大気排出基準等専門委員会(第3回)議事録

1.日時

平成28年3月23日(水)16:00~17:42

2.場所

環境省 第一会議室

3.出席委員

委員長    坂本 和彦
臨時委員   谷口 靖彦   畠山 史郎   
専門委員   飯島 宣之   伊藤 茂男   指宿 堯嗣      
       貴田 晶子   近藤 守    長安 立人
       守富 寛

4.委員以外の出席者

環境省
   高橋 水・大気環境局長、早水 大臣官房審議官、江口 水・大気環境局総務課長
   瀧口 水・大気環境局大気環境課長、伊藤 水・大気環境局大気環境課課長補佐
   長濵 水・大気環境局大気環境課課長補佐

5.議事次第

1.開会
2.議題
 (1)水銀大気排出インベントリーの更新結果について
 (2)水銀排出施設の種類、規模、排出基準について
 (3)排ガス中の水銀測定方法について

 (4)要排出抑制施設について

3.閉会

6.配付資料

・委員名簿

 ・資料1    水銀大気排出インベントリー(2014年度対象)

 ・資料2    専門委員会報告書の構成(案)

 ・資料3-1   水銀排出施設の種類、規模及び排出基準について(案)

 ・資料3-2   各排出施設分類における水銀排出量のカバー率の推計

 ・資料4    排ガス中の水銀測定方について(案)

 ・資料5    要排出抑制施設について(案)

 ・資料6    今後のスケジュール(案)

 ・参考資料1  第2回専門委員会での指摘事項について

 ・参考資料2  水銀大気排出実態調査の結果

 ・参考資料3  「水銀に関する水俣条約政府間交渉委員会第7回会合」の結果について

        (お知らせ)

 ・机上資料1  水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申)

        (平成27年1月13日中央環境審議会答申)

 ・机上資料2  大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27年法律第41号)

 ・机上資料3  大気汚染防止法施行令等の一部を改正する政令(平成27年第379号)

 ・机上資料4  水銀に関する水俣条約(第八条抜粋)

 ・机上資料5  諸外国の水銀排出基準一覧

 ・机上資料6  ばい煙及び揮発性有機化合物の排出基準一覧(抜粋)

 ・机上資料7  大気汚染防止法(ばい煙発生施設)に係る測定項目・測定頻度について

        (平成21年11月20日 中央環境審議会大気環境・水環境合同部会 

         公害防止取組促進方策小委員会(第4回) 資料3-1)

 ・机上資料8  排ガス中の水銀の測定方法

        (平成26年7月3日 中央環境審議会 大気・騒音振動部会 水銀大気排

         出対策小委員会(第2回) 資料2-別添5)

 ・机上資料9  BAT/BEPガイダンス(案)について

議事

午後16時00分 開会

【瀧口課長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会を開催したいと思います。

 本日は年度末のお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、本日の出席状況でございますけれども、現時点で10名の委員の皆様にご出席いただいております。大塚委員と高岡委員からはご欠席との連絡をいただいています。

 また、お手元の配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の裏面に配付資料一覧を記載してございます。委員名簿がありまして、資料1、2、それから資料3-1、3-2というのがございます。いずれもA4の縦になります。それから資料4、5、6というのがあるかと思います。それから参考資料が1、2、3ということで、3点つけております。参考資料3は、水俣条約の政府間交渉委員会、INC7と呼んでおりますが、先週まで開かれておりました委員会の会合の結果について添付させていただきました。

 それから机上資料として、委員のみ第1回の専門委員会の資料について置かせていただいております。資料の不足等ございましたら、事務局にお申しつけください。

 それで、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。ご協力をお願いします。

 これ以降の進行につきましては、坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 それでは、始めさせていだきたいと思います。皆様にはご多忙のところ、お集まりいただき、ありがとうございました。今日、第3回目の大気排出基準等専門委員会ということでございます。

 早速でございますが、議事に入らせていただきたいと思います。

 まず議題1でございますが、大気排出インベントリーの更新結果についてということで、事務局から資料1に基づいて説明をお願いいたします。

【瀧口課長】 それでは、資料1をご覧ください。

 水銀大気排出インベントリー案ということで、最新のインベントリー、2014年度の排出量が報告できるようになりましたので、資料とさせていただきました。この水銀の大気排出インベントリーと申しますのは、その作成、更新が水俣条約上の義務になっております。水銀の大気への排出量、グローバルな排出量を減らしていくという趣旨からしても、どの排出源からどれぐらい水銀が出ているかということを把握することは極めて重要でありまして、このインベントリーについても水銀大気排出抑制の観点から、非常に重要な位置づけとなっております。

 この資料1の一番最初のページの表を見ていただきますと、2010年度、2014年度の値をそれぞれ書いておりまして、その変化を書いておりますが、この表の一番下の部分、合計のところを見ていただきますと、括弧内に書いているのが自然由来を除く値です。自然由来を含めて2010年度の19~24tという年間の排出量から、2014年度は18tという排出量になっております。

 この2010年度の排出量、条約対象施設のうち石炭火力発電所や、廃棄物焼却施設の中で、幅を持って排出量を示していた部分がございますが、今回水銀の排出の実態調査等を行いまして、排出係数等でより精緻な値が得られたものですから、幅のない値で2014年度の値は示すことができました。

 この条約対象施設のそれぞれの排出量、それから条約対象外ということでいいますと、ざっと見ていただきますと鉄鋼製造施設の一次、二次というのが高いというのがおわかりになるかと思います。

 それで、インベントリーの表の注のところを見ていただきますと、活動量の情報収集に当たりましては、原則として2014年度のデータを使用しておりますけれども、年度のデータがない場合には暦年のデータを使用している場合もございますし、また暦年のデータがない場合には、2013年以前での最新年度のデータを使用している場合もございます。これが最新の2014年度の水銀大気排出インベントリーの案ということでお示しさせていただいたものです。

 資料1の説明は、以上になります。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは大気排出インベントリーの更新結果について、ただいま説明をいただきましたけれども、ご質問、ご意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 2点ほどあります。

 一つはこの条約が決まって、大防法が決まってということになると、新規発生源に対してと、それから既存発生源がどれだけ減ったかという削減の量というのを報告しなければならない、義務かどうか十分に承知しておりませんが、今後は新規施設というのが出てくると思いますので、この2014年の数値ではないけれども、今後は新規と既存という形で分けていく必要があるんじゃないかということが1点。あとこれは以前にもコメントさせていただいたんですけれど、表中でN.O.と書いてあるのは対象施設がないということなんですが、N.E.と書いてあるのは優先順位としてかなり低いということで、推定していないという表現だと思います。これについては今後は残された課題といったらおかしいんですけれど、課題として残っているという認識でよろしいんでしょうか。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【長濱補佐】 ありがとうございます。貴田先生の1点目のご指摘でございますけれども、机上資料の資料4に条約八条の抜粋を載せてございます。八条の抜粋の6項をご確認いただけますでしょうか。「締約国は、全ての関係する既存の発生源に対して同一の措置を適用し、又は異なる発生源の分類に関して、異なる措置を採用することができる。締約国により適用される措置は、長期的にみて排出の削減における合理的な進展を達成することを目的とする。」ということが定められてございます。

【坂本委員長】 机上の資料をご覧ください。

【長濱補佐】 机上資料の資料4でございます。

 条約八条6項にそのような規定がございまして、先生のご指摘は長期的な既存発生源からの排出量削減を把握するうえで、とても重要なご指摘と思いますので、現時点では既存発生源しかございませんけれども、新規発生源ができた場合には、新規と既存の内訳を示すことが必要と考えてございます。

 次のN.E.でございますけれども、こちらは自主的な取組として、事業者さんに測定をお願いするとともに、環境省でも実態調査をして、N.E.をできるだけ少なくしていくようにしていきたいと考えてございます。

 以上でございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。そのほかご質問等ございますでしょうか。

 もしございませんようでしたら、次に移らせていただきたいと思います。

 議題(2)でございますが、水銀大気排出施設の種類、規模、排出基準についてということでございます。資料2と6でしょうか、事務局から説明をお願いします。

【瀧口課長】 それでは説明をさせていただきます。

 まず中身の説明に入る前に、全体像を説明させていただければと思います。資料2をご覧いただけますでしょうか。本日の議論を経て次回、この専門委員会報告書案というのをご議論いただくわけですが、その構成(案)を資料2にまとめさせております。

