水銀大気排出対策小委員会(第1回) 議事録

日時

平成26年5月30日(火)10:00~12:00

場所

イイノホール&イイノカンファレンスセンター Room B1+B2

議事次第

1.開会

2.議事

  1. (1)水銀大気排出対策小委員会の設置について
  2. (2)水銀に関する水俣条約について
  3. (3)我が国における関連制度について
  4. (4)水銀に係る大気排出インベントリーについて
  5. (5)関係団体等に対するヒアリングについて
  6. (6)次回以降のスケジュールについて
  7. (7)その他

3.閉会

配付資料一覧

資料

資料1-1 委員名簿

資料1-2 水銀大気排出対策小委員会の設置について

資料1-3 中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について

資料2-1 水銀に関する国内外の状況

資料2-2 「水銀に関する水俣条約」の概要

資料2-3 水銀に関する水俣条約第8条(排出)について

資料3-1 現行大気汚染防止法における各規制制度の概要

資料3-2 現行の大気汚染対策における水銀に取扱い

資料4 水銀に係る大気排出インベントリーについて

資料5 関係団体等に対するヒアリングについて

資料6 次回以降のスケジュール(案)

参考資料

参考資料1 水銀に関する国内外の状況等について

参考資料2 「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について」(中央環境審議会答申(第七次)平成15年7月31日付け中央環境審議会)

議事録

午前10時00分 開会

【難波大気環境課長】 定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第1回水銀大気排出対策小委員会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただきまして、大変ありがとうございます。私は、本日の司会を務めさせていただきます環境省の大気環境課長、難波と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本委員会につきましては、先月18日に開催されました第5回大気・騒音振動部会において設置が了承され、その際、委員及び委員長につきましては、部会長一任とさせていただいたところでございます。坂本部会長との相談の結果、後ほどご紹介させていただきます20名の皆様を委員としてお迎えし、また、委員長には坂本部会長ご自身にご就任いただくこととさせていただいております。

 お手元の配付資料でございますけれども、議事次第に配付資料一覧を記載してございます。資料の不足等がございましたら事務局にお申しつけください。

 なお、ピンクのファイルに、水俣条約の仮訳、原文、大気汚染防止法を綴じてございます。こちらの資料は、机上資料とさせていただきますので、小委員会終了後、回収させていただきます。

 すみません、座って失礼いたします。

 続きまして、この度、本委員会にご参画いただくことになりました委員長及び委員の皆様方をご紹介させていただきます。

 まず、委員長には、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項の規定に基づき、坂本部会長ご自身のご指名により、坂本委員にご就任いただくことになりました。

 坂本委員長、ご挨拶をお願いいたします。

【坂本委員長】 ただいまご紹介にあずかりました、埼玉県環境科学国際センターの坂本でございます。水銀大気排出抑制小委員会の委員長就任に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 昨年10月に採択された水銀に関する水俣条約については、本年3月に環境大臣から、中央環境審議会に水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策について諮問があり、そのうちの水銀大気排出対策部分につきましては、本小委員会の親部会でございます大気・騒音振動部会に付議されたところでございます。大気排出分野以外の対策につきましても、環境保健部会及び循環型社会部会の下で、本小委員会と並行して検討がなされる予定でございます。本委員会では、水俣条約批准に向けて、今後の水銀の大気排出対策のあり方、具体的には、条約第8条で求められてございますBAT/BEP、利用可能な最良の技術、それから、環境のための最良の慣行と訳しましょうか、こういったものの利用、義務づけの方法等についてご議論をいただくということになります。水俣条約批准に向けて、よりよい対策のあり方を示すべく、委員の皆様方にはご協力いただきながら本小委員会を進めてまいりたいと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

【難波大気環境課長】 どうもありがとうございました。

 続きまして、本小委員会の委員にご就任いただきました皆様を、資料1-1に基づき、名簿に沿ってご紹介をさせていただきます。

 浅野委員でございます。

 阿部委員でございます。

 指宿委員でございます。

 稲垣委員でございます。

 大塚委員からは、本日ご欠席のご連絡をいただいております。

 梶井委員でございます。

 片谷委員からは、本日ご欠席のご連絡をいただいております。

 貴田委員でございます。

 坂本委員長は、先ほどご挨拶をいただきました。

 崎田委員でございます。

 高岡委員でございます。

 高澤委員でございます。

 武林委員でございます。

 辰巳委員でございます。

 中杉委員でございます。

 永田委員でございます。

 中村委員でございます。

 増沢委員でございます。

 守富委員でございます。

 若松委員でございます。

 ありがとうございました。

 ここで、本日の出席の状況でございますけれども、委員総数20名のうち、現時点では18名の委員の方にご出席をいただいておりますので、定足数である過半数に達していることをご報告させていただきます。

 続きまして、本小委員会の事務局を務めます環境省からの出席者を紹介いたします。

 水・大気環境局長の小林でございますけれども、遅れて到着の予定でございます。

 奥主審議官でございます。

 真先総務課長でございます。

 髙林補佐でございます。

 長浜補佐でございます。

 マスコミの方におかれましては、恐縮でございますが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力をお願いいたします。

 それでは、これ以降の進行につきましては、坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 それでは、議事を進めさせていただきたいと思いますけれども、今回が第1回目の開催となります大気・騒音振動部会の水銀大気排出対策小委員会でございますけれども、ここでは、先ほど申し上げましたように、昨年10月の外交会議で採択された「水銀に関する水俣条約」を踏まえ、今後の水銀の大気排出対策について、必要な検討を行ってまいる会議でございます。本日は、水銀に関する水俣条約の概要、その他関連制度について事務局より説明いただいた後、今後の本小委員会の進め方につきましてご議論いただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入りますが、議題1、水銀大気排出対策小委員会の設置についてです。

 事務局から説明をお願いします。

【長浜大気環境課課長補佐】 事務局でございます。座ってご説明させていただきます。

 1枚めくっていただきまして、資料1-1、先ほどご覧いただきましたとおり、委員の名簿でございます。総勢20名の方にご参画いただいております。

 続いて、資料1-2でございますけれども、こちらは、先日4月18日に、中央環境審議会大気・騒音振動部会(第5回)にお配りした資料でございます。水俣条約を踏まえた今後の水銀の大気排出対策について必要な検討をいただくということで、本小委員会の設置について了承されたところでございます。

 続いて、環境大臣からの中央環境審議会への諮問、それから、中央環境審議会から部会への付議ということで参考までに添付してございます。

 続きまして、資料1-3ですけれども、こちらも同じ4月18日の部会にてご了解いただきました資料でございます。小委員会の運営方針について記載してございます。こちらは、後ほどご確認いただければと思います。

 以上で、資料1についてのご説明を終了させていただきます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいまご説明をいただきましたものにつきまして、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、議題の2でございますが、水銀に関する水俣条約についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

【長浜大気環境課課長補佐】 では、資料2-1、2-2、2-3に基づき、ご説明申し上げます。

 まず、資料2-1をご覧ください。水銀に関する国内外の状況についてですけれども、本資料は、大気、保健、循環の3部会共通で使用する資料として準備したものでございますので、この小委員会には比較的関係の薄い内容も含まれております。以下、この小委員会に関係の深い内容に重点を置きつつご説明させていただきます。

 資料をめくっていただきまして、初めに、水銀の特性と健康リスクということで、一般事項についてご説明申し上げます。水銀は、一般に長距離移動性、環境中の残留性、生物蓄積性が高く、神経系への毒性等有害性を有しているとされております。また、国連環境計画(UNEP)は、2013年に取りまとめた報告書、こちらGlobal Mercury Assessmentの中で、北極圏の動物中の水銀濃度の経年変化から、人為的に排出された水銀による汚染が示唆されると報告しております。左下に、この報告の中で掲載されている動物に取り込まれた水銀濃度の経年変化についての図を抜粋してございます。19世紀の工業化以降、海洋動物中の水銀濃度が上昇しており、人為的排出による海洋生物への水銀の蓄積を示すものとして報告されてございます。このように海洋生物への水銀の蓄積が懸念されることが世界的な取組により人為的排出をできる限り削減していこうという水俣条約の発端となった一つの要因でございます。

 一方で、日本における一般環境中の水銀濃度のモニタリング結果でございますけれども、こちら右下の表にまとめてございます。環境基準等を達成するレベルでございまして、大気については、指針値を超過する地点はなく、公共用水域においても概ね基準値をクリアしてございます。

 続いて、また1枚めくっていただきまして、次に、UNEPが2002年に人への影響や汚染実態をまとめた報告書の概要を記載しております。水銀は、さまざまな排出源からさまざまな形態で環境へ排出され、分解されず、全世界を循環すること。中でもメチル水銀というのは、生物へ蓄積しやすく、人への毒性が強いこと。発達中の神経系が最も脆弱であるということ。それから、食物連鎖により濃縮され、野生生物へも影響するということ。それから、先進国では使用量が減少しているものの、途上国では依然利用されており、リスクが高いということ。自然発生源もあるが、人為的排出が大気中の水銀濃度や堆積速度を高めている。ということで、世界的な取組により、人為的な排出の削減・根絶が必要であると報告されてございます。

 次に、地球規模の水銀循環でございますけれども、こちらもUNEPの報告によりますと、大気へ排出された水銀というのが長くても1年程度大気へとどまった後、土壌、淡水、海洋へ移動すると推計されております。海洋へ移動した水銀は、再び大気へ再放出されたり、堆積物として沈着したり、海洋生物に取り込まれたりするものもございます。なお、海洋で堆積物として取り込まれた水銀というのは数世紀とどまるとの推計もございまして、一度、水銀が環境へ排出されると堆積物に取り込まれて、長い間、水銀循環から外れるものがございますけれども、それらもやがて環境へ再放出されるということを考えますと、大気環境間で循環しつつ、生物にメチル水銀の形で取り込まれるという水銀の循環があると報告されてございます。

