自動車排出ガス総合対策小委員会(第8回) 議事録

1.日時

平成27年11月25日(水)14:28~16:13

2.場所

環境省 第1会議室(中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

(委員長)  飯田 訓正(臨時委員)

(委 員)  浅野 直人

(専門委員) 遠藤 啓二    織  朱實

       小林 雅文    竹間 雅人

       千田  敏    丸山 善弘

       横田 久司

(環境省)  高橋水・大気環境局長

       早水大臣官房審議官

       江口水・大気環境局総務課長

       小野自動車環境対策課長

       永見自動車環境対策課課長補佐

       定自動車環境対策課課長補佐

       小林大気環境課課長補佐

       三上自動車環境対策課環境専門調査員

4.議題

 (1)自動車NOx・PM総量削減基本方針に係る中間レビューの進め方について

 (2)自動車NOx・PM対策の実施状況(概況)について

 (3)その他

5.配付資料

資料1   自動車排出ガス総合対策小委員会 委員名簿

資料2   中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置について

資料3   中央環境審議会大気・騒音振動部会の運営方針について

資料4   自動車NOx・PM総量削減基本方針に係る中間レビューの進め方について

資料5   対策地域における大気汚染状況及び自動車NOx・PM対策の実施状況(概況)

参考資料1 自動車NOx・PM総量削減基本方針

      (平成23年3月25日閣議決定)

参考資料2 「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について」

      (平成24年11月30日中央環境審議会答申)

参考資料3 自動車NOx・PM総量削減基本方針の中間レビューの実施について

      (平成27年9月11日中央環境審議会大気・騒音振動部会資料)

6.議事

【永見自動車環境対策課課長補佐】 定刻前ではございますが、ご予定いただいている委員の皆様にお集まりいただきましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会自動車排出ガス総合対策小委員会を開会いたします。

 私は、司会を行います自動車環境対策課の永見と申します。よろしくお願いします。

 今回は第8回会合ということですけれども、3年ぶりの開催となり、実質的に再開第1回会合となっております。このため、冒頭で第1回に準じた進行をさせていただきますことをご了承ください。

 まず、本委員会の開催に当たりまして、事務局を代表して、水・大気環境局長の高橋からご挨拶申し上げます。

【高橋水・大気環境局長】 皆さん、こんにちは。この7月から着任しています、水・大気環境局長の高橋と申します。よろしくお願い申し上げます。

 本日は、先生方お忙しい中、お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。この小委員会、今3年ぶりというのがございましたけれども、自動車NOx・PM法に基づきます基本方針の在り方を議論いただくために、平成22年度に、当時の大気環境部会に設置をされてございます。当時は、平成24年11月までの間に7回にわたるご議論をいただきまして、答申をいただきました。これに基づきまして、総量削減基本方針を決定いたしまして、環境省として、この方針に基づく取り組みを進めてまいったところでございます。

 これまで、二酸化窒素の環境基準につきましては、ほぼ100%達成ということになってございます。また、新しい排出基準適合車両や低公害車の普及も進んでおるところでございますけれども、今なお基準を達成しない地点が局所的には残っているということも事実でございます。

 今回お集まりいただきましたのは、この基本方針の中間目標、平成27年度が中間目標の時点でございますけれども、その点検評価、いわゆる中間レビューを行っていただくということが主たる目的でございます。私どもといたしましても、この中間レビューを通しまして、今後、必要となる取り組みについて見定めるということもございます。また、基本方針の最終目標でございます平成32年度までに環境基準を確保すると、この目標の評価方法についても、あわせてご審議をいただきたいと考えております。

 この環境基準の確保の目標というものにつきましては、平成22年度のこの本小委員会の中間報告におきまして、基本的な考え方を示していただいておりますけれども、その具体的な評価方法については、まだ検討中でございます。この小委員会でのご議論を踏まえまして、32年度のこの目標の達成状況の評価方法、それに向けての必要な対策というものを検討できるようにしていきたいと考えているところでございます。委員の先生方におかれましては、活発なご議論をよろしくお願い申し上げます。

 簡単でございますけれども、挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

【永見自動車環境対策課課長補佐】 次に、これまで委員長につきましては大聖泰弘早稲田大学教授にお願いしておりましたけれども、再開するに当たり、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項の規定に基づき、大気・騒音振動部会の坂本部会長のご指名により、飯田委員にご就任いただくことになりました。今回は、飯田委員長のご就任後初めての小委員会となりますので、飯田委員長から一言ご挨拶いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【飯田委員長】 慶應義塾大学の飯田でございます。図らずも坂本委員長からのご指名ということで、務めさせていただきます。浅野先生にもご指導いただきながら、皆さんのご協力をいただいて進行させていただきたいと思います。本日はよろしくお願いいたします。

【永見自動車環境対策課課長補佐】 それでは、前回の開催以降、委員の交代、新任も多くございましたので、全委員のご紹介をさせていただきます。

 まず、委員長の飯田委員でございます。

 浅野委員でございます。

 遠藤委員でございます。

 次に織委員でございます。

 次に、新任の小林委員でございます。

 新任の竹間委員でございます。

 新任の千田委員でございます。

 新任の丸山委員でございます。

 最後に横田委員でございます。

 なお、石田委員、草鹿委員、村木委員におかれましては、本日、ご欠席のご連絡をいただいております。本日は、以上9名の委員の方にご出席をいただいております。

 続きまして、本小委員会の事務局を務めます環境省からの出席者を紹介いたします。

 水・大気環境局長の高橋でございます。

 大臣官房審議官の早水でございます。

 水・大気環境局総務課長の江口でございます。

 自動車環境対策課長の小野でございます。

 私、自動車環境対策課課長補佐の永見でございます。よろしくお願いします。

 同じく、自動車環境対策課課長補佐の定でございます。

 大気環境課課長補佐の小林でございます。

 自動車環境対策課環境専門調査員の三上でございます。以上でございます。

 本日の会議は、中央環境審議会の運営方針に基づき、公開とさせていただきます。

 次に、本日の資料について確認させていただきます。

 まず、議事次第と、その紙に配付資料の一覧がございます。次に資料1、委員名簿がございます。そして、大気・騒音振動部会の小委員会の設置についてが資料2、資料3が運営方針についてをそれぞれ添付しております。資料4以降が本日の議題に関連するものでして、資料4が自動車NOx・PM総量削減基本方針に係る中間レビューの進め方について。資料5が、対策地域における大気汚染状況及び自動車NOx・PM対策の実施状況について。参考資料として、これまでの基本方針や答申いただいたものをつけております参考資料1、参考資料2、参考資料3がございます。

 配付漏れ等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、本委員会は第8回目の開催となりますが、平成24年11月の第7回小委員会からの時期もあいており、多くの新しい委員をお迎えしての再開となりますので、いま一度確認の意味で、小委員会の位置づけについて資料を添付しておりますので、ご説明申し上げます。資料2、資料3になります。

 資料2は、大気・騒音振動部会におきまして、小委員会を設置する旨とその役割について定めているものでございます。自動車排出ガス総合対策小委員会につきましては、自動車排出ガスに関する総合的な対策に関する事項を審議すると2項で規定されております。

 資料3につきましては、本小委員会の運営に関する基本的な規定を定めているものでございます。会議録の作成、資料の公開等につきまして、部会に関する規定がございます。資料3の裏のⅡというところに、小委員会の議事運営方針についての項目について、部会の運営方針に準ずるものと定めております。関連の規定についても抜粋しておりますので、参考にしていただければと思います。

 小委員会の位置づけ等に関するご説明は以上になります。

 それでは、議事に移りたいと思います。

 カメラ撮りはここまでとなりますので、よろしくお願いします。

 以降の進行につきましては、飯田委員長にお願いします。よろしくお願いします。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 改めまして、本日は、お忙しいところをお集まりいただいて、ありがとうございました。

 それでは、第8回大気・騒音振動部会自動車排出ガス総合対策小委員会の議事に入らせていただきます。

 お手元の議事次第のとおり、本日は(1)番と(2)番、二つの議題でございます。議題の(1)は、自動車NOx・PM総量削減基本方針に係る中間レビューの進め方ということでございますので、まず、これを事務局からご説明いただいて、ご意見を賜りたいと思います。

 では、資料4に基づいてご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【定自動車環境対策課課長補佐】 自動車環境対策課の定でございます。

 議題の一つ目に関しまして、資料4、自動車NOx・PM総量削減基本方針に係る中間レビューの進め方について、ご説明いたします。

 最初に、中間レビューの位置づけについてご説明をいたします。

 ①のとおり、自動車NOx・PM法に基づく基本方針について、平成23年3月に、NOx・PM総量削減基本方針を改正いたしまして、現在の基本方針の取り組みをスタートさせました。この基本方針においては、枠の囲みの中にありますとおり、平成32年度までに対策地域においてNO2及びSPMに係る大気環境基準を確保する。それから、平成27年度までに監視測定局における大気環境基準を達成するよう最善を尽くすといった目標を定めておりまして、その進行管理についても、「施策の進捗状況の的確かつ継続的な把握と評価に努め」「進行管理を着実に実施するものとする。」とされてございます。

