微小粒子状物質等専門委員会(第4回) 議事録
日時
平成26年12月18日(木)10:00~11:57
場所
TKPガーデンシティ永田町 ホール2D
出席者
(委員長) | 大原 利眞 | ||
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(委員) | 飯田 訓正 | 上野 広行 | 鵜野 伊津志 |
金谷 有剛 | 釜谷 広志 | 坂本 和彦 | |
柴田 芳昭 | 中村 修 | 奈良 恒雄 | |
三浦 安史 | 弓手 崇生 | ||
(環境省) | 三好水・大気環境局長 | ||
早水大臣官房審議官 | |||
眞先総務課長 | |||
是澤大気環境課長 | |||
中谷総務課環境管理技術室長 | |||
伊藤大気環境課課長補佐 | |||
小林大気環境課課長補佐 | |||
中村自動車環境対策課課長補佐 | |||
三島自動車環境対策課課長補佐 |
議題
- (1)発生源ごとの寄与割合について
- (2)国内排出抑制策の方向性について
- (3)その他
配付資料一覧
資料
資料1 | 委員名簿 |
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資料2 | 日本国内におけるPM2.5発生源情報の整備のための取組 |
資料3 | 東京都におけるPM2.5の発生源寄与の推定 |
資料4 | PM2.5国内排出抑制策の方向性について(案) |
資料4(別添) | 別添資料 |
参考資料
参考資料1 | PM2.5に関する総合的な取組(政策パッケージ)(平成25年12月、環境省) |
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参考資料2 | 第3回 微小粒子状物質等専門委員会「資料2 日本国内におけるPM2.5発生源情報の整備のための取組」 |
議事
午前10時00分 開会
【是澤課長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回微小粒子状物質等専門委員会を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、年末でご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
初めに、委員の交代がありましたので、ご紹介いたします。
石油連盟の井上委員から辞任の申し出があり、新たに、石油連盟技術環境安全部統括グループ長の三浦委員にご就任いただいております。三浦委員、どうぞよろしくお願いいたします。
委員の出席状況についてご説明いたします。
本日は、梶井委員、河野委員、田邊委員、畠山委員から、ご欠席との連絡をいただいております。
続いて、配付資料の確認をさせていただきます。
1枚目、議事次第の下のほうに配付資料のリストがございます。
クリップを外していただきますと、委員名簿の1枚紙、資料1。
資料2として、国内におけるPM2.5発生源情報の整備のための取組、2枚紙でございます。
それから、資料3、東京都におけるPM2.5の発生源寄与の推定。
資料4が、本文と別添とに分かれてございまして、本文のほうが、PM2.5国内排出抑制策の方向性について(案)というもの。それから、少し分厚い別添資料がついてございます。
そのほか、参考資料1と参考資料2をお配りいたしております。
また、委員の先生方の席上には、平成26年11月28日に発出いたしました通知文をお配りいたしております。PM2.5に関する注意喚起のための暫定的な指針につきまして、専門家会合でご議論いただき、その判断方法の改善について通知したものでございます。本日の議論の中で使用する予定はございませんけれども、ご参考までに配付させていただきました。
資料の不足などございましたら、事務局のほうまでご連絡いただければと思います。
それでは、もしカメラ撮影等がございましたら、ここまでとさせていただきまして、これ以降はご遠慮いただくようお願いいたします。
では、以降の進行を大原委員長にお願いいたします。
【大原委員長】 皆様、おはようございます。
今日は、とりわけお寒い中、朝早くからお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
本日、第4回目の専門委員会ということでございまして、議事次第にございますように、主な議題が二つございます。
一つは、発生源ごとの寄与割合について、もう一つは、国内排出抑制策の方向性についてということでありまして、大まかな時間配分としましては、議題の1番目のほうに40分程度、それから、議題の2番目のほうに1時間ちょっとぐらいといったような感じで議事を進めさせていただきたいと思いますので、活発なご議論をよろしくお願いいたします。
とりわけ議題の2番目につきましては、この後の専門委員会でも引き続き議論をいただいて、今年度中に中間取りまとめというような形で、ぜひ取りまとめたいというふうに考えているものでございます。
それでは、議題の1、発生源ごとの寄与割合についてから進めていきたいと思います。
これにつきましては、前回、この専門委員会で、インベントリの成分の取組状況について、現在、環境省のインベントリ策定検討会というのが行われているんですが、そこで、JATOPのインベントリをもとに、その更新を進めているという、そういうご報告をしていただいたところであります。
本日は、現時点での進捗状況につきましてご説明いただきたいと思います。
それでは、資料2に基づきまして、事務局からご説明をよろしくお願いいたします。
【中谷室長】 技術室長の中谷でございます。よろしくお願いします。
資料2をご説明させていただきます。
スライドの2番目をご覧いただけたらと思います。
前回にちょっと遡りますが、PM2.5の発生源情報の整備ということで、先ほど大原先生からもお話がありましたように、日本国内の発生源情報を整備するということで、既に既存の発生源情報を整備したJATOPインベントリというものを選定いたしまして、それを、データの更新だとか、精度のアップを今後図っていくというふうに取り組んだ方向性をご報告したところでございます。
前回、委員限りの配付資料だったのですけども、それぞれの発生源からどのぐらいの排ガス量が出ておるのかというのを見積もった推計値をお配りさせていただきましたが、今回、その推計値につきまして更新を行いましたので、その結果をご報告したいと考えております。
更新を行った中身ですけども、時間の関係もありまして大きなことはちょっとできておりませんで、一応、活動量を、排出量を求める際に、前回もお話ししましたが、原単位と、それから活動量を求めて、それを掛け合わせてトータルな排出量を求めるというふうな、そういう算出方法で推定しておるわけですけども、活動量が最新のものに置き換えられたものがありますので、それを置き換えたらどうなったかというのを、参考でご紹介させていただければと思っております。
ここに、2ページ目に、スライド2に書いておりますように、この推計値といいますのは、現在、作業中ということで、これを引き続き、データ更新だとか精度アップというのを、別途、検討会のほうで進めていきたいなと考えておるところでありますし、前回も申し上げましたが、この推計値でございますが、いろんな前提条件を組み合わせて算出しておるということで、精度も当然、それぞれ変わってきておるという、そういう実態がございますので、直接数字を比較するというのには注意が必要だということをご留意いただいてご覧いただけたらと考えております。
それでは、めくっていただいて、スライドの3になります。
活動量の更新範囲ということで、一つ、説明資料をつけております。
どこが更新したかというところで、左側に、各発生源の種類を大まかに分類したものをつけておりますが、そのすぐ右側に、更新したところに丸をつけております。
更新の対象の、どのデータを使ったかというところで、そのすぐ横に、対象年度ということで、活動量の使ったデータの年度を記載しております。基本的に、24年度のものをほとんど使って、一部、少し古い23年度のものを使用したという、そういう状況になっております。
それからあと、発生源の種類で、前回と違いまして2カ所追加しておりまして、人為・固定発生源の中で、生活用品、それから防虫剤というところを、分類で、一つ新しく追加しております。これは、更新で「新」とつけております。
それから、移動発生源のところで、鉄道の、これはVOCだけですがデータも入手できましたので、これを新しくデータとして入れておりますという、そういう整備を行いました。
その結果でございますが、スライドの4以降に、4、5、6というところで資料をつけて――4、5、6、7ページまでですね、スライド7まで資料をつけております。
この資料の見方ですが、水色の棒グラフが、これは前回お配りした推計値でございまして、それからオレンジ色、これが新しく見直した値ということで、棒グラフを作成しております。
ざくっとご覧いただければおわかりになると思いますが、あまり変化はございません。特に大きく変わっているところはございませんが、何カ所かだけ数値が変わったところがありますので、それをご紹介したいと思います。
スライド4で、これは日本全体の排出量を集計したものですが、この中で、自然発生源として、排出ガスの成分としては、SOXですけども、こちらが、火山からの由来ということになるわけですが、こちらが増加しております。こちらは、新しく火山活動が発生したということで、それを考慮して数値を加算したという結果になっております。
スライド4の、このSOXのところで文字の説明がありまして、火山のところで、「両方とも平成22年度推計値」とありますが、これは間違いでございます。オレンジのところは24年度の活動量を加味しておるという、そういう状況でございます。
それから、スライド5になりますが、こちらは大規模固定発生源の排出量でございますけども、排出量の数字がそれぞれグラフでスケールが異なりますのでご注意いただけたらと思いますが、一応、こちらの中で、一番上の電気だとか熱供給の分野、エネルギー供給の分野のところで、SOXとNOXが増加したという、そういう推定結果になっております。
こちらは、単純に、化石燃料を使用する量が増えたということで、こういう結果にしておりますが、その増えた原因はいろいろあると思うんですけども、断定はできませんが、震災の後ということで、火力発電の発電量が増えたという、それが影響しているのではないかと思っております。断定は全くできませんが、原因の一つとして考えられるのかなと思っておるところでございます。
あと、スライド6、スライド7は、特に大きく変わったところはございません。
資料につきましては、以上でございます。
【大原委員長】 ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見などありましたらお願いいたします。
このご報告は、インベントリ策定検討会というのがございまして、そこで、国としてナショナルインベントリをつくる必要があるだろうというようなスタンスから、その策定を進めていただいているところであります。
その進捗状況についてご報告いただいたというものでございますが、いかがでしょうか。
はい。
【釜谷委員】 ご質問を一つお願いしたいと思います。
