中央環境審議会大気・騒音振動部会 石綿飛散防止小委員会(第4回) 議事録

1. 日時

平成31年4月26日(金)10:01~12:21

2. 場所

経済産業省別館312各省庁共用会議室3階

3.出席者

(委員長)

大塚 直

(臨時委員) 

大迫 政浩

島  正之

勢一 智子

高岡 昌輝

武林 亨

谷口 靖彦

山神 真紀子

(専門委員)

浅見 琢也

出野 政雄

笠井 賢一

神山 宣彦

小坂  浩

外山 尚紀

中村 弘造

廣田 善夫

本橋 健司

吉住 正浩

渡辺ゆかり

(環境省)

田中水・大気環境局長

上田審議官
高澤大気環境課長
青竹大気環境課課長補佐
前田大気環境課課長補佐
秋山大気環境課課長補佐
吉田大気環境課課長補佐

4. 議事次第

  1. (1) 今後の石綿飛散防止の在り方に係る論点について①

    (2) その他

5. 配布資料

資料1
中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会委員名簿
資料2
今後の石綿飛散防止の在り方に係る論点の整理
資料3-1
特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去作業時の石綿飛散防止(関係情報の整理)
資料3-2
特定建築材料以外の石綿含有建材(レベル3建材)除去作業時の石綿飛散防止(論点と対応の方向性)
資料4-1
事前調査の信頼性の確保(関係情報の整理)
資料4-2
事前調査の信頼性の確保(論点と対応の方向性)
資料5
今後の検討スケジュールについて(案)
参考資料1
これまでの小委員会でいただいた意見と論点の整理の対応
参考資料2
大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業の立入検査等について
参考資料3
中央環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会
参考資料4
石綿飛散防止に関する法令(抜粋)
参考資料5
建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル2014.6 環境省

6.議事

【高澤大気環境課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第4回石綿飛散防止小委員会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ、また、足もとの悪い中、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。私は本日の司会を務めさせていただきます大気環境課長の高澤でございます。

 本日の会議は、小委員会の運営方針に基づきまして、公開とさせていただいております。

 委員の皆様の出席状況でございますが、武林委員のほうは少々遅れておりますが、委員19名中18名の委員の方にご出席をいただいておりまして、定足数に達していることをご報告させていただきます。

 今回、委員の交代がありましたので、ご紹介をさせていただきます。一般社団法人日本経済団体連合会の高澤委員が交代されまして、後任の吉住委員が就任されております。

【吉住専門委員】 吉住でございます。よろしくお願いします。

【高澤大気環境課長】 よろしくお願いいたします。

 続きまして、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。議事次第のほう、タブレットを開いていただきますと、配付資料一覧を記載させていただいております。本日は紙の資料といたしましては、ただいまお配りしました座席表と、資料の3-1、3-2、4-1、4-2は、紙資料で配付をさせていただいておりますけれども、そのほかの資料につきましては、タブレットを使用して閲覧いただきますようお願いいたします。タブレットの不調や資料データの不足、操作上の不都合等がございましたら、お近くの事務局の者までお申しつけ願います。

 傍聴の皆様方におかれましては、昨日、環境省のホームページに掲載いたしました資料について、お持ちのノートパソコン、タブレット等の端末に保存し、ご覧いただくなど、ペーパーレス化へのご協力をお願いしているところでございます。そのため、既にホームページに掲載済みの資料については配付をせず、資料の3-1、3-2、4-1、4-2を配付させていただいております。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 また、傍聴の皆様におかれましては、会議の妨げとならないようご静粛にお願いいたします。遵守されない場合にはご退場いただくことがありますので、ご留意願います。

 委員の皆様方におかれましては、飲み物につきまして、ワンウェイプラスチックの使用削減に係る環境省の取組みの一環として、水筒などのマイボトルのご利用をお願いしております。なお、セルフサービスにはなりますけれども、会場の2カ所にお水をご用意させていただいておりますので、ご自由にご利用いただければと思います。ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 報道関係者の方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降のカメラ撮りはご遠慮いただきますよう、ご協力をお願いいたします。

 それでは、これ以降の会議の進行につきましては大塚委員長にお願いいたします。大塚委員長、よろしくお願いいたします。

【大塚委員長】 はい。それでは、議題に入りたいと思います。

 まず、議題の(1)でございますけれども、今後の石綿飛散防止の在り方に係る論点についてでございます。本日は論点についての1回目ということでございまして、二つの課題について議論してまいります。事務局から資料を説明していただいた上で、区切って議論していきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。本日は2時間の会議でございますけれども、内容が盛りだくさんとなっておりますので、議論の状況によっては、若干の終了時刻の延長をお願いすることになると思いますが、この点についてもよろしくお願いいたします。

 では、事務局から説明をお願いします。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい。それでは、事務局から、資料に沿って説明をさせていただきます。まず資料2でございます。「今後の石綿飛散防止の在り方に係る論点の整理」でございます。こちらにつきましては、第1回の小委員会で論点案ということでお示しさせていただきました後に、2回、3回とヒアリングを行いまして、ヒアリングの内容ですとか、皆様からいただいた意見をもとに整理させていただきました。

 資料2をご覧いただければと思います。まず、資料2の2ページでございますが、こちらは、改めまして、大防法の石綿規制の概要を記載してございます。まずは受注者さんが石綿含有建材(特定建材)の有無の調査(事前調査)を行うということになりまして、石綿(特定建材)があったときには、発注者が都道府県等に届出を行った上で、解体工事等の施工者が基準を遵守して除去を実施するというのが、現行の大気汚染防止法の流れになってございます。

 次の3ページからでございます。これまでの議論を踏まえた論点の整理でして、いただいたご意見の概要は、同じタブレットの中に参考資料1として、意見概要と対応する論点としてまとめさせていただいておりますけれども、それらを整理しまして、論点をそれぞれのテーマで整理させていただきました。 

 まず1番目、レベル3建材の除去等作業時の石綿飛散防止についてでございます。こちらについては、レベル3建材が使用された建築物等の解体等工事について、規制基準を設けるべきではないかという論点。2点目が、大防法の規制の対象とするレベル3建材及びその飛散性に応じた飛散防止方策を検討するべきではないかという2点でございます。

 2番目に事前調査の信頼性の確保でございます。こちらは数が多いので小見出しをつけておりますが、まず、事前調査の方法の明確化というところで、事前調査の方法を法定化する等の明確化が必要ではないかという論点とさせていただいております。2番目に、事前調査の結果の記録・保存の在り方というところでございます。事前調査の適切な実施が確認できるよう事前調査の結果、あるいは受注者から発注者への説明内容の記録と、あと保存の在り方の検討が必要ではないかという点。あと事前調査の結果や解体工事が始まってからでないと確認できない場所等の情報が、事前調査を行う受注者から現場に作業する者に伝達されるような措置が必要ではないかという2点で挙げさせていただいております。

 次のページ、4ページをご覧ください。事前調査の信頼性の確保の続きでございます。3番目に、一定の知識を持った者による事前調査の実施ということで、事前調査に係る実施者の要件を明確化する必要があるのではないかということです。例えば国土交通省、厚生労働省、環境省の三省共管となった建築物石綿含有建材調査者講習登録制度について、活用していけないかという点。

 4番目でございます。事前調査の結果に基づく簡易な届出等による解体等工事現場の把握でございます。事前調査を徹底し、石綿の飛散を防止するため都道府県等による解体工事現場の把握が必要ではないかという点。

 最後、5番目ですが、労働安全衛生法石綿障害予防規則との連携・統一でございます。労働安全衛生法の下での対応との連携ですとか、可能な場合には規制内容等の統一により、規制効果の向上や関係者負担の合理化を目指すべきではないかという点でございます。

 次の5ページでございます。3番目に、特定粉じん排出等作業中の大気濃度の調査でございます。こちらについては、その排出等作業においてどのようにモニタリングを実施するのかというところ、これを一つ挙げておりまして、さらに迅速測定法は、従来法ですと時間がかかるところを短縮できる方法について、どのように活用できるかという点、2点ございます。

 4番目に特定建築材料の除去作業が適切に終了したことの確認でございます。取り残しの有無ですとか、除去作業が計画どおりに終了したことの確認を行うよう定める必要があるのではないかという点。次に、確認の適切な履行の担保の方策、これを定めるべきではないかという点、この2点でございます。

 最後、5番目、その他ということですが、制度の履行の促進についてというところでございまして、発注者、施工者等に対するさらなる普及啓発をいかに進めるべきかという点。制度の履行担保の在り方について、改善を目指すべき点は何かというところでございます。

 論点としては、大きなくくりでまとめさせていただきまして、最後に6ページです。これは参考というか、全体イメージを示しておりまして、今回、論点は五つございますけれども、そのうちの少し太枠にしています1番目と2番目、特定建築材料以外の石綿含有建材、いわゆるレベル3建材の除去時の作業時の石綿飛散防止についてと事前調査の信頼性の確保、この2点について、今回は議論をお願いしたいと考えてございます。さらに、この図の中で青い部分が現行法の大体の流れになっているのですけども、その中で3番、4番、特定粉じん排出作業中の大気濃度の測定、特定建築材料の除去作業が適切に終了したことの確認。あと、全体に係る部分でございます5番目、その他、制度の履行の促進についてのこの3点については、次回の小委員会でご議論をお願いしたいと考えてございます。

 資料2の説明は以上でございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、ただいまの説明につきまして、参考資料1にご意見と論点の対応が整理されております。特段のご意見がなければ、この論点整理で進めさせていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 では、吉住委員、お願いします。

【吉住専門委員】 経団連の吉住です。議論を始めるに当たり、産業界を代表して、説明いただきました点について、基本的な考えを簡単に申し上げます。

 石綿の飛散防止対策は、当然のことではありますが、我々産業界においても、真摯に取り組むべき非常に重要な課題であることを、まず申し上げます。その上で、国や自治体、あるいは解体工事の発注者、受注者、それぞれの立場もあり、施工者の立場もあります。これら関係者が非常によいコミュニケーションをもち、さらに適切に役割分担をして、合理的で実効のある制度としていただきたいと考えます。また、労働安全衛生法(労安法)をはじめとする関係法令等との整合性の確保も大事であると思っております。

 加えて、実行・実施に当たり、それぞれの組織、あるいは産業界において、体制をしっかりと整えた上で、石綿飛散防止対策として実効性を上げることが重要と思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

【大塚委員長】 はい。ありがとうございます。

 では、外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 前回までに、私申し上げていなかったんですけれども、前回の開催のときに除去業者のライセンス制という話を、私、提案さし上げて、その議論をされたと思いますので、ぜひ、これもご議論していただきたいと思います。英国とか米国では、もう当然のように除去業者のライセンス制で厳しく管理をしているという現実がありますので、ぜひ検討いただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 事前調査の実施のところの、この講習登録制度だけでは、ちょっと足りないということですか。

【外山専門委員】 講習では、調査の講習ではなくて、除去業の業自体のライセンス制です。許可制なり届け出制なり、ライセンス制ということです。

【大塚委員長】 はい。ほかにはいかがでしょうか。

 今のご質問に関しまして、事務局はいかがでしょうか。

【秋山大気環境課課長補佐】 ご質問ありがとうございます。今、外山委員からお話がありました件につきましては、次回の議論の中の、5の制度の履行の促進についてというところで、また議論させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

【大塚委員長】 はい。では、そのようにさせていただきたいと思います。

 よろしいでしょうか。

 では、続きまして、資料の3-1、3-2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 環境省大気環境課の吉田でございます。よろしくお願いいたします。資料の3-1、3-2についてご説明さし上げます。委員の方々には席上に資料3-1、3-2は紙で配付させていただいており、またタブレットのほうにもデータで入れさせていただいております。

 まずは資料3-1と3-2でございますけれども、資料3-1に、まずは関係する議論に際して、関係の深い情報を整理してございます。資料3-2にそれぞれ、先ほど資料2で示しました論点に対する方向性の議論をする資料となっておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、資料の1、関係情報の整理について説明いたします。まず、めくっていただきまして2ページ目でございます。こちら、過去の経緯を載せてございます。まず平成25年2月の中央環境審議会の中間答申におきまして、レベル3建材についても、実態を明らかにし、検証した上で必要な措置を検討するということと、届出の対象とする場合には極めて多数に上ることから都道府県による対応の可能性と飛散リスク、石綿則に基づく事前調査の結果の活用の可能性を考慮して検討するということで、検討事項として残されていたところでございます。