 第1章がこれまでの経緯、第2章が水銀排出規制についてということで、ここにあります1番の水銀排出規制に関する全般的な事項、2.施設分類ごとの検討、3.排出基準の適用に当たっての留意事項、この部分をこの後説明し、またご議論いただきたいと思っております。

 それからページをめくりまして4番で、自主的取組の推進というところがありますが、これが今日の議題の4番目になります。ですから、今日ご議論いただいたものが専門委員会の報告書の、この部分を形成するということであります。

 第3章の排ガス中の水銀測定方法、これが今日の議題(3)であります。また今後の課題ということで、本日ご議論いただいた内容を取りまとめて、次回専門委員会において報告書(案)としてお示ししたいと思っております。

 それでスケジュールですが、資料6をご覧いただけますでしょうか。A4の1枚紙で資料6、今後のスケジュール(案)というのがあるかと思います。

 本日この中身、特に排出規制、それから水銀測定方法、要排出抑制施設についてご議論いただきまして、それをもとに報告書(案)を取りまとめて、次回、これは4月19日に開催する予定にしておりますが、ここで(案)ということでご議論いただき、取りまとめをいただければと思っております。そしてその後、専門委員会報告書のパブリックコメントということで、1カ月コメント受付をしまして、それを経て中央環境審議会の大気・騒音振動部会に、専門委員会の報告書を踏まえた第一次答申案ということでお示しできればと思っております。

 これが全体像と今後のスケジュールでございますけれども、それでは中身のご説明をさせていただきたいと思います。

 資料3-1をご覧いただけますでしょうか。水銀排出施設の種類、規模及び排出基準について(案)ということで資料を用意しております。

 まず第1章ということで、全般的な事項ということで、前回議論いただいたところをまとめております。まず水銀排出施設の分類ですけれども、これは前回もご議論いただきましたが、このパラグラフの二つ目になりますが、分類は原則として大気汚染防止法のばい煙排出施設のうち、水俣条約の対象施設に該当するものの分類を踏襲することが適当である。それで、大防法ではばい煙発生施設の分類を幅広く設定している特性から、複数の分類に該当する施設があるわけですが、そうした場合、事業の主たる目的に照らして届け出されることになっておりますが、この水銀排出施設においても同様に、事業の主たる目的に照らして届け出をすることが適当であるとしております。

 また、大気汚染防止法以外にも、廃棄物処理法やダイオキシン類特別措置法の中で、水俣条約の対象施設を規制対象としている場合がありますので、そうした大防法でカバーし切れない場合には、これらの施設も今回の水銀排出施設として加えることが適当であるとしております。

 2ページ目に参りまして、表1で水俣条約の対象施設に大防法のどの施設が該当するかを表で示しております。

 また規模要件について、これも前回ご議論いただきましたが、条約の中では各施設分類に関しまして、当該分類からの排出量の75%を含む水準であれば発生源を特定するための基準、いわゆる裾切り基準を設けてよいとしております。

 この裾切り基準ですけれども、3ページ目に参りまして、二つ目の段落ですが、規模要件についても75%を法的安定性を持って満たすことを確認の上、原則としてばい煙排出規制の対象規模を適用することが適当であるとしております。ただし、施設規模に関わらず、水銀を確実に扱う施設については水銀排出施設とし、基本的に扱わない施設については対象外とすることが適当であるということで、これは後ほど具体の施設の説明の中で出てまいりますので、説明させていただきたいと思います。

 排出基準の設定に参りまして、平成27年の中環審の答申では、水銀排出施設の排出基準に関しまして、平常時における排出口からの水銀の平均的な排出状況を捉えた規制とする必要があること、「利用可能な最良の技術に適合」した値とする必要があること、いわゆるBATと呼んでおります部分ですが、BATに適合した値とする必要があることを述べています。

 排出基準は経済的かつ技術的考慮を払いつつ、排出源分類ごとの排出状況について十分に調査・検討を行い、これらを勘案した上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めることとすること。また排出基準の値については、平常時における対象施設において達成されるべき値として設定することが適当であるとされておりますので、こうした考え方を踏まえたものとする必要があるということを書いております。

 また3ページ目から4ページ目に参りまして、この条約のもとでまとめつつあります「BAT/BEP ガイダンス案」というものがあります。これも踏まえてということで、今回の排出基準を検討しております。

 また、三つ目の段落で「さらに」というところがありますが、これはこの専門委員会でも説明させていただきましたが、環境省では排出源分類ごとの排ガス処理施設の導入状況及び水銀等の排出状況との実態調査を実施しております。

 これが本日の参考資料2でつけております部分ですが、今回の基準の検討に当たってはこれらの値、また事業者から提供いただいた調査結果、これは環境省法以外の測定方法が用いられているものもありましたが、そうしたデータも活用させていただいて、基準値の案を検討しております。

 この排出基準の検討に当たっては、先ほど申しました「BAT/BEP ガイダンス案」を参考に、一定の排ガス処理技術をBATと想定し、これらが導入されている施設の水銀濃度を実態調査等によって把握し、排出基準値の検討に用いることが適当であるということで、具体的な検討に当たっては施設の分類ごとに統一した設定方法を採用とすることとし、以下の点を考慮する必要があるということで、3点書いております。

 まず、原燃料中の水銀含有量及びその変動並びに水銀濃度及びその変動の程度。

 BAT/BEP ガイダンス案におけるBATに適合する水銀濃度と比較した排出状況。

 諸外国の排出基準と比較した排出状況。

 この3点ごとに、それぞれの分類ごとの状況をまとめまして排出基準の案を次の章でまとめております。

 5ページ目に参りまして、4.のところですが、条約の中では新規施設と既存の施設については、異なる基準値を設定することが想定されております。平成27年の答申におきましても、この既存の施設については新規施設とは別に既存施設としての利用可能な最良の技術に適合した値を設けることが適当であるとされております。

 ということで、今回排出基準値の案につきましては、新設と既設と分けて示しております。また水俣条約の中では、実質的な改修をした既存施設は、条約上新規施設として扱われることになっております。この実質的な改修が何かということは各国に任せられているわけですが、それについて、ここでは水銀排出量が施設規模と相関があると考えられるため、施設の基本構造、面積ですとか形状、あるいは本体の材質、こうした基本構造の変更により、施設規模が5割以上増加するような場合について、実質的な改修がなされたとすることが適当であるとしております。また既存施設におきましては、施設の大幅な改変が行われるような場合には、排出基準の遵守にかかる猶予期間を設けることが適当であるということも記載しております。

 次のページ、6ページ以降、それぞれの分類ごとの検討ということでまとめております。まず石炭火力発電所及び産業用石炭燃焼ボイラーですが、この対象施設の種類及び規模ですが、条約の中では「石炭火力発電所」、そして「産業用石炭燃焼ボイラー」として分けられているわけですけれども、BAT/BEP ガイダンスでは一つの施設、石炭を燃料とするボイラーとして扱われていることもありますし、大防法でもボイラーということで規定されておりますので、ここでは一つの施設分類として扱うことが適当であるとしております。

 また、この石炭燃焼ボイラーには、専ら石炭を燃料とするものと、石炭を燃料としつつ、石炭以外のものも燃料とする混焼ボイラーがございます。この混焼ボイラーにつきましては、今回の実態調査の中でもその状況を調べましたが、石炭比が低い施設であっても「石炭専焼ボイラー」と同等程度以上の水銀濃度が検出されております。こうしたことから、混焼ボイラーについては燃料に占める石炭比によらず規制対象とすることが適当であると記述しております。

 7ページ目に参りまして、またこの混焼ボイラーにつきましては、ほとんどがバーナーの燃焼能力が1時間当たり10万L未満でありました。ここでは1時間当たり10万L未満の石炭混焼ボイラーを、小型の石炭混焼ボイラーと呼ぶこととしたいと思います。またこの委員会で、前回、飯島委員からボイラーによらない発電施設、ガス化の複合発電についてどうかというご質問がありました。これにつきましてはまだ実用化されて間もない発電技術であることから、現時点では規制対象とはせず、今後排出実態を把握した上で、水銀排出施設としての追加について検討すべきであるとしております。また対象とする施設の規模に関しては、ばい煙発生施設と同様の裾切り基準を設けることが適当であるとしております。

 それで、実際裾切り基準を設けた場合にどれぐらいのカバー率かというのは、資料3-2で詳細に説明しております。説明は省略させていただきますが、ほぼ100%排出量をカバーできるとなっております。