今ご説明いただいた、シート5の大規模固定発生源のPM2.5の点線で追加されている凝縮性ダストについて、更新前には凝縮性ダストが追加してあり、更新後には追加されていないということ、また、移動発生源については更新前にも追加されていないことから見ると、大規模固定発生源の更新前だけ特に多い表記に見えますが、この表記の真意について教えていただきたい。それから、下の※印に「不確かさの低減に向けて」云々と書いてあるんですが、この不確かさというのは具体的にどういうものを想定されているのかを教えていただければと思います。
【大原委員長】 それでは、事務局のほうからお願いします。
【中谷室長】 まず、この凝縮性ダストの点線の部分ですが、オレンジ色のところにつけてない理由ですが、ご承知になっておられると思いますが、まだ、凝縮性ダストにつきましては測定法がしっかり確立されたものがないということで、あくまで前回見積もりをしたんですが、まさにそれは全くの予備調査というか、文献も含めたもので、この点線の部分を見積もったということですので、この精度というのはかなり、まだまだ見直す余地があるのかなと思っていまして、そこを踏まえて、オレンジ色のところには、特にその点線は記載しなかったというのが今回の理由でございます。
ただ、問題意識としては、我々としては、ガスの状態になって空気中で凝縮するものが何かしら出ておるということは問題意識として持っていますので、これは、先ほどの精度の話に関係しますけども、測定法だとか、その精度のアップを努めて、ここは今後明らかにしていきたいなというふうな考えでおります。
それから、特に移動発生源で、自動車のところについていない理由ですが、私どもの理解としては、自動車につきましては凝縮性ダストも込みで排出量をはかっておるという、当然、排出ガスを冷却して、実際の大気温度まで下げてからPMをはかっておりますので、そこで、もう含まれておるという、そういう認識のもと点線をつけていないという、現時点ですけども、そういう判断をしたということでございます。
以上でございます。
【大原委員長】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。はい。
ほかには。はい、どうぞ。上野委員。
【上野委員】 今の自動車の件なんですけれども、自動車排ガスの測定法が、PMを採取するろ紙が50℃で取るということになっておりまして、もしかしたら、もっと低い温度では粒子も増えるのかなという可能性もあるような気がするんですけれども。
【中谷室長】 おっしゃるとおりだと思います。
その自動車についても全く課題がないわけではないというふうには認識しておりまして、その50℃の温度というのは本当に適切なのかというところは、今後の検討課題だとは思っております。
【大原委員長】 ありがとうございます。
いずれにしても、凝縮性ダストは非常に不確実性の高い、そういうエミッションであるということで、そういう意味では非常に重要な発生機構であろうというふうに思います。引き続き検討していく必要があるというふうに考えられます。
ほかにいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
なければ、次に移らせていただきたいと思います。
それでは、今、少しご意見いただきましたけれども、それにつきましては、事務局から、それを踏まえて今後の調査に取り組んでいただくようにお願いしたいというふうに思います。
続きまして、資料3、東京都におけるPM2.5の発生源寄与の推定についてということで、東京都が、しばらく前に微小粒子状物質検討会というのをつくられて、そこで取りまとめられた報告書がございます。
それに基づきまして、上野委員から情報提供をいただきたいと思います。
上野委員、お願いいたします。
【上野委員】 それでは、東京都におけるPM2.5の発生源寄与の推定ということで、ご報告いたします。
実際に行ったのは、もうかなり前のことになって、ちょっと古いデータですけれども、どのように発生源寄与を推定してきたかと、そのときの課題について、10分程度を目安にお話しいたします。
ページ番号2番目ですけれども、この調査全体は、東京都微小粒子状物質検討会というものを設置しまして、座長は坂本先生ということで、いろんな先生方にお世話になりながらつくったものです。
1枚めくっていただきまして、3ページですけれども、発生源寄与の推定の流れですが、基本のデータとなります大気環境調査、これを2008年度に行いました。そして、発生源の調査も、2008年~2009年度に行いました。
その発生源調査をもとに、既存の発生源プロファイル、これがあったんですけども、これの更新を検討しました。そして、その発生源プロファイルを使ってレセプターモデルによる発生源寄与解析を行いました。
もう一つは、発生源インベントリ、これも更新できるところは更新しまして、シミュレーションモデルによって解析をした。
この二つの解析結果を用いまして発生源寄与を出した。これが2011年度にできたということです。
次に、大気環境調査なんですけれども、これは、4季各2週間、都内の17地点、そこに位置図がありますけれども、ここで行いました。
方法は、そこに書いてあるとおりです。これは現在、成分モニタリングでやっているのと大体同じようなやり方です。
そして、発生源調査のほうなんですけれども、調査施設としては、ここに列挙してあるものになります。
測定方法は、右の図にありますように、PM2.5相当分というところを主に結果としては使っております。凝縮性ダストというのも、測定を試みておりますが、結果としては、あまり解析等に反映することはできなかった。
それから、目的はプロファイル、インベントリの更新なんですけれども、主に発生源プロファイルの更新を検討したんですけれども、なかなかデータ的に安定のあるデータがとれなくて、実際にプロファイルの更新に使用したのは、表の下から3番目にある野焼きの調査結果のみとなりました。
それから、インベントリのほうで使用したのは、厨房、食堂ですね、これの排出係数を、この調査結果によって設定しました。それから野焼き。喫煙所、たばこですね。それから鉄道。これにこのデータを使っております。
次に、CMBモデル、これはレセプターモデルの一つですけれども、これで発生源寄与の解析をしました。
ここに示した表は使用した発生源プロファイルですけれども、発生源としまして、左の道路粉じんから、右から一つ手前のブレーキ粉じんまで、ここは環境省の調査結果、主に溝畑先生のデータかと思うんですけれども、このプロファイルをそのまま使用し、植物質燃焼のみを追加しております。
また1枚めくっていただきまして、7ページ目がCMBモデルによる発生源寄与解析、これは一般局の年平均です。
CMBモデルでそもそも扱える部分が一次粒子のみということで、この円グラフの左側にあるCl-ですとか、化学物質で書いてあるところは、モデルというよりは、そのまま測定値が載っていることになります。ですので、一次粒子が非常に、割合としては3割程度しかないという状況にあります。
ここで、黄色いv-OCというのがあるんですけれども、これはVOCではなくてv-OCなんですが、主として二次有機粒子であると考えられ、大気環境調査におけるOC、オーガニックカーボン濃度から、一次粒子として割り当てられた、このCMBで割り当てられたOC濃度を差し引いて1.4倍したものです。
1.4倍したのは、OCというのはカーボンだけなので、酸素とか水素を加えると、そのぐらいになるだろうということです。
そして、これがCMBの結果なんですけれども、もう一つ、シミュレーションモデル、こちらのほうが発生源寄与解析に使っているものです。
モデルの構成としましては、気象モデルがMM5、移流・拡散・化学反応モデルがCMAQ、それからAERO4のSAPRC-99というのを使っています。詳しいモデルの計算領域は、四角の一番小さい関東域5kmメッシュで計算しております。それから、この関東域一都六県の発生源につきましては、この調査で更新した発生源インベントリをつくって使用しております。それ以外の、一都六県外については、EAGrid2000というのを年度補正したものを使っております。
また、次のページ、9ページ目なんですけれども、シミュレーションモデルの現況再現、これを大気環境調査で行った実測値とシミュレーションの結果を比較して、どの程度再現できたかというのが、この図になります。
春、夏、秋、冬、4季2週間、環境調査をやっていますので、あるんですけれども、それと年平均が右側にあります。棒グラフが、左側の高いほうが観測値、右側の低い棒グラフがCMAQの値になります。
まず前提として、四角いところの文章の一番上なんですけれども、CMAQのOtherですね、その他には、水分が含まれておりません。それから、土壌・海塩の計算も完全ではないことに注意が必要です。そういうわけで、このOtherというのが、計算値は非常に低くなっているということです。
年平均値で見ますと、実測値のほうが高い。モデル計算では、実測の60%。FINEとありますが、すみません、これはOtherの間違いです。このOtherを除く実測としますと75%程度になります。
そして、成分別に見ますと、NO3、硝酸塩ですが--硝酸イオンですね、この場合は。オレンジ色の部分ですけれども、モデルのほうが過大評価になっていることがわかります。
そして、Organics、やや薄い黄色ですけれども、これはモデルのほうが小さい、過小評価になっております。
しかしながら、成分間のバランスや季節変動は実測値をある程度再現しているという評価をしまして、基本的に、この成分ごとに補正係数を作成して対応することにしました。
このモデルで計算していない水分につきましては、E-AIMモデル、これは下に※印で説明がありますけれども、硝酸塩なり硫酸塩がどの程度水分を含むことができるかという熱力学モデルによって計算することにしました。そして、土壌・海塩も、このシミュレーションでは正確ではないので、これにつきましてはCMBの値を使用するという方針としました。
そして、10枚目なんですけれども、シミュレーションモデルによる発生源寄与解析。これは、ゼロアウト感度解析というものを行いました。
その説明がこのグラフなんですけれども、一番左の現況という棒グラフが、先ほどの現況ですね、再現した棒グラフ。そして、右側のほうは、自動車、船舶とありますが、これは関東地方の自動車の排出量、自動車の排出量のみをゼロとしたときに、計算されるPM2.5の濃度がどのぐらい下がるかというものを見たものです。それによって各地域の発生源の寄与を出したということです。
ここでまた注意が必要なんですけれども、このゼロアウト法では、下に注意書きがありますが、原因物質排出量とPM濃度が非線形の関係にある場合、一次粒子以外はほとんど非線形になるわけですけれども、正確な寄与は計算できない。
したがって、この解析では、あくまでも目安ということになります。
特に、一番右のアンモニア自然のところが、この非線形の寄与を大きく受けているのではないかと考えられました。ですので、このアンモニア自然の部分につきましては、過大に評価されている可能性があるということです。
それからもう一つ、VOC施設、右から2番目の棒グラフですけれども、これは、排出量をゼロにしてもほとんど下がらなかったんですけれども、これにつきましては、モデルの感度不足の可能性が高いということで、VOC由来の有機粒子、二次生成粒子ですね、これにつきましては、このCMAQの値は使わずに、先ほどのCMBのv-OC、ほとんどこれは実測値なんですけれども、これを使うという方針としました。
