中央環境審議会 大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会(第10回)会議録
1.日時
平成25年10月23日(水)9:57~11:22
2.場所
環境省 第一会議室
3.出席者
(委員長) | 浅野 直人 | |
---|---|---|
(委員) | 青島 等 | 浅見 琢也 |
稲垣 隆司 | 圓藤 陽子 | |
大迫 政浩 | 大塚 直 | |
神山 宣彦 | 小林 悦夫 | |
近藤 充輔 | 島田 啓三 | |
谷口 靖彦 | 外山 尚紀 | |
内藤 恵 | 森永 謙二 | |
(環境省) | 小林水・大気環境局長 | |
奥主審議官 | ||
難波大気環境課長 | ||
横井大気環境課長補佐 | ||
渡辺大気環境課長補佐 | ||
石塚総務課長補佐 | ||
永井大気環境課 | ||
秋元大気環境課 | ||
(国土交通省) | 野原建築指導課長補佐 |
4.議題
- (1)建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法について
- (2)その他
5.配付資料
- 委員名簿
- 資料1
- 建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法について
- 資料2
- 石綿飛散防止対策の強化に向けた検討事項
- 資料3
- 石綿飛散防止専門委員会スケジュール
- 参考資料
- 建築物石綿含有建材調査者の制度化について(国土交通省)
- 石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)(委員限り)
6.議事
【横井大気環境課長補佐】 それでは、ただいまから、中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止専門委員会の第10回の会合を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日は、京都大学の内山委員、慶應義塾大学の武林委員、全国解体工事業団体連合会の中橋委員、芝浦工業大学の本橋委員、早稲田大学の山﨑委員から、ご欠席の連絡をいただいております。
したがいまして、本日の出席状況といたしましては、委員20名のうち15名の出席をいただいておりまして、定足数の過半数に達していることをご報告させていただきます。
引き続き、お手元の配付資料のご確認をさせていただきます。
議事次第の下に配付資料の一覧が記載されております。配付資料といたしましては、委員名簿、資料1の建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法について、資料2、石綿飛散防止対策の強化に向けた検討事項、資料3、本専門委員会のスケジュール、あと、参考資料といたしまして、国土交通省より提出の資料でございますが、建築物石綿含有建材調査者の制度化についてでございます。もう一点は委員限りの配付資料でございますけれども、石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)でございます。お手元に資料はおそろいでしょうか。ありがとうございます。
あと、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは、恐縮でございますが会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以降の進行は浅野委員長にお願いいたします。
【浅野委員長】 おはようございます。朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。前回は7月12日にこの専門委員会を開きまして、法改正後、法の施行に向けての検討事項についてご相談いたしました。その席で、本日議題になっております、解体現場でのアスベストの測定方法・評価については、専門家の方々にご議論いただいて、その結果を受けた上でさらにこの専門委員会で検討しようということにいたしました。お願いしておりました専門家による検討がまとまりましたので、前回の委員会からはやや間があきましたが、本日、ご議論をいただきたいと思います。
資料の1でございますが、これにありますように、現状での測定技術がどうなっているか、それから、解体現場でどのようなことが実際には実行可能なのか、あるいは有効なのかといったようなことを考慮した上で、いろいろとご検討をいただいて報告がまとまっております。
それでは、早速ですが、この資料1に基づきまして、検討会の座長の神山委員からご説明をいただきたいと思います。神山委員、どうぞよろしくお願いいたします。
【神山委員】 おはようございます。今、委員長からお話がありましたように、この専門委員会の答申、中間報告を受けた形で、アスベスト大気濃度調査検討会、これは常設なんですが、毎年日本の一般大気のアスベストの濃度調査を行ってきております。
近年は解体現場周辺等の測定も増やしておりまして、その中で、時折濃度の高いものを検出したりしておりました。
この委員会は、アスベスト測定の専門家から成り立っておりますが、今回のこの解体改修現場周辺等の問題については、新たに専門委員として、建築関係の専門家の委員3名、それから自治体から1名、それからリスクアセスメント等の専門として医師の、計5名の委員の方々に新たに臨時に参加いただきまして、3回にわたりまして検討を行ってまいりました。
検討内容としましては、解体現場の施工区画の境界付近の測定をどうするか、できるのか、できないのかから始まりましてそういう検討、それから、集じん排気装置の排出口で、従来多々、たまに高い濃度が検出されていましたので、その辺の排出口付近の測定をどうするか。それから、作業をする方々の作業員の出入りの際に、セキュリティゾーンで高い濃度が記録されることがあったということで対応をどうしたらいいか、それを測定と現実可能な技術的な両面から検討して、お手元の資料1にありますように、つい先ごろ、石綿測定方法及び評価方法についてという報告書をまとめることができました。
これにつきましては、いろいろな議論がありまして、必ずしも一本にまとまった結論というものだけではなしに、異論も重要だということで記載がされております。そういうものについても、この専門委員会のほうで検討をいただいて、現実的な対応策がなされることを期待しております。
それでは、報告書の詳細に関しては、事務局のほうから説明してもらいますので、よろしくお願いいたします。
【渡辺大気環境課長補佐】 環境省の大気環境課の渡辺です。報告書につきまして、私のほうから説明させていただきます。
お手元の資料1をご覧ください。建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法についてでございます。
まず1ページ目ですけれども、はじめにということで、経緯でございます。
平成25年2月、中央環境審議会は、「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」として答申いたしました。この答申において、建築物の解体等に伴う特定粉じん排出等作業の規制には、大気濃度測定の義務付け等が必要であるとされた。そのため、アスベスト大気濃度調査検討会は3回にわたり検討会を開催し、測定方法、測定結果の評価方法等に関する技術的な検討を行い、その結果をとりまとめたというものでございます。
アスベスト大気濃度調査検討会委員名簿ですけれども、先ほど神山委員のほうからもご説明ございましたけれども、これまで6名の委員で構成されていたものですけれども、今回は関係業界、自治体等、5名の専門委員にも参画いただきまして、検討いただいたところでございます。
検討会の開催状況でございますけれども、第1回が平成25年8月30日、第2回が9月20日、第3回が10月2日ということで、報告書の案についてご検討いただいたところでございます。
次に4ですけれども、これは検討に当たっての基本的方針ということで、検討会におきましては、「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」のIII、各論「4.大気濃度調査の義務付け」及び「5.大気濃度測定に係る評価基準及び測定方法」に基づいて、現状の測定技術、建築物の解体等現場での実行可能性、有効性等を考慮し検討をしたものでございます。
IIの建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法についてでございます。
少し読ませていただきますけれども、建築物の解体等に伴う特定粉じん排出等作業については、大防法に基づき、石綿の除去作業場の隔離、前室の設置、負圧の保持、集じん・排気装置の使用等を内容とする作業基準を定め、石綿飛散防止措置がなされております。
しかし、近年、環境省や一部の自治体が実施した特定工事における大気中の石綿濃度のモニタリングにおいて、集じん・排気装置の排気口やセキュリティゾーンの出入口等で、石綿の飛散事例が確認されていることから、特定粉じん排出等作業の作業基準に大気濃度測定を義務付けて、隔離養生した作業場からの石綿の漏洩を監視することが求められている。