 次に排出基準の設定ですけれども、まず<原燃料中の水銀含有量>について、我が国が用いております石炭は、諸外国と比べると比較的水銀含有量の少ない傾向があるようです。また、石炭混焼ボイラーで使用されている石炭以外の燃料中の水銀含有量は、石炭中の水銀含有量に比べて最大のもので平均値が2倍程度で、石炭に比べて含有量が多いものが含まれておりました。

 次に<BATと想定する排ガス処理技術>ですが、BAT/BEP ガイダンスをもとに、8ページ目に参りまして、新規施設に対するBATは水銀の排出抑制にも効果がある「脱硝、除じん、脱硫設備」、既存施設に対するBATとしては「脱硝、除じん及び脱硫設備」以外の排ガス処理施設ということで想定をしております。

 次に<水銀等の排出状況>ですが、8ページに文章で書いておりますが、9ページの表を使って説明をさせていただきます。表3-3-1をご覧ください。これは小型ボイラーを除く石炭燃焼ボイラーでして、いわば石炭の専焼ボイラー、そして大型の混焼ボイラーということになりますが、BATと想定した脱硝、除じん、脱硫の設備を備えた施設のデータ、それ以外ということで分けております。

 施設数、それから施設に関して複数データをとっておりますので、そのデータ数ということで書いております。水銀濃度ということで、実際の測定結果を書いておりますが、これはデータ数をまとめたものでして、施設ごとの平均値という形ではとっておりません。

 以下の表もいずれも同じになります。例えば脱硝、除じん、脱硫設備を整備した環境省法で測定した施設では、水銀濃度が0.2~3.7μg/Nm3でありまして、幾何平均、対数標準偏差ということで示しております。環境省法以外では0.1~13という値が検出されておりまして、13以外にも高いところで7~8というデータも複数検出されております。またこれらBAT以外のデータで見ますと、環境省法以外のデータで7.6という値がありますが、これは1施設で高目の値が出ていたという結果になっております。

 小型石炭混焼ボイラーのほうが、表3-1-2にありまして、全施設ということでちょっと見ていただきますと、環境省法、環境省法以外につきましても、それぞれ平均値は小型の石炭混焼ボイラーのほうが高くて、またその標準偏差を見ていただいても、ばらつきも大きいということがおわかりになるかと思います。

 10ページ目に参りまして、<諸外国の排出基準>ということで、これは委員の皆様方には青いファイルの机上資料5の中に入っております。ここで(参考資料3参照)と書いておりますが、これは間違いでございました。机上資料の5になります。<諸外国の排出基準>は、石炭使用量や燃料使用量によって基準値を区別している例が多いわけですけれども、その測定値の対象期間、年平均値であったり、日平均値であったり、あるいは測定法の違いなどを考慮すると、我が国からの排出状況というのはほとんどの国の基準値を下回る濃度でありました。こうしたことを踏まえまして、排出基準値の案を示させていただいております。

 (2)のところでありますが、(1)で記された事項を考慮して、基準値を設定するに当たり、小型の混焼ボイラーについては、それ以外の石炭燃焼ボイラーに比べ水銀濃度が高い傾向が見られたことや、廃棄物処理法の廃棄物焼却炉とされている施設もあり、燃料中の水銀含有量が比較的変動することを想定して、小型の混焼ボイラーに限り、廃棄物と焼却炉に対する排出基準値のレベルも勘案した水準としております。また排出濃度のレベルが低いため、基準値の設定によっては測定値の変動が無視できなくなることも考慮して、表3-1-3でこの基準値の案ということで示しております。

 石炭ボイラー①これが専焼ボイラー、大型の混焼ボイラーということですが、これが新規が8μg/Nm3、既存が10、小型の方が新規が10、既存が15としております。いずれも標準酸素補正方式による6%の換算値ということで、値を示しております。

次に非鉄金属の精錬でありますけれども、これは主として鉱石を用いる一次施設と、リサイクル原料等を用いる二次施設がありまして、原料や工程の違いによりまして水銀の排出実態は大きく異なるため、一次と二次に分けて検討をしております。

まず一次のほうを説明させていただきます。

12ページのほうに参りまして、施設の種類それから規模に関しては、ばい煙発生施設のとおりとすることが適当であるとしております。この裾切り基準で排出量のほぼ100%をカバーできることを確認しておりますし、それから精製のための溶解炉の原料となる粗銅、粗鉛、蒸留亜鉛、粗銀又は粗金は、一般的には水銀を含まないと考えられまして、実態調査もそれを裏づけるものとなっております。したがいましてこの粗銅、粗鉛、蒸留亜鉛、粗銀又は粗金を原料とする精製のための溶解炉については、規制対象外とすることが適当であるとしております。

12ページ以降、この排出基準の設定に当たってということで説明をしております。一般的な形態としては銅、亜鉛、鉛、それぞれ複数の精鉱をブレンドして原料として使っておられるということが業界からいただいた情報でわかりましたし、13ページ目のほうに参りまして、<BATと想定する排ガス処理技術>としては、三つ目のパラグラフになりますが、新規施設及び既存施設に対するBATは、現在の一般的な原料を使用する場合には、水銀の排出抑制にも効果がある「排ガス洗浄及び硫酸製造設備」を、高い水銀含有物を原料とする場合には、「排ガス洗浄及び硫酸製造設備並びにBoliden-Norzinkプロセス等」ということで想定をしております。

<水銀等の排出状況>ですが、表で説明させていただきます。14ページの表3-2-2をご覧ください。

ここでは比較的多くのデータが得られた銅と亜鉛ということで説明をしております。この水銀濃度の範囲の中で、最大値そして平均値を見ていただきますと、銅が亜鉛よりも低いというのがおわかりになるかと思います。またこの亜鉛の中で環境省法では最大値が39、環境省法以外では150という値が検出されておりますが、これはいずれも粒子状水銀がガス状水銀を上回っているという、そういうケースでもありました。

また、鉛と工業金につきましては、実際にデータが得られた数が少なかったものですから、表では表しておりませんが、それぞれ1Nm3当たり20μg以下であることを確認しております。

こうしたことを踏まえまして、排出基準の値ですけれども、14ページの「具体的には」という一番最後の行をご覧いただけますでしょうか。具体的には、銅及び工業金について、排出状況として比較的低い水銀濃度であり、精鋼中及びリサイクル原料中の水銀含有量も比較的低いことが想定されることから、一律の基準として設定をしております。また亜鉛については銅及び工業金と比較すると、高い水銀濃度が検出されており、精鉱中及びリサイクル原料中の水銀含有量が比較的高いことから、銅や工業金とは異なる基準ということで設定しております。鉛については調査データが1データのみで、その水銀濃度は銅や工業金と同等程度だったわけですが、精鉱中及びリサイクル原料中の水銀含有量が亜鉛と同等程度であるということを勘案して、亜鉛と同一の基準としております。

表3-2-3がこの排出基準値の案ですが、この基準値の案が大防法のばい煙発生施設の書き方で整理しておるものですから、少しわかりにくいんですけれども、銅又は金と鉛又は亜鉛という、二つのグループがあります。銅又は金が新規が15、既存が30、鉛又は亜鉛が新規が30、既存が50ということで示させていただいております。この場合、標準酸素補正方式による酸素換算は行っておりません。

16ページ目に参りまして、二次施設になります。この対象施設の種類、規模については、ばい煙発生施設と同等とすることが適当であるとしておりますが、一方でばい煙発生施設のほかに水俣条約の対象施設に含まれるものがございまして、17ページ目に参りまして、ダイオキシン類の対策特別措置法の中で定められている施設が該当しますので、これも規制対象とすることが適当であるとしております。

これらの規制対象とした場合には、排出量はほぼ100%カバーできると計算できております。排出基準の設定ですけれども、まず原燃料中の水銀含有量ですが、二次施設という特徴もありまして、原料中の水銀含有量、ここに示したようにかなりの幅を持った値となっております。

BATと想定する排ガス処理技術につきましては、2段落目ですけれども、廃棄物等の再資源化が進んでいる我が国の実態を踏まえ、水銀含有量が多い鉱滓を主な原料とする場合には、新規施設、既存施設に対するBATはともに、「除じん設備及び高度な排ガス洗浄設備等」を想定しております。それ以外の場合には新規施設のBATは、「除じん設備」及び「排ガス洗浄設備」、既存施設については「除じん設備」又は「排ガス洗浄設備」と想定しております。