そしてまた、めくっていただきまして、11ページ。これが、これらの結果を総合してつくった発生源寄与の推定です。2008年度ベースの値になります。
ですので、このグラフでいきますと、水分、海塩・土壌、二次有機粒子等以外はシミュレーションの値を使っていることになります。結果につきましては、その四角の中に囲ってありますので、ご覧いただけたらと思います。
それから、本調査における課題、このときに浮かび上がった課題ですけれども、CMBモデルにつきましては、やはり発生源プロファイルが、今の時代に合ったものというんでしょうか、整備が必要であろうと。
それから、シミュレーションモデルにつきましては、排出インベントリの高精度化、これは今、国でやられておりますけれども、PM2.5そのもののデータがなかったということや、凝縮性ダストをどう組み入れていくかということです。
それから、モデルの計算精度向上。これは、特に二次有機粒子、v-OC等が粒子になるものですけれども、これにつきましても、この時点ではなかなか感度が出なかったということで、現在、いろいろな新しい試みがされていることと思います。それと、このモデルでは国外の寄与計算ができなかったということです。
その他にありますが、レボグルコサン等の有機成分や放射性炭素同位体比につきましても、この調査で、共同研究によって分析等をしていただいたんですけれども、上のグラフに使うまでには至らずに、やはり総合的なそういうデータも活用した発生源寄与推定ができたらよかったということが課題として挙げられます。
以上で説明を終わります。
【大原委員長】 上野委員、ありがとうございました。
ただいまご説明いただいた、例えば11枚目のスライドに載っている発生源寄与の推定ですね。こういったような発生源寄与率がどうなっているのかということを把握するということは、その発生源対策の検討を進める上で、その基礎的な情報として非常に重要であるといったようなことだろうというふうに思います。
国としても、このような東京都の、ある意味では先駆的な事例を参照しつつ、今後、発生源対策を進めていく必要があるという意味合いにおいて、非常に重要な情報をご提供いただいたというふうに考えております。
それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見などありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
どうぞ。
【早水審議官】 すみません、こちら側から大変初歩的な質問というか、ご説明をお願いしたいんですが。v-OCと、通常のVOCとの定義の違いを、少しご説明いただければわかりやすいかと思いますので、お願いします。
【上野委員】 一般的に、VOC、揮発性有機化合物、Volatile Organic Carbonは、いわゆるガソリンですとか有機溶剤など、大気に放出されるときにガス状の有機化合物という定義なんですけれども、こちらのv-OCというのは、環境省の報告書から持ってきた言葉なんですけれども、ほとんどがオーガニックカーボン、粒子の中の有機炭素を測定したデータです。
この発生源寄与解析で、例えば自動車が何%と出ているんですけれども、自動車の粒子の中にもオーガニックカーボンが含まれていますので、それらを実測のOCから差っ引きまして残った部分ということになります。
したがって、これが何かというのはわからないんですが、恐らくVOCが大気中で粒子化したものではないかというふうに考えられるところのものです。
【大原委員長】 ちょっとわかりにくいので、坂本委員にご説明をお願いしたいと思います。
【坂本委員】 基本的には、今の上野委員の説明でいいと思うんですが、このv-OCというものの見積もりの仕方が、今のように、一次発生源等々で出ているものから使っているということ。
それはどういうことかというと、自動車については、先ほど話がありましたように、約50℃まで温度を下げ、かつ、排気ガスを希釈してはかっているから、大気環境へ出たときに粒子になり得るものも、それぞれの発生源に割り当てられる形でカーボンのデータが出ている。
それに対して、今使っている固定発生源についてのデータは、水分が凝縮しないような形ではかったものを使っているということで、例えば、凝縮性粒子がはかられると、今のv-OCというところがやや減って、一次発生のところの、例えば固定発生源なり何かのところのものが少し増える可能性があるんではないかというふうに思います。
なぜそこのところを今あえて言ったかというと、今後いろいろな、現時点でわかる対策等々を考えるとき、我々が持っている科学的な知識から、やや低目に見積もられているものと、それから、やや高目に見積もられているものが何なのかということを考えて、この後、対策を考えていく場合に、今のこのv-OCのところが、実は、自動車のほうではそういうものが明確に一次粒子と定義づけられているのに対して、固定発生源のほうでは、今のはかり方では二次に近いような形になっちゃっているというところが、非常に大きく注意しなければいけないところだというふうに思います。
【大原委員長】 ありがとうございました。
審議官、よろしいですか。
いずれにしても、このv-OC、あるいは、二次有機粒子と言ってもよろしいのかと思いますけれども、これについては、いろいろな意味で不確実性が非常に大きいというのは世界的にも共通の認識だというふうに思います。
我が国においても、これに関する知見の蓄積というのが非常に重要だろうというふうに考えられるところであります。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、鵜野委員。
【鵜野委員】 ちょっと確認なんですけど、10枚目のスライドの見方なんですけども、ゼロアウトなので、例えばアンモニア自然というところを見ると、自然起源のアンモニアをゼロにしたときに、PM2.5の濃度はこういうふうになるということですよね。
アンモニアを全部ゼロにするとすごく下がるんですけど、中を見るとアンモニウムイオンがまだ残っているので、これは自然起源じゃなくて、人為起源から出るアンモニアの寄与でこういうものが出るというふうに考えると。
【大原委員長】 上野委員、お願いします。
【上野委員】 この「アンモニア自然」というのが、ちょっと言葉でおかしくなっているんですけども、アンモニアと自然発生源ということで、人為起源は含まれておりません。
【大原委員長】 多分、正確に申し上げると、このアンモニア自然の中には、施肥、あるいは家畜が入っているのではないですか。違いますか。でなければ、こんなに減らないと思うんですが。
そこは後で確認していただいて。よろしくお願いします。
ほかには。どうぞ、金谷委員。
【金谷委員】 11ページの円グラフに関しまして、関東外(国外を含む)という寄与が18%という推定結果になっておりますけれども、この委員会の最初のほうで、私がS7の研究成果の報告で申し上げた値でいうと、関東、あるいは東京を含むグリッド、それも80kmメッシュなので細かく解像できているわけではないですし、近傍の発生源を直接反映したわけではないですけれども、その値は、もう少し大きな値だったと思います。
その差について、もう少し議論を深める必要があるのかなと私は考えているんですけれども、もう少し具体的に、例えば10ページのところでは、関東のそれぞれの発生源に関しては、ゼロアウト法によって発生源の寄与を出されたということですけれども、ここの関東外というものに関しては、積極的に関東外の発生量を、例えばゼロにしてとか、あるいは境界の値をゼロにしてとかというような形で推定されたのか、あるいは、自動車とか、その辺のものの寄与を除いた残りを全部そこに当てたのかという、その違いについて教えていただけますでしょうか。
【大原委員長】 上野委員、お願いします。
【上野委員】 今のお答えとしましては、後者の差をとったということになります。
それから、国外を含むところが金谷先生の限界よりも小さいということですけれども、これも、先ほど申しましたように、なかなか、目安ということですので、今後いろいろとご検討が必要だと思います。
【大原委員長】 ありがとうございます。
国外の発生源の寄与につきましては、後ほどご紹介があるのかもしれませんが、別の推計結果で、都市域のエミッションをしっかりと考慮して越境汚染分を見積もると、4分の1ぐらいという、別添資料の6ページに電中研の茶谷さんたちが出している推計結果がありますが、東京23区で――別添資料の6ページですね、図1ですが、一番右にTokyo 23 wards、東京23区の結果が出て、fmというのが越境汚染の寄与分だと思いますが、こういったような数値が出ているということで、都市域を考慮するかどうかというので、かなり越境汚染分の見積もりが変わってくるということだろうというふうに思います。
いずれにしましても、この点についても、引き続き正確に把握していくということが大事なのだろうというふうに思います。
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、奈良委員。
【奈良委員】 全体の方向性をちょっと確認させてもらいたいと思います。資料4別添3の資料を読ませてもらったんですが、東京都だけじゃなくて、名古屋市の発生源寄与などの比較等も一緒に出ているわけで、最終的にこういった表を見ますと、やはり広域対策の視点では、いろんな発生源対策があるということで、なかなか、1都1県だけでの取組では、当然、用をなさないと考えます。東京都とか名古屋市とか、先進的に発生源を検討されているところの取り組み内容は、国のほうでも情報共有されて、国のインベントリ整備と並行して検討されているという理解でよろしいでしょうか。その場合、最終的にこれらの評価を行うにあたり、東京、名古屋のような先進的なところだけでなくて、全国でもこういった調査を進めているということでしょうか。
もしそうだとすれば、それを全体の国のインベントリの取りまとめとあわせて、今後どう活用されていくのか、ちょっと私には見えてなかったので教えていただければと思います。
【大原委員長】 ありがとうございます。
事務局から、お願いします。
【是澤課長】 まず、本日、既に資料4の別添のほうのご紹介にも入ってしまっておりますけども、ここで、ご紹介しておりますような東京都、あるいは名古屋市の事例、あるいは茶谷先生らの研究論文というのは、いわば、先駆的な取組--研究ベースのものも含めてということでありますけども、という中で、こういう寄与割合の解析が行われているものということで承知しております。
じゃあ、日本全国を見てみた場合にどうなるのかというところでございますけども、これは、まだまだ不確実性も高いということもございますし、あるいは、シミュレーションの精度の向上なども進めていかないと、なかなかはっきりしたことがわからないという状況にあります。インベントリの精度も高め、あるいは、こういうシミュレーションモデルの精度向上も図りながら、今後、より明らかにしていきたいと思っている。いわば、これから取組を進めていこうと思っている課題であるというふうに認識しているところでございます。