 2ページ目の米印でございますけども、この資料ですね。検討におきましては、特定建築材料以外の石綿含有材料というものを、レベル3建材というふうに整理させていただきたいと思いまして、石綿含有成形板等ですとか、あとはローラー塗り等により施工された石綿含有仕上塗材があるという整理で、議論を進めさせていただきます。

 めくっていただきまして、3ページ目でございます。こちら、レベル3建材の説明を載せてございますけれども、特定建築材料の除去作業に比べて相対的に石綿の飛散性が少ないということから、現在におきましては大防法における規制対象外となってございます。しかし、レベル3建材の除去の作業における石綿の飛散性というものは、可能性は指摘されてきたことでございますので、環境省としましても、従前よりマニュアルですとか通知において、そういう飛散防止対策を周知しているということでございました。

 めくっていただきまして、4ページ目でございます。こちらがマニュアルで環境省が従前に示したものを抜粋して記載させていただいております。レベル3建材の除去作業におきましては、手作業により、できるだけ原形のまま石綿含有成形板を取り外すことを求めつつ、解体作業現場の養生ですとか湿潤化、あと後片付けについて求めているというような状況でございます。

 めくっていただきまして、5ページ目でございます。5ページ目は、石綿含有成形板の出荷量について情報を整理しております。過去50年、輸入された石綿のうち、約8割が建築材料として使用されていて、そのうち、また9割が石綿含有成形板等に使用されていると推定されるというようなデータがございます。こちら、出荷量も参考として載せてございます。

 めくっていただきまして、6ページ目でございます。今回議論をするに当たりまして、情報を整理する対象を整理してございます。石綿含有建材の過去の出荷量ですとか、あとは石綿含有成形板等の使用箇所を考慮しまして、6建材について、主な代表的な事例として情報を収集、整理してございます。6ページ目の表のところの黄色塗りのところが対象の建材でございますけれども、スレートボード、けい酸カルシウム板第1種、スレート波板、押出成形板、屋根化粧スレート、ビニル床タイルというものを対象として、情報を整理してございます。

 めくっていただきまして、7ページ目でございます。こちらは以後、現場での調査結果ですとか、実験経過を整理しているところになりまして、まず2-2におきましては、作業現場における測定事例を文献調査により整理した情報を載せてございます。こちら、石綿含有成形板の除去作業近傍での石綿の飛散が確認された事例があったというものを、表2で示してございまして、黄色塗りのところが、石綿繊維の測定を各文献調査でまとめたところの最小値と最大値というものを整理してございます。

 また、8ページ目、めくっていただきまして、こちら、作業現場で環境省が実施した調査もございますので、その環境省実施調査についてまとめてございます。環境省が実施した事例におきましては、けい酸カルシウム板第1種の除去作業近傍で、最も石綿の飛散が確認された事例がございます。そこを表の中、黄色塗りのところで示してございます。また、下部の四角の中で記載してございますけれども、手作業で撤去した後、石綿含有成形板をフレキシブルコンテナに入れるために破砕・切断を行った際に、石綿の飛散が確認された事例もあったということが報告されておりますので、こちら、整理して載せてございます。

 めくっていただきまして、9ページ目でございます。こちら、9ページ目では、実験、チャンバーの中で建材を破砕して、実験して、繊維の飛散性について確認したというものの事例を、文献調査と環境省調査におけるものをまとめて示してございます。こちら、レベル2建材と石綿含有成形板等の破砕に伴う繊維の飛散性について比較した表になってございまして、下のところで、向かって左側が湿潤化なしの条件で比べた場合、右側が湿潤化ありの条件で比べた場合ということでなってございます。レベル2建材とレベル3建材、見比べていただきますと、湿潤化していない場合におきましては、石綿含有成形板はレベル2建材より概ね低い水準であったということで確認されておりますが、けい酸カルシウム第1種板についてはレベル2建材と同程度の水準であったということでございます。湿潤化した場合でございますけども、こちらは総じて、調査した全ての石綿含有成形板について、レベル2建材より概ね低い水準であったということが確認されてございます。

 めくっていただきまして、10ページ目でございます。こちらでは現場における事例から、各石綿の飛散防止方策をとったときと、そうでない場合ということで、比較検討を行っている資料になってございます。まず10ページ目は、原形のまま外した場合と、そうではなくて破砕してとった場合ということで比べております。従前から石綿含有成形板におきましては、原形のまま取り外してですとか、養生、湿潤化による工法が有効だということで確認されておりましたので、そのことを確認するということで、現場で調査を行っております。

 10ページ目の下のところの表でございますけれども、同じ建材を湿潤化ありなしで比較して、過去の文献調査、環境省の行った調査をまとめて整理してございます。総じて、赤色の破砕して除去したところの総繊維のほうが、原型のまま外したところよりも高いということで、原形のまま外すことによって、飛散が抑えられるということが見えるということになってございます。

 めくっていただきまして、11ページ目でございます。こちらが養生を行った箇所における養生の効果の検証になってございます。環境省が実施いたしました調査におきまして、けい酸カルシウム第1種板の結果を黄色塗りで示してございます。こちら、養生の内側では総繊維が600から910、石綿のほうが81から270ということですけれども、養生の外では総繊維が0.11から1.1、石綿のほうが0.2ということで、養生の外において、十分に飛散が抑えられていることが確認できたという結果になってございます。

 めくっていただきまして、12ページ目でございます。こちらは実験の事例から、湿潤化の効果について検証したデータをまとめてございます。各建材ごとに、表のところ、図3でございますけれども、湿潤化なしの場合が赤色、湿潤化ありの場合が青色ということで示してございます。こちらは確認いたしまして、飛散による繊維を、湿潤化することにより抑えられているということが、総じて確認できているという結果になってございます。

 13ページ目でございますが、めくっていただきまして、13ページ目でございますが、こちらは、環境省が実施した調査のほうを参考までに詳細を載せてございますので、参考としていただければと思います。

 めくっていただきまして、14ページ目でございます。こちらから石綿含有仕上塗材についての整理をまとめさせていただいてございます。石綿含有仕上塗材につきましては、建築物の内外装仕上に幅広く用いられている左官材料として用いられております。こちらは、昭和40年から平成11年ごろについて、石綿が添加されているというような情報がございます。また、施工方法につきまして、吹付け工法というローラー塗りによって、塗って仕上塗り材をつけているという状況、施工方法があるということがあります。また、断熱材とか耐火被覆材、吸音材等で用いられているものと、吹き付けられているものがございまして、そちら、性状が異なっているということが確認されております。下のほうの表6で示してございますけれども、石綿含有仕上塗材につきましては、概ね0.1%から5%の石綿含有量となってございますけども、こちら、軽量塗材として使われているものについては、また含有量が異なっているという状況でございます。

 めくっていただきまして、15ページ目でございます。石綿含有仕上塗材につきまして、現状の整理でございます。現状は、吹付け工法により施工された石綿含有仕上塗材につきましては、大防法上の「吹付け石綿」に該当するというふうに整理してございまして、これを除去する作業の場合には大防法の規制対象になっております。ただし、一方、ローラー塗りにより施工されたものにつきましては、大防法の規制対象としておりませんけれども、適切な飛散防止の措置について、環境省の通知により周知しているところでございます。また、同通知におきましては、隔離の措置と同等の効果を有する措置として、石綿含有仕上塗材の除去方法について例示してございまして、集じん装置を併用したり、剥離剤を併用する場合は、このような工法に当たるということを周知してございます。

 16ページ目でございます。石綿含有仕上塗材の飛散性の実験をした結果を整理して載せてございます。こちらは文献調査によるものになりますけれども、一番飛散性が高いというものに、工法におきましては、ディスクグラインダーの粉じんカバーをつけていないというものが、総繊維では最も高かったということでございます。しかし、そちらのほうの石綿繊維数濃度を測定しましたところ、4本と8本ということで、総繊維に比べると非常に低い値であるということが確認されております。その辺りが、現在、耐火目的で使用されている吹付け石綿のデータを比較参考として、参考として表の一番下に載せてございますけれども、総繊維濃度が高かった場合、石綿繊維濃度も高いということが、その他、吹き付けられた石綿の特徴としてありますので、状況は異なるということが確認されております。

 めくっていただきまして、17ページ目でございます。石綿含有仕上塗材の作業現場における測定事例を整理して載せてございます。石綿含有仕上塗材の除去作業の作業現場で行った結果でございますけれども、こちら、剥離剤塗布ですとか、集じん装置付きという工法を使うことによって、石綿を十分に、飛散を十分に抑制できているということが確認されたという結果になってございます。

 めくっていただきまして、18ページ目でございます。こちらは関係法令におけるレベル3建材に係る規制について整理してございます。石綿則におきましては、石綿含有成形板及び石綿含有仕上塗材の除去作業におきましては規制の対象となっております。この場合、事前調査の実施、湿潤化等の作業基準の遵守等の規制事項がございます。また、作業実施の届出については不要となっている整理でございます。また、廃棄物処理法におきましては、石綿含有産業廃棄物として適正処理のための基準を設けております。また、建設リサイクル法におきましては、特定建設資材廃棄物の分別のため、吹付け石綿その他の建設等に用いられた特定建築資材について、付着したものの除去というのを工事の前に必要な措置の実施を義務づけられているという状況でございます。

 めくっていただきまして、19ページ目でございます。石綿則におきましては、今回検討する大防法と非常に関係の深い法令でございますので、詳しく規制について、参考までに整理してございます。こちら、向かって左側が、石綿則における石綿含有成形板等に係る規制を載せておりまして、また、さらに厚生労働大臣が大臣指針、徹底マニュアル、大臣指針として示したものとマニュアルで示したものがございますので、こちらについて向かって右側で整理してございます。石綿含有成形板につきましては、事前調査を行って、湿潤化等の作業基準を遵守するという内容になってございます。

 めくっていただきまして、20ページ目でございます。こちらが、現在、厚生労働省におきましても石綿則におけます基準について検討を行っておりますので、そちらの状況をまとめ、ワーキンググループの資料から抜粋して整理して、参考までに載せてございます。新たな簡易届出の対象ですとか、湿潤化等の発散要請措置、また建築用仕上塗材について、また、その他ということで、今回、大防法における検討と関連の高い内容について検討を行っておりますので、中を参考までにご確認いただければと思います。

 めくって21ページ目も、同じく続きで、厚生労働省における検討状況を載せてございます。

 めくっていただきまして、22ページ目でございます。都道府県等における取組を22ページ以降まとめてございます。こちら、レベル3建材に関しましては、都道府県による規制・指導について、条例を根拠にして指導しているところは28都道府県等、その他の根拠に基づき指導しているところが59都道府県等ということで回答をいただいております。また、特段対応を行っていないという回答をいただいたところは、44都道府県等ということになってございます。主な取組としましては、事前調査の実施ですとか、作業実施の届出・報告、事前調査結果の掲示、作業基準、作業内容の掲示、報告徴収が挙げられてございます。また、都道府県からの意見としましては、レベル3建材を作業実施の届出対象とした場合は、負担が増加し対応が困難ですとか、自治体及び事業者における知識不足という要因がありますということですとか、関係法令において方向性を合わせるべきといった意見が主に寄せられてございます。

 めくっていただきまして、23ページ目でございます。こちら、紙で配付した資料で、1点修正がございます。すみません。赤枠のところの上の枠でございますけど、ポツの二つ目でございます。年間約4万9,000件から32万件を超えるという推計のところは、年間8万件のところで、4万9,000を8万というふうに紙の資料を直していただければと思います。こちら、レベル3建材を仮に届出対象とした場合の年間の届出数について推計したものでございます。現状、自治体、都道府県等におきまして、条例に基づき届出を求めているところの数と、あと従来の大防法における規制の届出の数というのを比較しましたところ、約5倍から20倍になったというところでございますので、現在、年間1万6,000件の届出があるということから、8万件から32万件を超えるというふうな推計を行ってございます。

 めくっていただきまして、24ページ目でございます。24ページ目におきましては、自治体における体制ですとか、立入検査の実施状況について確認を行った情報を整理してございます。こちらにおけますと、表の、図4でございますけれども、こちら、赤色で示したところが兼務をしている職員のみの都道府県等の数、また、専任職員のいる都道府県等の数については青色の背景で示しておりますが、ほとんどのところで兼務を行っている職員のみで回しているという状況でございます。また、立入件数におきましては増加傾向でございまして、平成29年度におきましては3万1,876件ということで、前年度に比べて数が伸びているということでございます。また、行政指導件数も5,660件に大きく増加してございます。