 また、排出量についてですけれども、大気・河川等、開放系への環境中へ排出される水銀は年間5,500tから8,900t程度、そのうち人為的に直接排出されるもの、こちら通常では赤色の矢印でございますけれども、こちらが30%程度、黄色の矢印が自然由来のものを記載してございます。自然由来のものが10%程度。残り、こちら、しましまの矢印でございますけれども、残りは60%、これは一旦、土壌や海洋等に取り込まれたものの再放出と推計されております。

 なお、人為的に直接排出される量の90%以上が大気への排出と推計されております。また、再放出の大部分がもともと人為的な排出に起因すると推計されていることから、人為的排出の削減は、将来的に環境中を循環する水銀量を削減するために極めて重要であるとされております。なお、人為的に直接排出される量の90%以上が大気への排出と推計されておりますので、大気への排出対策が極めて重要であることがわかります。

 続いて、世界の水銀利用の実態でございますけれども、利用量は年間3,800t程度。近年、横ばいまたは減少傾向にございます。依然として、零細小規模金採掘、塩ビモノマー製造等で使用されている状況でございます。

 次に、国際流通についてでございますけれども、2004年には、EU、旧ソ連地域、アメリカを始め、さまざまな国から世界中に輸出されてございましたが、EUは2011年から金属水銀と金属化合物の輸出、アメリカは2013年から金属水銀の輸出を原則禁止しております。金属水銀の貿易フロー図は、EU、アメリカの輸出禁止前のものでございまして、現在のフローはございませんけれども、この辺から激変しているものと思われます。左下の図表に日米欧の金属水銀の輸出量の推移を記載してございます。右の表には、2012年の主な国の輸出量を載せてございます。2012年の日本の輸出量は世界第10位でございました。

 続きまして、日本における水銀の収支でございますけれども、こちらは2010年度ベースでマテリアルフローでございます。日本に持ち込まれる水銀の大半というのが石炭等の輸入原材料に含まれた形で流入しており、これが国内で回収・利用された後に、最終的に年間12~22t程度が環境中に排出されており、その内訳のほとんどは大気への排出であると見込んでおります。

 続きまして、日本における水銀利用についてですけれども、水銀の需要というのは、1964年をピークに急激に減少しております。これはもう、事業者の水銀を使用しない製品や工法の開発の努力によるものでございます。

 続きまして、世界における水銀の大気排出量でございますけれども、左の円グラフにございますように、全世界の排出量は年間1,960t程度と見込んでおります。排出量の約半分はアジアからの排出となっておりまして、この円グラフのバックデータを見てみますと、中国が約600t程度と全体の約30%を占めてございます。最大の排出国となっておりまして、続いて、インドが150t程度と全体の約10%、インドネシアで70t程度と推計されてございます。日本の排出量は約20t程度ですので、世界全体で見た割合としては1%程度であると見込んでおります。

 続いて、排出源別ですけれども、零細小規模金採掘及び化石燃料の燃焼によるものが全体の6割を占めると推計されてございます。非鉄金属生産、セメント精製、廃棄物と続き、条約上では世界的な視点から見て、5%以上占めるカテゴリーについて規制しようということになりました。

 一方、日本における施設種類ごとの大気排出状況でございますけれども、こちらの表は、環境省が2010年度ベースで作成・公表したものを2013年に一部更新した資料でございます。上から、石炭火力発電所が0.83~1t程度、石炭焚きボイラーが0.21t程度、非鉄金属製造施設が0.94程度、廃棄物焼却施設が2.2~6.9t程度、セメント製造施設が5.3t程度となっております。ここまでが水俣条約で排出規制が義務づけられている施設でございます。日本では、セメント製造施設、廃棄物焼却施設で、鉄鋼製造施設、こちら表ではセメント製造施設の直下にございますけれども、こちらの排出量、年間4.1tと見積もってございます。この三つの施設からの排出が全体の約半分を占めているという状況でございます。

 続きまして、日本の水銀対策の概要ということで、日本では、水俣病という甚大な公害の経験を教訓に、行政機関、産業界、市民がそれぞれの役割を担いながら、一体となって水銀対策に取り組んでまいりました。事業者様の努力により、水銀添加製品における水銀フリー化または水銀含有量の低減の取組が進められております。

 次、11ポツの国内の製造のところでございますけど、また、製造工程においても、水銀を使用しない製法へ転換が完了してございます。

 続いて、12ポツのところでございますけれども、繰り返しになりますが、日本における環境基準・排出基準等としまして、基準等の概要とモニタリング結果を表にまとめてございます。一般環境における水銀濃度というのは概ね基準値をクリアしてございます。

 続きまして、日本における水銀廃棄物についてでございますけれども、廃棄物処理法で規制されており、多くは回収・再生処理されて、金属水銀として取引されてございます。水銀を含む廃棄物の一部については、遮断型または管理型で最終処分されてございます。

 最後に、14ポツのところでございますけれども、条約内容と日本における水銀対策等の現状といたしまして表にまとめてございます。ご参考までに、後ほどご一読いただければと思います。大気排出に関わる部分、8条の部分でございますけれども、こちらにつきましては、本日この後の資料でさらに詳しくご説明させていただきます。

 資料2-1については以上でございます。

【髙林総務課課長補佐】 続きまして、私のほうから資料2-2と資料2-3につきましてご説明をさせていただきます。

 資料2-2、「水銀に関する水俣条約」の概要ということでございまして、採択までの経緯、発効に向けた状況と条約の概要について、この資料でご説明させていただきます。

 まず、経緯でございますが、2001年に国連環境計画(UNEP)のほうが地球規模の水銀汚染に係る活動を開始するといったアクションがございまして、以降、国際的な交渉を続けてまいりまして、間ちょっとはしょらせていただきますが、昨年の秋、2013年10月に「水銀に関する水俣条約外交会議」を熊本県で開催いたしまして、この場でこの条約の全会一致の採択を見たということでございます。

 発効に向けた状況でございますが、50カ国の締結後90日で発効ということになってございまして、UNEPの事務局といたしましては、昨年10月の外交会議の際に2年から3年以内の条約発効を目指したいといった発言がございました。現在でございますけれども、この紙では署名97カ国・地域となってございますが、5月27日にセーシェルが新たに署名したということでございまして、本日時点で98カ国と地域ということになってございます。また、締結まで至っておりますのは米国1国という状況でございます。

 1ページおめくりいただきまして、条約の概要でございます。前文のところで、長距離移動性、残留性、生物蓄積性並びに人の健康及び環境への重大な悪影響のため、水銀が世界的に懸念のある物質であるということを認識した上で、第1条、目的のところでございますが、水銀及び水銀化合物の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護することを目的とするといった条約でございます。

 条約の中身といたしましては、3ポツ以降で書かれておりますが、水銀という物質に着目いたしまして、それの採掘から最終的な処分あるいは水銀で汚染されてしまった土地をどうするかといったところまでは、いわば一気通貫で措置をとる条約というふうになっております。簡単にご紹介させていただきますと、3ポツのところで水銀の供給源ということで、一次採掘の規制をし、また、4ポツのところで国際貿易、輸出・輸入の規制をするという形になってございます。

 また、3ページ目のほうに行きまして、水銀を添加物として使用する製品の制限、また、触媒等という形で、水銀を製造工程で使用する場合の制限、また、これは途上国中心に行われているものですが、零細及び小規模の金の採掘を抑えていこうといったことが7条に書かれてございます。

 第8条が大気への排出ということでございまして、この条がこの小委員会でご議論いただく中心になってまいります。第8条につきましては、資料2-3で改めて詳しくご説明させていただきます。

 1ページおめくりいただきまして、第9条は土壌・水への放出ということでございます。

 一つ飛ばしまして、11条が水銀廃棄物の取扱いについての規制でございまして、戻りまして10条のほうは、その廃棄物ではないんですけれども、しばらく保管すると、暫定的に保管するといったものの保管の仕方についての取り決めでございます。

 12条は、いわゆる土壌汚染と水銀で汚染された場所を特定し、また、どのような形で危険を取り除いていくかといった規制でございます。

 規制的なものは12条まででございまして、以降、資金援助、技術援助が13条、14条で書かれておりましたり、また、16条から19条のところでは、研究、教育あるいは監視といったところでの各国の協力ということがうたわれております。例えば19条、この資料で申しますと14ポツの四つ目のポツ、一番下のポツでございますが、各締約国の事情及び能力を考慮して、大気排出等の目録、インベントリーの策定、人や環境中の水銀及び水銀化合物の濃度に関する数理的モデル化や監視、水銀及び水銀化合物が人の健康や環境に与える影響の評価等の実施・改善について協力するということで、規制だけではなくて、水銀対策の周辺といいますか、周りにありますいろいろな研究・監視・開発についても協力して行っていきましょうといった内容でございます。

 また、15ポツの実施計画(第20条)でございますけれども、締約国は、条約の義務を履行するための実施計画を作成し、実施することができるという形になってございます。

 17ポツ、その他のところで、繰り返しになりますが、この条約は50カ国が批准してから90日後に発効するということでございます。

 続きまして、資料2-3のご説明をさせていただきます。第8条といたしまして、この条についてご説明をさせていただきます。この資料の濃い直線の四角の中が第8条、各項の―仮訳でございますが―原文となっております。

