中央環境審議会大気・騒音振動部会 石綿飛散防止小委員会(第1回)議事録

1.日時

平成30年10月18日(木)00~101

2.場所

環境省 第一会議室

3.出席者

(委員長)

大塚 直

(臨時委員) 

大迫 政浩

島  正之

勢一 智子

谷口 靖彦

山神 真紀子

(専門委員)

浅見 琢也

出野 政雄

笠井 賢一

神山 宣彦

小坂  浩

高澤 彰裕

外山 尚紀

中村 弘造

廣田 善夫

渡辺ゆかり

(環境省)

田中水・大気環境局長

上田審議官
庄子総務課長
高澤大気環境課長
青竹大気環境課課長補佐
前田大気環境課課長補佐
秋山大気環境課課長補佐
吉田大気環境課課長補佐

4.議題

(1)石綿飛散防止小委員会の設置について

(2)石綿飛散防止の現状と課題について

(3)その他

5.配付資料

資料1
中央環境審議会環境審議会大気・騒音振動部会石綿飛散防止小委員会委員名簿
資料2
石綿飛散防止小委員会の設置について
資料3
中央環境審議会大気・騒音振動部会の小委員会の設置及び運営方針について
資料4
石綿飛散防止の現状と課題について
資料5
今後の検討スケジュールについて(案)
参考資料1
石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)(平成25年2月中環審第704号)
参考資料2-1
(総務省行政評価局資料)アスベスト対策に関する行政評価・監視-飛散・ばく露防止対策を中心として-(概要)
参考資料2-2
(総務省行政評価局資料)アスベスト対策に関する行政評価・監視の勧告に対するその後の改善措置状況
参考資料3
平成29年度アスベスト大気濃度調査結果について
参考資料4
石綿飛散防止に関する法令(抜粋)
参考資料5
大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(平成25年6月13日参議院環境委員会)

6.議事

【高澤大気環境課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会大気・騒音振動部会第1回石綿飛散防止小委員会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただき、誠にありがとうございます。私は本日の司会を務めさせていただきます大気環境課長の高澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 部屋のほうが少々暑くなっておりますので、適宜上着等、取っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日の会議は小委員会の運営方針に基づき、公開とさせていただいておりますので、ご了承願います。本小委員会につきましては、先月7日に開催されました第13回大気・騒音振動部会において設置が了承されたものでございます。小委員会の委員長及び委員の指名につきましては、中央環境審議会議事運営規則に基づきまして、大気・騒音振動部会長のご指名により、後ほどご紹介させていただきます19名の皆様を委員としてお迎えしております。

 本日は第1回目の小委員会ですので、委員の方々と事務局の担当職員を紹介させていただきます。

 まず委員長には中央環境審議会議事運営規則第8条第2項の規定に基づきまして、大気・騒音振動部会の畠山部会長のご指名により、早稲田大学大学院法務研究科教授の大塚直委員にご就任いただいております。大塚委員長、よろしければ、一言、よろしくお願いいたします。

【大塚委員長】 早稲田大学の法学部の教授の大塚直と申します。石綿に関しての大気汚染との関係につきましては、前回の改正に関わらせていただきました。石綿は 「静かな時限爆弾」とも呼ばれていますけれども、現在までに至る重要な公害問題と認識しております。丁寧な審議を心がけたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、事務局におかれましては、見逃しの問題とか、違反の問題とか、さまざまなデータの収集が必要になってくると思いますけども、ぜひデータの収集に関してはよろしくお願いいたします。

 ではどうぞ皆様、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

【高澤大気環境課長】 大塚委員長、ありがとうございました。

 本小委員会に所属していただく委員の方々につきましては、中央環境審議会議事運営規則第8条第3項に基づきまして、資料1にありますとおり畠山部会長の指名によりご就任いただいております。

 それでは資料1の名簿に沿いまして、ご紹介をさせていただきます。

 国立研究開発法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター長、大迫委員でございます。

 兵庫医科大学教授、島委員でございます。

 西南学院大学法学部法律学科教授、勢一委員でございます。

 慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教授の武林委員は、少し遅れるとの連絡を受けております。

 一般財団法人関西環境管理技術センター理事長、谷口委員でございます。

 名古屋市環境科学調査センター環境科学室主任研究員、山神委員でございます。

 一般社団法人JATI協会技術参与、浅見委員でございます。

 公益社団法人全国解体工事業団体連合会専務理事、出野委員でございます。

 一般社団法人日本建設業連合会環境委員会建築副産物部会副部長、笠井委員でございます。

 独立行政法人労働安全衛生総合研究所フェロー研究員、神山委員でございます。

 一般社団法人建築物石綿含有建材調査者協会理事、小坂委員でございます。

 一般社団法人日本経済団体連合会環境管理ワーキング・グループ座長、高澤委員でございます。

 NPO法人東京労働安全衛生センター労働衛生コンサルタント、外山委員でございます。

 川崎市環境局環境対策部大気環境課長、中村委員でございます。

 一般財団法人日本不動産研究所資産ソリューション部環境室長、廣田委員でございます。

 長野県環境部水大気環境課長、渡辺委員でございます。

 なお、本日は京都大学大学院工学研究科教授の高岡委員と、一般社団法人建築研究振興協会副会長の本橋委員からは欠席との連絡を受けております。

 本日の出席状況でございますが、委員19名中現在のところ16名の委員の方に出席をいただいておりまして、定足数に達していることをご報告させていただきます。

 続きまして、本小委員会の事務局を務めます環境省水・大気環境局のメンバーでございますが、まずは水・大気環境局長の田中から、一言ご挨拶を申し上げます。

【田中水・大気環境局長】 皆さんこんにちは。水・大気環境局長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は大変ご多忙の中、ご出席を賜りまして厚く御礼を申し上げます。大気汚染防止法に基づく石綿の飛散防止ということですけれども、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、建築物の解体などにおける石綿飛散防止の規制、これが平成8年に導入をされ、その後逐次規制を拡大・強化してきているところでございます。

 前回の大気汚染防止法の改正が平成25年ということでございますけれども、このときは特定粉じん排出等作業を伴う建設工事の実施の届出義務者を、発注者に変更するといったことなどの改正を行っております。一定の成果を上げてきたところでございます。来年の6月には、この改正法の施行後5年を迎えるということでございまして、施行の状況について検討を加え、必要に応じて見直すこととされております。

 それから総務省のほうからですけれども、行政評価・監視の結果といたしまして、平成28年5月にアスベスト対策について環境省などに勧告が行われております。その中身といたしましては、後ほどまた説明があるかと思いますけれども、事前調査の適正な実施の確保、大気汚染防止法で規制対象としていない、いわゆるレベル3の石綿含有建材の適切な処理の推進、こういったことなど、石綿飛散防止に関する課題をお示しいただいているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、本年8月29日付で環境大臣から中央環境審議会に対しまして、今後の石綿飛散防止のあり方について諮問をさせていただきました。9月7日に開催した中央環境審議会大気・騒音振動部会におきまして、この小委員会を設置し、小委員会で検討をしていただくということで了承をいただいたところでございます。

 本日ですけれども、その第1回目の小委員会となります。まず事務局から、石綿飛散防止の現状と課題につきまして、平成25年改正以降の大気汚染防止法の施行状況も踏まえながら、説明をさせていただく予定でございます。本日は限られた時間ではございますけれども、各先生方の貴重なご意見、ご指導をお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【高澤大気環境課長】 それでは続きまして、そのほかの事務局の出席者を紹介させていただきます。

 上田審議官でございます。

 庄子総務課長でございます。

 大気環境課青竹課長補佐でございます。

 同じく前田課長補佐でございます。

 同じく秋山課長補佐でございます。

 同じく吉田課長補佐でございます。

 続きましてお手元の配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第のほうに配付資料一覧を記載しております。

 環境省では環境負荷削減の観点から、審議会等の資料のペーパーレス化に取り組んでおります。委員の皆様におかれましては、本日は資料1、資料4及び資料5は紙で配付いたしております。そのほかの資料につきましては、タブレットを使用して、閲覧をお願いいたします。タブレット上の資料をご覧になる場合は、ダブルクリックを押していただきますと、資料が開いて見られるようになっております。なお、タブレットの不調や資料データの不足、操作上の不都合等ございましたら、お近くの事務局の者までお申しつけください。

 傍聴の皆様方には、前日までに環境省ホームページに掲載いたしました資料について、お持ちのノートパソコン、タブレット等の端末に保存し、ご覧いただく等、ペーパーレス化のご協力をお願いしているところでございます。そのため、既にホームページに掲載済みの資料につきましては紙で配付せず、資料1、資料4及び資料5のみの配付とさせていただいております。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

 報道関係者の方におかれましては、恐縮ですが、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、これ以降のカメラ撮りはご遠慮いただきますよう、ご協力をお願いいたします。

 それでは、これ以降の会議の進行につきましては、大塚委員長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【大塚委員長】 それでは議題に入りたいと思います。

 まず議事(1)でございます。石綿飛散防止小委員会の設置についてでございますけれども、石綿の飛散防止対策のさらなる強化につきまして、本年8月29日付で環境大臣から中央環境審議会に諮問され、9月7日に大気・騒音振動部会で本小委員会で検討することが了承されました。その諮問理由及び本小委員会の設置につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【青竹大気環境課課長補佐】 そうしましたら、大気環境課の青竹のほうから資料2及び資料3を用いてご説明をいたします。

 こちらの資料2と資料3については、9月7日の大気・騒音振動部会の資料と同じものでございまして、ご説明をさせていただいているとおり、設置については同部会で既に了承されたものでございます。

 まず1、設置の趣旨でございますけれども、平成26年6月に施行されました大気汚染防止法の一部を改正する法律附則第5条において、「政府は、施行後五年を経過した場合において、施行後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と定められているところでございます。

 また、総務省の行政評価・監視に基づきまして、アスベスト対策について環境省等に勧告が行われ、石綿飛散防止に関する課題が示されたというところでございます。

 これを踏まえまして環境省としましては、平成30年8月29日に中央環境審議会に「今後の石綿の飛散防止の在り方について」諮問をしたところでございます。

 この諮問につきましては、めくっていただきまして、次のページになりますけれども、別添1-1というところで、その諮問の文章を記載しているところでございます。この後、同日付で中央環境審議会のほうから大気・騒音振動部会に付議されているということで、その次のページ、別添1-2のほうに、付議の文書のほうをつけさせて。大変失礼いたしました。諮問文書と付議のほうは入っておりませんけれども、付議をされているということで、恐縮ですがご報告させていただきます。これらのことを踏まえまして、小委員会を設置しまして、今後の石綿の飛散防止のあり方について検討いただくということでございます。

 検討事項としては、「今後の石綿の飛散防止の在り方について」というところでございます。

 続きまして資料3のほうをお開きいただければというふうに思います。こちら、先ほどの平成30年9月7日の大気・騒音振動部会で改正されたものでございます。

 1番、大気・騒音振動部会に次の小委員会を置くということで、(2)として石綿飛散防止小委員会が置かれているというところでございます。

 3番に石綿飛散防止小委員会の審議について書いてございまして、大気汚染防止法に基づく石綿飛散防止に関する事項を審議するということでございます。

 4番、小委員会の決議は、大気・騒音振動部会部会長の同意を得て、大気・騒音振動部会の決議とすることができる。

 5番、小委員会の委員長に事故があるときは、中央環境審議会大気・騒音振動部会長の同意を得て、あらかじめ委員長が指名する委員、臨時委員又は専門委員がその職務を代理する。

