微小粒子状物質等専門委員会(第11回)議事録

日時

 令和元年10月25日(金)10:00~12:00

場所

 スタンダード会議室新虎ノ門4階MAXホール

出席者  

 微小粒子状物質等専門委員

 (委員長) 大原 利眞

(委  員) 畠山 史郎

(臨時委員) 飯田 訓正

       田邊  潔

(専門委員) 板場 宏治

       上野 広行

       鵜野 伊津志

       梶井 克純

       金谷 有剛

       坂本 和彦

       武井 信広

       田村  亨

       野中 正浩

       三浦 安史

 自動車排出ガス専門委員

 (委員長) 大聖 泰弘

(臨時委員) 飯田 訓正

(専門委員) 石井  素

       岩本 正和

       小渕  存

       坂本 和彦

       塩路 昌宏

       田久保 宣晃

       土屋 賢次

 (事務局) 小野水・大気環境局長

       正林大臣官房審議官

       神谷大気環境課長

       酒井総務課環境管理技術室長

       清丸大気環境課課長補佐

       上尾大気環境課課長補佐

       谷貝総務課課長補佐

       森山総務課環境管理技術室室長補佐

     

議題

(1)今後の微小粒子状物質等の対策について

(2)その他

配付資料一覧

資料

 ・資料1 微小粒子状物質(PM2.5)の発生源寄与割合等に係る知見の整理

 ・資料2 これまで実施した国内における微小粒子状物質低減対策

 ・資料3 現在の微小粒子状物質等低減対策の検討状況について

参考資料

 ・参考資料1 中央環境審議会大気・騒音振動部会微小粒子状物質等専門委員会 委員名簿

 ・参考資料2 中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車排出ガス専門委員会 委員名簿

 ・参考資料3 微小粒子状物質(PM2.5)対策に係る検討・実施予定

議事

午前10時00分 開会

【神谷課長】 それでは、定刻でございますので、ただいまから第11回微小粒子状物質等専門委員会及び第62回自動車排出ガス専門委員会の合同委員会を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また天候の悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 開会に当たり、正林大臣官房審議官よりご挨拶を申し上げます。

【正林大臣官房審議官】 皆さん、おはようございます。水・大気環境局を担当している審議官の正林でございます。

 本日は、大変足元のお悪い中、また大変お忙しい中、ご参加いただきまして誠にありがとうございます。また、日ごろから、大気環境行政についてご理解とご支援をいただいておりますこと、誠にありがとうございます。

 本日は、微小粒子状物質等専門委員会、それから自動車排出ガス専門委員会を合同で開催させていただいております。現在、微小粒子状物質対策について、両専門委員会においてご審議いただいているところですが、自動車排出ガス専門委員会の審議の過程において、固定発生源を含み、全体的に検討すべきではないかというご意見をいただいたことから、合同での開催とさせていただくことになりました。

 環境省におきましては、大気環境の改善のため、各種対策に取り組んでいるところでございます。PM2.5の大気環境基準達成状況につきましては、近年、改善傾向にあるものの、依然として非達成地域もあることから、引き続き常時監視等による観測データの蓄積と解析、排出インベントリの更新・精緻化、PM2.5の健康影響に関する調査研究など、科学的知見の充実を図るとともに、国内対策と国際協力に係る取組を可能な限り進め、環境基準の達成に向けた総合的なPM2.5対策を検討、実施していくことが必要です。

 国内の対策につきましては、微小粒子状物質等専門委員会において、平成27年に微小粒子状物質の国内における排出抑制策のあり方について、中間取りまとめをいただきました。さらに、今年3月には、PM2.5対策の検討・実施スケジュールを整理していただきました。現在は、スケジュールに基づき、ばい煙対策の具現化に向けた検討を進めるとともに、自動車排出ガス専門委員会においては、第十三次答申を踏まえた自動車単体規制の粒子状物質対策の強化についてご審議をいただいているところです。これら現在検討中の対策については、来年度、一定の結果を取りまとめることとしております。

 加えて、越境汚染対策としては、日中韓三カ国環境大臣会合の枠組みのもと、政策対話を実施してきているとともに、さらなる対策の強化に向けて、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク、略してEANETと呼んでいますけれども、それについて、スコープの拡大を検討しているところです。具体的には、来年10月の政府間会合で決定予定の次期中期計画において、酸性雨だけではなく、PM2.5を含めた大気汚染物質全般を盛り込むほか、モニタリングに係る能力強化のみならず、排出インベントリの作成や排出抑制策に係る技術的支援を行うこととし、日本がリーダーシップを発揮していく所存であります。

 このように、総合的な対策を検討・実施してきているところですが、今後の微小粒子状物質の対策について、両専門委員会の委員の皆様でご審議いただき、さらなる大気環境の改善を進めてまいりたいと考えております。

 委員の皆様におかれましては、ご専門の立場から、忌憚のないご議論をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【神谷課長】 環境省では、審議会等の資料のペーパーレス化に取り組んでおりまして、委員の皆様におかれましては、タブレットを使用して閲覧していただきます。資料をご覧になる場合は、ダブルクリックをしてデータをお開きください。操作上の不都合等ございましたら、お近くの事務局の者までお申しつけください。

 傍聴の皆様には、昨日までにホームページに掲載いたしました資料について、お持ちのノートパソコン、タブレット等の端末に保存してご覧いただく等、ペーパーレス化へのご協力をお願いしておるところでございます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

 また、環境省では、海洋プラスチックごみ問題対策の一環として、委員の皆様へのワンウェイプラスチックを使っての飲み物の提供を控えさせていただいております。マイボトルのご持参をお願いしているところでございますので、ご協力をあわせてお願いいたします。

 それから、本日の出欠でございますけれども、微小粒子状物質等専門委員の奈良委員、自動車排出ガス専門委員の津江委員、草鹿委員、川那辺委員からご欠席との連絡をいただいております。

 報道関係者の方におかれましては、カメラ撮りは会議冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降のカメラ撮影はご遠慮いただきますようお願いいたします。

 それでは、これ以降の議事進行につきましては、大原委員長にお願いいたします。

【大原委員長】 皆さん、おはようございます。非常に嵐が厳しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 ご指名でございますので、微小粒子状物質等専門委員会側の委員長を務めております大原が進行を務めさせていただきたいと思います。

 先ほど正林審議官のご挨拶がございましたけれども、ほかの発生源と比較しての自動車の対策、追加的な対策の必要性、これに関する議論を進めていただくということで、本日は二つの専門委員会、微小粒子状物質等専門委員会と自動車排出ガス専門委員会、これの合同開催ということでございます。

 席が二つ分かれておりまして、決して対立的な関係にならないように、ハーモナイズするような形で、次の我が国のPM2.5等の対策をいかにうまく進めていくのかということに関しまして、今日、ご議論いただいて、知見をお寄せいただき、良い方向に持っていければと考えている次第でございます。

 それでは、議題に入らせていただきます。

 まず、微小粒子状物質の発生源寄与割合等に係る知見の整理につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

【上尾課長補佐】 資料11-1、62-1をご覧ください。

 まず、2ページをお願いいたします。国内におけるPM2.5濃度と、それから基準達成率の推移に関するグラフです。折れ線グラフはPM2.5の年平均値で、青が一般局、赤が自排局で、近年、減少傾向です。棒グラフは基準達成率で、青色が一般局、赤が自排局です。我が国のPM2.5濃度は、国内及び東アジア地域におけるさまざまな対策・取組の効果によって改善傾向です。平成29年度の環境基準達成率は一般局で89.9%、自排局で86.2%となっています。一方で、環境基準達成率が低い地域は依然としてございます。

 3ページをお願いします。平成29年度の地域別のPM2.5環境基準達成状況です。関東地方、関西地方の都市部で環境基準を達成していない地域が見られるほか、中国・四国地方の瀬戸内海に面する地域、九州地方では依然として環境基準達成率の低い地域があります。

 4ページをお願いします。表は既往研究によるPM2.5質量濃度に対する越境汚染/国内発生源の寄与割合です。左側の数字が越境汚染の割合、右側の数字が国内発生源の割合となっております。寄与割合には、船舶などの越境汚染、国内発生源に含まれていないものが存在するので、合計は100%になりません。越境汚染の影響は西日本で高く、関東方面で低くなっております。

 5ページをお願いします。日本、中国、韓国におけるPM2.5濃度の推移のグラフです。中国は減少傾向、韓国は横ばい、日本はやや減少となっています。

 6ページをご覧ください。

 国内における2015年度のPM2.5及びNOxの排出状況のグラフです。左のグラフは発生源別PM2.5排出量で、総排出量は11万6千トン、船舶5万7千トンのほか、赤枠の固定発生源は1万4千トン、緑枠の自動車排出ガス1万トン、巻き上げ・タイヤ1万3千トンが主な発生源となっています。右のグラフは発生源別NOx排出量です。総排出量は171万トン、船舶63万トン、赤枠の固定発生源が54万トン、緑枠の自動車排出ガス40万トンが主な発生源となっています。

 7ページをお願いします。左のグラフは2015年度のNOx発生源別排出量で、総排出量は62万トン、赤枠の固定発生源32万トン、船舶28万トンが主な発生源となっています。右のグラフはVOC発生源別排出量で、総排出量94万トン、塗料使用時27万トン、溶剤使用時21万トン、自動車11万トンが主な発生源となっています。

 8ページをお願いします。

 グラフは2016年度の全国のPM2.5濃度に対する発生源寄与割合です。棒グラフの上の部分の紫色、黄色を足したものが越境汚染の影響となっています。国内発生源については、自動車、固定燃焼、船舶等の割合が大きくなっています。表は2010年度における環境基準非達成局における発生源です。瀬戸内海では製造業や船舶、関東では自動車や製造業の寄与が大きくなっています。PM2.5濃度の全国年平均値に対しては、自動車及び製造業等の固定発生源が高いことが示唆されています。

 9ページをお願いします。

 東京都内のPM2.5濃度に対する発生源寄与割合のグラフです。上の寄与濃度のグラフで、2015年度は2008年度と比べて関東域内の発生源の寄与が減少しました。下は関東域における発生源寄与割合のグラフです。関東内の発生源の中では、自動車及び大規模固定煙源の寄与割合が依然として高くなっています。