 まず、第1項、8条の趣旨ということでございまして、この条でもって水銀の大気への排出を規制していくんだということが書かれてございます。その際に一つございますのは、附属書Dに掲げる発生源、これを対象にしていくんだというふうに述べられておりまして、その四角の下に書かせていただいておりますが、附属書Dでは、具体的には石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属製造に用いられる製錬及びばい焼の工程、廃棄物の焼却施設、セメントクリンカーの製造設備、この5種類が掲げられているところでございます。

 第2項、定義規定ということで、それぞれの詳しいご説明はちょっと割愛させていただきますが、1カ所、(b)のところでございまして、「関係する発生源」というのが先ほど申しました五つでございますけれども、この五つの発生源を全て網羅しないといけないということではなくて、それぞれの分類からの排出量の、少なくとも75%を規制の対象にしなさいといったことが書かれてございます。

 1ページおめくりいただきまして、2ページの一番上、第3項でございます。排出管理及び国家排出管理計画ということでございまして、各発生源を有する締約国は、排出を規制するための措置をとるものとし、当該措置並びに期待される対象、目標及び結果を定める自国の計画を作成することができると。これは条約でいうところの、いわゆるshallではなくてmayの規定でございますが、計画を作成することができるということが述べられております。また、先ほど2-2のほうでご紹介させていただきました第20条に基づく実施計画のほうに、この8条3項の内容を含めることもできるということで書かれてございます。

 第4項の新規発生源へのBAT/BEP適用、こちらがこの第8条の一番肝といいますか、コアになる項かと思いますが、各締約国は、新規に設置する発生源に関しまして排出を規制すると。また、その規制の仕方に当たりましては、四角の中の3行目でございますが、「利用可能な最良の技術」、Best Available Techniques、BATと申しております、及び「環境のための最良の慣行」、Best Environmental Practices、BEPと申しておりますが、このBAT及びBEPの利用を義務づけると。また、その義務づけの仕方でございますけれども、締約国は、そのBATの適用に適合する排出限度値、値(あたい)でもって規制といいますか、利用を義務づけるということもできますというふうに書かれております。

 BAT及びBEPの定義につきましては、この8条の中ではなくて、第2条に、この条約全体の定義規定が書かれておりますが、その中で書かれております。少し簡単にだけご紹介させていただきますと、第2条、定義規定の(b)で、「利用可能な最良の技術」の定義がございまして、一の締約国または当該締約国の領域にある一の設備に対する経済的及び技術的考慮を払いつつ、水銀の大気への排出、また、水・土壌もそうですけれども、環境に対する影響を全般的に防止し、またはこれが実行可能でない場合には、当該排出及び放出を削減するための最も効果的な技術といった形で定義をされてございます。

 右ページに移りまして、ちなみに、点線のこの四角の下の丸、「米国及びEU各国」というところでございますが、これらにおきましては、既に水銀の大気排出に係る規制制度が設けられておりまして、それらはBATの考え方を織り込んだものですよと、両国といいますか、両国、両地域でされておりますけれども、いずれにおきましても、特定のこの技術を導入しなさいという形で義務づけるものではなくて、技術を想定しつつも、最終的にはBATの適用に適合する排出限度値、値、valueでもって、それを規制当局が設定して、その遵守を事業者に求めるというような形式となってございます。

 第5項、第6項、既存発生源に対する措置ということでございまして、新規と既存で書き分けられてございまして、既存につきましては、5項の(a)から(e)までで書かれております措置のうち、一または二以上の措置を、自国の事情を鑑みて導入しなさいといったことでございます。

 第7項、排出目録(インベントリー)の作成ということでございまして、締約国は、発効から5年以内に、関係する発生源からの排出に関する目録、インベントリーを作成し、その後は維持していくというのがございます。

 8項、9項、10項で、手引(ガイダンス)に関して書かれてございます。この8条で、基本的なことは書かれておりますが、より詳細なことにつきましては、締約国会議でガイダンスを定めていこうということになってございます。ガイダンスにつきましては、四つのものを定めるということが規定されておりますが、例えば8項の(a)は、利用可能な最良の技術及び環境のための最良の慣行、BAT/BEPに関する手引というものでございます。あるいは、9項の(b)のところでは、例えばインベントリーの作成方法に関する手引というようなものがございます。

 ちなみに、現在、このガイダンスでございますが、最終的には締約国会議で採択されるということになってございますけれども、現在、「大気排出に関する技術専門家会合」が設けられておりまして、各国の専門家による議論が行われているところでございます。専門家のお一人といたしまして、我が国からは、この小委員会にもご参画いただいております、守富委員がご参加されております。

 ちなみに、現在の状況といたしましては、第1回目の会合が今年2月に開催されて、第2回目が9月に開催される予定と。また、その結果を踏まえまして、今年11月に開催される予定の政府間交渉会議(INC6)におきまして、先ほどのBAT/BEPに関するガイドラインについては暫定採択を目指すというふうに伺っております。

 以上、資料2-2と2-3の説明、終わらせていただきます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいま、資料2-1、2-2、2-3について説明をいただきましたけれども、小林局長が参りましたので、ご挨拶をいただいた後、皆様方からご意見を頂戴したいと思います。

 それでは、お願いいたします。

【小林水・大気環境局長】 水・大気環境局長の小林でございます。大変重要な会議に、よんどころない所用がございまして、遅参をいたしましたこと、お許しをいただければと思います。

 まず、この水銀大気排出対策小委員会、部会の重鎮の先生方、それから、この分野に明るい専門家の皆様方に幅広くお集まりをいただきまして、ご参画をお引き受けいただきましたこと、心から御礼を申し上げます。ぜひ充実した審議を賜りまして、いい形でこれをやっていきたいと、こう考えているところでございます。

 既に説明にも出ておりましたが、昨年10月、熊本県の水俣市におきまして、水銀に関する水俣条約、水俣という名前を冠した条約が採択をされたところであります。今、批准、署名の状況は、署名国が98、批准はまだ米国だけということでございますが、先ほどの説明にもありましたように、UNEPでは2、3年程度で発効を目指したいということであります。我が国が議長国を務めてまとめた条約でありますので、時期の面でもそうでございます。また、内容的にも国際協調も図られていくと思いますので、ぜひ日本がリーダシップも発揮できるような形でこれに臨んでいければというふうに考えているところでありまして、今の関係部署が協力をして、これを批准し、実施していくという作業に着手をしているというところでございます。

 我が国では、ご承知のとおりでありますが、水俣病という大きな教訓がございます。こういうこともありまして、河川や海への水銀の排出につきましては大変厳格な規制を行ってきたところでありますが、今回の条約では、ほかの課題とともに、大気中の水銀の国境を越える移動あるいは環境中での水銀の残留性に着目をして、大気への水銀排出についても、BAT/BEPなどの考え方を用いた規制をやっていくと、こういうことが求められているところでございます。世界全体での水銀排出削減を目指したこの国際的な要請を受けまして、我が国としても世界の取組をリードし、しっかりした対応をとっていくということで、条約の内容の国内制度化に取り組んでいく覚悟でございます。こうした中で、この3月に環境大臣から中央環境審議会に水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀対策についてということで、先ほどご紹介があったような諮問をさせていただいたところでございます。その大気排出部分につきまして、この小委員会で部会の付議も受けましてご審議を賜ると、こういうことでございます。今日以降、こんな形でしっかり審議を進めていかれるように、事務方としては努力をしてまいりますので、幅広い観点からご審議を賜りまして、方向性あるいは制度の骨格についてのお導きをいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

【坂本委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、資料の2-1、2-2、2-3、これにつきまして、ご質問、ご意見ございます方は名札を立てていただければと思います。

 それでは、まず、高岡委員、お願いいたします。

【高岡委員】 それでは、少し、大気そのものとは関係ないかもしれませんが、ちょっと質問させていただきます。資料の2-1で、7ページに水銀の国際流通というところがございますが、既にご説明があったように、EUは2011年から輸出を禁止しているということですが、この右側の表ですと、スペインが非常に大きな輸出量になっています。これはEU域内での輸出であるというふうに解釈していいかということが1点と、あと、その左下のアメリカが2013年から金属水銀だけではありますが輸出を禁止しております。それで、※がついておりまして、「水銀」と計上されていたものの相当量は「硫化物等」の誤りというふうに書かれておりますが、これは水銀硫化物が何らかの形で輸出されたということと考えてよろしいでしょうかという2点でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 事務局からお願いいたします。

【髙林総務課課長補佐】 すみません。本日、環境保健部のほうも来ておりますので、ちょっと、所管としましてはそちらになりますのでお答えしてもらいます。

【事務局】 後ろから失礼いたします。環境保健部の大井と申します。よろしくお願いします。

 ご質問2点あったかと思いますが、まず1点目の、そのスペインの輸出、スペイン以外にもEUの国が幾つか右側の表に上がっておりますけれども、この輸出は確認をしたところ、全て域内ということで、少なくともスペインについては域内ということでございます。

 それから、2点目の点ですけれども、ここは非常に難しいんですけれども、この359tという数字は、この表の出典にもございます国連のUN-Comtrade、国連の貿易統計に載っかっていた数字なんですけれども、このまさに量について、私どものほうでアメリカの環境保護庁に、規制が始まっているのにこんなに輸出量があるのは本当かと確認をしたところ、つい最近、※にあるような、実はこれは硫化物等が誤って計上されたものであるということで、アメリカの貿易統計の中ではそれは訂正されているということで、このウェブサイトの情報をいただいたところであります。確かにその確認をしたところ、水銀ではない、違う硫化物というコードになっているんですが、そのコードの解説を見ますと、必ずしも水銀硫化物だけでもない、いわゆる硫化物ということでありますので、ちょっとそこのところはよくわからないという状況でございます。

