水銀大気排出対策小委員会(第8回) 議事録
日時
平成27年1月19日(月)10:00~12:00
場所
法曹会館 2階 高砂の間
議事次第
1.開会
2.議事
- (1)水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)
- (2)その他
3.閉会
配付資料一覧
資料
資料1 委員名簿
資料2 答申案に関する意見募集(パブリックコメント)の結果について
資料3 水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申案)
資料4 今後検討していくべき事項に関する検討の進め方について
参考資料
参考資料1 産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築WG 中央環境審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会 合同会合 報告書
参考資料2 産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会制度構築WG 中央環境審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会 合同会合 報告書(案) 意見募集(パブリックコメント)の結果について
議事録
10時00分 開会
【是澤大気環境課長】 それでは、定刻となりましたので、只今から中央環境審議会大気・騒音振動部会第8回水銀大気排出対策小委員会を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。
まず、本日の出席状況につきましては、委員総数20名のうち、15名の委員の方にご出席をいただいており、定足数に達していることをご報告いたします。
次に、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第の下のほうに配付資料一覧を記載してございます。クリップを外していただきますと、議事次第の紙の次、資料1として、委員名簿、資料2としまして、答申案に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について、資料3といたしまして、答申案でございます。なお、資料3の表表紙、答申となってございますけれども、もちろん現時点では、これはまだ答申案の状態のものでございます。資料4といたしまして、今後検討していくべき事項に関する検討の進め方についてでございます。それから、参考資料といたしまして、参考資料1に、これは産構審と中環審の環境保健部会の合同会合の報告書とその概要、それから、参考資料2としまして、同じくその合同会合の報告書に関する意見募集(パブリックコメント)の結果についての資料をお配りしております。
もし不足しているものがございましたら、事務局にご連絡いただければと思います。
また、委員の皆様の席上には、前回同様、ピンクのファイルに条約の仮訳等をとじたものを置かせていただいております。こちらの資料は、机上資料とさせていただきますので、委員会終了後に回収をさせていただきます。
それでは、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、ご協力をお願いいたします。
では、以降の進行につきまして、坂本委員長にお願いいたします。
【坂本委員長】 おはようございます。皆様には、ご多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。
前回の第7回小委員会で、パブリックコメントに付す案として取りまとめた答申案について、昨年11月から12月末にパブリックコメントを実施いたしました。本日は、その結果を踏まえ、ご議論いただきたいと思います。本日のご議論を踏まえまして、本委員会としてのパブリックコメントの結果及び最終的な答申案を取りまとめることになりますので、よろしくお願いいたします。
なお、前回の小委員会において、今後検討すべき事項について、他部会の報告と同様に最後にまとめて整理すべきか、原案どおりとするか、私と事務局で相談した上で取りまとめることとしておりました。これにつきまして、最後に改めてまとめることとするとかえってわかりにくくするおそれがあるため、原案のままとさせていただきました。今後の検討の進め方については、別途、説明資料を用意いただいておりますので、答申案の後で、それもご議論いただく予定でございます。
それでは、早速ですが、議事に入ります。
まず、議題1、水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について、答申案についてでございます。事務局から説明をお願いします。
【永田課長補佐】 それでは、資料2及び資料3に基づきまして、事務局よりご説明を申し上げます。
まず、資料2は、前回答申案につきまして取りまとめいただいた結果を踏まえて、パブリックコメントに11月25日から12月24日にかけて付させていただいたものの意見全文と、それに対する回答案をまとめたものになります。
意見の提出総数としましては、40通いただいてございまして、意見の件数については、延べ100件という状況でございます。
おめくりいただきますと、意見の件数の100件の内訳をざっとまとめた表をつくってございます。これをご覧いただきますと、多かった意見の提出箇所としては、排出規制の対象施設の規模、それから選定の基本的考え方、また、事業者・国民の責務の部分が多かったという状況でございます。
全文等の回答案につきまして、次ページからまとめてございますけれども、かなり長くなりますので、なるべくかいつまんだご説明とさせていただきつつ、答申案について修正を要する部分については、その都度、答申案を参照しながら進めていきたいというふうに考えています。
それでは、まず、3ページ目の意見1からになります。こちらの意見は、自治体や事業者が体制整備を行うために今後のスケジュール等を示すことは重要であり示すべきだというご意見になります。これにつきましての回答案としては、条約の早期締結に向けて、その答申の取りまとめを受け、平成27年中に今般の水銀大気排出規制に係る所要の法整備の公布を行う予定とされております。水銀大気排出規制の施行等の具体的なスケジュールについては、今後検討となりますが、できる限り早期に周知すべき、というお答えとしてございます。なお、条約暫定事務局であるUNEPによりましては、平成28年から29年ごろまでの条約発効が見込まれているという状況でございます。
意見の3につきましては、今後の取組をさらに推進し、有効な対策をとられていくことを願うというものですので、これに対しては、早期締結に向け今後ともしっかり取り組んでいく必要があるというお答えとしています。
意見の4につきましては、これは水銀の特性についての部分ですけれども、水銀については食物連鎖だけではなく、魚類等ではえら呼吸等体表面からの吸収による蓄積も考えられるということで、そのように修正すべきではないかというご意見でございます。これにつきましては、答申案、資料3の1ページ目をおめくりいただきまして、少し修正を加えるべきではないかというふうに考えています。「食物連鎖を通じた生物濃縮」というふうにしていたところを「食物連鎖を通じた生物濃縮等」というように修正をしてございまして、そうしたご意見についても踏まえた内容としてございます。
続きまして、意見の5番ですけれども、こちらはこれまでの大防法の取組が不十分であることの認識がないというご意見でございます。こちらにつきましては、ばい煙排出規制等の対応として従来から導入されている排ガス処理装置は、水銀の排出規制についても一定程度の効果があるものと考えられるという点と、大気環境中の水銀濃度が指針値を下回っているということから、他物質のリスクや規制の程度を総合的に判断して、有害大気汚染物質として対策が推進されてきたという認識を記載してございます。
続いて、6番でございますが、これは内容としては大気排出規制を実施してこなかったことに触れていないことが不適切であるというご意見と、モニタリングについて、例えば自主規制値を超えたときにモニタリングでは異常が発見できないということから、問題がなかったという証拠にはならないのではないかというご意見です。こちらについては、これまでの取組として行ってきた、実際に行ってきた取組を記載するということとしているという点と、モニタリングについては、これまで有害大気汚染物質の一つとして長期曝露による健康影響のリスクを考慮して実施してきたところでありますけれども、それは個別施設からの一時的な異常値を検出するためのものではなく、モニタリング自体は適切と考える、というお答えとしてございます。
7番については、これは水銀含有製品の製造や廃棄、埋め立てに至るような、全過程における水銀排出ゼロを目指した総合的な規制制度の導入を検討すべきというものです。こちらについては、他部会でさまざま検討されている内容に基づく措置と相まって、総合的な制度としていく必要があるというようなお答えとしてございます。