なお、東京都、大阪府、川崎市等一部の自治体の条例では、敷地境界等における濃度測定が義務付けられており、石綿の飛散防止対策が効果的に実行されるといった点が報告されております。
本検討会においては、意図しない石綿飛散が発生していないことを施工業者が確認するため、一般大気環境への影響を確認する場所、敷地境界又は建築物の解体等業務に従事している者以外の者の立入りを禁止した区画、施工区画と言いますけれどもその境界、以下「敷地境界等」ということで、「敷地境界等」は、敷地境界と施工区画境界を意味しているということになりますけれども、敷地境界等における具体的な測定方法等について検討を行った。さらに、発生源となりやすい集じん・排気装置等の不具合は、一般大気環境への石綿飛散に直結するおそれがあることから、併せて検討を行ったということでございます。
なお、この検討過程におきまして、次のような考え方が示されているということで、二つほど提示させていただいておりますけれども、少し踏み込んだご意見なり考え方がございましたので、お示ししているものでございます。
1点目ですけれども、現在、散見される石綿の飛散事故を防止するには、発生源となりやすい集じん・排気装置排気口及びセキュリティゾーンの出入口の漏洩監視等の対策に加え、工事の施工者の技術力強化を図ることで対策は十分であり、敷地境界等の大気濃度測定は不要ではないかといったご意見。
もう一点ですが、本来、発生源における濃度測定が望ましいが、大防法は一般大気環境の保全を図ることを目的としている。現状、排出源の規制基準を設定することは困難であり、考えられる測定箇所は施工区画境界である。敷地境界等における測定は、自治体が作業場からの石綿の漏洩がないことを確認するため、また、周辺住民に説明するために行うことが考えられる。
これらの考え方も踏まえ、検討会で検討した結果を、以下のとおり報告するとしております。
次のページに入りまして、検討のとりまとめに当たりまして、大きく三つに分けております。
一つ目が、敷地境界等における大気渡度測定方法。2番目といたしまして、発生源となりやすい箇所ということで、集じん・排気装置排気口からの影響を確認する方法、三つ目でございますけれども、発生源となりやすい箇所、セキュリティゾーン出入口からの影響を確認する方法としております。
1の敷地境界等における大気濃度測定方法です。
目的。建築物の解体等現場において、予期せぬ箇所から石綿の飛散が確認された事例もあることから、建築物の解体等作業による敷地境界等からの石綿の飛散状況を確認し、その結果、石綿の飛散が確認された場合には、その原因を迅速に特定し、対策を講じることにより、一般大気環境周辺への石綿の飛散を防止するということで、対象工事といたしましては、作業場が他の場所から隔離され、集じん・排気装置が使用されている特定工事を対象とするということで、特定建築材料をかき落とし、切断または破砕により除去する場合としてございます。
測定箇所ですけれども、環境省アスベストモニタリングマニュアルに定めた方法が適切と考えるということでございまして、マニュアルでは、作業場から一般大気環境への石綿飛散の影響を確認する場合の測定は、作業場が含まれる敷地の境界とすることが基本となるが、敷地が広く、作業場の直近で多数の人の通行がある場合等については、敷地境界の内側の施工区画境界を敷地境界とみなして測定することとしていると。
3行ほど下がりまして、この場合の測定箇所数は、多いほど石綿の飛散実態を的確に把握することが可能だが、現実的には排出源をはさんで主風向の風上・風下の2箇所と主風向に垂直な2箇所の計4箇所としている。この場合、風上にあたる測定箇所をバックグラウンドとし、その他の測定箇所の測定結果を評価することが可能と考えられる。また、高層部で作業を実施する現場や隣地で解体等が行われ、その影響を受ける可能性がある現場等では、現場の状況に応じて測定箇所を選定することが適当と考えられるとまとめていただいてございます。
試料採取時期ですけれども、石綿の飛散を防止するため隔離された作業場内において、石綿の除去作業を開始した直後の作業中に試料採取を行うことが適当と考える。なお、この場合においても、石綿の除去作業が長期に及ぶ場合は、作業の進行や時間の経過、外気の影響等により隔離に不具合が生じることが考えられる。その監視のため、定期的な測定を義務付ける必要があるかどうか、今後さらに検討する必要がある。試料採取条件は、これまでモニタリングマニュアルにおいて、連続4時間としてきたところであるが、この連続4時間というのは、マニュアルでは一般環境の測定の場合、4時間を3日間ということにしておりまして、解体現場等においてもこの4時間と現状ではなっておりますけれども、試料採取の目的が、作業場が他の場所から隔離され、作業場からの石綿の漏洩がないことの確認であるため、作業開始直後から2時間の採取で十分と考えられるということでございます。
ということで、試料採取条件としましては、施工区画境界において、作業開始直後120分とまとめられているところでございます。なお、フィルタ径につきましては、室内環境の測定に用いられる25mmとし、吸引速度を5L/分で120分の試料採取とすることも可能と考えられるというご意見もございました。
分析方法ですけれども、マニュアルでは、位相差顕微鏡法で計数した総繊維数が、これは石綿を含む総繊維数ですけれども、総繊維の数が1本/Lを超えた場合、電子顕微鏡法で計測する手法を採用している。しかし、この手法では結果が判明するまでに要する期間が一般的に数日かかること、また費用面でも高額であることから、解体等現場における分析方法として一律に義務付けることについて、課題があるものと考える。特に解体等現場においては、様々な作業が実施されていることから、総繊維数で1本/Lを超えることは十分考えられ、総繊維数が1本/Lを超えた全てのケースにおいて、電子顕微鏡での計測を義務付けることは厳しいとの指摘がある。この課題を解決する分析手法として、次の方法が考えられるとしております。
まず1番目に、位相差顕微鏡法により総繊維数濃度を求める。ここまではこれまでと一緒でございますけれども、この2番目が一つの解決手法になるのではないかということでございまして、総繊維数濃度が1本/Lを超えた場合には、位相差/偏光顕微鏡法により石綿繊維数濃度を求める。3番目といたしまして、石綿繊維数濃度、石綿の可能性がある繊維を含むですけれども、これが1本/Lを超えた場合には、電子顕微鏡法により石綿繊維数濃度を求めるということで、2番目の分析で、1本以下であれば電子顕微鏡での計測を不要とするもので、時間的・コスト的にも有効と考えられるというところでございます。
ただし、この位相差/偏光顕微鏡法がJISに規定されていないということで、公定法として採用することの妥当性について検証する必要があると。また、モニタリングマニュアルにおきましても、現在は紹介という形で取り上げられているものでございます。また、作業基準適合性を判断できる結果となり得るものか等、当該測定結果の位置付けを明確にする必要があるということで、課題がまだあるという取りまとめになってございます。
評価方法でございます。現時点において、科学的根拠をもって管理基準を設定することは困難であるが、目安としての管理基準は、敷地境界等における石綿繊維数濃度1本/Lが適当と考える。当該基準設定の考え方は、環境省の近年のモニタリング結果から、一般大気環境中の総繊維数濃度は概ね1本/L以下であることから石綿繊維数濃度も1本/L以下であるというものである。したがって、石綿繊維数濃度が1本/Lを超過する場合は、明らかに石綿の飛散が想定されることから、1本/Lを管理基準として設定するものである。この基準の妥当性については、引き続き検討していく必要があるとしております。
これらに対する課題ですけれども、一つ目といたしまして、解体等現場からの飛散の確実性(立証)についてということでございます。大気濃度測定を作業基準に義務付けた場合、都道府県知事等は基準を遵守していないと認めるときは、大防法に基づき作業の一時停止等を命ずることができることから、一定の合理的判断基準をもって測定箇所を選定した場合においても、検出された石綿が対象の作業場から飛散したものであることが明らかとなるような箇所で測定していることが必要となる。
これについて、解体等現場では、例えば高層建築物、広大な敷地内にある建築物等、あるいは近隣で同様な解体工事が行われている場合等、様々な現場、立地条件等が想定され、それら全てについて、作業場からの石綿の飛散を的確に測定できる具体的な測定箇所を検討し、その具体的事例を提示して、合理的かつ実効性のある測定であることを示す必要がある。また、現在の分析方法では、判定に数日を要する、費用が高価である、測定機関が普及していないといった課題がございます。さらに、解体等現場では様々な作業が実施されており、総繊維数濃度1本/Lという結果だけで、作業場からの漏洩があると判断できないこともあり、これまで引用されてきた総繊維数濃度10本/Lをスクリーニングの目安としてはどうかとの指摘もございます。また、内装材の撤去等により、特定粉じん排出等作業を実施する前のバックグラウンドの総繊維数濃度が1本/Lを超過している現場もあり、今後このような現場における対応策を具体的に検討する必要があるというされているところでございます。