 めくっていただきまして、25ページ目でございます。こちらは、そのような立入検査の中で、自治体から不適切な事例ということの報告が上がってございまして、石綿含有成形板については18件、仕上塗材につきましては1件ということで来ております。こちら、主な内容としましては、養生、湿潤化等の飛散防止措置を実施しなかったですとか、そういうようなところで来ておりますので、表11でまとめてございます。

 めくっていただきまして、26ページ目でございます。こちらは海外におけるレベル3建材の除去作業に係る規制を、概要をまとめさせていただいてございます。アメリカにおきましては、レベル3建材については、脆弱化した建材の除去及び建材の破砕に伴う作業が規制対象になってございます。英国、ドイツ、韓国におきましては、レベル3建材の除去作業を含めて、全ての建材が規制の対象とはなってございますが、レベル3建材については一部の規制の適用が緩和されているという状況でございます。

 めくっていただきまして、27ページ目でございます。こちらは、文中整理しました参考資料、文献一覧を載せてございます。

 資料3-1については以上でございます。

 続きまして、資料3-2について説明いたします。資料3-2でございますけれども、こちらは、先ほど資料2で示しました論点につきまして、それぞれ対応の方向性ということで議論をいただきたいと思っております。

 まずは、めくっていただきまして、2ページ目でございますけども、こちらは、レベル3建材に使用されている建築物の解体作業につきまして規制基準を設けるべきではないかという論点についての議論でございます。こちら、先ほど示しましたように、レベル3建材の除去作業を近傍においても石綿の飛散が確認されていることがございますし、また、適切な飛散防止措置を行われない場合には、周辺の大気中に石綿が飛散するおそれがあるということから、方針といたしましては、レベル3建材が使用された建築物等の解体等作業につきましては、建材の種類、除去工法、工事の規模にかかわらず全て大防法の規制対象とすべきではないかということで、対応方針の一つ目にしてございます。また、二つ目の丸でございますけども、規制対象にするに当たって、大防法に設けられている規制の枠組みそれぞれについて、レベル3建材についても適用するか否かということを検討していくべきではないかということですとか、石綿則での規制の内容も勘案して検討していくべきではないかということで、整理させていただいております。

 こちら、めくっていただきまして、3ページ目でございます。丸の2ポツ目で並べました現在の大防法における特定建築材料の規制概要を記載してございます。こちら、頭の整理がつくようにということで記載しておりますけども、まず四角の、向かって左側、大防法の規制内容でございますが、四角の線のところは、現在規制がかかっている内容を整理してございます。また、点線のところは、今回の議論、また次回、小委員会の議論で検討対象となっている内容について記載してございますので、この順に沿って、レベル3建材についても、それぞれ検討していくということで考えてございます。

 めくっていただきまして、4ページ目でございます。こちらが、まずはレベル3建材の除去に係る規制の枠組みということで、事前調査について対象とすべきか否かということで、検討する方針になってございます。解体等工事に伴う石綿の飛散を防止するためには、そちらの石綿含有建材の使用状況が適切に把握されているということが大前提であるというふうに考えられるということがあります。また、現在の大防法においては、発注者と受注者の関係に関しまして、事前調査の実施主体については、専門的知識を有する受注者としているということがございます。また、工期や費用などのさまざまな面から発注者の理解・協力を得る必要があるということから、発注者の関与、適切な役割分担は引き続き重要であるというような要因があると思ってございます。

 このようなところから、対応方針といたしましては、事前調査の実施につきまして、レベル3建材に係る調査の実施については、特定建築材料と同様に、受注者に義務づけるべきではないかということでしてございます。また、事前調査の結果の発注者への説明、事前調査結果の掲示等につきましては、特定建築材料と同様に、受注者に義務づけるべきではないかということでございます。

 めくっていただきまして、5ページ目でございます。こちらはレベル3建材の除去に係る規制の枠組みということで、作業基準についての検討の資料になってございます。レベル3建材の除去作業近郊におきましても、石綿の飛散が確認されたという事例がありましたということですね。また、レベル3建材の除去工事においては養生、湿潤化等の飛散防止措置を実施せずに建材を破砕した事例等の不適切な事例が確認されたということから、現状の通知やマニュアルに基づく指導には強制力がないというところもあり、事業者に対して飛散防止措置の実施を求めることについて、一定の限界があるというような状況もございます。

 以上のような状況を踏まえまして、レベル3建材の除去作業については、通知やマニュアルに基づく指導を行うだけではなくて、大防法の下に作業基準を規定して、飛散防止措置の実施を明確に義務づけるべきではないかということで、方針とさせていただいております。

 めくっていただきまして、6ページ目でございます。続きまして、作業の届出についての検討の資料になってございます。現在、大防法で規制対象になっている特定建築材料におきましては、当該作業の計画について、都道府県等に作業開始の14日前までに届け出させるということをさせておりまして、また、都道府県等が当該計画を事前に確認し、必要に応じて計画変更命令を出すというような仕組みになっております。また、ただし、レベル3建材につきましては、現形のまま外すですとか、養生、湿潤化等の措置を適切に実施することによって、隔離、負圧等の措置によらず石綿の飛散を十分抑えられることができるというようなことが調査結果から確認されているということですとか、また、レベル3建材の除去計画については、このような養生、湿潤化といった解体等工事の一般的な知識を用いて、適切に作業計画を策定することが十分であるということから、都道府県等が事前に計画変更命令を行う場面は少ないのではないかというふうに考えられます。

 このことから、対応方針といたしましては、レベル3建材につきまして、特定粉じん排出作業の実施の届出を求めないということを基本としてはどうかということで整理しております。また、ただし、都道府県等への届出を求めないという場合においても、作業の方法や作業時の石綿飛散防止対策を求めた作業計画については、作業開始前に策定するよう、施工者に対して義務づけるべきではないかというふうに方向性としてございます。

めくっていただきまして、7ページ目のところから、論点のもう一つの論点について整理しておりますけども、大防法の規制対象とするレベル3建材及びその飛散性に応じた飛散防止方策についての検討の資料になってございます。まず、7ページ目は、石綿含有成形板についての検討資料になっております。こちら、現地調査ですとか実験事例から、原形のまま外す、養生または湿潤化により、これらの措置を実施せずに破砕した場合に比べて、飛散を抑制されるということが確認されております。

 このことから、7ページ目の下の方針のところでございますけれども、石綿含有成形板等につきましては、建材を原形のまま外すということを原則としつつ、湿潤化等の飛散防止措置を内容とする作業基準を定めるべきではないかということで、方針としております。また、接着剤等で強力に建材が接着している場合は、なかなか原形のまま外すことが困難な場合ということもあるかと思いますので、そのような場合は、建材の種類や除去工法に応じて、十分な飛散防止対策が実施されるよう養生ですとか、湿潤化等の飛散防止策を、措置を内容とする作業基準を定めるべきではないかというふうに整理してございます。

 めくっていただきまして、8ページ目でございます。続きまして、石綿含有仕上塗材につきましての検討資料となってございます。こちら、石綿含有仕上塗材につきましても、除去の工法によっては、一部高い繊維の飛散性を確認している実験事例がございました。ただし、耐火目的等で使用されている吹付け石綿とは異なるということが確認されております。また、石綿含有仕上塗材につきましては、剥離剤の塗布ですとか、そういう措置によって、作業近傍における飛散というのが抑制されているということが確認されております。また、石綿含有仕上塗材については、屋外で使用されるケースも多く、剥離等の措置によらず、粉じんの飛散を抑制する方法が既に環境省通知等で示されておりまして、方法が確立されている状況でございます。

 このような状況を踏まえまして、方針のところでございますけれども、石綿含有仕上塗材につきましては、吹付け方法、ローラー塗り、工法にかかわらず、ほかの石綿含有建材とは別に、石綿含有仕上塗材独自の作業基準を適用するということにすべきではないかということで、方針とさせていただいております。

 めくっていただきまして、9ページ目でございます。こちら、参考までに整理、比較検討がしやすい表を記載してございます。先ほど対応方針とさせていただきました内容を、仮に、そのまま対応方針となった場合ということで、黄色の赤枠で囲ったところ、その方針について記載させていただいております。また、それと比較検討できますように、現状、大防法によって規制されている吹付け石綿ですとか石綿含有断熱材、保温材についての規制というのを、向かって左側に整理させていただいておりまして、右側は関係する法令ということで、石綿則における規則を参考までに載せてございます。こちら、比較検討用の資料として添付させていただいております。

 以上になります。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、資料の3-1、3-2につきまして議論を行いたいと思います。特定建築材料以外の石綿含有建材についてでございますけども、ご意見、ご質問がございましたら、名札を立てていただければと思います。

 では、大迫委員からお願いします。

【大迫臨時委員】 ありがとうございます。質問になるかもしれませんが、基本的に、今回の考え方の方向性は、今後、議論に値すると思っており、値するといいますか、こういう方向性の中でまとめていくということは、一つの考え方であろうと思っております。

 それで、資料3-1で、海外のレベル3建材の規制に関して、それぞれ緩和されている部分があると。これは特定建材に対してという意味合いだと理解をしましたが、どういったところが緩和されているというところなのかというところを、もう少しご説明していただきたいということと、そういった側面が、例えば作業基準に関しまして、やはり効果的なものを原則として、あと状況に応じて、それ以外のものも対応していくというような考え方と受け止めました。すなわち、いろいろと実験結果等も見ますと、手ばらしが効果があると。それから、やはり外への漏れをなくすという面では、養生が効果があるという意味では、この手ばらしが原則だけども、できないもの、あるいは接着されているもの、破砕等が伴うものというときに、それ以外の湿潤でありますとか、より養生、また場合によっては、いろんな負圧管理、集じん等も考える必要がある現場は、その時々の裁量判断の中であるかもしれませんが、そういうめり張りをつけた効果的な対策をしていくという方向性に、今、こういう他国のいろんな事例も参考にされたという理解をしましたが、そういう理解でよろしいかということをお聞きしたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 まず質問を2点ですね。一つは6ページに関連しまして、浅見委員に答えてもらったほうがいいかもしれないんですけれども、成形板のレベル3の出荷量。

【大塚委員長】 資料3-2のほうですか。

【外山専門委員】 3-1です。3-1の6ページで、成形板等の出荷量ですが、これには、合計が入っていませんが、私の理解では4,300万トンというぐらいの数字、数千万トンのレベルが出荷されているというふうに理解をしているので、それでいいかということと、レベル1と比較をして、レベル1は多目に見積もっても数十万トンではないのかなという、これは国立環境研究所の寺園先生がどこかで書いていたんですけれども、そういう理解をしているので、レベル3とレベル1とを比較して、スケール感としては2桁ぐらい違うと理解をしていいのかというところです。

 それから、もう一つは、7ページ以降の濃度測定の結果ですけれども、総繊維数濃度、これはPCM法で測ったものと思いますが、石綿繊維数濃度は何で測られたのかということを示してください。電子顕微鏡なのか、JIS法の分散染色法なのかという辺りが、わかれば教えていただきたいということです。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、札を立てていただいた順番で、勢一委員、お願いします。

【勢一臨時委員】 ありがとうございます。私は制度の観点から少し意見を申し上げたいと思います。

 今回、石綿のレベル3の取り扱いということですけれども、原案では、石綿則との連携・統一という観点を出していただいております。石綿に関する制度について、資料2の18ページのところに関連法令の主なものが挙げられています。やはり各法制度、それぞれの理念と趣旨がございまして、それによって規制対象等も変わってくるわけではありますけれども、しかし、石綿を対象とするという、対象という点で見ましたら、この石綿のライフサイクルといいますか、それに沿って適切な対応を法で担保していくということは、非常に大事だと考えております。

 その点では、関連する法制度相互間の連携、調整というのは必須でございますので、今回、タイミングよくということかと思いますけれども、このタイミングをうまくつかまえて、石綿則との連携、場合によっては基準の統一等、図れることをやっていただきたいと強く希望をいたします。それが恐らく現場においても実効性の担保を容易にする方向につながると思いますので、その点も踏まえてご検討いただきたいと思っております。

 また、現場に視点を置きますと、実効性をどのようにして確保していくか。全てのものを対象にして届出の仕組みを入れると、かなり現場に負担がかかるというご指摘もございます。地方現場の現状としては、非常に理解はできるところでありますけれども、先ほど事例にございました諸外国では、規制の対象にはしているということです。規制の仕組みとして、いろいろ緩和をする等の工夫はあり得ることでございますので、この辺り精査していただいて、可能な限りで効率的な仕組みを考えていただくというほうがよろしいのかなと、個人的には思っております。