 10ページをお願いします。

 固定発生源によるPM2.5濃度への影響に係る解析結果です。全国の一般局を用途地域で区分し、PM2.5濃度を比較した結果、用途地域が、工業地域または準工業地域の一般局が他の地域の一般局と比較して高濃度に分布する傾向が見られました。左のグラフでは、下の工業地域等のほうが、上の住居地域等よりも高濃度域に分布していました。右のグラフは経年変化を見ていますが、青色の工業地域等のほうが、緑色の住居地域等より高濃度域にありました。

 11ページをお願いします。

 全国の一般局におけるPM2.5濃度(年平均値)と、同一2次メッシュ(約10km四方)内の固定発生源からの1次粒子としてのPM2.5総排出量との関係を調べた結果、総排出量の多いメッシュ内の一般局ほど高濃度域に分布する傾向が見られました。左の図は、10km四方内の固定発生源からのPM2.5総排出量の分布です。右のヒストグラムは、総排出量別のPM2.5濃度です。

 12ページをお願いします。固定発生源周辺の測定局における風向別濃度解析結果です。固定発生源の近傍の一般局において、風向別のPM2.5等の大気汚染物質濃度を解析した結果、固定発生源からの風向時に濃度が高い傾向を示す事例が見られました。測定局Aでは、風向きが工業地域のある南東方向のときに、PM2.5、SO2、NOx濃度が高くなっています。同様に、測定局Bでは、風向きが工業地域のある南西方向のときに、各濃度が高くなっております。

 13ページをお願いします。

 ばい煙発生施設における排出実態調査結果です。環境省が3年に一度実施している「大気汚染物質排出量総合調査」の結果を解析したもので、濃度が高い排出施設の数は比較的少ないものの、ばいじんまたはNOxの総排出量に対して、これらの施設の排出量が占める割合が大きい施設種が存在します。左のグラフは施設数、右のグラフは排出量です。中央付近の点線から右が上位1%の施設の排出量となります。

 14ページをお願いします。

 一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局の比較です。左の図を見ると、一般局に比べ自排局のほうが比較的高濃度であり、環境基準である15μg/m3付近の濃度の測定局が多いことがわかります。

 15ページをお願いします。

 道路沿道におけるPM2.5濃度成分調査の結果です。道路沿道(池上)においては、後背地(中留)に比べ、微小粒子状物質に含まれるECの比率が高くなっています。

 16ページをご覧ください。

 道路沿道(池上)及び後背地(中留)におけるPM2.5の発生源寄与割合のグラフです。棒グラフの赤枠の緑色の部分が自動車排気による寄与割合を示しており、自動車の寄与率につきましては、平均で道路沿道(池上)は23%、中留は11%でした。

 17ページをお願いします。

 グラフは、東京都におけるPM2.5の発生源寄与割合です。道路沿道以外の地点における発生源別寄与割合ですが、円グラフの青色で示された自動車排出ガスの割合が少なくとも1割程度あることが見てとれます。

 18ページをお願いします。

 まとめとして記載しておりますが、ご覧のとおりですけれども、まとめの一番下のほうに、道路沿道・道路沿道以外にかかわらず、自動車及び固定発生源からの寄与が一定程度あるとしております。

 以上で資料1の説明を終わります。

【大原委員長】 非常にコンパクトにご説明いただき、ありがとうございました。

 それでは、ご質問をお受けしたいと思いますけれども、ご意見につきましては、全ての資料の説明の後に、お受けする時間をたっぷり設けておりますので、そのときにいただくことにして、この場では、ご説明いただいた資料に関するご質問に限らせていただきたいと思います。

 それでは、ご質問のある方は名札を立てていただけると非常に助かります。いかがでしょうか。

 現時点では二つぐらいでしょうか。それでは、まずは板場委員のほうからお願いいたします。

【板場委員】 資料のご説明をありがとうございました。

 資料の6ページでございますが、自動車関係について申し上げますけれども、PM2.5について自動車走行・始動時の排出量と巻き上げ・タイヤの排出量が、ここでは一応別々に分けて報告されておりまして、自動車排出分は明らかになっているところでございます。それに対して、資料の8ページの棒グラフでありますが、茶谷さんらがまとめられた資料によりますと自動車と書かれている部分がございますけれども、私どもが聞いている話では、ここでは巻き上げやタイヤ粉じんも含んでいるというふうに聞いておりますので、確認していただきたいと思っております。

 また、資料の9ページの東京都さんがまとめられた資料についても、自動車の部分の排出量や排出割合が出ておりますが、これについても、巻き上げやタイヤ粉じんを含んでいるという話を伺っておりますので、これが自動車排出ガスだけではないということを確認していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 あと、3ページに戻りますけれども、自動車排出ガス測定局で基準を超えている測定局が一般局に比べると多いという部分が残っておりますけれども、やはりこれについては基準を超過している場所、交通実態を含めて、本当の原因は何であるのかという解析を進めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 2点ご質問をいただいておりますが、事務局から回答いただくことはできますか。

【上尾課長補佐】 ご質問いただきました6ページ、7ページの自動車の欄で、自動車関連のほかの排出ガス以外のものがまじっていないかというところでございますが、こちらはご意見とおり、含まれております。

【大原委員長】 8ページと9ページですね。

【上尾課長補佐】 申し訳ありません。8ページと9ページでした。

 こちら、自動車につきましては、含まれております。自動車排出ガス以外のものが入っております。

【大原委員長】 もう一点の自排局について環境基準を超えているようなところの原因を調べる必要があるのではないかという部分に関してはいかがですか。

【上尾課長補佐】 この点、自排局の点につきましては、高濃度のエリアで一部違う要因があるのではないかということですけれども、今後、検討してまいりたいと思っております。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、上野委員、お願いします。

【上野委員】 固定発生源について一つ質問なのですが、工業地域でPM2.5の濃度が高いというグラフが幾つか出されていて、最後に13ページで施設数分布と排出量分布が出てきますけれども、これを見ると、工業地域全体で高いというよりは、ある種の施設一つなり、少数の施設が影響しているということを示しているという意味で出されているのかどうかということをお尋ねしたいと思います。

【大原委員長】 13ページ目等の意味の確認であります。お願いします。

【上尾課長補佐】 13ページのご意見の部分ですけれども、こちら、グラフでいいますと、右のほうのグラフで見ますと、点線のところが、点線から右が上位1%、高濃度の1%の施設が占める排出量ということで、これは高濃度の1%が占める排出量ということでお出ししているものでございます。

【大原委員長】 補足説明しますが、13ページのグラフは、ばい煙発生施設の中で高濃度排出の施設が一定程度あり、そういったところに対する対策が必要ではないかという流れになるのだろうと思います。それ以前の資料につきましては、一般的に工場等が多いところについては濃度が高い傾向にあるということを説明しているということで、少しニュアンスが違うというふうに理解していただければと思います。

 ということで、事務局としてもよろしいですか。

【上尾課長補佐】 はい。

【大原委員長】 もう少し時間がございますが、もし何かご質問ありましたら。

 塩路委員、お願いします。

【塩路委員】 今のグラフにも関連するんですけれども、まず、ボイラーが結構寄与率が高いということなんですが、この右のほうのグラフは濃度ですよね。

【上尾課長補佐】 はい。

【塩路委員】 それともう一つの折れ線グラフは排出量なんですよね。結局、これを見ると、排出量と排出濃度がそれほど齟齬していないというか、同じような形になっているので、結局、全体の排出量の多い施設と、高濃度を排出する施設というものの相関はそれほどないと考えていいんですかね。少し気にしていたのは、ハイリミッターというか、すごく濃度の高いところが、どれぐらいの規模のところと相関があるのかということがわかれば、もう少し原因究明のための解析ができるのではないかというふうなイメージがあったんですけれども。

【大原委員長】 それでは、回答をいただけますか。

【上尾課長補佐】 グラフで今質問をされたところですけれども、折れ線グラフで、ちょうど点線のところと交わっているところがございます。こちらが……

【塩路委員】 74%とか75%とかですね。

【上尾課長補佐】 はい。ということで、お示ししているところでございまして、濃度でいきますと、少し幅があるということでございますが、高濃度のところで排出量が高いというところもございます。

【塩路委員】 いずれにしても、規模の大小と、濃度の高いとか低いとか、そういうところの相関みたいなものも解析していただければというふうに思いました。

【上尾課長補佐】 はい。ありがとうございます。

【大原委員長】 これも補足させていただきますが、このグラフは、横軸がばいじんの濃度で、縦軸が排出量です。棒グラフのほうを見ていただきますとわかりますように、ばいじんの濃度が高い施設のばいじんの排出量に対するシェアが結構あることを示しています。

【塩路委員】 確かにそうですね。

【大原委員長】 ですから、それに対する対策が必要だということが、このグラフでいいたいことだと理解しています。

【塩路委員】 ただ、それがボイラーの施設の規模とどういう相関があるのかということが気になっています。

【大原委員長】 それはどういう意味合いでですか。

【塩路委員】 規模が大きいところだけが濃度が高いということになると……。

【大原委員長】 もう少し精査がする必要があると。

【塩路委員】 そうです。もう少し。

【大原委員長】 わかりました。事務局としては、それもよろしいですね。

【上尾課長補佐】 はい。

【大原委員長】 ありがとうございます。

【塩路委員】 もう一点、ごめんなさい。

 細かいことかもしれませんが、いろいろなグラフを示していただいているんですけれども、これは排出量を見る際に、シミュレーションとインベントリからの解析、あるいは原単位かな、そういうものの足し合わせということと、二つあると思うんですよね。少し見ていると、例えば4ページの移流の寄与ですね、これは大事なところなんですが、寄与割合と感度、寄与と感度みたいなことが書かれていて、感度を見るとすると、やっぱりシミュレーションかなと思うし、寄与は、どちらかというと何か原単位の積み重ねかなという気もします。

 ほかのところも、シミュレーションの結果なのか、寄与なのか、それとも、それが寄り集まっているものなのか、例えば先ほど板場さんの言われた7ページですね、これは大事なところだと思いますけれども、船舶がすごく寄与割合が大きいんですよね。これも下の注を見ると、「大気シミュレーションに活用できるよう」と書いてあります。ということは、これはインベントリというか、何かある原単位的なものかなと思ったんですけれども、ただ、沖縄や小笠原諸島が対象外と、えらい細かいことが書いてあって、そんなことまでインベントリではできないと思うんですよね。集めただけの寄り集まりでは。いや、わかりませんけれども、交通量ではないな、移動量というか、何かそういうデータがあるのかもしれませんが、その辺のところをデータを示される際には、少し留意して区別しておいていただけるとわかりやすいかなというふうに思いました。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 資料の揃え方に関するご意見だと思いますが、お答えいただけますか。