18ページ目に参りまして、排出状況につきましては、表3-3-1のデータを紹介させていただきたいと思います。

この水銀濃度の範囲を見ていただきますとわかりますように、これはかなりの幅があるということがおわかりになるかと思います。水銀含有量が多い鉱滓を扱わない施設においては、概ね1Nm3当たり400μg以下でありましたけれども、ここの表の中で400というのを超えるデータがどれぐらいあったかというのも示しております。

また、工業金に関しまして環境省法以外では、430という、少し高い値が検出されておりますが、これは金を含む鉱滓を回収している施設で銅も取り出しているということで、ちょっと扱いとしては異なるのかなという印象を持っております。

また<諸外国の排出基準>につきましては、一次と二次を区別せずに一律の排出基準を設定している場合が多くございました。

こうしたことを踏まえまして、排出基準の案でございますけれども、19ページ目に参りまして、銅、鉛及び亜鉛については、同一施設において複数の金属、例えば銅と亜鉛をどちらも取り出すという施設もあることから、一律の基準にしております。金については、水銀含有量が多い鉱滓を扱わないと想定されるため、排出実態に応じた水準ということで書いております。

また銅、鉛及び亜鉛の施設については、水銀含有量が多い鉱滓等も扱うものについては、我が国における水銀回収フローの一環を担う施設ということで位置付けております。その基準値の案が20ページ目の表で書いてあるところです。表3-3-2ですが、これもちょっと見にくいですけれども、銅、鉛及び亜鉛のグループと、それから金と分けております。銅、鉛及び亜鉛が新規が100で既存が400、金が新規が30で既存が50と、排出基準値の案を示しております。

次に、21ページですけれども、廃棄物焼却炉の場合、一般廃棄物の焼却炉、産廃の焼却炉、下水汚泥の焼却炉に大別されるわけですが、確実に水銀が含有するものを除きまして、焼却対象物中の水銀含有量が大幅に異なるとは考えにくいことから、ばい煙発生施設では「廃棄物焼却炉」として一くくりの区分にしておりまして、水銀排出施設としても一つの施設分類として扱うことが適当であるとしております。

また、水俣条約の中では「廃棄物」の定義につきましては、バーゼル条約の定義を適用するとしております。従いまして、ばい煙発生施設である廃棄物焼却炉並びに廃棄物処理法において焼却炉及び焙焼施設に該当する施設のほか、水銀含有再生資源の加熱処理をする炉も、規制対象とすることが適当であるとしております。

廃棄物のうち、廃油に関しまして、化学品を製造する施設から水銀が濃縮された廃油が排出されるということは想定しにくくて、実態調査の結果もそれを裏づけるものでしたので、この場合は規制対象外とすることが適当であるとしております。

22ページ目に参りまして、施設規模に関しては、ばい煙発生施設と同様とすることが適当であるとしておりますが、いわゆる水銀の濃いものを扱う施設、ここに書いてあります水銀回収義務付けの産業廃棄物のほか、「水銀含有再生資源」については確実に水銀を含有するものとされておりますので、これらを取り扱う廃棄物焼却炉は、水銀を確実に扱う施設として、裾切り基準を設けないことが適当であるとしております。

23ページ目に参りまして、排出基準の設定ということで、それぞれデータを整理しております。

<原燃料中の水銀含有量>ということで、廃棄物という性格もありまして、その含有量は、かなりの幅がございます。

<BATと想定する排ガス処理技術>としては、ダイオキシンの排出実態調査によりますと、9割以上の施設でバグフィルターまたはスクラバーが設置されていましたということもありますし、また水銀含有汚泥を取り扱う施設では、「バグフィルター、スクラバー及び高度な活性炭処理等」が設置されておりました。

これらを踏まえまして、水銀回収義務付け産廃や水銀含有再生資源を取り扱う場合には、新規施設に対するBATは、「バグフィルター、スクラバー及び高度な活性炭処理等」を、既設については「バグフィルター、スクラバー及び活性炭処理等」をということで想定しております。

それ以外の廃棄物焼却炉につきましては、新規は「バグフィルター、及び活性炭処理」又は「スクラバー及び活性炭処理」、既存施設に対するBATについては、「バグフィルター又はスクラバー」ということを想定しております。なお、新規の場合は脚注の12にございますが、焼却対象物によっては「バグフィルターのみ、スクラバーのみ、あるいはバグフィルター及びスクラバー」でも同等の水銀濃度に抑制できるということが考えられます。

<水銀等の排出状況>につきましては、25ページの表3-4-1をご覧ください。一廃、産廃、下水汚泥をそれぞれあわせたものです。それぞれ分けた細かいデータについては、参考資料で示しております。

範囲が幅広いと言えるかと思いますけれども、バグフィルター及び活性炭処理又はスクラバー及び活性炭処理ということで、活性炭処理をした方が排出濃度が全体的に低いというのが、表3-4-1からおわかりになろうかと思いますし、表3-4-2は水銀回収施設ということで、その濃度については表3-4-1の一般的な廃棄物焼却よりも高いということがおわかりになるかと思います。

26ページ目に参りまして<諸外国の排出基準>ということでいいますと、医療廃棄物については、諸外国では別に基準を設けている例がありましたけれども、我が国の場合は実態調査の結果から、医療系廃棄物を扱う施設と、それ以外の施設とでは排出状況に大きな差は見られませんでした。また、施設の平均的な排出状況としては、ほとんどの国の基準値を下回る濃度でありました。

こうしたことを踏まえまして排出基準の値ということで、水銀回収義務づけの産廃または水銀含有再生資源を取り扱うものと、それ以外の廃棄物焼却炉ということで分けております。表3-4-3にその排出基準値の案を書いておりますが、一廃や産廃、下水汚泥の焼却炉という廃棄物焼却炉については、新規が30で既存が50。廃棄物焼却炉のうち水銀回収義務付け産廃、または水銀含有再生資源を取り扱うものは新規が50で既存が100としております。

最後の分類になりますが、27ページ、セメントクリンカー製造施設ですが、これもばい煙発生施設の一つでありますので、その裾切り基準もばい煙発生施設のとおりとすることが適当であるとしております。

<原燃料中の水銀含有量>ということでいいますと、我が国の場合は代替原料の割合が諸外国に比較して高い傾向がございまして、代替原料中の水銀含有量は天然原料中の水銀含有量に比べて高い傾向があると言われております。

<BATと想定する排ガス処理技術>ですが、28ページ目に参りまして、新規施設についてはBAT/BEP ガイダンスにおいて水銀の排出抑制に有効とされる複数の技術ということで測定しておりますし、既設については水銀含有量が少ない原燃料を選択することを想定しております。ただし既設の施設については、主原料である石灰石の採掘場所の近傍に立地していて、石灰石中の水銀含有量が低い原料に変更することが困難な場合も想定されるわけで、このような場合には可能な限り水銀含有量の低い原燃料を選択することということを想定しております。

<水銀等の排出状況>については、28ページの表3-5-1をご覧ください。石灰石中の水銀含有量で、データを分けておりますけれども、当然ではありますけれども、石灰石中の水銀含有量が高い場合が、全体の水銀濃度も高いということがおわかりになるかと思います。

29ページ目に参りまして、<諸外国の排出基準>ということで申しますと、我が国の排出状況はほとんどの国の基準値を下回る一方、それを上回るデータもありました。ただし海外の文献によりますと、それぞれ62カ国における排ガス濃度を分析した結果については、諸外国と比べて高目の傾向が日本の場合あるということでした。

こうしたことを踏まえまして、排出基準値の値ですが、29ページ目の(2)になります。

新規については原燃料中の水銀含有量が比較的多いことが想定される場合には、「スクラバー及びダストシャトリング」などのように、「BAT/BEP ガイダンスにおいて水銀の排出抑制に有効とされる複数の技術」によって達成可能な水準としておりますし、既設の場合には、水銀含有量が少ない原燃料を選択することにより達成可能な基準として設定しております。

それが表3-5-2の値ですけれども、この既存の施設については、セメントの製造のように、焼成炉で原料とする石灰石中の水銀含有量が1kg当たり0.05㎎の水銀以上である場合には140ということで書いております。

以上が、それぞれの施設分類ごとの排出基準の案でありますが、30ページ以降、この適用に当たっての留意事項ということで3点書いております。まず排出基準についての十分な周知ということで、今回の規制は環境中を循環する水銀の総量を削減するという、水俣条約の趣旨に沿って、水銀の大気排出量をできる限り抑制することを目的としております。したがいまして、従来の大防法の大気汚染物質の規制とは異なるわけで、こうした排出基準の性格や測定値の評価等については自治体や事業者に十分に周知していく必要があるということ。