 現場の事務的な負担等に関しましては、最近は地方制度調査会でも議論はしておりますし、政府の方針でもありますけれども、ICTとかAIとか、こういうものをしっかり活用していく。将来的にはそういう方向で、RPAなどもありますので、現場の負担を仕組みとして解消していくような形での展望もご検討いただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ICTでとかAIは、例えばどういうふうに活用しますか。何かお考えがありましたら。

【勢一臨時委員】 はい。今ちょうど地方制度調査会で議論をしていますけれども、例えば,フォーマットに沿った入力の仕組みをつくって、現場で一度入力すれば、それを各部署で共有すると。環境省、厚労省でも同じデータを一回入れれば、それを共有できるような仕組みを、将来的に恐らくつくっていかないと、地方自治体は人口減少で、職員数も減らさなければいけない局面になっていますので、人員を手厚くするのは、今の段階では想定しがたいと思いますから、技術でカバーできるところがないかということを真剣に考えていくということは必要かと思います。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、神山委員、お願いします。

【神山専門委員】 資料の3-1のほうでは、けい酸カルシウム第1種板についての飛散の状況とか、いろいろとデータを提示して議論をされて、示されているんですけど、3-2のほうは、レベル3建材という表題で、一切そこに入っていないということで、けい酸カルシウム板はレベル3建材ではないというふうなことで、また、どこかでそれは明記されるんでしょうか。

【大塚委員長】 では、高岡委員、お願いします。

【高岡臨時委員】 はい。ありがとうございます。私のほうからは、まず、3-1のほうの資料の18ページのところで、これはちょっとこの委員会での話じゃないのかもしれませんが、建設リサイクル法では、特定建築資材に付着したものの有無の調査が規定されていますが、石綿含有成形板等の取り扱いを明確にされていないということのようですので、この辺りは、ここでの議論ということではないかもしれませんが、リサイクル、あるいは、その過程でのばく露とかという意味では、今後、議論とが必要なところではないかなと思います。

 それから、もう一つは、3-2のほうの6ページのほうのところですが、基本的には、石綿則と対応されて合致されているのでいいかと思っておりますが、この届出に関して、このレベル3では求めないということですね。もちろん非常な大変な労力がかかるということはありますが、この点をやはり省くことによって、どのぐらい労力をかけなくて済むかというか、届出があるのとないのとではどのぐらい違うのかに関して、環境省にご質問したいというふうに思います。

【大塚委員長】 ではこの辺で一旦切らせていただきます。すみません。

 今までのご質問、ご意見について、事務局からお答えいただきますようお願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 はい。では、まず、ご質問いただきました順にお答えしていこうと思います。

 まず、海外のところで、レベル3建材のところで緩和される部分でございますが、資料3-1の26ページ目を開いていただければと思います。こちら、それぞれ表12で、英国、ドイツ、韓国におけます具体の基準のところを抜粋して載せさせていただいております。

 例えばですけども、英国の作業の届出でございますけれども、こちら、成形板の除去作業についても届出は必要でございますけれども、一部、砕きやすくない建材のみを扱うとか、あとは短期間であるとか、あとは継続的じゃないものというような表現でございますけども、こういうものについては届出が免除されているですとか、あとは作業基準のところでございますけれども、こちら、非ライセンス作業、小規模で、かつ短時間で従業員のアスベストばく露が比較的少ない作業というものについては、隔離は必要ないですとか、空気モニタリングの一部も不要であるというような形で、緩和されているということを記載してございます。

 また、ドイツのところでございますけれども、こちら、また、作業基準のところで、緩和のところで記載してございます。こちら、作業終了時の濃度検査のところが省略可というようなところもございますし、また、作業終了時の、確認でございますけど、作業終了時の空気中濃度の測定を省略可というようなところで、省略のものを記載させていただいてございます。

 また、こちら、海外の文献を載せさせていただいたところの趣旨でございますけども、ご指摘のとおり、今回、レベル3建材の扱いを検討するに当たって、諸外国における扱いというのをどのような扱いのあり方があるのかということを検討する参考資料として、載せてございます。

 続きまして、石綿濃度の測定方法でございますけれども、環境省の測定した結果というものと文献調査というもので、分けてデータを記載させていただいてございますけれども、環境省が調査したものによりますと、透過型電子顕微鏡によって石綿濃度を測定しているという状況でございます。文献調査にいきますと、透過型電子顕微鏡によるものと分散染色法によるもの、また、詳細までは記載がないけれども、石綿濃度というふうに記載があるものということで、文献それぞれ分かれてございますが、それをまとめて石綿繊維としてカウントさせて整理させていただいてございます。

 続きまして、出荷量のところでございます。そこは、すみません、今回、レベル3建材のところの整理のみさせていただいておりましたので、レベル1建材については、今ちょっとすぐに、手元に情報がないところでございます。

 あと、けい酸カルシウム第1種板の扱いでございますけれども、資料3-2でございますが、資料3-2の7ページ目に対応方策について記載させていただいてございます。こちら、石綿含有成形板等の扱いについて記載させていただいておりますけれども、対応の方向性の中で、米印で一番下のところに記載してございますが、石綿含有成形板の中でも、湿潤化した上で破砕したときの際の繊維の飛散性が特定建築材料よりは低いものの、ほかの石綿含有成形板より比較的高かったというものについては、より効果的な養生・湿潤化等の措置を求めることを検討したらどうかというふうに記載してございます。こちら、想定しているものは、今回データで示しました、けい酸カルシウム板第1種のようなものでございまして、ほか、レベル3建材より高いものも含めまして、今回は石綿含有成形板等の中に、大枠の中には含めて考えてございます。その上で、個別の作業基準に関しましては、より詳細な検討において、扱いをより効果的なものを求めるということで、今後詳細に検討を進めていきたいということで、整理させていただいております。

 続きまして、届出のところでございます。今回、届出の規模感について整理させていただいたものが、資料3-1の23ページ目に記載してございます。23ページ目のところでは、推計でございますけれども、現在、大防法に基づく届出というものと、レベル3建材を新たに届出した場合というのを、仮にでございますが、推計した資料になってございます。この資料でいきますと、現在、条例によって届出を求めているところの都道府県等のデータからいきますと、下の表10でありますけれども、約5倍から約20倍というような数値が出てございます。ですので、現在、年間で出てくる大防法に基づく届出というのは、1万6,334件ございますので、仮に届出を全部したという場合は、8万件から32万件ということで、事務処理のところが5倍から20倍に増えるということが想定されるということが、現規模感として載せてございます。

【前田大気環境課課長補佐】 大気環境課の前田でございます。勢一委員からご指摘をいただきました関係法令との関係のことでございますけれども、ご指摘のとおり、法律でそれぞれ目的、規定がございまして、それに合わせた規制等を行っているということで、そういう意味では、それぞれで同じところ、違うところと、いろいろある中で石綿対策という観点から、相互間でしっかり連携をしていく、調整をしていくということは重要と考えておりまして、特に石綿則に関しましては、建築物等の解体等の工事の際に、その規制ということで、しっかりと連携を深めていくということは、特に重要な部分だというふうに認識をしております。全体の相互間の連携ということで言いますと、制度の履行の促進という観点でも非常に重要だというふうに考えておりますので、次回の小委員会でも、「その他」の議論の中でしっかりと取り上げたいというふうに考えてございます。

【大塚委員長】 わかりました。

 よろしいでしょうか。

 では、再開させていただきたいと思います。

 浅見委員、お願いします。

【浅見専門委員】 資料3-2の、まず7ページの対応の方向性の枠の中の、下のほうの丸なんですけども、基本的に賛成です。我々、先日も協会内で話をしたんですが、レベルというのはあくまでも製品の分類なんですね。ところが、実際の石綿の飛散ということを考えますと、建材等の種類あるいは石綿の含有量、あと除去方法によって、いろいろ変わってくる。当然変わるわけですけれども、そういう点で非常に困難ではありますけれども、ある程度、養生などを含めた形の作業基準を定められれば、望ましいのかなと思います。

 それも少々絡むことなんですけれども、8ページの仕上塗材に関してですが、対応の方向性の枠の中ですね。これは吹付け、ローラー塗り、施工方法に関係なくというのも、非常に好ましいことで、実際に物が同じでしたら、作業の仕方が同じであれば同じように飛散する。それを施工時の状況だけで分けるのはどうも納得がいかないところがあります。実際に問い合わせなどで吹付けかローラーか、じゃあ、ローラー塗りだったらレベル3でいいですねというようなことを質問してくる方がいることがあるんですけれども、いや、それは違いますよというような話はしています。レベル3と言ってしまいますと、やはり、いいかげんとまでは言いませんけれども、多少レベル1に比べると、工事が雑というと変ですが、石綿飛散に対する措置がちょっと甘くなるということが考えられます。その点で、施工方法に関係なくということで言うと、これはすっきりしていいです。また、いわゆる耐火被覆などに比べて、飛散量が少ないということがデータもありますので、その点も含めて作業基準を決めていただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、吉住委員、お願いします。

【吉住専門委員】 ありがとうございます。先ほど、作業基準と届出についてのご意見等がありましたので、産業界の意見を申し上げます。

 まず、資料3-2の5ページ目の下に、対応の方向性として、レベル3建材の除去作業について、通知やマニュアルに基づく指導だけでは、十分ではなく、作業基準をしっかりと規定して措置を行うと記載されており、これは、当然の指摘と思っております。つまり、作業基準を規定することを、法定としてに求めてもいいのではないかと思います。ただし、作業基準を設けるだけで、実効あるものになるわけではなく、例えば、実際に処置する施工業者等が基準に従って実行することがあって初めて効果が出るものですので、産業界としては、基準に沿って実施がなされるかどうかをもっと重要視しないといけないと思います。

 また、先ほど届出についても意見がありましたが、レベル3建材の除去作業等についても届出を求めることとすれば、この届出自体が非常に莫大な数になることはもちろんそのとおりですが、先ほど申しましたとおり、届出をすれば、それで実際に基準が守られるのかという観点からは、やはり周知徹底が重要であり、まずは作業基準をしっかりと策定し、それをきちんと実行していくことが大事です。また、先ほど述べたように、届出件数が非常に増えた際、それに伴う問題がすぐ解消できる方策が出てくれば、結構ですが、例えば解体工事をやるときに、届出件数が増えたことによって、その着工が非常に遅れるとか、あるいは、その作業自体の期間が延びることになると、届出による実際の効果以上に、リスクが増えるなどといったことも考慮をしないといけないと思いますので、その点も考慮をお願いしたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、渡辺委員、お願いします。

【渡辺専門委員】 渡辺でございます。行政の立場から、一言お願いしたいと思います。

 届出に関しては、やはり本来であれば、届出いただくというほうが望ましい部分であろうかと思いますけれども、現実的に、今、レベル3の作業まで全部届出が必要ということを決めますと、行政サイドとすると、なかなか対応が難しいというところで、この方針についてはやむを得ないのかなと考えております。ただ、実際にどのような形で、どの規模の解体工事が行われているかというようなことについては、なかなか環境サイドで把握が難しくなるということもございますので、そういう部分で、建設リサイクル法を管轄する官庁とどのように連携をとるのかというところを、きちんとそういう仕組みを構築していただきたいなと思っております。

 あと、実際に作業の内容についてやはり指導する際に、強制力があるというところでは、やはり、ここで書かれておりますように、単にマニュアルのところで縛るという形ではなくて、法律のきちんとした形で、その作業基準等、それは調査についても同じなんですけれども、記載をお願いしたいと思っております。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、笠井委員、お願いします。 

【笠井専門委員】 日建連の笠井です。よろしくお願いします。

 まず、原形のまま取り外すことを原則とするということですけれども、まず、以前からも議論がありましたが、この原形のままというのはどういうことなのかという定義をきっちりしておかないと、実際の現場では原形のまま、本当に建材を無傷のまま取りなさいということになると、かなり厳しい条件になります。どの範囲までなら許容できるのかということを議論する必要があると思います。それと、できるだけ原形のままで取り外すということは、やはりコスト、それから時間がかかります。これは施工者サイドだけではなくて、発注者の側にも、そこの点はご理解いただかないと、夜間作業であったりとか休日だけの作業になると、かなり制限が出てくると考えております。

それから、受注者側も、当然このことを理解しておかないといけないのですが、吉住委員からもありましたように、なかなか周知というのが難しい。我々建設業は、相当裾野の広い業界ですので、規制内容を知らないでそのまま除去等の作業を行うことも想定されますし、このような受注者が発注者に説明するというときに、どれほど正確な説明ができるのかの懸念もあります。決められたことの周知の方法が非常に重要になってくると思っています。

