大気排出基準等専門委員会(第2回)議事録

1.日時

平成28年2月12日(金)15:59~18:01

2.場所

環境省 第一会議室

3.出席委員

委員長    坂本 和彦

臨時委員   高岡 昌輝   谷口 靖彦   畠山 史郎

限定臨時委員 大塚 直

専門委員   飯島 宣之   伊藤 茂男   指宿 堯嗣

       貴田 晶子   近藤 守    長安 立人

       守富 寛

4.委員以外の出席者

環境省

   高橋 水・大気環境局長、早水 大臣官房審議官、江口 水・大気環境局総務課長

   瀧口 水・大気環境局大気環境課長、伊藤 水・大気環境局大気環境課課長補佐

   長濵 水・大気環境局大気環境課課長補佐

5.議事次第

1.開会

2.議題
 (1)水銀排出施設の種類、規模、排出基準の考え方
 (2)排ガス中の水銀測定法
 (3)その他

3.閉会

6.配付資料

  • 委員名簿
    • 資料1    水銀排出施設の種類、規模及び排出基準の考え方(案)
    • 資料2    排ガス中の水銀測定法について(案)
    • 参考資料1  水銀に関する水俣条約の締結について
    • 参考資料2-1 第1回専門委員会での指摘事項について
    • 参考資料2-2 水銀大気排出実態調査の結果
    • 参考資料3  排ガス中の水銀測定方法に対する事業者からの意見
    • 参考資料4  硫黄酸化物による排ガス中水銀測定の影響について
    • 机上資料1  水俣条約を踏まえた今後の水銀大気排出対策について(答申)
            (平成27年1月13日中央環境審議会答申)
    • 机上資料2  大気汚染防止法の一部を改正する法律(平成27年法律第41号)
    • 机上資料3  大気汚染防止法施行令等の一部を改正する政令(平成27年第379号)
    • 机上資料4  水銀に関する水俣条約(第八条抜粋)
    • 机上資料5  諸外国の水銀排出基準一覧
    • 机上資料6  ばい煙及び揮発性有機化合物の排出基準一覧(抜粋)
    • 机上資料7  大気汚染防止法(ばい煙発生施設)に係る測定項目・測定頻度について
            (平成21年11月20日 中央環境審議会大気環境・水環境合同部会
            公害防止取組促進方策小委員会(第4回) 資料3-1)
    • 机上資料8  排ガス中の水銀の測定方法
            (平成26年7月3日 中央環境審議会 大気・騒音振動部会
             水銀大気排出対策小委員会(第2回) 資料2-別添5)
    • 机上資料9  BAT/BEPガイダンス(案)について

議事

午後3時59分 開会

【瀧口課長】 それでは、ほぼ定刻となりましたので、ただいまから第2回の中央環境審議会大気・騒音振動部会大気排出基準等専門委員会を開催させていただきます。
 まず、本日は、大塚先生が少々遅れるという連絡を受けておりますが、この専門委員会の委員全員の皆様に参加していただくということになっております。
 それでは、以降、座って説明をさせていただきます。
 お手元の配付資料の確認ですけれども、議事次第がございまして、その裏に配付資料が一覧で書いてあります。これをご覧いただけますでしょうか。まず委員名簿がございまして、資料1で、本日の議題1の水銀排出施設の種類、規模及び排出基準の考え方(案)ということで出しております。それから資料2について、排ガス中の水銀測定法について、これも案ということで出しております。この資料2には、別紙の1で具体的な測定方法の案がついております。
 それから参考資料の1ですけれども、前回の専門委員会以降、2月2日に政府が水銀に関する水俣条約を受諾する旨の閣議決定を行いまして、同日国連本部にて条約の受諾書を国連事務総長に寄託しまして、日本は条約の23番目の締約国となりました。その旨を参考資料1に記載しております。裏に、この閣議決定に関して大臣の談話をつけております。
 それから、参考資料2-1から2-2についてですが、前回ご説明した実態調査の結果につきまして、前回の委員のご指摘も踏まえて一部修正あるいは追加しているところがございます。その情報をつけております。後ほどこの議題の中で、どこが変わったのかということについてご説明させていただきたいと思います。参考資料2-2には、別添として、別添1から別添5までをつけております。
 それから参考資料3ですけれども、本日の二つ目の議題で、排ガス中の水銀測定法について議論していただくことにしておりますが、この測定法について、事前に、関連する事業者の方からコメントをいただいております。その意見についてまとめたものが参考資料3です。
 それから参考資料4として、硫黄酸化物による排ガス中水銀測定の影響についてをつけさせていただきました。
 また、委員の皆様方には、前回の資料につきまして、関連する部分を机上資料として置かせていただきました。適宜参照いただければと思います。
 資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、もしマスコミの方がおられましてカメラ撮りされている方がおられましたら、ここまでとさせていただきたいと思いますので、ご協力をお願いします。
 以降の進行につきましては、坂本委員長にお願いいたします。

【坂本委員長】 皆様、ご多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございました。早速でございますが、第2回の大気排出基準専門委員会を始めさせていただきたいと思います。
 まず議題1でございますけれども、水銀排出施設の種類、規模、排出基準の考え方についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