それから今回取りまとめております排出基準は、大気中に排出された水銀等を直接吸入することによる健康被害を防止するというよりも、環境中を循環する水銀の総量を削減するという観点から設定しております。したがいまして、排出基準を超える水銀が排出されたとしても、直ちに地域住民の方に健康被害を生じるものではないということに留意が必要であるということ。

また、排出基準の設定にあたりましては、BATを想定しておりますが、規制手法としては濃度規制でありますので、事業者は、この排出基準を遵守する限りにおいては、その原燃料の選択あるいは施設の稼働条件の最適化、処理施設の設置等については、自ら判断して最適な組合せを選択できるわけです。

また、諸外国の排出基準との比較ということで申しますと、今回とりまとめた排出基準というのは、概ね国際的に遜色のない水準かと考えられるかと思いますが、一方で諸外国の排出基準と比較する場合には、基準値だけではなくて規制の対象や測定方法、基準遵守の判定方法などについても考慮する必要があるかと思います。

例えば、今回の規制は、この次の議題になりますけれども、バッチ測定の結果を基準値と照らし合わせて、基準値を超える値が検出された場合には再測定を行うという方式を念頭に置いておりますが、こうした方式による基準値は、年間を通しての排出量の変動が平準化される年平均値での基準値と、値の大小での単純な比較はできないということを書いております。

また、例えば、アメリカの石炭火力の排出基準は、値自体は今回とりまとめている日本の基準値の案よりも厳しいものですけれども、アメリカの場合は事業者が複数の施設を有している場合には、一つのグループとして水銀濃度の平準化が認められていたり、施設の不具合により基準値を超えた場合には、基準値違反の取り扱いをケースバイケースで判断するような裁量の余地が与えられている、そういった違いも留意する必要があると書いております。

最後、31ページ目になりますが、こうした水銀排出規制でございますけれども、実際に大気中に排出される水銀を抑制するわけですけれども、これが水や土壌、廃棄物などにただ移行するだけでは、本質的な解決策とはなりませんので、大気のみでなく水銀等のマテリアルフローを踏まえた排出量の管理が必要であるということを書いておりますし、また大気中への水銀の排出量は、原燃料や廃棄物の水銀含有量にも影響されることから、こういうインプットの段階での水銀管理というのも重要であるということ、こうしたことも記載しております。

あと32ページから今後の課題ということで言いますと、今回、改正大気汚染防止法に沿って排出規制を開始しようとしているわけですが、今後より詳細かつ最新な実態がつかめることになるかと思いますので、そうした排出実態を踏まえたさらなる対応が必要であるということ。また、今回は、BATに基づいて排出基準値を決めております。当然技術の進歩等に対応することも必要でしょうし、また、原燃料の動向の把握というのも必要だと思いますし、地球規模での水銀削減への貢献ということで、こうした我が国の取組を途上国等にも紹介し、貢献していくことが必要であるということを書いております。

 以上、説明が長くなりました。

【坂本委員長】 資料3-2の説明をお願いします。

【瀧口課長】 資料3-2について、先ほど、それぞれの分類において、ばい煙発生施設と同じ裾切り基準を設けることが適当であるという説明をさせていただきました。それぞれ、裾切り基準を設けた場合に、施設分類の排出量のどれぐらいをカバーするかを計算した資料が資料3-2でして、ほとんどの分類が100%排出量はカバーできるという結果になっております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ただいま資料3-1、それからカバー率については資料3-2ということで説明をいただきました。

 この資料3-1で、先ほど来、番号づけが狂っているところがございましたので、それだけ申し上げておきますと、この説明で、参考資料1と書いてあるのは、本日の参考資料2でございます。それから、10ページ以降に、参考資料3と出ていたのは、先ほどの説明にありましたように、机上資料5、それから12ページに別紙1、それから27ページに参考資料2とあるのは、実は今日の資料3-2、カバー率の資料でございますので、対応して見る場合には、今のような形でご注意いただきたいと思います。

 それでは、ご質問、ご意見等ございます方、名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。

 まず、谷口委員、どうぞ。

【谷口委員】 どうもありがとうございました。

 我々、都道府県の立場からすると、基準値を超えた場合に、健康への影響というものが周辺の人たちに大きな問題ということで、30ページに、排出基準を超える水銀が検出されたとしても健康被害を生じるものではないとあります。このとおりだと思うんですけども、この委員会で、この部分を特段議論したわけでもないので、多分、この前段階でいろいろと議論があって、こういうくだりになっていると思いますので、ぜひ、その辺の出典といいますか、こういうのがあってこうなんだというのを書き加えていただければ、問題が生じたときに我々も対応しやすくなると思いますので、よろしくお願いします。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。

 そもそも健康影響で問題となる濃度の基準値よりも、実質の大気環境濃度は1/10を下回るぐらいのところになっているというようなことで、いろいろなご意見がこれまで出てきて、それに対して、今回は、説明がございましたように、グローバルに考えた水銀の循環を減らすと、そういった考えであるということで、今のようなところをつけ加えてあるわけですが、ここについては、必ずしもこの委員会の中できちんと議論した経緯が出ていないと。そうすれば、むしろきちんとした出典を示しておいてほしいと、そういうことでございます。ありがとうございました。

 そのほか、いかがでございましょう。いかがでしょうか。

 最終的に、排出基準はこういう形で考えているけれども、この前に全体的な話というのがつく形になるわけでしょうか。今のなぜこういったことをやるかに相当するところですが。

【瀧口課長】 取りまとめの報告書の中では、記載させていただきます。

【坂本委員長】 ありがとうございます。

 今回の基準値のところをご覧いただきますと、先ほどのセメントのような原料の関係で、なかなか対応が困難なものについては、ある程度のこういった配慮をした形で基準も設けているということでございます。これは、これまでの委員会での考えを受けた形で、現状でやり得るような形、それから平常的な値を考えるというようなところも含めた形で、データを検討した結果、こういった基準値でどうでしょうかという提案をいただいたということでございます。ここまではよろしいでしょうか。急ぐわけではございませんので、また先へ行って、再度時間をとれると思いますので、お聞きしたいと思います。

 もう一つ、今日、新たに出てまいりますのが、次の測定方法でございます。それで、先ほど私が申し上げたものは、この後、全体の報告書にしたときの統一した番号で、一つの資料としてつながる番号として対応させていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、資料4になりますでしょうか。排ガス中の水銀測定方法、お願いいたします。

【長濵補佐】 ありがとうございます。

 資料4と参考資料1に、前回の専門委員会での指摘事項について、指摘事項とその対応表の一覧を示してございますので、適宜、参考資料1もご参照いただきながら、進めさせていただきます。

 資料4につきましては、前回(第2回)の専門委員会でお示ししてございますので、そこからの変更点のみご説明させていただきます。

 まず、1ページ目の1.の(1)測定対象の3パラ目の4行目に、「ただし、水銀濃度の測定結果の年平均値が50μg/Nm3以上の施設にあっては」というくだりでございますけれども、貴田先生と守富先生から、年平均値という言葉の使い方が、連続測定の年平均値みたいなものとバッチ測定を単純に平均したものと区別がつかないというか、どちらなのかというご指摘ございましたので、バッチ測定の単純な平均という意味で、「測定結果の」という文言を追加してございます。

 次に、資料4の6ページ目の2.測定結果の確認方法の3パラ目の一番最後の行以降でございますけれども、前回、大塚先生から、今回の測定結果を基準に照らして確認する方法が、年平均値ではなくて、測定の都度、基準に照らして判断する方法をなぜとったのか、その理由をきちんと掲載するようにというご指摘をいただいてございます。そのご指摘を踏まえまして、見え消しにしてございますけれども、「改正大気汚染防止法では、排出基準値違反の継続性を改善勧告の要件としているため、排出基準の評価方法について、年平均値や移動平均のような評価に長期間を要する方法ではなく、測定の都度、排出基準に照らして評価する方法が適当である」ということを追記してございます。

 この文言を加えまして、ちょっと文章のつながりが悪くなりましたので、内容は変更していないんですけれども、次のパラグラフの「また」以下のところを、文章を変更してございます。内容的には変わりません。

