微小粒子状物質等専門委員会(第12回)議事録

日時

 令和2年6月26日14:00~16:33

場所

 WEB会議システムにより開催

議題

(1)PM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況について

(2)PM2.5・光化学オキシダントに関する対策の取組状況について

(3)その他

配付資料一覧

資料

・資料1   平成30年度のPM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況について

・資料2-1  VOC排出インベントリの整備状況について

・資料2-2  PM2.5等大気汚染物質排出インベントリの整備状況について

・資料3   新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言等の影響による大気汚染状況の変化

・資料4   PM2.5の発生源別寄与割合等に係る知見の整理

・資料5   PM2.5に係るばい煙排出抑制対策の検討

・資料6   光化学オキシダント対策の立案に向けた基礎的検討について

・資料7   国際協力に関する進捗状況

参考資料

・参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会微小粒子状物質等専門委員会委員名簿

・参考資料2 平成30年度大気汚染状況について

・参考資料3 平成30年度大気汚染防止法の施行状況について

・参考資料4 PM2.5対策に係る検討・実施予定

・参考資料5 PM2.5に関する近年の科学的知見について

・参考資料6 今後の光化学オキシダント対策に向けた検討スケジュール

・参考資料7 酸性雨の状況について(平成30年度)

議事

午後 2時00分 開会

【神谷課長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第12回微小粒子状物質等専門委員会を開催いたします。

 委員の皆様方には、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございました。

 開会に当たり、小野水・大気環境局長よりご挨拶を申し上げます。

【小野水・大気環境局長】 環境省水・大気環境局長の小野でございます。冒頭に一言ご挨拶を申し上げます。

 委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、本専門委員会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。

 WITHコロナの新たな日常ということで、WEB会議を開催させていただきたいと思います。いろいろとやりにくい面もあろうかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 今年の3月に、平成30年度の大気汚染状況について公表させていただいておりますけれども、PM2.5の環境基準達成率を見ますと、一般局で93.5%、自排局で93.1%ということで、前年度に比べまして、一般局、自排局ともに改善いたしております。この間、関係者の多大なご努力によりまして、この前年度と今年と、30年度というだけではなくて、最近、PM2.5につきましては改善傾向が見られておりまして、達成率がいまだに低い地域も一部ございますけれども、その状況をより詳細に分析して、環境基準の達成に向けた一層の努力を図ってまいりたいと考えております。

 一方、光化学オキシダントでございますけれども、こちらの環境基準達成率は、依然として極めて低い水準ということでございます。PM2.5と光化学オキシダントにつきましては、原因物質が共通するものも多いということでございまして、歩調を合わせて進めていくということだと思いますが、まずはPM2.5の環境基準達成を目指しつつ、双方に効果的な対策を進めていくことが重要であろうと考えております。

 本日は、PM2.5、それから光化学オキシダント、先ほどご紹介した状況、さらに細かい状況について最新のデータを共有させていただくとともに、これらの排出抑制策の実施に向けた検討状況についてご報告をさせていただき、委員の先生方に活発なご議論をお願いしたいと考えております。

 簡単ではございますけれども、開会に当たってのご挨拶とさせていただきたいと思います。本日、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上でございます。

【神谷課長】 はい、ありがとうございました。

 本日は、今もございましたようにWEB会議での開催とさせていただいております。皆様におかれましては、以下の2点についてご協力をお願いします。まず、1点目ですが、発言者以外の方はマイクをオフにしていただくようお願いします。2点目ですが、ご発言を希望される際は、初めに挙手ボタンを押してください。委員長から指名されましたら、ご自身の氏名を名乗っていただいてマイクをオンにするようお願いします。また、ご発言後はマイクをオフにすることをお忘れないようにお願いします。

 それでは、議事に入る前に、まず、本日の資料の確認をさせていただきます。

 事前に電子ファイルで資料一式を共有させていただいており、今、画面では配付資料の一覧を記載した議事次第を掲載させていただいております。不足等ございましたら、また、画面の見づらさ等ございましたら、適宜、事務局までお申しつけいただくようお願いします。

 今回、2名の委員の交代がありましたので、ご紹介をさせていただきます。まず、電気事業連合会の田村委員の後任として佐野委員が着任されております。それから、本日、欠席されておりますが、福岡県の野中委員の後任として高橋委員が着任されております。どうぞよろしくお願いします。

 また、本日の委員の出欠でございますけれども、委員15名中13名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数に達していることをご報告いたします。金谷委員、高橋委員からは、ご欠席との連絡をいただいております。

 それでは、これ以降の議事進行につきましては、大原委員長にお願いします。

【大原委員長】 皆様、大原でございます。

 委員の皆様には、ご多忙のところをお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。今回、この専門委員会としては初めてのWEB会議ということになります。いろいろ不慣れな点も多いかと思いますが、ぜひ活発なご議論をいただければと考えております。また、円滑な議事にご協力いただきたいと思います。

 では、早速でありますが、議題の(1)に移ります。PM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況についてということで、資料の1から3に基づきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

【馬島主査】 それでは、事務局から説明させていただきます。

 まず、資料の1、平成30年度のPM2.5・光化学オキシダントに関する大気汚染状況についてということで、こちら、説明させていただきます。

 まず、1ページ目からですが、1番としまして、微小粒子状物質(PM2.5)の状況からご報告いたします。

 まず、全国の状況ですけれども、平成30年度の環境基準達成率ですが、一般環境大気測定局において93.5%、自動車排出ガス測定局におきまして93.1%ということで、平成29年度が、それぞれ89.9%と86.2%ということでしたので、それぞれに改善をしております。また、全測定局の年平均値でございますが、こちらは一般局において11.2μg/m3、自排局において12.0μg/m3ということで、こちらに関しましても、平成25年度以降、緩やかな改善傾向が続いているという状況でございます。

 続きまして、一般局、自排局の年平均値のヒストグラムということで、図の1-2についてご説明いたします。こちら、濃度に関しましてヒストグラムにしているところですが、自排局に関しまして、濃度分布が一般局に比べて僅かに高い濃度域にあるということが確認できるという状況でございます。

 また、図の1-3になりますが、各年度の濃度階級別の発生率分布になります。一般局、自排局ともに年度ごとに分布が全体的に低濃度側に移行しているという状況が見てとれます。また、自排局についてですが、ここ近年は環境基準のすぐ下にあります14から15という濃度階級が高い状況でありましたが、平成30年度は14から15の発生率10%ということで、前年の18%と比較しても大幅に減少しているという状況でございます。

 続きまして、図の1-4、季節別の傾向を見ますと、平成30年度、オレンジ色の折れ線グラフに関しまして、晩夏、8月頃から秋にかけまして濃度が低くなっております。また、9月の月平均値が最も低いという状況でございました。平成30年は秋雨前線が停滞しやすかった8月から10月頃に、また、さらに複数の台風が上陸したということで、降水量が平年よりも多かったことが低濃度の要因として挙げられるという状況でございます。

 続いて、図の1-5、及び図の1-6に関しまして、こちらですが、平成30年の4月から5月の全国、また、平成30年7月の西日本、平成31の2月から3月の北日本において、日平均値が35μg/m3を超過した述べ日数が多かったという状況が見てとれます。こちら、平成30年4月から5月と、平成31年の2月から3月に関しましては、移動性高気圧の周回流により大陸起源の大気汚染物質が飛来するとともに、ロシアで発生しました森林火災などの影響により、各地方で高濃度となる日が多くなったと考えられます。また、7月に関しましては、記録的な猛暑となり、日照時間が長かったため、二次生成粒子の生成が促進されるとともに、西日本における火山の噴火などの影響により、高濃度となったと考えられております。

 続きまして5ページ目、地域別の状況に関してです。こちら、図の1-7に示しておりますのが、平成30年度の各地域におけるPM2.5環境基準達成状況になります。緑色のマークが短期基準のみ非達成、黄色のマークが長期基準のみ非達成、赤色が短期・長期基準ともに非達成となっております。こちらを見ますと、関東地方の都市部、関西地方の都市部及び沿岸部で環境基準を達成していない地域が見られるほか、中・四国地方の瀬戸内海に面する地域、また、九州地方の北部及び有明海に面する地域で、環境基準の達成率が低い地域が依然として見られます。関東地方の環境基準非達成局に関しましては、ほかの地域と比較して自排局の割合が高いという状況になっております。また、関西地方の環境基準非達成局に関しましては、港湾部に長期基準値を超過している測定局が多いという状況になっております。また、中国・四国地方や九州地方の北部の環境基準非達成局に関しましては、長期基準と短期基準の両方とも非達成の測定局が多く、工業地帯における固定発生源や船舶の影響などが示唆されるという状況であります。また、九州地方の南部は長期基準値を超過している測定局が多く、これは火山ガスの影響などが示唆されているというところでございます。

 続いて、6ページ目、中韓の状況ということで、中国及び韓国の年平均濃度、PM2.5の年平均濃度を示しております。こちらを見ていただきますと、日本と同じように中国及び韓国においても、年平均濃度、低下傾向にあります。

 PM2.5に関しまして、説明は以上になります。

 続いて、7ページ、光化学オキシダントに関して状況をご報告いたします。

 平成30年度の光化学オキシダント、環境基準達成率に関しましては、一般局において0.1%、自排局においては0%ということであり、依然として極めて低い水準となっております。また、昼間の日最高1時間値の平均値につきましては、図の2-2に示しておりますけれども、近年は、一般局、自排局ともに、ほぼ横ばいで推移している状況になります。

 一方で、昼間の1時間値の濃度レベル別割合に関しまして、図の2-3をご覧いただきますと、1時間値が0.06ppm以下の割合が、一般局においては93.6%、自排局においては95.1%という状況で、比較的低濃度の割合が高くなっているという状況にあります。

 また、光化学オキシダント濃度の長期的な改善傾向を評価するための指標ということで、8時間値の日最高値の年間99パーセンタイル値の3年平均値を用いて改善傾向を確認しますと、図の2-4にお示しをしておりますが、比較的注意報発令レベルの高い4地域におきまして、近年は、ほぼ横ばいで推移しているという状況になります。

 10ページ目と11ページ目に、平成30年度の注意報レベルの濃度が出現した日数の分布をお示ししております。こちら、緑色からオレンジ色まで丸がついておりますが、こちらの色がついているところを見ていただきますと、およそ大都市圏に集中しているという状況になっております。

 続きまして、12ページの注意報等の発令状況等に関してです。

 平成30年の光化学オキシダント注意報等の発令状況に関しましては、13ページの表2-1をご覧いただきますと、発令都道府県数が19都府県、発令延日数が80日となっており、平成29年と比較して、発令の延日数に関しましては減少しております。また、警報の発令はありませんでした。

 光化学オキシダント濃度やそれに基づく注意報等の発令状況に関しましては、気象要因による年々変動が大きいという特徴があるため、こちらに関しましても、3年ごとの移動平均値により経年変化を見ております。それが図の2-8になりますが、こちらを見ていただきますと、発令延日数に関しましては一時期、減少傾向になっておりましたが、近年は横ばいという状況になっております。

 また、都道府県別の発令延日数に関しましては、表の2-2を見ていただきますと、岡山県の12日が最も多く、次いで埼玉県の10日となっております。また、月別の発令延日数としましては、7月が37日と最も多く、続いて8月の26日、6月が9日間、以下となっております。

 なお、平成30年の注意報発令中の光化学オキシダント濃度の1時間値の最高値としましては、8月3日の神奈川県横浜地域での0.209ppmという値でございました。

 続いて2.3、被害届出状況に関してです。平成30年の光化学大気汚染によると思われる被害の届出に関しまして、表の2-1になります。こちら見ていただきますと、都道府県数としますと1件となっており、人数も13人ということになっております。こちら、出ておりますのが、16ページの表の2-3に記載をしております神奈川県1県のみという状況でございました。また、月別としますと、8月に1名、9月に12名ということで届出が出ておりました。届出のあった被害に関しましては、部活動時等に発生しているという状況でございまして、被害の症状は、のどの痛み、呼吸困難等であったということであります。

 こちら、資料の最後、17ページに、参考として非メタン炭化水素の年平均の推移をお示ししております。非メタン炭化水素ですが、光化学オキシダントの原因物質の一つであるということで、全国481局で測定をしております。こちらご覧いただきますと、年平均値としましては減少傾向が続いているという状況でございます。

 また、併せて、参考資料2になりますが、こちら、平成30年度の大気汚染状況ということで、昨年度末、3月27日に報道発表を行った資料になっております。

 この中の21ページになりますが、その他の大気汚染物質として、二酸化窒素の状況を記載しております。二酸化窒素、窒素酸化物に関しましても、それぞれの前駆物質になるということですので、その状況をご説明をさせていただきますと、こちらに関しましても、一般局における環境基準達成状況は100%、自排局におきましては99.7%ということで、近年、非常に達成率、高い水準で推移をしているという状況になります。

 また、22ページになりますが、こちらに二酸化窒素及び一酸化窒素の濃度の年平均値の推移を示しております。図の3-1-1、上段が一般局、下段が自排局となっておりますが、一酸化窒素、二酸化窒素ともに減少傾向が続いているという状況になります。