【上尾課長補佐】 ご意見があったとおり、寄与、それから感度ということで、いろいろ入っておりますので、もう少しわかりやすいような表示にさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 これも補足させていただきますが、4ページの結果はシミュレーションの結果です。それから、6ページ、7ページの結果についてはインベントリ、排出量の推計結果です。6ページのブルーの棒グラフが結構大きくて、これが何かといいますと船舶ということです。船舶については、その下の注に書いてございますように、日本の周りの結構広い海域の船舶の排出量を含んでいるので、こういうようにシェアが高くなってしまうということです。ですから、これがそのまま日本の大気質に影響しているのかどうかという点では、かなり疑問であるというような意味合いがあって、注がついているというようにご理解いただきたいと思います。いずれにしましても、資料のつくり方も、いろいろな分野の専門家の方がいらっしゃいますので、丁寧に、注意してつくっていただけるといいかなと思います。

 以上です。

【塩路委員】 蛇足ですけれども、ご承知のように、来年の1月1日から船の燃料がかなり大きく変わりますので、来年以降、この値がどうなるのかなというのが興味があるところです。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。

【大聖委員長】 先ほどのボイラーの議論なんですけれども、燃焼発生源としては一定の割合を占めているわけでして、規模だけではなくて、いろいろな用途のボイラーがあると思うんですね。伝熱面積で規制が違いますし、そういったことも含めて、もう少しデータの中身をブレイクダウンしていただくようなものがあれば、今後の対策の進め方に非常に有用ですので、ぜひお願いしたいと思います。

【大原委員長】 この図はマップのデータをベースにつくられていると思いますので、その辺りのデータについては解析可能かと思いますので、これからよろしくお願いいたします。

 それでは、岩本委員、お願いします。

【岩本委員】 すみません。まず、1点は確認なんですけれども、8ページの下半分に表がありまして、2010年度の環境基準非達成局における主な発生源ということで整理されています。これはあくまでも2010年度ということでよろしいわけですね。一部上にあるグラフの解釈ではないということですね。2010年度なので、4ページだったかな。

【大原委員長】 これはすぐにお答えできると思いますので、私から。

 上のほうのグラフと下のほうの表は、データソースが違います。上のほうが茶谷さん、下のほうが板橋さんと速水さんの研究成果になります。

【岩本委員】 年度も違いますし、人も違うんですけれども。

【大原委員長】 なので、見ているものも違うし、年度も違うということですね。

【岩本委員】 4ページを見ると、確かに関東は12/68ですから、国内の発生源の寄与が多いという結果になっているんですが、この4ページ目の表は、こういう議論をするときの一番基礎になるデータだと思うんですね。そして、これが測定法とか測定をされる方によってこれだけ違うということをどうされるんですか。私、よくわかっていないんですが。

【大原委員長】 すみません。ご質問の趣旨がよくわからないんですけれども、違うというのは、何が違うのか、明確にしていただけますか。

【岩本委員】 例えば中国や四国地方をみると、池田先生たちはそれぞれ70/25、68/23で、その下の板橋さんと速水さんは29/41です。ですから、もう国内と越境の分が逆転しているわけですね。こういう数字が出ているときに、これを基礎にして何を議論するのかなという気がします。

【大原委員長】 出典の違いによって、かなり傾向が違うということですね。

【岩本委員】 ええ、そうですね。そこら辺、何とかならないものかという感じです。

【大原委員長】 事務局からお願いします。

【上尾課長補佐】 今ご指摘のあった中国・四国地方のところなんですけれども、注のところにお示ししておるんですけれども、注の3と4のところで、越境汚染の寄与が、3の場合は中国と朝鮮半島の合計、また、4につきましては中国・韓国の合計ということで、少し越境の割合などが違うということで、越境と国内の割合が変わっています。。一つ一つ、もとが違うということで、少しずれておりまして、この表をお示しした理由というのが、西のほうから関東のほうにだんだん越境の影響が少なくなっているという傾向をお示しした表でございます。

【大原委員長】 岩本委員、いかがでしょうか。

 まだまだ精査すべきといいますか、シミュレーションのほうにも改良すべき点が多々あるということです。ただ、この表で言えることは、国内発生源の寄与と越境汚染の寄与が、全国的に見てどの地域でも結構あるということと、西高東低とよく言いますが、越境汚染の寄与というのは、一般的には西日本のほうが高くて、東日本に行くほど低くなってくるということです。非常にリーズナブルな結果だと思いますけれども、そういったような傾向が見てとれるということかと思います。

 それでは、そろそろ時間になりましたので、議題の1番目の次の資料11-2、62-2、これまで実施した国内における微小粒子状物質低減対策について、事務局からご説明をお願いいたします。

【上尾課長補佐】 それでは、11-2、62-2の資料をご覧ください。これまで実施した国内における微小粒子状物質低減対策についてご説明いたします。

 3ページをお願いします。

 固定発生源におけるばい煙対策(主にNOx、SOx、ばいじん)の現状です。下の表にあるとおり、法では全国一律に適用される一般排出基準に加え、工場・事業場の密集状況や大気の汚染度合いに応じて適用される特別排出基準、総量制基準を定めており、都道府県等の自治体においては、地域の実情に応じて、条例により上乗せ排出基準を適用している地域がありますということでご紹介させていただいております。

 4ページをお願いします。グラフは、ばい煙排出量の推移です。ばいじん、NOx及びSOxともに、近年、減少傾向です。平成8年から、3年に一度の調査となったため、棒グラフの間隔があいております。

 5ページをお願いします。

 固定発生源におけるVOC対策の概要です。平成18年度から大気汚染防止法に基づく固定発生源におけるVOC規制(大規模施設における排出基準遵守と事業者の自主的取組とを適切に組み合わせによる効果的な排出抑制(ベスト・ミックス))が開始しています。目標は、平成22年度までに、工場等の固定発生源からのVOC排出総量を平成12年度比で3割程度抑制という目標でしたが、目標を上回る4割以上の削減となっています。

 6ページをお願いします。

 業種別VOC排出量の推計結果のグラフです。規制が開始された平成18年度よりVOC排出量は減少傾向であり、平成29年度時点で平成12年度比53%削減となっています。業種別に見ると、化学工業や印刷関連につきましては、平成12年度比約70%削減となっています。

 7ページをお願いします。VOC対策に係る近年の動きですが、大気環境配慮型SS認定制度創設及びグリーン購入法の拡充があります。ガソリンスタンドは全国で約3万カ所ありますが、認定制度では、9月30日時点で1%に当たる302件認定されております。そのうち、燃料蒸発ガスの回収率75%のAランクが267件となっています。認定件数が増加することで、燃料小売業から発生するVOC削減が進むと考えられます。

【森山室長補佐】 続きまして、自動車における対策の経緯についてご説明させていただきます。

 まず、一つ目が自動車の単体規制ということで、大気汚染防止法の告示において、自動車の種別ごとに、排出されるPMの許容限度を規定しております。現在の測定方法につきましては、ほとんどが国際調和された走行モードになっておりまして、右下のグラフを見ていただければわかるかと思うんですが、許容限度につきましては、これまで順次強化されておりまして、規制導入時に比べ大幅に低減しているという状況でございます。

 次のページをご覧ください。

 単体規制以外の対策といたしまして、自動車NOx・PM法がございまして、2002年に自動車NOx法をNOx・PM法に改正して開始されております。法律上の施策につきましては、車種規制を行っておりまして、対象地域内に使用の本拠がある自動車については、基準不適合車については使用が禁止になるというものでございまして、対象地域につきましては、首都圏や愛知、三重、大阪、兵庫となっております。こちらにつきましては、2020年度が対策地域全域において環境基準を確保するという目標年度になっておりまして、そのため、来年度(2020年度)後半から2021年度にかけて、施策の効果を評価・分析して、必要に応じて見直しを行っていくと。そういう予定になっております。

 次のページをご覧ください。

 そのほかにも、次世代自動車の普及促進なども行っておりまして、次世代自動車というのがハイブリッド自動車や電気自動車などになるんですけれども、こちらにつきましては、政府の目標として、2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を5から7割にするという目標を掲げておりまして、現在の実績としましては、2018年末におきまして38%となっております。また、水素ステーションにつきましては、現在、整備中も含めて32カ所あるという状況でございます。政府における普及促進の施策、その他のものにつきましては、例えば経済産業省や国土交通省と連携いたしまして、EVなどの低燃費自動車に対する自動車税や重量税の減税措置などを実施して、さらなる推進を図っているところでございます。

【上尾課長補佐】 続きまして、13ページをお願いします。

 船舶における規制ですが、国際海事機関により海洋汚染防止条約(MARPOL条約)が定められています。条約により、2020年1月から、一部海域を除く海域を航行する船舶の燃料油中の硫黄分濃度の上限が3.50%以下から0.50%以下まで引き下げられます。

 14ページをお願いします。

 アンモニアに係る対策では、水質汚濁防止法に基づく規制や、地下水汚染防止等の取組を継続していきます。野焼き対策につきましては、環境省では、野焼きに関する調査を進め、平成30年3月に、地方自治体に対して野焼きがPM2.5濃度上昇を引き起こした事例や野焼きを減らすための有効な取組、野焼きに関する条例の制定状況等を取りまとめた通知を発出しました。

 以上で資料2の説明を終わります。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 対策の概要についてご説明いただきました。それでは、今ご説明いただいた資料につきまして、ご質問をお受けしたいと思います。ご意見につきましては、先ほど同様、後ほどお願いしたいと思います。ご質問のある方、いかがでしょうか。名札を立てていただけますか。よろしいでしょうか。

 ないようですので、どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、資料11-3、62-3、現在の微小粒子状物質等低減対策の検討状況について、事務局からご説明をお願いいたします。

【上尾課長補佐】 それでは、資料11-3、62-3の2ページをお願いします。

 平成31年3月に開催された第9回微小粒子状物質等専門委員会において取りまとめました、2018年度から2020年度までの3年間のPM2.5対策に係る検討・実施スケジュールでございます。PM2.5の状況把握、排出抑制策の推進などについて検討・実施の予定でございます。