 また、②にございますとおり、平成24年11月には、この小委員会におけるご議論を踏まえまして、「今後の自動車排出ガス総合対策の在り方について」の答申をいただいております。この答申では、より具体的に、平成27年度の中間評価にあたり、基本方針の中間目標の達成状況を踏まえて、その後の取り組みの在り方について検討する必要があるとのご指摘をいただいております。

 これらを踏まえまして、矢印の下ですけれども、基本方針の中間レビューを実施するということにつきまして、今年9月11日の中央環境審議会大気・騒音振動部会において、ご了承をいただいたところでございます。ここでご了承をいただきました中間レビューの内容は、下の囲みの中にお示しした2点となります。

 ①は、基本方針の中間評価、すなわち中間目標の達成状況と施策の進捗状況について、国が情報をとりまとめ、小委員会において点検評価を実施していただきます。②番は、基本方針の32年度目標の評価手法について、詳細は後ほどご説明しますが、この評価手法が確立をされておりませんので、併せてご検討いただきたいと考えてございます。

 これらについて、参考資料3に、9月11日の大気・騒音振動部会においてお諮りして、ご了承いただきました資料を添付してございますので、参考にご覧ください。

 次に、2点目としまして、中間レビューの検討項目の一つであります基本方針の32年度目標、環境基準確保目標の策定の経緯につきまして、目標の意味合いの確認も含めましてご説明をしたいと思います。

 ①番ですけれども、平成23年1月に、この小委員会でご議論いただいて、まとめていただきました今後の自動車排出ガス総合対策の在り方についての中間報告から、この目標に関して検討を行っている部分を抜粋してございます。

 まず、枠の中で引用を書いてございますけれども、1点目としまして、自排局、自動車排出ガス測定局、沿道に設けられる常時監視測定局ですけれども、この自排局の設置に関しましては、一定の地域代表性があり、自排局における環境基準の達成が、まずは優先される。2点目ですけれども、しかし、自排局における測定結果は、測定局という「点」としてのものであり、局地の地理的条件等により、自排局の周辺にもある程度の広がりを持った高濃度域が生じている局地もあると見込まれると、当時いろんなシミュレーションですとか事例に沿いまして、そういった局地もあるというふうに見込まれたということでございます。このため、アンダーラインのところですけれども、対策地域における環境基準の達成については、自排局の「点」としての測定結果から、それぞれの局地の特性を踏まえまして、汚染の広がりを考慮して評価する必要があるというふうに指摘をされてございます。

 これを受けまして、基本方針の目標の見直しに関しましては、その下にございますとおり、測定局において、まず継続的・安定的に基準を達成していることに加えまして、汚染の広がりも考慮して、対策地域全体として環境基準が達成されていることが必要であるというふうにされまして、これらの観点から、基本方針における目標を「対策地域における大気の汚染に係る環境基準の確保」とするとされまして、これを受けて、基本方針の目標が定められております。したがいまして、環境基準の確保の目標については、自排局の「点」のみの状態の評価では不十分であり、何らかの方法で、対策地域内の汚染の広がりについて考慮をして評価することが必要ということで議論をされてきたところでございまして、その手法の検討が必要と考えられます。

 次に、3ページ目ですけれども、3点目としまして、環境基準確保の目標の評価における課題としまして、今後、評価手法の検討を進めていくに当たっての課題や検討方針についてご説明をいたします。

 先ほどご紹介した中間報告によりますと、自排局における達成状況をもってのみ評価するのではなくて、その周辺、あるいは周辺の沿道であるとか、それと似たような特性を持っている地区の状況についてもあわせて評価するよう考慮することが必要とされてございます。すなわち、測定局以外の場所についても、何らかの方法で考慮することが必要となります。

 これについて、矢印の下ですけれども、方法としまして、今現在、測定を行っております常時監視測定局がございますので、これを無数にふやすことができればいいですけれども、これはなかなか不可能というところでございます。一方、交通量等の情報をもとに、大気汚染の状況について計算する手法というものが幾つかございます。また、常時監視測定局に比べまして、多数の地点に設置がしやすい簡易測定手法というものもございます。

 これらは、それぞれ手法に特徴がございまして、常時監視測定局と全く同じ値が得られるというわけではありませんけれども、大気汚染の状況をある程度把握をすることが可能な手法と考えられますので、この真ん中の枠にありますとおり、数値計算、簡易測定及び常時監視測定局の結果等を組み合わせまして、汚染の広がりを考慮した対策地域全体としての環境基準の確保の状況を評価する手法、これを検討する必要があるというふうに考えられます。

 このページの下に、各手法の特徴を簡単にご説明しております。

 一番左は、現在も継続的に大気汚染状況の把握を行っております常時監視測定局でございます。このように、測定機をおさめました建物を、道路沿いあるいは住宅地の中に設置をいたしまして、24時間、自動計測とデータの自動送信を行っております。今現在、自動車NOx・PM法の対策地域の中には、沿道の自排局としまして約220局、それから、一般環境を対象とした測定局として約410局がございます。当然ながら、最も正確に大気汚染状況を把握し、環境基準の達成状況を直接的に評価できる方法でございますが、これを増設、あるいは移設をするといったことは非常な労力が必要となってまいります。

 その右、ページの真ん中に、数値計算手法の事例をご紹介しております。ここの図にございますとおり、測定局のない地点につきましても、濃度状況を一定の方法で計算をすることができる手法でございます。ただ、精度といいますか、出てくる計算結果というのは、完全に実際の状況を予測しているものではない、精度には限界があるといったものでございます。それから、幾つかのモデル、手法がございますけれども、広い地域を対象としたもの、あるいは狭い地域を対象としたもの、それから、それぞれの計算の労力とか必要とするデータなど、いろんな特徴がございます。手法によって特徴がございますので、その特徴、あるいは適用条件といったものを十分踏まえた上で、この手法を活用しなければ適切な評価ができないといったことになります。

 それから、右にご紹介しているのが簡易測定手法でございます。幾つか手法がございますが、その一例ですけれども、写真にございますのは、これは電信柱とか街灯のような柱に容器を固定いたしまして、この容器は下が筒抜けになっていて、上はふたがしてあるというふうな形ですけれども、この中にサンプラーを設置いたしまして、これを一日あるいは1週間設置しまして、サンプラーを回収して分析をするという手法でございます。常時監視測定局よりも容易に多くの地点に設置が可能ということでございますけれども、当然ながら、どこでも可能というわけではなくて、設置できる場所というのも、それなりの要件というものがございます。それから、一日あるいは1週間の数字としては、実測値とかなり相関がとれるということは確認ができておりますけれども、環境基準値と比較するためには、年間98%値、これは年間の日平均値を並べまして、これの98%の位置に相当する数字というのを抜き出しまして、これを、環境基準値を比較するということになってまいりますけれども、簡易測定手法は365日ずっとするというわけではございませんので、この環境基準値と比較をする年間98%値というものは、推計によって求める必要が出てまいります。この推計値を精度高く求めるためには四季測定が基本的には必要ということがこれまでわかっておりまして、この四季測定をやろうとしますと、やはり全体の測定期間としては1年近い期間がかかってしまうというものでございます。簡易といいましても、すぐに環境基準適合状況が把握できるわけではないといったことでございます。

 それぞれの手法に特徴がありまして、その特徴を踏まえて、うまく組み合わせることによって環境基準の確保の目標の評価ができる手法というのを今後検討してまいりたいと考えてございます。

 続きまして4ページ目でございますが、これらを踏まえまして、中間レビューの進め方について(案)でございますけれども、以下のとおり案として考えてございますので、ご説明をいたします。

 本日、小委員会を開催いたしまして、中間レビューの進め方、それから大気汚染状況及び自動車NOx・PM対策の状況、概況につきましてご説明をいたしまして、中間レビューの進め方、方針についてご助言・ご指摘をいただければと考えております。これが終わりましたら作業にかかりまして、まず、基本方針の点検評価に関しましてですけれども、自動車NOx・PM対策に係る情報、これは都府県あるいは関係省庁におきましてさまざまな施策が実施、進捗をしてございますので、この情報について、まず集約整理をいたしたいと考えております。

 それから、次に32年度の測定局等における環境濃度の推計というのを、27年度中は首都圏を対象としまして実施をしたいと考えてございます。これは最新の交通量、気象データあるいはその他の、車に関する排ガス規制の進捗ですとか、次世代車の普及状況などを反映させまして、常時監視測定局などの地点における32年度時点の環境濃度の推計を行うというものでございます。この推計結果については、基本方針に基づく今後の取り組みについて検討するための参考情報としていただければと考えてございます。それから、基本方針の32年度目標の評価手法の検討に関しましては、今年度、対策地域内の一部の地域への手法の適用(ケーススタディ)を通じて、評価がうまくいくかといったことを、いろんな手法を検討してまいりたいと考えてございます。それから、この評価手法の検討に関しましては、大気環境に関する学識経験者の方によります技術的検討もあわせて実施をしてまいる予定でございます。

 これらの検討結果をまとめまして、来年の3月ごろを考えてございますが、小委員会を開催いたしまして、環境濃度の推計結果、施策の進捗状況、あるいは、その時点の検討状況についてご報告をしたいと考えてございます。