二つ目の課題といたしまして、迅速な測定方法についてでございます。位相差/偏光顕微鏡法は、石綿の測定方法として、現時点で従来の方法と比較し、必ずしも十分な知見が確立されていない部分があるとされていますが、セキュリティゾーンの出入口付近や集じん・排気装置排気口において、石綿濃度を現場で分析し、短時間で石綿の飛散の有無を判定することは、石綿飛散防止対策に有効な手法となる。本測定法には、偏光顕微鏡による観測のための基礎知識と分析のためのトレーニングの強化や分析に携わる人材育成が必要であるが、今後の普及が見込まれる測定方法と考えられ、将来的には解体等現場の管理に適した測定方法となることが想定される。ただし、JISに規定されていない位相差/偏光顕微鏡法を公定法として採用することの妥当性について検証する必要があるとまとめられております。
最後の部分ですけれども、なお、位相差/蛍光顕微鏡法についてもオンサイト分析が可能な測定方法であり、今後の技術の進歩、普及が望まれるとされております。
さらに三つ目の、義務付けの対象についてでございます。こちらにつきましては、検討会において、自治体への届出情報ですとか分析日数といったデータから検討がなされましたけれども、まとめとしては課題ということでとりまとめとなってございます。
現在、大気濃度測定に要する期間は一般的に数日程度と考えられることから、規模の小さいあるいは工期の短い特定工事についても、一律に義務付け対象とすることは適切ではなく、規模要件を設定することが必要との指摘がある。なお、義務付け対象とならなかった場合においても、この後説明いたします「2.発生源となりやすい箇所(集じん・排気装置排気口)からの影響を確認する方法」の項の方法により確認することで、効果的に石綿の漏洩を防止することができると考えられる。
一方、面積等の規模要件の設定は、基本的にすべきではないとの指摘もあり、義務付け対象については、さらに検討する必要があるとまとめられてございます。
続きまして2番目の、発生源となりやすい箇所(集じん・排気装置排気口)からの影響を確認する方法でございます。
目的でございますが、作業場内に設置する集じん・排気装置に関しては、作業基準においてHEPAフィルタを付けたものを使用することとしているが、HEPAフィルタの設置不備等により石綿の飛散が確認された事例もある。このような集じん・排気装置の不具合は、石綿の飛散につながることから、石綿除去作業開始の前及び直後に集じん・排気装置の不具合の有無を確認させることが必要である。また、これにより集じん・排気装置の不具合が確認されれば迅速に点検及び修繕を行うことができ、集じん・排気装置を適切に稼働させ、周辺への石綿の飛散を防止することができるということでございます。
この委員会の中間報告の参考資料にも、石綿の飛散が確認された事例といたしまして7事例が載せられておりましたけれども、そのうち5事例におきまして推定される原因が、この集じん・排気装置のフィルタの不具合というふうにされてございました。また、アスベスト大気濃度調査検討会におきましても、集じん・排気装置をきちんと管理すれば漏洩はかなり防げるのではないかと言ったご意見もいただいているところでございます。
対象工事でございますけれども、集じん・排気装置が使用されている特定工事については、HEPAフィルタの装着が不適切な場合、石綿の飛散に直結することとなるため、全ての特定工事を対象とするということでございます。
測定方法でございますが、粉じん等を迅速に測定可能な機器を用いることにより、集じん・排気装置の不具合の有無を速やかに確認できる。
測定箇所ですが、外部の粉じん等の影響を受けない集じん・排気装置の排出口に設置する排気ダクト内又排気ダクトの直近で測定することが適当であるというところでございます。
測定時期ですが、集じん・排気装置を稼働させ、石綿除去作業開始の前及び直後に測定する。また、作業中定期的に測定することが望ましい。さらに、これらの機器を用いて連続的に監視することも望まれるとされております。
評価方法ですが、作業開始前後の測定結果を比較し、集じん・排気装置に不具合がなく正常に作動し、漏洩がないことを確認する。また、測定結果を記録することにより、使用した集じん・排気装置の維持管理につながるとともに、自治体が立入検査により、集じん・排気装置の適切な使用状況を確認することができると取りまとめられてございます。
3の発生源となりやすい箇所(セキュリティゾーンの出入口)からの影響を確認する方法でございますけれども、これは隔離した作業場への作業者の出入り等を行うため、作業場の出入口に前室を設置いたしますけれども、そこからの影響を確認する方法ということでございます。
セキュリティゾーンの出入口からの石綿の漏洩は、作業員の退出時や廃棄物の搬出時、負圧が適切に維持されなかった場合等に発生することが見られており、対策としては、施工業者が負圧管理を徹底すること等により、石綿の飛散を防止できるものと考える。作業場内の負圧を管理する方法としては、例えば、当該出入口から作業場内に空気が吸い込まれていることをスモークテスターで確認したり、マイクロマノメーター等により判断する方法があり、一部の作業現場では既に使われている。
なお、先ほど述べました粉じん等を迅速に測定可能な機器により連続的に粉じん等の濃度の増減を監視することも石綿の漏洩防止対策に有効に作用するものと考えられるが、セキュリティゾーンの出入口は、集じん・排気装置の排気ダクト内と異なり、当該出入口周辺に粉じん等が存在しやすい場合が多いため、石綿を測定できる方法でなければ、石綿の漏洩を判断できないということで、施工業者による負圧管理の徹底により、石綿飛散を防止できるというまとめになってございます。
最後、検討結果でございます。建築物の解体等現場における大気中の石綿測定方法及び評価方法について、現状の測定技術、現場での実行可能性、有効性等から、以下のとおりとすることが適当と考えるということで、最後のページでございますけれども、敷地境界等における大気濃度測定については、意図しない石綿飛散が発生していないことを確認するための効果が見込まれ、一般大気環境への影響の確認の必要性を踏まえると、これを基本とすべきものと考えられる。しかし、現時点においては、測定箇所の選定、分析方法等の課題を引き続き検討し、技術的課題を克服して有効な手法を確立する必要がある。
集じん・排気装置排気口からの影響を確認する方法を用い、集じん・排気装置が使用されている全ての特定工事を対象として、集じん・排気装置からの粉じん等の漏洩を迅速に測定可能な機器により測定することを義務付け、集じん・排気装置の不具合の有無を確認することが有効であり、これにより、一般大気環境への石綿の飛散をより効果的に防止できる。
まずは、集じん・排気装置の排気口等からの漏洩監視を徹底させることが重要であり、敷地境界等における大気濃度測定については、現場での調査、測定等の実績を積み、今回の制度改正の施行状況も踏まえ検討を進める。
敷地境界等における測定は、石綿の飛散防止対策の効果の確認や周辺環境への配慮の観点から、事業者自らが行うことが望ましい。さらに、自治体が石綿の飛散がないことを確認するために行うことも考えられる。この場合、漏洩監視の観点からの目安は、現状においては、一般大気環境中の総繊維数濃度の状況を参考に、石綿繊維数濃度1本/Lとするとまとめていただいてございます。
資料の説明は以上でございます。
【浅野委員長】 それでは、ただいま検討会の検討結果をまとめた報告書についてご説明いただきました。以上のご説明につきまして、ご意見、ご質問ございましたら、特にどの部分からということではあまり制限を加える気はありませんので、どの部分についてでもかまいません。ご自由にご意見、ご質問をお出しください。大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 1点確認と1点質問ですけれども、6ページのところの3の義務付けの対象については、結局まだ決まっていないということですが、これは今後どういうふうにしてお決めになるのかというのはちょっとお伺いしたいと思います。
それからもう一点ですが、8ページの最後のところですけれども、測定は誰がするかというのは、なかなか難しいとも思っていますが、理想的には事業者よりは自治体とか第三者がしていただいたほうが、住民のほうから見て信頼性が高くなるということがありますので、事業者自ら行うことが望ましいのかどうかには疑問があります。現時点では自治体のほうも大変でしょうから、致し方ない面があるとは思っているんですけれども、事業者が望ましいというのはどうかなというふうに思いますので、意見として申し上げておきます。
以上です。
【浅野委員長】 ご質問についてはもうひとかた、谷口委員が名札を挙げておられます。谷口委員、どうぞ。その後でお答えいただきます。
【谷口委員】 敷地境界における測定については基本なんだけれども、技術的にいろいろ難しいところがあるので、集じん・排気装置について、作業前、作業後を通した計測によって確認していきましょうと、こういう結論だと思うんですけれども、これが政省令に落ちたときに、どういうイメージになるのかというのがいまいちちょっとぴんとこなくて、例えば吹き付け石綿などでは、作業基準の中に集じん・排気装置を使用することと書かれていて、その後ろに、作業実施前後で計測をするんだという規定を個々に盛り込むということであるならば、例えば前室を設置するというところに対して、そういう維持管理上しっかりやれよ、具体的にこうすべきだよ、それから、薬液を使って湿潤化するという規定がありますけれども、そこのところはこういうことでちゃんとチェックしろよというようなものまで入れていかないとバランスがよくないんじゃないかなというふうに思ったわけです。ですので、ちょっとこれが政省令になったらどういうイメージになるのかなというのが、もしわかるのであれば教えていただければと思います。