【瀧口課長】 それでは、この議題に沿って説明させていただきます。
 まず資料1がこの議題に沿った資料ですけれども、その前に関連して、実態調査の結果につきまして、前回の資料から少し情報を追加したところがございます。大きく変わったところについて、ご説明したいと思います。
 参考資料2-2をご覧いただけますでしょうか。参考資料2-2が、前回お出しした資料から少し情報を追加したものです。
 具体的にどこが変わったかと申しますと、資料2-2の40ページをご覧ください。まず、高岡委員からのご指摘で、廃棄物の処理施設について、時間当たりの処理能力が200kg/h未満の施設を除いた表を表Ⅱ-4-1-8として追加しております。
 それから、次の41ページに、それぞれ焼却能力ごとにばい煙の処理方式がどのような比率になっているのかというデータを表Ⅱ-4-1-9でお示ししています。42ページの図Ⅱ-4-1-1、から図4-1-4までの4つの図は、全国ベースで使用開始年によってそれぞれどのような処理方式の違いがあるか、1日当たりの焼却能力ベースで整理したものになります。
 それから、76ページをご覧いただけますでしょうか。分野横断的な検討というところで、これも幾つか情報を追加しております。
 まず76ページに、畠山先生から、粒子状水銀の割合について、もう少し濃度との関係等を見る必要があるんじゃないかというコメントをいただいておりました。その関係で、施設分類ごとの状況等も含めて、76ページ、77ページに記載をしております。
 1点誤字がございまして申し訳ありません。77ページの一番上の行ですけれども、一番最初の部分に「目立った際はなかった」と書いてありますが、「際」というのは「差異」でして、誤字がありまして申しわけありません。修正いただければと思います。
 この粒子状水銀、それからガス状水銀のデータにつきましては、同じく参考資料2-2の別添1でもう少し詳しい資料をおつけしております。別添1とあわせて、この部分をお読みいただければという思っております。
 それから連続測定の結果について。これは、長安委員から前回の委員会でコメントをいただきました。この連続測定の結果についても78ページから記載を追加しておりまして、参考資料2-2の別添2につきまして、実際に環境省が行った連続測定の結果、バッチ測定との比較ということでも資料をお出ししております。
 それから79ページに、排ガス処理前温度と排ガス中水銀濃度の相関ということで、これも情報を追加しておりまして、これにつきましては、別添3とともに参照いただければと思います。
 それから8ページ目に参りまして、前回、指宿委員のほうから指摘していただいた件で、前回の資料では、1施設当たり5回サンプリングしているものは5つのデータとして、1施設当たり1回のものは1データとして整理をしておりましたが、もう少し施設ごとの違い等を見る必要があのではないかというご指摘をいただきました。
 それにつきましては、参考資料2-2の別添4を用意しております。データだけではなくて、例えば1施設で5データとった場合は、その施設の平均の数字を出して、さらにその中で、中央値、最大値、最小値、平均値、標準偏差をとっております。全体として傾向は、データを全般的に見たものと余り変わりはないのかなと受けとめましたけれども、ご参照いただければと思います。
 違いがわかりやすいところで、1ページめくっていただきまして、非鉄の二次施設をご覧ください。これを例にとって説明をさせていただきますと、まず鉛の二次施設ですと、これはちょっとわかりにくいんですが、9施設という意味です。実際に1施設当たり複数のデータをとっている場合がありますから、その下の表Ⅱ-3-7、30ページという表のデータ数としては46データということになります。46データなんですが、施設数としては鉛の場合は9ということになります。上の図を見ていただきますと、左側が算術平均でとった場合、右側が幾何平均でとった場合ということです。
 この算術平均と幾何平均と比べていただきますと、例えば鉛の場合も、最大値が、左側の算術平均の場合が1,400、右側の幾何平均の場合が最大値1,300となっております。これはなぜ差が生じているかと申しますと、算術平均は、例えば1施設で5回データをとった場合は、そのデータを算術平均して1施設のデータを算出し、さらに9施設での平均値をとっております。右側の幾何平均のほうは、1施設で5つデータをとっている場合は、その5つのデータの幾何平均を一つの施設のデータとして、その中でさらに施設横断的に幾何平均をとっています。そういうことで、この差が生じているとご理解いただければと思います。
 別添の4、最初の2枚が環境省法のデータのみ使用したもの、後半の2枚が環境省法以外のデータのみ使用したものということで資料をお出ししております。
 これが、前回お出しした実態調査の結果から大きく変わったところであります。この後の議論にも関係しますので、紹介させていただきました。
 それでは、資料1をご参照いただけますでしょうか。
 水銀排出施設の種類、規模及び排出基準の考え方(案)ということでまとめてみました。委員の皆様にご意見をいただきたいところを論点という形で書いておりますので、事実関係、そして議論いただきたい点、論点という順番でご説明をさせていただきます。
 まず1ページ目ですけれども、「検討に当たっての基本的考え方」ということで、まず水銀排出施設の分類であります。ご紹介しましたように、条約では、排出規制の対象として5つの分類、石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属製造に用いられる精錬及び焙焼の工程、廃棄物焼却炉及びセメントクリンカーの製造設備を掲げております。
 これらの施設及び工程を行う施設のうち一定の規模以上のものは、大気汚染防止法のばい煙発生施設とされております。それを整理したものが表1-1です。条約の対象施設に関連して、大気汚染防止法のばい煙発生施設の分類がありまして、対象規模がございます。
 2ページ目へ参りまして、大気汚染防止法では、ばい煙発生施設の分類を幅広く設定しているものですから、複数の分類に該当する施設というのも出てまいります。例えば製鉄、製鋼、又は合金鉄、もしくはカーバイドの製造の用に供する電気炉であって、廃棄物焼却炉にも該当するような施設がございます。そうしたものについては、事業の主たる目的に照らして届出をすることとされております。
 また、大防法以外にも、廃棄物処理法ですとか、ダイオキシン類特別措置法において、条約の対象施設を規制対象としている場合があります。例として亜鉛の回収施設がございますが、そういう中で、施設の分類の論点としましては、水銀及びその化合物、以降「水銀等」と呼ばせていただきますが、これは、ばい煙の発生過程と同様、原料、燃料又は焼却対象物への加熱に伴い大気中に排出されるものですから、施設の分類は、原則としてばい煙発生施設の分類を踏襲することが適当ではないかということです。
 そして、複数の分類に該当する場合は、ばい煙発生施設と同様に、事業の主たる目的に照らし届出をすることが適当ではないかと考えております。
 また、三つ目の論点として、廃棄物処理法やダイオキシン類特別措置法において、条約の対象施設を規制対象としている場合には、大防法での(条約の対象施設の)分類には含まれずに廃掃法やダイオキシン法において規制対象としている場合にはという意味ですけれども、そういう場合には、水銀排出施設の分類をこれらの法律に沿ったものとすることが適当ではないかと論点を掲げさせていただきました。
 2番ですが、規模要件ということで、条約では、各施設の分類に関しまして、当該分類からの排出量の75%を含む水準であれば、裾切り基準を設けてよいとしております。一方、裾切り基準を設ける場合は、その設定値によっては、その活動量の増加によりカバー率が75%を割り込むような場合も考えられますので、こうした事態を避けるべく法的安定性のある値を設定する必要がございます。
 先ほどご紹介しましたように、大防法のばい煙発生施設につきましては、いわゆる対象規模、裾切り基準を設けております。
 論点としましては、75%のカバー率を法的安定性を持って満たすことを確認した上で、ばい煙発生施設の対象規模を水銀排出施設についても適用することが適当ではないか。しかしながら、施設規模にかかわらず、水銀を確実に扱う施設については水銀排出施設とし、水銀を基本的に扱わない施設については対象外とすることが適当ではないか。この場合、規制対象外とする施設の設定に当たっては、水銀を基本的に取り扱わないということが、制度上、施設の構造上、又は現実的に担保されるものに限定することが適当ではないかということを論点として挙げさせていただきました。
 3、排出基準の設定ということで、排出基準に関しましては、先の中環審答申におきまして、以下の4点についてまとめていただいております。
 最初の点は、平常時における排出口からの水銀の平均的な排出状況を捉えた規制とする必要があるということ。
 そして、排出基準は、ばい煙排出規制における排出基準のように、環境基準等の環境上の目標の維持達成を目指す観点から設定されるものではなく、条約を踏まえて、利用可能な最良の技術に適合した値とする必要があるということ。
 また、排出基準は、経済的かつ技術的考慮を払いつつ、排出源分類ごとの排出状況について十分に調査・検討を行い、これらを勘案した上で、現実的に排出抑制が可能なレベルで定めるということ。
 さらに、排出基準の値については、平常時において対象施設において達成されるべき値として設定することが適当であるという答申の内容をいただいております。
 4ページ目へ参りまして、こうした答申を踏まえて、環境省でも先ほどご紹介した実態調査を実施したところですし、条約の検討の中で、BAT/BEPガイダンス案というものもまとめられつつあります。これにつきましては、前回の専門委員会でご紹介させていただきました。
 また、水銀濃度の測定方法については、この次の議題で詳しく紹介させていただきますが、その中では、連続測定ではなくてバッチ測定とすることを提案してり、バッチ測定の測定結果には一定の濃度変動が内在するということにも留意する必要があるかと思っております。
 論点としましては、利用可能な最良の技術に適合した値、いわゆるBATを踏まえた値として、この場合はBAT/BEPガイダンス案等も参考に、一定の範囲の処理施設をBATと想定して、これらが導入されている施設の排ガス中の水銀濃度を排出基準値の検討に用いることが適当ではないかということ。
 また、排ガス中の水銀濃度は、いわゆるインプット、原燃料中の水銀含有量に影響される場合も多いわけですが、原燃料中の水銀含有量の抑制が困難な場合には、これを考慮した排出基準値を設定することが適当ではないか。
 具体的には、施設の分類ごとに統一した設定方法を採用することとして、以下の観点を考慮して排出基準値を設定することが適当ではないかということで、BAT/BEPガイダンス案におけるBATに適合する水銀濃度と比較した排出状況、原燃料中の水銀含有量及びその変動、並びに排ガス中の水銀濃度及びその変動の程度、諸外国の排出基準と比較した排出状況ということを考慮して排出基準を設定することが適当ではないか。
 また技術水準は、経済性を勘案して、現状以上の排出抑制が困難な施設分類や水銀排出濃度の変動幅が小さいことから、現状においても原燃料の管理及び施設の安定稼働が行われていると考えられる施設分類については、その特徴に応じて排出抑制が可能なレベルとすることが適当ではないかということで、論点を掲げさせていただきました。
 次に5ページ目に参りまして、新規施設とは別に、既存施設について排出基準値を設けることとしておりますが、既存施設の扱いについて、この段落の二つ目のパラグラフで、条約の規定によりまして、実質的な改修をした既存施設は、条約上新規の施設として扱われることになります。このため、大気汚染防止法においても、実質的な改修というものが具体的に何を指すのかということをクリアにする必要があるわけですけれども、論点としては、一般的には水銀排出量は施設規模と相関があると考えられるため、実質的な改修とは、施設の基本構造(面積や形状又は施設本体の材質)の変更により、施設規模が一定程度以上増加する場合とすることが適当ではないか。これは、水銀排出施設からの水銀排出量の増加を伴うものに限るという論点を挙げさせていただきました。
 また、既存施設において施設の大幅な改変が行われる場合には、この基準の遵守にかかる猶予期間を設けることが適当ではないかとさせていただいております。
 次に、6ページ以降は、それぞれの分類ごとに論点を挙げさせていただいております。
 まず1、石炭火力発電所及び産業用の石炭燃焼ボイラーということであります。条約の中では、石炭火力発電所と産業用石炭燃焼ボイラーは別の分類としておりますが、一般的に違いは発電を目的にボイラーを稼働させているか否かということで、実際には、産業用の石炭燃焼ボイラーを自家発電用に使用しるという面もありまして、明確に区別することが困難な面もございます。また、大気汚染防止法のばい煙発生施設としては、ボイラーで一くくりの区分にしております。
 また、石炭燃焼ボイラーといいましても、専ら石炭を燃料とするものと、石炭を燃料としつつ石炭以外のものも燃料とするボイラー、いわゆる石炭の混焼ボイラーがあります。この石炭の混焼ボイラーにつきましては、実際にいろいろ調査してみますと、石炭比は施設によってずっと一定というわけではなくて変動する、そういうボイラーが多いということが知られております。従いまして、規制対象施設を石炭比が一定以上のものに限定した場合は、日々変動し得る石炭比について確認作業が煩雑になるということも想定されます。
 この石炭混焼ボイラーで燃やす石炭以外の燃料には、ここに書いてあります木片チップ、木くず、さまざまなガス、固形燃料等あるわけですが、これらの石炭混焼ボイラーにおいて石炭比が低い施設であっても、排ガス中水銀濃度は専焼ボイラーと同等程度以上検出されておりました。
 そういう中で論点としましては、石炭火力発電所と産業用石炭燃焼ボイラーを一つの分類として扱うことが適当ではないか。ただし、その場合でも、条約附属書Dの施設分類ごとに、例えば75%の裾切り基準をちゃんと満たしているかどうかという確認も必要ですから、分類ごとに排出量を推計できるように整理しておくことが適当ではないか。
 また、石炭混焼ボイラーについて、燃料に占める石炭の割合によらないとすることが適当ではないか。
 7ページ目に参りますけれども、施設の規模に関しては、ばい煙発生施設と同様の裾切り基準にすることが適当ではないか。これは、次回のこの委員会で、このインベントリーの更新したものをお示ししたいと思っておりまして、このばい煙排出の裾切り基準を用いた場合、どれぐらいのカバー率になるかということもお示しする予定ですが、現時点でざっと計算したところで、ばい煙排出施設と同様の裾切り基準にしたときに、この75%は十分クリアできそうだということです。
 石炭混焼ボイラーについては、その事業の主たる目的に照らして対象分類を判断することが適当ではないかということで、例えば廃棄物処理を目的にする場合は、廃棄物焼却炉に該当するということも考えられるわけです。