 それから、レベル3の建材が廃棄物になった場合、それをフレコンバッグ等の袋に入れたりしますが、サイズの面からどうしても割らないといけない状況が発生しますので、袋状の物だけではなくて、例えば、ビニールシートのようなシート状の物でこん包してもよいとするように、少し範囲を広げたような書き方を、今後マニュアルで整備することが必要ではないかと思っています。

 それから、接着剤等によって、原形のまま取るのが難しい場合のことが書かれてありますが、むしろ内装材についてはこのような建材のほうが多い可能性がありますので、ここの区分もきっちりしておかないと、「やむを得ず」という話が増えてしまうと思っております。

 次に、届出については、資料の2では、特定建築材料と同様に受注者に事前調査の義務があるとなっていますので、そのような方向でいいのかと思います。ただ、第三者性といったときに、それが本当に担保できるのかという議論は、別の問題として潜在していると思っています。

最後に、仕上塗材につきましては、今まではレベル1相当というふうに通知が出ています。それが、今回の法律の改正を受けたときには、その通知が廃止されることになるのか。また建築用仕上塗材には、下地調整塗材というものがあり、下地の調整を行ってから主材をふいたり、上塗材を吹き付けて仕上げたりします。例えば主材は剥離剤で取れるけれども、下地調整塗材剥離剤では除去できないなど、部位によって同じ外壁塗材でも工法が変わってきます。このことについても、マニュアルや作業基準等に示さないと混乱を招くことになるのではないかと思います。

 加えて、アンカー打ちとか、壁に配管用の穴を開けるというような、非常に軽微な作業がありますので、そこについても、どのような扱いにするのかを明確にしないと我々ゼネコンが苦労してきた部分ですので、今後の議論を待ちたいと思っています。よろしくお願いします。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 現在立てている方でおしまいにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 では、これでおしまいにさせていただきたいと思います。

 廣田委員、お願いします。

【廣田専門委員】 1点だけ確認させていただければと思います。建物の解体ということだとは思うんですけれども、法の対象としている建物に、住宅も含んでいるということをイメージされているのか。あるいは、今後それをイメージをして、今後の議論をすべきなのかどうか。その1点だけをちょっと確認させていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 出野委員、お願いします。

【出野専門委員】 私が回答するんですか。ということですか。あ、意見だけですか。

【大塚委員長】 あ、はい。

【出野専門委員】 失礼しました。私のほうから、たくさんあるんですけど、とりあえず3点だけ意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず1点目ですけれども、資料の3-1の25ページに関連してですけども、25ページに、表11とありますけれども、不適切事例で、一番右側に主な発生原因ということで、「施工者の知識不足」というのが、ずっと並んでおります。非常に気になるんですけども。何でこういうことになるんだろうと。しかも平成29年ですから、もう最近ですよね。石綿問題が出て、もう20年近くなるのに、つい最近でもこういう状況かと、ちょっとびっくりしておりますけども。

 どこに原因があるんだろうと思いますけども、実は建設業、許可制度になっていますけども、これまで28業種、許可業種がありました。これが解体工事業と新しくできまして、四十数年。で、今29業種になっています。その解体工事の許可業者、これは現在4万社ちょっと。あと、2カ月経過措置期間があるんですけども、多分6月1日以降、5万社ぐらいになるであろうというので、まあ、そこまではいいんですけども。実際、これは3階建てになっていまして、ゼネコンの委員の方がいらっしゃいますけども、大きな建物の解体は解体業者じゃないと。普通の建設業者、建築業者がやりなさいと。小さい解体工事は、許可は要りませんよと。登録だけでいいと。これが約一万二、三千社になっていますかね、今。現在、その真ん中のあんこの部分だけを解体工事の専門工事の人がやりなさいと、3階建てになっているわけですね。

 で、総数が、一番下の登録業者で一万数千社。真ん中のあんこ部分で4万から5万。それから建築工事業というのが、これは10万社以上あります。ということで、全部で十五、六万ですか。十五、六万の会社が、みんなで寄ってたかって解体工事をやっていると。こういう状況なんですね。ですから、アナウンスをする場合には、それ全体にアナウンスができるような、そういう方法を考えてやらないと、例えばこの資料の25ページにあるように、知識不足とか、知らなかったとか、そんな法律があったのかとか、そういうことになると思いますので、そこら辺りを、ぜひ今後もお考えいただきたいと。規制をするのはいいんですけども、それらのほうに全然伝わらないと。そういう傾向がありますので、そこら辺りをぜひ頭に置きながら、いろんな施策を考えていただければというふうに思います。

 2点目ですけども、こうやっていろいろ議論しておりますけども、私の個人的な感想ですけども、なかなか遅々として進まないなと。遅いなと。こういう実感でございます。この石綿則ができたのは平成17年ですか。その前から議論しておりますですね。ということは、もう十四、五年たっておるわけですけども、その間、ずっと石綿関係の工事は、毎日やっているわけですね、どこかで。十数年間、五、六年間、放っぱらかしとは言いませんけども、やっておりながら、いまだにこういう、これから規制をどうしようかと、こういう議論をしておるということで、非常にじくじたる思いがありますので、できたら、もうちょっとスピード感を持って、きちんとやっていただきたい。きちんとと言ったら語弊がありますけども、早くやっていただきたいと。2030年がピークと言われていますので、あと10年足らずで、もうピークを越してしまうと、そういう状況なので、ぜひスピード感を持ってやっていただければと思います。

 あと、3点目ですかね。外壁塗材、仕上塗材の話がありましたけども、この辺りも、これは問題が発生しています。もう数年たっております。現場は依然として大混乱しております。というので、これも、もうちょっとスピード感を持って、早いところきちんとした指針といいますか、法律でもいいんですけども、出していただかないと、相当に混乱をしているということをご報告申し上げて、できるだけ早くきちんとした規制といいますか、法律、通達、何でも結構ですけども、整理をしていただければというふうに思います。

 以上3点、とりあえず。ありがとうございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、本橋委員、お願いします。

【本橋専門委員】 本橋です。

私がしゃべりたかった大体のところは笠井委員がしゃべったものですから、ちょっとつけ加えておきたいことがあります。二つの作業基準をつくるということは非常に賛成です、私も。レベル3成形板と、あと仕上塗材ですか。で、先ほどのお話のように、手ばらしといいますか、内装の場合ですと壁紙が張ってあったり、ビスでとめてあったり、接着剤とかがあるわけで、全く壊さないということにはならないし、散水でどこまで水がしみ込むのというのもいろいろあると思うので、ぜひ作業基準をつくるときには、その技術的に解体業者だけでなく改修業者、内装業者もいたり、いろんな者がやります。要するに建築工事の一部としてこれをやりますので、ぜひそういう建築工事に係る専門家に、作業基準をつくるときに意見を聞いていただきたいということがあります。概論的に負圧にするとか隔離をするということだけでなく、具体的な建築工事の中身が書けることが重要です。そうでないと工事が全然進まないことがありますので、国交省の方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ協力していただいて、わかりやすく作業できるように変えていただきたいというふうなことが、一つ要望です。

それから、建築用仕上塗材のほうなんですが、これは私も、日本建築仕上材工業会と一緒にやっていたんですが、一言だけ恨み言を言わせてください。仕上塗材の位置づけは厚労省も環境省も、最初は何も言っていなかったんですね。その後、ある地方公共団体はレベル3でいいんじゃないかと言っていたんですけど。そして、その後、環境省と厚労省が、いや、吹き付けてある石綿だからといってレベル1であることに間違いないといったのです。そして、今度また位置づけが変わるでしょうか。決めるなら決めるでいいんですけど、ぜひ混乱させないようにやってほしいと思います。あと仕上塗材、今、皆さんが考えている、今日の議論でいきますと、RC造の外壁にあって、その建物を解体するときのことを考えているようですが、実際には塗替え工事とか、外壁を改修するときとか、仕上塗材にタッチすることは、非常に多いんです。それは塗装屋さんとか外壁を改修する人とかはやっているわけですから、やはり、これについても作業基準が必要です。笠井さんみたいなゼネコンの人もいろいろ知見を持っておりますけど、ぜひそういうことを聞いて作業基準をつくってほしいんです。

 我々、この日本建築仕上材工業会と建築研究所でやったときに一応の作業基準を作ったのですが、今までもアスベストの問題でなくても、仕上塗材の処理は、ケレン工法とか高圧水洗とかをずっとやっていたんです。アスベスト問題とは別の観点からも処理工法を選ぶ方法があるんです。広いところだったら高圧水洗ができますけど、出隅入隅みたいなものは超音波ケレンでやらなくちゃいけないとか、飛散性以外にも、塗膜の劣化状況でどういうものを使うかというのは決まっているわけなので、ぜひ、それを理解した上で、作業基準をわかりやすいのをつくっていただきたいと。要望です。

 以上、2点です。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 先ほど、私が質問した濃度の関連ですけれども、石綿濃度を何で出したかによって、数値が大分変わってきます。分散染色法を使った場合は過小評価するということをいろんな学会で指摘されていまして、多分、13ページですね。表5の1ですけれども、住宅屋根用化粧スレート、総繊維数濃度113本、石綿繊維数濃度3本というのは、ちょっと、うん、これはおかしいなという感じはします。ほかに何か繊維が入っていたということもあまり考えられそうもないですし、これは分散染色法で分析をして、過小評価しているのではないのかなというふうな印象があります。なので、その辺り、ちょっと取扱注意が必要ではないのかなと思っております。

 あと意見ですけれども、レベル3に関して作業基準をつくり、飛散防止の措置の実施を明確に義務づけるということは、私も賛成です。一方、作業基準は、まだできていないわけですね、当たり前ですけども。皆さん、意見ございましたけれども、これをつくるのは、非常に難しいと思います。レベル3建材は非常に多様です。成形板だけではなくて接着剤もありますし、屋上の防水なんかもありますので、そういったものをどうやって取るのかということになっていきますし、どんな場合に湿潤化、湿潤化といっても転落、墜落のおそれがある場合はしなくていいような規定も石綿則にありますし、そういったのをどうやって判断するのかということもあります。

 で、私が申し上げたいのは、6ページ目の注、上の枠の一番下ですね。作業計画は、まだないわけですね。それに基づいて作業計画を立てるわけですね。それが、このような解体工事等工事の一般的な知識を用いることにより適切な作業計画を作成することは十分可能ではないと思います。これはあり得ないですね。今、存在しない作業基準に基づいて、これからやりなさいということですけども、作業計画をつくるということは簡単にできない。ですので、これは間違いですし、作業計画の届出というのは、やっぱり極めて重要なプロセスであって、事前調査に基づいて、きちんと作業計画をつくるということができているか、いないかということは、非常に重要で、それがきちんと実行できたかどうか、行政が監視をするということも極めて重要なプロセスですので、私は、渡辺委員もおっしゃっていましたけども、届出は基本的に必要だというふうに思います。

 で、前回の改正のときに発注者の届出ということを義務づけました。これはやっぱり非常に効果があったと思いますので、発注者が届け出るような、そういった仕組みをつくってはどうかというふうに思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、中村委員、お願いします。

【中村専門委員】 はい。自治体代表として一言、要望ということでお話しします。レベル3建材の規制に関してなんですけど、ほかの委員からも出ていますけど、事前調査とか作業基準等の規模要件ですかね。これをぜひしっかり設けていただきたいな。どこまで求めるのか、自治体としましても効率的に仕事を進めるためにも、その辺をはっきりさせていただきたいという要望です。

 以上です。

【大塚委員長】 では、谷口委員、お願いします。

【谷口臨時委員】 ありがとうございます。資料3-1の24ページですけども、都道府県の立入検査ですね。最近やっぱり年々増えていっているという実態があります。一方で、その立入検査に当たって、行政指導を行うというケースも、多々この表では示されているわけでして、現場で掲示が十分にできていないというようなことも、実態としては結構あると思います。ですので、先ほども委員からご指摘がありましたけども、やっぱり関係する施工業者など、あるいは発注者も当然ですけども、周知ですね。これが何よりも大事だというふうに思います。前回の答申も、最後に発注者に対してのその周知をしっかりやっていこうということで、追加記載した経緯がありますので、次回の小委員会では、また周知関係の論点も議論されるということですので、そこのところをしっかりやって、効果的な立入検査ができるようにというふうに思うわけです。