続いて、8番と9番ですけれども、こちらは水銀の排出抑制策を明確に示すべきだというご意見になります。これに対しては、今般の水銀大気排出対策として、この答申案でも記載をしてございますが、対象施設の設置届出、排出基準の遵守義務、測定義務、排出基準を継続違反した場合の所要の命令等の規制制度を構築する必要があるという旨をお答えしています。
続いて、10番ですけれども、こちらは排出基準をそもそも設定する必要はないのではないかというご意見です。こちらについては、条約の趣旨を1パラに記載をしてございまして、水俣病を経験した我が国としては、こういった条約趣旨を踏まえて十分な担保措置の伴う制度により、条約の実施を的確に確保するということが重要であること、一方で、ばい煙排出規制は水銀に着目した制度ではないということから、条約を踏まえた新たな規制制度として、基準の遵守のための担保措置規定等を設ける必要があるという旨を記載してございます。
続いて、11番と12番でございますが、これは我が国としては国外への水銀輸出を規制し、その上で海外排出される水銀が減るような技術援助・資金援助等をすることが合理的なのではないかという旨です。こちらについて、条約の趣旨については10番へのお答えと同じとしてございますが、ご指摘のとおり、地球全体の水銀排出の削減のためには、開発途上国における水銀大気排出抑制が必要ということでして、技術援助等の支援を行っていく必要があるということとしています。ただ、水俣病経験国である我が国としては、条約の趣旨を積極的に捉えて、国内においても、十分な担保措置の伴う制度によって、担保措置を講ずることが必要であろうということでございます。
13番と14番につきましては、制度の設計に当たって過度な規制とならないようにすべきだというご意見です。こちらについても、条約の趣旨、それから水俣条約を踏まえた新たな規制制度を設ける必要があるという点については、意見10番へのお答えと同じくしてございます。具体的な排出基準の値ということになろうと思いますが、そちらについては、ご指摘も踏まえて、経済的・技術的考慮を払いつつ、排出源分類ごとの排出状況、それから排出抑制技術の状況について十分に調査・検討を行い、これらを勘案した上で、現実的に排出抑制が可能なレベルとなるように検討していく必要があるというお答えとしています。
続いて、15番でございますが、こちらは規制手法の部分につきまして、現行大防法のばい煙排出規制に係る対策とあわせて最適な組み合わせを選択することができるという旨を追記すべきというご意見になります。こちらは、ご指摘のように、ばい煙排出規制への対策とあわせて、水銀除去設備の種類・構造等の最適な組み合わせを選択するということができると考えてはございますが、ご指摘の記述部分につきましては、構造・設備規制と排出限度値規制を比較した場合の違いを述べている箇所になりますので、原案どおりとすることが適当とさせていただいています。
続いて、16番、17番のご意見につきまして、総量規制的手法を取り入れるべきであるというご意見、また、連続測定を義務づけるべきであるというご意見でございます。こちらは、総量規制は活動量等の要素に影響されるということから、排出抑制基準について対応した基準値を設定できるという観点で、濃度による排出限度値による規制のほうが、利用可能な最良な技術を適用して水銀の大気排出量をできる限り削減していくという、条約で定める規制に適したものというように考えております。測定方法につきましては、規制の対象となる事業者及び規制を実施する行政の双方に対して過度な負担を強いることのないよう、合理的な測定方法となるように今後検討を行う必要があるというお答えとしています。
続いて、排出基準に関して、18番のご意見でございます。こちらは、具体的な排出基準の値について環境リスクの削減を図る立場から決めていくべきだというご意見と、あと、その規制の実施主体について都道府県知事等とされているが、実効性が確保できるように、国としても必要な取組を行うべきというご意見です。こちらにつきましては、まず、排出基準は、ばい煙の排出規制による排出基準のように、環境上の目標の維持達成を目指す観点から設定するものではなく、条約を踏まえてBATに適合した値として設定する必要があるという点と、規制の実施主体は都道府県知事が担うことが適当とした上で、国においても都道府県知事等による規制の実効性の確保のために必要な支援をしていくべきというように考えるというお答えとしています。
続いて、19番でございます。現行大防法のばい煙発生施設に係る基準と整合を図るべきであるというご意見ですが、こちらについては、ばい煙の排出規制制度は水銀に着目したものではないので、条約の実施を確保する上では、こうした枠組みとはまた別に、新たな規制制度を設ける必要があると考えていますが、具体的な基準につきましては、先ほど申したとおり、経済的・技術的考慮を払いつつ、十分な調査・検討の上、現実的に排出抑制が可能なレベルとなるように検討していく必要があるとしてございます。
続いて、20番ですが、こちらは排出限度値などの規制をかけるに当たって事業者に過度な負担がかかることのない枠組みとすべきというご意見になります。21番も同旨と考えてございます。こちらについても、基準の設定の考え方として、十分な調査・検討を行い、これらを勘案した上で、現実的な排出抑制が可能なレベルで定めるべきという答えとしています。
続いて、22、23番でございますが、こちらは新規施設の部分につきまして、「循環型社会への考慮を払いつつ」という文言を追記すべきであるというご意見になります。これに対しては、これまでの小委員会でもご議論いただいたと思いますけれども、規制対象施設はそれぞれさまざまな社会貢献をしていることから、個別の貢献に関する考慮については記載しないこととします。なお、廃棄物の再生利用等に資する施設に係る排出基準については、排出状況及び排出抑制技術の状況について調査・検討を行う中で、廃棄物の再生利用等の実態についても十分に勘案した上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めることとして今後検討していくべきというお答えとしてございます。
続いて、24番でございます。こちらは、局地的な上乗せ基準の設定は避けるように促すべきというご意見です。これに対しては、今般の水銀排出規制は、環境中を循環する水銀による人健康、環境への影響、全般に着目したものであり、我が国全体としての水銀排出量の削減のために行うものであるという点と、そのため、ばい煙排出規制のように地域の汚染状況に応じて公害対策を講ずるために上乗せ基準の設定を積極的に認める必要性というものは乏しいと考えられ、国は自治体に対して、今般の規制の趣旨の周知に努めるべきと考えますが、自治法に基づく条例の制定権は、これは制限することはできないと考えるというお答えとしています。
続いて、25から29番まで5件ですが、こちらは既存施設に対しても「循環型社会への配慮をする」という文言を追記すべきであるというご意見になります。これに対するお答えは、22、23番に対するお答えと基本的には同じとさせていただいています。
続いて、9ページ目の30番でございますが、排出基準の検討において、日本の排出水準や経済合理性、国際公平性の観点を考慮し、排出実態を踏まえた議論をすべきであるというご意見です。こちらについては、既存施設に係る排出基準について、ご指摘も参考にし、既存施設の排出状況や水銀除去対策の実態を調査・把握した上で検討していくべきというお答えとしています。
31番については、既存施設として環境のための最良の慣行(BEP)を実施し、施設の規模・能力に応じて、利用可能な最良の技術に適合した値を設けるとすべきというご意見でございます。これに対しては、既存施設については、ばい煙排出規制等の従来の大防法における既存施設の取り扱い、これとの整合性をとる観点で、新規施設とまず同一の制度で措置することが適当とした上で、技術的な制約もあり得ることから、排出基準値については、既存施設として利用可能な最良の技術に適合するものを別途検討していくことが必要と考えています。なお、環境のための最良の慣行(BEP)については、事業者による自主的な排出抑制取組の実施を責務として求めていくことによって、その利用促進につながるものというふうに考えておりまして、原案どおりとすることが適当というお答えとしています。
続いて、32番ですが、これは既存施設に係る排出基準を設定するに当たって時間的猶予も考慮すべきであるというものです。これに関しては、ご指摘も参考にして基準を検討していくべきというお答えとしています。
続いて、33番は、規制の実効性を確保するための措置についてのご意見です。こちらは、都道府県等が立入検査・報告徴収できる規定や、測定結果を都道府県に報告すべき規定、こういったものを設けるべきであるというものです。これに関しては、都道府県知事等の権限については、ばい煙排出規制、VOC排出規制等と同様の形で設ける方向で検討していくべきというように考えています。