 あと、内容を変えたところが、7ページ目の4パラ目でございますけれども、排出基準を上回る場合の再測定の規定でございます。こちらは事業者さんから、原則であるけれども、30日以内の再測定というのが非常に厳しいというご指摘を方々からいただいてございました。そのご指摘も踏まえまして、また、水銀の規制がこれから始まるという段階ということもございまして、初回の測定結果が排出基準の値の1.5倍を超過した場合には、これまでどおり、「初回の測定結果が得られた後から遅くとも30日までの間に実施すること」というふうにしてございます。ただ、それ以外の場合、要するに1.5倍以下の場合には60日以内と、若干緩和してございます。とりあえず、施行の初めの段階ではこのような運用で、基準値違反の程度によって、原則、再測定の期間を2段階に分けて運用してみる、5年後見直しの際には、また改めてこの運用が適切かどうか、実施可能かどうかというところも含めて、ご検討いただければいいのではないかと考えてございます。

 あと、文言の修正でございますけれども、同じく7ページ目の2.の最後のパラグラフでございます。こちらは「また」以下のところでございますけれども、「水銀濃度の測定や結果の記録」というように、文言をちょっと修正してございます。

 そのほか、8ページ目、最後の(2)その他でございますが、見直しが必要であるという点を追記してございます。前回、先生方からご指摘いただきました点で、例えば測定頻度について、前回も今回も事務局案では、排出量に応じて、つまり排ガス風量が多いものは年3回、ばい煙と同じく、排ガス風量が4万m3以下の場合は年2回としてございますけれども、この部分は一律年2回でいいのではないかというご指摘をいただいてございました。ただ、測定法の専門家等にもご意見をいただきながら、もう一度再考いたしましたけれども、やはり排出量に応じて測定頻度を設定するというのは妥当ではないかということで、とりあえずは、年3回と年2回というふうに分けて始めたいと考えてございます。

 また、試料の採取方法が100Lで大丈夫なのか、多過ぎるのではないかというご指摘もいただきましたけれども、平常時における平均的な排出状況を捉えるためには、やはり100L程度の吸引が必要ではないかと考えてございます。

 一番多くのご指摘をいただきましたのは、粒子状水銀の省略の規定について、全水銀に占める粒子状水銀の割合が5%未満である場合の、その5%の根拠は何かというところでございました。この点につきましても、測定法の専門家の先生方にご意見を伺いながら再検討いたしましたけれども、やはり事業者に排出基準の順守義務があるということを踏まえれば、粒子状水銀の全水銀に占める割合は、極めて低い場合に限定するべきであると。例えば、ばい煙規制では、測定結果の誤差を10%以内にすべきとされてございます。排出基準に照らして、基準を超えたかどうかという判断のための結果でございますので、例えば10%以上超えてもいいですよというようなことはなかなかしづらいということで、とりあえずは5%が適当ではないかと考え、原案のままとしてございます。

 平常時における平均的な排出状況は何かというようなご指摘もいただいたんですけれども、今回、平常時における平均的な値を検討するに当たって、排出基準との表裏一体のところはございますけれども、平均的な値を把握するためには長ければ長いほどよいわけですが、事業者負担を考慮し、ばい煙のサンプリングの頻度、それから可能な限りばい煙と同時、同日に業者さんが入ってサンプリングできる最大のサンプリング量ということで、ガス状水銀については100L、粒子状水銀には1m3吸引して、まず測定をしてみてはどうかと考えております。水銀濃度には一定の変動がございますので、排出基準のレベルを1回でも超えたら排出基準値違反とするのではなくて、必ず複数回の再測定をして、その再測定の結果をもって基準値違反を判断するということで、平均的な排出状況を捉えた測定方法と考えてございます。

 以上でございます。

【坂本委員長】 ただいま資料4、それから参考資料1に関連して説明をいただきました。ここにつきまして、ご質問等ございます方は名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。

【伊藤委員】 今のご説明とは若干話が違うんですけども、別紙1で、水銀濃度の測定方法という資料がついてございますけども、こちら、よく読みますと、もう少しリバイスした方がいいかなというところも若干残っているんですけども、こちらの扱いについては、まだこれももう少しもんでいくとか、機会があれば改良していくといったお考えはお持ちでしょうか。

【長濵補佐】 内容の変更ということでしょうか、それとも文言、表現の変更ということでしょうか。

【伊藤委員】 内容です。測定方法の内容です。操作の仕方とかですね。

【長濵補佐】 今回の公定法としては、もう内容を今から変更するというのは、ちょっと難しいかなというふうに考えてございますけども、測定方法自体は、よりよいものにリバイスしていく必要があると思っておりますので、今後も測定方法については検討していかないといけないというふうに考えてございます。

【伊藤委員】 このとおりやると、本来狙っているところがいまいちうまくいかないなというところが一部あるんですが、それは業者の裁量の中で若干フレキシビリティを持ってやっていいと考えてよろしいでしょうか。

【坂本委員長】 それがあれば、具体的にその部分をおっしゃっていただいて、測定方法の検討委員会のところで、どういうふうに考えたかの見解をお示しすることができると思います。

【伊藤委員】 例えばリークテストのところで、酸素濃度をはかるというところがございます。

【長濵補佐】 別紙1-6の(イ)でございましょうか。これは粒子状水銀のサンプリングの際に、1回は試料採取のリークテストを行うとしてございます。

【伊藤委員】 そこで酸素濃度の測定方法がJIS K 0301となっていると思うんですが、これはおそらく手分析の方法で、その場では結果が出てきませんので、実際にリークがあり・なしというのはその場でわからないことになってしまいますので、例えば自動分析といったものをここに入れておかないと、リークがあり・なしという判定が、その場ではできないということになりますので、その辺りのことなんですけども。

【長濵補佐】 基本的に、今のJISの方法をそのまま載せているんですけれども、おそらく、内容にそんなに関わらないところであれば、適宜リバイスできます。ありがとうございます。

【坂本委員長】 ここのところでは、JIS K 0301ではなくても、ほかのもので酸素濃度がはかれれば、それでもよいというふうに考えていいかどうか、そういうことで対応できますね。

【長濵補佐】 はい。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。飯島委員、お願いします。

【飯島委員】 二つほどありまして、一つは確認事項と、それからもう一つは意見ということでございますが、資料4の3ページですが、ガス状水銀の試料採取方法と、4ページ目の粒子状水銀の試料採取方法ですが、サンプリング量が、ガス状水銀についてはJIS法だと20L程度、それを今回は100Lということで、定量下限値の低減化ですとか、あるいは平均濃度はとれるということで、100Lだろうと思います。ちなみに100Lとった場合の定量下限値がどの程度でしょうか。また、同じく粒子状水銀については1m3ということですが、1m3を引くことによって定量下限値がどのくらいになるのかという確認です。

 それから、もう1点は意見ですが、8ページ、今回訂正されているところの(2)その他のところでございまして、「施行後5年を目途に、必要に応じて」云々と、「行うことが適当である」と記載がありまして、記載すること自体はよろしいかと思うんですが、内容が「必要に応じて粒子状水銀についての測定、省略の考え方、測定頻度等、測定方法」とあります。「必要に応じて粒子状水銀」と冒頭に文章がありますので、そういう記述ですと、1ページ目の(1)の測定対象、ここに粒子状水銀の省略ですとか、あるいは当面3年間の対応ですとか、いろいろ書いてありますが、8ページで追加で記載されたところが、この1ページ目の測定対象、粒子状水銀に何か限定をされがちなのかなと。これは私だけかもしれませんけれども。むしろ、それ以外の、6ページの測定結果の確認方法、この辺りも、施行後5年を目処の見直しの項目ではないかなというふうに思っております。そうであれば、今申し上げた測定結果の確認方法まで含めたような何か表現が適当かなというふうに思っております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 3ページと4ページのそれぞれガス状、粒子状水銀を、吸引流量100L、1,000Lとしたときの検出下限値がどの程度かと。そして8ページについては、この文章だと、粒子状水銀だけにかかってしまう形になっているのを、もう少し全体的な話にしたほうがいいんじゃないかと。それから、もう一つは測定結果のところでございます。

【長濵補佐】 ありがとうございます。

 定量下限値と検出下限値については、今回、環境省の実態調査を請け負った業者さんが測定した結果がございます。それを別紙1-18ページに、表3として、この測定方法を用いた場合の検出下限及び定量下限の値を掲載してございます。