 資料1に関する説明は以上になります。

 続きまして、資料2-1及び2-2により、VOC排出インベントリの整備状況及びPM2.5等大気汚染物質排出インベントリの整備状況について、ご説明をいたします。

 まず、資料2-1、VOC排出インベントリの整備状況について、ご説明いたします。

 背景としまして、平成18年3月の中央環境審議会大気環境部会報告におきまして、「VOC排出抑制対策の進捗状況を把握するため、(中略)VOC排出インベントリの整備・更新を行う必要がある」とされたところでございます。これを受けまして、VOC排出インベントリ検討会を設置し、年度ごとのVOC排出量を「排出インベントリ」として作成をしてまいりました。当時の目標年度でありました平成22年度の排出量としますと、目標を上回る4割以上の削減がなされたと推計されており、これに関しましては、自動車等の排出ガス規制の効果も相まって、SPM及び光化学オキシダントについても改善傾向にあり、VOC排出抑制制度等による排出抑制の効果が示唆されたというところでございます。

 このような結果を踏まえ、平成24年12月に、VOC排出抑制制度の継続が適当であるとされたところでございます。これを受け、VOC排出状況の把握を継続して実施していくことが必要とされ、現在まで取り組んでいるという状況でございます。

 2番の推計対象とする物質でございますが、対象とする物質は、大気汚染防止法で定義された「揮発性有機化合物」、471物質を対象としております。また、オキシダント生成能に関しましては物質によって顕著な差があることが知られており、VOC排出インベントリにおいても、個別の物質の内訳を可能な限り示すことが求められております。このような背景から、平成26年度から27年度の検討会におきまして、いわゆる「工業ガソリン」等の混合溶剤を対象として文献等から細分化する方法を検討するとともに、平成28年から29年度の検討会におきましては、国内で販売されている溶剤の成分分析を実施することで物質の細分化を進めてきたところでございます。

 それでは、2ページ目になりますが、平成30年度ということで、最新のVOC排出量の推計結果を図1にお示しをしております。平成12年度、グラフの一番左になりますが、この頃には、1,401千トンが年に排出をされているという状況でございました。これが平成30年度、一番近いところですと641千トンということで、平成12年と比べますと、マイナス54%ということで、削減が進んでいる状況でございます。また、こちら、内訳としますと、塗料、燃料等が半分以上を占めているという状況でございます。

 続いて、3ページ目になりますが、前年度と比較して排出量の変化が大きい発生源品目を表1に示しております。増減率としまして10%以上、±10%以上の変化があった発生源品目を示しております。こちら、平成30年度に関しましては7品目が表に入っておりまして、前年度と比較しますと、前年度が8品目ということで、発生源品目自体は少なくなっております。また、粘着剤及び剥離剤については、表中のVOC全体に占める割合というところを見ていただきますと、およそ1%ということで、VOC全体に占める割合が比較的多いというところで、こちらに関する増減がインベントリへの影響としては比較的大きいという状況になっております。

 続いて、4ページ目としまして、推計対象とする発生源の見直しに係る検討についてです。VOC排出インベントリに関しましては、国内の統計等を用いた試算結果や諸外国のインベントリ等から排出量が大きいとされた固定発生源のうち、大気汚染防止法に基づくVOC排出抑制対策を講じることが可能な発生源であり、かつ、信頼性の高いデータが得られる発生源をこれまで推計対象としておりました。

 その後、光化学オキシダントやPM2.5大気汚染の現象解明のために発生源を拡充することが求められていることから、関連する調査・研究や諸外国のインベントリを参考に、発生源の見直しを行うこととしております。今後、従来の検討、推計と併せまして、民生部門等、より拡張をしたVOC排出インベントリというものを、これまでのものと併せて推計をしていきます。また、この成果を、PM2.5等大気汚染物質排出量インベントリに活用することで、それぞれの発生源からの排出量の精緻化を図るとともに、シミュレーションの高度化によりPM2.5等の新たな排出抑制策の検討を進めるということにしております。

 資料の2-1に関しましては、以上になります。

 続いて、資料2-2、PM2.5等大気汚染物質排出インベントリの整備状況についてです。

 1、背景としまして、こちらは「微小粒子状物質の国内における排出抑制策の在り方について(中間取りまとめ)」において、PM2.5に係る発生源情報を整備し、シミュレーションモデルの解析等により寄与割合の高い発生源を推定し、効果的な対策を検討するとともに、排出インベントリの整備・更新を通じて、排出抑制対策の実施状況をフォローしていくこととされております。

 このため、環境省においては、平成25年12月より「PM2.5排出インベントリ及び発生源プロファイル策定検討会」を設置し、PM2.5及びその前駆物質に係る排出インベントリの整備に取り組んできております。

 なお、これまでに整備をしました排出インベントリに関しましては、環境省ホームページにおいて、利用申請に基づくデータ提供を行っております。

 2番目としまして、PM2.5等大気汚染物質排出インベントリの整備・更新の考え方についてです。PM2.5等大気汚染物質排出インベントリにつきましては、PM2.5等の大気汚染物質排出抑制を進める上での基礎となるものであることから、継続的かつ体系的に整備・更新を進めていくことが必要となっております。このため、資料の5ページ目以降に別添としてお示しをしておりますが、PM2.5等大気汚染物質排出インベントリの整備・更新の考え方をこのように整理をしております。今後は、この考え方に基づいて、精緻化を図りつつ整備・更新を進めてまいります。

 3番、平成27年度PM2.5等大気汚染物質排出量ということで、平成27年度のデータに関しまして、このインベントリで整理をしました排出量についてお示しをしております。こちら、内容としますと、平成31年3月25日の第9回専門委員会でもお示しをしておりますが、今回、改めて、こちらにお示しをしているところになります。平成27年度の一次粒子としてのPM2.5の総排出量としますと、図1に示しておりますとおり、総量として12万トン、そのうち、製造業等の固定発生源からの排出が1万7千トン、自動車排出ガスからの排出が1万1千トン、巻き上げ・タイヤからの排出が1万3千トン、野焼きからの排出が1万3千トン、船舶からの排出が5万6千トンとなっております。

 なお、船舶の排出量に関しましては、ページ1の下欄に注釈として記載をしておりますが、大気シミュレーションに活用できるよう、日本海の大半・東シナ海の一部等、日本領海以外からの排出量も含まれているということで、値が大きくなっているという状況でございます。

 また、窒素酸化物(NOx)に関しましては、総排出量としましては180万トン、そのうち、製造業等の固定発生源からの排出が62万トン、自動車排出ガスからの排出が42万トン、建設機械・産業機械・農業機械からの排出が8万5千トン、船舶からの排出が63万トンということでございました。

 また、続いて、揮発性有機化合物(VOC)に関しましては、図3と図4ということで、植物を除くものと植物を含むもの、二つお示しをしております。

 まず、図の4をご覧いただきますと、植物を含むの総排出量としますと300万トンとなっております。そのうちの内訳ですが、図の3をご覧いただきまして、塗料からの排出が27万トン、溶剤からの排出が20万トン、自動車からの排出が13万トン、図4に戻りまして、植物からの排出が210万トンとなっております。

 続いて、図5、図6のSOxの排出量に関しましてです。こちらも、総排出量としましては図6にあるとおり240万トン、また、内訳としましては製造業等の固定発生源からの排出が33万トン、船舶からが28万トン、火山から排出が180万トンとなっております。

 図7と図8のNH3とCOに関しましてですが、アンモニアは総排出量が47万トン、一酸化炭素は排出量320万トンとなっております。

 続いて4ページ目です。こちらに平成30年度版ということで、最新のデータへの更新についての取組、お示しをしております。現在のPM2.5等大気汚染物質排出インベントリにおいては、平成27年に実施されました大気汚染物質排出量総合調査、いわゆるマップ調査の結果から、固定発生源の排出係数を設定しております。このマップ調査に関しましては3年に1回、定期的に実施をされておりまして、新しいところですと、平成30年度に実施をした調査の結果が取りまとまっていることから、活動量及び排出係数等の更新に着手をしております。

 昨年度の検討状況に関しましては、自動車以外では2018年度更新に必要な各種統計データも調査・収集、また、野焼きの活動量の更新、産業廃棄物の原単位推計など、記載のものに取り組んでおります。また、自動車に関しましては、自動車燃料消費量調査等に基づく2018年度推計の実施、また、二輪車のPM2.5等排出原単位の設定、特殊自動車の排出量の算定、旅行速度の設定などに取り組み、データの更新に着手しているところでございます。

 資料の2-2に関しましては、説明は以上となります。

 続きまして、資料の3になります。こちら、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言等の影響による大気汚染状況の変化について調査した結果をご報告させていただきます。

 資料の1ページ目、一番上の1、背景としまして、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大し、各国では都市封鎖や工場の操業停止などの措置が執られたところです。その結果としまして、大気汚染状況が改善したとの報道ですとか、あるいは措置の終了に伴い、経済活動が活性化したことにより大気汚染状況が既に元に戻った等の報道も見られるところであります。

 日本におきましては、令和2年4月7日に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出され、同月16日には緊急事態措置を実施すべき区域が全都道府県に拡大をされました。その後、5月に入り、順次、区域が縮小された後、同月25日には緊急事態が終了した旨が宣言されました。この緊急事態宣言措置による社会経済活動の変化に伴い、大気汚染の状況が変化することが考えられることから、国において設置をしております国設大気測定局の常時監視結果を基に、最近の大気汚染状況を整理したということで、今回の報告となっております。

 2番、対象とした測定データです。対象とした期間に関しましては、2011年から2020年までの前年10月1日から6月30日までの常時監視結果となっております。なお、2020年、今年のデータに関しましては6月14日までの数値となっております。また、2019年4月1日以降の測定データに関しましては、現在、確定前ということで速報値になっております。また、対象としました測定局に関しましては、国設の一般大気測定局9局となっております。9局の内訳は、※3に掲載をしております。調査の対象としました物質に関しましては、PM2.5、光化学オキシダント、それから、それぞれの前駆物質としまして、NOxとなっております。

 それでは、大気汚染物質ごとの傾向をご説明する前に、資料の3ページ目からの表を先にご説明いたします。こちら、表1、2、3となっておりますが、それぞれPM2.5、光化学オキシダント及びNOxの国設大気測定局の9局全ての月平均を並べたものになっております。表の上から、2011年から2019年までの月平均値、それから、2011年から2019年まで9年間の平均値を掲載しております。また、その下に2020年ということで、今年の6月14日までの数値を記載しております。表の下段の部分ですが、上段で整理をしております過去9年間の平均値からの変化率、それから前年、2019年の同月からの変化率ということで、二つをお示ししております。今回、このように整理をした結果から見られる内容につきまして、ご説明をいたします。

 まず、PM2.5に関してですが、こちらは2020年のPM2.5濃度を2011年から2019年、過去9年間の同月平均濃度と比較しますと、月によってばらつきはありますが、9~40%減少しております。また、緊急事態宣言が発出されておりました4月、5月に関しましては、共に比較すると37%の減少と低い水準になっておりました。一方で、緊急事態措置の解除後の6月に関しましては、9%の減少にとどまっているというところでございます。

 続きまして、2020年の結果を、2019年同年同月の濃度と比較しますと、こちらもばらつきはありますが、33%の減少から7%の増加になっているというところまでありました。緊急事態宣言の発出されている期間中に関しましては、4月において13%の減少、5月において24%の減少となっております。一方で、緊急事態措置の解除後、6月に関しましては7%の増加に転じているという状況でございます。

 続いて、4ページ目の表4になります。表4に関しましてこちらも先に説明させていただきますと、評価を行いました9個の国設大気測定局における1月から6月の6か月間の濃度平均値の変化を取りまとめた表となっております。

 PM2.5に関しましては、2020年の1月から6月の平均濃度が、2011年から2019年までの9年間の同濃度と比較して、19から39%減少しているという結果になっております。また、局としますと、大阪局における減少幅が最も大きくなっており、また、関東地方の東京局、それから川崎局に関しては、ほかの測定局と比べまして比較的減少幅が小さいという状況になっております。

 続いて、光化学オキシダントに関してです。光化学オキシダントに関しましては、2020年の濃度を2011~2019年の濃度と比較しますと、期間において14%の減少から6%の増加となっております。宣言発出されていた期間に関しましては、4月が3%の減少、5月が14%の減少となっております。また、緊急事態措置解除後の6月に関しましては、比較すると1%の減少になっております。

 続いて、2020年の濃度を前年同月の濃度と比較しますと、17%の減少から7%の増加ということで値がばらついております。また、緊急事態宣言が発出されていた間に関しましては、4月が前年同月と同程度、5月が17%の減少となっております。緊急事態措置解除後の6月に関しましては、2%の減少となっております。

 続いて、表4になりますが、測定局ごとに見た場合ですけれども、こちらは、全ての局、並べてみますと、およそ9%の減少から同程度、100%というような形になっております。

 三つ目としましてNOx、窒素酸化物に関してです。2020年を過去9年の同月濃度と比較しますと、7~35%の減少となっております。宣言が発出されておりました4月は33%の減少、5月は35%の減少となっております。また、解除後の6月に関しましては26%の減少となっております。