【浅野委員長】 それでは、今お二方からご質問の形で出た部分について、神山委員でしょうか、事務局でしょうか、どちらからお答えいただけますでしょうか。ではまず前半については神山委員から。
【神山委員】 前半の6ページの3、義務付けの対象というところですが、これは主語は規模の小さい、あるいは工期の短い特定工事という形でして、いろいろな意見が出まして、50平米以上であれば数日はかかるだろうとか、あるいは20平米以下ですと1日か2日で終わってしまうのではないかというふうないろいろなご意見がありまして、現状は例えば20平米以上は義務付け対象になるとか、50平米以上にするとかということは決められなかったということでこういう書き方になっております。ですから、この点に関してはこの専門委員会でぜひ十分なご議論をいただければという形です。
それから、もう一つが、最後のところですね。事業者自らが行うことが望ましいかどうかということなんですが、これも測定及びそのほかの専門というところで、事業者自らが行わなければならないということまで書き込んでいいかどうかの議論がありまして、これについてもこの専門委員会でぜひ議論いただきたいと、そういう趣旨です。
【浅野委員長】 それでは、後半は事務局から。
【渡辺大気環境課長補佐】 谷口委員からご指摘がありました、省令に落ちたときのイメージということでございますけれども、おっしゃられたような方向で集じん・排気装置の異常の有無を確認することというふうな形で持っていくのかなというふうには考えてございます。また、ご指摘のございましたほかの項目とのバランスというところも出てこようかと思いますが、今後の省令改正の中でまた検討していきたいというふうに考えております。
【浅野委員長】 谷口委員、よろしゅうございますか。
【谷口委員】 そういった中でスモッグテスターの話とか、精密マノメーターの話などが出てくるんだろうというふうに考えます。
【浅野委員長】 とりあえず今回の検討会のご報告の趣旨を考えると、前室のようなものを考えた場合には、他の粉じんが入り込む可能性があるので、なかなかややこしい。だったら直截に集じん・排気装置の排気口のところをターゲットにすれば、当面アスベストという点ではすっきりするのでそれでよかろうという、そういう趣旨だと私は報告書を読んだわけです。ですから、他のことについてはまたちょっと関連する改正ということになると思いますが、当面ここでの直接的にアスベスト規制ということに関してはこんなものかなというように理解しております。
ほかにご質問、ご意見がございますでしょうか。谷口委員どうぞ。
【谷口委員】 すみません。この報告を読んでいて、非常に素朴な感想なんですけれども、石綿の規制をする法律であるにもかかわらず、石綿そのものをはかる場面がないというのはどう考えたらいいのかなというのが素朴にあります。
それはこのレポートを見ていると、技術的に難しいというところがいろいろあって、こういう結論になっているのはわかるんですけれども、例えば、ダイオキシン対策特別措置法においてダイオキシンの測定の精度、これはある程度の割り切りを持った上で決められているし、土壌汚染対策法によるところの土壌の調査、これも一応、どこを測定するのかというところで、かなりデータに違いが出てくると思うんですけれども、一定のルール化をしてやっているということを考えると、ここで技術的な課題がいろいろと検討すべきということだと思うんですけれども、ある種の割り切りを何か設定できるのであれば設定してもらって、できるだけ早く、その敷地境界において石綿そのものをはかるということにもっていかないといけないのではないかなというのが、改めて思いました。
【浅野委員長】 とりあえずご意見として伺っておきましょう。
【外山委員】 今の谷口委員の意見と関連していると思うんですけれども、この報告書自体は大変いいと思います。特に環境省のアスベストモニタリングマニュアルに従って、1ファイバー/L以上のものに関して電子顕微鏡でアスベストを見ていくという、そういう観点が入っているというところです。
ただ、電子顕微鏡というのはなかなかやはり技術的に難しいので、4ページ目の分析方法の2にありますけれども、位相差/偏光顕微鏡を使用するということで、これも確かにアスベストがどうかということを厳密に科学的にこれでできるかと言われるとそうではない方法だと思うんですけれども、私もこれ実際、マニュアル出て以来ずっと研究をして、現場で適用をずっとしてるんですけれども、概ね石膏ですとかパルプですとか、あとはロックウールはもちろんですけれども、そういったものとは区別ができる。それで、天然の鉱物繊維の、しかも微細なものを見ることができるという方法で、ある本当に科学的にはアスベストではないかもしれないけれども、合理性はあると思いますし、その先に電子顕微鏡ということで同定をしていくという、今はこれはいろいろ難しいこともあるかもしれないけれども、そういう方向性は評価できるのかなというふうに思います。合理性があるのかなということで、環境省モニタリングマニュアルの位相差/偏光顕微鏡を使用する方法というのは、いい方法だなというふうに思います。
【浅野委員長】 ありがとうございました。近藤委員、どうぞ。
【近藤委員】 谷口委員のおっしゃることも何となくわかるのですけれども、測定することを進めていくと、測定技術上の問題があると。そこで何が問題かというと、やはりこの1本/Lという基準があまり厳し過ぎるからじゃないかと思うんです。施工区画から明らかに工事の影響として石綿が漏れているということを判断するのであれば、そんなに小さな基準ではなくて、例えば10本/Lとか大きな基準を設定すれば、計測された繊維数が基準値を超えた場合には、明らかに工事からの影響だろうと。そういう判断ができる基準を設ければ、測定技術上の石綿かどうかという判断が難しいというところも、クリアできるんじゃないかという気がしますけれども。
【浅野委員長】 この点は、神山委員、いかがですか。
【神山委員】 その問題はいろいろと議論があった重要な点なんですが、1番の敷地境界等という定義みたいな問題で、実際にはいろいろな状況が考えられまして、学校のようなグラウンドがあるところでの敷地境界から始まりまして、高層ビル等ですと上の階、下の階、あるいはかなり上で工事しているものを地上階で測定してどうなのかとか、そういったいろいろなケースが考えられまして、そういうときに、例えば10本/Lと言ったときに、実際にかなり離れたところでしか測定ができないというときに、果たして離れたところで10本は認められないけれども1本以上はあるというようなことが仮にあったとしたときに、どちらのほうをリスクとして取っておくかというふうな問題もありまして、それであれば、総繊維濃度1本というのは、今のモニタリングで通常であれば絶対に超えないレベルであるというのがここ10年以上の測定でほぼわかっておりますので、それを超えたときには何らかの発生の原因があるということで、それが一つの頼りで1本というふうに決めるというか目安としたいということです。
ただ、建築現場には様々な状況が考えられまして、ほかの現場からの影響があるのではないかとか、そこまで一応考えると、実際面としては、そういうときはどうするかというふうな、ある意味マニュアル的な面も付加しておいたほうがいいのかもしれませんが、一応10本というレベルでは少しもの足りない、漏洩を、敷地境界でモニタするときに少し高過ぎるというようなご意見が多くてこういう形になったということです。
【浅野委員長】 よろしゅうございますか。外山委員。
【外山委員】 それに関連しますけれども、やはり昨年のこの委員会でも報告がありましたオランダのリスク評価値ですとか、あと米国の9.11のクリアランスの問題ですとか、そういったことを見ていくと、やはり1ファイバー/Lという線が妥当なのかなというふうに私も思います。
実際に現場で測定をしていると、1ファイバー/Lというのは、50視野見ると10本くらいアスベスト繊維が見つかるということですので、そのくらい見つかると、やはり現場では何か問題が起きているなというのも、分析者の感覚ですけれども、そういったこともありますので、私もやはり1ファイバー/Lという線が妥当ではないかというふうに考えます。
【浅野委員長】 ほかにご意見がございますか。小林委員、どうぞ。
【小林委員】 今議論されているのは、要するに作業される事業者がどういう実施測定をするかということを検討されていると思うんですが、要するに、作業管理としての測定と、それから一般環境に対して影響があるかどうかの調査、測定ですね、それの何か仕分けを整理する必要性があるのではないか。そういうふうに考えた場合、いわゆる発生源である集じん装置とか、そういうところから出てきたところのチェックと、敷地境界でチェックするという場合、意味が大分違うので、そういう点から行くと、基準値も少し変えてもいいのではないかという気もします。