 それから28年度に入りまして、概ね秋ごろまでの作業と考えてございますけれども、まず、基本方針の点検評価に関しましては、引き続き対策にかかる情報収集、これは今回の中間レビューの、中間目標の年度が27年度でございますので、27年度までの施策の進捗状況について、最終的に都府県あるいは関係省庁の情報をとりまとめたいと考えてございます。それから黒ポツの2点目ですけれども、27年度の大気汚染状況の常時監視結果、これが通常は28年の大体夏ごろにデータがとりまとまって、環境基準適合状況というのが把握できることになりますので、これをもとに、基本方針の中間目標達成状況について評価をいたしたいと考えてございます。それから黒ポツ3点目ですが、32年度の測定局等における環境濃度の推計、これについては28年度に入りましたら、残る対策地域がございます中京圏と関西圏について推計の作業をやりたいと考えてございます。

 あわせまして、32年度目標の評価手法の検討については、評価手法の評価の試行を対策地域内の残りの地域においても適用して、手法の検討を進めてまいりたいと考えております。同時に学識者による技術的検討も行いまして、それらの結果をとりまとめまして、小委員会にて報告(案)をお諮りいたしまして、その後、パブリックコメントを踏まえた上で、再度小委員会を開催しまして、28年度中に中間レビュー報告をとりまとめていただければと考えてございます。

 最終的に中間レビュー報告の項目につきましては、①から⑤にありますとおり、まず基本方針の中間目標の達成状況の評価、常時監視測定局における達成状況の評価、それから、自動車NOx・PM対策の施策の進捗状況、それから32年度の測定局等における環境濃度の推計結果、これらの情報を踏まえまして、基本方針に基づく今後の取組、最終32年度に向けた取組について点検評価をいただいて、おまとめをいただければと思います。それから環境基準確保目標の評価手法についてもとりまとめていただければと考えてございます。

 ご説明は以上でございます。

【飯田委員長】 ご説明ありがとうございました。

 ただいまご説明いただきました、この自動車NOx・PM、それの削減基本方針に係る中間レビューの進め方について、皆様のご意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

【浅野委員】 中間レビューの進め方として、今日提案されている内容に関しては、まあこんなものかなという感じはするわけですが、よくわからないのが、基本方針の32年目標の評価手法の検討というところです。先ほど、例示としては二つくらい方法があるということが書かれていて、ここには、要するに手法の適用ということが書いてあるのですが、二つをつないで考えてみると、この数値計算手法と簡易測定手法と、それをそれぞれ実際にやってみるという趣旨なのでしょうか。4ページの基本方針の評価手法の検討というときに、どういうことを実際にやってみようと考えておられるのか、あるいはこれから考えますということなのか、どっちでもいいのですが、ご説明をいただけませんでしょうか。

【定自動車環境対策課課長補佐】 環境基準確保の目標の評価手法の検討についてでございますけれども、今現在も一部検討は始めているところでございまして、数値計算手法について、幾つかのモデルがございます。広域にわたって、制度的に粗くスクリーニングをするのに適した手法というものもございますし、それから、より狭い地域で多くの地域情報を反映させて、より細かく、面的に状況を再現できるのではないかという手法もございます。そういった手法を、どのように組み合わせると一連の評価ができるのかといったことを、今の手法については仮説を立てて、実際の地域に適用が可能かどうかということを、数値計算をやってみるということを通じて手法を検証してまいりたいと考えてございます。

 それから、簡易測定手法という手法も当然ございます。この簡易測定手法も、以前この基本方針で環境基準の確保という目標が決まった時点から、測定局のない地点における環境状況を把握する手法となり得るということで、各自治体で、この簡易測定を、交差点近辺を対象として実施をしてきた結果がございます。測定局の近傍とか、測定局のないところでもいろいろやられてきた実績がございますので、そういったデータと重ね合わせて、対策地域全体の基準の確保というのを、どういうふうに評価していったらいいのかというようなことを全体的に検討しているということでございます。

 今後も、いろいろ計算の実施、それからデータの集約といったことは、まだ十分着手できていない地域がたくさんございますので、これを順次、地域を対象としてやっていって、うまく評価ができるか、うまく評価できないというようなことであれば、やり方をまた改善する必要があるのかといったようなところも含めて、いろいろ検討してまいりたいと考えておるところでございます。

【浅野委員】 大体わかりました。恐らく、一般局で環境基準が全然問題なくクリアできている場所と、それから、沿道の自排局でもクリアできているところというのは、多分、その近傍に全然だめな場所が唐突に出てくるというような事態は考えにくいですね。結局のところは、やはり環境基準をオーバーしている地点や、あるいはいつも基準すれすれの値で動いているような地点に目星をつけて、そこで、それぞれの場所の状況を見ながら、どの手法がいいのかというのを考えざるを得ないのでしょうね。画一的にやってみても、それではうまくいかないということになると困るわけです。この検討のためには、各自治体のご協力をかなりいただかないとうまくいかないと思うので、環境省だけで幾ら頑張ってみてもだめですね。それぞれの地域の状況というのは自治体が一番よく知っておられるから、その辺の連携をどうしようとお考えですか。

【小野自動車環境対策課長】 どうもありがとうございました。浅野委員のおっしゃったとおりかと思っております。一つは、面的評価手法の技術的検討会の場にも自治体の方にオブザーバーという形で参加いただいて、検討状況をつぶさにフォローしていただいて、もし何かご意見があればいただくというのがございますし、もう一つは、実際にやってみないと、机上で、理屈の上ではそうだけれども、実際にやってみると違ったということも往々にしてございますので、ここの進め方にございますように、実際に自治体において適用してみて、それが、その地域で長年ご経験を有しておられる自治体の感覚と合っているかどうか、あるいは、手持ちのデータと合っているかどうかということを検証したいと思っております。

 また、自治体の課長クラスで連絡会議のようなものを設置いたしまして、この評価手法だけでなく、施策全般について緊密に情報交換を図って、このレビューの中に反映させていきたいと考えてございまして、まさに先生おっしゃるとおり、自治体は、あるいは関係省庁も同じでございますけれども、密接に連携を図っていきたいと考えております。

【浅野委員】 よろしくお願いします。

 それから、国土交通省も国道に関してはちゃんと情報を持っているはずですね。そこら辺も積極的にご協力いただいて、あらかじめ、どうも危なそうなところはここら辺だという情報をきちっと手に入れて、あるほうが効率性は高いと思いますから、ぜひ、そのあたりとの連携もよろしくお願いしたいと思います。

【飯田委員長】 ほかにいかがでしょうか、どうぞ。

【丸山専門委員】 内容についてはよくわかりますけれども、私は神奈川の人間ですけれども、以前、神奈川県は小学校の子供たちの健康状況について、毎年、毎年調査をしていました。どんな持病を持っているかということで。そうしますと、小学校によってかなり差があるということがずっとわかっていて、今、予算の関係があって、その調査をやめちゃったんですけれども、そこのところで、例えばぜんそくを持っている子供たちの多い学校というのはどういうところにあるのかというと、それなりに交通量が多くて、かつ立地が、どちらかというと空気の滞留しやすいところの学校が多いということも、この間、公表されているデータですけれども、あったんですね。

 ですから、その簡易測定手法だとか、その辺のところで何かうまく、そんなことも含めて事例的にリンクして、調査していただいたりするといいのかなというふうに思います。何よりもこれをやる目的として、誰のために、何のために、基本的には、そこに住んでいる住民、特に、まだ体が弱い子供たちの健康についてどうなのかというようなことも視野に入れて、ぜひ検討していただきたいなというふうに思っています。

【飯田委員長】 ありがとうございました。これについてはいかがでしょうか。

【小野自動車環境対策課長】 ありがとうございました。ご趣旨の点はもっともといいますか、そのとおりだと思っております。この調査そのものの中で、このレビューそのものの中で、健康調査まではちょっと手が出せないところはございますけれども、そういった既存の情報と、あるいは簡易測定の結果とか、高濃度地域を見つける上で、いろいろ参考になる情報がございましたら、できるだけ幅広くレビュー、我々としても情報収集して、その適切な情報があれば、この委員会にご報告をさせていただければと考えております。

【飯田委員長】 ほかにご意見は。

【織専門委員】 課題のところなんですけれども、ずっと議論をしてきていて、自排局で未達成地域があるので、環境基準達成に向けて頑張っていこうということで、しかし、このようなアプローチは、やはりその点として捉えているので、それをもっと広く捉えていこうということが今まで検討されてきたわけですね。確かに点として、今までの議論の中では、結局、どうしても立地上の条件ですとかで停滞しているということでなかなか難しいとか、それこそビルを壊さなければ絶対に達成できないような状況にあるようなところにこだわるより、もっと総合的に見ようという見解になってきたと思うんですが、果たして今のこの課題の整理とか、こういった組み合わせをやっていくということが、そういった問題点をうまく解決しているのかどうか、まだ、何となく見ている感じでは点にこだわっているというか、未達成地域の環境基準をクリアさせるということにこだわっているというような印象をすごく受けるんですね。ですから、今までの自動車の排ガス規制、あるいは燃料品質改正といったものが、総合的に日本全体の排ガスの状態をどれくらいよくしていっている、それが環境基準未達成のところとどういう関係があるのか、どう読み取れるのかと、そのあたりの総合的な見方みたいなものの視点が、もう少し欲しいような気がするんですけれども。