 同じく、前年同月の濃度と比較しますと、こちらは23%の減少から5%の増加となっております。4月は15%の減少、また、5月は23%の減少となっており、緊急事態宣言解除後の6月に関しましては、4%の減少というふうになっております。

 また、表の4になりますが、測定局ごとに見た場合ですけれども、こちらは、2020年の平均濃度を過去9年の同濃度と比較しますと、29%の減少から同程度となっております。特に東日本、西日本の都市部において減少となっております。また、前年と比較してあまり濃度が変わってないという部分に関しましては、箟岳及び松江に関しましては、もともとのNOx濃度が低いというところで、変化率にはあまり出てこなかったというふうになっております。

 NOxの最後ですが、資料の一番最後、8ページ目になりますけれども、こちらに経済産業省様のほうで出されています石油統計における原油の消費量をNOx濃度と比較をしております。大気中のNOx濃度に影響を及ぼす要素の一つとしまして原油の消費量が考えられることから、このような比較をしてみましたが、こちらを見ていただきますと、2020年1月以降の原油消費量とNOx濃度に関しましては、共に減少しているというのが見てとれました。

 これらの結果、最後にまとめさせていただきます。2ページ目の一番下になります。2020年の大気汚染物質濃度と過年度の濃度を比較した結果、PM2.5及びNOxに関しましては、大きな濃度の減少が見られたことから、緊急事態措置による社会経済活動の変化が一定程度、大気濃度の減少に寄与するということが示唆されました。一方で、光化学オキシダントにつきましては、大きな濃度の変化は見られなかったところであります。

 こちら、大気濃度の変動要因としましては、もちろん、これまでの排出抑制対策による減少トレンドですとか、気象変化に伴う年々変動、また、越境汚染による影響等も考慮する必要があることから、今回のものは結果ということではありますけれども、より慎重な検討が必要であります。具体的には、今後、測定データ、今回使用しました国設一般大気測定局以外に拡張をするほか、緊急事態措置前後の十分な期間のトレンドを踏まえて評価・検討する必要があると考えております。

 資料3に関しましては、説明は以上になります。

【大原委員長】 ご説明いただきありがとうございました。

 それでは、ただいまご説明いただいた資料につきまして、ご質問、ご意見をお受けしたいと思います。資料が膨大ですので、資料1から3に分けまして、資料1、2、3の順番に、一つずつご議論を進めていただければと思います。

 そして、オンライン会議でのご発言に関しまして、発言を希望される方は挙手ボタン、手のマークがついているところがあるかと思いますが、そこをクリックしてください。そうしましたら、こちらのほうで、どなたが手を挙げられたかというのが分かりますので、それを見て私がご指名いたしますので、お名前を名乗ってご発言をお願いしたいと思います。

 それでは、まずは資料の1の平成30年度の大気汚染状況について、いかがでしょうか。挙手をお願いいたします。

 それでは、四名から手が挙がっているようですので、まずは日化協の奈良様からお願いします。

【奈良委員】 日化協の奈良でございます。

 PM2.5の関係でお聞きいたします。資料1の2ページの環境基準達成率と年平均値の推移は改善傾向にあるということで、大変好ましい結果と受け止めた次第でございます。

 一方で、過去の本専門委員会においても、当方から気がかり事項としてお尋ねしたところなんですが、PM2.5そのものの環境状況を見直すことについては検討が進んでいるのでございましょうか。前もコメントさせていただきましたが、日本の年平均値15μg/m3、あるいは、その一日平均値35μg/m3は、WHOの指針値と比べると緩い数値が設定されていると理解しております。最新のPM2.5の健康影響に関する疫学研究の進展に基づき、もし見直すことを検討されているのであれば、その検討基準をお聞きしたいと思います。背景としましては、基準値、ゴールが変わりましたら、産業界としては固定発生源対策としてのばいじん、NOx、VOCなどの排出抑制のゴールも動くことになりますので、大変深い関心を持っています。

 よろしくお願いいたします。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 PM2.5の環境基準の改定の検討の状況についてということかと思います。環境省のほうから、もし可能でしたらご回答をお願いします。いかがでしょうか。

【馬島主査】 状況としますと、PM2.5の健康影響等に関しましては、現在、情報収集ということで、文献調査ですとか、疫学調査に基づく情報を収集しているという状況でございます。そのため、現時点で、まだ環境基準の見直しということで具体的な議論が進んでいるわけではありませんが、いただいたご意見を踏まえまして、こちらのほうでも検討させていただければと思います。

【大原委員長】 奈良委員、いかがでしょうか。

【奈良委員】 はい、承知しました。

【大原委員長】 はい、ありがとうございます。

 それでは、次に自工会の板場様、お願いします。

【板場委員】 日本自動車工業会の板場です。

 資料の説明ありがとうございました。前回、10月の合同委員会でも、発言させていただきましたけれども、資料の1の5ページです、先ほど関東地方において、自排局が非達成のこの赤印になっているという説明もありました、特定の自排局が非達成であることに関して、交通状況ですとか、自排局周辺の環境、原因は何か調査されてはいかがですかという依頼を前回いたしました。

 それに関係しましては、昨年の大気環境学会の年会で発表されておりますが、高濃度自排局周辺での調理の影響が顕著であるのではないかという報告がされているのを見ました。また、最近、自排局の実態調査として、飲食店の調理の影響を調査するという請負業務の公募がかかったことを知りました。この結果には非常に期待しております。しかしながら、飲食店影響、調理の影響というのは一般局でも同様にある可能性があるので、一般局で非達成のところもございますので、そちらの調査も進めるべきではないかなと思っております。この自排局の調査については、環境管理技術室の公募であるようにお見受けいたしました。一般局については、一つ大気環境課で実施すべきではないかなと考えますが、いかがでしょうかという意見でございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 環境省からお答えできますでしょうか。多分、現時点では、大気環境課として、具体的に特定の測定局の周辺での高濃度の状況について、何らかの特別な調査等をしているということはないだろうと思います。

 なお、今後、必要に応じて、適宜検討していくことになろうかと思いますが、もし環境省のほうから補足がありましたらお願いします。

【神谷課長】 大気環境課長、神谷ですけれども、今、座長からご発言がありましたけれども、まずは、その技術室の調査で、特定の自排局でご指摘のようなところがあるかというところを確認して、その上で、一般局についても展開する必要性を検討したいと思います。

【大原委員長】 板場様、いかがでしょうか。

【板場委員】 はい、分かりました。よろしくお願いいたします。

【大原委員長】 それでは、次に石油連盟の三浦様、お願いします。

【三浦委員】 石油連盟の三浦でございます。ありがとうございます。

 資料1の1.2のところ、地域別の状況のところでございます。ここで、解説として、関西とか、中国・四国で、環境基準未達成になっている原因として、船舶の影響が考えられるというようなご説明がありました。このデータ自体は、平成30年度のデータと承知しておりますけども、実は、IMOの硫黄分規制が2020年の1月、今年の1月から、舶用燃料の硫黄分が3.5%から0.5%まで下がるというような規制がされておりますので、そうなると、船舶関連の原因で下がっていないところというのは、かなり改善されるというようなことは考えられます。

 つきましては、今後、PM2.5の対策をする際に、こういった外的な要因で、今後減っていくという部分が多分にあるかと思いますので、長期的にモニタリングをしていった結果として、それでも減らないものについてどうすればいいかというような視点でやっていっていただきたい。つまり、この船舶の影響というものは、今年1月からの施策ですので、そういったものを少し長い目で見てモニタリングをしていただいて、それを基に対策の議論はしていただきたいなと思うものでございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 船舶の排出量関係につきましては、環境研究総合推進費で、現在、調査研究も進んでいるところであり、今、三浦委員ご指摘のような点も、その研究の中で成果が出てくることが期待されます。その調査結果も活用しながら、大気環境に関わるこれからの対策等について、検討を継続的に行っていくことが重要ではないかと考えております。

 もし、環境省から何か補足がありましたらお願いします。

【馬島主査】 ありがとうございます。今回、それぞれの環境基準、非達成局の周辺に関しまして、何が要因として考えられるかというところに関しましては、PM2.5等排出インベントリ等で推計されます排出量ですとか、そういったものに基づいて調査をしておるところです。先ほど、座長からもご発言がありましたけれども、船舶に関する排出量に関しまして、推進費における研究が進んでおり、もちろん、その結果を受けて、インベントリの情報等も更新されるところになります。なので、新しい最新の知見というものを踏まえまして、排出源となっている要因等々、調査継続してまいりたいと思います。

【大原委員長】 三浦委員、いかがでしょうか。

【三浦委員】 はい、分かりました。結構でございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 次に、田邊委員、お願いいたします。

【田邊委員】 二つ質問があります。

 資料の1で、従来、PM2.5は夏と冬、3ページですかね、夏と冬に高くなる傾向があったと思うんですが、近年、夏のピークが目立たなくなっているように見えます、3ページの図の1-4。で、なぜ改善されたか、知見があればお教えいただきたいというのと。

 もう一つ、参考資料の2で、後ろのほうに有害大気汚染物質の発生源周辺での濃度低下が進まないケースとか、濃度上昇が見られるケースがあって、指針値を超過していることもあるようです。どのように対策を進めておられるか教えていただければありがたいです。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、まずは3ページ目の図1-4で、夏にPM2.5の濃度レベルが下がっているようであるが、その原因について考えられることがあるかというご質問かと思いますが、いかがでしょうか。

【馬島主査】 そうですね、今回、ご説明をさせていただきましたところでは、平成30年度の季節別傾向ということでお話をさせていただいております。もちろん、月別の平均値がこれまで下がっている、変動しているという部分に関しましては、そういった過去の要因等々、長期的に評価をしなければならないというふうには考えております。今いただきましたとおり、月別で高くなっている傾向が変わっているというところ、何が要因であるかということは、調査をすべきことかなというふうには考えておりますので、そちらに関しましては、今後、取組させていただければと思います。

【大原委員長】 すみません、もう1点はどのようなご指摘でしょうか。もう一回お願いできますでしょうか。

【田邊委員】 はい、参考資料2の有害大気汚染物に関する記述で、全体的に眺めてみると、幾つかの物質で、発生源周辺で濃度低下が進まないケースとか、濃度が上がっているケースとか、指針値を超過するケースがあるようなので、どのように対策をなさっているか教えてくださいというふうに言いました。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 すみません、有害化学物質のほうまでは目が行き届かず、環境省から何かご回答いただければお願いします。

【清丸補佐】 事務局です。

有害大気汚染物質には、様々な種類がございますけど、例えば、優先的に取り組むべき物質で比較的濃度が高いものの一つに酸化エチレンがございます。この物質につきましては、滅菌業でありますとか、排出するとされている関係の業界の方々との意見交換も行いつつ、排出抑制策等について検討しているところでございます。

以上でございます。

【大原委員長】 田邊委員、いかがでしょうか。

【田邊委員】 ありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。とりわけ、今ご指摘いただいた最初のほうの夏にPM2.5が経年的に下がっているというのは、これは政策との関係でも、その政策評価というような意味でも重要な点かと思いますので、今後、解明すべき一つの課題ではないかと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、時間もちょっと押しておりますので、次に資料の2のインベントリ関係につきまして、ご発言がありましたら挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。

 奈良委員、お願いいたします。

【奈良委員】 資料2-2のほうでも構いませんか。

【大原委員長】 はい、問題無いです。

【奈良委員】 資料2-2ですけれども、VOC、その総排出中に占めるその植物由来の非常に大きなインパクトが大変気になりました。2ページの図4におきましては、植物由来のVOC、大体3分の2くらい占めておりますけれども、この関係で二つ伺いたいと思います。

 一つは、植物由来の微粒子の測定方法の検討はどこまで進んでいるのかということと、PM2.5、それから光化学オキシダント濃度への影響把握のためのシミュレーション等の検討はどこまで進んでいるのか。正直、VOCに限っては、産業界の固定発生源対策より植物起源の対策を考える必要があるのかなと真面目に心配もしたりしています。こうした二つの点につきまして、進捗状況、検討内容、お聞かせ願えればと考えております。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 植物起源のBVOCについては、ある意味ではその対策がしづらいというか、できないと。そういったような発生源ですので、政策的にどう考えるかというのは、ずっと課題になってきたところだと思います。

 それで、今ご指摘をいただきましたBVOCが全体のVOCの3分の2ぐらい占めるといったデータは、これまでもこの専門委員会でもお示ししてきたところでありますが、この間、一定の調査等は進んでいると認識しておりますので、もし環境省のほうで何か最近の取組等ですね、BVOCの評価に関わる取組等行われていることがありましたら、ご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

【馬島主査】 ありがとうございます。

 まず、植物由来VOCに関する調査というところに関しましてですが、まず、一つは、過去にも推進費における研究の中で取り組んでいただいたところというのは認識をしております。また、植物由来VOCの実際の大気中の状況というところに関しましては、国内におけるVOC成分測定という取組の中で、何項目かはその成分の中に入れて調査というのは行っているところであります。