 6番ですけれども、大気・騒音振動部会長は、小委員会に出席し、意見を述べることができるということでございます。

 7番、会議についてで、(1)が公開についてでございますけれども、①小委員会は、原則として公開するものとする。ただし、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合又は特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合には、小委員長は、会議を非公開とすることができる。

 それから(2)の代理出席でございますけれども、代理出席は認めないということでございます。

 8番、会議録等の公開についてでございますけれども、(1)公開した小委員会の会議の資料及び会議録は、公開するものとする。

 (2)会議録を公開する場合には、発言者の氏名を記載するものとする。

 (3)非公開とした小委員会の会議の資料及び会議録は、公開しないものとするということでございます。

 それから(5)でございますけれども、公開は、環境省ホームページへの掲載により行うものとするということでございます。

 私からの説明は、以上でございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 ただいま説明がございました石綿飛散防止小委員会の設置に関しまして、まず小委員会の設置及び運営方針に基づきまして、委員長に事故があったときの代理人に関して指名をしておく必要がございます。事務局とも相談して委員長代理については大迫委員にお願いしたいと考えておりますけども、ご異議等ございませんでしょうか。

 (異議なし)

【大塚委員長】 ありがとうございます。では大迫委員、どうぞよろしくお願いいたします。

 その他、ただいまご説明のありました石綿飛散防止小委員会の設置につきまして、ご質問、ご意見などはございますでしょうか。

 外山委員、お願いします。

【外山委員】 外山です。

 実は2点ほど環境省に要望があります。環境省では前回の改正以降、例えば国会の附帯決議に基づいてリスクコミュニケーションガイドラインを作成したりですとか、あとは災害時のマニュアルを作成したりですとか、そういったアスベストの対策を推進するという立場で、さまざまな活動をされてきて、ここの点は大いに評価すべきだと思うんですけれども、こうした委員会がほとんどの場合、非公開で行っているというところに私は違和感を感じています。

 石綿の被害が非常に急速に広がってきていて、中皮腫の死亡者は昨年で1,555人ということで、肺がんとあわせると数千人の方が石綿によって命を落としているということですので、交通事故を超えるような、そういう被害が発生しているということで、私も身近に石綿の関心が非常に高まっているなというふうに感じていますので、やはりこうした委員会は公開すべきだというふうに思っています。

 今回の委員会は公開なんですけれども、この委員会に関連したところで申し上げますと、昨年度石綿飛散防止対策調査検討会というのが、これもまた非公開で開催されていまして、これは私は委員として参画しているんですけれども、これも報告書が作成されています。こちらも非公開ということになっています。

 この委員会で、実は昨年の委員会で検討されたことが、今回の本委員会でも検討事項にもなっているということですし、一定の方向性を与えたということで、非常に意義のある委員会だったと思いますし、よい報告書が出ていると思いますので、ぜひこれは公開していただきたいというふうに思っています。あと一部の委員の方はこの委員会参加されているんですけれども、参加していない方もいらっしゃいますので、本委員会での検討事項の前提となるような議論になりますので、ぜひこの報告書は公開していただきたいというふうに思っています。

 2点目ですけれども、委員の構成の問題なんですけれども、こうした既存石綿の対策で政策決定をするというところでは、遺族なりその家族の皆さん、当事者の方の参加ということが非常に重要だというふうに思っています。リスクコミュニケーションという観点からも、そうした方々は政策に関与していくということが必要だろうというふうに思っています。

 日本では最大の遺族・被害者の団体として、「中皮腫アスベスト疾患患者と家族の会」というのがあります。これは私たちと同じ事務所なんですけれども、実は2004年に会が発足しています。そのときに60名だったんですけれども、2013年の改正の段階では650名、現在では900人ということで、非常に会員数も増えてきていて、活発な活動をしています。相談活動ということが中心で、石綿の疾患というのは非常に潜伏期間が長いということもあって、補償を受けることが難しい場合が多々あります。そういう中で相談を受ける、そういう会のスタッフというのは、非常に専門的な知識を持っていますし、非常に石綿に関する知識もあるということですので、ぜひそういったことがこの会でも必要なのかなというふうに思っています。

 もう少し会が発足した翌年には、「クボタショック」ということが起きています。これはもう言うまでもなく日本で最大の環境被害ということですけれども、実はこの工場の周辺での中皮腫被害を発見したというのは、この患者と家族の会の元会長さんが、自分で足で回って、発見しているということですので、そういったこともあると思いますし、あとその後は、例えば輸入した石綿の麻袋を再生して被害が起きているですとか、あと看護婦さんの中皮腫ですとか、そういった通常のばく露とは違うような形の被害についても発掘というか発見をして、補償につなげているということもありますので、そうした経験というのは非常に有益なのかなということですので、こうした会から患者と家族の会なり、石綿の被害を受けている方々から、この会にぜひ委員として参加をしていただきたいということを検討していただきたいというふうに思います。こういう形で始まっていますので、すぐにということは無理かもしれませんけれども、来年度まで続くようですので、ぜひその点は検討していただきたいというふうに思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 では事務局のほうから、いかがでしょうか。

【高澤大気環境課長】 ご意見いただきまして、ありがとうございます。

 外山委員からご指摘いただきました昨年度検討会、お名前の上がりました石綿飛散防止対策調査検討会でございますけれども、こちらにつきましては検討会の開催要綱を定めまして、検討会及びその資料については非公開とさせていただいているということでございます。

 非公開といたしました理由は、まだ内部の検討段階でありますということや、公開を前提とせずに、特定の企業なり団体のほうからヒアリングで情報をいただいたものなりをその検討で使っていたということもありまして、そういったことを考慮したものでございまして、検討中の内容が公開されることで、混乱を生むおそれもあるということから、委員にもご相談をさせていただいた上で非公開としたものでございます。外山委員のほうからもありましたけれども、そのまさに検討会の検討成果につきましては、最大限活用させていただきまして、本小委員会等でご議論いただくなど、公開の場でご意見をいろいろと伺えればありがたいと思っております。

 あと2点目の委員の構成の問題でございますけれども、先ほど委員につきましては、こういうメンバーということで、大気・騒音振動部会長のご了解を得てということで、とりあえずこれで動いてしまっていますので、こちらについてはそれで開始ということでご了解いただきたいんですけれども、次回からまたヒアリング等も行わせていただくので、そういったところでご意見を聞くようなことも考えられればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【大塚委員長】 被害者の方の意見を聞くことも非常に重要ですので、ヒアリング等で聞かせていただくということにさせていただければと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 (なし)

【大塚委員長】 よろしいでしょうか。

 では本小委員会におきまして、石綿飛散防止のさらなる強化についての議論を深めていきたいと思います。

 続きまして、議題(2)石綿飛散防止の現状と課題についてでございます。資料4につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【前田大気環境課課長補佐】 大気環境課の前田と申します。

 それでは資料4に沿ってご説明をさせていただきます。

 まず2ページ目に資料の構成がございますけれども、最初に石綿に関する基礎的な情報がございまして、それから大気汚染防止法に基づく石綿飛散防止についての概要がございます。

 その後、中央環境審議会から中間答申という形でいただいたご提言への対応ということでのご説明がございまして、それから平成25年改正後の大気汚染防止法の施行状況というのを、ご報告をさせていただきます。その上で5、主な課題といたしまして考えられる論点について、事務局のほうからご説明をさせていただきます。その上でご議論をお願いできればというふうに考えております。大部の資料になりますので、かいつまんでのご説明となりますが、何とぞご了承をいただければと思います。

 それではページをおめくりいただきまして、まず石綿に関する基礎的な情報ということでございますが、後ろのほうの説明に時間がかかりますので、なるべく割愛して適宜ご覧いただく形でよろしくお願いいたします。

 4ページ目の1-2石綿の人体への影響ということで、先ほど外山委員からもご指摘ございましたけれども、石綿を吸入することによって生じる疾患としては、中皮腫、肺がん等が知られておりますけれども、中皮腫による死亡者というのは、平成29年には1,555人となっておりまして、20年間で約3倍に増加をしている。さらに石綿による健康被害というのは潜伏期間が40年程度と、非常に長期にわたるということと、どこでばく露したか、石綿が原因か、特定することは極めて困難ということの特徴がございます。

 それから1-3、石綿の使用禁止ということで、石綿の使用は昭和50年から労働安全衛生法において段階的に禁止され、現在では全面的に新たな使用禁止となっているところでございます。

 次に6ページ目からでございますが、大気汚染防止法に基づく石綿飛散防止についての概要でございます。

 2-1といたしまして、大気汚染防止法に基づく建築物の解体等における石綿飛散防止の経緯をまとめております。阪神・淡路大震災を契機に、大気汚染防止法(「大防法」)に、環境保全の観点から、建築物の解体等における石綿飛散防止の規制を導入しております。大防法では石綿を特定粉じんと呼んでおりますけれども、その後順次規制を拡大・強化してきております。

 ページをおめくりいただきまして、2-2、現行制度での大気汚染防止法に基づく建築物解体等に伴う石綿飛散防止の規制の概要でございます。建築物又は工作物の解体・改造・補修工事に伴う石綿の飛散防止をするため、受注者は解体等工事の前に、大防法規制対象の石綿含有建材(特定建築材料)の有無の調査を行うということ。それから特定建築材料が使用されている場合は、解体等工事の発注者が都道府県等に届出を行ったうえで、解体等工事の施工者が作業基準を遵守して、この除去等を実施するということとされております。

 次に参りまして2-3、大気汚染防止法の規制対象となっている石綿含有建材でございますけれども、大防法では石綿含有建材のうち、特定建築材料(①吹付け石綿、②石綿を含有する断熱材、保温材及び耐火被覆材)が使用されている建築物の解体等を行う場合の届出、作業基準遵守等を義務づけております。

 一方で、特定建築物材料以外の石綿含有建材、以下「レベル3建材」というふうに記載しておりますが、これはマニュアルで作業方法を明確化しております。

 なお、ページの下のほうでございますけれども、レベル1、2、3の区分につきましては、建設業労働災害防止協会による区分でございますけれども、大防法上の特定建築材料の定義との直接な関連性はございません。ただ、その同区分が一般的に広く認知されているということで、便宜的にこの資料の中、あるいはその議論の中では用いらせていただくものであるということを補足させていただきます。

 それから次のページに参りまして、これは石綿含有建材の主な使用例ということで、適宜ご覧をいただければと思います。9ページ、10ページ、それぞれレベル1、レベル2の石綿含有建材を掲載しております。

 11ページ、2-6、石綿含有建材の使用例、レベル3に参りまして、レベル3建材に関しては、屋根・外壁・内壁・天井・床等、広く利用されております。大防法では届出等の義務はございませんが、マニュアルで作業方法を明確化して、石綿の飛散防止を周知しているところでございます。