続いて、34番ですが、こちらは連続測定を義務づけるべきであるという点と、排出基準違反に対しては、現行の大防法で直罰規定を設けているはずであるというご指摘です。こちら、連続測定につきましては、17番でお答えした内容と同じとしています。それから、直罰規定につきましては、ばい煙排出規制では設けてございますが、VOC排出規制では設けられていない点と、条約に基づく今般の水銀大気排出規制が環境中を循環する水銀による人の健康影響等に着目した制度であるということから、直罰規定を設ける必要はないと考えるというお答えとしています。
続いて、35番、測定方法等に関するご意見です。こちらは、排出基準に対応する適合性の評価の方法について、測定方法や頻度等とあわせて具体的に検討していく必要があるという点と、測定値に幅・ばらつきがあることから、これによる基準違反と直ちにならないような制度設計を検討する必要があるというご意見です。これに対しては、排出基準の適合性の判断が適切なものになるようにという観点も踏まえて、平常時における平均的な排出状況を捉えた規制となるように、排ガス中水銀濃度の測定方法を今後検討していくべきというように考えます。また、排ガス中の水銀濃度には一定の変動があることや条約趣旨を踏まえて、排出基準を継続して違反した場合に所要の命令等を行うことが適当というふうに考えるというお答えとしています。
36番については、測定方法に関する検討を進めるべきと、排出状況を調査・検討することと並行して進めるべきというご意見です。これについては、ご指摘を参考としつつ測定方法に関する検討を行っていく必要があるというようにお答えしています。
続いて、排出規制の対象施設の規模に関するご意見です。37から39までが規制対象施設について裾切りを設けるべきではないというご意見です。こちらに対しては、規制対象施設の規模については、条約において各分類からの排出量の75%を含む水準であれば裾切り基準を設けることが認められているということから、原則として、一定規模以上のものに限定することが適当と考えます。規制対象施設の規模等に関する基準については、水銀の排出実態を踏まえて、今後検討していくべきというように考えます。
続いて、40から43番までについては、対象規模にかかわらず水銀を確実に扱う施設類型については、規制の対象とすべきというご意見です。これについても、原則として一定規模以上のものに限定することが適当ですが、施設規模にかかわらず水銀を確実に扱う施設類型については、規模の大小にかかわらず対象とすることも考えられます。こうしたことも踏まえて、規制対象施設の規模等に関する基準については、今後検討していくべきというお答えとしています。
次に、44から48番については、水銀のインプットがないようなケースについては規制を課すことが合理的ではないので、対象外とすべきというご意見です。これについても、原則として一定規模以上のものに限定することが適当ですが、施設規模にかかわらず水銀を基本的に扱わない施設類型については、規模の大小にかかわらず対象外とすることも考えられるということも踏まえて、規制対象施設の規模等に関する基準について、今後検討するというお答えとしています。
続いて、12ページ目の49番ですが、こちらは産業用の石炭燃焼ボイラーにおいて規模の議論をする場合には、生産用蒸気供給を目的とする施設と電力供給を目的とする施設とで異なる尺度で規模を評価すべきというご意見です。こちらについては、ご指摘も参考にしつつ、対象規模の具体的な裾切り基準の検討を行っていく必要があるというように考えるというお答えとしています。
次に、12ページ下の対象施設の選定の基本的考え方に関するご意見です。50番から62番までが、附属書Dに掲げられていない相当の水銀を排出する施設については、自主的取組を推進することが適当というご意見です。こちらについては、水俣条約を踏まえた水銀大気排出対策としては、条約の附属書D対象施設を今般の水銀排出規制の対象とした上で、条約では対応を求められていないものの附属書D対象施設と同等に水銀を相当程度排出している施設については、水俣病経験国として条約趣旨を積極的に捉えるという観点から、附属書D対象施設に準じた排出抑制取組を求めることが適切と考えます。このため、水銀を相当程度排出している施設については、他の一般的な事業者よりは一段積極的な取組を求めることとしていますというお答えとしています。
次に、14ページ、63番ですが、こちらは附属書Dに掲げられている施設だけではなく、製品の使用時における水銀の蒸気の放出や、廃棄段階での中間処理等によって水銀の排出が現に発生しているので、対象施設の選定に当たっては網羅的に調査して規制対象に加えるべきであるというご意見です。
また、64から67番までは、鉄鋼製造施設はセメント製造施設に次いで2番目の排出となっているので、他のカテゴリーへの公平性を考えると、排出規制の対象施設にすべきであるというご意見になります。これに関する回答として、条約附属書D対象施設以外の施設については、我が国の水銀の大気排出量や大気環境中の濃度を勘案すると、今般の水銀排出規制の対象とする必要はないものの、水俣病経験国として条約趣旨を積極的に捉える観点から、附属書D対象施設と同等に水銀を相当程度排出している施設については、これに準じた排出抑制取組を求めることが適切と考えたものです。このため、水銀を相当程度排出している施設については、他の一般的な事業者よりは一段積極的な取組を求めることとしているというお答えとしています。
次に、68番と69番でございますが、こちらは廃棄物焼却施設を規制対象に加えるべきというご意見です。こちらについては、附属書Dの対象施設に含められるということで、規制対象とする必要があるというように記述しているというお答えをしています。
続いて、70番でございますが、こちらはお配りしている答申の7ページ目のほうの「具体的な対象施設の範囲については、ばい煙発生施設の施設概念に捉われず、条約の趣旨に照らして適切に設定すべき」という部分を削除すべきというご意見です。こちらについて、ちょっとわかりづらかったのかなと思ったんですけども、ご指摘部分は、附属書D記載の施設以外を対象とする趣旨ではないということを改めて書かせていただいています。趣旨としては、大防法の別表に掲げるばい煙発生施設が複数の区分に該当する場合は、主目的の区分のみに該当すると解されるため、例えば廃乾電池の処理を業として行うような施設は、ばい煙発生施設の区分では金属の焙焼炉等と扱われていることがありますので、この場合、ばい煙発生施設の区分を用いて水銀の規制対象施設を定めると、規制対象外となるということになります。このため、今般の水銀排出規制では、こうした施設についても、ばい煙発生施設の施設概念に捉われず、廃棄物の焼却設備等として対象とすることが適当であるという趣旨で記載をしてございます。また、ばい煙発生施設とVOC発生施設の届出と別に届出制度を創設すると、事業者にとって煩雑で混乱するというご意見も記載されてございます。こちらについては、ばい煙の発生施設とVOC排出施設の届出制度はあくまでも水銀に着目したものではないことから、条約の実施を確保するため、これらの枠組みとは別途、新たな規制制度を設ける必要があるというふうに考えます。以上より、原案どおりとすることが適当と考えるというようなお答えにしてございます。
次に、16ページ目下の71番でございます。こちらは、施設ではない排出源である野焼きについても規制を考えるべきではないか、また、野焼きによる木くず・草くずの処分量について環境省は把握しているのか、していなければ、将来的にインベントリーに計上すべきではないかというご意見です。これに対しては、条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策としては、世界における大気排出量が多い条約の附属書D対象施設を規制対象とすることが適切と考えます。野焼きの正確な量の把握というものは困難でありますけれども、現行制度上焼却が可能なものは、公益上もしくは社会慣習上やむを得ない廃棄物または周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物に限られておりまして、その主な対象は、草や下枝でありますところ、こうした「バイオマス燃焼からの再排出」というものは――すみません、ちょっと配置がおかしくなっていますが、UNEPのGlobal Mercury Assessmentにおいても「人為的排出」とはまた別の取り扱いがなされているところでございます。こうしたことを踏まえて、今後、国において必要に応じて検討されていくものというふうに書かせていただいています。