一方で、今後の対策ということを考えますと、これもまた資料4のほうの議論に少し踏み込んでしまうんですけれども、そういう今後のいろんな検討、調査研究を深めていくことによって進めていくべきものもあれば、現在、判明している知見の中でやらなければいけないこともあるのだろうということで、その辺りの考え方を整理して、本日もご議論いただきたいと思っているところでございます。
【大原委員長】 奈良委員、いかがでしょうか。
よろしいですか。
【奈良委員】 はい。
【大原委員長】 はい。
ただいまご議論いただいた点につきましては、この後の議題(2)と密接に関係しますので、資料3についての議論はここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、次に、議題(2)の国内排出抑制対策の方向性についてに移らせていただきたいと思います。
これまでの委員会でご報告いただいた知見あるいは議論等を踏まえまして、事務局のほうで、PM2.5の国内における排出抑制策の方向性の案という形で取りまとめていただいておりますので、それに基づきまして、事務局からご説明をお願いします。
【伊藤補佐】 それでは、資料4、PM2.5国内排出抑制策の方向性についての案について、ご説明させていただきます。
まず、「はじめに」でございますけれども、微小粒子状物質(PM2.5)については、平成21年に大気環境基準が設定され、年平均濃度は減少傾向にありますものの、環境基準達成率は3割~4割と、低い状況にあるという状況でございます。
また、PM2.5は、生成機構の解明が不十分であり、対策に必要な発生源データ等が不足している。また、越境大気汚染による影響も指摘をされております。
一方、光化学オキシダントについて見ますと、NOXやVOCなど、前駆物質となる物質がPM2.5と共通する課題も多いということでありまして、これまで、これらの前駆物質の排出抑制対策の取組が進められ、高濃度域の光化学オキシダントの改善が示唆されているものの、環境基準達成率は1%に満たない状況にございます。
これらの課題に対応して、今後、適切な対策を検討していく必要がありますことから、PM2.5の現象解明に関する検討を進めるとともに、光化学オキシダントと共通する課題が多いということにも留意しつつ、PM2.5の国内における当面の排出抑制の方向性を検討する必要があるということで、「はじめに」とさせていただいております。
2番目は、背景について記載しております。
以下、資料4の別添として、関連する資料を、図表などをつけておりますので、あわせてご覧いただければと思います。
まず、背景として、初めに、1.PM2.5の特性について、記載しております。
PM2.5等の粒子状物質は、硫酸塩、硝酸塩、炭素成分等から構成される混合物でありまして、その発生機構により一次生成粒子と二次生成粒子に分類されております。
以下、一次生成粒子と二次生成粒子についての説明を記載しておりますけれども、一次生成粒子は、発生源から直接大気中へ粒子として排出されるものでありまして、物の破砕や研磨、あるいは物の燃焼等に伴って排出される人為起源のものと、土砂の巻き上げ等による自然起源のものがございます。
また、物の破砕や研磨等によって発生したものや自然起源のものは主に粗大粒子領域に分布しておりますけれども、物の燃焼に伴って発生したものは主に微小粒子領域に分布しております。
二次生成粒子でありますが、これはSOX、NOX等のガス状大気汚染物質が、主として環境大気中で光化学反応や中和反応などによって蒸気圧の低い物質に変化をして、粒子化したものであります。
二次生成粒子についても、人為起源と自然起源のものが前駆物質にはございまして、燃焼等によって発生する人為起源のものと、植物からのVOC等の自然起源のものがございます。
めくっていただきまして、2.として、大気環境濃度の状況について整理をしております。
これは別添1のほうに、環境基準の達成状況のグラフ等を整理しておりますけれども、近年、SOX、NOXについては環境基準はほぼ達成されている状況であります。
また、SPMでありますが、平成23年度の環境基準の達成率は約7割と、黄砂等の影響があった関係で、7割となっておりますが、年平均濃度は低減傾向を維持しておりまして、平成24年度は環境基準をほぼ達成している状況です。
また、PM2.5の年平均濃度は低減傾向にございますけれども、平成24年度の環境基準達成率を見ますと、一般局で43%、自排局で33%となっております。
なお、PM2.5の測定局数は、平成26年度末に約1000局となる見込みになっておりまして、1300局を目標に、さらに監視体制の整備に努めているところであります。
光化学オキシダントにつきましては、昼間の日最高1時間濃度の年平均値の漸増傾向や注意報発令地域の広域化が見られておりまして、環境基準の達成率は1%以下の水準にとどまっておりますが、本年8月の専門委員会においては、環境改善効果を適切に示すために新たに提言された指標、日最高8時間平均値の年間99%パーセンタイル値の3年平均値による新たな指標によれば、関東地域、東海地域、阪神地域等において、近年、域内最高値が低下しておりまして、高濃度域の光化学オキシダントの改善が示唆されているという状況にございます。
そして、3番目に、粒子状物質、微小粒子状物質(PM2.5)対策の方向性として整理しております。
まず、1.がPM2.5の寄与割合の評価について、国内発生源の寄与割合、それから、1.2のほうに越境の寄与割合を、それぞれ整理しております。
ここでは、(1)として、まず発生源別の寄与割合の推計例を紹介しております。
PM2.5の原因物質と発生源を明らかにし、その寄与割合を推定することは削減対策を検討する上で重要な知見となるものでありまして、成分分析結果やレセプターモデル、シミュレーションモデル等を活用して、発生源寄与割合を推計されている事例が出てきております。
ただし、これらの発生源寄与割合の推計は、発生源の分類が統一されていないことですとか、使用する排出インベントリ情報やモデルの精度が不十分であることなどから、数値を比較して定量的に評価することがまだ難しい点があることについては、留意が必要かと思います。
②として、先ほど上野委員からご紹介いただきました、東京都の検討会報告書の中で整理をされた推計について、以下整理をしております。
まず、一次粒子と二次粒子の生成役割ですが、東京都の報告書によりますと、一次生成粒子が25%、二次生成粒子が67%、その他が8%となっております。
また、次は別添2をあわせてご参照いただければと思いますが、円グラフが別添2のほうにつけておりまして、この円グラフは、先ほどの上野委員のスライドでありました円グラフと同じものであります。円の外側に、赤と緑の点線でそれぞれのパーセントを追加された点が異なっている点でありますけれども、まず、発生源の寄与割合を地域別に見ますと、この円グラフの真ん中の白抜きをしてあるところでありますが、都内の発生源による寄与が14.8%、約2割。都を除く関東地方、関東6県の分が約3割。それから、関東地方外で見ますと18.3%で、約2割となっております。
また、その他に、不明とされている分の外側になりますけれども、二次生成有機粒子が約2割。海塩・土壌、水分が計約1割程度あるという状況になっております。
それから、3ページ目の上に参りますが、これは発生源寄与割合を、発生源別に整理したものであります。自動車、船舶、大規模固定発生源などの人為発生源の寄与割合が、東京都と関東6県からの発生源で約34%ございます。これは、赤い点線で示したところを二つ足したものでありまして、都内人為が11%、関東6県の人為が23%ということで、合わせて34%となりますが、このうち、都内が11%、関東6県の発生源が約23%となっております。
また、アンモニア発生源、火山など自然発生源の寄与割合は東京都と関東6県からの発生源で約15%でございまして、これは緑の点線のところを足して15%でありますが、このうち、都内発生源で約4%、関東6県からの発生源で約11%となっております。
本文のほうに戻らせていただきますが、3ページの上の③のところになりますが、また、名古屋市環境科学調査センターが名古屋市内2地点で行ったPM2.5の成分分析結果を用いて、レセプターモデルによる発生源寄与率を推定した結果では、年間の平均で二次生成の寄与が一般局で56%、自排局で47%となっております。
これは、別添3のほうで少し補足させていただきますと、図1の棒グラフのところで、左側が一般局、右側が自排局のグラフでありますけれども、今申し上げました二次粒子の寄与が一般局で56%といいますのは、これは、二次粒子は、凡例のところで、上から2番目の有機粒子から始まりまして、上から5番目の硫酸イオンまで4項目ありますが、有機粒子、アンモニウムイオン、硝酸イオン、硫酸イオンを足したものが二次粒子としてカウントをしております。これが、一般局について見ると年平均の56%分。それから、自排局について見ると4項目を足したものが年平均値の18.9μgの47%となっているという状況でございます。
これを、東京都の報告書との比較で見ますと、下のほうに棒グラフがありますが、各項目に4本の線がありますけれども、左側2本が名古屋市の結果でして、右側2本が東京都の測定結果になっております。
東京都との比較においては、この中の真ん中辺りにあります硫酸イオンと硝酸イオンの濃度が、東京都に比べますとかなり低くなっていて、名古屋市内における二次生成による影響が、東京都よりも小さいとされているところであります。
本文のほうに一度戻らせていただきますが、(2)として、こちらは都市部における感度解析の結果の例を記載しております。
3次元大気シミュレーションによって、2005年度の三大都市圏のPM2.5濃度に対する発生源・越境輸送の感度解析を行った結果を紹介させていただいております。こちらは、別添4のほうに関係資料を整理させていただいておりますけれども、三大都市圏、大阪、愛知、首都圏、それから東京23区を対象にして解析を行った結果となっておりまして、図1のほうが、年平均濃度に対する感度解析の割合を示したものです。
それで、この感度解析は、それぞれの各発生源をゼロにしたときに、予測濃度にどれだけの変化が生じるかという解析をされたものを、それぞれ地域別にグラフを示したものでありまして、図1の左側が大阪から始まり、右側に行くに従って、愛知、首都、東京23区という順番に並んでおります。
大阪から、国外の人為発生源の感度を見てみますと、国外の人為発生源の項目は、この中で最も黒い部分の割合になるわけですが、48%というところが、愛知、首都圏、東京23区と、右側に行くに従って、その順番に小さくなるという傾向が見られております。
一方で、国内の発生源は、下側から順番に、Volとあるのが、凡例でいいますと、Volが火山、Shpが船舶、それから国外人為発生源を挟みまして、Vehが自動車、Cmbが自動車以外燃焼、一番上のNH3がアンモニアとなるわけですが、これらの感度が高くなっているという結果であったということでございます。