 石炭燃焼ボイラーの排出基準ですけれども、日本におきましては比較的硫黄分が少ない石炭を使用しているということもありまして、水銀含有量も少ない傾向があるようです。表2-1にその結果をお示ししておりますし、電気事業連合会から提供されたデータでもそうした傾向が示されております。
 また、石炭混焼ボイラーででは、石炭以外の燃料中の水銀含有量は、最大で石炭中の水銀含有量と比べて平均値が2倍程度、水銀含有量が高いものも含まれておりました。また、石炭混焼ボイラーは、バーナーの燃焼能力が1時間当たり10万Lを切るものがほとんどでした。
 こうした石炭燃焼ボイラーは、これまでもばい煙対策が講じられてきたわけですが、それに高い水銀排出抑制効果があることもBAT/BEPガイダンス案の中で示されております。
 8ページ目に参ります。
 実態調査の結果ということで示しております。時間の関係もありますので、個別にご紹介はしませんけれども、この後で出てくる施設分類と比べますと低い結果となっております。
 これらのことから、我が国において石炭使用量当たりの水銀排出量は諸外国と比べても低いということが考えられまして、また、石炭の燃焼効率が高水準であるということも考慮すると、発熱量当たりの水銀排出量も諸外国に比べて低いということが言えるのではないかと思います。また、排ガス中の水銀濃度がほかの施設種類に比較して低濃度であるということも考慮すると、平均的な排出状況において、現状以上の排出抑制というのは相当困難と考えられるのではないかということ、また、水銀濃度の変動幅が小さいことからも、原燃料の管理、それから施設や排ガス処理施設装置の稼働条件の最適化についても安定的に行われているのではないかと考えられます。
 論点としましては、新規の施設の排出基準につきましては、脱硝、除じん、脱硫設備を一体として設置することによって、平常時における平均的な排出状況として達成し得る水準として設定することが適当ではないか。
 既存施設につきましては、水銀の大気排出抑制効果があるとされる技術を採用すること等によって、平常時における平均的な排出状況達成し得る水準として排出基準を設定することが適当ではないか。
 新規施設と既存施設の排出基準をそれぞれ設定する際には、施設規模や石炭比によらず一律の基準を設定することを基本とすることが適切ではないか。
 ただし、石炭混焼ボイラーにつきましては、廃棄物処理法の廃棄物焼却炉とされている施設もあることから、その燃料中の水銀含有量が比較的変動することを想定して、バーナーの燃焼能力が1時間当たり10万Lを切るような施設については、別途、廃棄物焼却炉の排出基準とも大幅な差が生じないような水準で設定することが適当ではないかということを論点としております。
 9ページに参りまして、非鉄金属製造に用いられる精錬及び焙焼の工程ということで、一次施設と二次施設で分けております。原料として主に鉱石を用いる一次施設、リサイクル原料等を用いる二次施設ということで、原料や工程の違いにより水銀の排出実態が大きく異なるため区別しております。
 この一次施設ですけれども、原料鉱石から粗製品を得るまでに、金属の種類や製法によって焼結炉、焙焼炉、溶解炉、転炉等が、単一で、又は組み合わせて使用されているわけですが、粗銅、粗鉛又は蒸留亜鉛というのは溶解炉で精製されており、この粗銅、粗鉛、蒸留亜鉛は一般的に水銀を含まないと考えられまして、実態調査の結果においても水銀濃度は低い値でありました。
 また、硫化鉱中の水銀の形態はおおむね硫化水銀であると考えられることから、乾燥炉のように炉内温度が200℃~300℃程度であれば、水銀の大気への排出は多くないと考えられます。また、先ほど申しましたように、こうした施設というのは、大防法のばい煙発生施設としても指定されているところです。
 論点としては、専ら粗銅、粗鉛又は蒸留亜鉛、これらは水銀を含まないと考えられるわけですが、これらを原料とする精製のための溶解炉については規制対象外とすることが適当ではないか。
 一方、これらの精製のための溶解炉以外は、原料については何ら制限がないものですから、これは規制対象とすることが適切ではないか。
 施設規模に関しては、ばい煙発生施設のとおりとすることが適当ではないかということです。
 10ページ目に参りまして、排出基準の設定ということで、BAT/BEPガイダンスの内容、それから、後半部分につきまして、実態調査の結果ということで書いております。これもこの後に出てくる施設分類に比べますと低い値になっております。また、BAT/BEPガイダンスにも書いてありますが、排ガス洗浄及び硫酸製造設備が水銀の排出抑制にも効いてくるというところが記されております。
 以降、亜鉛、それから先ほど紹介しました粗銅、粗鉛又は蒸留亜鉛を原料とする溶解炉等のデータを示しております。
 11ページ目に参りまして、なお書きのところですが、現在、我が国において唯一の鉛の一次施設の事業所における実態調査結果は、一次施設と二次施設の排ガスが混合した結果であるということで、一次施設単独の結果は得られなかったとしております。これにつきまして、今日のお昼ごろに事業者からデータをいただきまして、この鉛の一次施設についても、排ガス中の水銀濃度は1m3当たり10μgを切るような値だという情報をいただいております。ですから、ほかの銅や亜鉛とそれほど大きな差異はないということが言えるかと思います。また、工業金を製造する一次施設というのは日本には今のところ存在しておりません。
 これらのことから、銅又は亜鉛の一次施設から排出される水銀の濃度は他の施設分類に比較して低濃度であり、原燃料当たりの水銀排出量が諸外国に比較して低いことからも、平均的な排出状況において、現状以上の排出抑制は相当難しいと考えられます。
 加えて変動幅が小さいということからも、原燃料管理あるいは施設・装置の稼働条件の最適化が安定的に行われていると考えられます。
 また、鉛の一次施設は、先ほど口頭で申しましたけれども、亜鉛、銅とそれほど明確な違いが見られなかったということです。
 論点としては、銅又は亜鉛の一次施設について、新規施設、既存施設ともに水銀の排出抑制にも効果がある排ガス洗浄や硫酸製造設備を一体として設置すること等によって、平常時における平均的な排出状況として達成し得る水準を基準値として設定することが適当ではないか。
 また、鉛、工業金の一次施設の排出基準については、銅や亜鉛と同一とすることが適当ではないかとさせていただいております。
 時間の関係もありまして、少し説明を急ぎますと、二次施設ということで11ページ目から書いております。
 二次施設につきましては、12ページ目に参りまして、条約の対象施設として、大防法のばい煙発生施設とされている施設の他に、ダイオキシンの特別措置法で該当する施設もございます。亜鉛の回収の用に供する焙焼炉、焼結炉、溶鉱炉、溶解炉及び乾燥炉で、鉄鋼の用に供する電気炉から発生する煤じんであって、集じん機により集められたものからの亜鉛の回収に限るのですが、これも条約の対象施設に該当するのではないかということで、論点として、これについても規制対象とすることが適当ではないかとしております。
 また、専ら水銀を含まないと考えられるもののみを原料とする炉は、水銀を排出しないと考えられるわけですが、これらの原料のみを使用することについて、制度上、施設の構造上あるいは現実的に制限されるものではないことから、これは規制対象から外すということは難しいのではないか。
 また、施設規模に関しては、ばい煙発生施設のとおりとすることが適当ではないかとしております。
 12ページ目の後半で排出基準の設定ということで書いております。この非鉄金属の二次施設につきましては、水銀濃度に大きな差が出たというのが特徴であります。
 12ページ目の一番下のほうから銅、それから13ページ目に入りまして、鉛、亜鉛ということで、データの分布、平均等を示しております。
 また、金につきましても、箇所数は少ないですが、データを示しております。
 このように、製造する金属の種類によって、排ガス中の水銀濃度が他の施設分類に比較して同等程度である場合や著しく高い場合がありました。水銀濃度が高い場合については、原料の安定的な調達を妨げない範囲において、水銀含有量が一定以下のものにする等さらなる排出削減の余地が考えられるのではないかということです。
 論点としては、新規の施設については、水銀含有量の高い鉱滓を主な原料とする場合には、除じん及び高度な排ガス洗浄を採用すること、それ以外の場合には、除じん及び排ガス洗浄を採用することによって達成し得る水準を排出基準とすることが適当ではないか。
 既存の二次施設については、水銀含有量の高い鉱滓等を用いる場合には、除じん及び高度な排ガス洗浄を採用することによって、それ以外の場合には、バグフィルター又は湿式集じん機を採用することによって達成し得る水準を排出基準として設定すべきではないか。
 また、二次施設の製造対象となる金属が4つあるわけですが、この種類によって基準に差を設けるべきか、あるいは同一の基準とすべきかというのも論点としてあるかと思います。
 14ページ目に参りまして廃棄物焼却炉ですが、条約の中では、廃棄物の定義を、バーゼル条約の関連する定義をこの条約の対象となる廃棄物について適用することにしております。ですから、条約の対象となる廃棄物のうち確実に水銀が含有するものとしては、廃掃法に規定するもの、それから新法であります「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」に規定する水銀含有再生資源が考えられます。
 また、産業廃棄物のうち廃油に関しましては、原油を原料とする場合には水銀が濃縮された廃油が発生する可能性が否定できないわけですけれども、一般の化学品を製造する施設から水銀が濃縮された廃油が排出されるということは想定しにくいという状況でして、実態調査でも水銀の濃度が低いという結果が出ております。
 大防法でも、廃棄物焼却炉については、ばい煙発生施設として指定をしておりまして、裾切り基準がございます。
 15ページ目に参りまして、論点ですけれども、まず、大防法のばい煙発生施設である廃棄物焼却炉、それから廃棄物処理法において焼却炉及び焙焼施設に該当する施設の他、水銀含有再生資源の加熱処理をする炉も規制対象とすることが適当ではないかということ。
 それから、一廃、産廃、下水汚泥の焼却炉については、その対象物がそれぞれ異なるわけですが、確実に水銀が含有するものを除いて、焼却対象物中の水銀含有量が大幅に異なるとは言えないものですから、いずれも焼却炉に該当し、施設規模裾切り基準は施設間で同一とすることが適当ではないか。
 この施設規模に関しては、基本的にばい煙発生施設と同様とすることが適当ではないかということですが、専ら自ら産廃の処分を行う場合であって、廃油の焼却炉の許可のみを有し、かつその廃油は原油を原料とするものから排出されたものではない場合には、規制対象外とすることが適当ではないか。
 最後に、水銀又はその化合物を含む汚泥の焙焼施設、水銀含有の再生資源の加熱処理をする炉は、水銀を確実に扱う施設として裾切り基準を設けないことが適当ではないかということで、論点を挙げさせていただきました。
 排出基準の設定ですけれども、実態調査の結果、それからBAT/BEPガイダンスの状況等をご説明しております。
 実態調査の結果では比較的ばらつきが見られたわけですが、17ページ目に参りまして、三つ目の段落のところをご覧いただけますでしょうか。これらの調査結果から、環境省法以外の測定結果ではあるものの、水銀含有汚泥等の水銀含有量の高い焼却対象物を取り扱う施設の水銀濃度が、その他の廃棄物焼却炉の水銀濃度に比べて高い傾向が見られたとしております。また、その他の施設においては、平常時において、焼却対象物中の水銀含有量の差が非鉄金属の二次施設ほどは大きくないということが把握できました。
 論点としては、新規施設においては、廃棄物中の水銀含有量に応じて想定するBATが異なるわけですが、実態調査結果では水銀濃度に大幅な差がなかったものですから、原則として一律の排出基準を設定することが適当ではないか。
 ただし、水銀に特徴的な焼却物、水銀含有汚泥ですとか水銀含有再生資源等、これらを取り扱う施設については、非鉄金属の二次施設の類似性等その事業実態を勘案した排出基準とすることが適当ではないか。
 既存施設においては、バグフィルター又は排ガス洗浄施設を採用すること等によって、達成し得る水準を基準として設定することが適当ではないかと論点を挙げております。
 最後、セメントクリンカー製造設備ですけれども、17ページ目から18ページ目に参りまして、論点としては、大防法のほうでも、窯業製品の製造の用に供する焼成炉ということで対象になっているわけですが、条約に対応したものとして、セメントの製造の用に供する焼成炉としてはどうか。
 また、施設規模はばい煙発生施設と同様にしてはどうかということを、論点として挙げております。
 排出基準の設定につきましては、表2-3に原料燃料ごとの水銀含有量ということで示しております。我が国の特徴としては、天然原料である石灰石や粘土等のほかに、代替燃料としていろいろなものを用いているというのが特徴かと思います。
 その点が水銀排出濃度の差にも出てきているわけですが、19ページ目に参りまして、実態調査結果等を見ますと、海外のデータ等と比べると日本のデータは比較的高めであるということが言えるかと思います。
 また、国内のセメントの生産工程では、集じん設備によって捕集した水銀含有灰を循環させて原料として利用しているということですので、既存の排ガス処理設備による水銀の大気排出抑制の効果が期待できないということも、我が国の特徴として挙げられるのではないかということです。
 これらのことから、水銀濃度がほかの施設分類に比較して高濃度であること、それから現状のセメントクリンカー製造設備に設置されている排ガス処理施設には水銀の排出抑制効果等がないことを考慮すると、何らかの排出抑制策を検討する必要があるのではないかということで、論点としては、新規施設については、水銀の大気排出抑制効果があるとされる技術を採用することによって達成し得る水準等を排出基準とすべきではないか。
 既存施設では、現状の技術水準や経済性を勘案した上で、達成し得る水準として基準を設定すべきではないか。
 ただし、既存施設においては、立地や原料確保等により水銀含有量が低い原料に変更することが困難な場合も想定されますので、こうした場合をどう勘案するかということを論点として挙げさせていただきました。
 長くなりましたけれども、以上が資料1の説明です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 ただいま、前回の実態調査の結果については参考資料2-1、ここで、各委員からご指摘いただいた点にどういった形で資料を再整理したかという形で説明をいただきました。そして、その後、資料1に基づきまして、水銀排出施設の種類、規模及び排出基準の考え方、これについて説明をいただいたわけですけれども、これにつきまして、委員の皆様方からご質問、ご意見等ございましたらお聞きしたいと思いますので、名札を立てていただければと思います。いかがでございましょうか。ご質問、ご意見ございます方は名札を立てていただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、高岡委員からお願いいたします。