 ですが、先ほどお話をいただきました光化学オキシダントですとか、そういったものにどのように寄与するかという部分に関しましては、まだ、知見が集め切れてないというところもありますので、そちらに関しては、まずは対策ができるところからというところで取り組んでいるところでありますが、植物由来に関するものについて、継続して情報収集と研究等を進めたいと考えております。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 奈良委員、いかがでしょうか。

【奈良委員】 はい、承知いたしました。

【大原委員長】 もし可能でしたら、BVOCに関する知見、造詣の深い梶井委員、何かコメントいただければと思いますが、いかがでしょうか。

【梶井委員】 すみません、今、うっかりしていましたけど、特にコメントできるような情報を持っているわけではありませんが、植物VOCが悪さをしているので駄目だよというのは、もちろんそうなんですけども、100年ぐらい前の状況に戻ったときのことを考えてみると、やはり、その植物VOC、同じように出ていたわけですけども、結局、何が言いたいかと申しますと、それ以外のNOxとか、オゾンとかが増えてきたことが、その植物VOCを脅威にしてきたものなので、そちらのほうを対策することを考えていかなきゃいけないので、植物VOCだけをターゲットにするというのは難しいんだろうなというふうに思います。

 すみません、まとまりのない意見です。よろしいでしょうか。

【大原委員長】 はい、どうもありがとうございました。とても重要なご指摘だと思います。BVOCは、ある意味では、もうそこにありきということを前提にした上で、政策を考えていく必要があるというご指摘だと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、田邊委員、ご発言をお願いいたします。

【田邊委員】 排出インベントリのVOCに関してなんですけれども、データが古くて更新が必要なケースですとか、ここにも書かれていますが、新しく推計が必要な発生源ですとか、それから、組成分解などが依然として課題であります。

 それで、新たな排出推計に関しては、幾つかのインベントリの間で上手に分担することが必要ですし、VOCの組成分解については、いろいろな協力をいただいたり、既存のデータを活用して、今進めていますけれども、実際の組成分析も必要になってくるのではないかというふうに思いますので、意見として、ここに残したいと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。VOCの組成分解に関する知見が、まだ必ずしも十分でないというのは、そのとおりかと思います。今後の重要な課題と議事録に残していただければと思います。そういう整理でよろしいですね、田邊委員。

【田邊委員】 はい。あと、データが古くて、更新がなかなかできないというケースも結構ありまして、それも何か手だてが必要じゃないかというふうに思っています。

【大原委員長】 分かりました。どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、資料の3に移りたいと思います。資料の3、最近の大気汚染状況の変化についてということで、皆さん、ご関心のある方もいらっしゃるかと思います。

 では、まず、自工会の板場委員、お願いいたします。

【板場委員】 自工会の板場です。

 資料3のところで新型コロナの影響ということで、緊急事態措置による社会経済活動の変化が一定程度寄与することが示唆されるというふうに書かれております。NOxなんかを見ますと、これ、経年的に変化する、要は低下している傾向が続いてきているわけですから、やはり、本来はここは、後段に記載されていましたけれども、要因として、抑制対策ですとか、気象変化、越境影響などがある、慎重な検討が必要であるというふうに書かれておりますので、今回の結果、コロナ影響だけだと、やはり誤解されないように気をつけるべきだ思っています。ですから、今後しっかりと、やはり検討、評価していただいて、再レビューをぜひしていただきたいというお願いでございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 今ご指摘いただいた点につきましては、この資料の、資料3の2ページ目の下のほうに既に記載されておりますので、この記載事項にのっとって、しっかりと今後の検討を進めると、そういう理解でよろしいですね。

【板場委員】 はい、さようでございます。しっかりやっていただきたいと思います。

【大原委員長】 はい、分かりました。ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、畠山委員、お願いいたします。

【畠山委員】 畠山です。

 大変このコロナ影響というのはチェルノブイリのときの粒子の予想の件と似ているというか、壮大な実験になったような気がするんですけれども、今回の、この解析のデータは4月が中心になっていますけれども、大規模発生源である中国と日本では、そのコロナのピークが大分ずれていましたよね。中国だと3月、2月から3月にかけてのほうがピークで、衛星のデータでも、中国の上空のNOxの濃度が非常に下がったというふうなデータが新聞や何かでも報道されていましたけども。

 ですから、ちょっとこの辺のコロナのピークの違いも意識した解析をもう少ししないと、NOxや何かだと、日本の国内の、近場の影響のほうが大きく出て、4月が一番減るというようなことになりますけれども、オキシダントなんかだと、むしろ大陸の影響があれば、少し3月辺りのほうにも影響がその分出てきているというようなことにもなると思うので、もう少し細かい解析をされたほうがいいんじゃないかと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 環境省からご回答をお願いします。

【馬島主査】 大陸のほうにおけるピークと日本におけるピークがずれていたということはおっしゃるとおりかと思います。そういった部分が、ある程度確認ができればという考えもありまして、今回、測定のデータを整理した期間としまして、前年の10月からということで、中国のほうにおいて、対策等執られていました1月、2月、3月頃ですかね、その辺りに関しても傾向が見られればというふうに考えた次第でございます。

 ただ、一方で、今回、今後というところでも書かせていただいておりますが、データを整理したのが、国設の9局だけというところになっております。また、越境等々の影響もということであれば、測定地点としましても、選び方というところがあるかと思いますので、そういったご指摘いただいた点等も踏まえて、今後、継続して調査・解析できればと考えております。

【大原委員長】 ありがとうございました。畠山委員、こちらの回答でよろしいでしょうか。

【畠山委員】 はい、了解しました。

【大原委員長】 それでは、続きまして、鵜野委員、お願いいたします。

【鵜野委員】 鵜野です。

 非常に興味深い解析なんですけど、私の意見は先ほどの畠山委員の話と非常に似ているんですが、PM2.5の濃度、日本の緊急事態は4月、5月なので、4月、5月は確かに下がっているんですけど、PM2.5を見ると2月、3月、日本の濃度は3分の2ぐらいに、物すごく減っています。ですから、中国の影響と、中国の影響は2月、3月が多いんですけど、4月にも少し引きずっていると思うんですよね。その影響をちゃんと見ることと、あと、もう一つは、今年、ものすごい暖冬だったんですよね。なので、暖冬で、その気象条件がちょっと違うので、その効果も少し見る必要があるんじゃないかと思います。

 あと、もう一つ気になるのは、今年の春節は1月ですよね。前年は2月だったので、その春節の影響も月を変わっているので、その辺をちょっと含めて見直したほうがいいんじゃないかと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。詳細な解析が必要だということだと思いますが、環境省からはいかがですか。

【馬島主査】 ありがとうございます。おっしゃったように、それぞれのところで、やはり事情等異なっておりまして、いわゆる排出が多かった時期、少なかった時期というところかと思います。また、おっしゃるとおり、PM2.5に関しましては、比較的早い時期から値が下がっているというところもありまして、ご指摘のとおり、中国からの影響というところもあるのかなとは考えますが、ただ、それが実際のところ、PM2.5の濃度に占めるうちの越境汚染の割合というところが、まだ、しっかりと検討する必要があるかなと考えておりますので、ご指摘いただいた内容を踏まえて、そういったところも含めて検討できればと思います。

【大原委員長】 鵜野委員、そういう回答でいかがでしょうか。

【鵜野委員】 はい、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

【大原委員長】 引き続き解析して頂ければと思います。ありがとうございました。

【鵜野委員】 結構です。

【大原委員長】  それでは、議題の1につきましては、これで終わりにさせていただきます。事務局におかれましては、ただいまのご指摘を踏まえまして、ご対応いただくようにお願いいたします。

 続きまして、議題の2に移ります。PM2.5・光化学オキシダントに関する対策の取組状況についてということで、事務局から、資料の4、5、6、7と、結構膨大な資料になりますけれども、40分ほど時間を取りまして、ご説明をお願いいたします。

【馬島主査】 それでは、事務局から、資料4に関しまして説明をさせていただきます。

 まず、PM2.5の発生源別寄与割合等に係る知見の整理ということで、こちら、資料の1ページ目が、まず1番として、平成30年度の成分測定データを用いた発生源別寄与割合の推計ということで、取組の内容をご報告させていただきます。

 まず、こちらですが、環境省におきまして、PM2.5の成分分析ということを自治体の皆様に実施していただいております。PM2.5の成分分析というものが、PM2.5濃度を低減させるために有効な対策を立案するのに発生源の把握が必要であろうというところから取り組んでおるところです。今回、その平成30年度の成分測定データを用いて、PMF解析という解析により発生源の情報を整理をしたところであります。

 PMF解析が実際にどういうものかというところに関しましては、1ページ目の最下段のところに注釈として書いております。ある地点で観測された成分濃度を基に、その濃度に影響を及ぼしたであろう各種発生源の寄与を統計的に推計する方法、いわゆるレセプターモデルというものの1種であります。このPMF解析というものは、濃度の変動傾向が類似した成分からなる因子というものと、各因子の寄与割合等を同時に推定する手法となっております。

 今回のPMF解析において、設定をされました因子というのが2ページ目、図1に、9個の因子を示しております。また、それぞれの因子に関しまして、何に対応づけたかというところを表1に示しております。表1にあります第1因子のバックグラウンドというものに関しましてですが、これは、いわゆる特定の発生源プロファイルと一致するものがなかったというところ、また、その後の3ページ目の図2を見ていただきますと、寄与割合というものが地域・季節に関係なく、概ね一定であったというところから、大気中にバックグラウンドとして存在する長寿命粒子であるとみなしたところでございます。それ以外の2から9の因子に関しましては、既存の知見と概ね整合的な因子プロファイルとなっております。

 その結果に関しまして、3ページ目になります。質量濃度に関しましては、空間的な傾向として、西の地域ほど高くなる傾向が見られております。また、季節的な傾向としましては、九州・沖縄以外の地域では、春・夏に高く、秋・冬に低いという傾向が見られておりました。また、九州・沖縄では、冬の濃度が春・夏と同程度となっております。寄与割合に関しましては、先ほどご説明をしましたバックグラウンドの寄与が全地域において最も大きくなっております。また、季節的な変動は比較的小さいとなっております。

 特徴あるものを幾つか述べさせていただきますが、まず、重油の燃焼に関しまして、こちら、寄与は全地域の春・夏に大きくなる傾向が見られました。また、石炭燃焼の寄与に関しましては、西の地域の冬に大きくなる傾向が見られ、これに関しては越境汚染の影響であると考えております。また、バイオマス燃焼に関しましては、関東地方及び九州地方の秋・冬において大きくなるという傾向が見られておりました。こちらは、あくまで一つの解析結果というところでありますので、発生源の寄与割合を解析するデータとして、一つ取り組んだものとしてご報告をしております。

 続きまして、4ページ目、平成30年度のPM2.5高濃度事例に関する文献調査から、ご報告をいたします。こちら、平成30年度に発生したPM2.5高濃度事例に係る文献について、第60回大気環境学会年会講演要旨集から抽出をしておりまして、その内容を表2に整理をしております。詳細はこちら、ご覧をいただければと思います。

 続いて6ページ目ですが、こちらは、達成局及び非達成局の周辺における大気汚染物質排出量の比較ということで行った内容になります。

 地域を、7ページ目に示してありますとおり、六つに分けまして、それぞれの環境基準達成局及び非達成局の周辺の発生源からの排出量を整理いたしました。固定発生源及び移動発生源からの排出量に関しましては、PM2.5排出インベントリ及び発生源プロファイル業務において作成された排出量を使用しております。また、船舶からの排出量に関しましては、推進費で取り組んでいただいております排出インベントリのうち、2015年度ということで、PM2.5排出インベントリの排出量情報と年度を合わせたものとしまして、整理をしております。これらの排出量データを用いまして、環境基準達成局・非達成局の周辺における大気汚染物質排出量の状況を、それぞれ比較をしたところでございます。

 こちら、図の見方を簡単に説明をさせていただきますが、6ページ目の一番下、注釈のような形で掲載をしております。排出量データを並べまして単純に中央の値、それから4分の1番目、25%の値と75%の値をそれぞれ箱の上下に表示します。また、最大値と最小値が、その25%値と75%値から計算的に出てくるということで、こちら、図3及び図4に示しております。ご覧いただきますと、例えば、図3の一般局の中国・四国地方ですが、こちらの達成局と非達成局を比較しますと、非達成局において、赤の固定発生源の箱が非常に上、排出量の大きいほうに長くなっております。これは、排出量が比較的大きい施設が環境基準の非達成局の周辺に多く存在しているというようなことで示しておるところであります。また、同じグラフを見ていただきますと、達成局においても幾つか排出量が大きい施設が外れ値ということで表示がされておりますが、これは、達成局の周辺においては比較的排出量の小さい固定発生源が周辺に集中しており、幾つか排出量が高い施設があるということが、こちらの外れ値ということで表示がされておるところになります。

 このような見方で整理をいたしますと、特に合計PM2.5排出量の差が、達成局と非達成局において差が顕著だった地域としますと、九州・沖縄地方の短期基準の非達成局、中国・四国地方の長期基準の非達成局、また、近畿地方では、長期・短期基準の両方の非達成局ということになっております。これらの地域においては、測定局周辺におけるPM2.5排出量の内訳としまして、固定発生源からの排出量が多いというような傾向が見られております。ただし、先ほど申し上げたとおり、達成局の中にも一部、周辺に排出量が多い発生源があるということには留意する必要があるところであります。