それからもう一点は、これは事業者に対してこういう測定義務を決めていきますと、それに見合うような、対応するように、いわゆるそれをチェックする規制する側の行政が、それに見合うだけの調査をしなければならないというふうになってきますので、そうなってきた場合、じゃあそれを行政がちゃんとできるのかどうかということも考えていくと、やはり事業者がやる測定と、行政がやる、いわゆる規制側の測定について、少し整理をしてお書きいただいたほうがいいのではないか。そうしないと、これは誰が何をどこでやるのかというのが大分混同して議論されていますので、要するに技術としての問題点と、そういう行政側がチェックするための問題点というのは違うと思いますので、その辺を少し縦分けて整理をしていただいたほうがいいのではないかという感がします。
【浅野委員長】 この点については、事務局から、何かお答えがありますか。
【渡辺大気環境課長補佐】 今回の議論の中でもございましたが、事業者が自主的にやるようなチェック方法、行政がそういった作業停止命令をかけるような分析の方法、そう言った観点から考えるべきではないかというご意見もあったのですけれども、中間答申の中では、作業基準の一環として石綿の漏洩がないことを施工業者が確認ということでございましたので、大気濃度測定をどのような形で事業者に行ってもらうのかということを検討いただいたということです。今回のこの検討会では、事業者がどのようにやっていくのかという観点でとりまとめたものでございまして、行政がどのような形でというような検討にはなってはいないということでございます。
【浅野委員長】 しかし8ページの最後の丸は、これはではどういう意味ですか。自治体が確認をするために行うというときに、目安として石綿繊維数濃度1本/Lを評価基準として管理をするということである以上は、ここは小林委員ご指摘のように、明らかに行政のことを意識した書き方になっているのではありませんか。
【渡辺大気環境課長補佐】 事業者が作業基準の一環として行う測定方法という形で検討したものですけれども、さらに自治体のほうが、例えば立入検査でチェックをする、あるいはクロスチェック的に行うということもあるかもしれませんけれども、そこの部分に違いというものは基本的にはないというふうな想定のもとでまとめたというものでございます。
【小林水・大気環境局長】 重要なご指摘をいただいておりまして、もともといただいた答申と、今回の検討会でのご報告とあわせて検討していくべきだと思いますけれども、もう一回立ち戻って考えますと、そもそも工場の規制は濃度でやっているわけでありますが、作業環境、解体現場においては、いろんな制約条件もあるということで、今のやり方は作業基準というものを設けまして、要するにしっかり封じ込めてやるという方法論の規制をかけております。濃度の規制まではなかったということであります。
これについてどうすべきかという議論をいただいて、やはりここは作業基準を維持するほかないだろうという中で、大変有効な手法である濃度測定をどういうふうにここに組み込んでいくかということがございました。
そういう意味で、従来の作業基準をいわば補完するとか徹底することをしっかり事業者も自覚していただくし、あるいは行政もチェックするという意味で、少なくとも集じん機の排気口などでは測定をいたしますと。これは通常ない濃度が出ていれば、明らかにおかしいということがわかりますので、あまり厳密な濃度基準がどうかというところが、ややクリアする形でできるだろうということがございます。これはぜひやっていきたいというようなのが今回の方向であろうと思っております。
ただ、本来ですとやはり敷地境界でどのくらいかということは、住民の方への説明という意味でも、それから行政が環境を守っていくという上でも非常に重要でありますので、今回の検討会でも相当踏み込んだ方法論に対する検討もいただいたと。そのときにどういう基準で見ていくべきかということについても、かなり前倒しに踏み込んで検討いただいたと思っておりまして、これは非常に有効な見解というのを出していただいたのかなと思っております。
そう言う意味で、規制としては、今日ご議論いただいた上ではありますが、作業基準を補完するような形でできることはしっかり義務付けてやっていくということ。それからさらに、自治体などでも今回の成果を活用していただいて、あるいはリスクコミュニケーションという上でも、敷地境界でも先ほどからいろいろ施行されているというお話もありますので、そういうものについては実際でも試しながら、ここで示されている技術的な検討課題については引き続き詰めていきたい、こういうことではないかと考えているところでございます。
【浅野委員長】 よろしゅうございましょうか。ほかにご意見、ご質問、ございますか。よろしゅうございましょうか。
(なし)
【浅野委員長】 特にご意見、ご質問がございませんようでしたら、出されたご意見のうち、大塚委員から、事業者自ら行うことが望ましいという表現は適切ではないのではないかというご意見がありました。この点に関して、特にどなたからも何もコメントがないのですが、稲垣委員、いかがですか。
【稲垣委員】 私はこういう作業基準等は、まず事業者がきちんと自らやるべきだと。先ほど、小林局長も言われましたけれども、それを補完するという意味で行政がやるというのは大変重要だと思いますけれども、こういうものについて、まず第一義的には私は事業者がやるべきじゃないかなというふうに、私は思っております。
【浅野委員長】 一般的に公害規制のやり方としては、まず事業者に測定義務を課す、そして記録の保存義務を課して、行政はその記録を調べる。その上でいいかげんなことをやっているというようなことがわかればそれをチェックするというのが普通ですね。敷地外でのモニタリングというのももちろん行政がやることはあるわけですけれども、これは直接的に個々の規制対象を想定してそれがどうだこうだということよりは、一般的な観点から一般環境のモニタリングをするというのが普通の形態ですから、今回の場合には、むしろ敷地境界というところに絞りをかけて、そこで自治体が必要な場合にはモニタリングを行うということが望ましいということが言われているわけでして、論理的にはこれまでの公害規制の通年に照らしてもそう大きく外れてはいないというふうに私は思われますがいかがでしょうか。
それと、この4番目の丸は、これは義務付け外の話を書いて、義務付けのほうはむしろ2のところが義務付けになりますから、そこでは少なくとも測定をすることが義務付けられるということになるわけですね。これはもうとにかく規制の本体のこの部分ということになってくるわけです。
ですから、後のほうについて、まず自治体がやれというふうに書き込んでしまうとそれでは、今の体制では自治体もお困りだろうという気もするのですが、小林委員、いかがでしょうか。
【小林委員】 実際には大変難しいと思います。解体現場がどんどん増えていった場合、それに行政がどれだけ追従できるかとなってきた場合、やはり事業者がまずは主体的にやってもらう。そこで、私、よく事業者の方にやれと言うと、規制するのは行政だから行政側でやれよと言われるんですが、そうじゃないでしょうと。あなたたちが行政処分を受けることを防ぐために、自己防衛のために実施測定をやるんでしょうという説明をして、納得していただいているんですが、そういうふうな発想から考えていただいたらどうかなというふうに思います。そういうことから言いますと、先ほど大塚委員のご指摘……。
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
【浅野委員長】 谷口委員、ちょっとお待ちください。森永委員今の話題に関連するご発言ですか、別のことですか。・・・関連することですね。では森永委員どうぞ、先に。
【森永委員】 一律に事業者にどうこう、測定を義務付けるとか義務付けないとかいうことよりも、やはり私は石綿の撤去は、まず事前調査が大事なんですね。事前調査で内装材の後ろにもきちっと吹付け石綿があるという確認ができている場合は、むしろ測定しなくてもいいと思うんです。漏洩防止をきちんと守ることでいいと思うんです。ところが事前調査をちゃんとやられていない場合、そういうものは測定をして、やはりアスベストがあったかどうかという結果論ですけれども、そういうことにつながりますので、事前調査をあまりちゃんとしていないようなところには測定をかけるべきだと。
だから、一概に全て測定せよとかいうことではなくて、きちっと事前調査をちゃんとやられておれば、明らかに撤去すれば、石綿がかなり漏れるということがわかっておれば、それは漏洩防止のことに集中すればいいわけであって、むしろ測定までのお金をかける必要がない。だから一番最初にきちっと事前調査にはお金をかけるべきだということをむしろ推進していく上でも、ケース・バイ・ケースでやはり分けたほうがいいというのが、私の個人的な意見です。
【浅野委員長】 ありがとうございました。お待たせしました。谷口委員、どうぞ。
