載しました。

 以降は同様に、湖沼において、AA類型は、自然環境保全の観点から導出された20 CFU/100ml、A類型については、水道2級、水浴の観点から導出された300 CFU/100ml、そして備考欄にそれぞれ水道1級と水道3級の観点から導出された100CFU/100mlと1,000CFU/100mlを記載しています。

 海域についてはA類型に水浴と自然環境保全がありますが、このうち主要な利用目的と想定される水浴の観点から導出された300CFU/100mlを表内に記載し、備考欄に自然環境保全の20CFU/100mlを記載しています。

以上が大腸菌数の環境基準値案となります。

 なお、環境基準の利用目的には水産の記載がありますが、現時点で公共用水域における大腸菌数の水産への影響について整理された知見はないことから、今般の見直しに当たり、水産利用の観点から大腸菌数の環境基準値の設定は行っておりません。今後も大腸菌数の水産への影響に関する知見の集積に努めてまいります。

 大腸菌数の測定方法は、別紙1に整理しております。

 こちらは、特定酵素基質寒天培地を用いたメンブランフィルター法により行います。本日は、測定方法に関する説明は割愛しますが、詳細については別紙1を適宜御確認いただきますようお願いします。

 次に「大腸菌数の監視及び評価方法」についてです。6ページ目を御覧ください。大腸菌  数の測定地点や、その頻度等については従来どおりの方法で行っていくこととしますが、その評価方法については、現行の大腸菌群数から変更があります。

「2)評価方法」に記載のとおり、大腸菌数については今後も類型指定により区分された水域ごとに達成または非達成の評価を行うことは要しませんが、個々の測定地点の評価については、次の理由により年間の測定値の90%値により評価することが適当であると考えています。

 環境基準の調査回数は、従来、毎月1日以上年12回の測定が原則とされています。大腸菌数は衛生微生物指標として採用するため、これらの測定値のうち、最大値で評価することが望ましいと考えられますが、大腸菌数の測定値は対数正規分布に従う特性があることから、これら12回の最大値を採用すると過剰に厳しい評価となる可能性が考えられます。

 一方で、12回の測定値のうち、最大値とその次点の2つ以上を除外した場合、例えば、夏季に2か月以上続けて環境基準値を超過するような傾向が見られる水域が存在した場合に、季節的な特徴を捉えられなくなる可能性が考えられることから、年2回以上の測定値を除外することは望ましくありません。

 そのため、年12回の測定値のうち、最大値1つを除外できる90%値評価が水質管理の面から衛生微生物指標として適当であると考えました。

 最後に「おわりに」です。

 今般、よりふん便汚染の指標性が高い大腸菌数を新たな衛生微生物指標にすることにより、大腸菌数の検出状況に影響を与えると考えられる、例えば畜産農場、下水処理場や家庭等からの排水対策が一層推進され、良好な水環境の創出に向けて関係する主体が取り組むことが期待されます。今後、公共用水域における大腸菌数の検出状況を注視するとともに、新たに得られた科学的知見等を踏まえ、必要に応じて水質汚濁に係る環境基準における衛生微生物指標に関する検討を行っていきます。また、大腸菌の起源解析を行うことによって、発生源を推定したより的確な対策を講じることが可能となると考えられるほか、主に自然環境保全を利用目的とする地点における野生動物のふん便の影響についても把握が可能になると考えられ、今後も必要な科学的な知見の集積に努めることが重要であると考えています。

 事務局からの報告案に関する説明は以上です。

〇岡田委員長  ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました資料につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

 御質問等がある委員の方は、右側の挙手ボタンを押していただくようにお願いします。

福島先生から挙手がありました。福島先生、どうぞ。

〇福島委員  ありがとうございます。

 まず、口火を切るかっこうで質問をさせていただければと思います。

全体の印象としては、見直しの論理構成等、非常に科学的に出来上がっているかなという印象を受けました。その中で3つほどございます。

 まず、5ページ、6ページの表でございますが、それぞれの類型で2つの基準値があるようなものが出ているかと思います。こういうものに関しては、管理の都合上、後での集計とか地図にどう記載するというような観点から、しっかりと分けたほうが分かりやすいのではないかということで、これは提案です。AAの1とかAAの2とか、グルーピングしていたほうが分かりやすいのかなということです。

 それに関連して、2番目として、各地点に関して、どちらの範疇に入るかということで、その類型の当てはめをもう一度考え直さないといけないのかどうかということで、その辺のことは簡単にできるのかどうかというのが2点目です。

 それから、3点目ですが、参考資料1の1ページ目のところに、現在の大腸菌群数の適合状況ということで、水質の良いAA類型等ではかなり非適合なサンプルが検出されていて、実際には問題ないのにこういう非適合が出てくるというのが、今回の見直しの一つの出発点であったのかなと感じております。