 また、自排局に関しましては、近畿の長期基準非達成局を除き、非達成局と達成局の周辺においては、特段大きな差は見られなかったという結果になっております。

 続きまして、9ページ目、大規模固定発生源周辺における排出量分布及び風向別PM2.5濃度の可視化ということで、同様の取組を一部、昨年の10月に実施をしております専門委員会の中でもお示しをしておりますが、今回、そこでお示しをした二つの局のほかに、追加で三つの測定局で調査を行いましたので、その結果をご報告させていただきます。

 周辺およそ3km前後、2kmから3kmのところに排出量の大きな固定発生源が存在している測定局に関しまして、固定発生源からの風向時の測定局での観測結果というものを確認をしたところになります。詳細は省略させていただきますが、測定局AからC、三つのところに関しまして、固定発生源からの風向時に汚染物質濃度が高くなる傾向が見られております。

 最後、11ページ目がまとめと今後の課題となっております。箇条書になっておりますのは、先ほどご説明の中で申し上げた部分ですので、省略させていただきます。今後の課題に関しましては、固定発生源による周辺のPM2.5濃度への影響が示唆されましたが、固定発生源によるPM2.5濃度への寄与割合については、依然として定量的に評価できていないというところが課題として挙げられております。

 ですので、引き続き、全国の常時監視ですとか、PM2.5成分分析の結果を活用して、発生源寄与割合に関する解析を進めるとともに、文献などにより全国の高濃度事例の調査に取り組むということで考えております。

 資料4に関しましては以上です。

【小梶補佐】 続きまして、資料5に基づきまして、PM2.5に係るばい煙排出抑制対策の検討について、ご説明させていただきます。

 令和元年度の調査としまして、微小粒子状物質の国内排出抑制対策の在り方の短期的課題に関連しまして、大気汚染物質排出量総合調査でありますマップ調査の結果の整理、また、地方公共団体におけるばい煙排出抑制対策を整理しました。さらに、凝縮性粒子に関する、煙道中PM2.5の相関について検討しました。

 まず、調査結果についてご説明させてもらいます。マップ調査の結果を活用しましたばい煙の排出抑制に係る解析でございます。

 図1をご覧ください。平成29年度の全国のばいじんとNOxの排出量につきましては、施設種別内訳を見ていただきますと、排出量の上位5位を占める施設種につきましては、平成26年度の実績と比べまして、順位は一部入れ替わっておりますが、施設種自体は変わっておりません。また、業種別に見ていただきますと、上位の業種につきましては、順位の入れ替わりはございますが、業種は変わっておりません。続いて、総排出量でございますが、ばいじんにつきましては、平成26年度に35,986トンであったのが、平成29年度につきましては31,200トンと減少しております。NOxにつきましては、平成26年度に307,342千Nm3でしたのが、29年には273,595千Nm3と、こちらのほうも減少しておりました。

 続きまして、表2をご覧ください。平成29年度の実績におけるばいじん及びNOxの各排出量の上位5施設種から、ばい煙排出濃度が高いほうから上位1%の施設を高濃度排出施設としまして、高濃度排出施設からの排出量が、各排出種のばい煙排出量に占める割合を算出しました。高濃度排出施設からの排出量が、各施設種のばい煙排出量に占める割合が15%以上の施設、ばいじん排出量ですとボイラーと乾燥炉、NOx排出量ですとボイラーとディーゼル機関になりますが、これらの施設種につきまして、高濃度排出施設種としました。この高濃度排出施設種につきまして、ばい煙排出濃度別の施設数と排出量分布を示したものが図2から図5になります。

 図2をご覧ください。図2の上の図が施設数で、下の図がばいじん排出量になります。点線から右側が、ばいじん濃度が高い方から上位1%の施設になります。下の排出量で見てみますと、全体の排出量に占める割合は21%になっております。このように、ばい煙排出濃度が高い施設につきましては、施設数が少なくても排出量全体に占める割合は大きくなっていました。

 続きまして、5ページの地方公共団体におけるばい煙排出抑制対策ヒアリングについてご説明させていただきます。地方公共団体にばい煙抑制対策のヒアリングをした結果、独自条例の制定や、排ガス量が多い事業者との協定締結等により、個別にばい煙排出削減を図っている事例がございました。また、オキシダントの注意報が発令された際に、自治体からの要請に基づき、協力事業者において施設の出力低下、燃料の切替えや排ガス処理方法の変更等を実施している事例もございました。その他、指導事例としまして、メンテナンス不足や排ガス処理設備の老朽化による排ガス濃度が高い施設に対して、メンテナンス等を指導することで、排ガス濃度が改善されたという事例もございました。

 今後の検討でございますが、これまでPM2.5対策に係る検討の一つとしまして、ばい煙発生施設からのばい煙排出抑制対策に焦点を当てて検討を行ってきたところでございます。今後の検討としましては、上位5施設種を中心としまして排出削減シナリオを策定し、高濃度地域を対象としたシミュレーションを行うこと等によりまして、ばい煙排出抑制の対策が環境濃度にどの程度寄与するか、効果を検証しながら、対策の具体化を検討していくことが重要でございます。

 このため、ばいじん及びNOxの排出量上位5施設種を中心に、排出削減シナリオによる削減効果の検討を行ってまいります。その際には、施設種ごとの状況及びあるべき姿を踏まえつつ、業界ヒアリングを行うなどにより検討を行うことが重要でございます。

 また、関東地方の都市部等、比較的環境基準の達成率が低い地域を中心に、排出削減シナリオによる固定発生源からのばい煙の排出削減が、大気中のPM2.5にどのように寄与するかというのをシミュレーションモデルにより検討することとしています。

 これらを踏まえまして、令和2年度につきましては、移動発生源や越境移動による寄与も踏まえつつ、高濃度地域を対象としたシミュレーションモデルにより、PM2.5濃度削減効果を推計し、経済的・技術的考慮を払いつつ検討することにより、ばい煙排出抑制対策の大まかな方向を示すこととしています。

 続きまして、6ページでございますが、凝縮性粒子に関する調査も実施しまして、こちらは参考として載せておりますので、説明につきましては省略させていただきます。

 資料5の説明につきましては以上です。

【馬島主査】 それでは、続いて資料6、光化学オキシダント対策の立案に向けた基礎的検討について、説明をさせていただきます。

 こちら、概要としましては、光化学オキシダントの追加的な対策の検討に当たっては、将来の前駆物質排出量と光化学オキシダント濃度を推計するためのシミュレーションモデルの精度向上と、前駆物質削減のための追加対策ケースの検討に取り組んできたところであります。令和元年度は、既存の対策を継続した場合の将来排出量を推計するためのベースラインシナリオの設定及び感度解析に加えて、試験的に前駆物質の削減シナリオの検討を行いました。

 まず、2番としまして、ベースラインシナリオに基づいた感度解析結果をご報告いたします。今回、ベースラインシナリオを用いて推計した2025年度排出量を設定し、既存の対策を継続した場合の光化学オキシダント濃度への対策効果について検討いたしました。なお、基準としましたのは、2015年の暖候期を基準としております。

 2.1のモデル設定ですが、こちら、気象モデル及び化学輸送モデルに関しましては、令和元年度中の取組において精度管理、精度確認等々を行ったモデルをそのまま使用しております。

 ベースラインシナリオにつきましては、表1に、その内容を示しております。基準年度は、先ほど申し上げました2015年度、将来年度としましては、既存対策をある程度見通せる年として2025年度、10年後を設定しております。また、シナリオとしましては、規制を徹底、及び目標・計画徹底シナリオとしまして低位排出、また、規制徹底、対策現状維持シナリオとしまして高位排出の二つを設定しております。対象の地域は、日本国内及び国外(東アジア)ということで、日本国内のみ、上で示しております低位・高位の2シナリオ、国外については1シナリオのみとしております。将来排出量の推計方法としましては、基準年の排出インベントリに発生源別の排出量比率を掛け合わせることで、将来年度の排出量を算出しております。排出量比率の検討の対象物質としましたのは、NOx、VOC、SOx、CO、NH3、SPM、PM2.5の物質となっております。

 2ページ目の表2に、各発生源のシナリオの概要ということで、それぞれの高位排出とした場合のパターンと低位排出とした場合のパターン、それから参照した資料等々を記載しております。

 こちら、結果につきまして、3ページ目以降でお示しをしております。まず、(1)としまして、Oxになります。基準ケース及び将来年度ケースにおきまして、比較した結果が3ページ目の一番下、図1の(2)になります。こちらを見ていただきますと、基準であります2015年の黒線と比較しまして、高位排出、低位排出ともに暖候期の平均値が下がっているということが示されております。

 4ページ目、こちらがOxの前駆物質としまして、NOx及びNMHCの暖候期平均値に関して、図2と図3に示しております。こちらも、図の下にあります日変化ということで見ていただきますと、NOxに関しましても、基準に対して高位排出、低位排出ともに減少。片や、NMHCに関しましては、図3の(2)に示しておりますが、低位排出で大きく減少しており、高位排出の場合は、その中間というような変化をしております。

 6ページ目からが、Oxの暖候期の98%タイル値ということで、ベースラインシナリオにより検討を行った結果を示しております。

 詳細は省略をさせていただきますが、概要としまして、7ページ目にあります表3をご覧ください。こちらの関東の各都県、それから北関東地域、南関東地域、関東一円ということで、それぞれの暖候期の98%タイル値の基準年度、高位排出シナリオ、低位排出シナリオということで計算をした結果をお示ししております。また、基準年度からの変化量ということで、ppbと変化率、パーセントでそれぞれお示しをしております。関東全体ということで見ていただきますと、変化量としますと、高位排出の場合で-4.6ppb、低位排出の場合で-5.9ppbということで、5.2から6.7%の減少、低下する可能性が示されたというところであります。

 8ページ目に関しましては、各ケースにおける地点別の比較ということで、黒い箱が基準年度、赤が高位排出の場合、青が低位排出の場合ということで、それぞれの場合におけるOx濃度の変動というものをこちらでお示しをしております。

 続いて、9ページ、高濃度発生日数に関しましてです。こちら、Oxの日最高8時間値が50ppb、70ppb、100ppbを超える日数について、都県別に整理をしております。

 その結果が10ページ目の図6になります。図6の表ですが、上から50ppb以上、中段70ppb以上、一番下が100ppb以上ということで、それぞれの都県において、また、測定局当たりで観測される日数という形でお示しをしております。この中、特に一番下の100ppb以上が観測される日数というところで見ていただきますと、関東全体において、基準年度の場合は測定局当たり1.5日だったものが、高位排出で0.9日、低位排出で0.8日ということで、それぞれ4割前後の減少ということで、可能性が示されております。

 最後、11ページに、これをまとめております。こちら記載している内容は説明をした内容と同じですので省略をさせていただきますが、最後、12ページ目の一番最後ですけれども、結果の解釈に当たっては、日本国内のみの排出削減効果だけではなく、中国における前駆物質排出量の変化というものも国外の場合のシナリオということで加えておりますので、それに関して留意が必要であるということで整理をしております。

 続いて13ページからです。こちら、前駆物質の主要発生源に係る追加対策ケース案ということで、先ほどご紹介をしましたベースラインシナリオにおいても、特に低位排出シナリオの場合には、業界における取組等々によるVOC排出量等の減少というところは見込んではおりますが、それに加えて何か追加の対策を行った場合に、どのように変化するかということで、一案として、今回、検討を行っております。

 なお、資料の2-1でお示しをしましたVOC排出量というところで見ていただきましたけれども、主要な発生源となっております塗料ということで今回は検討を行っております。

 3.1でお示しをしておりますのが、塗料に関するVOC排出量の推計結果ということで、こちらVOC排出インベントリからの報告結果となっております。こちらを見ていただきましても、塗料からのVOC排出量自体は毎年減少をしておりまして、2000年度比で2017年の比較になりますが、53%削減されているという状況ではあります。

 続いて、14ページ目をご覧いただきます。こちらに需要分野別の塗料出荷量及びVOC排出推計量をお示ししております。こちら、見ていただきますと、塗料の出荷量が多い需要分野としましては、建物及び自動車・新車となっておりますが、こちらは、使用している塗料としましては、VOC含有量が少ない水系の塗料化が進んでいるという状態であります。また、構造物に関しまして、こちらは、VOC排出量は全体の4番目でありますが、塗料出荷量に対するVOC排出量比率としては31%ということで、同じく屋外での塗装が前提となる建物に比べて高い値となっておりました。また、自動車の補修につきましては、塗料出荷量に対するVOC排出量比率83%と高くなっております。

 これを踏まえまして、対策ケース案を15ページ以降で示しております。塗料における追加対策ケース案としましては、溶剤系の塗料、非ハイブリッドタイプになりますが、こちらの低VOC塗料への転換ということを設定しました。また、それぞれの代替率によって、VOC排出量の削減量ということも試算をしております。実際のところ、低VOC化というのは、それぞれの分野において進んではおりますので、その進んでいる状況から、さらにそれぞれで何%進んだ場合ということで試算をしております。