【谷口委員】 この8ページの事業者自らが望ましいというところだけ申し上げますけれども、いわゆる発生源に対する規制といったときには、やはり事業者が基本的に全ての調査なり環境への影響なりというものが法に基づいて把握すべきものはすると。それで、自治体はそれが適切に行われているかどうかということを確認するということで、そのために報告徴収権、立入検査権が認められている。場合によっては、事業者がやる調査と同じことをやって、事業者のデータと行政のデータがどうかという検証があった上で、不都合がどうしてもあるということであれば、作業基準の場合は一時停止命令に至るわけですけれども、そういう行政上の処分に行くということですので、まずはやるべきことは事業者がやるということが非常に重要だと。一方で、一般環境がどうなのかということは、当然役所もやるべきだということで、常時監視であるとか、石綿の場合はそういうものはありませんけれども、でも年に1回あるいは4回、各自治体でいろいろあると思いますけれども、何カ所かの測定をしていると。
【浅野委員長】 大塚委員、どうぞ。
【大塚委員】 さっき座長がおっしゃったことは、通常の公害についてはそのとおりなんですけれども、通常の公害と同じと考えていいかどうか、多少気になるところはございます。この件に関しては、割と短時間で終わってしまうので、通常の公害と同じに考えていいかどうかという点があると思っています。ただ、自治体が実際に今、その体制がとれないということはそのとおりだと思いますので、それはそれで私もよく理解はしているつもりですが、事業者自ら行うことが望ましいのかどうかというと、望ましいとまでは書いてしまっていいのかどうかというのは多少気になるという点です。
【浅野委員長】 わかりました。ご意見としては理解しました。
森永委員からは、もう少し事業者自らが行うということが一義的にまず出てくるというのが適当じゃないので、ケース・バイ・ケースで考えていいんじゃないかというご意見がありましたが、このあたりは、神山先生、検討会では何かご議論はございましたでしょうか。
【神山委員】 森永先生からも、委員になっていただいて、今と同様なご意見をいただいていますけれども、事前調査、これは極めて大事ですけれども、厚労省のほうの石綿則で、事前調査は相当義務付けられていて、今、心配なのは、その事前調査でミスがあって、あるのにないという判定を下したときにいろいろな問題が起きるということの懸念だろうと思うんですけれども、事前調査を徹底することは基本中の基本ですけれども、この場合、もし事前調査でミスがあったとしても、少なくとも届け出等も含めて完全にノータッチになってしまうと言ったら、誰も測定にも行かないかもしれませんが、そういう意味では、イロハのイで、もし事前調査でないという判定のときにはどうしようもないような状況ではあると思うんですが。それをどうするかという問題は、徹底して事前調査を正確にやるより方法はないのかなと思いますが。
【浅野委員長】 結果的にこれは法制度の中で議論していくわけですから、やっぱり漏れがあるということが全く想定できないわけでもない場合に、そのことに対して一定の歯止めをかけておくというか、枠組みをつくっておくというのがやっぱり制度の役割ということになりますので、その意味で言えば、事前調査が完全に行われていれば一切測定の必要なしということは、論理的にはそのとおりでしょうけれども、完全に事前調査ができないかもしれないという、そのかもしれないというところに制度が顔を出す余地があるだろうと思われます。
それからもう一つ言えば、仮に完全に事前調査を済ませているとしても、多くの優良な事業者さんがやっておられるように、周辺に対しての説得力とか、安心という観点から、念のために工事中もちゃんと調査をされるということは、多くの企業が既にやっておられることです。それから言えば、ここではまだ義務付けまでは言っておらず、望ましいということを書いているわけですけれども、それをやってみて、本当にそれが望ましいということがそのとおりであるのであれば、将来的には規模の小さい業者さんに対しても、やっぱりやっていただかなきゃいけませんということに、次のステップとしては行くだのろうと、いうことを考えます。そう言う理解でよろしいでしょうか。
【神山委員】 委員長のおっしゃるとおりなんですが、事前調査で、あるのに全くないという判定ではどうしようもないですけれども、あるけれどもここの箇所はないとか、いろいろな、いわゆる斑点状にあるなしの判定がされる場合があって、この階は例えばないので養生はそれほどしなくて済む。ところが、外してみると封じ込めがされていて後ろ側に吹付けがあったとか、そういったときには、こういった敷地境界等の測定がなされていれば、一般環境にどのくらいそういう自体のときに検出されたかと、そういう判定で、ある程度事前調査のミスをカバーできる状況も生まれてくるということであれば、考えられますので、またこの委員会、検討会のほうとしましては、必ずしも集じん・排気装置の排出口だけでいいのだという議論ももちろんあったんですが、一般大気への安心をとるという意味で、敷地境界等、それにおける大気濃度測定は、やはり事業者のほうに義務付けてもらいたいという意見のほうが多かったように感じております。
【浅野委員長】 わかりました。ただいまのやりとりについて、ほかの委員から何かご発言がございますか。近藤委員は、何かございますか。ございませんか。では、外山委員、どうぞ。
【外山委員】 やはり事業者自ら行うことが望ましいに関してですけれども、やはり第三者性というか、測定の客観性という意味では、第三者が行うというのが望ましいというふうに書かれるのが自然なのかなというふうに思います。
この委員会の昨年の委員会の中でも、やはり測定と除去の分離発注というような討論もありましたので、事業者自らというよりも、やはり発注者が行うという可能性もありますし、そういう可能性もあるので、ここで事業者自ら行うことが望ましいという、私もちょっと大塚委員と同じように違和感を感じます。以上です。
【浅野委員長】 浅見委員、どうぞ。
【浅見委員】 今の話、もっともなところがあると思うんですけれども、事業者自らがというのが、これが測定を事業者自らが、分析機関へ発注しなくてはいけないということではなくて、分析をどこへ依頼するかが重要な問題だと思います。その分析機関の登録というとオーバーですが、優良な分析機関とか、そういうような制度があれば、その点については問題を解消できるのかなというような印象はございます。
基本的に、外山委員がご心配されているのはもっともなところで、事業者自らがやったときに、どうもきちんとした測定をしないというような話もところどころ耳にすることもありますので、そういう点は何らかの措置が必要かとは思います。
【浅野委員長】 いろいろなご意見が出ていますが、「自らが」という書き方がいかにも自前で全部自分の中で測定するというふうにとられてしまうので、意図はそうではないわけですね。行政側が先に調査をかけるのではなくて、事業者のほうで先にやってくれということを言っているだけですから、あえて「自ら」という言葉を入れなくても、「事業者が行うことが望ましい」ではまずいのですか。自らということによって、不正確な調査を推奨すると理解されることもまずいわけです。きちんとした専門家に依頼することを前提として、という意味も含めれば、これを削ることもありえますね。
それでは、その辺は今の議論を踏まえて、もう少し必要な修文をして報告書ということでしていただきたいと思います。
ほかにございますでしょうか。ほかにご意見が特にございませんようでしたら、なお、残された課題がございまして、これについてその他で後で事務局から説明をしていただくことになると思いますし、それからリスコミ、人材育成といったようなことについても、まだ今後検討しなきゃいけないこともございますが、今後この検討会でご報告いただいた線に沿って、今後省令の準備を進めていただくということでよろしゅうございましょうか。
つまり、こういう理解であります。言ってみれば、大は小を兼ねるみたいなところがあるわけですが、基本的には敷地境界ではかるというのが大防法の考え方であって、先ほど小林委員もご指摘になったとおりですし、大塚委員も前半で言われたとおりですけれども、要するに一般環境が問題なんだからそれを考えて規制をするということが大前提です。労災の話とこれは全然別の話をしてるんだということははっきりしています。しかしながら、現実には、現在の技術から見て、敷地境界線できちんと測定するということについてはいろいろ問題もある。さらにまた、短時間でうまくはかることについても技術的な問題が残っているので、現段階では、直ちに敷地境界だけではかるという方向で、測定方法を円滑に定めることは難しかろうというわけです。そこで、その代わりとして、集じん・排気装置の排気口の漏洩をしっかり管理して、そこではかっておいて、アスベストであるかどうか知りませんが、繊維が出てくるということであればこれは問題があるのだということを調べていただける仕組みにしておけば、それが言ってみれば敷地境界線でアスベスト濃度をはかったことの代替措置のようなものであるというふうに考えて、ある種、みなしの仕組みとする。排気口でちゃんと管理ができていれば、敷地境界線についても管理ができているだろうと、とりあえずみなして、当面法の施行に入ると、こういうことです。