 次に参りまして2-7、石綿含有建材の出荷量でございます。過去50年に輸入・生産された石綿のうち、約8割が建築材料として使用され、その9割がレベル3建材に使用されたと推定をされております。また石綿含有建材の出荷量のうち、およそ96%がレベル3建材であるというふうに推計をされているところでございます。

 駆け足で恐縮ですが、次、3番に参りまして、中央環境審議会中間答申(平成25年2月)を受けた対応についてということで、ご報告をさせていただきます。

 3-1、中央環境審議会中間答申の当時の検討の経緯ということですけれども、建築物等の解体現場等から、石綿が飛散する事例及び建築材料に石綿が使用されているかどうかの事前調査が不十分である事例が確認されるとともに、立入検査権限の強化、事前調査の義務づけ、大気濃度測定の義務化の必要性等について、地方公共団体から要望があったものでございます。

 また東日本大震災の被災地においても、石綿を用いた建築材料が使用されている建築物や、煙突内部の石綿除去工事、解体工事において、石綿の飛散事例が確認されていたということでございます。その上で石綿使用の可能性がある鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物の解体工事は、2028年ごろをピークに、全国的に増加するのではないかといった推計結果がございます。

 次のページ、3-2、中央環境審議会中間答申の概要というところでございますけれども、これは4ページにわたってございますが、資料の黒字のところが答申でご提言をいただきました主な内容でございまして、それに対して、カラーでないものに関しては、ちょっと見づらくて恐縮でございますけれども、緑色のところがこれまで行ってきた対応で、詳細が3-3のページ以降にまとめられているところでございます。それに対して赤字となっているところが課題としてなお残っております部分でございまして、5の主な課題の中に盛り込ませていただいているものでございます。

 後ろの詳細ページのほうでご説明させていただきますので、3-2の1~4までの説明は、割愛をさせていただきます。

 ページをおめくりいただきまして、18ページまで飛びまして、3-3、大気汚染防止法改正(平成25年)の概要でございます。

 まず一つは特定粉じん排出等作業を伴う建設工事の実施の届出義務者の変更ということでございまして、解体等工事の施工者が行うべきこととされている特定粉じん排出等作業を伴う建設工事の実施の届出について、解体等工事の発注者又は自主施行者が行うべきことというふうに変更しております。

 それから解体等工事の事前調査の結果等の説明等につきまして、解体等工事の発注者から解体等工事を請け負う受注者は、当該工事が特定工事(特定粉じん排出等作業を伴う建設工事)に該当するか否かの調査を実施して、その結果及び届出事項を発注者に書面で説明をするということとともに、その結果等を解体等工事の場所に掲示をしなければならないこととしております。

 それから報告及び検査の対象の拡大ということで、都道府県知事等による報告徴収の対象の拡大、それから立入検査の対象に解体等工事に係る建築物等を入れ、それぞれ拡大をしているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、3-4大気汚染防止法施行規則改正の概要でございます。

 法律の改正に伴いまして、施行規則の改正も行っております。そのときに作業場の隔離養生、それから特定建築材料の湿潤化に加え、粉じんを迅速に測定できる機器を用いることにより集じん・排気装置が正常に稼働することを確認すること等、作業基準に漏えい監視の観点を追加をしているところでございます。

 それから3-5、大気汚染防止法の施行のための対応の①(マニュアルの整備)ということでございまして、改正大防法の施行を着実に進めるとともに、新たなニーズや知見に対応するためということで、各種のマニュアルの改訂等を行っております。

 一つは建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアルの改訂。それからアスベストモニタリングマニュアルの改定、三つ目でございますけど、これは新規の作成で建築物等の解体等工事における石綿飛散防止対策に係るリスクコミニュケーションガイドライン、それから最後、災害時における石綿飛散防止に係る取扱いマニュアルというものの改訂をしたところでございます。

 次3-5に参りまして、これは(都道府県等への通知)でございますけれども、改正大防法の適切な施行を図り、解釈や取扱いの明確化を行うため、都道府県等に対する通知の発出を行っております。

 一つは煙突内部に使用する石綿含有断熱材からの石綿飛散防止等についてということ。それから次に石綿を含有する成形板等、いわゆるレベル3でございますけれども、取扱いについての通知。それから石綿含有仕上塗材の除去等作業における石綿飛散防止対策についての通知。そして事前調査の不徹底により、石綿含有建材が把握されずに建築物等の解体等工事が開始された事案等についての通知ということで、この内容は一部後ろの資料でもご紹介をさせていただくところでございます。

 3-6に参りまして、立入検査に係る都道府県等担当者向け技術講習会の開催でございます。

 都道府県等による解体現場への効果的・効率的な立入検査に資するためということで、事前調査、石綿漏えい監視、除去終了後の検査等に関する技術講習会を開催しているところでございます。

 ページをおめくりいただきまして、3-7、3-8は関係機関との連携についてということで、3-7は関係法令というものが、どういうものがあるかという、簡単なご紹介をさせていただいているものでございます。労働安全衛生法・石綿障害予防規則(以下「石綿則」という。)において、建築物解体等における労働者の石綿ばく露防止対策を義務付けしております。また建築基準法でも、新築時の吹付け石綿等の使用を禁止しているほか、既存建築物の増改築時等に吹付け石綿等の除去等対策を義務付けているところでございます。

 その他、建設リサイクル法では、対象建設工事の施工前に石綿を含めた付着物の除去を義務付けているほか、廃棄物処理法では、除去された廃石綿等又は石綿含有廃棄物について、適正処理のための基準を設けているところでございます。

 3-7②で、特に石綿則についてということでございますが、吹付け石綿、保温材、耐火被覆材、断熱材の除去等については事前調査を行い、作業の14日前まで又は事前に届出をし、隔離・湿潤化等の作業基準を遵守して、除去等作業を行うこととされております。その他建築材料につきましては、届出は不要ではございますが、事前調査を行って湿潤化等の作業基準を遵守して、除去作業等を行うこととされております。

 次に3-8でございます。関係機関との解体等工事届出の情報共有の促進でございます。労働安全衛生法又は建設リサイクル法に基づきまして、それぞれ労働基準監督署又は都道府県等担当部局が把握している届出情報、これが都道府県等の大防法の担当部局に共有されますと、大防法に基づく届出の対象になり得る解体等工事を把握する端緒となるということで、関係機関との情報共有の促進をしているところでございます。

 環境省では、都道府県等に対して、大防法の規定に基づき、こうした届出情報の共有が可能であるということを周知しております。また、他省庁においても同様に、情報共有について周知をしているということで聞いているところでございます。

 次に3-8②といたしまして、建設リサイクル法に関する全国一斉パトロールについてでございますが、都道府県等が、建設リサイクル法に関する全国一斉パトロールと連携をいたしまして、建築物の解体工事現場等における石綿の飛散防止など、大防法の遵守状況の確認及び適切な指導等を行っております。平成29年の秋の調査においては、大気環境行政部局では、全国で1,699件の立入検査を実施しまして、そのうち353件の大防法違反を発見しているということでございます。

 ここですみません、資料の誤植がございまして、右下のグラフのところでございますけれども、件数の値のところが[値]となってしまっております。印刷時の不具合で申し訳ございません。違反なしのほうが1,346件で、違反ありのほうが353件。上の箱にも合計で1,699件とあって、違反ありのほうが353とございますけれども、これと同じ数字でございます。訂正してお詫びを申し上げます。(※ホームページ上に掲載している資料については修正済。)

 ページをおめくりいただきまして、3-9、条例による石綿飛散防止でございます。

 大防法での規定に加えまして、22の都道府県等では、作業完了の報告の義務付け、レベル3建材に係る規制等、独自に条例で必要な規制を行っているところがございます。

 左側の表が条例による規制の内訳でございまして、重複がありますけれども、都道府県等の数も掲載をしております。そのうち特にレベル3建材に係る規制に関しましては、11の都道府県等が実施しているということで、その中の内訳がさらに右の小さな表に掲載されているものでございます。いずれも対象とする解体等工事を建築物の床面積、あるいは石綿含有成形板の使用面積等で限定をしているというところでございます。

 次に4、平成25年改正後の大気汚染防止法の施行状況のご報告にまいります。

 まず4-1、大気汚染防止法改正後の特定粉じん排出等作業実施件数の推移でございますが、改正大防法が施行された平成26年以降、届出された作業実施件数は増加傾向でございまして、平成28年度に届出された作業実施件数は1万2,474件となっているところでございます。

 次のページに参りまして、その特定粉じん排出等作業届出の内訳でございますが、建築物にかかる届出は約7割、解体、改造・補修の割合が若干多い傾向にあります。一方、工作物に係る届出は約3割でございまして、その大多数は改造・補修の届出であるということで、傾向は大きく変わっていないところでございます。

 次のページに参りまして4-2でございますが、法改正後の都道府県等による立入検査の実施状況でございます。平成25年改正では、特定工事以外の解体等現場にも立入検査等を行うことができるようになっております。大防法改正前と比べまして、平成28年度は、立入検査数が約4倍の2万3,000件超というところまで伸びておりまして、行政指導件数も5,000件近くということで、大きく増加をしております。都道府県等が特定工事以外の解体等現場に積極的に立入検査を行って、指導を行っている結果で、大防法改正の効果が表れているものと考えているところでございます。

 次のページに参りまして、法改正後の都道府県等による行政処分の件数でございます。平成25年改正後の行政処分の件数は、作業基準適合命令数が計5件、一時停止命令数が計7件ございました。一方で計画変更命令数並びに命令違反、それから届出違反の告発件数は0件のままということで推移をしているところでございます。

 次に、アスベスト大気濃度調査の実施の状況ということで、ご報告をさせていただきます。

 4-4でございますけれども、環境省では、平成17年度からアスベスト大気濃度調査を全国で実施・公表しており、平成17年度からの継続調査地点における総繊維数濃度は、近年は全ての地点で1本/Lを下回り、低い濃度で推移をしているところでございます。

 それから次のページに参りまして、平成29年度アスベスト大気濃度調査についても、全国41地点で実施しておりまして、結果の概要が以下のとおりでございます。

 すみません、駆け足で参りますけれども、申し訳ありません。

 4-5、災害時におけるアスベスト大気濃度調査でございますが、震災、豪雨等の災害時に、都道府県等への支援として、国のほうで被災地におけるアスベスト大気濃度調査を実施しておるところで、その概要でございます。

 それからページをおめくりいただきますと、5番として、ここからが小委員会でご議論をお願いする主な課題と考える部分ということでございますが、5-1、まず今後の解体等工事の件数の増加についてでございまして、国土交通省の推計によりますと、解体工事件数は今後も増加いたしまして、2028年頃にピークを迎えるとされております。これに伴い、届出も増加するということが予想されるところでございます。また、平成27年度における事前調査の対象となる解体・改造・補修工事件数は、年間約73万件~188万件との推計もあるところでございます。

 それから5-2、建築物解体等に伴う石綿飛散防止の更なる強化の必要性ということでございますが、平成25年の大防法改正による石綿飛散防止の強化がなされましたけれども、事前調査での石綿含有建材の見落とし、あるいはレベル3建材の湿潤化不足などによる石綿飛散防止事例が把握されるなど、なお課題があるところでございます。