 それぞれ、代替する対象となる塗料に関しまして、17ページの表5にお示しをしております。分野によって水系の塗料ですとか、あるいは、無溶剤系塗料への転換等々仮定をしております。

 この結果を18ページからお示しをしております。低VOC塗料に溶剤系塗料を代替した場合のVOC排出量の試算結果、これを図12に示しております。また、実際の排出量削減量と代替率の散布図、図13にお示しをしております。こちら、ご覧いただきますと、2017年度の塗料からの排出量249千トンに対しまして、30%代替した場合で207千トンということで17%削減、50%代替の場合で28%削減、70%の場合には39%削減するという結果が得られております。

 この結果をベースラインシナリオの高位シナリオ、及び低位シナリオの排出量減少のところにさらに追加をしまして、実際に、その2025年度の段階でどれぐらいの排出量になるかということを試算をした結果が、図14及び図15になります。中でも、図15で、VOC塗料への代替、50%の場合のVOC排出量変化を示しております。高位排出シナリオにおきましても、もともと、それ以外の通常の取組という中でVOC排出量、2015年と比較して10%減となっておりますが、50%代替が進んだ場合には、さらに追加で7.8%の削減が見込めるという結果となっております。

 また、低位排出シナリオに関しましては、追加対策を行わない場合でも21%減ですが、追加対策ということで50%代替が進んだ場合には、さらに6.4%減となっております。

 最後、21ページにまとめと今後の課題ということで示しております。結果に関しましては、先ほどご説明をさせていただいたことの繰り返しになりますので、省略をさせていただきまして、一番最後、今後の課題ですが、今回の検討では、塗料における低VOC化を進めた場合ということで、排出量の削減ポテンシャルの確認を行ったところであります。今後、こうした結果を実際にシミュレーションモデル等に反映をさせて、Oxの削減効果というものを精査することが、取組とすれば考えられるところになります。

 また、今回は塗料ということで検討を行いましたけれども、ベースラインシナリオに含まれる塗料以外の発生源に関しましても、NOxやVOCの排出抑制対策及び削減ポテンシャルの検討ということが考えられるところになります。

 資料6に関しまして、説明は以上です。

【河合係長】 それでは、引き続き、資料7について、簡単に説明をさせていただきます。

 まず、2国間として日中における協力ですけれども、日中都市間連携事業というものを、平成30年6月の覚書に基づきまして実施をしておりまして、モデル事業等を実施しております。今後は、第三国展開により重点を置いて、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)、また日中韓三カ国における取組を通じ、成果の横展開を図ることとしております。

 次に、日中韓における取組ですけれども、毎年、大気汚染に関しての三カ国政策対話を開催しております。11月、北九州で開催されますTEMM21におきまして、これまでの5年間の政策対話の成果、また、今後の目標等について取りまとめたレポートというものを報告しております。また、日韓の協力では、PM2.5の予測モデル、排出インベントリに関して共同研究等を実施しているところでございまして、こちらに関しても、サマリーレポートとして、日韓の環境大臣バイ会談において報告をされたところでございます。

 続きまして、次のページですね、PM2.5等の大気汚染物質の長距離輸送に関して、中国・韓国と共同研究を実施しております。こちらに関しても、令和元年11月に、サマリーレポートを公表したところです。内容としましては、大気汚染物質のモデリングに関して、PM2.5に係る日中韓の発生源の相互の寄与度合いを解析しておりまして、結果は、そこに中国、韓国、日本と、それぞれ記載をしているところです。こちらを見ますと、いずれの国におきましても、PM2.5濃度というのは、それぞれ自国の国内発生源由来というものの寄与が最大となっておりまして、今後、日中韓3か国を含むアジア地域における良好な大気環境の共有に向けて、引き続き、この活動を推進していくとともに日本国内の発生源対策というものを推進していくこととしております。

 続きまして、他国間の協力ですけれども、まず、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)に関してです。こちらは、PM2.5・オゾンを含む酸性雨関連物質のモニタリングデータの交換、評価等を行っているところでございますが、令和元年11月に、その政府間会合というものを開催しております。こちらでは中期計画ですね、活動を決めている中期計画に係る議論を行っておりまして、我が国からは、EANETがPM2.5を含む大気環境の改善に資する枠組みとなるよう、スコープの拡大、大気汚染へのスコープの拡大と名称の変更についてご提案をしておりまして、13か国、ほとんどの国からスコープ拡大に賛成するという意向が示されたところです。今後は、引き続き議論をしていくこととしております。

 それからUNEP、国連環境計画と連携をしまして、その実施をしておりますアジア太平洋クリーン・エア・パートナーシップ、APCAPですけれども、こちらでは2019年に取りまとめました、アジア太平洋地域において優先的に取り組むべき25の大気汚染対策に係る報告書というものを作っておりまして、今後は、こちらに基づいて取組を推進していくこととしております。

 最後に、3ページですけれども、クリーン・エア・アジアと連携をしておるところでございますが、こちらも引き続き、都市におけるキャパシティ・ビルディングを推進していきます。

 今後につきましては、EANET、今後の国際協調に基づく酸性雨を含む大気汚染対策に向けた中核となる取組というふうに位置づけて、ほかの他国間・二国間の枠組みを連携をさせていくとともに、より充実させていくこととしております。また、新型コロナウイルス関連でも、大気汚染との関係、影響ですとか、健康影響等も報告があるところでございますので、こちらのコロナの対策という観点からも、各国のニーズを踏まえて、効果的な国際協力を推進していくこととしております。

 以上です。

【大原委員長】 資料4から7のご説明をいただきました。ありがとうございました。

 それでは、残り時間が少なくなりつつありますが、これから15分程度、今の資料に関するご議論をいただきたいと思います。で、順番に資料の4、5、6、7といきたいと思いますが、時間の制約もありますので、資料の4と5は、まとめてご質疑いただければと思います。

 ということで、資料の4、5につきまして、ご発言いただける方、挙手をお願いいたします。

 それでは、最初に鉄鋼連盟の武井様、お願いいたします。

【武井委員】 ありがとうございます。

 資料5についてでございますけれども、5ページですけれども、2.の今後の検討についての一番下の行、対策の具体化を検討していくことが重要であると、こういうところでございますが、そもそも、この中間取りまとめの中では、短期課題として、ばいじん・NOxについて追加的な排出抑制策の可能性を検討すべきであるというところから来ていると思いますが、ここの対策の具体化を検討していくことが重要であるという形の文章になったところは、いろんな議論が十分なされて、こういう表現になっていると理解してよろしいのでしょうかというのが1点。

 それから、その下、(1)削減効果の検討についての真ん中の行でございます。施設種別の状況及びあるべき姿を踏まえてという、このあるべき姿というのはどういうことを想定されているのか。最新技術を全て入れれば下がるのは当たり前なんですけども、いろんな経済的なところを踏まえて、この「あるべき姿」という表現について、環境省は、どのようなお考えですかという2点をお聞かせいただきたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、まずは対策の具体化の検討のところですね、これに対してお答えいただけますでしょうか。

【小梶補佐】 1点目は、2年前からPM2.5のばい煙対策の検討をしており、その結果を順次検証しながら、対策を具体化していくということです。

【大原委員長】 2点目はあるべき姿。

【小梶補佐】 2点目は、シナリオ策定に当たって、あるべき姿も踏まえまして、幅広く考えていきたいということで、このような記述にさせていただいております。

【大原委員長】 武井委員、追加のご発言、多分あろうかと思いますので、お願いします。

【武井委員】 すみません。あるべき姿とは、どういうところを想定されているのかという話に対してのお答えをいただけてないような気がします。

【小梶補佐】 すみません。あるべき姿というのは、環境基準の達成というのが最終的な姿になるということでございます。

【武井委員】 時間がないので、ほかの方に譲りますけども、ということは、どういう排出量になったら環境基準が達成できるかというところが分かっているということになるかと思いますけれども。

【小梶補佐】 そうですね、そういうのを検討していくというのを、今後の検討のところに書かせていただいているところでございます。シナリオの検討をしまして、シミュレーションモデルによる検討と、このようなことをやることによって、最終的に、その環境基準を達成、どうしたら達成できるかというのを検討していこうということでございます。

【大原委員長】 今の、この文章に書かれている「あるべき姿」というのは、確かに、分かりにくい表現ですので、適当な表現に変えていただくのがよろしいかと思います。これでは分からない。

【武井委員】 はい。ぜひ、そうしていただきたいと思います。今の話と、ある程度ミートするような形にしていただければと思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 あと、もう1点の最初のほうのご指摘ですけれども、これは、昨年の3月25日に、第9回専門委員会で議論され、その後ホームページに掲載されていて、今日の参考資料の4にもついていますが、PM2.5対策に係る検討実施予定の中に書き込まれているばい煙対策のマップ調査等を活用した排出抑制策に向けた検討の一環であるとご理解いただければと思います。

 もし表現が適切でなければ、具体的にご指摘いただきたいと思いますし、このままでよろしいですか、武井委員。

【武井委員】 はい。

【大原委員長】 はい、ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、電事連の佐野様、お願いいたします。

【佐野委員】 ありがとうございます。

 資料5に関連してお願いがございます。参考資料4のほうで示されているばい煙対策のスケジュールでは、今年度中にPM2.5対策の具体化に進める予定となっておりますけれども、現状においては具体化に進めるための検討がまだ十分にされていないと言わざるを得ないと考えております。これまでも申し上げてきたのですが、規制ありきということではなくて、まずはNOxやばいじんがPM2.5の生成に寄与するメカニズムとか、それから削減対策の効果をシミュレーションモデルによりしっかりと検証し、凝縮性ダストの測定技術の確立をお願いしたいというふうに思っております。

 それから、我々電力業界では、これまで火力発電所の環境設備の技術開発やBATの導入などに継続的に取り組んでおりまして、NOxの排出量を低減させてきたということについてもご承知おきいただければと思っております。

 その上で、NOx対策が必要ということであれば、経済的かつ技術的考慮を払った上で、実現可能で効果的な措置について検討をしていただきたい。くれぐれも予防原則の考えによって、対策による効果の検証が十分でないまま、スケジュールありきで拙速に規制を強化することがないよう、ぜひお願いいたします。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。これには環境省のほうから、包括的なお答えをいただいたほうが良いと思いますので、お願いします。

【神谷課長】 ありがとうございます。

 先ほどの資料4のスケジュールと今後の対策の具体化の実際のスケジュールというのを、しっかり合わせてという、そのとおりできるかというご指摘なんですけれども、このスケジュールの中でも、今年度、対策を全て最後まで出してしまうということではなくて、2021年度も含めて、対策の具体化というのは幅を持たせてありますので、今年度、ある程度大きな方向性を出しつつ、来年度以降、詳細を詰めていくという、そんなスケジュール感かなというふうに思っていますというのが一つと。

 それから、委員からご指摘がありましたとおり、結論なり、BATが全てとか、そういうことを強要するという意図はございませんで、シナリオを策定し、それからシミュレーションを行った上で、その効果を見極めた上で、やるべき措置というのを判断していくというステップはちゃんと踏んでやっていくということで進めたいと思っております。

【大原委員長】 どうもありがとうございました。

 佐野様、いかがですか、追加の発言ございますか。

【佐野委員】 いえ、それでよろしくお願いいたします。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、次に日化協の奈良様、お願いします。

【奈良委員】 それでは、私も資料の5の5ページのところの今後の検討についてのところで1点、要望させていただきたいと思います。

 今後の検討の進め方としましては、環境省様がご説明いただいた上位5施設種を中心とした排出削減シナリオを設定して、その上でシミュレーション等によるPM2.5濃度低減の効果の検証をしつつ、対策の具体化を進めると整理されておりますけれども、検討の進め方につきましては、基本的には問題ないものと認識しておりますが、シナリオの検討について、一つ要望でございます。シミュレーションの作業に移行する前の検討としまして、机上計算でばいじんとかNOxの排出削減量を積算して求めるやり方だけでは、やはり不十分と考えております。産業界が実際に実施可能な対策を見極めるためには、様々な異なる排出削減技術を事前に評価検討することがとても重要と判断しております。

 具体的には、個別の削減対策をより細分化して、対策の実施で想定される削減量、いわゆる削減ポテンシャルと削減コストを把握して、費用対効果の高い、実現可能な対策の選定・抽出の検討をしっかり行うことを要望させていただきます。したがいまして、俗に言います限界削減コストカーブを作成して、リスク評価をしていただけたらと思います。

 そして、中長期的なばいじんやNOxの排出削減の推進のためには、こうした評価を通じて、実施可能な対策による削減総量を見極めた上でシミュレーションによる効果検討に着手する、こうした進め方こそが、過去、本専門委員会の中間取りまとめで提言されましたNOx・ばいじんについては、経済的・技術的考慮を払った固定発生源等の追加的な排出抑制策の可能性の検討という内容に合致するのではないかと理解しておりますので、ぜひご検討方お願い申し上げます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。環境省から何かご発言ありますか。

【小梶補佐】 今、いろいろとご意見をいただいた部分につきまして、今後、検討していくに当たって、産業界の方々の意見を踏まえながらやっていきたいと思いますので、いろいろとご意見いただけたらと思います。シミュレーションに入る前にも、またご意見いただくかと思いますので、よろしくお願いします。