その上で、今後の法の執行状況を見ながら、敷地境界でも念のための測定というのは行われていくでしょうから、特に自治体の測定でかなり漏れがある。幾ら集じん・排気装置のところでの漏洩監視をして問題がないということにしておいても、なおかつ敷地境界線での問題が今後いっぱい出てくるということであれば、それはまたそのときにもっと規制を強化しなければならないけれども、当面はこのやり方でやっても、多分大丈夫であろうという本日示された検討会のご報告を信頼し、当面はこれで改正法をスタートするというのが、今日の専門委員会の、この点に関する結論ということになると思います。このような理解でよろしゅうございましょうか。
谷口委員、どうぞ。
【谷口委員】 冒頭に申し上げたとおり、集じん・排気装置の出口の管理はやっぱりしっかりやるべきだと思うんですけれども、それ以外にも、先ほど言いましたように、薬液による湿潤化であるとか、前室を設置するという基準があったりしますので、そういったものに対しても同様にしっかりやると、具体的にどうするのかというようなことを、今までは事業者が日常の点検としてやっていたもの、これが法律の世界にちょっと顔を出してくるという点で横並びを取っていただければというふうに思います。
【浅野委員長】 わかりました。森永委員、どうぞ。
【森永委員】 平成7年の大防法の時は、固定発生源である石綿工場を想定していまして中へ入れないという、環境のほうは中へ入れないから境界敷地領域という考えをとっていたわけですが、今回はもう一歩踏み込んで、施工区域の境界まで入れるところはそこではかったほうがいい、だからリッターも1本だという考えでいっていますので、そこのところをちょっと、今までの境界敷地領域という考えよりも、もしできれば施工区域の境界という考えでこれを書かれているというふうに私は理解しているのですけれども、そうですよね。そういう意味です。
【浅野委員長】 わかりました。いずれにせよ、大防法の体系的な整理ということを考えた場合には、どちらも同じことなので、要するに環境行政が責任を持たなきゃいけないのは敷地境界の外の話でありますから、それをより明確にはかるためにはどこではかればいいのかという話だと思いますので、言っていることにお互いに矛盾があるとは思っておりません。
それでは、ご了承いただきましたので、この件に関してはこのような形での省令の制定改正に臨んでいただくということにしたいと思います。
なお、この報告について、先ほど「自ら」というところが問題でしたので、もう一度神山委員とご相談しながら、最終報告をどうするかということについてはお任せいただきたいと思います。その上で、今日、専門委員会としては報告書を受理したということにさせていただきます。
それでは、次にその他について、事務局からご説明いただきます。
【渡辺大気環境課長補佐】 その他ということで、1点目ですけれども、資料の2をご覧ください。前回、第9回の委員会におきましてご意見等がございました人材育成ですとかリスコミについてでございますけれども、当面の取組みということで提示させていただいております。
1点目の人材育成についてですけれども、中間答申の中で人材育成に係る部分として、3点ほど出てくるんですけれども、一つ目が事前調査の信頼性の確保についての部分です。この四角で囲った部分が中間答申からの抜粋ですけれども、そこの一番下のところで、事前調査に関して、適正な調査を行うに十分な知識・技能を有する人材等の育成等に加え、適正な調査の実施を確保する方法の必要性を検討することが考えられるということでございました。
人材育成の方法といたしましては、第一段階となるかと考えてございますけれども、まずはマニュアルの作成ということで予定してございます。建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアルの改定ということでございますけれども、直近では平成24年3月に改定したところでございますけれども、今回の法改正内容等を中心に改定していきたいというふうに考えてございます。
それから、登録・資格制度の充実・創設ということで、これは国土交通省さんのほうの取組みになるんですけれども、建築物石綿含有建材調査者の制度化ということで、本年7月30日に国土交通省さんのほうで、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程が定められたということでございます。本日は、国土交通省の住宅局建築指導課の野原補佐にご説明いただけるということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
【浅野委員長】 では、野原課長補佐、よろしくお願いいたします。
【野原建築指導課長補佐】 国土交通省建築指導課の野原と申します。よろしくお願いします。
今年の7月30日付で国土交通省の告示を出しておりまして、そちらのほうで石綿含有建材調査資格者というものの制度化を図っております。それについて、簡単にご説明させていただきたいと思います。資料は左上に「建築基準法による規制等」と書かれているものを用いてご説明させていただきます。
まず1ページ目でございます。若干背景にふれさせていただきますが、国土交通省におきましては、建築物におけるアスベストの飛散による健康被害を防止するために、主に増改築時の除去等を義務付けております。それから、民間建築物のアスベスト調査の推進を図って、調査・除去に対する補助というものを行っております。具体的には、建築基準法における規制ということでは、アスベストの飛散のおそれのある吹付けアスベスト、それからアスベスト含有吹付けロックウール、こういったものを規制しておりまして、まず新築のものについてはこれを使っちゃいけません。それで、既に使われて建っている建物については、増改築等の際には除去、あるいは封じ込めだとか囲い込みといった措置を行うことということで規制をしております。
一方で、大規模な建物について、平成17年から延べ面積1,000平米以上のものに対して、国から公共団体を通じて調査を行っております。アスベスト使用の実態の有無を把握して、使われているものについては対策を求めているというような取組みを行っております。
それに対する補助制度も準備をしておりまして、左下でございますけれども、調査に対しては国が全て負担をすると。除去の工事については、国3分の1、地方公共団体3分の1、事業者3分の1という形で補助制度を設けております。
こういった取組みを平成17年から行ってまいりましたけれども、2ページでございます。平成19年に、総務省において勧告をされまして、小規模の建物をしっかりと調査をするようにと。それから、大規模なものは平成元年までの建物を対象としていましたけれども、それ以降に施行されたものについてもしっかりと把握をして、把握をする方法を検討することという形で勧告を受けております。
これを受けて、国土交通省の中に、社会資本整備審議会アスベスト対策部会というものを、平成17年に設置しておりますけれども、こちらを再開しまして、調査の推進方策を検討してまいりました。
2ページ目の真ん中あたりなんですけれども、その検討の中で、特に建築物がアスベスト調査者の育成というところをしっかりとやると。当面はこれを先行的に検討していくという形で議論を進めてまいりました。
その結果、平成24年の9月の部会では、新たな資格制度を創設すると。内容としましては、国土交通省に登録を行った第三者の機関が講習を実施して資格を付与するという仕組みをつくるということで、国土交通省として検討を進めてまいりました。
3ページでございます。その結果、今年の7月30日付告示で、この建築物石綿含有建材調査資格者の制度化を図っております。制度のフローというところで、国土交通省と登録講習機関、それから受講者の関係を表しておりますが、登録講習機関が国土交通省に講習を行うという講習内容、それから、講習機関の内部組織の体制など、一定の審査を受けて登録を行います。
登録を行った後に、その機関が講習を実施して、修了証明書を交付する。こういった形で受講者のアスベストに関する一定の知識と技能を有する人を法的な資格を持たせて調査を推進していくというようなことで、これから取り組んでまいろうと思っております。
受講者の、どういった方が受講者になれるかというところでありますけれども、左下に受講者の資格というのがありまして、まずは建築に関する知識及び経験を有する者というのを考えておりますけれども、そのほか、例えば石綿作業主任者の方とか、作業環境測定士の方とか、こういった方たちもこの資格を付与される対象として考えております。
講習の内容としては、まずはアスベストに関する一定の基礎的な知識を学んで、その上で調査の手法、それから調査報告書のとりまとめ方など座学をやって、実地研修というのも設けております。それから最終的には修了考査を受けて、合格した方に対して修了証明書を交付すると。
こういった形で、冒頭に申し上げました民間の建築物の調査の推進、それから対策、こちらも推進をしていきたいと考えておりますけれども、環境省、厚労省とも連携をして、環境省、厚労省の中での取組みにこの資格者をぜひ活用いただけるような検討を行っていただきたいというふうに考えております。
ご説明は以上でございます。
【渡辺大気環境課長補佐】 続きまして、(2)番目の立入検査の実施方法等に関する技術的な検討事項についての部分につきましても人材育成に係る部分が書かれておりまして、立入検査対象を拡大する場合には、実務を担当する都道府県等が効率的に立入検査を実施するための環境も整備する必要があるとされているところでございますので、こちらにつきましても、今年度からの取組みということで、具体的にですが、立入検査マニュアルの策定、こういったものに取り組んでいくこととしておりまして、さらに、マニュアルの策定後には、技術講習会等の開催ということで、これは次年度になろうかと考えておりますけれども、そういった取組みを進めていきたいと考えてございます。