【飯田委員長】 ご意見ありがとうございました。これについてはいかがでしょうか。

【小野自動車環境対策課長】 どうもありがとうございます。まだ手法そのものも検討が始まったばかりということでございますので、織委員がおっしゃいましたような点を、できるだけ反映させるような形でと考えておりますし、我々も、27年度は測定局における達成ということでありますけれども、32年度につきましては、必ずしも点ということではなくて、面なのか、あるいは道路という線なのかわかりませんけれども、できるだけ先生のおっしゃったような視点を反映できるように作業を進めてまいりますので、また、この委員会に、途中段階で報告させていただいて、ご指導いただければと考えております。

【飯田委員長】 浅野委員、織委員、それから丸山委員の視点、ご主張は共通したものと理解いたしました。すなわち、自動車のNOxあるいはPM、あるいはNO2が非常にシビアな時代は、地域を代表する地点に測定局を設けて、その代表点における環境基準をクリアすることを目標としてきました。平成23年のこの委員会において、測定局のみならず、その周りの全域を面としてクリアしましょうということになった。広域対策に加えて、局地対策(ローカル)という概念が導入されました。ローカルを考えた場合には、地域の小学校があれば、その小学校から先に調査したとするのは、絶対にぜんそくの子供を俺たちはつくらないぞという環境省あるいは地方自治体の基本精神からすれば、当然のことと思います。しかし対策地域における大気状況の把握の方法や手法が過去の延長上のままでは局地対策に資するデータ把握は困難な面がございます。簡易型の費用の安いので多点にて測定し、面で確認しましょうかというニュアンスともとれかねない、というのがお三方のご指摘の裏にあるのかなと思います。

 そうだとすると、局所汚染を考えるときに、地方自治体さんが持っていらっしゃる局所汚染の課題や現場のデータを吸い上げないと、深堀りはできないように思います。地方自治体のご意見も取り入れてというのが浅野先生のご意見ですよね。今の事務局のお答えは、そういう局地対策については、課題を携える地方自治体とともに検討しつつ行く理解でよろしいでしょうか。

 中間の見直しについての進め方の方針について、ほかにご意見はございませんか。

 特に追加のご意見がないようでしたら、次に進ませていただきます。

 次は議題の2でございます。自動車NOx・PM対策の実施状況(概況)ということで、事務局で情報を取りまとめていただいておりますので、これをご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【定自動車環境対策課課長補佐】 議題2点目に関しまして、資料5になります。対策地域における大気汚染状況及び自動車NOx・PM対策の実施状況(概況)につきまして、ご説明をいたします。

 最初に、対策地域における大気汚染状況についてご説明をいたします。

 今回の中間レビューは、自動車NOx・PM対策に関するものでございまして、この対策施策の目標指標は、二酸化窒素NO2と浮遊粒子状物質SPMの環境基準の達成あるいは確保となってございます。したがいまして、ここではNO2とSPMの環境基準の達成状況についてご説明をいたします。

 まず、NO2についてでございますけれども、環境基準達成状況は、一般環境大気測定局においては9年連続で26年度まで100%となってございますが、自排局においては、一部の地点において基準を達成していない状態でございます。それから、図の1-2ですけれども、年平均値については緩やかな低下傾向にございます。

 それから、平成22年度以降に基準不適合となったことがある常時監視測定局について、日平均値の年間98%値の推移を2ページ目の上に示してございます。図1-3になりますけれども、低下傾向にある地点は多うございますけれども、地点によっては若干上下を繰り返しているといったところもございます。これらの地点については、図1-4のほうに位置についてお示しをしてございます。

 続いて3ページ目、SPMについてでございますが、基準の達成状況につきましては、一般局、自排局ともに100%を示す年度と、100%に達しない年度が不規則に出現をするという状況が続いてございます。この基準達成率が低い年度におきましては、図1-6のとおり、環境基準を超える日が2日以上連続することにより、非達成となった測定局の割合が高いといった傾向にございます。SPMにつきましては、日平均値の年間2%除外値、日平均値の高いほうから数えて2%の値を除外した後の最高値を環境基準と比較して評価をするとされてございます。ただし、SPMの場合には、この評価方法にかかわらず、一日平均値が基準を超える日が2日以上連続した場合には、非達成と評価するとされてございまして、図の1-6は、環境基準非達成の要因のほとんどが、近年はこの基準を超える日が2日以上連続するということによって生じたものということを示してございます。

 この要因につきましては、例えば、23年度に大きく達成率が落ち込んでございますけれども、この年度の場合は、5月ごろの数日間にわたって観測をされた黄砂の影響によって、西日本を中心に多数の測定局のSPMの濃度が上昇したということが考えられるとされてございます。それから、SPMの年平均値については長期的に低下傾向を示しており、近年は横ばいの状況ですけれども、一般局と自排局の差はかなり小さい状況にございます。

 次に、4ページ目でございますが、自動車NOx・PM総量削減対策の枠組みについてご説明をいたします。

 まず、自動車NOx・PM法の概要でございますけれども、こちらの法律は、自動車交通が集中し、大気汚染防止法の既存の対策のみでは、NOやSPMに係る環境基準の確保が困難と認められる地域を対策地域と指定いたしまして、この対策地域内において、NOxあるいはPMの排出量の削減その他の対策によって、大気汚染が著しい都市部での大気環境の改善を目指すといったことでございまして、平成4年に最初の自動車NOx法が制定されまして、その後、改正を経てNOx・PM法となり、現在に至っているという状況でございます。図の2-1のほうに対象となる対策地域をお示ししてございます。

 なお、大気環境保全施策として、窒素酸化物と粒子状物質が関係する課題としまして、オキシダントとPM2.5がございます。光化学オキシダントにつきましては、これまでの調査検討の結果、前駆物質、NOxやVOCが前駆物質ですけれども、これらの減少、それから越境大気汚染の増加、NOタイトレーション効果の低下といったものが、光化学オキシダント濃度に影響を及ぼす要因であるということが示唆されておりまして、環境省では、これら三つの要因について、シミュレーションを用いて定量的に解析をすることで、光化学オキシダント濃度への影響調査をするとともに、今後、その濃度の低減を図る上で効果的な対策の方針を検討してまいる予定ということで、今、検討を進めているところでございます。

 それから、PM2.5につきましては、平成27年3月に、微小粒子状物質等専門委員会において、国内におけるPM2.5の排出抑制策に在り方について中間取りまとめが行われたところでございます。今後、この中間取りまとめを踏まえまして、短期的課題とされたばいじんや窒素酸化物の排出抑制の強化の検討、それから燃料蒸発ガス対策の導入の検討といったものを進めるとともに、二次生成機構の解明、発生源寄与割合の把握など、中・長期的課題について科学的知見の集積を図りつつ、対策の充実を図ることとしてございます。このうち、自動車の駐車時、あるいは給油時の燃料蒸発ガス対策については、中環審の自動車排出ガス専門委員会での検討が進められているところでございます。

 自動車NOx・PM法に基づく取り組みは、移動発生源に関する短期的課題の一つとして、引き続き取り組んでいくということとされています。いずれにしましても、オキシダントとPM2.5につきましては、それぞれについて施策の検討の枠組みがございまして、今回の中間レビューの対象である自動車NOx・PM法の基本方針に基づく取り組みとは別の枠組みで、現在検討が行われているところでございます。

 次に、ご説明いたします5ページのほうですけれども、基本方針の策定でございます。自動車NOx・PM法に基づきまして、総量の削減に関する基本方針を定めるとされてございまして、この総量削減の目標と、その達成のための施策に関する基本的な事項を定めることとなってございます。現在の基本方針は、平成23年3月に改正されてスタートをしており、この改正のときの変更点については、3項目ほど挙げてございます。新たな目標の設定、それから局地汚染対策、その他、ポスト新長期規制適合車の早期普及などといった論点をお示しいただきました。これを踏まえて、基本方針の概要は枠の中にあるとおりでございまして、詳細は参考資料1に添付をしてございます。

 次のページは、6ページから7ページにかけまして、総量削減計画の策定と実施状況について取りまとめております。総量削減計画は、自動車NOx・PM法と基本方針に基づきまして、対策地域の各都府県において定めることとされておりまして、その計画に記載をされた基準年度及び目標年度におけるNOxとPMの排出総量について、表2-1のとおりまとめてございます。基準年度とは、この基本方針による排出総量の削減の対策開始前時点の年度でございまして、都府県によって平成21年、あるいは22年度で設定をされております。この総量削減計画を策定する際には、対策地域内において排出される固定発生源を含めた全ての排出量と、そのうち自動車に起因する排出量を示す必要がございます。基本方針では、このうち自動車に起因する排出量について削減目標を定めて、削減に取り組むこととなります。

 この表の2-1の右端のパーセンテージについては、自動車からの排出量について、総量削減計画により、基準年度と比べて、32年度に向けて削減しようとする比率を示したものになります。この状況については、各都府県において毎年度、排出総量を調査して把握をしてございます。