【高岡委員】 ありがとうございます。まず8ページのところになりますが、石炭火力のところで、論点の○の三つ目では、施設規模や石炭比によらず一律の基準を設定することを基本とするということが適切ではないかとに述べられています。一方で、下の四つ目の○のところは、廃棄物の焼却炉との整合性もというようなことが書かれていまして、廃棄物の排出状況のレベルと石炭のレベルを考えますと、少し違うように思いますので、そうなると、三つ目の「一律の基準を」というところと少し齟齬があるように思えます。ここについてはどのように考えたらいいかということをお尋ねしたいと思います。
 もう一個は、廃棄物の方で、今のばい煙と同じ規模をご提案されていますが、これでどのぐらいのカバー率というか、当然、75%カバーするには十分だと思うんですけれども、お教えいただきたいと思います。
 以上です。

【坂本委員長】 2点ございます。お願いいたします。

【瀧口課長】 最初の点につきましては、この8ページの表現ちょっとわかりにくいんですが、施設規模について一律の基準を設定するということが基本ということで、その例外として、石炭混焼ボイラーの1時間当たり10万Lを切るような施設については、別途基準を設けたらいいのではないかということです。済みません、文章がわかりにくくて。
 2点目につきましては、75%を超えるということは言えるとは思うんですが、正確には、次回の専門委員会でインベントリー等もお示しすことにしておりますので、詳しいデータをお示ししたいと思います。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。
 長安委員、お願いします。

【長安委員】 いろいろ検討していただいてありがたいと思います。
 2点あるんですけれども、1点目なんですが、排出基準に関するところの論点の2つ目、4ページですけども、ここはまさにそのとおりで、排ガス中の水銀濃度というのは本当に石炭に大きく依存してしまう。日本はどうしても石炭資源というのは輸入に頼らざるを得ないという状況があるわけで、今後、将来的にはどういう石炭を輸入するか、正直言うとわからないところがあるので、そこを十分考慮しないと現実的に対応できなくなるおそれがあるので、それは本当にこのとおりだなと思います。
 あと2つ目が7ページ目。今、高岡委員からもありましたけども、7ページの一番上の論点のところで、排出量として75%以上は十分クリアできる見通しだということを次回示していただけるということだと思いますけども、法的安定性の観点から多分こういったことを考えなくちゃいけないと思うんですけども、どれぐらい過去変動していたか。施設の増減によって75%以上というのがどれぐらい変動するのかというのがないと、将来予測が難しいかなという気がするので、そこを考えていただけたらなと思います。
 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございます。1点目のほうはよろしいですね。2点目の質問につきましては、次回そういった点も考えて、75%がどの程度安定して確保できるか説明をする資料を用意していただきたいと思います。
 それでは、飯島委員、お願いします。

【飯島委員】 ありがとうございます。この法律が施行された段階では、我々自治体のほうが届け出の第一線の窓口ということになろうと思うんですが、そういう立場で申し上げますと、既存のばい煙発生施設の施設種類、あるいは規模要件、こういうものと整合をとっていただければ非常にありがたいと思っておりまして、実際、ばい煙発生施設の届出、設置届、それから変更届等がございますけれども、その際に、ばい煙対策ということで、窒素酸化物やばいじんといったばい煙対策内容をチェックしておりますので、その際、あわせて水銀対策の内容についてもチェックをできれば、非常に運用がしやすいかなと。
 もちろん75%の法的安定性という課題はありますけれども、そういう問題がクリアできるのであれば、できるだけばい煙発生施設と施設の種類、規模を同じにしていただければ、これはおそらく自治体だけではなくて、その法律の対象となる事業者の方も含めて、おそらく現場サイドでは運用しやすいのではないかと思っております。
 それから、これは確認になるんでしょうか、石炭火力発電所、それから産業用の石炭燃焼ボイラーということで条約の対象施設になっておりまして、これをばい煙発生施設として施設の種類としてくくるとボイラーになっているんですが、例えば石炭をガス化するような場合、水銀発生施設となるのかどうかわかりませんけれども、ガス化をして、そのガスを利用してボイラーで発電すればいいわけですけども、例えばガスタービンで発電するような場合をもし想定されているのであれば、ばい煙発生施設の種類としてはボイラーだけでは足りないのかなというふうに思っております。
 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。1点目は、基本的にそういう方向で現在考えているということでよろしいでしょうか。
 それから2点目につきまして、もし今時点で。

【瀧口課長】 ご指摘いただいたのはIGCCのような施設かと思いますが、ちょっとそこまで整理できていませんので、次回またその点お答えしたいと思います。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 続きまして、伊藤委員、お願いします。

【伊藤委員】 どうもありがとうございます。
 意見として申し上げたいんですけれども、4ページ目でございますが、論点の3つ目の-の3つ目に諸外国の排出基準との比較ということが書いてございます。これは、もしかしたら前回も出たかもしれないんですが、諸外国と比較するのは当然のことだと思うんですけども、基準なり規制なりが出た背景というものをよく認識した上で比較ということを行っていただきたい。
 例えば米国では火力発電所にMATS規制というのがございますけれども、そのMATSの決め方が、彼らのMACTという方法がありますけれども、決め方の限界を示すようなやり方になっておりますので、ああいうやり方は必ずしも我が国に適したやり方ではないと思いますので、そういう意味で、比較される場合は背景をよく吟味した上で行っていただきたいということでございます。
 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。今の点は特にいいですね。ここで、今そういう形でご意見をいただいたということで。
 貴田委員、お願いいたします。

【貴田委員】 ありがとうございます。2点ほどあります。
 先ほど高岡委員からも言われたんですけど、8ページの石炭と産業用ボイラーのところなんですけど、論点の最後のところ、先ほどの環境省からの回答も、実際にどうなるのかというのがまだ理解できていないところなんですけど、最初は私も、混焼ボイラーに関しては廃棄物の基準と整合をとるべきではないかなと思っていたんですが、実態調査を見てもやっぱり低い。ボイラーとしての燃料を考えられていて、それなりにきれいな廃棄物を使われているんじゃないかという気がしております。
 従って、私の考えでは、9ページのところにある焼却炉に対する排出基準と大幅な差が生じない水準でという考慮は、必要ないのではないかなという気持ちを持っております。これが1点です。
 それから11ページなんですけども、非鉄金属のところで、先ほど、鉛の一次の濃度について最新情報を言っていただきました。実際には、唯一の施設というのは一次と二次の混合ガスに対する排ガスということであったんですけれど、排ガスが一本になっている場合には、基準というのは、当然のことながら二次施設としての基準の適合になるんでしょうかというのが一つ。
 それから、今の実態調査は10μg/㎥というような濃度ということだったんですけど、これは一次だけを単独で調査をされたということでよろしいんですね。
 以上です。

【坂本委員長】 確認をお願いしいたます。まず8ページの論点4つ目、そして、今新たにデータが出た点の一次と二次が合流した排ガスの基準について、そして、最終的にデータをとったのが一次であるかということでございます。どうぞ。