それから、これは年平均値濃度に対する感度でありますが、季節別に見たものが、月平均濃度として、図2のほうに示されております。これは、上から縦に四つ、グラフが並んでおりますが、それぞれのグラフの右側に地域が記載されておりますけれども、上から順に、大阪、愛知、首都、東京23区というふうに並んでおります。各それぞれのグラフについてはご説明を省略させていただきますけれども、このグラフの解析結果から、季節別に見た場合には、夏には火山と船舶、春と秋には国外の人為発生源、それから、冬につきましては、大阪、愛知と首都圏を比べた場合に、その傾向に違いがありまして、大阪、愛知の場合には国外の人為発生源、首都圏と東京23区では国内発生源の感度が高かったとされております。
本文のほうに戻らせていただきますけれども、ただし、シミュレーションによるPM2.5濃度計算値は、年間を通して、観測値よりも3割~4割の過小評価になっているということでありまして、今後、シミュレーションの改良が必要とされていることに留意する必要があるとされてございます。
それから、本文のほうの3ページ、(3)その他の知見として、(1)、(2)の推計や解析以外の発生源に関する個別の知見をここで記載しております。
①~④までございますけれども、関東地方では、冬季はバイオマス燃焼や硝酸塩、夏季は重油由来の硫酸塩が多い。また、硝酸塩は国内寄与の割合が多いこと。
それから、2番目として、アンモニアは、PM2.5の形成に重要な役割があるものの、排出量の推計が非常に不確実であるという点に留意する必要があること。
また、3番目、植物起源のVOCは、二次生成粒子の原因物質であり、その寄与が無視できないと考えられていること。
4番目として、野焼きの影響が指摘されておりまして、また、諸外国では調理に伴う排気もPM2.5の発生源の一つと指摘されております。
以上が、国内発生源の寄与に関しての記載であります。1.2は、越境汚染の寄与割合についての推計例を記載させていただいております。
年平均濃度と、ここでは高濃度日の寄与をそれぞれ(1)、(2)として分けて記載をしております。(1)の年平均濃度への寄与割合の推計例としては、西日本で大きく、九州地方では約7割、関東地方では約4割と推計されているということ、それからページをめくっていただきまして4ページ②になりますけれども、国内発生源の寄与割合は、東側に行くほど大きく、九州地方では約2割、関東地方では約5割と推計されております。
(2)は、これは高濃度日の寄与割合の推計例でありますけれども、九州地方における高濃度日は越境汚染が支配的であるケースが多い、また首都圏では高濃度日は国内の影響が支配的な日もあるとしております。
次に、2.が既存の施策の評価と排出抑制対策の方向性であります。
まず、概要として2.1に整理しております。
越境汚染の寄与割合は西日本などで比較的高く、感度解析の結果においても越境汚染が低減した場合に我が国のPM2.5濃度の低減効果が大きいと示唆されていることから、越境汚染対策は重要でありますが、一方で、国内の発生源についても、固定発生源や自動車、船舶、アンモニアの発生源等が、年平均濃度または高濃度日において一定の寄与割合を占めていると考えられ、特に関東地方などでは国内の寄与割合が大きいと考えられることから、国内における排出抑制対策を着実に進めることが必要であると考えられます。
その際、PM2.5の生成機構や発生源の寄与割合について科学的に解明すべき課題が残されていることや、PM2.5を構成する成分が多く種々の対策が必要であることを踏まえ、現時点の知見に基づき既存の大気汚染防止施策をPM2.5対策の観点を含めてさらに推進していく短期的課題と、調査研究等による知見の集積を図りつつ総合的に取り組む中長期的課題を整理し、段階的に対策を検討していくことが適当と考えられます。
以上を踏まえまして、短期的課題と中長期課題について、以下に列挙しておりまして、両課題の列挙に当たっては、次のような基本的方針をもとに整理しております。
まず、短期的課題でありますけれども、PM2.5の削減に確実に寄与する一次生成粒子(ばいじん、ディーゼル微粒子等)、並びにPM2.5と光化学オキシダントの前駆物質であるNOX、VOCについて、排出規制等の取組状況、排出実態や排出抑制技術の状況等を踏まえ、対策強化の可能性を検討すること。
また、PM2.5の削減を進める上で重要であるが、大気汚染防止法に基づく規制等が行われていないアンモニア等の物質について取組を検討することを短期的課題の基本的方針として整理しております。
また、中長期的課題につきましては、短期的課題と並行して総合的な対策に取り組む上での基礎となる現象解明や情報整備に取り組み、その進捗状況に応じて追加的な対策を検討することを基本的な方針として中長期的課題を整理しておりまして、5ページ目に表で短期的課題と中長期的課題として整理しておりますが、短期的課題のほうは、固定発生源、移動発生源、その他と分けて整理しております。
まず、固定発生源でありますけれども、排出削減に確実に寄与するばいじんについては、排出実態や最新の排出抑制技術の状況等を踏まえ、対策強化の可能性について速やかに検討すべきではないか。また、NOX、VOCについては、これまでの光化学オキシダント対策としての取組や最新の排出抑制技術の状況等を踏まえ、対策強化の可能性について速やかに検討すべきではないかとしております。
また、2番目の移動発生源につきましては、粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOX)等に対する排ガス規制の強化スケジュールが示されているところでありまして、着実にその実施を図るとともに、低公害車等の普及を進めるべきではないかとしております。
また、3.その他は、アンモニアと野焼きについて規制しておりますが、大気汚染防止法の規制対象となっていないがPM2.5の濃度上昇に寄与することから、アンモニアの排出量把握や、野焼きの影響について一般への周知を行いつつ、排出抑制の取組を推進すべきではないかとしております。
また、次の中長期的課題の欄は、これは取組の基礎となる現象解明や情報整備に関する内容となっておりますけれども、1.としまして二次生成粒子(特に、二次生成有機粒子)の生成能に関する科学的知見の充実を踏まえ、PM2.5やオキシダント生成能の高いVOCを対象とした排出抑制対策を検討すべきではないか。
2.として、固定発生源からの凝縮性ダストについて、適切な測定方法の開発や排出実態の解明を進め、排出抑制対策を検討すべきではないか。
3.として、シミュレーションモデルの高度化や排出インベントリの精緻化を踏まえ、寄与割合の高い排出源を推計し、効果的な対策を検討すべきではないかとしております。
2.2として各種発生源に対する対策として、以下、(1)の固定発生源と(2)のほうに移動発生源、それぞれ分けて整理しております。
太字で書いた部分が、それぞれの固定発生源、移動発生源、その他のこれまでの取組を示した部分でして、斜体の細字の部分が対策の方向性を検討する上での課題として分けて整理したものであります。
まず、(1)の固定発生源のほうから参りますが、固定発生源のばいじんについてのこれまでの取組でありますが、ばい煙発生施設からのばいじんの排出量は減少傾向にあります。
環境省の大気汚染物質排出量総合調査、いわゆるマップ調査によりますと、ばいじんの排出量は、平成11年度の約7.5万tから平成23年度の約3.7万tの間に、ほぼ半減しているという状況がございます。
また、大気汚染防止法に基づくばいじんの排出規制について見ますと、平成10年に廃棄物焼却炉に対する排出基準の規制強化が行われました。また、ダイオキシン類に関する排出規制と相まって、廃棄物焼却炉からのばいじん排出量は大幅に削減されておりまして、大気環境中のSPM及びPM2.5の低減に寄与したと考えられます。
廃棄物焼却炉以外の施設に対するばいじんの排出規制につきましては、昭和60年に小型ボイラー、昭和63年にガスタービン及びディーゼル機関、平成3年にガス機関及びガソリン機関が新たに規制対象として追加されておりますけれども、昭和57年以降、排出基準値の見直しは行われていないという状況にございまして、以下、課題を整理しております。
①として、ばいじんの排出規制につきましては、大防法に基づく排出規制の状況、中小事業所の排出実態及び排出抑制技術の開発や普及の動向等を踏まえ、追加的な排出抑制策の可能性を検討すべきではないか。
②として、国定発生源からの一次生成粒子の測定方法におきましては、凝縮性ダストが粒子として測定されず、微小粒子状物質の排出量を過小評価している可能性があることが指摘されております。凝縮性ダストを精度よく測定することは、インベントリの精緻化のためにも重要でありますことから、適切な測定方法の開発や排出実態の解明を進め、必要に応じ、追加的な対策を検討すべきではないか。
また、③として、諸外国で主要発生源の一つと指摘される調理に伴う排気について、日本でも排出実態の把握が必要ではないかとして、整理しております。
次に、SOX・NOXでありますけれども、これまでの取組を整理しております。ばい煙発生施設からのSOX・NOXは、1980年代後半から増加傾向にありましたが、2000年代後半からは減少に転じております。
SOXにつきましては、昭和51年に排出基準が強化されて以降、ばいじんと同様に、昭和60年に小型ボイラー等が新たに対象として追加されておりますけれども、排出基準の見直しは行われていない状況でして、脱硫技術は、技術的にはほぼ確立されておりますが、新たな処理技術の開発よりも従来技術のコスト低減が重視されている状況にございます。
また、NOXについては、排出抑制技術の動向も踏まえ、地域によっては、条例による上乗せ規制により、法律よりも厳しい排出条件が設定されている状況がありまして、光化学オキシダントの前駆物質としての排出抑制の取組も求められている状況です。
一方、大防法に基づくNOXの排出基準は、昭和58年以降、SOX同様に小型ボイラー等が規制対象に追加されましたが、排出基準の見直しは行われていないという状況でありまして、課題としては、NOXの排出規制について、大防法に基づく排出規制の状況、条例による規制強化の状況、中小事業所の排出実態及び排出抑制技術の開発や普及の動向等を踏まえ、追加的な排出抑制策を検討すべきではないか。
②として、SOX、NOXからの二次生成に関する科学的知見の充実を踏まえて、より効果的な排出抑制のあり方を検討すべきではないかとしております。
次に、VOCのこれまでの取組でありますが、固定発生源からのVOCについては、平成18年4月から、大防法に基づく自主的取組と規制のベストミックスによって排出抑制による取組が進んだ結果、平成22年度のVOC排出量が、平成12年度に比べて約4割以上削減されております。また、平成24年の中央環境審議会の答申においては、制度の見直しについて特段の必要性は認められず、このままこれまでの取組を継続することが適当とされておりまして、継続的な取組により、今後も排出抑制が期待されております。
従前の自動車排ガス対策やVOC排出抑制対策により、NOX・VOCの濃度は長期的に低下しておりまして、高濃度域の光化学オキシダント濃度の改善が示唆されておりますが、一方で、VOC排出抑制制度の施行以降、VOC排出インベントリにおいて、燃料小売業からのVOC排出量は、平成24年度時点において自主的取組が進んでおらず、排出量にほとんど低減が見られない状況となっております。