次に、事業者と国民の責務に関するご意見です。こちら、72番から81番までが廃棄物の分別回収について義務づけるべきである、徹底すべきである、また、国が技術的・財政的支援をすべきである、あるいは水銀を回収しての中間処理を行うべきであるというご意見になります。こちらについては、この大気排出に関する小委員会としては、入り口対策として一般廃棄物については市町村等による分別回収を促進すること、また、水銀添加製品を廃棄する際に地方公共団体等のルールにのっとった適切な廃棄を引き続き行うこと――すみません、ちょっと重複がございますが、後で削除しておきます。産業廃棄物につきましては、排出事業者に対し、マニフェスト等により水銀を含むことを明らかにすることを徹底すること、また、事業者が製品等を購入する際には水銀含有量の少ない製品等をできる限り選択する等の努力を求めること、こういったことが必要と考えます。この論点と関連する具体的な対策については、中環審の循環型社会部会において検討されてございます、というお答えとさせていただいています。
おめくりいただきまして、82番でございますが、こちらは水銀含有廃棄物の適正処理・焼却による水銀の大気排出抑制のために、処理を委託する者は、処理委託の締結時にWDSを必ず提供するべきであるということと、大気汚染防止法においても、これをBEPとして位置づけ、排出事業者が遵守することを確保すべきであるということ、また、連続測定の義務づけは過度であるというご意見と、それから、制度を設計するに当たっては、産業廃棄物処理業者の意見に配慮すべきであること、
また、議事録の公開の不備についてのご指摘になります。これに対しては、産業廃棄物につきましては、その取り扱いについては、廃棄物処理法に基づいて排出事業者に対してマニフェスト等により水銀を含むことを明らかにすることを徹底すること、こういったことが必要と考えます。また、事業者が製品を購入する際には、水銀を含有しない、または含有量の少ない製品等をできる限り選択する等の努力を求めることが必要であるというふうに考えます。この論点と関連する具体的な対策については、循環型社会部会において検討されているところであります。
なお、測定方法については、規制対象となる事業者、規制を実施する行政双方に対して過度な負担を強いることがないような合理的な測定方法となるように今後検討を行うべきという17番へのお答えと同じくさせていただいています。
また、こうしたご指摘を参考にしつつ、今後の排出規制制度の構築に向けた検討を行っていく必要があるというふうに考えるというお答えとしています。議事録については、アップが遅れて大変失礼いたしました。今後迅速に公表するように努めてまいります。
次に、83番のご意見は、「水銀を含む」というふうに書いてある箇所について、この定義を示されたいというご意見です。こちらについても、循環型社会部会で検討されている事項になります。
次に、84から87番ですが、こちらは製品購入段階で水銀の含有の有無が確認できるように、製品への表示の義務づけと、販売時の消費者の告知を義務づけるべきであるといったご意見になります。これに関しては、製品情報提供について、国民または事業者が製品等を購入する際には、水銀を含有しない、または含有量の少ない製品等をできる限り選択する努力を求めることが必要と考えますが、具体的な対策については、中環審保健部会と産構審の合同会合において検討されております。
続いて、20ページの88番は、目標の設定に関するご意見です。こちらは、この記載部分が計画・目標に全く触れていないので、これが作成するのかしないのかがわかりづらいので修正すべきというご意見になります。これについては、答申案のほうの9ページ目をおめくりいただけますでしょうか。目標に係る部分につきましては、一番最初のところですが、「定量的な目標は定めず、」というように、ご指摘を踏まえて追記するよう修正いたします。実施計画につきましては、具体的には保健部会と産構審の合同会合において検討されておりまして、国において検討するべきという方向とされています。
次に、インベントリーに関するご意見です。89から91番までが、インベントリーの整備については、原則、国の役割として国が整備すべきである、また、その際には事業者の負担にならないような適度な頻度で実施すべきであるというものと、91番が、規制主体による確実な実態把握を担保する仕組みが必要なのではないかというご意見です。これに対しては、規制対象以外の排出事業者における排出状況についても、インベントリーの作成に当たっては把握する必要があることから、排出事業者による自主的取組として、排出状況に関する広範なデータを収集できるような体制を構築すべきと考えます。具体的なインベントリーの策定及び更新方法については、今後検討していくべきと考えるというお答えとしています。
次に、92番の廃棄物焼却施設のインベントリー上のシェアについて見直すべきであるというご意見です。こちらについては、インベントリーの精度確保についてはこれまでも国として取り組んできたところでございまして、現行他制度におけるインベントリーの方法も参考にしつつ、引き続き検討していくとともに、廃棄物焼却設備について排出実態調査を実施することでインベントリーの精度向上に努めるべきというふうに考えます。語尾が「努めてまいります」となっていますが、小委員会としては「考える」ということでございます。この点、修正をさせていただきます。
次に、93番でございますが、こちらはインベントリーの作成を行う中で、データについて、より詳しく正確に周知すべきであるということでございます。こちらは、国においても、これまでも大気排出インベントリーを作成し、公表してきたところでありますけれども、引き続き作成・維持した上で、今後よりわかりやすく公表するように努めるべきと考えるというお答えとしています。
次に、94番ですが、こちらは国と地方公共団体の責務として、途上国に対する支援強化の視点を強化すべきというものです。こちらについては、地球全体の排出量を削減していくため、民間事業者の協力も得つつ、開発途上国に対して、能力形成や技術援助の支援を行っていくことが必要というお答えとしています。
次に、95番は、BATの採用に当たって、可能な限り最良な技術を設置者が導入できるように、経済的に誘導していくことが有効であるというご意見です。これに関しては、規制対象施設の設置者が排出抑制措置を講ずることを促進するための金融・税制上の支援措置を講じていくべきと考えますが、その具体的な措置については、今後検討すべきと考えるというお答えとしています。
次に、96番は、情報の収集整理や国民への普及啓発、それから、金融・税制上の支援措置等を進めるべきというご意見でございます。こちらについては、こうしたものを講じていくべきと考えるというお答えとしています。
97番、98番は、そういった金融・税制上の支援措置だけではなくて、技術的・財政的、それから制度的な支援措置も必要であるというご意見です。こちらについては、国として国民に対する普及啓発の施策や、この規制対象施設の設置者が排出抑制措置を講ずることを促進するための支援措置を講ずるとともに、その技術に関する情報収集整理等の技術的な支援も必要と考えるというお答えとしています。
次に、99番でございますが、こちらは水銀の排出量を「最小化」していくための技術開発とその導入を目指すべきというご意見と、製品や生産工程、取扱施設を網羅的に調査把握して規制対象に加えるべきというご意見、また、インベントリーの精度を高くするために水銀含有量の分析ですとか、排ガスの連続測定等の導入を検討すべきというご意見になります。これに関しては、最初の「最小化」技術については、ご指摘のように技術開発を促進していくべきというふうに考えます。また、対象施設の考え方については、63番へのお答えと同様としています。測定方法につきましても、34番と同様のお答えとしています。
22ページ目の100番につきましては、その他に関すし、中環審から付議されていない内容について言及する必要はないのではないかというご指摘です。こちらは、中環審から付議された事項ではないわけですが、これまでの小委員会の場において、水銀以外の水銀と同様の特性を有する物質についても規制対象とすべきかという問題提起があったという議論の経緯を踏まえて、「その他」として記載をしているものでして、原案どおりとすることが適当と考えるということとしています。
パブコメに対する回答案は以上になりますが、そのほか、再度、事務局側で精査いたしまして、答申案の4ページ目の一番上の文章のところで、「人為的に環境にもたらされた場合の残留性」という言葉を用いてございましたが、こちらについては人為的な場合に限られないということで、「環境にもたらされた場合の残留性」というふうに修正した上で、この3行目の「大気への排出を規制」というところに、「人為的な大気への排出を規制」と追記させていただく修正を加えてございます。
また、後ろにつけてございます別表の大気排出インベントリーに関する表でございますが、本文中で、その排出源ごとの割合を書かせていただいてございましたので、それにあわせて修正をしてございます。