 それから、資料3-2の6ページの届出を求めないこととするというくだりのところなんですけれども、届出を全部とるとすれば、かなりの事務量になって、マンパワー的には、なかなか難しいというふうに思いますので、届出を求めないというのは理解するんですけれども、この委員会の気持ちとしては、届出は本来とるべきだろうけれども、そういう、とったらとったで、またうまく回っていくのかという点で、かなり大きな懸念があるので、届出を求めるまでには至らないなという言い方が正確じゃないかなというふうに思うんですけど。今後の議論で、またそこはどうなるんかというのはありますけども、求めないとはなからしてしまうのはいかがかなという気がしております。

【大塚委員長】 どうもありがとうございます。

 では、小坂委員。これでおしまいにします。

【小坂専門委員】 今、先ほど外山委員からも指摘があったんですが、このデータの総繊維数濃度、石綿繊維数濃度というので、一応、私は電子顕微鏡か何かで分別測定されていたのかなと思ったんです。光学顕微鏡であれば、先ほどおっしゃったように、分散染色法を使ったデータであれば、これはちょっとだめですから、それはちょっと除外して評価していただきたいと思います。

【大塚委員長】 13ページのところで、よろしいんですね。

【神山専門委員】 そうです。

【大塚委員長】 はい。では、ありがとうございました。

 では、事務局から回答をお願いいたします。

【吉田大気環境課課長補佐】 はい。いただきましたところに回答していきます。

 まず、周知徹底の観点についてのご意見をいただいたかと思います。その点は、非常に重要な論点だとは考えてございまして、先に資料2のところで説明いたしました論点のところ、その他の制度の履行の促進について、さらなる普及啓発をいかに進めるべきかということで論点設定させていただいておりますので、引き続き、次回のところで議論させていただければと思います。

 また、データのところでございますが、環境省が調査いたしました13ページ目ですとか、環境省が現場でとったものにつきましては、透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡による測定を行ってございます。ただ、過去ずっと、平成元年から30年までの文献調査をしておりますけれども、文献調査のものにつきましては、そこまで記載がなかったものですとか、ありますので、そういうところも含めて、今回整理させていただきましたということにしてございます。

 また、届出についてでございますけれども、届出の本来の意味合いとしては、大きく二つあると考えてございまして、作業計画の内容、事前の確認ですとか、必要に応じての是正指導、また、もう一つの意味としては作業場所の把握という、二つの意味合いがあるかと思ってございます。

 一つ目のところでございますけれども、ご指摘があったところでございますが、レベル3建材につきまして、原形で取り外すことですとか、湿潤化、養生などの措置ということで、適切に飛散を抑えられるというふうに考えておりますが、これらの措置につきましては、解体工事の一般的な知識というところもございますので、事前に計画書類を都道府県に提出して、都道府県が計画変更の命令を出すという観点からいくと、必要性は高くないかと。ただ、その現場において確認をするというところは重要かと思っておりますので、実際に不適切な作業が行われていないかとかというところに、その届出の計画を出していただいて、確認をするというよりかは、そちらにリソースを活用したほうが効果的ではないかというふうに考えているところでございます。

 また、現場の把握でございますけれども、こちらは、本会の議題の(2)のところもかかわってきますが、ご指摘ありましたように、既に建設リサイクル法の届出情報などの活用も、自治体において推進していただいておりますところに加えまして、現在、厚生労働省で検討中の、事前調査の結果の届出等を大防法のもとにおいても活用するということを検討してございまして、そこを関係法令とも連携して、現場の把握というものはできるものを検討の対象としてございます。そういうところをあわせまして、今回ご指摘いただきましたところについては、届出のところについては求めないというような法則にしておりますが、ただ、現場の把握ですとか、その適切な実施についての方策というところは、履行の担保というところは、別のところでしっかり担保していくということで考えてございます。

 続きまして、作業基準のところでご意見をいただきました。原形のまま取り外すというところでございますけれども、原形のまま取り外すところにつきましては、想定としましては、建材に触れずに固定金具を切断する場合ですとか、固定しているくぎですとか、ねじを外すというような場合が想定されるというふうに考えてございます。ただ、詳細につきましては、今後マニュアル等で具体の記載をしていくことを考えておりますので、作業基準のさらに細かい現場でのところというのは、マニュアルでできる限り丁寧に説明していきたいというふうに考えてございます。

 今回の解体の対象に住宅が入っているかというご指摘ですけれど、こちら、入っているということで整理されておりますので、そのものと理解いただければと思います。あとは……。

 以上でよろしかったでしょうか。

【高澤大気環境課長】 若干補足をさせていただきます。

【大塚委員長】 はい。お願いします。

【高澤大気環境課長】 データのお話で、ちょっとご意見もいただきましたので、データにつきましては、いろいろと文献とか、環境省の実験でももちろんやっているんですけれども、そちらのほうも、もう一回いろいろと丁寧に見させていただいて、データの整理については、また、させていただければと思います。

 また、届出につきましても、いろいろとご意見をいただきまして、ちょっと文章の表現で、届出は求めないというような書き方もしておりますけれども、また、そういった表現というか文章の書き方とか、そういったところも検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【大塚委員長】 はい。3-2の6ページのところで、適切な作業計画を策定することは十分可能でありというのは間違いだというご指摘もございましたけれど、この辺はいかがでしょうか。

【前田大気環境課課長補佐】 資料3-2の6ページの表現で、解体等工事の一般的な知識を用いることにより適切な作業計画を策定することが十分可能であるとの表現の趣旨でございますけれども、ちょっと言葉が適切でなかったところもあるのかとに反省をしているところでございますが、趣旨として、作業計画の書類上にどこまでのことを書くかということによるのかなというふうなところもございまして、例えば外山委員ご指摘の湿潤化について、現場によってやり方に相当バリエーションがあるだろうと。そのバリエーションというのをどのように作業計画の、書類の中でどこまで記載を求めていくのかということにもよるのではないかと思います。ただ、計画を事前に都道府県等が確認をして、都道府県がそのペーパーを見て、必要に応じて、それを修正指示していくということが効果的なやり方なのか、あるいは現場できちんとその作業のバリエーションというのが反映されるように、マニュアルなりで、丁寧に、作業計画のひな形になるようなものというのを表現していって、そこで必要に応じて都道府県等が現場に確認に行くということで担保していくことが合理的というか、より効果が上がるのかということに関して言うと、書類での確認には、やはり限界があるんじゃないかということで、14日前までにこのレベル3建材の除去に関して作業の届出を出させて、それを都道府県等が書面上でチェックをするということに、リソースを割くよりも、むしろ現場のチェックにリソースを割けるほうがいいのではないかという、そういう考え方で書かせていただいたものでございますが、今、高澤課長のほうからありましたとおり、もう一度考え方を精査しまして、またご議論をお願いできればというふうに考えております。

【大塚委員長】 はい。大量のレベル3のものを対象にするために、いろいろ、産みの苦しみを経ないといけないというところがあるかと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(なし)

【大塚委員長】では、続きまして、資料の4-1、4-2につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい。それでは、引き続きまして、資料の4-1、4-2について説明をさせていただきます。

 まず、資料4-1をご覧ください。こちらは事前調査の信頼性の確保についての関係情報の整理と、論点、対応の方向性ということでございます。

 まず、1ページおめくりいただきまして、2ページでございます。事前調査の信頼性の確保に係る経緯・指摘ということで、第1回の資料を再掲させていただいておりますが、前回の法改正で、事前調査を受注者が行うこと、発注者への説明ですとか掲示等が大防法に義務づけられたというところでございます。資料の中で、右下の黄色の枠に記載がありますけど、総務省勧告等で、やはり十分な把握がなされていなかった事例もあったという指摘があったところでございます。

 3ページ、4ページにつきましては、一般的な事前調査の流れ、イメージを挙げております。まず、3ページのほうは書面調査ということで、その図面ですとか、ヒアリングなどで使われている建材を把握していくということから入っていくというところで、一番最初のステップでございます。書面調査で使われている建材の情報を整理しまして、現地調査で実際に使われているものを確認するということで、4ページの流れ、続きをご覧いただきたいと思いますが、現地のほうで、建材図面と合っているかということですとか、確認、チェックをしていきます。その上で、石綿が入っているかどうかというのを判断しまして、それがわかる場合、わからない場合、いろいろございますが、わからない場合は分析を行う、もしくは含有とみなして処理をするというふうな形が考えられます。最終的には、その調査の結果を取りまとめて、報告書として発注者に報告をするというような流れになろうかと思います。

それで、次に5ページでございます。実際に、その事前調査が適切に行われずに解体等が開始された事例ということで、都道府県等に環境省が調査を行いまして、事例を確認しましたところ、26年6月から今年の当初まで把握した件数ということで、147件でございまして、その原因としましては、法規制の認識不足47件、設計図書・外観で確認できない箇所であったというところが33件、あと情報共有、発注者、受注者間も含めて、業者間での情報共有の不足が17件というところでございました。

 右下の黄色い囲みです。都道府県等、現場での課題認識ということですけども、その事前調査が適切に実施されているか確認する方法がないということですとか、実施する者の要件を定められていない、実施方法が定められていないというところに、課題意識が多いと考えております。

 6ページでございます。実際の立入検査、こちらは、先ほども出てきた資料の再掲になりますけれど、特定粉じん等排出作業の未届け、この事前調査に関係する部分ですけれども、未届けの指導が82件、その事前調査の実施方法に関する指導が275件という指導状況でございました。その指導内容としましては、実際には、建物の一部分しか見ていなかったですとか、見落としをしたというところでございます。

少し、ここで前後するんですが、タブレットに準備をしてございます参考資料2に、立入検査の状況ですとか、大気汚染防止法の、近年の施行状況などを取りまとめているところでございます。その中では、届出件数、今ほど出てきた立入検査の件数が2ページにございまして、そちらの中で、立入検査、事前調査の関係ですと、見落としなどの指導がありますけども、現場のほうで多い内容というのは、掲示の実施、記載内容などの指導が多い状況でございまして、3ページのほうはその届出の割合ということで、解体、住宅建築物等の解体が近年増えてきているというところで、この辺りもご参考にしていただければと考えてございます。

 それでは、資料4-1のほうにお戻りいただきまして、資料4-1の7ページをご覧いただければと思います。こちら、関係法令による石綿含有建材の把握ということで、それぞれ労働安全衛生法の石綿則、廃棄物処理法、建設リサイクル法、建築基準法ということで、それぞれございますが、石綿則のほうでは、事前調査の実施が定められています。石綿則では、事前調査の実施ですとか分析調査、記録、こういったことが義務づけられているというところです。あと廃棄物処理法や建設リサイクル法では、事前調査という形では義務づけの明記はないのですけれども、実質的には、廃棄物として出すときに石綿を含有しているかどうかというのを判断しなければいけない。建設リサイクル法では、特定建築資材についたものが何かというのはしっかり確認しなければいけない。そういう有害物として石綿等がついていれば、除去しなければいけないというところで、特に吹付け材とか成形板とかという区別ではなく、付着しているものは除去することになっているところです。

 続きまして、8ページをご覧ください。事前調査のテーマのところで、労働安全衛生法の石綿則についても、現在、厚生労働省のほうで、検討会で検討を行っておりまして、事前調査の適切な実施の徹底について、さらに一層明確にするということで、検討が進められているところでございます。ですので、こうした検討も注視しながら、事前調査の方向とかを検討していかなければいけないと考えてございます。

 続きまして、9ページでございます。今度は都道府県等の条例による事例でございます。現在、法令では、事前調査を行った結果を記録する様式とかは特に定められていないのですけれども、こちら一例として示させていただいております大阪府では、様式例という形で、受注者さんが発注者に説明するときの資料の様式ですとか、右側の事前調査では部屋ごとの詳細票として、どういう建材が使われて、石綿含有がどうかというのを、個別に詳しくわかるような資料、こういったものを様式例として示しているというところでございます。

 続きまして、10ページをご覧いただければと思います。こちらのほうも、対象となる工事数、まず、その事前調査の対象ということでは、建築物の解体、改造、補修で石綿含有の有無を調べるということですので、対象になるものも非常に多くございます。解体につきましては、先ほど出野委員からもお話がありましたが、これからピークを迎えていくというふうに、これは建築年数をもとに試算をされているところでございますけれども、さらに解体だけじゃなくて改造、補修も含めると、70万件から200万件弱くらいまでという推計も環境省でしておりますが、さらに、これ以上の数の工事が行われるという可能性があると考えているところでございます。

最後、4-1の資料の11ページでございます。建築物石綿含有建材調査者講習登録制度についてでございます。こちらについては、第1回の小委員会の後、10月23日に三省で告示しまして、公布・施行したところでございます。こちらについては、従来の国交省単独の制度での、建物の通常使用状態における石綿の調査だけでなく、大防法、石綿則に基づいた事前調査を行う知識を持った者として、三省が連携して、総合的な知識を養成していくための仕組みということで、関係法令ですとか、書面調査ですとか、現地調査の留意点とか、そういう事前調査の中身、現物調査の方法等を含めて講習を修了していただきます。こちらについては、昨年度末までに1,275名が修了しているというところでございます。