 4ページですけれども、4ページは先ほど説明したものと同じですので、説明を割愛させていただきます。

 5ページをお願いします。ばい煙発生施設における排出実態調査結果です。先ほど資料1で説明させていただいた、排出濃度が高い上位1%の施設が施設種全体の排出量に大きく寄与している施設として、表1のとおり、ばいじんに関してはボイラー及び乾燥炉、NOxに関してはボイラー及びディーゼル機関であることがわかりました。表1を見ますと、一番上にあるボイラーでは、濃度が高い上位1%の施設がばいじんで24%、NOxで20%を占めております。

 6ページをお願いします。ばい煙発生施設における排出抑制策に係る検討の進め方ですが、「微小粒子状物質対策に係る検討・実施予定」に基づき、大気汚染物質排出量総合調査を用いたばい煙排出状況に係る分析や地方公共団体へのヒアリング等を実施するとともに、それらの結果を踏まえて、ばい煙削減シナリオの作成と削減ポテンシャルの把握を行い、必要な措置について取りまとめる予定でございます。

【森山室長補佐】 続きまして、自動車排出ガス専門委員会において検討してきました、自動車からの微小粒子状物質への対策というのをご説明させていただきます。

 8ページをご覧ください。

 議論のスタートといたしましては、自動車排出ガス専門委員会では、平成29年に出された第十三次答申におきまして、PMの粒子数規制の導入を検討する必要があると。そう定められたことを受けて、これまで検討を行ってまいりました。

 次のページをご覧ください。

 次のページから、ちょっと資料1のほうと内容が重複しますので、詳細な説明は割愛させていただきますが、自動車排出ガス専門委員会としても、環境基準の達成状況や、次のページの地域別の達成状況、また、その次のページの一般測定局、自動車排出ガス測定局の傾向の違い、また、その次のページの自動車から排出される1次粒子の積み上げなど、これらの情報を確認しながら、必要な対策について検討を行ってきたというところでございます。

 次のページをご覧ください。

 PMの粒子数、個数ですね、個数規制の検討を行うこととなった理由の一つとなるんですけれども、現行の規制値が、右上にある5mg/kmという規制値になっておりまして、このレベルであれば、現在の測定については可能なんですが、質量規制が厳しくなるにつれ、左のほうで言うと、米国が2025年から導入しようとしている0.6mgだとか、欧州で既に先行導入されている粒子数規制を質量換算した0.5mgというような領域になってくると、質量の測定が少し不正確になってくるといった問題点が挙げられております。

 次のページをご覧ください。

 粒子数の測定法につきまして、簡単にご紹介させていただきます。自動車から出てくる排出ガスにつきまして、希釈トンネルを通じて希釈させた後、PM2.5のサイズ以上の粒子を除去した後に、蒸発管において揮発性粒子を蒸発させ、その後、粒子数カウンターに入れて一粒一粒カウントしていくと。こういった原理になっておりまして、このような計測方法を使うことによって、質量だとカウントが難しいところまで測定ができるようになるというものでございます。

 次のページをご覧ください。

 こちらは環境省の過年度調査をまとめたものにはなるんですけれども、PM質量と粒子数の相関関係を調べております。このグラフから、全体としてPM質量と粒子数の間には強い相関が見られるということがわかるかと思います。このことから、PMの粒子数を規制することによって、その逆側の質量のほうも下げられることができるんじゃないかというふうに考えているところでございます。

 続きまして、諸外国の動向、海外における動向なんですけれども、まずは国連における議論の動向といたしまして、国連においては、Particle Measurement Programme、PMPと呼ばれている会議体において、粒子数の測定方法などについて検討を行ってきているところでございます。このPMPが設立された背景といたしましては、ディーゼル自動車から排出されるナノ粒子による健康影響が指摘されているというところと、これは先ほどの説明と少し重複するんですが、質量による規制が厳しくなるにつれ、従来の質量法では測定が難しくなってきたということで、その補完または代替となる計測手法が必要だということで、検討を重ねてきております。PMPにおいて一定の結論が出ておりまして、下の四角のほうに書かせていただいているんですが、質量法や粒子数計測法を再現性などの観点から検証を行った結果、粒子数の計測が将来の規制のための質量法のすぐれた代替法となると。こういった結論が出ているところでございます。

 次のページをご覧ください。

 諸外国における規制の導入状況でございます。米国につきましては、粒子数規制は入っていないところではございますが、EUを初め、韓国や中国につきましては、既に粒子数規制を導入しているという状況でございます。EUの最新規制は2017年基準にはなっているんですけれども、もともとは2011年からディーゼル車に対して規制を開始しているということで、諸外国においては、少し前から導入されている規制方法だということでございます。

 次のページをご覧ください。

 こちらには、我々のほうで自動車関係団体の皆様にPMの規制強化に対してヒアリングを行わせていただきまして、その結果となっております。質問の内容としては、欧州におけるPN規制だとか、米国でこれから導入される予定であるPMの規制を仮に日本で導入した場合のご意見ということで伺っておりまして、まず、左列につきましては、欧州のPN規制を導入した場合のご意見で、国内からのご意見としては、欧州並みの規制レベルであれば、技術的には既に可能であると。ただ、適切なリードタイムが必要ですよということをおっしゃっていると。ディーゼル車につきましては、既にDPFと呼ばれるフィルターを既に装着しておりますので、対応済みでございまして、ただ、ガソリン車につきましては、新たにガソリン車用のフィルターを装着する必要があるので、燃費との両立やコストアップ、装着スペースの確保のためのレイアウト変更、日本市場向けの強制再生、これはフィルターが詰まったときの、それを再生するというものなんですけれども、それの検討が必要だということを伺っております。海外からのご意見につきましても、実用化されている欧州のGPF技術、フィルター技術を利用するんですが、欧州並みの規制レベルであっても、日本市場向けの確認や調整が必要ということを伺っております。測定技術に関しましては、既に欧州において導入しているものですので、一定の運用をされているものではあるんですが、少量の感度にばらつきがあるだとか、機器精度維持管理に苦慮している、または校正方法に改善の余地があるといったご意見も伺っているところでございます。

 一方で、右側、米国のPM質量規制の強化の方向となった場合につきましては、国内の方々からのご意見といたしましては、欧州向けの技術で対応可能とする企業や、見通しが立っていない企業など、さまざまございました。海外企業につきましては、GPFを新たに装着する必要があるということはおっしゃっているんですが、適切なリードタイムが必要であると。測定技術につきましては、測定精度等に課題があるため、現在、測定方法を検討中という状況でございます。下のほうの四角でございますが、PM規制強化に関する要望といたしまして、これは国内・海外とも同様の意見を伺っておりまして、今回の合同専門委員会につながったところでもあるんですが、微小粒子状物質の全排出源を比較して、自動車分野の追加対策の必要性について、その妥当性を示してほしいと言われているのと、仮に自動車の対策を進める場合にあっても、PN規制(粒子数規制)を導入する場合は、その理由を示してほしいと。また、3点目としては、可能な限り国際調和は推進しつつ、導入するのであれば、日本の走行実態等を考慮してほしいということをおっしゃっているというところでございます。

【上尾課長補佐】 続きまして、20ページをお願いします。

 最後に、越境汚染対策ですが、日中韓三カ国環境大臣会合の枠組下において政策対話を実施しているとともに、中国・韓国と二国間協力を推進しております。多国間の枠組みの一つとして、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)において、酸性雨モニタリングから大気汚染対策へと拡大し、さらにアジア地域の大気環境改善に貢献していくことを目指しております。

 以上で資料3の説明を終わらせていただきます。

【大原委員長】 ご説明いただきありがとうございました。

 それでは、今の資料につきまして、ご質問をお受けしたいと思います。ご意見につきましては、後ほど時間をとっておりますので、そちらのほうでお願いすることにして、ここではご質問にとどめさせていただければと思います。いかがでしょうか。名札を立てていただけると助かります。

 2名ぐらいでしょうか。それでは、金谷委員からお願いします。

【金谷委員】 資料の14ページのところでございます。

 PNの測定法についてご説明いただいたところと、次のページでPNとPMとの相関があるというふうに示していただいたところですが、ひとつテクニカルなことではあるんですけれども、14ページのところでのPNの測定法に関しては、前段にヒーターがございまして、蒸発管がございますよね、こちらで揮発性の粒子、あるいは一つの粒子でも内部混合しているようなものがあると思うんですけれども、その揮発性部分を取り除いた後に不揮発性の粒子の部分だけを計測しているものとご説明いただいたところですが、一方で、PMについても、同様の測定法が適用されてきているのでしょうか。それと、次のページで相関があるので、この関係を信頼して議論することは可能だろうとは思うんですけれども、一方で、若干のばらつきが相関の中で見られることから、何かそういった揮発性の除去の辺りでも差があって、こういった相関のばらつきというのが生まれているのかどうか、少し詳しく教えていただけますでしょうか。

 というのは、先ほど来からECですね、エレメンタルカーボンについての議論もあったところでありますけれども、一方で有機物も同時に出てくる可能性があると思いますので、それが両方の測定法についてどういった関係にあるのかという観点でお聞きしている次第です。

【大原委員長】 では、事務局からご回答をお願いします。

【森山室長補佐】 ご質問の内容としては、PN(粒子数)のほう、Mのほう、質量のほう。

【金谷委員】 Mのほう、質量のほうでも、前段でそういったヒーターが同じように導入されて測定されているものなのかという質問です。

【森山室長補佐】 質量につきましては、フィルターで、排出ガスを簡単に言いますとフィルターに当てて、そちらのフィルターの質量の増加をはかっていると。そういった手法になっておりまして、特に揮発性粒子を飛ばしているということはないという状況でございます。

【大原委員長】 ということは、はかっているものが違う可能性があるということですか。

【森山室長補佐】 そうですね。質量のほうは、揮発性粒子も含めたものになっておりまして、粒子数のほうは、揮発性粒子を除いたものになりますので、質量法ではかっているもののうちの一部と。そういったものになっております。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 金谷委員、よろしいですか。