 それから5-3、改正大防法施行5年後の検討でございますけれども、平成25年の大気汚染防止法の一部を改正する法律の附則の第5条に、施行後(施行が平成26年6月になりますけれども)この5年を経過した場合において、施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものというふうにされておるところでございます。また、大気汚染防止法の一部を改正する法律案の法案審議の際に、参議院の環境委員会のほうで附帯決議がなされておりまして、詳細が以下のとおりでございます。3番も含めた本文は、参考資料5につけさせていただいているものでございます。

 それから5-4といたしまして、石綿の飛散防止に係る課題でございますけれども、中央環境審議会からの中間答申や、総務省による行政評価・監視によりまして、事前調査の信頼性の確保、それからいわゆるレベル3建材除去時の石綿飛散防止等の課題について指摘をされているところでございます。

 中間答申においては、今後の検討が必要な課題といたしまして、大きく四つ、事前調査の信頼性の確保の観点、それから特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定の観点ございまして、特定建築材料の除去作業が適切に終了したことの確認の観点、それからレベル3建材の除去等作業時の石綿飛散防止ということでご指摘をいただいているところでございます。

 それから総務省による行政評価・監視におきましては、この内容を中間答申の課題とも重なっておりますけれども、事前調査の適正な実施の確保ということと、レベル3建材の適切な処理の推進ということで、ご指摘をいただいております。なお、厚生労働省におきましても、本年7月から建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策強化のため、検討会・WGを立ち上げて検討を開始しているということで認識をしております。

 ページをおめくりいただきまして5-5、事前調査の信頼性の確保でございます。平成25年の大防法改正では、中間答申を踏まえまして、解体等工事の受注者に対して、特定建築材料の有無についての事前の調査、それから発注者への調査結果の説明及び調査結果の掲示の義務がつけられております。

 これによりまして届出の件数が増加するなど、一定の改善が見られると考えておりますが、なお適切でない事前調査がみられることから、事前調査については、石綿に関する一定の知見を有し、的確な判断ができる者により行われるよう、平成29年に環境省から都道府県等に対して通知もいたしているところでございます。ここの的確な判断ができる者ということに関して、例示させていただいておりますのが建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者技能講習修了者のうち、石綿等の除去等の作業の経験を有する者及び日本アスベスト調査診断協会に登録された者ということで、掲載をさせていただいているところでございます。

 次のページに参りますけれども、事前調査の不徹底によりまして、石綿含有建材が把握されずに、建築物等の解体等工事が開始された事案について、環境省が都道府県を対象に実施した調査によりますと、平成26年6月1日から平成29年3月31日までに発生したものとして、都道府県が88県把握しているということでございます。このうち、事案の発生原因といたしましては、発注者や受注者の法規制に対する認識不足によるもの、それから発注者から受注者への伝達不足など、情報共有の不徹底に関するもののほか、設計図書・外観では確認できない箇所に石綿があったということによる9件等、事前調査の方法を明確に定めていないことが原因ではないかと示唆される回答もございました。

 それで、考えられる<論点(案)>として下にまとめさせていただいておりますが、例えば事前調査の方法を法定化する等、明確化をするということが必要ではないか。それから事前調査の適切な実施が確認できるように、事前調査結果、あるいは受注者から発注者への説明内容の記録あるいは保存の在り方の検討というのが必要ではないかといったことがあるのではということで考えておるところでございます。

 次に事前調査の信頼性の確保のうち、事前調査に関する人材の育成という観点があるということで認識をしております。

 都道府県等へのアンケートでは、事前調査を実施する者の建材知識の不足等が課題として挙げられているところでございます。これまで石綿含有建材の知識を有する者につきましては、民間の資格等による育成がされてきたところでございますが、平成25年から国土交通省において建築物石綿含有建材調査者講習制度というものが運用されております。この制度を三省共管のものといたしまして、講習内容を充実させて、建築物の通常の使用状態における石綿含有建材に関する調査に加えて、解体等工事における石綿含有建材の事前調査について専門的知識を有する者を育成する講習を登録するということで、新たに規程を制定することとしておりまして、10月中にも公表を目指しているところでございます。

 これに関して考えられる<論点(案)>といたしまして、事前調査に係る調査実施者の要件を明確化する必要があるのではないか。例えば三省共管となった建築物石綿含有建材調査書講習登録制度というものを活用していけないかといったことが考えられるかというふうに思っているところでございます。

 それから次のページに参りまして、厚生労働省における検討状況について、1点ご紹介をさせていただきます。

 建築物の解体等工事が今後も増加すると予想される中で、厚生労働省においても本年7月から検討会を立ち上げまして、石綿ばく露防止対策等の充実を図る観点から、議論を開始しているところでございます。石綿則においても、大防法と同様に、石綿含有建材の事前調査が義務付けられているところでございますが、その信頼性の確保等の観点から、同検討会での議論が行われております。特に同検討会では、一定の解体等作業につきまして、石綿の有無にかかわらず事前調査の結果の概要を労働基準監督署に届け出る仕組みの創設というものを検討しているところでございます。

 そのため考えられる<論点(案)>といたしまして、労働安全衛生法の下での対応との連携や、可能な場合には規制内容等の統一によりまして、規制効果の向上と関係者負担の合理化を目指すべきではないかということ。例えば一定の解体等作業を対象とする届出だとか、あるいは事前調査方法・マニュアルの統一化と、こういった論点が考えられるのではないかというふうに考えているところでございます。

 それからページをおめくりいただきまして、次の論点といたしまして、特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定でございます。

 平成26年6月の大防法施行規則改正では、中間答申を踏まえまして、特定建築材料の掻き落とし等による除去作業の作業基準として、粉じんを迅速に測定できる機器(アスベストを含む全ての粉じんを測定するパーティクルカウンタ)を用いた集じん・排気装置の正常稼働の確認等を追加をいたしております。また、集じん・排気装置排出口等や発生源近傍での測定については、迅速測定法と称しておりますけれども、位相差/偏光顕微鏡法、位相差/蛍光顕微鏡法を平成29年7月に「アスベストモニタリングマニュアル」に新たに追加をいたしております。

 それからページをおめくりいただきまして、都道府県等へのアンケート結果によりますと、解体等工事の敷地境界等における石綿の大気濃度測定を実施させる場合の課題といたしまして、「測定に時間がかかるため、結果が判明するまでに解体等工事が終了してしまう」等のものが挙げられているところでございます。

 そうした中で考えられる<論点(案)>といたしまして、特定粉じん排出等作業において、どのようにモニタリングを実施するかということ、それからこの迅速測定法と呼称しているものについて、どのように活用ができるかということを挙げさせていただいておるところでございます。

 3番目の論点に参りまして、5-7でございます。特定建築材料の除去作業が適切に終了したことの確認ということでございます。

 中間答申では、特定建築材料の除去が確実にされたかの完了検査を行うことにつきまして、「現時点において、第三者における実施は将来の課題とした上で、作業基準に規定することや立入検査時の指導項目とし、報告を求めることも視野に、施工者が適正に除去作業や飛散防止対策を実施する仕組みを検討することが適当」とされているところでございます。

 次のページに参りまして、これも都道府県等へのアンケート結果によりますと、石綿除去作業終了後の立入検査324件のうち21件において石綿の取り残しが確認されているところでございます。また、何らかの形で石綿除去等作業が適切に終了したことを確認・検査するよう規定すべきとの回答は、131都道府県等のうち121(94%)ございました。

 ここでも申し訳ありません、誤植がありまして、左側のグラフでございますが、取り残しなし」「取り残しあり」の、それぞれ件数が[値]となってしまっております。「取り残しなしのほうが303件ございまして、取り残しありのほうが21件でございます。合計で324件ということで、上の箱でもご紹介をさせていただいた数字になります。訂正してお詫びをいたします。(※ホームページ上に掲載している資料については修正済。)

 ここでの考えられる<論点(案)>といたしまして、例えば除去の完了時の確認を行うよう何らか定めが必要なのではないか。それから確認の適切な履行の担保の方策というのを定めるべきではないか、その中では例示といたしまして、完了確認結果の記録及び保管の義務付け、あるいは完了確認の方法の規定、それから完了確認を行う者の要件、そういったものがあるのではないかということで挙げさせていただいたところでございます。

 ページをおめくりいただきまして4点目の論点でございまして、いわゆるレベル3建材の除去等作業時の石綿飛散防止ということでございます。

 中間答申では、将来の制度化の可能性も念頭に置きまして、レベル3建材の実態を明らかにして検証した上で、必要な措置を検討すること。それから届出義務の対象とする場合には極めてその数が多数に上ることから、都道府県等による対応の可能性と飛散リスク、石綿則に基づく事前調査の結果等の活用の可能性等を考慮して検討するということとされております。それから総務省勧告では、レベル3建材の取扱いの実態を把握いたしまして、大防法の在り方も含めて検討し、措置を講ずるよう勧告が行われているということでございます。

 次のページに参りまして、環境省が実施した実態調査(実地検査とそれから文献調査とありますが、)石綿含有成形板等のいわゆるレベル3建材の破砕を行った場合に作業場近傍で高濃度の総繊維数濃度が測定された事例というのがございました。それをまとめておりまして、掲載をさせていただいております。

 こうした中で考え得る<論点(案)>といたしまして、レベル3建材が使用された建築物等の解体等作業について規制の基準を設けるべきではないか。作業基準を定めるということ、あるいは届出のあり方、それから完了確認のあり方といったところがあるのではないか。

 そうした中で、大防法の規制の対象とすべきレベル3建材というのは何かということを検討するべきではないか。例えば規制対象とする建材の種類、それから工法、工事の規模、こういったことが考えられるのではないかということで、論点の(案)として挙げさせていただいておるところでございます。

 それから(その他)制度の履行の促進についてというところでございますけれども、5-9でございます。

 大防法に関して、パンフレットあるいは各団体の講演会等での周知というのは随時図っているところではございますが、発注者、施工者等が認識不足であるとの意見は引き続きございます。また、大防法改正後の行政処分の状況を見ますと、命令違反又は届出違反により刑事告発に至った事例は把握されていないといった状況でございます。

 そうした中で考え得る<論点(案)>といたしまして、発注者、施工者等に対する更なる普及啓発というのをいかに進めていくべきか。それから制度の履行担保の在り方について、改善を目指すべきは何かということで、挙げさせていただいているところでございます。

 最後の5-10のところでございますが、主な課題の各ページに挙げさせていただいた論点(案)につきまして、まとめさせていただいたページ、2ページ、ございます。内容は全く同じでございますので、説明を割愛させていただきます。

 長くなりましたが、当方からの説明は以上でございます。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 では、ただいま説明がございました点を二つに分けて意見、質問等お伺いすることにしたいと思います。ちょっと長いものですから、二つに分けさせていただきたいと思います。

 まず石綿飛散防止の現状と課題につきまして、説明の1の石綿に関する基礎知識から、4の平成25年改正後の大気汚染防止法の施行状況、このところまでのご意見、ご質問等がございます方は、名札を立てていただければと思います。

 大迫委員、お願いします。

【大迫臨時委員】 前回の改正でこの立入検査の対象範囲も広がったということで、それでスライド30のほうで、立入検査件数が大変増加しているというところが効果としても実績としても出てきているというお話でした。