 まず、ガス状水銀については、検出下限値が0.033μg/Nm3、定量下限値が0.1μg/Nm3で、粒子状水銀が0.00033、定量下限値が0.0011という結果でございました。ただ、この測定方法の定量下限値及び検出下限値は、サンプリングの事業者、分析事業者、あるいは分析機器によって、毎回変わってくるものと思いますので、事業者さんがそれぞれ測定した結果が定量下限値にはなります。一定の目安としては、大体この程度のものであるとご認識いただければと思います。

 最後の8ページ目の文章でございますけれども、こちらは修文したいと思います。粒子状水銀についての省略の考え方、確認方法とかは、測定頻度等の「等」の中に含めてしまっていたんですけれども、目出ししたほうがいいかなと思いますので、修文させていただきます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 多分、粒子状水銀については今後データがたくさん集まってきて、粒子状水銀の割合が非常に少ないということがわかった場合にどうするかという話。それから、それ以外に、今度は、データが集まってきて、このほうが安定的に運用されてきた場合に、測定頻度とか、そういったものも場合によっては減らすこともできるのかできないのかという検討になると思いますので、意味合いとしては、そういう文章に修文をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それから、検出下限も、ここではある程度のデータから、粒子状水銀は、相当ガス状水銀については割合が少ないということが既知の知識としてわかっているので、それについても、ある程度のところまでは測れるようにするためには、少なくともサンプリングする流量をガス状水銀に比べてかなり大きくしておかないといけないということで、今、こういった数値になっていると思います。

 そのほか、ご質問、ご意見等ございましたら、お願いいたします。いかがでございましょう。貴田委員、どうぞ。

【貴田委員】 非常に細かい点なんですけれども、たしか分析法の吸収液のところで、過マンガン酸カリの濃度が0.3%ということでした。たしか分析法の委員会でも、ちょっとこの濃度に関してはどうかというのがあったと思うんですが、たしかEP法が少し濃度が濃かったと思うんですよね。今回の実態調査では、過マンガン酸カリが全部消費されるということはなかったやに聞いているんですが、一定程度というか、吸収液の濃度のところで、場合によっては、還元性物質が多い場合には、EP法で5%か3%ですか、そういう濃度で使ってもよいというような記述をしておいてはいかがでしょうか。

【坂本委員長】 これは、測定方法の検討においでの委員の方のご意見も同時に求めたいと思います。

 今のは、非常に濃度が高い場合と、あと、そこに還元性のものが混ざってきて、この過マンガン酸カリウムの量では足りなくなる可能性があった場合に、そういうものを使ってもよいとするかどうか、そういうお話ですよね。

 指宿委員、どうぞ。

【指宿委員】 たしか、そこは議論をしたと思うんです。色が消えるようなことがあれば、つぎ足すというか、加えるということで、どこかに書いてありますよね。どこかに書いてあるはずなんですけど。それじゃないとまずいので。

【長濵補佐】 測定法の別紙1のところで、2連以上としてございます。濃度を上げるとなると……。

【貴田委員】 わかりました。1-4のところですよね。(注2)のところに書かれているんですが。

 廃棄物の焼却炉というのは結構高い濃度なので、2連でよしとすると。ここは2連でするということと濃度については書かれていないので、これはもう適宜運用でいいんでしょうか。

【坂本委員長】 これは濃度は変えないで、同じ濃度のものを2連という意味だと思います。普通に考えると。

【長濵補佐】 2連以上でございます。

【坂本委員長】 そういうことですよね。

【長濵補佐】 はい。2本以上直結に連結するというふうに、別紙1-4のイの吸収瓶の2パラ目、「また」のところにございますけれども、「また、採取に当たっては、吸収瓶は2本以上」、(注2)として、「最終の吸収液中の水銀濃度が、直前の吸収液中の水銀濃度の5%以下であること」を確認するとしてございます。

【坂本委員長】 そのほかいかがでございましょう。

 今の点は、現在の測定方法で、そういう場合も対応できるようになっていると。そういうことでございます。ありがとうございました。

 そのほか、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【坂本委員長】 そういたしましたら、今、ここで一部ご指摘をいただいた点については、修正をして、先ほどの意図が通じるような形で、修文をするという形で対応をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、議題4でございますが、要排出抑制施設についてというところでございます。資料5に基づいて、説明をお願いします。

【瀧口課長】 それでは、資料5に基づきまして、要排出抑制施設について説明をさせていただきます。

 要排出抑制施設でありますが、1番のところにありますが、まず、昨年の中環審の答申におきまして、水俣条約の附属書Dには掲げられていない施設のうち、鉄鋼製造施設のように、我が国において、対象施設と同等に水銀を相当程度排出している施設については、条約では対応を求められていないが、水俣病の経験国として、条約の趣旨を積極的に捉えるという観点から、附属書の対象施設に準じた排出抑制努力を求めることが適当であるとされております。

 これを踏まえまして、改正大気汚染防止法におきましては、要排出抑制施設として、「工場又は事業場に設置される水銀等を大気中に排出する施設(水銀排出施設を除く。)」のうち、「水銀等の排出量が相当程度多い施設であって、その排出を抑制することが適当であるもの」ということで、法律の中で定められております。

 それで、具体的に、この要排出抑制施設に何が該当するかということですが、今日の最初の議題で、大気排出インベントリーを説明させていただきました。資料1をご覧いただきますと、今、規制対象になっている施設の排出量のうち、最も小さい排出量というのは、産業用石炭燃焼ボイラーの年間0.24tという値になっております。それで、この大気排出インベントリーで、年間0.24t以上となる施設分類というのは、鉄鋼製造施設のみでありました。このうち、焼結炉、そして電気炉の2種類の施設から出る水銀排出量が、鉄鋼製造施設全体の排出量の94%を占めております。したがいまして、要排出抑制施設の趣旨に沿いまして、具体的にこれに該当するものとしては、「製鉄又は製鋼の用に供する焼結炉(ペレット焼成炉を含む。)及び電気炉」とすることが適当ではないかということで、案を記載させていただいております。

 今後、要排出抑制施設を有する事業者においては、自主管理基準の設定ですとか、施設の新設・増設時における水銀を除去する設備の設置等の排出抑制措置の実施、排出状況の測定、自主管理基準達成状況についての評価・公表の実施、インベントリーへの協力等が規定されるわけです。

 こうした自主的取組のフォローアップのあり方については、また別途、排出基準の検討の後のステージで、この専門委員会でご議論いただければと思っております。

 また、資料5の裏のページへ参りまして、3番ということで書いておりますのが、要排出抑制施設も含めて、事業者による自主的取組の推進ということで、その必要性について書いております。事業者は、自主的な取組として、水銀濃度の測定ですとか、測定結果の国への提供、水銀を含有する原料や廃棄物の排出者である場合には、その含有量を把握し、引き渡し先への情報提供等に務めることが適当であるという自主的取組について記載しております。

 以上が資料5の説明になります。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 ただいま説明をいただきました、要排出抑制施設についてという資料5でございますが、これにつきまして、ご質問、ご意見のございます方は、名札を立てていただければと思います。

 畠山委員、どうぞ。

【畠山委員】 鉄鋼製造施設が条約対象外にはなっているんですが、このように量が多いというのは、個々の施設からの放出量が多いのか、それとも鉄鋼関連の施設が多いからトータルとして多くなっているのか、これはどっちなんでしょうか。

【瀧口課長】 一般的に言いますと、鉄鋼施設、個々の施設の排出量が多いものですから、全体として大きな量になっているということかと思っています。

【坂本委員長】 日本が世界における鉄鋼の製造量としても多くて、そこでかなり燃料として石炭を使うということと、同時に、電気炉等では産業廃棄物を使う、この場合には、今ここのところからは除いているわけですけども、そういった鉄鋼に関連するところでは、結構、排出量は多いということでございます。

【長濵補佐】 1点つけ加えさせていただきますと、日本の鉄鋼業が、世界の鉄鋼業と比べて排出係数が大きいというわけではございません。日本の場合は活動量がある程度ございますので、結果として、総量が少なくないという状況でございます。

【坂本委員長】 鉄鋼1t製造当たりの水銀排出量はかなり低い。単純に、ここで多いからという形で、ここに規制をかけてしまうと、世界の産業競争力も含めた話等々、それから水俣条約の中で、ここのところは外れているんだけれども、日本の幾つかの発生源を見ると、それ相当のものを持っているからという形で、要排出抑制施設という形で、自主的な形で対応をお願いすると。そういうような仕組みでございます。

 そのほか、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。要排出抑制施設についてという資料でございますが。よろしいでしょうか。