 そういう観点で、後ろのほうの今回の値の決定において、7ページの例えば水道1級の数値、それから、9ページの河川・湖沼のAAに関して、それぞれ地点数が8地点とか9地点、比較的少ない数でこういう数値を出しているということで、懸念される材料としては、かなりいい地点が選ばれて、今回出てきた数字が、大腸菌という数に対しては非常にいい数字が出てきて、実際に当てはめを行ったときに非適合のそういう地点がかなり出てしまう可能性はないのかどうかということで、後になってみて、現在の状況と同じような非適合が多いという状況が出て、それが本当にいいのかということに関してちゃんと答えられるかということに若干懸念があるということです。

 以上です。

〇岡田委員長  ありがとうございました。それでは、事務局から御回答をお願いいたします。

〇鈴木課長補佐  環境省の鈴木と申します。

 1番目と2番目については私から。3番目については、その後、小林から御回答させていただきます。

 まず、1つ目の御提案、ありがとうございます。参考資料の2として、現行の環境基準の表をお配りしております。ここにはAAの中に1つの欄として、水道1級と自然環境保全と入っておりまして、これを2つに分けるというやり方はなくはないのかもしれないのですが、若干煩雑になってしまうため、便宜的に欄の中には1つ値を入れるということを考えております。大腸菌数の説明をしていく中では、もうちょっと分かりやすい表示方法があるのかもしれないのですが、告示全体としては全体の整合の中で、このような整理とさせていただきました。

 それから、2番目の各地点、どちらに当てはまるのかもう一回考え直すのかどうかという点ですが、各地点について、これまでAAとかAとか考えて指定をされている中で、水道の観点を考えたり自然環境保全を考えたりということで、既に過去それぞれの地点での類型指定の理由というのが整理されていますので、大体それに応じた形で今回の数字を当てはめていただけるのかなと。もちろん中には改めて検討というのが出てくるのかもしれませんが、大体は今の指定でそのままいけるところが多いのではないかと考えております。

〇小林係長  それでは、3点目の御質問については、私、小林からお答えさせていただきます。

 まず、福島先生御指摘のとおりですけれども、大腸菌群数に関しては非常に適合率が低いというような状況になっておりました。この部分については福島先生からもおっしゃっていただいたとおり、そもそもふん便汚染等の指標性が低かったというところが原因かと思われます。なので、今回、より指標性の高い大腸菌数へ見直すことによって、そういうような不適合であった地点についても、より指標性の高い大腸菌数で管理していく、水域の状況を監視していくことによって、より的確な対策を実施していけるのでは、そういうことにつながるのではないかといったところを期待しております。

 一方で、御指摘がありましたけれども、基本的に大腸菌数の地点の基準値の導出に当たって地点数が非常に少ないといったところもございましたけれども、こちらにつきましては、やはりより望ましい環境基準値の設定といったところを考えさせていただきまして、全国の中でもいろいろな地点の集積を行っている中で、より適している地点からのデータの導出とさせていただいております。

 このデータを基に基準値のほうは設定させていただいているところではございますけれども、先ほどの回答に戻りますが、今回、大腸菌数というより指標性の高い指標に見直すことによって、その監視状況、今後とも水域状況を確認していって、より的確な対策を検討していく必要があるのかと。

 今回の資料の最後のほうでも記載させていただいておりますけれども、今後もその対策等々に関する知見につきましては、一つの要因としては、起源解析等の方法等を挙げさせていただいておりますけれども、そういった知見等を収集させていただきまして、環境省としても何かしらの形で実態の監視、管理の強化につながるような対策等、知見の集積に応じてお伝えできればと考えているところでございます。

 以上となります。

〇岡田委員長  ありがとうございました。福島先生、いかがでしょうか。そういうことでよろ  しいでしょうか。

〇福島委員  3番目の点なのですが、参考資料の3のところに、図3ということでいろいろ調査されて、大腸菌数としてどんな数字が出てきているのかという図が出ているのですが、これがAAとか色分けがしてあるのですが、これは類型ごとに図が表記されているのかどうかということと、こういう数字から見て、大体不適合になるのがどのぐらいの地点数になるかということを推測されておられるのかどうかという質問があるのです。

〇岡田委員長  これも事務局、どうぞ。

〇小林係長  事務局のほうからお答えさせていただきます。

 まず、図3の資料については、大変申し訳ございません、こちらは記載が漏れておりました。この色の違いについてなのですが、河川・湖沼・海域の色の違いでございまして、類型ごとの色の違いではございません。ここの部分については追って追記する形で対応させていただければと思います。

 後半の御質問について、大腸菌数の推定達成率はというところで、今回見直しに当たってどの程度といったところなのですけれども、こちらについては各自治体の皆様で、今、大腸菌数の測定を実施していただいているところのデータ、全てのデータではありませんけれども、類型においての基準値の達成状況は一応整理しております。

 まず、A類型100CFU/100mlという基準値としたときの達成率について、河川についてはおよそ60%程度、湖沼については98%程度、A類型の300 CFU/100mlについては70%程度、湖沼については98%程度、海域についても97%程度と非常に高い値、B類型についても70%程度という値でございます。