 それで、今後ピークを迎えアスベスト問題は続くわけですが、そのときの届出数の予想みたいなことも、先ほどご紹介ありましたけれども、それからしてもまだまだ立ち入りということの必要性というのはさらに求められるし、それに対する自治体の体制に関して、少しお聞きしたいのは、やはり自治体の体制が今後の実効性をどこまで担保できるかというところにも関わると思うんですけども、この件数というのは自治体ごとに届出の対象に対してのカバー率というのは、ある程度どこの県も同様のレベルなのか、あるいはかなり体制に関しても偏りがあるのか、ばらつきがあるのかというところの実態を教えていただきたいということと、それから立ち入りの際に、どういった形で優先順位といいますか、そういったものを定めていくのかというところの考え方が、もしあれば、教えていただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 これは環境省に伺うのか、谷口さんにお伺いするほうがいいのか、どうでしょう。まずもし事務局から何かございましたらお願いします。

【秋山大気環境課課長補佐】 環境省の大気環境課の秋山でございます。

 ただいまご質問いただきました件、自治体ごとの偏りというか、そういったところにつきましては、個別の自治体のところまでは今分析できていないところではあるんですけれども、届出現場の数、約1万2,000件に比べて2万3,000件の立入検査ということですので、もちろん届出現場だけでなくて、届出がされていない現場にも多く立ち入りが行っているというふうに認識しているところです。

 あと立入検査の方法などにつきましても、幾つかの自治体にお話をお伺いした中では、自治体ごとに、自治体の自治事務でございますので、そのタイミングについても、いろいろ工夫されている例を聞いております。施工前、隔離養生がされた後の状況での確認ですとか、あとは複数回行ったりという自治体もございます。そこはそれぞれの自治体のもちろん体制もあるんですけれども、工夫でその現場のほうの飛散防止というのが担保されているというふうには考えております。

 以上です。

【大塚委員長】 よろしいでしょうか。

 では谷口委員、お願いします。

【谷口臨時委員】 25ページなんですけど、下のほうの最初の丸ですけれども、届出情報の共有に係る都道府県からの要望ということで、要は建設リサイクル法の情報などを共有しましょうねという通知を環境省、それから国交省、それから厚生労働省の三省のほうから出していただいたかと思うんですけれども、そのことによって大防法を所管する都道府県知事の側から、大防法上の権限が過度に制限されるのではないかという懸念が出ているということなんです。これが具体的にどういう権限がどう制限されるということなのかというのが、ちょっと私にはピンと来ないんで、もしわかるんでしたら教えてほしいなと思うんですけど。

【大塚委員長】 いかがでしょうか。

【前田大気環境課課長補佐】 大気環境課の前田でございます。

 これは大気汚染防止法の規定の書き方の細かい部分で、本当にそれ(情報共有)が認められているのかということでのご懸念が、地方公共団体さんからありましたということなんですけれども、その条文というのが大気汚染防止法の第28条というものでございまして、第1項に「環境大臣は」ということで、国が必要と認める場合にその関係の地方公共団体の長に対して必要な資料の提出等を求めることができるという規定でございます。

 それに対して第2項が、「都道府県知事は」とあるのですが、この法律の目的を達成するため、必要があると認めるときは、関係行政機関の長または関係地方公共団体の長に対して、ばい煙発生施設、揮発性有機化合物排出施設、一般粉じん排出施設等々に関する資料の送付その他の協力を求めということで、それぞれ大気汚染防止法の規制の対象となっているところを列挙する形で、網羅的に列挙をしているというふうに考えておりますけれども、記載をしてございますが、若干第1項の国の規定に比べまして、(都道府県知事の権限に)制限をかけているのではないかというふうにも見えるような規定になっているということで、そういった懸念が地方公共団体のほうから聞かれたということではございます。我々のほうでも確認をいたしまして、これに関して特に少なくとも石綿に関して、建築物解体等に関してということで、法律に基づく都道府県知事の権限に関して情報共有を図ってもらう分には、全く問題ないと、規定は適用されるということで、そのご懸念を払拭するという意味でも、この通知を出させていただいたと、そういうことでございます。

【谷口臨時委員】ありがとうございました。

【大塚委員長】 よろしいでしょうか。28条2項で、一般粉じん施設とか、特定粉じん発生施設とか、今の粉じんに関する大気の汚染の防止に関しというのが入っているからいいというふうに考えてもよろしいわけですね。

【前田大気環境課課長補佐】 そうですね。その中で特定粉じん排出等作業というのも掲げておりますし、最後に「等」がついておりまして、それらに関する資料の送付その他の協力を求め、またそれらによる大気汚染の防止に関し意見を述べることができるとあり、具体的にも特定粉じん排出等作業が上げられておりますし、そういう意味でこの法律に関してということであれば、この規定で読める形になっているという理解をしております。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。勢一委員、お願いします。

【勢一臨時委員】 勢一です。ご説明ありがとうございました。

 私からは大防法の25年改正の評価に関するところを少し教えていただきたいのですけれども、25年改正において、特定粉じん排出等の作業を伴う建設工事実施の届出義務者の変更が、18ページのところに書いてありますけれども、大きな変更としてご紹介いただきました。

 法的責任を明確にするという点で、一つの合理的な考え方に沿うものだと思っておりますけれども、この変更によって実際どのような成果というか、効果が出たと理解しておられるのかを教えていただきたいと思います。あわせて、わかる範囲で構わないのですが、変更したことによって他の関係法令との連携という点で、いい効果が出たのか、あるいは何らかの調整が必要になることが出たのかというところも教えていただきたいと思います。

 先ほど情報共有の話も出ましたし、全国一斉パトロールで、現場で関連する法令による保護を一緒に担保しようとする形で動きが進められておりまして、それ自体非常に重要なことだと思っているのですが、法令間のいろいろな仕組みのずれがあるのではないかという問題意識を持っておりまして、教えていただきたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 事務局お願いします。

【前田大気環境課課長補佐】 大気環境課の前田でございます。

 1点目につきましては、主に資料の28ページ、4-1に関連したご質問というふうに認識しておりますが、届出の件数自体は改正後に増加傾向ということで、増えているということではございます。

 一方で、これ自体が発注者に届出者を変更したことによる効果なのかというのは、さまざまな要因があるのかなというふうには思いまして、一概にはなかなか言えないかなとは思うんですけれども、参考ということで28ページのグラフの上の棒線のところ、これが建設リサイクル法による届出の件数というのを掲載をしております。建設リサイクル法では一定規模以上の建設物の解体工事のそのものの件数が、それがそのまま届出になっておりますので、解体全般ではないわけですけれども、ある程度解体工事の件数の規模というのを把握する意味では、参考になるかということで掲載をさせていただいておるところでございます。

 そういう意味で申しますと、建設リサイクル法による届出の件数の伸びに対してということであれば、大気汚染防止法の改正後の届出件数の増加というのは、より伸びているような形にも見えるということで、単純に解体の工事というのが増えたということでもなさそうであるという意味では、効果も一定程度あるのではないかというふうに推察することは可能というふうに思いますが、それ以上のことを申し上げるはなかなか難しいと思います。

 それが1点目でございまして、2点目でございますけれども、法令間のずれへのご指摘でございますが、届出者を発注者に変えたというところではございます。それで関係法令を幾つか載せさせていただいているページがございまして、23ページでございます。3-7というところでございますけれども、それぞれ法律の目的に応じて誰がどういうことをやるということが違っておりますので、全てがそろっているということではございませんが、例えば建設リサイクル法をご覧いただきますと、この建設リサイクル法の分別解体等の適切な実施を確保するため、これは発注者等による事前届出というふうにされておりまして、建設リサイクル法と大気汚染防止法という観点で見ると、届出者がより一致するような形に変更されている。

 一方で石綿則のほうは作業員のばく露防止というような観点でございますので、基本的には作業している事業者さんによる義務ということになりますので、そこはより施工者自身に近い部分での規定になっておりますので、そこは違う形にはなっているということでございます。一概に法律の目的の違い等もございますので、全てそろうという形、なかなか難しいと思いますが、一部そろう部分もあるということで認識をしておるところでございます。

【大塚委員長】 よろしいでしょうか。建設リサイクル法のことはそのとき参考にして、むしろ一致させたというところがあったと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 (なし)

【大塚委員長】 ございませんようでしたら、次に、説明の5の主な課題につきまして、ご意見、ご質問等がございます方は、名札を立てていただければと思います。

 では大迫委員、お願いします。

【大迫臨時委員】 まず事前調査に関してですが、実態を教えていただきたいのは、設計図書とか目視という形で事前調査ということをやられる中で、39ページの辺りですと、見逃しといいますか、そういったところもあったんじゃないかという、総務省のご指摘もあったわけですけども、今実態として、事前調査というのに関しては、どういうやり方が中心なのかとか、あるいは見逃しを避けていくために、例えば分析まで必要なのかどうかとか、どこまでが必要とされるのか、そのような課題の認識、またその辺りの実態を教えていただきたいということです。それからそこと関係して、それを的確な方が診断していくという場合に、知識や技能とか、どのぐらいの要件が必要なのかということは、事前調査でどこまで何が求められるかということとも関係するということもあるかと思いますので、そこの実態も、今後でもいいんですけども、また何か検討して調べてご紹介いただきたいということです。

 それから2点目は、事後の確認に関しても、事前調査との関係性みたいなものをどう考えたらいいのかというようなところで、それはチェックのポイントであるとか、あるいはそれを誰がやるかということも含めての話があるかなと思っています。これはコメントかもしれませんが。

 それからあとレベル3建材に関してなんですけども、マニュアルのほうでは作業基準等も紹介しているわけでありますが、少なくともそれを実効性のあるものとして今後担保していく上では、作業基準等の法制化ということは、一つの考え方かと思います。その際に数が多いということもあるので、どこまで実行可能な形で今後検討していくのかという点で言うと、都道府県のほうで先行して条例レベルでいろいろと進めておられるというところで、そこのレベル3建材への条例レベルでの運用の実態といいますか、そこでの課題とか、そういったところを今後また検討材料としてご紹介いただきたいというところと、そういう中でリスクのより高い作業に、ある程度焦点を当てていくのか、それがある建材の種類なのか、あるいは規模なのかということの課題も先ほどご紹介ありましたけども、そういう意味でその辺りもぜひ都道府県のほうでやられているところの実態を、今後ご紹介いただきたいというところでございます。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 事前調査のところとレベル3のところにご質問があったかと思いますけども、事務局お願いできますでしょうか。

【秋山大気環境課課長補佐】 大気環境課の秋山でございます。ご質問ありがとうございます。

 まず事前調査の実態というところの中で、方法としましては、基本的には図面を見るというところですとか、現地を見るというところが基本的なやり方で、必要に応じて分析をしたりですとか、もちろん目で見た段階ですぐ含有しているかどうかというのはわかりませんので、そういったものは図面で、例えば建材の名称ですとか、そういったところから追える場合と追えないケースがあったり、追えないときは分析をするというケースもあろうかと思います。ただし、実態として分析をせずに石綿が入っているとみなして処理をすると、そういったほうに進んでいくという方法もありますので、実態としてはその図面を見て、含有かどうかいろいろなデータを調べ、資料を調べて、必要があれば分析をするという流れかと思いますが、今、大気汚染防止法上、特にそういった規定がないというところもございます。