 こうした課題ですとか現状をもとに、資料4-2で論点と対応の方向性をまとめてございます。

まず、資料4-2の2ページ目でございます。まず、事前調査の方法を法定化する等の明確化が必要ではないかというところでございます。当然ながら、解体等工事に伴う石綿の飛散を防止するためには、どこに石綿含有建材が使われているかというのを把握する事前調査というのは、重要な役割を担うと考えてございます。ですので、その調査方法が不適切であったことにより、見落とした例もございますので、この方法を明確にする必要があるだろうということです。対応の方向性では、現在の大防法では方法の規定がないのですけれども、通知ですとか、マニュアルによる指導だけではなくて、法令に基づきしっかり指導できるよう事前調査の方法を法定化すべきではないかというふうに考えてございます。

 具体的には、先ほどのフローの中にありました書面調査しっかり図面を見て情報収集をすること。あと現地で確認する現地調査を行うことですとか。あとは、その調査で石綿の含有の判断できない場合には、分析による調査とか、含有みなしを行うということを、しっかり規定してはどうかと考えております。また、一番最後の「また」というところですけれども、現在、大防法では、平成18年9月1日以降に着手した建築物については、これ以降は石綿建材の使用が禁止されていますので、明らかに石綿含有建材が使用されていないということで除いているのですけれども、着工年月日を確認するという行為が入りますので、こういったことを確認するということを入れるべきではないかというふうに考えてございます。

 あと3ページ目でございます。対応の方向性の続きでございます。やはり事前調査をしっかり行って、それを最終的に、その届出が必要かどうかというところにつながってくるわけですけれども、その具体の調査手法ですとか記録の方法など、そういった技術事項については、しっかりマニュアルで示して、そこで情報が的確に伝わるようにして、未届け、もしくは未措置とか、そういったものを防止すべきではないかと。そういう防止措置を図るべきではないか考えてございます。

 3ページ目の下のポツですけれども、先ほども現場での周知というお話、大分ございました。やはり事前調査の実施を徹底するためには、その調査方法ですとか、留意事項について、しっかり事前調査の実施主体になる受注者の方に周知をすべきというところがございます。また、もちろん発注者に対しても、費用負担、工期の関係、そのほか書面調査で求める資料、いろんな情報をお持ちのときにはそれが活用できますので、そういったところで、必要な措置を実施することを、発注者に対しても改めて周知すべきではないかという方向を考えております。

 続きまして、4ページをご覧ください。論点の2点目です。事前調査の記録・保存の在り方というところでございます。こちらにつきましては、その記録そのものが、受注者が義務を果たしたという根拠にもなりますし、さまざまな情報共有のところで使っていけるので、しっかり、その記録を保存するということの義務づけを方向として出してはどうかと考えております。

 対応の方向性としましては、しっかり、その事前調査の記録を、まず受注者に義務づけさらに発注者への説明内容についても。しっかり説明した内容を一定期間保存することを受注者に義務づけるとともに、受注者の、事務所だけでなくて、作業現場にも、結果の記録の写しを備えるということをさせるべきではないかというふうに考えてございます。

 もう1点、関係者間の情報共有という観点ですと、受注者から関係業者にしっかり事前調査の結果を説明していただくという作業で、どうしても解体工事が始まらないと、どうしても見れない柱の中ですとか、隠蔽部というか、どうしてもそういった場所があったりしますので、そういったところをしっかり確認を行っていくということを、明確にすべきではないかと考えてございます。

 5ページは事前調査の結果の記録の保存のイメージです。いろんな書類、書面調査等で各部屋ごとに整理した資料がまとまって調査記録になり、それをまとめたものが調査報告書とか概要書になりますので、資料の保存、作成のイメージをつくったものでございます。ご参考にご覧ください。

 6ページ目でございます。論点の3点目、一定の知識を持った者による事前調査の実施です。こちらについては、先ほどもご説明しました講習制度を活用していけないかということが対応の方向性でございます。飛散性の高い石綿含有建材が使用されるものにつきましては、総合的な知識を持った方の活用ということによって、適切な事前調査を実施すべきではないかというところでございます。しかしながら、まだ、その人数が1,200人強というところで少ないことを考慮して、この義務づけについては、当面の間、対象物を限定して、段階的に拡大するという方向とすべきではないかということで、対応の方向性の2番目に挙げてございます。

 あと、事前調査を実施する者の要件の四つ目のポツになりますが、石綿則と共通になりますので、統一すべきという方向を考えてございます。

 論点の四つ目でございます。都道府県等による現場の把握というところでございます。こちらにつきましては、上の白四角の一つ目のポチですけども、現在、厚生労働省のほうでも石綿の対応を検討している中で、一定の規模の解体等工事について、事前調査の結果を石綿の有無にかかわらず届出をしてもらうという仕組みの創設を検討しておりまして、電子届出等により行うことが、検討されているところです。こちらについては、大防法のもとでも、やはり事前調査の結果を把握するということは、都道府県等における現場の把握にもつながっていきます。ただ、ばらばらの仕組みということになりますと、やはりいろいろな負担の増加というところもありますので、考慮する必要があるのかなと考えております。

 上の白四角の下二つのポチは、これまでどおり、いろんな届出情報、関連法の届出情報の共有についてやってきているのを、引き続きやるべきだという方向につながるものでございます。対応の方向としましては、まず、厚生労働省さんでの検討を踏まえて、その共通のシステムで事前調査の結果などを把握して、現場の把握を行っていくということを考えられるのではないかと挙げてございます。

 二つ目は、今までやっている関連届出の情報については、引き続き共有を進めていくという方向ではないかということでございます。

 最後、8ページ目でございます。論点の五つ目でございます。こちらにつきましては、現在、規制内容が近い労働安全衛生法石綿則との連携・統一ということでございます。先ほどの議論でも勢一先生からもございましたが、大防法、石綿則、それぞれ法目的は異なるのですけども、やはり共通点も非常に多くございます。ですので、この対応の方向性にあるところの例、例えばマニュアルの統一化ですとか、いろんな運用の統一化等々を含めて、規制内容を連携統一することにより、現場での負担の合理化というか、混乱を排除するとともに、共通化することで、さらに、その法令遵守の徹底が図られると思いますので、統一・連携を図っていくべきではないかという論点を最後に挙げてございます。

 資料4-1と4-2については、以上でございます。

【大塚委員長】 はい。ありがとうございました。

 では、資料の4-1、4-2につきまして、議論を行いたいと思います。事前調査の信頼性の確保についてでございますけれども、ご意見がある方は名札を立てていただければと思います。

 では、高岡委員から。

【高岡臨時委員】 はい。ありがとうございます。4-2の資料の6ページのところで、この三省共管となった講習登録制度について、活用していく方針でいいかとは思うんですが、一方で、前に示された莫大な今後のいわゆる解体廃棄物の量がありますので、どのぐらいで拡大していくというか、講習者をつくっていくようなイメージを持たれているのか。それによっては、もっと、急速に、こういう講習登録された、勉強された人を増やさないといけないと思いますので、そういった意味で、どのぐらいまで増やして、どうされようとしているのかとを教えていただきたいと思っております。

 それから、もう一つは、最後の、この4-2の7ページのところで、電子届出システムというのは、大変いいことかなと思います。建設リサイクル法や石綿則などということですが、やがて最終的には、廃棄物にもなりますので、ぜひともマニフェストとも連動というか、情報の共有をしていただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 谷口委員、お願いします。

【谷口臨時委員】 はい。資料4-2の6ページの、今の高岡委員と同じところなんですけれども、この事前調査というのは、やっぱり第三者性といいますかね。そういったものをしっかり確保しておかないといけないということもあったりすると思いますので、こういう調査者が法律に根拠を持った資格といいますか、というようなものにしておく必要があるのではないかと。具体的な規定の仕方はいろいろあるんだろうと思うんですけども、大防法の中にも、こういう資格制度みたいなものを書き込むということにつながっていけば、いく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。

 それから、7ページなんですけども、何せ、他の法律の情報を大防法で活用できるようにするということで、大変重要なことなんですけれども、一方で、その活用される側の法律からいうと、情報の目的外利用といいますか、使用といいますか、ということになってしまいますよね。そういうことがあって、そういう情報を活用することについて、ためらいがそれぞれの担当者の中で出てきてはいけないと、こう思うわけです。ですので、法律の中に、これもどういう書き方をするのかというのがあるんですけれども、こういう情報を活用して、立入検査に行けるんだとかいうようなことが可能なように、何か規定を置いてもらえたらなというふうに思います。

 それから、もう1点は、先ほどもちょっと申し上げましたけど、立入検査に行って、その一番何を行政指導するケースが多いのかというと、やっぱり掲示が不十分ということなんですよね。ですので、もっと掲示をやりやすいように、何か決めてあげる必要があるのではないかなというふうに思います。もちろん周知は大事ですけれども、掲示に係るいろんな、例えば掲示物のサイズですね。これも特別なサイズになってしまうと、わざわざ、そういうものをつくらないといけないということが出てきますので、できたら、ほかの建築関係の掲示物のサイズに合わせてあげるとか、そういった工夫が要るのではないかなと。

 掲示というのは、やっぱりリスクコミュニケーションといいますかね、周辺の方々との理解をまず得る、そのきっかけになるものですので、ここは大変重要なものだというふうに、私は思っていますので、ぜひ、そういうやりやすいような格好に検討していっていただければなと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ロゴの大きさとか、そういうのも決められるといいと思いますね。

 では、浅見委員、お願いします。

【浅見専門委員】 まず、資料4-2のほうの6ページですけど、調査する者ですけど、我々の団体でも調査から処理までの教育をやっていますので、そういう者も、今1,200名ほどおりますので、活用していただければありがたいと思います。

 それと、あと8ページですけれども、対応の方向性として、石綿則と連携・統一ということは賛成と同時に、現場の人たちは非常に助かると思います。その中で、共通の電子届出システムですけれども、今の大防法と石綿則と、届け出するものが違ってきますので、この辺りをどのようにお考えなのかをちょっと教えていただければと思います。

 それと、9月1日以降に着工した建築物、これも石綿則と違ってきています。特に自治体のパンフレットでは、事前調査は要りませんよと書いてあるものも幾つか見ておりますので、その辺りも明確にしていただければと思います。

 あと、事前調査の掲示ですけれども、石綿則を大防法と違っています。実際には、両方合わせた形のものを掲示していると思いますので、そのような形で、これはマニュアルレベルになるかと思いますけれども、統一していただければ助かります。

 以上です。

【大塚委員長】 勢一委員、お願いします。

【勢一臨時委員】 ありがとうございます。先ほど、私が申し上げた点、関連法制度間の連携という部分につきましては、ご検討いただけるということで、非常にありがたいと思っています。

 あわせて若干の意見を申し上げます。事前調査の現状の問題点 につきましては、こちらは、都道府県等から問題意識ということで、4-1の5ページのところでご紹介をいただきました。この現場で仕組みを支えるところの課題意識は、非常に重要であると思いますので、このような問題状況をしっかり把握をしていただいて、現場を支えるような制度改善という方向でご検討をお願いいたしたいと思っております。

 制度が現場を支えるという意味におきましては、やはり事前調査の方法等の明確化は、法制度レベルで非常に重要なことになるだろうと思います。日本の企業等の皆さんは非常に良心的でございますので、通知マニュアルに基づく行政指導について、非常に真摯に受け止めていただける場合が多いと思いますけれども、やはり法治国家でございますので、法定化をしっかりして、制度的な根拠を得た上で、きっちり現場で対応していただくというのが筋であろうと思います。

 あわせて、そうしますと、既にご指摘ありましたけれども、情報の共有、活用につきましても、法的な根拠をきちんと持った上で仕組みをつくるということになりますので、これも現場を支えるということで、実効性の担保に寄与するかと思います。調査の結果の保存、記録についても、こちらも同じようなことが言えるかと思いますので、ぜひ、その方向でご検討いただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 では、外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 2点あります。論点(3)ですけれども、建築物石綿含有検査者等、資格のある者による事前調査をきちんと法的に義務づけるということが、まず必要だということと、調査者等不適切な行為があった場合には、きちんと罰則を設けるというところまでして、中立性なり客観性なりは担保されるのではないかというふうに思います。