 AA類型の、大変申し訳ないのですけれども、ここは自然環境保全に限った地点のデータを保有しておりませんので、こちらについては先ほど鈴木のほうから御説明させていただいたように、類型の目的に応じて判断していくことになりますので、ここの部分の算出はできていないのですが、恐らくAA類型の検出状況から考えますともう少し低い値、20%程度、30%程度というようなところになるのではないかといったところは推測しています。

〇福島委員  どうもありがとうございました。

〇岡田委員長  どうも御指摘ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。大久保  先生、どうぞ。

〇大久保委員  ありがとうございます。

 今回の見直しにつきましては、諮問から結構時間がたっておりますので、ようやくこのような答申の見込みとなったことは大変結構なことであると思っております。そして、これは検査技術の進展に対応した見直しですので、こうした見直しが今後も適時に行われることを望みます。

 先ほどの福島先生の御指摘に関しましては、同じAAの中に水道1級、自然環境保全がある、そして海域についても同じAの中に水浴と自然環境保全という2つの異なる数値があって、備考という形で整理していることにつきましては、現行の類型区分の中で見直しを行うという基本的な方針からいいますと、そのような記載にならざるを得ないのではないかと思っておりまして、この点についても異存はありません。

 ただ、もともとのこの基準を設定したときには、自然環境保全といった目的は考慮されていなかったわけでございまして、今後の水行政全体の方向性ということを考えますと、自然環境保全と水道1級では、最後の「おわりに」にもありますように、野生動物のふん便影響等、対策あるいは検査の方法等も異なってまいりますので、将来的にはこのような現在のAAといったような類型自体の見直しをすることが必要な時期にもなっているのかなと思いますので、これが今回の諮問の範囲を超えることでございますが、水行政全体の今後の検討課題として一つ位置づけていただければと思います。

 以上でございます。

〇岡田委員長  コメントありがとうございました。事務局から、何か今の大久保先生の御指摘に対しまして、よろしくお願いします。

〇鈴木課長補佐  環境省の鈴木でございます。大変重い御指摘というか課題をいただいたかと思います。大変重要な視点だと思っておりますので、引き続き検討課題としていきたいと思います。ありがとうございます。

〇岡田委員長  どうもありがとうございました。次に、田中先生、手が挙がっていると思いま  すが、どうぞ。

〇田中委員  どうも田中です。ありがとうございます。

 最初の局長のお話ではないですけれども、やっといろいろな議論の中でまとまってきて、ほぼ形になったと私も思っております。事務局の方に非常に御努力いただいて、ありがとうございます。これによって、水域の中でどこがまだ問題があるかというのが初めて見えてくるのかなということで、これからスタートだと私は考えていますので、とりあえずこういう形でスタートして、どういう課題があるかを見ていくということで非常に評価をしたいと思います。

 その上で、ちょっと細かい点の質問が2点と、それから、最後にこの体系は体系で、とりあえずこれでいいのだけれども、今後のことを考えたときにこういうことも考えておくべきだということの意見を述べたいと思います。

 まず、細かい点なのですが、先ほど本編のほうの御説明、見直しについての案の中の6ページ目、評価方法のところで、2)の最初の2行から3行目のところです。この意味をもう一度明確に教えてほしいのです。

「今後も類型指定により区分された水域ごとに達成又は非達成の評価を行うことは要しない」という意味と、それから、個々の測定地点についての、適合か否かについての判断を行うという意味は、個々の測定されているポイントについては、環境基準を満たすかどうかを判定するかどうかということはやるのだけれども、例えば、それらがグループとして固まっている水域、例えば何とか川とか何とか湖という全体としての判定をしないという意味でいいかどうかという質問が1点目です。

2点目は、こういう判定をやっていくために、公共用水域の測定計画が、恐らく来年度は間に合わないのだろうと思うのですが、再来年度から始まると思うのですが、毎年公共用水域の測定計画に基づいた結果の報告を環境省はされると思うのですけれども、そのときに先ほど福島委員からも御指摘があった、AA類型のようなところ、あるいは海域のほうのA類型もそれになるのかもしれませんが、自然環境と水道の利用で、実は同じ類型の形になっているのだけれども、目標としているものが変わる場合があり得ると。そのときには、結果の報告の中に、これまでの類型のような、マクロでAA類型何%、あるいはB類型何%、BODだとそういう表現をつけると思うのですけれども、それをもう少し細かく、例えば、これは水道用の水源だけにしているとか、自然環境保全も含んだところで、どれぐらいのそれぞれ達成率だったという表示の仕方をするのか、この辺の質問が2つ目です。

 最後に意見なのですけれども、やはり「おわりに」のところで、これは私はスタートだと思っていますので、これからいろいろ対応していかないといけないこと、幾つか期待されるところがあると思うのですけれども、まず、1つは、どこが適合しているのかしていないか分かってきたときに、では、判定するだけではなくて、ここに書かれているように、今後、対応が必要になってくると。そのときに、当然ポイントソース、ひょっとしたらノンポイントソースも絡むのかもしれませんが、単純にこれまでと同じような、例えば塩素消毒のようなものを強めるということだけであると、今度は水生生物への影響とか、あるいは水産への影響が出る可能性があるので、それらについての配慮も含めた管理の体系というものの注意が必要ではないかと。だから、そういう点への配慮ということも少し書いておかないといけないのではないかというのが一つです。