資料2及び資料3のご説明については以上になります。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
それでは、資料2のパブリックコメントの結果に基づいてご議論をお願いいたします。
まず、大分長いものでございますので、資料2のうちの10ページ目の36番、Ⅲ2.(1)(c)測定方法まで、この部分についてご意見がございます場合には名札を立てていただければと思います。また、質問の場合も同様に名札を立てていただければと思います。
それでは、まず、大塚委員、お願いします。
【大塚委員】 非常に的確に回答案を示していただいていると思いますが、1点だけちょっと、やや誤解を招くかもしれないと少し心配なところがあります。10ページの34番の意見に対する回答ですが、直罰規定に関してのものですけども、このとおりでいいと思うんですが、これだけだと、「環境中を循環する水銀による人の健康影響等」ということが書いてあるので、少し心配される方がいるかもしれないので、先ほど別のところにも書いてあったように、モニタリングの結果として、その人の健康に影響を与える可能性はほとんどないという状況にあるということも追加的に書いておいたほうがいいんじゃないかなと思いました。
以上です。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
今、34番のところの回答案ですが、もう少し丁寧に、その現状を説明した上で書くようにしたらどうだろうということで、これはそういうふうに対応させていただきたいと思います。
そのほか、いかがでしょうか。
松岡委員、どうぞ。
【松岡委員】 パブコメと、今後の進め方にもちょっと関連するところがあって、後で回答をいただいてもよろしいです。前回も発言させていただいたんですけれども、今後大気・騒音振動部会のもとに設置される組織で、いろいろ検討していくということなんですけれども、この基準値や測定技術などの検討に当たっては、排出源の分類ごとに関係する事業者とか専門家から委員を選出いただいて、事業者がそのデータを持っている場合がございますので、それを活用・分析して、より排出実態を踏まえた議論をお願いしたいというふうに思っております。
あと、これは後でよろしいですけれども、来年度、早期に検討していくということになっておりますけれども、その組織の設置時期とか実態調査の実施内容について、具体的にご提示いただけるものがあればご教示お願いしたいと。これは後でよろしいです。
以上です。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
そのほか、いかがでございましょうか。
どうぞ、辰巳委員、お願いします。
【辰巳委員】 ありがとうございます。書かれている内容に対してどうこうというわけじゃなくて、いろんな文章のところに、回答案のところなんですけども、考え方というものを結構詳しくご説明いただいて、最後のところはいろいろ考えますとか、今後検討していくべきものとかなど、そういう文章で終わっているんですが、この主語は、この小委員会はということなんですよね。要するに、明確に書いてくださっているのですごくよくわかるし、ご質問というかパブコメを下さった方々に対して、小委員会としてこのように考えておりますということで答えることになっていると思いますが、これを受けて、今後、今おっしゃったような活動のところにつながっていくわけですよね。これ、何て言ったらいいんでしょうね。このまんまどこにこの形が残るのでしょうか。この資料としてしか残らないのか、この答申案だけでは漠としているところもあるからこそパブコメが出てきたんであって、ご質問もあったわけで、それに対して的確な説明をしていますが、それがどのような形で明確に公に対して伝わるのでしょうか。パブコメを下さった方以外の方に対してもご説明できるといいなと思ったんですけれど、そういうのってどういうふうにするのかというところを知らせてください。
【坂本委員長】 事務局のほうから回答します。
【永田課長補佐】 基本的には、小委員会としての回答案をまとめていただき、その結果については、答申を取りまとめた際に記者発表を環境省のホームページを通じてすることになりますが、そのときにあわせてパブコメの回答として取りまとめた内容を公表する予定でございます。
【坂本委員長】 よろしいですか。
浅野委員、どうぞ。
【浅野委員】 次の段階で委員会での議論をするときは、この答申と、それからここで議論されたことが前提になるわけです。しかもここに記された内容は公表されますので、ここで委員会の考え方として「考えます」と言ったことに反することはできないということです。ですから、そのつもりでここにきちんと書いておかないといけない。できないことをやりますと言うと後でひどい目に遭いますから、その辺はむしろこの審議会でしっかり目を光らせていただいたほうがいいと思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
幾つかこの中で要望されているところ等につきましては、別のワーキングとか、そういったところでやるのと、そして、まとめたものが最終的には、今、浅野委員がお話しいただきましたように、審議会でそれを認めるか、もしくは決めるという形になろうと思います。
崎田委員、どうぞ。
【崎田委員】 ありがとうございます。今後のことと、今のようなお話と関係するかもしれませんけれども、変更点に関しては、これでよろしいかと思います。しかし、、私も今回いただいたご意見を拝見し、読んでいて、例えば7番などは、もっとライフサイクル全体で検討したほうがいいというようなことが割に率直に出ているんですね。今後やはり、今回これは本当にライフサイクル全体に関わって取り組んでいることを三つの委員会に分けてやっているというのが特徴なわけですので、それがきちんと多くの国民や事業者の方に伝わっていくというように、情報発信や今後の政省令の検討で、十分そこを発信しながらやるということが大事ではないかなと思います。今の7番だけではなく、その後、産業界の方から「循環型社会」という言葉をきちんと配慮していただいたほうがよいのではないかとか随分たくさん出ていますが、ほかの委員会できちんとやっていることとの連携での信頼感があれば、そういうことは全部クリアできるのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
どうぞ、浅野委員。
【浅野委員】 この点についても他の部会で既に発言済みですが、今後の作業として具体的に計画づくりということがあるわけです。この法改正後に考えられる計画の策定に当たって、どのように審議すればいいか、その審議の方法についても考える必要があろうと思います。つまり、今回のように三つの会議体に分けてやるのが計画を審議するのはいいかという点にはかなり疑問がありますので、既に事務局にも検討をお願いしております。ですから、崎田委員ご懸念の点は、その計画づくりのところで統合的な議論がちゃんとできるように、しかも計画というときには、少し幅広に政策を考えなくてはいけないということがありますし、ひいては次の循環型社会形成推進計画とかいろんなところにも関連していきますので、それも睨みながらの検討をお願いする必要があろうかと思います。
【坂本委員長】 中杉委員、どうぞ。
【中杉委員】 この回答案で結構なんですが、一つだけ申し上げておきたいということがあります。10番とか11番とか、日本での全体の排出量は非常に低いという観点で、規制の必要がないんじゃないかという意見に対しての答えとしてはこれで結構だと思うんですけど、もう一つ、私が前の委員会でもたびたび申し上げていますが、気になるのは、日本の中で全体としては非常にいい。だけど、企業の間といいますか、企業で実際の測定値の間のばらつきがある。ということは、全体としては努力しているけども、一部は努力していないんではないかという懸念があるんですね。そういう視点を、やはり今後BATレベルを決める、BATを使ってレベルを決めるというときに、そういう視点があるということを忘れないでいただければと。このパブコメの中に書いていただく必要はございませんけど、それだけ申し上げておきたいと思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
もしよろしければ残りの部分に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、10ページの37番、Ⅲ2.(3)排出規制の対象施設の規模、これ以降の部分につきましてご意見をいただきたいと思います。ご意見またはご質問のある方は、名札を立てていただければと思います。
それでは、まず、浅野委員、お願いします。