 それでは、板場委員、お願いします。

【飯田委員】 すみませんが、補足説明を私のほうからさせてください。

 排出ガスを希釈トンネルで希釈したのちに、フィルターで捕集して質量を計測します。排気中のVOCを起因とする粒子あるいは、肥大化した粒子が、フィルター繊維に付着した質量が、VOCにかかわらない粒子の質量を加えたものが計測されます。粒子数、希釈トンネルで希釈したのちに、さらに加熱してVOCの成分や粒子を蒸発させて除去してから粒子数カウンターにて計数いたします。粒子数の計測装置で一番信頼性が高いと思われているのは、ノルマルブタンを飽和状態にした雰囲気中に粒子を導き、その温度を30℃ぐらいまで下げることで、ノルマルブタンの液相を粒子の周りに付着させて肥大化させてから、それをレーザー光のスキャッタリングではかるという原理です。光の波長より粒子径の小さいところまで測定することができます。直径の3乗でマスが比例することを考えますと、実は相当小さい粒子までカウントしているので、数としては膨大な数となっても質量としては小さいところです。大枠で粒子径の大きい領域では粒子数とマスとの相関がとれるんだけれども、小さいところは相関が小さくなる傾向があります。相当慎重に考えなきゃいけないので、それに対する健康影響をどういうふうに考えていくかということは、総合的にまだまだ検討の余地があります。そんなふうにご理解いただきたいと思います。

【大原委員長】 飯田委員、追加のご説明ありがとうございました。

 それでは、板場委員、お願いします。

【板場委員】 まず、今出ましたPMとPNの粒子数の相関のグラフでございますが、今議論されようとしているPMの質量は0.5mg以下での話ですので、1mg以上のデータも含めたデータで相関をとるというのはいかがなものかと思いますので、できるものであれば、0.5mg以下のところでの相関も見ていただきたいと思います。

 次に本題というか、自動車対策のヒアリング結果を受けまして、若干意見でございますが、基本的には、ディーゼル車と直噴ガソリン車のPN規制の導入ということでございまして、今までの資料の中で、PM2.5の自動車割合というものが示されました。その中で、一部データでは、巻き上げやタイヤ粉じんも含まれたもので、自動車と言われているものもございましたけれども、今は自動車排気ガスだけに特化して話をさせていただきます。

 自動車排気で含まれているPM2.5の中では、1次粒子と2次粒子というのがございまして、当然、今検討されているPNでいきますと1次粒子分ということになります。その1次粒子の中には、当然でございますが、燃料種の違い、ディーゼル車、ガソリン車とあります。さらに今回は直噴ガソリン車ということで限定されております。ですから、PM2.5の中の1次粒子のさらにガソリン車、ガソリン車の中のさらに直噴ということでございます。

 話を戻しますが、業界としての意見は、まずディーゼル車についてはDPFを装着しており対応済みということでございまして、今回想定されております欧州並みの規制レベルであれば達成できるだろうというふうな見込みを立てております。それについては、資料2の9ページ、規制レベルの資料に戻るんですけれども、それの左下のグラフがございます。ディーゼル重量車についての話でございますが、平成17年、平成21年というところで、PMの規制強化がされました。ここで、平成17年の規制のときには、先ほど言われましたDPFについては、DPFあり・なしの車がございまして、次の平成21年、要は2009年のポスト新長期の規制レベルまでは、DPFつきなし車がまだ走行しているという状況でございます。当然、それまでに販売された車は現在も走っているわけでございまして、2009年(平成21年)の表の数字については、ディーゼル車は全部DPFつきのレベルであるといったところでございます。

 現状のデータを見ますと、まだPM2.5の中で、当然、DPFなしの車両が走っているという状況であるということがございます。ですから、この先、経年・代替が進んでいけば、全てのディーゼルについてはDPFつきにかわるということで、欧州並みのPNを達成するレベルに出てくると考えております。

 話を戻しまして、次に……。

【大原委員長】 申し訳ありません。この場ではご質問ということで、よろしくお願いします。

【板場委員】 わかりました。

【大原委員長】 微妙なところでございますけれども。

【板場委員】 話を戻しまして、資料3の最初のページに戻りますが、直噴ガソリン車については、今年の2月に国交省の告示が出まして、PM規制が入りました。2020年度に「全てのガソリン直噴車に対するPM規制の導入とあり、次の年度では、「既存の対策効果の評価をする」というところがございますので、ディーゼル車のDPFつきの効果や、直噴ガソリン車に対するPM規制が導入された場合の効果の検証を含めて、これらの対策効果を見た上で、今回十三次答申で言われております部分のPN規制導入についての検討をしていただきたいというところでございます。

【大原委員長】 以上でよろしいですか。

 1点目は限りなくご質問に近いかと思います。資料の11-3、62-3の15ページのPMとPN、質量と粒子数の相関の図ですね、質量0.5mg/km以下ではどうなのかというご質問だと思いますが、いかがでしょうか。

【森山室長補佐】 1点コメントさせていただきますと、現行の規制が5mg/kmということで、右側の領域も入ってくると、右側の領域についても議論することでは意味があるのかなと思っているというのがまず一つと、確かに板場先生のおっしゃるとおり、0.5mg以下の領域になってくると、質量も測定誤差が少し大きくなるという話もありますので、確かに小さい領域においては慎重な解析は必要なのではないかというのは思います。

【大原委員長】 板場委員、よろしいですか。

 後半の部分につきましては、後ほどの審議のほうで再度お願いしたいと思います。

 では、田邊委員、お願いします。

【田邊委員】 14番目のスライドと15番目のスライドについてなんですが、まず、カラカラに焼いた後、個数をはかる手前に、選択的なインレットがあると書いてあって、50~20nmと書いてあるんですが、この粒径範囲の炭素だけをカウンティングするという理解でいいのかということが1点目です。

 2点目は、15ページの相関図は、どの条件で測定したのか。要するに走行モードとか、車の状態が変わると、この傾きがかなり大きく変わるのであるとすれば、これを使って規制するということはなかなか難しいという気がしました。

 その2点です。

【大原委員長】 では、回答をお願いします。

【森山室長補佐】 まず1点目、14ページにつきまして、これ、すみません、ちょっと表記がわかりにくいんですが、これ、D50というのは、50%捕集するという意味でございまして、測定範囲につきましては、現行のPN法の測定範囲が23nm以上というようになっておりますので、23nm以上の粒子からPM2.5のサイズまでというと、2.5μmまでというのが計測対象となっているというのが、まず1点目に対するご回答となっております。

 2点目、この相関データの走行モードにつきましては、これ、WLTCとJC08モードの両方が含まれた形になっております。環境省の過年度調査、複数年度のものを求めた関係で、ちょっと、その調査の内容によって走行モードが少し違ってはいるんですが、両方とも定められた試験法の中での測定という話になっております。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 田邊委員、いかがですか。今の点に関して、追加のご質問等ありますか。

【田邊委員】 結構です。

【大原委員長】 よろしいですか、はい。ありがとうございました。

 それでは、ご質問等ないようでございますので、審議のほうに移らせていただきたいと思いますが、まずは自動車排出ガス専門委員会でこれまで行われてきた検討を踏まえましたお考えを、大聖委員長からご発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【大聖委員長】 これまでの経緯をご説明させていただきたいと思いますけれども、私ども、自動車排出ガス専門委員会の中で議論をしてまいりましたのは、一つは、第十三次答申に基づきまして、PNの規制の導入について、自動車技術の動向や諸外国の規制の動向、そういったものを踏まえて検討を進めてまいりました。現在、第十四次答申について検討を進めているところでありまして、来年度の早い時期に第十四次答申を提出したいと考えております。従来はPMの環境基準と同じ質量で規制をしてきておりますけれども、自動車単体から排出されるPM質量は少なくなってきておりまして、規制値のレベルによっては、質量の測定精度が非常に低下するという課題を抱えております。

 そのため、欧州などでは予防的な観点、これはプリコーショナル・プリンシプルとか、ノーリグレットポリシーとか言っておりますけれども、そのような観点から、小さい粒子径のPMを減らすために、PN規制を既に導入しておりまして、先ほどご説明がありましたように、EUはもとより韓国や中国でも、それが取り組まれているということでありまして、対策技術に関しても実用化されているというのが実情であります。現在の環境基準がまだ非達成なところがあること、それから自動車排出ガス測定局でのPM2.5の状況を勘案しますと、自排専で検討中ではあるものの、対策の強化が必要ではないかというふうに私どもは考えております。自排専での検討を進めるに当たりましては、自動車業界からは、他の発生源、固定発生源でございますけれども、それらと比較して自動車の強化の必要性を示してほしいという声もいただいておりますので、合同での審議をさせていただいたという経緯がございます。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ただいまの大聖委員長からのご発言、それから冒頭の正林審議官からのご挨拶にありましたように、今回は二つの専門委員会を合同で開催させていただいております。合同で開催することによって、今後のPM2.5の対策を考える上での全体感をつかんで、その上で、自動車対策、さらには、今、ご議論になろうかと思いますけれども、PNの規制等に関しての検討を進めていただければという趣旨でございます。

 ここから審議の時間に入らせていただきたいと思いますけれども、ポイントとしては三つほどあると考えております。

 一つは、PM2.5の環境基準のさらなる達成を目指す必要が国としてありますが、それを目指す中で、全体的な今後の対策の進め方、方向性について、自動車に限らず、多々あるPM2.5の発生源に対して、どういったような対策を総合的に進めていく必要があるのかという方向性についてご意見をいただきたいというのが1点目です。

 それから、2点目が、その中でも、自動車の対策の必要性、それから、必要な場合にはPN規制も含めたような形で、どういうふうな方法で進めていけばいいのかという点です。

 それから、3点目が固定発生源について、今後、どのような対策が必要なのかといった点です。

この3点にポイントがあろうかと思いますので、このポイントを意識したような形でご発言、ご審議いただければと思います。それでは、40分程度、お時間をとれると思います。名札を立てていただく必要はないかと思いますので、順次挙手していただいて、ご発言いただければと思います。

 では、畠山委員、お願いします。

【畠山委員】 議論の中でも出てきたんですけれども、今後、自動車そのものの改善が進んで、例えば電気自動車なんかが非常に普及が進んでいくと、少なくとも排出ガスの中のPMといったようなものは、直接は関係なくなるわけですよね。その辺の将来の見通しというようなところは、この中で立てておられるんでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 これはご質問なので、まず事務局から簡単にご回答いただけますか。