 それから、2つ目は、2つ目のパラフレーズで、必要に応じて、これからいろいろ検討をさらに続けていくことが必要だと書いていただいたのはいいのですけれども、その中に当然、指標としての代表性について、大腸菌、取りあえず、今決めて、これから、水利用上、様々なものがさらに細かいものが必要になってくる可能性があると考えられるので、そういう意味でのさらに深い検討というのが今後必要であろうというような趣旨も考えおいていただきたい。

 具体的に言うと、例えば、原虫とかあるいはウイルスのようなものについての配慮のようなものについても、今後、必要に応じて考える必要があるということを考えておいていただきたいという点です。

 3つ目は、先ほどからも少し話が出た、自然環境保全の扱いをどうするかという詳細なデータが今回少し出てきたわけですが、今回、十分まだ反映してきていない水産についての配慮というのを本当にしなくていいのかとか、あるいは、これまでの体系の中では入っていない農業用、特に灌漑についての指標の問題です。これは既にヨーロッパあたりではかなり議論がされているので、そういうことのいろいろな利用性を考えたときの、今後の精査というのですか、新たな知見というのをためていくということも一緒に記述しておくべきではないかと考えています。

 以上、よろしくお願いします。

〇岡田委員長  ありがとうございました。それでは、事務局から、御質問を含めてお答えいた  だければと思います。

〇小林係長  ありがとうございます。

 まず、御質問いただいた2点のほうからお答えさせていただければと思います。こちらは資料の6ページ目に記載されている、水域ごとに達成又は非達成の評価を行うことは要しないが、個々の測定地点については適合するか否かの判断を行うことが適当であると。この部分についての解釈ということで、まさにこの部分については、田中先生がおっしゃっていただいたとおりです。個々の測定地点ごとに90%値で評価するといったところ、その水域の中に、例えば、測定地点が複数あった場合においても、地点ごとの評価はするのですけれども、その水域として達成しているかどうかというような評価を行うことは要しないといったところの記載を入れさせていただいております。

 ここの理由についてなのですけれども、こちらのほうでもいろいろデータの収集を行っている中で、やはり大腸菌数については、水域の中でも非常に不均一に存在していると。データの中で、例えば同じ月、同じ日に、同じ水域の中の測定地点のデータを比べたとしても、オーダーレベルで変わるような結果というのも得られております。なので、この部分を考えまして、やはり水域ごとでの管理といったところはなかなか難しいのかなといったところもございまして、ここは個々の測定地点ごとに評価して対策を決定していくことが適当であると考えているところです。

 質問事項については以上です。

〇田中委員  もう一点、質問として、公共用水域の測定計画に基づいた結果の報告をAAとかAで、目的が入る、入らないでゴールが変わってくるのですけれども、そこの整理の仕方というのは何か考えられますかという質問です。

〇小林係長  大変申し訳ございません。そちらの結果の報告の仕方等々についてなのですけれども、今後、検討はさせていただければと思っております。ただ、田中先生から御指摘いただきましたとおり、先ほど、大腸菌数の知見を集積していく中でも、利用目的ごとに評価していくといったところもまた大事だというような御意見もいただいておりますので、そういう方向性も含めて、今後、検討とさせていただければと思います。以上です。

〇鈴木課長補佐  引き続き、環境省の鈴木でございます。

 御意見として、最後に様々な御示唆をいただいたかと思います。塩素消毒をやればいいのか、一方で水生生物への配慮が必要ではないかといった点。それから、原虫、ウイルスといったような指標についての検討、さらには水産、灌漑といったようなところ、いずれも大変大事な部分かと思っております。報告案にどこまで書けるか、具体的な検討を深めているところまで、まだ事務局としてもいけていないところもあるので、どこまで書くかは委員長にも御相談しつつ検討はしていきたいと思いますが、課題としては事務局としてもしっかり認識していきたいと思います。

〇田中委員  ありがとうございました。

〇岡田委員長  ありがとうございました。私も重要な御指摘だと思いますので、事務局で検討 していただければと思います。そういうことで田中先生、よろしいですね。

〇田中委員  結構です。分かりました。よろしくお願いします。

〇岡田委員長  検討の際、場合によっては御協力、御示唆をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

〇田中委員  承りました。

〇岡田委員長  ほかにございますでしょうか。大瀧先生、どうぞ。

〇大瀧委員  私、聞き漏らしたかもしれませんが、表3の環境基準値、海域の備考のところの書き方なのですけれども、これが、河川・湖沼の場合は、自然環境保全の方を目的としたものが最初に数値として出ていて、備考に水道1級を目的とするということで緩めの基準を書いていると。海域の場合が、これは逆のパターンで書いているのですけれども、これは何か理由があるのか。上を読んで下に行くと何か面を食らうのです。

 例えば、これは20CFU/100mlと書いておいて、備考のところに水浴の目的で、「(自然環境保全を利用目的としている地点を除く)」とすると、上と共通ですっと入ってくるような気がするのですけれども、これは何か理由があるのでしょうか。