 表の2-2、7ページ目になりますけれども、こちらのほうでは、25年度の各都府県における排出量と目標達成率を示してございます。都府県により進捗に差はございますけれども、いずれも削減は進捗をしてございます。

 また、図2-2ですけれども、こちらNOxについて、自動車と自動車以外に起因する排出量とをグラフで示しております。基準年度と比較しまして、排出総量の削減が進んでおり、NOx発生量の全体に占める自動車の寄与率というのは低下をしつつある状況にございます。

 それから、図2-3ですけれども、下のほうですが、排出削減の施策別の寄与度につきまして、大阪府において算定をした例をお示ししてございます。自動車の単体規制、これは排出ガス規制ですけれども、それから、NOx・PM法に基づく車種規制、こういった施策の寄与が大きく影響しているといったことがわかります。

 次、8ページでございますが、基本方針に掲げる総量削減施策の基本的事項をお示ししてございます。これらに関して、基本方針に掲げた項目ごとに、現在までの施策の進捗状況などを示すデータをご紹介しております。ここでお示しするデータについては、現時点で把握をしているものでございます。今後、中間レビューの作業を行う中で、今回の小委員会でいただきましたご指摘、あるいはご助言についても配慮しまして、最新のデータを集約して、取りまとめてまいりたいというふうに考えてございます。

 まず(1)でございますが、自動車単体対策の強化、排出ガス規制の強化でございますけれども、図3-1にございますとおり、中央環境審議会の答申に基づきまして、順次、排出ガス規制の強化に取り組んでまいったところでございます。今後も、ディーゼル車に関して、例をお示ししておりますが、規制の強化が予定されているところでございます。

 それから、その規制の強化の流れにつきまして、図3-2あるいは3-3のところに、ディーゼル重量車に対しましての規制値の変遷についてお示しをしております。

 それから、下の図3-4につきましては、対策地域内における普通貨物車の規制区分別通行台数の比率につきまして、経年的に把握した結果をお示ししております。凡例につきましては、下から上に行くに従って、厳しい排ガス規制となってございまして、今現在、一番厳しいポスト新長期規制の車両について、順次、その比率が増加をしてきているといった状況が把握されてございます。

 それから、次、9ページ目でございますが、(2)として車種規制の実施等でございます。車種規制といいますのは、自動車NOx・PM法に基づきまして、この法の排出基準に適合しない車両について、対策地域内において登録を禁止するといった特別の規制でございますけれども、この規制の結果、図3-5に示しますとおり、対策地域内における基準適合車への代替というのが促進をされて、近年では、ほぼ100%に近い状況、この100%に満たない部分というのは、統計の制約上、車検不可であるとか、そういった車を含んでいますので、ちょっと100%に満たない部分はありますが、適切に通行している車両については、ほぼ、ほとんどの車の区分におきまして、100%に達しているという状況でございます。

 それから、真ん中、表3-1でございますが、一部の都府県におきましては、対策地域外から流入をする車両について、自治体独自の流入車規制を行ってございます。首都圏の都県におきましては、PMを対象とした運行の規制、それから、大阪府におきましては、NOxとPMを対象としました対象地域内への発着に関する規制、それから、兵庫県においては、一部の地域でNOx・PMを対象とした規制ということで、地域によって、それぞれ、対象の車両とか手法に若干の違いはございますけども、それぞれ、取り組まれているところでございます。

 それから、下の図3-6でございますけれども、対象地域外からの自動車NOx・PM法に適合しない車両の流入というのが、これが自動車NOx・PM法の法律では、そこまで規制ができない部分といったところで、これまで課題とされていた部分でございますけれども、対策地域内の通行車両について、経年的に把握をしてございますけども、このグラフでバツ印の部分が、対策地域外において、NOx・PM法に適合しない車、これが対策地域内において、どれだけ通行しているかといったパーセンテージをバツ印で示しております。これがだんだん低下をしてきて、昨今では3%ぐらいとなっております。これは流入規制を行っている都府県では、よりもっと低い比率になってございますし、若干の差はございますけれども、最近ではこういった状況になっているということでございます。

 次に、10ページ目でございます。課題としまして、(3)低公害車の普及促進といった項目も基本方針に掲げられてございます。まず、新車販売台数に占める次世代車、次世代車は、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車、天然ガス車、クリーンディーゼル車、この括弧内にあります車を総称して「次世代車」として定義をしてございますが、新車販売台数に占める比率は、これらの次世代車の比率は増加をしてきて、24%に最近の年度では達してございます。

 なお、政府の目標は、2030年にこの比率を5~7割を目指すということで、関係省庁でさまざまな取組が展開されているところでございます。

 次世代車の種類別で見ますと、左下の図3-8でございますけれども、天然ガス自動車については近年減少してございますが、ハイブリッド車、電気自動車は増加してきておりまして、ハイブリッド車は、このグラフの右の軸を参照いただきますと、桁違いに増加してきているという状況でございます。

 それから、低排出ガス車、これはNOxやPMなどの排出ガスの量が規制値よりも十分低減されているというものについて、一定の評価基準に基づいて、国土交通大臣が認定をする車でございまして、これについての台数も、図3-9のとおり、把握してございますが、対策地域内において台数が増加してきているという状況でございます。

 次に、11ページ目でございます。(4)としてエコドライブの普及促進について記載してございます。こちらについては、なかなか定量的なデータというのはお示ししがたいところでありますが、国におきましては、関係省庁からなる「エコドライブ普及連絡会」というものを構成いたしまして、「エコドライブ10のすすめ」の策定、あるいは推進月間を通じた普及啓発を図ってございます。

 各都府県においても、さまざまな施策展開がなされているところでございまして、こちらには事例としまして、表3-2のほうに、神奈川県域における施策の実施状況というものを例として挙げてございます。協議会といった組織を通じた取組、あるいは普及ツールの提供ですとか、講習会、イベントといったような、さまざまな取組がなされているところでございます。

 それから、下のほう、(5)ですけれども、交通需要の調整・低減、これに関しましては、基本方針の中におきましては、例えば物流システムの効率化でありますとか、あるいはITS技術を使った物流の情報化、あるいはモーダルシフトといったような施策がさまざま掲げられているところでございます。

 自治体及び関係省庁において、関連する取組が実施をされておりまして、ここでは事例としまして、12ページに、大阪府における施策情報を集約した事例を挙げてございます。表3-3になりますけれども、輸送効率の向上あるいは適切な輸送機関の選択の促進、これはモーダルシフトでございますけれども、それらに資する施策として、自治体あるいは関係省庁におきまして、さまざまな取組がなされているといったことを情報集約されてございます。

 それから、12ページの下のほうでは、この交通需要の調整・低減に関しまして、統計値を一部ご紹介してございます。まず、全国の貨物輸送量の推移につきまして、左下のほうでお示しをしてございます。営業用自動車について、若干減の傾向があるほかは、各セクションとも、ほぼ横ばいといったような状況です。これは22年度以前も、集計の方法は違うんですけども、データの推移がございまして、営業用自動車のセクションは、この22年度以前でも減少傾向というのは見られてございました。

 この自動車の輸送量に対する鉄道あるいは内航海運の輸送量の比率といったものが、いわばモーダルシフトの進捗状況ということになるんですけれども、営業用自動車の低下傾向があることによりまして、そのパーセンテージというのは、若干上昇してきているというような傾向でございます。

 それから、図3-11ですけれども、輸送効率の推移について示しております。営業用自動車のほうが自家用自動車よりも効率が高いと。要は、10トン車で10トンを運べば100%になるんですけども、そういった効率の意味合いですけども、営業用自動車のほうが高い効率を示しているということですので、この観点からも、営業用の貨物車の活用といったことも、施策のメニューの一つには挙がっているところでございますが、この輸送効率の推移そのものについては、ほぼ横ばいの状況で推移をしているところでございます。

 それから、13ページ目の上ですけれども、走行量の推移を類推できるデータといたしまして、自動車燃料の販売量の推移のデータを一つ、ご紹介してございます。この燃料販売量につきましては、自動車の走行量と、それから、自動車そのものの燃費の改善といった、それらの影響を受けた数字ということになりますけれども、経年的に傾向がわかりますので、ここでお示しをさせていただきました。揮発油(ガソリン)につきましては低下傾向が続いており、軽油につきましては、低下傾向が続いておりましたが、近年では横ばいから若干上向きと、増加といったような状況に転じている状況でございます。

 それから、13ページの下のほう、(6)ですけれども、交通流対策の推進、これに関しましても、基本方針におきましては、道路ネットワークの整備あるいは交通渋滞の解消のためのボトルネック対策、あるいはITSを活用した交通流対策といったような取組が基本方針には掲げられているところでございます。

 自治体及び関係省庁において取組が実施されているところでございますが、ここでは、14ページ目から15ページ目にかけまして、東京都において、交通流対策の進捗を反映し得るデータの一つといたしまして、東京都で主要な交差点、図3-13については、主要な交差点における交通量と、それから大型車の混入率の推移というのを把握しておりますので、一つ、ご紹介をしておきます。

 交通量におきましては、多くの交差点で、ほぼ横ばいないし減少傾向といった状況を示しております。大型車混入率についても、減少傾向を示している地点が多いという状況でございます。