【大原委員長】 ご議論いただきありがとうございました。

 私から追加で発言させていただきたいと思いますが、あまり段階的に検討を進めるというのはいかがなものかと思います。ある程度、めり張りをつけて進めるというようなことも重要だと思いますので、今の奈良委員のご発言につきましては、当然、参考にさせていただきつつ、全体的なバランス感も見ながら検討を進めさせていただければと考えているところです。

 それから、もう一つは、コストの話に関しましては、その情報をきちっと集めるということがとても大事だと思っています。しかし、必ずしもそのデータが充分にあると思っておりませんので、ぜひ、そこの部分は、業界の方のご協力もいただきたいということをこの場を借りてお願いしたいと思います。

 以上です。

 奈良委員、追加、何かございますでしょうか。

【奈良委員】 了解しました。結構でございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 続きまして、畠山委員、お願いいたします。

【畠山委員】 はい、畠山です。

 私は、資料4のほうの、まずは資料4のほうの解析のところでちょっとお聞きしたいんですけれども、その図1から図2にかけてのそのPMFの解析ですけれども、一応、因子として、九つとうたっている割に、図2のほうでは、その他も含めた10因子になっているんですが、このその他というのは、PMF解析のどこから出てくるんですか。

【馬島主査】 ご質問いただきました図2のその他に関しましては、この9の因子に分解できなかったもの、分解できなかった成分がその他ということで計上されております。今回、因子モデルということで、図1にお示しをしているところでは、この九つの因子に分解されたものは足し合わせると100%になるという形にはなっておりますが、実際には、その分解できなかった場合には、その他ということで割り振られてしまっているところになります。そのため今回は、その9因子に分けた場合が過去の研究等と併せて、いわゆる対応づけということがうまくいくということで分解をされておりますが、この分解の仕方により、その他ということに割り振られている成分が、その因子の中に入るということもありますので、その他という部分に関しましては、あくまで、この9因子にならなかったものということでご理解いただければと思います。

【畠山委員】 その辺は、学問的に、そのPMFの解析からそういうものがあってもいいということは出てきているんでしょうか。

【馬島主査】 そうですね、こちらは、PMF解析の結果、成分分析をした結果のところからは、その他というところが出てしまうということになっております。

【畠山委員】 はい、分かりました。結構です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 すみません、もう4時になってしまいました。大変申し訳ございません。座長の不手際で時間がオーバーしそうでございます。現在、資料の4・5だけでも、あと4人の方、手が挙がっております。といったような状況でありますので、申し訳ございませんが、30分程度の延長をさせていただけませんでしょうか。もし差し支えがございます委員の方がおられましたらチャットで送信していただけると大変助かります。よろしくお願いいたします。

 では、30分程度延長させていただくということで、申し訳ございませんが進めさせていただきます。

 続きまして、自工会の板場様、発言をお願いいたします。

【板場委員】 自工会の板場です。

 皆さん、議論が出たところ、同じような話になるんですけれども、要望になります。PM2.5に関する対策で固定発生源に関してですが、資料4では今後の対策の具体化を検討していくということ、また、資料5でシミュレーションによるPM2.5の削減効果を推計して、大まかな方向性を示していくと。これを見ると、まだまだ対策まで時間がかかるというイメージを持ちました。ただし、参考資料の4の中で、先ほど、環境省のほうからご説明がありましたが、スケジュール、今年度の末から来年にかけて対策の具体化をかけるというお話もございました。

 こちら、自工会として、前回の合同委員会での結論として、自動車対策は自排専で検討されることになりまして、先日、自排専もございましたけれども、業界としては、PN規制に挑戦していくという状況でございます。やはりPM2.5のさらなる低減を考えていくとなると、やはり固定発生源の低減を確実に進めていただかないと下がらないということだと思います。この間の議論でありますけれども、全体を見て、やはり効果が少なくても対策できるところに負担がかかってしまうということはいかがなものかということも思いまして、費用対効果を考えて、実効性のある対策を進めてもらいたいと、こう思っております。ですから、先ほどスケジュールございましたけれども、年度末から来年にかけて、これをぜひ念を押して進めていただきたいというお願いでございます。

 中国、外国の話しますけれども、中国では自動車だけではなく、固定発生源の対策が進んでいると聞いておりますし、国内で見ますと、固定発生源対策は地方自治体の実行が必要であるということだと思いますけれども、ぜひ、大気環境課でも、どこまでやるかにかかっていると思いますので、よろしくお願いしたいというお願いでございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。大気質の改善というのは、やはり引き続き重要な課題であろうと思います。どの発生源ということではなくて、全体を俯瞰した上で、実効性のある、より効果的な対策を、経済的な側面もある程度考慮しながら進めていくというのは、そのとおりだと思います。この場をお借りして、ここにご参加の関係者の皆様方のご協力もいただきながら対策を推進して、いただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、次に、坂本先生、お願いいたします。

【坂本委員】 坂本です。

 私のほうは、資料4の説明のところで、9ページ、10ページに幾つかの大発生源が割と影響しているという形が出ていますけれども、これにつきましては、その成分から考えると、ある程度どういう産業かは見当がつくわけで、ちょっと風向別にサンプルを取って、かつ、それを確かなものにしてやっていく必要があると、そして、その場合に、かつ、これは鉄鋼関連が多いんじゃないのかなと私は思うところですが、幾つか、鉄鋼関連は高炉が止まるものもあるというふうに聞いていますので、その辺も含めて考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

【大原委員長】 はい、具体的なご提案いただきありがとうございました。今後の参考にさせていただければと思います。ありがとうございます。

 引き続きまして、三浦様、お願いします。

【三浦委員】 石油連盟、三浦でございます。

 先ほどから産業界側の委員の方が言われていることと共通する処もあるんですが、今回、資料1を見ていると、特にPM2.5に関しましては、環境基準の90%ぐらいまでは達成していて、なおかつ、それは減少しているということで、比較的大気環境の状況としては、まあよくなった。にもかかわらず、資料5におきましては、対策シナリオで今後も検討をしてみましょうということになっていますが、対策の蓋然性といいますか、緊急性について、若干「あれっ」と思うようなところは感じます。ですから、先ほど、お話がありましたが、あるべき姿というのが大気環境のさらなる改善ということとか、この100%でない環境基準の達成率というものを考えると、やっぱりやっていかなきゃいけないんだということは、これは、なるほどなという感じはいたします。

 ただ、逆に、大気のPM2.5に関して、よくなっているというような状況の中で、足元の健康影響とか、環境影響の危機というのが、まだ、それほどでもないのであれば、特に対策の検討に関しては、関係者、我々も含めて全国民に対して、「そもそもの科学的な蓋然性」とか、「なぜやらなければならないか」、「何をやったらどれだけ下がるのか」、といった説明が必要で、そういったものもきちんとシミュレーションという形でやられるという話も今伺ったんですけども、まず、そういったことをシミュレーションで評価・予測して、その結果こういった方策で対策していくという順番でやっていきますと、それなりの時間をかけて丁寧にやっていかなきゃいけないと感じがいたします。

 先ほど、対策の検討とか、作業については、めり張りをつけなくてはならないというようなご説明もあったかと思うんですけれども、一旦、方針なり、やり方などの合意ができた後のプロセスについてはめり張りをつけた、きちんとスケジュールに即して効率的にやる必要があるとは思いますけども、少なくとも、最初の段階である、基本的な合意とか納得性というものにつきましては、かなりきちんと時間をかけて丁寧にやっていかねばならないと思います。下手にスケジュール優先でやってしまうと、やはり、後から「そもそも何でこうなっているんだ」という話が、どうしても最後まで残ってしまうという恐れがありますので、その辺の拙速性につきましては、私は、やっぱり非常に心配しております。一連の議論の進め方につきましては、十分ご配慮いただくようお願いいたしたいと思います。

 以上です。

【大原委員長】 三浦委員、ありがとうございました。

 環境省から一言、何かご発言はありますか。

【神谷課長】 ありがとうございます。

 大事なご指摘だと思いますので、よく話し合いながらやっていきたいと思います。かなりPM2.5、よくなってきているというのは間違いないんですけれども、まだ数%、非達成の局があると。それから、例えば、先ほど自工会さんからも指摘ありましたけども、自排局と一般局の差というのもなくなってきているということになりますと、固定発生源対策というのは、ある程度視野に入れながら検討が必要だという基本的なもの、それで、さらに、全局達成に向けたさらなる取組が必要ではないかという問題意識はあると思っております。具体的に、丁寧にやっていこうというのは非常に大事なことですので、しっかり話し合いながら進めたいと思っております。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 三浦委員、追加のご発言、もしあればお願いします。

【三浦委員】 ありがとうございます。我々として、なぜこのことをあえて申し上げるかと申しますと、先に、VOCの対策をするときに、こういった、そもそも論の科学的な蓋然性というところで、環境省当局と議論をするという場があまりなくて、最初、そもそもVOCの話につきましては、第5回、第6回とかで中間取りまとめ案が先に出てきてしまって、「何でこんなことやらなきゃいけないんだ」、「どうして、ここはこうなんだ」という話をしていくと、最終的には、だんだん科学的な話よりも、「いや、中間取りまとめにそう書いてあるからやるんだ」という話になっていって、そこで、フラストレーションといいますか、業界が納得できなかったところが、最後まで残ってしまったという部分が非常に残念に思っておりますので、PM2.5とか、ばいじんにつきましては、そういう感じにならないようにお願いしたいなというふうに思っている次第でございます。

 以上です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 では、引き続きまして、上野委員、お願いいたします。

【上野委員】 はい、上野です。

 資料4について、一つ質問です。今後の課題ですけれども、環境省でやられている金属成分を含めた連続測定のデータの解析というのは、予定はないんでしょうか。

【馬島主査】 ありがとうございます。

 今、ご指摘いただきました金属成分分析ですけれども、こちらも、まだ今、データということで継続して集めているという状況でございます。おっしゃるとおり、こちらで記載しております全国の常時監視やPM2.5成分分析の結果ということで書いてはおりますが、ご指摘いただいた金属成分も含めて、発生源寄与というところの解析に用いていきたいというふうに考えておりますので、そのようにご理解をいただければと思います。

【大原委員長】 上野委員、いかがですか。

【上野委員】 ありがとうございました。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 それでは、最後に田邊委員、お願いいたします。

【田邊委員】 はい、ありがとうございます。二つあります。

 資料4の、今、発生源寄与の推計の話が出たんですが、割と「分かりました」的に書かれているんですが、排出量が多い船舶が重油燃焼のプロファイルには炭素成分など反映されていませんし、二次生成で、特に有機成分がどこまで把握されているかがはっきりしないとか、春夏に重油燃焼寄与割合が大きいことに関する解釈が難しそうだとか、いろいろありそうですので、検討する必要があるというような書きぶりにしたほうがいいように思いました。

 それから、資料5の参考に凝縮性粒子のことがあって、ご説明はなかったんですが、大分測定データを集めていただいたので、モデルに入れることを試みてはいるんですが、まだ代表性と信頼性のあるインベントリの作成が難しくて、モデルに活用しようとすると、インベントリの誤差を考察しながら試算をするというような現状になっています。有機粒子のシミュレーションにとても重要ですので、引き続き実測値の収集をしたほうがいいというふうに思います。

 皆さん、対策は科学的根拠に基づいて合意の上でというような高度なお話をされているんですが、根拠になる科学的な知見、どこまで精度を上げたらいいかというのは難しいんですが、少しでも、今言ったようなことで精度を上げて、妥当な判断が出るようにならないかというふうに願っています。

 以上です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 それでは環境省から、お願いします。

【馬島主査】 ありがとうございます。

 まず、PMF解析の部分ですが、重油燃焼に関しましても、傾向が見られたということは述べておるところですが、それが、実際にどこに起因するかという部分に関しましては、解釈が難しいというところはおっしゃるとおり、あるところであります。なので、ご指摘のとおり、今回の結果としましては、こちらに記載をしている内容ではありますが、引き続き検討する必要があるというところは、こちらも認識しているところですので、引き続き取り組ませていただければと考えております。

【小梶補佐】 凝縮性粒子に関することなんですけど、これからも引き続きしていったほうがいいということでございました。この検討について、PM2.5の解明に当たっては、長期的に検討をしていくものだとは考えております。

 よろしくお願いします。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。重要なご指摘だと思います。PMFの解析結果につきましては、いろいろな課題があるということについては、別の場所でも指摘されているところであり、そういった内容を書き込んでいただくのがよろしいかと思います。

 それから、もう一つ、凝縮性粒子につきましては中途半端な扱いになっておりますけれども、知見の蓄積を待ってというのは、それはそのとおりかもしれませんが、現在の知見で凝縮性粒子のエミッションが見積もられるのかという大まかな推計をするというようなことも重要だと思います。今後、その知見の蓄積を進めるとともに、それをベースにしたインベントリを作って、シミュレーションに反映していくというようなことも大事ではないかと感じています。