〇岡田委員長  では、これは事務局から。

〇小林係長  事務局のほうからお答えさせていただきます。

 今、御指摘いただいたところにつきましては、表1、表2については、より低い自然環境保全の値が基準値表内に記載されているけれども、表3についてはそれが逆になっている状況に関して何が理由かというところなのですけれども、今回、表1、表2、表3ともになのですけれども、この表内に記載させていただく基準値といったところは、主要な利用目的と想定される利用目的に応答した環境基準値を記載させていただくこととしております。

 今回、その主要な利用目的といったところを考えさせていただくに当たって、各自治体の皆さまにどういう利用目的で水域を設定しているかといったアンケートをさせていただいておりまして、その結果、海域については、やはり水域の指定のときに、水浴を利用目的と想定して指定している水域が多く確認されておりましたので、表内への記載は300 CFU/100mlということで水浴の値を、そして備考欄に自然環境保全の20CFU/100mlという値を記載することで整理させていただいております。

 以上です。

〇岡田委員長  ありがとうございました。大瀧先生、よろしいでしょうか。

〇大瀧委員  説明の理屈は分かりましたが、果たしてそちらのほうがいいのかどうかというのは、ちょっと私は疑問で、手前みそですけれども、私、例えば大学で学生に教えるときに、これはものすごくここで戸惑います。原理原則みたいなところを貫いていたほうがこういうものはいいかなと。つまり、形式をそろえているほうが理解しやすい。

 実際の測定の場所がどちらのほうが主要を占めるかというのは、それは現場現場で判断することであって、そこが私は今のは、現状に即しているという理屈は分かるのですけれども、こういう基準というものは、原理原則をそろえる、形式をそろえるというのが私はいいのではないかと考えるのですけれども、そこはどうでしょう。私の意見としてはそのように思っています。以上です。

〇岡田委員長  ありがとうございます。これは法令上のいろいろな解釈の問題もあるかと思いますので、事務局、環境省、いかがでしょうか。

〇鈴木課長補佐  環境省でございます。中ではまた整理はしたいと思いますが、一方で、環境行政として使っている人たちのほうとして、どちらが分かりやすいかというところも若干あるかなと思いまして、いろいろな御意見を踏まえて決めてはいきたいと思いますが、もし、ほかの先生からも御意見があればいただきたいと思いますけれども、今、事務局としては、先ほど小林が御説明したように、今の利用目的、ほとんど河川のほうは、AA類型は自然環境がかなり多かったので20としていますが、一方で、先ほどと同じ説明になってしまいますが、海域のほうは水浴のほうをメインで考えているところが多いといったところで整理をさせていただきました。もし御意見がありましたらお願いします。

〇岡田委員長  ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。原本先生、どうぞ。

〇原本委員  今のと違うところでも問題ないでしょうか。

〇岡田委員長  では、後にしていただけますか。

〇原本委員  分かりました。

〇岡田委員長  では、この件は、やはり行政上の御判断の問題もあると思いますので、大瀧先生の御意見は承った上で、最終的には環境省で御判断いただくということにしたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。

〇大瀧委員  大丈夫です。結構です。

〇岡田委員長  ありがとうございます。では、原本先生、先ほどお手が挙がったと思いますが、どうぞ御発言ください。

〇原本委員  ありがとうございます。

 若干関係するところでもあったのですけれども、AA類型で自然環境というものが出てくるというようなところで、恐らく自然環境というところをアピールしたいというようなところが出てくるかなと思っております。その際には非検出、大腸菌が出ていないというような地点が、これまでの大腸菌群数ですと、ほとんどそういうところはないのかなと思うのですが、ある程度の割合でそういう大腸菌非検出というような評価になる地点が出てくるので、アピールしたいというような流れになってくるところも出るかなと思っておりまして、そのような場合に、非検出というものをどのように設定するかというところが重要になるかなと考えております。

 例えば測定法ですと、2回以上繰り返して平均を取るというような考え方をしておりますけれども、その際の2回でいいのかというのがまず1点。特に低濃度ですと、大腸菌も微生物濃度も非常にずれる領域かと思いますので、出るフィルター、出ないフィルターというのが混在してきた際に、低濃度というものをどのように定義、非検出をどのように定義するのかというところで、2回というのが十分なのか、あるいは3回、4回を推奨するのか。現状は2回という書き方ですけれども、その辺について、今後検討される予定がどの程度あるのかというところが気になります。

 それから、地点によっては、現在、12回ではなくて4回という地点もあったりすると思いますけれども、この際には、90%値というのは、すなわち最大値になると理解しておりまして、その場合、超過してくるというようなことが起きてくるかと思いますので、その辺については当面は4回のうちの最大値を報告してもらうような形で、それで超過しているような場合には、12回測るような方向に動いてもらうというような指導、アドバイスをしていくのかというところも知りたく思っております。