もう一点、測定の信頼性の確保についてのところにつきましても、適正な測定・技能を有する人材等の育成というふうなご指摘がございます。こちらにつきましては、大気濃度測定につきましては少し課題があるということで、先ほど整理いただいたところでございますので、こちらは今後の検討とさせていただきたいと思います。
次のページに入りまして、2番目のリスクコミュニケーションについてということで、中間答申の中では、各論の「7.その他」の中の周辺住民への情報開示についてというところが該当してきますけれども、情報開示に関しては、条例に基づく取組や事業者による自主的な取組として石綿除去工事等についての説明会を実施するものも見られると。また、できるだけ早期の情報開示という観点も踏まえ、住民等への説明会等の実施といった更なる自主的な情報開示の取組についても、実行可能性を含めて検討する必要があるとされているところでございます。方策といたしまして、事前調査の結果の掲示、これにつきましては改正法により措置済みでございます。あと考えられるものといたしましては、住民等への説明会等の実施というところでございますけれども、まずは条例等による取組について情報収集していきたいと考えておるところでございます。
参考として書かせていただきましたけれども、条例による対策ということで、事前調査結果の表示ですとか広告物の配布等ということで、川崎市さんなどでの条例等がございまして、例えば広告物の配布等につきましては、境界線から20m以内の住民の方に対して工事内容を周知してもらうといった内容のものですとか、埼玉県さんですと、石綿の除去工事に係る事前周知と相互理解の促進に関する指針というものを出されておりまして、事前調査の実施方法ですとか実施時期等を定めて指針としている事例もございます。こういった取組み状況等をお聞きしていくということも有効と考えているところでございます。
以上でございます。
【浅野委員長】 それでは、私どもの専門委員会で出しました報告のうち、まだこれからさらに取り組まなきゃいけないことについて、これまでの取組み状況と、今後何をしなきゃいけないかということについてご説明をいただきました。とりわけ、資格制度については国交省のほうでもご検討いただいたというお話がございましたので、これらの報告についてご意見がありましたらおだしいただきたいと思います。
なお、リスクコミュニケーションに関しては、さらに専門委員会をもう一度開いて、そこでヒアリングを含めてしっかり討論したいと委員長としては考えております。
どうぞどなたからでも結構ですが、何かございますか。外山委員、何か資格のお話について。ございません。よろしいですか。では谷口委員、どうぞ。
【谷口委員】 1ポツの事前調査の信頼性、立入検査、それから測定の信頼性、ちょっと測定は違うのかもわかりませんけれども、立入検査にしても事前調査の部分にしても、これは僕は基本的にどっちも一緒のことだと思っていまして、先ほど森永委員がおっしゃったように、事前調査がやっぱり極めて重要で、そこのところをしっかりやる。立入検査もそれをしっかり確認していく。じつはリスクコミュニケーションも、そこのところをしっかり説明していくということだと思うんです。
ですので、基本的には事前調査というものの中身をマニュアルでもって明示するということが重要で、こういうことをしないといけないということがマニュアルに定められておって、そこをきっちりやっていますよという説明ができるようにマニュアルができればいいなと思うんです。その一個一個の調査が、専門家がきっちりと抜け落ちることなくやるということで、国土交通省さんのほうのこの調査者の制度化というのは非常に結構なことではないかなと思います。
ですので、マニュアルをどこまで細かくきっちり専門家の意見を踏まえて書くかというところにかかってるんじゃないかなと思います。
【浅野委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問がございますでしょうか。いかがでございましょう。よろしゅうございますか。現在までのところはこんな進み方で進んでいるということでございました。
(なし)
【浅野委員長】 それでは、特段ご質問、ご意見がこれ以上ございませんようでしたら、この議題の2について、その他についても、ここまではこれで終わりということにさせていただきまして、それ以外に事務局からご説明いただくことがありましたら、どうぞお願いいたします。
【渡辺大気環境課長補佐】 資料の3ということで、スケジュールをお配りさせていただいております。
前回の委員会においてお示しさせていただいたスケジュールとなってございまして、本日、第10回の委員会におきましては、大気濃度測定等の検討をいただきまして、アスベスト大気濃度調査検討会の報告内容についてご了承いただいたというところでございます。今後のスケジュールということでございますけれども、本日ご審議いただきました結果を踏まえまして省令改正手続きを進めさせていただきたいというふうに考えてございます。11月に予定しておりました委員会につきましては、開催はいたしませんで、また時期を改めて開催とさせていただきたいというふうに考えてございます。
それから、今後ですけれども、届出義務者の変更等の制度改正内容について、まずは十分な周知徹底を図りまして、改正法の施行に向けましてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
なお、検討課題となっている事項については、引き続き開催時期等、委員長ともご相談させていただきまして、進めていきたいというふうに考えてございます。
【浅野委員長】 それでは、資料の3に11月と書いてございましたが、これは本日ご同意をいただいたということでございますので、これはとりあえず11月は取りやめということにさせていただきまして、次回の開催時期についてはまた改めてご相談をさせていただきたいと思います。
なお、本日の結果については、中央環境審議会の大気・騒音振動部会に報告を申し上げ、省令改正に当たっては、通常の手続でございますけれども、パブリックコメントを行うということになっておりますので、それを受ける形で省令改正が行われるということになろうかと思います。
スケジュールその他について、何か特にご意見はございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。
それでは、小林局長からご挨拶をいただきます。
【小林水・大気環境局長】 今、担当からも申し上げました。審議会でのこれから残る課題についてはしっかりやってもらいたいと思っております。
今回の法改正、届出者を変更するという、制度的には結構大きな改正になっております。これはここでご審議をいただいて、これが有効に機能していくだろうということでやったものでございますが、届出者の範囲がある意味で非常に広がりますので、この周知徹底については、産業界の皆様方など、また自治体の皆様方とも連携をして、しっかり周知して、ビルのオーナーとか発注者側が届出者になったということの意味が発揮されるようにやってまいりたいと思います。
またその議論の過程で、あるいは国会でもございましたが、専門知識はやはり解体業界、従来担っていただいた専門の業者の皆さんにあるというので、それは引き続きしっかり助言をするということで、従来以上に機能を発揮していただく、こういうのが今回の制度の趣旨でございますので、ここは専門業者の皆様方ともご相談をして、これもまたますます力を発揮していただけるように、我々も努力していきたいと思っておりますので、引き続きいろんな形でご支援をいただいて、今回の法改正が実を上げるようにということでやってまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
【浅野委員長】 それでは、ほかに特にご発言ございますでしょうか。よろしゅうございますか。
(なし)
【浅野委員長】 特にご発言がございませんようでしたら、本日の専門委員会は、少し早いのですがこれで終わらせていただきます。
ここまで随分何回も専門委員会を開きましたが、委員の皆様方のご協力をいただきまして、ようやく法改正が行われ、省令の準備もこれからさらにきちっと整っていくだろうと思います。本当にありがとうございました。先ほど申しましたように、リスクコミュニケーションのあり方等について、なお残された課題については、再度専門委員会を開かせていただきますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。
では、あとは事務局、よろしくお願いいたします。
【横井大気環境課長補佐】 本日、ご審議いただきましてありがとうございました。
事務的なご連絡でございますけれども、議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただいた上で、今後公開することといたしております。
それでは、本日の会議はこれにて終了といたします。どうもありがとうございました。