【高岡委員】 ありがとうございました。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。

【高岡委員】 はい。

【坂本委員長】 それでは、続きまして、永田委員、お願いします。

【永田委員】 私も2点ほどなんですが、資料は2-3でしょうか。最後にちょっとお話のあった、第11項の前の直前の丸の中で、先ほどガイダンスという話じゃなくて、ガイドラインという言い方もされていた。そのどちらなのかという話と同時に、この中身というのはある程度わかっているのかどうか。ちょっとその辺をお知らせいただければありがたいなと。

 それから、BATの話なんですけど、大分前にはなると思うんですけど、このBATが、Best Available Techniquesという格好になっていますが、ここは「Technology」だったという時代もあるわけですよね。それで、やっぱりこれ「Techniques」と変化したのは、さっきの説明にもありました。3ページの上のほうの「『技術』とは」という中身で、操業だとか維持・保全、それから廃止まで入っているということが非常に大きな特徴なんだと。ですから、施設なんかだと、建設当時にどういう技術を適用するかだけじゃなくて、それをどうやって運用していくのか。最終的に廃止までの対応を考えていくという話なんで、これ何か、しようがないのかもしれませんけど、「技術」って訳すと従来パターンのものと同じになっちゃうんですよね。Best Available Technologyと。何かもう少し違った印象を与えるような形で表現できないのかなと。これは、だからここだけじゃないのかもしれませんし、過去に何かやった例もあるのかもしれませんので、ちょっとその辺考えていただけるとありがたいなということです。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 事務局からお願いいたします。

【髙林総務課課長補佐】 1点目でございますが、ちょっと条約の経緯で「ガイドライン」を使われていた場面といいますか、あったかと思いますけれども、今、8条では「ガイダンス」というふうに記されております。この中身がどの程度かというのを、もしあれでしたら、守富先生からご紹介いただいてもよろしいでしょうか。すみません。

【坂本委員長】 じゃあ、守富委員からお願いいたします。

【守富委員】 すみません、守富でございます。

 一応、BATの議論というのは、今言われたように「Techniques」か「Technology」かという議論も、まだ相変わらず専門家会合の中でもまだ意見がいろいろありました。ただ、EUのほうであるだとか米国のほうは、たしか「Techniques」になっていたんじゃないかなと思うんですが、その辺のところも踏まえて、その辺の意見も出ておりました。

 それから、「ガイダンス」と「ガイドライン」のところも、「ガイドライン」というとある程度規制を設けるようなというのがあって、ここではあくまでも「ガイダンス」でいきますということが最初に宣告されたようないきさつもあります。

 それから、具体的なBATの状況ですけれども、第1回のオタワのほうで2月開催された段階では、簡単にご紹介いたしますと、一応、先ほど五つのセクターが指定されたわけですが、そのうちの石炭の、いわゆる発電ボイラー関係と、それから産業用ボイラーのところは同じ石炭なので一つにまとめてもいいんじゃないかということで進んだんですが、実際やってみると新設等々、いわゆる産業用ボイラーのほうですと、日本でもそうですけど、混焼が多いものですから、石炭専焼ということでもないものですから、1回まとめようとしたんですけども、最終的なドキュメントの作成段階でもまた分けるべきじゃないかとか、その辺の議論も出ています。一番重要なところは、やはり中国含めて一番排出量の多いところ、発展途上国のところで一番採用されやすいような技術。ですから、日本の最新の技術を持っていってしまうと、それはすぐ適用できるかということがありますので、その辺のところが今、議論のさなかにあって、具体的な事例といいますか、ケーススタディーを行った上で、9月の第2回目の専門家会合の中で、そのケーススタディーの幾つかを出しながら、それで議論していこうと。まだそのようなレベルです、今のところ。よろしいですかね。

【永田委員】 はい。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 引き続き。

【髙林総務課課長補佐】 すみません、2点目の「Technology」と「Techniques」の訳といいますか、「技術」と訳すことについてですけれども、一旦、外務省中心の仮訳で今こういう形でなっておりまして、最終的な訳はあれですけれども、この仮訳を直そうというようなのはちょっと手続的に、タイミング的に難しいかなと思うんですけれども、むしろ我々、これから国内制度をどうしていくかという議論になりますので、趣旨を十分踏まえながら、制度の中身についてご議論させていただければと思っております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、稲垣委員でしょうか。なるべく多くの方からご意見等をいただきたいと思いますので、簡潔にまとめてお願いをいたします。

【稲垣委員】 3点教えてください。まず、2-1の11ページ、ここに大気排出の条約対象と対象外がありますが、条約対象外のほうに鉄鋼製造施設ありますけれど、これは具体的には焼結炉か、高炉からは出ないと思いますが、高炉からのBFGを間接的に使うものから出てくるのかどうか、この点を教えてください。それで、あえてこの多い施設を外された理由というのはどういう状況なのかを教えていただければと思います。

 それと、2点目が、2-3の第4項のところに、「各条約国は、新規の発生源に関し」というふうに書いてありますが、既存のものは入らないのかどうか教えてください。この新規というのはどういう意味で書いてあるのかを教えてください。

 それと、最後、今、議論ございましたけれど、第10項のところのガイダンスの暫定採択、これと、この小委員会で今後議論するものとの関連性というのはどうなるのか、その辺を教えてください。

【坂本委員長】 事務局からお願いいたします。

【髙林総務課課長補佐】 すみません、一つ目が鉄鋼製造施設ですけれども、まず、入らなかった理由ということですが、先ほどちょっと長浜のほうからもご説明させていただきましたけれども、日本で見ると、ちょっとその順番が入れかわるんですけれども、世界で見たときには、資料2-1の10ページの円グラフがありまして、一番多いのが、いわゆる零細小規模金採掘ということでございますけれども、これは別途、第7項で規制しておりますが、それが、いわゆる大気汚染防止法的な大気排出で見ますと、化石燃料燃焼、非鉄金属というふうに続いていきまして、どこかで線を引くといいますか、ということがありますので、条約交渉の中で廃棄物の排出までということで線を引いたという経緯であるというふうに伺っております。ちょっと、実際に設備を見たときに、どこまでを石炭ボイラーとして、どこからを鉄鋼製造施設とするかというのは、ちょっとまだそこもガイダンスで話し合われるのかなというふうに認識しておりますが。

【稲垣委員】 ボイラーじゃなくて、焼結炉じゃないですか。鉄を焼成するときに石炭が入っていますけど、コークスなんかに、そういうものじゃないんですか。

【中村委員】 よろしいでしょうか。

【坂本委員長】 どうぞ。

【中村委員】 鉄連ですけれども、ここで出ている一次製鉄というのは、ほぼ9割近くは、ご指摘のとおり焼結からということです。この数字は、製鉄所というのは、というか鉄鋼業自体はボイラーとかを持っていますけれども、その分は入れていなくて、いわゆる鉄をつくる部分からの排出という数字で区切っております。

【稲垣委員】 世界全体でこんな低いのかなという気がしてならんのですが、世界全体には相当焼結炉があるんですけど、少ないなという気がしました。

【髙林総務課課長補佐】 すみません、新設、BAT/BEPを課しているのは新設のみといいますか、それで、5、6で既存の施設についての。それで、5項で(a)から(e)の中でどれか選びなさいということで、その中で、要は4項と同じようなものを既存に課すということも、もちろんそれはできるわけですけれども、5項のほうでその事情に合わせて選択的に選びなさいというようなことが書かれてございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。

【稲垣委員】 最後にもう一つ。

【坂本委員長】 どうぞ。

【稲垣委員】 暫定採択の10項はどうなるんですか。これを全部やるのか。

【髙林総務課課長補佐】 これも、もしかすると、後ほど守富先生に補っていただくほうがいいかもしれませんけれども、先生ともお話しさせていただいている中で、そのINC6で暫定採択ということではあるんですけれども、それがどこまで詰まったものができ上がるかどうかというのはまだなかなかわからない状況でもあると。また、一方で、当然この条約でもう採択されたもので制度の枠組みのようなものは決まっておりますので、まずは今年度、この小委員会でも大きな枠組みのようなところを中心にご議論を進めていければというふうに思っております。

【坂本委員長】 辰巳委員、お願いします。

【辰巳委員】 ありがとうございます。直接関係ないかもしれないんですけど、この水銀のフローの話をちょっと教えていただきたいと思って質問しました。資料2-1だったと思いますが、それの7ページと8ページについてですけれども、この貿易フローというのは古いものでしょうが、2012年に日本が69t輸出されていますがそれはどこにどういうふうに流れているのかというのが一つ知りたいということと、それから、その次の8ページなんですけれども、2010年度だから12年とは違うのかもしれませんが、このフローの中で、IN-PUTとしては85ぐらいですかね、計算ざっとしただけですが。それで、OUT-PUTがたくさんあって、その差は何処か市中で保有するという格好になっているのか、この辺りがわからないんですけれども、どういう数値が入っていないのか、市中保有とかに関しての、数値のバランスがよくわからないなというふうに思ったもので、わかる範囲で結構です。

【坂本委員長】 事務局からお願いします。

【髙林総務課課長補佐】 1点目のほうにつきましては、後ほど保健部のほうからお答えさせていただこうと思いますので、私から、まず2点目、8ページのほうについて、ちょっとお答えになるかどうかあれなんですけれども、入ってきたものが製品の中に取り込まれてとかいう形で、この一番下の市中保有という形でなりますので、単年度で見たときに、この入りと出が必ずしも同じになるとは限らないと。逆に言いますと、そのバッファの部分がその市中の中のどこかで何らかの形でため込まれているという形になります。