 それから、最初の福島先生の御質問のところと同じなのですけれども、参考資料の3ページ目の色の出てきた大腸菌群数と大腸菌の関係のグラフですけれども、これを見ますと、現在は1対1で、大腸菌と大腸菌群が同じ値のところに線が引かれておりますが、これを右下に1メモリずつスライドさせていきますと、大腸菌と大腸菌群の比が1対10、1対100、1対1,000というようなところの線も引けるのですけれども、おおむね1対1のライン、今引いているラインから、1対1,000というところにほとんどの点が収まっているかなと思いまして、かなり地点によって大腸菌と大腸菌群の比にばらつきがあるというところは、ふん便汚染のインパクトの強さも関係してくるのかなと思うのです。

 それも踏まえた上で、7ページのところで出てきたデータ、その辺は、大腸菌と大腸菌群の比で言うと、一般的な値のものが8か所、AA類型、水道1級について選ばれているのかとか、その辺についてはそんなに問題ない、代表しているとある程度考えてもいいような大腸菌の割合の地点でしょうかというのが質問になります。

〇岡田委員長  ありがとうございました。では、事務局お願いいたします。

〇小林係長  事務局のほうからお答えさせていただきます。

 まず、1番最初の御質問の非検出の取扱いについてですけれども、こちらは原本先生がおっしゃるとおりです。今後検討という形にさせていただければと思うのですけれども、非検出、実際、測定、分析法の中でどのような状況のときにそれを非検出と扱うのかといったところの定義等々につきましては整理させていただきまして、こちらはまた関係自治体等へ通知する際までにはきちんと整理した上で、関係自治体には周知したいと考えているところでございます。

 続きまして、2つ目の御質問です。90%値ということになると、測定回数が4回とか、少ない回数になると最大値評価になるけれどもといったところですが、こちらも原本先生がおっしゃっていただいたところそのままでございます。例えば、測定回数が4回の場合につきましては、やはり四季に関する監視といったところは、大腸菌に関しては非常に重要なファクターがあると考えおりますので、最大値でその地点については評価していただきまして、追って自治体のほうで必要に応じて測定回数を増やしていく、例えば年12回やるようになれば、やはり1回除外して、11回でその地点の評価をしていく等々、今後の監視体制強化にもつながっていくことにはなるかなと考えおりますので、そのような方法で運用していただければと考えているところでございます。

 最後の大腸菌数と大腸菌群数との比のばらつきの話につきまして、この部分についても、正直、現時点で正確に大腸菌数と大腸菌群数がどのぐらいの比率で存在するかといったようなところは回答ができないところがございます。今回、大腸菌数に見直したということもありますし、これまで大腸菌群数で測定してきたデータもありますので、それらのデータ、今後も知見の集積に応じて、そういった状況があるのかどうかというところは比較をしてまいりたいと考えております。

 一方で、参考資料の7ページの図5のデータについて、そういう代表的な地点が選定されているのかということでございますが、今回、浄水場の大腸菌数のデータ数については、全国の浄水場に一律お声がけをさせていただいて、データの提供をお願いしているところです。このデータの中でさらに条件を精査して、最終的にこのデータを使わせていただいているところではございますけれども、このデータに関しては、全国のそういった状況を踏まえた上での基準値の導出ができていると考えておりますので、そういったところは御承知おきいただければと思っております。

 原本先生、御回答になっておりますでしょうか。

〇原本委員  ありがとうございます。測定回数のところは、まさに4回だったものを12回に増やすというようなことをお願いすることは大事だと思いますが、あと、1回当たりの測定の繰り返し数も踏まえると、やみくもに増やすというのは、測定の現場側の大きな負担にもなりますので、その辺も含めて、今後いろいろ検討いただければいいかなと思いました。ありがとうございました。

〇岡田委員長  どうも御指摘、ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。島﨑先生、どうぞ。

〇島﨑委員  島﨑でございます。

 水道の立場から、まずコメントと、あと、細かいところですが質問を差し上げたいと思います。まず、今回の事務局案から御提案いただいた基準値と類型案ですけれども、これまでのものと比べて、水道事業の現在の実情に照らして非常に合理的であると考えています。近年の水道原水の大腸菌の実態に基づいて基準値が導出されているということと、それぞれの事業体が持つ浄水場の浄水処理方式に基づいて分類されているという点で、非常に水道事業や水道行政にとっても意義が大きいと思っています。

 取りも直さず、大腸菌の濃度レベルが高いということは、水道原水へのふん便汚染レベルが高く、潜在的に健康影響リスクが高いということになります。大腸菌自体は塩素消毒で簡単に制御できますけれども、それこそ水道で問題となっているクリプトスポリジウムや、あるいは先ほど田中先生から御指摘いただいたウイルス等の問題もあると思います。今回の類型の御提案は、水道の側からしても、自分の浄水場の原水にどれだけふん便汚染のリスクがあるのか、非常に把握しやすいと思っております。