【森山室長補佐】 EVなどで今後確かに普及していくというのはあるかと思うんですが、現在、我々のほうで、特にそういった将来を見越して何か見通しを立てているということは、ないという状況でございます。

【酒井室長】 少し補足いたしますと、政府として、環境にやさしい車を普及していくというプログラムは行っておりますが、私どもの単体規制の内容については、従来型のエンジンの自動車についても引き続き残っていく部分もありますので、その従来型のエンジンに対しての規制はどうすべきかというのは、引き続き検討すべきだと考えております。そこにどのくらいの割合かというところに関しては、例えば将来規制の効果をシミュレーションしたり、そういうところでの評価としてはあり得ると思っていますが、そういうエンジンが残っていく限り、何らかの規制は考えていかないといけないと思っております。

【大原委員長】 よろしいですか。

【畠山委員】 ただ、そういう規制をかけた場合に、既存の車には規制はかからなくて、大体、新車に対して規制がかかるということになりますよね。ですから、将来のことを見通しておかないと、今、規制を強くしても、将来は関係なくなっちゃうということだと、あまり強い規制をここで今考えてもしようがないという話にもなりかねないので、そこの部分はきちんと見通しておかないといけないと思います。

【大原委員長】 将来シナリオについては、何か描かれたりはされているんですか。

 はい、お願いします。

【大聖委員長】 それについては、自工会に対するヒアリングをやったりしておりまして、直噴ガソリンエンジンの割合が将来どれぐらいになるかというようなことも、一応、製造者側の将来の見通しという観点から意見を聴取しております。一定の割合で直噴のガソリンエンジンが出てくるということは間違いないと思っております。なお、政府と自動車業界と合同でやっております戦略会議がありまして、それによると、2030年で最大70%、50~70%ぐらいは次世代自動車で、その割合の中でハイブリッド車の割合が非常に大きいです。電気自動車は、まだまだ普及するのに時間がかかるというふうに思っておりますので、当面、エンジン車が主流になると我々予想しております。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 それでは、梶井委員、お願いします。

【梶井委員】 自分は専門ではないんですけれども、要するにPMの毒性というのがやはり言われていて、いろんな研究者の仲間は、PMの中に含まれている化学物質、化学成分にもう少し着目して、毒性が高いものとそうでないものというのはやはりあるだろうというふうなことで、今、研究が大分されてきているのが事実なんですね。そういう中で、例えばですけれども、自動車の排気ガスから出てくるPMがやはり健康に大きく影響を与えるものであるというようなことがわかれば、量が少なくなってきても、やはりもう少し頑張って規制をしたほうがいいという意見も出てくるかもしれませんし、あるいは、そうではなくて、そんなにほかの粒子と変わらないかもしれないということであれば、あまり強い規制をかけなくても、もしかしたらいいかもしれないということもあると思います。やはり規制をかける根拠になるところは、やはり健康影響なのかなというふうに思います。ただ数量だけで、PM2.5の濃度だけでいろいろ考えるよりも、さらに一歩踏み込んで、健康影響についても考慮しながら対策を立てていく方向がいいのではないかと自分は思うんですけれども、いかがでしょうか。

【大原委員長】 大事なご意見かと思います。もし、この場で答えられるのであれば、お答えください。そうでなければ、専門委員会のほうで引き取るというような形もあり得るのかと思いますが、いかがでしょうか。

【上尾課長補佐】 すみません。今、この場で答えることができません。

【大原委員長】 では、坂本委員、お願いします。

【坂本委員】 今日のお話ですけれども、現時点では環境基準が質量に依存する形で健康影響があると、そういう判断をした形で決めているわけですね。今、健康影響についても、たしか環境省は調べられていて、それもまとめられるのが一、二年後ぐらいでしょうか、多分、そういう時期に来ると思うんですが、そういったときに、PMの質量に依存する毒性よりも、個々の化学物質の毒性で説明ができちゃうということになれば、その対象とする物質についての規制をして、そして、その対象とする物質がどういう発生源に基づくかで、よりやり方は変わってくるという状況になろうかとは思いますけれども、現時点では、そこまでの情報が十分でないとすれば、質量で決めた環境基準の達成を目指して、質量として寄与の大きいところについて考えていくということになります。ただし、その場合に、化学物質の成分の分析も同時にやっていって、将来、どういう方向になるかを検討しながらやっていく流れかなというふうに思います。

【梶井委員】 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、この規制が始まってから、もう10年以上たっているので、そろそろ、そういうところに踏み込んでいかなければ逆にいけないのではないかということで指摘させていただいたわけです。

【大原委員長】 ありがとうございました。少し先に必要な議論かなというふうに思います。今後、化学成分ごとの毒性、健康影響といったような視点も踏まえたような形で、場合によっては環境基準の見直し等という話につながるようなことになるかもしれませんけれども、現時点では、現在の環境基準をベースにして議論を進め、対策を進めるということで、この議論をしていただければというふうに思います。

 どうぞ。

【野中委員】 ありがとうございます。今のお話と少し関連するかもしれないと思いまして。福岡県庁の野中でございます。

 PM2.5の成分分析の件ですけれども、自治体のほうで、イオン成分、無機元素、炭素成分等について分析をしていまして、環境省に報告をさせていただいております。これらの情報は今の議論とも関連してくるかと思いますし、地域ごとの傾向把握とか、固定発生源や自動車などの発生源の推定などに活用できるかと思いますので、ぜひ自治体が今進めておりますPMの成分分析の結果を活用し、解析を進めていただければと思っております。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

【塩路委員】 今の観点なんですけれども、もちろん分析はすごく進んでいるというか、シミュレーションに関しても結構進められていて、それがインベントリとどれぐらい一致しているかということは、かなり詳細な議論が進められているんですけれども、結局、それが健康への影響、健康リスクを考えるというところがすごく難しくて、もう多分やられている方はおられると思いますけれども、非常に時間も労力もかかる仕事になると思います。外国のほうが少し進んでいるようですけれども、それを待ってから何かするというよりも、やはり先ほど大聖委員長が言われた予防安全というか、予防管理の概念をまずは適用して、もちろん並行していろんなところを進めていくのは正しいと思いますが、今はまだその段階かなというふうに認識しています。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。とりわけ今日のメインテーマであります自動車対策の今後の対策、その中でPN規制等についてどう考えていくのかという辺り、ご発言いただければと思います。

 はい、お願いします。

【板場委員】 すみません。先ほどは質問のところで少ししゃべり過ぎました。申し訳ございません。

 資料3に戻りまして、11ページで、エレメンタルカーボン分については、一般に燃料の燃焼により発生する物質、要はすすであり、自動車から出ているということがはっきり書かれております。この部分について、やはりディーゼル車、ガソリン車、直噴車という切り分けをしていただきたい。

 さらに、先ほど申し上げましたけれども、ディーゼル車は代替が進めば、DPFが全車に装着されて、ECすすはかなり減るだろうと思います。今言えば、PM値で10分の1程度まで下がるというようなデータもございますので、かなり下がると見ております。

 それに対して、今回は直噴ガソリン車の部分でのことでございますので、このグラフで見ると、例えばエレメンタルカーボン分の何%が直噴ガソリン車の部分になるのかという推定を、塩路先生が言われていますように、要は排出インベントリをそろえた上でシミュレーションして、将来予測をすると。さらに、同時にディーゼル車の代替が進むシミュレーションをさせて見るといったときに、費用対効果というものを含めて見ていただいて、PM2.5中のその他の成分も、対策等があれば、それらとの比較をした上で、それらの効果を示していただきたいというふうに考えております。

【大原委員長】 ありがとうございます。自動車対策の効果を示すことが重要だというご発言だったと思います。

 これに対して、とりわけ何か事務局から反論されることはありますか。ごもっともなご意見だと思いますが、いかがでしょうか。

 少なくともインベントリベースでは、今のディーゼル車、ガソリン車別や、車種別の構成比率の排出量のデータはもちろんお持ちですね。

【酒井室長】 丁寧に車種ごとに効果を見ていくというのは、大事なことだとは思っております。

 あと、ただ、今日お示しさせていただいたデータの中で、細分化できるものは、できるだけしていきたいと思いますし、できなかった場合に、自動車全体で捉えながら、自動車のPM対策として検討もせざるを得ない場面も少しあるのかなと思っております。ただ、委員のおっしゃるとおり、できるだけデータをきちんと見ていくということは大事なことだと認識しております。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。はい、石井委員、お願いします。

【石井委員】 規制導入に当たっては、技術的議論というのはもちろん大事なんですけれども、1点、やはり最近の世の中を見て、国際的な動きを見ていると、資料の中でもありましたけれども、基準調和の動きというものがあります。冒頭、審議官のほうから、諸外国と議論するときに、日本のリーダーシップをとっていかなければならないというような話もありましたので、その辺りも考えながら、政策的な判断も必要なのかなという感じはしております。

 資料の中にもありましたように、中国・韓国がもう入れているという状況の中で、外堀を完全に埋められて、後からしようがなく導入するのというのではなくて、やはり主体的に入れていって、国際的な議論をリードするというようなことも必要ではないかなということは、最近、国際的な動きを見ていますと、非常に感じるところです。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございました。粒子規制を進めるような方向で考えるべきではないかというご趣旨のご発言だったと思います。

 では、畠山委員、お願いします。

【畠山委員】 2点あるんですけれども、まず一つは、ガソリン直噴車の件ですよね。ガソリン直噴車については、今のところ何もPMについて規制がかかっていないのでしょうか。

【板場委員】 PMは、規制がかかっています。

【畠山委員】 そうですか。ディーゼル並みにはなるということでしょうか。

【板場委員】 同じです。

【畠山委員】 同じになっているんですね。では、それは置いておきます。

 今の国際的な取組に関わるんですけれども、アメリカは、PNについてはたしか何もやっていないということですよね。日本としては、今、欧州に輸出している車は、欧州の規制をクリアするような形で生産されているということでしょうか。そうでしょうね。そうすると、欧州や韓国、中国が取り上げているから、日本でもやるべきという話ではなくて、日本にとって国内的に規制がどういう意味があるのか、効果があるのかというところをきちんとやはり詰めておかないといけないのではないかと思います。もう欧州で規制されているのであれば、輸出車についてはそれに合わせるのはしようがないと思うんですが、国内で本当に科学的に意味があるのかということは、特にこの委員会ではちゃんと詰めておかないといけないのではないかという気がします。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 どうぞ、飯田委員。