【辰巳委員】 こういうのは数値入らないんですね、じゃあ。

【髙林総務課課長補佐】 逆に言うと、引き算で見るしかないのかなと。

【辰巳委員】 そうすると、バランスをとったら、それでよろしいんですか。引き算で見て、バランスをとった数値と考えてよろしいんですか。

【髙林総務課課長補佐】 そうですね。

【辰巳委員】 こういうものなんですね、じゃあ。

【髙林総務課課長補佐】 はい。単年度で見ればですね。

【辰巳委員】 すみません、あまりこだわってもしようがないですね。わかりました。

【髙林総務課課長補佐】 すみません、1点目について。

【坂本委員長】 1点目につきましても、例えば今日これから今幾らかご質問、ご意見をいただくわけですが、次回、例えば資料でご説明するとか、そういったことでもよろしいでしょうか。

【辰巳委員】 はい、構わないです。

【坂本委員長】 今、この場で少し聞いておいたほうがいい、もしくは次のときに資料を用意いただくためのご意見等をいただいたほうがいいと思いますので、ちょっとそういう形で進めさせていただきたいと思います。

【事務局】 委員長、申し訳ありません。参考資料の1というのが、実はこの詳細な、昨年度、環境省のほうでいろいろ調査をしまして詳細な報告書になっております。その17ページをご覧いただくと、財務省の貿易統計から、我が国からの水銀の輸出量が、輸出先の国別に載っておりますのでご覧いただければと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 続きまして、崎田委員、お願いします。

【崎田委員】 ありがとうございます。先ほど、私が質問したいと思ったところとほぼ似たご質問が出ているんですが、今の日本の水銀の大気の排出状況の中で、条約対象外になっている鉄鋼製造施設のところが、実は非常に日本の場合には大きいと。これが今後どういうふうに扱われていくのかというところをちょっと、今の状況を伺いたいなと思ったんですけれども、やはり日本、あるいはそれぞれの国にとって条約対象外のところでかなり排出量の多いものというのはあると思うんですが、そういうものに関して、それぞれの国が例えば自主的に内容を入れていくとか、そういうこともあると思うんですが、そういう内容が、世界の中で情報を共有するとか、何かそういう動きとか、そういうものに対する配慮というのはあるのかどうかという、その辺をちょっと教えていただければと思います。

【坂本委員長】 事務局のほうからお願いします。

【髙林総務課課長補佐】 まず、条約でございますけれども、この条約の考え方といいますのは、これ世界全体で水銀排出に取り組んでいこうということでございますので、どこかで線を引かないといけないとしたときに、世界で見たときの多い排出源にまず焦点を当てて、それらからの排出源を世界的に取り組んでいこうという趣旨だろうということで理解しております。ということで、条約としては、その附属書Dに掲げる施設に限定したんだろうなということで理解しております。その条約を我が国としてどう担保していくかということにつきましては、ちょっとお答えになっているかどうかあれなんですけれども、またこの小委員会でご議論いただければというふうに思っております。

【崎田委員】 ありがとうございます。そうすると、そういうところ、いわゆる条約対象外だけれども、排出量の多いものなどに関しては、私たちはどういうふうに考えたらいいのかというのも、こういうところで今後話をしていく余地があるという、そういう課題の一つだというふうに考えてよろしいということでいいでしょうか。

【坂本委員長】 はい、そうです。

【崎田委員】 ありがとうございます。

【坂本委員長】 貴田委員、どうぞ。

【貴田委員】 関連する質問かもしれません。今の資料の2-3で、五つの排出源というのが、条約上は最低限のところということで決められていると。今後、規制を考える上で、海外でこういう排出源に対する規制がどこまでなされているのかというのを、今日のお答えじゃなくても結構なんですけども、まとめていただきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つ、資料の2-1のところで、やっぱり金属水銀の輸出量のところで、7ページですけれども、2012年のデータが左と右とにあるわけなんですけど、ちょっと数値が違っていたりするので、そこのところは整合をしていただきたいというのが1点。今日のお答えでなくても結構です。

 もう1点、先ほど、どの排出源が一番大きいのかということを考える上で、一つのデータにまとまっているんですが、多分、最初のデータでは、幅を持たせてあると思うんです。つまり精度がそれほどよくない可能性があると。そこの部分もあわせてちょっと出していただいて議論したほうがいいんじゃないかというふうに思いました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。今の点につきましては、委員のほうからもお申し出ございましたように、次回にわかる範囲で用意させていただくという形にさせていただきたいと思います。

 梶井委員、お願いします。

【梶井委員】 自分も今の質問に非常に関連しているんですけれども、その左と右とで数字が違っているということで、インベントリーの実態として、どのぐらいの精度があるかということが多分これから規制をかけていくときに非常に重要なファクターになるだろうと思います。それで、この中ではインベントリーを作っていこうというふうにうたっているので、それは非常によいことだと思うんですけども、どの程度までの精度を求めているのか、その辺はもう議論があるのか、それも含めてこれから議論をしていくのかということを少し、ちょっと教えていただきたいと思ったんですけども。

【坂本委員長】 事務局のほうからお願いします。

【髙林総務課課長補佐】 後ほど資料4のほうで、またインベントリーについてご説明させていただきますが、基本的には、どこまでのものが必要かということも含めて、ご議論をお願いできればというふうに思っております。それは、条約ではどこまでの精度ということは書かれておりませんけれども、やはり先生のほうからもご指摘いただきましたとおり、実際の規制をどう行っていくかとか、その検証を行っていくという意味でのインベントリーの役割というものも当然あると思いますので、そういった観点から、単に条約では出せばいいということではなくて、そういった観点からどのぐらいが必要かということもご議論いただければと思っております。

【梶井委員】 ちょっと鶏と卵みたいなことになるんですけれども、数字的な規制をやるということは、ある程度出ているところがしっかりわかっていて、それに対して目標値を定めていくような考え方をするとすれば、インベントリーがわかっていなくて、非常にアンサーテンティーが多い中でやっていくというのは非常に難しい話になるんだろうなと自分は思ったので、インベントリーは大事だということをちょっと申し上げたかっただけです。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 指宿委員、お願いします。

【指宿委員】 ありがとうございます。今日ちょっと意見をお聞きしていたのと、もう一つは、自分でも大事なポイントかなと思っているのは、やはり5セクターが世界的な議論の中で決まったということで、この委員会の中で、多分いろいろとこういう発生源も気になるなというのは出てくると思うんですが、まずは、その5セクターについてきちんとした、それこそ今の発生源のインベントリーも含めてやるのがいいんじゃないかなという印象を一つ持っているということを言っておきたいなと思います。

 それから、インベントリーに関しては、これからかなり議論があるかなと思います。国としての排出量がどれだけだからどういうふうにしろという議論なのか、そうではなくて、世界的にどれだけ減らしていく上で、例えば日本がどういう立場をとるかという、その二つ、大分違うと思うので、その辺も含めた検討をしていったらいいんじゃないかなと思います。

【坂本委員長】 まさに、この点が非常に重要なことだと思いますので、引き続き次回以降、審議させていただきたいと思います。

 それでは、時間、大分押してございますので。

 すみません、じゃあ、簡潔にお願いします。

【中村委員】 先ほどのインベントリーの話と関連するんですけれども、これからインベントリーの情報を集めるとかありますし、今後、いろいろこういう規制をどうしていくかということもありますけれども、当然、日本というのは、昔から大気汚染対策というのは大分やられていますんで、そういう点もよく考慮して、どうしていくかということを議論していただければよろしいかとは思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、我が国における関連制度についてということで説明をお願いします。

【髙林総務課課長補佐】 それでは、資料3-1に基づきまして、現行大気汚染防止法における各規制制度の概要ということでご説明させていただきます。

 まず、この資料におきましては、水銀についてどうかということに限らず、現在の大気汚染防止法を、全体を眺めるというような形でご紹介させていただきたいと思っております。

 まず、目的のところでございますけれども、大気汚染防止法は、その第1条におきまして「工場及び事業場における事業活動並びに建築物等の解体等に伴う」以下でございますけれども、ばい煙の排出規制、揮発性有機化合物(VOC)の排出規制及び粉じんの排出規制、また、有害大気汚染物質対策の実施の推進並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めることといったことが大きな柱となってございます。

 2ポツのほうに参りまして、そのうち、今回考えていく上で特に参考になるのかなと思います、ばい煙規制、VOC規制並びに有害大気汚染物質対策の三つにつきまして、以下、その概要をご説明、ご紹介させていただきます。

 まず、ばい煙排出規制、(1)のところでございますが、大気汚染の未然防止を図るために、いおう酸化物、ばいじん、その他の「人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質」、これをばい煙というふうに呼んでおりますが、そのばい煙の発生源に対し、規制を課す制度でございます。排出制限の違反者に対しましては、故意、過失を問わず刑罰を科せられることになっているほか、都道府県知事等におきましては、排出基準違反のばい煙を継続して排出するおそれがあると認めるときには、排出者に対して、改善あるいは一時使用停止を命じることができるということになってございます。また、そうした施設の新設者に対しましては、設置の前に、事前に知事等への届け出を求めるという形になっておりまして、その知事におきましては、新しく作られようとしている施設が排出基準に適合しないのではないかと認めるときには、計画の変更または廃止を命ずることができるといった制度になってございます。

 (2)のVOCの排出規制でございます。こちらは、浮遊粒子状物質(SPM)及び光化学オキシダントによる大気汚染を防止するため、これらの物質の生成の原因となる物質といたしまして、VOCの排出を抑制するという制度でございます。排出口における濃度規制が適当な場合には濃度規制をということでありますが、それが適用されにくい場合、具体的に申しますと、排出口以外の開口部からVOCが飛散するケースですとか、屋外塗装なども、そもそも屋外での作業からVOCが飛散している、あるいは一定規模以下の小規模施設につきましては、事業者による自主的取組を、というふうに濃度規制と自主的取組の双方の政策手法を適切に組み合わせる、ベスト・ミックスと当時呼ばれておりますが、によりまして、VOCの排出抑制を効果的に進めていこうという制度でございます。