 ここにお示ししたグラフのうち、上から2段目の真ん中に松原橋交差点のグラフがございます。それから、中段の左端に上馬交差点、それから、右端に大和町交差点とありますが、この3カ所については、すぐ近傍に常時監視測定局がございまして、過去、基準超過がずっと見られていたところですけども、今現在、26年度は、松原橋はまだ基準超過の状態ですけども、ほかの上馬あるいは大和町については基準適合の状態ということで、若干過去よりも、測定値については下降傾向といったことが示されております。参考にご紹介をしておきます。

 それから、15ページ目、上のほうには、東京都における交通渋滞距離の推移といったものも把握されております。一般道路につきましては、渋滞距離が減少してきている傾向ですけれども、あわせて、走行量も減ってきておりますので、交通流改善の効果もあれば、走行量全体そのものが下がっている効果も受けての変化と思われます。

 それから、右に、首都高速道路に関してのデータの推移をお示ししていますが、渋滞距離増加の傾向にございますけども、今年3月に中央環状線が開通してきている状況ですので、地元自治体のほうでは、今後の推移について、今、注視をしているところというふうに聞いてございます。

 それから、最後、(7)に局地汚染対策の推進と掲げてございます。こちらも基本方針におきましては、局地汚染対策としてさまざまな取組を進める、関係機関と連携のもとで進めるといったことが記載をされてございます。

 局地汚染対策の一つとしまして、重点対策地域といった制度、これはNOx・PM法の平成19年度の法改正により導入をされた制度でございますけれども、現在のところ、この重点対策地区については、指定された地区はない状況にございます。

 それ以外の局地汚染対策については、各地域で取り組まれている例がございますが、神奈川県におきまして、川崎市川崎区を中心としました東京大師横浜線、首都高速も走っている路線でございますけれども、この地域を対象としまして、局地汚染対策としてさまざまなものを展開していらっしゃいます。これは16ページのほうに、近年、25年度の実施状況についてまとめてございます。協議会の体制の整備ですとか、それから、条例に基づく制度、それから、電子メールなどを活用しました情報を通じての取組ですとか、さまざまな取組が展開をされているという状況を把握してございます。

 ご説明が長くなって申し訳ありませんが、ご説明は以上でございます。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 ただいま説明いただきましたNOx・PM対策の実施状況(概況)につきまして、現時点で把握されている情報ということでご紹介をいただいたところです。これをもとに、今後の中間レビューをまとめていく、あるいは進めていくことになるわけですけども、現況について、あるいはこれからの論点について、いろいろな観点からご発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 織委員。

【織専門委員】 最初に、質問を1点よろしいですか。7ページの図2-3が非常におもしろいなと思ったんですが、これはどのようにして、それぞれの実施による効果を測定というか、評価したんでしょうか。本当にそれが単体規制の効果なのか、エコカーによる効果なのか、もし本当にこういうのがきちっと評価できるというのであれば、各自治体でこういうことをやってもらえれば、次の指針につながってはいくんですけど、この評価のやり方というのは、一体いかようになされたのかなと。

【定自動車環境対策課課長補佐】 これにつきましては、算定根拠も含めて、国に報告をいただいていますが、一番大きい自動車単体規制の推進施策による効果の部分につきましては、現在、地域における排出量を計算します際に、各車のクラスごとの排出係数というのを算出いたしますけども、この排出係数は、車がよりよいものに入れかわっていくという効果を踏まえて、車の比率を反映しまして、よりよい車が増えてくると排出係数も下がって、改善されてくるといった数字に表れてまいりますので、この排出係数の改善度合いといったものを単体規制の効果を反映したものということで、それで計算しているといったことでございます。

 この排出係数を出すに当たっては、対策地域内の通行量、通過車両の調査、通過する車についてナンバープレートを読み取りまして、それぞれの車がいつの規制に適合したものか、また、NOx・PM法に適合している、していないとかも含めた通過車の個別の比率を毎年度、調査してございますので、その結果、出てくる排出係数の数字と、それの改善度合いから計算をしているといったものでございます。

 ほかにもいろいろ細かく算定根拠はございますので、ここでは、なかなか全部はご説明できないですが、よろしいでしょうか。これを中間レビューの情報として取りまとめるに当たっては、算定の考え方とか根拠につきましては、わかりやすくまとめるような工夫をしたいと考えてございます。

【飯田委員長】 詳細は、大阪府さんから詳細な情報をいただかないと、実際にはわからないと思いますが、図2-3、7ページに書かれている削減の中身は、一部が12ページの表3-3に掲げられているのだと思います。これが交通需要の調整・低減に係る施策ということで、ここに掲げられているわけですが、この中には実際に効果のあるもの、精神的なものに近くて、実質的には直接的な効果は見込めないものも挙げられているように思います。この中で何が一番効果があったのかを拝察すると、交通量を減らせたかどうかということと、それから、単体の車両がポスト新長期で代表される低排出ガス車両に入れかえられたということ、その二つが大きな要因だと思われます。地方自治体の取り組み情報を吸い上げながらよく評価して、「これはいいね」ということを取り上げて、レビューの中に盛り込んでいくということは可能なんじゃないかというふうに思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 丸山委員、どうぞ。

【丸山専門委員】 質問です。7ページの一番上の表2-2の排出量と、それから達成率が出ていますけれども、それぞれの都府県のところの達成率のばらつきというのは、どんなふうに考えたらいいんでしょうか、教えてください。

【定自動車環境対策課課長補佐】 ここの達成率ですけれども、平成32年度の排出目標量というのを各都府県は定めております。排出目標量を達成すれば100%の数字になるわけですけども、この排出量の目標のレベルにつきましては、都府県ごとの汚染の状況と、それから、この目標を決めたのは、平成23年~24年度ごろにかけて、環境省と、それから各都府県とで、将来どのぐらいまで努力をすれば、地域内において測定局の基準達成が図れるかといったこと、測定局あるいはそれ以外の沿道の地点も含めて、どこまで排出削減をすれば、その地域の目標が達成できるかといった観点から、いろいろ当時のシミュレーションをやって、決めた目標のレベルでございます。

 当然ながら、地域によっては、比較的、言葉は悪いですけれども、それほど努力もしなくても基準達成が見込めるという地域もございましたし、例えば東京都の場合ですと、今現在も基準が達成できていない地点がございますけれども、そういった地点も、基準達成を32年度に持っていけるようにしようというふうに考えますと、ちょっと厳しい、削減率の高い、削減目標を設定しないといけなかったといったようなことがございます。

 そういった観点から、例えば東京都のケースですと、達成率が低いということは、裏返すと、目標の設定のときに、なかなか基準達成に持っていくために、厳しい目標を設定しないといけなかったといったことが、数字の設定の上ではそういったような経過がございます。

 ほかも、それぞれ、そういったような要素がある都府県もございます。ちょっと詳細は、また今後の中間レビューの作業の中で、達成率の違いについて、どういうことが要因になって、こういう結果になっているのかといったこともあわせて、情報を取りまとめていくようにしないといけないとは考えてございます。

【浅野委員】 今の点は、もうちょっと丁寧に各地域ごとの状況を分析する必要があるかもしれませんね。ただ単に、最初の目標の設定が厳し過ぎたというよりも、厳しくせざるを得ないから、厳しくしたから達成できていないということだけなのでしょうか。例えば、通過車両の割合がどのぐらいを占めているのかとか、それが各地域ごとに状況が違うのかもしれないしというようなことはどうなのでしょうか。

 三重県はもともと下げる目標が随分低いのですが、三重県は指定されている場所がそんなに多くなくて、四日市と名古屋の間だけですね。ですから、そこで少なくとも工業地帯の活動が活発である限りは、そんなに車は減らないと思うので、あんまり下がっていないのかなという気がするのですが、一つ一つの状況を丁寧に自治体と情報交換しながら分析をしていかないといけないと思います。ですから、ただ単に、今の説明ぐらいではちょっと物足りないので、もうすこし細かく調べていただく必要がありますね。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 飯田も、ここの部分は非常に大事な数値データというふうに拝見しております。

 図2-2は、対策地域内のNOxの排出量がグラフにて示されており、自動車の関わるものと、薄く書かれているのが自動車以外のものです。対策地域全体で言えば、基準年度が、自動車に関わるものがほぼ3分の1、目標年度(H32年度)が、ほぼ4分の1~5分の1に設定しています。

 神奈川県でも、ちょうど32年度で5万トンを切るというような値であり、自動車に関わるものは、ポスト新長期の車両に置き換わると、かつて3分の1ぐらいを占めていたものが、5分の1まで落ちると予想される。逆に言うと、港湾および船舶、家庭、産業活動に関わるものが減らないまま、自動車だけが減っていくというのが現状です。

 例えば、ほかの県もほぼ同じ状況にあると思いますが、ただ、埼玉県は、自動車の排出量が計画どおりいっても半分弱という大きな値を占めているわけです。そうすると、やっぱり沿道汚染はきついと想定されます。

 ですから、面で考えていくという指針に立ったときには、全体の中で自動車の沿道部分への汚染の寄与度を考えていく必要があります。委員ご指摘、ご意見は、これからの検討に参考にさせていただければいいんじゃないかというふうに思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 織委員、どうぞ。