【浅野委員】 88番のところで出されたコメントを受ける形で本文の修正を加えたわけですが、目標についてということは、条約の中で排出と放出について各国がそれぞれ期待される対象目標結果を定める自国の計画を作成することができるということを受けての目標ということになるわけで、この点に関して、この委員会で議論してきている事柄は、つまり全体として、日本全体としてどこまで下げるかということに関する目標を定量的に決めるのはちょっと難しいなということでした。あるいは、今のところ、それは必要ないんじゃないだろうかと意見もあったと思います。しかし、これ以上増やさない、今出ているよりは増やさないというぐらいのことは絶対必要だという議論もやってきたわけですから、目標を決めないというふうに言ってしまうと、そういったことも全部吹っ飛んでしまう。言いたいことは、定量的に何々という数字をということは当面は考えなくていいということです。しかし、抽象的、一般的な、定性的な目標というのはあっていいのではないか。条約はそういう定性的な目標を掲げることを妨げているわけでもないと思いますから、この点は次の計画を考えるときなどに、ぜひ留意する必要があると思いますから、議事録に残しておくために発言をしました。
【坂本委員長】 ありがとうございました。大変重要なご意見ありがとうございます。
高岡委員、どうぞ。
【高岡委員】 ありがとうございます。私のところ、16ページから17ページにかけましての71番のところでございます。野焼きに関しましては、既にダイオキシンのほうで、原則禁止というようなことが出ておると思いますので、既に一旦原則禁止をしておるというようなことを書いていただくほうが回答案としてはよいのではないかなというふうに思います。
あと、最後に、「今後、国において必要に応じて検討されていくものと考えます」というのも、何か少し曖昧な印象を受けますので、少し文言をかえるほうがいいのかなというふうに思います。
以上です。
【坂本委員長】 ありがとうございます。
どうしましょう、事務局から、お願いします。
【永田課長補佐】 ご指摘のように、廃棄物処理法のほうで、野焼きについては原則として禁止されているということでございますので、その旨追記をさせていただこうと思います。ただ、このご意見をされた方は、それは踏まえた上で農業・林業または漁業を営むためにやむを得ないものとして行う廃棄物の焼却についてということでございますので、その点を踏まえた回答としたいというふうに思います。
【是澤大気環境課長】 今後の検討でございますけれども、今からインベントリーをきちんと精度を高めて整備していくということをやってまいりますので、その中で、この野焼きについても詳細な実態把握等が必要なものなのかどうかというところも含めて、よく検討をさせていただきたいと思います。ですので、回答案のほうでも、「今後」の後に「インベントリーの作成に当たり」という文言を追加させていただけたらと思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。パブリックコメントの結果について、今、後半のほうの部分についてご質問、ご意見を伺ってございます。
貴田委員、どうぞ。
【貴田委員】 44番、45番など、ほかにもあるかと思うんですけれども、水銀インプットがゼロの場合というようなご質問の内容があるかと思います。そこで水銀の有無といいますか、入り口でゼロの場合というのは、ほぼないというか、つまり石炭燃焼にしても廃棄物燃焼にしても、水銀含有物が、意図的なものが入っているというわけではないわけですよね。ほかにもあると思うんですけれども、この回答の中には、その辺りのところをちょっと書かれていないので、意図的に含有されていない場合も燃焼施設においては水銀の排出があるので、自然由来のものであっても大気排出があり得るということも若干触れておいたほうがいいのではないかなという気がしました。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
ここの44番の回答の部分については、今おっしゃっていただいたことを踏まえて、少し丁寧に説明をするようにしたいと思います。ありがとうございました。
そのほか、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
よろしければ、ただいまご議論いただきましたパブリックコメントの結果について、先ほどいただいた委員の皆さんの意見を踏まえて、具体的にここで修正をすると申し上げた部分、それから説明を少し丁寧にしたいという形で申し上げた部分、ここにつきまして、修正をすることにさせていただきたいと思います。この修正内容につきましては、座長一任という形で預からせていただき、最終的には私と事務局で今いただきましたご意見を反映させた上で、本委員会のパブリックコメントの結果として取りまとめ、公表をさせていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【坂本委員長】 ありがとうございました。
それでは、今申し上げましたように、事務局と相談の上、最終的に取りまとめを行いたいと思います。また、その結果につきましては、事務局を介して環境省のホームページで発表させていただくということになります。
続きまして、答申案につきまして、委員の皆様からいただいた意見を踏まえて、一部、先ほど修正したところを説明してございますけれども、ここにつきまして、このような形でよろしいでしょうか。
具体的に申し上げますと、4カ所ほど修正をさせていただいたということでございますが、1ページ目の水銀の特性のところで、「食物連鎖を通じた生物濃縮等によって」と修正した部分。
それから、もう一つは、4ページの1行目のところに「人為的に環境にもたらされた」となっていたものを、「環境にもたらされた場合」、そして、後のほうに「人為的な大気への排出を規制し」という形で、具体的にわかるようにさせていただいたというところ。
それから、もう一つは、9ページ目で、目標値をどうするというところでございますが、先ほど浅野委員からの補足もございましたけども、「現時点では、定量的な目標は定めず」というような形に文章を修正させていただきました。
それから、別紙の最後になりますけれども、別紙の2ページ目、表2でございますが、本文中には、それぞれどういう発生源から何%という形で書いてございましたけれども、この表の中にパーセントが書いてございませんでしたので、表の部分にそれを追記したという形で、修正をさせていただいたということでございます。
ただいま申し上げました修正をして、最終的なご了解をいただければ、答申案ということにさせていただきたいと思いますけど、いかがでございましょう。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【坂本委員長】 ありがとうございました。
それでは、今申し上げましたような形で、この資料3、最初から案をとってございましたけれども、先ほどは案があるのをご覧いただいていたということで、今は案がないものになったということで、ご理解をいただきたいというふうに思います。
それでは、今ご了解をいただきましたものにつきましては、中央環境審議会の議事運営規則に基づきまして、所定の手続を経て、大臣に答申することとさせていただきたいと思います。
それでは、次に、今後の検討の進め方について、事務局より説明をお願いしたいと思います。
【是澤大気環境課長】 それでは、資料4に基づきまして、今後検討していくべき事項に関する検討の進め方についてご説明を申し上げます。
まず、法整備についてということでございますけれども、ただいま取りまとめをいただきました答申案、所定の手続を経て、答申をいただいた上で、この水俣条約の大気排出規制関係部分を担保するために、本年中に所要の法整備を行うことを考えております。具体的には、通常国会に法案を提出して、ご審議いただきたいと考えております。
その上で、いつごろ条約が発効する見通しなのかということでございますけども、現時点で、その条約暫定事務局であるUNEPによりますと、平成28年から29年ごろまでには発効するのではなかろうかという見込みと聞いているところでございます。
一方、この答申案において「今後検討していくべき」とされている事項等についての検討の進め方でございます。
まず、政省令等の整備としております。これはきちんと法律ができ上がって、その公布等を踏まえてということになりますけれども、政省令等で定める必要がある事項、具体的には、下のほうに、今後の主な検討事項として例示しておりますが、排出規制の対象施設の区分ごとの排出基準の値であるとか、排ガス中の水銀濃度の測定方法、あるいはその排出規制の対象施設の規模等に関する基準、これらの事項につきましては、来年4月以降、環境大臣から中央環境審議会に対して諮問を行い、当該事項を検討する場を大気・騒音振動部会の下に新たに設置をして、専門的な議論を行っていただくことを考えております。
これらの検討に当たりましては、まず、早期に水銀の排出に係る実態調査を実施した上で、その調査結果等を踏まえて行うことを考えております。