 要するにそういったところを実態ですとか、あとはどうあるべきかというところも含めて、これからまた検討を進めてまいりたいと思っておりますし、調査をする方に求められる要件等々についても、どういったものが必要かというところ、またこれから検討していきたいと思っておりますが、石綿含有建材、周囲も多くございますので、そういった知識を求められるかなというふうに考えております。

 それで、人材育成の関係につきましては、今の資料の41ページでございますけれども、人材育成ということで、今ほどもご紹介させていただきました国交省さんの建築物、石綿含有建材調査者の登録講習の規定を、国交省だけでなくて厚労省さんと三省で共管をして、人材育成を行っていくというところで、ここで建築だけでなくて建材についても知識を持った方を養成して、こうした方は知識を持って現場に入っていただくことで、事前調査の信頼性の確保というところにつながっていくかと思いますので、こちらの共管の告示の制度を活用していきたいなというふうには考えております。

【前田大気環境課課長補佐】 あともう1点すみません。レベル3建材の規制の関係を中心に、条例でどのようなことがなされているかということでの実態のということでございましたので、これに関しましては事務局のほうで整理をさせていただきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。

【大塚委員長】 大事な問題だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ほかにはいかがでしょうか。ではお願いします。

【廣田委員】 2点ほど、確認させていただければと思います。

 1点目、先ほどお話もありましたように、有資格者なんですけれども、今何人ぐらいいらっしゃるのか。今後、解体件数が増大していく中、やはり有資格者の方がいらっしゃらないと、事前調査が守られないということになると、適切な管理をやったとしても、実態が追いついていかなくなってしまうということも想定されますので、現状、何人ぐらいいらっしゃるのかというのが1点目と。

 あともう2点目が、資料の46ページ、除去作業が適正に終了したことの確認ですけれども、除去作業が終了した後の立入検査ということが書かれているんですけれども、通常除去作業は解体作業の前に行う作業ですので、当然この立入検査が完了しないと、次の解体作業に移れない。逆に立入検査に時間がかかってしまうと、解体作業のほうに大きな影響を与えるということもありますので、実務上、実際どれぐらいの期間を使って立入検査をされたのか、その2点を確認させていただければと思います。

【大塚委員長】 お願いいたします。

【秋山大気環境課課長補佐】 大気環境課の秋山でございます。ご質問ありがとうございました。

 まず有識者の人数というところで、先ほど紹介した41ページをご覧いただければと思うんですけれども、先ほども出てまいりました建築物石綿含有建材調査者につきましては、昨年度末で999人ということで、約1,000人という人数でございます。

 あともう一つ、通知の中で39ページのほう。こちらの日本アスベスト調査診断協会に登録された者というところ。この方も数百名いらっしゃいますので、あとはそのほかに石綿作業主任者技能講習修了者の方は、これまで約15万人の方が修了しているところでございます。ここ41ページの新たな講習の中で、石綿作業主任者で経験がおありの方にも、こういった知識を身につけていただくというところで、人材育成、講習を受けた方の人数の拡大を目指していきたいというふうには考えているところでございます。

 あと立入検査の実務というところなんですけども、こちらのほうも建物の規模ですとかそういったところで大幅に変わると、一律ではないとは思うんですけれども、日程調整しながら、その日調整して1日程度の調査で見ているんではないかなと思うんですけれども、立入検査が、規模が大きかったりすると、数日かかるケースというのも考えられると思っているところです。

 以上です。

【大塚委員長】 では笠井委員、お願いします。

【笠井専門委員】 笠井でございます。

 この資格者の話ですが、養成をしていくというお話の中では、資料4の「石綿飛散防止の現状と課題について」の41ページに書かれてある三省が合同でというのは、私的には歓迎をしているところですが、ただ、石綿調査者の講習会でもそうですし、実態もそうなんですけれども、図面だけでは決して全部が把握できるわけではないし、図面があるからといって、現場が本当にそのようになっているかというのは、食い違いが結構多いところがあり、当然建物が竣工してから何年かすると改修したりとか、あるいはどうしてもここは気に入らないので、改造しようとかということで変更するケースも多々あります。

 そういう場合に、もともとの竣工図面にそのような改修が反映されるかというと、なかなかそこまで手が行き届いていないということもありますので、図面だけではなかなか全部を把握するというのは難しく、我々はやはり現地を必ず見ましょうということにしています。図面に書かれてあったとしても、現地は違うものを使っている可能性もあるということもありますので、現地で必ず見ましょうということが大切だと日ごろから思っています。

 そうした中で、こういう調査者の講習会でも、なかなか机上の説明だけでは理解するのが難しくて、調査者の今の研修では実地研修というのも行われています。これが非常に私は効果があると思っていますので、ぜひ三省合同でやられる場合も、その辺を勘案していただいて、座学だけではなくて、そういう実地研修、あるいはそれが無理なら、せめて、ビデオや、バーチャル等の映像で、どういうところに実際あるのかというところを研修できるようにしていただくのがよいのではと考えています。建物の表面だけを見えているだけでは、壁や天井の仕上等の裏に隠れている吹付け石綿や石綿含有建材がいっぱいありますので、そういうところを考慮した講義にしていただければありがたいと思っています。

 それから、先ほど勢一委員からありました届出の方が変わったことによる何か変化はあるのかというご質問ですが、届出が発注者に変わったことで届出件数が増えたかどうかということについては、わかりませんが、少なくとも私たち建設会社が事前調査をし、発注者に報告をしたうえで、その内容を踏まえ、発注者の方が届け出るということは、発注者側でも届出書に押印を受けるために、社内での説明がされるなど内容を把握する機会が増えますので、発注者の意識づけには大いに役立っていると思っています。

 ただ、発注者の義務づけとはなっていますが、実際に届けるのは建設リサイクル法も同様ですが、私たちゼネコンに権限委譲をされて、私たちが代行で持っていくというケースが多いので、この制度が形骸化されないようにはしていかないといけないのかなというふうには思っています。

【大塚委員長】 ありがとうございました。よろしいですね、どうも貴重なご意見、ありがとうございます。

 では浅見委員、お願いします。

【浅見専門委員】 JATI協会、浅見です。

 今のお話とちょっと通じるところがあるんですけれども、やはり調査してみますと、どうしても解体で、あるいは改修でもそうですけど、手をつけていかないと、最終的に判断できないというところが出てくると思います。その辺りが調査漏れがあったとか、そういうようなところに今回の調査結果でも出ている可能性もあるということを考えておきたいと思います。

 今厚生労働省の調査報告書例でいいますと、確実に調査できなくなったところをきちんと記録しておくということがありますので、その辺りで対応していけばいいのかなと思っております。あと調査の力量の問題ですけれども、私どもも調査者、民間でそういう教育やっておりますけれども、図面がということも当然ありますけれども、現物建材を知らないというところの話を結構聞きます。サンプルを示してみますと、環境省の講習会でもサンプル提示していますけれども、やはり見れてよかったというような話も結構聞きますので、サンプルの使用というのも非常に有効なものだと思います。

 あと個人的に、これ笠井委員ともつながるところがあると思うんですけれども、見えないところにあるということと同時に、建物の構造も含めて同じような建材でも、同じような場所でも、ちょっと工法が違う。その工法によって調査がわかりやすい、わかりにくい、さらに言うと解体時の飛散にもそういうのつながってくることがありますので、その点も含めて理想的ではありますけれども、教育をしていくと有効ではあると思います。それは最後のところは調査だけではなくて、解体時のほうにもつながってくる教育になってくると思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。これは承っておきたいと思います。

 では勢一委員、お願いします。

【勢一臨時委員】 ありがとうございます。

 私のほうからはレベル3建材のことで、確かに健康被害を防止するという点では、こちらのほうも大切に見ていって、対策をとるというのが筋だとは思うのですが、数がかなり多い点と、あとは先ほどから現場の状況についてご説明を伺った限りでは、都道府県も立入検査等一生懸命にやって、件数も増えていっている中で、さらにもっと現場で丁寧に見ていくということになると、マンパワー等との関係でどのぐらい実現可能性があるのかというところは、少し気にしながら考えなければいけないであろうと改めて思った次第です。

 その点では、先ほど既にご意見が出ておりましたけれども、自治体が独自で条例に取り組んでいる地域、こちらでの知見をぜひご紹介いただいて、そうした知見から学んで、制度を考える場合にどうしたほうがいいのかを議論するべきだろうと思います。自治体の取組を調べていただく際に、独自で条例に取り組んだ地域が取り組むように決めた経緯とか背景も含めて調べていただけると非常にありがたいと思います。

 特に今後、レベル3建材への取組を進めていく場合には、総務省の勧告のときにも議論がありましたけれども、災害時の飛散ばく露防止ともつながってくるところがあるかと思います。まだ自治体レベルでは災害対策が十分ではないという勧告で、それに対して対応していただいているようでありますけれども、地域によって、こういう懸念がある建物が多い地域、密集しているような地域では、恐らく平時の取組とあわせて、災害が起きたときの対応も考えて、地域全体として組んでいただく必要があると思いますので、地域ごとのトータル設計の議論も出てくるかなと思います。自治事務でもありますので、自治体の取組を後押しできるような形で、国の制度がつくられたほうがいいかなと思いましたので、その辺りの調査の情報提供もお願いしたいと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 事務局、お願いします。

【前田大気環境課課長補佐】 ご指摘ありがとうございます。

 条例でその取組をやっているところの知見、ということでございますが、大迫委員からもご指摘ございましたとおり、また情報も整理させていただきまして、ご紹介をさせていただきたいと思います。また自治体の取組を応援していくといいますと、災害対応も含めて地域ごとのトータル設計という話もございましたけれども、どこまで触れられるかというのはございますが、何らかの形でご紹介をさせていただけないか、検討させていただければと思います。

【大塚委員長】 災害時のアスベストの飛散の問題については、部会のほうでもご意見ございましたので、特に注意していきたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。それでは山神委員、お願いします。

【山神臨時委員】 先ほどのご質問の名古屋市の例をちょっとお話しさせていただきますと、担当者2人いまして、2人一組なんですけど、年間立ち入りは400件(※注:正しくは「500件」)、多分午前中に1件、午後に1件というのが実際の立ち入りのマックスなのかなという感じです。届出は大体年間1万5,000件(※注:正しくは「特定建設作業届出件数は大体年間10,000件」)ぐらいはあって、立ち入っているのは400件(※注:正しくは「500件」)ぐらいというような感じになります。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。ではお願いします。

【中村専門委員】 川崎市の情報としまして、レベル3の建材ですけど、川崎市では床面積80m2以上の建築物の解体工事が対象になっていまして、昨年度の届出実績が750件です。川崎の人口が151万人で、全国の大体1.2%の比率になるんですけど、100倍近く、全国だとそのような状況になるのかなという感じはします。

 また、石綿の含有建材の使用面積、500m2以上につきましては、作業実施方法とか作業完了報告とか新たな届出も課されている状況です。川崎市はレベル1、レベル2を含めまして1,000件ぐらいの届出があるんですけど、それについては原則全件立ち入りということで、職員8人体制で、ほぼ毎日出っ放しというような状況ですけど、なかなか工事が始まる前に隔離養生だったら漏えいがないかだとか、レベル3建材であれば見落としがないかということで、簡易測定器のアナライザー等を使って細かくチェックしている状況ですが、なかなか立ち入りは事前だけであって、取り残しがあるかどうかとか、事後の調査までというのはちょっと手に負えない状況です。