(なし)

【坂本委員長】 それでは、ここはこういった考えで進めていただきたいというふうに思います。

 一応、今日の主たる議題はここで終わって、その他ということになるわけですが、先ほど申し上げましたけれども、資料3-1、水銀排出施設の種類、規模及び排出基準について(案)という形で説明をしていただいたところ、そのときにはあまりご質問がございませんでしたので、先へ進んで、もう一回お聞きする時間を設けますという形で申し上げました。もし何かございましたら、ここで。

 守富委員、どうぞ。

【守富委員】 3-1でちょっとひっかかるところが幾つかありまして、文言の問題なんですが、それぞれのカテゴリーで、一応基準を決める前のところでは、「原燃料」という、全部「原燃料中の」という表現をとられているんですが、基本的にセメントと非鉄は確かに原料ですし、石炭は燃料ということで、「原燃料」という表現は、全体を囲うときは「原燃料」でいいと思うんですけど、どうもそこは違和感があります。だから、セメントの中の「原燃料」と言われると、確かに石炭以外のほかの燃料も使っている、そっちも気にしなくちゃいけないのかということになります。でも、中身は原料しか書かれていないわけですよね。そういうのが少しひっかかるのと、31ページの一番最後のパラグラフ、「特に、大気中への水銀」の2行目のところで、「原燃料の燃焼前」というのは、セメントの場合ですと燃焼じゃなくて、当然、生産前というのか、燃焼前じゃないですよね。だから「原燃料」という使い方と、「燃焼」だとか「生産」だとかというのを少し注意して見ないとまずいんじゃないかという気がしているんです。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 今、ここで「原燃料」としたのは、ここでお話をいただいたように、石炭とか、それからセメントで使う石灰石ですか、そういったものとか、あと必ずしも燃焼前の時点ではなくて、全体を通して考えれば、この場合は「原燃料」になっているから「燃焼」になってしまっているけれども、もう少し書き方を変えたり、分けて考えれば「生産」の前の段階でという話にもなるのではないか、そういう意味ですね。

 ここについてはいかがでしょうか。今すぐ、どういうふうに変えるという文案はお示しできないんですけれども、この後、もう一回、専門委員会がございますので、そこまでの間で文言を検討させていただくということでいかがでしょう。よろしいでしょうか、守富委員。

【守富委員】 はい。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

【貴田委員】 26ページ、廃棄物焼却炉のところなんですけれども、「水銀回収義務付け産業廃棄物及び水銀含有再生資源を取り扱う」というところでなんですが、実際の調査は大手のところで行われたと思うんですが、蛍光管の回収で、さらにそこから水銀を回収している施設があると思うんですが、それで、廃棄物焼却炉と言っているのかどうかよくわからないんですが、それは入るということでよろしいんですよね。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【長濵補佐】 蛍光管は抜き取りだけをしておりまして、炉ではございませんので、蛍光管から炉のような熱処理をせずに抜き取りをしている場合には、今回の大防法の規制対象外になります。

【貴田委員】 その中で、水銀を回収している施設、多分、全体としては20ぐらいの施設があって、その中で水銀まで回収しているというところが、5つぐらいはあると思うんですが、全てがそうじゃないと。つまり回収したやつをどこかに売っているというような報告があったりしたんですけど。過去のことかもしれないんですけれど。つまり、この対象施設というのは1社だけなのか、どうなのかというところ。

【長濵補佐】 廃棄物の焼却炉のうち水銀を回収する施設でございますので、今はおそらく1社のみだと思います。

【貴田委員】 やっぱりそうなんですか。では、そういう蛍光管を回収して、そこから熱処理をしないと水銀はとれないわけですよね。だから、それは大防法の規制対象施設に当たらないんですか。これは非常に具体的なことになるかもしれないので、ちょっと。

【坂本委員長】 ここで申し上げたいのは、大防法の枠組みの中で今やっている施設と、そういう形で廃棄物処理施設というのがあるわけで、そういたしますと、今のものはこの中には入っていない。だけれども、最終的には、大気中でどれだけ水銀が大気に出ているかというインベントリーとして整理するときにはそういうデータも入ってきて、私、最後に申し上げようと思っていたんですが、仮に条約対象のところがこういった形になっても、ほかのところが増えちゃったら大変な話で、最終的には全体として減っていったかを見ていくために、インベントリーをある年数ごとに更新していって、減っていったという形を見ていくと。そういうところが重要な、それがこの法の趣旨だろうということを最後に申し上げようと思ったところでございます。

【貴田委員】 資料1のインベントリーの中で、先ほどもちょっと質問をさせていただいたというか、確認させていただいたんですけど、その他の中の一番下に、水銀回収施設(蛍光灯を除く。)となっています。では、先ほど言ったような施設というのはどこに入るんだろうと。蛍光管の回収を除くとなっているので、それはもう廃棄物の処理ということなのかなと思ったものですから、これは焼却施設じゃないんだけれども、回収しているんだったら、焼却施設と呼んでいるんだろうかという疑問でした。

【長濵補佐】 資料1のところで、先生ご指摘の水銀灯の回収については、下から5個目ですね、条約対象外の欄の5個目に、蛍光灯の回収・破砕については別途計上してございます。

【坂本委員長】 その他の6のところで書いてあります。

【貴田委員】 了解です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 そのほかよろしいでしょうか。長安委員、どうぞ。

【長安委員】 3-1とは直接絡んでいないんですけれども、インベントリーを今後定期的にアップデートしていくというときに、各国からそういったものが出てきます。各国の中でちょっと気になったのが、いわゆる水銀の測定方法に関する議論というのは、我々はこういうふうにしているのですけども、そのほかの国でどういう測定法で測ったのかわからないと、ダイレクトな比較ができないんじゃないかという気がしていまして、そういったことも定期的に見直していくとか、統一化していくとか、そういったことは想定されているのか、教えていただきたいなと思いまして。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【長濵補佐】 今、ISO化の動きがございまして、それは私よりも指宿先生のほうがお詳しいかなと思うんですが。

【指宿委員】 ISOで今日本から1つ提案している方法があって、それは金アマルガムを使った測定方法を提案しています。なぜそれを提案しているかというと、EUがENとして検討しているのが今の溶液法1つと、それからもう1つが活性炭吸着を使った方法ではかる。これはアメリカのEPAもこの方法を推奨しているんです。それについて、EN規格をつくるということをやっています。日本からの議論としては、その活性炭の方法もISO規格にしたらどうだという、リクエストはしているんですが、どうもEUはENをつくるなら予算が出るんだけども、ISOをつくるのにはなかなか予算が出ないというので、とにかくENをつくるのを先行させてくれという意見なんです。でも、将来的には、そういうところを統一するというか、みんなの合意で、例えば3つ方法があるけれども、それはイクイバレントだという、そういうようなところまでいくと一番いいなと思っているんですが。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 いずれにしろ、今後、いろんなところから出てきた場合に異なる測定法だと、等価性の議論なしでは、それが比較できない。そして、等価性の議論をすれば、どれでも使っていいか、もしくは一つの統一した方法にするかとか、そういった形の議論には今後なっていく、そういったところも注視してやっていく必要はあるというふうに思います。ありがとうございました。

 そのほかいかがでございましょう。よろしいでしょうか。

 もしよろしければ、先ほど私がいろんな番号づけが間違っていたということを申し上げたんですが、実はこの後、統一した形で1つのものをつくったときを想定をした番号づけが入っていたために、今日の資料では少し狂ってしまったということでございます。申し訳ございませんでした。

 もし、特に皆様、そのほかご意見がございませんようでしたら、あと、その他ということでございます。事務局から何かございますでしょうか。

【瀧口課長】 資料の中で番号づけが間違っておりまして、大変申し訳ありませんでした。事務局の不手際でございます。

 また、本日は、長時間にわたりまして、ご議論をいただきましてありがとうございました。

 資料について追加のコメントなどがありましたら、1週間後の3月30日までに、事務局のほうにご提出いただければと思います。

 本日の議事録につきましては、事務局にて取りまとめを行いまして、委員の皆様に確認いただいた後、ホームページに掲載したいと思います。

 また次回、この報告書の取りまとめを予定しておりますが、次回の専門委員会は4月19日(火曜日)の夕方5時から7時、ちょっと遅い時間ですが、同じ環境省の第1会議室で開催をする予定です。

 本日は、どうもありがとうございました。

【坂本委員長】 ありがとうございました。

 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

午後 17時42分 閉会