【長濵補佐】 8ページに記載しております大幅な差が生じない水準に設定する方がいいのではないかと考えましたのは、前回の第1回専門委員会でもお示ししましたように、混焼施設の方が専焼施設に比べて水銀濃度が高めの傾向があるということ、それから、廃掃法の施設許可を持っている施設が混在しているということで、専焼とは若干基準の水準の差を考慮したほうがいいのではないか、その際に、おそらく廃棄物焼却炉の方が高めの水準が設定されるであろうと想定しますので、混焼の基準は高めに考慮したほうがいいのではないかという趣旨で書いてございます。
 次の鉛の一次施設でございますけれども、従来お示ししておりましたものが、一次と二次がミックスされた排ガスでございます。ばい煙でも、ミックスされている排ガスをサンプリングした場合は想定されてございます。それは自治体さんが規制をされる場合に、例えば排ガス量で按分しているとか、あるいは緩い方の基準に適合させるとか、自治事務の範囲でされているところでございます。
 先ほど課長から説明させていただきましたものは、当初は一次と二次とミックスされたデータだったんですけれども、事業者さんが別途、一次と二次が合流される前のところでサンプリング口をつくってくださって、新たに測ってくださいました。また、10μgという値が検出されたわけではなくて、10μgを切るような水準で検出されたということが、今日のお昼過ぎに連絡があったところでございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。今お話がございましたが、私は水銀大気排出対策小委員会のころから申し上げていたんですが、いろいろな測定値データがある場合には、なるべく早くそれを出していただくことによって、我々は適正な審議が進められるということでお願いをしていたわけですが、最近また幾つかデータをお出しいただきましたので、そういったものも考慮して考えさせていただいたということでございます。
 そのほかいかがでございましょう。高岡委員、どうぞ。

【高岡委員】 済みません、もう1点確認させていただきたいんですが、5ページの既存施設の扱いの論点の1つ目ですが、ここでは、施設の基本構造の変更により施設規模が一定程度増加する場合が適当ではないかということで、となりますと、いわゆる運転条件あるいは運用を少し変えたというのは、これは既設ということでよろしいでしょうか。これは確認です。

【坂本委員長】 お願いします。

【瀧口課長】 そのように考えております。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 その他いかがでございましょうか。もしよろしければ、一部次回に追加説明をしていだく部分がございますけれども、ここまでの議論はここで、次の議題に移らせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、排ガス中の水銀測定法の素案について、事務局から説明をお願いいたします。