燃料小売業から排出されるVOCについては、給油所において、タンクローリーから地下タンクへの燃料受入時に排出されるものと、車両へ給油時に排出されるものがあり、車両への給油時の燃料蒸発ガス対策については、燃料供給施設側での対策と自動車構造側での対策がございますが、平成14年の答申におきまして、対策を導入した場合の実行可能性、技術的課題、対策による効果等についての検討を進めて、また、炭化水素排出量全体に占める寄与なども踏まえ、早急に結論を出すことが適当であるとされているところであります。
また、タンクローリーから地下タンクへの燃料受入時の燃料蒸発ガス対策については、両答申において今後推進していくことが強く望まれるとされているところでありまして、課題として、給油所における有効な燃料蒸発ガス対策について、速やかに検討すべきではないか、また、PM2.5・オキシダント生成能の高いVOCをそれぞれ明らかにすること、植物起源のVOCの排出量の実態把握を進めること等により、VOC排出抑制策の検討を中長期的に進めるべきではないかとしております。
次に、移動発生源、オフロード車を含め自動車のこれまでの取組でありますけれども、自動車については、大気汚染防止法の単体対策、燃料対策により、累次にわたる規制強化が行われております。自動車からの排出ガス総量は、平成32年の推計量を見ますとNOXで58万tから29万t、PMで2.7万tから0.7万t、炭化水素で13万tから5万tに削減される推計となっております。
②、③は、これは24年の第十一次答申の中で整理された今後の取組の方針に関する内容でありまして、ちょっとここは飛ばさせていただきますけれども、④、⑤は、それぞれオフロード法と自動車NOX・PM法のこれまでの取組であります。オフロード車はオフロード法に基づき排出ガス規制が行われていること、また、自動車NOX・PM法については、大都市地域において国が総量削減基本方針を定め、関係都府県が総量削減計画を策定して、これまで総合的な対策を計画的に進めてきているという状況でして、課題としては、自動車については、大気汚染防止法により、これまで排出ガス規制の強化が行われてきており、今後もNOX、PM等の規制の強化が予定されているということから、引き続き、着実にその実施を図るとともに、低公害車等の導入を進めていくことが適切ではないか。自動車NOX・PM法に基づく総量削減基本方針に定める目標の達成に向けて、総合的な自動車排出ガス対策の推進に引き続き取り組んでいくべきではないか。③として、給油所における有効な燃料蒸発ガス対策の再掲をしております。
すみません、ちょっと駆け足になりますが、9ページは船舶になりますが、これまでの船舶の取組としては、海洋汚染防止法によって、原動機としてディーゼル機関が設置されている船舶については、NOXの放出量に係る放出基準が定められて、また、SOX・PMについては燃料油の品質の基準が定められておりまして、早ければ2020年に強化が予定されております。
これらの規制については、MARPOL条約付属書において段階的な強化が予定をされておりまして、海防法においても規制の強化が実施される予定であります。
また、VOCについては、環境大臣が船舶からのVOCの排出抑制を図る必要があると認めるときには、国交大臣に対して、港湾を特定して、その指定を求めることができる規定とされておりまして、課題としては、船舶については、引き続き、今後予定されているNOXやSOX等の排出規制の実施を着実に進めることが適切ではないかとしております。
その他につきましては、アンモニアと野焼きについて整理しております。アンモニアについては、その排出量の把握や水質汚濁の防止の観点から取組が行われている未然防止策、窒素負荷低減対策等を推進していくことが適切ではないか。
野焼きにつきましては、廃棄物処理法により禁止されておりまして、一部の例外については認められておりますけれども、地域的・季節的にはPM2.5の濃度が上昇する可能性もあると指摘されておりまして、今後、課題としては実態把握を行うとともに、PM2.5の濃度上昇に直接的に影響する場合があることを一般的に周知すること、濃度上昇が予測される気象条件の際には実施しないように要請するべきでないかとしております。
今後の課題として二つ整理しております。対策を進める上での基礎となる常時監視体制等の整備、排出インベントリ等の整備・更新などの科学的知見の充実に取り組む必要があること、2番目としては、今後、環境基準達成のために種々の対策が必要となりますことから、現象解明や情報整備を進めることによって、取り組むべき対策の効果や優先度、課題等を明らかにしつつ、発生源別寄与や対策効果・コスト、実施可能性等に関する知見を踏まえ、総合的・効果的な排出抑制対策を検討する必要があるということで整理しております。
【是澤課長】 1点だけ資料の訂正をさせていただきます。
資料の別添のほうでございますが、別添5に図2、ばいじんの年間排出量というものと、図4、NOXの年間排出量の推移というものがございます。
これが、大変申し訳ございません。ばいじんとある図2のほうが、これがNOXでございまして、図4、NOXとなっているほうが、ばいじんの誤りでございます。
大変失礼いたしました。訂正させていただきます。
【大原委員長】 ありがとうございました。
ただいまのご説明につきまして、議論を進めていただきたいというふうに思います。
資料4はボリュームが非常に大きいので、少し議論を分けてお願いしたいというふうに思いますが、最初に、全体を通しての事実確認あるいはご質問等をお受けしたいと思います。その後に資料4の4ページに「2.既存の施策の評価と排出抑制対策の方向性」というのがありますが、これよりも前の部分と、それから後ろの部分に分けて議論していただきたいと思います。
前の部分につきましては、基本的に、これまでこの検討会、専門委員会でご報告いただいている情報を整理した形のものであります。
一方、4ページの2章以降につきましては、今回初めてご提案された、今後の排出抑制対策に関わる方向性が示されて、非常に論点もたくさんありますので、ここには時間を割いてご議論いただきたいと思います。
その上で、最後に若干、全体を通してのディスカッションをお願いしたいというふうに思います。
といったような段取りで進めさせていただきたいと思いますが、まず、全体を通して事実確認、あるいはご質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。特にございませんか。
それでは、先ほど申し上げましたけれども、資料の4ページの上から5行目ぐらいのところまで、その資料の前半の部分につきまして、ご意見、ご質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、奈良委員、お願いします。
【奈良委員】 少し各論になってしまい恐縮でございますが、短期的課題のところの書きぶりのところで、少し考え方をコメントさせていただきます。
【大原委員長】 何ページになりますでしょうか。
【奈良委員】 4ページでございます。4ページの短期的課題。
【大原委員長】 申し訳ございません。これにつきましては、この後、ご議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。
どうぞ、坂本委員。
【坂本委員】 少しデータの見方として注意しておいたほうはいいのは、別添3で、5ページで名古屋市と東京都の比較をしていますが、特に二次有機粒子を見積もるときに、カーボン分析をしたものに対して1.幾つとか係数を掛けるときに、この数値というのは大気中における滞留時間が長くなった、いわゆるエイジドになってくると、さらに酸化が進んで係数が大きくなっていくんで、一並べにこれは比較していいものなのかどうかということを常に考えておく必要がある。
それから、もう一つ気をつけないといけないのは、ガスから粒子化するという話だけではなくて、1回粒子として出た物が、ある程度の揮発性を持つものですと、それが気化することによって気相での反応はかなり早い、粒子中に比べて大きいために、それが酸化されていくと、結果的に炭素の値は同じであっても、質量として増えていくことによってPM2.5の濃度を上げる可能性があるということで、従来はガスからの粒子化という形しかあまり考えていなかったんだけれども、1回粒子で出たものがガスになって、そして、それがさらに酸化されて質量が増えると、そういうものが最近わかってきているので、特にこの先ほど来、一番、有機粒子のところが未解明な点が多いという形で話がありましたけど、そういった点も考慮する必要があるということで、データを見る場合に、そういう注意をする必要があるということを申し上げておきたいと思います。
【大原委員長】 ありがとうございました。
今ご指摘いただきましたように、二次有機粒子については、いろいろとまだ不確実なところが多い。こういったようなデータを見るときにも注意する必要があると、そういうご意見だったかというふうに思います。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。
なければ、本題でありますが、資料の4ページ目の2章ですね。
既存の施策の評価と排出抑制対策の方向性、これ以降につきましてご議論をいただきたいと思います。
とりわけ斜体で書かれているところが論点に相当するものでございます。この辺りにつきまして、ご意見等をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
どうぞ、はい。
【弓手委員】 弓手ですけれども。
今回いただきました資料4の5ページ目の短期的課題、表の中の短期的課題の中に固定発生源におけるNOXやVOCの対策強化の可能性を速やかに検討すべきではないかという記載がございます。
一方で、今回の資料の本文中にも記載されておりますように、PM2.5の生成機構は解明の途上でありまして、NOXやVOCなど光化学オキシダント(前駆物質)とPM2.5の因果関係についても、今後のさらなる解析が待たれるところです。
効果的な排出抑制策とするためにも性急な決断をならさず、科学的な知見を踏まえて、定量的な効果を推定した上で対策案を決定いただくよう、十分なご配慮をお願いしたいと思います。
また、対策を強化すべき対象となっておりますVOCにつきましては、固定発生源について法規制と自主的取組によりまして、産業界における24年度の排出量は12年度比で6割以上の削減を達成しております。今後も排出抑制が期待されるところでございますので、まずは現状の取組を着実に継続することが重要と考えております。
以上です。
【大原委員長】 ありがとうございました。
事務局から何かお答えすることはございますか。よろしいですか。はい、わかりました。
では、奈良委員、お願いします。
【奈良委員】 今の発言とちょっと絡むんですけれども、短期的課題のところにつきまして、排出抑制技術等の状況を踏まえ、対策強化の可能性という書きぶりが、ちょっと気になりましたのでコメントさせていただきます。実際にNOX等の排出抑制といいますか、排出低減に関する技術ですけれども、産業界の場合には、それぞれ、例えばNOXとかSOxとか、いろいろと、ばい煙の対象物質がありますけれども、それぞれに課せられた規制値だとか削減目標値をクリアするために、対象物質の種類や性状、プラントの立地場所、立地条件、それから最終的に経済性などを総合的に考慮しまして、最適な手法、装置、あるいはこれらの組み合わせを選択しているというのが実態です。当然、新設の場合と既設の設備改良では、そうした対応も異なってくると考えます。