【飯田委員】 今日はどうもありがとうございました。合同での委員会ということで、双方が探究している内容についての情報共有および意見交換ができたことを嬉しく思います。

 それで、今日、冒頭の説明にあったとおり、資料1の6ページは自動車の排出物と巻き上げやタイヤ粉じん等は分けて継続しています。残りの茶谷先生や東京都さん等は、両者が含まれています。それから、池上新田等のケースで、池上新田の交差点とバックグラウンドを比較したときに、いわゆるPM2.5の大気中での質量濃度が、バックグラウンドと思われるところに対して多いというエビデンスを持って、この先なんですね。これがディーゼルでまだフィルターがついていない車両からのものなのか、それとも、乗用車から排出したものなのか、そこのデータ仕分けがなかなか難しいというふうに思っております。日本中の全部の自排局と一般局で言えば、その平均濃度の差は大体10%ぐらい確かに自排局のほうが高いんですね。だから、その内訳が本当にディーゼル車からの粒子がPM2.5になっているのか、それともガソリン車からの粒子がPM2.5のマスベースになっているのかというところを考えると、直噴の自動車、あるいは直噴でない自動車も、実はエクストラハイとかでも、確かにPNの数値のカウンターでいうと検出されることがあるんですが、それらを本当に除去したときに、PM2.5の質量濃度でどれだけ減るんだろうということを考えると、今までのエビデンスを見るに、これは比較的少ないのかなと思われるところがあります。ただ、微小粒子そのものが健康に影響があるということであれば、坂本先生が言われたように、現在のPM2.5の環境濃度という視点ではなくて、粒子数ベース規制する必要があるので、そのところの筋道と論理立てをどうするか、そこが一番今判断で大事なところかなと思います。そういう意味で、インベントリをやられている皆さん方に、私もその委員だから、自分で自分に課すことになるんですが、資料1の6ページの自動車と言われている年間1万tという中身が、そのうち乗用車のガソリン車と、ディーゼルのDPFのついていない車両から出てきているものの内訳はどうなっているのかについて、おたずねしたいと思います。それから、池上新田の交差点とバックグラウンドを比較して、大体25%ぐらい道路沿道のほうが濃度が高いという話がありましたけれども、それもディーゼル車に起因するものなのか、乗用車に起因するものなのか?それをまずはマスベースでみてみることが必要かと思います。ただ、マスベースで環境基準に寄与しないからといって、微小粒子の粒子数濃度をどう扱っていくかということは、先ほどの議論で、予防安全的な視点ということも含めて考えていかなければいけないとしても、データとしては、そこを確認しておきたいということが私からの意見と質問です。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 はい、どうぞ、大聖先生。

【大聖委員長】 今、自動車NOx・PM法というのが施行されておりまして、特定地域でのディーゼル車の寄与は大幅に減ってきております。ですから、全国の積み上げた値と対象地域では、かなり差があるというふうに考えております。古いディーゼル車というのは、地方ではまだ使われておりますけれども、特定地域内では、その利用は非常に低いというふうに考えています。

【飯田委員】 いや、残念ながら大型車の部分は外されていますので、その認識は間違いかと思います。NOx・PM法の特定地域内であっても、長期規制の大型車は対象外であり、現在も相当数が走行している実情です。

【大聖委員長】 ええ。ただ、フィルター装着車が、今はもう代替で大きく進んでおりますので、これに関しては、近い将来、かなり大幅にオールジャパンでも減りますし、NOx・PM法の対象地域でもかなり減るというふうに思っております。

 それからもう一つ、直噴のガソリン車は、現状の割合が少ないんですけれども、ある程度増えるだろうという自動車工業会の見通しをもとに、我々、対策が必要だということを一つ俎上に上げております。ですから、今後のマーケットのことも織り込んだ予想が含まれているということをご理解いただきたいと思います。予防的措置といいますのは、増えるであろうという、そういう予想に対しても、予防的な措置をとる必要があるということで、健康への影響の予防的措置と、それから市場の動向を見た予防的措置と、両方含まれているというふうにお考えいただきたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 先ほどの飯田委員の排出量ベースでのガソリンとディーゼルの比率、これはPM2.5のインベントリの報告書にも書いてあるので、事務局からお答えできますか。もしできなければ、私からお答えします。

 大ざっぱに言って、2015年の日本全国のインベントリですが、排出ガス全体が9,700t、そのうちのガソリン車が1,500tですから、割合は15%ぐらいということです。当然、地域によって、この比率が変わり得るとは思いますが、日本全国で見た場合には、そのくらいということになります。

 飯田委員、よろしいでしょうか。池上新田での寄与割合がどうかということまでは多分調査はされていないのではないかと思います。

 はい、お願いします。

【田邊委員】 直接的に証明するということではないんですが、もともと池上新田の観測は、冬期のナノ粒子の観測でスタートしています。いわゆる道路沿道では、多分30nmぐらいにモードがある粒子が大量に出ていて、中留で観測すると、それが消えてしまうということで、沿道では、ディーゼル車から出てくる急に冷やされて凝縮したナノ粒子が大量に存在することから、ディーゼルの寄与が非常に大きいという傍証が存在しています。ただ、ガソリン車との区別といったようなことは、CMBのレベルでしかやっていませんので、その正確さがどれくらいかと言われると、そこまで正確には言えません。

 それと、ついでにもう一つ聞いてよろしいでしょうか。これは質問に近いんですが、微小粒子とかナノ粒子とか、皆さん、いろいろ思っておっしゃるんですけれども、今言いましたように、もともと沿道のナノ粒子の話が出たときは、30nmぐらいにモードのある有機粒子が主体だったと、後でわかりました。今はディーゼル車で23nmより上の個数濃度をはかるというように伺った気がするんですが、ということは、ディーゼル車排出粒子の炭素の核、いわゆる今まで言われているディーゼル排出粒子そのものしかはからなくて、それより小さいものははかっていないということになります。そうなると、ガソリン車の場合は、直噴の制御の仕方によっては、物すごく細かい粒子になるか、あるいは粒子が出ないというような状態になる可能性もあるので、多分、今の個数の規制が、その中でどういう位置づけになっていくのかということは、かなり流動的な気がします。何かフレキシブルに考えていただいたほうがいいような気がします。ナノ粒子とか微小粒子の区別をはっきりする必要があることと、ガソリン車の粒子排出は流動的なのではないかということの2点です。

【大原委員長】 ありがとうございます。確認ですが、流動的というのは、どういう意味合いですか。もう一度お願いします。

【田邊委員】 GPFをつけなければならないという話には必ずしもならないという印象を私は持っています。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

【鵜野委員】 今、非常に勉強になることもいろいろあって、私は数値モデルを使って、国内影響・国外影響がどれくらいかというシミュレーションをやっているんですけれども、最初の資料にあった国内・国外の寄与というのは、大体2010年でもって、結構古い年度を対象とされていて、その後、中国はエミッションも物すごく変わっていますから、新しいエミッションインベントリを使った場合はどうなってくるのか、その見積もりが大事だということ、あと、車のPN規制が始まったときに、エミッションインベントリで例えばブラックカーボン(BC)のエミッションがどれくらい下がるのかとか、そういう見積もりを入れて、国内・国外の寄与がどうなのかというのを考える必要があるんじゃないかと思います。

 感想になります。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはどうでしょうか。

 それでは、塩路委員からお願いします。

【塩路委員】 微小粒子をどの程度に、車からの排出ガス規制をどの程度に抑えるかということは難しいところで、今言われたように、シミュレーションで、これを抑えるとどうなるというような結果が割と出ているんですよね。それによると、それほど全体には寄与しないのではなかったかなという記憶があります。

 とはいえ私自身の意見としては、先ほど石井委員の言われたように、やはり国際基準調和というか、その辺りも非常に大事ではないかなとは思っています。ここで少し疑問に思ったんですが、自動車排出ガスの国際調和に対する考え方や措置は、今、ここでも議論があるし、私自身も割と承知していますが、固定発生源のほうの国際的な動向というか、これは商品としてボイラーとかそういったようなものが、どの程度国際商品になっているかということはわかりませんけれども、ただ、諸外国でどうしているのかなということが気になりましたので、教えていただければありがたいなと思います。

【大原委員長】 専門委員の中で、知見をお持ち合わせの方はいらっしゃいますか。

【塩路委員】 要するに本質的な議論なんですよね。先ほど来言われている、どの程度寄与するかとか、環境に影響するかということは非常に本質的な議論なんですけれども、なかなかリスクを考えると難しい部分もあるので、それよりもやはり政策的なところが割と先走ってというと少し語弊がありますけれども、それで動いている部分がかなりあるのではないかなというふうに思っています。もちろん大事なところは押さえておかないといけないということはあるんですが、やはり国際的な動向とかがかなりこういう施策を議論する上では重要な観点ではないかなというふうに思っています。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 環境省、いかがですか。今はお答えできるようなものをお持ち合わせでしょうか。もしなければ、追って調べるというご回答になるかと思いますが。

【上尾課長補佐】 この場に持ち合わせておりませんので、調べてご報告したいと思います。

【塩路委員】 というのは、欧州でかなりPN規制(粒子数規制)が先行しているんですけれども、これがそういう本質的な議論のもとになされているのかなというふうに疑問があったもので、それも含めて、考える必要があるのではないかなと思っています。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 はい、どうぞ。

【小渕委員】 ちょうど今スライドに出ている問題で、私として固定発生源と自動車の関係ということで、非常に頭の中を悩ませています。環境省さんにお聞きする形で、聞いてみたいんですけれども、資料1の6ページの左の図で、全体の上のほうの船舶は除いて自動車と固定発生源の寄与割合を見ると、固定発生源のほうが多いという中で、今、自動車の割合が10%ぐらいです。ここをターゲットにして規制強化していくということは、やはりこれまでの施策の延長として、寄与割合は10%ぐらいかもしれないけれども、そこをどんどん詰めていってやっていき、固定発生源のほうもさらにやっていくという形で、大気環境を不断によくしていくんだという基本姿勢から規制強化が必要だというふうに考えられるものなんでしょうか。