先ほど、松岡委員から、検討の体制でありますとか、あるいはスケジュールについてのご質問がございました。ご意見ございましたとおり、いろんな現状をしっかり把握した上で、その実態に応じて検討を進めていかなければならないと考えておりますので、どのような体制にすればいいのか、あるいは、どういうふうな検討の進め方をすべきかということはよく考えて、また、部会のほうでもお話をした上で、検討体制を定めて、議論をしていただきたいと思っております。
それから、検討のスケジュールでございますけれども、まず、排出実態の把握等につきましては、これは来年度以降、できるだけ早い時期に実態調査に着手をいたしまして、その情報がある程度まとまったところで、新たに設置する検討の場で議論を行っていただくことになろうかと考えております。
それから、政省令事項ではございませんけれども、インベントリーについてでございます。インベントリーの策定・維持に当たって必要な精度のレベル、あるいは精度を確保するための実効的なデータの収集方法、これらにつきましては、排出実態の調査結果等も踏まえながら、これも別途、専門家による検討の場を設けて検討を進めていく。これは継続的に実施していくことになろうかと思いますけども、そのような進め方をさせていただきたいと考えております。
【早水審議官】 1点補足させていただきます。議事録に残すという意味でございますが、今後検討していくべきという点についてですけれども、この2の(1)、(2)に掲げられました事項につきましては、今日のパブリックコメントの中で、まさしくいろいろご意見が出ておるところでございますので、それを踏まえて検討していくということでございます。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
ただいま資料4に基づきまして説明をいただきましたけれども、ご質問、ご意見等ございましたら、お願いいたします。
まず、梶井委員、お願いします。
【梶井委員】 少し細かいことになるんですけれども、インベントリーのところで、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。
インベントリーは、どこからどのぐらい発生するかという情報を提供するものなんですけれども、大気の研究者の立場から申しますと、どこからどのぐらい出るのと同じように、どこにどのぐらい沈着していくかというのが、実は物すごく大事な情報だと考えておりまして、つまり何をするかというと、結局そのモデルを使って、どこに運ばれていって、どこに沈着したかということが、多分非常に重要な情報になるだろうと考えております。そのような観点から申しますと、発生源の中の大気濃度の観測だけではなくて、やはり環境大気中の濃度を測定するという、業務になってしまうかもしれませんけれども、ある程度の場所に、1カ所だけじゃなくて、ある程度の場所においてそういうことをやった上で、インベントリーの正確さの担保ですとか、あるいはその問題点の洗い出しとか、そういうことを、普通は発生源のインベントリーの調査といったときには、環境中の観測というのはセットにして考えるということで、私たちはちょっと研究してきているものですから、可能であれば、そういうことも考慮に入れていただけたらうれしいと思って、ちょっと発言しました。
以上です。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
これは先ほど、貴田委員からお話がありましたように、自然からできたバイオマスとか、そういったものでも水銀が含まれる。それはなぜかというと、結局、発生したものが何らかの形で沈着をしていく。そして、最終的には、多くのものは海へ行くから、いろんな問題が起こっているわけですけども、その一方、まだ植物やなんかについたものは、燃やしたときにまた出てくる。そういう意味で、全体の、先ほど別のところで水銀のライフサイクルもきちんと考えてやっていくべきだというようなお話がございましたが、それに関連するようなお話かなというふうに思います。
そちらで何かありますか。
【是澤大気環境課長】 ご意見ありがとうございました。おっしゃるとおり、環境中の環境モニタリングというのも、もちろん大変重要で、引き続き実施していかなければならないというふうに認識をしております。これにつきましては、大気中の水銀濃度につきましては、今、都道府県による常時監視の一環として、PRTR情報なども活用しながら実施しているところでございますし、また、形態等も含めたモニタリングにつきましては、環境保健部のほうでも実施をいたしております。それらの情報をいかにインベントリーと連携させながら、セットにしながら検討を進めていくかというところが、なかなかいろいろ難しい検討課題などもあろうかと思いますけども、できる限りそういったことも考慮に入れて、実施をしていきたいと思っております。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
高岡委員、お願いいたします。
【高岡委員】 来年度、早期に実態調査をなされるということですが、本日の回答案にも、たくさんのことを勘案して、いろいろなものを調べていくということをおっしゃられました。やはりこの実態調査が全ての基本になると思いますので、できる限り多くのところの調査をやっていただきたい。そのためには、ぜひとも予算措置というか、多くの施設の実態調査ができるように努力していっていただきたいと思います。これは環境省というよりは、別の部門との折衝になるのかもしれませんが、ぜひとも、やるからには、しっかりと基準を決められるようなものにしていっていただきたいと思います。
以上です。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょう。
中杉委員。
【中杉委員】 実態調査の話なんですが、これは非常に難しいのは、私、先ほど申し上げた、ばらつきが大きいというのは、このばらつきが何で出てくるのかということを解明をしなきゃいけないんですね。そういう意味でいくと、1地点について、1時点の調査だけでは恐らく不十分で、これは業界のほうの協力を得ながら、実際にそこがどうして高いのかというところも踏まえて理解できるような形にしないと、単に測定結果だけで使って基準を設けると、その場限りに得られたもので誤って判断をすることになると思いますので、実態調査というのは、そういうふうなことを解明することも含めて調査をしていただければと。そのためには、業界のほうで十分な協力をいただいて、調査を進めていただければというふうに思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
貴田委員、どうぞ。
【貴田委員】 来年度の実態調査に期待したいところで、追加して意見を述べさせていただきます。
やはりこのばらつきという観点から言えば、平均的な濃度は一体どうやって決められるのかと。一日平均なのか、それは一年平均なのかというようなこともありますので、ぜひとも、連続測定と、それからバッチ測定を並行して比較できるような形で、できるだけ、そのばらつきのあるような施設については、十分とは言えないかもしれないですが、答えが出るような形で調査をしていただきたいと思います。
あと、1点、インベントリーに関してなんですけれども、これは答申案の中に書かれているわけではないんですが、1%、1%という言葉が随所に出てきます。今の現時点というか、平成20年度辺りでいえば1%なのですが、過去には、30年前ぐらいには、1割近くといいますか、200トン近く出ていたのではないかというような推定というか、過去の報告値もあるわけです。その後、水銀フリー製品、あるいは、減量の観点からも低濃度のものが使われるようになって、今の20トン前後という数値になっているんではないかと思うんですが、過去の数値という、推定値になりますけれども、そういうものが推定できないだろうかと。それとともに、例えば途上国で、今、水銀含有製品というか、電池とかもいっぱいあるわけなんですが、そういうところを水銀フリーにしたらどれだけ減るのかということも含めて、日本がやってきた、何と言うんですかね、水銀低減化、結果として低減化してきたことの意味づけというか、数値的なものが出るのではないかと。ただ、過去のことを出すのは、非常にやりたくないというところもあろうかと思うんですけれども、そういうことができないかと、これは一つのお願いということでありますけど、ご検討いただければというふうに思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
今の点は、地球全体で問題になっているのは、これまで排出した積分値が問題になっていると。そういうことをまさにおっしゃっていただいたんだと思いますけれども、そういったことを、今度は、過去に日本でやってきたさまざまな大気汚染対策の中で、どのように水銀が減っていったかとか、そういったことを示すことによって、これから発展途上国とか、そういったところで、より効果的な対策がとれるような情報があれば、そういうものを整理していくことも重要ではないかと、そういうご指摘かと思います。ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