【長濱補佐】 資料2をご確認ください。測定方法の案についてということで、事務局案としてお示ししてございます。
 これに関連する資料として、参考資料が幾つかございます。まず、参考資料2-2の別添1が粒子状水銀の割合について、連続測定の結果が別添2でございます。参考資料3といたしまして、事業者さんの意見を聞いてございますので、それを一覧にしたものがございます。
 資料2を1ページめくっていただきまして、基本的な考え方からご説明させていただきます。
 まず、排ガス中の水銀の測定方法についての基本的な考え方といたしまして、別添1に実際のマニュアルを添付してございます。時間の関係で、ここでは詳細なマニュアルについてはお手元に置いていただくのみとさせていただきます。
 測定の対象ですけれども、ガス状水銀及び粒子状水銀ということで、「全水銀」と以下呼ばせていただきますけれども、それを対象として、ガス状水銀については原子吸光分析装置により、粒子状水銀については湿式酸分解法又は加熱気化法により測定することが適当ではないかとしてございます。
 基本的な考え方といたしまして、測定対象について全水銀とすることとしております。欧米の測定法は全水銀を対象としておりますので諸外国の水銀排出データと比較検証可能な測定対象とすることが望ましいということが1点。それから、今回実施いたしました実態調査の結果において、一部の施設で粒子状水銀がガス状水銀と同等程度以上検出されていることを受けまして、全水銀とすることが適当ではないかとしてございます。
 ただ、事業者さんの負担を考慮いたしまして、排ガス中の全水銀に占める粒子状水銀の質量比が十分に低いことが確認できた場合には、ガス状水銀のみの測定結果をもって粒子状水銀の測定結果に代えることができることを今後検討すべきであるのではないかとしてございます。
 加えて、本測定法による全水銀の排出状況が十分に把握されていない現状においても、各施設において測定結果の誤差の範囲におさまるということが確認できた場合に限り、ガス状水銀のみの測定結果で全水銀の測定に代えることができるということが適当ではないかとしてございます。
 具体的には、事業者が粒子状水銀の濃度について、ガス状水銀の試料ガスにおける定量下限値未満又は全水銀に占める粒子状水銀の割合が5%未満であることを法施行後3年間、本測定法により定められた測定頻度と同回数の測定によって確認することが必要であるとする。
 ただし、例えば5%未満だけですと、一般的な水銀排出量が100μぐらいの施設では5μまで省略していいということになってしまいますので、水銀濃度の年平均値が50μg/N㎥以上の施設にあっては、粒子状水銀の濃度について、定量下限値未満又は2.5μ未満であることを同様に確認することとする。さらに、その後少なくとも水銀濃度の測定結果の保存期間、大体3年程度と考えてございますけれども、を超えない期間に1回の頻度で排出状況が継続していることを確認することとし、水銀排出施設もしくは排ガス処理設備に変更があった場合、又は水銀排出施設への投入物に大幅な変更があった場合には、その都度確認することが必要であるとしてはどうか。
 また、自治体においても立入検査等で確認することがよいのではないかとしてございます。
 この点、資料が前後して申しわけございませんが、参考資料3の排ガス中の水銀測定法に対する事業者からの意見ということで、「総論」の下に「測定対象」ということで、粒子状水銀の省略についてのご意見を、2ついただいてございます。
 まず電力では、データをこれまでJIS法で積み上げてきているということで、その実績から全水銀に占める粒子状の質量比が低いということを確認している。大体、全水銀が1~10μg/N㎥の範囲で、粒子状の割合が0.01~6.5%程度であるということを既に確認されているということでございます。この既存実績をもって、ガス状水銀のみで代用することをご了解していただきたいというご要望がございます。
 また、5%未満とすることについて、最大2.5μまで粒子状水銀が許容されるにもかかわらず、電力では、これまでのところ最大0.2μgの粒子状水銀しか確認されていない。その状況においては、法施行後3年間も測るというよりは、既存データを活用することを認めてほしいということで、法施行後3年間測定頻度と同等程度の回数によって確認することが必要であるというところが過大な負担を強いるものではないのか、というご意見をいただいてございます。
 資料2の2ページ目の測定方法について話を移しますと、測定方式としては、連続測定が、水銀濃度の変動を捉えて年間排出総量を把握できる点において優れているものの、測定機の導入・維持管理にかかる事業者負担が大きいこと、それから現在の測定機では粒子状水銀が測れません。また、測定範囲の下限値が1μ程度でございます。石炭火力ですと、低濃度域でおおむね下限値である1μぐらいのところが平均的な排出状況と認識してございますので、低濃度域の測定には不向きであることなどの難点がございます。このため、測定方法としてはバッチ測定が適当ではないかとしてございます。
 次に、(3)の試料採取方法でございますけれども、測定方法を全水銀とした場合に、全水銀を測定する場合には、試料採取方法として、ガス状と粒子状水銀を一括で試料採取する方法が望ましいんですけれども、等速吸引により粒子状水銀をろ紙に捕集した後、ガス状水銀についても同じ吸引量で試料採取する方法、以下「メインストリームサンプリング」と呼ばせていただきますけれども、これが基本となります。
 ただ、適切な試料採取量が、一部の施設を除いて、ガス状水銀と粒子状水銀とで大きく異なることが想定されますので、ガス状水銀の吸収液について、水銀吸収量を大幅に増加させるなどの必要がございます。その大幅に増加させることに対応しようと思うと、吸収液の濃度を上げるですとか量を大幅に多くする、そのためには容器を大きくしなければいけないというような、作業効率の低下等さまざまな課題が考えられます。
 一方、一括で試料採取する場合に、メインストリームサンプリングのほかに等速吸引により粒子状を捕集した後、ガスラインを分岐して吸引量を減少させた後にガス状水銀も採取するというサイドストリームサンプリングという方法がございます。ただ、このサイドストリームサンプリングは国内で広く普及した試料方法ではございませんで、測定実績に乏しいという課題がございます。
 従って、現時点では、ガス状水銀と粒子状水銀を別々に試料採取することが適当ではないか。ただし、可能な限りそれぞれの試料採取の開始を同時にすることが望ましいのではないかとしてございます。
 次に、(3-1)でございますけれども、ガス状水銀の試料採取方法でございます。
 ガス状水銀については、JIS K 0222の湿式吸収加熱気化法と同様とすることが適当ではないかとしてございます。ただ、吸引量について、平均的な排出状況を捉えるため、JIS法の20Lから増量させて100L程度とすることが適当ではないかとしてございます。
 ただし、水銀排出施設を1時間間隔でバッチ稼働させている場合など、100Lの吸引量が不可能な場合が想定されます。その場合は可能な限り長い連続吸引量とすることが適当ではないかとしてございます。
 この点についても事業者さんからご意見をいただいておりまして、参考資料3でございます。1枚目の下のカラムでございますけれども、ガス状水銀の試料採取量について、サンプリング口が1カ所しかないような事業者があって、100L引こうと思うと100分~200分ぐらいサンプリングの時間がかかるということで、機材の準備ですとか、他のばい煙測定ということも考えると、就業時間に終わらないケースも想定されるということで、サンプリング量は20Lのままがいいというご意見でございます。
 また、100分~200分引く場合に、他のものも同様に採取するとなると、ボイラーなどを一定程度に制御しないといけない。長い時間、制御するのは難しいというようなご意見もいただいてございます。
 また資料2の本文に戻らせていただきますけれども、5パラ目に、JIS法では、鉱石などの焙焼ガスなど二酸化硫黄の濃度の高い排ガスや有機物の多い排ガスでは、水酸化カリウムなどの吸収液による洗浄を行うとされております。この点、硫黄分を多く含む排ガスでは、水酸化カリウム溶液による排ガス洗浄を行った場合に疑似ピークが検出されることをラボ試験で確認してございます。
 その結果について、参考資料4にグラフ等をつけてございます。参考資料4「硫黄酸化物による排ガス中水銀測定の影響について」という資料をご確認いただけますでしょうか。
 それを1枚めくっていただきました2ページ目です。水銀のスタンダードのピークを示した図の下の段にございますのが、水銀を添加していないSO2ガスを通気した場合に、水酸化カリウム溶液から疑似ピークが確認されたという図でございます。4がゼロ、SO2ガス通気なしのものでございます。5と数字が打っておりますのが、463.8ppmのSO2ガスを100L通気した場合に確認された疑似ピークでございます。6と打っておりますのが、同じ濃度のSO2ガスを50L通気したものでございます。疑似ピークが確認されたということをラボ試験で確認してございます。
 それから、欧米の規格では、洗浄に過酸化水素水を採用していることもございまして、今回は、洗浄が必要な場合は過酸化水素水などを用いることが適当ではないかとしてございます。また、洗浄を行う場合は、液の飛沫を防ぐために、前処理液と実際の水銀吸収をする過マンガン酸カリウム溶液の間に空瓶を一つ置く。さらに、前処理液も空瓶も、捕集された溶液については水銀の定量を行うことが必要ではないかとしてございます。
 続いて、資料2の4ページに移らせていただきます。
 (3-2)でございますけれども、粒子状水銀の試料採取方法でございますが、JIS Z8808に準拠して、フィルターに粒子状水銀を含むダストを等速吸引により捕集し、そのサンプリング量は1,000L程度を目安とすることが適当ではないかとしてございます。施設をバッチ稼働しているものについては、ガス状水銀と同等の考えでございます。
 なお、試料採取については、原則としてJISの1形、要するに排ガスのダストを捕集するところを煙道の中に入れることを基本とする。ただし、温度が煙道の排ガスと同じにすることが可能な場合には、煙道の外に出してもよいとすることが適当ではないかとしてございます。
 次に分析方法でございますけれども、ガス状水銀は、JIS同様、原子吸光とすることが適当ではないかとしてございます。この点、諸外国では、原子蛍光分析も使われてございますけれども、我が国においては使用実績が少ないということ、それから、JIS規格や他の公定法においても原子吸光のみが用いられているということを踏まえまして、原子吸光以外の方法については、JIS規格等において取り入れられた時点で追加を検討すべきではないかとしてございます。
 (4-2)でございますけれども、粒子状水銀の分析方法でございます。
 こちらは、湿式酸分解法あるいは加熱気化法で分析することが適当ではないかとしてございます。湿式酸分解法を用いる場合は、底質調査法により分析することが適当ではないか。その他の測定法については、研究機関において用いられているものが多いということで、習熟が必要な分析方法であると考えられるとしてございます。
 5ページ目に移っていただきまして、(6)測定結果の補正方法でございますけれども、今回の水銀の規制が濃度規制を採用しているということから、原則として標準酸素濃度補正方式を採用することが適当ではないかとしてございます。式や酸素補正の係数については、ばい煙を踏襲することが適当ではないかとしてございます。
 ただ、非鉄の炉ですとか電気炉については、酸素補正を行わないことが適当ではないかとしてございます。
 6ページ目に移っていただきまして、(7)の測定頻度でございます。測定頻度については、合理的なものである必要があるということですけれども、一方で、水銀濃度には変動がある。それを適切に捉えたサンプリング量、頻度とするということが、答申にも書かれているところでございます。まず、合理的なものとするために、水銀排出施設における他の大気排出規制物質の測定頻度、注記7としてございますけれども、ばい煙規制では排ガス量が4万N㎥/h以上の施設にあっては2カ月を超えない作業期間、未満の場合は6カ月を超えない作業期間ごとに1回以上の測定頻度となってございます。
 これと、後述する再測定を含めた水銀濃度の測定にかかる時間を考慮いたしまして、排ガス量が4万N㎥以上の施設にあっては4カ月を超えない作業期間ごとに1回以上、4万N㎥未満の場合は6カ月を超えない作業期間ごとに1回以上とすることが適当ではないかとしてございます。
 この点、事業者さんから多くの意見をいただいてございまして、参考資料3の2ページ目でございます。事業者意見としては、測定頻度については、基準とも連携してくるということで、基準ともあわせて設定されたいということを伺ってございます。
 また、事業者の過大な負担につながるものであるので、産業界の意見も踏まえた検討をいただきたいということ。それから、施設規模と水銀濃度に明らかな相関が見られないと評価されているということで、排ガス量に応じて測定頻度を変える必要性はないのではないかというご意見をいただいてございます。そのため、規模にかかわらず6カ月に1回以上と統一することは可能ではないのかとされてございます。また、ばい煙と違って直接曝露による健康影響が想定されない現状においては、1年を超えない作業期間として、それ以上の実施は各業界の特性を踏まえて判断されたいということを伺ってございます。
 次は、施設規模にかかわらず、6カ月を超えない期間で1回以上としていただきたいということです。
 また次の意見も同様でございますが、今の現状を踏まえると、年2~3回まで測定頻度を求められるということは過剰ではないのかということで、排ガス量にかかわらず1年を超えない作業期間ごとに1回以上に規定することが適切ではないかというご意見をいただいてございます。
 今回の水銀の実態調査では、施設規模と排ガス中水銀濃度に相関はさほど見られず、一概に施設規模が大きいほど濃度が上がるというものではないですけれども、水銀排出量を考えると、当然、施設規模が上がるごとに水銀排出量は増加しますので、排ガス量が大きい施設の測定頻度が多くなるということにそんなに違和感はないかと思って、事務局案としては作成してございます。
 なお、実態調査において水銀排出がほぼ確認されなかった、例えば、硫化鉱を原料とする乾燥炉、あるいは専ら鉛バッテリーなどの水銀が含有されていないものを溶解する炉については、排ガス量にかかわらず、出ていないということを確認するために年1回以上とすることが適当ではないかとしてございます。
 この点も事業者から事前にご意見をいただいておりまして、参考資料3の2ページ目の最後のカラムでございますけれども、亜鉛の回収炉として指定される鉄鋼の用に供する電気炉のうち、乾燥炉については、その水銀濃度が0.1~0.55μg/N㎥であり、平均も0.26μg/N㎥であったので、乾燥炉についてもここに追加していただきたいというご意見をいただいてございます。
 次に測定結果の確認方法ということで、資料2の6ページ目の2.に移らせていただきますけれども、水銀等の大気排出を抑制するためには、投入物の水銀含有量の低減化や排ガス処理を実施することが有効でございます。投入物については、水銀含有量を管理することがBATの一つとされておりまして、事業者が取り組むべき重要な措置ではあるものの、突発的に高い水銀含有量のものが混入する可能性もございます。
 このため、排ガス中の水銀濃度は、施設、それから排ガス施設が安定的に稼働していて、かつ、排ガス処理施設として水銀等の大気への排出の削減に関するBATが導入されている場合であっても、投入物の水銀含有量によっては突発的に高濃度になる可能性がございます。
 答申では、水銀濃度は一定の変動があるということで、平常時における平均的な排出状況を捉えた規制とするとしてございます。サンプリング時間ですとかサンプリングの方法についても、それらを適切に代表できるような方法とすることを定めるべきとされておりますけれども、事業者負担等の観点から、一定の割り切りのもとに、試料採取時間ですとか測定頻度を設定するために、十分に変動を平準化する測定方法とすることが困難ではないかと考えてございます。
 このため、排出基準については、測定結果に一定の濃度変動が内在するということに留意して、対象施設において一度でも超えてはならない水準として設定するものではなく、平常時における平均的な排出状況として達成し得る水準として設定される予定でございます。
 とりわけ個々の水銀排出施設について、排出基準の水準を上回る水銀濃度が検出された場合、複数回の再測定を速やかに行って、平均的な排出状況において排出基準の水準を上回っているのか、一時的な高濃度を検出したのかについて、可能な限り早く確認することが適切であるとしてございます。
 具体的には、排出基準値を上回る水銀濃度が検出された場合、つまり、排出基準の水準を上回る水銀濃度が検出された場合には、水銀排出施設の稼働条件を一定に保った上で、速やかに計3回以上の再測定を実施し、初回の測定結果を含めた計4つ以上の測定結果のうち、最大値、最小値を除く全ての測定結果の平均値により評価する。なお、速やかな再測定とは、初回の測定結果が得られた後から、遅くとも30日までの間に実施することを原則とする。加えて測定結果は全て保存する。再測定の評価においても排出基準値を上回る水銀濃度が検出された場合には、関係自治体に連絡するとともに、原因究明を行って再発防止の措置をとることが必要であるとしてございます。
 この点にも、多くのご意見をいただいてございます。参考資料3の3ページ目でございますけれども、まず、再測定を初回測定の結果が得られてから30日以内としてございますが、原則とは言いつつも30日という短い期間ではなかなか対応が難しいので、定量的な値を設けずに、「速やかに再測定を実施し評価することが適当である。」というような定性的な表現にしていただきたいというようなご要望でございます。
 それから、再測定の条件でございますけれども、稼働条件を一定に保つとしている点について、なかなかボイラーの負荷変動が大きい場合に稼働条件を一定にするというのは難しいので、「可能な限り」という文言を修正していただきたいというようなことを聞いてございます。
 また、原則とはしているものの特殊事情が想定されますので、通知等でフレキシブルに対応できるよう記載していただきたいということ等が記載されてございます。
 また評価の方法でございますけれども、初回の測定が異常値であるため再測定プロセスに移るにもかかわらず、その異常値を含めたデータの最大・最小を除く平均をとることは適当ではないと考える。このため、初回測定の結果を含めず、再測定の結果のみの最大・最小を除く平均で評価すべきである。
 また、基準値を上回る水銀濃度が検出された場合というけれども、目安がないということをご指摘いただいてございますけれども、「上回る」でございますので、有効数字で評価、丸めた数字で少しでも超えていれば上回るという従来の考え方でよろしいのかなと思います。
 初回測定が異常値であるのでというご意見でございますけれども、異常値かどうか確かめるために再測定に移るわけですので、最初から除外するというのは適切ではないのではないかと事務局としては考えているところでございます。
 資料2でございますけれども、今後の検討課題として、メインストリームサンプリング等を検討することが必要ではないかとしてございます。
 それから、このほか金アマルガム法等のような湿式吸収法以外の方法についても、本測定法と等価性が確認された場合には取り入れるべきではないかとしてございます。
 また、諸外国の排出データと比較検証可能なものとするため、精度管理等についても今後検討すべきではないかとしてございます。
 また、事業者の意見の最後でございますけれども、今回の測定法がJISとは一部共通していて一部異なるという分析法でございますので、周知を徹底されたいというようなご要望もいただいてございます。
 測定法に関する資料については以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。ただいま資料2、それから参考資料3を使って、事業者さんからいただいた意見の説明を加えながら、資料2について説明をいただきました。
 ここにつきまして、ご質問、ご意見等ございます方は、名札を立てていただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、まず大塚委員からお願いいたします。