 (3)の有害大気汚染物質対策でございます。これにつきましては、ばい煙ほどは科学的知見という意味で、あるいは量という意味で、喫緊ではないかもしれませんが、将来にわたって人の健康に係る被害を未然に防止するためには、「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質」、これを有害大気汚染物質といたしまして、その排出抑制対策を行っていくべきという制度でございます。この有害大気汚染物質は、種類が大変多くございまして、また、性状も多様であると。また、発生源、排出形態も多様であるということから、排出抑制の具体的取組内容につきましては、「工場・事業場の様々な創意工夫を活かせるものとすることが適当」という考え方を踏まえまして、排出基準値は設けず、事業者に対し、「排出又は飛散を抑制するために必要な措置を講ずる」責務を課すといった制度でございます。このうち、特に人の健康被害を防止するため、その排出または飛散を早急に抑制しなければならない物質、これを指定物質と呼んでおりますが、これにつきましては、「排出又は飛散の抑制に関する基準」(指定物質抑制基準)というものを設定しているところでございます。

 ちょっとお時間ございませんので、ご説明のほうは省かせていただこうと思いますが、3ページ目に、これら三つの制度を比べてみた表を付けさせていただいておりますので、また後ほどご参考にしていただければと思っております。一番左からも見ていただきますと、上から対象物質、制度の概要、以下、例えば排出基準があるのかないのか、それに対する遵守義務はどうなっているのか、排出者の測定・記録義務があるかどうか、また、その基準を違反してしまった場合の罰則はどうなっているか等々につきまして、マトリックスでまとめさせていただいております。

 3-1については以上でございます。

【長浜大気環境課課長補佐】 続きまして、資料3-2についてご説明いたします。

 1ポツの大気汚染物質についてでございますけれども、有害大気汚染物質対策というのは、「大気中から、低濃度ではあるが発がん性等の有害性を有する物質が様々検出されており、これらの中には、有害性に係る内外の知見に照らし、長期曝露による国民の健康への影響が懸念される物質がある」といった当時の状況を踏まえて、平成8年に、大気汚染防止法に新たに設けられた制度でございます。健康影響の未然防止、健康リスクの程度に応じた取組、新たな知見等による見直しの3点を基本的認識として対策が構築されてございます。

 この対象とされる「有害大気汚染物質」というのは、法律上は「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもの」と定義されております。その該当する可能性がある物質として、現時点で248物質が選定されてございます。また、これらのうち、一定以上の有害情報と曝露情報を有する物質については「優先取組物質」――こちら現時点で23物質でございます、「優先取組物質」と位置づけ、定量的な評価結果に基づいた環境目標値を定め、対策を進めていくことをしております。これら優先取組物質のうち環境基準が設定されていない物質に関しましては、「科学的知見を収集、整理し、常にアップデートするよう引き続き努めていくとともに、科学的知見についてさらなる充実を要する状況にある物質についても、現時点で得られる知見をもとに、一定の評価を与えていく手法を導入する」という基本的考えのもと、環境目標値の一つとして、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値ということで指針値を設定することとしております。

 続いて、2ポツで、大気汚染対策における水銀の位置づけでございますけれども、「水銀及びその化合物」として、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質の一つに選定されており、このため、大防法第18条の21に基づき、事業者は、その事業活動に伴う大気中の排出または飛散については、「把握するとともに、飛散又は排出を抑制するために必要な措置を講ずるようにしなければならない」とされてございます。

 裏面に行きまして、さらに、「水銀及びその化合物」は優先取組物質として選定されていることを受け、中央環境審議会の「今後の有害大気汚染物質対策のあり方(第七次答申)」において、水銀蒸気の長期曝露に係る指針値として、年平均値で40ngHg/m3以下というのが設定されてございます。

 大防法第22条第1項の常時監視の規定に基づき、平成10年度以降、国及び自治体が全国約300地点でモニタリングを実施してございます。こちらにちょっと不備がございまして、申し訳ございません。「直近の測定結果である平成23年度」と記載してございますけれども、こちら24年度でございます。申し訳ございません、訂正お願いいたします。直近の測定結果である平成24年度の全国平均というのが2.1ngHg/m3であり、これまでに、指針値を超過した測定地点はございません。表1と図1に24年度のモニタリング結果についてまとめてございます。なお、この40ngHg/m3という指針値についてでございますけれども、この指針値というのは、一般大気環境中の水銀は、その大部分が水銀蒸気として存在し、ほかの化学形態は極めて微量であることなどから、大気からの曝露が問題とされるのは水銀蒸気のみであると。下に注釈してございますけれども、大気環境中の水銀蒸気として健康リスクを勘案して設定された値でございます。

 資料3についてのご説明は以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいま、資料3-1、3-2に基づきまして説明をいただきましたけれども、これにつきまして、ご質問、ご意見のございます方は名札を立てていただければと思います。現在2名の方が立って、ほかの方はおいでですか。ありがとうございました。

 浅野委員、お願いします。

【浅野委員】 浅野でございます。

 質問というよりも補足の説明のようなことになると思いますが、有害大気汚染物質について、この整理のほかに、もう一点、きちんと指摘しておくべきことがあります。それは、この有害大気汚染物質については、こういう仕組みをつくったときに、とにかく物が排出口から出てくるので、その出口を押さえて基準をつくれば規制が可能というような「ばい煙」や、あるいは「粉じん」のように、施設の構造に基準をもうけてそれを順守させれば汚染の防止が可能というようなものではなく、有害大気汚染物質というものが、いろんな施設からいろいろの形で出てくるということがあるので、一律には規制がやりにくいだろうということが問題でした。

 さらに当時特に問題とされていた有害大気汚染物質は、その発生源が大体決まっていて、かなりしっかりした企業が多いので、自主的にやっていただくということでも十分対応ができるだろうという判断があって、こういうような仕組みをつくったわけです。これを枠組み規制方式というふうに呼んだりするのですが、つまり、法律で枠はつくりますけれども、細かい基準を決めたり、罰則をつけたりということはしませんという仕組みなんですね。ただ、そのときに実効性を何で担保しようか、事業者にちゃんと自主的にやってもらうための担保が必要だということを考えたました。そこで、この赤い参考資料のファイルの中に、大気汚染防止法の条文が載っています。それをご覧いただくとまず、法令の本文はほとんど何にも義務的なことは書いていないわけです。ところが、附則の中に、国が抑制基準を設けるとか、勧告できる、報告を求めることができるいうようなことが規定されていて、実質的に法令に書かなきゃいけないようなことが附則に載っているわけです。それを受けて、さらに3、検討という条文があるんですが、この法律の施行後3年を目途として、どういう状況かもう一遍調べる、それでうまくいっていないんだったら改めて考え直すという規定が入っているわけです。つまり自主的にやっていただくんだが、自主的にやっていただいて全然効果が上がっていないんだったら、本格的にちゃんと法規制をかける可能性がある、ということがここに書いてあるわけです。これがある意味じゃピン止めになっていまして、実際に3年たってみて実施状況を見ますと、かなり効果が上がったということがわかったものですから、改めて所要の措置を講ずる必要なしと、このままやってもいいということで現在に至っている、これがこの仕組みの話です。

 先ほどのご説明にはこういった点のご説明が何にもなかったんで、まるでふわふわしている頼りない制度のように見えるんですが、そんなものではありませんということを、法律をつくった当時の事情を知っている者としては言っておかないといけませんので申し上げました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 続きまして、中杉委員、お願いします。

【中杉委員】 質問ということではなくて、お願いをしておきたいと思います。資料3-1で、大気汚染防止法の各種制度というのはご説明ありましたけれども、2番目のVOCの排出の規制、これは規制なんですが、この排出規制を考えるときに、BAT/BEPというものを頭の中に強く置いて排出基準値等を決めています。そのときに、どういうふうな考え方で、どういう整理をして決めたかというのを、今回は規制値では必ずしもない、排出限度値という形になるのかもしれませんけども、参考になると思いますので、そこら辺の資料を今後の議論のときに出していただく必要があるだろうと。

 それから、もう一つは、VOCについても排出インベントリーをいろいろ苦労してつくっています。それも実態的にどういうふうにやってきたかということをご紹介いただければいいかと思います。必ずしも排出インベントリーがしっかりしていないから何らかの対応を決められないということでは決してないと。必ずしも排出インベントリーはそんなに明確にすきっとするわけではないと。これはVOCの場合も、毎年毎年、改めて遡って修正をするというようなことをやっていますので、そういうことだろうというふうに思います。

 それから、もう一つ、先々の議論に必要になってくるのは、なぜこういうことをやらなきゃいけないかという議論になるかと思うんですけれども、日本の中で、水銀に関して、例えば厚生労働省が通知を出している。数年前にも一度、妊婦に対する水銀、魚の食べ方云々の話もありました。そういうものも議論の上で非常に重要なことだと思いますので、それも将来の議論の前に出していただければというふうに思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。今の点につきましては、次回、そういった資料を用意させていただきたいと思います。