守富委員、お願いします。
【守富委員】 一つだけ、ありがとうございます。インベントリーに関してですけれども、先ほどからライフサイクルの話も出ているかと思うんですけども、いわゆるマテリアルフローのほうの当然大気への排出を止めた分だけ必ずどこかに回るわけですから、その分のマテリアルフローのほうの精度も、別途、別の部会等でも進められているとは思うんですけれども、その辺の整合性がきちんととれるような、マテリアルフローを踏まえた上での大気への排出インベントリーというのが出てくるわけですから、そこのマテリアルフローのところをもう少し精度を確実にしていく、調査をきちっとしていくというところが重要ではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 今の点も関連しますし、先ほど浅野先生がおっしゃったこととも関係するんですけども、全体的に総合的にやっていく必要があるということがあると思いますので、今ここで、大気との関係だけでの話にとどまらないので、ちょっと恐縮ですが、水のほうのインベントリー、もちろん条約上必要なので、水のほうで多分扱うんだろうと思いますけど、全体のマテリアルフローということを考えて、ぜひご検討いただけるとありがたいと思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
まさに水銀そのもののライフサイクルを全体考え、そして、かつ、それぞれの発生源のところでは、水銀の含有率が、例えばどれだけある燃料を使ったら、どれだけ大気に排出されて、どれだけ固定されたかという形で、マテリアルバランスがとれているような形になっていれば、その数値は信頼していいけれども、その測定値が大きく動いていたときに、固定されているのがこれだけ、平均をとったらどれだけという話だけではなく、もう少し精度をまさに上げていかなければいけないというようなこと、そして、地球全体における水銀のライフサイクル、それを考えた形でやっていくような情報を整理していく必要があるということだと思います。ありがとうございました。
浅野委員、どうぞ。
【浅野委員】 今日は、高澤委員が欠席しておられることは、大変残念ですが、実態調査については、本当に今後の基準を合理的なものにしていくために必要でありますので、関係する業界全部が協力してくださらないといけない。ぜひ、経団連を通じて、協力をするようにということを言っていただかないといけないなと思ったんですね。きちんとした実情の把握がありませんと、変に厳しい基準になってみたり、妙に緩やかな基準になってしまったり、それでは困ると思うんですね。やっぱり事実は事実として、はっきりさせるということには嫌がらずに協力していただかないと、かえって不幸なことになると思います。本日は、傍聴席にもたくさん産業界の関係者が座っておられますので、それぞれの業界へお持ち帰りいただいて、今回のこの調査には全面的に協力をするようにということをぜひおつたえくださるようにお願いしたいと思います。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
今のお話は、VOCの規制をやったときに、まさに業界から相当数のワーキングの委員の方においでいただいて、そして、実態を調べながら、それに即した形で考えていったというような経緯もございます。そういう意味で、今後も、ぜひ業界の皆様には、実態調査、それからいろんな規制値を決めるようなところでも、ご協力をいただく場があるのではないかと思いますので、ぜひその点もよろしくお願いいたします。
そのほか、いかがでございましょう。よろしいでしょうか。
どうぞ、崎田委員。
【崎田委員】 ありがとうございます。
先ほど、貴田委員から、過去の数字とか、そういうものも把握しながらという話がありました。そのときにも少しおっしゃっていましたけれども、過去のところからどう改善したかといういろいろな取組に関するいわゆる事例、いい事例をやはりアジアに発信するとか、そういうことが、今後すごく大事になってくると思いますので、こういう基準づくりと相まって、そういう事例の収集、発信ということもきちんと取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
【坂本委員長】 ありがとうございます。
今のお話は、多分地球環境サミットのときでしょうか、日本がいかに大気汚染対策をとっていったかというようなものを、資料、たしか英文でつくって出していると思いますけど、そういった形の努力をしていくことによって、より発展途上国で、自らそういったものを参考にしてやっていけるような状況をつくり得るということはあろうかと思います。非常に重要なお話かと思います。ありがとうございました。
そのほか、いかがでございましょう。よろしいでしょうか、ここにつきましては。
(なし)
【坂本委員長】 そういたしましたら、少し時間がございますので、全体を通して、既に全体的なところでご意見等を伺ってございますけれども、何か全体を通しまして、ご意見、質問がございましたら、名札を立てていただければと思います。いかがでございましょう。
稲垣委員、お願いいたします。
【稲垣委員】 今回、大変うまくまとめていただきましたが、特にパブリックコメントについては、大変いい意見や、参考になる意見がたくさん出ていると思います。ぜひ、今後の検討に当たっては、これらの意見を踏まえきちっと対応していただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【早水審議官】 1点、今、崎田委員からご指摘のあった点でありますが、私自身、条約交渉に参加してきた立場で若干補足をいたしますと、これまでの条約交渉の中で、日本の経験とか、あるいはそういった対策技術につきまして、環境保健部のほうで冊子をまとめて、国連公用語の全ての言語に翻訳をして、配布をしております。それから、たしかアジア太平洋地域の地域会合の中で産業界の方に来ていただいて、ちょっとしたワークショップといいますか、説明する場を設けたりもしております。
もちろん、これまでそういうことをしてきたということでありますけれども、今後、さらに引き続きやっていかなくてはいけません。大気への排出の削減についても、日本の技術は当然途上国に役に立つということでありますので、私どもは大気の排出関係ですが、ほかの水銀代替製品とか、あるいは低減化技術関係などは、環境省だけでなく、他の省庁、あるいは産業界、いろんな立場で発信していく必要があると思いますので、連携してやっていきたいと思っております。
【坂本委員長】 ありがとうございました。
そのほか、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【坂本委員長】 それでは、本日の議題は以上でございますが、その他、事務局からありますでしょうか。
【是澤大気環境課長】 それでは、最後に、三好水・大気環境局長よりご挨拶申し上げます。
【三好局長】 水・大気環境局長の三好でございます。本日は、別の会議が入っておりまして、冒頭、遅参いたしまして、大変失礼いたしました。
答申案の取りまとめをいただきまして、ありがとうございました。御礼を申し上げます。計8回、この会合を開いていただきまして、活発なご議論をいただきまして、大変ありがとうございました。先ほど、若干スケジュールも申し上げましたけれども、早期に条約を締結するということで、8カ月という短期間でご審議をいただきまして、スケジュールの調整等で大変ご無理なことをお願いしたと思います。改めてその点につきましても、感謝を申し上げます。まず、この答申に沿いまして、所要の法整備を講じていくということがございます。この通常国会に提出をいたしまして、答申を踏まえた大気排出規制制度を構築していきたいというふうに考えております。
それから、今日のご議論の後半にございましたように、実質的には、今後の検討課題が、それぞれ具体的にどういう規制になるのか、あるいは、国際的にもどういう発信ができるのかということについても重要事項でございます。今日のご議論もそうでございますけれども、また今後、個別に格別のご指導をお願いできればというふうに考えております。
簡単でございますけれども、私からの御礼とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
【是澤大気環境課長】 なお、本日の議事録につきましては、各委員にご確認をいただいた上で公開することとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【坂本委員長】 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。