【織専門委員】 今、先生もおっしゃったんですけど、全体として自動車の寄与分がどんどん減ってきているという中で、単体規制はどこまで効果が持続するのかというところがわからないというか、単体規制でやられるところというのが、ここまでだということになってくれば、あとは流入量をどうやって減らしていくのかというところの施策ということになってくるのかなというふうに思うんですけど、その辺、今は大阪府のなんかでも見ていくと、単体規制がかなり効果的になっているけど、それは本当にいつまでやれば効果が出てくるのかという辺りの見通しと、それと、量を規制していくということになってくると、やはり市民参加といいますか、住民あるいは市民の方、公共交通への移動をどうやっていくのかというのは、もう少しこの中で大きな重きを置いていかなければならないんじゃないか。端的に普及啓発ということで軽く書かれて、ぱっと1行で書かれているんですけど、そこら辺をもう少し重点を置いてやらなくちゃいけないところになってくるのではないかなということ。

 それともう1点、量ということで考えていくと、今までいろんな施策を検討してきて、例えばトラック業界さんなんかも頑張って、フリート対策という中で、リスクマネジメントと関連づけてエコドライブ的なものをやっていった。そういった今までの施策がどれくらいきいてきているのかという辺りも含めて評価していただかないと、もしかしたら、そんなにきいていないかもしれないけども、やったことはそれなりに意味があるということはきっとあると思うので、できれば今まで検討してやってきたこともこの中に入れ込んで、評価していただきたいなというふうに思います。

【飯田委員長】 いかがでしょうか。では、遠藤委員のお話を聞いてから、環境省から。

【遠藤専門委員】 織委員さんからの質問の中であったんですけども、単体規制がどのぐらいきいているのかというと、8ページ目の3-4を見ていただくとわかるように、まだポスト新長期の平成25年度の数値から行くと、まだ全然少ないんですね。その下の10年以上前の短期だとか、長期規制の車がまだ現存していると。こういう車が、ある程度PMに関しては条例がありますから、DPFなんてつけたり、触媒をつけたりしているんですけども、NOxに関してはそのままフリーなので、こういう車がそういった地域に入ってくれば、当然そういった影響力というのは大きいと思いますので、単体規制をもう少しやっていけば、変な話、どんどん数が減ってくるというか、数値が低くなるというのは見えてくると思いますし、それからもう一つは、今度は統計に入ってこなくてもできる、外郭道路なんかもかなり影響力が出てくるのではないかなと予想もつきますし、先ほど先生から言っていただいたように、エコドライブなんかでも、かなり削減量というのは大きいと思います。急発進するよりも、ゆっくり発進するだけでも効果が上がるということが出てくると、そういった総合的な対策をしていくということになれば、非常に効果的に数値が減るのではないかなと、我々もできる範囲内でやっていこうというふうに思っております。

 以上です。

【浅野委員】 全体としては、環境基準を達成しましょう、沿道の測定局で達成するだけじゃなくて、全域で達成しましょうと、こういうことを言っていて、今のところは測定局でもかなり規制できているが、全体で達成できたかどうかは、まだよくわからないが、かなり達成の方向にはあるよねということは言えるわけですね。

 もう一つは、自動車は、当然古くなれば必ず買いかえられると。買いかえられるときには、必ず新しい機能のいい自動車にかわるということははっきりしているので、そういう意味では、これ以上、何か規制を強化しなきゃいけないというような発想ではないだろうという気はいたします。

 指定地域ではないけれども、例えば福岡市でも将来予測をすると、何もしなくても全部の場所で環境基準を達成できてしまうわけです。だから、今年度から自動車公害防止計画をやめたくらいです。このままでも達成できる、そういう地域が結構ありますので、やっぱり車種が入れかわっていくことの効果というのは大きいと思います。ある時期まで車種規制をかけることによって、その促進を図ったと。それもそこそこ効果は上がってきたということは言えるわけでしょう。

 それから、首都圏に関しては流入規制がかかっているので、指定地域外の車も結構対策を考えていると思うのですが、NOxは残念ながら必ずしもそうでもないというのは、今の遠藤さんのお話でわかったんですが、それにしても30年も40年も使う人はまずいませんから、どう頑張っても、15、6年、おそらく20年もたてば買いかえるでしょうから、そうなればよくなっていくだろうということはあるんだろうと思いますね。

 そうすると主に考えなきゃいけないのは、局地をどうするのかということだという気がします。

 16ページに、神奈川県がこんな局地対策をやっておられるというメニューを見て、びっくりするようなものがいっぱいあるわけで、これは結構効果があるのだろうなと思うのですが、これについて、少し事務局と神奈川県とで協力をして、さっきもお話がありましたけど、どれが効果があったのかということを、定量的にというのはなかなか難しいので、ついつい我々は気楽に定量的に効果が図るべきと言ってしまうのですが、定性的にでも構いませんから、どうきいてくるのかということを、どれがどの程度の意味があるのかとか、例えば、池上局の電子メール配信というのは、どの程度、交通量を変える効果があるのかとか、こういうことを丁寧にきちんと追っかけていくことが、案外大事なことなのかなという気がします。その辺は事務局としてはいかがでしょうか。

【小野自動車環境対策課長】 ありがとうございました。何人かの委員からご指摘をいただきました。

 まず、全体として車の寄与が低くなっているというのは、飯田委員長がおっしゃったとおりかと思います。地域全体で見ると、かなり車の排出量の割合が低くなってきていると。

 他方、現状で基準が達成できていないというのは、沿道のかなり局地ということでございますので、地域全体として見た場合と、あと沿道で見た場合に、自動車の寄与というのはどうなっているのかということも、データとして把握してみないといけないのかなと思っております。

 単体規制については、先ほど遠藤委員からご指摘ございましたけれども、8ページの上にございますが、ポスト新長期の後も、これから平成28年規制とか、30年規制がございますので、今後も、少なくともかなりの期間にわたっては、引き続き効果が見込めるのかなと思っております。

 また、エコドライブについては、特に営業車についてはエコドライブというとソフトな対策というふうに思いがちなんですけれども、トラック協会さんを中心に、非常に綿密に対策を講じておりまして、かなり定量的にも把握でき得るようなレベルにあるのではないかと思いますので、遠藤委員からも情報をいただいて、ご紹介できればと思っております。

 これからの問題としては、やはり局地というのはおっしゃるとおりだと思いますので、単体対策のように、地域全体の底を下げていくというのはもちろんなんですけれども、その上で、局地を下げるためにどんなやり方があるのかというのが、これからのポイントになってくるのかなと思います。IT技術などもかなり進んできていて、小林委員もいらっしゃいますけれども、そういった新しい技術なんかも活用しながら、これから32年度の目標達成に向けて、何がやれ得るのかと。特に5年間ということで言えば、かなり車の代替、半分ぐらいは代替するかもしれませんけれども、短期的な勝負にもなりますので、比較的、即効性のあるものがどういうものかということも重要になってくるかと思います。

 また、浅野委員からございましたように、なかなか局地対策、おっしゃるように、その寄与といいますか、効果を定量的というのは難しい部分もございますが、シミュレーションとか、いろいろ駆使いたしまして、場所によっても違うかもしれないですけれども、どういったものが効果が大きいかということについては、分析をさらに進めて、ご報告できるようにしたいと考えております。

【飯田委員長】 小林委員、どうぞ。

【小林専門委員】 先ほど、ITというお話がありましたけれども、私、ITSに関するシステムの研究を行っているUTMS協会から参加させていただいています。

 ITSの施策というところで、かなり需要というような、マクロなことが中心に書かれているんですけれども、近年は個々の車両ですとか、先ほど言われた局所的な改善というところでシステムの検討なども進めています。

 主な取組として、一つ、エコドライブというのがございましたけれども、一つ、信号の残り時間を車に提供して、それを先読みということで使っていただくことで、加減速を減らしたエコドライブをサポートするようなシステムですとか、直接的に、信号制御なんですけれども、例えば排ガスの多い大型車を優先してあげるとか、あるいは局所、どうしても重点地域に関しては車をできるだけ停止させないような信号制御というのも可能ですので、そういった局所サービス、局所対応ということも、信号制御で可能かと考えています。

 それから、三つ目としてプローブというところがあるんですけれども、こういった施策をどうやって継続的、客観的、定量的に評価して、それを対策、改善というふうに結びつけていくかというところで、プローブ情報を収集して、どういった排ガスが出ているかというようなところを分析して、それを施策につなげていきたいというところに取り組んでおります。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 ほかに、いろんなご意見、ご提案がございましたら、お願いいたします。

 例えば神奈川県で言えば、池上新田公園前、これはもう何年でしょう、測定し始めてから、ずっと環境基準が達成できなくて、平成25年に初めて達成できました。県の皆さんと喜んで赤飯を炊きましょうかというような冗談を言ったんですが、そしたら26年は、やっぱり11月ごろになったら超過の日が出てきて、今年の27年も、やはり冬場に入ってきて、だめな日が出てきました。そういうことで、確実にベースは落ちているという認識はあります。ただ、首都高にETCが導入され、料金の区間が変更になって、トラックが池上新田の先まで走ってから一般道に降りるようになり、それで改善される効果とか、やはり交通量との関係というのは大きな因子になります。