 ちょうど今、各地の浄水場では施設更新の計画が進んでいるところでありますので、そのタイミングの中で、今後、水道原水の水質をいかに監視するか、あるいは浄水処理を強化するかという方針の決定にも参考になると思いますし、場合によっては、ふん便の汚染レベルが高いところは、その施設を統廃合するとか、あるいは水源や取水口の位置を変えるといった判断にも使えるかと思います。水道行政の側では、水安全計画の考え方に基づいて、原水水質や浄水処理工程のモニタリングを推進する流れにありますので、今回の水質基準見直しを契機に、水環境行政とうまく歩調を合わせて進めていければと思った次第です。

 以上がコメントで、あと、細かい点の質問なのですけれども、資料2の参考資料の6ページ目になりますが、下から2ポツ目と3ポツ目のところに、年間2回以上高い値が確認された浄水場については、ヒアリング等を行って、通常から逸脱した状態である場合にはその測定値は基準値導出の際に除外をして、その上で、除外したデータからさらに90%値を求めてその最大値を出しているということで、データの除外を2回行っていることになり、これは適当であるのか気になりました。とはいえ、その結果として、より厳しい側の基準値になるので、差し支えがないようにも思いますが、このデータ除外の考え方について少し御説明いただければと思います。以上です。

〇岡田委員長  御質問の趣旨がちょっとよく分からなかったのですが、事務局がフォローできたら、事務局どうぞ。

〇小林係長  事務局からお答えさせていただきます。

 今の御質問の件に関しましては、この2σという値を参考にして外した値と、その90%値評価ということで、2回データの除外をしているといった御指摘かと思っております。

〇島﨑委員  はい。そのとおりです。

〇小林係長  この部分については、御説明をさせていただければと思います。

 まず、この2σで高いという判断をさせていただく際に関してですけれども、2回高い値が確認された浄水場については、データを全て外すという形にさせていただいているのですが、1回だけ高い値が確認されていた浄水場については、特にデータを外すことなくそのままの基準値導出のデータとして使用させていただいております。

 最終的に一番高い値といったところが、年間90%値で外れてまいりますので、まず、そもそもの元データのスクリーニングの中で2回以上、例えば天候の影響とか、浄水場においては環境基準と異なりまして、常に定期的に測定しているというところもあって、雨天の影響等を受けて非常に高い値が検出されてしまうことが年間の中でも数回確認されている浄水場がございます。その部分については、実際、浄水場の御担当者様にも確認させていただいて、その高い値が通常観測されているものに比べて高い値が出ている、年間測定値の中で高い値が何回か出ているといった浄水場については、基準値導出の元データに入れるといったところにはふさわしくないということで一回除外し、それ以外の浄水場に関しては全て12回の値がある浄水場を前提として、そのときの年間90%値を求めて、そのときの最大値を並べたのが今回の基準値案といったところになっています。

 すみません。私の説明も分かりにくくなって申し訳ないのですけれども、よろしいでしょうか。

〇岡田委員長  ありがとうございました。よろしいですか。

〇島﨑委員  ありがとうございます。理解しました。

〇岡田委員長  それでは、ほかに特段なければ、よろしいですか。福島先生、まだありますか。

〇福島委員  大腸菌のお話ではないのですが、今回環境基準を決めて、これが排水基準のほうとどう連動するのかというのが1点です。

 それと、参考資料の5ページのところで、環境基準値の導出に際して、今回、水道利用についての観点から設定されたものをちょっと変えたというような表現がされていて、こういうやり方がCOD、BODの値の決定に関しても同じような議論になっていくのかいかないのかということで、今回の大腸菌の話とは若干異なりますが、環境省としてはどう考えられているのかという質問です。

〇岡田委員長  では、これは環境省のほうから、直に今日のとは関係するものではございませんが、せっかくの機会ですのでどうぞ。

〇鈴木課長補佐  排水基準については、今後、この環境基準のほうが設定されれば、排水基準の検討をスタートしていきたいと思っております。

 それから、COD、BODと、今回のこの検討プロセスと、今、この時点で何か直接リンクして、今のところは考えておりませんが、別途、COD、BODについてはいろいろな課題をいただいているところだと思いますので、それはそれでまた検討をしていく、その中で、大腸菌を今回このようにやったということも、材料の一つにはなってくるかなと思っております。以上です。

〇岡田委員長  ありがとうございました。

〇福島委員  ありがとうございます。

〇岡田委員長  それでは、よろしいですか。珠坪先生、何かあればどうぞ。簡潔にお願いします。

〇珠坪委員  7ページ目の「おわりに」の3行目からの文章なのですけれども、今後、こういった大腸菌を環境基準としてしっかり設定して、管理に役立てていきたいということでこのような文章を書いていると思うのですけれども、日本語の表現的にちょっとおかしいような部分もありますので、今回、大腸菌を新たな衛生指標生物として設定することによって、その検出状況というのがより確かになる、それによってこういった排水対策とか、そういった部分の対策がより正確になるような形に直していただけるといいかなと思います。書きぶりだけの話でした。