例えば、低NOX化一つをとりましても、燃料をどう選択するか、それから燃焼炉の形式、それから低NOXバーナーの適否、そして、最後にエンド・オブ・タイプですけれども、例えば排ガス脱硝法の採用といった形で、排出されるNOX量、それから、どこまで濃度を低減するかといった目標レベルを達成できるように、総合的に組み合わせて、最終的にベストマッチングをして最適な方法を選択しているのが現状です。
追加的な排出抑制策を検討されること自体は、考えられる方策の一つでありますから、方向性は間違いないと私は理解していますけれども、そういった、一義的に個々の設備の技術の優劣を比較する、あるいは、関連性を議論するだけだと、ちょっと着地点が違ってくるかと思います。この辺のところもご理解していただいて、産業界のほうも率直な意見交換をさせてもらいますので、ご検討・ご留意していただければと思います。
以上です。
【大原委員長】 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
飯田委員、お願いします。
【飯田委員】 この文章は、よく読ませていただくと、対策強化の可能性について検討しましょうと言っているのであって、強化しますと言っているわけではありません。
検討対象はNOX、VOC、それから、この資料では短期の中から抜けていますが、SOXですね。これらは、SOXは酸性雨に関与します、NOXは光化学オキシダントの生成に関与します、VOCは先ほど坂本先生のご発言にも絡みますが、低濃度のNOXでも、いわゆるVOCの低温酸化反応のプロセスの中でOHのラジカルができて、オゾンが生成しますね、酸性雨対策、光化学オキシダント対策として、SOX、NOXやVOCの排出について対策を講じてきました。
PM2.5については、今回調べてみたら、大気中にて硝酸アンモニウムあるいは硫酸アンモニウムができており、フィルターに捕集されるPM2.5の構成物質の高い質量比をとることが明らかにされましたわけです。その主要な、「寄与率の一番大きいものから、何ができるか検討しましょう」というふうに読んでいただけると良いのではないでしょうか。
それから、その後ろの次のページについてコメントいたします。
この取りまとめの中で、SOXとNOXを一くくりにして書いてますが、これは、節を分けて記載したほうがいいように思います。
SOXは、燃料に硫黄が含まれていれば燃焼過程で必ず発生します。対策は、燃焼後に脱硫する方法と、燃焼前の燃料中から排除する方法とがあります。燃焼後の脱硫は燃焼システムによっては困難が伴います。一方、NOXは燃焼の過程で生成しますので、対策は技術的にも違いますし、それから環境負荷への寄与度も違います。PM2.5にどう関係するか、その他の健康に害を与える物質としてどういうインパクトに関係するか、これは絡みが全部違いますので、分けて書いておいたほうが良いでしょう。
【大原委員長】 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
はい、どうぞ、釜谷委員。
【釜谷委員】 電気事業連合会でございます。
私どもも固定発生源を持っている業界でございますので、それに絡めて少しお話をさせていただきたいと思います。
先ほど、産業界の委員からお話がありましたとおり、私どもの火力発電所は、大防法は当然のこととして、各自治体との色々なお約束の中で対策を進めているところがございますので、ぜひとも、これまでの対策や取組を十分考慮した上で、今後のご検討をお願いしたい。
今後の科学的な検討を進めていく上で、大規模固定発生源の測定について協力させていただいております。
今年度、1カ所の火力発電所で測定すると伺っておりますが、データ1カ所で検討を進められることはないと思いますので、今後、どのくらいの数、どういう地点で測定するお考えかを、ぜひ全体像を教えていただきたいと思います。
それから、バーチャルインバクターで測定するとばらつきがあると伺っておりますが、そのばらつきがあるということで終わるのではなく、そのばらつきを考慮した上でどう評価するのかというところにもぜひ踏み込んでご検討をいただきたいと思います。
それとあともう一点、短期的課題・長期的課題というふうに二つに分けていますけれども、短期とはどのくらいのイメージなのか、中長期とはどのぐらいのイメージなのかというのがもう少しわかりやすくしていただいたほうがいいかなと思います。
端的に言えば、工程表みたいなものがあれば一番わかりやすいと思いますが、ぜひそういう時間軸も意識した中でご検討いただきたいと思います。
その中で、短期的課題といいますのは、どうしても直近というイメージを受けますので、対策ということだけではなくて、科学的根拠も踏まえた中での対策にしていただきたいことと、それから、もし短期的課題でいろいろ対策を打ったときに、それを後でどのように検証するのかというところも含めて、ぜひ中長期につなげるための検証の考え方についても、ぜひご提示いただければと思います。
以上でございます。
【大原委員長】 貴重なコメント、ご意見をいただき、ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
【三浦委員】 7ページ目のVOCのところなんでございますけれども、まず、①で、これまでの取組ということでボランタリーな形で18年からずっと取組をやった結果として、結果的に4割以上削減というような成果が出たわけで、結果として、それによって特に光化学オキシダントの改善というものが数字上ではあまり見られなかったというような事実がありますが、その点は、その後の担当の委員会でまたご検討いただくということの話になっていると理解しております。先ほどの短期的課題の1.の対策強化の可能性について検討する際に、自主的取組の結果、及び対策と効果の因果関係をしっかり踏まえた上で、対策の費用対効果の観点につながるような形の検討をしていただきたいと思いますのがまず1点目でございます。
2点目として、同じVOCのところで、⑤のところで燃料小売業から排出されるVOCということで、これは第五次答申のことを踏まえて言及されていますが、その課題①におきまして、「給油所における有効な燃料蒸発対策」という記述になっております。確かに第五次答申書のタイトルには「給油所における」と書いてありますが、その本文では、「車両への給油時における」というような書きぶりになっています。
給油時の対策といたしましては、一つに、給油所側の対策というものもありますが、自動車側での対策というのも同時にあるということを踏まえて頂きたく思います。ここで給油所のみに対策の手当てがあるというふうな書きぶりですと、若干誤解される可能性があると思われますので書きぶりに関しご配慮いただきたいと思います。
同様に、次の8ページ目の自動車側のほうでも全く同じことが言われておりまして、特にこちらのほうは「給油時における」という話になりますと、給油所ということもさることながら、自動車側のキャニスター等の対策というものも、当然視野に入ってくるようなお話です。一方、前のページの最後の「タンクローリーから地下タンクへの燃料受入時」、これは完全に給油所の話ということになります。給油時における対策といたしましては、給油所と自動車側の両方の観点で、記述していただく様希望いたします。
以上です。
【大原委員長】 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
坂本委員、お願いします。
【坂本委員】 幾つか、短期的・長期的という形で書いてあるんですが、まず、ばいじんの対策と、それから凝縮性粒子、そういったものの対策が、個別にやることによって、場合によっては一時的に凝縮性粒子が増える可能性もあるかもしれないという懸念もあります。
例えば、表面積が減ってしまって、その後、粒子化する、しない、そういった問題が、そういう意味では、この辺については、ばいじんの対策と凝縮性粒子を一緒にやったほうが効果的なのかどうかというところを、既存の資料等々を見て検討するのが、かなり早い段階で必要ではないかというような気がいたします。
【大原委員長】 ありがとうございました。
ほかには。どうぞ、上野委員。
【上野委員】 固定発生源における窒素酸化物とVOCについてなんですけれども、ここに書かれてあります対策強化の可能性について速やかに検討すべきということは、非常によろしいといいますか、やっていただきたいなというふうに思います。
といいますのも、窒素酸化物につきましては、環境基準は達成しつつありますけれども、PM2.5の主成分、特に関東地方に限って言えば、秋・冬については非常に大きなウエートを占めております。
さらに自動車については、規制強化がまだ予定されているということで、固定発生源、最後の規制強化からかなり年月がたっているんですけれども、着実な技術の推進みたいなのが、素人的に考えるとあるのではないかという気もしますので、本当に今後、対策強化できるのかというのを検討していただけるのは、すばらしいことじゃないかと思います。
もう一つはVOCなんですけれども、参考資料にもありましたが、燃料蒸発ガスのみが減っていないということでして、これにつきましてもぜひ検討していただきたいと思います。
車側とスタンド側というのがありますけれども、いずれにしても、特に、これは光化学オキシダントに関与すると思いますが、夏季にオキシダントの生成に関与している可能性があります。
さらに諸外国、これは欧米のみならず、中国、韓国、ブラジル等でも燃料蒸発ガス規制というのが強化されている中で、なぜ日本だけが行っていないのかという疑問を感じますので、ぜひ進めていただけたらと思います。
【大原委員長】 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ、坂本委員。
【坂本委員】 今ここで議論をしているのは、PM2.5の国内排出抑制対策の方向性ということですけれども、そもそも、この委員会でPM2.5等と書いてあるのは、光化学オキシダントの問題があるわけです。
今、上野委員からNOX、VOC、そういうことをやってもらえばという話があったんですけれども、やはりその場合に、NOX、VOCのレイショ(比)がどう変わるか、それによってオゾンがどうなるかという視点も重要な考えとして入れておかないといけない。
その場合には、自然起源からのVOCの排出量がある程度の精度で見積もられないと、そこについての判断をするための情報が出ないということで、実は、自然起源のVOCの排出量の見積もりも早期にやる必要があるということも、この中には入ってくるのかなというような気がいたします。
【大原委員長】 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。はい、飯田委員、お願いします。
【飯田委員】 すみません。先ほどの発言でで飛ばしてしまったことを追加をさせて下さい。
一点は、明示的に言わなかったんですが、硫黄、SOXについては、実は、短期および長期の節には記載がなく、前の節では寄与率が大きいとし、後ろの節では項目に挙げております。この整合性はどうしますか。
もしも前段で、もうこれは火山活動がメーンな排出源であり、人的なものは少ないんだと宣言していただければ、ここには書かなくて良いですけれども・・。