 2点目が、電子システムで事前調査の結果を届出するということは結構なんですけれども、環境省として、ぜひこれは情報公開をしてほしいと思います。つまり、情報開示請求によらずに、自動的にインターネットなどで公開をしていただきたいということですね。パトロール等もやられていますけれども、住民からの通報などで不適切な工事が発覚したという事例もかなり見受けられますので、そういう意味では、きちんとそういう情報を開示して住民の目も活用するということ、あと環境省ではリスクコミュニケーションマニュアルもつくっています。あ、ガイドラインもつくっていますので、そういった趣旨からも、情報をきちんと開示をするということも、ぜひつけ加えていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、中村委員、お願いします。

【中村専門委員】 はい。論点の(4)のところなんですけど、自治体を代表しまして、自治体の工事現場の立入検査ですか、その有効性をどのように担保するかというところで、なかなか、このレベル3の工事につきましては、やっぱり、そんなに専門性が高いような業者さんが入って工事するというのはあまりないんですね。そういう部分で、なかなか調査が徹底されていないという事例が多いという部分がありますし、現場に自治体職員が行っても、自治体間のレベル差といいますか、技量が全然違うと思います。

 川崎市の場合は、ある程度、一定の知識を持つ職員が、機械といいますかね、アナライザーの機械を持って検査しているので、そういう部分では立ち入ったときに、ある程度、あるかないかというものが見抜くことができるんですけど、そうでない自治体については、行って何をするんですかという、行っても本当に掲示板だけのチェックで、本当に安全の担保がとれているのかどうなのか難しい部分があります。成形板については、屋根、外壁、内壁、天井とか、それ以外にも相当使われていますので、そういうところをチェックするというものは、相当ハードルが高い話ではありますので、その辺についても、どうやっていくかというような議論も必要かと思います。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、本橋委員、お願いします。

【本橋専門委員】 論点(3)についてなんですけど、先ほど、作業基準については別に回答がなかったんですけど、これはお答えください。質問です。極めて具体的なことを聞きたいんですが、資料の4-1のほうですと、今まで環境省ですと、これ、厚労省もそうですけど、事前調査については、石綿一定の知見を有し、的確な判断ができる者ということで、建築物石綿含有建材調査者、これ、今で言うと「特定」がつくと思いますけど、それと、あと、石綿作業主任者で、一定の経験を有する者と日本アスベスト調査診断協会に登録された者、今でもこの三つだと思うんですが、それをもとにして、論点(3)を読みますと、多分、皆さん、具体的なことで気にすると思うんですけど、ここで言っているのは、対応の方向性の1番では、飛散性の高い石綿含有建材が使用される可能性が高い建物については、この三者じゃなくて特定建築物石綿含有調査者等ということは、例えば耐火建築物とかなると、これを使うということなのか。それから、しかしながら、石綿含有建材を使用している可能性がある建築物の数が膨大にもかかわらず、人数が少ないので、当面の間は三者でやっていきますけど、最終的には、その対象建築物を限定して、そこについては特定建築物石綿含有建材調査者と建築物石綿含有建材調査者にやらせるというふうに理解したのでいいのでしょうかという。あまりはっきりは言えないかもしれないんですけど、私がこの二つを読むとそういうふうに解釈するんですが、それでよろしいのかどうかと、お聞きしたいと思います。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、渡辺委員、お願いします。

【渡辺専門委員】 この事前調査の信頼性という部分は非常に重要な点だと思っております。実際に、私の県でも、石綿がないということで工事が始まっているんですけども、周辺の同業者あるいは住民から、絶対あそこには石綿があるというような形で通報があって、現地を見に行くというような事例があります。実際にやっている業者にお聞きすると、事前調査はきちんとやっていると。外観調査によって、これは明らかに石綿がないんだというふうな主張をされて、行政側とすると、なかなか専門家でもないものですから、そういう主張をされたときに、明らかに、これは石綿だとも言えず、引き下がってしまうようなことがあって、両者の間に挟まって非常に苦しい思いをした例があったということも、聞いてもいます。そういう意味では、やはり、この事前調査を有資格者にやってもらうということは、非常に重要な部分ではないかと思いますので、ぜひ、資格者の数もあろうと思いますけれども、そこら辺の対応については迅速に進められるようにご対応いただきたいと思っております。

 それから、記録の保管というところも非常に重要ではないかと思っておりまして、既に工事は終わっているんですけれども、何年か後に、そこの工事に実際に石綿があったのかどうかということを周辺の住民から問われて、書類がないという形でわからないというような形になってしまうケースも結構ありますので、ぜひ記録の保管という点も、期間をどれぐらいに設定するかが難しいとは思いますけれども、考えていただきたいというふうに思っております。

 それから記録の備えつけ、工事現場の備えつけという点ですけれども、これは、そこで働く方にとっても重要だと思いますし、現場に立ち入った際も、その場で確認できるという点で、非常によろしい方法ではないかと思いますので、そこら辺についてもよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では、笠井委員、お願いします。

【笠井専門委員】 日建連の笠井です。

 先ほどから看板の話が出ていましたが、看板につきましては、前回の石綿関連の法令改正、すなわち大防法と石綿則が大きく改正されたときに、私ども日建連が環境省と厚労省のご担当者にお願いしまして、それぞれの法令で掲示する目的が違いますのでう、それぞれの要求に合致した看板をつけないといけない状況でしたので、共通化できないかのお願いをして、協議をしながら、統一版をつくった背景があります。現状も使っていただいていると思いますし、書き方の例示も作り、マニュアルや特別教育等のテキストにも例として記載していただいています。今回の法令改正で見直しが必要な場合は、改正に合わせた形のものにするための協議をさせていただきたいと思っています。二つの法律の要求を満足するためかなり情報量となっており、かなり字が小さくなっていますので、見やすくするための見直しが必要であれば是非一緒に協議をさせていただきたいと考えています。

 それから事前調査者のことですが、中立性とか第三者性とかというお話がやっぱり出てくる。これは先ほども申しましたけれども、今、事前調査の義務は受注者にあります。いわゆるゼネコン側にあるということで、これで本当に中立性が担保できるのかというところは、私個人としては疑問が残るところではありますが、現状はそうなっているということです。

 それと、私自身は情報を持ち合わせていませんが、講習を行う機関の登録を三省共管でやっていくことになっていますが、今まではずっと1社しかありませんでしたが今、何社かすでに登録されているのかどうかをおおお教えいただけますでしょうか。それによって今後どれくらいのペースで人数が拡大されていくのかわかるのではないかなと思います。

 それから最後に、マニュアルの統一化ということを書かれており、私には、非常にうれしい話ですけれども、事前調査のマニュアルの統一化については、ぜひとも、事前調査に限らず、除去工法についても、厚労省と環境省が作成されているそれぞれのマニュアルの内容的にそれほど大きな差があるとは思えませんので、この部分の統一も、ぜひ検討していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 では、事務局のほうからお願いいたします。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい。いろいろとご質問、ご意見等々ありがとうございました。

 それでは、いろいろ共通するところもございましたので、ある程度テーマごとに回答させていただこうと思っております。

 まず、調査者の養成の関係でございます。どれくらいの人数感、今の工事からすると、どれくらいかかるかというところのお話の中で、大体、建物の数も万単位、数十万単位になりますので、数万人くらいまでは、最終的にはやはり必要になってくるのかなと考えてございます。ただ、笠井委員からご質問ありました、今のその講習の登録をしているところは、まだ1カ所でございまして、当然、受講者を養成するためには、その講習を実施する機関の登録を増やしていかなければいけないというところで、これは、もちろん増やしていく努力をしてございますので、登録機関を拡大していきたいというふうに考えてございます。

 この調査者の講習については、その中立性というか、公正を持った方を育てるという目的もございますし、そのしっかり資格を持ってもらうところ、ちょっとオーバーラップしますけども、その記録をしっかり残すところ、渡辺委員からもお話がありましたが、記録をしっかり残して、それが後でチェックできるようにする。さらにそれを現場で備えるということで、その実施の記録の担保というか、それがしっかりできると考えてございます。

 あと掲示のお話でございます。笠井委員からお話がございました、また掲示のところで、様式の検討のときには、ぜひお願いしたいと思っております。やはり掲示につきましては、立入検査の中でも非常に指導が多いところでございますので、その掲示のあり方とか、そこをもう少し明確に示していけたらというように考えてございます。その中で、外山委員からその公表というところのお話がございましたが、基本的には、リスクコミュニケーションの観点で、公衆に見やすい場所に掲示するというふうに、現在も大防法で定めてございまして、それを、まず掲示を充実させてしっかり見えるようにする。小さな掲示でわからないような形でされているというのを見やすさの点で改善をしていきたいというように考えてございます。

 その掲示内容等、事前調査の届出のところですね。現在、厚生労働省さんのほうで検討されているシステムと、情報共有してやっていくという方向でございまして、そちらのほう、その情報を活用するというか、共有化するというところですね。その法令の中に、情報を共有化する方向を考えていければとい考えておりますし、そういう根拠ができれば、その情報共有の根拠につきましても、自治体のサイドのほうでも困らないのかなというふうに考えてございます。

 ですので、厚生労働省さんと一緒にその制度を設計するに当たって、どういうふうに公表というか、そういったところまで踏み込んでいけるかは、少し検討、調整を進めてまいりたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。

 あと、本橋委員からございました、調査の対象としている建築物の範囲についてでございます。こちらについても厚生労働省さんとの調整の部分もございますので、現時点ではっきり決まっているというところではございませんので、基本的な方向ではございますが、その人数と建物の数、あとそのアスベストの種類、使われているアスベストの種類などを鑑みますと、やはり鉄筋鉄骨造とか、そういったいわゆる耐火に使われた飛散性の高いアスベストが使われているものから、まず義務づけていくべきであろうというふうなところの方向は何となくあるのですけどもこれからまだ両省での検討になりますので、今の段階ではなかなか具体的にどこまでと答えられないんですが、お願いしたいと思います。

【吉田大気環境課課長補佐】 本橋委員と笠井委員からご指摘いただきました従前の、論点一つ目のほうでの回答が漏れていたというところでございますけど、マニュアルに関しましては、塗材に関するマニュアルと、あとはレベル3建材に関する、今回の検討内容を踏まえたマニュアルというものを、また検討していくことを考えてございます。その際には、詳細なところを検討するとともに、ご指摘受けましたような関係する有識者の方にご意見を伺いつつ作成していきたいと思ってございます。

【大塚委員長】 よろしいですか。調査者の中立性について、お二人ぐらいからご意見が出ましたけれど、いかがでしょうか。

【高澤大気環境課長】 調査者の中立性の話をいただきまして、事前調査の実施につきましては、引き続き受注者の義務ということにはなります。それで、先ほどから出ております、調査をしっかりできる者といいますか、講習等でそういった方を育成していくことを引き続きやっていくということでございまして、当面はそういった、しっかりとした調査者の方にやっていただくことで調査を進めていくのが、適当ではないかと考えているところでございます。

【大塚委員長】 はい。あと、さっきの特定記録の件のところは、大防法の2010年改正で、ばい煙のほうはやっていますので、そちらのほうも参考にして仕組みをつくっていただければと思います。

 よろしいでしょうか。大分時間が過ぎてしまって恐縮ですが、ここで本日の議論は終了したいと思います。

 事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、取りまとめに向けて検討を進めるようにお願いいたします。

 最後に、議題のその他につきまして、事務局から何かございますでしょうか。

【秋山大気環境課課長補佐】 はい。では1点、資料5の今後の検討スケジュールについて、ご説明させていただきます。資料5をご覧ください。

 これまで第1回、第2回、第3回ということで開催してまいりました。本日、第4回の議論がございました。次回、第5回を6月24日を予定しておりますが、今後の石綿飛散防止の在り方に関する論点の第2回目ということでお願いしたいと思っております。その後、答申案について、ご議論いただきまして、パブリックコメントを経て、最終的には、答申の取りまとめという流れでお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

【大塚委員長】 それでは、本日の予定された議題は終了といたしますので、進行を事務局にお返しいたします。連絡事項等があれば、お願いいたします。

【高澤大気環境課長】 本日は、委員の皆様方におかれましては、長時間のご議論いただきまして、ありがとうございました。本日ご議論いただきました内容を踏まえまして、方向性について引き続き整理をさせていただきます。

 次回の小委員会につきましては、先ほどご案内がございましたとおり、6月24日、月曜日になりますが、13時半からの開催を予定しております。また、会場などが決まりましたら、改めてご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開することとさせていただきます。

 それでは、本日の小委員会はこれで終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。