 増沢委員、お願いします。

【増沢委員】 私も次回以降の資料に関するお願いなんですけれども、もしできましたら、海外の大気汚染法制におきまして、こうした地球環境汚染物質的な性質も持つ物質について、どのような扱いをしているのかということを、何か国内のみで問題になるようなものと少し別の部分があるのかといったこと、あるいは大気汚染ないしは大気汚染物質といったものの、そもそも定義がどうなっているのか、リスクを評価するときに、どんな部分までカウントしているのかといったことについて、何か海外の状況について資料等をもし可能でしたらいただければ議論の参考になるのかなと思いました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。今のご要望につきましても、同様に次回以降で用意させていただきたいと思います。ありがとうございました。

 どうぞ、そのほかございますでしょうか。

(なし)

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、次の議題に入らせていただきます。水銀に係る大気排出インベントリーについてでございます。

 事務局から説明をお願いいたします。

【長浜大気環境課課長補佐】 続いて、資料4を用いまして、水銀に関する大気排出インベントリーについてご説明申し上げます。

 まず、大気排出インベントリー作成の経緯及び現状ということで、環境省では、平成19年度から大気環境への水銀排出状況を把握するために、水銀に関する大気排出インベントリーを作成し、水銀に関する水俣条約条文案の検討・議論等を行う上での基礎資料として活用してまいりました。平成25年3月には、22年度ベースの大気排出インベントリーを公表し、25年度には、さらなる調査を行い、掲載情報の更新を図ってきたところでございます。この更新後の資料については、先ほどご説明いたしました資料2-1のインベントリーでございます。平成22年度ベースの排出インベントリーにおける排出量については、主に平成22年度の活動量、消費量ですとか生産量、焼却量などの排出をもたらす活動の規模を表す指標をもとに推計されたものでございますが、排出係数については、情報収集上の制約から、一部、算出された時点から時間が経過しているものも用いられてございます。

 続いて、水銀に関する水俣条約第8条7項において「締約国は、できる限り速やかに、遅くともこの条約が自国において効力を生ずる日の後5年以内に、関係する発生源からの排出に関するインベントリーを作成し、その後は維持する」とされております。今後、大気排出インベントリーの更新及び条約事務局への提供を定期的に行っていく必要が生じることになりますけれども、環境省において作成した際に認識された主な課題として、更新方法の確定について、発生源区別ごとの推計方法のさらなる精緻化という課題が認識されたところでございます。

 更新方法の確定といたしましては、排出係数を固定したまま活動量のみ更新を行う方法を用いるのか、排出係数を適宜見直す方法を用いるかを、発生源ごとに確定する必要があるということでございます。

 続きまして、発生源区分ごとの推計方法のさらなる精緻化ということで、排出係数のさらなる精緻化や、算出時点から時間が経過した排出係数の更新等が課題として認識してございます。

 資料4については以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見ございましたら名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。

 辰巳委員でしょうか。お願いいたします。

【辰巳委員】 すみません。インベントリーを出すということは数値が出てくると思うんですけれども、大気でモニタリングをしておられる、その数値とこのインベントリーとの整合というかな、どの程度あるのかというのがよくわからなくて。大気は全世界でつながっているわけですよね。その辺が、私自身がよくわかっていないのかもしれないんですけど、やっぱり測定する高さの関係とかもあるだろうし、国内だけで発生する数値しか、このインベントリーは出てこないと思うんですけれども、PM2.5みたいにどこかから来るとか、そういうのとの関係というのは、大気のモニタリングでわかるというか、その辺りの数値の整合性、さっきのやっぱりフローみたいな感じなんですけれども、そういうのがわかるのかどうか気になりましたもので。

【坂本委員長】 事務局からお願いします。

【長浜大気環境課課長補佐】 水銀に関する挙動についてはまだ研究段階でございまして、詳しくこういうモデルを使えばいいというものはございません。ただし、九州を中心に、越境汚染に関するモニタリング等を行っている研究もございまして、黄砂飛来時には若干国内の環境中濃度も上昇することが認められるという報告もございます。また、このモニタリングの常時監視の位置づけといたしましては、一般環境中の濃度を測定するということで、その高度についても、人が吸入するレベル、大体10m以下のところということで、高いところではございません。一方、排出インベントリーというのは、まさに煙突のところではかるということになりますので、整合性がどこまであるかというのは、また今後、検討していかなければならないと思っております。

【中杉委員】 関連。

【坂本委員長】 どうぞ。

【中杉委員】 資料をもう一つ、この裏ですかね、裏の資料、もう一つ前の資料の図の1というのを、裏面ですね、見ていただくと、これは大気の濃度分布というのを測定したデータがあります。これを見ていくと、水銀でないほかのものについては、濃度の高いところで、その周辺にPRTRで排出の高いところがあるかどうかという、マッチングをすると、大体マッチングします。ただ、水銀の場合には、PRTRではほとんど報告がないという状況なので、量が少ないからということがありましてマッチングができません。多分、この濃度と個々の水銀の発生源ごとの地域的な分布がはっきりすれば、その対比をしてみるということもできるかなと思います。高いところの周辺に、その発生源があるかどうかというようなことを見ていくというのは一つ。ただ、自然由来のものもありますから、なかなか明確には見えないかと思いますけど。

【浅野委員】 ちょっとよろしいでしょうか。

【坂本委員長】 どうぞ、関連して。

【浅野委員】 国立水俣病総合研究センターで、先ほど言われた大気中の水銀についてははかっているんですね。水俣ではかっています。それから、福岡でも私どもの大学の屋上に一つ測定のポイントがあって、そこでは総水銀をはかっていますけども、水俣などでは大気中のメチル水銀だけを特にはかるということもやっていて、バックグラウンドデータみたいなものをとっているんですが、どうも傾向としては、我が国の国内由来じゃないものが結構あると、そんなことがわかっています。ですから、水銀の場合は、もともと出ている量が物すごく少ないということがあるので、インベントリーとこのモニタリングのデータは多分一致しないというふうに考えたほうがいいんじゃないかと思うんですが、どこで測るかにもよりますけれど。この、有害大気汚染物質モニタリング調査をやっているのは、どっちかというと規制がうまく効果が上がっているかどうかを見るためにはかっているのでしょうから、そういうポイントではかれば、中杉委員が言われるように多少のつながりが出てくるかもしれませんけども、それにしてもはかる場所によっては自然由来が大きくきいてくる場合があるんですね。水俣病総合研究センターでは、火山由来のものとか、そういうものも調べてますし、あるいは瀬戸内海のようなところに行って、海面からどれだけ出てくるかというのが、かなり微量なものを的確にはかる技術があって、それを調べています。いずれ関連するデータは、この委員会にも提出してもらうようにお願いしたいと思います。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。今の点は、水銀の濃度が高いとき、例えばセレンとか、ほかの関連する物質の濃度が高くなって、ほかからの影響があるというようなデータは、今、浅野委員のお話のようにございます。そういう意味では、寿命が非常に短いものでローカルに発生源があれば、そこではエミッションインベントリーとそこの濃度は合うけれども、寿命が長くて、それから国外のもの等と、ほかの影響の大きいところについては、相当のデータがないと環境濃度と、それから積算したものが合うという状況にはなかなかならないというのが現状かと思います。

 貴田委員でしょうか、お願いいたします。名札を先に立てたから今行っています。私の記憶で行っていますので、多少順番が違ってもお許しください。

【貴田委員】 すみません、今の資料の4の今後、更新方法をどういうふうにするか、精緻化とかということはあるんですけれど、例えば排出係数というのが、私自身もこれインベントリーを最初のころ、若干携わっていたのでわかるのですけれども、どういう方法で排出係数を求めるかということで、推定せざるを得ないところもあります。今、インベントリーで出されている数値は、業界の方々がまとめて出された、いわゆる量としてのみ出されているものもあると。そうすると、排出係数がわからないといいますか、そういうものもあろうかと思うんですね。各セクターによっては排出係数がきちんと、いわゆるデータをもとにして、相当数のデータをもとにしたものであるのか、あるいはそういう量として出されたものであれば、もう少し排出係数の精緻化といいますか、そういうことも必要になってくると。したがって、排出係数をどれだけの幅であるのかとか、あるいはいつごろのデータを用いたのかというところがポイントになると思いますので、その辺りは更新方法ができるのかどうかということもあわせてちょっと情報をいただければというふうに思っております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 指宿委員、お願いします。

【指宿委員】 今にも関係すると思いますけれども、この資料で更新方法の確定というところが記載されていて、「活動量のみ更新を行う方法を用いる」と書いてあって、その次に、「排出係数を適宜見直す方法を用いるか」というふうに書いてあるんですが、これちょっと誤解を生じるんだと思うんですけれども、排出係数も見直して、活動量も更新するということだと思うので、文章をそういうことであれば直しておいていただいたほうがいいかなと思います。

 それから、排出係数の議論、先ほどの貴田さんのご意見もそうなんですが、私もご説明を受けたときに、インベントリーについてのもう少し詳しいデータ、勉強していないので教えてくださいということでお願いした経緯があるんですが、やはりああいう資料も共有しておくと議論がスムーズに進むんじゃないかなというふうに思いました。

 もう一つ、ついでなんですが、排出係数あるいはインベントリーを、諸外国ではどういうふうに見積もっているか。先ほど、世界で1,900、中国が300というふうに言っていますけれども、じゃあ、中国の排出係数とかアメリカの排出係数というのがどうなっているのか、我々知らないと、やはりいけないんじゃないかなと思いますので、あるものならば出していただきたいと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。今、一番最初のところはおっしゃったような形で修正をさせていただきます。それから、その後、ご要望いただいたものにつきましては、次回以降できるものを用意させていただこうと思います。