それからもう一点は、越境汚染が大きいことを前段でうたっておきながら、越境汚染に対して何を検討すべきかについて述べておりません。国環研の上野さんが言われたように、C14だけじゃなくて、C12とかC13、それからサルファのアイソトープ、これらを複合的にマトリックス解析していけば、それがお隣の国の石炭なのか原油系なのか、いろんなヒントが出てくるはずです。そのエビデンスをしっかりと蓄積しておくことが大切なので、何か上手な表現で入れていただくと良いようにと思います。
【大原委員長】 たくさん、今ご意見をいただきましたので、忘れないうちに、事務局のほうから答えられる範囲内でまずお答えいただきたいと思います。
【是澤課長】 いろいろなご指摘、ご意見をありがとうございました。
まず、事実関係のお話から。
今、飯田先生からご指摘のあったSOXの部分について、ご説明させていただきたいと思いますけれども、SOXについての取組について、事務局の気持ちとしましては、まず最初の5ページ目のところでは、中長期的課題の3番目、ここに含まれているつもりでおりました。
寄与割合の高い発生源というのが推計できたところで、SOXとしては何が効いてくるのか、どの発生源が効いてくるのかということも含めて考えるという趣旨でございました。
あと、個別の固定発生源につきましては、SOX・NOXの項がございましたけれども、その課題の②のほうに、これは、ですから中長期的課題というつもりでSOX・NOXからの二次生成に関する科学的知見の充実を含めてということで記載しておりまして、一方で、短期的課題という部分につきましては、これは現在の排ガス処理技術の開発動向というところを踏まえても、SOXについては、あまり新しい動向というのはないのかなというところから、あえて書き入れなかったということでございます。
また、あと船舶につきましても、今後規制強化がなされる予定があるということも別途記載しておりまして、そういった中で、SOX対策についても視野に入れて記載したつもりでおりましたが、全体としてちょっとわかりにくくなっていたかと思います。
以上がご説明でございます。
そのほか、いろいろなご指摘を頂戴しましたので、またよく整理させていただきたいと考えております。
その中で、まず定量的な効果を評価して、その上で対策を検討すべきではないかという趣旨のご意見があったかと思います。
ご指摘のとおり、今後、費用対効果といいましょうか、そういう、何の対策をとれば最も効率的であるのかという視点というのは大変重要だと考えております。
しかしながら、そこに到達するためには、まだまだいろいろ科学的に究明しなければならない課題が多いということも事実かと思います。それを待ってから対策を講じるということでいいのかどうかということを考えました場合に、確実に、PM2.5の削減には寄与する、また既存の施策の中で既に取り組まれていて、その延長線上に位置づけられているようなものについては、4ページの基本方針のところで言いますと、中段「2.1概要」の3段目のパラグラフのところですけれども、「既存の知見に基づき既存の大気汚染防止施策をPM2.5対策の観点を含めてさらに推進」すべきと考えております。含めてというよりも、加味してさらに推進していったほうがいいのかもしれません。
NOX削減、あるいは、ばいじん削減、あるいは光化学オキシダントの削減というような観点で今までいろんな対策を進めてきて、それ自体、一定の効果も上げておりますが、また、さらなる取組を求められているというような中で、その延長線上に位置づけられるような施策については、その技術的な状況等も踏まえて推進していくという考え方もあるのではないかということで整理させていただいているということでございます。
それから、測定についてのご質問がございました。釜谷委員からのご指摘でございます。
これにつきましては、たしか凝縮性ダストの話かと思いますが。
【大原委員長】 事務局からお願いします。
【中谷室長】 測定についてのご質問にお答えします。
まず最初に、今回、発電所を測定させていただくということで、ご配慮いただきまして大変ありがとうございます。
今年度1カ所を測定させていただきます。ワン・データで、これで代表性を持たせるということは、これは理論的にないと思っておりますので、やはり来年度以降、何カ所が複数の場所を測定させていただいて、最終的に代表性というのをしっかり持たせた上で、それを使ってインベントリ、排出量の推定をやっていきたいなと思っております。
全体的なロードマップを示していただきたいというお話がありましたが、今の現時点では、一番排出量が多い排出源からはかりましょうという、そういうざくっとした方向性しかまだありませんで、それを各業種・業態別に落としていったときに、じゃあ、どういうはかり方をするのかというところにつきましては、これから細かいところを検討していく予定にしております。またその過程で、いろいろと業界の方の考え方とかを聞かせていただきまして進めていきたいと思っております。
以上でございます。
【大原委員長】 補足をお願いします。
【早水審議官】 排出源の測定データにつきましては、いろいろとご協力をいただかないといけない部分がございます。予算的にこちらのほうで限りがある部分もありますので、もし各業界で自主的に測られているものがありましたら、そういうデータもご提供いただければ、よりいろんなデータで解析できるかと思いますので、ご配慮いただければありがたいと思います。
【大原委員長】 ありがとうございます。
追加のご質問、ご意見等がもしありましたらお願いします。
どうぞ、柴田委員。
【柴田委員】 今日いろいろと発生源由来の解析されているんですけど、それのもともとの根本になるのがインベントリのデータだと思うんです。
今、整備されてはいるんですけれども、この資料を見ますと今後の課題というところにインベントリの更新とか監視体制みたいな話が載っているんですけど、まずはインベントリをつくる枠をちゃんとつくるというのが非常に緊急の課題じゃないかというふうに思うんですが。
【大原委員長】 ありがとうございます。
多分、ナショナルインベントリはちゃんとつくって、それを更新していく体制を整備すべしという、そういうご意見だろうと思います。ありがとうございます。
ほかには。どうぞ、鵜野委員。
【鵜野委員】 一言だけ。その他のところに出てくるアンモニアの発生源なんですけれども、私はモデル研究をやっているんですけれども、NOXを下げる、SO2を下げる、VOC、アンモニア、これは全部リンクしているんです。ですから、SO2をだけ下げると、今度、硝酸塩粒子ができてくるんです。結果としてPM2.5の濃度はあまり変わらなかったりします。
ですから、現状がよくわかっていない、SO2とNOX、硝酸ガスとアンモニアの比がどういうふうに振れているのかというのは、ほとんど観測データがないので、どちらの方向に動くかというのはなかなか知見がないんです。
ですから、この最後のその他のアンモニアの発生源のところにも絡むんですけど、現状がどういうバランスになっているのかというのをどこかで見ておく必要があるんじゃないかと思います。
【大原委員長】 ありがとうございます。
先ほど坂本委員からもご指摘いただきましたけれども、PM2.5にはいろいろな物質が絡んでいて、それぞれに相互作用、あるいは、トレードオフの関係等、複雑なメカニズムがあってPM2.5は生成されるということがありますので、そういったような複雑性を考慮した上で、さまざまな物質の、できればマルチポリュータント・マルチコントロールといったらいいんでしょうか、多物質を同時ににらんだような戦略的なPM2.5の対策に関する取組というのは多分必要で、そのためのシミュレーション等も行っていく必要があるというふうに考えられようかというふうに思います。
ありがとうございます。もう少し、もし。
どうぞ、金谷委員。
【金谷委員】 中長期的な課題というところで、5ページの表、あるいは最後のところにその他、3番という、10ページの今後の検討課題というところに書かれていることですけど、シミュレーションモデルの課題という点で、「シミュレーションモデルの高度化」という言葉に全て集約されているのだと思いますけれども、恐らく最終的に目指すべきところは、先ほど来からお話のありましたように、排出低減の効果がどれだけ本当に表れてきているのかといったことをモデルシミュレーション、今、持ち合わせ得る一番いい知見をもってそれが表現できるのかというところ、特に別添資料の3ページの図7などにも表現されていますけれども、PM2.5の質量濃度の過去の推移を再現し得るのかといったような観点で、最終的にはシミュレーションモデルが過去のトレンドを表現できるのかというところを目指すというところを、本当に中長期の「長」のほうに相当するのかもしれませんけれども、そこを目指しているんだということを少し何らかの形で表現できるといいのかなと思いました。
といいますのも、今ちょうど光化学オキシダントのほうでは、まさにそういったシミュレーションの課題をもって検討を進めているところでありますので、それよりは、かなりPM2.5に関しては多成分が関わるという意味で複雑なところがございまして、難しさももっとあるのかもしれませんけれども、それを目指して進めていくんだというニュアンスが出るといいのかなと思いました。
【大原委員長】 ありがとうございました。
先ほど釜谷委員からも、その対策効果の検証の仕方に関するご意見をいただいたと思います。シミュレーションモデルというのは、それをする上での有力なツールだと思いますので、そういったような意味からも、シミュレーションモデルの高度化は非常に重要な課題である。そのため、モデルの検証等も引き続き進めていかなくてはいけない重要な課題であるというふうに考えられようかと思います。
そろそろ時間が参ってきましたが、もしどうしても発言をされたい方がいらっしゃいましたら。よろしいでしょうか。
それでは、資料4につきまして議論を終えたいと思います。
たくさん委員の皆様からご意見をいただきまして、どうもありがとうございます。
次回の委員会におきまして、このご議論をもとにしまして、中間取りまとめの案について、また議論していただけるよう、事務局におきましては整理をお願いしたいというふうに思います。
用意された議題は以上ですが、その他、何かございますでしょうか。
【是澤課長】 今後の進め方につきましては、前回の委員会におきまして1月から2月ぐらいの時期に第5回専門委員会を開催して中間取りまとめをいただくご予定をお示ししておるところでございます。
次回の日程については、会議終了後、早々に調整させていただきますが、場合によっては追加でもう一回ぐらい開催いただくような可能性、そういう予備日も含めまして、日程調整をさせていただけたらと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
また、本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で公開いたしますので、後日確認をよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【大原委員長】 どうもありがとうございます。
それでは、本日の委員会はこれで終了させていただきたいと思います。
活発なご議論をいただき、どうもありがとうございました。
午前11時57分 閉会