【大塚委員】 確認だけなんですけども、2つございまして、1つは、バッチ測定の理由づけですが、大防法の18条の29の勧告の要件の継続性というのが関係しているかとも思いますが、ここには理由には書いておられませんが、これはどうでしょうかというのが1つ。
 それからもう1つは、7ページのところで、排出基準値を上回る水銀濃度が検出された場合に、再測定後の評価においても排出基準値を上回る水銀濃度が検出された場合には、関係自治体への連絡というのは非常に重要だと思いますが、これは政令で定められるというご趣旨なんでしょうか。
 以上2点お願いします。

【坂本委員長】 お願いします。

【長濵補佐】 1点目でございますけれども、評価の方法のところではそこまで書いてございません。今回バッチ測定ごとで排出基準値適合を確認するとした理由が、まさに先生からご指摘いただきましたことで、勧告要件が排出基準値超過の継続性を要件にしてございますので、評価方法として長時間を要するようなものは適切ではない、年平均値ですとか移動平均みたいな評価に時間がかかるものについては適切ではなく、1回1回のバッチ測定で評価することにしてございます。その点、書き漏れているところがございました。
 2点目でございますけれども、関係自治体への連絡というのは、これまでもばい煙規制等で、政令で書くことはしてございませんので、通知とか説明会とかで周知するレベルではないかとは思ってございますが、検討いたします。

【坂本委員長】 多分それがきちんと報告されることが非常に重要だ、そういうことだと思います。
 飯島委員、お願いします。

【飯島委員】 ありがとうございます。幾つか意見と確認をさせていただきたいと思いますが、まず1ページ目の測定対象ですが、粒子状水銀の測定をしなくてもいいという条件が書かれておりますけれども、その中で、全水銀に対する粒子状の水銀の割合が5%ということがありますけれどもが、この5%というのは、その前のところの「測定結果の誤差の範囲に収まることが確認できた場合に限り」とあり、5%というのはそういう根拠に基づくものなのでしょうか。誤差の範囲ということで5%、あるいは他の要因で5%と定めているのであれば、その根拠を教えていただきたいということでございます。それから、割合だけではなくて、粒子状水銀の絶対値というんでしょうか、数値そのものにも着目をしているということで、これはなるほどなと思っております。
 それからもう1点確認でございますが、水銀濃度の年平均値が50μ以上の施設にあっては、粒子状水銀を測らなくてもよいという条件がありますけれども、そもそもこういう条件を満たしていれば粒子状水銀を測っていませんので、水銀濃度の年平均値が50μというのは、全水銀ではなくてガス状の水銀が年平均で50μという意味に捉えているんですが、それでいいのでしょうか。
 それから、6ページの測定頻度ですが、排ガス量が4万㎥を超えるものとそれ未満ということで、4カ月と6カ月と分けておりますけれども、既存の大気汚染防止法では、それぞれ2カ月とか6カ月とあって、それに準じた形で頻度を定めているのだろうと思います。4万㎥以上が2カ月ではなくて4カ月というのは、まさしく万が一排出基準を超えた場合の再測定があり、そういう対応をしている間に2カ月たってしまうということで、おそらく4カ月ということだろうと思うんですが、そこまで厳密に排ガス量の規模によって測定頻度を分ける必要性があるのかなというところがあります。むしろ6カ月を超えない作業期間ごとに1回ということであれば、排ガス量にかかわらず6カ月という測定頻度というのもあるのかなと。その方がむしろ自治体としては、測定頻度のチェックといいましょうか、どういう頻度でやられているのか確認する際にも、6カ月で統一をしていただければ非常にありがたいと思っております。
 それから、7ページでございますが、排出基準を超えた場合には速やかに計3回以上、高いのと低いのを削って最低でも2つのデータで平均値を出すということなんですが、そもそも平均的な排出状況を把握をする、その平均的な排出状況でどうかということを把握をするのであれば、基準値を超えたときに再測定といいましょうか、複数回やるのも当然ですし、それから基準値を下回っていても、それが本当に平均的な排出状況かわからない。数回やって初めて、低いときの濃度があって高いときの濃度がある。ですから、複数回測定をするというのは、基準値を超えるか超えないかにかかわらず、本来複数回やるべきだろうと、原則私はそう思うんですが、ただ、複数回やると、いろいろ試料採取ですとか分析方法上の問題があって、直ちに測定回数として複数回やるというのは非常に難しいのが現状かなと思いますので、現状の試料採取、分析方法の課題を考えるのであれば、提案の内容でもやむを得ないかと思っています。これが未来永劫、今の測定の課題が解決されても、このままというわけにはいかないと思いますので、今後の課題として、その辺の測定回数を検討していただきたいと思います。
 それから最後になりますけれども、再測定をした場合のデータの記録保管ですが、今、大気汚染防止法ですと、測定結果については記録保存という義務が課されておりますけれども、ここでの記録保管というのは、平均をした測定値のことに限定しているのか、あるいは、最低4回やるわけですけども、その4回全てのデータの記録を保管することが大気汚染防止法上の義務になるのか、そのあたりを確認をしたいと思います。
 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。多分5つあったかと思いますが、2つ目はご意見として承るとして、その他の点、お願いいたします。

【長濱補佐】 まず5%というところでございますけれども、今の排出実態が十分に把握されていない現状においても誤差の範囲におさまることが確認できた場合、その場合はどういったものかということです。まず定量下限値未満であること、それから、全水銀に占める粒子状水銀の割合が大体5%未満であれば、誤差の範囲と言えるのではないかということで示したものでございます。
 それから、次の行の「ただし、水銀濃度の年平均値が50μg/N㎥以上の施設にあっては」というところでございますけれども、法施行後3年間は、必ず皆さん統一された測定方法で全水銀を測ります。その結果省略云々なので全水銀という意味です。全水銀の年平均値が50μ以上の施設にあってはということでございます。
 測定頻度のところで、4カ月を超えない作業期間ごとに1回以上という指摘でございますけれども、6カ月に統一した方が自治体としてはしやすいということで、この辺、他の自治体の方々、それから測定方法にお詳しい専門家の先生方にもこういうご意見がございましたということで、持ち帰って検討させていただきたいと考えてございます。
 次の、複数回の測定をなぜ最初からしなかったのかというところでございますけれども、水銀のサンプリング時間が長いということ、それから平均的な排出状況を捉えるためには、おそらく日を変えてサンプリングする必要がございます。その場合に、ばい煙と一緒にサンプリングできないということで、事業者負担を考えて、初回測定が基準値を上回る水準で検出された場合に、再測定でより確からしい平均的な排出状況で基準適否を判断する方が適切ではないかということで、そのような運用を提案した次第でございます。
 また最後のご質問でございますけれども、4パラ目の真ん中あたりに、「加えて、測定結果は、初回のものも含め、全て記録・保管しておく必要がある。」と記載してございまして、1つ1つの測定結果全てを記録・保管しておくという意味でございます。平均されたものではなくて、全ての測定結果について記録・保管しておくことが必要ということで、この辺はばい煙の様式とは若干異なる様式になるかと思います。
 以上でございます。

【坂本委員長】 はい、どうぞ。飯島委員。

【飯島委員】 ありがとうございます。最後の記録・保管の件ですが、記録・保管するということが現行の大気汚染防止法上の義務と同等な義務ということで解釈してよろしいんでしょうか。

【長濱補佐】 記録・保管しなければならないということは法律に書いておりますので、法律の規定として保管義務は課せられてございます。

【坂本委員長】 それでは、守富委員、お願いします。

【守富委員】 ありがとうございます。
 まず最初に、今ご意見ありましたように、1ページ目の測定対象の3パラグラフ目の中段あたりの年平均値50μg/N㎥なんですが、全体を見てここしか出てこないかなと思って安心はしているんですけど、年平均値というのをどうやって担保するのでしょうか。バッチ測定を何回かやるかはこれからの議論かもしれませんが、年1回や3回測定したものの平均値を、年平均と呼んでいいのかというのが1つですね。
 それから、3ページ目になるかと思いますが、先ほどの話で、ガス状水銀の試料採取方法のところで、JIS法の20L~環境省法の100Lとあります。これも幾つか意見が出ていたように思うんですが、現場現場で、そこのサンプリングが就業時間に終わるかどうか難しくなるという話もありますので、ぜひそこのところはご検討いただきたいと思います。
 それで、まずは今日のお話は水銀の測定法ということで、案として資料2を提出されたわけで、これは測定法の検討委員会のご尽力によるものだと思っておりますが、環境省法を含めて、JIS法も含めたところで、そこは非常に納得できるんですが、粒子状のものを含めて検討の余地もあるかと思いますが、そこは敬意を表したいと思います。
 ただ、後段の頻度のところだとか測定結果の確認方法だとかというところは、どこまで議論したのかがはっきりしなくて、まさに業界のほうから多々質問が来ているかと思いますが、ぜひ産業界の意見を参考にしていただきたいと思います。要するに、実際に遵守できるか否かは、その測定頻度でできるかどうか、30日で再測定することにしても、できるかどうかというのもあります。年3回、4カ月置きにというのでも、なかなか頻度的にできるのか。
1つの業界で、本来であれば連続モニタリングを1施設で全部1年間通してやって、年平均を出し、変動があることをみます。B施設、C施設幾らかあって、A、B、C、D全部平均して、例えば次回出るだろうインベントリー等を出してくるということになると思うんです。それをバッチでもって、ある期間のところだけを切り出して測定するわけですから、切り出したのが3回でいいのか、4カ月置きでいいのかというのが、根拠が必ずしもはっきりしないので、それでいいのかなというのがあります。もう一つは、今回の実態調査というのは、切り出した値を施設別にずっと並べて平均値をとっている。それでもって次の基準の話になるのかもしれませんが、そこから1シグマだとか2シグマというのは、少し話として乱暴なのかなと思います。
 というのは、基本的には連続モニタリングして、どこかでバッチ測定をして、少なくとも測定の検討委員会では、1回ではなくて複数回やったほうがいいということだと思うんですね。数が多いほうが確かに連続のものに近づくだろう。ですけれども、今回バッチとしてやっていくということは、基本的にはいろんな施設でもって測定……。