【酒井室長】 まずはどういう対策をしていくべきかというと、先ほど来お話がありましたが、まず、環境基準の達成状況をみると、まだ達成していない状況です。その状況において、発生源はどこかというと、移動発生源・固定発生源がございます。一定の割合をそれぞれの分野で持っていますので、それぞれの分野でできることを頑張っていただきたいということです。自動車であれば、ここでの寄与率は全体の十数%かもしれませんが、自動車分野でも頑張っていくということを取り組んでおります。

 今日の会議は、合同会議ということで、先ほど大原委員長のほうからも、自動車の対策以外の議論のポイントとして、全体としてどうあるべきかというお話もありましたので、少しその点も含めて、どうあるべきかというのを少しご議論いただけますとありがたいと思っています。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 小渕委員、どうぞ。

【小渕委員】 そうなりますと、例えば自動車業界さんのほうから言うと、そういうことでしたら自動車業界としても頑張りますと、でも固定発生源も頑張ってくださいというようなことが言われたら、お互い頑張りましょうということになるのかなと思います。また、例えばタイヤの巻き上げとかもありますね。もし量的に見て優先的にというと、左の図の黄色い部分ではないのかとなりますが、できることからやっていくという意味で、自動車排気対策を強化していくべきということでしょうか。

【大聖委員長】 最近の自動車側の排出ガス規制でいいますと、例えば二輪車に対する規制の強化があります。これは環境への影響で考えますと、実はそんなに大きくないわけです。台数もそこそこですし、エンジンも小さいですから。ですけれども、国際基準調和を進める必要があります。ヨーロッパへの輸出もあり、それからヨーロッパでの規制もありますし、それは日本と合意しながら基準調和を進めていった経緯があります。

 それから、もう一つ、その中の議論で、通常の四輪車で使われている技術で、二輪車でも使えるような技術というのはたくさんあります。そういうリーズナブルなコストで対策が可能だということがわかっている技術がありますので、二輪車に対しては、排出量は少なくても、やはり技術的な意味での公平性からいって、規制強化をやるべきではないかなという議論も私どもいたしました。

 そういうことがありますので、さっきの繰り返しになりますけれども、今回の直噴エンジン車に関しても、マーケットとしてはまだ少ないですが、今後伸びる可能性があるということで、そういう措置をとるということの理由づけになるのではないかなというふうに思います。

 それから、今、小渕委員からもご指摘ありましたけれども、やはり自動車でそういった有用な、アベイラブルな技術があるので、それを使って規制を強化するということの合理的な根拠は、一応はあると思っております。それに並行して、固定発生源でも何か他に実現可能な対策があるのであれば、それは逐次とっていただくことが必要です。

 固定発生源でもそれと並行してやっていただくという見通しがあれば、移動・固定両方で対策が進行するということになるというふうに思っています。

【大原委員長】 では、坂本委員、お願いします。

【坂本委員】 今、いろいろ議論がありましたけれども、要はPM2.5の発生源寄与が大きいものがあるうちは、そこをたたけば効率的に濃度は減る状況がありました。ディーゼル自動車にDPFをつけた結果なんていうのは、まさに典型的な事例ですね。それで、現在の濃度に至る過程において、どういうことがあったかということを考えると、固定発生源については、ある時点から、その後の対策はほとんどやられていなくて、今に至っています。ディーゼル車も含めて、自動車はこういう形でやっているけれども、自動車の場合には、全国あまねく寄与をするようなものになっているもので、そういったものを考えていった場合には、例えばどこの発生源について特別強く規制をするということではなくて、対策効果が上がるような発生源は何なのかという形を見てやっていく必要があります。そのために、今、自動車のほうは自動車でかなりやってきていますけれども、固定発生源については、資料1の12ページのように、風向別に測定局Aと測定局B、広島・岡山という形で調べてみると、ある特定の発生源がかなり大きな寄与をする可能性があるが、これは常時監視の測定局ではかったものなので、まだ成分的なものがどこまでわかるものがあるかということで、今後、成分を調べていくと、どういう産業形態のところの発生源であるかというようなこともわかってきます。そして、それが全体の産業形態としても大きいものであれば、そういったところについて考えていく必要があるのではないかということになります。固定発生源のほうについてはですね。

 自動車のほうについては、今、PN規制を入れるか入れないかというところですが、現在の規制値のところを見る場合でも、PMの質量のほうでいくと、なかなか難しい状況です。そしてPNだと、もう少し低濃度まではかれる可能性が実は十分あるんですね。そういったことを考えた場合には、PMではなくて、PNのほうに少し考えていく必要がまさにあります。そして、先ほどのグラフで見ても、高濃度のところで、ややPMとPNの対比が悪くなるのは当然なんですね。あれは光散乱か何かで見るから、PNのほうでは、高濃度になればなるほど重なりがあって数えられなくなります。そういう状況を見れば、あれは当たり前のことです。ただし、今度は低濃度のほうでは、実はPMのほうの測定が実質的に非常にできない状況になってくるということです。そうすると、あの線を見る場合に、高濃度と低濃度のところを見て、相関が悪いからというのは、実は、そもそもPMのはかり方とPNのはかり方の違いを考えていけば、これは割と妥当な線じゃないかというふうに私は思っています。そういう意味では、粒径分布を見ながら考えた場合に、PNの測定というものを入れて今後考えていく必要があるということは、もう欠かせないところではないかというふうに思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 今、大聖委員長と坂本委員からご発言いただきましたけれども、PM2.5の発生源は非常に多々あって、それらを総合的に対策しないと、多分、日本のPM2.5の濃度のレベルは下がっていかないだろうと考えられます。なので、自動車だけではなくて、固定発生源も含め、その他の発生源も含めたような形で、やはり総合的な取組が必要だということに関しましては、恐らくこの場で共有できたのではないかと思います。もし反論がある方がいらっしゃいましたら後で言っていただければと思いますが。その上で、自動車の規制も、そういったような流れの中では、避けて通れないと思います。

 今日の一つのポイントは、PNの規制について、自排専の委員の方々からは、国際的な調和といったような視点からも必要だろうといったようなご議論があったと思いますけれども、この点につきまして何か。もう時間が限られておりますけれども、もしご意見等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ。はい。

【畠山委員】 PM自体が非常に低濃度になってきて、現在の状況に今なっているわけですね。ただし健康影響ということから言うと、基本的には、やはりバルクの質量というものが一番きいているはずで、個数そのものが直接にきいている話では多分ないだろうと思うんですね。ですから、現状では、低濃度の質量がはかれないということで、そういうものまではかれるような装置が十分な精度を持って現れるまでは、個数をもって代替措置とするというような考え方でもいいのではないかと思います。完全に個数で規制しようというよりは、個数を使って質量を代替的に見積もって、それで規制をするというような考え方でいってもいいのではないか、その辺が落としどころかもしれないというふうに考えております。

 以上です。

【大原委員長】 ありがとうございます。

 今の点につきまして、もし自排専側の委員の方々からご意見ありましたらお願いします。なければ結構ですけれども。よろしいですか。

 どうぞ、飯田委員。

【飯田委員】 畠山さんがおっしゃるとおりと思いますので、まずはPM2.5を質量ベースの濃度で規制を今かけていると。ただ、粒子の影響そのものも、実際には、テールパイプから出てきたAS IT WASではなくて、サーマルデニューダをかけて、数をはかることをやりますので、大気中に排出される1次粒子とは言い難い粒子をカウントしていることになります。それらを体内に吸い込んだときを想定すると、エレメンタリーカーボンに近い状態の微小粒子はマクロファージ細胞も識別できないような小さいナノメーターオーダーなので、細胞膜をペネトレーションすると言われており危険だということを主張する論文もある。ただ、実際に本当に危険かということを調べていくと、なかなか立証もできてなくて、その辺が何ともこれを判断するときに悩ましいところであるのも事実です。今、明確ではないけれどもというような前提で全体をご理解いただかないと、あるいはガソリン車から排出される粒子を質量ベースではなく粒子数ベースの数値規制をしたからといって、マスベースのPM2.5がほとんど減らないこともご理解いただいた上で進めないと、後でいろいろお叱りを受けることになりかねない。委員として悩ましいところです。逃げるわけではないんだけれども、一応、粒子数密度と粒子の質量濃度のいずれが、健康影響との相関が高いのか?いずれも懸念すべきであるが、必ずしも明解でない面があることを指摘する意見があったということをここで発言しておきたいと思います。

 どうもありがとうございます。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 もうそろそろ時間になっておりますが、最後に発言されたい方いらっしゃいますか。

 はい、お願いします。

【坂本委員】 簡単に申し上げますが、PM2.5の環境基準を決めるときに、あの数値を出すことについては、かなり議論があって、健康影響がどこまで明確にあるかという判断が、あの数値になっています。その当時から、もっと低いところで影響があるというデータは、相当程度あって、今、そういうものはかなり増えてきているという状況にあります。そうすると、先ほど来皆さんがおっしゃっていた予防原則や、いろんなことを考えると、今後、PM2.5は、現在の環境基準を達すれば、健康影響が相当程度減るかという話ではない形で、今後データ整理されたものが出てくる可能性がある中で、我々はPM2.5の濃度を下げていく対策も考えていく必要があるんだということを申し上げておきたいと思います。

【大原委員長】 ありがとうございました。

 そろそろ締めたいと思いますけれども、もう一回繰り返しますが、PM2.5の対策については、総合的に取り組む必要があるということについては、共通の認識になったと思います。

 一方、自動車排出ガスの規制につきましても、そういう中で、今後、さらに強化していく必要があり、その方法としてPN規制があって、その方法につきましては、国際基準との調和、あるいは政策評価のような点も含めて、引き続き、自排専のほうでご検討いただくという整理でよろしいでしょうか。

 もしご異論があれば。よろしいですか。どうもありがとうございました。

 それでは、議題2のその他として事務局から何かございますでしょうか。もしなければ。よろしいですか。

 ないということで、どうもありがとうございました。

 それでは、本日予定された議題は終了となりましたが、全体を通して、ご意見やご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。

 ないようでしたら、本日の議題は全て終了しましたので、進行を事務局にお返ししたいと思います。

【神谷課長】 大原委員長、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、ホームページに公開いたしますので、後日、ご確認のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の第11回微小粒子状物質等専門委員会と第62回自動車排出ガス専門委員会の合同委員会はこれで終了いたします。長時間にわたってご審議いただきまして、ありがとうございました。

午後12時00分 閉会