 作業完了報告としては写真等でレベル1、2については測定の義務だとか、写真での報告はありますけど、今各委員の方が言ったように、完璧かと言われると、写真で見えないところではどうなのかと言われても、そこは少し自治体のほうでも限界があるというところで、最大限効果ある方法ということでやっていますし、ほかにも建築リサイクル法の部分で、合同で厚労省だとか、建築部局と未届けの抜き打ちパトロールを年間百数十件やっていまして、アスベストが含まれているのに、未届という状況もありますので、自治体としては市民の安全・安心の担保になるような仕事をしていくためにも、一生懸命現場には行くんですけど、少し限界もありますので、その辺はバランスをとっていただきたいと。

 あともう1点、レベル3建材の部分については、ほとんど小規模なものが多いですので、事前のサンプリング検査というのはやられないんです。みなしで可能性のあるものは、全て石綿含有産業廃棄物というような形で出てきてしまうので、廃棄物処理として、課題はあると思います。費用的には1検体検査するだけで4~5万円かかるので、そうすると費用だけが増えて、実際ごみの出る量の処分費用と検査費用の兼ね合いといいますか、その辺がバランスがとれないということで、みなしで届出が出ているというような状況になっております。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。

 自治体の人に私からもお伺いしておきたいんですけど、スライド31のところにあるように、計画変更命令とか、命令違反、届出違反の告発件数、ここら辺は0なんですけど、ここら辺は指導でやってしまうということですか。何かもしございましたら、お願いします。どなたからでも。

【中村専門委員】 ほとんど指導でやっているんです。完全に違反だと立証するには測定結果とか、いろんな証拠をそろえるのに時間がかかってしまいますので、現実的には立ち入りしたときにいろいろ指導したり、漏れているようだったら工事を止めてほしいと、確認し直してほしいというような行政指導をしています。

【大塚委員長】 ありがとうございます。外山委員が先だったのですみません。

 外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 事前調査の信頼性の確保というところで、私も同感です。

 私も建築物石綿含有検査調査者ということで、現場の調査ですとかやっております。独特な難しさがあって、調査者の行政のコースの中では実地調査、実地研修ということもやっています。そういったことも必要なのかなというふうに思っています。同時に私、建材の含有の有無の分析もやっていますけれども、分析もまた難しいです。これはやはり間違えてしまうと、命に関わるということもありますので、そういうクリティカルな面もあります。

 ですので、事前調査の中に分析の部分も、現状では資格要件何もなしで誰でもできてしまうということで、ここはやはり少し問題あるのかなというふうに思っていますので、この点をぜひ検討していただきたいということと、あと大気濃度測定なんですけれども、これもぜひ必要なものだと思っています。

 これも顕微鏡で石綿の本数を数えるという、これまた地味ですけれども、なかなか独特な難しさがある技術で、日本産業環境測定協会ですとか、環境測定分析協会で分析者を養成したりですとか、精度管理をやっているというところ、これもなかなか苦労しているところで、こちらも現状では日本では誰でもできてしまうので、この資格要件もぜひ検討していただきたいと思います。英国では建物の調査、それから建材の分析、それから顕微鏡での気中濃度測定の計数の分析は、それぞれ独立して、かなり厳格な資格としてありますので、そういった制度を日本にもぜひとも必要だというふうに思っています。

 それからもう1点ついでですけれども、大気濃度測定、43ページの下のほう、アスベストモニタリングマニュアルの測定、およその測定時間ということがあるんですけれども、「位相差顕微鏡法で数日から1週間」と書いてありますけど、実際には分析している時間というのは、位相差顕微鏡の1検体に関しては1時間もかからない。ですので、例えばオンサイトといって顕微鏡を現地に持ち込んで分析をするということであれば、1時間以内に結果が出ますし、やる気の問題というか、そういった体制がとれればできるということですので、必ずしもこれ全て数日かかるというものでは決してないということなので、ぜひこれ位相差顕微鏡法というのは基本的な方法ですので、これをぜひ資格要件とともに入れていくということは重要なのかなというふうに思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。今の点は何か事務局はよろしいでしょうか。では承っておくということで。

 渡辺委員のほうが先だったのですみません。

【渡辺専門委員】 今、ほかの自治体さんから状況のお話もあったものですから、長野県の状況もちょっとご紹介したいと思います。長野県には、現地の事務所が10カ所ありますが、専任の職員は配置できない状態でアスベストの対策をやっている状況です。

 平成29年度の状況ですと、届出の作業数が119です。アスベストに対しては住民の方の関心も高いため、今長野県では一応作業の開始前と終了後という形で立ち入りをしています。ですので、一つの作業について2回行く形になります。作業前、作業後といっても、かぶる時期もありますので、そういう場合には確認は1回となりますが、そのような形でやっております。指導は現状では年間8件ほどで、内容は軽微なものとなっております。その中で課題という部分では、先ほどから「マンパワー」という言葉がしきりに出ていますけれども、今後解体が増えている中で、この人員体制でやっていけるのかとは考えております。現地のほうでもほかの業務をこなす中で、届出があったら必ず行くという体制をとっていますので、かなり負担が大きいという声もあります。

 現場の職員は事務職員が担当するということも結構ありまして、先ほども調査の関係で、専門性とかという部分が出ていましたけれども、行政職員もアスベストかどうか、すぐにはなかなかわからない。行政サイドでの専門性の確保というのも課題ではないかと思っております。

 あとは調査の関係ですけれども、川崎市さんの場合は結構機材を使ったりして、実際に調査をされていますけれども、長野県の場合はなかなかそこまでできないということで、原則目視で対応しているという現状もありますので、機材の面など何か財政措置ですとか、そういう支援があればありがたいとは思っております。

 建設サイドでも、解体届出に際しては必ずアスベストの有無について調査し、届出をするように独自の制度を設けてやっておりますけれども、実際には、調査がきちんとされないこともありますので、この事前調査の部分をいかにきちんとやらせるかというのが、やはり大きな課題ではないかと思っておりますので、その辺もきちんと検討していく必要があるのではないかと考えております。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございました。財政支援等、いろいろな支援が必要だということがわかりました。

 では、どうぞ小坂委員お願いします。

【小坂専門委員】 先ほどの43ページの大気濃度測定に戻るんですけれども、外山さんからも分析についてお話がありましたが、私は兵庫県の公害研究所というところで1995年から解体工事現場、届出があったところ、県の公害研究所として全て調査に行って、工事が始まったら30分間、集じん機、排気口と人の出入りするところでサンプリングをして、顕微鏡を持っていってその場で分析を、前処理は若干かかりますけれども、位相差顕微鏡は10分ぐらいでできます。濃度があればアスベストが検出されれば、すぐ工事をやめさせるというふうなことを退職するまで、今も多分兵庫県はやっていると思うんですが、そういうことをずっと続けていました。

 多いときは年間100件ぐらい、3人で分担して行っていたんですけれども、たまたま我々のところはそういうことができましたが、自治体の分析センターとか、研究機関では人手が不足していますから、アスベストにかかり切りということはなかなかできないので、今言ったようなことは難しいかと思うんですけど、現実的に飛散防止をしようとすれば、そういうことをやらないとできないなと思っています。

 兵庫県では今も多分やっていると思うんですが、30分間はサンプリングしますから、漏れ出ても仕方がないんですけど、検出したらすぐやめさせるということをやっているんだと思うんですが、それは現実にその気になれば、人手とそういうものがあればできないことはないです。だから飛散防止やるなら、そういう体制になるだろうというふうに思います。

【大塚委員長】 どうも貴重な意見、ありがとうございます。

 では出野委員、お願いします。

【出野専門委員】 解体工事業連合会、出野と申します。

 委員長のご指示に背くような発言になっちゃうんですけど、よろしいでしょうか。ちょっと総論的な話になるんですけど、4点ほどすみませんけども、お願いといいますか、ご回答いただければと思います。

 まず1点目が、冒頭外山委員からありましたけども、中皮腫だけで1,520人の人が出ている。肺がんと入れるともう数千、数万のオーダーになるんじゃないかと、交通事故で亡くなる方が3,800人しかというのは語弊がありますけども、それに比べると相当多いんじゃないかと、物すごく大きな問題だと思っているんですけども、この石綿問題についての特別措置法をつくるとか、そういう話題が環境省とかほかの省庁、あるいは国会等で話題になったことがあるのかどうか、あるいはそういう可能性があるのか、ぜひひとつお聞きをしたいというのが1点です。

 これは各省庁がばらばらでやっていても2028年、あっという間に来ます。恐らく何もなかったことになるんじゃなかろうかと私は個人的には危惧しております。ということが一つお願いしたいと思います。

 それに関連しまして、各省庁の連携、情報共有というのが問題になっておりましたけれども、これはアスベストに限らず、私どもフロンとかPCBとか、ほかの問題も関与したことがありますけども、常に問題になるんです。特にアスベスト、フロンなんかそうですけども、それで省庁がばらばらに動いているという、そういうイメージがあるんです。特に解体業者としてはどの法律を守ればいいんだと、どれが優先なんだと、少しずつ違うけども、全て勉強するのは大変だ、非常に負担だと、こういうのが現場の実感です。ということで、できるだけ三省、四省いいませんけども、それらの省庁が連合していただいて、統一的な見解といいますか、指示を出していただきますように、お願い申し上げたいと思います。

 それから3点目ですけども、レベル1、2、3とか俗に言っていますけども、レベル3辺りは一般の解体業者もやっています。レベル2になると誰がやっているのか、解体業者がやることもあるでしょう。専門業者がやることもある。レベル1、吹き付けになると、恐らく普通の解体業者は手をつけない。専門の業者がやるというのが現状なんですけれども、じゃあその専門の業者というのは、どういう状況下でやっているんだと、どういう資格を持ってそういう仕事をしているのだと、そういうご認識は環境省におありかどうか、厚労省にお聞きすべき話かもしれませんけれども、誰がやっているのか、プレイヤーがわからないという状況は、ひょっとしたらあるんじゃなかろうかということもいろいろ議論しても、的外れな議論になりかねないと、そういう危惧を若干持っております。そういうところが環境省のご認識といいますか、お伺いすることができればと思っております。

 それで最後に4点目ですけども、ちょっと具体的になりますけども、作業環境測定とか、今話題になっていますけども、解体業者としては測定は第2期と、やりたかったらやってくれというのが本音です。それよりも作業基準をしっかりつくってくれ、こうこうこういう作業基準でやれと、命令・指示を出してくれと、こういう作業が望ましいとか、こういう作業を推薦しますとか、そういう指導しか現場は動かない。こういう作業基準を守ってきちんとやれば、これはアスベストは出ないはずだと、こういう前提でできるような、そういう作業基準をぜひつくっていただきたいというのが、現場の本音でございます。