【坂本委員長】 簡潔にまとめてください。

【守富委員】 済みません。ということで、頻度というのが、必ずしも3回というのがいいのかどうか。複数回というのはわかります。今回業界からもいろいろ意見が出ていたので、ぜひそれらを参考にした上で、判断したほうがいいんじゃないのかなと思います。やれるか、遵守できるかどうかというところですね。

【長濱補佐】 資料でいうところの年平均値というご指摘がございますけれども、確かに守富先生のとおり、連続測定の年平均値ということではなくて、バッチ測定を単純に平均化したものを年平均値としてございます。例えば年3回やるところであれば、年3回のバッチ測定の平均値というのが50μ以上であるか否かというところで評価するということで書いてございます。
 その他についてはご指摘として承ります。
【坂本委員長】 今の平均値の場合は、当然統計的に考えれば、数が多いほど最終的な平均値に近づくんだけれども、いわゆるデータのないものねだりもできない中で、どういう形で私たちがこの水俣条約に対応していくかというところで議論をしているんではないかと思いますので、その点もお考えいただきたいと思います。
 幾つかまた持ち帰りで、次回のところでいただきたいと思いますが、指宿委員でしょうか、次お願いします。

【指宿委員】 測定法を考える上で、事業者と自治体の負担をいかに適切なものにするかということだと思うんですが、その観点でいうと、粒子状水銀とガス状水銀を全水銀として一緒に測るというところにすごく負担が、特に粒子状水銀を測るところに大きな負担が出てくる。
 これは頻度にもかかわっていると思うんですが、例えば大気汚染防止法で煤じん、ダストを測るに当たって等速吸引をするので、その機械を使って粒子状水銀を測るというのは一つの考え方であって、それはいいと思うんです。ただ、それが煤じんと同じ回数でなければならないのか、2回でいいのかというのはまだ議論を詰めていないのではないかというのは私も感じるんです。
 それからもう一つは、粒子状水銀を測らなくてもよい基準に、誤差の5%未満という表現があったんですが、その誤差というのは考え方がまだ定量的でなくて、例えば5回繰り返して5個の測定データを環境省さんが持っておられて、それは比較的近い1期間の間にやられている。このデータから測定の誤差というのを評価するべきで、私が前回別の検討会のところで質問したのもそういう趣旨なんです。
 今あるデータの中から粒子状水銀、それからガス状水銀、それを合わせた全水銀の測定の誤差というのがどれぐらいの範囲になっているのか、それをまず示して、その中で議論をしたほうがいいと思うんですね。その辺がまだ十分されていないので、あっちがいい、こっちがいいという議論になるのではないかと思っているんですが。

【坂本委員長】 今のお話は、運転条件とか、いろいろな変動がある中で幾つか測ったものの平均ではなくて、ある一定の条件に近いところではかったときの変動がいわゆる測定の誤差範囲だ、そういうことをきちんと認識した形でデータを整理し直して考えてほしい、そういうことでございます。ありがとうございました。
 続きまして、貴田委員、お願いします。

【貴田委員】 ありがとうございます。2点ほどなんですけど、1ページ目の、先ほど守富委員が言われたところ、私も同じことを感じておりまして、ガス状水銀の割合ということなんですけど、「ただし」以降の文章は、年平均値が50μというのは、何か少し数値が出てきて、例えばのことでいいのではないか。あるいは、ここのところはちょっと文章的に基準値を想定するような内容にも感じられるので、ここの文章はちょっと考える必要があるのではないかと思いました。
 それから、頻度のところなんですけど、平常時における平均的な値ということはずっと強く言われておりました。そういう観点からいえば、煤じんと同じく、私の頭の中には年6回と思っておりましたが、事業者の負担とかを考えて、こういう形、年3回というふうになるのもやむを得ないのかなという理解でおります。
 ただし、今後のことを考えて、水俣条約締結後に、環境省としても、連続測定というか、バッチ測定の意味合いをもう少し補完できるような調査というのを今後続けていただきたい。これは直接測定法には関係しませんが、お願いしたいというふうに思います。
 以上です。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 伊藤委員、どうぞお願いします。

【伊藤委員】 ありがとうございます。どのタイミングで申し上げようかちょっと迷っていたんですが、参考資料の別紙1の18ページ目に参考.精度評価というところがあるのですが、この表を見ていただくとわかるんとおり、環境省の方法とENの方法の比較がございます。大概は合っているんてすけども、ところどころで大きな乖離が出る。これはどちらが悪いというわけじゃなくて、測定というのは大体こういうものが出てくる。数を増やせば必ずこういうものが出てくる。
 何を言いたいかと申しますと、平常時の平均的な値というのをこれから考えるということになるんでしょうけれども、その場合には、なるべく多くのデータを集めて全体像を把握するということが必要だと考えます。その中で、平均とか、あるいは、バッチで測定する場合にはどの程度のばらつきが出てくるんだということも考えられるんだと思います。 そういう意味で、今あるデータをぜひ有効活用していただいて、全体像を把握しながら基準値というものに結びつけていっていただきたいという意見でございます。
 以上でございます。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 畠山委員、お願いします。

【畠山委員】 ありがとうございます。今の伊藤委員のご意見とほとんど同じで、屋上屋を重ねる必要はないかとは思うんですが、プリミティブな質問として、平常時の平均値というのは、どこをもって平常値というんだというところをちょっと疑問に思ったので、そこだけお聞きしたい。

【坂本委員長】 ありがとうございました。今のお話は、今回水銀の排出についてはいろいろな形で変動が多い、そういった中でどういうことを考えていかなければいけないか。それからもう一つは、私たちは最終的には排出量を減らす形を考えていく中でやっていくものである。そして、それをずっと長い時間かけて、例えば連続測定をどこの施設でもやってバッチと比較した上で、こうだからどうだとか、それほどの時間を私たちは持っていない中で考えていく。
 そういった場合に、まさに1回測って、それを超えたからといって、それでどういうことではなくて、少なくとも1回目のデータをとった以上のデータをとって考えるような形を今の中では提示をしている。そういう意味では、現時点ではかなりのことを考えてやっているものに相当するのではないかと私自身は思っています。ただし、その場合に、今あるデータをどう読んだ上で最終的な数値を考えていくかというところに、幾つかの委員の先生方からご意見をいただいたと思ってございます。
 そういう意味で、今日いただきました意見を、この後データを読み直して、少し、場合によっては表等も整理し直していただいたものを使って考えていくところが幾つか必要なところがあると思っているところでございます。
 皆様、その他いかがでしょうか。ご意見等ございましたら。
 今日、時間の中でご意見等が言い切れなかった場合には、また後で事務局のほうへお送りいただきたいということを申し上げようとしていたところでございます。
 谷口委員、どうぞ。

【谷口委員】 ほとんど感想ということで聞いていただければと思うんですけども、高い濃度が出た後で、30日以内に3回はかる。これは、私は、都道府県の立入検査を考えたときに、非常にスムーズな現場対応を法律に書いていただけると思うわけです。
 すなわち、我々は、基準を超えるようなデータが出てきて、直ちに勧告とかそんなことをするわけではなくて、見直してくださいよ、維持管理はどうですかという話になって、その上でもう一度測ってみましょうというような、そういう指導をするわけです。それがこういうところをベースに法律に書かれるというのは、現場対応としても非常に円滑に進むんじゃないかなと思っています。

【坂本委員長】 ありがとうございました。
 その他いかがでございましょうか。全体を通して、前半のところでも、その後気づいた点等ございますれば、ご意見を頂戴したいと思いますが。
どうぞ、守富委員。

【守富委員】 意見というか確認ですけども、先ほどの頻度の話は、業界分野横断的な話で、業界によってそれぞれ、環境測定できるところ、できないところが出てくるといった場合には、分野別に分けることもあり得るのかということと、もう1点、将来的に5年見直しだとした場合に、とりあえずここで決めたものを、やってみないとわからないところが多々あると思いますので、見直しみたいなものはどういう感覚で持っておられるのかなという確認をしたいと思っています。

【坂本委員長】 事務局、お願いします。

【長濱補佐】 今は、各施設ごとの排出実態というのは十分には把握できていないという前提に立っておりますので、統一された測定方法でまず一律に5年間はやってみる。全施設分野の全体像を正確に把握した後に、5年後見直しなどで、この施設はこうだというような細かい設計を今後していったほうがいいのではないかと考えてございます。
 ですので、今の時点では、施設の全体像がわからないので、確かに例えば一部の業種ですと、その業種だけはわかっているかもしれないけれども、全体像がわからないという状況ですので、今の段階では、全体像を見られるような一律に近い設計をしたほうがいいのではないかとは考えてございますが、この点は専門家の先生方のご検討の範囲かなと思ってございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 大塚委員、どうぞ。簡潔にお願いします。

【大塚委員】 先ほどの立入検査等に関しては、今回の改正の中には立入検査のところは入っていないですけど、当然入ってくると思ってよろしいでしょうか。

【瀧口課長】 今回の法律改正でも、立入検査、報告、徴収等は規定されております。

【大塚委員】 当然入ってくるわけですね。

【長濱補佐】 改正法の第26条で、ばい煙などと一緒に規定してございます。今、改正大防法の資料をご覧いただいてございますけれども、その新旧対照表の11ページでございます。その後ろの方に報告及び検査ということで、ばい煙とかと一括して、その中に水銀という項目も入れてございます。

【坂本委員長】 よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。その他いかがでしょう。ご意見がございませんようでしたら、事務局へお返ししたいと思います。事務局から連絡事項等ございましたら、お願いいたします。

【瀧口課長】 本日は、長時間にわたりましてご議論いただきまして、ありがとうございました。
 本日、資料もたくさん出させていただきましたけれども、もし今日言い足りなかった、あるいは資料をもう一度お読みになって、何か追加のコメント等がありましたら、来週の金曜日、2月19日までに、メール等で構いませんので、事務局にご提出いただければと思います。
 また、本日の議事録につきましては、事務局にて取りまとめを行いまして、委員の皆様にご確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきたいと思います。
 次回のこの専門委員会は、3月23日(水曜日)の夕方4時から6時ということで、同じ環境省の第一会議室で開催する予定です。

【坂本委員長】 それでは、本日の会議はこれで終了したいと思います。
 大体時間のところで終わってほっとしてございます。どうもありがとうございました。
午後 6時01分 閉会