〇岡田委員長  具体的にどの部分になりますか。

〇珠坪委員  「大腸菌数を新たな衛生微生物指標とすることにより、大腸菌数の検出状況に影響を与える」。「大腸菌」「大腸菌」、これは2つ出てきておりまして、同じものですので、例えば、「大腸菌を新たな衛生微生物とすることで、その検出状況がより確かになると考えられ、それによって畜産、農業、家庭等々からの排水対策が」というような形に直していただいたほうが、より内容がすっきり伝わるのかなと思います。よろしくお願いいたします。

〇岡田委員長  分かりました。ありがとうございます。これは事務局で今後検討してください。

〇小林係長  はい。

〇岡田委員長  片山先生、どうぞ。

〇片山委員  片山です。

 ちょっと細かいところなのですが、これは7ページ目だと思うのですけれども、各1日に4回程度採水を行った測定値の日間平均値については、幾何平均値を求めるものとするとありますが、不検出が1回出ると、どのように幾何平均を求めるのかという質問が予想されるので、どうしますかというか、不検出データの扱いです。

〇岡田委員長  どうもありがとうございます。では、これは事務局から今の時点で。

〇小林係長  事務局からお答えさせていただきます。

 基本的には今後改めて検討させていただいて、自治体に通知等をするときにしっかりと整理してというところなのですけれども、今、想定させていただいているところとしては、やはり非検出データといったところに関して、幾何平均値を出すときに、その値が出せなくなってしまうということになるので、例えばですが、報告下限値をそこに代入しまして、4回やったときで幾何平均値を求めるというような形を案の1つとして考えているところでございます。以上です。

〇岡田委員長  片山先生は何かありますか。

〇片山委員  それだと、全て不検出の場合でも、1となってしまうということですか。

〇小林係長  先ほどですけれども、非検出の取扱いについて、原本先生から御指摘ありましたとおり、どのような状況において、それを非検出と定義するかといったところについても、通知の際には整理してお知らせしたいと考えております。

〇岡田委員長  片山先生、どうぞ。

〇片山委員  そういう決めであればいいのでしょうけれども、科学的には不検出のところに数値を代入するのは止めたほういいということでもありますので、学者としてはそのやり方はあまりやりたくないのですけれども、そのようにするものだと決めてあれば構わないと思います。

〇岡田委員長  いや、それは多分決めていないと思いますので、事務局、これから具体的な検討でもう一度お考えいただくと考えていいのですか。事務局、どうぞ。

〇小林係長  ありがとうございます。まさに岡田先生におっしゃっていただいたところで、今後検討というところでさせていただきますので、ぜひ片山先生にもお話をお伺いしながら、御意見をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

〇片山委員  ありがとうございます。

〇岡田委員長  ということで、片山先生、よろしくお願いします。御指摘、ありがとうございました。ほかにございますか。

 それでは、本日はたくさんの御指摘をいただきましてありがとうございました。この原案の本文のところでは、今後検討課題が残っているにしても、おおむねというか基本的にはオーケーと思いますが「おわりに」の部分につきましては、幾つか御意見をいただいております。それから、文章の点でも御指摘いただいていますので、これについては事務局でもう一度検討して、最終的な案としてまとめたいということでよろしいでしょうか。

 その内容につきましては、申し訳ございませんが、一応私のほうに御一任いただくと。一任されても困る場合は、御発言いただいた委員に、場合によっては御確認をさせていただくということで、今回の報告案を取りまとめたいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(全委員 異議なし)

〇岡田委員長  ありがとうございます。

 それでは、多少の修正のところは今後することにして、その後の、今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。

〇小林係長  御審議、非常に貴重な御意見をいろいろいただきまして、本当にありがとうございました。今後ですけれども、今、岡田先生から御説明いただきましたとおり、今回御指摘があった部分については修正し、委員長に御確認いただくとともに、環境省において報告案を取りまとめた後、パブリックコメントを行いたいと考えております。

 パブリックコメント期間終了後につきましては、事務局においていただいた御意見に対する回答案を作成しますので、委員の皆様方にメール等で確認させていただきたいと思います。

 再度専門委員会を開催するかどうかはパブリックコメントの結果を踏まえて委員長に御判断いただきたいと思っております。専門委員会報告がまとまりましたら、水環境部会において委員長より御報告いただきたいと考えております。以上です。

〇岡田委員長  専門委員会報告については、ただいま御説明いただいたとおりに進めたいと思いますが、いかがでしょうか。

(全委員 異議なし)

   ありがとうございます。特段御異議がないようでございますので、そのように進めさせていただきたいと思います。それでは、議題(2)「その他」でございますが、事務局、何かございますでしょうか。

〇小林係長  事務局からは、特に「その他」に関する議題はございません。

〇岡田委員長  ありがとうございました。そういうことでございますので、以上をもちまして終了したいと思いますが、委員の先生方から特段何かございますか。よろしいですね。

 それでは、以上をもちまして本日の議事は終了いたしました。事務局から連絡事項をお願いします。

〇小林係長  それでは、委員の皆様、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、事務局で案を作成し、後日委員の皆様にお送りいたします。全員の御確認をいただいたものを環境省ウェブサイトにて公開させていただきますので、御承知おきください。

 それでは、以上をもちまして第10回生活環境項目環境基準専門委員会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

午前11時13分 閉会