 田邊委員、何か追加のご発言、もしありましたら。

【田邊委員】 今の件なんですが、試験的にインベントリを作ってみたところ、誤差が、インベントリーの推計誤差がとても大きくて、もう少し実測値の収集がないと、なかなかそこのシミュレーション、モデルの試算にしか今のところなっていないので、ちょっと苦労していますということです。

 以上です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 

【大原委員長】 

 それでは、資料の4と5はこれで終わらせていただいて、引き続いて、資料の6に移らせていただきます。資料の6関係でご発言のある方、お願いいたします、挙手をお願いいたします。

 奈良様、まずお願いいたします。奈良委員、お願いいたします。

【奈良委員】 はい、分かりました。資料6ですけれども、ベースラインシナリオに対する追加対策のケースとしてのVOC排出低減量の試算結果、大変興味深く受け止めました。ただ、一方で、21ページの下のほうの欄のところには、今回の試算結果を、今後、シミュレーションモデルに反映させて、Ox削減効果の精査に活用することもはっきりうたわれております。そもそも論としましては、こうした検討が最も重要なんですけれども、その前に、疫学的観点を踏まえた科学的エビデンスに基づいて、VOC排出量、あるいはOx濃度をどこまで低減させる必要があるのかを明確にして、そのための方法論の検討にも十分な時間を割いていく必要があると感じております。そういった観点で、こうした点での検討状況につきましても、少しお聞かせ願えればと感じております。

 以上です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 Oxに関する検討状況ということですけれども、環境省からお答えはいかがでしょうか。

【馬島主査】 ご指摘ありがとうございます。

 そうですね、こちら、今回の資料の中で、VOC追加対策ということで、どういったことが考えられるかということで、まず一つ、検討してみましたと。また、どういった効果が得られるかということで、シミュレーションモデルのほうも毎年更新、精度を上げているというところでもありますので、そういった中で、実際のOx濃度のところにはどれぐらい寄与するのかというところを考えることも一つできるのかなということで、今回、今後の課題というところには書かせていただいたところです。

 ただ、一方で、おっしゃるとおり、光化学オキシダントという状況が、どのように、どこを目指していくべきかというところに関しましては、疫学的な観点ですとか、実際にどのような状況を目指すべきかというところの情報収集と検討というところは必要だということは、こちらも認識しているところです。実際、そういったことに関する情報収集というところと、また、推進費等を使った研究等も継続して実施をしているところでありますので、今、ご指摘いただいたようなところも踏まえまして、光化学オキシダント対策、どこを目指していくのかというところも、今後しっかりと検討させていただければと思います。

【大原委員長】 奈良委員、いかがでしょうか。

【奈良委員】 はい、了解しました。

【大原委員長】 今のご発言に関してですが、知見の蓄積は、もちろん重要だと思います。一方、オキシダントの濃度レベルは、日本ではかなり高いという実態を、きちんと見る必要があり、それを踏まえて何らかの措置を早急に講じていく必要があります。したがって、様々な取組を通じて、光化学オキシダント対策の立案・実施を速やかに進める必要があると思います。

 ありがとうございます。

 それでは、上野委員、お願いいたします。

【上野委員】 はい、上野です。

 2点あります。一つは、シミュレーションのほうですけれども、気候変動の予測というんでしょうか、そういうのをしないでいいでしょうかという点です。それは猛暑日、日数が増えていますけれども、やはり猛暑日にはオキシダントの高濃度日が発生しやすいので、そういうことを確認する必要があるのではないかと思います。

 もう一つが塗装のほうですけれども、この14ページの図10を見ていただきたいんですけれども、VOC対策が十分、十分というか、目標を十分達成しているので、今回、一律で塗装業で何%減らすというのも、これはこれでいいと思うんですけれども、もうちょっとめり張りをつけたらどうかと思うんですが、例えば自動車補修業というのは、低VOC塗料の普及は低いわけですが、これは町の板金屋さんなんかですと、その乾燥の施設とか、設備的に難しいところがあると思うんです。一方、自動車・新車のほうはかなり普及が進んでいて、こちらのほうをもっと100%に近づけるほうが簡単ではないかという気もします。ですので、そういう考えを持ったり、あとは地域ですね、オキシダントは地域的な問題でありますので、全国一律ではなく、この地域のところで考えてみるというのもあるのではないかと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、お答えをお願いします。

【馬島主査】 ありがとうございます。

 まず、ご指摘いただいた気候変動による光化学オキシダントへの影響に関しましてですが、これに関しては、おっしゃるとおり、これまでにも論文等で研究もされているところで、そういった、いわゆる気候変動に合わせて、光化学オキシダントの濃度も上がるであろうということは事実としてあるのだと認識はしております。昨年度までにも、気候変動との影響という部分で、知見の収集というところで、まずは取り組んでいるところになります。気候変動による要素がシミュレーション等に反映させられるように、そういったところに関する情報というのも収集をした上で、実際、そうしますとベースラインシナリオというところも変わってくるというふうには認識しておりますが、そういったところも、引き続き検討をさせていただければと思っております。

 また、2点目ですけれども、図10で見ますと、文章の中でも書いておりますが、低VOC化の取組が進んでいるところ、進んでいないところというのは確かにあります。また、今回、地域性という部分に関しましてもご意見をいただいております。おっしゃるとおり、実際にシミュレーションに反映させて検討するという段になりますと、今回、ベースラインシナリオのところでお示しをしましたように、地域別で濃度がどうなるかというようなことも検討ができるところではあります。ですので、そういった地域の特徴というところも踏まえまして、対策の具体化とに関しましては、そういった要素を考慮した上で取り組みたいと考えております。

 以上です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。最初のご指摘、気候変動の影響を考慮する必要があるのではないかという点に関しては、考慮をする必要は、今のところないと私は考えています。2025年度ですから、今からもう4年先ぐらいの話です。で、その短期間の間にどのくらい変動するのかというのは多分よく分からない、不確実性も高いと思いますので、このシナリオを作ったときの議論の経緯からしますと、2025年度は、それほど現在からの気候変動の影響は大きくないだろうという整理をした上で、こういったような設定にしているということであります。ということをご理解いただければと思います。

 上野委員、何か発言はございますか。

【上野委員】 はい、分かりました。ありがとうございました。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 それでは、最後に田邊委員、お願いいたします。

【田邊委員】 はい、ありがとうございます。

 オキシダント削減のシミュレーションは傾向はきちんと把握されていると思います。今後モデルの精度を上げていく上で、例えばですけども、モデルで計算している日本の境界データを、例えば実測値で確認するとか、モデルにエージングを入れるか否かでデータがどう変わるかなどの検討もされたほうがいいと思います。これは、発生源の寄与割合が変わる可能性があるという観点の発言です。

 以上です。

【大原委員長】 それにつきましては私からお答えしますが、境界濃度について、実測値で計上するということは既にやっております、今日の資料には載せておりませんけれども。

 それから、もう一つ、2番目、エージングの話というのは、それはどういう意味合いでしょうか。もう少しご説明をお願いできればと思います。

【田邊委員】 エージングが、今のモデルだとあまり効いていないと思います。で、中国からの越境汚染に関して、エージングがあるかないかで、大分、移流してくるものの中身が変わり得るということがありますので、計算結果が変わってくるんじゃないかということをちょっと気にしています。

【大原委員長】 そのエージングとは何のエージングですか。

【田邊委員】 オゾンの前駆物質となる有機物が粒子化して減少する可能性です。

【大原委員長】 有機物の、それがオキシダントに若干関係するという、そういう意味合いですか。

【田邊委員】 はい、そうです。

【大原委員長】 分かりました。はい、ありがとうございます。

 以上で、資料の6に関してはよろしいでしょうか。

 では最後に、資料7につきまして、ご発言いただける方はいらっしゃいますでしょうか。

 どなたもいらっしゃらないでしょうか。この間の国際協力の進捗はすばらしいという印象を私は持っております。今日ご報告いただきましたように、様々な取組が進んで、しかも3か国がその情報を共有しつつ結果を出していくといったような、例えば、2ページ目にあるような日中韓でのソース・レセプター関係が、こういった形で出てくるというのは、非常にすばらしいと思っております。こういったような取組を今後もぜひ進めていただいて、東アジアの大気質の改善に向けた国際的な協調を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 事務局におかれましては、ただいまの様々なご指摘を踏まえまして、適切にご対応いただければと思います。

 それでは、議題の3、その他でありますが、事務局から何かございますでしょうか。

【馬島主査】 1点ご報告という形でお話をさせていただきます。

 今回、参考資料7ということで、酸性雨の状況についてという資料をつけさせていただいております。こちら、大気汚染状況と同じように平成30年度の結果と、あとは、過去に取りまとめました25年から29年までの中長期モニタリング報告書から、酸性雨の傾向、現在の状況というのを整理した資料になっております。時間の都合もありますので、中身のご説明は省略をさせていただきますが、ご一読をいただければということでお願いいたします。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。これは質疑応答なしということであります。

 これで、本日、予定された議題は終了となりますが、もし全体を通して、ご意見、ご質問等ございましたらお願いいたしますが、挙手していただけますか、もしありましたら。

 畠山委員、お願いいたします。

【畠山委員】 はい、よろしいでしょうか。

【大原委員長】 お願いします。

【畠山委員】 モニタリングとか、対策とか、かなりいろいろ進んできているなというのが実感できるような今日の部分だったと思いますが、参考資料の4で、将来、今後の検討事項というものが参考資料になっているのが、よく分からなかったんですけども、一応、これを受け入れると、従来から、例えば酸性雨の測定局にしても、常時監視局にしても、ある程度、合理化というような美名の下に、だんだん局が減ってきているという感じがするんですけども、今日のコロナの影響なんかの解析を見ても、あまり影響、数減っちゃうと解析が十分できないというようなこともありますので、その測定局を維持して、モニタリングデータが十分に出なければ、対策にうまくつなげていけないんじゃないかという気がしているので、そこのところを十分考慮していただきたいのと。

 それから、この参考資料4の(1)のPM2.5の状況・推移の把握のところで、第2段落の一番下のところに、これ前、昨年のこの委員会で、私もちょっと言及したところだと思うんですが、国内の測定データを管理し、精度管理までを一元的に行う体制の構築に向けた検討を進めていくというふうに書かれているんですけど、これ、実際に具体的に何か検討はなされているんでしょうか。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 今、2点ご指摘いただきました。一つは測定局の合理化に関してということです。2番目は、2ページ目の中段ぐらいのところでありますが、環境省からお願いいたします。

【馬島主査】 ありがとうございます。

 まず、1点目、お話をいただいた測定局の合理化という部分に関しましてです。こちら、測定局の設置すべき数等に関しましては、常時監視の処理基準等々で定めておるところです。また、これまでにも測定の在り方という部分に関しましては、継続して検討をしているところですが、おっしゃるとおり、現時点で環境基準を達成している測定項目に関しましては数が減っています。一方で、PM2.5に関しましては、現在も自治体様において測定局を増やしていただいているというようなところもある状況です。そういった状況も踏まえまして、必要な測定体制との構築、引き続き、検討できればと考えております。

 また、2点目いただいた精度管理という部分に関しましてですが、こちらも、まずは、環境省のほうで実施をしております統一精度管理といったところで、どういった形でできるかを、まず検討をしているところです。まずは、その精度管理ということで測定方法ですとか、そういった部分から確立をした上で、継続して行える体制ということで、それに関しましても、今後、継続して検討できればというふうに考えております。

 以上です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございました。

 畠山委員、追加でございますか。

【畠山委員】 はい、分かりました。結構です。

【大原委員長】 はい、ありがとうございます。

 それでは、最後に、奈良委員、お願いいたします。

【奈良委員】 すみません、庶務的な話になって恐縮ですが、1点、お願いでございます。環境省様のご努力、よく理解しておりますけれども、例えば、今回のような配付資料でも、非常に中身が濃いということがありますので、もう少しだけ資料を早く事前に送付いただけないかとのお願いでございます。産業界としましては、それぞれの協会内で前もって関係者との十分な議論を尽くして、真摯な意見をこの場で述べたいと考えております。また、特に産業界に大きな影響が見込まれるような内容がもしあれば、お手間でも、事務局による産業界に対する事前説明の場なんかも一度設けることを検討いただけないかと考えています。勝手ながら、お願いでございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 お願いします、環境省から一言。

【馬島主査】 ありがとうございます。おっしゃるとおりで、今回は、こちらの不手際というところもありまして、資料の展開が遅れたところ、まず、おわびを申し上げます。今後、対策というところを具体化していかなければいけないという中で、本日いただいたご意見、皆様と事前に調整をさせていただいて、協議させていただいてというところは必要と認識をしております。

 また次回、こういった専門委員会等でご議論いただく際には、資料の展開ですとか、あと、事前にご協議させていただくというところに関しましては、間違いなく実施をさせていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いできればと思います。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 活発なご議論をいただきまして、ありがとうございます。33分ほど超過してしまい、申し訳ございませんでした。

 それでは、本日の議題、全て終了しましたので、進行を事務局にお返ししたいと思います。

【神谷課長】 本日は長時間にわたりご議論いただき、ありがとうございました。

 議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開いたしますので、後日の確認へのご協力をお願いいたします。

 それでは、本日の委員会はこれで終了いたします。

 ありがとうございました。

午後 4時33分 閉会