 ちょっとお待ちください、まだ。高岡委員と若松委員、どっちが先だったかわかりませんが、高岡委員からお願いします。申し訳ありません。どうぞ。

【高岡委員】 大気排出を調べるのには、やはり測定方法のところが重要だと思いますので、その測定方法自体を一旦整理していただきたいと思います。日本では、今はJISがまずは基本だと思いますが、連続で測るとか、いろんな方法がございます。諸外国自体もどのような方法でなされているか、吸着法みたいなものを使っているような国もあるでしょうし、そのようなところの整理が重要だと思いますので、整理をお願いしたいと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。次回、その点につきましても用意させていただきたいと思います。

 若松委員、お願いします。

【若松委員】 モニタリングの話が出たので、ちょっと一言言おうと思って札を上げたんですが、いわゆるインベントリーの調査とモニタリングというのはやっぱりセットで考えるべきであって、特に今後、その対策の進行管理とかをするに当たっては、実際どういった物質がどんな格好で変化しているかというのをモニタリングする必要があるわけでありまして、ある業種に関しては、例えば水銀と同じような形で出てくる物質もあろうかと思いますし、どういったモニタリングをするかというのは結構そのインベントリーの正しさをチェックする意味にもなりますので、そういったことに関しての提案というか、特に長距離輸送の問題が絡んでいますので、国内だけの、日本で測ったものが日本の状態を反映しているとは全く限りませんので、世界的に共通のデータが比較できるようなサンプリング方法とか、分析方法とか、サンプリング頻度とか、どういった場所でサンプリングするかとか、そういったことについての日本からの提案というのは、やっぱりぜひ必要かなという気がしますので、サンプリングとその分析も含めて、進行管理ということもありますし、その動態の把握ということもありますので、インベントリーの調査とモニタリングというのは同時進行で考えるべきだというふうに思いますので、その点についての検討というかレビューとかいった資料の検討も今後必要かなという気がします。

 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 守富委員、お願いします。

【守富委員】 先ほど、指宿委員のほうからありました世界のほうですけれども、国内のインベントリーのときもそうだったんですけども、基本的にはUNEPのほうで、排出係数をUNEPのツールキットというのがございまして、これフリーでダウンロードできます。先進国向けと、それから途上国向けのレベル1・2があります。それは現在、BAT/BEPの専門家会合でも、特にオーストラリアであるだとか、その他の国々、メキシコもたしかそうだったと思うんですが、そのUNEPの排出係数を用いて国のインベントリーを報告しているということもありまして、日本の場合、これまでそれ使ってきていませんので、今回、環境省さんを含めて、ぜひそこのところも見直し、といいますのは、UNEPのほうとしても、日本からそういう回答がないので、ぜひ日本の排出係数を知らせてほしいといいますか、共通にしていきたいということもありまして、ぜひ日本の排出係数の見直しもあるんですけれども、UNEPのほうの対応もきちんととるようにしていただければいいし、そちらも参考にしていただければいいのかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 大分いろいろな形での……

【永田委員】 ちょっとすみません、ちょっともう手短にいきますから。

【坂本委員長】 どうぞ。

【永田委員】 今、話題になっていた、この資料の4なんですけど、ちょっとさっきからも出てきている最後のほうの文章なんていうのは、これ、いや、点が打ってある文章というか、中身で課題ですよと書いてあるんだけど、これ十分に検討された内容じゃないような気がするんですよね。いや、ここの機関からレポートが上がってきたかもしれませんけど、これについて、どういう委員会をつくって検討したかという話になってくると、きっとそういうことをやっていない文章だなという印象を受けているので、ちょっとこういうやつがするっと出てくるのは問題があるという印象を受けるんですよ。それで、インベントリーはやっぱりインベントリーできちっと検討していかなくちゃいけないということだと思いますんで、ちょっとこの最後のところなんかは、もうそういう意味じゃ、検討の必要があるんだということだけ言ってもらったほうがいいのかなという気がしていましてね。そういう意味じゃ、もう少し資料の出し方を考えてもらったほうがいいというふうに思います。

【浅野委員】 ちょっといいですか。

【坂本委員長】 どうぞ。

【浅野委員】 これもさっきの議論とちょっと関係があるんですが、さっきというのは、要するに対象をどうするかということと関係がありますが、条約上義務づけられている、関係する排出源のインベントリーは5項目に限られるわけですね。だから、我が国はそれだけをちゃんとやるのか、それともやっぱり今までやられているような、かなり幅広にやるのか、それははっきりさせないと議論の仕方が違ってくると思うし、国際比較というときにも、5項目については国際比較があるんでしょうけども、ほかのものについては出てこないと思いますから、その点も一遍きちっと整理をしておかないと混乱が起こると思います。

【坂本委員長】 今の点は非常に重要なことでございますので、次回以降のところで議論させていただきたいと思います。

 そのほか、よろしいでしょうか。よろしければ、大変申し訳ありませんが、次の議題のほうに入らせていただきたいと思います。

 続きまして、議題の5でございますが、関係団体等に対するヒアリングについてということで、事務局から説明をお願いします。

【髙林総務課課長補佐】 資料5についてご説明させていただきます。

 新たな排出対策を検討するに当たりまして、まずは発生源からの水銀の排出のメカニズムですとか、あるいはその発生源の種別ごと、カテゴリーごとの、今日使われております排出抑制技術について、この委員会として広く知見を得るために、各発生源の関係団体等からのヒアリングを実施することとしたいというふうに考えております。

 以下、実施方法の案というふうにさせていただいておりますが、日程については、事前に調整させていただきましたが、次回(7月3日)と次々回(7月9日)の2回で行わせていただければというふうに考えております。

 また、対象といたしましては、条約附属書Dに掲げられました5種類の発生源を事業の中で使用する事業者の関係団体ということをまず念頭に置いてございます。

 各団体からのヒアリング項目といたしまして、全てのご説明者の方々から、これ全てお聞きできるかどうかというのはもちろんあるんですけれども、可能であればということで、広く挙げさせていただいておりますが、対象発生源の使用・運転によって、どういうメカニズムで水銀の大気排出が発生するのか。あるいは、当該発生源において、その業界内で主として用いられている排ガス処理の仕組み及びその仕組みを用いたときに水銀の排出抑制はどのぐらい効果があるのか。また、それがごく一部で使われているということなのか、業界全体で広く導入されているということなのかといった点。以下はなかなか難しいところもあるかもしれませんけれども、これまでの測定実績あるいは測定方法、また、業界内で水銀に関して自主管理値等を設定されているかどうかといった状況。あるいは、このBAT/BEPのBEPのほうになってくるかと思いますけれども、排ガス処理以外で用いられております水銀大気排出を抑制するための手段としてどういったものがあるか。こういったところをお伺いできればというふうに思っております。

 ご説明時間は、一説明者当たり15分間ということでちょっと短目でございますが、対象が5施設ということでございますが、これは必ずしも業界と一つ一つ対応しているわけではございませんで、例えば廃棄物でありましたら、産廃、一廃それぞれあるということもあるかと思います。そういう中で、必ずしもばちっと5業界、5人というふうに固まるわけでもありませんので、それはまたこれから調整なんですが、あまり人数が多くないということであれば、ご説明の時間は15分よりももう少し長目にとるということも可能かと思っております。細かい話でございますけれども、2回目、3回目それぞれで、まずご説明者の皆様から通しでご説明いただいた後、まとめた形で質疑応答をさせていただきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいま資料5で関係団体等に対するヒアリングについてということで説明をいただきましたけれども、質問、ご意見ございましたらお願いいたします。

 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 ヒアリングはこれで結構なんですが、ヒアリングだけではなくて、先ほどの有害大気汚染物質については、大気汚染防止法で制度をつくる前でしたかね、指針値などをつくる前といいますか、業界団体ごとに自主的に実施計画をつくって、削減計画をつくっておられるんですね。そのときも、各業界でこういうことをやって、こういう努力をしていますよと。多分、水銀についても中に一部あったと思いますので、それについても資料を整理していただけるとありがたいなと。あるいは、業界でヒアリングするときに、そういうものを含めてご説明をいただくとよろしいのかなというふうに思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。ヒアリングをする業種が限られてございますので、業界で関連する情報についてもやっていただけると、そういうことでございます。

 阿部委員のほうが先だったでしょうかね。

【阿部委員】 阿部です。

 今の話に関連してなんですけども、これからヒアリングが予定されているということで、私どもの石炭火力についても我々の業界のほうから説明をさせていただきますけれども、今の中杉委員のご意見との関連でも、先ほどインベントリーの中で、大気中と、それから出口の排出濃度の関連性のところで、まだわかっていない部分はたくさんあるというお話でしたけども、国内、それから国外の排出の濃度、それから我々の実際に導入している除去技術ですね、その実態を十分ヒアリングをしていただいた上で、現実に即したご検討をいただきたいというふうに思います。特に指針値については間違いなく、そっくりそのままというわけにはいかないわけですけども、いずれにしても現状そのものがその指針値を大幅に下回っているという実態も現実にあるわけでございますので、それについても十分ご考慮いただきたいというふうに思います。また、世界全体における日本の排出の割合も、先ほど説明ありましたように、わずか1%ぐらいということですので、このような実態を踏まえまして、経済合理的な対策の検討をお願いしたいと、かように考えております。よろしくお願いいたします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 崎田委員のほうが先だったでしょうか。お願いします。

【崎田委員】 ありがとうございます。今回、ヒアリングの対象が、いわゆる条約の対象の5種類の発生源ということなんですが、今後、私たちの検討がこの5種類に限るのか、排出量の国内で多いところも含めていくのかというのは今後検討するということですので、それの検討の材料のためにも発生量の多い、例えば鉄鋼のご関係者、この委員にも入ってくださっていますので、鉄鋼の皆さんからも同じようにお話をいただいておくとか、そういうことを検討してもよろしいのではないかなというふうに思いました。