 以上4点です。半分質問、あるいはお願いになったかもしれませんけど。委員長、すみません。ご指示に反しまして。

【大塚委員長】 どうもありがとうございます。

 現場からの非常に貴重なご意見、ご質問だったと思います。事務局いかがでしょうか。今答えられるところだけで結構ですけども。

【青竹大気環境課課長補佐】 最後のほうの質問からお答えさせていただきたいと思いますけれども、作業基準をしっかりつくってほしいというようなお話がございました。

 こちらについてはご意見を踏まえまして、またこの検討会の中でも、レベル3をどういうふうにするかというところもございますし、大気濃度の測定等、こういったことをどうしていくのかという、この辺りも作業基準に関連しているところだと思いますので、またご議論をお願いできるように資料のほう、整えてまいりたいというふうに思ってございます。

 それから関係省庁でそれぞれの目的のもとに、いろいろな仕組みがあるということは、本日もご紹介させていただいたところでございます。石綿に関する関係省庁は閣議の中でのメンバーとしても、一緒にやっていこうというようなところで、日ごろから関係省庁の担当者とは密に連絡をとらさせていただいているところでございます。今回の検討に当たっては紹介もさせていただきましたけれども、厚生労働省のほうでも労働安全衛生法に係る石綿飛散防止のほうの検討をしているというようなところでございますので、うまく連携を図っていけるように、今後も努めてまいりたいと思います。

【大塚委員長】 かなり大変な問題を扱っているんだという認識はしないといけないと思います。

 では笠井委員、お願いします。

【笠井専門委員】 日建連の笠井でございます。

 いよいよレベル3に対する規制等の議論にまで来たかというのが実感なんですけれども、なかなかここへ踏み込むのは難しいという思いがあり、先ほどから石綿を含有する建材は山ほどあるよという話がありましたが、調査者自身も石綿含有建材のことをどこまで知っているのかということを考えると、これに取り組むというのは非常に難しいなと思っています。そもそも現在使用されているレベル分けは、お配りいただいている資料4の「石綿飛散防止の現状と課題」の中の8ページにも書いてあったと思いますが、もともとは建材で分けていたわけではなくて、建材を解体するときに切断したり、破壊することでどれぐらいアスベストが飛散するかの程度で便宜的に分けたというのが、そもそもの始まりだと私は認識しています。その考え方をベースにすれば、レベル3についても解体するときに本当に飛散するのであれば、これは極論かもしれませんが、その建材はレベル3ではなくて、レベル2として対策を実施することにするような考え方もあるのではないかとも思っています。

 というのは、例えばケイカル板二種はレベル2ですが、ケイカル板一種はレベル3です。この差は何かということです。原料そのものは一緒ですが、ただ用途が異なることで恐らく厚味の違いがあり、多少比重も違うかもしれませんが、耐火目的にしているからレベル2、あるいは化粧で使うからレベル3、というようなレベルの分け方で本当にいいのかというのがちょっと疑問として残るところです。

 あるいは、吹き付けの建築用の仕上塗材につきましては、吹き付けられているからレベル1なんだと、今は言われていますけれど、本当にそうなのかが、私はいまだに疑問に思っています。見た目は、吹付け石綿のようにふわふわ飛ぶような仕上げではありません。ただ、この建材に関しても取り方によっては、例えば、ディスクサンダー等で削り取るような工法ですと、確かに粉じんが出て石綿が飛ぶ可能性はあると思います。だから解体するときの方法をどうするのかということをベースに考えないと、レベル3全部に一律の規制を網かけするようなことになると、ほとんど除去できなくなるような大変なことになるんではないかと懸念しています。

 それから、よくレベル3の解体では、「湿潤化の上、手ばらし」とさまざまなマニュアる等に記述されていますが、この定義がよくわかりません。湿潤化とは一体何なんですかということです。例えば、あまりにも多量に水をまいてしまうと、屋根だったら滑って墜落・転落する災害が発生するおそれがあります。あるいは床でもそうです。作業がしにくくなったり、あるいは滑ったり、足を取られることで、転倒の労働災害の危険性も出てくるということを考えると、どこまで湿潤化しないといけないのかという、程度の問題があります。あるいは、手ばらしということも、字だけで読めば、手で外す以外はだめですかということですが、実態としては、そんな解体の仕方はほぼできない訳です。例えば、バールと呼ばれるような工具で取ったり、あるいは、電動工具を使わないと除去できない場合もあるかもしれません。

 そういう方法は、手ばらしにはならないとなるとい、いよいよ、お金と時間をかければできるのかもしれませんが、それは、現実的ではありませんし、そもそも建築の仕上げ材はそんな簡単に取れるように施工されているわけではないので、手ばらしと言葉の定義も、どこまでの範囲であれば手ばらしなのかということもちゃんと議論しないといけないと思っています。当然、世間でいわれているミンチ解体みたいな、建設重機でがしゃがしゃと解体する方法ははだめであるというのはわからなくないので、細かいところをきっちりとしておかないと、ただ文字面だけを読むと、誤解を招くようなことは避けていただきたいなと思います。ここの検討会でこれらのことも踏まえ議論する必要性があると思っています。

【大塚委員長】 貴重なご意見ありがとうございます。そろそろ時間がなくなってきましたので、今挙げていらっしゃる3名の方だけ、お話をいただくということでよろしいでしょうか。

 では神山委員、お願いします。

【神山専門委員】 ありがとうございます。

 今先ほど出野委員のほうからの省庁ばらばらでやっていたら、なかなかうまくいかないというご意見がありましたけれども、その中で41ページで事前調査の信頼性の確保ということで、人材育成を三省で今度合同で進めるということが、実質的にスタートすることが書かれていますけども、これは画期的なことだろうと思って、非常に期待しているわけです。

 今までは民間等で事前調査者を養成してきていたわけですけれども、これを厚労省、国土交通省、環境省が一緒になって養成していくことが進めば、内容的なことも含めて、事前調査の信頼性の向上に期待ができると大いに期待しております。

 それで42ページに事前調査の結果の届出を、労働基準監督署に届け出る仕組みの創設を検討しているように書かれているんですけども、これについても当然厚労省は監督署でしょうけれども、環境省であれば自治体ということになると思いますので、実際に仕事する業者のほうにしてみたら、どこか1カ所に出したらそれが伝わるようなのがベストだろうと思うので、この辺もせっかく合同で事前調査士を養成するという延長線上で、一緒にどこか1カ所が出れば、他の例えば自治体にもきちっと伝わるようにしていただきたいと思います。それから当然完了試験を適切に終了したことの確認ということで、45ページ以降に書かれていますけれども、結果どういうふうになったかというのが、場合によったら事前調査士に任せるような形も考えられると思っているわけですけれども、そういうときに自治体が今までは出かけていってチェックをしていたのを、それを事前調査士に肩がわりしてもらえるようになれば、割と今までできなかったような詳細な検査ができ、かつ目が届くようになるのではないかというように期待しておりますので、この辺を大いに充実していっていただきたいなという希望でございます。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございます。では浅見委員、お願いします。

【浅見専門委員】 JATI協会、浅見です。

 先ほどの出野委員からもあった件ですけれども、吹き付けの除去ですけれども、前回の飛散防止専門委員会のときもお話ししたんですけれども、審査証明事業というのがありまして、建設関係ですけれども、それに認定をもらっている企業、団体が持っている工法そのものでやると、そういうのが一番飛散防止にはいいのかな、レベルが高い工事ができるのではないかなと思っております。

 あともう1点、笠井委員からもお話ありましたけれども、8ページの表なんですけれども、これよく誤解を生じちゃっているんです。レベル1吹き付けで、発現性事例意識高い、レベル3は発現性比較的低いです。これはあくまでも同じ工法で、工法を決めてやった場合です。例えばレベル3のものでも、先ほどもご指摘ありましたけれども、ばんばん割ったり、ミンチ解体したら飛散は相当多くなる。レベル2、あるいはレベル1というところのイメージ的に持っているような飛散状況までいってしまうのではないかということが考えられます。そういうわけで、当然材料もそうですけれども、解体方法まで考えていかないと、実際には問題が出てくると思います。

 解体ですけれども、手ばらしというのがありましたけれども、私ども話しするときは「手ばらしで原形のまま」という、手ばらしといいますと、国土交通省が監修している本ですと、手作業なんです。手で持つ工具まではいいということになっていますので、そういう意味で「手ばらしで原形のまま」という言葉を使っています。それともう1点、そういう工法の定義ですか、それ辺りも少なくとも三省の中で合意した形で要望の定義をしていただければと思います。

 以上です。

【大塚委員長】 ありがとうございました。

 外山委員、お願いします。

【外山専門委員】 1点だけ。罰則に関して49ページです。

 罰則は最大でも「6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、これが軽過ぎるということです。ちょっとした建物の調査だけで50万円いってしまいますし、石綿の除去になると数千万円とか億単位ということもあり得ますので、これがあまりにも軽過ぎる。これも検討課題にぜひ入れていただきたいということ。なぜ適用されないのかというのは、故意犯が罰せられないからですので、直罰規定を設けるということもぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 以上です。

【大塚委員長】 直罰の問題も含めて、大事な問題ではあると思いますので、検討したいと思います。何かよろしいですか。

 (なし)

【大塚委員長】 では時間も3時になってしまいますが、本日のご指摘を踏まえて事務局で今後の作業を進めていただければと思います。

 最後に資料5の、今後の検討スケジュールにつきまして事務局から説明をお願いいたします。

【前田大気環境課課長補佐】 大気環境課の前田でございます。今後の検討スケジュールについて、資料5でございます。

 今回第1回で、現状と課題ということで、ご議論をいただいたところでございますが、その後第2回、第3回と、関係者のヒアリングを2回に分けて実施をしたいというふうに考えております。その後2019年1月以降ですけれども、複数回に分けて論点の整理と方向性に関する審議を行いたいというふうに考えておりますので、それが事務局としての(案)ということでございます。2019年の夏から秋ごろを目途に、答申を取りまとめるような形をとれればというふうに考えておるところでございます。

 事務局からは以上でございます。

【大塚委員長】 ただいまの検討スケジュールにつきまして、ご質問、ご意見はございますでしょうか。

 (なし)

【大塚委員長】 よろしいですか。ありがとうございます。

 それでは本日いただいたご指摘を踏まえて、事務局で今後の作業を進めてください。

 最後に議題(3)その他につきまして、事務局から何かございますでしょうか。

【前田大気環境課課長補佐】 事務局からは、特にございません。

【大塚委員長】 では本日予定された議題は終了となりますが、全体を通してご意見、ご質問がもしございましたら、お願いいたします。

 (なし)

【大塚委員長】 よろしいですか。

 ないようでしたら本日の予定の議題はこれで終了いたしますので、進行を事務局にお返しします。連絡事項などございましたら、お願いいたします。

【高澤大気環境課長】 本日は長時間にわたりましてのご議論、どうもありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、各委員にご確認いただいた上で、環境省ホームページにて公開をさせていただきます。今後の小委員会の開催についてですが、先ほどもご説明いたしましたとおり、第2回は11月21日水曜日、第3回は12月13日木曜日を予定しております。後日開催通知により正式にご連絡をさせていただきますので、委員の皆様方にはお忙しいところ恐縮でございますが、何とぞよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、本日の小委員会はこれで終了いたします。本日は誠にありがとうございました。