 あとは、トラックの比率が高いので、ポスト新長期車が20%であっても、実際には、これは台数ベースなので、走行ベースで言うと、古い車はそんなには走っていない。庭石を運ぶために、この車でないとクレーンがついているのでだめだという造園屋さんとか、そういう車両が案外多いので、年間の実走行距離は少ないケースが多いのです。これは浅野先生がおっしゃるとおり、新短期規制適合車なり、長期規制適合車なりが走れる寿命はございますから、それに変わっていく流れの中で、平成32年の目標は達成できるだろうと思われます。

 多くの地域が、そんな見込みでよろしいんだと思うんですね。そういう意味では、楽観視はするんですけれども、そうはいっても、松原橋の測定局ではトラックの率がそんなに高くないのに厳しい事情にあるので、道路構造の問題も含まれていると思われます。その辺の見極めについては、いろんな事情を把握されている地方自治体さんは長年にわたってご尽力、ご苦労されていますので、調査された情報と環境省さんの情報とを、抱き合わせて資料にまとめられればいいかなと思っております。よろしくお願いします。

 千田さん、どうですか。東京都の松原橋についてはいつクリアできるか、全ての測定局を達成する、最大の尽力をするんだというと、その周辺の面としても考えていきますよと、この二本立てが基本方針ということですので、ちょっとコメントいただければと思います。

【千田委員】 いつ来るんじゃないかと、ちょっとどきどきしていたところなんですけど、やはり来てしまいまして、東京都では、昨年度の常時監視の測定結果を今年8月に発表したところでございますけれども、この中でもお話がございましたけれども、昨年度は松原橋の測定局以外は、NOxとPMは全て環境基準を達成したというところでございます。

 松原橋の測定局のところにつきましては、非常に特徴的な構造になってございまして、国道1号の下を環状七号線が通るような形になっておりまして、測定局がすり鉢状のところにあって、風の流れも限定されておりまして、空気が滞留するような特徴があって、測定局もちょうど坂のところにありまして、思わずちょっとアクセルを踏みたくなるような場所にあるものですから、なかなか達成が難しいのかなという状況でございます。

 東京都としては、そこの局地ということではないんですけれども、うまく道路のネットワークのところを使っていけないかなというふうに考えております。

 また、今年度につきましては、春に首都高の中央環状線が開通いたしましたので、車の流れも変わってきてございまして、環状七号、環八に出ていく交通量も減ってきていると聞いております。

 また、先ごろ、埼玉県部分で圏央道が開通いたしました。これによりまして、東北道から東名高速まで一続きで行けるような流れになりましたので、都心を回避して大型車が通ることもできるようになったわけでございます。こういったことからも、松原橋だけですけれども、こちらの資料を見ても、だんだんと傾向としては低減傾向になってきておりますので、我々も交通量に特に注視をしながら、松原橋の測定局の環境基準達成に向けて、対策を検討していきたいなと思っております。

 以上でございます。

【飯田委員長】 すみません、何か決意表明をさせたみたいなことになっちゃいましたが、決してそういうことではなくて、それぞれがそれぞれの事情を抱えて動かれているので、何かクリアに資するヒントを中間レビューに盛り込めれば、地方自治体の取組とリンクしたいい施策になるのではという思いから、お伺いした次第です。

 浅野先生、よろしくお願いします。

【浅野委員】 今の松原橋の話は、様子がよくわかりました。要するに、道路の断面のある部分の環境がどうであるかというよりも、やっぱり道路の沿道に住んでおられる方々にどのような環境があるのかということが問題だと考えるとすると、今のようなお話でしたら、測定局のポイントの周りを丹念に調べてみて、そこの濃度が環境基準を超えるような状況だったとしても、周辺の住宅とか建物とかにどういう影響が生じているのかというのをもうちょっと丁寧に見ることによって、ここのポイントの環境の悪さというものが、全体の悪さを表すものかどうかということを問題にしていくというのも、一つの解決方法かもしれません。

 場合によっては、自排局であっても、測定場所をきちっと代表するようなところに移してみて、それをもう一つ、補助地点として調べたときにどうなのか、両方で比べてみて何か物を言うという方法はあるかもしれませんね。

 何となくお聞きしていると、はかり方が悪いと。福岡市でも実は経験があるものですから、交差点のど真ん中に測定局を置いて、絶対に達成できないところに置いていたのを、場所を移したら一遍にクリアできたわけですから、そういうようなことはないわけじゃない。つまり、周りの状況をちゃんとあらわしているというのであれば、もうそれでいいのですが、あらわしていないのであれば、それを考えるというようなことはあるかもしれませんから、そこは一度ぜひ現地に連れて行っていただいて、見せていただきたいなという気はします。

【飯田委員長】 ありがとうございます。

 冒頭の丸山さんのお話も、神奈川県さんも、池上新田は確かに残っちゃってはいるんだけど、そこに地域の住民のいらっしゃる方々を無視するわけじゃないんだけども、そういう中で面として見ていったときに、小学校であるとか、中学校であるとか、子供をたくさん集めているところを優先的に確認して潰していくべきだろうという、そういう県の思いのあらわれなんだと思います。この辺もこれから大事かなと。

 横田さん、お願いします。

【横田専門委員】 自動車の単体規制による排出量というのは、NOxとして低減をずっとしてきているんですけども、NOの環境濃度として見ますと、確かに、要するに一次排出物として、NOとして出るよりも、むしろ二次汚染物質としての局面の色合いが強くなってきたんだろうと思っています。そうすると、いわゆる光化学オキシダント対策みたいな考え方が必要でありまして、その対策と効果が線形には結びつかないということになります。ですから、非常に個別対策の効果がすぐにあらわれるかというのは非常に難しい。

 むしろ、これまでNOxが下がってきて、自動車の寄与も減っているという状況を見ますと、NOx・PM法の枠組みの中で、この対策ができるかということは一つの疑問に思っているというようなところがあります。

【飯田委員長】 これは浅野委員からコメントをいただきたいと思います。

【浅野委員】 実はおっしゃるとおりで、改正でNOx・PM法にしたときに、NOxを外せと言ったことがあります。PMだけでいいじゃないかと提案したんですが、猛烈な反対をうけて、諦めてNOx・PMにした面もあるわけです。実際にはかってみて、NOのベースとNOで全然違って、自動車から出てくるときはNOではないはずでしょうから、それは下がっているのに、NOで見ると、うんと上がっているというようなことがあるということは事実ですね。そういうこともあるでしょうし、さらに、先ほども事務局のお話にありましたように、ほかの物質との関係、光化学オキシダントをどうするのかとか、PM2.5をどうするのかとか、全体に考えなきゃいけないことが山のようにありますので、確かに一つの象徴としてNOx・PMということでやってはいるのですが、どこかの段階では、自動車と別の要素をあわせて考えなければいけないということがありそうです。限りなく自動車の責任でやらなきゃいけないところは、とにかくやることはやるのでしょうが、それから先については、もっと別の考慮が必要だということがあるかもしれませんから、この点検の結果で、必要な場合にはそういったようなところにまで話を広げていかないとならないかもしれませんし、先ほど飯田委員長がおっしゃったように、横浜の場合には船の影響も決して馬鹿にならないだろうと思うのですが、そういったようなものについても、本気になって考えるとすれば、場合によっては、自動車環境対策課という名前からもう少し名前も広げて、全体を考えなきゃいけないということになるかもしれません。

 いずれにせよ、今の横田委員のご指摘は、いろんな意味で検討に値するご発言だと思いますから、十分に事務局も留意をしていただければと思います。

【飯田委員長】 ありがとうございました。

 いろんなコメントあるいは御意見をいただきました。これらの意見あるいは論点を参考にして、この中間レビューの作業を進めていただければと思います。ただ、本日のご発言には当該委員会のテリトリーの範囲内のものと、範囲外のものもご発言がございました。範囲外のところは、別に審議しちゃいけないということもないと思うので、意見交換はさせていただいて、大いにその論点もいただいた上で、親部会に報告ができればというふうに思いますので、また引き続き、ご協力をお願いしたいと思います。

 議題の1番と2番の審議は終わりましたということで、よろしいでしょうか。

(は い)

【飯田委員長】 全体を通して、1、2を通してというご意見があれば。横田さんのご発言は両方を通してということだと思いますので。

(な し)

【飯田委員長】 では、特にないようでしたら、これで、あとは事務局にお返しいたします。どうもありがとうございました。

【永見自動車環境対策課課長補佐】 本日は、お忙しい中、ご審議をいただき、ありがとうございました。

 議事録につきましては、事務局で案を作成し、先生方にご確認いただいた後、ホームページで公表する予定としておりますので、よろしくお願いいたします。

 お手元の資料につきましては、郵送をご希望の場合は、封筒にお名前をお書きいただければ、事務局より郵送させていただきます。

 次回は、議題1でお諮りしましたスケジュールのとおり、来年3月ごろの予定でございます。年内を目処に日程調整をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 これにて、本日の小委員会は終了となります。どうもありがとうございました。